☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第94話☆at EROPARO
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第94話☆ - 暇つぶし2ch144:Dr.スカリエッティの華麗なる隠遁生活 9
09/01/31 20:41:03 f38SeeCe

「騎士ゼストはそんなふしだらな事をしない」

 好敵手を侮辱されてチンクは泣きそうだ。
 それに反応して、ノーヴェのジェットエッジが回転を始める。
 うん、まずい。

「オーホッホッホッホッホッホ、そうかしらン。アギトちゃんが騎士ゼストに助けられたときは丸裸だったのよ。
お礼をしようにも出来るものは限られているしィ、騎士ゼストも据え膳に手をつけない程無粋でもないんじゃないかしらァ?」

 そんな特殊な性癖の人間に、優しいルーテシアを預ける程私も人非人じゃないのだが、チンクはクアットロの巧みな話術に嵌ってしまう。

「騎士ゼストは、騎士ゼストは・・・・」

 感情が涙へと姿を変えてチンクの瞳は決壊寸前だ。
 そして、ジェットエッジのモータ音が「ギュルルルル~」から「ヒュィィィィイイインンン」へと高音領域に遷移する。

「アア、もしかしたら昨日の夜もルーお嬢様とアギトさんの三・・・ゲボファア!」

 前述の状況から、私はメインテナンスポッドを満たすリキッド・チョッピリ・リリカルの濃度を上げて、クアットロを強制的に黙らせた。

「クアットロ、どうした。メインテナンスポッドの故障か。チンク、ノーヴェ、点検の邪魔になるから部屋の外に出ていたまえ」

 私の迫真の演技と、クアットロの突然の変調で、ノーヴェの足下に展開されかけたISテンプレートは消失し、チンクの意識からも好敵手のことが追い出される。
 その瞬間の隙をついて、私は二人の背中を押して部屋�なのはの唇をねぶりだした。


145:7の1
09/02/01 16:51:51 JoyxBijd
以上第6章終了です。

第5章の後書きで不快な思いを抱かせて
申しわけありませんでした。

146:名無しさん@ピンキー
09/02/01 18:23:57 UxA2NFuY
>>180
GJ!
ヴィヴィオはもう、母親を一度殺してしまった罪悪感で善悪の判断がつかなくなってしまっているのだろうな
なのはは絶対に救えない
ヴィヴィオも救える可能性が少ないとかなり絶望的な状態だ…
どうなるかしっかりと見届けさせてください

147:名無しさん@ピンキー
09/02/01 18:30:29 0NnWTMcT
>>180
破滅に向かっていくしかないのを見続ける身としては、とっても歯がゆい。
でも、続きが見たい。
ジレンマだなぁ……
ひとかけらでも、どんな形でも、幸せになって欲しいけど。

148:名無しさん@ピンキー
09/02/01 22:37:56 zo1YzYLh
>>180
スカリーが勝利して、世の中が機能している今、エリスバ達は民衆からしてみたら悪かもしれない
それでも己の大切な人のために、信念のために働くなら正義
スバルの姿を見ていっそう、そう強く思えた

スバルは自分の道を貫く決心をしたけど、エリオはまだ無理か
現実まだ年齢で言えば中学生だから…それで人を犠牲にしてでもなしとげる強さを手に入れるのは難しいよな
でも今の自分をかけがいのない人として見てくれてるルーのためにも戦ってほしい
GJ!!

149:名無しさん@ピンキー
09/02/01 23:28:41 GcRBMohv
なんかさぁ
お二人だけじゃないんだけどさぁ
文章ちゃんとしてるし、読めるものになってるんだけどさぁ
エロパロスレじゃなくてもいいじゃん
vipか創作板あたりにたててやりゃ良いのにと思っちゃうんだけどさぁ
変かなぁ?

150:名無しさん@ピンキー
09/02/01 23:31:28 0NnWTMcT
つまりエロパロは文章ちゃんとしてなくても、読めなくてもいいと?

そりゃ変だ。

151:名無しさん@ピンキー
09/02/01 23:32:13 thwzk1Z4
『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
  あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。

152:名無しさん@ピンキー
09/02/01 23:39:34 s/sWP0yX
>>192
変ではないと思う。実際、自治スレでも非エロについての話題がでたしね。
LR改正して、非エロの扱いを明記するかとかも含め議論になったけど、
収拾つかなくて結局、とりあえず当面のまま、LRは玉虫色で、各スレの自治に任せる。
で、必要があれば、こんな板もありますよと周知のために創作発表板の紹介をしましょ、って方向らしい。

153:名無しさん@ピンキー
09/02/01 23:48:05 onWW8jUw
変だとも思うけど、ぶっちゃけ面白ければ何でもいい
面白いなら読めばいいし、面白くないなら飛ばせばいい

154:名無しさん@ピンキー
09/02/01 23:52:24 /+wRBaqZ
>>1が全て
以上下らない議論終わり

155:名無しさん@ピンキー
09/02/02 00:00:32 s/sWP0yX
万が一、板自体のLRが投票を経て非エロ禁止明記に変われば、
ここの>>1がどうだろうが、状況は変わるぞ?
まあ、そうなったら職人が離れて、エロ自体の数も減ることは目に見えてるけどな。

