【友達≦】幼馴染み萌えスレ17章【<恋人】at EROPARO
【友達≦】幼馴染み萌えスレ17章【<恋人】 - 暇つぶし2ch250:名無しさん@ピンキー
09/03/01 10:56:20 1/cDTpjf
>>240
ちょw何年か前にニュースになってた、あの事件のパイロットかw

251:名無しさん@ピンキー
09/03/01 12:19:53 anPc+Zm7
まあ、生きているなら良いじゃないか町中でエンストして被害が出ないように河原に落っことしてその結果脱出が遅れたパイロットも、
そのパイロットを非難したアカヒ新聞やチュンイル新聞が実在するんだし。

252:名無しさん@ピンキー
09/03/01 12:48:25 AyZevI+a
352機を撃墜した世界最高の撃墜王、エーリヒ・ハルトマンも2歳年下との幼馴染み婚だぜ。
10年にもわたる過酷なソ連抑留で「目の輝きが変わってしまった」夫を支え、再び暖かい
家庭を築いた奥さんには感動するぜ。


253:名無しさん@ピンキー
09/03/01 13:34:04 iRC790AH
戦車・装甲車を2000台近く吹っ飛ばしたソ連人民最大の敵、ハンス・ルーデルは25歳の時に5歳の幼女と入籍してるしな
ドイツの始まりすぎw
まあコレは幼馴染みってレベルじゃないけど

254:名無しさん@ピンキー
09/03/01 14:14:26 anPc+Zm7
何という人民の敵w

255:名無しさん@ピンキー
09/03/01 16:37:03 NLbrDUb6
>>253
嫁側からみりゃ、小さい頃から知ってるってことで幼馴染の範疇なんだろうか?w

256:名無しさん@ピンキー
09/03/02 00:33:09 r7cVeGkV
その発想はなかった

257:名無しさん@ピンキー
09/03/02 05:21:44 XV6BbKNK
「かっこいいお兄様大好きよ!」
「(ふむ…)よし、結婚しよう」
「え!?お兄様と結婚できるの?お遊びじゃないの?」
「ああ、俺はお前が大好きだからね。そうと決まれば早速お前に似合うドレスを作らなきゃね」

数年後
そこには嫁への愛と性欲を破壊衝動に転化した男の姿が!

258:名無しさん@ピンキー
09/03/02 09:02:43 BFah2YVv
つまり光源氏も紫とは幼馴染結婚だったんだな!!

259:名無しさん@ピンキー
09/03/02 09:16:32 DsL+36kt
幼なじみ物語ではなく幼女育成調教プリンス物語

260:名無しさん@ピンキー
09/03/02 14:02:26 ORWSlJUF
いやもうさすがにそれらを幼馴染と呼ぶには無理がありすぎるwww

261:名無しさん@ピンキー
09/03/02 16:50:02 XV6BbKNK
男から見て幼馴染ならいいのか?

262:名無しさん@ピンキー
09/03/02 18:33:52 MWQ7Ad6A
一方のみの幼なじみってどういう状況なんだ

263:名無しさん@ピンキー
09/03/02 18:37:23 eL244iqz
相手が忘れてる、とか

264:名無しさん@ピンキー
09/03/02 18:52:51 PZvV5B8O
両者共にとって幼馴染じゃないとさすがに別ジャンルだろうw
何と言うかは知らんが
ただし>>263は除外

ふと思ったが、何時ぐらいまでの期間一緒なら幼馴染なんだろう
幼稚園だけ一緒ってのは何か違う気がするし

265:名無しさん@ピンキー
09/03/02 20:03:39 tM7Z8pbQ
幼いころに馴染んでいれば幼馴染ですよ
幼稚園だけといっても2~3年間一緒で園内以外でも良く会ってた相手とかなら幼馴染といえるのではないかと

年齢上限は小学校卒業までに馴染めるかじゃないかなぁと個人的には思う

266:名無しさん@ピンキー
09/03/02 21:42:11 KZDq459B
>>265
基本保育園(幼稚園)でギリギリ小3までに仲よければ幼なじみ

だと俺は考えてる

267:名無しさん@ピンキー
09/03/02 21:59:59 PZvV5B8O
幼稚園も(片方は保育園とか)学校も(私立と公立とか)全部違ったけど
生まれたときからご近所さんで仲の良い人

ってのも幼馴染になるんだろうなぁ。凄く異質だけどw

268:名無しさん@ピンキー
09/03/03 00:23:32 rsiMymwU
10歳くらい離れてても「あいつは幼なじみ」とか言ってた気がするけどなぁ。
その辺は書き手の力量では?
うだうだ言い合うのはいいけど、個々のこだわりで狭めるのはよくない。
紫については、自然発生じゃなくて光源氏が最初からその気満々で
攫って傍に置いたというシチュだから、別ジャンルの方が適切なんだと思う。

269:名無しさん@ピンキー
09/03/03 02:53:29 n3vY1In/
ふと>>267で思いついたものを投下してみる
地の文無しの会話のみな形式です。苦手な方は  疎遠な幼馴染  でNG登録してください

270:疎遠な幼馴染 (1/3)
09/03/03 02:56:03 n3vY1In/
「なんでりっくんはよーちえんこないのー?」
「おかーさんもおとーさんも忙しいからダメって…」
「ふーん。おとなはたいへんだねー」
「みーちゃんといっしょのとこ行きたかったなぁ…」
「ねー?」


「やだー!りっくんと一緒のがっこ行くのー!」
「こら、我侭言わないの!」
「ごめんなさいねぇ家も私立いけたら良いんだけど…夫の稼ぎも少ないしねぇ」
「陸之君賢いから受かるだろうにもったいないわねぇ…」
「りっくん一緒のとこ行こうよ。ね?」
「…行きたいけど、でもよーちゃん達もこっち来るんだし…」
「りっくんの馬鹿!よーちゃんのお嫁さんになれば良いんだ!」
「えぇ…」
「あらあら美穂ったら嫉妬?さすが私の娘ねぇ」
「もう陸之。女の子は優しく扱わないとだめでしょ?」
「ふんっ」
「ぼ、僕が悪いの…?」


「は?何でよ!あんた私より頭良いのに公立行くの!?」
「っせぇな…こっちのがダチ多いからやりやすいんだよ」
「去年同じ中学行こうって言ったじゃん。忘れたのかよ…」
「こっちにだって色々あんだよ。良いじゃんか学校ぐらい別でも…」
「…」
「どうせ今までみたくテキトーに」
「死ね!」
「ごあ!?ちょ、てめ、辞書投げんな!」
「馬鹿!アホ!鈍感!甲斐性なし!」
「ちょ、ま、やめて、たすけて!誰かー!」


「…もう一度言いなさい」
「だから吉野に告られたって」
「…もう一度」
「くどいぞ馬鹿」
「うぅ…どうすんの?」
「断る」
「マジで?めっちゃ仲良かったじゃん」
「恋愛とかよくわかんねーし。部活に集中したい」
「うわぁ」
「やっぱうわぁとか言っちゃう?」
「言っちゃう言っちゃう。いやぁほんと慌てんでよかったわ…」
「は?慌てる?」
「あ、いや、何でもない!忘れて!」
「?」

271:疎遠な幼馴染 (2/3)
09/03/03 02:57:42 n3vY1In/
「…」
「なぁ、ほんと謝ってるじゃんか」
「…」
「俺だって、まさかこんな事になるなんて思ってなかったんだよ」
「…いつから?」
「来週には」
「…高校からはやっと同じ学校と思ったのに。一緒にいられると思ったのに」
「ごめん」
「なのに…何で入学前に引っ越すのよ」
「あそこ、あの人…親父の家だからさ。俺も母さんも、もうあの人についてけ無いし…」
「…」
「母さんが待ってる。そろそろ行かなきゃ」
「…」
「メッセとかさ。いろいろあんじゃん。また話そうぜ?」
「…」
「じゃあな美穂…」



『ミミ:告られたぜー!うへへいうへい』
『天:で、また振ったと』
『ミミ:これで10人切りよ!あぁんもう私魅力的過ぎてこまっちゃう!』
『天:駄目だコイツ…手遅れだ…』
『ミミ:おややん?そんな心にも無いこと言っちゃってー』
『天:本心に決まってんだろ馬鹿野朗』
『ミミ:どうせ一緒に居た頃手を出さなかったの後悔してるくせにー』
『ミミ:おやおや発言が止まってますよりっくん?』
『ミミ:図星かなー?図星なのかなー?』
『天:そうだよ』
『ミミ:なに?』
『天:めっちゃ後悔してる』
『天:引っ越した後になって自分の気持ちに気がついたわ』
『システムメッセージ:ミミさんがログアウトしました』

「もしもs「ちょっと待って!(ブツッツーツーツー…)」…」

「もしもし?」
「…あい」
「準備はOK?」
「…あい」
「えっとだな。俺、お前の事好きだわ」
「…」
「引っ越して、会わないまま一年過ぎた今頃何言ってんだかと思うだろうけどさ」
「…ぐす」
「会えなくなって気付いた。俺お前の事好きだ。すげぇ好きだ」
「…う…ひぐ…」
「だから、その、付き合って欲しい」
「…遅いんだよ馬鹿ぁ!」
「ごめん」
「待ちくたびれて…辛くて…」
「ごめん…」
「でも…でも…」
「うん」
「…私も…大好き」

272:疎遠な幼馴染 (3/3)
09/03/03 02:58:36 n3vY1In/
「…美穂さんや。これはどーゆーことだい?」
「えーっと、何の事だかさっぱり」
「てめぇこの大学受かれって言ったな?同じ学校行こう言ったな?」
「い、言いました」
「俺は頑張ったよな?学費免除の特別待遇受けるほど頑張ったよな?」
「や、やぁりっくんは凄いねぇあたしには無理だわ」
「そう無理だった」
「…あい」
「何落ちてやがんだてめぇえええええええ!?」
「いや、違うんだよ。これは予定調和なんだよ」
「あ?」
「こう、大学進学やめてあなたのお嫁さんになります的な」
「別れ話始めるぞコラ」
「それは困る!?」

273:名無しさん@ピンキー
09/03/03 03:01:07 x4335BqS
リアルタイムGJ!

