【田村くん】竹宮ゆゆこ 6皿目【とらドラ!】at EROPARO
【田村くん】竹宮ゆゆこ 6皿目【とらドラ!】 - 暇つぶし2ch536:始めの一歩 1
08/12/25 01:47:26 r8iBA2v5
「じゃーねー、大河、高須君っ」

 言って手を振りながら、向こうへ駆けて行く少女……櫛枝実乃梨の背中に声をかける。
「おう。バイト、頑張れよな」
「うんっ」
 顔だけ振り返り返事をするその笑顔は、自分の贔屓目でなければ、確かに以前とは違う
輝きを持っており―
「なに会話だけで発情してんのよ馬鹿犬。死ぬ?」
 ―感極まっているところで、隣の少女に水を差される。
「大体いまだに名字で呼び合ってるってのはどういうことなのよ。私はあんたを去勢した
覚えはないわよ、甲斐性なし」
「ぐ……」
 浴びせられる罵詈雑言に胸を抉られつつ、しかし高須竜児は反論する術を持たなかった。
言われるだけの覚えはあったからだ。

 時は一月、年も明けたばかりの今。
 高須竜児と櫛枝実乃梨は、恋人同士であるはずだった。

 クリスマスのあの夜、パーティの余韻も静まった学校で、竜児は実乃梨に恋の告白をし
―そして、実乃梨もそれを受け入れた。
 晴れて恋人同士となり、新学期が始まって毎日会うようになれば、夢のような生活が待
っているかと思いきや、
「一緒に学校行って、ご飯食べて……今までとやってること変わんないじゃない」
「だ、だってよ。櫛枝は放課後大体バイトか部活で、俺も家事があるし……」
「土日も全部埋まってるわけじゃないでしょ。ちゃんとデートにでも誘いなさいよ」
「……どうやって何に誘えばいいのかわかんねんだよ」
 呆れた駄犬ね、と頭を左右に振り溜息をつく少女―逢坂大河と竜児は、今でも奇妙な
共同生活を続けていた。
 三人でいるとき、時折実乃梨は大河に気を遣う様な素振りを見せ、大河は気にしないで
という風に笑顔を見せる。それを竜児は気づかないことにしている。
 理由を考えると、なんだか頭に浮かべるのもおこがましいような傲慢な考えに至るのと
……二人の間で話がついて、自分に伝えないことに決まった何かがあるのなら、自分が口
を出すのは余計なことだと思うからだ。
 ―そのうち大怪我する、と亜美に言われたことを思い出す。
(……大怪我したら、治すさ。絶対、死んでも)
 そう思える程度には、腹は決まっていた。


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