触手・怪物に犯されるSS 19匹目at EROPARO
触手・怪物に犯されるSS 19匹目 - 暇つぶし2ch100:名無しさん@ピンキー
09/02/15 17:32:44 Pg2UqE8z
良いぞもっとやれ

101:名無しさん@ピンキー
09/02/15 17:35:11 XBpGrVg0
早く続きを書くんだ

102:名無しさん@ピンキー
09/02/15 17:44:40 WFVOtPPA
走れ魔法少女

もっとやってくださいお願いします

103:触手文学全集
09/02/15 18:51:05 0JJ4YOAa
「我輩は触手である」
~女体経験はまだない~

「触国」
トンネルを抜けると触手の国であった。夜のそこが赤くなった。時々白かった。

「触手失格」
産まれて、すみません

104:名無しさん@ピンキー
09/02/15 21:17:40 vNOHyH1s
なんぞこれwwwww
よく文章摺り合わせしたなぁ
読んでて久しぶりに国語やってた学生時代を思い出して、記憶がふぁ~ってなったわ

105:名無しさん@ピンキー
09/02/15 21:33:48 AM2K21Jq
朝、洞窟で粘液を一さじ、すっと吸って獲物が、「あ」と幽かな叫び声をおあげになった。
「媚薬?」粘液に何か、イヤなものでも混じっていたのかしら、と思った。

太宰治ならこれだろ
ともあれ>>99イイヨイイヨー是非続けてくれ

106:名無しさん@ピンキー
09/02/16 01:38:38 swv/pAJs
何と言う太宰www
触手が文学になる日がとうとう来たか(棒

107:名無しさん@ピンキー
09/02/16 04:32:00 sFvH3Non
―触手物語の一節より―
祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 触手必衰の理を現す
驕れる触手も久しからず ただ春の夜の夢のごとし 猛き触手もついには滅び
ひとえに風の前の塵に同じ

108:名無しさん@ピンキー
09/02/16 14:11:01 7nzXz/c/
ある朝、グレゴール・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、
自分が寝床の中で巨大な触手生物に変わっているのを発見した。
彼は海鼠の様にしなやかな柔突起を下にして、仰向けに横たわっていた。

――カフカ「変身」より

109:名無しさん@ピンキー
09/02/16 15:11:10 pDYAp5GU
ザムザの妹逃げてーww

110:名無しさん@ピンキー
09/02/16 18:52:34 M7IXIusO
有名な文学作品のほんの一部分を変えるだけで、
ここまでエロマンガやエロ小説のテンプレ的な内容になるとは思わなかったw

111:名無しさん@ピンキー
09/02/16 20:41:45 ExzrSfm3
阿部公房の「良識派」でやろうと思ったのに作品集が見つからん…

112:怪物向上委員会
09/02/17 01:00:52 51OYbn9n
流れを切ってすいません。
初投下いきます。

113:怪物向上委員会
09/02/17 01:02:06 51OYbn9n
エメラルドグリーンの美しい海岸からおよそ2km続く岩場、ここはヴァフトームの町から遠く離れた無人の遺跡である。
かつてここでは族長を決めるにあたりこの岩場で試練を受けることになっていた。
だが、今ではその風習も廃れここは誰も寄り付かぬただの岩場となってしまっている。
そんな遺跡をあるパーティーが試練のため訪れていた。

「炎の矢!」
ジュディの持っていた獣石の杖から激しい燃える炎がモンスターに向かって放たれる。
爆発音とともにモンスターが焼かれ崖から落ちてこの岩場での最後の戦闘が終了した。
「ジュディ、大丈夫かい?」
母親のレベッカが娘を労わって声をかけた。姉のマリーも戦闘が無事終了したことの
安堵で笑顔で駆け寄ってくる。
「うん!だいじょうぶ!わたしにまっかせて!」
そう言って笑顔を見せるジュディだったが、その顔色から疲労が大きいのは一目瞭然
だった。何しろこの岩場の最後の戦闘は体力を吸い取られた状態で敢行されたのだ。
さすがに古代の遺跡だけあって半端ではなかった。これでジュディの獣石の杖はすでに魔力を消耗して使い物にならなくなってしまいレベッカとマリーの獣石の腕輪も同様だった。
「さあ町に戻ろう!お母さん!お姉ちゃん!」
元気に歩くジュディ。頑張っているなとレベッカは思う。まだ10歳であれだけの魔法を
制御できるのだ。姉のマリーは20歳だがマリーの10歳のときでもあれほどの魔力は
なかった。レベッカは29年前の自分と同じ、いやそれ以上の魔力を持つ娘に期待していた。
町へ戻るその足取りは重い。疲労が3人の歩みをゆっくりとしたものにしていた。
一本道の足場の悪い岩を一つずつ進んでいく。道幅も狭いこの道はまさに行きはよいよい
であるが、帰りは戦闘の疲労も相まってキツイものだった。
その戦闘が終わったことの安心感と足場の悪さに気をとられていたことを油断というのは
酷だろう。3人は背後、いや正確には海から狙われていることに気づいていなかった。
“ザバァッ!”
水飛沫をあげて襲い掛かってきたのはザランハーンという銛を持った半魚人だった。
「ジュディ、マリー危ない!」
レベッカが娘たちに危険を知らせるために叫ぶ。だが、半魚人は1匹だけでは
なかった。レベッカが叫んだときにはすでに3人は包囲されていた。
とりわけ今いる位置は足場が悪い、まるでこの位置を狙っていたかのようであった。
それを証明するかのように半魚人たちは狡猾だった。こちらの3人に対し半魚人たちは
7匹もいた。必然的に1人で複数を相手にしなければならない。しかも先の戦闘で体力も
使い果たし、持っている術の道具も使えない状況になっていた。


114:怪物向上委員会
09/02/17 01:02:52 51OYbn9n
「きゃあああ!!」
先頭にいるジュディが悲鳴をあげた。半魚人に体を掴まれもがいている。
「ジュディ!」
レベッカがジュディを助けに行こうとするが他の半魚人に邪魔をされて助けにいけない。
やむなくレベッカは2人の娘にも被害が出ることを覚悟のうえで使い魔を呼び出した。
「ショック!!」
強い衝撃波がレベッカの周囲に巻き起こる。衝撃波を受けた半魚人たちはたじろいで
ジュディを放す。そのジュディを姉のマリーが助けようと手を伸ばした。
「ジュディ!捕まって!」
ジュディも手を伸ばしてマリーの手を掴んだ。
「2人共!そのまま逃げて!!」
最後方にいたレベッカが叫んだ。ジュディとマリーはその声を聞いて全力で駆け
出していく。
「急いで!ジュディ!早くしないと!」
マリーがジュディの手を引いて懸命に励まし続ける。
「お姉ちゃん!お母さんが!」
ジュディが母親に気を取られ振り向いたときバランスを崩して躓いてしまった。
「きゃあ!」
「ジュディ!大丈夫?」
「う、うん・・・」
ジュディが何とか立ち上がったとき、2人の前に半魚人が立ちはだかっていた。
「い、いやぁぁぁぁ!!」
元の道に戻ろうとして駆け出そうとしたが、その後ろにも半魚人が道を塞いでいた。
「・・・あ、あぁ、あぁ」
怯える2人に半魚人たちは一斉に襲い掛かり海の中へと引きずり込んだ。
「ジュディ!マリー!!」
2人の娘が海に消えたのを見たレベッカが我を忘れて駆け出そうとするその鳩尾を
半魚人は持っていた銛の柄で強かに突いた。
「っぐ!」
タイミング良く入った突きでレベッカの意識が遠くなる。前のめりに倒れたレベッカは
朦朧とする意識の中で2人の娘の名前を叫んでいた。



115:怪物向上委員会
09/02/17 01:03:40 51OYbn9n
近くで波の音が聞こえている。入り組んだ岩場の隙間から時折、海水が流れ込んでくる。
微かに鼻につく潮の匂いと波の音で3人は目を覚ました。
「・・・ここは・・・」
朦朧とする意識の中で目を開けて体を動かそうとする3人の前には半魚人たちが
立ちはだかっていた。
「な、何?何なの?」
見ると1匹、2匹、計9匹もの半魚人が立ちはだかっていた。そのうち3匹は体の色が
紅色で残りの6匹はオレンジ色に紫がかった色だった。
レベッカは半魚人たちの只ならぬ様子に危険を感じた。そして術の研究をしていた頃の
記憶を思い出し、ハッっとなった。
(コイツら、私たちを卵の苗床にする気だ!あの紅色のヤツはメス、そして・・・)
その半魚人たちが両目を爛々とさせながらレベッカたちにジリジリと近づく。
「ジュディ!マリー!逃げるよッ!!」
慌てて叫ぶレベッカが娘たちに逃げるように促す。
「っ!?」
起き上がって逃げようとするレベッカたち。だが、後ろ手に縛られていることで
思うように動けない。そうするうちに半魚人たちはもう目の前に来ていた。
「きゃあっ!」
半魚人たちはジュディとマリーをいきなり銛の柄で突き飛ばし逃げられないように
ガッチリと体を押さえつけた。そして身に付けていた装備や服をその鋭い爪でビリビリに
引き裂いていった。
「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ジュディとマリーが悲鳴をあげる。
「ジュディ!マリー!!!」
レベッカは2人の娘を助けようと必死にもがき拘束を解こうとしたが、あまりにも固く
縛られた縄はとても解けそうになかった。そのレベッカにも半魚人が近づいてきた。
「うわあぁぁぁぁぁ!!」
半魚人はレベッカの装備と服を切り裂く。術の使えない魔術士などもはやただの女、
いや怪物のおもちゃでしかなかった。半魚人たちは3人を大股開きにさせるとメスを
呼び寄せた。
「あぁっ!やだっ!いやぁぁぁぁ!!」
「お願い!離してぇぇぇ!!」
「やめろぉ!娘を離せぇぇぇぇ!!」
3匹のメスはジュディ、マリー、レベッカの前に出ると股間から産卵管を出した。
その産卵管にはビー玉のようなオレンジ色の卵が見えていた。
ここに至ってようやくジュディとマリーにも半魚人の意図が理解できた。だが、
理解できたからといって全く救われることはなかった。



116:怪物向上委員会
09/02/17 01:04:38 51OYbn9n
「いやぁ!やだよぉ!やめてぇぇぇ!!」
悲痛な叫び声をあげるジュディに半魚人のメスは産卵管をジュディの幼い膣に挿入する。
「あぁ、いやぁ、入ってくるぅ、いやぁぁぁ・・・」
メスは産卵管をゆっくりと伸ばしていく、そして子宮のところへ達すると呻き声を
あげながら卵を排出し始めた。
「いやぁぁぁぁ!!卵がぁ!卵がぁぁぁぁぁッ!!!」
産卵管が蠕動するたびに卵がジュディの子宮へ排出される。ジュディは下腹部の
気持ち悪くなるくらいの違和感に泣くばかりだった。
「助けてぇぇぇぇぇ!お母さん!お母さーーーん!!!」
「ジュディーッ!やめろぉぉぉぉ!!」
レベッカは叫んだが、それはあまりにも無力な叫びだった。そしてジュディへの行為は
レベッカとマリーにも及ぼうとしていたのである。
「クッ!貴様ら!離せッ!離せぇぇぇぇぇッ!!」
「いやぁぁぁぁぁ!ダメェ!ダメェェェェェェェ!!」
半魚人たちはレベッカとマリーの体を押さえつける。どんなに暴れても拘束を解くことは
できなかった。半魚人たちは無感情に自分たちの本能に忠実だった。
なおも暴れてジュディを助けようとするレベッカの背中を銛で殴りつける。
そして抵抗が収まったとみるとメスに産卵を促すのだった、
「いやっ!いやっ!卵が!卵がぁぁぁぁぁッ!!」
マリーとレベッカの子宮にも卵が植えつけられる。
半魚人たちは生物としての使命を果たそうとしているだけなのだろうが、3人にとって
これは悪夢以外の何者でもなかった。メスたちは産卵を終えるともう用無しとばかり
にその場から去っていった。

「・・・卵が・・卵が・・・・・・」
悪夢にうなされるようにジュディが言葉を繰り返す。目の前で母親と姉の惨状を
見てしまったことで頭がパニックになっていた。
「・・・お・かあさん・・・・おねえ・・ちゃん・・・」
虚ろな目で母と姉を見る。2人ともまだ意識は保っていたが息は絶え絶えであり、
もうジュディにも構うことができない状態だった。
そんな3人に今度はオスが近づいた。もう抵抗する力さえ残っていない3人は
オスたちのなすがまま蹂躙されるのだった。
「ウグゥ!」
オスたちはジュディ、マリー、レベッカを思い思い犯し始める。
「痛いッ!痛いよぉぉぉッ!!」
ジュディとマリーは鱗で覆われた固い生殖器を貫かれるたびに悲鳴をあげた。


117:怪物向上委員会
09/02/17 01:05:53 51OYbn9n
2人とも膣からは血が流れ痛々しい。それも無理のないことだった。
半魚人の鱗は鋼の剣でもなかなか切り裂くことができないほど固いものである。
そんなものを挿入され激しく突かれては壊れてしまう。ましてジュディもマリーも
まだ処女だった。特にジュディはまだ10歳であり性交どころかキスすら体験
していない。その純潔がおぞましい怪物に汚されている。
「お母さん・・・いやだよう・・・いたいよう・・」
もう声にならない声がジュディの口から漏れる。そのジュディの隣ではマリーが
今、起きている現実から逃げるかのように涙声で歌を歌っていた。
“グゲエエエエエエ!”
半魚人は奇怪な呻き声をあげるとジュディとマリーの子宮へと放精した。
2度、3度突くたびに大量の精子を卵へと浴びせかける。
それが終わると残りの半魚人が代わる代わるジュディとマリー、そしてレベッカを
犯しては放精していった。やがて行為が終わると半魚人たちは何やら言葉を交わし
何匹かは残り何匹かは去っていった。
「・・・お・・かあさん」
「・・・ジュ・・・ジュ・・ディ・・マ・マリー・・・」
3人はフラフラになりながらもお互いの名前を呼んでお互いの元へ這っていった。
「・・・おかあさん・・う・うぅ・・うぅ・・」
ジュディが母親の胸の中で泣きじゃくった。マリーもかわいい妹にすがりその頬に
キスして慰める。何時間もお互いに慰めあい長い一日は暮れていくのだった。



