キモ姉&キモウト小説を書こう!Part16at EROPARO
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part16 - 暇つぶし2ch200:名無しさん@ピンキー
08/12/14 21:37:27 +msbHQwC
キモウトから逃れるため全寮制の男子校へ入学した兄
だが翌年の春、寮で兄と同室になった新入生の美少年は
実は男装したキモウトだった!

キモウト   「今夜から毎晩、同じベッドで寝ような、ア・ニ・キ♪」
兄の同級生A「男子校でホモってマジ洒落になんねーし」
兄の同級生B「オマエとは短いつき合いだったが、これで縁を切らせてもらうわ」
兄の同級生C「というかエンガチョ♪ 二度と話しかけてくんなよホモ野郎♪」
不幸な兄  「いや待て誤解! こいつ実はオンナ! というか妹だし!」
兄の同級生D「嘘でももっとマシなこと言えよ(笑) 妹と一緒に寝るのも充分ヘンタイだろ(笑)」


『花ざかりのキモウトへ』 ~HAPPY END(キモウト的に)~

201:名無しさん@ピンキー
08/12/14 21:40:13 zzgAnyX1
おい!擬人化逆レスレで、ヘビお姉ちゃんやってるじゃねぇか!
どうして誰も知らせてくれなんだ。

202:名無しさん@ピンキー
08/12/14 21:43:42 6HOUnj6a
作者本人が言ってたぞ

203:名無しさん@ピンキー
08/12/14 23:27:45 uExbqDfM
>>195
>・外国へ逃げても、行き先の空港でお出迎え
怖いwwwww

204:名無しさん@ピンキー
08/12/15 00:45:53 zOeTTK3o
>>200
その発想はなかった

205:名無しさん@ピンキー
08/12/15 00:58:06 eTkRvntk
書いてるんだけどさ、みんなは兄貴視点と妹視点どっちの方が好き?

206:名無しさん@ピンキー
08/12/15 01:08:05 02H6ItPE
一粒で二粒美味しいという言葉があるように、迷ったら両方書けば良いと思う
二つの描写で苦労も二倍といわず書いて下さい

207:名無しさん@ピンキー
08/12/15 02:49:52 MIMTRKqZ
なんで三人称にすれば?と言ってやらないwww

208:名無しさん@ピンキー
08/12/15 10:11:32 Xx4izaWo
>>205
キモウトの脳内描写を濃厚に書いてください

209:名無しさん@ピンキー
08/12/15 13:36:31 X/ibCiny
とりあえず作者さんたちを応援

個人的にはノスタルジアが早くきてほすぃ

210:名無しさん@ピンキー
08/12/15 22:16:56 TaWnL2R6
とりあえずキモウトたちを応援
個人的にはお兄ちゃんをねっとり監禁してほしい

211:名無しさん@ピンキー
08/12/15 22:21:35 ZTRrpsyg
とりあえずキモウトたちを応援
個人的にはお兄ちゃんをねっとりエロエロ監禁してほしい


212:名無しさん@ピンキー
08/12/15 23:24:25 gLKmcx9U
とりあえずキモウトたちを応援
個人的にはお兄ちゃんをねっとりエロエロラブラブ監禁してほしい

213:名無しさん@ピンキー
08/12/15 23:35:32 zImN/+BB
とりあえずキモウトたちを応援
個人的にはお兄ちゃんをねっとりエロエロラブラブニャンニャン監禁してほしい

214:名無しさん@ピンキー
08/12/16 00:05:11 iEMhZsks
とりあえずお兄ちゃんを応援
個人的にはお兄ちゃんを解放してほしい

215:名無しさん@ピンキー
08/12/16 00:39:20 XOsA3cpx
>>214
こんな所にいたの、>>214お兄ちゃん?
全くもう!勝手に家から出ちゃダメだってあれほど言ってるのに……
でもお兄ちゃんのいる所なんてすぐに分かっちゃうんだから!
愛の力の前には全て御見通しです。
分かったらさっさと私達の愛の巣へ帰るよ!
今度はもう絶対に逃がさないんだから……

216:名無しさん@ピンキー
08/12/16 07:56:45 w0mIa66c
キミョウトってあれだよな…

兄の勃起チンポを見るとハレグゥのダマのように4足歩行で襲ってくる妹の事を言うんだよな

217:名無しさん@ピンキー
08/12/16 13:56:14 MtpUkyHQ
キモウト…キモい妹
キモオタ…キモい俺
キモオト…キモい弟
キモウソ…キモい妄想



仲間外れはどーれだ?

218:名無しさん@ピンキー
08/12/16 15:02:46 3s3nbuGT
>>217
キモ姉

さてクリスマス1週間前、計画も大詰めといった所でしょうか

219:名無しさん@ピンキー
08/12/16 18:11:20 LVkvT/uq
クリスマスとか
姉さんも妹もいないからあんまり関係ないなぁ
久しぶりに人と関わってみるかな

220:名無しさん@ピンキー
08/12/16 20:46:53 fz6Kwpxq
>>219
騙されるな
クリスマスは姉や妹とすごす日ではない
クリスマスは恋人とすごs

221:名無しさん@ピンキー
08/12/16 21:57:08 Uli+sPRf
クリスマスは恋人と過ごす。
そんなの当たり前だよね。

だから、ずっと私と過ごしてきたんだから。

今年は他の人と過ごしたいなんて…
そんなの有り得る訳ないじゃない。

今年もお兄ちゃんは私と一緒だよ。


そう、
”永遠”に、ね!


222: ◆.DrVLAlxBI
08/12/17 00:35:58 xihrhaXe
投下させていただきます。

223: ◆.DrVLAlxBI
08/12/17 00:36:28 xihrhaXe
『蝶変態超変態』

「ヒロ、お前はいつまでもあたしの下僕なのよ!」

姉に関して思い出すのは、辛いことばかりだ。
冒頭のセリフが俺の姉の酷さを象徴しているだろう。俺の姉は尋常ではないほどの俺様主義であり、俺は姉に逆らえたためしがなかった。
男なら腕っ節は上だろうと何度も人からは言われたのだが、姉は凶悪なまでの俊敏さと、その源である脚力をふんだんに使用したキックによって俺のささやかな反抗すら過剰鎮圧した。
曰く、「姉たるあたしに下僕(=弟)程度のあんたが逆らうとは、いつからあんたは戦国大名を気取るようになったのかしら? 日本史の教師が悪影響なのかしらね。あのハゲが……あたしの下僕に何を吹き込んだのかしら」
日本史の先生ごめんなさい。カツラはバレバレですが、俺はあなたの教育は偉大だと思っています。
とにかく、そんなこんなで理不尽に姉に下僕あつかいされ、俺の少年時代は抑圧とともに歩んだ歴史だったのだ。
俺は主張した。俺曰く、「友達の家に行きたい」「姉ちゃんの買い物長い」「荷物重い」「俺に金出させるのやめて」。
姉は反論した。姉曰く、「友達とお姉ちゃんどっちが好きなの?」「あんたはあたしに適当でダサい服を着たブス姉になってほしいの?」「男の子なんだから重いのを持つのが当然」「デートは男が貢ぐものよ」。
ああ、マイシスターよ。確かにそなたは美しかった。しかし、その美しさをたたえるのは弟たる俺ではないと思うんだ。
姉は美人だった。気の強そうなツリ目、艶のある黒髪、自信満々の笑顔、スタイルも良い。どこをとっても、男受けしそうな要素をもっている。
しかし姉はそれを特に有効活用しようとはしなかった。彼氏を作らないばかりか、男の友人を作らなかった。
言い寄ってくる男は多数いただろうに、姉はその全てを断り、中学高校の青春の時間を全て俺いじめにつぎ込んでいた。
俺は姉をなんだかんだで心配していたから、あるときこう聞いたことがある。
「姉ちゃんは、なんで俺ばっかりにかまっているんだ? 姉ちゃんだったらどんな男でもつかまえられるだろ?」
姉は小ばかにしたようにふんと息を吐き、即答した。
「下僕はあんたで足りてるわ、ヒロ。お姉ちゃんの一番好きな玩具は、あんたなのよ」
姉にとって、男とは下僕にすぎず、今の時点では俺という存在がその立場をまっとうしていて、それ以外はいらないらしい。
なるほど、俺は逃れられないのだな。そのとき俺はそう悟った。
しかし、別れというものは案外簡単にやってくるものだった。

224:名無しさん@ピンキー
08/12/17 00:36:59 xihrhaXe
姉は非常に頭が良かった。ゆえに、高校時代俺にばかりかまって、たいして勉強していなかったにも関わらず東大理三に合格してしまったのだ。
しかしここは京都。通うには遠すぎる。姉は一人ぐらしせざるを得ない状況に追い込まれた。
姉は行きたくないとだだをこねたが、学歴至上主義の両親は「他人を蹴落として合格したんだ。お前が行かなければ、おちた人々はもっと惨めになるぞ」ともっともらしい理由をつけて姉を追い出した。
姉は泣いて俺にすがってきた。
「ヒロ、あんたもお姉ちゃんと別れたくないでしょ! あんたからも父さんと母さんに頼んでよ!」
俺は、その時はまだ反抗期のガキだった。だから、あんな酷いことを平気で言えた。
「姉ちゃん。俺は、東京行くべきだと思う」
「え……」
「父さんの言うとおりだ。俺はあんまり頭よくないから、わかる。姉ちゃんに負けて落ちた人―たとえ一人でも存在するなら、その人のために行くべきだよ」
俺は姉より三歳下だから、当時中三の受験時期。俺は姉のような天才ではなく、偏差値は六十程度だった。それで両親に常に姉と比較されつづけて、姉に対する反抗心が溜まっていた。
だから……。
「ヒロ……あんた、なんで……あたしが……お姉ちゃんが、好きじゃないの……?」
わなわなと震えながら、姉は俺に問い掛けた。
「俺は姉ちゃんなんて……好きじゃ、ない……」
たぶん、本心じゃなかった。横暴な姉でも、姉は姉。大切な家族だったし、俺にだってそんなこと分かっていた。
でも、その時の俺は、くだらないコンプレックスから、無神経にもそう言い放っていた。
「ヒロ……なんで……なんでよぉ……」
力なく崩れ落ちる姉。

―その時、俺は姉の涙を初めて見た。


225: ◆VLzMxlQDWY
08/12/17 00:37:35 xihrhaXe
それから、姉はいままでの自信家な性格はどこにいったのやら、急激に大人しくなり、両親の意見に従って東京にいってしまった。
東京に行くまでの数日間、俺と姉は一度も口をきかなかった。
今では、後悔している。あの時、何故親身になって姉の意見を聞いてやらなかったのか。なぜ、素直になれなかったのか。
東京へ行ったほうが姉の人生に良かったであろうことは事実だと思う。しかし、それを奨めるにしろ、もっと良い言い方はなかったのか。
謝りたい。ずっとそう思っていた。
そして、半年が過ぎた。この夏休みに、姉が帰ってくると母が俺に伝えてきて、俺はついに謝るチャンスを得た。
そう、今日、姉が半年ぶりに帰って来る。
今は午後五時。姉が家に到着する七時にはまだ二時間ある。両親は姉を歓迎するための御馳走を作ろうと、材料を買いに行っている。あと一時間は帰ってこないだろう。
ふぅ。俺は息をつき、考える。姉にどう言おう。
姉の姿を想像する。
たぶん、相変わらず美人なのだろう。大学生になったのだから、彼氏もできているかもしれない。そうだ、俺の分が空席だから、下僕として彼氏がいるんだ!
そう、きっとそうだ。
それなら、姉もきっと変わらない明るくて自信家な姉だろう。そう願いたい。俺程度の男の行動など、全く覚えてすらいない。そうあってほしい。
もし俺に対して何らかの嫌悪を持っていたら……。俺は、土下座でもなんでもして謝りたい。
半年前のことなど引き摺っていないだろうという楽天的な考えと同時に、姉が俺を拒絶するかもしれないという恐怖に俺は背中が寒くなる。
―あんがい、姉に依存していたのは俺なのかもしれない。
と、その時、インターホンが鳴った。だれだろう。新聞屋なら丁重にお帰りいただきたい。
玄関にさっさと歩き、扉をあける。そこには……。
「姉……ちゃん……?」
「ヒロ君。久しぶりだね……」
紛れも無い、姉の姿があった。
眼鏡をかけていて一目見た雰囲気は違っているが、間違いない。
俺の姉、澪(みお)。彼女が、帰ってきたのだった。


226:トリップめちゃくちゃですが、同一人物です ◆.DrVLAlxBI
08/12/17 00:39:00 xihrhaXe
「姉ちゃん、随分早いんだね」
食卓の、指定席に座る姉。その感触が懐かしいのか、妙に穏やかな顔をしている。眼鏡の効果もあるのか。以前より眼力が若干緩和されている。威圧感が無い。
俺がそこに姉の好物のホットミルクを出してやると、姉はそれをふーふーしてから二口ほどすすり、一息ついてから答えた。
「うん、ヒロ君に早く会いたくて帰ってきたの」
ここで俺は違和感を覚える。
ヒロ君? 姉は俺を呼び捨てにしていたはずだ。それに、口調もなんだか柔らかい。
俺に後ろめたさを感じているのか……? だとしたら、悲しくなる。
いや、しかし、だとしても姉は勇気を出して、自分を傷つけた俺とも話をしてくれるのだ。その気持ちを無駄にしたくはない。
「ヒロ君……考え事、してるの?」
「い、いや、別に。それより、姉ちゃんが東京に行ってからのこと、聞きたいなぁ」
とにかく、気軽に会話できるようにならねば。姉も、たぶん俺との関係を修復したがっているのだ。
だから、俺も最大限、努力すべきなんだ。
「東大……、楽しいよ。ヒロ君の言うとおり、行って良かったと思う」
「そうなんだ。友達とか、できた?」
「うん、いい人がたくさんいて、みんな親切だったよ。私に、色んな知識を教えてくれて」
そりゃ、東大だ。日本最高の頭脳集団だ。当たり前だろう。やはり、両親と俺の判断は正しかった。
「生活は、苦労してない?」
「うん。バイトもしてるし、お金にも困ること無いよ……でも」
「でも?」
「ヒロ君に会えなくて……淋しかったよ……」
しゅんと眉がつりさがる姉。俺は人生最大かもしれないほどにびっくりした。
あの姉が、こんなにしおらしい女の子だったというのか? 半年の歳月は、人をこれほどまでに変えるというのか?
「な、なら、電話とかメールとかすればよかったんじゃ……?」
「そんなものじゃ、ヒロ君成分は補給できないよ」



227: ◆.DrVLAlxBI
08/12/17 00:39:43 xihrhaXe
ヒロ君成分って、なんなんだ? いや、これはまさか、姉のジョークなのかもしれない。東大式というやつか。
うん、確かに成分がどうのとか、理三っぽいかもしれない。
「でも、これからは『ずっと』一緒だからね……ヒロ君」
そう言って、姉は微笑んだ。一夏の短い間だが、一緒にいられるのがそれほど嬉しいのか。
俺はもちろんただの高校生であり、一人暮らしの経験はない。だから、ホームシックという感覚はわからない。
姉は、ホームシックゆえにこんなに大人しいのだろうか。それとも、東大で性格が変わったのか。
どちらにせよ、姉は家族のぬくもりを求めている。ならば、俺はそれに答えるべきだろう。
もうすぐ父さんと母さんが帰ってくる。そうすれば、豪勢な料理を前にして、以前の姉の自信に溢れた笑顔が見られるかもしれない。
そんな期待をしていると、突如、携帯のバイブレーションが作動した。
メールだ。母さんから。「急用ができて、お父さんと一緒に実家に行かなければならなくなりました。今日は帰れません。しばらく澪と一緒に仲良く過ごしてください」。
はぁ……? 急用って、なんだよ。娘を迎えるより大事なようなんて、あるのか?
家族のぬくもりを求めているであろう姉、澪にとっては、両親の不在は致命的だろう。
これでは、何のために帰ってきたのかが分からないじゃないか。
なら、このような時、俺はなにができるのか。わからない。わからないけど、やるしかない。俺一人でも、姉を労うんだ。
「姉ちゃん、ごめん。父さんと母さん、今日帰ってこないみたいだ。料理は俺が作るけど、良い?」
「うん、ヒロ君のお料理、好きだから。それと……私も、手伝うよ」
またまた驚きだ。姉がこんなに協力的だとは。昔は、両親不在時にも俺に料理を作らせた姉が。
「いや、姉さんは新幹線にずっと乗って疲れてるだろ。大丈夫、俺一人でできるさ」
「そう、ありがとう。ヒロ君」
姉の感謝の言葉を聞けるのも珍しかった。
「じゃあ、私、部屋に荷物を置きに行くからね」
「ああ、ありあわせの材料だけど、腕によりをかけて美味いものを作るよ」
「うん、楽しみにしてるからね」
姉は重そうなカバンを持って二階に上がっていった。
俺はキッチンで料理の製作に取り掛かった。


228:名無しさん@ピンキー
08/12/17 00:40:12 RJqMknsH
リアルタイムGJ!

229: ◆.DrVLAlxBI
08/12/17 00:40:13 xihrhaXe
我ながら見事な出来栄えの料理をさらに盛り付け、食卓に並べる。うん、本当に美味そうだ。いや、実際美味い。味見したら完璧だった。
姉も喜んでくれるだろう。そう思い、二階の姉を呼びに行く。
二階の姉の部屋の扉をこんこんとノック。しかし、応答無し。
「入るよ、姉ちゃん」
ゆっくりと遠慮がちにあけたが、中は薄暗くて殺風景。姉が入った痕跡の無い、引っ越し後からずっと同じ状態の姉の部屋。
どういうことだ。
俺が疑問に思っている間に、隣の部屋―俺の部屋から物音が聞こえた。
不審に思いながら、俺は自分の部屋―ゆえに、ノックしなくて良いだろう―を勢いよく開けた。
「あ、ヒロ君」
姉は俺を見ると、ぱあっと顔を輝かせた。なんかかわいいなぁ。しかし、そんなことはどうでも良いんだ。
「姉ちゃん、何で俺の部屋に荷物置いてるの?」
「ヒロ君の部屋がいいの」
「部屋変われってこと? 夏休みの間くらいなら、交換してもいいけど……」
「違うよ。同じ部屋がいいの」
「……?」
さっぱりわからない。
「ヒロ君と、同じ部屋にいたいの」
眼鏡越しに見える、姉の潤んだ瞳。うっとする。だめだ。涙にはどうも弱い。
それに、俺はもう姉を泣かせたくない。
「……わかった」
それに、母も『仲良くしろ』と言っていたし、仕方が無い。


230: ◆.DrVLAlxBI
08/12/17 00:40:46 xihrhaXe
食事を終えた後、姉に風呂を奨めた。長旅の汗を流して欲しいと思ったが、姉は拒否した。
「いいよ、ヒロ君が先に入って」
まただ。また、姉は昔と違う行動をとる。昔は、「あんたの残り湯なんかにつかりたくないのよ!」とか言って、絶対に一番風呂だった。
姉は、俺に遠慮しているのか?
やはり、あのときのことを引き摺っているのだろうか。ならば、俺は謝ったほうが良いのか?
しかし、こうしてぎこちないがうまくいっている関係を、今俺が乱すことはしたくない。姉の努力をむげにしたくないのだ。
俺は風呂で頭を洗いながら、悩んでいた。姉の言うとおり、一番風呂をいただいたのだ。
がちゃり。
と、その時、突然扉が開く。
「な、なんだ!?」
「ヒロ君。一緒に入ろう」
姉だった。いや、姉以外にはいないのだが、以外というか常識的に考えられない状況。混乱する。
「お、おいおい」
戸惑っている間に、姉は強引に突入していた。既に服を脱いでいたようだ。
さらに、温泉レポーターのように全く身体を隠す様子もなく、堂々とした―しかし、どこかおどおどしている―出で立ちでこちらに近づいてきた。
まずい、姉のすばらしいスタイルに目がいく。というより、剥き出しの……その、おっぱいとか、そういう感じのところとか……。
俺は目を逸らし、訴える。
「姉ちゃん、いくらホームシックだからって、これは!」
「だって……淋しかったし……ヒロ君と一緒にお風呂に入りたくて……。迷惑、かな?」
その声にある、深い悲しみを感じ取って、俺は姉の顔をみた。
眼に涙が浮かんでいる。だから、俺はこれに弱いんだってば。
「ごめん……。わかったよ、一緒に入ろう」
「うん!」
今まで浮かんでいた涙はどこに消えたのやら、姉は顔を輝かせた。
よく見ると、眼鏡をとっていて、昔の顔に戻っている。やはり、俺にはこのほうが自然だ。
相変わらず超絶的な美女だった。客観的に見れば、その美女と風呂に入れるなんて美味しいのではないか。それが姉でなければ。
しかし、その……姉だろうがだれだろうが、とにかく……。隠して、くれないかな?
俺は今、狭い風呂場の中ですし詰めになるのを防ぐため、湯船に移動した。姉は先に身体を流している。当たり前だ、湯船に入る前に簡単に身体を清めるのが、我が家だけでない、風呂のしきたり。


231: ◆.DrVLAlxBI
08/12/17 00:41:16 xihrhaXe
横目にちらちらと見えるその姉の身体と動作は、一回の、つまり、盛った年頃である男子高校生にとっては、あまりに刺激の強いものだった。
全体的に肉感的な体つきをしている姉が手を動かすたびに、大き目の胸がぷるぷると揺れ、その弾力を感じさせる。
むっちりとした脚の付け根にある、茂みも本当にちらりとだが見てしまった。
姉はそんな俺の視線なぞ全く気にしないかのように、急ににっこりと俺に微笑みかけ、言う。
「ヒロ君。背中流したげるね」
何度も言うが、俺は姉に償わなければならない罪を抱いている。ゆえに、断ることができなかった。
「ヒロ君の背中、広くなったね」
姉は俺の背中をこすりながら、ぽつりと漏らした。
そうか。やっと理解した。姉は、俺の成長が見たかったのだ。
姉にあのような暴言を吐いた過去から、俺がどれだけ『大人』になったか。それを見極めたかったのだろう。
もちろんこれは身体的な成長であるから、精神的なものと直接は結びつかない。しかし、俺が大きくなったことは、姉に実感として過去の払拭を伝えることなのだろう。
「ヒロ君、かっこよくなったよ。もう、彼女とか、できたのかな?」
おもむろに姉はそんな言葉を後ろから俺に投げかけた。ああ、なんと言う残酷。
どうせ俺は非モテですよ。その旨を姉に伝える。
「そっか。そうなんだ」
なんだか、その言葉には明るいというか、喜びというか、そういった何かが含まれているような気がして、ちょいと後ろをみやる。
姉は、異様にニコニコしていた。気持ち悪いまでに。昔も、このような笑みを見たことがある。俺をいじめていたとき。
ぞっとして、前を向きなおす。
大人しい姉の殻を脱ぎ捨て、ついに昔の姉に戻ろうとしているのだろうか。いや、それはない、と、信じたい。
ここまできてそんな落ちだったら、俺はもう駄目だ。人間不信に陥ってしまう。
それを見極めるため、俺は姉に質問をし返す。
「そういう姉ちゃんは、彼氏とかできたんじゃないの? 大学生なんだしさ」
―それに、美人だし。
そう付け加えた。
姉は黙り込む。俺は答えてくれないのだろうかとかんぐったが、次の瞬間に姉は口を開いた。
「いないよ」
簡潔な答えだった。その声には何の感情もない。何の感慨も含まれていない。冷徹な否定。
「いらない」
姉はそう付け加えると、いきなり俺の背中に抱きついた。
つまりそれはそういうことで、裸で俺の背中にだきついて……背中に……背中にイチゴが……!!
「お姉ちゃんには、ヒロ君だけいればいいよ」
―昔、そう言ったはずだよね?
俺は完全に硬直して動けない。恐怖か、驚きか、よくわからない何かに身体を縛られていた。
姉は、ふっと笑い、俺の胸をしなやかな指でなぞった。


232: ◆.DrVLAlxBI
08/12/17 00:41:46 xihrhaXe
「もっといろんなところ、洗ってあげるね」
俺の胸と腹を、ボディソープをつけた手で撫で始める。姉ちゃんよ、それはなんだか別の職業の人みたいな手つきですぜっ!?
抵抗できないのをいいことに、やりたい放題だった。
姉は一旦俺から離れると、なんと自分の豊かな胸にボディソープを垂らして再び後ろから俺の背中に抱き付き、さっきの行為を再開した。
今度は、押し付けた胸をにゅるにゅると俺の背中の上で動かす動作も含めてだ。
「どう、気持ちいいよね、ヒロ君」
俺は、全くこの状況に対応できていない。情報処理がまるで追いつかなかった。されるがままになる。
姉は、俺の首筋を舌で舐め始める。それは、洗っているつもりだろうか。
どうするか、皆目検討がつかない。これがどういう状況下もわからないのに、対応する策など思いつくはずが無い。
―否。俺の体の一部は、この謎の事件に既に対応していた。
「あ……。ヒロ君、おっきくなってるよ」
「ひぃ……!」
変な声を出してしまった。その変化を目ざとく見つけた姉が、それを手に握ったのだ。それも、ボディソープでぬるぬるの手で。
そう、大変下品なんですが……その……勃起、してしまいましてね。
そりゃそうだ。ぶっちゃけていうなら、この状況、官能的な場面だろう。
姉のおぱーいと乳首と手を俺の全身に撫で付けられて、なんていうかさ。その、あれだよね。鳴り響け、俺のエロス! って感じ。
いかんいかん、何を馬鹿なことを考えているのだ、俺。冷静になれ。姉は一体、どうしてこのような暴挙に?
まさか、彼氏について聞いたのが地雷だったのか?
こっぴどくフられたとか、ヤリ逃げされたとか、そういう苦い経験でもあったのか?
それとも、非モテなのに聞かれたのが不快だったか?
―うおぉ!
急に俺を襲った刺激に、俺の身体は一気にびくんと跳ねた。
「姉ちゃん!?」
「ヒロ君の、おっきくしちゃったの、お姉ちゃんなんだよね。なら、責任、とらなきゃ」
俺の膨張したマグナムを小さな手で掴み、しゅこしゅこと上下する。
だ、だめだだめだ! お兄さん―いや弟だけど―許しませんよ!
「だめだって……! やばいから!」
「なにが駄目なの……?」
姉が可愛らしく首をかしげる。いや、そう聞かれると、なんか説明は難しいけどな。
でも、感覚的に分かるだろうに。


233: ◆.DrVLAlxBI
08/12/17 00:42:17 xihrhaXe
姉は、依然俺のブツを扱きつづけている。まずいな。このままでは情けないことに、姉の前でマグナム弾を発射してしまうことになる。それは避けなければ。
「そっか!」
姉はぴんと閃いたように言って、手をとめた。
やった。やっとわかってくれたか……。
「やっぱり、手じゃだめだよね。おっぱいでしてあげるよ!」
―待て。その思考は斜め上すぎるだろう。
俺はとっさに逃走を試みたが、先に動いていたのは姉だった。
俺の両肩を掴んで、風呂場の床に組み伏せる。信じ難い筋力だった。とても東大生とは思えない。
もやしっ子ばかりというのは都市伝説だったか!
姉はそのまま、俺のマグナムをその巨大な果実のようなものではさみ上げ、ぬるぬると動かし始める。
「ひ、ひぃ……」
俺は驚きと恐怖のあまり、情けない抗議の声をあげることしかできない。
しかも、その声すら、姉にとっては『興奮を示している証』と解釈されたらしく、気を良くしたのかにっこりと笑った姉は、またとんでもない行動に出た。
挟んだマグナムを、その舌でぺろりと舐め上げたのだ。
「……!?」
声にならない声で叫ぶ。今までに自慰行為で感じたことが無いような、言葉にならない感触だった。
「ふふっ、気持ち良いんだね。ヒロ君のおちんちん、おっきくて良いね。おっぱいで挟んでも舌で触れられるくらい長いよ……ほら」
と言って、姉はさらにちろちろと舌先で愛撫する。
ひ、ひえぇ。どうすりゃいいんだ。俺は昔と実質変わらないままだ。姉に全く逆らえず、玩具にされている。
思えば、似たような状況が昔あったかもしれない。
「お姉ちゃん、昔、ヒロ君に、目の前でオナニーしろって命令したことあったよね?」
それだ。
「あ、ああ」
「ごめんね、ヒロ君。昔のお姉ちゃんは悪いお姉ちゃんだったね」
そう、昔の姉は、俺をわざわざ部屋に呼びつけて、目の前でオナニーさせたことがあった。
肉親とは言え、美人の姉に見られていたのだから、興奮もひとしきりであり、すぐに果ててしまった。
問題だったのは、その時精液が、近づいて凝視していた姉の顔にかかってしまったこと。姉は激怒し、俺を部屋から追い出した。
「あの時ね、本当はね、お姉ちゃんがオナニーしたくて、その……おかずが欲しくて、ヒロ君の精液が欲しかったの……。だから、見てるとき、凄く濡れてて。ヒロ君の精子が顔にかかったとき、もうひとりえっちしたくてたまらなくて……追い出して、ごめんね」
なんというか、もう、このころには驚くのには慣れていて、姉の言葉を素直に聞くことができた。
「ちゃんとあの後、ヒロ君の精子全部口に入れて味わったから、許してね……。それに、これからは、オナニーしろなんていわないからね。お姉ちゃんが、直接飲むから……」
―だから、お姉ちゃんを嫌わないで。


