キモ姉&キモウト小説を書こう!Part16at EROPARO
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part16 - 暇つぶし2ch350:名無しさん@ピンキー
08/12/23 21:13:35 7meSZcWn
――あの人は歪んでいます。
幼馴染にそう言われたのはいつのことだったろう。
「あの人」が私の姉を指すと気づいたのも最近のことだ。

姉さんはいつも私に優しかった。
それこそ、生まれたときから私は姉さんの怒った姿をあまり見たことがない。
年の近い弟だからか、姉さんはいつも私と遊んでくれた。
傍にいてくれた。

けれど、そのことに違和感を覚えたのはつい先日のことだった。
私は幼馴染の娘と恋仲になった。
初恋は叶わないとはよく言うが、私たちにはどうやら当てはまらなかったらしい。

姉さんも喜んでくれる―
そう思って一番に姉さんに報告しに行ったのだ。
ことあるごとに、いつも私が付いていますからね、お前の面倒はずっと見ますから、などと
言われ続けてきたのだ。周りでも評判になるほど美人の姉さんが、縁談を断り続けてきたのも
私が不甲斐ないせいだったのだと思っていた。
しかし、これで姉さんの肩の荷を降ろしてやることができる。良い相手を探してくれる。

そう思っていた。


351:名無しさん@ピンキー
08/12/23 21:14:54 7meSZcWn

最初、姉さんは無表情で聞いていた。
しかし、話が進むにつれてその顔は少しづつ、私の知らないものになっていった。
驚かそうとしてもそうはいきませんから、と笑っていた時はまだ良かった。
ところが、次第に顔が紅潮し、私の大切な宗太郎さんを、とか、あの糞猫が、とか喚き始めた。
かと思うと、私にもたれ掛かり、愛しています、だからどこにも行かないで、などと泣き出す始末。

ぞっとした。そしてその時初めて気が付いた。
姉さんは私のことを男として見ていたことに。

―確かに姉さんは歪んでいた。
けれども、私も姉さんのことは家族として愛していた。
だからこそ、真っ当な道に進んでほしかった。
―故に私は姉さんを拒絶した。

それからの姉さんは抜け殻のようだった。
あんなに美しかった長い髪も乱れ、生気を吸い取られたかのよう。
だが、私には距離を取ることしかできなかった。
時間が解決してくれる―私は根拠もなくそう思っていた。いや、ただ逃げていただけだった。

しばらくして姉さんは立ち直った。
以前と変わらない、淑やかな姉さんに戻ったのだ。
私は嬉しかった。これで家族として、お互いが上手くやっていけるのだと。

なのに、ここに転がっている幼馴染の首は何なのだろう。
出来の悪い人形のようになってしまった胴体に、何度も何度も刃を突き立てているあの人は誰なんだろう。

嗚呼。そうか。
彼女が言っていた言葉の意味が、真意がようやく理解できた。
確かに姉さんは歪んでいる。こんなにも醜く、美しく。
私に気付いて振り返った姉さんの顔は、私が見たこともないくらい綺麗な血染めの笑顔だった。


352:名無しさん@ピンキー
08/12/23 21:17:36 7meSZcWn
スレ汚しすんません。
でもキモ姉が大好きなんです。
イメージは和服です。
わかりにくくてすんません。

353:名無しさん@ピンキー
08/12/23 21:22:07 GaWdN7gb
>>352
とんでもない
激しくGJ
和風お姉ちゃんとかたまんねぇ

354:名無しさん@ピンキー
08/12/23 21:55:54 QCRuNdUP
久しぶりの泥棒猫惨殺だ…
だが352にGJ!

355:名無しさん@ピンキー
08/12/23 22:52:27 ciEBB7Qk
>>347
後者

356:名無しさん@ピンキー
08/12/24 00:15:17 QUVb76yr
おいおい、疲れてるんだからよ…>>343>>352もGJなんて言わせるんじゃねえよちくしょう……

357:名無しさん@ピンキー
08/12/24 07:32:16 8x+G3Hg7
>>352
GJなんだぜ
あんたのいう和風キモ姉、俺は大好きなんだぜ
今度は長編を頼むんだぜ

358:名無しさん@ピンキー
08/12/24 12:17:22 TJdOh3Gd
イヴの朝に絶望し、夜に妹が来て、次の日の朝に違う意味で絶望するわけですよ

359:名無しさん@ピンキー
08/12/24 17:24:20 zQWkANeJ
>>343>>352もGJ。

イブに良い物を見れた。もう悔いはない。

360:名無しさん@ピンキー
08/12/24 18:34:13 qX8Lmz++
>>352
感想を一言だけ言わせてくれ。

歪み姉(ねぇ)な。

361:名無しさん@ピンキー
08/12/24 20:35:40 Jb1NFb86
く、クリスマスネタはないんですか?

362:名無しさん@ピンキー
08/12/24 20:41:31 xDZcvYIk
処女をプレゼントして、お返しに子どもの種を膣内にプレゼントしてもらうんですね。

363:名無しさん@ピンキー
08/12/24 21:03:52 fr/l5YJA
そういや、去年の妄執のサンタクロースは神過ぎだったな

364:352
08/12/24 21:54:26 pZsmsMbQ
「お兄ちゃん。私、クリスマスプレゼントが欲しいんだけど。」

いつも通り二人で飯を食ってる最中に、妹がそんなことを言ってきた。
中学3年にもなって高校生の兄貴にプレゼントをねだるな、とも思ったが、
可愛い妹の頼みだ。できるだけ聞いてやりたい。とはいっても・・・

「お前、今日になってそんなこと言うなよ。」

そう。今日はクリスマスイブ。言ってくるのが少しばかり遅いんじゃないか?
もっと早く言ってくれれば、まあ、大したものじゃないけど買ってやれたのに。

「大丈夫。すぐにあげれるものだから。」
「何だそれ?まさか現金か?」

だとしたら夢もロマンもあったもんじゃない。

「違うよ。私が欲しいのは・・・お兄ちゃん。」
「・・・は?」

俺?俺をあげる?妹に?

「なんだ?肉体労働でもしろってか?
 そんなのクリスマスじゃなくたってやってやるのに。」
「ふふふ・・・肉体労働といえば肉体労働かな。」

わけわからん。まあ、でもあいつのたまのおねだりだ。

「よくわからんが、まあお前がそうしろって言えばやってやるさ。」
「・・・うん。じゃあ、後でお兄ちゃんの部屋に行くね。」
「え?・・・ああ、うん。」

妹が俺の部屋に来ることは珍しいことじゃない。
いつもゲームをやったり、ウダウダとテレビを見たり。
なんだ。結局普通のことじゃないか。
それとも、クリスマスだからって一人で家にいる兄に気をつかってくれているのだろうか。
・・・だとしたら俺、惨め過ぎる・・・


365:352
08/12/24 21:55:41 pZsmsMbQ
そんな俺の軽いヘコミ具合も知らずに、風呂上りの妹がやってきた。
綺麗なショートヘアがまだ軽く湿っている。

「ちゃんと拭かないと風邪ひくぞ。」
「うん。ありがと。」

全く。いつまでたっても子供なんだからなあ。

「じゃあ、テレビでも見るか?」
「うん!」

・・・まあ、可愛いからいっか。

それからしばらく二人でいつも通りの時間を過ごした。
なんだかんだでもう日付が変わる時間だ。俺も眠い。

「なあ。そろそろ寝ようか。」
「そうだね。・・・でもその前にやっておきたいことがあるの。」
「ん?何だ?もう一対戦やってく・・・」

いつの間にか。
俺の口は妹の唇で塞がれていた。
何だこれ。何が・・・?あれ?
思考が追いつかない。
どれくらいたったか。妹がようやく唇を離した。

「・・・お、おま、何やって・・・」
「言ったじゃん。お兄ちゃんが欲しいって。お兄ちゃんもいいっていったじゃない。」
「いや、でもお前・・・」

違う。こんなんじゃない。
俺が言いたかったのは、こんなんじゃ・・・・!

「お前な!俺はそんな・・・」

その瞬間
妹が俺の首に顔を近づけて
歯を
突き立てようと

366:352
08/12/24 21:57:31 pZsmsMbQ
「・・・・・え?」

噛み千切られる。
何故か反射的にそう思った。
妹の顔はよく見えないけれど、確信があった。
けれど。

チュッ・・・チゥ・・・ンチュ・・・

・・・キスしてるのか?俺の首に?妹が?
よくわからないが俺は生き永らえたらしい。
それと同時に言いようのない興奮と、気持ちよさが襲ってくる。
俺の首筋が妹の唾液まみれになって、ようやくあいつは顔を離した。
口の周りが輝いていて、何故か目が離せなかった。

「ふふ・・・噛み付いたりしないから安心してよ。
 それより、私プレゼントが欲しいな。」

・・・何言ってる?プレゼント?・・・俺が欲しい?

「それもあるけど・・・今年はお兄ちゃんをもらうでしょ。
 で、来年のプレゼントも考えちゃった。」

来年?

「うん。
 私ね。来年は」

お兄ちゃんとの赤ちゃんが欲しいな


367:352
08/12/24 21:59:06 pZsmsMbQ
ごめんなさい。
キモウトも大好きなんです。
大してキモくなくてすんません。

368:名無しさん@ピンキー
08/12/24 22:04:50 2lWQPJW7

GJ!長編希望!

369:名無しさん@ピンキー
08/12/24 22:12:52 Jb1NFb86
マーヴェラス!!!!!!!!
……こういうのが、いいんだよ、やっぱり!

370:名無しさん@ピンキー
08/12/25 01:15:08 E+Gyo6hI
 クリスマスは家族で過ごすというのが我が家のルールである。
 それは姉さんと二人だけで暮らしている今も変わらないルールだと、姉さんは言っていた。
 もとよりクリスマスを他のだれかと過ごせるあてもなく、料理上手の姉さんがいつも以上に気合を入れて作る料理は、とてもおいしい。
 そんな感じで今年も姉さんとクリスマスを過ごすことになったわけだが。

「姉さん、さすがにこれは作りすぎじゃない?」
 と、目の前に広がる料理の山を見ながら言ったら、いつも冷静な姉は少し頬を染めながら。
「少し、はしゃぎすぎた」
「少しって量じゃないよ姉さん、そこは途中で気付こうよ」
「あなたのためって思うと、つい」

 その反応は反則だろ、と思うと同時にそのまま姉さんに襲い掛かりたくなる衝動に襲われるが、そこは我慢だ。
 相手は実の姉だ、いくら無防備でいつも一緒の布団で寝たり、一緒に風呂に入ったり、子どもの頃からおはようとおやすみのキスを欠かさなかったりしてるが、その一線は越えてはいけない。
 倫理感がどうとかではなく、それは眠れる獅子を起こす行為であり、虎穴に入って虎との子を得る行為でもある。
 
「いただきます」
「いただかれます」

 危ない思考に耽っていたせいか、反射的にそんな返事にを返してしまう。
 姉さんの瞳に怪しい光が灯るが、気にせず料理に手を付けようとすると。

「待って、忘れてた」
 と言って、姉さんは冷蔵庫へ向いシャンパンらしきものを持ってきた。
「姉さん、お酒は……」
「大丈夫、アルコールは入ってない」
 発言を途中で遮り、グラスになみなみと注いでくる、当然瞳に灯った怪しい光はそのままに。
 つい嘘だっ、とか叫びたくなるのを堪えつつ、席に戻った姉さんとグラスを交わす。

371:名無しさん@ピンキー
08/12/25 01:16:15 E+Gyo6hI
 姉さんがやけにシャンパンもどきを勧めてきたことを除けば、無事平穏に食事とその後片付けも終わったんだが、姉さんの顔がやたら赤い、そのことを姉さんに言っても、気のせいだの一点張りだ。
 姉さんこっちの酌を断らなかったからなあ、とか考えつつ風呂の準備をしていると、ソファに倒れこんでいた姉さんから声が掛かる。

「お風呂行くなら私も」
「姉さん、お風呂入って大丈夫なの?」
「あなたと一緒なら問題ない」

 だから姉さんはこう不意打ちというか、なんというか、アルコールによって理性が麻痺している今の状態にはハードなことをする。
 そしてさらに追い打ちをかけてきた。

「だっこ」
 
 無言で姉さんを持ち上げ、脱衣所まで連れて行く。

「脱がして」

 またも無言で手早く脱がせるが、息が荒くなっているのを自覚できる。
 手早くこちらも裸になり、また姉さんを抱え直し風呂場に侵入する。
 ほのかに赤く色付いた白い肌に目を毒されつつ、湯船のお湯をかける。

「ん」

 ……今日の姉さんはやばい、赤いからなのかいつもの3倍はやばい。
 なんとか平静を保ちつつ、後ろから抱き抱える形で湯船に入っていく、一気にお湯が溢れるが気にしない。
 ただでさえ蕩けていた姉さんの表情が一層、ふにゃっとしたものになる。
 逆に普段はふにゃっとした部分が元気になりそうだったが、ポジショニングに著しい問題があるので涙ぐましい努力をして鎮める。
 うつら、うつらと船を漕いでいる姉さんに注意を払いつつ、いったん体を洗うため一緒に湯船から出る。

「洗って」
「わかってますよ」
「全部、隅々まで」

372:名無しさん@ピンキー
08/12/25 01:17:21 E+Gyo6hI
 姉さんの長い黒髪に丁寧にシャワーをかける、容器から洗髪料を取り出し手に馴染ませる。
 姉さんの髪は一日中触ったり、なでたり、弄ったりしても飽きがこない程、素晴らしい部分なので、驚くほどに艶やかで指通りのよい髪をひたすら丁寧に丁寧に洗っていく。
 そしてシャワーで洗髪料を流しきると、ついに問題のゾーンに突入だ。
 姉さんの皮膚は強くないのでスポンジではなく手を使って洗わなければならない。
 弱くしたシャワーの水流を姉さんにかけ、石鹸を泡立てなめらかなな肌に手を伸ばす。
 
「あ…ん、」
 いきなり艶めいた声を出してくる、意識的に気にせず、首筋から背中。
「ん」
 脇を通って腕。
「ひゃ」
 そこからお腹、そして第一の関門である胸へ、思わず喉を鳴らしてしてしまう。
 やさしく、やさしくなでていく。
「もっと」
 リクエストに応える。
「いいよぉ、もっとして」
 
 その声にいつの間にか飛んでいた理性を精一杯手繰り寄せつつ、なんとか胸から手を放し、尻をスルーして脚を洗う。
 付け根の辺りは、とばしてふともも、ひざ、膝裏、ふくらはぎ、すね、足首、くるぶし、足の甲を順にこすっていき、最後に足の指を一本、一本丁寧に洗っていく。
「あはぁ」
 さようなら理性、こんにちは本能、脳内で馬鹿なやりとりをして懸命に堪えるが、次がこの苦行のクライマックスだ。
 再び石鹸で手を泡立たせつつ、尻を撫でて、撫でて撫でる。
「ん、ん」
 そしてそのまま女性器に取り掛かる、神経をすり減らしつつ、繊細に、繊細に指先で洗っていく。
「いいのぉ、そこぉ」
 
 耐えた、耐えた、耐えきったぞ、と全行程の終了に安堵した後に興奮のしすぎなのか、意識は白く染まっていった。


 意識を失った弟はその後スタッフがおいしく頂きました。

373:名無しさん@ピンキー
08/12/25 01:18:05 E+Gyo6hI
以上

374:名無しさん@ピンキー
08/12/25 01:54:41 UMR1TJKu
>>318 見事にスルーされてるww だが俺は嫌いじゃない。
キモウトのぶっ飛びぶりとジョジョのぶっ飛びぶりが、シンクロすればいい感じになるかも?
相性は悪くないと思います。もしかしてただの荒らしだった?

