☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第90話☆at EROPARO
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第90話☆ - 暇つぶし2ch250:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 00:57:17 o7Svkjs9
「承認や」

だそうである
そんなこんなで、ヴァイスは密かに憧れていた97管理外世界製の酒を色々ゲット。整備班を相手に格安ぼったくり闇酒場でも開くか。などと考えていた所をシグナムに察知され、
段平片手におっかない目付きで追いかけ回される身となっている。訓練が捌けたばかりだというのに、烈火の将は今日も元気だ

なので、エリオが受け取ったのは缶ジュースではなく歴としたお酒である。お酒はハタチになってから?古代ベルカ風に考えれば10歳を越したら一人前なのだ
勿論、彼の少年が第97管理外世界の缶入りアルコール飲料のラベルの種類まで知っていなかったので、ジュースと誤認したのは無理もないことなのだが・・・


―― さて、場面を隊舎に戻ったエリオに戻そう


隊舎まで戻ってくると、エリオは一番に医務室に向かった
医務室の主であるシャマルは居らず、ベッドにキャロが横になっていて、ティアナが付き添っている

「キャロ、大丈夫?いきなり倒れた時は心配したけど・・・?」
「う、うん。ごめんね、エリオ君・・・今はもう大丈夫だから、心配しないで」

少しだけ青ざめて見える顔だが、キャロは気丈にも小さく笑みを浮かべてそう言う・・・そんな台詞に、呆れ顔のティアナが盛大な溜息を吐いたけれど

「でもね、キャロ。辛い時は早めに言いなさいよ。今は良くても、何かあってからじゃ遅いんだからね」
「す、すみません、ティアさん・・・」
「ったく、ちびっ子の癖に我慢しすぎ。アンタもよ、エリオ」
「き、気を付けます・・・」

“隊長”からの叱責に、エリオはしゅんと項垂れて、キャロはシーツで顔を半ばまで隠してしまった
そんな二人の様子に、少しだけ気まずい顔をしながらティアナは頭を掻いて、そっぽを向いたまま言葉を続ける

「・・・ま、良いわ。私達も気付いてあげられなかったんだし・・・
でも、夏場の疲れは一気に“来る”んだし、本当に気を付けなさいよ。倒れて、駄目になってからじゃ遅いんだから」

251:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 00:57:48 o7Svkjs9
「・・・はい。気を付けます・・・ごめんなさい」

シーツの中から、蚊が鳴くような声音が聞こえてきた
キャロのそんな姿に苦笑を浮かべながらも、エリオは少し頬を赤くしてティアナに頭を下げた

「はい。でも、その・・・ありがとうございます、ティアさん」
「な、何でいきなりそんな事言うのよ」

ベッド脇の小さな丸椅子に腰掛けていたティアナはぶすっ面になり、行儀悪く椅子の上で片膝を立てた
じっとりとした視線で睨み付けられるエリオだが、彼女のそんな様子が一風変わった照れ隠しだと受け止めることができるのは・・・先日まで続いていた共同生活の成果だろうか?
だが、それをはっきり口にするとムキになってしまうので、これ以上は言わないでおこう

「いえ、何でもないです。以後、気を付けます」
「ん、結構。それじゃ、アンタもとっとと部屋に戻って休んでなさいよ。キャロの面倒は私が看てるから」
「良いんですか?シャマル先生は・・・?」
「それが・・・何処に行ったのか居ないのよね。リイン曹長が探してくれてる筈なんだけど・・・まぁ、戻ってくるまで安静にして待ってるわ。
部屋でも良いんだけど、こっちの方が確実だしね」
「それじゃあ、食事はどうします?持ってきましょうか?」
「あぁ、平気よ。それくらいは自分でするから、スバルと食べてきなさい。二度も、いつかみたいな手間を掛けさせるわけにはいかないしね」

申し出をやんわりと断りながら・・・不意に頬を赤くするティアナに首を傾げつつも、エリオは医務室を後にした
空調が静かに空気を掻き混ぜる、静かな一室に二人きりになったティアナとキャロだが・・・そっと、ティアナの様子を伺ったキャロは、思わず目を丸くした

「ティ、ティアさん!?何か、お顔が真っ赤ですけど、どこか悪いんじゃ・・・!?」
「え!?あ、い、い、いや、その、何でもないのよ!な、何でもないの!」
「でも、そんな・・・あの、私はシャマル先生にお薬でも出して貰いますから、ティアさんも休ん「だーっ!薬とかは駄目よ!特に滋養強壮剤とかドリンク剤は絶対駄目!」

息を切らしてまくしたてるティアナの思わぬ剣幕に、キャロはこくこくととにかく頷いた
瞠目したまま、怯えたようにシーツで顔を半分隠しているキャロの姿に、ようやくティアナは自分の口調の激しさに気付き・・・慌てて大袈裟な身振りを交えながら言い訳を始めた

「・・・あ、ご、ごめんね。実はその・・・あの、ちょっと前に私もシャマル先生のお薬貰ったんだけどさ、飲んだらすっごく苦くてマズくて」

252:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 00:58:21 o7Svkjs9
「そ、そうだったんですか・・・?」
「体調は良くなったけど、なんかしばらく偏頭痛っぽい症状が続いたし・・・あれくらいなら、しっかり休んでいっぱい食べた方が良いわよ?」
「は、はい・・・そうします」

苦い薬が得意な子供は滅多に居ない・・・キャロも、そのご多分に漏れぬ子供だったらしい
素直に頷く姿に、安堵の溜息を吐き出すティアナであった



医務室を出たエリオは真っ直ぐに食堂に向かう・・・つもりだったのだが、一度、先に自室に戻ることにした
ポケットの中でゴロゴロ邪魔だった缶ジュースを、備え付けの冷蔵庫に放り込んでおく
今、エリオ達フォワードメンバーが居室としている部屋は、本来、賓客向けの客室であり、平隊員風情に宛がわれることは有り得ないくらいの、備品も充実した良い部屋だ
変則コンビネーションの訓練期間中は、それぞれのパートナーと同居するように、という部隊長命令もあって、現在、エリオはスバルと昨日から共同生活を送っている

「・・・はぁ」

しかし、夜の事を考えると少しだけ気が重いエリオである
ティアナとは、互いの領分に線引き、というか。二人共に気遣い合う空気があったし、良い意味で“壁”が有ったと思う・・・同衾したりもしたが
しかし、スバルは違う。キャロと過ごしていた時もそうだったらしいが、とにかく弟分、妹分の世話がしたくて仕方がないらしい
同性であるキャロならばまだしも、10歳児とは言え異性である自分の前で、あまりにも無防備に振る舞われるのは・・・少々、困る。
内心、少しだけ嬉しかったり、いや、騎士たる者そんなことではいかん
しかし、今のままでは、シグナムが言っていた『戦技の訓練だけでは互いの呼吸を伺い知ることはできん』という言葉を粗略に扱うことになる

「・・・逃げ回ってばかりじゃ、意味が無いんだよね・・・」

本音を言えば、できればティアナと接した時のように少しずつ歩み寄って行ければ良いのだが、生憎3日間という短期の訓練期間である
せめて、真っ直ぐ向き合えるようにしようとエリオは決めて、少し晴れやかな表情で自室を後にした
向かう先は食堂・・・多分、スバルは今頃、空きっ腹を抱えてテーブルに突っ伏しているはずだ
先に食べていれば良さそうなものだが、『一人の食事って味気無いじゃない』というのが彼女の言い分である

「よし、急ごう」

253:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 00:58:52 o7Svkjs9
自分にそう呟いて、エリオは隊舎の廊下を早足で駆け抜けた



「遅ーい!!」

開口一番、スバルは涙目でそう訴えた
確かに、年頃の少女らしからぬ豪快且つ旺盛な食欲を誇る彼女でなくても、空きっ腹のまま湯気を立てる食事を前にして『待て』されるのは拷問と言えよう

「すみません。医務室に寄ってたら少し遅くなっちゃって」
「あ、キャロの具合、どうだった?」
「それほど悪くは無いみたいですけど・・・疲れが出たんでしょうか。しばらく安静にしておくって。今はティアさんが付いてくれてます」
「そっか・・・なら、ひとまずは安心、かな?」
「ですね。食事は、先に食べてなさいって言ってましたし」
「それじゃ、遠慮無く!」

食卓の上には、スバルが取り分けて来たらしい料理の山ができている。文字通りの“山”である
大皿の上にはサラダが山になっており、籠には長い堅焼きパンがそのまま立てられている。極めつけはテーブルの中央で湯気を立てるシチューの鍋
普通に考えて鍋ごと持って来るというのはありえないと思うのだが、夕食時には必ず二桁近い回数のおかわりに通い詰めるスバルの姿に、食堂のおばちゃんが鍋ごと持たせたのである
きっちり完食して返すあたりが何ともスバルらしいと言うか、それ故に許されている特権というか、良識ある人間がみたら唇の端をひくつかせるような食卓になっているのだが
スバルとエリオはぱちんと両手を合わせて食卓に向かいお辞儀をし、いただきますと唱和

そして、二人としては“平然”と、
しかし、周囲の認識としては“猛然”と、食卓に並んだ料理を平らげ始めた

「しかし、アレだね。エリオも随分様になったね」
「?・・・あぁ、シューティングアーツですか?まだまだですよ」
「そりゃそうだよ。私だってまだまだ修行中なんだから・・・でも、二日間の特訓でここまで伸びるって言うのはすごいよ。流石、男の子だね」
「あはは、ありがとうございます」
「最終日には、師匠らしく必殺技の一つでも伝授してあげたら良いんだけどねー」

スプーンを咥えたまま真剣に悩み始めるスバルに、エリオは首を傾げて見せた

254:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 00:59:23 o7Svkjs9
「必殺技、ですか・・・?」
「うん、必殺技。ここぞと言う時にガツーン!と行ける奴があるとカッコイイでしょ?」

何ともスバル先生らしい(?)言葉に、思わず、引き攣った笑みを浮かべてしまうエリオである

「でも、私のバスターは教えてあげるわけにはいかないし・・・」
「・・・名前だけの問題なんですか?」
「む、そんな事無いよ。でも、名前って言うのは大事なんだよ?」
「そうですか?」
「そうだよ!叫んだ時に気合の入る名前じゃないと!」

拳を握って、そう力説するスバルである。少々げんなりした表情を浮かべてしまうエリオだが・・・

「私のバスター・・・“ディバインバスター”は、元々なのはさんの砲撃魔法の名前。って、知ってるよね?」
「あ、はい」
「最初は単純に、なのはさんへの憧れから名前を借りたんだけどさ。教導を受けるようになって・・・本当は、“ディバインバスター”って名前はやめるつもりだったんだ」
「え?何でですか?」
「そんなの、恥ずかしかったからに決まってるじゃない。でもね、なのはさんが褒めてくれたし、認めてくれた・・・
勿論、なのはさんが使うバスターには何一つ適うわけないけど・・・いつか、きっと追い付ける様に、憧れをただの憧れにしない為に、今もバスターって言ってるんだよ」
「そう、だったんですか・・・」

にっこり笑うスバルの顔に、エリオは少しだけばつが悪い表情で頷いて見せた
スバルの発想を子供扱いしていたというか、あまり真剣に聞いていなかったのだが、彼女の言い分を聞くと、頷かざるを得なかったのだ
だが、そんなエリオにスバルは笑顔で詰め寄り、先程の提案を猛烈にお薦めした

「だからさ!エリオも何か作ろうよ、必殺技!カッコイイ騎士の必須条件だよきっと!」
「あ、あはは・・・考えて、みます。はい・・・」

どこかズレたスバルの提案に、引き攣った笑顔で応えるエリオであった

そんなこんなで、スバルの必殺技談義(?)を交えた賑やかな夕食も終わり、あとは部屋に戻って休むだけ。となった

255:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 00:59:54 o7Svkjs9
休むだけ。と、なったのだが・・・



「・・・あの、スバルさん」
「んふふふふふ、なーに?」

嗚呼、最早何処からツッコめば良いのだろうか?エリオの心中はそんな感じである

面倒なので取りあえずありったけを描写してしまえば、
二人は今、自室に戻るべく廊下を歩いている。客室の近辺を歩き回る職員は少なく、二人以外の人通りは見当たらない
そんな人気の無い廊下で、“にっこり”というよりも、“ニマニマ”という笑みを浮かべたスバルがエリオの頭の上に両腕と顎を乗せている
重い、というよりも、エリオ的関心事項はそこではなく、スバルが提げているビニール袋の中に入っているのがシャンプーハットにしか見えないし、
小さく腰を振ってリズムを取りながら口ずさんでいる「おっふろ♪おっふろ♪」というけしからん鼻歌が気になって仕方無い
傍目には微笑ましく、且つ、羨ましくも見える光景だが、スバルにくっつかれているエリオとしては嬉しさと困惑が3:7くらいである

振り解いてしまえば良さそうなものだが、『せめて、真っ直ぐ向き合えるようにしよう』と、夕食前に決めたばかりの身である
だが、しかし、エリオは不退転の決意を籠めて、はっきりと宣言した

「・・・お風呂は、一人で入りますからね」
「えぇっ!?折角秘密兵器まで用意したのに!?」
「・・・全然秘密になってないですよ。それ(シャンプーハット)・・・」
「これも師弟のスキンシップじゃない。駄目?」
「お気持ちだけいただきます。スキンシップならお風呂上がりに肩でも揉みましょうか?」
「お、嬉しい事言ってくれるじゃない。じゃ、そっちを楽しみにしてようっと」

赤毛にぐりぐり頬擦りまでされるのは少々恥ずかしいが、難局(?)を乗り切れたことと、申し出を喜んで貰えることは、エリオにとっても嬉しかった

「ヴァイス陸曹に変わったジュースも貰ってるんです。冷蔵庫に入れてありますから」
「じゃあ、風呂上がりは冷えたジュースで一杯やって、エリオのマッサージかぁ・・・贅沢だねー」
「贅沢、ですか?」

256:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 01:00:25 o7Svkjs9
「うん、贅沢だよ。これで一緒にお風呂に入れたら最高なんだけどなー・・・?」
「それは駄目ですってば」
「ちぇー」

ぶー垂れながらも嬉しそうなスバルと共に、エリオは自室に辿り着いた
取りあえずソファのどかっと腰掛けて、満腹のお腹をぽんぽん撫でながら今日の訓練の反省点をアレコレ話し合う
なのは達指導陣からのレポートを眺めれば、二人の連携に関しては概ね好感触。というところである
時々、やたら辛口な指摘があるのはヴィータだろうか?口は悪いが的外れではないので、これも貴重な意見だ

「・・・でも、ちょっとヘコんじゃうよね・・・」
「あはは・・・そうですね・・・」

珍しく、じっとりした表情のスバルに、乾いた笑みを返してしまうエリオであった

「ん、それじゃあ今日の反省会はおしまい。と」
「はい。じゃあスバルさん、お風呂、お先にどうぞ」

エリオの申し出を、スバルは笑顔で遮った

「ん、エリオが先で良いよ」
「そうですか?それじゃあお先に・・・って、スバルさん」
「ん?何?」
「・・・乱入しないでくださいね」
「しないしない。大丈夫。ゆっくり温まるんだよ」