234: ◆.DrVLAlxBI
08/12/17 00:42:47 xihrhaXe
姉はそう言って、俺の巨砲(というにはおこがましいか)を唇で器用に吸い上げる。
俺はとてつもない快感を感じながらも、姉の言葉を冷静にかみしめていた。
姉は、つまり、つぐないのためにこういった変化を起こした。大人しくなったのは、昔の反動というか、反省なのだ。それも、主に俺にたいする。
姉は俺に嫌われたと思い込んでいて、その原因が、昔のあの横暴な女王様的態度にあったとして、それを自分から排除した。
その証しをいまここで、実に極端な形で実践している。おかずが欲しいとき、命令して精子を出させるのではなく、自分のご奉仕で出させるという方針に変えたという、その事実を。
それが昔と何も変わらないということに気付かず。
「う、うあぁ!」
情けない声をあげて、果ててしまう。
勢いよく―今までこんなに強い射精は見たことが無い―精液が飛び出し、姉の顔を汚した。
「はぁ……はぁ……いっぱい、出たね。偉いよ、ヒロ君」
興奮気味で、息が荒い姉。指で、顔にかかった精液をすくいとり、口に入れる。
「おいしい……おいしいよぉ、ヒロ君……!」
さらに興奮が加速されていくようで、姉は俺の性器周辺に何度も口付けを落とす。
「ヒロ君、もう、お姉ちゃん我慢できない。ちょうだい。ヒロ君の、お姉ちゃんに……」
姉は狭い風呂の床に身体を投げ出すと、足を大きく広げて俺に見せつけるように指で『そこ』を押し広げた。
「―!?」
俺は姉による拘束が解けた瞬間に、反射的に走り出していた。
「お、俺、のぼせたから、あとはごゆっくり!」
「ひ、ヒロ君!」
聞く耳持たぬ!
俺はバスタオルでさっさと身体を拭くと、まるで鎧でも着るかのようにありがたがりながら服を着て、自分の部屋に逃げていた。
さっさとベッドに潜り込み、もはや泣き寝入りだ。
姉は、本質的には昔と全く同じだった。結局、自分のエゴを俺に押し付けるだけなのだ。
またしばらくはこの生活なのかと思うと、震えが止まらない。
「ヒロ君……?」
少し後に、姉は俺の部屋に入ってきた。あたりまえだ。姉の荷物は既にここにはこばれていて、俺達は共同で部屋を使うと、もう姉に決められたのだ。
「ごめんね」
お。俺は姉の再度の反省に、関心をよせる。やはり、昔とは違う。反省ができるらしい。

235: ◆.DrVLAlxBI
08/12/17 00:43:19 xihrhaXe
「ヒロ君と会えなくて、淋しくて。あんなことしちゃった。ごめんね。ヒロ君のこと、もっとよく考えなきゃ、お姉ちゃん失格だね……」
おお、あの姉が! あの、自分勝手で女王様気質だった姉が、俺に譲歩している。
東大に入って、理知的になったんだ。そうだ、間違いない。
「今度は、何もしないよ。だから、一緒に寝よう、ね?」
ここまで言われては、断るわけには行かない。俺は「しゃーないな。怒ってないよ」と、ベッドの奥のほうに詰めた。
姉は、ぱぁっと顔を明るくして、俺の隣に潜り込んだ。
「昔は、何回かこうやって一緒に寝たね」
そうだったな。しかし、それも姉に命令されてのことだ。
「一緒にこの映画を見なさい、じゃなきゃ死刑!」と、ホラー映画に誘ったと思えば、その夜は「あんた、怖くて眠れないでしょ? あたしが一緒に寝てあげるわ。べ、別にあたしは怖くないわ! お姉ちゃんだもの!」とか言ったきがするな。
思えば、姉の俺いじめの中では可愛いものだった。
さて、さっき出したから、疲労感が溜まっている。俺はすぐに眠りに落ちた。
「おやすみ、ヒロ君」
俺は、そのことばに返すこともなく、意識を失った。


236: ◆.DrVLAlxBI
08/12/17 00:43:50 xihrhaXe
結局、姉は姉だった。朝のことだ。
「なにしてんの、姉ちゃん?」
俺は俺の股間辺りでもぞもぞとうごめく物体に声をかけた。
物体X=姉は、顔をこちらに向け、エンジェルスマイルで答える。
「朝だちを狙ってモーニングスペルマとでも洒落込もうかと」
何がモーニングスペルマだ! ただの痴女じゃないか!
姉は、東大に言って、サディストでなくなった代わりに、変態になったのだ。変態に変態したのだ。
もうやだ! 俺はそう叫び、一階に駆け下りていく。
モーニングスペルマならぬ、モーニングコーヒーを飲みつつ、朝のニュース番組をつける。
大事故のニュースだ。何人もの被害者が出たと報じられている。現場は結構近い。俺はそれをぼーっと見つめていた。
「父さんと、母さん、大丈夫かな」
なんとなく、なぜかは分からないが不安になって、携帯を取り出し、電話をかけてみる。
すると、不思議なことがおこった。着信音がする。この家からだ。
ばかな。昨日は母からメールが来たのだ。そんなことがあるわけがない。
着信音がするほうを目指して歩くと、いつの間にか俺は二階に上がっていた。
音の方角を見ると、俺の部屋の扉がある。
なぜ?
さっぱり意味がわからない。
その時、さらに信じられないことが起こる。
「もしもし」
電話にでたのだ。しかしそれは母ではない。
「姉ちゃん……?」
―姉だった。
「ヒロ君、お部屋に、入ってきてよ」
「……」
ごくり。俺は唾を飲み込み、意を決して扉を開く。
中には、俺のベッドに腰掛ける姉がいた。なぜか服を着ていない。投げ出された肢体があでやかで、俺は一瞬目を奪われた。
「母さんの携帯を、何で姉ちゃんが」
俺は携帯に向かって話し掛けた。眼は、姉の目を見る。姉も同様だった。
携帯に話し掛ける。


237: ◆.DrVLAlxBI
08/12/17 00:44:20 xihrhaXe
「そうだね……。昨日、早く帰ってきた、その前にお母さんに会ったんだよ」
「先に?」
「そう。お母さんと、お父さんを、『送って』あげないといけないから」
「送る? どこに?」
「もう、お姉ちゃんとヒロ君の仲を邪魔できない場所。二度と帰ってこれない場所」
―それってつまり。
「そう。殺しちゃった」
あ……ああ……。
俺はその言葉をすんなり信じていた。姉の目は、本気だった。
「朝のニュース見た? 結構盛大にやったんだよ。いろんな人を巻き込んで、たぶん二人も喜んでるよ」
―最近は、死ぬにしても道連れが欲しい人が多いみたいだから。
くすくすと笑いながら、姉は饒舌を続ける。
「昨日の、『お姉ちゃんと仲良くしなさい』っていうメールも、お姉ちゃんの自作自演。でも、ヒロ君は律儀に守ってくれたね。偉いよ」
姉は、母の携帯を奪い、眠らせるか何かして、車にのせ、大事故をわざと引き起こし、事故死に見せかける。
それらの行動を、平気でして、いま、こうして笑っている。尋常な人間のすることじゃない。
だが。―お前は、人殺しだ―この言葉が、俺の喉につかえて、出てこなかった。
「ヒロ君は、お姉ちゃんのこと、好き?」
「……俺は」
「正直に言っていいよ」
姉は已然にこにこと語りかけてくる。まるで、「好きだ」といわれることに疑いが無いように。
「……俺は、好きだよ……」
……。そうだ。俺は、姉に結局、逆らうことができない。
両親が死んだ今、残された俺達が仲たがいしては、何もできない。それが両親を殺した張本人の、この狂人であろうと。
そして、もうひとつの理由。
それは、ほかでもない、俺が姉を変えてしまったという事実に気付いたからだ。
俺の心無い一言が、姉の心を壊し、ここまで追い込んでしまった。
「ヒロ君……嬉しいよ。お姉ちゃんが好きなんだね。なら、ここに来て」
裸の姉が、ベッドの上でなまめかしく手招きをする。
「お父さんとお母さんはね、私がヒロ君のこと、とってもとっても愛してるっていうことに気付いて、嫉妬しちゃったんだ。だから、東京に行かせて、仲を引き裂こうとしたの」
俺はふらふらと、姉に近づいてゆく。もう、なにもかもがどうでもよかった。
「ヒロ君も、こんなに私のことが好きなのに。あ、そうか。お父さんとお母さんに、無理矢理『好きじゃない』って言わされたんだね。だって、ヒロ君がお姉ちゃんを嫌いだなんて思うはず無いもん」
俺がベッドの上に力なく倒れると、姉はズボンをさっと脱がし、跨った。
「あはは……。これで、やっと……。ヒロ君と、ヒロ君と……」
何故かは分からない。俺はこの状況下で、とんでもないほどに勃起していた。
この絶望感が。この無力感が。この支配が。俺を締め付けているからか?
俺は、姉に縛られることを望んでいるのか……?
姉は俺のモノをつかみ、その上に勢い欲腰をおろした。
「い……いたいよぅ。ヒロ君のに、膜やぶられちゃった……。責任、とってくれるよね?」
もう、何もかもがどうでもよかった。
「ヒロ君……! ヒロ君……!」
俺は、嬌声を上げながら腰を振る姉を無気力な眼で見つめることしかできなかった。


238: ◆.DrVLAlxBI
08/12/17 00:46:44 xihrhaXe
終了です。途中トリップがむちゃくちゃになりましたが、同一人物です。
なんか後半の展開が無理矢理すぎですが、時間があれば補完するかもしれません。

239:名無しさん@ピンキー
08/12/17 00:46:59 daqLamED
お姉ちゃん、自分の犯行だとばれないようにしなねw

240:名無しさん@ピンキー
08/12/17 00:51:04 54ppfNGf
つまんね

241:名無しさん@ピンキー
08/12/17 01:44:36 T+VsBG5Y
>>238
GJだ!!

242:名無しさん@ピンキー
08/12/17 01:54:31 usbxqwnr
>>238
GJ!

243:名無しさん@ピンキー
08/12/17 03:09:40 fVwub0/k
GJすぎる!

244:名無しさん@ピンキー
08/12/17 05:06:52 AJzIfWXC
タイトル見た瞬間に、パピ☆ヨン!
かと思ったじゃないか

245:名無しさん@ピンキー
08/12/17 09:18:31 ktCVI35b
蝶GJ

246:名無しさん@ピンキー
08/12/17 09:36:00 r8YwFyNc
キモいですGJです

247:名無しさん@ピンキー
08/12/17 11:13:59 PiKhISTR
クリスマスに絡めてキリスト教の話を入れたいんだけど、やめた方がいい?冒頭の意図はないんだけど
イエスの血は赤ワインで肉がパンでとかの話を、エロを交えて入れたんだが
架空の宗教にするか、注意書き入れるか、どっちがいいすか?
因みにそんなに詳しくないから結構適当。

248:名無しさん@ピンキー
08/12/17 11:37:26 koFa2vE2
さあ……こんなところを見ている敬虔なクリスチャンなんて存在するのだろうか?
極端な話、キリストとマグダラのマリアでエロ書いても誰も怒らなさそうな気がするが

249:名無しさん@ピンキー
08/12/17 11:37:56 hAI2gg+1
序盤のみという意味で冒頭なのか、侮辱する意味の冒涜なのか
それとも釣りなのかわからんが一言あればいいんじゃね?

創作を否定するくらい厳格なカトリックなら近親スレに来ないし

250:名無しさん@ピンキー
08/12/17 11:52:38 PiKhISTR
>>249、250 レスサンクス。冒頭じゃなく冒涜でした、スマン。
ちなみにプラス思考な妹で、兄とエロいことが出来たら神に感謝するって設定。

雑談再開。

251:名無しさん@ピンキー
08/12/17 12:16:17 Hc/Mv0xE
あれ?確かキリスト教って、近親は認めてるけど浮気は認めないんじゃなかったけ?

252:名無しさん@ピンキー
08/12/17 14:36:16 PvEZ/9hd
巨乳の妹の作品がないのはどういうことなんだ

253:名無しさん@ピンキー
08/12/17 14:46:30 GEqL5e5f
>>251
キリスト教といってもいろいろだが、歴史的にカソリックの場合、結婚を司るのは教会なので
基本的にはローマ法王庁がどこまでの関係で結婚していいのか許可を出してた

で、これが変更されるときはたいがい政治的な理由だったりする
このルールをコントロールすることで、特定の王族同士の結婚を認めたり認めなかったりして、
法王庁がカソリック諸国の政治に影響力を保持する手段の1つにしてたわけだ

254:名無しさん@ピンキー
08/12/17 15:59:00 Ac6IT+eS
いつもよくわかからないのは、なぜ教会が政治的影響力を欲したか、なんだけどね。
なんとなくわかるけど、つきつめるとよくわからん。
カトリックは「精神的近新婚」とかで事実上の離婚を認めていたらしい。
そこで質問だが、今の日本で、×1奥さんの連れ子は当然に新しい夫の子になるの?
法律を知ってる人教えてください。


255:名無しさん@ピンキー
08/12/17 17:17:02 m5TlNCgq
>>247
宗教ネタはヤバいと思うなら濁しておくのも一つの手段じゃないか
『ねずみの国』、『夢の国』みたいに
近年声優が代わった国民的アイドルも絵だと一発アウトだけど、文章だと明言しない限り訴えにくいらしいから

256:名無しさん@ピンキー
08/12/17 17:55:54 bedcAViY
>>254
なりません。連れ子とは別途養子縁組しない限り親子関係は発生しません。
連れ子系義姉妹は獲物を引きずって最寄の市役所婚姻届窓口にGo!

257:名無しさん@ピンキー
08/12/17 22:18:33 54ppfNGf
うぜえ

258:名無しさん@ピンキー
08/12/17 22:19:40 RJqMknsH
目の前には澄み渡った空。
眼下には金色の砂の海。
高度8000m、私の得物にして約束された棺、武器商人がウクライナ経由で格安で手に入れたSu-27が蒼空を駆ける。
「マコト!私の獲物に手を出さないでね!」
レシーバーから入ったのは隣を飛ぶF-14のミキの声だ。
「MiGにミキの名前が書いてあればとって置くわ」
「そっちこそ、自分の稼ぎまで盗られても知らないわよ」
と、早速レーダーに反応がきた。
機体はいつもの反政府軍のMiG、カモだ。
私は機体を下降させて相手の死角に潜り込む。対してミキは一気に加速をかけた。
「FOX2!」
ミキが叫ぶ。何秒かして、静かだった空に赤い花が咲いた。
MiG編隊はいきなりの襲撃にあわてふためき、編隊も崩れはじめてきている。
私は編隊から少し離れかけたMiGに死角を生かしながら接近する。
MiGがやっとこちらに気付いた時には、最早そいつはこちらの機銃射程内だ。
「本当に鈍いわね……まあいいわ」
私は機銃ボタンを指で軽く押してやる。
ヴォォォン、と重い唸り。そして次の瞬間、爆散するMiG。
これで1機。
もう少し、あともう少しだ。

あと少しで最愛のあの人のいる日本に帰れる。


「待っててね、お兄ちゃん」

私をこの場所に追いやったあの雌犬をぶち殺して、最愛の兄と身も心も血も繋がったつがいになるためにも。
私は一人でも多く殺すだけだ。



ここは中東……作戦地区名エリア83(病み)……

最前線中の最前線!地獄の激戦区エリア83!!

生きて滑走路を踏める運は全てアラーの神まかせ!!

私達は神さまと手をきって、地獄の悪魔と手をとった……百戦錬磨のキモ姉妹!!

259:名無しさん@ピンキー
08/12/17 22:43:01 RJqMknsH
と、ドキッ!キモ姉・キモウトだらけのエリア88を想像してみた。

従姉妹の策略によって傭兵部隊に送られ、日本に帰ろうと一人でも多く敵を殺す日本生まれのキモウト
敵側にいるパパを無理矢理奪って自分の愛で埋めつくそうとするでこっぱち指揮官
弟にまとわりつく泥棒猫を殺しまくって、自分と弟とは済む世界が違いすぎると弟を忘れるべく戦場に身を投じたメリケンキモ姉。
その他いろいろな病んだ娘たちがそれぞれの想い人への愛を叫び、子宮をうずかせながら空戦を繰り広げる……


やばい。読みたい

260:名無しさん@ピンキー
08/12/17 22:44:19 3uT4slbb
妄想が暴走とな

261:名無しさん@ピンキー
08/12/17 23:29:40 EUEnn7QM
次はエースコンバットキモ姉妹だw

262:名無しさん@ピンキー
08/12/17 23:58:10 Nj1IFwC2
>>259
退役してやっと愛する兄と過ごす日が来るんだ、って空港に行った妹が
通りすがりのひったくりに刺されちゃうよー

263:名無しさん@ピンキー
08/12/18 00:02:36 zn496/PK
>>238のss読んでて思ったんだけど、姉が上京するのヤダって言ったとき
弟に泣いてすがってきて、そのあと弟が拒絶した時に弟がはじめて姉の涙を
見たって言ってたけど、やっぱりキモ姉キモウトとなると泣いても涙を
出さないこともできんのかな?


264:名無しさん@ピンキー
08/12/18 02:02:23 Kai+a4n3
聖母マリア様に似てる女性のヌードを本に乗っけただけで反発する国があるらしいが
ここはそんなことねぇよな

265:名無しさん@ピンキー
08/12/18 03:32:52 p22B8l7P
>>263
鳴いたんだって

266:名無しさん@ピンキー
08/12/18 20:18:56 /UK5uhla
キモウトに愛の鉄槌を下されたい

267:名無しさん@ピンキー
08/12/18 20:35:19 TO2aRMXL
そういう技術はキモ耐性がある兄弟のほうができそうだがね


268:名無しさん@ピンキー
08/12/18 20:52:40 SVRqPFQL
アイーダってこのスレにぴったりなんじゃ。転生させて云々
女→男→仲良くあの世行き←女

既出かな

269:フライングですが
08/12/18 23:02:22 D8CxRh7A
 気付けば、”その日”を迎えるのに10日を切っていた。

 12月24日、クリスマスイヴ
 そして、私が生まれた日…。

 誕生日とクリスマスが一緒だった事が、昔は本当に嫌だった。
 クリスマスも誕生日もどちらもついでになるこの日に生まれた事を、何度恨んだか分からない。

 でも、今年は違う。
 今年には、クリスマスと誕生日の二つが揃った最高のプレゼントが、私にあるんだ。

 言ったよね、兄さん。
 今年はお前が望むプレゼントを上げるって、
 クリスマスと誕生日、両方を満たせるプレゼントをくれるって。

 分かってるよね、兄さん、それが何なのかを。
 もし分かってなかったとしたら、
 それでも良いよ、
 私が貰いに行くだけだから。

 最高の日に最高のプレゼント…

 待ってるよ、兄さん

 その日が私と兄さんの始まりの日になる事を。


270:名無しさん@ピンキー
08/12/19 01:33:31 Z+1kOOIQ
流石に兄が幼女にキスされて嫉妬狂うキモウトはいないだろう
もしそれで幼女を殺すようなら、そんなのキモウトじゃなくて…キミョウトだよ!

271:名無しさん@ピンキー
08/12/19 01:46:26 u+4o1Nfa
>>270
将来の禍根を断つのは当たり前

272:名無しさん@ピンキー
08/12/19 02:24:47 R3wo8ffk
>>270
つまり年の離れた幼女キモウトが姉の目を盗んでお兄ちゃんを横取りですね
相手が幼女なら兄も甘ガードが緩むだろうし、幼女の特権で兄にキスしたりベタベタ甘えたりもできる
・・・やっぱ姉に邪魔されそうじゃね?

273:名無しさん@ピンキー
08/12/19 03:14:19 C3zgQuwf
キモウト大明神

274:名無しさん@ピンキー
08/12/19 05:35:54 2/2blhUb
>>270
おまえ、それではキモウト補ですら落ちるぞ
もっと勉強せな、あかんな

275:名無しさん@ピンキー
08/12/19 07:31:47 XvCtnY99
>>269
むしろ誕生日ぐらい一緒に祝って攻撃できる

276:名無しさん@ピンキー
08/12/19 09:52:09 axI37K8j
キモイのは歓迎するんだが、キチ○イは困るんだなーチョットさ

277:名無しさん@ピンキー
08/12/19 13:08:26 pdUSFd5F
要求レベルが高すぎてそれスレスレじゃないとダメになってきてるんですがw

278:名無しさん@ピンキー
08/12/19 13:30:06 hT8GS8BB
>>261
ナイスバディなフランカー姉さんと小柄なロリッ娘ファルクラム姉さんが力を合わせて可愛い弟のベルクート君を守り抜く感動秘話

まで思い浮かんだが、ラプターを敵に回すと勝負にならなさそうなので却下だな

279:名無しさん@ピンキー
08/12/19 14:10:42 z/gRh9cL
なぁに、ロシア生まれのキモ姉妹には射程300キロ以上の味噌がある

280:名無しさん@ピンキー
08/12/19 16:31:21 cCJrbIiP
>>270
確か幼女キモウトのssが短編であったはず。確かクラナドみたいなキャラが使われてるの

281:名無しさん@ピンキー
08/12/19 16:35:17 cCJrbIiP
・・・い、一応言っとくが、作者じゃないぞ。本当だぞ!?

282:名無しさん@ピンキー
08/12/19 16:53:20 NIIiAmLj
なんか可愛いぞ。作者本人のほうがむしろ萌え

283:名無しさん@ピンキー
08/12/19 18:59:08 UcLfLpR4
ジョジョネタで書いてもいいんかね? 荒れる?

284:名無しさん@ピンキー
08/12/19 19:00:16 QpY9uy2Z
>>261

Pixy《このV2で私達の愛を阻む全てをゼロに戻して、私達は晴れて永遠に結ばれるの。素敵でしょ、弟くん》

PJ《うるさい!お姉ちゃんにお兄ちゃんは渡さないんだからぁっ!今ここで死ねやぁぁぁぁっっ!!》


二機のモルガンが円卓で殺しあいを演ずるなか、『円卓の鬼神』のイーグルは恐ろしくなったのかさっさと逃げたと言う。
彼の消息はそこで絶たれ、今も彼は逃げているらしい。


ちなみに、彼の最後の言葉は「MiG-31でこればよかった……」らしい。

285:やぶ
08/12/19 19:49:13 OKiGyU6L
『姉と僕の1』

 昼寝中にふと目が覚めた。
「あれ?」
 身体が動かない。いわゆる金縛り、というやつだ。
 とりあえず首から上は動かせるので、辺りを見回してみる。
「えーと。なにやってんだ、姉貴?」
 金縛りではなかった。姉が一生懸命、俺をロープで縛り上げていた。
「あらっ?起きるの早いわよ。ちょっと待ってて、もうすぐ終わるから」
「ん、わかった」
 そう返事をすると俺はまた心地良い眠りの世界へと…。
「行けるかーっ!なにやってんだ姉貴っ!?」
 抗議をしようとしたが、すでに自由は奪われているわけで。
「んしょっ!おーわった♪」
 俺の抗議などどこ吹く風。姉はにんまりと笑みを浮かべ、勝ち誇った表情で俺を見下ろす。
「んっふっふ。教えて欲しい?」
「まあ、一応は…」
 なんかどーせろくでもないことを聞かされて、後悔するんだろうが。
「聞いて驚け!題して『生意気な弟を再教育しちゃうよ計画』発動なのよ!」
 ほら、後悔した。
「で?」
「で、っていうな!だいたいあんた姉に対する口の聞き方がなってないのよ!おまけに、勝手にいつの間に
か巨大化しちゃうし!」
 えーと、俺は背の順で列ぶと相変わらず前の方な訳で。
「いや、姉貴の背が伸びてないだげふぅっ!」
 姉貴のニーソに包まれた足先がえぐるように腹を貫く。
「ゆーてはならんことを。よほど死にたいようね?」
「ゴメ、悪かった!」
 実はたいして痛くないが、この場合そうした方が早く飽きるので下手にでる。
「んっふっふ、分かればよろしい。さてと、えーと、どうしよう?」
「考えてねーのかよ!?ガキか!」
 とりあえず俺を縛る、というところまでしか考えていなかったのだろう。
「ガ、ガキとはなによ!ガキとは!?私のいったいどこがガキだってゆーのよ!?」
「全体的に!」
 姉は身長が小学4年生の平均と一緒で体つきも同等、おまけに童顔なうえこの性格なので、何と言うか、
お子様のオーラを発しているのだ。姉は高校生だが、はっきりいって10人中10人が中坊の俺の妹と間違
える。特に今日は服装も子供っぽい。てか、高校生にもなってクマさんパンツはやめとけ。ベッドに縛り付
けられてる俺を平気で跨ぐから、スカートの中がよく見える。色気というものが皆無なので、全然嬉しくな
いが。
「特に今日の服装はどっからどーみてもガキ」
 とりあえずパンツのことは伏せて服装を指摘してみた。
「今日は映画見に行ったからよ!」
 あー、姉貴、普通にお子様料金で済むもんな。
「って、お子様料金で済ましてる時点でガキじゃん!」
「うっ!?」
 痛いところを突かれたらしく一瞬言葉に詰まる姉。が、すぐににんまりと不敵な笑みを浮かべる。
「ふふ、そんなことを言ってられるのも今のうちよ。あんたが早く目覚めるから忘れてたけど、弟再教育計
画のために大人のアイテム買ってきたんだから!」
 お、大人のアイテム?なんか、そういうもの買ってきたことを誇らしげに言う時点でガキと言わないか?

286:やぶ
08/12/19 19:52:06 OKiGyU6L
『姉と僕の2』

「ちょっと着替えるからあんた目をつむってなさい!」
 へいへい。とりあえず素直に目をつむると、ガサゴソと紙袋をまさぐる音が響く。
「ちょ、何よコレ?XSなのにダブついちゃう。仕方ない、念のため買ってきた膝下までの方を…。ってなん
で太腿まで来ちゃうのよ!?」
 やばい、すごい見たい。そーっと目を開けると、本来膝下丈のストッキングタイプのソックスをダブつか
ないよう一生懸命に合わせている姉がいた。
「ちょ、あんた何見てんのよ!」
 かなり恥ずかしいらしく、顔を真っ赤にして怒る姉。だったらちゃんと自分の部屋で着替えてこいよ。

URLリンク(imepita.jp)

 俺の顔の上に布団を被せ、着替えを再開する。
「うーっ、ガーターベルトも落ちちゃうーっ。しくしく、高かったのにー」
 大人用のXSだとサイズが大きいのだろう。お子様体形のずん胴腹のせい、という真実はさすがにかわいそ
うで言えない。
「いいや、ソックタッチで固定しちゃえば。よっと」
 布団が引きはがされると氷の微笑よろしくストッキングを強調するように脚を組んで椅子に座っていた。
 学習机の椅子、というのが姉らしくて笑えるが。
「ちょ、なに笑ってるのよ!」
 大人っぽい自分を見てドキマギする弟、というのを期待していたのか、抗議の声をあげる姉。
「いやだってソレ、太腿までの丈じゃなくてほんとは膝下丈なんでしょ?」
「き、聞いてたの!?…わ、笑うなぁーっ!」
 ニヤつく俺の顔を、そのストッキングに包まれた足先でフニフニと踏み付ける。椅子に座ったままなので
体重がかからず、全く痛くない。それどころかマッサージを受けてるようで心地良いくらいだ。
 が、顔に足を乗せられるのはさすがに腹が立つので、口の近くに来たときにぱくっと噛み付く。
「いたぁっ!ちょっと離してよ!」
 姉の小さな足先は俺の口にすっぽりはまり込み、そこから引き抜こうとして自由な方の足でポカポカと蹴
りつける。相変わらず痛くないのだが。
「あ、ちょ、ふぁ!?ん、んぁ、や、そんなとこ舐め、やぁんっ!」
 俺は捕まえた足先を舌でくすぐってやる。案の定極端にくすぐったがりの姉は蹴るのをやめ、むず痒さに
身を悶えさせる。
「ちょ、お願いやめ、ふぁあっ!」
 顔を真っ赤にし身もだえる姉は、その手の趣味がある人からみれば絶大な破壊力を有しているかもしれない。
 調子に乗って足の指をストッキング越しに舐めまわしていると、不意に大きくぶるぶると身体を震わせ、押し殺した悲鳴をあげた。
 びっくりして思わず足を離したが、姉はそれに気付かず身体をわななかせ続ける。
 しばらくすると、しくしくと泣き始める姉。
「ご、ごめん、やり過ぎた」
 さすがに気まずくなって謝る俺。だが、イヤイヤをするように首を振り、顔を伏せる。
 うぁー、やっちゃった。こうなると長いんだよな。「…されちゃった…」
 姉がぼそりと呟く。
「え?ごめん、よく聞こえなかった」
 俺が聞き返すと、涙でぐしょぐしょになった顔をあげる。その顔はどこかボンヤリしていた。
「弟に、イかされちゃった…」
え?
 最初なんのことかわからなかった。が、意味を理解したとたん、カッと頭に血が上る。
「ふぇぇ。これじゃ、たまってるって言われても言い返せないよぉ。うぇぇ…!」

287:やぶ
08/12/19 20:01:06 OKiGyU6L
『姉と僕の3』

 や、やばい、本格的に泣き出す!一瞬でクールダウンすると、姉の機嫌を直すべく紫色の脳細胞をフル活
動させる。
 が、緊急事態過ぎて何も思い付かない。
「あれ?」
 どうしようか悩んでいると、姉が不意に素っ頓狂な声を出した。
「な、なに?」
 俺が恐る恐る声をあげると、姉は泣き顔のままにんまりと笑みを浮かべた。
「なーんだ、あんたこそたまってるんじゃない!」
へ?
 ニヤつく姉の目線にそって下を見ると、俺の股間のところに大きな膨らみが。「あ、いや、これはその、ちょっと」