375:名無しさん@ピンキー
08/12/25 02:05:17 Ju5ahuTx
スタッフ……だと……。
まさか、キモ姉妹による自作自演とか

376:名無しさん@ピンキー
08/12/25 02:20:47 5ddlGLVJ
なん・・・だと・・・

377:名無しさん@ピンキー
08/12/25 03:42:39 pej+gs/V
>>367
GJ
>>373
GJ

378:名無しさん@ピンキー
08/12/25 13:39:53 6Zg/2ra5
>>378
GJ

379:名無しさん@ピンキー
08/12/25 13:57:18 c/wtncet
待てコラw

380:名無しさん@ピンキー
08/12/25 14:51:05 cvm9hd0I
つまりはワンマンスタッフ。
たった一人のスタッフということだよ。>>373GJ!

381:名無しさん@ピンキー
08/12/25 16:19:23 Ju5ahuTx
>>378
よし、お前家にいる妹の婿に来い

382:名無しさん@ピンキー
08/12/25 18:27:38 6kZrpBn3
>>378はこれから小説を投下してくれるんだよ。

383:名無しさん@ピンキー
08/12/25 20:03:49 Zrll3Egb
>>378
GJ

384:名無しさん@ピンキー
08/12/25 22:54:00 YHKqLH1L
378じゃないけど投下します。
まださわりだけですがご容赦ください。
あと、事前に言っておくとキモ弟にはなりません。
ちゃんとキモ姉ものにするつもりです。

385:名無しさん@ピンキー
08/12/25 22:54:37 YHKqLH1L
初恋は姉さんだった。
気付いたときにはもう手遅れで。
あれから10年近くたつけど、僕の初恋は終わってくれない。
昔から姉さんは聡明で、美人で、優しくて、僕の自慢の人だった。
だからこそ、こんなにも魅かれてしまったのだろう。
そして、何回も繰り返してきた自己嫌悪――

――誰も幸せにしないこんな想いなんて、とっとと劣化してしまえばいいのに


僕の朝はバスケ部の朝練があるため割と早い。
けど、そんなぼくよりも少しだけ早く、姉さんは食卓に座っている。
「おはよう。姉さん。」
「うん。おはよう。幸一。」
そんな挨拶ひとつにもぼくの心臓の鼓動は高鳴る。
「ホント姉さんは朝早いよね。もっと寝てればいいのに。」
「だって幸一の顔を一秒でも長く見てたいんだもん。」
――嘘だ。いつもは優しい姉さんだが、僕をからかって遊ぶことも多い。
なのに。悪戯だとわかっているのに体の反応を止めることは出来ない。
「顔、赤いよ。」
ほら。クスクスと意地の悪い微笑みを浮かべてる。
「――行ってきます。」
わざと機嫌が悪そうに家を出て行く。
子供じみた、せめてもの反抗。でも、姉さんにはバレバレなんだろう。
「いってらっしゃい。」
――だって、あんなに優しい顔で送り出すんだから

この気持ちまで気付かれていたらと思うと――
いや、やめよう。
考えれば考えるほど憂鬱になってくる。
だから僕はそんな考えを吹き飛ばすように
「行ってきます。」
ほんの少しだけ大きな声で言って家を出た。


「うん……いってらっしゃい……幸一」


386:名無しさん@ピンキー
08/12/25 22:55:09 YHKqLH1L
「あ~羨ましいかつ妬ましい。」
「何だよ、いきなり。」
「いいよなお前は。沙智さんとひとつ屋根の下なんてさ。」
沙智は姉さんの名前だ。
高校生になってますます綺麗になった姉さんは、やっぱりモテる。
肩まで伸びた黒髪に、パッチリとした眼。そして本を読んでいるときの神秘的な佇まい。
図書委員の姉さんを見るために、ここ最近の図書室は男の比率が圧倒的に増えたとの噂まである。
……僕なんか毎日見てるもんね。

「あのなぁ。僕は弟だっての。」
「だとしても羨ましいんだよ!全く、お前は何もわかってないよな~」

何もわかってないのはそっちだろ。
弟になんて生まれてきたくなかったのに。
少しでも姉さんに良く見られようと色々な努力をしてきた。
姉さんのいる高い偏差値の高校に入るために必死に勉強したし、
スポーツマン=カッコいいなんて短絡的な考えでバスケ部にも入った。
それでも――姉弟という壁は大きすぎた。
いくら頑張ったところで、振り向いてなんてくれやしない。
幸せになんてなれやしない。

――この想いは、いつか必ず僕を殺す。



「幸一。こっちこっち。」
部活が終わり帰ろうとすると、姉さんに呼び止められた。
こうやって帰りに姉さんと一緒になることは多い。
そしてそのまま買い物の荷物もちになるのだ。
両親が海外に行ってしまっていて、かつ僕の料理センスが壊滅的なために料理は姉さんの役割になった。
かといってそのまま押し付けるわけにもいかず、せめてものお役に立とうとこうして働いているわけだ。
……まあ役得とも言えるが。

387:名無しさん@ピンキー
08/12/25 22:55:40 YHKqLH1L
買い物を終えて二人で歩いていると、前から腕を組んだカップルが歩いてきた。
――いいなぁ。僕も姉さんと……
「ねえ、幸一は彼女とかいないの?」
いきなり。姉さんがそんな話を振ってきた。
「彼女は…いないよ。……好きな人はいるけど。」
後半は小声だったが、すぐに後悔した。
姉さんの前で何言ってるんだ僕は!
「ふーん。告白とかしないの?」
残酷なことを聞いてくる。そんな簡単に言えたらこんなに悩んだりしないのに。
「しないよ。片思いだから。」
はっきりと言う。なんでこういうことはすんなり言えてしまうんだろう。
「そっか……幸一、モテそうなのに。」
「一番モテてほしい人にはモテてないんです。」
「へぇ……」
「そういう姉さんはどうなのさ。」
「私?」

何聞いてんだ俺は!
いや。待って。やっぱ聞きたくない――


「好きな人、いるよ。
 ふふ…しかも……両思いなんだ。」


あーあ。輝くような笑顔で嬉しそうに言っちゃったよこの人は。
僕の初恋は終わった。ようやく。
でもそんな感傷に浸る前にこの涙をどうしてくれよう。
とりあえず、一人になるまでは流れないでくれ――

「そう……なんだ。おめでとう。」
それだけはなんとか言えた。
「うん。ありがとう。」
「つ、付き合ったりしないの?」
「うーん…まだタイミングが合わないっていうか、期が熟してないというか。」
「そう…………」
それからの記憶はあまりない。
はっきりとわかったのは、これで姉さんが幸せになれるってことだけだ。
気持ち悪い、こんな想いに縛られることなく。
でもまだ、この想いは消えてくれそうにない。
宇宙飛行士になるって夢も、自転車で世界一周したいなんて望みもあんなに早く僕の中から消え去っていったのに。
まだまだ僕の苦しみは続いていく。


「両思いなんだよ。
 私も……君も、ね――」

388:名無しさん@ピンキー
08/12/25 22:56:58 YHKqLH1L
例によってまだあんまりキモくありません。
すいません。

389:388
08/12/25 23:09:50 YHKqLH1L
すいません。弟の一人称は「僕」です。
「俺」ってなってるところもありますが気にしないでください・・・

390:名無しさん@ピンキー
08/12/26 00:14:06 PIukQ5c8
お姉ちゃんは何でもお見通しか。



391:名無しさん@ピンキー
08/12/26 00:49:34 UfHlhx6x
>>389
気にするな? 気になるよ・・・とっても気になるよお兄ちゃん!!!!
責任(長編化)とってくれるよね??

392:名無しさん@ピンキー
08/12/26 12:32:13 K1Jz5V4A
確かに今のところキモ姉妹というよりむしろシスコン弟…だが、お姉さん大好きでなく
このスレを選択したということは…期待と恐怖が増幅の一途。

393:名無しさん@ピンキー
08/12/26 15:19:45 lY+Pu9d4
キモ姉と涎の相性は異常

394:名無しさん@ピンキー
08/12/26 17:41:50 wd0+I6+P
ごくり…
じゅる…
シャリ・・・
メロ・・・

395:名無しさん@ピンキー
08/12/26 18:06:21 2vowO5Uu
まるでバキの食事シーンのような擬音だが、食べられているのは兄か弟なのか…

396:名無しさん@ピンキー
08/12/26 18:08:51 h61zuJQu
実はブラコン&シスコンの両思いカップルってのは珍しいかも。
お互いの気持ちに気づけばバカップル一直線の危うい配置だけに難易度高い?

397:名無しさん@ピンキー
08/12/26 19:00:22 SWkxFcVw
クリスマスイブに、「兄さんは彼女も居ないんですか? 私は好きな人と一緒に過ごしますから」と言って
結局、一日中兄と一緒に居るキモウトのSS書こうと思ったが間に合わなかった

398:名無しさん@ピンキー
08/12/26 19:27:58 5+C1WsL8
>>397
今からでもおk

399:名無しさん@ピンキー
08/12/26 20:03:36 mrC8HLE1
>>397
今でもいいんじゃね?

400:名無しさん@ピンキー
08/12/26 20:22:58 r0Xkj5Ty
>>397
この遅漏め

どんどんやれ

401:名無しさん@ピンキー
08/12/26 20:31:10 e+Kfxv0j
>>397
(`・ω・´)やることは一つなんよ

402:名無しさん@ピンキー
08/12/26 20:36:26 6J0F/aJ4
えぇい!
兄「Xmasケーキならぬ兄ケーキで召し上がれますた」
弟「Xmasプレゼントは身体中にリボン巻かれハァハァされますた」
というSSはまだかぁぁ!!

403:名無しさん@ピンキー
08/12/26 20:40:04 e+Kfxv0j
ツンデレのキモウトって考えてみたけどヤンデレでツンデレはないな
キャラがおかしくなる

404:名無しさん@ピンキー
08/12/26 21:15:35 mBkVRoE5
綾とかキモウトの反応とかスレチだが修羅場スレの作品にもある

405:名無しさん@ピンキー
08/12/26 21:16:35 ZEXPvFhf
べ、別にあんたのために殺ったんじゃないんだからねっ!

406:【ショタ☆ウト】(1レス完結)
08/12/26 22:04:18 lSXcU8GD
 おっとうとの~♪ ショタ★チンチン~♪
 ずっとツルツル~♪ ショタ★チンチン~♪

 弟くんは毎晩、寝る前に牛乳を飲むのが日課です。もっと背を伸ばして男らしくなりたいのだそうです。
 お姉ちゃんとしては、いまの可愛い弟くんのままで充分ですけど、それを口には出しません。
 弟くんのご機嫌を損ねたくないですからね。
 黙って牛乳をレンジでチンしておいて、風呂上りの弟くんに差し出すだけです。
「ありがと、姉ちゃん」
 ごくっ、ごくっ、ごくっ……と、パジャマ姿で片手を腰に当てた弟くん、いい飲みっぷりです。
 えへへへ、美味しいですか? お姉ちゃんの愛情&睡眠薬入りホットミルクは?
「……ふぁぁぁ……、じゃあ、寝るから」
「はい、おやすみなさい♪」
 寝室へ向かう弟くんを見送ったお姉ちゃん。
 弟くんの使ったマグカップに間接キスしてから、もったいないけどそれを洗って。
 そして、弟くんが出たばかりのお風呂に入っちゃいます。
 弟くんの出汁がよく出たお風呂で身も心も温まったあとは。
 いよいよお姉ちゃん、弟くんに夜討ちをかけちゃいま~す♪

 ベッドの上で可愛い寝顔の弟くん。
 部屋の電気を点けても眼を覚ます気配はありません。さすがネットのアングラサイトで手に入れた睡眠薬♪
 もちろん安全性は事前にクラスメートで確かめておきました♪
 昼休みに飲ませたら午後の授業の間じゅう、教師に怒鳴られても眼を覚まさなくて問題になったけど。
 でも、あたしが分けたお弁当のおかずに薬を仕込んでおいたことはバレてないから無問題(もーまんたい)♪
 それじゃ、弟くんを剥いちゃいましょっか♪
 パジャマのズボンとトランクスをいっぺんに引き下ろすと、ぽろりと飛び出すショタ★チンチン♪
 きゅぅ~~~っ!!! その可愛らしさにお姉ちゃん、悶絶しちゃいそうです♪
 いますぐ★ぱっくん★したいけど、そこは我慢。
 まずはショタ★チンチンのショタ★チンチンらしさを守る大事な作業。
 ショタ★チンチンの根元に顔を近づけ、じーっと観察。
 すると……ありましたありました、無粋な「じんじろ毛」。
 正確には「じんじろ毛」になりかけの、産毛にしては色の濃い無駄毛です。
 即決裁判、判決、死刑! 用意してきた毛抜きで、ぷつっと引き抜きます!
 そうした無駄毛を三本ばかり抜いて。
 綺麗になった弟くんのショタ★チンチンの根元に、さらに脱毛クリームを塗り込みます。
 んふふふふ♪ 弟くん、いつまでも可愛いショタ★チンチンでいてね♪
 あとは腿から下にも脱毛クリームを塗っておいてあげます。脛毛の生えた弟くんなんて見たくないもの。
 そうして弟@キュート★ショタくんのメンテナンス作業が完了したら。
 おもむろにお姉ちゃん、大きく口を開けて、ショタ★チンチンを★ぱっくん★しちゃいます♪
 むふふふ……美味しっ♪ よだれあふれちゃう……じゅるるるっ♪
 お姉ちゃんの下のお口で★ぱっくん★してあげるには、まだまだ小さなショタ★チンチン。
 でも、大丈夫♪ お姉ちゃん、大好きな弟くんのショタ★チンチンなら舌と喉の感触だけで逝けちゃうから♪
 ……あっ、あっ、いっ……逝くぅぅぅ~~~~♪♪♪

 ―ところが、ある日のこと。
 いつも通りお風呂を出る頃合を見計らって牛乳を温めておいたのに、弟くん、なかなか姿を現しません。
 痺れを切らしたお姉ちゃん、お風呂場まで様子を見に行くことにしました。
 とんとん、とノックと同時に洗面所のドアを開けるお姉ちゃん。
 あわよくばお風呂上りの弟くんのヌードを鑑賞……なんて下心は、ほんのちょっとありましたけど。
「……わあっ!? なんだよ、姉ちゃん!?」
 残念ながら弟くん、下はしっかりパジャマのズボンを穿いてました。……ちっ!
 でも上半身は裸。そんな格好で洗面台の鏡の前で、何やら片腕を上げて自分の腋の下を観察しています。
「……何してるの? せっかく牛乳温めておいたのに冷めちゃうよ?」
 訊ねるお姉ちゃんに、弟くん、照れくさそうに笑いながら答えます。
「ああ、ありがと。いや、なんか……腋毛が生えてきたみたいで。ようやく俺も、オトナの仲間入り?」

 ……ガ~~~~ンッッ! ……ガ~~ンッ! …ガ~ンッ!

