【田村くん】竹宮ゆゆこ 5皿目【とらドラ!】at EROPARO
【田村くん】竹宮ゆゆこ 5皿目【とらドラ!】 - 暇つぶし2ch269:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:34:48 MlaYj5dk

沈黙が支配する永遠のように長い数秒の後、
大河の象牙のような白い顔が、トマトのように真っ赤に一瞬で変化した。
「な、ななな、な………、」
羞恥でガタガタと震えだす。
握り締められた机が軋む。

「お、落ち着け大河。……落ち着いて、な、ほら。」
妙に冷静になった竜児の声。
しかし大河の動揺は収まらず、そして、


「いやあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」


「うおっ!待っ……。」
机も椅子もなぎ倒し、弾丸のように一直線に扉へ猛ダッシュ。
竜児の制止を振り切り、大河は開け放たれていた扉から勢いよく飛び出していった。




大河が去って数秒後、魔法が解けたように竜児の硬直も解ける。
「悪い!」
今だ向けられるクラスメイトの視線を無視し、
竜児は素早く大河が倒した机と椅子を元に戻し、席の主に簡単に詫びた。



「ほら、高須。」
その声に振り返る。
北村と実乃梨が二人分の荷物を竜児に差し出していた。
「さっさと追いかけてやりなさいよ。」
めんどくさそうな亜美の言葉にうなずき、
竜児は荷物を両手で掴み、廊下へ飛び出した。
「大河ーっ!待てー!」
そして、大河と同じく猛ダッシュ、全速力で大河を追いかけた。



270:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:35:34 MlaYj5dk

あの日と同じ、逃げる大河を追いかける自分の姿に、竜児は走りながら思わず頬が緩んでしまった。
まったく、あいつは、いつもドジやって勝手に逃げ出して、
だけど……、だけど俺は……、結局……

「ちゃんと捕まえてやるぞ、大河。」

大河の側を、離れられないんだよな。




「高須、逢坂。都合により早退っと……。」
北村の呟きを合図に、クラスに喧騒が戻った。
「ケッ!やってらんねーよバカップルが!」
「ハハハ……。」
吐き捨てる亜美に、実乃梨は苦笑いで答えた。

クラスのみんなも付き合ってられんといった様子で、
二人のことは忘れてお喋りに興じている。
まもなく独身がやってくるだろう。

高校二年の生活も残りわずか。
今日も概ね、平穏な一日だった。

End

271:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:42:07 ZPAu3ong
>>261
GJGJGJGJ!
2828が止まらないぜw
大河が可愛すぎるw



272:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:44:43 jsTEuxlU
(28∀28)

273:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:48:29 HExPoN71
261さんGJです!!

274:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:52:00 UBbsVkkd
>>261
乙乙
やっぱり竜虎はええのう
寝ぼけ大河可愛いです

275:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:54:46 P33eBJ7S
GJ
竜虎最高だよ、この大河の可愛さは異常

276:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:55:03 Y3O5ime4
これはいいニヤニヤ

277:名無しさん@ピンキー
08/11/29 02:05:36 TZ60jDL1
>>261
まったく顔がにやけるGJ
大河がかわええのう。

278:174 ◆TNwhNl8TZY
08/11/29 02:08:40 5HG9E5IO
やっちゃんSSの続きを投下
少しだけどあーみんやみのりんも出るよ

279:174 ◆TNwhNl8TZY
08/11/29 02:09:21 5HG9E5IO

「やすドラ?」

ざっと体を拭いて服を着る。ホントは体なんかも洗いたかったけどこの際しょうがない。
あのまま、また泰子と一緒に風呂に入ってたら色々と耐えられない。変な意味じゃなくって精神的に耐えられない。
ただでさえ俺の、あ~・・・元気な高須棒まで見られたんだ・・・その上、泰子の体まで洗って・・・・・・柔らかかったな・・・・・・はっ!?
つい泰子の体の触り心地を思い出してしまい、脱衣所の壁に寄りかかって悶々としていた俺を

「竜ちゃ~ん」

「・・・どうした? 泰子」

「上がりたいの~」

泰子がドア越しに呼んできた。もう上がるのか。
・・・1度深呼吸して意識を切り替える。
泰子の裸なんてさっき存分に拝んだろ。今更恥ずかしがってどうする。
そんな事を気にしてる時点で自分が恥ずかしがってるのを自覚しつつ

「竜ちゃん、まだぁ?」

って俺を待っている泰子を風呂から出すために浴室のドアを開ける。
充満していた湯気が晴れると、浴槽に浸かっている泰子が声をかけてきた。

「やぁん、竜ちゃん・・・あんまり見ないで? 恥ずかしいよ・・・」

「はぁ? 急になに言ってんだよ。さっきまで一緒に風呂入ってたろ」

「だってぇ、やっちゃんだけ裸なんだもん・・・急に竜ちゃんの視線が気になっちゃって」

本気でなに言ってやがんだ? それに俺が泰子の裸を凝視してるみたいに言うなよ。

「あ、そのね? ・・・見られるのは恥ずかしいけどぉ、竜ちゃんに見られていやなんじゃないよ?」

しかもどこを訂正してんだ。意味分かんねぇって。
そう言いながら俺を見つめてくる泰子に向かって、いい加減話を進めようと話しかける。
考えればもう大分長湯になったし、疲れさせちまうだろうからとっとと出よう。

「分かった分かった。そんなことどうでもいいから早く上がろうぜ。もう十分温まったんだろ?」

「・・・・・・・・・」

「・・・どうかしたか?」

「・・・・・・・・・べつに」

途端に不機嫌になった泰子。俺、なんかマズイこと言ったのか?
さっきまで上げかけていた上半身をお湯に沈めて、口元まで来たお湯をブクブクさせながらたまにこっちを睨んでる。
あまり広くない上にお湯だって沢山張ってるわけじゃないうちの浴槽だと、半分仰向けになる形になってしまうから
ぶっちゃけ胸だのお腹だの・・・あれだのが丸見えになる格好になって、慌てて後ろを向いて泰子に問いかける。

「泰子? 俺、何か気に障ることでも言ったか・・・?」

「・・・・・・どうでもいいんでしょ・・・」

280:174 ◆TNwhNl8TZY
08/11/29 02:10:00 5HG9E5IO
ポツリと泰子が呟くが、何を言いたいのかよく分からない。

「な、何がだ?」

「・・・だからぁ、竜ちゃんはやっちゃんの事なんてどうでもいいんでしょ、って言ったの」

「・・・はぁ? 何でだよ? 俺そんな事言ったか?」

「言ったもん・・・やっちゃんがぁ『竜ちゃんに見られてもいやじゃないよ?』って言ったら、竜ちゃん『どうでもいいから』って・・・
 やっちゃん、竜ちゃんに誤解されるのヤだったから言ったのに『そんなこと』って・・・
 やっちゃんの事どうでもいいってぇ・・・ぐしゅ・・・うぅ・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

ちょっと強引じゃないか? 話飛び過ぎじゃねぇかそれ?
どこをどう繋げたらそこに辿り着くか分からないで一瞬呆然としてしまったが、最後の方に涙声が混じっていたのに気付いて我に帰った。
再度振り返り、泰子の目を見て口を開く。

「な、なんで泣いてんだよ!? 泣くところなんて無かっただろう? それに、俺はそんなつもりで言ったんじゃねぇよ!」

「ふぇ・・・? ほんとに?」

「そうだって。俺はべつに泰子の事がどうでもいい訳じゃなくて、いつまでも風呂に浸かってるとのぼせるし体にも良くないし・・・
 それにもう風呂から上がるって言ってたから、長話してても可哀想だと思ってだな・・・」

「・・・・・・・・・」

「『そんなことどうでもいいから』ってのも、単に言葉の綾と言うか、口から出ただけで深く考えてた訳じゃ・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・だから、その・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・言葉が悪かった・・・・・・ごめんな、泰子」

意外にもこっちの話を聞いてくれていた泰子に、チャンスだと思って畳みかける。
だけど、じっと俺の方を見て黙って聞いている泰子に、だんだん自分が言ってるのが言い訳みたいに聞こえてきて・・・
実際に泰子は俺の何の気なしに放った一言で泣いていたじゃないか。そう思ったら、俺はもう何も考えないで謝っていた。

「「・・・・・・・・・」」

無言の泰子と、その泰子の反応を待つ俺。
時間にすると1分も経ってなかっただろうけど、見つめ合ってる時間が異様に長く感じた。
そろそろ何か声をかけるべきか?
そう思っていたら、ずっと黙っていた泰子がようやく口を開いた。

「・・・なんで・・・」

「・・・ん?」

「なんで竜ちゃんが謝ってるの・・・? やっちゃんが勘違いしただけなのに・・・」

「・・・勘違いさせるようなこと、言っちまっただろ? 俺が」

281:174 ◆TNwhNl8TZY
08/11/29 02:10:44 5HG9E5IO
「・・・・・・でも・・・」

「勘違いさせて、泣かせたから。だから、悪いのは俺の方だ。・・・ごめん、泰子」

「・・・・・・・・・」

また押し黙ってしまう泰子。けど、今度はすぐに口を開いて

「・・・竜ちゃん、立たせて」

「あ? あぁ・・・泰子?」

「おねがい」

「・・・おぅ・・・・・・」

急に立たせてほしいと言ってきた。
あまりにも突然話を変えてきたから思わず聞き返してしまったが、泰子は有無を言わせぬって感じで見上げてくる。
考えは読めなかったけど、真剣な眼差しで見つめてくるのでそれ以上言わずに腕を伸ばす。
こっちを向いてる泰子の脇に腕を差して持ち上げてやれば、お湯の中だし膝も曲げていたからすんなりと立った。
・・・立ち上がった泰子から昇る湯気がなんだか色っぽく見えて、気恥ずかしくてつい目を逸らすと

「竜ちゃん・・・・・・」

泰子が俺にもたれかかってくる。

「・・・っと・・・・・・どうした? のぼせたのか?」

「・・・ごめんなさい」

もたれかかってきた泰子を受け止めてやると、俺の胸に顔を埋めて謝りだしてきた。

「・・・服のことか? 濡れただけだし、こんなの着替えりゃ」

「うぅん・・・違うの・・・」

おどけて言ってみるが遮られた。べつに本気で服のことだって思ってた訳じゃないけど、ちょっと驚く。

「・・・ごめんね? 変なこと言ったりして・・・」

「だから、それは俺の言い回し方が」

「竜ちゃんは悪くないよ・・・だって、やっちゃんのこと心配してくれて、それで言ってくれたんでしょ?
 それなのにやっちゃん、1人で勝手に怒ったりして・・・子供みたいにふてくされて・・・竜ちゃんはぜんぜん悪くないのに」

また遮られた。しかし・・・今度はまた随分とへこんでるな・・・・・・
まぁ、思いつめてる内容が内容なんでちょっと人には知られたくないけど。
・・・・・・どうすっかなぁ・・・ただ口で言っても今は聞いてくれそうにないし・・・けどこのままにしておけないし。
・・・どうせ口移しだのあ~んだの、昨日から散々恥ずかしいことをやってきたじゃないか。
後先考えてないで、今は泰子をどうにかすることだけ考えろ、俺。

具体的に何をするかを決めて、俺は未だ自分の胸に顔を埋めている泰子に向かって声をかけた。

282:名無しさん@ピンキー
08/11/29 02:11:23 4npBEt51
>>261さんGJ
なんか本物読んでる気になった

283:名無しさん@ピンキー
08/11/29 02:11:23 wIbuw/J1
>>261
GJ!
ちゃんと原作っぽさが備わっていて、
なおかつ2828させてくれる。

284:174 ◆TNwhNl8TZY
08/11/29 02:11:34 5HG9E5IO
「・・・なぁ泰子、ちょっとだけ顔を上げてくれないか?」

「・・・・・・・・・」

黙って離れる泰子は、それでも顔を上げずにこっちを見ないようにしてる。
まぁいい。俺は少しだけ膝を屈めて高さを調節して

「ぁっ・・・・・・・・・」

泰子をしっかりと抱きしめた。
くっ付けた頬から熱が伝わってくる。密着してる胸から泰子の心臓の音が聞こえる気がする。いや、俺のかもしれないな。
抱きしめたまま、耳元でそっと囁く。

「俺は泰子の事をどうでもいいだなんて思ったことは絶対に無いぞ。
 ・・・大切だって、思ってる。できればずっと一緒に居てやりたいって思ってるくらいだ」

「・・・っ」

たった2人の家族だからな。俺が家を出たりして、泰子を1人にさせたくない。
一拍置いて

「あと、泰子が泣いてたのはやっぱり俺のせいだろ。泰子が謝ることなんて無いって」

言い終えて、今度は顔を泰子の目の前に持ってくる。ちらっと泰子の目に映った自分を見たら、茹蛸みたいだった。

「・・・だから、もういい加減風呂から上がらないか? こんなこと言い合っててもしょうがないし、俺まで冷えてきちまうよ」

「・・・・・・・・・」

そう言って抱きしめていた腕を解く。正直羞恥心が限界に達していて頭を何かに打ち付けたい衝動が半端じゃないけど、じっと耐える。
視線だけは泰子から外さないで待っていたら、弾かれたように泰子が動き出した。

「・・・・・・っ竜ちゃあん! ・・・んちゅ、ふむぅ・・・んうぅ・・・」

顔がぶつかるんじゃないかって思った瞬間にはもう泰子の舌が俺の口を割って入ってきていた。
って

「!? っぶは、いきなり何すんだ!? っていうかいきなり何すんだ!」

いかん、相当テンパってる。同じこと訊いてどうすんだよ。
そりゃ勢いつけて母親がくちびる押し付けてきたらテンパるだろ? つか何でキスなんかしてくんだよ。
しかも今舌だったよな!? 舌突っ込んできたのか!?

至近距離なのに、ほとんど俺を押し倒さんばかりの勢いで飛びついてきた泰子。
足が浴槽に入りっぱなしだから転倒しないようにまた抱きしめたら、あろうことか舌まで入れてくるような深いキスをお見舞いしてくれた。
口の中に自分以外の舌の感触を感じ取った瞬間、泰子が倒れないよう腰に回していた手を肩に置いて引き剥がし、顔を遠ざける。
訳が分からず、問いただそうとするが間抜けにも程があるような状態の俺。
2回も続けて同じ事を言っている俺に、泰子が鼻をスンスン鳴らしながら話しかけてくる。

「ぁ、ご、ごめんなさい・・・けど、やっちゃん嬉しくってぇ・・・ぐす・・・
 竜ちゃんが抱きしめてくれたのも、言ってくれたことも、とってもとっても嬉しくってぇ・・・
 そうしたら、なんだか竜ちゃんにチュウしたくなって・・・我慢できなかったのぉ・・・」

「泰子・・・・・・」

チュウなんて可愛いもんじゃなかったぞ、今の。それに舌入れてくるのをチュウで片付けんなよ・・・
心の中でそっとツッコミつつ、泰子の話しの続きを聞く。

285:174 ◆TNwhNl8TZY
08/11/29 02:12:18 5HG9E5IO
「ぐし・・・・・・ねぇ竜ちゃん。竜ちゃんはああ言ってくれたけど・・・やっぱり、ごめんなさい
 おかしな事言って、竜ちゃんの洋服濡らしちゃって、いきなりチュウして・・・困らせちゃってごめんなさい・・・」

「・・・・・・・・・おぅ、もういいって。だからもうこの話は終わりにしないか? いつまで経っても風呂から出れねぇよ」

「うん。・・・竜ちゃん・・・ありがと」

「だからもういいって。それより早いとこ体拭くぞ? 俺だって服ずぶ濡れになってんだし・・・」

これ以上は泰子も引かないだろうと思って俺の方から折れる。
なんだか風呂から出すだけで物凄く骨が折れた気がする。今度から『どうでもいい』は使わないようにしよう。
泰子の何に引っかかるか分からない。

やっと機嫌を直してくれた泰子の頭をバスタオルで荒く拭いてターバンみたいに巻いてやり、別のタオルで体の水気を拭き取る。
体を拭くのが1番厄介だろうと思っていたけど、あんな空気の後だからか、それとも無理やりくちびるを奪われた事を引きずってるのか
思っていたよりは泰子の体を拭いていても緊張しなかった。
一旦頭のタオルを取って代えのシャツと下着、短パンなんかを着せ終えて泰子を居間にやり、俺も自分の分の着替えを取りに自室へ行く。
自室で着替えて、脱衣所のカゴに濡れた服を放り込むついでにドライヤーを持って居間に入った。

「泰子、髪の毛乾かすからじっとしてろよ」

「あ、竜ちゃん。お願いしていい?」

「タオルじゃあ乾ききらないだろ。濡れたまんまだと風邪ひくし、このくらいはな。少しの間動くなよ?」

「はぁい♪」

「・・・・・・」

「♪~」

コンセントにコードを挿し込んでスイッチを入れ、温風を満遍なく行き渡らせるように動かしながら、たまに髪を手で梳いてやる。
大河とはまた違った感じの柔らかさだ。
さっきまでのへこみっぷりが嘘みたいに、
なにが楽しいのか鼻歌交じりでドライヤーをかけられている泰子と、黙って髪を乾かすのに集中してる俺。
たまに「竜ちゃん、大切だってぇ・・・」とか「ずっと一緒・・・それってぇ・・・」とか聞こえた気がするけど。

あらかた乾かし終えたら、ドライヤーを片付けて今度は手に湿布を貼って、添え木を包帯で固定してやる。
包帯も巻き終わって、俺はようやく人心地ついた。

「ほら、もういいぞ。またお茶でも淹れてくるからちょっと待ってろ」

立ち上がって台所に入り、冷めてしまった急須の中身を流しに捨てて、熱いお湯を注ぐ。湯飲みはさっき使ってたのでいいだろう。
居間に戻って座り、お茶を注いでいると泰子が擦り寄ってきて、余っている方の俺の腕に自分の腕を絡ませてる。

「ん? なんだよ」

「うぅん~、なんでもなぁい♪」

「? まぁいいけど。お茶飲むか?」

「うん、ちょうだい」

泰子が左腕に抱きついてる状態で口移しでお茶を飲ませる。大分慣れてきた感もあるが、まだ恥ずかしい・・・

286:174 ◆TNwhNl8TZY
08/11/29 02:13:03 5HG9E5IO
ただ、てっきり気紛れにくっ付いてきたと思ったら、その後もずっと泰子は俺にくっ付いてきた。
くっ付いてって言うよりも何て言うか・・・・・・ベタベタ? みたいな。
とにかく離れるのはトイレぐらいなもので、昼飯を作ってる時も立ったまま隣で見ていたし、
食ってる時も昨日や今朝以上にピッタリ寄り添って、おかずを食べさせる度に一々『おいしい!』だの大げさに言ってくる。
さっきの風呂から上がる時とはえらい違いだ。ころころ態度が変わるな。

さすがに不思議に思って、昼飯を食い終わった後に「良い事でもあったのか?」って訊いてみたら

「うぅん・・・ただねぇ? やっちゃん、もう竜ちゃんから離れなぁい♪」

とか言ってはぐらかされた。どうでもいいが無駄に機嫌が良い。あ、『どうでもいい』って使っちまったよ。
正直動きづらいし腕が胸に挟まれ・・・いや、動きづらいだけだ。

午後になると腕だけじゃなくて背中に抱きつかれたり胡坐をかいてる俺の膝に頭を乗っけてきたり・・・
止める理由も無いんでさせたいようにさせていたら、どんどんエスカレートしていく泰子。
手首だけは注意してるみたいだから問題無いだろうけど・・・
今では大河がやっていたように俺の膝の間に座っている。
大河よりは重いし、前が見えなくなるのでさすがに止めてほしいと言ったら

「・・・大河ちゃんはよくてやっちゃんはダメなんだぁ・・・」

・・・この一言でもう何も言えなくなった。
けど、ここで多少泰子の機嫌を損ねても、この時ばかりは自分の意見を押し通しておけばよかったんだ・・・

その後もしばらく俺の膝に乗っかってると、不意にこっちに顔を向ける泰子。

「んふふ~♪竜ちゃん~♪」

・・・頭で俺の胸をぐりぐりしてくるだけかよ。甘えっ子か・・・
子供にしてやるみたいにポンポン頭を叩いてやるとさらに体を寄せてくる。
そろそろくすぐったくなってきたので止めさせようと口を開こうとしたら、玄関の開く音が聞こえた。
驚いて玄関を見ると

「竜児ー? 居るわよねー?」

・・・・・・大河が、帰ってきやがった・・・・・・

「「おじゃましまーす」」

え? 櫛枝? それに川嶋の声!? 何故!?
い、いや、今はそんなことより

「泰子、どいてk」

「あんた・・・やっちゃんと何してんの?」

「た、高須くん・・・?」

「・・・・・・・・・」

余裕で間に合わなかった・・・そりゃ玄関から居間まですぐだもんな・・・
どける事ができずに泰子を膝に乗っけたまま俺は・・・・・・

287:174 ◆TNwhNl8TZY
08/11/29 02:13:36 5HG9E5IO
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Q 事情を知ってるはずの大河が指をバキボキ鳴らしながら近づいてきて、
  櫛枝がなんの冗談も言わないまま固まっていて、
  川嶋が周りの目も気にしないで素で俺を睨んでくるんですけど、どうすれば生き永らえる事ができると思う?
= 駄犬、まず土下座して私に許しを請え。その後泣きながら「俺には大河しかいないんだ」って言ってぎゅってしろ。
= た、高須くん? 私にゃちょ~っと状況が掴めないんだけど・・・とりあえず今度お店に来たら盛っておくぜ、『いろいろ』。
= 手乗りも天然もどうでもいい。亜美ちゃんを蔑ろにはしないよね? ね? 高須くん? ・・・したらどうなるか分かってんだろうな、おい?
= た、高須・・・逃げぐおおおお!? ・・・お前と、裸でソフトボールがしたかぎゃあぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・

「うぉおう!? 一体何があった!?」

「きゃん!? ・・・・・・竜ちゃん、いたい・・・」

い、いつもの感じじゃなかった・・・何か恐怖の塊みたいなのに押し潰されてたような・・・それも3つくらい・・・
思わず大声を出して泰子を払いのけた俺に、大河達が訝しげな視線を送ってきながらも、急に訪ねてきた訳を語ってきた。

「ちょ、ちょっと竜児、なに言ってんの? 私はべつに帰ってき・・・やっちゃんのお見舞いに来ただけよ」

「私は高須くんが2日も学校に来ないから、てっきり悪の組織と死闘を繰り広げて重症を負って動けないと・・・」

「・・・櫛枝さんの冗談は置いといて・・・高須くん、お母さんがケガしたんでしょ? 亜美ちゃんに何かできることって、あるかな?」

矢継ぎ早に話しかけてくる大河達。どうやら俺を心配して家まで来てくれたようだ。

「そ、そうなのか? ・・・櫛枝も川嶋も、わざわざすまないな」

「・・・え? りゅ、竜児? 私も・・・」

「いいってことよ高須くん。私と君の仲じゃあないか!」

「そうだよ高須くん? 『すまない』なんてあたし達の間でそんな、水臭いじゃない」

「・・・・・・ありがとな、2人とも。お世辞でも嬉しいよ」

「・・・・・・・・・」

今までの人生で、風邪をひこうがケガをしようが、学校を休んだ俺を心配して家まで様子を見に来てもらった事なんて無かった。
生まれついての目つきのおかげで。だから、お世辞でも2人が言ってくれたことは素直に嬉しかった。
親指を立ててニッコリ笑ってる櫛枝と、いつもみたいに外面を作ってからかってくる川嶋。その横で・・・

「・・・・・・・・・」

大河がスカートを握り締めて俯いていた。

「・・・大河?」

そう言えば2人の相手ばっかりしていて、大河の話を聞いていなかった気がする。
大河は元々成り行きを知ってるし、櫛枝と川嶋に話を合わせてると思ったから後回しにしてしまったんだが・・・
悪いことしたなぁ・・・除け者にされたと思っているんだろう。

288:174 ◆TNwhNl8TZY
08/11/29 02:14:10 5HG9E5IO
「大河も、ありがとうな」

「・・・べつに・・・私はやっちゃんのお見舞いに来ただけよ。駄犬のことなんて・・・」

「分かってるよ」

「ん・・・・・・」

言いながら頭を撫でてやる。口調はキツイけどさっきみたいな泣きそうな顔が引っ込んだから大丈夫だろう。
櫛枝と川嶋が黙って撫でられてる大河を信じられないって感じで凝視しているけど、ここで大河のフォローを怠ると後が恐い。
微妙な空気の中、俺が休んでる間に学校であった事を3人に聞こうとして・・・できなかった・・・

「ねぇ竜ちゃん? おともだち?」

・・・・・・・・・泰子が俺の肩にしな垂れかかりながら訊いてきたから。
なんで今そんなことを・・・一瞬で微妙だった空気が凍てついた。皆動きが止まったじゃないか。
いや、大河だけは撫でるのを止めた途端に俺を睨んでるけど・・・

「・・・・・・ク、クラスメートの櫛枝と川嶋だよ。大河と一緒によく話に出てくるだろ?」

「あぁ~、大河ちゃんのおともだちのぉ。竜ちゃんのママの泰子で~す。やっちゃんって呼んでね?」

泰子。自己紹介で俺と腕を組む必要なんて無いだろ? 無いよな? だから腕を解いてくれよ。
捻挫している手首はぶつけないようにしながら、両腕を器用に俺の腕に絡める泰子。
仕事柄慣れきってるんだろう。俺が気付いたときには完全に組まれていた。

「や、泰子? ちょっと腕を・・・」

「え~? なぁに? 竜ちゃん」

さらにぎゅうっと俺の腕を締め付けてくる泰子。挟まってる! 挟まってるって!

「だ、だから、腕を放してほしいんだけど・・・」

「やだ」

やだって・・・・・・
大河は未だに俺を睨んでるけど、櫛枝と川嶋は困惑しきった感じで顔を見合わせている。

289:174 ◆TNwhNl8TZY
08/11/29 02:14:50 5HG9E5IO
「・・・・・・友達が来てるんだ。俺だってもう2日も学校行ってないんだし、気になることだってあるんだよ。
 それにわざわざ来てもらっておいて、お茶も出さずに放っておけないだろ。だから放してくれよ」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・泰子・・・」

「・・・・・・・・・」

それでも腕を放さない泰子に、いい加減焦れた俺は大河達の方に顔を向ける。

「・・・・・・悪い、3人とも。来てもらったのに変なところ見せちまって」

「へ? あ、あの・・・高須くん? 私達べつに・・・」

「うん・・・亜美ちゃん達、気にしてないよ。だから高須くん? ちゃんと埋め合わせはしてくれるんでしょ?」

「・・・あぁ・・・本当に悪い。来てくれてマジで嬉しかった・・・このお詫びは絶対にするから・・・なんか、考えといてくれ」

こんなところはやっぱり察しがいいな、川嶋のやつ。
心苦しいけど、泰子が抱きついてる格好で櫛枝達と楽しく過ごせる訳が無いし、泰子が腕を放す気配が全然無い。
だから・・・メチャクチャ失礼だと自分で思うけど、皆には帰ってもらうことにした。

「・・・・・・竜児」

「・・・大河も、済まないな・・・来てくれてありがとな? ・・・(飯、できたら呼ぶなり届けるなりするから、悪いんだが・・・)」

「・・・・・・分かったわよ。・・・みのりん、スドバ行かない? ばかちーも来たけりゃ来れば」

「逢坂さん? 亜美ちゃんをハブにするなんていい度胸してんじゃねぇか? チビタイガーのくせに」

「うっさいわね・・・あんたは来なくてもいいのよ、プチメタボチワワ。行こ、みのりん」

「おっしゃあ! 今日はスドバのデザート制覇するぜぃ、大河! 行こう! ダイエット戦士の休日じゃあ!」

「テメェ手乗りタイガー! 誰がプチメタボだコラァ! あたしは食べても太らない体質だって言ってんだろ!?」

「じゃあ、行ってくるね、竜児・・・やっちゃんも、またね」

「高須くん、学校でねー」

「シカトすんな! ・・・あ、じゃあね? 高須くん、お母様」

「お、おぅ。またな」

何と言うかまぁ・・・女三人寄れば姦しいって言うけど、騒ぎながらうちを出て行く大河達を見て本当にそう思う。
川嶋なんて完全に地が出てたし。しかも最後お母様って・・・

それよりも・・・・・・

「・・・・・・泰子。なんでこんな事したか、ちゃんと説明してくれんだよな」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

俺はこっちを見ないままでいる泰子に、自分でも珍しいと思うくらい不機嫌さをあらわにした語調で話しかけた。

290:174 ◆TNwhNl8TZY
08/11/29 02:15:25 5HG9E5IO
本当はもっと3人娘を暴れさせたかったけど別の機会に
次は多分佳境。水曜までには上げる予定です

291:名無しさん@ピンキー
08/11/29 02:24:55 zaGPdGxo
何という修羅場
しかしやっちゃんなら結構ありえそう

292:名無しさん@ピンキー
08/11/29 02:28:24 rR1vygYc
これ竜児どうなるんだ(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

293:名無しさん@ピンキー
08/11/29 02:51:08 mUj4dlR+
修・羅・場!修・羅・場!
GJッス!!

294:名無しさん@ピンキー
08/11/29 02:54:23 rR1vygYc
やっぱり可愛い息子が、他の女のモノになるのが嫌なのかな?
でもやっちゃんは若くて美人だから、まともに張り合ったら洒落にならん( ゚∀゚)

295:名無しさん@ピンキー
08/11/29 04:32:36 XUTcozqZ
>>241-244
櫛枝君って
野球な弟の子か?
それとも、婿養子なの?


>>261-262 264-270
4月に春田君や木原さんたちに、同棲疑惑かけられてるし。
修学旅行のあと、学校で竜児が寝ぼけて『大河』と叫んだし。

296:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:37:13 WGJN6Edy
すいません、初めて書いてみたのですが
無駄に長くなってしまったので、途中ですが投下してみます。

297:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:38:16 WGJN6Edy
「ほら、男ならもうとっとと脱ぎなさいよ」
逢坂大河はベッドの端にちょこんと座って、気だるそうに俺へ催促をする。いや、命令をする。

「ちょ、ちょっと待てよ、大河…これって何かがおかしくないか?」
俺は、ある意味夢のような展開に戸惑いを隠せない。
だいたいこんなに事がうまく運んだことなんて俺の人生にはない。今回だって、きっと何か罠があるに違いない。
大河の事だ。全裸の写真を学校にばら撒くとか、
脱いだ瞬間に警察が突撃してくるとか、
終わった後に100億円請求されるとか、とにかく何かがあるに違いない。それに……

「た~~かすく~ん、恐がることなんて何もないんだぜ~」
櫛枝実乃梨はオーバーに手を広げながら、「冗談を言う時の顔」で俺に声を掛ける。
何で櫛枝までここにいるんだ。そして、何でこんなにかわいいんだ。
この無駄に強靭な理性と弱きさえなければ、今すぐ抱きついて色んなことをしているのに、ちくしょう。

「あぁ、わかった。あんた、自分のあそこに自信がないんでしょ」大河はそう言って、軽く嘲笑をしながら俺を見る。
「そ、そんな事ねえよ。別に自信があるわけじゃないけど…ないわけでもない」
「だったらもう早く脱ぎなさいよ。ってか女に何度もこんな事言わせんじゃないわよ、バカ」

「そうだよ高須く~ん、これは千載一遇…いや、一万載一遇のチャンスなんだよ~」
櫛枝は大河のイライラを打ち消すかのように、満面の笑みで俺のほうへ少しだけスリスリと寄ってくる。
こうやって櫛枝も大河派になった時は、大抵言われた通りにしてしまう。
櫛枝はいつも適当なことを言っているように見えるが、実はちゃんと考えていたりもする。
それを分かっているから、俺は「櫛枝が言うのなら」とズルズルと言われた通りにしてしまったりする。
もちろん、櫛枝は本当に冗談だけで言ってる時も、実は何も考えていなかったりする時もあって、俺は場合によっては後悔する時もあるのだが。
今回は一体、何を思って言っているのか正直検討もつかない。

298:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:39:37 WGJN6Edy
「じゃあもういいわよ、駄犬が」大河がわざとらしくあくびをしてこっちを見る。
「もうこんな気二度と起こさないんだから。後から泣いて土下座してきても無駄だから」

「誰が土下座なんてするかよ」俺は意地になって言い返す。

「行こう、みのりん」大河は優しい声で櫛枝に声を掛ける。俺と櫛枝とで声を使い分けてやがる。
「う、うん」櫛枝は少しばつの悪い顔で返事をする。大河の機嫌の悪さを察してのことだろう。

それから少しの沈黙が続いた後、大河は荒々しく立ち上がり、ベッドに蹴りを入れる。
ベッドの中央でまだ体育座りをしていた櫛枝は、その揺れでゴロンと横に倒れる。
制服のミニスカートがチラッとめくれて、真っ白な無地のパンツが見える。

「うわ~~大河何すんだべさ~」櫛枝はめくれたスカートを戻しながら言う。
「あ、ごめんみのりん…みのりんに蹴ったんじゃなくてね、このダメ犬に蹴ったんだけど」
「あぁそっか…ならば許~す!」
「へへへ、ありがとみのりん」

二人のそんな会話も、耳で止まって脳にまで入ってこない。俺の頭は、櫛枝のスカートがめくれた時間で止まっている。
漫画なら間違いなく、俺は今鼻血を出しているであろう。俺は赤面しながら、無意識に櫛枝のスカートを凝視し続ける。

「このエロ犬が」そこで大河がさっきよりも強くベッドを蹴り上げる。震度6並の揺れがベッドの上で起きる。
「あ~れ~」櫛枝がゴロンゴロンとこっちへ転がってきて、肘を付いて横になっている俺の胸元に頭をぶつける。

「いてててて」櫛枝がおでこの辺りを擦りながら言う。俺のほうをゆっくり見上げて「ち近っっ」と驚く。女の子特有のシャンプーのいい香りが漂ってくる。
こんなに間近で櫛枝のことを見たのは初めてだ。部活で汗をかくからか、化粧はほとんどしていないように見える。
化粧もしないでこんなにかわいいなんて、奇跡、いや女神としか言いようがない。
 
俺はとっさに櫛枝の肩に手を回す。
「あへっ?」櫛枝が拍子抜けした声をあげる。
そのまま櫛枝の身体を自分のほうへ寄せる。もうどうにでもなれ。

ドカン、と大きい音がした。恐らく、この音は自分の身体のどこからか出たものに違いない。案の定、背中から激痛が走る。

299:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:41:28 WGJN6Edy
「あんた、何してくれちゃってんのよ」大河が鬼のように睨みながら言う。「しかもあんた、今私の存在忘れかけてたでしょ」
「いやあ、それは…」返す言葉が浮かばない。
「その手、離しなさいよ」櫛枝の肩に掛かっている俺の腕を指差す。

「スースースースー」櫛枝はアニメでしか見たことのないような寝息で寝たふりを演じだした。逆に目立っている。

櫛枝の身体に触れて、俺の中で何かのスイッチが入っていた。
「関係ないだろ」思ったよりも強い口調になってしまった。「櫛枝ももう寝ちゃってるんだし」慌てて訳の分からない言葉を付け足してしまった。

櫛枝の身体がちょっとビクンとする。恐らく、冗談でやっていた寝たフリを引っ込みづらくしたに違いない。
「スヤスヤ、スヤスヤ」というパターンの寝息に変えた。熟睡を表現しているのか。何にしても余計にわざとらしいぞ、櫛枝。

「竜児がみのりんの身体に触るなんて、100年早いのよ」相変わらずきつい目で大河が言う。

「そうだぜ~、続きは100年後にやろ~ぜ~」目を閉じたまま櫛枝は言う。恐らく今は何も考えていない櫛枝だ。

「俺が何やろうと勝手だろ」俺はもう今更引き返せない。「だいたい、さっきまで乗り気だったのはお前らだろ」
「そ、それはそうだけど…」大河が少し怯む。
「俺はこの一万載一遇のチャンスを掴むことにしたんだよ」
「あっそう…じゃあもう勝手にすればいいじゃん」大河が少し涙目になる。
それをごまかすように髪をバサバサと掻いてうつむく。「バカ犬…」

床に落ちているバッグを持って、そのまま急いで部屋から出て行く。
バタンとドアの閉まる音が部屋中に響き渡る。しばらくしてバキッという音がする。恐らく向こう側からドアを蹴ったに違いない。

300:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:42:19 WGJN6Edy
「…ゲーム、オーバーですな」櫛枝がシリアスな表情を作って言う。
俺は相変わらず櫛枝の肩に手を乗せている。
近過ぎて、心臓のバクバクいってる音が聞こえているのではないかと一瞬不安になる。「放っとけばいいんだよ、あんなやつ」

「いいのかなあホントにそれで」真剣な表情でこっちを見ている。これは本音を言ってる時の顔だ。
「大河、高須くん誘ってる時、生まれたての小鹿みたいに手がプルプル震えてたんだぜ~」

気付かなかった。いや、俺は大河の気持ちなんて考えようともしていなかった。
何か罠があるに違いないなどと疑っていた自分が少し情けなく思えてきた。
俺は大きくため息を付き、伸ばしていた足をくの字に曲げる。「大河、怒ってるよなあ」

くの字に曲げた膝が何か柔らかいものに挟まれた。何だろうと下に目をやる。
あぁ、櫛枝の内ももに挟まれてる。内もも!?
足をくの字にした時に櫛枝のスカートの中に膝が入ってしまったのである。
膝小僧の辺りには布のような、恐らく櫛枝のパンツであろう感触が伝わってくる。

「いきなり下を責めるなんて、お主、いい度胸をしておるな~」
冗談めいた声を出しているが顔は少し赤くなっている。無理もないだろう。櫛枝だってこういう経験は初めてなんだから。

俺は「ごめん」と言いながらも足を戻そうとしない。
言うまでもなく、下半身はもうガチガチに硬くなってる。この機会を逃したら、俺は多分一生童貞だ。
膝をさらに櫛枝の股間に食い込ませて、少し上下に動かしてみる。

「ちょっと…」櫛枝が少し眉をひそめる。
「あんさん、膝で擦るなんて、聞いたことありまへんで」もっともな事を言われた。

俺はもう決心をした。今から櫛枝と、ヤル。
肩に乗せていた手を離し、櫛枝のあごに持っていく。
そのまま親指に力を入れて少し上を向かせる。
セックスの前にはまずキスをするという常識を俺はいつの間にかどこかで得ていたらしい。
ゆっくりと櫛枝の唇に近づける。櫛枝は何も言わず目を閉じている。

301:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:43:12 WGJN6Edy
その時、ガタンという音とともにドアが開いた。
「駄犬がやっぱり発情してるわ…気持ちわる」大河が戻ってきた。
「何だよお前、帰ったんじゃないのかよ」
「忘れ物」
「あぁそう」
「どうぞお構いなく」そういうと大河は雑にバッグを床に置いて、ベッドに乗ってきた。「狭いからもっとあっち行きなさいよ」
「何だよお前、忘れ物じゃないのかよ」
「一々うるさいわね。寝るの忘れたのよ」
「何だよそれ」

「まあまあお二人さん。仲良く川の字で寝るのもオツなもんだぜ~」櫛枝がまた絶妙なタイミングで声を掛ける。
「まあ、川の字なら大河が真ん中じゃないといけませんな」

「どういう意味よみのりん」大河は本当に意味を聞いた。

少しの沈黙ができた後、大河が口を開く。「で、気にせず続きやればいいじゃない」

櫛枝が俺の顔を見る。「え~と、高須くんが私の股間にゴシゴシと膝を押し付けてきたところからですな」

バチンと大河に頭を叩かれる。「あんた、何してんのよ」
 
俺はひとしきり言い訳をした後、これからどうするべきかしばし考えた。
正面には横になった櫛枝が、背後には同じく横になった大河がいる。しかもベッドの上。
もう恥じらいなんて要らない。俺は心の中で「よし」と気合を入れた。

櫛枝の胸に右手をそっと当てる。

「うわああっ」不意打ちを食らって櫛枝はびっくりする。
「て、敵が…し、使途がAT、ATフィールド突破してきました碇司令~」
いつもの冗談にも歯切れがない。確実に動揺している。

俺はそのまま右手に力を入れて、ギュッと胸をわし掴みする。
制服の上からでも柔らかい感触がちゃんと伝わってくる。

「お、お主…」少し間が空いて口を開く。
「ちょっと、高須くん本気?」素のトーンで聞いてきた。
今はふざけている余裕がないのかもしれない。

302:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:44:08 WGJN6Edy
「冗談でこんな事するわけないだろ」
俺は左手も櫛枝の胸に持っていき、そのまま両手でゆっくり回すように揉んでいく。
櫛枝も観念したのか、目を閉じて、静かに行為を受け止めている。
押してみたり、下から持ち上げてみたり、強く揉んでみたり、とにかく櫛枝の胸の感触を味わった。
乳首の辺りを人差し指でカサカサと擦ってみると、櫛枝は顔を歪めて身体をビクンとさせた。ここが気持ちいいのか。

俺はここで2つの目標を立てる。
1つは櫛枝の乳首を立たせること。
もう1つは櫛枝にあえぎ声を出させること。

俺はひたすら乳首を集中攻撃することにした。
ずっと触っているお陰か、制服の上からでも乳首の場所はほぼ正確に分かってきた。

初めは人差し指で周辺をゆっくりなぞるように触っていく。
そして少しずつなぞる円を小さくしていき、最後は乳首に到着。名づけて焦らし攻撃。まずはこれを繰り返す。
櫛枝が息を押し殺して、ゆっくり鼻で呼吸をする。手ごたえありだ。

次は爪を立てて人差し指と中指でカリカリと乳首を擦る。
これには櫛枝も応えたのか、すぐに身体をビクンと動かす。調子に乗って、少し強めに動かす。
もう一押しで、櫛枝のあえぎ声が聞けるはずだ。カサカサと制服を擦る音がいやらしく響く。

時々身体をクネクネと動かすものの、なかなかあえぎ声を出さない。
仕方ないから、一度リセットという意味で胸全体を揉み直す。
やっぱり何度触っても最高の感触だ。しばらく弾力のある感触を楽しみながら、次にどうするべきか考える。
もう服を脱がすか?いや、制服の上からであえぎ声を出させることに意味があるんだ。
果たしてそこに本当に意味があるのかは不明だが、まだ服を脱がしてはいけない気がする。しかし一体どうすれば……そうだ。

俺は胸をゆっくり触りながら、ブラジャーのカップ部分の上に手を置く。
櫛枝は何?という訝しげな顔で少しだけこちらを見るが、また目を閉じる。
俺は制服越しにグイグイとカップの中に手を入れようとする。しかし乳首までは届かない。仕方がないので、下に強引に引っ張ってカップを下にずらす。
見事に成功。制服越しではあるが、何とか乳首をガードしているものを取っ払った。
うっすらと制服から乳首の出っ張りが分かる。ここだな。

俺はまずは周りからジワジワと触っていき、十分に布一枚越しの胸の感触を堪能した後、親指と人差し指で出っ張りをキュッと摘む。

「んぁっ」櫛枝が小さくあえいだ。俺の指にカチカチになった乳首の感触が伝わる。勝った。

「か、完敗だぜ」そう言って櫛枝はわざとらしく大きく肩を落とす。どうやら櫛枝も何かと勝負していたようだ。
俺はにっこりと笑い、次の段階へと進むべく、櫛枝のブラウスのボタンに手を伸ばした。

303:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:44:55 WGJN6Edy
「あーあー暇なんだけど」後ろから大河の声がする。
あまりに夢中過ぎて、大河がいるのをすっかり忘れていた。
俺はどういう顔して大河を見ていいのか分からないので、背を向けたまましばらく硬直した。

ダルそうに大河のほうに振り返る。「お前、寝てなかったのかよ」
「エロ犬の鼻息がうるさくて眠れないわ」
「う、うるせえよ」
「だいたいねえあんた、それ以上胸ばっか触ってると、みのりんのおっぱいから母乳出るわよ」
「げっマジかよ」
「ふっ…嘘に決まってるじゃない。あんたそんな知識のままよくもまあガツガツとやれたわね」
「い、いいだろ別に」
「そもそも普通こういうもんはキスから始めるもんでしょ?それをまあバカみたいにハァハァしながらおっぱいばっか触って」
「お前、そんなに見てたのかよ」
「こんなに近くにいたらそりゃ目に入るわよ、ったくこれだから童貞犬が」
「うっせーよ。お前だって処女だろ」
 俺の腹筋に小さな拳がめり込む。

 櫛枝が俺の身体にちょこんと腕を乗せてこちらを覗き込む。
「おっとお二人さん、激しい前儀ですなあ」うしししっと本当に楽しそうに笑う。
「ではでは、私の役目はこれにて終了ですな」そう言ってズラされたブラジャーを元の位置に戻そうとする。
 
「あ、ちょっと待って」俺は反射的にそれを止める。
 大河が軽蔑のまなざしをこちらに向ける。
「あんた、まだ揉み足りないの?」
 
俺は少し赤面する。「べ、別にそういう訳じゃねえよ」
「何顔赤くしちゃってんのよ。バッカじゃないの。あんたみたいのは一生スポンジでも握ってればいいのよ」
「何だよそれ」
「あ~スポンジが汚れるわ。せいぜい丸めた雑巾ね」
「ちっ何なんだよ。お前さっきから突っかかってきてばっかだぞ」
「うるさい」

「とう!」櫛枝が突然立ち上がる。
「それでは、後は若い二人に任せて、お母様は帰るとしますかね。フォッフォッフォッ」
そう言って掛け布団を俺と大河にガバッと覆い被せてくる

304:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:46:57 WGJN6Edy
視界が一気に真っ暗になる。俺はすぐにそれをどけようと身体を起こそうとする。

その時、手をギュッと強く掴まれる。

「痛って」強過ぎる握力に思わず声が出る。
「ちょっと、まだ行かないでよ」大河が少し怒ったような口調で言う。
「何でだよ」
「べ、別に理由なんてないけど」

俺はその時、大河の手が小刻みに震えていることに気が付いた。こいつ、もしかして…
俺はここでどうするべきか考える。ベッドの上で布団に包まって二人きり。これは俗に言う大チャンスというやつかもしれない。
しかし相手は大河…もちろん何もやりたくない訳ではない。俺も男だ。したいに決まっている。
何より、毎日一緒にいて、そういう対象として見ていなくても、大河のかわいさには十分気付いている。
ある意味、憧れのような気持ちもどこかにあったのかもしれない…
しかしそれを認めたくはないし、そんな事口が裂けても言えない。
だったら……俺は大きな賭けに出ることにした。

俺はゆっくり深呼吸をして、大河の顔があるであろう暗闇を一直線に見る。
「大河、お前俺とHしたいか?」剛速球ドストレートな球を投げる。

「…へっ?」当然面食らっている。

「だから、大河は俺とHしたいか?」
「はぁ?バカじゃないの?駄犬が何言っちゃってんのよ」
「だって、お前さっきだって乗り気だったじゃねえかよ」
「あ、あれはみの、みのりんと一緒に冗談言ってただけじゃない。真に受けないでよ」
「そうか。じゃあ俺は櫛枝のとこにもう行くぞ」俺は身を起こそうとする。

「ちょ、ちょっと待って」大河がそれを止める。
 沈黙が続いた後、大河がボソボソと何か言う。
「何だよ」俺は聞き返す。するとまたボソボソと何か言う。
「何だよ?言いたいことあるならはっきり言えよ」
「…だから、竜児が私とHしたいんなら別にしてやってもいいわよ」

もしかして、とは思っていたが、実際にこんな答えが返ってくると、やっぱり焦る反面嬉しさも込み上げてくる。
しかしだからと言って、手放しで喜ぶわけにもいかない。それに相変わらずの上から目線もどうも納得いかない。

「俺は、別にどっちでもいいけど」
「わ、私だって、別にどっちでもいいわよ」

305:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:47:46 WGJN6Edy
再び沈黙が続く。恐らく、どっちも向こうの口から言わせようとしているに違いない。
こういう駆け引きの時はいつも俺のほうが折れる。しかし、今日こそは…
ここはもう何としても大河の口からハッキリと「俺とHがしたい」と言わせたい。
そうすれば、この先どれだけコキ使われようと密かに優越感に浸れる気がする。
 
「んで、どうすんだよ?」俺は気がなさそうに聞く。
「だから、私はどっちでもいいってさっきから言ってるでしょバカ犬」
「俺もどっちでもいいんだって」
「だったら男のあんたが決めなさいよ」
「こういう事こそ、女性の意思を尊重すべきだろ」
「ちっ」と大河が舌打ちを打つ。
 
一呼吸置いて大河が口を開く。「竜児と…Hがしたい」
よっしゃ。俺はそれを聞いた瞬間、思わず笑みがこぼれる。

「…なんて言うわけねえだろおおおおおおおおおおお」至近距離で大河のばかでかい声が響く。
「だいたいさっきから…あんたの股間から硬いもんが当たってんのよ。私の太ももに」
俺は何も言えない。
「そんなもん押し付けといて、何が俺はどっちでもいいのよ。笑わせんじゃないわよ、この発情犬が」
俺は何も言えない。
「んで、あんたは私とHしたいの?したくないの?どっちなのよ」
「したいです」
「何?聞こえない」
「大河さんとHがしたいです」
「よろしい。初めからそう言いなさいよ全く」
「じゃあ私はここで寝てるから、全部自分でやりなさいよ」大河がいつもの口調で言う。 
「全部自分って…」俺もいつもの口調で返す。
「いいわね?」
「わ、わかったよ」

こんな会話前にもしたな、とふと思う。あぁそうだ、こないだの大掃除の時だ。あの時も結局…

306:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:48:46 WGJN6Edy
フワーと大河が大きなあくびをする。「早くしないと、私眠っちゃうから」
俺はごくりと唾を飲む。「じゃあ、行くぞ」
しかし真っ暗で何も見えないため、どうすればいいか分からない。
まず、最初はキスだよな…俺はとりあえず手探りで口を見つけることにした。
握っていた手を離し、身体をポンポンと叩いて確認しながら、顔のほうへゆっくり手を持っていく。
しかし、いまいちどこに手を当てているのか分からない。

「わりい暗くて全然わかんねえ。今肩の辺りだよな?」
「胸だバカ」大河の舌打ちが聞こえる。
「ごめんごめん、なんか平べっ…」暗闇の中、大河の拳が僕のあごを確実に捉える。
「それ以上言ったら、殺す」
 
俺は何とか手探りの状態で顔まで到達する。
えーと、口はここらだよな。ペタペタと顔を触る。
人差し指がプスッと何かに入る。
「痛ったあ、そこ鼻の穴だドアホオオ」

「はぁぁ…」大河が深い深いため息をする。
「ったく、口はここよ、ここ」ガシッと顎を掴まれて顔を上に引っ張られる。
「私にやらせんじゃないわよ」大河の息が俺の口に掛かる。
大河の口が俺の口の目の前にある。その距離、多分3センチくらい。
 
俺はまた生唾を飲む。と同時に、大河のほうからもごくんと唾を飲む音が聞こえてくる。そしてそれをごまかすかのように、わざとらしく咳き込んでいる。

「じゃあ、するぞ」
「うん…」
俺はゆっくりと顔を前に近づける。

307:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:50:33 WGJN6Edy
「ま、待って…」大河が止める。
「なんだよ」
「さっき…」
「さっきが何だよ」
「さっき…みのりんとキスしたの?」
「はぁ?してねえよ」
「あっそ…じゃ、じゃあ竜児は今まで誰かとキスしたことあるわけ?」
「ねえよ」
「ふ~ん。私も、私もね、ないから」
「そっか」

俺は唇をそっと近づける。唇と唇が触れ合う。大河の唇の柔らかさが伝わってくる。
キスって、こんなに気持ちいいもんなんだ。
俺はそのまましばらく静止する。
そして恐る恐る舌を唇の中に入れようとする。大河がそれを受け入れる。
俺の唾液と大河の唾液が絡み合う。ネチョネチョという音が、布団の中に響く。

息が苦しくなってきたところで口を離す。
二人ともプハーーとすぐに息をする。

何となく恥ずかしいような気まずいような沈黙が続く。

「うえっあんた今日野菜炒め食べたでしょ」
「食ったけど…お前もだろ、同じ弁当食ってんだから」
「わ、私はご飯の後歯磨いたもん!」

これ以上言うとまた殴られそうな気がしたので何も言わない。
それにしても、口を離してもまだ何故か息苦しい。そうか、布団の中の酸素が無くなってきてるんだな。

「大河、ここもう息苦しくねえか?」
「うん、たしかに」
俺たちは布団をバサッと投げて外に出ることにした。


《《 続く 》》

308:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:51:21 WGJN6Edy
今回は以上です。
長々と失礼しました。

309:名無しさん@ピンキー
08/11/29 10:14:49 G4gc41ec
>>261,296
あんたら・・・最高だよ・・・・・

310:名無しさん@ピンキー
08/11/29 15:03:36 an5xwdkC
早く続きを投下してくれないと風邪ひいちまう

311:名無しさん@ピンキー
08/11/29 15:16:29 gZH9q3eS
結局、竜児が折れるような展開は飽きたな。
たまには強気で行って欲しい。夢オチや凌辱の類でなく。

312:名無しさん@ピンキー
08/11/29 15:37:06 vviOV2oQ
>>311
そうなるとハーレムになるからな
いや、ハーレムは好きだけど

313:名無しさん@ピンキー
08/11/29 15:58:07 L0GGJ1Oz
>>308
なに!?そこで切るとは、なんという生殺し
ともかくGJ!


314:名無しさん@ピンキー
08/11/29 16:21:42 sCA8O3EA
>>312
竜児のハーレムって…

「お前らの身の回りの清掃は俺が全てしてやる!」

こんな感じにしか考えられない

315:名無しさん@ピンキー
08/11/29 17:02:06 WrxGDPHz
アパートの管理人さんな竜児か…
似合うな、天職といってもいい

316:名無しさん@ピンキー
08/11/29 17:46:13 fScqRJ1q
竜児が管理人で店子がヒロイン+やっちゃんとか
アパートと言うより下宿みたいな雰囲気だな

317:保管庫”管理”人 ◆Dash///1.k
08/11/29 17:55:34 CrGQ7raW
こんにちは、お久しぶりです。
SSの保管についてのご相談なのですが、以前多数投下されたコピペ改変SSは保管した方がよろしいでしょうか?
コピペの改変という事で苦手意識、または嫌悪感などがある方もいらっしゃると思います
皆さんの意見を聞かせてください。

318:名無しさん@ピンキー
08/11/29 17:58:55 h8gUEWKU
いらん

319:名無しさん@ピンキー
08/11/29 18:02:07 an5xwdkC
いつも乙です
コピペまで保管しだしたらキリがないかと

320:名無しさん@ピンキー
08/11/29 18:27:22 TNIQoZPg
いらね

321:名無しさん@ピンキー
08/11/29 19:01:29 vviOV2oQ
保管庫に入れた方がいいと思う
コピペだから知らなかった人が同じネタを投下しないとも限らないし

小ネタまたはコピペと注意書きすればいいんだし

322:名無しさん@ピンキー
08/11/29 19:17:25 bc1tUBSq
個人的には、改変コピペまで保管する必要はないかと思います


323:名無しさん@ピンキー
08/11/29 19:21:29 giGLpAUh
小ネタなんかはともかく、コピペはさすがにいらないんじゃないかと

324:名無しさん@ピンキー
08/11/29 19:41:31 L0GGJ1Oz
賛成多数で可決されました

325:119
08/11/29 19:57:23 W3ysix88
どもども、>>119です。
<花二本目>が完成したのですが・・・すげぇ長くなってしまったorz
グダグダに思えるかもしれないのですが、どうか見てやってください。
全8スレの予定。

326:119
08/11/29 19:58:30 W3ysix88

<花二本目>

「あ、お早うございます」
「お、おう」
「はよーざいあーす」
「…おう」
後輩襲撃事件から二日。何というか、高須竜児は困っていた。

今朝、いつも通り大河を起こしに行って高須家で一緒に朝食をとる。その時に大河から
「今日は、別々に登校ね。わかった?竜児」 と言われた。
別に一緒に登校できないからといって、何も騒ぐことはないが、少し気になったので竜児は疑問を口に出した。
「いきなりどうしたんだ?俺、何か気に障ることしたか?」
…原因がすぐ自分にあると考えるあたり、この男の性格がしれる。この過小評価な性格のせいで周り(特に女の子)は多大なる被害を被っているのだ。
「別に。ただみのりんがちょっと話したいことがあるからって」
そう大河に言われてしまうと竜児はそれ以上、質問を重ねるわけにもいかず。
「おう、わかった」
と、了承の返事をした。何か大河が、ぶつぶつ言っていたが声が小さくて聞き取れなかった。
「…あ、そうだ。大河」
「だいたい何で放送なんかでちゃうのよあの放送がなかったら今だって安心して…何?竜児」
「お前、最近いつも顔赤いけど、どうしたんだ?風邪か?しかも、起こしに行ってもすでに起きてて、準備万端だし」
「…!う、うるっさい!この駄犬!!わ、私がどうしようと私の勝手でしょうが!!」
「いや、風邪ひかれたら困るだろうが。お前のことが心配なんだよ」
「…!!!」 大河がフリーズする。
「お、おい、大河?大丈夫か?学校いけるか?やっぱ大事をとって今日は休んだほうが…」
「うるさーーーーい!!!早く学校行きなさいよ、ばか竜児!!」

そう追い出されるように家を出たのだ。ちなみに、大河が実乃梨と話があると言っていたから、いつもの登校ルートも変えている。
ふっ、さすが俺、『気遣いの高須』。そう竜児が一人悦に浸っていると
「おはようございまーす」 
声をかけられた。
今、誰に挨拶したんだ?いや、でも周りに人はいないし。もしかしなくても、俺か?何で見知らぬ男子(おそらく一年生)に俺が朝の挨拶をされるんだ?
テンパリながらも、「…お、おう」と、返す。
その男子は何事もなかったかのように、自分を追い越していった。
いや、やはり俺の勘違いだったのだろうか…?でも、本当に自分の周りには人がいないのだ。だからあの挨拶は確実に自分に向けられたものであって…
ステータス・状態異常『混乱』で竜児が出した結論は。
『あの一年生(おそらく)がとても気のいい奴だったんだろうな』だった。
そう一応の答えを出しておいて、また竜児は歩き始める。こんなヤンキーみたいな俺にも挨拶をしてくれるいい奴はいるのだ。そんな奴に朝から会えた俺は、今日ついてるんじゃないか…
と、つらつら考えながら歩く竜児は、まったくもって甘かった。そりゃもう甘かった。
学校に近づくにつれ、自分に向けられる挨拶は増え、そこで冒頭につながるわけである。


327:119
08/11/29 19:59:01 W3ysix88
何がどうなってるんだ?
混乱と戸惑いの極みの竜児の頭の中は、この一言が占めていた。
この俺が。生まれつきの目つきの悪さで、恐れられるのが常なこの俺が。もしかして、『下級生から慕われている』?
いやいや、ないない、それはないから。冷静に判断を下す自分がいる。
この、血もしたたたるような、とか射殺すような、と言った言葉がピッタリの面の野郎がどうしたら人に慕われるというのだ。
でも、それ以外どうすればこの状況に説明がつく?この奇妙奇天烈摩訶不思議な状況に一体どういう説明が…

「お早うございます、先輩」 まただ。
「…おう、おは!?お前か!!」
「朝も早いうちから、失礼ですね先輩。私でも傷つきますよ」
「あ、それは悪い…」
ラジオネーム K・Yだった。というか、今更だが名前を知らない。ゆえに、目の前の人物をK・Yと呼ぶしかない。
だが、今の竜児には後輩の名前などどうでもよいのだ。飛んで火に入る夏の虫。今は冬だが。目の前の『貴重な情報源』からいくつかこの事態に説明のつく事柄を…!
「なぜか、今日は異常に下級生から挨拶をされるんだが、お前何か知らないか?」
言って、自分で馬鹿なことを言っている、と感じた。大体、下級生全体の思惑などその中の一人でしかない彼女が知るはずも
「あ、それはですね。先輩のイメージが今うなぎ登りだからです」

……。

「は?」
「?そんなに不思議なことですかね?そもそもあの昼の放送で先輩の印象はガラッと変わりましたし。私の友達にも『今、胸がキュンってした…』って言ってる子がいましたし」
「いや、ええ?キュン…?」
「はい。それで一年生全体がそんな状態の時に、私が一昨日のことを語ったものだからもうすごくて」
「…語った?一昨日?」
「はい。本当にすごかったですよ。友達にしか話さなかったのに、次の日には一年生ほとんどが知ってましたから」
すげぇな、女子。口の軽さ的な意味で。
「それでもう、先輩の株がすごい上がってしまって。なので、今日はそんなに挨拶されるんだと思います。ようは、みんな先輩のことを慕ってるんですよ」
そういって、K・Yは颯爽と校舎に入っていってしまう。残された竜児は放心状態で
「ありえねえ…」 と呟いた。



328:119
08/11/29 19:59:32 W3ysix88
それから、校舎に入ってクラスまで行く途中に、いろいろな人から「おはよう」を貰った。
先輩だったり、同輩だったり、後輩だったり…要するに全員である。
竜児が誰かとすれ違うたびに、すれ違った人は「あ、おはよー」なんて声をかけてくるのだ。
…正直うれしい。やっと、本当にやっと、自分がヤンキーではないとわかってもらえたのだ…!!と微妙にずれた喜び方だったが。
竜児はご機嫌だった。―教室に入るまでは。

「鼻の下を伸ばしてお喜びのようねぇ、だ・け・ん…?」

うわーい。手乗りタイガーがご立腹でいらっしゃる…。
大河の後ろからゴゴゴゴゴゴゴ!!と黒い何かが吹き出ている。…なぜこんなにこいつは怒っているのだ?
「…いいじゃねぇか、別に!!やっと、本当にやっとだぞ!?ようやくみんなに俺がヤンキーなんてもんじゃないとわかってもらえたというのに、それのどこが不服なんだ!!」
「別にあんたのイメージなんてどーでもいいのよ、私は。私が言いたいのはね、ちょっと下級生に言い寄られたからって、あんなだらしのない顔を見せないでちょうだいって事」
「俺が、いつ鼻の下を伸ばしてたっていうんだよ!!」
「この教室から、あんたと一昨日の女が話してたのが見えたのよ。ね、みのりん?」
その言葉に、思考が止まる。
「いやー、高須君。こういっちゃあなんだけど…デレってたね!」
そう、竜児の肩をぽんと叩きながら実乃梨が後ろから出てくる。

みのりのこうげき!
つうこんのいちげき!
りゅうじはしんでしまった!

おお、りゅうじよ。しんでしまうとはなさけない。

…はっ!あまりのショックに意識が飛んでしまっていた。
どうやら大河と実乃梨は竜児の意識が飛んでいた間も、目の前で竜児について語っていたようだ。
二人でやいのやいの言い合っている。お前らなぁ…と思っていると、
ふと、違和感を感じた。いつもならここに川嶋もいるはずなのだ。それが今日は姿が見えない。あいつ、どこいった?と周りを探すと、一人ぽつんと席に座っていた。
余計に違和感を拭えずに、川嶋に声をかけようとすると。
―妙に真剣な瞳と目があった。そして川嶋は何も言わず、竜児から目をそらし教室から出て行く。
その姿が妙に寂しくて、竜児は言いようのない胸騒ぎを覚える。急き立てられて追いかけようとすると

「ちょっと、竜児!!聞いてるの!?」 大河に引きとめられてしまう。
胸の中にすっきりしない思いを抱えながらも、「いや、悪い。聞いてなかった。すまん」と答えておく。
大河もその竜児の様子に何かを感じたのか「竜児?どうかしたの?」と尋ねてくる。
いつのまにか実乃梨も竜児を真剣な様子で見つめている。
「いや、少し気にかかることがあっただけだ。別に大丈夫だから」
そう。今日の朝はいつもの日常と違っていたのだ。
―川嶋亜美が絡んでこない、という点で。


329:119
08/11/29 20:00:48 W3ysix88
昼休み。考えがあって、休み時間のたびに弁当を少しずつ食べていた竜児はみんなより一足先に食べ終わる。
「飲み物買ってくる」
と、みんなに言って教室を出る。どうしても、一人だけで行きたかったのだ。それは、朝の違和感の正体を確かめたかったからに他ならない。
そして竜児が目的地―自動販売機―に到着すると、やはり目当ての人物もそこだった。
昼休みのチャイムが鳴った瞬間に教室を一人で出て行った、川嶋亜美が自販機と自販機の間にしゃがみ込んでいた。
「おう、早いな、お前。ちゃんと飯食ったのか?」
竜児がそう尋ねると、亜美はうっとおしそうに答える。
「別に、関係ないじゃん。高須君には。…ていうか、そっちこそ何でこんなに早いの?もしかしてストーカー?」
「ストーカーじゃねぇよ。ただ、何て言うか、朝のお前の様子が気にかかってだな…」
そういうと、ますます亜美の機嫌が悪くなる。
「は?何で高須君にあたしが心配されなきゃいけないの?まじでキモイんだけど」
「な…おま、キモイとか言うなよ!!俺だって傷つくんだぞ!?」
わざわざ早弁までしてこの場所に来た自分に、この仕打ち。ジーザス、神は死んだのか。
「お前が意味深な行動をとるから、気にかかって来たんだろうが!」
「別に、亜美ちゃんそんなこと頼んでないし。ていうか、それ高須君の勘違いだから。わかったらさっさとどっか行ってよ」
うおおおお…!!と怒りにもだえる竜児に、容赦なく亜美は言葉の矢を放つ。
この野郎、人の優しい気持ちを…と、竜児が言葉を続けようとその凶眼で目の前の人物を見据えると

妙にその存在が小さく見えた。しゃがんでいるからかもしれないが、確かにそう感じた。その印象がいつもの『川嶋亜美』とはかけ離れていて。
それこそ―儚げ、といったような、そんな風に見えてしまったのだ。
「…何、急に人のことじーっと見て。さっさとどこか行ってって言うのが聞こえなかったの?」
「川嶋」
竜児が突然名前を呼んだことで、亜美が訝しむ。その顔で、何なのこいつ?、と思っていることが丸わかりだ。
けれど、竜児はなぜか亜美がそのまま消えてしまいそうな気がして。その不安をぬぐうためか、口から言葉が飛び出してくる。

「――お前、ここからいなくならないよな?」
「どこにも行くな。いや、行かないでくれ。これからの学校生活にお前がいないなんて、そんなの、俺は嫌なんだ」


330:119
08/11/29 20:01:32 W3ysix88
…沈黙。言い終わった途端、竜児に恥ずかしさがこみ上げてくる。顔が上げられない。勢いに任せてつい出てしまった言葉だが、もしかすると今俺はものすごく痛い奴なのでは…!!
川嶋もうつむいたまま顔を上げないし、やばいこれは取り返しのつかないミスを
「…何で、そーゆうとこは鋭いかなぁ?」
その言葉に竜児は驚き、恥ずかしさも忘れてガバッと顔を上げる。目の前の女の子は、あーあ、といった感じで苦笑していた。
「本当、高須君って気づいてほしいことは気づかないのに、気づいてほしくないとこには気づくよね」
「…どういう、意味だ?それは、お前がどっかに行くっていうのを認めたのか?」
「まぁ、ね」
そう、何でもないことの様に亜美は言う。急な告白についていけていない竜児に言葉を重ねる。
「元から、一学期が終わったときに、学校やめるつもりだったの。ストーカー騒ぎのほとぼりが冷めたら前の学校に戻るか、通信教育か、って」
だから別に特別な事情で、とかじゃないよ―と言う。しかし、それならなぜ冬になってもまだ亜美がこの学校に通っているか、竜児にはわからない。
もちろん、竜児は亜美がさっさと転校すればよかったのに、何て思っていない。それでも疑惑の意志が表情に出ていたのか、亜美は続ける。
「一学期が終わったときは、もうちょっとここでやってみようって思ったの。ここでみんなと一緒に過ごしたら、あたしも何か変わるかもって」
「…何で、今はそう思えないんだよ。俺は、ちゃんと変わってると思うぞ」
そうだ。亜美は以前と比べてずっと変わった。少しずつだけど素を出せているし、木原や香椎は当然、それに大河や実乃梨とだって随分仲良くなっていたように思う。
それは、転校してきたばかりの頃の亜美からは想像できないほどに。それなのに、なぜ『転校しよう』などと思うのだ。
「―変わっちゃったから、だよ。高須君」
「はぁ?何でそうなるんだよ?お前、変わりたいから残ったんじゃないのか」
意味がわからない。すると、亜美は独り言のような口調で話し始める。

「転校してきたばっかりの時は、自分がこんな風になっちゃうなんてわからなかった。二人で欲しがってるようなものを自分も欲しいと思うようになるなんて。
 でも、それでも欲しいと思ったのよ。―だけど、最近になって気づいちゃった」
あたしって、すごい邪魔な存在だって。
「あたしが、無理に入ろうとするから余計にこんがらがっていって。途中から出てきたやつが、何で場を乱してるの?って自分で冷静に思っちゃった」
だから―と締めくくる。
「高須君は、あたしの事を気にしなくてもいいよ。全部あたしが招いた当然の結果だもん」
そう言って、ごめんね?なんて似合わないことを言う。だけど、その顔はとてもつらそうで―。


331:119
08/11/29 20:02:05 W3ysix88
「川嶋」
「何?もう本当に話す事は何も…」
「くらえ」
そういって、竜児は渾身の力で亜美にデコピンを決行した。
「~~~~!?いっったぁぁぁ!!何なの急に!?ていうか、モデルの顔に何してんの!?意味わかんないんだけど!!」
相当痛かったのか、立ち上がり自販機の間から出てきて竜児に詰め寄ってくる。
「るっせぇ、この野郎」
竜児の突然の行動(デコピン・会心の一撃)に当然のこととして亜美は抗議の声を上げるが、竜児のただならぬ様子に困惑する。
「馬鹿か、お前。いやそういや、ばかちーだったな」
「…!!な、何でそんな急にキレてるのよ!!ていうか、馬鹿とか高須君にだけは言われたくないんだけど!?」
「いいや、お前は馬鹿だ。大馬鹿だ。何て言うか、すごくいたたまれないレベルで」
「何でそんなこと言うの!?私だって色々悩んで、本当に悩んで、それなのに―」

「自分は邪魔者だ、とか、勝手に決めつけてんじゃねぇよ!!」

竜児はそこに怒っていた。いや、激怒していた、と言ってもいいかもしれない。目の前の少女は、勝手に自分で気まずくなって、最悪な形で自己完結した。
そこがどうしても竜児には許せなかった。川嶋が、亜美が、誰かにとって邪魔でしかない、などという妄言が。
「お前が邪魔者だ、なんて誰も思ってねぇに決まってんだろ!?木原や香椎とか、めちゃくちゃ仲いいじゃねぇか!!」
「別にあの二人は今回の事とは何も関係ないし!!何でそんな」
「大河や櫛枝とだって、仲良くしてただろ!!」
「―!!今このタイミングでそれを言う!?信じられない!!あんたなんか…!!」
一際大きくなった亜美の声に、竜児は、川嶋が悩んでいる原因はそこか、と当たりをつける。
「何で、そこを拒絶するんだよ。誰がどう見ても、お前ら仲良かっただろ」
「~~何でそんな事平気でいえるの!?こうなったのも、あんたが原因の一端じゃん!!あんたが自分の気持ちをはっきりさせないから…!!」
「俺は、櫛枝実乃梨に、好意を持ってる」
言った瞬間、亜美が固まる。泣き出しそうな顔で、気づきたくない事に気づいてしまったというような顔で。
だけど、まだ続ける言葉が、竜児にはあるのだ。
「そして、逢坂大河を守ってやりたい、とも思っている。あいつは、びっくりするぐらいのドジだし、『一人でできる!!』なんて言いながら傷だらけになるやつだから」
「…はぁ!?何それ、高須君ちょっとおかしいんじゃ」
「それに!!」

―川嶋亜美という女の子を大切にしたい、とも思っている。


332:119
08/11/29 20:03:06 W3ysix88
「…何、それ」
呆然と、亜美が呟く。
竜児は当たり前の事のように言う。
「確かに、おかしいのかもしれない。だけど、これが俺の今の気持ちなんだ。櫛枝のことは好きだ。それこそ一年近く想ってきたしな。
 …だけど、それと同じくらい大河を守りたい、とも、お前を大切にしたいとも思ってる」
ようするに、ベクトルだ。それぞれの矢印は見当違いの方向に飛んでるのかもしれないが―大きさはどれも負けず劣らずで。
「俺はこの気持ちは、偽りじゃない、と言える。櫛枝のことを好きで、大河を守りたくて」
そして亜美を大切にしたい、というこの気持ちは。
「お前、完全に素を出せるのなんて、男じゃ、北村か俺ぐらいだろ。女同士でも猫かぶらなきゃいけないときはあるだろうし、そういう時に、愚痴でも聞いて楽にしてやりたいって思うんだ」
川嶋亜美という少女は、大人のような目線を持ってるけど―だけどやっぱり自分と同じ高校生なのだ。
「場がこんがらがったなら、俺がほどく。こうみえても、手先は器用だからな。頑張ってみる」
そうやって語りかける竜児に、亜美は呆けた顔で、「…どうしてそこまでしてくれるの?」とこぼす。
それを聞いて竜児は苦笑しながら言う。
「だから言ったろ、川嶋。   

 ―俺はお前を大切にしたいんだ」

そう言うと、亜美は顔を真っ赤に染めてみせた。


333:119
08/11/29 20:03:42 W3ysix88
「お前、もう『転校する』なんて言うなよ」
「わかったって、しつこいなぁ。高須君それ何回言ったと思ってるの?」
「三回しか言ってねぇよ」
「…うわぁ、自分の発言数えてるし。高須君、そういうの引くからやめた方がいいよ?」
「お前は調子が戻ったら、すぐ俺を傷つけるよな!!」
「え~?そんなことないけどぉ?」

そう言い合いながら、自分たちの教室に戻っていく影二つ。その姿は、双方に気安さがあって、楽しそうだった。



「あ、そうだ。高須君」
「何だよ」
「教室に戻ったら、高須君の口から『川嶋も本格的に参戦するから』って、タイガーと実乃梨ちゃんに言っといて」
「…また、よくわからん指令を」


そして、休み時間ぎりぎりで帰ってきた二人に大河と実乃梨が詰め寄り、竜児の口から出た言葉に障気をまき散らすのは、別のお話。

<花三本目に続く>

334:119
08/11/29 20:04:56 W3ysix88
以上!!

今回は亜美のターン。
もうわかったかもしれないけどラストはみのりんwww

ご希望の竜児初ラブレターとかお便り二人目とかは次に入れるつもり

335:119
08/11/29 20:10:48 W3ysix88
>>325
スレって何だ俺・・・
どんだけ長編だよ。うわー、すげぇ死にてぇorz

336:名無しさん@ピンキー
08/11/29 20:15:40 BmL5Wcn3
天然ジゴロw

337:名無しさん@ピンキー
08/11/29 20:44:35 4npBEt51
>>325
GJだ
だが亜美とのカラミはやっぱりオリジナルが欲しかった気もするぜ
しかしサブでも大河は可愛いな

338:名無しさん@ピンキー
08/11/29 20:45:54 /91XeFkp
これは刺されるぞw

339:名無しさん@ピンキー
08/11/29 20:51:16 0UvkZsCp
この全自動口説きマシーンが!
GJ!!

340:名無しさん@ピンキー
08/11/29 21:01:47 cytH16mF
ちょw竜wおまww

341:名無しさん@ピンキー
08/11/29 21:03:18 G4gc41ec
なんだ亜美か

342:名無しさん@ピンキー
08/11/29 21:30:32 L0GGJ1Oz
>>325
なんというハーレムGJ!
もちろん、全8スレの超大作期待してます
…残り7スレと992レス



343:名無しさん@ピンキー
08/11/29 21:48:00 0b/+YI+z
なんか竜児×亜美って同じような展開ばっかだな

344:名無しさん@ピンキー
08/11/29 22:08:52 P33eBJ7S
GJ!!!
さぁ早く三本目を書く作業に戻るんだ

345:名無しさん@ピンキー
08/11/29 22:29:01 sCA8O3EA
>>325
おちゅ!

竜児が人気になって嬉しいし、原作に沿ってるのも良いし
何よりも竜児のキャラがあんまし崩壊してないのが良い!

>>343
お前の言う同じ展開じゃない展開ってどんな感じなんだ?

346:名無しさん@ピンキー
08/11/29 22:36:53 G4gc41ec
>>345
ただ亜美を批判したいだけなんだから構うなよ
俺亜美のは読んでないから知らんけど

347:名無しさん@ピンキー
08/11/29 22:40:36 an5xwdkC
>>346
お前も余計な一言を付け加えるなよ

348:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:04:12 0b/+YI+z
俺は亜美ちゃん好きだよ、だからこそそう思った
やっぱ竜児は原作の展開からして亜美ちゃんと絡ませづらいんだよなぁ…
雪貞の方が書いてて動かしやすいし、いっそのこと雪貞がとらドラメンバーの学校に入学してて
同じ学年だったらのifで雪貞×亜美とか書いてみようかな…どう思う?

349:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:11:22 UBbsVkkd
>>348
いいんじゃない?
期待してる

350:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:15:31 an5xwdkC
>>348
いいんじゃね、俺は読みたい
ただ、一応寝取られになっちゃうだろうから、投下前に一言書いておいてくれるとありがたい

351:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:22:53 G4gc41ec
>>347
こんにちは、麻生太郎です アンチだからね

352:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:23:28 sCA8O3EA
雪貞って誰?

353:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:26:54 Y3O5ime4
田村くんの方が好きな俺を怒らせたな
絶対に許さない、顔も見たくない

354:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:32:14 7JdAjI4B
>>348
個人的には正直いらねw、、もちろんお前さんが書きたいなら書くべきだと思うが

355:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:34:36 h8gUEWKU
相変わらずの投下ラッシュだな
職人GJ

>>353
「顔は見れないだろうw」と突っ込めばいいのか?

356:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:37:09 cytH16mF
まあ確かに田村なら目の前で困ってる姿を見せさえすれば
突っ走らずにはいられない奴だから話は作りやすいんだろうが
結局最終的には第二の相馬を作り出すだけの結果に終わるんじゃないかって気もするんだよなあw

357:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:39:10 zaGPdGxo
雪貞と亜美の方が絡ませ辛そうだと思うのは俺だけだろうか
どうせifにするなら亜美提案の関係リセットした設定とかで書いても良いと思うけど
もしくは亜美と大河の立場が入れ替わったようなifとか
無理にクロスさせるよりもやりようがありそうな気がするけどな
俺は書けないけど

358:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:40:12 giGLpAUh
>>348
いらねぇ
見たくねぇから投下するんだったら前置きだけはちゃんとしといてね

359:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:49:40 IOmiIwyc
>>353
金村乙

クロスは個人的に要らないかな。オリジナル要素が強いSSは痛すぎる。


360:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:56:50 GZzWWFl/
>>348
雪貞が童貞に見えたw

>俺は亜美ちゃん好きだよ、だからこそそう思った
>やっぱ竜児は原作の展開からして亜美ちゃんと絡ませづらいんだよなぁ…
>童貞の方が書いてて動かしやすいし、いっそのこと童貞がとらドラメンバーの学校に入学してて
>同じ学年だったらのifで童貞×亜美とか書いてみようかな…どう思う?

361:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:57:08 00l4kBLv
要るとか要らないとか言い始めたら、せっかくの投下祭り終わってしまうがな・・・
苦手ならだまってスルーじゃダメなんかい君ら

362:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:01:45 rQ2z+nXl
いや、どう思うって聞かれてるのにスルーじゃ駄目だろ

363:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:03:43 Pesg+LUX
亜美は竜児以外の男とくっつくの嫌なの俺だけ?

364:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:16:53 kP2fJ3zs
もうSS職人の勝手にしろよ!!どんなSSでも受け止めてやるよ!

365:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:26:08 6AIUQS/w
そろそろ相馬×田村を…

366:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:27:17 D5QeouZV
>>363
俺もだ。

>>348
クロスはちょっと…
投下する時は告知してくれ。見ないから。

367:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:34:55 pcCcuvr6
ワシもどんなSSでもいいぞ
キャラ崩壊しても、思いっきりif、リセットでも
面白ければよい、許す だが


368:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:40:21 gVBGlBSK
保管庫管理人さんからの質問も忘れるな
>>317

俺もいらんかなーとは思う

369:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:51:33 X7IQQQbj
竜児×伊欧はギリギリクロスじゃないよね

370:297
08/11/30 01:16:06 09uFOWRh
「17分51秒。なかなかいいタイムですな」櫛枝がニコニコしながら腕時計を見るフリをして言う。
「さぁ、次は世界新を狙ってくるのだ~」シャキーンと人差し指を俺たちに向けてくる。

俺と大河は目を合わせる。二人とも恥ずかしくなって、目を逸らす。

俺はこの後、どうするべきか考える。
というか、今日はどうするべきかばかり考えている気がする。
この状況じゃ無理ないか。
とりあえず、いや、とりあえずという言い方は失礼だな。
ここまでやったのなら大河と続きをやるべきだろうなやっぱり。櫛枝もああ言ってるし。

俺は横に座っている大河を寝かす。

「うわわわわあああ。布団は?布団の中は?布団の中じゃないのか~~い」櫛枝が慌てる。
櫛枝は手で目を覆いながら「もういいかい、ま~だだよ」と小さい声で繰り返し言う。

大河は仰向けになってキョトンとしている。
俺はゆっくり大河の胸に手を伸ばす。

手をパチンと弾かれる。
「胸は触んじゃないわよ」大河がこっちに鋭い視線を向ける。

そうか、こいつ胸に相当コンプレックスあるんだよな。
しかもさっき余計なこと言っちゃったし…これはどうすればいいのか。

「そんな事言ったって、胸触れなきゃ、先に進めないだろ」俺はなだめるように言う。
「そうだけど…それでも嫌なの」大河は歯がゆそうに言う。
「別に笑ったりしないからさ」俺はもう1度大河の胸に手を伸ばす
「だから胸は嫌って言ってんでしょぉ」さっきよりも強く手を弾かれる。

「あぁそうかよ。じゃあもういいよ」
俺は大河の態度にかなりイラッとくる。
なんだよ、人がせっかく恥を捨ててまでやってるのに…

俺はまたこの後どうするべきか考えなくてはいけない羽目になった。
「もういいかい、ま~だだよ」を繰り返してる櫛枝が目に映る。
えっと、さすがにこの後すぐに櫛枝に行くのって、人としてダメだよな…
でも待てよ。もう3人でこんな事してる時点で今更何しても同じじゃないか?
むしろさっきの途中でやめたまま終わったら、櫛枝に失礼じゃないか?
うん、失礼だ、多分。いや絶対……これが男の悲しい性か。
俺は自分で自分の正当化の希薄さに苦笑いしつつも、櫛枝のほうへ近づく。
この際、後ろの大河のほうから漂ってくる殺気は感じないことにする。

371:名無しさん@ピンキー
08/11/30 01:16:17 tqLsZESv
>>317
いらないと思います
あと、いつも保管ありがとうございます&ご苦労様です


さて竜虎あげます
書きたてピチピチの新鮮ものです
短いですがご容赦を。

372:297
08/11/30 01:16:53 09uFOWRh
櫛枝の肩をトントンと叩く。
目を覆っていた手を下に置く。

「何の用だい、坊や」櫛枝が渋い声を作って言う。
「いや、大河が嫌だとか言うからさ」俺は少し口を尖らせて言う。
「お~そうかいそうかい」櫛枝は俺の頭をいいこいいこする。「で?」という?マークが目には映っている。
「で、だからこっちに来た」
「お~そうかいそうかい」相変わらずいいこいいこを続ける。

櫛枝はいいこいいこをしていた手を止めて、少し考える。
「という事は…」少し間が空く。
「大河がダメだったから仕方なしに私の身体で妥協するって魂胆なのね。そういう魂胆なのね~~~」

俺は思わず笑ってしまう。
「やっぱり櫛枝ってかわいいな」
無意識に本音を言ってしまう。俺の顔が見る見る赤くなる。
「お、欧米か~~!」頭をこつんと突っ込まれる。櫛枝も同じく赤面している。
「なんで欧米なんだよ」俺は笑いながら言う。

やっぱり俺は櫛枝が好きだ。櫛枝の全てを知りたい…
俺はこの時再度決心をした。櫛枝と、ヤル。

俺は櫛枝をゆっくり押し倒す。
櫛枝はされるがままに、仰向けになる。
そして櫛枝の唇に唇を重ねる。
さっきと同じように、いや、経験を生かしてむしろさっきより手際よく舌を口の中に突っ込む。
櫛枝の舌をベロベロと舐めまわす。

しばらくして、キスを一回やめて、櫛枝の顔を見てみる。
櫛枝は目を逸らして、悲しそうな表情を冗談めいて作る。「大河の、味がするわ…」

「ぎくっ」
俺は漫画のような声を出してしまう。やはり後ろめたさが相当あるからだろう。
しかし今更躊躇なんてしてられない。
俺は櫛枝の胸に手を伸ばそうとする。
ん、待てよ?手を止める。
櫛枝の胸はさっき散々触ったな。それよりも…

俺は櫛枝の下半身を触りたいという欲求に駆られる。
手を上半身から下半身へとスルスル移動させる。

「ぬわっ」櫛枝がびっくりする。「あ、兄貴、行き先間違えてますぜい」

373:297
08/11/30 01:17:36 09uFOWRh
俺の指が櫛枝のパンツに触れる。
櫛枝は本当に恥ずかしそうな顔をする。
この櫛枝の「素」の感じに戻ってしまう瞬間が好きだったりする。

櫛枝の足を大きく広げさせる。
真っ白なパンツが丸見えになる。こういう格好、エロ本でよく見るな、と思う。
俺はこのショットをしっかりと見たいと思って、少し下がって見てみる。
しっかりと目に焼き付ける。しかしそれだけではまだ物足りない。
俺は制服のポケットから携帯電話を取り出し、写メで撮ろうとする。

「それだけはご堪忍を~」
櫛枝が土下座をしてベッドに頭をグリグリ押し付けてる。
「あー悪い、撮らないよ」
そりゃそうだよな、と思う。
「じゃあ撮らないから、またさっきのポーズしてくれよ」今度は自分で足を広げさせる。

まずは内ももをゆっくり擦る。
そしてひとしきり焦らしてから、そっと陰部のほうへ指を向かわせる。
櫛枝はギュッと強く目を閉じる。
指が陰部の辺りに届くと、ビクッと身体を震わせる。
そのままスジに沿って、指を縦に動かす。
「ぁっ」櫛枝が声を漏らす。
乳首の時はあえぎ声出させるのに散々苦労したのに…

「櫛枝って、もしかして下のほうが敏感か?」
「ふっ…」意味深な笑いをして、またすぐに目を閉じる。

俺はさらに上下に指を動かし続けた後、少し上ら辺のクリトリスがあるであろう場所を集中的に擦る。
「あぁっあっぁっ」櫛枝のあえぎ声が大きくなる。
白いパンティにうっすらとシミのようなものができる。
俺は嬉しくなって、爪を立ててさらに激しく擦る。

俺はシミをもっと付けたいという欲望に駆られ、右手でクリトリスの辺りを擦り続けたまま、
左手で、パンティ越しに穴のなかに中指を突っ込んでグリグリと動かした。
案の定、どんどんシミが付いてくる。
俺の左手にも濡れた感触が伝わってくる。

しばらく続けていると、櫛枝がパッと俺の腕を掴んだ。
「これ以上やると、パンツを家の洗濯カゴに入れれなくなりますぜ…隊長」
「たしかにそうだな…」俺は納得した。

さて、いよいよ櫛枝のあそこを拝める時がきたか…
いや、待てよ。何かを忘れてる。
そうだ、俺はまだ櫛枝の生乳を見ていない。

374:297
08/11/30 01:18:10 09uFOWRh
「櫛枝、バンザイして」
「ん?あらよ~っと」言われた通りバンザイをする。
俺は櫛枝の制服を上にスルリと引っ張って脱がす。
上はブラジャーだけの状態になる。
「う~~さびいい」櫛枝は身体をガタガタと震わせてみせる。

次にブラジャーを取ろうと、ホックに手を掛ける。
しかしなかなか取れない。
そもそもどういう原理でくっ付いてるのかもイマイチ飲み込めない。
がむしゃらに外そうと、しばらくホックと悪戦苦闘する。

「ではでは、ヒントを与えてしんぜよう~」人差し指を立てて、ニコニコしながら俺のほうに振り向く。
「いいよ、自分でやるから」もたついてる自分が恥ずかしくて、断る。

3分後、何とかブラジャーを外すことができた。
「おー」櫛枝はパチパチと拍手をする。

そういえば櫛枝、今はそんなに恥ずかしそうじゃないな。
そりゃそうか。下やってから上いってるんだもんな…
自分の不甲斐なさに苦笑する。

「櫛枝、じゃあ次は…」
って座ってたはずの櫛枝がいない。
どこだ?

何故か床にうつ伏せになって寝ている。
「お前いつの間に…ってか、何でそんなとこにいるんだよ」
「ははは~何となくさ~」
「何となくするような事じゃねだろ」俺は櫛枝の顔を覗き込む。「いいからこっち来いよ」
櫛枝が真剣にこっちを見る。「じゃあさ…」
「何だよ」
「電気消そうぜ~」

「櫛枝…お前も胸見られるの恥ずかしいのか?」
「ふんふんふん」首を激しく縦に振る。
「お前は胸を恥ずかしがる必要ねえだろ」
今度はブルブルと首を横に振る。

そっか、初めて男に見せるんだもんな。
櫛枝でもこんなに恥ずかしいってことは、普段から劣等感抱いてる大河は…
何だか胸が痛くなる。

「大丈夫だ櫛枝。こっち来いよ」櫛枝の髪を撫でる。「俺はありのままのお前を見たいんだ」

櫛枝がゆっくり起き上がってこっちに来る。
ふっくらとした胸に、ピンク色の綺麗な乳首が見える。

「綺麗だよ、櫛枝」
「あ、あ、ありがとう」目線は合わせないが、俺の正面に座ってくれる。
俺はもう1度櫛枝の髪を撫でる。

375:297
08/11/30 01:18:54 09uFOWRh
「そうだ」俺はふとある事を思う。「俺も服脱いだほうがいいよな」

櫛枝があからさまに顔を引きつらせた後、手を挙げる。
「ん?どうした櫛枝?」
「反対に1票~」

「何でだよ!」俺は思わずツッコミを入れる。
「高須くん、武士はむやみに刀を抜かないもんなんだぜ」櫛枝が真面目な顔をして言う。
「櫛枝、意味わかんねえよ」
「意味はいつか分かればいいさ」

「じゃあとりあえず、暑いし制服だけ脱ぐぞ」
「うわ~ちょっとちょっと~」

俺はベッドの上で、まずは上着を脱ぐ。
そしてズボンを脱ごうとするが、ベッドの上だとどうも不安定で脱ぎにくい。
案の定片足立ちした時、体勢を崩す。
「うわっ」俺は後ろに思い切り倒れる。
頭をガンッと硬い何かにぶつける。
「痛ってえ」俺は頭を擦りながら、ぶつけた方を向く。

そこには後頭部を擦っている大河がいた。いや、鬼がいた。
「ふふふふふふふふふ」
肩を揺らして不気味に笑っている。髪が前に垂れていて、顔が見えない。
「すまん大河、悪気はないんだ」俺は躊躇することなく土下座する。
「あんた、人の寝てるベッドで散々エロい事やり続けた上、頭突きまでお見舞いしてくれるなんて…」
大河が前髪をバサッとかき上げる。目から火が出ている。
「いい根性してるじゃねえかああああああああああああああああああああ」
土下座している背中に容赦なくキックの雨が降ってくる。

「あ~大河おはよ~」櫛枝が大河に手を振る
「あ、みのりんおはよ~」笑顔で櫛枝に手を振り返す。
助かった…

「助かっただと?まだまだ楽しみはこれからだぜ、ふふふふふ」
なぜ、心の声が聞こえている…

それからどれくらいだろうか。
櫛枝が待ち切れずウトウトしてしまうくらいの時間、俺は蹴られ続けた。
死ぬかと思った。いや、途中で1回死んだ気がする。

376:297
08/11/30 01:20:17 09uFOWRh
「みのりん、お待たせ」気が済むまで蹴り続けた後、大河が愛想よく櫛枝に声を掛ける。
「わ~逢いたかったよ~大河~」櫛枝が大河に抱きつく。

それから大河を真ん中にしてベッドに座る。
変な間が空いた後、大河が口を開く。
「なんか、妙な違和感があるわね…」

そりゃそうだ。大河だけ制服姿で、俺と櫛枝は上半身裸なんだから。
「き、気のせいだよな、櫛枝…」俺は顔を引きつらせながら、櫛枝にアイコンタクトを送る。
誤魔化せる訳ないと頭で分かっていても、口が勝手に動いてしまう。
何としてもこれ以上の暴力は回避したい…

「いんや、高須くん。この中にエラーが一つだけあるぜ」ピカーンと人差し指を立てて上に挙げる。
それからメガネを上げるジェスチャーをする。「しかもIQ60の問題です」

「そ、そうかなあ…俺には何も違いが分からないけどなあ…アハハハハ」

「はい、みのりん」大河が手を挙げる。
「はい、大河さん」櫛枝が指す。
「私だけ、服を着ています」
「正解~」パチパチパチと拍手をする。
俺もつられてとりあえず拍手しておく。
あばらにパンチが飛んでくる。

「私がいない間、ずいぶん楽しそうなことやってくれてるじゃない、このエロ犬が」
「いやあ、これは…」

「一体、何してたのかしら?」大河が白々しく聞いてくる。
「何ってそれは…」
「パンツの上から指を押し付けてきたんだよね!それから上半身を脱がせて…えっと途中で写メールも撮ろうと…」櫛枝の口をバッと手で塞ぐ。
「お前、野球のハイライトじゃないんだから、そんな明るく説明しなくていいんだよ」

大河が汚いものでも見るような目でこちらに視線を送ってくる。

「…ここら辺にゴキジェット無かったかしら?」
「一体何する気だよ!」

377:297
08/11/30 01:24:45 09uFOWRh
以上です。
やっぱり書くのは思ってる以上に難しいですね。
気付いたらただの独りよがりなものになってて自分でも痛々しいw
しばらく修行して、投下できる域に達したらまた挑戦してみますw

378:名無しさん@ピンキー
08/11/30 01:36:17 tqLsZESv
GJです
3人動かすのって難しいですよねー
俺もエロ書こうとして途中で挫折してるんでその気持ち分かります


あげようとしてたのはタイミングかぶちゃったんで2時くらいにあげます

379:名無しさん@ピンキー
08/11/30 01:42:08 09uFOWRh
おまけにタイミングまで悪いなんて自分は一体…
ほんとすいませんでした。
竜虎いつも楽しみにしています。

380:名無しさん@ピンキー
08/11/30 01:54:46 QVTO46pW
未来永劫残るものでは有りませんし、娯楽なのですから、完璧を狙うのもどうかと思います。
もちろん、低水準杉というのも問題ありますが、今、このスレで求められているのは、プロの書く小説のような完成度ではなくて、本当に「楽しめればいい」のだと思います。
はぁ。しかし、そんなに落ち込む必要ないと思うのですが? ID:09uFOWRh さん。
読ませて楽しませた人が勝ちだと思います。つまり貴方が勝者です。

って、竜ちゃんや大河ちゃんに対するやっちゃんみたいに、甘やかせが過ぎるかしら。

381:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:21:45 pNs96wqC
>>377
乙なんだけど、このSSに出て来る大河がウザ過ぎる。

382:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:22:50 tqLsZESv
んじゃあげます

『夕焼けステップ』


いつもと同じ、いつもの帰り道。隣にはいつもと同じ、手乗りタイガー。
冬が近づいて来ているせいで最近はめっきり寒くなってしまった。この時期は陽は直ぐに落ちてしまうから今は夕焼け。
二人分の長く伸びた影。
片方は普通の長さ。もう片方はけっこう小さめ。
そんな影を見て、大河はポツリと呟く。

「…疑問に思ってることがあるの」
「おう、なんだ?」
「アンタは…そういえば、私が小さくても、気にしないわよね」
「…おう、何を今更」
「私の…その、胸が小さくても、気にしなかった。むしろフォローしてくれたし」
「胸の小ささなんか気にするかよ」
「どれだけ文句を言っても、ワガママを言っても、…許してくれる」
「まあ、…な」

竜児は苦笑いをする。それだけで持ち前の三白眼が怪しく光るが、そんなこと大河は気にしない。
大半の人間はこの目を見ただけで怯え、竦み、逃げ出すのだろう。
だが大河には分かる。この目は優しい目。どんなことをしても逢坂大河という人間を、偏見もなくそのまま見ていてくれる目。
だからこそ、分からない。
どうしてこの目が自分に向けられるのかが。もっとふさわしい人間は他にもたくさんいるはずだろう。
そんなことがこみ上げてきて、つい聞いてしまう。

「どうして?」

と。

それを聞いて竜児はマフラーに口を埋める。不機嫌になったのではない。ちょっと嬉しくなってしまったのだ。
「この少女は自分の考えていることと全く同じことを考えている」と、そう分かって。
だからこそ、その問いの答えは決まっていた。

「お前が、逢坂大河だからだよ」

と。

383:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:23:41 tqLsZESv


きっと、人はそんなに簡単に分かり合えない。
外見。性格。生活スタイル。宗教。人種。信念。心情。
どれもが同じ人間なんて存在しない。だからこそ、人は争う。

竜児は、その最たるものをずっと味わってきた。
外見でいくつもの誤解を受け、多くの人間が竜児という個人を知ろうともせず避けた。
あの北村だって最初は竜児を勘違いしていた。
櫛枝実乃梨だって何度か顔を合わせていたはずなのだが、話しかけてくれたのは最近だった。
要するに、いきなり仲良く、なんてことは絶対にありえなかったのだ。
それは竜児にとってもだんだんと当たり前になっていき、「慣れ」ていった。

だから逢坂大河に、惹かれた。

自分を全く怖がらない。夜襲もかけてくる。竜児の出したものを疑わず食べ、仲間だと認めてくれて、恋の相談もしてくれた。
櫛枝実乃梨が好きだと知っても、変な趣味をバラしても…高須竜児という個人を見てくれた。
竜児の、誰もが恐れるはずの目を見て、ちゃんと目を合わせて、「おかわり!」と要求してくる。

それは、「慣れ」ていたはずの、傷をごまかしていた自分の、…ずっと求めていたものだった。


「お前はこんな目を持ってる俺を、高須竜児として見てくれた。
 お前はそんないい奴なんだ。背が低いとか、胸が小さいとか、ワガママとか。
 それを全部ひっくるめて、お前なんだよ。
 …全部ひっくるめて、一緒にいて安心するんだ」

「…っ」

大河はなにかを言おうとしてやめ、俯いてマフラーに顔を埋めてしまった。
竜児も同じ気持ちだったんだ、とひとりごちて。


きっと、人はそんなに簡単に分かり合えない。
でも、だからこそ、人は他人を求める。
すれ違い。勘違い。いくつの間違いを起こしても。

……それでも、傍に居たいと、思う人がいるから。

大河は、竜児と居たいと思うから。
手を伸ばし、竜児の指と、自分の指を絡ませる。

竜児は驚いたが…耳まで赤くして、俯いている大河が出した、素直な気持ち。
それがなんだか嬉しくって、くすぐったくって。
そっぽを向いてしまうが、手はしっかりと握り返して。



384:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:24:26 tqLsZESv

真っ赤な夕焼けの中、並んで歩いているのに、そっぽを向いている二人。
でも、たとえ違う方を向いていても。
二人の影は手の部分でしっかりと繋がっていて。
心の距離も少し近くなって。

二人の顔は、夕焼けよりも真っ赤になっていた。




end

385:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:26:46 tqLsZESv
以上です。
俺も竜児みたらびびって避けちゃうもんなあ、大河すげえ

386:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:31:31 qW8J0lU9
382さんGJです。

387:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:34:47 s5LyluYL
GJです。大河と竜児がお互い大事に思ってるのが伝わってきますねー

388:名無しさん@ピンキー
08/11/30 02:59:31 IbMuF7eA
GJ!夕飯はきっとお赤飯!うわなにをするやめr

389:名無しさん@ピンキー
08/11/30 07:45:56 X7IQQQbj
GJGJ

390:名無しさん@ピンキー
08/11/30 10:05:22 DVgrIsIZ
こういうの大好きよ。乙

391:名無しさん@ピンキー
08/11/30 11:46:17 v4erIEZX
>>317
いつもご苦労様です。
「コピペ改変」みたいに、カテゴリ作って保管したらどうでしょうか?

392:名無しさん@ピンキー
08/11/30 12:07:45 D7pprWo2
>>317
コピペネタやった者だけど保存しなくていいと思うよ
……実はデリシャスデリシャスの続き書こうと思って挫折しただけなのは秘密だ

393:名無しさん@ピンキー
08/11/30 12:23:38 1GZdeoIB
コピペはどう考えてもいらんだろ。
結局元のネタの改悪なわけだし。

394:名無しさん@ピンキー
08/11/30 12:55:28 DVgrIsIZ
コピペはやめてくれよ。必要無い


可決されたじゃあないか

395:名無しさん@ピンキー
08/11/30 18:36:50 D9R8nl+U
ま、管理人さんの好きにすればいいんじゃね。

396:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:30:06 J1V51xaP
HDを漁っていたら、
拙作『虎の霍乱』(URLリンク(yuyupo.web.fc2.com))の続き書いてたのを思い出した。
勢いで書いたのでいろいろアレだけど、投下します。
タイトルは、『竜の霍乱』で

397:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:30:41 J1V51xaP
朝から調子が悪い。
どうやら風邪気味のようだ。
竜児は体調不良の体を動かし、早足でアパートに帰ると、
いつもより少々重く感じる扉を開いた。

「ただいまー。」
「おかえり~☆あれれ?竜ちゃんどうしたのぉ~?今日は元気ないよお~。」
いつものように迎えてくれる泰子も竜児の様子にすぐに気づいたらしい。
近づいて顔を覗き込んでくる。

「どうも風邪をひいたみたいだ。気だるいし喉が少し腫れてる。」
「え~!大丈夫なのぉ~?やっちゃん今日はお仕事お休みしよっかぁ?」
しかしそうはいかない。大黒柱の泰子に簡単に休まれたら家計が傾いてしまう。
「いや、大丈夫だから気にするな。今日は外で食事してくれるか。
 俺はあんまり食欲ねえし、簡単に済ませてもう寝るから。」
心配させたくないし、万が一にも移すわけにもいかない。
今夜は泰子にはできれば早めに家を出発してもらいたかった。

「あんまりムリしちゃだめだよぉ~。じゃあ静代ちゃん誘ってみよっと。」
早速泰子は早速ナンバー2の静代に電話する。
「あ、もしもし静代ちゃん今夜お仕事のまえヒマ~?
 うんよかったら一緒にご飯どうかな~ってぇ。おっけ~じゃあ……」





泰子は結局夕飯を食べてそのまま仕事に行くと出て行った。
何も食べる気がしない竜児は慌しく出発する泰子を見送り、布団の中へ。
そのまま瞳を閉じて、夢の世界へ………


「竜児!ちゃんと寝てる~?」


「…お前の声で起きたわい。」
……行くことができず、竜児は目を開け、
扉を破壊せんとばかりの勢いで開け、無遠慮に入ってきた来訪者に顔を向ける。
時刻は六時すぎ、泰子と入れ違いにやってきた大河に竜児は意識を覚醒させられた。



398:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:31:19 J1V51xaP

「俺は今日体調が良くないから帰って寝るって言ったろ。
 お前今日は夕飯は一人で済ませるって言ってたじゃねえか。」
「よかった~、起きてた~。喜べ、ご主人様が看病しに来てやったぞ。」

眩暈がしてくる。今こいつはなんと言った?
「ほら、この前私が風邪ひいたときに竜児がずっと看病してくれたでしょ。
 私は借りは作らない女。あのときの借りは今日返してあげる。」
「……昨日お前がソースこぼして汚した服の染み抜きしてやったが、
 あれはお前への貸しにはならないのか?」

しかし大河は聞いちゃいねえ。
「もう夕飯食べた?サラダ作ったげようか?それとも目玉焼きがいい?」
ギロチンがいい?それとも銃殺がいい?と聞いてくる独裁者のような大河の発言。
竜児は戦慄し答える。
「勘弁してください。」
なぜか敬語。



「お前の気持ちはありがたいけど、今日は帰ってろって。風邪がぶり返すぞ。」
先日風邪でフラフラだった大河の身を案じる竜児。
大河や泰子に移したくなかったため、一人でさっさと寝るつもりだったのだが。

「私にそんな態度でいいのかしらぁ?私が帰ったらあんた後悔するわよ。」
そんな竜児に対し薄い胸を反らし、口元をにやつかせる大河。
竜児はそんな大河の意図が読めず、問い詰めようとする。
「お前なにを……」

キーッ!ガチャン!トントントントントントントン
ピンポーン!

突然の来客。
「あ、来た来た~。」
大河は笑顔で立ち上がり、ドアを開け、
「こんばんわ!大河、応援に来たよ!自転車借りてぶっ飛ばして参上!」
実乃梨を迎え入れた。



399:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:31:55 J1V51xaP

「みのりん待ってたよ~」
「く、櫛枝!?」
ガシッと抱き合う二人。
なぜ?どうして?竜児は混乱する。
パクパクと、酸欠の魚のような顔をするしかできない。

「あ、高須くん!風邪で倒れたんだって?大河から聞いたよ。寝てなくて大丈夫?」
「え?あ?おう。微熱だしこれぐらい大したことねえよ。倒れたなんてそんな大袈裟なもんじゃねえし」
寝ている竜児に気づき、太陽のような笑顔を向ける実乃梨に、
竜児は高鳴る鼓動を悟られないよう答えた。

「それはよかったよかった。夕飯は食べたの?」
「いや、何も。食欲ないし」
「えー、何か食べなきゃ体力付かないし、薬も飲めないぜ。
 待ってな、おかゆ作ってあげる、レトルトだけど」
「あ、う、サンキュー」
大河の申し出には恐怖した竜児だが、実乃梨の手料理となれば話は別だ。
例えレトルトでも手が加わればある意味手料理だ。
突然の展開に頭はついていけないが、なんとか冷静を装い竜児は答えた。

「ごめんね~みのりん。私一人じゃエロ犬の看病は荷が重かったのよ」
「あはは、またそんなこと言って。じゃあ台所借りるよ~」
してやったりといった顔の大河に実乃梨は笑顔で答え、早速準備を始めた。




400:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:33:35 J1V51xaP


「ふんふんふ~ん♪」

準備をする実乃梨の鼻歌が聞こえる。
まさかこんな形で好きな人の料理が食べられることになるなんて、風邪万歳。
竜児は実乃梨の後姿を見ながら心の中で神に感謝した。
「…驚いた?」
大河が見下ろすようにして聞いてくる。うなずく竜児。

「お前が呼んでくれたのか?」
「そうよ、感謝しなさいよね。
 今日はバイト無いって言ってたからメール送ったら、部活終わったら行くって返事来た。」
どうやら帰りに大河と別れた後、家に帰ってすぐ連絡していたらしい。
「お前そういうことは早く言えよ。なあ俺さっきキョドってなかったか?変じゃなかったか?」
ペタペタと顔を触って確認し、竜児は大河に迫る。

「ちょっと、キモイ顔近づけんな、ウザイ。」
大河は心底嫌そうな顔で距離を取り、酷い暴言。
「変ってのは、そのツラのこと?それともその寝巻きのこと?」
そして、目線を少し下げ、めんどくさそうに言った。寝巻き?
「は?え?うわあああああ」
竜児はようやく気づいた。
今日の竜児の服は巨大なハート柄だった。
最悪にセンスが悪かったのだ。




401:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:34:29 J1V51xaP


まあ変な服を今更後悔しても仕方ない。
それより竜児は降ってきた幸運を精一杯味わうことにした。
「まぁたまには風邪ひくのもいいよな~。」
「私は何にもいいことなんてなかったわよ。」
浮かれる竜児に呆れる大河。さらに竜児は続ける。
「俺の優しさを精一杯感じられたろ。大変だったんだぞ、一晩中看病してやってたんだから。」
「はいはいありがと。ところで、そういえばあの夜なんだけど。」
「ん?どうした?」

大河は一呼吸置いて続ける。
「いや、私ね、ずっと疑問だったのよね。朝起きたら寝る前と服が変わってたのよ。」
「……っ!」
大河の言葉に竜児は心臓を鷲づかみにされたように硬直する。浮かれていた気持ちは霧散した。
「無意識のうちに着替えてたのかなぁ、ってどうしたの?」
「い、いや、なんでもないぞ。」

脳裏をよぎるあの時の大河の姿。
熱のため染まった顔、苦しそうに上下する胸、そして、竜児が着替えさせたときに見てしまった白い足。
大河はあの時のことを覚えてないらしい。
しかし竜児の動揺を野生の勘で鋭く察した大河は不信の目を向ける。
「……ちょっと、あんたまさか…」
「違う!俺は何もしてないぞ。俺が着替えを用意してやったら、
 俺が部屋を出てる間にお前自分で着替えただろうが。憶えてないのか?」
やばい!竜児はとっさに本当のことを話す、半分だけだが。

「え?あ、そうなの?」
迫真の演技は大河に通じたようだ。さらに続ける。
「あの時はお前も意識あやしかったからな、でもキチンと着替えてたぞ。」
「ホントに?私の意識がないのをいいことに何かいやらしいことでもしてないでしょうね?
 あんたならやりかねないわ。」
「そ、そんなことするわけないだろうが。」
竜児は内心の動揺を必死に隠すが、なお追求しようとする大河の前に落城寸前。


402:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:35:22 J1V51xaP


しかし救世主はやはりこの人だった。
「おまたせ、高須くん。おかゆできたよ~。あれ?どうしたの二人とも?」
助かった!竜児はすっかり忘れていた想い人の助け舟に感謝する。
「お、おう櫛枝!なんでもないんだ、ありがとう。」
大河はまだ不満そうだが口を閉じる。
実乃梨はなお不思議そうな顔で二人の顔を見比べていた。





「じゃあ私はこのへんでご無礼するよ、後は若いお二人で。」
楽しい時間はすぐ過ぎてしまう。
実乃梨の作ってくれたおかゆを味わい、一応薬も飲んだ。
他愛もないお喋りも一区切り、あまり遅くなるといけない。

「大河、ちゃんと高須君の面倒みてあげるんだよ。」
立ち上がり、大河に命じる実乃梨。
「わかってるわみのりん。」
「櫛枝、今日はわざわざ来てくれてありがとうな。」
「いいってことよ。これぐらいお安い御用。」
実乃梨は竜児に向き直り笑顔で答えた。
この笑顔だけで竜児は風邪なんて吹き飛んでしまう気がした。

「もし酷くなるようだったらその座薬を大河に入れてもらいな。そいつは効くぜ~。」
「ちょっとみのりんそれだけはやめて。」
恐ろしいものを手渡し、恐ろしいことを言う実乃梨の提案を大河は拒否。
それは遠慮したい、竜児も笑顔で答え、続ける。
「本当に送っていったりしなくて大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫。この実乃梨、家に帰るに人の手は借りぬ。じゃあね、また明日。おやすみ~。」
笑顔で固辞し、そのままドアを開ける。
「おう、おやすみ。」
「おやすみ~。」
そうして実乃梨は来たときのように自転車で風のように帰っていった。




403:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:36:00 J1V51xaP

「さて、私はシャワー借りるけど、覗いたりしたら殺すからね。」
実乃梨を見送り、部屋に戻ってきた大河は、とんでもないことをさらりと言った。
寝ている竜児を見下し、宣言。

「なっ、お前泊まっていくつもりか?それは不味いだろ色々と。」
驚く竜児に大河は言う。
「フン!本当は犬の看病のために小屋に泊まるみたいな真似はしたくないけど、」
振り返りながら続ける。
「みのりんからも託されてるし、まあ不本意ながら、
 あんたが夜中一人で苦しんでたら可哀想だから泊まっていってあげるわ。」
変なこと考えてたら握り潰すけど、と付け加え、
大河は持ってきていたカバン片手に風呂場に行ってしまった。

一人残された竜児は、なぜか脳裏をよぎるあの夜の幻を振り払おうと布団をかぶった。
「………な、なんでこうなるんだ。」
高鳴る鼓動の音が布が擦れる音もシャワーの音もかき消してくれたのは幸いだった。



シャワーから出てきた大河は予備の布団を襖をはさんだ隣に敷いた。
長い髪を丁寧に乾かし、鼻歌混じりで、不器用な手つきで編んでいく。
「ふふふ~ん♪」
上気する大河の肌からは甘い匂いが香る。
竜児はそんな大河を正視することができない自身に驚く。
視線を向けると、大変なことになってしまう。
そんな予感がするのだ。

「sinA=a/c、cosA=b/c……。」
実乃梨と過ごした楽しいひと時の余韻は消え去り、
竜児は大河に背を向け、数学の公式を暗唱していた。



404:名無しさん@ピンキー
08/11/30 21:36:44 J1V51xaP

寝る準備が済んだ大河は、布団に入り襖をしっかりと閉めた。
「もしあんたが熱で死にそうになったら、この襖を開けてもいいわ」
隣で横になっている大河の気配を感じる。
「死にそうじゃないのに開けたらどうなるんだ?」
「死にそうになるわよ。」
「………」
竜児の疑問にサラリと答える大河。電気が消される。



沈黙が部屋を支配する。
竜児はできるだけ頭をカラッポにし、硬く目を閉じた。
そうしないといつまでたっても寝られない気がした。
たった一つのイレビュラー、大河が隣に寝ているという事実が、
なぜこれほどまでに心を惑わすのか、竜児は一息つき、襖に背を向けた。





どれほどの時間が過ぎたのだろうか。
襖で仕切られたこの狭い部屋には、二人の呼吸のと心臓の音しか存在しないかのようだった。
おかしい、竜児は思った。
なんだこの空気は。俺達はこんな関係じゃないだろ。
何か言ってくれよ。
このままでは、俺は……

「……ねぇ、起きてる?」

唐突な消え入りそうな小さな大河の呟きに、
竜児は心臓が喉から飛び出しそうになる。
「…お、おう。」
動揺を必死に抑え、上擦った声で答えるのがやっとだった。




次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch