猟奇・鬼畜・グロ・嗜虐・リョナ系総合スレ 第8章at EROPARO
猟奇・鬼畜・グロ・嗜虐・リョナ系総合スレ 第8章 - 暇つぶし2ch150:名無しさん@ピンキー
09/06/04 23:11:16 9/41MotL
みんな書くの上手いなあ。
俺は、頭の中のイメージと実際に書いた文章が一致しなくて苦悶する

151:名無しさん@ピンキー
09/06/05 05:58:18 YyEvSeTa
GJ!少女達みんな友達想いなんだなぁと思ったw
鬼畜な奴に死の安息なんて与えてやるこたーないよ

152:名無しさん@ピンキー
09/06/06 00:26:13 mQtpURkF
>>147
あに言うだ。
虫の息の獲物を殺らずに、ネチネチジワジワいたぶるから面白いんじゃないか。
一思いに殺っちゃったらツマランだろう。
あの作品の醜悪(顔は美人っぽいけど)女教師は、一生苛められる運命なんだぜ。
そそるじゃないか。

153:名無しさん@ピンキー
09/06/07 06:13:02 qUQ5hxA2

現在、長期にわたって全規制の影響を受けている職人の皆様。
ただいま、こちらのスレ(したらば・エロパロ避難所)に置いて代理投下の以来が行えます。

書き込み代行スレ
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)

投下して欲しいスレの名前とアドレスを張り、その後、作品を書き込めば有志のかたがそのスレに作者の代理として投下いたします。
(数日ほど、時間が空くことがあります。できれば、こちらに書き込める方、積極的に代理投下のチェックをお願いします)



154:AVENGER@レイラ・アシュレイ解体
09/06/07 08:46:34 VpVMfHZf
>>83です。
ちょっと妄想が止まらなくなったので書いちゃいました。
SSは今回が初めてなので文が変になっているかもしれません。
・エロ無し。解体のみ。
・カニバリズム注意。ほんの一部ですが。
・本編を一話も見ていないので詳しい設定等は分かりません(wikiで確認しましたが)
・「こんなのレイラじゃねぇよコノヤロー」って人はスルーしてください。
・NGはAVENGERで。

155:AVENGER@レイラ・アシュレイ解体
09/06/07 08:47:43 VpVMfHZf
「ん…うん…?」
頭に激しい不快感を感じながら、彼女--レイラ・アシュレイは目を覚ました。
起き上ろうとするが、手足が何かにしっかりと固定され、動かすことができない。
「……?…なっ…!?」
少々寝ぼけながら視線を横に動かすと、自分の腕をしっかり固定している枷が映る。
眠気が一瞬で吹き飛び、逃れようと必死に暴れるが、枷は外れる様子はなく、
彼女の手足を固定し続けている。
「くっ…この…っ」
諦めずに暴れ続けるが、枷はやはり外れない。
それどころか、さらにきつく彼女の手足を絞め上げる。
「うあぁっ…!くぅ…」
痛みに耐えられず、彼女は暴れるのをやめる。
一旦普段の冷静さを取り戻し、周りの様子を目だけ動かして確かめる。

156:AVENGER@レイラ・アシュレイ解体
09/06/07 08:49:11 VpVMfHZf
周りは薄暗く、僅かにしか状況が把握できなかったが、
目が慣れると、ここがどこかの部屋の中だということに気付く。
壁や床には様々な道具が存在したが、その道具は全て拷問に使う様な物ばかりだった。
少し経つと、煩いぐらいの足音を立てて、男が一人入ってくる。
「あぁ、起きてたのか。起こす手間が省けたな」
そんな独り言を呟きながら、男は大の字の状態で拘束されているレイラに歩み寄る。
レイラは目に僅かに涙を溜めていたが、鋭い目つきで男を睨みつける。
「まさか後ろから薬を嗅がせる、なんて良くある方法にひっかかるとは。
 よくそんなんで今まで戦えたな?」
「っ…だ、だま…れ…ぐっ!?ああぁ!?」
反論しようとするレイラの腕を掴み、手加減などせずに絞め上げる。
「言葉には気をつけな。俺にはお前を殺せるだけの力がある。
 それこそ、本気でやったらあっという間に終わっちまうくらいのな。」
「う…わ、分かった!分かったから…放し…て…」
目を潤ませて懇願するレイラの腕を解放し、少し離れた所で鉄の棒を熱し始める。
その棒は太くはないが、長さは十分ある。
レイラは体を僅かに震わせながら、怪しい笑みを浮かべながら棒を熱する男を泣きそうな顔で見つめていた。

157:AVENGER@レイラ・アシュレイ解体
09/06/07 08:54:29 VpVMfHZf
ごめんなさいここまでですorz
続きはちょっと読んでみて「もっとグロくできないか」
と試行錯誤しまくっているのです(´・ω・`)
次の投下では最後まで投下しますのでお待ちください…

次の投下では最後まで一気にいきます


158:AVENGER@レイラ・アシュレイ解体
09/06/07 08:56:15 VpVMfHZf
>>157
ごめんなさい最後の一文は貼りミスなのでスルーしてくださいorz

159:名無しさん@ピンキー
09/06/07 14:33:45 s//J8Sk1
期待します

160:名無しさん@ピンキー
09/06/07 22:37:13 bZgi7HzT
>>157
全力で待ってます

161:名無しさん@ピンキー
09/06/08 11:31:56 u3/G2wDC
期待してます

162:名無しさん@ピンキー
09/06/08 21:44:24 tVSuWHqT
みんなもっとプレッシャーをかけてやれ

163:名無しさん@ピンキー
09/06/09 14:27:02 pcDw9PrE
続きを期待しながら小ネタ。
ところでなるたるののり夫と、映画シンシティーの人喰いケヴィンの殺され方が酷似してると思ったんだけど、あの方法って比較的ポピュラーなのかな?
止血しといて末端からばらすの。

164:名無しさん@ピンキー
09/06/09 22:38:16 dhsVKehS
>>163
拷問として実際に行われたことがある…
と聞いたことがあるけど、2chがソースだからなあ…

165:名無しさん@ピンキー
09/06/10 00:18:00 TztesIoF
             ウズウズ…

         =≡=  ∧_∧   I'm ready.......
          / \ (・∀・ )/
        〆     ⊂    つ∈≡∋
         ||  γ ⌒ヽヽコノ   ||
         || .|   |:::|∪〓  .||
        ./|\人 _.ノノ _||_. /|\

166:名無しさん@ピンキー
09/06/10 16:17:39 gfWHZOUy
こんにちは。
ここ最近悪を懲らしめていた者です。
他の方のSSが途中なところ申し訳ありませんが、9レスほどのSS投下させてください。
今回は、悪を懲らしめるのでなく、少女が生け贄になるお話です。
では『おみあげ』投下します。


167:『おみあげ』 1/9
09/06/10 16:20:03 gfWHZOUy
『おみあげ』



 今日は72年に1度の御巳上祭(おみあげさい)。
 特別な条件で選ばれた巫女が、神様に直接お目通りして村の繁栄をお願いする日。
 その巫女になるには特別な条件とは―巳年巳月の第一巳の日に生まれた双子の女である事。
 そして、その条件を満たしたのが、この私、巳月(みつき)と巳日(みのひ)なのです。
 名前が安直だと思うかもしれないけど、村でこの名前が使えるのは巫女の資格のある者だけ。
 つまりこの名前は結構由緒ある名前なのです。
 生まれた時から運命付けられ、今日この日が来るまで色々な準備をしてきて、ついにその全てが実を結ぶのかと思うと胸がドキドキして来る。
 そんな私たちの晴れの大舞台。
 その過酷な一日は日付の代わった合図の太鼓の「ドォン、ドォン」という大きな音と共に始まった。
 私が白装束に着替えていると、
「姉さん早くぅ」
 既に着替え終わった巳日が私を急かしてくる。
 そんな巳日は寝起きがめっぽう強い。かく言う私は……。
「そんなに慌てなくても滝は逃げないわよ……あーあ」
 私があくびをしながらもそもそ着替えを続けていると、『ボクッ』と頭に何かが当って私は引きっ放しの布団の上にうつ伏せに倒れた。
 どうやら焦れた巳日が後ろから枕を投げたみたい。
「姉さん、そんなんで大事なお祭り大丈夫なの?」
 人を張り倒しておいてよく言うと思いませんか?
「あ、な、た、は……、どうしてそんなに乱暴なのっ!」
「あはははは。姉さん、そんな投げ方じゃいつまでたっても当んないよ―じゃ、先に行ってるからねー」
 本当に馬の尻尾のようにつやつやで長いポニーテールを揺らしながら、巳日が廊下の向こうに逃げて行く姿を見送ると、私は一つ大きな溜息をついた。
 もうすぐ12歳の誕生日が来るはずだった私たちは今日のお祭りで神様にこの身を捧げる。
 神様に会うと言う事はそういう事。
 そうしたらもう、こうして枕投げなんかも二度と出来なくなるなぁ。
 覚悟は出来ているので今更逃げたいとも思わないが物悲しい気持ちになるのは隠せない。
 そんな事を考えているとふとある話を思い出した。
 それは私たちが生まれた時の事。
 当時、お父さんとお母さんはこのお祭りに私たちが巫女として参加するのに猛反対したそうです。
 結局は村人全員の説得により私たちがお祭りに参加することは決まったのだけど、お父さんとお母さんはやっぱりそんな村のしきたりが納得できなくて村を出て行ってしまった。
 今は何処にいるかも判らないお父さんとお母さんは元気にしているのだろうか?
 村を出て行くくらいにこのお祭りに反対していたのだから、今日村に来る事なんて無いだろうけど、もし来てくれたらうれしいと思う。
 私たちにはお父さん、お母さんの記憶は無いけれど、それでも最後くらい顔を見たい。
「姉さーん! ホント何やってんの!? 置いてちゃうわよー!」
「はいはい! 今行くからちょっと待ってよ!」
 私はそう返事をすると布団を畳んで足早に部屋を出て行く。
 廊下に出てまっすぐ走ってゆくと、広い土間の所で巳日が足踏みしていた。
「姉さん! 寒いんだから早くしてよねっ!」
「ごめんごめん」
 私はそう謝りながら、巳日の両手を自分の手で包み込んだ。
「あったかい……」
 この子は私に比べると少し寒がりだ。
 とは言え1月のこの地方の雪は深い。つまりそれだけ寒いと言う事。
 白装束の下は裸の私たちはこれから禊(みそぎ)の為の滝行(たきぎょう)を行うのだけど―。
「滝の水が全部お湯だったいいのに」
 いつの間にか頬擦りまで始めた巳日に私は、
「ま、凍ってない事だけは祈りたいわね。お祭りの前にショック死じゃ私たちも村の人たちも不幸だもの」
「夢が無いなあぁ姉さんは」
 巳日がチラリとこちらに視線を送る。
 その後どちらとも無く笑い出して、2人で一頻り笑った後、私と巳日は手を繋いで雪の降る外へと駆け出していった。


168:『おみあげ』 2/9
09/06/10 16:20:54 gfWHZOUy


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~


 結論から言うと、滝行『は』寒くなかった。
 『は』を強調したのは、滝の水はむしろ温かく感じたのだけれど、それ以外が寒かった!!
 暫くして雪はすぐに止んだのだけど、とにかく寒い寒い。
 白装束1枚の私たちには肌を切り刻まれるかのような感覚さえした。
 お陰で滝から中々出られず、元いたお社に返った頃には随分と時間が立っていた。
 それにしても滝の水が温かく感じるだなんて不思議な事もあるものだ。
 毎年あそこは滝も池もカチカチに凍るので、冬はスケート場に早代わりするくらいなのに。
 これも神様のお力なのだろうか?
 ま、それは置いとくとして。
 戻った私と巳日は、用意してあったお風呂に入ってかじかんだ体を温めると、少し休憩した後、次の段取り、食事を取る事に。
 しかし、食事の内容は赤飯と白湯とおとそと言う不思議な組み合わせ。
「最後の食事なんだからお肉とか食べたかったよね」
 巳日がこっそり耳打ちしたが、私も実はそう思った。
 ここ1ヶ月ほど肉魚は一切口にしてい無い。
 巳日じゃないけど、最後なんだからステーキとは言わないまでも、すき焼きかしゃぶしゃぶが食べたかった。
 そうして最後の食事が終ると、また少しの休憩の後、今度は神様にお目通りする為に身支度を整える作業に入る事に。
 私と巳日は裸になると、お互いの体をお塩を溶かしたぬるま湯に浸したワラでゴシゴシ擦りあいます。
「姉さん! ちょっと加減してよ」
「何言ってんのよ巳日。お清めなんだからちゃんとしなきゃダメでしょ」
 文句を言う巳日の体をワラでゴシゴシ擦ると、真っ白な肌が赤くなってゆく。
 白い肌は私も同じなんだけど、いつ見ても巳日の方が肌が綺麗な気が―。
「きゃ!?」
「ふっふっふっ。攻守交たぁーい」
「巳日止めてっ!? そこは自分で出来―」
 ま、そんなこんなでお互いの体が清められた所で、今度はちょっとやな事をしなくちゃいけない。
「うーん……」
「姉さん、いつまで眺めてるつもり?」
 出来ればこれが無くなるまで見つめていたいっ……。
 私が今見つめている茶色いドロッとした物は『にかわ』。
 動物の皮や骨等を原料とした天然自然の接着剤。
 で、これをどうするのかと言うと―。
「ひぁ!?」
「姉さん変な声出さなッ!? し、沁みる、ぅぅ……」
 オシッコの穴とお尻の穴に塗りつけるのだ。
 何でも神様の祭壇の上で粗相をしないようにと言う事らしいのだけれど……。
 とにかく、そうして苦労して準備を終えた私たちはやっとここで巫女装束に袖を通す。
「綺麗だよ、姉さん」
「巳日に言われてもときめかないわぁ……」
「姉さんにときめかれても困るなぁ私ぃ」
 お互いに身だしなみを整えあいながらそんな馬鹿な事を言い合ったりして。
 私は後で使う道具として、縄数本と特製軟膏の入った容器を懐に納めた。
 そして仕度が終った私と巳日は、沢山の鈴がついた道具を帯に挟むと仕度部屋から別の部屋に移動した。
 そこは広くて一番奥には立派な神棚が用意されている。
 私と巳日はその広い部屋の両側に離れるように立つと帯に挿していた鈴を手に持った。
 両手を左右に大きく広げると、鈴を鳴らしながら神様に捧げる舞いを舞う。
 シャン、シャン、と涼しげな音と共にくるくると舞う。
 磨かれた板の間を滑るように移動し、時折お互いの位置を入れ替えながら、くるり、くるり、と舞うと袖が蝶の羽根のようにひらひらと羽ばたく。
 そうして舞いながら思うのはお祭りの事。
 無事に終りますように神様よろしくお願いします、と私はそう心の中で願いながら舞い続けた。


169:『おみあげ』 3/9
09/06/10 16:22:06 4Ka4MHvJ


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~


 神様に捧げる舞いが終った私たちは外に出るとすぐに祭壇のある山に入った。
 この山は木々が非常に密集していて自然の傘のように地面を覆っている。
 その為、地面まで届く雪は少なく、届いてもすぐに溶けてしまうので山に入ってしまえば雪に邪魔されるような事は無い。
 その代わり―。
「暗いわね」
「山に入ってすぐこれだもんね。無事祭壇まで着けるかしら?」
 木漏れ日も差さない暗い森の中を、古めかしい行灯を片手に私たちは手を繋いで歩く。
 足を一歩踏み出すたびに帯に挿してある鈴が涼しげな音色を立てた。
「そう言えば、みんな来てくれてたね」
「みんなって言ってもうちの村50人も居ないじゃん。しかもおじいちゃんとおばあちゃんばっかり」
「だからさ。昨日から雪降ってたから大丈夫かなあなんて」
「来るでしょ。それだけが楽しみな人たちだから」
 巳日の言うようにうちの村には老人しかいない。
 若い人たちはお父さんやお母さんのようにみんな村を出てしまっていた。
 だから村には友達と呼べるような同年代の子供もいなかった。
 ただ、代わり、と言っては何だけど、村のみんなは私たちにとっても優しかった。
 お父さんとお母さんがいなくなって身寄りの無くなった私たちは村のみんなに育てられた。
 ま、そんな事は置いといて、取り止めの無い話で気を紛らわせながら山を登っていた私たち。
 もうどれくらい登ってきたのだろうか?
 普段から足腰には自身があるので特に苦にもならないが、寒いのだけはどうにもならない。
 特に寒いのが苦手な巳日が、さっきからずっとぴったりくっついて離れない。
 寒いのはかわいそうだから放っておいてある。
 繋いだ手の先からでも十分にお互いを感じて安心出来てると思っていたけど、こうしてくっつくと、こっちの方がずっと安心する。
 ただちょっと歩きにくいのが難点だけど……。
 そんな感じで歩いていると巳日が急に立ち止まった。
「重いじゃない、急に―」
「姉さん、あれ……」
 私の言葉を遮るように巳日が前方を指差した。
「明かり……」
 私の呟きが合図となり、私も巳日もそこに向かって猛然と歩き出す。
 そして気が付けば私たちは―。
「姉さん……」
「たどり着いたわ。ここがきっと御巳上台(おみあげだい)よ」
 大きな木々の間に、ここだけがぽっかりと広場になっていた。
 そこに立つ大きな黒い石造りの建物。
 四角いそれには何処にも入口は何処にも無い。
 あるのは建物の上へと続く一直線の階段だけ。
 全てが聞いていたものと一致する。
 これが御巳上台と呼ばれる村を守る神様の祭壇だ。
 私と巳日はお互いに見つめあうと無言でうなづきあった。
 それから、今まで履いて来た長靴と足袋を脱ぐと裸足になる。
 素足で触れる地面が暖かい事に驚く。
 他にも、山の中なのに何故ここだけ明るいのだろうとか、この大きな建物は誰が作ったのだろうとか色々疑問に思ったけど、それらは全部考えないことにした。
 そして、私と巳日は手を取り合うと階段をゆっくりと上り始めた。


170:『おみあげ』 4/9
09/06/10 16:22:41 gfWHZOUy


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~


 長い階段を上り終えると、そこは一面まっ平だった。
 建物と同じ黒一色の石の床が広がっている。
「はぁ、はぁ。やっと着いた」
「すごい上ったのね」
 私と巳日はそれぞれに感想を述べる。
 それからすぐに辺りを見回した私たちの目にあるものが飛び込んで来ると、私と巳日は休むのもそこそこにして、すぐにそれに向かって歩き出した。
 それは、この四角く黒い床のほぼ中心と思われる場所にあった。
 一つは天に向かってまっすぐと起立した棒状のもの。
 もうひとつは、先ほどの棒状のものが床と平行な位置で2本、お互い向かい合うような格好で四角い台座から突き出ていた。
 棒状のものはみな青みがかった黒く滑らかな表面に複雑な溝と無数の穴が空いていて、先端に行くほど細く尖っている。
 唯一形状が違うのが向かい合った方の一方。
 それだけ先端にくぼみが付いていて、丁度向かい合ったもう片方の先端がすっぽりと納まりそうな感じがした。
 これも聞いたとおりの形をしている―これが御神体だ。
 私たちを神様の下に導いてくれるもの。
 私たちを殺すもの。
 どちらとも無く生唾を飲み込もうとして、喉が使えて2人同時に咳き込んでしまった。
 気がついたら喉がカラカラだ。
 しかし、生憎ここには井戸も無ければ水筒も無い。
 私と巳日は必死に唾液を搾って喉を潤す。
 そして、
「巳日、もういい?」
 私がそう言うと巳日は、
「姉さんこそ」
 と悪戯っぽく笑い返して来た。
 これから自分がどうなるか知っているのに、まだこんな顔が出来る巳日ってすごいと思った。
 巳日は強いね。
 本当に私の妹にしておくのは勿体無い。
 神様に会ったらそのところも是非お願いしてみよう。
 巳日が相応しい場所に立てますようにって。
「姉さん。私何かおかしいこと言った?」
「ふふふ。何でもないの。ごめんね」
 すると巳日は何かを察して少し悲しい顔をした。
 私とそっくりなんてとんでもない。
 私より気配りが出来て、ずっとかわいい、心優しい巳日……。
 私はそんな思いを振り払うように、御神体に目を向けると、
「じゃ、そろそろ始めましょうか」
 そう言いながら腰に挿していた鈴を御神体の一つ、2本が向かい合った方に置いた。
「姉さん! そっちは私だって言ったじゃない!」
 私の行動に巳日が非難の声をあげる。
 私はそれを聞き流すと、懐に仕舞ってあった道具を取り出して鈴の隣に並べた。
「姉さん聞いてる! そっちのが辛いんだから! 失敗できないんだからねっ!」
 相変わらずうるさい妹だ。
 私がそんな事を思いながら帯を解いて胸をはだけようとした所で、後ろから思いっきりタックルされた。
「ぐふっ!?」
 倒れることは何とか踏みとどまったけど、流石にむかっ腹が立った私は身をよじって腰にすがり付いている巳日を見下ろし―。
「巳日、何泣いてんのよ」
 この泣き虫は自分の思い通りにならないとこうして泣く。
「だって……、姉さんが……、姉さんが……」
 言葉になって無い。
 こんな時双子って便利だと思う。
 私は体を捻って自分の前に巳日が来るようにしてから、その頭をぎゅっと胸に抱いた。


171:『おみあげ』 5/9
09/06/10 16:23:17 gfWHZOUy
「お姉ちゃんはあんたよりずっと強いんだから。今日も大丈夫、明日も大丈夫、ずっとずっと大丈夫だから」
 そう言って、巳日が泣き止むまで抱きしめるのが私の役目。
 これで最後かと思うとちょっぴり寂しい気がするのは、何だか結婚する娘を送り出すみたいだ。
 私ってずうずうしいなあと思って、何となく笑いがこぼれてしまった。


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~


「さっきはごめんね」
 巳日が巫女の衣装を綺麗に畳みながらそう言って来た。
「んーん、全然平気ぃ」
 私は本当に何でも無いようにそう言う。
 だって本当にこんな事、全然何でもないから。
 巳日が巫女の衣装を畳み終えて立ち上がると、私と巳日は向かい合って無言で頷きあう。
 今2人は何も身に付けていない。
 そしてこのまま神様の許に向かう儀式に入るのだ。
「まずは巳日から」
「はい」
 私の呼びかけに巳日は目を伏せて厳かに返事を返す。
 それを合図に、私は持ってきた道具から軟膏の入った容器から少し軟膏を手に取ると、まずは御神体のひとつ、天を向いて起立する方に満遍なく塗りつけた。
 塗っている間に手が少し火照って来るのが判る。
 御神体に塗り終わったら、次は巳日の大事な部分にも塗りつける。
「何か赤ちゃんになったみたい」
 巳日は真っ赤になってそんな事を言う。
 そんな巳日の一番秘密の部分、今から御神体を受け入れる部分に指を触れると、巳日が「あっ」と小さく声を漏らした。
 沁みたのだろうか?
 でも良く塗っておかないと後で苦しい思いをするのは巳日だ。
「我慢してね」
「う……んっ」
 巳日の返事を聞いた私は、たっぷりと軟膏を手に取ると巳日に塗りつけた。
「ぁ……、ぅん。っ……、くふっ……」
 苦しそうな声を上げる巳日がかわいそうだが、私は心を鬼にして熱心に塗りつけた。
 気が付いた時には、私の手も巳日の下半身も軟膏でべたべたになっていた。
「ん……ぁ、ね、姉さん塗りすぎ……」
「ご、ごめんね。つい……」
 荒い息で文句を言う巳日に、私はばつが悪そうに謝った。
 とにかく巳日の準備がこれで整った。
 私と巳日は御神体の前に立つと、胸の前で手を組んで小さく神様への祈りの言葉を捧げる。
 軟膏のせいで艶を増した御神体の高さは、巳日のへその位置より少し下にある。
 巳日は深呼吸を2度繰り返した後、
「我、神の御前に、恐み恐みも白す」
 そう言うと私の肩に両手をかけた。
 そして手の力を使って体を浮かすと一気に御神体をその身に沈めた。
『グチッ』
 私の耳にそんな音が確かに聞こえた。
「く……か……」
 苦しそうな声と共に、巳日指が私の肩に食い込む。
 巳日は、暫く下を向いて震えたいたが、呼吸を整えると私の目をじっと見つめると、
「姉さん……お介添えを……」
 『お介添え』―それは本来、結婚式のお手伝いをする事を指す。
 つまり、ここで言うお介添えとは儀式の手伝いをすると言う事を指すのだけど。


172:『おみあげ』 6/9
09/06/10 16:23:58 gfWHZOUy
「巳日……」
 私は正直戸惑っていた。
 それは、お介添えをすると言う事は、私が妹の命を奪うと言う事になるからだ。
「お願い……。姉さんお願い……。苦しくて……も、動けない……」
 きっと御神体がお腹を押し上げているのでしょう。
 私はそっと巳日を抱きしめた。
 そして震える巳日の背中を2度、3度と優しく撫であげた。
「じゃ、いくわよ」
 巳日が頷くのを確認した私は、巳日の肩に手を置くとぐっと下に向かって体重をかけた。
「くっ! ぐぅぅぅうううううううううぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ……」
 目の前の巳日の食いしばった歯の間から、彼女らしからぬ悲鳴が上がる。
 今、御神体はゆっくりと巳日の赤ちゃんの部屋を貫いて、その先に行こうとしている筈だ。
 私は巳日の悲鳴を無視して更に力を加えた。
 すると、
「ギャン!!」
 犬のような悲鳴を上げた巳日の腰が一気に落ちた。
「痛いぃ……、お腹痛いよぉ……、お姉ちゃぁん、お腹痛いよぉ……」
 私の胸に顔を埋めて小さな声でそう呟く巳日を見ているとかわいそうな気持ちで一杯になる。
 私は儀式を終らせて楽にしてあげる為に、巳日の体をゆっくりと揺すった。
「ぎっ! あぎっ!? おながっ! かぎっ! まがうぉ!」
 耳に届く悲鳴と水音を無視して動作を続ける。
 こうする事で心臓や大事な血管なんかを傷つけないように御神体を体に通せるらしい。
 私は暴れる巳日を押さえながら、ゆっくりと腰を落として行く。
「うぼぇ!!」
 何かの手ごたえと共に巳日が奇妙な叫び声をあげた。
 私はあわてて巳日の胸の辺りを手で探る。
「心臓は平気ね……。おうかくまく? ここも無事抜けたみたい……」
 巳日の体を揺すりながら胸の中心を探ると、微かに御神体が入っている固い感触がする。
 と言う事は多分、胃を避けて食道に当ったのだろう。
 何も吐いていないところからも多分そうだと思う。
 私は、上を向いて焦点の合わない目を大きく見開いた巳日の耳元に唇を近づけて、
「巳日、鼻で息をするのよ」
 そう囁くと、再び巳日の肩に体重をかけた。
「あがががががががががががががががががががが……」
 獣のような叫びを上げる巳日は、驚くほどの力で抵抗する。
 私は、立ち上がろうとするに全体重をかけて一気に押し返した。
「うぐぇ!! ぼびぁぁぁ!!」
 巳日の口から音としか言えない凄まじい叫びが上がると共に口と鼻から血が漏れた。
「ね……びぁ……ぐる……じ……」
 巳日がそうあえぐ間も鼻と口からは、ぷちゅ、ぷちゅっと血が溢れる。
 私は巳日が窒息してしまわないように、巳日の鼻に口を付けるとそこからの血を吸い出した。
 口の中に巳日の血の味が広がる。
 自分の血の味とは違う気がする―これが巳日の命の味?
 そして私は、巳日の生きている証を感じているうちに、自分でも知らない間に泣いていた。
 私は、頬を伝う涙を手で拭うと、
「巳日、もう少しで終わりだから、我慢して」
 すると巳日は微かに頷いたように見えた。
 私はそう自分に言い聞かせると、巳日の肩にまた体重をかける。
 すると、巳日の喉元が下から徐々に膨らんでゆく。
「ごぽごぽごぽごぽごぽごぽごぽごぽごぽごぽ……」
 もう人の声でも何でも無い音と共に巳日の口からどんどんと血が零れる。
 その血の中に何かきらりと見えた瞬間、
「ごぽっ!!」
 一際血が溢れて、巳日の口から御神体の頭が姿を現した。


173:『おみあげ』 7/9
09/06/10 16:25:13 +gY3iRAJ
 私は、慌ててもう一度巳日の胸に、今度は耳を当てる。
「動いてる……」
 先程より小さいながら、しっかりと心臓は脈を打っている。
 成功した! 無事、巳日はお役目を果たしたんだ。
 それが判った瞬間、私は御神体に串刺しにされぐったりとした巳日を抱きしめて泣いた。
 まだ暖かい巳日。
 微かに呼吸する巳日。
 それら巳日がまだ生きている証を感じようとすがり付いた。
「ごめんね、ごめんね、ごめんね、ごめんね、ごめんね、ごめんね……」
 最後くらい優しくしてあげれば良かった。
 最後まで苦しめてしまった。
 そういう気持ちが謝罪の言葉となってうわ言の様に繰り返される。
 そんな時だった。
 それまで力無く下がっていた巳日の腕が、自分の胸で泣きじゃくる私の頭をそっと抱きしめたのだ。
「巳の……ひ……」
 それが巳日の最後の力だった。
 気が付いた時には、巳日の呼吸も心臓の鼓動も止まっていた。
「頑張ったね巳日」
 私はまだ暖かい巳日をもう一度ぎゅっと抱きしめると、その頭を撫でた。
 それから私は巳日の体に付いた汚れを綺麗にてあげる事にした。
 体を拭ってあげられるようなものは持ち合わせていなかった私は、その時何を思ったのかまだ暖かい巳日の体に舌を這わせて汚れを舐め取り始めた。
 生前と変わらないぬくもりと弾力があるが、何の反応も無い巳日。
 試しに私と同じくらいの胸に軽く歯を立ててみた。
 今まで感じた事の無い歯ごたえに私は何故か興奮した。
 無抵抗な巳日。
 私のかわいい妹の巳日。
 世界にたった一人の私の半身。
 そして気が付いた時には巳日の胸から少し血が滲んでいた。
「ご、ごめんね」
 私は一体何をしていたんだろう?
 自分の中に知らない自分を見たようで少し怖かったし、巳日に見られなくて本当に良かったと思った。
「あ、いや、神様と一緒に見てるかも……」
 つうと、冷や汗が出た。
 これは向こうに行ったらすぐに謝らないといけない。
 そんな事を考えながら、私は、巳日の手を印の形に握らせてから清めた縄でギュッと結んだ。
 それを丁度巳日の胸の辺りで首から縄をかけて固定する。
「よし。迷わず先に行っててね」
 そう言って私は巳日の綺麗な髪をそっと指ですいた。


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~


 巳日が無事儀式を終えた。
 次は私の番だ。
 私は、もうひとつの御神体―2本の御神体が向かい合った物の間に立つと、四つん這いの姿勢を取る。
 胸にはバツの形に縄をかけた。
 これは最後に縄の間に手を通して印を結ぶ為だ。
 そして御神体にも、私の大事な所にもたっぷりと軟膏も塗った。
 あれって変な気分になるんだと、塗っていて良く判った。
 今、私の大事な部分は御神体を受け入れる体制がばっちりだ。
 私は手足を突っ張って御神体の高さにあわせると、床にあるこぶし大の突起を捻りながら床に押し込んだ。
 すると『ゴゴン』と言う低くぶつかり合うような音を合図に、御神体がこちらに向かってきた。
 巳日が大騒ぎしたのがこれ―こっちの御神体は自動的に私を前後から串刺しにするのだ。
 一度受け入れる角度を失敗すれば後は無い。
 私はゆっくりと近づいてくる御神体の内、後ろから来る御神体を先に受け入れた。


174:『おみあげ』 8/9
09/06/10 16:25:56 gfWHZOUy
 ぬるっとした感触と共に私の大事な部分に御神体が入り込んでくる。
「んあっ」
 その瞬間変な声が出て思わず赤面してしまう。
 今全身にビリッとした感じが走っ―。
「いっ、痛っ! 痛たた、たた」
 余韻に浸っている暇は無かった。
 あっと言う間に御神体は私の処女を奪って更に奥へと進んでゆく。
「あっ、痛っ。急が痛たっ!」
 私は身を引き裂かれるような痛みに身をよじりながらも、大きく口を開けると、今度は前から迫る御神体を受け入れた。
「あが……」
 舌先に軟膏の不思議な味が広がる。
 こっちには塗らなくても良かっ―。
「ああ……あぐっ!?」
 お腹の奥から物凄い圧迫感が押し寄せてくる!?
 私の体が無意識に前に逃げてしまう。
 しかし前からも御神体が。
 そして、
「エッ! オエッ! オエッ!」
 失敗したと思ったときには既に遅く、私は酷い嘔吐感にえづきが止まらなくなった。
「ゲッ! ヴゴェ! オエッ!」
 幸い胃の中は空っぽだったので窒息するのは免れたけど、苦しい事には変わらない。
 しかも、吐気ばかりに構っていられない事態が。
「ぐぉ!? がっ!! ぐぎおげがお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛……」
 御神体が私の赤ちゃんの部屋に入ってきた!?
 全身が勝手に痙攣して、堪えられない痛みに手足が勝手に床をかきむしる。
 すると直に爪は剥がれて指先が真っ赤に染まったけど、今の私にそれを感じるような余裕は無かった。
 伸びきった赤ちゃんの部屋が体の中でみしみしと音を立てる。
 私は痛みに耐えかねて御神体に歯を立てて堪える。
「がががががががががががががががががががが……」
 体中から聞いた事の無いような不気味な音が聞こえてくる。
 そして、もう何が何だか判らなくなりかけたその時、
『ビチッ、プチ、プチプチプチ……』
「お゛があ゛!!」
 お腹の中が引っ張られるような異様な感触に体が勝手に跳ねるが、串刺し状態の私は何処にも逃げられない。
 あまりに暴れるせいで、口の端と大事な部分が傷ついて床の上にポタポタとたれが、そんな事私は知らないしどうにもならない。
 痛いとか辛いとかそんな次元はとっくの昔に超えてしまっていて生きてるのか死んでるのかも判らない。
「も゛ー!! も゛ー!!」
 手足を縮めて体を震わせるけど、何にも変わらない。
 もう終って! 早くどうにかなって終って欲しい。
 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ……。
 何だって私がこんな目に合うの?
 何が悪いの? 何がいけなかったの?
 老い先短いおじいさんやおばあさんより先に何で私が死ななくちゃいけないの?
 嫌だ嫌だ嫌だぁ――――――――――――!!
 うちに帰る。私は私の家に帰……。
 巳日だ!!
 巳日をつれて家に帰らなくちゃ。
 そうだ巳日と一緒に帰ろう!!
「あ゛お゛あ゛ぁ……」
 私は口いっぱいに御神体を頬張っているのも忘れて巳日の名を呼んだ。
 首は既に動かないので霞む目を精一杯動かして辺りを見回す。


175:『おみあげ』 9/9
09/06/10 16:28:21 gfWHZOUy
 見つけた!!
「あ゛お゛ぉ……」
 床の上に座る全裸の巳日。
 上を向いて何をしてるんだろう?
「あ゛あ゛……、お゛あ゛ぁ……」
 私は巳日に向かって精一杯手を伸ばした。
 そうしたらいつもみたいにまた手を握り返してくれるんじゃないか。
 そう言うふうに思った。
 しかし、現実では刻一刻と状況は進んでいた。
「ぶっ、お゛ごぉ!?」
 突然体の中を揉みしだかれるような感触に、目の前がチカチカと暗くなったり明るくなったり―あれ? 私は一体何をして……。
「!?」
 し、心臓。私の心臓はどうなってるの!?
 慌てて自分の胸をまさぐると心臓はまだ動いていた。
 当たり前だ。止まっていたらこんな事だって考えている暇は無い。
 更に胸からお腹に手を当てると、どうやら危ない所は過ぎているみたい。
 偶然とは言え助かった―そう思った瞬間、体の力がすっと抜けた。
 目の前も一気に暗くなる。
 いけない!? 儀式が終るまでは気を確かにしておかないと。
 それに印を結ばないと神様が私を導いてくれなくなってしまう。
 そう思った私は、慌てて胸の前の縄に手を通すと手を合わせて印を結ぶ。
 これで大丈夫だ、後は最後の瞬間を待つばかり。
 そう安堵した瞬間、
『ミチッ、ゴツッ』
「おお゛ッ!? お、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお……」
 私のどこかを押しつぶして御神体がくっつく固い音に、もう痛みも感じない筈なのに私は絶叫した。
 その叫びが弱くなると共に、私の頭の中にもすうっと暗い靄がかかりだした。
 少し暴れすぎてこれが意識を保つ限界らしい。
 でも、印を結んだ手には微かに私の呼吸と、心臓の動きが伝わってくる。
 つまり―儀式は成功した。
 そう思うと急に心が晴れ晴れとしてきた。
 ふふ。最後はひとり取り乱して格好悪かったな。
 きっと神様の所に言った巳日にも笑われてしまう。
『姉さん』
 あれ巳日? どうしてこんな所に?
『何言ってるの姉さん。神様の所に行くわよ』
 なによせっかちねぇ。
 私はついさっき儀式が終ったばかりなのよ。もう少し休ませてくれたって……。
『何でこんな時までのんびりなのよ!? もう、折角待ってたのに。先に行っちゃうわよ』
 あん、まってよ巳日。
『そ、れ、か、ら。言ってとくけど、私のオッパイかじったの忘れないからね』
 はははは……。それは、どうも……、ごめん……。
『もうっ、しっかりしてよね! ほら、神様もおとうさんもおかあさんも待ってるわよ』
 あ、待ってよ巳日! 待ってっ……た……らぁ……。
 私は、先を走る巳日の後を追って光の中を駆け出した。



END



以上です。
読んでくれた方ありがとうございます。
姉妹はちゃんと何処かに召されましたよ。
でわ。

176:名無しさん@ピンキー
09/06/10 17:28:18 RFuQR3NJ
よかった

177:名無しさん@ピンキー
09/06/10 19:10:18 DEWVS5Pd
>>175
GJ!
陰惨だけど姉妹の愛が感じられたSS乙です!

178:AVENGER@レイラ・アシュレイ解体
09/06/10 21:56:25 unzwXsxU
うお、新作投下されてる…乙です。

レイラ解体続きです。
注意点は>>154と同じです。
かなり猟奇要素有りなので苦手な方はスルーorNGで。


179:AVENGER@レイラ・アシュレイ解体
09/06/10 21:57:13 unzwXsxU
どのくらいの間そうしていたのか分からない。
実際は短い時間だったのだろうが、今のレイラにはとても長い時間に感じられた。
やがて男はゆっくりと立ち上がり、再びレイラに歩み寄る。
「さて…おいお前、どうしてほしい?」
「…どういう意味だ」
男の質問に困惑するが、表情に出さずに冷静に言い放つ。
「やっぱり、ここから出してほしいか?」
「あ、当たり前だ!早くここから…」
「じゃあ、」
必死になって解放を要求するレイラを遮り、そして、
「今から俺がやる事に、耐え切れたら…な」
声をできる限り低くし、冷たく言い放つ。

180:AVENGER@レイラ・アシュレイ解体
09/06/10 21:58:00 unzwXsxU
そこからの男の行動は素早かった。
懐からナイフを取り出し、それと己の手を使い、服を裂いていく。
守る物が完全に消え去り、丸見えになった性器に手をかける。
触れた瞬間にレイラの体は大きく跳ね、震えながら懇願してくる。
そんな彼女を気にする事なく、器具を使い、拡げた状態で固定する。
「そろそろいいか…」
呟きながら火の中から取り出した棒は真っ赤に焼け、
離れていても暑苦しくなる程の熱を放っていた。
その棒を多少の軌道修正を行いながら、拡張された膣に向ける。
「ひぃ…!?ま…さか…」
これから何をされるか分かったのか、怯えた表情になるレイラ。
そんな彼女の様子をまったく気にせず、躊躇せずに一気に突き入れる。
「っあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?あ…あづっ…!!」
今までで一番の悲鳴を上げ、堪え切れずに涙を流す。
膜を破られた痛みと膣を焼かれる痛み、その二つの凄まじい激痛を同時に受け、
さすがの彼女も耐えられる筈がない。
その証に、大量の涙で顔を濡らし、悲鳴を上げながら懇願している。
普段の生活の中では滅多に、いや、絶対に見る事ができない姿だった。
「ぐ…あ゛っ…!やめ…抜いてぇっ…!」
「いいぜ、ほら」
「え…ぎゃあああぁぁっ!!」

181:AVENGER@レイラ・アシュレイ解体
09/06/10 21:58:48 unzwXsxU
男が全力で棒を引っ張ると、意外と簡単に棒は抜けた。
しかし、膣の粘膜が棒に張り付き、抜く際に所々千切れ、棒に膣の一部が張り付いていた。
「あああ…!や…だっ…もう…やめ…お願いぃっ…」
焼け爛れた膣から鮮血を流し、上半身を汗と涙で濡らし、
震える声で必死にやめてくれる様説得を続ける彼女の姿は、普段の彼女からはまったく想像できない様な無様な姿だった。
仮に今ここで、誰かが彼女があのバルバロイの闘士だと説明しても、誰一人信じないだろう。
それほどまでに、今の彼女は無様で哀れな姿を晒していた。
「誰がやめるか。まだ始まったばかりだぞ?もっと楽しませろ」
レイラの絶望した表情を堪能し、少し離れた棚に向かう。
その棚から一つの透明で中が見える造りの筒状の容器を手に取る。
中には水が満タンまで入れられており、底には何かが沈澱している。
それを激しく振りながら彼女の元へ戻り、容器の蓋を取る。
それだけの行動にも彼女は反応し、体を激しく震わせる。
また何か入れられる--先ほどの棒を思い浮かべ、恐怖だけが彼女の脳内を支配し、激しく泣き叫ぶ。
しかしやはり気にせず、その液体を膣に流し込む。
「-----ッ!!」
彼女の口から、声にならない悲鳴が上がった。

182:AVENGER@レイラ・アシュレイ解体
09/06/10 21:59:33 unzwXsxU
その水の中に沈殿していたものは大量の塩。
その塩の成分が膣の傷を刺激し、再び激痛が彼女を襲う。
焼け付く様な痛みが内側から絶えず襲い掛かり、彼女はまともに呼吸すらできない程苦しんでいた。
少し痛みが引いたかと思っても、すぐにまた痛みが激しくなる。
「うぅ…やだ…やめてよ…お願い…なんでもする…からぁ…」
嗚咽を上げながら弱々しく懇願し、なんとか男の機嫌を取ろうと試み、解放を願い続ける。
「ふーん…なんでも、ねぇ…本当に?」
「は…はいぃっ…」
「そーか。それじゃ」
今度こそ助かる。彼女は僅かに期待するが、男の言葉に再び絶望する。
「ずっとここで痛い目に遭ってろ」
「えっ…そんな、なんで…」
「なんでもするんだろ?異論は認めない」
レイラの泣き叫ぶ声を背に受けながら、男は部屋を後にした。

183:AVENGER@レイラ・アシュレイ解体
09/06/10 22:00:12 unzwXsxU
「くそ…寝不足だ…ねむ…」
男が部屋を去った時、時間はすでに深夜だった。
やっぱり早々に切り上げれば良かった。おかげで寝坊だ。
そんな事を考えながら、レイラの居る部屋へ入る。
「……」
予想に反して、レイラは昨日の様子が嘘の様に、ぐっすり眠っていた。
おそらく、気絶してそのまま眠ってしまったのだろう。
膣の傷は塞がったのか、出血は止まっていた。
少々不機嫌になりつつ、レイラを起こす。
「ん…?っ…ひぃっ…!」
男の顔を見るだけで怯えだし、体を震わせながら涙を流す。
(優しく起こしたつもりなんだがな)
そんな事を考えながら懐から容器を取り出し、中の水を無理矢理飲ませる。
「あぁ…やっ…んぐっ…がふっ…!」
無理矢理飲まされ、激しく咳き込むが、男の手は止まらない。
「んー!んぐぅぅっ…げほっ!がはっ…」
全ての水を飲み込み、容器が離されると同時に何度も咳き込む。
そうしている間に、彼女は下半身に違和感を感じ始める。
「!?やぁっ…う…んんっ…!」
男が先程飲ませた水には大量の利尿剤が混ぜられており、それによって彼女は激しい尿意を感じていた。
男はにやりと口元を緩めると、わざとらしく問いかける。
「どうした?尿意が限界か?ん?」
彼女は口では答えずに、ただ首を縦に振った。
「なら、ちゃんとお願いしてみな」
その言葉に、レイラは自分なりのお願いをしようとする。
しかし、まだ僅かに残っているプライドが、それを邪魔する。

184:AVENGER@レイラ・アシュレイ解体
09/06/10 22:01:00 unzwXsxU
早くこの液体を外に出してしまいたい。
しかしこいつに頭を下げるのは…
そんな葛藤が、今の彼女の中では起こっていた。
「なんだ、お願いできないのか。なら…」
いつの間にかカメラをセットした男は、レイラに近づき、腕を振り上げる。
「こうしてやんよ」
そして、振り上げた腕を彼女の下腹部へと叩きつける。
「うぁ!?あ…あああぁぁっ!?いやあぁっ!」
衝撃に耐えられず、溜まっていた尿が勢いよく噴き出す。
「はは、いい眺めだな。しっかり録画してるからな?」
泣きながら失禁する様子をカメラに収め、男は満足そうに微笑む。
「ああぁ…!やだぁ!撮らないでぇぇっ!」
「ふ…ははは!可愛い奴だな、お前」
高笑いをしながら近くに置いてあったナイフを手に取り、腹を切り開き始める。
「うあああぁぁっ!やっ、痛いいっ!あああ!」
レイラの悲鳴と生きたままの肉を切るグロテスクな音が部屋に響き、男は恍惚の表情を浮かべる。
やがて中身が丸見えになり、赤黒い血液が溢れる。
「んー、まずは…よし」
男は両手を子宮に伸ばし、素早く引き千切る。
「がぁっ…うぐぅっ…」
レイラは短い悲鳴を上げ、荒い息を吐きながら体を痙攣させる。
男はそんな状態のレイラを見ながら、子宮を口に放り込む。
その子宮をしばらく味わい、胃に収めた瞬間、レイラは狂った様に泣き叫び始める。

185:AVENGER@レイラ・アシュレイ解体
09/06/10 22:01:38 unzwXsxU
「う…うわああああぁぁっ!!ああああぁぁーっ!」
狂った様に、ではなく、本当に狂ったかもしれない。
しかし、そんな事は男には関係がない。
「ん…やっぱり、肉は生が一番…だな」
そう呟きながら、男はレイラの身体を次々と喰らっていく。
両足の肉を直に食い千切り、骨も噛み砕いて味わっていく。
足を喰い尽くすと、次に両腕を喰い、溢れる血液を喉を鳴らして飲む。
「あぁ…うますぎる…これだから…やめられないんだよ…」
口と手に付いた血を舐め取ると、身体の肉を切り、レイラの口に押し込む。
「ほら、御裾分けだ」
「んぐ…ぐっ…!」
まだ理性が残っているのか、その肉を口に入れる事を必死に拒み、抵抗を続ける。
だが、弱り切ったレイラは男の力に抗えず、喉の奥まで肉を押し込まれる。
「んんんっ!ん…ぐっ…!」
結局その肉を飲み込んでしまい、衰弱したレイラはもう泣き叫ぶ気力も無い。
無理矢理とはいえ、自分の肉を喰った。
その惨い現実が、彼女の気力と体力を大幅に削っていった。

186:AVENGER@レイラ・アシュレイ解体
09/06/10 22:02:18 unzwXsxU
「そういや、お前と一緒に居た子…今どうしてるんだろうな?
今頃必死になってお前を探してるんじゃないか?」
その言葉に、レイラは反応を示すが、もう言葉を発する事は無く、
男に光の消えた目を向けるだけだった。
一緒に居た子、というのは、間違い無くあの少女型のドール--ネイの事だろう。
しかし、今のレイラにはもう何も思い出す事が出来ず、彼女の姿も出てこない。
今の彼女にできる事など、大人しく死を待つ事…それだけだった。
「さて、そろそろ終了かな」
そう言いながら、男はナイフでレイラの肺を突き刺し、いくつか穴を空ける。
レイラはもうなんの反応も無く、ただ今にも途絶えそうな呼吸をするだけ。
虫の息になったレイラを黒い袋に詰め、カメラの電源を切り、外へと向かった。

187:AVENGER@レイラ・アシュレイ解体
09/06/10 22:02:51 unzwXsxU
「この辺でいいか…」
男が来た場所は、人通りが少ない場所の、さらにその岩陰。
そこに袋に詰めて運んできたレイラを出し、様子を見てみる。
彼女の目は最後に男の顔を捉えたが、すぐに光が完全に消え、そして閉じられた。
男は満足した表情で立ち上がり、自宅に帰ろうと道を戻り始める。
その途中で、金髪の少女が話しかけてきたが、すぐに相方のネイだと分かったために、
レイラの事を聞かれても「自分は何も知らないとだけ答えた。
ネイはしょんぼりとした表情になり、来た道を戻っていく。
--残念だったな。このまま進むか、もう少し速く俺と会ってたら再会っできたのに。
そんな事を考えつつ、男は速足で自宅へと向かった。

188:AVENGER@レイラ・アシュレイ解体
09/06/10 22:03:20 unzwXsxU
ちょっと長くなりましたが、宣言通り最後まで投下しました。
書きながら、自分の妄想力と猟奇性に驚いてしまいますた(´・ω・`)
ちょっとイマイチな終わり方かなぁと思ってますが、グロ部分はうまく書けたかと思います。

189:名無しさん@ピンキー
09/06/10 22:03:25 RFuQR3NJ
五体屠って!アベンジャイ!

190:名無しさん@ピンキー
09/06/10 23:32:24 3RTUE2D6
>>175
すげぇ、ここまで内臓をエグられるような作品は初めてです

>>187
火傷→塩水のコンボはきつそうでした

191:名無しさん@ピンキー
09/06/11 00:28:19 rj3G5B1U
なんという豊作

>>175さんも>>188さんも超乙です!

192:名無しさん@ピンキー
09/06/13 02:50:03 U8PvNTnD
このスレに来るのは初めてです。
妄想がマッハになって一気に書き上げたので、投下しにきました。
我ながらとってもろくでもないです。

ヒロインは、きらりんレボリューションから、月島きらりさんです。
内容はほとんど蟹場です。吐かないようにご注意ください。

みなさまの罵声をお待ちしています。

題名 『月蝕』


193:月蝕
09/06/13 02:51:48 U8PvNTnD
私は鉄板のあるカウンター席に座った。店はそこそこ広いのだが他の客は誰も居ない。私の貸切だからだ。
居るのは私と板長、少女が1人そばでこちらの方を向いて、穏やかな笑顔を湛えている。
「ようこそおいでくださいました。」「ああ、ありがとう。」
「お飲み物は何にしましょう。」
「いつもの。」
「かしこまりました。」
この店には何度も出入りしている。顔なじみだ。
私はいつもと同じように、最上級の冷酒を頼んだ。

「料理の方はどうだね?」
「なかなか難しい注文でしたが、そこそこのものに仕上がってると思います。」
板長が、少し渋い顔をみせながらも笑顔を見せる。
「ほほう。」
私の前に付出しを差し出す。おおよそ2センチ角のものが一切れだけ入っていた。
なまこの酢の物に似ており、箸でそれをつついてみるが、色が全然違う。
「これは?」
「はい。これは菊門の酢の物です。」
「なるほど。それで一切れしかないわけか。」「ええ。」
「早速いただくとしよう。」
口のなかに放り込むとゆずの香りと酸味が広がる。それを舌で転がしながら感触を楽しむ。
全体にキュツと縮みあがっており、なかなかに硬そうだ。
だが、その真ん中を舌を突き刺しほじくってみると、ゴムのように広がって舌を受け入れた。
これが本来排泄に使う部位であることを考えると、なんだか自然と笑みがこぼれてきた。
板長は私の姿を見て満足そうに微笑む。
私は口の中に広がった輪を噛んでみた。
歯ごたえがあるものの、輪は簡単に、ぷつぷつと千切れた。
「面白い食感だね。」
その食感を堪能しきった上で、一気に飲み込んだ。

194:月蝕
09/06/13 02:53:05 U8PvNTnD
「申し訳ありません。次の料理まで10分ほどお待ちいただけますか?」
「あ、ああ。かまわんよ。少し来るのが早かったかな?」
「あいすみません。TVでも見ててください。」
あわてる必要もない。私はTVのリモコンを手に取った。

「あー。やってるね。どこもこの話題で持ちきりだよ。」
「そうですねー。国民的アイドルでしたからねー。」
板長は調理をしながら相槌を打つ。
しかし、お互いに当事者というのに他人事のようなやりとりが実に滑稽だ。

『月島きらり失踪!!』
一週間前、グラビアの撮影を終えて帰宅したはずのきらりが、夜になっても家に帰らなかったというもの。愛猫も一緒に。
誘拐の線も疑われたため2日間は公表されなかったが、脅迫電話などもないことから公開捜査に踏み切った。
公開されてからというもの、超人気アイドルの失踪にもう世の中てんやわんやだ。
きらりを使ったCMの自粛、事務所社長の記者会見、父親の涙の呼びかけ、ファンによる連日のビラ配り、・・・。
自殺、入院、誘拐、海外旅行、迷子になった、犯人は父親、などなど、勝手な憶測がネット上を飛び交っている。
数百人規模の捜査員をもってしても捜査は進まず、依然として足取りはつかめないままだ。

「月島きらり・・・」
彼女のことを初めて見たとき、私はTVに釘付けになった。
彼女の屈託のない笑顔を見ていると、過去の甘酸っぱい思い出とともに、鋭く激しい痛みが身も心も貫いた。
私がまだ少年だったころ、とても好きな子がいた。その子とは付き合っていたのだが、なぜか突然振られてしまった。
何とか縁りを戻そうと努力したのだが、逆にこじれるばかりで、その都度自らの心もプライドも深く大きく傷つけてしまった。
そのことがトラウマとなり、未だに独り者、いや、それ以前に童貞のままだ。女など信用できない。かといって男に走る気など更々ない。
そんな私はTVに彼女の姿を見るたびに、長い間忘れていたどす黒い感情を募らせていった。

195:月蝕
09/06/13 02:53:56 U8PvNTnD
天はニ物を与えずというが、人並みの幸せを諦めたせいなのか株で大儲けをした。1億や2億なんて額でなくもっと大金だ。
おかげで生涯食うには困らないだろう。
元来食いしん坊だった私は、本来は女に向くべき欲求を穴埋めするかのように、グルメになっていた。
美味い料理や珍しい料理の噂があれば遠路はるばる出向いていった。
しかし、何を食べても、どこへ行っても私の心を満たすものはなかった。
そんな私に良くない連中がこの店を紹介した。良くない連中と言っても、
下衆なヤクザなどではなくもっともっと上流の地位のある人物たちだが。
ここは金さえだせば、どんな料理でも提供してくれる。それがどのような食材のものであったとしても。
この店、噂によると人身売買や臓器売買の組織ともつながりがあるらしい。

そのような店に、足しげく通うようになったある日。
私はここのオーナーに掛け合い、彼女をオーダーすることを切り出した。
オーナーは初めてではないのか思いの外あっさりと報酬額を提示した。
要求された額は大金だったが、それくらいの価値はある。そう思った。これで私の心の空洞が埋まるならば安いものだ。

「お待たせしました。失礼します。」
その待ちわびた言葉に私はTVのスイッチを切った。


196:月蝕
09/06/13 02:54:38 U8PvNTnD
板長が私の前に大皿を置いた。
「カルパッチョです。」
大皿の上に載せられた赤やピンクの肉が花が開くかのように見事に並べられている。
その上に油の混じったソースがけられ、肉に艶を与えている。
「おお。すばらしい!」
なるほど、この盛り付けに時間がかかったわけだ。ひとり心の中で納得した。
肉はすべて箸で取りやすいように、一口サイズに切り取られているものの、
それらが元々あったところが容易に想像できるように配置されていた。

真ん中が膣口。膣口のなかには、ピンク色の肉が敷き詰めてある。
両脇に小陰唇、その周りを肌色の大陰唇が取り囲んでいる。
皿の上方には、同じく肌色をした恥丘が置いてある。肌色の部分には、茶色の薄い毛が生えたままアクセントになっている。
真ん中の少し高く盛り上がっている部分はクリトリスか。少しよれた感じの包皮を上に置いて隠してある。

「あ、肌色の部分は飾りなんで、残していただいて結構ですよ。」
「い、いや、も、もったいない。全部、全部食うぞ。」
私は興奮に手の震えが止まらなかった。震えながらもなんとか一番高いところにあるものに箸をつけた。
包皮を横にどけると、V字型にカットされた部分を摘み上げた。V字型の根元がクリトリス・・・。

「あと、ソースは愛液仕立てです。」
「愛液?」

そのとき、私に限界が訪れた。
「失礼!」
慌てて箸を置き、席を立ちトイレへ駆け込んだ。
皿を見てから、私の下半身はいきり立ったままだった。それがついに暖かいもので溢れ返ったのだ。
私はトイレの個室にこもった。少年が親に見つからぬよう夢精の後始末をするのと同じように。

197:月蝕
09/06/13 02:55:20 U8PvNTnD
落ち着きを取り戻した私は、カウンターに戻った。
板長と少女の微笑みが出迎えてくれた。板長は満足そうだ。
『女性部分の料理を中心に頼む。』
こうリクエストしたのは私自身だ。そしてそれがまんまと嵌った。
この料理は、私の倒錯した性的嗜好を大いに刺激した。きっとこれが私が望んだものなのだろう。
まずは杯の酒を飲み干した。続きを味わうとしよう。

V字型のものを口に運んだ。その根元にある部分を舌で転がしてみる。弾力がある。
歯で甘噛みしてみる。ぷにぷにとした感触が伝わる。
もっと楽しんでいたいところだが・・・、一気に噛み砕いた。
女性にとって敏感であるはずの部分。彼女の大切な一部。口の中でどんどんと崩れていく。
味はほとんどしない。いや、微かに血のような味がする。そして一気に飲み込んだ。

さらに、膣口に敷き詰められたものをひとつ口に運んだ。膣壁の一部だろうか?

