☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第89話☆at EROPARO
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第89話☆ - 暇つぶし2ch150:名無しさん@ピンキー
08/11/23 14:16:39 UqnV+T3n
高町なのは→クロノ・ハラオウン
フェイト・テスタロッサ→クロノ・ハラオウン

で切なくなり、

フェイト・T・ハラオウン→クロノ・ハラオウン
八神はやて→クロノ・ハラオウン

で盛大にフイタ

151:名無しさん@ピンキー
08/11/23 14:28:11 FjoG3wZ0
なのは→ユーノでやったら、ちょっと感心した。

152:名無しさん@ピンキー
08/11/23 14:31:48 t9hyUx84
ノーヴェ → チンク  が最強過ぎた

153:名無しさん@ピンキー
08/11/23 14:42:44 3GOhudrK
またスレと関係無い話題を……オットー→ディードとディード→オットーの微妙な差に吹いた

154:名無しさん@ピンキー
08/11/23 14:44:22 6YI/g6pt
そういう話題で盛り上がるのはやめれ

155:名無しさん@ピンキー
08/11/23 14:56:22 QoXz3YHI
高町なのは→ユーノ・スクライア どんまい


156:名無しさん@ピンキー
08/11/23 15:04:51 DAgmuSJL
ヴィヴィオ→ユーノで和んだ

157:名無しさん@ピンキー
08/11/23 15:08:27 FUo8YVyn
なにこの流れ
いい加減にしとけよ

158:名無しさん@ピンキー
08/11/23 18:30:31 FjoG3wZ0
ヴァレンタインよりもクリスマスだろ。
ネタ的に考えて。
俺はたぶん、卒論の追い込みだが。ミッドの人たちは仕事だろう。

159:名無しさん@ピンキー
08/11/23 19:23:12 7x2He+Hr
なのは→ユーノでやったら、ちょっと感心した。

160:名無しさん@ピンキー
08/11/23 19:44:10 cP31HZV2
釣れますか~?ちょっと、あからさま過ぎですよぉ。

161:名無しさん@ピンキー
08/11/23 20:15:39 Mpwd57JH
釣られてるぞ

162:名無しさん@ピンキー
08/11/23 20:35:16 cP31HZV2
うん、知ってる

163:名無しさん@ピンキー
08/11/23 20:53:16 g3zS8/La
知ってるならなんで反応するの?

164:名無しさん@ピンキー
08/11/23 20:59:59 ZgaTTfhx
>>158
そもそもクリスマスの概念がないだろうな
二次創作で気にする必要はないが

165:名無しさん@ピンキー
08/11/23 21:36:01 /s/Ndyq8
そういえばバレンタインの時もそんなレスあったな

166:ザ・シガー
08/11/23 22:10:43 YFa21XOj
さて、せっかくの日曜に投下ないのも寂しいのでコツコツ書き溜めてたSSでも投下しましょう。

ラグナとオリキャラがメインの非エロ・ギャグのSS投下します。
まあ、言うまでもないかも知れませんが、ラグナのキャラ崩壊やメタネタが多いですのでご注意を。

167:病んでる少女 マッドネス・ラグナ
08/11/23 22:12:10 YFa21XOj
病んでる少女 マッドネス・ラグナ 「嗚呼、愛しのお兄ちゃん」


 ラグナ・グランセニック、武装局員兼ヘリパイロットの兄を持ち、ミッド市街の学校に通うごくごく普通の12歳女の子。
 品行方正・成績優秀、多くの生徒に羨望と恋慕を抱かれる美少女である。
 まあ……少なくとも彼女の事を良く知るごく一部の友人はそんな事欠片も思ってはいないが。
 むしろラグナの友人は彼女の事を最悪のイカレ少女として認識していた。
 その理由は彼女が寝起きする学校の寮での朝の風景から見ていただければよく分かるだろう。

 私立ナイスボート学園の学生寮、その中の一室にラグナ・グランセニックと彼女と相室であるメアリー・スゥの部屋はある。
 そして時間帯は早朝、まだ多くの生徒は眠りの世界に浸っている中、甲高い女の嬌声が響き渡った。


「ああぁんっ! お兄ちゃん……ダメよぉ……はぁん♪ そんなぁ、ラグナ壊れちゃうぅ……ムニャムニャ」


 どこの淫乱痴女かと思うような淫蕩かつあられもないセリフを寝言で連呼するところからラグナの朝は始まる。
 もしもあと少しだけ壁が薄かったならば彼女のぶちきれっぷりが全校生徒に知れ渡っているのだろうが、幸か不幸かそれはなんとか免れていた。
 一体どんな淫らで破廉恥な夢を見ているのか、ラグナは著しく寝巻きを着崩れさせながら身体をくねらせて甘えた声で鳴き叫ぶ。


「はひゃ~っ!……お兄ちゃぁん……もっとぉ……もっとしてぇ、ラグナの○○○にお兄ちゃんのぶっとい○○○もっとぶちこんでぇ♪ ムニャムニャ……」


 蕩けるような甘い声でアヘ声を喚き散らすラグナ、もし男が聞けばそれだけで僅かに股間を滾らせてしまいそうな淫靡な声であるが、残念な事にここにいるのは同級生の女の子である。
 ラグナと相室の丸いメガネと三つ編みが年頃の少女らしさをかもし出している少女、メアリーはこめかみに血管を浮き上がらせながら目の前のベッドで毎度の痴態を演じている親友を見下ろしていた。
 同じ部屋になってから既に一年以上、メアリーはそれこそ毎朝ラグナのこの嬌声で叩き起こされているのだ。
 最初はとまどい、徐々にいらつき、今では毎朝激怒している。
 とりあえずメアリーは毎朝使っている愛用の角材を手に腕を振り上げた。
 その角材は先端が既にラグナの血で真っ赤に染まっていり、彼女をどれだけ長い間ぶん殴ってきたかよく分かる程だ。
 正直に言って、とても年頃の少女が行う行為ではないがメアリーは一ミリの躊躇もなく腕を振り下ろした。


「いい加減にせんかい、このブラコン変態がぁっ!!!」

「へぶぅああっ!!」


 振り下ろされた角材がラグナの額にめり込み、美少女の美しい肌から夥しい鮮血を迸らせた。
 可愛らしい女子学生が朝っぱらから行うにはあまりにスプラッターでバイオレンスな一幕、だがこれが彼女達の日常である。


「いったぁ~い……ヒドいよぉメアリー……こんなに殴られたら頭がバカになっちゃうぅ」


 流血する額を抑えながら、ラグナは涙目になって親友に恨めしげな視線を投げかけた。

168:病んでる少女 マッドネス・ラグナ
08/11/23 22:14:00 YFa21XOj
 しかしメアリーはこの程度で目の前の痴女が死ぬなどとは毛ほども思ってはいない。


「バカ言わないでちょうだい、あんたがこれ以上ヤバくなる訳ないでしょ」

「ううぅ……親友がいぢめる~」

「はいはい、分かったからもう起きなさい」


 っとまあ、ちょっと病んでる美少女ラグナ・グランセニックの朝はいつもこうして始まるのだった。





 まあ、今日の学校でのラグナもいつも通りだった。
 いつも通り、授業中に『お兄ちゃん、ハァハァ』とふしだらな妄想に耽り。
 いつも通り、休み時間にトイレに篭って『お兄ちゃんらめえ~!』と叫びながらいけない一人遊びを興じ。
 いつも通り、昼食のおかずにヴァイスの写真を眺めて『お兄ちゃんの……凄くしょっぱくて苦くて美味しいよぉ♪』と言いながら危険極まる想像と共に昼食を咀嚼した。
 ちなみに、彼女の近くにいたメアリーはこれまたいつも通りにひきつった笑みを浮かべていたのは言うまでもない。
 そして放課後を迎えた二人は、とある場所に足を運んでいた。


「ああ、生のお兄ちゃん、ハァハァ」


 ヤバいくらい息を荒くしたラグナの視線の先にはヘリを整備する彼女の兄、ヴァイス・グランセニックの姿。
 そう、ここは言わずもがな機動六課の隊舎である。


「ちょっとラグナ! 流石に管理局に施設に勝手に侵入するのは不味いわよ!」


 もちろんだが、危険極まりなく病んでるラグナの抑止剤として友人のメアリーが一緒なのは言うまでもない。
 茂みに隠れながらヴァイスを盗撮しまくっている友人に、彼女はさっそく突っ込みを入れる。
 だが当のラグナはそんな言葉など聞く耳持たず、『ハァハァ、お兄ちゃん、可愛いよお兄ちゃん』などとほざきながら完全にトリップして兄の姿に魅入り、唾液といけない汁を垂れ流していた。


「人の話を聞かんかいこの変態がぁ!!」

「ほべぇあっ!」


 変態性全開のラグナにまたもや炸裂する血塗れ角材の一撃、美少女の頭から噴水の如く血が溢れた。


「いったぁい……なにするのよぉ~」

「あんたがヤバイ事してるから突っ込んでるのよ」

「別にヤバくなんかないよ? ただの兄妹愛だよ?」

「十分ヤバいわよ、頼むから管理局の施設に盗聴器と盗撮用高性能小型カメラを設置するのは止めなさい。ばれたらテロリスト扱いで逮捕されるわよ?」


 下手をすれば一緒に来た自分まで逮捕されかねない、メアリーは肝を冷やしながら友人を必死に説得した。

169:病んでる少女 マッドネス・ラグナ
08/11/23 22:15:48 YFa21XOj
 だがその程度でこの変態が黙る訳もない。


「何言ってるの! 逮捕が恐くてお兄ちゃんは愛せないわ!」


なんて言うかもう……メアリーは本気でこのイカレ女を一片殺した方が良いんじゃないかと思った。
そして丁度そんな時だった、ラグナの表情が豹変したのは。


「んなっ! ア、アレはぁっ!!」

「へ、なに? 今度はお兄ちゃんが脱いだか?」

「違う! アレ見て!!」


 視線を向けた先には、なにやら一人の少女と会話しているヴァイスの姿。
 それは茶髪の短めの髪をした、どこか子犬のような印象を受ける愛らしい少女だった。
 少女はなにやらヴァイスと楽しそうに談笑している、そして無論だがラグナはそれをまるで悪鬼の如し形相で見ていた。


「アルトの野郎~! 私のお兄ちゃんに馴れ馴れしくしやがって~!!」

「へ? アルト? あの人知ってる人なの?」

「アルト・クラエッタ! 階級は二等陸士で通信士兼ヘリパイロット! 私のお兄ちゃんに昔から同じ部隊でくっ付いてるクソ虫じゃあ!!」


 まるで極道の怨霊が乗り移ったかの如く怒り狂いながら叫ぶラグナ。
 そのあまりの迫力に突っ込むこともできず、メアリーはただ度肝を抜かれた。
 とりあえずメアリーは彼女がこれ以上ぶちきれないように宥めるしかなかった。


「ま、まあ落ち着きなさいよ」

「ぐぬぬぅ……ちきしょう、あの女ぁ……帰ったらさっそく呪ってやるぅ」


 ヴァイスとアルトの会話が終わるまで、ラグナは終始不吉な事を呻いていた。
 二人の会話は本当に他愛ない雑談だったのか、すぐに終わってアルトはその場を後にする。
 ようやく平和な盗撮タイム(?)に戻るかと思われたが、そうは問屋が卸さなかった。
 またしてもヴァイスの下に少女が現れたのだ。
 それはオレンジ色の髪をツインテールにした、ちょっと気の強そうな美少女だった。


「あれはティアナぁ! あんのメス猫め……お兄ちゃんに馴れ馴れしくしやがってぇ」

「ちょ……今度は誰?」

「あのクソメス猫はティアナ・ランスター! スターズ分隊所属のセンターガード! 将来の夢は執務官志望!!」

「……随分詳しいわね」

「敵を知り己を知れば百戦危うからず! お兄ちゃんの周囲にいる害虫共の事は毛穴の数まで熟知してるわ!!」

「……ああ……そうですか」


 なんかもう、メアリーは突っ込む気力がなくなりつつあった。

170:病んでる少女 マッドネス・ラグナ
08/11/23 22:17:23 YFa21XOj
 目の前のイカレ女のぶち切れっぷりは想像の斜め上を第一宇宙速度で突き抜けまくっている。
 常識的思考と理性を持つ自分ではあまりに抑え難い狂気であった。
 仲睦まじそうに談笑するヴァイスとティアナの姿に、ラグナは血が出るほど唇を噛み締め手を握り締めて睨みつけていた。


「ぢぎじょう~!! 殺す! 絶対に殺すぅううう!!」

「ちょ! 落ち着きなさいって」

「離して! この手で殴り殺してやるんだから!!」

「本気で殺しそうで恐いわよ! マジ止めなさい!!」


 とりあえず、メアリーは飛び掛りそうな勢いのラグナを羽交い絞めにして必死に押さえつけた。
 危うくラグナの拘束が解けてティアナに飛び掛りそうになったが、寸でのところで二人の会話が終わり、彼女はその場を後にした。
 殺人未遂及び殺人事件が未然に防げた事に、メアリーはホッと胸を撫で下ろす。
 だがしかし、神は無情にも運命を弄び新たなる火種を投下した。
 ヴァイスの前に今度は、鮮やかな緋色の髪をポニーテールにした凄まじいプロポーションの爆乳美女が現れる。


「あれはシグナムぅ!! またしてもお兄ちゃんをそのウシ乳で誘惑するかぁ!!」

「ちょ! また!? 少しは休ませてよ!! ってかまた新キャラなの!?」


 ラグナは兄に近づく美女に、メアリーは自分に過酷な運命を課す神に呪いの言葉を吐いた。


「で、今度は誰なの? ってか凄い美人なんだけど、あと胸凄いわね」

「あんのデカパイ魔人はシグナム! ライトニング分隊副隊長、階級は二等空尉! 八年前からお兄ちゃんをあのだらしなく垂れたウシ乳で誘惑しているいやらしい雌よ!!」

「ああ、そうなんだ……ってか、あんたの兄ちゃんの周りは恵まれてるわね、ギャルゲの主人公みたいだわ」


 メアリーは、名前を“岡崎”かなんかに変えた方が良いんじゃないかとも言おうとしたが止めておいた。
 それにしてもシグナムと言う女性は美人だった。
 燃え盛る炎のように鮮やかな緋色の髪、比較的高めの身長とその美しさを強調するかのような爆発的なプロポーション、そして切れ長の瞳に麗しい美貌。
 とてもじゃないが、12歳かそこらの自分たちのチンチクリンボディでは勝てる要素が微塵も見当たらない。
 というか、そもそも実の妹でその上オツムが狂いまくってるラグナでは相手にされる訳がないにも程がある。

171:病んでる少女 マッドネス・ラグナ
08/11/23 22:18:54 YFa21XOj
 だがしかし、クレイジーシスターラグナにそんな理屈が通じる訳もないだろう。
 兄狂い少女の双眸は大好きなお兄ちゃんを惑わす(ラグナ主観)ウシ乳魔人の姿に怒りのレベルが最高潮へと達する。


「もう許さないわ……あの乳女……殺す」


 そう言うやラグナはスカートの中に手を突っ込み、中に仕舞い込まれていた長大な鉈を取り出した。
 それはもはや刀剣と呼んで差し支えない刃渡りを有し、身幅・厚みもたっぷりとした豪壮なる業物。
 刃は妖しいまでの輝く青白き刃紋が覗いて職人の腕を思わせる。
 ラグナはそんな物騒な代物を構えてシグナムに殺気をこれでもかと込めた視線を注いでいた。


「ちょ! そんなもんどこに仕舞ってたの!? ってかナニする気なのぉ!?」

「ウシ乳を屠り去る」

「危ないよ! 止めなさいよ!」

「安心して、これでも私はベルカ無双コガン流大目録術許しの腕前……ふふ、あんな乳風情に負けはしないわ」


 ラグナは明らかに正気を失った曖昧な目をしてそう言うと、鉈を担ぐような形で構えた。
 コガン流必勝の構え、どうやら殺す気マンマンのようだった。


「違うわよ! そういう問題じゃなくて、こんな場所でんなモン振り回したらどうなるか分かってんの!?」

「妹道は兄狂いなり、ただお兄ちゃんに近づく雌に近づき鉈を振り下ろすばかりなり」

「狂うな!」


 もう言葉でいくら言ってもこの女は止まらない、そう導き出したメアリーはついに友人を止めるために己が得物に手をかけた。
 血濡れの角材を脇に構えて臨戦態勢を整える。


「どうやら……言葉でいくら言ったところで止まる気はなさそうね」

「そんなモノで止まるほどお兄ちゃんへの愛は安くないのよ」

「ならあたしのヒテンミツルギ流で物理的に止めてあげるわ」


 片方は大好きなお兄ちゃんの為に、片方は友人を殺人の現行犯で逮捕させない為に、二人の乙女は互いに譲れぬ戦いの道を選んだ。
 ラグナとメアリー、互いに護身術として剣術の流派を極めた二人の実力は伯仲している、まともにぶつかり合えばどちらが勝ってもおかしくはない。
 周囲に漂う気迫はまるで触れなば切れんとばかりに鋭く、そして鉛のように重くなる。
 だがしかし、ここに一つ両者の戦闘力を明らかに隔絶する点が存在した。
 それは二人の手にした得物。
 メアリーが手にしているのは角材なのに対し、ラグナが手にしたのは豪壮・長大で鋭い刃を持つ鉈である。
 いくら硬く良質な樫で出来ているとは言えど所詮は木、業物として鍛えられたラグナの鉈“七蝶念仏”が相手では不利極まりないのは説明するまでもない。
 だがしかし、メアリーには策があった。
 目の前の兄狂いを一太刀で倒し伏せる最大の秘策が……

 メアリーはふと、ラグナに向けていた視線を横に逸らす。
 戦いの場に合って相手を視界から外すとは何とした事か? 狂人のラグナからしても明らかに異常な行動である。
 自然とラグナの眉が疑問に歪む。

172:病んでる少女 マッドネス・ラグナ
08/11/23 22:20:04 YFa21XOj
 そして次の瞬間、メアリーはあらぬ方向を見つめながらある言葉を呟いた。


「あっ! ヴァイスさんだ」

「え!? お兄ちゃん!?」


 兄の名を呼ばれ、ラグナは音速もかくやと言わんばかりの速度で顔をそちらに向けた。
 だがそこに兄の姿はもちろんなく、代わりにメガネをかけた男性局員の姿があるだけだった。


「アレ?」


 そう呟いた時にはもう遅い。
 次の瞬間、全力で疾駆し距離を詰めたメアリーの角材から渾身の一撃が放たれる。
 大上段に振り上げられた角材が空気を切り裂きながら、ラグナの頭部へと超高速で下ろされた。


「リュウツイ閃!!!」

「ぽぐぅああっ!!」


 メアリーの口から澄んだ声で技の名前が叫ばれ、ラグナの口からは酷い断末魔の叫びが漏れる。
 衝撃に頭蓋が悲鳴を上げ、脳髄をたっぷりと揺らされたラグナはそこで意識を失って倒れ伏した。
 そして、友を打ち倒した少女は一つ呟きを漏らす。


「ああ……今日もまたつまらぬモノを殴ってしまったわ」


 変態で兄狂いの友をまた今日も打ち倒し、ただ虚しさの中でメアリーは虚空を見つめる。
 そして一息つくと、メアリーは物騒な得物をとりあえずラグナのスカートの中に詰め込み彼女を引きずって学生寮へと歩いて行った。

 回りの視線と肌を撫でる風が、妙に冷たいと感じた。


 終幕。

173:ザ・シガー
08/11/23 22:26:07 YFa21XOj
投下終了。

シグルイネタ多くてすいません。
まあ分からなくても通じると思うので、思い切って入れてしまいました。

しかし、ラグナにせよティアナにせよシグナムにせよ、ヴァイス関係のネタは自分よく書くなぁ。
あと書いてないのはアルトだけか。

174:名無しさん@ピンキー
08/11/23 22:58:38 t9hyUx84
GJ!
ラグナ怖可愛いよラグナ。 

ところで、
>>彼女と相室であるメアリー・スゥ

名前を聞いただけで何か、胸をさし貫かれるような思いがするのは何故ですか?
え? 身に覚え?

175:名無しさん@ピンキー
08/11/23 23:16:45 3+PAks0B
なんといってもアルトへの愛が足りないっ!(まて)

ナイスでしたー。
やばい、ラグナ壊れてるよ、ラグナ。
将来ティアナとラグナのダブル鉈シリーズが襲い掛かりそうで怖いよ。
とりあえず鬼畜眼鏡をしっかり出している辺りに貴方のこだわりが見えるw

ヴァイス、よくよく考えるとギャルゲー主人公立ち位置だよなぁ。
暗い過去持ちで、トラウマありで、美少女な妹に、長年の付き添いドジっ子系後輩に、凛々しい巨乳上官に、ツンデレ才能豊かな同僚って、どこのギャルゲー?
鮮血ENDにならないことを祈りつつ、次回も楽しみにしてますw


176:名無しさん@ピンキー
08/11/23 23:31:03 IazjL21f
GJ!
このヴァイスは「岡崎」じゃなくて「伊藤」に改名すべきだと思う。

177:名無しさん@ピンキー
08/11/23 23:50:24 UqnV+T3n
クロノ、ヴァイス→エロゲ型
ユーノ、エリオ→エロ漫画型

だねえ。

178:名無しさん@ピンキー
08/11/24 00:31:33 y5kJr6ZS
だってクロノはモノホンのエロゲしゅっしn

179:名無しさん@ピンキー
08/11/24 01:17:01 zDlsgoey
>>174
一時期、彼女が大いに関係するようなSSがこのスレでも大量発生しましたからねぇw<メアリー・スー

それはともかくGJ! ラグナ…ムチャシヤガッテ(AAry
何が一体君をそこまで狂わせたんだ…兄への愛? いいえ妄執ですw

180:名無しさん@ピンキー
08/11/24 02:49:55 /NQquffY
>>173
妹道は兄狂いなり!
良いものを見せていただきました!!

>メアリー・スゥ
その名を聞いて脳髄を締め上げるような苦しみが走った!
黒歴史であるッッ!!

181:名無しさん@ピンキー
08/11/24 04:05:15 kwK9Yjm5
>>173
GJ!
シグルイネタもそうだけど、一歩ネタのよそ見に吹いたw

182:名無しさん@ピンキー
08/11/24 17:04:29 EYRSJN/M
>>176
ヒント:中の人

183:名無しさん@ピンキー
08/11/24 18:44:50 HWRGS/7o
>>182
ルート次第じゃヴァイスが記憶喪失になるじゃないかw
しかも手術をした後は・・・・・・。

184:名無しさん@ピンキー
08/11/24 18:58:18 /Owxi7wp
>>183
シグナムルートだろうな、それ。

185:名無しさん@ピンキー
08/11/24 19:01:45 6SOiEBqw
あなたたち! ここは人生の話題はするところではないわよ!