 クールダウンし過ぎて血が全部下半身にいってしまった、とか苦しい言い訳を考えてみる。
「ふふ、私がイってるとこ見て興奮しちゃったんだ。あんなとこ舐めるし、お姉ちゃんのこと辱めるし、あ
んたってば変態?」
 さっきまでの泣き顔はどこにいったのか、新しいおもちゃを見つけた子供のように、生き生きとした表情
になる姉。
「ほらほら、何か言い返してみなさいよ」
 椅子に座ったまま、俺のジュニアをズボン越しにグニグニと足で踏み付ける。
「ちょ、姉貴、まって」
「なーに?ふふ、もどかしい?直接触って欲しいの?そうよね、だってあんた変態さんだもんね」
 そういうと器用に両足の指でズボンのチャックを下ろす。
 Gパンの下は何も履かない主義なので、その途端俺の息子がどーんと飛び出す。
「お、大きいじゃない。弟のくせに生意気よ」
 そうなのか?たぶん人並みなはずだけど?
「ふ、ふふん、急所をなぶられて喜ぶんだから、男ってみんなマゾよね」
 ストッキングに包まれた足がグニグニと俺の息子を蹂躙する。
「びくびくしてる…」
 興奮して顔を真っ赤にした姉は、やばいぐらい可愛いくて。
「もっと恥ずかしい目にあわせちゃうんだから!」
 いきり立った息子の上で口をグニグニ動かし、たっぷりためた唾液をとろーっ、と垂らす。
 姉貴、それ凄くやらしいです…。
「うっわ最低!こんなことされてるのにビンビン!」
 これで興奮しなかったらインポだって。
 にっちゃにっちゃという卑猥な音をさせながら、姉の足の動きが速まる。
「くっ…!」
 あと1擦りでイく。そんなぎりぎりのところで足の動きが止まった。ちょ、そこで止めるか!?
「ねぇ…。」
 鼻にかかったような、上ずった声。
「しちゃお…、っか?」
そういって俺を見つめる顔は、今まで見たこともないエロい表情なわけで。
「だ、駄目だよ。俺達きょうだ、うぷ!?」
 思い止めさせようと開いた口が姉の柔らかな唇にふさがれ。
 ぬちゃ、ぬちゃっ、といやらしい音をたてる。
「んっ!?」
 口内に姉の唾液が流し込まれる。それはとても甘くて切なくて。俺は夢中で吸い上げ、お代わりを急かすように舌を突き入れる。
 侵入してきた俺の舌を、姉の小さな舌先が躊躇いがちにつんつんと突く。
 我慢出来ずに絡めとると、あふっ、と熱い吐息が漏れた。
「お尻でするから。ね、それならいいでしょ?おもちゃでいっぱい練習したから、たぶん大丈夫だよ」
 お、お尻!?初めてがお尻っていうのは…。しかし、かといって血の繋がった姉弟で万が一子供が出来たことを考えると。
「お願い、我慢出来ないの…」
 涙をいっぱい浮かべた瞳で、俺にすがるような目。俺の理性は簡単にふっとんだ。

288:やぶ
08/12/19 20:04:49 OKiGyU6L
『姉と僕のラスト』

「うっ!んぁっ!くぁぁ…!」
 普段からは想像もつかないような甘い声。その声だけでイってしまいそうになる。
 本来排泄物を出すだけの矮小な穴。そこにローションをたっぷりと塗した剛直がぐっちゃぐっちゃと卑猥
な音をたてて掻き回す。
「おねが…、もうやめっ、うぁ!」
 何度白い液体を吐き出しただろう。もうぐったりしているというのに、私の欲望は全然収まらない。



「ほらほら何休んでるのよ!?お尻犯されながらチンチンしごかれるの、気持ちいいんでしょ!?」
「お、俺が掘られる方だなんて聞いてな…、うぁあん!」
 まるで女の子のような声をあげ、びくびくと身体を震わせる可愛い弟。
 小遣いをはたいて買ったかいがあるというものだ。私の股間からは巨大な双頭バイブがそそり立ち、片方
はもちろん私のアソコ、もう一方は弟の可愛いらしいアナルに突き立てられている。
「ほーら、チンチンシュッシュッ♪」
 激しく腰を振りながらチンチンをしごく。
「あと何回イけるかしらねー♪」
「アッー!」
 またも悲鳴をあげ、おチンチンから赤ちゃんの元をほとばしらせる弟。
 うふふ。これってクセになりそう♪

289:名無しさん@ピンキー
08/12/19 21:12:15 OWLO/rOK
>>288
えぐい……でも、こういうの大好きです。

290:名無しさん@ピンキー
08/12/20 03:25:28 3W2VMt8o
>>288
『お姉ちゃんに足を舐めさせられたい』とか書こうと思ったら先にもっと上質なのを書かれた
こうなったら俺と結婚してくれないか……?

291:名無しさん@ピンキー
08/12/20 05:02:57 qqrNPySK
うぜえ

292:名無しさん@ピンキー
08/12/20 10:06:08 YPS1ti1J
投下します。

293:傷 (その8)
08/12/20 10:07:28 YPS1ti1J

「弥生さん、少し、いいですか?」

 放課後、教室を出て廊下を歩いていた弥生が振り返ると、長瀬透子がそこにいた。
 もっとも、確認するまでもなく、背後から聞こえる、あけっぴろげな足音から、自分を追ってきた者の見当は付いてはいたのだが。
「あら生徒会長……どうしたの一体?」
 だが、まあ、弥生はさあらぬ態を装い、あどけなく笑った。

「会長呼ばわりは勘弁して下さいよ……先代生徒会長閣下」

 そう言って長瀬は苦笑いした。
 なにせ弥生は、抜群の指導力と企画力で、臨海学校・体育祭・文化祭・球技大会・修学旅行とあらゆるイベントに口を出し、任期中の学園の日常に空前の盛り上がりを演出して見せた元カリスマ生徒会長である。
 いかに長瀬が当代の生徒会執行部を率いているといえど、弥生の前では口の悪いタダの後輩に戻らざるを得ない。かつて弥生の下で生徒会副会長を務めていた長瀬は、弥生のことを心から尊敬しているからだ。

「で、用件は何なの、とーこ? 私これから図書館で勉強しようと思ってたんだけど」
 そう言われて長瀬は、少し奥歯に物が挟まったような顔をしたが、何かをごまかすように乾いた笑いを浮かべると、
「あ、その……とりあえず、ちょっと生徒会室までいいですか? 立ち話では、ちょっとアレですので」
 と言って、弥生の返事も聞かずに振り返り、ずんずんと歩き始めた。
 いかにも傲岸不遜・唯我独尊で鳴らした長瀬透子らしい言動であるが、実は、そうではない。余人ならば知らず、弥生相手に長瀬が、こんな失礼な真似をする事はめったにない。もし例外があるとすれば、よほど長瀬が照れている時か、困っている時くらいなのだ。

(存外、遅かったわね。もっと早く来ると思ってたんだけど)
 無論、弥生には、長瀬の用件とやらの見当は付いている。おそらく、ほぼ100%近い確率で、冬馬の話をする気であろう。―むしろ弥生は、長瀬が声を掛けてくるのを待っていたとも言える。

 弥生は、長瀬が冬馬にフラれた事実も知っているし、執拗に拒絶の理由を追求する長瀬に、冬馬が姉の自分の名を出したことも知っている。そして彼が、弥生の名を出したことを、永遠の秘密としてくれと長瀬に頼んだ事も。
 しかし、弥生に個人的な縁を持つ長瀬としては、やはり黙ってはいられないのであろう。
 可能な限り、彼の“禁じられた恋”に干渉し、その成就のために世話を焼くつもりに違いない。
 弥生としては、そんな長瀬のお節介がくすぐったくもあるし、後輩として可愛くも思うのだが、それでもやはり困惑せざるを得ない。
 冬馬が長瀬の告白を拒絶する口実として出した自分の名。そこに果たして、どれほどの真実が込められているのか、現段階では、まだまだ未知数であったからだ。
 
 弥生は冬馬を愛している。
 家族の一員である弟としてではなく、純粋に、そこにいる一人の男としてだ。
 だから、彼の言葉が嬉しくないと言えば、嘘になる。
 しかし、冬馬という少年が、普段のあっけらかんとした態度とは裏腹に、その内面はかなり食えない人間である事を弥生は知っている。
 彼は嘘つきではない。
 だが、それは嘘が不得手だという意味ではない。必要とあらば、冬馬は他人にも自分にも平然と嘘をつける男である。こういう言い方は哀しいが、そんな冬馬が吐いた言葉を、簡単に信用するわけにはいかなかった。


 生徒会室。
 かつて生徒会長であった弥生が、その辣腕を校内に振るう司令室として存在した空間。
 そこに存在する、これ見よがしに豪華なアンティークが目を引く。数人がけのフカフカのソファと彫刻を施したテーブル。一見しただけで値打ち物とわかる逸品だが、これらはみな、弥生が会長だった時代に自費で購入したものだ。
 現会長が直々に淹れた紅茶を、そのソファに座った前会長が、形のいい鼻を鳴らして香りを楽しむ。
「へえ……」
 一口、軽く口に含む。
 おいしい。
 湯温、茶葉の量、ともに申し分ない。


294:傷 (その8)
08/12/20 10:09:19 YPS1ti1J

「少しは上達したじゃない、とーこ。おいしいわよ」
「でも、あたしが直々に紅茶なんか淹れてあげる相手は、弥生さんだけですよ?」
「貴女自身と、でしょ?」
 そう言われて、長瀬は一瞬、棒を呑んだような顔になり、たははと笑う。
 生徒会時代、副会長だった長瀬に、紅茶の旨さと美味しい淹れ方を教えたのは弥生自身であった。その長瀬が、こんなに紅茶の淹れ方が上達しているということは、誰よりも彼女自身が紅茶の味の魅力に取り付かれたからだろう。

「相変わらず、何でもお見通しなんですね」
 呆れたように長瀬は頭を掻き、そんな彼女に、弥生はにっこりと笑う。
 弥生が生徒会を引退するまで、よく二人はこうしてティータイムを楽しんだものだ。
 かつて学園No.1百合カップルと噂されたのは、ダテではない。彼女たち二人に同性愛の事実はあくまで存在しなかったが、柊木弥生と長瀬透子という美女たちが、こうして一時を過ごしている空間は、まるで一幅の絵画のように、余人の入り込む隙をまったく感じさせない。
 弥生自身はまるでその気がなかったが、実は、そんな自分に性別を超えた憧れを長瀬が抱いていたことも、弥生は見抜いていた。長瀬ほどに我の強い少女が、冬馬に興味を持ったのは、なによりも“弥生の弟”という要因が強く働いているからであろう。弥生には、それが分かる。

(私の代償として冬馬くんに目をつけるなんて、……身の程知らずもいいところね)
 そう思っても、弥生はそんな長瀬を小面憎くは思わない。
 やはり弥生にとっても長瀬は―葉月ほどではないが―それでも損得抜きに可愛気を感じることができる、貴重な存在だったからだ。
 だが、冬馬に手を出そうとしたことだけは、あまりいただけない。
 しかもそれが、男性としての冬馬自身に魅力を覚えたからではなく、あくまで「弥生の実弟である」という事実が根底にあるような好意ならば尚更だ。自分の愛した男に、他の女の目が注がれるのも面白くないが、その男を軽く見られるというのは、さらに不愉快だ。

(でも、それも……とーこなら仕方ないか)
 あとは考え方次第だ。
 その手の好意ならば、一度感情面での決着がついてしまえば、たとえフラれても後にしこりを残さない。長瀬は後腐れなく冬馬のことを忘れてくれるであろう。
 ならば、彼女の存在は利用できる。
(いや、利用できるできないの話じゃないわ)
 せっかく自分と弟のために、お節介を焼いてくれる気になっているのだ。それを分かっていて無下に扱うバカはいない。長瀬には思う存分キューピッドになってもらおう。

「弥生さんは、ずっと彼氏とか作らないですよね」

―きた。
 おずおずと口を開いた長瀬に弥生は、何故そんなことを訊くのかという表情を見せる。
「その……やっぱり心に決めた男とかいるんですか?」
「私は受験生よ。そんな暇があると思って?」
「でも、弥生さんは、ほら、受験が忙しくなる前からオトコなんかに目もくれなかったじゃないですか? やっぱりそれって……?」

 何気ない会話を装いながらも、ちらちらとこちらに向ける瞳に込められた熱は、まぎれもなく長瀬の言葉が真剣なものである事を物語っている。その、あまりの大根役者ぶりに、弥生は失笑しそうになるのを懸命にこらえながら、うつむいた。
 笑っている場合ではない。楽しんでいる場合ではない。
 これから会話の主導権を奪い、気付かせぬまま、長瀬の心理を操作せねばならないのだ。
 会話という情報操作によって、相手の心理を巧妙に誘導し、己の意図を、それと気付かせずに相手に刷り込ませ、その行動をコントロールする。―こう説明すれば、心理学的な超絶技術に聞こえなくもないが、しかし、弥生にとってはそれほどの難事ではない。
(でも、それが本当にベスト……?)

 無論、問題もある。
 長瀬はかなり非常識な人間だ。
 彼女の思考パターンを完璧に把握しない限り、その意思を誘導したつもりでも、長瀬が弥生の想定外の行動を取る可能性は非常に高い。そして、弥生は二年の付き合いなれど、長瀬の考え方を完全に理解しているとは、とても言えなかった。
 だからこそ弥生は、そういう長瀬を面白がっていたと言えなくもないが、この場合は少し話が違う。
 ならば、どうすればいい?
(仕方ないわね)


295:傷 (その8)
08/12/20 10:10:27 YPS1ti1J

「―いたわ。好きな男なら、確かにね」
「いた? 過去形ですか?」
「あきらめたのよ」
「あきらめたって……弥生さんなら、男なんて選り取りみどりでしょう?」
「ただの男なら、ね」

 そのとき、長瀬は凍りついた。
 成績はいいが、弥生と違って彼女は人間の心の機微にうとい。長瀬独特の尊大さや突拍子のなさはそれゆえなのだが、いくら何でも、ここまで話を誘導してやれば分かるはずだ。
「まさか……弥生さんの好きな男って……!?」
 弥生は静かに頷いた。
「好きになっちゃいけない人を好きになるなんて……この世に本当にあるのね」
「じゃあ……弥生さんも……柊木のことを……ッッッ!!」
―この場合、長瀬が言った“柊木”とは、無論、ここにいる柊木弥生でも、ここにいない柊木葉月のことでもない。渦中の人物たる弥生の弟・柊木冬馬その人のことである。

 カミングアウト。
 これこそが、この場におけるベストの選択であるはずだ。
 弥生の洞察力をしても長瀬の行動や心理を誘導しきれない可能性がある以上、上から目線で、こちらが望む行動を直接に指定してやる方が、まだリスクは少ない。
 さいわい、長瀬は弥生を慕っている。弥生の指示ならば、彼女はまず逆らわないだろうし、なにより現役の生徒会長という校内随一の権力者でもある。ただの利用相手としてより、協力者―または共犯者―として、傍らに置いた方が何かと役に立つはずだ。
 だが、それをこっちから頼み込むつもりはない。
 葉月の言い草ではないが、やはり弥生にとっても、恋愛感情などというプライベートすぎる話に積極的に関わってくれと、第三者に頭を下げる趣味はない。
 たとえ相手が、自分を慕う可愛い後輩であったとしても、そんなことを身内以外に頼み込むなど、弥生の自尊心が許さないのだ。つまり、この場合―長瀬の方から自発的に協力を申し出る形に持ってゆかねば、弥生としては話が始まらない。

「ふんっ……バカなこと言ったわ」
 紅茶をくいっと飲み干すと、弥生は照れたように顔を赤らめて立ち上がり、
「今の話は忘れなさい。ここにいるのが貴女だからこんな恥かしい話をしたけども、やっぱり他人に話せるような事じゃないわよね」
「え……?」
「お紅茶ごちそうさま。おいしかったわ」
 そう言って、大股にドアに向けて歩き出そうとした弥生に、長瀬があわてて立ち塞がる。
「まっ、待って下さい、弥生さんっ!!」
「え?」
「もし、もしもですよ、もし柊木のやつが、―弥生さんを好きだったとしたら、どうします……?」

 しかし、弥生は顔色も変えない。
 むしろ、バカなこと言ってるんじゃないわよ、とでも言いたげな表情で長瀬を見つめる。
 そんな弥生の冷静な視線に、話を振ったはずの長瀬が逆に焦りだす。
「本当なんですよ弥生さんっ!! 正真正銘、柊木の本命は弥生さんなんですってば!!」
「とーこ……貴女、私をからかっているの? それとも一体どういう意図で―」
「ストップ!! だからマジなんですってば!! だいたい、あたしが弥生さんにウソをつくわけないでしょうっっ!?」
「いい加減にしなさいっ!! 冬馬くんは私の―いい? あの子は私の実の弟なのよ!? そんなバカな話があるわけないでしょうっっ!!」
「とにかく!! 座って下さいっ!! ちゃんと順を追って話しますからっっ!!」

 長瀬は、ぽつりぽつりと話し出した。
 その内容は、弥生も先刻承知しているとおり、長瀬が冬馬にフラれ、その際に彼が弥生の名を想い人として出したという話だったが、そこから顔を上げた長瀬の表情は、妙にサッパリしていた。
「でも、そこで弥生さんの名前を出されちゃ、あたしにゃ手も足も出ませんよ。いくら何でも、女としての魅力で弥生さんに勝てると思う程、自惚れちゃいませんからね」
「…………」
「まあ、確かに話を聞いた瞬間、ばかな相手に惚れやがったと思ったのは事実です。よりにもよって、実の姉なんですからね。でも、そんな報われぬ相手に操を立てて、近寄る女を片っ端から断っている柊木に、少し感動しちゃったのも本当なんです」
「……で?」
「ですから、あたし『応援する』って約束したんですよ、柊木のやつに。―でも、弥生さんまでアイツに気があったなんて、……ちょっとスゴイですよね、これって?」


296:傷 (その8)
08/12/20 10:12:30 YPS1ti1J

 しかし弥生はしかめっ面を崩さない。
「他人事みたいに貴女は言うけど、実際どうしようもないでしょう? 私とあの子は姉弟なんだから」
「え?」
 そこで長瀬は、初めて意外そうな表情を弥生に向けた。
「じゃあ……弥生さんは、成就させるつもりがないんですか、アイツとのことを……?」
「なにバカなこと言っているのっ!? 私とあの子じゃ近親相姦になっちゃうのよ!? 成就もクソも、そんなことできるわけ無いでしょうっっ!!」
「……弥生さん」

 弥生はそこで、しばし顔を伏せた。
「そりゃあ……嬉しくないと言ったら嘘になるわ。好きだった男が、実は私を好いてくれていたなんて聞いたらね。でも……でも、それを聞いた以上は、なおさら諦めざるを得ないじゃないの……!!」
「でも……そんな……せっかく……」
「自ら進んで畜生道に堕ちるわけにはいかないのよ。禁忌を破っても、その先に待っているのは不幸しかないんだから」

(我ながら、よくもまあ、ぬけぬけと言えるものね)
 凝然と俯きながらも、その心中では苦笑しそうになる。
 実際、弥生は近親相姦など屁とも思ってはいないし、それどころか近親婚さえも、段取り的には手に届くところまで来ているのだが、いかに何でも、それを言えるものではない。
 ここは、世間の一般常識の前に膝を屈して、自らの想いを諦める女を演じなければ、長瀬のような女を、その気にさせることはできない。弥生にはその確信があった。

「何をだらしない事を言ってるんですかぁっ!!」

 果たして長瀬は乗ってきた。
 生徒会長在職中の弥生は、穏やかな笑みをつねに崩さず、それでいて、必要とあらば校長や理事会とも対立を辞さなかった女傑であった。その彼女が、こんな弱気な顔を見せたのは、家族以外では、この場の長瀬透子が初めてであろう。
 そして、予想通り長瀬は、そんな弥生を見過ごせなかった。
「なにが畜生道ですか! なにが禁忌ですかっ!! 柊木弥生ともあろう者が、そんな常識に囚われて自分の恋を捨てるなんて、そんなのおかしいですよっ!! あたしの弥生さんは、自分がほしいものは、何が何でも手に入れる人だったはずですっ!!」
「…………」
「オンナという生き物は、恋に生きてこその存在でしょう? それを……それを……諦めるなんて軽々しく言わないで下さいっ!!」

「冬馬くんを……諦めるなと言うの……?」
「はい!」
「でも―」
「でもじゃありません!! せめて弥生さんと柊木が幸せになってくれなくちゃ、あたしが何のためにフラれたのか分からないじゃありませんかっ!!」
「とーこ……」
「弥生さん」
 そのまま長瀬は、ぐいっと弥生に顔を近づけると、
「柊木を口説いて下さい。口説いてモノにして下さい。近親相姦がどうとか、そんなことで悩むなんて哀しいこと言わないで下さい。弥生さんは、弥生さんである事を貫いて下さい」
 と、熱っぽく語った。

 その言葉は弥生にとって、目が眩みそうになるほど嬉しいものだった。
 しかし、弥生はそんな喜びをおくびにも出さずに、近寄る長瀬をぐいっと押しやり、
「とーこ、冷静になりなさい。だいたい諦めるなって貴方は言うけど、それはもう私一人では、どうにもならないことでしょう?」
「え?」
「貴女も知ってのとおり恋愛には相手が要るわ。もし私がその気になったとしても、肝心の冬馬くんがすでに諦めてしまっていたら、どうにもならないんじゃないの?」
「そんな……っ!!」
 長瀬は絶句した。


297:傷 (その8)
08/12/20 10:14:30 YPS1ti1J

 ようやく話をここまで持って来た。
 だが、ここからだ。
 弥生が、長瀬という後輩を協力者として欲するのも、彼女の暴れ馬のような行動力を、現状打破の起爆剤と睨んでいるからだ。
 現状―すなわち、さっき弥生が言った“冬馬の気持ち”であった。
 いかに“非血縁”の根拠となりうるDNA鑑定の偽造報告書を用意したところで、肝心の柊木冬馬本人が弥生を拒絶したならば、彼女にはもう、なすすべがないのだ。
 いや、鑑定書だけではない。弥生は、冬馬との仲を妨げる全てを排除する自信があるが、それでも、柊木冬馬の意思がどっちに転ぶかは、いまだ確信を持てるに至ってはいない。

 冬馬の過去は、弥生の綿密な調査にもかかわらず、かつて完全に薮の中であった。だから彼女としては、冬馬の“現在”から、彼の人格形成を洞察するしかなかった。
 しかし、弥生はその点、事態を楽観視していたといっていい。
 この数年の生活で、冬馬の人となりは大体把握したつもりだったし、いざとなれば、なりふり構わず誘惑してしまえば、冬馬が自分を拒絶できるとは考えていなかった。
 弥生は自分自身の魅力について十分自覚していたし、しょせん相手は年頃の少年に過ぎないと甘く見ていたからだ。最悪、薬物を使用してでも、既成事実を作ってしまえば、もうこっちのもの。―その程度に考えていたのだ。

 だが先日、冬馬の“元妹”千夏と会い、彼の過去を聞いた瞬間、さすがに弥生は、己の危機感が足りなかった事を改めて意識せずにはいられなかった。
 芹沢事件―少年少女強制売春事件の関係者という酸鼻きわまる過去を、冬馬が持つと判明した以上、性に対する多大なトラウマを彼が抱えている可能性がある。ならば、色仕掛けを含め、普通のやり方で冬馬をなびかせるのは困難だと判断せざるを得ない。
(やっぱ一歩ずつ外堀を埋めていくしかないか……)
 とは思うものの、そのためには、どうしても自分ひとりでは手が足りない。葉月をプライベートにおける“共犯者”とするなら、学校生活における“共犯者”というべきポジションを誰かに振り分ける必要がある。
 弥生が、長瀬に自ら志願させようとしている役目は、まさしくそれであった。


「……あたしが、手伝います」
「とーこ?」
「不肖・長瀬透子、全力を尽くして弥生さんの恋を手伝います。近親相姦がどうこうと理屈をこねて、あいつがへっぴり腰になるようなら、ケツ蹴り飛ばしてでも目を覚まさせてやりますよ」
「…………」
「昔を思い出してください。あたしが副会長で弥生さんが会長だった頃は、どんな仕事だろうが誰が相手だろうが、不可能なんて無かったじゃないですか? あたしたちが手を組めば、それこそ鬼に金棒みたいなもんですよ!」
「……本当にいいの? 仮にも貴女、冬馬くんにフラれたんでしょう? ……つらくないの?」
 長瀬が一瞬、喉に何か詰まったような顔をしたが、それでも彼女の瞳に迷いは無かった。
「手伝わせて下さい。弥生さんのためなら、あたし何でもします―!!」


 弥生の空気が変わった。
(気のせい、よね……?)
 長瀬には、そのとき、弥生が密かに笑ったような気がしたのだ。無論、気がしただけだ。表情を変えるどころか、外見的には、弥生はその体勢を微動だにさせていない。

「そう……わかったわ」
 弥生は染み入るような声で呟いた。
「条件は二つ。私の指示には絶対に従うこと。それと勝手な独断専行は絶対にしない事。誓える?」
 その瞬間、長瀬は愁眉を開いた。
「弥生さん、じゃあ……ッッッ!?」
 これが嬉しくないわけが無い。
 彼女が唯一尊敬する先輩・柊木弥生が、ようやく一般論の軛(くびき)から脱し、その本心のままに振舞うことを決意したのだ。かつて教師さえも歯牙にかけず、学園を思うがままに支配した美しい女王が帰ってきたのだ。
 そう、これが嬉しくないわけが無い。
 長瀬透子にとって、かつて“女帝”と謳われた弥生の姿は、永遠の目標であると同時に、神聖不可侵たる絶対の偶像だったのだから。
 だが―すぐに長瀬は眼前の弥生に違和感を覚えた。

「貴女は『何でもする』って言ったわよね……それは、本気なの……?」
「え……?」


298:傷 (その8)
08/12/20 10:16:25 YPS1ti1J

 そこにいる弥生は、長瀬が知っている、かつての光り輝くカリスマではなかった。
「冬馬くんを私のものにする。そのためには、彼を誰もいない場所に誘い出してもらう事もあるだろうし、嫌がる冬馬くんの手足を押さえ付ける手伝いをしてもらうかも知れない。あの子に近付く雌ネコの排除にも手を貸して貰うわ」
 長瀬は何かを言おうとしたが、弥生の口調は、さらに有無を言わせぬものだった。
「一度こうと決めた以上は、私は冬馬くんを落とすために何でもするわ。だから念のためにもう一度だけ訊くけど、―貴女は本気で、こんな私を手伝ってくれるのよね……?」

 そう尋ねる弥生の眼差しは、かつて長瀬が見たことも無い、妖しさを―いや、妖しさだけではない、おそろしいほどに強圧的な意思を含んだ瞳だった。
 一応、質問の形は取っているが、これは間違いなく“命令”だ。『NO』と答える選択肢など初めから存在しない、ただ『YES』と頷くしかない命令だ。
 長瀬は、自分が憧れてやまなかった弥生の姿は、単なる一面に過ぎなかったのではないかと、ようやく思った。これこそが、初めて剥き出しにした弥生の“オンナ”の顔なのだ。
 だが―そこに嫌悪感は生まれなかった。
(弥生さんが、あたしに、ナマの自分を見せてくれている……!!)
 そこにあったのは、感動だった。

「はい。あたしは……弥生さんあっての長瀬透子ですから……!!」


//////////////////////////

「―なるほど、じゃあ兄さんは、好きな女性などはいらっしゃらないのですか?」

 会話の流れ的に、自然と口に出た質問。
 だが葉月は、その瞬間に、猛烈な後悔に襲われた。
 それはタブーとすべき話題だった。口にしてはいけない言葉のはずだった。
 もしも自分が弥生だったなら、こんな質問はタイミングと空気を十分に考慮した上でなければ、まず口にしなかったろう。少なくとも、いま自分がしたような、いかにも「口が滑りました」と言わんばかりの迂闊な訊き方は、絶対しないに違いない。
(なんでわたしは……いつもいつも……っっ!!)
 葉月は数秒前の自分を、歯軋りするほどに呪ったが、しかしもう遅い。
 言葉はすでに放たれてしまったからだ。


 葉月が引き篭もりから復帰して、すでに三日。
 彼女はすでに、以前の生活を取り戻している。
 中学校への通学と、大学や企業の研究機関への出向。そして自室でパソコンに向かい、論文やレポートの作成に時間を費やす日常。だが、いかに葉月といえど、勉強と研究にどっぷり肩まで浸からせた24時間を、年中無休で過ごしているわけではない。
 研究室に於ける葉月は、基本的に客員研究員という立場だし、プライベートの時間まで学者としての顔をしてはいない。彼女は、あくまで自分を“中学生”だと定義していたし、家族の前では、一家の末っ子としての自己を崩さない。
 TVやゲームに興じて我を忘れる事もあったし、母に言われればお使いにも行くし、掃除も手伝う。そしていま、葉月は兄とともに台所に立ち、夕食の準備を手伝っていた。

 今宵は両親の帰りが遅い。
 夫婦水入らずでディナーを楽しんでくる、と連絡があったのだ。
(子供をほったらかして贅沢なんて……あの二人は親としての自覚があるのかしら)
 そう思うのも事実だが、いまさら葉月は両親に怒りを覚えたりはしない。
 二月に一度ほどの頻度だが、両親が二人だけで出掛けるのは毎度のことだし、むしろ、今でもそういう恋人気分が抜け切らぬ両親に、羨望さえ感じるくらいだ。
 そういう晩は、残された子供たちだけで、外食をするなり出前を取るなり勝手にしろと言われているし、そのための必要経費(晩飯代)を、生活費から抜く許可も貰っている。
 だが、そんな両親不在の晩に、子供たちが指示どおり素直に金を使うことはあまりない。冷蔵庫のありあわせで自炊し、晩飯代を山分けして懐に入れてしまうのが常だった。

 姉は、まだ学校から戻ってこない。
 いつもならば両親不在の夜は、弥生は、待ってましたとばかりに冬馬にべったり甘えるのが常なのだが、今宵は何故か帰って来ない。父も母もいない夜だとすでに知りながらだ。
 引き篭もりを止めた葉月に、久し振りに、冬馬と二人だけの時間をプレゼントしてくれたつもりなのだろうか。―しかし、
(ちょっと、裏目に出ちゃいましたね)
 二人きりだと気まずくなった時、それを打破するのが、やや難しい。
 弥生がいれば、こんな雰囲気はたちまち何とかしてくれるのだろうが……。


299:傷 (その8)
08/12/20 10:18:02 YPS1ti1J

 冬馬は、いかにも手慣れた様子で包丁を操り、キャベツの千切りを作っている。
 今晩のメニューはお好み焼きなのだそうだ。
 一時期、母とともにキッチンに張り付き、花嫁修業と見紛う熱意で料理を覚えていた兄の手際のよさは、不器用な葉月の比ではない。しかし葉月も、危なっかしい手付きながらも、何とか豚肉を切っている。
 そして、とりとめのない会話をしながら、葉月がその質問をしてしまったのは、そういう、あくびが出そうになるほどに穏やかな瞬間だった。


 規則正しい、包丁の音がキッチンに響く。
 葉月の質問を境に二人の会話は止まったが、それでも兄の手は止まらない。
 キャベツを刻むその音に乱れが生じた様子も、ほとんど無い。
 だが、冬馬の背中から漂う空気は、明らかに変わっていた。
(まずい……)
 怒らせてしまったかも知れない。
 そう思うと、葉月は冬馬に視線を向けることさえ怖くなってくる。


 弥生と秘密攻守同盟を結び、兄に対する情報交換を済ませた今、葉月は冬馬の過去の事情を少なからず知っていた。そして問題視すべきは、彼の肉体に刻み込まれた大量の傷ではなく、その悲惨な経験がもたらした精神の傷であるということも。
 無論、冬馬は、弥生と葉月が自分の過去を知っている事実を知らない。
 それでも兄の過去の片鱗を知った以上は、彼に男女の話はタブーだ。道理としての次元ではない。それは純粋な思いやりとしての話だ。
 だが葉月は、現役の研究者であるだけに、胸のうちの疑問をそのままにしておけない性分であった。それだけについ―口に出た。

 冬馬が、女性全般に対して無差別的な苦手意識を抱いていない事は、これまでの生活で分かっている。何故なら、彼は、自分たち姉妹に向けて、そういう生理的な拒絶反応を示した事が無いからだ。
 柊木家の姉妹と冬馬は『生まれながらの家族』では決してない。数年前に再会を果たすまでは、単なる他人でしかなかった仲なのだ。そういう意味では、出会った当初の自分たちは、冬馬にとって転校先のクラスメートに等しい関係しか持っていなかったことになる。
 だが、葉月の記憶が確かならば、その当時の冬馬が自分たちに向けた眼差しは、むしろ染み入るような人懐っこさを伴ったものだった。相手が女性であるという理由だけで怯えるような真似を、かつて冬馬がした事はなかったはずなのだ。

 つまりそれは、兄が言い寄る女たちを近づけない理由が無意識的なものではなく、あくまで意図的なものだという事を意味する。ならば葉月は―いや葉月のみならず弥生も―そんな理由があるならば、絶対に知っておかねばならない。

 考えようによっては、これはいい機会なのかも知れない。
 柊木冬馬という人間が、一般的な女性をどういう視点で捉えているのか。多少成り行き任せな話だが、今はそれを聞きだすチャンスだと考えれば、さっきの失言も少しは意味あるものと、葉月は自分を慰めることができる。
 結果として、冬馬を怒らせてしまうかも知れないが、それでも葉月は兄を信じていた。
 さっき前述したが、なにしろ冬馬は、自分たち姉妹が、彼の過去についての情報を握っている事を、まだ知らない。ならば、妹が兄に『好きな女はいないのか?』と訊くこと自体は、単なる兄妹のコミュニケーションの範疇をさほど逸脱しないやりとりのはずだ。
(だったら兄さんが、わたしの質問を“無神経”だと考えるはずがない)
 
「ねえ兄さ―」
「葉月」

 いつもながらの兄の、のんびりとした声。
 だがタイミング的には、同時というよりむしろ、葉月には冬馬が自分の言葉を遮ったように聞こえた。
 だが、そのことを兄に突っ込むつもりは葉月には無い。
 まったくペースを崩さずキャベツを刻む小気味いい音を響かせる冬馬の背中には、ぴんと伸びた緊張の糸が張り詰めているのが、葉月にも見て取れたからだ。

「……なんですか、兄さん」


300:傷 (その8)
08/12/20 10:18:44 YPS1ti1J

「お前はなんで、おれのことをそんなに気にするんだ?」
 その語調に咎めるような勢いは無い。だが、その言葉には明確に、のんきな声音に隠された棘があった。―いや、兄のことだ。語尾の裏にうっすら見え隠れする緊張すらも、実は意図的なものかも知れない。
「おかしいじゃないか。普通はお前、年頃のオンナノコって言えばよ、おれみたいな男の家族を避け始めるのが当たり前なんだろ?」

 それはそうだ。
 思春期に突入した年齢の女性は、まず“家庭”という最も身近な環境にいる異性を、敏感に意識し始める。幼い頃はともかく、普通の家族ならば思春期以降は、なかなか以前の親密さを保持することは難しい。
 葉月にとっても、例を挙げろと言われれば、それこそ枚挙にいとまが無い。クラスの女の子たちは、ほぼ例外なく、実家に同居する父親や兄弟の“男臭さ”に辟易している者たちばかりだからだ。
 だが、この際、問題はそこではない。どう考えても兄の発言は、葉月の質問をはぐらかそうとしているのが丸見えなのだから。
 こういう時、弥生ならばどう答えるのだろうか。―しかし葉月には、それがまったく想像できない。



「それは多分……わたしが兄さんのことを好きだから、でしょう」



 言ってから唖然とした。
 迂闊どころではない。何故こんなムチャクチャな発言をしているのか、葉月は自分が、まったく分からない。
 いや、唖然としているのは、葉月だけではない。
 冬馬もその口をあんぐりとさせて、呆然とこちらを振り返っている。

 葉月はバカではない。少なくとも机に向かった彼女を指して、バカと呼べる人間は、今の日本にはいないはずだった。だが例外が無いわけではない。
 柊木冬馬。
 事態が彼に関わると、途端に葉月はいつものペースを崩し、失言・失態を繰り返す。たとえば―そう、いまだ。
 そして、こうなってしまった以上、もはや仕方が無い。
 さっきの失言にしてもそうだが、一度口に出した言葉は、もう無かったことにはできないのだ。
 葉月は肚をくくった。

「兄さんはどうなのですか? こんなわたしを、迷惑に思いますか……?」

 行けるところまで行ってやる。
 姉が不在の夜、妹は兄を前にそう思った。


301:名無しさん@ピンキー
08/12/20 10:19:19 YPS1ti1J
今回はここまでです。

302:名無しさん@ピンキー
08/12/20 10:30:42 5nrLqgl1


303:名無しさん@ピンキー
08/12/20 10:41:18 OLjzfiqu
いつも楽しみにしてます


304:名無しさん@ピンキー
08/12/20 19:59:25 Z3w856Kt
GJ!今からキモウトのターン!!

305:名無しさん@ピンキー
08/12/20 23:31:33 HuDEMH60
葉月なかなか突っ込んだな
これは弥生の反応が気になるw
GJ!

306:名無しさん@ピンキー
08/12/21 01:01:57 p6BAdOdj
URLリンク(up2.viploader.net)

307:名無しさん@ピンキー
08/12/21 03:01:28 gbbAP/4r
>>306
zip

308:名無しさん@ピンキー
08/12/21 11:48:22 p6BAdOdj
URLリンク(iroiro.zapto.org)
URLリンク(iroiro.zapto.org)
URLリンク(iroiro.zapto.org)
URLリンク(iroiro.zapto.org)

309:名無しさん@ピンキー
08/12/21 12:12:29 azFxlQ6s
よくもまぁこんなのがアニメ化されたものだ。。

310:名無しさん@ピンキー
08/12/21 12:28:56 Sd2hiilo
>>306
詳細教えて

311:名無しさん@ピンキー
08/12/21 12:41:30 fOjE0+7H
おや、>>310は興味津々みたいだぞ、みんな?

312:名無しさん@ピンキー
08/12/21 13:01:08 YthJTRgz
>>310
vipでやれカス

めいびいっぽいけどどうだろ

313:名無しさん@ピンキー
08/12/21 13:57:44 EqYAilIG
>>306
>>308
タイトルが知りたい

314:名無しさん@ピンキー
08/12/21 14:22:46 Q58ox4Of
>>306
これヤングチャンピオン烈の7代目のとまりとかいうめいびいの作品だったはず。
>>308
これキスシスとかいうやつだったような?尿で有名な人だったはず

315:ユルキモ1
08/12/21 15:20:38 NhB+tg9W
 文香、君こそ真ノキモウトダ、君には「敵意」がナイ。「敵意」には力が向カッテ来ル…。
ヨリ強い力が「敵意」を必ずタタキにヤッテ来ル…。「敵意」はイツカ倒サレル、実に単純ダ。
ダガ君は違ウ。君には「敵意」もナケレバ悪気もナイシ。兄にも迷惑ナンカかけてナイと思っテイル。
だがソレコソ、スイーツ(笑)より悪い「キモウト」と呼バレルものダ。

この物語は、妹と兄による100年以上にわたる戦いの歴史だ。
彼女の名前は文香。ツヤのあるセミロングの黒髪、
お人形のように小さな顔にくりっとした丸い目をした少女。口癖は語尾に~でし、~じょ。


「お兄ちゃまが、帰って来る前にキレイにしなきゃ!」

それにしても、お兄ちゃまはお片付けが下手でしねぇ~。あたしが、毎日掃除してるのに…。
でもそれを口実に、お兄ちゃまの部屋に入れるんだから良しとしよっ。
まぁ、本当の目的は掃除なんかじゃないんでし…ぐひっ…ぐふ

「まずは…ゴミ箱、ゴミ箱っと」

まず目的1は、ゴミ箱の中の精液の回収。大体はティッシュにへばりついて、カピカピになってるけど。

「ラッキー!今日はコンドームじゃん…うはっ」

たまにこうやって、コンドームに入っている原液が手に入るんだよ。
しかもお兄ちゃまは、コンドームを縛って中身を出さない様にしているから、
意外と新鮮な精液が採集できるんでし。お兄ちゃまは、
文香が部屋掃除をしてゴミ捨てをしているのも知ってるのに、いつもティッシュとかコンドームを、
ゴミ箱に捨ててある。一応コンビニの袋に入れて、入り口を縛ってからゴミ箱に入れているが、
あんまりにも無防備だ。しかも一階までトイレに行くのが面倒らしく、ペットボトルにオシッコをしてあって、
それを片付けるのもあたしの役目だ。1日以上経つと菌が繁殖してるのか発酵してるのか、
開けるときに炭酸飲料みたいにプシュッと音がして、なんとも言えない匂いがする。
でもこの匂いを嗅げるのは、世界中でたったの一人だけ。とは言ってもさすがに行儀が悪い、
オシッコを手に入れる手段がこれしかないからしょうがないけど、
なにか方法が見つかったらすぐに止めさせなきゃ。
文香に相応しいお婿さんになってもらうんでし、お行儀も大事でし。

316:ユルキモ2
08/12/21 15:22:23 NhB+tg9W
「それはさておき、これだけ有れば精液を培養出来るじょ~!培養して、増殖させて…
お料理しよ~…でひっ…ストック切れそうだから助かったでし!ん~…なんでこんなにいい匂いなの~?
でもお兄ちゃまは、こんなゴムに出さないであたしに出せばいいって、何回言ったらわかるんでしぃ?」

指でコンドームの先端を触ると、 精液がグニュっと音を立てて変形する。
直接触らないでも、ドロドロとした感触が伝わる。
次に文香は、アーンッと小さな口を開けて精子の詰まったコンドームの先端を口に含み、
モゴモゴと口の中で楽しむ。ゴムの苦い感触も慣れたものだ。
まるで母親のおっぱいを吸うように口から離さない。
手にコンドームのローションがついているが、気にせずに制服のポケットにそれをしまう。
 そして回収の次は排除だ。文香は、お人形のようなクリクリした丸い目で室内を見渡す。
そして机の上の一枚の写真を発見した。

「んっ…このビッチ、お兄ちゃまとツーショット…き~!キー!」

ビリッ、ビリッ…ビリリリリッ

あたしでも、たまにしか撮ってもらえないのに~。
顔は覚えたから今度会ったら、ただじゃおかないんでし。はぁ…はぁ…

「おいっ、文香?」

「でしぃ?」

排除に夢中になっていたために、兄が帰宅していたのに気がつかなかったようだ。
文香は、慌てて写真の残骸をゴミ箱に入れる。

「あはっ…あははっ、お兄ちゃま…お帰りなさい。」

「お帰りなさいって、コンビニ行っただけだし。あれっ、ここにあった写真知らない?
阿部さんとツーショットのやつ」

「アベドゥルは…粉みじんになって…死んだ…」

「えっ…アベドゥ?…粉みじん?…まぁいいや、見つけたら言って」

「うん…」

「あれっ…部屋掃除してくれたのか?」

「うんっ!あと、ベッドの下からこんなの出て来たよ」

317:ユルキモ3
08/12/21 15:25:15 NhB+tg9W
文香の手には、アダルトな雑誌やらアイテムやらが。

「いっ…それは…」

「あたしがいるんだから、こんなの要らないでしょ?」

ピリッ、ビリリリリッ

文香はまずアダルト雑誌を力任せにビリビリ破り、次にアダルトDVDを真っ二つにする。
さらには、オナホールを裂けるチーズの如く細かくむいていく。

「面白~い!ほら…このオナホール簡単に裂けるよ~!お兄ちゃまもやるぅ?」

顔は笑っているが声は笑っていない。この調子だから、兄のアダルトグッズは寿命はかなり短い。
彼女を作りたくない訳ではないが、
アダルトグッズと同じ運命を辿ってしまうのではないかと考えると気が進まない。

「この写真集さぁ…前も燃やしたのに~。どう考えても文香の方が可愛いのに、おかしいな~?もう一回燃やさなきゃ」

「おいっ!それ限定版だぞっ、止めろっ…」

「離してよっ…こんなカキタレ、お兄ちゃまには似合わないっ」

「写真集くらいいだろっ」

ビリビリ、ビリりッ!ビリッヒィィィーンッ!

取っ組み合いの結果、限定版の大事な写真集はグシャグシャのビリビリ状態だ。

「あぁ…限定版が…二万もしたのに」

余程気に入っていたのか少年は、床に女の子のようにへたり込んだ。

「大丈夫、大丈夫ぅ~!今度ぉ~、文香の写真集プレゼントしてあげるからぁ。
もっと過激なポーズしてあげるでし…ぐひっ…それみてぇ…いっぱいシコってね!
写真集に直接ぶっかけてもいいんだじょ!」


アダルト・DVD→殺害
アダルト・雑誌→殺害
アダルト・グッズ→殺害
アイドル・写真集→間接的に(協力して)殺害


 キモ妹第一部の主人公は女性です。なぜ女性なのか、そこのところなのだ問題は。
キモ妹の主人公なのだから、兄にパンチをされてもへこたれないタフさが必要だ。
兄のベッドを無断で這いずり回ることもあるし、時には大股開きで兄の腰に落下する事もあるだろう。
女性にはちょっとキツい設定だ。でも考えてみると、そのギャップが面白いかもしれないと考えた。
しかも、聖母マリア様のような大きな兄妹愛を持つ女性。主人公は女性しかいないと思った。

318:名無しさん@ピンキー
08/12/21 15:27:17 NhB+tg9W
かわりにジョジョネタ書いたわ。ビッリヒヒィィーーンッはジョッリヒヒィィーーンッね。ちなみに続きます。

319:名無しさん@ピンキー
08/12/21 17:17:48 p6BAdOdj
URLリンク(paint.s13.dxbeat.com)

320:名無しさん@ピンキー
08/12/21 21:52:09 P3pjOHXd
はっとりみつる先生の作品だということまでは分かるがそこから先が分からん

321:名無しさん@ピンキー
08/12/21 21:54:00 yCBIl0kB
キモウトがよかろうなのだァッ!

322:名無しさん@ピンキー
08/12/22 00:03:23 YTTJ5YSl
>>319
修羅場かよ

323:名無しさん@ピンキー
08/12/22 00:56:51 VoH+OaT1
キモ姉妹系の漫画ならコミックハイで連載中(現在3話)の「ぶらこんッ!?」がいい感じ
「2人で近親相姦の扉を開けましょう」「BLに比べたら生産的よ」などのキモウト発言があり
兄が「何を生産するんだ」って心の中で突っ込んでたのが笑ったw

324:名無しさん@ピンキー
08/12/22 15:44:01 sf2Otdzc
>>323
ありゃ駄作だろ

325:名無しさん@ピンキー
08/12/22 21:27:45 K1wkkm1D
>>324
では、君のお勧めなのか教えてくれないか?

俺のお勧めは……ベタだが、「でろでろ」。ああいうつかず離れずの距離関係ってめちゃくちゃいいぜ……!


326:名無しさん@ピンキー
08/12/22 21:56:46 ELUN/PIi
まとめの「蝶変態超変態」ってやつにリアルタイムGJ!ってレスも入ってて吹いた

327:名無しさん@ピンキー
08/12/22 23:09:02 +kF5yHWd
>>325
でろでろは兄妹コミックであってキモウトコミックではないだろ
妹もデレるけど基本はシスコン兄の暴走だし

328:名無しさん@ピンキー
08/12/23 08:09:42 JMHcbQxa
漫画のキモウトと言えば、普段はそっけないくせに、兄に彼女ができそうになったら殺すこともいとわない妹がいたっけ
よく兄の持ち物を盗んでたやつ

329:名無しさん@ピンキー
08/12/23 11:01:51 GaWdN7gb
>>328
なんだその俺の好物はkwsk

330:名無しさん@ピンキー
08/12/23 11:18:39 rmmPVrlr
>普段はそっけないくせに
俺もツボだ

331:名無しさん@ピンキー
08/12/23 12:54:27 38e9UILQ
携帯のみだけど、こんなのなら
URLリンク(hittatu.com)

332:未来のあなたへ3.5
08/12/23 17:30:36 IN/7LRg9
遅くなりましたが投下します。
今回も完全にスレチです。こんなんばっかりでごめんなさい。
実はキモ姉とか、そんな予定もありません。あしからず。

333:未来のあなたへ3.5
08/12/23 17:31:48 IN/7LRg9
世界はなんて美しい。






高校に入学してから一週間ぐらい経ったある日。
良い天気だったので、俺は散歩がてら学校の敷地内を探検するつもりで歩いていた。
この高校は割と広くて、古い。戦前からある進学校という奴だった。ちなみに公立で、家からはバス通学になる。
このあたりでは普通に偏差値の高い高校だ。俺のような馬鹿がここにいることが、今でも信じられない。
全ては半年前の、何気ない会話から始まった。

『兄さん。ところで進学先は何処にするか決めているんですか?』
『ん? いや、別に。近くの適当なところにしようかと思ってるけど。歩いて通えるところがいいかな』
『…………』
『なんだよ、その盛大なため息は』
『兄さん。世の中には、定職に就けず毎日すり切れるほど働いて、それでも貯金もできない人間がたくさんいます。そうして、体を壊して働けなくなりゴミ

のように死んでいく……』
『そういった人間と、そうでない人間を分けるのはいったい何なのか、兄さんにはわかりますか? 幸運? 生まれ? いいえ、いいえ』
『天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らずと言われている。けれど人の立場に上下があるのは何故なのか。それは学問の差から生まれるものなり』
『人生の上下を決定づけるのは、幸運でも生まれでもなく、それまで積み上げてきた努力のみ。それが唯一、有意義な信仰というものですよ』
『自分の将来を想像してください。惨めな大人になるのが怖いのなら、今、努力するしかないんですよ。しないと言うのなら、未来を捨てると言うことです』
『あ……ああ』
そんなわけで、次の日から受験勉強の日々が始まったのだった。とほほ。
当初から目標は、偏差値が高く学費の安い公立高校と言うことで決まっていたけど、当時の学力ではとても無理にしか思えなかった。
それでもこうして入学できたのは、妹に尻を叩かれて遊びにも行かず、この半年ひたすら勉強をしてきた成果だ。
辛かったなあ……人生であれだけ、長期間勉強したのは間違いなく初めてだ。
しかし優香の奴、この高校一本に絞って、もし落ちたらどうするつもりだったんだ。


334:未来のあなたへ3.5
08/12/23 17:34:40 IN/7LRg9
そういうわけで。
そうして入った高校の敷地内を、俺は感慨深く歩いていた。
放課後の学校。
グラウンドでは野球部とサッカー部、陸上部が掛け声をあげながら練習している。体育館ではバスケとバレー、他にも弓道部、剣道部、柔道部、空手部と、活発に活動しているみたいだった。
とりあえず、しばらくサッカー部の練習を見ている。うーん、人が多いし結構熱心に練習してる。血が騒ぐ。
けど、部活に入るかどうかといえば否定的だった。
これは妹にも注意されていることだけど、俺は元々あまり頭がよくないから。毎日勉強していないと、あっという間に授業に追い付けなくなってしまう。
なので気晴らし程度に遊ぶならともかく、中学のように毎日部活に打ち込むというのは無理だ。まあ、妹は両立させてるけど、あいつは出来が違うからなあ。
「ふう」
軽くため息をついて、旧校舎の裏に回る。
木造の旧校舎は、今ではもう使っていないようだ。窓には板が打ちつけられ、周囲にも人気はない。
その裏手。なにもないと思ったそこでは、女生徒が一人倒れていた。

「いや、すまなかったね。助かったよ」
「あの、本当に大丈夫なんですか? 救急車とか……」
「ふふん、気にすることはない。この程度は日常茶飯事さ。ちょっとした運動不足に過ぎないよ」
「倒れるのが日常茶飯事って……それに、なんか薬飲んでましたけど」
正確には。俺が半分パニックになりながら彼女に駆け寄ると。ひゅーひゅーと息をしながらポケットを叩いていたので、そこに入っていた薬を二粒飲ませたのだった。
とても、本人が言うような軽い貧血には思えなかったけどなあ……
「ああ、昔から少し体が弱くてね。これはそのための薬だよ。運動不足とは関係ない。ふふん」
鼻で笑われた。そこは笑うところなんだろうか。
その人はどうも上級生のようだった。リボンの色を見るに三年生、最上級生だ。当たり前だけど初対面。
綺麗な人だった。
まず目に付くのは、とてもボリュームのある黒髪。お腹のあたりまで伸ばされて、毛先は一直線に切り揃えられている。
優香も髪は背中まで伸ばしてるけど、運動のために側面は切り落としている。けれど彼女は前髪以外が全てストレートで伸ばしている。運動するとき邪魔そうだ。
切れ長の瞳に、薄い唇。よく不適に笑う口元にギャップがあるけれど、俺は妹以上(かもしれない)美人には初めて会った。
背は、同じクラスの女子平均ぐらいだろうか。年長ということを考慮すると、若干低めなのかもしれない。
体の線は細い。スレンダーと言うよりは痩せている。プロポーションもまあ推して知るべし。肌はびっくりするほど白く、そのあたりはやっぱり体が弱い関係だろうか。
着ているのは紺のセーラー服で、これは学校指定のもの。特徴的な装備といえば、小脇に抱えたスケッチブック。
「ああ、これかい? 見ての通り、スケッチのつもりだったんだけどね。目的地に着く前に貧血でばったり倒れてしまったよ。我ながら不甲斐ないね」
「はあ……え、と。美術部の人ですか?」
「一応ね。君は一年生だね」
「あ、はい」
「なるほど。暇ならちょっとついてくるといい。お礼と言っては難だが、いい場所に案内してあげよう」
さっと髪をなびかせて、偉そうにきびすを返した先輩に、俺は言われるままに着いていった。やたら胸を張っているのが、この人のデフォルトなんだろうか。
旧校舎の裏を抜けて、破れたフェンスを潜って、林の中に入り、獣道を抜けて。その先は。


335:未来のあなたへ3.5
08/12/23 17:35:21 IN/7LRg9
「わあ……」
思わず、感嘆の声が漏れる。
その先は急に開けて、桜でいっぱいの公園になっていた。満開だ。
風が吹くたびに、ぱらぱらと花びらが舞っている。
公園は石畳の立派なもので、生徒や老人が数人、ベンチで花見やおしゃべりに興じていた。
「ふふん、どうだい。残念ながら独り占めとは言わないが、この季節はなかなかだろう」
「そうですね。へえ……裏にこんな公園があったんだ」
「道沿いだと、ぐるりと回らなければいけないからね。あまり人は来ないが、裏手を抜ければすぐそこだ」
言いながら先輩はスケッチブックを手に、桜の方に歩いていく。ああ、ここでスケッチするつもりだったのか。
なるほど確かに、絵に残さなければ勿体ないぐらいの風景だ。実際、写真を撮っている人もいる。
ざあ、と風が吹いた。
一際舞い散る桃色の中で、彼女は風になびく黒髪を片手で押さえる。
それは。それ自体が一つの絵として成り立つような、とても綺麗な光景だった。
何かが、胸を押し上げるように溢れる。たぶんそれは、感動だったんだろう。
先輩が微笑んだ。
「そういえば、名乗っていなかったね。僕は片羽、桜子だ」
「俺は榊健太っていいます、先輩」
「そうか。よろしくな、榊君」
そうして俺は。高校に入学して一週間で、片羽桜子という奇妙な先輩に出会ったのだった。

片羽先輩は、初対面の時から、妙に気になる人だった。
それは彼女がすごく美人だとか、発見したときに倒れているとか、そういうインパクトを除いたとしても。なんだか気になる人だった。
なんというか……二つ上で赤の他人なんだけど、すごく放っておけない気がした。
それが何故なのかは、うまく口では言えない。もしかしたらそれは、一目惚れという類のものだったのかもしれない。
その日は再会の約束もなく、ただ普通に別れた。家に帰って、勉強して、家族と話して、勉強して、寝た。
その人のことが胸に焼き付いて寝れなかったとか、そんなことはなかった。
ただ
次の日から。登校して、授業を受けて、友達と帰って、勉強して、寝る。その繰り返しの中で何となく、あの妙な先輩のことを捜すようになっていたと思う。
もしかしたら、またどっかで倒れてるんじゃないんだろうか、と。たぶんそんな心配をしていたんだと思う。
片羽先輩と次に会ったのは、一週間後のことだった。


336:未来のあなたへ3.5
08/12/23 17:35:50 IN/7LRg9
「こんにちは、片羽先輩」
「やあ、榊君」
その日。片羽先輩はグラウンドの隅で、石段にぽつんと腰掛けていた。
膝の上には例によってスケッチブックを広げて、鉛筆を走らせている。
今日はどうやら、グラウンドのサッカー部を描いているようだった。先輩の指先が、魔法のように輪郭を書き出していく。あ、袖がテカテカだ。
言うべきことを探して、そんな自分に戸惑った。自慢じゃないが人付き合いは得意な方だ。普通に話す方法ぐらい、意識するまでもなく身に付いているはずだった。
そうだ、考えてみれば作業の邪魔をするなんて馬鹿げている。俺も倣ってサッカー部の練習風景を見ていることにした。
グラウンドを見やる先輩の横顔は、普段と違って笑うことなく口を真一文字に引き結んで真剣だった。そうしていると一つの彫像のような美しさがある。
邪魔はしないと決めたはずなのに、気付けば口を開いていた
「サッカー、好きなんですか?」
「ん? いや、競技に特別な興味はないよ。被写体としての彼等には魅力を感じるけどね」
「魅力的……」
自分の足を見る。去年までボールを蹴っていた、制服のズボンに包まれた脚。
たぶん。いや、間違いなく、すごくなまっている。もう半年近くも練習してないのだ。
それに、サッカーに打ち込んだら今のペースで勉強ができるわけがない。今のペースで勉強してたら、満足な練習ができるわけがな……はあ。
「ふふん。君の方はサッカーが好きみたいだね」
「え? いや、好きっていうか、中学までサッカー部にいたんで」
「なるほど。トランペットを見つめる黒人少年のような目つきだったよ」
「トランペット……え?」
はてな顔になった俺を見て、また軽く笑う先輩。冷たい感じの美人なんだけど、よく笑う人だ。
その笑顔は無邪気とはとても言えず、明らかに毒を含んでいるはずなのに。俺は悪い気はしなかった。
うーん……俺ってマゾなのか。それとも、普段から毒舌を浴びてるせいで耐性ができてしまったんだろうか。
まあ、単に美人は得だってだけかもしれない。
それから、横に座って、とりとめのない話をした。
天気のこと、スケッチのこと、この前の公園のこと、サッカーのこと。
「榊君は、もうサッカーをやらないのかな」
「ん……いやあ。俺、バカだから勉強しないとあっという間に赤点まみれになっちゃうんで」
「なるほどね。君が辛くなければそれでいいけど」
「……!」

言われて気付いた。
そうか……俺は、辛いのか。
この半年、ずっと勉強してきて、幸運と努力のおかげでこの高校に合格できたけど。
身の丈に合わない場所にいる俺は、やはり努力をし続けなければ、落ち零れてしまう。
半年、頑張れば終わると思って来たけれど。その先にあったのは、変わらない日々だった。
中学の時のように、自分のやりたいことに最大限打ち込むような自由は、もうない。サッカー部を引退したときに、そんな自由は終わってしまった。
圧力。
俺は、人生にかかる圧力を、初めて明確に意識する。ああ、今まで気付かなかったなんて、俺はなんて鈍感なんだ。
水の中に、潜り続けているような憂鬱。

「先輩は、成績いい方ですか?」
「はは、立派な劣等生さ。まあ、僕の場合は既に諦めてしまってこの位置だけどね」
「うわあ、気楽そうですねえ……」
「ふふん」
けれど、そんなことを知り合ったばかりの先輩に言えるわけもなく。しばらく、どうでもいい話をして、その日は別れた。
それに。そんなことを考えてもどうしようもないから……結局、深く考えることはやめた。



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