09/03/20 14:35:46 Kqpq7Yau
「本日付で、この学校はTS法の定めるところにより、国の管理下に置かれます」
朝のHRが始まった直後、担任に続いて入ってきたびしっとした
スーツ姿の男は教壇に立ち、はっきりとそう宣言した。
温和そうな顔立ちと口調はその台詞とひどくちぐはぐな印象を残した。
「現在、我が国は超がつくほどの少子化傾向にあり、
人口が減少に歯止めがかからず亡国の
危機に瀕して久しいのはご存知の通りです。
その対策として定められたTS法により、
この学校にシステムの適用が国により認められました。
来年2年生となるこの学年5クラスから何人か
出てもらい性転換していただきます。」
いつからか日本は人口の減少に歯止めがかからなくなっていた。
環境汚染により25歳以上のほとんどの女性の生殖能力が奪われたためである。
出生率は急激に落ち込み、出生数が限りなく0に近い年が10年続いていた。
急激な人口減は経済の活力を根こそぎ奪い、社会不安を生みだし、
日本の国力を大きく落とした。
異常な少子化は学校現場にも影響をおよぼし、
この学校(男子校)も空き教室がいくつもできるほど生徒数が減少している。
労働力や社会保障の問題も限界に来ており短期間での人口の増加は急務であった。
そこで政府は汚染の影響を受けていない
若い男性を性転換させ子を生ませるのが効率的で確実と判断し
TS法案を強行可決させた。
TS法とは対象に選ばれた全国の高等学校で
17歳の男子生徒の中から性転換に適正のある者を選び女に性転換させ、
10代のうちから出産させ、劇的に出生率を上昇させるシステムである。
性転換された男子生徒は卒業までの2年間に最低一人は生まなければならない
人権や倫理などという言葉を口にできないほど切羽詰った末の苦肉の法律。
それがTS法なのだ。