186:名無しさん@ピンキー
08/11/24 20:01:26 X5V9AFHC
>>136
おもしろかった

187:名無しさん@ピンキー
08/11/24 20:39:20 KDrCIbaF
>>184
シグナムは智代じゃなくて杏だとおもってる。

188:B・A
08/11/24 20:46:39 HWRGS/7o
ヴァイスはなのはに「嫌いにならないでくれぇ」と。
ってゲーム未プレイだから実際にこのシーンあったのかは知らないけれど。

では、書きあがったんで投下いきます。


注意事項
・非エロでバトルです
・時間軸はJS事件から3年後
・JS事件でもしもスカ側が勝利していたら
・捏造満載
・一部のキャラクターは死亡しています
・一部のキャラクターはスカ側に寝返っています
・色んなキャラが悲惨な目にあっています、鬱要素あり
・物騒な単語(「殺す」とか「復讐」とか)いっぱい出てきます
・クアットロが外道です
・SSXネタもあります、未聴の人は気をつけて
・主人公その1:エリオ
     その2:スバル
・タイトルは「UNDERDOGS」  訳:負け犬

189:UNDERDOGS 第七話①
08/11/24 20:48:13 HWRGS/7o
保護されたオーリス・ゲイズを見て、少しやつれたな、とクロノは思った。直接の面識はなかったが、映像などで彼女の美貌は何度か拝見している。
しかし、今の彼女は実年齢よりも10年は年を取っているように見える。理知的な瞳は自責と後悔の色で染まり、肌も土気色だ。
薄いブラウンの髪にも白髪がいくつか混じっていた。

「随分と、ご苦労なされたようですね」

「提督の方こそ、少ない戦力でよくぞここまで・・・・・・」

「仲間に恵まれただけです。あなたの方こそ、地上の戦力をお一人でまとめられたではありませんか」

「父の名を使わせてもらいましたから。ですが、折角集まった同志達も今は散り散りになってしまいました」

オーリスは父であるレジアスの思想に影響されながらも、客観的な視点を失わない聡明な人物だった。
JS事件が管理局の敗北で終結し、父親の派閥の人間が局内で台等し始めた時も、彼女だけは強行政策を是とせず、
異議を唱えていたのである。確かに故レジアスは平和を求めて悪事に手を染めていた。そうしなければならない事情は確かにあった。
だが、それは誰の命も失われない平和な社会を作りたかったからであり、自ら争いを起こすためではない。
ましてや、人体実験や素材となる魔導師の栽培など愚の骨頂であると。亡きレジアス中将の忘れ形見である彼女の言葉は、
暴走を始めたレジアス派閥に取って最後の良心であり、それを危険視した強硬派は彼女の謀殺を企てたため、
オーリスは地下に潜ることを余儀なくされた。そして、信頼のおける仲間と共に打倒管理局のための戦力を集めていたのである。
クロノ達と違って積極的な行動こそ起こしていなかったが、別世界の反抗勢力も取り込んだことでその規模は管理局と十分渡り合えるほどに
なっており、何れは頃合いを見て一大反攻作戦を決行するつもりであったらしい。
だが、彼女達の組織は一夜にして瓦解してしまった。

「放して頂けますか、いったいあなたの身に何があったのか?」

クロノの言葉に、オーリスは辛そうに顔を俯かせる。
多くの仲間を失ったのだ、それも無理はない。だが、今の自分達に彼女の精神状態を気遣う余裕はない。
こちらの掴んだ情報が確かならば、管理局は最悪の兵器を手に入れたことになるのだ。
辛いかもしれないが、話してもらわねばならない。

「ゲイズ補佐官、あれを再建したというのは、本当なんですか?」

「・・・・・・・はい」

喉の奥から絞り出すような声で、オーリスは答える。

「私達は、山岳部で反攻作戦のための切り札を建造していました。入念な偽装を施し、資材の搬入や人の出入りにも気をつけていたつもりでした。
けど、襲撃は起きてしまった。あの夜のことは決して忘れません。月明かりのない夜の暗闇にそびえ立つ白い威容。
あの巨体を前にして、私達は成す術もなく敗退しました」

仮想ディスプレイが開き、そこに紅蓮の炎の中で暴れ回る威容が映し出される。
それは巨大な虫であった。力強い両腕はひと振りで多数の空戦魔導師を薙ぎ払い、放たれる魔力砲は大地を赤く染めていく。
発せられている咆哮は大気を震わせ、果敢にも撃ち込まれる砲撃は強固な外骨格の前に虚しく散っていくだけだった。
更にその周囲には、5体の巨大な甲虫が飛翔し、電撃でレジスタンス達を焼き払っている。
白天王と地雷王。
どちらも、ルーテシア・アルピーノという召喚師の少女が使役する召喚蟲だ。

「突然のことでした。どうやってあそこを突き止めたのかは知りませんが、管理局・・・・・いえ、スカリエッティはピンポイントで
私達の基地に襲撃を仕掛けてきました。無論、こちらにも相応の戦力はありましたが、あの巨大な虫が相手では敵いません。
前線は呆気なく突破され、追い詰められた我々は基地の最奥に籠城する以外に抵抗の手段はありませんでした。
固く閉ざされた扉は物理と魔法の双方によって守られているので、数人を転送魔法で逃がす時間は稼げます。
ですが、残る大多数の者達を逃がすことはできず、その場に残さねばなりません。私は誰を逃がすべきか、
そして誰を残すのか。それを決断せねばなりませんでした。その時です、あの戦闘機人からの通信が入ったのは」

オーリスの表情に怒りの色が浮かび上がってくる。
あの耳に突き刺さるような声は忘れたくても忘れられない。可憐な出で立ち、鈴を転がしたかのような美しい声、
すれ違った異性が思わず振り向いてしまうような美貌。だが、その見かけに騙されてはいけない。
もしもこの世に悪魔が存在するのだとしたら、それは紛れもなく彼女のことを指す。

190:UNDERDOGS 第七話②
08/11/24 20:49:30 HWRGS/7o
『レジスタンスのみなさーん、無駄な抵抗は止めて、出てきてくれませんか?』

『つれないですねぇ。なら、一番偉い人を引き渡してくれたら、他の人達は見逃してあげても良いですよ』

『わあ、情熱的。でもよく考えてくださいね。ここで彼女を逃がしても、あなた達は逃げられない。
1人の命で大勢を救うか、1人のために大勢が死ぬか。どっちが賢明は判断でしょうねぇ?』

『そうそう、どうしてこの場所がばれたかわかります? 実は、あなた達の中にスパイがいるからです。
信じられない? うぅん、仲間を信じる強い思い、感激しちゃう。けど、仲間だからって敵にならないとは限らないんじゃありませんこと? 
あなた達だって元は管理局の局員。言わば、同胞に武器を向けているんですよ。前は仲良く並んで戦っていたのに、
今は戦場でデバイスを向け合う敵同士。あなた達が一番わかっているでしょう、絶対的な絆なんてものはこの世にないって。
親しい隣人が、大切な家族が、愛を語り合う恋人が、それが敵にならないなんて、誰が言い切れますか? 
ましてや、あなた達はテロリスト。裁かれる側の人間。自分の命の安全と幾ばくかのお金のためにすぐ隣りにいる仲間を
裏切らないなんて、誰が言い切れます? さあ、誰が裏切り者でしょう? あなた、それともあなたかしら? 
私が一言撃てと言えば、その手のデバイスが火を吹くかもしれませんよ。あなたが、或いはあなたの背後の人が、
生ある未来を奪わないなんて、誰もわかりはしません。さあ・・・・・・撃ちなさい』

その瞬間、室内は地獄へと変貌した。
クアットロの一言と共に放たれた一発の銃弾。その乾いた銃声が引き金となり、パニックを起こした者が周囲を攻撃し始めたのだ。
射撃魔法が数人の体を撃ち抜き、実弾の雨が壁や天井に穴を空ける。滅茶苦茶に振り回されたアームドデバイスが無関係な者達を巻き込んで赤い血で染まり、
それらを鎮めるために動いた者達も戦うことを余儀なくされる。たった一発の銃声がドミノ倒しのような連鎖反応を起こし、地獄絵図を描く。
そんな中、オーリスは必至で錯乱する部下達を止めようと呼びかけていた。
彼女は見ていたのだ。実弾デバイスの引き金を引いた男。彼の姿が虚空に消えていく瞬間を。
裏切り者など最初からいなかったのだ。クアットロはこちらが投降しないことを最初から見抜いており、
幻影を使って同士討ちをさせるという悪辣な趣向でテロリストを殲滅しようとしたのだ。
自らの話術で疑心暗鬼を煽り、緊張を張り詰めさせる。そして、タイミングを見計らって潜ませていた幻影に
騒ぎを起こさせれば、後はダムが決壊するようにパニックが起きる。
存在しない裏切り者を恐れて暴れる同志達は、指導者であるオーリスの言葉にも耳を貸そうとしなかった。
そして、流れ弾から彼女を守るために、冷静さを保っていた者達がオーリスを安全な場所まで転送させたのだ。

「私には、混乱する彼らを止めることはできませんでした。私の言葉は彼らに届かず、
共に父の理想を成そうと誓いあった者達が死んでいくのを、ただ黙ってみていることしかできなかった」

「あなたのせいではない。誰だって、死の恐怖を感じれば平静でいられなくなる。
それに今は、奴らに鹵獲されたアレをどうするか、対応策を練らなければ」

クロノはディスプレイを弄り、別の映像を映し出す。
それは、山岳部に据え置かれた巨大な砲塔を大勢のスタッフが整備している姿を捉えたものだった。
オーリスを保護した後に派遣した偵察部隊が収録してきた映像だ。

「最初に見た時は、まさかとは思いましたが・・・・・・・・」

「はい、アインヘリアル。反攻作戦の切り札とするべく、我々が密かに再建・改良したものです」

それは、かつてオーリスの父であるレジアス・ゲイズが地上防衛のための手段として建造した魔導兵器であった。
JS事件の際にスカリエッティの戦闘機人の手で破壊されてしまったため、一度として使われることはなかったが、
オーリスはそれは局から持ち出した資料を基に独自の改良を施し、反攻作戦の切り札として再建していたのだ。

191:UNDERDOGS 第七話③
08/11/24 20:50:06 HWRGS/7o
「よくぞこんなものを・・・・・・・・」

「スカリエッティの技術提供によって技術開発で不利益を被った民間企業、強硬派に反対する穏健派、それらの出資によって新型アインヘリアルの
開発は行われました。詳しいスペックは私も把握していませんが、もしも開発コンセプト通りの性能を発揮するのだとしたら、
地上から衛星軌道上のゆりかごを狙撃することも難しくありません。詳しい資料は、こちらに」

そう言って、オーリスは懐から1枚のディスクを取り出す。それは、脱出の際に新型アインヘリアルを開発した技術者達から託された
アインヘリアルの設計図であった。

「これが完成したら、管理局はミッドチルダ全土を狙い撃てるようになるという訳か」

スカリエッティが強大な兵器であるゆりかごを自らの安全のための抑止力として利用していたからこそ、
無事に今日まで抵抗運動を続けることができたのだ。だが、もしもアインヘリアルが完成したなら、
管理局はゆりかごに匹敵する戦略兵器を手に入れることができる。スカリエッティと違って彼らは容赦しないだろう。
目障りなテロリストを、アインヘリアルの砲撃で一網打尽にしようとするはずだ。
何としてでも、開発が完了する前に破壊せねばならない。
その時、諜報活動のために地上に降りていたヴェロッサから、クロノ宛てに通信が入った。

『クロノ君、実はクラウディアに乗船させたい者がいるんだ。けがをしていて、すぐに治療しないと危ない』

「信用できるんだろうな? こっちの動向を探るためのスパイという可能性は?」

『身元ははっきりしている。セイン曰わく、姑息な手段は死んでもしない漢だそうだ。いや、雄というべきか・・・・・』

「雄?」

『何れにせよ、スカリエッティ側に何か動きがあったようだ。ザフィーラなら通訳も可能だろうから、敵の内情を知るためにも彼には恩を売っておきたい』

そう言って、ヴェロッサは後ろでセインに担がれている人物を映し出す。それは、四肢から血を流し、文字通り虫の息となった人型の虫であった。





意識を取り戻した彼女は、自分の手足が拘束されているのを見て、敵に捕まっていることをすぐに理解した。
拘束を解けないか試しにもがいてみたが、手足はピクリとも動かなかった。どうやら対機人用の拘束ベルトのようだが、
単純な腕力ならばナンバーズでも随一である自分の力でも破れないとは、相当の代物だ。今の状況を知る手がかりはないかと記憶を読み返したが、
フェイト・T・ハラオウンが振り下ろした魔力刃を受け止められずに吹き飛ばされたところで記憶は途切れていた。
どうやら、その時に機能不全を起こしてしまったようだ。いったいあれからどのくらいの時が過ぎ去ったのか、
ドクターや姉妹達は無事なのか、何一つわからない。
彼女が途方に暮れていると、扉が開いて何者かが部屋に入ってきた。

「すみません、手伝わせちゃって」

「いいえ、みなさんが頑張っていらっしゃるのに、私だけ遊んでいる訳にはいきません」

「お客様なのですから、ごゆるりとしてくだされば良いのに・・・・・あ、その箱はそっちの棚にお願いします」

覚えのある人物の声に、ハッ頭を上げる。忘れもしない妹の姿がそこにあった。

「オットー、ディード・・・・・・」

「セッテ?」

「セッテ、目を覚ましたの?」

「ああ・・・・2人とも、ここは? それにその格好・・・・・・」

2人の格好を見て、セッテは眉をひそめる。彼女達が着ているのはナンバーズの戦闘服ではなく、管理局が支給している陸士隊の制服であった。
ただし、オットーは男性局員用の制服を身に纏っている。そしてどちらの制服からも階級証は外されていた。

192:UNDERDOGS 第七話④
08/11/24 20:50:39 HWRGS/7o
「あの、そろそろフリードに餌を上げる時間ですから、私は失礼しますね」

「はい。お手伝いありがとうございます、イクス」

朗らかに笑いながら立ち去る少女に、ディードは薄く微笑みながら手を振った。
セッテとオットー、ディードの3人は兵器としてより効率よく運用するために、感情を抑制されている。
だが、ディードの表情にはほんの僅かではあるが、その抑制されているはずの感情の色があった。
傍らに立つオットーも、目覚めたばかりの自分のことを心配そうに見つめている。
己の記憶にない2人の姿に、セッテは強い違和感を覚えた。