118:怪物向上委員会
09/02/17 01:13:55 51OYbn9n
翌朝、昇ってくる太陽の眩しさと海から聞こえる波の音でまずマリーが目覚めた。
マリーは岩場の隙間から漏れる眩しい光を浴びながら夢の世界から悪夢の現実へと
戻っていった。
マリーは自分の下腹部に手をやる。ポコリと膨らんだ下腹部には卵が、そして膣内
には半魚人が放精した精液が残っている。マリーの脳裏に怪物を出産するという
恐怖とおぞましさが全身を駆け巡った。
「!」
マリーが気配に気づいて振り向くとそこには自分を犯した半魚人のオスたちが全身を
湿らせた状態で近づいてくる。またその手には捕ってきた魚が握られていた。
半魚人たちはその捕ってきた魚を仲間にも放ると生のままバリバリと食べ始めた。
辺りに魚の生臭い臭いがたちこめマリーの鼻をついた。引き千切った魚を撒き散らし
ながら朝食を食べ終えた半魚人たちは徐に立ち上がるとマリーを掴み起こした。
「きゃあッ!」
掴まれたマリーの眼前に半魚人の性器が突きつけられる。生臭い息を吐きかけながら
半魚人はマリーの口を開かせその口の中に性器を突っ込んだ。
「んぐッ!んむーッ!んん!んんッ!」
ヌメヌメする性器を強制的にしゃぶらされる。マリーはそのおぞましさと臭いに
必死に耐えていた。
「んふぅ!んん!んぐぅ!んんーー!!」
声にならない悲痛の叫び。その声でジュディが目を覚ました。
「・・・ん?・・・おねえちゃん・・・あぁ、ひあぁぁぁぁぁ!」
まどろみから覚めるにはあまりにも酷烈な光景がジュディの目の前で行なわれている。
怪物の性器を咥えた姉の姿はジュディには刺激が強すぎた。
「お、おねえちゃん・・おねえちゃん!!」
ジュディが叫ぶとマリーもジュディが目覚めたことに気がつきジュディの方を向いた。
半魚人はよそ見をするな。といった顔でマリーの頭を掴み激しく性器を出し入れした。
「んんんんーーーーーーーーーッ!!!!」
咽喉奥まで突っ込まれ咳き込むマリー。だが動きは激しさを増していく。
やがて奇怪な呻き声とともに大量の精液をマリーの口内へと射精していった。


119:怪物向上委員会
09/02/17 01:15:31 51OYbn9n
「んぶぅ!んんんんんん・・・・」
マリーの口の中に半魚人の精液が溢れるくらい注がれる。半魚人は全部飲めとばかりに
ガッチリとマリーの頭を掴んで離さない。息苦しさに耐えかねマリーは少しずつ嚥下
していくほかなかった。
「・・・お・ねえちゃん・・い・い・いやぁぁぁぁぁ」
姉のされた行為に震えるジュディ。目の前には姉が口から精液を零しながら飲み干して
いる。そして飲み終えるとまたおかわりとばかりに別の性器を咥えさせられた。
(・・・あんなのが・・あんなのが・・わたしたちの・・ごはん・・いやぁぁぁぁ)
怯えて震えるジュディ。そのジュディにも食事の時間がやってきた。
「ヒィッ!」
今度は昨晩、ジュディを犯した半魚人がジュディを囲み性器を露出させている。
「・・いやぁ・・いやだぁ」
逃げようとするジュディをあっさり捕らえると小さな可愛い顔に性器を撫で付ける。
「いやぁ!離してぇ!」
マリーのときと同様に半魚人はジュディの口を開かせて一気に性器を突っ込んだ。
「んぐッ!んん!んぐーーーーーッ!!」
(・・き、きもちわるいよ~・・・たすけて・・おかあさん・・・)
小さな口いっぱいに半魚人の性器を咥えさせられ泣き声すら出せない。
精一杯の抵抗で噛み付いてみたが、鱗で覆われた性器は文字通り歯が立たなかった。
その噛み付きの刺激のせいか半魚人は早くも呻き声をあげジュディの口内へと射精した。
「んぶッ!んん!んん!んんんんんーーーーーッ!!!」
大量の精液がジュディの口の中に注がれる。吐き出すこともままならない状態で
ジュディの頬はパンパンに膨れあがった。
(いやぁ!抜いてよぉ!やだよぉ!やだよぉ!)
吐き出したくても半魚人の性器がしっかりと栓をしている。口の端や鼻からも精液が
溢れて零れてくる。息苦しさに負けとうとう飲み干していくのだった。
「うぇぇぇぇぇぇッ!ゲホッ!ゲホッ!」
激しく咽るジュディ。だが、休む間もなく別の半魚人が性器を口に突っ込む。
そして思いのまま口の中を蹂躙していった。
この精液の食事は朝、夕に行なわれジュディ、マリー、レベッカは胃の中が精液で
満たされるまで飲み続けなければならなかった。


120:怪物向上委員会
09/02/17 01:16:23 51OYbn9n
それから1週間が経った。
3日目から3人のお腹は妊婦のように大きくなり始め、5日目には臨月のように
なっていた。冷たい岩場で横たわる3人は7日目の朝に異変を感じた。
卵から孵った幼体が体外に出ようとする。3人は出産という本来なら神聖なことの
ものにおぞましい恐怖を感じていた。
「・・・はぁ・・やだぁ・・産まれる・・産まれちゃうよぉ・・・」
下腹部から伝わるモゾモゾとした感触にジュディは震えていた。
その震える手を慰めるかのようにレベッカとマリーが握っていた。
「はぁぁッ!ひぃッ!んぐぅぅぅぅぅッ!」
そのマリーが1匹目を出産した。その濁った目、鱗で覆われた体、全てがグロテスクで
おぞましい。初めての出産で産まれたのが人間ではなく怪物であることにマリーは
絶望を感じていた。
結局、ジュディが3匹、マリーが5匹、レベッカも5匹の半魚人を産んだ。
半魚人の幼体はピタピタとトカゲのように這って海へと消えていった。
「・・・おかあさん・・おねえちゃん・・・」
「・・・おかあさま・・・ジュディ・・」
「・・ジュディ・・・マリー・・・」
3人はお互いを呼んだまま、ただ抱き合っていた。
その後、3人の行方を知るものはいない・・・。



121:怪物向上委員会
09/02/17 01:17:40 51OYbn9n
以上です。
どうも失礼しました。

122:無花果
09/02/17 02:40:50 l0gdhXg3
>>121 GJですー。
♀の場合は『人魚』とチヤホヤされるのに、
♂という理由だけで『半漁人』と呼ばれ迫害される彼らには同情せざるを得ない。

触手もいいけど怪物もね、という流れで。『春のフレッシュクリーチャーキャンペーン』とか期待しつつ、
こちらも投下させていただきますー。

123:無花果@sage忘れ失礼
09/02/17 02:44:59 l0gdhXg3
●  宇宙刑事、訓練中!?  ● Report 1

「ひ…あぁ……ん、…ぅ……」

まだ未成熟な柔肌に、ぬらりとした幾本もの触手が絡みつく。
僅かに抵抗の素振りを見せたものの、その声は今にも消え入りそうで、掠れてきっていた。
狂ったように叫ぶのも、泣いて許しを乞うことも無駄であると悟った少女は、瞳に暗い影を落とし、
全方向から押し寄せる暴力に打ちのめされていた。
少女を絡めとっている触手はその一本一本を糸を手繰るように操り、無防備な細身の体躯への侵略を続けている。

「―――っっ」

すんなりと膣内への侵入を果たした触手達は、我先にとその最奥へ己自身を突き込む。
あまりの衝撃に少女の身体だ激しく跳ねたものの、周囲の触手達が四肢を束縛したまま放そうとはしなかった。
やがて触手たちは一斉に熱を帯びた白濁をぶちまけ、すっかり弛緩した腿を、そして秘所を汚していく。
この惨劇が始められてから既に三日三晩、少女は一度たりとも休む暇を与えられず犯され続けている。
限界を超えた身体はあちこちが既に彼女の意識を離れ、粉々に打ち砕かれた精神も、ついに戻ってくる事は無かった。
ここに連れて来られる前、自分は何をしていたのか。誰と会話をしていたのか。それどころか、自分が何であるのかさえ、
もう彼女は忘れてしまっていた。
剛直に貫かれても得られる悦びは無く。伴う痛みさえ感じることができない、ただの人の形をしたモノ。
啼かず、動かず、喚きもしない。壊れてしまった玩具は、もはや必要無いとでも言うのだろうか。
乱暴に振るわれた数本の触手から少女の体は投げ出され、糸の切れたマリオネットのように動かなくなった。
明かりが灯っていないこの部屋の隅では、少女と同様に玩具として扱われ、『壊れたので棄てられた』女たちが放置されている。
すると、いままで各々が意思を持っているかのように蠢いていた触手たちが動きを止め、一箇所へ集った。
一見すると蛇か何かが絡み合った毬のような形をしたソレは、声にならない息を漏らしながら、部屋に唯一ある窓を見上げる。
時刻は、深夜から明け方へと移り変わろうとしていた。黒一色だった空に白い筋が入り、次第に夜を裂いていく。
夜が明けることが気に入らないのか、ソレはシュルシュルと不気味な音を立てると、日の当たらない暗闇の中へ飛び込んだ。



銀河連邦警察――。
バード星に本拠地を置き、この広大な宇宙に生きる人々の安全を守るべく
数多の惑星に蔓延る凶悪犯罪者達を取り締まる【銀河の正義】の象徴。

しかしながら、いまだ外宇宙へとその目と足を伸ばしていない辺境の幼い星、地球においては
彼らの存在は認知されておらず、それ故に多くの宇宙犯罪の温床となっていた。

そのため、多くの若き宇宙刑事達がこの惑星に派遣され、人知れず過酷な任務をこなし、成長していった。
いつしか銀河連邦警察本部からも、有望な新人達の登竜門として認識されているこの惑星に、
二人の宇宙刑事訓練生が派遣される所から、この物語は幕を開ける……。

124:無花果
09/02/17 02:46:54 l0gdhXg3
綾辻 郁(あやつじ いく)。
それは、彼女が地球で名乗る名前として銀河連邦警察が用意したものだ。
出発前に与えられた地球での任務や生活に必要となる資格や書類には、全てこの名前が使われている。
地球の言語体系の名前は、彼女の故郷であるバード星では馴染みの薄いものだ。
しかし彼女には、むしろ慣れ親しんだものだといえる。
彼女の祖母が地球人だったからだ。
宇宙刑事として地球に派遣された祖父と偶然出会い、恋に落ちたという話を何度も聞かされて育った彼女は、
地球という惑星に並々ならぬ興味と関心を抱くようになっていた。
正直な話、宇宙刑事を志した理由は『地球をこの目で見たい』という願望の方が大きい。
未だ外宇宙への進出を果たしていない、地球のような惑星への渡航、そこに住む人々との接触は、原則として禁止されている。
銀河連邦警察の目を逃れて辺境に本拠地を置く傾向にある宇宙犯罪者達を検挙する、という名目を持った
宇宙刑事は、公的に地球のような惑星への渡航を許される、数少ないケースの一つである。
しかしそのような任務は宇宙刑事の中でも選りすぐりのエリートか将来が期待される有能な新人が任ぜられるのが常で、
彼女のようにアカデミーを卒業したばかりの新米がこうして辺境へ派遣されることは、極めて珍しい事だった。
ただ当事者の彼女自身は、そのような自覚など殆ど無く、ただ祖母の故郷の土を踏めることを楽しみにしているほどだ。

「『地球は青かった』……ユーリイ・アレクセーエヴィチ・ガガーリン! うわ、ホントに青いんだぁ……」
「事前に渡された資料にも記載されていたはずだけど? それも写真付きで」

超次元戦闘母艦『アルター』。その待機室に設置されたモニターに張り付いて目を輝かせていた郁に冷ややかに声をかけたのは、
同じく宇宙刑事訓練生として地球への派遣されてきた日比谷 ルイ(ひびや るい)だ。
郁とはアカデミー時代の同期で、男性が多い生徒の中でも常にトップの成績を修め、
人並み外れた風貌と実力から、尊敬とからかいと嫉妬を込めて【クィーン】と呼ばれた筋金入りのエリート訓練生である。
その高名たるや、家柄や家系というものに疎い郁の耳にも『彼女の親族は皆、銀河連邦警察で重要なポストについている』といった情報が入るほどだ。

「でも、写真で見るよりずっと綺麗だと思わない? ……ほ、ほら。この北アメリカ大陸とか」
「別に。それにそろそろ到着よ。貴女もさっさとシートに戻りなさい」

そう言うとルイは自分のシートに身を委ね、瞳を閉じた。―― これ以上寄るな、話すな、関わるなという意思表示。
バード星を発ってからというもの、ずっとこの調子である。
郁が食事に誘っても、地球の話をしようとしてもハッキリと拒絶されてしまう。
ルイの気位の高さは承知していたものの、ここまで明確に嫌悪される理由について、郁自身には思い当たる節がまるで無い。
結局、彼女は相棒となる存在を理解できないまま、全くといっていいほど歩み寄れずにいた。
……なので郁は早足気味にブリッジへ向かい、この数日間で随分と歩み寄れた三人目のパートナーと話すことにした。

125:無花果
09/02/17 02:47:55 l0gdhXg3
「Me-GU、調子はどう?」
「異常ありません。予定では32分後に衛星軌道に到達。『アルター』を停艦、隠匿し『アルタートップ』にて地球に降下します」

ブリッジ中央のコンソールに埋もれるように座っていた小柄な少女が、無機質に答えた。
Me-GUは、これから地球で行われる実地研修という名の事実上の初任務を遂行するにあたり二人が本部から与えられた拠点であり、
同時に最大の戦力でもある『アルター』の制御と管理を一手に担う、多目的支援型アンドロイドである。
艦内の清掃から宇宙犯罪者との戦闘までこなす彼女と、郁は旅の間の艦と彼女自身の整備を手伝う内にすっかり打ち解けていた。
もっとも、Me-GU自身はそんなことを口にしないため、郁の主観だけの話ではあるのだが。

「そっか……Me-GUに任せておけば地球まで安心安全、と。でも、Me-GUもこれが初めての任務だよね? 不安とか、無い?」
「はい。確かにこれが稼動後、初の任務になります。が、」
「……が?」
「『不安』が意味する精神状態は理解しかねます。セオリー通りに行動すれば大抵の問題は回避可能です」
「セオリー通り……。うへ、そーいうの一番苦手かも」
「――。郁は、セオリーやプランに従わずに行動するのですか?」
「いっつも考え無しってわけじゃ無いけどね。近接戦とかやってると、一瞬の駆け引きが重要な場面ってよくあるし。勘だね、勘」
「『勘』の定義を教えていただけますか」
「定義、って言われても……口で説明するのは難しいんだって。ピーンとくるっていうか……ビビッとくるっていうか……」
「……。興味深いです」
「そう? 皆そんなものだと思うんだけどなー……」
「興味深いです」

対照的な三人を乗せて、巨大な艦は青く輝く惑星へゆっくりと進んでゆく。
しかし、彼女たちはこの惑星を包む大きな闇に、まだ気づいてはいなかったのだった……。

126:無花果
09/02/17 02:49:05 l0gdhXg3
『セーフハウスには無事、到着したようだね。二人ともお疲れ様。……あぁ、でも本当に大変なのはこれからだね』
「はい! 気合入れて頑張ります!」「いえ。お気遣い感謝致します、監督官殿」

無造作に荷物が積まれただけの部屋。男性の声で語るMe-GUに、郁とルイは敬礼の形をとったまま返答した。
声の主はアカデミーでの教官でもあった宇宙刑事、ヴェイカー。まだ若いがこれまで幾つもの犯罪組織を壊滅させた実績を持ち、
かつては地球に配属された事もあるという。その経験から今回の訓練生の地球での実地研修の監督官を任じられていた。
二人にとっては師でもあり、最も身近な先輩でもある。

『本当は俺もついて行くべきなんだけど、近頃は本部の方も立て込んでてね。しばらくの間、Me-GUに補助してもらうことになる』
「了解です。監督官殿と合流するまでに、捜査の下準備は済ませておきます」
『ああ、頼むよ。でもルイ、仕事ばかりに精を出すんじゃなくて、ちゃんと羽も伸ばすんだぞ』
「は…?」
『しっかり休息も取れってこと。まぁ、そっちの方は郁に任せておこうかな』
「はいっ! お任せください!」

じゃあよろしく、と告げて、ヴェイカーは通信を終えた。
今度の新人――綾辻 郁は重度の地球文化(特に日本)オタクである、という噂は、アカデミー時代の同期や先輩を通じて、
銀河連邦警察の中に身を置く者に知らない者はいないほど浸透していた。

「ふふん、せっかく地球……それも日本に来たことだし、行くべき場所は沢山あるよね!」
「それよりもやるべき仕事をこなしなさいな。私達は遊びに来たわけではないのよ?」
「わ、わかってるってば。……で、まずは何するんだっけ?」
「…………まぁ、いいわ。Me-GU、説明してあげて」

名を呼ばれ、本部との通信が切れてから二人の背後で黙々と荷物を片付けていたMe-GUが振りかえる。
彼女の身の丈の倍近い大きさの冷蔵庫を置くと、

「現在、我々全体に与えられている任務は16件。うち5件を郁に、11件をルイに担当してもらうことになっています」
「あ、あれ? 私の仕事、少なくない……?」
「いいえ。郁は地球での生活や地理について詳しいとのことですから、外回りの任務を主に担当してもらいます」
「では報告やデスクワークは私の担当ということね。Me-GU、必要な情報をまとめておくから、後で回して頂戴」
「承りました。ですがその前にお二人に優先して取り掛かってもらいたい任務があります」
「「何?」」
「引っ越しの作業を手伝ってください。私には本来、メード機能は搭載されておりませんので」

127:無花果
09/02/17 02:51:10 l0gdhXg3
そして、時刻は深夜。
静まり返った夜道を、スーツ姿の女性が足早に歩いていく。
点在する街灯で視界は確保されているとはいえ、暗闇というのは人の心を不安にさせるものだ。
彼女が帰宅のためにわざわざ人通りの少ないこの道を選んだ理由は、彼女の抱える問題に比べれば些細なことであった。
部下が犯した手痛いミスによって、会社の業績が大きく傾きかけている。
もはや取り返しのつかない状況とまではいかないが、油断はできない状態だ。
そんな時に上司である自分が不安な顔を見せていては、士気に関わる。
表通りを歩けば部下と否応無しに部下に顔を合わせることになってしまうだろう。
少々遠回りになってしまうが、元々自宅まではそれほど遠くも無い。
家に帰ってシャワーでも浴びて、冷静に今後の事を考えよう。
不運が過ぎ去った後には、必ず好機もやってくる。きっと大丈夫だ。
そう考えると、自然と足取りも軽くなる。
だから、彼女はソレの接近に気づかなかった。
昼間は子供達が元気に走り回っていたであろう公園。そこへ差し掛かった時、目の前を急に何かが横切った。

「きゃっ……!? な、何……?」

たまらず尻餅をついた彼女は、目の前に現れた物体を前に、当惑した。
暗がりに浮かび上がる、ちょうど彼女の腕で一抱えほどの大きさの球体。
それが宙に浮き、彼女の前で静止している。

「……?」

何をするでもなく、浮遊したままの球体。
不信感を覚えながらも、彼女の手は自然とその球体に伸びていた。
関わらないほうがいい。今すぐ逃げ出さなければ。
頭では分かっていても、身体が言う事を聞かない。
いつの間にか、球体の中央に大きな目が見開かれていた。
いや、実際は最初から開いていたのかもしれない。
為す術無く、指先がそっとソレに触れた。

「ひっ…ぁ――」

夜明けはまだ遠い。
そう、彼女は気づいていなかったのだ。
不運はまだ、始まったばかりであったと。

128:無花果
09/02/17 02:57:23 l0gdhXg3
投稿後に気づきましたが、分割している関係で若干読みづらくなってしまってます。
123 が①
124と125 で②
127 が③
128 が④
というように、若干時間を空けたイメージで読んでいただければ、と思います。
書いている時はスペースを入れていたのですが、投稿時に反映されなかったようです。申し訳ありません。

そんなわけで無花果です。高尚な触手文学の流れの中、割とベタな内容の投下です。触手文学ネタも書いてみたい。
今まで書いていた続きモノのネタに詰まってしまったので、気分転換に一本書いてみました。
どちらかというと、触手モノはSF色が強いほうが個人的に好きです。
エロシーン少な目な上に、メインの三人に全く手をつけていませんが、いきなりエロに入るより、
もう少しキャラを掘り下げてからの方が美味しくなるかな、と思った次第です。
というわけでしばらくこっちを続けてみたいと思いますので、ニョロニョロとお付き合い下さいませ。
それではまた。

129:名無しさん@ピンキー
09/02/17 06:29:28 2UgQ81W6
SFwktkついでに触手文学支援

瀬希たんをば早やいき果てつ。
地下室のつくゑのほとりはいと静にて、白熱燈の光の晴れがましきもいたづらなり。
今宵は夜毎にこゝに集ひ来る触手仲間も子宮に宿りて、外に残れるは余一体のみなれば。
―森鴎外「舞-HiME」

130:名無しさん@ピンキー
09/02/17 07:59:45 LF/Pd4Qz
>>121
>>123
両氏ともGJ!
一応二次なんでスレの方にも誘導貼っとくね

131:名無しさん@ピンキー
09/02/18 01:57:27 ccgy8I2G
>>113
>「炎の矢!」

この時点で『止まぁ~ら~ないぃ~~♪』と脳内再生され始めてヌくどころじゃなくなった

132:名無しさん@ピンキー
09/02/18 03:28:48 +saN2p7C
>>113
ジュディマリとレベッカ自重www


133:名無しさん@ピンキー
09/02/18 09:31:28 xKf+viXy
人間の女性を餌として補食対象にする触手の場合
流石にモンスターパニック物みたいにリアルに食い殺すだと良い女の子が絶滅しかねないから

基本は愛液だけど。女性が特殊な能力持ちなら、霊力や魔力などを餌にするとか生かさず殺さずを両立した方法を取る事が多いよね
気に入った子は巣に持ち帰って飽きるまでご飯に

134:名無しさん@ピンキー
09/02/18 10:52:57 8RXu8dH6
>>132
元ネタ(ゲーム「アンリミテッド・サガ」)開発者に言えwww

135:名無しさん@ピンキー
09/02/18 15:48:37 YrMYoXgi
>>129
節子、それ鴎外違う!サンライズや!

136:名無しさん@ピンキー
09/02/18 23:30:55 X3kHo3BQ
走れ魔法少女の続きマダー?

137:名無しさん@ピンキー
09/02/19 08:03:18 TxL3LPJM
走れエロス

138:名無しさん@ピンキー
09/02/19 08:10:46 /lhOm+wM
宇宙刑事と聞くと、宇宙刑事ソルディバンが思い出される

139:名無しさん@ピンキー
09/02/19 09:42:17 ID15EqaW
私は慄然たる思いで机の引出しから突如現れたその異形の物体を凝視した。
それは大小の球体を組み合わせたとしか言い様の無い姿をしており、狂気じみた
青色が純白の顔と腹部を縁取っていた。這いずり回るような冒涜的な足音で私に
近付くと、何とも名状し難き声で私と私の子孫のおぞましき未来を語るのであった。
また、それは時空を超越した底知れぬ漆黒の深淵に通じる袋状の器官を有しており、
この世の物ならざる奇怪な装置を取り出しては、人々を混迷に陥れるのであった。

                        ※野比のび太自叙伝より抜粋

140:名無しさん@ピンキー
09/02/19 13:50:16 Cbcg1rYv
>>39
絵を描きたいという人が現れたとしても商品化は難しいだろうな。
文章の版権が存在しないなら簡単だろうが…

141:名無しさん@ピンキー
09/02/19 16:23:10 ud+l12he
>>97-99 続き

 夜中であったことが少女に幸いした。変身の要である使い魔が居なくては、元の姿に戻ることは叶わない。
所々破けている上、粘液でベトベトだった。元々薄い生地はべったりと隙間無く張り付き、ざらざらした裏生地の感触を直接伝える。
敏感になった少女の体にとっては、心地よい夜風や、本来なら身を守るはずのコスチュームはこの上ない責具であった。
時折出会う通行人。女は蔑みの視線を、男は欲情と冷やかしを少女に向け、それらは全て、少女の体内で溢れんばかりの愛液へと変換された。
少女はこみ上げる感情に抗えず、何度も何度も路地裏に隠れては、秘所を掻き回した。
 少女はその夜、一睡もせず十里の路を急ぎに急いで、学院へ到着したのは、翌る日の午前、陽は既に高く昇って、
学生たちは寮内の掃除をはじめていた。少女の十六の妹も、きょうは姉の代りに部屋の掃除をしていた。
よろめいて歩いて来る姉の、疲労困憊の姿を見つけて驚いた。そうして、うるさく姉に質問を浴びせた。
「なんでも無……い。」少女は無理に笑おうと努めた。
「2chに用事を残して来た。またすぐ2chに行かなければならぬ。あす、おまえの儀式を挙げる。早いほうがよかろう。」
 妹は頬をあからめた。
「うれしいか。綺麗な衣裳も買って来た。さあ、これから行って、先生たちに知らせて来い。儀式は、あすだと。」
 少女は、また、よろよろと歩き出し、儀式場へ入って神々の祭壇を飾り、召還の魔方陣を調え、間もなく床に倒れ伏し、
呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまった。故に、その時少女の腸内から這い出した何者かに気づくものはいなかった。
 眼が覚めたのは夜だった。少女は起きてすぐ、妹の部屋を訪れた。そうして、既にコスチュームに着替えている妹を発見した。
少女は訝しげに、儀式は明日のはずだがと問うた。儀式ならもう済んだわと妹は答えた。妹は口元に妖艶な笑みを浮かべ、
マイクロミニのスカートをたくし上げた。そこには、クリトリスと融合した寄生型の触手があった。
 少女は驚き、妹を組み伏せ、それはいけない、すぐに浄化してやるから、少しの間だけ我慢してくれ、と答えた。
妹は、我慢する?何を我慢する必要があるのかしら。こんなに素敵な気分なのに、微笑んだ。
 妹の腕力は強化され頑強であった。唐突に股間を舌で舐められ、一瞬意識が飛んだのが命取りになった。
気がつけば、体勢を入れ替えられていた。何とかしようと力むたびに、絶妙のタイミングで性感帯をなぞり上げられる。
どうしても振りほどかせてくれない。夜明けまで玩具のように弄ばれ続けた。
やっと、気が済んだのか、体力が尽き果て、時折びくっと体を震わせるだけになった少女を床に転がせた。
 儀式なんかよりもっと楽しいことをしましょう姉さん、と呟くと、おもむろに触手を半開きになっている少女の口に押し込む。
まずい。このまま媚薬効果のある精液を飲まされては終りだ。必死に手を、顔を動かそうとするが、少女にそんな力は残されていなかった。
口の中で触手が爆ぜ、嚥下し切れない白濁液が少女の顔を白く染め上げた。体の内側から焼き尽くすかのような、情欲の炎が荒れ狂う。
イキたい。一晩中焦らされ続けた少女の体は限界であった。無意識のうちに秘所へと伸びる手を精神力で無理矢理押さえ込む。
血を分けた姉妹の前で醜態を晒すわけにはいかないという一心である。

142:名無しさん@ピンキー
09/02/19 16:26:59 ud+l12he
「姉さん。ほら、外の足音が聞こえますか?列席者の方たち、集まってきてますよ。姉さんの可愛い姿、みんなに見てもらいましょうね。」
少女の顔から見る見る血の気が引いていく。
「どうしました?そんな怖い顔をして。私以外に見られるのがそんなに嫌なんですか?
可愛いですね姉さん。」
妹は小首を傾げて考え込む。
「う~ん、でも、姉さんには私の晴れ姿を見ていてもらいたいし……そうだ!姿が見えなければ良いんですよね。」
そう言うと、妹は姿だけを消す魔法を少女にかけた。
「これで安心ですね、姉さん。ああ、そうそう、音は漏れちゃうから気をつけてくださいね。上手く出来なくてごめんなさい。
私、姉さんみたいに魔法上手じゃないから。でも、我慢しないで好きなだけイっていいんですよ?私、姉さんの喘ぎ声、大好きだから。」
くすくすと笑う妹。
「ああ!それと、儀式の間、私の子供たちを預かってくださいな。この子達、とってもやんちゃで困っちゃうんですけど、
姉さんなら大丈夫ですよね。姉さん触手大好きですもん。それじゃあ、仲良くしてあげて下さいね。」
それだけ言い残し、妹は担当教官へ挨拶に行った。あとには、全身に数え切れない程のナメクジ型触手を這わせた少女が残された。
 儀式は、真昼に行われた。契約者である妹の、神々への宣誓が済んだころ、黒雲が空を覆い、ぽつりぽつり雨が降り出し、
やがて車軸を流すような大雨となった。祝宴に列席していた学生たちは、何か不吉なものを感じたが、それでも、めいめい気持を引きたて、
狭い儀式場の中で、むんむん蒸し暑いのも怺え、厳かに呪文を唱え、杖を掲げた。少女は、気を抜けば漏れそうになる嬌声を舌を噛んで堪え、
しばらくは、触手たちとのあの約束をさえ忘れていた。儀式は、夜に入っていよいよ乱れ華やかになり、人々は、外の豪雨を全く気にしなくなった。
 少女には、一生このままここで焦らされ続けるのかと、恐怖すら感じる時間だった。この佳い人たちと妹の前で、何も考えず声を出してイキたいと願ったが、
いまは、自分のからだで、自分のものでは無い。ままならぬ事である。既に、妹を巻き込んでしまった。これ以上、他の人を巻き込むわけにはいかない。
少女は、わが身に鞭打ち、ついに地獄を耐え抜いた。あすの日没までには、まだ十分の時が在る。必ず妹を助けるチャンスはあるはずだ、と考えた。
その時が来るまで、魔力を練っていよう。そして、少しでも早くこの体に手を這わせて思う存分イキた……な、なにを考えている!。
 少女ほどの女にも、やはり精神力の限界というものは在る。今宵呆然、歓喜に酔っているらしい少妹は、召還したばかりの使い魔を縊り殺し、
血塗られた指を舐めた。くすくす笑いながら妹は近寄り、
「おめでとう姉さん。誰にも気づかれませんでしたよ。私は疲れてしまったから、ちょっとご免こうむって眠ります。眼が覚めたら、すぐに学院に出かけるわ。
大切な用事があるの。私がいなくても、もう姉さんには優しい私の子達が一緒に居るのだから、決して寂しい事は無いでしょう。
みんなに、この子達を植え付けてあげなくちゃ。独り占めはよくないですもの。」

143:名無しさん@ピンキー
09/02/19 16:30:21 ud+l12he
 妹が、にこりと笑う。
「わたしの姉さんの、一ばんきらいなものは、人を疑う事と、それから、嘘をつく事。姉さん、魔力を溜めていますね。
姉妹の間に、どんな秘密でも作ってはならぬ。とは姉さんの言葉でしょう?おまえに言いたいのは、それだけだ、な~んて格好よく言って。
姉さんは、正義の魔法少女なのだから、卑怯な不意打ちなんて似合いませんよ。わたしがその魔力、もらってあげましょう。」
 妹は、夢見心地で少女と唇を重ねた。なけなしの魔力が唾液とともに吸い取られる――少女の狙い通りに。
使い魔とその主人とは、血を通して深くつながっている。妹の口元にわずかに残る使い魔の血をバイパスとする。
妹に吸い取られた自らの魔力にパスを通し、それらを股間に巣食う寄生型触手に叩きつける。予想だにせぬ内部からの攻撃を受け、
触手は妹の体から離れた。少女は、即座に踏み潰して、
「はぁ……はぁ……手段を選ばないのはお互さまさ。私にとって、宝といっては、妹と使い魔だけだ。他には、何も無い。
守るためならどんな手だって使ってあげよう。もう一つ、一時的にでも、私の妹になったことを誇って……んあぁぁぁあ!
……くっひぃぃいい……な、なんれ……なんで急にぃぃぃい……」
 ナメクジ型触手たちは統率を失って、暴走していた。心の堰が緩んだ瞬間を衝かれたのだから堪らない。たちまち、二度、三度と絶頂を迎える。
ぷしっ……ぷしっ……という潮を噴く音が、静まり返った儀式場に広がった。魔力を失ったコスチュームは、単なる極薄のレオタードに過ぎない。
何の防波堤にもならなかった。もう、立っていられない。少女の膝はがくがく震え、崩れ落ちた。冷たい儀式場の床の上で、少女の体は魚のように跳ねまくる。
気絶した妹以外、誰も居ない儀式場の中で、独り少女は浅ましくイキ狂った。
 少女が最後のナメクジを潰したのは、翌る日の薄明の頃である。少女は気力を振り絞って妹を部屋まで運び、ベッドの上へ寝かせた。
少女は虚ろな目で時計を見上げ、南無三、時間を掛け過ぎたか、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合う。
きょうは是非とも、あの触手どもに、人の信実の存するところを見せてやろう。そうして笑って磔の台に上ってやる。少女は、緩々と身仕度をはじめた。
 雨も、いくぶん小降りになっている様子である。身仕度は出来た。さて、少女は、試しにぶるんと両腕を大きく振ってみたものの、
裏生地が乳首に擦れる痛痒に耐え切れず、その場にへたり込んだ。まだ、媚薬の効果が残っている。
 それでも雨中、ロッドを支えに、足を引きずるようにして出た。

『触手新聞社世論調査』

昨今、ストーリー展開を無視した、無差別な二次元エンドによって、多くの触手たちが虐殺れているという報道がなされています。
識者の多くはこれをジュネーブ条約違反だと指摘し、触手による大規模デモにつながりました。それでも、あなたは二次元エンドを支持しますか?

1.二次元エンドを強く支持する
2.二次元エンドをある程度容認する
3.堕ちエンドを有る程度容認する
4.堕ちエンドを強く支持する


144:名無しさん@ピンキー
09/02/19 19:43:16 B7fTgJMr
ジュネーブ条約は触手や二次元エンドのことなんか全く触れていないが
頭大丈夫?妄想と現実の区別つけようよ

GJ!いいぞ もっとやれ

145:名無しさん@ピンキー
09/02/19 20:47:39 Mrsl9i0d
まあ触手は捕虜じゃねえわな

146:名無しさん@ピンキー
09/02/19 21:06:12 aE6LKjrK
【表現規制】表現の自由は誰のモノ【114】
スレリンク(news2板)

147:名無しさん@ピンキー
09/02/19 21:38:05 tXhdYafh
GJ!そして4だ

148:名無しさん@ピンキー
09/02/19 22:01:11 vY0zZSJ7
二次元か堕ちるだけじゃなくて
壊れるまで犯す
目玉抉って舌を切って両手両足の腱を切って逃げられないようにして、種を植え付ける
でもいいじゃん

149:名無しさん@ピンキー
09/02/19 22:26:27 2v3elwQF
このスレ妹がろくな目にあわんな、GJ!!そして俺は2だ

150:名無しさん@ピンキー
09/02/19 22:32:53 bmmUbpGU
GJ!!妹ひでええwwwだがそれがいい
せっかくだから俺は4を選択するぜ

151:名無しさん@ピンキー
09/02/19 23:57:39 fKuae1ii
GJです。このスレで妹は悲惨だよなあ。
そして俺は2を選ぶぜ。
最後はハッピーエンドもいいものだぜ。

152:名無しさん@ピンキー
09/02/20 00:44:07 Wh9gqHiO
いずれの展開にせよ、パロディとしての面白さ"も"失わないで欲しいというのが一番の願い

153:名無しさん@ピンキー
09/02/20 07:44:51 tIWFTfaA
選択肢がなんで単純な堕ちと二次元の二択ではないのか理解できねーwwww
まあこんな話にガツガツと堕ちを求めるのもなんだし、
今回十分読ませるエロだったし、最後のオチがどうなるか楽しみなんで俺は2に投票

154:名無しさん@ピンキー
09/02/20 08:51:28 5n2NpdFf
なんてものを選ばせるんだ。
そんな俺は2と4両方を選ぶぜ!

155: ◆XQorAWwY22
09/02/20 21:30:31 8fJQ4bzl
では俺は4を選びながら投下させてもらおう…

1年3ヶ月前に投下した宿し姫メヒィルというお話の続き。なお今回は、

・ちょっと切ないスライムロリ和姦
・女の子が犯されながらスライムに殺される描写あり
・話が長い(行数約2200)けどエロが半分以下

となっています。これらの項目で苦手な点がある人はスルーでお願いします。

156:宿し姫メヒィル第三話『溶解』
09/02/20 21:33:11 8fJQ4bzl
「はるか昔、天界と冥府に挟まれたこの世界がただの混沌でしかなかった時、
天界より3柱の女神がこの地へ降臨します。
姉妹の長女エノアは天空を、次女のオウティは大地を、三女のエルシスは海原を作り
この世界の礎を生み出しました。しかしはるか地の底から3匹の怪物達が
作られたばかりのこの世界を我が物にしようと地上へ這い出てきます。
その醜き姿で冥府の悪鬼達にすら忌み嫌われ闇の世界を追放された怪物どもの名は、
『霧のようにたゆたうもの』と『多くがのたうつもの』と『どろどろと泡立つもの』です」

「怪物達は姉妹達を亡き者にして彼女達が作った世界を自分達の居場所にしようとします。
しかし女神達は怯えるどころか優しく怪物達に接し、荒ぶる怪物達の憎悪を溶かしました。
三姉妹の優しさと母性に惹かれた怪物達は、半ば強引に女神達を娶ろうとします。
それまで他者と接したことも無く思いやりや慈愛という感情が欠落した彼らは、
本能のおもむくまま女神達を欲し淫行の限りを尽くします。姉妹達は初めのころこそ
強引でふしだらな彼らの求愛に抗えましたが、最終的には怪物達の不器用ながらも
深い愛情に心打たれ、また途方もなく淫靡な肉欲に屈服してしまいます」

「同情と官能を覚え、怪物たちの愛無しでは生きられなくなった女神達は、
彼らを伴侶として向かえ共に生きることにしました。
『霧のようにたゆたうもの』と長女エノアは天空に、
『多くがのたうつもの』と次女オウティは大地に、
『どろどろと泡立つもの』と三女エルシスは海原にそれぞれ神殿を建て、
3組の夫婦は睦みあいながらまだ少し歪なこの世界をさらに美しく整えていきました」

「この時3姉妹の美しさを嫉む冥府の4大魔女が、
策謀をめぐらし天界の神兵達と冥府の悪魔共をそそのかします。
神兵には女神達が劣情に狂い異形の魔物と淫行に耽っていると教え、
悪魔の前では冥府を追放された怪物達が復讐のため女神を利用していると囁きます。
善なる者と悪なる者が作り上げた世界は両陣営どちらにとっても脅威となりうる、
そう嘯く魔女共に騙され、神兵と悪魔達は大軍を率い夫婦達の世界へやってきました。
両軍を止めるため3柱の女神達は話し合いをしようと睨み合う両将軍の前に立ちます」

「その時4大魔女の策により天界と冥府両軍が同時に女神達へ弓を引いてしまいます。
怒った怪物達は矢が妻達を射抜く寸前に自ら盾となり彼女らを守り、
何を思ったか矢の刺さった傷口を癒さぬまま、女神達を犯し始めました。
天界と冥府の両軍は気の触れた怪物達を見てもう彼らは脅威ではないと考え、
警戒をお互いの軍に向け、ついに戦争が始まりました。
天の雷が飛び交い、冥府の炎が辺りを焼き尽くす激しい戦いが繰り広げられます。
空を瘴気が覆い、陸は無残に砕け、海は流された血で紅く穢れてゆきました」

「女神達が生み出し育んだ世界は戦争で荒れ果て混沌へと還る―4大魔女がそう確信し
笑みを浮かべた時、怪物達に犯されていた3姉妹から無数の光が放たれます。
エノアは無数の霊魂を、オウティは無数の精神を、エルシスは無数の肉体を孕み、
3姉妹の生み出した生命の三元素により世界はあっという間に動植物で満ち溢れました。
鳥達の美しい鳴き声と花々の芳しい香りが天界の神兵達の戦意を削ぎ、
幾万の獣の群れは牙で、幾億の虫の群れは毒で冥府の悪魔共を苦しめ、
天魔両軍はそれぞれ兵を引きこの世界を離れ、戦争が終結しました」

「世界の危機が去るのを見届けた瞬間3匹の夫は妻達と交わり合ったまま絶命します。
無数の生命を妻に孕ませ生み出させるため、異形の魔物達は命を使い果たしたのです。
『霧のようにたゆたうもの』の瓦斯状の骸は天空に混じり瘴気を中和し、
『多くがのたうつもの』の触手が寄り集まった骸は砕けた大地を覆い新たな陸地となり、
『どろどろと泡立つもの』の溶け落ちた骸は紅く染まった海原に流れ穢れを清めました。
伴侶を失い悲しみに打ちひしがれた女神らは、生み出した生命達にこの世界を託した後
夫とともに過ごした神殿で、彼らの思い出とともに永い眠りについたのです」

~ララウヌ創世記第一章、創世の3姉妹より抜粋~

――――――――――――――――――――


157:宿し姫メヒィル第三話『溶解』
09/02/20 21:35:13 8fJQ4bzl
「こっちの子供ももう手遅れだ……かろうじて生きてはいるが、内蔵まで溶かされている。
もう間もなく、…………いや、……今息を引き取った」
「スライムの中には女を犯し子宮内のエーテルを糧とする種がいると
聞いたことはあったが……こんな年端もいかない子供まで……酷いな」
「くそ、邪教徒め!よくもこんな惨い事を……」
「こっちの子供なんざ、耳と鼻を削ぎ落とされてから殺されてる……畜生!」
好奇心をくすぐられこの場に来たことを幼いロジアは心底悔いていた。

城を抜け出し喧騒の元へ駆けつけた彼女を待っていたのは、いつも楽しみにしていた
旅の楽団やサーカスではなく、自分とそう年の変わらない女の子達の死体と、
それを見て殺気立つ屈強な兵士達だった。
「やつら、証拠を消すため建物に火を放ったぞ!」
「市街地が遠いのは不幸中の幸い、か……」
幼く小さい体を茂みに隠し、燃え盛る屋敷を見守るロジアの前で
束縛された男が鎧を着込んだ衛兵に詰問されていた。

「貴様、中で何をしていた!」
「くくくっ、くふふふふふ」
手足を縛られた禿頭の狂信者が頭に血を上らせた衛兵たちを嘲笑う。
「何をしていたかと聞いているんだ!」
怒りに我を忘れた衛兵が男の鼻先に刃を突きつけると、
縛られた男は口に含んでいた小さな肉片を衛兵に向かって吐き出した。

「……き、貴様ぁ!」
吐き出されたものが削ぎ落とされた子供の耳とわかった瞬間、
激昂した衛兵は強靭の首を刈り取るべく剣を振り上げる。
「やめろ!話を聞きだす必要がある、まだ殺すな!」
他の衛兵が一喝すると、切っ先を掲げた衛兵は悔しそうに唇を噛み締めつつ刃を鞘に収め、
拳を握り締め男を殴りつけた。

褐色の肌と紫色の瞳を持つ殺人者は、
歯が砕けるほど強く殴られても大仰に体を震わせながら笑い続けるのを止めない。
「この、きちがいめ……!」
倉庫の前の草むらに並べられた何十人もの少女の亡骸が、
光を映さない瞳で怒りに震える衛兵と笑い続ける狂人を見つめ続けていた。


158:宿し姫メヒィル第三話『溶解』
09/02/20 21:36:18 8fJQ4bzl
「何だこの壜の中身は……動いてやがる……」
「おいこれ、触ったら籠手が溶けやがったぞ!」
燃え盛る館から次々と怪しげな道具や装飾品が運び出される。
「おそらく使い魔のスライムだ、中身を出すな」
「子供たちを溶かしたのもこいつか!」
「城の魔道士が来るまで手を出すな、下手すりゃ俺たちまで溶かされちまうぞ!」

容器に閉じ込められた金属すら溶解する深緑の粘菌。
山羊の頭を持つ悪魔に背後から密着され、全裸のまま喘ぎ悶える女が描かれた絵画。
赤黒い液体がこびりつき黒光りする刃物や鈍器の数々。
鮮やかな桃色の肉片が浸された薬品入りの酒瓶。
怯えながらも、魅入られたようにロジアがそれらを眺めていると、
新たな少女の亡骸が入り口から運び出される、が。
それは他の少女の遺体とは違い、石ころの様に草むらの上へ投げ捨てられた。

「おい貴様、なんて事を!」
「怒るな、よく見ろ」
骸を投げ捨てた衛兵が遺体の髪の毛を剣先で払い顔を露出させると、
咎めた衛兵は亡骸の紫の瞳を覗き込み納得したように呟く。
「……ああ、ズキア族のガキか」
「しかし同族の子供すら生贄にするとは……蛮族の考える事は畜生にも劣るな」

その時新たな衛兵が二人の下へ駆けつけ、子供を投げ捨てた衛兵を注意する。
「しかしズキアの子供であろうとそのようなぞんざいな扱いをするのはよくないだろう」
「馬鹿な、この前の戦争で我らの同胞がどれだけズキアの民に殺されたと思っている!」
「だが領主様はズキアの民を受け入れよとおふれを出しているではないか」
「ズキアの民を受け入れる!?あのような世迷言を本気で信じるのか?」
「待て、今の発言は反逆罪にあた」

その時建物の中から兵達のいざこざを止めるように大きな声が上がった。
「おい、外にいる奴ら、は、早く来てくれ!」
「どうした!」
「奴らの使い魔のキメラの檻が壊れ、が、があああっ」
男の断末魔と獣の鳴き声が同時に上がり、館の2階が火を噴いた。
「ハリーはこの邪教徒を見張れ!他の者達は白鯨の陣で我に続け!」


159:宿し姫メヒィル第三話『溶解』
09/02/20 21:37:51 8fJQ4bzl
貴金属の意匠があしらわれた高価な鎧を着込む隊長格らしき男が叫ぶと、
束縛された男を見張る新人の衛兵ハリー以外は、全員抜刀し館へ突入する。
数秒後には倉庫の前にいるのは縛られた狂人と彼を睨みつける年若き衛兵のハリー、
そして二人の視界の死角となる草むらから彼らを覗きこむロジアだけになった。
ロジアは二人に悟られぬ様そろそろと茂みから姿を現す。

彼女は足音を殺しながらズキア族の少女の亡骸へと近づいた。
(……ひどい……)
その亡骸は下腹部が溶かされぽっかりと穴が開き、赤黒い内臓がむき出しになっている。
異民族の少女の遺体は、他の少女達の亡骸から離れた場所でごみの様に放置されたままだ。
(……この子……一人ぼっちでかわいそうだな……)
年はロギアとそう変わらないように見える。10歳ぐらいだろうか。
ロギアは腕まくりをすると、亡骸の折れそうなほど細い体を抱え持ち上げる。

そして他の遺体と同じ場所へ移動させようとすると、
亡骸の下腹部からだらりと臓物の欠片がぶら下がった。
次々と落下するはらわたを見て、ロジアの視界が涙で歪んでくる。
幸い館が轟々と燃え上がる音に臓器が落下するかすかな音はかき消され、
魔道師を見張るハリーはロジアの存在には気づいていない。

ロジアが腐りかけた腸から目を背けると、
火の勢いが強くなった建物近くに立てかけてあるバフォメットと女の油絵が、
炎の熱で溶けよりおぞましい物へと変貌していくのを目の当たりにする。
溶ける絵の具が混じりあい、妖艶だった女の輪郭は怪物のように歪み、
黒も赤も青も白も全ての色が混じりあい不安を掻き立てる鈍色へと姿を変えていく。
(……ああ、これが神話に出てくる「混沌」っていうものなのかな)

かつてロジアが創世の3姉妹の絵物語を読んだ時、
混沌という言葉の意味が理解できず何回もその意味を婆やと姐やに尋ね、
幾度説明されても最後まで混沌がどんなものか理解できなかった。
しかし、今ならわかる気がする。
(この、どろどろに溶けて……ぐちゃぐちゃになってるのが混沌なんだ……きっと)

その時、ロジアの目の前で混沌と化した絵画が爆発し、視界が赤一色に染まった。
(!)
一瞬意識を手放したロジアの精神が覚醒すると、
いつの間にか彼女の背中は地面につきロジアは仰向けになって倒れていた。
左手の甲が擦り剥け、じんわりと血が溢れ始める。
ロジアは自分の体が遺体ごと吹き飛ばされたと理解するのに約10数秒時間を要した。

「何かの薬品に引火したのか?……というかお前は誰だ!?」
爆発に振り向いたハリーがロジアの存在に混乱していると、
彼の背後でゆっくりと縛られていた男の体が横たわる。
「あ……あの人……血が…………」
ロジアの声に再度振り向いたハリーは素っ頓狂な声をあげた。
「なんだってんだ畜生!」
彼は血を流し倒れている狂信者に近寄り、その瞳孔を覗き込み舌打ちをする。


160:宿し姫メヒィル第三話『溶解』
09/02/20 21:38:54 8fJQ4bzl
「くそっ、爆発の飛来物が変なところに当たったのか……?
こいつからはまだ聞きだすことがあったのに、勝手に死にやがった……」
男の死因を探ろうと屈みこんだハリーの真横で、ゆっくりと小さな影が立ち上がる。
「危ないっ!」
ロジアが叫ぶのと遺体の列の中から立ち上がった少女の躯の手から
爪が伸びるのは同時だった。ロジアの声に振り向いたハリーの胸当てに、
およそ人間のものではありえない硬度と伸縮性で少女の爪が突き刺さる。

金属の鎧から火花が上がり、ハリーは3メートルほど吹き飛ばされ大地とキスをした。
「な……なぜ……女の子の躯が……?」
倒れたハリーを見下ろしながら、少女の死体は大仰に体を震わせ笑い始める。
「くくくっ、くふふふふふ」
その声は、少女のものとは思えないほどくぐもって狂気を孕んでいた。

それはつい先ほど死んだばかりの、褐色の肌を持つ禿頭の男と同じ仕草の笑い。
「く、くそ……魔道士め…………自分の体を捨て、禁術で死体に乗り移りやがった!」
腹に穴の開いた全裸の少女は首をこきこきと鳴らしながら、
並べられた少女達の遺体の前へ屈みこむと、獣のように鼻を鳴らしつつ死臭を嗅ぎ始める。
「確かまだ予備の子宮があったはずだが……」

ぽっかりと体に穴の開いた少女が同じように腹に穴の空いた遺体に顔を近づけて
鼻腔をひくつかせる姿は、およそこの世の物とは思えない。
あまりの恐怖にロジアが震えながらつばを飲み込むと、
魔人がゆっくりとロジアの方へ振り返り、その腐りかけた瞳にロジアが抱える遺体を映す。
紫色に変色した少女の口の端が、ゆっくりと吊り上った。

「エーテルのいっぱい詰まった子宮……二つみぃつけた」
呟くや否やヤモリが這うように腹に穴の空いた少女が4つ足でロジアへ近づいてゆく。
激痛で立ち上がれないハリーは、倒れたままロジアへ向かって必死に叫んだ。
「君……、早く……逃げろ!」
ハリーの声も空しくロジアが抱える亡骸へ魔導師の爪が伸びる。
しかしロジアが庇う様にズキア族の少女の死体を抱きしめるのと同時に、
間一髪のタイミングでどこからか飛んで来た短剣がアンデッドの手首を切り落とした。

手首が落ち魔人の爪は元の長さに戻り、
亡者は剥き出しの目でナイフを投げつけた男を睨みつける。
「きっ、きさまは……?」
座り込んだハリーの背後に、紫の瞳と褐色の肌を持つ銀髪の男が立っていた。
「くそっ……ズキア族の新手か!」
剣を杖代わりにして立ち上がろうとするハリーを、短剣を投げつけた男は左手で制止する。

「生まれこそズキアの人間ですが、今はララウヌ傭兵ギルドに所属して
ララウヌ領に税金を払う立派なララウヌ人ですよ、旦那。
そこの魔道師の手首切り落としたんですから、味方だって分かるでしょうが」
「ズキアの民が、ララウヌ人に手を貸すのか!」
憤怒に顔を歪めた魔少女が残る手の爪を男の顔へ向かって伸ばすと、
傭兵は首を捻って皮一枚削ぎ落とされながらも急所へのダメージを防ぎ、
シミターを振り下ろし伸びきった少女の爪を刈り取る。


161:宿し姫メヒィル第三話『溶解』
09/02/20 21:40:04 8fJQ4bzl
「血なんて関係ない、金のために働くだけさ。だが子供を殺す外道に詰られるのは心外だ」
両手の爪を封じられた魔人はロジアの抱える同族の死体を横目で見つつわめき散らす。
「ふん、そのガキの親はズキアの矜持を捨てララウヌに混ざり生きる事を選んだ。
腑抜けた人生を送らせるより我らの贄となる方がよほどぅぉっ」
呪詛を吐き続ける魔道士の喉に、風の速さで踏み込んだ傭兵の曲刀が突き刺さる。
「うがあああああああああっ」
魔人の口からあがる絶叫を拒絶するかのように、ロジアは強く瞼を閉じた。

「子供をばらして矜持などと……笑えねえよ」
傭兵の男は嘲笑を浮かべつつ呟く。口調こそ今までと同じく飄々としていたが、
目を開けたロジアは男の瞳に強い怒気と殺意が宿るのを見た。
魔人が最後の力で喉から曲刀を抜き取ると、腐りかけの黒々とした血が傷口から溢れ出す。
「……魂を入れ替える術式は短時間のうちに連続で使えぬと聞く。
新しい肉体へ入れ替わることの出来ないお前の魂は、その体とともに最期を迎えるだろう。
人の道を踏み外したとはいえ同族のよしみだ、遺言ぐらい覚えておいてやる」

剣士が魔導師の口元へ耳を近づけると、瀕死の魔人は血の泡を唇から吹かせつつ囁いた。
「お前…………し…………」
「……なんだって?声が小さくて聞こえない」
「おい、君、死体を置いて逃げろ!」
ハリーの叫び声に傭兵が注意をロジアの方へ戻すと、
先ほど切り落とされた少女の手首が意思を持つかのように地を這い、
いまだ亡骸を抱えたままのロジアへにじり寄っていた。

しかし魔手がロジア達の元へたどり着く前に、傭兵の投げた短剣が地を這う手首を貫く。
魔人に操られた手首は腐った血を撒き散らしながらトカゲの尻尾のように暴れ回り、
23度大きく痙攣した後その動きを止める。
「……お前は…………死ぬ…………ここに並ぶ…………ガキどものように…………
……全身………………溶か…………され………………のたうち……………………ながら」
地に伏したアンデッドは傭兵に向かって今際の言葉を残すと、
そのまま体を丸くして2度と動かなくなった。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

「馬鹿な子だな」
ロジアの手にできた擦り傷の具合を見ながらハリーは愚痴る。
「あたしのどこが馬鹿なの?」
「命を狙われてる時に死体を庇おうとしただろ。死体なんか置いて逃げれば助かったのに」
ロジアは悲しげな目で褐色の女の子の死体を眺めつつ呟いた。
「だって……あの子はただでさえ命を奪われたのに……
命を奪われた後もひどい事をされるなんて、かわいそうだよ」

ハリーは大きく溜息を吐き出す。
「その優しさは立派だけど……命を粗末にする奴は馬鹿だよ。
ましてや、こんな凶行を犯した男と同じ血を引くズキアの子供の腐りかけた死体だぞ?
守ってやる価値もないさ!」
ハリーは苦々しげに並べられた子供の死体の列を見下ろす。
「こんな惨い事を行う蛮族の子供など、殺されて当然だ!」

ロジアはズキア族の傭兵のほうを見つめつつ悲しそうな声で反論する。
「でも……この子が悪い事をしたわけじゃないし……
あたし達を助けてくれたあの人も、ズキアの人だよ」
「ああ、助けてくれたさ。徳や正義のためではなく、金のためにな。
いかにもズキアらしい下種な動機じゃないか。あ、その男に近づいちゃ駄目だ……うっ」
ハリーは傭兵の方へと歩みだしたロジアを止めようとするが、
魔導師に吹き飛ばされた時の痛みがぶり返し屈み込む。


162:名無しさん@ピンキー
09/02/20 21:41:41 8fJQ4bzl
「あ、大丈夫?」
振り向いて心配するロジアに向かって、ハリーは油汗を浮かべながら強がって見せた。
「は、はは……これ位の怪我、ララウヌの兵ならへっちゃらさ……
毎日鍛えてるし、ララウヌ領の鎧だって、すごく丈夫だしね……」
「そう……ならいいんだけど」
心配そうにハリーの様子を横目で伺いつつ、ロジアは傭兵の近くへと駆け寄る。

傭兵はロジアから譲り受けた紫眼の少女の遺体と魔人に乗り移られた少女の遺体を、
他の少女達と同じように躯の列まで運び並ばせた後、その前で目を閉じ黙祷していた。
「あの…………あたしもこの子や皆のためにお祈りしてもいいかな」
異国の剣士は目も開けずに答える。
「この子の冥福を祈るのに俺に断る必要はないさ」
「あのね……ララウヌ式の鎮魂のお祈りなんだけど、……それでもいい?」
もじもじしながら心配そうに尋ねるロジアの前で、傭兵はそっけなく答える。

「別にいいんじゃないのか?」
「じゃあ、あなたの持ってる短剣、一本だけ貸してくれる?」
目を開いた男は黙ってロジアにナイフを手渡す。
少女は小さくありがとうと呟くと地面に短剣を突き立て、祈りの言葉を唱え始めた。
「沈黙と闇を司る死の神ミィヤよ、土へ還る者達が迷わぬように暖かく迎えてください。
偉大なる主神イメンよ、安寧と幸福を生まれ変わる彼女らにお与えください」
10数秒ほど瞼を閉じた後、目を開けたロジアの頭を傭兵の男が撫でる。

「ありがとな、優しいお嬢ちゃん。このズキアの子に変わって礼を言わせてくれ」
頭を撫でられたロジアは男を見上げながら微笑んだ。
「助けてくれてありがとう、傭兵さん」
「俺はモーリスっていうんだ。優しくて勇敢なお嬢ちゃんの名前は?」
澄んだ紫の瞳と目が合った瞬間、ロジアの鼓動が少し早くなる。
どぎまぎしながらロジアは名乗った。
「ろ、ロジア」

その時ロジアは違和感を覚えて傭兵の瞳をじっと眺める。
(あれ……この人、両目の色の濃さがかすかに違う……)
ロジアの視線に気付いたモーリスは左目の表面を指で直接掻いてみせる。
「わっ、目なんか触って痛くないの?」
驚くロジアの前でモーリスは目玉をコンコンと叩いてみせた。
「こいつと左手の小指は作り物さ。色々あってな」
「へえ、それで両目の色合いが違うんだ」

興味深そうに自分の義眼を見つめるロジアに、モーリスは命令する。
「ロジア、あそこで唸ってる衛兵のお兄さんの言うことを聞いて
俺に近づかないほうがいい。どっかに行ってな」
ロジアは途端にしまったという顔をして謝った。
「ごめんなさい、モーリス。あたし義眼を付けてる人と会うのは初めてで珍しくて……
ジロジロ見たら失礼だよね、ほんとにごめん」


163:宿し姫メヒィル第三話『溶解』
09/02/20 21:43:31 8fJQ4bzl
「ああ、違う違う。別に俺は怒ってるわけじゃない」
モーリスは自らの不躾な態度を謝るロジアの前で手を左右に大きく振ってみせる。
「……怒ってるんじゃないの?じゃあなんでどっかに行けなんていうの?」
首をかしげるロジアの横で、モーリスは片ひざをついて屈みながら答える。
「俺達は違う生き物だからさ。肌の色や目の色、流れる血も信じる神さえ違う。
だから無理に寄り添いあえば、このかわいそうな子のような目に遭うんだ」

モーリスがズキア族の少女と魔道師に取り憑かれた少女の瞼をゆっくりと閉じさせると、
その横でロジアはスカートのポケットからハンカチを取り出し、
モーリスが目を閉じさせた少女達の顔についた血を丁寧に拭き取り綺麗にした。
「でも、私達は同じ人間なんでしょ?……ねえ、動かないでね」
ロジアは遺体の血を拭いたハンカチを裏返し、
汚れていない布地を使って魔道師に抉られたモーリスの頬を拭う。
ロジアはそのハンカチと自分の手のひらをモーリスの眼前にかざしてみせた。

ハンカチには頬の傷から流れ出たモーリスの血が、
そしてロジアの小さな手には擦り傷から流れたロジア自身の血がついている。
「“流れる血”が違うって言うけど、あたしの血もモーリスの血も同じ赤い色だよ?
だからあたし達は同じ人間だよ。お父さんがそう言ってたもん」
モーリスはいまだ自分を睨みつけるハリーの視線を感じながら肩を竦める。
「俺はこの国に来て鬼だ畜生だと呼ばれ人間扱いされなかったことがよくあったんでね。
……そんな風に言われても、自分が人間かどうか自信は持てないな」

ロジアは力強く言い切った。
「人間だよ、モーリスは」
モーリスが閉じさせた少女の瞼と、息絶えた魔導師の男を交互に見ながらロジアは続ける。
「亡くなった人のために祈ったり、子供を傷つける悪人に怒りを感じたりするんだから」
その時モーリスとロジアのやり取りを冷ややかに見ていたハリーが、
ロジアのハンカチに黄金の糸で描かれた細長い蛇の群れのような生物を確認した瞬間、
調子はずれの声を上げる。

「……ちょっと待ってくれ、君、その……そのハンカチに金糸で刺繍されているのは
『多くがのたうつもの』の紋章か?……そ、それにロジアって名前は……まさか」
慌てふためくハリーとは対照的に無言のモーリスの前で、
にっこり笑いながらもう一度ロジアは繰り返す。
「だからどれだけララウヌ領の人がモーリスの事を人間じゃないって言っても……
ララウヌ領第三候女であるあたしが何度でも言ってあげる。モーリスは人間だって」

――――――――――――――――――――


164:宿し姫メヒィル第三話『溶解』
09/02/20 21:44:28 8fJQ4bzl
薄暗い室内のベッドの上で、大の字に縛られた全裸の少女は怯えながら
サイドテーブルの傍らに立つ女を見上げていた。
幼さを残す少女の顔は恐怖で引き攣り、涙や鼻水で汚れている。
彼女を縛りつけた女はサイドテーブルに乗せられた水晶玉の影からガラス瓶を取り出した。
「ねえ、この中身ってなんだか分かる?」
少女を見下ろす赤いローブを着込んだ女は、
にこやかな笑みを浮かべ怪しい液体で満たされた小瓶を振ってみせる。

ドロドロとした深緑色の液体は重力に逆らうように泡立ち、不可解な渦を作った。
まるで液体自身が命を持っているかのように。
「助けて……ください…………」
少女は泣きながら許しを請うが、彼女から自由を奪った張本人は
にっこりと笑いながら少女の顔にぐいぐいと硝子瓶を押し付けるだけだった。
「質問に答えなさい。これは何だと思う?」
懇願が無駄と理解した少女は、消え入りそうな声で答える。

「分かりません……水飴……ですか?」
残念はずれ、と女は楽しそうに呟きながら新たにもう一つの壜を取り出す。
新たな容器の中でひくひくと鼻を動かしているのは、手足を凧糸で縛られた鼠だった。
女は緑色の瞳に嗜虐的な感情をこもらせながら、鼠を謎の液体の入った壜へ放り込む。
するとすぐさま容器の中へ放り込まれた鼠の全身の皮がどろりと溶けた。
哀れな小動物は筋だけになった全身をわずかに痙攣させ、
肉も溶けその動きは止まり、最後には骨すら残さず泡立つ液体と同化して消えた。

あまりに自己の認識を超えた凄惨な光景に、少女の顔から血の気が引く。
「そ、それは…………酸…………?」
しかし怯える少女をあざ笑うように深緑色の液体はもう一度自ら蠢いた。
「かわいいでしょ?動物のお肉が大好物な種のスライムなの」
女は蓋を開けたまま、スライム入りの小壜を少女の腹の上に立てて置く。
「ひっ……」

もし壜が倒れスライムが零れだせば、自分の体は先ほどの鼠のように
溶けてしまうだろう。少女は顔面を蒼白にし、歯をがちがちと鳴らし始めた。
その時少女は下半身に淫らな刺激を受け悲鳴を上げる。
「やっ……」
「あらあら、暴れちゃ駄目よ。もしその壜を倒したら、大変でしょ?」
いつの間にか少女の股座へ屈みこんだ魔女の舌が、
ゆっくりと少女の秘裂を舐めあげていたのだ。

「や、やめて……」
ぬらりと濡れる舌がそこを這うたびに、嫌悪の叫びがあがる。
魔女は口を離し、人差し指の腹で入り口をなぞりながら首を傾げた。
「どうしたの?エッチな事されるの嫌?」
少女は唇をかみ締め少しずつ沸き上がり始めた甘くむず痒い感覚に耐える。
快楽に流され身悶えすれば壜を倒しスライムに溶かされてしまうから、耐えるしかない。
「なんで……なんで、こんなこと……」

「エーテルって知ってる?」
「エー……テル?」
答える少女の口から漏れる吐息が少しずつ上ずっていくのを感じて、
陵辱者は頬の筋肉が緩むのを抑えられない。
「魔法を使うのに必要なエネルギー、ってとこかしら」


165:宿し姫メヒィル第三話『溶解』
09/02/20 21:45:25 8fJQ4bzl
魔女が右手の人差し指で少女のクリトリスをつんつんと突付くと、
少女は瞳を潤ませながら頭を左右に振る。ただでさえ四肢を縛られているのに、
肉を溶解させる魔物入りの容器を倒さないようバランスを取らなければならないとなれば、
わずかに身を捩る事さえ許されない。ただただ女から与えられる快楽を享受するだけだ。
「エーテルを使うとこの世の理を歪め奇跡を起こせる。火種もないのに炎を燃やせたり、
水の上を歩いたり、言葉を喋れない獣と心を通じ合わせたりする事ができる。
魔道師やモンスターが魔法を使えるのはこのエーテルのおかげなのよ」

魔女の右手人差し指と中指が膣口の浅い場所へ侵入し、
左手で汗の浮かび始めたお腹を押さえる。
「女の子宮はね、人間の体の中で一番エーテルが溜まる場所なの。
だって新しい命を一人分丸々生み出すなんて奇跡を起こす臓器だから、
他の器官に比べてエーテルの吸収率と貯蔵量が段違いなのよ」
少しずつ女の指が中へ中へと埋没していくと、
それに比例するように少女の体が弓なりにブリッジを描く。

すると、当然ながら少女の腹に乗っているスライム入りの小瓶がわずかに傾いた。
「ひぃっ」
思わず少女は舌を噛んで愉悦を殺し、必死の思いで浮かせていた腰を落とす。
恐怖と快楽の狭間でもがく様を楽しそうに眺めながら女は講釈を続ける。
「ローパーやスライムはよく人間の女を犯すし、邪悪な魔法使いは女の子を殺して
子宮を取り出したりする。あなたも子供のころお母さんに言われなかった?
『夜遅くまで遊んでいたら、魔物や悪い魔法使いに連れ去られる』って」

魔女は2本の指を引き抜くと、第2間接まで濡らす愛液を舌で舐め満足げに頷く。
「あら、なかなかいいエーテルね……モンスターも魔法使いも、
皆女の子のエーテルが大好きだから、ついつい女の子を犯したり殺したりしちゃうの」
ベッドに縫い付けられた娘は半泣きになりながら女の目的を理解した。
眼前の女が欲するのは彼女の子宮であることを。しかもただ臓器を取り出すだけではなく、
スライムを使った陵辱で心身を嬲りつくそうとしていることもわかってしまった。

「世の中にはね、女の子を殺さずただ子宮に潜り込んでいくだけの
紳士的で優しいスライムもいるけどこの子は……って説明する必要もないか。
さっき見たわよね、この子が鼠を『食べる』所」
女は娘の産毛のような陰毛を23本引き抜く。
「ひっ」
瞬間焼け付くような痛みが少女の股間を襲うが、
スライム入りの壜のせいで暴れることもできず唇を噛んでそれに耐える。

「お願い……殺さないで……」
涙ながらに訴える少女の前で女はくすくすと笑った。
「あら、私は別にあなたを殺したいわけじゃないわ」
その言葉を聴いて絶望に染まっていた少女の目にかすかな光が戻る。
「……本当……ですか?」

しどとに濡れた少女の内腿をさすりながら、魔女は説明した。
「そ、別にエーテルが欲しいのなら尿や愛液を採取するだけで済むし。
エーテルのつまった子宮近くから排泄や分泌される体液はエーテルを含むからね。
さっき言ったでしょ、女の子を殺さずただ子宮に潜り込んでいくだけの
スライムもいるって。……だからあたしがエーテルを取るまで
あなたが壜を倒さないよう我慢できれば、それであなたの命は大丈夫ってわけ」


166:宿し姫メヒィル第三話『溶解』
09/02/20 21:46:26 8fJQ4bzl
「じゃあ……命さえ助けてくれるならなんでもしますっ、何をされてもいいです……
だから……せめてこの壜を、スライムをどこかへ除けて下さい……」
哀れで必死な願いは一瞬で却下される。
「あら、それはできないわ」
「そんな……なんで……」
魔女は絶望に染まった弱者の前でにっこりと笑った。
「だって……怯えるあなた、とってもかわいいんだもの」

少女はえづきながら「ひどい」、と小さく呟いた。
「じゃ、本格的にあなたのエーテルを採取しましょうか」
白く柔らかい腿肉を撫で回し続けていた指が、ゆっくりと肉の花弁へ近づいてゆく。
「い……いやあ」
壜を倒すわけにはいかないから抵抗する事などできず、
少女はただ魔女の蹂躙を受け入れるしかない。
女の指が入り口の中へ進入した瞬間、少女の背が反りあがる。

「うあぁっ」
唇を噛み締める力がさらに強まり、彼女の口元から一筋の赤い液体が流れ落ちた。
「ふふ、痛みで快楽を消すなんて健気なものね。でもそんな抵抗いつまでもつのかしら?」
魔女の指が肉の洞窟をゆっくりと遡る。
少女は括約筋に力を込め異物の進入を遮ろうとするが、
細く長い指が膣壁を掻き分けるように動き回るたびに力が抜け更なる進入を許し、
喉の奥からくぐもった喘ぎ声を上げるようになっていく。

「あぁっ…………いやぁ…………」
「あらら、なかなか濡れてこないわね。これならいくらやっても
エーテルが取れないじゃない。もう少し指のスピード上げてみようかしら」
「や、そんなの駄目っ……くはぁ、あぁ、ぁあぁっ」
魔女の指のスピードが上がるとともに、少女の背中が描く弧が大きくなる。
それでも少女は死の恐怖と唇に突き立てた歯の痛みで、
なんとかスライム入りの壜が倒れないよう体が暴れだすのをこらえていた。

しかしもう限界は近い。少女が絶頂を迎えるのも、
全てを溶かす魔物がガラスの檻から解き放たれるのもどちらも時間の問題だった。
娘の腹部に浮かぶスライムのようにべたついた汗を舐め取りながら、
魔女は子供を諭す母親のように優しい口調で少女に注意する。
「あらあら、そんなに腰を動かしちゃ駄目よ?
そんなんじゃスライムが零れちゃうじゃない」

「だって……だって、あ、ああぁぁ、
だめ、だめぇ、きもち、よく、なっちゃあああぁぁっ」
嵐の海に浮かぶ小船のように、少女の臍の上で壜が左右に揺れる。
「気持ちよくならなきゃ駄目でしょ?あなたの愛液が必要なんだから。
さあ、いっぱい漏らしなさい、あなたのいやらしい汁を!」

緑色の瞳をきっと細くすると、魔女はその指で少女の膣内の
天井に当たる部分を強く速く擦り始める。
「あ、あ、ああぁ、そこだめ、だめえ、だめえええっ、
もう、もう変に、ああああああっ」
喘ぎ声とともに涎を垂らしながら、少女は指先から血の気が抜けるほど強い力を込めて
ベッドのシーツをぎゅっと握り、切ない絶叫を部屋中に響かせた。
「ああああああああああぁぁぁぁっぁっ」


167:宿し姫メヒィル第三話『溶解』
09/02/20 21:48:08 8fJQ4bzl
叫び声とともに少女の膣口から大量の潮が魔女の顔へと飛び散った。
魔女は満面の笑みで温かな体液を受け止める。
「ひ……はぁぁ……はぁ……」
「こんなにいっぱいお漏らししちゃうなんて……
しかもあんなに大声で叫んじゃうなんて、ほんといやらしい子……」
その時魔女の視界に、水晶玉の中であたりの様子を窺う女の子の姿が目に入る。
「あらやだ、ロジア様の様子が変ね……もしかして、聞こえたのかしら?」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

「目が醒めたか?」
「あ……おはよう、モーリ」
椅子に座っていたモーリスはベッドの上で少しまどろんでいるロジアを鋭い視線で射抜き、
眼力だけで彼女の口を塞ぐ。
「まだ寝ぼけてるみたいだな、“ロイ”」
しばらく放心していたロジアは、“ロイ”という名前が自分の偽名である事を思い出し、
慌ててモーリスの返事に答えた。

「あ、ごめんお兄ちゃん……」
少しずつ寝惚けていたロジアの脳内へと血が通い始め、
染みだらけの天井を見上げながらロジアは自分の置かれている状況と
偽りの身の上を思い出す。
(そうだ……あたし達は叔父さんの追手から逃げてる最中で……
あたしは“ロイ”っていう男の子に変装してて、腹違いで2年前に再会した
お兄ちゃん役のモーリスと旅をしている、だったよね)

ただでさえ凹凸が少ないロジアの体のわずかな曲線をマントで覆い、
顔立ちもフードで隠せば逃亡中のお姫様は少年に姿を変えるとことができるだろう。
そう考えたモーリスの思惑は当たり、
追われる立場のロジアは人通りの多い街中でもいまだ追手の目に留まらないでいられた。
「また、姉さん達の夢でも見てたのか?」
「ううん、今日はモー……お兄ちゃんと、初めて会った時の夢」
「……小さい頃に生き別れたお前と再会してから、もう2年か。長くなるな」

「生き別れ?……あ、えと、……そういう設定だったね」
「設定とかぬかすな」
ロジアの額を拳骨で小突きながらモーリスが注意する。
「ねえ、二人きりの時位は、本当の名」
ロジアが全て言い切る前にモーリスは首を横に振る。
「駄目だ。こういうのは習慣にしておかないといざという時ボロが出る。
お前は俺の異母弟のロイだ。分かったなら返事しろ」

「……はーい、お兄ちゃん」
不満そうな顔で答える偽の弟の前で、モーリスは立ち上がる。
「じゃあ俺は外へ出て情報を集めてくる。お前はこの部屋から絶対出るなよ」
「ねえ、モ……お兄ちゃん」
「……なんだ」
「近頃なんだか元気ないみたいだけど、大丈夫?」
「何も問題ないさ。……しかし守るべきお前に心配されるなんざ、俺も兄貴失格だな」

「しょうがないよ、お兄ちゃんここの所いつも2時間位しか寝てないんだもの」
「……お前は何も心配せず宿で待っていろ」
普段はモーリスの言う事を素直に聞くロジアが、彼の痩せこけた頬に手を添え食い下がる。
「でもなんだか、顔色悪いよ?……今日はもう休んで、ぐっすり眠ろうよ」
「そんなわけにはいかないさ。明日の朝にはこの宿を発ちたい。
俺達にゆっくりしてる時間はないんだからな」


168:宿し姫メヒィル第三話『溶解』
09/02/20 21:49:00 8fJQ4bzl
「でも……」
「でももくそもない。言う事を聞いて大人しくしてろ」
「……うん、わかった……」
「お前に気遣われなくても、自分の体のことぐらい分かるさ。子供は気にするな」
そう諭した後、モーリスは聞き取れないほど小さな声で呟く。
―それに俺の調子が悪い本当の理由は―
「え、何か言った?」

「……なんでもない。じゃあ、今度こそ俺は行くぞ」
「じゃあ、気をつけてね……?」
ロジアの肩がぴくりと震え、あたりをきょろきょろと見回す。
「どうした?」
周囲の様子を窺いながらロジアは答えた。
「……ねえ、どこかで女の子の悲鳴が聞こえなかった?」
途端にモーリスのやつれた顔が強張り、腰に下げたシミターの柄へ手を伸ばす。

「……俺には何も聞こえなかったが」
「そう……?じゃ、気のせいなのかな」
外の通りから聞こえてくる人々のざわめきに耳を澄ませながらモーリスは目を細める。
「通りの話し声が聞こえただけじゃないのか?
とはいえ……もしそれが本当に悲鳴なら気になるな」

ロジアは自分の聞き違いで疲弊したモーリスの神経をこれ以上磨り減らせる事を恐れ、
慌てて自分の言葉を否定した。
「あ、あのね!もしかしたら……悲鳴じゃなかった……ような気がしてきた」
「……本当に気のせいなのか?」
ロジアは全力で何度も頭を縦に振る。
「うん、きっとそうだよ!……ごめんね、変な事言って心配させて」

モーリスは溜息を吐きつつ曲刀を掴む手から力を抜く。
「やっぱり神経質になっているみたいだな。お父上のことがこたえているのか?」
口にした瞬間モーリスはさらに顔色を悪くして自らの口に手を当てるが、既に遅かった。
「すまん。……確かに俺は疲れているみたいだな」
モーリスの『お父上』という言葉に反応し俯いたロジアは、
しばらく唇を噛み締めた後精一杯の笑顔を浮かべながら顔を上げる。
「大丈夫だよ。お父様が亡くなったのは辛いけど……でも、覚悟はしていたから」

引き攣った表情は強がっていることが丸分かりで、見ているモーリスの心を締め付ける。
罪悪感を覚えたモーリスはその場を立とうとするが、ロジアは彼を解放してくれなかった。
「大丈夫というのなら、早く俺を情報収集へ向かわせて欲しいんだが」
ロジアはモーリスのマントの裾を掴み、彼の外出を邪魔し続けている。
「……ほら、ここの町ってなんだかお兄ちゃんと初めて会った時の、
あの建物を思い出すから。……なんだか少し神経質になっちゃって……」

「少女に取り憑いた魔道師に襲われた、あの時の事か」
ロジアは不安を隠さず頷く。
薄汚れ不穏な雰囲気を持つ木賃宿は、ロジアに燃え盛るあの不気味な館を思い出させる。
二人にとって忘れがたいあの日の事を嫌でも連想させてしまうのだ。
『……お前は…………死ぬ…………ここに並ぶ…………ガキどものように…………
……全身………………溶か…………され………………のたうち……………………ながら』


169:宿し姫メヒィル第三話『溶解』
09/02/20 21:50:19 8fJQ4bzl
魔道師がモーリスへ残した呪詛が脳内に再生され、ロジアは身震いした。
「……気分が悪いのか?」
ロジアは泣きそうな目でモーリスを見上げる。
「……お兄ちゃん……帰ってくるよね?」
「くるさ、お前を守るのが俺の仕事だからな。……しかしお前もよく分からない奴だ。
普段は蛇を素手で捕まえたり、5メートルはある崖から平気な顔して
川に飛び込んだりして侍女共に悲鳴を上げさせるくせに、一人になるのは怖いのか?」

「怖いよ……お兄ちゃんがいなくなるのは。……あたしも外についていっちゃ駄目?」
「情報収集する場所は子供の入れない場所だ。お前がいたら仕事が出来ない」
押し黙り震えながら身を寄せてくるロジアが、マントを掴む手の力をいつまでたっても
緩めようとしないので、モーリスは小さく溜息を吐く。
「で、どうすりゃお前は俺を放してくれるんだ?」
それまでモーリスを見上げていたロジアが恥ずかしそうにうつむき、もごもごと呟く。

「あのね……モ、モーリスがね……頭、撫でてくれば、あたしは頑張れる……と思う」
モーリスが呆れ顔で少女の頭を撫でると、
途端にロジアの目から恐れが消え、頬がうっすらと赤味を帯びる。
(そう、いつもそうだった)
姉妹達で可愛がっていた飼い猫が死んだ時も、一晩に2回も嘔吐する病魔に侵された時も、
……城を追われ家族や親しい人と離れ離れになった今でさえも。

「お兄ちゃんに頭を撫でてもらえば、……どんな辛いことも頑張っていけるんだよ」
「やれやれ、いつもはお転婆のくせに、こういう時は甘えん坊だな」
ロジアはいたずらっ子のように笑いながら首を横に振った。
「違うよ、お兄ちゃん」
「あん?」
「お転婆じゃなくて、やんちゃでしょ?だって僕、男の子だもん。ね?」

モーリスは頬をぽりぽりと掻いて視線を泳がせる。
「……こりゃ一本取られたな。そういやお前は男の子だった」
「へへ、駄目でしょ、お兄ちゃんがボロを出しちゃ」
いつもは極力表情を表に出さないモーリスも思わず苦笑いを浮かべる。
「調子に乗るな。ま、それだけ言える様になれば大丈夫か。じゃあ今度こそ行くぞ」
「うん、じゃあ行ってらっしゃい。気をつけてね」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

何分も全速力で走り続けたかのように少女の息は荒い。
その全身は魔女の愛撫で昂ぶらされたため汗だくになり、
焦点の合わぬ瞳は涙を流しながら天井をぼんやりと見上げていた。
そんな少女の上にのしかかりながら、彼女の眼前に魔女が何かを突きつける。
「余韻に浸っているところ悪いんだけど……これ、な~んだ?」

スライムが入っていたはずの小瓶が空になっているのを見た瞬間、
絶頂に放心していた娘の顔が見る見る青ざめる。
「や、やああああっ」
見れば少女の腹には大量のスライムがぶちまけられていた。
「あらあら、自分で壜を倒して気づかなかったの?
よっぽど私の指が気持ちよかったのかな?」


170:宿し姫メヒィル第三話『溶解』
09/02/20 21:51:31 8fJQ4bzl
しかし少女には魔女の問いに答える余裕はない。
白くすべすべのお腹がスライムによって溶かされ始め、血潮が溢れ出したからだ。
「お願い助げ、熱い、ああづいいいいっ!!」
「残念ね、もう助からないわよ。
じゃ、あなたの子宮のエーテルもいただいちゃおうかしら」
魔女はスライムに溶かされた少女の腹筋をスライム越しに撫で回す。
「溶げるっどげるっぅぅ」

悶絶する少女を見下ろしながら、魔女はくすくすと笑った。
「あらあら、そんなに私のことを心配しなくても大丈夫よ?
スライムはこのシュメーラ様が魔法で完全に支配しているから、
私がスライムに触っても私は溶けないの」
スライムは少女の臍から股座まで完全に覆い、その皮膚と肉をじわじわと溶かしていく。
「あがあああっ、お腹が、おなががぁああっ」

少女は絶叫を上げながら下半身から液を噴出す。
尿道の組織を溶かされ、排泄機能が壊されたのだろう。
「あははは、そんなにお漏らししたらエーテルを吸ってスライムがどんどん増えるわよ?」
魔女の言葉通りスライムはその体積を増し、
赤黒く変色したスライムはいまや乳房や太腿までも完全に覆いつくしていた。
肛門や膣口からもスライムが少女の胎内へ侵入し、体の内と外から少女の組織を分解する。

冷酷な魔女は彼女の膣口へ手を入れせせら笑った。
「わあすごい、さっきまでは指2本できつきつだったのに、
おまんこ溶かされたから手首まで入っちゃう」
「あぐああがあああっ、がらだのながっ、熱い、あづいいぃぃいっ、
あづくてきもいがぁあぁぁっ」

溶かされる恐怖と激痛に襲われた少女の暴れぶりはひどく、
手足を縄で完全に拘束されているというのに極限まで体を振り回し、
彼女を縛り付けたベッドがぎしぎしと悲鳴を上げ続ける。
しかし彼女を襲うのは激痛だけではない。
「ねえすごいでしょ?直接剥き出しになった神経の周りを刺激されるのって」
それはスライムを操れる魔女だけが可能にした地獄のような快楽だった。

スライムで包皮だけ溶解され全体が露になったクリトリスの全身をあますことなく愛撫し、
膣壁がたんぱく質へと分解され、剥き出しになったGスポット奥の神経群を直接弄り回す。
「ぎひああああっ、がああ、ぎもぢぃだああああぁっ」
目尻が引き裂かれそうなほど見開かれた瞳からとめどなく涙を流しながら、
少女は快楽と激痛を無理矢理与えられ悶え狂う。

「あはは、どう?体を溶かされながらイかされる感覚って、すごいでしょ?」
「ひぎぁあああああっ、おがぢおあふぁいいあっっっっ、あ……」
少女は断末魔を上げながら背骨が折れるのではないかと思うほど体を大きく仰け反らせ、
しばらく全身を痙攣させた後糸の切れた操り人形のように動かなくなった。
「あら?……ねえ、どうしたの?もしもーし、まだまだこれからよ?」


171:宿し姫メヒィル第三話『溶解』
09/02/20 21:53:16 8fJQ4bzl
魔女が少女の頬を幾度も叩くが、少女の瞳が再び光を宿すことはなかった。
「……あーあ、激痛のあまりショック死しちゃった。
脆いわね、もうちょっとじわじわ溶かして長持ちさせればよかったなぁ、つまんない」
溜息を吐きながら赤衣の女は少女の胎内へ突っ込んでいた手をさらに奥へと突き入れる。
解けて爛れた肉が崩れる不快な音が部屋の中に響き渡った。

「じゃ、早速あなたの子宮をもらいましょうか……」
スライムが中で子宮周辺の肉を溶かしたのか、
その臓器は容易に少女の体から取り出された。
至福の笑みを浮かべながら、妖婦はエーテルのつまった臓器を舐め上げる。
「あら、綺麗な子宮。……エーテル量はまずまず、って所かしら」

魔女は子宮に頬ずりをしながらサイドテーブルへと視線を移す。
サイドテーブルの上には水晶玉が置かれており、
半透明の球体の中にベッドの上で不安そうに腰掛けるロジアの姿が映っていた。
「あらあらかわいそうに……護衛の傭兵がいなくなって独りきりになったから、
寂しいのね……」
魔女が壁際まで歩き窓の外を覗き込むと、モーリスが魔女とロジアのいる宿から
離れていくのが見て取れる。

「情報収集ご苦労様。もっともお姫様が死ぬから集めた情報はすぐに無駄になるけど」
ふと魔女が正面を見ると、向かいの民家から自分や少女のいる
部屋を覗き込む男の子と視線がぶつかった。
魔女がにっこり笑いながら手を振ると、男の子も笑いながら手を振り返す。
まるで彼女の背後で事切れた少女とその周りの血の海が見えないかのように。
「……やっぱり普通の子は知覚できないわよね。私の幻覚魔法が効いているんだから」
もう一度魔女は水晶越しにロジアの姿を確認する。

『どこかで女の子の悲鳴が聞こえなかった?』
ロジアは確かにさきほどそう呟いていた。
魔女は舌なめずりをすると、紅い衣の下からスライム入りの小瓶を新たに
10個ほど取り出し、その蓋を開ける。
「私の幻覚魔法が完全に効いていなかった……だとしたら、ロジア様は
とんでもないエーテルを体に秘めているのかも……
ふふ、またあの人に褒めてもらえそう……」

瓶から這い出たスライム達が取り出されたばかりの子宮に群がると、
その全身が劇的に膨張した。
「さあ、あなた達も前菜をさっさと食べて力を蓄えなさい。
メインディッシュはもうすぐだから」
スライム漬けとなった部屋の中で、背筋の寒くなる魔女の高笑いだけが響き渡る。
彼女の視線の先には、モーリスの消えた通りを窓越しに眺め続けるロジアの姿が
水晶玉の中にいつまでもぼんやりと浮かび続けいていた。

――――――――――――――――――――


172:宿し姫メヒィル第三話『溶解』
09/02/20 21:55:28 8fJQ4bzl
領主の城の中庭で、モーリスは領主ロルドと対峙していた。
「君はいつも私を見ると殺気を漲せるね。何か恨みでもあるのかな?」
モーリスはロジアの父ロルドを煮えたぎるような眼光で睨みつける。
「……子供のころララウヌの軍に家族を殺された。それだけの話だ」
「そうか。だが謝罪はしない。あの戦争で死んだのは君の家族だけではないからね。
ズキアの人間もララウヌの人間も等しく多くの者が死んだ。私の友人もだ」

「……わかっているさ」
「だとしたらどうにも君の殺気だった態度は理解出来ないな。
戦争で悲しい思いをしたのはズキアの民だけではないと理解しながら、
なぜそこまで私を憎む?」
「兵でも戦士でもない母や姉も殺された」
搾り出すようなモーリスの声に、穏やかだったロルドの顔がわずかに強張る。

「そうか。なら君の家族の命を奪った者の顔や、体格の特徴など何でもいいから
思い出してくれ。誰か調べ上げ、その者に然るべき罰を与えると約束しよう」
「それは……言えない」
正確には言う必要が無いからだ。なぜならば、モーリスがあの日目撃した
母と姉を犯しながら殺していた男は、目の前にいるロルド本人なのだから。

「……では、残念ながら私は君の憎悪を癒すことは出来ない」
「いや、ひとつだけ方法はある」
モーリスがマントの下で短剣を握り締める。
(あんたを殺すことさ)
するとその殺意に反応して、ロルドの横にいた赤髪の従騎士が
モーリスとロルドの間に割り込んだ。
「ロルド様、お下がりを」

「下がる必要など無いだろう。私はまだ彼と話がしたいんだ」
「この男は、あなたに危害を加える気です」
剣呑な空気を知ってか知らずか、ロルドは暢気に肩を竦める。
「シキッドは生真面目すぎるぞ。そんなことではメヒィルも大変だろう」
「……なぜそこでメヒィル様の名が出てくるのですか?」
シキッドの狼狽で殺気立つ空気が少し緩んだ瞬間、
緊張した雰囲気を決定的に破壊するあどけない声があたりに響く。

「お父様、モーリス、シキッド!ねえ、見てよ、こんなに大きな蜘蛛捕まえちゃった!」
ロジアが叫び声をあげながら、彼女の手の平ほどの大きさの蜘蛛を振りかざしつつ
3人の男に近付いてきた。モーリスは溜息を吐きながら無言で短剣から手を離す。
「すごいでしょ、これ。こんなに長い足の蜘蛛初めて見たよ!」
まるで鼠や虫を捕まえた猫が飼い主に見せびらかすかのように、
ロジアはモーリスに向かってわしゃわしゃと足を蠢かす蜘蛛を差し出す。

「……あー、すごいですねぇ、ロジア様。あなたは虫取りの天才ですよ」
モーリスがロジアの頭を撫でると、ロジアは満面の笑みを浮かべた。
「えへへへ、すごいでしょ!そうだ、お姉さま達にも見せてあげなきゃ」
ロジアはくるりと向きを変えると駆け出す。
「いやいや、そんなことしたらこの前蟷螂を見せた時みたいに
お二人とも悲鳴を上げますって……ああ、もう」


173:宿し姫メヒィル第三話『溶解』
09/02/20 21:57:19 8fJQ4bzl
ロルドは笑いを堪えながら娘と護衛の男のやり取りを見守った後、モーリスに話しかける。
「どうしたモーリス、君はあの子の護衛だろう?早く傍にいってやれ」
ロルドの言葉にモーリスの顔にわずかながら殺意が甦った。
「あんたもおかしな人だな。あんたに憎悪を抱く俺に実の娘の護衛をなお続けさせるのか」
「君は私への悪意をあの子にぶつけるような卑しい真似はしないだろうさ」

モーリスはその堀の深い顔を歪ませながら嗤う。
「どうだかな。あんたへの当てつけにあの娘を手篭めにしてみるのも面白い」
(あんたが俺の母と姉にしたようにな)
「モーリス!」
シキッドが険しい顔でモーリスの方へ一歩踏み出そうとするが、
ロルドがその肩を掴んでシキッドの前進を阻止した。

「ふむ、それなら私の計算どおりになるのだがな」
ロルドの言葉にシキッドはおろかモーリスも呆気に取られる。
「……あんたは何を言ってるんだ?俺はあんたの娘を傷物にするって言ってるんだぞ」
「ほら、いまだに一部いがみ合ってるだろ、ララウヌの人間とズキアの人間は。
だから領主の一族とズキアの人間が血縁関係にでもなれば、
少しは仲良くなるんじゃないかと思って君をロジアにあてがったんだがね」

「……そんな馬鹿げたことのために、異民族の俺を娘の護衛に?」
「馬鹿げたことかなぁ。結構私は大真面目なんだがね。あの子も満更ではなさそうだし。
あ、あと平民のシキッドにメヒィルの護衛をさせているのもそれに近い理由なんだけどね」
いきなり話題を振られて当のシキッドはうろたえた。
「……ロルド様、一体何を?」

「ほら、ここだけの話だが、今は円卓のほとんどが一部の貴族の血筋で固められ、
ララウヌ領のあらゆる権益を独占しているからね。
平民あがりのシキッドがメヒィルとくっついてもらうと、色々風穴が開きそうなんだけど」
「……それで私に不相応なメヒィル様の護衛をさせているのですね」
溜息混じりにシキッドが呟くと、ロルドが朗らかに笑った。
「平民上がりの騎士なら誰でもいいわけじゃない。シキッドだから託したのさ。
もちろんモーリスも同じ理由だ」

モーリスは苦々しげに呟く。
「つまり娘に手を出せばあんた思惑に乗る事になるのか。それはそれで腹立たしいな」
「そういうわけだ。だからあの子に手を出しても私に対する復讐にはならないと思うよ」
「ならやはり……あんたに直接、この憎悪をぶつけるしかないか」
「そうなるな。だがすまないね」
いきなりロルドの首が横にずれ、頭が床へと転がった。
驚きで身が竦んだモーリスの前で、首だけになったロルドが彼を見上げる。

大地に転がったロルドの頭は心からすまなそうに呟く。
「私は君以外の人間に殺されてしまった」
家族を失い、ただ復讐のためだけに生きてきたモーリスは、その対象を突然失った。
「なんで……」
驚きの感情が去った後、モーリスの中に湧き上がったのは、例えようの無い悲哀と絶望。

「なんで俺以外の奴に殺されやがった!!」


174:宿し姫メヒィル第三話『溶解』
09/02/20 21:58:22 8fJQ4bzl
酒場の中にモーリスの絶叫が響き渡る。
それまで楽しそうに談笑していたカップル、渋い顔で馬乳酒を飲んでいた老人、
屈託な笑顔を振りまきながら料理と酒を運んでいた看板娘が皆モーリスへと視線を注ぐ。
我に返ったモーリスはカウンターの席に座りなおすと、
心配そうにこちらの様子を窺う店主に一枚の金貨を渡す。
「……他の客に迷惑をかけた。これで店にいる全員に酒を振舞ってやってくれ」
モーリスが背をただし酒を飲み直し始めると、場末の酒場をまた喧騒が支配し始める。

(たった一杯で潰れて変な夢を見てたのか俺は……
おまけに追われる身のくせに群集に注目されるなんて、救いようがねえな……)
モーリスが情報を集めるためにやって来たのは町外れの酒場だった。
ひと働きした後の開放感が人々の口を緩め、
聞き耳を立てているだけで様々な情報を拾うことが出来る人々の憩いの場。
しかしそこで一杯の果実酒を飲んだ後モーリスの記憶は薄れ、
疲労とアルコールが手を取り合って協力し、彼に先ほどの悪夢を見せつけた。

(ロジアに心配されるわけだ……かなり体が参っているみたいだな)
いや、衰えているのはどちらかといえば体ではない。
(……あの領主は殺されやがった……)
首都からロジアを連れて逃げる最中、
ロジアの父である領主ロルドが弟に殺害されたと聞いた瞬間モーリスの中の何かが壊れた。
それまで彼自身を支えていた復讐という生への執着がすっかり無くなってしまったのだ。
今モーリスを苛むのは無力感と虚脱感。

(たとえ俺の手でなくてもあの男が死ねば……すっきりすると思っていたのにな……)
家族を犯し殺したあの男がいなくなれば自らの胸に眠る憤怒の火も消え、
毎晩のようにうなされた家族が犯される悪夢も見なくなる。……そのはずだったのに。
(いや……本当にそうなのか?)
懊悩するモーリスの耳に旅の楽団一座の話す声が聞こえてくる。
「この国は今治安があまりよくないだろう?ほんとに仕事をするのかい?」

見るからに神経質そうな細身の男が不安そうに呟くと、
彼の隣に腰掛けた褐色の肌の女が相槌を打つ。
その紫の瞳からして、おそらくズキアの血を引いているのだろう。
「私達のような異国の人間に与えられていた権利も次々に剥奪されているらしいわね。
前領主様ならそんなことはなかったのに」

彼らの声を耳にした老人が、モーリスの二席横で嘆きながら酒をすする。
「ああ……ロルド候……われわれは偉大な領主を失った……」
「前領主が偉大だと!」
モーリスはグラスをテーブルに叩きつけると厨房まで聞こえるほどの声を張り上げた。
普段の彼ならそんな愚行は犯さなかっただろうが、先ほどの悪夢が彼の神経を昂ぶらせ、
逃亡の身でありながら人前で注目を浴びるという
ありえない失態を彼にもう一度させてしまった。

「あいつは俺達ズキアの集落を襲い、俺の眼前で母と姉を犯したんだ!」
それまで生気のなかった老人は、モーリスの言葉を聴くと
乾いた肌に青白い血管を浮き上がらせながら激昂した。
「馬鹿な、ロルド候がそのようなことをするはずがない」
「俺は見たんだよ、やつが俺の家族を……っ」


175:宿し姫メヒィル第三話『溶解』
09/02/20 21:59:31 8fJQ4bzl
モーリスの集落を襲ったララウヌ兵はズキアの戦士達を殺した後、
武器を持たず戦えぬ女子供老人も殺して回った。
モーリスの母や姉のように器量のいい女達はただ命を取られるだけでは済まず、
その身を汚され誇りも尊厳も全て奪われ殺されたのだ。
そしてその時モーリスの母と姉を笑いながら強姦したのは、
ロジアの父であり前領主だったロルド・ララウヌ候。

「ありえぬ、万に一つもありえぬ!あの方がそのようなことをするなど!」
「俺はその時直に見たんだよ!確かにあのツラは前領主だった!」
なおもお互いに大声でののしり合う二人の間に酒場の店主が割ってはいる。
「他のお客さんの迷惑になります。喧嘩なら他所でやってくれませんかね」
わずかな間を置いてから老人は席に座りなおすと、うわ言のように呟いた。
「ありえない事じゃ……何かの見間違いじゃよ、ズキアのお若いの」
「……俺だって、それならいいと何度も思ったさ……」

ロジアの父ロルド・ララウヌ候は明君として領の内外に名を知られていた。
例え敵対していたズキアの民であろうとも、
戦争が終わったのならばララウヌの民と同じく迎え入れるべし。
そう宣言した後に軍、役所、ギルドなど様々な場所にズキアの民を雇い入れ、
ズキアの子供達にも教育の場を与えた。

融和政策を打ち出してからのララウヌ領はそれまでの比にならないほど富み、
数年で軍事も経済も近隣の領に及ぶ物のない程強大になった。
昨年この領を大災害が何度も襲い民達が疲弊するまでは、
ララウヌ人でロルドの悪口を言う者は特権を奪われた血統主義の貴族や豪商か、
戦争で仲間をズキアの戦士に殺された兵士ぐらいのものだったろう。

親ララウヌ派で先の戦争に参加しなかったズキア族はもちろん、
ララウヌと戦い敗れたズキア族の一派さえも多くの人間がロジアの父を
敬い慕っているのをモーリスは知っていた。
(俺だって……そうだった)
家族を失い天涯孤独の身となった幼いモーリスがララウヌで生きていけたのも、
ロジアの父が戦争孤児になったズキアの子供達を保護する条例を出していたからだ。

幼いころこそ自らの家族を奪ったララウヌの全てを呪っていたが、
ララウヌ領でララウヌの人々に助けられながら生きていくうちに憎悪も薄れていき、
社会に出て他者を受け入れることの困難さを思い知った時には
ほとんどララウヌの民に対する怒りは消え、
見たことのないロルド・ララウヌに敬愛の念さえ持つようになった。

だからこそ、初めて彼の顔を直に見た時のモーリスの混乱は言葉に出来ないほどだった。
自分が最も尊敬するララウヌ人と、最も殺したいララウヌ人が同一人物だったのだから。
そしてその混乱はモーリスがロジアの護衛となってからはさらに大きくなっていく。
ロジアの護衛として城でロルドと幾度か直に接し話した時も、
モーリスは彼の中に女を強姦するような卑劣さを欠片も見出すことが出来なかった。
(結局、どっちだったんだ……?多くの民に愛された名君と、
俺の家族を辱めた悪魔……どっちが本当のロルド・ララウヌの姿だったんだ?)


176:宿し姫メヒィル第三話『溶解』
09/02/20 22:01:09 8fJQ4bzl
『ありえない事じゃ……何かの見間違いじゃよ、ズキアのお若いの』
『……俺だって、それならいいと何度も思ったさ……』
先ほどの老人とのやり取りを思い出し、モーリスは自覚する。
(そうか……俺が悶々として腑抜けになったのは、あの男を殺せなかったからじゃない)
なぜあれほどの明君が、あのような凶行を行ったのか。
(多分自分は、その理由が知りたかったんだ……)
本人が殺された以上、その機会は永遠に失われてしまったのだが。

モーリスが酒を再度呷ると、楽団の座長らしき男がモーリスの作り出した店内の不穏な
空気を振り払うように大きく咳払いをして、対面に座る細身の男へ語りかける。
「この国がこんな混乱のさなかにあるから僕らの仕事が必要とされるんだろ?
僕達の音楽が不安に駆られる皆の心を安らかにさせるのさ」
彼の横に座っていた褐色の肌を持つ女性が同意するようにぼそりと呟いた。
よく見れば彼女は細身の男の隣に腰掛けるズキア族の女と同じ顔立ちをしている。
「だけど家族による権力争いなんて、領主の一族って大変なのね……」

彼女の対面に座る女が同じ顔でにこやかにこくりと頷く。
「亡くなった前領主様と追放されていた弟のエルゴザ様は私達みたいに
双子の兄弟だったんでしょ?血の繋がった双子同士の争いなんて、なんだか悲しい話よね」
細身の男は慌てて女達の噂話に割ってはいる。
「だ、駄目だよ、その話はこの領内ではタブーだってば!」
その噂を耳にしたモーリスはカウンター席から立ち上がり双子の女の背後へ駆け寄った。
「な、なんだお前は!」

細身の男はモーリスの血走った目に気圧され椅子から立ち上がろうとするが、
褐色の肌を持つ女は怯えもせずにっこりと笑いながら同族の男を見上げる。
「何か御用ですか?」
モーリスは首筋に汗を浮かべながら女に尋ねる。
「あんた……ちょっと待て、今なんて言った?その、前領主と追放されていた弟は……」
「前領主ロルド・ララウヌ候と弟のエルゴザ・ララウヌ様は双子だったの」
ぐらりとモーリスの体が揺れる。

「ちょっと待てくれ……俺はララウヌ領に十年近く住んでいるが……
そんな話聞いたことも無いぞ……?!」
「国家や領地、組織の秘密や醜聞なんてものはその内にいるよりも外にいる方が
色々と耳に入るものなんですよ」
モーリスはふらつく足で近くのテーブルにすがりつく。
(双子……同じ顔……じゃああの時、俺が見たのは……俺の家族を辱めたのは……)
「おい小僧、いい加減にしろ!さっきから貴様が喚くから落ち着いて酒も飲めん」

「ああ、すまない……」
モーリスは自らを罵倒する老婆を見てさらに目を丸くし、老婆もモーリスを見て驚く。
酒場の奥で干し肉をつつきつつモーリスを凝視している年老いた女は、
先ほどモーリスが宿を出る時1階にいたはずの宿の主だった。
「なんじゃ、どこかで見たと思ったら、昨日までうちに泊まっていた客じゃないか。
まだこの町にいたのかい。全く、弟をほっぽって酒なんぞ飲みに来おって」
「……待ってくれ、昨日までだって?まだ俺達はあんたの宿に泊まっているぞ」

老婆はアルコール臭い大きな溜息を吐き出した。
「すっかり酔っとるようじゃなこの若造は。あんたら兄弟ももう一人の客も、
示し合わせたかのように昨日には出払っちまった。おかげであたしゃ仕事もなくなり、
こんな夕方から酒を飲みに来てるのさ」
(……この婆さんが、耄碌して勘違いしていないのならば……)
わずかな情報からモーリスはある仮定を導き出す。何者かが自分と老婆に幻を見せ、
あの宿から不可解な力で人払いをしている可能性がある。



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