猟奇・鬼畜・グロ・嗜虐・リョナ系総合スレ 第8章at EROPARO
猟奇・鬼畜・グロ・嗜虐・リョナ系総合スレ 第8章 - 暇つぶし2ch1:名無しさん@ピンキー
09/01/31 18:44:01 KsugpSXm
このスレの90%は、陵辱・拷問および苦痛・・殺傷などを嗜むエログロ趣味で出来ています。
アングラ性を自覚し、メール欄にはsageと書き、スレ浮上はなるべく避けましょう。

SSを投稿される職人さん、大歓迎です。どんな妄想でも思う存分に表現して下さい。
ただし、SS上の登場人物は架空キャラに限定し、実在の人物を扱うのは当然ながらNGです。
架空キャラであれば、漫画・アニメ・ゲーム・ラノベなどの二次パロでも、オリジナル創作でもOK。

読者の方も、大歓迎です。ただし、極めて容赦のない描写がメインになりますので、
耐性のない方、および好きなキャラが残酷な目に遭うのがつらい方はご遠慮ください。

また、職人さんがSSを投下しやすいスレ環境というのは『マターリした雑談があり、
レスが付きやすい』事です。SSにはなるべく反応を返しましょう。一言でも感想でも。
だけどアドバイスや批判は、叩きにならないよう慎重に。

荒らしの方は、歓迎しません。ただし、住人の方はこれを完全スルーするように。
反応している住人がいるかのように自演する、そんな煽りにも引っ掛からないように。
叩かれやすいジャンルなので、いちいち相手しても意味ナスヽ(´ー`)ノ

最後に。このスレの10%は、世間一般で言う愛とは別の形の愛で出来ています。
マルキ・ド・サドに祝福を。


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【サクラ大戦のグリシーヌを監禁陵辱】
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2:名無しさん@ピンキー
09/01/31 19:09:13 JDTHLczz
   _,,....,,_  _人人人人人人人人人人人人人人人_
-''":::::::::::::`''>   ゆっくりしね!!!         <
ヽ::::::::::::::::::::: ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
 |::::::;ノ´ ̄\:::::::::::\_,. -‐ァ     __   _____   ______
 |::::ノ   ヽ、ヽr-r'"´  (.__    ,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、
_,.!イ_  _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7   'r ´          ヽ、ン、
::::::rー''7コ-‐'"´    ;  ', `ヽ/`7 ,'==─-      -─==', i
r-'ァ'"´/  /! ハ  ハ  !  iヾ_ノ i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |
!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ  ,' ,ゝ レリイi (ヒ_]     ヒ_ン ).| .|、i .||
`!  !/レi' (ヒ_]     ヒ_ン レ'i ノ   !Y!""  ,___,   "" 「 !ノ i |
,'  ノ   !'"    ,___,  "' i .レ'    L.',.   ヽ _ン    L」 ノ| .|
 (  ,ハ    ヽ _ン   人!      | ||ヽ、       ,イ| ||イ| /
,.ヘ,)、  )>,、 _____, ,.イ  ハ    レ ル` ー--─ ´ルレ レ´


3:名無しさん@ピンキー
09/01/31 19:11:11 tBKpGxuP
>>1

4:名無しさん@ピンキー
09/01/31 23:43:52 PLsmi4++

   _人人人人人人人人人人人人人_
   >   >>1さんスレ立て乙ー!!!<
   ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^YY^^Y^Y^Y ̄
      /ヽ    /ヽ、       /ヽ     /ヽ、
    ./  ヽ\_// ヽ      /  ヽ\_// ヽ
    /__/:::::::::::::::::\__ヽ      /__,/     \__ヽ
  ./:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ    ./ __     __ヽ
  |:::( ┃ ):::::::::::( ┃ ):::|   | ●       ● |
  |:.::::::::::::、:::_,、_::::,:::::::::::.:|   | (:::::)       、 (:::::) |
  ヽ::::::::::::::ヽ_/:::::::::::.丿    ヽ   `-'`ー‐'   丿
    `'‐‐┬;;;;:::;;;;┬‐‐'      `'‐‐┬----┬‐‐'


いや、正味な話 500kb寸前でのすべり込みスレ立てGJでした!

5:名無しさん@ピンキー
09/02/01 00:20:42 +XVqH3vm
>>1
スレ建て乙!

前スレの>>635も乙!
続きwktkしながら待ってます。

6:名無しさん@ピンキー
09/02/01 23:11:34 dL0KlclL
即死回避保守

7:名無しさん@ピンキー
09/02/02 22:55:28 kj3apruc
ほしゅほしゅ。

8:名無しさん@ピンキー
09/02/03 02:29:04 qelxvss1
即死回避

9:名無しさん@ピンキー
09/02/03 14:48:15 2ZKqg6UM
即死回避賛同者、集え!!
まずは30くらいまで!

猟奇的SS投下とか尚よし!

この際、それなりに向きが猟奇、鬼畜的なら詳細不問で。
いいよな?


10:名無しさん@ピンキー
09/02/03 14:49:18 NSh8TEuk
1otu

11:内臓 ◆K.bFV0qyQk
09/02/03 15:11:52 EICMXKfZ
>>9さんの意向に甘えまして、
保守の役割的要因にての短編を投下させていただきます。
少々長らくの投下になるとは思いますがよろしくお願い致します。

12:名無しさん@ピンキー
09/02/03 15:13:57 EICMXKfZ
びゅんびゅんと移り変わる景色は早すぎて緑と白と家庭的な色が配色されていることぐらいしかわからない。
空はどっしりと分厚い雲で覆われていて、見ているだけで重さが伝わってくるほどだ。
車の窓を全開に開け、ぶしつけな僕の運転で切り裂かれたように
切り取られた風が容赦なく僕の顔を殴るようにふりつけては消えてゆく。

僕は、ここ最近ずっといらいらしっぱなしだ。
人は、苛立ったりすると一人の時間を持ち、
上手にそれを昇華させてゆく能力が備わっている。

しかし僕は自分の気持ちの昇華方法を知らない。
知らないというより、できないのだ。
感情が爆発したと同時にその身をまかせ、
全身暴れた痛みと疲労に包まれながら、
悲痛の叫びを上げ破れかけの喉に水を流し込み喉を潤す以外僕にはできない。
その度に僕は、Rを恨み、Rを憎むのだった。

Rは世渡りが非常に上手だった。
自分の欠点をよく知っているので、
自分にストレスにならないようそれを避けて生きていた。
だから僕はRの感情が爆発したところを見たことがない。
そのせいか、彼は今もフリーター、
好きなことをし気ままに生き自身の気持ちに忠実にこの世を生きている。

僕はRが羨ましかった。
将来という夢を引き換えに気ままに生きているRが。
自ら耐え切れないカテゴリには決して近づかず生きていっている
Rのそのどうしようもなく不甲斐無い勇気が羨ましかった。
同時に、とても憎ましいものでもあった。


彼は人の痛みがわからない。


彼は辛辣な場に自分の将来と引き換えにその身をその場所に置かない。
人生は楽しいことばかりじゃない、そう最初に教えてくれたのは両親だったが、
Rの親はそれを避ける術でも教えたのだろうか。
とにかく、Rは辛辣な場に身を置いている人間に対し、
その身をその場に置くことを一番に恐れている彼はおぞましいまでの嫉妬と不満を露にしていた。
Rの友人が仕事場で大変だった時、
Rはその不満を受け止めることをしなかったどころか、幼稚で情けない叱責をしていた。


「そんなん自分が選んでる道やん、なんなんどさっきから」


一緒に三人で飲んでいたビールまでもがじわっと汗をかき、
木製のテーブルを深く濡らしたのを僕は忘れることができそうにもない。
とっさに反応したRの友人のひどいなぁおまえは、
という笑い声を交えた反応がなかったら、僕はRをその場で張り倒していたに違いない。
偽善者の皮をかぶって、自分を守るため人当たりよくしていていても、
僕はRの腹のうちは自分を守ることで一杯の甘えの塊だということをよく知っている。

13:名無しさん@ピンキー
09/02/03 15:14:39 EICMXKfZ


僕は以前Rに居酒屋でこう述べたことがある。


「Rは本当、甘いお菓子の塊みたいだよね」


にっこりと笑った僕の目は全てが黒目になったかのように、
憎悪と愛しさに滲み出、Rを穴を空くほど見据えていた。
Rはそんな僕の心情も知らず、菓子類は大好きだと僕に言い、そして笑っていた。
Rがそういった行為を人にすればするほど、
僕の中のRはどんどん美しくも禍々しいものへと変わっていった。
そしてそれはどんどん、歯止めの利かないものとなっていった。

そして決定的な出来事が訪れた。
僕が仕事で大きなミスをした日のこと、ちょうどその日はRと二人で飲む日だった。
競馬で勝っていたせいかRは上機嫌で、
酒のせいもあってかすこしその日は気が大きかったように思う。
僕は無理をして笑顔を繕っていたが、
やはり仕事への大きなミスとその落胆は笑顔で隠されるものではなかった。


「今日元気ないやん、どしたん?」


汗をぐっしょりかいたビールジョッキ片手にRは機嫌よく僕を見、グラスを仰いだ。


「Rにはあまりこういったことは言いたくないんだけど」


重い話と察したRはその先を促さなかった。
なぜなら彼はこういった組み言った話、面倒な話が嫌いだからだ。
つくづくRという人間は素直なやつだと僕は思う。乾いた笑いが出た。


「Rの友人と同じ感じのような出来事でへこんでいるだけだよ」


そうなん、と控えめに述べた後、注文していた大阪風オムレツがテーブルに届く。
マヨネーズとソースで卵を覆い隠すようにたっぷりとトッピングされている、Rの大好物だ。


「まあ、社会は厳しいものだよね!」


僕の眉間がぴくりと反応する。
Rは箸をとり口の周りをマヨネーズとソースでべちゃべちゃに汚しながら、話しを続ける。


「底辺には底辺の世界があるんよ、そこで生きるしかないっしょ!」


そういいながら恐ろしく陽気に熱く湯気だった大阪風オムレツをほおばるR。
僕は絶句した。
そして次には、無意識にRに言葉を投げかけていた。


14:名無しさん@ピンキー
09/02/03 15:15:51 EICMXKfZ

「酒がまずくなるようなことをいってすまないが、
R、君は自身の現状をどうにかしようとは思わないの?」


にぎやかで騒がしい居酒屋の騒音すら通りぬけるほど、
僕の声は悲しいほど真っ直ぐにRの耳に届いた。
真面目な顔をし驚いている僕にRはすこしの怪訝な表情を浮かべ、お決まりの台詞を吐きだした。
冒頭に鼻で笑う擬音をつけながら。


「だって俺、できねぇもん」


それでこの話は終わり。
これを言われたら誰も反論することはできないよ。
それぐらい、力強く僕を敵とみなしたような言い方をし、悲しい主張を彼は見事に僕にしたのだった。
彼の小さな唯一の自由が許せる世界を守るために。

僕は頭を抱えた。
Rは自らで自らの成長を、時間を、経験を、止めてしまったのだ。
だから人の痛みがわからない。
恐れているものに近づこうとしない。傷つくのが怖いから。
自分というものが社会によって改めて無能な人間なのだと気づくのが怖いから。
もはや手遅れなのだと理解しその気持ちを誰よりも隠しているということを他でもない彼が一番知っているだろう。

僕はこの台詞にどう答えていいものかわからなかった。
そうだね、Rはできないから、無理な話だ。
そんなことをいっても皮肉としか受け止められないだろう。
両親の悪口をいっていいのはその子供だけで、
その子供と一緒に子供に同情し両親の悪口に乗ったら最後友情が壊れる。
Rにも同じことがいえる状況だった。
彼は16歳で時間がとまってしまっている。
あれからもう12年も経ったというのに。


「R、社会の制限から、大人の義務から、苦しみから、解放されたいと思ったことはない?」


代わりに僕はこの質問をした。
質問の目的が掴めないRは大阪風オムレツの最後の一切れを口に運びながら怪訝な表情を浮かべる。


「どう?金がなきゃいきていけない世界、
大人になったら働かなきゃいけないこの世界、Rは好き?」


Rは絶対にイエスかノーかでは質問に答えない。
答えたらその責任が課せられると思っているからだ。
とことん臆病なやつなのだ、Rという人間は。
僕の予想通り、Rは当たり障りのない答えを述べた。


「そんなこといっとってもこの世界に生まれてきたんやけん、
いまさらどうしようもなかろが」


そういい豪快にジョッキビールを飲み干すR。
随分酔いもさめてきたようにみえた。
そのせいか現実を突きつける僕という人間と早く別れたがっているように見えた。

15:名無しさん@ピンキー
09/02/03 15:16:51 EICMXKfZ

「僕は今の世界が好きか嫌いかを聞いているんだけど」


「こんな世界が好きなんていうのは御偉いさんだけなんじゃねぇーの?!」


はき捨てるように伝表を持ってわざと大きな足音を立てながら、
Rは会計には向かっていった。
ここまで露骨に一緒にいたくないというサインを出されたのは初めてだ。
僕自身、Rのあえていやな部分に探りを入れる行動をしたのは始めてだったが、
想像していたより恐ろしいものでもなかった。

そうか。Rはこの世界が嫌いなのか。
もはや僕の頭のなかにはこの言葉でいっぱいになっており、
他のものは一切抜け落ちていたように思う。


「送っていくよ」


酒を飲んでいない僕がRを送るのは自然な流れだったはずだのに、
何故かRはわざわざ金のかかるタクシーで帰ろうとしていた。


「酒の場を悪くする質問をしてすまなかったよ、
タクシーは5000円もかかるだろ、乗ってけよ」


Rの肩をぐいとつかむ。ひ弱なR。可哀相なR。
僕に力ではかなわないのに。
僕の肩を掴む力が強かったのだろうか、Rは目線を僕に合わせず、
無言で僕の手を振り払い僕の車へと向かった。


16:名無しさん@ピンキー
09/02/03 15:18:19 EICMXKfZ


びゅんびゅんと移り変わる景色は早すぎて街頭の明かりと夜の闇が配色されていることぐらいしかわからない。
空は雲ひとつなく、何もかも見透かされそうに澄み渡っているほどだ。
車の窓を全開に開け、ぶしつけな僕の運転で切り裂かれたように
切り取られた風が容赦なく僕とRの顔を殴るようにふりつけては消えてゆく。


「R」


僕はRの名を呼ぶ。
Rは僕の様子がおかしいと察して静かなのか悪酔いをしているのかは不明だが、表情に不安の色を浮かべ僕を見た。


「僕がRを救ってやるよ」


そういい、アクセルを全開に踏み込み、ハンドルを切る。
Rの短い悲鳴。
風が痛いほど顔に降りかかる。


やめろ、何すんど、おまえ今日ちょっとおかしいわ、
などのRの悲鳴が夜の闇に響き渡る。
僕は何故かこの状況がとても愉快でおかしくて、
狂ったようにアクセルを全開に踏みハンドルを握り笑っていた。
車はどんどん人気のないところへいく。
街頭の明かりが届かないところへ。社会の規制が届かないところまで。
僕はアクセルを踏み続けた。