「体、何ともない? マリエル技師官の腕は確かだけど、君は3年間も眠っていたんだ。生身の部分に不調とかはある?」

「問題ない。それより、ドクターは? ゆりかごはどうなった?」

何年眠っていたのかは然したる問題ではなかった。自分は機械、ただ使役されるだけの道具だ。
いつどこで朽ち果てることになろうと、『後悔』するなどという感情の発露は起きない。
それよりも、造物主であるスカリエッティがどうなったのかの方が重要だ。健在なのなら合流して指示を仰がねばならないし、
逮捕されているのなら助け出さねばならない。死亡していた場合のことはあまり考えたくなかった。

「ここはラボではないな。聖王のゆりかごか?」

「違う。ここは次元航行艦クラウディアの整備室で、ゆりかごじゃない。セッテ、落ち着いてよく聞いてほしい。
僕達は、ドクターを裏切ったんだ」

「・・・!?」

2人の口から語られた空白の3年間の出来事に、セッテは無言で顔をしかめた。
ゆりかごと聖王の権威を使って管理局と聖王教会を沈黙させ、誰にも手出しをさせない環境を作り上げる。
それはトーレから聞かされていたドクターの目的が実現したことを意味していた。
それによって質量兵器や非人道的な研究が横行するようになり、管理局が未知の技術やロストロギアを求めて侵略戦争をしていることは
セッテにとってどうでも良かったが、2人とセインがドクターを裏切り、レジスタンス活動に身を投じているということが不思議でならなかった。
ナンバーズはジェイル・スカリエッティの手で生み出され、彼に忠実に従う兵隊だ。
円滑な作戦行動の遂行のために人間らしい思考は持たされているが、その本質は戦車や戦艦と同じく兵器でしかない。
オットー達の造反は、彼女のアイデンティティを揺さぶるには十分な出来事であった。

「正気なのか? 戦闘機人が主君を裏切るなど・・・・・・」

「戦闘機人だって人間だ。確かに僕達は、戦うために生み出されたのかもしれない。
けれど、その力をどう使うかは僕達自身の意思で決められるはずなんだ。」

「ドクターのところにはそれがない。あの人にとって私達は1個の作品。
優秀な能力は伸ばしてくれるし、成果にはそれ相応の称賛を与えてくれる。
そして、役目が終わればスクラップとして破棄されるだけ」

「それがどうした? 戦闘機人ならば当然のことではないか」

「そうなのかもしれない。けど、僕はディードにそんな目にはあって欲しくないって思った」

「私も、オットーには生きていて欲しい。だから、2人でここにいるの。2人で生きていける世界を作るために」

「理解不能だ。お前達の戯言に、私まで付き合わせるな」

「セッテ!」

らしくもなく声を荒げながら、オットーはセッテに詰め寄る。
その表情は、泣いているようにも怒っているようにも見えた。

193:UNDERDOGS 第七話⑤
08/11/24 20:51:18 HWRGS/7o
「君を保護したのは、レジスタンスのエリオ・モンディアルだ。3年前に、母親を傷つけた君を彼は許しているんだよ。
彼が助け出さなければ、君はラボの崩落に巻き込まれて死んでいたんだ」

「私は敗北した、負けた戦闘機人に存在価値はない」

「君にだって、譲れない思いは・・・・・守りたいものはあるはずだ。兵器だから、道具だからって考えるのを止めちゃいけない。
自分が何をしたいのか、どう生きたいのか、自分の頭で考えるんだ」

「放っておいてくれ。私にはそんなものはない」

聞く耳は持たないとばかりに、セッテは2人から顔を背ける。
これ以上は何を言われても答える気はなかった。

「・・・・・・・・・」

「オットー」

「・・・・・・・また来る」

扉が開く音が聞こえ、2人の足音が遠ざかっていく。
あんなに感情を爆発させたオットーを見たのは初めてだった。
それほど付き合いが長い訳ではないが、自分の記憶にある彼女はいつも無表情で抑揚のない喋り方をする少女だった。
なのに、今では感情を表現する術を身につけ、目には涙すら浮かべるようになっていた。
わからない。
どうしてあの時、彼女は泣いていたのだろう。
いったい、何に対して泣いていたのだろう。
考えても、答えは見つからなかった。

(馬鹿な。私は機械だ、思考など無駄だ・・・・・無駄なんだ)

考えることを止め、セッテは静かに瞼を閉じた。
自分は戦闘機人、戦うための兵器だ。だから疑問を持つことなど無意味なのだ。
命令がないのなら、何もせずに眠っていれば良い。
それでも、フッと思ってしまうことがある。
もしもトーレならば、いったいどのように答えていたのだろうかと。





オットーの胸中は複雑だった。
セッテにああは言ったものの、彼女自身の中にはまだ造物主であるスカリエッティへの忠誠が僅かばかりに残っていたからだ。
あんな男でも生みの親だ。どれだけ悪行を積み重ねていて、どんなに救いようのない狂人であったとしても、
ひょっとしたら分かり合えるのではないのかという思いがまだ燻っている。
だが、スカリエッティへの絶望がそれは無駄なことだと告げていた。
自分達だって、最初からレジスタンスに協力しようと思っていた訳ではない。寧ろ、隙があれば逃げ出してゆりかごと
合流するつもりだった。しかし、偶然にも彼らが暴いたスカリエッティの悪事を目にした時、造物主への怒りと絶望が湧き上げてきたのだ。
彼はナンバーズという戦士を造り上げるために、多くの失敗作を生み出していた。
天才といえど万能ではない。特にナンバーズの場合はISが発現するか否かは完全にランダムなのだ。
望むべき能力を見い出せなかった失敗作達は破棄され、襤褸雑巾のように捨てられていくしかない。
その果てに、自分達がいるのだ。
それを知った時、2人が最初に想像したのは失敗作の烙印を押されて処分される自らの半身の姿だった。
それは凄く嫌な気持ちだった。
自分が能力不足で処分されるのには耐えられる。だが、かけがえのない半身を蔑ろにされることは、
どうあっても許容できなかった。
自分達は常に2人で一緒でなければならない。その絆が断ち切られることなど、絶対にあってはならないのだ。
それが、2人が造物主に弓を引こうと思った理由だった。


194:UNDERDOGS 第七話⑥
08/11/24 20:51:54 HWRGS/7o
「今は、目覚めたことを喜びましょう」

「うん・・・・・けど、何とか説得しないと・・・・・・」

ディードに支えられながら、オットーはセッテが目覚めたことをマリエルに伝えようと彼女のもとに向かう。
艦内が何だか騒がしかった。武装局員達がデバイスを手に走り回っていて、何かが暴れているようない音が聞こえる。
音の出所は、転送ルームのようだ。
このまま行けばその前を通り過ぎることになるので、2人は何となくそちらに足を向けてみることにした。
そこには、見知った人型を押さえつけているセインの姿があった。

「落ち着いて、ここは大丈夫、安全なところだから・・・・・・」

「・・・!!」

暴れているのはガリューだ。彼がやったのか、壁際には数人の武装局員が倒れている。
外傷は見られないが、かなり手酷く投げ飛ばされたようだ。完全に白目を剥いている。

「セイン姉様、これは・・・・・・」

「あ、ああ、2人とも、良いところに・・・・わぁぁっ!? ほら、オットーとディードだよ、知っているでしょ」

「・・・・!!!」

「かなり気が立っているね」

片手を振るようにしてオットーはISを発動。プリズナーボックスを応用したバインドでガリューを拘束し、身動きを封じる。
何だかわからないが、今の彼には近づかない方が無難かもしれない。多分、手足のケガのせいでかなり過敏になっているのだ。
人間と同等の知能があるといっても彼はあくまで虫だ。虫に野生というものがあるのかは知らないが、
手負いならば当然、警戒心も強くなる。

