☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第90話☆at EROPARO
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第90話☆ - 暇つぶし2ch150:名無しさん@ピンキー
08/12/05 07:56:03 X6S0ebVE
クロススレへどうぞ

リリカルなのはクロスSSその84
スレリンク(anichara板)l50


151:名無しさん@ピンキー
08/12/05 08:01:39 72FizX43
>>149
ハルヒキャラがちょっとでも登場するならクロススレ池だな
観光メインだったら……まぁギリギリ許されるんじゃないかな?
理想郷におとすのも一つの手だと思うよ

152:名無しさん@ピンキー
08/12/05 11:54:46 PHBb5EjI
最近、原作とちと性格が違う(いい意味でと、さらに外道に行ってて悪役になっているのも含め)クアットロの性格が違うのが読みたいなぁ。
人を苛立たせるような言動や態度を演じるが、実は、姉妹の仲で一番機械的なのは、彼女で残虐に敵を苦しめるのは、
感情が理解できないゆえに人間の感情の研究の為の観察とか。
もう一つは、本当は、ナンバーズの中で一番、日和見主義で小心者、精神は一般人、あるのはISで騙す技能と策を練るのが上手いぐらいで、
スカ博士とかのやってる事には内心引いてる、生まれて教育終了後に、GDや私達の性能、ゆりかごがあれば管理局相手でも、いけるなと、
ニヤソとしていたら、存分にあるレリックで爆弾作ったりして管理局部隊を襲わない、基本殺さないでやるとかスカ博士がトチ狂い出したので、
駄目だこりゃって、いかにスカ博士たちに気づかれないように管理局との戦争で自分が有利に負けるかとかを精一杯考えるとか。
後々の為に、ヴィヴィオにメッチャ優しくしたりとか、ゼスト隊がアジトに気づいたのは実はリークしていたからとかw


153:名無しさん@ピンキー
08/12/05 12:44:38 xS8Ewp0j
>>152
クァットロは死ぬほど怨まれながら、汚物でも見るような眼で見られるのが大好きなどM説を今ここに高らかに宣言してみる

154:名無しさん@ピンキー
08/12/05 13:17:37 CVe3vukC
戦闘面でまるで役に立てないからどうにか役に立とうとしてるうちに歪んでしまった
とかなら少し考えたことがある

155:名無しさん@ピンキー
08/12/05 14:06:55 GB6KKFGh
このスレの流れに、クアットロ登場連載作者がドキドキとしていると勝手に言ってみるw

156:名無しさん@ピンキー
08/12/05 17:40:24 WnniYOTa
クアットロは悪巧みが何一つ成功せずにゴミみたいにすり潰されて無意味に死んでほしい。

157:名無しさん@ピンキー
08/12/05 18:30:16 vYlGXFDW
可愛いクア姉のネタはあるのだが、いまいちまとまらない。
いずれやってやるぜ。

158:名無しさん@ピンキー
08/12/05 19:09:27 0XIuRerl
>>155
クア姉は可愛いよ!
どんなクア姉でも、きっと心の奥底には乙女チックな行動原理があると信じてるよ!
クア姉は最高に可愛いよ! 、とドキドキしながら主張してみる。

159:名無しさん@ピンキー
08/12/05 19:21:42 X6S0ebVE
もし、ドゥーエが生きていたら・・・とか、考えてしまう

160:名無しさん@ピンキー
08/12/05 20:36:53 dx8e5pLb
ドゥーエ姉様に強い影響を受けてるなら、姉妹には優しくてもいいはずなのよね
ディエチとかを馬鹿とかつまんない子呼ばわりする裏側には「だからこそ私が頑張ってあの子達を
正しい(悪の)道に導いてあげなくっちゃ」的な思考があるのかも……と妄想したり

161:名無しさん@ピンキー
08/12/05 20:55:59 qbKl+os7
>>151
慣行・巡礼レポートがメインでハルヒとかは一切出てきません
登場するキャラもなのは・フィイト・すずか・アリサ・アルフ・はやての6人のみ
他の物語のキャラクターはおろか
守護騎士たちやナンバーズなども出てきません
設定はAs終了後だし

エロもないし(ちょっとフェイトがなのはに対して百合入ってるけど)
無難なのでクロススレに投下させてもらうことにします
というよりUPしたファイルの張り付けだけど

162:名無しさん@ピンキー
08/12/05 21:41:22 PHBb5EjI
クアットロは指揮官ってのも分かるが、能力的に前線に出ても強いタイプでもいいと思うんだ。
ISを戦闘補助に使って、GDに攻めさせて相手がそっちに集中している時にGDごと吹き飛ばす一撃を入れるとか、
デスサイズ・ヘル・カスタムみたいに、GDを始末して安心している敵をISで隠れ、死角から忍び寄り、斬殺したり、射殺したりとか。
もしくは、いつどこから来るか分からないっていう、恐怖を武器に一回奇襲して、ISで隠れ、相手が警戒しているのを見て何もせず、
相手が奇襲に備えて精神を削っている中、数十分間は本とか読んで時間つぶしし待って、去ったようだと気を抜いた時に殺るとか。

163:名無しさん@ピンキー
08/12/05 21:45:41 FJNdZ4eP
JS事件で死人出たよー、って話は明確にされてる?
ゼストやレジアス、脳ミソとか特殊な例じゃなくて地上本部とかゆりかご周辺空域とかの現場の人的被害についてなんだけど

164:名無しさん@ピンキー
08/12/05 21:47:16 vYlGXFDW
 少なくとも、映像媒体では明確な描写はなかったと思う。

165:名無しさん@ピンキー
08/12/05 21:55:23 1EMIDsb0
>>162
まずクアに攻撃手段がないのがネックなんだよな。
ちょっと丈夫な体だけじゃ前に出ても的になるだけだし。
だから指揮官能力身につけて余計に後ろに下がってしまったのかな?

後は性格的に前に出るタイプじゃないというか・・・・ネタを仕込んで戦う前に勝つってスタイルみたいだからね。
本人が汗臭く戦うの嫌う性格なんじゃないのかという妄想もできる。

相手の悔しがる顔を見るためにプライベートの時間に手間暇かけて嫌がらせの準備をするクア姉ってなんか良いな。

166:名無しさん@ピンキー
08/12/05 22:05:08 vYlGXFDW
>>165
で、いざ仕掛けを開陳しようとすると、トーレたちが突撃していくんですね?

「ん? 今何かあったか? セッテ」
「さあ?」

「せ、せっかくの仕掛けが……」

167:名無しさん@ピンキー
08/12/05 22:26:39 PHBb5EjI
>>165
この能力こそ、優れた肉体と武器、性格がちゃんとした奴が使えば、これほど強いものはいないというのに。
もう戦闘能力は質量兵器に依存でいいよw
カラシニコフおじいちゃんが作ったAKをスカ博士の技術で魔改造したの装備とかwww


168:名無しさん@ピンキー
08/12/05 23:19:44 gnUz8KMv
>>144
GJ!
クライドもリンディもエロいなあ。
そして、相変わらずのクロフェのだだ甘っぷりが素敵です。

あと、何気にヴィヴィオが未だに独り身なのがw
てっきりルーテシアとタッグを組んで、エリーに紫色の髪の毛の弟妹を作るのと同時に、
亜麻色の髪の毛の弟妹を作ろうとしてるのかと思っていたのに。
……そうなったら、今度はエリオがバインド砲撃地獄を巡ることになりそうですが。
ヴォルテールは白天王が抑えるとしても。

169:名無しさん@ピンキー
08/12/05 23:28:13 oJcn6whC
>>144
GJ!
うおお!母親から呪われた運命を受け継いだトウヤが
まさかこんな安息の地を得ていたとは!
しかも頼めばやらせて貰えるとは、なんとうらやましい……。

170:名無しさん@ピンキー
08/12/06 03:05:31 /JmmCRuq
>>162
クアットロは指揮官と言うより、参謀といった方が良さそうな感じ。
策謀がえげつないが、シャマルと似た立ち位置なんじゃないかと。

前線指揮官に相当するのは、トーレ・チンク・オットーだと思う。

171:名無しさん@ピンキー
08/12/06 09:34:42 5IL8JOpN
>>144
GJ!
そして未だに寝とり成功編を待ち望む者がここに一人…
気が向けば是非ともお願いします

172:名無しさん@ピンキー
08/12/06 09:45:57 3e7rccts
>>144
>クロフェ時空年表

うおおお、見てえええええw
なんかもう、ヴィヴィオのボイスがなのはさんと同じ声で
脳内再生される俺は、もうダメなのかのしれん。


173:名無しさん@ピンキー
08/12/06 11:13:28 h6Ov0vak
>>169
揉ませてくれるだけだぞ
ヤラしてくれるのはむしろアル(ry

174:名無しさん@ピンキー
08/12/06 17:07:47 pd6SN9PD
ロリとは身体ではない。心だ。

175:174
08/12/06 17:08:37 pd6SN9PD
すまん、誤爆した。

176:名無しさん@ピンキー
08/12/06 17:55:56 2w3A6Wl7
誤爆に見えませんw

177:名無しさん@ピンキー
08/12/06 17:57:01 HIZsq/v7
子供っぽいばあさんなど見たくない。

178:名無しさん@ピンキー
08/12/06 18:39:19 lkq7DUiq
よろしい、ならばミゼット×ヴィータだ

179:名無しさん@ピンキー
08/12/06 20:11:29 oBNOCh6C
本編最年少のセッテ、オットー、ディードの3人はSSX時点で3歳か。
最年長はイクスorリインフォース(闇の書の意思)&ヴォルケンズの数百歳だな。
ヴィヴィオは精神年齢5歳(本編)らしいが、肉体年齢は不明。

A's以降、精神年齢と実年齢が合わないキャラが増えたよな。

180:名無しさん@ピンキー
08/12/06 20:46:33 UMWTOyV8
>>179
そうか?1期のころからなのは、アリサ、すずかは妙に大人びていたし(小3にして将来について悩んでた)
フェイトも実年齢は4歳ぐらいじゃなかった?

181:名無しさん@ピンキー
08/12/06 21:00:37 cvzwppbs
というか、精神年齢と実年齢のあっているキャラの方が珍しい作品だからなぁ。

182:名無しさん@ピンキー
08/12/06 21:08:42 pp49/t01
都築氏、子供が嫌いらしいからな

なのちゃんとかも大人びた雰囲気はなくても異様に物わかりがいいが
そういう方向性の根底にはたぶんその辺が関わってるんだと思う

183:名無しさん@ピンキー
08/12/06 22:29:06 Yrx9haKp
とらハでまだ子供っぽかったのは、2の美緒くらいか。
あとは、なのちゃんすら霞んでしまうアリサやクロノなんていう
チートキャラと言わざるをえないキャラばかり。

184:名無しさん@ピンキー
08/12/06 23:07:32 M+TESHi4
苦手じゃなくて嫌いかぁ
確かに納得してしまう作風だよなぁ。

185:名無しさん@ピンキー
08/12/06 23:47:10 oBNOCh6C
そのおかげでなのはは恋する乙女から冥王まで幅広い属性を秘めたキャラクターへと成長することができたわけか。


186:名無しさん@ピンキー
08/12/06 23:55:38 nWj1Y9Q6
>>185
将来のヴィジョンは~と言ってた一期からヴィヴィオのママンの三期だからなあ。

187:名無しさん@ピンキー
08/12/07 00:11:58 84r5u9te
ちょっと質問なんですが、ここの作品でスカリエッティといった原作の人物以外のオリジナルを敵方のボスに据えた話ってどの程度あるのでしょう?

188:名無しさん@ピンキー
08/12/07 01:00:57 x1sWSNcC
>>182
ああ~何か今まで腑に落ちなかった部分がなんとなくww
きっと子供の無邪気さとかが気に入らない人種なんでしょうね…

189:名無しさん@ピンキー
08/12/07 01:03:32 wIF5/4ZT
>>187
沢山ありますよ~ 特にAFTERものなどに多いようです。

190:名無しさん@ピンキー
08/12/07 01:16:32 4/oElZ8H
>>189
再構成で実は黒幕は別にいるってのはあまり見たことない気はするけどね。
アフターものは、まあ仕方がないとしか言えない。

191:名無しさん@ピンキー
08/12/07 04:30:33 oe0O/YL4
>>188
らしい。
随分昔の日記で、銭湯かどっかで子供がギャーギャー騒ぎまくりで
みんな引きまくりの状況に遭遇した時のことで
ああいう頭の足りない生き物は好きになれんねとか何とか言ってた。

192:名無しさん@ピンキー
08/12/07 05:22:51 +Vu36Xz7
かつて自分も子どもだった癖して随分と傲慢だな。
子どもが騒ぎまくっていたなら親がちゃんと注意しろ、と思うが。


193:名無しさん@ピンキー
08/12/07 07:11:12 YyZa5/U+
普通に3次の子供が嫌いなだけじゃね?
2次なら実害ねえけど3次はあるし

194:名無しさん@ピンキー
08/12/07 08:04:51 +gX58Rg8
それ以上は別スレでやれ

195:名無しさん@ピンキー
08/12/07 14:35:43 3eeGGGFc
>>190
クロススレだと、教会や三提督が黒幕だった。
って感じのがあったな。

196:名無しさん@ピンキー
08/12/07 16:14:47 4/oElZ8H
>>195
まあ、オリジナルで黒幕を作るよりはやりやすいしね。
黒幕といえば、最高評議会が登場する前は管理局の頂点(局長)は某勇者王の長官みたいな人か、
三提督みたいな陽気なじい様を想像してた。
で、ラストにリミッター解除を使いきって苦戦しているなのは達を助けるために超法規的手段で持って解除を認めるという展開を。

今にして思えばなんてご都合主義なと恥ずかしくなってくる。

197:名無しさん@ピンキー
08/12/07 16:18:56 DldlPnpx
三脳が無能過ぎだったからな
最高評議会とか偉そうな名前で黒幕臭プンプンのくせして何もせず消えていった

198:名無しさん@ピンキー
08/12/07 16:40:57 Nmy4hZo7
>>196
それは「王道的展開」と言ってな。

紙一重とはいえ、そういう展開、嫌いじゃない。

199:名無しさん@ピンキー
08/12/07 17:20:59 ju3z8WVp
そして都築は王道が嫌いとのこと

200:名無しさん@ピンキー
08/12/07 17:24:53 IU+oKDUI
まぁ都築パパンと俺らの嗜好が完全に一致しなきゃいけないかって訳でもないし
……しかしスパロボ好きなのに王道嫌いってのも珍しいな、都築

201:名無しさん@ピンキー
08/12/07 18:13:57 XMgPeSN4
王道から少しはずれたとこが好きなのか、王道を意図的に外してウケを狙ってるのか
盛り上がりよりキャラ単体のドラマを優先させた結果として王道からずれたのか…

とりあえず、肝心なとこでここをちょっとこうすればド直球の王道なのにって部分が
非常に多いらしいな都築作品は

202:名無しさん@ピンキー
08/12/07 18:14:26 wbB8AAVT
投下が無くて寂しいんで、スレ内における男キャラ総括とかやってみた。
かなり俺の主観が入ってる。


ユーノ……魔王様と一緒に出番減退中。
     スバティアあたりまで手を出してた時代は遠くなったものである。

クロノ……もはやここでの嫁は義妹。息子まで作ってしまった。
     男女を問わず尻を掘る。

エリオ……男性キャラ登場率NO1。
     最近保護者が相手の作品は少なく、ダブル召喚師がメイン(紫多め)。

ザフィーラ……ロリアルフを獣姦してる雰囲気がだいぶ前からあるが、作品ではまだない。
       我こそはと思う職人求む。

ヴァイス……ソープナンバーズにトラウマぶちまけに行っている男。ちょくちょく姐さんも。
      もうちょっとツンデレとかヘリパイにも目を向けようよ。

ゲンヤ……SSXで娘ハーレムを形成した生涯現役の男。
     その反動でチビ狸が割りを食いつつある。

グリフィス……最終鬼畜メガネ。
       生真面目な青年キャラのまま出番が無かった頃とどっちがいいのだろうか。

ロッサ……義姉さんピンチです。僕の存在忘れられてます。

レジアス……なのはさんとくっつくという予想外ジャンルを開拓中。
      もっとも、それ以外に誰とくっつくんだと言われたら困るが。

カルタス……「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
       『ナンバーズ更正担当としてフラグが立つと
        思ったらいつのまにかナカジマ隊長とグリフィスに食われてた』
       な… 何を言ってるのか わからねーと思うが(ry)。

203:名無しさん@ピンキー
08/12/07 18:22:39 Nmy4hZo7
>>202
スカは?

204:名無しさん@ピンキー
08/12/07 18:45:31 wbB8AAVT
スカリエッティ……ウーノさんとお幸せに。
         でも時々はフェイトそんを陵辱してた頃のガッツも思い出してください。

205:名無しさん@ピンキー
08/12/07 19:55:56 +gX58Rg8
>>202
ほんとに主観入りまくりだな

それにしてもこうも投下ないと寂しい
みんなコミケの準備でもしてんのかね・・・

206:名無しさん@ピンキー
08/12/07 20:26:17 +2/tWqww
>>204
スカリエッティに強姦されて泣き叫ぶフェイトそん…

(*´∀`)

207:名無しさん@ピンキー
08/12/07 20:52:31 uRjFxWA3
正直スカって性欲薄そうなんだよなぁ……数の子ハーレムで毎晩ウハウハとか言うならまだしも、そういう風でもないし。

208:名無しさん@ピンキー
08/12/07 22:21:31 cRiI5jNT
>スカやん
インポな気がしてしかたがないのだが…
あんだけ色んなタイプのおにゃのこはべらしながら
やった事といえば子宮に自分のクローン仕込むだけ

あえて性欲カットされた設定なのかもしれない
勝手に種まかれないようにとか

209:名無しさん@ピンキー
08/12/07 22:26:48 JU+y/8Bt
ドクターに一番ベタ惚れしてるのはクアットロな気がするが
彼女がウーノに嫉妬して彼女を陥れて陵辱す…あ、ドクターいらねーやこの展開

210:Foolish Form ◆UEcU7qAhfM
08/12/07 22:38:16 YcE7GjRT
あー……スレの流れを激しくぶった切ってしまうようで申し訳ないが、
この辺で投下させてもらいま。
何か世間は冬コミの原稿とか言ってるようだが、俺はもう入稿したぜ(`・ω・´)

ちょっと久々にSS書いたからいまいちかも知れないが、生温かく見守って下さい。


・なのは&ユーノ 非エロ
・二人は同棲してる設定なので、ユーなの派じゃない人には微妙かも
・タイトルに偽り(?)あり。ヴィヴィオ率ちょっと高し

ではでは、お楽しみあれ。

211:バカップル観察日記 1/4
08/12/07 22:39:42 YcE7GjRT
「まったく、ママもパパも……はぁ」
その日の夜も、ヴィヴィオは辟易していた。
「はいユーノ君、あーん」
「うん、いつ食べてもなのはの料理は美味しいね」
「そう? それじゃもう一口、どうぞ♪」
「あぁ、もう、なのはごと食べたくなっちゃうよ」
「だぁめ。ヴィヴィオが見てるよ」

終始、この調子である。『見てるよ』と口では言いつつも、さっぱり見ていない。
食事の最中くらい、封鎖領域を解除してくれてもいいんじゃないかと思う。
Aクラスの結界魔道師が以下に厄介か、身体で分かってきた自分が悲しい。

事件の後、色々あって二人は恋人になったらしい。
一度だけ、その時の話を聞いてみようと思ったが、果てしない長さののろけを貰ったので諦めた。
……が。
聞きたくないのに聞かされた。それはもう延々と、眠くなるまで、否、眠くなってもずっと。
その話は、いずれまたされるだろうから、今は思い出したくない─確かに良い話だけど、それ以上にいちゃつきすぎだ。

「ほら、ヴィヴィオも食べなよ」
「ヴィヴィオ、あーんしてあげようか?」
「もうっ、二人ともご飯の時くらいいちゃいちゃするのやめてよ!」
言っても無駄だろうが、取り敢えず提言する。
「ねぇ、ヴィヴィオ、ヴィヴィオには素敵な男の子とかいないの?」
「うんうん、僕となのはみたいに一緒に過ごす人はいないのかい?」
「な、な……」
開いた口が塞がらないとはこのことを言うのだろう、文字通り口がパクパクいって声が出ない。
「まだ見つからなくても、大丈夫だよ。わたしたちはお互いに9歳の頃知り合ったから」
「あれ、あの頃なのはまだ誕生日来てたっけ? この嘘つきさん」
「にゃはは、そういうユーノ君だって─」

頭が痛い。

「でもさ、なのはと僕が出会ったのって、ホント運命だよね」
「そうだね~。ヴィヴィオも、いつか運命の人が見つかると良いね」
「この僕でも見つかったんだから、ヴィヴィオならきっと大丈夫だよ」
「わたしよりも美人だもんねー、ヴィヴィオってば」
「なのは、君の方がキレイだよ」
「もう、ユーノ君なに言ってるのー」
この二人、いちゃいちゃするに飽き足らず娘の前でのろけたい放題……
「あー、ヴィヴィオむくれちゃってるよ」
「ヴィヴィオ、好きな男の子とかいないの?」
「……」
何とか口を閉じて、無言を突き通す。一種の抗議活動だった。
「ん~、図星でしょ!」
「そうか、ヴィヴィオもついに好きな男の子が見つかったのかぁ……でもお嫁に行くのは早い、まだ早いよ!」
「ユーノ君、それこそまだ早いよ」
「あはは、それもそうだね」

212:バカップル観察日記 2/4
08/12/07 22:41:18 YcE7GjRT
怒りともなんともいえないものが胸からこみ上げてきて、ヴィヴィオはテーブルを叩きつけた。
「ま、ま、ママたちのバカー!!」
思わず、口を突いて出てしまった言葉。
立ち上がって、そのままダイニングを後にする。
「あっ、ヴィヴィオ─」
後ろから声が聞こえたが、もうどうでもいい。
ドアをバタンと勢いよく閉めて、走り出す。
そして飛び上がるように階段を駆け抜けて、自室のベッドに突っ伏した。
「ママのバカ。パパの、バカ……」
ぼふっと枕に顔を埋めて、視界を遮る。
暗闇の中で浮かんでくるのは、笑ってる二人の顔。
でも、それは自分の方を向いていない。

「なんでそんなにいちゃいちゃしてるの? 私のことはどうでもいいの?」
もっと、自分を見てほしい。
二人だけの世界を作ってないで、三人で一緒にいたい。
仕事が忙しくて、二人が中々一緒にいられないのは、もちろん知っている。
でも、たまの休みだからこそ、三人がいい。
遊園地に行きたいとか、レストランで美味しいものを食べたいとか、そんなことはどうでもいい。
ただ、笑いながら手を繋いでいたい。それだけなのに。
それだけなのに、言葉が出ない。
「パパ……ママ……ひぐ、えっぐ」
涙が出てくる。止めたいのに、止まらない。
「パパぁ……ママぁ……うあああああああああん」
もう、ぐちゃぐちゃだ。何も分からないし、何も感じられない。
ただ、悲しかった。ただ、泣きたかった。
そして、誰かに受け止めてほしかった─

「ヴィヴィオ!」
泣き疲れて眠りそうになった頃、誰かが抱きしめてきた。
「ごめんね、ごめんね、ヴィヴィオ。わたしたちばっかり……」
頭がぼーっとしていて、誰なのかわからない。
「ヴィヴィオ、ごめん。ちょっと、ふざけすぎたよ」
ちょっとじゃないよ、と言おうとしたが、上手く舌が回らなかった。
「マ、マ……パ、パ……」
「ママはここにいるよ、ヴィヴィオ。ここにいるよ」
身体が温かい。"誰か"の体温が、伝わってくる。
「ママ……」
パパの声を聞こうとしたが、それは無理だった。
フッと、スイッチを切ったように、眠ってしまったからだった。

213:バカップル観察日記 3/4
08/12/07 22:43:13 YcE7GjRT
「明日、ヴィヴィオに謝っておかないとね」
「そうだね……」
所移り変わって、居間。
「はしゃぎ、過ぎてたね。ユーノ君と一緒にいられることを……ヴィヴィオのこと、ちっとも考えてあげられなかった」
「それは僕も一緒だよ。ヴィヴィオ、独りぼっちであんなに泣いて」
謝罪とも後悔ともつかぬ溜息が、場を支配する。
「ね、明日はさ」
なのはが提案する。
「ヴィヴィオを精一杯、可愛がろう?」
すると、待ってましたとばかりにユーノも同意した。
「たった今、それを言おうとしてたところだよ」
二人は顔を見合わせて笑い、そして互いに頷いた。
「明日は、ヴィヴィオの日だね」

***

次の日。
「ヴィヴィオー、ちょっと来て」
休みの朝早く、ヴィヴィオは起こされた。
「なぁに、ママ?」
「朝ご飯作るの、手伝ってちょうだい」
「うん」
ここまでは、普通のできごとだった。
しかし、次にママの言った言葉は、ヴィヴィオを大喜びさせるには十分だった。
「ママもパパも、たまにはヴィヴィオの朝ご飯、食べてみたいの」
「……うん!」
二人で作り始めるご飯は、何よりも素晴らしいスパイスだった。
「これ、ヴィヴィオが切った大根?」
「うん! えとね、こっちがママの切った大根で、こっちが私の!」
「へぇ~。うん、ヴィヴィオのはママよりも美味しいね」
「ホント! えへへ……」

掃除、洗濯、買い物。
そのどれ一つをとっても、必ずヴィヴィオの隣には二人がいた。
「一緒にシーツ広げようね、ヴィヴィオ」
ママと一緒に洗濯物を干して、
「ヴィヴィオ、これを戸棚に持って行って」
パパと一緒に洗い物をして、
「この二つ、どっちがお得かな、ヴィヴィオ?」
パパと、ママと、三人で買い物をして。
こんなに楽しい日は、なんと久しぶりなことか。
「ママ、パパ」
スーパーからの帰り道、二人に手をつながれながら、ヴィヴィオは言った。
「「どうしたの?」」
二人の声が綺麗にハモって、聞き返してくる。
ヴィヴィオは、元気一杯に答えた。
「だーいすき!」

その笑顔が両親をどんなにか涙ぐませたのかを、この時のヴィヴィオは知る由もないのだった。

214:バカップル観察日記 4/4
08/12/07 22:44:54 YcE7GjRT
夕飯のあと、三人で仲良くお風呂に入った。
「ママの髪、長くてキレイ。私も、もっと伸ばしたいな」
「ふふっ、じゃあヴィヴィオ、伸ばすの頑張ってみようか」
「うん!」
ママに髪を洗ってもらうのが、凄く気持ちいい。
代りに、シャンプーをいっぱいつけて、ママの髪も洗い返す。
しかし、
「僕は短いヴィヴィオも好きだけどなー」
とパパが言うものだから、ちょっと意地を張りたくなった。
「パパも、ママくらい髪伸ばせばいいのに」
「えー、あー、いやそれはちょっと……」
「はははっ」
「でもユーノ君、伸ばしてみても面白いかもね」
「もう、なのはまで」
皆で洗いっこしながらシャワーを浴びるだけなのに無性に楽しかったのは、気のせいではない。
絶対に、気のせいじゃない。

今日だけは、一緒のベッド。
二人が大きなベッドで一緒に寝てるから、そこに潜りこむのは簡単だった。
右手はママ。左手はパパ。
「えへへ、今日、私、とっても楽しかったよ。パパ、ママ!」
「そう? よかった……ごめんね、昨日は。ヴィヴィオのこと考えないで、わたしたちばっかり」
「僕もごめんね、ヴィヴィオ」
「ううん、いいの」
嫌いになったわけじゃない。いらない子じゃない。
「私は、パパと、ママと、一緒にいられるだけでいいの」

二人に挟まれて眠って、とても素敵な夢をみた。
それが何なのかは、ママにもパパにも、秘密だった。

***

数日後。
「ユーノ君、あーん」
「なのはも、あーん」
「……はぁ」
元の木阿弥、という訳ではない。
だが、それにしてもこの年中新婚カップル、どうにかならないものか。
「私の家のママとパパ、一緒にお風呂入ってるし、『あーん』ってやってるよ」
と学校の友達に言ったら、クラス中の笑いものになった。
曰く、「大人はそんなことしない」。
曰く、「いい年の父と母は一緒の風呂に入らない」。
色々なものが当たり前ではない場所に生きてきたから、カルチャーショックも大概だった。

そんな二人は、相も変わらずいちゃいちゃし続けている。
これを「バカップル」と呼ぶのだと知ったのは、ちょうどこの日だった。
「まったく、パパもママも……」
ただ、一つだけ言えることがある。

このバカップルが、ヴィヴィオは誰よりも好きなのだ。

215:Foolish Form ◆UEcU7qAhfM
08/12/07 22:48:15 YcE7GjRT
以上です。

……うん、最初はバカップルっぷりを書くことに専念してたはずが、
いつの間にかこうなってしまったんだ。
しかもえちぃ展開にしようと思ったら機会を逸してしまった。
反省している。

ヴィヴィオの口調とかかなり違うかもだけど勘弁。
っていうか全体的に(ry

それでも、楽しんで貰えれば幸い。

216:名無しさん@ピンキー
08/12/07 22:51:06 Nmy4hZo7
……こんなバカップルでさらにええ話って……新鮮だ。
GJ!!

あまりの甘さに砂糖吐きかけたけどな。

217:名無しさん@ピンキー
08/12/07 23:00:26 NskYJW9G
>>215GJ
なのはとユーノよりむしろヴィヴィオにニヤニヤした

>>208
スカが生命科学を研究するのは自分のイソポを治す為って電波がきたじゃないかww

218:名無しさん@ピンキー
08/12/07 23:23:31 IU+oKDUI
GJー。こういう短編は心癒されるね

個人的にはスカは三大欲求全部が薄いイメージだな。
存在としての純粋さつーか、そういう感じを持っていて欲しいというか

219:名無しさん@ピンキー
08/12/07 23:45:25 4/oElZ8H
探究心が服着て歩いているような感じだな。
まあ、その希薄さが、狂気の天才科学者からはた迷惑な三枚目、果ては心優しきお父さんと芸の幅が広がった訳で。

220:名無しさん@ピンキー
08/12/07 23:54:10 n68i1sgN
もしやスカ博士は最初から「ついてない」のでは
子種がないからクローンで増える

221:名無しさん@ピンキー
08/12/08 00:00:03 pDRXj+l0
>>215
GJ! 砂糖吐きだしそうなほど甘い! 甘すぎる!!
それにしても、こういうのを読んでると他作品であったカップリング結婚後IFとか
書いてみたくなるね。

222:名無しさん@ピンキー
08/12/08 00:03:38 L3bgxO0+
つまりスカの興味が女体に向いてしまえば、無限の欲望の赴くままに色狂いになるとな!?

……それって、数の子初期生産組がうまいこと欲望を誘導したんじゃないだろうか? 自分達の貞操を守る的な意味で。

223:名無しさん@ピンキー
08/12/08 00:08:09 +mfRRCE9
>>215
糖分補給しないと

224:名無しさん@ピンキー
08/12/08 00:18:33 1LXV6Leo
>>215
最高でした。

225:名無しさん@ピンキー
08/12/08 00:18:52 zHYxrlSb
>>222
おいおい。
悲劇を回避するために色仕掛けの限りを尽くすフェイトさんというデンパがなぁ……

226:名無しさん@ピンキー
08/12/08 00:39:51 fdeFWafw
>>222
レジなのもいいがスカなのも見てみたい今日この頃

227:名無しさん@ピンキー
08/12/08 00:46:07 13yT3E3q
>>215
GJ!
久しぶりに砂糖吐かせて貰ったw


228:名無しさん@ピンキー
08/12/08 01:00:44 PYKZVPUc
GJだす!!
甘いだけじゃなく柔らかくて暖かいとは、この季節には丁度イイお話でしたね~


229:名無しさん@ピンキー
08/12/08 01:11:26 mq63u46v
>>215

GJ!!
砂糖吐くと同時に優しい気持ちになれる作品をありがとう。
なんか活力が湧いてきたよ。

230:B・A
08/12/08 05:51:06 RQP/UZZJ
投下いきます。


注意事項
・非エロでバトルです
・時間軸はJS事件から3年後
・JS事件でもしもスカ側が勝利していたら
・捏造満載
・一部のキャラクターは死亡しています
・一部のキャラクターはスカ側に寝返っています
・色んなキャラが悲惨な目にあっています、鬱要素あり
・物騒な単語(「殺す」とか「復讐」とか)いっぱい出てきます
・名前のあるキャラ死にます
・ガリューファンにはかなり鬱かも
・主人公その1:エリオ
     その2:スバル
・タイトルは「UNDERDOGS」  訳:負け犬

231:UNDERDOGS 第十話①
08/12/08 05:51:53 RQP/UZZJ
吹き荒ぶ風が埃を舞い上げ、グリフィス・ロウラン少将はティーカップから口を離して眉をしかめた。
長期遠征になるからと愛飲している紅茶の葉を買い込んで来たのだが、この世界の風土がこんなにも埃っぽいとは思わなかった。
これでは、折角の紅茶が台無しである。

「少将に昇進した途端、最前線送りか。上層部は僕に死ねと言っているんだね」

眼鏡のレンズの曇りを拭い、グリフィスは呟く。
ここ、第56管理世界は管理局の政策に真っ向から対立している勢力の1つで、管理局とは戦争状態にある。
戦局は第56管理世界の粘り強い抵抗によって硬直状態であり、グリフィスは大隊指揮官として部隊のテコ入れを任されたのだ。
まだ30にも満たない若者が大隊の指揮を執る。端から見れば大出世ではあるが、実質的には左遷と同じだ。
若手でありながら局内で発言力を高め、出世街道を歩むグリフィスを上層部は危険視しているようなのだ。
特に前回、アテンザ研究所が襲撃された際に対応が遅れ、テロリストが研究員2名を拉致するのを許してしまったことが
明るみに出てしまい、彼への風当たりはかなり厳しいものへと変わってしまった。
今回の配属も、魔力弾の飛び交う戦場に送りつけ、あわよくば流れ弾で戦死してくれることが本音なのだ。
だが、同時にこれは昇進のチャンスでもある。硬直した戦況を打開し、勝利すれば自分の発言力は益々高まるだろう。
それに、ミッドチルダではレジスタンス活動が活発化してきており、ナンバーズが中心となって掃討作戦を展開しているらしい。
今まで、だんまりを決め込んでいたスカリエッティが再び表舞台に立とうとしているのだ。
近い内に歴史が動くと、グリフィスは踏んでいた。
そして、自分がその瞬間に立ち会うためにはこの戦に勝たねばならないことを彼は確信していた。

「まあ、それはもう少し先のことだるけどね。それまでは、優雅に待たせてもうらさ」

そう言って、グリフィスは埃っぽい味の紅茶を啜る。
その時、テーブルの上に置かれていた通信機が受信を告げ、すぐ横で待機していたルキノがスイッチを入れてグリフィスに通信を繋ぐ。

「こちら、ロングアーチ」

『こちら、第2中隊の・・・・・です。先ほど、敵が再び進軍を開始しました。数は大よそ200・・・・内訳は・・・・・
なに、これは・・・・ああぁぁぁぁっ!!』

「どうした? 何かあったのか!?」

『・・・こいつら、どうして・・・ぐあぁぁ・・・・・ロングアーチ、至急増援を・・・・・』

『奴ら、AMFの中をどうやって・・・ぐあぁぁっ!!』

『まさか、こいつら・・・あぁぁあ・・・・・うわぁぁっぁぁぁっ!!』

通信機から複数の悲鳴が聞こえ、背後で爆音のようなものが聞こえてくる。
すぐにグリフィスは仮想ディスプレイを展開し、付近を哨戒していたガジェットを偵察に向かわせる。
そして、映し出された映像に驚愕したグリフィスは、手にしていたティーカップを思わず落としてしまう。

「こ、これは・・・・・・・・・」

画面に映し出されたのは、ラインディングボードを駆る兵士達だった。
障害物のない空中を自由自在に飛び回り、魔導師の砲撃を悉く回避しながら質量兵器を投下してこちらの部隊を翻弄している。
更に両腕からエネルギー刃を出現させた兵士が高速で戦場を駆け抜け、擦れ違い様に指揮官の首を引き千切る映像、
巨大な大砲を携えた兵士が戦車部隊を焼き払う映像が次々と映し出されていく。
AMFを物ともせず、まるで赤子の手を捻るように敵を蹴散らしていく兵士達。その姿はまるで血に汚れた戦鬼のようだった。

「何故・・・・・何故、敵が戦闘機人を運用している!?」

力任せにテーブルを叩き、拳に鈍い痛みが走る。
ありえない。戦闘機人の製造技術は管理局が一元管理している。
その製造法は最重要機密とされており、ダミーの広報番組を制作して報道させるなどの隠蔽工作も抜かりはない。
なのに、どうして敵軍が戦闘機人を保有し、戦力としているのか。

232:UNDERDOGS 第十話②
08/12/08 05:52:34 RQP/UZZJ
「はっ・・・・・そうか・・・・それが狙いか、スカリエッティ!」

「グリフィス?」

「僕達は・・・・いや、管理局は彼に騙されたんだ」

ギリギリと奥歯を噛み締め、グリフィスはスカリエッティへの怒りを露にする。
戦闘機人の製造技術を流出させたのは間違いなくスカリエッティだ。
彼は最初から、自らが確立した技術を次元世界に拡散させる腹積もりだったのだ。
己の欲望を満足させるための舞台を作るために。
そして、恐らくはあの技術も流されているはず。

「ルキノ、前線の偵察部隊に連絡。すぐにアレを見つけるようにと!」

「りょ、了解!」

事の重大さを悟ったルキノは、大慌てで通信機のスイッチを入れる。
程なくして、グリフィスの予想は現実のものとなった。
敵の一部隊に、大型質量兵器を装備した戦車が配備されている。しかも、既に照準はこちらに向けられており、
いつ発射されてもおかしくはない状況であった。

「グリフィス」

「やるしかないのか、撃たれる前に・・・・・・・」

ここで死ぬわけにはいかない。
自分には成さねばならない目的がある。それを成し遂げるまでは、何が何でも死ぬわけにはいかない。

「第3中隊に通達・・・・・・質量兵器を使用する」

爪を手の平に食い込ませながら、グリフィスは断腸の思いで決断する。
無数の亡霊に羽交い絞めにされたような息苦しさを、彼は生涯忘れることはなかった。





魔力砲によって胴体に大きな穴を穿たれ、落下した白天王の巨体が大地を震撼させる。
その瞳からは生気が消え、見る見る内に魔力反応は小さくなっていく。
真竜ヴォルテールと拮抗する力を持ち、立ち塞がる敵を悉く焼き払ってきたその威容が立ち上がることは、
もう二度とありはしなかった。

「いや・・・そんな・・・・白天王・・・白天王!」

ルーテシアの悲痛な叫びが空に吸い込まれていく。
彼女が何度呼びかけても、枯れる寸前のリンカーコアから絞り出した魔力を注ぎ込んでも、白天王は動かない。
時の逆行と死者の蘇生は魔法の不可能領域だ。どんなに思いのこもった祈りを捧げても、膨大な魔力を秘めたレリックの力を借りたとしても、
その原則が覆ることはない。
白天王は、その生涯を終えたのだ。
そして、白天王の命を奪ったのは他でもない、山頂に設置された、まだ未完成のはずのアインヘリアルの砲撃であった。

「馬鹿な、アインヘリアルはまだ完成していないはず!? どういうことだ、リイン!?」

(わかりません。けど、急に機関部の魔力反応が大きくなったです)

空の管制を担当していたリインにも状況は掴めていないのか、彼女の声からは混乱している様子が伺えた。
それはユニゾン中のアギトも同じようで、いつものなら悪態の1つでも吐く生意気な唇はきつく噛みしめられている。

233:UNDERDOGS 第十話③
08/12/08 05:53:17 RQP/UZZJ
「まさか、クアットロ姉様が・・・・・・」

「馬鹿な、あの女は死んだはずだ。艦ごと消滅させられたのだぞ!」

「いや、姉様のISなら可能だ。あの人のシルバーカーテンの本質は、幻術ではなく騙す力。
幻を作るんじゃなくて、生み出した幻を本物だと錯覚させるものなんだ」

(そういや、応用すれば機械も騙せるって・・・・・・)

「ハッキングしたんだ。動力が確保されているのなら、例え未完成でも本体の強度を無視すれば砲撃は撃てる。
システムを外部から起動して、発射プログラムを走らせたんだ。アインヘリアル自身に、これから砲撃を撃つと思い込ませることで」

「だとしたら、あれは・・・・・・・・」

先ほどの砲撃で、3本ある砲塔の内の1つが内側から暴発したかのように焼け爛れている。
恐らく、魔力砲の出力に砲塔が耐えられなかったのだ。しかし、まだ無傷の砲塔が2本も残っている。
後2発、アインヘリアルは最低でも後2発の砲撃を撃ってくる。

「ザフィーラ、まだアインヘリアルには辿り着けないのか!?」

(後少しだ。だが、敵の抵抗が思いのほか激しく、足止めを食らっている)

相当の苦戦を強いられているのか、念話越しに聞こえるザフィーラの声からは疲労の色が感じられた。
ならばと、シグナムは左手に鞘を出現させ、レヴァンティンをボーゲンフォルムへと変化させる。
剣を主体に戦うシグナムにとって、レヴァンティンの第三形態はいわば対人戦ではなく対軍戦を想定した武器だ。
そこから放たれるのは僅かに一矢。だが、その一矢は音速の壁を超え、魔力的な障壁をも突き破って目標を殲滅する凶鳥の化身だ。
発動するまでに若干の溜めを有するため、決闘や乱戦ではほとんど使いものにならないが、こうなってしまっては被弾覚悟で
アインヘリアルを狙撃するしかない。

「いくぞ、アギト」

(おう。炎熱加速!)

