パワポケでエロパロ8at EROPARO
パワポケでエロパロ8 - 暇つぶし2ch200:名無しさん@ピンキー
09/01/15 23:05:48 HOkHNW2f
第2章で旗に水をぶっ掛ければ治るとか言ってるよ
それで地上に戻すの

201:名無しさん@ピンキー
09/01/15 23:21:04 qErouScp
いいか、ここはエロパロなんだ
ご都合主義で男子は水かける、おにゃのこは主人公の種子で戻る
これでいいじゃないか

202:名無しさん@ピンキー
09/01/15 23:28:01 xurJYs12
主人公にしてもらいたいがために自らハタ化しようとするリコを幻視した

203:名無しさん@ピンキー
09/01/15 23:40:22 e9hiUKyC
11裏で主人公×委員長が書けたので投下します。

204:1/9
09/01/15 23:41:13 e9hiUKyC
『告白』

小波はパライソ中学校に通うごく普通の中学生だった。1年前、パライソタウンに宇宙人が侵略してくるまでは。
多くの大人たちが成す術なくハタ人間にされていくなか、小波は仲間たちをまとめあげ、宇宙人を撃退することに成功したのである。
再び宇宙人が侵略してきたとき、彼が対策グループのリーダーに抜擢されたのは自然なことでろう。
宇宙人が作ったダンジョンはかなり厄介で一筋縄ではいかない。時には仲間がやられることもある。
今日もハタ人間にされた仲間を救出し、ダンジョンから帰還したところである。
仲間に解散を告げると、小波は自身の疲労を回復させるため自室へ向かう。

(あー、今日も疲れた。早く寝よ)
自室に着くと小波は倒れこむように疲れた身体をベッドに預ける。
寝具の弾力が心地よい。疲労も相まって小波を睡魔が襲う。
このまま風呂も着替えもせずに眠りについてしまおうとする小波。
しかしその欲求は叶うことはなかった。

コンコン、というノックの音が小波の部屋に響いたのだ。その音で小波の思考は一気に覚醒する。
リーダーである小波の部屋にはよく人が訪れる。
対宇宙人戦の相談は勿論のこと、小波と他愛の無い雑談をするためにここに来る者も少なくない。
「はいはい、今開けます」
今日の攻略で疲労してはいたが、わざわざ部屋にまで来てくれた仲間を無碍にすることはできない。
小波は体を起こすと来客を迎えるためドアノブに手をかけた。

「委員長?」
ドアを開くとポニーテールの女の子が小波の目に入った。
小波たちのクラスの委員長、神条紫杏である。
「ちょっといいかしら?」
「構わないけど…… 珍しいな、委員長が来るなんて」

205:2/9
09/01/15 23:41:36 e9hiUKyC
「少し話したいことがあるのよ。部屋に入っていい?」
「え? あ、ああ、いいけど……」
入室の許可を出しながらも小波は不信感を覚える。
紫杏が自分の部屋を訪問するとはどうにも信じがたかったのだ。

勿論、小波と紫杏の仲が険悪な訳ではない。二人で話をすることだってある。
しかし今まで彼女が小波の部屋を訪問したことはないのだ。
真面目な委員長のことだ。人の部屋を訪問する暇があるなら勉強をしているのだろう。
或いは年頃の男性の部屋に行くことがに抵抗があるのかもしれない。
なにより紫杏はハタ人間から救出されたばかりで、休息しているはずである。
ともかく、小波にとって紫杏が自室へ来ることは全くの想定外のことであった。

「それで、どうしたんだ?」
驚愕した頭をすぐに切りかえる小波。
紫杏がわざわざ自分の部屋に来たのだ。彼女がただ雑談しにここまで来るとも思えない。
何か重大な話があるに違いない。
紫杏を対面に座らせるとその理由を尋ねる。
「話しておきたいことがあってね」
「話したいこと?」
「うん、そのね……」
そこまで言って紫杏の声が消え入るように小さくなってしまった。
話しにくいことなのか、紫杏は躊躇しているように見受けられる。
何とか次の句を告げようとするのだが、その度に言葉が途切れてしまう。
遂にはその言葉も無くなり完全に下を向いてしまう。

小波は怪訝な顔をした。いつもの委員長ならもっと言いたいことをはっきりと言う。
先ほどから紫杏の普段とかけ離れた様子を目の当たりにし、小波は困惑してしまう。
俯いてしまった顔からは表情を読み取ることさえできず、小波にはどうしたらいいのかさえわからなかった。
気まずい空気が場を支配する。
「どうしたんだよ? 黙ってたらわからないぞ」
ともかくこのままでいるわけにもいかない。
痺れを切らして促す小波に、紫杏はそれでも戸惑っていたがやがて意を決したように口を開く。

206:3/9
09/01/15 23:42:23 e9hiUKyC
「あたしね、小波くんのことが好きなの」
「え!?」
「1年前からずっとすきだったの。今回志願したのだって本当はあなたと一緒にいる口実が欲しかっただけなのよ」
突然の告白に混乱する小波。あまりにも急な展開に頭がついていかない。
潤んだ瞳がこちらを覗き込む。
今まで女の子に告白されたことなんてない小波には刺激が強すぎてパニックに陥ってしまう。
(いや、そう言えば……)
小波は一度だけ告白されたことがあったことを思い出した。アレはちょうど1年前の南公園での出来事だ。
そのとき紫杏は小波に告白したのだ。尤もアレは彼女が"恋する乙女"の性格付けをしただけなのだが。
今の告白もきっと演技なのだろう。小波はそう思うことで心の平穏を保とうとする。
「な、何だ演技か。前回以上に真に迫っていたから一瞬本気かと思っ……」
「演技なんかじゃないわ!」
小波の発言を遮るように紫杏が声を上げる。今まで以上に大きな声が小波の耳を突く。

「あの事件があった後もあたしの家族は家に来なかった。
そのときはまた以前の生活が始まるだけだと思ったわ。でも違った!
誰もいない家に帰るとき。独りきりでご飯を食べるとき。決まってあなたの顔が浮かんだわ。
去年の夏、貴方達と一緒に行動したからよ。前は何ともなかったのに、あなたと一緒に過ごしたから!」
一気にまくし立てる紫杏。小波の混乱はいよいよ最高潮に達した。
紫杏が感情を爆発させていること、なにより紫杏が自分に本気で告白したこと。
小波の心を乱すには充分すぎる出来事だ。ともかく紫杏をなだめようとする小波。
「委員長、落ち着いて」
「初めのうちは諦めるつもりだったわ。あなたはあたしのことなんて何とも思っていなかったんですもの。
でもだめ。日を追うごとにあなたのことを考える時間が増えていったわ!」
とりあえず落ち着かせようとする小波だったが、紫杏が止まることはなかった。

207:4/9
09/01/15 23:42:44 e9hiUKyC
「もう我慢できないの! 今日だって
小波くんが助けに来てくれたのに、他の女の子と一緒にいるあなたを見るだけでで胸が張り裂けそうになったわ。
身勝手な感情だってわかってるわ。でもどうにもならないの! あなたが好きなの!」
言いたいことを言い終えた紫杏が小波を見つめる。小波の答えを待っているのだ。

小波は改めて紫杏のことについて考えた。
思い返せば1年前から彼女が自分に声をかける機会が多くなってきた気もする。
テストで悪い点を取ったときには一緒に勉強をしようと提案してくれたこともあった。
そんな紫杏が自分を好きだといってくれている。
小波の答えは決まった。
「俺は…… 俺も委員長のことが好きだ」
「本当!? うれしい!」
感極まった紫杏が小波に抱きつく。
倒れそうになるも、何とか踏ん張る小波。自然と見つめ合う形になる。

「ねえ、小波君」
「何だ、委員長?」
「名前で呼んで。その…… 恋人なのに委員長って呼ばれるのは……」
恋人、と言う単語を口にする瞬間紫杏の顔が赤く染まる。その愛らしい仕草が小波をノックアウトする。
「わかったよ。紫杏、好きだ」
益々紫杏の顔が赤くなる。昨日までは紫杏がこんなに可愛いなんて気付きもしなかった。
小波が思わず抱きしめてしまうのも、仕方のない話である。
そんな小波に一瞬だけ身を強張らせる紫杏。しかし小波を拒否するようなことはしない。

208:5/9
09/01/15 23:43:47 e9hiUKyC
「もう一つ我侭いいかな?」
「我侭?」
「キス、してほしいな」
好きな異性に抱きしめられているせいか、先ほどから紫杏がどんどん大胆になっていく。
真面目な委員長の変貌に驚きながらも、小波に断ることなどできなかった。
瞳を閉じた紫杏の顔に、小波の顔が近づいていく。
程なくして二人の唇が重なる。
映画やドラマで恋人達がするようなディープキスではなく、軽く唇が触れ合うだけのキス。
それでも二人にとっては充分だった。
幸福感に包まれる小波。キスが終わっても、紫杏を離そうとはしない。
小波はまだ気付いていない。その判断が過ちであったことに。

密着する二人。当然紫杏の身体を肌で感じることになる。
柔らかい胸が服越しに押し付けられ、女性特有の甘い香りが鼻腔をくすぐる。健全な中学生には強すぎる刺激だ。
たちまち小波の下半身に血液が集まり、彼の分身が見る見る大きくなる。
当然それは密着している紫杏に押し付けられることになる。
「!? きゃ!」
慌てて離れる紫杏。小波は何故紫杏が慌てているのかわからなかった。
しかし彼女の視線がちらちらと自分の股間に向けられていることに気付くとようやく事態を把握した。
「ご、ごめん。その、これは」
小波は何とか誤魔化そうとするが、上手い言い訳が浮かばずしどろもどろしている。
目の前の紫杏が先ほどの感触が思い出させる。さらに心が乱される。
慌てふためく小波に紫杏がトドメを指す。
「べ、別にいいよ、小波がしたいなら」
その言葉が小波の最後の理性を奪い取った。

209:6/9
09/01/15 23:44:47 e9hiUKyC
ベッドの上には一糸纏わぬ紫杏が横になっていた。思わず生唾を飲み込む小波。
その妖艶な光景は小波の目を釘付けにした。
「あんまりジロジロ見ないでよ。恥ずかしい」
「ごめん、でも綺麗だ」
「馬鹿……」
紫杏は羞恥と興奮で耳まで真っ赤に染まっている。
「本当にいいんだな」
コクリ、と頷くことで肯定の意を示す紫杏。

お互いに初めて同士である。いざやるときめても動きがどうしてもぎこちなくなってしまう。
それでもここまで来て止めるなどという選択肢があるわけが無い。
小波はビデオや雑誌で知った知識を総動員させる。
(まずは胸なんかを揉んでよく濡らすんだったよな)
「紫杏、手をどけて」
小波に言われ、紫杏はゆっくりと胸を覆っていた手をどける。
形のいい乳房があらわになる。紫杏の胸は年相応であり、特別大きいものではない。
それでも確実に女性を感じさせる胸は、小波を欲情させるには十分だった。

そこにそっと手を触れる小波。柔らかい感触が伝わってくる。
このまま欲望のままに蹂躙したいという気持ちを、紫杏のために理性でねじ伏せる。
ゆっくりと、紫杏の反応を見ながら胸を愛撫する。
どのようにすれば紫杏が感じるのか確認しながら指を動かす。
「ひゃん!」
小波の指が乳首に触れたとき、紫杏は堪らず声を上げた。
彼女の反応を見て、乳首を重点的に責める小波。
指がニプルを刺激するたびに紫杏の口から嬌声が漏れる。
「こ、小波くん、胸ばっかり、は、やめてぇ。切なくて、おかしくなりそう」
快楽の度に言葉を詰まらせながら、小波に懇願する紫杏。
敏感な部分への刺激が女体を火照らすも、まだ性の経験の浅い紫杏は胸への愛撫だけでは絶頂に達せない。
そのもどかしさが羞恥心さえ忘れさせる。

210:7/9
09/01/15 23:45:13 e9hiUKyC
小波は胸から手を離すと今度は視線を下半身へと向かわせる。
うっすらと生えた陰毛に覆われた秘所が目に映る。初めて見る女性器に、小波の心臓が張り裂けそうなほど高鳴る。
勿論見られている紫杏も同じだ。悦楽と羞恥が入り混じり、動悸が激しくなる。
愛液もたっぷりと分泌されており、男を受け入れる準備が整っていた。

「それじゃあ、挿入るよ」
コクリと頷く紫杏。その表情には不安の色が浮かんでいる。
やはり初体験は緊張するのだろう。
そのことに気付いた小波は紫杏に言葉をかける。
「大丈夫だ、委員長。俺、優しくするから」
小波はそう語りかけながら紫杏を抱きしめる。
体温とともに優しさも伝わってくる、紫杏はそんな気がした。

ペニスをヴァギナへと押し当てる小波。
紫杏の秘所は未経験故に固く閉ざされており、なかなか挿入できない。
しっかりと紫杏を押さえつけ、一層の力を込めてねじ込む。閉じた秘所がこじ開けられる。
亀頭だけだが紫杏の中に入る。そのまま力に任せて紫杏を突く小波。
程なくして感じられる処女膜の抵抗を、小波のペニスが貫く。
「っきゃあ!」
紫杏の身体に激痛が走る。彼女が今まで感じたことのない痛みだ。
「だ、大丈夫か?」
「大…… 丈夫だから、続けて」
苦痛に歪む紫杏の顔。しかし紫杏は続行を求めた。
「痛いけど、うれしいの。小波くんと一つになれて。だから続けて」
「……わかった」
紫杏の要望を受け、腰を前後させる小波。
一突きされる度に激痛に苛まれながる紫杏は、小波を抱きしめることで苦痛を紛らさせようとする。

211:8/9
09/01/15 23:45:36 e9hiUKyC
一方の小波もまた追い詰められていた。
生まれて初めて経験する女性の膣は、小波のペニスに容赦ない快楽を与える。
今まで自慰ぐらいはしたことのある小波だったが、そのときとは比べ物にならない。
すぐに限界を迎えてしまう。
「も、もう出る!」
二人ともまだ中学生である。流石に膣内に射精する訳にはいかない。
小波は寸でのところでペニスを引き抜く。と同時に白濁液が鈴口から放たれる。
紫杏に向けて撒かれた精液が彼女の身体を白く染めた。

212:9/9
09/01/15 23:45:59 e9hiUKyC
若い性衝動は容易に抑えられるものではない。一度肌を交えた夜から、二人は頻繁に逢瀬を繰り返した。
小波のような年齢の男子に性欲を抑えろというのは無理であるし、紫杏も小波を拒むことはしなかった。
初めは苦痛しか感じていなかった紫杏が徐々に快楽を感じるようになっていくと二人の交わりは一層頻度を増していった。
今、紫杏の横には小波が眠っている。情事の後に疲れて寝てしまったのだ。
そんな小波を紫杏は複雑な表情で見つめている。
彼女の脳裏に浮かぶのは初めて小波と一つになった日のことである。
と言っても初体験を思い出していたというわけではない。その日起こったもう一つの出来事について考えていたのだ。

ハタを指され捕らえられていた紫杏は、ギャスビゴー星人と対談していた。
ハタ人間を指揮する存在として送り込まれていた彼女は、ギャスビゴー星人から極秘の任務を受けていたのだ。
「それで、指令とはいったい何だ?」
「地球人タチニ救出サレロ。ソシテ地球人ノりーだーヲ篭絡シ、意ノママニ操レル様ニスルノダ。
地球人ガ性交渉デ判断力ガ低下スルコトハ既ニ調査済ミダ」
「!?」
指令の内容に困惑する紫杏。
「どうしてそんなことをする?言うことを聞かせるだけならハタを指せば良いだけだろう」
「はたガ立ッテイレバ我々ガ操ッテイルコトガスグニバレテシマウ。
シカシオ前ノ操リ人形ニシテシマエバ地球人ニ気付カレルコトナク我々ノ思ウママニデキル」
そうなれば地球侵略がやりやすくなるという訳か。紫杏は納得した。
今まで頭にハタを刺して洗脳してきただけに、ハタが刺さっていなければ洗脳されているとは思われないだろう。
「了解した。今夜にでも実行する」

これが彼女が小波に告白した原因である。小波は勿論何も知らない。
「仕方、ないよね……」
力無く呟く紫杏の声は、誰にも届く事無く夜の静寂に消えていった。

213:後日談
09/01/15 23:46:46 e9hiUKyC
月日は流れ、ギャスビゴー星人二度目の侵略から4年が経過した。
紫杏は独り、公園に佇んでいた。季節は冬、加えて時間は夜。木枯らしが彼女の体温を奪う。
そんな中で紫杏はただ小波のことを思い返していた。
親の愛情さえ知らない紫杏を愛したただ一人の男。
今は会えない辛さが、寒さ以上に彼女を苦しめる。

「おーい、紫杏」
突然の声に紫杏が驚いて振り返る。小波だ。
宇宙人を2度も撃退し、野球人形を完成させることによりこれ以上の侵略を防ぐことに成功した地球のヒーローだ。
全力疾走してあっと言う間に接近する小波。
「そんな、今日は用事があるから会えないって言ってたのに」
小波は夢であったプロ野球選手になっていた。その経歴も相まって多忙な日々を過ごしている。
今日も小波の予定は埋まっており、会えないはずだった。
「何とか時間が作れたから急いできたんだ。一分でも長く紫杏といたいから」
「もう、しょうがないんだから」
呆れたような口調で喋る紫杏だが、満更でも無さそうなのは誰が見ても明らかである。

確かに紫杏は小波を篭絡することに成功した。しかしそれ以上に紫杏が小波の虜になってしまったのだ。
それが小波との情事を繰り返していく内にそうなったのか、それとも紫杏の告白の通り以前から好意を寄せていたのかは、今となっては紫杏にもわからない。
ただ確実に言えるのは紫杏が小波を愛しているということだ。
紫杏はギャスゴビー星人を裏切り、小波と共に戦った。
自分達の手駒だと思っていた紫杏の反逆もあって、ギャスビゴー星人は地球からの撤退を余儀なくされた。
こうして地球の平和は守られた。

(仕方ないよね。小波のこと、本気で好きになっちゃったんだから)
「え、何か言った?」
「ううん、何でもない。さあ行こう」
そう笑う紫杏は、この地球の誰よりも幸せそうだった。

214:203
09/01/15 23:51:27 e9hiUKyC
投下完了しました
後日談が蛇足っぽい気がするけど気にしない方向で
無理矢理にでもハッピーエンドにしたかったんだ

しかし今回の裏はエロパロ的に収穫多いよな
ネタがいくらでも出てくる

215:名無しさん@ピンキー
09/01/16 00:12:24 UTi63N58
GJです
やっぱり主人公がハーレム状態だと色々想像しやすいのかな

216:名無しさん@ピンキー
09/01/16 00:15:59 WvZZk4oV
>>214
一番槍GJ

217:名無しさん@ピンキー
09/01/16 00:16:37 WvZZk4oV
一番じゃなかった……orz

218:名無しさん@ピンキー
09/01/16 00:19:55 sVOl2HyY
一番槍に乗れなかったということは
槍女のエロSSを書いてもらう刑に服してもらおうか

219:名無しさん@ピンキー
09/01/16 00:28:06 Tq5jZ5j9
GJ。委員長の可愛さが上手いぜ。

220:名無しさん@ピンキー
09/01/16 00:50:44 kX1pMIKY
神!GJ!!
委員長かわいいよ委員長

221:名無しさん@ピンキー
09/01/16 01:47:45 lHe/F4Lw
>>186
せめて水木とにしてくれ

222:名無しさん@ピンキー
09/01/16 05:27:00 KHEuwjkN
主人公×水木とは新しい

223:名無しさん@ピンキー
09/01/16 06:32:57 YJtXYJ6y
誰かハタを元にして、唐沢が媚薬を作り出して、主人公がそれを使って
いろんなやつとやりまくるモテモテハーレムストーリーを文章を作れない俺の代わりに書いてくれ。

薬は「仲間同士の団結力を深めるために作った薬だ。」とか言って試供品として渡されたのを、
女子の誰かにこっそりと盛ってみたら、そっちの方向に使える事を発見した。 みたいな感じで



224:名無しさん@ピンキー
09/01/16 09:20:01 cOdTwXue
 

225:名無しさん@ピンキー
09/01/16 10:39:58 6nrB8pee
ちょっとまって、今・・・何て言った? おい>>223今何ていった!?『作れない!?』
作れないとか言ってる間はずっと作れないんだよ!考えろよ!もっと考えろよ!

226:名無しさん@ピンキー
09/01/16 20:48:13 AFMDGx78
× 作れない
○ 作ろうとしない

227:名無しさん@ピンキー
09/01/16 21:00:51 AV1Wnsaw
神奈川県 の パワポケファンさん (13~15歳) の質問
Q10,11と連続で出てきた社長は、やっぱり1~3の「さとみ」みたいにまたでるんですか? 
それとも、今後は出番なしですか?

A出るとしても、表サクセスでは回想シーンのみの登場になりますね。


紫杏死亡ルートなのか…畜生…

228:名無しさん@ピンキー
09/01/16 21:12:08 chOrLwBj
紫杏・朱里・カズの中で一番幸せを掴んだのは意外にも朱里だったな
次の破滅者はカズだな

229:名無しさん@ピンキー
09/01/16 21:38:17 sb9gKMZU
しかしなんだかんだで幸せになるカズ そうであってくれ

230:名無しさん@ピンキー
09/01/16 21:49:49 AV1Wnsaw
じゃあ俺は頭の中で紫杏が幸せになるENDを妄想しているよ

231:名無しさん@ピンキー
09/01/16 22:06:59 sVOl2HyY
むしろスッパリと死んでほっとしてるよ
スタッフは生きたまま死ぬより悲惨な目にあわせることが大好きそうだから

232:名無しさん@ピンキー
09/01/16 22:11:01 Tq5jZ5j9
るりか×リコの3P小説は…無理かw

233:名無しさん@ピンキー
09/01/16 22:47:52 lHe/F4Lw
>>222
そっちじゃねえ!


234:名無しさん@ピンキー
09/01/16 23:55:18 1sp/B4Is
でもさ死んだ方がサイボーグ蘇生とかまだ希望があるような気がする・・・

235:名無しさん@ピンキー
09/01/17 00:18:11 ELEtZ+8Z
いや、カズが幸せに一生を終えることは出来ないな。
なんと言ってもパワポケスタッフだからな。
10主に会う前にジャジメントに殺されそうだ。
裏でカズはジャジメントとつながってるしな。


紫杏...ご冥福をお祈りします。

236:名無しさん@ピンキー
09/01/17 01:04:11 cu1ABT5v
ハートフルボッコな展開だな
ボロボロになって主人公のもとに帰ってきたら、主人公の家から女の子が出てきたとか

237:名無しさん@ピンキー
09/01/17 01:11:50 ceQ4hLgW
何気なく街を歩いてたら
そこには妻子と幸せそうに歩く10主人公の姿が!

笑えないです
ありそうで笑えないです

238:名無しさん@ピンキー
09/01/17 01:19:32 Z3uSU+Ne
主人公が夏菜やエリに告白するという、逆パターンはどう?
まあ、主→夏は無理だろうけどさ…

明日、小論文のテストだわ…

239:名無しさん@ピンキー
09/01/17 02:37:55 lBqn0jV1
小野さんは母性愛の塊

240:175
09/01/17 10:09:06 JHU7t3E7
紫杏が死んじゃって悔しいから
上のをネタにした
10主人公×紫杏を書いてみる

241:名無しさん@ピンキー
09/01/17 13:07:13 ELEtZ+8Z
>>240
楽しみに待ってるぜ
...さて、自分も10主×さらの途中の作品の続きを書き始めるか。

242:名無しさん@ピンキー
09/01/17 19:27:54 nU1+zTWQ
まだ裏で委員長のアルバム取ってないんだけどギャズビゴー星人と関係あるっていうのは本当なの?

243:名無しさん@ピンキー
09/01/17 19:32:09 ceQ4hLgW
かわいそうすぎてとてもじゃないが言えない

244:名無しさん@ピンキー
09/01/17 20:01:16 Eot/+5aW
白瀬が旗人間に陵辱される話でも書こうかな

245:名無しさん@ピンキー
09/01/17 20:43:47 IqFRXVve
>>242
是非自分の目で確かめてくれ。
ちなみに小野さん連続イベント終了後に一緒にパーティ組むと別のイベントが発生する。



その内容は少しだけバラすと紫杏がギャスビゴーに…
さあ!早く見てみよう!!

246:名無しさん@ピンキー
09/01/17 21:03:05 +Hg0Ex5J
ここ最近思ったんだが、パワポケの世界の一般医療って俺達の世界より
遅れてるんじゃね?


247:名無しさん@ピンキー
09/01/17 21:41:08 cu1ABT5v
あの体じゃ色々と不都合があるであらふ

248:名無しさん@ピンキー
09/01/17 23:57:00 Xf/FxKeX
>>245
そんなのがあったのか

ちょっと見てくる

249:名無しさん@ピンキー
09/01/18 01:37:21 Cc9utfcL
11裏エリを前編だけ投下します。中学生ってのをを前面に押し出してそうなSSです。
割と長いですがエロまではたどり着きません。

250:がんばれエリ
09/01/18 01:37:53 Cc9utfcL
 あたしはじょおうさまだ。
「ユイは肩揉んで! るりちゃんと委員長はあたしの宿題やって!」
 誰も彼もがあたしに跪いて、賛美の声をあげる。
「フッキーは……えっと、あ! お菓子買ってきて! 甘いの!」
 崇拝の眼差しを向けてくるみんなを気分よく見下して、あたしはうっすらと微笑むの。
「夏菜はお料理作って。美味しくなかったらお仕置きだから!
リコはそこでじっとしててね。……何が起きても、じっとしてるの」
 この美しい微笑みを見ることこそが、彼らの生甲斐、じんせーの意味。
「小波君はこっちに来て! ……そ、そしたらぎゅってして! あ、あと頭も撫でて!」
 もちろんあたしを馬鹿になんてする人もいないし、何もかもあたしの思うがまま。
「えへへ…………ふぁ!? そ、そこは違うよぉ! そんなとこ撫でちゃ……あぅ」
 だってみんなは―あたしのドレイなんだから。

251:がんばれエリ
09/01/18 01:38:34 Cc9utfcL
「エリ!」
 ぐるぐると、揺れてた。頭の中も耳に入る音も何もかもがぐるぐると。
気持ち悪くて泣きそうになりながら、誰かに呼ばれてあたしは顔をあげる。
 心臓の鼓動がうるさい。体に変な汗もまとわりついている。
「ふぁ……」
 ばさり。顔をあげると、ほっぺたから音を立てて何かがはがれ落ちた。
寝ぼけ眼を擦りながら、あたしは大きく欠伸をする―だらしなく大きくあけた口からは、
気持ち悪さが逃げ出していってくれた。
「ふああぁぁぁぁぁ……」
 いつの間にか眠ってしまったらしい。
最初に気になったのは、涎を垂れてなかったかどうかだった。
手で頬を軽く撫でる……うん、だいじょうぶ。
だんだんとぐるぐるがおさまっていって、ぼやけていた顔―心配そうにこちらを見る、
るりちゃんの顔がはっきりと見えてきた。
思い返せばるりちゃんは、いつもいつも誰かのことを心配しているような気がする。
あたしのことはもちろんだけど、一番心配しているのは、彼のことだろう。
 ともあれそんな優しいるりちゃんのことが、あたしは大好きだ。
「大丈夫ですか? ずいぶんうなされてたみたいですが」
「るり……ちゃん……ふあぁぁぁ……」
 あたしは頭を軽く振って、もう一度欠伸をしながら机の上に手を伸ばした。
ついさっきほっぺたからはがれおちた、
しわくちゃになってしまっている数学のノートのしわを、まっすぐに伸ばす。
―算数から数学になってから、
計算式を見るたびに眠くなるのはなんでなんだろう?
三年生になってからは、それが特に顕著だ。
「大きな欠伸ね、エリ」
「ふぇ、ふぇぇ?!」
 もう一度欠伸をしようとしたところで、淡々とした声が耳に突き刺さる。
慌てて横を向くと、委員長が少し怖い顔でこちらをにらんできていた。
委員長―そのあだ名の通りクラスの委員長をやっている彼女は、いつも厳しい口調であたしを注意してくる。
けれどそれはあたしのために言ってくれてるのがわかってるから、あたしは委員長のことも大好きだ。
 二人とも大好き―そのはずなのだ。
「エリ、大丈夫ですか?」
「うん……だいじょうぶ……」
「まだ寝ぼけてるみたいね。……もう試験まで半年もないのに、大丈夫なの?」
「ふぇぇ……ご、ごめんね……」
 寝ぼけた頭では言葉の意味も理解できず。起こられた気配を感じてあたしはごめんなさいを言った。
『謝り癖は直したほうがいいわよ』そういってくれたのは、フッキーちゃんだったっけ。
それを直そうと思っても、あたしには無理なんじゃないかなって思う。
 けれど――
「謝らなくても大丈夫ですよ、エリ。……疲れているなら、今日は早めに切り上げましょうか」
「うん…………え?」
 るりちゃんの優しい言葉は、いつも耳に心地よい。
一度なんとなく頷いた後に完璧に目が覚めて、あたしは慌てて教科書を開こうとした。
「だ、だめだよ。だって、勉強しないと!」
 パライソタウンの高校ではなく、本土の高校に進学することを選択したあたしたちは、
授業が終わった後、放課後の教室で毎日勉強会を開いている。
るりちゃんも委員長も、あたしよりものすごく頭がいいのに、
こうして勉強を一緒にしてくれている―それはとてもうれしくて、少し申し訳ないことだった。

252:がんばれエリ
09/01/18 01:39:13 Cc9utfcL
「大丈夫よ、エリ。あたしも約束があってそろそろ切り上げるつもりだったから」
 委員長の言葉に、あたしは驚いて彼女の方を見る。
少しだけ表情を柔らかくして、教科書とノートを重ね始める委員長。
怒っている様子はない―本当に用事があるみたいだった。
「約束……ですか?」
「ええ。……少し、小野さんと話したいことがあって」
 るりちゃんの質問に、勉強道具をかたずけながら委員長が答える。
小野さん―あの夏にあたしたちと深くかかわった彼女は、とてもすごい女性だった。
優しくて、料理が上手で、護身術もできて、微笑みがとても綺麗。
あんな女性みたいになれたら。そう思う人も多いみたい。
「小野さんと、ですか。……エリ。本当に大丈夫ですか?」
「う、うん。だいじょうぶ」
 そんなにうなされていたのかな?
聞いてみようと思ったけど、すぐにその必要がないことに気づく。
うなされていたとしても不思議ではない夢を見ていたことを、あたしは覚えていたから。
「エリ」
「?」
「頑張るのはいいけれど、無理はしないようにね」
 ……委員長はやっぱり、優しいなぁ。
「うん。ありがとうしあピー」
「……」
「……しあピー?」
 どうやらまだ寝ぼけていたらしい。
数か月前に、ユイが委員長につけようとしていたあだ名が、あたしの口から飛び出していた。
「こ、こほん……」
 るりちゃんの不思議そうな眼差しを受けて、
顔を赤くした委員長が荷物を鞄にささっと詰める―そのままがたんと音を立てて立ち上がった。
 律儀に椅子を戻すところは、さすが委員長って感じだ。
「……と、とりあえず、先に帰らせてもらうわね。……また明日」
「あ、うん。またね」
「あの……しあピーというのは……」
「あら、急がないと待ち合わせに遅刻しちゃう! それじゃあ!」
 たたたたたたた。軽快な足音とともに委員長は図書室から出ていった。
 汗でぐっしょりと濡れた下着が、
体にまとわりつく気持ち悪さ―それをなんとかこらえながら、あたしも帰る準備を始める。
るりちゃんはしあピーという言葉が気になっていたみたいだけど、
適当なところで諦めたみたいだった。小さな可愛らしい溜息をつく。

253:がんばれエリ
09/01/18 01:40:04 Cc9utfcL
「エリ」
「……どうしたの? るりちゃん」
 汗まみれだから、外に出たら寒いんだろうなぁ。
そんなことを思いながらシャーペンをケースにしまっていると、
るりちゃんが深刻そうに眉をひそめてあたしの名前を呼んだ。
顔をあげる。今まで何度も見てきた、心配そうな顔が見えた。
「本当に大丈夫なのですか? ……なんだか最近、元気が無いようですけれど」
「だ、だいじょうぶだよ」
「うそ、ですね」
 だいじょうぶ。あたしがそれを言い終わる前にるりちゃんの口から吐かれた言葉は、
彼女の微かな苛立ちを表していた。
「エリはやましい所があると、眼を逸らすからわかりやすいです」
「そ、そうなの?」
「ええ……そうじゃなかったとしても、とぼけてしまえばいいのに。まあ、エリには無理でしょうけど」
「う、うん……そう、かもね」
「……どうしても、話せませんか?」
 少しだけ悲しそうに、るりちゃんが言う。
言ってしまえば楽になれる。言いたかった。言いたい、言いたい、言って泣いてしまいたい。
けれどるりちゃんには、この悩みを言えない理由がある。
 ―彼女はきっと、知らないはずだから。
「無理に聞こうとはしません。けれど―」
「あの、ね」
 だけど、るりちゃんの悲しそうな顔を見るのはやっぱり嫌で、あたしは嘘をつくことにした。
こんな時、女の子にだけ使える便利な嘘がある。
「え、えっとね…………あ、あれがちょっと重くて、調子が出ないの」
 嘘をつくのは、好きじゃないし得意でもない。けれども今回はどうやら成功したようだった。
「あれが重い? …………あ。そ、そうなんですか」
 悲しそうな顔から慌てた顔に変貌して、るりちゃんが立ち上がる。
「す、すいません。私ったら……それなら、仕方ないですね」
「う、うん。……仕方ない、よね」
 二人して苦笑する。
 なんだか微妙な空気は、校舎を出るまで続いた。


「少し小波の様子を見ていこうと思うのですけれど……エリもどうですか?」
「…………え?」
 校舎を出てすぐ、るりちゃんがあたしを誘ってきた。
その顔が少しだけ赤いのは、夕陽のせいだけじゃあないだろう。
るりちゃんは表情や態度で思っていることがとてもわかりやすい―あたしもそうみたいだけど。
「そ、その。私一人で行くと……ユイにからかわれてしまいますし」
「……」
 るりちゃんの口から彼の名前が出るたびに、あたしは悲しい気持ちになる。
るりちゃんが彼のことを好きなのは知っている。彼もるりちゃんのことは好きなのだろう。
 あたしは―
「エリ?」
「……え? あ、うん。……じゃ、じゃああたしも一緒に行こうかな」
「そ、そうですか。……ではグラウンドの方へ行きましょう」
 くるりと方向転換するるりちゃん。
一瞬だけ見えた、嬉しそうに綻ばせた顔はすごく可愛かった。
 それに嫉妬してしまう自分を少しだけ嫌に思いながら、あたしは彼女の後を追った。

254:名無しさん@ピンキー
09/01/18 01:40:28 8vLsMSdX
ちょっとエリを書いてみる。
《Story at Night》
激しい落雷の音で、エリは目を覚ました。
カーテン越しに閃光が走る。
恐る恐る、窓を覗こうとした途端、またガラスを震わせて雷が落ちる。
「きゃあっ」
慌てて頭まで布団を被るが、胸のどきどきがおさまらない。
「フッキー・・・フッキぃぃ」
彼女は、布団を被ったまま、白瀬を呼んだ。
けれど、すぐ隣のベッドで寝ているはずの白瀬は、起きないのか返事がない。
「フッキぃ・・・起きてよ、フッキー・・・!」
最後の声は、とうとう涙声になる。
それでも白瀬は起きてくれない。
「ふぇっ・・・ぇぇっんっ・・・・フッキぃぃーー」
エリは、布団に包まってずるずるとベッドから降りた。
白瀬が寝ているはずのベッドに、そっと手を伸ばす。
「フッキー・・・・フッキー・・・・??」
けど、そこにあるはずの手応えが何もなかった。
「フッキー・・・どこにいったのぉっ?」
きょろきよろとあたりを見回すけど、旅館の小さい部屋のどこにも、白瀬の姿はなかった。
「やぁっ・・・やだよーっ・・・フッキぃぃ・・・きゃあっ!」
また落雷。
今度は、とても近い。
雨がバチバチと窓を鳴らし、風が旅館を揺さぶっているようだ。
ここには二人部屋しかなくて、小波君たちは他の部屋に泊まっている。
・・・この部屋には今わたし一人しかいない。
急に、狭かった部屋が広く感じて 、エリはベッドにしがみついた。
ぎゅっと握った布団の端を胸の前で掻き合わせ、ぐっと涙をこらえる。
祈るような気持ちで雷が止むのを待ったけど、どんどん激しさは増す。
フッキーも、帰って来ない。
その時、一層激しい光りが部屋を明るく照らした。
そして、バリバリと何かを引き裂くような破裂音。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁっっっ!」
たまらず、エリは部屋を飛び出した。


だめだ。この後小波はフッキーが何してるか教えてあげるとかいうのに……
俺には書けん。
続き頼むわ。

255:がんばれエリ
09/01/18 01:40:45 Cc9utfcL
 予想通りユイにからかわれるるりちゃん―あたしがいてもいなくても、
結果は同じだったのだ―の横で、
あたしはベンチに座って野球部のみんなが練習するのをボーっと見ていた。
 みんな、というのは正確じゃない。見ていたのは彼―小波君のことだ。
彼がボールを投げて、打って、掴むところを、ずっと見ていたのだ。
(……カッコイイなぁ)
 『俺がついてる』そういってくれた彼のことを、あたしはいつの間にか好きになっていた。
とはいっても、あの夏の前と彼との関係が劇的に変わったわけじゃない。
少しだけ仲良くはなったけれど、今でも彼とはあまり話をしないままだ。
 理由の一つは、彼の周りにいつも人がいて、あたしの入る隙がなかったこと。
男の子は勿論、女の子もみんな彼と話をしたがる―もともとあたしは男の子が少し苦手だし、
みんなを蹴散らして彼に近づく勇気もなかったのだ。
 ……もしかしたら、ユイやるりちゃん、あるいは委員長と一緒に近づくことはできたかもしれない。
けれど、あたしはそれもしなかった。それは―
「エリ!」
「ふぇえええあああ!?」
 ばん、と背中を叩かれて、あたしは妙な声をあげた。
自分でも妙だと思うぐらいだから、きっとみんなにはすごく変だと思われてるのだろう。
強く叩かれたショックで飛び出す涙―それが柔らかい手で拭われる。
たぶん今まで生きてきた中で、二番目に多くあたしの涙を拭ってくれた手だ。
 横を見ると、ユイがすぐ近くに座っていた。いつの間に近づいてきたんだろ?
「どうしたの? なんか元気ないよ?」
「ふぇぇぇぇぇ……」
「あー、泣いちゃメーっていつも言ってるのに」
 ぐずぐずと泣きだすあたしの頬に、ハンカチが押しあてられる。
自分のことを、あまり器用じゃないってユイは言うけど、
あたしの涙を拭うのはものすごくうまい。
「……ん……っく……ユイ、痛いよ~」
「あははは、ごめんごめん……っと、こらそこー! さぼらない!」 
 朗らかに笑いながらあたしに謝った後、
グラウンドに向けてユイが叫ぶ―見ると、驚いた顔の彼がこっちを見ていた。
 気恥かしさに逃げ出したくなる。彼がすぐに目を逸らしてくれたおかげで、逃げださずに済んだけど。
「……あれ? るりちゃんは?」
 少しだけ残っていた涙をぬぐった後、さっきまで隣にいたるりちゃんがいないことに気づいて、
あたしはユイに聞いてみた。
「あ、るりかなら用事を思い出したからって帰っちゃった。
エリにもさよならって言ってたよ? ボーっとしてたみたいだから気づかなかった?」
「えぇ?! そ、そうなんだぁ。……あしたごめんねって言わなきゃ」
「別に気にしてないと思うけどなぁ……それよりエリ。……ああ!」
 すたっ。勢いよくベンチから立ち上がって、ユイがメガホンを口にあてる。
慌ててあたしは耳を塞ぐ―一瞬だけ遅れて、手のひらを貫通するほど大きな声が頭に響いた。
「ほらほらほらー!! さ・ぼ・ら・な・い! 練習練習ー!!」
 大きな声で、耳がきーん、ってした。
ギュッと瞳を閉じてまぶたの裏を見ながらあたしは考える。ユイが何を言おうとしたのかを。
 ―ユイはたぶん、知ってるはずだ。あたしを助けたって言ってたから。
 彼女が座る気配を感じて、耳を塞いでいた両手を膝の上において、隣を見る。
 あたしが見てることに気づいたユイが、朗らかに笑った。
それはとても魅力的で、温かな笑顔だった。

256:がんばれエリ
09/01/18 01:41:33 Cc9utfcL
「ところでエリ、最近元気ないね。どうしたの?」
 あたしがユイに見とれていると、彼女は口早にそんなことを言ってきた。
あたしは眼を逸らして、陰鬱な気持ちでつぶやく。
「……やっぱり」
「え?」
「あ、ううん。さっきるりちゃんにも同じこと聞かれたの」
「あー……るりかは心配性だもんねぇ」
 腕組みしながらうんうんと頷くユイ。
ユイにとっても、るりちゃんはいつも誰かのことを心配しているイメージなんだろうなぁ。
「で? 解決したの?」
「ううん……るりちゃんには、聞けなくて」
「聞けない?」
 不思議そうに聞き返すユイに向かって、あたしは顔をあげた。
 とてもとても怖いけれど、ユイになら聞ける―はずだ。
「ユイは……」
「うんうん」
 言葉が喉に詰まる。
 やっぱり怖い。怖くて、聞きたくないんだけど……聞かなきゃ、いけないんだよね。
 大きく深呼吸をして、あたしはあたりをきょろきょろと見回した。
今から言う言葉は、他の誰にも聞かれたくなかったのだ。
「……」
 ゆっくりと、視線を戻す。不思議そうな顔をするユイに向けて―
「……み、みんなを、ドレイにしたいっておもったこと……ある?」
「!?」
 あたしが言葉を投げると同時に、がたん。音を立ててユイがベンチから転げ落ちた。
あたしの言葉は、彼女をずいぶんと驚かせたようだった。
「だ、だいじょうぶ?」
 手を差し出して、ユイがベンチに座りなおすのを手伝う。
手伝うとは言っても、ほとんど意味はなかった―ユイはユイの力だけで、
大抵のことができるからだ。
「う、うん……それよりエリ。なんでハタになった時のこと知ってるの?
もしかして覚えてたとか? いや、それとも誰かに教えてもらったとか?」
「…………えっとね」
 ぱんぱんとスカートをはたいたユイは、あたしに質問を投げかけてきた。
ばくばくと鳴り始めた心臓は考えをまとめるのに邪魔だ。
それでもゆっくりと考えをまとめて、言葉を吟味する。
 ―遠くから、ボールがバットに当たる、かぁんという音が聞こえた。
そっちを見てみようとして、やめる。
今彼の姿を視界にとらえたら、泣いてしまいそうだった。
「あ、あんまり多くは覚えてないんだけど……ちょっとだけ、覚えてるの。
あの時、どんな気持ちになったのか。何をしたいって、思ったのか」
「……そうなん、だ」
 ユイが表情を暗くするのは、とっても珍しい。
あたしが見たの回数はたぶん、両手で数えられるぐらいしかなかった。
 ……あたしが言ったことを考えたら、たぶん無理もないことなんだろうけど。

257:がんばれエリ
09/01/18 01:42:08 Cc9utfcL
 二か月前。中学三年生の夏休みに、あたしたちは再び宇宙人と戦った。
宇宙人やハタ人間やよくわかんない変なのがたくさんいる基地に、あたしたちは夏休み中潜り続けた。
 あたしは戦うのが得意じゃないから、るりちゃんと一緒にみんなのサポートをすることが多かった。
基地の周りで花を摘んで回復薬を作ったり。怪我した人の治療をしたり。
 けれど、彼が守ってくれる―それを期待して、
あたしは時々ダンジョンの中につれていってもらった。
あたしがいるとガラクタを見つけやすいとかで、彼も少しだけ喜んでくれた。
 そんなある日のこと。
「危ない!」
 そんな彼の声が聞こえたかと思うと、
ぴかっと何かが光って、あたしの体に激痛が走って、目の前が真っ暗になった。
 後になって聞いた話だけど、ちっちゃなUFOがいきなり現れて、
あたしと、一緒に後ろの方にいたフッキーちゃんを狙い撃ちしたらしい。
フッキーちゃんは攻撃を避けるのが上手だからなんとなかったんだけど……あたしは駄目だった。
 気絶して、すぐにハタ人間に連れ去られて、そのまま―
 頭にハタを、立てられちゃった。

258:がんばれエリ
09/01/18 01:42:37 Cc9utfcL
 ―それでも、ユイは、やっぱりユイだった。
暗い表情を吹き飛ばし、笑顔を作ってあたしの肩にポンと手を置く。
「気にする必要はないんじゃない? あのみゆき先生だって、
ハタがたったらものすごく怖くなってたぐらいだし、エリが変なこと言っても驚かないよ」
 笑いかけてくるユイ。本当に、本当に嫉妬してしまうぐらい魅力的に笑うユイ。
それとは対照的に、あたしは泣きそうになりながら言葉を紡ぐ。
「……でも、先生は友達になりたいって言ってたよ」
「え?」
 ハタを立てられたみゆき先生とあたしには、決定的な差があった。
そのことに気付いてから、あたしは先生のことが大好きになって、自分のことが少し嫌いになった。
「……こ、怖かったけど。……友達になりたいって、先生は言ってたよ。
たぶん、それって……先生の、根っこにあった気持ち、だったんだね。
でもね、でもね、あたしはね。みんなを……ド、ドレイにしたいって、お、思った、の」
 それでもどうにか絞り出したあたしの声は、だんだんと泣き声が混じったものに変わっていった。
自分がどれだけ馬鹿なのかを理解して、ぐじぐじと涙が出てしまう。
 ―こんなんだから、みんながあたしを、
「馬鹿に、するから、みんながあたしを馬鹿にするから。
みんな、あたしに、従って。……ば、馬鹿にしなくなればいいって、思ったの」
「……」
 こういうときに、女の子は楽だ。
泣きたいだけ泣けるから。泣けばすむから。泣いてしまえば誰かが助けてくれるから。
 ―そんな最低な考えが浮かぶことが、とても悲しかった。
「それで、ね……ふぇ……ふえええぇぇぇ……」
 最後まで言葉を言うことができずに、あたしは泣きだした。
自己嫌悪の渦にのみこまれて、際限なく涙があふれ出していく。
手で顔を覆っても、ぽたぽたと涙が地面に吸い込まれていった。
「……エリ」
 ふっと、あたしの顔が柔らかくて温かいものに押し当てられた。
ユイに抱きしめられているとすぐに気付いて、あたしは涙を止めようとする。
 ……どうして、涙を止めようとするんだろう?
 ユイの胸でなら、きっと好きなだけ泣けるのに。
「それでも」
 いつも元気で明るいユイの、悲しそうな声。
こんなの声を聞きたかったわけじゃない。言わせたくもない。
なのにあたしがそれを言わせているのだ!
「それでも、気にする必要はないと思うよ?
……たぶん、それってそんなにおかしなことじゃないから」
「ふぇぇぇぇ……」
 泣きやもうとすることに集中していて、あたしはユイの言葉をよく聞いていなかった。
ただ、ユイもことさらあたしに何かを伝えたかったわけじゃないと思う。
 その声は、とても小さかったから。
「……もう、エリは真面目すぎるよ! ほらほら!」
「ふぇぇぇぇ!?! ふぇ、ひぁ、ひぇぇぇぇぇぇ?!!?!」
 突然ユイが抱きついて来て、あたしをくすぐり始める。
ユイはあたしのどこが弱いのかもよく知っている―すぐにあたしは笑い始めた。
 しばらくの間、あたしは泣きながら笑って、笑いながら泣いた。
練習を終えた野球部のみんなに見られてることに気づいて、逃げだしちゃうまで泣いて、笑い続けた。

259:がんばれエリ
09/01/18 01:43:34 Cc9utfcL
 泣きやんだ後。あたしはユイのマネージャーのお仕事を少しだけ手伝った。
その時彼と少しだけ話ができたのが嬉しかった―にこにこと笑っている彼の顔を見ると、
悩んでいることも忘れてしまうぐらいだった。
 けれど学校を出てユイと二人で夜道を歩いていると、
すぐにあたしは元通り―暗い気持ちに包まれてしまう。
 そんなあたしに、ユイは次々に話しかけてくれた。
新しくできた喫茶店についてとか、あさっての給食にゼリーが付いてくることについてとか。
どれも明るい話題ばかりだ。あたしのことを気遣ってくれてるのが、すごくうれしぁった。
 ―それでもあたしの表情が晴れないのに気づいたのだろう、ユイはこんなことを言ってきた。
「どうしても気になるなら、私じゃなくて他の人に相談した方がいいかもね」
「……え?」
 ぽかんと、間の抜けた顔をしてあたしはユイを見た。
彼女は小さく笑いながら、両の手を頭の後ろに組んで、空を見上げていた。
つられて見ると、雲ひとつない夜空に奇麗な満月が輝いている―明日はたぶん、晴れだろう。
「とは言ってもるりかは駄目だね。エリがそんなこと言ってたの知らないし、
たぶん、真面目に考えすぎて二人とも暗くなっちゃう」
「あはは……そう、かも」
 るりちゃんは、優しい上にすごく真面目だ。
話したところで、考えすぎてしまうのが目に見えている。
難しい高校を受けることを決めた彼女に、あまり心配もかけたくない。
「小波君に相談するのは……エリには難しい?」
「う、うん……ちょっと、難しいかも」
 彼の名前がユイの口から出て、ずきりとあたしの胸が痛んだ。
ユイも彼のことが好きなことを、あたしは知っている。
 ……ホント、罪づくりな男の子だなぁ。
「だったら、うーん……これは言うなって言われてたんだけど」
 ぐるんと鞄をまわして、片手で肩に背負い直す。
空いた右手の人差し指を唇にあてて、ユイは考え込むポーズを取った。
「ハタ立てられたエリを助けに行ったのって、
もちろん私と小波君だけってわけじゃないんだよね。……覚えてない?」
「う、うん……」
「残りの二人からは、一応口止めされてるだけど……」
「そ、そうなんだ? ……口止めされてるんなら、無理には聞かないけど」
「フッキーと委員長だよ」
「……」
 あたしの話を聞いていたのかな?
疑問に思いながらユイを見つめると、彼女は苦笑しながら言葉を紡ぎ始めた。
「まあ、委員長はどうしても言いたければ言ってもいいって言ってたしね。
フッキーは絶対に言うなって言ってたけど、まあ、フッキーだし」
「あはは……なんだか、フッキー可愛そう……ふふっ」
「あははは」
 てくてくと歩きながら、二人で笑う。
フッキーちゃんはいつも一人でいたがるけど、なんだかんだでみんなの大切な友達だ。
もちろん、あたしも彼女のことは大好きだ―時々お菓子もくれるし、
あたしが泣いてたらハンカチを投げつけてくれる。
「まあ、そういうことだから、二人のどっちかに聞いてみれば?
……フッキーは、こういう話は苦手かもしれないけど、頼りにはなりそうだし」
「うん。……ありがとう、ユイ」
「あはは。いいって、まあ、明日も頑張ろう!」
 ばんばんと背中をたたくユイ。ちょっと痛くて涙が出た。
 彼女と共に過ごす日々も、あと半年もない。
それまでに、楽しい思い出をたくさん作れたらいいな。そう思った。

260:閑話その1
09/01/18 01:44:22 Cc9utfcL
「……そういえば、結局ユイって質問には答えてくれなかったなぁ」
 お風呂で小さくひとりごちる。
たっぷりのぬるめのお湯にじっくりとつかるのが、あたしは好きだ。
 意味もなくお湯の中に顔を沈めて、ぶくぶくと泡を出してみたり。
 大きくなってほしいと願いを込めて胸をマッサージしてみたり。
―その甲斐あってか、最近は結構胸が大きくなってきた気がする。
肩がこるまでとは大きくないし、
平均サイズなんてものもよくわかんないけど……たぶん、クラスで一番大きいんじゃないかと思う。
これ以上大きくなったら、なんだか困ったことになりそうだ。
 ―しばらく、マッサージはやめようかな。
「あんっ……」
 ちゃぽん。水滴が首筋に当たって、あたしは小さく呻いた。
そのままぶくぶくと湯船に沈んで、あたしは考える。
温かい湯船の中では、嫌なことを考えても、幸せが勝って暗い気持ちにならないものだ。
「……?」
 ユイちゃんが相談するのに進めた人物について考えていると、なんだか変な感じがした。
自分の机の上に落ちていた髪の毛が、枝毛だった時ぐらいの小さな悲しみ。
 なんなんだろう……

 確実に一緒にいたはずのメガネ君の名前が挙がらなかったことに気づいたのは、
三十分後にお風呂を出るときだった。
 ……まあ、メガネ君だから、仕方ないのかな。そんな薄情なことをあたしは思った。

261:がんばれエリ
09/01/18 01:44:55 Cc9utfcL
 そして次の日。とりあえずあたしはフッキーと話すチャンスを探すことにした。
委員長は放課後にいくらでも話せるから、後回しにすることにしたのだ。
今日はるりちゃんのお母さんが健康診断に行くらしいから、二人きりで話せるはずだったし。
 けれどフッキーと二人で話すチャンスは、なかなか見つからなかった。
 昔よりみんなと話しかけられる機会が増えたフッキーは、いつも逃げ回っている。
一人が気楽だというフッキー。確かに、本当にそうなんだろうと思う。
あたしにもわからないわけじゃない―一人でいるときは、確かに気楽な部分もある。
 まあ、あたしはみんなといる方が安心できるんだけど。
「……はぁ」
 フッキーを捕まえられないまま、三時間目の国語の授業が始まった。
勉強の中でも、国語は結構楽な方だ。物理や数学に比べたら、気を抜いていても困ることは少ない。
 小さく溜息をついて、あたしは教室を見回す。
みんなあまり授業に集中していない。男の子たちはほとんど舟を漕いでいるし、
女の子も委員長とるりちゃん以外は聞いているのかいないのか、微妙なところだった。
みんなの様子を見ることができるのは、あたしの席が窓際の一番後ろ―教室の隅っこだからだ。
 一番後ろの席は案外先生の目が届きやすいんだよね。そうリコが言っていたのを思い出す。
確かに、先生がこっちを見る回数は結構多い気がする―もっとも、
あたしが駄目な子だから、気にかけてくれてるのかもしれないけれど。
 そんなうかつに眠ったりできない席だったけど、あたしはこの席をとても気に入っていた。
後ろの隅っこだと、ひとの視線を気にしなくていいし、
なにより彼を―中央の一番前の席にいる彼の横顔を―割と自然に見ることができるからだ。
 眠たそうに瞼を半分閉じて、舟を漕ぐ彼。
 先生に注意されて、慌てて教科書を開く彼。
 隣から回ってきた紙切れを開いて、驚いた表情を浮かべる彼。
 ―真剣な表情で、黒板を見つめる彼。
 何もかもがカッコよく―あるいは可愛らしく見える。
そんな感情は彼が関係する全てのものにさえ、影響しているような気もした。
 こんな感情のことを、委員長いわく『屋烏の愛』って言うらしい。
『きっとエリにはこの言葉が似合うわね』
 微笑みながら、彼女はそんなことを言っていた。
「……はぁ」
 あたしは頬を緩ませて、小さくため息をついた。
彼のことが好きだ。好きだけど―
 お別れのときは、確実に近づいて来ていた。

262:がんばれエリ
09/01/18 01:45:49 Cc9utfcL
 お昼休み。いつもどこかに消えているフッキーだけど、
あたしは彼女がよく逃げ込んでいる場所を知っていた。
たぶん、幸運だったのだろう―窓からロープを伝って、屋上に上るフッキーを見たことがあったのは。
(うーん…………どうしようかなぁ)
 その場所。屋上に続く扉の前で、あたしは困っていた。
ヘアピンを何本か持ってきて、鍵穴に差し込んだけど、冷たい扉は開く気配がない。
ドラマや漫画では、結構うまくいってることも多いから、大丈夫かなぁと思ったんだけど。
(あ。夏菜に頼もうかなぁ。この前探偵になるって言ってたし)
 そう思ったけど、すぐに首を振ってやめにした。
きっと夏菜は何故フッキーと話したいかを知りたがるだろう。
そうなったら、下手をしたらリコが絡んでくる―彼女はちょっとだけ、
ちょっとだけ強引すぎるのが珠に傷なのだ―詰め寄られて、話してしまわない自信がない。
 それからドアノブをしばらくひねってみたけど、開く気配は全くなかった。
「ふぇ……」
 どうしようもなくて泣きそうになるのをなんとかこらえて、ドアノブから手を話す。
とりあえず教室に戻ろう。そう思って振り返った。その途端。
 だん、だん、だん。
 大きな音が三回聞こえて、慌ててもう一度振り返る―ごつんと、何かが顔にぶつかった。
「……あれ?」
 バランスが崩れる―頭に思い浮かんだのは、中学校の思い出だった。
入学式に転んで泣いて、体育の授業中にボールがぶつかって泣いて、
マークシートのテストの終了三分前に、回答が一個ずつずれていることに泣いて、
自動販売機でなぜかおつりが出てこなくて泣いて、おみくじで大凶が出て泣いて。
「ひぇぇぇぇぇえええ?!!?」
 がたん、ごろんと階段を転げ落ちて、がん!
 頭を強く打って、あたしは気絶した。


「……ふぁぁぁ」
 大きく欠伸をしながら、あたしは眼を覚ました。
ぽかぽかの日差しがとても気持ちいい。
秋だけど、風が当たらなかったら日光浴って気持ちいいんだなぁ。
そんなことを考えながら目を擦る―はらりと、胸元にハンカチが転がった。
湿っているシンプルな白いハンカチ。名前が書いてないか探してみたけど、見つからない。
「あ、起きた?」
「ふぇあぁぁあぁ!?」
 後ろからいきなり声をかけられて、あたしは前に転がって声の主から離れた。
ぐるんごろんと転がって、体のいろんな所を地面にぶつける。
 ……痛い。
「いや、そんなに逃げなくても大丈夫だって。……頭、痛くない?」
「ふ、フッキー?」
 後ずさりしながら起き上ったあたしを、フッキーが呆れたような目で見ていた。
いつもと同じように、背筋をぴんと伸ばして立っているかっこいいフッキー。少し、見とれてしまう。
「だから…………はぁ」
 溜息をついて、フッキーが首筋を掻く。
風でひらひらと揺れているリボンを指に触れて、もてあそぶ。
そんなどうでもよさそうな動作でさえ、フッキーの手にかかると凄くかっこよく見えた。
「頭、痛くない?」
 こつこつと自分の頭をたたくフッキー。
言われた言葉を理解して、あたしも自分の頭に手を当てる。

263:がんばれエリ
09/01/18 01:46:31 Cc9utfcL
そこには小さなこぶができていた。痛い。痛くて涙が溢れ始める。
「い、痛いよぉ……」
「あー、泣かない泣かない。女の子でしょ?」
「お、女の子じゃないよぉ~」
「……いや、落ち着きなさい」
「ふぇぇぇ…………んっ……ぐすっ……」
 手に掴んだままだったハンカチを使って、あたしは自分の涙を拭う。
一通りぬぐい終わるまで待って、フッキーは少し困ったように語りかけてきた。
「でさ、なんであんた屋上に入ろうとしたの?
えらくがたがた音がしてたから、てっきり不審者かと思ってドアノブ撃ち抜いちゃったじゃない」
「えっと、それは……って、ええ!? 撃ち抜いちゃったって……」
 慌てて振り向く、屋上のドアノブのところに小さな穴が開いていた。
先ほど聞いた音は銃声だったらしい。
 ……もしかしたら、あたしの体のどこかに穴が開いてるんじゃないかな。
実はもう死にかけてて、痛みすら感じなくなっちゃってるんじゃないかな。
 そんな考えが思い浮かぶ―怖い、怖くて、さらに涙が溢れだした。
「ふぇぇぇ……撃たれちゃったよ~……」
「いや、本物の銃弾が当たってたらコブじゃ済まないから。
衝撃でドアノブが跳ねたのが頭にあたっただけみたいよ」
「ふぇぇ……ふぇ……ふえぇぇ?」
「いや、本当だって。……泣き声で質問するなんて、無駄に器用ね」
 小さくため息をつくフッキー。
嘘を言ってる様子はない。たぶん、あたしは大丈夫なのだろう。
急いであたしは涙をぬぐう―うん、たぶん大丈夫。
「とりあえず、あたしに用があるんじゃないの? わざわざこんなところに来るってのは」
「……ん。う、うん。ちょっとフッキーに相談したいことがあったの」
「へ? あたしに? ……仕方ないわね。お姉さんになんでも聞きなさい」
「フッキーあたしと同い年……」
「だからフッキーって呼ぶな!」
「あははは……うん。じゃあ、フッキーちゃんは誰かを―
誰かを、ドレイにしたいって思ったこと、ある?」
 半眼で睨んでくるフッキーちゃんに、昨日ユイに言った言葉を繰り返すと、
彼女もとっても驚いたようだった―目を大きく開いて、あたしの方を見る。
そこにマイナスの感情が含まれていないことが、あたしには嬉しいことだった。
「へぇ……ハタになってる時のこと、
覚えてる人もいるってのは聞いてたけど、あんたもそうだったんだ」
「う、うん。そ、そうなの。……そうなの?」
「いや、日本語は正しく使いなさいよ。……ああ、他にも覚えてる人間がいるかってこと?
聞いた話だけど、何人かいるらしいわよ」
「そ、そうなんだ……」
 あたしだけが特別。そういったわけじゃないと知って、少しだけ楽になる。
根本的な問題は、全然解決してないんだけど。
「そうねぇ。ドレイに……うーん」
 フッキーが腕組みをして、考え始める。
ただ腕組みをして立っているだけなのに、やはり彼女はとてもかっこよく見えた。

264:がんばれエリ
09/01/18 01:47:13 Cc9utfcL
 フッキーと話すようになった最初の理由は、出席番号が近いからだった。
 しらきえりと、しらせふきこ。
 最初の二文字が共通してるから、クラス替えをしてすぐの席が近かったのだ。
 ―それだけじゃない。出席番号順で並ぶことも結構多いから、
いろんなイベントであたしとフッキーは一緒になることが多かった。
「あたし? 白瀬芙喜子よ、よろしく」
 初めて出会った時の、あっさりとした挨拶。それをかっこいいなと思ったことを、今でも覚えている。
「し、白木恵理です。……よろしくね」
 その第一印象は、いまでも変わっていない。かっこよくて、頼りになる。
『白瀬さんって、怖いよね』そう言う友達もいたけど、あたしはあんまりそう思わなかった。
全く思わなかったわけじゃない。怖いと思う時もあった。
けれど、それ以上にかっこいいと思うことが、多かったのだ。


「悪いけど。あたしはそんなこと思ったことはないわね。
だってドレイなんてのがいたら、さらに一人の時間が減りそうだし」
「……そうなんだ」
 あての外れた答えに、あたしの口から失望の声が漏れる。
 ……あての外れた? 思い浮かんだ言葉に、あたしは自問自答する。
あたしは誰かに同意してもらいたかったのだろうか?
それとも叱責してもらいたかったのだろうか?
 ―よく、わかんない。
「でも」
 あたしが考え始めたところで、フッキーが言葉を紡いだ。
それは怒っているかのように強い力がこもっていて、けれど囁くように小さかった。
「他にもっといろんなことを考えてるわよ。……知ったらあんたが逃げ出しちゃうぐらいね」
「…………え?」
 はっきりと目を開いて、両の足で地面を踏みしめて。フッキーは囁く。
「誰にだってそういった部分はあるってことを言ってんの。
……まあ、大小の差とか自覚してるしてないの差はあるでしょうけど」
 少し、イライラいるのだろうか。
フッキーはこつこつとつま先を地面にぶつけている。
ひらひらと、今度は彼女のスカートが風に揺れた―そんな意識しているはずもない動作さえ、
なんだかかっこよく見える。それはきっと気のせいじゃないだろう。
「そういうのがない人間ってのは……たぶん、よほどの馬鹿なんでしょうね。
もしくは聖人君子って奴かしら。まあ、聖人君子ってのは、
馬鹿と同じ意味の言葉だから、結局馬鹿しかいないってことになるわよね。
……あんたが気に病むのは勝手だけど、『自分一人が~』
なーんて思いこむのは、やっぱり馬鹿でしかないわよ」
「でも。あたしはみんなを、小波君も、フッキーも、ユイも、みんなを―」
 ―ドレイにしたい。そう思ったのだ。支配したいと、逆らわなくしたいと。
 そしてそれはきっと、あたしの本心なんだ。
涙がさらに、さらに溢れだす。自分のことがここまで嫌になったのは、これが初めてだった。
「悩みたいなら、悩めばいいじゃない」
「え?」
 柔らかい口調の声が届いて、あたしは少しびっくりした。
フッキーは微笑んでいた―まるで小さな子供を見るような、慈愛に満ちた笑顔。
「別に答えが出なくても死ぬわけじゃないんだしさ、悩み続けたって誰も文句は言わないわよ」
 それは子供だからと馬鹿にしているわけでもなく、ただ優しいだけの頬笑みだった。
ああ、やっぱりフッキーは……かっこよくて、優しいんだ。
「それにたぶん、あと五年もすればそんなことで悩んでたのが馬鹿らしくなるんじゃないかしら。
もしくは諦めがつくでしょうね。……大人になれば、
適当に折り合いがつくもんなのよ、そういう悩みってのは」
「……」
 フッキーの言っていることは、あたしにはよくわからなかった。
これだけ悩んで、泣いて、苦しいこの気持ちが、どうでもよくなるなんて思えなかったから。
 けれど……何故か、少し気が楽になったのも確かだ。

265:がんばれエリ
09/01/18 01:48:09 Cc9utfcL
「いいんじゃない? 泣いて悩んでぐじぐじして、泣きやんで悩んでまた泣いて。
あんたらしい、って言えばそうでしょ?」
「……バカにしてる?」
「まあ、そうかもね。……でも、泣きやむならそれでいいんじゃない?」
 あたしの少し嫌な言葉すら、フッキーは軽く受け流した。
そして急に顔を赤らめて、あたしから視線を逸らす。
身体がかゆいのか、全身をもじもじとするフッキー―心配になって、あたしは声をかけた。
「ど、どうしたの?」
「い、いや。な、なんだか恥ずかしくなってきて」
「?」 
「なんか、こう。真剣な若者のお悩み相談みたいなのって……キツイわね。
いや、バカにしてるわけじゃないけどさ……あたしこういうの苦手なのよ、うん」
「???」
 今日のフッキーは、なんだか少し難しいことを言っている。
そういった役割を、あんまり彼女は好きじゃなかったようだ。
「あぁっ! もう!」
 けれど彼女は両手を大きく上げて背を伸ばして、いつもの状態に戻った。
……もじもじしてたのが可愛かったのは、たぶんあたしだけしかしらないことだ。
「……はぁ。まあいいわ。……少しは、元気が出た?」
「う、うん。……ありがとう、フッキー」
「だからフッキーって呼ぶなって……はぁ。
あたしのほうが誰かに相談したいぐらいね、ホント」
「あはははは……」
 茶化す言葉に二人で笑い合う。
と。フッキーが辺りを軽く見回した―少し、寂しげな表情で。
「しかし、ここももう使えないわね。……いい場所だったんだけど」
 つぶやかれた言葉は、確実にあたしがここに来たことが嫌だったということを意味していた。
 慌ててあたしは口を開く―たぶん、二人にとって一番いい選択を言うために。
「ご、ごめんね。……でも、大丈夫だよ。あたしはもう、ここに来ないから」
「?」
 不思議そうに、フッキーはこちらを見た。
「だ、誰にも言わないから。フッキーの邪魔は、しないから」
「そう? ……ま、ならいいけどさ。……そろそろ昼休みも終わるから、教室に帰りましょ」
 納得したらしく、フッキーはそんなことを言ってあたしに背を向けた。
階段へ続くドア―壊れたドアに差し掛かったところで、振り返る。
ちょうどあたしが何か言おうとしてたときに振り返ったから、ちょっと驚いた。
「……そういえばさ、一つ聞きたかったんだけど」
「?」
 疑問符を浮かべた顔で、あたしはフッキーを見る。少し、困ったような顔をしていた。
―フッキーはあたしと本音を混ぜた会話をするのは、これが最初で最後だと思っているんだ。
 なんとなく、あたしはそんなことを思った。

266:がんばれエリ
09/01/18 01:48:45 Cc9utfcL
「どうして、あたしなの?」
「……え?」
「あんたが頼ることのできる相手ならいくらでもいるじゃない。
そりゃあ、頼られたなら手は貸すけどさ。……あたしの必要はなかったんじゃない?」
「―」
 あたしは口を開いて何かを言おうとして―何も言えずに閉じた。
何を言えばいいのか、それを考えようとする。けれどすぐに、何も考える必要がないことに気づく。
 一度大きく深呼吸してから、あたしは再び口を開く。
 たぶん、フッキーがハタを立てられたあたしの言葉を知っていたからだけじゃあ、ない。
今フッキーに伝えたいのは……たぶん、あたしの素直な気持ちだ。
「仲良くしたかったから。かな」
 キョトンとした顔。
「フッキーと仲良くしたかったから。いつもかっこよくて、頭もよくて、
可愛くて、優しいフッキーと仲良くしたかったから……そんな理由じゃ、駄目?」
 恥ずかしい言葉を口に出して、あたしは気づいた。
 ―ああ、そうなんだ。ドレイにしたいとは思ったかもしれないけど、
みんなが好きなことには、変わりないんだ。
「……」
 たぶん、あたしが伝えたかったことは、ちゃんと伝わったんだと思う。
褒められて少し照れたのか、顔を赤くしてフッキーがあたしから眼を逸らす。
 そしてつぶやかれた言葉は、注意してないと聞こえないほど小さかった。
「駄目じゃないわよ。……そっか。そういうことね」
「?」
「誰でも勘違いすることがってあるってことか。あんたも、あたしも、誰もかもみんなが」
 遠い目であたしを見つめて、フッキーがつぶやく。
それはあたしに言いたかった言葉じゃなくて、自分のための言葉のようだった。
「ひゃ……」
 冷たい風が吹いて、あたしは目を閉じて身をちぢこまらせた。
風がないと気持ちいけど、風が吹くと秋の屋上は非常に寒い。
 足音が聞こえて、あたしはゆっくりと目を開いた。目の前に―
「ほら、もう後一分もないわよ」
 ―差し出される手のひら。それを掴んで、あたしは立ち上がった。

閑話その2。
「堤、ちょっといいかしら?」
「……なんでしょうか?」
「悪いけどさ、かくかくしかじかなわけで屋上のドア壊しちゃって。
あんたならばれないうちに直せないかしら? あんまり面倒事にしたくなくってさぁ」
「……どちらかというと、壊す方が得意なのですが。まあ、できないこともないですよ」
「あら、じゃあよろ」
「ただし。ただ、というわけにもいきませんが」
「…………こっそりガメといた壊れた機械」
「交渉成立、ですね」
(……あいつら、何話してるんだろ?)

267:がんばれエリ
09/01/18 01:49:38 Cc9utfcL
 五時間目の授業は数学だった。
この授業は真剣にやらないといけない―みんなもそう思っているのか、寝ている人も少ない。
少ない。そうは言っても、彼はやっぱり寝ていた。
昼休みの時間、グラウンドでサッカーをしていたらしいから、疲れが出たのだろう。
 黒板を一生懸命に書き写しながら、
あたしはこっそりと彼の寝顔を見る―ちょうど顔を横向きにして寝ていたため、
ここからは丸見えなのだ―やっぱり、かっこいいなぁ。
顔が熱くなって、心臓がどきどきしてきて、泣いちゃいそうなほどに心がぐるぐる揺れる。
「……ふぅ」
 熱を逃がすように息を吐いて、あたしは黒板に書かれていることを理解することに集中しようとした。
勉強を怠るわけにはいかない。……がんばらなきゃ。
 かりかりとシャーペンをノートに走らせる。
 映画館の代金が、最初の月は千八百円でした。
一ヶ月後に物価の上昇で値上がりして二千百円に。さらに……
(……映画、かぁ)
 ふと、一か月ぐらい前にお母さんから映画のチケットをもらったことを思い出す。
新聞の契約を更新するときに、もらったらしい。
『気になる人がいるなら、誘ってみたら?』
お母さんにそんなことを言われたけど、結局彼を誘うことはできなかった。
期限が切れたチケットは、なんとなく捨てられずに財布に残ったままだ。
ポケットに入っている財布を撫でながらあたしは考える。
 これを渡せていれば、何かが変わったのだろうか?
仲良くなれて、その先に進めたのだろうか?
 ―たぶん、駄目だったと思う。今のあたしじゃ、たぶん駄目だ。
 だから―
「……と、いうわけで。答えは十三パーセントになります。
この解き方はテストに出るから、みんなちゃんとメモしてね。……小波君!」
「……はっ! は、はい! 元気です!」
 みゆき先生が皆を見回して、小波君が寝ていたことに気づいたらしい。
叱咤の声―彼が跳ね起きる。寝ぼけているのか、変なことを言った。
 笑いの渦に包みこまれる教室。あたしも小さく笑った。先生も笑ってた。
 いつまでも続いてほしい、日常だった。

閑話その3。

「エリの様子がおかしいんです」
「……そ、そうだっけ?」
「はい。昨日は、その……あれが重いと言われたんですけど
よく考えてみれば一カ月の間中ずっと重いわけがありませんし」
(……るりかって、冷静だけど結構おっちょこちょいだよねぇ)

268:がんばれエリ
09/01/18 01:50:17 Cc9utfcL
 放課後。あたしと委員長はいつものように教室で残って勉強をしていた。
一時間ぐらいたったけど、まだ相談はしてない。
委員長は勉強中の無駄話が嫌いみたいなのだ。
 ―まあ、それは当たり前だと思う。勉強してるときは、静かな方がいいもんね。
 そんなわけであたしは、終わり際に相談するか、
いっそもう相談しなくてもいいかなぁ、って思ってた。
フッキーの言葉は少し突き放したものだった気がするけど、
何故か気分がものすごく楽になったのだ。
「エリ」
「ど、どうしたの?」
 突然委員長が話しかけてきたことに、あたしはとても驚いた。
もちろん、今まででも会話が全くなかったわけじゃない。
ただ今までの会話の全部が、委員長に勉強を教えてもらうに、あたしから話しかけたものだったからだ。
「どうしたって……あたしに相談があるって聞いたけど?」
「え?」
 困惑した様子であたしを見る委員長に、あたしも少し困ってしまう。
 聞いた。ってことは……ああ、そっか。
「ユイから?」
「ええ……でも、その様子だと悩みは解決したみたいね。……良かった」
 笑顔になる委員長。眼鏡をかけていたときは表情が隠れがちだったけど、
委員長はとても可愛い笑顔をするのだ―るりちゃんと同じく、あたしは嫉妬してしまう。
「あ、うん。……たぶん、だいたいは」
「それならいいんだけど……あ、そうだ。
あたしがエリに聞きたいことがあるんだけど、いい?」
「う、うん」
 かりかりとシャーペンを動かしながら、委員長はあたしにそんなことを言った。
あたしはそんな器用なことはできないから、手を止めて頷いて、委員長の話を聞く姿勢を作る。
 彼女の話は難しいことが多い―集中して聞かないとわけがわからなくなってしまうのだ。
「どうしてみんなと違う高校に行こうと思ったの?」
「――え?」
 その質問は、できるだけあたしが考えないようにしようとしていたことだった。
「エリが受験する高校は、たしかにパライソタウンの高校より
少しだけレベルが高いけど……本当に少ししか変わらないわよね?」
「……うん」
 あたしの受ける高校は、少し遠くの女子校だ。
とはいえ、寮があるためパライソタウンから長い時間をかけて行く必要もない。
一度見学に行ったのだが、とても雰囲気の良い高校だった―少なくとも、不良はいないらしい。
それでいて、あまり校則は厳しくないとの話だ。
 何をしても自己責任。それがモットーなのに荒れていないってのは、すごいと思ったことを覚えている。
 そんなとても良さそうな高校だけど、あまりランクは高くない。
うちの学校からは、誰一人として受験しないことからしても明らかだろう。
 けれど―
「だったらみんなと―彼と一緒の高校に行った方が良かったんじゃない?」
 確かに、そうかもしれない。あたしもそうした方がいいと思っていた。
……みんなと離れ離れになることを考えたら、自然に涙が溢れだしてしまう。
 あたしはポケットからハンカチを取り出して、静かに涙を拭いた。
深呼吸して落ち着こうとする―委員長は、あたしをじっと見守っていた。
「すぅ……はぁ。えっと。……あれ? べ、別に小波君と一緒じゃなくても」
「彼、としか言ってないけど」
 どこか楽しげな笑みを浮かべて、委員長がつぶやく。
あたしの顔がどんどん熱くなる―委員長は、本当に勘が鋭い。
 慌てふためきながら、あたしは口を開いた。
「え?! だ、だけどパライソタウンの高校に行くのって、小波君ぐらいじゃないの?」
「……ほかにもたくさんいるわよ。エリには小波君しか目に入っていないのね」
「ご、ごめんね……」
 体を小さくして、あたしは謝った。
とはいっても、あたしが話をする男の子って小波君ぐらいしかいないんだけど。

269:がんばれエリ
09/01/18 01:50:50 Cc9utfcL
「あたしに謝る必要はないわ。……エリはまだ男の子が苦手なままみたいだし、仕方ないわよ」
 それに気づいてはいたのだろう、委員長にあたしを責める気はないようだった。
頬に手を当てて熱を冷まし、つぶやく。
「う、うん……委員長って、ひっかけが上手だよね」
「いえ、こんなのに引っかかるのはうちのクラスじゃエリだけだと思うわよ」
「うぅ……」
 確かにそうかもしれないなぁ。
そんなことを思ったけど、慌ててる時はみんな引っかかるんじゃないかなとも思う。
好きな人の話をされたら、冷静でいられなくなるのは当たり前だと思うし。
「……それで、質問の答えなんだけど」 
「ええ」
 その答えを言うことは、あたしにとって苦痛だった。
たぶん、ハタを立てられた時に思ったことを告白するぐらい、きついことだ。
 けれど誰かに言わなかったら、あたしは途中でくじけてしまうかもしれない。
そう思って口を開いた。からからの喉にツバを流し込んで、言葉を紡ぐ。
「もっと頑張らないと、って思ったの」
「?」
 あたしが言った言葉を、委員長は理解できなかったようだった。
あたり前だ。これだけで理解できたら、超能力者か何かだ。
「えっと……あたしは泣き虫だよね」
「そうね」
 冷たく返された返事に、あたしは少し傷つく。
自分から言って自分で傷つくのは、たぶんバカってことなのだろう。
 傷ついて、それが嫌でまた泣いて、また傷ついて。
悪循環を繰り返してきたけど、それをいつかは終わりにしないといけない。
視線を下に向けて、ノートの端を見つめながら、あたしは言葉をさらに紡ぐ。
「泣き虫なのは、ホントだから……それでみんなからバカにされても、仕方ないって思」
「エリ」
 あたしが途切れ途切れに紡いでいた言葉は、委員長の声で遮られた。
―すごく、怒っていそうな声だ。
「怒ってもいいかしら?」
「……え?」
 あたしはきょとんとして、委員長を見た。
 やっぱり怒ってる。……彼女の眼は、いつもの倍ぐらいに釣りあがっていた。
「馬鹿にする? 誰が? なぜ? ……くだらないわね」
「ひっ……い、委員長、怖いよぉ……ふぇ、ふぇぇぇぇぇ……」
 冷たく吐き捨てられた言葉に、あたしは耐え切れずに泣きだした。
いつか銃を向けられたときよりも、何倍も怖く感じた。
 ―あたしのために怒っていることはわかってたんだけど。それでも怖いものは怖いのだ。
「ごめんなさい。話をすべて聞く前に口をはさんだのは間違いだったわ。
……まだ、言いたいことがあるんでしょう?」
 泣きだしたあたしに困惑したのか、怒りをひっこめて―それでも
瞳は怒ったまま―委員長が優しく語りかけてくる。
あたしもあんまり泣きすぎたくないから、急いで涙を拭いて喋りはじめた。
「……えっとね、ば、バカにされてるってのはあたしが思い込んでるってのも、
もちろんあると思うんだけど……今のあたしは、そう思われても仕方ないなって」
「…………」
 どうやらあたしが思っていることを察してくれたらしい。
委員長の瞳から、怒りの色が消える―あたしが口足らずだったことも、
悪かったとは思うけど、委員長は時々せっかちだ。
「『泣けばすむと思ってる』とか、『女って楽だな』って思われるのも……
そういう部分も確かにあるから、仕方ないなって思うの」
 それに気づいたのは、いつの日だっただろうか。ハタを立てられたのも無関係じゃないだろう、
あの経験は、とてもとても嫌なものだったけど―大事なことを、教えてくれた気がする。

270:がんばれエリ
09/01/18 01:51:47 Cc9utfcL
「……そう、ね」
 委員長が同意したことに、あたしは少し驚いた。
けれどそれはきっと、あたしが望んでいたこともである。
だれかがあたしの駄目な所を認めてくれないと、たぶん本当に駄目になっちゃうから。
「それにね…………だ、だれよりもあたし自身が、
あ、あたしのことを馬鹿にしてるって、気付いた……から」
 自分が興奮しているのを自覚しながら、あたしは大きく眼を開いた。
涙でぼやけた視界の中、委員長の眼の光に向かって、声を荒げて叫ぶ。
「だから、あたしは―」
 ―泣きながら、
「頑張ろうって、思ったの。みんなと離れるのはとっても怖いけど。
だからこそみんなから離れて、頑張らなきゃって、そう思ったの。
怖いけど、頑張って。それで、それでね。
そうしたらきっと……きっと……ふぇ、ふぇぇぇぇぇぇ……」
 そうしたらきっと。その先の言葉を言うことは、あたしにはできなかった。
嗚咽が胸を破って、再び口から飛び出し始める。
―後になって思えば、言えなくて良かったと思うんだけど、
その時のあたしは、言えなかったことも悲しかった。
「……そうなんだ。……ごめんね、エリ。さっきは言いすぎたわ」
「ふぇぇぇぇぇ……」
 委員長は、やっぱり優しくて、真面目だ。
泣きながらあたしはそんなことを思っていた。謝る必要なんて、ないのに。
涙で視界がぼやけていたけれど、委員長があたしの頭を撫でてくれているのはわかった。
 ―優しい手だ。たぶん、るりちゃんに負けず劣らず優しい手。
「……そういった人は結構いるわね。『頑張ろう』って思って、自らを追い込む人は」
 子守唄を歌うように、優しく紡がれる委員長の言葉。
「それでもし、本当に頑張れるのなら、エリはきっととても魅力的な人になれるわ」
 それは後に、あたしにとってとても大切な言葉になった。
「ぐすっ…………ありがとう」
 あたしの感謝の言葉に、委員長が微笑みを浮かべたような気がした。
涙でよく見えないけど―たぶん少しだけ怖い微笑みを。
「そうやって努力する人間は報われるべき……よね?」
 あたしはまっすぐと、委員長を見た。
涙でぼやけてよく見えないけど、じっくりと委員長を見た。
 何か嫌な予感がしたのだ。何かを言わなきゃいけない気がしたのだ。
あたしじゃ駄目かもしれないけど、それでも何かを伝えないといけない。そう思ったのだ。
「…………あ、あのね? 委員長」
「?」
「真面目な委員長もあたしは大好きなんだけど……
た、たまには真面目じゃない委員長も……みたい、な」
 たぶん、あたしの言葉はあんまり意味がなかったんだと思う。
委員長はすごく頭が良い―勉学的な意味ではそうでもないかもしれないけど、
いろんなことをよくわかっているんだと思う。
 ……たぶん、わかり過ぎているぐらいに。
 だからあたしの言葉なんてのは、委員長には言わなくてもわかってるはずなのだ。
「……考えとく、わね」
 それでも眼を逸らす彼女の横顔に、
少しだけ赤みがさしていたのは―眼の錯覚じゃないと思う。
「うん……えへへ」
 あたしは笑いながら、ポケットにハンカチをしまう。
フッキーに返し忘れたそれは、たぶん返そうとしても突き返されるだろう。
 けれど、いつかこのハンカチが必要がなくなったらフッキーに返したいと思う。
 秋の夕暮れ。夕日の刺す教室は、物音一つしなくなる。
確かな幸せを感じながら、その日の勉強会は終わった。

271:閑話その4。
09/01/18 01:52:31 Cc9utfcL
閑話4
「そう言えばこんな噂を聞いたわ」
「……?」
「あくまで噂なんだけど……あの宇宙人は人間の悪の心を食べて生きているんだって」
「……なんだか、漫画みたいだね」
「そうね。けど、エリが頑張ろうって思えたのは、もしかしたらそれも関係してるのかもよ?」
「そうなのかなぁ?」
「もちろん、本当のところはわからないわよ。……あくまで噂だから」
「……委員長は、誰から聞いたの?」
「さあ……良い宇宙人の関係者から、かしら?」
「???」

272:がんばれエリ
09/01/18 01:53:18 Cc9utfcL
 時は流れて。
 卒業式は大きなハプニングもなく終わった。
泣いている人はそう多くなかったけど、あたしが泣いても、あんまり恥ずかしくはなかった。
 みんなに見せる涙は、もしかしたらこれが最後なのかもしれなかったから。
 校門の少し前で立ち止まる。
 卒業式の前日に、みんなでお別れ会をしたため、今日はこの後特に予定がない。
本当ならユイ達と遊びに行くつもりだったけど、それはやめにした。
 ―これ以上は、辛くなるだけだから。
「―――」
 今ここであたしが立ち尽くしているのは、なんとなくではない。
先ほどまでフッキーがここにいたのだ。
 誰にもさよならを言わずに消えようとしていたフッキー。
彼女を見つけることができたのは、偶然ではないと思う。
 あたしもそうだからだ。昨日、みんなとお別れはすませたから。
 これ以上さよならを言いたくは、なかったから。
「おーい!」
 それでも神様と言うのはずいぶんと意地悪らしい、
あたしが校門を出るための勇気を振りしぼろうしたころで、彼の声が聞こえた。
 ―駄目だ。彼の声を聞くだけで、涙が出そうになる。
「エリ。白瀬を見なかったか? あいつ、いつの間にかいなくなってて」
 彼の口からほかの女の子の名前が出たことに、少しだけ嫉妬する。
けれどそれはあまりにも醜すぎる感情だ―あたしは素直に、
彼女がついさっき校門から出ていったことを言った。
 まだ追いつけるかも。
そう言って彼はあたしにありがとうを言って、制服をひらめかせながら外に飛び出して行った。
 ―それから数分後。
 校門を出るための勇気がたまってきたところで、再び声。
「エリ! 小波見なかった? え? フッキー追いかけて出てった? ……逃がさない!」
 リコだ。彼女はものすごく慌ててるようで、あたしとロクに会話せずに校門を飛び出して行った。
彼女とも、昨日のうちにお別れは済ませている。
あたしが泣いているときに、リコはあたしを泣かせた人をいつも倒してくれた。
それは少しだけ乱暴な解決方法だったけど、あたしを何度も助けてくれたのは事実だ。
 そんなリコは本当に―小波君のことが好きなんだなぁ。
 そんなことを思うあたしのすぐそばを、ぴこぴこと揺れる何かが駆け抜けていった。
『お兄ちゃんの第二ボタンはアカネのものです!』
 そんな声が聞こえた気がして、あたしははっとする。もし、彼から第二ボタンをもらえたら。そしたら―
「……そんなわけ、ないよね」
 呟いて、あたしは校門に向かって歩き始めた。
明日、あたしは高校の寮に向かう。早めに入寮することが可能だと聞いたからだ。
 少し急ぎ過ぎたのかもしれないけれど、たぶんその方がいいんだと思う。
「あ……」
 校門を出る直前。彼の姿が目に見えて、あたしは驚きの声をあげた。
思わず立ち止まる―彼が近づいてくる。あたしを見て笑顔になったのは、とても嬉しい。
「あ、エリ。さっきはありがとう。なんとか白瀬に追いつけたよ。……あいつも、バカだよな」
 そんなことを言う彼に、リコを見なかったか聞いてみる。
「いや、合わなかったな。……まあ、高校で会えるから別にいいだろ」
 どうやらすれ違ったらしい―少々リコが可哀そうになることを言った。
 どくん。心臓が大きくなる。これはチャンスだ。きっと、とても大事なチャンス。
ゆっくりと、慌てないようにあたしは口を開く。まず、聞きたいことは……
「えっと、そのボタン……どうしたの?」
 彼の制服のボタンが、全部外されていることだった。ちょっとワイルドな感じ。
第二ボタンだけではなく、全てのボタンがちぎられている。
彼は人気者だからあんまり不思議でもないけれど、
なんとなく、まだ誰にもボタンを上げていないような気がした。

273:がんばれエリ
09/01/18 01:54:13 Cc9utfcL
「ああ、これか。メガネと平山に全部とられた。『そんな青春許さないでやんす!』だってさ」
「あははは…………でも、カッターシャツのボタンは残ってるんだね」
 笑い話に顔をほころばせたあたしは、それでも目ざとく残っているボタンを見つけた。
それをもらうという話は、あんまり聞かないけど―それでも、欲しいなと思った。
「え? ……ああ。そうだけど?」
「じ、じゃあ……あ、あたしに……くれない?
そ、その、変な意味じゃなくて……記念に、ね?」
 彼は少し、驚いたようだった。あたしがボタンを欲しいと言ったことに驚いたのか。
それとも恥ずかしさであたしが泣かなかったことに驚いたのか。
区別はつかなかったけど、どっちでもいいとは思う。
 彼は、嫌な顔をしなかったから。
「まあ、俺のボタンでいいなら喜んで。
……でも、カッターシャツのボタンなんてすぐなくしちゃいそうだな」
 彼は苦笑しながら、本当にいいのか? と、あたしを見つめる。
 口を開く。もう少し、もう少しだけ。
 がんばれエリ。
「な、なくさないから……大切にするから」
「…………ほら」
「あ―」
 勇気を振り絞った言葉に、差し出される手のひら。
小さな白いボタン―カッターシャツの第二ボタンがのっている、彼の手。
 それを掴めばきっと、さようならを言い合うことになるのだろう。
 怖い、怖い、怖くて……泣きそうだ。
「―ありが、とう」
 けれどあたしは手を伸ばし、ボタンを掌に握りしめた。
不必要に強く、手が痛くなるまでぎゅっと握り締める。
やっぱり耐え切れず、はらはらとこぼれ落ち始める涙。嗚咽はこぼれなかった、どこか清々しい涙だ。
「最後まで、エリは泣き虫だな」
「うん……えへへ」
 笑顔をつくってあたしは彼を見つめる。お別れのときぐらい、彼に良い印象を持ってもらいたかった。
 少し驚いた表情を浮かべる彼に向けて、口を開く。
「いろいろ、ありがとう。小波君。……それじゃあ、あたし、行くから」
「……そうか、そうだよな。エリもいなくなるんだ……寂しくなるな」
「…………」
 あたしは何も言えなかった。胸が詰まって、苦しくて、何も口から言葉が出なかった。
 けれど―
「いつかまた、会おう」
 彼の口から再開を約束する言葉が出て、あたしは眼を見開いた。
―そうだ。お別れじゃなくて、再開の約束をするのだ。
それはきっと、確実なものじゃないけれど、あたしの暗い気持ちを吹き飛ばしてくれるには十分だった。
「うん……また、ね」
 たぶん、その時のあたしは、そう悪い顔をしていなかったと思う。
顔を赤くする彼は、少しだけ照れていたみたいだったから。
笑顔を交わしたあたしたちは、ゆっくりと互いに背を向けた。
歩いて、校門から出る―ここから先は、あたし一人で進まなきゃいけないかもしれない。
 泣きながら、がんばろう。
 泣いて、がんばって、泣いて、がんばって、そしていつの日か―
「――また、ね」
 彼に聞こえないことを知りながら、あたしはもう一度小さくつぶやいた。
まだ少し肌寒い季節、風も刺すようにあたしを包んでいるけれど。
 春が、訪れようとしていた。

274:がんばれエリ
09/01/18 01:55:44 Cc9utfcL
 そしてさらに月日は流れて。
だんだんと中学生活の記憶は思い出に変わっていき、少しずつ薄れていった。
けれど彼の笑顔だけは、忘れることのないよう、大事に胸にしまっておいて。
 そんなある日のこと。
「オーディション?」
「うん。モデルのオーディションを受けてみようかなって」
 お昼休みに友達と一緒にご飯を食べていたら、あたしの隣に座っている友達がそんなことを言ってきた。
笑顔が愛らしい彼女は、控え目に言っても小学校高学年にしか見えないぐらいちっちゃな子だ。
「モデルになれば、あたしの女の魅力をみんなに知らしめることができるから、
小学生と間違われることもなくなりますよね!」
 高校生になって何かが変わったかと聞かれたら、あたしは何も変わってないと答えるだろう。
新しい友達ができたとか、少しだけ背が伸びたとか、……胸が少しだけ大きくなったとか。
そういった変化はあったけど、まだあたしは変わっていなかった。
「そ、そうだね……」
 あたしは苦笑いをしながら彼女の言葉を肯定した、んだけど。
「……それはない」
 あたしの真ん前に座っている友達―猫みたいな大きな瞳が印象的な小さな子―が、
それをとても小さな、それでいてはっきり聞こえる声で否定した。
「……有名になっても……その背の低さは変わらない」
 たんたんと、紡がれる言葉。
無表情のようにも見えるけど、彼女は本当はものすごく感情表現が豊かな子だ。
とはいえ隣の子の方も、喜怒哀楽がすごくわかりやすい子なんだけど。
 そんな二人のことを『妹ができたみたいで、うれしいなぁ』
なんて思っているのは、たぶんあたしがお墓にまで持っていく秘密だ。
「むっ。……さては、あたしに嫉妬してます?」
「してない。……する必要がないから」
「……」
「…………」
「ケ、ケンカはやめようよ……」
 一触即発の空気になって、あたしは涙目になりながら二人の間に手を入れる。
二人とも、仲良しなんだけど、妙なことですぐ張り合っちゃうのが困りものだ。
「エリに感謝することですね」
「……それはこっちのセリフ」
「あはは……それで、そのオーディションはいつあるの?」
 適当に笑ってその場を収めて、あたしは隣に聞いてみた。にやりと笑う彼女―なんだか、嫌な予感がする。
「ええっと、来月の十三日の土曜日。エリ、予定開いてますよね?」
「え? うん。……空いてるけど、あたしもいくの?」
「うん。だってもう、エリの分も応募の書類出しといたから」
 時が止まった。
「…………え?」
「……わたしは?」
 聞き返すあたしに割り込むように、真ん前の子が隣の子に問う。
「出してませんけど? ちんちくりんじゃ無理ですし」
 さらりと返された言葉に、再び一触即発の空気。
「……」
「…………」
「な、仲良くしようよぉ~……」
「……エリに感謝」
「そうですね」
 泣きだしそうなあたしを見て、二人はなんとか喧嘩をやめてくれたみたいだった。
ポケットから愛用のハンカチを取り出してちょっとだけ溢れた涙をふく―よし、大丈夫。
 その白いハンカチの端っこには、あの時のボタンが縫い付けてある。
……フッキーに返す時は、このボタンをはずさなきゃいけないなぁ。
「……それで、どうしてあたしも?」
「一人じゃ心細いですし、こっちのちんちくりんじゃ絶対無理ですし」
「ドングリの背比べ……」
「……それって、自分も悲しくないですか?」
「……少し」

275:がんばれエリ
09/01/18 01:56:44 Cc9utfcL
 やはりちょっかいを入れてきた真ん前の子は、
自分の言った言葉でダメージを受けたようだった。痛み分けっていうのかな。
 遠い目でどこか遠くを見守る二人に、慌ててあたしはフォローする。
「だ、大丈夫だよ。あたしもその、小学生の時は二人ぐらいの大きさだったから」
「それってフォローになってないじゃないですか! えい!」
「……えい」
「ふぃ、いふぁふぃよ、ふぃふぉふぁ、ふぁふぉ~」
 ほっぺたをつままれて、あたしは泣きながらじたばたする。
名前を呼んでも、二人は容赦してくれなかった―のだけど、
急に真ん前の子が、あたしのほっぺたから手を外す。
「……それで、行くの?」
「ふぇ?」
「無理に出る必要はない、行かなくても失格になるだけ。
……エリがモデルに向いているとは思えない」
「……そういえば、そうかもしれません」
 隣の友達は、そのことを思いつかなかったらしい。
―あたしが男の子が苦手だということは、二人とも知っていた。
今のあたしは、たまに街に出かけても、
男の子に声をかけられそうになるとすぐに逃げてしまうぐらいなのだ。
 ―でも。
「……ううん、大丈夫」
 少し申し訳なさそうにあたしを見る彼女に、あたしは笑いかけた。
「あたしも、オーディション受けてみよう、かな」
 驚いた顔になる二人に、さらに言葉を紡ぐ。
「モデルになれば、キレイになれる……よね?」
「……そ、それはそうですよ。高級なお化粧を使って、高級な服を着て、
高級なエステに連れてってもらって、高級なお菓子を食べられて!」
「……最後のは関係ない」
「あはは……だ、だったら。受けてみたい……な」
 漫才のような会話をする彼女たちに向かって、決意表明をする。
怖いし、恥ずかしいけど、ここが頑張るところだと思った。
「でも……水着審査とかあるみたいですけど」
「う……そ、それでも頑張る、から」
 あたしの言葉に、二人は笑顔をくれた。
「一緒に頑張りましょう!」
「…………エリがそう決めたなら、私はあなたを応援するから」
「私は?」
「応援しない」
「……」
「…………」
「け、けけけケンカはだめだよぉ! ひゃあ!!」
 ケンカを始めた二人を止めようと、あたしは頑張り始めた。

 この時に。あたしは変わり始めたんだと思う
 彼と話したあのときから、ゆっくり変わってたのかもしれないけど、大きく変わったのはこの時だ。

 ちなみに、やっぱりと言うべきか彼女はオーディションに落ちた。
いや、落ちたというのも正しくないかもしれない―子役としてスカウトされかかったからだ。
当然のごとく断った彼女だったが、そのあとしばらく落ち込んだままで大変だった。
 それで、あたしはと言うと―

276:がんばれエリ
09/01/18 01:57:25 Cc9utfcL
 高校に入って、彼と私の関係はあまり変わっていなかった。
野球部の一部員と、そのマネージャー。
来年はおそらく、キャプテンとマネージャーになるのだろう
 できればもう少し進展したいけど……あれだけ頑張ってるリコが
全く報われていないところを見ると、それも難しいみたい。
「そういえばユイ。聞きたいことがあるんだけど」
「何?」
「これさ、本当にエリなのか?」
 ボールを磨く私を手伝ってくれていた彼が、隣に置いてあったかばんから雑誌を取り出した。
その表紙に載っているのは勿論――私の自慢の親友だ。
「うん。もちろんエリだよ。……可愛く、なったよね」
「嘘だろ!? あのエリが? いつも泣いていたあのエリが?」
「うん」
「あのエリが? 結局夏の水着もものすごく地味なのを選んでいたあのエリが?」
「うん ……あれ? 何で知ってるの?」
 慌てふためく彼に聞いてみたが、言葉は届かなかったらしい。さらに聞かれる。
「あのエリが? 気づくとこっちを見てて、眼が合うと顔を赤くしながら逸らしていたあのエリが?」
「……あ、うん。もちろんそのエリだって」
「信じられない……」
 がくりと肩を落とす彼。喜んでいるのか、悲しんでいるのか。
どっちかはわからなかったけど―顔をあげたときには少し喜んでいるように見えた。
「女の子って、変わるもんなんだなぁ」
「…………そうかな?」
 含み笑いを浮かべて、私は彼を見る。思い出し笑いが溢れそうになるのを堪えながら口を開いた。
「この前久しぶりに電話したんだけど、やっぱりエリはエリのままだったよ」
「……どうしてそう思うんだ?」
 不思議そうに聞いてくる彼。駄目だ。笑いが堪え切れない―
「そ、それが……今でも、お、思い出すだけで笑えるんだけど―」

『はいもしもし。どうしたのエリ? こんな朝早くに』
『ふぇぇぇ……ユイ……どうしよぉ……』
『ど、どうしたのエリ?』
『足りないよぉ……』
『何が?』
『ガラクタがね、何回数えても足りないの』
『…………え?』
『昨日はたくさんあったのに、今日はね、ちょっとしかないの……』
『…………』
『どうしよぉ……ふぇ、ふぇぇぇ……』

「……だ、駄目だ……くっ……お腹痛い……」
「だよね! あはははは……」
 二人して大爆笑。秋の夜の冷えた部室でさえ、温かくなるような幸せな笑い声。
―数分後、お腹が痛くなるまで笑った後、私たちは会話を再開した。
「はぁ、はぁ……確かに変わってないみたいだな。……それでも変わったみたいだけど」
「……そうだね」
 エリが変わったけど変わっていないことを、一番喜んでいるのは私だと思う。
この調子でどんどん可愛くなっていくと―それはちょっと困るかもしれない。
あの時彼女が言った言葉は、間違いなく宣戦布告なのだから。
「しかし……すごいなぁ、この水着……」
 にやけている彼に一応釘を刺しておこうと、私は口を開いた。
「ところで小波君。エリのグラビア……もう使った?」
 ―少しばかり下品なことを言ってしまったのを、その夜私は少しだけ後悔することになる。
「いや、今夜ゆっくり……え?」
「……」
「……」
「…………」
 がすっ!
 逃げだそうとした彼に、綺麗にハイキックが決まった。

277:閑話その6
09/01/18 01:58:17 Cc9utfcL
「あははは、寝ぼけてたみたいだね」
「ご、ごめんね……朝から変なこと言っちゃって」
「いいって、話のネタになるし」
「だ、誰にも言わないよね?」
「どうだろ? みんな喜びそうなネタだからなぁ」
「うぅ、ひどいよぉ……こ、こうなったら……ねえ、ユイ」
「ん?」
「アイドルとプロ野球選手って、お似合いだと思わない?」
「…………え?」
「あ、そろそろ行かなくちゃ……また今度、電話するね」
「ちょ、ちょっとエリ? 一体……」
「またね♪」
「ちょっと………………ええ!?」

278:がんばれエリ
09/01/18 01:58:58 Cc9utfcL
 あたしは駆けだしアイドルだ。
「おはようございます!」
 誰も彼もがあたしを知っているわけではないけれど、応援の声は少しずつ増えている。
「ああ、おはよう……今日の日程は把握してるな?」
 恥ずかしいけどカメラを見つめ、あたしは笑顔を作る。
「は、はい。えっと、グラビア撮影と、雑誌のインタビューと、CM撮影ですよね?」
 この微笑みをみんなに―できれば彼に見てほしい。
それがあたしの願いで、今のところの人生の目標だ。
「それと雑誌の懸賞用にサインを百枚だ。まあ、これは今日中と言ったわけではないが」
 もちろんあたしはあたし自身を馬鹿になんてしない。思い通りにいかなくても、毎日を頑張る。
「ひえぇぇ……い、いえ。頑張って今日中にやって見せます!」
 だってあたしは―
「……まあ、無理はしない程度にな」
「はい!」
 みんなの、アイドルなんだから!

279:名無しさん@ピンキー
09/01/18 02:00:17 M98TulDP
す、すごい…。
大作、乙であります。

280:名無しさん@ピンキー
09/01/18 02:00:27 Cc9utfcL
このままでも終わった感じはしますが続きます。たぶん明後日投下。
「仕方ないわね」がタイプミスで「仕方ないワン」
ってなったのは犬フッキーを書けという天のお告げでしょうか。

281:名無しさん@ピンキー
09/01/18 02:00:56 8vLsMSdX
>>249-

GJです

変なの様子みずに書いて流れたちきってすみませんでした。

282:名無しさん@ピンキー
09/01/18 02:02:54 wq+T5SpR
>249
GJ!

283:名無しさん@ピンキー
09/01/18 02:05:25 ZJM0l8iB
うわあ……これは超大作ですね、 間違いない。なんだこれは…… たまげたなあ
この時間にこの分量をいっぺんに読もうとすると頭がパーン☆┗(^o^)┛てなりそうなので
後日ゆっくり読まさせていただきます
GJ!

284:名無しさん@ピンキー
09/01/18 02:19:06 Cc9utfcL
>>281
問題ありません。連投制限とか怖かったですからありがたいです。
でも続きを書いてくれたらもっとありがたいです。泣いて喜びます。

285:名無しさん@ピンキー
09/01/18 04:06:12 pTZijqUw
GJ
そして、超大作乙。


犬芙喜子......いいじゃないか!

286:名無しさん@ピンキー
09/01/18 08:01:35 xSk5j75h
>>249-279 超GJ
これだけでも十分に話作り込めてるし終わり方もきれいだけど、この後に後編がまだあるのか・・・
後編は高校での描写か、すでにプロに行った小波との話かな。大作GJ

287:名無しさん@ピンキー
09/01/18 14:17:41 CiquRjEp
>>249-278

大作乙&GJ
パライソタウン行きてえええええええ

288:名無しさん@ピンキー
09/01/18 17:43:39 1XmblcZe
GJ、と言いたい所だがエロなしか…。後半に期待して全裸待機

289:名無しさん@ピンキー
09/01/18 20:58:05 sAQ1630W
>>249-278
ものすごくGJ!
続き楽しみにしてます。

290:名無しさん@ピンキー
09/01/18 22:04:15 Xp08T4R5
神だ…神が後輪なさった…

291:名無しさん@ピンキー
09/01/18 22:31:57 nizAH+as
>>249-278
大作GJ!後編も期待。

292:175
09/01/18 23:27:19 tss6Fr/2
この作品にはIF要素が含まれています
嫌いな人はスルーをお願いします

ある年のクリスマス
駅前に一人の男が立っている
男は辺りを見渡している
どうやら人を探しているようだ
だが見渡しても目的の人はいない
男は時計を見る
「うーん…まだかな?」
吐く息は白くなって辺りに霧散した
男が再び辺りを見渡そうとすると一人の女性が男に近付いてきた
男は女性を見ると声をかけた
「紫杏!」
「すまない、会議が少し長引いてしまってな」
彼女は威厳に満ちた声で話す
「ん?何でそんな口調なんだ?」
「…私の後ろを見ろ」
男は彼女の後ろを見る
彼女の後ろにはもう一人女性が立っていた
「うちの秘書だ」
「上守と申します」
秘書はお辞儀をする
「……なるほど」
男はは苦虫を潰したような顔をした
そして男は彼女、紫杏の耳元で囁いた
「何で秘書が一緒にいるんだよ!?」
「しょうがないじゃない!どこへ行くにも私はご一緒です!なんていってお風呂からトイレまで付いてくるのよ!」
二人はヒソヒソ声でけんかをしていると上守が声を発した
「社長、どこかへ出かけるのではないのですか?」
「そ、そうだったな…」
紫杏は気を取り直した
「では行くぞ、小波」
3人は目的の場所へ向かった


293:175
09/01/18 23:27:57 tss6Fr/2
「ここだ…」
紫杏と小波が来た場所、それは公園だった
「へぇ、こんな場所があったんだ」
小波は公園を見渡す
「ここは昔空き地だったんだ…」
紫杏は木々の見つめながら物思いに耽る
「でも良いのか。勝手に入って?」
小波は紫杏に聞く
「なぁに、構わんさ。なぜならここの所有者は私だからな」
紫杏はベンチに座る、冷たさが心地よく感じた
「で、何で俺をここに連れてきたんだ?」
小波は疑問に思っていた事を紫杏に言った
「好きな人をお気に入りの場所へ連れて来てはいけないのか?」
紫杏はまっすぐ小波を見る
「なっ!?」
それを聞いて思わず顔を赤くする小波
そしてその様子を見て思わず苦笑する紫杏
「あはは、変わらないな。あの頃と」
「……」
小波をからかいつつ紫杏が辺りを見渡すと立ち上がり一本の樹の元へ行った
「あっ、これだ…」
「これ?この樹がどうかしたのか?」
小波が紫杏に再び聞く
「この樹には精霊が宿っていると言われていてな、その精霊に会いたくて一日中ずっと待っていたんだ」
紫杏は樹を擦りながら昔を思い出していた
「で、結果は?」
紫杏は首を横に振る
「残念だが会えずじまいだったよ」
「そうか…」
小波も樹に触れる
「俺も会ってみたかったな…」
「お前がか?止めておけ、どうせ精霊に嫌われるのがオチだ」
「ひっどいの」
「あはははは!」
「ははははは!」
二人は笑いあった
そして一陣の風が吹いた
「クッシュン」
紫杏はくしゃみをしてしまった
「ああ、もう…しょうがないなぁ」
「!?」
男、小波は紫杏の肩を掴みぐっと自分の近くに引き寄せた
「ほら、こうすれば暖かいだろ?」
「…うん」
3人は夜の街へと歩き出した

294:175
09/01/18 23:28:47 tss6Fr/2
レストランで軽く食事をした後、秘書は帰って行った
そして二人はラブホテルに入った
「良いのか、こんな所で…」
小波はバスローブ姿で紫杏に聞いた
「うん…」
紫杏は頷いた
石鹸の香りが鼻孔をくすぐる
「そうか・・・」
「小波…あたしを、滅茶苦茶にして」
そういって二人はキスをした
「んちゅ、んん…」

お互いを貪るかのようにキスをした
小波の手が紫杏の胸にいく
そしてそれを丁寧に優しくこね始めた
紫杏も彼のペニスに手をやり優しく擦り始めた
「ん、んむ…むちゅ、んもぅ…」
時折声が息が漏れあたりに響く
バスローブを少しずつずらしそして二人は裸になった
小波のペニスがやや硬くなると二人は唇を離した
唾液の糸が二人の口から引く
二人のひとみがお互いを映す
小波は紫杏の乳首に舌を這わせた
「ひゃ!」
思わず声をあげる紫杏
そしてそのまま口に含み吸った
片方の乳首は指先でコリコリと弄っている
そして軽くつねった
「あひゃぁ!」
紫杏は快感に身をよじる
そして小波は紫杏の膣口に舌を当てた
「きゃ!」
股からの快楽に思わず声をあげる紫杏
その声を聞いて小波は思わずニヤけてしまった
「こら、そんな顔しないでよ」
紫杏が怒った顔をすると小波は再び紫杏の膣口を舐め始めた
「ひぃっ!」
小波はまたニヤけた顔を浮かべた
「こら、いいかげんにぃ!」
小波は紫杏が言い終わらないうちにまた紫杏の膣口を舐めた
今度は小波は紫杏の意思を無視して舐め続けた
「きゃふ!ひぃう!ああ!やらぁ!」
膣口を這う舌、それが動くたびに紫杏は喘ぎ声を上げる
そのうち紫杏の膣口から唾液とは違った液が出始めていた
「紫杏、そろそろ…」
小波のペニスは完全に硬くなっていた
「いいよ、入れて…」
小波は自分のペニスを紫杏の膣口にくっ付けた

295:175
09/01/18 23:29:31 tss6Fr/2
行くぞ、紫杏」
「うん、お願い」
小波のペニスが紫杏の中に入った
「あああああぁぁぁぁ!」
「うぐ!」
紫杏の中は熱くとろけそうだった
小波のペニスを優しくそして思いっきり締め付ける
小波は入れた後しばらく動かなかった
それは経験の少ない紫杏を思っての事だった
「大丈夫か?」
「大丈夫」
そう答えた紫杏だが顔は完全に火照っていた
「じゃあ、ゆっくり奥へ行くからな」
小波がそういうとゆっくりと奥へ入って行った
「はひぃぃぃぃ!」
少し進むたびに紫杏は喘ぎ声を出す
そしてついに小波のペニスが子宮の入り口にたどり着いた
「大丈夫か?苦しくないか?」
「だ、大丈夫だから…」
だが小波のペニスを入り口よりもきつく締め上げている
小波は紫杏の子宮の入り口を塞ぐようにグリッとペニスを押し付けた
「んやぁぁぁぁ!」
紫杏は思いっきり声をあげる
「い、痛かったのか?」
「ち、違うの?な、なんか変な感じで…」
痛みが混ざった快感を受け紫杏は完全に混乱していた
「じゃあ今度は動くぞ、いいな?」
「う、うん…」
紫杏は小波を思いっきり抱きしめた
小波はゆっくりと腰を動かし始めた
「ひっ!やっ!あっ!うっ!あああ!」
紫杏は子宮を突かれる度に獣のような叫びを上げた
そして紫杏の股から大量の愛液が噴出し小波の下腹部を汚す
小波が少し速めにしようとさらに力を入れようとすると
「こ、小波!ごめん!あ、たしもう…」
「へ?あの紫杏?」
小波がとぼけた声を出すと紫杏は足を痙攣させ
「イクゥゥゥゥ!!」
絶頂に達した

296:175
09/01/18 23:30:19 tss6Fr/2
「おい、紫杏」
小波がふてくされた顔で紫杏に声をかける
「な、何よ…」
紫杏は顔を赤くして答えた
「先にイクなんてどういうつもりだ?」
「しょ、しょうがないじゃない!我慢できなかったんだから!」
紫杏はさらに顔を赤くして弁解をした
「もう一回するか?」
「……うん…」
そういって二人はキスをした

1年前
紫杏と小波は結ばれた
そして3学期が始まる頃に紫杏はジャジメントが出資する海外の学校へ行った
2月、紫杏は父親を失った
父親を失った彼女を支えたのは他ならぬ小波だ
「俺がお前を支える」と言って彼女を抱きしめた
彼女は小波の胸で泣いた、たった一言なのに紫杏にはとても嬉しかった
4月、ジャジメント日本支社の社長に就任した
何故二人が離れなければならなかったのか?
それはプロ野球選手とオーナーが一緒にいると何かしら噂が立つうえに
彼女には父の後を継ぎ政治家になるという目標があるからだ
そして二人は約束をした「クリスマスにまた会おう」と

「……寝たのか?紫杏」
小波は紫杏の顔を見る
紫杏はすっかり寝入っていた
(可愛い寝顔だな…)
「…小波」
寝言で自分の名前を呟く
小波はニヤけがとまらなかった
「…お休み、紫杏」
そういって小波も瞼を閉じた

続く

297:名無しさん@ピンキー
09/01/18 23:32:27 tss6Fr/2
続くと書いてあるけどいつ書くか決まってません
一ヶ月以内の投下を目指しています

298:名無しさん@ピンキー
09/01/18 23:51:41 wq+T5SpR
GJ!
亀でも待ってるぜ!

さて、ハタリコ×主のエロでも考えてみるか…

299:名無しさん@ピンキー
09/01/19 02:00:33 +7ZiPJ8w
>>280
GJ
思わず目から汗を出すところだったぜ
>>297
GJ
楽しみに待ってるぜ!

300:名無しさん@ピンキー
09/01/19 02:45:47 q2/dUyNf
ハタ人間編はエロい妄想がやりたい放題ですばらしいですね。

301:名無しさん@ピンキー
09/01/19 03:12:37 W9fA/ta9
>>297
乙です~

302:名無しさん@ピンキー
09/01/19 19:40:37 3PWqpla/
ダンジョンでハタリコに倒されて、色々ヤられる主人公ってどう?

全裸にさせられて、爆発システムを停止させられて…

303:名無しさん@ピンキー
09/01/19 21:08:00 yoN7vt1R
ハタを立てたようこ先生に折檻されたり
同じくハタを立てた智美にアナルをほじられたい
まあ、出てないんだけどさ

304:名無しさん@ピンキー
09/01/19 22:00:31 AjsdQ33f
中学生の智美だって…?

305:名無しさん@ピンキー
09/01/19 22:33:50 yoN7vt1R
そうだ…
そして維織さんはお隣のお姉さん(大学生)だ!


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch