キモ姉&キモウト小説を書こう!Part16at EROPARO
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part16 - 暇つぶし2ch700:未来のあなたへ5
09/01/11 02:15:02 VA84KB75
その日の夜。
僕……片羽桜子は、市立病院の個室にて午後九時に就寝した。
早すぎると言うなかれ。今日は榊君の相手もしたし、何よりずっと絵を描いていた。
休憩を挟みながらとはいえ、結構集中力を使うんだよ、創作活動というのは。
そもそも消灯時間が午後九時だし、入院しているなら体力の回復が優先されるべきじゃないか。
入院中に趣味に熱中しすぎで倒れたなんて、本末転倒の見本にされてしまうよ。
まあとにかく。僕は午後九時に就寝したわけだ。ぐう、とね。
そして、ふと深夜―おそらくは午前一時頃に目を覚ました。
何故か? トイレ……おっと失敬。花摘みは就寝前に行っていたので、それは肉体的欲求ではなく精神的欲求だったのだろう。
もっと言えば虫の知らせ、第六感、そんなものの仕業と思われる。さておき。
目を覚ました僕は、ベッドの上で覆い被さる人影に押さえつけられていた。
「――!」
驚いたよ、そりゃ驚いたさ。
思わず心臓が止まってしまいそうになるほどだった。悲鳴を上げようにも、口元は手で塞がれていたけどね。
だって想像してみなよ。何事もなく一日が終わって、夜中にふと目が覚めたら。真っ暗な病室で、誰かに押さえ込まれてるんだよ。
しかもその上
「助けを呼んだら殺す。抵抗したら殺す」
こんなことを言われてみなよ。これはもう凄まじい恐怖だね。
ただ、その声を聞いて更なる驚愕が僕を襲ったんだ。やれやれ、強すぎる感情は体に毒なんだけどね。
なにしろ、その声には聞き覚えがあったんだから。
折り良く、雲が流れて月光がカーテンの間から差し込んだ。闇に慣れていた僕の目に映ったのは

榊優香君だった。

「…………」
「――」
信じられるかい? 僕はまた大声を上げそうになったよ。まあ、口元は押さえられていたけどね。
優香君は中学校のセーラー服を着ていた。まあ、紺一色は夜中での迷彩効果は高いかもしれない。
僕を押さえつけている体勢は、布団の上からお腹に乗り、両膝で僕の両腕を押さえ、左手で口を押さえている。
柔道の技なんだろうか。とにかく、僕の四肢は布団と膝に押さえられて、とても満足な動きはできそうになかった。
優香君は、空いた右手でベッドの脇にあるスイッチ……ナースコールを手にとって、そっと手の届かない場所に置いた。さっき自分で言った通り、まず助けを呼ぶ手段から潰していくらしい。
僕はといえばその間、なんとか興奮と驚愕を落ち着かせようと努力していた。
クールになれ、片羽桜子。落ち着いて素数を数えるんだ。素数は孤独な数字。この僕に勇気を与えてくれる。
2、3、5、7、11、13、17,19、23、28、いや違う29だ……ふう。落ち着いて状況を整理してみよう。
状況から判断するに。優香君が病院に忍び込み、消灯後まで人目をやり過ごし、その上で僕の部屋に押し入ってきた、ということになる。正気だろうか。
僕の記憶が確かなら、看護婦の見回りは三時間ごと。そして午前一時という時間感覚が確かなら、後二時間は見回りは来ない。
おっと、今は看護師と言うんだったね。失敬。
具体的な危険についてだが、警告を受けたということは下手を打たなければ殺されることはなさそうだ。僕もまだ命は惜しいんで、これは非常に助かる。
では彼女の目的は何なのか、というと。これが全く謎なのだった。まあ、優香君が話してくれるだろう。
「…………」
す、と。試すように僕の口元から手が離され、喉に当てられる。軽く絞められた。ぐえ。いつでも絞め殺せるというパフォーマンスらしい。
僕が叫びださないのを確認してから、彼女はこの場に来た目的を、口にした。

「兄さんに……これ以上、近づくな。でなければ……殺す。このことを誰かに話しても、殺す」

……ああ。

「なるほど。つまり君は、榊君のことを異性として愛してる、ということか」


701:未来のあなたへ5
09/01/11 02:16:58 Q/D96k9j

驚きではなかった。
何故かって? まあ、それは環境と勘、さ。
榊君から話を聞いていて、どうも彼の人生に優香君が何かと働きかけているようだ、ということはわかっていた。進学とか勉強法とかね。
わからないのは動機だが、あんな働きかけは並大抵の労力じゃできやしない。しかも本人には気付かれずに、だ。執念としか言いようがない。
であるなら、考えられる動機は二つ。榊君にとてつもない恨みを抱いていて、その復讐だという線。
榊君の人生に影を落とす以上、僕としてはこの線だと疑っていたが。どうもこんな風に脅迫にかかるのでは、もう一つの可能性のほうが高そうだ。
即ち、愛ゆえに。
「どうしてそれが、榊君の人生に影を落とすような真似をするのかわからないが。今こうしてるのは、どう考えても嫉妬に狂った末の行動だからね」
「……っ! 私は、兄さんの人生に、影など落としていない……っ!」
「ああ。そういえば愛とは独占欲を伴うものだったね。となると、榊君を進学校に入れさせた理由も説明がつく。いや、すっきりしたよ」
「……今となっては、後悔していますよ」
「榊君と会えたんだ。僕は感謝しないとね」
僕が答えると、優香君の目付きが一際暗く、沈んだ。
腰につけたポシェットを後ろ手で開くと、凶器の柄が幾本も飛び出す。小型ハンマー、ドライバー、ペンチ、ナイフ、釘。
あ、あれ、柔道って素手でやるんじゃなかったっけ……?
右手を宙に浮かせ、指を鉤爪のように曲げて、優香君が言葉を搾り出す。
「片羽先輩も……兄さんが好きなんですか」
……おや?
「待ってくれ、優香君。『も』ということはつまり、榊君は僕のことが好きだと言うのか?」
「……っ!」
ザン!と
優香君がポシェットから抜き出したドライバー(マイナス)が、僕の顔の真横、枕に突き刺さった。
……や、薮蛇だった。今更ながら、ものすごく怖かった。落ち着け、素数を数えるんだ。
運動能力の圧倒的な差で、反応すらできなかったのだが。それが優香君には余裕と取れたようだった。
呟く。
「夜中に押さえ込まれて、殺すと脅されて、随分余裕があるのですね」
「いや、怖がってるよ。けどまあ、常に平静であらんとするのが僕の信念でね」
「……どうして、兄さんは、貴女のような人を……」
ふむ。
どうやら、榊君が僕のことを好きだというのは、ガセネタではないようだった。だからこそ、こうして今日忍び込んできたのだろうし。
まあ、言われてみれば榊君の態度に思い当たる節もないではない。また泣き出したり、絵を描いてくれと頼まれたりね。
ただ、それがどうしてなのか。
どうして、榊君は僕のことを好きになったのか。
そんなものは弓を持った天使でなければわからない……と言いたい所だが。実は推測がないわけでもなかった。
「前にも言ったが。性的魅力では僕よりも君のほうが遥かに上だよ」
「っざけ……!」
「いや、落ち着きたまえ。侮辱してるわけじゃないんだ、ただの事実だからね」
今度はペンチを抜いて振りかざした優香君を必死で止める。日曜大工用具の、そんな斬新な使い方は絶対体験したくない。
それにしても普段の優等生振りとは掛け離れた激情だ。ぱっと見の方向性は似ていても、中身は僕とは正反対だな。
「逆に言えば、僕と君とは外見の方向性は似ている……それが問題だったんだろうね」
「なにを……」
「まあ推測だよ。君のことだから、日々弛まず気づかれないよう榊君にアプローチしてきたんだろう」
間違った勉強の方法論を教え込んだのと同じように。正しいかはさておき、優香君は日々の努力を怠らないタイプだな。
「そしてその効果は出ていたはずだ。君は客観的に見ても、魅力的だからね」
「嘘をつくな! なら、兄さんは、どうして、私でなく、貴女なんかを……!」
「代償行為だよ」
ぴたりと。
優香君が動きを止めた。
頭のいい彼女のことだ。今の言葉で、どういうことか、完全に理解したのだろう。
「欲しいものが手に入らない時。代わりに似たものを手に入れることで欲求を満たす心理的防衛機能。それが代償だ」
「私が……妹だから……」
「そう。榊君は優香君に強い魅力を感じていた。だが優香君は榊君にとって妹であり、恋愛対象にはできなかった。そこで榊君は」
「無意識に。タイプが似ている貴女を……好きになった、ということですか」
「推測だがね」
「…………!」


702:未来のあなたへ5
09/01/11 02:18:07 VA84KB75
優香君が天井を仰いで絶叫した。声を出すわけにも行かず、音はすべて胸の中で噛み殺し、ただ無言で。
まあ……この推測が正しいなら。思いっきり優香君の自爆だからね。彼女は彼女なりにプライドがあるようだし、衝撃も大きいだろう。
そして。
しばらくして、優香君はまた僕を見下ろし……ペンチを構えなおした。
「……みんな殺す」
おいおいおいおいおい。
「私が妹である限り、代わりを求めるというのなら……兄さんに近付く女は、みんな殺してやる」
そう断言した彼女の瞳は。
僕から見ても……ああ。君も、か。
「絶望の向こうには何がある?」
「自由です」
そうだ。
絶望とは何処にも行き場のないということ。行くべき道全てが、閉ざされているということ。
だからこそ、それを乗り越えたとき。その絶望を受け入れたとき、人は自由になれる。
その境地は、無敵だ。
たが、まあ……だとしても。僕もまだ、命が惜しいんだ。
「待ってくれ、優香君」
「待ちません」
だよね。
優香君がペンチを振り上げる。どうも狙いは喉のようだ。まずは助けを呼ばれないように声を潰すというわけか。この期に及んで冷静だね。
だが。冷静だというのは良いことだ。まだ、僕の言葉で止まる余地はある。さて、もったいぶっている暇はないようだ。言ってしまおう。
「僕は榊君と恋人同士になるつもりはないよ」
ぴたりと、優香君の動きが止まった。
後はもう、賭けだ。これを侮辱か嘘か出任せと受け取り、激情と狂気に身を任せるなら僕はまあ高い確率で殺される。
だが。優香君とは、多少なりとも話はした。僕がどういう人間か、僅かなりとも見抜くかどうか。彼女の知性を信じるしかない。
そうして。
「……何故、ですか」
勝った。


「僕は重度の心臓病でね。過度の興奮は心臓に負担をかけ、死を招く。ホラー映画も、過度の運動も、過激なアトラクションも、そして性的興奮……性交も、全て医者に禁じられているんだ」

「言っただろう。僕は恋することのできない病にかかってる」


703:未来のあなたへ5
09/01/11 02:20:40 VA84KB75
以上です。
次は5.5で先輩キャラのスーパースレチタイム。
キモウトスレ的には余分な展開が続く予定です。

704:名無しさん@ピンキー
09/01/11 03:28:52 eGRF4a/1

先輩クールすぎワロタww

705:名無しさん@ピンキー
09/01/11 03:39:26 zwM/GX//
GJ
天国へ行く方法を考えてそうな先輩カワイイ
ポシェットの中身吹いた

706:名無しさん@ピンキー
09/01/11 09:25:55 nGG7kmrb
キモウト分、減ってねー!
だからこそGJ!

707:名無しさん@ピンキー
09/01/11 09:44:44 NeSTnaEU
素数ワロタww
何もともあれGJ!!!

708:名無しさん@ピンキー
09/01/11 11:29:22 4U6lTPL2
GJ
ついに強行たんが表に出たか

709:名無しさん@ピンキー
09/01/11 15:11:19 7TfXZr+j
兄の告白が来た時、優香の脳内はどうなってたんだろう?

710:名無しさん@ピンキー
09/01/11 15:47:03 folK1dXk
あの状況で話術を駆使してうまいこと誤魔化して、キモウトの憤怒をあらぬ方向に受け流している。
この先輩が仮にヤンデレなら、優香はうまく操られたあげくにボロ負け確実だなww

711:名無しさん@ピンキー
09/01/11 16:27:13 CNvS6CIb
GJ!
優香が策士系キモウトのジンクスに打ち勝てますように

712:名無しさん@ピンキー
09/01/11 16:34:07 wqmhZt5E
すごい面白いです。
先輩に勝ってる部分で戦闘力が出てくるところに笑ったw

713:名無しさん@ピンキー
09/01/11 16:58:13 dULsnkWR
ふふん、GJだな
先輩は良いキャラしてるね

714:名無しさん@ピンキー
09/01/11 18:38:19 Cx3v53hq
>>713
出たわね!この泥棒猫!!

715:名無しさん@ピンキー
09/01/11 19:06:14 G5/yvBkW
泥棒猫
雌豚

動物系の罵り言葉って他にどんなのがある?

716:名無しさん@ピンキー
09/01/11 19:18:58 W8y/b4Op
>>715
・鼠がぁ!!
・○○の飼い犬は引っ込んでろぉ!


717:名無しさん@ピンキー
09/01/11 19:36:11 SUzbcBWe
ビッチ(雌犬)

718:名無しさん@ピンキー
09/01/11 20:15:19 P1hz4VvK
三月ウサギは罵りになるかな?ビッチとか尻軽とかのニュアンスで

719:名無しさん@ピンキー
09/01/11 20:56:54 Y7D9adjn
「この女狐がっ!」が抜けてるぜ。
先輩と妹が主軸だが愛染かつら…じゃないアキラの方がどう絡んでくるのか気になる木。
ともあれGJ!

720:名無しさん@ピンキー
09/01/11 21:25:53 eCmgh4J8
「フッカーの成りそこないが私の弟に手を出そうなんていい度胸してるじゃない。
そんなにヤりたいのならそこら辺にうろつている下衆にでも声をかけたらどうかしら?
下品で教養も無い貴方にはとてもお似合いよ。
それで弟には手出し無用に願います。・・・・あら勘違いしないでね。
お願いではないの、命令よ。あなたの意思は関係ないの。
子宮で物事を考える人は理解がなくて困るわ。」


721:名無しさん@ピンキー
09/01/11 21:44:00 W8y/b4Op
この狸もだな

722:名無しさん@ピンキー
09/01/11 21:47:49 002+NXvz
はぁ・・・片羽先輩によしよししてもらいたい・・・

723:名無しさん@ピンキー
09/01/11 21:55:41 YvxxsqBb
先輩は骨を持っているんだろうか……

724:名無しさん@ピンキー
09/01/11 23:13:50 XMMCyV88
ドミネ・クォ・ヴァディス

725:名無しさん@ピンキー
09/01/11 23:22:54 zUqAyg12
>>724
神よ、貴方は何処へ行くのか……か。
ふふっ、詩人だね。

726:名無しさん@ピンキー
09/01/12 00:42:53 /Tha5lXF
「おまえは磔刑だ―――ッ!」は優香が言いそうな台詞だ

今回の脳内会議では満場一致で「やろう、ぶっころしてやる!」なのか

727:名無しさん@ピンキー
09/01/12 05:56:49 1A07YLBs
>>726
なぜかドラえもんを思い出したww

728:名無しさん@ピンキー
09/01/12 08:18:25 dAhN2sBM
>>726
キモウトだらけ。
……天国じゃまいか!

729:名無しさん@ピンキー
09/01/12 09:02:37 KTzOv+SK
ジョジョ好きなんだなおまいらw
次は潔癖か性欲のターンかな

730:名無しさん@ピンキー
09/01/12 11:06:54 qpGb82rh
>>726
恐慌に駆られた強行さんが、脳内議場で凶行を…

731:名無しさん@ピンキー
09/01/12 12:47:35 2N/scee7
ボクっ娘ふふん先輩かわいいです

732:名無しさん@ピンキー
09/01/12 14:17:23 TnYTzD0X
先輩サイコー過ぎる……
しかしながらキモウトがいい具合になってきたな。
どちらにも、居なくなってほしくないぜ!
GJです!

733:名無しさん@ピンキー
09/01/12 15:03:12 mlr8ErYc
おいィ?GJすぎるぞォ?

734:名無しさん@ピンキー
09/01/12 18:51:50 nC02IVrZ
>>143



735:名無しさん@ピンキー
09/01/12 18:56:48 6NO+Rz+6
GJ! 先輩も優香も可愛いすぎる

736:名無しさん@ピンキー
09/01/12 22:49:42 1k19hBNF
>>728
だが、そこにお前はいないだろう…
キモウトにとって兄以外の人間は全て映画でいうエキストラだからな


737:名無しさん@ピンキー
09/01/13 00:07:52 dNk3IaxQ
姉「弟くんの純潔は頂きだぁ!」
妹「
ッ! やられる!!

その時、彼の着ていた服が……いや、皮膚を含む彼が着ていた肌着が
全てパージされ中から長髪をの少女が現れた

姉「な、何ッ!?」
妹「お兄ちゃんの中に人が……」

なんという失態だ!こんな早期に、この姿を晒してしまうなんて……
あの子に嫌われてしまった……ぁぁ、神よ、俺は……僕は……私は……


下手で本当にスイマセン

738:名無しさん@ピンキー
09/01/13 00:19:50 UP/oVCOl
>>737
ナドレ…

739:名無しさん@ピンキー
09/01/13 00:27:43 5jRYsJHE
てっきり弟くんが拘束衣やら猿轡やら貞操帯やらをキャストオフして
『羽ばたけ、アジアンビューティードリーム』
とか何とか言ってる間に美味しくいただかれる話かと思った

740:名無しさん@ピンキー
09/01/13 04:17:54 riob2dxp
姉妹「お…

オネニ-サマ?」

741:名無しさん@ピンキー
09/01/13 07:48:09 xcpCFgHT
>>740
かしましじゃねえかwww

742:名無しさん@ピンキー
09/01/13 12:54:04 nnuALlk5
>>740
MAZE爆熱時空かよwww

743:名無しさん@ピンキー
09/01/13 13:19:18 jHQJzEoU
「お兄ちゃん(弟)をどこに隠した?」と拷問されそうだ。自分がそうだと言っても
信じるはずもなく…

744:未来のあなたへ5.5
09/01/13 17:21:02 7GyXmKXk
投下します。
内容は先輩キャラの自分語りなので、基本的にスレチです。
キモウトは全く出てこないので、興味ない方は飛ばしてくれて構いません。


745:未来のあなたへ5.5
09/01/13 17:22:21 7GyXmKXk
絶望を越えたなら、自由はそこにある。
世界はなんて美しい。





片羽桜子の奇妙な人生 ~経絡秘孔の一つを突いた、お前は既に死んでいる!~





僕は片羽桜子だ。命はまだある。
さて。僕という人間を語るとき、どこから話せばいいのか、少し悩むことがある。
過去の僕を語るか、現在の僕を語るか、未来の僕を語るか。
そういう区分分けになるのだが。それぞれのパートでオチがつくので、どのオチを最後に持って来るべきか悩むわけだ。
というわけで、三項目にざっとした内容を設けたので好きなところから見てほしい。
1.過去編(家族のこととか)
2.未来編(病気と心構えのこととか)
3.現在編(今の環境のこととか)
もっとも、そもそも僕の語りなんて興味ない人もいるだろうから、そういう人は全飛ばしでも構わない。どうせ本筋には影響ないしね。
それにこの先は、多かれ少なかれ死を取り扱った話になる。普通の人にとっては卑怯な話題だから、話半分程度に受け取るのがちょうどいいんじゃないかな。
それでは。退屈な話になるだろうが、片羽桜子という人間の半生を語ろうか。

746:未来のあなたへ5.5
09/01/13 17:24:08 7GyXmKXk

1.過去編
愛ゆえに生き、愛ゆえに死す。

僕も今では身寄りはないが、六年前までは家族がいた。父と母、そして僕という核家族構成。
今はもういない。二人とも死んでしまった。
父は僕が見るに普通の人だった。少々頼りないところがあり、お人好しなのが取り柄、そんな人だった。榊君に少し似ているかもしれないね。
僕の病気は生まれつきで、昔から入退院を頻繁に繰り返していた。昔からその世話を見てくれるのは父の役目で、よく背負われては病院に通った。
少し変な話だけど、僕にとって父は兄のような人だった。無論、僕には兄などいないけど、いたとしたらそんな感じだったんだろう。
父自身が実年齢よりもかなり若く見える、要するに童顔だったせいもあるんだろうけど。何より彼自身の性格に、押しというものが決定的に欠けていたのが原因だろう。
総じて、彼は誰かに害を及ぼすことのない人間だった。静かに生きて、静かに消える。僕にもそういうところがあるのは、遺伝なんだと思うことにしている。
今でも時々思う。父の人生は一体なんだったのだろう。
あんなふうに生きて、あんなふうに死ぬ。そこに父自身の意思は、どこまで通っていたんだろう。
それとも僕みたいに、妙な悟りでも開いていたんだろうか。悲しいことのはずなのに。そう思えば少し微笑ましい、というのは不謹慎なんだろうな。
母は、まあ、その、なんというか。
端的に言うと、狂っていた。母は、夫……父への愛に狂っていた。
あの人の人生には、たった二人。父と自分しか存在せず、父と自分しか必要としなかった。他の人間は障害物程度にしか思っていなかったし、それは僕とて例外じゃない。
愛のためならあらゆる倫理を突破する。そういう気性が存在することを、僕は生い立ちから知っていた。優香君も同じ方向性だね。
母自身のステータスはずば抜けたものがあった。僕の美人は母譲りだし、女ながらに大企業の管理職を勤めていたと聞いている。能力が高いだけにその行動を阻止するのは容易ではなく、母は我が家で絶対権力者だった。
その狂いっぷりを示す事例はいくらでもあるんだが。その中でも特大三つを一気に列挙してみよう。
1.父とは実の姉弟。
2.自分の両親(僕にとっての祖父母)を殺害。
3.死因は父との無理心中。
どうだい、酷いだろう。半端じゃない。


747:未来のあなたへ5.5
09/01/13 17:24:44 7GyXmKXk
まず、1のそもそも血の繋がった姉弟という点からおかしい。しかも僕という子供までいる。近親相姦以外の何物でもない。これはちょっと成歩堂氏でも弁護はしきれない。
ただし、父と母が姉弟という間柄にも関わらず、なぜ未婚とはいえ夫婦なのか。その経緯を推測するとき、僕の存在は鍵となる。つまり近親相姦妊娠逆レイプ。つくづく父のお人好しには頭が下がる。
自身が、父を繋ぎ止めるための道具として生まれた。そのことについて思い悩んだこともある。まあ結論から言えば、他にも色々ありすぎてその程度は埋もれてしまったわけだけど。
そうそう。というわけで、優香君が榊君を愛している、という推測に至ったのはこういう環境からだった。僕にとっては前例ありまくりな訳だからね。二回も係わり合いになるとは、一体どういう確率なんだろう。
ちなみに僕がどうやって1の驚愕事実を知ったのかといえば、母は家で父に姉さんと呼ばせていたからだ。おかげで世間に接するまで、姉というのは妻への呼称だと思ってたさ!
2の祖父母殺害についてだが、実のところ裏付けはない。事故死だったとは聞いているけど、当時の状況も詳しくは知らないのだ。
ならばどうしてそう思うのかといえば、父や母の言葉の端々を集積したとしか言えない。たとえばこんな具合だ。
『大丈夫。泥棒猫はお姉ちゃんが殺してあげるから……ね? 父さんや母さんみたいに』『や、やめてよ姉さんっ! 僕が悪かったから!』
ちなみに姉がそんな凶行に走ったとして考えられる動機は、言うまでもないので省略する。それはまあ、普通の親なら絶対認めないだろうなあ。
3は、僕自身が目の当たりにした最後だ。とはいえ、その瞬間を目にしたわけじゃない。ある日退院して両親の待つ家に戻ったら、二人は血塗れでロビーに倒れていた。凶器は包丁。喉と腹がざっくりと開いていた。
ちなみに僕もその場で卒倒して死にかけた。興奮や驚愕で不整脈に陥るようになったのはこの日からだ。全く、これ以上の驚きが一体どこにあるって言うんだろう!
母がどうして父を刺したのか。その理由は未だにわからない。いい加減父も我慢の限界だったか、あるいは浮気でもしてると誤解したのか。もはや永遠の謎だが、僕としては理由をあまり気にしてはいない。
今思えば、理由なんてきっかけに過ぎない。母がああいう人間である以上、遅かれ早かれこうなっていただろう。生きた不発弾のようなものだ。
僕の母は、愛が強すぎた。
愛は人を殺す。
今はもういない、僕の家族から得たものの幾つか。
僕の、色恋沙汰に対する淡白な態度は。こうした精神的な土台からも生まれてきたものだと思う。
そして、この僕の病も。生まれついての心臓病も。
血の繋がった姉弟で愛し合ったことに対する、神様の辻褄合わせなのかもしれないね。

748:未来のあなたへ5.5
09/01/13 17:25:23 7GyXmKXk
2.未来編
死を恐れるな、だが命は惜しめ。

僕は、生まれついて重度の心臓病を負っている。
簡単に言うと、他人よりも心臓の筋肉が弱いという病気で。普段は何とか普通に行動はできるんだが、ちょっとしたことで心臓がパニックになると心不全に陥ったりする。
いわゆる奇病で、治療法はまだ確立されていない。心臓移植が唯一効果があるそうなんだが、僕は体質的に稀なパターンらしく(血液型にもあるよね)かなり絶望的なんだそうだ。宝くじで前後賞がまとめて当たるぐらいの確率だとか。
というわけで、僕はこの心臓と生涯付き合っていかなければならない。今からこいつのことは心臓君と呼ぼう。
心臓君は貧弱な坊やで、興奮するとすぐにばててしまう。それだけなら僕も倒れるだけで済むんだが、心臓君がひっくり返って気絶してしまったりすると、僕はもれなく心停止で死んでしまうという、困った一蓮托生だったりする。
一応、症状を和らげる薬は常備してはいるけれど、市販の風邪薬と同じ程度の効能らしい。ま、それでも無いより余程心強いけどね。
何より大事なのは、興奮しないこと、平静を心がけること。
そうして僕は生きてきた。
興奮を過剰に煽る諸々、遊園地の絶叫系アトラクション、ホラー映画、急激な運動、恋愛、唐辛子。そういったものを能動的に避けるのは勿論ある。
そして、後は受動。突然遭遇した出来事に対しても、驚愕や動揺をしないように、常に心がけていなければならない。
平静であれ、感情を乱すな、クールになれ、素数を数えろ……
朝起きた時から、夜寝るまで。物心ついた時から、ずっと。
生きるために。

そうして、当たり前だが僕は。感情をほとんど表さない人間になっていった。
いいや。表さないだけじゃない。感情というものを、心底下らないと思うようになっていったんだ。
何があっても笑いもしないし、泣きもしない。美しいものを見ても感動などしないし、自分の病状にも失望しない。逆に、そういった事柄に一喜一憂する人間を軽蔑していた。
愛など僕には不要だ。
世界はなんて下らない。
全く、なんて可愛げのないロリだろう。いや、ガキだろう。ラッシュを見開きで五ページぐらい食らわせたいよ。おらおらー。
心が歪めば世界も歪む。
その時の僕には、世界は平坦にしか見えなかった。外に興味を持たず、病院と家と学校を往復する日々。それだけで満足する日々。
勿論、それは僕自身の心が平坦だったわけだが。けれど、決して自ら改めようとはしなかった。
本当は、怖かったからだ。
そう。下らないと決めつけながら、僕は本当は怖かった。恐ろしくて恐ろしくて仕方がなかった。
脅威と興味に満ちた、外の世界が。そして、脅威と興味の果てに訪れる、死が。僕は恐ろしかったんだ。
まさに、取れないブドウは酸っぱい論理。
まあ、結局僕は甘ったれているだけだった。心の底では、いつか病気が治って普通に生きられると思っていたんだからね。
何故なら、自分はこんなにも我慢しているのだから。我慢して生きているんだから、報われないとおかしい、と。
表では世の中全てを興味がないと見下して、裏では死を恐れながら他人から与えられる救いをただ待っている。いやあ、なんて可愛げのないロリ(略)
さて、そんなガキに皆さんお待ちかねの天罰が二度ほど下る。
正に絶望というものを味わい、その衝撃で発作を起こし、二度ほど死の淵を彷徨うことになる。

ところで。ここで脱線するのだけど、まず絶望の定義からしてみよう。おっと、これは単なる僕の持論だからね。
簡単に言うと、絶望とは『どうしようもなさ』だと僕は思う。
ある問題が存在するとして、それが解決可能なものなら。人は怒ったり悲しんだりするかもしれないが、解決のために手段を執るだろう。
けれど、その問題を解決する方法がないのだとしたら。人はいったい、どうすればいいのか。
勿論、そんな問題は幾らでもある。例えば、死など最たるものだ。人間はどう足掻いても死ぬ。それはどうしようもない。だから、死と絶望は強く結びついている。
ただし人間は面の皮が厚くできている。どうしようもない問題は、スルーすることを知っている。深入りしてもどうしようもないことに、わざわざ自分から深入りする人はあまりいない。
だが、問題は時に。問答無用で人間に突きつけられることがある。スルーしようがないほど、どうしようもなく。
つまり絶望とは。『どうしようもない』問題を『どうしようもなく』突きつけられた時に、起こるものだと思う。
問題そのものに絶望するんじゃない。避けようのない問題に対して一切何の手も取れないことに、絶望するんだ。


749:未来のあなたへ5.5
09/01/13 17:26:05 7GyXmKXk

さて、分かり難いあやふやな話はこれくらいにして。具体例にいってみようか。
第一の絶望は、両親の死。
僕がどう足掻いたところで、父と母は生き返らない。
第二の絶望は、余命の宣告。
僕がどう足掻いたところで、僕はあと数年で死ぬ。
いやはや。間を置かずほぼ二連発だったからね。例えるならガゼルパンチからデンプシーロールを食らったようなものだよ。
余命に関しては、以前からわかっていたことではあるんだろうが。両親は本人に伝えないことを選んだんだろうね。で、二人が死んで本人に来ただけのことだ。
これで、いつかは治るなんて無根拠な願望を抱いていたんだから、全くもって。人生はショートで見れば悲劇、ロングで見れば喜劇だね。
ま、数年と言いつつ余命予測は二十代半ばだったのはさておき。
絶望したよ。
某先生風に表現するなら。絶望した! 両親が死んだことに絶望した! あと数年で死ぬことに絶望した! といったところだね。
目の前で無惨に死んでいた両親。近い内に自分も辿る未来。
正に、『どうしようもない』問題を、『どうしようもなく』突きつけられたわけだ。
死のうと思ったよ。
死のうと思って、病院の屋上に登った。
いずれ死ぬのに今死ぬなんて、馬鹿げてると思うかい? けど、絶望の中で何年も生きるなんて、死ぬより余程辛いとそのときは思ったものさ。
いや、これは今でも思っている。死ぬよりも、生きるほうが余程辛い。
病院の屋上に登ったのは、看護師が最も忙しい夕方だった。シーツが取り込まれ、誰もいないがらんとした屋上に、物干し台だけが立ち並んでいた。墓標のようだと思ったよ。
屋上の端まで歩き、フェンスを乗り越える。死ぬと決めたからか、体は妙に軽かった。
病院暮らしが長いから、たまに飛び降りる患者がいることも知っていた。死にたくない人は、足から落ちて両足を折る。だから、頭から落ちないといけないな、と考えてたよ。
フェンスの向こう側の迫り出しに立つ、その向こうにあるのは、夕焼けと朱に染まった街並みだ。
ま、引っ張るのはこれくらいにしておこう。ありきたりな話だが、結局僕は死ぬのをやめた。直前で心変わりしたんだ。
夕焼けと朱に染まった街並みが、あまりに美しかったから。
死に対する恐怖で、世の中全てを興味がないと見下していた僕は。死が確定したことで、やっとそんな下らなさから開放されたんだ。
君は目が覚める音、というのを知っているかい? めりめりと、目ヤニで固まった瞼が痒痛と共に開いていくんだよ。額にもう一つ、目ができたような感じだったよ。
世界はなんて美しい。
そうして、開いた目で自分を見てみれば。
この美しい世界と同じように。僕が生きていることが、急に惜しくなったんだ。
わかるかい? みんなや僕の足元に共通で広がる死の淵が怖いんじゃない。みんなや僕がそれぞれ持っている、命という火が惜しいんだ。
僕の命は、もうすぐ消える蝋燭の火のようなものだ。
だが、それだけだ。それ以上でも、それ以下でもない。数年後には消えるが、まだ消えてはいない。
それが、僕の持って生まれた命で。それをどうするかは、完全に僕の自由だ。
生きるというのは。死を恐れて逃げ回ることじゃなかった。
この命を、どう使うか。生きるというのは、そういうことじゃないか。



750:未来のあなたへ5.5
09/01/13 17:27:55 7GyXmKXk

3.現代編
覚悟は『幸福』だぞエンポリオ!

両親が死んだ後、僕は数少ない親戚から引取りを断固として拒否された。
そりゃまあそうだろう。なにしろ無理心中した姉弟の娘なんだからね。その上重度の心臓病で、祖父母も不審な死を遂げている。忌まわしいことこの上ない。
結局、一応の保護者として大叔父の庇護下に入るけど、基本的に親族とは断交することになった。まあ両親の遺産がかなりあり、当時すでに十四歳だからこそできた芸当だね。

おっと、少し脱線するがここで数字の誤謬を正しておこう。
問:両親が死んだのは六年前なのに、当時十四歳とはどういうことか。
答:僕は今年で二十歳になる。成人式を迎えられる年齢だ。
はっはっは。いや、別に騙すつもりはなかったんだけど。わざわざ言い出すのも変かなあ、と思ってね。榊君には悪いことをしたなあ。
ま、普通に考えれば当たり前で。これだけ入退院を繰り返してれば、当然出席日数も足りなくなる。ちなみに小学五年生で一回、高校二年生で一回留年してる。
ちなみに今年の誕生日は既に迎えているので、僕は既に二十歳だ。名前の通り、春生まれだったのでね。

すっぱいブドウ理論で武装していたせいで、僕には友達というものができたことが無い。そこから自由になっても、出席日数の少なさと留年による大先輩扱いで結局無理だった、まあ仕方ない。
そんなわけで。僕は入退院を繰り返しながら、一人で絵をかいては暇を潰すという生き方を続けてきた。
それができる程度の遺産は両親、そして祖父母は残してくれていた。というか父と祖父母の保険金……まあいいか。
絵を描き始めたのは父の影響だ。といっても、父が絵描きだったわけじゃない。入院中、退屈そうにしている僕に、クレヨンとお絵かき帳を渡したのが父だった、というだけの話さ。
何しろ暇だけは有り余っていたから、才能はさておき腕前は上達していった。画材もクレヨンからスケッチ、パステル、水彩とエスカレートしていったけど、流石に油絵はやめておいた。体力的に。
けれどそのうち、モチーフに行き詰った。前述の通り、僕は外界に関わることが恐ろしかったから。病院周辺の景色ばかり、いつまでも描いていては飽きもくる。
そうして飽きたということで、その時は絵筆を投げ出した。けれどそれは、ただ自分や周囲を上辺だけで誤魔化しただけだ。
本当は、外の世界を描きたかった。
だから、目が覚めた後は。外の世界を描くことにした。
夕焼けに染まる街並みを。青春を謳歌する生徒達を。日々通う平和な場所を。ゆっくりと巡る季節の移り変わりを。それらの景色を目の当たりにした時に抱く、僕の感情全てを込めて。
この美しい世界を、描きたいと思ったんだ。
感動とか悲しみとか、ありのままを感じた末に、倒れたこともよくあったけど。まあ、まだ生きているから結果オーライでいいだろう。その程度のリスクは織り込み済みだ。
それに、理由はそれだけじゃない。その、なんだ、あれだよ。
僕は死ぬまで性交ができない。膜が破れると同時に心臓も破れてしまうからね。HAHAHA。
逆説的に。性的興奮が御法度なら、下手くそ相手ならいいのか? という考え方もあるが、となると僕は童貞専門というすごいレッテルを貼られてしまう。それに童貞でテクニシャンだったらどうするんだ。
ま、冗談はさておき。この場合の問題は快楽ではなく、その結果。つまり子供だ。
僕の体力で妊娠、出産に耐えられるかどうか、がまずかなり怪しい。更に、僕自身があと数年で死ぬのというのに、子供に対して無責任でしかない。トドメに、僕自身の先天的疾患が遺伝しないとは限らない。
色々あるが、僕は子供を残せそうにない。
だからまあ、絵を描くのはその代償行為だ。いずれ消えるこの命を、形にしてこの世界に残したい。それは生物としてごく自然な欲求じゃないかな。
僕が死んだら、これらの絵は数少ない知人に配布してもらうよう、既に遺言状に書いてある。その中には榊君も柳沢君も優香君も晶君も含まれている。何しろ何時死ぬかわからない身だ、頻繁に書き換えないとね。
勝手に押しつけるわけだから、下手くそだと捨てられないよう、一枚一枚できるだけ上手に描いている。それでなくても、僕の人生を塗り込んでいるようなものだ。手など抜けるわけがない。
ま、ただのオナニーにならないように頑張るよ。

751:未来のあなたへ5.5
09/01/13 17:30:40 7GyXmKXk

僕の語りはこんなところだ。長々と退屈な話題ですまなかったね。
最後に、榊君と優香君のことでも話そうか。
榊君と付き合うつもりはない、と言ったのは本心だ。前述の通り、僕は子供を残せない。性交も無理だ。それなら、男女交際を行う理由がない。
それに僕はあと数年で死ぬ。そんなどうしようもないものを、榊君に突きつけるつもりはない。絶望を越えた時、人は自由になれる。だが、越えられなければ屍と化す。
とはいえ、優香君を応援するのかといえば。それもなんだかな、という気もする。
僕は近親相姦自体を否定するつもりはない。何しろ僕自身がその結果だ。自分自身を否定することになる。
問題は純粋に、果たしてそれで榊君が幸福になれるのか、ということだ。
どうも優香君には僕の母と同じ臭いがするんだよな。その願望だけじゃなく、高いスペックで事態をごり押しするところとか、相手の感情を実は全く思いやっていないところとか。
このまま行くと、父のようになんじゃこりゃーと終わりそうな気がしてならない。いや、父が不幸だったかといえばノーと言いたいけど、妙な悟りを開かなければ幸せとは言えないだろうなあ。
榊君には恋愛感情はないけれど、大事な後輩であることには変わりない。せめて卒業するまでは、面倒を見てあげたい気持ちはある。今まで気付かなかったけど、僕は過保護なタイプなのかもしれないな。
あと数年で死ぬからといって、無責任に投げ出したくはないんだ。
僕が死んでも彼等は生きていくし、僕が影響を与えたことは彼等の中で続いていく。
絵と同じだ。遺伝子ではないけれど、この世界に僕が残す生きた証の一つ。それなら、せめて良い影響でありたいよ。

死は不可避だが、僕はそれを恐れてはいない。
胸を張って、軽く笑って、命を好きに使えばいい。
自由な心さえあるのなら、世界はなんて美しい。
ふふん。


752:未来のあなたへ5.5
09/01/13 17:31:59 7GyXmKXk
以上です。
次の話ですが、5.6を入れて先輩キャラと兄キャラがいちゃつくスレチを無駄に続けるか。
さっさと本編6.0に進めてキモウト的展開への復帰を早めるか(6.0も大分先輩キャラ的な話)
どっちにするか悩んでます。


753:名無しさん@ピンキー
09/01/13 18:16:50 DBQyIuhx
GJ。
スレチなら、6,0進んじゃっていいんじゃないか?

754:名無しさん@ピンキー
09/01/13 18:25:26 9S/wHGrH
スレチか……しかし
賭ける(コール)

なんでかって? フフフ……
つまり、「キモウト」や「キモ姉」という力は、ビッグバンより先に存在していて、
全ての兄や弟は彼女らに導かれ、すでに保有されているからだよ。
しかし、これから先輩が 兄になにをしようと…決して…
…逆上して冷静さを失ってはいけないぞ…

755:名無しさん@ピンキー
09/01/13 19:25:50 F3cqqJyc
>>752
はー、先輩ってこういう人だったのね、惚れちまいそうです。
展開に関しては投下スピードとの兼ね合いによるのではないかと思います。5.6の後に間隔が
空きすぎるのなら、キモウト的展開が薄くなってアレだし、いっそのこと書きだめして間を空けずに投下
してみるとか。

756:名無しさん@ピンキー
09/01/13 19:29:47 dNk3IaxQ
>>743
結局男にプットオン
姉妹「これで元の鞘に……戻れるかぁ!!」

757:名無しさん@ピンキー
09/01/13 19:49:02 zUdDulz3
>>752
GJ
過去話で先輩がさらに可愛く見えてきた、特に20歳っていうのがツボだ

>宝くじで前後賞がまとめて当たるぐらいの確率だとか。
これにはちょっと期待してる

758:名無しさん@ピンキー
09/01/13 20:19:52 R+XWuM2p
>>752ーーーッ!
キミが次を書くまでGJをやめない!!
WRYYYYYYYY

759:名無しさん@ピンキー
09/01/13 20:20:44 8FV44M6Y
>>752
GJ
優香には幸せになってもらいたいんだけどなー
無理なのかなー

先輩の心臓にだけはならんでくれと願うばかりです

760:名無しさん@ピンキー
09/01/13 20:20:57 hPzR3FBg
>>752
GJ

先輩がただの好意→恋愛感情になる(気付く)のが楽しみ

761:名無しさん@ピンキー
09/01/13 20:26:08 A2rBI3vU
GJ
こういうのどっかで見た事あるな、何だっけ















走馬灯?

762:名無しさん@ピンキー
09/01/13 21:05:11 UilVZ9Jg
GJ

5.6が先輩とイチャイチャなら5.7でキモウトとイチャイチャすればバランス取れると思うんだ。

個人的にはキモウトが日常どうやって兄にアプローチしてるか読みたい。

763:名無しさん@ピンキー
09/01/13 21:18:59 lDXHaf6Y
先輩イラネ

764:名無しさん@ピンキー
09/01/13 22:17:28 F3cqqJyc
キモスレとしては、先輩の恋愛パートはいらないと言う意見はうなずける所もある。
でも個人的には先輩の恋愛しているとこともみたいんで、スピンオフで素直クールスレあたりで
先輩主人公でひとつ書いてみてくれないかなぁとか思う

765:名無しさん@ピンキー
09/01/13 22:30:15 f5gTUPVX
なんだよこのスレwwww
姉とか妹とか普通にありえないだろwwww

766:名無しさん@ピンキー
09/01/13 22:30:35 f5gTUPVX
t

767:名無しさん@ピンキー
09/01/13 22:31:21 f5gTUPVX
ごめんごめん(笑)
さっきのはうそだよ~
お姉ちゃんって最高だよね(笑)

768:名無しさん@ピンキー
09/01/13 22:36:19 ovxTY1Nw
>>752
GJ! 個人的には5.6は物凄く読みたい

769:名無しさん@ピンキー
09/01/13 22:57:32 9Pgh9Mu5
長編だし、キモウトの観察者である先輩のエピソードは入ってもいいんじゃないかな
というか個人的にすごく好きなキャラなので、ぜひおねがいします

770:名無しさん@ピンキー
09/01/13 23:14:12 wO0qph0Y
494kbまで来てるのに次スレなんで立てないの?