274:名無しさん@ピンキー
09/03/03 03:16:17 MoO6Aeub
オチのために落ちたんですね、わかりますw

275:名無しさん@ピンキー
09/03/03 11:41:44 APQv+KXe
こういうの好きだわ、GJ

276:名無しさん@ピンキー
09/03/03 19:59:03 MTk4Fu+4
そして美穂は予備校へ、りっくんはテニサーへ

277:名無しさん@ピンキー
09/03/03 21:32:23 KapgirG3
面白かったw

疎遠な幼なじみgj

278:名無しさん@ピンキー
09/03/04 00:38:07 m2Q8Tlfx
吉野=よーちゃんだとすると、バッドエンドを迎えた幼馴染が一人居るわけか…

279:名無しさん@ピンキー
09/03/04 11:50:39 Rn/wYqLo
個人的には「…あい」がツボです。
可愛すぎるだろ畜生><

280: ◆/pDb2FqpBw
09/03/04 17:01:17 7viDHoiT
小ネタですが投下させてもらいます。
賑やかしにでもなれば。



281: ◆/pDb2FqpBw
09/03/04 17:06:54 7viDHoiT
2月末からスレ更新してなかった・・・

>270さん
すいません。

又時間を置いて投下しに来ます。
では。

282:名無しさん@ピンキー
09/03/04 17:11:54 2mwWjLGn
>>272で3/3だからあれでお仕舞いじゃねえの?

283:名無しさん@ピンキー
09/03/04 18:45:07 x8tXyfkG
投下しちゃいなよYOU

284:名無しさん@ピンキー
09/03/04 19:50:19 nmwSHBMC
       ____
     /⌒  ⌒\
   /( ―)  (―)\
  /::⌒(__人__)⌒\   
  |              |    一回しか言わないからよく聞けよ?
  \               /

     ____
    / ⌒  ⌒  \
  ./( ―) ( ●)  \
  /::⌒(_人_)⌒:  |     ・・・投下しな
  |    ー      .|
  \          /


285:名無しさん@ピンキー
09/03/04 20:34:58 x8tXyfkG
というか、さっさと投下すべき。推敲とかの理由でなければ。
一度投下宣言しといて「やっぱ待ちます」といいだすのは避けた方がいい。

経験があるけど、もしいま投下したい人が他に出てきても
「『ちょっと待ってから投下します』と先に言って控えてる人がいるのに、ぼくが投下したらまずいよな…」
と遠慮して、なんだか投下しにくくなるから。

286:名無しさん@ピンキー
09/03/06 00:20:09 MmHtuJCw
結局投下はなしか……。全裸待機していたのに……。

287:てす
09/03/06 12:09:31 Ww3cosLP
 カラカラカラカラ、喉が渇く。こんな光景を見せられて、唾を飲むのが精一杯。
 夕焼けの陽射しが窓から差し込み、この部屋は紅トーンで綺麗に染められた。
 そんな神秘的な空間で、夕日よりも赤い長髪を羽ばたかせ、天然の赤い瞳を潤ませた幼馴染みが、ベッドの上でボクを誘ってる。
 ウサギと同じ、淋しがり屋な赤い瞳で。ボスンと音を鳴らし、ベッドに沈んだムチムチの身体で。
 サキちゃんは、自分がとっても魅力的な女の子だと理解した上で、ボクから襲われるお膳立てをしてる。レイプさせようとしてるんだ。
 神秘的な空間で、尚も幻想的な赤いウサギは、エッチしたくなるような、チンチン挿れたくなるような、そんな状況にボクを追い込んでる。
「壊しちまった分は弁償するさ……今日一日、ゆーとのオナホになってやるよ」
 ボクはクラクラ、ノックアウト。心臓バクバク、ドッキドキ。
 そうするのは、初恋の幼馴染み。言葉は気丈で強がってるのに、手は震えてシーツを掴む。
 顔は横を向いて、視線だけをボクに向けて。早く手を出せとボクを挑発してる。
「そっ、かぁっ……サキちゃんはボクのオナホなのかぁ。なら、ココ……大切な所に、チンチン挿れられても良いんだよね?」
 膝から上をベッドへ預けてる、えっちぃサキちゃんに近付く。
 ボクのドキドキが伝わらないように、あくまで笑顔で、ココ……と、スタート越しに足の付け根を撫でる。
 緊張し過ぎて、感触なんてわかんない。
「あっ、オ、オレのことなんて、き、気にすんな!! 痛がったって気にしなくていいから、ゆーとの……好きにしろよ」
 あーあ、やっぱり。やっぱりだ。
 やっぱり、サキちゃんには敵わないなぁ。
 子供の頃からずっと好きで、何が有っても好きだった。
 さっきは嫌いになって、もう顔も見たくないって思ってたのに、気付けば好きになってる。
 何度だって、ボクは彼女に恋をする。
 そしたら、
「それじゃあ瀬戸山さん、エッチしようねっ」
 ちょっとぐらいのイタズラは許されるはず。
「やっ、ぁやぁっ!! ヤダヤダヤダぁっ!! 弁償するって言ったろ? オナホになるって言ったろ!? 名前で呼べよぉっ!!」
 こんな風に、可愛らしいサキちゃんを見たって、許されるはずなんだ。
「ゴメンねサキちゃん……いじわる、しちゃったね?」
 目尻に溜まって零れそうな涙を、流れる前に指で拭ってあげる。
 初めて、ボクがサキちゃんを泣かせたんだ。貰うハジメテは、これでいい……かな。
「バカっ。やさしく、だぞ?」
 だから後は言われた通り、やさしく、やさしく、長いスカートの裾に手を掛けた。


288:名無しさん@ピンキー
09/03/06 12:09:57 Ww3cosLP
ごばくった。

289:名無しさん@ピンキー
09/03/06 13:04:07 eMuEl3hJ
>>288
誤爆なら仕方が無いな
しかし、急ぐ旅でなければゆっくりしていったらどうだい?

290:名無しさん@ピンキー
09/03/06 15:19:31 TB2GvR/X
まぁせっかくだから最後まで投下しようか

291:名無しさん@ピンキー
09/03/06 16:23:43 ZHGuPXQ8
え!誤爆じゃないですよね!?
続きが気になります!

292:名無しさん@ピンキー
09/03/06 21:34:36 dXRYXvUo
>>286
「気の強い娘~」の方に回されたんじゃないの?

293:ボルボX  ◆ncmKVWuKUI
09/03/07 14:35:10 WqGR54LQ
こちらに投下させていただきます。

294:春の夕べの夢醒めて〈上〉 ◆ncmKVWuKUI
09/03/07 14:36:03 WqGR54LQ

 シャワーの雨、檜(ヒノキ)の浴槽からたち上るもうもうたる湯気。
 桃色の灯が水煙にけぶる。そのしたで嗚咽をもらす子供ふたりが抱きあっていた。

(あの夢だな)

 おぼろながら京介には、いま見ているこれが自分の夢だとわかっている。
 また、六年前のあのときの情景だからである。何度となく見て、先の展開はよく知っている。

 子供のころはほとんど毎日訪れた、あのひとの屋敷。
 夢のこの場所は、屋敷の浴室だった。
 床天井から壁、浴槽まで香りたつ総檜の湯殿である。

 みっともなく泣きながら、自分より背の高い相手に背伸びしてすがりついているのは、裸の男の子。
 その頭を、みずみずしく育ちかけの胸にしっかり抱きしめているのは、やはり裸の女の子。なぐさめている立場ながら、こちらも声は湿っていた。

 十歳の京介と、十二歳で女学校にあがる直前のあのひとだった。

 地元ではない。帝都のほうにあるという、華族はじめとする良家の子女が集う六年制の学院である。
 免除してもらうこともできた入学試験をわざわざ受けて合格し、あした彼女は遠くへ行く。おないどしの友人である京介の姉とともに。
 京介が生まれてからいつも共にいた三人のうち、彼ひとりがこちらに残されることになるのだった。

 そのときまで恭介にとって彼女は、実の姉より姉らしい人という思いがあった。
 年の差はふたつ。子供にとっては小さくない差である。それもあってか彼女は、京介にたいしては年上ぶりたがっていたようだった。
 京介のほうは、いつまでたっても子ども扱いされることにむくれだしていた。
 最近はずっと乱暴なため口をきいたりと、わざと怒らせるような態度をとっていたのである。

 それと同時にとりとめのない甘酸っぱいものが、彼女に対してだけふくらんでいくことに狼狽もしていた。姉やほかの女子には覚えない感覚だった。
 生意気な態度もうらがえしてみれば、実際になんでもできる彼女にもうすこし認めてもらいたかったのだろう。

 近しい距離と信じていたから憎まれ口も叩けたのだ。
 離れられてしまうなど、思ってもみなかった。
 受験のことを教えられたとき、京介はとっさに言葉も出なかったのである。
 前々から彼女に抱いていたあやふやな想いは、そのときはっきりした形をとりはじめた。

 それを完全に自覚したのが、この別れのための日だった。
 夜の宴は基本としてこの二家だけで催す手はずだったが、昼間は近所の子みんながあつまって遊び騒いだ。
 昼餐のあとは、男子女子の区別も年の上下もなく、天気がぐずつき模様なのもかまわず、屋敷の広大な庭で隠れ鬼や缶けりに興じたのである。

 小ぬか雨がふっても、だれも帰らなかった。明日去っていく二人の女の子、とくにあの人と無邪気に遊ぶ機会はもうないと、うすうすみんな知っていた。
 大人への入り口がすぐそこにある。彼女たちが女学校からときには帰省してくるとしても、もう一緒には遊べないだろう。この日が身分や立場など気にしないですむ最後の日だった。