ロリフェイト最近出番ないなぁ・・・いや、19歳フェイトの魅力も素晴らしいが

156:名無しさん@ピンキー
09/02/02 00:45:00 EFcvjB0N
ロリフェイトどころか主要メンバーのエロが最近目立たない件


はやてが狸の着ぐるみ(ふぐり付き)着て
そのふぐりで六課女性陣をギシギシアンア(ry

157:名無しさん@ピンキー
09/02/02 00:49:22 qcq5/m54
非エロ禁止となった場合、一部エロ長編とかはどうするんだろう?
短めほのぼのSSとか単発のネタSSとかも。


>>198
ロリフェイト。
エロでなければ煮詰めている奴に入れられるけど、エロだとちょい時間かかる。
電波さえ拾えれば後は勢いで書けるんだが。

158:名無しさん@ピンキー
09/02/02 00:57:08 3EZVKlzb
ロリフェが寝ぼけて○○○と勘違いして○○に・・・という話は赦されるのだろうか

159:名無しさん@ピンキー
09/02/02 01:01:54 6daV0MYM
>>201
おk、ガンガン行こうぜ!




○○の中身知らねーけどw

160:名無しさん@ピンキー
09/02/02 01:05:09 3EZVKlzb
>>202
ありがとう。○○をもっと男らしく頑張ってみる

161:名無しさん@ピンキー
09/02/02 01:33:34 TBfbM5Ol
>>200
そんな万が一のこと言っててもしょうがない
もしなったらなってから話せばいいさ
ここはずっと>>1で94スレまでやってんだから今更どうこう言ってもね

162:名無しさん@ピンキー
09/02/02 02:14:23 qcq5/m54
>>204
そうだな、その時はその時か。
↓以下、感想ドゾー

163:名無しさん@ピンキー
09/02/02 12:38:36 QCmbsDv7
↑だが、断る!!!!!!1!!!

ってのは冗談だが、流れ変えたいなら、自分で話題ふってくれよといつも思う

>>188
首チョンパktkr
しかしRHにはオートガードがあるから、自動でプロテクションが展開するはずじゃ…
以前、エリオが色んなSSでボロボロになった時期があったが、今回はなのはさん受難ブームか?

164:名無しさん@ピンキー
09/02/02 13:58:49 FuGKxZyO
>>180
GJ!
聖王となのはのペアを同時に相手をするってかなりの無茶としかいいようがない
今回ヴィヴィオの身勝手さにイラッときてしまったが彼女も被害者には違いないんだよな…

エリルーの逃亡生活に思わず萌えてしまったのは秘密です
実にいい夫婦でした

165:名無しさん@ピンキー
09/02/02 17:18:17 6MrPaWwm
>>207
過去形止めてぇ(泣)

166:ザ・シガー
09/02/02 18:38:39 wfm3Sgy1
はーい、45分くらいから投下行きます。

もう忘れてる人も多いだろう「大狂乱ミミ大戦」の第五話です。
言わずもがな非エロでギャグ。
変態注意報はあり。

167:大狂乱 ミミ大戦
09/02/02 18:43:30 wfm3Sgy1
大狂乱 ミミ大戦5


「ふあっはは!!! こいつぁ素敵な光景だにゃ~。猫ミミに犬ミミ、加えてリスミミちゃんとは最高に乙っっ!!」


 変態は笑った、大いに笑った。
 己の珍技により目の前でミミやシッポを生やした少女達を見て狂ったように……いや、狂気の話をするならば既に発狂レベルで狂っているのだが。
 しかし、変態の所業により珍奇な身体にされてしまった方はたまったものではない。
 犬ミミを生やされたスバルは慌てふためき、猫ミミを生やされたティアナは絶望を張り付けた表情で青ざめ、リスミミを生やされたキャロは何が起こったか理解しきれずポカンとしている。
 だがこの状況でただ時間を無駄にするほど機動六課は甘い部隊ではない。
 即座に思考を戦闘時のそれに戻したティアナはデバイスを変態へと構えた。


「くっ! この変態、よくも変なマネしてくれたわね!!」


 オレンジ色の魔力光が煌めき、射撃魔法の閃光が空気を切り裂く。
 直射型射撃魔法の弾頭が正確な照準のもと真っ直ぐな軌跡を描きながら変態目掛けて直進。
 常人ならば回避は容易に叶わぬ抜き撃ちの速度、だが相手は尋常ならざる変態である。
 ミミ仮面はまるで最初からその弾道を知っていたかのように軽く頭を傾けるだけで容易く回避。
 オレンジ色の閃光は無情にも空へと消えた。


「おやおや~、お嬢さんは猫ミミをお気に召さなかったかにゃ?」

「そんなの当たり前でしょうが!!」


 不思議そうに首を傾げる変態に、少女はツインテに結んだ髪が逆立ちそうな勢いで激怒した。
 スカートの下から伸びた可愛い猫シッポも同様に怒りを露にしてピンと逆立っている。
 ちなみにスカートの中が見えそうだという事には怒り心頭で気付いていない様子だった。
 だがティアナの怒りも当然だ、突然ミミだのシッポだの身体に生やされれば普通こうなる。
 彼女の相棒のような能天気娘でもなければ。


