【田村くん】竹宮ゆゆこ 6皿目【とらドラ!】at EROPARO
【田村くん】竹宮ゆゆこ 6皿目【とらドラ!】 - 暇つぶし2ch536:始めの一歩 1
08/12/25 01:47:26 r8iBA2v5
「じゃーねー、大河、高須君っ」

 言って手を振りながら、向こうへ駆けて行く少女……櫛枝実乃梨の背中に声をかける。
「おう。バイト、頑張れよな」
「うんっ」
 顔だけ振り返り返事をするその笑顔は、自分の贔屓目でなければ、確かに以前とは違う
輝きを持っており―
「なに会話だけで発情してんのよ馬鹿犬。死ぬ?」
 ―感極まっているところで、隣の少女に水を差される。
「大体いまだに名字で呼び合ってるってのはどういうことなのよ。私はあんたを去勢した
覚えはないわよ、甲斐性なし」
「ぐ……」
 浴びせられる罵詈雑言に胸を抉られつつ、しかし高須竜児は反論する術を持たなかった。
言われるだけの覚えはあったからだ。

 時は一月、年も明けたばかりの今。
 高須竜児と櫛枝実乃梨は、恋人同士であるはずだった。

 クリスマスのあの夜、パーティの余韻も静まった学校で、竜児は実乃梨に恋の告白をし
―そして、実乃梨もそれを受け入れた。
 晴れて恋人同士となり、新学期が始まって毎日会うようになれば、夢のような生活が待
っているかと思いきや、
「一緒に学校行って、ご飯食べて……今までとやってること変わんないじゃない」
「だ、だってよ。櫛枝は放課後大体バイトか部活で、俺も家事があるし……」
「土日も全部埋まってるわけじゃないでしょ。ちゃんとデートにでも誘いなさいよ」
「……どうやって何に誘えばいいのかわかんねんだよ」
 呆れた駄犬ね、と頭を左右に振り溜息をつく少女―逢坂大河と竜児は、今でも奇妙な
共同生活を続けていた。
 三人でいるとき、時折実乃梨は大河に気を遣う様な素振りを見せ、大河は気にしないで
という風に笑顔を見せる。それを竜児は気づかないことにしている。
 理由を考えると、なんだか頭に浮かべるのもおこがましいような傲慢な考えに至るのと
……二人の間で話がついて、自分に伝えないことに決まった何かがあるのなら、自分が口
を出すのは余計なことだと思うからだ。
 ―そのうち大怪我する、と亜美に言われたことを思い出す。
(……大怪我したら、治すさ。絶対、死んでも)
 そう思える程度には、腹は決まっていた。

537:始めの一歩 2
08/12/25 01:48:20 r8iBA2v5
「ああやだやだ、これだから年齢イコール彼女いない暦の男は。球種が少ないったらあり
ゃしない」
 明らかに年齢イコール彼氏いない暦である少女に何か反論してやりたかったが、抑えた。
 口調は辛辣でも、大河が心底実乃梨と、自分のことを心配してくれていることは知って
いたからだ。
 代わりに続きを促す。
「……じゃあ先生だったら、どんな球を投げるんですかね」
「人に聞かなきゃ何も出来ない? これだから童貞は」
 めげそうだった。
「まあ、今回は哀れな犬に免じて、ご主人様が必勝法を伝授してあげる。一生恩に着なさ
いよ」
「……おう」
 竜児は身を乗り出した。
 なんだかんだ言って花の男子高校生、かわいい彼女との距離を縮める方法があるのなら
土下座してでも知りたいのだ。
「今週の土曜から日曜の昼にかけて、みのりんは暇よ。そこで新年会とかなんとか言って
みのりんをあんたんちに呼んで、飲むもん飲ませなさい」
「はあ」
「名づけて」
「名づけて?」
 大河は一呼吸置き、自信の炎を眼にたぎらせつつ、拳を握り締め叫んだ。
「『酔ったみのりんを押し倒して既成事実バンザイ作戦』……っ!」
「お前のがド直球だろうがあああっ!」
 ついでに暴投だった。

「新年会、北村君とばかちーも呼んどいたから。デコイとして」
「は?」
 翌日の帰り道、二人きりになった瞬間言われる。
 一瞬何の話か分からなかった。
「……え、もしかして昨日言ってたやつ? え? ギャグじゃなかったのか?」
「私がそんなつまらない冗談をいう女だと思う?」
「……お前の冗談で笑えたためしがねえよ」
 頭を抱えた。本気で押し倒せとか言ってんのかこの虎は。
「あのなあ、お前―」
 説教してやろうと思って、止まった。
 横を歩く大河の顔は、本当に、真剣にこちらを向いていた。
「うるさい。あんたはとっとと、ちゃんとみのりんとくっつきなさい。それが義務なの、
男の責任なの。でないと―」
 ―諦めきれないじゃない。
 かすかに聞こえたその声は、果たして幻聴だったのか。
 竜児が確かめる間もなく、大河は駆け出し、
「みのりんは自分で誘いなさいよ。反論は聞かないからね!」
 言葉どおり何かを言う暇を与えず、足早に去って行った。

538:始めの一歩 3
08/12/25 01:49:08 r8iBA2v5
「あのさ」
「ん? なあに高須君?」
 部活へと赴く実乃梨を送るわずかな逢瀬(というほど色気のあるものではなかったが)
の際、辺りに人がいないことを見計らってから、竜児は話を持ちかけた。
「今度の土曜なんだけど」
「うん」
「うちに来ないか」
 瞬間、目の前の美少女がぶほぉと噴き出した。
「うおっ!」
「たっ、たたた高須君っ、ちょ、それはちょっと早すぎるんじゃないかなーと小生愚考す
る次第でありますけれどもっ!?」
 顔を真っ赤に染めて、つばを飛ばしながら叫ぶ。
 無駄に驚異的コミュニケーション能力を誇る実乃梨だが、この手の話になると思考回路
に支障が出ることを、竜児と大河は知っていた。
「お、落ち着けよっ。二人じゃなくて、大河や北村や……そうそう川島なんかも呼んで、
新年会でもやろうって話になってさ!」
 慌てて訂正すると、
「へ、あ。……新年会?」
 顔に理解の色が広がっていき、落ち着きを取り戻す。
「あ、あはは、なーんだ新年会! やだなあ、おじさん勘違いしちまったい!」
 安堵したかのように笑う実乃梨を見て、良心がちくりと疼いた。すいません、嘘です、
やる気満々です。
「そんなら一発芸とか任しといてよ。櫛枝48の殺人技と52の関節技を披露するときがつい
にやってきたぜ」
「……いや、いい、そういう物騒なのは」
 ていうか持ってんのか、殺人技。聞こうかと思ったが、本気で首を縦に振りそうな気が
してやめた。
「まあ、そういうわけだから。土曜空けといてくれな」
 部活棟も近くなったので、会話を打ち切り踵を返す。
 その背中に声が掛けられた。
「高須君」
「ん?」
 振り返ると―実乃梨は両手を腰の後ろで組み、やや恥ずかしそうな笑顔で告げた。
「楽しみにしてるね、その……高須君のうちに行くの」
「……おう」
 男の意地にかけて表情を崩さず返事をし、実乃梨から顔を背けてから、にやけた。
(……俺は三国一の幸せもんだ)
 飛び上がりたい気分だった。

539:始めの一歩 4
08/12/25 01:49:44 r8iBA2v5
 土曜日の夕方。
「お邪魔します」
「お邪魔しま~す」
「おう、いらっしゃい」
 ドアを開けると、北村と亜美が立っていた。
 すでに居間でぐうたらしている大河を含めてこれで四人。あえて少し遅めの集合時間を
伝えた実乃梨を除く全員が揃う。
「……ていうか、マジで来たんだな、川嶋」
「来ちゃいけない?」
 亜美が、外面を気にしない顔で―つまりは仏頂面で聞き返す。
「いやそうじゃなくてさ、お前こういうの好きじゃないかなと思って」
「別に、今日暇だったし。それに……」
 そこで言葉を区切り、竜児の顔を悪戯っぽく見てから続けた。
「面白いモンが見れるって聞いたから」
「見んのかよっ!?」
 思わず叫ぶ。
 見れば、いつの間にか玄関にやって来ていた大河と亜美が目線を交わし、にやりと笑う。
なんだお前ら、なんでこんなときだけ仲よさげなんだ。
「高須」
「お、おう、きたむ……ら?」
 途中で言い淀む。北村が何かを差し出していた。
「俺たちはまだ学生だ。これだけはきっちり着けとけ」
「だあああああああっ!」
 北村の手から、いわゆるゴム製品を弾き飛ばした。
「なんでそんなに準備がいいんだよっ!」
「これはな、俺が来るべき会長戦に備えて、二年間財布に忍ばせておいたシロモノだ。つ
いぞ実戦の機会は訪れなかったが……高須、お前に俺の夢を託すぞ」
「そんな呪われたアイテムを俺に託すな! 捨てろ!」
 後ろでは、亜美が「きもっ」と吐き捨てるように呟いている。
「はは、安心しろよ高須、冗談だ」
 爽やかに笑い、肩を叩きながら告げる。
「それはちゃんと箱から出した新しいやつだ」
「結局お前のかよおおおお!?」
 今日幾度目かの叫びを上げながら、竜児は気づいた。
 ―ああ、もしかしてこいつら、俺をネタに笑いにきただけじゃねえのか―。
 悲しいことに、多分当たってる気がする。

540:始めの一歩 5
08/12/25 01:50:34 r8iBA2v5
 ぴんぽーん。
「あ、はいはい……っと、櫛枝」
 憔悴しながらも、玄関のチャイムに反応しドアを開けると、想い人がそこにはいた。
「本日はお招き頂きありがとうございますッ! 私、櫛枝実乃梨と申しまして、息子さん
にはいつもお世話になっておったりしましてッ―って高須君?」
 何故か右手で敬礼しつつ、突如として礼儀正しい(風味な)挨拶をかます実乃梨は、顔
を出したのが竜児と分かるや否や、体勢を崩した。
「おっす、オラ櫛枝。その、高須君、親御さんは……」
「……いや、いねえよ。朝まで」
 一転してんちゃ、と微妙に間違った挨拶をしてくる実乃梨に返答すると、その顔ははっ
きり分かるほど弛緩した。
「なーんだ、緊張して損しちゃった。うへへ」
 笑いながら、お邪魔しまーすと玄関に入ってくる。
 亜美たちに無意味なハイタッチを強要して嫌がられている実乃梨の後姿を見て、
 ―彼氏の親に会うって意識してくれたのか?
 報われる気持ちになる竜児だった。

 不純な動機があるとはいえ、新年会は楽しく過ごせた。
 竜児の用意した鍋を五人で突付きながら、いかなるルートから用意されたものか知れな
い酒類を流し込む。
「いや、いいのかそれ」
「いいんじゃなーい? チューハイなんてジュースみたいなもんだし」
「えええ……」
 躊躇する竜児をよそに、他の面々は次々と缶を開けていく。
 まあ、ちょっとくらいいいか……と缶に伸ばした手を、大河に叩かれた。
「いてっ。なんだよ」
「あんたは飲むんじゃない」
 どうしてだよ―疑問の表情になった竜児の耳元に口を寄せ、
「飲むと勃たなくなることがあるというわ」
「……」
 二の句を告げずにいる竜児の肩を寄せ、にやりと嫌らしい笑みを浮かべる大河。
「見なさいみのりんを」
 言われるがまま見ると、やべえうめえよコレすげえよ高須君、何がいいってナベはカロ
リー少ないのが最高だよほふほふ―と、貪るように鍋の中身を平らげていく実乃梨がい
る。
「ふふふ、みのりんったらがっついちゃって……デザートにポークビッツが待っていると
も知らないで……!」
 ―デザートって何だよとか、ポークビッツって何のことだよとか、誰のがポークビッ
ツだコラとか、そもそもマジでやるんすか先生とか、いくつものツッコミを胸に秘めたま
ま、一言だけ発した。
「お前、酔ってるだろ」
「酔ってなんかいないわ! これっぽっちも!」
 どう見ても酔っていやがる。

541:始めの一歩 6
08/12/25 01:51:14 r8iBA2v5
「ここは私に任せて先に行けええええ!」
「そんな……! 一人でトイレに行くなんて、死ぬつもりなのみのりん!?」
「へっ、背中は任せたぜ……大河!」
「いいからとっとと行きなさいよ馬鹿」
 鍋も酒も大半がなくなった深夜、亜美の無情なツッコミを受け、実乃梨は千鳥足でトイ
レへ向かう。
 その後姿を見送ってから、酔った様子も見せず亜美が立ち上がる。
「……んじゃ、亜美ちゃんそろそろ帰るねー。ほらあんたも」
「んー」
 先ほどのコントが最後の元気だったのか、力尽きたようにぐでりとしている大河の腕を
引っ張り上げる亜美に、どう声を掛けるべきか迷い、言葉を失う竜児。
 その視線をどう解釈したのか、興味なさそうに言う。
「……ま、あんたは実乃梨ちゃんを選んだんでしょ? じゃあ、ちゃんと仲良くしてれば
いいんじゃないの」
 それだけ言って、右手に大河、左手に自分の荷物を持って玄関に向かう亜美に、
「……ありがとな、今日」
 礼だけを簡潔に言う。
 亜美は、呆れたように苦笑していた。

「……いい加減起きなさいよあんた、いつまで亜美ちゃんのかよわい腕によっかかってん
のよ」
「ぐうう……頭痛い」
 夜道を歩く大小二つの影。
 高須家に来たときと表情の変わらない亜美に比べ、酒が回ったのか、大河はしかめっ面
になっていた。
「……ばかちーは酔ってないの」
「ばぁか、あたしは―」
 一度言葉を切り、吹っ切るように息を吐いてから続ける。
「―あたしは、あんたみたいに、失恋くらいで酔いつぶれるほど弱くないのよ」
 答えはなかった。
 言葉は交わさず、ただ暗い夜道を二人で歩いた。

