【田村くん】竹宮ゆゆこ 5皿目【とらドラ!】at EROPARO
【田村くん】竹宮ゆゆこ 5皿目【とらドラ!】 - 暇つぶし2ch350:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:15:31 an5xwdkC
>>348
いいんじゃね、俺は読みたい
ただ、一応寝取られになっちゃうだろうから、投下前に一言書いておいてくれるとありがたい

351:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:22:53 G4gc41ec
>>347
こんにちは、麻生太郎です アンチだからね

352:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:23:28 sCA8O3EA
雪貞って誰?

353:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:26:54 Y3O5ime4
田村くんの方が好きな俺を怒らせたな
絶対に許さない、顔も見たくない

354:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:32:14 7JdAjI4B
>>348
個人的には正直いらねw、、もちろんお前さんが書きたいなら書くべきだと思うが

355:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:34:36 h8gUEWKU
相変わらずの投下ラッシュだな
職人GJ

>>353
「顔は見れないだろうw」と突っ込めばいいのか?

356:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:37:09 cytH16mF
まあ確かに田村なら目の前で困ってる姿を見せさえすれば
突っ走らずにはいられない奴だから話は作りやすいんだろうが
結局最終的には第二の相馬を作り出すだけの結果に終わるんじゃないかって気もするんだよなあw

357:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:39:10 zaGPdGxo
雪貞と亜美の方が絡ませ辛そうだと思うのは俺だけだろうか
どうせifにするなら亜美提案の関係リセットした設定とかで書いても良いと思うけど
もしくは亜美と大河の立場が入れ替わったようなifとか
無理にクロスさせるよりもやりようがありそうな気がするけどな
俺は書けないけど

358:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:40:12 giGLpAUh
>>348
いらねぇ
見たくねぇから投下するんだったら前置きだけはちゃんとしといてね

359:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:49:40 IOmiIwyc
>>353
金村乙

クロスは個人的に要らないかな。オリジナル要素が強いSSは痛すぎる。


360:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:56:50 GZzWWFl/
>>348
雪貞が童貞に見えたw

>俺は亜美ちゃん好きだよ、だからこそそう思った
>やっぱ竜児は原作の展開からして亜美ちゃんと絡ませづらいんだよなぁ…
>童貞の方が書いてて動かしやすいし、いっそのこと童貞がとらドラメンバーの学校に入学してて
>同じ学年だったらのifで童貞×亜美とか書いてみようかな…どう思う?

361:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:57:08 00l4kBLv
要るとか要らないとか言い始めたら、せっかくの投下祭り終わってしまうがな・・・
苦手ならだまってスルーじゃダメなんかい君ら

362:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:01:45 rQ2z+nXl
いや、どう思うって聞かれてるのにスルーじゃ駄目だろ

363:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:03:43 Pesg+LUX
亜美は竜児以外の男とくっつくの嫌なの俺だけ?

364:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:16:53 kP2fJ3zs
もうSS職人の勝手にしろよ!!どんなSSでも受け止めてやるよ!

365:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:26:08 6AIUQS/w
そろそろ相馬×田村を…

366:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:27:17 D5QeouZV
>>363
俺もだ。

>>348
クロスはちょっと…
投下する時は告知してくれ。見ないから。

367:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:34:55 pcCcuvr6
ワシもどんなSSでもいいぞ
キャラ崩壊しても、思いっきりif、リセットでも
面白ければよい、許す だが


368:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:40:21 gVBGlBSK
保管庫管理人さんからの質問も忘れるな
>>317

俺もいらんかなーとは思う

369:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:51:33 X7IQQQbj
竜児×伊欧はギリギリクロスじゃないよね

370:297
08/11/30 01:16:06 09uFOWRh
「17分51秒。なかなかいいタイムですな」櫛枝がニコニコしながら腕時計を見るフリをして言う。
「さぁ、次は世界新を狙ってくるのだ~」シャキーンと人差し指を俺たちに向けてくる。

俺と大河は目を合わせる。二人とも恥ずかしくなって、目を逸らす。

俺はこの後、どうするべきか考える。
というか、今日はどうするべきかばかり考えている気がする。
この状況じゃ無理ないか。
とりあえず、いや、とりあえずという言い方は失礼だな。
ここまでやったのなら大河と続きをやるべきだろうなやっぱり。櫛枝もああ言ってるし。

俺は横に座っている大河を寝かす。

「うわわわわあああ。布団は?布団の中は?布団の中じゃないのか~~い」櫛枝が慌てる。
櫛枝は手で目を覆いながら「もういいかい、ま~だだよ」と小さい声で繰り返し言う。

大河は仰向けになってキョトンとしている。
俺はゆっくり大河の胸に手を伸ばす。

手をパチンと弾かれる。
「胸は触んじゃないわよ」大河がこっちに鋭い視線を向ける。

そうか、こいつ胸に相当コンプレックスあるんだよな。
しかもさっき余計なこと言っちゃったし…これはどうすればいいのか。

「そんな事言ったって、胸触れなきゃ、先に進めないだろ」俺はなだめるように言う。
「そうだけど…それでも嫌なの」大河は歯がゆそうに言う。
「別に笑ったりしないからさ」俺はもう1度大河の胸に手を伸ばす
「だから胸は嫌って言ってんでしょぉ」さっきよりも強く手を弾かれる。

「あぁそうかよ。じゃあもういいよ」
俺は大河の態度にかなりイラッとくる。
なんだよ、人がせっかく恥を捨ててまでやってるのに…

俺はまたこの後どうするべきか考えなくてはいけない羽目になった。
「もういいかい、ま~だだよ」を繰り返してる櫛枝が目に映る。
えっと、さすがにこの後すぐに櫛枝に行くのって、人としてダメだよな…
でも待てよ。もう3人でこんな事してる時点で今更何しても同じじゃないか?
むしろさっきの途中でやめたまま終わったら、櫛枝に失礼じゃないか?
うん、失礼だ、多分。いや絶対……これが男の悲しい性か。
俺は自分で自分の正当化の希薄さに苦笑いしつつも、櫛枝のほうへ近づく。
この際、後ろの大河のほうから漂ってくる殺気は感じないことにする。

371:名無しさん@ピンキー
08/11/30 01:16:17 tqLsZESv
>>317
いらないと思います
あと、いつも保管ありがとうございます&ご苦労様です


さて竜虎あげます
書きたてピチピチの新鮮ものです
短いですがご容赦を。

372:297
08/11/30 01:16:53 09uFOWRh
櫛枝の肩をトントンと叩く。
目を覆っていた手を下に置く。

「何の用だい、坊や」櫛枝が渋い声を作って言う。
「いや、大河が嫌だとか言うからさ」俺は少し口を尖らせて言う。
「お~そうかいそうかい」櫛枝は俺の頭をいいこいいこする。「で?」という?マークが目には映っている。
「で、だからこっちに来た」
「お~そうかいそうかい」相変わらずいいこいいこを続ける。

櫛枝はいいこいいこをしていた手を止めて、少し考える。
「という事は…」少し間が空く。
「大河がダメだったから仕方なしに私の身体で妥協するって魂胆なのね。そういう魂胆なのね~~~」

俺は思わず笑ってしまう。
「やっぱり櫛枝ってかわいいな」
無意識に本音を言ってしまう。俺の顔が見る見る赤くなる。
「お、欧米か~~!」頭をこつんと突っ込まれる。櫛枝も同じく赤面している。
「なんで欧米なんだよ」俺は笑いながら言う。

やっぱり俺は櫛枝が好きだ。櫛枝の全てを知りたい…
俺はこの時再度決心をした。櫛枝と、ヤル。

俺は櫛枝をゆっくり押し倒す。
櫛枝はされるがままに、仰向けになる。
そして櫛枝の唇に唇を重ねる。
さっきと同じように、いや、経験を生かしてむしろさっきより手際よく舌を口の中に突っ込む。
櫛枝の舌をベロベロと舐めまわす。

しばらくして、キスを一回やめて、櫛枝の顔を見てみる。
櫛枝は目を逸らして、悲しそうな表情を冗談めいて作る。「大河の、味がするわ…」

「ぎくっ」
俺は漫画のような声を出してしまう。やはり後ろめたさが相当あるからだろう。
しかし今更躊躇なんてしてられない。
俺は櫛枝の胸に手を伸ばそうとする。
ん、待てよ?手を止める。
櫛枝の胸はさっき散々触ったな。それよりも…

俺は櫛枝の下半身を触りたいという欲求に駆られる。
手を上半身から下半身へとスルスル移動させる。

「ぬわっ」櫛枝がびっくりする。「あ、兄貴、行き先間違えてますぜい」

373:297
08/11/30 01:17:36 09uFOWRh
俺の指が櫛枝のパンツに触れる。
櫛枝は本当に恥ずかしそうな顔をする。
この櫛枝の「素」の感じに戻ってしまう瞬間が好きだったりする。

櫛枝の足を大きく広げさせる。
真っ白なパンツが丸見えになる。こういう格好、エロ本でよく見るな、と思う。
俺はこのショットをしっかりと見たいと思って、少し下がって見てみる。
しっかりと目に焼き付ける。しかしそれだけではまだ物足りない。
俺は制服のポケットから携帯電話を取り出し、写メで撮ろうとする。

「それだけはご堪忍を~」
櫛枝が土下座をしてベッドに頭をグリグリ押し付けてる。
「あー悪い、撮らないよ」
そりゃそうだよな、と思う。
「じゃあ撮らないから、またさっきのポーズしてくれよ」今度は自分で足を広げさせる。

まずは内ももをゆっくり擦る。
そしてひとしきり焦らしてから、そっと陰部のほうへ指を向かわせる。
櫛枝はギュッと強く目を閉じる。
指が陰部の辺りに届くと、ビクッと身体を震わせる。
そのままスジに沿って、指を縦に動かす。
「ぁっ」櫛枝が声を漏らす。
乳首の時はあえぎ声出させるのに散々苦労したのに…

「櫛枝って、もしかして下のほうが敏感か?」
「ふっ…」意味深な笑いをして、またすぐに目を閉じる。

俺はさらに上下に指を動かし続けた後、少し上ら辺のクリトリスがあるであろう場所を集中的に擦る。
「あぁっあっぁっ」櫛枝のあえぎ声が大きくなる。
白いパンティにうっすらとシミのようなものができる。
俺は嬉しくなって、爪を立ててさらに激しく擦る。

俺はシミをもっと付けたいという欲望に駆られ、右手でクリトリスの辺りを擦り続けたまま、
左手で、パンティ越しに穴のなかに中指を突っ込んでグリグリと動かした。
案の定、どんどんシミが付いてくる。
俺の左手にも濡れた感触が伝わってくる。

しばらく続けていると、櫛枝がパッと俺の腕を掴んだ。
「これ以上やると、パンツを家の洗濯カゴに入れれなくなりますぜ…隊長」
「たしかにそうだな…」俺は納得した。

さて、いよいよ櫛枝のあそこを拝める時がきたか…
いや、待てよ。何かを忘れてる。
そうだ、俺はまだ櫛枝の生乳を見ていない。

374:297
08/11/30 01:18:10 09uFOWRh
「櫛枝、バンザイして」
「ん?あらよ~っと」言われた通りバンザイをする。
俺は櫛枝の制服を上にスルリと引っ張って脱がす。
上はブラジャーだけの状態になる。
「う~~さびいい」櫛枝は身体をガタガタと震わせてみせる。

次にブラジャーを取ろうと、ホックに手を掛ける。
しかしなかなか取れない。
そもそもどういう原理でくっ付いてるのかもイマイチ飲み込めない。
がむしゃらに外そうと、しばらくホックと悪戦苦闘する。

「ではでは、ヒントを与えてしんぜよう~」人差し指を立てて、ニコニコしながら俺のほうに振り向く。
「いいよ、自分でやるから」もたついてる自分が恥ずかしくて、断る。

3分後、何とかブラジャーを外すことができた。
「おー」櫛枝はパチパチと拍手をする。

そういえば櫛枝、今はそんなに恥ずかしそうじゃないな。
そりゃそうか。下やってから上いってるんだもんな…
自分の不甲斐なさに苦笑する。

「櫛枝、じゃあ次は…」
って座ってたはずの櫛枝がいない。
どこだ?

何故か床にうつ伏せになって寝ている。
「お前いつの間に…ってか、何でそんなとこにいるんだよ」
「ははは~何となくさ~」
「何となくするような事じゃねだろ」俺は櫛枝の顔を覗き込む。「いいからこっち来いよ」
櫛枝が真剣にこっちを見る。「じゃあさ…」
「何だよ」
「電気消そうぜ~」

「櫛枝…お前も胸見られるの恥ずかしいのか?」
「ふんふんふん」首を激しく縦に振る。
「お前は胸を恥ずかしがる必要ねえだろ」
今度はブルブルと首を横に振る。

そっか、初めて男に見せるんだもんな。
櫛枝でもこんなに恥ずかしいってことは、普段から劣等感抱いてる大河は…
何だか胸が痛くなる。

「大丈夫だ櫛枝。こっち来いよ」櫛枝の髪を撫でる。「俺はありのままのお前を見たいんだ」

櫛枝がゆっくり起き上がってこっちに来る。
ふっくらとした胸に、ピンク色の綺麗な乳首が見える。

「綺麗だよ、櫛枝」
「あ、あ、ありがとう」目線は合わせないが、俺の正面に座ってくれる。
俺はもう1度櫛枝の髪を撫でる。

375:297
08/11/30 01:18:54 09uFOWRh
「そうだ」俺はふとある事を思う。「俺も服脱いだほうがいいよな」

櫛枝があからさまに顔を引きつらせた後、手を挙げる。
「ん?どうした櫛枝?」
「反対に1票~」

「何でだよ!」俺は思わずツッコミを入れる。
「高須くん、武士はむやみに刀を抜かないもんなんだぜ」櫛枝が真面目な顔をして言う。
「櫛枝、意味わかんねえよ」
「意味はいつか分かればいいさ」

「じゃあとりあえず、暑いし制服だけ脱ぐぞ」
「うわ~ちょっとちょっと~」

俺はベッドの上で、まずは上着を脱ぐ。
そしてズボンを脱ごうとするが、ベッドの上だとどうも不安定で脱ぎにくい。
案の定片足立ちした時、体勢を崩す。
「うわっ」俺は後ろに思い切り倒れる。
頭をガンッと硬い何かにぶつける。
「痛ってえ」俺は頭を擦りながら、ぶつけた方を向く。

そこには後頭部を擦っている大河がいた。いや、鬼がいた。
「ふふふふふふふふふ」
肩を揺らして不気味に笑っている。髪が前に垂れていて、顔が見えない。
「すまん大河、悪気はないんだ」俺は躊躇することなく土下座する。
「あんた、人の寝てるベッドで散々エロい事やり続けた上、頭突きまでお見舞いしてくれるなんて…」
大河が前髪をバサッとかき上げる。目から火が出ている。
「いい根性してるじゃねえかああああああああああああああああああああ」
土下座している背中に容赦なくキックの雨が降ってくる。

「あ~大河おはよ~」櫛枝が大河に手を振る
「あ、みのりんおはよ~」笑顔で櫛枝に手を振り返す。
助かった…

「助かっただと?まだまだ楽しみはこれからだぜ、ふふふふふ」
なぜ、心の声が聞こえている…

それからどれくらいだろうか。
櫛枝が待ち切れずウトウトしてしまうくらいの時間、俺は蹴られ続けた。
死ぬかと思った。いや、途中で1回死んだ気がする。

376:297
08/11/30 01:20:17 09uFOWRh
「みのりん、お待たせ」気が済むまで蹴り続けた後、大河が愛想よく櫛枝に声を掛ける。
「わ~逢いたかったよ~大河~」櫛枝が大河に抱きつく。

それから大河を真ん中にしてベッドに座る。
変な間が空いた後、大河が口を開く。
「なんか、妙な違和感があるわね…」

そりゃそうだ。大河だけ制服姿で、俺と櫛枝は上半身裸なんだから。
「き、気のせいだよな、櫛枝…」俺は顔を引きつらせながら、櫛枝にアイコンタクトを送る。
誤魔化せる訳ないと頭で分かっていても、口が勝手に動いてしまう。
何としてもこれ以上の暴力は回避したい…

「いんや、高須くん。この中にエラーが一つだけあるぜ」ピカーンと人差し指を立てて上に挙げる。
それからメガネを上げるジェスチャーをする。「しかもIQ60の問題です」

「そ、そうかなあ…俺には何も違いが分からないけどなあ…アハハハハ」

「はい、みのりん」大河が手を挙げる。
「はい、大河さん」櫛枝が指す。
「私だけ、服を着ています」
「正解~」パチパチパチと拍手をする。
俺もつられてとりあえず拍手しておく。
あばらにパンチが飛んでくる。

「私がいない間、ずいぶん楽しそうなことやってくれてるじゃない、このエロ犬が」
「いやあ、これは…」

「一体、何してたのかしら?」大河が白々しく聞いてくる。
「何ってそれは…」
「パンツの上から指を押し付けてきたんだよね!それから上半身を脱がせて…えっと途中で写メールも撮ろうと…」櫛枝の口をバッと手で塞ぐ。
「お前、野球のハイライトじゃないんだから、そんな明るく説明しなくていいんだよ」

大河が汚いものでも見るような目でこちらに視線を送ってくる。

「…ここら辺にゴキジェット無かったかしら?」
「一体何する気だよ!」

377:297
08/11/30 01:24:45 09uFOWRh
以上です。
やっぱり書くのは思ってる以上に難しいですね。
気付いたらただの独りよがりなものになってて自分でも痛々しいw
しばらく修行して、投下できる域に達したらまた挑戦してみますw

378:名無しさん@ピンキー
08/11/30 01:36:17 tqLsZESv
GJです
3人動かすのって難しいですよねー
俺もエロ書こうとして途中で挫折してるんでその気持ち分かります


あげようとしてたのはタイミングかぶちゃったんで2時くらいにあげます

379:名無しさん@ピンキー
08/11/30 01:42:08 09uFOWRh
おまけにタイミングまで悪いなんて自分は一体…
ほんとすいませんでした。
竜虎いつも楽しみにしています。

380:名無しさん@ピンキー
08/11/30 01:54:46 QVTO46pW
未来永劫残るものでは有りませんし、娯楽なのですから、完璧を狙うのもどうかと思います。
もちろん、低水準杉というのも問題ありますが、今、このスレで求められているのは、プロの書く小説のような完成度ではなくて、本当に「楽しめればいい」のだと思います。
はぁ。しかし、そんなに落ち込む必要ないと思うのですが? ID:09uFOWRh さん。
読ませて楽しませた人が勝ちだと思います。つまり貴方が勝者です。

って、竜ちゃんや大河ちゃんに対するやっちゃんみたいに、甘やかせが過ぎるかしら。

381:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:21:45 pNs96wqC
>>377
乙なんだけど、このSSに出て来る大河がウザ過ぎる。

382:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:22:50 tqLsZESv
んじゃあげます

『夕焼けステップ』


いつもと同じ、いつもの帰り道。隣にはいつもと同じ、手乗りタイガー。
冬が近づいて来ているせいで最近はめっきり寒くなってしまった。この時期は陽は直ぐに落ちてしまうから今は夕焼け。
二人分の長く伸びた影。
片方は普通の長さ。もう片方はけっこう小さめ。
そんな影を見て、大河はポツリと呟く。

「…疑問に思ってることがあるの」
「おう、なんだ?」
「アンタは…そういえば、私が小さくても、気にしないわよね」
「…おう、何を今更」
「私の…その、胸が小さくても、気にしなかった。むしろフォローしてくれたし」
「胸の小ささなんか気にするかよ」
「どれだけ文句を言っても、ワガママを言っても、…許してくれる」
「まあ、…な」

竜児は苦笑いをする。それだけで持ち前の三白眼が怪しく光るが、そんなこと大河は気にしない。
大半の人間はこの目を見ただけで怯え、竦み、逃げ出すのだろう。
だが大河には分かる。この目は優しい目。どんなことをしても逢坂大河という人間を、偏見もなくそのまま見ていてくれる目。
だからこそ、分からない。
どうしてこの目が自分に向けられるのかが。もっとふさわしい人間は他にもたくさんいるはずだろう。
そんなことがこみ上げてきて、つい聞いてしまう。

「どうして?」

と。

それを聞いて竜児はマフラーに口を埋める。不機嫌になったのではない。ちょっと嬉しくなってしまったのだ。
「この少女は自分の考えていることと全く同じことを考えている」と、そう分かって。
だからこそ、その問いの答えは決まっていた。

「お前が、逢坂大河だからだよ」

と。

383:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:23:41 tqLsZESv


きっと、人はそんなに簡単に分かり合えない。
外見。性格。生活スタイル。宗教。人種。信念。心情。
どれもが同じ人間なんて存在しない。だからこそ、人は争う。

竜児は、その最たるものをずっと味わってきた。
外見でいくつもの誤解を受け、多くの人間が竜児という個人を知ろうともせず避けた。
あの北村だって最初は竜児を勘違いしていた。
櫛枝実乃梨だって何度か顔を合わせていたはずなのだが、話しかけてくれたのは最近だった。
要するに、いきなり仲良く、なんてことは絶対にありえなかったのだ。
それは竜児にとってもだんだんと当たり前になっていき、「慣れ」ていった。

だから逢坂大河に、惹かれた。

自分を全く怖がらない。夜襲もかけてくる。竜児の出したものを疑わず食べ、仲間だと認めてくれて、恋の相談もしてくれた。
櫛枝実乃梨が好きだと知っても、変な趣味をバラしても…高須竜児という個人を見てくれた。
竜児の、誰もが恐れるはずの目を見て、ちゃんと目を合わせて、「おかわり!」と要求してくる。

それは、「慣れ」ていたはずの、傷をごまかしていた自分の、…ずっと求めていたものだった。


「お前はこんな目を持ってる俺を、高須竜児として見てくれた。
 お前はそんないい奴なんだ。背が低いとか、胸が小さいとか、ワガママとか。
 それを全部ひっくるめて、お前なんだよ。
 …全部ひっくるめて、一緒にいて安心するんだ」

「…っ」

大河はなにかを言おうとしてやめ、俯いてマフラーに顔を埋めてしまった。
竜児も同じ気持ちだったんだ、とひとりごちて。


きっと、人はそんなに簡単に分かり合えない。
でも、だからこそ、人は他人を求める。
すれ違い。勘違い。いくつの間違いを起こしても。

……それでも、傍に居たいと、思う人がいるから。

大河は、竜児と居たいと思うから。
手を伸ばし、竜児の指と、自分の指を絡ませる。

竜児は驚いたが…耳まで赤くして、俯いている大河が出した、素直な気持ち。
それがなんだか嬉しくって、くすぐったくって。
そっぽを向いてしまうが、手はしっかりと握り返して。



384:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:24:26 tqLsZESv

真っ赤な夕焼けの中、並んで歩いているのに、そっぽを向いている二人。
でも、たとえ違う方を向いていても。
二人の影は手の部分でしっかりと繋がっていて。
心の距離も少し近くなって。

二人の顔は、夕焼けよりも真っ赤になっていた。




end

385:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:26:46 tqLsZESv
以上です。
俺も竜児みたらびびって避けちゃうもんなあ、大河すげえ

386:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:31:31 qW8J0lU9
382さんGJです。

387:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:34:47 s5LyluYL
GJです。大河と竜児がお互い大事に思ってるのが伝わってきますねー

388:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:59:31 IbMuF7eA
GJ!夕飯はきっとお赤飯!うわなにをするやめr

389:名無しさん@ピンキー
08/11/30 07:45:56 X7IQQQbj
GJGJ

390:名無しさん@ピンキー
08/11/30 10:05:22 DVgrIsIZ
こういうの大好きよ。乙

391:名無しさん@ピンキー
08/11/30 11:46:17 v4erIEZX
>>317
いつもご苦労様です。
「コピペ改変」みたいに、カテゴリ作って保管したらどうでしょうか?

392:名無しさん@ピンキー
08/11/30 12:07:45 D7pprWo2
>>317
コピペネタやった者だけど保存しなくていいと思うよ
……実はデリシャスデリシャスの続き書こうと思って挫折しただけなのは秘密だ

393:名無しさん@ピンキー
08/11/30 12:23:38 1GZdeoIB
コピペはどう考えてもいらんだろ。
結局元のネタの改悪なわけだし。

394:名無しさん@ピンキー
08/11/30 12:55:28 DVgrIsIZ
コピペはやめてくれよ。必要無い


可決されたじゃあないか

395:名無しさん@ピンキー
08/11/30 18:36:50 D9R8nl+U
ま、管理人さんの好きにすればいいんじゃね。

396:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:30:06 J1V51xaP
HDを漁っていたら、
拙作『虎の霍乱』(URLリンク(yuyupo.web.fc2.com))の続き書いてたのを思い出した。
勢いで書いたのでいろいろアレだけど、投下します。
タイトルは、『竜の霍乱』で

397:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:30:41 J1V51xaP
朝から調子が悪い。
どうやら風邪気味のようだ。
竜児は体調不良の体を動かし、早足でアパートに帰ると、
いつもより少々重く感じる扉を開いた。

「ただいまー。」
「おかえり~☆あれれ?竜ちゃんどうしたのぉ~?今日は元気ないよお~。」
いつものように迎えてくれる泰子も竜児の様子にすぐに気づいたらしい。
近づいて顔を覗き込んでくる。

「どうも風邪をひいたみたいだ。気だるいし喉が少し腫れてる。」
「え~!大丈夫なのぉ~?やっちゃん今日はお仕事お休みしよっかぁ?」
しかしそうはいかない。大黒柱の泰子に簡単に休まれたら家計が傾いてしまう。
「いや、大丈夫だから気にするな。今日は外で食事してくれるか。
 俺はあんまり食欲ねえし、簡単に済ませてもう寝るから。」
心配させたくないし、万が一にも移すわけにもいかない。
今夜は泰子にはできれば早めに家を出発してもらいたかった。

「あんまりムリしちゃだめだよぉ~。じゃあ静代ちゃん誘ってみよっと。」
早速泰子は早速ナンバー2の静代に電話する。
「あ、もしもし静代ちゃん今夜お仕事のまえヒマ~?
 うんよかったら一緒にご飯どうかな~ってぇ。おっけ~じゃあ……」





泰子は結局夕飯を食べてそのまま仕事に行くと出て行った。
何も食べる気がしない竜児は慌しく出発する泰子を見送り、布団の中へ。
そのまま瞳を閉じて、夢の世界へ………


「竜児!ちゃんと寝てる~?」


「…お前の声で起きたわい。」
……行くことができず、竜児は目を開け、
扉を破壊せんとばかりの勢いで開け、無遠慮に入ってきた来訪者に顔を向ける。
時刻は六時すぎ、泰子と入れ違いにやってきた大河に竜児は意識を覚醒させられた。



398:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:31:19 J1V51xaP

「俺は今日体調が良くないから帰って寝るって言ったろ。
 お前今日は夕飯は一人で済ませるって言ってたじゃねえか。」
「よかった~、起きてた~。喜べ、ご主人様が看病しに来てやったぞ。」

眩暈がしてくる。今こいつはなんと言った?
「ほら、この前私が風邪ひいたときに竜児がずっと看病してくれたでしょ。
 私は借りは作らない女。あのときの借りは今日返してあげる。」
「……昨日お前がソースこぼして汚した服の染み抜きしてやったが、
 あれはお前への貸しにはならないのか?」

しかし大河は聞いちゃいねえ。
「もう夕飯食べた?サラダ作ったげようか?それとも目玉焼きがいい?」
ギロチンがいい?それとも銃殺がいい?と聞いてくる独裁者のような大河の発言。
竜児は戦慄し答える。
「勘弁してください。」
なぜか敬語。



「お前の気持ちはありがたいけど、今日は帰ってろって。風邪がぶり返すぞ。」
先日風邪でフラフラだった大河の身を案じる竜児。
大河や泰子に移したくなかったため、一人でさっさと寝るつもりだったのだが。

「私にそんな態度でいいのかしらぁ?私が帰ったらあんた後悔するわよ。」
そんな竜児に対し薄い胸を反らし、口元をにやつかせる大河。
竜児はそんな大河の意図が読めず、問い詰めようとする。
「お前なにを……」

キーッ!ガチャン!トントントントントントントン
ピンポーン!

