■ 巨乳小学生をテーマにしたエロパロ その三 ■at EROPARO
■ 巨乳小学生をテーマにしたエロパロ その三 ■ - 暇つぶし2ch248:とにかくキャッチ 過去と今と 前編 ◆q5tFVKFOs2
09/01/07 23:35:14 +GCshh/t
そして私は…やっと理奈に言えるのか……本当の気持ちを。自分でも真顔に戻ったとわかる位に真剣な表情になりそう言い切る。いつか言いたかった事を
「もう一つの秘密ね。これは私の本心からなんだけど…ずっと私は理奈や理奈のお父さんのお母さんになりたかったの…ずっと一緒に理奈といたかったんだ」
とはっきり理奈に告げる…理奈のお母さんは今どうしてるか分からない…けど父娘の二人だけって境遇を見ていて私が理奈たちのお母さんになれたら…
だからちっちゃい頃から家の仕事や料理を学んで、いろいろ料理を作ってもってたり、時には理奈の家にお泊まりして辛い事とか言いあったりしてた。
決して私は家族と仲が悪いわけじゃないし、十分両親には感謝してるけど、それでも可能な限り理奈といつもくっついて行動したりしてたんだ。

そんな真顔で今まで言い出せなかったことを私は言い終えると少しだけ理奈は涙ぐんだように私に対して
「そうだったんだ優子……そんなに私とお父さんの事思っててくれているんだね…ありがとう…私達家族に気を使ってくれるのは凄くうれしい
でも今は恋人として翔が一番だから…これからは少しだけ遠慮してほしいな、もちろん友達を止める気はないしこれからも学校で一緒に付き合うよ。
それとね翔って私のおっぱい吸うの好きだから…私は優子が今まで尽くしてくれたお礼として現状だと私はこれ位の事しか出来ないけど
翔が私に対してしたみたいに優子に尽くせるから…こんな風に…」

と理奈はいきなり私の胸を掴み、右おっぱいの乳首を乳輪ごと吸い始める。
「あぁっ理奈ぁ♪激しいよぉ…そんな事ぉ…いつも土生からこんな風におっぱい吸われてるの?」
少し喘ぎながらも質問するが理奈は答えず、一心不乱に乳首を口いっぱいに含んで吸いたくる。

右乳首を吸われるたび、私の乳首も加速度的に大きくなるが理奈は容赦せずひたすら母乳でも飲むように丹念に私の乳首を吸い
フリーな左胸はひたすら理奈の指が捏ねまわして…時にはハードに乳首を愛撫してくれる
すっかり両乳首ともHに勃起し、実を言えば乙女の果肉も蜜を流して溶けるように綻んでたけど、あえて私は理奈におっぱいを弄られるだけでそれ以上の事を求めなかった。
今胸を愛撫されるだけで理奈に対して疑似的に母乳を与えている気分になり、かつ胸の愛撫だけで満足だったからだ。

理奈もどこか子供に戻った感じで私の胸を沢山吸い、満ち足りた笑顔を浮かべていた。
「あはむぅ♪優子のおっぱい甘い…翔も私のおっぱいでこんな風に…」
少し土生と比べられている感があるのだけは引っかかるが理奈が喜んでいるんだったら…そんな授乳プレイを二人仲良く行うのだった。

249:とにかくキャッチ 過去と今と 前編 ◆q5tFVKFOs2
09/01/07 23:36:57 +GCshh/t
ACT7
その後二人で普通に体の洗いっこなどを終え二人仲良くお風呂からあがる。
私も理奈も湯上りでおっぱいが服によく密着しHな格好だ。

そろそろ土生が帰っているだろうと思い台所に足を運んでみると。
「ただいまラリナ。ラリナ・石引お茶買ってきたから飲もうぜ。何かの参考になるかもしれないからリリアムの話とかも聞きたいしな」
土生がコップにお茶を汲んで待っていてくれた。

「おかえりー翔! 優子がお使い頼んじゃって…でもいろいろと女の子同士久々に積もる話ができてうれしかった!」
理奈はわかりやすく土生にお礼と意思表示をしながら、私に対して。
「それと優子強豪としてのリリアムってどんな感じ? ソフトボールの事はよく分からないけどリリアムが物凄く強いチームサークルだって言うのは知ってるしどんな練習メニューとかしてるの?」
とリリアムの練習などを聞いてくる。

私は結構頃合いだと思い話し始めるのだった。
もちろん口で話せる範囲でだが…
「後で光陵の事とか教えてね❤でもまあまずリリアムから話すよ。まず練習は基本体力や守備打撃。実戦形式の練習メニューとかあってハードだけど
やればやるほど力がつくって言うのも実感できるよ。それと少し話したけど久美やキャプテン神楽坂沙織とかメンバーの出会いとかも話しちゃおうかな?」   
私はリリアムでの出来事を話し始める              後編に続く

250:名無しさんX ◆q5tFVKFOs2
09/01/07 23:46:46 +GCshh/t
投下終了です。

あんまり筆が進まない上前後篇に分けてすいませんでしたが
一言感想頂けたら嬉しいです。

それと作家方にご連絡

SDS ◆cStOEcFYHc様 へ
以前鷲沢奈津嬢の使用許可を与えてくれてありがとうございます。
とりあえずリスキー・ゲーム5とかの話もあるのですが、リリアム副キャプテンで使用する算段です。

また特に3サイズを決める予定とかなければこちらで奈津嬢の3サイズとか設定したいのですが構いませんでしょうか?
勿論大まか決めているのでしたらこの提案は無視してかまいません。

暴走ボート ◆z95s/qs7OM さんへ
檜舞台のストレート投下お疲れ様でした。
思いっきりラリナ×優子をやっちゃいましたが、これ以降は普通に友情としてって感じになります。

では失礼します、後半は少し遅くなるかもしれません。

251:暴走ボート ◆z95s/qs7OM
09/01/08 01:23:02 dqSGaCs5
お疲れです。
やっぱりこういうのがあってこそエロパロ、と思いますね。
理奈がそういう風に使われるのが微妙に何ともいえませんが、
今後普通の関係、とするのならまあ別に気にすることでもないか。

ただ、いくつか設定が間違ってる気がします。
キャラを使ってもらっている身分で申し訳ないですが、
やっぱりズレが大きくなるのはまずいので一応頭に入れていただければ。

>ラリナ
土生はラリナとは呼びません。普通に理奈と呼んでます。監督も理奈と呼んでます。
ちなみに橡浦は姉御、山下はラリナ姉さんと呼んでます。
他の連中はラリナと呼んでいます。
ナレーションでも理奈で通してますが、みなさんは愛称の方を親んでおられるので
ラリナが完全に定着したみたいで、それはそれで嬉しい限り。

>光陵のエース土生翔平
これは野球の豆知識ですね。
エースとはチーム最強のピッチャーを指します。故に土生はエースではないですね。
キャプテンとか、4番とか(実際は3番ですが4番はチーム最強バッター、の意味があるので)がいいかも。

>最近は打撃に関しても凄い当てるようになったし
こっちの小説で、ラリナの打撃は箸にも棒にもかからない、凄まじく酷いものとなってます。
こちらの設定上、ウィークポイントを作った方がなじめるので;
…いや、「すごい当てるようになった」ってのはあくまで「当てただけ」と考えればいいのか(ぇ
以前は空振りばかりだったのが少しだけファールが打てるようになった…うん、そう考えるか(ぇ
余談ですが、土生のピッチングも凄まじくひどいですw


…やっぱりクレームばかりですね。すみません。
家にまでは行ってくるのだから、こっちも優子を使った方がいいですね。(許可をもらえればの話ですが)

252:名無しさんX ◆q5tFVKFOs2
09/01/08 16:42:00 19wxeA4N
暴走ボート◆z95s/qs7OMさんご感想ありがとうございます。
爆乳美少女小学生の絡みは書いてて私も楽しかったです、勿論これ以降はそういう直接なレズ展開にはしませんのでご安心を

それといろいろと間違っていて申し訳ありませんでした
>ラリナ
すいませんでした。みんなラリナ言っているので土生少年ともごっちゃになってました。

>光陵のエース土生翔平
これもすいません。野球だったらエースはラリナ嬢で土生少年はキャプテンまたはリーダーか4番というのが妥当でした。

>最近は打撃に関しても凄い当てるようになったし
これも勘違いでした…土生少年の指導で一塁打とか結構打てるようになったと思い違いをしてました。

いえいえ正直に言っていただけたらこちらもすぐに訂正とか出来ますし…こちらこそいろいろ勘違いしていてすいませんでした。
勿論優子に関しては暴走ボートさんの好きにつかってくれれば嬉しいですし話に支障が出なければ沙織・久美とかも使ってください!
では失礼いたしました。

253:名無しさん@ピンキー
09/01/09 10:45:33 m295P4Xo
前スレの後半辺りまるごと見落としてて気がついたらすでに落ちていました。
だれかdatあげてもらえませんか?

254:名無しさん@ピンキー
09/01/09 19:02:04 vrsrD1IJ
URLリンク(uproda.2ch-library.com)
多分これだと思う

255:GBH ◆GudqKUm.ok
09/01/09 22:00:30 jcMAcKep
投下開始

256:『ンディラのいた夏』前編
09/01/09 22:02:27 jcMAcKep
久しぶりの登校日、学校から帰ると玄関に見慣れない靴が並んでいた。女物の、やたらデカいのが二足。
イヤな予感に襲われながら居間に入ると、おばあちゃんが二人の女性を前に目を白黒させている。
一人は最近離婚して、一人娘とこちらに帰ってきた環叔母さん。今はデザイン事務所の女社長らしい。地味なスーツ姿だが相変わらず抜群のプロポーションだ。

「…お帰りなさい洋ちゃん、久しぶりね。」

元モデルの叔母さんの横で、所在なげに座っているもう一人の女性を見て僕は息を呑んだ。黒人の…女の子だった。

「この子はンディラよ。洋ちゃんと同い年。」

パニック状態のおばあちゃんの代わりに、僕が環叔母さんの話を聞く羽目になった。
早い話が、自分が出張の間、この黒人の女の子『ンディラ』を預かってほしい、というあいからず叔母さんらしい藪から棒の頼みだった。

…アフリカのヌワザという貧しい小国生まれのンディラは、偶然あるカメラマンにその美しい容姿を見出されてつい去年、僅か十歳で家族のもとを離れてモデルの道を歩み始めた。
紆余曲折はあれどヨーロッパでかなりの評価を受けた彼女は、次に遥か極東での仕事の為はるばる来日を果たしたのだが、この不景気でンディラを招いた小さな広告代理店があっけなく倒産、
突然慣れぬ異国でたらい回し…というのが、十一歳にしてまあ波乱万丈なンディラの境遇だった。



257:『ンディラのいた夏』前編
09/01/09 22:04:24 jcMAcKep
そしてお鉢が回ったのがンディラと少し面識があった上、業界では新参若輩の環叔母さんという次第。
たしかにどちらも気の毒だが、寝耳に水のおばあちゃんや僕はもっと気の毒だ。

「…で、何とか帰国させる段取りをつけたら、今度のクーデター騒ぎで足止めなのよ…」

『アフリカのヌワザ共和国、革命軍により空港封鎖』
…そういえば、朝のニュースで聞いたような気がする。政情不安による紛争が絶えない国らしい。
ちらちらと横目で窺うと当の本人、長い脚を崩さず正座を続けるンディラはたしかにモデルとしてスカウトされただけあって綺麗な子だった。
小さな顔は彫りが深くどことなく神秘的で、複雑に編み込んだ黒髪を長い首から姿勢の良い背中まで垂らしている、そしてその体はすらりとしつつも、同級生の女の子とは比べものにならない女性の起伏をしっかりと備えていた。

「…と、とにかく母さん達が帰って来なきゃ…」

俯いて答えた僕に、環叔母さんが縋るように言う。

「お願い洋ちゃん!! 急な出張なの。戻ったらすぐ迎えに来るから!!」

なすすべも無く顔を伏せてもごもご呟いていると、はじめてンディラが僕の顔をひたと見つめて言葉を発した。




258:『ンディラのいた夏』前編
09/01/09 22:05:48 jcMAcKep
「(-_-)×(@_@)〇」

思ったより高く、よく通る澄んだ声。

「へ!?」

でも環叔母さんは彼女の言葉を翻訳してくれず、そればかりか僕がキョトンとンディラを見つめた隙をついて、素早く腰を浮かせて居間から玄関へ逃げ去った。

「ち、ちょっと叔母さん!!」

必死に追いかけたが、環叔母さんは手回し良く呼んでいたタクシーに飛び乗り、窓を開けて僕に叫ぶ。

「…あ、洋ちゃん、今のはね、ヌワザ語で、『ちゃんと人を見ないで話す者は、死んだら悪霊の手下になる』って。」

…なんだよ、それ。

遠ざかるタクシーを呆然と見送り、肩を落として振り返るとンディラが立っていた。彼女の途方もなく巨大なおっぱいと、キュッと締まった腰回りにまた視線が泳ぐ。

…まあ、環叔母さんの無茶は今に始まったことじゃない。そういえば僕と同い年の叔母さんの娘も小さな頃から母親と同じ、モデルの道を歩んでいた。
こちらの学校に通い、今は林間学校に行っているらしいが、きっととんでもない女になっているに違いない…

「(・_・ヾ」

『よろしく』といったところだろうか、ンディラは短い言葉を発して僕を見つめ、僕はこわばった笑顔で必死に彼女を見返した。



259:『ンディラのいた夏』前編
09/01/09 22:07:43 jcMAcKep
そして気まずく沈黙しつつ、僕とンディラは居間で両親の帰りを待った。おばあちゃんは近所の知り合いの所へ逃亡したようだ。
叔母さんは、彼女は片言のフランス語が話せるから安心だ、などと勝手なことを言っていたが、僕は日本語でも、クラスの女子とすら会話できないのだ…
姿勢よく座布団を暖めているンディラの顔をチラリと盗み見ると、彼女の視線は、テレビに繋ぎっぱなしだったゲーム『太鼓の名人』の太鼓型コントローラーに向いている。

そうだ、こんなときはゲームだ。別に話せなくても、お母さんが帰ってくる位までは間が持つ…

カラカラの喉を絞って、恐る恐るンディラに声を掛けた。

「…ゲ、ゲーム、する?」

再び彼女の大きな瞳が僕を見た。怯えきった僕の顔が映る程の、澄んだ大きな瞳。

「…た、太鼓。ゲ、ゲーム。」

逃げるように這って、テレビとハードの電源を入れる。デモ画面ももどかしく、僕はバチを握り締めた。

「…でね、狸の顔がここへ来たらドン、子狸ならカッ、難易度は…」

ひたすら画面だけを見つめ、日本語でまくし立てる。これをフランス語で初対面の黒人の女の子に説明出来る奴がいたら僕はそいつの奴隷になってもいい…



260:『ンディラのいた夏』前編
09/01/09 22:10:22 jcMAcKep
「…と、とりあえず僕がやるからね。曲は『リッター×リッター』劇場版主題歌…」

すぐ背後に陣取った、ンディラの静かな息遣いとエキゾチックな香りにキュッと胸が締まる。
とりあえず難易度を『神』まで上げて、流れる狸に意識を集中した。
無意味に緊迫した空気のなか、ようやくイントロが流れ出す。

ドン!! ドドン!!! ドン!! ドドン!!!…

僕はこのゲームにはかなり自信がある。通っている附属小、いや市内の小学校全ての中でも恐らく僕の右に出るものはいない筈だ。しかし、クラスにそれを知るものは誰もいない。僕にはゲームセンターで他人の視線を浴びながらプレイする勇気すらないのだ…
時々、いじめっ子の藤田なんかが、失笑モノの得点で周りに騒がれているのを見ると少し悔しいが、実力を誇示してまたいじめられる原因を作るのもイヤだった。

…ドン!! ドン!! ドン!!