542:始めの一歩 7
08/12/25 01:51:50 r8iBA2v5
 一人になると、途端に頭が冷静な方向に向かっていく。
(……やるのか? 本当に? マジで?)
 大河にけしかけられ、勢いで計画に乗ったはいいものの、いざとなると尻込みしてしまう。
(襲うなんて……いやでも、案外櫛枝もそういう展開を望んでくれてたり、は……しねえ
よなあ? する? しねえだろ?)
 考えがまとまらず、とりあえず散らかったテーブルと焦げ付いた鍋を片付けるか、と逃
避しかけたとき、トイレのドアが開いた。
「待たせたな! この俺が来たからにはもう好きにはさせねえ……って、あれ? あれ?」
 勢いよく開いたドアからずばっと飛び出し、奇妙なポーズを取りながら口上を述べる実
乃梨が、辺りの静寂さに気づいてきょとんとする。
「あれ? 高須君、大河たちは?」
 落ち着け。慌てるな。
「ああ、その……帰ったよ。酔いが回りすぎたとかで」
「えー、なんでえなんでえ、薄情なやつらめ! 私一人置き去りにしやがって」
 ぶー、と唇を膨らます。
 その細い身体に、じわり、じわり、と近づきながら、
(……もしかして今の俺は、変態めいてはいないだろうか)
 そう考える頭はあるが、身体は止まりはしなかった。
「…………櫛枝」
「……え?」
 実乃梨が気づいたときには、竜児との距離はわずか1メートルに満たず。
 切羽詰った表情で荒く息をつく男がそこにはいた。
「うおっ……高須君、変態ぽいよ、マジで」
 さすがに慄いた実乃梨に言われるが、構わなかった。何せ否定できない。
「櫛枝、俺は、……俺は、」
 気の利いたセリフが出てこない自分の脳みそが恨めしい。
 実乃梨の、微妙に汗ばんだ顔が、ひどくいやらしく見える。
「高須君、いや、ちょ、ダメ……今日は」
 そこでぷちんと、どこかが切れた。
「櫛枝……っ!」
 何も考えられない。右手を実乃梨の肩に掛け、実乃梨を―

543:始めの一歩 8
08/12/25 01:52:36 r8iBA2v5
「だ……だっしゃあああああああああ!!」
 ぐるん。
 ごしゃっ。
「うごっ!?」
 視界が回転する。
 押し倒そうとした勢いを利用してブン投げられたことに気づいた時には、すでに実乃梨
は次の技に入っていた。
「おっしゃあああああああああ!!」
 倒れ伏した竜児の背後から、手足を自分の両手でつかみ、膝で竜児の背中を押し曲げる。
 竜児の身体は大きく海老ぞりをする形となった。
「あ、いでででええっ!?」
 これぞ櫛枝52の関節技のひとつ、ボー・バック・ブリーカー!
「って、……なにすんだよ櫛枝っ! あだだっ!」
「だってだってだって! た、高須君、何しようとしてんのさあっ!?」
 無理矢理顔を上げ見てみれば、泣きそうな顔をしながら(しかし技は極めながら)実乃
梨がこちらを見ている。
「きょ、今日、もしかして最初からそのつもりだったっ?」
「ぐ、は、はい……ムチャクチャやる気でした……」
 痛みでただでさえなかった余裕が消し飛び、問われるままに答えてしまう。
 ああ、やっぱり彼女は、こんな行為望みはしなかったのか―
「さささ先に言うべよそういうことはよう! 皆一緒だって言うからそういう展開はない
と思って、おもっくそ暖かさ重視のババくさい下着で来ちゃったじゃんよおおお!」
 うおお、と咆哮する実乃梨のセリフに、……一瞬引っかかった。
「……え」
「鍋もめっちゃめちゃ食ったし! 腹出てるよ! ただでさえ出てる腹が! あ、自分で
言って泣けてきた……コンチクショオオオ!」
「ちょ、ちょい、待って」
 実乃梨が叫ぶたびに力が入り、背骨がぎしぎし悲鳴を上げるため喋りづらかったが、こ
れだけは確認したかった。
「その、さ。もしかして櫛枝も、そういうこと俺とするの、想像したりしてくれてたの……か?」

544:始めの一歩 9
08/12/25 01:53:18 r8iBA2v5
 瞬間、
「……っ!」
 実乃梨の顔が赤く、これ以上なく赤く、染まった。
「だっ……それは、だってっ……そりゃあ……付き合ってるんだし……そのうちそういう
ことにもなるかなー、くらいには……ねえ」
 ぼそぼそと、普段の快活さからは想像できない声量で答える実乃梨の様子に、
「……ははっ」
 考え込んでいた自分が馬鹿みたいで、笑えてきた。
「んなっ……笑うことないじゃん」
「や、違うよ。俺、その、女の子と付き合うの櫛枝が初めてで……櫛枝と話してても俺ば
っか焦ってる気になって、でも櫛枝も、当たり前だけど色々考えてるんだってわかったら、
なんか俺馬鹿みたいだなって」
 ゆっくりと、自分の気持ちを咀嚼しながら喋ることができた。
 焦ることはなかったんだ。もう、お互いを遮るものはないんだから。恋人同士になれた
んだから。

「……高須君、私と、あんなことしたいとかこんなことしたいとか、いつも考えてた?」
「おう。健康だからな」
 探るような声色の問いに、てらいもなく答える。
 途端、技が解かれた。
「ぐへっ」
 手足が開放され、そのままの勢いで仰向けに寝そべる。
 見上げた天井に、にゅっと実乃梨の顔が現れた。
「……そういうことは、また今度ってことでさ」
 言いながら、赤く染めたままの顔を、どんどん近づけてくる。
「……え」
 唇に、かすかな感触。
 それはわずかに触れるだけのものではあったが、竜児は信じられないような心地でその
感覚を味わい、やがて離れていく実乃梨の顔をただ見上げる。
「今日のところは、これでどうかな」
 恥ずかしさ五割、悪戯っぽさ五割の表情で呟く実乃梨が、
「……もう一個。実乃梨って呼んで、いいか」
「うんっ。竜児……君」
 たまらなく、愛しかった。

545:始めの一歩 10
08/12/25 01:53:51 r8iBA2v5
 一緒に部屋を片付けて実乃梨を家まで送り、もう一度唇を重ねてから自宅に帰る。何事
もなかったかのように片付いた部屋を見ると、今夜の出来事がまるで夢のように思える。
「……夢じゃねえんだよな」
 確認するように唇を手でさすって、感触を思い出し……にやけた。
「うわ、きもっ」
「うざっ」

 ……………………。
 深呼吸をしてから、振り返る。
 大河と亜美がいた。

「ひあああああああっ!?」
「うるさい竜児」
「ちょっとお、近所迷惑じゃないのー? まあ亜美ちゃんのご近所じゃないから知ったこ
っちゃねーけど」
「なん、なん、なんでいるんだよお前ら!?」
「うわ失礼、せっかく忘れ物回収しにきてあげたってのに」
 は? 回収?
 見るからに疑問符を上げる竜児に、口で説明するのも面倒だと思ったのか、おもむろに
押入れを開ける。
「……っ!」
 人は本当に驚いたとき、声は出ないものだと知った。
 押入れの中には、パンツ一丁のまま気を失い涎を垂らした親友北村が、さかさまになっ
て入っている。
「なんだこの地獄絵図……」
「酔ったみのりんが殺人技の練習とか言って色々やってるうちにこうなったんだけど、覚
えてない?」
 ―そういえば、テンパっていて記憶が空ろだが、櫛枝バスターだか櫛枝ドライバーだ
かの叫びを耳にしたような。それでどうして裸になるのかは定かではなかったが。
 んしょ、んしょ、と北村を引っ張りながら玄関に向かう大河(亜美は触りたくないらし
く、その後を手ぶらで歩いている)が、思い出したように振り向き、聞いてきた。
「んで、ちゃんとみのりんとはアレしてコレできたんでしょうね。ここまでお膳立てさせ
といて、何もありませんでしたじゃ済まないわよ」
 えーと。
「……キスして、名前で呼び合うようになりました」

 一瞬の沈黙の後、「小学生かよ!」という叫びと共に、二対のローキックが放たれた。

546:始めの一歩
08/12/25 01:55:02 r8iBA2v5
終わりです。楽しんで読んでいただければ幸いです。
とらドラはアレですね、ヒロイン三人とも幸せになって欲しすぎて扱いに困りますね。

547:名無しさん@ピンキー
08/12/25 02:51:18 RJ3bkMMQ
GJ!
やっぱりみのりんはいいなぁ

548:名無しさん@ピンキー
08/12/25 03:05:25 Ep/IhIZv
ありゃ、ミラー保管庫の6スレ目の作品が404になっとうぜ

549:名無しさん@ピンキー
08/12/25 03:09:13 piIccvan
乙でっす。

アニメの方今週かなりいいな・・・

550:名無しさん@ピンキー
08/12/25 03:38:28 jzd+DWFB
>>546
超GJ!、つか上手いな、マジで上手いなw、ゆゆぽテイストの再現率が半端ないw
羨ましいよマジで、俺もこれくらい書ければ妄想フォルダに溜め込んだ数々を文章化できるんだが…

是非また書いておくれ

551:名無しさん@ピンキー
08/12/25 04:16:07 VgYKKuR7
>>546
文才あり杉ワロタwwwwwwみのりん最高だぁぁぁ
竜児とみのりんがあんなことやこんなことをしちゃう後日談はもちろんあるよNE?

書かないと…お仕置きだべ~!!!!111

552:名無しさん@ピンキー
08/12/25 09:52:39 0Km+kGQp
>>531
GJ こうでもしないと川嶋は救われないよな
>>546
ギャグとシリアスの調和具合がすごくGJ
ってか書くの上手いな どんどん書いちゃってくれ いや、書いて下さいお願いします 

553:名無しさん@ピンキー
08/12/25 10:20:25 Q5ZHHjGR
ef - a tale of memoriesでエロパロを話しませんか?

554:名無しさん@ピンキー
08/12/25 14:17:55 bNwbqnsJ
GJすぎる
まじクリスマスの寂しさが紛れたぜ
いや、紛れたのではなく満たされた

555:名無しさん@ピンキー
08/12/25 16:21:40 iD/BCKJl
>>546
GJ!

556:名無しさん@ピンキー
08/12/25 17:56:13 YLNitcaG
作中のクリスマスがアレなせいか、
クリスマスネタ書いてる職人さんはあんまりいないのかね

557:名無しさん@ピンキー
08/12/25 20:07:48 5YGn8i7O
一つ質問なんだけど、モブ設定のオリキャラを主人公にして書くってのはナシなのかな?
傍観者的なポジションから学校生活やら恋愛模様やらを記述する、みたいな感じで

558:ミラーの”管理”人
08/12/25 20:08:40 Tuj1X3dv
>>548
当方の記述ミスです。訂正しました。
気が付きませんでした、ご指摘ありがとうございます。
年末年始はペース落ちますがご容赦くださいませ。

559:名無しさん@ピンキー
08/12/25 20:11:18 0Km+kGQp
>>557
俺はありだと思う いままでそういうの無かったから新鮮な感じがする
是非とも書いてみてくれ
>>558
いつもながら乙

560:名無しさん@ピンキー
08/12/25 20:25:20 +9fgtf8G
>>557
冒頭に注意書きしとけば有りだと思う
ただオリキャラ書くなら叩かれても泣かない覚悟は必須
オリキャラである必要がちゃんとあればいいんだが
傍観者というだけなら春田や能登や奈々子様とかでもかまわない気がする

>>558
いつも乙です

561:名無しさん@ピンキー
08/12/25 22:05:53 TzooVqZF
ミラー保管庫の七夕ボンバー。が竜児×みのり、大河になってたけど
みのり登場してないと思ったんだが。

562:名無しさん@ピンキー
08/12/25 22:16:27 5YGn8i7O
>>559-560
わかった
とりあえず注意書きと鋼の精神とある程度の必然性があればおk、ってことで

563:名無しさん@ピンキー
08/12/25 23:13:37 W6j+cnOv
>>562
がんばって。期待してる。

564:名無しさん@ピンキー
08/12/26 00:08:04 W6j+cnOv
  それは特別、何でもない日。
  学校から帰ればだらだらと過ごすだけの、何でもない日常。
  ただ一つ。
  いつもと違っていたことは
  担任の残されたお人形さんみたいな虎が自分の家の隣にあるアパートに行ったとき、そこに住む竜が着替えもせず眠っていたことだけ。
  そう。 ただそれだけのこと。


565:名無しさん@ピンキー
08/12/26 00:08:35 Yx27n9hQ
                    『何でもない日』
  


  帰宅したとき
  自分の家では言ったことのない習慣となった「ただいま」の言葉に、返事がなかったことが物足りない。
  いつも返ってくる「おう、おかえり」の言葉。
  それがなかったことが物足りない。

  玄関からリビングを通り抜け、台所へ。
  水道の蛇口をひねり、冷たい水でよく手を洗う。これも、竜児に言われて習慣となった行為だ。
  うがいと洗顔も忘れない。
  顔と手をタオルでよく拭ってから、冷蔵庫を開ける。
  お気に入りのメーカーの、紙パック入りの牛乳。
  コップに注がず、直に口をつけて飲む。
  そうする度にいつも注意されるのに、今日に限ってはそれもない。
  それがやっぱり虚しくて。
  一口だけ飲んで、牛乳をしまった。
  これでどうだと、お尻で冷蔵庫を閉じる。



566:名無しさん@ピンキー
08/12/26 00:09:06 1XTcvIJt

  「…竜児」

 通り過ぎたときは気がつかなかった、こたつの中で眠っている少年。
 普段の目つきの悪さを隠し年相応のあどけない顔で眠ってる、力の抜けたこの部屋の主人の姿。
  替えもすませず制服姿のまま、こたつの中で眠っている。

 「あたしを出迎えもせずに……幸せそうな顔、しちゃって」

 言葉と裏腹、少女に自然とうかんだ微笑。
 竜児の寝顔なんて、こんなふうに見たことはなかったから。
 隣に腰掛けて、初めて見る同居人の寝顔をじっと観察する。
 いつも自分より早起きして。
 いつも自分より遅く寝る。
 学校でも家でも、昼寝なんてしない優等生。
  
 それが今こうして、手を伸ばせば、届くことさえできるほど近くに。

 「どうするのよ。 夕飯」
 「あんたが寝てたら…誰もつくってくれないじゃない」
 そういえば、やっちゃんは今日で外で食べてくるとテーブルにメモが置いてあったことを思い出した。


567:名無しさん@ピンキー
08/12/26 00:09:39 1XTcvIJt
 起こさぬよう、起こしてしまわぬよう。
 時間をかけて。
 ゆっくりと、白い指先で触れてみる。
 触ってみると自分とは違うごつごつとした、男らしい顔つき。
 意外と柔らかな頬。
 そして、唇。
 なぞるように指先で触れる。
 その指先をそっと自分の唇に持っていく。
 今は、これだけで…。

 竜児の横に寝そべる。顔を、眠る竜児の首元に。
 頭を預けてみる。
 耳にとどく、小さく、でも確かな息づかい。
 生きている証。
 それがくすぐったくも心地いい。

 「…竜児」

 起きたときにこんな格好だったら―どんな顔をするだろう?
 そう思って、瞳を閉じる。



568:名無しさん@ピンキー
08/12/26 00:10:09 Yx27n9hQ
それは特別、何でもない一日。
 仕事を終えて、息子と娘の待つ我が家に帰宅した泰子が目にしたのは。
 着替えもせずに眠り続ける、寄り添う子供達の安らいだ寝顔。
 普段見られぬ子供のままの姿。
 部屋から、毛布だして彼らにかけ背中を向けた。
 「いい夢をね。 竜ちゃん、大河ちゃん」

 柔らかな笑顔でそう呟いた。
 彼女はそっと、リビングの電気を消した。

 それは多分、何でもない日だからこそ見つかる。
 小さな小さな、幸せの一コマ。



569:名無しさん@ピンキー
08/12/26 00:10:16 LmrhN+Q5
とりあえず避けとけと言わざるをえないw
やっぱ既存のキャラを動かしたり、それを読むのが楽しいんだし
俺はこれ以上スレが荒れるのは嫌だ

570:名無しさん@ピンキー
08/12/26 00:11:01 1XTcvIJt
すいません、改行とかがおかしくなってました…。

571:名無しさん@ピンキー
08/12/26 00:22:41 SsqFNFj/
>>564
みのりんが竜児の寝姿みる話があったから、俺も書こうとしてた大河バージョンだ
雰囲気がGJだ、俺が書かなくて良かったよ

俺は寝言で、大河の名前が出る、太るぞとか続くオチ、怒る
しかしまた二回目、大河と優しい顔で寝言
「夢ぐらいみのりんの夢みなさいよ」といいつつ、大河も優しい顔になり髪を撫でる
というネタだったよ

572:名無しさん@ピンキー
08/12/26 00:29:03 89BCobhL
>564さん
 GJです。幸せな気持ちをいただきました。ありがとう!

573:名無しさん@ピンキー
08/12/26 00:37:19 Yx27n9hQ
>>571
すいませんでした。ネタかぶっちゃいましたね。
そちらのほうも、ぜひ投下してください。実際、そちらのほうが面白そうですし…。

574:名無しさん@ピンキー
08/12/26 02:13:19 cApVZy0J
>>564
GJです、いや大河が一人の時の空気が切なくもいいですな
あとは、亜美が竜児の寝顔を見てたときのSSですね
実乃梨版や大河版の作者さん、亜美好きの職人さんのどなたかお願いします

575:名無しさん@ピンキー
08/12/26 02:35:50 0Hkpd6+j
>>535
俺の頭が幸せでパンクしそうだ
作品の雰囲気とかキャラの特徴とかすごくよく再現してる
また書いてくれたら嬉しいぜ

576:名無しさん@ピンキー
08/12/26 03:37:45 yBSkq0BG
>>574
受信したので書いてみます。投下はいつになるかは少し分かりませんが、気長に待っていただければ幸いです

577:名無しさん@ピンキー
08/12/26 09:07:07 RhMTiRPj
櫛枝最高ォォォォォ!!
今なら言える気がする

578:名無しさん@ピンキー
08/12/26 15:56:04 V3MzIw0N
今でなくともいうといい
俺はむしろこの5人組が好き


579:名無しさん@ピンキー
08/12/26 15:56:14 WA47N9Un
保管庫、更新されたな。
だが>>170-181が収録されてる・・・。
たしか作者が収録しないでくれと言ってなかったか?

580:名無しさん@ピンキー
08/12/26 15:56:44 kENAYAQ6
>>546
あんた最高だぁ!超うめぇし超萌ぇ!

あ~カレー食いたいな

581:名無しさん@ピンキー
08/12/26 16:38:30 HF0UObtG
>>580
いい加減sageようぜ?

582:名無しさん@ピンキー
08/12/26 17:19:45 pZaU18RT
>>424-425も収録されとるな>保管庫
これ改変じゃなかったっけ

583:名無しさん@ピンキー
08/12/26 18:03:06 cA4Mr3Us
保管庫見てて思い出したんだが前スレで北村が成人しても会長から卒業できてないって感じのSSを書いた職人が
北村救済策として続編を書くと言ってたんだがもしかして忘れてる?それとも煮詰まってる?
忘れてるんだったら是非とも続編希望

584:名無しさん@ピンキー
08/12/26 18:36:39 6AISJ0PH
私も北村救済策に期待。

585:名無しさん@ピンキー
08/12/26 19:24:42 Lgzwu4Ry
ここ投下も頻繁で早いスレだから麻痺ってるんだろうけど
急かし過ぎww期待してるのは同じだけどね

586:名無しさん@ピンキー
08/12/26 20:18:26 1kMZ32Cr
>>585
 同感ww
 早く読みたいって気持ちはよくわかるけど
 急かすのはかわいそうだべや

587:名無しさん@ピンキー
08/12/26 20:36:29 cA4Mr3Us
>>585>>586
すまんすまん ついつい気持ちが抑えられなくなっちまった
俺このスレ以外のSSスレ見たこと無いから知らんかったけどこのスレは流れが速い方なのか


588:名無しさん@ピンキー
08/12/26 21:07:53 30AKuYCS
>>587
まずMCって単語をスレ検索して>>1がいつの書き込みかみるんだ

589:名無しさん@ピンキー
08/12/26 21:12:49 kENAYAQ6
>>581
ゴメンやり方分からないんだけど
教えて

590:名無しさん@ピンキー
08/12/26 21:18:33 XLzGIl4S
>>583
リアルが忙しくて書けなかった
今日から休みなんだ

591:名無しさん@ピンキー
08/12/26 21:37:23 wqRZJN85
>>535
GJ!
大河派の俺としては凄まじく切ない気分だぜ・・・

592:名無しさん@ピンキー
08/12/26 21:40:53 Snrwa8ir
>>589
マジかネタかは知らんが、メール欄に『sage』だ
全角じゃなくて半角だぞ

593:名無しさん@ピンキー
08/12/26 21:46:21 /WwIebL5
>>588
サンクス 向こうはDAT落ちも経験してるスレなのか
このスレの流れがいかに速いかよーくわかった
>>590
忙しかったのか 急かしてすまん 乙
待ってますぜ

594:名無しさん@ピンキー
08/12/26 21:53:15 HF0UObtG
>>589
メール欄に「sage」って入れるだけ。


595:名無しさん@ピンキー
08/12/26 22:25:50 Aq68dxYg
sageわからんとかIE厨かよ!
専ブラいれろ

596:名無しさん@ピンキー
08/12/26 22:33:19 kENAYAQ6
教えてくれてありがとう ネタじゃないんだ…
まだここ来たばかりで分からなくて
それと保管庫と言うのはドコに?
質問ばかりでゴメン

597:名無しさん@ピンキー
08/12/26 22:36:40 QAe86GC2
>>1

598:名無しさん@ピンキー
08/12/26 22:39:33 I7QvEerW
半年ROMれ

599:名無しさん@ピンキー
08/12/26 22:45:39 kENAYAQ6
>>597
ありがとう こんなにあるとは…全部読むの大変そうだ

600:名無しさん@ピンキー
08/12/26 22:53:31 Lgzwu4Ry
現行スレくらいログろうぜ
そして2ちゃん初心者用のスレなら他にあるから読んでみたら?
聞く前に調べようよ

601:名無しさん@ピンキー
08/12/26 22:53:54 zX4IOhzg
>>599
そろそろ気の短い奴がキレ始めるから自重しとけ

602:名無しさん@ピンキー
08/12/26 22:55:34 Aq68dxYg
あ゛ぁーーーっ!!!!!

603:名無しさん@ピンキー
08/12/26 23:51:07 NJyCl+AM
教えてクンに調べろは無意味
むしろなんで教えてくれないのって聞き返す動物だから

604:名無しさん@ピンキー
08/12/26 23:57:48 gXIeK5On
>>601
実際切れられても仕方ないレベル。みんながsageてるぶん、ある意味コテハン状態だぜよ。


605:名無しさん@ピンキー
08/12/27 00:14:37 mai+OBuv
北村覚醒の巻き
よろしく

606:名無しさん@ピンキー
08/12/27 01:50:49 OGRg/vY1
いろいろとありがとう
そしてゴメン

607:名無しさん@ピンキー
08/12/27 02:03:21 VeVsmxxi
成長したな・・・

608:名無しさん@ピンキー
08/12/27 03:43:35 v1p0LykL
スレの速度やばすぎだろ、3日ぶりくらいに来たらもう600いってるとか
職人の皆さんほんとGJです

609:名無しさん@ピンキー
08/12/27 22:21:37 mai+OBuv
そしてみな老けて行くのさ

610:名無しさん@ピンキー
08/12/27 22:28:16 oYIP6Drl
>>1
>◆エロパロスレなので18歳未満の方は速やかにスレを閉じてください。

611:名無しさん@ピンキー
08/12/27 22:39:27 ad8MSb/A
みなさん、春日ですよ

612:名無しさん@ピンキー
08/12/27 22:47:09 VeVsmxxi
\ウィ/

613:名無しさん@ピンキー
08/12/27 23:59:06 ebbSMC39
亜美ちゃんマダー??

614:Fire ◆V2fRu40gJE
08/12/28 01:23:45 ZgAegDil
竜児から大河へのプロポーズ。
ゆゆこ先生の作風とは違ってしまいましたが、どうかお読みください。


615:Fire ◆V2fRu40gJE
08/12/28 01:24:18 ZgAegDil
「プロポーズ」


それは、あまりにも突然だった。
そして、嬉しかった。
あの日から数年が経つ。私は、あの日のことは決して忘れないだろう。
竜児も、忘れないでいてくれてるのかな・・・?


***

竜児と大河の日常。それはあまりにも当たり前のこと。
高2の春以来、2人はずっと馴れ合いの関係を続けていた。
そして、高2の終わり頃、2人は恋人関係となった。
とはいえ、1年近くも馴れ合ってきた仲。恋人らしいことも、やるにはやったが大して変化はなかった。
そんな、奇妙な恋人関係が始まってから数年後の、大河の誕生日。
竜児がプレゼントを渡すときに、事件は起きた。

ささやかな、大河と竜児と、泰子の3人だけのパーティ。
大河は相変わらずといった感じで、竜児に話しかけ、泰子と笑いあっている。
突如として、竜児が言う。
「なあ、大河。プ、プレゼント、受け取ってくれないか?」
「ん?なになに?」
大河は、待ってましたと言わんばかりに、期待に満ち溢れた目で竜児を見る。
そんな大河を見て、竜児はポケットの中から、震える手で箱を取り出す。
「・・・」
大河は、その箱を食い入るように見つめていた。
ゆっくりと、開いた箱の中には、銀色に輝く―
「指輪・・・」
大河が、つぶやいた。
「そう、指輪だ」
竜児がうやうやしく指輪を取り出すと、
「で、その指輪をどこにつけてくれるのかしら?」
不躾に、竜児の目の前に手が突き出される。
「そりゃ」
竜児は大河の左手をとり、
「ここだろ」
薬指にそっとはめた。


616:Fire ◆V2fRu40gJE
08/12/28 01:25:19 ZgAegDil
恥ずかしくて顔から火が出そうだ。
蛮勇を奮い、誕生日に結婚指輪をプレゼントするという計画を立てたのは自分だけで。
泰子にも秘密にしていた。恥ずかしさ×2。

顔を上げ、大河の顔を見る。
「・・・・・」
大河は、何故か泣いていた。指輪を見つめたまま、頬を涙が伝っていく。
「おう!どうしたんだ大河?・・・もしかして、嫌・・・」
「ねぇ、竜児」
涙を流したまま、大河は竜児に話しかけた。
「やっちゃんに、教わらなかった?女の子を泣かしちゃいけないって」
「・・・え・・・」
そうか・・・、嫌・・・なのか・・・。
そう思い、肩を落とす。が、大河は言葉を続ける。
「でも・・・許してあげる。嬉し涙は別よ。」
「・・・いいのか?」
「あたりまえじゃない・・・。なんであんたのプロポーズを断んなきゃならないのよ」
大河は竜児に、甘えたように抱きつきながら言う。
そんな大河を、竜児も抱きしめる。

そのとき、存在を消していた泰子が2人を抱きしめた。
「よかったね~大河ちゃん。これで大河ちゃんは正式にうちの子だよ~」
涙ぐみながら、心から嬉しそうに言うのだった。


この世で、竜児だけが見つけられなかったもの。
この世で、竜児にしか見つからないようになっていたもの。
竜児は、それを守り抜く義務がある。

End


617:名無しさん@ピンキー
08/12/28 01:32:26 V7rqI7+Y
なかなかいい話じゃないか

618:名無しさん@ピンキー
08/12/28 01:38:39 bfXhavtc
GJすぎるぜ、ありがとう

619:名無しさん@ピンキー
08/12/28 03:04:08 8kyzwYc6
凄い好きだよ!乙

620:名無しさん@ピンキー
08/12/28 03:25:39 Aa5cCss2
>>615
GJ! 寝る前にありがとう! いい夢が見れそうだ。

621:名無しさん@ピンキー
08/12/28 03:49:39 87QZnXbg
GJ!!俺ちょっとドンキで指輪買ってくる

622:名無しさん@ピンキー
08/12/28 05:39:18 TlE3gpxk
GJ!心が温まったぜ

623:名無しさん@ピンキー
08/12/28 10:38:33 0kwTcp7Y
>>615
GJ 高須の鈍感さは健在だな だがそれが良い

624:名無しさん@ピンキー
08/12/28 12:20:28 ZgAegDil
>>616の修正です
この世で、竜児だけが見つけられなかったもの。

これは、「この世で、竜児だけしか見つけられなかったもの。」
でした。

625:名無しさん@ピンキー
08/12/28 14:24:01 RT0rZxor
>>616
いい話だが、Fireてwwwwww
恥ずかしくて顔からFireが出そうだったんですね、分かります^^

626:名無しさん@ピンキー
08/12/28 23:29:29 0kwTcp7Y
職人様 あんまり需要無いかもしれないけど能登×木原お願いします

627:名無しさん@ピンキー
08/12/28 23:31:54 oKD4bviq
能登乙

628:名無しさん@ピンキー
08/12/28 23:34:16 ZnbruEW4
職人様 需要ありまくりであろう竜児×みのりん
たのんます

629:名無しさん@ピンキー
08/12/28 23:36:03 SzG3FYbm
能登に木原はもったいない
どちらかというと能登×木原のブラウスくらいでちょうどいい

630:名無しさん@ピンキー
08/12/28 23:41:33 0kwTcp7Y
>>629
そうか?友人思いのいいやつじゃないか 能登良い奴だよ能登
まあサブキャラ故に細かい描写が無いから説得力ないかもしれないけどさ

631:名無しさん@ピンキー
08/12/29 00:35:34 4EUZXTNy
あんだけフラグ立ててりゃそのうちゆゆぽが書いてくれるでしょ<木原能登

632:名無しさん@ピンキー
08/12/29 00:36:32 kswWgkz/
能登ってどうも北村にコンプレックス持ってるっぽい
んだよな。「あいつだってアホでメガネなのに、
なんであいつばっかり」的な。
麻耶の邪魔をするのも、麻耶に対してどうこうよりも
北村への対抗意識のほうが強いように思う。
呼び方も「高須」「春田」「大先生」と、微妙に
一線引いてるっぽいし。

633:名無しさん@ピンキー
08/12/29 00:41:35 4EUZXTNy
穿ちすぎだと思います。

634:名無しさん@ピンキー
08/12/29 00:55:50 kswWgkz/
そうかなあ?
7巻辺りでは「北村×タイガー、超ウケルwww」
とか言ってたし、麻耶の邪魔をするのは単なる懸想
だけじゃない、もっとこう黒いものがあるように見えるんだが・・・

635:名無しさん@ピンキー
08/12/29 01:17:21 eSIOJ06p
能登も木原も自身の恋愛のために大河や竜児を使おうとして自爆した者同士
適当に傷の舐めあいさせられるだろ

636:arl ◆GjySNanGL2
08/12/29 04:20:02 eCBsBu2U
 初投稿。正直、どういう風にやればいいのかわかんないけど、竜児×亜美を投下したい。
 よかったら読んでみてくれ。ちなみに時系列とか色々と―無視、だ☆ぜ。



 …


『こんな年末』


 何故か今年の年越しは我が家ですることになって、ボロ借家の狭い我が家では現在、北村、櫛枝、大河、川嶋がやんややんやと盛り上がっている。
 泰子は仕事仲間と年越しをするそうで、家にはいない。

 保護者がいない、子供だけの空間で、何故か自分が保護者になっているような気がしてため息が出る。

 だって俺以外皆酒飲んでるし。北村と櫛枝なんか、大声で歌い始めて何時大家が飛んでくるかと内心ビクビクしているのだ。
 大河に至っては……、

「ブス☆インコ。アハハハハ!!!」

 愛しのインコちゃんに絡んでやがる。
 アイツ、何らき☆○たのノリでインコちゃん罵倒してやがる。
 ブス、ということに否定できないのが悔しくて堪らない。

 ……とまぁ、本当に皆がすき放題やっている中で、

「あれ?そういや川嶋は?」

 一人いないことに気づいた。
 トイレか?なんて思ったが、それならば俺に声をかけるはず。
 泰子の部屋は初めに出入り禁を言っておいたのでそれもない。
 風呂?ないない。

 となると、狭い我が家で川嶋がいる所は、一つしか思い当たらない。


637:arl ◆GjySNanGL2
08/12/29 04:22:20 eCBsBu2U

 …

「…何してるんだよ」

 思った通り、川嶋は俺の部屋の窓を開けて、大河のマンションを見ていた。
 川嶋は俺の声に振り向いて、「こんばんわぁ☆」と陽気に挨拶。

「こんばんわ…じゃねえだろ。大河のマンションなんか見て、なにしてんだ?」

 ため息をつきながら尋ねると、川嶋は小さく笑って、

「あそこから見える景色はどうなのかな…って」
「…は?」

 間抜けな声が出てしまった。何を言ってるんだ、川嶋は。

「どうって…、大河の寝室からは俺の部屋しか―」
「そうじゃなくて」

 俺の言葉を川嶋が遮る。

「そうじゃ…ないんだよ…」

 いつも見せる余裕な川嶋亜美はそこにいなくて、

「お前……どうしたんだ?酔ってるのか?」

 戸惑う俺に川嶋は「うん…、そうかもしれない」と意味深に微笑む。

「ねえ高須君、お願いがあるんだけど」
「あん?」

 そして、こんなことを言いやがった。

「―新年までさ、一緒にいてくれない?」


638:arl ◆GjySNanGL2
08/12/29 04:23:20 eCBsBu2U

「は?」
「ダメ?」
「いや別にいいけど…」

 了承すると、「そっか」と川嶋は言って俺の傍に近寄ってきた。

「じゃあ一緒にいようね♪」 
「…お、おう…ってか、川嶋!?」 
「? なぁに?」
「何故そんなにピッタリくっつく!?」

 そしてあろうことか、俺の腕を取ってピッタリと寄り添ってきました。
 鼻腔に香る、川嶋の匂いに(変態チックとか言うな)、俺の心音が速くなる。

「えー、別にいいでしょ?それとも…、高須君はこういうの、嫌?」
「嫌とか…そんなんじゃ…なくて…」

 本当にどうしちまったんだ、今日の川嶋は。
 こんなんじゃまるで…。

「ふふ…。今『恋人みたい』って思ったでしょ?」
「!?」

 川嶋の言葉に、身体が強張る。…だって、図星ですから。
 以心伝心!?と思ってしまうくらいに心を読まれましたから。

 川嶋に言われて、妙に緊張してしまった俺を見て、川嶋がくすくすと笑った。

「あはは…。高須君カワイイ♪」
「なっ…!」
「カワイイのに強面…。コワカワイイ?あはは!チョーウケるんだけど!?」
「お…お前なぁっ!!」

 誰のせいだ!と言ってやろうかと思ったら、川嶋がさらにぎゅう、とくっ付いてきた。
 おい、いい加減に…、と距離をとろうとしたが、

「でも、好きだよ。高須君」

 川嶋のその一言に、本当に身体が硬直した。


639:arl ◆GjySNanGL2
08/12/29 04:24:38 eCBsBu2U

「おまっ…!いきなり何を…」
「さぁ?亜美ちゃんわかんな~い」

 顔に血が上っていく。間違いなく俺の顔は真っ赤だ。
 川嶋の『好き』があまりにも衝撃的だったから。

 でもそれは、どういう『好き』なのかわからない。

 からかいがいのある高須竜児が好きなのか、それとも恋愛対象としての高須竜児が好きなのか…。

 どちらにしろ、コイツから答えは返ってこないだろう。

「……なんなんだよ、全く」

 急に抱きついてきたり、よく分からない『好き』発言だったり。
 酒の勢いからなのか?それとも自覚アリ?

 どちらにしろ、質が悪すぎるぞ性悪女。
 
 やられてばかりは悔しすぎたから、俺は反撃しようと思う。
 もうじき今年が終わる。だから今年最後の、最大の、反撃を。

「なぁ川嶋」
「なぁに?高須君?」


 喰らえぃ!竜の一撃を!!


「好きだぞ」





 その一言が川嶋にどれだけ効果があったか分からないが、きっと間違いなく反撃は成功したと俺は思った。
 なぜなら川嶋が、物凄く驚いた表情をしていたからだ。


 これで俺をからかうこともなくなるだろう、と川嶋の顔を見てニヤニヤしていたら、


「高須君」
「何だ?川――…」



 かわしまにきすされた。


 
………アレ?



end


640:arl ◆GjySNanGL2
08/12/29 04:27:19 eCBsBu2U

拙い文で申し訳なかった。
でも書きたかった。後悔はしていない。
ここに投稿するのってある意味初体験だから…緊張しました…。
良かったらまた投稿したいと思うんで、そのときは生暖かい目で見守ってください。

 竜児と亜美、他三人に目撃されこのあと事情聴取。

641:名無しさん@ピンキー
08/12/29 04:29:32 nTtIMFeK
GJ!乙だぜ

642:名無しさん@ピンキー
08/12/29 07:59:20 BdHUHX5V
興奮シマスタ

643:名無しさん@ピンキー
08/12/29 10:18:54 5nzrKA6G
ニヤニヤが止まらんw
GJ!!

644:名無しさん@ピンキー
08/12/29 12:22:57 Cw9CrNYo
>>640
GJ 高須家は新年早々盛り上がりそうだな

645:名無しさん@ピンキー
08/12/29 12:28:49 u9xZ05Xz
あみちゃん最高!

646:名無しさん@ピンキー
08/12/29 12:51:08 I1FM1crP
網ちゃんは俺の嫁!

647:名無しさん@ピンキー
08/12/29 15:13:35 4M1K5hy5
>>640 GJ過ぎる!ここ最近で一番ツボです!続きキボンヌ。

648:名無しさん@ピンキー
08/12/29 15:31:19 0CsqDAri
竜児はらき☆すた知らないと思う。ネタなんだろうけどかなり違和感があった。
でもそれ以外はGJ!続編キボンヌ


649:名無しさん@ピンキー
08/12/29 15:41:06 8g4FP76N
レギュラーメンバーで知ってる人いなさそうだならきすた
サブ含めても能登くらいしかいなさそう

650:名無しさん@ピンキー
08/12/29 15:41:40 nTtIMFeK
まあ叩いてるのは一人の基地外って感じだがw

651:名無しさん@ピンキー
08/12/29 16:50:20 ix2hKGiV
この位で叩きってお前……
打たれ弱すぎだろw

652:名無しさん@ピンキー
08/12/29 16:55:05 VNqihr7S
冬休みだから耐性無いガキが沸くのはしょうがない

653:名無しさん@ピンキー
08/12/29 17:22:21 9RHHkqUT
このくらいで叩いてるって思うようだと
他の所いったら発狂するんじゃないか

654:名無しさん@ピンキー
08/12/29 17:24:24 nhgfWgiU
ここの住民は叩き耐性無いからな
内容指摘しただけでめちゃくちゃ言われてたりしてた

655:名無しさん@ピンキー
08/12/29 17:29:20 nTtIMFeK
あー、ホントすまん
凄い勢いで誤爆してた

656:名無しさん@ピンキー
08/12/29 17:29:35 adotIFnA
 『竜虎 温泉に行く』

冬休みも残りわずか…いつもと変わらないある日のこと―

「あー…全くこの家は本当に寒いわね…本当に壁なのかしら?この壁…」
信じられないことを言うその虎はボロアパートの壁をがんがんと叩く
「おい!やめろって大河!また家賃上がったりしたらもうしゃれになんねえよ」
台所で洗い物をしながら竜児は家賃の心配をする
そしてその虎…いや大河の動きはようやく止まる
「でもこの寒さは尋常だわ…この壁…実は壁じゃないのよ…きっと…」
何を言い出すんだ、こいつは…
じゃあ何か?自分は壁のないこの家で何年も生活してきた…というのか?
「残念だが大河…これは紛れもない壁だ。ていうか俺の家は毎年この時期、これぐらいの温度なんだよ…」
竜児は悲しい事実を大河に告げる
「そうなんだ…毎年…へえ…やっぱ壁だったんだ」
当たり前のことだが未だ信じられない顔をしている大河は一応納得する
しかし、竜児の家はとにかく寒いのだ
そして二人はため息をつく
「まあ…でもお前は良いじゃねえか。お前は帰れば家には暖房付きエアコンがそこら中に取り付けられてるんだしよ」
竜児は隣りの大河のマンションに目をやりながら卑屈っぽさ丸出しで言葉に出してしまう
そしてすぐに…
しまった…あの家は大河が親に捨てられた象徴…言ってはいけないことを言ってしまった
竜児は今ので大河がキレてしまうとこれまでの付き合いで察知したが何やら様子がいつもと違う…
「…そりゃね…まあ帰ればエアコンだってあるし、壁だって本物だけど…その…あの…竜児が…いないじゃない…」
そっちの方が嫌…とそのまま大河はうつむいて顔を赤らめる
『ズキュン!』
今の竜児の心の中の音を再現すると、きっとこの音に限り無く近いだろう
あんな顔して…上目使い…なんて破壊力なんだ…大河…いつからそんなに素直になったんだ…
思わず竜児はうつむいている大河を抱き締めてしまう

657:名無しさん@ピンキー
08/12/29 17:31:32 adotIFnA
竜児と大河が付き合い出したのはつい最近だ
今の竜児の行動もだからこそ許される
ちょっと前に同じことでもやろうとすれば…(まあ、しようとは思わなかったが…)確実に竜児は二秒で死んでいるだろう

だが今では…
「好きだぞ…大河…」
大河も黙ったまま竜児の背中に手を回す
そして竜児の胸に自分の頬を猫のようにすり付ける

その状態のまま三分が経った
大河は急に竜児の胸に埋めていた顔を離して声を張り上げた
「ねえ竜児!温泉にでも行かない!?」
「…………え?」
「だから、温泉よ。お、ん、せ、ん。まさかあんた…温泉知らないの…?大丈夫…?」
大河は今の三分間をリセットし、いつものように自分を馬鹿にする口調で聞いてくる
さっきのあの可愛らしい真っ赤な顔は何処に…?
「知ってるよ…温泉かあ…そうだなあ…行きてえなあ…」
そして竜児も竜児で今のいいムードをぶち壊して気の抜けた返答をする
「でしょ!行きたいでしょ。じゃあいつ行く?明日?明後日?何泊する?」
「おい待てよ…お前、まさかこの冬休み中に行くつもりなのか…?泰子とインコちゃんの飯とかどうするんだよ」
「あっそうよね。じゃあ学校始まってからズル休みでもして……」
ズル休みは駄目だと悪党顔とは打って変わってのくそ真面目の竜児が口を開こうとした瞬間、ふすまがゆっくりと開く


658:名無しさん@ピンキー
08/12/29 17:32:25 adotIFnA
「行ってくればいいじゃな~い」
仰向けの姿勢で顔はふすまの間から…というこの家の大黒柱の声
「「…えっ……!」」
「だーかーらー行ってきなよ~せっかくの休みなんだし~竜ちゃんと大河ちゃんが付き合いだして初めての旅行でしょ~」
「でもよ…」
自分でも認めるマザコン野郎竜児はマイマザーを心配するが泰子は続ける
「ほら~別荘行った時もやっちゃん、ちゃんとお留守番出来たでしょ~今回も大丈夫。行ってきなって~」
竜児は、それでもなあ…と思いつつチラッと横を見る
大河がその大きな目をうるうるしながら竜児を見ていた
だから…そんな目をするなよ大河…卑怯だぞ…
「………わかった…じゃあ行くか!温泉旅行!」
「やったー!」
とはしゃいだのは大河
パチパチパチパチと馬鹿らしい拍手をしてくれているのは泰子
そして竜児はあることに気付く
「………泰子…お前いつから俺達の会話を…?」
そして大河も気付いてしまう
「ええっと~確か~大河ちゃんが顔を真っ赤にして~竜ちゃんがいないと嫌…」
「ストッーープ!!」
大河はふすまを閉める
「ほらっ!やっちゃん…まだ酔いが冷めてなさそうだからもうちょっと寝てたほうがいいわよ!」
「そう~?わかった~じゃあもうちょっと寝てるね~」
ふすま越しに聞こえる泰子の声
「泰子の野郎…まさかずっと聞いてたのか…?ていうか、ふすまから覗いていたのか…?」
「ああ゛ーーー」
大河は再び顔を真っ赤にして唸っている
何も聞こえていなかった振りでもしているらしい

659:名無しさん@ピンキー
08/12/29 17:33:04 adotIFnA
「じゃあ行ってくる。本当に大丈夫なんだな?」
「……うーん…だいじょ~ぶ~…いってらっさい~…」
酔いが抜けていないのと無理矢理起こされたので泰子は今にも倒れそうだ
「ごめんね、やっちゃん…私のわがままでやっちゃんを一人にして…」
「いいんだよ~それより~…」
ふらふらな泰子はそれでも大河のそばに寄り竜児に聞こえないように耳打ちをする
「竜ちゃんはね、超奥手ちゃんだから、積極的に責めないと~何もないまま旅行終わっちゃうから頑張ってね~」
大河はそのまま硬直してしまう
顔面信号はいつも通り赤だ
「なっ…なにいってるの……だって…そんな…キスだって…その…まだ…だし…」
何の話をしてるんだ?と思いながら竜児は携帯のフリップを開け時間を確認する
そろそろ行かないと電車に間に合わない時間だ
「おい大河!そろそろ行くぞ。じゃあ泰子、行ってくる。インコちゃんを…餓死させるなよ」
そう言って竜児は未だに固まっている大河の腕を無理矢理に引っ張って高須家を後にする


行き先は京都
張り切った大河が何から何まで手配した
大河は行こう思えば豪華なホテルにでも何でも行けたのだが、竜児に合わせて格安の旅館を手配した
その旅館は設備も充実しており露天風呂もあるそうだ
それでも格安で済んだのは、そこに泊まるはずだった団体の何人かが急遽キャンセル
元々安い宿泊費だったが旅館の人はその空いた部屋ならさらに格安で泊まれますよと、図々しく大河に勧めてきたらしい
出来るだけ竜児に負担をかけたくなかった大河はその話に乗っかりそこに予約をしたのだ

660:名無しさん@ピンキー
08/12/29 17:33:45 adotIFnA
新幹線の中―
竜児は駅弁を豪快に食らう大河を見つめる
別に大河をこの新幹線から引きずり落として完全犯罪をしてやろうと思っているわけではない
感謝しているのだ
大河は普段はああだが、優しいやつだ
経済的に問題のある自分のこともちゃんと考えてくれている
この旅行もそんな大河の頑張りがあったから
竜児はそれがとても嬉しかったのだ
だから無意識に大河を見つめてしまう
「………あんた…何さっきからジロジロ見てんのよ…私の食欲が失せる一方なんだけど…」
………駅弁二つ目で何を言ってるんだ…こいつは…
「いや…その…なんとなくだな………うっ!…めっ…目が~!!…」
竜児の言い訳と同時に右目に飛び込んでくる黄緑色の物体
枝豆だ
「ったく…そんなキモい目で私を見るんじゃない。落ち着いて駅弁も食べれやしないわ!」
『もぐもぐもぐもぐ…』
食ってんじゃねえか…
竜児は涙がぽろぽろと出る右目を抑えながら大河に心の中でつっこむ
…やっぱり訂正だ!こいつは優しくなんかない…なんていうか…黒い…
しかし、そんなことを言えばまた大河は自分の想像を遥かに超えた暴言を放つので口には出さない竜児であった

まあそんなこんながありつつも竜児と大河を乗せた新幹線は走り続けるのであった

661:名無しさん@ピンキー
08/12/29 17:34:40 adotIFnA
「おお!高須に逢坂!終業式以来だな!」
「………おっ…おう…そうだな…久しぶり…北村…」
「元気だったかね~二人共!櫛枝はバリバリ元気だったぜ!冬の寒さなんかぶっ飛ばしてやったわ!わっはっは!」
「……み…みのりん…そう…私も…元気だったよ…」
そして北村と実乃梨の二人は竜児達が歩く逆方向の廊下を歩いていく
「「…………なんで……?」」
竜児と大河はお互いの顔を見合わせた


五時間前―
京都に着いた二人は早速、京都の観光に来ていた
とりあえず二人はパンフレット片手に有名な観光地をひたすらに巡った
写真を撮ったり、京都名物を食らったり(大河)迷子になったり(大河)迷子になったり(大河)…
いろいろあったが、二人はそれなりに京都を満喫した
そして歩き疲れた二人はようやく予約していた旅館に到着した
「おう…なかなか…っていうか…充分立派な旅館じゃねえか…」
竜児は旅館を眺める
別に今日中にこの旅館を灰にしてやると考えているわけではない
感動しているのだ
「へへっ…そうでしょうよ。感謝しなさいよ!この旅館に泊まれるのはこのわ、た、し、のおかげなんだからね」
そう言って大河はふん反り返る
二人が認めるように確かに今夜泊まる旅館はいい感じの旅館であった
少々古い造りだが逆にそれによって代々から続いている歴史ある旅館だと物語っているかの様
あの値段で泊まれるなんて嘘のような申し分ない旅館だ
「そうだな。本当にありがとな…大河」
大河は少し驚く
竜児が素直過ぎるお礼を言ってきたからだ
「……まあ今日はゆっくりしなさいよ…私への奉仕は今日は免除してあげる。この旅行は竜児への…普段の感謝?的なあれでもあるし…」
「ああ。じゃあ今日は思う存分ゆっくりさせてもらうな。だから…迷子とか…今日はもう勘弁してくれよ…」
後半の本音をぽろりと出してしまった竜児は大河に軽く睨まれる
しかし確かに今日はゆっくりさせてくれるらしい。普段なら、ここで蹴りの一発や二発は当たり前だ
そして二人は旅館の中に入る
名前を名乗って部屋の鍵をもらう
鍵は一つ。つまり二人で一部屋

662:名無しさん@ピンキー
08/12/29 17:35:11 adotIFnA
前の日―
大河いわく「一部屋ならより安く済むから…私もしょうがなく…仕方なく…妥協してあげるわ」だと
「まあ今さらお前と同じ部屋でもいつもと対して変わらねえよな」と答えると大河から回し蹴りを食らった…なぜだ…?
そして実はその時の蹴りがまだちょっと痛い…

そんなこともあったが、竜児はこの旅行が本当に楽しみだった
別に何かを期待している訳ではないが今日と明日の二日間は泰子もいないし、インコちゃんだっていない
つまり二人きりだ
京都巡りで横にいる大河もいつもより機嫌が良さそうだし
とにかく竜児はうきうきしていたのだ。していたのに…


そして今に至る
竜児と大河は今の状況についていけない
だって……なぜ奴らがここにいる?
よく知っている坊っちゃん刈りメガネと元気ハツラツ天然少女と廊下でばったり会うなんてありえない。ありえてはいけない
だってここは京都。東京じゃない。だからこのよく知る二人がましてやこの旅館にいるなんてもっとありえない
普通に話し掛けてくるなんてもっともっとありえない
竜児はこの二人の存在を頭の中で否定する
そして恐る恐るその二人が歩く方に駆け寄った
大河もその後に続く
二人を呼び止めてみる
「お…おい…お前ら…北村と櫛枝なのか…?」
「ああ。そうだが…何当たり前のこと言ってるんだ、高須」
「……………そうなのか…やっぱり北村だよなお前は…ははっ……」
竜児は壊れてしまう
「いや~でも偶然って怖いですな~まっさか高須くんと大河のお泊まり旅行に居合わせちゃうなんて。なんかごめんね」
「……………やっぱりみのりんなんだ…ははっ……」
後に続くように大河も壊れてしまう

663:名無しさん@ピンキー
08/12/29 17:35:53 adotIFnA
二人の話によると、ここは大橋高校ソフト部御用達の旅館
毎年この時期に参加出来る者だけを集めて合宿を行なうそうだ
合宿と言ってもそんなのは名ばかりで、ほとんどただの正月明けのお楽しみ旅行
参加人数が毎年多いので、もはや恒例の行事となっているらしい
ちなみに竜児と大河が今夜泊まる部屋は元々はインフルエンザで欠席したソフト部部員の部屋だったらしい


「はあ…どうするのよ…」
「……どうするって言ってもなあ…」
時刻は午後六時、二人は各々の座椅子にへばり付くように、もたれかかっていた
「まあ、別にいいんじゃねえか?北村達がいたところで別に俺達、やましいことなんかしねえわけだしよ」
「………まあ…そうね…」
心なしか大河は残念そうな顔をする
えっ…おい…なぜそんな顔をするんだ大河…まさか…やましいことを望んでいるのか…?…いや…そんな訳ない…のか…?
竜児は勝手に汗をかいたり首を横に振ったりしてしまう。一人でジェスチャーゲーム状態だ
そんな竜児に目もくれず大河は立ち上がる
「竜児………あのさ……」
えっ…何なんだ大河…何なんだ…その溜めは……まさか…
「温泉行くわよ」
えっ…温泉だと…?温泉……ああ温泉か…
竜児は気が抜けてしまう。だって…あの溜めは何だったんだ…?嫌がらせか…?
「なんて顔してんのよ…言っとくけど、別々だからね。混浴もあるらしいけど、あんたと一緒じゃ毛とか脂とかがねえ…」
嫌味ったらしく大河は竜児を罵る
「…べっ…別にそんなこと期待してねえよ…」
負けじと竜児も応戦する。しかし嘘だ。大河があんな風に言うからムッとなってるだけ
竜児だって年頃の男なのだ。好きな女と混浴なんていう嬉し恥ずかしイベント…嫌なはずないだろう
「あ~らそう。どうしても一緒に入りたいって泣き付いてくるなら考えてやっても良かったけど、いいのね?あっそ。」
そして大河は部屋を出ていく
「……はあ…」
残された竜児は溜め息。そして重い体を無理矢理起こす
せっかくこんな所まで来たのだ。温泉に行かないとMOTTAINAI
下着と浴衣とバスタオル、そして大河の分のバスタオルを手に持つ
どうやらあのドジはバスタオルの存在を忘れているらしい
結局今日も虎の世話をしなければならないのだろうなと思いながら竜児は大河を追いかける

664:名無しさん@ピンキー
08/12/29 17:42:25 adotIFnA
竜児からバスタオルを渡された大河は一人で女湯と書かれているのれんをくぐる
せっかく奇跡的に親友がこの旅館にいるのだが、あえて誘ったりはしない
中に入り、人がいるかを確かめる
別に誰かいたところで引き返したりはしないが一応だ
誰もいないことがわかると早速服を脱ぐ
竜児が可愛いぞと言ってくれたおニューの服をだ
そんなことを思い出して少しにやけてしまう
「…可愛い…か…ふふっ…」
そしてこの旅行の一番の目的であった温泉へと続く扉を開ける


「はあ~生き返る~」
大河は湯船の中で定番の言葉を発する
温泉はパンフレットで見た通りの大浴場。掃除も丁寧に行き届いていてぴかぴかだ。奥には露天風呂だってある
今日一日の疲れが嘘のように消えていく。歌だって歌いたくなる
「い~い湯だな。あははん…」
この後の歌詞はよく知らないが、まあいいか
『ガララッ』
大河は振り返る
この音はさっき自分がこの浴場に入って来た時の扉の音だ
つまり誰かが入ってきたのだ
せっかく一人でいい気分だったのに…と思ってもしょうがない。自分だけの温泉じゃないからだ
扉から光臨したその女は走り出す。タオルは…巻いていない…
そしてそのまま全裸で大河の浸かる湯船にダイビング
「………みっ…みの………ぶはっ!…」
その女のダイブによってできた飛沫が大河を襲う
「ふっふっふ…お前だけに温泉を独り占めなんてさせてやらないぜよ…」
「みのりん…相変わらず登場の仕方が最高ね…」
その女の名はみのりんこと実乃梨
説明しなくてもさっき会ったばかりだ
そして実乃梨は大河の傍らに浸かる
「あれっ…みのりんだけなの?他の部員は?」
「それがさ~奴等め…私がミーティングしてる間にさっさと行ってしまいやがって…はあ…取り残されちまったぜ!」
そう言って実乃梨は親指をぐっと立てる
「まあいいや。大河が居たし、寂しくなんかねえよ!それよりさ~…」
実乃梨は急に顔をにやけつかせる
「高須君と混浴に行ったりしないの~?た、い、がー?」
大河はにやにやする実乃梨から顔を背ける
「別に…いいの。竜児だって、私と入ったって嬉しくないと思うし…」
「えっ…なんでそんな事思うのさ~?高須くんは大河のことが好きなんでしょ?」
大河は口ごもる
「まあ…たぶん…この前も『好きだ』とは言ってくれたし…」
そして大河はお湯の中に口を入れてぶくぶくさせる
「なら一緒に入りたいはずだって。男っていうのは、好きな女のこと想ってムラムラしたりする生物なんだからさ」
男女交際は恐らくないだろうと思われる親友の理論。根拠はどこからなのか?

665:名無しさん@ピンキー
08/12/29 17:43:08 adotIFnA
温泉から上がった竜児は待ち合わせ場所で大河と落ち合う
夕食まで少し時間があったので大河の提案で卓球をした
予想以上に白熱してしまったので二人はヘトヘトになって部屋に戻る
そしてここが旅館だと言わんばかりの和の夕食をたらふく食べて、いつもの風景が出来上がる
大河が座布団を枕にして寝そべり、竜児は机の前に座り一緒にテレビを見るというものだ
ほどほどにテレビを切り上げて布団を敷く。もちろん二人分だ
電気を消して二人はそれぞれの布団に入る
「おやすみ、竜児。今日はゆっくりしてね」
「…おう…おやすみ」

電気を消して三十分が経った―
…横には大河がいる……
竜児はそれだけで一杯一杯だった
大河とは普段から共同生活をしているようなものの寝る時はいつも別々なのだ
だが今日は違う…
手を伸ばせば横に眠っているまるで人形のような少女に届いてしまう距離
「すぅ……すぅ……」
耳を澄すと大河の寝息
「………何を考えているんだ…俺は…」
今日の旅行は自分の為に大河が用意してくれたもの
変な気を起こしては大河に失礼だ
竜児はそう自分に言い聞かせてようやく眠りに入る

666:名無しさん@ピンキー
08/12/29 17:43:51 adotIFnA
深夜一時―
竜児は目を開けてしまう
何かが自分の顔をぺちぺちと叩いているからだ
別に痛くはないがそれが何かはわからない
ようやく暗闇に慣れた目でそれが何かを確認する
手だ。当然その手の持ち主は自分より先に寝てしまったはずの大河だ
「竜児…起きて…起きてったら…起きろ!」
大河が自分の顔を叩いていた。しかも最後の一回は少し痛かった…ていうか、ほぼビンタだ…
「…ったく…何だよ…便所か…?それくらい自分で…」
「違う…温泉…混浴……」
「はい…?」
「だから…温泉行くわよ…混浴の…今ならたぶん…誰も入ってないと思うから…」
「何だ温泉かよ。ったく………………えっ…混浴……?」
竜児は起きたばかりなので大河が何を言ったのかを脳で整理するのに時間が掛かってしまう
混浴……?つまり俺と大河が同じ湯船に浸かるということなのか……?そうなのか大河…?
「嫌……?」
大河は動揺しまくっている竜児に顔を近付けて困った顔をする
「……いっ…嫌…じゃない…むしろ……ていうか…大河はいいのか…?」
竜児は答える。もちろんOKに決まっている
「そう…嫌じゃないのね…じゃあ私と混浴…嬉しい…?」
なんてハズい質問をしてくるんだ…こいつは…
そう思いつつ、ここで変に受け流してはいけない気がした竜児は素直に答える
「…そりゃ…嬉しいに…決まってるじゃねえか…好きな女との混浴だし…」

大河は微笑む。この旅行一番の笑顔。大好きな男からの愛が確認できたから

667:名無しさん@ピンキー
08/12/29 17:44:38 adotIFnA
「良い温泉よね~何回でも入りたいくらい」
「………おう…そうだな…」
「やっぱりこの時間帯じゃさすがに誰もいないわね」
「………おう…そうだな…」
「あんた…どうしたの…?さっきから同じことばっか言ってるわよ」
「………おう…そうだな…」
深夜一時半―
他の観光者達はもうとっくに夢の中だろう
だからこの混浴露天風呂にいるのは大河と自分の二人だけのはずだ
外の冷たい空気が二人の顔を冷やす
「……大河…そろそろ上がらないか…?」
「えっ…何言ってんのよ。まだ入ってから五分も経ってないじゃない」
「まあ…そうだけど…」
大河のハズい質問に素直に答えた竜児であったが、やはりこの状況には耐えられないのだった
横を向くとタオルは巻いているが、透き通っているかのような大河の白い肌が嫌でも目に入る
華奢な体つきだが大河だって充分立派な女性。年頃の男児をどきどきさせるフェロモンだって持っている
まるで一分が一時間…五分が一日のように感じられるほど時間の流れが緩やかだ
とにかく早くここから離れたい…

668:名無しさん@ピンキー
08/12/29 17:45:20 adotIFnA
「あのさ…」
大河の声が聞こえる
竜児はこれ以上刺激を与えて欲しくなかったが一応返事をしてみる
「…なっ…なんだ…?」
「実は私…混浴なんて来たくなかったのよ…」
「………え…?」
「ほら、半年前のプール開き…覚えてる?」
手をちゃぷちゃぷと湯船で遊ばせながら大河は続ける
「哀れな姿を北村君に見せたくないって…」
「おう…覚えてる。それで俺が偽乳パッド作ったっけな」
竜児は理性を保ちながら、そのときのことを思い出す
あの時、北村のことが好きだった大河は胸の小ささで悩んでいた
そのことで水泳の授業を全部受けないつもりだったのだから相当悩んでいたのだろう
「だから…今回もこんな姿…竜児には見せたくなかったのよ…でもね…」
大河はそばにいる竜児に近付こうとする
「おっ…おい…?大河…!?」
竜児は慌てて再び大河と距離を取る
「………ほら…竜児はこんな姿の私でもドキドキしてくれる…女として見てくれてる…それが嬉しい…」
「そりゃ…な…お前はそんな綺麗な肌してるし…可愛いし…」
竜児は精一杯の言葉を出す。恥ずかしいが本音だ
「……ありがと…やっぱり来てよかった…」

669:名無しさん@ピンキー
08/12/29 17:46:09 adotIFnA
そして二人は早めに温泉を上がる
あまり浸かっていたらのぼせて眠れなくなってしまうからだ
互いに恥ずかしいことを言ってしまったためか、部屋に戻るまで二人に会話はなかった
部屋に辿りついてもやはり何を喋っていいのかわからない
そうなるとやはり明日に逃げてしまうしかない
「……大河…おやすみ」
「……うん…おやすみ」
竜児はこの微妙な空気を取り除き、明日に持ち越すために電気を消し布団に入る

そして時間はどんどん過ぎていく
だが…眠れるはずないのだ
さっき寝ようとした時だって横にいる大河を意識して、なかなか眠れなかったばかりなのだから
大河はどうだろう?やはりさっきみたいにすぐに寝てしまったのだろうか
ふとそんなことを思ってしまった竜児は横にいる大河の方に体を向ける
「………たっ…大河…どうした?眠れないのか…?」
大河はばっちり起きていた
何がばっちりかと言うと大河は寝ているどころか…ちょこんと布団に座っていたのだ
一人で勝手に明日へ逃げようとしていた竜児は全く気付かなかった
「……うん、ちょっと目が覚めちゃったかも…」
大河はそう言って枕を抱き抱えながら横になる
「………一緒に寝るか?別に変なことはしないし…頭擦ってやるよ」
「……えっ……うん…そうする…」
その言葉に驚いた大河だったがすぐにそれを受け入れ竜児の布団に体を潜らせる
布団の中は竜児の体温で暖められ、こたつみたいだ
早速竜児が頭を優しく撫でてくれる。心地よくてすぐに眠れそう…
大河はすぐに意識が朦朧となってしまうが、それを振り切りそばにいる男の名を呼ぶ

670:名無しさん@ピンキー
08/12/29 17:47:02 adotIFnA
「竜児…ちょっといい…?」
竜児は大河の頭を撫で続けながら返事をする
「どうした大河?」
「実は私ね…最近までずっと勝手に勘違いして悩んでたことがあるんだ…」
「何だよ…?」
「竜児はどうして私のそばに居てくれるかって…馬鹿みたいでしょ…?」
「なんでって、そんなの好きだからだよ…」
竜児はすぐに答える。今日は恥ずかしいことばかり言ったのだ。今さら口ごもることもない
「そのことで悩んでたの…私達ってさ、四月からずっと一緒にいるでしょ…」
「まあな…」
「だから竜児がそばに居てくれるのは、竜児にとってそれが習慣になったから…義務だからって思ってたのよ」
大河の大きな瞳が潤む
「だから…竜児がそれに気付いて…いつか居なくなるんじゃないかって想像して…怖かった…ずっと…」
「『俺はいつまでこいつの世話をしているんだ?こんなことする必要なんてないじゃないか?』って思ってないかなって…」
そう言って大河は竜児から背を向ける。潤んだ瞳からは涙がにじみ出す
「付き合うことになった時も…竜児は私のこと…本当は好きじゃないかもって…一人ぼっちの私に同情したからかもって…」
「そんなことばかり考えてた…だから今日の竜児の言葉…すごく嬉しかった…」
竜児は背を向ける大河にゆっくりと手を伸ばす。別に変なことをするためじゃない
大河が急に愛しくなったからだ
そうして大河を優しく抱き抱える
丁寧に扱わないとすぐに傷付いてしまう少女だから
慎重に触れないとガラスのように割れてしまう少女だから
「大丈夫だよ…大河…お前のそばにいるのは、習慣でも義務でもねえ…本当にお前が好きだからだ…」
背を向けていた大河は体を反転させ竜児の体に飛び付く
「……へへっ…私も好き…竜児が…大好き…」

671:名無しさん@ピンキー
08/12/29 17:47:45 adotIFnA

二人はとっくに馴れ合いだけの関係なんかじゃなかったのだ

ただ…二人はそれに気付いていなかっただけ

でもこの瞬間だけは違う…

だって…

近付けば…こんなにもどきどきしてしまうのだから

抱き合えば…こんなにも顔が赤くなってしまうのだから

見つめ合えば…こんなにももどかしいのだから

そして…唇を重ねれば…こんなにも―



午前八時―
「ここが高須達の部屋か…」
「はい…そうでありますな…」
竜児と大河の部屋の前―
そこで待機している二人の人物
『ガチャッ』
「おっ…開いておりますぞ…どうしましょう…北村隊長…?」
「不用心だな…櫛枝隊員、これはもう突入するしかないではないか…」
実乃梨の小さくひそめた声に答えるのは同じく北村の小さくひそめた声
そして実乃梨は扉に耳を当てる
「この静けさは…まだ寝ているのでは…これは寝顔を頂戴しなければ…」
そうして二人は扉を豪快に開ける
「「……………」」
そしてゆっくりと閉める…その時間わずか二秒
「なんていうか…軽率だったな…俺達…」
「うん…空気読めよって感じですな…私達…」
そして二人はそのままUターン
自分達の部屋に帰っていく

二人が見てしまったもの

それは…

二人分の布団
しかし一方はもぬけの殻

そしてもう一方は…互いの体を抱き合ってこれ以上ない幸せな顔をする竜虎の寝顔



おわり


672:名無しさん@ピンキー
08/12/29 17:50:57 qc9J17pI
>>656
GJ
この忙しい時期にパソコンの前を離れられんかった…

673:名無しさん@ピンキー
08/12/29 17:51:56 MlarLcrb
GJ…では味に欠けるから、NW!

674:名無しさん@ピンキー
08/12/29 17:52:30 Uyj5wCK/
>>656
GJだぜ!
竜虎はええのうww

675:名無しさん@ピンキー
08/12/29 19:02:56 Cw9CrNYo
>>671
ニヤニヤがとまらん GJ

676:名無しさん@ピンキー
08/12/29 19:03:50 2Zq8U2Nv
sageろよ。

677:名無しさん@ピンキー
08/12/29 19:47:04 nhgfWgiU
乙。スピンオフみたいで良かった

arl上げでワロタ

678:名無しさん@ピンキー
08/12/29 20:00:23 0CsqDAri
GJ!大河かわいい
>>650
 まさかアレで基地外とかまで言われるとは思わなかったorz

679:名無しさん@ピンキー
08/12/29 20:01:27 qc9J17pI
今年も、後わずかなのでHD整理してたら夏に書いたと思われるやつが出てきた。
駄文だが、燃料になればいいかと思うので投下してみる。


680:名無しさん@ピンキー
08/12/29 20:02:24 qc9J17pI
「りゅう~じ~…おなか空いたぁ~~~」
 台風一過のあまりの暑さに間伸びした声で、扇風機の前を独占していた大河から愚痴がとんできた。
 「おう、。今晩何する?肉か、魚か?」
 「えええーーーっ? まだ作ってないのお?」
 大河は寝そべったままバタバタバタバタ、シュプレヒコールをあげる。
 でもまだ4時である。
 俺は呆れた。
 「買い物だってまだだ…。どうすんだ? ハンパーグか?」
 『肉がいいんだけど…んん~ヤダ。さっぱりしたものがいい~!」
 「じゃ何だ? そうめんにするか?」
 「飽きた」
 にべもない。また大河はどうやらバタバタ暴れると熱さと空腹が増すことを学習したらしく、今度は床を這って扇風機の風を追いはじめた。
 こう暑いと、本当にへっぽこだなあこいつは。
 「う~ん…。そうだ、あれにしよう」
 「なににするのぉ~~~?」
 「内緒だ。でもきっと気に入ると思うぞ」

  俺は身支度を整え財布を握った。


681:名無しさん@ピンキー
08/12/29 20:03:24 qc9J17pI
 兄貴のところのスーパーで品物を物色する。 

  「えーっと。これとこれ…それから、これだな」
 俺は慣れた、というより慣れてしまった手つきで、買い物篭に食品を放り込む。
 「え、こんだけ?」
 あついあつい唸っていたくせに何故かついて来た大河は、僕が籠に入れた食品の少なさに驚いた。
 「おう、今晩のはあまり色々使わねぇんだ。それにこの時期はあまり買い込んでも保存が大変だしな」
 「ふ~ん」
 「お前も将来覚えておかねぇと。いいお嫁さんになれねぇぞ」
 「んななッ!! なッなにを言ってんのよ!!??バッカじゃないの!!」
  何故か大河は真っ赤に俯いて無口になってしまった。やっぱりこんなに暑いのについてくるからだな。バカめ…

 
消費の早い清涼飲料をかごに入れる。
 僕はまだ顔色の冷めやら大河の赤い頬を見ながら考えた。

 (俺んちってそんなに変なのか…?)

 とりあえず暑い時期には
 「大河…お菓子買ってきていいぞ」
 「おうっ待ってましたあ!!」
 大河は喜び勇んでお菓子コーナーに駆けていった。
 「…………はあ…」

682:名無しさん@ピンキー
08/12/29 20:04:25 qc9J17pI
  「さて……」
 台所台の上には先ほど俺達が買ってきた食材が並ぶ。
 「いよいよ料理ね」
 「おう…って大河。今日はどうしたんだ?」
 「何がよ」
 「いつもは…竜児、作っときなさい!!…って言ってるくせに。今日は(いつ買ったんだか)エプロンまで…」
 「い、いいのよっ…(ぼそ)その、お嫁さんになったとき…困るでしょ…」
 「え?」
 「なッなんでもない!それより早く作ろう!ね、私は何をすればいい?」
 「そうだな…」

 

 俺は食材たちを見回しながら、料理に不慣れなどころか油断するとドジ神様の力を借りて台所を燃やしかねない大河に、
 手伝ってもらっても円滑に進めるには何を頼めばいいか考えた。



683:名無しさん@ピンキー
08/12/29 20:05:00 qc9J17pI
「おう、この鶏肉。フォークを使ってまんべんなく穴をあけてくれ」
 「おう」
 マネすんなと言いつつパリパリとラッピングをはがし、大河に渡す。
 「気持ちわる」
 大河は鶏の身をつまんでまな板にのせると、おもむろにフォークをつかんだ。
 「とりゃあ!大河・THEフォーク乱れ撃ちっ!!」
 がすがすがすがすッ!!!!
 「はあ…」
 対して俺はいま大根を擦り卸している。目の荒いおろし金でがりがりと。卸し終わったらそこに擦りゴマを入れる。
 ゴマは本当はちゃんとすった方が色も香りもいいんだけどな…まあ、別にいいか。
 そして塩コショウ。
 「これでいい、竜児?」
 「おう、充分充分」
 俺は大河が下ごしらえしてくれた鶏肉を包丁で一口大に刻む。皮はあらかじめ外しておいたほうが切りやすいかもな。
 「ねえ…穴をあけるのって、何か意味あんの?」
 「これはな、味を染み込ませる意味もあるし、今回の場合、お肉をやわらかくするためでもあるんだ。一見地味かもしれないけど、意外と大事な事なんだ」

 鶏肉を卸して下味を付けた大根に漬ける。こうすると肉がやわらかくなるし、生臭さも消えてしまう。夏場、さっぱりとお肉を食べたいなら、この調理法は憶えて損はない。

 

684:名無しさん@ピンキー
08/12/29 20:05:34 qc9J17pI

 肉を鍋に入れるぞ」
 「う…うん…」
 「?」
 鍋が沸いてきたのを確認して、俺は下ごしらえした鶏肉を鍋に入れた。この時はもちろん漬けておいた大根卸しごと鍋に入れる。
 水を少なめにしておいたのもそのためだ。鰹節の口に残る食感も大根卸しのお陰で気にならないから、鰹節をわざわざ取り出す必要もない。
 それにしても大河…今「さて、じゃ次はね…ネギをみじんに刻んでくれるか?」
 「みじん切り…確か縦に一度細く切ってから、輪切りにするとキレイにできるんだっけ」
 「おう、って何でおまえみじん切り知ってるんだよ?」
 「うっさいわね…。わたしだっていろいろ勉強してんのよ。で、あってんでしょ。どうなのよ?」
 「おう。でもネギの場合は小口切りにしてから叩いたほうが速いな。ものにもよるんだが…ま、それはやってみないとだけど」
 大河が危なっかしい手つきでネギを刻んでいる間、僕は次の行程に移る。
 浅めの鍋に少量の水を張り、同量の醤油をいれて火にかける。そして鰹節を一杯入れる。

 「あいたっ!!」
 やっぱりというか、なんというか…。
 「大河、指切った?」
 「うん」
 大河の左手の親指には1ミリくらいの切り傷が。
 「はあ…」
 「はあって何よ~!!痛いのよ、これ」
 「へえへえ…」

 ぺろっ。
 「!!!!!!!」
 俺は傷口に軽く口をつけた。
 「舐めときゃ治るって」
 「あ…あ…わ…わ…わ……」
 ぱくぱくぱくぱく……。
 大河は金魚みたいな顔の仕種をして、食器棚の扉まで一気に後ずさる。ついでに顔も金魚色。
 …大河はよくわからない。



685:名無しさん@ピンキー
08/12/29 20:07:11 qc9J17pI
ぐつぐつ……。
 大河は大丈夫か?夏の暑さで頭の回線が誤作動を起こしたか?
 「味付けはこれだけだが、大根が煮えるから甘味が出る。だから余分な砂糖を入れる必要はない」
 そして続けざま、先程大河が名誉の負傷(?)を負って刻んだネギを投入。
 「あと、とりあえずは煮えるのを待つだけだね」
 「お、おう…」
 「おい、おれになってるぞ。あ、そうそう。海苔を千切りにしておいてくれ。ハサミそこにあるから」
 俺はシンク上の壁に掛かっているハサミを示して言った。
 「え、ハサミで?」
 「おう、いちいち包丁でやっても面倒くさいしな」

  鶏肉にあらかた火が通ったことを確認し、みりんを入れる。
 「さ、もうできるぞ、大河は食卓について待ってろ。あ、そうそう…泰子起こしといてくれ」
 「そういや、やっちゃん起こさなくてよかったの」
 「おう、今日は特別に休みなんだってよ」
 「やっちゃん、起きて~」
 「ん~、パパ」
 「えっ、違うって…。アッー」
 なんか、変な声が聞こえたが…。
 まあ、あっちは大河に任せておいていいだろう。
  「さて…と」
 俺は冷蔵庫から炒りゴマを取り出す。え?さっき入れたろうって? ふっふっふっ。下味に擦りゴマ、出来上がりに炒りゴマ。
 これが味と香りと見栄えの三要素のための手間暇ってモノなんだ。
 ばさばさばさ~。もうたっぷりとな、サービスサービス…。
 出来上がるまでの間にどんぶりにごはんをよそう。刻んだ海苔を全体にふりかけ、飯の準備は完了。
 「こっちも準備OKか?」
 鍋からは食欲をそそる醤油の香りが立ち込める。みりんの照りがいい感じだ。
 俺は冷蔵庫からしょうがを取り出して、包丁で細かく細かく刻み、火を止めた鍋に入れた。あえて卸さずにササメに切って入れるところがポイントだな。
 ぴりっと辛いしょうがの特性を前面に押し出したいときにはこの切り方が良いと思うぞ。
 出来上がった「あたま」を丼飯にかける。もちろんつゆだくで。
 「さ、出来たぞ~~!!」

686:名無しさん@ピンキー
08/12/29 20:08:15 qc9J17pI
「な、さっぱり食べられるだろ?」
 最初はこの暑いのにどんぶりだったの~? と難色を示していた大河だったが、一口ぱくりといったあとはただ無言で最後までかき込んでしまった。おまけにおかわりまでする始末。食欲ない~と言っていたが…まあ食べてもらえるのは嬉しいし、良かった良かった。
 「う~ん、竜ちゃん…。これってしょうが入れた?」
 「おう、わかるか?」
 「え~~そうなんだ。どうりでピリッとすると思った~」
 気づかなかったのか…俺は心の中で苦笑した。
 「あと大根卸を煮たっていうのが不思議な感じだったけど、おいしかったわ」
 「あと鶏肉は脂肪少ないから、食べやすいだろ?」 

  高須家の夕刻は和やかに暮れてゆく。

 ▼竜児くんのかんたんお買い物メモ (3人分)▼
鶏肉(ムネ)…………250g
大根…………………20cm
ショウガ………………適宜
ネギ…………………15cm
かつお節……………すきなだけ
海苔…………………すきなだけ
ゴマ…………………すきなだけ

塩………………小サジ1.5
コショウ…………少々
醤油……………50cc
みりん……………大サジ5

687:名無しさん@ピンキー
08/12/29 20:09:41 qc9J17pI
これで終わりです。
季節外れのもの投下して、ほんとにすまん。
あと、竜児が作中でつくったのは、ほんとに食えるぞ。

688:名無しさん@ピンキー
08/12/29 20:11:47 nhgfWgiU
いやー、為になったし面白かったしちゃんとsageてたし、乙です

689:名無しさん@ピンキー
08/12/29 20:14:19 qi3muJTu
クッキング竜 流れ板竜児 土鍋の竜 たかすけ ハラヘッタ

690:名無しさん@ピンキー
08/12/29 20:40:28 nTtIMFeK
>>678
すまんかった
今後誤爆に気をつけるぜ

691:名無しさん@ピンキー
08/12/29 20:53:00 9RU31bPv
乙。なんかお腹が減ってきそうな話でした。

>>678
あれ誤爆らしいぞ。耐性はつけるべきだが。

692:名無しさん@ピンキー
08/12/29 20:53:55 9RU31bPv
リロードするべきだったか。これは(/ω\)ハズカシーィ

693:名無しさん@ピンキー
08/12/29 21:15:41 zP/NEZW4
>>692
どどんまい

694:名無しさん@ピンキー
08/12/29 21:20:24 Cw9CrNYo
>>687
なんかめちゃくちゃためになる話だなってかリアルに料理できそうな687に嫉妬


695:名無しさん@ピンキー
08/12/29 21:42:56 pEiIl6uh
>>686
typoが気になったがGJ!
実に美味そうな話だぜ。
買い物に行く前に投下されてれば今夜のメシはこのドンブリだったのに。

696:名無しさん@ピンキー
08/12/29 21:46:34 eJ5tePLb
>>640
GJ!!続編?そりゃ待つさ☆

697:名無しさん@ピンキー
08/12/30 00:32:20 9LnrToDQ
>>671
良い……これは良い
遅れたがGJ

698:名無しさん@ピンキー
08/12/30 02:04:19 SWgiWG1w
竜児×みのりん妄想を文章にしてみたんだけどセリフばっかり+設定が微妙かもなんだ 脳内補完できる程度だと思うけど…
生暖かいアドバイスを頂けるのであれば投下しようと思うんだけど…

699:名無しさん@ピンキー
08/12/30 02:06:50 N4tOptLB
いいんじゃね?

700:名無しさん@ピンキー
08/12/30 02:18:54 m5fRV5RT
全然おk。このスレの住人は妄そ・・・・・想像力豊かだから。

701:名無しさん@ピンキー
08/12/30 02:36:09 SWgiWG1w
竜児×実乃梨
設定は竜児 実乃梨 大河の恋愛関係がこんがらがったまま9巻ラストになった感じ
こんな無理な設定をした理由
ちまい娘が好きで読み始めたがみのりんに惚れてしまったため幸せになって欲しいと…年の瀬に何言ってんだか

702:名無しさん@ピンキー
08/12/30 02:37:47 SWgiWG1w
二人はとにかく走った 何処に向かっているかもわからない
そして…止まった 同時に
二人の間に会話はない ただただ肩で息をするだけだった 困惑して頭が回らない
そんな時ケータイが鳴る 相手は亜美

二人は亜美に呼び出された場所に来た
(ここって…アレだよな…ラブホテ…)
「竜児、〇〇〇号室だって」
先程亜美と電話していた大河はさっさと行ってしまう
「アイツ恥ずかしくねぇのか?」

ドアを閉めカギを掛ける竜児 ガチャっという音が冷たく響く

中には呼び出した当人の亜美 北村 そして実乃梨

亜美が少し早い口調で話始める
「私は私を変えてくれた皆の辛い顔を見るのがもうヤなの 今日ここで全ての蟠りを解消しましょう」

703:名無しさん@ピンキー
08/12/30 02:38:58 SWgiWG1w
続けて「皆のおかげで少し大人になった私は高須くん 実乃梨ちゃんそして逢坂さんの気持ちを理解しているつもり」
「高須くんは実乃梨ちゃんが好きで逢坂さんは祐作が好きだった そして皆で過ごしていく内に実乃梨ちゃんも高須くんを好きになっていった そして……逢坂さんも高須くんに惹かれていって二人は互いの親友のため高須くんと距離を置いた」
そこまで話すと今度は逆に少しゆっくりと
「実乃梨ちゃん逢坂さん親友を思うのは良いことでもこの場合は自分に素直に特に逢坂さんは意地を張らないように」
大河が少しうつむく 亜美に対し敵意はない
亜美がクルッと竜児を見る

704:名無しさん@ピンキー
08/12/30 02:43:22 SWgiWG1w
「高須くん 選んで逢坂さんか実乃梨ちゃん 高須くんなら逢坂さんの生活も実乃梨ちゃんの夢もどちらも支えられる 辛い選択だけど二人に辛い思いをさせた罰だから」
そこまで言い終えると得意の仮面を被り
「答がでたらその人と高須くんを残して後は帰るから」
この言葉を聞き顔を真っ赤にする三人
「なっお前正気か!?」
「ば、ばかちー何考えてんの!?」
「え、エロいです安西先生!」

「だって選んだ後に気持ちが揺らいだりするかもだし選ばれなかった方も気が楽だと思うけど?」
「やっぱお前いい性格してるよ」
「この場合は褒め言葉だね~て言うか高須くんって顔面凶器のクセに女ったらしぃ~」
川島の話を真剣に聞いてやった己の馬鹿さ加減と顔をからかわれ挫けそうだ


空気が少し懐かしくなる それは別荘に旅行に行った時のような
「高須、ココは亜美に賛成だ男なら決めろ 恋は手の届く内にしないとしたくても出来なくなるかも知れないものだ」

705:名無しさん@ピンキー
08/12/30 02:46:01 SWgiWG1w
大河と実乃梨を交互に見る 別にどちらから葬って殺ろうかと考えているのではない 自分がこんな傲慢な選択をしていいのかどちらかを傷付けなければいけないのかと考えているのだ

大河は「アンタがいなくても一人で生きていけるわ」といつものようにふんぞり返っている
実乃梨は「恋でダメになるようじゃまだまだ努力が足りないんでぇ 今度は逃げないぜぇ」と親指を立てる
しばらく静けさが続いた そして竜児は
「――」

706:名無しさん@ピンキー
08/12/30 02:47:08 SWgiWG1w
春休み
「ゴメンねぇわざわざ来てもらって」
「でもホントに引っ越すのか?遠いだろ?」
「ストーカーもいないしいつまでも迷惑かけてられないし実家から通えない距離じゃないから」
「ばかちー引っ越すなら元の学校に戻ればいいのに」
「うっさい 大橋が好きなの それに高須くんといると楽しいし」
と亜美が意地悪そうに竜児を見る
すると実乃梨が竜児の腕をがばっと掴む
「コイツはもうあたしんだぁ あーみんには渡さん」
そう竜児ははっきりと大きく「櫛枝」と答えたのだ その答えに亜美も北村もそして大河も笑顔を作った

「やだぁとらないってぇ それにしてもやっぱり一線を越えると仲が良くなるみたいねぇ」
その言葉に竜児と実乃梨は顔を赤くした……が少し焦っているように見える

707:名無しさん@ピンキー
08/12/30 02:48:15 SWgiWG1w
「え?まさかあの状況でしなかったの?」
二人とも沈黙 アイコンタクトでどうしようとなってるのはとてもわかりやすかった
そして突然
「キ、キスはな!」
「あ、それ言ったらバレるって」
亜美は呆れ果てため息をついた
「マジありえねぇつまんねぇ高須くんそれでも男?」
上手い言い訳が出てこない頭が恨めしい
「いややっぱり恥ずかしくてねぇカラオケで盛り上がっちまったい」
「お、おぅ それにまだ高校生だしな」
女の子に庇って貰う…ヘタレである自分がまた恨めしい
「まぁいいわ で逢坂さんはどうしてるの?」
「大河は前と変わらず内に入り浸りだ」
「おぉよ!私らが親 大河が子供みたいなもんだ」
「アンタのお陰で何の問題もなく世話になってるわ ありがとばかちー」
「ありえねぇある意味つまんなくねぇけどありえねぇ」

708:名無しさん@ピンキー
08/12/30 02:49:09 SWgiWG1w
亜美は納得がいかず不機嫌そうだ
「まぁ川島、あれだ、その…ありがとな」

心から素直なお礼に亜美が戸惑っている時 北村が張り切って
「亜美、そろそろ始めないか?」と
亜美が再び素の不機嫌な顔になった
北村はやっぱりちょっとアホでそしてそれを小さい時から見ている亜美はちょっとウザいと思っているのかもしれない

竜児は凄い目付きで掃除を 北村はきびきびと段ボールを運び 実乃梨も筋トレを兼ねてそれに続く 大河は…手がガムテープでグシャグシャになっている
「何やってんだドジ」
と手の使えない大河の頬を軽くパンチ
「黙れこのエロ犬!!」
手乗りタイガーは吠える 竜の傍らで 皆に囲まれて

高校生活も後1年 それはもう楽しくなるだろうと皆の顔はそんなように見えた

709:名無しさん@ピンキー
08/12/30 02:54:40 SWgiWG1w
え~とまずすみません 素人丸出しです
そして9巻ラストと言っておきながら親問題に全く触れてません
妄想の範囲外です ゆゆぽさんには想像出来ないような続きを期待してます
10巻発売前でしかこういった事が出来ないので書かせていただきました
生暖かいアドバイスありましたらなんなりと…

710:名無しさん@ピンキー
08/12/30 03:07:00 SWgiWG1w
それと
内→家でした

711:名無しさん@ピンキー
08/12/30 06:41:06 C52LK5j+
>>671
GJ!
大河が最高に可愛い
やっぱ竜虎が一番萌えるわ
>>686
こっちもGJ!
料理うまそー

712:名無しさん@ピンキー
08/12/30 08:36:05 /9C1s/qe
おうおう!今年最後の投下ラッシュだな!
どれもこれもGJ!
職人の方達の活躍に、感謝します!

713:名無しさん@ピンキー
08/12/30 09:38:09 sIRw7KsD
GJ!ただ俺が素人的アドバイスを言うならば文脈の終わりに「。」をつけたらもっと読みやすいんじゃないか?折角の良作なんだから、さらなる高みを目指そうじゃないか!

714:名無しさん@ピンキー
08/12/30 11:03:11 QUKXMnLc
>>709
あれ?デジャブ?
VIPだかキャラスレだかで一回見たことある気が…

715:名無しさん@ピンキー
08/12/30 11:58:15 YKqpHf8k
ちと教えて貰いたいんだけど、SSのzip投稿ってどうやるんだい?


716:名無しさん@ピンキー
08/12/30 12:00:35 kv+USVAC
全裸になる

717:名無しさん@ピンキー
08/12/30 13:07:10 cZn6Equ7
そしてネクタイをまきます

718:名無しさん@ピンキー
08/12/30 13:17:10 SWgiWG1w
>>713
アドバイスどうもです

>>714
そこで書いた時は色々微妙なコメントを貰ったのとエロパロ行けと言われたので…

感想 アドバイスあったらなんなりと…

719:名無しさん@ピンキー
08/12/30 14:53:32 tGHODkur
>>686
作ったが、うまいな!


720:名無しさん@ピンキー
08/12/30 16:08:01 tGHODkur
>>718
言いづらいけど、確かに微妙だねー。
9巻ラストでの「大河を離さない」の決意はいずこへ?ジャイアントさらばはどうした?
とか色々疑問がわく。

721:名無しさん@ピンキー
08/12/30 16:37:46 SWgiWG1w
>>720
そこは701で一応言ってはあるんですが…ifを書くのってやっぱり難しいですね汗
まぁみのりんファンに少しでも共感頂けたらって感じですね

感想どうもです

722:名無しさん@ピンキー
08/12/30 16:50:29 Uxlc/1Eu
細かいことを言いだしたら、竜虎物以外はどれも辻褄の合わない疑問点だらけになっちゃうよ。
これまでにもキャラの皮を被せただけの実質オリキャラ物とかいっぱいあったし。
SSなんだから、その辺りはある程度寛容に見るべきだと思うけどね。

723:名無しさん@ピンキー
08/12/30 17:53:09 arBmoYkK
>>720ぐらいの意見は良いだろ・・・

724:名無しさん@ピンキー
08/12/30 17:58:21 /9C1s/qe
ssで原作と辻褄が合うようにしたら、竜虎ss以外できなくなるじゃんか。
みのりんssを期待する僕としては、それは困るわー

725:名無しさん@ピンキー
08/12/30 18:01:43 arBmoYkK
>>723は撤回するわ
一行目しかちゃんと読んでなかったスマン

726:名無しさん@ピンキー
08/12/30 18:07:42 vz5ep7qP
500と656を投稿した者です
すいません…自分、500が初投稿で…よくわからないんです…sageってどういう意味があるんですか?
しょうもない質問して本当にすいません…

727:名無しさん@ピンキー
08/12/30 18:44:47 m5fRV5RT
メール欄にsageと入れないとスレがエロパロ板のtopに来てしまい、色々な人の目に付き、荒らされる可能性が上がります。だからみんなageられるのを嫌います。 
逆にsage過ぎるとそのスレは過疎になってるとみなされ削除されてしまいますから、まぁバランスが大事です。基本はsage進行ですね。

728:名無しさん@ピンキー
08/12/30 19:13:09 vz5ep7qP
ありがとうございます
理解できました

729:名無しさん@ピンキー
08/12/30 22:13:45 BKOJYvbR
なにこのヌクモリティ。

そんな聞けば当然教えてもらえると思ってるクズとかググれ自分で調べろだけでいいのに…

730:名無しさん@ピンキー
08/12/30 22:21:24 sIRw7KsD
調べた俺は勝ち組...なんてな。てかPSPだと「・・・」が変換出来ないから困る。


731:名無しさん@ピンキー
08/12/30 22:27:02 m5fRV5RT
>>729 大事な書き手様ですから、ただ書くのをまって読むだけの自分にしたらそのくらいはすべきかな、と・・・・・・


732:名無しさん@ピンキー
08/12/30 22:31:33 jcdmEGSO
うん、そうだよな

733:名無しさん@ピンキー
08/12/30 22:37:06 sIRw7KsD
同意ーー。
小さな親切をやればみんな、生き生きするぞっ!

734:名無しさん@ピンキー
08/12/30 23:14:16 /9C1s/qe
それに、ここに書き込むことによって、他にも疑問に思ってた人(俺)とか
にもわかる。

735:名無しさん@ピンキー
08/12/30 23:25:18 4eFl81Qy
半年ROMればいいんだよ

736:名無しさん@ピンキー
08/12/30 23:30:59 YKqpHf8k
ここの住人はルールを守らないとさっそく注意してくるけど、でもちゃんと親切に教えてくれるよね。
それで良いと思うよ。

737:名無しさん@ピンキー
08/12/30 23:35:16 ME8+WPi/
しばらくROMればメール欄にsageと入れなきゃいけないっぽいのはわかるが
本当に全く誰もそういうこと説明したりしなくなっちゃったら
何年ROMっても「なぜそうしなきゃいけないのか」はわからないままだからなあw

738:名無しさん@ピンキー
08/12/30 23:58:04 sIRw7KsD
俺はいい作品読ませてもらってるわけだし、わかる範囲で力になるぞー。...まぁ、教えられることはなにもないんだがwww

739:名無しさん@ピンキー
08/12/30 23:58:07 /9C1s/qe
そもそも、sageとか知らない人はROMるの意味もわかんないと思うよ。


740:名無しさん@ピンキー
08/12/30 23:58:14 +Vv1H55F
初心者板いけよ
聞くな調べろ。なんど言わす

741:名無しさん@ピンキー
08/12/31 00:11:30 jfrgAcrv
>>740 説明書読みたくないのと同じで、直接聞きたくなるのも自分は分からなくもないですよ?
まぁ結局ググるのが1番ですがね・・・・・

742:名無しさん@ピンキー
08/12/31 00:25:11 raBck6fz
新参ロムれ
中学生か?

743:名無しさん@ピンキー
08/12/31 00:29:23 yJk2IIF8
古参気取り乙

744:名無しさん@ピンキー
08/12/31 00:42:28 i5eWn+CT
アニメ化最悪だわ
変なのが沸くのは本スレに留めてくれよ

745:名無しさん@ピンキー
08/12/31 01:06:14 jlN9pPoE
亜美「高須くぅ~ん。亜美ちゃんROMってわからないからぁ、教えてほしいなぁ」
竜児「調べてきなさい」
亜美「チッ!ちょっと高須君!高須君の亜美ちゃんに対する態度は明らかにタイガーと違うよね!?」
竜児「ああ。だってお前と俺は"対等"だからな」
亜美「そう意味じゃないから!対等って意味絶対間違ってるから!」
竜児「川嶋亜美は俺の先を歩くんだろ?」
亜美「ムガーー!!」

...


みのりん「見てみ大河、まぁたじゃれついてるぜ高須きゅんとあーみん」
大河「あの駄犬共はそんな意識ないんだろうよ...」
みのりん「無自覚...ねぇ?なーんかおじちゃん、体から熱いパトスがほとばしってきたぜ...」
大河「Go,Minorin.」
みのりん「Yes,Mam」

 大橋高校が誇る戦略兵器Tigerから対発情犬弾頭Moruzer発射。


 そして話は続かない。

746:名無しさん@ピンキー
08/12/31 01:40:58 WjJinJA6
ま~初心者は初心者版なんて知らないし
聞いちゃいけないなんて思わないし
仕方ないっちゃ仕方ないと思うけどね

747:名無しさん@ピンキー
08/12/31 02:27:31 n5f84oI+
そうだな、むしろsageを知る前にピンクBBS、エロパロ板にたどり着いたルート
それが他人の事でも少しせつない

748:名無しさん@ピンキー
08/12/31 02:39:11 2T4weAh0
エロパロなのにエロくないよね・・・

エロいSS読みたいです

749:名無しさん@ピンキー
08/12/31 02:42:05 LdG0n/Hu
竜虎のイチャイチャがみたかとです

750:名無しさん@ピンキー
08/12/31 02:43:56 RZ7N/cIL
そろそろ480kbに近づいてまいりました

751:名無しさん@ピンキー
08/12/31 02:55:36 jlN9pPoE
あら...。あとどんくらいもつかな。

752:名無しさん@ピンキー
08/12/31 03:03:34 jfrgAcrv
この流れ的に普段何kbまでもつの?って聞くのはヤボか・・・・

753:arl ◆VZZ0s4MLRU
08/12/31 03:08:33 jlN9pPoE
 どうも、竜児×亜美の年末の話書かせてもらったものです。たくさんのGJにわたくし嬉しくて鼻血が止まりませんでした。
 それで、続編というお声がありまして、その後の話でも書けたらいいなぁと思いながら話を考えています。
 もしよろしければ、その時はまた私の拙文にお付き合いしていただけると嬉しいです...。

754:名無しさん@ピンキー
08/12/31 03:10:37 Q2hlWF96
普段つーか500で
もうらめぇええはいりきらないのぉぉぉぉぉ
になる

755:名無しさん@ピンキー
08/12/31 03:22:12 jfrgAcrv
>>753-754 その時がくるまでめっちゃ期待して待ってます!!!!!?

756:arl ◆VZZ0s4MLRU
08/12/31 03:28:25 jlN9pPoE
 PCが諸事情により使えないのでPSPから投下します。
 更新遅いのはご了承願います。
 では出だしの部分をどうぞ。


...

[こんな年初め]

 遠くから除夜の鐘がなっている。
 内容の濃かった去年から、新たな年を迎えたのだ。
 来年はどんなことが起こるのだろう、とたった今迎えた今年に思いを馳せていたのは少し前で。
「さぁバカ犬。とっとと吐いてもらおうか、色々と」

 どんなことが起こるんだろう。

 皆から恐れられているヤンキーフェイスを悪化させながらも、その思いを馳せていた新年。
「イヤモウオレモサッパリ」
 そんな高須竜児のニューイヤーは、眼前で仁王立ちする虎たちを何とかすることから始まった。

757:arl ◆VZZ0s4MLRU
08/12/31 03:52:31 jlN9pPoE
 新年になる数分前。
 当初の予定では、俺は皆の年越しそばを準備して、新年いつでもカモンなはずであった。
 そのはずだったのだが、俺はその時、そばどころではない状態(状況)に陥っていたのだ。
 ーーその状況とは。
「さっさと説明しなさい。なんでアンタがばかちーとキ...キキキキスをしていたのかを!」

 ばぁん!と虎がテーブルを叩いて叫ぶ。
 櫛枝が作ってくれたのか、テーブルに置かれた年越しそばが驚いたかのように小さな音をたてた。
 ...正直、そのそばに俺自身を重ねてみたり。
 突然のことに驚いたのは俺であるからだ。
 理由は今虎ーー大河が言った。
 まぁそれが、俺がそばを作れないほどの大変な...の答えにあたるのだけれど。

 そう。今年をあと数分に控えた、言うならギリギリ去年に、高須竜児は大人への階段を一段抜かしで駆け上った。
 クラスメート...しかも(どうやら)大橋高校のアイドルであり(おそらく)人気モデルの川嶋亜美とキスをしたのだ。


758:名無しさん@ピンキー
08/12/31 04:00:03 tNGvysJ9
次スレのテンプレには是非コテハン付きでの馴れ合いと
誘い受け云々について一言加えておいてほしいですね

どうせ読みもしないんだろうけど

759:名無しさん@ピンキー
08/12/31 04:05:40 LdG0n/Hu
どんだけ神経質なんだよ

760:arl ◆VZZ0s4MLRU
08/12/31 04:14:50 jlN9pPoE
 なんでヤンキー顔がそんな美人とキスしてんだよ!てかお前が襲ったんだろ!?と、どこかの眼鏡とarlが叫びそうだが断じて違う。
 寧ろ襲われたのは俺だ。
「あ?...いきなりキスされて、それで何がなんだかさっぱり?」
 読者へ説明するため経緯を振り返って、ようやく落ち着いてきた俺が必死に説明すると、
「なんだそれはぁ!」
「バリバリ同意じゃないかーー!高須きゅんもあーみんも最後の最後にデッケーの打ってくれたもんだ!」
「いやぁ亜美の相手が高須とは...。良かったな、亜美!」
 大河のほかに、大河の傍らで暢気にそばを啜っていた櫛枝と北村も声を上げた。


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