295:春の夕べの夢醒めて〈上〉 ◆ncmKVWuKUI
09/03/07 14:36:48 WqGR54LQ

 それでも夕暮れがくると、子供たちもそれぞれの帰路に散った。

 京介の姉があるクラスメートに呼び出された(告白されていたらしい)あと、京介は彼女と二人きりになった。

 すでにして悄然とだまりこんでいた京介だったが、気をつかって話しかけてくれる彼女に「明日でお別れだね」としんみり言われたのがとどめになった。
 女の子の前で泣くなんて恥ずかしいことだ、と必死に念じても、一度こぼれた涙はとどめようがなくなった。
 どうせ小さなころから泣き顔など何度も見られている、という開きなおりもあった。

 手をひいてもらって、しゃくりあげながら一緒に玄関をくぐると、ドロまみれということで湯殿に二人まとめて放りこまれた。

 ちょっと前まで「もう女の子なんかといっしょにお風呂入らないからな」と突っ張っていた京介だったが、そういう意地は涙といっしょに流されてしまっていた。 
 裸で向きあい、幼稚園児のように頭や体を洗ってもらううち、ひどく素直な哀しい気分がまたこみあげてきて抱きついたのだった。
 それが自然であるような感じで、あのひとも抱きしめ返してきた。
 京介は背伸びし、頬と頬をくっつけるように寄せて、行ったらいやだとわがままを言って泣いた。

(あのときはほんとうに幼な子並みだったなあ……)

 夢のかたちで思い出は続く。

 そのときは宵の口であり、外の闇が浴室の窓を黒くぬりつぶしていた。
 広間のほうでは「お別れ会」の準備がすすんでいる。今回はごく内輪のみの宴席とはいえ、地元の名士の数人くらいは令嬢たちの入学祝いをのべに訪れている。
 もう早々と酔っているらしい大人たちの声が聞こえてきた。
 ドアを何枚かへだてながら届くほどの大声で笑っているようだった。

 ―ゆうかちゃん、最近ずっと生意気なこと言っててごめん、ごめんなさい。

 ―そんなのもういいから泣いたらだめだって、きょうくん。ときどき帰ってくるってば。

 対して浴室内の会話のほうは、涙まじりながらも、ほんのかすかな声で交わされている。
 空気がいままでと違うことに、子供といえど気づいていたからだろう。
 抱き合ううちに、これまでの日々にはなかった雰囲気が芽生えていたのだった。甘く妖しく、頭と体の芯がしびれていくような。

 あとから思えば、それは秘め事の空気だった。

 嗚咽が止まってしばらくしても、二人とも離れなかった。
 このまま体を離すことがひどく惜しかった。彼女の肩に頬をおしあて、シャワーに打たれながら、京介はつい言っていた。
 反抗していたちょっと前のときなら、絶対に言わなかったことを。

 ―好き。ゆうかちゃんが好き。

 ―え……

 ―ずうっと好きだったよ。好きなんだ……

 ―…………ん。うん……



296:春の夕べの夢醒めて〈上〉 ◆ncmKVWuKUI
09/03/07 14:37:17 WqGR54LQ

 はじめての告白を口にしたとき、心だけでなく手も足も、体がすべて熱を持った。
 その熱を彼女に伝えたくて、気がつくと京介はなめらかな頬に唇を寄せていた。
 あ、と少女の声がもれる。脚が萎えたように彼女の体の力が抜け、とんと背中をすぐ後ろの壁板にあずけた。
 熱は伝わったようだった。口づけされたその頬が紅潮している。

 彼女が、京介を抱きしめる腕はそのままだった。

 京介は壁にもたれた彼女に身を寄せてまた密着し、おずおず触れるだけの口づけを、二度、三度と繰りかえす。
 初々しい肌が桜色に熱を持ちはじめている。シャワーの雨に当たりながら、わけもわからず火照っていく。
 灯の下、濡れた裸が艶やかに照り、子供ながら妖しいほどに色づいている。
 お互いの呼吸が速くなっていた。

 湯殿のどこかで、垂れたしずくがぴちゃんと鳴った。

 京介は、頬をすりつけた。
 血を透かして真っ赤になった彼女の耳朶を、そっと噛む。
 さらさらの短い髪を撫でる。
 前髪をかきあげ、爪先立ちで背伸びしてひたいの生え際に口づけする。

 顔のあちこちをやわらかく噛んだり、口づけしたり髪を撫でたり……そんなたわいもない、けんめいに愛情を示したいだけのつたない愛撫でも、受ける少女の表情は陶然としていった。

 どちらからともなく、密着した体の正面をもぞもぞとすりあわせていた。
 石けんの泡が微量にのこっており、ただでさえすべらかな肌の摩擦を助ける。
 二人ともに固くなっていた乳首が肌にこすれるたび、むずがゆさに似た何かが脊髄を走る。
 見交わす瞳がとろんと溶けて、薄くひらいた唇から、ぁ、ぁ、とあえぎがこぼれていく。

 京介の下腹では、まだ肉としては幼いはずのその器官がひくんひくんと勃ちあがっていた。
 互いに脳裏がぼやけていたのはかえってよかった。
 知識はろくに得ていなくても、どうすればいいのかを体の奥にあるものが教えてくれた。

 板壁に背をもたせかけた彼女が、こくんと喉を鳴らし、肩幅よりわずかに脚を広げた。
 それにみちびかれ、京介は少し前ににじり出、彼女のひざのあいだに立ち入る。
 いじましく反りかえったものを、下からゆっくり挿しこむ。
 互いの無毛の恥丘を密着させてこすりあげるようにして、ぐっと腰を押しあげる。そして、少女の湿った肉壁にわけ入った感触があった。

 ―あ。

 直後にわずかに高まったそれは、どちらの声かわからなかった。
 二人とも目をとじて、切なげにあえいでいた。京介は快感で、彼女は処女を破られた痛みで、そして両者とも、つながったことへの昂揚で。
 本能がみちびいてくれたとはいえ、一度で入ったのは奇跡に近かった。



297:春の夕べの夢醒めて〈上〉 ◆ncmKVWuKUI
09/03/07 14:38:04 WqGR54LQ

 くち、くち、と腰をゆすると、ぎゅっと彼女が頭を強く強く抱きしめてきた。

 何だかこわいけれどひどく気持ちいいことをしている、と感じたのを憶えている。
 少女の未通のそこは、より幼い京介の細いものでも、ひどく狭く感じた。
 針穴に通しているのかと思ったくらいで、締めつけられてきつい痛みさえ京介はおぼえている。その痛みまでも甘美だった。

 ―ゆうかちゃん、ゆうかちゃん。

 京介は目をかたくつぶって二つ年上の少女をきつく抱擁し、名を幾度も呼んだ。生まれてはじめての官能に意識が溶けそうで、夢中になっていた。
 ぅぅ、くっ、と押し殺された声が、断続的に少女の唇からこぼれてくる。痛みをこらえているのだろう。
 密着したまま体をゆすりながら、少年は熱い息をはずませる。
 なぜかそのとき耳の奥では、遠い日に聞いた歌がひびいていた。

   ……もりのねぐらに夕鳥を ふもとのさとに旅人を……

 もっと幼いころに、座敷で京介に添い伏ししながら、彼女はよく唄った。乳母のまねをして、子守唄のつもりだったのだろう。
 昼寝なんてしたくなんてないと毎回ぐずる京介は、強引に布団のなかに抱きとめられてそれを聞かされるうちに、なんとなく二人で眠っていたのだった。 

   ……ぎおんしょうじゃのえん朽ちて くんしゅの香のみたかくとも……
   ……はなもにほひも夕月も うつつはもろき春の夜や……

 この家で教えられるという歌詞の意味はよくわからないことが多く、実際に聞いていたときは眠りのおまじない同然だったが、そんなことはどうでもよかった。
 明るく落ちついた少女の声はこころよかった。京介が生まれてから、いつでも、そばにその声はあった。

 明後日からはもう聞けない。だから鮮烈な快楽のなかでひとつひとつ思い返して、憶えておきたかった。
 歌声。京介をよぶ声。笑い声、怒った声、涙声。今はじめて聞くこの声。

 唐突に、未経験の衝動が下腹にこみあげてきた。
 みじかく鳴き、少女を抱きしめる腕にきゅっと力をこめ、京介は動きを止めた。
 どく、どく、どくと精液が、幼い肉の筒から打ち出されていく。はじめての射精であじわう肉の歓喜に、背筋がぶるぶるわななく。
 注がれる少女が、おなかが熱い、と放心した声でつぶやいた。

 少女の流した赤がひとすじ内ももを伝わり、少年の白い粘りはぽたぽた床に落ちる。
 がくがく震える互いの脚のあいだ、板敷床の木目のうえ、赤と白がまじって水に流れていった。



298:春の夕べの夢醒めて〈上〉 ◆ncmKVWuKUI
09/03/07 14:38:29 WqGR54LQ

…………………………
……………
……

 渋沢京介は薄目をあけた。
 眼鏡のレンズの向こうに、腐りかけの小屋梁がさしわたされた天井が見えた。横をむけばぼろぼろの漆喰の壁。
 書庫として使っている実家の裏手の蔵、その二階だった。

 昼寝をしているうちに呼ばれた気がした。それも家住や庭番の「若旦那様」という呼び方ではなく、名前のほうを。
 とりあえず京介は、小柄な体を古畳の上に起こした。体はいちおう鍛えてはいるが、十六歳の男にしては細身である。

 ぼんやりと頭をおさえる。
 横になっているあいだに髪には、毛糸がこんがらかった感じの寝癖がついていた。
 ちょっと不機嫌になる。

 ただでさえふわふわの天然巻き毛は、尽きない悩みのひとつだった。
 「テンジクネズミを思わせる可愛らしい外見」と、男への評価としてはひどい言葉を言われる一因なのである。

 寝癖のことを頭の隅におしやり、この蔵での作業がどこまで進んでいたかを思いかえす。

(……分類はそこそこ進んだけど、なにも新しい発見はなかったな)

