☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第94話☆at EROPARO
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第94話☆ - 暇つぶし2ch204:Name~君の名は~
09/02/03 01:39:37 d/A4bRax
本当に、その身を捧げるような無抵抗のイフリートである。
これならばそう得手ではないバインドだが、シグナムでも十分に束縛できるだろう。
炎のバインドを仕掛けようとして、ふと、シグナムが疑問をひとつ、差し挟む。

「イフリート…お前たちに、なぜ名がない――!?」

言葉の途中、シグナムの感性が部屋の外にいた何者かの動揺を捉える。
呼吸。気配。意思。ありありと、息をひそめていた者の心の乱れが届いた。
それは、イフリートも感じ取れたようだ。

「シ、シグ…ナム…」

アギトだった。イフリートの炎の気配に、戻ってきたのだ。
亡霊のように宙空を滑って部屋に入ってくるが、たたずむその姿はいつもの活力に漲ったアギトとは似ても似つかない。
憔悴してるようにさえ見える混乱の最中、シグナムを見つめながらどこにも焦点結んでいない瞳が揺れ動く。

「あたしは…あたしって……シグナム…あたしが…」
「きさ…ま…」

頭抱えて、必死で自分の存在を掌の感触で確かめるアギトを認めて、イフリートが呻く。

「生きていたのか……貴様…!! 貴様ぁ!!!」

ふつふつと、沸騰する水のように怒りをあらわにし始めるイフリートの周囲、また炎が生まれた。
一呼吸ごとにいくつもの紅蓮が浮かびあがれば、弓を射る所作と共にそれがアギトに襲いかかる。

「待てイフリート!」

呆然自失のアギトはもはや的だ。まばたきひとつする間に炎に射抜かれ、穴だらけの火達磨になるの幻視さえ見えてしまう。
しかし神速の抜刀と踏み込みを誇るシグナムの抜き打ちが炎の矢を全て叩き斬る。
アギトを背にかばう形で、またレヴァティンを鞘に納めた。危害を加えるつもりがないから危害を加えないでくれ、そう言いたいのだ。

「シグナム様! 何故でかばうのですか!? そやつです!! そやつこそ、マイスターもロードも殺した張本人! 融合事故を起こし、全て燃やした!!」
「落ち着いてくれ、イフリート! アギトは何も覚えていないんだ!」
「…ア…ギ…ト…?」

横目でちらりとかばったアギトを見たが、凍える寒さの中にいるように歯の根があわずに怯えている。
震えている。
今、アギトは恐怖と不安に塗りつぶされていた。
ルーテシアとゼストに助け出されるよりも以前、名前がなかった頃に毎夜心臓を鷲掴んできた恐怖と不安と空虚さ。

自分は誰だ?
自分は何だ?
問いかけても問いかけても思い出がぽっかりと欠落したアギトは、ルーテシアから名をプレゼントされるまでいつも傍らにこの負の念と一緒にいた。
もう何年も仲間の温かさと一緒にいて、忘れ去ってしまったその黒い重みが、またのしかかる。

いや、あの頃よりもさらに重く重くなっていた。
イフリートの言葉を「嘘だ」と突っぱねる事が出来ず、少しだけ空虚さが埋まり、より深く暗い恐怖と不安が絡みついているのが良く分かるからだ。
なぜ?
理由は、シグナムとのユニゾンを経験したからだ。
イフリートの言葉に確さがある事を、忘れている記憶がアギトの心に訴えかけてくる。

――なぜだろうな、アギト……お前との融合は、不思議と心が温かい

――なんでもねぇ…なんでもねぇよ…!

あの時、最初のユニゾンで流した涙は、

「あ」


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