急ブレーキをかけ、
僕はガードレールが刺さっている崖の先にある海を見つめた。
Rの顔は真っ青になっている。


「賭けをしよう」


Rは僕のその一言で全てを把握したのか、
逃げ出そうとシートベルト、そしてドアをこじあけようとする。
シートベルトは外せても、ドアは開かない。Rはもう逃げられない。


「逃げちゃだめだ。いつまで逃げ続ける気だ。この世界から。自分から。」


Rは罵声を僕に浴びせてきた。ふざけんな、ここから出せや!ってね。
いつもは穏やかに人と当たり障りなく話して善人の面を被っているR。
その皮がようやく剥がれた瞬間でもあった。
僕はおかしくて仕方なかった。
この嘘つきが、とても愛しいものに思えて仕方なかった。
ほほえましくその光景を見ている僕の表情に不気味がってか苛立ってかはわからないが、
Rは僕に殴りかかってきた。ぐいを襟元を掴まれる。



17:名無しさん@ピンキー
09/02/03 15:19:18 EICMXKfZ
「ここから俺をだせや。まじでええ加減にせえよ」


僕はにっこり微笑む。実際、すごく嬉しかった。
本当のRの姿が見ることができて、それが何より嬉しかった。
そしてそんなRの窮地に立たされた顔を見たくて仕方がなかった。
それを見るためならば自分の命なんて惜しくなかった。


「ださなかったらどうするの?僕を殴るの?それとも殴り殺すの?」


僕のその様子をみて、Rは一瞬戸惑いの表情を見せ、
僕を投げつけるように叩きつけた。
Rは僕を殺す勇気すらないのだ。それすらも、決められない。
世の中にグレーなんてものは存在しない。
存在が許されるのは色彩だけだ。

Rはすばやく携帯を取り出した。携帯が視界の端に見えた瞬間、
僕は反射的にRを殴り、携帯を真っ二つに折りあげた。
僕の右拳に嬉しい痛みが走る。


「逃げちゃだめだよ。
R、君自身が君のこれからの人生を決めるんだから」


鼻から出血したのか、
Rの顔は赤と怯えと恐怖の三色で染め上がっていた。


「賭けをしよう」


僕はもう一度その言葉を吐く。
Rは鼻からの出血を抑え、
殴られた生理的な現象からか目に涙を浮かべている。


「この世界に立ち向かい生きてゆくか。それともそこから自由になるのか」


Rは僕からすこしでも距離をとりたいかのように体をちぢこませている。
窓やドアをがちゃがちゃといじっている。


「Rは自分でそれを決められないんだろ?
逃げてばかりいるんだろ?だからさ、賭けようよ」


車の窓を割ろうと拳から血がでながらひたすらに殴り続けているR。
そばにある硬そうなもので殴らないところを見ると、
Rが錯乱状態になっているのがわかった。


「よし、じゃあスタートだ」


そういい、僕は車のアクセルを思いっきり踏みつけた。
真っ黒に深い闇がうかぶ崖のむこうの景色に向かって。

18:名無しさん@ピンキー
09/02/03 15:20:17 EICMXKfZ


Rの喉が破れるほどの絶叫と、僕の笑い。
僕は僕の命なんか惜しくない。これっぽちも。
Rの半狂乱な、生を感じる声を聞けて僕は最高の幸せに包まれていた。
これでRがすこしでも改心してくれたらなぁ、そんなことを思っていた。
ハンドルを握る僕の腕にRが爪に肉をめり込ませるほど振りほどこうとしている。
Rが止めれば止めるほど、僕の腕はハンドルとひとつになったかのようになっていった。

ガードレールと車衝突する音。
ばきんとガードレールの破れる音。
ブオン、とタイヤの空回りする音。
Rの気が狂ったかのような絶叫。
気持ちの良い無重力がRと僕を包み込む。
自分に嘘をついて、生き地獄を生きているのなら、自由になろうよ。
ひとりじゃさみしいだろうから、僕が一緒にいてあげて、その背中をおしてあげる。
ここに社会のしがらみや大人の義務など何ひとつなにもない。
大木に引っかかったら、社会に従い生きていく。
引っかからずそのまま岩肌に一直線なら、見事自由だ。

僕は崖の割れ目に太い大きな大木が生えていることを知っていた。
そこにうまく引っかかることができたら、Rはこれからをまっとうに生きていかねばならない。
Rもきっと自分の命を感じ命のありがたみを感じたのならば社会に貢献に生きるよう改心するだろう。
さあどっちだろう。うまく木に引っかかるかな、それともそのまま岩肌に一直線かな。
Rの転機をこの場でRと同じように体験でき観察できる喜びに僕は打ち震えた。

瞬間、目の前に大木の茂みが視界に広がり、
大きな衝撃と共にそこから視界は真っ暗になった。

19:名無しさん@ピンキー
09/02/03 15:22:04 EICMXKfZ


鈍痛が僕の意識を支配する。
どんな乗り物酔いよりも酷い不快感が僕を押し寄せた。
僕は生きているのかどうかわからなかったので、
うめき声をあげてみた。声はでる。
では次に体のそれぞれの部位を動かしてみた。
動く感覚もある。どこも欠けていない。
どうやら僕は窓ガラスに大きく頭を打ちつけ
ハンドルに覆いかぶさるように気絶していたようだ。
外を見るとすっかり朝日が昇っていた。
朝日が眩しすぎるのか陽射しが白く輝いている。
車内には窓ガラスを突き破って侵入してきた大木の枝に茂る葉が
僕の血まみれの頭を撫でるかのように覆いかぶさっていた。

R、僕達は賭けに負けたね。

そう言おうと顔を助手席に向けたとき、
僕の時間は残酷なほど降り注ぐ朝日に包まれたまま止まってしまったのように感じた。

車内から突き抜けた大木の大枝は僕の腋の下、
首の横を通り抜けたのに対し、
Rのほうの大木の大枝はRの体ごと、
しかも車内に侵入してきた全ての枝がRの体を突き抜けていた。
Rの体を突き抜けた枝はクリスマスツリーのように
Rの臓物が葉に絡まり赤を中心とした色に鮮やかに彩られている。
緑と赤のまだらな葉からはぽたぽたと赤い液体が垂れ落ち、
大木の枝たちはRの体にまるで侵入したかったかのように、見事に突き刺さっていた。
正面の枝はRの左の目玉から突き抜け、
そして下から串刺しのようにちょうど枝がRの心臓部分に突き出ていた。
めり込まれるように侵入されたRの左目があった部分は太く逞しい枝がぎっちりと埋まっていて、
皮膚が枝が突き刺さった方向に引っ張られているためか、
そこに顔のパーツが吸い寄せられ口が半開きにななりRの表情は歪んでみえる。
無事な右目は左の枝に押し出され行き場をうしなった体積が右目を押し出す形になっていて、すこし飛び出ている。


この大木に引っかかったら僕らの負け。
社会に出て、"大人"として生きていく。
けれど、命がなくては、社会に出て行くことも、もう"大人"にもなれない。
それでも僕はこの光景をRが選んだRの運命として見届ける為に、
視線を決して逸らさなかった。
瞬きを忘れるほど、
僕は食いいるように肉片と化してしまった魂のない抜け殻の
Rを穴が空くほど見据えた。

身を乗り出し、僕は枝によって突き出てしまったRの心臓にそっと手を触れる。
がさがさと葉の擦れあう音と、小鳥の鳴き声、そして遠くから波の音が聞こえる。


20:名無しさん@ピンキー
09/02/03 15:23:13 EICMXKfZ

枝によって飛び出し突き出てしまい
さらには串刺しにもなってしまったRの哀れな心臓を、
僕はゆっくりと枝から引き抜いた。
粘膜音が静かな車内に響く。
べっとりと命を濃縮した液体が僕の掌につき、Rの命の重みが掌に伝わる。

僕は静かにRの心臓に耳をよせた。
何も聞こえないことはわかっていたけれど、
Rの命の音がかすかに聞こえた気がした。

運命さえも死を選択し、社会に出ることを許されなかったR。
自由になったけれど、恐怖に包まれたまま自由になり逝ってしまったR。
僕はRの心臓を胸に抱き寄せ、
そして心臓に残されたRの命の液体を両手をあげ仰ぐように心臓を力の限り絞り、
そこから滴るRの命の液体を一滴残らず飲みほした。
それは、とても濃く、とても悲しい味だった。

生に関してどうでもよかった僕が生き残り、
生、そして自由に執着していたRが死んだ。
僕は、本当は、彼に社会人としての人生の充実さを、喜びを教えてあげたかった。
せめて社会で生きる僕の中でRは生きて欲しい。
僕はゴムのように固く噛み切れないRの心臓を敬意を持ちながらひと噛みづつ、
そしてゆっくりと僕の中に取り込ませていった。
錆と死と悲しみの味が僕の口いっぱいに広がる。
とめどもなく涙が溢れてくる。
食べ終わったときには僕は子供のようにごうごうと泣いていた。
僕はRに突き刺さっている枝ごとRを抱きしめる。



「R、僕らは、互いを救い合うことができなかった」



白く輝く朝日が僕達を突き刺すように降り注ぎ、
僕はいつまでもRの亡骸に抱きつきながら泣いていた。

21:内臓 ◆K.bFV0qyQk
09/02/03 15:27:20 EICMXKfZ
短編「甘いお菓子」
>>12-20
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等一切関係ありません。
フィクションと現実を混同してしまう方は読むのをただちにやめてください。


スレ汚しを失礼致しました。





22:名無しさん@ピンキー
09/02/03 15:53:42 Cosb4suZ
>>21
GJ、あなたの書く空気感がすごく好きだ

23:名無しさん@ピンキー
09/02/03 21:21:14 ufK+Nxe+
>>21
GJ
とにかくGJ
エロパロ板とは思えない物語に、初めて立ち会いました

24:名無しさん@ピンキー
09/02/03 22:58:35 epK9drGw
即死防止。

25:名無しさん@ピンキー
09/02/03 23:34:11 epK9drGw
>>21
おお、すまん。 >>24だが、専ブラからリロードしないで書き込んでしまった。

GJ!っちゅーか、ある意味芸術だなぁ・・・
いい(良質な)話なんだが
読んでるうちにRがやる夫に、主人公がやらない夫に脳内変換されてしまい(以下略 ・・・ w
バカバカ!自分の想像力の馬鹿!

26:名無しさん@ピンキー
09/02/04 22:10:03 zB30R03e
良作保守

27:危殆魔法と騒擾詩 二話 1/7
09/02/04 22:47:23 3MYN5N1M
前回は残り容量のことを考慮しておらず、失礼致しました。
※注意書き兼おわび
 予想以上に長くなってしまったため、猟奇的な場面まで辿り着けませんでした。申し訳ございません



☆危殆魔法と騒擾詩 二話「謎の急襲」





 ヴァデレキア王国南西に位置する広大な草原・イスマス。
 魔法学院フェリスゴートと王都ツィドキアを繋ぐこの場所は、きわめて殺風景なところといえた。
 見事なまでに何もないためか、地平線のかなたまで続く草原は見晴らしが良く、人の手で拓かれた街道を遊歩する者も多い。
 だが彼女達は、遊歩ではなくそれこそ早足で王都までゆかなければならなかった。
 ただ、逃げるように進行する今、周囲が闇に落ちた頃合いでないことは不幸中の幸いだった。
 中天からさんさんと降りそそぐ陽光がある現在ならば、突如の奇襲をうける可能性もぐんと減る。
「―本当に良かったですね……とは口にすべきではないんでしょうが」
 遠慮しがちに言ったのは、学院の女教師陣の中ではもっとも年配のディアナ=セイジだ。
 生徒と同じく全身を漆黒のローブにつつみこみ、女性にしては短めの金髪をひとつに束ねて後頭部に垂らしている。
 フェリスゴートの院長が男とあって、副院長である彼女が必然的に引率役をになっている。
「そうですね……」
 無難に応えた女教師、ソフィア=ベントの声はひかえめだった。
 六年生をうけもっている彼女はもうすぐ四十路をむかえようかという年頃だが、とてもそうは見えないくらい若々しい美貌の持ち主である。
 かなり目立ちそうな白桃色のローブをきこみ、ヴァデレキア人たる証の金髪も透くような水色にそめあげてしまっている。
 ローブのはだけた部分から僅かに漆黒のドレスが見えていて、絶妙な色の対比となって彼女を映えさせている。
 雅やかな人というのを見事に体現していた。
「……副院長、しかし生徒達はこのことをどう考えているんでしょうか?」
「男子であれば不安よりも怒りの方が大きいと思いますが、女子の場合は恐れおののいている者の方が多いでしょうね」
 と淡々と述べた上で、こうつけ加えた。
「ですから、我々がしっかりそこを補って、生徒達を無事王都まで送り届けなければなりませんよ」
 何事もなくこのペースで歩めば、半日もあればツィドキアに着く。
 つまり、歩む時間のうち半分は夜ということだから、なにが起こっても不思議ではないから気は抜けないと言っているのだ。
 歳を重ねた副院長の意志をくみとり、ソフィアは気をひきしめた。
「わかりました。このベント、わが身に代えても生徒を守りぬいてみせます」
 なんとも仰々しく誓ってみせた彼女だが、それくらいの気概を持っていなければこれだけの人数の生徒の命を任せられない。
 心の底でどう考えているかは別にしても、実際にやれることが大事なのである。
 ソフィアが実力巧者なのは疑いようはないにしても、敵はあの国境要塞を二日も要さずに墜としたと聞く。
 フェリスゴートから要塞都市までは歩きで四日はかかるが、強行軍ならばそれより大幅に短くなる。
 ゲニードベルドの軍に追いつかれてもなんら不思議ではないのだ。