 休日を利用して、実家の膨大な過去帳簿のなかから新たな史料が出てこないか探していたのである。
 まずないだろうが、近世史にかかわる貴重文書がまぎれこんでいないともかぎらない。なにしろ渋沢家も平民とはいえ、そこそこ勢威ある歴史をほこっている。

 維新以前の店の記録はたいてい史料として丁寧に保管されているが、百年くらいの「新しい」記録の写しや使用人の日記などはここに放りこんである。
 京介はこのところ、蔵に椅子やたたみを持ち込んでいた。
 腰をすえてその黄ばんだ紙の束を、一枚ずつ丁寧にたしかめていく面倒な作業に没頭するためである。

 趣味で郷土史を調べている人からたのまれて引き受けたことだったが、めぼしいものはなかなか見つからない。
 正直なところ単調な作業に疲れ、春の陽気に眠くなっていた。一休みに横たわっているうち、寝入ってしまったのである。
 高いところにある格子窓からさしこむ光のぐあいでは、すでに陽はかたむいているようだった。

 眼鏡をかけなおし、あぐらをかいて座ってから第一にしたのは、書生袴のすそをゆるめてそっと下腹をたしかめることだった。
 幸いにも夢精はしていなかったが、彼はやるせない思いでため息をついた。

(もうさすがに克服するよ、そりゃあね)

 六年前のあの日から、夜に何度この夢をみて下穿きを白く汚したことか。いまではめったにそんなことはないので、夢にも耐性はつくらしかった。



299:春の夕べの夢醒めて〈上〉 ◆ncmKVWuKUI
09/03/07 14:39:10 WqGR54LQ

 が、すぐに彼は落ちこんだ。
 精を漏らさなくなったというだけで、いまだ数日に一度はこの夢に悩まされているというのに、よく克服などと言えたものだ。

(この夢を見るうちは、思い切れてないってことなんだろうな……
 夕華さんのこと)

 初体験が鮮烈すぎた。そう思う。精通と童貞喪失が同時で、しかもそれを初恋の相手ですませてしまったのである。
 男としてこれ以上望めない初体験だったのかもしれないが、いろいろと後に影響がのこっている。
 幸せすぎる一瞬の記憶は呪縛にちかい。

 重くこびりつく懊悩を頭からはらうように、首をふる。喉が、からからに渇いていた。
 畳から動き、庭下駄に足をつっこんではしごを降りる。
 土蔵のすみに置いてある柄杓つきの甕(カメ)に身をかがめ、京介はくみ置きの井戸水を口にした。

 いきなり蔵の木戸が開き、日光と怒声が同時に入ってきた。

「こんなところで何時間つぶしているのよ!」

 蔵に踏みいってきたのは、小柄な女性だった。
 姉の柿子である。ことし女学校を卒業したあと、こちらに帰ってきている。
 やはり、さっき目が覚めたのは姉に名を呼ばれていたからだろう。
 「なに、カキ姉ちゃん」と寝ぼけまなこでつぶやいたとたん、また怒鳴られた。

「おじい様が主催する夜桜観賞の会があるでしょ!
 四時までに用意しなさいと言ったでしょうが! 着替えもせずなにのんびりしているのよ」

 言われてよく姉を見てみれば、自分と同じふわふわのくせ毛をきちんとセットしており、化粧もととのえている。
 なにより服装が、千鳥格子のキャミソール風白ワンピースに桃色のカーディガンをはおり、足元はバレエシューズという、可愛らしさを前面に出したいでたちだった。

 カジュアルとはいえよそ行きの服を着た姉を見て、頭が急にしゃっきりした。

「あ……ご、ごめん、そうでした。
 でも田中さんに頼めばすぐに向こうに着くよ」

 運転手も兼ねてくれる家令の名をあげたが、「おじい様のお供でとっくに出てるわよ!」と一刀両断される。
 顔立ちがよく似ていると言われる姉弟だが、気質はかなり違う。

 京介がモルモットなら、柿子の性格は猫だった。それも猫同士喧嘩させれば町内制覇しかねない種類の。
 愛らしい少女と評される外見に、服の趣味だけでなく中身も同調させてほしかったとは京介のひそかな慨嘆である。殺されるので言わないが。



300:春の夕べの夢醒めて〈上〉 ◆ncmKVWuKUI
09/03/07 14:39:56 WqGR54LQ

「そ、それなら僕のバイクに二人で乗ればいいよ」

「それでもいいけど……あんた本気で寝ぼけてたのね?
 ったく、その髪見ればわかるわよ。どうせ疲れて寝てたんでしょ。土蔵の整理なんかに根をつめすぎなのよ」

 柿子が四方の壁を見回した。
 蔵の一階は、三間四方の広さがある。壁ぎわには古い桐のたんすが何個か置かれ、冊子や古紙が分類されて引き出しにおさめられている。
 以前は乱雑につみあげられていたそれを、ある程度まで分類・収納しなおしたのは京介だった。まめな性質なのだ。

 柿子が嘆かわしげに息を吐いた。

「子爵様でしょ。あんたにこんな雑事を押し付けたのは。
 まったく、渋沢家の嫡男が京口家のことを優先しないでよ」

「ちがうよ。子爵様に頼まれたのは資料を探すことで、蔵の整理は僕がついでにやってるんだ」

「どっちにしてもうちのイベントを忘れてまでやることじゃないわ。
 学生服でも普通の服でもいいから早く着てこい! いっそもう、その服でもいいわよ」

 京介が身につけているのは、木綿の襟なし白シャツに筒袖長着に、馬乗り袴。足に白足袋。
 いわゆる書生の格好だった。
 馬乗り袴は股が分かれているのでバイクに乗れないことはないが、和装でそんなことをするのはいまどき僧と不良くらいである。

「いや、着替えるよ。寝癖直して上着とジーパンとってくるからちょっと待ってて。五分ですませる」

「もうちょっと待つから、一応それなりの格好してきなさい。
 言っとくけど夕華も来るからね」

 目をこすっていた京介は凍った。
 がくぜんと柿子を見、呆れた顔をそこにみとめて声をおもわず高くする。

「なに、それ!」

「なにがなにそれ、よ。
 こっち帰ってきたばかり、土地の集まりになるべく顔出そうとしているのはあたしだけじゃないわよ。行こうって誘ってきたのはあっちだしね」

「だ……だって子爵様は」

 夕華の父親である京口子爵は、わが家からは出席予定はないと言っていた。
 だからこそ、京介は観桜会のことをあまり気に留めないでいられたのだが……
 口ごもる京介を前にすっと一瞬目をほそめた柿子は、「ま、とにかく」と告げた。


301:春の夕べの夢醒めて〈上〉 ◆ncmKVWuKUI
09/03/07 14:50:02 WqGR54LQ

「そんな改まったイベントじゃないにしても、この期におよんでキャンセルしたらだめよ。ほら、急いで身支度してきなさい」

「ちょっと待って、そんないきなり、」

「その寝癖も早いとこなおさないとねえ」

 蔵の壁にかけてある時計をあおぎ、京介はうなった。
 「待ってて!」と、蔵をとびだして母屋のほうに駆けだす。
 その背中を柿子の声が追いかけてきた。

「十分あげるから」

「十五分!」

…………………………
……………
……

「だって前もって夕華が来ると言ってたら、あんた当日までにいろいろ理由さがして欠席しそうじゃない。
 だいたい、寝すごして身だしなみ整えてなかったのは自業自得でしょ」

 なんで早く教えてくれなかったとぐちぐち文句をいう京介にこたえて、それが柿子の言い草だった。
 メットをかぶりバイクを走らせている最中である。後ろを振り向いて見られるわけではないが、後部に乗った柿子がすずしげな顔をしていることは間違いない。
 京介は苦虫をかみつぶした。

 大急ぎで着替え洗顔ハミガキ髪なおしコンタクト装着をどうにか終え、免許をとっていくらもないバイクに飛び乗って急発進させたのである。
 ほんとうのところ柿子のいうとおり、夕華と顔を会わせることには気がすすまなかった。
 それでも会わざるをえないなら、せめて身だしなみは完璧にしておきたい。十五分いっぱい使ったが、それでもまだぜんぜん足りない気分だった。
 柿子に言うと「まるで禊(ミソギ)だわね」と呆れられるだろうが、シャワーも浴びて蔵のほこりを落としておきたかったくらいである。

 いまは鴨井川にそった道路を、上流の神社のほうにむけてバイクで走っている。
 対岸のほうに坂松市の旧市街が広がる。ここからも見える小高い丘のふもとには城跡があった。
 維新後に市の中心地は西岸にうつり、東岸はさびれた感がいなめない。

 市外から来る人は、坂松藩三万二千石の城下町ときいて伝統ある建造物などを期待するらしい。
 が、残念ながら旧市街の大半は維新期の大火になめつくされており、残っているものは数少ない。
 観桜会のひらかれる神社は、大火に呑まれずにすんだ古い場所のひとつだった。


302:春の夕べの夢醒めて〈上〉 ◆ncmKVWuKUI
09/03/07 14:50:54 WqGR54LQ

「ねえ、あんたこのごろちょっとおかしいわよ、家を継ぐのは考えさせてとか言い出したり。
 なにより、なんであの娘を避けるのよ。
 わたしと夕華がこっち帰ってきてからもう数週間よ。それなのに、なんでずっと会おうとしないわけ」

 朱塗の大橋をわたって東岸を走りはじめたころ、柿子が訊いてきた。

「またその話か。
 知人が帰ってきてたら、家まで会いに押しかけないといけないの? とくに連絡がきてもないのに、わざわざ行く気にはならないよ」

「薄情ね。あーあ、夕華かわいそ。あの娘は六年間、帰省のたびあんたの顔を見にうちに来てたのにね」

「違う。姉ちゃんはなにもわかってないんだよ。
 それにあっちからだってもう来てないんだからさ」

 正直に言えば、つらいのだ。会っても、二言三言交わし、それであとは会話もつづかなくなるのがいつものことだ。
 距離が年々、遠ざかっているのが感じられてしまう。
 いや、こちらからは怖じて話しかけられないというだけだが、あちらはこっちのことをもう、ほとんど気に留めていないだけのことだろう。
 それでも、六年間も帰るたび会いに来てくれていた。忘れていないと示してくれた。十分すぎると思う。