そんな風に、着替えを片手に脱衣所に入るエリオを見送って、スバルはだらしない格好でソファに座り込んだまま、はぁ、と溜息を吐いた

「・・・ちょっと、やりすぎかな・・・?」

天井に向かって、そんな台詞を呟いてみる
エリオと変則コンビを組む期間は3日間。今日は2日目で、明日は最終日だ

257:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 01:00:55 o7Svkjs9
いつぞやの、エリオとキャロの幼少(今でも幼いと言うべき年齢だが)の頃の話を聞いて以来、スバルは何とか二人を甘えさせてやりたいと思うようになった
勿論、訓練中や任務中はそうも言っていられないが、こんな風にのんびり過ごしている時くらいは何かしてあげたいのだが・・・

「難しいお年頃、か・・・フェイトさんも大変だぁ」

苦笑と共に、長い金髪の美貌を思い浮かべる・・・優しくて、少し過保護な、毎日忙しいお母さん
彼女の代わりなど、おこがましいにも程があるが、エリオがティアナに相談したように、スバルもキャロから、

『甘えたい時ってどうすれば良いんでしょうか?』

などと相談された事があった
そんな弟分、妹分の為にも、少しやりすぎなくらいべたべたした接し方で、触れ合う事に慣れて欲しい・・・そんな理由が一応ある。あまりうまく進んでいないが

「・・・でも、ティアとエリオは随分打ち解けてたんだよねー」

少しだけ、そんな対抗心もあるようだ
日頃からツンケンしている相棒と、固く抱き合った寝姿という衝撃映像を目の当たりにした身としては、何があったのかは激しく気になる
それに・・・

何を思いだしたのか、ぽっ、とスバルの頬が赤く染まった。そんな彼女に、脱衣所から出てきたエリオが声を掛ける

「スバルさん、お待たせしました。お風呂どうぞ」
「へあっ?エリオ?もう上がったの?」
「え、そんなに早くもないと思うんですけど・・・?」

時計を見れば、エリオがシャワールームに消えてから、既に20分ほど経過していた
どうやら、思索に耽る余り時間を忘れていたらしい。生欠伸を噛み殺すフリをしながら、座ったまま背伸びをし、肩越しにエリオの方を振り返る

「あぁ、ごめんごめん。ちょっとウトウトしてたみたい」
「大丈夫ですか?お風呂で溺れないでくださいね?」
「ダイジョブだよ。あー、でも、もしあんまり出てこないようだったら、寝てたりするかも・・・?」

258:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 01:01:27 o7Svkjs9
少し悪戯っぽい上目遣いで見上げてやる
案の定、エリオは頬を赤く染めて、そうなった時に助けに入るべきかどうするべきかを考え込みはじめた

「あはは、ゴメンゴメン。寝たりしないよ」
「本当ですか・・・?」
「うん。だって、お風呂上がりに冷えたジュースとエリオの肩揉みを堪能しなきゃいけないからね」
「そんなに大した物でも無いですよ」
「そうかなぁ?まぁ、楽しみにしてることは確かだし。さて、それじゃ一っ風呂浴びてきますかぁ!」

そんな軽口と共に、スバルは着替えを片手に脱衣所に向かった
鼻歌交じりに汚れた訓練服をすぽぽーんと脱ぎ散らかし、踊るような足取りでシャワールームに入る・・・前に、脱衣所のドアを小さく開けて、
隙間から顔だけを覗かせたスバルは、驚いた顔でこちらを振り返ったエリオにこんな一言を投げ掛けた

「・・・乱入してもOKだよ?」
「しませんよっ!!」

入浴前に彼の少年が呟いた台詞とは真逆の言葉に、エリオは耳の裏まで真っ赤にして大喝を放つが、
スバルは予想通りの展開にけたけた笑いながらドアを閉め、今度こそシャワールームに入った

「ふんふふーん♪」

ざっと湯を浴び、少し調子の外れた鼻歌と共にスポンジを手に取り、ボディソープをたっぷり含ませて身体を丹念に擦ってゆく
ティアナが言うには『最近ちょっと汗臭いわよ』との事である。毎度毎度、汗だくになっている所為で自分ではあまりわからないのだが
汗や土埃で汚れた身体を一通り洗い終えると・・・何となく、傍らを見下ろすスバルである
先日まではキャロと一緒に入浴していて、彼女を洗ってやるのも日課だったが・・・

「うーん、やっぱりちょっと物足りないなぁ・・・」

そんな独り言を呟いてから、シャワーを被って肌に纏い付く泡を流す
1日分の汚れと疲れが石鹸の泡と一緒に流れてゆくようなこの感覚こそが、入浴の醍醐味だと彼女は豪語する

「・・・んー・・・はぁっ」

259:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 01:01:58 o7Svkjs9
うっとりとした溜息を吐きながら、小さく背伸び
続いてシャンプーを手に取ると、割と豪快な手付きで髪の毛をガシガシ洗う。頭を手早く洗い終えると水弾きの良い肌の上に残っていた水滴を掌で撫で落とし、
髪に含んだ水気もなるべく払って、湯気が立ち籠めるシャワールームを後にした
バスタオルで身体を拭き、下着を着け、少し着古した感じの漂う部屋着を身に付けると、髪の毛に残る湿り気をタオルで拭きながら脱衣所を出る

「ふー、良い湯だった」

つやつやした茹でたての頬を緩ませて、そんな言葉を呟くスバルである
彼女が出てきた事に気付いたエリオは、今までストレッチをしていたらしい。顔だけ上げて言葉を返す

「でも、少しだけ大浴場の湯船が恋しくなってきますね」
「そうだねー。一応、ちっちゃい湯船があるんだし、お湯張って入ろうかな・・・?」

一応、ここのシャワールームにも、狭いながらバスタブがある・・・そういう意味ではユニットバスと言った方が正確だろうか?
しかし、殆ど正方形の、エリオでも膝を折らなくては腰が下ろせないような大きさの湯船はあまり使う気にもなれず、専らシャワーしか使っていないのだけれど

「さーて、と。それじゃあ、風呂上がりのお楽しみターイム!」

大袈裟な口振りでテンションを上げるスバルには少しだけ困った笑みを浮かべながらも、エリオは立ち上がると冷蔵庫から良く冷えた缶ジュースを二本取り出した
逃避行中のヴァイスから貰った物で、正しくはジュースではなくその中身は酒なのだが・・・

「それじゃ、今日も一日お疲れ様って事で、カンパーイ!」
「あはは。かんぱーい!」

ぷしっ、とプルトップを開けて、缶を軽く打ち合わせるスバルとエリオである
唇を付け、一口呷ると・・・

「ん?何か変わった味だね。こんなジュースあったんだ」

未知の味わいに首を捻りながらも、笑顔を作るスバルである

260:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 01:02:28 o7Svkjs9
少し炭酸のキツいオレンジジュース・・・微かに苦味を感じるのは、柑橘の成分だろう・・・と彼女は考えたが、実際はアルコールである
そんな事実は露知らず、スバルとエリオはくぴくぴと缶を傾け・・・

「ぷはーっ、ん、結構美味しかったね」
「ですね。後でヴァイス陸曹にお礼を言っておかないと」
「うん。それじゃ、お楽しみタイム第二だーん!」

いぇーい!、と妙なテンションで盛り上がるスバルに、エリオは殉教者の様な笑みを浮かべていぇーい、と相の手を入れている

「デスクワークでちょっと肩が凝り気味だったから、えへへ、助かるなー」

ちなみに、本日の書類業務はものの30分も掛かっていないのだが

「それじゃあ、えっと・・・ソファじゃやりにくいよね。ベッドで良い?」
「そうですね。そっちでお願いします」
「りょーかい。んしょ、っと」

スバルはベッドの縁に腰掛け、彼女の背後でエリオは膝立ちになって両肩に掌を置いた
スバルは、両肩に感じる掌の感触が意外に堅く、大きい事に驚き、エリオは、掌で包んだ両肩が思い掛けず細い事に驚いていた

「エリオ、結構てのひら大きいんだね」
「そうでしょうか?誰かと比べたことが無いからわからないですけど。それじゃあ、始めますよ」
「うん、お願い」

湯上がりの為か、少しだけ汗を帯びたスバルの肩を触る感触にドキドキしながらも、エリオはそっと彼女の肩に乗せた掌に力を籠めた
掌と指先でゆっくりと力を入れて掴み、同じくゆっくりと力を緩めてゆく。鎖骨に沿うように左右に掌をスライドさせながら、じっくりと揉んでゆく

「・・・エリオ。もっとぎゅ~ってしてくれたら良いよ?」
「強く揉んでも肩凝りは解れないんです。ゆっくり、血行が良くなるように揉むのが一番だ、って教わりました」
「へぇ、誰が教えてくれたの?」
「アルフに習ったんです。折角教えて貰っても、肩揉みをしてあげる人があんまり居ないんですけどね」


261:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 01:03:00 o7Svkjs9
エリオとしては、恐らくは書類仕事でガチガチになっているであろうフェイトの為に覚えたようなものなのだが、生憎彼女は留守がちである
近日開催される予定の公開意見陳述会の絡みなのか、最近は特に帰りの遅い外出が多く、ゆっくり肩を揉んであげる暇もそうそう無いのであった

「えー、でもきもちいいよー?肩、ぽかぽかしてきたし」
「血行が良くなってる証拠ですね。少し強くしていきますよ」
「うん。ぎゅってして・・・く~っ・・・きく~っ・・・!」

ぎゅっと肩を揉み込まれて、静かに悶絶するスバルである
むず痒いような、こそばゆいような、そんな微妙な顔のままエリオのマッサージに身を任せていたが、不意に彼女はこんな事を尋ねた

「ね、エリオ。ティアにもこういうの、してあげた?」
「あ、いえ。ティアさんには・・・」
「ふーん・・・そうなんだ」

何だかぽかぽかと身体が温かくて、頭もふわふわしてきたような気がする
マッサージのお陰だろうか?と内心、そう思うが・・・実際の所は酔いが回ってきただけである。悪酔いでは無いのが救いだが

「でも、ティアとは随分仲良しになってたんだよねー。ねぇ、こっそり教えてよ。ティアと何かあったんでしょ?」
「な、何も無かったですよ」

赤面の理由は照れなのだろうか。アルコールなのだろうか?エリオはスバルの問い掛けに顔を真っ赤に染めて俯いた
そんな少年の様子が何とも怪しく、そして面白く、スバルは唇を尖らせながらも問い掛けを重ねる

「ホントにー?怪しいなぁ。何も無かった相手と、あのティアが一緒に寝てたなんて」
「あ、あれは、その・・・って、もうこの話はしないって約束したじゃないですか!」
「あ、そうだったね、ごめんごめん」

エリオは、少しむくれた顔でスバルの肩をぱんと叩き、肩揉みを終えようとしたが、それより数瞬早くスバルが口にした言葉に動きが凍り付いた

それは、“夢”だった。と、そう思っていた筈の ――


「でも、ティアと一緒にお風呂まで入ってたじゃない」


262:26-111
08/12/09 01:04:49 o7Svkjs9
・・・うん、酷いね。我ながら
続きは大体24時間後。IDが変わった頃に

それでは、スレ汚し失礼しました

263:名無しさん@ピンキー
08/12/09 01:32:57 19QZjj8z
>>242
GJ!
何だよあのガリューの死に方は…ち、ちくしょう、泣いてなんかいないんだからね!
強敵(とも)に自分の大切な主を託し、主の幸せをただひたすらに思い、散り逝く様はまさしく、漢(おとこ)だった
そしてガリューの影響を受けてストラーダ二刀流モードを装着し、ルーを守るエリオが浮かんでしまった

>>262
GJ!
どう考えても生殺しです。ほんとうに(ry
スバルはエリオとティアナが一緒に入って風呂入ってたこと知ってたのか(さすがにロストバージンと脱・童貞する一歩手前だったのは知らないっぽいけど)
エリオも現実だったと気付いたし、アルコールも二人とも程よく回ってるはず
ここで濃厚ないちゃラブを期待しない方がおかしい
ただ前回ティアナは小さな騎士様に淡い恋心を抱いてしまった様子
にも関わらず、二人がいちゃラブしたとなると…

264:名無しさん@ピンキー
08/12/09 06:48:26 763Hz33K
>>262
ヴォォォォォ生殺しぃッ!!
だが果てしなくGJ、続きを期待セザールを得ない

265:名無しさん@ピンキー
08/12/09 18:42:20 +FtMcsNF
ここではスカ+男のオリキャラに管理局敗北→女子凌辱な感じのはありなの?

266:名無しさん@ピンキー
08/12/09 19:23:00 K6coiPyU
>>265
カモオォ~ン!щ(゚Д゚щ)ハヤクコイコイ

267:名無しさん@ピンキー
08/12/09 19:31:33 FW6GlU25
>>265
愚問だな・・・ありに決まってるジャマイカ!!

268:名無しさん@ピンキー
08/12/09 19:56:25 GOHVT4iB
じゃあ俺は少女時代のフェイトちゃん陵辱モノでも書くぽ

269:名無しさん@ピンキー
08/12/09 20:19:15 BRRCjo67
>>265
だけど似たような奴なら見た事はあるんだけど、
逆って(ナンバーズ陵辱)全く見た事ないな~。


270:名無しさん@ピンキー
08/12/09 20:24:43 rh6DONzP
>>269
矯正施設で凌辱されるネタなら何度か見た気が

271:名無しさん@ピンキー
08/12/09 21:48:15 UiqI5Yo8
>>265
基本的に注意書きがあればなんでもいい

272:名無しさん@ピンキー
08/12/09 22:07:11 XQVaXuhU
>>269
こっちの方も心引かれるな。

273:名無しさん@ピンキー
08/12/09 22:17:12 VWYTl4ye
B・A氏
GJ!!
ガリューの死そして

>自分の中の弱い部分を知るからこそ、ひたむきな強さを持つことができる。
きっとこれからも、傷つき悩むだろう。彼の目指す騎士は大切なものを守るために、それ以外のものを切り捨てる覚悟が必要となる。
彼はまだその矛盾に気づいていない。そしてそれに気づいた時、彼は悔やみながらもその道を進むだろう。
何故なら、彼は既に選んでしまったのだから。ルーテシア・アルピーノの側にいるという誓いを、交わしてしまったのだから。
だから、彼はきっと何かに絶望する。何かを悔やみ、何かに怯えながら、みっともなく情けない醜態を晒し、
それでも自分で選んだ道を貫き通す。

の部分にものすごく眼を引かれました。
別次元ではあるが、まさしくルーテシアの騎士に繋がっているのではと感じられました。
あちらの次元においても初期の時のエリオはルーテシアとずっと共にいることを選んだが、そのために多くの人間を傷つけて自らも傷ついて
結果として守るべき人自身の心も傷つけることになった。
この世界のエリオも例えルーテシアと共に生き延びても(生き延びて貰わないと悲しすぎますが)きっと同じ道を辿ってしまうんだなあと深く感じました。
その上こちらのルーテシアは罪を重ねすぎた上に支えてくれる人もエリオ以外誰もいなくなった。
あちらでは一度自らエリオの元から去ったけど、こちらではエリオの為と考えても離れることは絶対できないと思います。
だからこそ、エリオはルーテシアと共にずっと歩む為に彼女の罪を裁こうとする人を切り伏せ、それでもルーテシアは彼に依存することしかできない。
だって今度エリオと離れることは自身の心が死ぬことを嫌でも理解してしまうだろうから。
こちらのエリオはルーテシアと結ばれて子供ができても家族を守るという己の正義の為に人を切り続けるのでしょうね。
その部分が今回の本編で描かれるかは分かりませんが、ここまで意味深な言葉を残せる氏に改めてGJ!!!

26-111氏
GJ!!
今晩の投下を全力前回でお待ちしてます。
絶倫っぽい天然スバルに襲われる(?)エリオは果てしなくエロそうです。
そしてティアキャロも乱入してと果てしない妄想が広がっていく…

274:名無しさん@ピンキー
08/12/09 23:55:23 4MLc4j3X
前のバレンタインの時みたいにクリスマス特番とかお正月ナンバーズとか期待シテル
職人様どうかよろしく

275:26-111
08/12/10 00:06:05 y76mWzfh
夜も更けて参りました
昨日投下した「小さな騎士・スバル番外編」の続きを投下させていただきたく

>>261からの続きになります
・ようやくエロ展開に入ります
・使用レス数14レス

書いてる途中でいつもの病気が出ました
果たして、これはエロパロとして、エロいのかどうか・・・

では、投下を開始します

276:小さな騎士・スバル番外編
08/12/10 00:06:37 y76mWzfh
それを口にしてしまってから、アレ?と内心で首を傾げるスバルである。ポロッと喋ってしまったが・・・まぁ、良いか
ふわふわする頭の中でそう結論付けたが、エリオの方は彼女ほど平静でいられない。いられる筈がない

「え?な、何を言って・・・スバルさん?そんな事、してませんよ」
「んー?見間違いなんかじゃ無かったよ。エリオ、ティアと一緒にお風呂に入ってたじゃない。
ティアがオプティック・ハイドで隠したからツッコまなかったけど。ほら、シャンプーとリンスを借りに行った時があったでしょ?憶えてないの?」

いや、憶えている・・・そんな夢を見た筈だったことは、はっきりと憶えている
一瞬で酔いが醒めたエリオは、顔を青ざめさせたまま、とある一つの可能性に思い至る

『妙にリアルな夢だったと思っていたけど・・・アレは、まさか、本当に夢じゃなかった・・・?』

そもそも、何であの夜のことが夢だったと?
翌朝に目覚めて、何事も無かった様な顔のティアナに、そう言われたからだ。「夢でも見たの?」と
確かな証拠は何も無いし、あまりにも現実離れしていたので、“夢”という言葉をそのまま信じていたが・・・

「エリオかわいそー。ティアが隠したいのもわかるけど、エリオにまで隠さなくても良いのにねー」
「・・・そんな、じゃあ、あの時、スバルさんは・・・僕が、“見えて”いたんですか・・・?」

顔面蒼白になって、震える声でそう尋ねてくるエリオに、スバルは肩越しに顔を向けてにへっと笑う

「うん、私の目はちょっと特別だからね。あ、一目で気付いたわけじゃ無かったよ?リンスも貸してって入り直した時にようやく。ティアの演技もそんなに上手じゃなかったし」

普段ならば、スバルの言葉に小さな違和感を感じたかも知れないが、生憎今はそれどころではない
真っ青になっていた顔が、見られていた、という事実を思い知って一気に赤くなる。単に裸を見られたというだけでも相当に恥ずかしく思うだろうが、あの時は・・・

「でも、まさかエリオが赤ちゃんみたいにティアのおっぱ「ぅわーっ!!ス、スバルさん!!お願いですからもう勘弁してください!!」

エリオに涙目で制止を訴えられて、スバルは魔物の様にうひひひひひひひひひと笑う

「どーしよっかなー?」

277:小さな騎士・スバル番外編
08/12/10 00:07:08 y76mWzfh
わざとらしく、下唇に人差し指を当てた格好で空とぼけるスバル@酔っぱらいに、エリオは土下座でもしそうな勢いである
そんな少年をチラッと見やり、

「・・・秘密にしてて欲しい?」
「は、はい・・・」

赤かった顔を今度は青くして、ベッドの上に正座したエリオはがくがく頷く・・・だが、彼のそんな必死さとは裏腹に、スバルはいともあっさり頷いた

「うん、良いよ」
「へっ?ほ、本当ですか!?」
「うん。だから、ちょっとだけ質問に答えて欲しいな」
「な、何ですか?」

きっとロクでもない質問だろう。エリオは内心で決めて掛かり、腹を括る

「先に手を出したのはどっち?」

予想通りと言えば予想通りだったのだが、ぼんっ、という音が聞こえそうなくらい、一瞬でエリオの顔は真っ赤になった
真っ赤になりながらも、エリオは消え入りそうな口調でぼそぼそと応える。夢だったと思っていた、あの夜の出来事。確か、発端は・・・

「・・・あ、あの時、は・・・ティアさんが、お風呂に・・・その、入ってきて・・・」
「え?エリオがティアのシャワーシーンに乱入したんじゃなくて?」
「し、しませんよそんなこと!!」
「ふーん、それじゃあ、次の質問」
「まだあるんですか!?」

最早涙声を通り越して悲鳴に近いエリオの訴えにはこれっぽっちも耳を貸さず、スバルは酔っぱらいなりに表情を引き締め、実に真面目な口調で尋ねた

「気持ち良かった?」
「スバルさんお願いですからもう許してください」
「え?ティアじゃ気持ち良くなかったの?」
「何でそうなるんですか!?」

278:小さな騎士・スバル番外編
08/12/10 00:07:39 y76mWzfh
どう考えても遊ばれているような気がするエリオだが、このままスバルを放置しておくわけにはいかない
何せ酔っぱらい(双方共、無自覚だが)である。下手をすれば隣の部屋に乱入して真偽の程を確認しかねない
頭に血が上ったり顔から血の気が引いたりを繰り返している所為か、何だか頭がクラクラしてきたような気さえする

だから、スバルが身体を捻ってこちらを振り返り、チェシャ猫の様な笑みを浮かべて飛び掛かってきた瞬間、咄嗟に反応することができなかった

「うりゃ♪」
「うわぁっ!?ス、ス、ス、ス、スバルさん!?」

いきなり抱き付かれて慌てふためくエリオだが、スバルは意にも介さずそのままベッドに押し倒した
抱き締めた格好のまま、スバルは甘えるようにエリオの胸元に頬を押し付ける

「スバルさん、く、苦しいですよ。離して、くださいっ!」

と、そんな苦情はこれぽっちも頭に入らないらしく、とろりと潤んだ酔眼を嬉しそうに細めて、スバルはエリオの胸に頬を擦り付けるのであった
エリオはこの柔らかくも温かい拘束から抜け出そうと必死の努力を試みるが、膂力と体格で勝る相手に組み敷かれた状態での抵抗が如何に無意味かを思い知っただけに終わる
一頻り足掻いた挙げ句、息を切らしたエリオを面白そうに眺めていたスバルは、荒い息遣いに合わせて上下する胸板にぺったり頬を乗せ、
少し上目遣い気味にクッション代わりにしている少年をじっと見上げた

「・・・ねぇ、エリオ」
「ぜぇ、はぁ、な、何ですか?」
「私にくっつかれるの、そんなに嫌?ティアの裸にはあんなにがっついてたのに」

うっ、と言葉に詰まるエリオである
嫌、というよりも単に恥ずかしいだけなのだが、ティアナとの情事(?)を引き合いに出されると、返答に困る
雄の本能として、スバルの抱擁を心地良く思っていることは確かだし、シャツの襟ぐりから少しだけ覗く、押し潰された膨らみには何故だか目が離せない
だが、それら全てをを引っくるめても、流石に羞恥が勝る。まして、ティアナに“甘えて”いた姿を見られていた事を知らされたばかりでは尚更だ

「そ、それは・・・」

なるべく、スバルを傷付けない拒絶の言葉を探して口にしようとするエリオだが、生憎、そんな気の利いた言葉はすぐには出てこない

279:小さな騎士・スバル番外編
08/12/10 00:08:10 y76mWzfh
困惑顔で固まるエリオに、スバルはどこか悪巧みの匂いがする笑みを唇に浮かべ、少しだけ唇を尖らせながらこんな風に言った

「あーあ、私もティアくらいエリオと仲良くなりたいんだけどなー」
「な、仲良く、って・・・」

その言葉に、微かな怯えと期待が混じったのを、スバルは聞き逃さない
そして、胸の下に敷いているエリオの腰元で、固い感触が押し潰された乳房を僅かに押し上げている事も

「・・・ドキドキしちゃった?」

わざとらしく驚いた顔を作って自分の胸元を見下ろし、ズボンの中で徐々に固く勃ち上がりつつあるナニかを確かめて、スバルは意地悪な笑みのままエリオにそう尋ねた
だが、エリオの方は既にドキドキで済んでいるレベルではない
期待と興奮と、怯えと羞恥の所為で、思考回路は既に機能していない。消え入りたいほど恥ずかしいのに、スバルの媚態に期待と興奮を隠せない
結局、ベッドに組み敷かれている格好の彼ができた事はと言えば、真っ赤に染まった顔を僅かでも伏せるように、真横に向けたことだけだ

「あはっ、エリオ可愛い・・・そういう所、何だかティアみたいだよ?」
「~ッ!?」

スバルの華やいだ声に、頬が熱くなる。心臓が早鐘を打つ。「やめてください」と一喝すれば良い筈なのに、口の中は喉の奥までカラカラで声が出ない

「それじゃあ、エリオ・・・」

エリオの身体を抱き締めたまま、背伸びをするような格好でスバルが顔を寄せてくる。もぞもぞと、身体の上を這ってくる心地よい柔らかさと、

「・・・“仲良く”、しよう?いっぱい、ね?」

悪戯っぽく笑う、蠱惑的な眼差しに魂を奪われたエリオは、真っ赤に染まった頬を真横に向けたまま、諦めたように瞼を伏せて、そして小さく頷いた

「・・・はい・・・」

微かな声音は、小さかったがはっきりと二人きりの部屋に響き渡り、二人の唇はそっと触れ合い、しかし深く、重ね合わされた・・・




280:小さな騎士・スバル番外編
08/12/10 00:08:41 y76mWzfh
ぺちゃ、ぴちゃ、という湿った音と、小さな呻きが空気を震わせている

「・・・ん、はぁっ・・・んふふ、気持ち良い?」

シャツが捲り上げられた、裸の胸の上に顎を乗せたまま、スバルはそう尋ねた
尋ねられたエリオは、欠片も余裕が無い表情を真っ赤に染めたまま、唇を噛み締めている

二人の体勢は先程のまま・・・スバルが、仰向けに横たわるエリオの上に寝そべるようにのし掛かった格好で彼の身体を抱き締めている
抵抗を封じるように、エリオの両手を彼の背中の下で握り締めたまま、シャツの裾を唇で咥えて捲り上げたスバルは、年齢の割に引き締まった上体にそっと舌を這わせていた

「ねぇ、エリオ。気持ち良いでしょ?気持ち良いって言ってくれなきゃつまんないし・・・もっと、しちゃうよ?」

そんな言葉に思わず目を見開くが、スバルは再びエリオの胸の上に顔を伏せて、彼の胸板を舌先でくすぐり始める

「っ!?・・・ぅぁっ・・・!!」

生暖かい感触が肌の上を滑る度に、柔らかい唇が押し当てられる度に、電流の様な快感が身体に走る・・・その度に、嬌声が上がり、身体が跳ね上がりそうになるが、
エリオはずっと、唇を噛み締めてそれに耐えていた・・・肉体的な享楽を受け入れてしまえる程、彼はまだ大人ではなかったからなのだが・・・
勿論、抗い続けて終わるものでも無いし、スバルとしては必死で喘ぎを押し止めているエリオの、羞恥に染まった真っ赤な顔が可愛くてたまらなかった

「ねぇ、エリオ。キス、しても良い?」

そう尋ねたスバルだが、彼からの返答は待たず胸板に唇を押し当て、啄むように吸い付いた
しっとりと汗ばんだ素肌の味は、少しだけ塩辛い・・・そんなエリオの味を堪能するように、スバルは震える胸元にキスの雨を降らせてやる

「ぁっ!ひゃ、ぅぅ・・・っ!?」

ちゅば、ちゅぱ、という音が響く度に、組み敷かれたエリオはビクビクと身体を震わせ、その度に白い肌の上に微かに赤い痕が浮かび上がる

「あはっ。キスマーク、付けちゃおっかな・・・?」
「はぁ、はぁっ・・・ふぇっ?・・・キス、マーク・・・?」


281:小さな騎士・スバル番外編
08/12/10 00:09:12 y76mWzfh
息も絶え絶えなエリオが、熱に浮かされたような顔で尋ねてくる

「んふふ、もし誰かに見られたら・・・“仲良し”なのがバレちゃうかもね」
「あっ、だ、だめです。それ、だめですよっ!」

慌てて頭を振るエリオににっこりと微笑み返して、スバルは大丈夫だよ。と声を掛けた

「しないよ。エリオを困らせたくないからね・・・あ、でも、ココならバレないかな?」
「ド、ドコで、ッ!!?ひ、ぅぅっ!!?」

ちゅっ、と彼女の唇が触れたのは、白い胸板の上で薄紅色をしている円い乳首・・・ソコを唇で触れられた瞬間、エリオの身体はのたうつ様に跳ね上がった
極端な反応に少しだけ驚きながらも、スバルは意地悪な笑みを再び口元に宿して、

「凄い・・・敏感なんだね、エリオ」
「し、知りませんっ!!」

あられもない嬌態を晒してしまったエリオはきつい口調でそう言い捨てたが、羞恥と、快感の余韻に震える身体を隠せない為に少しも脅しにならない

「知らないの?自分のことなのに・・・?」
「し、知らないし、わかりませんっ!そんなことっ!」
「じゃあ、教えてあげるね」
「えっ?・・・ふぁっ・・・!?」

鳩尾の上に、涎が滴り落ちる生暖かい舌先が押し当てられた
それだけでエリオは小さく声を上げてしまったが、きゅっと唇を噛み締めて声を押し止める・・・
だが、押し付けられた舌の感触と肌に感じるスバルの息遣いに、抑えきれない喘ぎが唇から漏れ聞こえていた

「うぁっ・・・ぁっ・・・ん、ぅぅっ・・・!?」

ゆっくりと、ナメクジが這うような速度で、キャンパスの上に絵筆を滑らせるように、スバルの舌先がエリオの白い肌をゆっくりと舐めてゆく
じわじわと、右へ。乳首の頂に触れる直前で軌道を変え、色の薄い乳輪をなぞるように、くるりと舌先が一周した