「翔けよ、はや・・・・・」

その瞬間、息苦しさにも似た重圧感が2人を襲った。
空気が鉛に変化してしまったかのように重く、指一本動かすこともままならない。
額からは玉のような汗が滲み出ており、呼吸困難で表情は険しく歪んでいた。
直後、まるで磁力に弾かれるように、シグナムとアギトは強制的にユニゾンを解除されてしまう。
シグナムは咄嗟に態勢を立て直そうとするが、何かに魔力の結合を阻害されて飛行を維持することすらできない。

「・・!?」

「危ない」

重力に引かれて自由落下が始まった瞬間、オットーとディードが2人の体をキャッチする。

234:UNDERDOGS 第十話④
08/12/08 05:53:55 RQP/UZZJ
「す、すまない。助かった・・・・・・だが、これは・・・・・・」

「AMFです。アインヘリアルからもの凄い出力のAMFが展開されています。
そのせいで、お2人のユニゾンが解除され、飛行魔法もかき消されたようです」

「AMFだと? だが、それでもアインヘリアルも砲撃は撃てないはず?」

「出力が違いすぎます。バケツ一杯の水を汲んでも、海の水は減りません」

「現状でまともに動けるのは戦闘機人か、ガリューやフリードのような魔力を用いずに飛行できる獣のみみたいだ。
陸士隊は何とかザフィーラとギャレットで持ちこたえているけど、魔法が使えないから戦力としては期待できない。
カルタスが合流のために向かっているけど、今からじゃ間に合わないだろうね」

「どうすんだよ、これじゃ狙い撃ちにされるだけだぜ」

「僕とディードでやるしかない。けど、そのためには・・・・・・・・・」

クアットロが死の間際に発動したシルバーカーテンにより、戦い続けることを命じられたガジェット達がまるで壁のように周囲を取り囲んでいる。
この包囲網を突破しなければ、アインヘリアルに到達することはできない。オットーのレイストームでどこまで焼き払うことができるか、
そしてディードのツインブレイズで砲撃のチャージが完了するよりも早くアインヘリアルに辿り着くことができるのか。
こうしている間にも、アインヘリアルの照準装置は次なるターゲットに狙いを定めている。
何もすることのできない無力感に、シグナムは歯を食いしばることしかできなかった。





苛烈な攻め技の応酬に、ノーヴェは自分が戦いに酔っていることに気づいた。
ゼロ・セカンドと拳を交えてかなりの時間が過ぎたが、こんなにも心躍る時間は初めてだった。
背筋を駆け抜けるこの震えは、武者震いというものなのだろうか。
まるで羽根が生えているかのように体が軽く、面白いように攻撃が決まる。
正攻法からの一撃、フェイトを交えたコンビネーション、目にも止まらぬ連撃、距離を取っての撃ち合い。
相手の腹を読み、こちらの真意を誤認させ、針の隙間のような隙を突いて突きや蹴りを打ち込む。
無論、敵も数々の修羅場を潜り抜けてきた強者だ、そう簡単には倒されてくれない。
だが、今のノーヴェにはその困難すら楽しいと感じることができた。
気分が良い。
突きを防がれても、蹴りを弾かれても、射撃を避けられても、すぐに次の攻撃の動作が思いつく。
どのように動けば相手がどのように動き、どうすれば攻撃を当てられるのかがわかる。
万能の神にでもなったかのような気分。自分が自分でないかのような錯覚。
いつしかノーヴェは笑っていた。
苛立ちしか覚えなかった相手との闘争に、彼女は楽しみを見出したのだ。

「はははっ、楽しいな、セロ・セカンド。お前をぶっ壊せる。今日こそはぶっ壊せる。
そう思うと震えが止まらない。この緊張が堪らない!」

「あたしは、戦いを楽しいだなんて思ったことはない」

「お前の気持ちなんざ知ったこっちゃねぇ。初めてだ、こんなに楽しいのは初めてだ。
もっと、もっとあたしを楽しませろ。お前との戦いにはそれがある。その先にあるものを、あたしは掴む!」

「この命は、まだ誰にも渡すわけにはいかないんだ」

肺の中の空気を絞り出すかのように、ゼロ・セカンドは深呼吸をする。
すると、彼女の体から魔力反応が消えていき、瞳の色が徐々に自分と同じ金色を帯びていく。


235:UNDERDOGS 第十話⑤
08/12/08 05:54:44 RQP/UZZJ
「やっと本気を出したか」

「一発だ・・・・・・一発で決める」

「良いぜ、あたしも一発だ」

ノーヴェは残るエネルギーの全てをまだ稼働しているブレイクギアに注ぎ込み、砲撃のチャージを開始する。
対するゼロ・セカンドもまた、ナックルスピナーを高速回転させてテンプレートの光を右腕に集束していく。
撃つか、打たれるか。
ディバインバスターのチャージが完了するのが先か、相手のISが命中するのが先か。
ギリギリの緊張感が神経を焼き、高揚にも似た快感が駆け上がる。
戦闘機人の定め。
姉を傷つけられたことへの復讐。
どうして自分はそんなことに拘っていたのだろう。
物事はもっとシンプルだ。自分は、あの生意気なハチマキと真っ向からぶつかって勝利したい。
戦って勝利した先にある何かを掴みたい。
その何かがわかる瞬間まで戦いたい。
これが戦う理由。戦闘機人ノーヴェが、戦いの果てに見出した答え。

「来いぃっ、ナカジマァァッ!!」

「ノーヴェ、覚悟ぉっ!!」

鋼鉄すら破砕する拳がうねりを上げ、金色の砲撃が大気を引き裂かんとする。
互いの視線は宿敵の命に狙いを定め、必殺の一撃が解放の瞬間を待つ。
決まればそれで終わり。
死の恐怖は戦慄となり、それを押しのけるように闘志が2人を後押しする。

「振動・・・・・!」

「ディバイン・・・・・・!!」

だが、その一撃が放たれる瞬間、上空を一条の魔力砲が駆け抜けた。
直後、巨大な何かが落下した衝撃が大地を震わせ、山岳部全体を強力なAMFが包み込んでいく。
突然の異常事態に、2人は攻撃の手を止め、互いに警戒し合うように距離を取った。

「クア姉、何があったんだ・・・・・・・クア姉? クア姉! チンク姉、ウェンディ・・・・・ダメだ、繋がらない」

通信機から聞こえてくるのはノイズばかりで、誰とも繋がらない。
特に指揮官であるクアットロと連絡が取れないのは非常に良くないことが起きていることを意味している。
最悪の場合、彼女が撃墜されたという可能性も捨てきれない。
あの殺しても死なない姉がそう簡単に倒されるとは思えないが、何が起こるかわからないのが戦場だ。
ここは、一旦引いた方が良いかもしれない。


236:UNDERDOGS 第十話⑥
08/12/08 05:55:47 RQP/UZZJ
「ナカジマ、決着はいつか着ける。勝手に死ぬんじゃねぇぞ!」

追って来られないようにガンシューターで牽制し、エアライナーを展開して疾走する。
とにかく、まずは状況を掴まねばならない。それと負傷者の救援だ。
まだ生きている戦闘機人達を回収して、修理してやらねばならない。
そんなことを考えながらも、ノーヴェの心はまだゼロ・セカンドとの戦いに後ろ髪を引かれていた。
あの女との戦いは胸が躍る。
また戦いたい。戦えば、きっとまた新しい自分を見つけることができる。
あの女を倒せば、きっと自分は強くなれる。
その実感に、ノーヴェは笑みすら零していた。





そうして、1人取り残されたスバルは走り去っていくノーヴェの背中をジッと見つめていた。
怖かった。
戦闘機人なのに感情がある。
怒って、笑って、そして戦うことに意味を見出している。
自分が生きている理由を、自分の力で見つけている。
あの少女は他の戦闘機人達とは違う。
うまく口では言い表せないが、何かが違うのだ。
彼女は寧ろ、自分に近い。意味もなく、そんな気がしてくる。
それに、戦闘中に彼女が口走った言葉も耳に残って離れなかった。

「あいつ、あたしの名前を呼んでいた」

それが何を意味するのか、今の彼女には、まだわからなかった。





ガリューは思った。
今、この状況を打開できるのは自分しかいないと。
AMFによって魔法を封じられ、魔導師達が戦えない以上、自分やフリード、戦闘機人達が奮闘するしかない。
だが、オットーとディードはガジェット達からシグナムを守るので手一杯であり、スバルやカルタスでは位置的にもう間に合わない。
敵の包囲網を突破し、アインヘリアルを攻撃することができるのは自分かフリードだけだ。
しかし、フリードにはエリオや主を無事に地上まで送り届けて貰わねばならない。だから、この場は自分が何とかしなければならないのだ。
フリードもそれを承知しているのか、何も言わずに目だけで語りかけてくる。


237:UNDERDOGS 第十話⑦
08/12/08 05:56:20 RQP/UZZJ
『行くのか』

と。
だから答えた。

『無論』

と。
それが召喚蟲の使命。主を危険から守り、死の脅威を打ち払うことこそが己の本分。
そして、主を守るためならば命令にすら背く覚悟が必要なことを、エリオやフリードが気づかせてくれた。
従うばかりだったかつての自分。
何も言わず、ただ命令に従っていればそれで良いと思っていた。
主の望むままに拳を振るうことが、召喚蟲の使命であると思っていた。
だが、違うのだ。真に主のことを思うならば、その命令に背かねばならぬ時もあるのだ。
召喚蟲の使命とは、主の身をあらゆる脅威から守り抜くこと。
例え主に「生きろ」と命じられても、「死ぬ」ことを覚悟する時が必要なのだ。
己の命を投げ出すことになろうと、主が笑うことのできる居場所を守ることなのだ。
だから、絶対にエリオ・モンディアルを死なせるわけにはいかない。
今、初めてガリューは主以外の人間のためにその命を使おうと覚悟を決めた。

「ガリュー?」

こちらの様子がおかしいことに気づいたのか、主が縋るような目で見上げてくる。
この無垢な瞳を、再び悲しみの涙で濡らさねばならないことを、ガリューは深く後悔した。
できることならば、その生涯を最後まで見届けたかった。
きっと、母親に似て美しい女性に成長するはずだ。
もしも、運命が変わっていれば彼女は穏やかな時を過ごせたかもしれない。
母親と共に料理を作り、古文を嗜み、ごく普通に恋をして、結婚し、子どもを設けて幸せな家庭を築く。
そんな、当り前な人生があったかもしれない。
いいや、これから歩むのだ。
彼女はこれから、本当の笑顔を見つけるための旅に出るのだ。その旅は辛く険しく、何度も挫折しそうになるだろう。
そして、傍らに立つ友達に励まされてまた歩き出す。
時間はかかるかもしれない。だが、必ずくるはずだ。
彼女の償いが終わる時が、きっと。

「・・・・・・・・」

「ガリュー!?」

主の小さな体を抱き締める。
小さい。
とても小さい。
けれど、3年前よりも確実に大きくなっている。
彼女は成長している。これからもっと大きくなる。
当たり前のように大人になり、そして老いて死んでいく。
その時間を、こんなところで終わらせる訳にはいかない。
自分はその移ろいゆく時間を見届けることができないから、後のことは全てエリオに託そう。
彼ならば大丈夫だ。エリオは強く、決して挫けない。何度も辛酸を舐め、辛い思いをしながらも、
主を暗闇から解放することを諦めなかった。大切な家族を主に殺されて、騎士としての誇りすら傷つけられたというのに、
彼は自分の思いを曲げず、まっすぐな気持ちをぶつけてくれた。
その強さは弱さでもある。
弱いからこそ、強くあろうと前を向ける。
自分の中の弱い部分を知るからこそ、ひたむきな強さを持つことができる。
きっとこれからも、傷つき悩むだろう。彼の目指す騎士は大切なものを守るために、それ以外のものを切り捨てる覚悟が必要となる。
彼はまだその矛盾に気づいていない。そしてそれに気づいた時、彼は悔やみながらもその道を進むだろう。
何故なら、彼は既に選んでしまったのだから。ルーテシア・アルピーノの側にいるという誓いを、交わしてしまったのだから。
だから、彼はきっと何かに絶望する。何かを悔やみ、何かに怯えながら、みっともなく情けない醜態を晒し、
それでも自分で選んだ道を貫き通す。本来ならば自分がやらねばならないことを、彼が代わりに成そうとする。
それがとても心苦しい。
だからこそ、祈らずにはいられない。

238:UNDERDOGS 第十話⑧
08/12/08 05:57:12 RQP/UZZJ
『強くなれ』

お前は我が宿敵、永遠の好敵手。
決着はあの世に先送りだ。
お前が来るのを待っているぞ。

「ガリュー!」

「フリード、何を!?」

フリードが火炎を吐き、立ち塞がるガジェット達を焼き払う。
その一瞬の隙を突いて、ガリューは飛翔した。纏わりつく炎を払い、守るべき主達に背を向けてまっすぐにアインヘリアルを目指す。
だが、それを許すほどガジェットは愚鈍ではない。すぐに隊列を立て直し、こちらを行かせまいと立ち塞がる。
目障りだ、邪魔をするな。
激痛を押し殺し、全身を武器化させてガジェットを切り捨てる。
それはまるで刃の嵐。
竜巻と化したガリューは立ち塞がるガジェットを悉く切り裂いていき、魔力が膨れ上がりつつあるアインヘリアルを己の間合いへと捉える。

(ガリュー、止めてぇっ! ガリュー、あなたまで・・・・・・・)

主からの思念通話を一方的に切り、ガジェットからの攻撃で手足を撃ち抜かれながらもガリューは飛翔することを止めない。
肩の外骨格が剝がれ落ちた。
左腕が千切れ飛んだ。
足も動かなくなった。
脇腹には大きな穴が空いている。
4つある目の内の2つが既に機能していない。
自分が切り捨ててきたガジェットが爆発する音ももう聞こえない。
風だ。
自分は風になったのだ。
地雷王、白天王、主を守れずにさぞかし無念であっただろう。
お前達の思いを、自分が代わりに果たそう。
アルピーノの召喚蟲は常に誇り高く、主のためにあれ。
この命は、最後の一滴まで召喚師ルーテシアのためにある。
エリオ・モンディアル、我が主を暗闇から解放してくれたことを感謝する。
キャロ・ル・ルシエ、我が主を心から思っていてくれたことに感謝する。
飛竜フリードリヒ、主死してもなお潰えぬ忠誠を尊敬する。
真竜ヴォルテール、主を解放するためにお出でくれたことを恐悦至極に存じます
そして、主ルーテシア。
あなたに仕えることができたことに、感謝とこの上ない名誉を感じる。
美しき主、最高の好敵手、誇り高き戦友。
自分は十分過ぎるくらいの幸福を賜った。
これは最後のご奉公だ。
視界を焼き尽くす光は不確定な未来への希望だ。
この輝きを、主はきっと掴み取ってくれる。
だから、自分はこの命をあなたに捧げることができる。
我は召喚蟲ガリュー。
我こそは、エリオ・モンディアルの好敵手。
我こそは、飛竜フリードリヒの戦友。
我こそは、ルーテシア・アルピーノの・・・・・・・・・・・・・・。





ガリューの姿が砲口の中へと消える。
一陣の風が吹いた。
それは黒い風。
ガリューの死を悼む漆黒の風だ。

239:UNDERDOGS 第十話⑨
08/12/08 05:57:50 RQP/UZZJ
「ア、アインヘリアルが・・・・・・・・」

まるで地上に太陽が落ちてきたかのような輝きがアインヘリアルから漏れ、膨れ上がった魔力が指向性を失って
内部に溜まっていくのがここからでもわかる。
直後、輝きがほんの一瞬だけ収まったかと思うと、天地を揺るがす程の大爆発が起き、アインヘリアルが光の渦へと飲み込まれていった。
召喚蟲ガリュー。
彼の尊い犠牲が、ここにいる全ての者の命を救ったのだ。

「ガリュー・・・・・君は・・・・君って奴は・・・・・・・・」

あまりにも気高い自己犠牲の精神に、エリオは言葉では言い表せない何かを感じ取っていた。
言葉は交わさなかった。
だが、彼は最後に自分を認めてくれた気がする。
そして、ルーテシアを託していったのだ。
その儚くも鮮烈な生き様には、共感もすれば嫌悪も湧き上がってくる。
彼はルーテシアを守るために逝った。だが、どうしてこの先もルーテシアを自分の手で守り抜く道を捨ててまで逝ったのか。
答えはすぐに辿り着いた。
自分になら任せられると、彼が認めてくれたからだ。
自分の思いがそこに生きていると思ってくれたから、全てを託して逝ったのだ。
彼の思いは死んではいない。例え、その身は尽きてもその魂は自分の中で永遠に生き続ける。
だからルーテシアも泣かなかった。
ガリューは今でも自分の心の中で生きている。
その気高い魂がある限り、自分はもう暗闇に堕ちることはないと。
その時、風に吹かれて1枚の布切れが2人のもとへと舞い降りた。

「あ・・・・あああ・・・・・・」

「こ、これは・・・・・・・まさか・・・・・・・」

ルーテシアの手に落ちた1枚の布切れ、それはガリューが常に肌身離さず身に付けていた紫紺のマフラーであった。
これはガリューだ。
血に染まり、焼け焦げてもなお原型を保ったままのマフラーは、死してなお主のもとへと舞い戻ろうとしたガリューの化身なのだ。

「ああ・・・うああぁぁ・・・・・・・ガリュュュゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!」

ここは戦場、未だ戦いは続いている。だが、2人は感情を抑えることができなかった。
エリオは叫んだ、ルーテシアは泣いた。堪え切れぬ感情の波が2人を苛んだ。
しかし、名前を呼んでも返ってくるのは風の吹く音ばかり。
ガリューは風になったのだ。
風になって、この青い空へと還っていったのだ。
残酷なその事実に、2人はただ湧き上がる感情のままに涙し、フリードの悲痛な慟哭がガリューの死を悼む鎮魂歌となった。





熱を失ったゆりかごの管制室の照明を灯し、スカリエッティは何度もそうしてきたようにスタンバイ状態のコンピューターを立ち上げていく。
そこに映し出されたのは第56管理世界の戦況と、先ほど終わったばかりのアインヘリアル攻略戦の結果であった。

「クアットロ、君は実に良い娘だった。本当に、デコイとして君ほど相応しい者はいないだろう。
おかげで、こちらは予定通りに計画を第三段階に移行することができる」

第56管理世界では、政府軍が戦況の巻き返しのために戦闘機人や質量兵器を導入し、
これを殲滅するために管理局は質量兵器を使用した。
無論、第56管理世界に戦闘機人や質量兵器の製造技術を持ち込んだのはスカリエッティだ。
彼がここ数日、ゆりかごを離れていたのは各次元世界に自らの技術を売り込んでいたからである。
そして、硬直状態のまま戦況に動きがないことに業を煮やした第56管理世界が、
管理局やミッドチルダに次いで新たなクライアントとなったのだ。管理局の強引な政策に反対する者達が、
管理局と同じく戦闘機人や質量兵器を使用する。これほどまでに痛烈な皮肉はない。

240:UNDERDOGS 第十話⑩
08/12/08 06:03:26 RQP/UZZJ
「これが、ドクターの夢なのですか?」

いつの間にそこにいたのか、チンクが背後に立っていた。
帰還したばかりなのか、着るものもそのままの状態だ。
特殊素材で作られたインナースーツはボロボロで、色の白い肌にはいくつもの傷が走っている。

「ああ、チンク。そうだね、これもまた私の夢の一側面だ。だが、全てではない。
チンク、技術を最も発展させるものは何だと思う?」

「・・・・・考えたこともありません」

「それは戦争さ。いや、それは少し俗っぽいな。とにかく、争いこそが技術を発展させる。
争うためには何がいる? 武器だ、武器を創ろう。敵が武器を使うなら、それに耐えうる鎧を創ろう。
ならばそれを撃ち抜く銃を創ろう。だったらそれよりも威力の大きい兵器を生み出そう。
それは自然を破壊する、魔法を使おう。魔法を使える者は少ない、誰でも使える質量兵器を復活させよう。
争いは需要を生み、需要は研究を加速させる。私はね、退屈な時間が我慢ならないんだ。
穏やかに心行くまで研究できるのは良い。しかし、何も必要とされない世界では進歩は起きず、
技術は停滞する。今よりももっと優れたものを生み出すためには、新たなニーズが必要なのだ」

「あなたの夢は、生命操作技術の完成なのではないのですか? それと争いを呼ぶことに何の関係が?」

「では聞くが、生命とはなんだい? 何を以て完成と言うのだい? そんなもの、誰にも答えられない。
死者の蘇生? 遺伝子操作? そんなものは一面に過ぎない。技術というものは、求められれば求められただけ進歩するんだ。
だから私は私の技術を必要としてくれる世界を作るのさ。私自身の夢のために」

「クアットロは、そのために死んだのですか?」

「不服かい?」

「彼女は本心からあなたのことを敬愛していた。例え、性格が破綻していたとしても、あなたへの思いは本物だったはずだ。
だから、ゆりかごと今の情勢を維持するためにレジスタンスを葬ろうとした。やり方はどうあれ、彼女はドクターのために行動していました」

「そうだね。で、それが?」

「なっ・・・・・・・」

「ああ、実に惜しい娘を亡くした。彼女の代わりはそうそういないだろう。本当に、困ったものだ」

そう言って、彼はコンソールを操作してゆりかご内の工場施設を動かしていく。
まるで何事もなかったかのように、彼はいつもと変わりない作業を行っていた。

241:UNDERDOGS 第十話⑪
08/12/08 06:04:37 RQP/UZZJ
(ああ、そうなのか・・・・・・・・)

彼は間違いなく自分達に愛情を注いでいる。
しかし、それは道具に対するものと何ら変わらない。
お気にいりの靴があれば、それを毎日履くだろうし、汚れれば丁寧に磨いてワックスを塗るかもしれない。
そして、破れてしまえば何の躊躇もなくゴミ箱へと投棄する。
捨てたことを後悔し、失ったことを悼むだろうが、心から悲しみはしない。
彼にとって、自分達はその程度の存在なのだ。
そんな男のために死んだのかと思うと、クアットロが不憫でならない。
ディエチは、法に縛られぬ自分達は自由であると言った。
だが、こんなものは自由でも何でもない。ヴァイスが口にしていた「自由に生きろ」という言葉の意味が、
今ようやく理解できた。
自由とは、自分の意思で何かをすると決めることだ。
クアットロはそれが当然であるかのように疑問も持たず、ドクターにつき従っていた。
そして、彼に命じられるままに戦って命を失った。
そこに彼女自身の意思はない、全てがジェイル・スカリエッティという男によって決められた結果があるだけだ。
このままここにいれば、いつか自分はヴァイスを失うことになるかもしれない。
自分が死ぬのはまだ良い。この身は所詮、戦闘機人。戦うための道具にしか過ぎない自分が、戦場で死ぬことに文句はない。
だが、ヴァイスが死ぬのは駄目だ。彼をここにいさせては、いつかはドクターに利用されてその命を奪われるかもしれない。
それだけは、絶対に嫌だ。
そう思った瞬間、既に彼女の心はできあがっていた。
作業に夢中になっているドクターに一礼し、チンクは駆け足でヴァイスの部屋へと向かう。
中に入ると、部屋は照明が消えて真っ暗になってり、ヴァイスは頭からシーツを被ってベッドの上で縮こまっていた。
戦闘でのフラッシュバックが相当堪えたのか、落ち着かせるまでかなりの時間を有したことを思い出す。
今、無理をさせるのは酷かもしれない。だが、事は一刻を争うかもしれないのだ。
彼をどこか、安全な場所に逃がさなければ。

「ヴァイス、ここを出よう」

それは、自分がラグナ・グランセニックを演じることの終わりを意味していた。





「さて、少々目障りになってきたので、レジスタンスの諸君には消えてもらわなければいけないな」

コンソールを操作しながら、スカリエッティは呟く。
全ては計画の内だった。
グリフィスに戦力の大半が渡り、クアットロにガジェットや性能の不安定な試作機、実戦経験のない新人達しか残らなかったのも、
スカリエッティが裏から手を回したからだったのだ。
レジスタンスには、どうしてもアインヘリアルを全力で落としに来てもらわねばならなかった。
そのために完成間近のアインヘリアルを奪取、加えて白天王という強力な手駒がこちらにあることをアピールして、
レジスタンスに全力に近い戦力を集めさせたのだ。クアットロがルーテシアを操って戦力に組み込むことも、
彼は全て予見していたのである。彼女が最後の最後でアインヘリアルを起動させた時はさすがに驚いたが、
彼らは無事に彼女を打ち破り、拠点へと引き上げていっている。
それこそが、こちらの狙いだとも知らずに。

「さあ、いよいよ君の出番だよ」

モニターに映し出された肢体を見て、スカリエッティはほくそ笑む。
培養液の中に浮いていたのは、色白の肌に豊満な肢体、そしてたゆたう金色の髪。
それはまるで、女神のような美しさであった。
彼女は死神だ。
無限の欲望が生み出した、運命の名を冠した死神。
培養液の中で、彼女は静かに胎動していた。


                                                         to be continued

242:B・A
08/12/08 06:07:08 RQP/UZZJ
以上です。
これにより、ルーテシアはインゼクトを除く全ての召喚蟲を失うことになりました。
無論、ヴォルテールは1回限りの奇跡なので再登場はなしです。
そして、ノーヴェとチンクがこんなに動き回るとは思わなかった。
特にノーヴェはあそこまで生き生きと動くとは。

243:名無しさん@ピンキー
08/12/08 08:59:12 uswnLDJq
GJ!!
まさか…まさかガリューまでもが…
自分の好敵手に主を託し散っていく姿が泣きそうなぐらいやばかった
せめて彼ぐらい最期までルーテシアの召喚虫でいて欲しかった

しかしこれでエリオはますます、死ねなくなったな
せめて彼ぐらいは生き残ってルーと暮らし続けてくれ
そしてスカが表舞台に出てきて何をするつもりなのかなど、相変わらずwktkが止まらない!

244:名無しさん@ピンキー
08/12/08 09:04:08 bbxMV2vX
GJ!

けど、誤字が…
<正攻法からの一撃、フェイトを交えたコンビネーション、目にも止まらぬ連撃、距離を取っての撃ち合い。
               ↑フェイントだと思うんですが

245:名無しさん@ピンキー
08/12/08 20:09:03 BJZrNVYo
GJ
まあ、このスカリエッティは許せるキャラですね。
次回は、金色夜叉の出撃ですな。


246:名無しさん@ピンキー
08/12/08 22:06:50 0qBW2GIu
GJ!!
最後に出てきたのはフェイトのクローン?それとも?
そしてスカリエッティのクアットロを超えるやもしれぬ外道っぷりとガリューの見事としか言いようのない散りっぷりに感動
どうかエリオはルーテシアにとっての良き夫であり最高の騎士であり続けて!

247:26-111
08/12/09 00:55:43 o7Svkjs9
夜も更けて参りました。投下予告です

・「小さな騎士・スバル編」の後日談になります
・以前に投下した「小さな騎士・番外編」(ティアナとのエロ展開)を踏まえた内容になっています。ご注意ください
・メインはスバルとエリオ
・使用レス数27レス。どう考えても一気には落とせないので二分割します
・エロ有り。ですが、使用レス数の都合上、エロ展開まで届きません。寸止めです。酷ぇ所で切れます。苛めないでください
・タイトルは「小さな騎士・スバル番外編」
・ベタなフリでベタなヤマでベタなオチが付きます

では、投下を開始します

248:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 00:56:15 o7Svkjs9
「スマンっ!ちょっと匿ってくれ!!」

いきなり必死な形相でそう訴えられて、エリオは何も考えることができず頷いてしまい、彼はさっとエリオがへたりこんでいたベンチの下に素早く潜り込む
何なんですか一体。と問い出す暇もなく、向こうの方から土煙が上がるほどの勢いで駆けてくる一人の女性の姿に、エリオは唇を引き攣らせた

ライトニング02こと、ライトニング分隊副隊長:シグナム二等空尉の姿がそこにはあった。騎士甲冑完全着装。しかも手には陽光を照り返してギラリと輝くレヴァンティン
鋭い眼差しで周囲を睥睨しながら駆けるその様は、正に戦場を往く鬼神の如き気迫に満ちたものである

そんな彼女と目が合った

「エリオ!ヴァイスがここを通っただろう!何処へ行った!!」
「あ、あっちの方に・・・」
「済まんな。感謝する!」

明後日の方向に向かって、結わえた髪を炎の様に揺らしながら彼女は走り去っていった。あまりの剣幕に、思わずヴァイスを庇ってしまったが・・・本当に良かったのだろうか?
シグナムの背中が見えなくなってからたっぷり3分後・・・ようやく、かさこそとベンチの下から這い出て来た彼・・・ヴァイス・グランセニックは汗を拭いながら大きく息を吐いた

「ふぅ、おっかねぇ・・・悪ぃなエリオ。助かったぜ」
「ヴァイス陸曹・・・一体、今度は何をしたんですか?」
「お、おぃおぃ。まるで俺がいつも姐さんにどやしつけられてるみたいじゃねぇか」
「でも、レヴァンティンまで構えて追い掛けられるなんてただ事じゃないですよ。事の次第によっては、報告の義務が「あースマン!悪かった!これやるから黙っててくれ!」

ヴァイスは、何やら後生大事に抱え込んでいた箱から缶入り飲料を二本掴み出し、エリオに投げ渡すとそのまま走り去ってしまった

「・・・何だったんだろう?一体・・・???」

首を傾げながら、エリオはヴァイスがくれた缶を眺める・・・カットされたフルーツと、炭酸が弾けるカラフルな液体がグラスに注がれているラベルで、
商品名なのかでっかく「スクリュードライバー」と書かれている

「・・・見たこと無いけど、何だか強そうな名前のジュースだな・・・?」

首を傾げながらもエリオはベンチから立ち上がって、背伸びをしながら空を仰ぐ


249:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 00:56:46 o7Svkjs9
時刻は夕方・・・今日は夜の訓練も無く、隊舎に戻って済ませるべき事と言えば夕食と入浴くらいだ。その分、今日は先程まで続いていた昼の訓練がきつかった・・・
基礎訓練は勿論のこと。コンビでの模擬戦にフェイト抜きの隊長戦を一戦。そこから更にスバルの個人指導による格闘訓練
訓練終了と同時にキャロがひっくり返ってしまい、スバルとティアナが大慌てで医務室に担ぎ込んでいった一幕もあったりしたのだ
自分も追い掛けようと思ったのだが、情けないことに疲労困憊した身体はちっとも言うことを聞いてくれず、引き摺るような足取りでやっとここまで辿り着いた所だったのである

「・・・フェイトさんが居なくて、ちょっとだけ良かった・・・」

安堵の溜息と共に、そんな台詞を小さく呟くエリオである。今日もフェイトは執務官モードだった為、六課には居なかった
訓練の内容としては、厳しい物のほぼいつも通り・・・キャロがグロッキーになったのは猛暑の所為もあろう
もしも、自分達の保護者であるあの人がこんな姿を見たならば、間違いなく悲鳴と共に二人を抱き上げて医務室までソニックムーヴだ
頑張っている姿を見て貰えないのがちょっと寂しいが、騎士を志す者として、抱っこで医務室に担ぎ込まれるような醜態を晒したくない・・・

「ん、ん~っ・・・はぁ・・・戻ろうか」

ぐぐっと背伸びをして身体をほぐし、彼は夕焼け色に染まる隊舎に歩き始めた
ヴァイスに貰った、“缶ジュース”を、ズボンのポケットに突っ込んで・・・



最早、説明するまでもない様な気がするが、ヴァイスが持っていたのは、ミッドチルダでは珍しい第97管理外世界:地球製の“酒”である
本来は無許可で管理外世界の飲食物を持ち込むことはできず、検疫をクリアした物に限られる・・・つまりは検疫を通過していれば問題は無いのだが、
酒類というのは何かと面倒臭い物だ。何せ、これを巡る争いで滅んだ世界が有るくらいなのだから
そんな事情もあるので、酒類の個人輸入というのは規制が厳しく、なかなか難しい・・・だが、この度ヴァイスは、まんまと地球の酒を“密輸”する事に成功したのである

まぁ、密輸といっても、

「久しぶりに日本のお酒が飲みたくなっちゃった」

と言って、ふらりと買い出しに出掛けた某医務官殿に頼み込んで買ってきて貰っただけなのだが
ちなみに、某医務官殿の所業については某部隊長曰く、

250:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 00:57:17 o7Svkjs9
「承認や」

だそうである
そんなこんなで、ヴァイスは密かに憧れていた97管理外世界製の酒を色々ゲット。整備班を相手に格安ぼったくり闇酒場でも開くか。などと考えていた所をシグナムに察知され、
段平片手におっかない目付きで追いかけ回される身となっている。訓練が捌けたばかりだというのに、烈火の将は今日も元気だ

なので、エリオが受け取ったのは缶ジュースではなく歴としたお酒である。お酒はハタチになってから?古代ベルカ風に考えれば10歳を越したら一人前なのだ
勿論、彼の少年が第97管理外世界の缶入りアルコール飲料のラベルの種類まで知っていなかったので、ジュースと誤認したのは無理もないことなのだが・・・


―― さて、場面を隊舎に戻ったエリオに戻そう


隊舎まで戻ってくると、エリオは一番に医務室に向かった
医務室の主であるシャマルは居らず、ベッドにキャロが横になっていて、ティアナが付き添っている

「キャロ、大丈夫?いきなり倒れた時は心配したけど・・・?」
「う、うん。ごめんね、エリオ君・・・今はもう大丈夫だから、心配しないで」

少しだけ青ざめて見える顔だが、キャロは気丈にも小さく笑みを浮かべてそう言う・・・そんな台詞に、呆れ顔のティアナが盛大な溜息を吐いたけれど

「でもね、キャロ。辛い時は早めに言いなさいよ。今は良くても、何かあってからじゃ遅いんだからね」
「す、すみません、ティアさん・・・」
「ったく、ちびっ子の癖に我慢しすぎ。アンタもよ、エリオ」
「き、気を付けます・・・」

“隊長”からの叱責に、エリオはしゅんと項垂れて、キャロはシーツで顔を半ばまで隠してしまった
そんな二人の様子に、少しだけ気まずい顔をしながらティアナは頭を掻いて、そっぽを向いたまま言葉を続ける

「・・・ま、良いわ。私達も気付いてあげられなかったんだし・・・
でも、夏場の疲れは一気に“来る”んだし、本当に気を付けなさいよ。倒れて、駄目になってからじゃ遅いんだから」

251:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 00:57:48 o7Svkjs9
「・・・はい。気を付けます・・・ごめんなさい」

シーツの中から、蚊が鳴くような声音が聞こえてきた
キャロのそんな姿に苦笑を浮かべながらも、エリオは少し頬を赤くしてティアナに頭を下げた

「はい。でも、その・・・ありがとうございます、ティアさん」
「な、何でいきなりそんな事言うのよ」

ベッド脇の小さな丸椅子に腰掛けていたティアナはぶすっ面になり、行儀悪く椅子の上で片膝を立てた
じっとりとした視線で睨み付けられるエリオだが、彼女のそんな様子が一風変わった照れ隠しだと受け止めることができるのは・・・先日まで続いていた共同生活の成果だろうか?
だが、それをはっきり口にするとムキになってしまうので、これ以上は言わないでおこう

「いえ、何でもないです。以後、気を付けます」
「ん、結構。それじゃ、アンタもとっとと部屋に戻って休んでなさいよ。キャロの面倒は私が看てるから」
「良いんですか?シャマル先生は・・・?」
「それが・・・何処に行ったのか居ないのよね。リイン曹長が探してくれてる筈なんだけど・・・まぁ、戻ってくるまで安静にして待ってるわ。
部屋でも良いんだけど、こっちの方が確実だしね」
「それじゃあ、食事はどうします?持ってきましょうか?」
「あぁ、平気よ。それくらいは自分でするから、スバルと食べてきなさい。二度も、いつかみたいな手間を掛けさせるわけにはいかないしね」

申し出をやんわりと断りながら・・・不意に頬を赤くするティアナに首を傾げつつも、エリオは医務室を後にした
空調が静かに空気を掻き混ぜる、静かな一室に二人きりになったティアナとキャロだが・・・そっと、ティアナの様子を伺ったキャロは、思わず目を丸くした

「ティ、ティアさん!?何か、お顔が真っ赤ですけど、どこか悪いんじゃ・・・!?」
「え!?あ、い、い、いや、その、何でもないのよ!な、何でもないの!」
「でも、そんな・・・あの、私はシャマル先生にお薬でも出して貰いますから、ティアさんも休ん「だーっ!薬とかは駄目よ!特に滋養強壮剤とかドリンク剤は絶対駄目!」

息を切らしてまくしたてるティアナの思わぬ剣幕に、キャロはこくこくととにかく頷いた
瞠目したまま、怯えたようにシーツで顔を半分隠しているキャロの姿に、ようやくティアナは自分の口調の激しさに気付き・・・慌てて大袈裟な身振りを交えながら言い訳を始めた

「・・・あ、ご、ごめんね。実はその・・・あの、ちょっと前に私もシャマル先生のお薬貰ったんだけどさ、飲んだらすっごく苦くてマズくて」

252:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 00:58:21 o7Svkjs9
「そ、そうだったんですか・・・?」
「体調は良くなったけど、なんかしばらく偏頭痛っぽい症状が続いたし・・・あれくらいなら、しっかり休んでいっぱい食べた方が良いわよ?」
「は、はい・・・そうします」

苦い薬が得意な子供は滅多に居ない・・・キャロも、そのご多分に漏れぬ子供だったらしい
素直に頷く姿に、安堵の溜息を吐き出すティアナであった



医務室を出たエリオは真っ直ぐに食堂に向かう・・・つもりだったのだが、一度、先に自室に戻ることにした
ポケットの中でゴロゴロ邪魔だった缶ジュースを、備え付けの冷蔵庫に放り込んでおく
今、エリオ達フォワードメンバーが居室としている部屋は、本来、賓客向けの客室であり、平隊員風情に宛がわれることは有り得ないくらいの、備品も充実した良い部屋だ
変則コンビネーションの訓練期間中は、それぞれのパートナーと同居するように、という部隊長命令もあって、現在、エリオはスバルと昨日から共同生活を送っている

「・・・はぁ」

しかし、夜の事を考えると少しだけ気が重いエリオである
ティアナとは、互いの領分に線引き、というか。二人共に気遣い合う空気があったし、良い意味で“壁”が有ったと思う・・・同衾したりもしたが
しかし、スバルは違う。キャロと過ごしていた時もそうだったらしいが、とにかく弟分、妹分の世話がしたくて仕方がないらしい
同性であるキャロならばまだしも、10歳児とは言え異性である自分の前で、あまりにも無防備に振る舞われるのは・・・少々、困る。
内心、少しだけ嬉しかったり、いや、騎士たる者そんなことではいかん
しかし、今のままでは、シグナムが言っていた『戦技の訓練だけでは互いの呼吸を伺い知ることはできん』という言葉を粗略に扱うことになる

「・・・逃げ回ってばかりじゃ、意味が無いんだよね・・・」

本音を言えば、できればティアナと接した時のように少しずつ歩み寄って行ければ良いのだが、生憎3日間という短期の訓練期間である
せめて、真っ直ぐ向き合えるようにしようとエリオは決めて、少し晴れやかな表情で自室を後にした
向かう先は食堂・・・多分、スバルは今頃、空きっ腹を抱えてテーブルに突っ伏しているはずだ
先に食べていれば良さそうなものだが、『一人の食事って味気無いじゃない』というのが彼女の言い分である

「よし、急ごう」

253:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 00:58:52 o7Svkjs9
自分にそう呟いて、エリオは隊舎の廊下を早足で駆け抜けた



「遅ーい!!」

開口一番、スバルは涙目でそう訴えた
確かに、年頃の少女らしからぬ豪快且つ旺盛な食欲を誇る彼女でなくても、空きっ腹のまま湯気を立てる食事を前にして『待て』されるのは拷問と言えよう

「すみません。医務室に寄ってたら少し遅くなっちゃって」
「あ、キャロの具合、どうだった?」
「それほど悪くは無いみたいですけど・・・疲れが出たんでしょうか。しばらく安静にしておくって。今はティアさんが付いてくれてます」
「そっか・・・なら、ひとまずは安心、かな?」
「ですね。食事は、先に食べてなさいって言ってましたし」
「それじゃ、遠慮無く!」

食卓の上には、スバルが取り分けて来たらしい料理の山ができている。文字通りの“山”である
大皿の上にはサラダが山になっており、籠には長い堅焼きパンがそのまま立てられている。極めつけはテーブルの中央で湯気を立てるシチューの鍋
普通に考えて鍋ごと持って来るというのはありえないと思うのだが、夕食時には必ず二桁近い回数のおかわりに通い詰めるスバルの姿に、食堂のおばちゃんが鍋ごと持たせたのである
きっちり完食して返すあたりが何ともスバルらしいと言うか、それ故に許されている特権というか、良識ある人間がみたら唇の端をひくつかせるような食卓になっているのだが
スバルとエリオはぱちんと両手を合わせて食卓に向かいお辞儀をし、いただきますと唱和

そして、二人としては“平然”と、
しかし、周囲の認識としては“猛然”と、食卓に並んだ料理を平らげ始めた

「しかし、アレだね。エリオも随分様になったね」
「?・・・あぁ、シューティングアーツですか?まだまだですよ」
「そりゃそうだよ。私だってまだまだ修行中なんだから・・・でも、二日間の特訓でここまで伸びるって言うのはすごいよ。流石、男の子だね」
「あはは、ありがとうございます」
「最終日には、師匠らしく必殺技の一つでも伝授してあげたら良いんだけどねー」

スプーンを咥えたまま真剣に悩み始めるスバルに、エリオは首を傾げて見せた

254:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 00:59:23 o7Svkjs9
「必殺技、ですか・・・?」
「うん、必殺技。ここぞと言う時にガツーン!と行ける奴があるとカッコイイでしょ?」

何ともスバル先生らしい(?)言葉に、思わず、引き攣った笑みを浮かべてしまうエリオである

「でも、私のバスターは教えてあげるわけにはいかないし・・・」
「・・・名前だけの問題なんですか?」
「む、そんな事無いよ。でも、名前って言うのは大事なんだよ?」
「そうですか?」
「そうだよ!叫んだ時に気合の入る名前じゃないと!」

拳を握って、そう力説するスバルである。少々げんなりした表情を浮かべてしまうエリオだが・・・

「私のバスター・・・“ディバインバスター”は、元々なのはさんの砲撃魔法の名前。って、知ってるよね?」
「あ、はい」
「最初は単純に、なのはさんへの憧れから名前を借りたんだけどさ。教導を受けるようになって・・・本当は、“ディバインバスター”って名前はやめるつもりだったんだ」
「え?何でですか?」
「そんなの、恥ずかしかったからに決まってるじゃない。でもね、なのはさんが褒めてくれたし、認めてくれた・・・
勿論、なのはさんが使うバスターには何一つ適うわけないけど・・・いつか、きっと追い付ける様に、憧れをただの憧れにしない為に、今もバスターって言ってるんだよ」
「そう、だったんですか・・・」

にっこり笑うスバルの顔に、エリオは少しだけばつが悪い表情で頷いて見せた
スバルの発想を子供扱いしていたというか、あまり真剣に聞いていなかったのだが、彼女の言い分を聞くと、頷かざるを得なかったのだ
だが、そんなエリオにスバルは笑顔で詰め寄り、先程の提案を猛烈にお薦めした

「だからさ!エリオも何か作ろうよ、必殺技!カッコイイ騎士の必須条件だよきっと!」
「あ、あはは・・・考えて、みます。はい・・・」

どこかズレたスバルの提案に、引き攣った笑顔で応えるエリオであった

そんなこんなで、スバルの必殺技談義(?)を交えた賑やかな夕食も終わり、あとは部屋に戻って休むだけ。となった

255:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 00:59:54 o7Svkjs9
休むだけ。と、なったのだが・・・