 お姉ちゃん、完全に抜かってました。下半身ばかりに気をとられ、上半身の無駄毛対策を忘れていたのです。
 これが本当の……「脇が甘い」? 【チャンチャン♪】

407:名無しさん@ピンキー
08/12/26 22:37:46 r0Xkj5Ty
誰が上手いことを言えと

408:名無しさん@ピンキー
08/12/26 22:38:53 wj6VaA17
駄洒落おちGJ!
是非続編を

409:名無しさん@ピンキー
08/12/26 23:12:49 Q6MlLLOT
ワロタ
最初の部分は岩下の新生姜のメロディで再生されたんだけど、あってるんだろうかw

410:【ショタ☆ウト】作者
08/12/27 06:15:24 d1vmtCt5
どうもです~
新生姜のメロディは意識してませんでしたが語呂はあってますね~(笑)

でも関係者が見ていたら
「ちょwwwうちの商品wwwチンチン呼ばわりwww」
と悶絶しそうなので、そこはあえて触れない方向で(笑)

411:名無しさん@ピンキー
08/12/27 09:34:26 6pPFl4Gp
「御託はいらねえ会話で萌やせ!」


会話のみの作品を見てみたいのう…

412:名無しさん@ピンキー
08/12/27 14:26:30 U+EzpZ14
>>411
開祖になるんだ

413:名無しさん@ピンキー
08/12/27 15:19:17 rGjGGyeT
この静けさ……まさしく『お姉ちゃん大勝利!』なのか?

414:名無しさん@ピンキー
08/12/27 15:59:02 65ZwFKEu
妹派の逆襲はなるか?

415:名無しさん@ピンキー
08/12/27 16:17:04 P+hchhfz
兄「やめろ!そんなもん地球に落としたら人が住めなくなる!核の冬が来るぞ!」
妹「私とお兄ちゃんの愛を認めない地球なんて、この私がみんな粛清してやるっ!」
兄「エゴだよ!それは!」

416:名無しさん@ピンキー
08/12/27 17:09:13 JwWygRnS
大学2年の夏休み、帰省せずにバイトしていた。
当時の俺は京王線沿いのワンルームに一人暮らし。
ある日、母から電話があり
「○ちゃん(従妹 当時中3)が友達と一緒に5日間ほど東京に遊びに行くって言うんだけど、
二人面倒みてあげてよ」と。
俺「5日もかよ!ガキンチョの相手なんかめんどくせーよ」
母「そう言わずに、ちょっとお金送っとくから」
当初は本当にお守なんか面倒だった。

当日、新宿駅まで迎えに行く。
人ごみの中、○○を探していると
「☆兄!」
日焼けしたショートカットの垢抜けないが可愛い少女…、○○だった。
○○と会うのは二年半ぶり。最後に合ったのは○○がまだ小学生のときだった。
俺「おー、ひさしぶり。なんだ、お前まっ黒じゃん。田舎者まる出しw」
○○「陸上部だからね。もう引退だけど…って、自分だって田舎もんでしょ!」
俺「やれやれ、無事着いたか。おのぼりさんのガキンチョだから心配したよ」
○○「もうガキじゃないよ!」
         ・
「こんにちは△です!よろしくおねがいします!」
隣を見ると、これもまた日に焼けたポニーテールの子。
「おー、よろしく。じゃあ、とりあえず行くか」
そっけなく先導したが、俺は内心ドキドキしてた。
ヤベー、めっちゃカワイイ…

その日はサンシャイン行って、展望台・水族館。
最初のうちははしゃいてた二人も夕方になると段々口数が少なくなった。
慣れない移動と人ごみで疲れたようだ。
晩飯食って早々に俺の部屋に引き揚げた。

部屋に着くと狭いワンルーム、ユニットバスに驚きながら
すぐに元気になり
「汗かいたからシャワー浴びたい」
「△ちゃん、狭いけど一緒に入っちゃお!」
バッグから着替えを用意する二人、それぞれ手作りらしき巾着を持ちバスルームに向かう。
ふと二人の動きが止まる。
俺の部屋はワンルーム。
脱衣所などない。

417:名無しさん@ピンキー
08/12/27 17:42:11 zMPZNXHx
ほほう…

418:名無しさん@ピンキー
08/12/27 18:04:31 R9wG0AEH
妹も姉も出てこないわけだが……!

419:名無しさん@ピンキー
08/12/27 18:15:54 x2SW7M3E
こっちに来てくれ
ロリ萌え妄想 ~小学生・中学生~ その5
スレリンク(eroparo板)

420:名無しさん@ピンキー
08/12/27 18:56:11 jPCqjt+e
実は二人とも血の繋がった兄妹なんですね。わかります

421:名無しさん@ピンキー
08/12/27 18:56:45 VkEI88eR
妹がいるがどうも嫌われているみたいだ
やさしいお姉ちゃんが欲しい

422:名無しさん@ピンキー
08/12/27 19:09:23 MeP64FIa
快楽中枢が繋がってる兄と妹。
兄がオナニーを始めると妹も濡れて感じてしまい、妹がオナニーすると兄も勃起して射精しする。

そんで兄が、学校で好きだった人を呼び出して告白しようとしたら、急に勃起してしまう。
兄はビックリしてその場を離れて妹を探すと、トイレでオナニーしている妹を発見。
兄の告白を邪魔する為にオナニーしてたと暴露。
「はやくおちんちん出さないと、ズボンの中で射精しちゃうよ?」



みたいなのを誰か……


423:名無しさん@ピンキー
08/12/27 22:00:58 SO6cO3Bl
なんか双子みたいだな
やっぱり双子の兄妹だと感覚とか繋がっているのだろうか

424:名無しさん@ピンキー
08/12/27 22:38:57 VA1f3Cne
俺がさっきまで読んでたエロ漫画じゃねえかww

425:名無しさん@ピンキー
08/12/27 22:50:58 bsDueqUm
>>422>>424が双子の兄妹だという事がわかりました。

あ、急に…

426:名無しさん@ピンキー
08/12/27 23:30:32 6ULX2BNP
newsnetworkの社会人兄妹って良いよな。
キモウトじゃないけど。素質はあるから何か妄想してしまう。

あれの三次創作を作りたくなる。

427:名無しさん@ピンキー
08/12/28 02:42:51 Aa5J88xF
ポケットモンスター=チ○コ
らしいね

428:名無しさん@ピンキー
08/12/28 20:57:34 xYrKU43A
>>426
現状でも充分アレだと今日更新ので思った

つか三次?あれ二次なのか?

429:名無しさん@ピンキー
08/12/28 21:11:16 3Mz983DI
三次といったら三次元、つまり実の妹で(以下略

430: ◆U4keKIluqE
08/12/28 23:00:42 Q34fdWsJ
ちょっと間隔が空きましたが、今年最後の投下です。5分割です。

431:転生恋生 第八幕(1/5) ◆U4keKIluqE
08/12/28 23:01:51 Q34fdWsJ
 日曜日の午前中、部屋で漫画を読みながらだらけていると、携帯の着メロが鳴った。発信者名を見ると猿島だった。これは初めてのことだ。
「もしもし?」
「桃川君、おはよう。今日は暇かしら?」
「ああ、暇だけど」
「始業式の日に私の芝居が見たいって言っていたわよね?」
「おう、言った」
「用意ができたから、見せてあげるわ」
「そうか。わざわざすまないな」
 猿島の演劇部での公演を撮影したビデオでも貸してくれるのだろう。特にすることもないし、暇つぶしにはちょうどいい。
「それじゃあ、午後1時にF駅の改札で待ち合わせしましょう」
 F駅は俺たちが通っている学校の最寄駅だ。猿島も電車通学だったと思うが、たぶん俺の家とはF駅を挟んで反対方向にあるんだな。それで中間地点のF駅でビデオの受け渡しをするというわけか。
 ……いや、ビデオの受け渡しなら月曜日に学校でやってもかまわないはずだ。
「俺は急がないぞ。月曜日でもいい」
「学校では無理」
 ビデオを渡すくらいがどうして無理なんだ? まあ、わざわざ時間を割いて貸してくれるというんだから、あえて逆らうこともないか。
「それなら、改札を出る前のところで落ち合うってことでいいか?」
 改札を出なければ、運賃を払わずに済む。ちょっとせこいが、これも生活の知恵だ。
「うん、その方がいいわね」
 猿島も小市民的感覚の持ち主らしい。
「じゃあ、F駅の改札のホーム側で、1時に」
「ええ、また後で」
 それで電話を切ると、俺は午前中はだらだらと過ごした。おふくろに頼んでちょっと早めの昼食をとらせてもらってから、簡単に身だしなみを整えて12時20分に家を出た。
 普段なら俺の外出には必ずといっていいほどついてくる姉貴は、今日は居間のソファでぐったりしていて元気がない。
「たろーちゃん、お出かけ?」
「ああ、ちょっとクラスメートにビデオを借りに行ってくる」
「AVだったら、一緒に見ようね」
「アホ!」
 姉貴としてはAVを見て気分が盛り上がったところで禁断の姉弟愛になだれ込みたいところだろうが、こっちも手の内はわかっているから引っかからない。そもそも高校の演劇で性的興奮を覚えるやつがいるか。


432:転生恋生 第八幕(2/5) ◆U4keKIluqE
08/12/28 23:02:59 Q34fdWsJ
 悪態をついたが、俺は姉貴にいつものうっとうしい元気がないのに気づいていた。といっても、特に心配する必要はない。病気以外の原因だとわかっているからだ。
 そう、健康な女性なら月が満ち欠けする度に必ず訪れる試練の日だ。姉貴もこの運命からは逃れられない。腕力で並ぶ者がいない姉貴が俺よりも弱くなり、そのために俺が貞操の危機を感じずに済む、月に1度の安息日だ。
「うー、今日は何もしたくないー」
 姉貴は本当に辛そうだ。こればかりは気の毒だが、俺にはどうしようもない。
「でもいいの。将来たろーちゃんの赤ちゃんを産むための苦しみだと思えば耐えられるわ」
「……耐えなくていい」
 キモい姉貴は放っておいて、俺は猿島との待ち合わせ場所に向かった。

 F駅の改札に着いたのは午後1時ちょうどだった。猿島はまだ到着していないらしく、見当たらない。時間には正確そうだったから、ちょっと意外だ。
 配信ゲームで時間を潰そうかと携帯電話を取り出したとき、俺を呼ぶ女の子の声がした。
「桃川くーん!」
 声のした方を見ると、知らない人だった。茶髪のロングヘアで、下はミニスカートとブーツ、上はこざっぱりとしたシャツだが、ボタンをほとんどとめていないのでキャミソールが覗いている。
 ……誰だろう? 明らかに俺の方へ駆け寄ってくるが、人違いか? でも桃川なんて苗字はそんなに多くはないしなぁ。
 その子は俺のすぐ傍まで来ると、ぱっちりした目を輝かせてニコッと微笑んだ。目元や頬、唇などうっすらと化粧をしており、かなりかわいい。
「ごめん、ごめん。待った?」
「いや……待つも何も……誰?」
「やだなぁ、けいちゃんだよ」
「けいちゃん?」
 多分、俺は眉を寄せたと思う。彼女は左肩に提げていたショルダーバッグから手帳を取り出して俺に突きつけた。
「ほら、見て」
 それは生徒手帳だった。氏名は『猿島景』と記入されており、教室で俺の隣に座っている地味な眼鏡の女の子の証明写真が貼ってある。
 つまり、目の前の『けいちゃん』と猿島は同一人物ということらしい。
「え!? おまえ、猿島なの?」
 あからさまに動揺した俺に、猿島は変わらずニコニコしている。
「けいちゃんだよ。そう呼んで」
「けい……ちゃん?」
 物凄く違和感がある。だが、猿島は「よくできました」と言うと、いきなり俺の手を取った。
「髪を触ってみて」
 言われるままに髪を指で梳いてみると違和感がある。どうやらウィッグらしい。すると眼鏡の代わりにコンタクトをしているわけか。
 私服で化粧をしているということもあるけど、女は化けるっていうのは本当だな。


433:転生恋生 第八幕(3/5) ◆U4keKIluqE
08/12/28 23:04:01 Q34fdWsJ
「わかった? じゃあ、行きましょう」
 猿島は俺の手を取ったままホームの方へ歩き出した。
「え? どこへ行くんだ?」
「T駅よ。ほら、急いで」
 てっきりビデオをもらって別れるものと思っていた俺は戸惑うばかりだったが、猿島の予想外に柔らかい手の感触に逆らえなかった。
 言われるままに俺はT駅へ向かう電車に乗り込んだ。中は空いていて、俺たちはボックス席に向かい合って座ることができた。
「なあ、いったいこれはどういう……」
「せっかくの日曜日なんだから、遊びましょうよ」
 猿島は楽しげに笑う。同じクラスになってから2週間だが、隣の席にいながら、俺はこいつの表情を1種類しか見たことがない。
 普段はまるっきり無口で無愛想で無表情なこいつが、こんなフレンドリーな、悪く言えば媚びるような笑顔を持っているなんて夢にも思わなかった。
 とりあえず、このまま誘いに乗ってみるか。貴重な体験だもんな。
 気を楽にすると、俺は目の前にいる女の子をけいちゃんとして受け入れることにした。
 T駅までは15分程度なのでさして話すこともなかったが、俺は何か場を持たそうと、彼女が着ている服を誉めてみた。
 けいちゃんは素直に喜んだ。実際、よく似合っている。フェミニンでかわいらしいし、キャミソールの胸元の慎ましやかな谷間やミニスカートが作る絶対領域など、男心をくすぐる色っぽい要素も満載だ。
 俺が特に目を奪われたのは脚というか太ももだった。細いというより、引き締まっている。そこそこ筋肉質らしい。猿島は本の虫という印象だったから、これは驚きだ。
「何か、普段運動しているの?」
「どうして?」
「脚が引き締まっているからさ」
「けいちゃんの脚ばかり見てたんだ。やーらしーな」
「あ……、ごめん。じろじろ見ちゃって……」
 スケベと思われたか。せっかくの雰囲気を壊したか。
 うろたえる俺を楽しむように、けいちゃんは右手の甲を口元に当ててクスクスと笑う。
「べつにいいよ。見せたくてミニを穿いてきたんだから」
「そうなのか?」
「女の子は男の子の視線を集めたいものよ」
「さし……けいちゃんもか?」
「そうよ。でも今日は桃川君の視線がほしいかな。だから、けいちゃんのことだけをいっぱい見つめてね」
 何なんだ、この歯の浮くようなやりとりは。漫画やラノベの中でしか目にしたことのない台詞だ。まさか、俺の人生でリアルに体験できるなんて。
 けいちゃんの説明によると、彼女はダンスのレッスンを受けているのだという。将来舞台女優になるための修行の一環だそうで、つまり猿島がそのような志望を持っているということか。
 ダンサーは皆筋肉質だから、猿島も見かけに寄らず引き締まった体をしているということになる。見た感じウェストが細いし、おそらく腹筋も割れているんだろう。


434:転生恋生 第八幕(4/5) ◆U4keKIluqE
08/12/28 23:05:07 Q34fdWsJ
 電車がT駅に着いた。改札を出るとすぐにショッピングモールが広がっている。けいちゃんは通り抜けるついでにウィンドウショッピングがしたいと言った。
 女物のアクセサリーの店には、姉貴に無理やり引っ張り回されて入ることが多い。俺はいつもうんざりさせられるんだが、けいちゃんと一緒に彼女に似合うアクセサリーを探すのはとても楽しかった。
 それから帽子屋とジーンズショップに入った。けいちゃんが試着して見せてくれたが、どれもかわいかった。コスメショップにも入ったが、ランジェリーショップはスルーしてくれたので助かった。
 ショッピングモールを抜ける頃には、けいちゃんは自然に俺と腕を組んでいた。腕に当るけいちゃんの体の控え目な感触が心地よい。
 この街には近隣の高校生が遊び場にしているアミューズメントパークがある。ゲームセンターやボーリング、ビリヤード、カラオケといった安い遊びが詰まっていて、金はないけど時間はあるという学生が遊ぶにはもってこいの場所だ。
 俺たちはビリヤードをやった。俺はこれが人生3回目のビリヤードだったが、けいちゃんは初めてだそうで、まるでうまくできなかった。どうやら手先は不器用らしい。
 けいちゃんはミニスカートなので、台に乗り出して球を打つとき、俺は他の客にスカートの中身を見られないよう、ガードする位置に立つことを心がけた。
「桃川君は紳士だね」
 けいちゃんはそう言って笑ったが、俺自身がけいちゃんを他の男どもの邪な視線に晒したくないという気持ちになっていた。
 次にクレーンゲームをやった。俺はけいちゃんが欲しいというぬいぐるみを取るのに挑戦したが、成功しなかった。千円を投資して失敗したところで、けいちゃんが止めたのだ。
「そんなに無駄遣いしちゃダメだよ。申し訳なくなっちゃう」
 これでますますけいちゃんに対する好感が高まった。男に金を使わせるのが女のステータスだと思い込んでいるやつらに、けいちゃんの爪の垢を煎じて飲ませたいくらいだ。
 クレーンゲームのお返しということで、けいちゃんのおごりでプリクラを撮った。過去にグループで撮ったのは別として、女の子と二人でプリクラを撮るのは初めてだった。
 姉貴には無理やり撮らされたことがあるが、もちろんそんなものはカウントしていない。
 それほど新しい機種ではなかったが、手書きの文字を書き込める機能がついていた。
「ねぇ、何て書こうか?」
「けいちゃんに任せるよ」
 そんなやり取りを経てけいちゃんが書き込んだのは、「ふたりの初デート記念」という一文だった。
 印刷されたプリクラを見ると、俺の顔は真っ赤になって写っていた。
 
 あっという間に夕方になった。最後に、けいちゃんの願いで観覧車に乗ることにした。
 係員に誘導されて二人で乗り込み、向かい合うように座った。夕日の赤い光に照らされるけいちゃんの顔は文字通り輝いて見えて、眩しかった。
 またこんな風に二人で会いたい。そう口に出そうとしたとき、けいちゃんは自分の髪をゆっくりと引き剥がした。
 ウィッグを外した後には、黒髪ショートヘアの無表情な女の子が残された。
「今日はお疲れ様」
 猿島は普段教室でそうしているように、無機質な口調で俺をねぎらった。
 ああ、そうか。目の前にいるのは猿島なんだ。シンデレラタイムはもう終わりというわけか。
 俺は自分でも不思議なくらい冷静に気持ちを切り替えることができた。
「お疲れ……。というか、今日のは何だったんだ?」
「桃川君が私の芝居を見たいと言ったから、ご要望にお答えしたまでよ」
 化粧はそのままなのに、まるっきり猿島だ。そうとしか言いようがないほどに淡々とした口調で、熱のない視線を俺に向けている。いつもと違うのは眼鏡がないことだけだ。


435:転生恋生 第八幕(5/5) ◆U4keKIluqE
08/12/28 23:05:50 Q34fdWsJ
「今日のは全部芝居だったのか」
「そう。いつもの私とは違うキャラクターを演じて見せたの。ご感想は?」
「凄いな。本当に別人だった。……でも、どうしてこんな手の込んだことをしたんだ?」
 俺はてっきり、過去の公演を録画したビデオでも貸してくれるものと思っていた。まさかこんな長時間にわたる実演になるとは思ってもみなかった。
「芝居は生で見るものよ。ビデオで見たって、何も伝わらないわ」
「そういうものか?」
「そうよ」
 猿島はきっぱりと言い切った。芝居とは役者の演技に対する観客の反応がその場で役者にフィードバックされ、その後の演技を左右する。それを繰り返して一回限りの空間を作り上げるものだという。
 だから、自分の演技をチェックする以外の目的で、ビデオで芝居を見ることなど意味がないというのだ。
「桃川君は理想的な観客だったわ。私の芝居にのめり込んでくれたから、私も役に入り込むことができたもの」
 ちょっとだけ猿島の言葉に熱がこもったような気がしたが、気のせいか。
「最初は面食らったけどな」
「無理もないわね。どんな舞台でも、幕が上がってから観客をその世界に引き込むまではタイムラグが生じるわ」
 猿島がウィッグを付け直した。いつの間にか観覧車が1回転して、俺たちの入っているボックスが地表に戻ってきていたのだ。
 茶髪のロングヘアに戻っても、もはや俺の目にはけいちゃんではなく猿島以外の誰にも見えなかった。
 猿島自身も、これ以上芝居を続ける気はないらしく、いつもの口調で話し続けた。
「芝居は自分と全く違う人間になれるから、楽しいの。今日のキャラクターはオリジナルだから、作るのに時間がかかったわ。桃川君の目から見て、どうだったかしら?」
「けいちゃんの感想ってこと?」
「そうよ。鼻の下を伸ばしていたみたいだけど、わりと気に入ってもらえた?」
「ああ……、凄くかわいかった。普段もあんな風にしたら、男は9割方落ちると思う」
「それは無理。日常生活でまで芝居を続けていたら、体と心がもたないわ」
 田中山は見たがると思うが。
「猿島の芝居が見たいって言ったら、今日みたいなことをまたやってくれるのか?」
「新しいキャラクターができたら、私の方から見てくれるようにお願いするかもしれないわね」
 その口ぶりからすると、けいちゃんは今日限りで見納めらしい。
「ああ、そうそう、念のために言っておくけど、今日のことは黙っていてね。中山田君たちに知られると面倒くさいから」
 確かに、連中に知られると「濡れ場」までリクエストしかねない。

 帰路に乗る電車の方向が反対向きだったので、猿島とはT駅で別れた。猿島は一度も振り返らなかったが、俺はその後ろ姿をひたすら見つめ続けて、目に焼きつけた。
 一人きりになった帰りの電車の中でも、俺は目を閉じてひたすらけいちゃんの姿を思い起こした。
 姉貴は相変わらず体調不良だったから、今日の俺はのんびりと風呂に入ることができた。浴場で俺はけいちゃんの裸を妄想して抜いた。
 その後もけいちゃんのことが頭から離れなかった。胸が焼けつくような感じがして、就寝時間まで悶々として何も手につかなかった。
 なかなか寝つけなかったので、もう1回抜いた。自分がとてつもなく下らない男に思えて、切なくなった。
 それでも体が疲労したせいか、やっと眠れることができた。


436: ◆U4keKIluqE
08/12/28 23:08:36 Q34fdWsJ
投下終了です。皆様、良いお年を。

437:名無しさん@ピンキー
08/12/28 23:10:58 nxS7SUJq
超GJ!!!
来年も楽しみに待っています。


438:名無しさん@ピンキー
08/12/28 23:13:06 IwBarmhq
GJ!
桃太郎も普通の思春期少年なんですね

439:名無しさん@ピンキー
08/12/28 23:16:44 V+ObVFOY
続きキタ━(゚∀゚)━!!ついに桃太郎の従者によるアピール作戦が始まりましたね。
これからが楽しみです。がんばってください。それではいい年を。(・∀・)ノシ

440:名無しさん@ピンキー
08/12/28 23:36:39 M4h/iF8A
GJ!
猿島の読み方は、さしまでいいのかな?

441:名無しさん@ピンキー
08/12/29 01:31:51 3m8UvHkY
そのプリクラを姉貴が見つけたらどうなるか今からwktkしてきた――!

442:名無しさん@ピンキー
08/12/29 02:34:23 NfyxVJc1
GJ!!
俺は犬ッ娘派だけどGJ!!!

443:名無しさん@ピンキー
08/12/29 03:29:48 y0DH4t3V
>>436
GJ!
あなたも良いお年を。

444:名無しさん@ピンキー
08/12/29 07:36:00 NCBtFDrn
自分がキモウトだと言うのを隠してるより、最初からキモウトをさらけ出してる作品のほうが面白い?

445:名無しさん@ピンキー
08/12/29 08:10:49 zMXqzNL8
ボクは、キモウトを隠していた方がいいように思うな……

446:名無しさん@ピンキー
08/12/29 09:04:42 NziQcKfb
>>445
死ね

447:名無しさん@ピンキー
08/12/29 09:21:03 gPd1a7sQ
と言うか、誰にどの程度さらけ出すかが話の展開を決めちゃうから
筋書き次第じゃないか?


448:名無しさん@ピンキー
08/12/29 09:44:09 KttZxtkj
けいちゃんで抜いてる桃太郎のダメ人間具合にGJ!

しかし猿島、そのままけいちゃんを演じ続けてたほうが桃太郎を落とせただろうに
けいちゃんを演じるのは疲れるってことだけど
桃太郎が落ちてから正体を表せばいいわけで
犬や雉との間で何か協定でもあるのかな

449:名無しさん@ピンキー
08/12/29 10:40:22 ISg2LZ4l
>>448
猿島とけいちゃん、そのギャップでアピールしてるのかも

450:名無しさん@ピンキー
08/12/30 00:17:05 39zrYJg0
>>448
真の自分を好きになって欲しい、という乙女心じゃないか。
いじましくて可愛いなあ。

451:名無しさん@ピンキー
08/12/30 12:08:53 lxGrCtBb
>>448
浮気者だ!浮気者がいる!

しかし最近では不況→財布の紐がかたくなる→家で飲む
のコンボでキモ姉妹歓喜だとか

452:名無しさん@ピンキー
08/12/30 13:21:52 i09lXtcT
一般の女性の貞操が緩くなる→女性不振

キモ姉妹涙目

453:名無しさん@ピンキー
08/12/30 16:01:27 9ig0TeoG
なんで俺の気に入ってる作品は来ないんだよ!
そろそろ来てもいいだろ!作者、ちゃんと書いてんのか!?
・・・・頼むよ、いい年明けを迎えさせてくれよ・・・・
いや、転成とかきて嬉しいんだけどさ・・・・

454:名無しさん@ピンキー
08/12/30 17:52:50 7yXCq3Z3
>>453
来年まで待てんのかカス

455:名無しさん@ピンキー
08/12/30 18:04:23 hE4d8usT
まあ気持ちがわからんでもない。
が、そんなレスしてるぐらいなら職人のやる気を出させるようなレスをしたほうが現実的

456:名無しさん@ピンキー
08/12/30 20:18:54 uyWB6pmg
>>431
キモ姉の勝因が一つも見当たらない
が、頑張れキモ姉!

457:名無しさん@ピンキー
08/12/30 20:22:44 PRIyaEs3
結局来世に繰り越しだったらおもしろい

458:名無しさん@ピンキー
08/12/30 20:34:41 7VXsI/j4
>>457
そうか、今生で姉に対する嗜好を刻み込んでおいて、来世に自分が姉として生まれるなんて
裏技もありなんだな

459:名無しさん@ピンキー
08/12/30 21:12:27 sNpHGnKK
>>458
このスレ的には妹もありじゃない。

460:名無しさん@ピンキー
08/12/30 22:22:10 5KTuUos2
現世は姉で弟にアタックしまくった末に嫌われて
「やっぱ俺、妹が欲しかったなあ。」といわれ来世では妹として生まれ変わるんですね

461:名無しさん@ピンキー
08/12/30 23:31:06 VD85smRj
姉弟心中とな?

462:名無しさん@ピンキー
08/12/31 12:42:20 iEicP2Qe
まさか猿だけに猿まねなのか?
とりあえず次の投下まで全裸待機だな
正月?関係ねえよ

463:ねえたん家の年越し
08/12/31 17:59:44 rC1zFgPj
『さー始まりました!カウントダウンお笑い紅白ネタ合戦!笑って年越し大スペシャル~!!』
テレビ画面のベテラン芸人が高らかに番組名を読み上げる。
豪華絢爛なタイトルテロップと、雛段にぎっしりと詰まった人気芸人の面々。
ありがちな年末のお笑い番組だ。
『はい!今回20組の芸人達を審査していただく特別ゲストの登場です!』
カメラが審査員席に移動すると、弾かれたように政人はテレビ前に飛び出した。
「居た!ねえたん映った!!今チラッと映った!顔ちっちゃい!可愛い!」
「ははは。政人君落ち着いて、ちゃんと録画してるから」
「未来ちゃん大晦日もお仕事なんて大変ねぇ」

頑張る姉を夜通し実況する弟であった。
よいお年を。

464:名無しさん@ピンキー
08/12/31 19:03:46 nA0sRVBT
デレのターン

465:名無しさん@ピンキー
08/12/31 19:20:05 tdJCEDdX
ほほえましい

466:名無しさん@ピンキー
08/12/31 19:38:15 DKmDlLKo
まーちゃん、すっかり陥落しちゃってw

467:名無しさん@ピンキー
08/12/31 19:50:31 brdrdgn8
落ちたな…まーちゃんww

468:名無しさん@ピンキー
09/01/01 00:03:16 AhqtFenx
明けましておめでとうマイシスターズ
そして同胞達よ

469:名無しさん@ピンキー
09/01/01 00:58:38 WB23FP/0
「お兄ちゃん、ずっと携帯見てるけど誰かからメール来たの?」
「……サーバーが混雑しててメールが来にくくなってるだけさ……きっと……」
「でももう、朝の五時よ。いくらなんでも、もう」
「黙ってろ! あと、あと一時間は混雑してるから来ないだけなんだって俺は信じる!」
「信じるって……じゃあ、問い合わせしてみたら?」
「問い合わせたら負けかな、って思ってる」
「は?」
「いや、いい。とにかくお前は口を出すな。これは俺の戦いなんだ。妹の出る幕じゃない」
「そこまで向きになってる時点で、もう来ないと思うけど」
「黙ってろって言ってんだろ!!」
「はいはい」
「……? そういや、お前は何通来たんだ?」
「私? ……教えてもいいけど、本当に言っていいの?」
「何?」
「もし私が何十通って来てるって言ったら、お兄ちゃんヤバいんじゃない?」
「う」
「それでも、聞く?」
「いや、や、やっぱりいい」
「ふふ、なんてね。嘘よ。私も一通も来てないわ」
「え? そ、そっか。なんか悪いこと聞いちゃったな」
「大丈夫よ、気にしてないわ」
「……あー、何だったら、俺が今から送ろうか?」
「やあよ。こんなこと言ったあとじゃ強制したみたいだもん」
「いや、そんなことないと思うけど」
「……じゃあ、お兄ちゃん一緒にお参りに行かない?」
「え?」
「だって、お互い誰も行く相手がいないんだから丁度いいでしょう?」
「そうだなぁ。行くか?」
「うん。行こうお兄ちゃん」
「じゃあ、準備してくるから待っててくれ」
「うん、私はもうほとんど準備できてるからここで待ってるね」
「ああ」
「…………さて、と。アドレスを元に戻しておこうかしら。もちろん、両方、ね」

470:名無しさん@ピンキー
09/01/01 01:03:10 WB23FP/0
今日あけおめメールが来なかったお兄ちゃん、つまりこういうことです

471:名無しさん@ピンキー
09/01/01 01:09:54 y8svybNL
>>470
これってキモウト?

472:名無しさん@ピンキー
09/01/01 01:23:07 r5Vm6Uys
>>471
わたしにはキモウトにみえましたがあなたはちがうのですか

473:名無しさん@ピンキー
09/01/01 01:31:18 1c5+powc
>>471
最後の一文を声に出して嫁

474:名無しさん@ピンキー
09/01/01 02:28:46 g/UKlAiB
このあと妹には作業がありそうだな

475:名無しさん@ピンキー
09/01/01 11:49:55 S7oTxUXO
 初詣に着物で行って、仕込みしていた鼻緒が切れて、帰りはおんぶして貰う。
 胸を押し当て、首に手を回し、兄の耳を舐めながら、
「あんっ♪ オシリにあたってるお兄ちゃんの手、感じちゃうよぉっ♪」
 と挑発する。その後に酒を飲ませて、翌日の朝に、衣服を破り、嘘泣きしながら、
「責任、とってね?」
 でハッピーニューイヤー。


476:名無しさん@ピンキー
09/01/01 12:11:56 NSdUA5S5
問い合わせメールの削除ですね わかります
あとおめでとう同志達

477: 【末吉】
09/01/01 16:46:44 Sd+sxdH0
今年も同志たちにキモウトの祝福がありますようね

478:名無しさん@ピンキー
09/01/01 16:54:03 xHvvjrXh
妹を正常にする薬アンチキモウトを手に入れた。
後はこれを妹に怪しまれないように服用させれば。

説明
キモウトの妹にこの薬を飲ませるのは至難です。
なので口うつしで飲ませましょう。

これを一年間服用させましょう。

見事あなたにとってキモウトではなくなっています。

479: 【豚】 【56円】
09/01/01 16:56:43 ilM1ErlF
今年もよろしく。兄さん

480:名無しさん@ピンキー
09/01/01 20:09:15 czA1VjcR
>>479
雌豚ってことですね、わかります

近親相姦なんて不純です
あなたのお兄さんは私が責任もって幸せにしますから

481:【キモウトの論理】
09/01/01 22:08:02 gBwVE81R
ねえ、お兄ちゃん。

お兄ちゃんは、まだ学生で、
女の子とエッチしたら責任とって結婚しなくちゃいけないとか、
エッチは子供を作る目的でしかしちゃダメだと考えるほど頭が堅くもないわよね。
つまり、女の子とエッチすることと、結婚したり子供を作ったりはイコールでは結ばれないわけ。

だとしたらだよ?
法律上は結婚できないし子供を作るのもちょっと問題あるような関係の相手とでも、
エッチするのは全く問題ないわけで……
何の話かって?

あのね、日本には姫初めという伝統行事があって、
それをすると一年の運気が開けると言い伝えられてるわけ。

でね、彼女イナイ歴十八年のお兄ちゃんと、
彼氏作る気ない歴十六年の私たち兄妹の一年間の幸福のために……

……ねえ、お兄ちゃん?
どこに行くの?
ちょっと、まだ話、終わってないってば……ねえ!
部屋? 部屋に行くの? その気になってくれた?

……って、なにドア閉めてんの!
鍵なんかかけないで……ねえ!
開けてよ、お兄ちゃん! お兄ちゃんってば!
やろうよ、姫初め……!

【UN-HAPPY END(妹的に)】

482: ◆sw3k/91jTQ
09/01/01 23:31:30 lGjcFKa1
>>481 GJ
&酉テスト

483:思い出の村1話  ◆sw3k/91jTQ
09/01/01 23:38:01 lGjcFKa1
短いですが、投下します。因みにSS書くの初めてなので、改善点などがありましたら、
教えて下さい。

484:思い出の村1話  ◆sw3k/91jTQ
09/01/01 23:38:42 lGjcFKa1

「うふふふふ。」
目の前で女が笑う。嫌な笑い方だ。まるでこの世は自分の思う通りに回っているとでも言いたげだ。
思い返してみる。どうしてこうなったのかを。



 俺、水野秀樹は中肉中背、妹曰く可もなく不可もなくな容姿をしている高校二年生だ。
容姿と同様に、成績も普通。強いてフォローするならば人よりもちょっとだけ頭の回転が速い(自称)事くらいか。
そんな俺は夏休みを利用して小学三年生の時まで過ごした離島に妹と二人でやってきている。
「兄さん、あれは何という生き物ですか?」
「ハハッ、瑞樹よ。あれはどこからどう見てもエチゼンクラゲじゃないか。刺身にするとうまいぞ。」
こいつは俺の妹、水野瑞樹。誰に似たのかスタイル抜群、容姿端麗な花の高校一年生だ。
「知ってます。聞いてみただけです。因みにエチゼンクラゲは食べれないこともありませんが美味しくはないですよ。」
ツンツンしてるがその表情は普段より柔らかい。久しぶりの旅行で内心はしゃいでるのかもな。
「久しぶりの旅行で気持ちはわかるがあんまりはしゃぐと海に落ちるぞ。」
「はしゃいでなどいませんよ。でももしそうなっても絶対に兄さんが助けにきてくれますから大丈夫ですよ。」
そして結構なブラコンである。
学校でもその容姿から男女問わずにもてた。しかし言い寄ってくる男はすべて振り、浮いた話は今まで一度も聞いたことがない。
しかも先日何で男を作らないかを聞いたところ、「兄さん以外の男に興味がないんです。」と、さらっと言われてしまった。
兄としてこんな妹を心配する気持ちが無いことも無いけど。ま、そういうのは時が解決してくれるだろう。
 なんて物思いにふけっているともう船着場に着いていて妹が急かしてくる。とっとと降りなきゃな。
「なにか考え事ですか?兄さん。」
「ああ、瑞樹についてちょっと考えてた。急がず焦らずいこうな。」
瑞樹は一瞬逡巡し、急に顔を赤らめて何を思ったのか、
「こっ、こちらにも心の準備がありますのでいきなりプロポーズに入るのはやめていただけませんか?」
と言ってきた。さっきの台詞のどこをどう取ればプロポーズになるのかは分からないが一応、
「おおすまん、プロポーズにも順序があったな。すまんすまん。」
とツッコミを入れておいた。そして妹の反応を待たずにわが故郷を見渡す。
そういえば、あの子は元気だろうか。茜ちゃん。元気にしてればいいんだけどな……

side瑞樹
 私、水野瑞樹は今、小学二年生までを過ごした離島に最愛の人と来ている。新婚旅行気分だ。
あの人は私を妹としてしか見ていないが、いつか絶対手に入れてやる。あわよくば既成事実でも作ってしまおうとかとさえ思っている。
そのためにこの旅行もセッティングしたのだ。これで夏休みは兄と二人の時間が増えて、間違いが(私にとってはバッチこいだが)起こる可能性も高くなるだろう。
しかしこの時私は浮かれて忘れていた。最強で最狂の敵、楢崎茜(ならざき あかね)の存在を。


485: ◆sw3k/91jTQ
09/01/01 23:41:16 lGjcFKa1
1レス分しか無かった...orz
次回はもっと書き溜めます。
スレ汚しすみませんでした

486:名無しさん@ピンキー
09/01/01 23:45:22 2ZG88VVx
よし、全裸で待ってます
がんばって続きかいてください

487:名無しさん@ピンキー
09/01/01 23:46:24 9scU010v
イイヨイイヨー!
GJ!
最初からオープンなキモウトもまたタマラン!

488:名無しさん@ピンキー
09/01/02 00:43:38 kQsU/zZ1
期待してるぜ!

489:名無しさん@ピンキー
09/01/02 01:20:01 n2yP90xU

妹「お兄ちゃん!お年玉ちょ~だい?」
兄「は?俺まだ中学生だぞ?あげるわけないじゃん」
妹「いいじゃ~ん!」
兄(…無視無視)
妹「うー!…なら、こっちの玉ちょ~らい♪」
兄「ホゲッ!」



…オヤジ臭い

490:名無しさん@ピンキー
09/01/02 01:32:42 UcunR8EI
妹「お兄ちゃん!おかねちょ~だい?」
兄「は?俺まだ中学生だぞ?あげるわけないじゃん」
妹「いいじゃ~ん!」
兄(…無視無視)
妹「うー!…なら、こだねちょ~らい♪」
兄「ホゲッ!」



…改変してごめんね。


491:【世界の黄昏に愛する人と】投下予告
09/01/02 03:20:20 3B1y5CUw
9レス分、投下します。
セカイ系のラノベっぽい話の途中まで。
(いちおう結末まで書き上がってますが、スレ投下用に改稿しながら小分けしていきます。)

えっちっぽい描写は後の展開で出てきますが、直接的なエロは……ごにょごにょ
その辺りもラノベ並みですね。
それでは↓

492:【世界の黄昏に愛する人と】(1) 1/4
09/01/02 03:21:18 3B1y5CUw
 黄金色をした金属製の球体だった。
 地球儀をかたどっているのだろうか、表面には各大陸の輪郭と経緯線が彫り込んである。
 それに加えて太平洋に相当する部分には人間の眼のかたちが彫られている。
 地球儀に描かれた眼。
 美術品として作られたとすれば、さほど優れた作品とはいえない。
 奇妙なデザインではあるが強く印象に残るものではない。
 素材が純金であるとすれば、その重量分の経済価値しかないであろう。
 そして―それが、たとえば駐輪場に停めた自転車のカゴの中に入っていたとすれば。
 本物の金で作られたものだとは誰も考えまい。ただのガラクタとしか思わないであろう。
 外見的には。
 手を触れてみるまでは―
 自分の自転車のカゴの中に、いつの間にかそのようなものが入っていれば、誰でも手を触れてしまうだろう。
 その場に捨てていくか、他人の自転車のカゴに黙って移し替えるか。
 あるいは落とし物として駐輪場の管理人に預けるかは、人それぞれとしても。
 だが。
 手を触れた途端、彼あるいは彼女は、知ってしまうのだ。
 それの、真の価値を。
 それが持つ、力を―


   【世界の黄昏に愛する人と   第一章 陽祐】


「ふぁ……、あ……」
 校門からバス停までの坂道を下りながら、陽祐(ようすけ)は、あくびした。
 授業中ほとんど寝ていたのに、まだ眠い。予備校で寝るわけにはいかないけど。
「―セ・ン・パイッ!」
 肩を叩かれ、振り向いた。
 麻生夏花(あそう・なつか)が微笑んでいた。陽祐に追いついて隣に並び、
「陽祐センパイ、朝も帰りも一日中、眠そうですねぇー?」
「朝なんか会ったか?」
「駅で見かけたんですよぉ。でも声かける前にセンパイ、電車に乗っちゃって。あたしは乗り遅れて次の電車」
「……はーん」
 陽祐は曖昧にうなずく。
 電車に乗ったというから地元の駅のことだろうが、陽祐にとっては、どうでもいいことだ。
 陽祐は私立高校の三年生で、夏花は二年下の後輩だった。
 地元が一緒で同じ中学の出身である。
 並んで歩けば、陽祐と夏花は絵になるコンビだ。
 白いシャツと紺のネクタイという夏の制服が二人ともよく似合う。
 陽祐は先月の県総体を最後に引退するまでは水泳部員で、肩幅があって引き締まった体つき。
 端正な顔が日に焼けていないのは学校のプールが屋内にあるからだ。
 一方、夏花は現役の水泳部員である。
 セミロングの艶やかな黒髪に、かたちのいい眉と涼しげな眼。通った鼻筋に、ぷっくりした唇。
 体つきはスレンダーで、きわどく丈を詰めたスカートから伸びた脚が周囲の視線を惹きつけずにおかない。
 もっとも陽祐は、あえて眼を向けないようにしていたが……

493:【世界の黄昏に愛する人と】(1) 2/4
09/01/02 03:22:10 3B1y5CUw
「……おまえ、部活はどうした?」
 陽祐はたずねた。
 たとえサボりでも夏花自身の競技成績が落ちるだけで知ったことではないが、ほかに話題がない。
 すると夏花は、くすくす笑い、
「やだなぁ、きょうはサボりじゃですよぉ。テスト前だからお休みでぇす」
「ああ、そっか……」
 苦い顔でうなずく陽祐に、夏花は屈託のない様子で、
「陽祐センパイもテスト勉強で眠いんじゃないんですかぁ?」
「学校のテストなんか無視だよ。こっちは受験で手一杯だ」
「そっかぁ、受験生だから。そうでしたよねぇー……」
 ふむふむと夏花はうなずくと、ちらりと上目遣いに陽祐の顔を見た。
「じ・つ・はぁ、クラスの子に、陽祐センパイを紹介してくれって頼まれたんですけどぉ?」
「……あ?」
 眉をひそめる陽祐に、夏花は、にんまりと笑い、
「可愛い子ですよぉ? ほら、こないだ学食でセンパイと会ったとき、一緒にいた子ですけどぉ」
「ンなの、相手してる暇ねーよ」
 さらに渋い顔になる陽祐に、夏花は笑顔のままで、
「もちろん受験生だし答えはそうでしょうけど、いまフリーかどうかだけ確かめてくれって頼まれちゃってぇ」
「聞いても答えなかったと言っておけ」
「うーん、そうですかぁ」
 夏花は両手を広げて肩をすくめる芝居じみた仕草をした。
「彼女、センパイの趣味とか好きな歌手は誰かとか、しつこく聞いてくるんですよねぇ」
「…………」
 陽祐が仏頂面のまま答えずにいると、夏花は、ふふっと悪戯っぽく笑い、
「まぁ、あたしも中学のとき、美沙(みさ)に同じことしたから文句言えないですけどぉ……」
 美沙は陽祐の妹で、夏花とは中学の同級生だった。いまは県立の女子高に通っている。
「……でも、元カノのあたしにそんなこと聞くなんて、遠慮ないですよねぇー?」
 陽祐は返事をしなかった。
 一方的にフラれた元カノに、いま彼女がいるのかと訊かれても答える気になれない。
 坂の下の停留所にバスが着くのが見えた。並んでいた生徒たちが乗り込み始める。
「……俺、予備校急ぐけど、おまえは?」
 たずねる陽祐に、夏花は微笑み、
「どうぞぉ、行っちゃってくださぁい」
「わりーな」
 陽祐は駆け出した。
 ぎりぎりでバスに乗り込み、吊り革につかまって窓の外を見ると、夏花がこちらに手を振っていた。
 だが、すぐにバスは角を曲がり、夏花の姿は見えなくなった。


 陽祐が予備校から家に帰り着いたのは夜の九時半過ぎだった。
 ドアの鍵を開けて玄関に入る。
「……たでーまー」
「おかえりー」
 奥から美沙の声がして、パタパタとスリッパで駆けて来た。
「ネギは?」

494:【世界の黄昏に愛する人と】(1) 3/4
09/01/02 03:22:55 3B1y5CUw
「……え?」
 通学靴を脱ぎながら陽祐はきき返す。
 何故だかエプロン姿の美沙は、腰に手を当てて口をとがらせ、
「メールしたじゃない、買って来てって」
「わりー、読んでねーよ。オフクロは?」
 たずねながらスリッパを履く。
 美沙がエプロンなど着けて主婦の真似をしているのは母親が風邪でもひいたのかと思ったのだが、
「まだ帰ってない」
「まだ? どこか出かけてんの?」
 美沙の横を抜けて陽祐は居間へ向かう。美沙はあとを追って来て、
「なに言ってんの、クラス会でしょ。きのうも今朝もママが言ってたじゃない」
「そうだったか?」
「だから晩ごはんは美沙が作るって。もうっ、お兄ちゃんってば、いつも人の話を聞いてない!」
 ふくれ面をする美沙に、陽祐は気まずく口をつぐむ。
 美沙は陽祐から見ても、よくできた妹だった。家の手伝いは当然のようにやるし、学校の成績も優秀だ。
 おまけに見映えも悪くなかった。
 生まれつき栗色のふわふわした髪に、くりくりと表情豊かな眼に、人形みたいに整った小作りな鼻と口。
 中学時代はよくモテて、複数の男子から告白されたが全て断っていたとは夏花からの情報だった。
「なんだか美沙ってぇ、男嫌いじゃないかと思ってぇ……」
 実際、美沙は県立を含めて女子校ばかり受験していたから、夏花の分析も当たっているのかもしれない。
 とはいえ、妹の恋愛事情など兄が心配することでもないと陽祐は思っている。
 つまらない男に遊ばれて泣かされるようでは困るが、しっかり者の美沙にはその心配もないだろう。
 居間にはソファにテレビ、AVラックにパソコン一式などが揃えてある。
 美沙はアニメのDVDを観ていたようだ。
 一時停止された画面には虎縞のビキニを着た鬼娘のキャラクターが映っている。
 アニメに興味がない陽祐はソファに通学鞄を放り投げ、続き部屋のダイニングキッチンへ向かう。
 だがテーブルに夕食が並べてあるのかと思ったら、箸しか用意されていなかった。
「冷蔵庫に冷しゃぶサラダが入ってるから出して。お皿二つに分けてあって、一つはパパの分だから」
 美沙が種明かしのように言いながらキッチンに立った。
「いまお素麺、茹でるから。ネギがないから薬味は生姜だけで我慢してね」
「ああ……」
 言われた通りに冷蔵庫を開けると、きちんと皿に盛りつけてラップをかけられた料理が作り置いてあった。
 見た目は母親の料理と遜色ない。
 美沙が水を張った鍋を火にかけて、振り向き、
「あと麦茶も冷やしてあるけど、それとも温かいお茶がいい?」
「とりあえず、ビールにするわ」
 陽祐が缶ビールを冷蔵庫から引っぱり出すと、美沙は眉を吊り上げた。
「ばか、なに言ってんの。ちょっと、やめて!」
「いいじゃん。オフクロもオヤジもいねーんだから、飲ませろよ」
「だめ、絶対だめ! どうしても飲みたいなら美沙が見てないところで独りで飲んで!」
 本気で怒りだした美沙に、陽祐は苦笑いして、
「ほんと優等生だな、おまえ。クラス委員長向きだよ、来年こそ立候補しろ」
「ほんっと、頭にくる! お兄ちゃんには二度とごはん作ってあげない!」
「じゃあ、これが最後の晩餐か。じっくり味わって食うとするか」
 陽祐はビールを冷蔵庫に戻し、自分の分の料理をテーブルに並べた。

495:【世界の黄昏に愛する人と】(1) 4/4
09/01/02 03:23:43 3B1y5CUw
 美沙は、くすくす笑いだす。
「……まったく、お兄ちゃんってば悪い冗談ばっかり」
 どうやら冗談だと思ってくれたらしい。ビールを出したのは本気だったけど、機嫌が直ったのはありがたい。
 素麺が茹で上がる前に、陽祐は冷しゃぶサラダから食べ始めた。
 味は母親と遜色ない。妹の手料理を口にする機会は多くはないが、なかなかの腕前と認めていい。
 やがて出てきた素麺の茹で具合も問題なしだった。
 美沙は父親の分も一緒に茹でて水にさらしてから、ざるに移しラップをかけて冷蔵庫にしまった。
 食後は皿洗いをしようと陽祐は申し出たが、それより風呂に入るよう勧められた。
「このあとも勉強するんでしょ、お兄ちゃん?」
 にっこり笑顔で言われると、やらざるを得ない気分になる。
 きょうは眠いから自宅学習はナシにしようと思ったのだけど。


 二階の自室で陽祐が勉強しているうちに、母親が帰って来たらしい。
 玄関まで迎えに出た美沙と話す声が聞こえてきた。十一時過ぎのことだ。
 やがて、零時を回って父親が帰宅した。美沙はまだ起きていたようで、母親と三人で話す声がした。
 陽祐は机に広げていた勉強道具を片づけてダイニングへ降りていった。
 父親と母親がテーブルについてビールを飲んでいた。
 母親は風呂を済ませたらしくパジャマ姿で、父親は背広の上着だけ脱いでいる。
 キッチンで素麺を茹でていた美沙が、陽祐に気づいて振り返り、
「お兄ちゃんも、お素麺食べる? ママが夜食にするって」
「素麺はいいや」
 陽祐は食器棚からグラスを出して、テーブルについた。父親にグラスを突き出して、
「俺も、いい?」
「まあ」
 クラス会帰りでテンションが上がっているらしい母親は、おどけるように眼を丸くした。
「オヤジと酒を酌み交わそうなんて、一年早いぞ」
 言いながらも父親はまんざらでもない顔で、陽祐のグラスにビールを注ぐ。
 陽祐は美沙の顔を見て、にやりと笑ってみせた。
 美沙は口をとがらせながら、皿に盛りつけたキュウリの糠漬けを運んで来て、
「一年じゃ、まだお兄ちゃん十九じゃないの」
「大学生になれば酒と煙草と賭け麻雀は解禁だよ。なあ、陽祐?」
 父親が言って、母親が、
「あら、賭け麻雀はまずいでしょ。せめてパチンコじゃないの?」
「やだもう、この家のオトナ。つき合いきれない。先に寝ちゃえばよかった」
 美沙はあきれた顔で、火にかけた素麺の鍋の前に戻る。
 その背に向かって母親が、
「美沙ちゃんも一杯やる? 仲間にお入りなさいな」
「結構です!」
 美沙は振り返らずに答えた。
 本気で怒っているような口ぶりだったが、母親も父親も笑うばかりだった。


 ―そして翌朝、陽祐は異変を知った。
【第一章 幕】

496:【世界の黄昏に愛する人と】(2) 1/5
09/01/02 03:24:33 3B1y5CUw
   【世界の黄昏に愛する人と   第二章 美沙】


「―て、―ちゃん。ねえ、起きて……」
 揺り起こされた。
「んあ……?」
 陽祐は、しかめ面で目を開ける。美沙が不安げな顔で自分を見下ろしていた。
「変なの。ママもパパも、どこにもいないの」
 美沙は女子高のセーラー服姿だった。カーテンの隙間から差し込む日の明るさで、いまが朝だとわかる。
 じきに自分の目覚ましも鳴る頃だったろうが、なんだか損をさせられたように陽祐は思う。
「いないって……オフクロなら台所で朝メシと弁当作ってるだろうし、オヤジはまだ寝てるだろ?」
 眠い眼をこすりながら陽祐が言うと、泣きそうな顔で美沙は叫んだ。
「だからキッチンにもいないし、ベッドも空なの! 家じゅう捜したけど、いないんだってば!」
「…………」
 陽祐は眉をしかめた。起きぬけに両親が失踪したなどと言われても頭がついていかない。
 ベッドから起き上がろうとして、
「……わりーけど」
「えっ……?」
「ちょっと外に出ていてくれ。着替えるから」
 タオルケットの下はトランクス姿だった。最近はパジャマを着ないで寝ているのだ。
 おまけに男の朝の生理現象が起きていた。


 陽祐は手早くTシャツとジーンズに着替えた。
 部屋の外で待っていた美沙と二人でもう一度、家じゅうを捜してみることにする。
「……いつもはママ、美沙より先に起きてごはん作ってくれてるのに、キッチンは昨日の夜、片づけたままで」
 階段を降りながら美沙が説明する。
「寝坊かなと思って起こしに行ったら、ママもパパもベッドが空だし、ほかのどこにもいないの……」
「置き手紙とか、なかったか? 誰か親戚が死にかけて病院に駆けつけるとか?」
「何もなかった。二人とも携帯も置きっぱなしで」
 両親の寝室は一階にあった。念のため途中にある居間とダイニングも覗いたが、誰もいない。
 寝室もやはり無人だった。家具はダブルベッドと、その脇にサイドテーブル。クロゼットは作りつけ。
 ほかに鏡台があり、両親の携帯がその上に置かれていた。
 母親の携帯の着信履歴を見たが、昨日の昼間、登録名『聡子ちゃん』という相手からかかってきたきりだ。
 恐らくは母親の友人だろう。発信履歴は、おとといまで遡る。
 メールも発着信を過去十件ずつチェックしたが、不審なところはないように思えた。
 父親の携帯はロックがかかっていた。試しに父親の誕生日を暗証番号に入れてみたが、違っていた。
 サイドテーブルの引き出しを開けると、父親の財布とキーホルダーが入っていた。
 四つある鍵は、自宅と車と、あとは会社の机やロッカーのものだろうか。
 そういや、車はあるのか? キーなら居間にスペアがある。
 カーテンを開けて、窓の外の車庫を見た。車は車庫にあった。
 クロゼットも開けてみたが、両親の服が下がっているだけだった。
 誰からか連絡があるかもしれないので、両親の携帯はジーンズのポケットに入れて持ち歩くことにした。
 一階にはもう一部屋、六畳の和室があった。
 この家が建てられた当時は客間という想定だったようだが、陽祐が知る限り、客が泊まったことはない。

497:【世界の黄昏に愛する人と】(2) 2/5
09/01/02 03:25:16 3B1y5CUw
 その客間にも当然のように誰もおらず、念のため開けた押入れも、布団が二組、入っているだけだった。
 和室を出て玄関へ向かう。美沙があとからついてくる。
 靴入れを開けながら美沙にたずねる。
「オフクロの靴がなくなってるか、わかるか?」
「ママがどんな靴もってるか、全部は知らないよ」
「オヤジの靴はあるみたいだ。いつも同じのしか履かないから、すぐわかる」
 ドアの鍵はかかっていた。鍵が開いたままなら、いよいよ不審だったけど。
 サンダルを突っかけて玄関の外に出た。
 日差しがいやに眩しかった。顔をしかめて、門の脇の郵便受けを確かめた。
 手紙などは入ってなかった。それに、朝刊もない。
 玄関から心配そうに見ている美沙にたずねた。
「……新聞、とったか?」
「まだとってない。いつもパパがとりに行くでしょ」
「オヤジは何時に起きてる、いつも?」
「美沙より少しあとだよ」
 それなら、今朝は父親が新聞をとったわけではないのだろう。配達を忘れられただけかもしれない。
「…………」
 ふと違和感を覚えて、家の前の道を左右、見渡した。
 物音がしなかった。人も車も通らない。
「……きょう、日曜じゃねーよな?」
「木曜だよ。なに言ってんの」
「そうだよな。日曜ならオヤジたち、二人で早起きして散歩かもしんねーけど……」
 もう一度、辺りを見渡す。
 景色はいつもと変わりないようでいて、庭木の葉っぱが風にそよぐほか、何も動くものがない。
 あまりにも静寂。
「……隣近所をピンポンダッシュして回ったら、怒られるよな?」
「ばか、当たり前でしょ! 冗談を言ってる場合じゃないんだよ!」
「逃げるから怒られるんだ。適当なこと言って、ごまかせばいいのか」
「ちょっと、お兄ちゃん……?」
 陽祐は門の外に出た。道を横切り、向かいの家を門の前から覗き込んだ。
 いつもなら、たちまち吠えかかってくるはずの、玄関脇の犬小屋のラブラドールがいなかった。
 もちろん、散歩に出かけているだけかもしれない。
 チャイムを押した。
 ―応答なし。
 開いていた門の中に入り、玄関のドアをノックして「すいません」と呼びかけたが、返事はなかった。
 その隣の家へ行って、またチャイムを押した。やはり応答なし。
 ドンドンとドアを叩き、「すいませーん!」と叫んだ。
 反応がないので、そのまた隣の家へ走った。チャイムを押し、ドアを叩いた。
 そしてまた次の家で、同じことの繰り返し。
 面倒になって、道の真ん中で怒鳴ってみた。
「おーいっ! 誰か、いねーのかっ!」
「お兄ちゃん……」
 心配そうな顔をして、そばまで来た美沙に、陽祐は言った。
「おまえ、向こう側の家、チャイム鳴らして回れ」
「ママたちが来てるって言うの?」

498:【世界の黄昏に愛する人と】(2) 3/5
09/01/02 03:26:11 3B1y5CUw
「……いや。どの家も、誰も出て来ねーと思うから」
「そんなこと……」
 美沙は眼を丸くして、陽祐の顔を見つめた。


 家に戻って居間のテレビをつけた。どのチャンネルも砂嵐だった。
「……くそっ」
 テレビを消した陽祐に、美沙が、
「どういうこと、お兄ちゃん……?」
「わからん。だけど、消えたのはオヤジやオフクロだけじゃない」
「え……?」
「隣近所の人間がみんな消えた。向かいの犬もいないから、人間だけじゃないかもな」
「どうして? 漫画やSFじゃないんだよ?」
「考えられるのは、地震とか災害が予知されて、みんな避難したのかも」
「でも、ママやパパまで……」
「……ああ。オヤジやオフクロが、俺たちを置いて逃げるわけがない」
 その点は両親を信頼していいはずだ。
 ならば、何故みんな消えたのか? いったい、どこへ消えたのか?
 自分たち兄妹を残して……
「……いや、消えたのは、うちの近所だけか? テレビも映らないってことは……」
「美沙、友達に電話してみる。携帯とってくるね」
「俺も自分の携帯とりに行く。なるべく一緒に行動したほうがいいだろ、俺たち」
 離れた途端に、もう一人まで消えるかもしれないから……とは恐ろしすぎて口には出せず。
 二人で二階に上がって、それぞれの部屋から携帯を回収した。
 廊下に出て美沙は、すぐに何人かの友達に電話したが、
「誰も出ない……」
 陽祐も同じことを試したが、無駄だった。
「北海道の伯父さんはどうだ?」
 母親の携帯に登録されていた番号にかけてみたが、やはり相手は出なかった。父親の実家も同様だ。
 二人は、無言で居間に戻った。
 陽祐はソファに座り、役立たずな携帯を傍らに投げ出す。
 美沙はうつむきながら、その前に立った。いまにも泣き出しそうな赤い顔。
「…………、美沙が……」
 何やらつぶやき、陽祐はきき返す。
「え?」
「……まさか、こんなこと……。だって、そんな……」
 意味のある言葉ではなかった。よほど混乱しているのだろう。
 陽祐はソファの上で胡坐をかいて、膝に頬杖をついた。
 何やら考え込むようなポーズだったけど、実際には何も考られなかった。
 父親と母親が消えた。隣近所の住人も消えた。
 親戚や友人に電話しても誰も出ない。テレビも映らない。その事実を反芻しているだけだ。
 どうして、みんな消えた?
 ―考えたって、わかるわけがない。
「……おまえも座ったら? とりあえず、これからどうするか、考えてみるから」
 陽祐が声をかけると、美沙は首を振る。

499:【世界の黄昏に愛する人と】(2) 4/5
09/01/02 03:26:57 3B1y5CUw
 それから、思いきったように顔を上げて、美沙は微笑んでみせ、
「とりあえず、朝ごはん作るね。タイマーでごはんだけ炊けちゃってるから」
 食欲なんて、あるはずなかった。
 けれども、美沙が料理で気を紛らわしてくれるのなら、ありがたかった。
 泣かれたりするのが一番困るのだ。
 陽祐自身、途方に暮れて、意味もなく叫び出したい気分なのだから。


 美沙が料理をしている間、陽祐は居間のパソコンのネットで、思いつく限りの場所にアクセスしてみた。
 二十四時間随時更新が売りのはずのニュースサイトは、夜中の一時以降、新しいニュースがなかった。
 不特定多数が書き込む匿名掲示板も、最後の投稿が午前一時。
 一時といえば、陽祐が寝た時間だ。
 その頃に、みんな消えたのだ。おそらく、日本中の人間が。
 海外のサイトも見てみたが、陽祐の語学力では、いつから更新されていないのか判断がつかなかった。
 国際電話をかければいいと思いつく。
 相手が出れば、少なくとも日本以外の国では、まだ全ての人間が消えたわけじゃないとわかる。
 各国の観光協会あたりなら、日本語の通じるスタッフがいるだろう。彼らにこちらの事情を説明してみよう。
 日本と連絡がとれなくなっていることは海外でも騒ぎになっているはずだ。
 自分たち兄妹に、救いの手が差し延べられるかもしれない。
 ―世界中の人間が消えたわけじゃなければ。
 ネットの世界時計で時差を確かめ、オーストラリア政府とハワイ州とロサンゼルス市の観光局を検索。
 それぞれの公式サイトに掲載されていた代表番号に電話してみた。
 いずれも相手は出なかった。
 この世界に自分たち二人だけが取り残されたと思うほか、なくなってきた。
 いまさらだけど、夢じゃねーよな?
 頬をつねったら痛かった。
「お兄ちゃん、ごはんだよ」
 美沙に呼ばれてダイニングへ行く。
 ごはんと味噌汁、卵焼きとトマトとキャベツの千切りという、申し分のない朝食が用意されていた。
「……おまえがいてくれてよかったよ」
 ぽつりと言った陽祐に、きょとんとした顔で美沙は、
「えっ……?」
「とりあえず温かい食い物にありつけるもんな。これがオヤジと二人だったら、どうなってたか」
「なに言ってるの」
 美沙は笑う。
 二人で「いただきます」と言い合って、食べ始めた。
 うるさいことは言わない両親だけど、食事の挨拶はしつけられてきた。
 たぶん、この世界で一人きりになっても自分は「いただきます」を言うだろうと陽祐は思った。
 それが食べ物に対する礼儀だというのが両親の教えだ。
 美沙は小さな茶碗によそったごはんを、小鳥がついばむように少しずつ口に運んでいる。
 少食なのは元からなので、食欲がないわけではないらしい。
 陽祐も、食べ始めてしまえば失せていたはずの食欲が戻って来た。
 美沙がきいてきた。
「ネットで何かわかったの?」
「ああ。あとで話そうと思ったけど……」

500:【世界の黄昏に愛する人と】(2) 5/5
09/01/02 03:27:47 3B1y5CUw
「何? いま聞いても平気だから、教えて」
「俺たちがいるこの世界には、いま、おまえと俺の二人きりしかいない。ほかの人間は誰もいないと思う」
「…………」
 さすがに美沙は箸を止めた。
「……待って。『俺たちがいるこの世界』って、どういう意味?」
 微妙な言い回しに、美沙も気づいたらしい。
 陽祐は味噌汁をすすって、
「何の確証もないけど、ここは俺たちがいた世界とは別の、パラレルワールドみたいなもんかと思えてきた」
 お椀を置いて、トマトを一切れ、口に運びながら言い添える。
「おまえのほうが、こういう話は詳しいんじゃねーか、漫画とかアニメで?」
「…………」
 美沙は、じっと陽祐を見つめている。
「……どうして、そう思うの?」
「だって、そうじゃなければ本当にみんな消えたことになるだろ? オヤジやオフクロを含め、人類全てが」
 陽祐は再び味噌汁をすすり、
「それよりは、俺たち二人だけが違う世界に迷い込んだと考えたほうが納得いく」
「ママやパパか、美沙たちか、世界から消えたのは、どちらかってこと……?」
 美沙は箸を置いて、うつむいた。
 陽祐はごはんを口に運んで、
「……あとで聞いたほうがよかったろ?」
「どうせ聞くなら、早いほうがいい。悪い話は……」
 美沙は、うつむいたまま首を振り、
「……でも、確かに現実感ないね。世界中の人間が消えて、美沙たち二人が残ったなんて」
「戦争とか疫病で全滅したならわかるけどな。いや、そのほうがいいって言ってるわけじゃねーけど」
 卵焼きを口に運び、
「全人類が跡形もなく消えるよりは、理解できるってことで」
「なんだかお兄ちゃんって、冷静だね」
「現実感がねーからな、おまえの言う通り。だけど、まだ消えただけのほうが救いがあるか」
「救いって……?」
「消えたときと同じように、そのうち急にまた、みんな戻って来るかもしれねーだろ?」
 あるいは、俺たちが元の世界に戻れるか……と、陽祐は付け加える。
「…………」
 美沙は無言のままもう一度、箸を手にとった。
「無理して食わねーでいいぞ」
 陽祐が言うと、美沙は首を振り、
「食べる。ママやパパがいつか戻って来るのなら、この世界で美沙たちも、元気に頑張らなくちゃ」
 美沙は顔を上げて、まっすぐ陽祐の顔を見た。
「そうでしょ、お兄ちゃん?」
「そうだな……」
 陽祐は眼を細めた。
 しっかり者の妹が意外と芯まで強いことは、新しい発見だと思った。


【第二章 幕】

501:【世界の黄昏に愛する人と】投下終了
09/01/02 03:30:20 3B1y5CUw
次の投下は1月3日以降になります。
この手の話はダメ、つまらねー! って方は、NGワード【世界の黄昏に愛する人と】で……

502:名無しさん@ピンキー
09/01/02 03:45:52 Ppa4ZhbD
まさかのリアルタイムに遭遇w

GJですた

503:名無しさん@ピンキー
09/01/02 04:06:11 jJVI5mEY
GJ!! まじGJ!

504:名無しさん@ピンキー
09/01/02 04:07:28 ZtMlyIiv
おもしろくなりそう、
頑張って

505:名無しさん@ピンキー
09/01/02 21:37:10 Ebtf1zdN
GJダヨー!
ウヒョヒョーだよー!

506:名無しさん@ピンキー
09/01/02 22:19:13 7v5XG9eV
>>501
GJ!
富樫義博の漫画「レベルE」にでてきた超能力の例を思い出した
娘が両親の喧嘩による極度のストレスから父親を自分の心の中に閉じ込めて父親を改心させたって話

507:名無しさん@ピンキー
09/01/02 23:46:42 cpI9k2Ei
なるほどね、兄以外はいらない・・・と

508: ◆3vvI.YsCT2
09/01/03 04:53:21 JdF7eMxf
かくなる上は拙者も作品を投下いたしたいと思う所存に在りますでござる。
……全然キモくないけど、なんというか、最近の妹もの作品の内容を反映させた作品になれれば幸いでござる。
(参考文献:忘却録音とか俺妹とか)

ちょっと長めの作品になり、しかも完結してないという最悪のパターンでござるが、
とりあえず現状の状態で投下するでござる。

タイトル:サワーデイズ(仮)
内容:クローズドタイプのキモウトが出てきます。

↓いざ!


509:名無しさん@ピンキー
09/01/03 04:55:21 JdF7eMxf
この想い。もし遂げられるなら、悪魔に魂を売り渡してもいい。
―そう思っている。本気で。

私は夢を見る。私の年子の兄―御門迅(みかど じん)と手を繋いで一緒に春の野を行く夢を。
花咲き誇る丘の上。桜舞い散るその場所で、私は兄に抱きつく。
兄はそんな私をやさしく受け止め、唇にキスをするのである。
―そして二人は結ばれる。

そういう夢を見る。願わくば、これが夢でなければ良いとも思う。
しかして現実はそうともいかない。

何の間違いか、私こと御門華音(みかど かのん)は実の兄のことを一人の男性として愛してしまった。
いつの頃からか。ずっと昔からだ。
初めの頃は、これが人間として普通のことだと思っていた。
家族のことを好きでいて、愛しているのは誰しもそうである、と小学校の道徳の授業ではそう教えていた。
だから、小学校の、高学年まではずっとお兄ちゃん好きで通していた。
お風呂にも一緒に入っていたし、一緒の布団でも寝ていた。
ある日突然、それが許されなくなった。
母は兄と私が一緒の風呂に入ることを禁じ、一緒の布団に入ることを禁じられた。
何故? きっかけは単純だ。禁止令が発布される前の日に、私には初潮が訪れていた。
母にそのことを話したらその日の晩にはお赤飯が出されていたことを覚えている。
二つの事象は繋がっていた。……母は何も言っていなかったが、今ならそう言える。
もちろんその時の私は理不尽な命令に対して拒絶をした。何故なのか、説明を求めた。
だが、返ってきた答えは「みんなそうしてるし、あなたたちもそうするべき」との一点張りだった。
母は従兄弟の努お兄ちゃんと友香お姉ちゃんを例に出して私たちにそう言い包めた。
努お兄ちゃんと友香お姉ちゃんは5歳ほど歳の離れた姉弟で、友香お姉ちゃんはその時丁度二十歳だった。
二人は小学生の頃から別々の部屋を与えられており、私たちよりずっと早く別々に風呂に入るようになったそうだ。
だから、それに比べたら私たちのそれは、遅すぎるというのだ。
私は納得できていなかった。しかし、兄は納得した様子だった。
それどころか「華音は甘えんぼさん過ぎるんだ。だから、もうちょっと大人にならないとな」とまで言ってきた。
そして、「分かったかい、華音。大人しく言うこと聞いてくれたら、お兄ちゃんちゅーしてあげるからな」
と頭を撫でてくれたのが決定打となった。
私はうん、とそのまま頷くと、その日から独りでなんでもするようになった。
それからもう五年にもなるだろうか。私はもう16歳になった。しかし、約束はまだ果たされていない。

―私はまだ、子供だということだろうか。


510:サワーデイズ 2 上のは1 ◆3vvI.YsCT2
09/01/03 04:57:21 JdF7eMxf
暗闇の中、ひたすらに兄を想う。目を開けたまま見る夢があるとすれば、私は瞬きすら惜しんでその夢を見るだろう。
せめて、夢の中ならば、私は兄と自由にいられる。一緒にキスをすることも、抱き合うことも―
股間に手が伸びる。
兄を想い、寂しくなり、涙が出そうなときは、こうやって自分を慰める。
それが一時の快楽でしかなく、心の隙間を埋められる行為でないことは百も承知の上だ。
体だけが大人になってしまった。心はまだ子供のまま。兄離れは、できていない。
繰り返される虚無との対面。私は、この家に於いて、世界に於いて孤独を患う。


「華音。朝だよ、起きなさい」
とうに目は覚めている。兄が起こしに来るまで、ずっと目を瞑って待っていた。
すう、すう。寝ている振りだ。
私は、そうそう良い子と認められるような娘ではなく、ちょっとだけわがままで手のかかる娘である。
少なからず、そう思われるように生きていくつもりだ。―兄に構ってもらう為に。
「華音は全くお寝坊さんなんだからなぁ、これだから、世話が焼けるよ……っと」
兄が布団をめくりにかかる。
「……寝相も悪いし……」
そんなことは無い。兄が部屋に来る直前に、寝巻きをはだけさせておいたのである。
胸元のボタンはいくつか開けておいた。下半分も、下品にならない程度にずり下げておいた。
寝るときにブラジャーは着けない。見えているはずだ。
自慢ではないが、私はスタイルに自信がある。胸はDカップだし、ウエストも綺麗にくびれている。
身長はちょっと低めだけれど、でも雑誌の読者モデルに誘われたことだってあるし、
結構良い線行ってるんじゃないかなって思ってる。
会ったことも無い男子からラブレターを貰った事だってある。全部、開封もせずに捨てたけど。キモいし。
だから、兄だって、そうそう私の体を意識しないということも無いだろう、と睨んでいる。
私は女の子である。兄は、男の子である。
理性が私と兄との関係を抑制しようと、本能のレベルではそのくびきからも開放されるだろう。そう信じている。
……ただ残念なことは、これを続けてから今までに兄がそういう気分になった気配がない、ということだ。
「なにしてるのよ、お兄ちゃんのエッチ!」
しかし、恥じらいは必要である。私はだらしの無い娘かもしれないが、貞操観念の緩い女ではない。



511:サワーデイズ 3 ◆3vvI.YsCT2
09/01/03 05:00:09 JdF7eMxf
ある年の四月に兄が生まれた。翌年三月に私が生まれた。
年子ではあるが、学校での学年は同じである。
ゆえに、私と兄とが距離的に離れたことは無い。
幼稚園から小学校、中学校。高校に至るまで。
私は兄と一緒の空間にいることを選択した。
この選択が正しかったのかどうか、疑問に思うこともある。

私と兄が近親者であること以前の問題である。
接触回数の非常に多い人間、例えばそのもの親や親 友間に於いて、
男女間の関係に発展することは全くといって良いほど無い。
これはウェスターマー ク効果といって、我々生物全般に刷り込まれた遺伝子の命令のようなものらしい。
卵から孵った雛 が初めて視る動物を親だと思い込むそれと同じ類である。
それらは誰に教えられるでもなく、みん な自然にそうなるという。

だとすれば、生まれてからずっと一緒にいる兄が、
私のことを異性と見做さないのもまた自然にな された選択だといえる。
―だが、現に私は兄を異性として認識している。
兄は、私と血の繋がりを持つ者だ。私だけがそ うであるはずなど、ない。そう思いたい。そうであって欲しい。

いっそのこと、兄と離れて暮らし、より女性らしくなり
兄妹という関係を薄らげた状態で兄と接すればよいのではないか、と考えたこともあった。
しかし、それをやるためには私が我慢をし続ければいけないこと、
及び兄にたかる「何か」の存在 を軽視できなかったため、今に至っている。

兄は取り立てて特徴のある顔をしているわけではない。
いわゆるイケメンかと聞かれれば、私であ ってもそうでもない、と答えてしまうほどに普通の顔をしている。
服飾センスは無い。(もっとも 、これは私が任意で兄をごまかしているからだが)
積極性はあまり無い。―だけれど、一つだけ 大きな欠点がある。
兄は、決定的に人に甘い。私に対してもそうだが、万人に対して甘い。
まるで宮沢賢治の詩に出てくる人間のように。
我慢強く、いつもにこやかに笑い、困った人を放っ ておけず、人と一緒に泣き、笑い、励ましてもくれる。
優しすぎるのである。―私が、手放したくなくなるほどに!

そんな兄のことだから、いつ私以外の女が纏わりつくか知れたものじゃない。
だからいつ何処であ ろうと監視の目を光らせておかなければ気が気でない。
そのためにずっと一緒にいる道を選んだ。
お陰で、今のところ兄は彼女いない暦は年齢と同じに保たれている。
もっとも、私を彼女とカウントしたならば、彼女いない暦は常にゼロで固定だが。


512:サワーデイズ 4 ◆3vvI.YsCT2
09/01/03 05:02:07 JdF7eMxf
問題はある。

私と兄が兄妹の関係であることは周知であり、これをして極度にいちゃつくようなことがあれば
関係が疑われるだろうことにある。

仲の良い兄妹。
それすらなるべくならば避けておくべき領域だ。……外聞上は。
目の前にいるのに。友達のように接することすら控えねばならないというのは、とても辛いものだ。
せめてもの救いは、兄が帰宅部で、私も帰宅部で「偶然」帰り道が一緒になるということくらいか。
あまり学校とは関係が無いが。その時だって雑談をする程度で、手を握ったりなんてとんでもない。
普通の恋人同士がやるようなことは何一つ出来ない。
だって、私たちは体面上恋人同士ではないし、もしそのような噂が立てば一番困るのは兄である。
兄に迷惑をかけることだけは全力で避けたい。
例えば手作り弁当。やってみたいと思っているが、周囲から冷やかされるのが怖くて出来ない。
同じクラスであるのに一緒にお弁当を食べることさえままならない。
これで、本当にいいのかな……と思うことしきりである。

兄を好きでいること。
そのことに後悔は、したくない。
そのために出来ることはないか―
一人で考えていてもなかなか思いつかない。時間は刻々と過ぎてゆく。

相談相手がいないわけでもない。私にだってちゃんと心の内を吐き出せる友人の一人や二人はいる。
ただし、ちょっとだけ変わっている娘なのでそんなにまともな回答は返ってこない。
……ま、話を聞いてもらえるだけでも有難いし、秘密を守ってくれているだけでも感謝すべきなんだけどね。

513:サワーデイズ 5 ◆3vvI.YsCT2
09/01/03 05:04:43 JdF7eMxf
相談しましょう。そうしましょう。

一日のうちで一番の楽しみである、兄との下校ツアーをキャンセルして向かうは学校の図書室。
そこには司書席に座りながらBL小説を机に積み上げ、ものすごい速度でページを捲る少女がいる。
名前は神楽坂朱未(かぐらざか あけみ)。私と同じく高校二年生である。
分厚い瓶底メガネは小さ い頃に暗いところで本を読みすぎたせいだとかなんとか。
今はちゃんと本を読むときは明るい場所で 読むようになったので、近視は進まなくなったのだとか。
いやに長い髪をゴムで纏めてポニーテール のようにしている。
本人曰く、「これが一番本読みに適した髪型さね。前髪かからんし」とのことだ 。
切ればよいんじゃないのか? との意見に対しては「切るの面倒」との返答だった。
髪を洗う手間 は度外視されているらしい。
実際のところ、朱未の髪はオタク特有の―手入れされていないぼさぼ さのそれとは違い、
エナメルの如きキューティクルが女の命たる輝きを存分に発揮していた。
ただし 、それに気づくものは私のほかにはいない。


ひたすらにBL小説を読む、朱未の存在こそが彼女を魅力のある異性とは映していなかった。
それは同性にとってもそうであるようで、一時期彼女が教室内で常に浮いた存在であったことは否定 はしない。
ただし本人は浮いていようが浮いていまいが他人に興味など無く、
ひたすら小説や物語にのみ興味の矛先が向いていたため、寂しさなどは感じなかったようだ。
人から見て孤独であるように 見えたが、彼女は決して孤独ではなかった。
―私とは正反対だ。

だから、私は彼女に憧れた。
彼女の強さを手に入れたいと思った。
なので、勇気を出して彼女に話し かけてみることにしたのだ。


514:名無しさん@ピンキー
09/01/03 05:05:42 6eCGb/0t
連投支援

515:サワーデイズ 6 ◆3vvI.YsCT2
09/01/03 05:07:28 JdF7eMxf
「ねえ、あなた、何でそんなにいつも幸せそうなの?」

今思えば嫌味な質問だったかもしれない。
でも実際に私は彼女の生き方と言うものに憧れていたし、 その疑問は嘘ではなく本当に知りたかったことだ。
「知りたいかいな? うひひ、ならこれあげるから読んでみ~」
朱未が私に渡してくれたのは一冊の小説だった。
表紙には線の細い男性とボーイッシュな女の子が描かれている。
何かの漫画だろう。その時はそう思 った。
「これ、貸してくれるの? ありがとう。早速、家に帰って読んでみるね」
その渡された本にどういった秘密が隠されているのか。
なんてことはなかった。秘密など隠されていなかった。

渡された本は俗に言うBL(ボーイズ・ラブ)と呼ばれるジャンルの本であり、
漫画ではなく小説、 それもライトノベルというジャンルになるだろうキャラクタ小説の一種であった。
表紙に書かれてい たカップルは男女のペアではなく、両方男であり、作中この二人は行為にまで発展する。
行為は男女間のそれと変わりなく(多分)、性別を除いて通常の恋愛小説とそう変わりなく話は展開 していく。
そこに「男同士だから宜しくない」というような社会通念は入り込まない。
まるで、男と男が愛する ことは当然かのように描かれる。
女性の存在は極めて薄く描かれる。それが、その世界での価値観だった。
はっきり言う。訳が、分からなかった。
だから、私は朱未にも、ちゃんとそう言った。すると
「ふふふふふ。最初は誰だってそうさね。でもね、これがまた辞められんのですよ……」
と言い、今度は二冊程鞄に捻じ込まれた。そして家に帰って読みきってみせた。
やはり感想は変わりなかった。何が面白いのか? 疑問はそれに尽きる。
「説明させるのかい? なぁーがーいよぉ。それでも聞く?」
したり顔で笑いながら私に問いかける朱未に、「……うん」と答えてしまったことが
彼女に私を友人 だと認められた瞬間であったような気がする。
場所を図書館に移して、朱未の講義は閉門まで続いた。私はただ聞いてるだけだった。
相変わらず、理解は出来なかった。だけど一つだけ分かったことがあった。
好きなものを好きでいることを厭わないこと。これが彼女の、朱未の強さだということだ。

「やぁ御門くんじゃないかい。あちきのお勧めBLでも借りていくんかい?」
私の接近を音だけで感知したらしい。本から目を離さずとも私を認識できているようだ。行儀は悪い が。
「あのね、今日は乙女の方」
乙女、というは隠語のようなものである。本来なら乙女といえば乙女小説、
つまり女性向けのハーレム小説を指すものだが、私と朱未の間ではその意味が違ってくる。
―お兄ちゃんのことで相談がある。
朱未と私の間だけで通じる言葉のやり取り、である。
朱未はこの言葉の重要さを良く知っている。だから、軽い意味で私がこのような相談を持ち掛けないことを理解している。
「ん、ああ。OKですお。今人居ないみたいだしの」
朱未はBLから目を離し、辺りを確認しながらそう言った。

516: ◆3vvI.YsCT2
09/01/03 05:10:50 JdF7eMxf
というわけで今のところはここまででござる。
(実は今日書いた内の半分であることは内緒)
展開の遅さ、gdgdじゃねえ?など、文句は随時受け付けておりまする。無視するけど。

あと、「ぼくの考えた妹」は作品に登場する可能性がありますのでどんどんアイデアをくださいまし。
以上。お目汚し失礼いたし申した。これにて!

517:名無しさん@ピンキー
09/01/03 08:56:22 +oqnqCp8
僕の考えた妹
・右手がドリル
・汗がニトロ
・スカートの中から武器が出てくる
・物凄く細かいゴリラのモノマネができる

・・・これどうすんだよ・・・w

518:名無しさん@ピンキー
09/01/03 09:19:01 GvKmgHqR
シスマゲドン?

519:名無しさん@ピンキー
09/01/03 09:35:19 5dn1iHFy
他のはともかく。
『スカートの中から武器が出て来る』はキモ姉妹のたしなみじゃないか?


520:名無しさん@ピンキー
09/01/03 11:01:18 IUGs019M
>>516
GJ!!

521:名無しさん@ピンキー
09/01/03 11:47:29 K3ZLfhsn
>>516
乙です。

このBLちゃんが、兄を巡る、恋のライヴァルとなっていくわけですか。
となると、兄がどういう人間なのか、もう少し詳しい描写が欲しいところですな。

522:名無しさん@ピンキー
09/01/03 12:44:31 U7Hs43nc
不思議に思ったんだが
キモ姉やキモウトは寵愛対象が性転換した場合
どういう反応をするのだろう

523:名無しさん@ピンキー
09/01/03 12:57:16 3sKtPPUD
>>519
そんなっ!胸の谷間から凶器が出てくるのはキモ姉妹じゃないのか?

524:名無しさん@ピンキー
09/01/03 13:24:49 dDqsySjR
>>522
TSものでは日常茶飯事だが
「兄は女としては0歳も同然だから私が上」という論法で徹底的に性的な意味で攻めまくってくるのが常道

525:名無しさん@ピンキー
09/01/03 17:17:06 znOQ3miP
>>519

それはなんというかメイドさんの嗜みな気がする

526:名無しさん@ピンキー
09/01/03 17:17:27 wJcXqFOd
>>523
むしろ、対兄弟用の凶器が足の間に(ry


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