曲が終わり、ちょっと悦に入って振り向くと、なんとンディラの目に賞賛と興奮の色が溢れていた。

「ヾ(≧∇≦*)ゝ」

可愛い笑顔だった。
僕は味わったことのない感情に戸惑い、むやみに頭を掻いて、サッとンディラにバチを渡した。

「…や、やってみる? 同じ曲がいいよね…」




261:『ンディラのいた夏』前編
09/01/09 22:12:08 jcMAcKep
バチを握った彼女は、再び凜とした表情になると、小刻みに頷いてリズムを取りながら、イントロに合わせてバチを振るい始めた。タンクトップの胸がゆさゆさと揺れる。
ドン、ドドン…



「ひ、洋!! その人…」

いつの間にか帰っていた母さんの悲鳴で我に帰ったとき、ンディラはぶっ通しでの十八曲目をプレイ中だった。しかも初めてとは思えない凄い腕前だ。
コーヒー色の額に汗をうっすらと浮かべ、恍惚と完璧なビートを刻み続ける彼女は神々しくさえあったが、帰宅していきなりその姿を目撃した母さんが腰を抜かすのは無理もない。
環叔母さんのこと、ンディラのこと、ここまでの事情を話すと母さんは酷い小姑を持った泣き言を、また一通りぶちまけた。

「…なんで早川の血筋は無責任な人ばっかりなのよ…」

突如脱サラして小説を書くと言い出した父さんといい、確かにうちの血統は無鉄砲な者と内向的な者の差が激しい。もちろん僕は後者の代表格みたいなものだが…

「…じゃ、引き受けたのあんたなんだから、ええと、ンディラちゃんの世話は全部あんたの仕事だからね!!」

ぎこちないお辞儀をするンディラに愛想笑いを返しながら、母さんは僕にそういい放った。



262:『ンディラのいた夏』前編
09/01/09 22:13:55 jcMAcKep
彼女は別に好き嫌いもなく、母さんが恐る恐る出した夕食を全部食べた。
気を良くした父さんは無謀にもフランス語で彼女と会話しようとしたが、無惨な失態を家族に晒した挙げ句、すごすごと書斎へ撤退して行った。

「…やっぱり子供同士だねぇ…」

おばあちゃんの言う通り、ふと気付くと別に言葉は要らなかった。類は友を呼ぶ、というやつだろうか…

「ヒロシ。タイコ!!」


食事を終え、再び二人でバチを奪いあうように『太鼓の名人』に没頭したが、あまりに威勢のいい彼女の叩きっぷりに、夜になるとさすがに母さんが辟易して言った。

「…洋!! もう遅いから、ンディラちゃんお風呂に入れて寝なさい!! お布団あんたの部屋に入れとくから!!」

母さんの言葉に僕はだしぬけに現実へ戻る。少しマズいのではないだろうか。『男女七歳にして…』と言う格言もある。
しかし、いそいそと来客用の寝具を用意する母さんの顔には、そういうデリケートな心配は微塵も浮かんでいなかった。
内気な僕が女の子とどうこう…などと考えも及ばないのだろう。



263:『ンディラのいた夏』前編
09/01/09 22:15:39 jcMAcKep
「…ええとね、ここは服を脱ぐとこ。あ、着替えある?」

短い間にジェスチャーの力を実感した僕は、ンディラを浴室に案内し、身振り手振りでお風呂の使い方を説明した。タイルにしゃがみこんでタッチパネルをいじる。

「こっちがシャワー温度で、給湯温度がこれ。今は四十度。判るよね?」

…まあ、彼女も昨日密林から出て来た訳じゃない。ゲームも操作出来るんだから…

そう考えながら振り返ると、僕の目の前にンディラの密林があった。
クラクラしながら見上げると、なんの躊躇もなくンディラは艶やかな黒い裸身を晒し、僕を見下ろしていた。僕の脱衣所での身振りを、きっちり実行したらしい…
そして彼女はまだ入浴設備の説明を待っているらしく、小首を傾げてじっと僕を見ている。バクバクと響き渡るような自分の心音のなか、僕の口は勝手にお風呂の説明を続けていた。

「こ、これが鏡で、顔が映る。それから、この桶は湯が汲めるし…」

ヌワザの文化では彼女はまだ裸体を恥じる年齢ではないのかも知れない。僕さえ騒がなければ問題なしと思うと、ようやくパニックと動悸は収まり、変わって激しい興奮と欲望がむくむくと頭をもたげてきた。



264:『ンディラのいた夏』前編
09/01/09 22:17:25 jcMAcKep
『ちゃんと人を見ないで話す者は、死んだら悪霊の手下になる』

そうだよな。
その言葉を心の楯に、僕はンディラの裸を存分に鑑賞しながら説明を続ける。
きめ細かなチョコレート色の肌。細身なのに力強く張りつめた長い手足。唯一無防備な柔らかさを湛える二つの雄大な乳房はツンと吊り上げたように重みに抗って上を向いている。
まるで奇跡を目撃したように、身動きできなかった。…本当のところ、僅かでも股間に刺激を与えるのがヤバかったのもあるが。
しかし僕がいままでの人生で、多分一番綺麗なものを見て感動したのは真実だった。


「…だ、大体わかったよね?」

やがて入浴剤の効能についてまで説明を終えてしまった僕は、後ろ髪を引かれつつ浴室を出た。
扉を閉める最後の瞬間に名残惜しく振り返ると、ンディラの形よく締まった褐色のお尻が大きくバスタブを跨ぐのが見えて、その瞬間、僕の下半身は限界を迎えた。

「う!!」

…股間を押さえてぶるぶる痙攣する僕の耳に、ガラスの扉越しの鼻歌と、シャワーの水音が聞こえる。…幸い脱衣所だ。替えのトランクスは沢山あった…





265:『ンディラのいた夏』前編
09/01/09 22:19:39 jcMAcKep
…慌ただしい一日に疲れたのだろう、僕が風呂から上がるとンディラはもう二階の僕の部屋で床に就いていた。
屈託のない彼女の様子に、ちょっぴり罪悪感が込み上げたが、ンディラが枕元に並べた明日の着替えや目覚まし時計を見ると、残り少ない夏休みがふいに眩しく輝きだすのを感じた。明日は何をしようか…
ざっくりした白い部屋着で横たわった彼女は、もっと白い歯を見せて微笑み、「ヒロシ、タイコ。」と囁いてから、タオルケットに潜り込む。

「…うん、また明日ね。」

僕は答えて明かりを落とした。そして目を閉じると、低く静かなンディラの歌声が聞こえてきた。

…ああ、子守歌だ…

緩やかで優しい声音に耳を傾け、恍惚と眠りの縁を漂っていると、やがて単調な調べはときおり、押し殺した嗚咽で悲しげに途切れ始めた。
…動乱の祖国ははるか遠く、彼女はまだ僕と同い年なのだ。涙の理由など問うまでもない…。
僕は慌てて飛び起き、彼女をそっと抱き起こし尋ねる。

「大丈夫!? やっぱり、心細いよね…」

僕に凭れ身を起こしたンディラは異国の月を濡れた瞳で眺めながら、子守歌の続きのように小さな声で囁いた。

「…ンディラ、ジラ、ナジャ、ハイダ、ナアダ…」

指折り数え、最後に赤ちゃんを抱きかかえる仕草。ンディラは故郷の兄弟姉妹を案じているのだ。

「…五人兄弟だね…」

僕は五本の指を立て、人差し指でンディラの鼻をちょんとつついた。
涙を拭いた彼女は頷くと、月明かりの中で言葉もなく僕に語り続ける。
干魃、空腹、銃を抱えた兵士、…あらゆる身振りが、まるで紙芝居のように理解できた。不安、恐怖、そして彼女の憤りと悲しみの全てが。
…気がつくと臆病なはずの僕はしっかりとンディラの肩を抱きしめ、やがて彼女が静かな寝息をたてはじめるまで、でたらめな子守歌を歌い続けていた。


後編に続く



266:GBH ◆GudqKUm.ok
09/01/09 22:21:16 jcMAcKep
投下終了

267:名無しさん@ピンキー
09/01/09 22:24:58 PS9VVJOP
リアルタイム投下遭遇、GBHさん今回もGJ!!!
そうかー、こういうのもありか、ありなのか……!
顔文字フランス語かわええw
続きwktk

268:暴走ボート ◆z95s/qs7OM
09/01/09 22:54:52 bxc8KO+3
GJです。
普段は顔文字を忌み嫌う俺ですが、この使い方は非常に感銘を受けました。

…その国自体は実在するんだろうか(そこかい
俺も続きを書かないと。

269:名無しさん@ピンキー
09/01/09 23:41:49 Zlf6h+ID
色々考え付くのが凄いのう ここのスレは

270:名無しさん@ピンキー
09/01/10 15:13:36 MJ7z8eWk
すごいな~黒人少女ンディラちゃんのHな活躍に期待しますし
野球&ソフトボールの小説もよかったです

271:暴走ボート ◆z95s/qs7OM
09/01/11 10:36:57 ZWN3PEPd
さて、投下します。今回と次回は試合です。

まあ、野球ものにした地点で、エロパロにもかかわらず試合になるのはしょうがないので。
極力短くするように努力はしたので、それで勘弁。

272:迷わずストレート!『檜舞台のストレート』
09/01/11 10:38:49 ZWN3PEPd
(涌井もかなり疲れている…
 この回が最終回ならともかく、まだ5回だ、精神的にも負担はあるはず!)

甘い球だけを狙う。
そしてインコースに甘く入った球を思い切り叩く。


「どう思っているんだ?戦況を。」
「今から3点差をひっくり返すなんて、無理だと思う。」
「そうか?野球は結構大逆転が起こるもんだろ。それにあと5回も攻撃が残ってるし。」
「…健太。リトルリーグは、6回までしか無いのよ。」

紗英の冷静な指摘に、目を明後日の方向に泳がせるしかない東小の魔王。
小学生の体力で、9回まで野球が出来るわけがない。

「じゃあ、なんで見てるんだよ。勝負がついてると思ってるんなら、見る価値なんざ…」
「カナたんがまだ出てない。」
「それ見たら帰るのか?」
「…カナたんは、何かを私に見せようとしている。それを見るまでは、帰れない。
 たとえ負けても、何かを見せてくれるはず。」
「ふーん。…信頼度高いな。」

観客はほとんどが野球好きの人ばかりで、西小東小関係の観客はほとんどいない。
せいぜいシバケンと紗英くらいのものである。
土生が心の中で掲げていた、スタンドを2つの小学校のるつぼにする、という理想は、いばらの道である。


『2番、ショート、赤松君。』

(橡浦が出てくれた…本来なら送りバントだけど、3点差だと打って出るしか無い…
 ただ、俺のバッティングじゃ、間違いなく三振かゲッツー…)
(となれば赤松、あれだ。)

土生がサインを送る。
サインの中身は、『必殺技を使え』。

涌井がセットポジションからモーションに入る。
そしてリリースの瞬間、バントの構えに入った。

(セフティーだ!)
(そう来たか!)
(突っ込め!)

赤松のバントの構え。それは紛れもなく、ファースト方向へのプッシュバントの構え。

マウンドの涌井がファースト方向に意識を傾け、ファーストの石井が猛ダッシュをし、
セカンドの片岡がファーストのカバーに入り、ショートの中島はセカンドのカバーに。

273:迷わずストレート!『檜舞台のストレート』
09/01/11 10:40:00 ZWN3PEPd
(かかった!)

…そして、サードの中村は、その打球に全く反応できなかった。

「サード!」
「くっ!」

涌井の体重はファースト方向に傾き、打球に体がついていけない。
肝心の中村は、ファースト方向に転がるものだと瞬時に思い込んでいた。

…これが、赤松の必殺技。
右打者の方が不利とされるセーフティーバントを、プッシュバントというフェイクをかけるという形で逆手に取った。


「ノーアウト、1塁2塁…やっと運が向いてきた。」
「よっしゃ、いけえ!」

土生のつぶやきに乗せられ、ベンチが声援を送る。
その対象はもちろん、今日3番に座るユキ。

(打たなきゃ…5点も取られて、このまま取り返せないまま終わりたくなんてないっ!)

プレッシャーもある、疲労もある。
それでも、意地でも打ち返す。

『3番、ピッチャー、瑞原くん。』


「おお、あいつか。」
「…なに目を輝かせてるの?」

紗英のやきもち。
ユキを見た瞬間、シバケンの目は輝いていた。

…もちろん、恋愛的要素ではない。あくまで、格闘に身を置くものとして、目を輝かせたまで。

「いや、あいつ、昨日俺の頭に蹴りを入れようとした奴だろ?
 あんな蹴り、久しく見なかったぜー。」
「…。」

安心感を感じる一方で、呆れた。
何か違うだろうとツッコみたくなったが、ツッコんだところで意味はないと瞬時に悟った。
浮気でないだけ、マシと思う事にしよう。

…よく考えると、激しい戦いに身を投じてないという裏返しである。いい事なのかな?

274:迷わずストレート!『檜舞台のストレート』
09/01/11 10:40:49 ZWN3PEPd
「ストライーク!」
(くそ、当たらない…)

いくら運動神経に長けていても、まだピッチングそのものになれていない。
3回の大量失点も響き、スタミナがほとんど切れかけている。

…それでも、意地でも打たなければならない。

「三遊間!」
「抜けろ!」

三遊間のど真ん中を、転がっていく。
決して鋭い打球ではないが、しぶとく抜け…

「させるか!」

ショート、中島が飛び付き、好捕。
不安定な体勢のまま、セカンドに送球。

「アウト!」

俊足の橡浦との競争になり、間一髪アウト。
それでもセカンドのフォースアウトで精一杯のはず…だったが。

「ユキ!」
(ユキちゃん!?)

