【田村くん】竹宮ゆゆこ 5皿目【とらドラ!】at EROPARO
【田村くん】竹宮ゆゆこ 5皿目【とらドラ!】 - 暇つぶし2ch300:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:42:19 WGJN6Edy
「…ゲーム、オーバーですな」櫛枝がシリアスな表情を作って言う。
俺は相変わらず櫛枝の肩に手を乗せている。
近過ぎて、心臓のバクバクいってる音が聞こえているのではないかと一瞬不安になる。「放っとけばいいんだよ、あんなやつ」

「いいのかなあホントにそれで」真剣な表情でこっちを見ている。これは本音を言ってる時の顔だ。
「大河、高須くん誘ってる時、生まれたての小鹿みたいに手がプルプル震えてたんだぜ~」

気付かなかった。いや、俺は大河の気持ちなんて考えようともしていなかった。
何か罠があるに違いないなどと疑っていた自分が少し情けなく思えてきた。
俺は大きくため息を付き、伸ばしていた足をくの字に曲げる。「大河、怒ってるよなあ」

くの字に曲げた膝が何か柔らかいものに挟まれた。何だろうと下に目をやる。
あぁ、櫛枝の内ももに挟まれてる。内もも!?
足をくの字にした時に櫛枝のスカートの中に膝が入ってしまったのである。
膝小僧の辺りには布のような、恐らく櫛枝のパンツであろう感触が伝わってくる。

「いきなり下を責めるなんて、お主、いい度胸をしておるな~」
冗談めいた声を出しているが顔は少し赤くなっている。無理もないだろう。櫛枝だってこういう経験は初めてなんだから。

俺は「ごめん」と言いながらも足を戻そうとしない。
言うまでもなく、下半身はもうガチガチに硬くなってる。この機会を逃したら、俺は多分一生童貞だ。
膝をさらに櫛枝の股間に食い込ませて、少し上下に動かしてみる。

「ちょっと…」櫛枝が少し眉をひそめる。
「あんさん、膝で擦るなんて、聞いたことありまへんで」もっともな事を言われた。

俺はもう決心をした。今から櫛枝と、ヤル。
肩に乗せていた手を離し、櫛枝のあごに持っていく。
そのまま親指に力を入れて少し上を向かせる。
セックスの前にはまずキスをするという常識を俺はいつの間にかどこかで得ていたらしい。
ゆっくりと櫛枝の唇に近づける。櫛枝は何も言わず目を閉じている。

301:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:43:12 WGJN6Edy
その時、ガタンという音とともにドアが開いた。
「駄犬がやっぱり発情してるわ…気持ちわる」大河が戻ってきた。
「何だよお前、帰ったんじゃないのかよ」
「忘れ物」
「あぁそう」
「どうぞお構いなく」そういうと大河は雑にバッグを床に置いて、ベッドに乗ってきた。「狭いからもっとあっち行きなさいよ」
「何だよお前、忘れ物じゃないのかよ」
「一々うるさいわね。寝るの忘れたのよ」
「何だよそれ」

「まあまあお二人さん。仲良く川の字で寝るのもオツなもんだぜ~」櫛枝がまた絶妙なタイミングで声を掛ける。
「まあ、川の字なら大河が真ん中じゃないといけませんな」

「どういう意味よみのりん」大河は本当に意味を聞いた。

少しの沈黙ができた後、大河が口を開く。「で、気にせず続きやればいいじゃない」

櫛枝が俺の顔を見る。「え~と、高須くんが私の股間にゴシゴシと膝を押し付けてきたところからですな」

バチンと大河に頭を叩かれる。「あんた、何してんのよ」
 
俺はひとしきり言い訳をした後、これからどうするべきかしばし考えた。
正面には横になった櫛枝が、背後には同じく横になった大河がいる。しかもベッドの上。
もう恥じらいなんて要らない。俺は心の中で「よし」と気合を入れた。

櫛枝の胸に右手をそっと当てる。

「うわああっ」不意打ちを食らって櫛枝はびっくりする。
「て、敵が…し、使途がAT、ATフィールド突破してきました碇司令~」
いつもの冗談にも歯切れがない。確実に動揺している。

俺はそのまま右手に力を入れて、ギュッと胸をわし掴みする。
制服の上からでも柔らかい感触がちゃんと伝わってくる。

「お、お主…」少し間が空いて口を開く。
「ちょっと、高須くん本気?」素のトーンで聞いてきた。
今はふざけている余裕がないのかもしれない。

302:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:44:08 WGJN6Edy
「冗談でこんな事するわけないだろ」
俺は左手も櫛枝の胸に持っていき、そのまま両手でゆっくり回すように揉んでいく。
櫛枝も観念したのか、目を閉じて、静かに行為を受け止めている。
押してみたり、下から持ち上げてみたり、強く揉んでみたり、とにかく櫛枝の胸の感触を味わった。
乳首の辺りを人差し指でカサカサと擦ってみると、櫛枝は顔を歪めて身体をビクンとさせた。ここが気持ちいいのか。

俺はここで2つの目標を立てる。
1つは櫛枝の乳首を立たせること。
もう1つは櫛枝にあえぎ声を出させること。

俺はひたすら乳首を集中攻撃することにした。
ずっと触っているお陰か、制服の上からでも乳首の場所はほぼ正確に分かってきた。

初めは人差し指で周辺をゆっくりなぞるように触っていく。
そして少しずつなぞる円を小さくしていき、最後は乳首に到着。名づけて焦らし攻撃。まずはこれを繰り返す。
櫛枝が息を押し殺して、ゆっくり鼻で呼吸をする。手ごたえありだ。

次は爪を立てて人差し指と中指でカリカリと乳首を擦る。
これには櫛枝も応えたのか、すぐに身体をビクンと動かす。調子に乗って、少し強めに動かす。
もう一押しで、櫛枝のあえぎ声が聞けるはずだ。カサカサと制服を擦る音がいやらしく響く。

時々身体をクネクネと動かすものの、なかなかあえぎ声を出さない。
仕方ないから、一度リセットという意味で胸全体を揉み直す。
やっぱり何度触っても最高の感触だ。しばらく弾力のある感触を楽しみながら、次にどうするべきか考える。
もう服を脱がすか?いや、制服の上からであえぎ声を出させることに意味があるんだ。
果たしてそこに本当に意味があるのかは不明だが、まだ服を脱がしてはいけない気がする。しかし一体どうすれば……そうだ。

俺は胸をゆっくり触りながら、ブラジャーのカップ部分の上に手を置く。
櫛枝は何?という訝しげな顔で少しだけこちらを見るが、また目を閉じる。
俺は制服越しにグイグイとカップの中に手を入れようとする。しかし乳首までは届かない。仕方がないので、下に強引に引っ張ってカップを下にずらす。
見事に成功。制服越しではあるが、何とか乳首をガードしているものを取っ払った。
うっすらと制服から乳首の出っ張りが分かる。ここだな。

俺はまずは周りからジワジワと触っていき、十分に布一枚越しの胸の感触を堪能した後、親指と人差し指で出っ張りをキュッと摘む。

「んぁっ」櫛枝が小さくあえいだ。俺の指にカチカチになった乳首の感触が伝わる。勝った。

「か、完敗だぜ」そう言って櫛枝はわざとらしく大きく肩を落とす。どうやら櫛枝も何かと勝負していたようだ。
俺はにっこりと笑い、次の段階へと進むべく、櫛枝のブラウスのボタンに手を伸ばした。

303:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:44:55 WGJN6Edy
「あーあー暇なんだけど」後ろから大河の声がする。
あまりに夢中過ぎて、大河がいるのをすっかり忘れていた。
俺はどういう顔して大河を見ていいのか分からないので、背を向けたまましばらく硬直した。

ダルそうに大河のほうに振り返る。「お前、寝てなかったのかよ」
「エロ犬の鼻息がうるさくて眠れないわ」
「う、うるせえよ」
「だいたいねえあんた、それ以上胸ばっか触ってると、みのりんのおっぱいから母乳出るわよ」
「げっマジかよ」
「ふっ…嘘に決まってるじゃない。あんたそんな知識のままよくもまあガツガツとやれたわね」
「い、いいだろ別に」
「そもそも普通こういうもんはキスから始めるもんでしょ?それをまあバカみたいにハァハァしながらおっぱいばっか触って」
「お前、そんなに見てたのかよ」
「こんなに近くにいたらそりゃ目に入るわよ、ったくこれだから童貞犬が」
「うっせーよ。お前だって処女だろ」
 俺の腹筋に小さな拳がめり込む。

 櫛枝が俺の身体にちょこんと腕を乗せてこちらを覗き込む。
「おっとお二人さん、激しい前儀ですなあ」うしししっと本当に楽しそうに笑う。
「ではでは、私の役目はこれにて終了ですな」そう言ってズラされたブラジャーを元の位置に戻そうとする。
 
「あ、ちょっと待って」俺は反射的にそれを止める。
 大河が軽蔑のまなざしをこちらに向ける。
「あんた、まだ揉み足りないの?」
 
俺は少し赤面する。「べ、別にそういう訳じゃねえよ」
「何顔赤くしちゃってんのよ。バッカじゃないの。あんたみたいのは一生スポンジでも握ってればいいのよ」
「何だよそれ」
「あ~スポンジが汚れるわ。せいぜい丸めた雑巾ね」
「ちっ何なんだよ。お前さっきから突っかかってきてばっかだぞ」
「うるさい」

「とう!」櫛枝が突然立ち上がる。
「それでは、後は若い二人に任せて、お母様は帰るとしますかね。フォッフォッフォッ」
そう言って掛け布団を俺と大河にガバッと覆い被せてくる

304:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:46:57 WGJN6Edy
視界が一気に真っ暗になる。俺はすぐにそれをどけようと身体を起こそうとする。

その時、手をギュッと強く掴まれる。

「痛って」強過ぎる握力に思わず声が出る。
「ちょっと、まだ行かないでよ」大河が少し怒ったような口調で言う。
「何でだよ」
「べ、別に理由なんてないけど」

俺はその時、大河の手が小刻みに震えていることに気が付いた。こいつ、もしかして…
俺はここでどうするべきか考える。ベッドの上で布団に包まって二人きり。これは俗に言う大チャンスというやつかもしれない。
しかし相手は大河…もちろん何もやりたくない訳ではない。俺も男だ。したいに決まっている。
何より、毎日一緒にいて、そういう対象として見ていなくても、大河のかわいさには十分気付いている。
ある意味、憧れのような気持ちもどこかにあったのかもしれない…
しかしそれを認めたくはないし、そんな事口が裂けても言えない。
だったら……俺は大きな賭けに出ることにした。

俺はゆっくり深呼吸をして、大河の顔があるであろう暗闇を一直線に見る。
「大河、お前俺とHしたいか?」剛速球ドストレートな球を投げる。

「…へっ?」当然面食らっている。

「だから、大河は俺とHしたいか?」
「はぁ?バカじゃないの?駄犬が何言っちゃってんのよ」
「だって、お前さっきだって乗り気だったじゃねえかよ」
「あ、あれはみの、みのりんと一緒に冗談言ってただけじゃない。真に受けないでよ」
「そうか。じゃあ俺は櫛枝のとこにもう行くぞ」俺は身を起こそうとする。

「ちょ、ちょっと待って」大河がそれを止める。
 沈黙が続いた後、大河がボソボソと何か言う。
「何だよ」俺は聞き返す。するとまたボソボソと何か言う。
「何だよ?言いたいことあるならはっきり言えよ」
「…だから、竜児が私とHしたいんなら別にしてやってもいいわよ」

もしかして、とは思っていたが、実際にこんな答えが返ってくると、やっぱり焦る反面嬉しさも込み上げてくる。
しかしだからと言って、手放しで喜ぶわけにもいかない。それに相変わらずの上から目線もどうも納得いかない。

「俺は、別にどっちでもいいけど」
「わ、私だって、別にどっちでもいいわよ」

305:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:47:46 WGJN6Edy
再び沈黙が続く。恐らく、どっちも向こうの口から言わせようとしているに違いない。
こういう駆け引きの時はいつも俺のほうが折れる。しかし、今日こそは…
ここはもう何としても大河の口からハッキリと「俺とHがしたい」と言わせたい。
そうすれば、この先どれだけコキ使われようと密かに優越感に浸れる気がする。
 
「んで、どうすんだよ?」俺は気がなさそうに聞く。
「だから、私はどっちでもいいってさっきから言ってるでしょバカ犬」
「俺もどっちでもいいんだって」
「だったら男のあんたが決めなさいよ」
「こういう事こそ、女性の意思を尊重すべきだろ」
「ちっ」と大河が舌打ちを打つ。
 
一呼吸置いて大河が口を開く。「竜児と…Hがしたい」
よっしゃ。俺はそれを聞いた瞬間、思わず笑みがこぼれる。

「…なんて言うわけねえだろおおおおおおおおおおお」至近距離で大河のばかでかい声が響く。
「だいたいさっきから…あんたの股間から硬いもんが当たってんのよ。私の太ももに」
俺は何も言えない。
「そんなもん押し付けといて、何が俺はどっちでもいいのよ。笑わせんじゃないわよ、この発情犬が」
俺は何も言えない。
「んで、あんたは私とHしたいの?したくないの?どっちなのよ」
「したいです」
「何?聞こえない」
「大河さんとHがしたいです」
「よろしい。初めからそう言いなさいよ全く」
「じゃあ私はここで寝てるから、全部自分でやりなさいよ」大河がいつもの口調で言う。 
「全部自分って…」俺もいつもの口調で返す。
「いいわね?」
「わ、わかったよ」

こんな会話前にもしたな、とふと思う。あぁそうだ、こないだの大掃除の時だ。あの時も結局…

306:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:48:46 WGJN6Edy
フワーと大河が大きなあくびをする。「早くしないと、私眠っちゃうから」
俺はごくりと唾を飲む。「じゃあ、行くぞ」
しかし真っ暗で何も見えないため、どうすればいいか分からない。
まず、最初はキスだよな…俺はとりあえず手探りで口を見つけることにした。
握っていた手を離し、身体をポンポンと叩いて確認しながら、顔のほうへゆっくり手を持っていく。
しかし、いまいちどこに手を当てているのか分からない。

「わりい暗くて全然わかんねえ。今肩の辺りだよな?」
「胸だバカ」大河の舌打ちが聞こえる。
「ごめんごめん、なんか平べっ…」暗闇の中、大河の拳が僕のあごを確実に捉える。
「それ以上言ったら、殺す」
 
俺は何とか手探りの状態で顔まで到達する。
えーと、口はここらだよな。ペタペタと顔を触る。
人差し指がプスッと何かに入る。
「痛ったあ、そこ鼻の穴だドアホオオ」

「はぁぁ…」大河が深い深いため息をする。
「ったく、口はここよ、ここ」ガシッと顎を掴まれて顔を上に引っ張られる。
「私にやらせんじゃないわよ」大河の息が俺の口に掛かる。
大河の口が俺の口の目の前にある。その距離、多分3センチくらい。
 
俺はまた生唾を飲む。と同時に、大河のほうからもごくんと唾を飲む音が聞こえてくる。そしてそれをごまかすかのように、わざとらしく咳き込んでいる。

「じゃあ、するぞ」
「うん…」
俺はゆっくりと顔を前に近づける。

307:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:50:33 WGJN6Edy
「ま、待って…」大河が止める。
「なんだよ」
「さっき…」
「さっきが何だよ」
「さっき…みのりんとキスしたの?」
「はぁ?してねえよ」
「あっそ…じゃ、じゃあ竜児は今まで誰かとキスしたことあるわけ?」
「ねえよ」
「ふ~ん。私も、私もね、ないから」
「そっか」

俺は唇をそっと近づける。唇と唇が触れ合う。大河の唇の柔らかさが伝わってくる。
キスって、こんなに気持ちいいもんなんだ。
俺はそのまましばらく静止する。
そして恐る恐る舌を唇の中に入れようとする。大河がそれを受け入れる。
俺の唾液と大河の唾液が絡み合う。ネチョネチョという音が、布団の中に響く。

息が苦しくなってきたところで口を離す。
二人ともプハーーとすぐに息をする。

何となく恥ずかしいような気まずいような沈黙が続く。

「うえっあんた今日野菜炒め食べたでしょ」
「食ったけど…お前もだろ、同じ弁当食ってんだから」
「わ、私はご飯の後歯磨いたもん!」

これ以上言うとまた殴られそうな気がしたので何も言わない。
それにしても、口を離してもまだ何故か息苦しい。そうか、布団の中の酸素が無くなってきてるんだな。

「大河、ここもう息苦しくねえか?」
「うん、たしかに」
俺たちは布団をバサッと投げて外に出ることにした。


《《 続く 》》

308:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:51:21 WGJN6Edy
今回は以上です。
長々と失礼しました。

309:名無しさん@ピンキー
08/11/29 10:14:49 G4gc41ec
>>261,296
あんたら・・・最高だよ・・・・・

310:名無しさん@ピンキー
08/11/29 15:03:36 an5xwdkC
早く続きを投下してくれないと風邪ひいちまう

311:名無しさん@ピンキー
08/11/29 15:16:29 gZH9q3eS
結局、竜児が折れるような展開は飽きたな。
たまには強気で行って欲しい。夢オチや凌辱の類でなく。

312:名無しさん@ピンキー
08/11/29 15:37:06 vviOV2oQ
>>311
そうなるとハーレムになるからな
いや、ハーレムは好きだけど

313:名無しさん@ピンキー
08/11/29 15:58:07 L0GGJ1Oz
>>308
なに!?そこで切るとは、なんという生殺し
ともかくGJ!


314:名無しさん@ピンキー
08/11/29 16:21:42 sCA8O3EA
>>312
竜児のハーレムって…

「お前らの身の回りの清掃は俺が全てしてやる!」

こんな感じにしか考えられない

315:名無しさん@ピンキー
08/11/29 17:02:06 WrxGDPHz
アパートの管理人さんな竜児か…
似合うな、天職といってもいい

316:名無しさん@ピンキー
08/11/29 17:46:13 fScqRJ1q
竜児が管理人で店子がヒロイン+やっちゃんとか
アパートと言うより下宿みたいな雰囲気だな

317:保管庫”管理”人 ◆Dash///1.k
08/11/29 17:55:34 CrGQ7raW
こんにちは、お久しぶりです。
SSの保管についてのご相談なのですが、以前多数投下されたコピペ改変SSは保管した方がよろしいでしょうか?
コピペの改変という事で苦手意識、または嫌悪感などがある方もいらっしゃると思います
皆さんの意見を聞かせてください。

318:名無しさん@ピンキー
08/11/29 17:58:55 h8gUEWKU
いらん

319:名無しさん@ピンキー
08/11/29 18:02:07 an5xwdkC
いつも乙です
コピペまで保管しだしたらキリがないかと

320:名無しさん@ピンキー
08/11/29 18:27:22 TNIQoZPg
いらね

321:名無しさん@ピンキー
08/11/29 19:01:29 vviOV2oQ
保管庫に入れた方がいいと思う
コピペだから知らなかった人が同じネタを投下しないとも限らないし

小ネタまたはコピペと注意書きすればいいんだし

322:名無しさん@ピンキー
08/11/29 19:17:25 bc1tUBSq
個人的には、改変コピペまで保管する必要はないかと思います


323:名無しさん@ピンキー
08/11/29 19:21:29 giGLpAUh
小ネタなんかはともかく、コピペはさすがにいらないんじゃないかと

324:名無しさん@ピンキー
08/11/29 19:41:31 L0GGJ1Oz
賛成多数で可決されました

325:119
08/11/29 19:57:23 W3ysix88
どもども、>>119です。
<花二本目>が完成したのですが・・・すげぇ長くなってしまったorz
グダグダに思えるかもしれないのですが、どうか見てやってください。
全8スレの予定。

326:119
08/11/29 19:58:30 W3ysix88

<花二本目>

「あ、お早うございます」
「お、おう」
「はよーざいあーす」
「…おう」
後輩襲撃事件から二日。何というか、高須竜児は困っていた。

今朝、いつも通り大河を起こしに行って高須家で一緒に朝食をとる。その時に大河から
「今日は、別々に登校ね。わかった?竜児」 と言われた。
別に一緒に登校できないからといって、何も騒ぐことはないが、少し気になったので竜児は疑問を口に出した。
「いきなりどうしたんだ?俺、何か気に障ることしたか?」
…原因がすぐ自分にあると考えるあたり、この男の性格がしれる。この過小評価な性格のせいで周り(特に女の子)は多大なる被害を被っているのだ。
「別に。ただみのりんがちょっと話したいことがあるからって」
そう大河に言われてしまうと竜児はそれ以上、質問を重ねるわけにもいかず。
「おう、わかった」
と、了承の返事をした。何か大河が、ぶつぶつ言っていたが声が小さくて聞き取れなかった。
「…あ、そうだ。大河」
「だいたい何で放送なんかでちゃうのよあの放送がなかったら今だって安心して…何?竜児」
「お前、最近いつも顔赤いけど、どうしたんだ?風邪か?しかも、起こしに行ってもすでに起きてて、準備万端だし」
「…!う、うるっさい!この駄犬!!わ、私がどうしようと私の勝手でしょうが!!」
「いや、風邪ひかれたら困るだろうが。お前のことが心配なんだよ」
「…!!!」 大河がフリーズする。
「お、おい、大河?大丈夫か?学校いけるか?やっぱ大事をとって今日は休んだほうが…」
「うるさーーーーい!!!早く学校行きなさいよ、ばか竜児!!」

そう追い出されるように家を出たのだ。ちなみに、大河が実乃梨と話があると言っていたから、いつもの登校ルートも変えている。
ふっ、さすが俺、『気遣いの高須』。そう竜児が一人悦に浸っていると
「おはようございまーす」 
声をかけられた。
今、誰に挨拶したんだ?いや、でも周りに人はいないし。もしかしなくても、俺か?何で見知らぬ男子(おそらく一年生)に俺が朝の挨拶をされるんだ?
テンパリながらも、「…お、おう」と、返す。
その男子は何事もなかったかのように、自分を追い越していった。
いや、やはり俺の勘違いだったのだろうか…?でも、本当に自分の周りには人がいないのだ。だからあの挨拶は確実に自分に向けられたものであって…
ステータス・状態異常『混乱』で竜児が出した結論は。
『あの一年生(おそらく)がとても気のいい奴だったんだろうな』だった。
そう一応の答えを出しておいて、また竜児は歩き始める。こんなヤンキーみたいな俺にも挨拶をしてくれるいい奴はいるのだ。そんな奴に朝から会えた俺は、今日ついてるんじゃないか…
と、つらつら考えながら歩く竜児は、まったくもって甘かった。そりゃもう甘かった。
学校に近づくにつれ、自分に向けられる挨拶は増え、そこで冒頭につながるわけである。


327:119
08/11/29 19:59:01 W3ysix88
何がどうなってるんだ?
混乱と戸惑いの極みの竜児の頭の中は、この一言が占めていた。
この俺が。生まれつきの目つきの悪さで、恐れられるのが常なこの俺が。もしかして、『下級生から慕われている』?
いやいや、ないない、それはないから。冷静に判断を下す自分がいる。
この、血もしたたたるような、とか射殺すような、と言った言葉がピッタリの面の野郎がどうしたら人に慕われるというのだ。
でも、それ以外どうすればこの状況に説明がつく?この奇妙奇天烈摩訶不思議な状況に一体どういう説明が…

「お早うございます、先輩」 まただ。
「…おう、おは!?お前か!!」
「朝も早いうちから、失礼ですね先輩。私でも傷つきますよ」
「あ、それは悪い…」
ラジオネーム K・Yだった。というか、今更だが名前を知らない。ゆえに、目の前の人物をK・Yと呼ぶしかない。
だが、今の竜児には後輩の名前などどうでもよいのだ。飛んで火に入る夏の虫。今は冬だが。目の前の『貴重な情報源』からいくつかこの事態に説明のつく事柄を…!
「なぜか、今日は異常に下級生から挨拶をされるんだが、お前何か知らないか?」
言って、自分で馬鹿なことを言っている、と感じた。大体、下級生全体の思惑などその中の一人でしかない彼女が知るはずも
「あ、それはですね。先輩のイメージが今うなぎ登りだからです」

……。

「は?」
「?そんなに不思議なことですかね?そもそもあの昼の放送で先輩の印象はガラッと変わりましたし。私の友達にも『今、胸がキュンってした…』って言ってる子がいましたし」
「いや、ええ?キュン…?」
「はい。それで一年生全体がそんな状態の時に、私が一昨日のことを語ったものだからもうすごくて」
「…語った?一昨日?」
「はい。本当にすごかったですよ。友達にしか話さなかったのに、次の日には一年生ほとんどが知ってましたから」
すげぇな、女子。口の軽さ的な意味で。
「それでもう、先輩の株がすごい上がってしまって。なので、今日はそんなに挨拶されるんだと思います。ようは、みんな先輩のことを慕ってるんですよ」
そういって、K・Yは颯爽と校舎に入っていってしまう。残された竜児は放心状態で
「ありえねえ…」 と呟いた。



328:119
08/11/29 19:59:32 W3ysix88
それから、校舎に入ってクラスまで行く途中に、いろいろな人から「おはよう」を貰った。
先輩だったり、同輩だったり、後輩だったり…要するに全員である。
竜児が誰かとすれ違うたびに、すれ違った人は「あ、おはよー」なんて声をかけてくるのだ。
…正直うれしい。やっと、本当にやっと、自分がヤンキーではないとわかってもらえたのだ…!!と微妙にずれた喜び方だったが。
竜児はご機嫌だった。―教室に入るまでは。

「鼻の下を伸ばしてお喜びのようねぇ、だ・け・ん…?」

うわーい。手乗りタイガーがご立腹でいらっしゃる…。
大河の後ろからゴゴゴゴゴゴゴ!!と黒い何かが吹き出ている。…なぜこんなにこいつは怒っているのだ?
「…いいじゃねぇか、別に!!やっと、本当にやっとだぞ!?ようやくみんなに俺がヤンキーなんてもんじゃないとわかってもらえたというのに、それのどこが不服なんだ!!」
「別にあんたのイメージなんてどーでもいいのよ、私は。私が言いたいのはね、ちょっと下級生に言い寄られたからって、あんなだらしのない顔を見せないでちょうだいって事」
「俺が、いつ鼻の下を伸ばしてたっていうんだよ!!」
「この教室から、あんたと一昨日の女が話してたのが見えたのよ。ね、みのりん?」
その言葉に、思考が止まる。
「いやー、高須君。こういっちゃあなんだけど…デレってたね!」
そう、竜児の肩をぽんと叩きながら実乃梨が後ろから出てくる。

みのりのこうげき!
つうこんのいちげき!
りゅうじはしんでしまった!

おお、りゅうじよ。しんでしまうとはなさけない。

…はっ!あまりのショックに意識が飛んでしまっていた。
どうやら大河と実乃梨は竜児の意識が飛んでいた間も、目の前で竜児について語っていたようだ。
二人でやいのやいの言い合っている。お前らなぁ…と思っていると、
ふと、違和感を感じた。いつもならここに川嶋もいるはずなのだ。それが今日は姿が見えない。あいつ、どこいった?と周りを探すと、一人ぽつんと席に座っていた。
余計に違和感を拭えずに、川嶋に声をかけようとすると。
―妙に真剣な瞳と目があった。そして川嶋は何も言わず、竜児から目をそらし教室から出て行く。
その姿が妙に寂しくて、竜児は言いようのない胸騒ぎを覚える。急き立てられて追いかけようとすると

「ちょっと、竜児!!聞いてるの!?」 大河に引きとめられてしまう。
胸の中にすっきりしない思いを抱えながらも、「いや、悪い。聞いてなかった。すまん」と答えておく。
大河もその竜児の様子に何かを感じたのか「竜児?どうかしたの?」と尋ねてくる。
いつのまにか実乃梨も竜児を真剣な様子で見つめている。
「いや、少し気にかかることがあっただけだ。別に大丈夫だから」
そう。今日の朝はいつもの日常と違っていたのだ。
―川嶋亜美が絡んでこない、という点で。


329:119
08/11/29 20:00:48 W3ysix88
昼休み。考えがあって、休み時間のたびに弁当を少しずつ食べていた竜児はみんなより一足先に食べ終わる。
「飲み物買ってくる」
と、みんなに言って教室を出る。どうしても、一人だけで行きたかったのだ。それは、朝の違和感の正体を確かめたかったからに他ならない。
そして竜児が目的地―自動販売機―に到着すると、やはり目当ての人物もそこだった。
昼休みのチャイムが鳴った瞬間に教室を一人で出て行った、川嶋亜美が自販機と自販機の間にしゃがみ込んでいた。
「おう、早いな、お前。ちゃんと飯食ったのか?」
竜児がそう尋ねると、亜美はうっとおしそうに答える。
「別に、関係ないじゃん。高須君には。…ていうか、そっちこそ何でこんなに早いの?もしかしてストーカー?」
「ストーカーじゃねぇよ。ただ、何て言うか、朝のお前の様子が気にかかってだな…」
そういうと、ますます亜美の機嫌が悪くなる。
「は?何で高須君にあたしが心配されなきゃいけないの?まじでキモイんだけど」
「な…おま、キモイとか言うなよ!!俺だって傷つくんだぞ!?」
わざわざ早弁までしてこの場所に来た自分に、この仕打ち。ジーザス、神は死んだのか。
「お前が意味深な行動をとるから、気にかかって来たんだろうが!」
「別に、亜美ちゃんそんなこと頼んでないし。ていうか、それ高須君の勘違いだから。わかったらさっさとどっか行ってよ」
うおおおお…!!と怒りにもだえる竜児に、容赦なく亜美は言葉の矢を放つ。
この野郎、人の優しい気持ちを…と、竜児が言葉を続けようとその凶眼で目の前の人物を見据えると

妙にその存在が小さく見えた。しゃがんでいるからかもしれないが、確かにそう感じた。その印象がいつもの『川嶋亜美』とはかけ離れていて。
それこそ―儚げ、といったような、そんな風に見えてしまったのだ。
「…何、急に人のことじーっと見て。さっさとどこか行ってって言うのが聞こえなかったの?」
「川嶋」
竜児が突然名前を呼んだことで、亜美が訝しむ。その顔で、何なのこいつ?、と思っていることが丸わかりだ。
けれど、竜児はなぜか亜美がそのまま消えてしまいそうな気がして。その不安をぬぐうためか、口から言葉が飛び出してくる。

「――お前、ここからいなくならないよな?」
「どこにも行くな。いや、行かないでくれ。これからの学校生活にお前がいないなんて、そんなの、俺は嫌なんだ」


330:119
08/11/29 20:01:32 W3ysix88
…沈黙。言い終わった途端、竜児に恥ずかしさがこみ上げてくる。顔が上げられない。勢いに任せてつい出てしまった言葉だが、もしかすると今俺はものすごく痛い奴なのでは…!!
川嶋もうつむいたまま顔を上げないし、やばいこれは取り返しのつかないミスを
「…何で、そーゆうとこは鋭いかなぁ?」
その言葉に竜児は驚き、恥ずかしさも忘れてガバッと顔を上げる。目の前の女の子は、あーあ、といった感じで苦笑していた。
「本当、高須君って気づいてほしいことは気づかないのに、気づいてほしくないとこには気づくよね」
「…どういう、意味だ?それは、お前がどっかに行くっていうのを認めたのか?」
「まぁ、ね」
そう、何でもないことの様に亜美は言う。急な告白についていけていない竜児に言葉を重ねる。
「元から、一学期が終わったときに、学校やめるつもりだったの。ストーカー騒ぎのほとぼりが冷めたら前の学校に戻るか、通信教育か、って」
だから別に特別な事情で、とかじゃないよ―と言う。しかし、それならなぜ冬になってもまだ亜美がこの学校に通っているか、竜児にはわからない。
もちろん、竜児は亜美がさっさと転校すればよかったのに、何て思っていない。それでも疑惑の意志が表情に出ていたのか、亜美は続ける。
「一学期が終わったときは、もうちょっとここでやってみようって思ったの。ここでみんなと一緒に過ごしたら、あたしも何か変わるかもって」
「…何で、今はそう思えないんだよ。俺は、ちゃんと変わってると思うぞ」
そうだ。亜美は以前と比べてずっと変わった。少しずつだけど素を出せているし、木原や香椎は当然、それに大河や実乃梨とだって随分仲良くなっていたように思う。
それは、転校してきたばかりの頃の亜美からは想像できないほどに。それなのに、なぜ『転校しよう』などと思うのだ。
「―変わっちゃったから、だよ。高須君」
「はぁ?何でそうなるんだよ?お前、変わりたいから残ったんじゃないのか」
意味がわからない。すると、亜美は独り言のような口調で話し始める。

「転校してきたばっかりの時は、自分がこんな風になっちゃうなんてわからなかった。二人で欲しがってるようなものを自分も欲しいと思うようになるなんて。
 でも、それでも欲しいと思ったのよ。―だけど、最近になって気づいちゃった」
あたしって、すごい邪魔な存在だって。
「あたしが、無理に入ろうとするから余計にこんがらがっていって。途中から出てきたやつが、何で場を乱してるの?って自分で冷静に思っちゃった」
だから―と締めくくる。
「高須君は、あたしの事を気にしなくてもいいよ。全部あたしが招いた当然の結果だもん」
そう言って、ごめんね?なんて似合わないことを言う。だけど、その顔はとてもつらそうで―。


331:119
08/11/29 20:02:05 W3ysix88
「川嶋」
「何?もう本当に話す事は何も…」
「くらえ」
そういって、竜児は渾身の力で亜美にデコピンを決行した。
「~~~~!?いっったぁぁぁ!!何なの急に!?ていうか、モデルの顔に何してんの!?意味わかんないんだけど!!」
相当痛かったのか、立ち上がり自販機の間から出てきて竜児に詰め寄ってくる。
「るっせぇ、この野郎」
竜児の突然の行動(デコピン・会心の一撃)に当然のこととして亜美は抗議の声を上げるが、竜児のただならぬ様子に困惑する。
「馬鹿か、お前。いやそういや、ばかちーだったな」
「…!!な、何でそんな急にキレてるのよ!!ていうか、馬鹿とか高須君にだけは言われたくないんだけど!?」
「いいや、お前は馬鹿だ。大馬鹿だ。何て言うか、すごくいたたまれないレベルで」
「何でそんなこと言うの!?私だって色々悩んで、本当に悩んで、それなのに―」

「自分は邪魔者だ、とか、勝手に決めつけてんじゃねぇよ!!」

竜児はそこに怒っていた。いや、激怒していた、と言ってもいいかもしれない。目の前の少女は、勝手に自分で気まずくなって、最悪な形で自己完結した。
そこがどうしても竜児には許せなかった。川嶋が、亜美が、誰かにとって邪魔でしかない、などという妄言が。
「お前が邪魔者だ、なんて誰も思ってねぇに決まってんだろ!?木原や香椎とか、めちゃくちゃ仲いいじゃねぇか!!」
「別にあの二人は今回の事とは何も関係ないし!!何でそんな」
「大河や櫛枝とだって、仲良くしてただろ!!」
「―!!今このタイミングでそれを言う!?信じられない!!あんたなんか…!!」
一際大きくなった亜美の声に、竜児は、川嶋が悩んでいる原因はそこか、と当たりをつける。
「何で、そこを拒絶するんだよ。誰がどう見ても、お前ら仲良かっただろ」
「~~何でそんな事平気でいえるの!?こうなったのも、あんたが原因の一端じゃん!!あんたが自分の気持ちをはっきりさせないから…!!」
「俺は、櫛枝実乃梨に、好意を持ってる」
言った瞬間、亜美が固まる。泣き出しそうな顔で、気づきたくない事に気づいてしまったというような顔で。
だけど、まだ続ける言葉が、竜児にはあるのだ。
「そして、逢坂大河を守ってやりたい、とも思っている。あいつは、びっくりするぐらいのドジだし、『一人でできる!!』なんて言いながら傷だらけになるやつだから」
「…はぁ!?何それ、高須君ちょっとおかしいんじゃ」
「それに!!」

―川嶋亜美という女の子を大切にしたい、とも思っている。


332:119
08/11/29 20:03:06 W3ysix88
「…何、それ」
呆然と、亜美が呟く。
竜児は当たり前の事のように言う。
「確かに、おかしいのかもしれない。だけど、これが俺の今の気持ちなんだ。櫛枝のことは好きだ。それこそ一年近く想ってきたしな。
 …だけど、それと同じくらい大河を守りたい、とも、お前を大切にしたいとも思ってる」
ようするに、ベクトルだ。それぞれの矢印は見当違いの方向に飛んでるのかもしれないが―大きさはどれも負けず劣らずで。
「俺はこの気持ちは、偽りじゃない、と言える。櫛枝のことを好きで、大河を守りたくて」
そして亜美を大切にしたい、というこの気持ちは。
「お前、完全に素を出せるのなんて、男じゃ、北村か俺ぐらいだろ。女同士でも猫かぶらなきゃいけないときはあるだろうし、そういう時に、愚痴でも聞いて楽にしてやりたいって思うんだ」
川嶋亜美という少女は、大人のような目線を持ってるけど―だけどやっぱり自分と同じ高校生なのだ。
「場がこんがらがったなら、俺がほどく。こうみえても、手先は器用だからな。頑張ってみる」
そうやって語りかける竜児に、亜美は呆けた顔で、「…どうしてそこまでしてくれるの?」とこぼす。
それを聞いて竜児は苦笑しながら言う。
「だから言ったろ、川嶋。   

 ―俺はお前を大切にしたいんだ」

そう言うと、亜美は顔を真っ赤に染めてみせた。


333:119
08/11/29 20:03:42 W3ysix88
「お前、もう『転校する』なんて言うなよ」
「わかったって、しつこいなぁ。高須君それ何回言ったと思ってるの?」
「三回しか言ってねぇよ」
「…うわぁ、自分の発言数えてるし。高須君、そういうの引くからやめた方がいいよ?」
「お前は調子が戻ったら、すぐ俺を傷つけるよな!!」
「え~?そんなことないけどぉ?」

そう言い合いながら、自分たちの教室に戻っていく影二つ。その姿は、双方に気安さがあって、楽しそうだった。



「あ、そうだ。高須君」
「何だよ」
「教室に戻ったら、高須君の口から『川嶋も本格的に参戦するから』って、タイガーと実乃梨ちゃんに言っといて」
「…また、よくわからん指令を」


そして、休み時間ぎりぎりで帰ってきた二人に大河と実乃梨が詰め寄り、竜児の口から出た言葉に障気をまき散らすのは、別のお話。

<花三本目に続く>

334:119
08/11/29 20:04:56 W3ysix88
以上!!

今回は亜美のターン。
もうわかったかもしれないけどラストはみのりんwww

ご希望の竜児初ラブレターとかお便り二人目とかは次に入れるつもり

335:119
08/11/29 20:10:48 W3ysix88
>>325
スレって何だ俺・・・
どんだけ長編だよ。うわー、すげぇ死にてぇorz

336:名無しさん@ピンキー
08/11/29 20:15:40 BmL5Wcn3
天然ジゴロw

337:名無しさん@ピンキー
08/11/29 20:44:35 4npBEt51
>>325
GJだ
だが亜美とのカラミはやっぱりオリジナルが欲しかった気もするぜ
しかしサブでも大河は可愛いな

338:名無しさん@ピンキー
08/11/29 20:45:54 /91XeFkp
これは刺されるぞw

339:名無しさん@ピンキー
08/11/29 20:51:16 0UvkZsCp
この全自動口説きマシーンが!
GJ!!

340:名無しさん@ピンキー
08/11/29 21:01:47 cytH16mF
ちょw竜wおまww

341:名無しさん@ピンキー
08/11/29 21:03:18 G4gc41ec
なんだ亜美か

342:名無しさん@ピンキー
08/11/29 21:30:32 L0GGJ1Oz
>>325
なんというハーレムGJ!
もちろん、全8スレの超大作期待してます
…残り7スレと992レス



343:名無しさん@ピンキー
08/11/29 21:48:00 0b/+YI+z
なんか竜児×亜美って同じような展開ばっかだな

344:名無しさん@ピンキー
08/11/29 22:08:52 P33eBJ7S
GJ!!!
さぁ早く三本目を書く作業に戻るんだ

345:名無しさん@ピンキー
08/11/29 22:29:01 sCA8O3EA
>>325
おちゅ!

竜児が人気になって嬉しいし、原作に沿ってるのも良いし
何よりも竜児のキャラがあんまし崩壊してないのが良い!

>>343
お前の言う同じ展開じゃない展開ってどんな感じなんだ?

346:名無しさん@ピンキー
08/11/29 22:36:53 G4gc41ec
>>345
ただ亜美を批判したいだけなんだから構うなよ
俺亜美のは読んでないから知らんけど

347:名無しさん@ピンキー
08/11/29 22:40:36 an5xwdkC
>>346
お前も余計な一言を付け加えるなよ

348:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:04:12 0b/+YI+z
俺は亜美ちゃん好きだよ、だからこそそう思った
やっぱ竜児は原作の展開からして亜美ちゃんと絡ませづらいんだよなぁ…
雪貞の方が書いてて動かしやすいし、いっそのこと雪貞がとらドラメンバーの学校に入学してて
同じ学年だったらのifで雪貞×亜美とか書いてみようかな…どう思う?

349:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:11:22 UBbsVkkd
>>348
いいんじゃない?
期待してる

350:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:15:31 an5xwdkC
>>348
いいんじゃね、俺は読みたい
ただ、一応寝取られになっちゃうだろうから、投下前に一言書いておいてくれるとありがたい

351:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:22:53 G4gc41ec
>>347
こんにちは、麻生太郎です アンチだからね

352:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:23:28 sCA8O3EA
雪貞って誰?

353:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:26:54 Y3O5ime4
田村くんの方が好きな俺を怒らせたな
絶対に許さない、顔も見たくない

354:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:32:14 7JdAjI4B
>>348
個人的には正直いらねw、、もちろんお前さんが書きたいなら書くべきだと思うが

355:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:34:36 h8gUEWKU
相変わらずの投下ラッシュだな
職人GJ

>>353
「顔は見れないだろうw」と突っ込めばいいのか?

356:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:37:09 cytH16mF
まあ確かに田村なら目の前で困ってる姿を見せさえすれば
突っ走らずにはいられない奴だから話は作りやすいんだろうが
結局最終的には第二の相馬を作り出すだけの結果に終わるんじゃないかって気もするんだよなあw

357:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:39:10 zaGPdGxo
雪貞と亜美の方が絡ませ辛そうだと思うのは俺だけだろうか
どうせifにするなら亜美提案の関係リセットした設定とかで書いても良いと思うけど
もしくは亜美と大河の立場が入れ替わったようなifとか
無理にクロスさせるよりもやりようがありそうな気がするけどな
俺は書けないけど

358:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:40:12 giGLpAUh
>>348
いらねぇ
見たくねぇから投下するんだったら前置きだけはちゃんとしといてね

359:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:49:40 IOmiIwyc
>>353
金村乙

クロスは個人的に要らないかな。オリジナル要素が強いSSは痛すぎる。


360:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:56:50 GZzWWFl/
>>348
雪貞が童貞に見えたw

>俺は亜美ちゃん好きだよ、だからこそそう思った
>やっぱ竜児は原作の展開からして亜美ちゃんと絡ませづらいんだよなぁ…
>童貞の方が書いてて動かしやすいし、いっそのこと童貞がとらドラメンバーの学校に入学してて
>同じ学年だったらのifで童貞×亜美とか書いてみようかな…どう思う?

361:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:57:08 00l4kBLv
要るとか要らないとか言い始めたら、せっかくの投下祭り終わってしまうがな・・・
苦手ならだまってスルーじゃダメなんかい君ら

362:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:01:45 rQ2z+nXl
いや、どう思うって聞かれてるのにスルーじゃ駄目だろ

363:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:03:43 Pesg+LUX
亜美は竜児以外の男とくっつくの嫌なの俺だけ?

364:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:16:53 kP2fJ3zs
もうSS職人の勝手にしろよ!!どんなSSでも受け止めてやるよ!

365:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:26:08 6AIUQS/w
そろそろ相馬×田村を…

366:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:27:17 D5QeouZV
>>363
俺もだ。

>>348
クロスはちょっと…
投下する時は告知してくれ。見ないから。

367:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:34:55 pcCcuvr6
ワシもどんなSSでもいいぞ
キャラ崩壊しても、思いっきりif、リセットでも
面白ければよい、許す だが


368:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:40:21 gVBGlBSK
保管庫管理人さんからの質問も忘れるな
>>317

俺もいらんかなーとは思う

369:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:51:33 X7IQQQbj
竜児×伊欧はギリギリクロスじゃないよね

370:297
08/11/30 01:16:06 09uFOWRh
「17分51秒。なかなかいいタイムですな」櫛枝がニコニコしながら腕時計を見るフリをして言う。
「さぁ、次は世界新を狙ってくるのだ~」シャキーンと人差し指を俺たちに向けてくる。

俺と大河は目を合わせる。二人とも恥ずかしくなって、目を逸らす。

俺はこの後、どうするべきか考える。
というか、今日はどうするべきかばかり考えている気がする。
この状況じゃ無理ないか。
とりあえず、いや、とりあえずという言い方は失礼だな。
ここまでやったのなら大河と続きをやるべきだろうなやっぱり。櫛枝もああ言ってるし。

俺は横に座っている大河を寝かす。

「うわわわわあああ。布団は?布団の中は?布団の中じゃないのか~~い」櫛枝が慌てる。
櫛枝は手で目を覆いながら「もういいかい、ま~だだよ」と小さい声で繰り返し言う。

大河は仰向けになってキョトンとしている。
俺はゆっくり大河の胸に手を伸ばす。

手をパチンと弾かれる。
「胸は触んじゃないわよ」大河がこっちに鋭い視線を向ける。

そうか、こいつ胸に相当コンプレックスあるんだよな。
しかもさっき余計なこと言っちゃったし…これはどうすればいいのか。

「そんな事言ったって、胸触れなきゃ、先に進めないだろ」俺はなだめるように言う。
「そうだけど…それでも嫌なの」大河は歯がゆそうに言う。
「別に笑ったりしないからさ」俺はもう1度大河の胸に手を伸ばす
「だから胸は嫌って言ってんでしょぉ」さっきよりも強く手を弾かれる。

「あぁそうかよ。じゃあもういいよ」
俺は大河の態度にかなりイラッとくる。
なんだよ、人がせっかく恥を捨ててまでやってるのに…

俺はまたこの後どうするべきか考えなくてはいけない羽目になった。
「もういいかい、ま~だだよ」を繰り返してる櫛枝が目に映る。
えっと、さすがにこの後すぐに櫛枝に行くのって、人としてダメだよな…
でも待てよ。もう3人でこんな事してる時点で今更何しても同じじゃないか?
むしろさっきの途中でやめたまま終わったら、櫛枝に失礼じゃないか?
うん、失礼だ、多分。いや絶対……これが男の悲しい性か。
俺は自分で自分の正当化の希薄さに苦笑いしつつも、櫛枝のほうへ近づく。
この際、後ろの大河のほうから漂ってくる殺気は感じないことにする。

371:名無しさん@ピンキー
08/11/30 01:16:17 tqLsZESv
>>317
いらないと思います
あと、いつも保管ありがとうございます&ご苦労様です


さて竜虎あげます
書きたてピチピチの新鮮ものです
短いですがご容赦を。

372:297
08/11/30 01:16:53 09uFOWRh
櫛枝の肩をトントンと叩く。
目を覆っていた手を下に置く。

「何の用だい、坊や」櫛枝が渋い声を作って言う。
「いや、大河が嫌だとか言うからさ」俺は少し口を尖らせて言う。
「お~そうかいそうかい」櫛枝は俺の頭をいいこいいこする。「で?」という?マークが目には映っている。
「で、だからこっちに来た」
「お~そうかいそうかい」相変わらずいいこいいこを続ける。

櫛枝はいいこいいこをしていた手を止めて、少し考える。
「という事は…」少し間が空く。
「大河がダメだったから仕方なしに私の身体で妥協するって魂胆なのね。そういう魂胆なのね~~~」

俺は思わず笑ってしまう。
「やっぱり櫛枝ってかわいいな」
無意識に本音を言ってしまう。俺の顔が見る見る赤くなる。
「お、欧米か~~!」頭をこつんと突っ込まれる。櫛枝も同じく赤面している。
「なんで欧米なんだよ」俺は笑いながら言う。

やっぱり俺は櫛枝が好きだ。櫛枝の全てを知りたい…
俺はこの時再度決心をした。櫛枝と、ヤル。

俺は櫛枝をゆっくり押し倒す。
櫛枝はされるがままに、仰向けになる。
そして櫛枝の唇に唇を重ねる。
さっきと同じように、いや、経験を生かしてむしろさっきより手際よく舌を口の中に突っ込む。
櫛枝の舌をベロベロと舐めまわす。

しばらくして、キスを一回やめて、櫛枝の顔を見てみる。
櫛枝は目を逸らして、悲しそうな表情を冗談めいて作る。「大河の、味がするわ…」

「ぎくっ」
俺は漫画のような声を出してしまう。やはり後ろめたさが相当あるからだろう。
しかし今更躊躇なんてしてられない。
俺は櫛枝の胸に手を伸ばそうとする。
ん、待てよ?手を止める。
櫛枝の胸はさっき散々触ったな。それよりも…

俺は櫛枝の下半身を触りたいという欲求に駆られる。
手を上半身から下半身へとスルスル移動させる。

「ぬわっ」櫛枝がびっくりする。「あ、兄貴、行き先間違えてますぜい」

373:297
08/11/30 01:17:36 09uFOWRh
俺の指が櫛枝のパンツに触れる。
櫛枝は本当に恥ずかしそうな顔をする。
この櫛枝の「素」の感じに戻ってしまう瞬間が好きだったりする。

櫛枝の足を大きく広げさせる。
真っ白なパンツが丸見えになる。こういう格好、エロ本でよく見るな、と思う。
俺はこのショットをしっかりと見たいと思って、少し下がって見てみる。
しっかりと目に焼き付ける。しかしそれだけではまだ物足りない。
俺は制服のポケットから携帯電話を取り出し、写メで撮ろうとする。

「それだけはご堪忍を~」
櫛枝が土下座をしてベッドに頭をグリグリ押し付けてる。
「あー悪い、撮らないよ」
そりゃそうだよな、と思う。
「じゃあ撮らないから、またさっきのポーズしてくれよ」今度は自分で足を広げさせる。

まずは内ももをゆっくり擦る。
そしてひとしきり焦らしてから、そっと陰部のほうへ指を向かわせる。
櫛枝はギュッと強く目を閉じる。
指が陰部の辺りに届くと、ビクッと身体を震わせる。
そのままスジに沿って、指を縦に動かす。
「ぁっ」櫛枝が声を漏らす。
乳首の時はあえぎ声出させるのに散々苦労したのに…

「櫛枝って、もしかして下のほうが敏感か?」
「ふっ…」意味深な笑いをして、またすぐに目を閉じる。

俺はさらに上下に指を動かし続けた後、少し上ら辺のクリトリスがあるであろう場所を集中的に擦る。
「あぁっあっぁっ」櫛枝のあえぎ声が大きくなる。
白いパンティにうっすらとシミのようなものができる。
俺は嬉しくなって、爪を立ててさらに激しく擦る。

俺はシミをもっと付けたいという欲望に駆られ、右手でクリトリスの辺りを擦り続けたまま、
左手で、パンティ越しに穴のなかに中指を突っ込んでグリグリと動かした。
案の定、どんどんシミが付いてくる。
俺の左手にも濡れた感触が伝わってくる。

しばらく続けていると、櫛枝がパッと俺の腕を掴んだ。
「これ以上やると、パンツを家の洗濯カゴに入れれなくなりますぜ…隊長」
「たしかにそうだな…」俺は納得した。

さて、いよいよ櫛枝のあそこを拝める時がきたか…
いや、待てよ。何かを忘れてる。
そうだ、俺はまだ櫛枝の生乳を見ていない。

374:297
08/11/30 01:18:10 09uFOWRh
「櫛枝、バンザイして」
「ん?あらよ~っと」言われた通りバンザイをする。
俺は櫛枝の制服を上にスルリと引っ張って脱がす。
上はブラジャーだけの状態になる。
「う~~さびいい」櫛枝は身体をガタガタと震わせてみせる。

次にブラジャーを取ろうと、ホックに手を掛ける。
しかしなかなか取れない。
そもそもどういう原理でくっ付いてるのかもイマイチ飲み込めない。
がむしゃらに外そうと、しばらくホックと悪戦苦闘する。

「ではでは、ヒントを与えてしんぜよう~」人差し指を立てて、ニコニコしながら俺のほうに振り向く。
「いいよ、自分でやるから」もたついてる自分が恥ずかしくて、断る。

3分後、何とかブラジャーを外すことができた。
「おー」櫛枝はパチパチと拍手をする。

そういえば櫛枝、今はそんなに恥ずかしそうじゃないな。
そりゃそうか。下やってから上いってるんだもんな…
自分の不甲斐なさに苦笑する。

「櫛枝、じゃあ次は…」
って座ってたはずの櫛枝がいない。
どこだ?

何故か床にうつ伏せになって寝ている。
「お前いつの間に…ってか、何でそんなとこにいるんだよ」
「ははは~何となくさ~」
「何となくするような事じゃねだろ」俺は櫛枝の顔を覗き込む。「いいからこっち来いよ」
櫛枝が真剣にこっちを見る。「じゃあさ…」
「何だよ」
「電気消そうぜ~」

「櫛枝…お前も胸見られるの恥ずかしいのか?」
「ふんふんふん」首を激しく縦に振る。
「お前は胸を恥ずかしがる必要ねえだろ」
今度はブルブルと首を横に振る。

そっか、初めて男に見せるんだもんな。
櫛枝でもこんなに恥ずかしいってことは、普段から劣等感抱いてる大河は…
何だか胸が痛くなる。

「大丈夫だ櫛枝。こっち来いよ」櫛枝の髪を撫でる。「俺はありのままのお前を見たいんだ」

櫛枝がゆっくり起き上がってこっちに来る。
ふっくらとした胸に、ピンク色の綺麗な乳首が見える。

「綺麗だよ、櫛枝」
「あ、あ、ありがとう」目線は合わせないが、俺の正面に座ってくれる。
俺はもう1度櫛枝の髪を撫でる。

375:297
08/11/30 01:18:54 09uFOWRh
「そうだ」俺はふとある事を思う。「俺も服脱いだほうがいいよな」

櫛枝があからさまに顔を引きつらせた後、手を挙げる。
「ん?どうした櫛枝?」
「反対に1票~」

「何でだよ!」俺は思わずツッコミを入れる。
「高須くん、武士はむやみに刀を抜かないもんなんだぜ」櫛枝が真面目な顔をして言う。
「櫛枝、意味わかんねえよ」
「意味はいつか分かればいいさ」

「じゃあとりあえず、暑いし制服だけ脱ぐぞ」
「うわ~ちょっとちょっと~」

俺はベッドの上で、まずは上着を脱ぐ。
そしてズボンを脱ごうとするが、ベッドの上だとどうも不安定で脱ぎにくい。
案の定片足立ちした時、体勢を崩す。
「うわっ」俺は後ろに思い切り倒れる。
頭をガンッと硬い何かにぶつける。
「痛ってえ」俺は頭を擦りながら、ぶつけた方を向く。

そこには後頭部を擦っている大河がいた。いや、鬼がいた。
「ふふふふふふふふふ」
肩を揺らして不気味に笑っている。髪が前に垂れていて、顔が見えない。
「すまん大河、悪気はないんだ」俺は躊躇することなく土下座する。
「あんた、人の寝てるベッドで散々エロい事やり続けた上、頭突きまでお見舞いしてくれるなんて…」
大河が前髪をバサッとかき上げる。目から火が出ている。
「いい根性してるじゃねえかああああああああああああああああああああ」
土下座している背中に容赦なくキックの雨が降ってくる。

「あ~大河おはよ~」櫛枝が大河に手を振る
「あ、みのりんおはよ~」笑顔で櫛枝に手を振り返す。
助かった…

「助かっただと?まだまだ楽しみはこれからだぜ、ふふふふふ」
なぜ、心の声が聞こえている…

それからどれくらいだろうか。
櫛枝が待ち切れずウトウトしてしまうくらいの時間、俺は蹴られ続けた。
死ぬかと思った。いや、途中で1回死んだ気がする。

376:297
08/11/30 01:20:17 09uFOWRh
「みのりん、お待たせ」気が済むまで蹴り続けた後、大河が愛想よく櫛枝に声を掛ける。
「わ~逢いたかったよ~大河~」櫛枝が大河に抱きつく。

それから大河を真ん中にしてベッドに座る。
変な間が空いた後、大河が口を開く。
「なんか、妙な違和感があるわね…」

そりゃそうだ。大河だけ制服姿で、俺と櫛枝は上半身裸なんだから。
「き、気のせいだよな、櫛枝…」俺は顔を引きつらせながら、櫛枝にアイコンタクトを送る。
誤魔化せる訳ないと頭で分かっていても、口が勝手に動いてしまう。
何としてもこれ以上の暴力は回避したい…

「いんや、高須くん。この中にエラーが一つだけあるぜ」ピカーンと人差し指を立てて上に挙げる。
それからメガネを上げるジェスチャーをする。「しかもIQ60の問題です」

「そ、そうかなあ…俺には何も違いが分からないけどなあ…アハハハハ」

「はい、みのりん」大河が手を挙げる。
「はい、大河さん」櫛枝が指す。
「私だけ、服を着ています」
「正解~」パチパチパチと拍手をする。
俺もつられてとりあえず拍手しておく。
あばらにパンチが飛んでくる。

「私がいない間、ずいぶん楽しそうなことやってくれてるじゃない、このエロ犬が」
「いやあ、これは…」

「一体、何してたのかしら?」大河が白々しく聞いてくる。
「何ってそれは…」
「パンツの上から指を押し付けてきたんだよね!それから上半身を脱がせて…えっと途中で写メールも撮ろうと…」櫛枝の口をバッと手で塞ぐ。
「お前、野球のハイライトじゃないんだから、そんな明るく説明しなくていいんだよ」

大河が汚いものでも見るような目でこちらに視線を送ってくる。

「…ここら辺にゴキジェット無かったかしら?」
「一体何する気だよ!」

377:297
08/11/30 01:24:45 09uFOWRh
以上です。
やっぱり書くのは思ってる以上に難しいですね。
気付いたらただの独りよがりなものになってて自分でも痛々しいw
しばらく修行して、投下できる域に達したらまた挑戦してみますw

378:名無しさん@ピンキー
08/11/30 01:36:17 tqLsZESv
GJです
3人動かすのって難しいですよねー
俺もエロ書こうとして途中で挫折してるんでその気持ち分かります


あげようとしてたのはタイミングかぶちゃったんで2時くらいにあげます

379:名無しさん@ピンキー
08/11/30 01:42:08 09uFOWRh
おまけにタイミングまで悪いなんて自分は一体…
ほんとすいませんでした。
竜虎いつも楽しみにしています。

380:名無しさん@ピンキー
08/11/30 01:54:46 QVTO46pW
未来永劫残るものでは有りませんし、娯楽なのですから、完璧を狙うのもどうかと思います。
もちろん、低水準杉というのも問題ありますが、今、このスレで求められているのは、プロの書く小説のような完成度ではなくて、本当に「楽しめればいい」のだと思います。
はぁ。しかし、そんなに落ち込む必要ないと思うのですが? ID:09uFOWRh さん。
読ませて楽しませた人が勝ちだと思います。つまり貴方が勝者です。

って、竜ちゃんや大河ちゃんに対するやっちゃんみたいに、甘やかせが過ぎるかしら。

381:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:21:45 pNs96wqC
>>377
乙なんだけど、このSSに出て来る大河がウザ過ぎる。

382:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:22:50 tqLsZESv
んじゃあげます

『夕焼けステップ』


いつもと同じ、いつもの帰り道。隣にはいつもと同じ、手乗りタイガー。
冬が近づいて来ているせいで最近はめっきり寒くなってしまった。この時期は陽は直ぐに落ちてしまうから今は夕焼け。
二人分の長く伸びた影。
片方は普通の長さ。もう片方はけっこう小さめ。
そんな影を見て、大河はポツリと呟く。

「…疑問に思ってることがあるの」
「おう、なんだ?」
「アンタは…そういえば、私が小さくても、気にしないわよね」
「…おう、何を今更」
「私の…その、胸が小さくても、気にしなかった。むしろフォローしてくれたし」
「胸の小ささなんか気にするかよ」
「どれだけ文句を言っても、ワガママを言っても、…許してくれる」
「まあ、…な」

竜児は苦笑いをする。それだけで持ち前の三白眼が怪しく光るが、そんなこと大河は気にしない。
大半の人間はこの目を見ただけで怯え、竦み、逃げ出すのだろう。
だが大河には分かる。この目は優しい目。どんなことをしても逢坂大河という人間を、偏見もなくそのまま見ていてくれる目。
だからこそ、分からない。
どうしてこの目が自分に向けられるのかが。もっとふさわしい人間は他にもたくさんいるはずだろう。
そんなことがこみ上げてきて、つい聞いてしまう。

「どうして?」

と。

それを聞いて竜児はマフラーに口を埋める。不機嫌になったのではない。ちょっと嬉しくなってしまったのだ。
「この少女は自分の考えていることと全く同じことを考えている」と、そう分かって。
だからこそ、その問いの答えは決まっていた。

「お前が、逢坂大河だからだよ」

と。

383:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:23:41 tqLsZESv


きっと、人はそんなに簡単に分かり合えない。
外見。性格。生活スタイル。宗教。人種。信念。心情。
どれもが同じ人間なんて存在しない。だからこそ、人は争う。

竜児は、その最たるものをずっと味わってきた。
外見でいくつもの誤解を受け、多くの人間が竜児という個人を知ろうともせず避けた。
あの北村だって最初は竜児を勘違いしていた。
櫛枝実乃梨だって何度か顔を合わせていたはずなのだが、話しかけてくれたのは最近だった。
要するに、いきなり仲良く、なんてことは絶対にありえなかったのだ。
それは竜児にとってもだんだんと当たり前になっていき、「慣れ」ていった。

だから逢坂大河に、惹かれた。

自分を全く怖がらない。夜襲もかけてくる。竜児の出したものを疑わず食べ、仲間だと認めてくれて、恋の相談もしてくれた。
櫛枝実乃梨が好きだと知っても、変な趣味をバラしても…高須竜児という個人を見てくれた。
竜児の、誰もが恐れるはずの目を見て、ちゃんと目を合わせて、「おかわり!」と要求してくる。

それは、「慣れ」ていたはずの、傷をごまかしていた自分の、…ずっと求めていたものだった。


「お前はこんな目を持ってる俺を、高須竜児として見てくれた。
 お前はそんないい奴なんだ。背が低いとか、胸が小さいとか、ワガママとか。
 それを全部ひっくるめて、お前なんだよ。
 …全部ひっくるめて、一緒にいて安心するんだ」

「…っ」

大河はなにかを言おうとしてやめ、俯いてマフラーに顔を埋めてしまった。
竜児も同じ気持ちだったんだ、とひとりごちて。


きっと、人はそんなに簡単に分かり合えない。
でも、だからこそ、人は他人を求める。
すれ違い。勘違い。いくつの間違いを起こしても。

……それでも、傍に居たいと、思う人がいるから。

大河は、竜児と居たいと思うから。
手を伸ばし、竜児の指と、自分の指を絡ませる。

竜児は驚いたが…耳まで赤くして、俯いている大河が出した、素直な気持ち。
それがなんだか嬉しくって、くすぐったくって。
そっぽを向いてしまうが、手はしっかりと握り返して。



384:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:24:26 tqLsZESv

真っ赤な夕焼けの中、並んで歩いているのに、そっぽを向いている二人。
でも、たとえ違う方を向いていても。
二人の影は手の部分でしっかりと繋がっていて。
心の距離も少し近くなって。

二人の顔は、夕焼けよりも真っ赤になっていた。




end

385:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:26:46 tqLsZESv
以上です。
俺も竜児みたらびびって避けちゃうもんなあ、大河すげえ

386:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:31:31 qW8J0lU9
382さんGJです。

387:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:34:47 s5LyluYL
GJです。大河と竜児がお互い大事に思ってるのが伝わってきますねー

388:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:59:31 IbMuF7eA
GJ!夕飯はきっとお赤飯!うわなにをするやめr

389:名無しさん@ピンキー
08/11/30 07:45:56 X7IQQQbj
GJGJ

390:名無しさん@ピンキー
08/11/30 10:05:22 DVgrIsIZ
こういうの大好きよ。乙

391:名無しさん@ピンキー
08/11/30 11:46:17 v4erIEZX
>>317
いつもご苦労様です。
「コピペ改変」みたいに、カテゴリ作って保管したらどうでしょうか?

392:名無しさん@ピンキー
08/11/30 12:07:45 D7pprWo2
>>317
コピペネタやった者だけど保存しなくていいと思うよ
……実はデリシャスデリシャスの続き書こうと思って挫折しただけなのは秘密だ

393:名無しさん@ピンキー
08/11/30 12:23:38 1GZdeoIB
コピペはどう考えてもいらんだろ。
結局元のネタの改悪なわけだし。

394:名無しさん@ピンキー
08/11/30 12:55:28 DVgrIsIZ
コピペはやめてくれよ。必要無い


可決されたじゃあないか

395:名無しさん@ピンキー
08/11/30 18:36:50 D9R8nl+U
ま、管理人さんの好きにすればいいんじゃね。

396:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:30:06 J1V51xaP
HDを漁っていたら、
拙作『虎の霍乱』(URLリンク(yuyupo.web.fc2.com))の続き書いてたのを思い出した。
勢いで書いたのでいろいろアレだけど、投下します。
タイトルは、『竜の霍乱』で

397:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:30:41 J1V51xaP
朝から調子が悪い。
どうやら風邪気味のようだ。
竜児は体調不良の体を動かし、早足でアパートに帰ると、
いつもより少々重く感じる扉を開いた。

「ただいまー。」
「おかえり~☆あれれ?竜ちゃんどうしたのぉ~?今日は元気ないよお~。」
いつものように迎えてくれる泰子も竜児の様子にすぐに気づいたらしい。
近づいて顔を覗き込んでくる。

「どうも風邪をひいたみたいだ。気だるいし喉が少し腫れてる。」
「え~!大丈夫なのぉ~?やっちゃん今日はお仕事お休みしよっかぁ?」
しかしそうはいかない。大黒柱の泰子に簡単に休まれたら家計が傾いてしまう。
「いや、大丈夫だから気にするな。今日は外で食事してくれるか。
 俺はあんまり食欲ねえし、簡単に済ませてもう寝るから。」
心配させたくないし、万が一にも移すわけにもいかない。
今夜は泰子にはできれば早めに家を出発してもらいたかった。

「あんまりムリしちゃだめだよぉ~。じゃあ静代ちゃん誘ってみよっと。」
早速泰子は早速ナンバー2の静代に電話する。
「あ、もしもし静代ちゃん今夜お仕事のまえヒマ~?
 うんよかったら一緒にご飯どうかな~ってぇ。おっけ~じゃあ……」





泰子は結局夕飯を食べてそのまま仕事に行くと出て行った。
何も食べる気がしない竜児は慌しく出発する泰子を見送り、布団の中へ。
そのまま瞳を閉じて、夢の世界へ………


「竜児!ちゃんと寝てる~?」


「…お前の声で起きたわい。」
……行くことができず、竜児は目を開け、
扉を破壊せんとばかりの勢いで開け、無遠慮に入ってきた来訪者に顔を向ける。
時刻は六時すぎ、泰子と入れ違いにやってきた大河に竜児は意識を覚醒させられた。



398:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:31:19 J1V51xaP

「俺は今日体調が良くないから帰って寝るって言ったろ。
 お前今日は夕飯は一人で済ませるって言ってたじゃねえか。」
「よかった~、起きてた~。喜べ、ご主人様が看病しに来てやったぞ。」

眩暈がしてくる。今こいつはなんと言った?
「ほら、この前私が風邪ひいたときに竜児がずっと看病してくれたでしょ。
 私は借りは作らない女。あのときの借りは今日返してあげる。」
「……昨日お前がソースこぼして汚した服の染み抜きしてやったが、
 あれはお前への貸しにはならないのか?」

しかし大河は聞いちゃいねえ。
「もう夕飯食べた?サラダ作ったげようか?それとも目玉焼きがいい?」
ギロチンがいい?それとも銃殺がいい?と聞いてくる独裁者のような大河の発言。
竜児は戦慄し答える。
「勘弁してください。」
なぜか敬語。



「お前の気持ちはありがたいけど、今日は帰ってろって。風邪がぶり返すぞ。」
先日風邪でフラフラだった大河の身を案じる竜児。
大河や泰子に移したくなかったため、一人でさっさと寝るつもりだったのだが。

「私にそんな態度でいいのかしらぁ?私が帰ったらあんた後悔するわよ。」
そんな竜児に対し薄い胸を反らし、口元をにやつかせる大河。
竜児はそんな大河の意図が読めず、問い詰めようとする。
「お前なにを……」

キーッ!ガチャン!トントントントントントントン
ピンポーン!

突然の来客。
「あ、来た来た~。」
大河は笑顔で立ち上がり、ドアを開け、
「こんばんわ!大河、応援に来たよ!自転車借りてぶっ飛ばして参上!」
実乃梨を迎え入れた。



399:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:31:55 J1V51xaP

「みのりん待ってたよ~」
「く、櫛枝!?」
ガシッと抱き合う二人。
なぜ?どうして?竜児は混乱する。
パクパクと、酸欠の魚のような顔をするしかできない。

「あ、高須くん!風邪で倒れたんだって?大河から聞いたよ。寝てなくて大丈夫?」
「え?あ?おう。微熱だしこれぐらい大したことねえよ。倒れたなんてそんな大袈裟なもんじゃねえし」
寝ている竜児に気づき、太陽のような笑顔を向ける実乃梨に、
竜児は高鳴る鼓動を悟られないよう答えた。

「それはよかったよかった。夕飯は食べたの?」
「いや、何も。食欲ないし」
「えー、何か食べなきゃ体力付かないし、薬も飲めないぜ。
 待ってな、おかゆ作ってあげる、レトルトだけど」
「あ、う、サンキュー」
大河の申し出には恐怖した竜児だが、実乃梨の手料理となれば話は別だ。
例えレトルトでも手が加わればある意味手料理だ。
突然の展開に頭はついていけないが、なんとか冷静を装い竜児は答えた。

「ごめんね~みのりん。私一人じゃエロ犬の看病は荷が重かったのよ」
「あはは、またそんなこと言って。じゃあ台所借りるよ~」
してやったりといった顔の大河に実乃梨は笑顔で答え、早速準備を始めた。




400:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:33:35 J1V51xaP


「ふんふんふ~ん♪」

準備をする実乃梨の鼻歌が聞こえる。
まさかこんな形で好きな人の料理が食べられることになるなんて、風邪万歳。
竜児は実乃梨の後姿を見ながら心の中で神に感謝した。
「…驚いた?」
大河が見下ろすようにして聞いてくる。うなずく竜児。

「お前が呼んでくれたのか?」
「そうよ、感謝しなさいよね。
 今日はバイト無いって言ってたからメール送ったら、部活終わったら行くって返事来た。」
どうやら帰りに大河と別れた後、家に帰ってすぐ連絡していたらしい。
「お前そういうことは早く言えよ。なあ俺さっきキョドってなかったか?変じゃなかったか?」
ペタペタと顔を触って確認し、竜児は大河に迫る。

「ちょっと、キモイ顔近づけんな、ウザイ。」
大河は心底嫌そうな顔で距離を取り、酷い暴言。
「変ってのは、そのツラのこと?それともその寝巻きのこと?」
そして、目線を少し下げ、めんどくさそうに言った。寝巻き?
「は?え?うわあああああ」
竜児はようやく気づいた。
今日の竜児の服は巨大なハート柄だった。
最悪にセンスが悪かったのだ。




401:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:34:29 J1V51xaP


まあ変な服を今更後悔しても仕方ない。
それより竜児は降ってきた幸運を精一杯味わうことにした。
「まぁたまには風邪ひくのもいいよな~。」
「私は何にもいいことなんてなかったわよ。」
浮かれる竜児に呆れる大河。さらに竜児は続ける。
「俺の優しさを精一杯感じられたろ。大変だったんだぞ、一晩中看病してやってたんだから。」
「はいはいありがと。ところで、そういえばあの夜なんだけど。」
「ん?どうした?」

大河は一呼吸置いて続ける。
「いや、私ね、ずっと疑問だったのよね。朝起きたら寝る前と服が変わってたのよ。」
「……っ!」
大河の言葉に竜児は心臓を鷲づかみにされたように硬直する。浮かれていた気持ちは霧散した。
「無意識のうちに着替えてたのかなぁ、ってどうしたの?」
「い、いや、なんでもないぞ。」

脳裏をよぎるあの時の大河の姿。
熱のため染まった顔、苦しそうに上下する胸、そして、竜児が着替えさせたときに見てしまった白い足。
大河はあの時のことを覚えてないらしい。
しかし竜児の動揺を野生の勘で鋭く察した大河は不信の目を向ける。
「……ちょっと、あんたまさか…」
「違う!俺は何もしてないぞ。俺が着替えを用意してやったら、
 俺が部屋を出てる間にお前自分で着替えただろうが。憶えてないのか?」
やばい!竜児はとっさに本当のことを話す、半分だけだが。

「え?あ、そうなの?」
迫真の演技は大河に通じたようだ。さらに続ける。
「あの時はお前も意識あやしかったからな、でもキチンと着替えてたぞ。」
「ホントに?私の意識がないのをいいことに何かいやらしいことでもしてないでしょうね?
 あんたならやりかねないわ。」
「そ、そんなことするわけないだろうが。」
竜児は内心の動揺を必死に隠すが、なお追求しようとする大河の前に落城寸前。


402:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:35:22 J1V51xaP


しかし救世主はやはりこの人だった。
「おまたせ、高須くん。おかゆできたよ~。あれ?どうしたの二人とも?」
助かった!竜児はすっかり忘れていた想い人の助け舟に感謝する。
「お、おう櫛枝!なんでもないんだ、ありがとう。」
大河はまだ不満そうだが口を閉じる。
実乃梨はなお不思議そうな顔で二人の顔を見比べていた。





「じゃあ私はこのへんでご無礼するよ、後は若いお二人で。」
楽しい時間はすぐ過ぎてしまう。
実乃梨の作ってくれたおかゆを味わい、一応薬も飲んだ。
他愛もないお喋りも一区切り、あまり遅くなるといけない。

「大河、ちゃんと高須君の面倒みてあげるんだよ。」
立ち上がり、大河に命じる実乃梨。
「わかってるわみのりん。」
「櫛枝、今日はわざわざ来てくれてありがとうな。」
「いいってことよ。これぐらいお安い御用。」
実乃梨は竜児に向き直り笑顔で答えた。
この笑顔だけで竜児は風邪なんて吹き飛んでしまう気がした。

「もし酷くなるようだったらその座薬を大河に入れてもらいな。そいつは効くぜ~。」
「ちょっとみのりんそれだけはやめて。」
恐ろしいものを手渡し、恐ろしいことを言う実乃梨の提案を大河は拒否。
それは遠慮したい、竜児も笑顔で答え、続ける。
「本当に送っていったりしなくて大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫。この実乃梨、家に帰るに人の手は借りぬ。じゃあね、また明日。おやすみ~。」
笑顔で固辞し、そのままドアを開ける。
「おう、おやすみ。」
「おやすみ~。」
そうして実乃梨は来たときのように自転車で風のように帰っていった。




403:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:36:00 J1V51xaP

「さて、私はシャワー借りるけど、覗いたりしたら殺すからね。」
実乃梨を見送り、部屋に戻ってきた大河は、とんでもないことをさらりと言った。
寝ている竜児を見下し、宣言。

「なっ、お前泊まっていくつもりか?それは不味いだろ色々と。」
驚く竜児に大河は言う。
「フン!本当は犬の看病のために小屋に泊まるみたいな真似はしたくないけど、」
振り返りながら続ける。
「みのりんからも託されてるし、まあ不本意ながら、
 あんたが夜中一人で苦しんでたら可哀想だから泊まっていってあげるわ。」
変なこと考えてたら握り潰すけど、と付け加え、
大河は持ってきていたカバン片手に風呂場に行ってしまった。

一人残された竜児は、なぜか脳裏をよぎるあの夜の幻を振り払おうと布団をかぶった。
「………な、なんでこうなるんだ。」
高鳴る鼓動の音が布が擦れる音もシャワーの音もかき消してくれたのは幸いだった。



シャワーから出てきた大河は予備の布団を襖をはさんだ隣に敷いた。
長い髪を丁寧に乾かし、鼻歌混じりで、不器用な手つきで編んでいく。
「ふふふ~ん♪」
上気する大河の肌からは甘い匂いが香る。
竜児はそんな大河を正視することができない自身に驚く。
視線を向けると、大変なことになってしまう。
そんな予感がするのだ。

「sinA=a/c、cosA=b/c……。」
実乃梨と過ごした楽しいひと時の余韻は消え去り、
竜児は大河に背を向け、数学の公式を暗唱していた。



404:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:36:44 J1V51xaP

寝る準備が済んだ大河は、布団に入り襖をしっかりと閉めた。
「もしあんたが熱で死にそうになったら、この襖を開けてもいいわ」
隣で横になっている大河の気配を感じる。
「死にそうじゃないのに開けたらどうなるんだ?」
「死にそうになるわよ。」
「………」
竜児の疑問にサラリと答える大河。電気が消される。



沈黙が部屋を支配する。
竜児はできるだけ頭をカラッポにし、硬く目を閉じた。
そうしないといつまでたっても寝られない気がした。
たった一つのイレビュラー、大河が隣に寝ているという事実が、
なぜこれほどまでに心を惑わすのか、竜児は一息つき、襖に背を向けた。





どれほどの時間が過ぎたのだろうか。
襖で仕切られたこの狭い部屋には、二人の呼吸のと心臓の音しか存在しないかのようだった。
おかしい、竜児は思った。
なんだこの空気は。俺達はこんな関係じゃないだろ。
何か言ってくれよ。
このままでは、俺は……

「……ねぇ、起きてる?」

唐突な消え入りそうな小さな大河の呟きに、
竜児は心臓が喉から飛び出しそうになる。
「…お、おう。」
動揺を必死に抑え、上擦った声で答えるのがやっとだった。



405:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:37:32 J1V51xaP

一呼吸置いて、大河は言う。
「……ごめんね。私何もできなくて。」
「なっ、どうしたんだよ。どうしたんだよ。」
まったく思いもよらなかった言葉に、
竜児は焦り、寝返りをうつが、襖の向こうの大河の姿はわからない。

「…私が風邪ひいたときは、あんた一晩中看病してくれたのに、
 あんたが風邪ひいたとき、……私何もできないや。」
「大河……。」
「……みのりんが来てくれてよかった、私一人じゃ何もできないから。…ごめんね。」


「……何言ってんだよ。」
「…え?」
大河は勘違いしている。
何もできないだなんて、そんなことはない。
竜児は、率直に気持ちを伝えようと口を開く。

「何ができるとか、そんなのどうでもいいだろ。
 お前はお前にできることをやろうとしてくれてるじゃないか。」
「……竜児。」
襖の向こうの大河も、寝返りをうってこちらを向いた気がした。
薄い襖越しに向かい合いながら、竜児はゆっくりと続ける。

「…俺、ホントはお前が来てくれて、嬉しかったんだぞ。
 昔からいつだって、泰子が仕事に行ったら独りだった。
 ……風邪ひいたときも、……苦しくても、独りで寝てるだけだった。」

偽りのない、素直な気持ち。
言葉では伝えきれないだろうこの感謝の気持ちを、なんとか伝えたい。


406:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:38:08 J1V51xaP
「……だから、お前が来てくれたとき、
 なんて言うかよ、
 独りじゃないんだって、
 お前がいてくれるんだって、
 いざって時はお前に頼れるんだって、
 ほっとしたんだ。
 安心したんだ。
 だから、だからな……、大河……、大河?」

反応がない。竜児は無言で耳を澄ます。すると…
「スゥ……スゥ……」
「寝たのかよ、ったく。」
呟いて、緊張感がなくなると、
先ほどまでの恥ずかしいセリフに頬が熱くなってきた。



「…はぁ、寝よ寝よ。」
誤魔化すように言い、一息ついて布団にもぐる。
近くても、襖で遮られた二人の距離。

―だから、竜児は気づかなかった。
月明かりが照らす中、わずかに赤面する大河に。
複雑な気持ちが胸の中を渦巻き、頬が緩むのを抑えられないといった大河に。





407:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:38:56 J1V51xaP




深夜、大河は目を覚ました。
「…………」
目をこすり、立ち上がる。
「………おしっこ…」
大河は電気も付けず、移動し、用を足した。

水を流し、ドアを閉じ部屋に戻り、そして大河は首をかしげた。
「………?」
ここはどこだろう?いつもの場所じゃない。
しかし大河はすぐに理解した。
ここは自分の"巣"だ。普段ここでは寝ていないが、ここは確かに自分の"巣"だ。

しかしすぐに新たな疑問が。
じゃあ自分はどこで寝ていたのだ?
大河はこの"巣"ではどこで寝ればいいのかわからない。
いつもはここで寝ていない。

ゆっくりと左右を見回し、しかしその疑問もすぐに解決した。
大河は気がついた、嗅ぎ慣れたその匂いに。
「…………みつけた。」

その匂いは大河を安心させる。
その匂いと共にいれば安全だと動物的本能が告げる。
大河は静かにその匂いの先に移動し、その布団に潜り込む。
その匂いの"主"に抱きつくようにして丸くなり、
そのまま深い眠りの中へ。



「……ただいま~。あれ、あれれ。」
その日、いつものように夜明け前に酔っ払って帰ってきた泰子は、
幸せそうに竜児に抱きついて眠る大河を見て、優しく微笑んだ。

408:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:39:52 J1V51xaP
End


ってつけるの忘れた。
以上です、それではまた。

409:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:42:47 DVgrIsIZ
おお!俺の大好きなあの作者さんか!!!
乙です。好きです。
数学の公式で文字化けかと思ってリロードしまくった

410:名無しさん@ピンキー
08/11/30 22:01:22 WSjxpXrD
GJGJGJ!
大河かわえええ
素晴らしい良作SS

411:名無しさん@ピンキー
08/11/30 22:01:57 kP2fJ3zs
乙~。不覚にも北斗のセリフで吹いたw
それにしても和むSSだなwwいつの間にかニヤニヤしてたぜ

412:名無しさん@ピンキー
08/11/30 22:35:24 dtX382EU
GJ
目を覚ましたときの一騒動に期待w

413:名無しさん@ピンキー
08/12/01 00:22:06 VccO54cE
GJ!
こういうSSは大好きだ!

414:名無しさん@ピンキー
08/12/01 00:48:47 rBi8Y3zk
GJすぎる
最後には竜児を求めちゃう大河可愛すぎ

415:名無しさん@ピンキー
08/12/01 00:56:54 UgxJY7mR
GJ

オチが秀逸すぎる

416:名無しさん@ピンキー
08/12/01 00:57:54 T0rVPruj
ななどらの人まだかな?マイナーの方が好きだったりするもので

417:名無しさん@ピンキー
08/12/01 01:20:01 iuj4Uoso
>>407
そこで終わるのかYO!!!

起きぬけに寝ぼけて竜児に頬ずりしちゃったり
首筋にチュウしちゃったり
それで竜児が起きて「おい、大河!お前何してんだ!」みたいな声に大河の目が覚めたり
あわてる大河が健康的な男子の朝の自然現象に触っちゃって悲鳴を上げそうになったり
大声出されちゃたまらんと竜児がつい無意識のうちにその口を塞いじゃったり


そういう続編はまだですか?

418:名無しさん@ピンキー
08/12/01 01:35:08 HA9JN+/f
GJ!俺も頑張って書いているが挫折しそうだぜ・・
ちなみにエロって需要あるのかな・・

419:名無しさん@ピンキー
08/12/01 01:45:52 de2vTZWr
ここをどこだと思ってるんだ
何も気にする必要はないぜ

420:名無しさん@ピンキー
08/12/01 05:49:33 ombeodAm
>>418
俺が風邪ひくまえに頼む

421:名無しさん@ピンキー
08/12/01 07:17:27 Q1f5Zhr5
私は今ちょうど風邪をひいている
あさって防医の二次なのに…

422:名無しさん@ピンキー
08/12/01 07:32:39 338jaA+Q
こんな所見てないで養生して復習してろ

423:名無しさん@ピンキー
08/12/01 14:42:25 zyQzHyTj
試験期間中ですが何か?

424:名無しさん@ピンキー
08/12/01 16:15:47 Ki3z1qOn
ゆとりアピールはいいですから

425:名無しさん@ピンキー
08/12/01 16:18:11 ombeodAm
答案用紙の裏にでも書いてろ

426:名無しさん@ピンキー
08/12/01 16:28:55 jx4blK6z
どのスレか忘れたが、ロシアのエロ動画サイトの話題が出たことを思い出した
読めねえというレスに、英語表示ボタンがあると指摘するレスが続き、英語も読めねえというレスが付く
それに対してゆとり乙、英語の勉強しろレスがついたら大学生だと自称するレスがついた
そしたら、大学生で英語も読めないト致命的 それだとこの先論文とかで苦労するぞ。ってレスがついたんだよな

427:名無しさん@ピンキー
08/12/01 16:32:16 SaCiX+ts
なんだこの流れ

428:名無しさん@ピンキー
08/12/01 16:38:04 XM57s73D
Fラン大生が高校生をゆとりと呼ぶの巻

429:名無しさん@ピンキー
08/12/01 17:05:02 mgfgcdVu
とりあえずエロい事考えようよ

それぞれ勝負下着ってどんなの用意してるだろうか?

430:名無しさん@ピンキー
08/12/01 17:14:35 So1sBkVE
大河→くまさんぱんつ
櫛枝→褌
川島→スッポンポン

431:名無しさん@ピンキー
08/12/01 17:15:23 Ki3z1qOn
>>430
くまさん良いね

432:名無しさん@ピンキー
08/12/01 17:16:53 aY0S9ypZ
裸族→すっぽんぽん

433:名無しさん@ピンキー
08/12/01 17:18:59 ombeodAm
値段も見ずにフリフリの可愛いのを片っ端から買ってるであろう大河
スケスケの大人ぱんつなんだろうな

434:名無しさん@ピンキー
08/12/01 17:21:26 kfglyH5b
>>429
大河 シルクの純白紐パン
みのり 勝負下着無し
亜美 ボーン!!が解りづらい黒下着

435:名無しさん@ピンキー
08/12/01 18:07:57 Wy7rbX8a
大河が一番エロくてスケスケで高そうな勝負下着もってそう

436:名無しさん@ピンキー
08/12/01 18:12:43 mgfgcdVu
なんとなくノリで買ってみたTバックにそわそわする3人を受信した

437:名無しさん@ピンキー
08/12/01 18:16:43 XM57s73D
そろそろ水着の話に移行していく雰囲気
みのりんはレーザーレーサーかな

438:名無しさん@ピンキー
08/12/01 18:20:32 kfglyH5b
>>437
水着は既に原作でも描写されてるから想像しにくいな

439:名無しさん@ピンキー
08/12/01 18:25:00 jTeaTfmq
>>436
こちらも受信した、健闘を祈る

440:名無しさん@ピンキー
08/12/01 18:35:52 2x7T1r7n
しまぱん松澤と聞いて

441:名無しさん@ピンキー
08/12/01 19:28:32 oUI/UwSn
そういえば麻呂作品を最近見ないなあ。

442:名無しさん@ピンキー
08/12/01 19:35:29 6tw/L4FC
「え~、今日みのりんって勝負パンツなの?」

大河のその一言に、竜児は口に含んだご飯を吐き出しそうになった。
昼、いつの間にか恒例になっていた5人での食事、
のはずが北村は先ほど生徒会の用事で慌てて出て行った。
竜児は北村と違って元々女子達と気楽に話をできるキャラではないため、一人残されて居心地が悪い。
意識しないようにしていたら、気づかぬうちに女性陣の話題は凄いことになっていた。

「大河ってば、声が大きいよ~。」
「へー、実乃梨ちゃん凄いね、どんなのどんなの?」
「もー、あーみんも声大きいって、恥ずかしいじゃん。」

わいわいキャッキャ、なぜ女子は三人寄るとこんなにやかましくなるんだろうか。
竜児は下を向いて弁当をつつきながらなんとか耐える。
先ほどから背中にはクラスの男子の視線も突き刺さり、非常につらい。
完全に席を立つタイミングを逃してしまい、今はガマンするしかなかった。

「みのりんケチケチしないでどんなのか教えてよ~。」
「もう、そんな恥ずかしがることないでしょ。」

亜美は顔を上げ、竜児の顔を見てニヤリと笑みを浮かべ、続ける。

「高須くんも知りたいよねー?」

こっちに振らないでくれ、頼むから。
竜児は突然の指名に焦る。
正直興味津々だ。が、そんなこと言えるわけがない。

「え、あの…、そんなことは……」
「うわっ、みのりんのパンツに興味津々なんだ、キモ!」
「もう、やめてってマジで。高須くんもそんな顔しないでよ~。」

443:名無しさん@ピンキー
08/12/01 19:36:29 6tw/L4FC
あぁ、俺のキャラが、せっかく培った俺のキャラが。
竜児は手に持った箸を落としてしまった。
女子の皆様はそんな竜児のショックは無視、話を続ける。

「まあまあ、それで、どんななのよ。」
「誰にも言わないから教えてよみのりん。」
「もう、絶対誰にも言わないでよ~、あのね…、その……」

竜児は腰をかがめ箸を拾いながら、耳を澄ます。
そしてふと気がついた。勝負パンツの意味、それは。
勝負パンツということは、櫛枝は誰かと勝負するというのか!?
誰だ、許さん。いや、許す許さないって立場じゃないけど、だけど……
竜児の葛藤をヨソに、実乃梨は決意し、小さい声で言う。

「あのね……オレンジ色の、パンツ。今日ソフトの練習試合だから、
 勝負の試合のときはいつもこれなんだ。」

竜児は再度箸を落とした。


End

444:名無しさん@ピンキー
08/12/01 19:39:54 6tw/L4FC
『勝負パンツ ver.みのりん』30分でやっつけで書いてみた
ver.大河、ver.ばかちーも考えてんだけど投下してもいいかな?かな?

445:名無しさん@ピンキー
08/12/01 19:48:14 7Z6pJxRe
>>444
良いに決まってるだろ!

446:名無しさん@ピンキー
08/12/01 19:50:20 mgfgcdVu
なんという速さwwGJ!
ばっちこ~い!!!

447:名無しさん@ピンキー
08/12/01 19:54:47 Wy7rbX8a
どうぞどうぞ

448:名無しさん@ピンキー
08/12/01 20:25:07 6tw/L4FC
じゃあ書いてくる
ショボいけど許してね
お前らも妄想はほんと創作意欲わかせるわ、すげえよお前ら

449:名無しさん@ピンキー
08/12/01 20:39:39 kfglyH5b
>>435
大河が予想外に際どい下着を穿いてるのを見て
ちびタイガーに負けるなんて…と若干落ち込むばかちーを夢想したw

450:名無しさん@ピンキー
08/12/01 20:52:06 mgfgcdVu
大河は白のフリフリたまにスケスケが日常的で勝負下着は黒とか赤って思ってて
ばかちーは逆で、黒とか濃い色の下着が多くて白は勝負用で持ってそう
みのりんは計り知れないw

451:名無しさん@ピンキー
08/12/01 20:59:36 Wy7rbX8a
みのりんはトランクスが似合うな

452:名無しさん@ピンキー
08/12/01 21:16:00 EJAivmto
裸族はやっぱりノーパンなんですね、わかります

453:名無しさん@ピンキー
08/12/01 21:41:01 jsbal0pv
>>450
はげ上がる程同意
俺がハゲちゃったらアンタのせいなんだからねッ!

454:名無しさん@ピンキー
08/12/01 22:41:28 ccucXIT0
みのりんは縞パン

455:名無しさん@ピンキー
08/12/01 23:21:45 rBi8Y3zk
竜児は紐パン

456:名無しさん@ピンキー
08/12/01 23:39:11 Woum/yLJ
北村はふんどしかTバック

457:名無しさん@ピンキー
08/12/01 23:43:43 yo4h+609
三十路は黒のTバックで

458:名無しさん@ピンキー
08/12/01 23:52:27 de2vTZWr
ななこたんはパイパンで

459:名無しさん@ピンキー
08/12/01 23:54:49 aY0S9ypZ
インコちゃんはぼっさぼさ

460:名無しさん@ピンキー
08/12/02 00:24:15 DFS13tY5
みのりんはうだうだ悩んだ挙句、ネタに走って後からメチャクチャ後悔してたりするといい

461:名無しさん@ピンキー
08/12/02 00:30:49 gufvBzU/
>>460
「高須君だけに象さんあるのは悔しいからね。見たまえこの象パンツ」

462:名無しさん@ピンキー
08/12/02 00:32:23 0YaIV1ID
>>460
あれだ、白鳥が付いてるやつとか

463:名無しさん@ピンキー
08/12/02 00:40:44 Zd5bYWn2
日曜日の朝、特にやることもないものの、家には仕事に疲れて寝ている泰子がいるため、
竜児はいつものように大河のマンションへやってきた。
寝ぼけた大河を着替えさせ、朝食を食べさせ、
食器を全て洗い、竜児はエプロンで手を拭きながら一息ついた。

大河はソファに寝そべり、つまらなそうにテレビを見ている。
竜児は部屋を見回し、ふいに高須レーダーの反応を感じた。
リビングの隅、カーテンで隠れた一角にロックオン。
そこには、山盛りのゴミ箱が。
竜児は三白眼を輝かせ、口元を歪める。

「あーもう、ったくまたゴミ全部混ぜて捨てやがって。
 ちゃんと分別しろって言っただろうが。」

竜児は立ち上がり、そのゴミ箱を持ち上げる。
燃えるゴミも燃えないゴミもペットボトルもなにもかも、
全て一緒くたにつっこまれていた。

「おい、聞いてんのか?燃えるゴミと燃えないゴミは回収別の日なんだぞ、知ってるか?」
「あーもううるさいわね。どうせヒマなんでしょ、あんたが分別しといて。」

めんどくさそうに、顔をテレビからピクリとも動かさず、
大河はいつものように竜児に命令。
竜児もまさか大河が素直に分別するなんて万に一つもないとわかっているので、
文句を言いながらも手は止めない。

「あーもうこんなにぐちゃぐちゃにして、これなんてまだ使えるだろ。
 このジュースだってちゃんと全部飲めよ。これも……なんだこれ?」

雑多のゴミの中、オレンジ色の薄い布着れが顔を出している。
光沢があるそれを掴み、破らないように丁寧に取り出し……


464:名無しさん@ピンキー
08/12/02 00:41:26 Zd5bYWn2
「ってパンツじゃねえか。お前こんな……」
「なに漁ってんだこの変態野朗っ!!!!!」

背中に強烈な蹴りを食らった。
ゴミを撒き散らし、パンツもろとも吹っ飛ぶ。
竜児は倒れるがすぐに頭を起こし、今己を蹴った悪魔のような女を見上げて抗議する。

「……っ!いてえじゃねえか!何すんだよ!」
「それはこっちのセリフよ!あんたとうとう人様の下着漁ってハァハァ言うレベルまで堕ちたわけ?」
「ふざけんなよ!お前がゴミ箱にパンツつっこんでたんだろうが!」

ゴミ箱は空中でトリプルアクセルをかまして転倒しているが、
このパンツはゴミと一緒くたになっていたのだ。
分別していただけの自分になんの非があるというのだ。
大河は舌打ちし、撒き散らされたゴミの中からその豪華なフリルのついた薄い下着を拾い上げた。
竜児はさらに抗議を続ける。

「そもそもまだ穿けるだろ。シルクのそんな高そうな下着簡単に捨てんなよもったいない。」
「うるさいわね。レースのところがほつれちゃったから仕方ないでしょ。
 買って一回だけ試しに穿いたんだけど、洗濯したらこうなっちゃったのよ。」
「は?お前なぁ、こういうのは手洗いじゃないといけないんだよ。」
「知らないわよ。」

なんという女だ。竜児には信じられなかった。
こういうものは手洗いのみとタグにも書いてあるだろう。
なぜそれを守らない。なぜちょっとほつれたからといって捨てる。
竜児は大河に手を伸ばす。

「ほらちょっと貸せって。ほつれてるくらい直してやるから。」
「いいわよ、どうせもう穿かないし。」
「なんでだよ。もったいないだろうが。」
「だって…、それ……、その……」


465:名無しさん@ピンキー
08/12/02 00:42:00 Zd5bYWn2
なんだ?妙に歯切れが悪い。
竜児は首をかしげる。

「ん?なんだって?」
「あの……、それ穿くと………、その……、」
「なんだよ、穿くとどうなるんだよ。」
「いいからあんたは黙って捨てろ!」

とうとう逆ギレ。
声を張り上げる大河に、しかし竜児も折れない。
こんなもったいないこと、お天道様に申し訳がないからだ。

「だめだ!前から言いたかったが、お前は簡単に物を捨てすぎだ!
 消耗品ならともかく、一回穿いてほつれたから捨てるなんて、
 こんな高そうなもの捨てるなんて、絶対に許さん!」
「あああああああもううるさい!」

竜児の言葉にとうとう大河は地団太を踏み、
とうとう竜児にパンツを投げつけた。

「勝手にしろバカ!」

ドカドカと大股で寝室に入り、バタンと扉を閉める。
数秒の後、竜児は手に女性の下着を持ち、
息を荒げゴミの中に埋まっている己のヤバさにようやく気づいた。



竜児は散らばったゴミを手早く片付けると、
常備してある自分専用ソーイングセットを取り出した。
大河はフリフリの豪華な服ばかり着るくせに落ち着きがなくドジをかます。
破れたりボタンやフリルが取れたりしたら大体は竜児が補修しているのだ。


466:名無しさん@ピンキー
08/12/02 00:42:47 Zd5bYWn2
竜児は一息つき、自分に言い聞かす。
なあに、いつもやってることと変わらない。パンツだって水着と大差ないんだから。
竜児は服を仕舞ったりはするが、さすがの大河も下着は自分で管理している。
部屋の掃除でたまにクローゼットにまぎれこんでいることはあるが、
ほとんどがあっさりとした普通の下着で、こういった大人っぽい下着は竜児も初めて見た。
おかしな気分になりそうな頭を左右に振り、竜児は針と糸を取り出し手早く修復した。



「大河ー!入るぞー!」
「………。」

返事はない。竜児は肯定と受け取り、大河の寝室の扉を開く。
大河はこれまた豪華絢爛な天蓋付きのベッドの上で寝そべっていた。
竜児はこちらを見ようともしない大河の側に立ち、直してやった下着を脇に置いて、声をかける。

「ほら、ほつれてたのは直してやったぞ。大したことなかったしほとんど新品じゃねえか。」
「………フン。」
「もうほとんど元通りだから、捨てたりするなよ、もったいないし。」
「いやよ、穿かないから捨てといて。」
「はあ?なんでだよ!こんな高そうなモン、何が気に入らないんだよ!」
「うるさいわね!私だって可愛いなって思って買ったのよ。
 サイズの合うブラとショーツでヒラヒラして可愛いのなんてほとんどないの。」

大河はようやく竜児のほうを向いた。
竜児が直した下着を手に取る。

「ブ…、ブラって、これセットだったのか。」
「そうよ。雑誌の通販でいいなって思って、試しに買ってみたのよ。」
「サイズが合わなかったのか?それで捨てようとしたのか?」
「……違うわ。サイズは合ってたんだけど……、その……、…の一部が……」


467:名無しさん@ピンキー
08/12/02 00:43:19 Zd5bYWn2
また歯切れが悪い。
大河は俯き、モジモジしている。
竜児は呆れるように言う。

「可愛くて買って、サイズが合ってるのに何が気に入らないんだよ。」
「あのね、その……、フリフリで可愛いんだけど……、
 穿くと……、それ……、その………、透けちゃうの……。」
「は?」

竜児はまったく思いもよらない言葉に思わず間抜けな声を出してしまった。
大河は真っ赤に染まった顔を持ち上げ、ヤケクソになって叫ぶ。

「だから!いろいろ透けちゃうのよ!だからそんなの穿けるわけないでしょバカ!」

沈黙。
ぽかーんとしていた竜児も、何を想像したのか赤面し、
大河の出て行けという声に慌てて部屋を飛び出した。
上気した顔も早鐘を打つ心臓も、当分収まりそうにない。
竜児は一度深呼吸し、己のバカさ加減の反省と
今夜大河の機嫌を直してもらうための夕飯のメニューを考えることにした。





その日、大河のクローゼットの最奥に、秘密の袋が隠されることになった。
ヒラヒラのブラとショーツのセットは、いつの日か主の決戦に使われることを夢見て、
最奥に大切に、封印されている。

End

468:名無しさん@ピンキー
08/12/02 00:46:13 Zd5bYWn2
『勝負パンツ ver.大河』です
なんかいろいろ詰め込みすぎたら長くなった
こんなんでもよければ、あとver.裸族も投下したいと思ってます

469:名無しさん@ピンキー
08/12/02 00:47:05 RmdClVoK
GJ
ver.裸族も待っております

470:名無しさん@ピンキー
08/12/02 01:01:58 Pk74k1cR
GJです!
竜児のパンツは泰子の仕業でバラエティに富んでそうだ
泰子も各種揃えてるんだろうなぁ

471:名無しさん@ピンキー
08/12/02 01:52:04 23NzAoUp
さくらちゃんやすみれ兄貴は、どうなんだろう?

家では、すみれちゃんは膝下丈スカート、さくらちゃんはミニスカートだったか?
1学期末試験追試対策勉強会の時は。
その中のパンツは、さくらちゃんの部屋に1枚と穿いてるのの紹介が有ったな。

472:名無しさん@ピンキー
08/12/02 02:13:55 c3jJ+j7Q
嫌な流れになってきたな。

473:名無しさん@ピンキー
08/12/02 03:00:58 xDiOA7WP
('A`)

474:名無しさん@ピンキー
08/12/02 04:20:57 fyhXoCAB
しかし勝負パンツと聞くとこれを思い出すww
URLリンク(namaekurekure.blog116.fc2.com)
(一応エロ?注意)

475:名無しさん@ピンキー
08/12/02 11:46:15 d1a2Dev2
あみトラはまだですか

476:名無しさん@ピンキー
08/12/02 14:04:30 1CEglhvZ
あにドラもまだですか

477:名無しさん@ピンキー
08/12/02 16:37:09 VSKmP4G9
本性バレアフターの実乃梨編が早く読みたいです。

478:名無しさん@ピンキー
08/12/02 20:57:29 mbekqtfE
>>477
『むりやりみのりん√』のこと?

俺もすごい待ってる

479:名無しさん@ピンキー
08/12/02 22:00:13 VDOuR+cB
いや、>>477の言ってるのは、>>119氏の続編だろ
ちなみにオレも楽しみにしている


480:名無しさん@ピンキー
08/12/02 22:33:18 DFS13tY5
>>479
よう俺

481:名無しさん@ピンキー
08/12/02 22:38:33 Pk74k1cR
名指しでwkrkは程々にしようぜー

482:名無しさん@ピンキー
08/12/02 23:04:09 ZW/4ANTr
とらドラであったまってる雰囲気はわかるけどたまには田村君も頼む。
ずっとまってるから!!

483:174 ◆TNwhNl8TZY
08/12/02 23:52:27 f3rp+OzE
やっちゃんSSの続きを投下

※親子の会話です

484:174 ◆TNwhNl8TZY
08/12/02 23:53:08 f3rp+OzE

「やすドラ?」

「・・・泰子? なんであんな事したんだよ・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「櫛枝達の目の前で、腕なんか組んできて・・・いくらなんでも失礼だろ? わざわざ来てもらって・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・なんか言ってくれよ。黙ってちゃ分かんないだろ?」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

大河達が家を出て行ってからしばらく経った。
その間ずっとさっきの事を尋ね続けてるけど、泰子は黙って俯いているだけで一向に話す素振りを見せない。
・・・それでも腕だけは絡めたまま。

「・・・・・・もう、手ぇ離してくれよ」

「・・・・・・・・・」

言いながら無理やり引き抜こうと動かす俺の腕を、泰子はかぶりを振って更に力を入れて抱きしめてくる。
どうにかして腕を抜こうとしていたら

「・・・いたっ・・・・・・」

「・・・・・・・・・悪い・・・」

捻挫している手首に当ててしまったのか、痛がる泰子。
一瞬腕を抱きしめてくる力が緩んだけど、泰子がすぐに力を入れなおして腕を締め付けてきたため抜くことができなかった。

「・・・なぁ、俺は泰子と話しがしたいんだよ。こんなカッコじゃなくて、ちゃんと顔を見ながら・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・泰子」

「・・・・・・・・・」

腕を抱きしめてくるだけじゃなく、泰子はだんだん体ごと押し付けてくる。
いい加減埒が明かないと思った俺は、勝手に話を進めることにした。

「・・・・・・離す気がないなら、そのまま聞いてくれ。
 ・・・櫛枝も川嶋も、泰子の事を心配して来てくれたんだぜ? 大河だって・・・それをあんな、追い返すみたいに」

「・・・・・・ちがうよ・・・」

寄りかかってくる泰子を無視して喋り出した俺の耳が、今までずっと黙っていた泰子が何かボソボソ呟いている声を拾った。

485:174 ◆TNwhNl8TZY
08/12/02 23:53:56 f3rp+OzE
「・・・違うって・・・・・・櫛枝達はお見舞いに来てくれたんだぞ? なにが違うんだよ」

「・・・・・・あの・・・・・・ちゃん・・・・・・こと・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・泰子? 今なんて・・・」

続きを促して、それでも聞き取りづらい声で喋る泰子に再び問いかける俺に向かって

「・・・っだから! あの娘たちはぁ、みんな竜ちゃんの事が心配で、それでうちまで来たんじゃない!!」

「なっ!? ・・・・・・」

いきなり顔を上げて、泰子が睨みながら怒鳴ってきた。
言ってることがあまりに予想外だった事と、怒鳴る泰子なんて滅多に見たことが無かったためにすぐに言葉を返せず、
何と言うべきか固まっている俺を置いて、泰子が堰を切ったように喋り出す。

「やっちゃんはべつにお見舞いに来てほしいだなんて頼んでないのに・・・」

「泰子! お前、いくらなんでも」

「やっちゃんは! ・・・やっちゃんは、竜ちゃんとずっといっしょがいいの! 竜ちゃんがいてくれたらそれだけでよかったの・・・
 けど、竜ちゃんはおともだちが来たらそっちとばっかり楽しそうにして!
 ・・・櫛枝さんて娘には変なところを見せないようにして、川嶋さんて娘は竜ちゃんにだけ違う顔を見せてて・・・
 大河ちゃんには・・・大河ちゃんにはいつも、いっぱい! いっぱい何でもしてあげて!
 毎朝起こしてあげて、いっしょに学校行って・・・朝ご飯もお弁当も、お夕飯も作ってあげて・・・」

「・・・・・・そんなこと・・・それに、大河はもう家族みたいなもんで」

「やっちゃんだって家族だもん! 大河ちゃんよりもずっと・・・竜ちゃんが生まれる前からずっと、竜ちゃんとやっちゃんは家族だもん・・・」

「・・・飯の支度だのなんだのっていうのは泰子にだってしてるだろ? ・・・家の事だって・・・
 それに昨日からずっと一緒に居て、それなりに泰子の頼みだって聞いて、それでも俺が大河のことばかりかまってるって言うのかよ」

「・・・そうだね・・・竜ちゃんは優しいから、やっちゃんのお願いもみんな聞いてくれたよね・・・・・・
 けどね、竜ちゃん? それって、やっちゃんがケガしてるからでしょ・・・? ケガが治ったら・・・・・・だけど、大河ちゃんは?」

「・・・ケガをしてようがしてまいが、泰子にも大河にも俺は贔屓なんて」

「竜ちゃん、ウソ言ってるよ」

「・・・・・・なんでだよ、俺がいつ嘘なんか・・・」

「じゃあ竜ちゃん、やっちゃんのケガが治っても、あ~んってしてくれる? いっしょにお風呂に入ってくれる? 隣で寝てくれる?」

「っんな子供みたいなこと言ってんじゃねぇよ! 全部自分でできる事ばっかりじゃねぇか!」

「だったら、ケガもしてない大河ちゃんにあ~んとか抱っことかしてあげたのはなんで?」

「・・・それは・・・・・・大河が」

「大河ちゃんがそうしてほしそうだったからでしょ・・・? ・・・ケガをしたのが大河ちゃんで、竜ちゃんがいろいろお世話してあげて・・・
 それを見たやっちゃんが大河ちゃんと同じ事してってお願いしたら、竜ちゃんしてくれる?
 ケガもしてない、普通にお箸とか持てるやっちゃんがあ~んしてって言ったら、竜ちゃんしてくれるの? ・・・・・・してくれないでしょ?」

486:174 ◆TNwhNl8TZY
08/12/02 23:54:55 f3rp+OzE
「・・・・・・・・・」

「けど、大河ちゃんにはしてあげたじゃない」

「・・・そんな事、今は関係ないだろ!? 俺はなんで櫛枝達の前で腕なんか組んできたかって訊いて・・・
 それをさっきから訳分かんねぇ事言って・・・なにが言いたいんだよ・・・」

泰子が言ってる事は多分当たってる。今泰子が言ったような状況なら、きっと俺は泰子の頼みは聞かないだろう・・・
だけど、それを認めたら俺は・・・だから、苛立ちを吐き出すように、逆ギレ気味に話を逸らそうとしたが

「関係なくないよ! ・・・・・・やっちゃん、すっごく我慢してたの・・・
 ケガしちゃって、とっても竜ちゃんに迷惑かけちゃって・・・そんなのヤなのに・・・
 でも竜ちゃんが心配してくれたのが、優しくしてくれたのが嬉しくって・・・ほんとうに嬉しくってぇ・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「おうちのドアが開けられなくて泣いてたら、竜ちゃん飛び出してきてくれて・・・
 動けないやっちゃんを優しく抱き上げてくれて・・・わがまま言ってお水だって飲ませてくれて・・・1日中いっしょにいてくれて・・・でも・・・」

「・・・・・・・・・」

「大河ちゃんが帰ってきたら、竜ちゃんは大河ちゃんの事ばっかり気にして・・・」

「だから、そんなこと」

「やっちゃんが口移しの事を大河ちゃんに言うんじゃないかって、竜ちゃんビクビクしてたでしょ? 知ってるんだから・・・
 ・・・あの時はまだやっちゃん我慢してたんだよ? ・・・竜ちゃんも大河ちゃんも大好きだから、またケンカにならないようにって・・・」

「おま・・・・・・」

途中から声が出なかった。気付いてたのかよ・・・・・・
言葉に詰まって固まる俺を気にせずに、泰子が続ける。

「だけどあの後、竜ちゃんは大河ちゃんのお願い聞いてあげて、抱っこも、あ~んもしてあげて・・・
 それ見たらやっちゃんなんだか・・・なんだか・・・とっても嫌な気持ちになって・・・
 ・・・竜ちゃんに寄りかかってたらそれもだんだん落ち着いてきてたのに・・・
 大河ちゃんが『竜ちゃんのお嫁さんは私なの』って言ったらまた・・・だから、大河ちゃんの目の前でチュウしてって・・・」

「・・・・・・・・・」

「大河ちゃんの事だって大好きなのに・・・それにやっちゃんが焚きつけておいて、最後は『仲直りしたんだから』って・・・ひどいよね・・・
 それだって竜ちゃんがチュウしてくれたらどうでもよくなって・・・」

「・・・・・・・・・」

あんなにくっ付いてて、そんな気配なんか微塵も感じなかった・・・・・・

「トイレに連れてってって言ったり、一緒に寝てって言ったり・・・そんなわがままも竜ちゃん、聞いてくれたよね・・・
 それにおいしぃ朝ごはんも、お風呂も・・・その・・・竜ちゃんがやっちゃんの裸で元気になってくれてたのも嬉しくて・・・
 ・・・・・・あの時ホントはね? ・・・やっちゃんも、変な気分になっちゃった・・・」

「・・・そのことは言うなよ・・・」

「・・・『どうでもいい』って竜ちゃんが言った時は、やっちゃん・・・竜ちゃんに嫌われたって思って・・・・・・
 ・・・いっぱいわがまま言って、いっぱい迷惑かけちゃったから・・・もしかしたらって考えると恐かったの・・・
 でも、子供みたいに拗ねて泣いてたやっちゃんに、竜ちゃんは悪くないのに謝ってくれて・・・
 『大切だって』って、『ずっと一緒に』って言ってくれたのが・・・・・・また、泣いちゃうくらい嬉しかった・・・」

487:174 ◆TNwhNl8TZY
08/12/02 23:55:41 f3rp+OzE
「・・・・・・・・・俺は・・・」

泰子の事を嫌いになるなんて絶対にない。
そう言おうとして、だけど泰子に先を越されてしまう。

「・・・・・・やっちゃんも、竜ちゃんが1番大切だよ? ずっといっしょにいたいよ? ・・・もう、竜ちゃんから離れたくないよ・・・」

「・・・泰子・・・俺は・・・」

「・・・けどね? やっちゃんは、竜ちゃんのお母さんだもん。竜ちゃんとずっといっしょにいられないのも分かってるの・・・
 やっちゃんはずっと、ずぅっと竜ちゃんといっしょにいたいけど、そんなこと無理だって分かってるもん・・・」

「・・・・・・・・・」

・・・そんなことを・・・

「分かってて・・・それが、どうしても嫌なの・・・
 竜ちゃんのおともだちが家に来て、みんなに心配されて、楽しそうにしてる竜ちゃんが・・・私を置いてっちゃう気がして・・・
 だから『竜ちゃんは私のだから持ってかないで』って竜ちゃんの手に抱きついたの・・・
 ・・・手を離すのが怖かったの・・・竜ちゃんを盗られちゃうのが我慢できなかったのぉ・・・・・・」

「・・・・・・・・・泰子? ・・・もういいから・・・」

いつのまにか『やっちゃん』から『私』に変わってるのに気付いてないのか・・・
泰子は目に涙を溜めて・・・叱られるのが恐くて泣きそうになってる子供みたいな顔で、櫛枝達の前でした事の理由を口にした。
これ以上は・・・そう思って泰子を止めようとした俺を無視して、泰子は更に話し続ける。

「・・・パパだって私と竜ちゃんを置いてっちゃって・・・それでも今まで2人でずっと、ずっといっしょだったのにぃ・・・」

「・・・・・・分かったから・・・」

「それなのに竜ちゃんは、私の事なんて忘れて・・・大河ちゃんたちと楽しそうにして・・・・・・」

「泰子・・・・・・」

「・・・けど、しょうがないよね・・・?
 竜ちゃんのこと考えないで・・・大河ちゃんにもおともだちにも、ひどい事して・・・こんな私、嫌いになっちゃったよね・・・?」

急に空気が変わった。そんな気がした。
泣き笑いみたいな顔してる泰子の目は、俺を見てるのに見てないような感じがして・・・

「お、おい・・・急になに言って」

「・・・竜ちゃんも・・・私のこと、パパみたいに置いてっちゃうんでしょ・・・・・・?」

「だから、なんでそんな事」

「いやぁ! 聞きたくない! 竜ちゃんの話なんてもう聞きたくないの! 私のこと置いてっちゃう竜ちゃんなんて嫌い! 大っ嫌い!
 竜ちゃんを持ってっちゃう大河ちゃんも、さっきの娘たちもみんな嫌い! ・・・だいっきらい・・・・・・」

手で耳を塞げない泰子が、俺の声を遮るように大声で頭を振る。
髪が揺れて、目にいっぱい溜めていた涙が流れて・・・・・・
そんな泰子の肩に手を置いて、ピタリと動きを止めた泰子に向かって話しかける。


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