282:小さな騎士・スバル番外編
08/12/10 00:09:43 y76mWzfh
「ふ、あぁぅぅっ・・・!!」

ゾクゾクとした快感が背筋を駆け抜け、エリオは目尻に涙の粒を浮かべながら身体を弓形に仰け反らせる
口では拒絶しながらも胸を突き出してくる少年騎士の姿に、スバルは涎で濡れ光る唇をぺろりと舐めて、息を切らせたエリオの痴態を眺めながら含み笑いを漏らす

「んふふ、男の人も胸で感じるって、本当なんだね」
「そ、そんなの、僕で確かめないでくださいよぉっ!」
「でも、本当じゃない・・・ぴくぴくしちゃって、もう、可愛いんだから♪それに、さっきからコッチの方もぴくぴくしてるよ・・・?」
「あ、くぅっ・・・!ス、スバルさん・・・っ!?」

部屋着のズボンの中から、のし掛かる乳房を押し上げる固い感触・・・屹立した性器の主張を揶揄しながら、スバルはむにっとエリオの腰に胸を擦り付けた
衣服越しとはいえ、痛いほどに勃起した性器を柔らかい感触に押し包まれて、それだけでエリオは悲鳴のような嬌声を上げさせられてしまう

「こっちも・・・直接舐めてあげたらどうなるんだろ・・・?ん~っ・・・」
「ひっ、うあっ、やっ、ス、スバル、さんっ!や、やめっ・・・!!」

ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、とリズミカルに、脇腹にキスを落としながら何やら不穏な呟きを漏らすスバルを、エリオは制止しようとした
だが、当然の様にスバルはそれを無視して・・・ついに、エリオの乳首に唇を押し当て、舌先で押し込むようにしながらその頂を舐り尽くす

「ぅあぁぁっ!だ、だめです、スバルさんっ!それ、やめ、てっ、許し、ひっ!?んくぅっ・・・ふあぁぁっ!?」

エリオは唇の端から涎を垂らしながら、涙ながらに許しを請うが、勿論スバルはやめるつもり等、毛頭無い
音を立てて乳首をきつく吸い立てながら、上体を揺すってズボンの中で屹立している性器を縦横に押し潰す
その度に組み敷いているエリオの身体がビクビクと跳ね、最早押し殺すこともできなくなった涙声の嬌声が部屋中に満ち、

「くぁっ・・・だ、だめです、もう、だめなんですスバルさんっ!このままじゃ、もう・・・っ!!」
「ん、ちゅ・・・はぁっ、駄目になると・・・どうなるの?」
「ひぅっ!?だ、だめなものはだめなんです!ゆるしてください、おねがいですからぁっ!!」

涙ながらの訴えに、スバルは吸い付いていた乳首から唇を離し・・・実に優しい微笑みを浮かべて、

「・・・んふっ・・・ごめんね、エリオ。でも、きっと駄目になったエリオも可愛いよ?」

283:小さな騎士・スバル番外編
08/12/10 00:10:15 y76mWzfh
実に優しい笑みと共に、泣き笑いのような表情で固まったエリオを絶望の崖っぷちから突き落とし、再びスバルはエリオの身体を責め立てる

「うっ、ぁあああっ!だめです、もう、ほんとうに・・・ひ、きぅぅっ・・・!!」

スバルの抱擁から抜け出そうと藻掻いていた身体の動きが、少々変わる
上半身は快感に打ち震えながらも逃げだそうと躍起だが、下半身は大きく痙攣しながら、スバルの胸に腰を押し付けるように迫り出してきた
胸の下で腰をくねらせるエリオに応えるように、スバルもぺったりと乳房を押し付けてやる。激しい腰使いに胸を捏ね回される様で、
エリオの乳首に吸い付いていた唇からは熱い溜息が混じり始めていた

「ふ、はぁっ・・・ん、あっ・・・ふふっ、エリオ。もう・・・限界?」
「はぁぅぅっ・・・スバルさん、もう、でちゃ、ぅああぁぁっ!!」

一際大きく、腰が突き上がるようにびくりと打ち震え、それに合わせてスバルは嘗め回していたエリオの乳首を思い切りきつく吸い上げた
脳味噌が弾け飛ぶような、強過ぎる快楽の奔流にエリオは涙の粒を散らしながら目を見開き、ブリッジを描くように身体を仰け反らせて・・・


「ぃ、ひああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ・・・・!!!!」


甲高い、絶叫のような嬌声を上げると、ガクガクと腰を震わせながら絶頂に達し・・・やがて、くったりと崩れ落ちた
エリオの腰の上にぺったり伏せた胸元で、じわっと温もりが広がってゆくのがわかる・・・どうやら、ズボンの奥、パンツの中は大変な惨事になっているようだ

「ぅ、うっ・・・ひくっ・・・ぐすっ・・・スバルさん・・・酷いですよぉっ・・・」
「・・・ごめんね、エリオがあんまり可愛いから、つい、苛め過ぎちゃった」

そんな風に謝ってみるものの、エリオは顔を隠すように枕を抱き締めて、そのまましゃくり上げている・・・
流石に、少々頭が冷えたスバルは、何と言って慰めようかと頭を捻るが、気の利いた台詞など出てくる筈も無い。だから・・・

「ねぇ、エリオ」

返事が返ってこないことは承知の上で、スバルはそう呼び掛け・・・エリオの身体からそっと離れると、おもむろに部屋着にしているスパッツをずり下ろした

284:小さな騎士・スバル番外編
08/12/10 00:10:46 y76mWzfh
「エリオ・・・ほら、私のも、見て・・・?」
「・・・?・・・!!?!」

ちらりと、顔に押し付けた枕の隙間から視線を送ったエリオの前で、スバルはショーツをゆっくりとずらして見せた
滲み出た愛液が染みを作っているショーツのクロッチと、しとどに濡れそぼった彼女の秘部の間には、涎が糸を引くように愛液で細く繋がっていた

「私も・・・んっ、エリオと同じだよ。エリオの可愛い顔みてたら・・・はぁっ、こんなになっちゃった・・・」

指先が股間に触れ・・・くちゅり、と小さな水音を立てる
淫らに咲いた秘部から“雌”の匂いが溢れ、スバルは横たわるエリオの上に跨るような膝立ちになると、見せつけるように秘部を指先で弄り始める

「ふぁっ、ん、んっ・・・あぅっ・・・!」

エリオの視線を感じながら、スバルは片手で胸を捏ね回し、熱くぬかるむ股間を撫で上げる
エリオへの責めに没頭する余り燻るような快楽を秘めていた身体には、あっという間に火が付いた
魂を抜かれたような顔で、眼前の痴態から目を離せない少年に向けてスバルは妖しく微笑み掛け、火照る体を艶めかしくくねらせながら彼を誘う

「だから・・・ねぇ、エリオ・・・一緒に、気持ち良くなろう?・・・私にも、して・・・?」


湿った音と、二人分のくぐもった喘ぎが部屋に小さく響いている

「ちゅ、んく・・・ぷ、はぁっ・・・んぐっ、ん、あふ、んむっ・・・」
「ひゃぅっ!?ん、は、むっ、ひぅっ!くっ、はぁぁっ・・・!!」

ベッドの上では、全裸でもつれ合うように抱き合っているスバルとエリオの姿があった
いや、抱き合っている、という言葉は少々外れているかも知れない・・・互いに向かい合った姿が天地が逆さまの・・・平たく言ってしまえば、シックスナインの状態である
互いに顔を股間に寄せて、快楽を享受し合う体位だが、その関係はどうもイーブンでは無いようだ
エリオは必死に、愛液が滴り落ちるほどに熱く潤ったスバルの秘部にむしゃぶり付いているけれど、その顔が時々、快楽と羞恥に歪んでいる
彼の腰に顔を寄せて、性器を咥え込んでいるスバルの所為だ。強すぎる快感の為に思わず腰が引けてしまうことがあり、その度にスバルに尻を押さえ込まれている
最も敏感な部分をしゃぶられながら尻を撫でさすられて・・・こんな状況ではとても、初めてのクンニに集中なんてできる筈が無い

285:小さな騎士・スバル番外編
08/12/10 00:11:17 y76mWzfh
しかし、スバルとしてはそれが少々不満らしく、先程からエリオの頬を引き締まった太腿でぎゅっと挟み込み、彼の唇に秘部を自分から押し付けている

「んはっ、ふっ、ん、ちゅっ・・・けほっ、ふぁぁっ!?・・・んむっ、はぁっ・・・!」

スバルの舌遣いに、脳髄まで痺れるような快感が身体を駆け抜けるが、ぼさっとしていては、溺れかねない程の愛液を滴らせた秘部を口元に押し付けられる
精神的にも物理的にも息を詰まらせながら、エリオは必死で舌を伸ばし、顔に向かって迫り出してくるスバルの秘裂をとにかく嘗め回す
スバルの秘部にかぶりつくように口を大きく開けて、膣口に伸ばした舌を挿し入れ、股間全体を唇で揉むように甘噛みする

「ふぁっ、ん、ぁん・・・!んくっ、ふ、はぁっ・・・」

スバルの背中がビクビクと跳ねる事を少し嬉しく思うが、お返しとばかりに性器を吸い立てられて、逆に背筋を仰け反らせる羽目になる
勿論、しがみつくように腰に回された両腕も、頬を挟むむっちりとした太腿も緩みはしなかったのだけれど

(そろそろ、もう一回イカせてあげよっかな・・・)

のたうつように震える性器を咥えながら、スバルはそんな事を考えていたが・・・正直、それでは自分が物足りない
口一杯、というには少々無理のあるサイズの男性器をすぼめた唇で扱きながら、スバルは横向きに抱き合っている裸体を転がして、エリオの上にうつ伏せに覆い被さる格好になった
快楽によって熱を帯びた、汗ばむ身体を擦り付けながら、スバルは丹念にエリオの性器を舐め上げる。口に含み、舌先で鈴口をノックするように押し当てる

「はぁぅぅっ!?ス、スバルさん、それ、すご、あっ、だ、だめですっ!また、ぼく、もう・・・!!」
「ふあ、あむっ・・・ぷはっ・・・うん、良いよ・・・私もそろそろだから・・・ん、あむっ、ん、んーっ!」

スバルの唇を犯す様に、エリオはベッドのスプリングを軋ませながら腰を突き上げる
イマラチオの様で少々苦しいが、組み敷いた身体の下で愛液に溺れそうになりながらも、必死に舌を伸ばしてくれるエリオが愛おしくて、
スバルはされるままに、喉まで突き込まれてくる性器を、目尻に涙を滲ませながらも受け入れている
お互いに限界が近い身体を絡ませ合い、擦り合わせ、そしてきつくきつく抱き締めながら、二人の交歓はついに絶頂の高みへと駆け上がり・・・

「ん、えひお、えりおぉ!んはっ、ん、ぶっ、んんっ!!んむぅっ、ん、んんん ―― !!!」
「ぅあぁっ!!スバルさん、もう、うあっ、あ、くっ、あぁぁぁっ!!?」

一際大きな痙攣が二人の身体に走り・・・スバルは口の中で炸裂した精液の熱さを、エリオは秘部から飛沫を上げて噴き出してきた愛液を受け止め、
そして、きつく抱き締め合っていた身体が、くったりと崩れ落ちる・・・


スバルは、脱力しきった身体をのっそりと起こすと、真っ赤な顔のまま肩で息をしているエリオの頬に啄む様なキスを落とし・・・抱き合ったまま意識は闇に落ちてゆく ――

286:小さな騎士・スバル番外編
08/12/10 00:11:49 y76mWzfh



明けて翌朝である
廊下に出たティアナとキャロは、ちょうど隣室から出てきたスバルに鉢合わせた

「あ、ティア、キャロ!おっはよー!」
「スバルさん、おはようございます」
「朝から無駄に元気ね、ったく・・・あれ、エリオは?」
「ん、もうすぐ出てくるよ。キャロ、今日も訓練だけど・・・平気?無理しちゃ駄目だよ?」
「はい、大丈夫です!ティアさんに付きっきりで看護して貰って、元気一杯ですから!」

本当に元気一杯な様子のキャロに、スバルはそっかそっかと笑顔で頷き、ティアナは少し照れくさそうな顔をそっぽに向けている
昨夜は結局、シャマルが医務室に帰って来ず、ティアナはキャロにずっと付き添って医務室にお泊まりだったのだ

「にひひ~。ティアも良いお姉ちゃんだね~?」
「はい!」
「ちょ、キャロ!べ、別に私は、そんな・・・」

そんな風に話していると、部屋から訓練服を身に着けた赤毛の少年が飛び出してきた

「す、すみません、お待たせしました!」
「ううん、全然待ってないよ。平気」

スバルはそう言ってにっこり微笑み、慌てた様子で飛び出してきたエリオの頭をガシガシ撫でてやる
そんな様子にでっかい溜息を吐き出すティアナである

「全く、すぐベタベタするんだから・・・おはよ、エリオ」
「あ、ティアさん。おはよう、ござ、い・・・ます・・・」
「「???」」

ティアナと対面した瞬間、茹で上がったように頬を真っ赤に染めるエリオの姿に、ティアナとキャロは首を傾げるが、
二人がその理由を問い質すよりも早く、エリオは、

「あ、あのっ、しょ、食堂の準備しておきますから!それじゃ、お先に失礼します!」

287:小さな騎士・スバル番外編
08/12/10 00:12:20 y76mWzfh
逃げ出すように駆けてゆくのであった
廊下は走っちゃ駄目だよー。というスバルの脳天気な呼び掛けは、彼の背中に追い付けたかどうか

「・・・ねぇ、スバル。エリオと、何かあったの?」
「え?私は何にもしてないよ?」

どこか、すっとぼけた感じがするスバルの態度に、ティアナは柳眉を吊り上げるが・・・

「本当に、何も無かったわけ?」
「うん、無かったよ?」
「本当に本当でしょうね?」
「本当だってばー」
「・・・怪しいわ」

どこまでも空とぼけるスバルをジト目で睨み付けるティアナだが、二人の間にキャロが割って入った

「あの、スバルさん、ティアさん。そろそろ行きませんか?朝ご飯、早く食べないと遅刻しちゃいますよ・・・?」

その言葉に時間を確かめた二人は、ひとまず食堂へと急ぐ ―― その道中でさえ、何故か口元が緩みっぱなしなスバルを、訝しげに見やるティアナであった


「・・・ねー、ティア」
「何よ?」
「エリオって、可愛いよね」
「・・・アンタ、ホントに何もしてないんでしょうね!?」
「そんな、ティアが心配するようなことはしてないよ。強いて言えば・・・」

にっこりと、少しだけ照れが滲んだ笑顔を見せて、スバルは言った

「今までよりもちょっとだけ、“仲良し”になっただけだよ」

そんな言葉に、ティアナとキャロは顔を見合わせて首を傾げるが・・・今頃、準備を終えたエリオが待っているであろう食堂に、駆け足で向かうのであった




288:小さな騎士・スバル番外編、おまけ
08/12/10 00:12:55 y76mWzfh
スバルとエリオが身体を重ね合わせた夜のこと。格納庫では・・・
ヴァイスが密輸した地球製の酒でこっそりと、しかしドンチャン騒ぎを繰り広げているメカニック達の姿があった

「お、こいつもなかなかイケるぜ!」
「どれも美味いな・・・97管理外世界の、ちっこい島国の酒なんだって?こんなに美味い酒が普通に売ってるなんざ、天国みたいな所だな」
「あぁ、俺もいつか行ってみてぇよ。っつうか移住してぇ」

そんな風に盛り上げっているメカニック達をぶすっ面で眺めながら、ヴァイスはグラスのジュースを一息で飲み干した
買い付けたのは彼な筈なのだが、ヴァイスが飲んでいるのは酒ではなく、ただのジュースだ。正真正銘アルコール0%の

その理由を簡単に説明しよう

決死の逃避行を試みたヴァイスだが、結局シグナムにとっ捕まり、きついお叱りを受けてしまった
しかし、『日陰者の裏方への慰労の為なんです。どうかお許しをー』と、どこか白々しい台詞と共に土下座までしたヴァイスに、シグナムも頷かざるを得なかった様で、
こうして、メカニック達“だけ”は酒盛りに興じていられる・・・
ただ、ヴァイスだけは、

『メカニックへの慰労なら、お前は飲まなくても構わないな?金銭の徴収も不要だな?』

という脅し文句をレヴァンティン片手に告げられた次第である

「あぁ畜生、うるせぇぞお前ら!もちっと静かにありがたがって飲みやがれ!」
「へぃへーぃ」
「ありがとよー」
「いよっ、陸曹の太っ腹!」
「お大尽!ひゅーひゅー!」

怒声を浴びせるも、妙なテンションで盛り上がるメカニック達にげんなりしながら、ヴァイスは椅子代わりにしていた木箱から立ち上がり、
ずかずかと酒の残りがどのくらい有るかを確かめる

「くそっ、ちっとは残してあるんだろうな・・・!一瓶くらいは手ぇ出さずに残しとけよ!?」


289:小さな騎士・スバル番外編、おまけ
08/12/10 00:13:25 y76mWzfh
そんな風に愚痴りながら箱の中身を改める・・・まだもう何本かは残っているが、果たしてこの飲み会が終わるまでに無事でいられるかどうか・・・
情けない溜息と共に、未練たらしい視線を箱に落とし・・・

「・・・あれ?」

素っ頓狂な言葉を呟くヴァイスである

「あ、あぁっ!?何でだ!?アレが無ぇっ!!」
「アレ・・・って何だよ?」
「幻の銘酒でも有ったのかぁ?」
「バ、バッカ野郎!そんなもんじゃねーよ!畜生、何でだ!?誰か飲みやがったのか!!?」
「お、おぃおぃ、落ち着けよ。一体、どんな酒だよ?」
「缶入りのカクテルだよ!」
「缶入りのカクテルだぁ?」

ぎろりと周囲を見回すが、誰もが首を横に振る・・・

「ちっくしょぉぉっ!!落としちまったのか!?本当に誰も手ぇつけてねぇのか!!?」
「あ、あぁ。一体何なんだよ?ソレ・・・??」

バリバリと頭を掻き毟りながら、ヴァイスは悲鳴の様な口調でその問い掛けに応えた

「ザ・カクテルパブ“お持ち帰り・朝チュンスペシャル”だよ!!口当たりの割にアルコールがきつくてしかもエロい気分になっちまうっていう代物だ!!
シャマル先生に随分ふっかけられたってのに、何でだぁぁぁっ!!!?」

世界の果てまで届きそうな絶叫を迸らせるヴァイスに、こんな問い掛けが投げ掛けられた

「ほぅ・・・それで、お前はソレを誰に飲ませるつもりだったんだ・・・?」
「決まってんだろ!シグナム姐さんにティアナにアルトだ!くっそぉ!グラスに移せば缶2本でも3杯くらいには

ヴァイスの台詞は最後まで続かなかった
「やれ」、という合図と共に、剣呑な眼差しの酔っ払い達が躍り掛かり、よってたかって関節技の餌食に「ぎゃぁぁぁぁっ!!ぎ、ぎぶ!ぎぶぎぶぎばーっぷ!!!」
問答無用のパロスペシャル(3人掛かり)にヴァイスは悲鳴を上げるが、格納庫を揺るがすような大歓声+殺せコールに悲鳴は掻き消された

「ひぎゃああ!!た、たすけ、んぐあぁぁぁぁ!!!!の、のぉぉぉぉぉっ!!!!」

ゴリラの如き肉体を持つ整備班長(腕にアルトの名前の刺青入り)必殺の吊り天井固めが炸裂。女誑しヘリパイの絶叫に爆発のような歓声が巻き起こる

結局、夜空が白け始める頃までこの関節技祭りは続き、翌朝、ヴァイスは陵辱し尽くされたような有様で発見されるのだが・・・まぁ、自業自得と言えよう・・・?


290:26-111
08/12/10 00:18:29 y76mWzfh
以上です

結局この後、スバルが実は“見えて”いた事がティアナにもばれてしまい、
それが為に、彼女の幻術に機人対策が施された、なんて裏設定は絶対に存在しません。ご安心ください

プロットだけはアレコレあるのですが、エロ展開を絡めていこうとするとなかなか形にできません
次に書くとしたら・・・キャロ編か、SSXバッドエンドか・・・
それでは、スレ汚し失礼しました

291:名無しさん@ピンキー
08/12/10 01:05:24 RBRevF0F
すみません、もう少し時間を開けるのが礼儀かもしれませんが、今日は早めに就寝したいので投下させて頂いても良いでしょうか?

292:名無しさん@ピンキー
08/12/10 01:06:58 l74g6urz
ノープロブレム、熱い夜にしてくれ。

293:アルカディア ◆vyCuygcBYc
08/12/10 01:12:22 RBRevF0F
では、失礼して逝かせて頂ます。

「伊達眼鏡と狙撃銃」

 注意事項
・ザ・シガー氏原案の短編連作『ソープ・ナンバーズ』シリーズからのスピンアウトです。
・長編一部、微エロ描写有り。シリアス気味。エロ描写は基本薄め。
・ネトラレ気味な描写とかも有るので、苦手な方はご注意を。
・NGワードはトリップでお願いします。
・原作『ソープ・ナンバーズ』からの設定改変、こじつけ解釈の部分も存在します。
・原作者のザ・シガー氏に最高の敬意を表して――

*エロ描写は、このスレの普通のエロSSが普通のエロ漫画位だとすると、レディコミ位だと考えて下さい。

294:伊達眼鏡と狙撃銃4話 1/7 ◆vyCuygcBYc
08/12/10 01:13:41 RBRevF0F
 ぱん、と頬を打擲する乾いた音が響いた。
 騒がしかったソープ・ナンバーズの控え室は、一気にしんと静まり返った。
 打った側も、打たれた側も、共に状況が理解出来ないと言うような顔で呆然としていた。
 ディエチが、緩慢な動作で左の頬に指を滑らせる。――微かに赤く腫れたそこには、打擲された証である鈍い痛みがあった。
 彼女は頬を押えたまま、感情の無い瞳でクアットロを見つめる。
 ディエチは一言も発さず、ただその頬を一筋の涙が伝った。
 クアットロは、震える右手を左手で押さえつけた。……決して、意図して叩いて訳では無かったのだが。
 何か言わなければ、と思うが頭が混乱し思うように言葉が出ない。
 普段の冷静で能弁な彼女はどこに行ったのか、酸欠の金魚のようにただ口をぱくぱくと開閉させる。
 何か言わなければ。その一念がクアットロを束縛する。
 
「―――……っっ!!」

 ディエチは、そんなクアットロを見限ったかのように踵を反し、嗚咽を漏らす口許を押えながら控え室から走り去った。
 追わなければ、追って謝らなければ。
 そんな思いがクアットロの脳裏を過ぎるが、足は意に反して動かない。根を下ろしたかのようだ。
 ディエチの背中に手を伸ばしかけ、その手が力なく垂れる。
 失意に俯くクアットロに、口々に非難の声が浴びせられた。

「ヒドイっすよ、クア姉! いくら何でも、顔叩くなんてあんまりっス!」
「そうだよ!! ディエチが彼氏をつくるのが、そんなにいけないことなの!?」

 チンクが怒気の篭った瞳でクアットロを睨んだ。

「クアットロ、確かにお前はディエチの教育を担当した。今までディエチを導いてきた。
 だが、ディエチだっていつまでも子供じゃない。お前とは別の一人の人間なんだ。
 認めてやれ。お前の気持ちも解るが、今は優しく見守ってやれ、クアットロ」

 ……解りきったことをクドクドと――、かっと頭に血が上り、罵詈雑言が口を突いて出そうになる。
 それを、何とか飲み込んでクアットロは何とか営業用の作り笑いを浮かべる。

「はいはい、悪うございました! どうせ私は悪役、このソープの汚れ役ですよーだ」

 拗ねたようにそう言って踵を反した。――こんな子供っぽい負け惜しみ、自分らしくも無い。
 もう、この場には一時たりとも居られなかった。――本当は、素直に謝りたかったのに。

「おい、クアットロ、その言い方は――」

 チンクの呼び止める声と、姉妹達のもの言いたげな視線を背中に受けて、クアットロは控え室を出た。
 ……扉を閉めた瞬間、膝が崩れそうになる。誰か――視線を彷徨わせるが、都合の良い救い手など居る筈も無い。
 叩くつもりなんて、本当に無かった。ただ、ディエチをあの男から遠ざけたかっただけなのに。
 あの男の毒に染められる前に、首まで泥沼に嵌って身動きができなくなる前に。
 残酷過ぎる真実を見せずに、ただの悲しい失恋として終わらせてあげたかっただけなのに。
 ディエチは、あまりにも少女だった。純粋に、無垢な心のままに、ただあの男を想っていた。
 それは、絶対にクアットロにはできないことだった。何の打算も勘繰りもなく、ただ人を愛するなど、一度たりとできなかった。
 ディエチに向き合う程、自分の醜さが背後から圧し掛かってきた。
 絶対に届かないディエチの純真さが、嫉ましくてたまらなくなった。
 何時の間にか言い回しに棘が混じり、語調が厳しいものとなり、遂にはディエチを睨みつけ、そして――
 己の、背骨が折れる。
 いつ如何なる時でも冷静であれ。感情の起伏は自己の内に隠し、理を以って万象を操れ。
 それが、自分の在り方では無かったのか。おかしい。こんなのは、自分では無い。
 自分を、取り戻さなくては。

「ドゥーエ姉様――」

 意図せずに、足が最上階へと向かおうとする。敬愛する、姉の下へ。
 その足を、クアットロは意地と意志で地に縫い付けた。
 ――恥を知れ。妹を叩いて泣かせておいて、自分だけ姉の下で慰めてもらうつもりか!?
 クアットロは、伊達眼鏡を少しだけずらしてごしごしと目元を擦る。
 宙を仰いだ。――ディエチは、今何処で何をしているのだろう?

295:伊達眼鏡と狙撃銃4話 2/7 ◆vyCuygcBYc
08/12/10 01:14:55 RBRevF0F
 腕の下に組み伏せた少女が、白い裸身を震わせて悶える。
 ――逢いたい、とディエチからグリフィスに連絡を寄越したのはこれが始めてだった。
 喉奥から含み笑いが漏れそうになるが、眼鏡の奥の瞳は柔らかな微笑を絶やさない。
 少女を抱きしめ、欲望を叩きつけるその瞬間瞬間に、ちらちらとその仮面の下から黒い本性が顔を出す。
 勿論、息も絶え絶えの少女がそれに気付く筈も無い。
 
“私、もうどうしたらいいか解らなくて”

 そう言って、ディエチはグリフィスの胸の中で泣いた。
 
“心配いらないよ。むしろこれは、君が自分の道を歩むための切っ掛けと捉えればいいんじゃないのかな?”

 優しくそう諭すと、ディエチは戸惑いながらも静かに肯いた。
 そして、何時もの如く熱く情交を交わした。
 グリフィスは幾度もディエチの名を呼び、ディエチは求められる度に縋るようにグリフィスの名を呼んだ。
 ――グリフィスは、腕の中の少女を抱き潰さんとするように強く掻き抱き、己の欲望をぶつけた。
 頬にソバカスの浮いた巻き毛の少女は、幸福そうな顔でグリフィスを見つめる。
 喘ぎ声の上がるその口を唇で塞ぎ、髪を撫でる。
 優しげな愛撫に見えて黒い欲望を叩きつける自慰にも似た行為の中で、グリフィスはふと疑問に思った。
 この少女の名前は何だったかと。
 グリフィスはディエチを幾度となく絶頂に導き、己も三度精を放ったが、その欲望が満たされることは無かった。
 ディエチと別れて数分もしないうちに腹のそこから黒いマグマのような欲望が鎌首を擡げ、次なる欲望の捌け口にキープしていた少女の元に時化こんだのである。
 ごく、普通の少女だった。平均的な容姿と体格。自己主張しない控え目な挙措から、気の弱さが伺える。
 欲望の捌け口の肉体としては、ディエチに及ぶべくも無い。
 グリフィスの古巣でもある、陸の仕官学校で引っ掛けた少女だったが、そこでの彼女の容姿は中の下といった所だった。
 勿論、その中で彼女を選んだのは思惑あってのことである。
 腕の下で、ソバカスの少女が喘ぎ乱れる。――最初の時は、シーツの端を掴んで震えていた初々しい少女だったのだが。
 グリフィスは知っていた。異性に耐性がないまま成長した女性は、一度快楽を教え込むと感嘆する程の淫婦に仕上がるのだ。
 しかし、グリフィスにとってそんな十束一絡げの淫婦など、別段珍しくもなければ欲望の対象でもない。

「――グリフィス先輩、愛してます……」

 ソバカスの少女は、満ち足りた微笑を浮かべる。
 それは、出会ったばかりの時の小動物のような気弱な少女の笑みではない。満ち足りた女の笑みだ。
 グリフィスは、その微笑に自信と紙一枚隔てた傲慢さを見た。
 彼女は今、満ち足りている。
 士官学校では周囲に押しのけられ埋没していたコンプレックスだらけの自分が、他の女の誰もが手の届かない最高の男に抱かれることに優越を感じている。
 苦笑した。自分自身は、ベッドの上で悶える以外の何一つの成長もしていないくせに。
 どうせ三等品の果実だ。熟れさせるにしてもこの程度が限度だろう。
 さあ、収穫時だ。
 グリフィスは名残惜しむように、烈しく己の欲望をソバカスの少女に叩き込んだ。

「グリフィス先輩、私も一緒に――」

 少女はグリフィスの腕の中で、雲上人のような存在だったグリフィスに抱かれる至福を噛み締めながら、悶え果てた。
 グリフィスは腕の中の少女を欲望に満ちた瞳で見下ろす。
 ディエチの時から合わせれば、今日一日で何度精を放ったか解らない。常人ならとうに肉欲など散り果てているだろう。
 グリフィスの人並み外れた性欲も、一旦は鎮火しているようだ。
 それでも、彼の瞳の奥の黒い欲望の炎は微塵も翳りを見せない。
 ――いや、むしろ少女を抱いている時よりもおぞまい勢いで燃え盛っている。
 グリフィスは眼鏡越しに柔和に微笑み、やや癖のある少女の髪を撫で上げた。

「久しぶりに士官学校を見学に行きたいんだけど――、……一緒に来てくれるかな?」

296:伊達眼鏡と狙撃銃4話 3/7の1 ◆vyCuygcBYc
08/12/10 01:17:02 RBRevF0F
「グリフィス先輩、こんにちはっ! いらっしゃってたんですね!」

 士官学校の少女が掛け値なしの笑顔を浮かべてグリフィスに挨拶をする。
 グリフィスはこの士官学校では大の人気者だ。
 若くしてキャリアの道に乗り、とんとん拍子で昇進を果たし、航空武装隊第2038部隊所属管制司令補を経て。
 今や、かのエース・オブ・エースらの所属する機動六課で部隊長補佐を勤める美形の准陸尉。
 グリフィスは、いつだってこの士官学校の生徒達の羨望と尊敬の的だ。
 機動六課の仕事は決して閑職では無い筈だが、後輩達を気遣い暇を見つけては士官学校に足を運んでくれる。
 そして、先達としての励ましの言葉をかけ、より一層勉学に邁進できるよう、自身の経験や現在の仕事の様子を語ってくれるのだ。
 女子生徒にとって、グリフィスはアイドルも同然だ。
 少女達は彼の姿を目にするなり足を止め、着ずまいを正して手鏡を取り出し顔や髪を整える。
 雑誌の表紙を飾るなのは達も、確かにアイドル的な人気を持った六課の隊員だろう。
 だが、魔法資質を持たず、内勤キャリアを目指す彼女達にとっては、別世界の住人である魔導師達よりも――。
 自分達の理想を体現したかのような、グリフィス・ロウランこそが現実感を伴った真のアイドル足り得る存在なのだ。

「やあ、みんな元気そうだね。勉強の調子はどうだい?」

 グリフィスは気さくな笑みを返し、少女達に手を振る。それは、いつもと同じアイドルの姿だ。
 だが、彼女達はすぐに異物に気付いた。彼の隣に立つソバカスの少女の姿。
 グリフィスはアイドル的存在であるが――抜け駆けをして彼に告白をしたり、交際を迫ったりしてはならない。
 そんな無言の協定が、不文律としてこの士官学校の少女達の間に存在していた。
 そのアイドルの――ルックスもキャリアも誠実な人柄も、どこをとっても最高級の男であるグリフィスの隣に、平凡極まりない少女が立っている。
 グリフィスは少しだけ、困ったように顔を曇らせた。

「実は……今日は、少し皆に相談したいことがあって来たんだ」  
「相談、ですか? はい、私達に出来ることならなんだって致しますが……」

 少女達は困惑する。あのグリフィスが、たかが士官学校の生徒でしかない自分達に相談なければならない大事とは一体何だろう?
 グリフィスは、隣に居るソバカスの少女に掌を向け、歯切れの悪い口調で爆弾を投下した。


297:伊達眼鏡と狙撃銃4話 3/7の2 ◆vyCuygcBYc
08/12/10 01:17:40 RBRevF0F
「実は、彼女の事なんだけど、その……この娘、自分の事を僕の交際相手だと勘違いして付きまとって来るんだよ。
 ……いや、気持ちは確かに嬉しいんだけど、僕は彼女の好意には応えられないんだ。何度も、そう伝えたんだけどね……」

 ……はあ?
 少女達の笑顔が凍りつき、その場の温度がみるみる冷めていく。
 ――何の取り得も無い不細工の癖に、何をトチ狂って勘違いしてるんだこの女は?
 そんあ冷笑混じりの視線と、誰に対しても無害で無益だった日陰者が、グリフィスに纏わりついて迷惑を掛けていることに対する怒りが広がっていく。
 その中で、誰よりも驚愕したのはそのソバカスの少女自身だっただろう。

「そんなっ!? グリフィスさん、私を愛してくれているんじゃなかったんですか!?
 愛してる、って言ってくれたじゃないですか! 私達、あんなに何度も愛し合ったじゃないですか!?」

 胸元を押えて叫ぶ少女に対して、グリフィスはこめかみを押えて悲しげに首を振る。

「万事がこの調子なんだ。その……悪いんだけど、君達からも言い聞かせてくれないかな?」
「酷いですグリフィスさん、私の事愛してるって―――んっ」

 パニックを起こしてグリフィスに掴み掛かろうとするソバカスの少女を、周囲の少女達が取り押さえた。
 彼女達の中で一番の美貌を誇るリーダー格の少女が、自信有りげに微笑んだ。

「グリフィスさん、私達の同輩がお手を煩わせ、わたくしとしても心苦しい限りです。
 彼女には、私達が『よく言い聞かせて』おきますので、どうか私達をお嫌いにならず、またお暇な時には是非いらして下さい――」

 ……――グリフィスが去った後、士官学校の校舎の影で、無残に泥に這うソバカスの少女の姿があった。
  
「あんた、一体何考えてんのよ? あんたのようなゴミ虫とグリフィス先輩が恋人同士? 頭の病気も大概にしなさい」

 リーダーの少女が再びソバカスの少女を蹴り転がし、周囲からクスクスと冷笑が上がる。
 ソバカスの少女は未だに自分が玩弄された事を認知できず、自分はグリフィスの恋人だと声高に叫び、状況に火に油を注いでいる。
 グリフィスは知っていた。女は、時に同性に対してどこまでも残酷になることに。
 尤も、ソバカスの少女がどうなるかなど、グリフィスにとっては、もう吐き捨てたガムの行方よりもどうでもいい些事に過ぎないのだが。

 

298:伊達眼鏡と狙撃銃4話 4/7の1 ◆vyCuygcBYc
08/12/10 01:20:12 RBRevF0F
 ――スバルは、遥か彼方の少女を見つめる。
 彼女は、いつに無く着飾りそわそわとした人待ち顔で胸元を押えていた。
 寮での簡素な普段着の他には、制服やバリアジャケットの姿以外を目にする事は殆ど無い珍しい相棒の姿だ。
 可愛らしいコンパクトを取り出し、彼女の健康的な美しさを損なわない薄いメイクの様子を確かめ、毛先に乱れが無いか髪を手櫛で梳いて確かめる。
 それは、紛れも無い恋する乙女の姿だ。
 根は真っ直ぐな癖に恥ずかしがりの彼女が、相棒ではある自分には決して見せてくれない姿だ。
 スバルは、口元を綻ばせながら、そのレアショットを楽しむ。
 彼女の手には、ミッドチルダ最高級の魔力双眼鏡がある。魔力を通す事でキロ単位先の相手を明瞭に視界に納める簡易デバイスだ。
 元は六課を覗こうとした不届き者をヴィータ副隊長が鉄槌制裁した際の没収品だとかなんとか。
 レンズ越しの彼女は、何かに気付いたかのように顔を上げる。……もしかして、待ち人が現れたのだろうか?
 彼女は微笑んだ。にっこりと爽やかに、美しく微笑み――右手のクロスミラージュをこちらに向けた。
 やば、とスバル思考すると同時に視界いっぱいに光弾が広がり――


『伊達眼鏡と狙撃銃』 第四話:オルタナティブ




299:伊達眼鏡と狙撃銃4話 4/7の2 ◆vyCuygcBYc
08/12/10 01:20:50 RBRevF0F
 ふう、とティアナは息を吐いた。不届き者は制裁した。30分は自慢の双眼鏡で青空を眺めていてもらおう。
 あんなにあからさまに好奇の視線を向けて、気付かれないとでも思ったのだろうか? ガンナーの目を甘く見て貰っては困る。
 額に絶好球を喰らって倒れる瞬間、スバルはにっこり笑って親指を立てていた。
 ――どこまでもお節介な相棒だが、その応援の気持ちだけはしっかりと受け取っておこう。
 ティアナは、最近一つの発見をした。
 何事にも人間生まれ持った才能があるが、凡人でも汗と努力によって覆す機会があるというのがティアナの持論である。
 どうやら、幸せな恋だの愛だのをするもの、一つの生まれ持った才能らしい。
 それはきっと、スバルやキャロのような、純粋で一途で真っ直ぐなオンナノコらしい少女に与えられる才能なのだ。
 その才能に掛けては、何事も疑い裏を考えてしまう自分は凡才どころではない。完膚なきまでの劣等生だ。
 このスタートダッシュを覆すためには、それ相応の苦行困難が待ち受けているだろうし、その向こうに想いの成就が待っている保障は何もない。
 それでも、今の気持ちを自分の裡に抱えて何もしないのは、何だか気持ちを澱ませていくようでしっくり来ない。
 お弁当の用意で寝不足にはなるし、鏡とにらめっこする時間はどんどん増えるし、慣れないメイクに挑戦して相棒には笑われるし。
 挙句、迷信鼻で笑っていた雑誌の運勢占いの、恋愛成就の部分を真剣に見入ってしまう始末だ。
 こんなのは、自分ではない。
 結果がどうなるにせよ、きちんと告白して、いつもの自分を取り戻すのだ。
 最近、心強い味方も得た。自分の理想像を形にしたような、スタイリッシュな大人の女性だ。
 彼女はいつも真剣に自分の話をくれる。自分の恋を応援してくれる。
 ……ティアナは思う。彼女なら、こんなに恋に心乱したりしないだろうと。
 いつもの余裕持った大人の笑顔を浮かべ、スマートでお洒落な大人の恋愛をするのだろうと。

「待たせたな」

 唐突に背中から声が掛かった。びくり、とティアナの背筋が震える。今日に限って、違う通路を使って来たようだ。
 初っ端から失態だ。物思いに耽るあまり、思い人が近づくのにも気付かないなんて! 
 落ち着いて笑顔で出迎えよう、という計画はいきなり頓挫、それでも精一杯の笑顔を作って、裏返りそうな声を抑えて彼を出迎える。
 
「こんにちはヴァイスさん、あたしもついさっき来たところなんです。いつもごめんなさい、あたしの我が侭に付き合ってもらっちゃって」
「気にしない気にしない。思いっきり我が侭を言えるのは若者の特権だぜ。今のうちにたっぷり使っとけ」
「あはは、その言い回し、なんだか凄く年寄りくさい感じですよ」
「ん~、そうかな? まだまだ俺も若いつもりなんだが……」

 普段と同じ、取り留めのない談笑。……まずはこれでいい。いきなり深刻な表情で告白を切り出しても引かせてしまうだけだから。
 ――自分は、思いをそのままぶつけるような純粋な恋なんて出来ない。
 こんな、震えそうな手を隠して、打算交じりの会話をジャブとして行うのがせいぜいだ。
 でも、それでいい。これがあたしのやりかたなんだから――
 それと分からないように小さく深呼吸を一回。いつまでも雑談を続けて先延ばしにする訳には行かない。
 その瞬間は、自分の意志で迎えたいから。ちらちらとヴァイスを見上げながら、深呼吸をもう一回。
 
 ティアナは祈った。自分の恋を応援してくれている彼女に。
 クアットロさん。どうかあたしに、貴女のように振舞うための勇気を貸して下さい、と。

300:伊達眼鏡と狙撃銃4話 5/7の1 ◆vyCuygcBYc
08/12/10 01:22:51 RBRevF0F
「――ヴァイスさん、あたしは貴方のことが好きです」

 ティアナ・ランスターはそう告げた。震えだしそうな拳を握り締め、揺れる瞳で真っ直ぐに己を見つめて。
 不安に掠れる声を勇気で膨らませ、力強くきっぱりと万感の想いをその言葉に乗せて口にした。
 ……こんな日が来るのは解っていた。ティアナの瞳を見た瞬間に、今日がその日だと言うこともすぐにで解った。
 ティアナの体当たりのような告白は、幼く、無垢で、純粋で――とても美しかった。
 きっと、少女らしく時に悩んで、時に苦しんで、この告白に挑んだのだろう。
 彼女の、今まで抱えてきた想いや悩みを清算しようとするかのような、ティアナらしい見事な告白。
 それを、ヴァイスは――

「え……いや、その、……はは、いきなりだったから驚いたぜ。
 ありがとう、ティアナ。お前の気持ちは嬉しいよ。でも俺は――」

 普段と同じ、顔に貼り付けた虚飾で虚偽の仮面の演技で受け止めた。

「ごめんなさい、ヴァイスさん! あたし、ヴァイスさんがあたしの事を応援してくれるのは、女性としてじゃなくて後輩としてだということは知ってました。
 いきなりこんなこと言っても、ヴァイスさんを困らせるだけだってことも解ってました。それでも、あたしの気持ちを知っていて貰いたかったんです……」

 ティアナにとっては予想できた結末。見栄えよく振舞おうなんて気持ちはとうに消えうせ、ただ、しどろもどろに弁解じみた言葉を口にする。
 そんなティアナに、ヴァイスは彼女にとって真に予想外の言葉を投げかけた。

「いや、謝るは俺の方だ。すまないティアナ。俺はお前の気持ちに全然気付かなかった。
 正直言って――お前の言う通り、今まで俺はお前のことを女としてじゃなく、一後輩として見てきた。
 だから、お前の気持ちを聞いた今も、どう答えればいいか解らない。後輩としてのお前のことは勿論気に入っているが……
 女として、お前を見たことが無かったんだ。
 ――だから、返事をするまでもう少し時間をくれないか? 
 もう少し、下らない話で笑いあうような今の関係を続けて、お前のことを女として見れるようになってから返事をするってのじゃ駄目か?
 ……こういう言い方は、卑怯か?」

 涙ぐんでいたティアナは顔を上げた。――信じられない。回答は、YESかNOの二つに一つだと思っていた。
 これで、どちらか片方に決まれば、もう片方の道は消えてしまうものだと思っていた。
 ――今のこの甘酸っぱい日々は、壊れてしまうものだと思っていた。
 それが、こんな形で続けられる可能性があったなんて……! 



301:伊達眼鏡と狙撃銃4話 5/7の2 ◆vyCuygcBYc
08/12/10 01:23:38 RBRevF0F
「はい……! それでいいです! ヴァイスさんが女としてあたしを見てくれるまで、いつまででも待ちます!
 ……あたし、頑張りますから! あたし、ヴァイスさんに振り向いてもらえるようないい女になりますから!
 だから――これからも、あたしを見て下さいね、ヴァイスさん!」

 目尻の涙を拭って、ひまわりのような笑顔で胸を張ってティアナは笑った。少しだけ大人びた笑顔だった。

「ああ、しっかりと見といてやるから、今まで通りお前らしくな」
「はいっ!」

 威勢良く返事をするティアナの透明な表情に、ぐるり、とヴァイスの腹の奥で黒い塊が蠢いた。
 ――お前は最低だ、蛆虫以下の下種だ、と腹の奥に押し込めた筈の良心が疼く。
 俺は今、この少女を喰らっているのだとヴァイスは感じる。
 あのグリフィスのように頭から捕食するのでは無く、相手の中に潜り込んで腸を齧るのだ。――まるで、寄生虫のように。
 グリフィスの言う通り、所詮奴と俺は同じ穴の狢だ。いや、見方によっては自分の方がより汚らしい。
 他人から攻撃を受けるのが嫌だ、自分の内面を晒したくない――そんな定形通りの対人恐怖など珍しくも無い。
 しかし、ヴァイス・グランセニックのそれは余人のそれより遥かに歪で畸形的だ。
 人に己の醜い内面を覗かれるのが嫌だ、他人の嫌悪や憎悪の視線が怖い――……それならば、山奥や無人世界にでも篭ってしまえばいいのだ。
 だが、ヴァイスにはそれが出来なかった。何よりも――誰も居ない、孤独な世界に独り佇むのが怖かった。
 ヴァイスは、元来人の感情の機微には敏く、他人と円満な関係を作るのも得意だった。だからこそ、誰からも好かれる好青年で居られた。
 今のヴァイスは、優れた社交能力だけを生かして表面だけを取り繕って生きている。
 日常生活の他愛無い会話や、仕事の中での仲間達との協力。その中で、他人から向けられる笑顔や好意を受け取ることで己で成り立たせている。
 折れた背骨の代わりに、寄生するように得た他者からの好意を差し込んで己を支えている。
 好意と等量の自己嫌悪を裡に溜め込み、この方法ではいつか来る破滅を予感しながらも、日々を過ごしている。
 
 ――ティアナの混じりけない純粋な好意。そんな最高級のドラッグを、ヴァイスが手放せる筈も無かった。

302:伊達眼鏡と狙撃銃4話 6/7の1 ◆vyCuygcBYc
08/12/10 01:25:22 RBRevF0F
 ティアナの告白の顛末を聞き終えたクアットロは、静かにティーカップを口にした。
 これで幾度目かの、クアットロとティアナのささやかなティータイム、OL姿のクアットロの恋愛相談の時間だ。
 嬉しくてたまらない、というような喜色を全身から迸らせているティアナを一目見ただけで、彼女の告白が成功したことは解ったのだが。
 ティアナの恋する『彼』の対応は、正直予想外だった。
 クアットロは『彼』の名前を聞こうとしなかったし、ティアナもまた語ろうとしなかった。二人の間の暗黙の了解である。
 ティアナの話を聞くに、『彼』はティアナに対して齢の離れた後輩として接しているようだった。
 対応から察するに、ティアナの恋が成就する望みは薄いのクアットロも予感していたのだが。
 予想より早く体当たりの告白に望んだティアナにも少々驚いたが、『彼』の対応にも感心した。
 世に溢れる、女と見れば食いつくような男と違って誠実な対応をし、己の気持ちを偽らず、尚且つティアナの想いを酌んで今後の在り方を示すとは。
 流石はティアナの恋した男性だと、クアットロは胸中で賞賛を贈る。
 穴として以外の女の機能を悉く欠いている自分でも、良い男性だと讃えることができる。

「良かったじゃない。素敵な人ね、その彼。とりあえずでOKされるよりずっといい結果だと思うわ」
「はい、あたしもそう思ってます。本当に、あたしのこと考えてくれているのが、伝わってくるんです」

 ティアナは指を胸に当てながら、幸せそうに頬を紅潮させて答えた。きっと、その時のやり取りを思い出しているのだろう。
 彼女は頭の回転が速く、精神年齢も高い聡明な少女だ。会話の端々に、自分が打算的過ぎることを恥じているようなフレーズが滲む。
 だが、真の策謀家であるクアットロにとっては、ティアナの打算程度は可愛らしい少女の悩みにしか見えない。
 ティアナは、クアットロから見れば眩しい程に純情で純粋だ。
 
「あたし、今日が勝負の日だと思ってました。でも――」
「ふふ、これがら本当の勝負ね」
「はいっ!!」

 クアットロは夢想する。これからのティアナと『彼』との、これまで以上に互いの関係を意識して過ごす切ない日々を。
 それこそが、自分には決して叶わない普通の少女としての日々だ。
 ――同時に、ちくりと胸を刺すものがある。
 ティアナと『彼』との顛末を聞いた際に、クアットロは微かな安堵を覚えた。
 それは、二人の関係が曖昧なまま存続することに対する安堵だ。
 簡単に二人の関係が決着してしまい、自分がお役御免となってしまうことに対する恐怖の裏返しである安堵だ。
 ……ティアナの恋を応援していた筈なのに、いつしかティアナを自分を投影して擬似恋愛をするための人形と見ているかもしれない、薄汚い自分に対する嫌悪。
 でも、まだ大丈夫だ。クアットロは努めて平静を装う。
 ティアナと居る時の自分が、一番素直に笑えている気がする。ティアナと居る時が、一番自分らしく居られる。
 SMの女王である自分よりも、夜の街で下らない男を狩り食らっているときの自分よりも。
 一番、自分が望む自分に近い形でいられる。……例えそれが、虚飾に塗れた姿であったとしても。



303:伊達眼鏡と狙撃銃4話 6/7の2 ◆vyCuygcBYc
08/12/10 01:26:32 RBRevF0F
 ――帰り道、クアットロは一人の男と出会った。
 言葉を交わした事は無かったが、顔だけは良く見知っている男だった。六課に帰還する途中なのか、やや早足で帰路を歩んでいる。
 立ち姿、服の着こなし、歩み方までもが美しい。男が顔を上げる。清潔に切りそろえられた髪の下の、端整な貌が夕日に照らし出された。
 グリフィス・ロウラン。
 クアットロは、ティアナと逢って少しだけ晴れた胸の裡が、再びどす黒く曇るのを感じていた。
 グリフィスがクアットロに気付く。彼もまた、クアットロの事は閲覧を許された資料によって見知っていた。

「こんにちは」

 グリフィスは、掛け値なしの笑顔で爽やかに微笑んで、クアットロに挨拶をした。
 その善人然とした笑顔から、彼の内心は何一つとして読み取れない。
 だが、クアットロの眸はその笑顔に含まれた微かな感情を見て取った。――それは、嘲笑だ。

「こんにちは」

 クアットロもにっこりと微笑み、礼儀正しく静かに会釈をする。
 誰から見ても完璧なその笑顔。そこから見てとれるのは、純然たる好意のみだ。
 だが、グリフィスもそこに含まれたものを見て取った。――それは、掛け値なしの敵意だ。
 ……交錯は一瞬。二人はそれ以上言葉を交わすことなく、ただ道で擦れ違っただけの他人としてそれぞれの帰途に着く。
 グリフィスは、去り往くクアットロを背にし、微かに口の端を吊り上げた。あの女は、この自分を挑発していた。
 必ず叩き潰してやると、自分を高みから見下していた。――あの女は、間違いなく自分の同類だ。
 背筋をぞくぞくぞくと熱いものが駆け抜けた。面白い、とグリフィスは瞳を爛と輝かせる。
 ディエチを喰らってしまえば、もう当分は良い玩具にはありつけないだろうと思っていた。だが、こんな逸材が居たなんて……!
 クアットロ、だったか。あの女、この僕が堕としてやる――グリフィスは、クアットロの笑顔を胸に刻みつけた。

304:伊達眼鏡と狙撃銃4話 7/7の1 ◆vyCuygcBYc
08/12/10 01:28:11 RBRevF0F
 悪いことというのは重なるものだ。
 ティアナと逢った帰りにグリフィスと出遭って落ち込んだ気分を更に滅入らせるかのように、仕事では件の客が待っていた。
 さあ、体を売るソープではなく、SMプレイで魅せる観客皆無のストリップの始まりだ。
 馴染みのインポ男は今日も今日とて巌のように押し黙り、ただ身に浴びる苦痛に耐えている。
 ――寄生虫のように人の中に棲み、好意を啜りながら生きるヴァイスは、同時に憎悪を欲していた。
 人との交わりの中で、誰かに憎まれ拒絶されることは怖くて溜まらない。
 その癖、身につけた虚飾の演技で、仲間達から好意を受けることの罪悪感を薄める為の激しい憎悪が欲しかった。
 社会の中で、自分を拒絶することなく、自分の内面を何一つ覗かず、ただ憎んでくれる相手。そんな都合の良い人間が存在しようはずも無い。
 だが、ここに存在する筈の無い例外が存在していた。
 ソープ・ナンバーズのNo.4クアットロ。彼女は、ただ純粋にグリフィスを嫌悪し、憎悪していた。
 他のソープで同様のプレイを注文しても、皆多少驚きはしたものの、ノルマとして淡々と無感情に職務として自分を打ち、詰った。
 だが、クアットロだけは違う。彼女は心の芯から自分を憎悪し、敵意を籠めた瞳で見つめている。
 自分の注文がソープ嬢に対して侮蔑的なものだということは理解している。彼女はソープ嬢として高いプライドを持って職務に臨んでいるのだろうか?
 それとも、彼女の憎悪の視線は、自分にも虚偽に見えない程のソープ嬢としての極北の演技なのだろうか。
 いずれにせよ、ヴァイスにとって、クアットロの憎悪も六課の日々と対を成す、手放すことの出来ないドラッグなのだ。

「アンタのコレ、本当に役立たずなのね。ションベン専用の×××、ぶら下げてて楽しい?
 勃ち上がれば随分のモノなんでしょうけど……これじゃあ腐りかけのソーセージね。いっそ犬にでも食わせてみる?」

 クアットロは全裸に剥いたヴァイスを打ちながら、気だるげな表情で股間の逸物を玩ぶ。
 ピンヒールで踏みつけながら、ヴァイスの顔の上の自分の股をぱっくり開いて見せ付けてみる。

「どう? 挿れてみたいと思わない? まぁ、あんたのインポ×××じゃ永久に無理なんだけどね」

 世の男達が涎を流して羨むようなその体勢でも、ヴァイスの表情は変わらない。
 腐りかけた魚のような澱んだ視線を、ただ宙に彷徨わせている。クアットロは嘆息する。

「それとも、余程おかしな性癖なのかしら。掘られなきゃ勃たたない真性のホモ野郎だとか――
 う~ん、特殊なシチュエーションじゃなきゃ悦ばない変態野郎だとか?
 メイド好きなら他に良い娘が沢山いるわよ。『お帰りなさいませ、ご主人様』とかね。
 ロリロリな妹好みなら5番がお勧めね。『おにいちゃん、だぁい好き!』なんてね。
 まあ、アンタは本当のインポみたいだからどんなプレイも関係ないだろうけ――」

 絶句する。クアットロはそこに、本当の恐怖の表情を見た。どんな責め苦も受け流していた男が、歯軋りして怖れ慄いていた。
 男はかっと目を見開いて、唇を戦慄かせて全身をガタガタと震わせる。ついには、髪を滅茶苦茶に掻き毟って絶叫した。


305:伊達眼鏡と狙撃銃4話 7/7の2 ◆vyCuygcBYc
08/12/10 01:28:59 RBRevF0F
「うわあぁぁっ!! やめてくれっ……! 頼む、頼むからそれだけは止めてくれっっ!」
「――やめてくれ、って何の事?」

 クアットロは、記憶を巻き戻し、ヴァイスが豹変した瞬間の自分の言葉を思い出す。

「……お兄ちゃん、大好き?」
「ああああああっ、頼む、やめ、やめ、やめてくれぇぇっ!」

 クアットロは呆気に取られたようにヴァイスを見つめていたが――その口元が、静かに三日月形に吊り上った。
 この男は、今真に恐怖している。心の底からの苦痛を感じている。その事実に、彼女の嗜虐思考がゆっくりと首を擡げる。
 彼女はヴァイスを押さえつけ、妖艶に笑むと紅い唇をその耳元に寄せ、耳穴に息を吹き込むように囁く。

「素敵よ、おにいちゃん。カッコいいわ。おにいちゃん。だ~~い好きよ、おにいちゃん。おにいちゃん、おにいちゃん!!」
「ひぃ、ぃ、ぃ、ぃ、やめて、やめて、やめてくれぇぇぇっ!」

 ヴァイスは惨めにもがいて逃げようとするが、クアットロは決してそれを許さない。
 涙を流し、鼻水を垂らして止めてくれと懇願するヴァイスの耳元に、『おにいちゃん』と囁き続ける。
 ――SMプレイは形こそ攻撃的であるものの、変則的であっても相手を悦ばせる為のものだ。
 言うまでも無く、相手が心から止めて欲しいと懇願しているのに虐待するようなプレイは法度である。
 だが、クアットロはそんなソープ嬢の基本である理すら忘れ、美酒に酔ったようにヴァイスをいたぶり続ける。
 これまでのヴァイスに対する蓄積した憎悪、ディエチとの不仲の悩み。グリフィスへの嫌悪、全てをぶつけるかのようにヴァイスを嬲る。
 ヴァイスが逃げようともがき、部屋の花瓶が床に落ちて砕け散る。この部屋の主好みの紅い薔薇が床に散らばる。
 クアットロはそれを乱暴に掴み、ヴァイスの背中を鞭打った。『おにいちゃん』と連呼しながら幾度も鞭打った。
 逞しい背中が、薔薇の棘に傷つけられて血を流し、紅い花弁がそれを更に彩る。
 
「おにいちゃんは痛いのが大好きなのよね! 本当に変態のおにいちゃんね! ねえ、何とか言ってよインポのおにいちゃん!」
 
 ヴァイスは、拷問に等しい苦痛の中で、頭の隅に冷えた部分が広がっていくのを感じていた。
 そこで、ふと考える。……自分がここに通うのは、彼女の掛け値無しの憎悪を受け取ることが出来るからだ。
 だが、今の彼女の視線には、憎悪以外のものが混じっている気がする。
 それは何だろう、とヴァイスは叫びながら思案する。
 ……一番近いものを挙げるなら、愛、情?

「きゃはは、おにいちゃん、だ~い好きだよぉ」

 意地悪な表情で狂笑しながら背中を抱きしめられ、ヴァイスは絶叫する。
 彼の頭の隅で生まれかけた胡乱な思考は、砕けて消えた。


 ――此処は『ソープ・ナンバーズ』ただ一晩の春を求めて男達が集う、ミッドチルダの不夜城――

306:アルカディア ◆vyCuygcBYc
08/12/10 01:31:57 RBRevF0F
 頑張って一回の投下を60行以内に収めてみたのですが、本文長すぎでエラーが出て止む無く分割。ちょっぴりしょぼんです。
 スレを無駄遣いしてすみません。


 不良在庫になっている短編SSプロットの消化のために、クリスマス用に一本書こうと思っているのですが、どんなSSがいいか思案中です。
 クリスマス舞台のプロットは一本あるのですが鬱のための鬱話で、これを書くのはちょっとまずい気がするので、普通のコメディ系を書こうかと思っています。
 折角のクリスマスなのでリクエストで書いても面白いかな、と思ってみたりみなかったり。

 まったくどうでもいい話ですが、過去主人公が左腕を失う話を書いたら自分も左腕を怪我したのですが、
 主人公が不感症の話を書いている最近、どうも自分も不感症気味になっている気が……。

>>司書様
 毎度お手数ですが、保管庫に保存の際に、投下のレスとレスの間の部分に、↓の挿入をお願い致します。


     ◆

 
 内訳は、改行二つ、全角スペース5つと◆、改行二つです。
 投下の番号が同じで「その1」「その2」となっている部分の間はそのままでお願いします。
 度々お手数をお掛け致します。

307:名無しさん@ピンキー
08/12/10 02:17:35 kMyrSuB4
>>306
GJです。ヴァイスについに禁断の台詞がwww クアットロマジ外道(良い意味で)w
とうとうグリフィスともフラグが立ってしまったようで、捩れて交差する人間関係にワクワクして続きが待ちきれません。
次回も楽しみにしてます。





気にし過ぎだとは思いますが、験を担いでしばらくは危ないネタは書かないほうが良いかもしれませんねw

308:名無しさん@ピンキー
08/12/10 02:57:52 i9S+VV9j
お二人ともGJ!
>>290
受けエリオはエロカワイイと再確認しました。
無邪気なスバルと戸惑いながらもチュッチュするエリオがまた興奮を誘いますた。
何とかナイスなボートは避けられたようですが、下手すりゃ完全な修羅場だったところがまたw
でもスバルに取られてたまるか!みたいな感じで起爆剤になって多少無理矢理気味でも関係を結ぶという感じにもなりえたと思うと少し残念な気も
裏話にも凄い納得です。

自分的にはここまで出番の少なかったキャロ編に期待したいです。
これまではスバルやティアナとエリオの絡みも仲良しで羨ましいというぶっ飛んだ発言をしたり、天然ゆえの発言で場の空気を壊してきたキャロ
そんなキャロ子がエリオといちゃつけるのか?とうとうエリオが攻めに回るのか?など色々見たくて仕方ありません。

>>アルカディア氏
クアットロは誰よりも大人である。それが一番思いました。
ティアナの恋を全てを知らずとも応援し、その裏でその恋の相手を罵倒する。
もし、クアットロがティアナの恋の全てを知ってもきっとおくびにも出さずこれまでの生活を続けるのでしょうね。
そしてヴァイスはそんな彼女から一生逃げられないと。

うーん、クリスマスはコメディの方がいいと思いますが、ストーリーと言うと…
コメディかはわかりませんが、リトラン後のクリスマスという話はどうでしょう。
ユノなのヴィは97管理外世界のクリスマスを楽しもうということになり、三人でなのはの実家に。
そこで巻き起こる嵐!
クリスマスに娘が久しぶりに帰って来たと思ったら孫娘が誕生してる!
誰だその男は!
果たしてヴィヴィオは初めてのクリスマスを楽しめるのか!?

一方エリオは97管理外世界で辺境の土地とはいえ三年近く暮らしていたのでクリスマスは知っている。
でもミッドチルダでは関係ないかと思っていたらタヌキ部隊長が面白がって、私達が生まれてエリオが数年過ごした世界ではクリスマスは家族で祝ったり、恋人どうし二人っきりで過ごしたりするんやで!
とキャロルーに教えてしまう。
エリオが家族で過ごすのが正しいんだよと二人に説明しても話はこじれるばかり。
果たして三人は幸せなクリスマスを過ごせるのか!?

案だけで長文になってしまいましたが、お体には気をつけて(特にアルカディア氏)これからも頑張って下さい!

309:名無しさん@ピンキー
08/12/10 03:04:32 kMyrSuB4
ちょっとやめなよ>>308氏、そんなこと言ってるとホントに誰かが書いちゃうからw

310:名無しさん@ピンキー
08/12/10 05:46:07 1pmR/JdT
馴れ合い
うざ

311:名無しさん@ピンキー
08/12/10 08:29:02 dXFZ4g6N
何を今更。数十スレ遅いぞw

312:名無しさん@ピンキー
08/12/10 08:43:40 5et8TxDJ
>>306
朝っぱらからキタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!!

やばい、グリフィスとクアットロ接触まじやばい!!
どんだけやばいかっていうと、原作がアニメに見えるくらいにやばい!
しかもトラウマ放出だからオラワクワクしてきたぞw

313:名無しさん@ピンキー
08/12/10 10:02:12 KDbLQxba
>小さな騎士・スバル番外編

スバルがはちゃけてるなーと思ったらそーいうお酒だったんですね、納得ですw
エリオは大人の階段をあがっているようで、この先がとても楽しみです。
個人的にはティアナに頑張ってもらいたいですが、フラグを乱立するエリオの未来はどっちだかw

314:名無しさん@ピンキー
08/12/10 11:57:36 DcXr9OnF
>>310
今更
うざ

315:名無しさん@ピンキー
08/12/10 18:35:58 9gHaBAqQ
>>290
GJ。スバルよ、お前は何てエロい子だ。だがそれがいい!!
そしてヴァイス。やすらかに眠れwww

316:ザ・シガー
08/12/10 18:41:07 l74g6urz
うひゃはぁ! GJだあああ~!!

恋する乙女ティアナが鬼可愛かったり、クアットロとグリフィスの暗黒メガネズが接触したり、妹トラウマ発動するヴァイスが泣き喚いたり。
と、伊達眼鏡~は毎回見所が多すぎて困るわホント。

んで、氏の書くグリフィスの超ステキ外道鬼畜眼鏡っぷりが素晴らしくて感動すら覚えましたね。
少女をボロ雑巾の如く捨てるとか、クアットロを超えるんじゃねえかと思う程の鬼外道。
駄目だこいつ……早くなんとかしないと。

しかし、こいつに引っ掛けられてるディエチが地味に心配。
この流れだと、マジで異郷の地で襤褸屑の如く捨てられてしまう。


あと、トンデモな誤字発見。
>>304 の

 ソープ・ナンバーズのNo.4クアットロ。彼女は、ただ純粋にグリフィスを嫌悪し、憎悪していた。

って所、ここはグリフィスじゃなくヴァイスだよね?



んで、>>17で宣言した通りレティさんのSS投下するっす。
相手グリフィスでエロエロサンダーです。
実の親子が仲良くセッ○クスとかするので、そういうの駄目な人は静かに目を閉じて震えて眠ってください、大丈夫な人は目を血走らせて魅入ってください。


317:部隊長補佐の初体験
08/12/10 18:44:27 l74g6urz
部隊長補佐の初体験


「ただいまぁ~」


 ドアを開けて玄関に転がり込むや否や、女性、レティ・ロウランはその場で床に転がる。
 甘ったるい声に混じるアルコール臭、紅潮して淡く桃色に染まった頬、彼女が酔っていることはどう見ても明らかだった。
 レティを迎える為に玄関まで二回から下りてきた彼女の一人息子はくいとメガネの位置を正しながら溜息混じりに母親のだらしない姿を見下ろす。


「お帰り母さん」

「ただいまぁ~、私の可愛いグリフィスぅ~♪」


 だらしなく床に寝転がっていたレティは、息子の姿を見るとすぐに起き上がって彼に抱きついた。
 息子の背中に腕を回すと、実りに実った豊かな爆乳に自分と同じようなメガネをかけた彼の顔を思い切り抱き寄せる。
 母親のモノとは言えど女性のセックスアピールを詰め込んだ柔い乳肉に顔を押し付けられ、少年、グリフィス・ロウランは僅かに頬を羞恥で紅く染めた。
 だが相手は実の母親、理知的な少年は邪欲を即座に振り払うと母の身体を手で押しのける。


「お酒臭いなぁ……今日は随分と飲んできたみたいだね」

「そんな大した量じゃないわよぉ~、ちょっとワインを二本とぉ、ウォッカを三本とぉ……」


 息子の言葉に反論しようと、レティは自分が飲んだ酒の種類と量を指折りながら数えだす。
 世間一般での常識的範囲と酒好きで知られるレティのそれが一致するまでもなく、彼女がその日飲んだ酒量は随分とまあ膨大なものだった。
 大丈夫とは言っているが所詮は酔っ払いの主張である。
 母のそんな様子に、グリフィスはヤレヤレと額に手を当てて呆れていた。


「世間では大した量って言うと思うよ母さん……まあ、それはともかくとして早く部屋に行きなよ、そこで寝たら風邪引くよ?」

「うぅ~ん……一人で起きれない~、連れてって~♪」

「しょうがないなぁ、まったく……」


 グリフィスはそう言うと、自分にもたれかかる母に肩を貸して立ち上がらせた。
 もうすぐ12歳になり、成長期へと差し掛かった少年の体躯はまだまだ背が低いながらも自分より大きな母の身体をしっかりと支える。
 その瞬間、少年は肌に訪れた未知の感触に怖気にも似た感触を覚えた。


(……こ、これってまさか……)


 自分に身体をのしかけてくる母の身体、その胸に実った豊かな二つの果実が少年に押し付けられる。
 マシュマロのように柔らかく、肌が溶けてしまいそうな微熱を孕んだ柔い乳房。
 母親のモノと分かっていても、思春期の少年はどこか背徳的とも呼べる興奮を感じてしまう。
 服越しに感じる至福の感触に、グリフィスは羞恥で顔を真っ赤に染めてあげた。


「あらぁ? グリフィス顔が真っ赤よ?」

「そ、そんなことないよ!」


 恥ずかしそうに顔を伏せる息子の様子にレティは即座に原因を察した。

318:部隊長補佐の初体験
08/12/10 18:46:39 l74g6urz
 自分の豊満な乳房が当たる度に少年の頬の赤みが増しているのだ、女ならば容易に理解できる。
 年頃の少年らしく異性を意識している息子の様子に、レティは口元に悪戯っぽい笑みを浮かべた。


「あ、もしかしてお母さんのオッパイに興奮しちゃったぁ? 恥ずかしがらなくても、グリフィスが触りたいなら好きなだけ触って良いのよぉ~」

「し、しないよそんな事!」

「もう、昔は嬉しそうに飲んでたのにぃ~」

「それは凄く小さい頃の話だよ……」


 メチャクチャな理屈を言いながら柔らかな胸を押し付けてくる母の悪戯に、グリフィスは顔をさらに真っ赤にして恥らう。
 性への意識が芽生え始めた年頃の少年に、レティの身体はあまりにも無視し難いものだった。
 メガネの良く似合う理知的な美貌、出る所は出て締まる場所は引き締まった艶めかしい肢体、肌にいたっては未だ20代で通じるような瑞々しい潤いを有している。
 男なら誰しもが抱いてみたいと夢想する、匂い立つような艶めいた女体。
 たとえ相手が実の息子であろうと、その甘い誘惑は圧倒的なまでの破壊力を見せ付ける。
 並みの男なら一瞬で理性を手放しかねないその魅力に抗いながら、グリフィスはなんとか母を寝室まで運ぶ事に成功した。
 ドアを開ければベッドまではあとほんの数歩、これで肉の誘惑とも呼べる拷問から解放される。
 少年は支えた母の身体をベッドに寝かせようと、彼女の腰に回した手に力を込めた。
 その瞬間、彼の足がもつれて支えていたレティと共に二人纏めてベッドへと転倒してしまう。


「っと!」

「きゃっ!」


 倒れ行く中、グリフィスは中空で咄嗟に身体を捻り自分の身体が母の下敷きになるように滑り込ませた。
 ベッドのスプリングが僅かに軋み、二人の身体はその上に転がる。
 柔らかなシーツと柔らかな肌が重なり合って痛みは無い、むしろあるのは心地良い感触。
 自分に押し倒されるような形になった息子にレティは酔った思考ながらも心配そうな顔をした。


「グリフィス大丈夫?」

「う、うん……」

「ごめんなさいね、ちょっと足がフラついちゃって……って……あら?」


 言いながらレティは自分の太股に当たる“ナニか”の感触に気付く。
 何か硬く熱いモノが押し付けられている、視線をそこへ向ければグリフィスの股ぐらと自分の太股が接していた。
 自身の状態を知られた美少年は、顔を羞恥により真っ赤に染め上げる。


「グリフィス、あなた……」

「ち、違うよ! こ、これは……その」


 弁明の言葉など語れなかった、彼は実の母の媚態に性的な興奮を感じていたのだ。
 それは覆せぬ事実、隠せぬ真実、どうしようもない現実として肉体が有言に語っている。
 理知的な少年は肉欲に正直な己の醜態を知られ、顔に恥じらいを浮かべた。
 だがそれがいけなかった。

319:部隊長補佐の初体験
08/12/10 18:48:11 l74g6urz
 彼のその様は母の、レティ・ロウランの中に淫蕩な火を灯してしまう。


(グリフィスったら……私相手に立っちゃうなんて……可愛い)


 美少女と言っても通じそうな美貌を持つ息子、普段は理知的で年不相応に冷静な彼が自身の色香に当てられて幼い肉棒を滾らせている。
 その事実がレティの子宮を甘く疼かせた。
 レティは、レティ・ロウランという女ははっきり言ってしまえば淫乱だった。
 たわわに実った乳房、肉付きの良い尻、熟れきった肢体の隅々から雄を誘惑する色香を撒き散らし内面もまたそれに負けず劣らずの淫蕩極まりない様である。
 一度雄を意識し、劣情に火が点けば後は奈落の底まで真っ逆さまだ。
 普段は自分の手で慰めるなり夫との情事で解消するなり方法があるのだが、それは叶わない。
 現在彼女の夫は出張中で帰ってくるのは早くて三日後だ、アルコールを摂取して火照りきった淫靡な肉体ではとても一人で慰めきれはしない、三日もお預けを喰らうなどなおの事無理だ。
 目の前で震える自分の息子、苦痛に耐えて産み落とした愛しい我が子を前に彼女は母でなく一人の女に変わる。
 この世で最も大切な子供の純潔を奪うという背徳感がゾクゾクと背筋を駆け上り、脳髄に甘い恍惚を呼び起こす。
 一度理性が制動をかけようとしたが、酒の力で蕩けた思考はそれを一瞬で踏破。
 レティは妖しくペロリと唇を舐めて獲物に狙いを定めた。


「あらぁ、グリフィスもしかしてお母さんに興奮しちゃったの?」


 ゆっくり指が宙を滑ったかと思えば、妖しい手つきで蠢いたそれが服の上から少年の股ぐらを撫でた。
 一筋指が這っただけで少年の身体はビクンと跳ね上がる。


「ひゃぁっ!……か、母さん?」

「ふふ、自分の母親で勃起しちゃうなんていけない子ねぇ」

「ち、違うよ! 僕は……」

「嘘をつくのは良くないわよ?」

「ひゃぁっ!!」


 瞬間、少年の股間を弄るレティの指に力が込められる。
 服越しだというのに正確に肉棒の先端、そのカリ首を爪で引っ掻くように指が動く。
 さながら電撃のような衝撃が幼い肉棒を通して背筋を駆け上り、グリフィスはその凄まじい未知の感覚に背筋をのけ反らせて喘いだ。


「あらあら、随分と反応強いわねぇ、グリフィス自分で弄ったりしないの?」

「い、いじる?」


 母の言葉にグリフィス疑問符を浮かべた。
 少年は自慰は愚かまだ精通しすらしていなかったのだ、それも無理はあるまい。
 友人からそれとなくそういう話題を聞いた程度で、具体的に性衝動をどう処理するかの知識は皆無である。


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