成人女性がショタに襲われるSSat EROPARO
成人女性がショタに襲われるSS - 暇つぶし2ch300:名無しさん@ピンキー
09/07/09 23:50:18 mUFk0p2r
すげぇ
これは良いものを見た!

301:名無しさん@ピンキー
09/07/10 00:02:44 OaG6ZAPZ
前にあった「大人が子供の奴隷」スレのSSS氏かな?
文体が似てる気がする

302:名無しさん@ピンキー
09/07/10 22:32:51 JpAKlvJz
『皮を剥く女』(館淳一)っていう最近発売された小説を読んでみたんだが、個人的にはあんまり良くなかった。

女教師が自分のクラスの小学六年生に犯されるシチュは良かったが、
元女教師とのレズプレイとか大人の男の風俗遊びとか、このスレ的に要らないシーンが多すぎ。
そのせいで肝心の陵辱シーンは短いし。

あんまりオススメできない一冊だった。

303:名無しさん@ピンキー
09/07/11 20:13:08 SuCWK9b1
質問。好みの鬼畜ショタのタイプはどれ?

1 早漏で短小

2 遅漏で短小

3 早漏で巨根

4 遅漏で巨根

オレは4かな。発射が早すぎるとあんまり面白くない。

304:名無しさん@ピンキー
09/07/11 20:34:27 YZJaV2WP
早漏だけど若さ故の回復力で何回戦も連続でこなす鬼畜ショタもアリ

305:名無しさん@ピンキー
09/07/11 21:19:45 NBcmur6h
どれでも美味しくいただけるけど?
問題は料理の仕方かと

306:名無しさん@ピンキー
09/07/12 08:06:30 Mdu0bBIs
鬼畜ショタなら3だな

顔に見合わぬ凶悪さと、
若さゆえの早さと、
それを弱点とさせない回復力。

入れただけイっちゃうけど、代わりに抜かずの10発とか。

307:名無しさん@ピンキー
09/07/12 09:18:57 6RpsqPJo
ああ、問題は回復力だな。
それが一番「若さゆえの強さ」を演出できると思う。
それで20代後半の女性が「すごい・・・またおっきくなってきたわ・・・!」とか言うのがツボ。

308:凍える月を抱いて 3章 ◆h4.Hpofy9o
09/07/14 10:10:28 nemvSlLi
1章・2章に、ご感想ありがとうございました。

今回は、3章 『悪魔の棲み家』のみの投下になります。
7レス消費予定
ご注意いただきたい点は>>287
ヒロイン生理中のため本番なし


309:凍える月を抱いて 3章 ◆h4.Hpofy9o
09/07/14 10:11:59 nemvSlLi
              3章 『悪魔の棲み処』


 翌朝、下腹部に痛みと違和感を感じながら目覚めた綾は、ベッドの上に起き上がると、
立てた膝に顔をうずめ呻くように言った。

「―もう……私の人生、滅茶苦茶だわ……」

「何を今さら―そんなの生まれた時からでしょ」

 綾は、はっとして隣でまだ眠っているはずの声の主、アキラに視線を落とす。

 そう、ここはアキラのマンション……そのベッドの上だった。
 昨日、あれからアキラに命じられるままに綾の車でこのマンションに着いた。場所は
学校や綾のアパートのある町から市をひとつ隔てた町で、1時間以上もかけて辿り着いた。
県庁のある市とあって周囲はかなり開けている。このマンションも高層であったし
オートロックのある、かなりしっかりしたマンションだと綾にも分かった。
 本当か嘘かは分からないが、ここはアキラの祖父が残した遺産とやらで買った
アキラのマンションだという。そして、ここには両親は居らずひとりで住んでいると……。
『え? 親と住んだことなんて数えるくらいしかないよ。家族ごっこが必要な時だけ
 だね。いつもはマンションに僕を残して彼等がどこかに行くんだけど今回は逆だ』
綾の育った環境もマトモとは言えない物だったが、それでもアキラのそれに比べれば
“普通の生活”をする人間にもまだ想像のつく範囲にあるのではないかと思えるくらい、
薄く嗤いながら語るアキラの家庭状況はあまりにも異常だった。
 けれど、もしアキラの言った事が全部嘘で彼の両親が帰って来たなら、もはや言い
逃れはできない。小学生の男の子と全裸でベッドにいる教師だなどと、どんな理由が
あったにせよ破廉恥極まりないではないか。
 綾は頭を抱えた。

 そんな綾を頬杖をついて気だるそうに見ていたアキラは、あくびをしてからチラリと
時計を確認して頭を掻きながら起き出した。
 そしてそのままバスルームへ行き、何やらカタカタと音をさせていたが、その音が
止むと綾を呼んだ。
 呼ばれた綾は、のろのろとベッドから降りてバスルームへと向かう。

「綾、ここに座って」

 指定された所は、床から50cmほど高くなっているバスタブの縁、その頭側が
まるでこうする事のために造られたように広くなった場所だった。
 綾が言われるままに腰を下ろすとアキラは上機嫌で言った。

「台の上に脚も乗せて、さぁ、手を後ろについて綾の可愛いマンコを見せて」

 綾は言われるまま脚を台の上に引き上げて手を後ろについた。アキラはその脚を
自分が作業するのに丁度いい広さになるように開かせ、冷たい泡を綾の草叢に乗せた。

「ひゃっ!?」
「冷たかった? ちょっと動かないでね」

 動けるわけなど無かった。アキラの手には小さなカミソリが握られており、それが
綾の草叢に宛がわれていた。
アキラが手首を滑らかに動かし綾の草叢を刈り取り続ける。時折泡に塗れた草が
ぺちゃりと床に落ちて綾をたまらなく切なくさせる。

「綾は毛が少ない方だよね。お尻の方は全然ないし前も下の方は相当薄いもんね」

 刃が滑りはしないかと恐怖で震える綾の秘裂を、アキラは指で広げてその際まで
綺麗に剃毛した。

「毛がないと柔らか~い。気持ちいいー! 今度は自分でマンコ広げて見せて」

310:凍える月を抱いて 3章 ◆h4.Hpofy9o
09/07/14 10:12:52 nemvSlLi

 綾は羞恥のあまり涙ぐみながら、躰を起こして自分の性器の脇に指を添えて左右に広げた。
綾の座る正面にしつらえられた大きな鏡が綾の惨めな姿を映し出す。
真っ白な丘を下ってその下に鮮やかなピンクに色付く花弁、そこからは一本の白い糸が
垂れ下がっていた。

 昨夜ここに来てからアキラによって取り換えられたタンポンの紐だった。
 アキラは「さてと」と声をかけ、まるでプレゼントの包みを開けるように嬉しそうに
その白い紐を引いた。
 ゆっくりと異物が移動する不快な感覚と昨日の行為ゆえの痛みに綾が顔を歪める。

「あぁ、残念。やっぱり来てたか。この量は処女膜の出血ってわけじゃないよなぁ」

 半分ほど引き抜かれたタンポンを見ながらアキラが言う。斑に血色をさせたそれを
一気に引き抜くと上手にティッシュでキャッチした。

「まだだったら、また僕の精子をたっぷり注いであげようと思ったんだけどね」

 お湯を使って慣れた手つきで膣内を洗浄しながらアキラが綾の顔を覗き込む。
その何事もない自然な様子はさながら美容室で店員が話しかけるそれに似ていると綾は思った。

「新しいタンポンを入れて置くよ」
「あの……アキラくん……ナ、ナプキンじゃ……駄目……かな?」

 恐る恐る訊く綾に、アキラは息がかかるくらい顔を近づけて言う。

「これは綾のためなのに、このタンポンはね……特注の特大なんだ。普通のも使ったこと
 ないから知らなかったでしょ? 最大に膨らんで僕のモノよりも少し細いくらいに
 なるようにできてる。僕のを挿入れられない間も寂しくないでしょ?」
「さ、寂しいなんてっ!」
「ふふ、冗談だよ。暫く僕のを挿入れないでいるうちに膣が狭まってしまったら、
 またつらい思いをするのは綾だし僕も楽しめないからね」

 『つらい思い』と聞いて恐怖からぞくりと綾の肌が粟立つ。

「毎回僕が状態を見ながら交換してあげるから楽しみにしててね」

 アキラは綾の唇にチュッとキスをし、綾の返答も聞かずにその開いた股間の前に戻る。
程なく新しいタンポンが挿入された。

「さてと、朝の世話はこれでOKかな? 朝食にしたいところだけど、あいにく今日は
 土曜で下の店が開くにはまだ一時間ほどあるから…その間……」
「……あの」
「何?」
「……ト、トイレ……行きたいんだけど……」
「あぁ、そう言えば起きてからまだ行ってなかったね」

 軽く受け答えしてくれるアキラの様子に、ほっとした綾を裏切ってアキラはさらりと告げる。

「ここでどうぞ」
「こ、ここ……って」
「今日は綾のおしっこが出てくるところが見たいな」

 パウダールームの向こうに見えるトイレのドアを視界に納めながら、何かを恐れる
ような小さな声で綾がつぶやく。

「む……無理よ……」
「どうして?」
「だって……」
「―どうしても?」

311:凍える月を抱いて 3章 ◆h4.Hpofy9o
09/07/14 10:14:19 nemvSlLi

 赤くなって俯く綾にアキラはくすりと嗤って背後の棚の引き出しから細長い
パッケージを取りだす。

「なら、仕方ない」
「え? な、何?」
「これはね、カテーテル。自動的におしっこを出してくれる管だよ。動かないで!
 手元が狂うと、とても痛いから」
「や、やめ……」
「仕方ないだろう? 綾が自分じゃできないって言うんだから」
「だって……」
「だってじゃない! 綾が悪いんじゃないか! 黙れ!」

 震える綾を気にすることなくアキラはカテーテルの先にゼリーを塗り何の迷いもなく尿道に
挿し入れた。チクリとする鋭い痛みと排尿感に綾が呻くがアキラは構わず管の挿入を続ける。
 そして何を基準にしたのか挿入の手を止めて背後から小さな注射器を手に取った。

「あぁ、心配しないで、管が抜けてしまわないように中で少し膨らませるだけだから、
 でも痛かったら言ってね」

 綾は、アキラが慣れ過ぎていると思った。とても見よう見まねでしているようには
見えなかった。アキラは実体験を積んでいる。それも一度や二度ではないように思えた。
だが、そんな子どもなどいるだろうか? いくら親が医者とは言え、こんな子どもが
医療行為を手伝っているとは思えない。では……どこで?
 だが、そんな疑問を考えている余裕など綾には残されていなかった。
 アキラはカテーテルの設置が終わると採尿バッグに管を連結しそのクランプを外す。
綾から延びる管を薄く黄色に色付いた液体が駆け下る。羞恥と絶望から目を閉じ俯いていた
綾の尿道に再び排尿感が襲い、綾が驚いて目を開くとアキラがカテーテルを弄んでいた。

「綾の膀胱って小さいんだね、これっぽっちしか出ないなんて―ねぇ、感じる?」
「そ、そんなわけ無いでしょう!」
「そうかな? こうして動かすとイク時に似たような感じがするんじゃない?」
「……んぁっ!」

 カテーテルを動かされて思わず声が出てしまう。

「やっぱり綾は、尿道でも感じるんだ」
「! か、感じてるわけじゃ……」
「そう?」

 「ほんとかなぁ」などと言いながらアキラは管を動かし続ける。性感に疎い綾には
それがどんな類の感覚なのか言い表す事は難しかったが、切なげに眉をよせ、肌を
しっとりと紅に染め、唇を緩くひらいて、はぁはぁと息をする様は、言わずもがなと
いうものである。
 そして綾が太腿を震わせて、あの感覚が来ると……すなわちイクと思った瞬間に
アキラの手が止まる。
 綾が潤んだ瞳をぼんやりと開いてアキラを見ると、アキラは綾の尿道から伸びる
カテーテルの先、さっきまで採尿バッグが付いてた管に厚手のゴム管を繋いでいた。
そのゴム管の先の塊にアキラはペニスを押し付け、きついのか顔をゆがめながら、
コンドームを着けるように捲れ上がったゴムの塊をするすると降ろして行く。
着け終わるとアキラはにっこりと微笑んで綾を見た。

「な…にを……?」
「うん? 僕も今朝はまだおしっこをしてなかったと思って」
「でも、そんなっ……あぅっ!」

 アキラが再び管を弄ぶと、思わず綾は声を上げてしまった。ツンとするような痛み
の後に、アキラが言ったようなイク時に似た感覚がじりじりと熱をもって再び下腹部に
集まってくる。


312:凍える月を抱いて 3章 ◆h4.Hpofy9o
09/07/14 10:16:00 nemvSlLi
「こうして動かしながら注いであげるよ。気持ち好いでしょ?」
「はぁああ……」
「イクんだね? 綾、僕のおしっこを入れられてイッちゃうんだ?」
「ん…んん…ぅん……」
「いっぱい出すからねっ! さぁ、イッて!」

 アキラの尿が管を滑るように進む。子どもの高めの体温に温められたそれが綾の
体内に注ぎ込まれると、綾は全身に力を込めて仰け反りがくがくと震えた。

「おしっこ入れられてイッちゃうなんて、綾はほんと期待通りの楽しい変態奴隷だね」

 言いながらも綾の膀胱を満たす熱いものは止まらない。
綾のほてりが、恐怖を伴って急速に冷えて行く。

「う……ぁ……ア、アキラくん、も、もう無理っ!」
「そう?」

 唐突に膀胱を拡張する流れが止み、綾が肩で息をしながらアキラを見ると、
アキラはとても冷めた眼をして綾を見ていた。

「綾、これはお仕置きなんだよ」
「うっ」
「綾は僕の奴隷なんだから僕の命令には必ず従え。でもも、駄目も、無しだ」
「うぅ」
「分からないならこのまま膀胱が破裂するまで僕のおしっこを入れてあげようか?」

 アキラがひとことひとこと言うたびに、綾の膀胱にはアキラの小水が少しずつ注ぎ込まれる。
綾はもう限界だと思った。このままでは、本当に破裂させられてしまう。

「わ、分かりました。お願いします、もう……もうっ!」
「―分かればいいんだよ」

 汗と涙で綾の頬に貼り付く髪を指先で払って、アキラはそのまま綾の頬に冷たく
柔らかい唇を寄せた。

 着けた時と同じようにアキラは手際よく管を抜去すると、台の上に座る綾の後ろに
まわって小さな子におしっこをさせるように綾の膝裏に手を入れて囁いた。

「さぁ、綾。僕が入れてあげたおしっこを、出すところを見せて」
「……はい」

 一呼吸おいて、綾がツキリとした痛みに呻くのと同時に尿が放物線を描いて迸った。
 大股を開いてアキラに入れて貰った尿を排出する心地よさにうっとりする綾の姿が
正面の大きな鏡に映る。

「痛い? でも直ぐに治るから大丈夫だよ。暫くはしょっちゅうおしっこしたい気分に
 なるだろうけど、それも直ぐ治るから安心して」

 綾はアキラに髪を撫でられながら頷く。自分の背にあるアキラの体温を感じて
綾は心の奥底で揺らめく奇妙な充足感に戸惑っていた。


**********


313:凍える月を抱いて 3章 ◆h4.Hpofy9o
09/07/14 10:21:13 nemvSlLi
 綾が髪を乾かしてリビングに戻ると、先に出ていたアキラが朝食のセッティングを
していた。テーブルに乗っていたのは上品に小分けされた和食のお弁当だった。

「昨日の内に頼んでおいて良かったよ。下の店のなんだ。ちゃんと時間通りだったし」
「昨日?」
「うん、綾が帰り残ってって言った後、少し時間があったからケータイでね……」
「え? でも……」

 仕方がないと言う風にアキラは視線を落として溜息をついた。

「綾、僕は校長室で初めて綾を見た時から綾を僕だけのモノにするって決めてたんだ。
 ―両親と転校の手続きにあの学校に行って校長先生から綾を紹介された時、僕はぞくぞく
 したよ。できることなら、綾をその場で押し倒して無茶苦茶に犯したくてたまらなかった。
 だから勃起しているのを悟られないようにするのが大変で……」

 あの時、顔を赤らめ脱いだ上着を膝の上で握りしめていたあの儚げな少年の心の内に
そんな欲望があったとは綾でなくとも気付くことはできなかっただろう。

「もっとも、その後も綾と暮らすのにここを買ったり……」
「えっ?」

 綾は混乱した。綾としては、あと何時間かしたら解放されて帰れるものと思っていたし、
帰る事をどう切り出したらいいかと悩んでいたのだから。

「『え?』って、何のためにこんな遠くにマンション買ったと思ってるの? 学校の
 側じゃ直ぐにみんなにバレちゃうから、綾のためにこんな遠くにマンション買って
 毎日1時間以上かけて電車通学してる僕の身にもなってほしいよね」
「そ……れは、今日だけとか……じゃなく……て?」
「当然。これから毎日、ずっとだよ。 ……あぁ、でも僕は今まで通り電車で、綾は
 車で登校するんだよ。学校では態度も今まで通りにしてばれないようにしないとね。
 それでなくとも贔屓だなんだってガキは煩いから……。
 そうそう、二人っきりの時の言葉遣いも今まで通りでいいよ。ちゃんと躾けようと
 思ったんだけど綾には使い分けが無理そうだし、学校で『ご主人様』なんて呼ばれたら
 たまんないからね」

 綾は、アキラがこの関係がばれないようにしてくれるということに安堵したが、
それと同時に疑問が湧く。

「でも……もし……」
「ん?」
「もし、私が……あの時……」
「あぁ、綾、言っておくけど“もし”なんて無いんだよ。だって僕が綾を犯したいって
 思ったらそうできるように決まっているんだから。現にこうして綾は僕のモノになって
 ここに居るし、もう綾は僕から逃げられない。 ―そうだろ?」

 妖しく『逃げられない』と嘯くアキラに綾の中で恐怖を伴った何かがざわめいた。
綾はそれを悟られまいと視線をアキラの手元に下げて驚いた。

「ア、アキラくん!?」
「何?」
「お箸……」
「……あぁ……」

 見事なまでの握り箸だった。綾は何でも器用にそつなくこなすアキラが箸の使い方が
まるで出来ていない事に驚き、呆れた。綾はアキラの隣に席を移すと箸の持ち方を教える。
 鬱陶しがられるかと思ったが、意外にもアキラは素直に綾に従った。

「なんか……意外」
「……箸なんか滅多に使わないからね」
「今までどうしてたの?」

314:凍える月を抱いて 3章 ◆h4.Hpofy9o
09/07/14 10:24:50 nemvSlLi
「覚えてないけど最初は手づかみで、そのうちフォークとかだったんじゃないかな?」
「そういえば給食でもフォークとスプーンばっかりだったね」
「……へー、よく見てるね」
「お箸を持ってくる子も多いけど、アキラくんはお家で洋食が多いのかなって思ってたから」
「僕の方こそ、綾がちゃんとお箸を使えるのが意外」
「……お姉ちゃんが……教えてくれたから。何から何まで面倒見て貰ったのに―」

 綾の言葉が沈みがちになってくると、フンと鼻をならしてアキラが言う。

「綾は姉妹に恵まれて良かったね」
「え? あ……アキラくん一人っ子か……」
「戸籍上はね―」

 生来の器用さを発揮して、いつの間にかアキラの箸使いはさっきまで握り箸であったのが
嘘のような手つきで小さなひじきを摘まむ。そしてアキラは何事もないように言う。

「僕はAB型、母はB型、父はO型……ちょっと複雑な家庭ってやつ。僕の本当の父親は
 母方の祖父らしいよ。あぁ、ちなみに近親相姦とかそんなんじゃないから安心して。
 母は出産経験がないからね。実の母親はどうやらドイツの血が入った人だったって
 事は知ってるけど顔も見た事無いから、母と言ったらあの人しか浮かばない。
 まぁ、実際は一番上の姉になるんだろうけど……祖父は男の子が出来るまで頑張ったから
 他にも母親の違う姉が何人かいるらしいよ。でも、会った事がないから……」
「…………」

 綾は何に対して言葉を返すべきか迷ってしまった。そしてアキラの瞳を覗き込むと
確かに虹彩の色合いが有りがちな色よりも薄くアキラの話を裏付けていた。

「元々あの人に母性なんて物があるのかどうか疑問だけど、自分の子でもない子どもを
 預けられて面倒を見るなんてありえない事だったんだよね。なのにさ、僕は結構
 考えちゃったよ。どうして僕は他の子みたいに抱きしめて貰ったり、ほっぺにキスして
 貰えないんだろうって……今思えば笑っちゃうよね……」

 くすくす嗤うアキラを、綾は唐突に抱きしめた。

「―何してんの? まさか……同情とか?」
「ううん。そうじゃなくて……なんか不安になっちゃって……こうしてると安心するの」
「綾……嫌んなるくらい馬鹿だね。無理やり犯されて調教されてる相手に抱きつくとか
 おかしいんじゃないの?」
「分かんないけど……そう…なのかなぁ?」

 アキラは溜息をつくと、時計に目を遣り12時を過ぎたのを確認した。それから
サイドにある引き出しから錠剤のシートを取り出し、テーブルの上に置いた。
綾はアキラの肩に手を残したまま体を離して怪訝そうにアキラを覗き込む。

「経口避妊薬、ピルだよ、綾」
「ピル?」
「これを1錠ずつ3週間毎日このくらいの時間に飲んで。必ず、忘れずにね。
 僕の赤ちゃんを産みたいなら別だけど……」

 綾はピルのシートを手に取って1錠だけ押し出した。そしてゆるゆるとグラスの
水を口に含み、その小さな一粒をこくりと飲みこんだ。
 綾がピルを飲み下したのを確認して、アキラがにこりと笑う。

「綾、それを飲むって事は僕とのセックスを受け入れるって事だよ」

 妊娠を心配し、避妊を考えると言う事はつまり、セックスをすることが前提。
自分は隣に座る小学6年生の教え子、アキラとセックスすることを受け入れたのかと
綾はぼんやりと思った。



315:凍える月を抱いて 3章 ◆h4.Hpofy9o
09/07/14 10:27:19 nemvSlLi
 その後、アキラはゲームを買いたいからと綾を誘って家電屋に行き、嬉々として
色々な物を見て回った。その姿はどこから見ても普通の小学生にしか見えなかった。
 そうしているうちに、綾は女性に呼び止められる。学校の関係者かと一瞬ひやりと
したが、それは商品のデモをしている女性で、結局電動のフェイスシェイバーのデモを
受け商品を買わされるハメになった。
 綾は眉剃りなど初めての経験で緊張したが、買ったゲームソフトを手に戻ってきた
アキラに「うん、なんかキリリと涼しげで頼りがいのある先生っぽいよ」と言われると
とても複雑な気持ちになった。


 マンションに着くとアキラは管理人室でICキーを受け取り、管理人と二言三言話を
して戻って来た。

「鍵って静脈認証じゃなかった? 私も登録させられたよね?」
「綾は変なとこ目ざといね。今日は頼んでおいた荷物を入れて貰うのに預けておいたんだ」
「……そう……なの?」

 何が運ばれて来たのかは分からないが、とにかくアキラは上機嫌だった。
 綾は部屋に入ると室内を見回したが外出前と特別変わったところは見当たらない。
大きな家具ではないのか、それとも別の部屋なのか……。
気にしても仕方がないので綾は荷物を置いてコーヒーを淹れる。
 アキラは買ってきたゲームをリビングのテーブルの上に放って自室に入り、直ぐに
戻って来た。その手にあったのは綾が出した算数の宿題のプリントだった。

「何? 綾、何か言いたい事でもあるの?」
「え? 宿題……するのね」
「自分で出しといて、よくそんなこと言うよね」

 キッチンのテーブルで算数の宿題をするアキラは本当に等身大の小学生だった。
ただ、その問題を解く速さは尋常ではなかったが……。

「時間の無駄なんだけどね」
「そっか……アキラくんもう中学の勉強してるんだもんね」
「仕方ないんじゃない? どんなにばかばかしくても僕は6年生だし、この問題は
 6年生には丁度いいと思うよ」

 30分想定のプリントをアキラは10分も掛からずに解き終えて閉じる。
 妙な沈黙が流れてコーヒーを見つめていた綾の視線がアキラに向く。

「あのね、アキラくん私……帰らなきゃ」
「…………」
「だって、ほら、月曜日からの準備もあるし、それに……」
「どこへ……帰るって?」
「……あ…の……アパート」
「帰ったって何もないよ。綾の荷物は僕の隣の部屋に全部運んでもらったから」

 アキラがにっこりと微笑む、綾の驚きを楽しむように。

「どうやって? だって……」
「綾、こんなことはとっても簡単なことだよ。現にできちゃってるだろ?」

 アキラの部屋の隣の扉を開けると見慣れた安物の家具や衣類が詰め込まれていた。

「まだ、帰るとか……帰れるとか考えてたなんて綾は面白いなぁ」
「…………」

 綾はドアに寄り掛かったままズルズルと床にへたり込んだ。


3章 『悪魔の棲み家』 (終)

316:凍える月を抱いて 4章 ◆h4.Hpofy9o
09/07/16 07:51:05 6BwFH2CS

・今回は4章 『悪魔の輪舞』の1話目、2話目投下します。
  (4章、5章は各々4話構成)
・各々6レス消費予定
・ご注意いただきたい点は>>287


317:凍える月を抱いて 4章1 ◆h4.Hpofy9o
09/07/16 07:53:26 6BwFH2CS
              4章 『悪魔の輪舞』
                 - un -


 月曜の朝は戦場だった。電車のアキラには少し余裕があったが、車で通勤する
綾は6時半にはマンションを出なければ間に合わない。
 ところが、綾の左の足首にあるアンクレットのせいでパンストが上げられない。
綾が焦っているとアキラがストッキングをパッケージごと放って寄こした。
もう綾も、何でこんな物をアキラが用意しているのかなどと考えもしない。
 焦りながらその袋を破り身に付ける綾をアキラは冷静に見つめる。

「ピル持った? 給食の時ちゃんと飲むんだよ」
「うん、分かった」
「あ、タンポン変えなきゃダメじゃん」
「え? あ? どうしよう、アキラくん早く挿入れて」

 言ってから綾はしまったと思ったが遅かった。

「すっかり馴染んだみたいだね。さぁ、座って脚を開いて……僕のモノもそんな風に
 おねだりされたいよ」
「…………ん」

 アキラに世話をやかれることを当然のことのように思っていた自分に驚きながらも
綾は羞恥で顔を赤らめながら小さく呻く。
 だが、そんな雰囲気に浸っている時間など綾にはない。綾は服を整えるとバッグを
ひっつかんで走り出す。それを追うようにアキラもエレベーターに走り込んだ。

 結果的には、アキラはいつもの電車に余裕で間に合ったし、綾も月曜で混むはずの
道路だったが、ずっと下り車線だったので通勤渋滞を横目にすいすいと、予定の時間
よりもだいぶ早く着いてしまった。
 綾が職員室に着くとそこには5年生の担任の柏木だけが出勤していた。

「おはようございます」
「あ、おはようございます……」

 綾が挨拶をすると、体育会系丸出しといった感じの、ジャージ姿の柏木が
少し驚いたように挨拶を返した。

「篠崎先生。け、今朝は、早いんですね?」
「え? ええ、途中で用事を済ませてからと思ってたものですから少し早めに出たんです」
「そ、そうですか……」

 綾も柏木もお互いにぎこちない会話であったが、他の教師が出勤してくると無理な
会話を続ける義務もなく、大人の苦い笑いを浮かべて各々の準備を始めた。

 いつもの時間にいつものように綾が教室に入ると、日直の号令で朝の会が始まる。
授業参観のお知らせのプリントを配ったりと、いつもと変わらない朝の会の終わりに
早紀が声を上げた。

「先生! 眉毛だ!!」
「え?」
「眉毛の形が綺麗になってる! それからちょっとオシャレになったよね?」

 目ざとい早紀の声に釣られ、この年頃の女の子特有の興味と遠慮のなさで
「イメチェン?」だとか「前よりずっといいよね」だとかの声があちこちから上がる。
顔を真っ赤にして照れている綾をアキラは興味なさそうに頬杖を突いて見ていた。
 ざわつく教室を授業始まりのチャイムが静めてくれたので、ほっとしながら綾は
1時間目算数の宿題プリントを回収した。
 いつもと同じように授業は進む、その変わらなさが綾に平穏な日常を夢見させても、
時折足首でチャリと音を立てるアンクレットが現実を突きつけ続けた。綾を断罪するように。

318:凍える月を抱いて 4章1 ◆h4.Hpofy9o
09/07/16 07:56:19 6BwFH2CS

 そして綾は給食の時間に忘れずにピルを飲む。この行為は、アキラとセックスするための
準備に他ならない。なぜ、こんなことをしているのか。なぜ、嫌ならば総てを捨てて
逃げてしまわないのか。いったい自分は何と何を天秤にかけてこの行動を取捨選択して
いるのか。綾は分からないままに目を閉じて、小さな錠剤を飲み下した。


 何事もなかった以前の日々のように一日が終わり、綾は職員室へ戻る途中、廊下で
柏木と会った。教室が隣なのだから別段珍しい事ではないのだが、今までならこんな時、
恐らく綾はトイレに逃げるか、何かを忘れたふりをして教室に戻ったことだろう。
でも、今日はそうしなかった。なぜなら“大人の男”が恐れる者では無くなったから……。
 地位や人や守るべきもののある人間は無茶はしないものだと綾は身をもって知った。
恐れるべき相手は安全な場所と思っていたあの教室の中にいたのだから。

「……篠崎先生」
「はい?」
「あ、いや……帰りの会、終わったんですね?」
「? ……ええ」

 分かり切ったことを取って付けたように言う柏木が、癖なのか頭を掻きながらぼそぼそと言う。

「……篠崎先生、変わりましたよね?」
「え?」
「あ、なんて言うか……先週まで俺、避けられてませんでした?」

 柏木に言われて綾は目を瞠り、自分はそんなにあからさまな態度をしていたのかと驚いた。

「え? 避けてたって言うか……」
「ほら、俺って、こうガサツでしょ? 何か先生の嫌がることでもやっちゃったかなぁって
 これでも結構悩んだんですけど……」
「そ、そんなこと全然無いですよ!」
「え? そうですか? 良かった~」

 職員室に帰るまでの間、教師になって4年目なこと、元々は県北の出身だったことなど
柏木は今までの分を取り戻そうとするかのようにしゃべり続けた。

「まぁ、俺も最初の一年は代理教員だったし、結構いろいろと情報をあげられると思うから
 何でも聞いて下さいよ」
「……あ、ありがとうございます」

 戸惑う綾の雰囲気を見て柏木がにっこりと人懐っこい笑顔で提案する。

「じゃあ、情報の交換ってことで、先生地元なんでしょ? 美味しくて安い店とか
 教えてくれると嬉しいかな?」
「あ、はい、分かりました」

 そうして二人が和やかに職員室に消えるのをアキラはじっと見ていたが、その扉が
閉まると、さっとその場を後にして昇降口へ向って歩き出した。
誰にも聞こえない音を唇で紡ぎながら……。

「すっかり“女”になっちゃって……」

その瞳に昏い翳を宿して……。


**********


319:凍える月を抱いて 4章1 ◆h4.Hpofy9o
09/07/16 07:59:42 6BwFH2CS

 綾が規定の日誌と、金澤に渡す予定の今日あったことを事細かに書いた報告を
書き終えて、マンションに帰り着いた時には7時を過ぎていた。学校を出た時間は
いつもとそう変わらなかったが、住む場所が変わってしまったせいで1時間のロスを
強いられることになった。
 “なぜ、こんな事に”と綾は事あるごとに思うが、その答えは自分が保身に走った
からだと綾を責め立てる。例え投獄され世間に淫行教師として蔑まれたとしても
アキラとのこの状況を打開するべきなのだ。綾の理性はそう言っている。なのに……
綾はそうできない自分を弱く卑怯だと嫌悪した。

 指の静脈認証でロックを外し、玄関に入ると見慣れぬハイヒールがきちんと揃えられて
置かれていた。綾はゴクリと唾を飲む。誰か? アキラの母親か? それとも他の誰かか……。
 足音を忍ばせてリビングに近づくと中から声が漏れ聞こえてきた。

「あぁ……つ、都筑様…はぁん……あぁあん、いいです…凄く太くて……」
「くすっ、太いだけ?」

 この艶声、音はリビングの中で行われている事が何なのか否が応でも綾に思い知らせる。
どうしようかと綾は躊躇する。宛がわれた自室に行くにはリビングを通らなければならない、
かと言ってここにいても帰るあの女性に会ってしまうだろう。ならば……まだ帰宅して
いなかった事にして外に出ようかと綾が足を動かしかけた時、アキラの大きな声がした。

「綾、服を脱いでバスルームに行ってて、直ぐすむから」

 綾はぎくりとして動けなくなる。立ち聞きしていた事を知られている上に、情事の
最中の部屋に入るなどとは……。

「あぁ、ひどい、直ぐなんて……」
「綾、早く!」

 強く言われて綾は反射的にドアノブを引いた。そして、そのままパウダールームに
駆け込む。綾の視界の端にリビングで絡まるアキラと女の姿が残像のように映った。
アキラの小さな体に絡めた、大人の女の長い脚がその律動に合わせて揺れる。
赤い爪がアキラの背中を這いまわる。
 過去、そんな情景は何度も見て来た。狭いアパートで母親と名も知らぬ男の交わる姿を
毎日のように見て育ったのだから。
 だが、それとは別の嫌悪の感情が綾の裡に湧きあがる。アキラの幼い躰に取り縋る
大人の女の醜悪さに、吐き気にも似た悪寒が綾の背中を這い上る。
 交わる二人の声は、そんな綾の佇むパウダールームにも追いかけて来た。

「おね、お願いです…どうか、どうか私も…あぁ…都筑様の奴隷にしてください…はぁ…あぁ」
「駄目だよ、佐々木さんはもう調教されて、上等な牝奴隷でしょ?」
「あぁん、そんなぁ……そんな事……あぁ、もう、もう、イッてしまいます……あぁ」
「いいよ、イッて、僕もイクから」
「あぁぁああ、奈美、奈美、イキますぅ。ああぁぁぁぁん」


「……佐々木さん、好かったよ」
「ホント、憎らしいくらい冷静でいらっしゃるのね。そしてお噂どおり中には出して
 下さらない」
「ははっ、まぁね。今日は無理言って悪かったね。ありがとう、気を付けて帰ってね」
「はい、こちらこそありがとうございました」

 佐々木の退出する音がすると、間もなくパウダールームにアキラが入って来た。

「あれ? まだ脱いでなかったの? 早く脱いでおいでよ」

 綾に声を掛けると、アキラは精液の溜まったコンドームを外しティッシュで包んで
ポイとゴミ箱に投げ入れ、シャワーを浴び始めた。
 綾は動かなかった。焦れたアキラが再び声を掛ける。

320:凍える月を抱いて 4章1 ◆h4.Hpofy9o
09/07/16 08:03:05 6BwFH2CS

「綾?」
「―こんなの……間違ってるわ」
「はぁ?」

 自身を抱きしめながら自己嫌悪の涙を浮かべてしゃがみ込む綾に、アキラは溜息をつく。

「綾の事情なんてどうでもいいよ、とにかく早く来なよ!」
「駄目よ。だってこんなの異常じゃない?」
「……今更なんなの? 四日目にして なに駄々捏ねてるの? 異常だったらなんなの?」
「なんなのって……だって……奴隷とかそんなの普通じゃないじゃない?
 このままだったらアキラくん……」
「あれ? 急に職業に目覚めた? 僕の将来とか言わないよね? 綾は刑務所に行きたく
 なくってそれには目を瞑ったはずだし……」
「―っ! だけど、今実感した。大人が子どもとこんなことしちゃいけない。
 アキラくん……まだこんなに小さいんだもの年相応の……」
「僕が何だって!?」

 アキラの手が綾のブラウスの胸部分をつかみ、強く引いたためにボタンが数個はじけ飛んだ。

「きゃっ!」
「残念だけど綾、多分僕はこのまま然程大きくはならないよ。母親の愛情を受けずに
 育った子どもにたまにある症例だそうだよ。だから10年後だろうがなんだろうが
 小さい僕としなきゃならない女はいるわけだ!!」
「!……ご、ごめんなさい。そ、そんなつもりじゃなかったの……」
「そもそも、これが異常なら普通って何? 今どき小学生で初体験なんてよくいるよ。
 ……綾、戦争のある国では僕より小さな子が銃を持って人を殺してる。
 それは、そこでは普通なんだよ。でも、それってこっちからみれば異常な事だよね?
 だからと言って異常だと叫ぶだけで何ができるの? 何か変わるの?
 綾は今になって急に自分だけイイコになろうとしてるけど、もう綾はこっち側の
 人間なんだよ。こっちの価値観で見ないから迷うんだ。教えてやるからおいで」

 アキラに引きずられるままバスルームに連れ込まれた綾は髪を掴まれ、いきなり
顔にシャワーを浴びせられる。眼を瞑って水から逃れようとするが、その逃げる綾の
顔を追ってアキラは執拗にシャワーをかけ続ける。

「ア、アキラく…ん……く、るし……」
「さっさと、服を脱ぎなよ。そしたらやめてあげる」

 慌てて綾がスカートを下ろすとアキラは約束通りシャワーを掛けるのをやめた。

「全部脱いで、いつものようにマンコを開け!」
「……はい」

 いつも……そうはいってもほんの三、四日ほどの事なのに綾は鏡の前に座って脚を開いた。
アキラは不機嫌さそのままにいつもより性急にタンポンを膣から引き抜いたが、それでも
膣は丁寧に洗った。

「……んぅ……」
「何? 綾、感じちゃってるの? あんな偉そうなこと言ってて?」
「……ご……めんなさい」
「別にかまわないよ、調教の始めはなかなか難しいって知ってるし、揺り返しがくるのも
 普通だから……」

 揺り返しと聞いて綾は自分の気持ちがそれなのかと疑問に思う、それとは異質な感じが
するが何がどう違うのかと問われても、答えるべき言葉が浮かばぬ以上それを表に出すことは
できなかった。
 新しいタンポンを綾にかざして見せながらアキラが説明をする。


321:凍える月を抱いて 4章1 ◆h4.Hpofy9o
09/07/16 08:05:17 6BwFH2CS

「さっきの佐々木さんはね、こんなのとか、一昨日のカテーテルとか色々な調教道具を
 作ってる所の営業さんなんだ。今日は綾のために無理言って色々持って来て貰ったから
 ちょっとお礼をね……本当に色々あるから、まぁ、楽しみにしててよ」

 挿入し終わったアプリケーターや使用済みのタンポンを持ってアキラがバスルームを
出ると、綾は声を殺して啜り泣いた。それが何に対して流れた涙であったにしても
その温かい液体とともに綾は何かを失った。

 戻って来たアキラの手には2リットルサイズのボトルといくつかの道具があった。
 アキラはイルリガートルをシャワーホルダーに掛けてゴム管をセットすると
綾に四つん這いになるように指示を出した。綾は何かを言いかけたが、眼を伏せて
四つん這いの姿勢を取った。

「綾、何されるか分かってる?」
「……ええ」
「ひょっとして見たことあるんだ?」
「……は、母が……昔……」
「へぇ~。じゃあ遠慮なく行くよ」

 覚悟をした綾の後孔に、ぬるりと湿ったくすぐったいような頼りない感触があった。
それがアキラの舌であることに気付いた綾は驚いたが、制止しようとはしなかった。
これがもし、さっきまでの綾であったなら確実に止めたであろうが、今の綾は
そうするべき“張り”を持たなかった。
 アキラの柔らかな舌で蟻の門渡りと後孔を何度も刺激され、綾が甘い声を上げる。

「……ん……あぁ……あぁん……」
「やっぱり綾には変態の素質があるんだね。お尻でも十分感じちゃうんだから」

 綾は違うと言いたかった。だが、抑えようとしても漏れ出てしまう吐息に混じる甘い声や
震える太腿や秘唇がそれを許さなかった。

「さて、お尻で感じることの証明はしたから、次は……綾、力抜いててね」

 硬い管が綾の後孔に宛がわれ痛痒を伴ってにゅるにゅると綾の排泄のための孔を広げる。

「さぁ、薬を入れるよ綾、普通は温めてから入れるんだけど、お仕置きだから冷たいよ」

 予告されたとはいえ、その冷たさに「ひゃっ」と声を上げて綾の尻が撥ねる。下腹部に
冷たい小石を詰められたような不快感に綾は唇を噛んで眉をひそめたが、薬液の注入は
綾が拍子抜けするくらいあっけなく止んで管も抜かれた。

「もう一度、いつもみたいに座ってマンコを広げるんだ」

 綾は逆らわない、けれどこういったプレイを嬉々としてこなすマゾの人間がするような
様子でもない。ただ、ロボットのように命令された行動をしているだけだった。
 そんな行動をしている自分を綾はどこか遠い所で他人がしている事のように感じていた。
 だが、綾が体勢を変えようと動いた時にそれは起こった。下腹部を絞りあげられるような
痛みが、綾を襲う。今まで経験したことのないほど凄まじい便意が綾に現実を叩きつける。

「……うっ……あぁ……」
「綾、痛い? 痛くて気持ちいいかい?」

 息をつめて綾が首を横に激しく振る、綾はそのままゆらりと立ち上がると、
バスルームから出ようとするが即座にアキラに腕を取られて制止される。

「ここで“する”んだよ、綾」

 やはりそうかと綾は俯きながら元の場所に戻りぺたりと座りこんだ。


322:凍える月を抱いて 4章1 ◆h4.Hpofy9o
09/07/16 08:08:18 6BwFH2CS
 便意は数分おきに何度も綾を苦しめたが、そう簡単に排泄する事は叶わなかった。
あまりの苦しみに“もういいじゃない”と綾自身も思うのだが、綾自身の躰は綾を
裏切り排泄を赦さず、ただ綾の後孔が達した時のようにひくひくと鋭い痛みを伴って
痙攣するだけだった。

「出せるうちに出しといたほうがいいよ。綾」
「……出したいけど……出…ないの……」
「そっか、じゃあ手伝ってあげるよ」

 バスルームの床にお腹を押さえて倒れ込む綾の秘裂を開くとアキラは金属の棒を
取り出し、それを綾の尿道に差し込んだ。一瞬、鋭い痛みと排尿感が押し寄せ、
直ぐにじわりと消えて行った。

「尿道バイブは知ってる? 見た事ある?」
「い…いいえ……」
「さすがの綾のお母さんも尿道プレイはしてなかったか。クリトリスをね、裏側から
 刺激してくれるってさ。まぁ体感してみるといいよ」

 アキラがリモコンのスイッチに触れると痛みにも似た震えが綾の尿道と膀胱を揺さぶる。

「―あぁああっ!」

 ざらつくバスルームの床に頬を擦りつけて綾は仰け反る。太腿をぴたりと閉じて
過ぎる快楽から逃れようとするのに度重なる腹痛に襲われ力が入らない。

「すごいなぁ、綾は。乳首もクリトリスもこんなに起たせて……お腹が痛くても感じるんだねぇ」
「……うぅ……お願い……トイレに……行かせて……」
「行ってもいいけど……もう、間に合わないでしょ?」

 アキラが手の中のリモコンに目を遣った直後、痺れるような振動が綾の尿道から
クリトリスに突き抜ける。綾は目の前が白くかすみ、後頭部が熱くなるのを感じた。

「あはぁぁぁぁあああっ!」

 ぶびゅっぐりゅっと、なんとも形容しがたい音をさせ、悪臭とともに綾の排泄が行われた。

「ぁぁあ、嫌、嫌ぁぁぁぁあああっ! もう嫌ぁぁぁぁあああ!!」

 綾が排泄しながら腰をくねらせ、身を捩る姿を見ながらアキラはバイブのスイッチを切った。

「ごめんごめん。イッた後もバイブを動かしてたらつらいよね? まさかウンチしながら
 イッちゃうなんて思わなくてさぁ」

 横向きに倒れたままの綾の顔を自分の方に向けさせながら悪びれもせずアキラは言う。
そしてそのまま綾の唇を貪り静かに言う。

「凄く綺麗だよ綾。綾は僕の最高の奴隷だ。さぁ、つづきをしようか?」


4章 『悪魔の輪舞』  - un -  (終)


323:凍える月を抱いて 4章2 ◆h4.Hpofy9o
09/07/16 08:14:48 6BwFH2CS
                4章 『悪魔の輪舞』
                    - deux -


 綾は胸と頬をバスルームの床に付けて腰を高く上げ後孔にチューブを挿されて呻いていた。
こぽこぽと注がれる冷たい薬液が綾の内臓を侵食し、総てを凍らせてしまうような錯覚を
起こさせた。

「おぉ~! 全部入ったねぇ、凄いや!」

 アキラは嬉しそうに言うと、チューブを外し、そのまま綾の後孔に、アナルプラグを
つぷりと挿し入れた。すぐさまアキラの手によってシュッシュッという音をさせて空気が
送り込まれ、プラグが綾の腸壁を押し広げて行く。

「―ぁ……くぅ……うぅ……」

 綾は菊びらがぴりぴりと限界まで伸ばされて行く事に恐怖を覚えた。

「綾。これでもう本当にウンチしたくてもできなくなっちゃったね」

 アナルプラグは、空気を抜かない限り外す事は不可能だろう。絞りあげられるような
下腹部の痛みに身を捩りながら綾が呻く。

「……うぁあ……あぅ……ど…して……こんな……」
「さぁ、どうしてかな? 僕も肛門の拡張はずっと後にするつもりだったんだけど……
 調教の予定を変えてみる事にしたんだ。次に綾の生理が来た時に肛門が使えるといいかと
 思ってね。そしたら、僕も綾も我慢せずに気持ち好くなれるだろ?」
「―んぅぅぅううううう!!」
「それに、お尻で悦がる女なんて、普通の男は引くだろ……」

 アキラの最後の呟きは綾には届かなかった。
 あまりの痛みに仰け反る綾をアキラは無表情に眺めている。そして尿道バイブのスイッチを
再び入れた。

「あ゙あ゙あ゙ーーー!!」
「凄いね、綾」

 過ぎる快楽が綾に更なる苦痛を呼ぶが、逆に過ぎる苦痛が快楽を引きずり出そうとも
していた。時を置いてやってくる腹部の痛みが綾の後孔の筋肉を痙攣させると、
それに同調して秘花がひくひくと花びらを震わせ、綾の脳にそれを快楽と誤認させる。
 すでに綾の意識は朦朧とし、唇から紡がれる言葉ももはや意味をなさない。
ただ、苦痛から逃れるためか何かを求めてか、綾は淫らに腰を揺らめかせ続けた。

「んぅぅぅうううう」
「そんなにいいの? 綾? だらしなく涎まで垂らして」

 綾の零した唾液をアキラは薄い舌先で掬いとって綾の口に戻す。綾は差し込まれた
アキラの舌に無意識に応え自身の舌を絡めていく。

「ふぅ……ん……あぁふ……」

 ぴちゃぴちゃとバスルームに卑猥な音をたてて大人と子どもの舌が絡まりあう。
背徳であったその光景はいまや淫美ともいえた。綾は乾いた土が雨を欲するように
貪欲にアキラの口腔を貪り唾液を啜り飲み下した。

「いいよ綾。凄く淫らで可愛い顔をしてるよ。プラグ、抜いて欲しいかい?」

 何よりも望んでいたはずの問いに綾は首を振った。だが、その顔色は急速に赤みを失い
唇の色さえ紫に変えようとしていた。


324:凍える月を抱いて 4章2 ◆h4.Hpofy9o
09/07/16 08:18:12 6BwFH2CS
「残念だけど時間切れのようだね……」

 アキラの言葉を最後まで聞かないうちに綾の意識は遠のき、ぐったりと床に肢体を
投げ出した。綾が意識を取り戻すまでに、たいして時間は掛らなかったろうが、綾の
意識が戻った時には尿道のバイブは抜かれアナルプラグのエアも排気された後だった。

「あぁ、綾。意識戻ったんだ」
「あ? 私……?」
「ん、貧血だね。今プラグ抜くから全部出すといいよ」

 アキラの言葉通りプラグが抜かれ、綾の排泄が始まった。ほとんど薬液のみの
液体が勢いよくシャーシャーと排泄されて行く。
 アキラは、総て出しきって放心状態の綾を綺麗に洗いバスタブに入るように言う。
綾が言われたままにバスタブに入ると溢れ出た湯がまだ残っていた綾の排泄物を
一気に排水溝へと押し流した。
 消臭剤を撒いた後、シャワーで流しているアキラをけだるそうに見ながら綾が口を開いた。

「―アキラくんは……」
「ん?」
「動物の世話とか上手よね……」
「何それ? 自分が動物だって言いたいわけ?」
「……ううん。ハムスター……可愛がってたから」

 綾の言っているのは、クラスで飼育していたハムスターの事だ。転校したての
アキラを早紀が誘って飼育係に無理やり入れた。1週間交代の世話係だったが、
アキラの当番の週はケージも餌も綺麗に整えられ、普段溜まりがちな食べ残しの餌や
糞などが翌日に残っている事など無かった。

「あぁ……もう、死んじゃったけどね」

 ふっと息を吐いてアキラの目線が下がる。そうハムスターは死んでしまった。
アキラの翌々週の当番の子がケージにきちんとロックを掛けずに帰り、夜の間に
抜け出したハムスターは運悪くバケツの水に落ちて死んでしまった。
そして、ケージは片付けられ今は何も飼育されていない。

「さて、綾。上がっておいで。そして四つん這いになって僕に肛門を見せるんだ」
「……え?」
「肛門も使えるようにするって言ったじゃないか。来月にはちゃんと使えるように
 してあげるから、さあ!」

 綾はふらつきながらバスタブから出てアキラの眼をちらりと窺う。冗談では無いのだと
その眼は言っていた。綾が四つん這いの姿勢をとると、アキラは綾の菊花にジェルを
塗りこめ、その指をくねらせながらその花の中心に潜り込ませていった。

「……ふぅ……んんん……」
「僕の指でも2本が限界か……少し解すからね」

 アキラは無意識に閉じようとする綾の菊花を押し広げるように指をまわして解して行く。
その刺激が綾の秘唇をひくひくと淫らに震わせる。

「……綾。もう一度プラグを入れるから、これからはずっとこれを入れて置くんだ」
「え? ずっと? ……が、学校でも?」
「そうだよ。学校でもだ」

 振り返った綾の瞳が不安に揺れる。

「これは、自分で取り外しできるから、もしもの時は自分で外せるよ。まだ一番小さい
 物だし綾でもそれほど負担にはならないと思うよ」

 綾はこくりと頷いてそれを受け入れた。否はけして許されないと既に学んでしまっていたから。

325:凍える月を抱いて 4章2 ◆h4.Hpofy9o
09/07/16 08:19:55 6BwFH2CS

 翌朝、綾は予定の時間よりも早く目覚めた。本当のところ、余り眠ることができずに
諦めて起き出したのだ。後孔を圧迫する違和感に一晩中深い眠りは訪れなかった。
背中を向けて寝ていたアキラの方を振り返れば、アキラも綾に背中を向けて、まだ寝息を
立てていた。
 朝の光の中にアキラの白い背中が滲む。その白い背中に綾は幾筋かの古い傷跡を見つけた。
(爪痕……?)
 昨夜の佐々木とアキラの交わる光景が思い出されて綾は顔を赤らめベッドの上に
起き上がった。途端に後孔に違和感が走る。綾が低く呻くとアキラは寝がえりをうって
眠そうな声をあげる。

「……おはよう綾」
「……おは…よう…アキラくん」

 プラグは一番小さい物だと聞いているがそれでも違和感は否めないようで、
起き出した綾の歩く姿もどこかぎこちない。
 二人とも早めに起きたのできちんと朝食を摂り、出かける前にアキラが綾のプラグの
異常がないか確認し、膣内のタンポンを入れ替えた。

「4日目だと急に少なくなるね。早く終わらないかなぁ、終わったら直ぐに僕の挿入れるからね」

 待ち遠しそうに綾の瞳を覗き込むアキラに綾は「ええ」と承諾の意を表した。

 前日の慌てぶりが嘘のように落ち着いて2人は登校したが、綾はプラグが気になって
仕方がない。授業の間も体勢を変えるたびにその存在を感じてしまい、その度に綾は
顔を上気させ、瞳を潤ませた。
 その色香はクラスの子ども達をざわめかせ、お喋りな女の子達は「きっと彼氏が
できたんだよ」などと賑やかな推理の華を咲かせていた。

 翌、水曜日になると子ども達にも分かる綾の艶やかさは柏木を直撃し、彼の落ち着きを
完璧に失わせていた。帰りの会終了後、職員室へ戻る廊下で柏木が小声で綾に質問してきた。

「あの……篠崎先生?」
「はい?」
「そのぉ…子ども達が言ってたんですが、篠崎先生に彼氏ができたらしいって」
「はぁ?」
「あ、いやその、急に綺麗になったから……って、これじゃあセクハラだよなぁ……」
「くすっ、何ですかそれ? 彼氏?」

 綾の返答に明確な否定は無かったが、声の調子からそんな者はいないのだと柏木は判断した。

「あ、あのそう言えば例の件」
「え? あの? ……ごめんなさい。 ……何の事でしょうか?」
「あ、いや、安くて美味い店を紹介してくれるって話……ですが、金曜あたりどうでしょう?」

 綾は、社交辞令だとばかり思っていたので正直驚いたが、日頃あまり誰かに頼られる事も
ないので軽い気持ちで別にいいかなと思った。

「先生いつも5時ごろまで書類書き掛かるんですよね? その後がいいかと思うんですが?」

 商店街をほんの30分ほど案内すれば済むかと綾は安易に頷いた。
その様子を見ていたアキラが溜息混じりにつぶやく。

「ほんと、綾は押しに弱いよね」

 その日の夜、綾の後孔に挿されたプラグのサイズがひとつ大きくなった。
綾を啼かせながら。

 木曜は表面上、特に変わったこともなく一日が終わり、アキラも綾の負担を増やしたりは
しなかった。

326:凍える月を抱いて 4章2 ◆h4.Hpofy9o
09/07/16 08:21:55 6BwFH2CS
 金曜の朝の出かけるアキラは綾の目から見て、理由は分からなかったが少し上機嫌に
見えた。柏木はもっと上機嫌で朝のうちに夕方の予定を綾に再確認してきた。

 5時を過ぎていつものように綾を残して他の職員が家路に着くと、児童数の少ない
学校の、小さな職員室とはいえ綾一人には広々として見えた。
 綾は最後の書き物を済ませると机の上を片付けバッグを持った。すると不意に背後から
声が掛かる。

「やっと終わったの?」

 いつからそこに立っていたのか扉に寄り掛かりアキラが立っていた。

「え? アキラくん。まだ帰って無かったの?」
「少しでも時間が惜しくてね。でも一生懸命頑張ってる綾の邪魔はしたくなかったから
 書類を書き終わるのを待ってたんだ」
「でも、私これから……」

 ずかずかと進むアキラを目で追いながら綾は柏木との約束の事を言おうとしたのだが
アキラが柏木の机の上にバッグを置いたのを見て目を瞠った。
 言葉を失った綾を余所にアキラはバッグの中からビデオカメラと小さな三脚を取り
出して柏木の隣の机にそれをセットする。

「アキラくん……何やって……」
「え? 見てればわかるよ。綾、ケータイ出して」

 言われて綾は携帯電話をアキラに渡した。アキラはそれを柏木の机の上に置いて綾に命じた。

「綾、裸になってこの柏木の机の上に四つん這いになれ」
「なっ?」
「主との約束よりもこんな男とのデートを取るの? 綾?」
「や、約束? デートだなんて、そんな……」
「時間と場所を決めて出かける事をデートって言うんだよ、綾。だから主に断りなく
 勝手なことをする綾にはお仕置きが必要だと思ってね。さぁ裸になるんだ。嫌なら
 僕が裸にしてあげてもいいけど?」

 アキラの視線は机の上のペン立ての裁ちバサミを捉えていた。綾は急いで服を脱ぎ
ショーツとストッキングだけの姿になってアキラの前に立った。

「そのパンティもだよ綾。そしてこの上にカメラの方を向いて四つん這いになるんだ」

 綾がストッキングだけの姿で柏木の机の上に四つん這いになると何かがヒュッと
空を切り、綾の白桃のような尻肉に熱をもった痛みが走った。

「あっっ!」

 綾が振り返ってその痛みの元を探ると、それはアキラの手に持たれた鞭から
もたらされていた。鞭は何度も空を切って撓り綾の白い二つの丘に赤い線を刻む。

「はぁっ! あぁっ!」

 綾は、衝撃が走るたび仰け反り、手をぎゅっと握ってその焼ける痛みに堪える。
綾の尻肉に走る赤い線の中にぽつぽつと細かな血を滲ませるものが表れてきて、
アキラはやっと叩くのをやめた。

「生理が終わったら…直ぐに挿入れるって約束したのに、綾は本当に悪い奴隷だよ」
「でも、まだ―っ!」

 アキラはゆっくりと綾のタンポンを抜き取りそれを綾の鼻先にぶら下げた。

「―どうやら、生理は終わっているようだよ綾」

327:凍える月を抱いて 4章2 ◆h4.Hpofy9o
09/07/16 08:30:21 6BwFH2CS

 アキラの濡れた舌が綾の鞭跡を優しく舐める。じんと甘い痺れがそこから広がり
綾に媚態をとらせる。

「んぁ……あん、はぁ……」
「綾がいけないんだよ……だから、こんな…酷い事をしなくちゃいけなくなる」
「……ごめんなさい……あぁ……」

 後孔に納めたプラグを揺すられながら受ける愛撫に綾の秘裂はとろとろと蜜を零し
柏木の机にポタポタと染みを作って行った。
 柏木先生ごめんなさいと心の中で謝りながらも、綾は沸き起こる快楽に抗う事が
できなかった。アキラの指が膣に挿入され、綾の弱い部分を擦りあげると、綾は瞳を
潤ませ息を荒くして腰を揺らめかせた。

 突然、綾の携帯が電話の着信を知らせる。アキラは綾の膣を嬲る指を休めずに、
空いた手で携帯を取ると発信者を確認してから、ニヤリと笑って綾に渡した。

「柏木だよ」

 渡されて綾は戸惑いながら電話に出る。

「はい……篠崎です……はぁ……」
『あっ、柏木です。どうも、まだ掛かりそうですか?』
「ええ……あのっ……急用ができて…しまって……はぁ……」

 気を抜くと媚声が漏れてしまいそうになるのにアキラの手は休むどころか、
綾の弱い処を擦り続け次々に蜜を掻き出して行く。

『え? 急用ですか? ああ、なんか息が上がってますね……ひょっとして走ってます?』
「……んはぁ、はぁ……ええ……」
『大変ですね、分かりました。じゃ、またの機会にお願いします』
「…はぁ…はい。本当に…はぁ、申し訳ありません……はぁ、はぁ……」
『や、いいんですよ、こっちこそ無理なお願い言ってしまって…それじゃ』

 柏木の電話が切れると同時にアキラがプーッと噴き出した。その嗤い声を聞きながら
閉ざされた綾の瞳から涙が一筋つぅっと零れ落ちた。

「間抜けだよね。好きな女が自分の机の上で、ケツにプラグを入れられて腰を振りながら
 愛液を垂れ流して、悦がってるって言うのに……」
「……アキラくん…もう……許して……あぁ、はぁあ……」

 アキラは綾の膣から指を引き抜くと、綾の蜜でふやけきった指先を舐めて、
綾に仰向けになるように指示を出した。それからカメラの角度を調整し、自分も
全裸になって柏木の机の上に乗った。

「今日は、僕のでイク綾の顔を撮りたいな」
「……む、無理…よ……」

 前回の苦痛でしかなかった交わりを鮮明に覚えている綾は否定の言葉を口にするが
アキラは意に介さない。

「無理でも、イクまで何度でも突いてあげるよ。だから綾、僕のチンポでイク顔を見せてね」

 充分過ぎるほどに濡れて蜜を零す綾のとば口にアキラの躰に不似合いな巨大な
ペニスが宛がわれる。それは何の迷いもなくずぶずぶと綾の中に沈められていった。

「あはぁぁぁぁぁああ」

 苦痛とも悦びともつかない声が綾の唇から洩れる。


328:凍える月を抱いて 4章2 ◆h4.Hpofy9o
09/07/16 08:35:17 6BwFH2CS
 初めての時の焼けつくような痛みは無いものの巨大な剛直でミシリと広げられる感覚と
内臓を押し上げる圧迫感に加え、後ろに挿されたプラグの存在感が綾を苛む。

「遠慮なく動かせてもらうよ綾。もう待てないんだ」

 綾の揺れる乳房を吸いながらアキラはただ真っすぐに道を作るように突き上げる。
その突き上げが子宮を転がすたびに綾は痺れるような快楽を感じていた。

「……ぁん…あぁ……」

 ざらつく肉壁と子宮の入り口を交互に擦られて、綾の口からは徐々に苦痛の声が消え
嬌声だけが紡がれる。

「だめ、だめ……アキラく……ん……そんなにしちゃ……あぁあっ!」
「駄目って言われても、こうすると綾の中がざわざわ動いて気持ちがいいんだもの
 止められないよ。あぁ……綾は最高だ」

 極太の男茎に無理に押し広げられた秘裂が歪み紅く膨れたクリトリスが引き寄せられ
擦られ甘い刺激を綾に伝え徐々に登りつめさせる。

「こんな…とこで……だめ……だめなのに……あぁぁ……」
「だめなのに?」
「き、きちゃうぅ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーっ!」

 爪先をぴんと伸ばし仰け反る綾にアキラが嘲りの言葉を投げつける。

「あ~あ、綾イッちゃったんだ? 無理って言った割にずいぶん早くイッちゃって、
 それにしても、小学生のチンポをこんなに深く銜え込んで職員室でイッちゃうなんて、
 いけない教師だね。そんなアヘ顔さらして、そんなに気持ち好かったんだ?」

 綾の蜜壺が、まだきゅうきゅうとアキラの牡を締め付け続けているのにアキラはまた動き出す。

「嫌でも何でも綾は感じてる。またイキそうなんじゃない? ほら、今度は僕も一緒に
 イッてあげるから……」

 達したばかりの肉壁を擦りあげられ、ぐちゅぐちゅと音を立てて激しく子宮を
突かれてはひとたまりもない。綾の躰は理性を裏切りあっけなくアキラに屈服する。
達してわななく蜜壺はアキラの精子を一滴残らず絞り取ろうとするかのように収縮を
繰り返す。アキラはその心地よい動きに抗わずに己が子種を吐き出し続けた。
 その若さゆえに達しても未だ衰えないアキラはきつく締まる綾の秘肉を削るように
勢いよく腰を動かす。大きく張り出したカリが泡立つ愛液と精液の混じる液体を
びちゃびちゃと柏木の机の上に掻き出して行く。

 そうしてさんざん綾を啼かせたアキラは、もう一度綾を高みへと押し上げ綾の最奥に
慾を放って満足したのか、ようやく己を引き抜いた。
 ぱっくりと開いた綾の秘唇が余韻に震えてコポリと白濁を吐き出すとアキラは綾の頬を
撫でて唇を重ねた。喘ぎ過ぎて乾いた綾の口の中をアキラは湿った舌で撫で上げ、潤す。
アキラが唇を離してもだらしなく開いたままの綾の口の中に、アキラはタラタラと唾液を
注いでやった。綾はそれを恍惚とした表情で飲み下し、アキラはその綾の顔に満足して
カメラに向かってニヤリと笑んだ。

4章 『悪魔の輪舞』  - deux -  (終)


329:名無しさん@ピンキー
09/07/16 17:55:33 SOkcn49n
読み応えあるねぇ

330:名無しさん@ピンキー
09/07/17 03:24:40 sEqKF2G5
とりあえずプリントアウトした
かなり気に入ッ…たッ…

ふぅ…

331:名無しさん@ピンキー
09/07/18 11:34:29 FS/+I+16
メインCPもサブCPも、全部アキラ中心なんかな
とりあえず、続きが楽しみだ!GJ!!

332:名無しさん@ピンキー
09/07/18 22:21:10 0KPOXMK9
おねショタ総合スレにおねショ氏が降臨してるwww

333:名無しさん@ピンキー
09/07/19 06:14:23 sqMq57Sq
ところでこのジャンルのSSを読む時、ガキとお姉さんのどちらに感情移入してる?
オレはお姉さんの方なんだが。

334:名無しさん@ピンキー
09/07/20 01:57:31 VBO0ugdQ
半分ずつ。行為はガキで心情はお姉さんで同時に。
「すげーこんなきれいなおねえちゃんエッチなことしてる!肌すべすべで気持ちいい~」チュパペロスリスリパコパコ
「(こんな子供に抱かれるなんて最悪!もうやだぁ、離れてよお)」



335:凍える月を抱いて 4章 ◆h4.Hpofy9o
09/07/20 17:11:44 GYfN/+Hn

感想ありがとうございます。
とても励みになります。

・今回は4章 『悪魔の輪舞』の3話目(8レス消費予定)、
 4話目(4レス消費予定)を投下します。
・ご注意いただきたい点は>>287


336:凍える月を抱いて 4章3 ◆h4.Hpofy9o
09/07/20 17:15:57 GYfN/+Hn
                4章 『悪魔の輪舞』
                   - trois -


 結局、綾はその後日も柏木を案内する事はなかった。ただ、社会科の学習よろしく
簡単な地図と店の名前や特徴を書いたメモを渡して柏木に謝った。案内できない理由を
「要領が悪くてなかなか時間がとれなくて」と仕事にすると、柏木は「返って忙しいのに
済みません」と恐縮していた。
 柏木の平凡で幸せな家庭に育った人間特有の明るく楽しい人柄が綾の目には眩しく映った。
 アキラが言うように柏木が綾を好いているなどと綾には思えなかったが、時折自分の
置かれた状況からの逃避で“もし”と思ってしまう。
もし柏木が綾の事を思っていて、もし綾が柏木を愛する事が出来れば……
そうすれば、自分もあの眩しい世界に混ぜて貰えるのだろうかと……。


**********

 7月に入って数日でアキラに渡されたピルは飲みきられた。アキラによれば2、3日の
間にまた生理がやってくる。それは、またあのアキラに世話をされる日々が来るのと同時に
後孔でアキラを受け入れなければならない日が来ると言うことだ。
 綾は溜息をついた。

「え? 今の溜息? 喘いだわけじゃないよね?」
「……ご、ごめんなさい」

 綾は温められた液体を苦しいくらい腸に流し込まれながら謝った。

「こんな状況で考え事なんて随分余裕がでてきたね」
「……そんな、余裕なんて……」

 アキラは綾の後孔からチューブをゆっくり引き抜くと綾の腕を取って引き起こし
その胸に手を伸ばす。

「胸、少し大きくなったね。体も随分エロくなったし」
「ア、アキラくんのせいじゃない……」
「そう、僕のせいだよ。綾をこんなに綺麗に淫らに変えたんだ。膨らんだお腹もまるで
 妊娠してるみたいで妖しいよ」

 顔を赤くして俯く綾の、起立して震える乳首に舌を這わせながらアキラは満足げに言った。
アキラの愛撫の途中で綾の肌が泡立つと、アキラは顔を上げて綾の瞳を覗き込む。

「綾、もう出したい?」

 綾は微かに呻きながら、こくりと頷く。

「そっか、じゃ今日は僕に掴まって」
「……だめ、アキラくん汚しちゃう」
「汚しても大丈夫だから、さぁ綾」

 綾は膝立ちしたアキラの肩に腕をまわして自分も膝立ちのまま腰をなるべくアキラから
離して次の便意の波を待った。アキラは羞恥で赤らむ綾に唇を重ねる。綾は涙ぐみ蕩けた
眼差しでそれを受ける。
 排便の波が訪れると綾は絡めた舌を急に離し「あぁっ」と呻いて仰け反った。直後に
勢いよく腸内の物を排出する。異音を発して断続的に排出される物を横目で見ながら
アキラは何事もなかったように、差し出されたまま震えている綾の舌を吸ってより深く
舌を絡め、小刻みに震える綾の躰を小さな手で支えた。排便と言う喪失感を埋めるように
綾もアキラの舌を震えながらも貪る。


337:凍える月を抱いて 4章3 ◆h4.Hpofy9o
09/07/20 17:22:25 GYfN/+Hn
 排便しながら軽く達してしまった綾の腕が弛緩してアキラの背中をずるりと滑る。
その指先にアキラの背中の傷痕が触れた。この傷を付けたのは誰なのだろうかと気だるい
躰を起こしながら綾は思った。そしてまたアキラの背中を這う佐々木の赤い爪がフラッシュ
バックのように綾の脳裏に浮かび、それは綾の瞳に憂いの揺らめきをもたらした。

 いつものように綾の出したモノをシャワーの水量を最強にして流しながらアキラが訊く。

「どうしたの? ピルやめてるのが心配?」
「ううん。それは普通の休止期間だって分かったから大丈夫」
「じゃ、もうすぐ代理教員の期間が終わるからとか?」
「……ぅ…ん」

 それも寂しく思っている事は確かなのだが、綾を沈ませている事は他にあった。だが、姉が
気遣ってくれていた子どもの頃はともかく、誰かに自分の気持ちを問われた事などなかった
綾にはこの感情を上手にまとめて伝える事などできるわけもなく、ただ曖昧に頷くしかなかった。

「なんなら、金澤先生辞めさせちゃおうか?」
「えっ!? 何言ってんのアキラくん! そんなの駄目だよ!」
「冗談に決まってるじゃない。……変な綾。さてと消臭剤、撒かなくても大丈夫かな?」

 くんくんと鼻を動かすアキラに、アキラくんのは冗談に思えないんだから仕方ない
じゃないと思いながら、綾はバスルームの匂いを嗅ぐ。普通の糞便の匂いはしないが、
綾の出したモノ特有の甘ったるい匂いがした。

「臭くはないけど、綾は厭かな?」

 恐らく佐々木の会社の製品なのだろうが、毎日アキラの手によって綾の腸に注入される
薬液は特別製で乳酸菌とオリゴ糖をふんだんに含み、綾の腸内細菌バランスを塗り替えて
しまった。それは綾に体臭の変化と妖しいくらいの美肌効果をもたらした。
 アキラは綾の顔を悪戯っぽく覗き込みながら消臭剤をシュッシュッと撒き散らす。
一瞬、酢のような香りがして、シャワーで流された後は湯の香りしかしなくなった。

 いつものように鏡の前の台に、綾を座らせたアキラは綾の秘裂を丁寧にそっと舐め上げる。
肉びら一枚一枚に舌を添わせるようになぞると、綾はその快楽に応えてくちゅくちゅと蜜を
零し続けた。アキラはその蜜を二本の指にからめ滑らせるように後孔に挿しこみ蠢かせる。
開かれた綾の脚が蝶が羽ばたくようにふわふわと揺らめき快楽の度合いを示す。

「んぁ……はぁ……」
「綾先生。こんなに腰を振って…とっても淫らですよ」
「アキラく…ん……酷い……あぁあ……」

 綾が潤んだ瞳でアキラに抗議するとアキラは後孔から指を引き抜いて、
綾の痴態にいざなわれて起立した自身を綾の蜜壺に差し入れた。

「あぁぁぁあああん」
「あぁ、熱くて気持ちいいよ綾。他の誰よりも気持ちいい」
「い……言わないで……」

 綾は誰かとなんか比べられたくないと思った。アキラに比べられる事で性欲処理の道具で
あると実感してしまうのがつらかった。翳を帯びて閉ざされた綾の眦から涙が一筋零れた。

 アキラは綾の心が掴めずに苛立っていた。綾が何かを秘めていることは分かっていたし
綾という人間が誰かに頼るとか相談するとかそういったことができない人間であることも
この関係を強要する前に気付いていた。それができないからこそ、この関係が成り立って
いるとアキラは確信している。だが、何かに悩みうち沈む綾を見るにつけ、物言えぬ小動物が
手の中で弱って行くような焦りをアキラにもたらした。
 教え子としか思っていなかった小学生に強姦され、その後も関係を続け、それどころか
辱めを受けている事が何よりの悩みになりうるのだろうが、それに関しては綾を解放して
やるわけにはいかない処に来てしまったと、アキラの律動に合わせてカチャカチャと小さく
音を立てる綾の左足のアンクレットが言っていた。

338:凍える月を抱いて 4章3 ◆h4.Hpofy9o
09/07/20 17:27:04 GYfN/+Hn
 その焦りや苛立ちをぶつけるようにアキラは凶悪なまでに硬く太い自身を綾の奥に
突きたて続けた。

「あぁ、あぁん、はぁ、はぁ、アキラく……激し…い……」

 職員室で犯し尽くして以来、綾の躰はこんなにも自分を受け入れて乱れるように
なったのに……堕ちたと思うのにとアキラは綾の最奥で暴虐をつくす。

「あぁっ…そんなにしたらっ……あぁあ、駄目、駄目、あああぁぁぁぁぁぁああ」

 人の持つ器官とも思えないような蠕動と締め付けを繰り返しながら綾の肉襞が
アキラに絡みつく。アキラは小さく何度か呻き、ぶるりと震えて綾の胎内に欲望を
吐き出した。
 男女差なのか年齢差なのか、それとも単なる個人の問題なのか、綾の陶酔時間は
アキラのそれよりかなり長い。綾がトロリと蕩けてふわふわと意識を漂わせている
様子を十分観察した後、アキラがペニスを引き抜く刺激で綾はやっと正気に返る。

「……あん」

 抜け出たアキラを追うように花びらがひくりと蠢きアキラの慾をどろりと吐き出した。
アキラはその白濁した粘液が流れる先を見つめた。

「綾、プラグはしばらく使わない」
「……どう…して?」
「思ったより拡張が上手くいってないし…と言っても普通サイズなら入ると思うよ。
 柏木の租チンなんかだったら余裕だよ」

 そう言ってアキラは残酷に嗤う。あの職員室での交わり以来アキラは何かと柏木の
名を出した。それは、うかつな綾を責めての事だった。
アキラが言うには綾は美人でもないくせに男を惑わすクレオパトラみたいな女なのだとか
『僕だって今まで女性に無理やりした事なんか無かったのに綾のせいでこのざまだよ』
などと嘯く。
 綾はプラグから逃れられて安堵した反面、少しの不安を感じた。そしてその不安をまた
何も言わずに澱のように心の底に積もらせた。

 ブランチは綾の作った少し焦げたハンバーグに野菜をそえた物とご飯に味噌汁。
今や綾よりも箸使いの上手くなったアキラの食べる様子を、隣に座って綾はぼんやりと
見ていた。食事を前にして箸の進まない綾にアキラは声を掛ける。

「綾、冷めるよ」
「……うん」

 ここ1週間ばかり綾はこの調子であまり食べなくなった。アキラはもともと華奢な
綾が一回り小さくなった気がして苛立ちを募らせる。いっその事こんな関係は嫌だと
泣き喚かれた方が対処法があって楽というものなのに、じっとりとうち沈まれては
ただ……ムカつく。
 アキラはハンバーグを口に運ぶとパチリと箸を置き、綾の顎を押さえて咀嚼した物を
その口に押し込んだ。綾は突然の暴挙に慌てたようだったがそれでも押し込まれた物を
二、三度噛むと嚥下した。
 吐き出される事を予想していたアキラは少し驚いた顔で一瞬固まったが「ちゃんと
食べなよ」と文句を言って箸を持つとまた食事を始めた。
 綾はアキラが野菜を口に運んで咀嚼を始めるとそこへ口を寄せた。そしてアキラの
唇をそっと舐めてアキラの噛んだ物を分けて貰った。その行為は何度も繰り返され、
綾の物を含め総ての食器が空になるまで続いた。そして……アキラはついにキレた。

「なんなの!? 僕は親鳥か!?」
「―ありがと」

 怒るアキラに礼を言うと、綾は食器を片づけるために椅子から立ち上がった。その頬に
涙が一筋流れたのを垣間見てアキラはまた「……なんなの」と呟いた。

339:凍える月を抱いて 4章3 ◆h4.Hpofy9o
09/07/20 17:30:35 GYfN/+Hn

 月曜になり生理の訪れとともに綾のふさぎ込みようは一気に悪化した。普通の女性でも
生理中は憂鬱なのだから綾の置かれた状況を考えればふさぎ込んでいても不思議はないが
アキラは心配でならなかった。無茶を強いて壊れてしまった奴隷の例をいくつか知って
いるがそれに当てはまりはしないかとパソコンを開いて検索してみる。何と言っても綾は
アキラが一から調教をしている構想一カ月、調教一カ月の奴隷なのだから。
 一時間ほど調べてとりあえずは該当するものが無いことに一応安堵してアキラは
メールのチェックを始める。アキラの秘密のアドレスに届いているメールは総て
『ハード調教用新製品』や『ぜひ私にも調教を』などと、いかがわしい事この上ない。
 丁度アキラが『一日でもよいのでお相手を』のメールを開いている時に綾が紅茶を
運んで部屋に入って来た。綾はパソコンの画面を一瞥するとふうっと溜息をついた。

「これはメンバー全員に送られてる調教の仕上げの手伝いを求めるメールだよ」
「…………」
「主の命令通り貸し出された先できちんと肉奴隷の役目を勤められるかどうか見るから
 誰か手伝って欲しいって事」
「貸し出し? …………私もいつか……貸し出されるの?」
「綾を? まだ全然調教してないも同然だもん無理だよ。それに僕は誰かの手の入った
 奴隷なんて興味なくなるし……」
「……そう」

 綾はアキラの部屋を静かに出て行った。そして、アキラの言った事を考える“まだ”
ということは、いずれは貸し出す気があるのだと、そしてそうしたら興味を無くしてしまう。
綾は捨てられるという事だ。その事を考えた事が無かったといえば嘘になる。
 アキラの年齢を考えてもそう遠くない未来にそれが起こっても不思議はないと思っていた。
だからそうなっても元に戻れるようにと頑張ってきたが、アキラに拓かれて肉付きまで
変えてしまった躰をかかえてどうやって元の生活に戻るというのか……。
 自分も母のように自分を満足させてくれる男を求めて堕ちて行くしかないのか……。
昏い思考はどんどん悪い事ばかり考えだす。生理の間アキラの相手ができないと言う事は
アキラはまた佐々木のような女性を呼んで処理するのだろうか、そしてまた自分は
比べられ、結果向こうが良ければ捨てられてしまうのだろうか……。
 そもそも、こんな事を考えること自体おかしなことだ、自分はアキラの恋人でも何でもない
 そこまで考えて綾は自嘲した。これではまるで嫉妬に身を焦がす愛人ではないか
―小学生相手に……。

 この夜、綾は広いベッドの端でアキラに背を向けて声を殺して泣いた。
それはこんな状況ではなく、柏木のような普通の男と恋愛をして結婚をすれば
得られたであろう“普通の幸せ”に対する訣別の涙だった。

 金曜日になると綾の生理も終わり、その間アキラが他の女性を呼ぶこともなく綾の
気持ちも少し浮上した。アキラは綾の鬱の原因はやはり生理だったのかと思いかけていた。
だが、昼休みの終わりに教室に入ろうとして、早紀と綾の会話を立ち聞きしてしまう。

「先生、最近綺麗になったってみんな言ってるけど、カレシできたんでしょ?」
「え? まさか! あー早紀ちゃんかそんな噂言ってるの。柏木先生にも訊かれちゃったよ」
「あたしだけじゃないよ。みんな言ってるもん。てか、えー先生カレシいないのぉ?」
「んー……片思いはしてるけどね……絶対叶わない片思い……。これはヒミツね」
「ええっ!? 先生片思いしてんだ……うん、あたし誰にも言わないよ!」

 綾も早紀が黙っているとは思わなかったが、自分はあと2週間もしないうちに
ここを去るのだから噂になったとしても別にかまわないと思ったのだ。

 アキラは廊下に佇んで唇を噛み、怒りに震えていた。
うち沈む綾を自分が心配しているその裡で、綾は誰かを思っていたというのか……
 アキラの胸中に御しがたい昏く冷たい感情が湧きあがる。
綾は自分の奴隷だ、勝手に誰かを想うなどそれが誰であっても赦すものかと……。


**********


340:凍える月を抱いて 4章3 ◆h4.Hpofy9o
09/07/20 17:33:55 GYfN/+Hn
 綾がマンション帰るとアキラはリビングでテレビゲームをしていた。

「ただいま」
「お帰り」

 にこりと笑んで返事をしたアキラに、綾は違和感を感じたが、すぐに自室に入り
荷物を置いて部屋を出た。
 綾がリビングに戻ると、アキラはゲームを片付けたところで、綾に手を差し出して
バスルームへといざなった。

 綾をバスルームの床に膝立ちさせるとアキラは唇を重ね、舌を差し入れた。
綾は舌を絡めようとアキラの舌を追ったがアキラはそれを無視し逃れるかのように
一度も絡め合うことなく綾の口内を移動し続けた。

「ん……ふぅ……」

 アキラの唇が離れると綾は潤んだ眼差しをアキラに向け、紅く濡れた唇から熱い吐息を
洩らし、軽く開いた膝の間には糸を引く粘液を滴らせる姿はまさに淫靡であった。

「まったく、キスくらいでこんなに淫汁垂れ流して一体なに想像しながらキスしてたの」

 赤くなって俯く綾にアキラは冷たく言う。

「綾、綾は僕の何?」
「……あ……に、肉奴隷……」
「そう、肉奴隷、肉便器だ。今から僕のおしっこを綾に出してやるから受け止めるんだ」

 綾はアキラの尿を膀胱に注がれた日の事を思い出し快感の予感に身震いした。
だが、綾の予想を裏切って、アキラは綾を四つん這いにすると後孔に器具を差し入れ
キリキリとレバーを回してその孔を広げはじめた。

「……ん―っ!」

 痛みに綾が顔を歪める。それを見ずともそこが綾の広がりの限界だとアキラにも
分かった。普通の男根であれば受け入れられる大きさの孔。アキラのモノを受け入れる
には小さすぎる孔。自分だけが拒絶されたようでアキラは益々苛立つ。
 綾は腸壁が空気に触れ、冷える感覚を初めて知った。それと同時にアキラの苛立ちも
感じた。アキラは綾に苛立ちをぶつけている。他の誰かではなく、自分にその感情を
ぶつけてくれた事に綾は微かな喜びを感じていた。少なくとも今の自分はアキラに
必要とされている。そう思うことができた。

「さて、僕の肉便器におしっこを出すよ」

 アキラは綾の後孔に据えた器具にぴたりと自身を宛がい目を細めて金色の水流を迸らせた。

「あぁぁーー熱いぃぃ!!」

 外気に触れて冷えていた綾の腸壁に子どもの体温で温められた尿が注がれる。
それは綾には灼熱の液体に感じられた。
 アキラの排尿が終わり、後孔を開いていた器具が外されると綾のそこは何事も
なかったかのようにじわりと閉じて行った。その様子を無表情に見つめていたアキラは
そのまま綾の蜜壺に自身を挿した。そして綾に胸を床に付けるように指示をし腰を振った。
 綾はこのいつにない性急な挿入に驚いたが、それよりもこの体位が恐ろしくて仕方なかった。

「―っ! 痛、痛いよ! アキラくん嫌ーー!!」

 そう、この体位で突かれると綾の膣奥には激痛が走るのだ。アキラもその事は
知っていたはずだし、忘れていたとしてもこの綾の悲鳴を聞けば分かるはずだ。
だが、アキラは止めない。それどころか突きを激しくし、尻を高く上げた姿勢の綾に
上方から突き下ろす。

341:凍える月を抱いて 4章3 ◆h4.Hpofy9o
09/07/20 17:36:43 GYfN/+Hn

「嫌、やーーっ!! やめてっ! お願いっアキラくん! ああーーっ!」

 下腹部から胸を突き抜けるような痛みがアキラの抽挿に連動して起こる。痛みの中で
バスルームの床に頬を擦りつけて涙をぽろぽろと零しながら綾がアキラを見ると、
アキラは唇を歪めて嗤っていた。

「うるさいよ、綾! 便器はしゃべらないし悲鳴もあげないよ!」

 言われたところで、この苦痛からの叫びはとどめようがなかった。
そんな中アキラがまた角度を変え、もっと上方から突き込んだ時、それは起こった。
ぷつりと何かが切れたような感覚と衝撃。綾は一瞬内臓を突き破られてしまったのかと
恐れたが、そうではなかった。次に訪れたのは凄まじい快楽!

「ひゃぁぁぁぁあああっ!! あ゙あ゙あ゙」

 もう綾のあげるその声は人の物とは思えなかった。アキラもカリ首を引き絞る新たな
締め付けに差し込む尻肉を震わせる。そうアキラは綾の子宮の内を犯していた。
そして子宮口の硬い締め付けに酔っていた。子を成すための大切な器官を犯すと言う背徳の
なんという快楽。アキラは夢中で突き込み続ける。

「あーーっ、綾、綾、凄い、凄いよ!」
「あ゙ーーっ! お゙ぉぉぁぁああ!!」
「出す、出すよ。綾の子宮の中にっ! 僕の精子! あぁっ!」
「あ゙ぅぅぅはぁぁぁぁっああああ!!」

 アキラの射精とほぼ同時に綾も達したらしく肉襞がわななき、綾の後孔から
噴き出したアキラの小水であったものが綾の背中を駆け下った。
 背中を流れる生温かくアキラの匂いをさせる黄色の液体の感覚に綾はぼんやりと
自分は“肉便器”なのだと自覚した。

「―ウテルスセックス……子宮姦っていうんだ。綾、凄い悦がり方だったね。
 ケモノみたいな声出しちゃってそんなに悦かったんだ?」

 綾のボディソープの泡をシャワーで洗い流しながらアキラが無邪気に言う。
それからにっこり笑って綾の耳元で囁くように言った。

「ねぇ、綾。ほんと懲りないねぇ、綾は僕の肉便器なんだ。道具だよ。何、片思い
 なんかしてんの? 片思い? 恋? 何言っちゃってんの……道具のくせに」
「…………」

 綾はもう、噂は広まったのかと思うと同時に、その噂がアキラの耳に入る事を考えて
無かった自分の浅はかさを疎ましく思う。ダメ押しのようにアキラに道具呼ばわり
されて綾は静かに瞳を閉じた。

 夕食の後、綾は明日から飲む新たなピルのシートをアキラから渡された。
錠剤が変わった事に気付いた綾が怪訝そうに眉をひそめると、アキラが説明する。

「綾、前の頭痛がするって言ってたろ? これは自然に戻す効果があるんだ」
「……そう」

 綾はアキラが道具とは言っても自分のことを考えてくれるのが嬉しかった。

 だが、アキラは綾がアキラにとって道具でしかないことを躰に教え込むように
その日から綾の抱き方を変えた。挿入後、一切綾を絶頂に導かないで自分だけの射精で
終わるのだ。綾は熟れた躰のほてりに苦しんだが自慰をすることはなかった。
これがアキラの調教のひとつなら耐えなければならないと思ったのだ。
 だから毎朝課されるようになった口での奉仕も黙って受け入れた。初めて犯された
あの日とは違いアキラは射精の瞬間、綾の舌先まで自身を引き抜いてわざわざ口の中に
出すようになった。

342:凍える月を抱いて 4章3 ◆h4.Hpofy9o
09/07/20 17:41:28 GYfN/+Hn

「僕のザーメンをよーく味わってその匂いをさせて学校に行くんだよ。一日中その匂いが
 鼻について興奮するだろう?」

 身を震わせてえづく綾を見下ろしながらアキラは歪んだ嗤いを向ける。
綾はアキラに出された口中の精液を指示通り舌で転がして味わいながら飲み下した。

「綾、すっかり便器になりきれてるんじゃない?」

 嗤いながらアキラは玄関のドアを出て行った。
 綾はアキラがキスをしてくれなくなった事に気付いていた。あの柔らかな唇はもう
頬にすら触れてくれない。そう、便器に口付ける人間などいるはずがない……綾は納得
していた。だが、理性で分かっていても感情ではどうしても悲しんでしまう。

 アキラの牡を求める牝の色香を熟れた躰からただよわせ、憂える綾は既に生ける
甘美な毒のようだった。
 その毒はひたひたと広がり思わぬ厄災を綾にもたらすことになる。


**********

 1学期の最終日、綾は夏休みの注意や通知表を渡し、最後の“先生”を勤め上げた。
産休代理教員の期限が来たのだ。綾がクラスの全員に前もって書いていた短い手紙を
渡すと逆に銘々が書いてきた手紙を渡された。綾が感極まって涙ぐむと何人かの女の子が
つられたように泣き出した。綾はやり甲斐のある仕事だと改めて思った。

 職員室に戻ると綾は最後の報告をいつもより丁寧に書いて、感謝の言葉で締めた
ノートを閉じた。時刻は午後5時すぎ、6時から綾の慰労会を兼ねた暑気払いが
居酒屋で行われる予定だからそれまでどうやって時間を潰すかと思案しながら
立ち上がると直ぐ後ろで人の気配がした。
驚いて振り返るとそこには、柏木が立っていた。

「か、柏木先生?」
「篠崎先生……その……今までありがとうございました」
「あ、いえ、こちらこそありがとうございました」

 綾が緊張を解いてニコリと微笑むと柏木はゴクリと喉を鳴らして唇を震わせながら言った。

「その……先生片思いなさってるとか……お、俺じゃ駄目ですか!?」

 言葉も終わらぬうちにいきなり抱きしめられ、驚いてよろけた綾は隣の机のペン立てや
教科書をなぎ払うように尻もちをついてしまった。キャスター付きの椅子が滑って派手な
音をたてて倒れた。痛みで涙ぐむ綾が顔をあげると柏木の視線は綾の下半身に注がれていた。
スカートがめくれアキラの選んだ淫靡な下着と太腿にあるストッキングのレース飾りが
妖しく牡を誘う。

「篠崎先生……こ、こんな凄い下着つけてたんですね……」
「ち、違います!」
「何が違うんです?」

 そう何も違いはしない。それは牡を引き付けるための装いに他ならない。
ただ、綾が誘っていた牡はアキラただ一人だというだけ。だがここで綾に魅入られた牡は
アキラでは無かった。綾は脚をぴたりと閉じて身を捩る。
 弱々しく身を捩り涙ぐむ綾に柏木の嗜虐心が煽られ、柏木の手はもう二度と戻れない
一線を越える。柏木は綾の下着を力任せに引き千切ると散乱するペンや文具の上に投げ捨てた。
綾は叫びたかった、だが容量を超えた恐怖が呪いでも掛けたように綾の喉を締め付け
悲鳴を上げさせてはくれなかった。

「篠崎先生が好きなんです! 職員で独身男は俺しかいないのに、あんな下着で
 来るって事は先生だって少しは俺の事意識してくれてたんじゃないですか?」

343:凍える月を抱いて 4章3 ◆h4.Hpofy9o
09/07/20 17:44:33 GYfN/+Hn

 尻もちをついて後ろに手をついたまま、綾は金縛りに掛ったように動けない。
だが、非常時にも関わらず、綾は恐怖を感じる反面、もしここで合意して柏木を受け入れた
なら普通の幸せな生活が手に入るのだろうかと頭の片隅でふと思った。
 しかし、柏木の手が綾の尻肉に触れた瞬間、綾が本能的に感じたのは吐き気を伴う
嫌悪感でしかなかった。そして決定打が柏木の口から吐き出される。

「なんだ? 毛が……!? 剃ってるのか? なんて女だ!」

 綾の金縛りが解ける。倒れるように身を翻した綾は這ってでも逃げようとした。
が、その指先に裁ちバサミが触れるとそれを手にし、振り返った。
 驚いた柏木が仰け反るがハサミの先は柏木を向いてはいなかった。勢い余ったハサミは
綾の喉元を傷つけ、白いブラウスの胸元を紅く染めた。

「それ以上されるなら、死にます!」
「な、何、今さら貞淑ぶって……」

 綾の目には本気の凄みがあった。一瞬の間が空き、そこへパタパタと足音が近づいてくる。

「なんか派手な音しましたけどだいじょ―」

 養護教諭の大畠明子が緊迫感のない声で入ってきたが室内の惨状に言葉を失った。
散らばる文房具、ハサミを構え首から血を滴らせて座り込む綾。
 先に口を開いたのは蒼白な顔を引き攣らせた柏木だった。

「いや、し、篠崎先生が転ばれて―」

 だが、その言い訳は通らなかった。引き裂かれた綾の下着が柏木の罪を告発する。
大畠の目線が、打ち捨てられた綾の下着にある事に気付いた柏木は肩を落としてその場に
へたり込んだ。

 すぐさま、大畠は綾の傷口を診て白衣のポケットから滅菌ガーゼのパッケージを
取り出し綾の傷口にあてる。

「場所が場所だからたくさん出血してますけど、傷はそんなに深くないですから大丈夫ですよ」

 こくりと頷いてぽろぽろと涙を零す綾の肩を抱いて大畠はよしよしと宥め、それから
校長に連絡を取った。
 10分としないうちに校長が汗を拭きながら現れ、大畠はその場を任せて綾を病院に
連れて行った。
 綾の診察に着いた若い医者は、綾のブラウスから覗く深い胸の谷間やアキラによって
作られた綾のきめの細かい吸いつくような肌に生唾を飲んだ。

「ス、ステリの6mm取って」

 看護師によって持ってこられたのは一見してただのテープだったが医者の説明では
縫うよりも跡が綺麗だという。
 治療中『綾は罪を犯させる女だ』とアキラに言われた言葉が綾の頭をめぐった。

 治療が終わった後、校長と教頭が訪れて事の収拾の方向が決められた。
柏木は免職。だが、綾の希望で警察には訴えないことになった。柏木のことを考えた
からではない。柏木に受け持たれていた子ども達の事を考えて綾は決めた。


 ―だが、後に綾はこの判断を死ぬほど後悔する事になる。


4章 『悪魔の輪舞』  - trois -  (終)

344:凍える月を抱いて 4章4 ◆h4.Hpofy9o
09/07/20 17:52:14 GYfN/+Hn
                4章 『悪魔の輪舞』
                   - quatre -


 綾がマンションに帰り着くとアキラはリビングで背を向けて夏休みの宿題をやっていた。
つまらない事はさっさと終わらせるアキラらしいと綾は少し笑ってしまった。
 インターホンのランプで玄関が開いた事、綾が帰ってきた事を知ったアキラは
振り返りもせずシャーペンを動かしながら声を掛けた。

「お帰り」
「……ただいま」
「飲み会だったんじゃないの? 早かったじゃない?」
「うん……行かなかった」
「へー? そんなのいいんだ」

 アキラは顔も上げずに相変わらず凄いスピードで問題を解いて行く。

「うん……校長先生がいいって」

 綾が荷物を置いてパウダールームへ入って行くと、アキラはふと手を止めて顔を上げた。
そして立ち上がり綾を追った。
 綾は既にバスルームでシャワーを浴びているようだった。アキラも服を脱いでランドリー
バスケットに服を入れようとして違和感に手を止める。夏とは言え綾の服が異様に少ない。
手を入れてブラウスとショーツが無い事を確認したアキラはその所在を探す。それは直ぐに
ゴミ箱の中、紙袋に入って見つかった。
 引きちぎられたショーツ。それよりも赤茶色に変色した汚れの付着しているブラウスに
アキラの血の気が一気に引く。アキラが耳鳴りのような自分の鼓動を聞きながらバスルームに
入ると、綾はぼんやりと泡立てた海綿スポンジで体を洗っているところだった。
綾は無意識に柏木に触れられた所を擦り続けていた。
 アキラは不安を隠せないで綾に言いつのる。

「綾、何があったの!?」

 綾はゆっくりと振り返ると無感情に「何も」と答えた。

「『何も』じゃないだろう? 血、血が付いてた。綾のブラウス!」

 半泣きのアキラを見て綾はとても奇妙な物を見ている気分になった。そう言えば
アキラの涙など見た事が無かった。

「ん? アキラくんの心配するような事は何もなかったから大丈夫」
「だって! ―何で綾そこばっかり洗ってんのっ!?」
「―なんだか気持ち悪くて」
「だ、誰かに何かされちゃったの!?」

 この期に及んで“何か”とは本当にアキラらしく無い。こんな時いつものアキラ
だったら「綾、レイプされたのか?」くらい言いそうなものだと綾は勝手な想像で
笑ってしまった。その意味不明な笑いがアキラの不安を煽った。

「あ、綾……?」

 綾は手を伸ばしスポンジで淡々とアキラを洗い、シャワーで泡を流した。アキラは
綾の顔を食い入るように見つめながら、綾からシャワーを受け取り綾の泡を流し始める。

「あ、首の傷のところは濡らさないでってお医者様が……」

 綾に言われて、アキラは初めてあの出血の元が首であることに気付く。それほどまでに
綾の表情の少しの変化でも感じようと綾の顔だけを見ていたのだ。

「なっ!? なんでこんなに切れてるの!? 誰にやられたの!?」

345:凍える月を抱いて 4章4 ◆h4.Hpofy9o
09/07/20 17:54:41 GYfN/+Hn
「自分で切っちゃったの」
「なんで? どうして? ちゃんと分かるように説明してっ!」

 綾はうろたえるアキラにやっぱり小学生なんだなと実感した。そして可愛いと思った。

「ん……柏木先生が好きだって」
「……それで?」
「びっくりして転んじゃったらパンティ見えちゃって、破かれちゃった……
 ごめんね、折角アキラくんが選んでくれたのに」
「こんな時に、なに変な事言ってんの!?」
「ちょっとは柏木先生でもいいかなって思ったんだけど、平凡な幸せっていうのかな
 そういうのくれそうじゃない?」

 綾は正直に起こった事、思った事を言った。アキラは怒ったようだったが何も言わなかった。

「でも、柏木先生がここに触れた瞬間、駄目だと思った。耐えられないって……
 そしてアキラくんのことしか考えられなくて……
 それで柏木先生にされるくらいならって……ハサミが落ちてたから自分でね」

 綾は『誰かの手の入った奴隷なんて興味なくなるよ』とアキラが言ったから柏木に
穢されるくらいなら死のうと思ったとは言わなかった。もしそれを言ってしまったら
アキラはこの傷を自分のせいだと責めるだろう。

「綾! バカか?」
「うん、そうかも。 それでね…………柏木先生、学校辞めるって」
「訴えなかったの?」
「ん……5年生の子たちが可哀そうだし、色々調べられたら困るでしょ? こういうの」

 そうかとアキラは眼を伏せた。


**********

 静かな夕食が終わるとアキラは綾の手を引いてベッドルームへ連れて行き
綾をそっと寝かせるとその髪を梳いた。

「綾は平凡な幸せが欲しかったの?」
「んー憧れてたかな……でも、誰がくれる物でもいいって物じゃなかったみたい……
 それに平凡だから幸せなんじゃないって分かってるから……」

 アキラはそっと唇を重ねた。

「久しぶりだね……キス……んふぅ……」
「綾が悪いんだ」
「そうなの?」
「そうだ」

 くちゅくちゅと淫らな水音をさせて互いの口内で舌が絡まりあう。堰き止められていた
熱情を溢れさせ互いの唾液を混ぜ合い貪るように啜りあう。

「綾……傷に障るといけないから今日はしないつもりだったのに」
「ん……」
「だけど……」

 アキラの指先が綾の無毛の恥丘を緩やかに撫で秘裂に伸ばされる。そこは快楽への
期待で既に甘蜜を溢れさせていた。

「綾……もうぐちょぐちょだね……」

 アキラの指先が秘裂を割って肉襞に潜り込みゆっくりと掻き回し、そして抜かれる。

346:凍える月を抱いて 4章4 ◆h4.Hpofy9o
09/07/20 17:56:51 GYfN/+Hn

「負担かけないようにするから、挿入れるだけね……」

 綾が頷くとアキラは綾を横向きの姿勢にし背後から挿入を始めた。

「……ん……はぁ……」
「つらい?」
「ううん」
「良かった」

 ゆっくりと奥まで挿入し終わったアキラは嬉しそうに言う。

「このまんまで朝まで寝ようね」
「こ、このまんまって入れたままってこと?」
「そう? 綾は嫌?」
「……嫌……じゃないけど」

 正直、蛇の生殺しだと綾は思った。だがここで否を唱えた所でアキラが聞いてくれる
とも思えなかった。

「今日ね……っていうか……綾はもう帰ってこないって思ってたんだ」
「え?」

 驚いて身を捩ろうとする綾の乳首を摘まんで、アキラはそれを制する。

「やぁ……んん……」
「くすっ、こんな感度良くなっちゃって……下もひくついてるよ」
「そんなこと……より……なんで私が……ぁん……」
「もう学校に行かなくてもよくなったから、どこか行っちゃうかなって……
 ここんとこ僕、意地悪だったから」
「……そうね……キスしてくれなかったし……凄く不安だった」

 キスしないとかそれよりももっと酷い事をしたのになぁとアキラはクスクス笑って
しまった。

「……ごめん……綾が片思いしてるとか言うから……僕ら、そういうのから遠い所に
 いたはずなのに一人だけずるいっていうか……」
「うん…そっか……はぁ……」

 綾はシーツをぎゅっと掴んだ。さっきの軽い愛撫と挿入で既に躰は拓いてしまっていた。
背中にかかるアキラの吐息すら快楽を運んでくる。

「綾?」
「……はぁ……あ……」
「あぁっ! 駄目だよ、綾! 傷に響くっ……て」

 綾の肉襞が妖しく波打つようにアキラの肉棒を扱き上げる。

「あ……勝手に……うぅん……きゅうきゅう……しちゃうのぉ……ああん」
「きゅうきゅうって……そんなもんじゃな……あーーっ!!」

 綾の蠢く肉襞にざわりと絞りあげられ、アキラは脊椎に這い上る射精感を堪えようと
するが、アキラの牡は射精の予感に膨れ、ずくりと身震いする。

「あぁん……ア、アキラ……くん……太くしないでぇ……あぁ……イク、イッちゃうっ!」

 アキラは眼を瞠り、次ににやりと笑うと綾の腰に手を置き綾の弱い所を捏ねあげた。

「イッちゃいそうなの? イッちゃえばいいよ、さぁ綾、イッて!」


347:凍える月を抱いて 4章4 ◆h4.Hpofy9o
09/07/20 17:58:05 GYfN/+Hn
 ずっとずっと、泣くほど待ちわびていた刺激に綾は縋りつく。

「あぁぁぁ、イちゃ、イッちゃう、イクゥーーああぁぁぁぁぁぁん!!」

 きゅうと背を反らせて綾が達すると綾の蜜壺は別の生き物のように蠢き、アキラの
精液を一滴残らず搾り取ろうと最奥がうねり熱を発する。

「あぁ、綾、綾の中は熱くて……凄く気持ちいいよ……くっ!」

 アキラは綾の最奥に牡を捩じ込み白濁する慾を思う存分吐き出して、戦慄く綾の
蜜壺を堪能してから自身をずるりと引き抜いた。

「綾、凄くよかったよ」

 アキラは、快楽のあまり涙を零して息を弾ませる綾の髪を撫でて口付ける。

「ア、アキラくんの嘘つき……挿入れるだけって……」
「綾の中が良すぎるのが悪いんだよ……でも、まぁ僕が悪かったって事でいいよ。
 綾の『イクー』って声初めて聞いたし」

 顔を真っ赤にして言葉を詰まらせる綾をアキラはくすくすと笑ってからかった。


4章 『悪魔の輪舞』  - quatre -  (終)

348:名無しさん@ピンキー
09/07/20 18:02:33 GYfN/+Hn
>>333
うーん一人称ならその主人公で
あとは、その場その場で違うかも
その場面で書かれてる方だと思う

349:名無しさん@ピンキー
09/07/20 23:44:03 nkIZ+QmC
アキラと綾に幸せになってもらいたい
すげー萌えるのに切なくなるんだぜ

350:名無しさん@ピンキー
09/07/21 21:15:53 es6DNRvZ
同感。
でも破滅の匂いが濃厚で辛い。
いつの間にかエロシーンより二人の行く末の方が気になってる。

351:名無しさん@ピンキー
09/07/22 00:26:48 2m9BoRob
同感。
すげー物語に引き込まれる。

352:名無しさん@ピンキー
09/07/22 01:16:37 Z8z37Yic
続きが気になってしょうがない。
投下はまだー?

353:名無しさん@ピンキー
09/07/25 10:04:36 1z9r0F6i
面白いなあ
ついでに保守

354:凍える月を抱いて 5章1 ◆h4.Hpofy9o
09/07/25 16:48:43 d/3qRWS5

ご感想ありがとうございます。なんかドキドキします。

・今回は5章 『悪魔の夜宴』の1話目(11レス消費予定)を投下します。
・今回はあんまりエロくない。
・まことに申し上げにくいのですがここからは超展開です。
・ご注意いただきたい点は>>287


355:凍える月を抱いて 5章1 ◆h4.Hpofy9o
09/07/25 16:52:06 d/3qRWS5
                 5章 『悪魔の夜宴』
                   - eins -


 夏休みがやってきた。失職中の綾は朝から仕事探しの準備をしている。取りあえず住む場所が
拓けた町なのはラッキーだと思った。前に住んでいた町ではさほど求人も無いだろう。
 持ち物などを確認して、朝食を作りはじめるとアキラが起き出して来た。

「おはよー……綾」
「アキラくん! おはよう」
「どっか行くの?」
「うん、職探し」
「あれ? 僕言ってなかったっけ? 明日から8月の半ばくらいまで出かけるよ」
「えっ? アキラくんが?」
「……綾も一緒に決まってるだろ」
「き、聞いてないけど……」

 そうして、有無を言わさぬ勢いで綾が連れてこられたのは長崎。アキラの秘密クラブの
リゾートマンションだった。アキラの謎の部分を解く鍵はここにあるのかと綾はゴクリと
唾を飲む。
 妖しさ満点のそのマンションのエントランスは、まるでTVドラマで見る高級ホテルの
ような造りで、高い天井にステンドグラスで造られた丸い何かの模様が見えた。

「あぁ、あれ? ウロボロスの環だよ」
「ウロボロスの環?」
「自分の尻尾を飲み込む蛇だよ。まぁ、メビウスの輪みたいなもの」
「へぇ……」

 綾は居た堪れない思いを隠すように、心許ないハイヒールに体重を預けてアキラの後に
着いて行く。居た堪れないのは視線だ、綾を値踏みするかのような視線がエントランス
ロビーのあちらこちらから感じられる。それでなくとも背中の大きく開いたドレスなど
着た事がない綾にとって、ひょっとして見えてはいけない何かでも見せてしまっているのか
などと不安を駆り立てる。
 アキラは慣れた仕種で、金でウロボロスの環が描かれた黒いカードを取り出し、
それと引き換えにカウンターで何かを受け取った。アキラはそのまま綾の背後にまわり、
綾の首に銀のプレートの付いた黒い革ひものチョーカーを結んだ。途端に視線の主たちの
嘆息が漏れる。

「綾、これは絶対に外すな」
「え?」
「どんな理由があってもだ。例え誰かがちょっと見せてって言っても外すなよ」
「?……うん」
「このチョーカーの意味は、プレートに僕の所有物だって意味がある。革ひもの色、
 黒は“調教中、触れるな”だ。ピンクが“調教の手伝いを求む”緑なら“譲渡先求む”
 何も付けてなければ……“ご自由にどうぞ”誰に犯されても文句は言えない」
「―っ!」

 綾はここがどんなところか改めて認識し、肌を粟立てた。


 アキラの部屋は最上階にあった。普段生活しているマンションよりはさすがに手狭だったが、
それでも充分に豪華だと言えた。
 スーツの上着をぽいとベッドの上に放り投げてアキラはバスルームと思われる所へ入って
行った。程なく激しい水音が聞こえて来たので、やはりバスルームで間違いはなかったらしい。

 綾は先に届いていた荷物を解いて整理を始める。荷物の中にはアキラが先に頼んで
おいたのだろう見慣れぬ何着かのスーツとドレスが箱に入って置かれていた。綾はそれらを
クローゼットへ運び、一度総てを見まわしてから溜息をついて扉を閉めた。

 バスルームは広く、明るかった。バスタブはこちらの方がかなり広いが、向こうの

356:凍える月を抱いて 5章1 ◆h4.Hpofy9o
09/07/25 16:55:14 d/3qRWS5
マンションと少し似た造りになっている。

「この部屋は死んだ祖父が使ってたんだ。このバスルームだけは、バスタブ以外あまり
 改装してないから、そのままSMプレイ用の金具があちこちから出てるだろ?」
「え、えすえむ?」

 何を今さらと呆れた視線を投げるアキラにも気付かず、綾はポカンと口を開けたまま
バスルームを見渡す。確かに天井や壁の不自然な所に金属の輪が覗いている。

「祖父は俗に言うドSっていうのだったらしいから―もっともここのメンバーは
 9割がたドSだけどね」
「ドS!?」

 驚いた顔をした綾だったが、次には「あ~なるほど…」と言いながらアキラを見た。
アキラはその反応が納得いかないといったように、眉間に皺を寄せたが何も言わなかった。

 綾の首の傷口が濡れないように少なめに湯を張って、白く泡立てたバスタブの中に二人で浸かる。
相当広いバスタブなのに二人は何を好き好んでというくらい片隅にぴたりと寄り添っていた。
アキラに背中を預け、寄り掛かる綾の表情は既に蕩けきっている。綾はアキラの肉棒にゆっくりと
胎内をかき混ぜられ何度も絶頂に導かれて湯あたり同然にぐったりとしていた。

「ぁぁ、ぁぁ……アキラくん…も…だめ……死ん…じゃう……」
「ん? 死んじゃうんじゃ困っちゃうな。僕もそろそろイキたいんだけど、綾が強情はるから」
「わ、わか…ったから……言う、言うから…あっ、ああっ……ま、また……」
「さあ、言って」
「―イ、イクのぉぉ……」
「そっかイクのか、やっと言ったね。じゃぁ奥を突いて捏ね回してあげる」

 水面を波立ててアキラが激しく突き上げる。

「あぁ、あぁぁん、いい……イクゥ、イクゥゥゥゥゥゥ!!」


**********

「―僕ら……はっきり言ってバカだと思う……」
「……うん」

 二人ともバスローブのままベッドの上に手足を投げ出しタオルとアイスパックで顔を冷やしている。
結局二人とも湯あたりしてしまったのだ。

「ねぇ、アキラくん……ここって……」
「ウロボロスの環―伝説の天女を探してた人達のなれの果て」
「えっ? て、天女?」

 予想もしていなかったアキラの答えに、綾の声が裏返る。

「意味分かんないよね? 2千年だか3千年だか前に世界の7か所に1人ずつ天女が舞い降りて、
 選んだ男達に不思議な力と不老不死の力を与えたって、お伽話が元らしいんだけどね」
「うん」
「それを真に受けたのか、利用したのか……ある男が200年くらい前この場所に娼館を作ったんだ。
 娼館を利用して、人間の中に紛れてしまった天女……その血筋に繋がる女性を探すってね」
「え? どうやって探すの?」
「天女ってアソコが物凄く好いんだって、だから娼館を利用して国中から名器で評判の
 女性を狩り集めた。でも創始者が判定した結果、本物はその中にはいなかった。それで
 結局ここは集められた女性たちを使った名器揃いの会員制高級娼館みたいになったらしい」
「会員制?」
「昔なら旗本とかかな? そこそこ権力持ってる希望者を会員にしてったみたいだね。
 今でも新しく会員になる人がいるけど、入会には地位と創始者の子孫の承認がいる。
 僕は祖父の遺産としてここの権利を引き継いだから特別何もなかったけど」

357:凍える月を抱いて 5章1 ◆h4.Hpofy9o
09/07/25 16:58:23 d/3qRWS5
「でも、天女をみつけたとして……どうするの?」
「さぁ? 永遠の命が貰えるって話だったけど、それだって大昔だから信じられたんで、いまどき
 そんなこと信じる人間もいないよね。もうみんなそんな目的忘れてゲームを楽しんでるよ」
「……ゲーム?」
「ウロボロスの環は色んな世界に根を張ってるからね。メンバーの犯した罪は罪で無くなり、
 望みは何でも叶う。でも、度が過ぎれば放り出されて、途端に世界は崩れ去るってさ。
 お金も何もかも思うままなんだ、許されるか許されないかのギリギリを楽しむゲームだよ。
 だから今、ここは奴隷の品評会場でSMサークルで同時に裏経済の取引の場になってる」
「―それで、私も奴隷として品定めされてるのね……」

 綾が溜息混じりに呟くとアキラは顔の上のタオルをつまみ上げて綾をちらりと見た。

「僕の奴隷として登録した以上、ここでは仕方ないよ」
「…………」

 黙ってしまった綾の様子をうかがいながらアキラが言葉を続ける。

「明日、綾は僕のモノって事で正式登録するから通過儀礼的に天女判定があるよ」
「……何それ?」
「簡単に言えば健康診断。1年に1度メンバーも受けなきゃならないから僕もそれで来たわけ」

 なぜ健康診断で天女が分かるのか、話が飛び過ぎて綾にはさっぱりわからず、湯あたりにも
増して眩暈がする気がした。
 会話が途切れて少しすると、ベッドが揺れて衣擦れの音がしたので、綾は顔に乗せたタオルを
上げてアキラを見た。アキラはバスローブを脱いでベッドの下に投げ捨てたところだった。
 ふと、アキラの背中の傷が目にとまり、綾は無意識にその痕を指先でなぞる。

「んぁっ! くすぐったいよ!」
「……あ、ごめんね」
「あぁ、傷痕? 目立つ?」
「それほどじゃないけど白くて綺麗な背中にあるから……」
「鞭の痕なんだ」
「鞭!?」
「祖父が亡くなった時に、ここの権利を相続する僕に母が嫉妬してね……」

 想像もしていなかった理由に綾が目を瞠ると、アキラはうつ伏せに寝て、首の後ろを
タオルで冷やしながら言った。

「表のお金や不動産なんかは他の姉妹と分けて貰ったみたいだけどね。ここの権力、
 権利は女には渡らないから仕方ないのに……諦め悪く思いっきり打ってくれたわけ。
 僕がそう決めたわけでもないのに嫌んなるよね……」

 綾は自分もバスローブを脱いで、アキラの背中に残る傷痕にそっと舌を這わせた。
そんなことをしたところで昔の傷痕が癒えるはずもないのに……揺れる乳房の先を
アキラの背中に擦りつけながら、綾はうっとりと舐め続ける。

「……くすぐったいよ、綾。……んーそうだ、ここにいる女の人はみんな奴隷扱いだけど、
 金色のアンクレットの人は“人形”って言ってメンバーの家族。綾みたいに銀色のは
 “蝶”って言ってメンバーに直接血縁関係のない人だよ」
「え?……何?」
「“人形”と“蝶”」

 蝶という言葉を聞いて綾は、飾られるために押しピンを刺されるのを待つ囚われの蝶を思い、
目を伏せた。そしてここは自分たちの娘や姉妹でさえも“人形”と物扱いして憚らない人間の
魔窟なのだとやるせなく思った。とろとろと眠りかけた声でアキラが続ける。

「あっと… 検診の時にユーカーってとても変わった医者がいるけど、びっくりしないでね……
 ここの創設者の子孫だとかって……言うけど……」

 アキラの言葉の最後は寝息に呑まれた。

358:凍える月を抱いて 5章1 ◆h4.Hpofy9o
09/07/25 17:01:25 d/3qRWS5


**********

「んまー!! 都筑様!! 1年見ないうちに大きくなられて」

 アキラと綾を見たユーカーと呼ばれる医者の第一声だった。
 見た目30代半ばくらいの細身で長身の男、鼻筋の通った顔、色素の薄い肌、薄茶の虹彩。
いかにも純粋な日本人ではないことが見て取れた。そして、緩くウェーブのかかった茶色の
長い髪を後ろでひとつに纏めたその人物は、見事なおネェ言葉だった。

「嫌味ですか? ユーカー」
「あら? そうでもありませんわよ。去年から比べると……んー……っと6cm伸びてるもの
 ……そんなに気になさるならちゃんと治療すればよろしいのに……」
「……考え中です……」
「―あら? いやに素直になられて」

 ユーカーは意味ありげにちらりと綾の方を見たが、綾は何の事だか分からず、不安と
居た堪れない思いが増した。
 アキラの採血の後に綾の採血も行なわれたが、採血針を抜いた後ユーカーは綾の針痕に
口をつけ強く吸った。驚いた綾が振り払おうとしたが、その力は強くユーカーが自ら離れる
まで為すがままにされるしかなかった。
 ユーカーがゆっくりと顔をあげ、上目づかいに綾を見る。その妖しい眼に囚われて綾の
背筋にぞわりと悪寒が走る。ユーカーの唇が離れるとそこは鬱血し、まるでキスマークの
ようになっていた。

「ふっ、あんまり美味しくないわね」

 そう言い放ってユーカーは舌舐めずりした。綾が涙目でアキラの方を見ると、慣れているのか
アキラは溜息をついただけだった。

「これが通過儀礼の天女判定だよ。でも嘘かもよユーカーはヘマトディプシアだから」
「ヘマト……?」
「うふ。血液嗜好症。血が飲みたくて仕方がなくなるの」

 そう言って笑うユーカーの腕に、無数の傷跡を見た綾はぶるりと身を震わせた。

 次に綾は全裸で診察台の上に脚を開く形で固定された。羞恥で顔を赤くして涙ぐむ
綾を見てユーカーが面白そうにからかう。

「あらあら、仔猫ちゃんは随分ウブなのね」
「何です? その仔猫ちゃんって……綾に変なあだ名付けないでくださいよ」
「あら、だって小陰唇が小さくてピンク色。かわいい仔猫の舌みたいなんですもの」

 一見、可愛らしいあだ名のように聞こえるが実のところ、性器の形状を揶揄しただけの
呼び名に、綾は益々顔を赤らめる。

「乳がんなし、尿検査も今のところ異常なし……もっとも血液と尿は精査の結果が出ないと
 なんとも言えませんけどね」

 ユーカーは検査伝票を捲りながら結果を告げ、ラテックス手袋をパチリとはめ直すと
綾の開かれた脚の間に座った。

「さてと、次は……」
「―うっ」

 綾は尿道に挿入されたファイバースコープに呻いた。何を見たのか分からなかったが
検査は直ぐに済み何も言われぬままファイバースコープは抜き去られたが、ほっとしたのも
束の間、いきなりクリトリスを剥かれ、摘ままれた。



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