「うわぁ~、犬のミミとシッポが付いちゃった。ギン姉とお揃いだよティア~♪」


 自分の頭とお尻に発生した珍事に、少女スバル・ナカジマは一片の危機感も不快感も見せず、ニコニコと嬉しそうに微笑んでそう言った。


「お揃いとかそういう問題じゃないでしょバカスバル!」

「ええ~、だって可愛いよ? シッポにミミだよ?」

「うっさい! だからそういう問題じゃないのよ!」

「ニャフハハハ! どうやらそちらのお嬢さんにはお気に召していただいたようだ」


 スバルの様子に愉快そうに盛大な笑い声をあげる変態、正直見ていてむかつく光景である。

168:大狂乱 ミミ大戦
09/02/02 18:44:28 wfm3Sgy1
 ティアナは即座に思考を戦闘モードに切り替えて変態に再び銃口を向けた。


「うっさい! この変態!!」

「ふふ、気の短いお嬢さんだにゃ~」

「スバル、キャロ! とっととこの変態ぶちのめすわよ!」


 顔を真っ赤にして怒り心頭のティアナは、傍らの相棒と未だ自身の身体に起こった変化に驚いていた召還師の少女へと檄を飛ばした。


「は、はい!」

「了解!」


 鉄拳を携えた少女と竜を従えた少女が変態を打ち破らんとその矛先を向けた。
 愛機、リボルバーナックルの回転刃が唸りを上げてけたたましい音色を奏でる。
 青き空駆ける魔力の道、ウイングロードの上を駆け抜けてスバルは己が拳を振りかぶって変態に狙いを定めた。
 美しい、掛け値なしにそう呼べるほど完成された拳打の一撃。
 空気を切り裂いた拳が変態に到達するのに瞬きするほどの時間すらなかった。
 だがそれよりも速く、ミミ仮面は懐からあるモノを取り出した。


「そーれ」


 声と同時に変態はそれを投げる。
 弧を描き、宙を飛ぶ、小さな球体。それは小さなゴムボールだった。
 常識的観点から考えれば意味不明の行為に他ならない。
 鉄拳を振りかぶった少女が襲い来るというのに、明後日の方角にボールを投げるなど前代未聞だ。
 だがしかし、それは実に効果的な行為だった。
 どんな強固な防御障壁よりもスバルの攻撃を防ぐ最大最強の防御だった。
 なにせ今の彼女は“犬ミミ”の女の子なのだから。


「きゃうんきゃうん♪」


 魔力を込めた強大な破壊力を有した拳を振りほどき、スバルはウイングロードの上からボール目掛けて飛び出す。
 目指すはポーンと宙を飛ぶボール。
 カプ、と効果音を付けて、少女はそのボールを口に咥える。
 そしてその場でゴロゴロと転がって、ひたすら咥えたボールにじゃれ付く。
 それはもう、オモチャを目にした子犬のように。


「うーん、ハミハミ♪」

「ちょ! バカスバルッッ!! 何してんのよ!?」

「だってボールがぁ~」

「だってじゃないわよ!! ああもう……仕方ない」


 ボールをハミハミ咥えながら至福に浸った顔をする相棒に愛想を尽かし、二丁銃を構えた少女はその銃口を変態に向ける。

169:大狂乱 ミミ大戦
09/02/02 18:45:26 wfm3Sgy1
 オレンジ色の魔力が小さな球体を幾つも形成・肥大化。
 直射射撃魔法では捉えきれぬと踏んだティアナは自身に出せる限界数の誘導弾での攻撃にシフトする。
 大きさを絞られた十数発の魔力の塊、その全てが彼女の意思に従って精密極まりない軌道を描くのだ。
 絶対必中の決意を込め、ティアナは誘導弾を放った。
 筈だった。
 だが次の瞬間、彼女の前にナニか投げられる。それは麻製の小さな袋。
 小さな麻袋はティアナの眼前を掠めると、彼女の前に音を立てて転がる。
 ふぅわり、と、なにか艶めいた芳香が少女の鼻腔をくすぐった。
 鼻腔を駆け抜けた香りは即座に脳まで浸透し、途端に彼女から全ての力を奪い去る。
 魔力で練り上げられた誘導弾は消滅し、ティアナは力なくその場に膝を突く。
 そして少女の瑞々しい肉体は、芯から火が点いたように熱くなる。


「な、なにコレ?……力、はいんない……」

「にゃっふっふ~! 猫の弱点と言ったらマタタビに決まってるにゃ!」

「ま、またたび!? そんなモノで……」


 鼻腔を突き脳髄に甘い快楽を刻む香りに、少女は必死に抗おうとする。
 だが、膝に力を入れて立ち上がろうとするが何度やってもそれは徒労に終わってしまう。
 肉体からは力が抜け、頬は火照って赤くなり、目はトロンと蕩けていく。
 荒くなった呼吸のせいで余計に空気が肺腑に流入し、悪魔的な陶酔をもたらす香りを彼女の体内に侵入させた。


「やぁ……ダメ……これかいでると、あたまとけちゃうぅ」


 吐息は甘く声は切なくなり、ティアナは目の前に転がっている袋から漂う芳しい香りに鼻を鳴らした。
 誘惑に屈してしまいそうな自分自身を諌めようと理性が懸命に制動をかけるが、この小さな袋もたらす悦楽はあまりに強力だった。
 身体の芯、その奥底から脳髄までドロドロに溶けてしまいそうな感覚。
 圧倒的な恍惚感が少女を完膚なきまでに堕とした。


「にゃふははは、マタタビの匂いメロメロとは可愛い子猫ちゃんだにゃあ」


 地の上を這い切なげにトロンと潤んだ瞳で荒い吐息をあげるティアナを見下ろし、変態は実に嬉しそうにそう評した。
 心なしか、股を覆うビキニパンツの股間部分も元気そうだ。
 その姿、実に目に毒。
 こんな状況、もう一人のミミを生やした少女はと言うと。


「あうぅ……フリード恐い」

「きゅく?」


 自分の竜に怯えていた。
 まあ無理もない、キャロは今ではただの召喚師ではなくリスミミ召喚師なのである。
 リスとは言わずと知れた小動物だ、肉食獣に捕食対象として狙われる生態系の下層の生物だ。

170:大狂乱 ミミ大戦
09/02/02 18:46:19 wfm3Sgy1
 これがあらゆる世界の生物種の中でも上位に座する竜を前に怯えぬわけがない。
 自身の使役する竜に怯える召喚師、この世でこれほど使えない存在があろうか?
 まるで本物のリスのように、キャロは縮こまってプルプルと震えていた。


「ふふ、あっちの子リスもまあ可愛いもんだにゃ~。実に素晴らしいッッ!!」

<マスター、さっきの連中がまた来るにょ>


 変態の愛機マタタビXが設定された美少女ボイスで告げるや否や、さきほど軽く攻撃をいなした六課隊員、なのは・フェイト・エリオが接近。
 人外の化生の如き鋭敏な戦闘感覚を持つ変態はこれを即座に察知し、その身を鮮やかに翻す。
 真っ赤なマントをはためかせ、ヘラクレスの如く鍛えぬいた筋骨隆々の五体で宙を舞った。
 同時に手にした魔法の杖、肉球のような先端のそれが魔法陣を描く。
 展開される術式が高度な魔法作用を引き起こし、魔力を消費し、プログラムを行使する。
 ミミ仮面が宙でその身を静止させた時には超高速処理された魔法は完了していた。


「やれやれ、ゆっくりお茶を飲む時間くらい欲しいもんだにゃ~。ではバイバイにゃ~」


 瞬間、爆ぜるように閃光。
 視界を奪う凄まじい光と爆音がその場にいる者全ての動きを殺す。
 ただ一人、技の行使者たる変態を除いては。


「く……また、逃げられた……」


 なのはが言葉と共に目を開いた時には、そこにはあの変態男の姿は影も形もなかった。
 相対した変態を取り逃がした回数はこれで三度目、エースオブエースにとっては大敗に等しい戦火である。
 なのはとてただ黙っていたわけではない。
 ミミ仮面が宙に舞う刹那、やつの動きを捕捉すべく誘導弾とチェーンバインドをフェイトと共に展開していた。
 だがあの変態はそれすら回避したらしい。
 桃色の魔力で形成されたチェーンバインドの先には、ただあの男の赤いマントの切れ端が虚しく風になびいている。
 こちらに死傷者はゼロ(ミミ・シッポ化ノーカウント)だが、若きエースの口中には苦い敗北の味が滲んだ。
 なのはは敵の消えた空を見上げ、口惜しげにその唇から言葉を搾り出す。


「ミミ仮面……次こそは……」

「ねえなのは、スバルがボール追っかけてずっと遊んでるんだけど、どうしよう?」

「次こそは捕まえてみせるんだから!」

「ねえ、ティアナがさっきから喉鳴らして寝転んでるんだけど」

「みてなさい! ミミ仮面!!」

「ねえ、シリアスに決めてもなんか虚しいよ?」

「……フェイトちゃん、人には時に現実を見たくない場合があるの」


 なのはは空を見上げ、そう虚しく呟いた。
 彼女の下では部下である少女達が一様に愛らしい姿を晒していた。


続く。


171:ザ・シガー
09/02/02 18:51:11 wfm3Sgy1
投下終了。
いやぁ、待ってくださっていた方々お待たせして申し訳ない。
中将だの鬼畜眼鏡だの、書きたいモノが多すぎて半年以上かかってしまいました。
しかし面白い変態ってのは書くの難しいねぇ。


そして、保管庫に補完されている分を少し修正しました。

第一話つURLリンク(toppg.to)
第二話つURLリンク(toppg.to)
第三話つURLリンク(toppg.to)
第四話つURLリンク(toppg.to)