 幼なじみとしての縁があって、何かの間違いで契りをむすべたが、もともと恋人でさえなかった。
 このまま、たまに顔を合わせれば久しぶりと挨拶する程度の「旧知の他人」になっていくだけのことだ。
 泣きたくなってくるほどの心のうずきをこらえて、京介は平静をよそおった。

「あちらがもう来る気がなくなったんだったらさ、それはそれでいいじゃん」

「ああ、ごめん。
 こっち帰ってきたてのころ、夕華うちに来ようとしたんだけど、たまにはあんたのほうから来るのを待ってみようとあたしが勧めてた」

 このクソ姉貴。

「それこそなんで黙ってるんだよ、そういうことなら挨拶ぐらいしてきたよ!
 早目に言ってよ! 僕はいいとして失礼だろ、お嬢様にっ」

 恭介はがなった。まだ縁が切れていないと知って、感じてしまった喜びをむりやり吹き飛ばすためでもある。
 メット越しの怒りの声に、「あんたが自分から行くのか確かめたかっただけよ」と柿子は答えた。
 なんでそんなこと、と京介が訊くよりまえに彼女は眉をひそめる。

「それよりお嬢様て……とうとうあんたまでそんな呼び方を。
 それはやめなさいよ、あんたが夕華をお嬢様と呼ぶのは」

「あ、つい……
 でも、姉ちゃんはずっといっしょにいたから気安く接してるんだろうけど、ここらじゃたいがいの大人は『京口のお嬢様』か、夕華様と呼んでるよ。
 タバコ屋のおやじさんみたいなお年寄りは、領主の姫様と呼んでるし」


303:春の夕べの夢醒めて〈上〉 ◆ncmKVWuKUI
09/03/07 14:52:04 WqGR54LQ

「姫ときたか、アホかいな。
 このご時世になにが姫よ。いまだ帯刀して歩いてる連中よりお笑いぐさだわ。
 だいたいあの娘の家は元・大名じゃなくてその家老よ。地域一の名士づらしているのは、維新のどさくさで主筋の龍円寺家を攻めつぶして栄達したからでしょうが」

 もっとも軍資金を融通したのは渋沢屋のご先祖だけどね、と柿子はつぶやいた。

「もともとあっちの家とはつるんで悪事やった間柄よ。あっちがその悪事で爵位さずけられ、こっちはもらわなかっただけじゃない。
 公の場に出たら儀礼は守るけど、それでもないのにうちがへりくだる必要がどこにあるってのよ、この四民平等の世で」

 と、それが柿子の口上だった。
 そのへんの事情は、京介も知ってはいる。

 坂松藩主の龍円寺家は、維新のおり新政府に反抗した。
 対して、ときの京口家の若い当主、為友はすみやかに新政府支持をきめた。
 かれは平民やならず者の下級武士を金で雇い、武器を与えて一軍を組織し、主家および他の多くの家臣たちと戦端をひらいて、寄せあつめと言われた兵でこれを破ってしまった。
 そのまま藩主を城に追いこんで囲み、城の出入り口をことごとく外から閉ざし―……

 京介は遠くの城跡に目をやる。
 坂松城の天守閣は、いまでは焦げて黒くなった石組みしか残っていない。百五十年前、京口為友が火をかけて焼いた。

 坂松城が炎上したおり、山をふきおりる強風にあおられて火は城下町に飛び火し、鴨井川の東岸は煙火さかまく炎の海となった。
 西岸に逃げてきた人々は、対岸の燃える城と家々をながめつつ、口をきわめて為友を鬼蛇の類とののしったと伝わる。
 新政府から功をみとめられた為友は、発足したばかりの警察に志願した。維新直後に何度もおきた一揆をくりかえし鎮圧し、子爵にまで上っている。
 主君弑逆および民衆への強硬な態度もさることながら、怨嗟の声をよそに平然と地元の屋敷に帰ってきて住んだあたり、よほどにずぶとい神経の男だったようだ。

 一世紀以上昔のことだ。本気で京口家を憎むものとて今はおらず、歴史の一部になりつつある。

「とにかくお嬢様だの姫様だの、そんなふうに呼ぶのはやめなさい。
 あんたは京口の使用人じゃないのよ。
 それ以前に、あんたが夕華に面と向かって言ったらあの娘むくれるわよ。ほかの旧友のことでさえ『みんな帰省のたびどんどん堅苦しくよそよそしくなっていく』って何度愚痴られたか」

「優しい人だからね」

「……その反応、なんか違わない?」

 呆れた声を柿子が出したが、京介はメットを装着した頭を軽く横にふった。

「やっぱり身分ってものは軽くないから。
 みんな子供のうちはともかく、大人になったらわきまえるようになるのはしょうがないよ。
 優劣とかじゃないけどさ。きちんと区別はつけたほうがいいし」

「あのねえ……そんな考え不毛なだけよ。当人が区別されたいとか思ってないのに」

 柿子が何かまだ言っているが、京介はこのあたりの意見はゆずる気がない。
 かれや柿子自身、家の使用人からは「若旦那様」「お嬢様」と呼ばれる身であるが、渋沢家はしょせん商家である。
 姉は「四民平等の世」とは言うが、やはり厳然として、華族は平民より格上という意識はいまだ社会にあった。


304:春の夕べの夢醒めて〈上〉 ◆ncmKVWuKUI
09/03/07 14:52:50 WqGR54LQ

 なにしろまず数が少ない。
 全国の爵位持ち華族の総戸数は、八百戸に満たない。この百年であらたに叙爵された家もそこそこあったが、断絶して消えた家もあるのだ。
 増減をへて、華族籍にある者は現在は九千人。人口一億をこえるこの国で、比率としては一万人に一人以下。
 しかもその大半が帝都に集中している。必然的に、華族は田舎ではそこそこ希少な存在なのだった。

 であるからには、平民から「貴種」に向けられる視線にはやはり今なおあこがれがある。
 たとえ先の大戦後の改革によってさまざまな特権をはぎとられ、華族の多くが経済的に困窮していたとしても。

 市街地を通りぬけ、田園ひろがる郊外にさしかかったころである。
 背中の柿子がまたちょっかいを出してきた。

「ねえ、京介、まえから訊きたかったけど。
 あんた隠してることあるでしょ」

 反射的に「そんなことはない」と言いかけて、京介は判断を変えた。

「そりゃあ、もうすぐ十七って歳になれば秘密くらい誰にでもあるよ」

 流したつもりだったが、柿子は容赦なかった。

「なに大人ぶってんの。言っとくけど歳相応かそれ以下にガキっぽいわよ、あんた」

「…………ははっ、そう……」

 もとからきわめて辛口の柿子だが、なんで今日はこんなにつっかかるのだろう。
 この姉のことなので、自分を怒らせて口喧嘩に持ちこみ、なにか情報をつかもうという目論見かもしれない。挑発は無視するのがよさそうだった。
 むくれながらも言い返さずこらえてハンドルをにぎりしめ、

「このまえ一週間だけ女いたでしょ、あんた」

 横転しそうになった。

「あっぶないわねえ! ちゃんと運転しなさいよ!」

「なんでそんなこと知ってるの!? だれがしゃべった!」

「田舎の城下町なめるんじゃないわよ、うちや京口家のことならたいてい老人どもの茶飲み話の種になってるわ。
 うわさ話に出る当人たちの耳には意外と届かないもんだけど、知ってる人は知ってるわよ。
 同級生に告白されて付きあって、すぐ破局したんだってね」

 精神的なよろめきが大きく、バイクを止めて道端でゆっくり落ちこみたいという欲求にかられる。
 京介はげっそりとつぶやいた。

「……最悪」

「まあ、わからないでもないわよ。時期聞いたら、夕華がとうとう見合い受けて婚約したって話が流れてたころじゃない。
 あんたヤケにでもなってたんでしょ、目に見えるわよ。
 あのね、あのお見合いは不意討ちでセットされたもんだから」

「知ってるよ。雅楽の演奏会に出席させられて、そのまま離れの小座敷で対面、だろ」


305:春の夕べの夢醒めて〈上〉 ◆ncmKVWuKUI
09/03/07 14:53:47 WqGR54LQ

「そうよ。わたしも連れだって行ってたから、演奏終わってから夕華が耳打ちされたときのこと憶えてるわ。
 『あ、やられた』とつぶやいてドナドナよろしく曳かれていったわよ」

「あは……」 

 京介は苦く笑った。
 人のことをいちいちほじくりかえして触れ回る田舎のネットワークを嫌がりつつも、それが夕華の話なら聞かずにはいられなかった自分への嘲笑である。

「あんたに保証してあげるけど、あの娘、婚約する気なんてないから。
 けど、あたしと逆で悪意ってもんを人にほとんど抱かない娘だから、適当に相手の顔を立てて談笑もして、のんきにお菓子まで食べてきてるわけ。
 いつものペースで応対してただけなんだけど、『これは脈あり』と相手に思わせちゃったのよ。あの娘の欠点といったら、まあ欠点ね。
 ところで、夕華の婚約がデマだったと知ったから、出来たての彼女とすぐ別れたの?」

「違うよ」

 いきなり最後に来た意地のわるい質問を、京介はきっぱりと否定した。
 もっとも、別れた本当の理由も褒められたものではなかったが。

「ま、そうよね。あんたいろいろ駄目な子だけど、そういう子じゃないし」

 幸いにもそこで、姉はその会話を打ち切ってくれた。
 京介はほっとする。自身で公言しているとおりナチュラルに性格の悪い姉も、さすがに奥の奥まではあえて踏み入ってこないようだ。