バッターランナーのユキが、倒れている。
疲労で足がもつれ、転倒。本来の足の速さならそれでも1塁には余裕で間に合うが、

(体が…思うように動か…)

やっとの思いで立ち上がり、よたよたと走りはじめ、しかし時既に遅し。


「あの野郎…何してるんだよ。」
「健太、あんまりそんな事言うもんじゃないよ。」
「でもよお、なんであんなにへとへとなんだ?俺ならまだガンガン動けるぜ。」
「ピッチングはみてる以上に疲れるものなの!…あたしもやったことないけど。」

2人にもあきらめムードが漂い始めた。
ノーアウト1塁2塁が、2アウト3塁。初めてながらよく頑張ったユキを責める選手はいないが、

…この事実は、重い。

275:迷わずストレート!『檜舞台のストレート』
09/01/11 10:41:57 ZWN3PEPd
「ご…めん…」
「は、ははは、いーよ、きにするなよ…」
「そ、そうだ、まだ9回もあるし、山下が2ラン打って1点差に詰め寄っとけば…」

土生は相変わらず表情1つ変えない。
…そして、冷静に状況を見つめている。

「…その山下が敬遠されているぞ。」
「え!?」

1階にタイムリーを撃たれているので、危険と判断しての敬遠、フォアボールの宣告。
5番以降が貧打のこのチームにとって、非情の宣告に他ならない。

「…どこへ行く。」
「もう、投げられないよ…」
「…。」

ユキがダグアウトに入ってしまった。
ふがいないピッチング、ふがいないバッティング、それに疲労がのしかかる。


『5番、サード、青野くん。』

「な、なんとか、しないと…」
「…青野、どうかしたか?」
「い、いえ、絶対に打ってきます!なんとか1点でも…」
「ほう…」

周りの人間全員が、青野を見つめている。
…土生の狙いが、見事に的中した。

「…今までならお前たちは俺に頼っていただろう。
 正直、ずっと俺も試合に出たかったが、お前らの依存心がなくなるまでは、試合に出ないつもりだった。」
「え?」

ゲッツーという大ピンチに、自然とチームはまとまっていた。

「ハッキリ言って、一刻も早く交代したかった。でないと負けるからだ。
 でも、それじゃあお前たちが成長しない、だからリスクを承知で動かなかった。
 この回でもし俺が動かなかったら、負けてただろう。ギリギリセーフってとこかな。」

知らず知らずのうちに、チームはまとまっていた。
もし、この場面にいたっても依存心がなくなっていなければ、土生は代打を出せず、完全に手遅れだった。

276:迷わずストレート!『檜舞台のストレート』
09/01/11 10:42:28 ZWN3PEPd
「それじゃあ!」
「だが、俺はまだ出ない。緒方!…行ってくれ。」
「…うん。」

てっきり土生が出るものだと思っていた。

「ま、まずは土生さんが出て、3ランで同点に…」
「ここは何としても1点が欲しい。何が何でも、な。
 勝負への執念は、経験豊富な緒方の方が上だ。緒方に任せよう。」
「でも、緒方はブランクが…」
「執念は衰えていないみたいだがな。さて、代打告げに行ってくるよ。」

土生が審判のもとへ行く。
ネクストバッターズサークルまで緒方と一緒に歩き、1人球審のもとへ。

「絶対土生さんの方がいいと思うけどな…」

確実に、緒方に失礼である。
だが、緒方は無視していた。…いや、聞こえていなかった。

「あんまり言うな、怒るよ、緒方が。」
「…そ、そうだな、あんなに怖い眼してる…」

ものすごい集中力が、青野たちには鬼の目に見えた。
周りのウジ虫を黙らせる、オーラが緒方にはあった。それは決して、今の土生でも身につけられないものである。


『バッター、青野くんに代わりまして、緒方くん。』

「あ、カナたん!」
「出てきたな。あいつが、紗英に何を伝えたいのか…」
「うん。」
「でもな、喧嘩も柔道も、勝たなきゃ評価もらえないんだよな。
 ここで求められるのは、内容じゃない、結果。
 ハッキリ言うが、紗英が内容を見ているとしても、結果出さなきゃ全く意味がないと俺は思うぜ。」
「…分かってる、この場面は、そんな場面だよね。」
「!」

てっきり反論されると思っていた故、意外だった。

「だったら、カナたんは、絶対にヒットであたしに応えてくれるよ、…あたしに、ね。」


「ストライーク!」

際どいコース。
少し球威は落ちたが、その分さらに制球に気を配る事でカバー。

(さすが涌井、と言ったところか?)
「ガンバレ、緒方―!」

2球目、少し甘く入る。
そこをフルスイング。

「!」
「お、緒方!」

277:迷わずストレート!『檜舞台のストレート』
09/01/11 10:43:00 ZWN3PEPd
空振りの直後、膝をついてしまった。
左膝の踏ん張りが利かず、フォームを崩してしまう。

(そんな…)

緒方は立ち上がったので、幸い古傷の再発は無いようだ。
だが、青野が思わず叫んだ。

「は、土生さん、今からでも遅くはないです!」
「…あいつのプライドに、かかわるだろう。」
「そんな事言ってる場合じゃ…」
「プライドがあるからこそ、何が何でも打ってくれるさ。とにかく信じろよ。
 たとえそれでだめでも、それは結果論だろ?」

「ファール!」

辛うじて当てる。
だが、直球のスピードについていけず、タイミングが合わない。

(ふん、代打が女なんざ、なめんじゃねえ!)

決めに来る涌井。インコースにストレート。
緒方が必死になってバットを出す。


「ああ、打ち上げた…」
「おっしゃ、打ちとった!ライト、いや、ファースト!」

ライトが前に、ファーストが後ろに下がる。ふらふらと上がった打球が、落ちてくる。

「お、おいおい、やばいやばい…」

佐藤も石井も、急いで落下点に向かう。…だが、なかなかたどりつけない。

「やばいやばい!落ちるぞこれ!」

両者飛び付く。
そして、両者の間で、…芝の上で、ボールがはねた。

「よっしゃあああっ!」
「タイムリーだー!」

スコアに1が点灯。2点差に詰め寄る。
山下も巨体を必死に動かし、3塁に到達。

278:迷わずストレート!『檜舞台のストレート』
09/01/11 10:43:28 ZWN3PEPd
「打った、打ったよカナたん!」
「…しかし、打った直後にコケなかったか?ひどい打ち方だったなありゃあ。」

素人目に見ても、ひどいフォーム。
だが、そんな事、紗英は意に介さない。

「結果がすべてなんでしょ?…これが、カナたんの答え。
 たとえカッコ悪くたって、執念だけでヒットにした、カナたんの答え、なんだね。」
「あいつの答え?」
「うん。
 カナたんが見せたかったのは、ほかでもない、自分が頑張っている姿。それは分かってた。
 でも、それをあたしに認めさせるには、ただ頑張るだけじゃダメ、結果を、あたしに見せたかった。
 だから、誘った。野球観戦に。カナたんの野球を認めなかったあたしをね。」

でも、結果を目の前で出されては、認めざるを得ない。
そして、ここまで来たら年下の自分にあれだけ大口をたたいた土生翔平にも、
自分に結果を見せてもらわないと気が済まない。


「ようし、みんな、ここまでよく頑張った。後は任せろ。」
「あ、土生さん、おいしいとこ取りですか?」
「ははははは!」

まだ2点負けている。だが、先ほどの悪い空気は、完全に消えていた。
…なぜなら、ホームランを打てば、逆転だから。

『6番、白井君に代わりまして、土生君。』

「さあて、決めるとするか。」
「いけー、土生さん!」

一方、マウンドでは。

「土生が来たか…なんでスタメンにいなかったかは分からないが…」
「ここは敬遠だな。」

土生の名前は県内のリトルリーグに知れ渡っている。
…だからこそ涌井は、引き下がらなかった。

「うるせえ!ここまできて引き下がれるか!
 さっさと守備位置に戻れ!」
「涌井、ここは」
「さっさと戻れ!」
「涌井…」

仕方なく守備位置に戻る。
こうなったら、何としても抑えてもらわねば。その細川の意志は…

「この野郎っ!」
(終わりだ。)

インローのストレートをたたかれて、打ち砕かれた。

「いったー!」
「いったーー!」
「いったーーー!」

文句なしの打球が、フェンスのはるか上を突き進んでいった。

279:暴走ボート ◆z95s/qs7OM
09/01/11 10:43:52 ZWN3PEPd
投下終了。

…ありがちな展開、っていう批判はなしで;

280:名無しさん@ピンキー
09/01/13 22:18:57 xy/E43e9
乙っす!!
ここから大逆転劇の幕開けですね。

281:名無しさん@ピンキー
09/01/14 02:56:17 yHSBS5iE
a

282:名無しさん@ピンキー
09/01/15 13:39:08 nP+kYmKi
スレリンク(eroparo板)

283:GBH ◆GudqKUm.ok
09/01/15 21:41:06 AKfkpxwt
投下開始

284:『ンディラのいた夏』後編
09/01/15 21:42:59 AKfkpxwt
自分が遠く異郷の地にいることをいちばん実感するのは朝、目覚めて見慣れない天井を見上げた時だと僕は思う。

「おはよう、ンディラ。」

「ZZzz....(ρ_-)o」

ンディラと暮らし始めて一週間、僕は彼女より早起きして、少しでも孤独な時間を過ごさせないよう決めていた。それに、寝相が悪く暑がりな彼女の寝姿は、かなりの見ものなのだ…

「…ウリラちゃんは茄子の田楽、食べられるのかねえ?」

ようやく外国人への恐怖を克服したおばあちゃんは、「ウリラちゃん」の世話に夢中だ。そしておばあちゃんの辞書には、『ン』で始まる名前など存在しない。

「…ンディラさ、今日は海へ行こっか?」

茄子の田楽にシジミの味噌汁でパクパクと朝ご飯を食べていたンディラは、いつものようにキョトンと僕を見た。
吸い込まれそうな大きな瞳を見つめながら、これまたいつものように僕は立ち上ってジェスチャーを始める。

「海。水。ジャブジャブ。」

果たして判っているのか、彼女はすぐにニコリと頷いて『ゴチソウサマ』をやると玄関に駆け出した。
昨日から彼女は、ようやく一人で乗れるようになった僕の自転車に夢中なのだ。

「水着は…、ま、いいか…」



285:『ンディラのいた夏』後編
09/01/15 21:44:23 AKfkpxwt
『…誰か、この辺で女の子の水着売ってるとこ知らないか!?』

そう尋ねられる女友達がいたら、どんなにいいだろう…まあ、ンディラにあの海の最高の景色を見せてあげられたら、『心臓破りの峠』を二人乗りで駆け上がる価値はある。たしか彼女の国ヌワザには、海がない筈だった。

麦藁帽子だのお茶だのをせっせと用意して、ようやく玄関まで出ると、外からンディラの悲鳴と、ガッシャン!!という派手なクラッシュ音が聞こえた。

「\(≧Д≦)/」

大変だ。ンディラに怪我でもあったら環叔母さんに申し訳が立たない。
慌てて飛び出すと、案の定彼女は自転車ごと向かいの側溝に落ちてもがいていた。幸いに怪我は無いようだ。

「(>_<、)」

べそをかいているンディラと自転車を順番に引っ張っぱりあげて被害を確認する。
幸いにンディラは無傷でほっと胸をなで下ろしたが、自転車は重傷だ。あちこちひん曲がり、前輪はパンクしている。

「あちゃー、駄目だなこりゃ…」

悄然と涙ぐむンディラに笑顔を見せて慰め、今日の予定変更を思案した。

…まずは自転車を修理しなきゃ…別に海は好きなときに行けるしな…




286:『ンディラのいた夏』後編
09/01/15 21:46:07 AKfkpxwt
「ンディラ、商店街の自転車屋へ行こ。それから、ま、ぶらぶら店でも見ようか?」


ギイギイと鳴る自転車を押して歩き出した僕の後ろを、ンディラはしょんぼりと少し離れてついてくる。ひたすら笑顔で話しかけるのが、こんなときは一番だ。

『大丈夫だよ!! すぐ直るから。』

でも、まだ謝罪らしい言葉を繰り返す彼女に向けた僕の微笑みは、決して作ったものじゃなかった。

気まぐれに少し遠回りして河原を通る。
この『危険!!注意!!』の河原で蝉を捕ったり、キャッチボールをしている小学生は、ほとんど公立の児童だった。公立の連中はいいな、と少し思う。
僕の通う私立の附属小は成績とお行儀にだけはうるさいが、裏に回れば小派閥に別れての、陰険な足の引っ張りあいばかりの嫌なところだ。
高校までずっとそんな調子だと考えると少し気が滅入るが、河原を駆け回っていつもの陽気さを取り戻したンディラを見ると、すぐに憂鬱は吹き飛んだ。

「ンディラ!! 河へ入っちゃいけないったら!!」



287:『ンディラのいた夏』後編
09/01/15 21:48:33 AKfkpxwt
やがて商店街に着くと、ンディラは興味深そうに寝具店だの仏壇屋の店先を熱心に覗いた。モデルの癖に洋服にはあまり興味がないらしい。
僕には全く縁のないそんな店の店員さん達はみんな、壊れた自転車を押した風変わりな二人組に親切に応じてくれた。

「…で、こちらが弥勒菩薩。いいお顔でしょ?」

「…ミロクボサツだって。」

「(´∀`)?」

…買う筈のない品物を挟んでの、トンチンカンなやり取り。でも普段見慣れたアーケードの下は、ンディラと歩くと不思議な別世界のような面白さに溢れていた。

行きつけの自転車屋に修理を頼み、身軽になって僕たちはまた商店街を歩く。修理は一日で終わるらしい。

この辺では大きなゲームセンターの前を通り、ちょっと寄ろうかと迷いつつ立ち止まると、店内にいやな連中の姿が見えた。
藤田将雄。僕のクラスで一番幅を利かせている乱暴者。取り巻きの矢口と加賀も一緒だ。
ンディラの前で馬鹿にされたり、冷やかされたりするのは嫌だった。顔を伏せ、足早に通り過ぎようと、僕は慌ててンディラの手を握る。

「ヒロシ!! タイコ!!」

しかし、最悪のタイミングで『太鼓の名人!!』のアーケード機を店頭に見つけたンディラは目を輝かせ、逆に僕の手をぐいぐい引いて店頭に走った。
まずい。非常にまずい。
ただでさえ目立つ彼女に、周囲の注目が集まる。ヒマそうな藤田たちに気付かれるのも時間の問題だ…




288:『ンディラのいた夏』後編
09/01/15 21:50:32 AKfkpxwt
バチを握り締めてやる気満々の彼女に泣き笑いを見せながら、僕はやけくそでコインを入れた。
もう、どうにでもなれだ。
彼女は当たり前のように『対戦モード』と、難易度『神』を選択し、さらに人目を引きつける。
どん底な僕の気分とはうらはらに、彼女の十八番、『リッター×リッター』劇場版主題歌のイントロが威勢よく流れ始めた…

…ドン、ドドン、ドン、ドドン…

機械的に僕の両手はバチを振るう。しかし、僕とンディラのバチが寸分の狂いもなく打ち降ろされてゆくうちに、不思議と気分が高ぶってきた。
…まあ、藤田たちに捕まるのは、とりあえず一曲片付けてからだ。よし、Aメロは思いっきり遊んで…
キョロキョロとよそ見をしながら最速のビートをこなす僕と、リズムの化身と化して精緻なバチ捌きを見せるンディラに、やがて人々が立ち止まって目を向け始めた。

「…お、すげ…」 「え!!『神』!?」

僕がずっと恐れていた『ギャラリー』だ。しかし、見られる緊張はどこにもない。むしろ…快感だった。

ンディラと一緒だと、こんなにも度胸が座るのだろうか?
サビに入る頃には、僕はもっと歓声が欲しくなってバックハンドに十字打ちと、立て続けに神技を披露した。



289:『ンディラのいた夏』後編
09/01/15 21:52:10 AKfkpxwt
うおう、というざわめきに少し背後を覗くと、半端じゃない人だかりが出来ている。
僕達に気付いた藤田や加賀はもう、その中の小さな一人に過ぎなかった。
よし、まだまだ聴かせてやるぞ…

「「YHAAAAAAAAA!!!!!」

ンディラの裂帛の気合いに、聴衆のどよめきがひときわ大きくなった。
彼女は腰をエロティックにくねらせ、キュロットのお尻をブンブン振って観衆を挑発しながら、完璧に僕の連打についてくる。
ギャラリーの最前列は柄の悪い高校生たちだ。普段の僕なら震え上がっているだろう。

し・か・し、彼らの腰は小刻みに揺れる/派手なスニーカーがステップを踏む/銀色のアクセがジャラジャラと鳴る!!

踊り出した不良たちは/ゲーセン牛耳るバッドボーイズ/いくぜヌワザ直送最高のノイズ/叩き込めN′dira!!/ただひとりの女神!!

恍惚の疾走感のなか、ンディラが最後のシャウトと共に、キャミソールの邪魔な肩紐をビリッ!!、と引きちぎった。

「うおおおおおお!?」




290:『ンディラのいた夏』後編
09/01/15 21:54:46 AKfkpxwt
ブルン!!と琥珀色の乳房が飛び出し、力強いビートに合わせて汗を飛ばしながら激しく揺れる。

窮屈な拘束から逃れた野生の半球は、クライマックスの連打に乗って沸騰したように暴れ狂い、この一曲に最後の華を添えた。


まだ鳴り止まぬ拍手と熱気のなか、ンディラの服の応急修理をしていると、いつの間にか近くに同級生が集まっていた。
ぽかんとしていた藤田がようやく口を開こうとしたとき、取り巻きの一人、ゲーム通で皮肉屋の加賀が僕の前に進み出る。

「…ブラヴォー、早川。彼女も最高だった。」

彼の声にはいつもの辛辣な調子は微塵もなく、僕は素直に彼を見つめ答える。

「…ありがとう。ちょっと羽目外し過ぎたよ。悪いけど、連れがこんな様なんで…」

「ああ。休み明けに、色々聞かせてくれ。」

胸を張って彼らと別れ家路につく。心地よい疲労と満足感。最高の相棒ンディラに感謝した。

「…でもンディラ、おっぱいはやり過ぎだよ。下手すりゃ、警察のお世話だ。」

くすくす笑いながらおっぱいのジェスチャーをする。

「オッパイ!?」

「そう、おっぱい。」



291:『ンディラのいた夏』後編
09/01/15 21:57:26 AKfkpxwt
彼女はちょっと考え、満面の笑顔で僕に答える。

「…ヒロシ、タイコ、オッパイ!!」

「…なんだよ、それ!!」

商店街のアーケードを出ると夏の日差しはまだまだ容赦なく僕たちに照りつける。
明日こそ海へ行こう。母さんならンディラの水着くらいなんとかしてくれる筈だ。
僕の前を踊るように駆けるンディラの、細く編み込んだ漆黒の髪が揺れる。

…夏の妖精みたいだ…

そんなメルヘンチックな自分の想像にひとり顔を赤らめて、僕は陽炎の中の彼女を追いかけて走った。


しかし、家に帰ると、突然の別れが二人を待っていた。
見覚えのある靴が玄関に並んでいて、僕とンディラは複雑な顔を見合わせる。
居間から聞こえるのは環叔母さんの声だ。仕事が終わり、ンディラを迎えにきたのだ…

「…長いことありがとう洋ちゃん。空港の封鎖がやっと解除になったの。今ならンディラは安全に帰国できるわ。」

…辛かった。立っていられない位に。判っていた筈のに、ずっと目を背けていた別れの時。
でも、浮かない顔の家族を見回し、僕は懸命に明るい声を出そうと努力して答えた。ンディラはやっと弟や妹のもとへ帰れるんだ…

「…ンディラ、良かったね。戦争は終わったんだ…」

唇を噛んだンディラにそう言って、無理に笑いながら手を差し伸べたとき、父さんが静かに呟く。

「…洋。戦争は終わっていない。ヌワザはもう三十年も、こんなことを繰り返しているんだ。」

「え!?」

動転した僕は叫んだ。砲火の中へンディラを送り帰すというのだろうか、救いを求めるように見つめた叔母さんも、父さんの言葉に頷いた。

「…政府軍の反攻は、長続きしないでしょうね……」

「…そんな、そんな…」


292:『ンディラのいた夏』後編
09/01/15 22:00:06 AKfkpxwt
…身勝手な僕は、父さんと叔母さんの言葉を憎み、遠い国の貧困を、飢餓を、戦争を激しく憎み、最後に、自分の無力さを一番憎んだ。
部屋の隅で、涙もろい母さんの背中が震えている。
でも僕は、男の子として絶対に、ンディラに崩れ落ちて泣く姿など見せる訳にはいかなかった。
重苦しい空気のなか、僕たちは茫然と立ち尽くす。
そのとき、最近めっきり足元が頼りなくなったおばあちゃんがよろよろとみんなの前に進みでた。

「…ウリラちゃん。これを持ってお行き。おばあちゃん、朝から深國神社へ行って、貰ってきたんだよ…」

「…ミクニ…神社?」

おばあちゃんはンディラに赤いありふれた御守りを渡しながら続けた。

「深國姫っていう…女の子の神様が祀られてるお社だよ。環たちも、ちゃんと持ってるね?」

「…うちの子はランドセルに付けてるわね…」

環叔母さんはスーツの胸元から、古ぼけた同じ御守りを取り出す。

「…おばあちゃんが保証するよ。どこにいても、なにがあっても、深國姫の御守りは、ウリラちゃんを守ってくれる…」


御守りを握りしめたンディラの唇が震えながら動く。

「ヒロシ…」

彼女はもどかしげに言葉に詰まった。
教えてやれなかった幾つもの言葉。

「さようなら…」

…神様なんか信じたことはなかった。でも僕はおばあちゃんの言葉と深國姫に全身全霊で縋り、去って行く彼女と、彼女の兄弟の幸せを祈りながら、精一杯の笑顔で『さようなら』をンディラに教えた…



テレビは今日もヌワザの混迷を伝え、僕はそのたび深國姫に祈る。
…ンディラ、ちょっとだけ強くなった僕は、ちゃんと胸を張って話しているよ。
そして遥かな君に追いつけるまで、僕の祈りはずっと続くだろう。


おしまい



293:GBH ◆GudqKUm.ok
09/01/15 22:01:45 AKfkpxwt
投下終了

294:名無しさん@ピンキー
09/01/15 23:20:31 kGN13Phr
顔文字の次は沖方文体ときましたかw
個人的には本来どっちも苦手なんですけど、それがぜんぜん気にならないというか、
むしろピンポイントに投入することで絶妙に上手く働いてますね。すごいなこのSS。
何より、このえろさと切なさの絶妙のミックスアップはすばらしいです。藤田や高校生たちの反応とかいいなあ。
世界観もつながってきましたし、非常にGJでした! 次回作お待ちしてます。
ンディラはええ子や。ばあちゃんもええ味出しとる……


295:暴走ボート ◆z95s/qs7OM
09/01/16 03:23:30 OPQfH11J
>>280
どうもです。
すでに逆転している展開ですが;

>GBHさん
おつかれです。楽しませてもらいました。
いいですねえ、やっぱり、こういうの。
胸がプルンと飛びだすのはやっぱりお約束w

…やっぱり、野球にしたのは間違いだった気がする;

296:暴走ボート ◆z95s/qs7OM
09/01/17 18:56:55 qh/5ZPz4
というわけでさっさと試合の方を終わらせてしまいましょう。

あくまでもエロパロ、の趣旨は忘れずに…
といってもほとんど全員エロ抜きでやってるし、それでも問題はないですよねw

297:迷わずストレート!『檜舞台のストレート』
09/01/17 18:57:49 qh/5ZPz4
6-5。
緒方の執念と土生の他の追随を許さない実力によって得たリードである。

「よーし、あと2回…って、あれ、ユキは?」
「大丈夫だって、ラリナが何とかしてくれるさ。」

あとは理奈に任せれば…その思考を真っ先にたちきったのは、まぎれもなく土生だった。

「…今日はあいつに完投させる。ちょっと待っててくれ。」

ベンチ裏に出て行くと、更衣室へと続く廊下を進んでゆく。
案の定、女子更衣室にはユキがいた。…上半身裸で、ベンチに寝転んでいる。


「何をしている。さっさと試合に出ろ。」
「…なんで?いいじゃないですか、あとは」
「理奈に任せるってか?馬鹿な事言うな、今日は最後まで投げてもらう。」
「…最低ですね。女子の更衣室に、それも裸の女子のいる場所にはいるなんて。」

話をはぐらかそうとする。
しかし大人との比較でも巨乳といわれるほどの胸があるのに、裸を見られているにしてはかなり冷静な様子。
一方の土生も、日ごろから理奈の裸と付き合ってる故かまったく動揺していない。

「とりあえず、さっさとアンダーシャツ着換えろよ。見苦しい。」
「昔から、熱い時は普通に男子の様に裸でいましたけど?胸が膨らんでからも。」
「…逃げるのか?」
「!」

核心を突かれた。今一番言われたくない言葉。

「…しょうがないじゃないですか。それに、これ以上投げたって…」
「逆転したぜ。6-5だ。」
「!?」
「まったく、せっかくかっこいいとこ見せたかったのに、なんで消えてるんだよ。」
「…あたしは、あなたの彼女じゃない!」

すっと起き上がると、ベンチを蹴りあげた。
大きな音を立てながら、数センチ移動するベンチ。そしてしばらく広がる静寂。

298:迷わずストレート!『檜舞台のストレート』
09/01/17 18:59:01 qh/5ZPz4
「~~~っ!」
「…別に泣いてもいい。
 でも、ユキちゃんは泣けても、理奈は果たして、涙を流せるかな?」
「…どういうことですかっ!」
「あいつはエースだ。たとえどれだけ打たれても、誰にも頼れずに、歯ぁくいしばって投げ続けなきゃいけねえ。
 エースの宿命だからしょうがない。逆にいえば、ユキちゃんには理奈っていう逃げ道がある。」
「そうですよっ!だから、あとは理奈さんに!…。」
「どうした?」

空手を始めて5年。
常に同年代から尊敬のまなざしで見られ、それを生きがいの1つとして戦ってきた。
常に頼られ、常に勝たなければいけない使命のもと、その使命を感じつつもプレッシャー等感じずに勝ってきた。
頼られることが、快感だった。

それが、ここでは2番目ピッチャー。
球速以外では圧倒的にこっちの方が上なのに、球速故に、エースになれずに。
…いや、違う。オーラっていうのか、理奈さん、緒方さんに持っているものが、あたしには欠けてる。
同い年の赤松君ですら、実力はこっちのはずなのに、あたしの方が…


「ああもう、わかりましたよ!投げればいいんでしょ!?」

気が付くと、そう言い放ち、手が勝手に服をつかんで体に着せている自分がいた。

(…言いたい事は伝わったみたいだけど、こうも簡単に説得できるとはな。)
「なんなんですか、あたしを馬鹿にしてるんですか!」
「いや、別に。」

追いつきたい、追い越したい。
エースになって、チームで一番になって、みんなに頼られたい。尊敬されたい。
だったら、こんな事で折れてちゃだめ、今日の結果じゃみんなあたしを認めてくれるはずはない…

でも、じゃあせめて最後まで投げて、見返さないと、やり返さないと!

「おーい!守備どうするんだー!審判が早くしろって、急いでくれー!」

青野さんが呼んでる声がする。
…さあ、行かなきゃ。あたしにはセンスがある。そのセンスがどこまで通用するか、試してやる!


