強制女性化小説ない?Part36at EROPARO
強制女性化小説ない?Part36 - 暇つぶし2ch721:栄太の災難・前編(1/9) ◆cW8I9jdrzY
09/06/13 13:01:36 +Bneatfj
どこにでもある平凡な高校の廊下で、彼は全力で走っていた。
「―はぁ、はぁ……」
少し長めの黒髪を汗で湿らせ、普段は友人とにやけた顔で談笑するその表情も
今は命の危機とばかりに切羽詰ったものに変わっている。
休み時間の廊下には通行人の姿も少なくなかったが、彼は驚くべき俊敏さで
道行く生徒たちの間をすり抜けて校舎内を駆けていった。
そして、その後ろから一直線に彼に迫る影が一つ。
「えぇぇぇたぁぁぁぁ !! 待ちなさぁぁぁぁいっ !!」
「―ひぃぃぃぃぃいいっ !!」
一瞬だけ後ろを振り返り、自分を追ってくるそれの姿を確認した彼は悲鳴をあげた。
こちらに走ってくるその影は、怯えて逃げ惑う彼にどんどん近づいてくる。
速度は負けている。その上スタミナでも不利だ。こうなったらどこかに隠れてやり過ごすしかない。
彼は酸素の欠乏しつつある脳を必死で働かせ、自分が身を隠すのにふさわしい場所を探した。
(―掃除用具入れ……ここなら……!)
廊下の角を曲がり、大急ぎでそばにあった鉄製の扉を開けて狭いその中に飛び込む。
箒とモップの先が彼の制服に当たって埃や染みをつけたが、今はどうでもよかった。
「……はぁ、はぁはぁ……」
―見つかるか……? いや大丈夫だ。あいつがそんなに賢いはずがない。
「……栄太ぁ、待てぇっ !! ―ちっ、階段ね! 逃がさないわよぉ……!」
彼の思惑通り、凄まじい威圧感とけたたましい足音は彼のいるすぐ横を通り過ぎ、
どこにもない彼の姿を求めて階段を下りていった。

「―ふぅ……」
ほっと胸を撫で下ろして用具入れから出てきた男子生徒の名前は、二年B組の佐藤栄太という。
全身汗まみれで息を荒くし、真っ赤な顔で油断なく辺りを見回す。
―大丈夫だ、誰もいない。あとは休み時間の残り数分を逃げ切って教室に戻ればいい。
栄太がいつもの余裕を取り戻し、自分を追いかけてきたあの女に対する
愚痴の一つもこぼそうかとしたとき、突然その後ろから声がかけられた。
「―あはは、君、大変だったねえ」
「…………?」
聞き覚えのないその声にゆっくりと栄太が振り向く。
さっき見回したときは誰もいないはずだったが、いつの間にか彼の背後に一人の少年が立って
面白そうな目でこちらを眺めていたのだった。
「あんたは……?」
彼が驚いたのはその少年の美貌だった。稀代の彫刻家が魂を捧げて
彫り上げたのではないかとさえ思わせる、非現実的なまでに整った顔立ちがそこにあった。
歳は自分と同じくらいだろうか。だがこの学校の生徒とは違って私服姿だし、
もしこんな目立つ少年と一度でも顔を合わせていれば栄太の記憶に残らないはずがない。
ひたすらに怪しい雰囲気を醸し出しているその少年と、彼は一対一で向かい合っていた。
「僕はただの通りすがりさ。最近暇で仕方なくてね。
 面白そうな事を探してたら、たまたま追いかけっこをしてる君たちの姿が見えちゃって」
「ああ、そう……よくわからんけど……」
「ところで君を追いかけてたあの女の子、君の彼女じゃないの?」
涼しい笑みを浮かべて少年が栄太に問いかけた。
「んー……一応付き合ってはいるな」
「その彼女になんで追いかけられてたの?」
「いや、これには深いわけがあって……」
栄太は疲れた顔で、見ず知らずの少年を相手に事情を話し始めた。


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