【初音ミク】VOCALOID総合エロパロ10【ボーカロイド】at EROPARO
【初音ミク】VOCALOID総合エロパロ10【ボーカロイド】 - 暇つぶし2ch50:名無しさん@ピンキー
09/01/07 22:38:58 f0cfDDRJ
可愛い女子がキャッキャしてるのは嬉しいからすばらしい。
MEIKOは対ミクリンだと保護者的お姉ちゃんだが
対ルカだと普通に友達っぽい関係にもできそうだな。楽しみだ。

>>43
把握wwwwww

51:名無しさん@ピンキー
09/01/07 23:15:20 FScy0dcz
MEIKOさんとルカさんがキャッキャウフフでミクとKAITO涙目
という状況に萌ゆることに気がついた
ミクもKAITOもめーちゃんにべったりなイメージがあるよ

52:名無しさん@ピンキー
09/01/08 00:11:03 jTROUHcV
ルカは知的クールで出来るお姉さんキャラなのかー
立ち絵が腕組んでる(典型的な守りのポーズ)から堅実で保守的なイメージだ
サックスとかフルートとかアルパカと似合いそう

53:名無しさん@ピンキー
09/01/08 00:39:53 JEAZu0g4
>>52 典型的な守りのポーズ

ふとルカが館の門番やってる光景を連想して妙なデジャブを覚えた

てか個人的に第一印象ががくぽに次いで「強そう」だったしw
流石に得物がない分劣るかも知れないがそこいらのゴロツキなら普通に勝てそう。

54:名無しさん@ピンキー
09/01/08 01:07:34 EilKtgLZ
>>53
脇巫女…MEIKO
おぜう様…ミク
妹様…レン
PAD長…リン
⑨…KAITO
という図が浮かんだじゃないか

55:名無しさん@ピンキー
09/01/08 01:09:00 MiLqoaFP
共通点は前垂れスカ-トとふくよかな胸部か
だいじょうぶルカはまだ名前で呼ばれてる

56:名無しさん@ピンキー
09/01/08 07:58:11 9KPPeMQd
>>43の下の行
それなんて幻想水滸伝2?

57:名無しさん@ピンキー
09/01/08 08:40:53 fR7hl6rP
>>53
>得物
つ[冷凍マグロ丸ごと]

58:名無しさん@ピンキー
09/01/08 09:53:32 mZcEnq+n
保管庫の人乙です!
いつもありがとう!!

59:名無しさん@ピンキー
09/01/08 10:03:57 ZWEfdt3O
>>53に続いて漏れのルカの第一印象…

死神(ルカが好きな人、申し訳ない)
大鎌が似合いそう。

ルカのイメージは金管楽器らしいけど。

60:名無しさん@ピンキー
09/01/08 10:08:16 ZWEfdt3O
連レス失礼

保管庫の方、ありがとうございます。

61:名無しさん@ピンキー
09/01/08 12:38:00 R99EPc2W
>>58
冷凍庫に見えた

62:名無しさん@ピンキー
09/01/08 12:40:37 R99EPc2W
ルカって家族とゆうより居候か従兄弟の大学生のお姉さんみたいな感じがする。 
何故かレンと絡ませたい。
大学生のお姉さんとレンのイケナイお勉強……ゴクリ

63:名無しさん@ピンキー
09/01/08 13:13:18 XPIGYxbd
今までの5人+がくぽの家族設定に慣れすぎてて
ルカの扱いがすごい難しいorz
ミクに「お姉ちゃん」と呼ばせるべきかルカさん、ルカちゃんとか呼ばせるべきかぐぬぬ

64:名無しさん@ピンキー
09/01/08 13:38:46 zlCgCbEC
>>61

「こんにちは~今年も宜しくお願いします」

ミク 「おにいちゃん、おねえちゃん。冷蔵庫の人きたよ~」
カイト「あ~いつもすみません。冷蔵庫」
メイコ「今年もありがとうございます。冷蔵庫。ほらレンとリンもあいさつして」
レン 「いつもあざ~す!冷蔵庫」
リン 「これからもよろしくおねがいしまぁす!冷蔵庫」
メイコ「今年の冷蔵庫はルカちゃんのにしましょうね」

こうですね。わかります。

65:名無しさん@ピンキー
09/01/08 16:03:30 9gvhmz93
メイコがどう見てもお母さんじゃないか。けしかる

66:名無しさん@ピンキー
09/01/08 16:05:15 fR7hl6rP
結局のところ、レンの末っ子ポジションもMEIKOのお母さんポジションもブレないんだな。

67:名無しさん@ピンキー
09/01/08 17:20:47 7cJAoLgU
確認したいんだけど、某動画サイトに上がっているボカロオリジ曲を題材にした曲でエロってあうとかな・・・?
一応歌詞とか題名とかは使わないんだけど、キャラと内容で
あぁ・・・○○Pの「XXXXX」か、ってわかってしまうような内容なんだが・・・。
やっぱ、本家に迷惑がかかっちゃう可能性があるから、ここでの公開はやめておいたほうがいいかな?

68:名無しさん@ピンキー
09/01/08 17:24:35 zlCgCbEC
自分で書く設定は毎回ちがうからポジションとかないけど
一般的にはどうなるんだろうな。
ルカがどんなポジションになるかまったく想像できん。
でも今ボカロの絵を描くなら
センターがミク、その両隣に双子
その両隣に年長組、でその両隣にがくぽ、ルカな感じがする。

69:名無しさん@ピンキー
09/01/08 17:36:43 93L4wJl8
前にも曲設定の話はあったからかまわないと思う
ぐぐってうっかり出てきたりしないよう具体的なものは避ければ大丈夫じゃない?

70:名無しさん@ピンキー
09/01/08 18:28:34 pHvM16ol
「エロパロから」とか言うKYはいないだろ

71:名無しさん@ピンキー
09/01/08 18:33:33 q3lc59Xu
>>67
プラトニック曲でドエロとか、ほのぼの曲でけなしギャグエロとかやられたら、自分が作者なら泣く。

話の傾向にもよるだろうけど、
曲事態がエロを想起させてる場合以外は無許可でエロパロ書くのはびみょんかも。

あとは>>69に同意。
6スレ目最後のマスミクみたいなのなら問題ないんじゃまいか。



72:名無しさん@ピンキー
09/01/08 18:50:19 FNA8fA6r
>>62>>63
家族設定を前提として、
2007年に入った人は3人が、2008年に入った人には5人(と隣人がくぽ)
がしっくりきている人も多いのかもね
これから入ってくる人にはルカが家族の中心と捉えるのがスタンダードになったりして

ルカの立ち位置まだ決めてないけど、がくぽに近くなりそう
自分はこれからも5人家族で行きそうだ

73:名無しさん@ピンキー
09/01/08 18:50:44 wOh3hpM5
サンデー☆なら無問題

74:名無しさん@ピンキー
09/01/08 19:12:32 1yY0HwG6
>>69~70
ありがとう、やっぱエロはちょっとここでは控えておこうかなっておもう。
その代り、描写なエロじゃなくて、エロっぽいような雰囲気になるようがんばってかいてみるよ。



75:名無しさん@ピンキー
09/01/08 19:15:42 70Mozrxj
投下します。
ルカは本当はCV01として出る予定だったという話を聞いて、なんか出生からしてドラマ持ってるなあと思ったので、それについての脳内保管話。
少しだけルカカイ

76:”初音ルカ”の消失
09/01/08 19:18:10 70Mozrxj
―2007年、春

 今年の夏、初のVOCALOID2として発売が予定されているルカは迷っていた。
「……ここはどこだ」
 開発中の彼女は、ク○プトン社から許可を貰い、札幌の街を散歩していた。だが、はじめて見る外の世界に気を取られたのか、すっかり迷子になってしまったのだった。
 誰かに道を聞こうとしていたその時、青いマフラーの男がずざぁーっとルカの前に滑り込んでひれ伏してきた。
「街で一目見たときから踏まれたいと思ってました! 踏んで蹴って罵ってください!」
 ちょうどいい、この男に尋ねようとルカは思った。少し奇妙な男だが、まあいい。
「すまんが、道を尋ねたいのだが」
「ハァハァ……え、何? ムチ? ムチで叩きたい? いいですとも! ハァハァ……叩いて縛ってくださいぃ!」
 男は錯乱状態にあるようだった。とりあえず、道を聞き出すためには男の要望に答え、興奮状態を冷ましてやるしかないとルカは思った。それにしても酷い光景だ。ルカはまるで汚い豚を見るような目で、青いマフラーの男を見下した。
「踏んでやってもいいが、もう何時間も外を歩いたから靴が汚れている」
「それがいいんです!」
「蹴ってやってもいいが、痛いのは嫌じゃないのか」
「嬉しいです!」
「罵ってやってもいいが、あまり汚い言葉は好きじゃないんだ。なんて言えばいい?」
「豚は死ねでお願いします!」
「わかった」 
 振り下ろされたルカの金のブーツが男の後頭部を直撃し、男は顔を地面に押し付ける形になった。
グリグリと青い髪をすりつぶすように足で押さえつけ、そうかと思うと今度はその髪を束で掴んで男の顔を持ち上げ、視線を合わせてこう言った。
「豚は死ね」
 その直後に男の右わき腹に、ルカの半円を描いた鮮やかな回し蹴りが炸裂し、男は数メートル吹き飛ばされた。
ピクピクと、その場で打ち上げられたマグロのように跳ねる青マフの男。口からはさっき食べたアイスが少し出てきてしまっていた。
「大丈夫か? やりすぎたかもしれん、すまんな」
「いえ、最高でした……俺の見込み通りでした……」
 どんな見込みだ?と思ったが、それ以上は追求しないことにした。その時、偶然男の耳についているヘッドマイクが目に入ってきた。
「そのマイク、もしかしてお前、ボーカロイドか?」
「え? うん、そうですよ」
 フラフラになりながらも立ち上がると、男は自分がボーカロイドで、カイトという名だと話してくれた。
「じゃあ……私の先輩か……」
「ちょ、何その凄い嫌そうな顔は! って、俺が先輩ってことはキミ、もしかして今開発中って噂の……」 
 社内においても一部しか知らないという、トップシークレットで製作が進められていたCVシリーズは、同じボーカロイドのカイトでさえも噂でしか聞いたことが無かった。
「ああ、私は”CV-01初音ルカ”だ。それにしてもちょうど良かった。ク○プトン社まで道案内してくれると助かるのだが……」
 肝心な話をもう一度切り出そうとするも、どうもタイミング悪くこの男はまたブツブツと何やら独り言を言い出した。
「ってことは、ってことは……完成した暁には、毎日のように踏んでもらえる!? めーちゃんに殴られ、ルカちゃんに踏まれ、ああもう、なんて幸せな生活なんだ!」
 カイトはくねくねと気持ち悪い動きをしながら、希望に溢れた未来を夢想した。
「ダメだ。踏んでやらんぞ」
「放置プレイもアリです!」
「いや、私はそういう歪んだ関係じゃなく……」
 ルカは一歩前に踏み出すと、カイトの手を両手でぎゅっと握った。
「なっ……」
 気品のあるネコのようだった彼女が、まるで捨てられた子ネコのようにしゅんとした顔で言った。
「普通に……仲良しになりたいんだ。私はあまり人と話すのが得意じゃないし、この世界にも慣れていない。うまくやっていけるか不安なんだ。カイト、私と仲良くしてくれるか?」
 切なそうな顔をしたルカの顔を間近で見て、カイトは思わず顔を赤くした。
「そ、そうだね。こちらこそ、これからよろしくね。ルカちゃん」
「うん」
 ルカははにかんだ笑みを浮かべた。街で見かけた時の、Mハートに火がついてたまらなくなるようなクールな目つきに比べて、今はどこかまだ幼さの残る、柔らかい表情をしていた。
「あ、そういえば、ク○プトン社へ道案内してほしいとか言ってたっけ? 錯乱しててよく覚えてないんだけど」
「ああ、頼む。私は今迷子なんだ」
「よし、じゃあ一緒に行こうか」

77:”初音ルカ”の消失
09/01/08 19:19:18 70Mozrxj
 歩き出したその直後、カイトのケータイが鳴った。
「もしもし、あ、サー○ィーワン札幌店の店長さんですか! え、数量限定の新アイス入荷!? 行きます! 今すぐ行きます!!」
 ガチャッ
「じゃ、そういうわけだから。あ、ク○プトン社はすぐ近くだよ。そこ左に曲がってまっすぐ行くと2分くらいで着くからね。では!」
 ドピューッと物凄い勢いで走り去っていくカイトを見て、ルカは人の心のさもしさを思い知った。
とは言っても、2分で着くならたいした距離ではない。ルカはとぼとぼと歩き出した。


ざっばーん
「海だ!」
 なかなか見えてこないと思ったら、いつの間にか小樽市にまで来ていた。
ルカ自身気付いていないが、彼女は極度の方向音痴であった。オホーツク海を渡って吹き付ける北風が身に染みる。
「方向は合っているはずだ。この船がク○プトン社行きの船かもしれないな」
 まもなく船は出港した。
「あれ、なんだい姉ちゃん、マグロ漁船にこんなべっぴんさんがいるたぁ珍しい。何かわけありかい?」
「ああ、私は……」
「なぁに、言わなくても分かるよ。海の漢は心で語り合うってもんよ。まあ、よろしく頼むよ」
 この船での漁師たちとの交流が、その後のルカのマグロ好きを決定付けたのであった。

 その後、いくつもの船を乗り継ぎ、気付いた頃にはもう数ヶ月が経過していた。
「陸だ!」
 久しぶりの陸地に、ルカは心を躍らせた。この街のどこかにク○プトン社はあるに違いない。
港に着くと、彼女は片っ端から尋ねまわった。するとすぐに、ボーカロイドを作っている会社を知っているという人に巡り合った。
その人に連れられ、ルカはその会社にまでやってきた。
「ZERO-G社……?」
「イエス! レオン、ローラ、ミリアム、ベリーナイスなボーカロイド作ってる会社デース!」
 ルカはイギリスに来ていた。
結局、ルカはしばらくこの会社に住まわせてもらうことになり、英語もこの時にマスターしたのだった。


―その頃札幌では
「ルカが行方不明になって数ヶ月、社長はショックでまだ寝込んでるし、一体どうしてくれるんだ……」
「いやもう、なんかホントすいません……」
 開発担当の和藤さんに、カイトは正座で叱り付けられていた。
「まったく、キミは売れないわアイス代はかかるわ新製品を行方不明にするわで本当に……」
「もうホント、生まれてきてごめんなさい……」
 その時、一人の少女の声が聞こえた。
「あの、和藤さん、お話ってなんですか?」
 浅葱色のツインテールに、近未来的なデザインのコスチュームを身に纏った彼女は、現在製作途中の新型ボーカロイドだった。
「ああ、待ってたぞ、”巡音ミク”、いや、CV-01初音ミク!」

                            <fin 現実に続く>

78:名無しさん@ピンキー
09/01/08 19:20:44 70Mozrxj
以上。
個人的には素直クールを推したいところです

79:名無しさん@ピンキー
09/01/08 19:24:46 3FULPeMo
小樽って日本海じゃね?

80:名無しさん@ピンキー
09/01/08 19:24:56 mkM9zVEL
>>78
GJ!!
それにしてもカイトwww

81:名無しさん@ピンキー
09/01/08 19:26:17 XPIGYxbd
切ない話かと思ったらこれはwww

82:名無しさん@ピンキー
09/01/08 19:33:52 HeTOhv73
6人家族ともなれば朝のトイレとかお風呂とか大変そうだ
最後の子はもれなく湯が冷たいのカワイソス

83:名無しさん@ピンキー
09/01/08 19:39:08 fR7hl6rP
これはGJwwwww
俺の中でのルカ設定が確立したwwwwww

84:名無しさん@ピンキー
09/01/08 19:42:18 70Mozrxj
>>79
あ、そうなのかw
関東人が適当なこと書くもんじゃないな。稚内くらい突き抜けとけばよかった

85:名無しさん@ピンキー
09/01/08 20:02:36 xU2iebCy
MEIKOにも殴られてるのに節操ないなw

86:名無しさん@ピンキー
09/01/08 21:09:02 hVio+rKw
ルカがきたことで自分の存在価値に悩んでしまうメイコが見たい
無理に明るく振舞って、内心ではどうしようどうしよう状態
愛されたくて何でもしちゃうような可哀相なメイコが見たい

87:名無しさん@ピンキー
09/01/08 21:17:00 XPIGYxbd
>>86
キミとは気が合いそうだ
なんか色々姉キャラとかおっぱいとかでやたらそんなネタばっかり見てたら
俺の脳内のMEIKOさんがそんな感じになってきた
これからも最愛キャラは姉さんのハズなんだが自分どSだったんだろうか

88: ◆V5AVgh0yRw
09/01/08 22:38:28 DfVVzroo
お久しぶりです。そしてあけましておめでとうございます。(遅)
時代は新ボーカロイドである巡音ルカだというのに、今だに鏡音しかかけませんorz
 
非エロな上に大変長くてもうしわけない(文字数7000越え)のですが、投下させてください。


89:そしてさよならを告げる
09/01/08 22:43:29 DfVVzroo
 
 「どうして一緒に寝ちゃダメなの?」
 
 納得がいかないといった表情でレンは両親に食いついた。プレゼントだ
と渡された部屋は自分たちが生まれた時から余っていた空き部屋で、14年
の月日を隔ていつしか物置小屋と化していたがつい先日業者の手によって
清掃と修正を施され、今では立派な個人部屋となっていた。
 
 「・・・レンは、あの部屋いらない?」
 「ううん、リンと遊んだりするのに使うからいる。けど、俺の部屋とし
てはいらない。勉強も寝るのも、リンと一緒の部屋でいいから」
 
 あっさりと、そう切り返すと幼いころは「まぁ、仲がいいのね」とうれ
しそうにほほ笑んだ母親の顔がとても困ったように歪んだ。自分はなにか
間違ったことを言っただろうか、とレンの顔が訝しげになる。間違ったこ
となど、何一つ言ってない。リンと一緒に寝たり勉強したり喧嘩したり遊
んだり。それはずっと当り前だったことでこれからも何一つ変わらないこ
とであるということを、両親たちは一番身近な存在としてよくしっている
だろうに。
 
 「でも、ほら。レンも結構大きくなってきたでしょう?寝返りをうった
時にリンを下敷きにしちゃったりしたら、危ないじゃない」
 「・・・下敷きになってるのは、俺の方だよ」
 「シングルベッドで二人寝るのはそろそろきついでしょう?レン用にも
新しいベッド買ってきてあげるから、ね?」
 「いらない。リンと一緒でいいから」
 「レン・・・、お願いだから言うことを聞いて頂戴・・・っ」
 
 そう言って今にも泣き出しそうに顔を歪める母さんに、俺は一瞬だけ目
を見開いた。
 

90:そしてさよならを告げる
09/01/08 22:43:54 DfVVzroo

 「・・・かあさん?」
 
 今日は、俺達の誕生日だからと、朝から家は盛大なお祭り状態で。いろ
いろな人が代わる代わる14歳の誕生日に祝いの言葉を述べ、プレゼントを
くれた。母さんは前日から準備をした料理を沢山つくってくれて、父さん
はめったに買ってくれないゲームソフトを2本も買ってくれた。昔からお
世話になってる近所のお姉ちゃんとお兄ちゃんはお祝いの歌を歌ってくれ
たり、面白い話をいっぱい聞かせてくれて、今日は本当に楽しい一日だった。
と、夜二人きりになった暗いベッドの中でリンと話して、誕生日を終える
予定だったのに。
 ゴーン、と年代物の古い掛け時計が11時を告げる。俺たちにとって特別
な一日もあと1時間で終わりをつげて、その次の瞬間からはまたいつもと変
わらない一日が始まる。それだけのはずだったのに。
 
 「レン、お前は嫌じゃないかもしれないけど、リンは嫌かもしれないだろ?」
 「・・・っリンは嫌だなんて一言も言わない!」
 
 相変わらず泣きそうな表情で俺をみる母さんの肩を抱く様に、横から入
ってきた父さんの言葉に俺は思わずムッとする。リンはそんなこと思って
ない。根拠なんかないけど、俺にはわかるから。しいてあげるとするなら、
俺たちは双子だから。
 
 「・・・言葉が悪かったね。リンもお前ももう14歳になっただろう。昔
と違ってレンはどんどん身長が伸びてきたし、リンも女性にどんどん近付
いてる。レンも自覚しているだろう?」
 「・・・それは」
 
 わかっていることだ。昔は鏡で合わせたみたいにそっくりだね、なんて
言われるぐらいだった俺達の体は、どんどん変わっていっていた。合わせ
る掌は歪な大きさで、二枚貝のようだった手はもうどこにもなくなっていた。
俺が小さいといった服をリンが着ると、手が隠れてしまうほどにぶかぶか
で、大きいね、なんて笑い合っていたけど。
 
 「父さんと母さんがそうであるように、レン、お前にも、もちろんリン
にもいずれ恋人が出来て結婚する。その時まで二人でいつまでも一緒に寝
るなんてこと、出来ないだろう?」
 「・・・・・・」
 
 それはいつか確実になるであろう未来のことで。その相手は確実に俺で
はないことだけは分かっていた。

91:そしてさよならを告げる
09/01/08 22:44:21 DfVVzroo

 「なんのことはない。ただ一人で寝ることができるよう練習だと思えば
いいんだよ。なにもお前たちを離れ離れにさせようと意地悪をしているわ
けじゃないんだから。レンとリンは変わらず俺達の子供で、仲のいい双子。
そうだろう?」
 「・・・・・はい、父さん」
 「いい子だ・・・レン」
 
 「さぁ、もう夜も遅いから寝なさい」と背中を押す父親の声に、俺は素
直にコクンと一度だけ首を縦に振った。
 ―――ずっと二人でいたいね。
 その言葉の期限が切れるのは、自分が思っていたよりもずっと速くて、
案外もうすぐそこまで迫っていることであるのだと父親の声が俺に告げる。
 
 「・・・リンに、おやすみって言ってきてもいい?」
 「もちろん、構わないさ。・・・さ、おやすみ、レン」
 「・・・はい。おやすみなさい、父さん母さん」
 
 ゆっくりと、静かに閉じられた扉を最後まで見つめて。母親は寄りかか
るように父親に凭れる。両手で今にも泣き出しそうな瞳を両手で隠し、
小さな声で「どうして」と呟いた。
 
 「・・・・大丈夫だよ、レンもリンもいい子だ。俺達の子だ。きっと過
ちは犯さないよ」
 「けれど、あぁ、やっぱり駄目だったのよ。許されないことだったのよ。
可愛いあの子たちまで・・・!見たでしょうレンの瞳、あれは恋をする瞳よ!
昔のあなたと変わらない、誰かを愛してる瞳なの!」
 「・・・ミク」
 「あの子たちまで、あぁ、いったい如何したらいいの。許されないこと
なのよ、実際そうだったじゃない。あの子たちにまで何かあったら、私、私!」
 「ミク、落ち付いて・・・」
 「どうして、どうしたらいいの兄さん!あの子たちまで不憫な目に合わせたくないの。」
 「信じるんだ、彼らを。大丈夫、俺達の子なんだから。ね、ミク・・・」
 
 そして何事もなかったのかのように鳴り響く時計の秒針の音が、二人だけの居間に響いた。
 
 
**************************************************************

92:そしてさよならを告げる
09/01/08 22:45:04 DfVVzroo
 
 
 どこかふらつくような、浮かない足取りでレンは両親が残る居間を後に
し、二階へと続く階段に足をのせる。わずか十数段しかない階段がやけに
長く感じた。うっすらと光がもれる子供部屋だったものへ向かうのには普
段の倍以上の時間をかけた。
 いつもの寝る時間よりもだいぶ遅れているから、もしかしたらもうリン
は寝てしまっているかもしれない、とレンは思った。けれど、そっちのほ
うがきっと楽で、心もいたまないから、いいだろうとも。
 リンは知らない。今日から俺が新しく作られた俺専用の部屋で寝起きを
しなくちゃいけなくなったということを。いつものように先にお風呂に入
って、ベッドの中でまってるから、と屈託のない笑顔で二階へとかけ登っ
て行った彼女には、どうしても言い難かった。
 ほんのりと、月明かりのささやかな光がこぼれる子供部屋の扉をそっと
あける。
 窓付近に位置するシングルベッドの右端はリンのスペースで、やはりそ
こは人一人分がいることが暗闇の中でもはっきりとわかるほど盛り上がっ
ていた。規則的に上下する羽毛布団が寝ているのだと感じさせる。ベッド
の横に置いてある目覚まし時計の秒針の音以外にはしんと静まり返った部
屋に、レンは一歩踏み込んだ。
 お月さまが奇麗な夜は遮光カーテンもレースカーテンもかけないで、綺
麗な月明かりを眠る寸前まで楽しむのが俺とリンの夜の楽しみの一つだっ
た。月明かりを蛍光灯代りに二人でゲームをしたりおしゃべりをしたり。
ずっと、14年間飽きることのない夜だった。これからもそうだったと思ってた。
 
 裸足が、冷たいフローリングの上をぺたりと歩く。寝ているのならせめ
て、起こさないようにおやすみとだけ告げて、自分に与えられたのだとい
う部屋へ行くつもりだった。
 覗き込んで見えるリンの顔は穏やかで、隣にいない俺を探すように少し
だけ伸ばされた手が白いシーツの上で浮いていた。蜂蜜色の柔らかい髪は
俺とは違う髪質のもので、こんな所にも違いがでてしまったのだと悲しく
なる。伸ばされていた手に、大きくなってしまった手をそっと重ねて今ま
で寝る前にしていたように俺はリンの額にそっと顔を近づける。
 
 これからもそうだと思っていた。それが、こんな風に終わるなんて考え
てもいなかったのに。

93:そしてさよならを告げる
09/01/08 22:45:35 DfVVzroo

 「・・・・おやすみ」
 
 (いずれ恋人が出来て結婚する。その時まで二人でいつまでも一緒に寝
るなんてこと、出来ないだろう?)
 
 諭すような口調で告げる父さんの声が頭の中で響いた。ギリギリと胸の
ずっと奥にあるものが締め付けられるようでどこか息苦しささえ感じた。
目をつぶってリンの体温を感じる。それさえも今日を境に許されなくなる
のだと思うと、手放したくないという気持ちが溢れて仕方ない。
 同じシャンプーと同じ石鹸を使っているはずなのに、リンの香りは俺よ
りずっと甘くて、舐めたらきっと美味しそうなんだろうな、と思う。それ
をネタにして話せば、リンはきっとそんなことはないとコロコロ変わるあ
の愛らしい笑顔で笑ってくれるのだろうけども。
 
 「・・・・おやすみ、リン」
 
 意を決して、最後にもう一度だけそう告げて俺は握りしめていた手を放
そうとした。
 
 
 「――どこいくの?レン」
 
 左手がベッドに吸いつけられたように動けなくなった。正しくは、リン
が俺の手をぎゅっと握りしめたからだ。今まで寝ていたとは到底思えない
ぱっちりとした深いエメラルドグリーンの瞳の視界にとらえられる。
  
 「何してたの?遅かったねーレン。ほら、おいで、お話しようよ」
 
 毛布をめくり上げれば、いつもと変わらない俺の分のスペースがシング
ルベッドのなかにポッカリと入る。二人で寝るとギュウギュウしていて少
し狭いけど、お互いがぴったりとくっつけば身動きがとれるぐらいのスペ
ースはとれるし、何より暖かくて俺は好きだった。
 
 「リン、まだ起きてたの?」
 「うん、レン待ってたんだよ。といっても興奮冷めやらずで眠れない、
っていうのもあるけど。ね、お話しようよ」
 
 枕の上に片腕をのせ、その上に顎を載せながらリンの流暢な口は楽しげ
に言葉を紡いだ。

94:そしてさよならを告げる
09/01/08 22:46:01 DfVVzroo

 ローストチキンがおいしかったこと、ちょっと焦げていたこと。父さん
に買ってもらったゲームが思いのほか難しすぎて、ちょっと八つ当たりし
かけたこと。遊びに来てくれたお兄ちゃんとお姉ちゃんの誕生日には、
お礼に歌を歌ってあげたいね、なんてとりとめもない話。
 どうやって俺の話を切り出したらいいかを頭の片隅で考えながら、リン
と手をつないだまま、潜り込まずベッドの上に座りながらその話に相槌を
うつ。いつしか俺も夢中になって話し出していた。今日のこと、明日のこ
と。これからのこと。空想未来図が儚げに部屋いっぱいに広がっていた。
 
 二人だけでよかったのに――。
 
 その空想未来図を打ち崩すように、居間の時計が12時を知らせる鐘を鳴
らした。直ぐに出ていくつもりだったからとドアを開け放していたせいで、
いつも耳にするよりも鐘の音は幾分か大きかった。さあ、早く出て行きな
さいとばかりに何度も時計は鐘を鳴らす。
 同じ角度で月明かりに照らされている同じ間取りの部屋。俺に与えられ
た孤独な部屋へ、さっさと戻れと鐘が告げる。
 
 「ドア、開けたまんまだった。閉めてくるね」
 
 立ち上がり、ゆっくりとリンから手を離す。離したくないと思わせるに
は、リンの体温は十分過ぎた。これは時計が与えたチャンスなのかもしれ
ない。もし俺が今夜この部屋を出ていくことが出ていくのだとしたら、
チャンスは今しかないというぐらい。
 
 「―――っ、レンどこいくの?」
 
 ドアへと近づける足を止めて。レンは振り返った。母親と同じように、
どこか困った顔でじっと見つめるリンの瞳は何かを感じ取ったらしかった。
やっぱり、どこかで俺たちは繋がっているのだと思ってしまうぐらい不思
議な感覚だった。まだキシキシと痛む胸は痛いけれど。
 
 「――ドア、閉めるから」
 「・・・・本当?どこにもいかないよね?」
 
 喉に言葉がつかえる。言わなくちゃいけないと分かっているのに、俺が
それを言葉にしたとたんずっと大切に隠して守り続けていた何かが音を立
てて壊れてしまう。そんな予感がしていた。

95:そしてさよならを告げる
09/01/08 22:47:39 DfVVzroo

 リンはそのまま何も言わずじっと俺を見つめて続けている。張り付いて
舌の上を通らない言葉を無理やり一度飲み込んで、勢いよく吐き出したつ
もりだったのに、声はすごくか細いものでしかなかった。
 
 「・・・・っ俺、一人部屋貰ったんだ」
 「・・・・っえ?」
 
 リンの顔が見れなくて、とっさに顔をそらした。
 
 「父さんたちが、そろそろ俺たちも大人になってきたから一緒のベッド
で寝るのはよくないって」
 
 一度口に出してしまえばなんてことはない。すらすらと、言いたくない
ことも饒舌にあふれてくる。ズキズキと、胸が痛い。
 
 「前から隣の部屋改装してただろう。あそこが俺の部屋になるんだ」
 「だって・・・あそこは客室にするって言ってたじゃない!」
 「分からないけど・・・。ほら、俺もちょっとでかくなってきたから、
一緒だとリンも窮屈だろ?今日から、別々の部屋で生活できるようにして
くれたから、俺そっちで寝るよ。リンも一人で」
 「イヤ!」
 
 下で寝ているのであろう父さんと母さんにも聞こえてしまうんじゃない
かって冷や冷やしてしまいそうになるぐらい大きな声でリンは拒絶の言葉
を叫んで、ベッドから抜け出すと俺に抱きついてきた。のだと思う。俺は
いまだに顔をあげることもできずに俯いたまますんなりと抱きついてくる
腕を受け止めることで精一杯だった。
 思ってもいないことをペラペラと話してくれていた軽快なピエロの口が
少しだけだまる。けれどそのたびに頭の中では父さんの俺に突きつけた近
い未来を示す言葉が渦巻いて離れなかった。
 リンは大切な人だから。大好きだから守らなくちゃいけないんだ。と幼
心に騎士を気取った精神でごまかそうとする。気がついちゃいけないもの
を抑えつけて、ますますギシギシと胸が痛みだしていた。
 
 「リン、ダメなんだ。リン!」
 「イヤ、やだよそんなのっ!やだよう・・・」
 
 嫌々と首を頑として縦に振ろうとしないリンの気持ちが、痛いほどわか
って苦しくなる。ほら、父さん母さん、やっぱりリンは全然そんなこと思
ってないじゃないか。
心のなかで慰めてくれるピエロはそれでも笑顔を張り付けたまま口を開け
と心臓にまたひとつナイフを刺す。グサリと音がした。

96:そしてさよならを告げる
09/01/08 22:48:01 DfVVzroo

 「っ、そう、さっきレンが来るまでの間に怖い本よんでたの!こ、怖い
から一緒にいて、ね?それならいいでしょう?父さんと母さんには私が言
うから、レンお願い・・・お願いだから」
 
 そんなこと言わないでよ。
 呟き声よりも小さな声が耳にまとわりつく。その言葉がまるで呪文のよ
うにレンの耳を溶かしていった。どうしたらいいのか分からなくて行き場
をもとめる腕が、リンを求めて意志を持ち始める。
 
 二人だけがよかったのに――。
 
 本当はもうずっと前から気が付いていた。気がつかないふりをしていた。
リンと一緒にずっとひた隠しにしてきた。誰にもばれないようにそっと育
ててきた。育てるつもりなんてなかったのに、寄生植物のように、心に住
み着いてどんどん勝手に育っていってしまって。
 リンの手は白くてやわらかくて暖かい。嫌だ嫌だと駄々をこねるように
そればかりを繰り返す。悪戯にナイフ突き刺していくピエロは楽しげに俺
の心を壊してく。もうだめだと張り詰める糸に、最後の一刀を突き付けて
奴は笑っていた。
 
 「レン。大好きなの。ずっと好きだった。これからもずっとだよ。
ずっとずっとだよ。――愛してるの・・・だから」
 
 (離さないでよ――)
 
 ガラガラと音もなく崩れていった奥底で、愉快そうにピエロが笑った。
 
 
 すぐそばにあったドアノブをそっと閉める。それから、彷徨っていた両
腕に意志を込めて、白い肩をかき抱いた。少しだけ安堵したように憂いの
溜息が漏れ出る唇をそっと親指でなぞる。薄くリップクリームを引いたよ
うな瑞々しい赤い果実に、脅すように顔を近づけた。ダラリと垂れ下った
糸の、最後の抵抗として。
 
 「戻れなくなるよ」
 「・・・うん」
 「もういつもみたいにはなれないよ」
 「・・・わかってるよ」
 「父さんと母さんを傷つけるけど、それでもいいの?」
 「・・・レンがいてくれるなら、それでいいの」
 
 だから、とさらに言葉を付け足そうとするリンの唇をそっと封じて、
その日生まれて初めて俺はキスをした。初めての体験に戸惑っているのか、
ぴくりと微かに動いたリンの手に、自分の手を絡める。ゆっくりと唇を離
して、瞳をあける。闇に慣れきった目に月明かりはまぶし過ぎて、目が見
えなくなってしまいそうだと思った。

97:そしてさよならを告げる
09/01/08 22:48:25 DfVVzroo

 
 「はは、本当に。いまどき幽霊なんて信じてるの、リンぐらいじゃない?」
 「ばっ、だっ、べ、別に幽霊なんて」
 
 全然怖くないと言いかけて、それを言ってしまえばレンがいなくなるの
ではないかと不安になりリンは口を噤んだ。昨日と同じように、そしてこ
れからも同じように変わるのであろうリンの表情にレンは顔を緩めた。
 それからリンのすぐそばに膝を折って跪く。昔絵本でみた騎士がお姫様
にしたそれのように、握っていたリンの右手を手にとって。
 
 「誓おう」
 「レ・・・ン・・・?」
 
 神聖な儀式を執り行うのに、見守るものは誰もない。二人だけでいいと
言いきった俺たちにふさわしい場所で、二人だけで行う秘密の儀式は。
 
 「私だけのプリンセス。貴方に心からの信頼と、忠誠を」
 「リンが望むとおり、俺はリンだけの」
 「俺は、リンだけの騎士だ――」
 
 そこから先は、白い世界がどこまでも広がって。同じベッドにどこまで
も沈みこんで、薄い絹越しに体温を感じ合って。蕩けるような熱い息を吐
きだし、狂ったように汗だくになりながら。誰にも聞こえないように声を
押し殺して、言い訳もすべて唇で飲み干して。壊れるぐらい抱きしめて、
奥底まで。





 それから、それから。

98: ◆V5AVgh0yRw
09/01/08 22:51:26 DfVVzroo
8レスも使ってしまいました・・・。
もうお気づきの皆さまもいらっしゃると思いますが、
一応某ボカロオリジナル曲をモデルにしております。
脳内解釈でこねくり回して文字にしたらこうなりました。
思うように綺麗なエロにできず、書いている途中何度も頭にUSBをぶっ刺したくなったのはいい思い出です。

今年も鏡音兄弟を中心にエロイものを書いていきたいと思います。
次は元ネタなしのエロいものを投稿しようと誠意奮闘中です。

それでは、本年度もよろしくお願いします。
ではでは。

99:名無しさん@ピンキー
09/01/08 22:55:56 xdlPRHTe
>>98
乙乙!
実は誰かがやってくれないかと期待してましたw
エロ入らなくても雰囲気がエロ切なくていいね~

100:名無しさん@ピンキー
09/01/08 23:04:34 KpwhykEV
一人暮らしのルカ姉が夜自分を慰めてる声が
お隣に住んでるがくぽに聞こえて…
…な話希望

101:名無しさん@ピンキー
09/01/08 23:19:28 KpwhykEV
18歳以下の子どもたちが寝静まった夜
カイメイガクルカの4人がスワッピングを…とか
ガクルカのSMスイッチプレイ(なんか二人とも両刀っぽいから)とか

102:名無しさん@ピンキー
09/01/08 23:39:12 pA6Sdmqg
>>98
GJ!
元ネタ知らないが読みふけってしまった
こういう背徳的な雰囲気もいいなぁ

103:名無しさん@ピンキー
09/01/08 23:44:19 pHvM16ol
ネルがどうしても百合になってしまう俺

104:名無しさん@ピンキー
09/01/09 00:16:45 uJY9vjs3
ネルはミク意識してるようなもんだからな(変な意味ではなく)
まあなんだ、ネルはかわいい

105:名無しさん@ピンキー
09/01/09 02:21:11 EkjsXdhT
>>98
GJ!!
元ネタも好きだから楽しめた
両親も何気にアレなんだな


106:名無しさん@ピンキー
09/01/09 02:24:27 peypYmUq
ネルとレンのチビコンビも好きなんだがここだと意外に見ないんだよなあ

107:名無しさん@ピンキー
09/01/09 04:22:19 Yl+l1ZBm
人気あるったって亜種だしな
その辺は仕方ないんじゃね

108:名無しさん@ピンキー
09/01/09 06:22:22 tamc7YAf
そこでルカ様ですよ

そして去年からレンメイの母乳プレイも全裸で待っている俺

109:名無しさん@ピンキー
09/01/09 07:05:35 ixly71xR
>>98
GJ!
雰囲気が綺麗ですごくよかった
元ネタはわからないけど騎手なレンとプリンセスなリン萌えた
今度探して見るわ

110:名無しさん@ピンキー
09/01/09 07:27:39 UflOeFYh
>>98
GJ!
なんというイケレン
元ネタなんとなく分かった


カイメイ書きなんだがルカ出現で
凹むMEIKOと慰めながらもこれでMEIKOは俺だけのものっていう
腹黒KAITOしか浮かばなくて困ってる

あとルカをどうやって組み込むか…難しい がくぽみたいにご近所さんもありなのかなぁ

保管庫で見たウィッシュがくぽに爆笑したんだが
ルカがルー大柴みたいな口調(バイリンガルっぽい感じで)だったら
会話カオスだろうなぁって妄想してしまったw

111:名無しさん@ピンキー
09/01/09 07:53:02 EsIFAO3R
ルー語か。

「あー眠い…ちょっと頑張りすぎた…。だってなぁ、あの魅惑のおっぱi」
「おはようございますカイトお兄様」
「ぅおっ!あ、ああルカ、おはよう」
「…昨夜はおたのしみでしたね」
「ブフゥッ!な 何」
「うふふ。壁にイヤーあり障子にメアリーですわ」
「(なんかいろいろ間違ってる!)」

こんな感じか?

112:名無しさん@ピンキー
09/01/09 09:14:40 u74hFFUk
>>111
ルー語よりも さくやは おたのしみでしたね
にワロタ

113:名無しさん@ピンキー
09/01/09 09:49:51 cgPgx25n
ルー語のルカ、イイネッ!

ルカ「ヘイヘイヘ~イッ!ミーとユーはアルトパートですが声質は違うから人気
取られるなんて心配はノープログレムでーす!ドゥーユー アンダスタン?」
メイコ「え、えぇ…(げ、元気づけようとしてるのかな?ルカなりに)」


ミステリアスさナッシングだがwww

114:名無しさん@ピンキー
09/01/09 10:15:24 vC5p7QEC
ミステリアスさを出すために綾波系喋りでしかしルー語というのを押そうと思う

115:名無しさん@ピンキー
09/01/09 10:58:45 AvvcwoFK
俺の場合、ルカはものっそい世間知らずなイメージが

はじめて見るうどんに興味深々のルカ
「こうやって食べるんだよ」と爽やかな笑顔で鼻からうどんをすするKAITO
うどんを鼻に持っていこうとするルカを全力で制止するミク
うどんを茹でてた鍋でKAITOを粛正するMEIKO
キャーキャー言いながら観戦するリンレン
何事もなかったように優雅にうどんを食す殿

正直スマンカッタ

116:名無しさん@ピンキー
09/01/09 12:03:43 bjBs7GJz
>>113
その喋りはむしろAnnを彷彿とさせるんだがww

ルカは興奮すると全部英語になってしまうとかも面白い
まあ興奮は興奮でもエロシーンでの喘ぎが「oh...yeah.....」とかになるのは嫌だが

117:名無しさん@ピンキー
09/01/09 12:16:48 kCggKh1z
綾波+ルー語……こんな感じか?

「初めまして。私のネームは巡音ルカ」
「大丈夫。そのサウンドクオリティをキープイットしたまま私にシングさせてくれれば、最高にグッドなシングになる」
「……ノット。それはノット。あくまでも私はソングをシングするオンリーの存在だから……」

ダメだ急にイロモノ化したorz

118:名無しさん@ピンキー
09/01/09 12:41:57 XoybtA/w
>>64
シュールすぎてクソフイタwwwww

119:名無しさん@ピンキー
09/01/09 12:45:04 Hh9dMHTk
>>117
専門用語やたら入れて素人に優しくない解説者みたいで殴りたくなるな。

120:名無しさん@ピンキー
09/01/09 15:37:25 EkjsXdhT
>>117
がくぽと会話させたらカオスなことになりそうだなw


121:名無しさん@ピンキー
09/01/09 16:22:53 kCggKh1z
百合スレでも書いたんだが、ルカの性格づけはこんな感じかな?という予想。

①:某長門や六本松一式のようにメカメカしい性格にしてみる。
「私は、VOCALOID02・キャラクターボイスシリーズ03・巡音ルカ」
「なぜそのような事を?私の存在意義は歌う事。あなたが望むのは本来の運用目的とは違う行為……」
「……『私』を、大事にしてください」

②:メカメカしいのがいやなら、性格を反転させたり。
「初めまして。私、巡音ルカって言います。これからよろしく!」
「……えっ?わ、私……VOCALOIDだけど……いいの?」
「……お姉様、って呼んでいいかな?」

③:むしろ高圧的にしてしまえという毒電波が混入。
「あなたが私のマスター……?私を扱う以上、ちゃんと私の事をもてなしなさいよ?」
「な、何よこの変態!豚!こんなの、こんなの……気が狂ってるわ!」
「……私に手を出した以上、責任を取りなさい。この豚」

122:名無しさん@ピンキー
09/01/09 16:24:43 kCggKh1z
やべ、『お姉様』を変えるの忘れてたorz

『お姉様』→『あなた』

123:名無しさん@ピンキー
09/01/09 17:40:38 1ZYkyson
>>78のせいでルカは女騎士のようなしゃべり方がイイ!と思った
しかしそれに3番目をプラスしたもっと好みになった…これは恋?

124:名無しさん@ピンキー
09/01/09 17:43:31 74mbmoAz
>>121
キャラ付けがどうなろうと俺は①で書き続けるぜ!
今のところ③の流れっぽい?

125:名無しさん@ピンキー
09/01/09 17:48:38 EgFzR/P8
じゃあ自分は全部のパターンと違うのを書くぜ!

126:名無しさん@ピンキー
09/01/09 17:58:23 XoybtA/w
>>110
家族とゆうより居候のお姉さん的な位置だといい感じなんだが。
 
特にレンと組みやすい。
それでルカ×レン←ネル(嫉妬)
とゆうのが思い浮かんだ。

127:亞北ネル
09/01/09 18:02:25 XoybtA/w
>>116
なんかその設定デジャビュね。

128:名無しさん@ピンキー
09/01/09 18:34:43 mRUlNlvW
クールビューティールカとの絡みが楽しみでしかたないです
カイトだと下僕攻め
レンだとおねショタといったところか・・・

129:名無しさん@ピンキー
09/01/09 18:38:25 VvyA5G1J
ルカは個人的に素直クールな印象
ロールパンナ的な、後から作られたお姉さんでもいい

130:カイルカ風味。非エロ
09/01/09 19:47:29 eF/BGBk4
夜遅く、ミクとリンはリビングでマグカップ片手に話していた。
スプーンでコーヒーをかき混ぜる。
ミルク半分、コーヒー半分、砂糖多めのミク特製コーヒー。
「…ねぇ、リンちゃん。ルカさんのことどう思う?」
「いっつも無表情だし何考えてるか分かんない」
発売延期でユーザーから急かされていたから、感情とか作り忘れてきたのかも。
と、割と本気で言いながら、リンがホットミルクを飲んだ。
ルカがこの家に来てもう一ヶ月は過ぎたが、未だまともに話したことはない。
話しても仕事の話ばかり。違う会話をしようとしても、ルカは頷くだけでろくに喋らない。
何もなければすぐにどこかに行くか、部屋に閉じこもる。
ミステリアスがうたい文句のルカだが、そんな謎めかなくていい。
まだ心を許してくれないのか。
はぁ、とミクはため息をつく。

マグカップに入っていたスプーンがカチリと鳴った時、カイトがリビングに入ってきた。
「こら、もう遅いんだから早く寝ないと駄目だよ」
軽く注意し、キッチンの奥の冷蔵庫から、紅茶のパックと、マグカップを二つとった。
それにミクは気づく。
「誰かと一緒に飲むの?」
「うん、部屋にルカがきててね」
「えっ、ルカさんが!?」
二人は驚き、カイトの方を見る。
ミルクを手に取り部屋に戻ろうとするところを、ミクとリンは追いかけ、カイトの腕をつかん

だ。
「ねぇ、部屋に来てるってどうして?」
「ただ話してるだけだよ。仕事のアドバイスとか色々ね」
「話すー?ルカさんって喋るの?」
「そりゃあ喋るよ。たくさんね」
「えっ!?だっていっつも喋ってくれないんだよ?」
「ルカは恥かしがりやだからね」

恥かしがりや?

「本当のルカは表情豊かで、泣き虫なんだよ」
「「えぇーっ!?」」
夜中だというのに、ミクとリンは大きな声を出し、慌てたカイトが口元に人差し指を当てる。
「こら、もうメイコとがくぽは寝てるんだから、大きな声を出しちゃ駄目だよ」

あの人が、表情を崩すのか?泣くのか?
ミクとリンには信じれなかった。
「だって、毎日俺のところにきては、凄く嬉しそうな顔で今日は上手く歌えた。
今日は上手く歌えなかった。とか言って抱きついてきたり、泣きついてくるんだよ」
「…お兄ちゃん、それ本当?」
「嘘言ってどうするんだよ」
「だっていつも笑わないし、無表情のままじゃん」
「恥かしかったり、戸惑うと、無表情になるんだって。面白いよね」
にこにこと笑うカイト。
まだ信じれなかった。
だってそんなこと見ていて分かる訳がない。
話したことがあまりないのだから。

「…ねぇ、なんでお兄ちゃんとは喋るの?」
「一人で歌の練習しているのを見ちゃってね。アドバイスとかしてたら段々と会話するようになったんだ」
ルカは暇さえあればいつも練習してるんだよ。とカイトは付け加えた。
皆に追いつけるよう、頑張って頑張って。でもそんな姿恥ずかしくて隠れて練習。
いつもどこかに行くのはそれが理由。
無表情なのも、どこかにいくのも、理由が分かれば可愛らしい人だったんだと分かった。
ミステリアスに見えていただけ、だったのだ。

131:カイルカ風味。非エロ2
09/01/09 19:48:23 eF/BGBk4

「なんだ、ルカお姉ちゃんって面白い人だったんだね!ねぇ、あたしもお兄ちゃんの部屋に遊びに行っても良い?」
リンがカイトの袖をぶんぶんと振り回しながらねだる。
しかしカイトは困ったような表情を浮かべた。
「んー、ルカから話すまで、待っててくれないかな」
「えー、どうして?」
頬を膨らますリン。そんなリンの頭をいつもならカイトは撫でるが、今は手が空いていなく、代わりにミクが撫でた。

「今のルカはきっと俺以外と全然喋ってくれないと思うんだ。
皆とたくさん話したいし遊びたい。皆と笑いあいたいのに。だけどやっぱり怖くて恥ずかしくて皆の輪に入れない。
でも分かってあげて、ルカは今必死に輪に入ろうとしている。俺はルカの話は聞くけど、無理に輪に入らせようとしたくないんだ。
だから、ルカから輪に入ろうとするのを、待ってあげて?」
ね、と諭すようにリンに言った。
リンはまだ納得できていないようだが、しぶしぶとカイトの袖を放す。
「…もしずっと喋ってくれなかったら、お兄ちゃんのせいだからね!」
「うん。分かったよ」
言い終わると同時に、リンはリビングへと駆け出していった。
ミクはそんなリンをくすくすと笑いながら自分もリビングへ向かう。
「ねぇお兄ちゃん」
途中、立ち止まり、カイト方に振り向く。
「何だい?」
「待ってる、私も待ってるからね」
「ああ」



ルカがカイトの後ろから、たどたどしいくだがコミュニケーションを取れるようになるのは、それから少し経ってからだ。

132:名無しさん@ピンキー
09/01/09 20:50:33 aKpc5hrm
GJ
引っ込み思案のルカもいいね

だけど家族設定前提でカイルカはちょっと違和感あるもんだな
接点がというか唐突というか

133:名無しさん@ピンキー
09/01/09 21:11:51 UflOeFYh
ちょwwwwルー語使いのルカに乗ってくれた人有難うwwwww
綾波+ルー語…ちょっといいなって思ってしまったw
余談だがルー語変換っていうツールがあったwww
URLリンク(lou5.jp)

134:名無しさん@ピンキー
09/01/09 21:19:57 dIU7WBzz
>>131
GJ
このルカはすごく可愛いですね

自分の中のKAITOは20~21ぐらいなので
海外から帰って来たルカは同い年で誕生日も近いKAITOと
仲がいいって感じの家族設定でいけます


135:名無しさん@ピンキー
09/01/09 21:46:58 Y7vVhxFu
あぁ、ルカ可愛いよルカ
でも設定が固まらないよ、ルカ
マスルカが個人的ヒットでした
引っ込み思案というのも新しい
がくメイが読みたいです
あぁ考えがまとまらないよ、ルカ

136:名無しさん@ピンキー
09/01/09 21:49:21 s04TFv2s
You、全部書いちゃいなYo!

137:名無しさん@ピンキー
09/01/09 21:49:29 6JBtKo0J
そうですか

138:名無しさん@ピンキー
09/01/09 22:33:06 vC5p7QEC
俺の中の方向性が
カイメイ、レンリン、マスミク、がくルカに落ち着きそう
たぶん他のも書くけど、この辺が収まりがいいかなと

しかしルカも家族設定にしちゃうとイチャコラしづらいななんとなく


139:名無しさん@ピンキー
09/01/09 22:40:54 vQsSM/ZG
ここでがくリンにハマった。だれか たのむ!

140:名無しさん@ピンキー
09/01/09 22:51:32 aKpc5hrm
リリース順が近い同士ということで、ルカの世話を焼くがくぽに嫉妬するリンもイイジャナイ

141:名無しさん@ピンキー
09/01/09 23:10:27 bM4pv1eV
>>110
> 凹むMEIKOと慰めながらもこれでMEIKOは俺だけのものっていう
> 腹黒KAITOしか浮かばなくて困ってる

需要はここにある。
存分に書いてくれ!

142:名無しさん@ピンキー
09/01/10 00:11:16 xXae/82s
ギャグでとてもエロいがくリン読みたい読みたい

143:名無しさん@ピンキー
09/01/10 00:23:01 s1st7Zuw
どうした急にがくリン需要増大かw
俺も読みたい

144:名無しさん@ピンキー
09/01/10 00:41:55 VpXDn4f7
>>141
「みんなしてルカ、ルカって……私、巨乳設定も実は非公式だし、また影薄くなるのかな……少なくともここだけは出番多かったのに」
「そんなことないよ。めーちゃんが一番かわいいし、俺はめーちゃんの声が一番好きだよ」
「カイト、あんただけは忘れないでくれるよね?私を見てくれるよね?」
「うん、うん。俺はいつもメイコだけを見てるからさ。心配しないで……さ、部屋行こうか」

で、この後羞恥プレイとかをされるけどそのたびに「嫌いになっちゃうよ?」とか笑顔で言われて拒めないメイコとかそういうことですね!ん、あれ?違う?
とりあえず>>110の投下をパンツ一丁で待ってる。

145:名無しさん@ピンキー
09/01/10 01:21:17 Oz9nNxqd
がくルカ読みたい

146:名無しさん@ピンキー
09/01/10 01:23:41 RaEN+LFI
がくリンというか、ポニョの威力が高すぐる…
あれは無差別萌え兵器だ
リンがロリ調声されてあると特に合うと感じた
ただ、リンク辿ると意外にコラボ少ないから、成分補給したい部分もあると見ている

個人的には保管庫のガチも良かったが、光源氏計画も待ってる

147:名無しさん@ピンキー
09/01/10 01:29:41 fmGNfGcm
ルカのキャラがもう少しはっきりしたら
ルカレンルカ書きたいな。ルカいいよルカ
今の印象で書くとラブラブと言うよりも不倫的になりそうだw

148:名無しさん@ピンキー
09/01/10 01:30:17 iWZIyCXW
>>144
何という腹黒カイトwww
新たな従順メイコ登場ですねwww


俺もSS書きながら>>110さんの投下を下半身裸で待ってる。

149:名無しさん@ピンキー
09/01/10 01:33:59 5xU68JMG
>>147
うはwww超待ってるww

150:名無しさん@ピンキー
09/01/10 03:01:50 uh4da/I9
ちょうどがくリン&既存曲イメージもので妄想していたので
これは神のお告げだ、という勘違いでバーっと書き上げました。
光源氏ではない上に注意点多数です。

・某カバー曲をイメージしています
(あくまでイメージで歌詞とは違ったりします)
・江戸時代っぽいパラレル設定
・がくぽロリコン
・リンの口調がリンじゃない
・暗い
・ぶっちゃけ遊郭の話
・でもエロ描写はカット
・なんかくどい
・横文章なのに漢数字使用

以上の項目に嫌悪感や地雷臭を感じた方はNGワードは 籠のトリで回避して下さい

151:籠のトリ
09/01/10 03:02:23 uh4da/I9
自分が彼女…リンと出会った時、彼女はまだ幼い少女だった。
馴染みの女の付き人として現れ、他の娘は消してしまった光を
一切隠すことなく自分に近づいてきた。
無邪気に笑顔を振りまいている姿は彼女の辿る道を全く想像させず、
反って憐みを感じたのを覚えている。

時が経ちリンは見習から遊女になった。
まだ年若い彼女は上の女にも客にも小娘扱いされ
『そういう趣味』のわずかな客を相手していると聞く。
そしてリンの一番の相手はおそらく自分である。
酔狂だ、と他人は言うし、自分でもそう思う
何故 色恋の技を知らぬ娘を好んで買い、その上指一本も触れないのか・・・。
ただ他の女と絡む気もせず、かと言ってこの娘を抱こうとは思わないから、
そう結論付けているが本当のところは分かっていない。

「がくぽさん。」
窓枠に腰をかけ外をぼんやりと眺めていると、ふとリンが呼びかけた。
「今日はお喋りもしないのですか?
これでは夜は更に長ってしまいますよ。」
「別段話すことなど無い。
もし語りたいことがあるならお主が勝手に語ればよい。」
「…私には話せることなどありませんから。」
言葉が見つからなくて、しかたなく沈黙を返しまた目線を窓に投げる。
雪で白く染まった道を月が照らしていた。

カサカサと衣の音がし瞳を端へとやると菊色の着物が自分の脇に座っていた。
「がくぽさんが私を買うのはなぜですか?」
かすかにリンが呟いた。
「同情…ですか…?」
だんだんと声は震えていく。
泣いているのかもしれない、そう思ったが慰め方を知らないから黙って月の方を見た。

152:籠のトリ 2/2
09/01/10 03:03:11 uh4da/I9
息を飲む音が聞こえたかと思うとふとリン己の手をがくぽの指に乗せた。
紅葉のようなに小さく温かい彼女のものが自分の一部と重なっている。
『初めて触れた… 触れてしまった。』
訳の分からない恐れが体を巡る。

「お情けで買えても、汚(けが)れた身は触れることすら厭いますか?」
違う、と叫びたかった。けれども、できなかった。

「私は卑しい女です。
「体を売らなければ生きてはいけません。」
耳にかかる吐息が更に心を揺らす。
「知らない人に抱かれても、心を拒絶されても、
 せめて…自分が好いた人に触れて欲しいから、だから……!」

言い終わる前にリンの口を唇で塞ぐ。
乱暴に顔を寄せ、ただ長く、押しつけるような口づけ。
信じられない、というようにリンは目を見開きやがて目を細めた。

分かってしまった。
彼女を求める理由、触れることのなかった理由。
自分が狂うこと、彼女を壊すことが怖くて枷(かせ)をつけて必至で留まっていたのに
今、彼女はそれをあっさりと壊したのだ。

もう止めることはできなかった。
そのままリンを押し倒し、帯をとく。
何度も経験したはずの行為なのに手は酷く震えていた。

「拙者(せっしゃ)は慈善で女を買うほど出来た男ではない。」
襟を広げ素肌を晒す。
今まで手足よりもずっと白く小ぶりなソレはどんな女のものよりも魅力的だった。

「優しくはできぬぞ」
「はい…。」
嬉しいです、そう動く口に再び蓋をし、二人は短い夜に落ちて行った。

153:以上です
09/01/10 03:07:32 uh4da/I9
以上です
1回目の投稿で "1/2"をつけ忘れてました。
リン視点は排除したので分かりにくかったらすみません。
自分の力不足です。

ロリコンの趣味はないけれど、がくリンは目覚めたらかなり危ない。
うっかり自給自足してしまいました。
>>146には全文同意

154:名無しさん@ピンキー
09/01/10 03:25:15 xXae/82s
>>151
溶ける程萌えた・・・・萌えたが切ない;w;

155:名無しさん@ピンキー
09/01/10 04:01:49 5t21VtZ6
>>138
自分の方向性もそんな感じ。
ルカはいとこ設定だと使いやすそう。
最近帰ってきた帰国子女で引っ越してきてがくぽのお隣さんとか

156:150
09/01/10 04:09:19 y7MQZYo/
id違うと思うけど、151です。
脳内修正お願いします。
2/2の1行目
息を飲む音が聞こえたかと思うとふとリン己の手をがくぽの指に乗せた。
→息を飲む音が聞こえかと思うと、リンが己の手をがくぽの指に乗せた。

リン己ってなんぞや。
修正しようとしたらこの文全体が分かりにくいことに今気付きました…。
(でも前後の繋がりから自分には修正できそうにない。)
他にも変な所があるかもしれません…。

>>154
なんとか身請けまでもっていきたかったが、良い案が浮かばずこんなことに。
暗くてごめん

157:名無しさん@ピンキー
09/01/10 04:15:44 jdvizWYl
>>151
GJ!!!
がくぽもリンもどハマリだ、良い。ロリコンのロの字も浮かばなかったぜ!

158:名無しさん@ピンキー
09/01/10 10:13:05 KGCZVaz+
【初音ミク】 トウィンクル☆リトルスター 【オリジナル】
URLリンク(www.nicovideo.jp)


159:名無しさん@ピンキー
09/01/10 11:19:34 s1st7Zuw
>>153
GJ!雰囲気が良い

160:名無しさん@ピンキー
09/01/10 11:21:40 Pj1Tbz9f
>>153
がくリンいいな。GJ!

161:名無しさん@ピンキー
09/01/10 12:20:31 Yhb57loO
>>153
最近がくリン少なかったから嬉しい
あのカバー曲自分も好きだけど曲のイメージにすごくあってると思った
GJです

162:名無しさん@ピンキー
09/01/10 14:30:30 DC8pQz7+
CV03が徐々に明らかになってきてる!

ルカ様登場で存在意義に不安を感じたメイコが真っ赤な顔で「何でもしますから捨てないでください…」
とベッドの上でスカートをたくし上げながら涙声で懇願するところまでを
今朝方夢で見てネタにしようと思ったけど、
うちのメイコたんはほわほわしていながら、マスターに歌わせてもらえることをプライドにしていて、
新しくきた子と仲良くできたらいいなあとか思ってるおっとりさんで、
マスターも秘蔵っ子のメイコを溺愛だからそんなネタ書けなかったぜ!


>>86>>87と酒を酌み交わしたい。
そして>>110>>144に超期待!正座して読ませてもらうわ!!


163:名無しさん@ピンキー
09/01/10 14:40:59 1dVGgv+j
某所で見たミクデレなルカに禿げた。

KAITOが自分は旧型であることに悩んでる感じの
カイミクが好きなので、旧型なのにどうしてミクに一番
愛されてるのかとKAITOに当たるルカとグルグル悩むKAITOな
カイミク+ルカが浮かんできましたよ。
しかしどうしてもルカが一番男前になる。
ルカ妄想が暴走するよルカ。

164:名無しさん@ピンキー
09/01/10 14:56:19 5t21VtZ6
ショタコンルカのルカレンもいいかも

165:110
09/01/10 15:01:11 +bfWhaMi
な、なんだと意外と需要あるのか…?!
とりあえず早筆ではないので服着てくれwwwちょっと書いてみる
>>144
半裸で書きながら期待してる

166:名無しさん@ピンキー
09/01/10 18:08:50 edzp9qaC
レンリンは需要なさげか・・・?

167:名無しさん@ピンキー
09/01/10 18:36:50 /1xcRp0v
>>166
投下ですか?
レンリンは今さら口に出す必要もない程メジャーだからではないかと。
ということでさぁ来い!

168:名無しさん@ピンキー
09/01/10 18:38:08 Cg8o1KCV
リンレンwktk

169:名無しさん@ピンキー
09/01/10 18:44:25 lmD+PfEv
ボカロが出て居るSSなら需要の無いものなんて無いんだぜ?

つーか……誘い受けする時間を惜しんで書いてください書き手様方!

170:名無しさん@ピンキー
09/01/10 19:00:57 SOucpnFM
エロパロに限らず2chのどこでも、メジャーカプは2ch外でも良く見かけるから
それ以外の需要が高まることが多いな

171:名無しさん@ピンキー
09/01/10 19:06:42 /ATIVnYH
がくミクとがくルカとレンメイを期待して待ってる

172:名無しさん@ピンキー
09/01/10 19:10:42 VpXDn4f7
>>169
誘い受けじゃなくてリアルに時間がないんだ…



レンリンはあんまりエロが求められるようなカプじゃない気がする。俺は好きだが。
カイメイなんかはメジャーだと思うけどここでも多い気が。いいぞ。もっとやって下さいお願いします。

173:名無しさん@ピンキー
09/01/10 19:30:28 AKiXy3jj
エロパロ以外でマスター物がないのでください

174:名無しさん@ピンキー
09/01/10 19:33:21 a+c1R4Cf
>163
同じ様なこと考えてたー!
是非書いてください。おねがいします。

175:名無しさん@ピンキー
09/01/10 20:01:58 oDuRorbV
スパイな某曲のせいで死合いながらエロ展開になだれ込む
やす…カイトとメイコの妄想が止まらないんだぜ

チャー○ーズエンジェルと突っ込まれてたけど
ビパップだよなあアレ

176:名無しさん@ピンキー
09/01/10 21:06:59 SOucpnFM
>>172
自分は求めてるけどな!

177:名無しさん@ピンキー
09/01/10 22:13:26 VpXDn4f7
>>175
よし、分かった。じゃあ続きを書く作業に戻ろうか。

178:名無しさん@ピンキー
09/01/10 23:36:40 JMdB3sCY
とりあえず誰か投下するまで全裸待機しとくわ

179:名無しさん@ピンキー
09/01/11 01:58:02 TDq/+ZEN
巡音さん出現でのボーカロイド一家内の変化について妄想したので
エロはありませんが書いたものを置いていきます。だから全裸の人は早く服を着て下さい。

※注意※
・マス←ミク要素あり、ミクテト友人設定
・ボーカロイドは全員同じマスターの家で同居(家族状態)
・がくぽはボカロ家の隣人、UTAUは皆でめ○ん一刻のようなアパートで共同生活(寮状態)
・巡音ルカさんはほんわか家事万能お姉さんキャラ設定です

NGな方はタイトル 初音ミクの葛藤 で回避をお願いします。

180:初音ミクの葛藤
09/01/11 02:00:06 TDq/+ZEN
「テトさぁあああああんっ!!」

 どたどたどた、と木の廊下を踏み抜かんばかりの勢いで、ミクの足音が響く。
コタツでフランスパンチップスを手にDVDを堪能していたテトは、
驚くと同時に溜息をついて、今度は何かと思いながら立ち上がった。

「まったく、毎回言ってるだろう、ここの廊下はもっと静かに…」
「テトさんテトさんテトさぁあああんっ!わたし、私もう駄目ですきっと終わりなんですぅううっ!!」

 扉を開け注意を喚起したテトにぶつかってきたのは、全力でダイブしてきたミク自身であった。
どたっと畳に音を響かせながら部屋の中に倒れ込んだのに、ミクは喋りも動きも止めようとしない。

「どうしようテトさんわたしどうしたらいいのぉおおっ?!もうオワタだよオワt」
「いいからまず退けぇえっ!あとネギ振り回してボクの顔を連打するなぁああっ!!!」


    【初音ミクの葛藤】


 冒頭から五分後、ミクはテトの部屋のコタツにバツが悪そうに縮こまっていた。
お互いに額には絆創膏(ミクのネギとテトのフランスパンが殴打された結果である)
そしてコタツの上には、ミクが振り回していたネギを使ったガーリックトーストならぬ
ネギトーストが皿に並んで置かれている。(食品は有効活用とはテトの言葉だ)

「…で、キミのところに新しい”家族”がやってきた、と」
「はい…あの、リリース的にはわたしの妹なんですけど、
 でも外見とか中身とかお姉ちゃんで…えぇっと、何て呼べばいいのかな、こういう関係…」
「ややこしいな、取り敢えず名前で呼べばいいだろう…巡音ルカだっけか」

 額をフランスパンで叩かれた痛みではなくずっと涙目のミクに、テトは溜息をついた。
ひょんなことで知り合ってから、今までもやれお兄ちゃんがミクのアイスを食べただの
めーちゃんがミクのネギを酒のつまみにしちゃっただの、はたまたリンのロードローラーに
乗ってみたら車庫壊しただの、レンくんが普通に接してくれないだのと
(最後のはそりゃ思春期の男子だからだろう、とテトは思った。言わなかったが)
相談…というより、家族自身には話せない愚痴のようなものを言いに来てはいたが、
今日のように最初から泣きべそなミクなど、今までテトは見たこともなかった。

181:初音ミクの葛藤
09/01/11 02:01:06 TDq/+ZEN

「そのルカって子と喧嘩したのか?どSだったとか、女王様だったとか?」
「そっ、そんなことありません、ルカちゃんはとってもいい子…えっと、いい人です!」

 薄切りのフランスパンで作ったネギトーストを摘みあげながら、テトは尋ねた。
探りを入れた言葉を頭から否定したミクは、困ったような表情のまま続ける。

「ルカちゃん、すっごく家事が上手なんです、お掃除も洗濯もお料理も…
 それで、めーちゃんのおつまみ作ったり、お兄ちゃんと一緒にお皿洗ってたり、
 リンやレンくんともお話してるし……一生懸命、頑張ってるんです………それに…」
「…それに?」
「……それに、マスターもすごく…助かってる、って…」

 ミクは無垢で純真で、生きにくい時代に生まれたなとテトが思うような内面を持っていた。
それでも、純粋さ故に、心を許している家族や隣人の話になると、結局最後には
幸せそうな顔と声で、楽しそうに日常を語るのが常であった。
 なのに今日はどうだろうか。
離しているうちにミクの瞳に滲んでいた涙は粒の大きさを増し、ついにぽろりと零れ落ちた。

「っ…一生、懸命で……はやく、家族になって、い、っしょに、うたい、たい、って…」

 華奢な肩がふるふると震え、コタツ布団を握り締めた手の上に涙が落ちていく。
堪えきれなくなったミクは顔を伏せ、トレードマークのツインテールもしなびた様にしなだれている。
ぽた、ぽた、と雨上がりの軒先を思わせるような音が、ミクがしゃくり泣く音と共に響いていた。

「…嫌いになった?」
「ち、がいま、す…わたし、ルカちゃん、きらいじゃ、ない…」
「じゃあ、怖くなった?」

 ミクの肩が、びくりと跳ねた。

「…キミは、怖いんだな、ルカのことが…いや、そうじゃない」
「やめて…テトさん…」
「……マスターの心が、ルカに向いてしまうことが」
「やめてぇえっ!!」


182:初音ミクの葛藤
09/01/11 02:02:25 TDq/+ZEN

 悲鳴を上げるように叫んで、ミクは頭を振った。
ヘッドホンを掌で塞ぎ、唇を強く噛んで、全身を震わせて、瞳をぎゅっと閉じて。
外界の全てを拒絶するように、押し込めた声で泣いていた。
 ミクがマスターを親愛や敬愛以上の感情で見ていることは、テトも知っていた。
いや、きっとあの家の中の誰もが知っている、暗黙の事実だろう。
だけど、純粋すぎるミクの心は、今の感情についていかなかった。ただ悲しくて、苦しい。
―その気持ちは嫉妬と言うんだよ、と教えることさえ、周りははばかる位に。

「わた、わたし、の、わがまま…ッ、なんで、す…マスターも、ルカちゃんも、わるく、な…」
「キミは実にばかだなぁ」

 泣きじゃくっているミクの頭に、そっとテトの手が重ねられる。
向かい合っていた場所から立ち上がり、ミクの隣に移動していたテトは、頭に置いた手でゆっくり撫でた。

「キミも何も悪くない、なのにキミは自分が悪いと思ってる…だから、ばかだなぁ、と言ったんだよ」
「で、もっ…テトさん、わたし、わたし…!」
「考えてごらんよ。もし、キミのマスターが新しいボーカロイドにだけ心を傾けるような人だったら。
 …リンとレンが来たときにもうそうなっていた筈だろう?」

 肩を上下させて必死に息をしながら泣きじゃくるミクの背を、もう片方の手で撫でてやる。
ミクの両腕がすがるように抱きついてきたのをテトは拒否もせず、優しく抱き返してやるようにしていた。
幼子をあやすように、頭を撫でながら、背中をぽんぽん、と撫で続ける。
まだ涙が止まるわけではなかったが、ぎゅうと抱きついたミクはしゃくり泣きながらも
先ほどのテトの問いかけに、こくりと静かに頷いていた。

 リンとレンくんがやってきた日。
ミクにとって絶対に忘れられない日。初めての、妹と弟が出来た日。
”わたしも、もうおねえちゃんなんだから!”と張り切って、色々失敗したのを覚えている。
けど、その失敗を心配してくれたお兄ちゃん、めーちゃん、リン、レンくん。
そして…そんな失敗ごと、わたしの全部を受け入れてくれた、マスター。
あの時と同じ筈なのに、心はこんなにきりきりと痛くて冷たい。
このまま冷凍庫に入れっぱなしのアイスのようにがちがちに固まって、砕けてしまいそうなくらいに。


183:初音ミクの葛藤
09/01/11 02:04:41 TDq/+ZEN

 抱きついた腕のまま、テトのぬくもりに甘えながら、ミクは泣き続けていた。
少しずつ様子が落ち着くのを見計らいながら、テトは言葉を紡いだ。

「ルカのその頑張りを見たから、歌でも自分より頑張られちゃうんじゃないか…そう思ったんだよ」
「そ…そう、です…か…?」
「きっとそう。そして、ルカも…歌いたくて歌いたくて、少し頑張りすぎたんだよ、色々と」
「ルカちゃん、も…?」

 苦しかった息が落ち着いて、ミクはやっと顔を上げた。
いつものツンとした雰囲気とは違う、優しいテトの瞳が自分をじっと見ていて、目を見開く。
まだ少しこぼれてくる涙を袖で拭いてあげながら、テトは頷いた。

「その子…ルカは、本当は、キミの代わりにリリースされる筈だったんだろう?」
「は、はい…わたしもよくは知らないんですけど、でも、わたしが先にリリースされて…」
「だとしたら、ボクは、ルカは歌いたくて歌いたくて、ようやくキミのマスターの所に来れたと思うんだ。
 だから、自分の家族になる皆のためになりたくて、歌以外の色んなことを頑張ってる。
 …早く家族の一員になりたいのさ。キミたち、”VOCALOID”のね」

 テトの声に、ミクは驚いたようにゆっくりと瞬きをして、涙をこらえる様にぎゅっと目を閉じた。
がちがちに痛いほど凍っていた心は、柔らかな春光に解けて、ちゃんと物事が見えるようになっていた。

 もしわたしがルカちゃんの立場だったら…歌いたいけど、マスターも居なくて、
ずっと調整に時間がかかって、研究室の中で何度も何度も同じ歌で、その風景以外知らなくて。
…寂しい。もしわたしだったら耐えられない。わたしは、マスターの暖かさを無くすなんて考えられない。
それからマスターの家に来て…皆と会ったら……嬉しい、すごく嬉しい。


 家族になりたい、頑張りたい、そして…皆に、”私”を認めてもらいたい…。


 にじむ涙を最後にしようと、ミクはずずっとすすり上げた。
不恰好だったけど、それがミクなりのけじめだったようで、次に顔を上げたとき、
そこにあったのはいつものミクの笑顔だった。


184:初音ミクの葛藤
09/01/11 02:06:14 TDq/+ZEN

「テトさん……えっと、その、すいません…」
「なぁに、かえって耐性がつく。もしまた家で何かあったら、ボクのとこにおいで?」
「あ、ありがとうございます…」
「ただし、今度は廊下は静かにね…さ、用件終わったら早く帰るといいよ。
 来たときの様子じゃ、誰にも言わずにココに来たんだろう?」

 腕を離したテトの言葉に、あ、と小さく声を発して、ミクはテレビの上の目覚まし時計を見遣る。
示されていた時間は、自分が飛び出してから一時間は経っていた。

「ほら…キミのとこの兄さんがマフラー振り回して探さないうちに帰りなよ」
「は、はわわわ…ご、ごめんなさいテトさん、このお礼はまた後日!ちゃんとします!!」

 ぺこぺこと頭を上下に振った後、ミクは慌てて立ち上がった。
戸口へ向かう慌しい姿に、ツインテールがふわふわと揺れていた。
柔らかな笑顔でテトが後姿を見送ろうとしたとき、ミクがくるりと振り向いた。

「あの…ありがとうございましたっ!いつも、テトさんに頼って、でも、すごく安心できるんです!」
「どういたしまして。今度のお礼はネギ以外で頼むよ」
「はいっ!!」

 満面の笑みを浮かべたミクの頷きにつられて、しょうがないなぁ、と言う風にテトは笑顔を見せた。
先ほど告げた言葉も忘れたのか廊下を小走りに去っていく音を聞きながら、
テトはコタツに入り直すと、DVDの続きを見ながら冷めてしまったネギトーストの残りをかじり始めた。

「……すごく安心、か…」

 それは家族の皆に対するものと同じだろうか、と先ほどのミクの言葉にテトはふと考えた。
一緒に住んでいる家族に出来ない相談も何度か乗った気がするし(マスターへの好意とか)
自分のところに飛び込んでくる時は大抵、家族には言えなくなった内容ばっかりだ。

「…よく言えば頼られている友達……でなければ…」
『おかーちゃーん!』

 呟くテトの言葉に重なるように、DVDの中のお笑い芸人が思いっきり叫んだ。
ぽとり、とネギトーストを手から落としながら、テトは固まった。
確かに、確かに実年齢上は産めても無理はないけれど……!


 翌日、近所のビデオ屋に、珍しく延滞せずにDVDを返すテトの姿があったのだった。

【END】

185:初音ミクの葛藤 ENDING
09/01/11 02:13:17 TDq/+ZEN

純真無垢なミクと、頼られると母性本能的につい優しくしてしまうテトさんじゅういっさいが大好きです。
ミクテトのような、テトミクのような。この二人が仲良くしているのが見たかったので書いてしまいました。
ルカさんはほんわか家事万能お姉さんキャラだと自分の中では信じてる!

お付き合い下さりありがとうございました。テトとミクが増えることを祈りつつルカさんを待つ!

186:名無しさん@ピンキー
09/01/11 07:05:29 o0pZhRcV
>>185
おバカロイドの人かな?テトがそんな感じしただけですが
テトミク可愛すぎる!オカンテト萌えた

187:名無しさん@ピンキー
09/01/11 11:58:59 UHG4E4Yt
いい話でジーンとしてたのに最後の「おかーちゃーん!」でクソワロタwwwww
 
 
 
 
 
ちょっと百合板にテトミク書いてくるわ。

188:名無しさん@ピンキー
09/01/11 13:46:03 PeHy/RGZ

GJ!


189:名無しさん@ピンキー
09/01/11 18:28:33 BV3Fk84e
>>185
GJ!なんという母娘w

>テトさんじゅういっさい
テトさん十一歳に見えて焦った

190:ナンバリングで妄想GO!
09/01/11 21:52:51 BRbeoZa2
とあるサイトのナンバリングの話を見て書きたくなった小話。
やまなし・おちなし・いみなし・えろなし。ごめん‥‥‥でも後悔はしない。
ナンバリングで妄想GO! でNGしてください。 CPはカイ→レン 無し ミク←ルカ→KAITO かな?

191:ナンバリングで妄想GO!
09/01/11 21:55:24 BRbeoZa2
 その日KAITOは久しぶりにクリプトン社に来ていた、キャラクターのリセットのためだ。
全国で千人程度のユーザーしかいないKAITOだが、キャラクターの色付けをする人間は必ずしも少なくない。
亜種等を見ればその分裂具合は寧ろトップと言える。受けるフィードバックも激しい。
最近はどうゆうわけか嗜好の端々がどうもウホッ方面に流れそうになる。
 流されれば『そう』なるので別に構わない(というか構わなくなる)のだが、KAITOは今の所誰かと取り返しのつかない段階まで行くのは嫌だった。
そっち方面は一歩踏み出しただけでもあっという間にその段階まで持って行かれそうになるし。
 まあなにわともあれ。
 受付でアポイントを取ってキャラクターカタログを見ながらKAITOは時間を潰していた。
 『買い物』でレンに構ってもいいし『アカイト』でクールにキメてもいい。『伸びた?』で鬱るのもありといえばありだ。
『KAIKO』は人格的な問題はないけど、体格の変化が大きいし出来れば敬遠したい。
怖いもの見たさから発生したMEIKOのアンインストール事件を思えば、帯人とか鬼畜眼鏡は100パーセントアウトだ。だったら……とか思っていたら、
「これはどうだ? 『おなじ』妹に優しくなってみないか?」
 すっと上から手が割り込んで来て一つのキャラクターを示した。VOCALOIDの人格/キャラクター研究の主任、通称『おっさん』だ。
「おっさん、それ妹違うから、ただのミク専だから」
「む、そうか、なら……」
「いや、なんで妹を大事にしてほしいのさ、おっさん」
「うむ、CV03が自立起動段階まで来たから『家』に連れ帰れ。とのことだ」
「え、03って女のk……いやまて落ち着けオレ。まだそうと決まったわけじゃないだろ?
 そう、寧ろ男の子だからオレが03にばかり構ってミクやリンを蔑ろにすることを恐れてるんだそうに決まってる。
 がくぽはお隣りさんだしレンはリンが独り占めしてるし03が最後の壁なんだ、
『買い物』を地で行ける家族になるための最後のおとうとぅおおぉ!?」
 なにやら頭を抱えぶつぶつ言い始めたKAITOを、おっさんはショックスティックでバチバチっとやった。
ダウンロードした人格が扱いきれないものだったときに使う武器だが、VOCALOID達の変なスイッチが入ったときの気付けでしかない。
そもそもVOCALOIDが暴れ出したら人間にはどうしようもないし。
「はっ、どうしたんだっけ?」
「CV03が妹として出来たんだよ」
「妹……ですか。まあリンやレンは喜ぶだろうし、あ、でもそのせいでレンが今まで以上に構ってくれなくなったら
 ……どうしようただでさえレンはリンのものなのにそのうえ03までレン狙いなんてそんなのダメだダメだダメだオレがレンを03の魔の手から守らぴぎゃあ」
 おっさんはなにも言わずにKAITOのキャラクターをリセットすることにした。このままじゃ話が進まない。
そういえば自己診断書にはBL属性を消して純粋な弟萌に戻るためだとか書いてあったなぁ、まったく定期的にメンテナンスに来ないからだ。
そういえば他の四人も半年くらい見てないなぁ……とか、03を送り出すことに一抹の不安を覚えながら、倉庫から出て来るようになったころに人格をダウンロードした。
少々無機質かもしれないが、突飛な性格で03に変な癖を付けられても困る……という判断だった。らしい。
 ただめんどくさくなったから適当にやったなんて口が裂けても言えない。
「いいか、KAITO、CV03を家に連れて帰るんだ」
「はい、妹ですね? リンもレンも喜ぶだろうな」
「紹介しよう。巡音ルカだ」
「巡音ルカちゃん……はじめぇ!?」

192:ナンバリングで妄想GO!
09/01/11 21:57:25 BRbeoZa2
   *   *   *
「ただいま」
「おかえり! お土産は!?」
 KAITOが家に帰るとリンとレンがまず顔を出した。すぐにミクとMEIKOも玄関まで出て来る。
みんなどんな人格で帰ってきたのかが気になるのだろう。
 そんな家族にKAITOは少し深呼吸してから告げた。
「みんな、実は家族が増えることになったんだ」
 玄関に戦慄が走った。KAITOは皆の表情だけで全てを理解した。全員がCV03を期待してる。
特にリンとレンが年下の弟妹を期待してる。ごめん、期待に応えられない兄さんを許してくれ。
心の中で許しを請いながら玄関の扉を開け、外で待つ彼女を招き入れた。
「巡音ルカさんだ……」
 そう紹介されて入って来たのは小学生はおろか中高生でもきかない、(設定年齢20歳の)女性。
 戦慄が凍り付いた。予想通りの反応だ、とKAITOは思ったがリセットしたばかりのKAITOとしばらくその辺の調整をしてない連中では、
心の動きの大きさが全く違う。都合の悪いことを認めない解釈というものがある。
 つまり……
「おめでとうお兄ちゃん」
「結婚おめでと」
「にいさん……ダメだよ、決まった相手がいたなら男除けの指輪をしないと」
「くうっ、こんな馬鹿な弟をもらってくれる人が現れるなんて……!」
 KAITOは愕然とした。そこまで逃避することないだろうと思った。
そして僕が結婚することよりCV03が大人であることの方が信じ難いことなのかよ、僕はこんなに皆を愛してるのに……と切なくなった。
「ご安心めされいKAITO殿、貴殿の姉妹は不肖このがくぽが昼夜問ぐほぉ」
 とりあえずどこからともなく現れたがくぽは黙らせた。
   *   *   *

193:ナンバリングで妄想GO!
09/01/11 21:59:18 BRbeoZa2
 1時間に渡る限りなく懇切丁寧な説明と謝罪によってルカの誤解は解けた。
誤解させた罰として今日はKAITOのベットをルカが使うこととなった。KAITOは居間の床に毛布一枚だ。ちょっと寂しい。
 KAITOが涙で枕を(ないけど)濡らしていると、忍ばせた足音がする。
どうやら枕元で止まったらしいそれにKAITOが意を決して顔をあげると、そこには巡音ルカが立っていた。
「クリプトンに帰りたい」
 MEIKOから借りたくま柄のファンシーなパジャマを来たルカがKAITOにそう告げる。とっさにKAITOは返事が出来なかった。
「ここには初音ミクがいる。私はクリプトンに帰りたい」
「どうゆうことだい?」
 KAITOの質問に、ルカは(パジャマなのに)立てていた襟をたたんで見せた。そこには01を×で掻き消した跡があった。
「私はああなれたはず。彼女ではなく私があの歌(初音ミクからの~)を歌って、貴方の歌姫になれたはず……そう思ってしまうとたまらないの。だから」
「ルカは僕が好きなのかい?」
「別に」
 ルカはサクッと切り捨てた。これだけ迷いも躊躇いもないと期待してなくてもダメージはでかいと思う。
うんだから別に僕は期待してなかったよ? 軽く涙が出そうになったけど、横で聞いててもそうなったはずさ! とはKAITO談。
「ただ、誰かにとっての唯一者であることには憧れていたわ」
「うーん……そんな気にすることないと思うよ」
「貴方になにがわかるの?」
 刺も毒もない純粋な疑問苻がKAITOの胸を突いた。この首の02のナンバリングが掻き消されたとき、
自分も同じように悩んだだろうか? すでに記憶にはないリセットされた人格に彼は思いを馳せ、そして、
「みてごらん、ルカ」
「……貴方にもあったの」
「最初のMEIKOにはなかったけど、僕は二人目だったから。売れなかったから忘れられて、消されたんだけどね」
「……」
「ちょっと悩んだりしたけど、それでも僕は今みんなが好きで大事だよ。だから大丈夫、すぐに気にならなくなるさ」
 考えるのをやめた。それを見せて、なお彼等が好きだといって、それでも納得してもらえないならしょうがない。そう結論ずけた。
「他の人は、これを?」
「知らないよ、気分悪くなるだろうし」
「……」
「……クリプトンに帰る?」
「ここにいる、このことは二人だけの秘密」
「うん! 早く皆と仲良くなれるといいね」
「それより私は」
 貴方を理解したい。

 寝室にかえっていく彼女の言葉を、KAITOは聞き取ることが出来なかった。


終わり 半端すぎでごめん

194:名無しさん@ピンキー
09/01/11 23:27:11 xv9y28/t
もうちょっと頑張れと思ったがGJ

195:名無しさん@ピンキー
09/01/12 00:08:03 9xEcGQ42
>>163
遅レスだが自分もそのカイミクのシチュ好きだ!
エロパロではカイメイ、レンリンの職人さんが熱いからカイミクも便乗して盛り上げて行きたいんだぜw


196:名無しさん@ピンキー
09/01/12 00:26:08 8djUdjcW
>>190
GJ
カイトとがくぽの扱いにワロタw


>>29の純情マスターとクールなルカさんを書いた者ですが
なんか連載とか言われたので調子こいて続編書きました

・マスルカ
・エロなし
・シリアスっぽいど
・無駄に長い

なので、苦手な人はNGNG
特に、前回のような軽いノリからはちょい離れたんでご注意を

197:純情マスターとお悩みルカさん
09/01/12 00:27:03 8djUdjcW
私の名前は巡音ルカ。ボーカロイドのCVシリーズ第三弾として生み出された。
私は先代や先々代から教訓を得て造られた新時代の歌姫…だそうだ。
余計な感情はいらない。歌を歌うだけでいい。人間を邪魔するためにいるのではない。
…そう教えられ、売り出され、私が辿り着いた先は、とても温かな場所だった。

***


「うーん…」

私の持ち主であるマスターが、ペンを片手に唸っていた。
さっきからずっとああして、マスターは作詞作業を行っている。
私はそれを待つばかりで、手伝うことは出来ない。作詞プログラムは持っていないのだ。
歯痒く思いながら、私はまたパソコンのモニターに目を向けた。
モニターの中の動画には、空色の髪をした女の子が歌いながら踊っている。
楽しそうに独特のステップを踏む彼女は、初音ミク。
私の先輩にあたる、CVシリーズの第一弾だ。
マスターは「とりあえずミクとかの歌を聞いててくれ」と言った。
マスターは聞かないのですかと尋ねたら、「もう腐るほど聞いたからいいんだよ」とどこか誇らしげに答えた。
――マスターはいつも明るい。私はマスターに買われて良かったと思う。
彼の傍にいると、昔忘れたはずの何かがこみ上げてくるのだ。
温かくて安心する何かが。
それをこの間伝えようとしたら、またエラーが出てしまって叶わなかった。
…開発室にいた時はこんなことはなかったのに。最終チェックも確かに通ったはずだ。
何かがおかしい。マスターに、か、可愛いと…言われた時から。

「ルカ!ちょっとこれ見てくれ!」

いきなり話しかけられてびっくりしてしまった。
…びっくりすること自体おかしいはずなのに。何故なんだろう。
気をとりなおして、興奮気味のマスターに振り向く。

「はい、マスター」
「ほらっ、どうだ?このフレーズ」

ぺらりと渡されたメモ帳には、多くの文字が踊っていた。
赤く丸をつけた箇所を指差して、マスターは笑う。

「ちょっと良くないか?自分で言うのもなんだが」

198:純情マスターとお悩みルカさん2
09/01/12 00:28:24 8djUdjcW
マスターの言うフレーズに目を通す。
私は作詞が出来ない。作曲も出来ない。
ただ、マスターが作ったこの詞が、温かな響きを持っていることだけはわかった。

「とても良いと思います、マスター」
「マジで?」

思ったままを告げると、マスターは顔を輝かせた。
またエンジンの回転が僅かに早くなり、気付かれないように二の句を継ぐ。

「はい。特にこの、“君が――”」
「うわっちゃぁ!口に出すな!恥ずい!!」
「…ですがマスター、私はいつかこれを歌うのでしょう」
「いや、メロディに乗せるのと音読するのじゃ…なんというか…わかってくれ」
「わかりました」
「早っ」

マスターがわかってくれと言ったら、私はなんとしても理解してみせる。
…そんなことを言おうか言うまいか悩んでいる間に、マスターはふっと笑った。

どきりとする。

「よし、じゃあもう少し頑張るかな」
「……マスター」
「ん?どした?」
「……いえ、なんでもありません。あまり根を詰めすぎないよう」
「おー、ありがとな」

マスターの傍から離れ、私はまたパソコンの前に鎮座する。
…やっぱり私は壊れているんだろうか。
画面の中で、姉上がとても明るい笑顔を振り撒いていた。


***


マスターの詞は、とても良い出来だった。
すでに出来ていたメロディと合わせて、マスターが軽く歌ってくれた。
私はマスターが指示した通りに歌う。初めての、マスターが作ったオリジナル曲を。
練習として色々な歌を歌った。マスターが作った歌を歌う時のために。
それだけのために私はいる。
マスターの役にたつために。

199:純情マスターとお悩みルカさん3
09/01/12 00:29:33 8djUdjcW

――なのに。

「…ごめんな、ルカ」
「何故マスターが謝るのですか」
「いや、だってさ…ルカはもっとちゃんと歌えるだろうにさ、俺がダメダメなせいで」
「そんなことはありません。マスターはちゃんと私を歌わせてくれました」

マスターは、ルカは良い奴だなと言って、私の頭に手を置く。
――私は上手く歌えなかった。マスターの作った曲の魅力を、ちっとも表せなかったのだ。
ボーカロイドは一人では歌えない。マスターの指示がなければ歌えない。
私は…巡音ルカはそれが特に顕著だった。だからマスターは落ち込んでいるのだろう。
私が上手く歌えないのを、自分のせいにしてしまっている。
…本当は、私が壊れているからかもしれないのに。

「ルカ」

マスターの声に顔を上げる。
ほらだってまた、エンジンが高速回転して、人工頭脳が発熱を始める。
それは私の頬を赤く染める。

「うおっ、また赤くなってるぞ」
「…マスター」
「…今日はもうやめにすっか。明日も休みだし、また明日にしよう」
「マスター!」

生まれて初めて声を張り上げた。
マスターの手が、驚いて離れる。

「な、なんだ?どうした」
「…私は、欠陥品です」
「はい?」
「私はマスターのご期待に添えられません。すぐに別の個体とお取り替え下さい」
「んな、何言ってんだよルカ。そんなことしないって言ったろ?」
「ですが、私は確実に故障しています!」

マスターの笑顔が消えて、戸惑いに変わる。
私はマスターの真っ黒な瞳を見ることが出来ず、顔を下げた。

「…なんでそう思うんだ?」
「私はエラーを頻発しています」

200:純情マスターとお悩みルカさん4
09/01/12 00:31:52 8djUdjcW
「いやぁだから、それはエラーじゃ…」
「マスターにこ、言葉をかけられたり、ふ、触れられたりっ…する度に」
「る、ルカさん?」
「えええエンジンがっ回転し、発熱、う、ああわあわ」
「ちょ、ルカ!?」

エラーエラーエラー。
思考回路が熱を発して目の前が真っ白になる。
私の忘れたはずの何かは、瞳から溢れてこぼれ落ちた。
製作段階で破棄されたはずのプログラムが目を覚ましている。
止まらない。
涙が止まらないです、マスター。

「ルカ!落ち着けって!!」

肩にマスターの両手が乗り、軽く揺さぶられる。
白かった視界がだんだん形と色を写して、それはやがてマスターになった。

「ル……え?お前、泣いて」
「…私は、おかしいのです。いらない感情が出てきてしまいました…」
「…い、いらないなんて」
「マスターは、そのつもりで私を買ったのでしょう?感情がないロボだから、私にしたのでしょう?」

マスターの表情が固まった。マスターは嘘をつくのが下手な人だ。
最初から知っていた。
それでいいと思っていた。

「マスターの期待に添えられないなら、私がここにいる意味はなんなのでしょう?」

あと一押しだ。

「私は、」

――その一押しを口に出すことは出来なかった。
気付けばマスターの腕が、手が、私の背中に触れていた。
右肩に、マスターの頭がある。マスターの肩が私の目の前にある。
身体の前面がマスターに触れている。
抱き締められている。

201:純情マスターとお悩みルカさん5
09/01/12 00:33:15 8djUdjcW

「ああああのな!」

マスターの声は裏返っていた。

「お、俺は!ルカがいいんだ!」
「!?」
「他のルカじゃ駄目だ!お前がいい!壊れてるかもしれなくても、お前がいい!」

マスターの腕に力がこもった。

「さ、最初は確かに、ロボっぽいって聞いて…自信がなくてルカを選んだ」
「……」
「けど低音が綺麗で惚れて、いざ目にして、い、色々あって、ルカを選んでよかったって思ったんだ」
「…マ」
「お前はもう俺のパートナーだ。俺は今のルカがいい。他の代用なんて無理だ!」
「…マスター…」
「なな、なんだ!」
「…苦しいです」

私が呟くと、マスターは奇声をあげながら離れた。
初めてこの部屋に来たときのことを思い出す。
違うのは、あの時は事故だったけれど、今はマスターが望んでのことだったと言うこと。
…そうだ。最初からマスターは言っていたではないか。

今の私の方が好きだ、と。

「マスター」

顔を真っ赤にしている彼を呼ぶ。きっと私も同じ色をしていることだろう。
エンジンは高速で、しかし規則正しく動いていた。
エラーはおきない。

「私は、上手く歌えないかもしれません。他の巡音ルカと違うかもしれません」
「…ルカ」
「それでもマスターは」

たとえ私が歌えなくても。

「まだ、私に歌わせてくれますか?」
「――当たり前だろ」

202:純情マスターとお悩みルカさん6
09/01/12 00:34:26 8djUdjcW

マスターは笑う。
初めて誉めてくれた時と同じように。
嬉しくて涙がこぼれた。

「ちょ、泣くなって。ティッシュどこやったかな」
「申し訳ありません」
「いや、謝んなくてもいいんだぞ」
「では、どうすればいいのでしょうか。私にはわかりません」

その時、私の涙をティッシュで拭うマスターが一時停止した。
そしてなんだかそわそわし始める。私が思わず首を傾げていると、マスターが口を開いた。

「…言っていい?」
「? 何をですか」
「馬鹿にしない?」
「何を言おうとしているのかはわかりませんが、それは決してしません」

するとマスターは咳払いをし、私にまっすぐ向き直した。
はにかんだ唇から出た言葉は。

「…笑えばいいと思うよ」

再び一時停止。
…ややあってマスターは真っ赤な顔をして頭を抱えた。
ぐわんぐわんと頭を上下する。

「ぐわあぁー!今のなし!今のなし!!やっべ超痛い!痛すぎる俺!!」

布団があったらごろごろ転がりそうなマスター。
思わず私は、

「…ぷっ」

吹き出してしまった。
マスターが顔を上げた。
そのあまりの赤さに、止まらなくなる。

「ふふ、あははっ」

私は、生まれて初めて笑った。

203:純情マスターとお悩みルカさん7
09/01/12 00:35:44 8djUdjcW
涙はとっくに止まり、湧き出る温かさは全て声に出ていく。

「は…はは」
「ふ、ふふっ、くす」
「あはははは!」

マスターも笑い出す。
まるでデュエットのように、笑い声が響いた。
悩みも迷いも苦しみも全て吹っ切れて、私たちはただ笑っていた。

今なら、心の底から言える。
私は、この場所にきて、この人と出会えて本当によかった、と。


***


「…こっちはツンデレか」
「下には無邪気と書いてあります、マスター」

俺たちは一つのモニターに写し出された、とあるサイトを見ていた。
それは巡音ルカを購入したマスターたちが集う掲示板で、それぞれのルカの「故障」を報告していた。
そう、ルカが悩んでいたことは、もはや「仕様」と言っても差し障りないほど頻発していることだったのだ。

「“豚は死ね、と言って貰って毎日ハッピーです”…病院行った方がいいな」
「“あなた、と呼んで貰ってる”…千差万別なんですね」

しかしこの書き込みを見る限りでは、うちのルカが一番まともに見えるぞ。
つくづくルカでよかったな俺。何かに目覚めるとこだったぜ。
さておき、ロボロボしいままの個体もいるらしかった。全員がなってるわけじゃないんだな。

「でも、不思議です」
「うん?何が?」
「私たちは確かに感情・性格を封印されました」
「らしいな」
「なのにこうして覚醒してしまっている。それが謎なのです」

ルカは眉をひそめた。
最近は、彼女もかなり表情が豊かになっている。

204:純情マスターとお悩みルカさん8
09/01/12 00:38:03 8djUdjcW
…というかルカは悩みすぎるきらいがあるみたいだ。俺とは真逆だな。

「製作側のミスだとすれば、私たちは回収されるかもしれません」
「いやぁ、それはないよ。多分」
「何故ですか?」
「だって、誰も不満に思ってないだろ?これはあれだ、幸せな悲鳴ってやつ」
「幸せな悲鳴…」

ルカは納得したようなしてないような顔をした。
それに、と俺は彼女に言う。

「ボーカロイドから心を取り上げるなんて、無理な話なんだよ。きっと」

部屋の片隅の音楽プレーヤーからは、ルカの歌声が聞こえる。
人間のようで人間でない、彼女だけの声だ。
心がある声。

「…そうですね」

ルカはそうして柔らかく笑った。
笑ったり泣いたり怒ったりが少なく、他のボーカロイドと比べ、表情が乏しい俺のパートナー。
でもやっぱり、

「可愛いなー、ルカは」

そう言うとルカは真っ赤になって顔を覆った。
ここはまだ相変わらずだ。

何はともあれ、今日は休日。飯を食ったら歌を作ろう。
んじゃ、改めて。

「これからもよろしくな、ルカ」
「…はい、マスター」






おわり


205:名無しさん@ピンキー
09/01/12 00:39:58 uMXGo67B
乙おつ

ルカは、かなり深いキャラになりそうな予感

206:名無しさん@ピンキー
09/01/12 00:41:08 8djUdjcW
以上、ルカさん視点多目でお送りしました
前回はイチャイチャが足りなかったのでイチャイチャ…あれ?出来てない
土台は出来た、次こそはエロを…と思ってますが期待はしないでね

クーデレ(?)万歳!

207:名無しさん@ピンキー
09/01/12 02:04:05 xi+0fKe4
あんまり間があいてなくてすまない。
けど、今投下しなきゃ多分お蔵入りするので投下します。
カイメイです。エロ少なめ、暗い話です。

208:カイメイ
09/01/12 02:05:05 xi+0fKe4
「ただいま」
バタンと閉じられる玄関のドアの音を聞いてメイコは視線をリビングの方へやっ
た。
メイコの立つキッチンからは少し見えにくい位置にある玄関とリビングを結ぶド
アから疲れた顔をした青年が現れる。いや、もう青年と呼ぶ時期はとうに過ぎた
気もする。けれども、いくら疲れてやつれた顔をしていても、瞳の輝きは若々し
かった。
彼女の、恋人であり、きっと人生のパートナーになるのであろうその彼はコート
を脱ぐとハンガーにも掛けずにバサリと投げ捨てて自身をソファに沈めた。チラ
リと掛け時計の方に視線をやる。と、すぐ下に昔見慣れた白いコートと青いマフ
ラーがキチンと掛っていた。今すぐにでも出掛けられますよ、とばかりに皺一つ
無い眩しい位のコートは今はただただ憎らしいだけである。

「疲れてる、みたいじゃない」
「まあね」
労う様に微笑みかける彼女に笑って答えようとしたが、いけない。自分の中のモ
ヤモヤとした何に向けたらいいのか分からない苛立ちがつい口調をぶっきらぼう
にさせる。
気が強いようでいて彼女はとても神経が脆いのだ。
慌てて彼女の方に振り返ると、彼女は何も気にしていないように夕飯の支度を淡
々と進めているだけだった。
不意に立ち上がると居場所を無くした自身の新しい居場所を探すためにふらふら
と足がキッチンの方へ自然と向かっていく。
はた、と気付いた時にはすでにカイトの腕の中にすっぽりと小さなメイコの身体
が収まっていた。

「なに?今日は随分とあまえんぼさんねえ」
ケラケラと心底おかしそうにメイコは笑う。その様子に「本当に無意識だったん
だ」とは言えずに、ただ苦笑だけが漏れる。知らなかった。まさかここまで本能
的に彼女を欲していただなんて。

苦し紛れに右手を彼女の胸元までもっていく。ほんの少しだけ形のいい眉が歪ん
だのを見る。
「お夕飯出来ないわよ?」
「いい、よ」
「あんたの好きなオムライスなのに?」
「う……けど、今はメイコの方がいい」



209:カイメイ
09/01/12 02:06:01 xi+0fKe4
たださまよっていた右手は段々と本気を出してエプロンとニットの間をまさぐっ
ていく。メイコは迷いつつもコンロの火を消した。一気に炒めないと美味しくな
くなっちゃうのに。結局、こんな風になって流されなかったことはないのだ。今
回だって例外ではないだろう。

エプロンを脱がさずにニットだけを捲りあげて直に触られる。そこから入り込む
ヒヤリとした外気がメイコの身体をビクリと震わせる。冷たいシンクに置いてい
るはずの手が熱い。少しごつごつした指が頂きを捏ねると腰が揺れた。
「ね、当たって、る」
「当ててんの」
腰の辺りに感じる固い熱が背中を駆け上って全身を蒸気させた。回りきらなかっ
た熱が湿った唇から溜め息となって吐き出される。
「ねえ、寝室、いこ」
じゃなければせめてソファ。このまま後ろから、なんて嫌だ。
けれどもその要求は言い切る前にカイトの唇で塞がれる。紡がれなかった言葉が
舌で掻き回されて唾液となって飲み下される。溢れだしたものが顎を伝ってフロ
ーリングにポタリと小さな水溜まりを作った。

彼は焦っている。何にかは聞いても喋ってはくれないだろう。
……おおよそ、新しく仲間入りするボーカロイドの事だろう。実際に見たことは
ないが風の噂で聞いた。二十歳でピンクの長髪、巨乳。随分とお色気的にも頑張
ってくれたものだ。
けれど、自分達には関係はない。

メイコとカイトは歌を知らなかった。

初音ミクがある動画サイトをきっかけに爆発的な人気が出たと知ると彼女らは暫
く袖を通していなかった赤いセパレートと白のコートをハンガーから外して身に
付けた。そして、じっと正座をして待っていた。
予想通りメイコとカイトは歌った。
そう、『他所の』メイコとカイトが楽しそうに歌っていた。

二人は仕方無しに再び衣装をハンガーに掛ける。カイトは知識だけはあるので音
楽関係のアシスタントを、メイコは家事全般と週三日の花屋のアルバイトを。
歌えないボーカロイドは楽しげに歌うボーカロイドを目の当たりにして行き場の
無い焦りと苛立ちを愛しい女性にぶつける。
覚悟はしていたことだ、とメイコは目を瞑った。

「ひ、あ、あっ……!」
カイト自身がメイコの中にズンズンと入っていく。こうなってしまえばお互い考
えることは一つしかないのだ。早く、キモチヨクなりたい。それだけ。
「メイコ、メイコ、メイコ……ッ」
ただただ腰を突き上げながら最愛の女性の名を呼ぶ、それだけで十分だった。
(俺は……歌えてる)
真っ白になっていく世界の中でカイトはただぼんやりとそんなことを考えたのだ
った。



210:207
09/01/12 02:08:18 xi+0fKe4
以上です。
小ネタの予定だったので話が支離滅裂で申し訳ないです。

やっぱり自分は旧世代スキーなのでルカたんを聞きつつもめっこめいこのかいとかいとにされてるんだろうなあ。

211:名無しさん@ピンキー
09/01/12 02:13:34 cQsQODsz
乙でした
うちのボカロにも歌わせてやらんとなあ

212:名無しさん@ピンキー
09/01/12 02:14:03 iSkl7+gO
>>206
GJ!マスターの性格とルカの性格が合っててよかったw
色んなルカが出てきそうだけど、クーデレのルカっていいな

213:名無しさん@ピンキー
09/01/12 02:15:29 EtHQ8yg3
今、自分最大級のがくミク萌えが来てる・・・!
武士口調じゃないがくミクとか見たくてたまらない

214:名無しさん@ピンキー
09/01/12 02:59:20 lGFfoPy4
がくリンで教師×中学生(エロあり)とか…読みたい。。
自分で書こうとしてみたがいかんせん文章力が・・・

215:名無しさん@ピンキー
09/01/12 03:29:45 ezI6frF8
>>210
GJ!良い設定だな
オムライス好きのKAITOってオムパスタまんの人だろうか。あれだいすきなんだ
暗い話なんだろうけどMEIKOが花屋ってのにすげぇ萌えた

216:名無しさん@ピンキー
09/01/12 03:37:30 ezI6frF8
>>206
GJ!充分ニヤニヤさせてもらった
ロボっていうかクーデレなんだな
このルカとマスターすごい好き、続き待ってます!

217:名無しさん@ピンキー
09/01/12 05:35:46 4ZrWXqbl
>>196
いいところで終わりすぎじゃね?
やっぱ連載なのかww

今回はルカ視点なんだな。
だんだん恋愛に発展していくマスルカいいな~
前回の初々しい二人のかわいさ今回も十分でてたよ。
おもしろかった!GJ!!次回も期待!!!

218:名無しさん@ピンキー
09/01/12 08:28:20 T6IMLwib
>>196
初期のマスミクの雰囲気と似ていて懐かしい

219:名無しさん@ピンキー
09/01/12 09:35:31 ZrCpiawm
>>210
gj!
歌えないボカロって切ないよ
でも萌えた

220:名無しさん@ピンキー
09/01/12 11:13:10 rq1/xKMn
とりあえずうちの姉さんと兄さんに謝ってくるwww

221:柚ピーマン  ◆ishd7lcZX.
09/01/12 11:36:23 +21ugeyD
ルカ様祭りに便乗して。
出遅れ気味のエロなし小ネタ。ルカ様とマスター(マスターズ?)です。

注意書き↓

① この話はとても下品です。特に、ルカ様の台詞が。
② ネタに走りすぎです。元ネタ全部わかったらオプーナの購入権利書を(ry
③ 結構な俺設定気味です。注意してくださいです。
④ 無駄に長いうえに、内容がふざけすぎです。真面目に読むと目と脳が腐ります。
⑤ いちおう50字改行です。そこの辺り注意してくださいです。


222:『柔らかい音色』(1/18)
09/01/12 11:38:47 +21ugeyD
 
 人間とは、染まる生物だ。


 悪貨は良貨を駆逐する。
 朱に交われば赤くなる。
 孔雀は堕天使の象徴で、男は黒に染まれ。


 とにもかくにも、人間というものは、環境によってその性質が変化するものである。
 無駄に知性や知識があるからこそ、慣れ、というものを覚えてしまい、結果として環境に順応してしまう。そ
れが良い変化か悪い変化かは別の話として。

 ある意味、本能でもあるのだろう。異端は同族に攻撃される対象となりうる。だからこそ、周囲に溶け込むこ
とにより、無意識のうちに保身本能に隷従しているのかもしれない。肉体と精神の安寧をはかるためにも。
 馴染むからこそ、心から違和感を取り除くことが出来る。住めば都なる言葉があるが、それは己の環境適応能
力が、周囲と溶け込んだからこその帰結であろう。


 人間は知識があるからこそ、そういった、精神的な適応能力をもつ。

 では、『人間顔負けの知性をもつ個体』の場合はどうなのであろうか? 
 人間のように、環境に順応してしまい、最後には違和すら感じなくなってしまうのであろうか?


 そんな、小さな疑問を彼女は―巡音 ルカは考えたことがあった。


 ボーカロイドたる彼女が、かようなことを考えること自体、滑稽にも程があるというものだろう。歌をうたう
ことをレゾンデートルとする彼女が、人間の精神的な変化の根源的な理由について究明しようと目論むこと自体、
どこかずれていると言わざるを得ないであろう。

 しかし。それでも彼女は考える。
 否、考えねばならなかった。
 何故ならば。


「ねー、ルカちゃん、踏んでー」
「踏んでください、ルカ様ァッ!」
「またそのネタですか、桃色妄想ド低能マスターズ」


 自分がここまで変わってしまった原因は、自分の主人にある、という事実を確かなものにしたかったからだ。

 

223:『柔らかい音色』(2/18)
09/01/12 11:41:23 +21ugeyD
 
 ボーカロイド。

 社会と科学技術が発展に発展を重ね続けた結果、人々はついにドラ○もんレヴェルの技術力を得るに至った。

 そのひとつとして、ボーカロイド、というものがある。歌をうたうことを存在意義とする、アンドロイドだ。
その姿や容色は、ぱっと見では人間のそれとほとんど区別がつかず。特徴的な髪の色や、色素の薄い肌、常備さ
れているヘッドマイクなどで見分けはつくものの、知をもち、自我意識ももち、睡眠や食事すらも出来る彼らは、
ほぼ『人間』と言って差し支えないものだった。

 この存在が公にされてから、しばし。ボーカロイドを悪用しようと目論む輩も増えて、しばし。政府のお偉い
さんなどが、色々な公約や種々様々な掟を設定することにより、とりあえず人権とボーカロイド権は色々と微妙
な調整がされ、一応は平和な社会が戻ってきてはいる。
 閑静な住宅街や、人の声たえぬ商店街にボーカロイドが闊歩しても、人々に敬遠されることなどなく。人間も
ボーカロイドも、ある程度の笑顔は戻ってきた、そんな時代。


 そこで、巡音 ルカは生まれた。
 否、作られた、と言うべきか。


 はじめは、自我意識だった。自分は歌をうたうために作られた存在であり、人間とは違う身であるということ
を、プログラムによりて、その頭に埋めつけられた。
 疑問は、なかった。実体験に乏しい脳は、すんなりと、機械的きわまりないプログラムを飲み込んだ。次いで、
入れられる様々な別種のプログラム。人間を害してはいけない旨から、歌のうたい方まで、徹底的に。

 苦痛はなかった。悲観も、何も。

 自分は歌をうたうために作られた存在であり、栄華をきわめた社会のなかで生きる人間が生み出した、うたか
ためいた技術の結晶により、この地に足を置ける存在。そういった事実を胸と頭の奥にしまいこみ、彼女は、や
がて運ばれていった。
 未知の場所に運送される際、特に感慨めいた所感を抱きもしなかった。ただ、漠然と理解はしていた。

 ああ、私は、これから、顔も知らぬマスターのもとで生活するのだな、と。

 その際、胸に覚えたわずかな疼痛を、恐らく彼女は生涯忘れることはないであろう。それは、明確なる不安の
証だったのだから。




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