「お味はどうですか。」
「あまり味がしないね。」
「ソースの味が薄かったでしょうか?」
「いや、むしろ素材の味よくわかる。微かに女性の味がするとでもいうのか、やや獣臭い感じがしなくもない。」
「そうですか。まあ、本来食材にはしない部分ですしね。」
「でも、多少臭いがないと物足りないからちょうどいいよ。」

「しかし・・・、愛液などどうやって?」
私は先ほどの疑問を口に出した。

「知りたいですか?」
私は板長の顔をじっと見据え肯いた。
「では、お見せしましょう。」
板長はDVDディスクをプレイヤーにセットし、TVのスイッチを入れた。

198:月蝕
09/06/13 02:56:01 U8PvNTnD
裸の少女が横たえられて、乳首や陰部にコードが取り付けられている。
顔がズームアップする。間違いないこれは月島きらり。
恍惚の表情を浮かべて何やら呟いている。
『宙人くん・・・。はあっはあっ。』

「ヒロトくん?」
「同じ事務所のSHIPSの風間宙人ですよ。ご存知ありません?」
「ああ、アイドルには疎くてね。名前を聞いたことがあるかないかくらいだよ。」

再びズームアウトして、少女の全身が映る。落ち着かないらしく、腰を左右によじらせている。
続いて陰部のアップ、クリトリスはローターで責め立てられ、膣にはバイブが深々と刺さっている。
バイブを引き抜かれると、白濁した液体がどろりと溢れ出す。
それを横から現れた吸引機が音をたてすすり取っていく。

「しかし、彼女がこれほど淫乱とは。」
「いえいえ、そんなことはありません。」
板長は笑いながら否定した。
「だいたい、誘拐され精神的に不安な状態でここまで欲情する人間など、普通居ませんよ。」
「では?」
「彼女には、麻薬と媚薬の混合物を投与してあります。とても強力なやつをね。」
「加えて、彼女の名誉のために言っておきますが、ここへ来るまで、彼女は間違いなく処女でした。」

歌声が流れてくる。SHIPSとやらのものだろうか。
「うわ言のように名前を言うんで、SHIPSのコンサートビデオやグラビア雑誌を買って見せたらこのとおりですよ。」
『宙人くん・・・宙人くん・・・ああっ・・・。』
「きっと彼のことが好きだったんでしょう。」
クリトリスのあたりから、液体が激しく吹きした。

「今の彼女は幸せの絶頂にあると言っても過言ではありません。」

大写しになる陰部。艶々と光り輝くそれは、まさに先ほど大皿の上で見た光景そのままだった。


199:月蝕
09/06/13 02:57:14 U8PvNTnD
板長は映像をストップした。
「これはこのたびのおみやげの一部です。続きはお帰りになってからどうぞ。」
「攫ってから、最期の瞬間、調理まで全ての映像を収めてあります。」
「そうかそれは楽しみだ。」

私は満足して食事を続けることにした。
「あと、食事を続ける前に一つ注意があります。」
板長は私の動作を遮るように声を上げた。

「ご存知のとおりソースに愛液を使いましたが、それには彼女が取り込んだ薬が含まれていることをご承知おき下さい。」
「肉などは血抜きするので、ほとんど残らないのですが、愛液には媚薬の効果で高濃度に残留します。」

そういうことか。なるほど、彼女の味わった幸せの一部を分けてもらえるとは、なかなかの演出だ。
「かまわんよ。隠し味に良さそうじゃないか。」
「そう言っていただけると思ってました。」
板長は自信たっぷりに応えた。

膣前庭と思われる部分は、小さな穴が開いており面白い。尿道口だろうか。
普段なら見えるはずのない穴の向こうに微笑む少女の顔を見て遊んでみる。
ソースをよくまぶして口へ運び、くっちゃくっちゃと噛んで飲み込む。
少しずつ色々な部位を口に運んでは咀嚼して飲み込んだ。

どれもあまり味はしない。むしろ肌色の部分の方がやや脂がのってて旨かったかもしれない。
横から脂肪の層が見えており、少し熱を通しているのだろう。口の中でほどよく舌に絡んだ。
毛なども気にせず、そのまま飲み込んだ。

私は夢中になって食べ続けた。全体をぐちゃぐちゃにかき混ぜソースをよくまぶした。
どれがどこの部分か、もはや分からない。そしてそれらのすべてを完食した。ソースも全て舐め取った。

これが、私が生まれて初めて味わう女性の味だった。


200:月蝕
09/06/13 02:58:00 U8PvNTnD
いい気分だ。とても幸せだ。体が熱い・・・。

私が食べるのに夢中になっている間、板長は黙々と次の料理を調理していた。
次は焼き物のようだ。

「これはいけると思いますよ。」
板長は皿に串を3本並べておいた。
「子袋の塩焼きです。」

「うむ。これはうまい。」
食べごろの大きさに切られたアツアツの塩焼きはとても歯ごたえがあった。筋肉質の部分なのだから当然だ。
女性にとってもっとも大切な部分だ。そしてとても美味い。
そばに居る少女の顔に近づけ、「君も食べるか?」と聞いてみる。
返答はなく、少女は穏やかな笑顔を絶やさなかった。

「卵巣のスープです。」
中華風のとろみのあるスープに、白いものがいくつか浮いている。
これもなかなかのものだ。口の中ですっと溶けていくのは絶品だ。

201:月蝕
09/06/13 02:58:44 U8PvNTnD
「続いて乳房の鉄板焼きです。」

板長は、肌色のものを取り出した。
「Aカップですかね?」
「ははははははっ。それをいっちゃ悪いだろ。」
「きっと、本人も気にしていたことでしょうね。」

板長はおもむろに、小ぶりな乳首を上にして脂を引かない熱した鉄板の上にのせた。
ジューウーーーー。裏側から脂が溶け出し沸騰する。

「なにせ9割が脂肪ですから、かなり脂っこいと思いますが。」
適度に裏側を焦がし、脂が鉄板に広がってから裏返す。
裏面はカリカリなくらい焦げ目がついている。そしてまたひっくり返す。
先ほどまで、ピンク色をしていた突起は見る影もなく潰れていた。平たく陥没し、茶色く焦げ目が付いてしまった。
瑞々しかった皮膚の部分も、皺がより焦げ目が付いてしまった。
「表面はもっとよく焼いておきましょうか。」
さらに裏返しへらで押さえつける。脂がジュウジュウと音をたて食欲をそそる。

「どうぞ。」
鉄板のこちら側に寄せられたそれを、自分の好みのサイズにナイフを使い切り分けた。
バリバリと音を立てて表面が割れる。だが厚みは少ないそれの中心は以外とジューシーだった。
大量の脂で揚げた煎餅のようなものか。きっと普段なら食べても美味しくないのかも知れない。

しかし、先ほどの愛液が効いているのだろうか?とても美味いと感じた。

202:月蝕
09/06/13 02:59:07 U8PvNTnD
「もう片方はどうした?」
「今準備しています。」

もう片方は程よく凍らせてあったようだ。
板長はそれを均等にスライスしていく。黄色い断面があらわになる。
それを、皿に平たく盛り付けていく。
「しょうが醤油かにんにく醤油でどうぞ。」
「脂の融点が違うと思うのでどうかわかりませんが。馬刺しにヒントを得ました。」

乳首の中心を含んだスライスをまずは味わう。醤油にくぐらせ口に運ぶ。
先ほどまで凍っていたせいか、口の中が心地よい。
舌の上で転がすと脂肪が溶けていく。馬刺しほどの旨みは少ないが、微かに甘い。
表皮の部分が口に残る。乳首の先を舌先で転がしたあと、噛み砕いて飲み込んだ。

「こっち方がいいね。」
「そうですか。」

203:月蝕
09/06/13 02:59:54 U8PvNTnD
そのあともフルコースは続いた。

ハツやレバーなど、オーソドックスなホルモン料理も味わった。美味かった。

彼女の肉と腸を使った、ソーセージも味わった。
内臓を詰めたもの、血を詰めたもの、色とりどりのソーセージを味わうことができた。とても美味かった。

骨付きカルビ、もも肉など、焼肉も堪能した。最高に美味だった。

今日のところはさすがにもう食えない。大食漢である私も音を上げた。

中世の貴族がそうしたように、吐き出せば料理をもっと堪能できるだろうが、そのような気は更々ない。
『彼女をすべて私の血肉にかえてやりたい・・・。』
そう思った。

私はようやく気づいた。なぜ彼女が自分から去っていったのかを。自分が何を求めていたのかを。
今まで、自分がこのような人を喰らう獣になったのは、彼女のせいだと思っていた。いや、そう思いたかったのだ。
何のことはない、私は最初から獣だった。私は彼女を食べてみたかったのだ。
きっと私の中に潜む狂気に彼女は気がついたのだろう。

「ではデザートに甘いものをどうぞ。」
「皮や骨から抽出したゼラチンで作ったゼリーです。」
「ああ、これなら食えそうだ。」

口に含んだそれは、甘く、そしてかすかにほろ苦い。
「初恋の味がする。」

私は涙を流していた。

204:月蝕 ~エピローグ~
09/06/13 03:00:36 U8PvNTnD
ずっと、私のそばで微笑む少女。
板長の粋な計らいで参加したもう1人のホスト、食材の提供者である月島きらり嬢本人だ。
首から上のみを台に固定された彼女は、ずっと微笑みを絶やさなかった。さすがにアイドルだ。

「彼女はどうします?」
「そうだな。明日の食材に回してくれ。」
彼女の顔をいつまでも見ていたいが、そうもいくまい。

「脳みその天ぷらやバター炒め、シチューあたりが美味しいと思いますよ。」
「そうだな、それ全部頼む。」
「あと、舌は、半分は塩タンで、残りはスモークにしてくれ。」
「そして、唇は生で。」

明日も楽しみだ。

205:名無しさん@ピンキー
09/06/13 08:18:17 j+RrKVV1
もう少し熟成期間を取れば味もよくなったかも知れないね

206:名無しさん@ピンキー
09/06/13 18:58:33 7wl7+RYQ
妄想が膨らんだ
でも欲を言えばビデオの中身をもっと知りたかった

GJです

207:名無しさん@ピンキー
09/06/13 23:15:16 w5SCYQsr
今から明日の夕食が楽しみですw

208:名無しさん@ピンキー
09/06/14 00:49:29 HJbaPsF1
いやもう、スレタイ通りのSSで、堪能させていただきました。
欲を言えば、解体されるところを子細に読みたかったけど。

GJです!

209:名無しさん@ピンキー
09/06/14 01:28:41 sr+pzN9E
久しぶりにSSを書いてみたんだけど、2chは規制で書き込めない。
誰か適当に話の切れ目で区切って代理でアップしてくれませんか。お願いします。
結構頑張って書いたので……。

URLリンク(www1.axfc.net)

210:名無しさん@ピンキー
09/06/14 02:31:06 sr+pzN9E
>>209
あ、オリジナル厨ニ設定満載話です。
あしからず……

211:名無しさん@ピンキー
09/06/14 07:13:32 IXnmw6os
久々に来たらなんという豊作
みんな乙&GJ!!

212:折れた翼 1/18
09/06/14 09:02:56 sr+pzN9E
クリーム色の壁面で囲まれた船内の待機所には、継続的なプロペラエンジンのうなりの音の他は、低い天井の
電灯が時折、瞬くときに発する音くらいしかしていない。
痩躯の竜騎兵はその中で壁に作りつけられた固いベンチに座って半睡眠の状態で、休息をとっていた。

天界、地上界、魔界を巻き込んだ10年に及ぶ戦争は既に最終局面にあった。
4ヶ月前、山岳同盟軍が天界において旧ヴァルハラ地区への奇襲に成功し、その大部分を勢力下に置いた時に大勢は決したと言える。
鈍足、大型、脆弱な山岳同盟の軍用飛行船が深夜とはいえ堂々帝国領を侵攻出来るようになったのもその証左であった。
竜騎兵大尉クラッススの所属の飛行船は、地上部における旧帝国領の掃討作戦に新任された司令官をのせた
旗艦の後ろで、彼の子飼いの陸兵を満載して追従している。帝都陥落も時間の問題だ。

手元の懐中時計で午前2時。全くの深夜。船隊所属の3騎の竜騎兵が3時間毎に交代して防空を担当している。
彼ら竜騎兵が跨るワイバーンは小型で軽快が売りで、騎兵をのせての長期行動は不向きである。
眠ろうにもなんとも眠りが付かない、そんな中途半端な時間。待機所の尾部側には彼の愛竜がしかれた藁の上で寝ていた。
防空の交代の時間が近い、手元の8連発ショットガンに手を伸ばした、その時だった。

船内に非常ベルが鳴り響き、電灯が消え、一拍おいて赤色の戦闘灯火に変わる。それと同時に
船体が大きく揺れクラッススは手すりを掴んで体を支える。取り舵をいっぱいにしている。クラッススは伝声管に飛びつき、艦橋を呼び出した。
「敵のタイプは?航空機ですか、屍霊ですか?」
敵襲であることは間違いない。クラッススは当直士官に問いただすと意外な答えが返ってきた。
「大尉か!見張りが船の直上に飛人をみたとの事である。爆弾槍による攻撃の可能性が―」

飛人とは、戦時下に生み出された新語である。今は敵対している帝国と平和であった頃には
ヴァルキリーと呼ばれていた。武術に秀で、高邁な精神を持ち、それでいて可憐な乙女。
かつて魔法と剣の時代にはその能力を最大限に発揮し、多くの年代記、伝説にその足跡を残してきた。
その戦乙女が付く側は必ず勝利を得ると、そんな言い伝えも広く知られている。

だが、時代は変わった。現在、魔術や秘術の類は科学技術の補完の役割しか与えられていない。

213:折れた翼 2/18
09/06/14 09:04:59 sr+pzN9E
「直ちに出撃して捜索、迎撃にあたりましょう」
「そうしてくれ」
そう話を切り上げるとクラッススは伝声管から離れ、尾部のハッチを開けるハンドルを回しはじめる。
さび付いた鉄扉は大きな音をたてて開き、それが愛竜の目覚ましとなった。
扉を開けきると、冷たい夜風が船内に吹き込んだ。竜に飛び乗る。左手は手綱、右手にショットガンを持ち一気に夜空へ躍り出る。
彼の視界には星空と雲海。その合間を巨大な飛行船3隻がそれぞれ進路を変え、回避行動に入っている。
上空を凝視するクラッススの目が黒いツバメのようなものをとらえた。
旗艦狙いに間違いない。
直ちに目標物へ竜を走らせるが、いかんせんこちらは船を出たばかり。対して向こうは
十分な高度から急降下をかけている。間に合わない。銃も届かぬ。

"ツバメ"が眼前で回避運動を続ける旗艦と重なった瞬間、あたりが昼のように明るく照らし出された。
まったく今日の相手は腕がいい。先頭を進んでいた200mの船体のど真ん中に爆発があがり、崩落をはじめている。
10kg級の対船爆弾槍の命中だ。脆い飛行船はこれを喰らえば為す術がない。

仇はとらなくてはならない。クラッススは一気に騎首をさげ、飛人を追う。彼女たちは爆撃後は一目散に退避する。
最初に捕捉できなければ逃げ切られることは確実。
その困難さから、飛人を討ち取る度に個別に撃墜章が与えられる。それをもってしても彼には余裕があった。

竜騎はみるみるうちに飛人の背後に近寄ってゆく。地上が見えてきた。真下は雑木林。まわりには休耕田が広がる。
竜が飛人を追う間、彼はゆっくりと、精密に散弾銃の狙いを付けることが出来た。
爆弾槍は強力だが、護衛無しの運用は感心しない。
2m弱の柄の先に新式爆弾を取り付けた、爆弾槍はヴァルキリーのもっとも強力な武器だが、弱点も大きい。
10kgは標準的なヴァルキリーが携行できる限界の重さであり、彼女達は爆撃後は殆ど非武装になるのだ。
追撃をうけても反撃は出来ない。1年前までならば航空機や護衛のヴァルキリーもついたが、今ではその余裕もないようだ。

