【なんでもあり】人外と人間でハァハァするスレ2at EROPARO
【なんでもあり】人外と人間でハァハァするスレ2 - 暇つぶし2ch450:はいりません3
09/02/04 20:31:28 KqH+oDCw
そしてその時、少女は初めてその言葉を発した。
「あ…ふ、もう、挿れてくだひゃ…」
竜は舌を胎内に差し込んだ。
「ああっ…!」
少女の膣は異物を受け入れ、激しく収縮した。
「ふ、ぐぅ…」
竜の舌は、痙攣と共に巻きつく少女の肉壁の心地よい感触を味わいながら、胎内への侵入を続ける。
「あ…あっ!」
嬌声をあげ、少女は絶頂に達した。
ぬらり、と舌を抜き取ると少女はふぅふぅ肩で息をしつつ床に倒れた。


まぁこんな感じで竜は少女を毎晩可愛がってしまった。それがいけなかった。


「ふぬぬ…」
ある晩の戯れの末、初めて、竜の体内に眠っていた性器は役目を果たすべく起立した。
座った少女と同じくらいの大きさで。
自らの体格を考えれば至極当然のこと。だがこのサイズは挿入が困難とかキツいというレベルではない。
まず物理的に入らないんじゃなかろうか。
しかし、何故か少女は挿入を強く求めた。


「さぁ…いいんです、ほらぁ…早くぅ」
ついに少女は先に跨り、我慢汁の溢れ出るそこに秘部を一生懸命押しつけはじめた。
腰に走る快感と、舌の感触の記憶が交錯し、思わず少女の両足を捕まえて、思い切り突き上げてしまいそうになる。

451:はいりません4
09/02/04 20:32:14 KqH+oDCw
いれたい。脳みそが爆発するくらいの熱い欲望。
だが本当に実行したら、少女は絶頂と共に絶命間違いなし。歓喜の嬌声が彼女の遺言となるだろう。
「早くぅ…」
そんなこと言われても困る。
「私…生け贄なんです、あなたさまが気持ちよくなるなら…命くらい」
いや、だから。
「私…私…いつも自分ばかり気持ちいい思いをして…竜神さまを満足させてさしあげられなくて」
そんなこと言われたら。
「もぅ…私…村のことよりあなたが」
「挿れられるかこの阿呆め!!」
「ひぁ!?」
竜は少女の白い腹を乱暴にくわえると、床に這いつくばらせ、鋭い爪のついた前足でやわい太ももをつかみ、いつも通りに舌を中にいれた。
少女は強い力に押さえつけられながら、抗議する。
「違っ…違うぅ、舌じゃなくてぇ、舌じゃ」
うるさい!!と竜は一声吼え、なおも乱暴に少女を舌で犯す。
少女はしゃくりあげ、嗚咽を漏らし、泣きながら、それでも体は正直に達した。
「どうしてぇ…」
「うるさい」
「私、あなたのためなら」
「黙れ!」
お前の死など許すものか。そう低く唸った。
竜の生まれて初めて放った精は、ただ床を汚しただけで、少女の子宮の奥に届くことはなかった。

452:名無しさん@ピンキー
09/02/04 20:33:19 KqH+oDCw
終わり
多分改行とかいろいろ酷いな…ごめん
あと鳥もつけ忘れた、ごめん

453:名無しさん@ピンキー
09/02/04 20:37:44 PZeOA9Vb
おつー
絶頂とともに絶命ワロタ
童貞なのに上手いのかwwwww
肉食獣の人かな

454:名無しさん@ピンキー
09/02/04 20:51:39 m2zVeJ8a
>>452
人外と生贄!
好み過ぎるシチュだーGJGJGJ!

だがタイトル噴いた

455:名無しさん@ピンキー
09/02/04 20:59:11 rohFuzxY
>>443
そうか?
今までにも非エロのシリーズものはあったと思うが

456:名無しさん@ピンキー
09/02/04 21:34:56 hJXL5HF1
>>452
吹いたw
次からは素股にすればいいと思うよ、と主さまにアドバイスしたいです

457:名無しさん@ピンキー
09/02/05 00:02:39 T94WUTli
>>452
GJ!人外と生贄は萌える!
どうしてもいれられないとか、人外だからこその障害っていいな

458:名無しさん@ピンキー
09/02/05 00:07:31 6dkv03tg
>>452
GJGJ。体格差に萌える!
互いに求め合っているのに物理的に難しくて、
でもそれても何とか…と試行錯誤している様子は実にいいものだ。

459:名無しさん@ピンキー
09/02/05 00:17:01 cSyaxouS
彼らは言う。雄に生まれてきたからには戦わねばならぬと。
強い雄は幸福だ。その力もて君臨し続けている限り。
弱い雄は不幸だ。強くならぬ限り、奪われ続ける。地に伏して骸と化すまで。
だが、弱すぎる雄はある意味幸福なのだ。

照りつける太陽が、渇きと空腹に疲れた切った彼の体から、なけなしの体力を奪っていく。
干上がった川、ひび割れた大地。どこまで行ってもひび割れたに大地が続く。
先ほど、餓えに倒れた哀れな草食獣を見つけたが、乾涸らびた骨と皮ばかりで何も残って
おらぬ。失望にぐうと腹がないた。
だが、歩みをとめるわけにはいかない。とめれば自分もそうなりはてるのだ。
痩せた彼を突き動かすのは、もはや生きねばならぬという本能だけであった。もしも思考
のもとに歩いていたのならば、とうの昔にあきらめ命つきている。
恨めしげに仰いだそらは雲一つ無く、砂嵐舞うこの平原と全く隔絶されているかのような
静謐さをもってただあった。
彼は歩く。生まれてどれくらい経ったかはよく覚えていないが、巡る雨期と乾期の間で、
何とか生きてきた。母から追い出されて後、連れだっていた弟は、空腹に絶えかねてこの
前死んだ。悲しむまもなく鳥たちに追い払われた。それからもう何も食べていない。
経験から、あともう数週間絶えれば雨期がくる。そうすれば、草食獣が来る。狩りが下手
な自分でも、彼らの子供を食べて命を繋ぐことが出来るのだ。
だが、その前に自分の命がつきてしまうことは、もうなんとなく予想してあった。
弟が死んだときからすでに。

日が暮れる。沈む太陽がかげろうにひしゃげて見える。そして夜が訪れた。
だが夜といえど歩かねばならぬ。あと一日歩けば水場にたどり着く。その願望こそだけが
彼を突き動かす。たとえそれが単なる幻想にすぎないとしても。
指先にちくりと痛みを覚えて見てみれば、すり切れた肉球に棘が刺さっていた。
引き抜くと少しの血が出る。舐めてみれど、唾すら付かない。ああ。水が欲しい。
気が狂いそうな程の餓えと渇き。草一本すらない平原で彼は歩き続けた。

460:その2
09/02/05 00:17:37 cSyaxouS
それから2日。彼はいよいよ最期を迎えつつあった。普通の雄なら、もうとっくに水場を
見つけていただろう。成熟しかかっているにも関わらず、彼はあまりにも脆弱過ぎた。
もう、これ以上歩けない。
炎天の中、彼は崩れ落ちて死にかけた目を遠くへ向ける。やせこけた体は、冗談抜きに骨
と皮ばかりとなりはてている。情けなくて泣きたいけれど、涙になる水分すらない。
だが、ここにきて、彼の鼻は匂いをかぎつける。風に乗る血の臭い。熟れた肉の匂い。
彼は震えながら歩き出す。最期の力を使って歩む。
永遠とも思える時間が過ぎ、彼は木陰に死んだ草食獣を見つけ出した。倒されてそう時間
が経って居るわけでもない。その横には、自分の倍はあろうかという圧倒的な体格の雄が
だらしなく眠っていた。
彼は恐れながらも肉を失敬した。そうせずには居られない。背中の脂肪を舐め、血をすす
り臓物をむさぼる。こんなに満たされたのは久方ぶりだった。だが、あまりに食べる事に
夢中になっていたため、彼はこの食べ物の所有者のことをすっかり忘れていた。
おい。とドスの効いたしゃがれ声で現実に引き戻される。
おそるおそる振り返ると、仁王立ちになった雄がいる。鋭い目、盛り上がった筋肉、黒い
たてがみ、そして覇気。同じ種族のはずなのに、自分とは何もかもが違う。同じ雄として
神々しさすら感じる体つきであった。
恐ろしい。どのようにして逃げようかと考えるひまもなく、強烈な拳を左頬に受けた。
ぱかーんと景気の良い音とともにのけぞる。それから受けた暴行は壮絶なものだった。
殴る蹴る、地面にたたきつけられる。元々弱っていた体にこれは堪えた。息も絶え絶えな
彼を、屈強な雄は持ち上げて凄んだ。
「おまえも雄なら、オレから奪って見せろ!それすらできんとは女々しいやつめ!…出来
ないなら服従しろ。」
投げ捨てられ地面にはいつくばったかれは、抵抗する気力もなく服従のポーズを取る。
強い雄は、フンと鼻をならし、彼の雄の証を踏みつけた。
「なかなか立派なものが付いてるじゃないか。だが、弱すぎるおまえは雌に見向きもされ
ないのだからこれは不要とはおもわんか?え?」
そしてそれをぐりぐりと踏みにじりながら罵倒する。その行為にも、彼は服従したまま耐
えた。
「フン。これだけやられてもおまえは立ち上がらんのか。つまらん」
しばらくいびった後、弱いもの虐めも面白くなくなったのだろう。強い雄はごろりと横に
なって言った。
「もうオレは喰わん。残りは喰っていいぞ」

461:その3
09/02/05 00:18:00 cSyaxouS
おい、起きろ。
頭を蹴飛ばされ彼は目を覚ました。強い雄─仮にキングとしよう─キングは彼を蹴飛ばし
て起こすと、ついてくるように命令する。
「いいか、逃げたら殺す。おまえは運がいい。雨期だったら昨日のウチにおまえを引き裂
いてやったところだ」
彼はうなずき、二人の奇妙な関係が始まった。キングは毎日のように彼を罵倒し小突き回
すが、獲物もわけ与えるし、必要以上に傷つけたりもしない。そうしながら、やっとの事
で水場にたどり付いたのは、雨期まであと一月ほどとなってからであった。
この水場は乾期でもかろうじて干上がらない。そのため草もあり、草食動物が集まってい
る。獲物には事欠かないが、目が多いため狩りの成功率はさほど高くない。
加えて言えば、まだ彼らと同じ種族は到着していない。一番乗りのようであった。
キングは相変わらず彼を虐め回していたが、水場に着いてからというもの、その内容が彼
の雄としてのプライドを完全に打ち砕くものだった。
雄が雄を犯す。キングは彼を押さえつけ、彼の腕ほどもあるようなペニスを愛撫するよう
に強要し、さらには肛門を犯す。内側からいきり立ったペニスで前立腺を突かれ、怒張し
たものをしごき立てられ、意志とは無関係に射精されられた。キングが一度達するまでに
彼は何度も何度もいかされ、自分の出した精液を全て舐めさせられた。
それが毎日繰り返される。一度だけ逃げ出したが捕まって酷い目に遭わされた。そのとき
は足腰が立たなくなるまで射精させられ、その日を堺に目に見えて精液の量が減った。

雨期まであと半月ほどであろうか。
今日もキングは獲物をしとめてきた。その頃になると、彼はキングの帰りが待ち遠しくて
仕方が無くなっていた。一緒に獲物をむさぼった後、またあの責めをされるかと思うと、
イヤだと思いながらも体の芯が疼く。もう彼には雄としてのプライドなどかけらも残って
はいなかった。そう。キングは優しい。自分は彼に付き従ってこそ、その本分を全うでき
るのだと信じている。

雨期までもう間近。空には雲がかかり、地上にいる者達はそのときを今か今かと待ちこが
れていた。空気に乗る水の匂い。生き延びた者達への祝福の瞬間は、もはや時間の問題で
あった。
そして、彼とキングの関係はいまだとぎれることなく続いている。キングのもたらす獲物
のおかげで、彼はすっかりと回復していた。だが、変化はそれだけではない。
彼はキング無しにはいられなくなっていたのだ。その体は雄にはない丸みを帯びていて、
完全な雌へと変貌を遂げていた。
この頃になると、ようやく同族の者達が到着し始める。
他の雄達は彼─彼女─をみて、キングに羨望のまなざしを送り、彼女にはギラギラとした
欲のまなざしを突き立てた。雄達はそして、雌を巡っての争いを始める。
雨が落ちてきた。
何時までも降り続く雨は、生き延びた者への祝福か、はたまた飢えと渇きに倒れた者への
弔いの涙か。
青く高かったそらは、もはや黒く沸き立ち、雷鳴と雷光が雨期の訪れを高らかに告げる。
全ての動物は歓喜に沸き立ち、渇きに絶えた自らの命を讃える。らんちき騒ぎのなか、雌
は命を宿し母になる。命は巡る。
キングは既に、幾人かの雌を従えていた。そして、元は雄だった彼に言う。
「おまえは必ず一番目に孕ませてやる」

彼らは言う。
弱すぎる雄はある意味幸福なのだ。時として、雌として生きる道があるのだから。

462:名無しさん@ピンキー
09/02/05 00:19:48 cSyaxouS
終わりです。

>>433
のアイディア使用。
まあ、魚類くらいしか性転換しないみたいだけどね。

463:名無しさん@ピンキー
09/02/05 00:29:59 nxP1DC75
投下乙!…って言いたいところだけど
なんつーかこれは流石にまずくないか?
思いきり同性愛に類される描写があるのはちょっと…

やっぱり先に内容に関しての注意書きは必要だな

464:名無しさん@ピンキー
09/02/05 00:36:49 Z1TFF7nO
頼む先に注意書きマジで頼む

465:名無しさん@ピンキー
09/02/05 00:39:12 M38BEJ+m
乙。面白かった。

でもこれは注意書きがいると思うぞ。
俺は抵抗無い方だから読めたが、そうじゃない人も相当多そうな感じだ。

466:462
09/02/05 00:42:00 cSyaxouS
これはうかつだった。
始めに注意書き入れるべきでしたね。申し訳ありません。

467:名無しさん@ピンキー
09/02/05 00:50:56 +iILOc7z
>>466
次から気をつければいいと思う。でないと叩かれる危険性もあるからねぇ。

最近のこのスレの加速度は異常。何個かネタがあるけど文章起こしてるうちに被りそうで怖い;

468:名無しさん@ピンキー
09/02/05 01:11:09 M38BEJ+m
誘い受けはいらん。
変態なら黙って投下だ。
さあその妄想を形にする作業に戻るんだ!

469:名無しさん@ピンキー
09/02/05 01:13:25 S52mvQ67
まぁ小ネタを職人が拾ってスレ投下するまでのターンが
むしろ(いい意味で)異常だから
もし被ったら「被ってすまん」の一言で投下しちゃっていいと思う

470:名無しさん@ピンキー
09/02/05 03:25:09 T94WUTli
>>459
人間でてないし性転換ネタだし、あまりにもスレチだと思う
注意書きすら書いてない

やっぱり次スレから注意書き必須ってテンプレにいれるべきだ

471:名無しさん@ピンキー
09/02/05 05:37:18 S52mvQ67
読み返したら同種族なのかそりゃいかんな
なぜか相手は人間だろうとか勝手に思い込んでいた
確かに注意書き必須は職人さんを守るためにも必要だ

…たてがみとか同じ種族のはずとか書いてあるのになぜ勘違いしたんだろう

472:名無しさん@ピンキー
09/02/05 11:46:30 M38BEJ+m
このスレで昆虫萌に目覚めて色々調べてみた。虫って面白いな。
Wikipediaでオニヤンマの雄のあほの子っぷりが強調されててワロタ。可愛いよオニヤンマ可愛いよ。
あとカマキリの雄は頭を怪我すると性欲が増すドMらしいが…キリたん目怪我してたよな。テラ期待。

473:名無しさん@ピンキー
09/02/05 12:56:47 +tVOmxdh
同性愛は注意書き必須だな
人外同士は前スレからあったし、いいんじゃないか?
性転換も両生類の性転換ってのは人外ネタとして面白いと思うが
それも同性愛と被ってくるから注意書きは必要だな

474:859 ◆93FwBoL6s.
09/02/05 14:54:37 9e7uJQsf
おっかさんなシードラさんもチェリーな竜神様も萌えました、投下ありがとうございます。
性転換は新境地だ、何かに目覚めてしまうかもしれないwwwwwww
というわけで、ヤンマとアカネを投下。これでお終い。


475:ヤンマとアカネ 7 1 859 ◆93FwBoL6s.
09/02/05 14:55:54 9e7uJQsf
 恐怖は進化の証だ。
 昆虫が巨大化することも二本足で直立することも脳が肥大化することも人間を捕食することもなければ、知らなかっただろう。
原始的で初歩的な感情だが、感情は感情だ。六本足で地べたを這いずっているだけでは、感情すら覚えなかっただろう。
 昆虫人間は、驚異的な速度で進化している。世代を重ねるたびに容貌は人類に近付き、知性が向上し、身体能力は増大する。
人類が七百万年掛けて到達した地点に、ほんの数十年で到達した種族を、人類に恐れるなという方がまず無理からぬ話だ。
また、繁殖力も凄まじい。昆虫人間が一度の産卵で生み出す個体は人類を遙かに上回り、生命力も適応能力も強靱だった。
たった数年のうちに世代を交代し、更に進化した個体を生み出していく。そして、彼らが主に捕食するのは他ならぬ人類だ。
 このままの勢いで行けば、地球上が昆虫人間に淘汰されるのは時間の問題だった。だからこそ、人類側も手を打ってきた。
少女にウィルスを注入し、毒餌として廃棄都市に投棄した。だが、人類側の目論見は外れ、毒餌は喰われることはなかった。
無数に蠢く昆虫人間の中にも、変わり者がいたからだ。黒と黄色の外骨格と澄んだ緑の双眸を持った、一匹のトンボである。
彼が少女を助けなければ、少女は虫に喰われ、その虫も他の虫に喰われ、内臓を溶かす病気が廃棄都市に蔓延しただろう。
だが、そうはならなかった。そのために、廃棄都市に生きる者全てが恐怖に駆られている。死への恐怖と、滅亡への恐怖と、そして。
 愛する者を失う恐怖に。


 シブヤ上空は、羽音に埋め尽くされていた。
 虫。虫。虫。虫。虫。虫。どの空を見ても昆虫人間が飛び回り、どの地面を見ても昆虫人間が駆け回り、逃げ場はなかった。
数日前から、異変の兆しはあった。内臓を溶かす病気で死ぬ者が増えるに連れて、どの種族も目に見えて殺気立っていた。
昆虫人間同士にも、それなりに交流はある。言葉と言うには原始的な音を発して、威嚇ではなく情報を交換することは少なくない。
文化もなければ文明もないが、多少の知性は持っている。そのなけなしの知性を駆使し、昆虫人間達は恐怖の根源を探している。
つまり、毒を振りまいた元凶を探しているのだ。廃棄都市にいるはずのない人間と、それを喰わずに愛玩するイカれた昆虫人間を。
 腕の中の、茜の震えが止まらない。ヤンマの外骨格に縋り付く手はべっとりと脂汗が滲んでいて、顔は青ざめ、唇は歪んでいた。
可愛らしい顔立ちは怯えに引きつり、目元には涙も滲んでいる。ヤンマは中両足で彼女を抱き寄せながら、複眼で外を窺った。
ビルの割れた窓から見える空は、相変わらず昆虫人間に支配されている。澄んだ青は見えず、無数の羽が煌めいているだけだ。
事の異変を察知してあの家から逃げ出したはいいが、そこから先は考える余裕もなく、手近なビルに逃げ込んで息を殺していた。

「動くに動けねぇな」
「ごめんね、ヤンマ、私のせいで」
「お前は何もしちゃいねぇさ。謝るな」
「でも、ごめんね」

 茜は潤んだ瞳を上げ、ヤンマを見つめた。

「だから、謝るな。俺が悪いことした気分になってくるじゃねぇか」

 ヤンマは顎を開いて細長く黄色い舌を伸ばし、茜の目元に溢れた涙を舐め取った。

「ほとぼりが冷めるまで、大人しくしているしかねぇな。こんなんじゃ、逃げようにも逃げられねぇからな」
「うん。そうだね」
「まあ、逃げるっつっても、どこに逃げりゃいいかは解らねぇけどな」
「それは、大丈夫だと思う。廃棄されたのは、トウキョウだけじゃないから」
「そうなのか?」
「うん。軍の施設にいた頃に、色々と教えられたから」


476:名無しさん@ピンキー
09/02/05 14:56:03 AFg/+CWX
つか人外同士だったら獣人・亜人スレの方にもお願いしたいところだが
最近過疎気味だし

477:ヤンマとアカネ 7 2 859 ◆93FwBoL6s.
09/02/05 14:57:11 9e7uJQsf
 茜は目元を拭ってから、ヤンマの屈強な上右足に腕を絡めた。

「トウキョウがダメになっちゃった後、チバとかカナガワとかサイタマとかグンマとか、その辺もコクレンの命令で廃棄されたんだって。
そこに住んでいた人達は、海を渡って他の国に移住したの。だから、他の街も、トウキョウと似たような感じになってるはずだよ」
「だったら、逃げ場はあるってことか」

 ならば、まだ活路はある。ヤンマは複眼を上げ、昆虫人間の大群の切れ目を探した。高速飛行能力にはそれなりに自信がある。
茜を抱えていたとしても、上手く風を掴めば振り切れないことはない。だが、シブヤを囲む昆虫人間の波が切れる気配すらなかった。
昆虫人間という昆虫人間が、一族総出で出撃しているからだ。個体数の多い種族ならば、千どころか万を容易く超えているだろう。
そういった種族が複数集まれば、あっという間に物凄い数になる。それだけ、どの昆虫人間も、茜の運んできた毒を恐れているのだ。
ヤンマにも、その気持ちは解らないでもない。だが、恋に落ちてしまったことを自覚した今となっては、茜の毒など恐れるに足らない。
 だが、他の恐怖は感じていた。茜は弱い。昆虫人間の中でも特に脆弱な人型カゲロウよりも肌が薄く、筋力も弱く、戦う術を持たない。
他の昆虫人間に捕らえられれば、一秒と持たずに殺される。ヤンマは己の戦闘能力にも自負を持っているが、この数は戦い抜けない。
途中で力尽きて、茜を落としてしまうかもしれない。もしくは、他の昆虫人間に足を毟られて、茜を奪い取られて殺されるかもしれない。
そう思ってしまったら、動けなくなった。このままではいずれ見つかって殺される、と解っているのに、四枚の羽は萎れてしまっていた。
 突然、全ての窓が羽音で震えた。ヤンマが茜を庇って身構えると、ばしゃあっ、と窓を砕きながら巨大な昆虫人間が外壁に取り付いた。
人型カブトムシだった。黒光りするツノでコンクリートを打ち砕き、穴を一気に広げた人型カブトムシは、黒い複眼にヤンマと茜を捉えた。
頭頂部だけでなく胸部からも先端の尖ったツノが生えているので、海を渡ってやってきたヘラクレスオオカブトと呼ばれる種族のようだ。

「こんなところにいやがったのか、逆賊め!」

 がちがちと口を打ち鳴らしながら、人型カブトムシは昆虫言語で叫んだ。ヤンマは羽を広げ、威嚇する。

「だからどうした! 俺は俺の思うように生きているだけだ!」
「その毒餌を俺に寄越せ。叩き潰してやる!」
「生憎、こいつは毒でも餌でもねぇ!」
「じゃあ、なんだって言うんだ」

 人型カブトムシはツノの先で天井を擦りながら、大股に歩み寄ってくる。

「人間なんざ、喰うだけの価値しかない生き物だ。そんなもんに情を寄せたところで、腹は膨れねぇんだぞ、田舎トンボ」
「お前如きにこいつの良さが解ってたまるかよ、ゴキブリモドキ」

 人型カブトムシ一体ぐらいなら、倒せないこともない。ヤンマは茜を背後に守りながら、上両足を広げ、三本の爪をぎちりと軋ませた。
だが、人型カブトムシは構えなかった。床が震えるほど力強く下両足を踏み締めると、ぶぅん、と空気を唸らせながらツノを振り下ろした。
頭頂部から生えたツノがコンクリートに埋まり、中に埋められていた太い鉄骨が飴細工のように曲がり、ビル全体が盛大に揺さぶられた。
足元を支えていた床が砕け、割れ、抜けていく。ヤンマはすかさず茜を抱えると、人型カブトムシの肩を蹴って倒してから、穴から脱した。
人型カブトムシは敏捷に反転し、ヤンマの左下足を掴もうと爪を伸ばしてきたが、それが掠る前にヤンマは羽ばたいてビルから遠ざかった。
数秒後、劣化していた上に大打撃を与えられたせいでビルの天井が抜け落ちた。人型カブトムシは圧殺されたらしく、水っぽい破裂音がした。
 その様子を複眼の端で捉えながら、ヤンマは降下した。他の昆虫人間が争乱に気を取られている隙に、距離を取っておかなければ。
だが、数十メートル滑空したところで行く手を塞がれてしまった。同族の中でも最も近しい種族、人型トンボがヤンマと茜を取り囲んでいた。
仕方なく、ヤンマはひび割れたアスファルトに足を付けた。下手な飛び方をすれば、振り切るどころかすぐに捕らえられて殺されるだろう。
 びいいいん。びいいいん。びいいいん。びいいいん。色取り取りの複眼が二人を映し、威嚇のためにがちがちがちと顎を鳴らしている。
ヤンマは彼らをぐるりと見渡し、苛立ちに任せて顎を擦り合わせた。彼らは顎を打ち鳴らす音を止めると、ヤンマを見下ろし、口々に罵った。

478:ヤンマとアカネ 7 3 859 ◆93FwBoL6s.
09/02/05 14:57:47 9e7uJQsf
「一族の恥め」
「恥曝しめ」
「気違いめ」
「裏切り者め」
「穢れめ」
「死ね」
「死ね」
「死ね」
「死ね」
「死ね」
「殺せ」
「殺せ」
「殺せ」
「殺せ」
「殺せ」
「喰え! 喰え! お前が喰え! 毒を喰え! 毒を喰え!」

 毒を喰え。毒を喰え。毒を喰え。毒を喰え。誰かが言い出した言葉が伝染し、人型トンボは毒を喰えとヤンマにがなり立ててくる。
その言葉は病よりも素早く昆虫人間達に行き渡り、人型トンボの輪の回りに他の種族が輪を作り、更にその上にも輪が作られた。
 毒を喰え。毒を喰え。毒を喰え。毒を喰え。皆、揃って叫ぶ。毒を運んだ餌を愛でる昆虫人間を蔑み、恐れ、怯え、憎むが故に。
茜は昆虫言語は解らないのだが、ただならぬ様子を察しているらしく、がちがちと歯を鳴らすほど震えてヤンマにしがみ付いてきた。
羽音という羽音、声という声、虫という虫が二人を囲んでいた。最早空は一欠片も見えず、日光も無数の羽の隙間から零れるのみだ。

「…離して、ヤンマ」

 茜は震える手でヤンマの胸を押して足を解かせると、後退して距離を置いた。

「茜?」

 ヤンマが茜に近付こうとすると、茜は首を横に振った。

「もう、いいよ」
「何言ってやがる、まだ諦めるには早すぎるだろ!」
「だから、もう、いいの」

 茜は懸命に怯えを殺し、引きつった笑顔を浮かべてみせた。

「もう、充分だから。私、ヤンマと一緒にいられて、本当に幸せだった。生活していくのは大変だったけど、毎日が楽しかった」
「茜…」
「私のこと、好きだって言ってくれて嬉しかった。だから、思い残すことなんてないの」

 茜は胸の前で両手を組み、膝を付いた。

「お願い、ヤンマ。私を食べて」

479:ヤンマとアカネ 7 4 859 ◆93FwBoL6s.
09/02/05 14:59:12 9e7uJQsf
 喰え。喰え。喰え。喰え。喰え。怒濤のように同族の声は押し寄せ、憎悪を孕んだ恐怖は膨れ上がり、羽音は鳴り止まない。
ヤンマは項垂れて膝を付いている茜と、飛び回りながら喚き続ける同族を見比べた。ここで喰っておけば、茜は誰にも殺されない。
ヤンマの胃袋で消化され、ヤンマの一部となり、ヤンマの傍にいることになる。ヤンマが死に、誰かに喰われるその時まで、ずっと。
 ヤンマは歩み出し、茜に歩み寄った。その前に膝を付き、寝かせた爪先で茜の顎を持ち上げ、先程と同じように涙を舐めてやる。
茜は意を決し、ぎゅっと瞼を閉じた。ヤンマは最大限に顎を開いて背中を曲げ、茜に覆い被さると、一筋の唾液が茜の頬を濡らした。
事の次第を見守るためか、昆虫人間達の声は止んでいた。羽音だけが聞こえる中で、ヤンマは舌先で茜の髪を持ち上げ、囓った。

「これだけで充分だ」

 ヤンマは茜の髪を嚥下し、顎を閉じた。茜は慎重に瞼を上げ、恋人を見上げた。

「ヤンマ…」
「言ったはずだ。俺はお前が好きだ。好きだから、喰えるわけねぇだろうが」

 ヤンマは上中両足で茜を抱え上げ、硬く抱き締めると、猛った。

「俺は茜を守る! お前らが何をごちゃごちゃぬかそうが、俺にはどうでもいいんだよ!」

 茜はヤンマに力一杯抱き付き、昆虫人間の羽音に負けない声量で叫んだ。

「好き、好き、大好き!」
「そこまで言われちゃ、負ける気がしないぜ! どこからでも掛かってきやがれ、腑抜け共!」

 茜を抱えたヤンマが飛び立つと、昆虫人間の群れは堰を切ったように雪崩れ込んできたが、ヤンマは下両足を駆使して戦った。
頭部を砕き、腹部を貫き、背面部を潰し、複眼を抉り、足を千切り、触覚を捻り、内臓を引き裂き、十、二十、三十、四十と倒していく。
足場の弱い空中での立ち回りは、人型トンボと言えども不得手な分野だが、茜を守るために力を振るうヤンマに敵はいなかった。
体液の飛沫が散り、外骨格や羽が乱れ飛ぶ中、茜は激しく動き回るヤンマから振り落とされまいと、渾身の力で抱き付いていた。
ヤンマも手当たり次第に昆虫人間を蹴散らしながらも、茜の重みを忘れることは一瞬もなく、茜に届きかけた爪や顎は全て叩き折った。
 鬼を冠する名の通り、鬼と化したヤンマが動きを止めたのは、昆虫人間の体液の海と外骨格の山が大量に出来上がった頃だった。
辛うじて生き残った昆虫人間達は散り散りに逃げていったので羽音も激減し、辺りには不気味な静寂と生臭い死臭だけが残留した。
羽以外の全身を粘ついた体液に塗り潰されたヤンマは、昆虫人間の死体が転がっていないビルの上に降りると、茜の体の戒めを解いた。
茜もまた昆虫人間の体液に汚れていたが、それに構うこともなく、すぐさまヤンマに抱き付いた。ヤンマも、彼女を柔らかく抱き締める。

「ヤンマァアアアア!」

 ぼろぼろと涙を流す茜に、ヤンマは体液で表面が潤った複眼を寄せた。

「茜…」

 涙が流せていたら、自分も流れていただろう。ヤンマはしゃくり上げる茜の背を叩いてやりながら、この上なく安堵していた。
これで、もう二度と昆虫人間の世界には戻れない。だが、茜も人間の世界には戻れない。それでもいい、とヤンマは確信していた。
茜さえ傍にいるなら、どこに行こうか構わない。ヤンマは顎に滴る体液を拭ってから、顎を開き、かかとを上げている茜に顔を寄せた。
すると、聞き慣れたリズムの羽音が鼓膜を叩いた。ヤンマが素早く茜を背後に隠して振り返ると、水色の人型トンボが浮遊していた。

「あーにきぃー!」
「良いところだったのに何しに来やがったこの野郎! つうかお前は参戦してなかったのかよ、さっきのに!」
 
 ヤンマが昆虫言語で怒りをぶちまけると、シオカラは気まずげに顎をきりきりと擦った。

「つーか、集団行動なんてマジダリィしー、兄貴はマジパネェっすから勝てるわけねぇしー…」
「ちったぁ根性見せろよ。適当にウロチョロするしか能がねぇのか、お前は」
「だって、戦うのってマジウザイし」
「じゃ、なんで今更来やがったんだ。消耗した俺を殺す気か? お前如きに負けるわけがねぇけどな」

 ヤンマが体液に汚れた爪を開いてみせると、シオカラは飛び退いた。

「いやいやいやいや、マジ違うっすから! マジ戦うつもりないっすから! サーセン!」
「だったら、何だってんだ」
「いやー、その…」

480:ヤンマとアカネ 7 5 859 ◆93FwBoL6s.
09/02/05 15:00:50 9e7uJQsf
 シオカラは言葉を濁していたが、ダークブルーの複眼に茜を映した。

「生体兵器十七番。現時刻を以て、第一次作戦を終了とする」
「え…?」

 突然、シオカラが人間の言葉で喋ったので、茜は目を丸めた。シオカラは、明瞭な発音で続ける。

「我らの求めていた実験の成果とは程遠い結果だが、PGウィルスの有効性は実証出来た。PGウィルスが人間に与える作用も検証出来た。
PGウィルスは人間の肉体に損傷は与えないが、脳を損傷させることが解った。一連の行動を観察していたが、生体兵器十七番は狂っている。
この個体に搭載した情報収集端末によって、我らはお前達を観察していた。だが、やはり、昆虫人間が人類に害を成すことは否めない事実だ。
昆虫人間に対する決定打と思われていたPGウィルスも、人間の脳を冒すのであれば却下せざるを得ない。実に無駄な時間を浪費してしまった。
そして、生体兵器十七番も回収するべきではないと判断する。これはお前をトウキョウに投棄した時に既に決定していた事項だが、軍紀に則って
報告させてもらった。これより十六時間後に、第二次作戦に移行する。以上、通信終わり」

 ぶつり、と機械的なノイズの後、シオカラは沈黙した。きちきちきちきち、と他の昆虫人間と変わらぬ音を発し、首を回している。
通信が途切れたため、底上げされていた知性を失ったらしい。シオカラは辺りを見回していたが、己の縄張りに向けて飛び去った。
ヤンマはシオカラが平坦に並べ立てた面倒な言葉の今一つ意味は解らなかったが、その意味を全て理解した茜は後退った。

「それって、もしかして…」
「茜、あいつは何を言ったんだ!」

 ヤンマが問い正すと、茜は両腕を掻き抱いた。

「トウキョウごと、私もヤンマも他の虫達も爆撃して焼いちゃうつもりなんだよ!」
「バクゲキってなんだよ」
「でっかい飛行機が来て、一杯爆弾を落とすの。ああ、やっぱり私のせいだ! 私なんかがいるから、こうなっちゃうんだ!」
「落ち着け! そんなわけねぇだろうが! シオカラが言ったことは良く解らんが、その前に逃げりゃいいだけのことだろ!」
「でも…」
「俺に人間の都合は解らねぇし、他の人間共がお前が押し付けたことも解らん。だが、これだけは誰よりも解る」

 ヤンマは茜の両肩を掴み、向き直らせた。

「俺は茜を死なせたくない」

 茜は涙を溜めた瞳を見開いていたが、小さく頷いた。ヤンマは茜を抱き締めると、ビルの屋上を蹴り、体液の海の上を滑空した。
まずは家に帰ろう。ありったけの荷物を掻き集めて、逃げられるだけ逃げよう。未だ騒がしい空を飛び、ヤンマは家を目指した。
昆虫人間達は、先程までの態度とは打って変わり、ヤンマの姿を見ただけで飛び去って道を空けてくれたので飛びやすかった。
茜はヤンマに身を委ね、これから訪れるであろう出来事を思い描いて悲観していた。シブヤには、茜も思い入れがあるからだ。
だが、機を逃せば何もかもが無駄になる。茜が授けてくれた感情も、茜のために振るった力も、殺さざるを得なかった同族の命も。
 だから、今は飛ぶしかない。

481:ヤンマとアカネ 7 6 859 ◆93FwBoL6s.
09/02/05 15:01:49 9e7uJQsf
 かつて暮らしていた街が、爆音と共に崩壊していく。
 轟音。爆音。衝撃。火柱。断末魔。海から吹き付ける風に乗って運ばれてくる焦げ臭い匂いには、無数の死の残滓が混じっていた。
人のいない街の民家の屋根に座ったヤンマは、涙を堪える茜を支えてやりながら、複眼の一つ一つに終末の光景を焼き付けていた。
 死への恐怖故に二人に襲い掛かってきた昆虫人間達との戦いを終え、束の間の平穏を味わう間もなく、二人は逃げ出す準備をした。
今まで茜が掻き集めた食糧や、必要最低限の衣服や日用品を手当たり次第にバッグに詰めて、ヤンマは彼女を抱えてトウキョウを脱した。
どこに行くのか、どこを目指すべきなのか、どちらも解らなかった。だが、今は死ぬ時ではないと思っていたから脇目も振らずに逃げた。
 日が暮れた頃、トウキョウに爆弾の雨が降った。西の海から飛んできた巨大な爆撃機が、炎を生む鉄塊を廃棄都市に落としていった。
それがようやく収まったのは、深夜だった。だが、爆撃機が飛び去っても轟音は止まず、激しい炎の影響で何かが爆発しているようだった。
昆虫人間は、ただでさえ火に弱い。いかに屈強な外骨格を持っていたとしても、火を付けられてしまえば、呆気なく焼け焦げて死んでしまう。
だから、あの街に残っていた昆虫人間達はほとんど死んだだろう。けれど、自分でも意外に思えるほど悲しくはなく、空しいだけだった。
所詮、虫は虫だからだろう。そう結論付けたヤンマは、度重なる壮絶な出来事に疲れ果てて、うとうとしている茜を引き寄せて胸に収めた。

「ん、あ…」

 茜は閉じかけていた瞼を開き、目を擦った。

「眠いんなら、寝ててもいいぞ」

 ヤンマが言うと、茜はヤンマに寄り掛かった。

「疲れたけど、そういう気分じゃない」
「そうか。だが、無理はすんなよ」
「うん」

 茜は、家並みの遙か先で赤々と燃えている都市を見つめ、瞬きした。

「ねえ、ヤンマ」
「なんだ」
「私って、頭がおかしいと思う?」
「シオカラの言っていたことか」
「あの子って、そういう名前だったんだ。でも、あの子も、もう…」
「あいつのことは気にするな。でもって、言われたことも気にするな。茜の頭がおかしいってんなら、俺の頭はもっとおかしい」
「そう、かな」
「つうか、虫も人間もどっちもおかしいんだろうぜ。俺にはそうとしか思えねぇ」
「だったら、私はどうすればいいのかな」
「俺の傍にいろ。俺も茜の傍にいる。俺達には、それしかねぇだろ」
「うん、そうだね。夜が明けたら、もっと遠くに行こうね。誰にも邪魔されないぐらい、遠くに」
「茜さえいれば、俺はどこに行ったっていい。愛してるぜ、茜」

 ヤンマは爪先で茜の顎を持ち上げ、顔を寄せた。

「ヤンマ、愛してる」

 茜はヤンマの顔を両手で挟み、引き寄せた。無数の昆虫人間と廃棄都市を焦がす炎に照らされながら、二人は深く口付けた。
数多の命を踏み台にして、越えてはいけない壁を越えて、受けるべき裁きから逃れて、それでも生きていられるのは業の深さ故か。
罪だと言うなら、全てが罪だろう。誰にも許されることでもなければ、決して理解されることでもない。けれど、ヤンマと茜は幸せだった。
 恐怖が進化の証なら、恋と愛は過ちの証だろう。愛するべきではない者を愛し、愛されるべきではない者に愛されたのだから。
恋は甘い蜜に、愛は苦い毒に似ている。一度でも恋を味わえば最後、それが毒に変わり、全身に回ろうとも逃れることは出来ない。
 命を落とす、その時まで。


 それから、二人は旅立った。
 ヤンマは茜を抱いて、澄んだ羽で風を切り裂きながら飛んだ。
 二人を阻むものも、隔てるものも、拒むものもなく、ただひたすらに遠くへと。

 どこまでも、どこまでも。


482:859 ◆93FwBoL6s.
09/02/05 15:05:44 9e7uJQsf
以上で、ヤンマとアカネは完結です。どうもありがとうございました。
ちなみに、PGウィルスってのは変態紳士の英訳の略称だったりなんかしちゃったり。
愛の力でパワーアップする人外は宇宙最強だと思うよ!

483:名無しさん@ピンキー
09/02/05 15:11:03 AFg/+CWX
リアルタイムGJ!
そして割り込みマジスマソ・・・orz

484:名無しさん@ピンキー
09/02/05 15:11:36 K0mghoK7
GJGJGJ!
本能しかないはずのシオカラがお利口そうにおしゃべりできてたのはそういうわけだったのか!
愛の力は偉大だね!
どこまでも行ってしまえよ!
応援してるよ!
素晴らしい作品をありがとうっした!

ふと思ったんだけど、川の中にはロリショタの昆虫人間のヤゴがいっぱいいるのかな。

485:名無しさん@ピンキー
09/02/05 15:33:27 M38BEJ+m
GJ!泣けた…!
さっきオニヤンマをあほの子とか言っちゃってスマソ

486:名無しさん@ピンキー
09/02/05 16:22:25 vgJYwmTG
GJ!PGウィルスの意味にワロタw
ついに完結か…終わっちゃって寂しいけど楽しませてもらいました!
我が心の人外ハァハァ名作シリーズにリストアップくよ
またなんかできたら投下して下さい


487:名無しさん@ピンキー
09/02/05 17:21:43 pDSjvbc4
愛でパワーアップなんて、古典展開は大好物です。
それが人外異種相手だと越える壁も大きいから感動もひとしおですね…!
ノンストップで楽しませて頂きました、ありがとう!

488:名無しさん@ピンキー
09/02/05 17:43:03 oNzWIT0J
デジモンでよくあるパターンだな
愛があればいいのです

489:名無しさん@ピンキー
09/02/06 02:04:27 yekAoRQ5
GJすぎてマジパネェッスよ~!終わり方が素晴らしすぎる
でもシオカラ好きだったからちょっとカワイソス(´・ω・`)

490:名無しさん@ピンキー
09/02/06 09:29:46 C19oHy9D
素晴らしい作品をありがとう。神だった。859のアネゴマジパネェっす!
愛の逃避行が幸せに続きますように。
シオカラたんもちゃっかり逃げ延びていますように。

491:名無しさん@ピンキー
09/02/06 17:54:50 C19oHy9D
名作終了後の余韻は長いな…
すっごく雰囲気壊すようなこと言っちゃって悪いが、
まとめに「作品の著作権は作者にある」って書いてあるよな?
2chに投下された文章って、文章の種類関係なく2chが著作権を持つものじゃなかったか?
pinkは違うのかな

492:名無しさん@ピンキー
09/02/06 19:15:53 rue6/xXK
スレリンク(jurisp板:145-155番)
法学板のスレ。この辺が参考になるのではなかろうか。
著作権の帰属先に関する疑問への明確な回答ではないが、
出版を視野に入れないかぎりあまり気にしないでいいかと。

493:名無しさん@ピンキー
09/02/06 19:34:04 pkFp3cQE
著作権云々は決まり文句みたいな物だし気にしなくて良いかと思う。

それにしても既に半分か。このスレになってから進みが早いな。

494:名無しさん@ピンキー
09/02/06 19:40:47 C19oHy9D
あまり気にしないでいいと分かっているが、万が一何かあったら怖いな…って
pinkの管理人はアメリカ人だし訴訟起こされたら職人に火の粉がかからないかな…って
無断転載するやつは注意書きがあってもなくてもやるし

このスレの加速はAIたんに促されてた気がする
それにしても今日は書き込みが少ない

495:名無しさん@ピンキー
09/02/06 20:28:27 5yOXUP5K
じゃあ最近頭に浮かぶ妄想でも書き込んでみる

カメラ型ロボット×女の子で、入れられないかわりに視姦・ハメ撮りプレイ
そのうちコスプレとかさせて興奮しながらバシャバシャ撮りまくって、
プレイ後もこっそりデータを保存して良く撮れている…と後でうっとり眺めるカメラ

あと蛇×女の子とか
蛇は交尾に30時間くらいかけるって聞いてなんかたぎった
女の子を壊さないように、でもじっくりねっとりしつこく絡み合ってほしい

こんなことばっかり考えてる

496:名無しさん@ピンキー
09/02/06 21:31:47 7Ep9a+is
>>494
金が絡まない限りなんかあっても誰得だし気にするなよ

497:名無しさん@ピンキー
09/02/06 22:51:51 FpsxVYZo
>>495
蛇の交尾いいよな…
全身でぐねぐね絡み合う画像見て興奮した
しかし30時間は長いwww

498:クレイとアリシア-1
09/02/07 00:00:43 8N/+51Db
クレイとアリシア(獣男) 人間女

--------------------------------------------

なあ、お前。ブン殴られた事ってあるか?
ケンカをやったことがある奴なら多分わかるだろ。アレだ。
特に顔面をやられるとやばい。頭がクラクラするし、歯も欠ける。下手すりゃ死ぬ。
そうでなくても、殴られた後は青あざやら内出血で酷いもんだ。
シロウトの殴り合いだってコレだよ。もっと早く、スマートにぶん殴れる技術を持ってる
奴からやられるとさ、ほんのちょっとだけ違うんだぜ。
今のオレがそう。
硬い拳が鼻面へ叩きつけられる。そうするとそこからから後頭部へと一瞬で衝撃が
抜ける。まるでペシャンコになって鼻と後頭部がくっついたような感触だ。
その後ゴツンと鈍い音を聞く。頭ン中からね。そして耳や目から、何かが勢い良く飛び出
すような、そんな嫌な感触。最後に、目の中に火花が散って、酷く焦げ臭いような、血の
鉄くさいような臭いを感じる。
痛みを感じるヒマなんてない。その一撃で体の自由が奪われる。平行感覚が失われる。
言うことを聞かない体を動かそうにも、うまく行かない。たとえるなら、重く粘り気のあ
る水の中でもがいているような感じだ。もしも水銀の中でもがいたならば、こんな感じな
のかもしれない。
浮いた脳ミソがなにやら警告を発する。あらがうことの出来ない浮遊感。
オレをぶん殴ったのは、この酒場に雇われてる殴り屋で拳闘士崩れのケイナス(犬っぽい
種族)だ。ちょっとケンカしたくらいでぶん殴りやがって。同種族はやらねぇでオレだけ
かよバカヤロウ。
そう考える一瞬だか一時間だかがとにかく時間が流れ、オレはクソ汚い酒場の床の上に後
頭部から崩れ落ちた。
「この薄汚ねぇ野良猫を捨ててこい!」
ヤロウ言ってくれるぜ。獲物を持ってたらてめぇなんぞ…
そして、心のなかの負け惜しみすら最期まで言えず。オレは気を失った


499:旧い者達5
09/02/07 00:01:51 8N/+51Db
--------------------------------------------

「あの…大丈夫ですか?」
そんな言葉をかけられてクレイは目を覚ました。目を開けると、ちょうど右肩のあたりに
エリン(人間っぽい)の少女が膝立ちして彼の顔をのぞき込んでいる。数の少ないエリンが
どんな速度で成長するかはよくわからないが、知り合いのエリンの家族に当てはめて見る
と、だいたい13~4位だと思えた。黒い髪に白っぽい毛のない肌。実に平均的なエリン
の姿であった。
「大丈夫じゃねぇよ」
クレイは毒づき、上半身を起こした。駄犬にぶん殴られた鼻面が酷く痛む。顔を下に向け
ると生暖かい感触があり、かなりの量の鼻血が流れ出てきた。意識のないまま仰向けに転
がされていたが、どうやら窒息はしなかったようだ。
どうやらかなりの威力で打たれたらしい。
痛みに顔をしかめながら周りを見回すと、どうやら路地裏のようだった。
酒場でケイナス(イヌっぽい種族)の拳闘士とケンカして一撃でノックアウトされ、その
ままここに捨てられたらしい。
殴り合いには多少自信があったが、拳闘士崩れと素手でやり合うには分が悪い。。
「あいつめ、思い切りぶん殴りやがって」
クレイがもしもフィーリニア(ネコ科猛獣っぽい種族)で無かったら顔面陥没の重傷くらい
負っていたかもしれない。
彼は舌打ちをし、ジャケットの内ポケットを探った。いつも薄い財布が無事な事を確認で
きて安心する。
「で、何の用だ?」
ややつっけんどんに少女に尋ねる。
「あの…だってこんなところで…」
「財布ならやらんぞ。オレが目覚めて残念だったな」
少女に皮肉を言って立ち上がろうとしたが、足によく力が入らない。脳震盪の後遺症はも
うしばらくなおりそうもない。と言うよりも、そもそも自分がどれくらいここに転がって
いたかも定かではないのだ。
「私物盗りじゃありません!」
「もの盗りじゃなかったらさっさと向こうへいけ」
「だから違います!」
クレイは、自分を助け起こそうとする小柄な少女の手を払うと、調子を整えながらたっぷ
りと時間をかけて立ち上がる。
「あの…お願い。私を…」
「なんだ?おまえ売ってるのかよ。ガキの癖にちょっと悪趣味過ぎるぜおい」
顔をしかめて少女を見る。小さい娼婦?に対する嘲りの言葉がいくつか思いついたが、言
おうとする前に消えた。悲しげな表情をした少女の顔に、それを投げかける事は出来ない。
「…違うんです。私、娼館から逃げ出してきたんです」
うつむいた少女は、驚くべき事を言った。

500:クレイとアリシア-3
09/02/07 00:03:47 8N/+51Db
「はぁ?」
クレイは思わず間抜けた声を上げる。
「あ…でもまだ私処女ですよ?」
少女の発した意味の解らない発言はどうでも良いとして、娼館から逃げ出した?しかも仕
込み前に?クレイは頭を抱えたい思い出少女をみやった。
「父さんの借金の形に連れて行かれたの。父さんは首を括ったけれど、それでも許しても
らえなかった」
「で、オレに助けろっていいたいのか?何でオレだよ。誰かエリンの連中を頼れ」
少女は潤んだ目をクレイに向ける。
「だって、逃げ出して初めてであったのがあなたなんですもの…それに、知り合いなんて
居ないし」
「ダメだ。お前は娼館に連れて行く」
「そんなっ!」
すがりついてくる少女の後ろ襟をつかんで引きはがすとクレイは諭すように言う。
「最近オレはついてないんだ。面倒ごとにつきあうのはごめんだぜ。機会があったら抱き
にいってやるから、おと…」
おとなしくしていろ。という言葉は、怒号と足音にかき消された。居たぞ!捕まえろ!
罵る声と殺気だった気配が暗い路地にあふれる。声の方向をみると、数人の男が暗い路地
を駆けてくる。棒を持った者もいる。そのあまりの剣幕に、どうやら自分も無事にすまな
さそうな雰囲気を感じる。
「おいおい、一体なんだってんだよ」
訪ねるまもなく、棒を持った男が殴りかかってきた。あわててしゃがんで避けた上を、め
くらめっぽうに振られた棒が通りすぎ、建物の煉瓦を砕く。
クレイは立ち上がるついでにそいつの急所を蹴飛ばした。しゃっとした感触がし、蹴られ
た男は ぐえ と、いう苦しげな声とともに崩れ落ちる。いったいどんな痛みか想像に難
くなかったが、そんなことにはかまっていられない。
「畜生っ!」
クレイは叫ぶと、少女を担ぎ上げて走り出した。全くもってついていない。毒づきながら
彼は路地裏を走る。ビンを蹴飛ばし、ゴミ箱を倒し、がらくたを放り投げ、やっとのこと
で追っ手をまくことに成功した。
彼は手を膝について、どうにか呼吸を落ち着かせようと深呼吸をくりかえす。少女はほん
の30キロ程度であったが、長時間担いで走るのはさすがに骨が折れる。
「おまえの、せいで、おれ、は、人生を棒に、ふったかもしれん」
ようやく言葉を紡ぐことが出来る程度まで回復し、少女に毒づいた。
「ごめんなさい」
彼女は土下座して謝る。ガス灯の明かりにつややかな髪が光った。
「ほら、オレんとこに行くぞ。それと、オレはクレイってんだ」
ため息混じりにそういい、少女を引き起こした。


501:クレイとアリシア-4
09/02/07 00:04:38 8N/+51Db
--------------------------------------------

「女を家に入れたのは初めてだよ。まあベッドにでも座っててくれ」
クレイの部屋は、他の男所帯同様に酷く散らかっていて、足の踏み場もないようだった。
新聞や雑誌、読みかけの本。衣類がそこかしこに放りだされ混沌とした雰囲気を作ってい
る。彼はガス灯に火を灯すと、お湯を沸かし始める。
「クソ、なんだってんだよ。逃げる必要なんて無かったのにな」
雰囲気に飲まれてしまったのが良くなかったのだろう。今更後悔しても遅い。彼は落ち着
かない気分を紛らわそうと、ヒゲをしごき、肩に耳の後ろをこすりつけた。
「…で、名前はなんて言うんだ?」
「…アリシアです」
アリシアね。クレイはそう言うと、椅子をアリシアの前に置き、前後逆向きに座った。
背もたれを両股で挟んで、さらに上に顎を乗せた格好だ。
正面から見つめると、彼女は目を伏せる。エリンの美醜はよくわからないが、彼女はどう
なのだろう。エリンと言う種族は顔の表情で細かいコミュニケーションをとるというが、
その意味も実を言えばわかり辛い。そもそも、この大陸ではエリン自体が少ない。海を渡
った南方にある大陸に行くと、人口の7割がエリンというがあまり実感がわかない。
名前以外を聞くと、彼女はぽつぽつと答えてくれた。
「エリンも、あまりオレたちと変わらないんだな」
そんな感想をもちながら、時間が過ぎる。
「紅茶やコーヒーなんてしゃれたモンは無いが、まあこれでも飲めよ」
ちょうど切りの良いところでお湯が沸き、クレイは蜂蜜をお湯で割って干しレモンを浮か
べるとアリシアに差し出した。
「ありがとう」
クレイはアリシアの横に座って、自分もその飲み物をすする。
「お前、これからどうすんだ?」
この先の重要な問題である。アリシアはわからないとだけ答え、カップから暖かい飲み物
をすする。蜂蜜の甘さとレモンの酸味が口いっぱいに広がる。
「…おいしい」
この問題で深刻に悩んでいるのはアリシアだけではない。クレイも連中に捕まって酷い目
にあわされる可能性があった。
「明日警察に行かなきゃな」
「だめよ…警察もみんなグルなんだって…娼館の人がいってた」
なるほどな。それは単なるはったりか真実だかは解らないが、向こうがそう言っていると
いうことは、何らかのつながりがあるのかもしれない。
「だが正直、ああ言う連中に関わるのはごめんだぜ」
アリシアは、考え込んだ様子でなにも答えなかった。クレイは額に手をあててしばらく考
えたが、これもすぐに答えが出そうになかった。時計を見るとすでに一時を回っている。
クレイは今日何度目か解らないため息をつき、アリシアに背を向けるようにごろりと横に
なった。そろそろ、この街とおさらばだな。そんな予感がする。ただ、何にしても休まな
いわけにはいかない。
「とりあえずだ。まずは寝ろよ。しばらくかくまってやるから」
アリシアも、今日何度目かのありがとうを言い、クレイの背中に自分のせをくっつける。
一人用のベッドはやはり狭い。くっつきあった背中にクレイの体温を感じながら、アリシ
アはこれからどうするかをずっと考え続けていた。

502:クレイとアリシア-5
09/02/07 00:05:09 8N/+51Db
--------------------------------------------

衣擦れの音と、ベッドの揺れでクレイは目を覚ました。時計を見ると三時を指している。
(まだ二時間も休んでいない)
心臓が大きく波打って、寝不足であることをことさらに強調する。鼓動にあわせて痛む鼻
面を左手の掌でさすると、思った以上に腫れていた。
それにしてもベッドが揺れるなんて、とんだ寝相の悪さだなこのお嬢ちゃんは。毒づきな
がらアリシアの方を向くと、想像だにしなかった光景が目に飛び込んできた。
薄明かりのなか、彼女が裸で座っている。その怪しくも幻想的な後景に、クレイは目を剥
き、次にあわてて飛び起きた。
「…ちょっとまて。お前一体何を…!」
「クレイさん」
アリシアが思い詰めたような表情でクレイの足にすがる。
「お願い…お礼は…私出来ることといったら体で払うしかないの」
「ままま、待て待て」
掌をアリシアにむけ、待てのポーズをしながら、クレイはこの上なく焦っていた。まだ助
けるともいった覚えはないし、そもそもエリンの少女に迫られても困る。
「お願い…助けて」
懇願するアリシアの目に、並ならぬ覚悟が見える。クレイはごくりと唾を飲み込んだ。
「…つったっておまえ、さっき処女だって言ってたじゃねぇの。いくらなんでもそれはも
らえねぇぜ」
全く、体は武器とはよく言ったものだ。しかし、迫られた時点もう既にクレイは詰んでい
る。ここまでするアリシアを、娼館に連れて行けるほど彼は非常な人間ではなかった。
選択肢は彼女を助けるという一択だけ。無報酬で?いや彼女の体で?
無償で助けてやればいいさ、とクレイの頭のどこかが告げる。だが、この際に久々性欲を
発散すればいいさ、との声も聞こえる。クレイは無情な人間では決してないが、同時に聖
人君子でもない。彼は、人は欲望の前に弱いものさと心の中で呟き、解ったとアリシアの
頬にふれた。
そういえば、エリンはどうやるんだろうな。アリシアが、布団の上をじりじりと移動し、
クレイのひざの上に乗る。少しのけぞり気味のクレイの目を、彼女はその青い目でじっと
見つめる。そして彼女は顎をあげ、目を閉じながらくれいの口元に顔を近づけた。
「やさしく…キスして」
二人の唇が触れ合った。クレイは目を閉じたアリシアを見る。余りにも近いため彼女の顔
がぼやけて見えた。
暖かい。これがキスというものだろうか。エリンと違って、そこまで唇を上手く動かせな
いため、触れ合わせているだけな気がする。これからどうすればいい?そんな疑問が浮か
んだ。種族が違えばそれの作法も違う。少なくとも、以前やったことのあるケイナスの女
とは付き合い切れなかった。
(いろいろな作法を体験するか…。悪趣味ってのはそういうことだよなぁ)
ある程度経験があれば、相手に任せてもいいだろう、だが、ここでリードしないといけな
いのは明らかにクレイのほうだった。

503:クレイとアリシア-6
09/02/07 00:05:40 ffcNDVaO
「…なあ、アリシア。"オレ達流" にやってもいいか?」
おずおずと尋ねてみると、アリシアが頷く。ここからはフィーリニア流だ。
クレイはアリシアの髪の匂いをかぐ。首から上をやさしく愛撫しながら髪を舐める。そし
て耳、頬。盛り上がっただけの鼻。毛のない肌はクレイが舐めると少し赤みを帯びる。エ
リンという種族はよほど肌が弱いのだろう。舌の突起で傷つけないように隅々まで舐める。
小さな唇を舐めると。アリシアは少し口を開けた。その隙間から舌を入れると、彼女はた
めらうようにその舌を舐め返した。少しだけの甘みとレモンが香った。
二人は不器用に舌を絡ませる。エリンの滑らかな舌の表面を、フィーリニアのざらついた
舌が這う。クレイはそのまま彼女の口の中に舌を這わせる。牙のない、つるつるとした歯
がある。アリシアも彼のキバに舌を這わせる。興奮に息が上がる。クレイはアリシアを押
し倒し、首筋からむねにかけてを口と舌で愛撫する。まだふくらみきっていない乳房の突
起を乳房ごと吸い、先端を舌で転がす。さすった腹部は余りにもやわらかい。
まるで壊れ物だ。
クレイの舌は、アリシアの肌に這った後を残しながら、もっとも敏感な場所へと下りてい
く。閉じた秘所の匂いをかぐ。発情した同属の女とはまったく違った匂い。彼はアリシア
をうつぶせにすると、そのまま下半身だけを抱き上げる。うつぶせになったまま尻だけ上
げた状態にさせると、始めてみるエリンのそこがあらわになる。
少しだけ毛の生えたアリシアの秘所は、少しだけ濡れた陰唇を露出していた。クレイはま
だ肉付きの薄い双丘をこね回し、閉じた入り口と菊門を舐める。尻尾がないのは奇妙な感
触だった。
尻尾の付け根は性感帯だ、エリンはどうなのだろう。そんな思いがあるかどうかはわから
ない。ただ執拗に撫で回し舐め回す。だんだんとアリシアの呼吸が荒くなっていく。クレ
イは、同属の女にはない入り口の襞を広げ、奥にまで舌を這わせる。陰核を包皮からむき
出し、舌先でこね回す。そのたびに、アリシアはビクビクと体をはねさせる。
彼はアリシアのまたぐらに顔を突っ込んだまま服を脱ぎ捨てる。上着を放り投げ、ベルト
を外し足を蹴ってズボンを下ろす。あっあっという、初々しくかわいいよがり声に興奮が
高まる。
再び、うつ伏せから仰向けへ。クレイはアリシアの股を舐るのをやめて、その上に覆いか
ぶさり動きを止める。荒い息をつきながら、アリシアがぼうっとした目を開き、呆けた表
情のままクレイを見上げた。
「これから、その…やるんだが…本当にいいのか?」
中断するなど、野暮でバカらしい行為以外何者でもなかったが、クレイ律儀に確認する。
こくんと頷く彼女が急にかわいく思えてくる。
「じゃあ、オレのも弄ってくれるか?舐めたり、しごいたり」
クレイが下になり、アリシアを乗せる。二つ巴の格好になりながら、二人は互いのものを
愛撫しあう。アリシアは、恐る恐るクレイのこわばりを舐めながらも、下半身を彼に押し
付け、快感をむさぼる。

504:クレイとアリシア-7
09/02/07 00:07:56 ffcNDVaO
「ちょっとまってくれ」
いくらぎこちない手つき口つきといっても、やはり感じるものは感じる。普通なら、ざら
ついた舌で舐めあげられるため、早々にやめて交わるところだが、タイミングを逸した上
に、射精しそうになっていた。
クレイはふうと呼吸を整え、前戯を中断されて、少し不満げなアリシアを四つ這いにさせ
ると、後ろに位置して両手で彼女の腰を支えた。
「そろそろいくぜ」
アリシアがごくりと喉をならし、ためらいがちに首を縦に振った。そしてクレイも覚悟を
決める。
自分を彼女の膣口にあてがい、ゆっくりと挿入する。初めて体験する柔らかさに、クレイ
はたじろいだ。同族の搾り取るような収縮も、ケイナスの急角度にうねる感触もない。
ただ柔らかく暖かい。彼女の呼吸にあわせて収縮する沼にはまり、彼はもがいた。
だがまだ溺れてしまうわけにはいかない。
更に突きいれると、つぷんとした感触がほんのすこしだけあり、アリシアの腰が跳ねた。
「痛っ」
クレイは腰をとめた。今更ながらに彼女が処女であったことを思い出す。だが、アリシア
はそれ以上何も言わない。彼を受け入れるために待っているのだ。
その様子が何となく解り、彼はまた腰を突き入れる。そこまで長大ではないフィーリニア
の肉茎ではあったが、やはり体格差は無視できない。ゆっくりと傷をつけぬよう腰を前後
させながら、かれの先端はようやく子宮口を叩いた。
アリシアのなかに自分をおさめきったクレイは、大きく息を吐き出し、耐えていたアリシ
アに背中から体を重ねた。そしてゆっくりと体を抱くと、その細い首筋を傷つけないよう
に咥える。もう達してしまいそうだったが、それに耐えて腰を揺する。尻尾が立ち上がり
つま先に力がこもる。かれはうめきながら腰をいっぱいに突き出す。細い彼の先が、アリ
シアの子宮口にはまる。その快感に抗しきれずに彼は一度目の精を放った。
アリシアの胎内に、暖かいほとばしりが染み渡る。ああと彼女は歓喜の声を上げた。だが
クレイはまだ終わらない。硬くいきり立ったもので、膣内をかき回し責め立てる。細い先
端は容赦なく子宮口をたたき、根本の棘が秘肉を引っかき回す。彼は歳もいかないエリン
の少女の蜜壺に溺れ、のたうち回った。彼が精を放つ度に、アリシアは嬌声をあげ快楽に
悶えた。久方ぶりの濃密な時間にクレイはこの上なく満たされる。これが報酬ならまあわ
るくないだろう。そう考えるくらいの余裕が出てきた頃、彼の快楽は、訪れるのと同じく
らい早く引き始めた。
何時の間にか正常位で交わっていたようで、クレイの正面に、汗にまみれたアリシアの顔
があった。汗の玉を舐めると、塩辛さと共に彼女の匂いを感じる。かれは始めたときと同
じように、アリシアの体を舐め回す。今度はアリシアも彼を舐め返したが、あまり上手く
いかないようだ。
「無理に舐めなくていい。手で撫でてくれ」

505:クレイとアリシア-8
09/02/07 00:08:19 ffcNDVaO
つながったまま、互いに上半身を起こし後戯を楽しむ。少なくとも、フィーリニアの男と
エリンの女の組み合わせはわるくは無いかもしれないとクレイは思う。
「オレが安全な街まで連れて行ってやるよ。アテがあるのを思い出した。」
これは本当の話である。それに、街を出られれば相手もあきらめるだろう。連れ戻すとい
うよりも逃げた彼女を見せしめにするのが多分目的なのだ。
「…ありがとう」
いいってことよ。彼はにやりとして腰を引く。ごぽっという音とともに、彼女の膣口から
大量の粘液があふれ、シーツに新しい染みを作る。最期の余韻に浸る間もなくクレイはあ
わてて体をのけぞらせた。そしてはっとしたように、驚いて声の出せないアリシアに待て
のポーズを送る。同族同士だと、引き抜く際に殴られる事がある。無意識に手が出てしま
うらしい。青あざあるのは円満の証 とまで言われるくらいだ。
まあまあ、と照れ隠しをしながらかれはシーツに目を落とす。昨日まではなかった染みが
広がるその中に、赤黒いものを見つける。それは処女を失った証だった。
クレイは、何故か彼女がたまらなく愛しくなり、もう一度抱き寄せた。

--------------------------------------------

その後、二人は無事別の街へと逃げ延びることができた。
悪趣味と言われながらも一緒に住み、アリシアは給仕の、クレイは闘技士養成場の仕事を
しているという。

--------------------------------------------

506:498
09/02/07 00:11:36 ffcNDVaO
以上終わりです。

あー名前欄間違えた/(^o^)\

507:498
09/02/07 00:20:18 ffcNDVaO
とりあえず、
エリン:人間
フィーリニア:ネコ(もしくはそれに類する猛獣)獣人
ケイナス:犬(またはオオカミ・ドールetc)獣人
と読み替えてください。
この世界では、彼らはまとめて人間言いますので補足しておきます。

508:名無しさん@ピンキー
09/02/07 00:33:07 sxwbd0Yj
>>498GJ
ネコじゃチワワ位にしか勝てなさそう
平和な日常編は期待してもいいのかな

509:名無しさん@ピンキー
09/02/07 01:27:08 RejTuY3k
>>498
GJ!!!
セクロス描写にネコ科の獣感が出てて獣好きとしてはたまらんです
ところでクレイに肉球はあるんだろうか

510:名無しさん@ピンキー
09/02/07 13:47:12 CjtiJEoD
>>506
GJだが一応気をつけてほしい
連載とかする気じゃないよな?
これ読んどけ
スレリンク(eroparo板:757番)-759

511:859 ◆93FwBoL6s.
09/02/07 17:16:42 7D5CMdZP
獣人萌えるよ獣人。モフモフ最高。
本編は完結しましたが、ヤンマとアカネの番外編を投下。
一週間早いですが、バレンタインネタってことで。手垢の付きまくったベタなシチュですが。

512:ヤンマとアカネ 番外編 1 859 ◆93FwBoL6s.
09/02/07 17:18:02 7D5CMdZP
 廃棄都市に眠る物資は、その用途が解らないものが多い。
 プラスチック製の平べったい箱、ガラス製の筒、矮小な機械、きらきらと虹色に輝く円盤、変な匂いのする液体、などなど。
茜が教えてくれなければ、それが何なのかヤンマには一生解らなかっただろう。解ったところで、特に意味もなかったのだが。
更に言えば、それらを見つけても何の役にも立たない。家電製品を引っ張り出したところで、肝心の電気が供給されていない。
だから、結局、茜がヤンマの手を借りて廃墟から発掘する物資は、食料品や衣料品といった日常の即戦力ばかりになった。
 その日もまた、ヤンマは茜が見つけ出したものを回収して家に運んだ。大きなデパートの地下に潜り、探り当てたものだった。
おかげで二人ともすっかり埃だらけになり、頭の先からつま先まで真っ白く汚れてしまったが、ここ最近では一番の収穫だった。
 帰宅した二人は、まずは体を流した。洗濯したTシャツとジーンズに着替えた茜は、リビングの床に戦利品を広げ、選別を始めた。
テーブルに置いたランプから零れる明かりに照らされながら、茜はレトルト食品の賞味期限や、包装の穴などを確認していった。
見た目は綺麗に見えても、包装が破損している場合も多々あるのだ。ヤンマには食べられても、茜には食べられないこともある。
腐っている食品をご丁寧に保存しておく義理もないし、大丈夫だと思って保存してもいざ開けた時に腐っていたら切なくなってしまう。
実際、これまでにもそんなことは何度もあった。その度に茜はひどく落胆し、派手に嘆き、次こそは失敗しない、と意気込んでいた。
 ソファーに座ったヤンマは、ぷらぷらと長い腹部の先を振っていた。こればかりは手伝えることもないので、傍観する他はない。
いつになく真剣な顔の茜は、レトルト食品や缶詰めや瓶詰めなどを一つ一つランプに翳し、傷が付いていないか確かめていた。

「ふおおおお!」

 すると、いきなり茜が奇声を上げた。

「なんだあっ!?」

 ヤンマが驚いて仰け反ると、茜は手にした小瓶を掲げた。

「すっごーい! すっごーい! うっわー超ラッキー!」
「な、な、な?」

 動揺したヤンマが触角の先を揺すっていると、茜は三角形の黒い小瓶をヤンマに突き付けた。

「これ、ゴディバだよゴディバ! ゴディバゴディバー!」
「ご、でぃば?」

 なんだ、その不気味な単語は。ヤンマが戸惑っていると、茜はぴょんぴょんと飛び跳ねた。

「暗くてよく見えなかったから手当たり次第に持ってきたけど、こんなのが見つかるなんてマジラッキーじゃーん!」
「や、だからよ、それ、何なんだ?」
「だーから、ゴディバだってば、ゴディバ!」
「だから、それって何なんだよ」
「ゴディバはゴディバだよ、すっごくおいしいチョコレートなんだよ!」
「あ、チョコな」

 そう言われれば解らないでもない。やっと納得出来たヤンマは、ソファーに座り直した。

「あーおいしそー、チョコなんてひっさしぶりぃー」

 茜は選別作業を中断し、ゴディバの小瓶のキャップを捻り開けた。運良く未開封だったらしく、金属キャップの封が千切れた。
蓋が開くと、確かにチョコレートの甘ったるい香りが漂った。だが、ヤンマの記憶にあるチョコレートとは何かが違っていた。
薬臭いとでも言うべきか、揮発性の物質が混じっているように思えた。茜はそれを感じていないのか、浮かれっぱなしだった。

「きゃっほー、ゴディバゴディバー!」

 呪文のようにゴディバを連呼しながら、茜は小瓶の中身の匂いを嗅ぎ、また歓声を上げた。

513:ヤンマとアカネ 番外編 2 859 ◆93FwBoL6s.
09/02/07 17:19:24 7D5CMdZP
「あー、幸せー! チョコ最高ー!」
「ああ、うん、良かったな」
「ヤンマもいる? ゴディバ!」
「いや、俺はいい。前に一度喰わせてもらったが、甘すぎて喰えたもんじゃなかったからな」
「そう、だったら私が全部飲んじゃうね!」

 茜はにたにたしながら小瓶を口に付け、一口含んだ。途端に、でろりと弛緩する。

「あんまぁーい、マジ最高、生きてて良かったぁー」

 茜のだらしない笑みを見ながら、ヤンマはきちきちと顎を軽く擦り合わせた。茜が喜んでいる様を見ているだけで嬉しくなる。
この笑顔を見られただけでも、暗くて湿っぽい地下で頑張った甲斐があったいうものだ、とヤンマは内心でにやけてしまった。
 茜はきゃっきゃとはしゃぎながら、ゴディバなるチョコレートの液体を味わっていたが、しばらくすると様子が変わってきた。
あれほど浮かれていたのに口数が少なくなり、頬が火照っている。瞳も潤んでいて、ヤンマに向いた視線は少し揺れていた。
やはり、何かしらの薬品が入っていたのか。心配になったヤンマが腰を上げかけると、茜は肩を細かく震わせ、笑い出した。

「んふふふふふふふふ」
「…どうした?」

 ヤンマが上右足を伸ばすと、茜は力の抜けた動作で振り向き、ヤンマに飛び掛かってきた。

「ヤーンマッ!」
「うごほあっ!?」

 その体を受け止め損ねたヤンマは、ソファーごと引っ繰り返った。顔を上げると、茜はヤンマの胸の上に跨っていた。
その手には、しっかりとゴディバの小瓶が握られている。頬だけでなく首筋まで赤くした茜は、しなやかに身を曲げてきた。

「ヤーンマ」
「茜、お前、何がどうしたんだよ」
「だぁいすき」

 茜はヤンマに顔を近寄せると、頑強な顎の合わせ目を舐めてきた。

「おい、茜、どうしちまったんだよ?

 ヤンマが茜を押し返そうとするが、茜はヤンマの首に腕を回してきた。

「ヤンマにも、幸せを分けてあげるぅ」
「はい?」

 嫌な予感がする、とヤンマは動物的な直感に怯えていると、茜は小瓶に口を付けて液体を口に含んだ。

「んふふふぅ」

 茜は笑みを零しながら、ヤンマの顎に唇を押し当ててきた。舌と手で半ば強引に顎を開かれ、唾液と共に注がれた。

「ぐげえっ!?」

 途端に、ヤンマは戦慄した。確かに味はチョコレートだが、辛い、熱い、痛い。こんなものを内臓に入れたら焼けてしまう。
慌ててヤンマは顎を全開にしてチョコレート味の毒液を吐き出し、舌で出せるだけ掻き出してから、茜の顔を押しやった。

「俺を殺す気かぁああああああっ!」
「えー、おいしいじゃなーい」
「どこがだ! こんなもん、毒に決まってんだろ! 吐け、今すぐ全部出してこい!」
「えぇー、やだぁ」
「やだじゃない、本気でこれはやばいぞ!」
「えー、だいじょおぶだよおー」

514:ヤンマとアカネ 番外編 3 859 ◆93FwBoL6s.
09/02/07 17:21:04 7D5CMdZP
 茜はけたけたと笑いながら小瓶を呷って半分ほど飲むと、足下に置いた。そして、Tシャツをまくり上げ、脱ぎ捨てた。

「なんか暑ぅい。ヤンマぁ、冷ましてぇー」

 そのまま、茜はヤンマに上半身を密着させてきた。控えめな乳房を覆うブラジャーがずれても気にせずに、身を寄せてくる。
押しのけてしまおうか、だが何か勿体ない。ヤンマは茜の火照った体の重みを感じながら、迷うあまりに首を回してしまった。
すると、茜は細い腕を伸ばし、ヤンマの顔を両手で挟んで食い入るように見つめてきた。ヤンマの複眼の全てに、茜が映る。
茜はエメラルドグリーンの複眼を撫でていたが、キスを落とした。それも一度や二度ではなく、複眼どころか顎にまで及んだ。

「ほんっと、いい男…」

 恍惚とした茜は、ヤンマの顎を指先で持ち上げた。

「そう、か?」

 ヤンマが曖昧に答えると、茜はつつっと指先で胸部の外骨格をなぞった。

「私ねぇ、顔だけの男じゃダメなの。強くってぇ、タフでぇ、格好良くなきゃダメなの。でも、やっぱりルックスも大事なの」
「どっちなのだよ」
「でもねぇ、ヤンマってば全部合格なのおー。顔も良いしぃ、背も高いしぃ、体だってゴツいしぃ、おまけに空も飛べるしぃ」
「そりゃ、まあな」
「だからねぇ、ご褒美あげちゃうの」

 茜は背中に手を回してブラジャーを外すと、ヤンマの前に乳房を突き出した。

「ほうら、食べて食べてぇ」
「いや、いきなりそう言われても心の準備ってやつが!」
「んー、じゃあ、その気にさせてあげるぅ」

 茜は腰を上げ、下着ごとジーンズを下げて脱ぎ捨ててしまうと、体を反転させてヤンマの長い腹部の先端を持ち上げた。
ヤンマが止める間もなく、茜は生殖器官が収納されている部分に唇を当て、唾液をたっぷり付けながら丁寧に舐め始めた。
あの熱を発する毒液が混じっているせいか、いつもの愛撫とは違って刺激が強く、ヤンマはぎりぎりと顎を噛み締めた。

「ほうら、出てきた。可愛いっ」

 茜は腹部の先端から現れた生殖器官をつんと突き、待ち侘びたように頬張ると、そのまま喉に届くまで飲み込んだ。
ちゅぷちゅぷと粘着質な水音を縦ながら生殖器官を口淫しながら、茜はヤンマの腹部に股間を押し付け、腰を揺らしていた。
黒く分厚い外骨格の上に、生温い粘液がなすり付けられる。腰を前後に動かしながら、茜は鼻に掛かった喘ぎを漏らした。
 最早抵抗する余力を失ったヤンマは、生殖器官に感じる茜の口内の熱さと、腹部に染み入る温度の差に落胆していた。
昆虫人間が昆虫人間たるために不可欠な外骨格は、甲冑であり武器でもあるのだが、分厚すぎて感覚がほとんどない。
辛うじて温度は解るのだが、感触はまるでダメだ。何かが当たっている、というのは解るが、それが何なのかまでは無理だ。
だから、せっかく茜が性器を擦り付けているのに全く解らない。なんで俺って虫なんだろう、とヤンマは無性に悲しくなった。

「ん…んぁ、あ…はぁっ…ああっ」

 茜は生殖器官から口を外し、唾液と体液の混じった雫を口の端から落としながら、ぐちゅぐちゅと股間を擦り付けてきた。

「も、もう…ダメぇ…あうぅ…ヤンマぁ、ヤンマぁああああ!」

 茜は顎を上げて眉根を歪め、一際高い声を上げた。

「ふぁあ…」

 満足げにため息を吐いた茜は、ヤンマに向き直り、汗の浮いた肌を外骨格に押し付けてきた。

「ね、ヤンマぁ、ちょうだい。ヤンマのが欲しいのぉ」

 舌を出して息を荒げる茜は、達したばかりなので声色が弱かった。懇願されてしまっては、その気にならないわけがない。
それに、こちらも収まりが付かない。ヤンマは中両足で茜の腰を持ち上げて浮かせると、長い腹部の先を曲げ、生殖器官を上げた。
そして、茜の胎内に乱暴に突き立てた。既にとろけるほど潤っていた陰部は、すんなりとヤンマを受け入れ、奥まで飲み込んだ。

515:ヤンマとアカネ 番外編 4 859 ◆93FwBoL6s.
09/02/07 17:21:49 7D5CMdZP
「あ、あぁあん…」

 茜はぶるりと身震いし、ヤンマを抱き締めた。

「そう、これ、これぇ…。ヤンマの、すっごく好きぃ…おっきくてぇ、硬くてぇ…」

 あの毒液を飲んでいるためか、茜の膣はいつもより温度が高かった。ヤンマは生殖器官を動かし、互いの体液を混ぜた。

「あ、くぅ、あっ!」

 茜は涙を滲ませながら頭を振り、痙攣した。どうやら、また達したようだった。

「お前ばっかり良くなってんじゃねぇぞ」

 ヤンマは茜を抱えたまま起き上がると、唾液に濡れた半開きの唇の中に舌を差し込み、ぬるぬると蠢かせてやった。
茜の反応は増し、舌に噛み付かんばかりの勢いで喘いだ。ヤンマは唯一彼女を感じられる部分を、やれる限り動かした。
茜の体温を吸った生殖器官を進め、奥へ奥へと押し込んでいく。それが深さを増すほどに、茜の放つ嬌声は高くなっていく。

「そんなに言うなら喰ってやろうじゃねぇか!」

 ヤンマは茜を床に押し倒し、突くたびに震える乳房に軽く噛み付き、黄色く細長い舌を硬く尖った乳首に擦り付けてやる。
だが、肌に傷を付けない程度で噛むのは本当に難しい。薄い肌に埋まった顎を緩め、外すと、その形に赤い線が付いていた。
甘い毒液と快楽に浮かされた茜は、乳房の噛み傷を気にする余裕もないのか、ヤンマの腰に白い足を巻き付けてきた。

「もっとぉ、もっとちょうだいぃいいっ! いいの、いいの、すごくいいのぉ!」
「ああもう、こんちくしょう!」

 こうなったら、とことんやるしかない。ヤンマは髪を振り乱す茜を押さえ付け、痛みを感じない程度に加減した力で攻めた。
透明だった愛液が白濁し、粘り気を増す。ヤンマの生殖器官にも茜の変化は伝わり、ぎゅうっときつく締め上げられた。

「ヤンマぁ…」

 三度目の頂点に達した後、茜は小さな手でヤンマの複眼をなぞった。

「ごめんね」
「何がだよ」

 律動を止めたヤンマが返すと、茜はヤンマを引き寄せた。

「いっつも、私ばっかり気持ち良くて。ヤンマは気持ちいい? ヤンマは私として楽しい? ヤンマの卵、産めなくてごめんね」

 茜はヤンマの頭部を二つの乳房の間に押し当てると、ヤンマの短い触覚に唇を付けた。

「だからね、もっともっとしていいよ。ヤンマが出しちゃうぐらい、したっていいんだよ」
「それが、ゴホウビってやつか?」
「うん。だって、私がヤンマにあげられるものは体しかないもん」
「…だが、出したら死ぬんだぞ、俺は」
「それはちょっと困るかも。んふふふふふふふふ」

 茜は照れ臭そうに笑っていたが、床に転がっているゴディバの小瓶に気付き、手を伸ばしたがヤンマが弾いた。

516:ヤンマとアカネ 番外編 5 859 ◆93FwBoL6s.
09/02/07 17:22:53 7D5CMdZP
「あれはもう飲むな!」
「えー、なんでー。甘くっておいしいのにぃー」

 不満げに頬を張る茜に、ヤンマは迫った。

「あの調子で来られたら、俺の方が持たないんだよ! 本当に出たらどうするつもりだ! 俺は死ぬんだぞ!」
「むー…」
「というかだな、俺に謝る必要なんてねぇんだよ」
「え、じゃあ、ヤンマも感じるの?」
「多少はな」
「多少じゃダメー! もっともっと感じてくれなきゃ不公平だよー! やっぱり飲むー、でもって攻めるー!」
「攻めるのはオスの仕事だ!」
「やーだー、ヤンマをイかせるのー、中に一杯出してもらうのー、精液ぶちまけてもらうのー、妊娠するのー!」
「だから出したら死ぬって言ってんだろうが! 俺が死んだらヤれなくなるだろうが!」
「やーだー、死んじゃうのはもっとやだー! ヤンマの太くて硬いのでイかせてもらえなくなるー!」

 やーだー、と幼児のように駄々をこねる茜に、ヤンマは言い返すのもぐったりしてきた。気持ちは嬉しいが、非常に困る。
実際、茜に種付けさせるほど精液を出したいとは常々思う。だが、出したら死ぬのだと本能的に解っているので出せないのだ。
そんな二律背反にぐらぐらと揺れながら、ヤンマはすっかり拗ねてしまった茜を見下ろし、とりあえずまた攻めることにした。
茜の気が済むまで続ければ、問題はないだろうと思ったからだ。しかし、毒液に浮かされた茜は手強く、なかなか満足しなかった。
そのため、事が済んだのは東の空がうっすらと白み始めた頃で、茜が疲労で気絶するように寝入るまで繋がりっぱなしだった。
 正直言って、戦うよりも辛かった。


 疲労困憊しつつも狩りと縄張りの見回りを終えたヤンマが帰宅すると、茜が苦しんでいた。
 原因は、もちろんあのチョコレートの毒液である。大した量は飲まなかったはずなのだが、飲み慣れないので効き過ぎたのだ。
吐き気を伴う頭痛に苛まれている茜は、ソファーの上でぐんにゃりと潰れ、ヤンマが帰宅しても出迎えることすらしなかった。
やっぱりあれは毒なんだ、とヤンマは痛感した。ヤンマが茜に近寄ると、真っ青な顔をした茜はヤンマに力なく手を伸ばしてきた。

「水、持ってきてぇ。喉乾いたぁ」
「ほら見ろ、言わんこっちゃねぇ」

 ヤンマが呆れると、茜は低く唸った。

「二度とお酒なんか飲まないぃ…」
「全く、どうしようもねぇな」

 ヤンマはぼやきながらも、水を持ってくるために外に設置した浄水タンクに向かおうとしたが、羽を引っ張られた。

「ヤンマー…」

 茜は焦点の定まらない目でヤンマを見上げ、口元を押さえた。

「吐きそう」

 ヤンマが抱え上げようと上両足を伸ばすが、遅かった。茜はソファーから崩れ落ち、そのまま床に胃の内容物を吐き出した。
ぐええ、と呻きながら嘔吐する茜を支えてやりつつ、ヤンマは思った。きっと、あのチョコレートの毒液は人間が作った罠に違いない。
そうでもなければ、茜はこんなに酷い目には遭わないはずだ。人間の不可解さに悩みながら、ヤンマは苦しむ茜の背を支えた。
だが、茜から攻められるのは実に良かった。上に跨られて喘がれるのは、挿入して喘がせるのとはまた違った興奮を感じる。
褒められるのも、舐められるのも、口付けられるのも。愛撫されても茜ほど感じられないのは惜しいが、それは体に限ったことだ。
心の方は、充分すぎるほど感じている。そうでもなければ、生殖器官が出るわけがない。だが、やはり惜しいものは惜しかった。
 一度でいいから、思い切り茜の胎内に精液をぶちまけてみたい。だが、出したら死ぬ。しかし、出さずに死ぬのはもっと勿体ない。
ヤンマは至極真剣に考え込んでいたが、うー、あー、とゾンビのように呻く茜に縋り付かれ、外に連れ出して水を飲ませてやった。
だが、当の茜がこれでは、当分の間はお預けだ。飲んだばかりの水を吐く茜の背をさすりながら、ヤンマはがちがちと顎を鳴らした。
 人間で言うところのため息だった。

517:859 ◆93FwBoL6s.
09/02/07 17:27:35 7D5CMdZP
以上です。ベタなシチュでも書いてみると楽しいものだ。
ヤンマがぶっ飛ぶか茜がぶっ飛ぶか迷いましたが、女の子が乗っかる方が楽しいかなと。
それに、昆虫にアルコールを飲ませたらリアルに死ぬと思うので。

518:名無しさん@ピンキー
09/02/07 17:37:17 CjtiJEoD
GJGJ!
酔っちゃう茜たんもびびってるヤンマも可愛すぎる!
でも未成年飲酒はだめだぜ
おじちゃんがお仕置きしてあげよう(;´Д`)ハァハァ
最近は酔っ払って吐くヒロインがトレンドなのか?こないだも誰か吐いてたし。

519:名無しさん@ピンキー
09/02/07 18:40:36 eeMdrH7X
初めてこのスレきて、作品ぜんぶ読んだけど…
お前ら変態だな大好きだ!

ヤンマと茜バカップルGJ
おれも創作意欲が湧いてきた…

520:名無しさん@ピンキー
09/02/07 20:46:23 CjtiJEoD
茜たんは軍で犯されたのかな?

521:名無しさん@ピンキー
09/02/07 21:04:37 CjtiJEoD
人少ないなあ
茜たん可愛すぎる
セックスしたい

522:名無しさん@ピンキー
09/02/07 21:49:17 vvKL8hRX
これが普通だとおもわなきゃ

最近のレスが多すぎたんだよ。荒れる寸前だったし。

523:名無しさん@ピンキー
09/02/07 22:05:18 CjtiJEoD
そうか?
でもまったく住人が来てないわけじゃないだろ
職人にレスもつけないってだめじゃん

524:名無しさん@ピンキー
09/02/07 22:31:05 IbnVGm5Z
>>517
萌えたぎるGJ!を捧げたい。

茜とヤンマの二人の会話ひ、ニヤニヤが止まらず、二人の背景や情景が自然と浮かび上がる程の素早い話でした!こう言う自然と共感出来るSSをいつかは書いて見たい物です、次回作を楽しみにしてます!

525:名無しさん@ピンキー
09/02/07 23:34:35 Hz1uH+o9
>>517
乙!
終わってしまってしんみりして、こんなラブエロ話が読めるなんて思わなかったw
可愛かった、GJ!

>>523
投下されてまだ一日もたってないのに何言ってんだ
いつもここ読んでる人ばっかじゃないし、レスは強制されるようなもんじゃないだろ

526:名無しさん@ピンキー
09/02/07 23:44:32 CjtiJEoD
レスは職人の養分だろ

527:名無しさん@ピンキー
09/02/07 23:49:51 ajZX1G2L
生肥は植物枯らすよ

528:498
09/02/08 00:02:24 ffcNDVaO
>508
とりあえず、ネコと言っても家猫から人喰い虎まで居ますので、ご自由に妄想ください。

>509
ネコっぽさが伝わってナリよりです。
肉球っぽいのはあります。

>510
特にそんなことをする予定もつもりもありません。
最後を端折ってるところからお察しください。
というか何故そんなことをってな感じなんですが。

レスありがとうございました。

529:名無しさん@ピンキー
09/02/08 00:12:06 WCmK5WaK
>>528
IDチェックしてみてくれ
どうやらID:CjtiJEoDはいつもの正義厨だ

530:名無しさん@ピンキー
09/02/08 00:59:23 LeSHYzhy
>>520-521キモス

531:名無しさん@ピンキー
09/02/08 02:46:51 EagP8l0e
連載でも大歓迎だよ

一回に投下される話に区切りもなく、続きは書いたら投下しますってされると
ちょっと消化不良に感じてしまうが、区切りがあるなら短い話でも連載でも嬉しいもんだ

532:名無しさん@ピンキー
09/02/08 05:34:25 n2fHb0i7
もう面白ければ連載でもなんでもいいよ!

>>530
正義厨はウザイが、別にそれはいいんじゃ…
pink板でそんなこと言われても

533:名無しさん@ピンキー
09/02/08 12:39:10 LeSHYzhy
うん。面白い作品の連載なら読んでやってもいい。つまんないのは勘弁。容量もったいないからな。

534:名無しさん@ピンキー
09/02/08 13:02:16 px88Y9ww
連載でも切れっ端でも邪神文章でも質に相応のレスしかつかないからな。

535:名無しさん@ピンキー
09/02/08 14:29:52 LeSHYzhy
そうか?
このスレの感想職人は誉めすぎなくらいじゃないかな

536:名無しさん@ピンキー
09/02/08 15:06:11 dQ8MAZxD
自己中な奴が沸いてますね。
変態の皆さん、構ってあげたらダメだよ。

537:名無しさん@ピンキー
09/02/08 15:19:12 LeSHYzhy
職人カモーン

538:名無しさん@ピンキー
09/02/08 17:04:43 LeSHYzhy
マジで人来ねえな
今日サンクリだからか?

539:名無しさん@ピンキー
09/02/08 20:56:22 E7YvW0QI
そんな毎日毎日ぽこぽこ出てくる訳でもないと思うんだがw

540:名無しさん@ピンキー
09/02/08 21:03:41 pgMLI8eN
変なのはほっといて、雑談でもしとこうぜ
特撮は結構人外×人間の宝庫だと思う
自分はそれで目覚めた

541:名無しさん@ピンキー
09/02/08 21:33:06 gX17qWd/
デカレンのボスとスワンはガチ

542:名無しさん@ピンキー
09/02/08 21:36:28 ZzKUnKbn
ボスかっこいいよボス
でもあれ変身するとマズルがペッタンコになるのが惜しいんだぜ

543:名無しさん@ピンキー
09/02/08 21:43:12 7nDeK99F
敵キャラで人外に目覚めたんだぜ

その頃小学1年生

544:名無しさん@ピンキー
09/02/08 21:55:55 eGfbXbTM
スパイキッズのロボかわいい…なんて人は居るのか?



RX-8可愛いよ…フロントとかボンネットとかテールとかサイドとかドアとかインテリアとかペダルとかメーターとかシートとか給油口とかロゴとかエンジンとかミッションとかミラーとか

音かわいいよ、サイド排気の高貴なふけ上がり、少し不足だけど力のあるエンジン。
マツダスピードの足まわりハアハア

前期→ツン後期→デレ かと思うよ

545:名無しさん@ピンキー
09/02/08 22:34:53 ojOqyZ07
某ドラえもん のび太ののび太の海底鬼岩城 のバギーちゃんじゃないか
自滅フラグたっててしずかちゃんとの別れのシーンは泣いた

546:名無しさん@ピンキー
09/02/08 22:36:19 W0Yd8LLl
完結したばっかりなので薦めてみるが、『架かる.空の音』お薦め。
竜の末裔の鳥人間達が元軍医と交流する近代ファンタジーで、
幼妻やあら羽根娘と元少年兵やらで、色々と萌えた。
鳥人間だから人外度は低いかもしれんが、話としても面白かったので薦めてみる。

547:触手魔物とシスター ◆SFKuV9i.3U
09/02/08 22:54:22 q/8RdRx5
吐くヒロインと聞いて書きかけのものを思い出し、せっかくなので書き上げてみました。
1スレ目に上げた物からの連作になります、連載について諸々言われてる矢先に申し訳ないです。
注意としてはエロまでの導入がやけに長いのと、戦闘シーンでの若干のグロ描写があることです。
それではこの次のレスからどうぞ。

548:触手魔物とシスター 1 ◆SFKuV9i.3U
09/02/08 22:55:51 q/8RdRx5
 水の中を泳ぐ夢を見た。
深く青い…あぁこれは夜の海だ。
背中が冷たく、おなかが温かい。
細かな泡の音が耳のそばを通り過ぎていく…。

 マノンはふと目をあけた。
気がつくとそこは船の上ではなく、病院のベッドだった。
「……!?」
がばりとシーツをはぎ取ると、白い部屋が目に映る。

「起きたか」
誰もいない空間から声がする。
「っ!?あなた…!」
一瞬たじろいだが、すぐに思い当たる節が有り、反応を返す。
「だらしのない、あんた仮にもギルドのシスターなんだろう?」
「だ、だ、誰のせいだと思って…!」
 一瞬にして昨日の事が思い出される。
あのぬめぬめとした感触と、そのほか考えたくもない諸々のこと。
「あまり大きな声を出すな、変な目で見られるのはあんたなんだぞ」
「ぐ」
 ここは病院のようだ、悪魔に厳戒態勢を敷いている今、何もいない空間に向かってわめき散らすなんて。
修行時代に見た教会地下の牢獄を思い出して背筋が寒くなる。

「…あなたが此処まで?」
「そうだ。…しかし流石は教会ギルドのシスター様だ、良く肥えた肉でいらっしゃる」
「な、な、な…!」
「もっとはっきり言ってやろうか?」
 起き抜けにずかずか言われる言葉はあまりにも不躾で、失礼極まりなくて。
恥ずかしさと怒りで上手く言葉が出てこない。
 口を開けたままのマノンに、未だ姿を見せぬ悪魔は小さく嘲笑を漏らした。
「医者が来るぞ、さっさと此処を引き上げる。あんたにはまだ話さなければならない事が沢山あるんだ」
「何を勝手な…!」
「言うとおりにしろ、命が惜しいならな」
その言葉を残して声は聞こえなくなった。


549:触手魔物とシスター 2 ◆SFKuV9i.3U
09/02/08 22:56:47 q/8RdRx5
 ややあって不機嫌そうな顔の医者が来て、体調の確認だけをしてさっさと行ってしまった。
問題なし、つまりはいつでも出て行っていい、と。
 帰り際、受付の看護士は教会名の彫られたロザリオを見ると、面倒くさそうな声でお大事に、と言った。

「何だかな…」
マノンは朝方の港街を歩きながらため息をついた。
シスター、及び教会ギルドの者は特別制度が敷かれていて、医療機関などがほぼ無料になる。
もちろんそれだけ危険な事をしているのだから当然の手当てと言えば当然なのだが。
 …それを快く思っていない人も居るわけで。

「腐る暇があったら人気の居ない所に行け、なるべく水場から離れろ」
また誰もいないのに声がする。
「…何であなたに指図されなきゃならないんですか」
「これは警告だ。成り行きとは言え契約を交わしたんだ、最低限の安全は確保させてもらう」
「私はシスター、あなたは悪魔!それだけでも、もう混乱してるのにこれ以上何なんですか!」
路地裏で良かった、と思わず大声をあげてしまったマノンは思った。
慌てて見回す、誰もいない。
 安堵のため息をつくと、首筋にぬめった感触がすべり、何かが巻き付く。
首にひたりと当てられた部分から徐々に具現化されていく。
粘液で覆われた紫色の異形。
ぬめった触手は明るい場所で見ると余計にグロテスクだ。
 顔も見たくないとばかりに目を背けるマノンの顎を捕らえ、無理やり視線を合わせる。
「オレは今すぐあんたをくびり殺す事も出来るんだ、そうしない意味を理解して欲しいもんだな」
首に巻きついた触手が頸動脈を軽く圧迫する。
ぎょろついた目に睨まれ、怒気を含んだ低い声に肩をすくめた。
 その時だった。
ふいに寒気に襲われ、辺りをあの忌まわしいにおいが包む。
シスターだからこそ感じ得る悪魔の濃霧。

550:触手魔物とシスター 3 ◆SFKuV9i.3U
09/02/08 22:57:36 q/8RdRx5
ぬるりと首の触手が解かれる。
「一度はあんたを助けたんだ、信用しろ…」
 ガタガタと耳障りな音と共に排水溝の蓋から何かが這い出ようとして、
 一瞬のうちに真っ二つに避けた。
「―で、これが二度目だ」

 最初の一体が地面に水音を立てて倒れたのが合図かのように、ずるりと排水溝から這い出て来る黒い異形。
狭い路地は四、五体の異形で逃げ場を塞がれる。
 肌は魚の鱗のようなぬめりと光沢を持ち、口には僅かな隙間を残し牙が生え、その隙間から絶えず漏れるのは女の悲鳴のような声。
「…!」
「経験の浅いシスター様には刺激が強いか?」
小馬鹿にしたような笑いを僅かに残し、紫の悪魔は触手をしならせた。

 ぐじゅり、と異形の一体の首が飛び、続けざまにもう一体の腰から上が弾け飛んだ。
四方八方に飛び散る肉片や体液を避けながらマノンは聖衣を弄った。
そうこうしているうちに異形は数を減らし、最後の一体が間合いを探るように後退りをしている。
 指先に金属が触れる、魔物の肉を射抜く銀の銃だ。
すぐさま取り出して弾を込める。
見ると悪魔の後ろに排水溝から這い出たもう一体が爪を振りかざしていた。
「!」
とっさに銃を構える、が…マノンは躊躇した。
 本当に、あの悪魔を信用してもいいのだろうか、と。

「ぐっ…!?」
 異形の鋭い爪が悪魔の背に突き刺さり、胸まで貫通する。
が、さほど動揺するでもなく頭に触手を巻きつけ捻りつぶす。
飛び散る体液を顔に受けながら、最後の一体の首を確実に跳ねた。
 悪魔はぐるりと見回し、襲ってきた異形が全員絶命しているのを確認すると、
自身の触手に着いた体液をふるい落とした。

 汗ばみ、強張った手からゆっくり銃を離す。
「おい」
「!」


551:触手魔物とシスター 4 ◆SFKuV9i.3U
09/02/08 22:58:37 q/8RdRx5
 いきなり声をかけられ、思わず銃を取り落とした。
情けない事に体の震えが止まらない。
マノンを見下ろした悪魔はそれを嘲笑うでもなく、些か疲れた様子で先ほどの言葉を繰り返した。
「もう一度言う、水場には、近付くな」
そう言うと現れた時とは逆に、体が端から消えていく。
 完全に姿が消えると急に頭が冷え、この場の現実味が戻る。
路地裏に漂うのはむっとするほど生臭い血のにおいだ。
 朝方の霧が徐々に消え、太陽が街を暖めるときっと人々が異変に気付く。
マノンは駆け出した。
いくつも浮かんでくる様々な疑問が振り切れない。
しかし、とにかくは水場から離れよう。
街を抜け、街道へ出ると海はもう遠かった。
春風がまだ冷たい丘に立ち、あたりを見回す。
東に森があった、それを抜ければ内陸の街に入る。

 森は春の芽吹きを迎えて若葉のにおいが漂っていた。
少し馬車道を逸れて草むらに分け入り、手近な岩に腰を落とす。
 辺りに誰も居ないのを確認して、マノンはおずおずと声をかけてみた。
「あの…。大丈夫ですか」
「多少はな」
 ぶっきらぼうな声が返ってくる。
マノンは自分の膝を見つめて次の言葉を探した。
「…すみませんでした」
「全くだ」
「なっ」
謝ったのにこの切り返し、本当にこれは何なんだ。
しかし、確かに疑って意見を突っぱねたのは自分なのだし。
「助けて下さってありがとうございます」
…今度は返事が返って来ない。
仕方がないので疑問を問うてみる。
「どうして助けてくれたんですか?」
「契約だ。半分はな」
「半分?」
「オレが住む海域には二種類いる、人間に固執する奴と固執しない奴。オレは後者だ」

552:触手魔物とシスター 4 ◆SFKuV9i.3U
09/02/08 22:59:21 q/8RdRx5
 いつからから人間と自然は分かたれた、自然は離れた物に興味を示さない。
そこにあるのは「理にかなった略奪」のみだ。
しかし、人間に何らかの感情を抱く者が現れた。
それが憎しみなら彼らは「悪魔」になる。
元はすべて等しく、所謂「精霊」と呼ばれる存在なのだ。
「美しいもののみを精霊と呼ぶようだがそんな事はない。現にオレも分類すれば精霊に入るんだぞ」
「…その見た目で?」

 一通り話を聞いて、マノンは一番最初の疑問を口にした。
「私が契約に使ってしまったものって何なんですか?」
「喉の血だ」
「…喉?」
海に向かって吐いたときに切れた喉、あの時に血が混ざったんだ。
しかし、すごく、嫌だ。
「何だその嫌そうな顔は」
「いや、だって…」
「…ああ嘔吐物の事か、人間はいやに気にするがこっちからしてみれば単なる有機…」
「あああもう!わざわざ言わなくて結構です!」

「おい、あんた」
「…マノンです。あなたは?」
「聞いてどうする」
「“人間”と話すなら、最低限の情報は揃えて下さい、器用じゃないんです」
「……………なら、グリューと呼べ。昔、そう呼ばれた事があった」
彼にしては珍しく長い間があって、それからぽつりとそう言った。

「あんた生娘だろう」
「きっ…!」
いきなりの遠慮ない物言いに思わず頬が熱くなる。
「生娘の血にはそれぞれ意味がある、それこそ喉の血は海の悪魔にとって最高の生贄だ」
「喉…海の…セイレーン?」
「人間はそう呼ぶのか」
 船乗りを海に誘い、腑を喰らう海原の伝説的な魔物。
伝承や噂が一人歩きしている物かと思えば本当に居たらしい。

553:触手魔物とシスター 5 ◆SFKuV9i.3U
09/02/08 23:00:13 q/8RdRx5
「あんたの血が海に投げ入れられた時、そいつは真っ先に向かったが、オレが先にあんたと契約したんだ」
「何でそんなこと」
「分かり易く反旗を翻すためにな、オレは静かに眠りたいんだ」
「私を使って煽ったんですか、つまり私を囮に…」
「察しがいいな。…どうだ、逃げるか?囮に使う代わりにあんたの業績を上げてやろうって話だ、悪くないだろ?」

 …馬鹿にしているのか、本気なのか。
「…いいですよ、私に何が出来ますか」
「何だ急に」
「あなたの態度は鼻につきますが、何もしないのはもっと嫌です。私だって一端のシスターなんですから」
 それと、さっきほんの少し躊躇した事が後ろめたい。
「…なら、口を開けろ、歯を立てるな、喚くな」

 再び具現化されつつあるグリューの触手を目で追う。
先程のように首に巻きついた触手の感触に思わず目を瞑る。
「丁度良い、そのまま瞑っていろ」
目にひやりとした感触、完全に視界が塞がれた。
唇にぬめった触手が触れたかと思うと、歯列をなぞり口の奥、更には喉の奥まで侵入してきた。
「ん、むっ…!」
喉にちくりとした痛みを感じる、その痛みを押し付けるように触手がぐにぐにと蠢いた。
 喉の、血。
先程の言葉が思い当たるが、いきなり喉は、流石に。
「はぐ、うぇ…んっ!?」
裾から別の触手が数本入り込み、腹部をなぞって乳房に巻きついた。
残った触手も同じく腹部を通り過ぎて膣へと伸ばされた。
そしてそのままぬるぬるとぬめった触手で満遍なく刺激され、思わず仰け反る形になる。
「んく、んーっ!んっ、ぅあ…!」
制止させようと伸ばした片手が本体らしき物に触れたので少し強めに叩いてみる。
意図を汲み取ってくれたのか、ぴたりと触手が動きを止め、喉からずるりと触手が取り払われた。
「何だいきなり」
「けほっ…こ、こ、こっちの台詞れす!いきらりらにするんれすか!」

554:触手魔物とシスター 6 ◆SFKuV9i.3U
09/02/08 23:02:07 q/8RdRx5
粘液でゆるゆるになった喉でまくし立てたものだからむせ込んだ上にきちんと発音が出来ていない。
「性的快感の際に良質な魔力は滲み出る、聞いたことは無いのか」
「…じゃっかん」
「なら問題はないな、早いところ傷を治したい」
「まっ…!はぷっ!」
 開きかけた口にまた触手がねじ込まれ、巻き付いたままの触手が蠢き始めた。
視界が塞がれている分、一つ一つの動きが無駄によく分かる。
胸は先の方までこね回され、背中から足先まで触手の粘液にまみれてない所はない。
膣肉の入り口をずるずると触手が動くたびに太腿をどちらのものともつかない、透明な粘液が伝っていく。
その感触すら情景としてありありと脳裏に浮かぶ、この熱を持った体が恨めしい。
否応なしに与えられる刺激に下腹部が疼くが、船の上の事がふと頭をよぎる。
「むーっ!んっ!」
これ以上は無理、と突っぱねようとした瞬間。
「ふえっ…?」
いきなりすべての触手が撤退する。
快感から解放され、呆然と座り込むマノンを一瞥し、グリューは自らの傷を確かめた。
「まあ、こんなものか」
「…あの」
「何だ」
マノンは何かを言おうと口を開いたが疲れも手伝い、急に脱力感に襲われてやめてしまった。
「どうかしたか」
「…服がべっとべとなんですが」
「ああ、この奥に水場があるみたいだな。あそこなら大丈夫だろう」
「なんでですか?」
「街道沿いの水場なんかは人間の手垢が付きまくってるからな。危ないのは中途半端に人間が介入してる場所だ」
そういえば確かにあの海域は漁業区域だったことを思い出す。
線引きがよくわからないが…いや、今は何も考えたくない。
力がほとんど抜けてる足腰を何とか起こし、引きずるようにして歩き出す。
「運ぶか?」
「遠慮します」
申し出を突っぱねて、途中途中樹を支えにしながら水場に向かう。
「…どのくらい時間をかけるつもりだ、さっさと行くぞ」


555:触手魔物とシスター 7 ◆SFKuV9i.3U
09/02/08 23:03:01 q/8RdRx5
「わっ」
痺れを切らしたのか、面倒くさそうに後を付いてきていたグリューはマノンの体を抱え上げ、足早に小川へ向かった。
「泳げるか?」
「え、えぇまあ…ってちょっ、わあっ」
頷くや否やぱっと抱えていた手を離され、小川に投げ込まれる。
春のまだ冷たい水に体を震わせ、抗議しようと顔を上げると、そこにグリューはもういなかった。
「何かあったら呼べ、オレはひと眠りする」
そう声だけが聞こえてきて、あとは何を言っても返事がかえっては来なかった。
憤りに水面をたたくが、聞こえるのは小鳥の鳴き声だけだった。
体中にまとわりついた粘液が、緩やかな小川の流れにゆっくりと流されていくのを火照った体が感じ取る。
後悔やら自責やら何やらをため息に込め、マノンは脱力したように水に体を沈めた。


556:触手魔物とシスター ◆SFKuV9i.3U
09/02/08 23:05:56 q/8RdRx5
以上です、レス番号間違えて4が二つあります。
最後のは押し込めばもう少しすっきりしましたね、申し訳ない。

557:名無しさん@ピンキー
09/02/08 23:55:31 Et8oWm8I
おおおおおおつつつつううううう!
グリューさんゴーイングマイウェイだなww
マノンたんかわゆす!

558:名無しさん@ピンキー
09/02/09 00:48:22 7+skTlRj
グリュー格好ぇええ!!
眠気スッキリしたw

559:名無しさん@ピンキー
09/02/09 00:49:22 7+skTlRj
グリュー格好ぇええ!!
眠気スッキリしたw

560:名無しさん@ピンキー
09/02/09 00:50:23 Z87KOsFJ
>>558-559
もちけつ

グリューさんがかっこよすぎて寝れなくなった!

561:名無しさん@ピンキー
09/02/09 00:53:08 7+skTlRj
興奮してつい…

魔物とか基本化け物との関係が好きなんだ…!

562:名無しさん@ピンキー
09/02/09 01:09:16 VnbPyNO5
グリューかっこいいなあGJ!
女の子が人外に振り回されるのも萌えますな、
これからマノンたんがもっと振り回されていくんですね、全裸でお待ちしています!



自分も投下。
たらたら書いてたらちょっと長くなったので、長いのめんどくせという人は
『長太とみを』でNGお願いします。
あ、『みを』は女の子の名前ね、わかりにくくてすいません。

563:長太とみを 1
09/02/09 01:10:11 VnbPyNO5
わたしの世界は狭い。
家を出れば、家の裏口の小さな井戸と井戸を共用している隣家、そしてその先の数軒がよりあ
つまった村のなかほどと、庄屋さんのところまで。
裏口の少し先には小さな川があって、その先は山。わたしは、川があることを知っているけど、
そこまで行ったことがない。危ないから近づいては駄目だと、父さんに固く言いつけられて
いた。
その父さんも三年前に死んだ。
今は、父さんが残してくれたこの小さな家と、わたしに子守を頼んでくれる数軒を往復して
暮らしている。
日中は小さな子供を預かってあやし、夕刻、皆が畑から戻ってくると子供たちを家に帰し、
家に帰って分けてもらった夕飯をいただく。火はつかわない。やはり、危ないからお前は使っ
てはいけないと父さんに言いつけられているから。
今日は、ふかした芋を隣家から分けてもらった。
すこし風が入るので、なるべく風がこないところ、部屋の隅によって芋をいただいていたら、
戸口から軽い物音がした。
誰かが戸口を叩く音だ。

「みを、居るか?」
「いるよ」

わたしが答えると、戸口がそろりと開いて、寒い風と共に誰かがぬっと入ってきた。
獣くささと汗と血の匂いがした。
その匂いを嗅ぐと、わたしはうれしくなってしまい、顔がゆるんでしまう。
長太だ。

「また芋なんか食ってるのか。少し待て、兎捕ってきてやったから」
「本当?うれしい」
「その前に火つけさせてくんな。こう暗くちゃ何も見えね」

軽く石の打ち合わさる音がして、少し周りが明るくなった。
うちに灯りはない。油も灯り台も、彼がいつの間にか持ち込んでいたものだ。
長太は、わたしの幼馴染だ。昔からわたしを気にかけてくれ、あれやこれやと世話を焼いてく
れていた。父さんが死んでからは、夕刻になるとよく顔を出してくれる。
父さんがいたころは、父さんに遠慮していたのか、よくこっそりと肉だの木の実だのを
夜のうちに届けてくれていたりもした。
ごそごそと囲炉裏に鍋をかけ、火を入れ、捕ってきた兎をさばいているのか生臭い匂いが鼻先
にひろがるのを嗅ぎながら、わたしはぼんやりと待っていた。
長太が何かしている時にわたしが手伝おうとすると、邪魔だから手伝うなと怒られるのだ。
何をするのだって長太の方が手際がいい。

「長太、ふかし芋食べる?」
「おう、一口もらうか」

差し出した芋を、大きな手が小さく千切っていった。
一口で食べてしまったらしく、食べる音もしなかった。長太は大男なのだ。昔は私と同じぐら
い小さかったくせに。

「もっといっぱい取ればいいのに」
「ばか、女の食いもんを全部取っていくようじゃ男じゃねえ。男は、女に飯を食わせてなんぼ
 なんだ」

パチパチと火のはぜる音を聞きながら長太と話すのはうれしい。

「なんでェ、何にやついてるんだ」
「へへ」

照れくさくなって笑うと、長太に手をひっぱられた。

「ほら、そろそろ兎が煮えるぞ、こっちこい」

564:長太とみを 2
09/02/09 01:11:18 VnbPyNO5
火の近くに座らされて、長太と手をつないだまま温まる。暖かい。
わたしも火をつかえたらよかったんだけど。
できたぞと手にあたたかな椀と木べらを握らされて、すくってみると小さくなった兎の肉が、
口の中に広がった。兎は、小さいころに生きているのを触ったことがある。ふわふわした毛が
気持ちよかったけど、撫でたらぶるぶるしていた。死んだ兎は毛を剥がされておいしく食べら
れてしまう。
長太が隣でガツガツと食べ始める。

「長太、おいしいよ」
「おう」

ぶっきらぼうな返事がやっぱりうれしかった。
最近長太は、三日とあけずに来てくれて、こうして色々と作ってくれる。
父さんと同じ猟師なのだ。山で獣を捕ったりしているらしい。
彼の作ってくれるご飯もおいしいのだけど、わたしは長太と一緒に過ごせるのが一番うれしい。
食事が終わると、囲炉裏に火は入れたまま、鍋と椀を片付けられる。
寒いので長太の背中にくっついていると、「ねこみてぇだな、おめえ」と言われた。

「ねこってなに?」
「ねこってのは…あー、兎みてえな、ちっこくてふわっこいいきもんだ。寒い時は人にくっつ
 いてきやがる。あとにゃあにゃあ鳴いて鼠や鳥を捕ったりもすんな」
「へえ!うちの近くにはいない?」
「村の反対側の笹吉の家で飼い始めたらしいぜ。隣村からもらってきたんだと。
 ねこ、ほしいのか?」
「わかんない」
「今度見つけたら、つれてきてやるよ。自分で食い扶持は稼いでくるらしいからみをでも
 飼えんじゃねえか」
「うん」

本当は、ねこじゃなくて長太がいればいいなって言葉は言わないでおいた。
大きい手がわたしのほっぺを撫でて、髪を撫でて、わたしはその手にほっぺをつけて暖かさと
大きさを楽しんだ。
なにしろ、彼の手はかなり大きい。わたしの顔をひとつかみで掴めちゃう。
毛も生えてるし、ゴワゴワしてて、そのくせとても器用だ。
髪を撫でてくれてた手がするすると着物のあわせから、潜り込んできた。
ふにふにとお乳を触って、さきっちょをちょこっとつままれる。

「ん…」
「ちっとも大きくなんねえなあ、お前の乳は。栄養が足りなかったかな。毎日揉んでたら
 でかくなるって聞いたんだけどガセか」
「そ、そんなに小さい?」
「でかくはない」

きっぱり言われるとちょっと悲しい。

「毎日長太が揉んでくれたら大きくなる?」
「毎日おれに揉ませてくれんのか?」
「うん」
「そいつはいいな」

背中から抱っこされて、長太はあいかわらずお乳をふにふにと揉みながら楽しそうに笑った。
背中が温かい。長太の手も暖かい。
長太が着ている毛皮とか、ガサガサの荒い布の着物とかを通して、長太の体温がわたしに伝わる。
もう片方の手が足の間にきて、ふとももを撫でながらおまたの中に入ってきた。
くちゅっと音がした。

「…ぁっ」
「とろとろだな、みをの中」
「ちょ、長太がさわるからだよお…」

565:長太とみを 3
09/02/09 01:12:10 VnbPyNO5

太い指が何本もはいってきて、ぐるりとかき回された。にちゃっにちゃっと音がして、足の間
がものすごく濡れてきているのがわかった。

「んん……っあ…っ、気持ち、いいよお……」
「最初は痛い痛いって泣いてた泣き虫が、慣れてきたもんだ」
「だってぇ……」
「お前わかってるか?今、おれの指、四本くわえ込んでんだぞ?」
「そ、そんなに入ったら、広がっちゃう、よ…っやっ」
「気持ち良さそうに下の口開けて、蜜垂らして何言ってんだ」
「やっかきまわしちゃ…っんあ…っ」

ぐうっと奥まで広げられて、おなかの中まで見られちゃいそうな気がして、恥ずかしくなって足を閉じようとしたら、指を抜かれてしまった。
腰を持ち上げられて、長太の膝の上に、長太と向かい合わせになるみたいに置かれた。
足の間に、熱いものが当たっていた。

「みを、腰落としてみな」
「や………っ」
「ほら、いいから」

長太がわたしの腰を下にむりやり落とそうとひっぱってきて、足の間の熱い塊が入り込んできた。

「ひあっおなかっおなかの奥まで入っちゃ…っ」
「もっと奥まで欲しいだろ?」
「やだっやだやだやだぁ……っ」

大きな、長太の手ぐらいあるんじゃないかって大きなそれが串刺しにするようにわたしのおな
かの奥まで入ってしまって、どこかわからないけど奥まで当たってきて、下から突き上げてき
た振動にひいって声が出て、おなかがぱんぱんで、気持ちよすぎて苦しかった。

「あう…ッ長太のでいっぱいに…っあっああッ」

おなかを触ったら、長太のものでボコっと中から形がわかってしまうんじゃないかと思うぐら
い長太のものが突き上げてきて、その度に長太の固い毛の生えた胸にしがみ付いてしまって、
爪を立ててやったけど長太は全然どこ吹く風という感じでわたしのほっぺを舐めたり、口吸い
してきたりした。ぐちゅぐちゅといやらしい音が下から聞こえて、「みをに俺が食われてるみ
たいだな」と言われて背筋がぞくぞくとした。
わたしは長太に食べられているんだと思ってたけど、わたしが長太を食べてるんだ。
ゴッゴッゴッとおなかの奥のさらに奥まで当たって、わたしを抱きしめた長太が、ぐうっとさ
らに奥まで、わたしを串刺しにしてしまうぐらいの勢いで突き上げてきた。

「ひあああああっ!!いやっああああっ!!奥っ!奥まで来てるっ!!」
「みを…ッ出すぞ!みをん中にタップリ出すからな!!」
「長太っ、長太ぁ……ッ!!」

痛いほど抱きしめられて、おなかの中に熱く激しい波が広がって、その波を奥底まで叩きつけ
られて、わたしも長太にしがみついて絶叫した。




566:長太とみを 4
09/02/09 01:13:44 VnbPyNO5
「なあみを、おれんちこないか」
「え?」
「その、通うのも面倒だし、一緒に住めばいいんじゃねえかって…」
「長太の……家?」
「おう、山ン中だがこれでもなかなかキレイにしてんだ」
「行く!!」
「来るか」
「どこだって行くよ!」
「おれの……その、なんだ、嫁になるんだぞ」
「長太のお嫁さんになるよ!」
「お前は知らないだろうが、おれは不細工で醜い男だ」
「長太は良い男だよ」
「顔だって見たことないくせに」
「手があったかくて、体が大きくて、いろんなところに毛が生えてて、料理が上手くて、
 わたしに優しい良い男だよ」
「……」

黙ってしまった長太に体をこすり付けて、その大きな手を握って、ごわごわした毛むくじゃら
の足に足を絡ませて、わたしは長太からはがされまいと力いっぱい抱きついた。

「長太が大好きだよ、だから、お嫁さんにしてよ、長太。わたし、色々できるようにがんばる
 から。いいお嫁さんになるから。ねえ、お願い」
「………ったく、お前には適わねえ」

嘆息と共に、長太はわたしを抱きしめてくれた。
足の間から、ふとももを伝ってゆっくりと子種が流れてくるのを感じて、わたしは目を閉じた。




それから長太は、うちにこなくなった。






何日もたった。
いつもこまめにやってくる長太は全く顔を見せず、嫁取りの準備に忙しいにしてもこれだけ顔
を見せないのはけしからんとわたしは怒っていたが、十日たち、それ以上たち、さすがに心配
になってきた。
まさか、山の中で怪我をしてたらどうしよう。
病気かなにかで、苦しんでいたらどうしよう。
村の人に聞いてみたのだが、何故だか皆一様に「長太なんて猟師はこの村にいない」と
言うのだ。
幼馴染の何人かに確かめてもみたが、長太と一緒に遊んできた彼等は「そんな子なんか
知らないよ」と言う。
何がなんだかわからない。

夜、部屋の隅で父さんの残してくれた毛皮にくるまっていると、泣きそうになった。
長太とのことが思い出されて、目から勝手にひとつ、こぼれ落ちた。
一度こぼれると、涙はあとからあとからこぼれてきて、止まらなくなった。


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