 川面をわたって吹き付けてくる風を切り、土手上の道にバイクを走らせる。すぐ神社には着くだろう。
 懐古の情をさそわれたのか、柿子がしんみりとつぶやいた。

「七年前かしら、みんなで最後に行った七夕祭りの日。
 早く来すぎて退屈して、神社から離れて子供みんなこのへんで遊んだわね」

 京介はちらりと川に視線を投げた。市街地の上流のこのあたりはむかしと変わらず水が澄み、岸につらなっ愛らしさがたりん。可愛らしさが」
「何それ…」
「それどころか色気もねぇし恥じらいも無い。そんなんに「先輩」とかいわれてもドキドキ…」
ここまで言ってアイツが俯いてるのに気付いた「どうした?」と聞くも「別に、何でも無い」とか言ってくる
挙句に「何か、うん、何かもうほら、あれだから。帰るわ」
とかわけのわからん事言って帰っちまった
部活の最中だってのにわけのわからねーやつだ。まったく…
後輩達に俺のすばらしき作品を見せてやるつもりだったが予定変更
カバンを引っつかんで適当に挨拶して美術室を飛び出し、アイツを追いかける
別に心配ってわけじゃない。ただ昔からアイツに何かあったら俺がどうにかする決まりなだけだ
義務ってわけじゃないがそうしないとなんかこう、落ち着かないだけだ
別に言い過ぎたことを気にしてるわけじゃない。ただ謝っとかないと後でめんどうだと思っただけだ
落ち込んだアイツは立ち直りが遅いからな。別に落ち込んだままでもいいんだが。別に

しかし何であいつ美術部に入ったんだ?いつも俺の絵見てるだけで描いたりしないのに
いや、そんな事より今は追いかけないと
ああ、めんどくさい。年下の幼馴染なんて持つべきじゃない



深夜のテンションで書いたから読み辛さとかは気にしない
別に気にして無いんだから!

306:名無しさん@ピンキー
09/03/16 03:54:54 sJ7CQF8x
あっはっは
いいじゃないか!

307:名無しさん@ピンキー
09/03/16 20:12:04 rOrFsgi/
よし!気にするな!
俺も気にしてない。

308:名無しさん@ピンキー
09/03/16 20:49:53 vKU5Tbw8
>>337
しかし年下幼なじみ設定ってまとめには少ないよな
それがちと残念

309:名無しさん@ピンキー
09/03/16 23:19:29 imcElEPb
紗枝がいるじゃないか。

310:名無しさん@ピンキー
09/03/17 02:18:51 FllAYlhC
個人的には十分神ですが
続きはまだですか!?

311:名無しさん@ピンキー
09/03/17 02:19:59 FllAYlhC
>>325あてな
いや、全部好きだけど

312:名無しさん@ピンキー
09/03/17 21:01:01 xOdpNPKI
>>338
> ただ昔からアイツに何かあったら俺がどうにかする決まりなだけだ

このフレーズ好きだ。

313:名無しさん@ピンキー
09/03/18 01:11:38 qy+YAb3z
とても仲の良い幼馴染み同士。家は同じアパートの隣同士。
学校でも家でも常に一緒。お互いの両親の仲もすこぶる良好。
ある日、親達だけで遊びに出掛け、二人で留守番してると、彼女に初潮が来て―



みたいなシチュって良いよね。

314:名無しさん@ピンキー
09/03/18 08:48:29 GZzWGcsM
夕華さん来ないかな

315:名無しさん@ピンキー
09/03/18 23:44:26 eZkB8kxd
325です。
予定ではホワイトデーにあわせて投下のつもりだったとか自分でももうね\(^o^)/
それでは続きを投下させていただきます。


「あ、にいちゃんだ」
帰り道、駅前のスーパーを出た所で声をかけられた。
「舞子。……と、凪子ちゃん」
妹とその友達だった。
「……こんにちは」
「あ、あー、うん。凪子ちゃんもひさしぶり……」
沈黙。
すげえ気まずい。
この、妹の幼馴染みの凪子ちゃんという女の子は非常に無口な性質なのである。
俺も同年代の女の子と軽口を叩ける性格ではない。
これでも昔はもう少し気安い仲だったのだが。妹とは小学校に上がるか上がらないかの頃からの仲良しだし、
その縁も合ってウチにはよく遊びにきていたし、一時はしょっちゅう泊まりに来るくらいだったから、
俺も妹が出来たみたいで楽しかったし、可愛がってもいたのだが。
……女の子は大きくなると扱いが難しいよなあ……。いや俺もうっかりデリカシーに欠ける事ばっかりやらかしたんだが。

「にいちゃん、今日晩メシなにー?」
「おまえいきなり聞くのがそれか。……んー、昨日の残りのおでんと、鯖の煮付けだな」
えー、魚ー。と不満そうな妹を軽く小突く。
「ちゃんと晩飯までに帰って来いよ。あと凪子ちゃん一人暮らしはじめたからってあんまり入り浸るなよ迷惑になるだろ」
「はーいはいはい!わかってるって!凪子、行こうっ」
妹が凪子ちゃんを引っ張ってどんどん歩いていく。
ったく、仕方がねえなあ。
妹達を見送って、家路につく。
……凪子ちゃんも夕飯に誘えばよかったかな。
最後にこっちを振り返ってぺこりと頭を下げる彼女を見ながら、そんな事を思った。

316:名無しさん@ピンキー
09/03/18 23:45:53 eZkB8kxd
夕食後、後片付けを終えて自分の部屋に戻り、机の引き出しをあける。
俺の目の前には爆弾がある。
最も爆弾の中身はもうない。迷ったが喰ってしまったからだ。
なので、あるのは包み紙だけなのだが、爆弾としての威力はまだまだ充分持っている。
……ような気がする。
一ヶ月前のバレンタインに、妹の友人の女の子……、凪子ちゃんから渡されたものだ。

―女の子が、泣きそうな顔で『捨ててください』ってバレンタインに渡してくるってどういう意味なんだろう。
普通の義理チョコってわけでも無さそうだし、本命というのはもっと考えられない。
今まで義理でも貰った事なんか無かったし、凪子ちゃんにしてみりゃ俺なんか兄貴みたいなもん……、
っていうか、昔「お母さんみたい」ってはっきり言われた事あったしなそういや。
……そもそも、自分が女にもてるタイプではない事は悲しいが自覚している。
顔は丸顔だし、たまに中学生に間違えられる。童顔なのは確かだが、別に美少年というわけではない。
眼は細いし、鼻は少々上向き加減だ。背も高くないどころか平均に届かないし、体つきも逞しいわけではない。
かといって芸能人やモデルのようにスラリと細身というわけでもない。
特別運動が出来るわけでも無いし、成績だってさほど良くは無い。
何か変わった特技があるわけでも、性格が人格者というわけでもない。
俺を一言で表すならば『地味』の一語につきるだろう。

凪子ちゃんはかわいい。
一見、愛想なしでとっつきにくそうに見えるが優しい子だし、妹によると学校の成績もいいらしい。
俺の前だと滅多に笑わなくなっちゃったが、たまに笑顔になると本当に可愛いのも知っている。
そんな子が俺に特別好意を抱くわけが無い。
一応、お互いチビの頃からの顔見知りではあるが、凪子ちゃんにしてみりゃ俺は只の親友の兄貴なわけだし。
しかもここ数年は思いっきり避けられてるし。
詰まるところが俺の自意識過剰。きっと本当にただの義理以下チョコ。

317:名無しさん@ピンキー
09/03/18 23:46:53 eZkB8kxd
捨てるよりは俺のほうがマシだと思ってくれたという事なのだろう。
そういう事で、こっちも軽い気持ちでお返しすればいいだけの話なのだが。
「……あーっ、もう。どうしたもんかなー……」
問題は。
俺がチョコ一個で1ヵ月以上も動揺し、無理な深読みをしたくなるくらいには凪子ちゃんの事が好きだということだ。
「……我ながら、情けないっていうかキモいっていうか……」
『女々しいという言葉は男のために作られた言葉だ』っていうのは本当だなあ。
しかも材料だけは買ってるあたり自分でも本当に煮え切らなくて嫌だなあと思う。
「……うううう」
ごろごろごろ。
しばし床の上で転がる。
「あああ、くそっ!とにかくやるしかないか!」
どういう形にせよ、バレンタインにもらっておいてお返し無しというわけにも行かないだろう。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

3月14日。今日も今日とて伊庭家の朝が来る。
午前6時30分
起床。向かいの妹の部屋からも目覚まし時計が鳴り響くのを聞く。
午前6時45分。
身支度完了。ヒゲを剃る時に少しアゴを切ったので絆創膏を貼る。
午前6時50分。
朝食の支度をしつつ、2階の妹の部屋から目覚まし時計の音が止まったのを確認。
焼きあがった玉子焼きが落ち着く時間を使い、妹の部屋の前から扉越しに声をかける。
「舞ちゃん!7時10分前!」
扉の向こうからうおおともうごおとも付かない地を這うような呻き声がきこえる。
午前7時00分。炊飯器のごはんが炊き上がる。
階段の下から大声で妹を呼ぶ。
「舞子ー!7時になったぞー!」