速度を落とさない程度にS字や、螺旋を描いてなんとか引き離そうとするが、ショットガンの照準は完全に
彼女を捉えていた。引き金が握り込まれる。

気味の良い反動の後、クラッススの前をゆく"飛人"が大きくバランスを崩した。散弾が彼女を貫いたのである。
たちまち高度を大きく落としてきりもみになりながら地面に吸い込まれてゆく。
戦乙女ともてはやされた者達の末裔としてはあまりに哀れであった。

214:折れた翼 3/18
09/06/14 09:06:34 sr+pzN9E
*   *   *


ヴァルキリーは、雑木林にそのまま墜落してしまった。クラッススは、落下の仕方から生存の可能性は十分にあるとみていた。
一人で雑木林に飛び込むにはリスクも大きい。彼女達とて拳銃程度は携行している。大空での戦いでは何の役にもたたないが
白兵戦では脅威になりえる。クラッススは雑木林の真上で照明弾を投下した。こうすれば味方からもわかるし
数分間は林の中も照らしてくれるだろう。

投下してからそのまま雑木林に飛び込む。陸地に接した瞬間鐙をけって横に転がるように地面に伏せる。
飛竜は速度をゆるめず上昇に転じ、雑木林の上を旋回する。
かつては森だった一帯を切り開いてつくられた田園風景。その名残の雑木林。そんなありふれた中に
モザイク画から飛び出した、ヴァルキリーが「降臨」したのである。クラッススの鼓動は自然、早いものとなった。

215:折れた翼 4/18
09/06/14 09:08:28 sr+pzN9E
雑木林は狭い、10分もあれば端から端まで歩けそうな広さであり、落ちた戦乙女を捜すのは簡単であった。
汚れない純白の翼を持ち、灰がかった農緑色の軍服にカバー付の胸甲と肩あて。間違えるはずもない。ヘルメットはどこかへ吹き飛び、
新聞写真では神経質に纏められ、編み込まれたラピスラズリに例えられる碧い髪は乱れていた。
右手にはリボルヴァーを持ち、上空の飛竜に視線は釘付けとなっている。まだ、騎手もそこにいると思っているようだ。

クラッススは土手からはいあがり、一気に勝負をかける。
物音に気づいて振り返ったヴァルキリーであったが、負傷した状態では遅れをとるほかなかった。
「うぐぅぅっ!」
銃声と澄んだ呻き声が交差する。リボルヴァーを構えた右手は無数の散弾を受けてぐしゃぐしゃに崩れ、軍服の袖口がどす黒くそまってゆく。
よろよろと後ずさり、太い針葉樹にぶつかった所でへたり込んでしまった。傷だらけのリボルヴァーが地面に落ちる。トリガーには千切れた指が引っ掛かっていた。
翼が痛みを訴えるように、二度、三度羽ばたき、震えている。
勝負あったとみたクラッススは姿をあらわした。彼の口元は醜く歪んでいた。
大きな爆発音。攻撃を受けた飛行船が地表に落着して炎上しているのが遠くに見える。
「君らの軍部は、たしか飛人はもはや攻撃的任務には使わず、偵察や連絡に集中するようになったと思っていましたが、やってくれましたね」
「っ…………」
ヴァルキリーは賢い。地上の殆どの言葉を理解するという。クラッススの言葉も彼女に届いているはずだ。
飛人という、蔑称の意味も含めて。
「ふん」
そういう反応が返ってくるとは想像していたようだ。クラッススは別段気にもとめず、無力化された戦乙女を
足からべったりと観察する。足は特に異常が無いようだ。痛みに震えていることを除けばおかしな所はない。
右腰から腹にかけて軍服が赤く染め抜かれている。散弾を浴びて、腰を砕かれたようだ。
激痛を抑えつけるように、左手が患部を強く押さえ、堪えている。
軍服よりややグレーの強いカバーが破れ、内にあった胸甲の鈍い輝きが所々に顔を出している。
かつては流麗な装飾が施されていたが、今ではただの鉄板である。
そして顔。前髪が深く顔を覆い隠し、表情を窺えないが、口はぴったりととじられ、悲鳴を押し殺している。
「僕ぁね、君を殺したい訳じゃないんだ。君がもっているゴルゲットがほしいだけなんだよ。それで連中は撃墜認定してくれるからね」
飛人は答えない。クラッススはショットガンを向けたまま、友人に話し返るような口ぶりでそう切り出した。
「!」
それまで体を庇いながら震えるだけだった飛人が、大きく翼を開いて羽ばたき、土埃と落ち葉を巻き上げた。


216:折れた翼 5/18
09/06/14 09:10:17 sr+pzN9E
騎兵用ゴーグルも外していたクラッススは一瞬視界を奪われ後じさる。
あらん限りの力を込めて、地を蹴りヴァルキリーが脱出を計る。しかし手練れの騎手は慌てなかった。素早く体勢を立て直し鳥打ちと同じ要領で
飛人の右翼を至近距離で収束された散弾が襲う。右翼の先から3割の所に集中して着弾、翼が真っ二つに折れて、落ちてきた。
すこし遅れて再度ヴァルキリーが墜落してきた。今度は受け身をとる間もなく、派手に地面に激突する。骨が軽量の彼女たちのことだ、幾つか骨を折ったかもしれない。
「はぁ……はぁ……はぁ……っ!」
地面に俯せになって先ほどよりもさらに苦しそうに呼吸している姿が、また、艶めかしい。クラッススはその彼女の傷ついた右の翼に軍靴を叩きつける。
「あぐぅっ!」
洩れる悲鳴。それを何とも思わず、彼は腰から銃剣を引き抜いて、ショットガンに装着、翼と肩胛骨を繋ぐ付け根に思い切り突き立てた。
「逃げるのは許しません、よ!」
「!!!!!!!!!!!!」
言葉にならない悲鳴と共に、羽根をばたつかせて暴れるヴァルキリーだが、クラッススは銃剣で尚も付け根を突き刺し、羽根を引きちぎろうとする。
あっというまに彼女の背中に赤い血が広まり、あたりに羽根が雪のように舞った。
クラッススは執拗に右の羽を突き刺し続ける。彼は翼には飛人の神経がよく通っており、そこを傷つけられると激痛が走ることを知っていたのだ。
「よし、これであとは引っ張れば『手羽先』が一丁できあがる寸法、っ」
銃声と1個半小隊程度の人数が出す足音。少々戯れが過ぎたようであった。照明弾が彼の味方ではなく帝国兵を呼び寄せたのだ。
「まぁいい、ゴルゲットは貰っていくがね」
ヴァルキリーの軍服の胸元を乱暴に開き、ネックレスに三日月型のプレートをあしらったゴルゲットを奪う。
これは彼女たちが主神から与えられたものであり、命の次に大切なものだ。
だが、気を失った彼女に抵抗することは出来なかった。
「さて、死んで貰うか」
クラッススが拳銃を彼女に向けて―

217:折れた翼 6/18
09/06/14 09:12:03 sr+pzN9E
*   *   *


「……ヘルヴァン川と215高地の間に山岳軍の迫撃砲陣地が、その背後に予備隊が控えている模様で、ここへの総攻撃も間近かと」
「くそっ、どうにもならんか。援軍も期待できない中では……」
狭い地下室内に木製の机が置かれ、ランタンの小さな明かりの下に軍用地図が敷かれている。
帝国軍を示す青色の陣地の周りを包囲を狭める山岳軍の赤色の輪が迫っていた。


「うぅぅっ、熱い……背中が……」
「少佐!?」
ヴァルキリーが呻くのと同時に、机を囲んでいた士官がそのもとに駆け寄る。彼女は軍馬用の藁を集めた
急造の寝床に包帯をまかれて寝かされていた。
「……見たところ、味方のようです、ね。あと一歩で殺されるところだった……。ぐっ……」
「ええ、うちの食料コマンドが偶然発見しまして。敵の竜騎は逃げおおせましたがなんとかこちらまで運んでこれました。さ、これを」
そういって帝国軍の士官が水筒にはいった水をヴァルキリーに含ませた。ヴァルキリーは自分で持とうとしたが
指先は無く、ぐるぐる巻にされた包帯が水筒に触れただけだった。
「あ……」
「少佐―」
年若い士官が、なんともいえない、苦渋の表情を浮かべる。ヴァルキリーは一瞬、何が起こったかが理解できなかったようだが、
数刻前のやりとりが頭をよぎり、把握したようだった。
「い、いえ、こういう事態は……覚悟はしていました……ですから……」
そういって身を起こし、自分の体を改めて検分するヴァルキリー。酷いものであった。
右手は包帯まき。左手で右翼に触れると、折れかかった枝をさわるかのようにふらふらしている。
もう飛ぶことはおろか、あと何日背中とくっついているか、という状態だ。声が出ない。
「それで、少佐……腰の負傷については、治療が出来ておりません。その、銃弾を摘出しなくてはならず……」
「腰……?」
体中を負傷して、感覚が失われていたのだろうか。最後にクラッススが撃ち込んだ拳銃弾は心臓からかなりそれたようだ。
弾は右足の付け根の部分となる腰に撃ち込まれていた。ヴァルキリーは右足を動かそうとするが、ぴくりとも動かなかった。完全に「切れて」いる。
散弾と拳銃弾を集中的に受けた結果だった。士官が指図すると、衛生兵と衛兵が入ってきた。

218:折れた翼 7/18
09/06/14 09:13:58 sr+pzN9E
即席の手術が始まろうとしていた。
「これを噛んで下さい。あまり力を入れると歯が砕けますよ」
「むぐっ」
衛生兵がピンセットを焼いて消毒する間、衛兵が彼女の四肢を押さえる。
「失礼、致します!」
ズボンが脱がされ、血に染まった下着と、未だ血を少しずつ漏らしている銃創とも呼べない、赤白くえぐれた患部が現れた。
麻酔もないまま、ピンセットが真新しい傷口に宛われ、銃弾をあさりはじめた。
「ぐーーーーッ!うーーーーッ!」
流石の痛みに耐えかねて、くぐもった悲鳴がふくんだ布きれの間から洩れる。
散弾が一つずつ取り除かれてゆく。飛行中の比較的長距離からの被弾であったが、皮膚を破り、骨に傷を与えていた。
銀色のなまり玉がとりだされる度に、ヴァルキリーは布きれを噛む。両眼からは涙が溢れていた。
手足を押さえる衛兵の手にも力が入る。しかしヴァルキリーに彼らを押し返す体力はすぐに失われてしまった。

最初の頃こそ、呻いていたヴァルキリーであったが、今では時折体を痙攣したかのように動かすだけでほとんど動きがない。
20分ほどして衛生兵がやっと最後の拳銃銃弾を探し当て、つまみ、引き出す。
「ぅっ……」
体がすこし跳ねたがそれだけだ。
真っ赤に染まった9ミリ拳銃弾がピンセットにはさまれていた。すぐに包帯が巻かれ、衣服が整えられた。

「少佐殿、摘出は成功しました」
そういって衛生兵は、布きれをヴァルキリーの口から取り除く。その口は閉じられることなく涎が彼女の頬を伝った。
その様子は敗残兵以外のなにものでもなく、帝国軍将兵にはヴァルキリーを助けたという達成感よりも、
あらがいがたい「敗北」の未来が取り巻いていた。

219:折れた翼 8/18
09/06/14 09:15:58 sr+pzN9E
*   *   *


夜も更けた頃、体中の痛みに苛まされて眠れぬヴァルキリー。手元の懐中時計を苦労して取り出したら
ものの見事に散弾があたって故障していた。今、狭い地下の指揮所には当番の士官と、衛兵しかいない。
「誰かいますか、少し外の空気が吸いたい。手を貸してもらいたいのですが」
澄んだ声が地下室に響く。少しうとうとしていた衛兵がとんできて肩を貸す。
「相当重傷のようですが、大丈夫ですか?安静にしていた方が……」
「こんな瀕死の私を助けてくれた方に一言お礼を言いたくて」
「そういうことでしたら……。少佐殿をお助けしたのはシュミット伍長の隊です、階段は背負っていきましょう」
「本当に右足が動かなくて。ごめんなさい」
「いえいえ、神族の方に頼って頂けるだけで、光栄きわまりないことです」
そう言って衛兵はヴァルキリーを背負った。
「か、軽いですね。子供を背負っているような感じだ」
狭くて足場の悪い階段を上りながら、衛兵はそう感想を漏らす。
「重いと空を飛べないから。まぁ、今はもう、関係ない話ですが……」
「あ、いえ、そういう意味では……」
「わかっていますよ」
かつては村会議所があった、村の中心部の広場も砲迫による猛爆で舗装は徹底的に破壊され、街路樹はなぎ倒され
更地にされようとしていた。
マンションの跡かと思えば、道路に面した側の壁面しかない。内部は崩れたレンガで埋まっていた。
その風景を見ながら、ヴァルキリーは故郷の天界に思いをはせていた。
美しく区画整備された都市で、地上のいかなる神殿、教会よりも高層で、荘厳な「主神の家」のある旧ヴァルハラ地区。
地上での真似事はゴシック様式と呼ばれるが、それらのいかなる追従も許さない祈りの間。
新聞報道では、その最深部でさえ市街戦に巻き込まれ、絶えず野戦砲による砲撃にさらされているのだという。
天界の姉妹は、自分と同じような状況に置かれているのだろうか、不安が彼女の心を揺さぶった。

220:折れた翼 9/18
09/06/14 09:17:55 sr+pzN9E
「敬礼!」
吹き飛ばされた屋根の民家に集まって、休息をとる兵士の一団。ヴァルキリーの認めて慌てて直立不動の姿勢をとる。
ヴァルキリーは衛兵の肩を借りながら自由のきく左手で答礼をした。右手は肩から吊られている。
一人の兵士が空になった弾薬箱を持ち出してきて彼女に勧めた。
言うことを聞かない右足をそっと伸ばしながらそれに座る。兵士達の間に、どよめきが広まった。
「こちらに、シュミット伍長がいると聞いて来たのですけれど」
「ハッ、私です!少佐殿!」
奥で弾帯に小銃弾を通していた50は超えるだろうか、兵士というには少し無理のある歳の
男が敬礼をする。
「気を失った私を、ここまで運んでくれたと聞いております。本当に、ありがとうございました」
「いえ、その、自分の娘に似ていたもので……」
「あら、美人の娘さんをお持ちなのですね」
固かった雰囲気が、起きた笑いで薄まってゆく。

