09/02/21 00:01:14 nihhmszL
メルキルスのあちこちから悲鳴と騒音と嬌声が響いてくる。
風に乗ってメルキルス中に舞った吸血鬼の煙が、それまでにサンディたちによって血を吸われた犠牲者達を吸血鬼へと変貌
させ、吸われていない人間たちに向って牙を向け始めたのだ。
父が、母が、息子が、姉が、友人が親戚が知人が恩師が突然血を喰らう化け物になって襲い掛かってくる。
ある地区では吸血鬼が群れを成して襲い掛かり、ある病院では医師が入院患者を次々に襲い始める。
国民を守るはずの兵士は国民を喰らう側に回り、吸血鬼から逃れるために匿ってくれた老婆が実は吸血鬼になっていて襲わ
れた犠牲者もいる。
人々は突然現れた吸血鬼の群れにパニックになり、所々で起こった失火が折からの強風にあおられ、次第に国中に広がっていった。
山岳国家メルキルス王国の最後の日は、こうして唐突にやってきたのだ。
三章終
以上です。長文失礼しました
いよいよ国中が吸血鬼だらけになってきました。もちろん城内も…。彼も誰も吸血鬼に