「・・・あの、スバルさん」
「んふふふふふ、なーに?」

嗚呼、最早何処からツッコめば良いのだろうか?エリオの心中はそんな感じである

面倒なので取りあえずありったけを描写してしまえば、
二人は今、自室に戻るべく廊下を歩いている。客室の近辺を歩き回る職員は少なく、二人以外の人通りは見当たらない
そんな人気の無い廊下で、“にっこり”というよりも、“ニマニマ”という笑みを浮かべたスバルがエリオの頭の上に両腕と顎を乗せている
重い、というよりも、エリオ的関心事項はそこではなく、スバルが提げているビニール袋の中に入っているのがシャンプーハットにしか見えないし、
小さく腰を振ってリズムを取りながら口ずさんでいる「おっふろ♪おっふろ♪」というけしからん鼻歌が気になって仕方無い
傍目には微笑ましく、且つ、羨ましくも見える光景だが、スバルにくっつかれているエリオとしては嬉しさと困惑が3:7くらいである

振り解いてしまえば良さそうなものだが、『せめて、真っ直ぐ向き合えるようにしよう』と、夕食前に決めたばかりの身である
だが、しかし、エリオは不退転の決意を籠めて、はっきりと宣言した

「・・・お風呂は、一人で入りますからね」
「えぇっ!?折角秘密兵器まで用意したのに!?」
「・・・全然秘密になってないですよ。それ(シャンプーハット)・・・」
「これも師弟のスキンシップじゃない。駄目?」
「お気持ちだけいただきます。スキンシップならお風呂上がりに肩でも揉みましょうか?」
「お、嬉しい事言ってくれるじゃない。じゃ、そっちを楽しみにしてようっと」

赤毛にぐりぐり頬擦りまでされるのは少々恥ずかしいが、難局(?)を乗り切れたことと、申し出を喜んで貰えることは、エリオにとっても嬉しかった

「ヴァイス陸曹に変わったジュースも貰ってるんです。冷蔵庫に入れてありますから」
「じゃあ、風呂上がりは冷えたジュースで一杯やって、エリオのマッサージかぁ・・・贅沢だねー」
「贅沢、ですか?」

256:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 01:00:25 o7Svkjs9
「うん、贅沢だよ。これで一緒にお風呂に入れたら最高なんだけどなー・・・?」
「それは駄目ですってば」
「ちぇー」

ぶー垂れながらも嬉しそうなスバルと共に、エリオは自室に辿り着いた
取りあえずソファのどかっと腰掛けて、満腹のお腹をぽんぽん撫でながら今日の訓練の反省点をアレコレ話し合う
なのは達指導陣からのレポートを眺めれば、二人の連携に関しては概ね好感触。というところである
時々、やたら辛口な指摘があるのはヴィータだろうか?口は悪いが的外れではないので、これも貴重な意見だ

「・・・でも、ちょっとヘコんじゃうよね・・・」
「あはは・・・そうですね・・・」

珍しく、じっとりした表情のスバルに、乾いた笑みを返してしまうエリオであった

「ん、それじゃあ今日の反省会はおしまい。と」
「はい。じゃあスバルさん、お風呂、お先にどうぞ」

エリオの申し出を、スバルは笑顔で遮った

「ん、エリオが先で良いよ」
「そうですか?それじゃあお先に・・・って、スバルさん」
「ん?何?」
「・・・乱入しないでくださいね」
「しないしない。大丈夫。ゆっくり温まるんだよ」

そんな風に、着替えを片手に脱衣所に入るエリオを見送って、スバルはだらしない格好でソファに座り込んだまま、はぁ、と溜息を吐いた

「・・・ちょっと、やりすぎかな・・・?」

天井に向かって、そんな台詞を呟いてみる
エリオと変則コンビを組む期間は3日間。今日は2日目で、明日は最終日だ

257:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 01:00:55 o7Svkjs9
いつぞやの、エリオとキャロの幼少(今でも幼いと言うべき年齢だが)の頃の話を聞いて以来、スバルは何とか二人を甘えさせてやりたいと思うようになった
勿論、訓練中や任務中はそうも言っていられないが、こんな風にのんびり過ごしている時くらいは何かしてあげたいのだが・・・

「難しいお年頃、か・・・フェイトさんも大変だぁ」

苦笑と共に、長い金髪の美貌を思い浮かべる・・・優しくて、少し過保護な、毎日忙しいお母さん
彼女の代わりなど、おこがましいにも程があるが、エリオがティアナに相談したように、スバルもキャロから、

『甘えたい時ってどうすれば良いんでしょうか?』

などと相談された事があった
そんな弟分、妹分の為にも、少しやりすぎなくらいべたべたした接し方で、触れ合う事に慣れて欲しい・・・そんな理由が一応ある。あまりうまく進んでいないが

「・・・でも、ティアとエリオは随分打ち解けてたんだよねー」

少しだけ、そんな対抗心もあるようだ
日頃からツンケンしている相棒と、固く抱き合った寝姿という衝撃映像を目の当たりにした身としては、何があったのかは激しく気になる
それに・・・

何を思いだしたのか、ぽっ、とスバルの頬が赤く染まった。そんな彼女に、脱衣所から出てきたエリオが声を掛ける

「スバルさん、お待たせしました。お風呂どうぞ」
「へあっ?エリオ?もう上がったの?」
「え、そんなに早くもないと思うんですけど・・・?」

時計を見れば、エリオがシャワールームに消えてから、既に20分ほど経過していた
どうやら、思索に耽る余り時間を忘れていたらしい。生欠伸を噛み殺すフリをしながら、座ったまま背伸びをし、肩越しにエリオの方を振り返る

「あぁ、ごめんごめん。ちょっとウトウトしてたみたい」
「大丈夫ですか?お風呂で溺れないでくださいね?」
「ダイジョブだよ。あー、でも、もしあんまり出てこないようだったら、寝てたりするかも・・・?」

258:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 01:01:27 o7Svkjs9
少し悪戯っぽい上目遣いで見上げてやる
案の定、エリオは頬を赤く染めて、そうなった時に助けに入るべきかどうするべきかを考え込みはじめた

「あはは、ゴメンゴメン。寝たりしないよ」
「本当ですか・・・?」
「うん。だって、お風呂上がりに冷えたジュースとエリオの肩揉みを堪能しなきゃいけないからね」
「そんなに大した物でも無いですよ」
「そうかなぁ?まぁ、楽しみにしてることは確かだし。さて、それじゃ一っ風呂浴びてきますかぁ!」

そんな軽口と共に、スバルは着替えを片手に脱衣所に向かった
鼻歌交じりに汚れた訓練服をすぽぽーんと脱ぎ散らかし、踊るような足取りでシャワールームに入る・・・前に、脱衣所のドアを小さく開けて、
隙間から顔だけを覗かせたスバルは、驚いた顔でこちらを振り返ったエリオにこんな一言を投げ掛けた

「・・・乱入してもOKだよ?」
「しませんよっ!!」

入浴前に彼の少年が呟いた台詞とは真逆の言葉に、エリオは耳の裏まで真っ赤にして大喝を放つが、
スバルは予想通りの展開にけたけた笑いながらドアを閉め、今度こそシャワールームに入った

「ふんふふーん♪」

ざっと湯を浴び、少し調子の外れた鼻歌と共にスポンジを手に取り、ボディソープをたっぷり含ませて身体を丹念に擦ってゆく
ティアナが言うには『最近ちょっと汗臭いわよ』との事である。毎度毎度、汗だくになっている所為で自分ではあまりわからないのだが
汗や土埃で汚れた身体を一通り洗い終えると・・・何となく、傍らを見下ろすスバルである
先日まではキャロと一緒に入浴していて、彼女を洗ってやるのも日課だったが・・・

「うーん、やっぱりちょっと物足りないなぁ・・・」

そんな独り言を呟いてから、シャワーを被って肌に纏い付く泡を流す
1日分の汚れと疲れが石鹸の泡と一緒に流れてゆくようなこの感覚こそが、入浴の醍醐味だと彼女は豪語する

「・・・んー・・・はぁっ」

259:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 01:01:58 o7Svkjs9
うっとりとした溜息を吐きながら、小さく背伸び
続いてシャンプーを手に取ると、割と豪快な手付きで髪の毛をガシガシ洗う。頭を手早く洗い終えると水弾きの良い肌の上に残っていた水滴を掌で撫で落とし、
髪に含んだ水気もなるべく払って、湯気が立ち籠めるシャワールームを後にした
バスタオルで身体を拭き、下着を着け、少し着古した感じの漂う部屋着を身に付けると、髪の毛に残る湿り気をタオルで拭きながら脱衣所を出る

「ふー、良い湯だった」

つやつやした茹でたての頬を緩ませて、そんな言葉を呟くスバルである
彼女が出てきた事に気付いたエリオは、今までストレッチをしていたらしい。顔だけ上げて言葉を返す

「でも、少しだけ大浴場の湯船が恋しくなってきますね」
「そうだねー。一応、ちっちゃい湯船があるんだし、お湯張って入ろうかな・・・?」

一応、ここのシャワールームにも、狭いながらバスタブがある・・・そういう意味ではユニットバスと言った方が正確だろうか?
しかし、殆ど正方形の、エリオでも膝を折らなくては腰が下ろせないような大きさの湯船はあまり使う気にもなれず、専らシャワーしか使っていないのだけれど

「さーて、と。それじゃあ、風呂上がりのお楽しみターイム!」

大袈裟な口振りでテンションを上げるスバルには少しだけ困った笑みを浮かべながらも、エリオは立ち上がると冷蔵庫から良く冷えた缶ジュースを二本取り出した
逃避行中のヴァイスから貰った物で、正しくはジュースではなくその中身は酒なのだが・・・

「それじゃ、今日も一日お疲れ様って事で、カンパーイ!」
「あはは。かんぱーい!」

ぷしっ、とプルトップを開けて、缶を軽く打ち合わせるスバルとエリオである
唇を付け、一口呷ると・・・

「ん?何か変わった味だね。こんなジュースあったんだ」

未知の味わいに首を捻りながらも、笑顔を作るスバルである

260:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 01:02:28 o7Svkjs9
少し炭酸のキツいオレンジジュース・・・微かに苦味を感じるのは、柑橘の成分だろう・・・と彼女は考えたが、実際はアルコールである
そんな事実は露知らず、スバルとエリオはくぴくぴと缶を傾け・・・

「ぷはーっ、ん、結構美味しかったね」
「ですね。後でヴァイス陸曹にお礼を言っておかないと」
「うん。それじゃ、お楽しみタイム第二だーん!」

いぇーい!、と妙なテンションで盛り上がるスバルに、エリオは殉教者の様な笑みを浮かべていぇーい、と相の手を入れている

「デスクワークでちょっと肩が凝り気味だったから、えへへ、助かるなー」

ちなみに、本日の書類業務はものの30分も掛かっていないのだが

「それじゃあ、えっと・・・ソファじゃやりにくいよね。ベッドで良い?」
「そうですね。そっちでお願いします」
「りょーかい。んしょ、っと」

スバルはベッドの縁に腰掛け、彼女の背後でエリオは膝立ちになって両肩に掌を置いた
スバルは、両肩に感じる掌の感触が意外に堅く、大きい事に驚き、エリオは、掌で包んだ両肩が思い掛けず細い事に驚いていた

「エリオ、結構てのひら大きいんだね」
「そうでしょうか?誰かと比べたことが無いからわからないですけど。それじゃあ、始めますよ」
「うん、お願い」

湯上がりの為か、少しだけ汗を帯びたスバルの肩を触る感触にドキドキしながらも、エリオはそっと彼女の肩に乗せた掌に力を籠めた
掌と指先でゆっくりと力を入れて掴み、同じくゆっくりと力を緩めてゆく。鎖骨に沿うように左右に掌をスライドさせながら、じっくりと揉んでゆく

「・・・エリオ。もっとぎゅ~ってしてくれたら良いよ?」
「強く揉んでも肩凝りは解れないんです。ゆっくり、血行が良くなるように揉むのが一番だ、って教わりました」
「へぇ、誰が教えてくれたの?」
「アルフに習ったんです。折角教えて貰っても、肩揉みをしてあげる人があんまり居ないんですけどね」


261:小さな騎士・スバル番外編
08/12/09 01:03:00 o7Svkjs9
エリオとしては、恐らくは書類仕事でガチガチになっているであろうフェイトの為に覚えたようなものなのだが、生憎彼女は留守がちである
近日開催される予定の公開意見陳述会の絡みなのか、最近は特に帰りの遅い外出が多く、ゆっくり肩を揉んであげる暇もそうそう無いのであった

「えー、でもきもちいいよー?肩、ぽかぽかしてきたし」
「血行が良くなってる証拠ですね。少し強くしていきますよ」
「うん。ぎゅってして・・・く~っ・・・きく~っ・・・!」

ぎゅっと肩を揉み込まれて、静かに悶絶するスバルである
むず痒いような、こそばゆいような、そんな微妙な顔のままエリオのマッサージに身を任せていたが、不意に彼女はこんな事を尋ねた

「ね、エリオ。ティアにもこういうの、してあげた?」
「あ、いえ。ティアさんには・・・」
「ふーん・・・そうなんだ」

何だかぽかぽかと身体が温かくて、頭もふわふわしてきたような気がする
マッサージのお陰だろうか?と内心、そう思うが・・・実際の所は酔いが回ってきただけである。悪酔いでは無いのが救いだが

「でも、ティアとは随分仲良しになってたんだよねー。ねぇ、こっそり教えてよ。ティアと何かあったんでしょ?」
「な、何も無かったですよ」

赤面の理由は照れなのだろうか。アルコールなのだろうか?エリオはスバルの問い掛けに顔を真っ赤に染めて俯いた
そんな少年の様子が何とも怪しく、そして面白く、スバルは唇を尖らせながらも問い掛けを重ねる

「ホントにー?怪しいなぁ。何も無かった相手と、あのティアが一緒に寝てたなんて」
「あ、あれは、その・・・って、もうこの話はしないって約束したじゃないですか!」
「あ、そうだったね、ごめんごめん」

エリオは、少しむくれた顔でスバルの肩をぱんと叩き、肩揉みを終えようとしたが、それより数瞬早くスバルが口にした言葉に動きが凍り付いた

それは、“夢”だった。と、そう思っていた筈の ――


「でも、ティアと一緒にお風呂まで入ってたじゃない」


262:26-111
08/12/09 01:04:49 o7Svkjs9
・・・うん、酷いね。我ながら
続きは大体24時間後。IDが変わった頃に

それでは、スレ汚し失礼しました

263:名無しさん@ピンキー
08/12/09 01:32:57 19QZjj8z
>>242
GJ!
何だよあのガリューの死に方は…ち、ちくしょう、泣いてなんかいないんだからね!
強敵(とも)に自分の大切な主を託し、主の幸せをただひたすらに思い、散り逝く様はまさしく、漢(おとこ)だった
そしてガリューの影響を受けてストラーダ二刀流モードを装着し、ルーを守るエリオが浮かんでしまった

>>262
GJ!
どう考えても生殺しです。ほんとうに(ry
スバルはエリオとティアナが一緒に入って風呂入ってたこと知ってたのか(さすがにロストバージンと脱・童貞する一歩手前だったのは知らないっぽいけど)
エリオも現実だったと気付いたし、アルコールも二人とも程よく回ってるはず
ここで濃厚ないちゃラブを期待しない方がおかしい
ただ前回ティアナは小さな騎士様に淡い恋心を抱いてしまった様子
にも関わらず、二人がいちゃラブしたとなると…

264:名無しさん@ピンキー
08/12/09 06:48:26 763Hz33K
>>262
ヴォォォォォ生殺しぃッ!!
だが果てしなくGJ、続きを期待セザールを得ない

265:名無しさん@ピンキー
08/12/09 18:42:20 +FtMcsNF
ここではスカ+男のオリキャラに管理局敗北→女子凌辱な感じのはありなの?

266:名無しさん@ピンキー
08/12/09 19:23:00 K6coiPyU
>>265
カモオォ~ン!щ(゚Д゚щ)ハヤクコイコイ

267:名無しさん@ピンキー
08/12/09 19:31:33 FW6GlU25
>>265
愚問だな・・・ありに決まってるジャマイカ!!

268:名無しさん@ピンキー
08/12/09 19:56:25 GOHVT4iB
じゃあ俺は少女時代のフェイトちゃん陵辱モノでも書くぽ

269:名無しさん@ピンキー
08/12/09 20:19:15 BRRCjo67
>>265
だけど似たような奴なら見た事はあるんだけど、
逆って(ナンバーズ陵辱)全く見た事ないな~。


270:名無しさん@ピンキー
08/12/09 20:24:43 rh6DONzP
>>269
矯正施設で凌辱されるネタなら何度か見た気が

271:名無しさん@ピンキー
08/12/09 21:48:15 UiqI5Yo8
>>265
基本的に注意書きがあればなんでもいい

272:名無しさん@ピンキー
08/12/09 22:07:11 XQVaXuhU
>>269
こっちの方も心引かれるな。

273:名無しさん@ピンキー
08/12/09 22:17:12 VWYTl4ye
B・A氏
GJ!!
ガリューの死そして

>自分の中の弱い部分を知るからこそ、ひたむきな強さを持つことができる。
きっとこれからも、傷つき悩むだろう。彼の目指す騎士は大切なものを守るために、それ以外のものを切り捨てる覚悟が必要となる。
彼はまだその矛盾に気づいていない。そしてそれに気づいた時、彼は悔やみながらもその道を進むだろう。
何故なら、彼は既に選んでしまったのだから。ルーテシア・アルピーノの側にいるという誓いを、交わしてしまったのだから。
だから、彼はきっと何かに絶望する。何かを悔やみ、何かに怯えながら、みっともなく情けない醜態を晒し、
それでも自分で選んだ道を貫き通す。

の部分にものすごく眼を引かれました。
別次元ではあるが、まさしくルーテシアの騎士に繋がっているのではと感じられました。
あちらの次元においても初期の時のエリオはルーテシアとずっと共にいることを選んだが、そのために多くの人間を傷つけて自らも傷ついて
結果として守るべき人自身の心も傷つけることになった。
この世界のエリオも例えルーテシアと共に生き延びても(生き延びて貰わないと悲しすぎますが)きっと同じ道を辿ってしまうんだなあと深く感じました。
その上こちらのルーテシアは罪を重ねすぎた上に支えてくれる人もエリオ以外誰もいなくなった。
あちらでは一度自らエリオの元から去ったけど、こちらではエリオの為と考えても離れることは絶対できないと思います。
だからこそ、エリオはルーテシアと共にずっと歩む為に彼女の罪を裁こうとする人を切り伏せ、それでもルーテシアは彼に依存することしかできない。
だって今度エリオと離れることは自身の心が死ぬことを嫌でも理解してしまうだろうから。
こちらのエリオはルーテシアと結ばれて子供ができても家族を守るという己の正義の為に人を切り続けるのでしょうね。
その部分が今回の本編で描かれるかは分かりませんが、ここまで意味深な言葉を残せる氏に改めてGJ!!!

26-111氏
GJ!!
今晩の投下を全力前回でお待ちしてます。
絶倫っぽい天然スバルに襲われる(?)エリオは果てしなくエロそうです。
そしてティアキャロも乱入してと果てしない妄想が広がっていく…

274:名無しさん@ピンキー
08/12/09 23:55:23 4MLc4j3X
前のバレンタインの時みたいにクリスマス特番とかお正月ナンバーズとか期待シテル
職人様どうかよろしく

275:26-111
08/12/10 00:06:05 y76mWzfh
夜も更けて参りました
昨日投下した「小さな騎士・スバル番外編」の続きを投下させていただきたく

>>261からの続きになります
・ようやくエロ展開に入ります
・使用レス数14レス

書いてる途中でいつもの病気が出ました
果たして、これはエロパロとして、エロいのかどうか・・・

では、投下を開始します

276:小さな騎士・スバル番外編
08/12/10 00:06:37 y76mWzfh
それを口にしてしまってから、アレ?と内心で首を傾げるスバルである。ポロッと喋ってしまったが・・・まぁ、良いか
ふわふわする頭の中でそう結論付けたが、エリオの方は彼女ほど平静でいられない。いられる筈がない

「え?な、何を言って・・・スバルさん?そんな事、してませんよ」
「んー?見間違いなんかじゃ無かったよ。エリオ、ティアと一緒にお風呂に入ってたじゃない。
ティアがオプティック・ハイドで隠したからツッコまなかったけど。ほら、シャンプーとリンスを借りに行った時があったでしょ?憶えてないの?」

いや、憶えている・・・そんな夢を見た筈だったことは、はっきりと憶えている
一瞬で酔いが醒めたエリオは、顔を青ざめさせたまま、とある一つの可能性に思い至る

『妙にリアルな夢だったと思っていたけど・・・アレは、まさか、本当に夢じゃなかった・・・?』

そもそも、何であの夜のことが夢だったと?
翌朝に目覚めて、何事も無かった様な顔のティアナに、そう言われたからだ。「夢でも見たの?」と
確かな証拠は何も無いし、あまりにも現実離れしていたので、“夢”という言葉をそのまま信じていたが・・・

「エリオかわいそー。ティアが隠したいのもわかるけど、エリオにまで隠さなくても良いのにねー」
「・・・そんな、じゃあ、あの時、スバルさんは・・・僕が、“見えて”いたんですか・・・?」

顔面蒼白になって、震える声でそう尋ねてくるエリオに、スバルは肩越しに顔を向けてにへっと笑う

「うん、私の目はちょっと特別だからね。あ、一目で気付いたわけじゃ無かったよ?リンスも貸してって入り直した時にようやく。ティアの演技もそんなに上手じゃなかったし」

普段ならば、スバルの言葉に小さな違和感を感じたかも知れないが、生憎今はそれどころではない
真っ青になっていた顔が、見られていた、という事実を思い知って一気に赤くなる。単に裸を見られたというだけでも相当に恥ずかしく思うだろうが、あの時は・・・

「でも、まさかエリオが赤ちゃんみたいにティアのおっぱ「ぅわーっ!!ス、スバルさん!!お願いですからもう勘弁してください!!」

エリオに涙目で制止を訴えられて、スバルは魔物の様にうひひひひひひひひひと笑う

「どーしよっかなー?」

277:小さな騎士・スバル番外編
08/12/10 00:07:08 y76mWzfh
わざとらしく、下唇に人差し指を当てた格好で空とぼけるスバル@酔っぱらいに、エリオは土下座でもしそうな勢いである
そんな少年をチラッと見やり、

「・・・秘密にしてて欲しい?」
「は、はい・・・」

赤かった顔を今度は青くして、ベッドの上に正座したエリオはがくがく頷く・・・だが、彼のそんな必死さとは裏腹に、スバルはいともあっさり頷いた

「うん、良いよ」
「へっ?ほ、本当ですか!?」
「うん。だから、ちょっとだけ質問に答えて欲しいな」
「な、何ですか?」

きっとロクでもない質問だろう。エリオは内心で決めて掛かり、腹を括る

「先に手を出したのはどっち?」

予想通りと言えば予想通りだったのだが、ぼんっ、という音が聞こえそうなくらい、一瞬でエリオの顔は真っ赤になった
真っ赤になりながらも、エリオは消え入りそうな口調でぼそぼそと応える。夢だったと思っていた、あの夜の出来事。確か、発端は・・・

「・・・あ、あの時、は・・・ティアさんが、お風呂に・・・その、入ってきて・・・」
「え?エリオがティアのシャワーシーンに乱入したんじゃなくて?」
「し、しませんよそんなこと!!」
「ふーん、それじゃあ、次の質問」
「まだあるんですか!?」

最早涙声を通り越して悲鳴に近いエリオの訴えにはこれっぽっちも耳を貸さず、スバルは酔っぱらいなりに表情を引き締め、実に真面目な口調で尋ねた

「気持ち良かった?」
「スバルさんお願いですからもう許してください」
「え?ティアじゃ気持ち良くなかったの?」
「何でそうなるんですか!?」

278:小さな騎士・スバル番外編
08/12/10 00:07:39 y76mWzfh
どう考えても遊ばれているような気がするエリオだが、このままスバルを放置しておくわけにはいかない
何せ酔っぱらい(双方共、無自覚だが)である。下手をすれば隣の部屋に乱入して真偽の程を確認しかねない
頭に血が上ったり顔から血の気が引いたりを繰り返している所為か、何だか頭がクラクラしてきたような気さえする

だから、スバルが身体を捻ってこちらを振り返り、チェシャ猫の様な笑みを浮かべて飛び掛かってきた瞬間、咄嗟に反応することができなかった

「うりゃ♪」
「うわぁっ!?ス、ス、ス、ス、スバルさん!?」

いきなり抱き付かれて慌てふためくエリオだが、スバルは意にも介さずそのままベッドに押し倒した
抱き締めた格好のまま、スバルは甘えるようにエリオの胸元に頬を押し付ける

「スバルさん、く、苦しいですよ。離して、くださいっ!」

と、そんな苦情はこれぽっちも頭に入らないらしく、とろりと潤んだ酔眼を嬉しそうに細めて、スバルはエリオの胸に頬を擦り付けるのであった
エリオはこの柔らかくも温かい拘束から抜け出そうと必死の努力を試みるが、膂力と体格で勝る相手に組み敷かれた状態での抵抗が如何に無意味かを思い知っただけに終わる
一頻り足掻いた挙げ句、息を切らしたエリオを面白そうに眺めていたスバルは、荒い息遣いに合わせて上下する胸板にぺったり頬を乗せ、
少し上目遣い気味にクッション代わりにしている少年をじっと見上げた

「・・・ねぇ、エリオ」
「ぜぇ、はぁ、な、何ですか?」
「私にくっつかれるの、そんなに嫌?ティアの裸にはあんなにがっついてたのに」

うっ、と言葉に詰まるエリオである
嫌、というよりも単に恥ずかしいだけなのだが、ティアナとの情事(?)を引き合いに出されると、返答に困る
雄の本能として、スバルの抱擁を心地良く思っていることは確かだし、シャツの襟ぐりから少しだけ覗く、押し潰された膨らみには何故だか目が離せない
だが、それら全てをを引っくるめても、流石に羞恥が勝る。まして、ティアナに“甘えて”いた姿を見られていた事を知らされたばかりでは尚更だ

「そ、それは・・・」

なるべく、スバルを傷付けない拒絶の言葉を探して口にしようとするエリオだが、生憎、そんな気の利いた言葉はすぐには出てこない

279:小さな騎士・スバル番外編
08/12/10 00:08:10 y76mWzfh
困惑顔で固まるエリオに、スバルはどこか悪巧みの匂いがする笑みを唇に浮かべ、少しだけ唇を尖らせながらこんな風に言った

「あーあ、私もティアくらいエリオと仲良くなりたいんだけどなー」
「な、仲良く、って・・・」

その言葉に、微かな怯えと期待が混じったのを、スバルは聞き逃さない
そして、胸の下に敷いているエリオの腰元で、固い感触が押し潰された乳房を僅かに押し上げている事も

「・・・ドキドキしちゃった?」

わざとらしく驚いた顔を作って自分の胸元を見下ろし、ズボンの中で徐々に固く勃ち上がりつつあるナニかを確かめて、スバルは意地悪な笑みのままエリオにそう尋ねた
だが、エリオの方は既にドキドキで済んでいるレベルではない
期待と興奮と、怯えと羞恥の所為で、思考回路は既に機能していない。消え入りたいほど恥ずかしいのに、スバルの媚態に期待と興奮を隠せない
結局、ベッドに組み敷かれている格好の彼ができた事はと言えば、真っ赤に染まった顔を僅かでも伏せるように、真横に向けたことだけだ

「あはっ、エリオ可愛い・・・そういう所、何だかティアみたいだよ?」
「~ッ!?」

スバルの華やいだ声に、頬が熱くなる。心臓が早鐘を打つ。「やめてください」と一喝すれば良い筈なのに、口の中は喉の奥までカラカラで声が出ない

「それじゃあ、エリオ・・・」

エリオの身体を抱き締めたまま、背伸びをするような格好でスバルが顔を寄せてくる。もぞもぞと、身体の上を這ってくる心地よい柔らかさと、

「・・・“仲良く”、しよう?いっぱい、ね?」

悪戯っぽく笑う、蠱惑的な眼差しに魂を奪われたエリオは、真っ赤に染まった頬を真横に向けたまま、諦めたように瞼を伏せて、そして小さく頷いた

「・・・はい・・・」

微かな声音は、小さかったがはっきりと二人きりの部屋に響き渡り、二人の唇はそっと触れ合い、しかし深く、重ね合わされた・・・





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