771:名無しさん@ピンキー
09/01/13 23:21:22 wO0qph0Y
次スレ
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part17
スレリンク(eroparo板)
このスレもギリギリで気づいて立てたのでニ連続で次スレ立てずにスレ落ちするとこでした。

772:名無しさん@ピンキー
09/01/13 23:42:01 H+bpnIQT
キモ分がないとおもったらまとめてtxtでうpするとか
別のスレでひそかに投下するとか工夫したほうがいいかもね

773:名無しさん@ピンキー
09/01/14 01:20:07 kLF69/V+
遅くなったがGJ
しかしまた偉大なる謀略家シスターが志半ばで倒れそうなオーラを感じるぜ

774:名無しさん@ピンキー
09/01/14 07:23:38 dBe8oY7O
おっつっつ
経絡秘孔吹いた

775:名無しさん@ピンキー
09/01/14 07:48:37 tEzZNr4I
先輩の話は是非とも見たい
だがスレ違い話はいらないという意見ももっともだ
ということで↓で投下してはくれまいか
スレリンク(eroparo板)

776:名無しさん@ピンキー
09/01/14 08:48:28 DsN6/Lpg
別にキモウト分が足りなくてもこのスレに投下するべき。

読みたくない人はとばせばいいだけだし。

777:名無しさん@ピンキー
09/01/14 10:43:09 roP1JY1d
その一話にキモウト分が足りなくてもキモウトSSの話の一部な訳だしね

778:名無しさん@ピンキー
09/01/14 10:53:53 139TfjDJ
それにこの先輩は優秀なキモウト観察者だ
こういう視点は面白い

779:名無しさん@ピンキー
09/01/14 15:21:08 guZ+K5wT
長編なんだから、それぞれのキャラへの肉付け的にそういうのは欲しいところ。メインはキモ姉妹だけど、他の登場者(特にライバル)の背景は、個人的に話を面白くすると思う。

780:名無しさん@ピンキー
09/01/14 15:45:25 7P9MDFVT
同意
1話がスレチであってもキモウトSSの一部なことには変わりないし、キャラの個性がでてきていいと思う
ただやっぱり5.6と6.0の間隔をあけるとキモウト分が薄くなるから、5.6を載せるなら書きだめして間隔をあけずに両方のせてほしい


てか5.6がよみたい

781:未来のあなたへ
09/01/14 20:49:17 PKjfu72l
意見どうもありがとうございました。
ではしばらく書き溜めてから投下します。

782:名無しさん@ピンキー
09/01/14 21:14:55 pOISKE1Q
駄目だ! 書きためられたら、こちとら欠乏病を起こして死んでしまう!

783:名無しさん@ピンキー
09/01/14 21:58:30 roP1JY1d
>>781
期待してます。

784:名無しさん@ピンキー
09/01/14 22:50:29 kLF69/V+
>>782…キモウト欠乏症にかかって…

785:名無しさん@ピンキー
09/01/14 23:33:10 JGBVWx5o
押してもダメなら引いてみる。
この戦術を使うキモウトを読んでみたい

786:名無しさん@ピンキー
09/01/15 01:01:52 BS10iA69
たまにはキモウトの想いが成就するSSがあってもいいと思うんだ

ねぇ、おにいちゃんもそう思うよね?

787:名無しさん@ピンキー
09/01/15 01:27:30 bCkLuUJW
そうかぁ?
妹の兄に対する想いが実るって…ありえないだろ
でもお前が普通の妹で本当に良かっ…どうしたんだよそんなにびっくりした顔して
俺はもう寝るからな
お前も早く寝るんだぞ

788:名無しさん@ピンキー
09/01/15 15:16:40 QxyhbHy9
インフルエンザの熱で脳がオーバーヒートする中
「血縁が無いからこそ成立するキモウト」という、わけのわからないテーマが浮かぶ。
18歳の誕生日を迎えたその日から、ありとあらゆる手段を使って婚姻届に署名
させようするキモウト…いまひとつじゃ。
皆様も御身大切に。

789:名無しさん@ピンキー
09/01/15 15:31:36 vvmRITjV
 7時~15時までの8時間。
 15時~23時までの8時間。
 23時~7時までの8時間。
 『中身は』その三交替で順次ループし、
 『二つの身体は』毎日24時に順次移り変わってループする。
 表に出る人格は、8時間ごとに兄と妹で切り替わり、
身体は24時を迎えると、らんま1/2みたいに男と女で切り替わる。
みたいなのを思い付いた。
兄は幼馴染みが好きで、妹は兄が好き。
そんで妹は、男の身体から女の身体に切り替わるギリギリでオナニーして、
射精すると同時に女の身体へ。
その後に、精液の着いた手でオナニーして妊娠しようとする……みたいなの。

誰か書いてくれんかな。

790:名無しさん@ピンキー
09/01/15 16:43:51 QxyhbHy9
また複雑な設定を。中身と体の入れ替わりが別周期ってのは描写が…

791:名無しさん@ピンキー
09/01/15 19:35:04 BS10iA69
>>789
Remember11か

792:名無しさん@ピンキー
09/01/16 00:38:57 vCSzjflK
>>788
やあ、俺は風間信。飛行学校に通っている学生さ!
今は同じ飛行学校に通ってる、孤児院時代から妹みたいな存在だった神崎佐鳥と一緒に飲みにいってるんだ!

「やば……ねむ………」
「お兄ちゃん、起きてよ!起きてこれにサインしてよ!」
「サイン?……どこにだよ、したら寝かせてくれるのか」
「ホラ、ここだよ。外泊許可なんだからしっかり書いてね」
「外泊用紙ってこんな色だったかねぇ………酔ってんのか?……と、これでいいかねぇ……ZZZ」
「お兄ちゃん、ありがとうね♪」


「ん……もう朝か?……頭痛い……」
「おはよう、あ・な・た」
「ああ、佐鳥。おはよう………あなた?」


酒で酔い潰されてサインした書類で傭兵部隊に飛ばされたヤツもいるんだ。酒で酔い潰させて適当な事言えば書くと思うぞ。

793:名無しさん@ピンキー
09/01/16 02:45:33 tfEnhBSp
埋めようか

794:名無しさん@ピンキー
09/01/16 02:57:35 uDiHKlya
>>792
黒髪ロングで某国王女の生徒会長がいるんですね
わかります

795:名無しさん@ピンキー
09/01/16 10:07:21 EtHUZMvW
埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め
埋め埋め埋め埋め埋めうめうめうめうめうめうめうめうめうめうめ
ウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメ
ウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメ
ウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメ
ウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメ
ウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメ
ウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメ
ウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメ
ウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメ
ウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメ
ウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメ
ウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメ
ウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメ
ウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメウメ


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