『光陵リトル、選手の交代を、お知らせします。
 先ほど代打に入った土生君がそのままキャッチャー、先ほど代走しました野村君がファースト、
 ファーストの山下君がサードに入ります。
 4番、サード、山下君、5番、ファースト、野村君、6番、キャッチャー、土生君。以上に変わります。』

緒方の代走で理奈が出ていたので、そのままファーストに入れる。
誰もがリリーフ登板だと思い込んでいたので、

「今日はユキちゃんに任せるのかな?」
「ラリナの方が…」
「土生さんとラリナが遅刻したことなんて、もうどうでもいいと思うけどなあ…」

土生には聞こえてなかったが、その雑音はしっかりとユキの耳には届いていた。
…見返さないと。絶対に最後まで投げて、勝ってやる。

299:迷わずストレート!『檜舞台のストレート』
09/01/17 18:59:38 qh/5ZPz4
…だが、更衣室で寝転んで少しリフレッシュしたはずだったのだが、やはり疲労は溜まっている。

「アウトォ!」

ショートライナー、赤松のファインプレー。だが、あと一歩でヒットになっていた。

「アウトォ!」

青山が必死に追いかけ、背面キャッチ。これもファインプレー。
だが、いつ崩れてもおかしくはない。

…そして、思ったよりも早く、打ちこまれ始めた。


「フェア!」
「フェア!」

ライト線、レフト線にシングルヒット。ツーアウト1塁2塁、そして…

「てっ!」
「デッドボール!」

…最悪の形で塁上をにぎわせる。
そして、最悪の打順に回ってきた。

『4番、ライト、佐藤君。』
「行けー!ジジィ!」
「そのあだ名はやめろ!」

今度は向こうのベンチが盛り上がっている。
ジジィのあだ名に苦笑しながらも、意気揚々と打席に入る。

流石の土生も、マウンドに向かわざるを得なくなった。

「土生さん、もうここはラリナに…」
「そうですよ。」

山下も赤松も黒田も口をそろえる。
そして理奈も、

「ユキちゃん、辛かったら、いつでも変わるからね。
 大丈夫、あたしは投げたくて、うずうずしてるんだもん!」

土生は何も言わない。続投を強制はさせない。
…ユキから、強い続投の意思を示させるために。

「絶対に抑えます。下がっていて下さい。」
「…だそうだ。もし負けたら、俺を恨め。いいな。」
「は、はい…」

内野4人衆が散っていく。

「…なんで自分を恨め、っていったんですか?
 仮に打たれたとしても、責任はあたしにある!」
「プライド高いな。それは結構なこった。でもな、ユキちゃんは野球を始めてまだ日が浅すぎる。
 どんな時でも、結局責任はトップの奴が追うって決まってるんだ。…そんな奴になりたいか?」
「はい。」
「それじゃ、まずは目の前にいるあいつを撃ちとるための、作戦を立てるか。
 疲れているユキちゃんが、あいつを撃ちとる方法は…」

300:迷わずストレート!『檜舞台のストレート』
09/01/17 19:01:24 qh/5ZPz4
土生がホームベースに戻り、マスクをかぶる。

(初球、アウトローストレート。球が遅くなってもいいから、ギリギリに入れろ。)

コントロールを気にするあまり、フォームが縮こまらないのが、ユキのいいところである。
腕の振るスピードを少しだけ遅くし、その分フォームに細心の注意を払えば、

「ストライーク!」
(うおっ!…こりゃ手が出ないな。なるほど、球威は落ちても制球はまだ健在って事か。)
(第2球、カーブを…)

「ボール!」
「っと、あぶねえ…ワイルドピッチで同点になっちまうからな…」

変化球が大きく外れ、あわや後逸。
ストレートはともかく、疲労のせいで変化球はコントロールできない。

(なるほど、変化球は入らないか。ならば、ストレートに絞って…)
(3球目、インローストレート。球威が落ちている以上、高めは釣り玉でもタイミングが合ってしまう。
 球威が落ちているとアウトコースでも向こうが力負けしない以上、確実にここに入れろ!)

流石にユキは度胸が据わっている。
要求どおりにインローに投げ込む。が、

「いったー!」
「しまった!」

ユキが思わず声を上げた。レフトに高々とあがるボール。
…だが、ボールはポール際、わずか左を通過。

「ファール!」
「あ、危なかった…」
(ち、タイミングが早すぎたか…)
(インローは思い切り引っ張るべき球、プルヒッターの傾向があるこの打者なら、なおさらだ。
 球威、球速が落ちている今、引っ張りすぎてファールになるのは必然の流れ…)

狙いはカウントを稼ぐ事、その1点。
佐藤のストレート狙いは土生もしっかりと分かっていたので、あとはカーブをストライクに入れるだけ。

…だが、そう簡単にはいかない。

「ボール!」
(やはりカーブは入らない!)

カーブがまた外れる。これで2-2。
ストレートの威力が落ちている今、ボールカウントを2つ増やす前に、カーブでストライクを取らなければならない。

301:迷わずストレート!『檜舞台のストレート』
09/01/17 19:02:01 qh/5ZPz4
(カーブは入らない、ストレートだけを…!)
(…。)

5球目。
カーブは入らない、絶対に振らない。その先入観の中で、投げ込まれるカーブ。
当然、手を出すことはない。…たとえストライクに入ったとしても。

(何!?く、バットが…)

ど真ん中、甘く入るカーブ。
だが、バットは、ぴくりとも動かない。

「ストライーク!バッターアウト!」

してやった。
そんな感情を隠しつつ、捕ったボールをその場に放り捨てる土生。

(ま、まさか…カーブがコントロールできないふりをしていた、だけ…!?)

佐藤が棒立ちの中、光陵ナインはベンチへと帰っていく。




「さて、理奈。エースの仕事だ。
 1点では追いつかれる可能性は十分にある。追加点を取って、ユキを楽にしよう。」
「え?でも、ラリナは打撃は…」

そう。理奈は全くと言っていいほど打てない。
普通、こういう状況ならリリーフしてくれ、というが、理奈にポイントゲッターを任せるという、傍目には暴挙同然。

「心配するな、ユキ。お前には完投してもらう。
 そして、理奈には間接的にプレッシャーをかけてもらう。一緒に来い。」

言われるがままについていく理奈。
ファールグラウンドの一部には、屋外ブルペンがある。マウンドからも見える位置に。

…これを、生かす。

『7番、レフト、青山君。』

「涌井!この回抑えて、最終回逆転だ!」
「おう!」

ドゴォン!

「え?」

理奈が、屋外ブルペンで豪速球を投げ込む。

(こ、光陵にはまだ、あんなピッチャーがいたのか!?)
(て、点を取れるのか?あのリリーフから…)

ブルペンからプレッシャーをかける。
理奈の豪速球から受ける絶望感に耐え、

(お、抑えないと…)

涌井に、何としても抑えないといけないというプレッシャーをかける。
そして、コントロールを乱したスキをついて、打ち込む。

302:迷わずストレート!『檜舞台のストレート』
09/01/17 19:02:58 qh/5ZPz4
「おっしゃあ、満塁だあ!」

青山、橡浦、赤松が出塁し、ツーアウト満塁。
そして、3番のユキに、打順が回る。

(なによ、結局あたしは、みんなに迷惑かけて、理奈さんの力まで借りてる…)

5点取られ、ゲッツーを喰らい、借りないと決めていた理奈の力まで借りている。
もう何も言う事はないだろう。

(意地でも、打って、見返してやる!)


燃えない、ワケがなかった。



…。

「いやー、最後すごかったなー!あの満塁ホームラン!」
「ホント、土生さんより大きくなかったか?」

帰り道。みんなが自転車や徒歩で集団で帰路に着く。

「別にいいですよ、お世辞は。」

素直になれない。
自分の力のなさを痛快しているから。

…でも。

「初登板で完投、勝ち投手。投球数85球の熱投。極めつけに満塁弾。
 それだけやれれば、内容なんてどうでもいい。ユキちゃんは十分、かっこいいじゃないか。」

橡浦の一言。
その一言で、少しだけ楽になった気がした。

「あ、ありがとうございます…」
「ございますは余計だ。疲れてるだろうし、勝ち投手の荷物くらい、持ってやるさ。」
「あ…」

遠慮を口にする前に、橡浦が荷物をひょいと持ち上げた。

「ふーん…言うようになったじゃねえか、あいつ。」
「たまたま結果が良かったから、適当に褒めてるだけじゃないの?」

後ろから橡浦を見ていた土生と理奈。
投げられなかったのか、ユキが活躍したからか、ちょっと不機嫌な理奈が悪態をつく。

「そんな気づかいなんて、まったく必要…」
「橡浦だけは、ユキちゃんを変えた方がいい、と試合中一度も言わなかったが?」
「…!」

橡浦だけは、信じていた。
ユキちゃんと、チームの勝利の、両方を。




303:迷わずストレート!『檜舞台のストレート』
09/01/17 19:08:14 qh/5ZPz4
もうすぐ家に着く頃。
皆がそれぞれの家に帰り、土生と理奈の2人だけ。

「そういえばさ、次の対戦相手は?」
「次の相手はシードだ。まあ、3分の1はシードなんだけどな。」
「で、でも強いってことでしょ?」
「南海リトル。去年のベスト4だ。」
「…!」
「今日の相手とは実力差から言ってわけが違う。来週の試合は、アタマから行ってもらうぞ。」

今日の試合に出られなかったので、…来週が、自分の、初めてのマウンド。
拳に力が入る。


「ん?家の前に誰かいる…」
「あいつ、確か…」
「優子!」

2度目だっけ、あいつと会うのは。
俺と同じ、キャッチャー、ねえ…


1回戦 光陵リトル 10-5 西部リトル

土生 1打数1安打3打点
ユキ 4打数3安打5打点 6回5失点 防御率7.50
緒方 1打数1安打1打点
橡浦 4打数2安打
山下 4打数2安打1打点

理奈 1打数0安打

304:暴走ボート ◆z95s/qs7OM
09/01/17 19:08:54 qh/5ZPz4
投下完了。

優子と土生との1度目の出会いは名無しさんXさんの小説参照。

305:名無しさん@ピンキー
09/01/17 21:30:45 uLjqJjVX
保管庫更新乙。

306:名無しさんX ◆q5tFVKFOs2
09/01/18 16:52:03 V4kCGJo5
GBH ◆GudqKUm.ok さん。暴走ボート ◆z95s/qs7OMさん乙です!
それと保管庫更新ありがとうございます。

それでは私も『とにかくキャッチ 過去と今と』後編パートを投下します。

307:とにかくキャッチ 過去と今と 後編 ◆q5tFVKFOs2
09/01/18 16:53:53 V4kCGJo5
とにかくキャッチ 過去と今と 後編

ACT8
私は大切な幼馴染の野村里奈と理奈の恋人候補な土生翔平の二人に対してリリアムの言っても差支えない事を話している
「それで私がリリアムに入団して暫くたった時かな…元々私の志望はキャッチャーだったわけだけどその頃はキャプテンの沙織がキャッチャーをやってて…」
と私が話している最中土生から手が上がり、私の話をいったん止めさせてから話してくる。

「ちょっと待った石引。確か神楽坂さんって…6年じゃなかったか? 呼び捨てにするもんだから確認したいだが…」
と割となんでって顔で土生が聞いてくる。

私はふぅっと息をついたあと改めて土生と理奈に対してそのことも話す
「そう土生の言ったとおり私の言っている沙織は東小6年生の神楽坂沙織。
私も最初神楽坂キャプテンって呼んでたけど…色々あってプライベートの時では沙織で呼んでくれって言われてね
ああもちろん他の先輩とかちゃんと‘先輩’とか付けているけどね」
と簡単に説明する。

私は二人を見まわして見たが特に異論はなかったので話を進める。
「それでしばらく別のポジションとか転々としてたわけだけど、やっぱりキャッチャーを志望しますって沙織や鷲沢副キャプテン・それとエースピッチャーの久美に頼んでみたら
久美が怒りだしちゃって結構大変だった…キャッチャーはお姉さまのポジションなのになんで高望みするんだってね。
でも沙織も鷲沢副キャプテンもそこまで貴女がキャッチャーをしたいんだったら、いつもの奴で決着をって話になって…ここまでで何か聞きたい事ある?」
といったん私は話を切り、お茶をぐびっと飲んで落ち付く。

そうしているとまた土生の方から
「一応クラスメートだから俺も知ってるけど大泉ってすっごく我が強く扱いずらいんだよ、でも神楽坂さんが言うと大泉は大抵二つ返事で聞くからな。
あの二人の仲がいいって言うのは結構有名だぜ理奈
それと石引の忍耐強さとくそ度胸も大したもんだよ、ソフトボールの強豪サークルのしかもその上級生のキャプテン相手にポジションを奪おうなんてその強心臓っぷりは大泉かユキみたいだな…」
感心したという様子で話しかけられる、一応久美とも知り合いみたいなので私からフォローの為

「確かに最初は私もきつい娘だって思ったけど、仲良くなれば結構話せるし…言われるほど悪い娘じゃないよ久美って
それよりも土生……光陵の事は後で聞くって言ったけど一つだけ……ユキって誰?光陵のメンバー?」
と久美をかばい立てしながら、ユキという新しい単語に対して土生に聞いてみる。

土生も理奈もそういえばまだ話してなかったなと言わんばかりに顔を見合せながら、理奈の方から口が開き
「ああユキの事?まだ優子に話してなかったね…色々あってウチに入る事になった娘だよ…念のために言うと小4の女の子!」
と簡単にユキという少女のさわりを教えてもらう…まあ彼女の事や他のメンバーについてはあとで教えてもらえばいいか…気を取り直してリリアムの話に戻し

「で最初に勝負の内容についてだけどリリアムでは話が纏まらなかったり、どうしてもそこのポジションを取りたい場合は守備か打撃のどちらかで勝負って取り決めがあってね
私は打撃で沙織と勝負する事になったの、五球投げてどちらがより安打が打てるかって勝負を……あっ一応言っておくと投手の場合は三振を多く奪うかより正確なコースに投げられるかって勝負になるよ」

308:とにかくキャッチ 過去と今と 後編 ◆q5tFVKFOs2
09/01/18 16:54:44 V4kCGJo5
私の話に理奈も土生も興味深々で聞いているのを確認しながら私も話をすすめ。
「そしてその勝負を務めるピッチャーは久美が務めることになったの。勿論公平に投げるって前提でね
まず先に沙織から勝負って形になって彼女の記録は5球中三安打…自慢じゃないけど沙織も凄い強打者だよ!」

私はその記憶がよみがえってきたのか負けたらキャッチャーを諦めてた勝負だったにもかかわらず、沙織をほめたたえる。
誉めたたえながらも話を進めるのだ。
「そして私の番になった訳だけど久美の球って打つの大変でさ…何とか2球ヒットに持ってっいったけど二球は空振りになってね…最後の一球って土壇場
あの時つい身贔屓しちゃったんだな……久美が沙織には投げなかったすっごいキレのいい変化球を投げちゃったの!」

興奮しながら話をする私に二人とも頭を突き出しながら顛末を聞こうとしてさらに私は拳に力がこもりながらも
「でびっくりしたけど必死で久美の球をジャストミートして…なんとホームラン!
久美もだけど流石に私や沙織に他のリリアムメンバーもその展開には驚いたな~まさかエースの久美からホームランを打てるとは思ってなかったわけだし…
あまりの展開にもう一度だけって久美は言ってきたわけだけど
沙織の方がね‘優子さん貴女の勝ちです。キャッチャーの座は貴女に譲りますね’って負けを認めて晴れて私は正式にリリアムのキャッチャーになったんだけど
暫く久美と蟠りみたいなもんが出来ちゃってここまででまた聞きたい事ある?」

とまた私は話を切りお茶を飲むのだったが理奈からおずおずと話しかけてくる
「そんな変わった決まりがあったんだリリアムって…でも…そのぉ…優子と久美って娘って最初仲悪かったって話なのにどうして…」
私と久美と交際している事は理奈も風呂場で私が話したため、どうして今カップルなのか分からずどぎまぎしている

土生はその顛末を知らない為かどうしたんだろうと言わんばかりに理奈を見ていたが
「何かやっぱ大泉ってとんでもないじゃじゃ馬なような気がするんだが…どうやって石引は大泉を飼いならしたんだ?」
と土生もなんでバッテリーを組んだのか聞いてくる。

まあそれはそうだろう…私だって上手くやれるかどうか不安だったし…でも私も
「まあ聞いてればわかるよ…でね…私と久美がバッテリーを組むことになった訳なんだけど、久美のモチベーションがどこか低くてね…痺れを切らして私は聞いてみたのよ…
‘そんなに大泉さんは神楽坂キャプテンとバッテリーが組みたいのか’ってね、勿論久美は即答でそうだって言ってきたのよ……でも意外だったのはその後だったな」

と私は理奈の方を見つめる…理奈は何だろうと思いながら見ているがたぶん理奈からしたら辛い話になると思った、でも私はたぶんこの話だけは理奈と向き合わなきゃいけないって思ったんだろうな……
そう覚悟して私は理奈の目を見ながら話す
「‘石引さんは私じゃなくて誰か別の人を見ながら私の球を取ってる’ってね…それを言われた時ドキってきたよ……久美はエースピッチャーだけあって球速や球威も良いし変化球だって投げられる
だけど私…これに関しては私が悪いんだけど……私は理奈を思い浮かべながら久美のボールを取ってたって見抜かれちゃったんだ……」

突然の話に理奈は顔を曇らせてしまう…勿論理奈には全く責任はない、でも結果論として私と久美の不和の原因になってしまったと思ったのか…辛そうだった。
私は辛そうな理奈と突然の話に表情をゆがめる土生を見ながら
「理奈…あんたが気にする事じゃないしもう…終わったことだから
でもねあの時正直な気持ちではストレートに関して理奈は超小学生級だから…どうしてもどこか物足りないって顔になってたのかもね、それで久美は真顔で私に
‘やっぱりあなたとはバッテリーを組みたくない…私は私と私の球を誰よりも見てくれる沙織お姉さまとずっとバッテリーを組みたい’ってハッキリ言ってきてね
でも私もハイそうですかなんて認められないから押し問答になって、チームみんな困っちゃって…それで沙織が練習を早めに終わらせて、私と久美に対して話があるって残るようひきとめて……」

309:とにかくキャッチ 過去と今と 後編 ◆q5tFVKFOs2
09/01/18 16:56:03 V4kCGJo5
ここまでだ……そう思いながらお茶をごくって飲む、そんな様子の私に対して土生から話しかけてくる
「で…神楽坂さんはどうやってお前さんと大泉を仲直りさせたんだ?今は普通にバッテリーなんだろ?」
とまあここまでの話でなんで和解できたのかって表情で顛末を聞いてくる…でも流石にこれは土生に言えることじゃないし……

仕方なく私は
「まあここで沙織が私と久美を仲直りさせてくれて…その次の日から仲良く私たちはバッテリーを組むことになって
まあこれ以上こっぱずかしいから聞かないで♪
それよりも私は土生や理奈それとユキちゃんって娘とか光陵の事を知りたいな♪♪」
強引に話を切り替えるのだった。

理奈はそこで何かあったんだなと感づいて、少し頬を赤くしながらも
「翔♪まあこれ以上は優子も話したがらないだろうからさ…私たちの話とか……あっ!そうだ!!今思い出したけど優子やリリアムで被害にあった人いない?」
と唐突に変な事を言い出す、土生の方も最初どうしたんだろうって表情だったが直に思い出したようで

「あれか~理奈?この間付属小近くで練習試合したときブラジャー盗まれたって…お前たちは大丈夫か?みんな女だし…」
と誰が盗んだか分からないが、私は理奈のブラジャーを盗んだ下着泥棒が出たと聞きビックリするも、理奈ほど胸が大きければとち狂って欲情する奴もいるんだろうなと妙に納得してしまう。
それと理奈の性格を考えて警察とかにはこの事は言っていないのだろう、でも犯人は一体誰? とりあえず私は犯人が分かったら理奈の前で引きずり出してやろうと思った。
また下着泥棒に関してはリリアム自体セキュリティがかなりしっかりしているため。外部の人が入ったりすることはまずないが心配をしてくれた返礼に

「ああリリアムでそんな事はまず起きないから心配しないで土生…でも沙織とかには一応気を付けるように言っとくから」
と土生に対してお礼を言い話を戻し

「それじゃあ差し障りないところだけでいいから光陵の事私に聞かせて?」
と再び光陵の活動などを教えてもらうのだった。

310:とにかくキャッチ 過去と今と 後編 ◆q5tFVKFOs2
09/01/18 16:57:36 V4kCGJo5
ACT9
私はひとり部屋で宿題などを終わらせ、ベットで横になっていた。
理奈と土生は色々な事を教えてくれた…光陵のチーム事情や理奈が入ってから先ほど教えてくれた。4年生でユキこと瑞原勇気、そして6年生の緒方かな子さんと言う具合に
綺麗な女の子がチームメイトだという事や引き抜き云々など巨神との因縁など……光陵は色々な意味で前途多難だが今年は理奈がいる…正直どこまでやれるか分からないが応援しよう。

それが私が思いつく限りで一番有効な理奈の支え方だと思った…理奈の家の方角を見ながら、今頃理奈は土生と一緒で添い寝や少しディープな事をしているのだろうなと思うと顔が赤くなるが
猛練習の疲れが襲ってくるのか…私はいつの間にか眠っていたのだった。そして夢を見た…あの日の夢。

311:とにかくキャッチ 過去と今と 後編 ◆q5tFVKFOs2
09/01/18 16:59:11 V4kCGJo5
ACT10
「困りましたね」
私は久美と二人で座りながら、正面には困り顔の沙織がいた。

「沙織お姉様。石引さんが優秀なキャッチャーだって事は私も認めます…でも……これだけはお姉様でもそうそう譲れません
私の球を受けられるのはお姉さましかいないんです」
久美は私の事を認めながらもはっきりと私を拒絶する意志を示し、沙織に熱く見つめるような視線をする。

私も久美の言い分は薄々と分かっていたが、せっかくルールにのっとってキャッチャーになったのだ…私の方も沙織を見つめながら。
「神楽坂キャプテン…大泉さんには悪いですけど、私はキャッチャーをやめる気もキャプテンにポジションを返上する意思もありません」
と私もはっきりと久美とのバッテリーを降りる気はないと言い切る。

お互い主張を全く譲らず…先ほども同級生なり先輩なり集まり一悶着になった事は私も久美も分かっていた…分かっていたのだが
譲歩などお互い認めなかったため練習どころでは無くなり、こうして三人だけで話をすることになったのだがやはり一向に進展しない。
そんな私と久美を見かねながらも沙織はペットボトルのドリンクを私と久美に手渡しつつ
「ひとまずこういうときは落ち着いて飲み物を飲むのです…少しは落ち着きますよ」
と優しく声をかけてくれる。

「すいません神楽坂キャプテン…」
「お姉様…頂きます」
私達は沙織にお礼を言いながら、そのドリンクをゆっくりと飲みほし…しばらく三人無言で部屋にいたが、意を決したように沙織から
「ではひとまずお二人とも落ち着いたと思うのでひとまずシャワーにまいりませんか?久美・優子さん。お互い裸で話してみるのも手というやつですよ」

と三人一緒にシャワールームに行こうと声をかけられる。
私も久美も何もこんな時にという表情になったのだが、同時に裸同士腹を割って話してみるというのも悪くない。
その為私も久美も頷きシャワールームへと向かい、私や久美、沙織の三人とも一糸まとわぬ姿となってシャワーを浴びながら沙織から

312:とにかくキャッチ 過去と今と 後編 ◆q5tFVKFOs2
09/01/18 17:00:38 V4kCGJo5
「優子さん、リリアムの縁結び伝説って知ってますか?」
と突然言われる。私は何が言いたいか分からなかったが、久美は目を輝かせ沙織の言葉を待ちながら沙織に近寄り。

「その反応ではご存知無いみたいですので説明しますわね。リリアムはピッチャーとキャッチャー同士のバッテリーは永遠に結ばれるという伝説があるのです。
久美はその事を私から聞き、それからずっと私とバッテリーを組みたいと努力し、リリアムに入団して私とバッテリーを組んだのです。だから……」

沙織は久美を抱きよせキスをしながら私に告げる
続いて久美からきつく沙織に抱かれながら、沙織にこだわる理由がわかったでしょと言わんばかりに

「石引さん。これで分かったでしょ私が選手としてだけじゃなくてお姉さまを選んだ理由。
私は誰よりもお姉さまを愛してる♪だから一番大事お姉さまといつまでも結ばれたいの…
それとさっきも言ったけど石引さんは私以外のだれかを想定していつも球を受けているから…貴女が凄いキャッチャーなのは異論無いけど
石引さんだったら別ポジションでも十分通用するからキャッチャーだけはあきらめて。私とお姉さまの間に…入らないで」

と本気で自分は沙織を愛していること、だからこそいつまでもバッテリーを組みたい事、そして実際久美と沙織は姉妹以上に仲が良い事はリリアムメンバー全員知っていたが
沙織は決して身贔屓する人物ではなく、実際情実縁故一切関係なく久美は精一杯努力を重ね、エースとなったのは私も知っていた。
確かに昔から親密な関係である二人の間に入る事は私も無理だろうし…どうしても久美の球を理奈の球を比べてしまう限り心からの信頼を勝ち取るのは難しい。

くっどうすれば…久美の気持ちや思いも十分私には理解できるし…私だって理奈の事は大事な幼馴染の親友…そして昔から理奈の事……。
キャッチャーを降りたくないけどこれじゃあ久美を説得できない。
手詰まりかと正直私は思った…だけど突然立っていられないほどの衝撃が私の体を走った。

「うぁっ…ぁぁっぁ…体…どうしたの?何か…変……はぁぁ」
そのまま私は腰が抜けおちた様に座り込んでしまう、だけど体中思いっきりオナニーした後のあそこ見たいにジンジン感じちゃう。
誰も触ってもいないのに乳首もしっかり勃起して、あそこのからおしっこみたいに愛液が溢れて自分の体じゃない位にHになっていく。

少し動くだけでも体が溶けるような快楽が私を襲うが、よくよく見てみると久美も沙織によりかかって辛そう…違うな。
たぶん私同様にいきなり盛りがついたように体が壊れそうなほどの快楽が襲いかかりフラフラになっている……いったいなんで?
強制的に浴びせかけ続けられる快楽に耐えながらも私は理由を探っていたが、意外なところから答えが現れる。

313:とにかくキャッチ 過去と今と 後編 ◆q5tFVKFOs2
09/01/18 17:03:22 V4kCGJo5
「ふふふ。優子さん、久美…ごめんなさいね。
実はさっき飲み物を渡した時媚薬を混ぜときました…凄く強力なものですのでしばらく走ったりはできないと思いますよ」
と悪びれる様子もなく微笑みながらあの時のドリンクかと私も久美も確信した。

「お姉さまいったい…どういうおつもりなのですか?」
されど沙織の思惑が分からず頬を赤くし、私同様久美も小粒で可愛らしい乳首を勃起させあそこもお漏らししたようにドロドロになっている。
十分媚薬でHになったからだで、切なげな吐息のまま沙織に問いただす。

苦しそうだがそれ以上にHに体をくねらせた久美を抱きしめながら沙織も
「久美…確かに貴女が優子さんに言った事は事実…それは優子さんも認めてますわ。ただ久美の言葉はそのままあなたにも跳ね返ってますよ」
と優しく答える。

「どういう…事ですか? ああっん♪お姉さまぁぁ」
久美は嬌声混じりの吐息で沙織に聞き返すも…今度は久美の胸を揉みながら答える。

「私を慕いリリアムやプライベートでも努力してきたのは知ってます。
ただプレイ中いつも私ばかりを見て他のチームメイトからすると少し浮いている気がしました。
そういう意味では久美も優子さん同様に“違う人を見ながらプレイをしている”という事になってますよ♪」

思わぬ展開に私は必死でよがり声を抑えつつも、目の前で見る久美と沙織の絡みに目が離せなくなっていく。
そんな私の視線を気に留めず沙織は久美のあそこに右手指を突き刺し、左手は乳房を揉み
「はぅぅ!!石引さんの前でこんな事ぉ♪別にお姉さましか見てないわけではぁ♪」

甘ったるい嬌声を上げながらよがる久美…それでも今度はクリトリスを右手の親指と人差し指で思いっきりつねって
「ぎにゃぁぁぁ!!クリトリスただでさえ敏感なのにもっと凄いことにぃ…お姉さまぁ……」
と久美の激しい叫びと沙織の凄く激しい攻め、そんな激しい行為をしながら沙織は私にも聞こえるようにはっきり言う

「嘘…とまでいかなくてもソフトボールの試合で私を最優先にしすぎるのはあまり好ましいとは思えませんし。
それと私がリリアムをやめたら久美もリリアムを辞めるのですか? それではただのなれ合いになってしまいます。
リリアムのキャッチャーは私に勝った優子さんのもの、だから貴女方を騙しても結ばれるべきだと思いました」

あまりに突然の展開に私は面食らうが久美は沙織に対し
「お姉さま…まさかもう私はいらないという事…ですか?
私は……お姉さまといつまでも一緒にいたいのです…石引さんではわたしを……」
困惑と不必要という事なのかという不安…そして自分の想いを否定するのかと思って涙を流しながら、どうしても沙織と組みたいと言う。

そんな泣いている久美を沙織は抱きしめながら
「私は貴女をいらないなんて事はたとえ天地が裂けてもあり得ません。
少し言い方が悪かったので言い直しますね久美…あなたはずっと私のもの…でも私以上の逸材でしかも同級生の優子さんならずっとバッテリーを組めると思ったから
それに…久美は女性に関してもう少し私以外の子も知っていた方がいいです、私が保証します…優子さんと久美のバッテリーなら選手としても恋人としてもうまくいくと」

と私を認めてくれるのだ…でも私は…理奈と本当はこういう関係に……
少し私は迷いを見せるが、沙織から久美と体を抱きあうような態勢を取らせながら。
「貴女が別の人…それも同性の方が好きだっていうのは何となくですがわかります。
ですけど今は久美を抱いてあげてくださいな…久美は本当にいい子ですよ。それとこういうときはしっかりと自分の思いを相手に刻みつけることが肝心です。
単に体の相性がとか、そういった不純のない愛…それこそが美しいのです。貴女が抱えている事情は今後貴女自身で解消していけばいいのですから」

314:とにかくキャッチ 過去と今と 後編 ◆q5tFVKFOs2
09/01/18 17:05:32 V4kCGJo5
と沙織は私に久美を抱くように促し、私の手を久美の手を握らせる。
私は正直不安だったが勇気を出して、久美に口付けをする。
「キスはお姉さまと…あぁっ…石引さんの唇……甘い」
当初は久美も困惑しながらだったが、私の唇を拒むことなく久美もキスをしてくれた。

私は理奈の事や媚薬で本当は好きでもないのに体が勝手に求めているのではとかというネガティブな思いを持っていたが、正直言うと久美は可愛く。
久美の唇もとても甘く耽美的なものだった。
「私も…大泉さんの唇……好き。じゃあ今度は舌入れていい大泉さん?」

もっと久美の事を知りたい…体を強制的に発情させられたとはいえ、本心で私は久美の事が愛おしくなってきた。
そう思ったがいったん久美から「待って」といわれる…それ以上はだめなのか?それとも…私は憂いを帯びた瞳で久美を見つめ彼女の答えを待つ。

「石引さん。私の事…大泉さんじゃなくて……“久美”って呼んでほしいな
いくらなんでもこんなことしながら名字で呼び合うのも他人行儀もいいところだし」
と私の思いが通じたのかと感動を覚える…私も心から久美の事を…

私は久美を熱い視線で射ぬきながらも
「分かった久美。私も石引さんじゃなくて“優子”って呼んで」
と私も久美から名前で呼んでもらう事を望む。

久美は手を固く握り返しながらも、優しい目線で
「ありがとう優子…沙織お姉さまと比べちゃうかもしれないけど…今は一緒に…私から行くね」
と二人で登りつめることを選ぶのだった……その証として情熱的なまでに久美は私の唇に舌を激しく絡ませ、唾液を掬っていき。

激しい唾液のからみがシャワールームに反響していくのだ。
私も久美を受け入れ、必死で舌を絡ませ舌相撲のような格好でからめ合う。

それをほほえましく見つめながら沙織は眺めていた。
でも今は沙織の事は…いや理奈や他のリリアムメンバーの事などどうでもよくなった…私と久美はお互い激しく舌を絡み合いながら固く抱き合い
私から久美のお尻を優しく撫でれば、久美は私の肛門を強めに指で刺激し
久美から乳首を私の乳房で擦られれば、私も自分の乳首を久美の乳房に押し当て獣のように快楽を欲する。

いつしか握り合った手は片手から両手になり、お互いよたよたとしながらも必死でお互い強く抱き合い。
Hに濡れた私と久美の媚肉がキスをした瞬間
「「あぁぁっ!」」
二人同時に嬌声を上げながら倒れこみ、お互いあらゆる意味で相性が最高だと悟りながら気絶しかけるが
今度は沙織が私と久美の媚貝肉から出るジュースをおいしそうに飲みながら微笑み。

315:とにかくキャッチ 過去と今と 後編 ◆q5tFVKFOs2
09/01/18 17:06:09 V4kCGJo5
「良かった…貴女方が結ばれて私も嬉しいですわ。
でも次は私の肉をしっかり刻んでさし上げます…覚悟してくださいね。久美…そして優子も……」
と私を呼び捨てにしながら徐々に媚肉へと指を入れていき私と久美を同時に相手をする。

「ああっ…今度は神楽坂キャプテンまでぇぇ
凄い…キャプテンの手で触られるだけで…私ぃ…わたしぃぃ」
媚薬の効力が残っていたとはいえ、沙織に指を挿入されるだけで天に昇りそうなほどの快楽が私の頭
いや私と同様に恍惚を笑みを浮かべている久美も同じように感じていたのだった。

そしてそんな私のしっかり大粒に勃起したクリトリスを沙織はつまみながら私に対して
「プライベートの時は名前で呼んでくださいな…優子
私もこれから個人としては貴女を優子と呼びたいのです…さあ言ってください」
くりくりっと痛くないようにクリトリスを愛撫され、私は否応抜きで

「ふぁあああ!ふぁい!わかりましたぁ。さ…さおり…さおりぃぃ」
と沙織に対して無意識ですがるような声をあげ、沙織の愛撫に身を任せようとするが久美も私の胸に近寄って

「お姉さまの愛撫は本当に体が溶けちゃいそうになるよ優子…そして私はお姉さまと連携を組むのが得意!
今度は私と沙織お姉さまで優子をとことん…イカせてあげるんだから」
と久美も相変わらずよれよれしながらも、私のおっぱいの愛撫を始め二人で一気に責められる事となった…

ACT11
「夢…か」
夢…それはカーテンから光が差し込み初夏の暖かいい光があたった事で確信した。
私はそっとパンティの割れ目を触ってみるとやっぱりぬるっとしたような感触を感じた…夢でも私沙織と久美にいっぱい凄い事されたんだな。

現実でもあのあと何回イカされたか分からかったが…次の日から久美の呼吸とかきっちり把握ができるようになり、久美も私の言う事をちゃんと聞いていい球を投げてくれる様になった。
そして私・沙織・久美の三人は大抵居残り練習をするのでその時いつも三人で激しく愛し合うのが日課となった。

もちろんオーバーワークにならないよう少しは投球や打撃はするも、たいてい基礎トレーニングで体の芯をいつも鍛えているのだ。
幸いなことにリリアムは大きいジムとかも併設されているので、雨天時でも普通の鉄アレイから最新の加圧トレーニングとかを受けることが出来
苦しいけど実際やればやるほど体力の向上が実感でき、もっと強くなれると思えるのだった。

そしてずっと忘れないあの日の思い出があるからそこ特に憂いも無く私はソフトボールが出来るんだ。
そう思いながら学校の準備の支度をし、これからもリリアムで頑張ろうと思えるのだった。 終

316:とにかくキャッチ 過去と今と 後編 ◆q5tFVKFOs2
09/01/18 17:13:50 V4kCGJo5
投下終了です。

SDS ◆cStOEcFYHcさんへ
鷲沢奈津嬢を早速名前だけですが使わせていただきました。
本格出演は次くらいになります。それとリスキー・ゲーム6期待して待ってます。

暴走ボート ◆z95s/qs7OMさんへ
早速優子を使ってもらってありがとうございます。

落ちます。

317:名無しさん@ピンキー
09/01/18 19:36:54 geSgE6CD
いつも楽しく読ませてもらってます。GJでした。

自分も何か書こうと思っているのですが設定で一つ手詰まりが……皆さんはT138 B89 W56 H85て小四はありですか?


318:暴走ボート ◆z95s/qs7OM
09/01/18 20:52:14 i6aAAlmZ
>名無しさんXさん
奈津はリリアムにいたってことですか。こりゃまたややこしい。
彼女らが互いを認め合うのはソフトではなく肉体的関係を持った時、ですか。
まあ、それでこそエロパロですね。

土生が何故久美と沙織を知っているかはこっちが書きます。
とりあえず矛盾のないようにうまくやりますので。

>>317
スレッドのテーマ故バストはどんなに大きくても問題ないでしょう。
しかし、その数値を見る限り、かなり太ってますね…
ウェストはいいとして、腰回り85ってのは…
もう10cm小さくてもいいと。スポーツ選手ならまだともかく。

319:名無しさん@ピンキー
09/01/18 21:10:36 0M06VvQa
>>317
まず投下、だと思うけど西小シリーズなら有名人だろうね。その娘。

320:名無しさん@ピンキー
09/01/19 00:34:27 NvLiSfvv
>>317
胸はこどものじかんのうさみみみたくあるかなーって感じだけど
多分腰と尻はもっと小さくなるはず。
ぽっちゃりを超えた者を書きたくないなら胸以外は気にしないほうがいいかも

321:名無しさん@ピンキー
09/01/19 04:56:49 +piS4JbQ
成人女性の話だが、身長とスリーサイズの比率は、
身長1に対して、B:0.54 W:0.38 H:0.54 がもっとも美しく見えるらしい。

子供ならこれよりウェストは太く、ヒップはやや小さくってのが
それっぽいバランスだとは思うがね

322:名無しさん@ピンキー
09/01/20 14:05:36 lSmlcTsE
千晶待ち

323:名無しさんX ◆q5tFVKFOs2
09/01/20 21:49:44 Ir2uuYWD
>>309
SDS ◆cStOEcFYHcさんごめんなさい
付属小のまちがえでした。

>>318 暴走ボート ◆z95s/qs7OM さんへ
趣向としては結構百合が好きなので

ハイ私もどう使っていただけるか楽しみにしてます。


324:暴走ボート ◆z95s/qs7OM
09/01/22 20:51:55 jAQhpD51
それじゃあ投下します。

スレッドの目的を重んじかなーり短縮。
おかげで某野球まんがと同じような流れになったようなならないような…

325:迷わずストレート!『意地っ張りなストレート』
09/01/22 20:52:17 jAQhpD51
「…で?なんで来たんだよ。」
「そっちこそ、なんで理奈の家に来るのよ。」

優子が持ってきた料理を並べて行く。土生が負けじと料理を作って並べて行く。
お互いの料理が、どけよどけよと意地を張る。

「そんな事より、試合で疲れたでしょ、さっさと帰れば?」
「疲れてて外に出られない。石引こそ、いつまでいる気だよ。」
「さあね。それより、疲れてるって言うにしてはてきぱきと料理してるけど?」
「作らないと理奈がピーピーうるさいからな。雛を世話する親鳥の気持ちにもなれ。」

「あのー…」

もはや戦場と化しているリビングとキッチン。

「あたしの料理さえあればいいんだから、あんたが作る必要ないって。」
「持ってくる方が労力使うんじゃねえのか?これからは理奈の料理は俺一人で十分だ。」

優子が、土生と理奈の同棲を知っていることを、土生は知らない。
何とかして、早く帰さなければ…

「てめえは先食ってろ、食い終わったら即帰れ。理奈の分はまだできてないから、まだ食べるなよ理奈。」
「あたしは理奈と食べに来たの!それに何よてめえって!」
「名前忘れた。」

「あのー…」

ようやく料理を並べ終わる。
土生の料理皿と優子の料理皿、2種類の皿が織りなす陣取りゲーム。

(食べきれないよ…出しゃばって、作りすぎだって…)
「理奈、これと、これと、これを食べてね?」
「理奈、これと、それ、そしてこれを食えよ。」
「…。」

板挟みになる方の身にもなってよ。

「そんな不味そうな料理、誰が口にするのよ!」
「この皿の事か?」
「それあたしの料理!まずいわけないじゃない!」
「理奈、そのわけのわからんものじゃなくて、その野菜炒めを食べろよ。ビタミンはしっかり摂らなきゃな。
 さもなくば…次の試合、スタメン落ち&登板回避な。」

やりかねない。
たった2分の遅刻でもスタメンから自分とあたしを外した翔なら、やりかねない。

326:迷わずストレート!『意地っ張りなストレート』
09/01/22 20:52:40 jAQhpD51
「いい加減にしてよ!いくらなんでも言いすぎじゃないの!?」
「いただきまーす。…パク。」
「…え?」

優子の抗議を無視して土生が口に運んだのは、…優子の持ってきた料理。
一瞬場が静まるが、やがて土生が口を開く。

「うん、うまいじゃん。」
「え…」
「食ってみろよ理奈、うまいぞ、この焼きそば。」
「パスタですぅーっ!」

思いやりの中にも、皮肉も当然忘れない。

「…おいしいよ、優子!」
「ホント!?
 …ありがと。あんたの料理も、おいしいよ。」
「はいはい。」

いつまでも意地を張って、悪口を言ってもしょうがない。
キレさせる一歩手前でそっと気配りをする、そんな駆け引きの巧さがキャッチャーに求められるものである。

…ちなみに、『あたしの料理』と言いつつも、実際に作っているのは優子の母親だが。
その優子も、本当は素直な女の子。素直さもキャッチャーにはもちろん必要な要素。


「そういえば。
 なんであんたが久美と沙織を知ってんのよ?」

食べ終えた後は情報交換。
同じ野球選手として、互いのチームの事は気になる。

「あんな奴とは、もう2度とバッテリーを組みたくない。」
「…え!?」
「まあ、バッテリーというよりは、…説明したほうが早いな。」

327:迷わずストレート!『意地っ張りなストレート』
09/01/22 20:53:04 jAQhpD51
――…一年前・4月…――

「なんでソフトの連中と練習するんすか、監督?」
「言ったろ新井。もっと速い球を投げる投手、&アンダースロー対策。
 体感速度は、女子ソフトのピッチャーの球の方が圧倒的に早いからな。」
「どーせマウンドからの距離の近さに頼ってるにすぎないでしょ…」
「…そのお前の天狗を治すために、連れてきたんだよ。」

女子相手に負けるわけないじゃん、そんな顔をする新井。
西村も、白濱も、二岡も、そして土生も内心はそう感じていた。

「着いたぞ。
 ちょっと向こうの監督と話してくるから、待ってろ。」

中井監督が向こうの監督と何やら話している。

「ほんとに、こんな練習に意味なんてあんのかねえ。」
「まあ、打ち込めば監督も意味がないってわかってくれるんじゃね?西村。」
「おーい!なんか向こうのキャッチャーが風邪でダウンしてるらしくってさ。
 病気を押して無理やり練習してたみたいなんだが、さっき倒れたらしくって。」

しめた。
これで練習が中止…

「あのピッチャーの球、そのキャッチャーしか取れないらしいから、お前ら、誰か代わりにキャッチャーやって。」

最悪だ。
逆に最悪の事態だ。なんでソフトボールのピッチャーの球を…

「おい白濱、お前やれよ。」
「やだね!なんで俺が…キャッチャーの感覚が狂う。つっても、俺たち以外の他の奴じゃあ捕れずに怪我するし…
 そうだ土生、お前のセンスなら取れるだろ、やれよ。」
「え、なんで…」
「先輩の言う事、聞けるよな?」
「うう…」

尊敬する半面、この人たち最悪の先輩だ…


「なんですか監督、男の子たちに投げるのはいいとして、私はお姉さまとしかバッテリーを組む気は…」
「しょうがないじゃない。
 あなたの球をとれるのは沙織だけだし、向こうに頼むしか無いのよ、ね?」
「はあ…」

向こうもキャッチャーを用意したみたいだし、しょうがないなあ…


(…サウスポー、か。
 さあて、さっさと打ち込んで練習終わらせるか…)
「負けんなよー、新井ー!」

なんか向こうの奴ら、私を馬鹿にしてるみたい…見てなさい!

328:迷わずストレート!『意地っ張りなストレート』
09/01/22 20:53:25 jAQhpD51
「うおっ!」
「新井ー!何空振りしてんだー!」
「いや、めちゃくちゃはええぞ!?しかも、アウトコースいっぱいに…
(でも、変だ。それだけなら空振りだけはしないはず…)」

第2球。低めの球。

「ぐっ!(だめだ、当てるだけで精一杯だ…)」

女子ソフトの球は女子ソフトにしか打てない。レベルが高ければなおさらである。
マウンドからの距離が近いとはいえ、体感距離がいつもより圧倒的に早い。
しかも、ソフトボールは使っているボール自体が重く、飛距離も伸びない。

さらにオーバースローがほとんどの野球にとって、ソフトの球には手も足も出ない。

(まさかこの球…)
「ちょっと、そこのキャッチャー!ちゃんととってよ!」
「…?
 俺はちゃんと捕ってるけど。」
「捕り方がまるでなってないのよ!お姉さまとは雲泥の差だわ。」
(俺キャッチャーじゃないし…)

土生も取るだけで精一杯。
だが、土生は久美のストレートの正体に、気付いていた。

「畜生…白濱、交代だ!」
「情けねえなあ…」

だが、白濱も、西村も、二岡も打てない。
実力差もあるし、相手をなめてかかってひたすら長打狙い、というのも原因の一つ。

「…ちょっと、そこのキャッチャー、来てよ!」
「え?なんだよ、ったく…」

…そして何を思ったか、もう限界と言った様子で久美が土生を呼び寄せる。

「なんでちゃんと捕れないの?沙織なら投げる方も気持ちよく投げられるようにとってくれるのに…
 あんたのはただ捕ってるだけ!捕るのもやっと見たいじゃない!」
「…しょうがないだろ。あんたの球、とるだけでも精一杯だ。」
「たかがストレートすら、捕ることができないわけ?」
「…。続けましょう。」

久美が不機嫌なまま、土生が戻っていく。
監督の頼みでなければ、今すぐにでも切り上げたいよ。

そして、全く打てないチームメイト達を見かねて、

「すんません、俺にも打たせてくださいよ。なんとかなりそうなんで。」
「ああ?…ったく、おい、白濱、キャッチャー代わってやれ。」
「しゃあねえなあ…まあ、一応お前は実力があるし、打たせてやるよ。」
「ありがとうございます。」

土生の実力はすでに白濱達に認められている。
キャッチャーとして久美の球を見てる以上、勝算があるのだろう。
男子の意地と誇りを、土生に賭けてみた。

329:迷わずストレート!『意地っ張りなストレート』
09/01/22 20:53:49 jAQhpD51
(男子のレベルが、ここまで低いなんてね…あたしにたてつくこのキャッチャーも、さっさと…)

低めに制球された、ストレート。
土生が狙い澄ましたかのように、ジャストミート。

「なにっ!?」
「お、土生の奴、ヒット打ちやがった。」

野球とソフトでは守備位置は少し違うものの、文句なしのヒット性の強いゴロ。
久美が今日初めて喫したヒット。

(うそ…お姉さまですら、初対戦では私のストレートを打てなかったのに…
 あいつ、初球をいとも簡単に…)
「仕組みさえ分かれば簡単だ。
 西村さんも、新井さんも、白濱さんも二岡さんも、全員右打者。うちのチームは俺以外はほとんどが右打者だ。」
「え…」
「どうりでみんな打てないわけだ。
 あんたはサウスポーだが、本来対左には右打者が有利だと思ってたけど、ソフトにそれは通用しないらしいな。」
「う…うるさいっ!」

頭に血が上る。思わずボールを手に取り、投げ込む。だが、

「おおっ!」
「2打席連続!」

久美の足元を、抜けて行く。完璧なセンター返し。

「な…なんで…」
「あんたの球、一応ストレートみたいだが、直球じゃないってこった。」
「!」
「図星らしいな。まあ、マスク越しに見た地点で一発で分かったがな。
 まさか小学生でツーシームの使い手がいるとは、思ってなかったぜ。」
「あ、あいつのストレート、ツーシームなのか!?」


一口にストレートといっても、いくつか種類がある。
日本の主流のストレートはフォーシームファストボールと呼ばれており、スピードとパワーはこの球種が一番。
我々が『ストレート』と呼ぶのは大抵これを指している。

他には、螺旋回転をかける事によって圧倒的な球威とノビを生み出すジャイロボール、
あとは、フォーシームと同じ球速で打者の手元でぐぐっと落ちる、ムービングファストボール。

そして、大リーグでよく目にする、打者の手元で微妙に揺れたり、食い込んだりするツーシームファストボール。

330:迷わずストレート!『意地っ張りなストレート』
09/01/22 20:54:11 jAQhpD51
「ツーシームの最大の特徴は、打者の手元で変化する、という事。
 その変化の仕方がミソだ。」

ツーシームは投手の利き手方向に、落ちるように変化する球。
つまり、サウスポーの久美の場合、右打者には逃げるように、左打者には食い込むように変化する。

「つまり、右打者の皆さんにとっては見づらい球だが、
 左打者の俺にとっては、入ってくるように変化するからまだ球の動きが見やすいって事。
 アウトコース厳しいところ突かれたら、いくらみなさんでも打てっこありませんよ。」
「…さっきからうるさいわね!沙織と違って、まともに捕れないあんたに言われたくないわ!」
「やれやれ…ストレートとはいえ、変化するんだから捕りにくくても当然だろ。
 フォーシームとと同じスピードであんな鋭い変化するんだからな。」
「そんな球、よく打てたな…」
「その上ボール自体に重量があるから、低めに投げられたら飛距離も望めない。
 だから強くたたいて転がすことを意識して、どうにかヒットを打ちましたよ。」

ちなみに、上投げであろうと下投げであろうと、変化の方向に変わりはない。

「…ん?てことは、フォーシームより遅いツーシームであれだけ早いんだから、
 ソフトのストレートはまだまだ早いって事か!?」
「そういう事になりますねえ。」

ツーシームを操る故か久美のボールは球速は遅い方らしいが、男子野球の目から見たら十分早い。
ということは、トップクラスのフォーシームを操る女子の球は…

「…マジ?」



……。


「てなことがあったわけだ。
 去年の4月頃の話だから、石引はまだ入りたてでこの事は知らないだろうな。」
「そういえば、リリアムに入った時、男子が練習に来た日があったような…」
「それだ。
 まあ、俺が打てたのもストレートだけ、チェンジアップやカーブが絡むとファールが精いっぱいだ。」

土生がコップにお茶を注ぎ、グイッと一口。

「…ま、とり方一つでガミガミ言われて、こっちも何度嫌だと思ったことか。
 ほんと、よくあいつとバッテリー組んでるもんだ。」
「あんたと違って、あたしはキャッチャーとして優秀だから。」
「それでも、ああ言う球もあるって事は、すごく勉強になった。
 さて、明日は学校だし、理奈、まだ宿題やってないだろ。」

一筋の汗が流れる。

331:迷わずストレート!『意地っ張りなストレート』
09/01/22 20:54:47 jAQhpD51
「金曜日に終わらせとけよ…ったく、終わらせっぞ!」
「あ…じゃあ、帰ろっか?」
「悪いな、邪魔者扱いみたいで。」
「…今の恋女房は、あんただから。」

いつまでも理奈に固執しちゃいけない。あたしは今はリリアム所属の正捕手。
なんだかんだで、今理奈のそばにいてあげるべきなのは、…ああ、くやしいなあ、もう!


「うーん…楽勝楽勝♪」
「って、ほとんど俺がやったようなもんじゃねえか!」

体を洗いながら、笑顔で伸びをする理奈。
浴槽から聞こえる不満の声も、なんのその。

「いいじゃない、困った時は…」
「明らかに俺ばかり助けてる気がするぞ。」
「そうだっけ?まあまあ♪」

言っても無駄だ。
あーあ、なんか一打席しかたってないのに、疲れた気がする…


…だって、ベットでまた俺のあそこを狙ってんだかんな。

「やめろって、ズボンに手ぇかけんな!」
「いいじゃん、いつもあたしのおっぱい飲んでる癖にさ!」
「宿題といてるんだから、それくらい当然だろ!」
「なによ!こんな可愛い女の子と、セックスしたくないの!?」

…あのなあ。
もう少し自分を大切にしろって。
2回ほど俺のあそこを理奈に好きにさせたけど、あれは状況が状況だったからって事、…分かってねえよなあ。

「だから、もしもの事が」
「大丈夫、ほらっ!」

…なんでそんなもん持ってるんだ!?
これはいわゆるあれですか!東京ドームじゃなくて、名古屋ドームじゃなくて、札幌

「…そんなボケ、いいって。
 あたしはさ、…翔と、初めてをともにしたいんだって…」
「なんでだ?」
「10年くらいたって、適当な男と流れでやるくらいなら、
 たとえ小さくたって、今翔とやって…その方が、絶対に後悔、しないもん!」
「…。」

泣きそうだよ。こりゃ軽い気持ちじゃなく、本当に俺とヤりたいんだな…
ここまでされると、流石にその気持ちを蔑ろには…

…そうだ。

332:迷わずストレート!『意地っ張りなストレート』
09/01/22 21:25:03 jAQhpD51
「ギブ、&、テイク。」
「へ?」
「それじゃあこうしよう。
 次の試合、もし理奈がノーヒットノーランを達成したら、…そのご褒美だ。」
「せ、セックスしてくれるって事!?」
「ああ。…って、抱きつくな!ただでさえ狭いんだから、このベット!」
「やったあ、やったあっ!」


…ま、相手はベスト4だから、絶対に無理だろ。
理奈にとって初めての大会だし、県トップレベルがどういうものか、理奈には分からないしな、

…大丈夫、だろう。多分。


「…ところで、さ。」
「なあに?気が変わって今から」
「理奈の父さん、…いつ帰ってくるんだ?」

かれこれ3週間経つ。
スカウト業がどのようなものかは皆目見当もつかないが、
シーズンはどんどん進んでいる以上、補強は迅速に行うべきである。

…となれば、ラリナパパが現地について2,3日で話をまとめる可能性も十分あり得るのだが…

「うん…まだ、連絡が来ないの。
 さすがに、翔もこの家に飽きてきちゃった?」
「い、いや、そんな事はない。
 ただ…」
「…うん、寂しいよ。翔がいてくれても、…やっぱりあたしのパパは、一人だけ。ごめんね。」
「悪いな、泣かせるような話を、振っちまった。」
「もう慣れっこだから。」

長い髪を、手で梳いてやる。
土生にとっては幸せな時間でも、理奈にとっては必ずしもそうではない。

…本当は、3人で暮らすのが一番楽しい。でも、それもできないけどね。



「やれやれ、せっかく日本に帰れると思ったら今度は韓国球界か…
 担当にトラブルがあったからとはいえ、俺を派遣させなくても…」

外国人の獲得に手間取り、結局3週間経ってしまった。
しかも、明日の朝早く、すぐに韓国行きの便に乗らねばならないというから、たまったもんじゃない。

0時半発の空港行きの深夜バスの予約をしており、それに乗る事になる。
現在午後9時。たった3時間の家族サービス。

「まあ、まだ起きているだろう。さみしがってるだろうし、何かしてあげないとな。」

家に着くが、明かりは消えている。
もしかして、もう寝たのだろうか?親がいないのだから、夜更かしくらいしているはずだと思うが。

「まあ、帰る連絡をしてなかったからなあ。
 家に電話しても、出てくれなかったけど、遊びにでも行ってたんだろか。」

鍵をかけて、家にはいる。
幽霊が出そうな薄暗さが、電球によってぶち破られる。

333:迷わずストレート!『意地っ張りなストレート』
09/01/22 21:25:45 jAQhpD51
「理奈ー。…寝室かな?」

理奈の部屋は2階。
土生とぐっすり寝ている部屋に、階段を1段1段あがりながら近づいてゆく。

そして、ドアノブに手をかける。


「…あれま、こんな時間なのにぐっすり…ん?」

隣に誰かがいるのに、気がついた。
起こさないように、恐る恐る、近づいてゆく。

「この子は、確か…」

思い出した。
以前理奈が家に連れてきた、土生という少年。…少年?この少年と、もうこんな関係まで行っていたのか?

(すー…すー…)
(すー…すー…)

どこのだれか分からない異性と、はだけかけた薄手のパジャマ一枚だけを羽織って、密着して寝ている。
普通なら、怒りもこみあげてこよう。

…だが、不思議とラリナパパにそのような感情は芽生えなかった。


まだ10才だから?大人じゃないから?セックスをするような年頃じゃないから?
…いや、それは違う。だって、理奈の胸は確実に大人になっているのだから。

多分、理由はほかにある。


(巨乳で、いじめられていた、理奈が…)


1つのきっかけで、人間は大きく変わるもの。
その変化に嬉しさと寂しさを覚えながら、静かに寝室から出て行った。

334:迷わずストレート!『意地っ張りなストレート』
09/01/22 21:26:39 jAQhpD51
そして当日。
今日勝てば、あのラミレーズやルウィズも使うスタジアムで巨神と戦える。

「よーし、今日勝って、あのスタジアムで巨神と戦うぜー!」

意気揚々と乗り込む赤松。しかし周りにはだれもいない。
スタメン落ちしたくないからとはいえ、10時集合のところを6時に来る馬鹿はどこにもいない。

…いや、そんな馬鹿もいた。

「翔ー…いくらなんでも早過ぎない…?」
「投手はさっさと起きて、調整しねえとな。」
「でも、4時にたたき起され、5時半に出発するこっちの身にもなってよ…あ!」

誰もいないだろうと思っていたところに、赤松の姿が。

「おいおい、10時集合だったろ?」
「その言葉、そっくりそのまま返しますよ。」
「とりあえず、これから4時間どうする?」
「俺、朝飯今からなんで…ちょっと店探してきます。」
「俺たちもだ。3人でどこか食べに行こうぜ。」

ちょうど近くにファストフード店があったので、入ってみる。
『朝ミール』なるメニューがあったので、それを頼んでみた。

「そういえば…今日の第1試合は、巨神が…」
「知っている。」
「…見に、行きますか?」
「決めてねーよ。」

赤松の言っている事に興味はないと言わんばかりに、ジュースを口にする。

「とにかく、今日勝てばベスト8、まずはそれだ。」
(…そんなわけ…ないのに。)

無理しなくてもいいのに。
でも、それが翔の求める、キャプテン像なのかな?エースとキャプテンって、どう違うんだろ…


「っ!!」
「どうしたの?」

はっとした顔で後ろを向く。

「どうしたの!?」
「…理奈には、…赤松にもわかんないだろうな。」
「え?」
「ずっと一緒にいたから、姿が見えなくても、感覚で分かるんだよ。」

土生がまた姿勢を元に戻し、ハンバーガーを口にはこぶ。


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