【友達≦】幼馴染み萌えスレ17章【<恋人】at EROPARO
【友達≦】幼馴染み萌えスレ17章【<恋人】 - 暇つぶし2ch517:秋夜思 ◆ncmKVWuKUI
09/04/25 14:43:44 AXgzlfdg

 けれど京介は、そこまで後始末してくれた夕華と口論してしまったのだった。

 あとで満やほかの子供たちから事情を聞いたとき、夕華は京介にむかって怒ったのだった。
 「前からちょっかいを出されていたなら、なんでもっと早く私か柿子に言わなかったの! 今日だって最初から私を呼べばよかったのに」と。
 うつむいて聞いていた京介は、「言えないし、呼べるもんか」と拒絶の言葉をぶつけたのである。
 その直後に顔をあげたとき、ずきんと心が傷より痛んだ。そのときの少女の顔には怒りより、悲しげな色が濃かった。

(謝ろうかな……でも、釈然としない)

 つぶっていた目をうすく開け、風呂場の床に暗く視線を落としながら、京介は悶々とする。
 けれど、夕華がその悩みを打ち消した。
 桶の湯を京介の頭に少しずつかけて、手ぐしで髪をすいて洗髪剤を流しながら、彼女はつぶやいたのである。

「このまえは、怒鳴ったりしてごめんなさい」

「え」

 京介はぐっと胸がつまるのを感じた。少女は自分から折れてくれたのだった。
 こうなると、まだ意地をはっているほうがみっともない。いや、そんなことよりも、これ以上突っぱねあっていたくはなかった。

「あ、その、僕こそ、ごめん」

 先に謝らせたことで、京介は逆に恥ずかしくなる。いくらか男心に鈍かろうと、やはり夕華のほうが大人なのだと実感させられる。

「きょうくん、私、喧嘩になったことを怒っていたわけじゃないよ。
 発端は、柿子を悪く言われたことなんでしょう。その場にいたら私だって突っかかっていたよ。
 指を折ったのはやりすぎと思うけれど、ずっと体の大きい相手に勝つやり方なんてそんなにないし」

 あのとき夕華がいだいた怒りは、九割が中学生へ向けられたもののようだった。京介はほんの少しだけ、喧嘩した相手に同情を寄せている。
 彼女が場に駆けつけてからは、終始しょげかえっていた相手の姿を思い出す。夕華は折れた指に応急措置をして、医者へ行くよう言ったとき以外、中学生を一瞥もしなかった。

 彼女がそこまで誰かに冷たい怒りを抱くのは珍しいことだった。「年下をいじめた」ということが許せないのかもしれない。
 彼女にとって、大きな子は、自分より小さな子を庇護する義務を負うものなのだ。

 だから京介は、一割とはいえ自分がなぜ夕華に怒りを向けられたのかもよくわかっている。夕華にとってまだ「小さな子」である自分が、頼ろうとしなかったからだ。


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