318:名無しさん@ピンキー
09/03/18 23:47:58 eZkB8kxd
午前7時10分。味噌汁にネギを加える。味は上々。
妹の部屋の扉をガンガンとノックする。
「舞!起きろ!」
午前7時15分。
母の仏前に炊きたてのごはんを供え、手を合わせる。
そのまま軽く仏壇の掃除。
午前7時25分。
「さっさと起きろやああああああ!!!」
妹の部屋に乱入。カーテンと窓を全開放。ベッドの上の蓑虫を、布団の端を持って床に振り落とす。
「さぶ、寒っ!?なにここどこ?私はさっきまで南の島に」
「寝惚けんなあー!」
思いっきり頭をはたいてやるとそれで覚醒したらしい。
「おわー!?なになんで1時間も時間進んでんの!?タイムスリップ!?私ってば時をかける少jyおべぶ」
「……呑ッ気に現実逃避してる場合かあっ!さっさと支度しろメシできてんぞ!」
「ちょ、何もアタマ踏む事無いじゃんバカお兄いっ!!あんまり叩くとバカになるんだぞっ!?」
「どう考えても手遅れだろこのバカ愚妹。早くしろ、かーちゃんにちゃんと手は合わせろよ」
そう言い捨てて部屋を出る。
背後から悲鳴が聞こえたがもう知らん。
自分の分の朝食を食べ終わり、食器を洗う。
食べてる間にちゃんと鈴の音が聞こえたから、一応かーちゃんに朝の挨拶だけはしたらしい。
うん、舞はバカタレだがこういう所は偉いな。
「うわああああん兄ちゃあああああん、アタマやってええええええ!!」
……前言撤回。
「一人で身支度できねえような髪ならもう切っちまえよ坊主にでもしろ」
「できるよ!ちゃんとできるけど、今日はそれしてたら顔が間に合わないんだよう!」
「スッピンで行け!スッピンで!スッピンかおどろ髪かどっちかで行け!」
「無茶いうなあ!それ女の子にとってはパンツ一丁で外歩けってのと同じ意味なんだぞう!」
あーもう面倒くさい!
「あっ、なんでお団子にするのさ。今日はゴージャスめな巻き髪の気分なのに」
「毟るぞ」
「ごめんなさい」

319:名無しさん@ピンキー
09/03/18 23:48:49 eZkB8kxd
サクサクとお団子に結い上げてやり、飾りの付いたヘアゴムを付けてやる。
「おー……、やっぱ兄ちゃん上手いなあ」
「煽てても何も出ないぞ、それよりとっととメシ喰え」
慌てて朝食をがっつきだす。
ああそうだ、コイツに頼みたい事を忘れる所だった。
「舞子、お使い頼む」
「ん? お使い?」
「これ、凪ちゃんに渡してくれるか」
包みをみるなりニヤリと笑みを見せるバカ愚妹。
「……ほほう?ほーほーおーう? 凪子に? 兄ちゃんから? ふふーん?」
そのニヤケ面やめろ。
「この可愛く美しく賢い妹さまならー? ヘタレ兄のお願い聞いて渡してあげてもいいけどー? それには条件がありましてよ?」
「オマエもう本当調子に乗るな?」
「痛たた痛い、いだだだだだだ。ちょ、お兄様やめてマジやめてウメボシやめていたいいたい」
額を押さえてぶーぶー文句を言ってくる舞子。……仕方が無いな。
「なあ舞ちゃん、ちゃんと兄ちゃんの言う事聞いてお使いできたらな? 今日の晩飯はコロッケとメンチカツにしてあげよう」
「引き受けました兄上様。全てこの妹にお任せくださいませ」
コロッケコロッケー♪ と嬉しそうに歌いだす。
……我が妹ながら安上がりな女だよなあ……。兄ちゃんちょっと心配になったんだが。
あ、そうだ。
「そういや舞子、お前はお返しとかしなくていいのか?バレンタインに結構な量もらってただろう」
そうなのだ。
この妹はもてる。通っている学校が女子高なせいか非常にもてるらしい。同性に。
「ああ、うん。チョコくれた子には今日ほっぺにちゅーしてあげるの」
……女子高って……。
「それだけでみんな喜ぶのよ。フフフ、私の美しさってば罪ね!」
まあなんというか。
この妹は、こういう脳の湧いた発言をしてしまうくらいには美人なのである。
俗に男は女親に、女は男親に似るというが、ウチの兄妹の場合はまさにそれ。
親父は男の俺から見ても男前だし背も高い。会社の女の人にとてもモテるらしい。
俺たちの母親は7年前に死んだのだが、記憶の中でも、写真をみても、とてもではないが美人といえる顔立ちではない。
……というか、俺、だんだん母ちゃんそっくりになってきてるんだ……。
まあそれはともかく。
「舞、言っとくけど凪子ちゃんに余計な事言うなよ」
放っておいたら何を付け足して喋るかわかったもんじゃない。
「余計って何をさ? ……っていうか、これ包みだけ? なんか無いの兄貴の思いのたけを綴ったラブレターとか」
「アホ、バレンタインにもらったからそのお返しだ。凪子ちゃんのだってただの義理チョコだよ」
「……義理? 凪子が? にいちゃんに? ……まあいいけど」
「なに口の中でボソボソ言ってんだ舞」
「なーんでもないよー」
……引っかかる態度だなあ。まあ、ちゃんと渡してくれるんなら文句は無いんだが……。

320:名無しさん@ピンキー
09/03/18 23:50:14 eZkB8kxd
そしてまだ終わらない\(^o^)/
すいません、もうしばらく続きます。
今回はここまで。

321:名無しさん@ピンキー
09/03/19 00:00:45 H/rgrHsE
うおお続きが気になるぜぇーーー!!

君が!完結させるまでっ!
全裸待機をやめないッ!!

322:名無しさん@ピンキー
09/03/19 01:05:24 GGLjKErY
乙です
テンションあがってきた!

楽しみに待っておりますが、無理はなさらずに。

323:名無しさん@ピンキー
09/03/19 03:17:02 /nByDSjI
舞子の方に萌えてしまった俺は幼馴染萌え失格ですか
しかしこれは期待せざるを得ない

>>345
幼馴染物の醍醐味だよな。慣習化した二人の決まり
弁当とか起こすとか部屋で人間座椅子とか!!

幼馴染ってどこで幾らで買えるんですか…臓器売れば買えますか…orz

324:名無しさん@ピンキー
09/03/19 19:10:39 FW/rn1kI
>>356
臓器となったあなたは幼馴染の命の一部となって今も生きている(完)
ですね、わかります。

325:名無しさん@ピンキー
09/03/20 23:32:30 M+kocHt2
もう我慢ならん!幼稚園年中から一緒の幼馴染み(女)に告白してやる!大学まで一緒ってバカにしてんのか!……ま、そんな勇気があればもっと前にしてるんすけどねorz

326:名無しさん@ピンキー
09/03/20 23:42:58 yfw8Xj+O
そうですかがんばってくださいね

327:名無しさん@ピンキー
09/03/21 00:51:35 nBXd71Os
>>358
今しろ 直ぐしろ とっととしろ
たとえ駄目だったとしても、うじうじ悩んで過ごすよりいいじゃナイカ

328:名無しさん@ピンキー
09/03/21 01:33:48 uuobPTSN
360が良いこといった 解決終了 

>353
凪子ちゃんの性格がまだつかめないところが余計にwktk
早く本格的に出てきてほしい・・・

329:名無しさん@ピンキー
09/03/21 14:04:55 xRxtVpEU
最近幼馴染みSS読んでると青春もクソもなかった学生時代思い出して泣きそうになる。スゴい空しい

330:名無しさん@ピンキー
09/03/21 19:22:03 PmX5tPOZ
小学生の頃仲の良かった(そして好きだった)幼馴染みが知らん間に結婚してた。
出来婚とかwww



みたいな俺の様にならぬよう、リアルで幼馴染みが好きな奴は早めに告っとけ。マジで。

331:名無しさん@ピンキー
09/03/21 20:15:34 Y04PE2uA
リアルの話はvipなり他スレでどうぞ。そこでいくらでも聞いてあげます。

332:名無しさん@ピンキー
09/03/21 20:29:32 Y04PE2uA
>>345
『捨ててください』と言っていた
凪子ちゃんの受け取る時の反応が楽しみです。GJ!

333:名無しさん@ピンキー
09/03/21 23:41:52 iQ/sK6Uh
昔書いた幼馴染みモノっぽいプロットを発見したので。軽く前振り投下

小学生の頃一緒に道場に通っていた年下の女の子。
真剣な表情で武術の鍛錬をする少女。
同世代の練習生を容赦なく叩きのめす姿は優雅だった。
彼女は強かった。なんの迷いもなく、一切の躊躇を捨てた攻撃。
僕はそれを美しいと感じた。
他の子では相手にならないということで道場主の甥とである俺が組み手の相手をさせられた。
勝てなかった。僕のちっぽけな自尊心は簡単に踏み潰された。
倒れる間際に垣間見たガラスの様な瞳。その瞳は何も見ていないようだった。
数週が過ぎ僕は何とか彼女と対等に戦える程度には成長した。
僕の拳が初めて彼女を捕らえた。
その瞬間、彼女はかすかに   笑った。
…用に僕には見えた。僕は恋に落ちた。
それから稽古が終わった後に彼女と遊んだり話したりするようになった。
遠距離にすむ彼女とは毎日は会えない。
だから会える日は精一杯楽しんだ。
外での彼女は明るかった。年相応に明るく、ちょっとがさつで口が悪い。
割と世間知らずで駄菓子屋で大はしゃぎする、そんな普通の女の子。
このときの僕は彼女にその「一面」しか見せてもらえなかったんだなと、気づけなかった。

334:325
09/03/22 00:28:36 1ezu8eRA
武道少女はよいものです。
昔は少女のほうが強かったのに成長期に入って少年に追い抜かれて焦ったり、
悔しさに涙したり、凛々しい彼女の脆い一面を見て少年は動揺したりと……。
とにかく良いものです……。激しく期待しております。


とりあえず、続きです。凪子視点の話になります。
少しですが投下させていただきます。

335:325
09/03/22 00:29:30 1ezu8eRA
またちゃんとできなかった。
学校帰り、舞子と歩いていたらユウさんにばったり会った。
手にエコバッグを下げていたから、近くのスーパーでお買い物をした帰りなのだろう。
先月からずっと気まずかったから、ちゃんと挨拶したかったのに。
声が引っくり返ったりしないかとか、上手く笑顔になる事が出来なくて焦ったりとか、
日暮れ前の時間の挨拶はこんにちはで良いのか、こんばんはにするべきだろうかとか、
なにか気の聞いた世間話の話題は何かないのかとか、そもそも先月の事を問いただされたらどうしようとか。
そんな事が頭の中をぐるぐる駆け回ってるうちに、酷く愛想の無い声と表情しか出てこなくなってしまう。
私はいつもこんなのばっかりだ。
自分でも本当に嫌になってしまう。
いくらユウさんが苦手だからって、こんな風にならなくてもいいのに。

私はユウさんが苦手だ。
世話焼きな所も、家事が万能な所も、私を舞ちゃんと同じように扱う所も全部苦手だ。
―先月バレンタインにチョコを持っていったときも、私が作ったものより遥かに美味しい
チョコクッキーを逆にご馳走になってしまった。
本人はクラスメートに馬鹿な事をいうヤツがいて困るんだって言ってたけど、頼られる事そのものは嬉しそうだった。
そういう所も、私は苦手だ。
私が作ったチョコなんて、ユウさんのクッキーに比べたら酷いものだったし、渡さずに捨てようと思ったのに。
……送ってもらう事になった帰り道で、つい渡してしまった。
あんまり自分がみっともなくて恥ずかしくて、つい「食べずに捨ててください!」なんて言ってしまったし。
……そんなゴミを渡すみたいな言われ方したら、怒って当然だと思うのに。実際、私のチョコなんてゴミみたいなものだったし。
びっくりしてたみたいだけど、それでも『ありがとう』なんて言ってそんな物を受け取ってしまう、そんなお人よしな所も私は苦手だ。
…………本当に、苦手なんだ。


336:325
09/03/22 00:30:27 1ezu8eRA
「―じゃーねー、なぎこー。また明日ー」
うん。と肯いて舞子と別れて部屋に戻る。
駅前から少し歩いた所にある、よくある一人暮らし向けの賃貸マンション。
そこが、半年ほど前からの私の帰る場所だ。
制服のセーラー服を脱いで部屋着に着替える。
まずはお風呂を洗って、夕飯の支度をしなくてはいけない。
父が仕事の為、義母を伴って海外に行く事になった為、はじめた一人暮らしだったが未だに慣れない。
「……いたた」
冷蔵庫を開けたところでくらりと軽い目眩を覚える。
そういえば、夕方から少し頭痛がしていた。
今日の小テストの勉強のため、昨日少し夜更かししたのがいけなかったのだろうか。
私は元々頭痛もちなのだが、今日はいつもよりも酷い気がする。
「……きもちわるい……」
食欲などどこかに行ってしまった。いつも飲んでいる痛み止めと胃薬だけを飲んでソファーに横になる。
少し寒いが、まだ入浴していない身体でベッドに潜り込む気分にはなれなかった。
頭痛は嫌いだ。
痛みそのものもだが、こんなふうに痛み止めを飲んで横になると昔の嫌な夢をいつも見る。


ママが家を出て行ったときのこと。
親戚や周りの大人のヒソヒソ話。
冷たい眼。
『あの女にそっくりだ』
『この子もロクなもんにならん』
『見てみろこの生意気そうな顔』
『綺麗な顔だが人形みたいに陰気だな』

ぜったいにみんな見返してやる。見ていろ絶対にゆるさない。絶対にだ。


337:325
09/03/22 00:31:23 1ezu8eRA

「―――ッ!」
自分の悲鳴で目が覚めた。
寒い。
酷い寒気がする。震えが止まらない。
……風邪、だろうか。
体温計は……、ああ、そんなもの無かった。
時計を見ると朝の7時だった。あのままソファーで眠り込んでしまったらしい。
寒気に震えながら寝室のベッドに潜り込む。
携帯電話でどうにか学校に休む事だけを連絡する。
……寒い。寒い。
なにか胃に物をいれて薬を飲んで眠る。
風邪を引いた時にはそれが一番だとわかっているけれど、とてもじゃないけど出来そうに無い。
凄く眠いけど眠りたくない、またあんな夢をみるのは嫌、嫌だ……。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

夢を見る。
―ああ、ママがいなくなってすぐの頃だ。
一人で泣いている小さな私が見える。
頬を赤くして、声も出せずにしゃくりあげている小さな私。
―イライラする。泣いたってどうにもならないのに。
自分でどうにかするしかないのよ、そうするしかないの。
そう怒鳴ってやりたくなる。昔の私に聞こえるはずなんて無いのに。
泣き続ける小さな私の隣に座っているうちに、私まで子供のように泣きたくなってくる。
―もう泣かないって決めたのに、誰にも頼らない私でいたいのに。
気がつけば、夢の中の小さな私と同じようにうずくまって泣いていた。
ふ。と影が差す。
「……えっと、凪子ちゃん? どうしたんだこんなとこで」
隣にいた小さな私がくしゃくしゃの泣き顔になってしがみつきに行く。
―ちいさなわたしにとっての、誰より頼りになる割烹着姿のヒーローがそこにいた。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


338:325
09/03/22 00:33:24 1ezu8eRA

……携帯電話の電子音で眼が覚める。
部屋の中はもうすでに薄暗い。いつのまにか、夢現のまま1日がすぎていたらしい。
まだ覚醒しきれない頭で誰からなのかも確認せずに電話を取った。
『―あ、凪子ちゃん? 伊庭です、舞子の兄の。祐助です。舞から凪子ちゃん風邪だから差し入れ持って行けって言われて。
 ごめん、自分でも非常識だと思うんだけど、いま凪子ちゃんの部屋の前にいるんだ』
夢の中の声よりも低いけど、変わらない優しい声。
ユウさんの言葉をきちんと頭の中で咀嚼する前に。勝手に身体が動いていた。
『―果物とかヨーグルトとかレトルトのおかゆとか色々持ってきたから。ドアノブにかけておくから後で―って」
玄関ドアを開けると、びっくりした顔のユウさんがそこにいた。
やっぱり私はユウさんの事が苦手だ。
頼りたくないのに、誰にも甘えない女でいたいのに。
どうしていつもこの人はこんなに私を甘やかすタイミングで登場するんだろう。
そのままの勢いでユウさんにしがみつく。
珍しく、ものすごく焦った顔をするのを見て、ざまあみろ。と思った。



339:325
09/03/22 00:38:01 1ezu8eRA
今回のお話は以上です。


ようやくでてきた幼馴染みについて。

津田 凪子(つだ・なぎこ)
色々ギリギリイライラタイトロープ少女。
好きな食べ物はハッピーターンの粉。

340:名無しさん@ピンキー
09/03/22 00:39:52 MkOeu9Dt
リアルタイムGJ
凪子ちゃん可愛いよ
次回作wktkして待ってます

341:名無しさん@ピンキー
09/03/22 00:57:18 WFACFFzt
ktkr
超GJGJGJ
次回が楽しみで仕方ない

342:名無しさん@ピンキー
09/03/22 01:29:29 H8jOVv+A
素敵でござる

343:名無しさん@ピンキー
09/03/22 01:43:19 9AWox83x
>>372
好きな食べ物が、あの娘と同じだ
ひさびさに電話してみるかな

344:名無しさん@ピンキー
09/03/22 15:45:11 M21EpB9w
ええええ
ここまでなの?!

345:名無しさん@ピンキー
09/03/22 23:06:45 X5fUkDiz
>>325さん
GJです
>>366さん
期待してます

346:名無しさん@ピンキー
09/03/23 01:13:21 fuMzeqAF
夕華さんはまだかなー。

347:名無しさん@ピンキー
09/03/23 18:55:05 8xhBz4r/
>>379
ボルボックス氏は時間を掛けてフルコースをダーンと出すタイプだから次回は次スレとかザラ。
ゆっくりと待つのが吉。

348:名無しさん@ピンキー
09/03/24 00:20:53 6/zzLfa1
朝、登校中に走ってる幼馴染みとぶつかると言う黄金パターンに遭遇した事があるのが俺の自慢。


ただ俺は歩きで幼馴染みは自転車通学だったがな

349:名無しさん@ピンキー
09/03/24 03:07:20 oAUkeQff
春休みにはリアルを語るガキが増える…

ま、荒れるのもあれだしスルーで。

350:名無しさん@ピンキー
09/03/24 03:27:44 XvUIAmXQ
登校中にぶつかるのは転校生だろ。

351:名無しさん@ピンキー
09/03/24 10:20:53 UT7qLX3+
>>383
だな
で、教室で紹介されて「「さっきの!!」」てな感じで


352:名無しさん@ピンキー
09/03/24 10:28:14 aM0HuXxU
男「ぶつかり様に秘孔を突いた。お前の命も後三秒……」
転「ほぅ、ならば数えてやろう。ひとーつ、ふたーて、みぃーっつ!!」


353:名無しさん@ピンキー
09/03/24 10:56:13 dakmbzQS
補修

354:名無しさん@ピンキー
09/03/24 21:02:43 ITSLyKEt
>>385
媚びてくれないのかぁw


355:名無しさん@ピンキー
09/03/24 21:10:22 P318V3N8
幼馴染みとぶつかると言えば、入れ替わりフラグだろjk

356:名無しさん@ピンキー
09/03/24 21:33:15 aM0HuXxU
 幼馴染みと中身が入れ代わったけど、何故か感覚は共有。
 主人公が興奮しながらオナニーしてたら、幼馴染みが顔を真っ赤にして部屋に飛び込んで来る。

 そんで最後には、
幼「あの……私に男のオナニー教えて欲しいんだけど」
男「手で擦るんだよ」

幼「こう? 全然きもちよくならないよ?」
男「そうじゃなくて。貸してよ、一度やったげるから」

幼「ふああぁぁぁぁっ!!?」
男「ちょっと、ボクの身体で変な声を出さないでよー」
 と言いつつも、感覚を共有してるので男も気持ち良くなってくる。
 みたいなのも読んでみたいな。

357:名無しさん@ピンキー
09/03/24 22:01:28 jcWKz1M2
>>385
そんなノリのいい奴がいたら、即座に親友だぜw

で、だんだんすきになるんだけど親友のいちが居心地よすぎて勇気が出なくて、
でもやっぱり気持ちは抑え切れなくて・・・


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