突然の来客。
「あ、来た来た~。」
大河は笑顔で立ち上がり、ドアを開け、
「こんばんわ!大河、応援に来たよ!自転車借りてぶっ飛ばして参上!」
実乃梨を迎え入れた。



399:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:31:55 J1V51xaP

「みのりん待ってたよ~」
「く、櫛枝!?」
ガシッと抱き合う二人。
なぜ?どうして?竜児は混乱する。
パクパクと、酸欠の魚のような顔をするしかできない。

「あ、高須くん!風邪で倒れたんだって?大河から聞いたよ。寝てなくて大丈夫?」
「え?あ?おう。微熱だしこれぐらい大したことねえよ。倒れたなんてそんな大袈裟なもんじゃねえし」
寝ている竜児に気づき、太陽のような笑顔を向ける実乃梨に、
竜児は高鳴る鼓動を悟られないよう答えた。

「それはよかったよかった。夕飯は食べたの?」
「いや、何も。食欲ないし」
「えー、何か食べなきゃ体力付かないし、薬も飲めないぜ。
 待ってな、おかゆ作ってあげる、レトルトだけど」
「あ、う、サンキュー」
大河の申し出には恐怖した竜児だが、実乃梨の手料理となれば話は別だ。
例えレトルトでも手が加わればある意味手料理だ。
突然の展開に頭はついていけないが、なんとか冷静を装い竜児は答えた。

「ごめんね~みのりん。私一人じゃエロ犬の看病は荷が重かったのよ」
「あはは、またそんなこと言って。じゃあ台所借りるよ~」
してやったりといった顔の大河に実乃梨は笑顔で答え、早速準備を始めた。




400:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:33:35 J1V51xaP


「ふんふんふ~ん♪」

準備をする実乃梨の鼻歌が聞こえる。
まさかこんな形で好きな人の料理が食べられることになるなんて、風邪万歳。
竜児は実乃梨の後姿を見ながら心の中で神に感謝した。
「…驚いた?」
大河が見下ろすようにして聞いてくる。うなずく竜児。

「お前が呼んでくれたのか?」
「そうよ、感謝しなさいよね。
 今日はバイト無いって言ってたからメール送ったら、部活終わったら行くって返事来た。」
どうやら帰りに大河と別れた後、家に帰ってすぐ連絡していたらしい。
「お前そういうことは早く言えよ。なあ俺さっきキョドってなかったか?変じゃなかったか?」
ペタペタと顔を触って確認し、竜児は大河に迫る。

「ちょっと、キモイ顔近づけんな、ウザイ。」
大河は心底嫌そうな顔で距離を取り、酷い暴言。
「変ってのは、そのツラのこと?それともその寝巻きのこと?」
そして、目線を少し下げ、めんどくさそうに言った。寝巻き?
「は?え?うわあああああ」
竜児はようやく気づいた。
今日の竜児の服は巨大なハート柄だった。
最悪にセンスが悪かったのだ。




401:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:34:29 J1V51xaP


まあ変な服を今更後悔しても仕方ない。
それより竜児は降ってきた幸運を精一杯味わうことにした。
「まぁたまには風邪ひくのもいいよな~。」
「私は何にもいいことなんてなかったわよ。」
浮かれる竜児に呆れる大河。さらに竜児は続ける。
「俺の優しさを精一杯感じられたろ。大変だったんだぞ、一晩中看病してやってたんだから。」
「はいはいありがと。ところで、そういえばあの夜なんだけど。」
「ん?どうした?」

大河は一呼吸置いて続ける。
「いや、私ね、ずっと疑問だったのよね。朝起きたら寝る前と服が変わってたのよ。」
「……っ!」
大河の言葉に竜児は心臓を鷲づかみにされたように硬直する。浮かれていた気持ちは霧散した。
「無意識のうちに着替えてたのかなぁ、ってどうしたの?」
「い、いや、なんでもないぞ。」

脳裏をよぎるあの時の大河の姿。
熱のため染まった顔、苦しそうに上下する胸、そして、竜児が着替えさせたときに見てしまった白い足。
大河はあの時のことを覚えてないらしい。
しかし竜児の動揺を野生の勘で鋭く察した大河は不信の目を向ける。
「……ちょっと、あんたまさか…」
「違う!俺は何もしてないぞ。俺が着替えを用意してやったら、
 俺が部屋を出てる間にお前自分で着替えただろうが。憶えてないのか?」
やばい!竜児はとっさに本当のことを話す、半分だけだが。

「え?あ、そうなの?」
迫真の演技は大河に通じたようだ。さらに続ける。
「あの時はお前も意識あやしかったからな、でもキチンと着替えてたぞ。」
「ホントに?私の意識がないのをいいことに何かいやらしいことでもしてないでしょうね?
 あんたならやりかねないわ。」
「そ、そんなことするわけないだろうが。」
竜児は内心の動揺を必死に隠すが、なお追求しようとする大河の前に落城寸前。


402:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:35:22 J1V51xaP


しかし救世主はやはりこの人だった。
「おまたせ、高須くん。おかゆできたよ~。あれ?どうしたの二人とも?」
助かった!竜児はすっかり忘れていた想い人の助け舟に感謝する。
「お、おう櫛枝!なんでもないんだ、ありがとう。」
大河はまだ不満そうだが口を閉じる。
実乃梨はなお不思議そうな顔で二人の顔を見比べていた。





「じゃあ私はこのへんでご無礼するよ、後は若いお二人で。」
楽しい時間はすぐ過ぎてしまう。
実乃梨の作ってくれたおかゆを味わい、一応薬も飲んだ。
他愛もないお喋りも一区切り、あまり遅くなるといけない。

「大河、ちゃんと高須君の面倒みてあげるんだよ。」
立ち上がり、大河に命じる実乃梨。
「わかってるわみのりん。」
「櫛枝、今日はわざわざ来てくれてありがとうな。」
「いいってことよ。これぐらいお安い御用。」
実乃梨は竜児に向き直り笑顔で答えた。
この笑顔だけで竜児は風邪なんて吹き飛んでしまう気がした。

「もし酷くなるようだったらその座薬を大河に入れてもらいな。そいつは効くぜ~。」
「ちょっとみのりんそれだけはやめて。」
恐ろしいものを手渡し、恐ろしいことを言う実乃梨の提案を大河は拒否。
それは遠慮したい、竜児も笑顔で答え、続ける。
「本当に送っていったりしなくて大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫。この実乃梨、家に帰るに人の手は借りぬ。じゃあね、また明日。おやすみ~。」
笑顔で固辞し、そのままドアを開ける。
「おう、おやすみ。」
「おやすみ~。」
そうして実乃梨は来たときのように自転車で風のように帰っていった。




403:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:36:00 J1V51xaP

「さて、私はシャワー借りるけど、覗いたりしたら殺すからね。」
実乃梨を見送り、部屋に戻ってきた大河は、とんでもないことをさらりと言った。
寝ている竜児を見下し、宣言。

「なっ、お前泊まっていくつもりか?それは不味いだろ色々と。」
驚く竜児に大河は言う。
「フン!本当は犬の看病のために小屋に泊まるみたいな真似はしたくないけど、」
振り返りながら続ける。
「みのりんからも託されてるし、まあ不本意ながら、
 あんたが夜中一人で苦しんでたら可哀想だから泊まっていってあげるわ。」
変なこと考えてたら握り潰すけど、と付け加え、
大河は持ってきていたカバン片手に風呂場に行ってしまった。

一人残された竜児は、なぜか脳裏をよぎるあの夜の幻を振り払おうと布団をかぶった。
「………な、なんでこうなるんだ。」
高鳴る鼓動の音が布が擦れる音もシャワーの音もかき消してくれたのは幸いだった。



シャワーから出てきた大河は予備の布団を襖をはさんだ隣に敷いた。
長い髪を丁寧に乾かし、鼻歌混じりで、不器用な手つきで編んでいく。
「ふふふ~ん♪」
上気する大河の肌からは甘い匂いが香る。
竜児はそんな大河を正視することができない自身に驚く。
視線を向けると、大変なことになってしまう。
そんな予感がするのだ。

「sinA=a/c、cosA=b/c……。」
実乃梨と過ごした楽しいひと時の余韻は消え去り、
竜児は大河に背を向け、数学の公式を暗唱していた。



404:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:36:44 J1V51xaP

寝る準備が済んだ大河は、布団に入り襖をしっかりと閉めた。
「もしあんたが熱で死にそうになったら、この襖を開けてもいいわ」
隣で横になっている大河の気配を感じる。
「死にそうじゃないのに開けたらどうなるんだ?」
「死にそうになるわよ。」
「………」
竜児の疑問にサラリと答える大河。電気が消される。



沈黙が部屋を支配する。
竜児はできるだけ頭をカラッポにし、硬く目を閉じた。
そうしないといつまでたっても寝られない気がした。
たった一つのイレビュラー、大河が隣に寝ているという事実が、
なぜこれほどまでに心を惑わすのか、竜児は一息つき、襖に背を向けた。





どれほどの時間が過ぎたのだろうか。
襖で仕切られたこの狭い部屋には、二人の呼吸のと心臓の音しか存在しないかのようだった。
おかしい、竜児は思った。
なんだこの空気は。俺達はこんな関係じゃないだろ。
何か言ってくれよ。
このままでは、俺は……

「……ねぇ、起きてる?」

唐突な消え入りそうな小さな大河の呟きに、
竜児は心臓が喉から飛び出しそうになる。
「…お、おう。」
動揺を必死に抑え、上擦った声で答えるのがやっとだった。



405:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:37:32 J1V51xaP

一呼吸置いて、大河は言う。
「……ごめんね。私何もできなくて。」
「なっ、どうしたんだよ。どうしたんだよ。」
まったく思いもよらなかった言葉に、
竜児は焦り、寝返りをうつが、襖の向こうの大河の姿はわからない。

「…私が風邪ひいたときは、あんた一晩中看病してくれたのに、
 あんたが風邪ひいたとき、……私何もできないや。」
「大河……。」
「……みのりんが来てくれてよかった、私一人じゃ何もできないから。…ごめんね。」


「……何言ってんだよ。」
「…え?」
大河は勘違いしている。
何もできないだなんて、そんなことはない。
竜児は、率直に気持ちを伝えようと口を開く。

「何ができるとか、そんなのどうでもいいだろ。
 お前はお前にできることをやろうとしてくれてるじゃないか。」
「……竜児。」
襖の向こうの大河も、寝返りをうってこちらを向いた気がした。
薄い襖越しに向かい合いながら、竜児はゆっくりと続ける。

「…俺、ホントはお前が来てくれて、嬉しかったんだぞ。
 昔からいつだって、泰子が仕事に行ったら独りだった。
 ……風邪ひいたときも、……苦しくても、独りで寝てるだけだった。」

偽りのない、素直な気持ち。
言葉では伝えきれないだろうこの感謝の気持ちを、なんとか伝えたい。


406:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:38:08 J1V51xaP
「……だから、お前が来てくれたとき、
 なんて言うかよ、
 独りじゃないんだって、
 お前がいてくれるんだって、
 いざって時はお前に頼れるんだって、
 ほっとしたんだ。
 安心したんだ。
 だから、だからな……、大河……、大河?」

反応がない。竜児は無言で耳を澄ます。すると…
「スゥ……スゥ……」
「寝たのかよ、ったく。」
呟いて、緊張感がなくなると、
先ほどまでの恥ずかしいセリフに頬が熱くなってきた。



「…はぁ、寝よ寝よ。」
誤魔化すように言い、一息ついて布団にもぐる。
近くても、襖で遮られた二人の距離。

―だから、竜児は気づかなかった。
月明かりが照らす中、わずかに赤面する大河に。
複雑な気持ちが胸の中を渦巻き、頬が緩むのを抑えられないといった大河に。





407:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:38:56 J1V51xaP




深夜、大河は目を覚ました。
「…………」
目をこすり、立ち上がる。
「………おしっこ…」
大河は電気も付けず、移動し、用を足した。

水を流し、ドアを閉じ部屋に戻り、そして大河は首をかしげた。
「………?」
ここはどこだろう?いつもの場所じゃない。
しかし大河はすぐに理解した。
ここは自分の"巣"だ。普段ここでは寝ていないが、ここは確かに自分の"巣"だ。

しかしすぐに新たな疑問が。
じゃあ自分はどこで寝ていたのだ?
大河はこの"巣"ではどこで寝ればいいのかわからない。
いつもはここで寝ていない。

ゆっくりと左右を見回し、しかしその疑問もすぐに解決した。
大河は気がついた、嗅ぎ慣れたその匂いに。
「…………みつけた。」

その匂いは大河を安心させる。
その匂いと共にいれば安全だと動物的本能が告げる。
大河は静かにその匂いの先に移動し、その布団に潜り込む。
その匂いの"主"に抱きつくようにして丸くなり、
そのまま深い眠りの中へ。



「……ただいま~。あれ、あれれ。」
その日、いつものように夜明け前に酔っ払って帰ってきた泰子は、
幸せそうに竜児に抱きついて眠る大河を見て、優しく微笑んだ。

408:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:39:52 J1V51xaP
End


ってつけるの忘れた。
以上です、それではまた。

409:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:42:47 DVgrIsIZ
おお!俺の大好きなあの作者さんか!!!
乙です。好きです。
数学の公式で文字化けかと思ってリロードしまくった

410:名無しさん@ピンキー
08/11/30 22:01:22 WSjxpXrD
GJGJGJ!
大河かわえええ
素晴らしい良作SS

411:名無しさん@ピンキー
08/11/30 22:01:57 kP2fJ3zs
乙~。不覚にも北斗のセリフで吹いたw
それにしても和むSSだなwwいつの間にかニヤニヤしてたぜ

412:名無しさん@ピンキー
08/11/30 22:35:24 dtX382EU
GJ
目を覚ましたときの一騒動に期待w

413:名無しさん@ピンキー
08/12/01 00:22:06 VccO54cE
GJ!
こういうSSは大好きだ!

414:名無しさん@ピンキー
08/12/01 00:48:47 rBi8Y3zk
GJすぎる
最後には竜児を求めちゃう大河可愛すぎ

415:名無しさん@ピンキー
08/12/01 00:56:54 UgxJY7mR
GJ

オチが秀逸すぎる

416:名無しさん@ピンキー
08/12/01 00:57:54 T0rVPruj
ななどらの人まだかな?マイナーの方が好きだったりするもので

417:名無しさん@ピンキー
08/12/01 01:20:01 iuj4Uoso
>>407
そこで終わるのかYO!!!

起きぬけに寝ぼけて竜児に頬ずりしちゃったり
首筋にチュウしちゃったり
それで竜児が起きて「おい、大河!お前何してんだ!」みたいな声に大河の目が覚めたり
あわてる大河が健康的な男子の朝の自然現象に触っちゃって悲鳴を上げそうになったり
大声出されちゃたまらんと竜児がつい無意識のうちにその口を塞いじゃったり


そういう続編はまだですか?

418:名無しさん@ピンキー
08/12/01 01:35:08 HA9JN+/f
GJ!俺も頑張って書いているが挫折しそうだぜ・・
ちなみにエロって需要あるのかな・・

419:名無しさん@ピンキー
08/12/01 01:45:52 de2vTZWr
ここをどこだと思ってるんだ
何も気にする必要はないぜ

420:名無しさん@ピンキー
08/12/01 05:49:33 ombeodAm
>>418
俺が風邪ひくまえに頼む

421:名無しさん@ピンキー
08/12/01 07:17:27 Q1f5Zhr5
私は今ちょうど風邪をひいている
あさって防医の二次なのに…

422:名無しさん@ピンキー
08/12/01 07:32:39 338jaA+Q
こんな所見てないで養生して復習してろ

423:名無しさん@ピンキー
08/12/01 14:42:25 zyQzHyTj
試験期間中ですが何か?

424:名無しさん@ピンキー
08/12/01 16:15:47 Ki3z1qOn
ゆとりアピールはいいですから

425:名無しさん@ピンキー
08/12/01 16:18:11 ombeodAm
答案用紙の裏にでも書いてろ

426:名無しさん@ピンキー
08/12/01 16:28:55 jx4blK6z
どのスレか忘れたが、ロシアのエロ動画サイトの話題が出たことを思い出した
読めねえというレスに、英語表示ボタンがあると指摘するレスが続き、英語も読めねえというレスが付く
それに対してゆとり乙、英語の勉強しろレスがついたら大学生だと自称するレスがついた
そしたら、大学生で英語も読めないト致命的 それだとこの先論文とかで苦労するぞ。ってレスがついたんだよな

427:名無しさん@ピンキー
08/12/01 16:32:16 SaCiX+ts
なんだこの流れ

428:名無しさん@ピンキー
08/12/01 16:38:04 XM57s73D
Fラン大生が高校生をゆとりと呼ぶの巻

429:名無しさん@ピンキー
08/12/01 17:05:02 mgfgcdVu
とりあえずエロい事考えようよ

それぞれ勝負下着ってどんなの用意してるだろうか?

430:名無しさん@ピンキー
08/12/01 17:14:35 So1sBkVE
大河→くまさんぱんつ
櫛枝→褌
川島→スッポンポン

431:名無しさん@ピンキー
08/12/01 17:15:23 Ki3z1qOn
>>430
くまさん良いね

432:名無しさん@ピンキー
08/12/01 17:16:53 aY0S9ypZ
裸族→すっぽんぽん

433:名無しさん@ピンキー
08/12/01 17:18:59 ombeodAm
値段も見ずにフリフリの可愛いのを片っ端から買ってるであろう大河
スケスケの大人ぱんつなんだろうな

434:名無しさん@ピンキー
08/12/01 17:21:26 kfglyH5b
>>429
大河 シルクの純白紐パン
みのり 勝負下着無し
亜美 ボーン!!が解りづらい黒下着

435:名無しさん@ピンキー
08/12/01 18:07:57 Wy7rbX8a
大河が一番エロくてスケスケで高そうな勝負下着もってそう

436:名無しさん@ピンキー
08/12/01 18:12:43 mgfgcdVu
なんとなくノリで買ってみたTバックにそわそわする3人を受信した

437:名無しさん@ピンキー
08/12/01 18:16:43 XM57s73D
そろそろ水着の話に移行していく雰囲気
みのりんはレーザーレーサーかな

438:名無しさん@ピンキー
08/12/01 18:20:32 kfglyH5b
>>437
水着は既に原作でも描写されてるから想像しにくいな

439:名無しさん@ピンキー
08/12/01 18:25:00 jTeaTfmq
>>436
こちらも受信した、健闘を祈る

440:名無しさん@ピンキー
08/12/01 18:35:52 2x7T1r7n
しまぱん松澤と聞いて

441:名無しさん@ピンキー
08/12/01 19:28:32 oUI/UwSn
そういえば麻呂作品を最近見ないなあ。

442:名無しさん@ピンキー
08/12/01 19:35:29 6tw/L4FC
「え~、今日みのりんって勝負パンツなの?」

大河のその一言に、竜児は口に含んだご飯を吐き出しそうになった。
昼、いつの間にか恒例になっていた5人での食事、
のはずが北村は先ほど生徒会の用事で慌てて出て行った。
竜児は北村と違って元々女子達と気楽に話をできるキャラではないため、一人残されて居心地が悪い。
意識しないようにしていたら、気づかぬうちに女性陣の話題は凄いことになっていた。

「大河ってば、声が大きいよ~。」
「へー、実乃梨ちゃん凄いね、どんなのどんなの?」
「もー、あーみんも声大きいって、恥ずかしいじゃん。」

わいわいキャッキャ、なぜ女子は三人寄るとこんなにやかましくなるんだろうか。
竜児は下を向いて弁当をつつきながらなんとか耐える。
先ほどから背中にはクラスの男子の視線も突き刺さり、非常につらい。
完全に席を立つタイミングを逃してしまい、今はガマンするしかなかった。

「みのりんケチケチしないでどんなのか教えてよ~。」
「もう、そんな恥ずかしがることないでしょ。」

亜美は顔を上げ、竜児の顔を見てニヤリと笑みを浮かべ、続ける。

「高須くんも知りたいよねー?」

こっちに振らないでくれ、頼むから。
竜児は突然の指名に焦る。
正直興味津々だ。が、そんなこと言えるわけがない。

「え、あの…、そんなことは……」
「うわっ、みのりんのパンツに興味津々なんだ、キモ!」
「もう、やめてってマジで。高須くんもそんな顔しないでよ~。」

443:名無しさん@ピンキー
08/12/01 19:36:29 6tw/L4FC
あぁ、俺のキャラが、せっかく培った俺のキャラが。
竜児は手に持った箸を落としてしまった。
女子の皆様はそんな竜児のショックは無視、話を続ける。

「まあまあ、それで、どんななのよ。」
「誰にも言わないから教えてよみのりん。」
「もう、絶対誰にも言わないでよ~、あのね…、その……」

竜児は腰をかがめ箸を拾いながら、耳を澄ます。
そしてふと気がついた。勝負パンツの意味、それは。
勝負パンツということは、櫛枝は誰かと勝負するというのか!?
誰だ、許さん。いや、許す許さないって立場じゃないけど、だけど……
竜児の葛藤をヨソに、実乃梨は決意し、小さい声で言う。

「あのね……オレンジ色の、パンツ。今日ソフトの練習試合だから、
 勝負の試合のときはいつもこれなんだ。」

竜児は再度箸を落とした。


End

444:名無しさん@ピンキー
08/12/01 19:39:54 6tw/L4FC
『勝負パンツ ver.みのりん』30分でやっつけで書いてみた
ver.大河、ver.ばかちーも考えてんだけど投下してもいいかな?かな?

445:名無しさん@ピンキー
08/12/01 19:48:14 7Z6pJxRe
>>444
良いに決まってるだろ!

446:名無しさん@ピンキー
08/12/01 19:50:20 mgfgcdVu
なんという速さwwGJ!
ばっちこ~い!!!

447:名無しさん@ピンキー
08/12/01 19:54:47 Wy7rbX8a
どうぞどうぞ

448:名無しさん@ピンキー
08/12/01 20:25:07 6tw/L4FC
じゃあ書いてくる
ショボいけど許してね
お前らも妄想はほんと創作意欲わかせるわ、すげえよお前ら

449:名無しさん@ピンキー
08/12/01 20:39:39 kfglyH5b
>>435
大河が予想外に際どい下着を穿いてるのを見て
ちびタイガーに負けるなんて…と若干落ち込むばかちーを夢想したw

450:名無しさん@ピンキー
08/12/01 20:52:06 mgfgcdVu
大河は白のフリフリたまにスケスケが日常的で勝負下着は黒とか赤って思ってて
ばかちーは逆で、黒とか濃い色の下着が多くて白は勝負用で持ってそう
みのりんは計り知れないw

451:名無しさん@ピンキー
08/12/01 20:59:36 Wy7rbX8a
みのりんはトランクスが似合うな

452:名無しさん@ピンキー
08/12/01 21:16:00 EJAivmto
裸族はやっぱりノーパンなんですね、わかります

453:名無しさん@ピンキー
08/12/01 21:41:01 jsbal0pv
>>450
はげ上がる程同意
俺がハゲちゃったらアンタのせいなんだからねッ!

454:名無しさん@ピンキー
08/12/01 22:41:28 ccucXIT0
みのりんは縞パン

455:名無しさん@ピンキー
08/12/01 23:21:45 rBi8Y3zk
竜児は紐パン

456:名無しさん@ピンキー
08/12/01 23:39:11 Woum/yLJ
北村はふんどしかTバック

457:名無しさん@ピンキー
08/12/01 23:43:43 yo4h+609
三十路は黒のTバックで

458:名無しさん@ピンキー
08/12/01 23:52:27 de2vTZWr
ななこたんはパイパンで

459:名無しさん@ピンキー
08/12/01 23:54:49 aY0S9ypZ
インコちゃんはぼっさぼさ

460:名無しさん@ピンキー
08/12/02 00:24:15 DFS13tY5
みのりんはうだうだ悩んだ挙句、ネタに走って後からメチャクチャ後悔してたりするといい

461:名無しさん@ピンキー
08/12/02 00:30:49 gufvBzU/
>>460
「高須君だけに象さんあるのは悔しいからね。見たまえこの象パンツ」

462:名無しさん@ピンキー
08/12/02 00:32:23 0YaIV1ID
>>460
あれだ、白鳥が付いてるやつとか

463:名無しさん@ピンキー
08/12/02 00:40:44 Zd5bYWn2
日曜日の朝、特にやることもないものの、家には仕事に疲れて寝ている泰子がいるため、
竜児はいつものように大河のマンションへやってきた。
寝ぼけた大河を着替えさせ、朝食を食べさせ、
食器を全て洗い、竜児はエプロンで手を拭きながら一息ついた。

大河はソファに寝そべり、つまらなそうにテレビを見ている。
竜児は部屋を見回し、ふいに高須レーダーの反応を感じた。
リビングの隅、カーテンで隠れた一角にロックオン。
そこには、山盛りのゴミ箱が。
竜児は三白眼を輝かせ、口元を歪める。

「あーもう、ったくまたゴミ全部混ぜて捨てやがって。
 ちゃんと分別しろって言っただろうが。」

竜児は立ち上がり、そのゴミ箱を持ち上げる。
燃えるゴミも燃えないゴミもペットボトルもなにもかも、
全て一緒くたにつっこまれていた。

「おい、聞いてんのか?燃えるゴミと燃えないゴミは回収別の日なんだぞ、知ってるか?」
「あーもううるさいわね。どうせヒマなんでしょ、あんたが分別しといて。」

めんどくさそうに、顔をテレビからピクリとも動かさず、
大河はいつものように竜児に命令。
竜児もまさか大河が素直に分別するなんて万に一つもないとわかっているので、
文句を言いながらも手は止めない。

「あーもうこんなにぐちゃぐちゃにして、これなんてまだ使えるだろ。
 このジュースだってちゃんと全部飲めよ。これも……なんだこれ?」

雑多のゴミの中、オレンジ色の薄い布着れが顔を出している。
光沢があるそれを掴み、破らないように丁寧に取り出し……


464:名無しさん@ピンキー
08/12/02 00:41:26 Zd5bYWn2
「ってパンツじゃねえか。お前こんな……」
「なに漁ってんだこの変態野朗っ!!!!!」

背中に強烈な蹴りを食らった。
ゴミを撒き散らし、パンツもろとも吹っ飛ぶ。
竜児は倒れるがすぐに頭を起こし、今己を蹴った悪魔のような女を見上げて抗議する。

「……っ!いてえじゃねえか!何すんだよ!」
「それはこっちのセリフよ!あんたとうとう人様の下着漁ってハァハァ言うレベルまで堕ちたわけ?」
「ふざけんなよ!お前がゴミ箱にパンツつっこんでたんだろうが!」

ゴミ箱は空中でトリプルアクセルをかまして転倒しているが、
このパンツはゴミと一緒くたになっていたのだ。
分別していただけの自分になんの非があるというのだ。
大河は舌打ちし、撒き散らされたゴミの中からその豪華なフリルのついた薄い下着を拾い上げた。
竜児はさらに抗議を続ける。

「そもそもまだ穿けるだろ。シルクのそんな高そうな下着簡単に捨てんなよもったいない。」
「うるさいわね。レースのところがほつれちゃったから仕方ないでしょ。
 買って一回だけ試しに穿いたんだけど、洗濯したらこうなっちゃったのよ。」
「は?お前なぁ、こういうのは手洗いじゃないといけないんだよ。」
「知らないわよ。」

なんという女だ。竜児には信じられなかった。
こういうものは手洗いのみとタグにも書いてあるだろう。
なぜそれを守らない。なぜちょっとほつれたからといって捨てる。
竜児は大河に手を伸ばす。

「ほらちょっと貸せって。ほつれてるくらい直してやるから。」
「いいわよ、どうせもう穿かないし。」
「なんでだよ。もったいないだろうが。」
「だって…、それ……、その……」


465:名無しさん@ピンキー
08/12/02 00:42:00 Zd5bYWn2
なんだ?妙に歯切れが悪い。
竜児は首をかしげる。

「ん?なんだって?」
「あの……、それ穿くと………、その……、」
「なんだよ、穿くとどうなるんだよ。」
「いいからあんたは黙って捨てろ!」

とうとう逆ギレ。
声を張り上げる大河に、しかし竜児も折れない。
こんなもったいないこと、お天道様に申し訳がないからだ。

「だめだ!前から言いたかったが、お前は簡単に物を捨てすぎだ!
 消耗品ならともかく、一回穿いてほつれたから捨てるなんて、
 こんな高そうなもの捨てるなんて、絶対に許さん!」
「あああああああもううるさい!」

竜児の言葉にとうとう大河は地団太を踏み、
とうとう竜児にパンツを投げつけた。

「勝手にしろバカ!」

ドカドカと大股で寝室に入り、バタンと扉を閉める。
数秒の後、竜児は手に女性の下着を持ち、
息を荒げゴミの中に埋まっている己のヤバさにようやく気づいた。



竜児は散らばったゴミを手早く片付けると、
常備してある自分専用ソーイングセットを取り出した。
大河はフリフリの豪華な服ばかり着るくせに落ち着きがなくドジをかます。
破れたりボタンやフリルが取れたりしたら大体は竜児が補修しているのだ。


466:名無しさん@ピンキー
08/12/02 00:42:47 Zd5bYWn2
竜児は一息つき、自分に言い聞かす。
なあに、いつもやってることと変わらない。パンツだって水着と大差ないんだから。
竜児は服を仕舞ったりはするが、さすがの大河も下着は自分で管理している。
部屋の掃除でたまにクローゼットにまぎれこんでいることはあるが、
ほとんどがあっさりとした普通の下着で、こういった大人っぽい下着は竜児も初めて見た。
おかしな気分になりそうな頭を左右に振り、竜児は針と糸を取り出し手早く修復した。



「大河ー!入るぞー!」
「………。」

返事はない。竜児は肯定と受け取り、大河の寝室の扉を開く。
大河はこれまた豪華絢爛な天蓋付きのベッドの上で寝そべっていた。
竜児はこちらを見ようともしない大河の側に立ち、直してやった下着を脇に置いて、声をかける。

「ほら、ほつれてたのは直してやったぞ。大したことなかったしほとんど新品じゃねえか。」
「………フン。」
「もうほとんど元通りだから、捨てたりするなよ、もったいないし。」
「いやよ、穿かないから捨てといて。」
「はあ?なんでだよ!こんな高そうなモン、何が気に入らないんだよ!」
「うるさいわね!私だって可愛いなって思って買ったのよ。
 サイズの合うブラとショーツでヒラヒラして可愛いのなんてほとんどないの。」

大河はようやく竜児のほうを向いた。
竜児が直した下着を手に取る。

「ブ…、ブラって、これセットだったのか。」
「そうよ。雑誌の通販でいいなって思って、試しに買ってみたのよ。」
「サイズが合わなかったのか?それで捨てようとしたのか?」
「……違うわ。サイズは合ってたんだけど……、その……、…の一部が……」


467:名無しさん@ピンキー
08/12/02 00:43:19 Zd5bYWn2
また歯切れが悪い。
大河は俯き、モジモジしている。
竜児は呆れるように言う。

「可愛くて買って、サイズが合ってるのに何が気に入らないんだよ。」
「あのね、その……、フリフリで可愛いんだけど……、
 穿くと……、それ……、その………、透けちゃうの……。」
「は?」

竜児はまったく思いもよらない言葉に思わず間抜けな声を出してしまった。
大河は真っ赤に染まった顔を持ち上げ、ヤケクソになって叫ぶ。

「だから!いろいろ透けちゃうのよ!だからそんなの穿けるわけないでしょバカ!」

沈黙。
ぽかーんとしていた竜児も、何を想像したのか赤面し、
大河の出て行けという声に慌てて部屋を飛び出した。
上気した顔も早鐘を打つ心臓も、当分収まりそうにない。
竜児は一度深呼吸し、己のバカさ加減の反省と
今夜大河の機嫌を直してもらうための夕飯のメニューを考えることにした。





その日、大河のクローゼットの最奥に、秘密の袋が隠されることになった。
ヒラヒラのブラとショーツのセットは、いつの日か主の決戦に使われることを夢見て、
最奥に大切に、封印されている。

End

468:名無しさん@ピンキー
08/12/02 00:46:13 Zd5bYWn2
『勝負パンツ ver.大河』です
なんかいろいろ詰め込みすぎたら長くなった
こんなんでもよければ、あとver.裸族も投下したいと思ってます

469:名無しさん@ピンキー
08/12/02 00:47:05 RmdClVoK
GJ
ver.裸族も待っております

470:名無しさん@ピンキー
08/12/02 01:01:58 Pk74k1cR
GJです!
竜児のパンツは泰子の仕業でバラエティに富んでそうだ
泰子も各種揃えてるんだろうなぁ

471:名無しさん@ピンキー
08/12/02 01:52:04 23NzAoUp
さくらちゃんやすみれ兄貴は、どうなんだろう?

家では、すみれちゃんは膝下丈スカート、さくらちゃんはミニスカートだったか?
1学期末試験追試対策勉強会の時は。
その中のパンツは、さくらちゃんの部屋に1枚と穿いてるのの紹介が有ったな。

472:名無しさん@ピンキー
08/12/02 02:13:55 c3jJ+j7Q
嫌な流れになってきたな。

473:名無しさん@ピンキー
08/12/02 03:00:58 xDiOA7WP
('A`)

474:名無しさん@ピンキー
08/12/02 04:20:57 fyhXoCAB
しかし勝負パンツと聞くとこれを思い出すww
URLリンク(namaekurekure.blog116.fc2.com)
(一応エロ?注意)

475:名無しさん@ピンキー
08/12/02 11:46:15 d1a2Dev2
あみトラはまだですか

476:名無しさん@ピンキー
08/12/02 14:04:30 1CEglhvZ
あにドラもまだですか

477:名無しさん@ピンキー
08/12/02 16:37:09 VSKmP4G9
本性バレアフターの実乃梨編が早く読みたいです。

478:名無しさん@ピンキー
08/12/02 20:57:29 mbekqtfE
>>477
『むりやりみのりん√』のこと?

俺もすごい待ってる

479:名無しさん@ピンキー
08/12/02 22:00:13 VDOuR+cB
いや、>>477の言ってるのは、>>119氏の続編だろ
ちなみにオレも楽しみにしている


480:名無しさん@ピンキー
08/12/02 22:33:18 DFS13tY5
>>479
よう俺

481:名無しさん@ピンキー
08/12/02 22:38:33 Pk74k1cR
名指しでwkrkは程々にしようぜー

482:名無しさん@ピンキー
08/12/02 23:04:09 ZW/4ANTr
とらドラであったまってる雰囲気はわかるけどたまには田村君も頼む。
ずっとまってるから!!

483:174 ◆TNwhNl8TZY
08/12/02 23:52:27 f3rp+OzE
やっちゃんSSの続きを投下

※親子の会話です

484:174 ◆TNwhNl8TZY
08/12/02 23:53:08 f3rp+OzE

「やすドラ?」

「・・・泰子? なんであんな事したんだよ・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「櫛枝達の目の前で、腕なんか組んできて・・・いくらなんでも失礼だろ? わざわざ来てもらって・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・なんか言ってくれよ。黙ってちゃ分かんないだろ?」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

大河達が家を出て行ってからしばらく経った。
その間ずっとさっきの事を尋ね続けてるけど、泰子は黙って俯いているだけで一向に話す素振りを見せない。
・・・それでも腕だけは絡めたまま。

「・・・・・・もう、手ぇ離してくれよ」

「・・・・・・・・・」

言いながら無理やり引き抜こうと動かす俺の腕を、泰子はかぶりを振って更に力を入れて抱きしめてくる。
どうにかして腕を抜こうとしていたら

「・・・いたっ・・・・・・」

「・・・・・・・・・悪い・・・」

捻挫している手首に当ててしまったのか、痛がる泰子。
一瞬腕を抱きしめてくる力が緩んだけど、泰子がすぐに力を入れなおして腕を締め付けてきたため抜くことができなかった。

「・・・なぁ、俺は泰子と話しがしたいんだよ。こんなカッコじゃなくて、ちゃんと顔を見ながら・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・泰子」

「・・・・・・・・・」

腕を抱きしめてくるだけじゃなく、泰子はだんだん体ごと押し付けてくる。
いい加減埒が明かないと思った俺は、勝手に話を進めることにした。

「・・・・・・離す気がないなら、そのまま聞いてくれ。
 ・・・櫛枝も川嶋も、泰子の事を心配して来てくれたんだぜ? 大河だって・・・それをあんな、追い返すみたいに」

「・・・・・・ちがうよ・・・」

寄りかかってくる泰子を無視して喋り出した俺の耳が、今までずっと黙っていた泰子が何かボソボソ呟いている声を拾った。

485:174 ◆TNwhNl8TZY
08/12/02 23:53:56 f3rp+OzE
「・・・違うって・・・・・・櫛枝達はお見舞いに来てくれたんだぞ? なにが違うんだよ」

「・・・・・・あの・・・・・・ちゃん・・・・・・こと・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・泰子? 今なんて・・・」

続きを促して、それでも聞き取りづらい声で喋る泰子に再び問いかける俺に向かって

「・・・っだから! あの娘たちはぁ、みんな竜ちゃんの事が心配で、それでうちまで来たんじゃない!!」

「なっ!? ・・・・・・」

いきなり顔を上げて、泰子が睨みながら怒鳴ってきた。
言ってることがあまりに予想外だった事と、怒鳴る泰子なんて滅多に見たことが無かったためにすぐに言葉を返せず、
何と言うべきか固まっている俺を置いて、泰子が堰を切ったように喋り出す。

「やっちゃんはべつにお見舞いに来てほしいだなんて頼んでないのに・・・」

「泰子! お前、いくらなんでも」

「やっちゃんは! ・・・やっちゃんは、竜ちゃんとずっといっしょがいいの! 竜ちゃんがいてくれたらそれだけでよかったの・・・
 けど、竜ちゃんはおともだちが来たらそっちとばっかり楽しそうにして!
 ・・・櫛枝さんて娘には変なところを見せないようにして、川嶋さんて娘は竜ちゃんにだけ違う顔を見せてて・・・
 大河ちゃんには・・・大河ちゃんにはいつも、いっぱい! いっぱい何でもしてあげて!
 毎朝起こしてあげて、いっしょに学校行って・・・朝ご飯もお弁当も、お夕飯も作ってあげて・・・」

「・・・・・・そんなこと・・・それに、大河はもう家族みたいなもんで」

「やっちゃんだって家族だもん! 大河ちゃんよりもずっと・・・竜ちゃんが生まれる前からずっと、竜ちゃんとやっちゃんは家族だもん・・・」

「・・・飯の支度だのなんだのっていうのは泰子にだってしてるだろ? ・・・家の事だって・・・
 それに昨日からずっと一緒に居て、それなりに泰子の頼みだって聞いて、それでも俺が大河のことばかりかまってるって言うのかよ」

「・・・そうだね・・・竜ちゃんは優しいから、やっちゃんのお願いもみんな聞いてくれたよね・・・・・・
 けどね、竜ちゃん? それって、やっちゃんがケガしてるからでしょ・・・? ケガが治ったら・・・・・・だけど、大河ちゃんは?」

「・・・ケガをしてようがしてまいが、泰子にも大河にも俺は贔屓なんて」

「竜ちゃん、ウソ言ってるよ」

「・・・・・・なんでだよ、俺がいつ嘘なんか・・・」

「じゃあ竜ちゃん、やっちゃんのケガが治っても、あ~んってしてくれる? いっしょにお風呂に入ってくれる? 隣で寝てくれる?」

「っんな子供みたいなこと言ってんじゃねぇよ! 全部自分でできる事ばっかりじゃねぇか!」

「だったら、ケガもしてない大河ちゃんにあ~んとか抱っことかしてあげたのはなんで?」

「・・・それは・・・・・・大河が」

「大河ちゃんがそうしてほしそうだったからでしょ・・・? ・・・ケガをしたのが大河ちゃんで、竜ちゃんがいろいろお世話してあげて・・・
 それを見たやっちゃんが大河ちゃんと同じ事してってお願いしたら、竜ちゃんしてくれる?
 ケガもしてない、普通にお箸とか持てるやっちゃんがあ~んしてって言ったら、竜ちゃんしてくれるの? ・・・・・・してくれないでしょ?」

486:174 ◆TNwhNl8TZY
08/12/02 23:54:55 f3rp+OzE
「・・・・・・・・・」

「けど、大河ちゃんにはしてあげたじゃない」

「・・・そんな事、今は関係ないだろ!? 俺はなんで櫛枝達の前で腕なんか組んできたかって訊いて・・・
 それをさっきから訳分かんねぇ事言って・・・なにが言いたいんだよ・・・」

泰子が言ってる事は多分当たってる。今泰子が言ったような状況なら、きっと俺は泰子の頼みは聞かないだろう・・・
だけど、それを認めたら俺は・・・だから、苛立ちを吐き出すように、逆ギレ気味に話を逸らそうとしたが

「関係なくないよ! ・・・・・・やっちゃん、すっごく我慢してたの・・・
 ケガしちゃって、とっても竜ちゃんに迷惑かけちゃって・・・そんなのヤなのに・・・
 でも竜ちゃんが心配してくれたのが、優しくしてくれたのが嬉しくって・・・ほんとうに嬉しくってぇ・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「おうちのドアが開けられなくて泣いてたら、竜ちゃん飛び出してきてくれて・・・
 動けないやっちゃんを優しく抱き上げてくれて・・・わがまま言ってお水だって飲ませてくれて・・・1日中いっしょにいてくれて・・・でも・・・」

「・・・・・・・・・」

「大河ちゃんが帰ってきたら、竜ちゃんは大河ちゃんの事ばっかり気にして・・・」

「だから、そんなこと」

「やっちゃんが口移しの事を大河ちゃんに言うんじゃないかって、竜ちゃんビクビクしてたでしょ? 知ってるんだから・・・
 ・・・あの時はまだやっちゃん我慢してたんだよ? ・・・竜ちゃんも大河ちゃんも大好きだから、またケンカにならないようにって・・・」

「おま・・・・・・」

途中から声が出なかった。気付いてたのかよ・・・・・・
言葉に詰まって固まる俺を気にせずに、泰子が続ける。

「だけどあの後、竜ちゃんは大河ちゃんのお願い聞いてあげて、抱っこも、あ~んもしてあげて・・・
 それ見たらやっちゃんなんだか・・・なんだか・・・とっても嫌な気持ちになって・・・
 ・・・竜ちゃんに寄りかかってたらそれもだんだん落ち着いてきてたのに・・・
 大河ちゃんが『竜ちゃんのお嫁さんは私なの』って言ったらまた・・・だから、大河ちゃんの目の前でチュウしてって・・・」

「・・・・・・・・・」

「大河ちゃんの事だって大好きなのに・・・それにやっちゃんが焚きつけておいて、最後は『仲直りしたんだから』って・・・ひどいよね・・・
 それだって竜ちゃんがチュウしてくれたらどうでもよくなって・・・」

「・・・・・・・・・」

あんなにくっ付いてて、そんな気配なんか微塵も感じなかった・・・・・・

「トイレに連れてってって言ったり、一緒に寝てって言ったり・・・そんなわがままも竜ちゃん、聞いてくれたよね・・・
 それにおいしぃ朝ごはんも、お風呂も・・・その・・・竜ちゃんがやっちゃんの裸で元気になってくれてたのも嬉しくて・・・
 ・・・・・・あの時ホントはね? ・・・やっちゃんも、変な気分になっちゃった・・・」

「・・・そのことは言うなよ・・・」

「・・・『どうでもいい』って竜ちゃんが言った時は、やっちゃん・・・竜ちゃんに嫌われたって思って・・・・・・
 ・・・いっぱいわがまま言って、いっぱい迷惑かけちゃったから・・・もしかしたらって考えると恐かったの・・・
 でも、子供みたいに拗ねて泣いてたやっちゃんに、竜ちゃんは悪くないのに謝ってくれて・・・
 『大切だって』って、『ずっと一緒に』って言ってくれたのが・・・・・・また、泣いちゃうくらい嬉しかった・・・」

487:174 ◆TNwhNl8TZY
08/12/02 23:55:41 f3rp+OzE
「・・・・・・・・・俺は・・・」

泰子の事を嫌いになるなんて絶対にない。
そう言おうとして、だけど泰子に先を越されてしまう。

「・・・・・・やっちゃんも、竜ちゃんが1番大切だよ? ずっといっしょにいたいよ? ・・・もう、竜ちゃんから離れたくないよ・・・」

「・・・泰子・・・俺は・・・」

「・・・けどね? やっちゃんは、竜ちゃんのお母さんだもん。竜ちゃんとずっといっしょにいられないのも分かってるの・・・
 やっちゃんはずっと、ずぅっと竜ちゃんといっしょにいたいけど、そんなこと無理だって分かってるもん・・・」

「・・・・・・・・・」

・・・そんなことを・・・

「分かってて・・・それが、どうしても嫌なの・・・
 竜ちゃんのおともだちが家に来て、みんなに心配されて、楽しそうにしてる竜ちゃんが・・・私を置いてっちゃう気がして・・・
 だから『竜ちゃんは私のだから持ってかないで』って竜ちゃんの手に抱きついたの・・・
 ・・・手を離すのが怖かったの・・・竜ちゃんを盗られちゃうのが我慢できなかったのぉ・・・・・・」

「・・・・・・・・・泰子? ・・・もういいから・・・」

いつのまにか『やっちゃん』から『私』に変わってるのに気付いてないのか・・・
泰子は目に涙を溜めて・・・叱られるのが恐くて泣きそうになってる子供みたいな顔で、櫛枝達の前でした事の理由を口にした。
これ以上は・・・そう思って泰子を止めようとした俺を無視して、泰子は更に話し続ける。

「・・・パパだって私と竜ちゃんを置いてっちゃって・・・それでも今まで2人でずっと、ずっといっしょだったのにぃ・・・」

「・・・・・・分かったから・・・」

「それなのに竜ちゃんは、私の事なんて忘れて・・・大河ちゃんたちと楽しそうにして・・・・・・」

「泰子・・・・・・」

「・・・けど、しょうがないよね・・・?
 竜ちゃんのこと考えないで・・・大河ちゃんにもおともだちにも、ひどい事して・・・こんな私、嫌いになっちゃったよね・・・?」

急に空気が変わった。そんな気がした。
泣き笑いみたいな顔してる泰子の目は、俺を見てるのに見てないような感じがして・・・

「お、おい・・・急になに言って」

「・・・竜ちゃんも・・・私のこと、パパみたいに置いてっちゃうんでしょ・・・・・・?」

「だから、なんでそんな事」

「いやぁ! 聞きたくない! 竜ちゃんの話なんてもう聞きたくないの! 私のこと置いてっちゃう竜ちゃんなんて嫌い! 大っ嫌い!
 竜ちゃんを持ってっちゃう大河ちゃんも、さっきの娘たちもみんな嫌い! ・・・だいっきらい・・・・・・」

手で耳を塞げない泰子が、俺の声を遮るように大声で頭を振る。
髪が揺れて、目にいっぱい溜めていた涙が流れて・・・・・・
そんな泰子の肩に手を置いて、ピタリと動きを止めた泰子に向かって話しかける。

488:174 ◆TNwhNl8TZY
08/12/02 23:56:22 f3rp+OzE
「・・・・・・本当に、そんな事思ってるのか・・・?」

「・・・思ってるもん・・・私は・・・竜ちゃんの事なんて・・・・・・」

「そうじゃなくて、俺が泰子を置いてどっかに行くとか・・・本気でそう思ってるのか?」

「え・・・・・・?」

「ずっと一緒に暮らしてきた泰子を置いて、俺が・・・・・・」

「竜ちゃん・・・・・・?」

「バカなこと言うなよ」

「・・・っ・・・・・・」

「・・・泰子、ちょっと」

「え、ぁ・・・・・・・・・」

・・・・・・俺の腕に抱きついた姿勢で、俺を見上げながらずっと喋っていた泰子を、今度は俺が抱き寄せて無理やり膝の上に乗せる。
俺の腕をシートベルトみたいにして肩から掛けている泰子の腰に、余った方の腕を回して更に抱きしめる。
肩に顎を乗せると、泰子がビクッて震えたのを感じた。かまわずにそのままの体勢で語りかける。

「・・・俺が泰子の事ほっとくとか、置いていっちまうとか、勝手に言うなよ。言っただろ? 『ずっと一緒にいてやりたい』って・・・・・・」

「・・・だって・・・だってぇ・・・・・・」

「わがままとか、迷惑かけたとかって・・・そんな事気にするなよ、ケガした時くらい。家族だろ?」

「・・・・・・うん・・・・・・」

回した腕がどんどん濡れる。今も涙がポタポタ落ちて、腕の上に川みたいな跡を作ってる。

「・・・俺が大河を贔屓してるって泰子が思ったんなら、すぐに言えよ。 ・・・あ~んだって、風呂だって・・・なんだって・・・・・・」

「・・・うん・・・うん・・・」

「・・・親父はいなくなったけど、俺はいなくならないぞ? 泰子1人だけにして・・・
 だから・・・・・・これからもこの家でずっと、泰子と一緒にいていいか? ・・・・・・いやだったら」

こっちを見ないで頷くだけだった泰子が振り返る。
俺も少し首をずらして、泰子と目を合わせる。
真っ赤にした目から涙を流して、鼻も垂らして・・・顔をグシャグシャにした泰子が震える口で・・・

「・・・・・・いやな訳・・・ないよぉ・・・竜ちゃんの事大っ嫌いだなんて、ホントは思ってないよぉ・・・大好きだよ・・・?
 ・・・やっちゃんは・・・ずっと、ずうっと、竜ちゃんにいっしょにいてほしいの・・・・・・いてくれる・・・?
 わがままで、泣き虫で・・・こんなやっちゃんと、いっしょにいてくれる・・・・・・?」

「・・・・・・当たり前だろ」

「っ竜ちゃん・・・!」

489:174 ◆TNwhNl8TZY
08/12/02 23:57:08 f3rp+OzE

その後はもう大変だった・・・・・・
ボロボロ涙をこぼして抱きついてくる泰子を宥める言葉が出てこず、居間でずっと抱き合っていた。
泰子は「ごめんなさい」って何度も言いながらわんわん泣いて・・・
俺が背中を擦ったりしてると耳元で「竜ちゃん・・・大好き・・・」って言って泣いて・・・
涙と鼻水まみれの顔を拭いてやってると「・・・恥ずかしいよぉ・・・」って呟いて何故かまた泣いて・・・
結局泰子が泣き止んだのは、辺りが暗くなってからだった。・・・今日も晩飯が遅くなるな・・・・・・


「・・・大河ちゃ~ん・・・今日はごめんね・・・うん、うん・・・・・・おうちに来てくれたおともだちにも・・・本当にごめんなさい・・・・・・」

俺が支えてやってるケータイ越しに、泰子が大河と櫛枝、川嶋に謝っている。
嗚咽も止まり、落ち着いた泰子が大河達に謝罪したいと言ってきたから。
最初、俺の方から電話しておくと言ったら

「・・・竜ちゃんのおともだちにひどい事したのはやっちゃんだから・・・自分で謝りたいの・・・」

って頑なに譲らなかった。
そこまで言うなら・・・と、まず俺から大河に電話して事情を説明し、櫛枝達も一緒に居るのを確認して・・・

「・・・・・・うん。大河ちゃん・・・ごめんなさい・・・・・・うん、じゃあ明日ね・・・竜ちゃん、大河ちゃんが代わってって・・・」

「・・・もしもし? どうかしたか?」

電話越しに頭を下げて謝っていた泰子が、一通り話し終わったのかケータイから耳を離す。
大河が用があるらしいので通話を切らずにケータイを自分の耳に当てると

『竜児? ・・・・・・どうだったの? やっちゃん、大丈夫・・・?』

心配げな様子で大河が訊いてくる・・・本当に心配かけたからな・・・

「おぅ・・・悪かったな、いろいろ心配させて。もう大丈夫だから・・・今どこだ? 随分遅くなったし飯とか・・・」

『うん・・・今ね、みのりんのバイト先に来てて、そこでみのりんとばかちーとご飯済ませちゃうから・・・・・・今日はいいわ。
 ・・・あ、ひょっとしてもう作っちゃった?』

「いや、作るのもこれからだから食ってこいよ。
 ・・・それと、櫛枝達に代わってくれるか?」

『うん・・・みのりん、竜児がね・・・・・・』

大河が飯を食ってくるって聞いて正直助かった。
飯は作るけど今からじゃあ時間がかかるし、あんな事があって泰子も大河もまだ気まずいだろうから・・・俺も。
それと今の内に櫛枝と川嶋にも謝っておこうと思い、大河に代わってくれるよう頼む。
数瞬間が空いて、櫛枝が電話に出た。

『もしもーし!? たーかーすーくーん!?』

「おぅっ!?」

『へっへっへ~、高須くん驚いた?』

櫛枝、声がでけぇよ。
びっくりして、思わずケータイから顔を離してしまった。耳の中がキンキンする。
ひょっとしたらまだ怒ってるのかもしれないと思いツッコミはせずに、平静を装って口を開く。

490:174 ◆TNwhNl8TZY
08/12/02 23:57:56 f3rp+OzE
「・・・櫛枝?・・・・・・今日は本当にごめん。見舞いに来てくれたのに気分悪くさせて、追い返しちまって・・・」

『へ?? どうしちゃったの高須くん? もういいんだよ? さっきお母さんが謝ってくれたし』

不快な思いをさせたのに、いつもみたいに明るいノリで櫛枝が言ってくる。
なんだかこっちが気遣われていたみたいで、申し訳ない。

「あ、あぁ・・・でも・・・」

『いきなりお邪魔した私たちも悪かったんだから~。ごめんね? 高須くん』

「・・・そんな事ないって、お見舞いに来てくれたんだから・・・・・・ありがとな、櫛枝。
 それにちゃんとお詫びはするから・・・」

『・・・・・・あ、じゃあ今度大河だけじゃなくって、私にもお弁当作ってきてもらってもいい?
 高須くんのお弁当って美味しそうだから、食べてみたくってさー・・・埋め合わせはそれでいいんじゃないかい? どう? 高須くん』

「そ、それだけでいいのか? 言ってくれればもっとちゃんとした物とか」

『私は高須くんの作ったお弁当がいいんだって。それにお見舞いに行ってお返ししてもらうんだから、欲張りできないよ』

「だ、だけどやっぱり」

『・・・ダメかな?』

わざわざ来てくれたのを追い返してしまいすまないと頭を下げる俺に、お詫びは弁当がいいと言ってくる櫛枝。
さすがに弁当だけでは釣り合わないと思い別の物をと尋ねてみるが、櫛枝は弁当だけで十分だと言ってくれた。
少しの間どうするか考えたが

「・・・・・・分かった。なにかリクエストがあれば言ってくれよ」

『それでこそ高須くん! そこに痺れる、憧れるぜぇ~』

結局、櫛枝に甘えることにした。けど、ただ甘えるだけじゃだめだ、特別美味しい弁当を作ろう。櫛枝の口に入るんだから。
あれこれ献立を考えてると、向こう側から『ちょ、ちょっと櫛枝さん? そろそろ亜美ちゃんにも』とか小さく聞こえてくる。

『あ、じゃあね? 高須くんってちょ、ちょっとまだ・・・もしもし? 高須くん? あたし・・・亜美ちゃん』

慌てた感じで櫛枝が挨拶してる途中で、今度は川嶋が電話に出た。
てかケータイ奪い取ったのかよ? 後ろで櫛枝がなんか言ってるみたいだけど・・・

「お、おぅ。川嶋か? ・・・川嶋にも、迷惑かけて悪かったな・・・気ぃ悪くさせたろ?」

『スッゲームカついたっつの、あたしがお見舞いしてやったのによ・・・・・・
 けどまぁ、大目に見てあげる。亜美ちゃん寛大だし~? お母様だし~? っていうか亜美ちゃん超優しくね?』

川嶋もいつもの調子で許してくれている。相変わらず口が悪いけど、こういう時はそんなところが逆に安心する。

「・・・・・・ありがとな、川嶋。わざわざ来てくれて」

『ちょ、ちょっと・・・なにマジになってんの? 亜美ちゃんは、ただ高須くんの家に様子見に行っただけで・・・』

「それが嬉しかったんだって」

『・・・・・・・・・はぁ~・・・』

491:174 ◆TNwhNl8TZY
08/12/02 23:59:02 f3rp+OzE
あの川嶋が気を遣ってくれたんだ。素直に感謝しよう。
そう思ってると川嶋が一瞬間を空けて、溜め息を吐いた後にまた喋りだす。

『・・・ちぇっ、せっかくガチでキツそうな命令してやろうと思ってたんだけどなぁ・・・
 高須くん? 今度、亜美ちゃんのショッピングに付き合ってよ? むしろ付き合ってよ? 約束だよ』

ガチでキツそうな命令ってなんなんだ・・・それに何で2回言うんだ?

「あ、あぁ。荷物持ちならいくらでも引き受け・・・もしもし? 川嶋? もしもし?」

返事の途中で、急に向こう側がうるさくなってしまったので呼びかけるが・・・止めときゃよかった・・・
ケータイ越しにガチャンガチャンって音交じりに大河達の大声が聞こえる。

『痛っ! ・・・ドチビ、テメェなにいきなり
 うっさい発情チワワ! なにが『付き合って』よ、あんた頭に虫でも沸いてんじゃないの!?
 はっ! 発情してんのは手乗りタイガーの方じゃないの? 亜美ちゃんそんな意味で言ったんじゃないのに~
 っ! ・・・この、メタボチワワ・・・まぁ、そんなポニョポニョのお腹じゃ竜児だって絶対引くから、全然安心だけど? ねぇ、ばかちー?
 高須くんは引かないわよ、逆に突っ込んでくるわよ。それにあたしは真ん丸お腹じゃねぇし! つかさっきはプチメタボだったろうが!?
 ここのご飯をお腹に入れたら一緒でしょ? 余分な脂肪を付けた、モ・デ・ル・の川嶋亜美さん?
 必要な部分に脂肪が全く付かない逢坂さんよりは、取り返しがつくと思うんだけど? そもそも余分な脂肪なんて亜美ちゃん無いから
 ・・・表に出ろ、バカチワワ・・・自慢のその2つの脂肪の塊に別れを告げなさい・・・無駄に肥えたその肉を毟り取ってやるわ・・・
 いや~ん逢坂さんこわ~い、虎の吠え面なんて見たくないけど、亜美ちゃんの顔に傷でも付けたら吠え面で済むと思わないでね?
 高須く~ん? お弁当はー、できたら愛妻弁当と見まごうばかりにピンクの食紅で『みのりLOVE』ってお願いするぜ!
 みのりん!?
 櫛枝さん!?
 じょ、冗談だよ・・・・・・高須くん? さっきの無しで、海苔で『愛』って文字を・・・ご、ごめんなさい・・・悪ノリしすぎました・・・』

「・・・・・・・・・」

このケータイは今地獄に通じているのかもしれない。心底そう思う。
今なお喚き散らしてる大河達の声を聞きながらふと呟いた。

「櫛枝・・・バイト、首にならないといいな・・・」


何度も電源を切ろうとしたが、断りを入れるたびに『ちょっと待ってなさい、駄犬』と脅迫してくる大河に屈して切るに切れず、
そのまま通話状態でこっちを無視して騒いでいた大河達が、お店の人に注意されてようやく静かになった。
我に返ったらしい大河達が、店を出る前に俺に挨拶していき

『・・・・・・じゃ、竜児、やっちゃん・・・また明日・・・』

「おぅ・・・大河? 気をつけて帰れよ」

『・・・・・・ばかちーが変な気起こさなければね・・・・・・じゃあね』

20分近くも経ってやっと切れた。20分・・・来月の電話代が恐いな・・・・・・
さて

「泰子、飯の支度するからどいてくれないか?」

「うん。お腹減ったねぇ」

「・・・っと。じゃあ、ちょっと待っててくれ。すぐ用意するから」

すっかり遅くなってしまった晩飯を作るために、電話してる間中俺の膝の上に座っていた泰子を床に降ろして、
俺は簡単に作れそうなものを考えながら台所へ入っていった。

492:174 ◆TNwhNl8TZY
08/12/02 23:59:49 f3rp+OzE
長い上にセリフばっかりですみません
キャラが壊れててすみません
最後の投下はちょっと間が空くかもしれません

493:名無しさん@ピンキー
08/12/03 00:08:32 1UKhUU85
うおおおお…電話が、電話が良すぎるんだが
何この可愛いみのりん

494:名無しさん@ピンキー
08/12/03 00:15:02 dsRHEQuB
>>492

よかった

495:名無しさん@ピンキー
08/12/03 00:39:15 tkowFcym
>>492
イイヨイイヨ(*´Д`*)/ヽァ/ヽァ
これぞとらドラワールドだな。

496:名無しさん@ピンキー
08/12/03 01:40:53 uL/CKFT7
三人娘の姦しい電話に萌えたw

497:名無しさん@ピンキー
08/12/03 02:24:03 Jq9AzRP4
文字通り姦しいなw
こういうの大好きだぜ

498:名無しさん@ピンキー
08/12/03 02:26:23 5SH76Dkq
保管庫更新マダー?

499:名無しさん@ピンキー
08/12/03 02:31:53 GSgDZ9sO
さすがヒロイン、なんて魔性の(男の)子!

500:名無しさん@ピンキー
08/12/03 06:27:33 x2SmWobn
>>492
あーみんが二回言ったとこに激しく萌えた
というか二回目の意味って、おいっ
作者には失礼だが、泰子よりあーみんが可愛かった

501:名無しさん@ピンキー
08/12/03 08:58:31 X4yEBR66
>>492
もうお前ら結婚しちゃえよ

おにゃの子全開で竜児を独占したがる嫉妬やっちゃんが可愛すぎてヤベエ
姦し三人娘もぶっちゃけまくりワロタwみのりんwwww
そして地味に竜児にくっついてたやっちゃんwww

502:名無しさん@ピンキー
08/12/03 10:09:56 qIYgr0eb
やべえww全員萌えるw

503:名無しさん@ピンキー
08/12/03 10:30:59 eJLVBOlC
もうハーレムでいいよ

504:名無しさん@ピンキー
08/12/03 14:42:15 bfL5DTfh
てゆうかハーレムがみたいよ

505:名無しさん@ピンキー
08/12/03 15:24:04 LIFycD/c
田村弟が相馬さんを寝取った上に青い果実や松沢さんも狙うんですねわかります

506:名無しさん@ピンキー
08/12/03 15:25:54 +bsJgp9X
>田村弟が相馬さんを寝取った上に

それは寝取るというのか?w

507:名無しさん@ピンキー
08/12/03 16:45:16 BL3zwSIy
多分弟って三男の孝之の事だろ

508:名無しさん@ピンキー
08/12/03 16:59:03 +bsJgp9X
いやそれはわかってるけどさ

一応自分のほうから振った形になる女がそれから誰とくっつこうが
それは雪貞的には寝取られじゃないんじゃないかって話w

509:名無しさん@ピンキー
08/12/03 17:27:11 BL3zwSIy
なるほど(-.-;)
確かに

510:名無しさん@ピンキー
08/12/03 17:31:22 /c3jq1pw
あの…本性バレの続きは…?

511:名無しさん@ピンキー
08/12/03 17:45:33 dgpOZFNz
>>507
孝之とか聞くと某エロゲが……

512:名無しさん@ピンキー
08/12/03 17:48:39 r80hgkSM
おまえらそんなに俺の名前呼ぶなよ。照れるだろ

513:名無しさん@ピンキー
08/12/03 21:27:59 eJLVBOlC
>>512
猫のうんこ踏め!

514:名無しさん@ピンキー
08/12/03 22:41:30 x2SmWobn
人が増える弊害だな
職人が増えるのは嬉しいが雑談で無駄に消費は勘弁してほしい

515:名無しさん@ピンキー
08/12/03 22:43:59 WTuqicxO
>>514
そのとおりでございます

516:名無しさん@ピンキー
08/12/03 22:51:30 AFgFX8Je
>>514
だが、雑談によって投稿しやすくなるもでは?

517:名無しさん@ピンキー
08/12/03 22:57:23 x2SmWobn
純粋なネタ提案なら役立つかもだけどな

518:名無しさん@ピンキー
08/12/03 23:07:24 WTuqicxO
>>517
そのとおりでございます

519:名無しさん@ピンキー
08/12/03 23:10:32 eJLVBOlC
つまり、あーみんのオナニーが見たいという俺の率直な欲求もこのスレなら許されるわけか

520:名無しさん@ピンキー
08/12/03 23:11:03 /c3jq1pw
>>518サザエでございます。

521:名無しさん@ピンキー
08/12/03 23:33:19 WTuqicxO
>>519
自由でございます

522:名無しさん@ピンキー
08/12/04 00:12:34 yUaLU5mP
竜児とのHの時も猫かぶりなあーみん。
竜児によってGスポットを責められてイキまくるあーみん。
竜児に顔を真っ赤にして「イってないから…」とのたまうあーみん。

523:名無しさん@ピンキー
08/12/04 00:12:59 a3IY21BW
>>514
投下ラッシュも終わったみたいだから、それも落ち着くだろ。

524:名無しさん@ピンキー
08/12/04 00:40:19 iwhz+oTE
>>522
「そんなとこ必死に舐めちゃって、
 あっ、ホ、ホントに、…あんっ、犬みたいね
 マ、マジきも、…っ、きもい、わよ
 もっと真面目に、…あっ、やって、…っ、くんないと
 亜美ちゃん全然、気持ちよく、なっ、ないんですけどぉ
 あっダメそこヤダだめええええっ!!!!!!!」

525:名無しさん@ピンキー
08/12/04 00:58:06 1wovTq5F
亜美厨ウザすぎ

526:名無しさん@ピンキー
08/12/04 01:18:41 EWgKBqHW
同感
いや
亜美がウザいんだよ

527:名無しさん@ピンキー
08/12/04 01:24:02 xZkgo75L
亜美ちゃんの魅力がわからないなんて可哀相……同情するよ

528:名無しさん@ピンキー
08/12/04 01:32:07 XTDTVrx+
ヒント:蓼食う虫も好きずき

俺なんてみのりん派なんだぜ?
誰かみのりん分をおおぉ!

529:名無しさん@ピンキー
08/12/04 01:42:47 EWgKBqHW
>>527
やっぱ亜美厨ウザいわ

530:名無しさん@ピンキー
08/12/04 01:43:51 RbADJC+h
俺は相馬派
たのむとらドラの10分の1でいいから田村くんssを…

531:名無しさん@ピンキー
08/12/04 02:18:28 uB8XKoyl
>>524
さあその妄想をSS化する作業に戻るんだ

>>530
そのうちアニメ化するから待ってればいいじゃん

532:名無しさん@ピンキー
08/12/04 04:43:28 yKIcM31C
なんで誰もssかかへんの?

533:名無しさん@ピンキー
08/12/04 06:57:43 w6JmvrVG
>>532
書き込みが少ない→大作の予感

534:名無しさん@ピンキー
08/12/04 07:27:29 EWgKBqHW
池田大作?

535:名無しさん@ピンキー
08/12/04 07:35:03 WS1dXIUs
>>533
実際書き込みが少なくなると、出てくる職人さんもいるだろね。ツンデレ型の。


536:名無しさん@ピンキー
08/12/04 07:42:01 EWgKBqHW
「やっと俺の出番か・・・」

537:名無しさん@ピンキー
08/12/04 07:59:45 iwhz+oTE
祭りになってると投稿しやすいんだよね、なんとなく
大作の後だとか今みたいな雰囲気だと尻込みするわ、なんとなく

538:名無しさん@ピンキー
08/12/04 12:39:30 RRPR+mlf
同じ祭りの会場なんだから気にしないでいいんだけどな。

539:名無しさん@ピンキー
08/12/04 21:50:42 FzIAhObp
>>530
同意。相馬とのほのぼのが見たい。

540:名無しさん@ピンキー
08/12/04 23:29:54 aQDv8G2C
空気読まず投下
タイトルは『9巻56ページ4行目の続き』
タイトルそのまんまの妄想してみた

541:名無しさん@ピンキー
08/12/04 23:30:26 aQDv8G2C
「ただいま~。」

久々の自宅、無人のマンションに、虚しく響く己の声。
大河は肺の中の冷たい空気を全て吐き出すように大きく一息つき、まず暖房をつけた。
手荷物を全てテーブルに投げ出し、力なくコートとマフラーを脱ぎ捨てる。
そのまま制服が皺になるのも構わず、ソファに体を投げ出すように座る。

「逢えるかなって思ってたら……、ホントに逢えちゃった……。」

大河は唇をわずかに持ち上げ、かすかに笑う。
何もする気になれず、そのまま横になったまま時間が過ぎていく。

「竜児………。」

かすかに口から漏れる。
それだけで大河は、今だ凍てつく部屋の寒さも忘れられる暖かさを感じた。

そのまま先ほどまでのひと時を反芻する。
一週間ぶりの心地よい時間を、竜児との全てを反芻する。

それは決して許されないこと、やってはならないことだとわかっている。
大河の心の幻は、しかしすぐに霧散する。
温かさも心地よさも全ては幻で、大河の体は凍てつく寒さに蝕まれ続けている。
力なく体を持ち上げ、大河は夕飯の準備を始めた。



542:名無しさん@ピンキー
08/12/04 23:31:02 aQDv8G2C

ただ、空腹を紛らわすためだけの食事だった。
買ってきたばかりの冷凍チャーハンのパッケージを乱暴に破り、皿に盛る。
電子レンジで温めている時間、数分の時間、大河はレンジの中で回るチャーハンを眺めていた。

何もしなければ、余計なことを考えてしまう。
ただ、チャーハンを見つめることで、全てを忘れてしまいたかった。
温め完了を告げる無粋な音が響くまでの間だけでも、その僅かな時間だけでも。



大河は温まったチャーハンを取り出し、ラップを外した。
上気が舞い、しかしすぐに儚く溶けて消える。
そのまま大河は無言のまま、無心のままスプーンで口に運んだ。

ゆっくりと一口食べ、二口食べ、
不意に大河は何かがチャーハンの皿にこぼれたことに気づいた。
それは己の涙だった。

「うぅ……、あぅ……」

あふれ出す涙を止めることができず、一滴、また一滴と涙がこぼれる。
震える指先がスプーンを支えきれず、小さな音を立ててテーブルに落ちた。

「美味しくない……、美味しくないよ……。」

脳裏をよぎる、竜児のチャーハンの味。
何気なく食べてきた、竜児の手料理。
何気なく過ごしてきた、竜児との時間。
もう二度と戻ってこないかけがえのないそれらの思い出が五感の全てを支配した。


543:名無しさん@ピンキー
08/12/04 23:31:36 aQDv8G2C
「うぅ……」

大河は唇を噛む。
これは罰だ。サンタさんの罰だ。
大河は独りごちる。
いい子でいると誓ったのに、あの日、イブの夜、
最後の最後で、いい子でいられなかった私への、罰だ。

サンタさんは残酷だ。
逢いたくて、逢いたくて、でも決して側にいてはいけない人に、
一週間ぶりに帰ってきた自分にいきなり逢わせるなんて。
決して、もう側にいることはできないというのに。

歯を食いしばり、大河は顔をあげた。
自分に残された時間は残りわずかだろう。
そう遠くない未来、私はこのマンションに、街にいられなくなる。
別離の時は近いのだ。
そのときまでに、最愛の人と最愛の友に笑顔で結ばれてもらいたい。
消えてしまう自分を忘れ、笑顔で過ごせる二人になってもらいたい。
そのためにできることをやらなければいけない。
こんなことで躓いているヒマはない。
だけど………、


不味いチャーハンでも胃袋に入れてしまえば体は満たされるかもしれない。
しかし、心は、開いてしまった心の穴は、決して満たされることがなかった。


END

544:名無しさん@ピンキー
08/12/04 23:49:29 EWgKBqHW
は?なんなの?涙が止まらないんだけど?乙

545:119
08/12/04 23:54:35 aooFLaeM
>>540
泣いた

そしてやっと<花三本目>完成…orz
今人いないっぽいけど、希望があれば投下します。
一応8レス予定。

546:名無しさん@ピンキー
08/12/04 23:54:56 0z2lx34v
…なんだこのモヤモヤした気持ちは…
…年末だからか…

547:名無しさん@ピンキー
08/12/05 00:00:54 EWgKBqHW
>>545
関係ない 行け


ってDIO様が言ってた

548:119
08/12/05 00:03:26 /z/jqm26
そんじゃ行くぜ!!

<花三本目>

何でこんな事に…
あの昼の放送から、二週間たった月曜日の朝。『後輩襲撃事件』や亜美の『転校する』発言を切り抜けた竜児の頭にはその言葉が渦巻いていた。
ちなみに彼の周りでは、大河、実乃梨、亜美がピリピリとした空気を放っている。
一体どうしてこんな事に―二年C組の自分の下駄箱の前で見知らぬ女子に話しかけられている高須竜児は途方に暮れた。


亜美に「あたし、転校するかも」と告げられた日、竜児は自分の偽らざる本心を語った。
実乃梨が好きで、大河を守りたくて、亜美を大切にしたい――という想いを。
そのおかげかどうかはわからないが亜美も転校を思いとどまってくれ、竜児は安堵した。
教室に休み時間ぎりぎりで帰った後、大河と実乃梨がえらい勢いで詰め寄ってきて、
「「何してたの!?」」と、問い詰められたがかといって会話の内容をそのまま伝えられるはずもない。
亜美が不安がっていたからこそ、竜児は自分の本心を語る決心がついたのであって、同じ内容を二人には語れない。
しかも、実乃梨の前で『櫛枝が好きで~』などと言えるわけがない。どんな変則的な告白だ。
悩みぬいた竜児から出た言葉とは、
「川嶋が、『転校する』なんて言うからその説得をしてただけだ」
という、何とも当たり障りのないものだった。しかしその答えを聞いた二人は思う事があったのか、
「こ、この駄犬!!あんたねぇ!!その手当たり次第にいく癖どうにかしなさいよ!!」
「高須く~ん。さすがの櫛枝も、少し自重すべきだと思うぜ~?」
…ええぇ?と竜児が、なぜいい事をしたはずなのに責められてるんだ、といった声を上げる。
俺が説得していなければ川嶋は転校していたかもしれないのに、それでよかったのかよと、竜児が反論しようとすると
今まで竜児の横で黙っていた亜美が愛らしい笑顔で、
「そうだよぉ。高須君が”気持ちのこもった”説得してくれたから、亜美ちゃん転校するのやめよって思ったの」
なんて言い出した。ああよかった、お前も大河たちをなだめてくれるのか、と竜児は思う。
「おう。もう転校するなんて言うなよ」
「それ言われるの四回目なんだけど」
「そんだけ、お前に転校して欲しくないんだと思えよ」
「…ほんと無自覚だよね、高須君」
軽く言う竜児に亜美が苦笑したように言う。変なこと言ったか?と竜児が考えようとしたところで―


549:119
08/12/05 00:04:19 /z/jqm26
「…へぇ。ばかちーとずいぶん親しくなってるじゃない、竜児」
「へー、ほー、ふーん。あーみんとの親密度急上昇!!って感じかねぇ?」
妙に冷たい目の、大河と実乃梨がそこにいた。
なんでお前ら打って変わってローテンションなんだ!?と竜児は愕然とする。が、この男にわかるはずもない。
そして、大河たちをせせら笑うように、亜美が続ける。
「まぁ、親密になった、って点では間違ってないよ。少なくとも悩みは解消させてもらったし」
はっきり断言した亜美に、大河と実乃梨が驚いた表情になる。
今までの亜美の態度なら「んなことないっつーの、うざい」ぐらいは言いそうなものだが、亜美は「親しくなった」と認めたのだ。
その事実が、二人の背にひたひたとはい上がってくる。自覚が有るか無いかの差はあるものの、これはまずいという警告だ。
思惑は違えど、二人ともその警告に従い声を発した。
「頭大丈夫?ばかちー。あんたが今『親しくなった』って言ったのは、この駄犬よ?」
「おお!?あーみんがそんな風に言うなんて珍しいね!!」
片方は亜美の指す相手を乏し、片方は亜美自身の異常を指摘した。どうか間違いであってくれ、という淡い希望で放たれた言葉。
…が、それは空気の読めない(異常に鈍感)な男によって破壊される。
「あそうだ、大河、櫛枝」
「「何?竜児(高須君)」」
正直いま竜児にかまう暇はないがでもやっぱり無視するのは…、と思ったかどうかはさておき二人が返事を返す。
しかし、放たれたのは核爆弾級の驚きの言葉だった。

「何かは知らんが川嶋が、『あたしも本格的に参戦する』ってよ。…お前らクラス内で戦争でもしてんのか?」

後半の竜児の言葉は流して、バッと亜美の方を見る。そこには先ほどと変わらず愛らしい笑みがあった。そして
「言っとくけど、冗談じゃないから。今までは逃げてたけど、これからは違うよ」―宣戦布告。
棒立ちになる大河と実乃梨。しかし亜美はそれを意に介した様子もなく言う。
「どーぞ、いやそっちがどーぞ、ってずっと譲り合ってるつもりなら、あたしが貰っちゃうからね」
それを聞いた竜児は、
「またその話か。お前ら一体何を欲しがってるんだよ?それって、仲良く三等分、みたいな解決はできないのか?」
と若干呆れた様子。亜美は苦笑して竜児に返す。
「無理なんじゃない?あたしは、今はそれでもいいかなって思ってるけど」
その答えに、ぎょっと二人が亜美に目を向ける。亜美は別段気にした様子もなく、ふん、と鼻をならして竜児に向き合う。
「今日はありがと。高須君が来てくれてよかった」
そう不意打ちで竜児に告げる。何の心の準備もなくそれを食らった竜児は赤面して、「お、おう…」と返す。
その竜児の姿がおかしかったのか亜美がくすくす笑う。笑われた竜児は気恥ずかしさも相まってつい反抗してしまう。
「何だよ。お前が急に素直になるからだろうが」
「高須君が言ってくれたから、素直になってるんだけどなぁ?」
意地の悪そうな笑みを浮かべ、亜美がそう言う。怪訝な表情を見せる竜児に亜美は告げる。
「大切にしてくれるんでしょ」
そういった亜美に竜児はひどくビックリした。いつも冷めてたというか、距離を置いていたような亜美が自分の発言をここまで信頼してくれたなんて、と思ったからだ。
そんな風に聞かれたら竜児の心は決まっていて、
「当たり前だ」
と答えた。それを聞いた亜美はうれしそうに笑って(初めて見た)それじゃまたね、と言って木原たちのところへと、離れていった。
やっぱ腐ってもモデルだななどと、見惚れてしまった自分が悔しいのか竜児は負け惜しみをこぼす。
そうして、自分も友達のところに行こうとすると


550:119
08/12/05 00:04:57 /z/jqm26

「どこへ行くのかしら…?竜児」
引き止められた。ていうか、ひっそり二人から離れようとしてたらバレた。
「いろいろと聞きたいことはあるけど、これだけは言っておくわ。―覚悟してなさいよ、この駄犬」
と、告げて自分の机にずかずかと向かっていく。
オーマイゴッド。マジ怒りじゃねぇか。経験から、大河が冷静に自分に宣告してくる方が被害が大きいことを竜児は知っていた。
そして、実乃梨は実乃梨で竜児に向き合い、肩をガッとつかんで、
「高須君!!何かあーみんがすっげーことになってる!何で!?何で!?」
おおう、櫛枝。頼むから飯を食ったばっかりの俺の頭をそんながっくんがっくん揺らさないでくれ。
竜児の肩を持って、激しく揺さぶる実乃梨に祈る。その祈りが通じたのか、実乃梨は揺さぶりをやめてくれた。
けれど、どこか呆然とした様子で何事かをつぶやく。
「あ、あーみんまで。これじゃ、私が『決めた』意味が…。」
その言葉の意味がわからず、竜児は頭の上に?マークを浮かべる。そして、竜児のその様子で実乃梨は今のが聞かれたとわかったのかバッと手を肩から離し、
「あ!や、違くて!これは~その~…。えっと、何でもないんだぜ!!」
確実に何かあるだろう反応を返してくる。しかし竜児はその『何か』がわからないのでそれ以上問いつめることもできず
「お、おう」
と無難に流すことにとどまる。実乃梨は、何で~もない何で~もない、と自作の何でもないソングを歌って竜児から離れていく。
何か今日いつにもまして挙動不審だな、と竜児は思った。


そしてその日は学校から帰ったら大河に盛大に罵られた。ものすごかった。具体的に言うと●●●●●…言葉にできない。
ひとしきりわめいて落ち着いた大河に、「何でもするから機嫌なおしてくれ」と言うと様子が激変して、
「じゃ、じゃあ週末の食事はあんたが全部作りなさい!!いい、三食きちっと作るのよ!?あ、あんたに持ってこさせるのはさすがに可哀想だから、私が食べに来てあげるわ!!」
と返してきた。そんなんでいいのかよ、と竜児は思うが大河がいいならそれでいいかとも思う。
二日間、ずっと自分の家で大河のために食事を作ればいいのならお安いごようだ。自分には特に予定もないし。
ただ、大河はこの週末どこにも出かける予定はないのだろうかと思ったが、目の前で楽しみでたまらないといった様子でいるのを見る限りその心配もなさそうだ。
「ね、竜児。私このまえ作ってくれたやつが食べたい。あの鳥のやつ」
「おう、任せとけ。あ、でもあれは手間がかかるから土曜の夕飯でいいか?」
「うん」
そう嬉しそうに大河が笑うなら、二日間の食事提供など軽いものだ。


そして休みも終わり、月曜日。学校に行くために、いつも通り大河を起こしに行き一緒に朝食を食べ一緒に家を出る。
登校の途中で実乃梨とも合流し、女二人は竜児などいないかのように盛り上がる。
そして校門の所でたまたま時間の重なった亜美と会い、一緒に下駄箱まで行く。
男女比に何も思わない訳でもないが、ここまではおおむねいつもの日常だった。
――二年C組の下駄箱にたどり着いた竜児が一人の女の子に話しかけられるまでは。


551:119
08/12/05 00:05:35 /z/jqm26
「…なんっで、そんなにピリピリしてんだよ、お前らは…」
今まで和やかだったのに、なぜ急に極寒なんだ!!と主張したいが、この空気がそれ以上言わせてくれない。
「ずええぇぇ………っっったい、あの放送のせいだわ!!」
「むっかつくなぁ、急に注目しだしちゃってさぁ。今まで見向きもしてなかったくせに」
「おおお!?高須君、それ誰、誰それ!?この櫛枝、恥ずかしながら初めて見る顔なんだけど」
三者三様の答え。共通点はみんな目が笑っていない事。…まったく笑えない。
「ねぇねぇ高須君。私の話聞いてる?」
目の前の見知らぬ女子は空気読まずに話し続けるし。頼むから読んでくれ。
「いや、その、あなたが誰だか俺は知らないんですが…」
「あ、ごめん。そうだよね。えっと、『教えて大明神』って言ったらわかる?」
その名前を聞いて竜児の記憶が呼び起こされる。北村に誘われて出た昼の放送で、二枚目のお便りを書いた人物、のはずだ。
「ああ、あの二人目の。それでいったい俺に何の用が」
「そうなの!!聞いてくれる!?もうほんと私の彼氏すごい分からず屋で困ってるの!!」
……もしかして愚痴を聞いてもらいたいだけ?
「そんでまた高須君に相談乗ってもらおうと思って。今日の放課後とか平気?」
「いや、特に用事はないけど―」
「ありがと!!じゃあ、今日の放課後にね!」
それだけ言って、風のように去っていく。残されたのは呆然とした竜児と不機嫌顔の女の子三人。
もしかして、承諾した事になってしまったのだろうか。動揺する頭にそんな言葉が浮かぶ。
「あんた何、約束してんのよ!!」と猛る大河。
「ふーん。女の子から大人気だねぇ、た・か・すく~ん」と毒をはく亜美。
そして実乃梨は
「うううううううううう…!!」唸っていた。
その様子に竜児が「く、櫛枝?」と声をかけると、実乃梨も自分の状態に気づいたのか説明してくる。
「…おおっとぉ!!少し自分を見失っちゃってたぜ城之内くん!!ずっと君のターンだったからね!」
「いや、意味がわかんねえ」
説明で余計に訳がわからなくなった感じだ。実乃梨はまだ「もちろん効果は正位置だ!!」とか言ってるし。
三人の心中を竜児は理解しないまま妙に悪い雰囲気で、みんなで教室に向かうのだった。


そして放課後。竜児は、面倒事は早いうちに片付けるとばかりに早々と朝の約束を果たすため教室を出て、すでに相談を受けた後だった。
だが、自分の教室に戻っていく竜児の足取りは重い。なぜかというと…
「…しかし疲れた…」
そうなのだ。相談を受けるために、『教えて大明神』が所属する教室(二年A組だった)まで行ったのだが(場所の指定は昼休みに彼女の方からあった。ちなみにその時、いつも一緒にお弁当を食べるグループの三人ほどの女の子からの視線が痛かった)
竜児は思う。――何で俺が他人の惚気を聞かなければならないんだ…!!
そう、惚気られたのだ。そりゃあもう盛大に。
彼氏の事を悪し様に言っていたのは最初の五分間だけで、後の十五分はずっと惚気だった。そして『教えて大明神』の友人らしき人物も「私も話聞いてもらっていい…?」と言い出す始末。
最終的にA組は『出張☆高須竜児の相談部屋』になっていた。
「なんっで、順番待ちが増えていくんだよ…。おかげでえらい時間くっちまったぞ」
竜児の性格上、相談を持ちかけられたら真剣に考えないわけにもいかず真面目な応答をしていたらいつのまにか列ができていたのだ。
「しかも、なぜ恋愛相談が多いんだ…。俺は年齢イコール彼女いない歴の人間なのに」
そうであっても、しっかりと相談にはのったが。そして例にもれずに優しさのあふれる回答をしているので隠れファンが増えている。が、竜児にそれを知るすべはない。
もう大河も帰っちまっただろうな、とため息をつきながらガラッと教室の扉を開けると

「おぉ~高須君。おつかれさま~」

―櫛枝実乃梨がそこにいた。


552:119
08/12/05 00:06:18 /z/jqm26

「は?え、いや、何で!?」
「え~。城之内君、さすがにそれは傷つくぜぇ?速攻魔法、バーサーカーソウル!!ってな感じで」
「いやいや、別に待っててくれたのが嬉しくないんじゃなくて、むしろ嬉しいんだがそうじゃなくて!!」
「ん~とね。高須君が教室出た後、大河が『竜児が変なことしないか見張ってくる!!』って出て行って、あーみんは『あたしは先に帰っておこーっと』って出て行って、そんで私は大河と高須君を待ってたのだよ」
「待ってた、ってどうして。何か大河と約束してたのか?」
「今日、大河の家に泊まるんだ。平日だけどごり押ししたら両親からオッケーサインがでてさ。…家主がいないのに大河の家に行くわけにもいかないし。それで教室で待ってたんだ」
「そっか。部活とかは?いいのか?」
「土曜日練習して、日曜日試合だったから今日はオフ。バイトもないよ」
そういうことか、と竜児は納得する。しかしすぐにまた疑問がわいてくる。
「でも俺、大河に会ってないぞ?」
実乃梨の言う事が確かなら、自分は大河の姿を見かけているはずである。だが、A組からここまでの道のりで大河には会っていない。
それを実乃梨に伝えると苦笑して、
「あ~やっぱりか。多分だけど、どこで高須君が相談受けてたか知らないんだと思う」
「…は?」
「いや~、あの子すごい勢いで出て行ったけどすぐ立ち止まってまた走り出したからさ。きっと、『場所がわからない、ならしらみつぶしに探す!!』ってなったんだと思う」
「…大河…」
さめざめとその名前を呼ぶ。昼休みあんなに鋭い眼光をとばしてきたのに、伝えられた場所を忘れるのか。ある意味すごいぞ手乗りタイガー。
「そういうこと。だから待つしか選択肢が残ってないんだよね。…私のライフカードはどこへっ!!」
「…それは別にその選択肢一つでよくねぇか?」
そう言って笑う竜児に、実乃梨も「ん?そっか、そうだやな」と笑顔を見せる。
その笑顔はやっぱり素敵で―この人に恋をしてよかった、と思う。
そんな風にこの状況を楽しんでいた竜児に、実乃梨は次の言葉を放つ。

「ね、高須君。今もまだ幽霊は見えてる?」

それを聞いたとき、竜児の頭は一気に現実に引き戻された。しかし実乃梨は穏やかに続ける。
「ほら、夏休みにあーみんの別荘で話したじゃん。UFOとか幽霊とか」
それが何で今でてくるんだろう、そう考えていた竜児の頭を読んだのかは知らないが、さらに実乃梨は言う。
「最近、ほんといろんな事があってさ。それで価値観も変わってきてて。前は、幽霊なんて私には見えないんだろうなって思ってたんだけど…今は、見えてる、かもしれない」
「…それは…」
後の言葉が続かない。実乃梨が見えたかもしれない幽霊はいったい誰なんだろうか、もしかして……といった思いがないわけでもない。
実乃梨との雰囲気は―自惚れていいのなら―良好だったし、竜児以外の男と話しているのを見た事なんて数えるほどしかない。
「だけどね、高須君」
それでも言葉に詰まったのは、そう、実乃梨の様子があまりにも苦しげで、それはまるで懺悔のようで―
「その幽霊は私が見ちゃ駄目な人で。親友も同じ幽霊を見てて。でも、駄目って思えば思うほどはっきり見えちゃって…!!」
何で。何で実乃梨はこんなにも苦しんでる。竜児は確かに『実乃梨にも幽霊が見えたらいい』と望んだが、こんな顔を見たかった訳じゃない。
竜児は、実乃梨にも自分が持っているのと同じような想いを持って欲しかった。お腹のあたりがフワフワと暖かくなるようなそれでいて幸せなこの想いを。
「…やっぱり私はさ。幽霊、見えない方がよかったみたいだよ、高須君」
そんなことを言われてしまったら、もう終わりだ。
本当に終わりだ。だってそんなことを言われたら――

自分の本音を暴露するしかないではないか。



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