 ――


28:危殆魔法と騒擾詩 二話 2/7
09/02/04 22:48:40 3MYN5N1M


 王都ヘむかう時でも、学院の少女達の格好は変わらなかった。
 漆黒のローブを全身にまとい、中には濃緑色の長袖上衣と茶色く短いスカートを着こんでいる。
 腰には皮製の杖帯(魔杖を収めて入れるもの)をおびて、ふところに手をもぐりこませればいついかなる時でも魔法が行使できるような状態だ。
 彼女達がはいている黒いブーツはひざ下までだが、ほぼ全ての生徒がローブによって身体を覆っているため、素肌(つまり太もも)が見えることはない。
 ―ひとりを除いては。
「で、今回の侵略についてどう思う?」
 ぞろぞろと固まって草原を歩む三年生女子の中、前方に固まっている妖精三人のひとりが口を開いた。
 まるで勇ましい少年のような声で、美しさと凛々しさを兼ね備えているエレン=アキオールだが、れっきとした十五歳の少女である。
 ちなみに彼女だけ……本当に彼女だけが、学校に支給されたローブを着ていない。
 代わりに短めの黒外套を羽織っているものの、これではほとんど生身の状態で戦場に出されているのと同じだ。
 支給される魔術師のローブには魔法耐性がある、といったことを院長先生自らが苦言を呈したのに、エレンはこれを一言で突っ張ってしまった。
「あんな動きにくいもんきてちゃ、上位自然魔法の印が書けやしない」
 なんとこの台詞だけで、彼女は外套装備を認められてしまった。別に外部から圧力がかかったというわけでもないのにだ。
 それだけこの少女が特別視されている証拠である。
「うーん……まさかあれに気付いたわけじゃないと思うけど」
 エレンの先の言葉に応じたのは、金髪を短くそろえた優美な少女―ミリアム=オトニウェルだ。
 一見して性格も振る舞いも普通の? 美少女に見えるが、中身はというとそれこそ筆舌尽くしがたいものを持っている。
「可能性は捨てきれないぜ? どうやって知ったかはさておいてな。しかしそうだとしても連中、攻め込むなんて無茶しやがるとは」
 自然と声を抑えているあたり、彼女達はかなりの手練であることがうかがえる。
 そしてこの会話を目前で聞いている黒い長髪の可憐‘そう’な少女―イグレーヌ=バルティマイデも、ふたりと同じく群をぬいた実力者だ。
 名家の生まれで隣国ゲニードベルドの者ゆえ、先程から痛くなるような視線が殺到しているが、そんなもの歯牙にもかけていない黒髪少女である。
 ちなみにこの三人、近くに自分たちをうけもつ先生―アリッサ=エリザベトがいるにも関わらず、全く意に介していない。
「どちらにしても、考えるのは無事王都についてからですわね」とイグレーヌ。
「たしかにな。っても、やつらに追いつかれる可能性なんざ、十に一つとないだろうが」
 この言葉に表情を曇らせたのはミリアムだ。
「どした、ミリアム?」
「いやね、エレンも私と同じこと考えてたんだなって。―十に一つ……無いとは言ったけど、結構可能性としては捨てきれないわよね」
 まさしくその通りである。
 ふつうこんな場面では、万に一つだとか、少なければ百に一つといった表現をするものだが、エレンはあえて十に一つと言った。
 銀の髪の精悍な少女は、彼女のもっともな正論に微笑を返してみせた。
「さすがミリアム先生。いつもながら的を射てらっしゃる」
「ちゃかさないでよ」
「わりわり。でも分かってるよな、二人とも。一応確認しとくか?」
 エレンの発言は、「ゲニードベルド軍が襲来したらどう行動するか、相談せずとも飲み込めているな?」という意味だ。
 ふたりともこれに首を縦に動かすことで答えた。
「……ちょっと、三人ともっ」
 なんだかやたらと舌足らずな声が聞こえてきた。
 声の主は、いきなり三人の妖精をふり返ったあどけない顔立ちのエリザベト先生だ。

29:危殆魔法と騒擾詩 二話 3/7
09/02/04 22:52:27 3MYN5N1M


 背丈の小ささと純白ローブのだぼだぼ感がやけにおもしろい。
 イグレーヌ以上に長い髪は金にそまり、齢二十三にはみえない童顔が特徴のアリッサだが、その幼い声も―ついでに身体も―彼女を子どもっぽく見せてしまっている原因だった。
 彼女の声はどうも、緊迫している時とそうでない時の差が非常に大きく、先刻のは言うまでもなく緊張感がぬけている時の声である。
 美しい少女達はそろって苦笑したものだった。
「先生……もう少し緊張してください」とエレン。
 生徒が先生にいう台詞なのかは疑問だが、言われた当人は頬を染めて頭を下げてしまった。生徒相手に。
「ご……ごめんなさいっ。わたしってば、こんな時まで……」
 までぇ? と心の中でつぶやいたエレンである。
「って、なんでわたしが謝ってるのかしら。そもそも…………」
 あなた達が背後でささやき合ってるから注意しようと思ったのにっ―と言おうとしたが、何故かその気が萎えていることに気付いた。
 ふうぅ……と深いため息をついてひといき入れ、
「ごめんなさいね。逃げ切れるなんて当たり前だと思って、つい気をぬいちゃったみたい。私もしっかり気合入れなきゃっ」
 先生、それ、気合入ってません―
 二度も詫びられたが両方とも気の抜けた声だったので、エレンは思わずそう突っ込みを入れそうになった。
 言おうとした時にはすでに前へずんずんと歩み進んでいたので、何とか諫めずにすんだが……
 でも、この状態で緊張感をもてない先生も実は大物なのかもしれない。
 そうも考えた銀髪少女だが、それをミリアムあたりに言ったら「おバカなだけじゃない?」と返されそうなので(ついでに自分も馬鹿扱いされそうなので)やめておいた。
「……わたくし達の担任があの方で良かったですわね」
 すみれ色の双眸をうすめながら、やや憂いを帯びた雰囲気で黒い髪の少女は言った。
 悪く言えばそれこそ馬鹿にしているとも取れるが、実際先生が邪念のない良い人なのは、彼女達にとって大いに助かっているのだ。
「そうね。不穏な空気も流れてないみたいだし、このまま無事王都に着きそうな感じがするわ」
 ミリアムは先生の事を「そうね」の一言でかたづけてしまった。
「俺もそう思うけど、先生みたいに気ぃ抜くのはなしな。言うまでもないだろうけどさ」
「いかにも、ですわ」
「なんだかんだで一番心配なのはエレンだけどね」
「それを言うなよ。まっ、ミリアム先生から忠言喰らう前に気ぃ引き締めておくか」
 はたから見ればミリアムの忠告は失笑物にすら見えるかもしれないが、これも的を射ている。
 やや中性的な容姿や男顔負けの口調、性格であるため誤解されがちなエレンだが、実は三人の中では一番女の子らしい心の持ち主なのだ。
 むろん、普通の女の子と比べればこそ異常な精神の強さがあるものの、ミリアム・イグレーヌの両名には遠く及ばないとエレンも自覚している。
 三人は話しあうでもなくエレンがリーダーシップをとって行動する間柄だ。
 ミリアムとイグレーヌは、エレンがもっとも(頭の回転は多少にぶいが)繊細な思考と性格の持ち主であり、且つ実力においても申し分ないことを認めている。
 エレンもふたりの信頼を受け、ならばやってやろうじゃないかと腹を据えた上で彼女達に絶大な信頼をおいている。
 十五歳の、未だ思春期もぬけきらない少女達の関係としては尋常ならざるものを感じとることが出来る。
 だが、この後におこる出来事によって、その関係性に変化が生じるとは夢にも思わない妖精たちであった……

 ――


30:危殆魔法と騒擾詩 二話 4/7
09/02/04 22:54:07 3MYN5N1M


 イスマス草原に異変が垣間見えたのは、陽が沈みかけたときだった。
 真っ先に気付いたのは三人の妖精ではなく、橙がかった草原を三白眼で見すえていたフェリスゴート副院長―ディアナ=セイジである。
「…………先生、ベント先生」
 不安を紛らわそうと、隣を歩むソフィアに声をかけた。
 顎までかかる波打つ水色の髪を揺らしながら、齢のわりに若々しい女教師がふり返る。
「何ですか、副院長?」
 どうやらこの様子だと気付いていないらしい。
 平然と言われて頭を抱えたくなった年配の副院長だが、それどころではない。
「貴女にはわかりませんか? 草原の景色が、大気が……悲鳴をあげています」
 思わず遠まわしな表現で意志の伝達を試みたが、あまり意味を成さなかったようだ。
 ソフィアは、若干呆けた表情から動く気配がないまま口をひらいた。
「……副院長、突然どうなさいました? 失礼ですが、おっしゃる意味が理解できません。‘魔気’に異状でもありましたか?」
「そう言っても構いませんが、ベント先生……良く、ようく眼を凝らしてみて下さい」
 ますますよく分からない。
 とりあえず彼女の言うことに従い、紅い夕日に照らされた草原をじっと眺めてみた。
 特に異状はない。
 ‘魔気’も景色もいたって正常にみえるが、一体何がおかしいのか。ソフィアは無礼を承知で尋ねてみた。
「草原ではなく、眼前の大気を視てみてください」
 副院長の言葉にいぶかしさを覚えながらも、ソフィアは‘眼前’に向かってまなこを見開いた。
 ―瞬間。
 ようやく彼女は自分の非を認識し、すぐにディアナに向き直って頭を下げたのである。
「…………副院長、申し訳ございません」
「良いのですよ。貴女の反応はごく自然でした。責めたところでどうしようもありません」
「ありがとうございます。しかし副院長、これは……」
 発言を自分でさえぎって、後方からついてくる女生徒達を見ようとして、思いとどまった。
 話し合っている最中も彼女らは足を止めてはいない。
 なんとなく後ろへ向こうとしてしまったのは、この話が聞かれてはまずい内容だからだ。
 もともとふたりと女生徒達は十歩ほど離れてはいるが、いつの間にか誰かが聞き耳を立てていた、なんてことになっていたら目も当てられない。
「とても危険な状況ですが……」
「ご存知でしょう。貴女の力が必要です」
 いささか言葉をさえぎる形になったため、ソフィアは一瞬顔色を曇らせかけた。
 仕事においてはいつも表情を変えない彼女だが、こう見えてかなり激しやすい気性である。
 同じくらいプライドが高いため必死に自分をおさえ込んでいるものの、本人的にもなんとかしたいと感じている部分だった。
「私の力、ですか」
「いかにも。自然魔法においては院長にひけをとらない貴女の力なくして、此処を突破することは叶いません」
「しかしあれを行使するならば生徒達にも知らせませんと。大掛かりな準備が必要となります」
「それには及びませんよ。私自らが身を以って‘相殺’します」
 副院長が冷静に放った台詞に、六年生担任は言葉をつまらせた。
「副院長、さすがにそれは危険です。ここには貴女以上の回復魔法の遣い手はいません。貴女自身が動けなくなってしまったら……」
「王都に着けば、私には及ばないにせよ優れた回復魔法の遣い手がいるでしょう。身体さえ無事ならばそれで良いのです」
「しかし…………」

31:危殆魔法と騒擾詩 二話 5/7
09/02/04 22:56:11 3MYN5N1M


 あくまで落ち着きはらって諭そうとするディアナだが、ソフィアはどうしても納得いかないらしい。
 ソフィアとしても、別にそこまでディアナの身を案じて渋っているわけではない。
 要は体面である。
 いかに無事に突破できたとしても、副院長の身と引き換えに、ということになれば責任を問われるのは次席にあたるソフィアの役目だ。
 それに事実、彼女としても自分の手でディアナを行動不能に至らしめるのは、いくらなんでも寝覚めが悪い。
 齢三十九にはみえないこの美しい女性は、どんな時だろうと自分最優先の考えを辞さない人物なのだ。
 同時に高い自尊心もあわせもっているのだから始末が悪い。
「こんな時に立場を気にしている場合じゃありませんよ、先生。はっきり言って、無事王都に着くにはこれしかないのです」
「私が訴えたいのはそのようなことではありません。貴女と、ひいては生徒の身を案じているのではありませんか」
 ずばりと図星をつかれて頭に血をのぼらせかけたが、即返答することでなんとか怒りを収めた。
 そんなソフィアに、ディアナは意味ありげな微笑と、言葉を返す。
「ですから、大丈夫だと申し上げたはずですよ。どうも多くの先生方は、私が回復魔法しかできない婆と思われているようですが……とんでもない。貴女ほどではありませんが、こう見えて得意なんですよ。自然魔法もね」
 壮年の女教師はもう抵抗しようとは思わなかった。
 冷静にふるまっている年配の副院長だが、のたまっている事はまるで子どもではないかと、呆れ果てるのを通り越して妥協してしまった感じのソフィアである。
 はっきり言って自分が本気で自然魔法を行使すれば、それを受けた副院長がただで済むわけがない。
 いや、もの凄く運が悪ければ命を落とすこともありうる。
 副院長はそれでもいいというのだ。
「……わかりました…………しかしセイジさん、私の意志じゃありませんからね」
 なにゆえか、立場上のよびかけではなく名前呼びになっている。
 だが当のディアナはこれを問い詰めようとしなかった。
「やってくれますか」
「致し方ないでしょう。これしか方法がないとなれば、背に腹はかえられません」
「本当にありがとうございます、ベントさん」
 こちらもソフィアに倣って立場上の呼びかけは控えた。
 穏やかに礼を述べるディアナを見て、食えない女だ、と自分を棚に上げて思ったソフィアだった。
 しかし。
 まさにふたりが話し終えた時だ。
 ‘それ’が突如濃くなったのは―
「なにっ!!」
「……よもや、割れてしまいましたか!?」
 ふたりが狼狽する前にはもう、生徒達がざわつき始めていた。
 なにが起こったかといえば、あたり一面が非常に濃い白霧につつまれたのである。
 もはや目の前の人すら視界におさめることができない。
 驚愕はさらに続いた。
 矢継ぎ早に乾いた音が響いて―
「副院長ッ!!」

32:危殆魔法と騒擾詩 二話 6/7
09/02/04 22:58:19 3MYN5N1M


 ディアナは答えもせずソフィアに抱きついた。
「《旋風・我・一》!!」
 いつの間にか右手に現れた魔杖とともに魔法語を諳んじると、ソフィアの身体を中心に竜巻が発生した。
 その竜巻に向かってきたのは火矢だ。
 これが、消火される音と一緒に次々弾き返されてゆく。
 火矢は思ったより早く止んだが、ふたりの後方では大惨事が起こっているということが容易に想像できた。
 直接火矢にかかった生徒はもとより、草原に降り立った火矢がどうなるかといえば―
「副院長!! 一旦後退しましょう!!」
 身体を預けていた壮年教師に離されたが、年配の副院長は考えあぐねていた。
 もうどこに転がっても悪い結果しかみえてこないが、下手に動くのは敵の思う壺である予感がしたのだ。
 それに、これはゲニードベルドの手による襲撃ではない。
 恐らく内部に敵がいたのだ。
 そうでなければ、こんな手の込んだ罠に易々と誘いだせるわけがない。
 だが、そんな思考をも吹っ飛ばす出来事が、眼前でおこってしまったのである―
「―ベントさんッ!!!」
 咄嗟に叫んだのも空しく、走るソフィアの左胸部に火矢が突き立った。

 ――

「皆、無事か?!」
「私は大丈夫。レーヌは?」
「わたくしも平気ですわ。けど……」
 このような突如の襲撃を受けようが、彼女達は傷ひとつ負っていなかった。
 それどころか、後方にいるクラスメイトを魔法で救うくらいの余裕すらあった。
「くそっ! いくらなんでも連中、やりすぎにも程がある!」
「もう一波くるわよ」
「本気ですの?!」
 さすがに妖精たちにも焦りが浮かび始めていた。
 この状況では自分達だけ助かるならまだしも、学院の生徒にまで気を遣っている余裕はない。
 周囲は凄惨の極みだった。
 濃厚な白霧が視界を埋めつくし、その中にまばらに見えるのは赤々と燃え盛る炎だ。
 火は更に勢いを増し、見えない怖さと熱さで生徒のみならず教員まで恐慌に陥る有様だ。
 火矢の本数自体はそんなに多くなかったから直接射られた者は殆どいなかったが、このままでははっきりいって手の施しようがない。
 さらに、ミリアムによればもう一波‘何か’が来るという。
「みんなっ! みんな大丈夫ですか!! まずは退路を、退路を絶ってください!!」

33:危殆魔法と騒擾詩 二話 7/7
09/02/04 23:03:24 3MYN5N1M


 若い先生―アリッサは焦燥の極みにある自分を必死に押し殺して生徒を落ち着かせようとしているが、成果はあまり芳しくいっていない。
 これだけの渦中とあって、いかな彼女も気が抜けるような声は出さなかった(言うことは支離滅裂だが)。
「先生ッ、落ち着いてください!」
「あなた達も、気を確かに、冷静に対処を、出来ますか?!」
「滅茶苦茶ですよ、先生!!」
「ふざけてる場合じゃないわエレン。何がくるか、割れたわ」
 焦りまくる先生とそれをなだめる銀髪少女とを、金髪少女は容赦なく咎めた。
「なんだミリィッ!!」
「何ですのミリアム!?」
「落ち着いて聞いてねふたりとも……実は―」
 こんな時でも先生を無視するミリアムは非情と言えなくもないが、これも彼女なりの配慮だろう。
 この事実を告げてしまったら、アリッサも恐慌に陥ってしまうかもしれないからだ。
 そして、内密にそれを伝えられたふたりの反応が見ものだった。
「……やつら、狂ってやがるな」
 今にも殺気が噴き上がってきそうな雰囲気でエレンが言えば、
「……戯れが過ぎますわね」
 イグレーヌもほとほと諦めたようにつぶやいた。
「……しばらくお別れね」
 まとめたのはミリアムだった。
 どんな時でも落ち着きはらっている彼女とは、明らかに異なる声色だった。
 霧の所為でお互いの顔はよく見えず、轟々と燃え盛る火炎の中、‘魔法学院フェリスゴートの三年生’である彼女達はとうとう決別を覚悟しなければならなかった。
「ねえっあなた達! さっきから……なにを話しているの!? これからなにが起こるのっ!」
 傍にいるであろうエリザベト先生が声を張りあげてくる。
 緊迫時の声とはいえ、やはりどこか幼さを隠し切れていない。
 顔は見えないだろうが、エレンは先生に笑いかけて優しげに言った。
「大丈夫。しばらく会えないでしょうが、いつか無事落ち合うことができますよ」
「そんな……一体どういう―くっ!」
 炎の猛りが、とうとう四人にまで迫ってきた。
 この四人ならば魔法での対抗など造作もないことだが、それすらも必要がなかった。
「くるわ……みんな、力ぬいて」
 ミリアムの声は渦中にあっても静かで、明瞭だった。
 そして、まもなく……
 イスマスの中原に存在していた魔法学院フェリスゴートの女人全てが、姿を失したのである― 第二話・おわり



一話一惨劇が早くも崩れ落ちた……
こんなんでいいのか自分

34:名無しさん@ピンキー
09/02/06 00:26:19 sQ169F/R
>>33
wkwktktk! ってか、最後のアレは一種のバシルーラですか?w

>一話一惨劇が早くも崩れ落ちた……
>こんなんでいいのか自分

大丈夫。 壮大なストーリーがあってこそ、惨劇やエロが映えるってもんですよ!
そこんとこを今時の若いモンは解っちゃいないんだよ。
SSの冒頭で、いきなり合体してないと嫌だとかさぁ・・・

35:名無しさん@ピンキー
09/02/06 01:20:58 2eVjxNr/
>>33
乙!

前振りがしっかりしてるほうが、後のエロが味わい深くなるってモンですよ、旦那。
続き待ってます!

36:危殆魔法と騒擾詩 三話 1/10
09/02/09 15:23:22 Y39qMUXn
連投規制が怖いので、今日中には貼りますが二回に分けます。
ええ、無駄が多くて申し訳ない。



☆三話「絶望の誓い」





 銀髪の少女が、雪に埋もれていた頭をゆっくりとおこした。
 全身がけだるさに襲われていてもう一度横になりそうだったが、どうにか堪えて立ち上がった。
 妙に肌寒いと思ったら、ここが雪原なのもそうだが自分の軽装も原因のひとつだ。
 黒外套を羽織り、丈のみじかい茶色のスカートからは微かに大腿部がのぞいている。
 学校支給の緑色の制服こそ長袖だが、布地自体はうすめだ。
 周りが言うとおりローブを着ときゃよかった―なんて思いはしない。
 ……思いたくないだけか。
 気を取りなおして周囲を見わたしてみる。
 あくまで周囲だけだ。
 上は見ようとしない精悍な顔つきの美少女だったが、すぐに胸をなで下ろした。
 見えるのが、気が遠くなりそうなほど続く雪原だけじゃなく、近くにひとり埋もれている人がいたからだ。
 銀色のポニーテールをかざった少女は、迷うことなくその人にちかづいた。
 彼女はあお向けになって双眸を閉じていた。
 ローブがはだけて、中に着こんでいるものがあらわになっている。
 上半身は肌をぴったり包みこむ青い服を着て、下半身には同色のタイトスカートを履いていた。
 服のセンスはともかく、肢体の線がまる分かりなので思わず笑ってしまった。
 体つきまで子どもっぽいとは。
「……先生。エリザベト先生」
 あどけない顔立ちのアリッサ=エリザベト先生のもとにしゃがみ込み、呼びかけてみる。
 返事も反応もない。
 よく見ると、先生の寝顔はかわいい。
 二十三とはとても思えない幼い顔は、なにもしなければこのまま安眠し続けるのかもしれない。
 そう考えるとなんだか勿体ないような気もするが……気のせいだろう。
 不謹慎きわまる思考を打ち消そうと自分の頬をぴしゃりと叩き、本格的に先生をおこしにかかった。
「先生! 起きてくださいッ!! 凍えますよ! 先生ッ!!」
「…………………………っ……」
 再三の呼びかけに、ほんのわずかだが顔をひきつらせた。

37:危殆魔法と騒擾詩 三話 2/10
09/02/09 15:24:20 Y39qMUXn


 銀色の髪の少女は、こうなったら実力行使だと言わんばかりに小さな身体に手をのばし、強くさすりだした。
「先生起きろーッ! 起きなきゃ死ぬぞーッ!」
 無限ともおもえる雪原に不気味に反響する自分の声などおかまいなしに、少女は強くよびかけた。
「んぅ………………な……何よ、もぅ。一体あたしをでゃれだと…………―は!?」
 先生は意味深な寝言をはきながらも眼を覚ましたのに、目付きの鋭い少女はあきれたように、眼をこしこし起きあがったアリッサを見つめていた。
「先生…………そのような趣味がおありでしたか」
「アキオールさんっ、ち……違うのっ! これは、その……」
 服装を整えつつも、気の抜けそうな舌足らずな声でなぜか弁明に入るエリザベト先生。
 違うのも何も、この少女―エレン=アキオールは‘そのような趣味’についてなどなにも分かっちゃいないのだが、本人はばれてしまったと思ったらしい。
「こっこれは、な……内助の功でっ―」
 またも不明瞭な事柄を口走ろうとした先生を、銀髪少女は顔の前に両掌をつきだすことで制した。
「先生……そのことは後ほど詳しくお訊きしましょう。それより今は、ここから脱することを考えましょう」
 静かに、しかしながら重い口調で諭されたアリッサは、一瞬ぽかんとしながらも周囲を見渡した。
 内心、先生がわめき出すかもと危惧したエレンだったが、どうやら杞憂だったらしい。
「ここは……魔界ね」
 うつきながらも独りごちるアリッサの顔が深い憂慮にとらわれている。
 当たり前だった。
 彼女の言うとおり、いわゆる「あっちの世界」―魔界に送られてしまったのだから。
「アキオールさん、覚えてる? こちらに送られた人間が、再び地上に戻れる割合を」
「当然じゃないですか。―十一人にひとりでしょう? たしか」
「よく覚えてたわね。そう……それだけ低いってことなのよ。私たちが出られる可能性は……」
「先生っ」
 アリッサの言葉の中途、エレンが強い呼びかけを発した。
「……なに? アキオールさん」
「俺達、会えて良かったですね」
 淡々とつづられる銀髪少女の発言に、長い金髪を有するアリッサは瞬時に反応できなかった。
「……正直ね、もう会えないと思ってました。
 俺は昔から運が良いやつなんですよ。想った事願った事が大概かなう。そのかわりっちゃあなんだけど、あんまり欲しいものも無かったかな」
 薄着の少女は知らぬ間にちいさな先生の隣に腰をおろし、雪原の地平線を眺めながらしゃべりかけていた。
 仮にエレンが男だったら……先の台詞もまるで告白しているかのようだったし、雰囲気も悪くはないものだったろう。
 しかし場所と立場、それに何より性別を考慮すると、逢引のような空気はもう全然別ものになってしまう。
「俺が孤児だったってのは先生も知ってるでしょう?
 あん時はなりふり構わずなんでも盗みましたねぇ。生きるか死ぬかって時に、正義だの悪だのなんてのは飾りでしかないんですよ」
 告白なのか、説教なのか、自分語りなのか。アリッサはいきなり語り始めたエレンの意図が見えず、混乱しそうになっている。
「だからね、先生。俺は思うんです。自分に正直になればいいんじゃないかって」

38:危殆魔法と騒擾詩 三話 3/10
09/02/09 15:25:23 Y39qMUXn


 とても女性徒が女の先生に向かって‘しらふ’で言うような台詞とは思えなかった。
 男ならこの発言の後に押し倒してきても不思議じゃないわね―なんて考えをよぎらせた自分が少し嫌になる。
 アリッサにはこの豪胆かつ勇ましい少女が自分に弱音を吐いているかにも見えて、一抹のおかしさと共に哀れみをも抱いた。
 同時に違和感も覚えたが、いつもこの少女に抱いている違和感とはまた違う。
 彼女にはどうしても、この少女が「女」とはおもえなかった。
 女の皮を被った……もしくは女の身体を借りた男なのではないかと常に考え巡らせていたが、今日はその思いがかなり強くなっている。
「ところで先生……知ってますよね? ここを脱する方法を」
 少年のような声にはおもみが感じられた。
 うら若き先生も、あえて少女を欺こうとはしなかった。
「知ってるわ。どうすればいいと思う?」
「どうするも何も……」
 エレンは側頭部をかきつつ、一瞬答えようかどうかためらった。
「アキオールさんのことだから、なにか秘策があるのかなって期待してたんだけど」
「ちょっと、そんなに俺を頼らないでください。こればっかりは本当に……」
 エレンはふたたび口をつぐんだ。
 ふたりとも、脱出法やその周辺事項についてはしゃべろうとしない。
 話してはいけないことなのかもしれなかった。
 だがあえて、少女はこの話題をほりさげることにした。
「先生、狩りにでましょう」
「な……なにを言うの!」
「生徒の大半は……下手すりゃ全員がこのことを知りません。知らぬまま逝かせてやるのも情けでしょう」
「アキオールさんっ!!」
 剣呑きわまる発言にさすがのアリッサも声を荒げた。
「それは言ってはいけないことじゃない?! 私に……生徒に手をかけろというの?」
「先生がいやなら俺がやりますよ。痛みも恐怖もなくやる術なら心得てますから、安心してください」
 そういう問題じゃない―
 喉まで出かかった言葉がつっかえて、結局出てこなかった。
 この娘は本気だ。正気の沙汰じゃない。
 自分が……自分達が脱出するために、冗談ではなく学院の生徒をあやめようとしているのだ。
 魔界をおとずれてしまった人間がふたたび地上にもどるには、他の人間の魂が必要になる。
 ここで命を失った人間は光石となり、それを含んだ人間は魔界から脱することができる。
 魔界には魔物が跳梁跋扈し、当然食料もない。
 地上にいても人間にはいつか死が訪れるが、ここではそれが恐ろしく早いといっていい。
 それが嫌ならば、長年苦労をともにしてきた仲間と肩を組むのではなく、殺しあわなければならない。
「……私は、あなた達に殺しあってほしいがために、今まで教えてきたわけじゃないわ」

39:危殆魔法と騒擾詩 三話 4/10
09/02/09 15:26:19 Y39qMUXn


「そうは仰いますがね、仕方がないことです。はっきり言ってこのままじゃ戦争どころの話じゃあない。力のある者だけが地上に戻るべき……違いますか?」
 的を射ている言葉ではある。
 最も運がよかった場合でも、学院の女人が助かるのは半数。
 教師は力があるから残るとかんがえれば、女生徒がここから脱せる割合は……
「よくても半分以下なんですよ、先生。将来有望がどうとかのたまってる場合じゃありません。時には犠牲も強いられるのが―」
 急に、碧眼の少女の台詞がぴたりと止んだ。
 金の髪の先生も‘それ’に気付いたらしく、微動だにせずに緑眼を見開いている。
 ふたりが感じたのは『魔気』と呼ばれる力の波動で、魔法を遣う者に須らくながれている気のことである。
 その魔気は、相当に遠く離れたところから送られてきているから、恐らく魔気の強い者―つまり教師である可能性が高い。
 しかも二つときた。
「アキオールさん……」
「あの二人じゃないですよ。こんなわかりやすく魔気を発散するほど考えなしじゃない」
 なんで自分の訊きたい事が分かったのか、もはや尋ねる気すら失せていたアリッサだった。
 あの二人とは当然、ミリアムとイグレーヌのことだ。
 彼女たちならば、こういう状況におかれたら魔気を抑えて行動するだろうに、今送られてきているのは逆に自己主張が激しい。
 自分達はここにいるぞと気付いてほしいのが手に取るようにわかる。
 それは教師であり、危険であるという二つの要素がからみあっているといえる。
 少々強引な結び付けにおもわれるが、エレンはこう断定づけた。
 何も知らずに近づいてきた生徒を―
「とりあえずこの馬鹿魔気ふたつの方に行ってみましょうか。幸い相手は気付いてないみたいですから、俺達は魔気をおさえてね」
「……会ってどうしようというの?」
 銀色のポニーテールを揺らしながらアリッサに向き直ったエレンは、困惑する童顔に向かって笑いながら言ってのけた。
「殺すに決まってるじゃないですか」

 ――

「いや、ほんと、えらい眼にあったねぇ」
 女教師ラケル=マタティアは、むしろ大した事なさげに言い放った。
 金色であるはずの短髪は茶色に染め上げられ、軽薄そうな緑の双眸は気だるげに積雪した森林をながめている。
 鮮鋭な顔だちは三十という歳相応の若さがあるものの、どこか尊大さが否めない雰囲気をただよわせている。
 そんな、顔貌はあるいみ『軽そうな女』にみえる彼女だが、服装は軽いどころではない。
 足首にとどかんばかりの漆黒の外套に、男の正装のような濃紺のジャケット・ズボンを着込んでいるのだ。
 とても魔法使いの(それも女性の)格好にはみえないが、ちゃんとした理由があり、学院からも許可を得ている。
「なぁ、ソフィア。なーんでこんなメに合わされるんだろうね?」
「本当、腹立つわ。あやうく、セイジに‘あれ’を使わさせられそうになった」

40:危殆魔法と騒擾詩 三話 5/10
09/02/09 15:27:37 Y39qMUXn


 ラケルに答えた彼女―ソフィア=ベントは、普段の整然とした雰囲気をかなぐりすてていた。
 顎にかかる水色の髪は波打っており、大きな緑眼はしっかり手入れされている。
 齢三十九とは信じがたい若々しさの美貌を有しているが、格好もまたすさまじい。
 全身にまとうのは色濃い白桃色のローブであり、中にはそれと対比になるような群青色のドレスを着用している。
 自他ともに認める「雅やかな人」そのものであった。
「それはまた、危なかったね……しっかし、誰も気付かないのか? あたしら以外の魔気、全然感じないよ」
 彼女らは、エレンが言うところの「狩り」を慣行しているところだった。
 魔界にも様々な地域があり、ふたりがいま居る場所は雪のつもった深き森林地帯である。
 と―ソフィアが突然苦悶の表情をはりつけ、その場にくずおれた。
「お、おい! 大丈夫かい?!」
 声をかけつつ、苦しそうに胸を押さえて沈んだソフィアを、しゃがみ込んで窺うラケル。
「うぅ…………くそ、セイジめ……」
 息を荒げながら、忌々しそうに呪詛を吐く。
 本当ならば彼女―ディアナ=セイジは、感謝されこそすれ怨まれる覚えなどあるはずもないのだが、心臓部が回復魔法で完治しなかったことにソフィアは大いに不満らしい。
「……完治させようと思うなら『五』にするだろうに、『四』のせいで塞ぎきれてない……ズキズキするわ」
 つまり、副院長が回復に手を抜いたと言いたいわけだが、これは少々的が外れているといえる。
 回復魔法は強力なほど―治癒力が高いほど時間を必要とする。
 約一時間まえ、ソフィアはやにわに受けた襲撃の際に左胸部を貫かれたが、副院長ディアナがかけよってすぐにも回復魔法をほどこした。
 しかしながら周囲は凄惨きわまる状況、生徒たちのことも考慮した副院長は少しでも早く済ませようとあえて『四』にしたのだろう。
「心臓部に直接回復魔法をほどこせるのは副院長だけだし、あんまり文句は言ってられないけどねぇ」
 相棒のこの意見に、ソフィアはキッとねめつけることで応えた。
「わ、わーったよ。あたしが悪うございました。そんな睨まないでってば」
「……(火矢に貫かれたのは)心臓よ、ラケル。不運にもほどがあるわよ」
 そう呟きながらも、ソフィアはゆっくりと立ち上がった。
 痛みが引いたのか、もう平時の血色の良い顔色を取りもどしている。
「大丈夫かい? ……大丈夫じゃなきゃ困るけど」
「当然じゃない―鼠が引っ掛かったのに、弱音吐いてらんないわよ」
 いつのまにか、彼女らの空気が様変わりしていた。
 振る舞いや話し言葉はかわらないが、明らかに声色が重くなっている。
 強い魔気が急接近してきたことに勘付いたのだ。
「しっかしこれは……ただの鼠じゃなさそうだよ。まさしく大鼠、いや、魔物鼠か? 一筋縄じゃいかなそうだ」
「片方はね。もう片方は大鼠でいいんじゃない」
「そうさね。でも奴さんたち、かなり速く近づいてるみたいだ」
 強敵二人が迫っているのに、女性二人の口調はあくまでお気楽なままだった。
 むしろ、ふてぶてしい彼女達にとってはその方がよい。

41:危殆魔法と騒擾詩 三話 6/10
09/02/09 16:34:56 Y39qMUXn


 肩に力を入れすぎて本来の実力を発揮できないなど言語道断である。
「でも、なんでだろ? 敵意むき出しってこたぁ殺り合うつもりなんだろうけど……」
「私達と同じ考えなんでしょう? 『三妖精』ならそう考えてもおかしくないわ」
 徐々にだが、二人の顔色が変わってきている。
 それも恐怖などとは対極の、まるで享楽に興じようとする男の如く、ぞっとするような冷たい表情だった。
「……あたしがこっちにいくよ」
「判ってるわ」
 何のことかといえば、敵方の魔気がふたつに分かれたのだ。
 一人ずつ相対しようという誘いだろうが、彼女たちもこれを受けてやろうというのだから、ある意味いさぎよいかもしれない。
 ふたりで片方にむかえば潰すのは容易だが、あえてこの水向けに乗ってやろうというのだ。
 自信がなければこのような行動には出れない。
「……形式上言っておくよ。御武運を」
「よしてよ、縁起悪い」
 勝って当然でしょう?
 そんなソフィアの思いを察し、ラケルは苦笑しながら詫びた。
「悪いね。あたしはともかく、あんたは相手が相手だから……」
「私が負けるなんて十にひとつもないわよ。―じゃ、‘むこう’で落ち合いましょう」
 口早に言い残すと、壮年の女教師は白桃色のローブをひるがえしながら、雪原に続く森林の方へ去っていった。
 男性の正装のような格好のラケルは、雅やかな女性の背を見おくりながら、大きすぎるほどの独白を案じるように発したのである。
「万に一つの間違いだろ?」

 ――

 アリッサは今、雪が積もった多くの木々に囲まれていた。
 ついさっきまで銀の髪の少女が同行していたが、彼女は雪原に残るといって憚らなかったため、仕方なく一人で森に入ったのである。
 本当に不思議なものだと思った。
 八つしか離れていないとはいえ、自分とエレンは先生と生徒という間柄なのだ。
 やる事なす事、これでは立場が逆ではないかと何度考えたか、数える気にもならない。
 彼女が言うには、感じた魔気ふたつともが教師であり、自分達と同じように結託しているという。
 異なるのは、そのふたつは生徒ならいざ知らず、教師陣でも手をかけるだろうとエレンはいうのだ。
 信じられないと言ったが、彼女の強い口調と険しい表情に気圧され、コクコクと頷くことしかできなかった。
 さらに不思議なのは、そんな自分が嫌になるでもなく、むしろどこか嬉々として従っているような気さえしたのだ。
 しかし、残念ながらなぜなのかと思案にふけっている暇はあまりなさそうだった。
 大きな魔気が、長い金色の髪をもつアリッサに接近してくる。
 二十三歳には見えないあどけない顔だち、小さな身体とあって、その長い髪は少しでも大人っぽく見せたいという意思のあらわれだった。

42:危殆魔法と騒擾詩 三話 7/10
09/02/09 16:35:32 Y39qMUXn


 子どもっぽく見られることにコンプレックスを感じている彼女だが、エレンにそれを話したら微笑みながらこういってくれた。
「俺は先生がどんな容姿格好をしてても、好きなのは変わりませんけどね」
 なかなか言えないことだ。
 エレンだからこそ―女だからこそ容姿に捉われずにいられるのかもと一瞬考えたが、あの時のアリッサにはそれは些細なことでしかなかった。
 男子生徒からの人気はある彼女だが、それは結局見た目に依存しているものだ。
 なかなか自身を認めてくれる人がいない中、あの少年のような少女だけが、若い自分を最大限に褒め称えてくれた。
 エレンはどういうつもりなのかは別にして、すくなくともアリッサはそう感じとった。
 その期待に応えなければならない―
「よぉ。久しぶりだなアリッサちゃん」
 大木からひょいとばかりに姿を表したのは、男性と見紛う容貌の女性―ラケル=マタティアだ。
 その言葉や態度からは、明らかな嘲りの色が含まれている。
 右手にはすでに魔杖をもち、口元にはにやにやとだらしない笑みをうかべている。
 闘う意思を隠そうともしていないのだが、それはアリッサも同じだった。
「元気そうで何よりだけど……なんで闘おうなんて考えたんだい?」
 当然の疑問といえた。 
 しかしアリッサはその物言いに耳を貸そうとしない。
 およそ二十歩ほどはなれた三十歳の同僚にむかって、毅然と言ってのけた。
「あなたの質問に答えなきゃならない義務はないわ。お互い、目的はおなじなんでしょうから」
 表情を動かすこともなく、その華奢な左手に魔杖をとった。
 これにはラケルも驚いたが、そんなことは臆面にも出さず口元にいやらしい嗤いを含ませる。
「くく……見ない間にずいぶんな口をきく様になったねぇ。あの『泣き虫アリッサ』が―」
 鮮鋭な顔の女教師は思わず言葉をとぎらせた。
 アリッサがすでに魔法語の詠唱を開始していたのだ。
 そんな彼女を見たラケルは、軽薄な双眸に酷薄な光をさして唇をつりあげた。
「……少しは愉しめそうじゃないか!」
 ―サッと右手を上げる。
「『短槍・直突・三』!」
 先に魔法を発動したのはラケルだ。
 右手をせわしなく振りまわし、魔杖をアリッサに向けた瞬間。
 ラケルの胴の高さに三本の槍が横並びに具現化―そのまま一気にアリッサへと飛来する。
「……『短槍・追尾・四』!」
 詠唱をおえ、ラケルの魔法をむかえうつようにしてアリッサも魔法武器を具現化させた。
 同僚に杖をむけると、具現化した短槍が直進して相手の短槍とぶつかりあって消滅。
 残るひとつがまるごしのラケルへと襲来―しかし彼女はこれを身を投げ出すことで易々と回避した。
「……!」

43:危殆魔法と騒擾詩 三話 8/10
09/02/09 16:36:12 Y39qMUXn


 たった一本で仕留められると思ってるんじゃないよ―驚く童顔教師にそういってやりたかったが、その時間は詠唱にまわす。
 転げまわりながら杖をうごかして魔法語を諳んじるラケルを見て、アリッサも慌てて詠唱を開始する。
「……『短剣・斬撃・七』!」
 紡ぎ出された魔法語が七つもの短剣をうみだし、横並びになって高速回転しながらかわいた音をともなってアリッサへとぶ。
「……『矢・直進・七』!」
 一方、こちらには余裕がない。
 やっとのことで発動した魔法が七つの矢を具現化させ、襲来する短剣をむかえうつが―
 結末を見るまえに小さな先生は走り出していた。
 結果はというと、直進した矢はあっけなく、回転する短剣にはじき飛ばされ、微かに勢いを殺いだものの短剣はそのままアリッサに襲いかかった。
「ひっ……」
 この間、僅かに三秒。
 広範囲に展開される剣の襲来を、人間の敏捷でさけられるはずもなかった。
 しかし惜しいともいえた。彼女が避けきれなかったのは最も端に位置する剣―
「……あ゛ぅっ」
 一瞬にごった声があがる。
 駆ける幼い女性に、まもなく驚愕と激痛が襲い掛かってきた。
 右太腿から先がなくなっている―
「―いやぁあ゛ああぁあああ゛ああっっ!!!」
 甲高く、かすかに甘ったるさをひめた絶叫が、雪の森林の中にほとばしった。
 背中から倒れこんだが、彼女は気丈にも反射的に上体をおこした。
 左手にもつ杖を放りだすのもいとわず、物凄い勢いで出血する断裂した太ももをおさえにかかる。
 身にまとっていたローブもタイトスカートも右半身だけがなくなっていて、みすぼらしいというかだらしないというか、なんともいえない違和感がある。
「あぁぁ……あぎひ……うぎゃあ゛あぁあ゛!!!」
 激痛はまるで心臓の鼓動のようにズキズキとアリッサを苛んだ。
 へたりこんだ彼女は大粒の涙をこぼし、大口を開けて小さな顔全体で痛みの極致を表現していた。
「あれぇー……でかい口叩いたくせにもう終いかぁい?」
 暗い表情に陰鬱な言葉。
 右太ももの断面からドクドクと血を噴き出す様をみて、ラケルは心底興奮していた。
 こういう性癖の持ち主といってよかった。
 自分が痛い思いをしたり血を流すのはまっぴらごめんだが、人がこのように苦痛にあえぐのは彼女にとってきわめて楽しく、愉快なものなのだ。
「ぐぅう゛……ぐはっ、うっ、あがはっ……!!」
 アリッサは剛毅にも、右足を殆ど失くしてもうち回ってはいなかった。
 強烈にうめいてはいるものの、なんとか正気を保とうと上半身を起こしている姿は称賛に値するのかもしれなかった
 ―といっても、他の先生方ならば杖を手放すなどと云う愚行は犯さないだろうが……
 だがいつのまにか彼女の至近距離にいた人影は容赦がなかった。
 泣き咽ぶ彼女を見おろし、身をかがめて落ちていた魔杖を拾い上げる。

44:危殆魔法と騒擾詩 三話 9/10
09/02/09 16:37:16 Y39qMUXn


「あっ! …………っ」
 アリッサには、ただ呆然と見上げることしかできなかった。
 ラケルは鮮鋭なおもてに凍るような微笑を湛えると、両手で持ったアリッサ愛用の杖を―二つにぶち折ってしまった。
「ああぁっ…………!!」
 少女のような先生は太ももをおさえながら泣き崩れ、がっくりとうつむいた。
 希望を砕かれ、なすすべも無くなった瞬間だ。
「あっは! ぎゃははははははははははぁ!!」
 そんな少女、いや女性の姿がおかしくてしょうがなかったのだろう。ラケルは心の底からの大笑をあらわにしてみせた。
 あれだけ堂々と闘うことを宣言していたのに、これはなんたるザマだ。
 彼女は笑いながらも、短兵急に右手を繰っていた。
「……『長槍・我持・一』!」
 なんと詠下に、右手の杖が長い槍に変貌した。
 自らの手に武器をたずさえる魔法は通常の武器魔法よりも精神消耗が激しいはずだが、少なくともラケルの顔には微塵にも表れていない。
 これからこのうざったく長い金髪をもつ少女―いや女性をくし刺しいたぶれることが、疲弊を忘れさせているのかもしれない。
「ひとつ訊いておいてやるよ。……なんであたしを殺そうとした?」
 その口上を聞き入れるとうつむいていた頭がぴくりと動き、見上げた顔がラケルの不敵な目と合わさった。
 アリッサはこんな時でも誇りを捨てていない。
 強情にも、その茶髪尻軽女の顔をキッとねめつけたのである。
 傷がひどくうずいている筈なのに、いとけない顔にある眼光はするどく、仁王立ちする‘元’同僚を見すえて離そうとしなかった。
 これにラケルが憤慨したのは理の当然だった。
「てめえ……ふざけやがって!!」
 口調を変えてさけび、槍を振りあげた。アリッサは思わずぎゅっと目を閉じた。
 ―左太腿に鋭痛がはしった。
「う゛っ!! …………」
「調子づくなよこのガキがっ!!」
 七歳年下の‘元’同僚から槍を引きぬき、今度は右太ももをおさえている右手甲をつらぬいた。
「ぎゃあっ!! …………」
 子供っぽい顔が激痛にゆがみ、ちいさな口から苦鳴が洩れる。
「お前のような、ガキに色気つかうガキが……」
 アリッサの手の甲から槍を引きぬき、歯を食いしばって槍をくりだす。
「一番嫌いなんだよッ!!!」
「っ!! がフっ―…………」
 緑の眼が限界まで見開かれ、同時に口腔から濁音と、鮮やかな色の血液が吐き出された。
 平坦な胸が。左胸部が。男装の女がもつ槍に、純白のローブごしに貫かれていた。
 しかし実は彼女、完全に心臓を捉えてはいなかった。故意に、かすめる程度に槍を突き出したのである。

45:危殆魔法と騒擾詩 三話 10/10
09/02/09 16:38:29 Y39qMUXn
10

 アリッサの視界が涙でいっぱいになり、男装女の姿も、魔界の殺風景な景色も不明瞭になってゆく。
 この稚児の如き糞女をもっと苦しめるべく、ラケルは槍をぐりぐりとねじりまわす。
「あ゛う゛っがバっ、ゲはッ……うええ゛ぇっ…………」
 柄の部分で心臓部を刺激され、そのたびに濁った血と声が混沌とした旋律を生みだす。
 白かったローブはみるみるうちに赤い染みを広げていき、地べたにすわり込むアリッサの身体に血の海を模してゆく。
「おい……回復魔法、かけてやろうか?」
 冷たい声だ。
 そんな余裕などほとんどありはしなかったが、アリッサは心の奥底でなぜ自分がまだ生きているのかと、ほんの微かにだが考えていた。
 心臓を破られたのに生きていることと、意識を失いそうで失えない恐怖が、もう少しで彼女を覆いつくそうとしていた。
 どんなに痛くても、もう声を出す機能さえもとんと亡失している。
「おい、聞けよ。回復して欲しいのか欲しくねえのか、答えろ」
 アリッサは無意識に、反射的にうなずいていた。
 ここまでされては正気を保てるなどありえないことだ。
 自尊心も、エレンとの誓いもどこへやら吹っ飛び、もはや本能的に生きたいとしか考えられなくなっていた。
 だが無慈悲にも、ラケルはこれを切り捨てた。
「―かけるかよ、バーカ」
「……!!」
 またしても、槍をねじり回される。
 いまアリッサは、槍によって無理に上半身を起こされている状態なのだが、なんと悲痛な呻きをだす前に言葉をつむぎ始めた。
「おぇが、フぐッ……おねあ゛ひ、も゛うやえ、て…………はヤぐっ、……が、がいぶク、を……………………」
 童女の面をこれ以上ないくらいにひきつらせて、アリッサは哀願した。
 この‘可愛かった’顔には傷ひとつついていないのに、どうしたらここまで変貌できるのかというような醜い顔色になっていた。
 彼女の台詞をききとどけた短髪女の反応はどうか。
 ぷっ、と嗤いをもらした。
 次いで、大声で笑いあげ、最高の破顔をはりつけた。
 毅然とした態度で闘いを宣言し、無惨に敗北し、挙句に命乞い……
 これはもう彼女にとっては笑う他なかった。
 が、その笑みが突如きえた。と思ったら、今度は虚しさにつつまれた表情に移り変わっている。
「……はァ………………」
 それはもう、さぞかしがっかりさせられたような溜息だった。
 一体自分は今まで何をしていたんだ―とでも言い出しかねない空気が、げっそりと肩を落としたラケルの周囲に充満していた。
 血溜まりを作ったアリッサをだるそうに見下ろし、槍をひきぬいた。
 濁音だか苦鳴だかが聞こえてきた気がしたが、もうどうでもよかった。
「失望させやがってよ……」
 言葉を綴ったのもつかの間。
 ラケルは、茫然自失としている金髪女の顔にむかって、‘気楽に’魔法武器を突き立てた― 第三話・おわり



合法に(?)残虐描写できるって最高です。
とかいっときながら自信はないので、毎回趣向を変えていこうかなとおもいます……

46:名無しさん@ピンキー
09/02/12 13:18:17 5sAgSndv
クラウザーさんに声帯潰されてデスボイスになった初音ミクが自我崩壊して自壊するやつきぼん

47:名無しさん@ピンキー
09/02/14 14:59:58 j2T/3qo6
今日は他人の恋路を応援した罪で処刑されたお節介焼きの命日。

48:名無しさん@ピンキー
09/02/15 18:05:18 LYz06+6c
リョナっていうのか・・・
奴隷闘士BATTLE SLAVEやりました
一線越えた気がしました
今のトコ切断とか内臓とかはだめです

49:名無しさん@ピンキー
09/02/19 23:51:43 N2Xyuhek
どっちもないじゃん 性的な要素が絡まないとダメな俺には
殴るだけじゃいまいちだった。立つけど使えない。
胸揉んだりしてればよかったよ。

50:名無しさん@ピンキー
09/02/20 01:45:22 Dlq+vbnm
>>49
お前はこのスレ向いてないよ

51:名無しさん@ピンキー
09/02/24 18:13:44 wBQFrCMa
あげ

52:舞‐乙Hime@アリカ解体
09/02/26 17:58:58 qPfcJliZ
「アリカちゃん、気分はどう?」
漏れは床に転がされたアリカたんを見やります。
「何なの……私をどうするつもり?」
両手を後ろ手に縛られ、あのガルデローベの制服に身を包んだアリカたんが、
そう呻きます。彼女を拉致して来てこの廃屋に閉じ込めたのは漏れです。
「駄目だなあ、他人から貰ったものを気軽に食べちゃ。―あ、騒いでも無駄だよ。ここ防音は完璧だから」
そうカメラを置きながら言って、
「これで良し、と。二人で思い出作ろうね。一生の思い出」
「私を返して!」
「返してもいいけど、帰る頃にはキミ死体だよ♪」
「!」
アリカたんの顔に蒼白が差します。
暢気な彼女ですが、自分の置かれた立場やこれから先辿る運命についていささか思いをはせたようです。
「じゃ、まずは……」
漏れは制服のスカートから覗く細い脚、その白い大腿を見て歯をにっと剥きました。
「犯そうか」
「い、いやあああああっ!!」
アリカたんの服を引き裂いて行きます。
エプロンを模した制服が破かれ、皓く張りのある膚が露わにされます。
「騒いだってもうセルゲイは助けてくれないよ?」
それでも何とか身じろぎし、目には涙を浮かべて抵抗します。
これだからオトメを犯すのは堪りません。

「やだ……やめて、セルゲイ、お母さん!」
「ほーら、乳首」
漏れはアリカたんのブラを取り除きました。
以前よりかは成長しても、でもまだ控え目な膨らみの、さきっちょの淡い突起が外気に触れます。
漏れはそれにむしゃぶりつきました。
「いやあああ!」
「おいし♪」
ぢゅるぢゅるぢゅる……
音をたて、激しく乳首を吸い、アリカたんのおっぱいを楽しみます。
たまに歯を立て、かんだり、強くすったり、少女の肉体を楽しみます。
「いやあああああああああああああっ!! 誰かあああ!!」
「無駄無駄、ここにはキミと漏れとカメラだけだよ」
漏れはやがて下半身に向かいました。スカートをもぎ、下着だけになったアリカたんの下半身を視姦して楽しみます。
レースの下着に包まれた其処は、やや盛り上がって、黒い茂みを下に隠しています。

53:舞‐乙Hime@アリカ解体
09/02/26 17:59:21 qPfcJliZ
「やだやだやだ!!」
アリカたんの声に泣きじゃくる色合いが増してきました。
何とか足をばたつかせ、抵抗しようとしますが、かえって漏れを楽しませるだけです。
漏れはレースのパンティを剥ぎ取りました。
「ほーら、生ま○こ」
「い、いやぁぁぁぁっ!!」
アリカたんの女性が露わになりました。
そこは綺麗な華そのもので、割れ目はピンク色でぴっちり閉じ合わされており、
その上に控え目なクリトリスや茂みが自己主張しています。
漏れはアリカたんの足を開かせると、カメラの前に曝け出させました。
「ほら、よく見せようね~♪」
「うわあああああああ、あああああああ!!」
アリカたんは悲鳴というよりは、もうたんに泣きじゃくっていました。
えぐえぐと肩を震わせて嗚咽します。
「何やってるの? お楽しみはこれからなんだから♪」
漏れはズボンを脱ぐと、勃起した一物を取り出し、アリカたんの花弁に狙いをつけました。

「お願い、もう許してええええええっ!!」
「駄目駄目、セルゲイには初めてあげても良いって感じだったじゃない?」
漏れは遠慮なく男根でアリカたんのヴァージンを貫通します。
「! ひぐぅ!!」
アリカたんの若々しい上半身がバネのように跳ねました。
「ああ、うわああああっ!!」
アリカたんの処女膜はそれほど硬くなく、また、女になる苦痛も左程ではなかったようです。
漏れは激しく、何度も腰を突き込み、その度にアリカたんの口から綺麗な声が漏れます。
散々アリカたんの女性を楽しんで、漏れは膣内に精を放ちました。
「オトメ卒業おめでとう!」
「ああ、はあっ……」
アリカたんは切なげに只管涙を流すのみです。

「それじゃ、次のプレイに移ろうか……」
漏れは肉切り包丁を取り出しました。

54:舞‐乙Hime@アリカ解体
09/02/26 17:59:45 qPfcJliZ
包丁の刃は鈍く鋼色に光り、肉厚の牙は繊細な身体など簡単に解体できそうです。
「やだ、たすけて……たすけて……」
「まずは、抵抗力を奪わないと」
漏れは立ち上がり、ズボンを穿くと、靴底でアリカたんを蹴りつけました。
「ほい」
「ぎゃああああああっ!!」
アリカたんのお腹や顔や、背中を只管蹴りつづけていきます。
一メーター半にも及ばない小さく華奢な体が、暴力を受ける度に弾け、
衝撃が四肢を走り、血反吐が小さく花ひらいて少女の肉体を壊していきます。
オトメの時は無敵の力を振るう少女。蒼天の青玉。
それも認証なしでは何の威力もなく、抵抗もなく、暴行を受け血と涙に沈んでいくだけです。
―三十分は蹴っていたでしょうか。
漏れは何かやり遂げた筋肉の心地よい痛みを脚に感じながら、蹴り足を止めます。
革製のブーツが鈍く血を輝かせます。
アリカたんは、重傷を負い、青息吐息でぐったりしていました。

「うっ……ニナちゃん……エルスちゃん……マシ……ロ……ちゃ……」
「二ナちゃんだってさ!」
漏れはケラケラ笑いました。
「ケセラケセラ」
「なにが……おかしい……のよ?」
「だってさー、この誘拐を依頼したのが、その二ナちゃんなんだもん」
「!」
アリカたんの瞳孔が開いていくのが堪りません。
「なんだかさー、セルゲイがさー、記憶少し取り戻してて、忘れられないらしいよ、
キミとか、キミのお母さんのこととか。それでさー、やっぱ邪魔なんだって」
「嘘よ……嘘」
「嘘じゃないよ。たっぷり報酬はいただいたんだ♪―まあ、プレイに入ろうか」
絶望に染まっていくアリカたんの瞳に凶器が空しく映ります。
親友に裏切られてアリカたんは、先程とは別の涙を流していました。
―ああ、なんと美しい、その顔―
「じゃ、解体しゅるね♪」
「あ、ああああああああああっ!!」
漏れは肉切り包丁の刃を肩の付け根に宛がいます。
鎖骨よりはもっと腕より。切断するのに都合の良いあたりを探って、刃を滑らせます。
ポイントを見極め、肉に切り込んで行きます。皮膚が破れ、血が吹き出し、
赤身が覗いて、肉を切断し、それを数分続けると、今度は骨が刃にあたり、それをごりごり削っていきます。
「ぎゃああああああああああっ!! ぐぎゃあああああああああああっ!!」
アリカたんは白目を剥いて叫び散らしていました。
先程の暴行で重傷を負っているため、暴れる元気はありませんが、あまりの苦痛にのけ反ります。
やがて骨を切断し終わり、漏れは血まみれの手をタオルで拭きました。
刃が刃こぼれしておりますので、包丁を用意した別のものと交換します。
まだ四肢は三本残っているのです。
切断面を見ます。
白い骨。その周りの赤身。脂肪。この娘の腕は若いカモシカのように引き締まり、
筋肉が多く、脂身は少なめです。その切断面にガス・バーナーを向けます。
すぐに死なれては困るので、止血するのです。
「ぎゃああああああああああああっ!!」
肉を焼かれるとアリカたんは目を見開き、歯をくいしばって泣き喚きます。

55:舞‐乙Hime@アリカ解体
09/02/26 18:00:04 qPfcJliZ
あまりの激痛に気絶することも叶わず、ただ震えるのみです。
「好い顔だねえ、アリカちゃん……」
漏れはうっとりします。
カメラは無言で漏れたちを写しています。
「いずれアリカたんとは永遠のお別れになるけど、思い出は美しいままだよ。
漏れの中でアリカちゃんはいつまでも輝いてるんだ」
「殺さ……ないで……」
アリカたんはそうかすれた声で呻きました。
「お願い、殺さないで……何でも……するから……」
「ほう」
漏れは感心します。
(蒼天の青玉が命乞いねえ……)
アリカたんは苦痛に顔をくしゃくしゃにさせて只管すすり泣いています。
思えば、この娘もまだ十四五の少女です。
突然訪れた残酷な死を前に慄くのも無理はありません。
とはいえ、アリカたんの心まで壊せる喜びに漏れは震えます。
「じゃ、代わりに二ナちゃん殺してもいい?」
「……!」
「君をこんな目に遭わせた二ナちゃんを代わりに殺してもいいなら、キミを殺すのをやめるよ、どうする?」
「それ……は……」
「厭ならいいよ、解体再開」
漏れはもう片方の腕も切断にかかります。
「ああ! いいわ、殺して! 二ナちゃんを、二ナちゃんを殺して!!」
アリカたんは叫びました。
「二ナちゃんを殺して! 二ナちゃんだけ、じゃない……マシロちゃんでも、イリーナちゃんでも、誰だっていいから!
私は……たすけて……お願い、ころさな……いでえっ!!」
「それが聞きたかったんだ♪」
「それじゃ……」
漏れは悪魔のように嗤いました。

「―誰がお前みたいなメス豚の言う通りにするかよ。死ね―」

残り三本の手足を切断にかかります。
「ぎゃあああああああああああああああああああっ!!」

56:舞‐乙Hime@アリカ解体
09/02/26 18:00:22 qPfcJliZ
「美しい、美しいよ……アリカちゃん」
漏れはうっとり嘆息します。
漏れの前でアリカたんは手足を失い、曝け出していました。
真っ裸で、四肢がなく、まるでマネキンみたいにアリカたんは転がっています。
顔には生気がありません。
目玉を抉られた眼窩からは塩水はでなく代わりに血の涙を流しています。
乳首やクリトリスもありません。
これから仕上げに入ろうかと言うとき、掠れた声が聞こえました。
「ん?」
「ご……めん……」
アリカたんが何か言っています。聞いてみます。
「ごめん……ニナ……ちゃん……マ……シロ……ちゃ……」
おやおや。
漏れは笑いをかみ殺すと、今日何本目かの肉切り包丁をアリカたんの腹に押しあてました。
刃先を鳩尾のあたりに持ってきます。
刺しました。
アリカたんがぐふっと血を吐きます。そのまま会陰までまっすぐに刃を下ろします。
アリカたんのお腹がぱくっと開いて鮮血があふれ出します。
漏れは傷口を開いて内臓を露出させます。
「げぇぼぉ!! うっげええっ!!」
「うわ、綺麗なピンク」
「げぼおおおおおおおおおっ!! げえええええええええええっ!!」
内臓を捌いていくと、大腸から糞便がこぼれてきます。
漏れはアリカたんのわたにまみれながら記念にピースしました。
カメラが漏れを映します。
アリカたんには言わなかったけど、二ナたんに払った「報酬」とは、
二ナたんとセルゲイと二人の屠殺だったんですけどね。

(終わり)

57:名無しさん@ピンキー
09/02/26 21:10:30 9dem6Ii+
「ラストサマー」で巨乳の美女がカギ爪で切り刻まれて鳴くシーンはいい。

58:名無しさん@ピンキー
09/03/02 22:06:21 ir9Jjqx0
>>56

結構良かった

59:名無しさん@ピンキー
09/03/08 22:53:33 1C2ejQe6
魔法学校待ち。

60:名無しさん@ピンキー
09/03/22 07:26:04 K/Cm+2BT
あげ

61:名無しさん@ピンキー
09/03/24 08:42:09 zZeevwQB
過去ログ全て読みたいんですけど
どこかに保管とかないんですか?

62:名無しさん@ピンキー
09/03/24 19:31:38 3dWC0t6d
●でも買えば

63:名無しさん@ピンキー
09/03/25 03:54:24 xg/IlfsZ
耽美な切腹自害も良いかも。

64:名無しさん@ピンキー
09/03/26 00:41:28 dAR8cnsW
過去ログ倉庫は欲しいよな
篤志がつくってくれまいか

65:名無しさん@ピンキー
09/03/31 12:28:54 vugrvaLW
誰かネタない?

66:名無しさん@ピンキー
09/03/31 12:55:17 G0Fy3G+j
腐乱はアリ?

67:名無しさん@ピンキー
09/04/01 17:22:48 0wU6l7zr
ありあり!

68:名無しさん@ピンキー
09/04/01 21:50:58 I4SS017m
なしなし!
死にたてがイイ!

69:名無しさん@ピンキー
09/04/02 21:25:12 iOUpShOk
どっちも来いやぁ!

70:名無しさん@ピンキー
09/04/02 23:50:18 41jMSOrP
なるたるののり夫解体で萌える漏れは人間には戻れぬのか・・・

71:名無しさん@ピンキー
09/04/03 00:50:16 qTmo0qEb
と言いつつどこか自慢げ

72:春分天女の最後 1/3 ◆/W8AnhtEnE
09/04/04 15:59:34 pVAMHc6P
前スレでブルーマンデーものを投下していた者です。
春分の日を含む三連休に投下するつもりのネタでしたが、ネタ中にある事情で書く暇が取れませんでしたw
ようやく暇が出来て書き上げることが出来たので、時期がずれましたが保守ネタにでもなればと思い投下させて頂きます。



 人々の安息と希望の源である聖なる秘宝「ホリデークリスタル」、それを護るのは「蓮弓(れんきゅう)天女」。
そして秘宝を狙うのは悪の五人姉妹「ヘイジツーシスターズ」。
今宵も人々を苦しめる魔力ロウドウーを力の源にして戦うヘイジツーシスターズと、クリスタルからもたらされる
聖なる力ホリデーの加護の下に戦う蓮弓天女との死闘が繰り広げられていた。


3月19日、木曜日の夜更け。明日から多くの人々が3連休を迎える夜。
寝静まった街の路上に対峙する2人の女性が月明かりに照らされていた。
一人は弓に矢をつがえ、凛とした立ち姿を見せている。
もう一人は幾本の矢に衣の袖や裾を貫かれ、壁に縫い止められていた。

弓を手にした女性は春分天女、正月、成人に続く第三の蓮弓天女だ。
桃のように瑞々しい美貌を簪で纏めた麗しい桜色の髪で彩っている。
そして身体を覆う薄絹の衣とその手に輝く蓮弓が蓮弓天女であることを表していた。
壁に縫いとめられた少女は「金曜日」。
人々をロウドウーに狩り立てるヘイジツシスターズの末娘だ。
まだ年端も行かない幼女の姿をしている。
だがその顔立ちは憤怒のような表情で春分天女を睨みつけていた。

「これが最後の警告です、おとなしくこの世界から立ち去りなさい。さもないと」
「さもないと『いたいけな幼女の胸を矢で貫く』のね?正義の天女さん?」
たおやかな声を発する春分天女の言葉尻を捕らえ、金曜日が小憎らしく皮肉を返した。
「……そうです。無用の苦痛を与えることは出来れば避けたいですが、聞き入れないなら止む得ません。」
敵から放たれた皮肉に心を痛ませる春分天女だが、落ち着きを取り戻して静かに宣告する。

「信じられないー!酷すぎるよお姉さん。」
「戯言はもう止しておとなしく観念……」
「nendomatsu!」
頬を膨らませ駄々をこねるような言葉をあげる金曜日に、やや苛立ちを覚える春分天女。
だがその耳が金曜日が上げた聞き慣れぬ言葉を捉える。
「くっ!」
瞬時に矢を金曜日に向けて放ち、防御の構えをとった。
蓮弓天女たちにとってヘイジツシスターズが持つ力はまだまだ未知の部分が多い。
先ほどの言葉も何か呪文のような物だと感じた春分天女が即座に取った「闘う者」としての反応だった。

「あぐっ!」
春分天女が放った矢はそのまま金曜日の胸に突き刺さり、血反吐を吐かせる。
止めの一撃を食らった金曜日は血で濡らした口元のニィと歪ませ、凄絶な笑みを浮かべて春分天女と瞳を合わせる。
次の瞬間、がくっと首を傾けた金曜日は光の粒子にその身が変えて消え去った。
(終わったの?確かに彼女はこの世界から消えた、けどあの言葉は?)
納得できないまましばらく金曜日が消えた場所を見つめていた春分天女。
だが振り切るように頭を横に振り、その場から立ち去ろうと踵を返した。

すると彼女の視界に黒い壁が映る。
ハッと見上げた春分天女と彼女を見下ろす甲冑武者の目が合った。
事態が飲み込めず、瞳を瞬かせる天女。
甲冑武者の肩先に鈍い光を捉えた次の瞬間。

73:春分天女の最後 2/3 ◆/W8AnhtEnE
09/04/04 16:00:23 pVAMHc6P

ザシュ!
「イぎぃッ!」
春分天女の視界を遮る赤い霧、鳩尾を貫く灼熱のような激痛。
彼女の肢体が武者の手槍に貫き通されたのだ。
一瞬の出来事に耐え切れずに濁った悲鳴を漏らす天女。
手にした蓮弓も取り落としてしまう。
「むっ!」
「アギッイイィィィ!」
甲冑武者が気合と共に槍を引き抜く。
再び身体の中を壊される痛みに苦悶する春分天女。
手前に槍を引き抜かれた勢いに引っ張られてたたらを踏む彼女を槍を手放した武者の拳が襲う。
「フギィッ!」
篭手に覆われた拳が春分天女の美貌にめり込み、鼻をひしゃげさせながら宙を舞う。
「うぐっ!」
そのまま彼女は数メートル離れた床に背中から叩き付けられた。

(うっ…ぐっ!……一体何が?あれは何者?……ヒッ!)
春分天女は鳩尾、背中、鼻梁から走る激痛に苦しみながら必死に思考を巡らす。
だがその冷静な精神も、肘を付いて身体を起こそうとする彼女の瞳が近づいてくる甲冑武者の姿を捉えると
恐怖に染まる。
「?……ガハハハハハッ!」
傷付いた天女の美貌に走った怯えの表情に気づいた甲冑武者が高笑いをあげる。
「立ち上がろうとする気概は認めてやろう、じゃがお主が怯えるのも当然じゃ。我が名は『休日出勤』!」
歩みを進めながら話を続ける武者。
「週休2日制などというものに囚われている平日姉妹のような乳臭い小娘どもとは違う。真のロウドウーを
勤め人どもにもたらすのがワシじゃ!」

「あぐっ!」
そのまま春分天女に近づいた休日出勤は、彼女の頭を髪ごと鷲掴みにして無理やり持ち上げる。
「金曜日も早くにワシを召還しておけばむざむざ殺されることもなかったろうに。」
そのまま春分天女の息の匂いが嗅げるほどの距離に顔を近づける。
「お主、鼻を潰してしまったのは残念じゃが良い器量じゃの。どうじゃ、ワシの妾にならぬか?
なったら命だけは助けてやるぞ?」
顔を覆う黒い鉄製の面頬越しにまじまじと天女の美貌を見つめながらため息を漏らす休日出勤。
「そんなの御免ですっ!」
好色そうな武者の視線にキッと睨みを返した春分天女。
右腕を曲げて、武者の顔に肘当てを食らわす。
「オグっ!」
面頬越しに鼻がひしゃげた確かな手応えが天女の肘に伝わる。
「これでおあいこですね!」
一矢報いたことで思わず笑みがこぼれる。
頭を掴んでいた、痛みに悶える休日出勤の腕をも振りほどいて距離をとって床に着地する春分天女。

そのまま髪を束ねていた金色の簪を手に取り、呻く武者の鎧の隙間に刺し込もうと飛びかかる。
「こしゃくな!」
「ぐっ!」
簪を握る右腕を態勢を立て直した武者の豪腕に取られてしまう。
クロガネの腕と白絹の腕が絡み合い、一瞬の後捻りあげられた白い腕が乾いた音を立てる。
「イギィッ!」
天女は右腕から伝わる激痛に目を見開かせる。

74:春分天女の最後 3/3 ◆/W8AnhtEnE
09/04/04 16:01:15 pVAMHc6P

 折れた右腕を左腕で支え、痛みをこらえる春分天女。
休日出勤の間合いの中で大きな隙を見せてしまった彼女。
「刺突はこうやるのじゃ!」
それを見逃すことなく絶対的優位に立った甲冑武者が脇差を抜いて、彼女を抱き抱えるように背に手を回す。
そして密着させた天女の肢体、その胸のふくらみに凶刃を突きいれた。
「いぎいぃぃぁぁぁっ!」
刃に衣を裂かれまろびでる乳白色の果実。
その左の膨らみに黒い刃が刺し込まれた瞬間、パッと赤い液体が弾ける。

「どうじゃ!心の臓まで貫き通す勢いじゃろう?」
「ァ……ガハッ!……ハッ、ゴ……」
勝ち誇るような休日出勤の問いに春分天女は答えることが出来ない。
胸の傷、そして口唇から失われていく赤き血。普通の人間なら致命傷になるような傷を負った彼女は
ホリデークリスタルの加護があっても命を繋ぐのがやっとの状態だった。
簪を抜いたことで桃色の髪も解け、胸元にかかった髪は流れ出る血で汚されていく。
力無く仇敵に抱かれてしまっている春分天女。その瞳は虚ろな光を宿し、何も映していない様だった。
休日出勤が腕を離すとそのまま彼女の肢体は地面に仰向けに転がった。

「もう一方も貫いてくれるわ!」
荒い息がつかれる度に上下する右の胸、そのまだ美しさを保った膨らみに休日出勤が脇差を突きこむ。
「ガ、ギィッ!」
肌を裂いた瞬間、息がとまる激痛が春分天女に走る。
そして刃は右胸の奥深くに宿った赤き宝玉、ホリデークリスタルを貫いた。
「アギィィィィイイイッッッ!」
生命の根源を破壊され、断末魔の雄叫びをあげる春分天女。
「おお、そこがお主のクリスタルの隠し所か。残念じゃ、もう少し嬲りたかったが。」
休日出勤が落胆したような声を漏らして天女の肢体を見下ろす。
やがて、春分天女の両胸の傷口、そして口唇から流れ落ちる血の勢いが弱まっていく。
痛みで大きく見開かれた瞳の光も次第に薄らぎ、肌の色が透き通るような白さを増していく。
その彼女の口唇が僅かに動いた。

「……こ、ご…めんな…さい……き、休日を……もたらす……こと、が……できな…くて……」

人々に自らの無力さを詫びる声を漏らす春分天女。
言葉を紡ぎ終えると彼女の頭はがくりと力無く横に傾いた。


こうして春分天女は休日出勤の凶刃に倒れ、人々は休み無しに悪の力ロウドウーに囚われる事となった。

75:名無しさん@ピンキー
09/04/04 16:37:41 HGCxvsG4
どっとはらい

76:名無しさん@ピンキー
09/04/04 17:32:29 kN4G0QZF
>>56
個人的には戦闘での殺しよりこういう解体の方が好きだぞ

77:名無しさん@ピンキー
09/04/04 23:22:00 p29IY0az
>>72
GJ!休日出勤クロワロタw

78:名無しさん@ピンキー
09/04/05 13:33:28 Qdz6mvtB
カロウドウーって感じにすると、か労働(ノドン)だよね
((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル

79:名無しさん@ピンキー
09/04/12 02:35:30 YPyNQMm7
保守

80:名無しさん@ピンキー
09/04/18 10:02:49 nes2cNsU
【隔離】場外乱闘専用スレ【施設】
スレリンク(eroparo板)

81:名無しさん@ピンキー
09/04/21 14:10:04 3Eg8/mka
ここでアンケート
お前らの解体レイプしたい二次元キャラは?
複数回答可
シチュも答えること

82:名無しさん@ピンキー
09/04/23 07:22:03 COph7tC5
ありすぎてもうね

83:名無しさん@ピンキー
09/04/24 17:57:40 El6FInxZ
>>81
FE烈火のソーニャ
ポケモンシリーズのミュウツー
AVENGERのレイラ
ラインバレルのイズナ
ひぐらしの魅音

このくらいかなぁ
シチュはちょっと思いつかないけど



84:名無しさん@ピンキー
09/04/24 22:51:41 k9GpaRh1
俺は舞乙のアリカを解体したくてしょうがない
それSSにして投下までしたしw

85:名無しさん@ピンキー
09/04/25 01:19:57 Cld81dju
俺は逆だなー殺すために存在するオリキャラならいくらでも解体できるんだけど
特定のキャラ使ってSS書こうとすると、いつもコブラさんが出てきて邪魔をする・・・
「お前は誰だ!」「サンタクロースさ」ってやかましいわ!

86:名無しさん@ピンキー
09/04/25 12:08:41 OeQyeHk5
もうすぐ蓮弓天女黄金5姉妹の活躍&解体の季節だな。
相手はゴガーツ・ビョウあたりか?

87:名無しさん@ピンキー
09/04/25 21:47:19 JxLF2/vf
旬過ぎちゃったくさいけど初音ミク

88:名無しさん@ピンキー
09/04/25 23:01:30 H9iM26Ny
蓮弓ネタってオリジナルなの?それとも二次?

89:名無しさん@ピンキー
09/04/27 11:57:15 WsFs2X4R
>>88
どうみてもオリジナルだと思うけど・・・>漣弓天女

90:名無しさん@ピンキー
09/04/30 00:09:05 c2q+xH+S
保守

91:名無しさん@ピンキー
09/04/30 04:18:43 Ad3vFyNi
黄金漣弓、なにかあるかな

92:名無しさん@ピンキー
09/05/01 00:09:49 9A2IejGx
『漣弓戦隊・黄金レンジャー!』   なんちて。w
(昭和レッド 憲法ブルー みどりグリーン チルドレンイエロー 振り替えピンク)

せっかくの黄金漣弓だし、こういったノリの話も読んでみたい。

93:名無しさん@ピンキー
09/05/02 20:53:13 UloSdMWP
期待あげ

94:名無しさん@ピンキー
09/05/03 01:39:33 +1H8H5xh
柊かがみちゃんを解体レイプしたいです
誰かSS投下してくれないかな~

95:名無しさん@ピンキー
09/05/04 00:34:39 0DJUmKjt
「解体したい」のに、他人任せかよ・・・
せめて「解体SSが読みたいです」だろう。

96:名無しさん@ピンキー
09/05/04 00:38:44 4Ue2Wc/2
悪いな、エロ無しの春麗解体しか投下出来ないぜ

97: ◆/W8AnhtEnE
09/05/07 07:10:39 +kz+zfKC
おはようございます。
少し遅くなってしまいましたが、蓮弓天女ネタ「黄金天女 前編」を投下させていただきます。

98:黄金天女 前編 1/6 ◆/W8AnhtEnE
09/05/07 07:11:26 +kz+zfKC

「や、やめて!来ないで!」
石造りの壁に怯えた女の声が響く。
声を発したのは座り込み、壁に身を寄せている女。
身を隠す衣を何も纏わず白い裸身をさらけ出している。
その白肌には無数の赤い筋が刻み込まれていた。

「次はどうしようかしら?もう鞭打つのも疲れちゃったし。」
そう言いながら怯える女に近づくのは少女といってもいい小柄な女だった。
純白のレオタードとタイツとまるで新体操選手のような格好をしている。
ただ、手にしているのがリボンではなく赤く染まった鞭ということを除けば……
 少女の名は火曜日、人々を苦しめる悪の五姉妹ヘイジツーシスターズの次姉だ。
それに対する壁に身を寄せて震える女、彼女は悪の姉妹と闘う戦士「蓮弓天女」の一人、成人天女だった。
火曜日に敗北し囚われの身となった彼女は様々な拷問を受け、暴力に怯えるただの女と化していた。

 成人天女の目の前に立った火曜日は、そのまま彼女の股の間に視線を向けた。
その視線に恐怖を感じた囚われの女は両腿をギュッと締め、少女の魔手から秘部を護ろうとする。
「あら、可愛い抵抗ね。でも玩具の分際で歯向かうとどうなるのかわかっているのかしら?
別にダルマにしちゃってもいいのよ。」
火曜日の言葉に頬を蒼白にさせる成人天女。
「ひぃ……ぃ、痛いのは、やめてください。」
震える口唇で哀願しながらおずおずと股を開く。
秘所を憎むべき敵に曝け出した彼女、かつて持っていた蓮弓天女としてのプライドは完全に砕け散っていた。

 火曜日に敗北した成人天女は虜囚の苦しみから逃れるため、自ら蓮弓天女の力の源であるホリデークリスタルを
破壊して命を絶った。
しかし火曜日に強制的に聖なる力「ホリデー」を注ぎ込まれ蘇生させられたのだ。
あれから4ヶ月、彼女は死んでも発狂しても元の状態に回復させられ火曜日が飽きるまでいたぶられ続けていた。

「あぐッ!」
しゃがみ込んだ火曜日は無造作に成人天女の秘所に右腕を突き入れる。
いくら少女の腕とはいえ、全く濡れていない膣をフィストファックされる苦痛は計り知れない。
「ふ…ふと、づぎる……ギィ!…は、はいあ…ない。」
掠れた声を漏らす成人天女。
「本当ににきついね。でもこうしたら。」
成人天女の膣中には指の根元までしか入れることが出来ず、強靭な括約筋の締め付けに眉をしかめる火曜日。
だが彼女が何かを思いついたような呟きを漏らした瞬間、その腕が黒色のガスに覆われた。
「ギイイイィィァァァアッ!」
途端に雄叫びのような悲鳴を叫ぶ成人天女。
黒色のガス、それは魔力ロウドウーが気体として実体化したものだった。
僅かに吸い込んだだけでサービス残業、終電で帰宅、酷いときは会社にお泊まりと人の精神と肉体を痛めつける
恐るべき魔力。
それが敏感な粘膜に直接触れたのだ。焼け付くような痛みで涙と脂汗がとめどなく流れる成人天女の頬。
秘所からはグズグズに溶かされた膣肉、どろどろとした血が流れ落ちる。

「これで少し通り道が広がったし、すべりも良くなったね。」
そう言いながら火曜日は一気に拳を突き入れる。
「ァッ!?」
その瞬間、成人天女はガツンいう音が下腹部から聞こえた気がした。
同時に走る痛みを超えた衝撃で彼女の頭は真っ白になった。

99:黄金天女 前編 2/6 ◆/W8AnhtEnE
09/05/07 07:12:18 +kz+zfKC
「ッ…ア、アグァァァァァガアアアアッッ!」
一瞬の後、苦悶の叫びを放たれる。
ようやく知覚できた激痛が彼女の脳に押し寄せたのだ。
子宮口を叩いた火曜日の魔手、それを覆うロウドウーは膣のみならず子宮口を溶かし広げ
女性の最も神聖である場所、子宮まで犯していく。
「ギィィイイイイイイイィィッ!」
子宮を内側から引き裂かれるような痛みに苦悶する成人天女。
脚はピンと突っ張らせ、自らの胸を抱き締めるようにした両腕、その爪は皮膚に食い込み血を流している。
「あなたの子宮、ロウドウーで埋め尽くしてあげる。」
そう成人天女の苦悶の表情を見つめながら火曜日は囁く。
その言葉通り、成人天女の下腹部が僅かに膨らみ始めた。
注ぎ込まれるロウドウーは膣口で火曜日の腕が栓をしているので膣や子宮に溜まっていくのだ。
濃度が増すことで、天女の秘肉を溶かす速度も上がっていく。

「イギッ!ギィィッ……ユ、ユルジデェ、モウ、ゴロジテェェェ!」
目を見開き、涎と共に哀願の叫びを放つ口唇。
「ええ、殺してあげる。」
そう火曜日が応じた瞬間。
成人天女の臍の下、白く滑らかな肌がパックリと縦に裂け黒い霧が噴き出した。
「ガガガガガァァァアアアアッ!……ッ…ァ……」
一際大きい濁った悲鳴を上げた後、成人天女の全身から力が抜ける。
振り乱された黒髪が汗と涙に濡れた頬に張り付き、瞼と口唇は限界まで大きく開かれている。
苦悶の表情を顔に張り付かせた彼女、その命の灯は今かき消されたのだ。

 火曜日が右腕を成人天女の陰唇から引き抜く。
成人天女の両脚が反射でビクンと跳ね、弾みで壁からずり落ちた彼女の死体は床に仰向けとなった。
「でも、まだお楽しみは終わらせないよ。」
火曜日はそう言うと成人天女の亡骸に覆い被さり、色が褪せ始めた口唇と自らの朱唇を重ねる。
口唇の隙間に淡い光が漏れる。
淡い光の正体は、人々に安息と希望をもたらす聖なる力「ホリデー」。
火曜日は特殊能力「チューズデートランスデューサー(変換器)」によって魔力ロウドウーとホリデーを
相互に変換することが出来るのだ。
ホリデーは蓮弓天女の生命の源である。それを注ぎ込まれた成人天女の光が失われた瞳に、僅かな輝きが戻る。
内側から裂かれた下腹部、全身に赤く刻まれた鞭の痕も見る見る間に元の滑らかな白肌に戻っていく。

「あっ……うぁ……」
茜色を取り戻した成人天女の口唇から微かな声が漏れる。
「おはよう、114回目の死からのお目覚めの気分はどう?」
嬉しそうな表情で問い掛ける火曜日。
その目と成人天女の虚ろな瞳が合う。
「ひぃっ!」
途端に弛緩していた成人天女の顔立ちに怯えの表情が戻る。
「さて、玩具が直ったところで次は何をしようか?」
「いやぁ……もうやめて……。せめて、せめて少しでいいから…休ませてください。…お願いです。」
力無い声で訴える成人天女。その瞳からは涙が滴り、再び肢体も震えだす。
「だめ、わたしがつまらないもん。玩具は持ち主を楽しませるのが役目でしょ?」
容赦ない拒否の言葉で絶望に塗り潰される成人天女の精神。

その時
「そこまでにしなさい!」
ソプラノボイスが石造りの部屋に響いた。

100:黄金天女 前編 3/6 ◆/W8AnhtEnE
09/05/07 07:13:02 +kz+zfKC

 ハッと振り向く火曜日。
ここは自分の許しがなければ何人も立ち入ることが出来ない、現実とは異なった世界であるはず。
しかし声の主は視線の先、石造りの床の上に立っていた。

 まず目に付くのは眩いばかりの光を放つ腰まで伸ばされた金色の髪。
スラリとした長身はビスチェスタイルのショートドレスを纏い、艶かしい胸元や太腿は白肌を露わにしている。
胸の膨らみを覆うのは黄金で形作られた豪奢な胸甲。
手にも黄金の光を放つ弓を握った彼女こそ―。

「き、貴様が黄金天女か!?」
憎憎しげに睨み付ける火曜日。
現れた女からは成人天女とは比べ物にならない量のホリデーを感じられる。
問い掛けられた女は端整な容貌、その中の麗しさを感じさせる朱色の口唇を開き言い放つ。
「そう、わたくしこそ第四の順でこの世に遣われた蓮弓天女が一人、黄金天女よ!」

 瞬時に手にした弓に矢をつがえ火曜日に放つ黄金天女。
火曜日は出現させた鞭を振るい、次々と放たれる金色の矢を叩き落としていく。
攻撃と防御その拮抗はしばらく続いたが、立て続けに放たれた二本の矢が振るわれる鞭をすり抜け
そのまま少女の身体に吸い込まれるように進む。
「あっ!?」
火曜日が声を上げた瞬間、右胸と左脇腹にそれぞれ矢が突き刺さった。
「ぐっ!」
衝撃で鞭を取り落とし、後ろに身体を仰け反らせる火曜日。
苦しげに喘ぎ声を漏らす。
「演技はやめなさい、たいして効いていないんでしょう?」
冷めた高い声が彼女にかけられる。
弓を放つのをやめた黄金天女が冷ややかな視線を向けていた。

「ぅ…っく、クククッ……ばれちゃった?でも痛かったよ、お姉さんの矢。」
一転して笑みを見せる火曜日、その身体に刺さった二本の矢は形を失い淡い光となって
傷口から彼女の身体に吸い込まれていった。
「これがわたしの能力、『チューズデートランスデューサー』。お姉さんの攻撃は決して私に通用しないよ。」
火曜日は嘲るように言葉を紡ぐ。
「今度はわたしから行くよ!そりゃ!」
黄金天女目掛け繰り出される火曜日の鞭。
その凶紐を彼女は弓の柄で弾くが、鞭の連打は止まらない。

(蓮弓が通じないなら…)
鞭を振るう少女を見据えながら黄金天女は次の一手を考える。
(やはりあれしか…わたくしの使命は一日でも休日を増やすこと、ここで負けるわけにはいかない!)
瞳に決意の光を込める天女。
 すると彼女は手にした弓で勢い良く振るわれた鞭を叩くと、弓を捨て火曜日に向けて飛び走る。
驚きの表情を露わにする火曜日。だが一瞬の後に、ほくそ笑む様な笑顔になり再び鞭を繰り出した。
「自棄になったの、お姉さん?」
黄金天女の顔を目掛け迫る鞭、研ぎ澄まされた金属で出来たそれは鈍い銀色の光を放っている。
(くっ!?避けられない!)
一瞬で判断を下した彼女は、左腕を上げ鞭の軌道から顔だけを遮る。
「無駄な抵抗ね、そんな細腕で私の鞭を防ごうなんて。さぁ、貫かれるのが好き?それとも切り刻まれる方が好き?」
次に瞬間、鋭利な鞭の先端が黄金天女の左手首を貫いた。

「あぐっぅうぅぅっ!」
黄金天女の視界を飛び散った血が覆い、その向こうから銀色の刃が迫る。
「ぐっ!はぎぃぃいっ!」
手首を貫かれながらもその掌で鞭を掴み、顔面を貫かれるのだけは避けた黄金天女。
だがその代償として、左腕から更なる痛みが彼女の頭を焼く。
しかし彼女は決意を胸にそのまま火曜日に向かって突き進む。


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