221:折れた翼 10/18
09/06/14 09:20:41 sr+pzN9E
「しかし、戦乙女が私たちと同じように負傷するという姿が、なんだかアンバランスというか、似合わないというか……」
そういうシュミットの言葉にまわりの兵士達も同調した。ヴァルキリーの姉妹は本系、分系を合わせても
数が少ない。メルセンの戦いで多くのヴァルキリーが命を落としてからは殆ど前線に姿を現すことはなく
兵士、国民は新聞やニュース映画の中の偶像としてしか彼女たちを知ることはなかった。
ヴァルキリーは額にまかれた包帯をそっと触れて、ため息をつく。
「私も体の仕組みはあなた方と同じです。空を飛べる分、脆い所もある。怪我だってしますよ」
「ですが、伝説では矢を弾いたとか。こう、力で銃弾を跳ね返したり出来ないのですか?」
そうですね、と言って、ヴァルキリーが羽を広げた。右翼は添え木をしていて動かないが、左翼は美しく広げられ、

「うぉっ!」
ヴァルキリーの羽から螢火のような淡い光が溢れたかと思うと、突風が駆け抜けた。
兵士達は目を丸くしている。
「遠くから飛んできた矢はこうすれば、確かにそらせたでしょう。今から800年前くらいの戦乙女はこうやって
矢を弾き、偉容を示していたのかもしれません」
「す、凄い……。ですが、現代のなまり玉は弾けない、と?」
「ええ、為す術がありません……」
自嘲気味に笑うヴァルキリー。落とした視線の先にビラがあった。
「これは?」
「ああ、敵軍のまいたビラですよ。天界で貴様等の頼みとするヴァルキリーは皆処刑されたという……根も葉もないデマです」
質の悪い印刷機で刷ったのだろうか、所々活字が掠れているが、帝国軍が如何に劣勢であるかが扇動的に書かれていた。
モノクロ写真も入れてあり、よく判別は出来ないが、羽根の付いた人々が絞首刑台に列ばされているような構図だ。
「……」
「少佐、これは敵のプロパガンダです。真に受けることの無いように」
「え、ええ……。ですが、天界の旧地区が陥落したのは、帝国も認めることで」
「これは、デマなんです!!戦乙女ともあろうお方が、敵の策にのせられるとは……!」
「そ、そうでした。私が、ごほっ、どうか、していたよう、です……」
もったビラをくしゃっと握りつぶす。彼女のやせた両肩が震えていた。
「死ぬはずが無いんです、私よりも、武芸に秀で、聡明な姉たちが、敵の手にかかることなど」
あるはずがない。そういって上げた顔は、笑っていた。
シュミット達は、なんと声をかけてよいものか分からなかった。

222:折れた翼 11/18
09/06/14 09:22:52 sr+pzN9E
「皆さんの休み時間の邪魔をしてしまいましたね。何か、言葉以外に残るものが渡せたら良かったのですが」
兵達は口々に、とんでもないとか、お話が出来ただけで十分ですと言っている。
その中で、一人の機関銃手が、煙草を吸っているのをヴァルキリーはみとめ、胸ポケットを探った。
「私は吸わないので、これ、よかったら皆さんで分けてください」
「これは、"ヒメル"じゃないですか、流石、いい物をお持ちですね!」
「ただ煙が出るだけのニセモノじゃないって!?」
そういいながら我先にと一本ずつもらってゆく。一人がマッチで火を付け、回した。
「神様はこんなに美味い煙草を吸ってたのかぁ!!」
「生き返りますね!」
心底美味しそうに煙草をふかし、紫煙を上げる兵達をヴァルキリーは不思議そうに眺めていた。
「どうですか、少佐も一緒に」
シュミットが笑顔で火のついた煙草をヴァルキリーに手渡した。
「いえ、私は吸わないので」
「いいじゃないですか、部下達とのコミュニケーションという事で、さぁ、さぁ」
そう言って握らせる。ヴァルキリーはおそるおそる口に煙草を運び、すっと吸って。
「ごほっ、ごほっ、けほっ!」
全員の予想通り、むせた。どっと笑いがおこる。少し怒ったようにしながら煙草をシュミットに返す。
「むっ……」
「あっはっはっは、戦地では煙草もたしなみの一つですよ、それでは私が送りましょう」
「そうでしょうか……?それではみなさん、おやすみなさい」
そう彼女は言うとシュミットの肩を借りて、地下指揮所へ帰っていった。
それを煙草を飲みながら見守る、部下達。
「戦乙女ってさ、もっとこう、姑みたいな雰囲気の、キリってした感じだと思ってたけど、案外違うもんなんだな」
「そうですねぇ……。純朴なお嬢さんって感じで、あれで人間の何倍も生きて私たちを見守るんでしょうか」
「どうなんだろうな。ただ、俺は明日くるだろう総攻撃、少しばかり士気が持ち直したぜ」
「あれ、奇遇ですね、自分もですよ」
そう言って、ライフルにクリップを装填して、閉鎖する。眼鏡を掛けた、16~17歳の兵だった。

223:折れた翼 12/18
09/06/14 09:27:28 sr+pzN9E
*   *   *


夜明けと共に、包囲した山岳軍からの砲撃が再開。人口数百人くらいだった村は徹底的に耕されはじめた。
司令部の置かれた村会議所も残っているのはワインセラーを改造した地下室のみ。
村内で原形を残している建物は教会くらいであった。

村の北端に掘られた塹壕で、シュミットは部下に檄を飛ばしていた。
「機関銃の場所を移せ!蜂の巣にされるぞ!フェーベル、お前は伝令に向かえ!村の東側に一個中隊が回り込んだとな!」
脇で水冷式機関銃が進撃してくる山岳軍兵に向けて火線を浴びせる。
民家の窓枠、塀に掘った小さな坑、土嚢の隙間、至る所が即席の銃眼となって、カービン銃が、歩兵銃が敵に狙いを定めている。
小銃火力では負けていなかったが、しかし、山岳軍には山砲の援護があった。
次々と塹壕近くに榴弾が炸裂し、精度をさらに上げてゆく。
「小銃擲弾―!!」
その叫びがあがるのと、民家の窓に発射された手榴弾が入ったのは同時だった。
爆発と悲鳴。一瞬目を閉じたシュミットの前に、吹っ飛ばされた顔の一部が落ちてくる。
「くっそ!近づけるな!撃て、撃てぇ!」
号令と共に、一斉射撃。接近しようとしていた山岳軍の兵士とゴブリンが打ち倒される。
その銃火をぬうように地上を素早く動く一つの影。
シュミットが上空を見上げると、竜騎兵が上空を舞い、手榴弾を投下している。
散発的に行われる対空射撃は威嚇の意味すら為さない。
歯がゆい。昨日のヴァルキリーが無傷なら、自分が彼女の所にもう10分、5分でも早く辿り着いていたなら
あんなカトンボにデカい顔をさせずに済んだのに。

224:折れた翼 13/18
09/06/14 09:30:11 sr+pzN9E
「敵、北北西より歩兵戦力を投入!確認できるだけで2ヶ大隊、市街戦で決着をつけるつもりのようです!」
地下室に伝令が駆け込んでくる。背後では砲弾の炸裂する音の他に早々と小銃の発砲音も混ざりだした。
村の防衛には疲弊した1ヶ中隊が残るのみで、総攻撃を受けたらひとたまりもないのは明らかだった。
「来るべき時が来た、といった所か。予備隊のA半小隊を配置しろ。弾薬はケチるな、全弾撃ち込んでやれ!」
「了解!」
伝令は命令を受け取ると、また外へ飛び出していった。
断続的に来る震動と、炸裂音。ここも直撃を受ければ崩落があってもおかしくない。
「は、羽根が無傷なら、偵察や砲兵観測でお手伝いが出来たのですが」
「いえ、少佐殿はこれまで十分戦われました。我々におまかせ下さい!なんとか撃退して見せます!」
そういう士官であったが、劣勢は明らかだった。時折くる大きな震動に、不安そうなヴァルキリー。
時を追う毎に負傷兵は増加し、砲撃の音はよりはげしく、士官達の表情は余裕のないものになってゆく。

225:折れた翼 14/18
09/06/14 09:33:18 sr+pzN9E
総攻撃を受けて3時間。数倍の人員と優勢な物量を相手に善戦したと言えるだろう。
しかし、それも終わりを告げようとしていた。村内の防衛ラインに山岳軍の浸透を許し、組織的抵抗は終わろうとしていた。
「くそ、通信線が切れたか!西部の守備隊はどうなっている!?伝令を―」
地上階に繋がる扉が開かれ、士官達の視線が注がれる。しかし一向に人の入ってくる気配はなく。

「しゅ、手榴弾!?」
誰かがそう叫んだ時には、投げ込まれた3つの手榴弾は炸裂していた。
目をつぶるヴァルキリー。手榴弾で死に損なった士官が、呻いている。続いて階段を駆け下りてくる
山岳軍の突撃兵達が小銃で生き残りを一人ずつ頭を撃ってとどめを刺してゆく。
「このっ!」
乾いた発砲音が3度響き、瞬く間に3人の突撃兵が崩れ落ちる。
ヴァルキリーの利き腕ではない左手で保持した拳銃からであったが、全て命中した。
生き残りに気が付いた突撃兵が慌てて逃げようとするが、その兵も背中に弾を貰い絶命。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
ランプは消え、真っ暗になった地下室で、壁面を背に拳銃を構えるヴァルキリー。自分では殆ど歩けない為
早撃ちが勝負だった。
そこへ、缶詰のようなものが投げ込まれる。手榴弾かと思い、観念したが、出てきたのはガスだった。
涙が溢れ、くしゃみが止まらなくなる。夜目の非常に利く彼女の瞳も化学兵器相手には用を為さない。
ガスマスクを装備した新たな突撃兵が視界を失った彼女の拳銃を蹴り上げ、ライフルのストックで腹に猛烈な一撃を加える。
「ぐぅぁ……っ……」
たまらず体をくの字に折った彼女の頭にもう一度ストックが振り下ろされ、彼女は完全に意識を失った。

226:折れた翼 15/18
09/06/14 09:35:38 sr+pzN9E
*   *   *


15時頃、戦闘は終わっていた。村内のあちこちから上がっていた火の手も今はおさまり、黒々とした煙をあげるのみである。
村全体は完全に山岳軍によって占領された。先ほどまで掃討が行われ、時折銃声が鳴っていたが、今はそれも止んでいる。
帝国軍の捕虜は村中央の広場に集められていた。捕虜といってももう、十数名しか残っていない。
その捕虜達の視線は後ろ手に手錠をかけられ、転がされたヴァルキリーに集中している。
彼女の右腕にまかれた包帯はほどかれ、骨と皮膚と肉が入り交じったグロテスクな、「右手だったもの」が左手と一緒に
手錠に収まっている。捕虜達からは乱れた彼女の前髪に隠れて、表情を伺うことは出来ない。
「随分とまぁ、君たちは頑張ってくれましたね。なんだ、こっちの戦死者は―」
竜騎兵クラッススは、隣の将校から耳打ちをうける。
「戦死32名、負傷74名とはね!やってくれましたよ。そこの飛人に義理立てでもしましたかね」
捕虜達は悔しさを隠そうともせず、黙っている。つまらなそうなクラッススは足元のヴァルキリーの髪を掴み引きずり上げた。
既に相当の暴行を受けたようだ。軍服は泥だらけで、美しかった顔も額が数カ所で切れ、血が溢れている。
翼も右翼は完全にもぎ取られ無くなり、左翼も数カ所で折れているようで、奇妙な曲がり方をして思うように動かせていない。
シュミット達に見せた優しい瞳も今では虚ろになっていた。
「貴様ぁ!!その汚い手を放せぇ!」
激高した捕虜の一人が立ち上がり、飛びかかろうとした瞬間、頭が砕けた。
「立つな、クソが」
クラッススと、ヴァルキリーに返り血が飛ぶ。彼の後ろに立った山岳軍兵の小銃の銃口から煙がのぼっていた。
「ごほッ……私のこと、はいい…で……す………から……」
消え入りそうな声が、ヴァルキリーの口から漏れた。話すたびに血が溢れてくる。困惑する捕虜達。
それをクラッススは聞くと、手を放した。支えを失ったヴァルキリーは人形のように倒れる。
「ふん、最後まで模範的だことだね。君はこの捕虜達を助けてほしいかい?僕の命令書があれば、宣誓解放に
 してやってもいいんですけどね」
そう、しゃがんでヴァルキリーに顔を近づけて話しかけるクラッスス。
ヴァルキリーは痛みを堪えながら、首をゆっくりと縦に振った。
「それじゃあ、感謝の印に、ブーツの汚れをおとしてもらおうかな」
そういって、クラッススはブーツをヴァルキリーの眼前に置く。捕虜達が殺気立つ。
視線で殺せるなら、今でもそうしてやりたいというように。
「おお怖い怖い。流石は精強で通った帝国兵だね、彼らを助けたいんだろう?」
ヴァルキリーは体を揺すり、尺取り虫のように動いてブーツに顔をよせ、舌をおそるおそる出した。
そこに神族の威厳は無い。その光景を見守るしかない俘虜達の顔に、怒りと、情けなさが交差する。
今はもう、羽ばたくことのできない翼が、地面に伸びていた。

227:折れた翼 16/18
09/06/14 09:37:56 sr+pzN9E
泥まみれのブーツを、一心に舐めるヴァルキリーに、クラッススは容赦のない言葉を浴びせる。
「君には神族としての矜持というものが無いのかい?仮にも神様の出なんだろう?どうなんだい?」
一瞬彼女は動きを止めたが、答えない。
「主神相手にもこんな事はしないんだろう?お前の仕える相手は誰なんだ。言ってみたらどうですか!」
「ぅ……」
なおも答えを拒むヴァルキリーにどう猛な竜騎兵は、銃剣を取り出し、まだ大きな傷のない左手のひらを刺し貫いて地面に打ち込んだ。
「いっ!?ひっ、ぎゃぁぁぁぁ!」
あまりの痛さに体を跳ねるヴァルキリーだが、銃剣は地中深く突き刺さっており、傷口を広げるだけである。
訳が分からず手のひらを上下して激痛から逃れようとするが、手錠がカシャカシャと鳴るのみ。
「さすがの戦乙女も手のひらは堪えるみたいだね、が、流石にうるさい」
藻掻くヴァルキリーの横顔に、ショットガンのストックが落とされる。およそ人間から出るのとはかけ離れた破壊音した。
「ぁが、…………ぁ…………」
締まり無く開かれた口から、奥歯が折れてこぼれ出てきた。それと共に、とめどなく血が流れ出る。
手のひらに目を移せば銃剣に血と、皮膚がべったりとくっついている。指は痙攣して時折ぴくぴくと動いていた。
そしてサクランボのような、赤黒い組織が、傷口から生々しく覗いている。
その銃剣をクラッススは引き抜くと、副官に投げてよこした。
「さて、さっきの返事を聞かせてもらいましょうか。あなたの仕える相手は、「誰」なんですか?」
そう胸ぐらを掴んで問いただすも、ヴァルキリーは小さく呻くだけで、話せる状態にない。
「こうすれば話すか!」
クラッススは拳銃を抜き、さらに捕虜一人を射殺した。
「ぁ……私、仕え……る……ぅぅっ……ォルト……ラ」
彼女が必死に、現在の戦乙女で最も序列の高い、「大姉」の名を応えようとするが、クラッススはその最中に腹部に拳をくれた。
ろくにしゃべれぬ彼女の口のかわりに、ボロボロになった片方の翼が、痛みを訴えるように少し振れる。
口のまわりを真っ赤にし、地面にうずくまる戦乙女。なんとか咳をおさえようとするが、上手くいかない。
「ごほっ!!ごほっ!!」
また大量の血を吐いた。吐血か喀血か。どちらか最早わからない。吐いた血がクラッススのブーツに跳ね、彼をさらに不機嫌にさせる。
剣帯に手をかけ、銃剣がないことに気が付くクラッスス。
「おい、僕の銃剣はどうした?」
「はっ、切れ味が劣っておりましたので向こうで研がせております」
「ふんっ、ならこいつで」
乗竜用の棒鞭を取り出し、彼女の背面、もともと羽根があった跡に振り下ろす。皮膚もない、組織に直接すえられる
打撃が何度も繰り返される。その度に、体を震わせるヴァルキリーに、捕虜達はある者は目をそらし、ある者は涙した。
(シュミット伍長、あなたは戦死して幸せだったかもしれません。あの、ヴァルキリーが、こんな事になるのを目にせず済んだのですから)

