09/05/10 01:44:51 FbJEIxJA
─ガラガラガラピッシャン─
冷たい鉄製の門が閉まった。そこから出てきた体格の良い男が笑みを浮かべながら歩いている。
「へっ、娑婆の空気は美味いね。ついでに美味い飯でも食いたいもんだ」
「2年振りに顔を合わせて言うことはそれなのか?」
「こっちは出所に合わせて準備していたっていうのによ」
男が1台の車の前で止まると中から新たに2人の男が話しかけてきた。
「そいつはすまねえな。で、あの女の居所は分かったのか?」
「あぁ、問題無いぜ。そらよ」
数枚の紙を渡す。その中の写真を見た途端に男の表情が変わった。
「間違いねえ、この女だ。あの時も思ったが中々可愛いじゃねえか。楽しみだぜ。─
ニヤニヤと不気味に笑いながら写真を見ている。周りの男達も同じように笑っていた。
─なぁ……月島青葉ちゃん」
─聖秀学園高等部・グラウンド─
「…クシュン!……」
聖秀学園野球部ただ一人の女子部員である月島青葉はくしゃみの後で若干ムズムズしている鼻を拭き整えていた。
「何だ風邪か?足のケガが治ったばかりなんだから気を付けろよ」
偶々近くにいたのでくしゃみに気づいた光が聞く
「すみませんね。それよりも自分の練習はいいんですか、先輩?」
聞かれたのが嫌だったのか棘のある言い方にヘイヘイと光はその場を去っていった。
この時はまだ誰も知るはずも無かった。青葉にこれから何が起こるのかを