【田村くん】竹宮ゆゆこ 5皿目【とらドラ!】at EROPARO
【田村くん】竹宮ゆゆこ 5皿目【とらドラ!】 - 暇つぶし2ch163:川嶋亜美の暴発 13/22
08/11/27 18:08:15 DDawPt6N
「高須くんが、今のあたしを正気じゃないとか何とか、そんなのどうでもいいの。高須くんは、
個々の主観は不明だから、考慮しないんでしょ? だったら、高須くんが今のあたしを正気じゃない
と思っていても、そんなの、あたしには関係ないじゃない。それに…」

腰が抜けて座り込んでいる高須竜児に、亜美はさらに半歩詰め寄る。

「これから高須くんは、リセットされるの。
あたしのこと、この亜美ちゃんのことを、ちゃ〜んとしてくれるようにね」

さらに半歩。

「だから、おとなしく、これで、ね…」

亜美は、一升瓶を大上段に振りかざす。これをへたり込んでいる竜児の脳天に見舞うつもりだ。
まともに食らえば、即死か? はたまた、脳挫傷で、一生廃人かもしれない。

「ま、待て、川嶋、落ち着け。は、話せば分かる」

「話せば分かるぅ〜? 亜美ちゃん、嘘を含んだ言葉なんて信じられなぁ〜い。だから亜美ちゃんは、
直截な行動に出るの。特に、言葉でいくら言っても分かってくれない高須くんにはねぇ〜」

亜美は、一升瓶を上段に構えたまま、じりじりと竜児に迫る。一方の竜児は、へたり込んだまま、
ずるずると後退するものの、ついに背中が壁に当たって行き止まり。
万事休すだ。
だが、

「うっ」
酷薄な笑みを浮かべていた亜美が、突然、口元を押さえて、その場にしゃがみ込む。
さらには、

「う、ううう、うぇえええええーっ!」

と、ものすごい勢いで嘔吐した。

「川嶋!」

黄色い吐瀉物が、高須家の玄関の板の間に広がっていく。
亜美は、うずくまって、一升瓶にすがるようにして上体を保持し、吐瀉物まみれの口から、荒い呼吸
を繰り返す。過度の飲酒、その状態での運動。その結果の悪酔いだった。

「川嶋ぁ!」

竜児は、亜美の体を抱きとめ、その手から凶器の一升瓶を取り上げる。
こんなので、ドタマをかち割られたらたまったもんではない。
次いで、古新聞紙を、亜美が吐瀉した内容物の上に広げ、吐瀉物を吸着させる。1時間もすれば、
大方水分が吸着されるから、あとは、残りを雑巾で拭き取ればいいだろう。
それと洗面器。

「川嶋、大丈夫か?」

激しい嘔吐でテンションがぷっつり切れたのか、亜美はぐったりとしていて動けない。

164:川嶋亜美の暴発 14/22
08/11/27 18:09:03 DDawPt6N
竜児は、亜美を部屋に連れていく。そして、座布団を何枚も敷いた上に亜美の胸部を載せ、亜美を
うつぶせに寝かせる。亜美の頭部は別に積み重ねられた座布団で保持。さらには、亜美の顔の下には吐瀉物を受ける洗面器。
急性アルコール中毒では、吐瀉物が気道に詰まることがあり、これが命取りとなりかねない。
うつ伏せに寝かせて、吐瀉物を回収できるようにすれば、気道に吐瀉物が詰まる危険性はかなり低く
なる。

「高須くん…」

「川嶋、喋るんじゃない、お前は、飲みすぎて急性アルコール中毒になっていたんだよ」

亜美は、「あは…」と、笑いとも、嘆息ともつかない声をぽつりと漏らす。

「失敗しちゃった。高須くんを懲らしめようと思ったのに、亜美ちゃんは、本当にダメな子。
どうしようもなく嫉妬深くて、歪んじゃってる子。
これじゃぁ、高須くんに嫌われてもしようがないね、ほんと、ほんとにダメだ、あたし」

もはや、動く気力もないらしい。

「川嶋、もういい喋るな。それと、気持ちが悪くなったら、遠慮なく戻していいぞ。
そのままの体勢で、吐いても大丈夫なように、お前の顔の下には、洗面器が置いてある」

「う…ん、ありがとう高須くん」

そう言うと、嗚咽とともに亜美は肩を震わせた。

電話が鳴った、時刻は午前1時30分。こんな時間に誰だろうと、不審に思いながら竜児は受話器を
持ち上げた。

「もしもし、夜分にすいません。私、高須くんの高校時代のクラスメートで木原といいます。
高須くんですか?」

「おう、木原か、お前が電話とは珍しいな」

「高須くん、高須くんなのね? よかった、無事だったみたい」

電話での麻耶の声には、明らかな安堵の色があった。

「俺が無事だったとかなんとか、そりゃどういう意味だ?」

「う〜ん、ちょと説明する前に、今、高須くんの家に、亜美が来ていない?」

「ああ、来ている。だが、ひどい泥酔状態だ。日本酒を5合も飲んだようだ。
これじゃ、悪酔いしても仕方がない。
しかし、わけがわからん。川嶋の奴、女の敵とか喚いて、一升瓶振り回して。何なんだろうね」

やっぱり実力行使にでたか、と、麻耶は思った。それにしても、

「怪我は? 高須くんも、亜美も大丈夫?」

「ああ、俺はどこも何ともない。川嶋もひどく酔って、嘔吐したが、怪我はない」

165:川嶋亜美の暴発 15/22
08/11/27 18:09:54 DDawPt6N
「よかったぁ、亜美の携帯に電話してもつながらないし、どうなっちゃたかと思っていたんだ」

おいおい、木原、お前は、どこまで知っているんだ、と、竜児は麻耶に不信の念を抱く。

「なぁ、木原、お前なら知っていそうなんで尋ねるが、いったい川嶋に何が起こったんだ?
いきなり一升瓶を振り回して襲いかかって来たんだぞ。わけがわからねーよ」

電話口の麻耶は、「う〜ん…」と呟くように言った。

「お前は何かを知っているんだろ? 今回の川嶋の襲撃。これは、いったい何が原因だ?」

「高須くんは、思い当たる節がないの?」

「あれば、こんなこと、お前に訊かねぇ。本当に、俺にはさっぱりわかんねぇ」

麻耶は、ふぅ〜、と軽く嘆息をつく。こりゃ、亜美が言う以上に、鈍感な野郎だわ…。

「あのねぇ、高須くん。今回の亜美の件だけど、その原因は、やっぱ高須くんにあると思うんだよな」

「なんで、俺が原因なんだ? わけがわからね〜な」

「そう言うと思った。ちょっと長くなるけど、順を追って説明するね」

木原麻耶は、酔った川嶋亜美が電話を掛けてきて、高須竜児が、ぜんぜん自分を女として見てくれ
ないことに苛立ち、激昂したことをかいつまんで説明した。

「と、いうわけなのよ。亜美は、不安なんだと思う。どうやったら、高須くんの心を自分につなぎ止
めておくことができるのかが、わからずに、もがいているのかもしれない」

そうなのか? あいつの両親は芸能人で資産家で、あいつ自身もモデルをやっていたことがあって、
母子家庭の貧乏息子の俺なんかとは住む世界が違う奴なんだ、何をバカな、と、竜児は思う。

「木原、夜中にそんな冗談はウケないぜ。俺なんか、あいつにふさわしい奴なんかじゃない。
あいつには、もっと似合いの奴がいるはずだ」

高須くん、君は乙女心ってもんが、まるで分かってないねぇ、と、麻耶は舌打ちする。

「ねぇ、高須くん、亜美は高2の成績で、私大文系に振り分けられたのは知ってるよね?」

「ああ…」

「でも、実際は、頑張って、高須くんと同じ国立大学に合格した。これが何を意味するか分かる?」

正解が出てこないことを確信しつつ、麻耶は竜児に問いかける。

「そんなものは、単純に、より偏差値の高い大学に行きたいという、受験生の本能ともいうべきもんじゃないのか? 
ほら、うちの大学からは、局アナとかも出ているし、川嶋は、そっち方面狙いかと思っている」

「いや、そうじゃなくて…」

166:川嶋亜美の暴発 16/22
08/11/27 18:13:39 DDawPt6N
察しの悪さに麻耶も苛立ちを隠せない。

「そうじゃない?」

「受験勉強を始めたとき、亜美はモデルをすっぱりやめているんだよね。私は、この業界のことを、
よくは知らないけれど。おそらく、1年以上も休業していたら、ほとんど廃業するに等しいと思うの」

「ああ、川嶋も、そんようなことを言ってたな」

そこまで聞かされていながら、なぜ分からない? 麻耶は、亜美に同情する。
こいつの察しの悪さは天然記念物並だ。『気遣いの高須』は、完全に看板倒れじゃないか。

「そこまでの犠牲を払ってまで、どうして亜美は国立大学にこだわったんだと思う? 亜美みたいな
資産家の娘だったら、無理に受験勉強をしなくても、そこそこの私立に行けたかもしれないのに」

「し、知らねぇよ」

「じゃあ、誰のために亜美は国立を目指したんだと思う?」

「わからねぇよ」

麻耶は、「そう…」と、一瞬の間を置いて、

「高須くんのためなんだよ。高須くんと一緒に勉強したいから、亜美は本当に無理して受験勉強を
やって、高須くんと同じ大学に行ったんだよ。人気モデルの地位も何もかもを捨てて」

「信じられねぇ」

「これは、本当の話。高校時代、私と奈々子にだけ亜美が漏らした本音だよ。
『あたしは高須くんについていく。あたしは高須くんと同じ地平を歩いていくんだ。今は、高須くん
が、ずっと先の方を歩いているけど、いつかきっと追いついて、その時は、一緒に歩いていくんだ』
ってね」

竜児は、「そうなのか?」と、消え入るような呟きを漏らしただけ。続く言葉が浮かばない。

「そうだよ、亜美は本気。高須くんのことしか眼中にない。高須くんは、そんな亜美の気持ちに
気づかず、亜美の気持ちを踏みにじった。こりゃ、亜美でなくたって怒るよ」

竜児が、「そんなはずがない」と、抗弁したが、麻耶は無視して、さらに続ける。

「ここからは、私の推測なんだけど…、高須くんに亜美がベタベタしてくるのは、彼女の焦りみたい
なもののせいなんだろうね。
勉強でも、家事でも何でもできちゃう高須くんに、亜美は全然かなわないわけさ。このままだと、
自分は高須くんから疎外されちゃうって思っている。
だから、手段を問わず、高須くんを自分につなぎ止めておきたんいだよ」

竜児が、「いや、あいつは色気過剰だし、ルックスもすごくいい、だから、俺みたいな奴をからかっているとしか思えねぇんだが…」と、漏らすと、麻耶は、きつい口調で、高須竜児に説教した。


167:川嶋亜美の暴発 17/22
08/11/27 18:14:34 DDawPt6N
「高須くん! 高須くんは、亜美って子を全然分かってない。色気過剰とかっていうけど、その色気
を高須くん以外に振りまいているのを見たことがあるの? 彼女は、高須くんのことしか眼中にない
んだよ。それに、亜美は、自分の見てくれがいつまでも保てるとは思っちゃいない。知性に裏打ちさ
れた、っていうのかな? 内面の美しさこそ重要だと気がついているよ。高須くんのポテンシャルに
釣り合った、高須くんと対等の存在に、亜美はなりたいんだよ」

「……」

「あとは、高須くんの気持ちだね。まさかと思うけど、今でも櫛枝とか、手乗りタイガーに未練が
あるの?」

竜児にとってのつらい過去。
正直、なんで、木原なんかに、という気持ちがあったが、電話での麻耶の口調は厳しく、竜児に逃げ
る隙を与えてはくれない。観念して、竜児は、ぼそりと、言う。

「櫛枝とは完全に終わった、今は、未練は全くない。大河とは、最初から恋愛感情はなかったん
だろう、親子の関係みたいなものだったんだろうな。今にして思えば…」

麻耶の追求は、さらに容赦がない。

「なら、亜美のことは、どうなの? 彼女に対して、恋愛感情は、全くないの?」

認めたい自分と、それを認めたくない自分とが、せめぎ合っているような気が竜児はした。

「どうなの! 高須くんの本心を聞かせてよ」

消去法で選択したようで、それを認めたくなかったのかもしれない。だが、本心は本心だ。

「川嶋のことなら、憎からず思っている。今、言えるのはこれだけだ」

受話器からは、「そう…」という、ちょっと失望したような声が流れてきた。

「高須くん、亜美が元気になったら、亜美が望むとおりのことをしてあげて。もし、何もして
あげなかったら、私、高須くんのことを心底軽蔑するからね」

その言葉を最後に、麻耶からの電話は切れた。
竜児は、数秒間、手元にある受話器を眺めた後、受話器を置いた。

『ありがとうよ木原、俺も、自分の本心を明確に意識できたぜ。だが、俺にも意地はある。
俺の本心を、真っ先に伝えてやるべき相手は、あいつだ…。悪いが、お前じゃない』

部屋に戻ると、川嶋亜美が、洗面器に突っ伏すようにうつ伏せになっており、その洗面器には、
うす黄色い新たな吐瀉物が溜まっていた。

「ごめん、気持ち悪くなって、また吐いちゃった…」

その洗面器の取り上げ、

「いいんだよ、気にするな。ちょっと後始末だけしてくる」

中身を流すべく、トイレに向かった。その竜児の背中に向かって、亜美は、

168:川嶋亜美の暴発 18/22
08/11/27 18:15:38 DDawPt6N
「電話があったみたいだけれど、誰からだったの? なんだか、あたしの名前も出ていたから気になって…」

「木原からだった…」

竜児は、洗面器を洗いながら答える。

「そう…」

「木原に説教されたよ。お前が怒るのは無理もない。確かに俺はお前のことを何一つ理解
していなかったんだ。恥ずかしい話さ」

固く絞った濡れタオルを手に、竜児は部屋に戻り、

「気分はどうだ? これで口のまわりとか、拭くといい」

と、言って、その濡れタオルを、座布団の上に膝を抱えてうずくまっていた亜美に手渡す。
亜美は、「ありがとう」と言って、顔や、手をそのタオルで拭った。

「寝てなくて大丈夫か? もう、吐くような感じはしないか?」

「うん、多分大丈夫。もう、胃の中はからっぽみたい」

竜児は、ふぅ〜、と嘆息をつく。

「吐瀉物を見たけど、固形物なんか、まるでなかった。お前、何も食べずに日本酒を飲んでたんだな。
無茶しやがって」

亜美は、自分の膝に顔を埋めたまま、

「だって、やけ酒でしょ。健康を気遣って飲むやけ酒なんて、この世にあるわけないじゃない」

と、鼻をすすりながら言った。
そうだな、とだけ、竜児は応じた。川嶋にはケアが必要なんだ、と思う。
そして、竜児にできる川嶋のケアといえば…。

「それよりも、川嶋、よかったら何か飲むか? ハチミツ入りのホットミルクなら
今すぐできるんだが」

その問いに、亜美は大きな瞳を眇めて、遠慮がちに応えた。

「う、うん…、飲む、そのホットミルク、あたしがここに初めて来たときに、高須くんが
ご馳走してくれたやつだよね」

「ああ…、よく覚えていてくれたな」

電子レンジで2分加熱、ハチミツを加えてかき混ぜ、亜美に差し出す。

「川嶋、甘さはどうだ? 足りなければハチミツを追加するぞ」

169:川嶋亜美の暴発 19/22
08/11/27 18:16:25 DDawPt6N
亜美は、首を左右に降って、

「ううん、ちょうどいい感じ。これでいい…」

そのまま舐めるようにミルクを飲みつづけ、空になったカップを卓袱台に置いた。
飲み終わって、ふぅ〜っと一息。亜美は、また、膝を抱えて暗い表情になる。

「今日は、高須くんに亜美ちゃんの汚いところ、醜いところを、いっぱい、いっぱい見せちゃった…。
本当なら、こんな変な女、警察に突き出されて当然だよね。酔っていたとはいっても、高須くんに
危害を加えるために凶器を振り回したんだもの、立派な犯罪だよ」

そういって、きゅっと唇を引き締める。酔いが覚めれば、しでかしたことを冷静に振り返ることが
できるようになる。それは、恥ずかしくて、恐ろしくて、嫌なこと、思い出したくもない痛いこと。

「かわいさ余って、憎さ百倍、っていうか、そんな自己弁護はしたくないんだけれど、高須くんの
ことが、亜美ちゃんは好きで、好きで、大好きで、でも、高須くんは、亜美ちゃんに対しては、一見、
冷たくて、だから、亜美ちゃんは不安になって、高須くんを独占したくなって…」

最後の方は、亜美の嗚咽に混じって聞き取れない。

「ごめんなさい、本当にごめんなさい…」

女が泣く姿というものを見て、何の感慨も抱かないという奴は、少なくとも男じゃない。
その点において、高須竜児も例外ではなかった。

「川嶋…、それはもう気にするな。さっき木原に説教されたように、俺が悪いのさ。お前の気持ちに、
ちゃんと応えてやれなかった、俺のいい加減なところが、ここまで、お前を追い詰めた
。責められるべきは、俺の方だ」

竜児の話を、亜美は鼻をぐずぐずいわせながら聞いている。竜児は、亜美にティッシュボックスを
差し出す。

「でもね、高須くん、バカで鈍感だったのは、あたしの方。
高須くんは、高須くんを傷つけようとした、こんなあたしにも、ホットミルクを差し出して、慰めて
くれる。こんなこと、高須くんは、誰にでもしてあげるわけがない。
今までだって、高須くんの、こうしたやさしさ、ってものを気づかなかった。あたしも本当にバカで、
傲慢だった、責められるべきは、あたしだよ…」

「川嶋、そんなに自分を責めるな」

だが、亜美は首を振り、

「あたしって、本当に、バカだった。高須くんに、お弁当作ってもらったり、一緒にフラ語の勉強し
たりとかで、高須くんを独占していたのに、こんなこと、高須くんは誰にでもやってあげている、
とか、思っちゃったんだよね。ごめん、『こんなこと』なんて表現する事自体が、あたしって、
どうしようもなく傲慢で鈍感だよね。だから、そうした、高須くんの気持ちに気づかなかった、
本当にバカだ、あたしって…」

痛々しい、というよりも自虐的。

「川嶋、もう、言うな」

170:川嶋亜美の暴発 20/22
08/11/27 18:17:19 DDawPt6N
竜児は、亜美の背後から、亜美のか細い体を抱き寄せる。

「もう言うな、もう…、自分を貶めるようなことは言うんじゃない。そのかわり…」

「そのかわり?」

背中に竜児の体温を感じる。

「俺は、本当は、お前が好きだ。不器用な俺は、これしか言えねぇ」

「それで十分だよ…」

亜美は顔を上げ、竜児の顔と向き合っう。その距離、5cm。亜美は竜児の顎を掴み、
竜児の唇を引き寄せる。
竜児も、亜美の唇に自分の唇を重ねた。
ほのかに香るホットミルク。初めてのキスは、ミルクとハチミツの味がした。
そのまま、時が止まったかのような、静寂。


***
「あれれ、竜ちゃ〜ん」

素っ頓狂な、泰子の声で、静寂は破られた。

「竜ちゃ〜ん、玄関にぃ、なんかびしょびしょの新聞紙が敷いてあるけどぉ〜、どうしたのぉ〜?
なんか、匂いからすると、お酒、飲みすぎて、吐いちゃったみたいだけれど、竜ちゃ〜ん、大丈夫?」

そのまま、ずかずかと、部屋に入り、抱き合っている竜児と亜美を、目撃する。

「やば…」
これから、いいところだったのに。

「あ〜、亜美ちゃんだぁ、そっかぁ、竜ちゃんと、いつのまにか、そんなことになっていたんだねぇ。
うん、うん。やっちゃんは、このまま寝ちゃうから、後は、お二人さんで仲よく、頑張って、うふ、
うふふ」

そのまま、部屋で眠りこけそうになる泰子を、慌てて、寝室に連れていく。

「たぁく、メイクも落とさねぇで…」

そして、亜美に向き直り、

「すまねぇ、雰囲気が台無しになっちまった…」

と、頭を掻く。
亜美は、

「いいんだよ、あたしは満足。高須くんの本心と、やさしさが分かったんだから」

そして、「あ~、頭痛い…」と言いながら、ふらつきながらも立ち上がり、

171:川嶋亜美の暴発 21/22
08/11/27 18:18:05 DDawPt6N
「今日のところは、帰るね。それにしても、すっげー、いろんなことがあった日、あたし、この日を、
一生忘れない」

それは、竜児も同じだった。

「あたしにとって、ファーストキスだったし…」

え? とばかりに竜児は、狼狽する。

「うふふ、信じた? 高須くんには、そう信じてもらいたいな。信じる者は救われるから…」

嘘か誠かを探らせない、謎めいた微笑を亜美は竜児に向ける。

「もうこれで、あたしは、川嶋亜美は、高須くんのもの。少なくとも、あたしは、そう思っている」

亜美は、右手の人差し指を、竜児の心臓辺りに突きつけ、

「そして…」

ばーん、と、拳銃を撃ったようなジェスチャー。

「か、川嶋…」

「これで、高須くんも、あたしのもの」

天使のようでありながら、悪意のエッセンスが効いた、笑みを覗かせる。
まいったな、こいつは、俺の負けかもしれねぇ、と竜児は思う。

「俺も、川嶋の本心が、少しは理解できたから、おあいこだよ」

亜美は、大きな瞳を、ほんのちょっと眇めて、笑う。

「ありがとう、本当に、今日のことは忘れない」

それから、思い出したように、

「いけない、あたしが吐いたゲロ、掃除しなくちゃ」

そんな亜美の肩を右手で押さえながら、竜児は言う。

「川嶋、いくらお前でも、俺の楽しみを奪うんじゃねぇ。掃除は俺の生きがいだ」

亜美は、ぷっ、と吹き出す。

「そうだったねぇ、スーパーマン高須竜児の必殺技は、お掃除だったっけ?」

「おう! たとえ、世間が許しても、お天道様と、この高須竜児は許さねぇ」

あはは、と、亜美は笑う。

172:川嶋亜美の暴発 22/22
08/11/27 18:18:48 DDawPt6N
「高須くんは、今日の講義、特に、午後の国木田のフラ語はどうするの?」

「俺は出席するつもりだ。そうだ、昨日のドサクサで、こいつを渡すのを忘れていた」

差し出されたのは、竜児のフランス語のノートのコピー。
大橋駅駅ビルのバーガーショップで、竜児が翻訳していたやつだ。

「あ、ありがとう。これもらっちゃったら、あたしも出席しなくちゃ」

「おう! 頑張ろうぜ、川嶋」

「うん…」

竜児と一緒に、亜美は外に出た。
5月とはいえ、早朝は冷気が肌にしみる。東の空は、茜色に染まってきた。
間もなく日の出なのだろう。

「タクシーがつかまるとこまで、一緒に行こうか」

という竜児の提案に、亜美は、わざと迷惑そうなそぶりで、応じた。

「え〜っ、逆効果じゃないの? この時間帯に、高須くんみたいな面相の人がタクシー
呼び止めようとしたって、タクシー強盗と間違われるのがオチじゃん。だから、
亜美ちゃんは、ここまででいいよ」

「強い子だな、川嶋は」

「あはは、何度も言わせないでよ。亜美ちゃんは真っ黒で、歪んじゃった子。
でも、その全てを受け止めてくれそうな人がいるから、あたしは強くなれるんだ」

そう…、と亜美は前置きして、

「高須くん、あんたがいるから、あたしは強くなれるんだよ」

「そいつは光栄だな」

「それと…」

亜美は、小首を傾げて、

「あたしがいるからこそ高須くんが強くなれるように、あたしも頑張るから」

大きな瞳を、見開いたまま、口元を、ほんのちょっと左右に広げて、微笑むのだった。


173:SL66
08/11/27 18:25:15 DDawPt6N
以上です。
好評であれば、続編を製作します。


174:名無しさん@ピンキー
08/11/27 18:31:59 Siygo0yy
GJ!GJ!GJ!
亜美可愛いよ亜美。
続編見てみたい

175:名無しさん@ピンキー
08/11/27 18:32:29 Vzc2qu3I
>>173
GJ過ぎる!
続編を希望する!

176:名無しさん@ピンキー
08/11/27 18:33:33 U9UCt0sY
超(・∀・)イイ
亜美かわいいよ亜美(*´Д`*)/ヽァ/ヽァ

177:名無しさん@ピンキー
08/11/27 18:44:16 H0mjWpF8
超GJ!! 続編をおおいに期待

178:SL66
08/11/27 19:12:14 DDawPt6N
>>174-177
ありがとうございます。
自宅の環境が、アクセス制限を食らっているので、職場から、
捨て身の特攻ならぬ、捨て身の投稿でした。

次回作は、「横浜紀行」(仮称)です。
中華鍋を買いたい竜児に、亜美が中華街への買い物とデートを提案、
実際に行ってみると…、という筋書きを予定しています。



179:名無しさん@ピンキー
08/11/27 19:13:39 8ZIjFF2f
>>173
MOTTO MOTTO!
亜美のもがきあがき、掴めどもすり抜けて、っていう感触が直接伝わってくるようだった。
感情移入しちゃってこっちまで亜美のモノローグで熱くなっちまった。

180:SL66
08/11/27 19:19:51 DDawPt6N
>>179
ありがとうございます。
心理描写に拙いところがありますが、萌と、笑いと、哀愁と、アクションを
コンセプトに、次回作も頑張りますので、ご期待下さい。

181:名無しさん@ピンキー
08/11/27 19:34:37 jnOZFidE
>>180
GJなんだけどカキコミに一々返レスすんなよ
前スレでもあったけど馴れ合いがどーのこーのって話になるし、言っちゃうとなんだけど正直ウザイよ

182:名無しさん@ピンキー
08/11/27 19:42:24 mJuYpTs4
感動大作マジ乙。

あーみんの可愛さはマジで異常。

183:名無しさん@ピンキー
08/11/27 19:50:59 KRRWD8c7
ふ、GJだ。
激しくGJだよ!

184:名無しさん@ピンキー
08/11/27 20:37:06 yTuNvAHt
あみドラGJ
続編?そりゃ裸で待つぜ


185:名無しさん@ピンキー
08/11/27 20:41:13 A769buwg
>>181
言葉は選んで使ってくれ


186:名無しさん@ピンキー
08/11/27 20:44:10 nlU7gFt7
GJGJGJ
あーみん可愛すぐるw

187:119
08/11/27 20:47:22 jRic7mgt
ども、>>119です。
またもや、ノリと勢いにより、後日談を書いてみた。
思ったより長くなってしまったので、一つずつ投下。
基本的に大河・亜美・実乃梨との絡みが多いw
今回は大河のターン?
よくわからないものになってしまった・・・orz

188:119
08/11/27 20:48:29 jRic7mgt
投下開始

『本性バレafter』

あれから。つまり北村に上手いこと言われて昼の放送にゲストとして出演してから、一週間がたった。
放送が終わった直後は、クラスメートぐらいしか反応を確かめられるやつがいなくて、
俺のイメージは変わらないままか・・・と思っていたが、どうやらそうでもないらしい。
らしい、というのはこの俺、高須竜児にそこまでの劇的な変化は感じられないからだ。
しかしまぁ、能登も春田も北村も声をそろえて
「「「絶対、イメージ変わってる!!!」」」
と言うのだから、俺のイメージは変わっているのだろう。上昇か下降かは知らないが。
確かに俺の身の回りは微妙に変化したがそこまで言うほどのものなんだろうか。
放送の直後、大河にも川嶋にも実乃梨にもがっかりというか何というか、な反応をされた自分が懐疑的になるのも仕方がないと思う。
それに、北村たちは友達だから俺を傷つけないようにそういってくれたのかもしれないし・・・。
だって、自分はあの放送で何もしていないのだ。普通に質問に答えただけ。それだけで今までのイメージが変わるなんてあるのだろうか。
だいたい・・・


などなど、強面の高校二年生男子が弱気に考えているときにも、種は色々な場所で育っていたのだった。
あの昼の放送でばらまかれた、『高須竜児』という名の種は一週間という時間をかけて実に色々な花を咲かせてみせた。



189:119
08/11/27 20:49:15 jRic7mgt
<花一本目>
お昼休み。いつものようにみんなと机を合わせて、弁当をあける。
北村が「また、おいしそうな弁当だな」なんて嬉しいことを言ってくれたので、素早く里芋の煮物ときんぴらをチェンジ。
この高須竜児の目には、冷凍食品などお見通しなのだ。たとえ、どれだけ恐ろしい目つきだろうと、主夫の目なのである。
「すまないな。交換してもらって」
「おう、気にするな」
なんて会話を交わしながら、昼食を開始する。六つの机を合わせた大きなテーブルに、男と女で分かれて座っている。
最近は、川嶋グループ(川嶋・木原・香椎)も一緒に食べるようになっていて、結構な大所帯だ。
男側は竜児・北村・春田・能登の四人。女側は大河・実乃梨・川嶋グループの五人。
計九人の大派閥である。まぁ、竜児としては別段何も問題などないし、楽しく食事がとれるなら大歓迎だ。
ただ、どこへ視線を向けても目をそらされるが。・・・やっぱりイメージ変わってないんじゃないのか?
そんな微妙に傷ついた竜児が、いつものことか・・・と勘違い甚だしい思いを抱きながらいざ、弁当を食べようとすると

「高須先輩はいらっしゃいますか」

空気が凍った。いや、別に呼ばれたことに問題がある訳じゃなく、むしろ言った人物が問題なのであって・・・。
女の子だった。それも「先輩」と呼んでいることからわかるように一年生の。
何が起こってる!?と竜児は思いつつも呼ばれた以上、答えないわけにもいかず
「・・・お、おう」
と、立ち上がる。その瞬間、目の前で殺気がふくれあがった。
ーー俺が何をしたというんだ、大河!!
背中からの威圧にビビリながら廊下にいる一年生に近づくと、何とその女の子は竜児の耳に口を寄せて
・・・!!まてまてまてまて!何でそんな今までで一番の殺気が教室から放たれ「一週間前、助言をいただいたK・Yです」

・・・。

190:119
08/11/27 20:49:51 jRic7mgt
「・・・は?」
「ですから、一週間前、助言をいただいたK・Yです」
そう言って、耳から口をはなす。
「先日は、ありがとうございました。先輩のおかげで決心することができました」きれいな姿勢でペコリ。
「・・・ええっ!?や、あれってその傷つけるかどうか不安って・・・。お、女の子!?」
「はい。私は家が道場をやってまして。自分で言うのも何ですが、強いんです」
そうなのか。このどうみても綺麗としか表現できない後輩の女の子は強いのか。・・・まぁ、大河の例もあるしなぁ。
「それで、あの放送で勇気をもらったので、今日お礼を言いにきました」
「いや、それはまぁ、わかった。でも、何で一週間たった今?」
当然の疑問として竜児がそう聞くと、その子はいい笑顔で
「一週間かけて、思い切り距離を詰めてました」
「・・・そうか」 ごめん、見知らぬ男の子。我知らず、大陸間弾道ミサイルのスイッチを押してたみたいだ。
「ですから、お礼が今日になりました。すみません」頭をペコリ。
「それは、全然かまわないんだが・・・。・・・一つ聞いていいか?」
「はい、何でしょう?」
「なんで、一人称を『僕』で投稿したんだ?」
そう。竜児はそこが気になって仕方なかったのだ。わざわざ『僕』なんて一人称を使っているから、男だと自分は勘違いした。
もし、腕っ節の強い自分のことを卑下してのことならそれは違う、強いというのも含めてその人の魅力なんだと、言ってやり
「だって、自分だとバレたら恥ずかしいじゃないですか」
「ここにきて普通の答えだと!?畜生、俺の気持ちを返せ!」
やるせねー。超やるせねー。
「まぁ、色々とありがとうございました、ということで」もう頭も下げてないし。
「ああ、どういたしまして・・・」
顔が下に向く。つい、ため息が漏れてしまう。まったく、怒濤の展開だった。息つく暇もない。しかし、これだけは言っておきたい。
竜児は顔を上げる。ラジオネーム、K・Yはいつの間にか自分の教室に戻ろうとしていたみたいで、少し自分と距離があった。
「そこの後輩!!」
声を上げた竜児に、少し驚いた様子で立ち止まりこちらを振り向く。その表情で、なんですか?と思っていることがわかる。
竜児には言いたいことがあった。昼休みにわざわざ二年の教室まできて、竜児の名を呼び、竜児にこれまで感じたことのないほどの殺気を集めさせた存在に言いたいことがあったのだ。
そして、今、その言葉を放つ。

「ーーおめでとう。」

後輩は、ひどくびっくりした顔をしていて。してやった、と思う。
もう、これ以上言うことはない。固まったままの後輩をほっといて、教室に戻る。
気分よく教室に戻った竜児が、自分の弁当のところまで行き、席について、前に目をやると。
ーー手乗りタイガー(普段より殺気5割り増し)がいらっしゃった。しかも、他の女の子たちも冷ややかな目を向けてくるし。

「ねぇ、竜児・・・?きちんと、最初から、最後まで、説明してくれるわよね?」

やはり、恨み言の一つ二つはあの後輩に言っておくべきだったか。

191:119
08/11/27 20:50:39 jRic7mgt
「・・・だから、あの後輩が、『ラジオネーム K・Y』だったんだよ・・・」
「るっさいのよ、あんた!!ちょっとだけ、ほ~んのちょっとだけ目を廊下に向けたら、耳に口寄せられちゃって!!
 あんなんでデレデレデレデレしてんじゃないわよ!!まったく!!飼い主として恥ずかしいわ!!」
「知らなかったな~、高須君って年下趣味なんだ~。亜美ちゃんロリコン変態のそばにいたんだね~。
 きゃー、こわーい!!・・・ちっ、腹立つなぁほんと」
「高須君!!年下好きなら、大河で手をうてばいいんじゃないかな!!同い年だけど、こんなにちんまくてかわいいぜ?
 やー、大河がいいと思うよ、私は!!・・・・・・でなきゃ、私が『決めた』意味が・・・」
「だから、話を聞けって・・・!!あいつには、すでに恋人的存在が・・・」
「「「あいつだってー(ヒソヒソ」」」
「・・・!!おまえら俺のこと絶対嫌いだろう・・・!?」


「で、高須。どんな人物だったんだ?あの女の子」
「うん?えーと・・・大河みたいなやつだった」
「私みたいなやつ?」
「ああ」
「逢坂みたいな女の子か。具体的にどこが似てたんだ?」
「綺麗で、強いとこ」

りゅうじはたいがをたおした!
たいがフラグをげっとした!

<花二本目に続く>

192:119
08/11/27 20:52:14 jRic7mgt
以上!!

あまりに処女作が好評すぎて、逆にプレッシャーなんだぜorz
ほめられると意欲がわくとか、言うんじゃなかったwww

193:名無しさん@ピンキー
08/11/27 20:55:15 mJuYpTs4
>>192

ニヤニヤが止まらんwwwwGJ!


194:名無しさん@ピンキー
08/11/27 21:05:41 4Nr3enTy
>>192
イメージ。
  _、_
(メ ,_ノ` )y━・~~~<おめでとう by竜児
( ´∀`)σ)~Д~)←大河
まったく格好いいことしてくれる奴だw
GJ!
><花二本目に続く>
正に+(0゚・∀・) + ワクテカ +

195:名無しさん@ピンキー
08/11/27 21:20:05 XpCQYIYo
GJ!
速く続きが読みたいぜ

しかし竜児はなんというハーレム。けしからんもっとやれ

196:名無しさん@ピンキー
08/11/27 21:22:22 YN8ANYFG
>>187
みのりんの台詞にぼっkした
続きまってます


>ID:mJuYpTs4

197:名無しさん@ピンキー
08/11/27 21:39:08 Pqxmuxu7
>>178
あみドラGJだ!
いいねいいね続きにも期待しちまうぜ

>>181
うるちゃいだまれ(可愛く言ってみました)

>>192
続くのかッ!
嬉しい
もっと書いて

198:名無しさん@ピンキー
08/11/27 22:26:42 XA/Xqx2X
スレ建てから24時間経たずに200とは・・・さすがゆゆぽスレだズズー

199:名無しさん@ピンキー
08/11/27 22:37:06 SoIiWisT
>>192
引き続き面白かったw
シチュエーションがすげー上手いと思う、頑張ってくれw

200:名無しさん@ピンキー
08/11/27 22:39:53 YN8ANYFG
>>198
お前どのスレから来たんだよ!

201:名無しさん@ピンキー
08/11/27 23:30:33 tJ6wSHiA
>>192
続きGJ


そのコテはなかなか上手いな

202:名無しさん@ピンキー
08/11/27 23:38:13 yTuNvAHt
GJ!
ななドラ続きこないかなぁ

203:名無しさん@ピンキー
08/11/27 23:44:43 IdswYh/M
>>192
GJ
後日談あればいいなとは思ったが、こんなに早く読めるとは思わんかったよ
一本目が竜児モテる、ヤキモチという図式でないのは
良い意味で今後のそういうベタな展開への期待が高まって良かったっす
続編気長に待っとります

204:名無しさん@ピンキー
08/11/28 00:52:37 0YltAgow
>>178
あみドラGJGJ!全俺が泣いた
感動の超大作だな、映画化決定!!亜美可愛いいなー畜生ー
続編期待

>>192
GJGJ!こんなにも早く続編がみれるとはな
大河プラグゲットw
まさか女だったとは…
こちらも続編期待



205:名無しさん@ピンキー
08/11/28 00:58:52 YA63X1Fg
>>181
正論だけどそんな正直言ったらやる気そがれるだろ
とりあえず一作品書いてあげてみろ
GJと言われる嬉しさが分かるから

>>192
GJ!
ニヤニヤしながら読ませてもらいました

206:名無しさん@ピンキー
08/11/28 02:25:03 aTNu8ykp
>>178
あんなに察しの悪い竜児はマジで一回殴られるべきw
ばかちーかわいいよばかちー

>>192
淑女御三方、一歳年下に手を出したらもうロリコンですか?そうなんですか?
てか、みのりん未練タラタラじゃねぇかwww

おかげで今日も頑張ろうと思えました。GJ!!!

207:名無しさん@ピンキー
08/11/28 02:29:41 0YvdpVge
>>178
前半の竜児はマジぶん殴りたくなったけど
素直になった亜美ちゃんのかわいさが異常で涙が出てきた
木原のアシストもよかったです。

>>192
今度は二人目の相談者なのか?小出しにするとは意地が悪いなw
大所帯のお弁当うらやましす

208:名無しさん@ピンキー
08/11/28 02:41:32 LSNQNgr2
投下祭絶賛継続中だなw

209:名無しさん@ピンキー
08/11/28 02:44:30 dBpfIFoY
>>192
GJ!!!
ニヤニヤしすぎて引きつった顔が戻らねえwww
っていうかこれで初SSって‥‥自分は‥‥まぁいいや、また暇出来たら書いてみよう

210:名無しさん@ピンキー
08/11/28 02:46:15 mPw+vZpV
(’・ω・`)やぁ。ようこそゆゆぽスレへ。
この水道水は相模ダムのサービスだから、まずは落ち着いて呑んで欲しい。
うん、また「大河SS」なんだ、すまない。
亜美ちゃん★の顔も三度って言うしね、謝るから許してくださいお願いします。

注意みたいなもの。
・内容の薄さの割りにネタバレが多いので、原作を読んでいない人で続きが楽しみな人は回避行動をとって下さい。
・本当にネタバレの嵐です。
・大人になった二人の話。
・作者はツンデレ大河の人。
・やっぱり嫌いな人は退避を勧めます。
・裸の人ごめんなさいエロ無しです。

211:名無しさん@ピンキー
08/11/28 02:49:14 mPw+vZpV

「結婚しよう」

男は、横の座席に座って映画を見ている女に言った。
丁度スクリーンには苦難を超えて結ばれたカップルの顔が互いに引き寄せられているところがアップで写されていて、
男は狙い済ましたような――実際に狙っていた――タイミングで隣の女に声をかけた。

「結婚しよう」

男が言った。そして、二人がスクリーンの中の光景と同じようになろうと―――

「センス悪っ」

なろうとするところで、二組のカップルを写していたテレビの電源が消された。






ある晴れた日曜日だった。土曜日の仕事の帰りに、同居人である(世間様は同棲と呼ぶ)高須竜児が、

「たまには映画でも見よう」

なんて言って、その顔に恐ろしいほどに似合わない、話題のラブロマンスもののDVDを買って来たのだ。
予定もなくて、一緒に布団から抜け出すとすぐに竜児は朝食を作り、そして私はテレビとDVDの準備(電源をつけるだけ)をしたのだ。

絵に描いたように、幸せな、週末と言えた。


だが、そのラブロマンスのなんと似合わないことか。


簡単に言えば、何処にでもいる(パッケージにはそう書いてあった。きっとイギリスにはハリウッド・スターのような美形のサラリーマンがあふれているのだ)
会社員が意中のあの子を射止める話だったのだが、本当に、なんと私達に似合わないことか!

運命だ何だのと銘打っているが、こんなちっぽけなことが運命なら私と竜児は何だったのだ。
紆余曲折のさらに紆余曲折、おまけに一回点半ひねりみたいな結ばれ方をした私達が、いまさらあんなものを見てなんになるって言うのだ。


長い、道だったと思う。
ラブレターの誤爆から始まって、竜児の記憶を消そうとしたこともあったし、
川嶋亜美(いまやドラマに映画にの大人気である)の別荘にも行ったし、学園祭でプロレスもどきもやった。
クリスマスにサンタと踊ってみたりもしたし、遭難してみたりもしたし、逃避行だってした。
北村くんが好きだといってみたりもしたし、みのりんと色々揉めてみたりもした。

かたや、この会社員もどきはどうだ。
ちょっと金持ちのライバルが現れてみたくらいじゃないか。

こんなのよりよっぽど現実の方が運命的なのだ、私達にとっては。
それに、あのベタベタな行動はなんだ。
もうちょっと粋な幕引きもあるんじゃないのか。
流石に、あれを粋というのは少しセンスが前時代的すぎる。
(――と思う。他人とかけ離れていることが売りの私が言っても説得力はないかもしれないが)


212:名無しさん@ピンキー
08/11/28 02:51:11 mPw+vZpV

「ねえ、竜児?」

「何だ」

「これ、見てると苛々するんだけど」

「...そうか?何か変なとこあったか?」

竜児が、困惑した顔になる。
仕方ない。説明してやろう。

「だって、」

隣に座っている竜児に体重を預ける。
寝間着に上着を羽織っただけの竜児の肩に、頭を任せた。

「だって、あんなのより私達の方が大変だったよ。あれくらいで運命がどうのって言われたら、なんかムカつく」

竜児の顔が歪んだ。これは照れている顔だ。
いつまでたっても初心なところは変わらない。

「...そうか。そうだったな。俺達も色々あったんだ。お前が鞄を間違えたことから始まって、」

「私が竜児の家に押し入って、」

「お前が家に来るようになって。だんだんお前がいつも横に居るようになって」

「私はいつも竜児の傍に居て。竜児が居ないと何も出来なかった」

「俺も、大河に後押しされて色々出来た」

「私が北村くんを好きって言い張ってた頃もあったし、竜児はみのりんが好きだった」

「そうだ。川嶋の別荘で色々やったりもした。今になって思うと、あの作戦とかも本当バカだったよな」

「私が三年のクラスに殴りこんだこともあった。結局竜児が来てくれるんだよね」

「俺がインフルエンザで寝込んだりな。クマとスーツ交換してもらったりもした」

「私は遭難したしね。ここでもやっぱり竜児が助けてくれた」

「そして極めつけは」

「「二人で逃避行」」

声が重なった。

「一緒なら、幸せだと思ったんだろうな。無意識に。高校生の分際だって言うのに」

「いいんじゃない?今だって幸せだから一緒に居るわけでしょ?」

「ああ」

「ほらね。私達の方が絶対運命的だったでしょ?」

「ああ。そうだな。その通りだ。」

口を開こうとした瞬間に、竜児が咳払いをした。
リビングの主役が竜児一人へと切り替わる。

213:名無しさん@ピンキー
08/11/28 02:52:59 mPw+vZpV
「大河」

「これを受け取ってくれないか」

竜児が、上着のポケットから化粧箱を取り出した。
何だろう。心臓が暴れ始めた。これはやっぱりそういうことなのだろうか。

「指輪...」

「そうだ。本当はさっきのシーンに合わせようと思ってたんだけどな」

センス悪いって言われちまったしな、と続ける。

「それに、お前に言われて気づいた。そうだな、俺達には似合わなかった。俺達はいつもどおり、変に気取らないでただ一緒に居るのが一番幸せなんだ」

緊張しているのだろう。竜児は、私の鼓動に負けないぐらいものすごい早口だった。
それでもなぜか、その言葉を私が聞き逃すことはなくて、一字一句間違えずに聞き取れていたのだ。

「だからさ、大河」

「生憎、俺は顔も性格も良くないし、収入も多くはないけど、裕福とは言えないかも知れないけど」

「結婚してくれ」


...ああ、本当に長かった。高校時代に始まって、今まで続いた関係が、やっと昇華されようとしているのだ。
大学に行ったって私達はずっと一緒だった。社会人になってからは一緒に住み始めた。
ケンカだってしたし、一方的に距離を置いた事だってあったけど、それでもそれだけ続いてきた。
その間、私なんかは今か今かと待ち続けてきたというのに。やっと今。

本当に、このバカは、どれだけ人を待たせていたと思っているのだろうか。
一丁前に緊張なんかしちゃって、私の答えなんてわかっていそうなものなのに。

だから、人を待たせた罰に、満面の笑みと共にこう言ってやるのだ。

「土下座しなさい。そうすれば、」


そうすれば、アンタのためにブチのだって白いのだって茶色いのだって産んであげる。


214:名無しさん@ピンキー
08/11/28 02:54:44 mPw+vZpV
終わりなんだぜ。

今回は隆二さんは居ないと思うが、居たら本当にすまん。

お目汚し失礼しましたー。

215:名無しさん@ピンキー
08/11/28 03:04:32 VIdl1Yag
GJGJGJ

216:名無しさん@ピンキー
08/11/28 03:32:28 aTNu8ykp
GJ!そして4巻につながり無限ループですね
え?違うんですか?

217:名無しさん@ピンキー
08/11/28 03:55:57 Pr5wKfzP
139です。竜児と大河、第2戦目です。

駄犬の逆襲

竜児とて男である。
凶悪な目つきに似合わず、温厚で面倒見の良い彼にも、プライドはあるし、我慢の出来かねることだってある。
今までこういう事態にならなかったのは、ひとえに彼が逢坂大河に何を言われようとも、受け流していたからに過ぎない。
日々積み重ねられた暴言に対する、凄惨極まりない復讐は、ある日突然やってきた。

「てめぇ! 口さえ開けば駄犬だバカ犬だ、人を何だと思っていやがる!」
また例のごとく、罵倒する必要もない場面で竜児を駄犬、アホ犬呼ばわりしていた大河は、聞いたこともない竜児の怒声に
目を見開いて身体を硬直させたが、5秒と経たずに緊張を解くと、いかにも心外だといわんばかりに、
「アンタ、誰に口聞いてるの! ご主人様に口答えするなんて、いつの間にそんなに偉くなったの?」
とやり返した。

その瞬間、大河の右頬がバチンとなり、大河は畳の上に横倒しにされてしまった。

「ちょ…なにすんのよ竜児。こんなことしてタダで済むと…」
「うるせぇ。口を開けばこの俺を犬呼ばわり。大河、お前こそ何様のつもりだゴルァ!
だいたいどこの世界に、犬に飯を作らせて食わせてもらっているご主人様がいるんだ? あぁ?」
鬼気迫る顔で、上から押さえつけてくる竜児を押しのけようと、大河はもがき、身をよじろうとしたが、身体はまったく動かない。
こいつ…こんなに力強かったんだ。
あまりの衝撃と恐怖で声を出すことも出来ず、大河は自分が思わぬ人間の手で、窮地に陥ったことを悟った。

218:名無しさん@ピンキー
08/11/28 03:57:09 Pr5wKfzP
「今日は誰が真のご主人様なのか、大河、お前の身体にたっぷり教えてやる」
ビリビリとシャツが破られる音に我に返り、思わず叫び声を上げようとした大河の口を、竜児の大きな手が力いっぱい塞ぐ。
「ん~っ! …んんん」
いつの間に手元に用意したのやら、大河を押さえつけたまま口にタオルを噛ませて頭の後ろで固く結びつけると、竜児はボロ切れと
化したシャツを投げ捨て、スカートの中に手を入れると、必死で足をバタバタさせたり、よじったりする大河の両足から、力づくで
パンツも抜きとってしまった。

「竜児…お願い、ごめんなさい…もう許して、無理矢理なんてヤダ…ヤダよ…」
大河のこんな声も言葉にならず、ただ必死に何かを訴える形相だけが空しく映る。
そんな様子に微塵も注意を払うこともなく竜児は、口と下でむき出しの大河の上半身を蹂躙しながら、もう一方の手の指を大河の膣内に差し入れた。
「何を必死に嫌がってるフリなんざしてるんだ。大河、お前、こんな濡らしやがって…気持ちいいのかよ」
抵抗する気力も体力も萎えていくのが分かる。なんで…なんではじめてなのに、こんなことになっちゃったんだろう。

「さて…お前を愉しませるのはここまでにしようか、大河」
散々もがいた挙句、ついに抵抗する気力を失ったのを見計らい、竜児は口のいましめを解いてやった。
荒い息をつき、涙と涎でぐちゃぐちゃになった顔で、大河は竜児に懇願する。
「竜児お願い…ちゃんとつけて…中に出さないで…」
「は? こんな時にゴムつけたり、外出しなんかするわけねぇだろが。たっぷり中に出してやる」
「いや~! いや~! うえええん…」
泣き出した大河にニヤリと笑いかけると、竜児は青筋を立てて赤黒く怒張したモノを、大河に押し当てると一気に奥まで押し込んだ。

219:名無しさん@ピンキー
08/11/28 03:58:14 Pr5wKfzP
「…ふう…」
胸と割れ目を指で愛撫しながら、恍惚の時間をさまよっていた大河は、はげしく弓なりになって2、3度ビクビクと痙攣すると、
ベッドに仰向けに身を横たえた。スプリングがギシリと音を立て、ベッドに広げられたバスタオルの上には、大小の染みが広がっている。
大河は忘我状態でハァハァ息を整えながら、なんとなく心地よいけだるさに浸っていた。
「竜児とする時って…いつも…」
なんとなく寄り添って、いちゃいちゃしている流れの中で突入するか、或いは大河が竜児を責めるシチュエーションでやるかのどちらかだ。
この間は、川嶋亜美のパンツをアホ面さげて見ていたことをネタに、竜児を散々苛めてやった。それはそれで楽しかった。
「お前、人の顔使って1人だけでイクんじゃねぇよ。俺まだイッてねぇぞ」と不平満々の竜児のために、手と口で奉仕することになったけど。

でも、それだけじゃ大河は物足りないのだ。たまには竜児から強引に迫ってきて欲しい。
「ね、竜児。伸びたり擦り切れて捨てようと思ってるシャツとかパンツが溜まってるんだけど、レイププレイに使わない?
男の子ってそういう願望あるんでしょ」
ところが意に反し、これを聞いた竜児は喜ぶどころか、大河を目の前に正座させると、ただでさえ怖い顔をさらに怖くして、

「大河。男ってのをみんな、そういう願望がある獣だなんて考えるんじゃねぇ。少なくとも俺は違う!
俺はたとえお遊びプレイでも、嫌がる女を力づくで犯すなんて死んでも嫌だ。
大抵のプレイには付き合ってやるが、そのテのヤツだけは勘弁してくれ」

凶悪顔のフェミニストは、大河を前に毅然と言い放った。そして続けて、
「あ…MOTTAINAIから、古くなったシャツや下着は捨てんじゃねえぞ。いくらだって転用の方法はあるんだ」
と、なんともまあ、顔に似合わないが彼らしい生活感溢れる一言を付け加え、大河をずっこけさせたのだった。

「酷いでしょみのりん。竜児ったら、私の気も知らないで」
「そんな話を平然と、独り身のあっしの前でするおめぇさんの方がひでぇと思いやすぜ。私にどう反応しろと?」
竜児と付き合うようになって、すっかり変わってしまった親友を前に、櫛枝実乃梨は大きな溜息をつくのであった。

220:名無しさん@ピンキー
08/11/28 03:59:44 Pr5wKfzP
竜児くんはやっぱり真面目なようです(`・c・´)
そして大河さんは、ちょっと欲求不満のようです( ゚∀゚)
ということで、ここまで。

221:名無しさん@ピンキー
08/11/28 04:05:51 WSM0ACjv
まぁ、なんと過激なズリネタwww
まさか大河でくるとは思ってなかったけどピッタリです。GJ!

222:名無しさん@ピンキー
08/11/28 10:54:40 xHrSicVo
久々に来たらスレが凄く進んでる
皆さんGJです

223:名無しさん@ピンキー
08/11/28 12:49:28 9xKNoY7R
>>210
>>217
GJGJ
大河可愛いよ大河

224:名無しさん@ピンキー
08/11/28 13:35:49 y/3njN5o
>>192
はああああんみんなかわゆすなあ
続きも楽しみにしてます

>>210
こっちも幸せになるわあGJ

225:名無しさん@ピンキー
08/11/28 15:15:46 x2C/qtDY
なんか久しぶりにエロが投下された気がするなw
GJ!

226:名無しさん@ピンキー
08/11/28 15:27:10 IhbY+4yK
展開早ぇ。たった1日見れなくてもうこんなに伸びてんのかよ(
>>119
GJすぎるぜ。
そこで初ラブレターを貰ってうろたえる高須とか3人娘を見てみたいと思ったオレがいる

227:名無しさん@ピンキー
08/11/28 18:01:22 palBMu4+
投稿ラッシュね
玉石混淆【エロスレ的には】ですが、作者一人一人の発想が個性的で面白いわ。

さて
受け止めは人それぞれですが、大宮駅発伊豆急下田駅行き湘南新宿ライナー、スーパービュー踊り子とは思わなかったわ。
新宿8時30分の
小説は三人席向かい合わせなので新幹線を使っているのに。

それと、大河が天井裏を探検しないのが残念。
「降りて来い」「パンチラ狙いかエロ犬」が無かったな。
全身ホコリまみれで、くしゃみの連発も無かったし。『花のように舞うホコリ』期待してたのだけと。


しかし、この状況だと、エロなしで投下しても大丈夫みたいですから、後で一石投げ込みます。

228:名無しさん@ピンキー
08/11/28 19:09:44 wBcKdw+v
作品、GJ評価以外で長文投下すんな
容量あんだぞ

229:名無しさん@ピンキー
08/11/28 19:15:45 LLq+GgOh
>>227
エロパロスレ的にする話題じゃないな
それに玉石混淆なんて言葉、投稿してくれてる人達にあんまりじゃないの?
今のスレの流れだと必ずエロを入れる必要もないんだから

230:名無しさん@ピンキー
08/11/28 19:51:46 aTNu8ykp
てか原作の雰囲気がエロに持ってき辛いよな

231:名無しさん@ピンキー
08/11/28 20:06:41 cd6/H4hB
俺はエロ無しでニヤニヤできるほうが好きだ

232:名無しさん@ピンキー
08/11/28 20:10:23 IhbY+4yK
>>230
いやいや、どちらもよいぜ。
ラブければさらにいい。
ラブエロならいけるんじゃないか?
神諸氏は臆せずGOの方向で。
とZENRAでSEIZAな俺がいる。

233:名無しさん@ピンキー
08/11/28 20:11:16 K/4NQc3C
>>211
遅レスかもしれんがGJ!
色々振り返ってるのが楽しかった
確かにドラマチックどころか波乱万丈、七転八倒だよなw

234:名無しさん@ピンキー
08/11/28 20:15:16 xHrSicVo
エロが少ないくらいエロパロ板ではよくあることだ

235:名無しさん@ピンキー
08/11/28 21:10:25 4PnqFonC
すげぇぜ、今やここはエロパロ板で最も勢いのあるスレとなった!

236:名無しさん@ピンキー
08/11/28 21:25:45 MlZPnS1c
アニメ化ってやっぱ偉大だね。
心配してた作画も気にならないし、内容も結構良い。

237:名無しさん@ピンキー
08/11/28 21:27:35 9ZJpl3lR
>>234
竜児や大河たち、登場人物そのものがエロス的存在だから問題なし( ゚∀゚)

238:名無しさん@ピンキー
08/11/28 21:47:04 M50z2ru8
URLリンク(blog-imgs-19.fc2.com)

239:名無しさん@ピンキー
08/11/28 22:21:28 6q6LTdV1
角煮でやれ氏ねカス

240:名無しさん@ピンキー
08/11/28 22:23:50 YA63X1Fg
竜虎出た嬉しさでストックをあげようと思う。

かなりオリジナル要素強いから嫌な人いたらゴメン。

241:名無しさん@ピンキー
08/11/28 22:24:46 YA63X1Fg

『ある日の巡り会い』


高校二年生になり、心機一転。新しいクラスになり数日が経った頃。 …私には、最近気に食わない奴がいた。
私と親友が話していると、チラチラとこちらをみてくる男子。私より前に席にいるんだから見てるのバレバレだってのに。
とりあえずじっと睨んでおく。大抵の奴ならこれで目を合わせようとしなくなるんだ。

そして案の定、そいつも慌てて目を背けている。ふんっ、バッカじゃないの。
そんなに私の親友がみたいなら勇気でもだして話しかければいいじゃないの。まったく。男は全員死ねばいいのに。

「でさ~! ……ん?どったの??」
「ううんなんでもない。それよりなんの話だっけ」

えー聞いてなかったのかよーちゃんと聞いてろよー!と猛抗議の親友。
やばい、バカ男子を睨みすぎて親友の話なんかまったく聞いていなかった。
そしてまたこれだ…親友と話し出すとチラチラこっちを見てくる。
ああまったく意気地がないったらありゃあしない…こんな蛆虫みたいな奴が同じ空間にいるだけでさぶいぼが…。


***


それは下駄箱に入っていた。
授業も終わり、下校時刻。親友はソフトボール部で部長を務めているので一人での帰宅だった。
そうして帰宅しようとして下駄箱を開けるとそこには一通の封筒が。

『屋上で待ってます』

…はぁ、またこれか。
その少女は、本人は自覚はないが容姿端麗、お人形さんのような子だった。
入学当初はその外見に惹かれ告白してくるものが後をたたず、全部切り捨ててはきたけれど未だにたまにこんなことがあるのだ。
それにしても。

「…てかアンタ誰なのよ。名前くらい書きなさいよ、どれだけドジなのよ…。」

とりあえず、こんなバカはさっさと切り捨てて帰ろう。ああ男ってホントにうざい。
そう思いながら気だるげに屋上に向かうのだった。


***

242:名無しさん@ピンキー
08/11/28 22:25:39 YA63X1Fg


「げっ…なんでアンタこんなとこにいるのよ」

少女の目の前には、最近クラスでチラチラ見てくる気に食わない男子が。
こいつ、私の親友を見てたんじゃなかったのか。

少年は、顔を真っ赤にして俯いている。

「…で、なんなのよ」

ある程度内容の検討がついているのだが、わざと知らないふりをして急かす。
それにしてもじれったい奴だ。さっさと言ってしまえば楽なものを。

「……あ、う。」
「聞いてあげるから、早くしてよね」
「あ、あのさ俺…」
「うんうん」
「俺、お前のことが好きなんだ!」
「ごめん無理。はい却下」
「ちょ!少しは悩むとかもなしかよ!そんなとこも好きだけどさ!」
「はいはい…それじゃあね、私早く帰りたいから」

呆然と立ちすくむ少年を尻目に、少女は屋上から去っていく。
はぁ、早く帰ってママのご飯作らなきゃ…。今日はパパも久しぶりに休みだし、久々に料理教えてもらおうっと。
そんなことを考えながら階段を降りていた。
後ろからはさっきの少年がなにか叫びながら追いかけてきているような気がするが無視無視…。

と。
「うわぁ!」
という声。

それとともに少女の横をすさまじいスピードで何かが転がり落ちていく。
目の前の壁にぶつかって止まったのは、さっきの少年。
…しかもちょっと泣きそうな顔。男のくせにこいつはまったく…。

243:名無しさん@ピンキー
08/11/28 22:26:36 YA63X1Fg

「はあ…。なにしてんのよ、ほら、起きなさい」

とりあえず手を差し伸べて立たせる。少年は傷だらけだった。
…どうやったら、転がり落ちただけでそんな怪我をするのよ…。
でも当の少年は平気そうな顔。けっこう丈夫なのかもしれない。

「あ、ありがと…」
「…別に。それよりアンタ、制服ほつれてる」
「うあ…ま、まぁいいんだ、こんなのいつものことだし」

…どこかしら、母親に似ている気がする。ドジなところとか。すごくドジなところとか。かなりドジなところとか。
それにしてもほつれた制服が気になるなあ。自分は父親に似て案外潔癖症なのかもしれない。

「…うーん。いま裁縫道具持ってないわ」
「い、いいよそんなの!」
「なーんかアンタほっとけないのよね…とりあえずウチに来て。ほつれだけでも直したげるから」
「…!ありがとう!やっぱお前すごいいい奴だなぁ!」
「そんなんじゃないっての。さっさと行くわよ」

「うん! …あのさ、友達からじゃ、ダメかな…?」
「…」
「俺、もっと高須のこと知りたいんだ!」
「…」
「…高須?」
「…いいわ。アンタといると、なんか気が楽だし」

はしゃぐ少年。それを置いてズンズン歩く、ちょっと目つきの鋭い可愛い少女。




両親は、娘が始めて連れてきた男友達に驚いた。

――そして、少年が櫛枝と名乗って、何故かさらに驚いていた。


end

244:名無しさん@ピンキー
08/11/28 22:27:56 YA63X1Fg
以上です。
短いし駄文で失礼しました。

祭りはまだまだ終わらないぜ!

245:名無しさん@ピンキー
08/11/28 22:41:49 MlZPnS1c
性転換…だと?

じゃあ、竜児は俺の嫁になれるってこと?何て素晴らしいんだ!

246:名無しさん@ピンキー
08/11/28 22:46:00 574aSUep
>>244
GJ!

>>245
次世代の話ってことじゃない?ってマジレス

247:名無しさん@ピンキー
08/11/28 22:48:08 sduyKlX7
>>229
もっと丸くなりましょう。争いの種は些細なところから生まれますよ。

248:名無しさん@ピンキー
08/11/28 22:58:01 9xKNoY7R
GJGJ
竜児と大河の娘か
大河の容姿で家事万能とかやべえ

249:名無しさん@ピンキー
08/11/28 23:02:58 y/3njN5o
>>244
GJ!
みのりんの息子が大河竜児の娘に惚れちゃったということかな?
続きが気になるぜ

250:名無しさん@ピンキー
08/11/28 23:09:26 IfhoQRj6
>>244
GJ!
この発想はなかった!
才能ってやつか!

251:名無しさん@ピンキー
08/11/28 23:15:35 nK4XG0xW
>>244
GJ!

何故か親友の名字が気になった
川嶋か狩野か春田か…

252:名無しさん@ピンキー
08/11/28 23:17:19 9ZJpl3lR
>>244
これまた意外な視点からの快作( ゚∀゚)
しかしなんとハイスペックな娘だ(*´Д`*)/ヽァ/ヽァ

253:名無しさん@ピンキー
08/11/28 23:30:03 LbjUH5m+
この話がリリアに見えてくる

254:名無しさん@ピンキー
08/11/29 00:31:10 dIeqBO1R
>>253
お前の言いたいことはわかるがスレチだ

255:名無しさん@ピンキー
08/11/29 00:32:42 1Br5el+I
GJ
シングルマザーみのりんに泣いた

256:名無しさん@ピンキー
08/11/29 00:52:40 AgnNmaWK
逆じゃなくてよかったなw
竜児の容姿に大河の性格…

257:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:08:26 TZ60jDL1
>>256
それは怖すぎるだろうw
弟あたりがそうなってたりして。

258:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:10:49 Y3O5ime4
いくら凶悪でも姉には絶対顔が上がらないんだな
それより亜美ちゃんの性格で顔が竜児のry

259:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:18:29 G4gc41ec
>>241
あまり多くない良作だ
次回作にも期待大

260:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:25:46 UBbsVkkd
大河と竜児の娘カワユス
GJ!

261:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:29:31 MlaYj5dk
竜虎行きます
ちょっとアレですがごめんなさい
タイトルは『おはようのXXXX』

262:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:30:26 MlaYj5dk


     「えー、ですのでここは………。」


午後の古典の授業。
抑揚もなく一定のテンポで淡々と授業を進める教師の声だけが響く中、
眠気を誘う相乗効果がクラスを襲い、
その魔の手に囚われた生徒達はウトウトと船を漕いでいる。


     「えー、つまり、これが………。」


ギラリと三白眼を細め、竜児はノートを見ていた頭を持ち上げた。
ブルブルと頭を振る。呪いを撒き散らそうというのではない、眠気を振り払おうとしているのだ。
午前中に体育の授業でしっかりと体を動かし、そして昼食をたっぷり食べた。
眠くなるのは自然の摂理というものだ。
見た目とは正反対に、授業態度は極めて真面目な竜児だが、
大半の生徒同様、夢の世界の甘美な誘いに耐えるのは大変なのである。


「よっ…と。」
目立たないように体を伸ばしながら、目だけを動かし、竜児はざっとクラスを見渡した。
古典の教師は課題と試験さえちゃんとやれば基本的に文句を言わないタイプなので、
真面目に授業を聞いている者はむしろ少数で、
内職している生徒と寝ている生徒ばかりに見える。

北村はちゃんと聞いている、さすがは生徒会長。
実乃梨は一見ちゃんと聞いているように見えるが、
あの真剣な眼差しはどうやらマジックでまぶたに書かれたもののようだ。
亜美はつまらなそうに端の席でなにやら爪を磨いていた。



263:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:30:26 sCA8O3EA
>>257
しかし、姉には逆らえない感じだよな。姉に限らず家族は皆。

>>244
続きが楽しみなんだが、これを読んでて
息子の性格から竜児がみのりんと一夜過ごしたんだと訳分からん設定が頭に浮かんだ

264:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:31:14 MlaYj5dk

もはや教師の言葉は耳から耳へ抜けていく。
「ふわぁ。」
押し殺せず、あくびが出た。
最終防衛ラインは陥落寸前のようだ。
竜児は目をこすりながら、先日の席替えで斜め後方の窓側の席になった大河のほうに顔を向ける。

「うわぁ…。」
思わず声が漏れてしまった。
大河も御多分に洩れず、すやすやと眠っていた。
細い両手を枕にして長い髪を垂らし、
居眠りというには大胆すぎる熟睡ぶりだ。
小さな背中を丸めるようにして気持ちよさそうに寝ている。


「スゥ……スゥ……」


小さな寝息をたてて熟睡する姿、
そのかわいらしいまぶたも、長く美しいまつげも、ピンク色の唇も、
さながら気まぐれに地上で休息する天使そのもののような愛らしさだった。

今日の弁当は大河のリクエストに答え、奮発してトンカツにした。
竜児の分まで奪い取り、心行くまで肉を堪能した大河は、
サバンナの虎が存分に餌を貪った後そうするように、
緩みきった顔で幸せそうに夢の中で午後のひと時を過ごしていた。


「スゥ……スゥ……」


学校ではまずお目にかかれないその愛らしい姿を見ていると、
竜児はつまらない授業を真面目に聞く気にもなれず、
眠りかけの頭でぼーっと大河の無防備な寝顔を眺めていた。
教師の声と大河の寝息だけが教室に響き、
まどろみの中、時間が過ぎていった。




265:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:31:54 MlaYj5dk


キーンコーンカーンコーン

授業終了の鐘と同時に、古典教師はスパッと話を切り上げた。
すでに指示した課題をやっておくように最後に付け加え、これにて授業は終わり。

「起立!礼!」

北村の号令で、竜児は立ち上がり頭を下げる。
力なく立ち上がりダラダラと礼をする生徒たちの中、大河は熟睡したまま立ち上がらない。
周りの生徒たちはどうするか困っているようだった。

起こしてやるべきなのだが…、竜児は迷った。
だが、竜児がどうこうするより前に、
教師は気にすることなくサッサと教室を出て行ってしまった。


「スゥ……スゥ……」


授業後の喧騒もどこ吹く風、大河は一定のテンポで小さな寝息をたてて、眠り続ける。
竜児は座りなおし、睡魔に誘われつつも、大河を再度眺めた。
今日の授業はこれで終わりだ。
HRが始まる前に大河を起こして帰る準備をさせるべきなのはわかっていたが、
竜児は机に立て肘をついたまま、眺め続けた。
このひと時を、素直に楽しみたいと思ったのだ。


「スゥ……スゥ……」


しかしそんな竜児の平穏は、無粋な第三者に破られる。
「相変わらず逢坂の寝顔は可愛いな。」
一頻り眺めていた竜児に、北村が声をかけたのだ。
「はぁ?」
その声に振り返り、間抜けな声を上げる。
そして竜児は大河を眺めているのが自分だけではないことに気づいた。
男子生徒たちの視線が、チラチラと自分と同じように大河に向けられていた。



266:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:32:35 MlaYj5dk

眠りかけていた脳が一瞬で覚醒した。
平穏な世界は二人だけのものではないのだ。
眠り姫そのものの今の大河は、普段の口の悪さや横暴さは皆無で、
その彫刻のような美しさを惜しむことなく見せ付けている。
クラスの男子たちが無防備すぎる大河の寝顔を盗み見たくなるのは当然なのかもしれないが。

……くそ、なんだこの不快感は。
竜児は独りごちる。

そんな竜児に、いつの間にか側にいた亜美が、にやりと笑みを浮かべて言った。
「あれ~、高須くんってば、タイガーの寝顔を独り占めしてるつもりだった?」
「な、川嶋!俺は別に、そんな……、」
「あはっ、残念、男子たちみんな堪能してるみたいだよ。
 早く起こしてあげたほうがいいんじゃないの~?」
「……うるせえ。」

竜児はニヤニヤとムカつく笑顔を向けてくる亜美を無視し、
顔を引き締めて立ち上がり、一度ゆっくりとクラスを見回した。
一応、慌てて顔をそらしたヤツのことは憶えておこう、能登のやつめ。


「スゥ……スゥ……」


帰り支度をしようとするクラスメイトをかきわけるようにして、竜児は大河の元へ。
側に立ち、一度息をついた後、声をかけ肩をゆすった。

「おい、大河!起きろ!もう授業終わったぞ!」
「………ふにゃ。」


267:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:33:16 MlaYj5dk
竜児の声に反応する大河。
普段のようなドスを効かせた低い声ではなく、緩みきった甘い声。
寝起きが悪い大河は、いつも覚醒するまでに時間がかかる。
竜児は大河が再び寝てしまわないよう続ける。
クラスの皆の注目が集まっていることは分かっていたが、
なぜか見せ付けるように大袈裟に声を張り上げてしまっていたことに、竜児は気づかなかった。

「いつまで寝てる気だよ!起きろ大河!」
「……うん。」
「起きろ!寝るな大河!」
「……はぁ、……りゅうじ……おはよ。」

大河は生まれたばかりの子猫のように、小さく体を動かし、起き上がった。
うーん、と声を漏らし、その折れてしまいそうな体を伸ばし、
眠たそうにわずかに開いた瞳が竜児の姿を捉えると、
せっかく開けた目を再び閉じ、大河はその小さなアゴを少し持ち上げた。
ん、と小さな声が漏れる。



その可愛らしい仕草に竜児は見覚えがある。
毎朝見ているその仕草。
あのバレンタインの騒動以来日課となっているその仕草の求めるもの。
一瞬の後、竜児はその仕草の意味に気づく。

あれ?これって……、
まさか、おい、ちょっと待……、

竜児が焦り、口を開く直前、

「………おはようのキスは?」

寝ぼけた大河が催促するように小さく呟いた。




268:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:34:02 MlaYj5dk


瞬間、あれほど騒がしかった教室が嘘のように静かになった。
竜児は硬直した。
頭が真っ白になる。
ガチガチの体に鞭打ち、振り返る。
じー、教室中の視線が突き刺さった。
北村も実乃梨も亜美も、無言のまま苦笑い。

「あ、あのな……、これは……、違うんだ。」
固まった喉を無理矢理動かし、竜児はそれだけ言った。
噴き出した汗が頬を伝う。
手が震える。
竜児は耐え切れず視線を戻した。

いつまで待っても唇に竜児を感じられないことに不満そうに眉を動かし、
大河は閉じられていたまぶたをゆっくりと開いた。
いまだ夢の世界から抜け出せられずといった愛らしい瞳が左右に揺れ、
そしてその双眸が滝のように汗をかく竜児を見つけると、
大河は天使のように無邪気で可愛らしい笑顔を向けた。



そして大河は、脳がゆっくりと覚醒していくにつれ、
硬直する周りの視線に気づき、
己が今どこにいるかに気づき、
己が今口走った一言の意味に気づき、
竜児の目を再び見つめ、硬直した。



269:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:34:48 MlaYj5dk

沈黙が支配する永遠のように長い数秒の後、
大河の象牙のような白い顔が、トマトのように真っ赤に一瞬で変化した。
「な、ななな、な………、」
羞恥でガタガタと震えだす。
握り締められた机が軋む。

「お、落ち着け大河。……落ち着いて、な、ほら。」
妙に冷静になった竜児の声。
しかし大河の動揺は収まらず、そして、


「いやあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」


「うおっ!待っ……。」
机も椅子もなぎ倒し、弾丸のように一直線に扉へ猛ダッシュ。
竜児の制止を振り切り、大河は開け放たれていた扉から勢いよく飛び出していった。




大河が去って数秒後、魔法が解けたように竜児の硬直も解ける。
「悪い!」
今だ向けられるクラスメイトの視線を無視し、
竜児は素早く大河が倒した机と椅子を元に戻し、席の主に簡単に詫びた。



「ほら、高須。」
その声に振り返る。
北村と実乃梨が二人分の荷物を竜児に差し出していた。
「さっさと追いかけてやりなさいよ。」
めんどくさそうな亜美の言葉にうなずき、
竜児は荷物を両手で掴み、廊下へ飛び出した。
「大河ーっ!待てー!」
そして、大河と同じく猛ダッシュ、全速力で大河を追いかけた。



270:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:35:34 MlaYj5dk

あの日と同じ、逃げる大河を追いかける自分の姿に、竜児は走りながら思わず頬が緩んでしまった。
まったく、あいつは、いつもドジやって勝手に逃げ出して、
だけど……、だけど俺は……、結局……

「ちゃんと捕まえてやるぞ、大河。」

大河の側を、離れられないんだよな。




「高須、逢坂。都合により早退っと……。」
北村の呟きを合図に、クラスに喧騒が戻った。
「ケッ!やってらんねーよバカップルが!」
「ハハハ……。」
吐き捨てる亜美に、実乃梨は苦笑いで答えた。

クラスのみんなも付き合ってられんといった様子で、
二人のことは忘れてお喋りに興じている。
まもなく独身がやってくるだろう。

高校二年の生活も残りわずか。
今日も概ね、平穏な一日だった。

End

271:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:42:07 ZPAu3ong
>>261
GJGJGJGJ!
2828が止まらないぜw
大河が可愛すぎるw



272:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:44:43 jsTEuxlU
(28∀28)

273:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:48:29 HExPoN71
261さんGJです!!

274:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:52:00 UBbsVkkd
>>261
乙乙
やっぱり竜虎はええのう
寝ぼけ大河可愛いです

275:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:54:46 P33eBJ7S
GJ
竜虎最高だよ、この大河の可愛さは異常

276:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:55:03 Y3O5ime4
これはいいニヤニヤ

277:名無しさん@ピンキー
08/11/29 02:05:36 TZ60jDL1
>>261
まったく顔がにやけるGJ
大河がかわええのう。

278:174 ◆TNwhNl8TZY
08/11/29 02:08:40 5HG9E5IO
やっちゃんSSの続きを投下
少しだけどあーみんやみのりんも出るよ

279:174 ◆TNwhNl8TZY
08/11/29 02:09:21 5HG9E5IO

「やすドラ?」

ざっと体を拭いて服を着る。ホントは体なんかも洗いたかったけどこの際しょうがない。
あのまま、また泰子と一緒に風呂に入ってたら色々と耐えられない。変な意味じゃなくって精神的に耐えられない。
ただでさえ俺の、あ~・・・元気な高須棒まで見られたんだ・・・その上、泰子の体まで洗って・・・・・・柔らかかったな・・・・・・はっ!?
つい泰子の体の触り心地を思い出してしまい、脱衣所の壁に寄りかかって悶々としていた俺を

「竜ちゃ~ん」

「・・・どうした? 泰子」

「上がりたいの~」

泰子がドア越しに呼んできた。もう上がるのか。
・・・1度深呼吸して意識を切り替える。
泰子の裸なんてさっき存分に拝んだろ。今更恥ずかしがってどうする。
そんな事を気にしてる時点で自分が恥ずかしがってるのを自覚しつつ

「竜ちゃん、まだぁ?」

って俺を待っている泰子を風呂から出すために浴室のドアを開ける。
充満していた湯気が晴れると、浴槽に浸かっている泰子が声をかけてきた。

「やぁん、竜ちゃん・・・あんまり見ないで? 恥ずかしいよ・・・」

「はぁ? 急になに言ってんだよ。さっきまで一緒に風呂入ってたろ」

「だってぇ、やっちゃんだけ裸なんだもん・・・急に竜ちゃんの視線が気になっちゃって」

本気でなに言ってやがんだ? それに俺が泰子の裸を凝視してるみたいに言うなよ。

「あ、そのね? ・・・見られるのは恥ずかしいけどぉ、竜ちゃんに見られていやなんじゃないよ?」

しかもどこを訂正してんだ。意味分かんねぇって。
そう言いながら俺を見つめてくる泰子に向かって、いい加減話を進めようと話しかける。
考えればもう大分長湯になったし、疲れさせちまうだろうからとっとと出よう。

「分かった分かった。そんなことどうでもいいから早く上がろうぜ。もう十分温まったんだろ?」

「・・・・・・・・・」

「・・・どうかしたか?」

「・・・・・・・・・べつに」

途端に不機嫌になった泰子。俺、なんかマズイこと言ったのか?
さっきまで上げかけていた上半身をお湯に沈めて、口元まで来たお湯をブクブクさせながらたまにこっちを睨んでる。
あまり広くない上にお湯だって沢山張ってるわけじゃないうちの浴槽だと、半分仰向けになる形になってしまうから
ぶっちゃけ胸だのお腹だの・・・あれだのが丸見えになる格好になって、慌てて後ろを向いて泰子に問いかける。

「泰子? 俺、何か気に障ることでも言ったか・・・?」

「・・・・・・どうでもいいんでしょ・・・」

280:174 ◆TNwhNl8TZY
08/11/29 02:10:00 5HG9E5IO
ポツリと泰子が呟くが、何を言いたいのかよく分からない。

「な、何がだ?」

「・・・だからぁ、竜ちゃんはやっちゃんの事なんてどうでもいいんでしょ、って言ったの」

「・・・はぁ? 何でだよ? 俺そんな事言ったか?」

「言ったもん・・・やっちゃんがぁ『竜ちゃんに見られてもいやじゃないよ?』って言ったら、竜ちゃん『どうでもいいから』って・・・
 やっちゃん、竜ちゃんに誤解されるのヤだったから言ったのに『そんなこと』って・・・
 やっちゃんの事どうでもいいってぇ・・・ぐしゅ・・・うぅ・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

ちょっと強引じゃないか? 話飛び過ぎじゃねぇかそれ?
どこをどう繋げたらそこに辿り着くか分からないで一瞬呆然としてしまったが、最後の方に涙声が混じっていたのに気付いて我に帰った。
再度振り返り、泰子の目を見て口を開く。

「な、なんで泣いてんだよ!? 泣くところなんて無かっただろう? それに、俺はそんなつもりで言ったんじゃねぇよ!」

「ふぇ・・・? ほんとに?」

「そうだって。俺はべつに泰子の事がどうでもいい訳じゃなくて、いつまでも風呂に浸かってるとのぼせるし体にも良くないし・・・
 それにもう風呂から上がるって言ってたから、長話してても可哀想だと思ってだな・・・」

「・・・・・・・・・」

「『そんなことどうでもいいから』ってのも、単に言葉の綾と言うか、口から出ただけで深く考えてた訳じゃ・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・だから、その・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・言葉が悪かった・・・・・・ごめんな、泰子」

意外にもこっちの話を聞いてくれていた泰子に、チャンスだと思って畳みかける。
だけど、じっと俺の方を見て黙って聞いている泰子に、だんだん自分が言ってるのが言い訳みたいに聞こえてきて・・・
実際に泰子は俺の何の気なしに放った一言で泣いていたじゃないか。そう思ったら、俺はもう何も考えないで謝っていた。

「「・・・・・・・・・」」

無言の泰子と、その泰子の反応を待つ俺。
時間にすると1分も経ってなかっただろうけど、見つめ合ってる時間が異様に長く感じた。
そろそろ何か声をかけるべきか?
そう思っていたら、ずっと黙っていた泰子がようやく口を開いた。

「・・・なんで・・・」

「・・・ん?」

「なんで竜ちゃんが謝ってるの・・・? やっちゃんが勘違いしただけなのに・・・」

「・・・勘違いさせるようなこと、言っちまっただろ? 俺が」

281:174 ◆TNwhNl8TZY
08/11/29 02:10:44 5HG9E5IO
「・・・・・・でも・・・」

「勘違いさせて、泣かせたから。だから、悪いのは俺の方だ。・・・ごめん、泰子」

「・・・・・・・・・」

また押し黙ってしまう泰子。けど、今度はすぐに口を開いて

「・・・竜ちゃん、立たせて」

「あ? あぁ・・・泰子?」

「おねがい」

「・・・おぅ・・・・・・」

急に立たせてほしいと言ってきた。
あまりにも突然話を変えてきたから思わず聞き返してしまったが、泰子は有無を言わせぬって感じで見上げてくる。
考えは読めなかったけど、真剣な眼差しで見つめてくるのでそれ以上言わずに腕を伸ばす。
こっちを向いてる泰子の脇に腕を差して持ち上げてやれば、お湯の中だし膝も曲げていたからすんなりと立った。
・・・立ち上がった泰子から昇る湯気がなんだか色っぽく見えて、気恥ずかしくてつい目を逸らすと

「竜ちゃん・・・・・・」

泰子が俺にもたれかかってくる。

「・・・っと・・・・・・どうした? のぼせたのか?」

「・・・ごめんなさい」

もたれかかってきた泰子を受け止めてやると、俺の胸に顔を埋めて謝りだしてきた。

「・・・服のことか? 濡れただけだし、こんなの着替えりゃ」

「うぅん・・・違うの・・・」

おどけて言ってみるが遮られた。べつに本気で服のことだって思ってた訳じゃないけど、ちょっと驚く。

「・・・ごめんね? 変なこと言ったりして・・・」

「だから、それは俺の言い回し方が」

「竜ちゃんは悪くないよ・・・だって、やっちゃんのこと心配してくれて、それで言ってくれたんでしょ?
 それなのにやっちゃん、1人で勝手に怒ったりして・・・子供みたいにふてくされて・・・竜ちゃんはぜんぜん悪くないのに」

また遮られた。しかし・・・今度はまた随分とへこんでるな・・・・・・
まぁ、思いつめてる内容が内容なんでちょっと人には知られたくないけど。
・・・・・・どうすっかなぁ・・・ただ口で言っても今は聞いてくれそうにないし・・・けどこのままにしておけないし。
・・・どうせ口移しだのあ~んだの、昨日から散々恥ずかしいことをやってきたじゃないか。
後先考えてないで、今は泰子をどうにかすることだけ考えろ、俺。

具体的に何をするかを決めて、俺は未だ自分の胸に顔を埋めている泰子に向かって声をかけた。

282:名無しさん@ピンキー
08/11/29 02:11:23 4npBEt51
>>261さんGJ
なんか本物読んでる気になった

283:名無しさん@ピンキー
08/11/29 02:11:23 wIbuw/J1
>>261
GJ!
ちゃんと原作っぽさが備わっていて、
なおかつ2828させてくれる。

284:174 ◆TNwhNl8TZY
08/11/29 02:11:34 5HG9E5IO
「・・・なぁ泰子、ちょっとだけ顔を上げてくれないか?」

「・・・・・・・・・」

黙って離れる泰子は、それでも顔を上げずにこっちを見ないようにしてる。
まぁいい。俺は少しだけ膝を屈めて高さを調節して

「ぁっ・・・・・・・・・」

泰子をしっかりと抱きしめた。
くっ付けた頬から熱が伝わってくる。密着してる胸から泰子の心臓の音が聞こえる気がする。いや、俺のかもしれないな。
抱きしめたまま、耳元でそっと囁く。

「俺は泰子の事をどうでもいいだなんて思ったことは絶対に無いぞ。
 ・・・大切だって、思ってる。できればずっと一緒に居てやりたいって思ってるくらいだ」

「・・・っ」

たった2人の家族だからな。俺が家を出たりして、泰子を1人にさせたくない。
一拍置いて

「あと、泰子が泣いてたのはやっぱり俺のせいだろ。泰子が謝ることなんて無いって」

言い終えて、今度は顔を泰子の目の前に持ってくる。ちらっと泰子の目に映った自分を見たら、茹蛸みたいだった。

「・・・だから、もういい加減風呂から上がらないか? こんなこと言い合っててもしょうがないし、俺まで冷えてきちまうよ」

「・・・・・・・・・」

そう言って抱きしめていた腕を解く。正直羞恥心が限界に達していて頭を何かに打ち付けたい衝動が半端じゃないけど、じっと耐える。
視線だけは泰子から外さないで待っていたら、弾かれたように泰子が動き出した。

「・・・・・・っ竜ちゃあん! ・・・んちゅ、ふむぅ・・・んうぅ・・・」

顔がぶつかるんじゃないかって思った瞬間にはもう泰子の舌が俺の口を割って入ってきていた。
って

「!? っぶは、いきなり何すんだ!? っていうかいきなり何すんだ!」

いかん、相当テンパってる。同じこと訊いてどうすんだよ。
そりゃ勢いつけて母親がくちびる押し付けてきたらテンパるだろ? つか何でキスなんかしてくんだよ。
しかも今舌だったよな!? 舌突っ込んできたのか!?

至近距離なのに、ほとんど俺を押し倒さんばかりの勢いで飛びついてきた泰子。
足が浴槽に入りっぱなしだから転倒しないようにまた抱きしめたら、あろうことか舌まで入れてくるような深いキスをお見舞いしてくれた。
口の中に自分以外の舌の感触を感じ取った瞬間、泰子が倒れないよう腰に回していた手を肩に置いて引き剥がし、顔を遠ざける。
訳が分からず、問いただそうとするが間抜けにも程があるような状態の俺。
2回も続けて同じ事を言っている俺に、泰子が鼻をスンスン鳴らしながら話しかけてくる。

「ぁ、ご、ごめんなさい・・・けど、やっちゃん嬉しくってぇ・・・ぐす・・・
 竜ちゃんが抱きしめてくれたのも、言ってくれたことも、とってもとっても嬉しくってぇ・・・
 そうしたら、なんだか竜ちゃんにチュウしたくなって・・・我慢できなかったのぉ・・・」

「泰子・・・・・・」

チュウなんて可愛いもんじゃなかったぞ、今の。それに舌入れてくるのをチュウで片付けんなよ・・・
心の中でそっとツッコミつつ、泰子の話しの続きを聞く。

285:174 ◆TNwhNl8TZY
08/11/29 02:12:18 5HG9E5IO
「ぐし・・・・・・ねぇ竜ちゃん。竜ちゃんはああ言ってくれたけど・・・やっぱり、ごめんなさい
 おかしな事言って、竜ちゃんの洋服濡らしちゃって、いきなりチュウして・・・困らせちゃってごめんなさい・・・」

「・・・・・・・・・おぅ、もういいって。だからもうこの話は終わりにしないか? いつまで経っても風呂から出れねぇよ」

「うん。・・・竜ちゃん・・・ありがと」

「だからもういいって。それより早いとこ体拭くぞ? 俺だって服ずぶ濡れになってんだし・・・」

これ以上は泰子も引かないだろうと思って俺の方から折れる。
なんだか風呂から出すだけで物凄く骨が折れた気がする。今度から『どうでもいい』は使わないようにしよう。
泰子の何に引っかかるか分からない。

やっと機嫌を直してくれた泰子の頭をバスタオルで荒く拭いてターバンみたいに巻いてやり、別のタオルで体の水気を拭き取る。
体を拭くのが1番厄介だろうと思っていたけど、あんな空気の後だからか、それとも無理やりくちびるを奪われた事を引きずってるのか
思っていたよりは泰子の体を拭いていても緊張しなかった。
一旦頭のタオルを取って代えのシャツと下着、短パンなんかを着せ終えて泰子を居間にやり、俺も自分の分の着替えを取りに自室へ行く。
自室で着替えて、脱衣所のカゴに濡れた服を放り込むついでにドライヤーを持って居間に入った。

「泰子、髪の毛乾かすからじっとしてろよ」

「あ、竜ちゃん。お願いしていい?」

「タオルじゃあ乾ききらないだろ。濡れたまんまだと風邪ひくし、このくらいはな。少しの間動くなよ?」

「はぁい♪」

「・・・・・・」

「♪~」

コンセントにコードを挿し込んでスイッチを入れ、温風を満遍なく行き渡らせるように動かしながら、たまに髪を手で梳いてやる。
大河とはまた違った感じの柔らかさだ。
さっきまでのへこみっぷりが嘘みたいに、
なにが楽しいのか鼻歌交じりでドライヤーをかけられている泰子と、黙って髪を乾かすのに集中してる俺。
たまに「竜ちゃん、大切だってぇ・・・」とか「ずっと一緒・・・それってぇ・・・」とか聞こえた気がするけど。

あらかた乾かし終えたら、ドライヤーを片付けて今度は手に湿布を貼って、添え木を包帯で固定してやる。
包帯も巻き終わって、俺はようやく人心地ついた。

「ほら、もういいぞ。またお茶でも淹れてくるからちょっと待ってろ」

立ち上がって台所に入り、冷めてしまった急須の中身を流しに捨てて、熱いお湯を注ぐ。湯飲みはさっき使ってたのでいいだろう。
居間に戻って座り、お茶を注いでいると泰子が擦り寄ってきて、余っている方の俺の腕に自分の腕を絡ませてる。

「ん? なんだよ」

「うぅん~、なんでもなぁい♪」

「? まぁいいけど。お茶飲むか?」

「うん、ちょうだい」

泰子が左腕に抱きついてる状態で口移しでお茶を飲ませる。大分慣れてきた感もあるが、まだ恥ずかしい・・・

286:174 ◆TNwhNl8TZY
08/11/29 02:13:03 5HG9E5IO
ただ、てっきり気紛れにくっ付いてきたと思ったら、その後もずっと泰子は俺にくっ付いてきた。
くっ付いてって言うよりも何て言うか・・・・・・ベタベタ? みたいな。
とにかく離れるのはトイレぐらいなもので、昼飯を作ってる時も立ったまま隣で見ていたし、
食ってる時も昨日や今朝以上にピッタリ寄り添って、おかずを食べさせる度に一々『おいしい!』だの大げさに言ってくる。
さっきの風呂から上がる時とはえらい違いだ。ころころ態度が変わるな。

さすがに不思議に思って、昼飯を食い終わった後に「良い事でもあったのか?」って訊いてみたら

「うぅん・・・ただねぇ? やっちゃん、もう竜ちゃんから離れなぁい♪」

とか言ってはぐらかされた。どうでもいいが無駄に機嫌が良い。あ、『どうでもいい』って使っちまったよ。
正直動きづらいし腕が胸に挟まれ・・・いや、動きづらいだけだ。

午後になると腕だけじゃなくて背中に抱きつかれたり胡坐をかいてる俺の膝に頭を乗っけてきたり・・・
止める理由も無いんでさせたいようにさせていたら、どんどんエスカレートしていく泰子。
手首だけは注意してるみたいだから問題無いだろうけど・・・
今では大河がやっていたように俺の膝の間に座っている。
大河よりは重いし、前が見えなくなるのでさすがに止めてほしいと言ったら

「・・・大河ちゃんはよくてやっちゃんはダメなんだぁ・・・」

・・・この一言でもう何も言えなくなった。
けど、ここで多少泰子の機嫌を損ねても、この時ばかりは自分の意見を押し通しておけばよかったんだ・・・

その後もしばらく俺の膝に乗っかってると、不意にこっちに顔を向ける泰子。

「んふふ~♪竜ちゃん~♪」

・・・頭で俺の胸をぐりぐりしてくるだけかよ。甘えっ子か・・・
子供にしてやるみたいにポンポン頭を叩いてやるとさらに体を寄せてくる。
そろそろくすぐったくなってきたので止めさせようと口を開こうとしたら、玄関の開く音が聞こえた。
驚いて玄関を見ると

「竜児ー? 居るわよねー?」

・・・・・・大河が、帰ってきやがった・・・・・・

「「おじゃましまーす」」

え? 櫛枝? それに川嶋の声!? 何故!?
い、いや、今はそんなことより

「泰子、どいてk」

「あんた・・・やっちゃんと何してんの?」

「た、高須くん・・・?」

「・・・・・・・・・」

余裕で間に合わなかった・・・そりゃ玄関から居間まですぐだもんな・・・
どける事ができずに泰子を膝に乗っけたまま俺は・・・・・・

287:174 ◆TNwhNl8TZY
08/11/29 02:13:36 5HG9E5IO
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Q 事情を知ってるはずの大河が指をバキボキ鳴らしながら近づいてきて、
  櫛枝がなんの冗談も言わないまま固まっていて、
  川嶋が周りの目も気にしないで素で俺を睨んでくるんですけど、どうすれば生き永らえる事ができると思う?
= 駄犬、まず土下座して私に許しを請え。その後泣きながら「俺には大河しかいないんだ」って言ってぎゅってしろ。
= た、高須くん? 私にゃちょ~っと状況が掴めないんだけど・・・とりあえず今度お店に来たら盛っておくぜ、『いろいろ』。
= 手乗りも天然もどうでもいい。亜美ちゃんを蔑ろにはしないよね? ね? 高須くん? ・・・したらどうなるか分かってんだろうな、おい?
= た、高須・・・逃げぐおおおお!? ・・・お前と、裸でソフトボールがしたかぎゃあぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・

「うぉおう!? 一体何があった!?」

「きゃん!? ・・・・・・竜ちゃん、いたい・・・」

い、いつもの感じじゃなかった・・・何か恐怖の塊みたいなのに押し潰されてたような・・・それも3つくらい・・・
思わず大声を出して泰子を払いのけた俺に、大河達が訝しげな視線を送ってきながらも、急に訪ねてきた訳を語ってきた。

「ちょ、ちょっと竜児、なに言ってんの? 私はべつに帰ってき・・・やっちゃんのお見舞いに来ただけよ」

「私は高須くんが2日も学校に来ないから、てっきり悪の組織と死闘を繰り広げて重症を負って動けないと・・・」

「・・・櫛枝さんの冗談は置いといて・・・高須くん、お母さんがケガしたんでしょ? 亜美ちゃんに何かできることって、あるかな?」

矢継ぎ早に話しかけてくる大河達。どうやら俺を心配して家まで来てくれたようだ。

「そ、そうなのか? ・・・櫛枝も川嶋も、わざわざすまないな」

「・・・え? りゅ、竜児? 私も・・・」

「いいってことよ高須くん。私と君の仲じゃあないか!」

「そうだよ高須くん? 『すまない』なんてあたし達の間でそんな、水臭いじゃない」

「・・・・・・ありがとな、2人とも。お世辞でも嬉しいよ」

「・・・・・・・・・」

今までの人生で、風邪をひこうがケガをしようが、学校を休んだ俺を心配して家まで様子を見に来てもらった事なんて無かった。
生まれついての目つきのおかげで。だから、お世辞でも2人が言ってくれたことは素直に嬉しかった。
親指を立ててニッコリ笑ってる櫛枝と、いつもみたいに外面を作ってからかってくる川嶋。その横で・・・

「・・・・・・・・・」

大河がスカートを握り締めて俯いていた。

「・・・大河?」

そう言えば2人の相手ばっかりしていて、大河の話を聞いていなかった気がする。
大河は元々成り行きを知ってるし、櫛枝と川嶋に話を合わせてると思ったから後回しにしてしまったんだが・・・
悪いことしたなぁ・・・除け者にされたと思っているんだろう。

288:174 ◆TNwhNl8TZY
08/11/29 02:14:10 5HG9E5IO
「大河も、ありがとうな」

「・・・べつに・・・私はやっちゃんのお見舞いに来ただけよ。駄犬のことなんて・・・」

「分かってるよ」

「ん・・・・・・」

言いながら頭を撫でてやる。口調はキツイけどさっきみたいな泣きそうな顔が引っ込んだから大丈夫だろう。
櫛枝と川嶋が黙って撫でられてる大河を信じられないって感じで凝視しているけど、ここで大河のフォローを怠ると後が恐い。
微妙な空気の中、俺が休んでる間に学校であった事を3人に聞こうとして・・・できなかった・・・

「ねぇ竜ちゃん? おともだち?」

・・・・・・・・・泰子が俺の肩にしな垂れかかりながら訊いてきたから。
なんで今そんなことを・・・一瞬で微妙だった空気が凍てついた。皆動きが止まったじゃないか。
いや、大河だけは撫でるのを止めた途端に俺を睨んでるけど・・・

「・・・・・・ク、クラスメートの櫛枝と川嶋だよ。大河と一緒によく話に出てくるだろ?」

「あぁ~、大河ちゃんのおともだちのぉ。竜ちゃんのママの泰子で~す。やっちゃんって呼んでね?」

泰子。自己紹介で俺と腕を組む必要なんて無いだろ? 無いよな? だから腕を解いてくれよ。
捻挫している手首はぶつけないようにしながら、両腕を器用に俺の腕に絡める泰子。
仕事柄慣れきってるんだろう。俺が気付いたときには完全に組まれていた。

「や、泰子? ちょっと腕を・・・」

「え~? なぁに? 竜ちゃん」

さらにぎゅうっと俺の腕を締め付けてくる泰子。挟まってる! 挟まってるって!

「だ、だから、腕を放してほしいんだけど・・・」

「やだ」

やだって・・・・・・
大河は未だに俺を睨んでるけど、櫛枝と川嶋は困惑しきった感じで顔を見合わせている。

289:174 ◆TNwhNl8TZY
08/11/29 02:14:50 5HG9E5IO
「・・・・・・友達が来てるんだ。俺だってもう2日も学校行ってないんだし、気になることだってあるんだよ。
 それにわざわざ来てもらっておいて、お茶も出さずに放っておけないだろ。だから放してくれよ」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・泰子・・・」

「・・・・・・・・・」

それでも腕を放さない泰子に、いい加減焦れた俺は大河達の方に顔を向ける。

「・・・・・・悪い、3人とも。来てもらったのに変なところ見せちまって」

「へ? あ、あの・・・高須くん? 私達べつに・・・」

「うん・・・亜美ちゃん達、気にしてないよ。だから高須くん? ちゃんと埋め合わせはしてくれるんでしょ?」

「・・・あぁ・・・本当に悪い。来てくれてマジで嬉しかった・・・このお詫びは絶対にするから・・・なんか、考えといてくれ」

こんなところはやっぱり察しがいいな、川嶋のやつ。
心苦しいけど、泰子が抱きついてる格好で櫛枝達と楽しく過ごせる訳が無いし、泰子が腕を放す気配が全然無い。
だから・・・メチャクチャ失礼だと自分で思うけど、皆には帰ってもらうことにした。

「・・・・・・竜児」

「・・・大河も、済まないな・・・来てくれてありがとな? ・・・(飯、できたら呼ぶなり届けるなりするから、悪いんだが・・・)」

「・・・・・・分かったわよ。・・・みのりん、スドバ行かない? ばかちーも来たけりゃ来れば」

「逢坂さん? 亜美ちゃんをハブにするなんていい度胸してんじゃねぇか? チビタイガーのくせに」

「うっさいわね・・・あんたは来なくてもいいのよ、プチメタボチワワ。行こ、みのりん」

「おっしゃあ! 今日はスドバのデザート制覇するぜぃ、大河! 行こう! ダイエット戦士の休日じゃあ!」

「テメェ手乗りタイガー! 誰がプチメタボだコラァ! あたしは食べても太らない体質だって言ってんだろ!?」

「じゃあ、行ってくるね、竜児・・・やっちゃんも、またね」

「高須くん、学校でねー」

「シカトすんな! ・・・あ、じゃあね? 高須くん、お母様」

「お、おぅ。またな」

何と言うかまぁ・・・女三人寄れば姦しいって言うけど、騒ぎながらうちを出て行く大河達を見て本当にそう思う。
川嶋なんて完全に地が出てたし。しかも最後お母様って・・・

それよりも・・・・・・

「・・・・・・泰子。なんでこんな事したか、ちゃんと説明してくれんだよな」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

俺はこっちを見ないままでいる泰子に、自分でも珍しいと思うくらい不機嫌さをあらわにした語調で話しかけた。

290:174 ◆TNwhNl8TZY
08/11/29 02:15:25 5HG9E5IO
本当はもっと3人娘を暴れさせたかったけど別の機会に
次は多分佳境。水曜までには上げる予定です

291:名無しさん@ピンキー
08/11/29 02:24:55 zaGPdGxo
何という修羅場
しかしやっちゃんなら結構ありえそう

292:名無しさん@ピンキー
08/11/29 02:28:24 rR1vygYc
これ竜児どうなるんだ(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

293:名無しさん@ピンキー
08/11/29 02:51:08 mUj4dlR+
修・羅・場!修・羅・場!
GJッス!!

294:名無しさん@ピンキー
08/11/29 02:54:23 rR1vygYc
やっぱり可愛い息子が、他の女のモノになるのが嫌なのかな?
でもやっちゃんは若くて美人だから、まともに張り合ったら洒落にならん( ゚∀゚)

295:名無しさん@ピンキー
08/11/29 04:32:36 XUTcozqZ
>>241-244
櫛枝君って
野球な弟の子か?
それとも、婿養子なの?


>>261-262 264-270
4月に春田君や木原さんたちに、同棲疑惑かけられてるし。
修学旅行のあと、学校で竜児が寝ぼけて『大河』と叫んだし。

296:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:37:13 WGJN6Edy
すいません、初めて書いてみたのですが
無駄に長くなってしまったので、途中ですが投下してみます。

297:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:38:16 WGJN6Edy
「ほら、男ならもうとっとと脱ぎなさいよ」
逢坂大河はベッドの端にちょこんと座って、気だるそうに俺へ催促をする。いや、命令をする。

「ちょ、ちょっと待てよ、大河…これって何かがおかしくないか?」
俺は、ある意味夢のような展開に戸惑いを隠せない。
だいたいこんなに事がうまく運んだことなんて俺の人生にはない。今回だって、きっと何か罠があるに違いない。
大河の事だ。全裸の写真を学校にばら撒くとか、
脱いだ瞬間に警察が突撃してくるとか、
終わった後に100億円請求されるとか、とにかく何かがあるに違いない。それに……

「た~~かすく~ん、恐がることなんて何もないんだぜ~」
櫛枝実乃梨はオーバーに手を広げながら、「冗談を言う時の顔」で俺に声を掛ける。
何で櫛枝までここにいるんだ。そして、何でこんなにかわいいんだ。
この無駄に強靭な理性と弱きさえなければ、今すぐ抱きついて色んなことをしているのに、ちくしょう。

「あぁ、わかった。あんた、自分のあそこに自信がないんでしょ」大河はそう言って、軽く嘲笑をしながら俺を見る。
「そ、そんな事ねえよ。別に自信があるわけじゃないけど…ないわけでもない」
「だったらもう早く脱ぎなさいよ。ってか女に何度もこんな事言わせんじゃないわよ、バカ」

「そうだよ高須く~ん、これは千載一遇…いや、一万載一遇のチャンスなんだよ~」
櫛枝は大河のイライラを打ち消すかのように、満面の笑みで俺のほうへ少しだけスリスリと寄ってくる。
こうやって櫛枝も大河派になった時は、大抵言われた通りにしてしまう。
櫛枝はいつも適当なことを言っているように見えるが、実はちゃんと考えていたりもする。
それを分かっているから、俺は「櫛枝が言うのなら」とズルズルと言われた通りにしてしまったりする。
もちろん、櫛枝は本当に冗談だけで言ってる時も、実は何も考えていなかったりする時もあって、俺は場合によっては後悔する時もあるのだが。
今回は一体、何を思って言っているのか正直検討もつかない。

298:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:39:37 WGJN6Edy
「じゃあもういいわよ、駄犬が」大河がわざとらしくあくびをしてこっちを見る。
「もうこんな気二度と起こさないんだから。後から泣いて土下座してきても無駄だから」

「誰が土下座なんてするかよ」俺は意地になって言い返す。

「行こう、みのりん」大河は優しい声で櫛枝に声を掛ける。俺と櫛枝とで声を使い分けてやがる。
「う、うん」櫛枝は少しばつの悪い顔で返事をする。大河の機嫌の悪さを察してのことだろう。

それから少しの沈黙が続いた後、大河は荒々しく立ち上がり、ベッドに蹴りを入れる。
ベッドの中央でまだ体育座りをしていた櫛枝は、その揺れでゴロンと横に倒れる。
制服のミニスカートがチラッとめくれて、真っ白な無地のパンツが見える。

「うわ~~大河何すんだべさ~」櫛枝はめくれたスカートを戻しながら言う。
「あ、ごめんみのりん…みのりんに蹴ったんじゃなくてね、このダメ犬に蹴ったんだけど」
「あぁそっか…ならば許~す!」
「へへへ、ありがとみのりん」

二人のそんな会話も、耳で止まって脳にまで入ってこない。俺の頭は、櫛枝のスカートがめくれた時間で止まっている。
漫画なら間違いなく、俺は今鼻血を出しているであろう。俺は赤面しながら、無意識に櫛枝のスカートを凝視し続ける。

「このエロ犬が」そこで大河がさっきよりも強くベッドを蹴り上げる。震度6並の揺れがベッドの上で起きる。
「あ~れ~」櫛枝がゴロンゴロンとこっちへ転がってきて、肘を付いて横になっている俺の胸元に頭をぶつける。

「いてててて」櫛枝がおでこの辺りを擦りながら言う。俺のほうをゆっくり見上げて「ち近っっ」と驚く。女の子特有のシャンプーのいい香りが漂ってくる。
こんなに間近で櫛枝のことを見たのは初めてだ。部活で汗をかくからか、化粧はほとんどしていないように見える。
化粧もしないでこんなにかわいいなんて、奇跡、いや女神としか言いようがない。
 
俺はとっさに櫛枝の肩に手を回す。
「あへっ?」櫛枝が拍子抜けした声をあげる。
そのまま櫛枝の身体を自分のほうへ寄せる。もうどうにでもなれ。

ドカン、と大きい音がした。恐らく、この音は自分の身体のどこからか出たものに違いない。案の定、背中から激痛が走る。

299:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:41:28 WGJN6Edy
「あんた、何してくれちゃってんのよ」大河が鬼のように睨みながら言う。「しかもあんた、今私の存在忘れかけてたでしょ」
「いやあ、それは…」返す言葉が浮かばない。
「その手、離しなさいよ」櫛枝の肩に掛かっている俺の腕を指差す。

「スースースースー」櫛枝はアニメでしか見たことのないような寝息で寝たふりを演じだした。逆に目立っている。

櫛枝の身体に触れて、俺の中で何かのスイッチが入っていた。
「関係ないだろ」思ったよりも強い口調になってしまった。「櫛枝ももう寝ちゃってるんだし」慌てて訳の分からない言葉を付け足してしまった。

櫛枝の身体がちょっとビクンとする。恐らく、冗談でやっていた寝たフリを引っ込みづらくしたに違いない。
「スヤスヤ、スヤスヤ」というパターンの寝息に変えた。熟睡を表現しているのか。何にしても余計にわざとらしいぞ、櫛枝。

「竜児がみのりんの身体に触るなんて、100年早いのよ」相変わらずきつい目で大河が言う。

「そうだぜ~、続きは100年後にやろ~ぜ~」目を閉じたまま櫛枝は言う。恐らく今は何も考えていない櫛枝だ。

「俺が何やろうと勝手だろ」俺はもう今更引き返せない。「だいたい、さっきまで乗り気だったのはお前らだろ」
「そ、それはそうだけど…」大河が少し怯む。
「俺はこの一万載一遇のチャンスを掴むことにしたんだよ」
「あっそう…じゃあもう勝手にすればいいじゃん」大河が少し涙目になる。
それをごまかすように髪をバサバサと掻いてうつむく。「バカ犬…」

床に落ちているバッグを持って、そのまま急いで部屋から出て行く。
バタンとドアの閉まる音が部屋中に響き渡る。しばらくしてバキッという音がする。恐らく向こう側からドアを蹴ったに違いない。

300:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:42:19 WGJN6Edy
「…ゲーム、オーバーですな」櫛枝がシリアスな表情を作って言う。
俺は相変わらず櫛枝の肩に手を乗せている。
近過ぎて、心臓のバクバクいってる音が聞こえているのではないかと一瞬不安になる。「放っとけばいいんだよ、あんなやつ」

「いいのかなあホントにそれで」真剣な表情でこっちを見ている。これは本音を言ってる時の顔だ。
「大河、高須くん誘ってる時、生まれたての小鹿みたいに手がプルプル震えてたんだぜ~」

気付かなかった。いや、俺は大河の気持ちなんて考えようともしていなかった。
何か罠があるに違いないなどと疑っていた自分が少し情けなく思えてきた。
俺は大きくため息を付き、伸ばしていた足をくの字に曲げる。「大河、怒ってるよなあ」

くの字に曲げた膝が何か柔らかいものに挟まれた。何だろうと下に目をやる。
あぁ、櫛枝の内ももに挟まれてる。内もも!?
足をくの字にした時に櫛枝のスカートの中に膝が入ってしまったのである。
膝小僧の辺りには布のような、恐らく櫛枝のパンツであろう感触が伝わってくる。

「いきなり下を責めるなんて、お主、いい度胸をしておるな~」
冗談めいた声を出しているが顔は少し赤くなっている。無理もないだろう。櫛枝だってこういう経験は初めてなんだから。

俺は「ごめん」と言いながらも足を戻そうとしない。
言うまでもなく、下半身はもうガチガチに硬くなってる。この機会を逃したら、俺は多分一生童貞だ。
膝をさらに櫛枝の股間に食い込ませて、少し上下に動かしてみる。

「ちょっと…」櫛枝が少し眉をひそめる。
「あんさん、膝で擦るなんて、聞いたことありまへんで」もっともな事を言われた。

俺はもう決心をした。今から櫛枝と、ヤル。
肩に乗せていた手を離し、櫛枝のあごに持っていく。
そのまま親指に力を入れて少し上を向かせる。
セックスの前にはまずキスをするという常識を俺はいつの間にかどこかで得ていたらしい。
ゆっくりと櫛枝の唇に近づける。櫛枝は何も言わず目を閉じている。

301:名無しさん@ピンキー
08/11/29 08:43:12 WGJN6Edy
その時、ガタンという音とともにドアが開いた。
「駄犬がやっぱり発情してるわ…気持ちわる」大河が戻ってきた。
「何だよお前、帰ったんじゃないのかよ」
「忘れ物」
「あぁそう」
「どうぞお構いなく」そういうと大河は雑にバッグを床に置いて、ベッドに乗ってきた。「狭いからもっとあっち行きなさいよ」
「何だよお前、忘れ物じゃないのかよ」
「一々うるさいわね。寝るの忘れたのよ」
「何だよそれ」

「まあまあお二人さん。仲良く川の字で寝るのもオツなもんだぜ~」櫛枝がまた絶妙なタイミングで声を掛ける。
「まあ、川の字なら大河が真ん中じゃないといけませんな」

「どういう意味よみのりん」大河は本当に意味を聞いた。

少しの沈黙ができた後、大河が口を開く。「で、気にせず続きやればいいじゃない」

櫛枝が俺の顔を見る。「え~と、高須くんが私の股間にゴシゴシと膝を押し付けてきたところからですな」

バチンと大河に頭を叩かれる。「あんた、何してんのよ」
 
俺はひとしきり言い訳をした後、これからどうするべきかしばし考えた。
正面には横になった櫛枝が、背後には同じく横になった大河がいる。しかもベッドの上。
もう恥じらいなんて要らない。俺は心の中で「よし」と気合を入れた。

櫛枝の胸に右手をそっと当てる。

「うわああっ」不意打ちを食らって櫛枝はびっくりする。
「て、敵が…し、使途がAT、ATフィールド突破してきました碇司令~」
いつもの冗談にも歯切れがない。確実に動揺している。

俺はそのまま右手に力を入れて、ギュッと胸をわし掴みする。
制服の上からでも柔らかい感触がちゃんと伝わってくる。

「お、お主…」少し間が空いて口を開く。
「ちょっと、高須くん本気?」素のトーンで聞いてきた。
今はふざけている余裕がないのかもしれない。


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch