【友達≦】幼馴染み萌えスレ17章【<恋人】at EROPARO
【友達≦】幼馴染み萌えスレ17章【<恋人】 - 暇つぶし2ch525:秋夜思 ◆ncmKVWuKUI
09/04/25 14:52:15 AXgzlfdg

 ―ふすまを開けて、足音を立てないようにおそるおそる満が廊下に踏み出していったあと、京介は盤と駒を片づけた。
 敗者に科されたペナルティを終えてから、蚊帳にごそごそともぐりこむ。

「疲れた……」

 二枚並べられた布団のひとつに横たわる。
 満の好きな女子がまさか柿子とは思わなかった。弟として日々あの烈しい気性に悩まされている京介からしたら、完全に予想の範囲外である。
 (いじめられるのが好きな人っているらしいけど、まさかミツルくんがそうなんだろうか)と、かなり失礼なことを友人に対して考える京介だった。

 ふと中学生との喧嘩のことに思いいたる。相手が柿子のことを侮辱したあと、激怒した京介に満が加勢してきたのだった。
 あの手助けは、友人としての義理と侠気からだけではなかったのだろう。

(カキ姉ちゃんの悪口で、ミツルくんもあいつに怒っていたのか)

 納得が深まるほどに、自分が安堵していくことに京介は気づいていた。
 満の懸想した女子が夕華ではなかったからだろう。

 姉である柿子を侮辱されたときとはまったく別の意味で、自分はやっぱり夕華のことでは平常でいられなくなるようだ。
 ふだんその意味を深く考えることは避けていたのだが、今回はなかなかそうはいかなかった。
 なにしろ、ほかの男子が夕華と距離をちぢめようとして、それを手伝うことに京介が拒否感を覚えたのは、今夜が初めてではない。 満のばあいは単なる誤解だったが…… 

(……あいつが、最初だった)

 蚊帳網をとおして格子天井を見つめながら、つぎにゆっくり考えたのは、あの中学生のことだった。

 話しかけられたのは去年だった。
 公園で遊んでいたとき、呼び出されて「京口のお嬢さんにこっそり渡してくれよ」と文をことづかったのである。

 押しつけられ、ぽかんとしてそれを受けとり、しばらく立ち尽くした。初めての種類の戸惑いが芽生えていた。
 数時間その場で円をかくようにうろうろ歩いてから、京介はその中学生を探して「ごめんね、なんだか僕、渡す気になれない」と告げ、文を返したのだった。
 険悪な目で見られ、突き飛ばされて京介はしりもちをついた。
 見下ろされ、さげすむように言われた。「前から見てたけど、おまえってまさしく甘ったれのぼんぼんってやつだよな。いつもお嬢さんにべたべたして恥ずかしくないのか」と。

 以来、町内で顔を合わせるたびに「そこの甘ったれ」「金貸しの子」と聞こえよがしに呼ばれてきた。
 たぶん、その嫌がらせも終わりだろう。終わらなくても、もうどうということはない。
 我慢してきた末に反撃に踏み切ったあと、体の大きな相手に対する恐怖はふしぎと消えていた。だから、戦ったことを悔いてはいない。

 すこし後味の悪さはつきまとっていたが。

(……ゆうかちゃんに手紙を渡すくらい、してあげればよかったんだろうか。
 ―ううん、やっぱり、僕の手で渡すのは嫌だ)


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