司書様、どうか差し替えをお願いいたします。

172:名無しさん@ピンキー
09/02/02 20:41:21 xdarKkO+
なんという猫ア○クの侵食!
もっとやれw

あ、なのはさんの頭には耳よりも角の方が似あu(ry

173:名無しさん@ピンキー
09/02/02 20:51:07 qcq5/m54
>>214
GJ。
畜生、みんな可愛いじゃないか。
我が家にも欲しい(まて
これで残っているのはなのはとフェイトくらい・・・・・うぅん、どんなオチをつけるのか気になる。


>>215
つまり、
変態「食らえ、ミミ光線」
なの「にゃぁぁぁぁぁ、わたしもとうとうネコ耳にぃっ!?」
フェ「なのは、それはネコ耳じゃない!」
はや「牛角や!」

牛はどっちかというとフェイトのむ・・・わ、待てなにをあqwせdrftgyふじこlp;

174:名無しさん@ピンキー
09/02/02 21:32:03 6MrPaWwm
>>216
フェ「なのは、今こそ角隠しだよ、さあこれを被って早くお嫁さんに」

175:名無しさん@ピンキー
09/02/02 22:03:38 CSqsPCYP
>>192
エロにはまったく興味なくて、というかどこかで読んだようなワンパターンなエロが嫌いで、
ストーリーとしてちゃんと読めるのを楽しみにしてる人間だってここにいる。

ただ、グロがある場合は一応書いてほしい

176:名無しさん@ピンキー
09/02/02 22:11:49 IczBpZ/4
>>218
>エロにはまったく興味なくて
エロパロ板まで来ておいて、ここまではっきり言い切ったやつははじめて見た……

177:名無しさん@ピンキー
09/02/02 22:21:42 5eL83JOf
>>219
それだけここが異質だってのがよく分かる……

178:名無しさん@ピンキー
09/02/02 22:23:25 o5ue8kRy
口に出さないだけでそういう人も多そうだけどね>エロにはまったく興味なくて

179:名無しさん@ピンキー
09/02/02 22:28:30 mewOifig
「エロはおまけ いらないとは思わないがなくてもいい」な俺が通りますよ

180:名無しさん@ピンキー
09/02/02 22:33:54 IczBpZ/4
>>221
多くても構わないけれど、堂々と書かないだけの分別はあると思ってた

181:名無しさん@ピンキー
09/02/02 22:36:28 6MrPaWwm
>>というかどこかで読んだようなワンパターンなエロが嫌い

ちゃんとここまで読んであげようよ……

182:名無しさん@ピンキー
09/02/02 22:38:08 NV6IbSD9
エロパロ板でいうべき事じゃないよね
少し頭冷やそうか

183:名無しさん@ピンキー
09/02/02 22:40:07 Hp9LLEpo
こういう時こそエロいSSを望む。
誰か、流れを変えてくれ……

184:名無しさん@ピンキー
09/02/02 22:40:29 IczBpZ/4
>>224
エロなんてやってることは同じなんだから、ワンパターンになるに決まってるじゃんかよううううう

185:名無しさん@ピンキー
09/02/02 22:42:37 GYFEmMlR
GJ!!です。
変態……いい友達になれそうだ。
なのはには牛の角が生えてハリケーンミキサーをしてもらうしかないッ!!

186:名無しさん@ピンキー
09/02/02 22:59:41 6MrPaWwm
>>224
だったらバトルものだって、主人公が勝つに決まっているからワンパターン。

どう違う?

187:名無しさん@ピンキー
09/02/02 23:00:00 z4PqzVPn
>>180
GJ!!
王様親娘丼VSメカっ娘姉御膳(マテ の対決楽しみだが、どうなるかが非常に不安だ。
どちらとも無事ってわけには絶対にいかないだろうし。
ひとまずエリルー子は逃げて生き延びてええええええ。。。。。

188:名無しさん@ピンキー
09/02/02 23:02:05 CTVGetpI
>>218-224 >>229
お前さんたちその下らない話をこれ以上続けたい場合は他所いってくれ
本気で目障り

189:名無しさん@ピンキー
09/02/02 23:05:12 qcq5/m54
可能な限り頑張るから、それまで間を持たせよう。
トーレはお尻美人だが、他にもお尻が奇麗なキャラは誰だと思う?

190:名無しさん@ピンキー
09/02/02 23:05:12 TBfbM5Ol
おいおい>>205でそういった話は完全に終わりだと思ったのにまだやんのかおまいら
いい加減にしてくれよ

191:名無しさん@ピンキー
09/02/02 23:11:54 4sLYkwxt
>>232
ザフィーラ

192:名無しさん@ピンキー
09/02/02 23:15:38 Mo8q4CGU
確か犬の健康具合ってお尻が綺麗かどうかでもわかるんだっけ?

193:名無しさん@ピンキー
09/02/02 23:20:50 GYFEmMlR
アルフっていってよw
カリムなんかも、尻はよさそうだなぁ。
メッチャセクハラしたい。

194:名無しさん@ピンキー
09/02/02 23:22:06 jwq5vjy9
カリムの尻って、画面に出たっけ?
なんか、すっげー記憶が曖昧に……
シャマルさんの尻はけっこういいんじゃないだろうか?

195:名無しさん@ピンキー
09/02/02 23:37:27 mewOifig
シャッハ

196:名無しさん@ピンキー
09/02/02 23:54:29 cmWjsa2W
リーゼアリア&リーゼロッテ

197:名無しさん@ピンキー
09/02/03 00:00:34 Hp9LLEpo
このスレ的に考えて、フェイトがあがってないのは何故なんだ?>尻
ここでとっても活躍してるというのに。まあ、主に提督とか提督とか提督とかがセットでだけどw

198:名無しさん@ピンキー
09/02/03 00:04:13 RMJzYNV3
>>240
あれだ。使い込まれすぎて………あああ、金色の死神がっっっ!!!

199:名無しさん@ピンキー
09/02/03 01:25:15 DqHOvQrC
Q.フェイトがあがってないのは何故なんだ?

A.チン○要因の決定的な不足

200:タピオカ
09/02/03 01:36:36 d/A4bRax
お邪魔します


注意事項
・戦闘ものでドカーン!バキーン!ガシャーン!とやりたいのです
・エロいはずがない
・本編終了して約1年ぐらいたってます
・敵組織オリジナルキャラクターで纏めちゃったので大量に厨二病が香るオリジナルのキャラクターをお届けします
・あまつさえオリジナルのロストロギアまで拵える始末なので、酷い捏造をお約束します


201:Name~君の名は~
09/02/03 01:37:18 d/A4bRax
第八話「ご利用ありがとうございます」

地下四階。420とナンバーを打たれた一室のドアが静かに開かれた。
シグナム、アギト、そしてその先導をした深緑の猟犬だ。
調度品も設備もほとんどない殺風景なその部屋は、広々とした事があいまって薄気味い。

その一角にいくつものケースが立ち並ぶ。
黒塗りの電子と魔力の二重ロックがされたそのケースは…

「やはり、レプリカか…」

手際良くケースを開いたシグナムの沈んだ呟き。中には眠るように、起動を待つアギトのレプリカが横たわっていた。
シグナムとなりで、中空に浮くアギトの表情が険しくなっていく。
自分を模して造られた存在を再び目の当たりにして、複雑すぎる気分だった。

果たしてこのレプリカたちは何のために生まれてきたのか?
金のため、戦いのため――きっと汚れた目的に造られたであろう命。
いや、そもそも起動すらしていない現状、このレプリカたちは命として扱われ得るのだろうか。

そんなレプリカたちの根源である事自体が、アギトにはやるせない。
アギト自身でさえ、生まれた目的を古代ベルカに置き去りにして現在を生きている。
アギトにとって、レプリカたちは自分の空虚さを改めてつきつけてくるのだ。

しかもそんなケースが後六つ、並んでいる。

「アギト、この階にいる他の者たちのサポートに行け」
「…え?」

次のケースを開く前、シグナムがアギトへ扉の方を指さす。
一寸、ポカンとなったが、すぐにその指示がレプリカの確認と確保から離れろという意味と悟る。
正直、アギトは自分に似せて造り出されたレプリカと向き合うのがつらい。
実験動物扱いされていたあの頃の、延長線である事実の結晶なのだ。

「だけど……あたしのレプリカなんだ…あたしが原因なんだから…きちんと仕事、しなきゃ……」
「…構わん。このレプリカの確認と確保に、戦力を裂く事もあるまい。お前が他の者たちを助けるのも、仕事だ」

アギトがうつむき、少しだけ考える間。
そして、

「わかった。あたしの……その、あたしの妹、頼むな」

失敗してしまったような顔で、渇いた笑いをシグナムに向けた。その中には、ここから離れられる安堵が滲んでいたのをシグナムは見逃さない。
ひゅるりと、アギトが逃げるように部屋から出ていった。
それに続いて、深緑の猟犬も。

「さて」

ひとりになり、一層広さを感じさせる部屋。
残りのアギト・レプリカが収まっているであろうケースにシグナムが手をかける。
ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ、むっつ。
全て、アギトのレプリカだ。
眠れる妖精を見下ろし、シグナムも悲痛げに眉をしかめてしまう。
確認をとり、今一度全員へと電子と魔力の封印を施そうとロックに手をかければ、

「待て待て待て待て待てい!!!」

背後から大音声。小さいが、大きな声。
部屋に飛び込んできたのは、妖精。深い紫の瞳と、赤く燃え上がるような髪の……

202:Name~君の名は~
09/02/03 01:37:58 d/A4bRax
「融合騎!?」
「まさに! それがしはユニゾン・デバイスよ! レプリカではない! 古代ベルカ生粋のをぉ!」

一目で分かった。レプリカではない、本物の古代ベルカの融合騎。
男性型だ。まるで炎を形にしてできたようなそのユニゾン・デバイスは、小さな手足を一杯に伸ばしてシグナムへ静止を呼びかけるジェスチャー。
一目見て、シグナムが思った事はこうだ――アギトに、似ている。

「そこな七騎は! それがしの妹とも言えるべき存在! 断じて! 断じて!! 断じて!!! 貴様らの毒牙にかけさせるものか!」
「待て、私たちにこのレプリカたちを悪く扱う気はない!」

頭に血が上った、アギトに似たユニゾン・デバイスは、問答無用に焔を生み出す。
小さな体が練り上げられたとは思えぬほどの炎は、弓を射る所作と共にシグナムへと襲いかかる。
2ケタを超える炎熱の矢は、実に正確にシグナムだけを狙ったものだが、レヴァンティンが矢と同数の軌跡を描けば、

「!?」

炎の矢が全て叩き斬られて中空に散って消えた。

「落ち着け。何者とて無暗に傷つける気はない。このレプリカたちとてな」

レヴァンティンを鞘に納め、その意思を明確に表すシグナムに対して、ユニゾン・デバイスは愕然と唇をわななかせているだけだった。
最初、炎を叩き落とされた事に衝撃を受けていると思ったシグナムだが、少し、違うようだ。

「?」
「貴様は……い、いや、貴殿はその剣をどこで手に入れた?」
「生まれた時から持っている……としか言いようがないな。それよりも私はお前の事が聞きたい。古代ベルカの融合騎と言うのは本当か?」
「………」
「おい」

レヴァンティンと、シグナムを交互に見つめ、驚愕と困惑をないまぜにしたままユニゾン・デバイスはしばらく言葉もなかった。
訝しげに返事を促すシグナムの言葉さえ聞こえぬ様子で、しばらくフリーズしていたのだが、意を決したように瞳を上げた。
真っ直ぐな紫色の瞳。

「それがしに、名は御座いませぬ。仲間よりは、イフリートと呼称されております。是非……是非! 貴殿の名をお聞かせ願いたい」

完璧な古代ベルカの作法を以て、そのユニゾン・デバイスがシグナムへと礼を施す。
明らかに、態度が一変していた。シグナムに対する敬意がありありと伝わってくるのだ。

「シグナム。お前の仲間が犯した一連の違法行為を取り締まりに来た」
「シグナム……シグナム…!! シグナム?! シグナムですと!!?」
「そうだ」

実に無防備に、イフリートがシグナムへと飛翔し……ひざまづく。
戦線とも言えるこの場所、無防備すぎるその接近にシグナムも毒気を抜かれてしまった。
あまつさえ、服従のポーズさえとられればもはや訳が分からない。

「何のつもりだ?」
「シグナム様! それがしは! 融合騎で御座る!」
「?」
「あいや、当惑なされるお気持ちは無理なからぬ事とは思いますが、お聞き下され! それがしは、アギトなる古代ベルカの騎士と共に戦うため生まれた融合騎であります!」
「アギトだと!?」
「古代ベルカの時代、騎士アギトが融合事故で無念にも死、それがしは封印され申した……現代において、この施設の一派により封印を解除してもらい、協力しておりましたが、どうか! どうか! シグナム様! 貴殿の傘下に加えて頂きたい!!!」
「……な、なに…?」

油断させる虚言。
時間稼ぎのための演技。

203:Name~君の名は~
09/02/03 01:39:03 d/A4bRax
そんな小細工には、見えなかった。
誠心誠意を込めて、イフリートなるこのユニゾン・デバイスはシグナムにひざまづいているのが分かる。
言葉にも、欺くような色が感じられない。
突拍子もない話だが、しかしシグナムには心のどこかで何故か信用に足る気がした。

問題は、シグナム自身がこの話についていくので精いっぱいである事。
――だから、部屋の外、隠れるようにシグナムとイフリートの会話を聞く相棒の気配さえ感じ取り逃す。

「シグナム様、そのアギトという騎士は貴殿の基となった人物に相違御座いませぬ。故、それがしが主と仰げるのは、間違いなく貴殿で御座る!!」
「基となった人物だと…?」
「左様。存じませなんだか?」
「私は、私の生まれについて覚えていない。確かに、私は造られた人格プログラムだが…・…なぜ騎士アギトをモデルにしたと断言できる?」
「騎士アギトは自分が死んだ時の代わりを用意する、という話をお聞きいたしました。そして、そのシグナムという名とレヴァンティンで御座る。
シグナム様、そのレヴァンティンこそ、騎士アギトが用いていた一振り! そして、今しがたの太刀筋! 見紛う事無く、騎士アギトの技で御座った…!!」

見上げてくる紫の瞳は、薄く涙さえ滲んでいる。
イフリートの言葉を鵜呑みにするわけにはいかない、という思い。
イフリートは誠である、という思い。
そして、己の出自に対して初めてと言えるような有力な情報にシグナムは揺れた。

主君の面影と出会えた事への喜びを隠せぬイフリートは、今一度頭を伏せる。

「さらに詳しい話もいたします! この施設の一派に付いていた故、厳罰も辞さぬ覚悟で御座る!! どうか! どうか!! シグナム様、それがしの忠誠をお受けくだされぃ!!」

頭を床にこすりつけんばかりにひれ伏すイフリートを見下ろしながら、シグナムの頭は「アギト」という言葉一色に染まっていた。
アギト。
己の相棒の名。
いや、アギトに名はない。便宜上、アギトと名乗っているだけなのだ。
その「アギト」の、源はもしかすれば……

「イフリート」
「はッ!」
「その……アギトという騎士に関係する融合騎は、お前だけか?」
「……もうひとり、存在します」

アギトであると、すでに確信に近い物がシグナムによぎる。

「それがしの姉に相当し、それがしが飛炎と矢を併せるのに対して剣に炎を付与するに長けて造られた融合騎に御座います」

そこで、イフリートの声調が落ちた。暗く、冷たく。
限りない憎悪と怨念をこめた声。

「その融合騎こそ、無茶なユニゾンを行い融合事故を起こしては騎士アギトの命を奪った張本人! それが故、同型のそれがしまでも封印された顛末に御座います!」
「…烈火の剣精…」
「ご存じなのですか!?」

眼を見開いて顔を上げるイフリートだが、それでも折り目正しい行儀良さは崩れない。
シグナムがその真っ直ぐな紫の瞳から目をそらす。
そらしてしまう。
アギトの事を、話してしまってよいものか?
イフリートの話は本当か?
そもそも、詳しい話はこの場所から離れてからではないか?

冷静沈着で果敢な即決が持ち味のシグナムさえも、この場面にしばし悩んでしまった。
考える事に集中しすぎてしまったのだ。本来ならば敵であるイフリートを前に、本来のシグナムからすれば有り得ない姿である。
それだけ、事が動揺するに足りた。

「イフリート、詳しい話は、後にしよう。今は…ひとまず拘束させてもらう。構わんか?」
「はッ! この身、如何様にでも…しかし、シグナム様、どうか! どうか!! それがしの命、貴殿に預けさせてくだされ…!!」
「……その話も、後にしよう」

204:Name~君の名は~
09/02/03 01:39:37 d/A4bRax
本当に、その身を捧げるような無抵抗のイフリートである。
これならばそう得手ではないバインドだが、シグナムでも十分に束縛できるだろう。
炎のバインドを仕掛けようとして、ふと、シグナムが疑問をひとつ、差し挟む。

「イフリート…お前たちに、なぜ名がない――!?」

言葉の途中、シグナムの感性が部屋の外にいた何者かの動揺を捉える。
呼吸。気配。意思。ありありと、息をひそめていた者の心の乱れが届いた。
それは、イフリートも感じ取れたようだ。

「シ、シグ…ナム…」

アギトだった。イフリートの炎の気配に、戻ってきたのだ。
亡霊のように宙空を滑って部屋に入ってくるが、たたずむその姿はいつもの活力に漲ったアギトとは似ても似つかない。
憔悴してるようにさえ見える混乱の最中、シグナムを見つめながらどこにも焦点結んでいない瞳が揺れ動く。

「あたしは…あたしって……シグナム…あたしが…」
「きさ…ま…」

頭抱えて、必死で自分の存在を掌の感触で確かめるアギトを認めて、イフリートが呻く。

「生きていたのか……貴様…!! 貴様ぁ!!!」

ふつふつと、沸騰する水のように怒りをあらわにし始めるイフリートの周囲、また炎が生まれた。
一呼吸ごとにいくつもの紅蓮が浮かびあがれば、弓を射る所作と共にそれがアギトに襲いかかる。

「待てイフリート!」

呆然自失のアギトはもはや的だ。まばたきひとつする間に炎に射抜かれ、穴だらけの火達磨になるの幻視さえ見えてしまう。
しかし神速の抜刀と踏み込みを誇るシグナムの抜き打ちが炎の矢を全て叩き斬る。
アギトを背にかばう形で、またレヴァティンを鞘に納めた。危害を加えるつもりがないから危害を加えないでくれ、そう言いたいのだ。

「シグナム様! 何故でかばうのですか!? そやつです!! そやつこそ、マイスターもロードも殺した張本人! 融合事故を起こし、全て燃やした!!」
「落ち着いてくれ、イフリート! アギトは何も覚えていないんだ!」
「…ア…ギ…ト…?」

横目でちらりとかばったアギトを見たが、凍える寒さの中にいるように歯の根があわずに怯えている。
震えている。
今、アギトは恐怖と不安に塗りつぶされていた。
ルーテシアとゼストに助け出されるよりも以前、名前がなかった頃に毎夜心臓を鷲掴んできた恐怖と不安と空虚さ。

自分は誰だ?
自分は何だ?
問いかけても問いかけても思い出がぽっかりと欠落したアギトは、ルーテシアから名をプレゼントされるまでいつも傍らにこの負の念と一緒にいた。
もう何年も仲間の温かさと一緒にいて、忘れ去ってしまったその黒い重みが、またのしかかる。

いや、あの頃よりもさらに重く重くなっていた。
イフリートの言葉を「嘘だ」と突っぱねる事が出来ず、少しだけ空虚さが埋まり、より深く暗い恐怖と不安が絡みついているのが良く分かるからだ。
なぜ?
理由は、シグナムとのユニゾンを経験したからだ。
イフリートの言葉に確さがある事を、忘れている記憶がアギトの心に訴えかけてくる。

――なぜだろうな、アギト……お前との融合は、不思議と心が温かい

――なんでもねぇ…なんでもねぇよ…!

あの時、最初のユニゾンで流した涙は、

「あ」


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