いもうと大好きスレッド! Part 5at EROPARO
いもうと大好きスレッド! Part 5 - 暇つぶし2ch100:名無しさん@ピンキー
09/03/01 06:09:10 tVMAUz+k
GJ! wktkっすわ

101:名無しさん@ピンキー
09/03/01 07:48:41 KEnR2kiC
GJ!

だが待って欲しい。初経と言うことは、この兄は姉なのだろうか?
…………精通の間違いだよね?

102:名無しさん@ピンキー
09/03/01 09:25:53 NYZMp/Ji
しょけい 0 【初経】
大辞林 第二版より

初めての月経。初潮(しょちょう)。

ふたなりダメ姉とよくできた妹か……。

103:名無しさん@ピンキー
09/03/01 22:05:12 xQiF4/AV
お兄ちゃんのがほしいよぉ


104:名無しさん@ピンキー
09/03/05 22:39:31 EBVoctJ3
保守

105:名無しさん@ピンキー
09/03/08 18:51:29 hiuft0uv
背丈175cm痩身 と言うと格好良いが、単に筋肉も皮下脂肪もなくガリガリなだけ。
脇の下周りや腰周りが私より細く、重量は5㎏以上軽い。
ストーカーのようにしつこく私を追いかけ回しては、度重なる、自動車にはね飛ばされ事故、鉄道の踏み切り事故、崖っぷちや橋からの落下。
その他で自爆し、担いで帰宅させられるから、ますます鍛えられる。
自爆に気付かない降りして放り出して置ければどんなにすっきりするのかな?
でも、いい齢して子ども泣きで名前を呼び助けを求めるから、周りが気付かない訳が無い。
結果、恋人全部が発デートで逃げる。

見合い?そりゃあ、親の前では良い息子だよ。だから親が同席してる間は無問題。
そして、話が進みデートになるとストーカーになり、すぐ近くで自爆する。

やな兄を持ったものだ


106:名無しさん@ピンキー
09/03/08 18:57:46 hiuft0uv

~~~~~~~~~~~

「どこが『いもうと大好き』だ」
ですか?
いもうと大好き兄貴の自己中心な愛情で、行き場が奪われたいもうとですよ。


107:名無しさん@ピンキー
09/03/09 01:57:52 iC6zD3us
これを投下できるってのがすごい

108:名無しさん@ピンキー
09/03/09 09:30:03 zfqsYu3H
>>105-106
自演乙

109:名無しさん@ピンキー
09/03/09 11:07:08 6/GMb8r5
>>108

>>105-106 自演乙

ってバッカじゃねぇ?
文体、ID、同じじゃね?

110:名無しさん@ピンキー
09/03/09 11:13:05 V+PU2n+w
「いもうとが大好き」な兄の話には間違いないな。かなりキモイがキモ姉妹スレは
あれどキモ兄弟スレは無いし。

111:名無しさん@ピンキー
09/03/10 08:09:41 9fdU9DrN
朝霧さんちの達也くんが、最近淫妹に迫られて困ってるみたい

112:名無しさん@ピンキー
09/03/12 15:32:47 SGF+IVKX
キモ兄弟って、ズレたてるほどの需要有るの?
っていうか幼妻と黒服を仕上げないとなあ。
待ってる人いるはずだし

113:名無しさん@ピンキー
09/03/13 11:46:20 f+LKD65L
ここってノンフィクションはないのかい?

114:名無しさん@ピンキー
09/03/13 16:42:03 1JB4CYD+
ノンフィクションは板が違うからな

115:名無しさん@ピンキー
09/03/13 23:02:24 LUMGXAmo
一応創作文章板らしいし。第一、フィクションかどうかなど判別するすべもないし。

116:名無しさん@ピンキー
09/03/14 07:37:15 sKWRjpiq
ここは、エロ【パロ】板だ

117:名無しさん@ピンキー
09/03/14 13:26:33 JLy5igUJ
板の使い方は、実際のいもうとなら近親相姦や過激恋愛、その他だろう?

だけど、私は、下手でも文が欲しい。

例えば、こんな感じ。



ぱぱから、きゅうに ひっこすことになった と、いわれたの。

4がつから あたらしい おうちだって。
ようちえんの 3ねんかん いっしょのおともだちと おわかれかいを できないで、ひっこすって ヒドイよね。
あたらしいおうちは、かぐも、しょっきも、ぜんぶあるから。と、あたしの、ぶんぼうぐ、ふとん、そして、ふく、などを持って行くって。
マンガとか、おもちゃはダメだって。つまんないよ
にもつをバッグやはこにつめて、そしたら、よるごはんのあと、おとこのひと?が じどうしゃで きたの。
「あしたのあさ、はやいから ねなさい」といわれたけど、あのひと、だれ?きになって、よく、ねられないの。


4じに ぱぱに おこされた。
きがえると、すぐ きのうの くるまに、にもつをいれて。
あれ?あたしのだけ?ぱぱのは?

いつものじかんに しょくじをして、ぱぱはでかけたの。


るまのひとから
「持ち物、これで良いの?
まだ載るから、これに入れてきな。パパさんにヒミツで、宝物や玩具、本とか。
本を先に入れて、玩具が後が良いよ」
と、くるまのついた おおきなバッグをわたされたの。
こえは おねえちゃんみたい。おにいちゃんとは ちがうかんじ。
バタバタ、ドサドサとマンガやふぁんしー をいれていると。
べつのバッグをもってきて、「これも使って」といったので、ぬいぐるみや おにんぎょうを いれたの。

それで、あたらしく バッグ3こをくるまにのせたの。

7じすぎに、そのくるまで、でかけたの。



えーと、これが、いもうと 視線。
相手側は、のちほど

118:名無しさん@ピンキー
09/03/14 13:32:33 JLy5igUJ
書きながら投下では有りません。
急に雨なので、迎えに行くのです。

119:名無しさん@ピンキー
09/03/15 02:04:43 DSdnOaN+
前スレでボロクソに叩かれたのにまだこりないの?

120:名無しさん@ピンキー
09/03/15 02:59:18 m7pC+JO9
前スレって?
ごめんね。初投稿だし、前スレは知らないんだよ。

って事で、まとめサイトを良く見てくる。
それで、続きを投下するかどうか考えてみる。

121:名無しさん@ピンキー
09/03/15 09:40:12 QtvJ48R1
>>119
なぜ、職人のやる気を無くす書き込みするの?
お前の様な書き込みが、多くの職人の意欲を無くしてるのだけど?

122:名無しさん@ピンキー
09/03/15 12:44:34 RjaMacc3
えーと、まあ、過去作品ざっと見たが>>119の意味が、職人を排除する、とか、過疎化、とかの意図しか考えられない。

で、つづき


親の希望で私立の男子校に幼稚園から通い、高校生になった 4月 1日、日曜日の午前 9時、幼稚園児くらいの女の子を連れた客が訪ねて来た。

父の海外転勤で両親とも不在。しかも時差で真夜中から早朝に変わる時。
何も聞いて無い。俺

しかし、渡された手紙には両親の連名で、引っ越しの、日にち、時間、が指定されている。しかも、この家で同居しろ。
今年から小学校、手きしろ。
戸籍は入れて有る。
などと書かれている。コンピュータかワードプロセッサでの印字なので真偽のほどがわからない。

電話をかけた。が留守番電話らしい。
現地の言葉か?まるで聞き取れない。

さて、困った。
追い返すつもりで、話をし出すと、昨日の朝からずっと車で移動、昨晩から今朝は東名高速足柄で仮眠。
子どもが限界だという答えが来る。
確かに、くたびれて、不機嫌だ。
両親不在、の話も知ってる様子。
「将来のお嫁さん、となる女の人です。今は妹として大好きになって下さい。」
と、追い討ち。

急に言われても、応対が出来ない。

123:名無しさん@ピンキー
09/03/15 12:52:36 RjaMacc3
こんな感じ。

しかし、不愉快。>>119の書き込み

124:名無しさん@ピンキー
09/03/15 14:08:05 /JEwEZ8m
>>119
学校通えカス

125:名無しさん@ピンキー
09/03/15 14:39:06 bog95BCY
まとめよりも先に読むべき物があるな

ちゃんとした文体で書かれた「小説」だw

126:名無しさん@ピンキー
09/03/15 21:57:57 QuyyzEZU
>>125
ふむ。そんなもの定義できるのかね?
定義できないとしても、文章には色々な形がある。
書いた人間の癖がでたりもする。
さらに言えば言語は常に変化し続け、言葉が増えたり使わなくなったりもしている。
極論、古文と現代文比べたら全くもって違う。


で、正しい小説って何よ?


それともただの釣りか?

127:名無しさん@ピンキー
09/03/16 00:10:11 rSmtZ1x5
>>126
あんたは間違ってない。だがここは、落ち着いてスルーするべきだ。

あと>>123さん。読点が多く却って読みづらいので、そこは直した方が良いと思う。

128:名無しさん@ピンキー
09/03/16 18:40:12 MbCEgmYM
こっちにも降臨したかぁ…
とにかく>>127さんのアドバイスはぜひ取り入れてほしい…

129:名無しさん@ピンキー
09/03/17 13:16:23 WOa7hcu7
ケチつけるしか能のない春休み厨房があっちこっちに涌いてるな

130:名無しさん@ピンキー
09/03/18 01:17:24 qy+YAb3z
最低限の推敲くらいはすべきだろ。自分の文が日本語としておかしくないかどうかとか。
俺なんて臆病だから、何度も何度も読み返して確かめなきゃ投下できない質だわw



って妹(花の9歳、俺っ娘)が言ってる。

131:名無しさん@ピンキー
09/03/18 16:49:08 suU5Ved4
肌に合わなきゃ批判じゃなくスルーでいいじゃん
ただでさえ過疎ってるのにさ

132:名無しさん@ピンキー
09/03/19 02:00:24 2dTE6RJE
>>130
そんな妹は嫌じゃwww
でも、気兼ね無しにエロトークができる兄妹関係ってちょっと良いかも。

133:名無しさん@ピンキー
09/03/24 09:58:24 P318V3N8
妹とエロ話……ごくり。

134:名無しさん@ピンキー
09/03/28 00:41:37 6PhWC6Fm
妹を膝の上に乗せてエロ話。

135:名無しさん@ピンキー
09/03/28 01:18:46 yyApzNyh
妹「兄ちゃん?おしりに硬いのあたってるけど、なに?」
兄「それはね・・・・・・・・・・ドライブシフトだよ」
妹「・・・・・じゃあ、シフトチェンジしないとね!」

136:名無しさん@ピンキー
09/03/28 11:20:46 UZ6IMgZu
妹「ニ速入れるね・・・・・」
兄「ああ・・・もっとゆっくり・・・そう・・・」

137:名無しさん@ピンキー
09/03/28 12:27:55 jIz3/1WH
よし、5点装着式シートベルトで密着だ

138:名無しさん@ピンキー
09/03/28 12:40:24 ZPnXLsBp
蒸着!

139:名無しさん@ピンキー
09/03/28 13:02:49 iZugEbz+
あぁっ!お兄ちゃん!
そ、そんなにワイパースイッチ弄っちゃらめえぇぇぇぇぇ!!!
あっ!ほ、ほんとに駄目だってば!
そんなにしたらもうウォッシャー液がでちゃうよ!!
出ちゃうっ!もうでちゃうっ!!!
ッッ!!!

プシャアアアア!!!
ウィーン



兄「…」

140:名無しさん@ピンキー
09/03/30 06:56:26 mQ91YlEW
>>139
そのアイデアいただいていい?
擬人化スレに投下したいわ。

141:名無しさん@ピンキー
09/03/30 08:19:34 RpbNPGFz
>>140

ご自由にどうぞー

142:名無しさん@ピンキー
09/04/01 05:15:08 o4GCYniI
随分と投下がないな
このスレも終わりか…

143:・・・・
09/04/01 09:23:43 F23serkS
・・・・・・・・・・・・

この時期に投下するか?
ふゆやすみ、正月、ばれんたいんでー、ひな祭り、ほわいとでー、そして、はるやすみ
いもうとたちと一緒にいる事のために時間を使いすぎて文章を書く時間が無いんだよ。

おはようから、おやすみまで、
そして
おやすみから、おはようまで、
いもうとと一緒にいるんだからね。

144:名無しさん@ピンキー
09/04/01 17:50:17 tACtr6W8










――!?

145:名無しさん@ピンキー
09/04/01 21:47:18 tACtr6W8
URLリンク(www.forest.impress.co.jp)
(2006年のエイプリルフールネタ)
 ↓

URLリンク(www.forest.impress.co.jp)

お前ら……お前ら…………

146:名無しさん@ピンキー
09/04/02 10:11:57 5VEBArm8
あううう
この「いもうと」は、結構頭いいぞ。
有難う、
スレリンク(tech板)
URLリンク(www.s-software.net)

147:名無しさん@ピンキー
09/04/05 02:38:01 V3GIm/i7
-----終了-----

148:名無しさん@ピンキー
09/04/05 06:05:26 oQT/Qj+G
-----再開-----

149:名無しさん@ピンキー
09/04/05 09:23:48 IcCRzHsw
口を開くとお兄ちゃんお兄ちゃんな、テンプレなブラコンものが読みたいです。

150:名無しさん@ピンキー
09/04/05 19:44:49 89nnsm4N
口を開くと妹!妹!な変態兄の監禁陵辱孕ませありのシスコンものも読みたいです。

151:コンビニ兄貴1/2
09/04/06 04:02:08 G2ECl4U8
 俺今大学四回で夜中コンビニのバイトをしながら家族と暮らしてる。
 今日はいつもだとバイトを入れてない日だったけど、まだ学校が休みなのと、夜中に入ってくる
ジャンプ読みたさにバイトを入れたんだよな。
 時間は夜1時20分……。俺は外を爆走してるバイクの馬鹿でかい排気音で目を覚ました。
目覚めが目覚めなだけに不機嫌になりながらも少し微睡む。
 バイトは2時から……。30分に風呂に入れば間に合うな。なんて思っていた瞬間だった。
 向かいの部屋からコツ、コツと堅いものが触れ合う音がした。直後
「あっ……ああ、あん……」
 なんて艶めかしい声まで聞こえて来やがった。
 ええ、向かいの部屋は妹の部屋ですよ。ちなみに言っておくと、外壁同士に間隔が空いているし、
今まで15年過ごしてきて物音の一つも聞こえたこともないから隣の家から、って線は100%無い。
 共働きの両親との距離が離れてきている妹は、念のため、と起こしてもらうのを頼んでいたお袋からも
俺が今日バイトなのを聞かされていなかったのだろう。

152:コンビニ兄貴2/2
09/04/06 04:02:43 G2ECl4U8
 しかし、もう高校2年になっているとは言え、部屋でそれっぽい本を見かけたとは言え、ローターを
見かけたこともあるとは言え、実際声を聞くとショックだった。
 とりあえず気持ちを落ち着かせようとして携帯をいじっていたら、画面に表示されている数字は
1と30に近付いてきた。行くしかないのか……。
 引き戸をゆっくりと開け、妹の部屋の前を通過して戸の横にある階段から下へ降りる。
 しかし、いざ下に降りてみても状況は変わらない。俺が風呂に入ればあいつは気付くのだ……。
 ここで、俺にちょっとした妙案が思いついた。
 ここで敢えて気付いていることを気付かせて、俺の言いなりにならせるのも良い。何せあいつは
思春期に俺のオナニーを見てから、何かとこき使うようになっていた。ここらで形勢逆転しようじゃないか。
 それに、俺が風呂に入ったあと回ることになる洗濯機の中身を干す作業も、あいつにさせれば
お袋にも見直されたり、また会話もするようになるんじゃね? と……。
 いやぁ俺って良い兄貴だな。
 とりあえず風呂から出たらあいつにメールしとこう。
「声聞いた。バラされたくなけりゃ洗濯物干せ。
あと保守しとけ」って。

153:コンビニ兄貴
09/04/06 04:09:18 G2ECl4U8
書き終わってなんだが全然妹萌えじゃねぇなこれ…orz
スレ汚しスマン。俺は去るよ

154:名無しさん@ピンキー
09/04/06 19:54:54 FqssgTPp
待って帰って来い!ビッチ妹ハァハァ

155:名無しさん@ピンキー
09/04/06 21:49:51 W5tRkW3q
-----終了のお知らせ-----

156:名無しさん@ピンキー
09/04/06 22:35:24 8ejesWMO
エロっ子だがビッチではなくないかい

157:名無しさん@ピンキー
09/04/06 22:42:42 b4XiHu3w
>>153
問題ない。妹の部屋であんなものやこんなものを見つけ出す(くらい妹の部屋を調べている)
時点で、この兄貴は十分このスレに巣くう資格がある

158:続コンビニ兄貴
09/04/07 02:32:37 0pdP4jx4
 今日は休みだ。仕事も無い。早起きなんて……いや、明日は学校があるから10時には起きなきゃいかん。
 そんなこんなで俺は0時を回った頃から眠り始めたんだが……。
 今日は友達からのメールで目が覚めた。1時10分。中途半端な時間に起こされたもんだ。しかも
メールの内容も「明日学校行く?」だと? 1人じゃなんも出来ないのかお前は。
 なんてことを思っていると今日も、また……。
 ちなみに、昨日は結局終わってすぐ寝たらしく洗濯は干してなくて「何それ。朝そんな時間ないし」
なんて返事が7時半くらいに来ていた。
 今日は、と言うと……正直後悔している。多分、最初から最後まで全部聞いたと思う。最初の
あまり気乗りのしないような少し控えめな音量から、興奮して向かいの部屋に俺がいることも忘れたような
声まで、全部。
 1つ認識したことは、あまりそういうことに慣れていない感じがするということ。
 それだけでも救われた気になった。
 ただ、俺の好奇心が次にどうするべきか、と問いかけている。
 あいつの部屋に突撃するのか、泳がせておいて声を聞き続けるのか、全てをなかったことにするのか……。
 俺はこれから、どうすれば良いんだ?

159:コンビニ兄貴
09/04/07 02:45:07 0pdP4jx4
レスサンクス
なんだかんだでネタ浮かんだんで戻ってきた。スマン
住人認定してもらえたことだし、ここからはもっと妹萌えにしたいと思う
というわけで参考程度に聞かせてもらって良いかな?
うぜーって人は「コンビニ兄貴」をNG登録頼む
①突撃
②盗聴
③無かったことに
④まさかの過去編
⑤その他

160:名無しさん@ピンキー
09/04/07 05:47:12 9zzGYikP
キミキス(糸杉のコミック版)の妹がエロい
くそ、あれがエロゲだったらなぁ

161:名無しさん@ピンキー
09/04/07 09:45:10 /lKZq+10
Hシーンのない小説はゴミ

162:名無しさん@ピンキー
09/04/07 15:48:40 YOKNSIqo
なら俺が拾うよ。

163:名無しさん@ピンキー
09/04/07 15:53:17 5OXo1awn
突撃

164:名無しさん@ピンキー
09/04/07 18:24:57 o5gL/CMA
>>159
⑤兄貴が厳選したおかずをこっそり差し入れ

165:名無しさん@ピンキー
09/04/07 18:30:07 uaK6YTde
突撃かな、意気込んで来たはいいものの居場所なくてオロオロ…
さぁどうする

166:名無しさん@ピンキー
09/04/07 18:37:45 oRjqnSl4
②盗聴でドキドキしたい

167:名無しさん@ピンキー
09/04/07 19:45:12 Rxdde54D
⑤「ほひゃあ!」とか叫んで風呂の脱衣所で全裸でぶっ倒れ、
気を失った振りをしつつチンコビンビンで妹の反応待ち


168:名無しさん@ピンキー
09/04/08 06:11:44 nvzqfzh4
がちゃり
扉が開く
入ってきたのは








おかんだった

169:名無しさん@ピンキー
09/04/08 17:49:29 loOsWohK




トンネルを抜けるとそこは子宮だった。

170:名無しさん@ピンキー
09/04/08 17:56:41 q8Q1yVYW
斬新

171:名無しさん@ピンキー
09/04/08 18:51:10 Qe9ezflT
子宮姦ですか

172:名無しさん@ピンキー
09/04/08 21:12:10 9ayjchP5
子宮の次は卵管か?

173:名無しさん@ピンキー
09/04/09 01:04:24 YSxbqmwl
トンネルじゃない!それ………膣だ!

174:名無しさん@ピンキー
09/04/09 03:59:30 AMo4rs8f
狭くいて温かな妹の肉のトンネル
その奥には、彼女の大事な大事な宝物がある
兄である俺と同じ遺伝子を持つ、小さな小さな赤ちゃんの素
卵子だ
そいつに今から精子をぶっかけ、受精させることができるのかと思うと
気が触れそうなほどに興奮する

175:名無しさん@ピンキー
09/04/09 08:00:46 zjpJSDYK
お兄ちゃんしっかり! 正気に戻って! ><

176:名無しさん@ピンキー
09/04/09 17:35:36 kwjzcBCt
本番中にそんな妄想されたら、妹も困るわな。

177:名無しさん@ピンキー
09/04/09 18:15:02 jIaRMJ1u
職人来ないな
このスレも終わりだ

178:名無しさん@ピンキー
09/04/09 18:39:42 2ksuLUCq
何度目の最終回なのか
ああ五度目だ

179:名無しさん@ピンキー
09/04/09 20:02:00 D2c59YW0
ここも姉スレもいつもこんなもんだよ

180:名無しさん@ピンキー
09/04/09 20:29:46 5BnNkHv/
>>177
過疎スレなんだし
もっと待つとこもあるぞ?

181:名無しさん@ピンキー
09/04/10 05:41:06 PVZzRTJn
エロゲのエロい妹の話とかしながら投下を待ってようぜ
とりあえずはぴねすのすももや夜明けなの麻衣
天神爛漫の佐奈あたりを勧めておく

182:名無しさん@ピンキー
09/04/10 07:15:49 DOLGI4p0
俺も語ろうとしたがやったことあるエロゲに妹いなかった…
きっとまだまだ詰めが甘いんだな

183:名無しさん@ピンキー
09/04/10 08:59:13 7EU8nRS2
>>182
実際の「いもうと」でなくても「いもうと」の位置にいる女の子がいるだろ?

例えば、テレビアニメにもなったのでは
Wind では約1人 
乙女はボクに恋をする では約2人
東鳩2では 約1人

とか?そういうので遊んで無いのか?

184:名無しさん@ピンキー
09/04/10 09:03:55 7EU8nRS2
そういえばエロい年下の男の娘って、ダメなのかな?
誰が、いつ見ても、カンペキに可愛い子とか。

185:名無しさん@ピンキー
09/04/10 10:19:25 furGd9Sq
>>184最初に男の娘(むすめ)って読んで『は?』ってなった。
ついでにスレチになると思う、そいつと妹の話ならありな気がするけど。

186:名無しさん@ピンキー
09/04/10 10:24:26 4jjiLHP8
気に入ったキャラも義妹と偽妹ばっかり…
実妹と茨の道を行くエロゲはないものか

187:名無しさん@ピンキー
09/04/10 11:03:41 a0nlA2SC
義妹は所詮赤の他人
他人なら、妹である意味なくね?

188:名無しさん@ピンキー
09/04/10 11:33:23 i3u0KwOU
女として育てられた、または、女よりも女な、「男」のことを「男の娘」って。
産まれたときから、イモウトとして育てられた男の子は、「いもうと」?「おとうと」?
 

まあいいや、ボクには「いもうとデスクトップ」が有るから。
スレリンク(tech板)
いもうと いないけど。


189:名無しさん@ピンキー
09/04/10 12:23:55 furGd9Sq
>>188女として育てられようが、ものが付いてる限りはおとうとだろ。

190:名無しさん@ピンキー
09/04/10 17:02:52 DOLGI4p0
>>183
2本しかやったことなくてね…でも片方にはそういう感じのいたな
世話のかかる駄目で可哀想な幼馴染みとか

188を読んでじゃあ姉貴視点なら良くね?って思った俺は妹スレ住人失格

191:名無しさん@ピンキー
09/04/10 22:16:36 hvAgOAGY
いえ、「姉と妹」という話でもでも良いのでは?
2人だけの(?)秘密って事で、一緒のお風呂、一緒の布団。
外出でも同じ服着て手を繋ぎあって。・・・・・・それから?

192:名無しさん@ピンキー
09/04/11 01:07:49 G7qAnIT+
>>186
ヨスガノソラの穹

193:名無しさん@ピンキー
09/04/11 01:17:40 di6H/Ake
ならばよるよるだな

194:名無しさん@ピンキー
09/04/11 02:06:15 +A5z5FHU
いもうとといえば加奈
あれは泣ける

195:名無しさん@ピンキー
09/04/11 03:19:43 HUfFRJvW
セクロスは無かったが鬼哭街の瑞麗は最高だった
色んな意味でゾクゾクくる妹だった

196:名無しさん@ピンキー
09/04/11 05:38:18 6pIePRo2
>>186
つ鎖 LeafのQPフラッパーズ絵のやつ
ただし凌辱もの

197:名無しさん@ピンキー
09/04/11 20:53:47 6rxnuvuE
実妹和姦孕ませエロゲが発売されますように…
いもうとSSがたくさん投下されますように…
妹が出来ますように…

198:名無しさん@ピンキー
09/04/11 21:07:21 VRlFVmnt
「シスターまじっく」やるよろし
実妹と子作り前提、ボテあり、背徳感多めだ

ただし 姉 化 分 多 め

199:名無しさん@ピンキー
09/04/12 06:06:58 FEjaBk+l
「ココロ」ってPC98時代の末期に出たゲーム
あれはたしか実家族の近親姦だったような気がする


陰陽寺って力を残すために近親姦やってたって聞くな

200:名無しさん@ピンキー
09/04/12 21:53:18 WHRjMrw6
「そんな…優恵はどうすんのさ?……」
「だから、頼んでるんだ……転校とかは、嫌だろう?」
「そりゃそうだけど!だからってさ!?海外でいつ戻るかも分かんないなんて、何かあったらどうすんのさ!?」
「だから頼んでるんだ。晶。仕事なんだ、大事な大事な、行かなければ私の首が危ない」
「…ぬ………なんだって母さんも…」
「お父さん一人にしたらどうなるか分からないの……分かって?晶…」
「…………あぁ……くそ……一週間に一回は優恵に電話すること、一年に一回は帰ってくる事。それくらいは?」
「……一年に二回にしよう」
「……優恵にも、ちゃんと説明しといてよ」
「ああ………お前ももう中学生だ。晶なら出来るさ」
「出来りゃ良いけどさ………優恵を呼んでくるよ……」

201:名無しさん@ピンキー
09/04/12 21:54:40 WHRjMrw6
「ほら、優恵。弁当」
「ありがとう、兄さん」
 両親が海外出張に行って五年。俺はすっかり所帯じみた高校三年生。優恵は可愛らしい高校一年生になっていた。
 あのころの優恵は小学生だった。高学年になってたとはいえ、まだ親が恋しい年頃だっただろう。
 だから俺は、二人の代わりに精一杯、優恵に優しさを注いだつもりだ。
 付き合いが悪いと言われようと、シスコンと馬鹿にされようと、構わなかった。
 優恵を守るため、肉体的に強くあろうとトレーニングをした。
 優恵の見本となるために勉強もした。
 優恵に喜んでもらおうと料理もした。
 俺のこれまでの人生は、優恵のために消費された。構わない。その分優恵が幸せになってくれればいい。
 身内びいきがあるかもしれないが、優恵は可愛い。その気になれば、恋人もすぐ出来るだろう。
 透き通る様な瞳、綺麗な黒髪、すっと通る鼻筋に花の様に可憐な唇。
 ずっと見ているだけで実の兄である俺ですらクラッとする。ああ、そうとも、シスコンだとも。
 友達を作って、恋人を作って、良い青春を過ごして欲しい。俺が出来なかった分も。
 優恵が幸せになってくれれば、それでいい。それで。

202:名無しさん@ピンキー
09/04/12 21:56:10 WHRjMrw6
「じゃあ行ってきます。兄さん」
「ああ、気をつけてな」
 晶兄さん。
 両親が海外へ出張に行ってから、ずっと妹の、私の世話をしてくれた。
 優しい、優しい、とっても優しい私の自慢の兄さん。
 私のわがままも、失敗も、少しの厳しさと、たくさんの笑顔で許してくれた。
 勉強も運動も出来て、その上料理も上手い兄さん。
 兄さんは自分の事を犠牲にしても、私のためにと行動してくれた。
 知っている。そのせいで中学時代、友達がほとんどいなかったのも、馬鹿にされていたのも。
 だからこそ、これからは私のことに構わず、幸せになって欲しい。今までの分まで。
 友達をたくさん作って、恋人を作って、素敵な生活を送って欲しい。
 私も高校生になって一ヶ月がたったのだ、一人でも大丈夫だから。と伝えたい……
 伝えたい、はずなのに……私は、兄さんから離れたくないと、思ってる……
 今までずっと束縛してきたのに……お礼を言って、謝って、止めて、自由に、幸せになって欲しいのに……
 大好きな大好きな、兄さん。大好き。家族として…………男性として………晶兄さん

203:名無しさん@ピンキー
09/04/12 21:57:35 WHRjMrw6
「……はぁ…」
 今日は日曜日。部活の昼休憩。兄さんの作ったサンドイッチを頬張りながら、ため息をついてしまう。
 兄さん手作りのサンドイッチは美味しい。文句の付け所が無い。無いからこそ、自分が怨めしくなる。
 私は、こんな風に出来ないから。日曜なのに、兄さんを早く起こして……私は、兄さんに頼ってばかりだ……
 自分の事ぐらいは自分で守ってみせたい。だから女子柔道部に入ったのに……結局はこういう風に甘えてる……
「はぁ……」
「なにため息ついてる?幸せが逃げるぞ、高宮」
「あ、岡崎先輩」
 岡崎美華先輩。
 女子柔道部主将。一年の新人戦から県大会個人戦三連覇、それどころか全国でも、五本の指に入る腕を持つ女傑。
 それだけでなく文武両道、成績優秀、長身に、女の私ですら惚れてしまいそうになる美貌、スタイル。
 性格は男勝り。男より漢らしく美人というより格好良いという言葉が似合う。
「弁当が不味いなら食べてやるぞ」
 そんなことないです!そう言い返す前にたまごサンドを盗られた。
「あっ!?」
 取り返す間もなく半分が口に飲み込まれるたまごサンド
「どんなのでも食べ飽きた、コンビニ、おに、ぎ、り……よりは………マシ…………美味いじゃないか!?」
 兄さんのたまごサンド……
「こんなの食べててため息つくとは許せんな高宮、全て私が食べてやるから渡すんだ!」
 残り半分を口に放り込み、新たなサンドイッチを私にたかる。
「い、いやですよ!」
「なにおぅ!」
 柔道始めて一ヶ月の素人に、柔道部主将が襲いかかる―

204:名無しさん@ピンキー
09/04/12 21:58:56 WHRjMrw6
―結果、残り半分を先輩が持っていた惣菜パンと交換して和平。
「しかし羨ましいな。こんな美味い弁当があって」
 そう言って先輩はツナマヨサンドを食べる。
「先輩は?」
 私もツナマヨを手に取る。
「両親が遅くまで共働きでな。ご飯も美味いし、夫婦仲も良いが、週末や祝日くらいしかそれにはありつけん」
 先輩の顔に珍しく苦笑が混ざる。
「自分で料理をしようとも思うんだが、結局はコンビニで済ませてしまう。便利過ぎるのも困りものだ」
 サンドイッチを少しだけ高く上げる。
「これは、自分で?」
「あ、いえ」
「母親さん?」
「いえ、父さんの海外出張についていって五年くらいたちます」
「お姉さんが?」
「姉はいないです。晶兄さんが」
 先輩の動きが鈍くなる。
「………誰が?」
「晶兄さんが作りました」
 先輩が目を見開く。
「晶………高宮、晶……F組?」
「あ、知ってました?」
「いや、まあ………同じクラスだが………本当か?」
「嘘つく理由が無いですよ」
 思わず笑ってしまう。
「そうだろうが……想像出来ん」

205:名無しさん@ピンキー
09/04/12 22:00:53 WHRjMrw6
「兄さんって、学校ではどんな感じですか?」
「どうって………無口…かな」
「無口……暗い、ですかね…」
「ああいや、違うな。なんというか……出来る限り少ない言葉で伝えようとするというか…言いにくいな」
「家ではそんなことないんですよ?優しいですし……」
「ああ。いや、安心しろ。嫌われてるわけじゃない。少なくとも女子にはモテる方だ」
「そう、なんですか?」
「ああ。頭は良い、運動も出来る。お前さんと同じように顔も良い。イイ男としての条件は充分に満たしていると思うぞ」
 兄はモテる。嫌われてると聞かされるよりは全然良いが、それだって、どう言えば良いか分からない。
「実際、他の女子も何人か告白したそうだがダメだったらしい」
「…………も?」
「も、だ」
 さっきよりいくらか悔しそうな苦笑
「一年の二期、だった。スポーツ特待でテストも学年三百数十人中四位。容姿にもそれなりに自信があった」
 テストで兄さんは二位だった、と補足を付け加える。県内でも有数の進学校でその順位。テレビに出る様な有名大学も合格圏内に入っているだろう。
「見栄でな、彼氏の一人でもいた方が格好がつくと思ったんだ。好きかもどうかも考えずに、良い人だと思ったんだ。思ったから、告白した」
 先輩の独白に、どう答えたものかと思う。先輩は私を気にせず、独り言の様に続ける。
「恥ずかしながらその時の私はナルシストでな、フラれることは有り得ないと思っていた、けど……」
「…フラれた?……」
「『今は、色々あって忙しいんで、無理です。すいません』こう言われた。頭も下げられたよ。悔しかった。それまでの人生で何よりも一番、悔しかった」
 悔しい。そう言ってはいるものの、先輩の顔はどこか楽しそうだった。
「そもそも忙しいったって、大会とかがあるなら分かるが、彼は部活にも入っていなかったからな。適当な言い訳で逃げられた気がした」

206:名無しさん@ピンキー
09/04/12 22:02:43 WHRjMrw6
「忘れようと勉強に部活に没頭した。失った自信を取り戻そうとした。その結果、私は県大会個人戦優勝。次のテストでは二位、このときは君の兄さんが一位だ」
 君の兄さんには勝てないらしい、と呟き、先輩の言葉が数秒途切れる。
「……………感謝、しているんだ。天狗だった私の鼻を折ってくれた。おかげで今の私がいる」
 ほんの少し、先輩の頬が朱に染まっている気がした。
「それで……おかしいかな…その、なんだ………たまーに、たまにだぞ。ふと、目が自然と彼を追ってるときがある。これ、どう思う?」
―それって、つまり―
「会話なんて、告白と返事、この二言だけしかなかった。だけど、私を変えてくれたお礼が言いたいというか、もっと話してみたいというか」
 先輩らしくない、曖昧でしどろもどろな口調で分かる。
 ああ、先輩「も」兄さんのことが好きなんだ―
「……って、な、何言ってるんだろうな私は。忘れ「来ます?」
「え?」
「家に来ますか?居ますよ。兄さん」
 いつも凛とした先輩の顔が、泡を食ったような表情になる様子は、見ていておかしかった。
 大丈夫。先輩は良い人だ。それはハッキリと分かる。
「いやそんな理由もなく」
「料理しようと思ってるって、さっき言いましたよね」
 尊敬する先輩と、尊敬する兄さん。どっちにも幸せになってもらいたい。
「あ、ああ」
「それを理由にしましょう」
 差し出がましいことをしようとしているのかもしれない。それはきっと、罪悪感があるからだ。
 兄さんが先輩をフった「忙しい」という理由。それは多分私のせいだ。
 「中学生活を楽しめ」そんな兄さんの言葉に甘え、家事を任せっきりにしていたから。
 それの埋め合わせをしたい、そんな下衆な考え。
「…………考えて、おく…腹を休ませておけ。午後もあるからな」
 心の奥に隠した何かが、チクリと痛んだ気がした。

207:名無しさん@ピンキー
09/04/12 22:04:57 WHRjMrw6
書いてみたので投下した。今は反省してる
スレ住人の暇つぶしくらいにはなれれば良いなって思ってる

208:名無しさん@ピンキー
09/04/12 22:36:24 5mMAT0Qw
gj! はやく妹とのエロまで進まないかな~。

209:名無しさん@ピンキー
09/04/12 23:49:21 OQUR4x9W
>>207
GJです。妹をおもう気持ちが、逆に悩ませるような描写が素敵です。

僕も妹モノのSS作ってみたんで投下します。
エロパロ版ではこれが2作品目の投下ですが、文体がまだまだ稚拙です…
エロいのだけ読みたい人は(9/13)から、ではいきます。

210:セクシーサラブレッド(1/13)
09/04/12 23:51:50 OQUR4x9W
「…以上でお引越しのお荷物はすべてとなります。こちらに受け取りのサインをお願いできますか?」
引越し業者が受け取り票を差し出し、俺に受け取りのサインを求めてくる。
俺は、ダンボールを下敷きにして業者の要求に従い、受け取り票を業者に返す。
「はい、ありがとうございます。では、またお引越し等のご用件がごさいましたら、
弊社までご連絡お願い致します」
軽く会釈をすると、業者はアパートの階段を軽快に降りていった。

早速ダンボールの箱を開けると、たくさんのDVDディスクの詰まったピンク色のケースが目に付く。
『おにぃ頑張ってね!!あたしも頑張るから!!       真帆』
丸みを帯びた文字でそう書かれた紙が、ケースの上面にセロテープで固定されている。
もうあれから2年が経つのか…妹の真帆が同じ高校に入学し立て時のことを懐かしく思う。
このディスクには、他人には言えない、俺と真帆だけの思い出がたくさん詰まっている…

高校時代の俺と真帆の2人で作り上げた、沢山の物語が…

211:セクシーサラブレッド(2/13)
09/04/12 23:52:53 OQUR4x9W
「おにぃ~見てよ!!新しい制服だよ!!」
妹の真帆が自慢げに制服を見せている。明日は真帆の入学式だ。
「制服着てそんなにはしゃぐなよ…しかも家の居間で」
「だって~前から着たかったし~。でも、ほんっとにかわいいよね~この制服」

真帆がはしゃぐのも無理はない。このブレザーの制服は、高校のOBで、
俗に言う一流デザイナーが作製したものだからだ。どうやら高校の校長が新入生徒獲得の一環として
このデザイナーに頼み込んだらしい。そして見事に校長の思惑通りになり、この制服に変わってから
受験の倍率が女子生徒を中心に倍近くに増えた。俺自身も別の高校に進学をするか悩んでいた時、制服
のデザインが良かったのが決め手の一つになったので、校長の策略に見事に嵌った一人なのかもしれないが…

「真帆、おまえまさかその制服着たさに決めたんじゃないだろうな?」
「そんなことないってば」
「じゃあ理由はなんなんだよ?」
俺の問いかけに、真帆は急に視線を反らし、両手の指を軽く擦るしぐさをする。
なんかおかしな質問でもしてしまっただろうか…こちらも急に不安になってしまう。
「なんなんだよ…急に」
「それは…おにぃと…一緒の高校に…入りたかったから。学校でも…おにぃと…一緒にいたいから…」
真帆は頬を赤らめながら、照れくさそうに言う。
なにを言い出すんだこいつは。そのしくざで言われると、こっちまで照れくさくなってくる。
「おいおい…おかしな冗談いうなよ」
そう言うと、突然真帆は自分のシャツの肩から少し下の部分をぎゅっと掴み、
上目遣いで何か訴えかけるような視線で俺を見る。
「冗談じゃ…ないよ。本気…だし。だって最近、おにぃといると…なんかね、胸の奥が熱くなるっていうか…」
「ぇ……」
そのあまりも真剣なまなざしが、俺の心を揺さぶらせ、心臓の鼓動を早めていく…
返す言葉もなくしばらく真帆を見つめていると、突然真帆が悪戯っぽく笑みを浮かべる。
「スキあり!!」
頭に軽い手刀を食らわされた。突然の行動に、唖然としてしまう。
「あっははは!!おにぃときめくなんてありえないって~。少女漫画じゃないんだからさ」
真帆の態度に少しイラっとしてしまう。10年前だったらココで喧嘩になるが、今は義務教育を終えた身だ、
ここは我慢しよう。

212:セクシーサラブレッド(3/13)
09/04/12 23:54:47 OQUR4x9W
「本当の理由はね、あの高校の演劇部に入りたかったからなの」
やっぱりそうか…俺の高校の演劇部は、劇の質の良さで有名で、学園祭になる劇が目的で毎年地元のTV局が
取材に来ているほどだ。俺自身も、演劇部に所属している…昨年度は脇役に徹していたが。
「演劇部にはいって、ヒロイン役になれば、TV局が注目して、もしかしから…」
「そんなんでモデルとか女優になれたらだれも苦労しねぇよ。オーディションとか受けた方が
よっぽど可能性あるだろ」
「へへ…やっぱり~。でも、オーディションは受けるよ。高校生になったら解禁されるもんね」

モデルから女優へ…それが真帆が抱いている昔から変わらない夢だ。俺たちの母がグラビアモデル
であったからだろうか、血は譲れない。真帆の夢について母は反対していたのだが、あまりにも真帆が真剣
に語るので、高校からはオーディションを受けることを許可したらしい。
俺自身も、いつか映画館で放映されるような映画を作りたいという夢を持っている。
お互い、笑っちゃうような夢だけど。
「これで自分の夢に挑戦できる……演劇部に入るのは、演技の練習のためだね。さっきみたいに…あははっ!!」
真帆の笑い声でさっきのやり取りを思い出してしまい、顔が歪んでしまう。
「でもうちの演劇部舐めてもらっちゃこまるなぁ…真帆だったらてんぱって…ってことはないよなぁ。。。」
中学時代の卒業式を思い出した。俺が3年で卒業した時、真帆は代表の送辞をやったが、送辞の台詞を一切読まずに
堂々と話していた。モデルの子だけあって、肝が据わっている。
「そうそう、そんなことないない!…ぁ、せっかく制服来たから、いつもの撮影、しようよ」

いつもの撮影と言うのは、小学生のことだろうか、俺と真帆でやりはじめたちょっとした遊びだ。
俺が親父の部屋にある高級一眼レフカメラを勝手に持ち出し、真帆を撮影したのが事の始まりだ。
親父がそのフィルムを現像した時、『カメラワークが神ががっていた』らしく、
俺の誕生日の時にそのカメラをプレゼントしてくれた。
以来、そのカメラを使ってポーズを決めた真帆を撮っては2人で盛り上がり、
今まで1000枚以上の写真を撮ってきた。親父は自分のカメラワークを褒めていたが、
自分以上に、写真に写っている真帆がよかったのだと思う。サラサラのロングヘアーに小顔でパッチリとした目、
ぷっくりとかわいらしく膨らんだ口元…身長は162cmとそこまで高くないが、手足が長く腰の位置が高いので、
実際よりも背丈が高く見えてしまう。
真帆がいいから自分の写真が良く見える…特に最近なんかは。
真帆の要求を呑んだ俺は、自分の部屋からカメラを取り出し、真帆に指示を出して写真を撮っていく…
「今回の写真も楽しみ~パパと同じでおにぃのカメラワークすごくいいからね」
俺の親父はモデルや結婚式などのカメラマンをしている…妹と同じでこのカメラワークも
親父ゆずりなのだろう。
「パパとママもこんな風に撮影してたのかな…」
真帆が俯いてポツリと呟く。…そんな真帆の姿も、極上の絵になる。
こうして築き上げられていく一枚一枚の写真が、俺たちが親父と母親の子供であることの証明となっている。
いつか親のような存在…いや、それ以上の存在を夢として抱きながら。
しかし、一週間後その親の『存在』が打ち崩されることとなる。一本のビデオテープによって。。。

213:セクシーサラブレッド(4/13)
09/04/12 23:56:02 OQUR4x9W
入学式が終わって一週間後か過ぎ、新年度の慌しいムードも落ち着き始めていた。
昼休憩になり弁当を食べていると、友達である智也が興奮気味に話かけてきた。
「おい、恭介!!これ見てみろよ!!」
智也が突き出している物をみる。どうやらVHS型のビデオテープらしい。
「フフフ…これは、昔大ブレイクしていたAV女優、桃井 メグの引退作品らしいんだ…」
「昔大ブレイクって…俺AV詳しくないし。
それよりも、なんで俺にそんなに興奮して話す理由がわからん。智也ならもっといいAV沢山持ってるだろ?」
「これを見てみろよ」
智也はそう言うと、発売された年月日を指す。平成2年…自分が生まれた年だ。
「次にこれを見てみ」
次に智也は出演しているAV女優の顔を指差す。その顔を良く見てみると、こいつの意図していることが理解できた。
「…たしかに、俺の母さんににているかもしれないけど、違うよこれは。俺のの苗字は長谷部だし」
「苗字なんかわかんないって。AV女優なんかほとんど偽名つかってるんだし。
しかもこのタイトルからしてみて、撮影中に相当中出ししたんだろうなぁ…」
智也がいやらしい顔つきでビデオテープを眺める。タイトルを見てみると『桃井 メグ 覚悟の中出し10連発』
と書かれていた。
「このAV女優が恭介のお母様だったら、この撮影中で恭介の元となった精子と卵子が合体したんだろうなぁ…うんうん」
なにを納得しているんだ。わざとらしく首を縦に振る智也をみて、怒りよりも呆れてしまう。
「んなわけねぇだろ…俺の親父はカメラマンだし。AV男優どころか撮影もしてない」
「わかってるって~でも、興味ない?これ」
たしかにAV女優の顔は俺の母に似ている。べつにこの女優が母親だとは思わないが、
その事実が俺に興味をそそらせる。
「…わかったよ。今度ファミレスでなんか奢ってやるから、貸してくれ」
「まいどあり~」
思惑通りになったのが嬉しいのか、智也は満面の笑みで俺の席から離れていった。

214:セクシーサラブレッド(5/13)
09/04/12 23:57:22 OQUR4x9W
家に帰り、誰もいないのを確認すると、早速居間にある古びたビデオデッキを起動させた。
本当は自分の部屋で見たいのだが、パソコンしかなく、DVDしか見れないため仕方なく居間で見ることにした。
「さ~てどれどれ…」
ビデオを入れて再生すると、タイトル画面が表示され、さっそく本編が始まった。
ベッドの上に下着姿の女性が横たわっている…さすがに20年近く前の映画なのでファッションや髪型も
一昔前のものだ。改めて見たが、やはりこのファッションはダサいような気がする…
「きて……」
女性がそう呟き、画面に向かって手招きをする。
すると男性が手前から現れる…
「おいおい…冗談だろ?」
思わず声に出してしまった。その男が、俺の父親の若い頃にそっくりだからだ。
でも俺はその時点では信じられなかった、いや、信じたくなかった。
まだ、声は全然ちがうかもしれないし、20年前の映像だから画質の悪さでそう見えるのだろう、そう自分に言い聞かせた。
「じゃあ、熱いキスをしてやるよ…」
声も親父そっくりだ…でも、まだ親父だと断定するわけには…
俺の心の中では親父=画面の男という式を必死に否定している。
しかし、男が女性の下着を脱がし始めた時、決定的な証拠を見つけてしまった。
わき腹にある古傷だ。ここまで一致すれば、この男が父親であることはまちがいないと思わざるおえなかった。
男…いや、画面の中の若い親父が女性の乳房を舐める。
「あっ……ああっ!!」
女性の甘美な声が聞こえる。この声も母親にそっくり…いや、母親のものだ。
「まじ……かよ」
俺はただ呆然とその映像を眺めるだけだった。
いままで聞いた俺の親父と母親の職業は嘘だったのかよ…じゃあ、親父は今、どういう仕事をしているんだ?
いろんな疑問が頭の中を駆け巡り、混乱する。

215:セクシーサラブレッド(6/13)
09/04/12 23:58:44 OQUR4x9W
ガチャ…
玄関のドアが開くのと同時に、俺は慌ててビデオデッキに手を伸ばす。
この時間帯…おそらく真帆が帰ってきたのだ。真帆はすぐに居間に入ってきたので、ビデオを出してソファーの間に
隠すことで手一杯だった。
「ぁ、ただいまおにぃ」
「あぁ、おかえり、真帆」
俺はただ、何事もなかったかのようにテーブルの上においている雑誌を手に取り読むふりをする。
真帆は荷物を食卓の椅子の上に置くと、俺の横に座りリモコンを手に取る
「この時間ってあんまりいい番組やってないんだよね~」
真帆がテレビの電源をつけるが、画面が黒いままだ。入力切替をするのを忘れていた。
「あれ?おにぃ映画とか見てた?」
「いや、親父がみてたんじゃないの?俺は今日テレビ見てないし…」
なるべく視線を合わせないように雑誌の記事に目を向ける。
「ふ~ん、まぁいいや……ん?あのケースなんだろ?」
しまった……ビデオを隠したのはいいが、肝心のケースを隠すのを忘れていた。何をしているんだ俺は。
真帆はビデオデッキの下に置いてある、禁断のビデオケースに近づいていく…
この状況になったら必死に隠しても余計に怪しまれるだけだ、ここは流れに任せるしかない。
「なんだろこのケース…」
真帆はケースを手に取り、表紙を見る。驚くかと思ったが、意外にも冷静にその表紙を眺めている。
「へぇ~なるほどぉ~だから画面が黒かったんだね、お・に・い・ちゃん」
真帆が満面の笑みでこちらを見ている。その真帆の表情をみて俺はただ苦笑いをするしかない。
「あはは…」
「しかもこの女の人、ママに似てるし…はぁ~まだおにぃはマミィのおっぱいが恋しいんでちゅね…」
真帆が口をつぼめながら言う。最高にうっとうしい。俺は我慢できずに雑誌から目を逸らし、ソファーから立ち上がった
「返せよ、それ」
「へへ、や~だよ~中身のビデオテープを見せてくれるまで、返さない。あははっ!!」
真帆が挑発的に、ケースをもった右手を振る。俺はそのビデオに、驚愕の事実が隠されていることを思い出し、
一度冷静になって真帆に話かける。
「だめだ…それは、見ちゃいけない」
「なによ~そんなに真剣になっちゃって…ホントにおにぃってマザコン…」
「ほんとに見ちゃいけないんだ!!」
真帆の発言を遮るように、声を荒げる。俺の真剣な目つきに真帆も次第に表情を固くする。
「…やっぱり、見せてくれるまでこのケース、返さない」
真帆は奪われないようにケースを両手でがっちりと抱える。逆効果だったか…
「なんかおにぃ隠し事してるでしょ?……ぁ!!まさか、この表紙の女の人がホントにママだったり、とか?」
「そ、そんなことねぇよ…」
なんでこんな時に勘が鋭いんだ。俺は思わず声が上ずり、顔をこわばらせてしまう。
「じゃあなんでそんなに声を荒げたの?別にあたしがAV見たって、おにぃにとって不都合なことはないでしょ?」
「そ、それは…」
言い訳が思いつかない…俺と真帆は、互いに見つめあい、何ともいえないような空気が流れる…
本当は見せないほうがいいが、早かれ遅かれ真帆は気づく事だから、できるだけ早めに事実をしったほうが…
解決策が思い浮かばいまま、自分の頭の中で真帆に見せてもいいんじゃないかという思いにシフトする。
「…わかったよ。見せるけど、絶対に後悔するぞ」
「…へへへ、見ないほうが後悔するし」
自分の意見が通り、真帆は満足そうな表情を浮かべた。

216:セクシーサラブレッド(7/13)
09/04/12 23:59:52 OQUR4x9W
夕食をを食べていると母の美代子が心配そうに話しかけてくる。
「まーちゃんはどうしたのかしら…呼んでも『晩御飯いらないから入ってこないで!!』の一点張りで
なに悩んでるのかわからないわ…ねぇきょうくん、なにか心当たりあるかしら?」
「さぁ~ダイエットでもしたいんじゃねぇの?」
そっけなく母に答える。……心当たりなんてものすごくある。さっき見たビデオテープのせいだ。
ビデオテープを再生していくと、真帆の顔がみるみるうちに歪んでいった。
そして、父親の古傷を見た瞬間、泣きそうな顔になり『もう見たくない!!』といって居間を出て行き、それっきりだ。
だから見るなっていったのに…今頃自分のベッドにうずくまっているだろう。母親が元AV女優という事実を目の前にして。
「食事を抜くなんて…ダイエットとしてよくないわ。お肌にも悪いから…」
母は頬に手を当てながら悩むしぐさをする。母親は肌の手入れとフィットネスをしっかりやっているせいか、
歳の割にはスタイルも良く、かなり若く見える。今年で43歳になるのに三十代前半と言われても分からないくらいだ。
「じゃあ俺がちょっと見てくるよ、心配だし」
元はといえば自分がまいた種だ…流石にこのまま放っておくわけにはいかない。
「うん。ごめんね、きょうちゃん」
俺は母がそう言うのを確認すると、階段を上り、真帆の部屋へと向かった。

217:セクシーサラブレッド(8/13)
09/04/13 00:01:34 OQUR4x9W
真帆の部屋にたどり着いた俺は、とりあえずドアをノックしてみた。
「入るな!!」
予想通り、断られる。しょうがないな…真帆の気持ちも分かるが、このままだと母の悩みの種になってしまう。
でもどうやったら真帆を説得することができるだろうか…強引に母と話をさせる?母さんの気持ちも考えろよと説教をする?
しかし、俺はどちらともいい案だとは思わなかった。今、真帆の気持ちが一番分かるのは、兄である俺だ。
そんな心無い方法では、真帆が心を閉ざしてしまい、これからの生活に重大な影響を及ぼしかねない。
両親がアダルトビデオの男優と女優であった事実を知った、率直な気持ちを伝えよう…
俺は大きく一息付き、ドアに背中を合わせようにしてその場に座り込んだ。
「なぁ…真帆」
「俺はあのビデオ見たとき、すごいショックで頭が混乱してさ、しばらくアホみたいに口あけて
映像見ることしかできなかった」
「…でもな、その後考えたんだよ。『親父と母さんがAVやってても、自分の夢に影響してくるのか?』って」
「確かに俺は、カメラマンの親父の影響で映画を作りたいという夢を持ち、努力してる。
だけど、そんなのはただのきっかけだし、今はその夢を目指すこと自体が楽しいから、そんなことで
あきらめたくない…かな」

素直に自分の気持ちを真帆に伝えた…あとは、真帆の反応を待つだけだ。
「『そんなこと』って…私にとっては『そんなこと』じゃないの!!」
「私はママに憧れてモデルになろうと思ったの。。。お兄ちゃんとは違うの!!」
真帆の説得に失敗したか……このままだと、真帆は自分の夢を諦めてしまうのか……
いやだ…そんなのいやだ!!母が悩むからだとか、家族の空気が重くなるとか、そんな理由じゃない。
真帆がモデルになるという夢を諦めてしまうこと自体が嫌なのだ…そばでずっと見守ってきた、真帆の夢が。
俺の胸の奥から熱いものがこみ上げてくるのを感じる。
「真帆…モデルの夢…あきらめるのか?」
何も反応が返ってこない。俺は、真帆返答を待たずに、立ち上がりそのまま話を続ける。
「俺は…嫌だな、あきらめてほしくない…」
「この前撮った写真、現像しんだけどさ、すげーびっくりしたんだよ……真帆がすごい綺麗でさ」
「俺の妹の写真なのに、しばらく見とれてしまって…」
「だから俺、真帆が雑誌に載るの、凄い楽しみにしてるんだぜ!!真帆で日本の男共が釘付けになる瞬間をさ!!」
「でも、俺は既に釘付けになってるけどな、真帆に。だからあきらめないで欲しい、真帆の、最初のファンとして…」
自分のありったけの思いを真帆にぶつけた。言いたいことを言えたからだろうか、気持ちが幾分すっきりしている。
「って…」
しばらくして真帆の声が聞こえたが、小さすぎて聞き取れなかった。
「入って!!」
「へ?」
思わぬ発言に、返す言葉が見つからない。
「私の部屋に入ってって言ってるの!!」
さっきは入るなといってたのに、今度は入ってかよ…よく分からないが、とりあえず説得は成功なのかな?
「はいはい分かりました。真帆お嬢さん」
真帆の言葉に従い、部屋のドアを開けた。

218:セクシーサラブレッド(9/13)
09/04/13 00:02:54 OQUR4x9W
部屋のドアを開け真帆の姿を見た途端、俺は思わずのけぞってしまった。
真帆が下着だけの姿になっていたのだ。
「おい、真帆!!兄妹だとはいえそんな格好は…」
「べ、べつに…いいじゃん。モ、モデルやるならこういう格好も…あるでしょ?…それより…撮ってよ」
真帆は自分の机の上においてある、カメラをとり俺の前に差し出す。自分の下着姿が俺に見られているのが恥ずかしいのか、
その手は少し震えている。
「おい…手がふるえているぞ。緊張してるのか?」
「そ、そんなわけないでしょ!!おにぃ相手に…緊張…なんか…」
目を合わせようとしない…やっぱり恥ずかしいらしい。俺は仕方なくカメラを取る。
いつものように、真帆にポーズをとらせ、写真をとる。ただ、いつもとは違い肌の露出部分が多い。
綺麗なお腹のくびれ、少し谷間のある胸…さすが、モデルを目指しているというだけあって生きた芸術品のような体をしている。
兄のくせに、真帆に少しばかり興奮してしまう…呼吸と心拍数が上がる自分を落ち着かせるために、真帆に話しかける…
「お、おい…さっきから、顔が固いぞ…やっぱり緊張しているんじゃないのか?」
真帆はしばらくだまりこむ。
「……うん」
「やっぱり緊張してるのか…別に、無理してこんなことする必要は…」
「…みたいに」
真帆が先ほどみたいにぼそっと呟く。
「ん?どうした?」
「恋人みたいに…接して…くれたら…緊張…しない…かも」
「おいおい、恋人みたいにって…何すればいいんだよ」
「……キス、して」

一体何をいっているんだ?兄妹同士でキスなんかできるわけない。緊張のせいで頭がおかしくなったのか?
「…お前、それ本気で言ってるのか?」
「当たり前じゃない…いいから早く…キス…してよ…」
「わかったよ…」
カメラを置き、真帆の頬にキスうをする。キスというよりも唇を頬に当てたようなものだが。
「ほらしたぞ。これで緊張しなくなったか?」
「おにぃ…ふざけてるの?恋人同士だったら…く、唇にキスをするに決まってる…じゃん。しかも…すごく…熱いのを…」
真帆が顔を赤らめる。本当に正気なのか?俺が真帆の部屋に入ってから、だんだん現実離れしてきているような気がする。
このまま行くと、本当に漫画みたいな展開になってしまう。ここは強引にでも俺が部屋を出た方がよさそうだ。
「真帆…俺は一旦出るから、ちょっと頭を…」
「!!」
さすがに驚いてしまった…真帆が自分から俺の唇にキスをしてきたからだ。
「……んっ…んっ…」
真帆は俺を逃がさないつもりなのか、自分の腕を俺の背中にまわして強く俺の体に密着させると、俺の口の中に
強引に舌を入れ、絡め合わせる。
「……ハァ…ハァ。…へへ。これが恋人同士のキス…だよ。わかった?」
先ほどの固い表情が解け、上目遣いで柔らかい笑みを浮かべる。…可愛過ぎる。
…もっと、触れ合っていたい…もっと激しく。
キスの感触と自分の体に当たっている胸の感触が、自分の理性をかき消しけしていく。
「んっ……んっ…」
今度は俺が真帆の口の中に舌を入れる。そして、自分の本能の赴くままに、抱き合いながら真帆を押し倒していく…
「ぇ…おにぃ…なに、するの?」
一旦唇を、真帆からはなすと、真帆が不安そうな表情を浮かべているのが見えた。
「恋人同士だったら…セックスも、するだろ?」

219:セクシーサラブレッド(10/13)
09/04/13 00:04:04 OQUR4x9W
「セックスって…そ、それは、できないよ…」
真帆の言葉を無視し、首元にキスをする。そして、キスをする位置をだんだん下げていきながらブラジャーの上から真帆の乳房を掴む。
「あっ!!…だめっ…そこは…」
「あんだけ興奮させておいて、今更だめはないだろ?」
今度はブラジャーのつなぎ目に手をかける…真帆は俺の腕を掴み、抵抗をする。
「そんなことしちゃ、外せられないんだけど」
「だって…恥ずかしい…もん」
「でも今は恋人同士なんだろ?恥ずかしいとかは、無し」
俺はもう一方の手で真帆の手をどけると、そのままブラジャーを外した。
綺麗な形の乳房が見える…俺はそのまま左の乳首を舐め回す。
「あっ!!ああっ…おにぃ…だめ…」
だめとはいっているものの、殆ど抵抗しない。右手を真帆の股間に伸ばす…パンツの上から、撫でるようにさわる。
「んっ!!…ハァ…ハァ…」
真帆は興奮しているせいで、息遣いが荒くなり、乳首がたっているのが分かる。
それに同調するかのように、俺の下半身も熱くなる。
「じゃあこっちも、気持ちよくしてやるよ…」
今度は、パンツの中に手を入れ、そのまま陰部を指で摩る。
「ああっ!!あっ!!…ハァ…ハァ…汚いよ…そんな…とこ…触っちゃ…」
甘い声をあげ、身を捩らせる。その声と素振りが俺を更に興奮させる。
「真帆のここ…すっごい濡れてる…」
「だって…おにぃが触るから…でも、おにぃのも、すっごく大きくなってる…」
真帆に指摘され、自分の股間に視線を遣る。ズボンの上から、しっかりとその怒張したシルエットが見える。
「おにぃも気持ちよくなりたいでしょ?いいよ…きて。だって、恋人同士だもん…」
その甘い催促に従うように、俺は服をすべて脱いだ。

220:セクシーサラブレッド(11/13)
09/04/13 00:05:20 rlJvFf0c
「こんな大きいのが…入るの?」
真帆は俺のモノを見ると唇を軽く噛み、表情をこわばらせる。
「大丈夫だよ…痛いのは最初だけ…だと思う」
「だと思うって…余計に不安になるんだけど…」
「まぁすればわかるさ…ちょっと腰をあげてよ。パンツ脱がすからさ」
真帆が軽く頷き、腰を上げると、下着を一気に脱がした。真帆の陰部をみる…濡れいるせいか、部屋の明かりで
反射して少してかっている。
「ううっ…そんなにみないでよ…恥ずかしいよ…」
真帆は俺の頭を両手で押さえ、自分の陰部から遠ざけた。
本当はクンニをやってみようかと思ったが、そろそろ自分のアソコの欲求を満たさなければならない。
「じゃあ…いくぞ…」
真帆が頷くのを確認すると
俺のモノを陰部にこすり付ける…真帆の陰部の感触が気持ちいい。その快感で自分のモノが更に固くなる。
しばらくこすりつけた後、俺はゆっくりと真帆の中に自分のモノを沈めていく…
「んっ!!……ああっ!!」
真帆は顔を歪ませ、ベッドのシーツを掴みながら必死に痛みに耐えている。
「大丈夫か?」
「ハァ…ハァ…大丈夫だよ…そのまま、動いて…」
真帆に従うようにゆっくりと腰を動かす…真帆の中は暖かく、自分のモノを程よく締め付けてくる。
「ハァ…ハァ…真帆…気持ち…いい…」
熱いキスをして、互いに体を密着させあう…恋人同士がするように。
「あっ!!ああっ!!…ハァ…ハァ…あたしも…体が…熱くなってきた…」
間近から聞こえる真帆の甘い喘ぎ声と、息遣いから俺の気持ちが最高潮に昂る。
初めは、処女である真帆に気を遣っていたが、自分の欲情が抑えきれず腰の動きを早めていく…
「あああっ!!…ハァ…ハァ…激しすぎ…おかしく…なっちゃうよ…」
真帆は口を開け、写真で写る時には絶対にしないような、だらしのない顔つきになる。
「うっ…やばい…イキそう…」
欲望の赴くままに腰を振っていたせいか、開始から3分程で限界が近づいてきた。
本当は、真帆の中で射精したいのだが、さすがにそれはまずい。
「うっ!出る!!」
俺は射精寸前で真帆の中から離れ、自分のモノを擦りあげそのまま真帆の腹に射精した。
「ハァ…ハァ…これが、おにぃの…」
真帆は自分の腹にべっとりと付いている精液を掬うと、指でこすりながらまじまじと眺めていた。

221:セクシーサラブレッド(12/13)
09/04/13 00:06:09 rlJvFf0c
「ねぇ、おにぃ。ちょっと、協力して欲しいことがあるんだけど…」
真帆についている精液をふき取り、2人でベッドに寝そべりながら世話話をしていると、
急に真帆が真剣な顔つきになる。
「ん?なに?」
「あのさ…2人でアダルトビデオの撮影…しない?もちろん、あたしたち専用のものだけど…」
また何を言い出すんだ?今日の真帆はおかしな発言を連発している。
「別にいいけど…たぶんアダルトビデオというよりかはエッチなホームビデオになると思うよ。2人で全部やるから」
「それでもいいよ…もし、おにぃが下宿して離れ離れになったら寂しいから撮っておきたいの」
「だって…おにぃのこと…好きだから。…へへ。」
真帆はそういって微笑む。
「ぉ、いまの笑顔いいね!!一枚撮っておこうか?」
「うん、いいよ」
ベットのそばにころがっているカメラを取ると、そのまま真帆に向ける
「じゃ~もういっかい『好き』って言って」
「ぇ~~いやだよ。そういうのは言わせるもんじゃないよ」
「しょうがないな…真帆…大好きだよ」
普通に照れくさい。確かに、面と向かって言わせるもんじゃないな。
「へへ…あたしも大好きだよ」
真帆が微笑み、俺はその姿を写真に収めた。

222:セクシーサラブレッド(13/13)
09/04/13 00:07:00 rlJvFf0c
大学にはいってから2週間が過ぎた。
1年は必修の単位が多いせいか、殆どの曜日がフルタイムで授業があるのでなかなか忙しい。
今日も、新しくできた親友の裕也と学食で昼食をとっている
「おっ!この子、かわいくね?」
裕也は雑誌を見ながら言うと、俺にその女の子が載っているページを見せる。
その女の子は優しく微笑みながらこちらを見ている…そう、あの時のように。
「…俺も頑張らないとな」
俺は、話しかけるように雑誌の女の子に呟いた。

223:セクシーサラブレッド
09/04/13 00:29:17 rlJvFf0c
これで終わりです。
以下、ちょっとしたコメント。

・タイトルの意味
多分わかると思いますが、AV男優と女優(セクシー)の子供(サラブレッド)
だからです。「エロサラブレッド」でも良かったのですが、語調が良かったので。

・作品の元となったネタ
ドラマのラブシャッフルを見てて、カメラマンとモデルが兄妹の話をしてたシーン
から思いついたネタです。

・自分の作品をさりげなく宣伝してみる
サキュバススレで、「復讐少女」というのをシリーズ化して書いています。
多分このスレの属性と違うので合わないと思いますが、良かったら読んで下さい。

…巷では、家族の間で変わった習慣があるというのを良く耳にしますが、
流石にこれはないですよね…気が向いたら続編を書こうとおもいます。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

224:名無しさん@ピンキー
09/04/13 00:48:39 tqCZ1XGg
gj!!!!!

225:名無しさん@ピンキー
09/04/13 01:54:15 ifapX0LA
え?たった1日で二作もww
おふた方GJ!!超GJ!!

226:名無しさん@ピンキー
09/04/13 13:18:34 1GLqpe4X
ねえ!俺喜んでいいの!?それとも泣いていいの!?

227:名無しさん@ピンキー
09/04/13 14:49:53 L8tsL2Gu
お二方GJ!!


>>226
泣きながら喜ぶんだ!



228:名無しさん@ピンキー
09/04/14 23:12:01 WBr5p315

とりあえずSSを書いてみた。

初めて書くんで色々アレなとこもあるかもわかりませんが、
見ていただけたら嬉しいです。



229:名無しさん@ピンキー
09/04/14 23:17:37 WBr5p315

大分暖かくなってきたとはいえ、まだ薄着には早い春の日だった。
桜の花が咲き始め、街を彩るようになってきた、ある春の日――妹が失踪した。



元々俺達兄妹は、仲が良かった。
特に妹はかなり重度のブラコンで、中学に上がる頃には親や周りが心配するくらいだった。
どこに行くのでも、何をするにしても、開口一番に「お兄ちゃん」だったからだ。
かくいう俺もシスコンとまではいかないまでも、妹のことは好きだった。
お兄ちゃん、お兄ちゃんと懐かれるのは、決して嫌なものではなかったし、年頃になると、
よく兄妹喧嘩するような連中には不思議がられたり、羨ましがられたからだ。
……結局は自分が思っていないだけで、シスコンとは思われていたのかも知れないが。
それでも年頃になれば正常な一男子として……まぁ、いたすことがあったわけで、
そういう時は、確かに欝陶しさを感じなくもなかった。
家族の仲も良く、例えそれが些細な事であっても互いが互いを支え合うのは、当たり前の事だった。
そんな俺の妹は、いつだってこの家族の中心であった。
とても可愛らしい顔立ちをしていて、ちょっとしたお嬢様といった雰囲気があった。
成績優秀、運動は可もなく不可もなくと言ったところだ。
そうなれば、ブラコンであれ『まぁそのうちは…』となるのが人情のようだ。

これは俺達家族だけが気付いているちょっとした自慢だが、妹は声がとても綺麗だった。
透き通るような声で、それでいてはっきりとした力強く、凜としたものを感じさせる。
若い娘には珍しく、無理なく低音が響く、所謂美声の持ち主であった。
その辺りまでは、見知った人でもあまり気にしていなかったであろう。
だが、俺にはこの声こそがこの妹の最大の魅力だと思っていた。

なぜなら妹は歌うことが好きで、いつも家事の手伝いをしている時、部屋で音楽を聞いている時、
風呂に入っている時、気分が良い日の朝なんかにその美声を響かせてくれていたからだ。
人懐っこい明るい性格であっため、近所でも評判で、学校でもやはり話題の中心であったし、
親戚一同が集まったときも、やはり必ず妹の話題が出た。
よく二人で街に繰り出した時も、ふと目を離した隙に、ナンパ野郎から声をかけられたり、
時には、妹の前に群がっていたり―されているのは日常茶飯事だった。
それでいて少し泣き虫で、虫一匹だって殺すこともできない心優しい少女だった。

そんな妹に、俺はほんの少しのやっかみはあったが、どこに出しても自慢の妹だった。
そう、自慢の妹だったのだ。




230:名無しさん@ピンキー
09/04/14 23:24:18 WBr5p315


タタタタタタッ
銃の連射音。
黒い服を着た男達が、怒声をあげながら銃を撃つ。
連中のターゲットは俺だ。
それもそのはずで、連中のボスを俺が殺ったからだ。
ふん、全くご苦労なことだ。 お前達ももうすぐにあの世に行くというのに。

俺はこの日のために準備されていた、逃走経路を走り始めた。
後30秒か……なんとかギリギリで間に合ったな。
程なくして、仲間達からの攻撃により、ここにミサイルが飛んでくる事になっている。
「良し。予定通りだ」
後ろは断崖絶壁で下には海。
20……いや、30メートルはあるだろうか。
いくら訓練してきたとは言え、いざ本番、ましてや夜の海にダイブするのだ。
怖くないといえば嘘だ。
それでも、怖じけづいている暇はない。
建物から出てきた黒服の連中が俺を見つけ、再びこちらに銃を撃ってくる。
だがもう遅い。
味方からのミサイル攻撃が建物を破壊するのだ。
俺は一呼吸おいて海へダイブした。



231:名無しさん@ピンキー
09/04/14 23:27:29 WBr5p315

身を投げたその上を、ミサイルが飛んでいき、轟音が響いた。


「相変わらず、いい手際だったな。時間ぴったりだ」
仲間の一人が話しかけてきた。
「そうでもないさ。かなりギリギリだったぜ。後ほんの少し遅けりゃあの世行きだった」
「そういいつつ、いつも完璧な仕事をこなしてるんだもんな。すごいぜ、あんたは」
そう言われて、俺は肩をすくめた。
「ま、あんたらのバックアップもあったからできた芸当だ。たいしたことじゃないと思うがな」
「クックッ…あんた、本当に変わりモンだな。そんな風に謙遜するプロは初めてだ」
「そうか?」
「ああ。今まで何人と言わずチームを組んできたが、他の連中ときたら、
『黙って運転しろ』と言うか、何も喋らないかのどっちかと相場は決まっていたからな。
それか、俺ならできて当たり前、お前に言われるまでもないみたいな態度かだ」
俺はうつむきながら、思わず口元をニヤリと歪ませた。
「ま、どうであろうといいさ。現場の最前線はうまくいったんだ。後は他の連中がうまくやるさ。
さて、悪いがちょいと運転手と話したいことがあるから席を外させてもらうぜ」
「なんだ、あんた、もうあの女に目を付けてたのかい?」
その問いに、再び肩をすくめるだけだった。



232:名無しさん@ピンキー
09/04/14 23:29:37 WBr5p315

俺達は今、船の中にいる。作業船というやつだ。
俺は狭い船内を身を細めながら、操舵室へ向かう。
「よぉ、運転には気をつけてくれよ」
操舵室に着くや、意地悪げにこの船の運転手に話し掛ける。
「あら、あなたが船を動かすことに比べれば、大船に乗った気持ちでいても良いと思うけど?」
女が呆れた風に答える。
「そいつは間違いないな」
クックッと肩で笑いながら、俺も返すが、この女の言っていることは本当だ。
以前、作戦中に船を操縦した事があったが、ものの見事に横転してしまったのだ。
ただ、あの時は今日のような穏やかな日ではなく、荒れ狂う嵐の日であったが。
その際、その船に同乗していたのがこの女――藤原真紀(ふじわら まき)だった。
こんな陰謀と暴力の渦巻く世界で、その名が必ずしも本名であるとは限らないが、
そう名乗るなら、そうなんだろう。

それにしてもあの時は、良く助かったものだと思う。
なんせ夜の海に、しかも嵐の中二人して仲良く投げ出されたのだ。
今二人で、こうしていることが奇跡のようなものかもしれない、そう思った。
そう思った瞬間――あの時の記憶が、まるで忘れさせるものかと自己主張するかのように、
記憶の引き出しから鮮明に蘇ってきたのだ。
「いや、そうでもないか……」
そうだ。 あの時のことに比べれば、そんな事は奇跡でもなんでもない。
そうさ、あの時のことに比べれば。
「何? どうしたの?」
「いや……」
その言葉の後に、なんでもないと言おうとして、言葉を飲み込む。
「……なぁ。 もし、もう二度と会えないかもしれないと思ってた奴に出会ったらどうする?」
「いきなりね。何よ、唐突に」
今まで前を向いていた真紀が、振り向き、俺を見据えた。
余程らしくなかったのだろう、女は小さなため息をついてなかば呆れ気味に口を開いた。
「そうね………その時になってみないと分からないけど、相手によると思うわね。
殺したいほど憎い奴なら殺すだろうし……そうじゃない人なら喜ぶんじゃない? やっぱり」
少し間をおきながら、真紀が応える。
この女は徹底したリアリストで、こう言った『もし』だとか『だったら』といった話が嫌いだ。
そんな真紀がこうして答えてくれたことに、少しの驚きと感謝と、虚しさが込み上げてきた。



233:名無しさん@ピンキー
09/04/14 23:32:27 WBr5p315

「それにしても、あなたがそんなこと言うなんて珍しいじゃない」
「……何、なんとなく、な」
「なんとなくでそんな話に付き合わせないで」
「悪かった」
やはりこうなったかと、笑いながら謝る。
「しかしあんた、本当に話がいのない女だよな」
少しおどけた口調で喋りながら、真紀の方へ歩み寄る。
真紀に密着するくらいの距離まで近づくと、両腕を真紀の背中に回した。
そのまま左手を下の方へ動かしていき、そのムッチリとした尻を掴む。
「話がいのない女なのに、こんなことするわけ?」
「それとこれは別問題だろう?」
「あなた……最低だわ」
「そんなの今更気付いたわけでもないだろ? 頭のいい君ならな」
ニヤリと笑って、悪態をつく真紀の唇に口付けた。


本来ならば、あのまま突入するところだが、真紀が船を操縦しているのでキスだけに留めておいた。
「そろそろ上陸ポイントが近いわ。降りる準備をしておいて」
「名残惜しいところだが……仕方ないか。分かったよ」
「何言ってるの。大体私とあなたは、もうとっくに終わったはずの関係でしょう?」
例えそうであっても、チャンスがあれば手を出してしまいたくなるのが男だ、とは言わないでおいた。
操舵室を出て船室に戻り、そろそろ準備しろとさ、とだけ仲間達に告げた。



234:名無しさん@ピンキー
09/04/14 23:36:22 WBr5p315

それにしても今回はあまりにあっけなかったな。
せいぜい飛び込みの訓練をひたすらにしたことがちょいとばかし、疲れたくらいだ。
はっきり言って、作戦よりも飛び込みの訓練の方が何倍もかかったし、疲れた。
護衛の連中も、俺から言わせてもらえば三流もいいとこだった。
最初にやった奴の服を着込んで、グラサンをかけただけでもう仲間だと思ってやがったんだからな。
どうしようもなく、間抜けな奴らだった。
あんなのが日本、果ては世界でも有数の組織の幹部を守ってるだなんて、片腹痛いぜ、全く。
部屋に戻った俺は、昨日の作戦のことを思い出しながら、酒を飲んでいた。
目の前には、何部かの新聞が広がっている。
昨日のことが載っているかどうかを、確認するためだ。
ざっと見てみたが、それらしい記事は載っていなかった。
新聞を見るのは、自分の仕事の完成を見るのには必要なことだ。
もちろん、その記事の扱いが小さければ小さいほど良く、最良は記事にすらなっていないこと。
載っていても、それは情報がうまいこと隠蔽されているわけだが、今回はそんな記事すらなかった。
もちろんインターネットを使って、記事があるかを探すのも忘れない。
当然、インターネットにもそのようなページは一切見つけられなかった。

さすがに睡魔が俺を襲い始めたか、どっと疲労感がでてきた。
眠りにつく前に、汗だけでも流そうと思い立って、シャワーを浴びることにした。
俺は、グラスに注がれていた綺麗な琥珀色をしたスコッチを、一気に喉へと流し込む。
喉を突き抜ける様な、熱い刺激がなんとも心地良かった。

シャワーをわずか数分で浴び終えた俺は、先程のスコッチを手に取り、
グラスにも注がずに、そのまま口に持って行き直接飲んだ。
所謂ラッパ飲みという奴だ。
再び俺の体内を、熱いアルコールがかけ巡る。

まるで倒れ込むようにして、ベッドに入った。
意識の失う前に、ベッド脇の小さなテーブルから、ペンの挟まった手帳を取る。
ペンで栞されたページを開き、そこに書かれた名前にバツ印をつけた。
その名前は昨日、俺があの世に送ってやった野郎の名だ。

「残り一人……後一人で終わるよ、沙弥佳……」

その言葉を最後に、俺は意識を手放した。




235:名無しさん@ピンキー
09/04/14 23:39:44 WBr5p315
とりあえず投下終了です。

なにぶん携帯からなのでもしかしたら見にくいかも……。

誤字脱字あったら指摘していただけると嬉しいです。



236:名無しさん@ピンキー
09/04/15 00:06:51 Zlx7aduy
ドキドキの展開

237:名無しさん@ピンキー
09/04/15 01:30:28 lBJb1kxF
い、いもうとはどうなった!!w

238:名無しさん@ピンキー
09/04/15 04:22:41 7SAdMrcl
妹が失踪して兄が殺し屋さんになったのなら
い、妹はきっと・・・

かなりおっきしてきた

239:名無しさん@ピンキー
09/04/15 21:12:57 7ZB9/Z9W
レスして下さった方、ありがとうございますm(__)m

昨日に引き続いて、今日も投下させていただきます。

>>234の続きです。


240:名無しさん@ピンキー
09/04/15 21:15:18 7ZB9/Z9W

ふわふわとした、なんとも言えない心地良い感覚。
いつまでもこの感覚を味わっていたい。

『………』

……?
なんだろうか。

『………!』

そうか、音だ。
音が聞こえる。
だけども、この響きはどこかすごく懐かしく、なんとも言えない切なさを感じさせた。

『…お……ゃん!』

違う。 声だ。
その音は、誰かが俺を呼ぶ声だ。
その時俺は、今自分が夢の中にいるのだとなぜか漠然と理解した。

『…お兄ちゃん!』

はっきりとその声が俺の意識の世界に響いた。
俺のことを兄と呼ぶのは、誰か。
まだぼんやりとした意識の中で、俺は記憶の断片から、声の主を引き出す。
そうだ、俺のことを兄と呼ぶのは、この世界でただ一人だ。
それを理解した俺は、爆発したかのように溢れ出した光の奔流に飲み込まれていった。




「起きて! 起きてよ、お兄ちゃん!」
妹が寝ている体を激しく揺すっている。
「んん……あぁ……すまんが、揺するのやめてくんねぇか?」
「お兄ちゃん!」
俺が起きるやいなや、今度は思いきり抱き着いてきた。
「って、おいおい……朝から勘弁しろよ……」
「え~だってぇ………ん……お兄ちゃんの匂いだぁ」
「全く……ちったぁ兄離れしろよな」
「いや~。んん~……お兄ちゃん」
そういうと俺の胸にさらに自身の顔をこすりつけてきた。
だが、これが俺の日常であり、当たり前の一日の始まりだ。
ならば、次に放つ俺の言葉もまた当たり前になった日常だ。
「おい、さっさと離れやがれ」
「あ………」
語気を強めながら、強引に妹を引き離す。

するとこいつは、その可愛らしい顔を、引き攣らせる。
まるで絶望の淵に追いやられたかのような顔をするのだ。
いつからこんな顔をするようになったかは覚えていないが、えらくこっちが戸惑ったのは覚えている。
「んな顔すんなっていつも言ってるだろ? さっさと着替えたいんだよ」
毎度思うが、まさか演技なんじゃないかと思ってしまう。
大体、兄である俺にちょいとばかし語気を強められたくらいで、そんな顔をする方がおかしいというものだ。



241:名無しさん@ピンキー
09/04/15 21:17:47 7ZB9/Z9W

「ほら、早く出てくれ」
毎朝のことなので、苦笑しながら言う。
「うん……」
妹は、さっきまでの引き攣らせた顔を、今度はしゅんとさせ、うつむく。
「お兄ちゃん」
「ん?」
今度は、再び可愛さいっぱいの笑顔で、
「おはよう」
朝の挨拶をしてくる。
「ああ、おはよう」
俺が挨拶を返すと、満足げに部屋を出ていった。
ここまでが、俺の部屋を出るまでの日常。
これまでずっと続いてきた、代わり映えすることなく続いてきた、儀式のようなものだ。

制服に着替えた俺は、1階のリビングへ降りていく。
リビングに降りたところで、母親が出迎えてくれる。
「あら、おはよう。今日はいつもより早いのね」
「ん、おはよう」
時計を見ると、まだ7時を少し過ぎたところだった。
いつもは7時半前くらいに起きてくるから、確かにいつもより早い。
「まぁ……たまには、早起きもいいかな~とね」
「ふふっ、というよりも沙弥佳に早く起こされたから早くなっただけだろ?」
父が笑いながら、コーヒーをすする。
「く……まぁそうだけどさ」
「何お兄ちゃん。言っとくけど私が起こさなかったら、いつも遅刻だよ?」
そんなことはない、と言おうとしてやめた。
確かにこいつのおかげで、今まで無遅刻でいられているのは事実だからだ。
「ま、一応感謝しておいてやる」
「お兄ちゃん可愛くな~い」
やかましい!


そんなやりとりをしながら、顔を洗い、テーブルにつく。
「「いただきます」」
うむ、今日の飯もうまいな。
「ん? どうした?」
隣に座っている妹が、俺の顔をやや上目使いに覗き込む。
「あのさ……今日のおかずの味、どうかな?」
「おぉ、いつも通りにうまいぞ。こんな美味いもん食える俺は幸せもんだ」
すると妹は、とたんに顔を赤らめながら、そっか良かった、とだけ言った。
だが妹よ。
いつものこととは言え、兄相手にそんな風に顔を赤らめるなよ。
その様子を見て、両親は微笑んだ。
これが九鬼(くき)家の朝だ。



242:名無しさん@ピンキー
09/04/15 21:20:33 7ZB9/Z9W

「ごちそうさま」
「お粗末さま~♪」
歯を磨きに洗面所に行く。
「あ。そうそう、新しい歯ブラシってもうなかったっけ?」
「何? もうダメにしちゃったの?」
「なんかすぐダメになっちまうんだよ」
「あんた少し強く磨きすぎなんじゃない?」
「んー……そうなんかな。そういうつもりはないんだが」
母とそんな会話をしていると、妹がやけにそわそわとしているのが目に映った。
「お、後一本あった」
新しい歯ブラシを見つけたので、古い方は捨てることにする。
「あ…! ダメ!!」
突然妹が声を張り上げた。
綺麗な声で、発音が淀みないためすごく迫力があった。
思いがけず両親も驚いた顔をしている。
「あ? なんでだ妹よ」
「え? あ……え、えっと……その……えとね……そ、そう! その歯ブラシ私のなの!」
「そうなのか? いや、まとめて買ってあるんだから別に誰のとかってな―」
「私のなの!!」
今日はやけに言い張ってくるな。
「はぁ……分かった分かった。そんじゃぁ今日まで古いやつ使う。それでいいだろ」
「ぁ……うん……。……ごめんなさい」
「謝るんなら最初から言うなって。また別の新しいのに代えればいいんだしな。
というわけでお母さん、新しい歯ブラシ買ってきてもらうと助かる」
「はいはい。今日ちょうど病院の日だから、ついでに買ってくるわ。他にも何か欲しいのある?」
俺は首を横に振った。
母である九鬼遥子(くき ようこ)は、いつも気丈にしているが昔から体が弱く、
どこの器官が弱いのか詳しくは知らないが、月に1度医者にかかっている。

「さて、私もそろそろ出勤するとするか」
7時40分を過ぎた頃、父・真太朗(しんたろう)が出勤の準備を始めた。
とは言っても持っていく物の確認くらいなものだが。
「はいあなた、お弁当」
「おお、いつもすまんな」
「今日のメインは私が作ったんだよ~。楽しみにしててね、お父さん」
「そうか、楽しみだな。……では、いってくるよ。それと今晩は遅くなるから先に寝てなさい」
「分かったわ。気をつけてね」
「いってらっしゃ~い」
母と妹は、そうやって毎朝父を玄関でお見送りしている。
歯を磨き終えた俺は、家族のやりとりを見ながら仲の良い家族だとしみじみ思った。



243:名無しさん@ピンキー
09/04/15 21:24:15 7ZB9/Z9W
玄関で靴紐を結び終えたところで妹に声をかける。
「おーい。もう行くぞー」
「はーい。ちょっと待っててぇ」
「早くしろよー」
ったく。
いつも俺よりも早く起きているくせに、どうして俺より遅くなるかね。
ま、その辺は女の事情ってやつなんかねぇ。
「ごめん、お待たせっ!」
2階から駆け降りてきた。
見えるぞ。
「うしっ。んじゃま今日も学生しに行きますか」
「いきましょ~♪」
「「いってきま~す」」
ハモる。
言っておくが、別に合わしたくて合わしているわけではない。
毎朝思うことだが、こいつ、わざわざ俺のタイミングに合わせてるんじゃないか、と。


九鬼沙弥佳(くき さやか)――俺の2歳年下で、現在中学3年生。
容姿端麗、成績優秀、性格良しの三拍子揃っている。
趣味は、料理と適度な運動、歌を唄うことと読書。
特技は、英語他、外国語の習得、ピアノと美術鑑賞と家事。
好きなもの、お兄ちゃん。………。
嫌いなもの、お兄ちゃんを傷つける人と泥棒猫。 ……泥棒猫??
なんかデジャブが……。

そんな妹と二人揃って登校する。
俺の腕に抱き着き歩くのにも、もはや慣れてしまった。
これが恋人ってんなら、なんとも嬉しいことなんだが……。

「なぁ」
「んー?」
「お前さ、高校どこ受けるんだ?」
なかば予想はできるが聞いてみる。
「もちろんお兄ちゃんと同じ金城高校だよー♪」
「はぁ……やっぱそうか……」
「何よお兄ちゃん、私が同じ高校行くの嫌なの?」
こいつは、俺が少しでも否定的だったり曖昧な態度をとると、途端に不機嫌になる。
事実、喋り方がいつもののんびりした話し方でなくなり、鋭い喋り方になる。
抱き着いた俺の腕に力が込められ、少し痛い。
「おい、手が痛いぞ」
「だって……」
まただ。
またこいつは、すごく淋しそうな顔をする。
俺は小さくため息をついた。
「別に。 たださ、お前なら少なくとも金城より2ランクは……もうちょい頑張れば3ランク上狙えるだろ」
「だ、だってそんなことしたらお兄ちゃん……ゴニョゴニョ」
「あ? なんだって??」
「な、なんでもないよ! とにかく私はもう金城って決めてるんだから!」
「……さいですか」
「そうよ! それにあそこの制服ってすごく可愛いし!」
「ん、それに関しては否定しない」
そう、うちの高校の女子の制服はこの辺りじゃ、ちょっとしたブランドだったりする。
しかも通っている女の子も、割と可愛い子が多かったりと、男としては最高の環境なのだ。



244:名無しさん@ピンキー
09/04/15 21:27:03 7ZB9/Z9W

しかし、もしうちに通うようになったら、学校着くまでずっとこうなんだろうな……。
そう考えるとまたため息が出た。
いや、沙弥佳に好かれるのは全然構わない。
実際見た目は可愛いし、もしこれで妹でなければこの環境は最高だろう。
とうの妹を横目でちらりと見ると、頬を緩ませながら顔を少し赤らめさせていた。
どうせ、俺と学校まで腕を組んで登校している妄想でもしてるんだろう。
もしそいつが実現したら、また何かと友人連中から色々と聞かれるんだろうな。
面倒臭いぜ、全く。

沙弥佳は、小学生の頃から俺と手を繋いで登校していた。
おかげで、俺も沙弥佳もガキ大将のいじめの対象だった。
だけども、俺はそのつど沙弥佳を守った。
しかし、それがいけなかったのか、歳を重ねるごとに俺への依存が強くなっていったように思う。
今なら解るが、ガキどものいじめの理由は、対象への嫉妬だとか、対象が可愛いからなのだ。
そして、異質と思われるようなやつ――せいぜいこれくらいだ。
それなりに整った顔をしているらしい(妹談)ので、そのやっかみもあったのかもしれない。
沙弥佳は、幼稚園に入る前から可愛い容姿をしていたし、学校でも昼休みとなれば俺のクラスに来た。
俺も俺で、恥ずかしいから来るなと言っても、毎日のようにクラスに訪ねてくる沙弥佳を無下にはできなくなった。
となると、兄妹でいじめられる要素が揃っているならば、ガキどものそういう対象になってしまうわけで。
ただ俺自身、わりと好戦的な性格をしていたし、負けると分かっていても、絶対に逃げなかった。
もし逃げたりしたら、沙弥佳にそのとばっちりがいってしまうからだ。

だが、物事には絶対はない。
いじめる側にとって、いじめられる側が反旗を翻し、自分達の立場が代わるなど考えもしなかったんだろう。
確か、俺が小5の時だ。
ついに俺もキレた。
残念な事に、あまり覚えていないが恐れおののき、逃げ惑ういじめっ子達の背中だけは覚えている。
後には泣きじゃくる妹と、地に平伏すいじめっ子達……元いじめっ子達と言った方がいいか……という有様だ。
冷静さを取り戻した沙弥佳は、これをきっかけに俺が理想のナイトになってしまったらしい。
それからの沙弥佳は、それはそれはバカップルも恥じる超絶ブラコンになっていったのだ。
おかげで中学3年になった今では、周りからの好奇の目なんてなんのその、お構いなしに手を組んでくるようになった。



245:名無しさん@ピンキー
09/04/15 21:28:41 7ZB9/Z9W

「ねぇ、お兄ちゃん」
「なんだ?」
「今日暇? 絶対暇だよね」
「おいおい、勝手に決めるなよ」
「用事あるの?」
「……いや、ないけどな」
こいつがこんな風に聞いてきた時は、用事があろうとなかろうと結局付き合わされるハメになる。
もう経験上分かっていることだ。
だからついつい話のこしを折ってやりたくなる。
ささやかな抵抗というやつだ。
「もう! なら最初っから話し折らないでよ。……それで、学校終わったらちょっと付き合ってほしいんだけど」
「なんだ、買い物か? 買い物なら先週行ったろ?」
「ううん、そうじゃないの。 えっと……、あのね――」


今俺は一人で駅のホームにいる。
沙弥佳とは駅まで歩き、そこで別れる。
いつも駅が見えてくると、淋しそうな顔をするから周りの視線が色々と痛い。
俺は一人改札を抜け、駅のホームへ出る。
だが、ここでの注意点がひとつある。
それは人込みに紛れ込むこと、だ。
なぜかと言うと………
チラリとホームの外をフェンスごしに見遣る。
視線の先に、沙弥佳が立っているのが見える。
あいつはいつも、俺が電車に乗り込むまでそこにいるのだ。
もしかしたら、電車が見えなくなるまで……いるのかもしれないが……。
だが今日は不運なことに、紛れる人垣がなかったため沙弥佳に見つかってしまった。
「お兄ちゃ~ん!」
その美声が、大きな声で俺を呼ぶ。
いつもより人が少ないとはいえ、さすがにこんな公衆の面前で振り向ける勇気は俺にはない。
沙弥佳はそんな俺のことなど知る由もなく「お兄ちゃ~ん! どうしたのー? 私ここだよー!」
先程よりも大きな声で、俺を呼びやがった!
頼む後生だ、妹よ……そこにいるのはいい! だが大声で俺を呼ぶな!!
俺の気持ちなど察することもなく、まだ「お兄ちゃん、 お兄ちゃん」言ってる沙弥佳。
いい加減周りも妹に応えてやれよ、みたいな雰囲気になった。
羞恥に耐えられなくなり、俺は仕方なく少しだけ後ろを振り向き、右手をあげた。
「やっと振り向いてくれたー♪」
言う沙弥佳の顔は、見る者を引き付けてやまない、最高の笑顔だった。

程なくして来た電車に早々と乗り込み、運よく空いていたシートに座り瞼を閉じ寝たふりをする。
そうでもしないと、この羞恥に耐えられそうになかった。
俺は、動き出した電車に揺すられながら、せめて直に呼ぶのではなく、
携帯にかけてこいと今日こそ言ってやらねばと心に誓った。



246:名無しさん@ピンキー
09/04/15 21:31:08 7ZB9/Z9W

昼休みのチャイムが鳴り、皆一目散に食堂へ向かう。
うちの学校には週に1度、メニュー半額の日があるためだ。
今日はその日で、教室には殆ど人が出払っている。
今頃食堂ではいつも以上に人がごった返していることであろう。
弁当のある身には関係のない話だが。

さて、今日の弁当は、と。
蓋を開けた――瞬間に閉じてしまった。
おいおい、マジかよ。
もう一度開けて確かめてみる。
間違いない。
弁当には見事に、そぼろでハートマークが作られ、『兄らぶ』などと書かれているではないか。
妹よ……お前はどれだけ兄を辱めれば気が済むのだ。
「よぉ九鬼ぃ。どうしたん?」
クラスメイト――斑鳩孝晶(いかるが たかあき)が声をかけてきた。
こいつはクラスは当然、学年でも一、二を争うほどのイケメン野郎で、毎月のように女からコクられている奴だ。
こいつはいつも、いてほしくない時に限って俺の前に現れる。
ちっ。 なぜいつもタイミング良く…!
そう、こっちのタイミングを図っているんじゃぁないかと思うほどに。
「い、いや、なんでもねえよ?」
「本当か? ならなんで弁当の蓋閉めたん?」
「見てたのか……お前」
「たまたまだけどな。 で、どうしたん?」
「いや……なんて言うかな。ほらよ」
観念して再度弁当の蓋を開けて見せてやった。
「うおっすげぇな、これ。『兄らぶ』って…」
斑鳩はクックックと笑う。
「すごいなんてもんじゃねぇ。……最近どんどん手が込んできてる気がすんだよ……」
「相変わらずの超絶ブラコンぶりだな」
「何をどう間違えたらあんな風になるんだか……はぁ」
「くくくく。愛されてんなぁ、お兄ちゃん!」
「やかましい!」
そしてこいつは、俺の妹を知る数少ない人間の一人だ。
俺は、そぼろをかきまぜて飯に食らいついた。



247:名無しさん@ピンキー
09/04/15 21:32:20 7ZB9/Z9W

一日の終了を知らせるチャイム。
生徒たちは思い思いに散って行き、瞬く間に教室から人が消えていった。
俺は妹との約束の時間までしばらくの間、学校で暇をつぶすつもりだった。
今にして考えてみると、学校では必要最低限の場所にしか行ったことがないことに気が付いた。
ならば、時間が許す限り校内探険と洒落込もうではないか。
特に技術棟には、数える程度しか行ったことがない。
大して何かあるわけでもないのかも知れない。
だけども、普段寄り付かない場所というのは、自分にとって非日常な空間になるのだ。
技術棟は4階まであり、普通科以外の科の連中が何やら色々な実験をしたりしている。
一応念のために、教室が開いてないか確認しながら、一人探険する。

………全くしけてやがんな、この学校。
結局どの部屋も閉まっていて、何かありそうな雰囲気がある部屋も確認のしようがなかった。
それと同時にちゃんと管理がなされていることは分かった。
気付けば、技術棟の屋上への階段の前まで来ていた。
携帯で時間を見ると、まだ時間があったのでこのまま屋上に行ってみる。
この学校は丘に立っており、屋上は見晴らしがいい。
それに技術棟からなら、普段は技術棟そのものが影になって見えない、遠くのビルなんかも見えるかもしれない。
まぁ、屋上の扉が開いてるかは分からないが。
階段を1番上まで登っては見たものの、結局扉には錠がおりていた。
しかし扉の窓からは、遥か向こうに街のビルを望むことができた。

「にしてもここは静かだ……」
1番上の階段に腰を降ろし、一人ごちた。
殆ど人が来ないのであろう。
良く見れば埃が溜まっており、おまけに蜘蛛の巣までしっかりできていた。
「でも……良い場所だ、ここは」
今度から何かあった時は、ここで暇つぶしすることにしよう。

「誰かいるの??」
突然階段の下から声がした。
階段の途中の踊り場には、いかにも優等生といった風な眼鏡をかけた、知的そうな少女が立っていて、こちらを見上げていた。



248:名無しさん@ピンキー
09/04/15 21:35:39 7ZB9/Z9W
投下終了です。

一応前回がプロローグで、今回が本編ということで。

皆様の口に合うかは分かりませんが、読んで頂けたら幸いです。


249:名無しさん@ピンキー
09/04/15 22:39:04 lBJb1kxF
前回とはエライテンションが違うなw なんともラノベ感が…

250:名無しさん@ピンキー
09/04/16 01:21:08 oL47Um4/
>>248
これ何%くらい書き終えてる?
大作な予感がするけど、途中で打ち切られそうな予感もする……。

251:名無しさん@ピンキー
09/04/16 02:13:00 Y/6Hxf25
普通にGJです
マイペースで完結目指したってくださいな^^

252:名無しさん@ピンキー
09/04/16 07:04:15 9oi98s9t
なんか凄いワクワク感が。

253:名無しさん@ピンキー
09/04/16 10:55:51 3nbSvn94
歯ブラシ
まで読んだ

254:名無しさん@ピンキー
09/04/17 21:48:30 eZUZ1f3D
レス下さった方、ありがとうございます。

>>249
ライトノベルは読んだことがないので、わかりません。
持っている友人がいるのでいくつか読んでみたいと思います。

>>250
数字化するほど、どれくらいとはわかりません。
ただまだ序盤というのは間違いないです…。
一応、大まかな話の流れは決めているので、
うまく話の流れやフラグを回収できるよう頑張ります。

>>251>>252
初GJ頂きました! ありがとうございますm(__)m


後タイトル決めてなかったので、つけてみました。
>>247の続きです。

255:いつか見た夢
09/04/17 21:50:46 eZUZ1f3D

そこにいたのは理知的な雰囲気と、たおやかさを秘めたような少女だった。
「何してるの?」
「あー……」
参ったな……どう答えるべきか……。
そもそも技術棟は、放課後は用事もなしに立ち入ってはいけないところなのだ。
しどろもどろしていると余計に怪しまれる。
ここは開き直って正直に言うのも手だ。
「まぁ何と言うか……ただの好奇心だ」
「……そう」
少女がふっとした表情を和らげたのに疑問が浮かんだが、すぐに氷解した。
この少女も恐らく、同じような理由で来たのだろう。
「あんたもそうなのか?」
「ええ。あなた、いつもここに?」
「いや、今日初めてきた。こんなに静かな場所があるなんて知らなかった」
「そう。なら屋上には行ってないのね」
「屋上? ここの扉、錠があるぞ?」
俺がそう告げると、少女は唇の端をわずかに上げた。
「……あなたはここに来た初めてのお客さんだからね……屋上行ってみたいでしょ?」
「行けるのか?」
壁に隠れて分からなかったが、少女の手には鍵の束が握られていた。
「……なるほどな」
俺は苦笑した。彼女はこの扉の番人というわけだ。
「行く?」
もちろん、と短く答えた。

少女によって開かれた扉の先は、とても学校にいるとは思えなかった。
ゲームで例えれば、今からここで何らかのイベントでもありそうな雰囲気だ。
「おぉ、やっぱ外に出ると空が近くに感じるな」
「ふふふ、大袈裟ね。まぁ開放感があるのは確かだけどね」
「ここならいい昼寝ができそうだぞ」
「うん、できるわよ?」
やってんのかよ……。
「ところで……あんたの名前は?」
「こういう時って男の人から名乗るものなんじゃないの?」
人を喰ったような性格してるな、こいつ……。
「悪かった、それもそうだな。俺は九鬼だ」
「え?」
「どうした?」
「いいえ……あなたがあの九鬼君かと思って」
「知ってるのか?」
「ええ、ちょっとした有名人だからね」
有名人? この俺が?
特別何かやらかした覚えは………そこまで考えて思い付いた。
もしや――
「毎朝、可愛い女の子と手を繋ぎながら歩いてるらしいじゃない?」
やっぱりそれか………。
「別に一緒に歩きたくて歩いてるわけじゃない」
「そうなの? でも結構お似合いのカップルだって聞いてるわ」
「あいつは妹だ」
俺はぶっきらぼうに答えた。



256:いつか見た夢
09/04/17 21:52:40 eZUZ1f3D

「仲の良い兄妹じゃない」
からからと笑う目の前の少女に、最初に抱いたイメージはもうない。
この女は、ああ言えばこう言う……女狐タイプか。
「………」
「あら、もしかして怒った?」
「別に」
そっぽを向いてしまう。
ちっ……これでは肯定しているみたいではないか。
「九鬼君って、見た目より子供ね」
「……」
こういう女は苦手だ……。
「大体あんた、その話誰から聞いたんだ?」
「別に誰というわけじゃないわよ。あなたが使ってる駅を使ってる友達くらいいるもの」
「……なるほど」
俺は穴があれば今すぐにでも入りたい気分になった。
そんな俺の様子を見て、この女はまたからからと笑った。
全く……最初はちょっと良いと思ったが、とんだひねくれ女だ。

「もういい。俺は行くぞ」
「あらもういいの? 折角こうしてここに来たのに」
「元々ただの暇つぶしに来ただけだからな」
「そう。だったらまた暇な時においでよ。開けたげるから」
「いつになるか分からないのにか?」
「その時はその時よ。そうそう、まだ名前名乗ってなかったわね。私、真紀。――藤原真紀」
これが俺と真紀との出会いだった。



校舎から出て、部活連中が励んでいる校庭を足早に突っ切る。
校門のところにちょっとした人垣ができていた。
その中心に妹である沙弥佳がいた。
あいつはその容姿のおかげで、一人でいると必ず男どもに声をかけられる。
俺が沙弥佳に気付くと同時に、向こうも俺に気付いたようだった。
「あ! お兄ちゃーん!」
沙弥佳が人垣をすり抜けて俺のところまでやってくる。
「わざわざ高校まで来たのか」
「うん! それにその方が時間短縮できるから」
「駅で待ち合わせするつもりだったんなら、ここまで来る方が効率悪いだろ……」
だから時間つぶしてたってのに……。
「はぁ……で、あの連中はどうするんだ?」
親指で、校門の前に壁を作っている連中を指す。
「どうもしないよ??」
「……ま、別におまえのせいじゃぁないしな」
こいつからしたら、ただ校門で待ってただけだからな。
だが、俺からしたらそうもいかない。
男達が、俺を睨むような嫉むような視線を向けてきているからだ。
ま、いつものごとくちょいと睨みをきかせれば大丈夫だろう。
ナンパ師ってのは、大体の奴がたいしたことのない奴らばかりだからだ。



257:いつか見た夢
09/04/17 21:55:05 eZUZ1f3D


「で……朝言ってたコってのが……?」
俺の前に立っている女の子に視線をやった。
「うん、そうなの」
「ふむ」
今俺達は、電車で一駅のところにある喫茶店にいる。
その駅の改札を出たところで、沙弥佳の友達という女の子が待っていた。
「とりあえず紹介するね。同じクラスのあやちゃんだよ」
「ぁ……う……えと、さやちゃんの友達で、渡邉綾子(わたなべ あやこ)です……」
「大丈夫だよ、あやちゃん。こう見えてお兄ちゃん頼りになるから」
「おい、こう見えてってどういう意味だ。……で綾子ちゃん? あ、これから綾子ちゃんって呼ばせてもらうぞ」
「あ、はい……」
「わざわざ俺をここに連れてきた理由っての聞かせてくれ」
「……はぃ」
一言答えるたびに消え入るような小声になっていく。
さっき会った藤原真紀とかいう女と違って、ずいぶんと引っ込み思案な女の子のようだ。
「それは私から言うよ」
沙弥佳は綾子ちゃんの取り巻く状況を、話し始めた。

「実はあやちゃんね、今……ストーカーされてるの」
「ストーカー?」
思わず綾子の方を見る。
それに気付いた綾子は、そっと頷いた。
「そうなの……初めはね、ただなんとなく視線を感じるくらいだったらしいの」
「……」
「そのうち、だんだん身の回りのものがなくなりはじめて……」
沙弥佳の話を聞きながら、綾子ちゃんを見ている。
なるほど。よくよく見ると沙弥佳程ではないが、なかなかに可愛らしい顔立ちをしている。
もし今のように暗い表情ではなく、明るい表情で笑っているところを見たら、思わず惚れてしまいそうだ。
「それからはなるべく一人でいないようにしたり、なるべく私物も持ち帰るようにしてたみたいなんたけど」
「効果なし、か?」
二人して頷いた。
「それで私達に相談したみたいなのね。私達も、それを知ったクラスの男子達も助けてくれるようになって……」
「ストーカーも止んだのか」
「……のはずだったんだけど……」
沙弥佳の表情も沈んだ。
「今度はね、お家の方で色々起こるようになったみたいなの。その……し、下着までなくなったりとか
変な物まで送られてくるようになったりとか、最近は電話まで掛かってくるようになったみたいで……」
沙弥佳は、そこで一旦話を区切って目の前にある紅茶を一口飲んだ。
綾子ちゃんは、黙ったまま俯いている。
俺もコーヒーに口をつけた。



258:いつか見た夢
09/04/17 21:58:42 eZUZ1f3D

一息ついた沙弥佳は、再び口を開いた。
「……そこまではね、そこまではまだ良かったの……ごめん、良くはないよね……」
沙弥佳が綾子ちゃんの方に向かって謝る。
「ううん、大丈夫だから……」
綾子ちゃんは力無く笑う表情を見せるが、引き攣ってあまり笑えていなかった。
「その……周りのね、人達にまで……被害が出るようになったんだ……」
「……そいつは、さすがに酷いな」
「最初のうちは皆大丈夫大丈夫って言ってたんだけど……」
「大丈夫じゃなくなった?」
沙弥佳も何かを思い出したのだろう、その先は何も言わなかった。
「皆も気味悪がって、だんだんあやちゃんから離れていって………」
なるほど。 クラスの団結すらも崩壊させるとはなかなかやるな、そのストーカーも。
「今じゃ誰も周りにいなくなったってわけか……」
「うん………」
「……しかしそのストーカー野郎もかなり狡猾な奴だな。聞く限りじゃ俺にじゃなくて、
警察にいった方が良いんじゃないか? こっちだけで手におえるような奴じゃない気がするが」
そこまで言って、沙弥佳の態度が急変した。

「行ったわよ! 行ったに決まってるじゃない!!」
突然両手でテーブルを叩き、大声で席を立つ。
その勢いそのままに、俺に向かって怒りの表情を見せた。
「何度も行ったのに、皆口揃えて『大丈夫だよ』とか『気のせいじゃない?』ばっかり!! 大丈夫じゃないから行ってるのに!!」
沙弥佳の突然の変貌ぶりに、俺も綾子ちゃんも目を見開いて驚いた。
店内の客や店員が、何ごとかと訝しみながらこちらをみてきた。
「さ、さやちゃん、落ち着いて……」
綾子ちゃんが沙弥佳をなだめる。
沙弥佳は、自分が店内の注目を浴びていることに気付き、顔を真っ赤にして座ると、
紅茶を飲んだ。
「ま、まぁとにかくだ。 綾子ちゃんは今まで通りに学校以外でもあまり一人にならない方がいいな」
月並みなことしか言えない自分がにくい。
「あ、あのそれでねお兄ちゃん、そこで相談なんだけど……」
沙弥佳は意を決したような顔をして
「しばらくの間、うちにあやちゃん泊めてあげたいなって思って………」
「………は?」
「だからあやちゃんをうちに泊めたいの」
こいつは何をいきなり……。
「さ、さやちゃん、やっぱりいいよ……泊まったらさやちゃん達に迷惑かかっちゃうよ……」
「あやちゃんはちょっと黙ってて」
「あ……ぅ……ごめん」
それきり綾子ちゃんは黙ってしまった。
「……つまり、俺も手ごめにして親父達を説得しろってか?」
「さすがお兄ちゃん。頭いい~♪」
「………はっきり言って俺に説得できるとは思えんが……」
「お願い! もうお兄ちゃんしか頼る人いないの!」
沙弥佳が頭を下げる。
……こいつがこうして俺に頭を下げる時は、にっちもさっちもいかなくなった時だけだ。
「………はぁ。まぁ……俺もそんな話聞かされちゃあどうにかしてやりたいって思うしな……」
「じゃあお兄ちゃん……?」
「言っておくが、あまり期待はするなよ?」
その言葉に綾子ちゃんも少し明るい表情をしたような気がした。
「うん! ありがとうお兄ちゃん!」
だからな妹よ……そんな顔は反則だぜ?



259:いつか見た夢
09/04/17 22:00:38 eZUZ1f3D

「あ、あの」
「ん? なんだ?」
「さやちゃんのお兄さんは―」
「ああ、すまん。九鬼でいい」
「あ……はい。九鬼……さんはそれでいいんですか?」
「いいも何も、ここまで聞いて放っておけるほど、薄情じゃぁないつもりだぞ」
「うんうん! お兄ちゃんはそう言うとこがカッコイイんだよ~♪」
沙弥佳は無視だ。
「それに……手がないわけでもないしな」


店を出て、家に向かう。
「お兄ちゃん、これからどうするの?」
「家に帰る」
「え? ……ちょ、ちょっといきなり過ぎない?」
沙弥佳も、まさかいきなりうちに行くことになるとは思わなかったようだ。
「早い方がいいだろ?」
「う、うん。そうだけど……」
「期待はするなとは言ったが、勝算が全くないわけじゃない」
「そう、なの……?」
「ああ。今日は幸いにして、父さんの帰りが遅い。つまり今敵は一人しかいない」
「敵って……」
沙弥佳が思わず苦笑する。
「ようするに、お前がやったのと同じ手を使うということだな」
「なっ……! 私そんな打算してないもん!!」
こいつが口調が鋭くせずに怒るときは、図星だった時だ。
「クックッ……隠さなくていいさ。これでも15年もお前の兄貴やってるんだぜ?」
ニヤリと口元を歪ませる。
「むー……」
沙弥佳は頬を膨らませ、唇を尖らせる。
そんな二人を見ていた綾子ちゃんは、ようやく緊張が解れたのあろう、
あはは、と笑ってみせた。

さて、俺のとった作戦とは単純に、情に訴えた泣き落とし作戦だ。
もちろん本当に泣くわけではないが。
妹は別にして、だがな。
今回ターゲットになる母は、いつも強気に振る舞っているだけに、情に弱い部分があるのだ。
まずは母を陥落させ、その状態で父の説得に挑もうというものだ。
父はドンと構えてはいるが、その実、母には滅法弱いということは隠していたって分かっている。
だから、母を落とせば恐らくは父も落とせるはず……と俺は踏んだのだ。



260:いつか見た夢
09/04/17 22:03:30 eZUZ1f3D


当の妹達は、最初は喜び勇んでいたものの、家が近づくたび口数が減っていった。
俺は沙弥佳の手を握り、
「大丈夫だ」
とだけ言った。



時は5時半を少し回ったところだ。
今現在、九鬼家の門の前にいる。
「さて、沙弥佳にはもう一度お母さんに情で訴えてもらって、それを俺がフォローする」
「うん……」
「そんなに気負うな。お前の声ってさ、不思議と心に響くとでも言うのか……なんか人をその気にさせちまうんだよ」
「うん……」
「だから、さっきみたいにやりゃぁきっとうまくいくと思うんだ。大丈夫だ、お前ならうまくいくさ」
沙弥佳の目を見て、言葉を放った。
「う、うん……私、頑張る!」
「よし! その意気だ!」
「ごめんね……さやちゃん」
「いいっていいって! 元はと言えば私のお節介ってのもあるんだから」
沙弥佳は深呼吸を数度繰り返し
「良し、行こう」
と言った。



「いや~意外となんとかなるもんだね~」
沙弥佳は先の戦いを終え、軽快に言い放つ。
「本当にありがとうね、さやちゃん……」
綾子ちゃんは感極まって、涙目になっていた。
「気にしない気にしない! それに……」
チラリと俺の方を視線を向けた。
「お兄ちゃん……ありがとう」
「私からもお礼を……本当にありがとうございます」
二人揃って礼を言う。
綾子ちゃんに至っては、土下座までする始末だ。
「おいおい、綾子ちゃん、そいつはやり過ぎだ。俺はたいしたことはしてないぞ」
そうたいしたことは何もしていない。
結局、妹の情に訴えた抗議とも非難ともとれる泣き落としは成功した。
俺はただ、こういう時こそ、いつも言う無償なき愛ってのを差し延べるべきなんじゃないかと言っただけ。
ただ、それが決定打になったのかもしれない。
母である遥子は、敬謙とまでは言わないが、一応クリスチャンなのだ。
「とりあえず、今から家に戻って着替えとか必要最低限のものは持ってきた方がいい」
俺の言葉に二人は頷いた。

「さて、それじゃぁ君の家に行くとしようか」
「え? お兄ちゃんも行くの?」
「そりゃぁ行かざるをえないだろ。女の子だけじゃな」
「そうだけど……」
「なんだ、不満なのか?」
「そ、そんなんじゃ………」
「だったらいいだろ。それに量があれば荷物持ちになるし、いざって時のボディガードにもなる」
沙弥佳は、たまに変なとこで妙に渋る。
それだけは未だ良く分からん。
「それに……まぁこれは明日以降になるだろうけど、ちょいと確かめたいこともあるしな」
俺の言葉に、二人は頭にクエスチョンマークを浮かばせた。





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