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優柔不断な双子の兄とは、まるで正反対のサッパリとした性格─ラージは双子なのに、こうも違うものなのかと、人類の神秘を感じられずには入られなかった。
エクサランス開発チームの中で一番男らしいのが、女性である彼女だった。ただ、そんなことは本人の目の前で絶対に言葉にできないのだが・・・
「・・・それより、珍しいですね。フィオナが機体の整備するなんて」
エクサランスの整備は普段は担当整備士であるミズホが行っていた。少なくともラージはフィオナがコクピット内の計器以外を扱っているのは見たことがない。
「・・・まあね。そ、その、最近、出撃も多くなってきたし、ミズホも大変だろうなって、思っちゃて。だから、自分で出来る範囲の簡単なことはやっておこうって・・・」
何が恥ずかしいのか、フィオナは少し照れながら頬を指でポリポリと掻きながら小さな声で言った。
─それは、今までのフィオナからは考えられないことだった。
いつも自己中心的で自分の意見が通らなければ、相手に噛み付く、まさにジャジャ馬といった彼女だ。そんな彼女が、こんな心遣いをするのは意外だった。
もしかすると、こちらの世界に来て、様々な人々との出会いが彼女を変えていったのかもしれない。
フィオナの照れはそういった心遣いに慣れてないための恥じらいだった。そう思うとラージは微笑ましく思えてきてしまう。
「いい心がけですよ。関心します」
そう言ってラージはフィオナに真っ白なタオルを差し出し
『しかし、女性なんですから顔の汚れは気にしたほうがいいですよ』と言葉を残し、格納庫を後にした。