228:折れた翼 17/18
09/06/14 09:40:34 sr+pzN9E
クラッススは一通りうちすえてから、乱れてなお光沢を放つ前髪を引っ張り上げ同じ質問をした。
「で、君はだれに仕えているのかな?」
ヴァルキリーは重い瞼をあけて、クラッススの肩章を確認する。太い金線1本に星3つ。
血を飲み込んでなんとか口を空にする。
「かはっ………た、大尉、殿……で、す」
それを聞いてクラッススは大笑いした。まわりの山岳軍将兵も、サディスティックな笑みを浮かべている。
「はっはっはっはっはっはっは!!聞きましたか、諸君!有史以来、ヴァルキリーを従えた人間がいただろうか!?おい、従軍記者、しっかり書き留めておくんだぞ!
 『ヴァルキリー背教す!?』か?まぁ、なんでもいいがね!こんな愉快な気分は久しぶりだ!
 写真もとらんとな、ついにやったぞ!お前の姉妹3人を屠った僕が主人とはね!滑稽きわまる!」
子供のように喜ぶクラッスス。それと対照的に瞳に生気を失ったヴァルキリーが糸の切れたマリオネットのように彼の笑いと共に揺れていた。


「痛いか、言ってみろ?嘘を付いても連中の為にならないぞ?うん?」
「はぁ……ぁ……いた、い、……」
「ヴァルキリーが痛みを訴えるなど……夢にも見たことがないな!それで、どこが痛いか?」
「うっ……からだ、うっ……じゅう……っ……が」
「はははは!そうか、そうか、体中が痛いか!」
ありとあらゆる言葉で彼女の尊厳を踏みにじるクラッスス。答える彼女はもはや考えるのを止めていた。
彼女にひとしきりの暴言を吐いたあと、頭を放した。そのまま地面に倒れ込んだヴァルキリーは、言われてもいないのにブーツを舐めよう動き出す。
「ぺっ」
「!」
ブーツを血で汚すまいと、そっと脇に吐いたのをめざとく見つけたクラッススが思い切り顔面を蹴りつけた。
全く突然のことで庇うことも、避けることも出来ず、真正面からつま先を受けるヴァルキリー。
トマトが潰れるような音がして、彼女の右眼が潰され、呻いている。右眼からは血の涙が溢れていた。
それを庇おうとする両手の平はもう彼女に残されていない。
「ぐ……ぁ…………ぁぁ………」
「主人に血を吐くやつがあるか!!とんでもない!!このっ!」
さらに呻くヴァルキリーの腹にもう一度鋭い蹴りを入れる。一際大きな咳をしてヴァルキリーが吐血、まもなく動かなくなった。
「また気絶か、戦乙女様は存外ヤワなんですね」
頬のあたりをこづくが反応が無い。興味を失ったクラッススは、部下にこう、命令した。
「飛人を銃殺する。用意せよ」

229:折れた翼 18/18
09/06/14 09:43:06 sr+pzN9E
まだ壁を残す教会の裏側で、ヴァルキリーの銃殺が行われようとしていた。
銃殺隊は5人の水兵。ヴァルキリーの攻撃で旗艦が沈んだのを間近で見た飛行船の乗組員だ。皆、戦友の仇に目つきも鋭くなる。
黒い目隠しをされたヴァルキリー。階級章も勲章も全て奪われ、なんとか片足だけで立っていた。手には手錠がされたまま。
クラッススが声をかける。
「最後に、何かほしいものはあるかね?最期の願いくらい、聞いてやらんこともないですよ」
「た、煙草……ごほっ、ごほっ……」
「煙草ねぇ。まぁ、いいでしょう。おい、押さえろ、煙草をくわえさせてやれ」
副官が彼女の口に火のついた煙草をくわえさせる。
もう、呼吸も難しい肺ですっと煙を吸って、すこし咳き込みながら吐いた。目隠しをしているが、口元は穏やかだった。
「随分と、世俗的な願いだね。主神への祈りでも捧げるのかと思ったよ」
その軽口に、彼女は答えなかった。もう、答えるだけの思考が無かったのかもしれない。
クラッススが、彼女から離れる。煙草はもう、口から落ちていた。立っているのもやっとだろう。
「よし!狙え!」
水兵がライフルを構え、狙いを付ける。長いようで一瞬の時間。





「撃て!」




その号令と共に、5発のライフル弾が撃ち込まれ、ヴァルキリーが膝から力無く崩れ落ちた。
それに一瞥をくれて去るクラッススの袖には真新しい飛人撃墜章が縫いつけられていた。


fin.

230:名無しさん@ピンキー
09/06/15 01:23:19 ScaFFTqr
投下乙
すげぇな...世界観に惚れました

231:名無しさん@ピンキー
09/06/15 16:26:10 aMXcCY4H
月蝕、面白かった!
なんというか、女の子の部品と料理がつながるなんてなぁ…
まだまだ自分のリョナ範囲も狭いと感じたよ

>>230
感想ありがとう。長すぎて読んでもらえないかと思った
多少なりとも新鮮な世界に映ったなら嬉しい

232:名無しさん@ピンキー
09/06/15 16:38:14 3Vva3VMe
最近賑わってるな

233:名無しさん@ピンキー
09/06/15 18:54:43 aMXcCY4H
最近このスレを見るようになったけど、もっといつもは過疎ってるのか?

234:名無しさん@ピンキー
09/06/15 20:39:27 xQBaw/vF
>>233
過疎も過疎です

235:名無しさん@ピンキー
09/06/15 21:11:07 4chj7Kt6
ここの住人て、カ○コのオカズとか古いけど杏○ーデンなんかは見た人いるかなあ?
あそこまでは書けないけど、緻密な人間解体描写(妄想)はOKなのかな?

236:名無しさん@ピンキー
09/06/16 00:08:50 9yAFVLZT
その二つとも知らんな
グロもOKなんだし、そういう描写はいいんじゃないの?

237:名無しさん@ピンキー
09/06/16 13:22:14 fLWA6Frn
寧ろ大好物です餓えてますお願いします
月蝕でも思ったが解体された人体のパーツって文字で表現すると異様に美しいんだぜ

238:名無しさん@ピンキー
09/06/16 16:59:41 JFR/Ql/F
神作品を立て続けに読んで、創作意欲がわいてきました。
FE封印、烈火、聖魔、蒼炎・暁のキャラで解体したいのは誰ですか?

239:名無しさん@ピンキー
09/06/16 17:56:28 o8GzuW+R
封印→ナーシェン、ミレディ、ファ
烈火→ソーニャ、エリウッド、ウルスラ、リムステラ
聖魔→エイリーク、ルーテ
蒼炎・暁→イレース、アイク

多くてスマソ

240:名無しさん@ピンキー
09/06/16 18:24:59 HEjy9A8p
封印→ミレディ
烈火→セーラ
聖魔→マリカ
蒼炎・暁→エリンシア

241:名無しさん@ピンキー
09/06/17 00:04:51 9yAFVLZT
解体ってねっとりじっくりバラすって事だろ
多くて二人くらいしかやれないんじゃないのかw

242:名無しさん@ピンキー
09/06/18 22:51:21 5AaBzYUB
238ですが、FE烈火エリウッド解体を書こうと思います。

FEは登場人物がエルファイアーで焼き殺されたり
銀の槍で突き殺されたりするゲームなので猟奇系のネタに尽きることはありません。
しかし、以前、某FE攻略サイトにアイクがオスカーをリンチする話を投稿したところ
ボコボコにけなされまして……
オスカーが焼き殺されるのはよくて、腹を殴られるのがいけないとかイマイチ理解しかねるところでした

243:名無しさん@ピンキー
09/06/19 00:35:52 ktM0deWc
>>242
FE烈火がどういうものかは判りませんが、死や苦痛や恐怖や狂気がメインのお話なのですか?
それだったらリンチぐらいでギャーギャー言われたら心外ですね。

244:名無しさん@ピンキー
09/06/19 12:29:29 hq10LbIy
>>243
ぐぐればわかるけど、別にFEはそういった(猟奇的な)ゲームじゃないぞ。

>エルファイアーで焼き殺されたり、銀の槍で突き殺されたりするゲーム  ・・・っていうのも
ドラクエで例えれば 『メラゾーマで焼き殺されたり、はがねの剣で斬り殺される』 という話。

>>242氏が投稿したサイトが、どんなところかは解らないけれど
そこは、エロや暴力的表現がおkのサイトなのか怪しいし
(ってか、そもそもSSの投下がおkなのか?)
242氏がアイクに自己投影した、オナニー作品っぽい臭いがしないでもないけど
作品内容そのものではなくて
場の空気が読めなかったから叩かれた感じがするのですが・・・

245:名無しさん@ピンキー
09/06/19 18:12:27 ktM0deWc
>>244
まあ、色々と鬱憤が溜まってんでしょうから、ここでぶちまけてもらえばいいでしょう。

246:名無しさん@ピンキー
09/06/19 18:38:54 R3bWleJV
>>242
火刑はある程度のロマンチシズム&非現実性(これ重要)があるのでそれなりに一般層にも受け入れられるのですよ
逆にリンチとか切り傷とかいうある程度現実味のあるもの、特にその傷害描写がメインとしてある作品は
一般ではまず受け入れられないと思った方がいい

今後は溜まったうっぷん皆ここで吐き出すようにすれば良いよ。解体ものなら男でも女でもOKOK

247:名無しさん@ピンキー
09/06/19 19:42:09 /sSgjCZu
アグリアスを解体したい
オヴェリアを解体したあと罪の意識にさいなまれながら
解体されていくアグリアスは萌える

248:名無しさん@ピンキー
09/06/20 02:08:02 aifCKE2E
むしろカタギの板に書き込もうと思ったのにちょっと驚き

一シーンならまだしも、リョナメインはきついだろ

249:名無しさん@ピンキー
09/06/20 10:00:03 UGRg3Sx/
月蝕のつづきです。
解体をご希望の方がいらっしゃるようなので、
どこかのブレイク工業みたく一役買いたいと思い、書いちゃいました。
ますますもってろくでもないです。

きっと、生きたまま解体がお好みかと思うのですが、
それだけはできませんでした。やはり血抜きをしておかなくては。
長いですし、淡々とした描写で、つまらないかも知れません。
ライトなのがお好みの方は、プロローグとエピローグだけをどうぞ。

では、みなさまの罵声をお待ちしています。


250:「月の裏側」プロローグ 1/3
09/06/20 10:02:08 UGRg3Sx/
ここは?何か変な感じ・・・。
あれ?手足が動かないよ?
えっと、あたしいったい何してたんだっけ?

宙人くんとエッチして・・・、えへへっ。
全身マッサージしてもらってお風呂に入ったことはかすかに覚えてるんだけど。
でも、宙人くん?宙人くんはどこ?なーさんは?
それにとってもおなかがすいてるよ。

「宙人くーーん!」「なーさーーん!」

「パパー!おなかすいたよー!!!」

「お目覚めかい。きらりちゃん。」
はっ、男の人だ。

「誰?」

「???おじさん?なんで逆さまなの?」
「え?違う?あれっ、あたしなんで逆さ吊り?」

「困るよきらりちゃん。映画撮影の途中で寝てもらっちゃあ。」
「映画撮影・・?そうなんだ・・?」

「『そうなんだ』、じゃないよ。」
「いいかい?君は囚われの身。でも、決して気高さと笑顔を絶やさないお姫様だ。」
「王子様が助けてくれることを信じる強いお姫様なんだよ!!」


251:「月の裏側」プロローグ 2/3
09/06/20 10:03:36 UGRg3Sx/
「ご、ごめんなさい。」
「じゃ、ここのカメラで君を撮ってるから、これからしばらく絶対に笑顔を絶やしちゃいけないよ。」
「はいっ。わかりましたー。」

カメラあったんだ。
えへへ、おどろいちゃったよ。いきなり逆さまなんだもん。
でも、映画撮影なんてお仕事あったっけ?

「3、2、1、キュー」
うーん・・・。笑顔~。笑顔~。
でも、王子さまって宙人くんだったりして?宙人くんの王子さま姿、すてきだろうなぁ。

「いいよ。いいよ。」「さあ、お姫様。もっと気高く。」

お姫さまかー。こうかな?
「そうそう。GOOD!」
宙人くんー。早く助けてー。なーんてね。


「はーい。肩の力抜いて。そのままリラックス。もっと、リラックスー。」
「じゃ、すこし首筋がちくっとするけど、そのままの表情で我慢だよ-。」
「あー、横の奴、しっかりバケツで受けとけよ。床にあまりこぼさないようにな。」

あ、他にもスタッフさんいたんだ。って当然か。

不意に背後から来た何かが首の横をすっーと撫でた。

252:「月の裏側」プロローグ 3/3
09/06/20 10:04:48 UGRg3Sx/
あれ・・・?。あれれれ・・・・?
なんか、頭がぼーっとしてきちゃった。
雨?ほっぺになんかかかったよ。気持ち悪いよ・・。
は、早く撮影終わらないかな?意識が・・・。また寝ちゃうよ・・・。




はっ、ダメだよ。撮影中なんだよ。
あたしのことを見にきてくれるお客さんのために、もっとがんばらなくちゃいけないの。
あ!宙人くんだ!!
やっぱり宙人くんが王子さまだったんだ・・・。嬉しいよ・・・。
ああ、何だろう・・・目の前が真っ白・・・・。
ひろと・・・くん・・・・・・・。



長い沈黙のあと、男の声が響いた。

「はい!カーット!」
「最高だよ。きらりちゃん。ご苦労様。」

そういいながら、男は、少女の下へ向かい、血に塗れた頬を撫でた。
少女は、穏やかな微笑みを浮かべたまま事切れていた。


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