「すみません、どいてください・・・・どいて・・・・・」

「ああ、エリオ様」

ディードが一歩譲ると、人混みをかき分けてエリオが飛び出してきた。

「ガリュー!?」

「・・!」

エリオの存在を認め、ガリューは拘束された状態のまま起き上がろうとする。
負傷で手足に力が入らない状態なのにもがこうとする様は、見ていて何だか痛ましい。

「オットーさん、バインドを解いて!」

「え、でも・・・・・」

「良いから!」

「・・・・・了解」

念のため、プリズナーボックスをいつでも展開できるようにしてからガリューの拘束を解く。
床の上に投げ出されたガリューを起こそうと、エリオは彼のもとに駆け寄った。
だが、ガリューは差し伸べられたエリオの手を振り払うと、ジッと彼の眼を見つめながら両手を床の上に着いた。

195:UNDERDOGS 第七話⑦
08/11/24 20:52:27 HWRGS/7o
「ガリュー・・・・・その姿はいったい・・・・ルーに何かあったの?」

「・・・・・・」

エリオの問いにガリューは答えず、たった1つの動作で自らの思いを彼に伝えようとした。
彼は、自らの頭を床の上に下ろしたのだ。
手足を貫かれ、出血で衰えていく力を総動員し、自らの無念を吐露したのだ。
ガリューをよく知るエリオにとって、その衝撃はとても言葉では言い表せなかった。
彼は忠義の騎士だ。主の命に従い、主のために死ぬ。愚直なまでの武人としての生き様に、エリオは尊敬の念すら抱いていた。
その彼が、大勢の敵の前で満身創痍の体を引きずり、頭を垂れている。
伝わってくるのは無念と後悔だった。
再戦の約束を交わし、決着がつくまで敵であり続けることを願った相手に頭を下げる。
誇り高いガリューからすれば、それは屈辱以外の何ものでもないだろう。召喚蟲としてのプライドと、騎士の誇りを侮辱する行為だ。
しかし、エリオは彼から伝わってくる強い覚悟を違うことなく受け止めていた。
ルーテシアの身に何かがあり、彼自身にはどうすることもできない事態に陥ったのだ。それだけは、言葉を交わさなくともわかる。
そして、敵に情けを請わねばならないガリューの屈辱と鋼の覚悟を。
血だらけの体で頭を下げるその姿は、有無を言わせぬ美しさすらあった。

「わかった」

静かにエリオは立ち上がる。そして、そっとガリューに手を差し伸べた。

「一緒に、ルーを救い出そう」

「・・・!」

ガリューの伸ばした手が、エリオの手と重なり合う。
立場は違えど、1人の少女を守りたいという意思は同じ。
故にこの協定は必然のことであった。





地上から転送されてきた宅配物を小脇に抱えながら、チンクはヴァイスの部屋へと向かっていた。
宅配のヴァイス・グランセニック宛てになっており、品物名には貴金属と書かれている。
どうやら、ヴァイスが通信販売で購入したもののようだ。常に自室に閉じこもっていて、
外出した際も任務以外では別行動など取らない彼がこんなものを買っていたとは知らなかった。
だが、宛先を衛星軌道上のゆりかごにしてしまっては宅配業者が困惑するということを彼は気づかなかったのだろうか。
機密保持と安全のためにゆりかごにアクセスできる人間は限られているので、わざわざ地上本部に届けられた荷物を
こちらから出向いて受け取りに行かねばならなかったため、配達予定日を3日も過ぎてしまっている。

「欲しいものがあるなら、言ってくれれば取り寄せたものを。何が入っているんだ、これ?」

ボヤキながら、チンクはヴァイスの部屋に足を踏み入れる。少しばかり機嫌が悪いので、断りはなしだ。

「ヴァイス・・・お兄ちゃん、荷物が届いていたよ」

「あ、あああ・・・・・わ、悪いな!」

部屋の隅っこでボーっとしていたヴァイスが、大慌てでチンクから荷物を奪うと、周りを気にするように視線を巡らせる。

「お兄ちゃん、欲しいものがあったら私に言ってと言っておいたのに」

「あ、ああ・・・・けど、これだけは自分の力でな・・・・買いたくて」

そう言って、ヴァイスは包装を破いて中から小箱を取り出した。
手触りが柔らかそうな青い箱だった。写真で見たことのある、婚約指輪を保存しておくものに似ている。

196:UNDERDOGS 第七話⑧
08/11/24 20:53:35 HWRGS/7o
(え・・・・・)

一瞬、チンクの脳裏にウェディングドレス姿の自分がタキシードを身に纏ったヴァイスと、ヴァージンロードを歩いている姿が想像される。
だが、自分達は仮にも兄妹であるということを思い出し、その変な想像を振り払った。

「ラグナ?」

「な、何でもない」

「そうか。具合が悪かったら言えよ」

「だ、大丈夫。それより、その箱・・・・・・・」

「あ、ああ。これはな・・・・・・」

ゆっくりと、箱の蓋が外される。
中にあったのは、双三角錐の宝石のイヤリングであった。向こう側が透けて見えるくらいの透明度で、色は血のように赤いワインレッドだ。
何となくレリックを連想してしまうのは、色が同じだからだろう。だが、同じ色のはずなのにどこか違うようにも見える。
この宝石には、レリックの持つ妖しい輝きは感じられない。どちらかと言うと、見ていて安心感を覚える。

「3日過ぎちまったけど、誕生日プレゼントだ」

「誕生日?」

「忘れたのか? お前の誕生日だよ。ほら、付けてやるよ」

チンクが反論するよりも早く、ヴァイスは彼女の小さな体を引き寄せて両耳にイヤリングを付けていく。
耳が千切れるかもしれないという恐怖から、チンクは動くことができなかった。

「ちょいと大人過ぎるかとも思ったけど、お前だっていつまでも子どもじゃないしな。
こういうのもたまには付けてお洒落しないと」

「あ、ありがとう・・・・・・・・」

そっと耳元に手をやると、イヤリングの宝石が微かに揺れる。
その重みが、何だかとても胸を締めつけた。

「本当は、外に買いに行きたかったんだが、まだちょっと1人じゃ怖くてな。
誕生日プレゼントを通販で買うなんて、何だか情けなかったが」

「そ、そんなこと・・・ないよ。うれ・・・しい・・・かな」

「そうか? 何だか照れるな。そういや、何歳になったんだっけ? 9歳・・・あれ、13歳か・・・・・まて、
そういや今年は何年だっけ・・・・・・俺は18歳・・・ちが・・24・・・でもなくて・・・・・あ、あああ・あ・・・・」

「お兄ちゃん!」

「ラグナ・・・俺・・・俺は・・・・・ああぁぁっ!!」

「大丈夫、何も怖がることはないから。私はここにいる、ヴァイスお兄ちゃんの側にいる。ね、だから安心して」

混乱し始めたヴァイスの体を抱き締め、チンクは彼を落ち着かせようと耳元で囁く。
ヴァイスは目の前の妹の存在を求めて腕を伸ばし、まるで赤子のように嗚咽しながら身を縮こまらせる。
その姿は、まるで救いを求めて許しを乞う罪人のようであった。

197:UNDERDOGS 第七話⑨
08/11/24 20:59:40 HWRGS/7o
「俺は・・・・俺は悪くない。俺のせいじゃない俺のせいじゃない俺のせいじゃない俺のせいじゃない・・・・・・」

「大丈夫、お兄ちゃんは何も悪くない。何にも悪いことはしていない」

最近はめっきり減ったフラッシュバックが起きたのだ。彼と出会った直後は、それこそ毎晩のように蘇った記憶の断片に苦しみ、
錯乱しながらチンクのことを求めてきた。破綻寸前の彼の精神をギリギリの境界で保たせているのは、
妹のラグナを演じているチンクなのだ。彼女の存在が、彼の危うい精神の均衡を保っている。
だが、それもいつまで続くかはわからない。
ヴァイスは外の世界に目を向け始めている。自分で記憶の中の妹に誕生日プレゼントを買うとしたのがその表れだ。
やがては嫌でも失ってしまった記憶を取り戻すだろう。そして、自分の前からいなくなるのだ。
それが何だか、寂しく思えてならなかった。

(お兄ちゃん、か・・・・・・・)

ヴァイスを落ち着かせて部屋を後にしたチンクは、1人自問する。
彼が話をしているのは幻想の妹であり、彼が見ているのは夢の中の妹だ。
だが、彼の望む妹像を演じている内に、チンクの中でヴァイス・グランセニックという存在はどんどん大きくなっていった。
自分は戦うために生み出された戦闘機人。しかし、このまま彼のもとでラグナ・グランセニックとして生きる道もまたあるのではないだろうか。
そんな馬鹿な妄想すらするようになった。

「あれ、チンク姉。どうしたのそれ?」

「あ、ノーヴェか」

訓練室帰りのノーヴェに呼び止められ、チンクは我に返る。

「あいつのところに言ってきたんだよね。それ、貰ったの?」

「え、あ・・・・ああ・・・・付けたままだったか」

ヴァイスから貰った誕生日プレゼント。
本来ならば、彼の本当の妹に渡されるべきそれを、まだ付けたままだった。
罪悪感から、チンクは取り外そうと手を伸ばす。だが、ノーヴェの次の言葉で思い直してしまう。

「似合っているね、それ」

理由はわからないが、その言葉がとても嬉しかった。
もう少しだけ、その喜びに浸っていたい。
罪悪感は消えなかったが、ほんの少しだけ気持ちは軽くなった。





ガリューがクラウディアに保護されてから半日後、クロノは新型アインヘリアルへの襲撃作戦を立て、
部下達を招集した。今回はあの巨大な召喚蟲をも相手にしなければならないかもしれない。
きっと、今まで以上に過酷な戦いになるだろう。実動部隊の面々が誰1人として欠けることなく
帰還してくれることを、クロノは願わずにはいられなかった。

「・・・・以上が、オーリス女史が話してくれた経緯だ。この新型アインヘリアルは軌道上のゆりかごを
狙撃するために改良が施されており、然るべき場所から撃てば地上の約7割を射程に収めることもできる。
これを放置していては、今後の我々の活動に支障が出る恐れもある。よって、明朝0400時を以て奇襲をしかけ、破壊する」

仮想ディスプレイに、地形図と偵察部隊が収録した現地の映像が映し出される。
咆哮を上げて暴れ回る白天王の姿に、それを見ていたエリオは少しだけ胸が痛くなった。

198:UNDERDOGS 第七話⑩
08/11/24 21:02:41 HWRGS/7o
「予想される敵の戦力は戦闘機人とガジェット、召喚師の少女が1名。山岳部故に戦車は見られないが、代わりに5体の飛行型召喚蟲と
1体の大型召喚蟲が出てくる恐れがある。それに、新型のガジェットらしきものも確認されている」

新たに映し出されたのは、飛行型のガジェットⅡ型によく似た兵器だった。
だが、似ているのは形だけで大きさは倍以上ある。搭載されている火器もⅡ型のものより大型のようだ。
恐らく、空中での高速戦闘を主眼において開発された新型の質量兵器であるとユーノが補足してくれた。
実戦のデータを取るために試作機が配備されているのだろう。

「似たようなコンセプトの兵器が第97管理外世界にあるから、こいつのことは以後、『戦闘機』と呼ぶことにする。
見たところの無人機のようだけど、人が乗っていない分速力はガジェットの比じゃない。十分に注意してくれ」

「以上のことから、今回は空と陸の二面作戦を展開する。なお、アインヘリアルの付近には強力なAMFと対転送魔法の
ジャミングが仕掛けられているので、離れた場所から進軍するしかない。陽動となる空はシグナムとアギト、ディード、オットー、
エリオとフリード、そして・・・・・ガリューだ」

ガリューの名前が出たところで、どよめきのようなものが生まれる。
仮にも敵だった者を重要な作戦の戦列に加えるのだ、動揺が起こるのも無理はない。
だが、誰も異論を挟もうとはしなかった。この場にいるメンバーの大半は、一度は管理局と争い合った者達ばかりだからだ。
それに、エリオが如何にルーテシアのことを助け出したいと思っているかを知らぬ者は誰もいない。
その彼が信頼しているのならば、自分達もガリューを信じよう。ほとんどの者は、そんな風に考えていた。

「地上の本隊はギャレットとザフィーラ、スバル、カルタス。ギャレットとザフィーラは部隊を率いて進軍し、
アインヘリアルを破壊する。外部の装甲は厚いが、機関部を狙えば破壊できるはずだ。更に管制としてリインとティアナをつける。
2人には後方から空と陸の連携を補佐し、各武装隊やクラウディアとの連絡や敵戦力の分析を行ってもらう。ここまでで何か質問は?」

「アインヘリアルの破壊が任務なのですか? 制圧ではなく?」

「その通りだ、ギャレット。確かにあれは強力な兵器だが、それを我々が手に入れたら管理局も本腰を入れて攻撃してくるだろう。
スペック上は軌道上のゆりかごすら狙撃できるんだ、最悪の場合はスカリエッティが動く。彼だって、自分に振りかかる火の粉は
払おうとするはずだ」

ゆりかごに頭を押さえられている以上、あんな目立つ代物は格好の的だ。
ばらしてから別の場所で一から組み立てる時間も予算も自分達にはない。

「ですが、それは今も変わりません。作戦行動中にゆりかごから砲撃されることは?」

「そのためにシャマルには別行動を取ってもらっている・・・・・・ユーノ」

クロノに促され、ユーノは仮想ディスプレイにゆりかごの資料らしきものを映し出す。
離反の際に彼が無限書庫から持ち出してきたもののようだ。

「ゆりかごの次元間跳躍攻撃は確かに厄介だけど、あれは2つの月の魔力を使わなければならないほど消耗が激しい。
しかも、一度使ってしまえば10分間のチャージタイムが必要になり、その間はあらゆる攻撃に対してゆりかごは無防備になってしまう」

「そこで、シャマルには我々が動く情報を各地の反抗勢力に流してもらう手筈になっている。
彼らもゆりかごは快く思っていないはずだから、我々の動きに合わせて動くはずだ。
そうなればゆりかごも彼らを警戒して動けなくなる。僕らを狙えば彼らが、
彼らを狙えば僕らがそれぞれの目的を達成できる。危険な賭けだが、やるしかない」

思惑どおりに事が運ばなければ、空の彼方から砲撃されて跡形もなく消し飛んでしまう。
だが、誰一人として逃げ出そうとする者はいない。
管理局と袂を分かつと決めた時から、彼らの心は一つであった。


199:UNDERDOGS 第七話⑪
08/11/24 21:03:40 HWRGS/7o
「では、2400時に現地付近の基地へ諸君らを転送する。それまでは、第一警戒態勢のまま待機。以上、解散」





会議室を後にしたエリオが医務室で治療中のガリューを訪ねようとしていると、背後からスバルが駆け寄って来た。
真剣なその表情に、エリオはまた彼女が復讐云々について話そうとしているのかと思い、身構えてしまう。

「エリオ、戦う前に教えて欲しいことがあるんだ」

「何ですか?」

「エリオは、まだ救いたいの、あの召喚師の女の子のことを?」

「当り前です。放っておけないんです、ルーのことは」

「それは、キャロがそう望んだから? フェイトさんがそうしろって背中を押してくれたから?」

それは再会した時に投げかけられたのと同じ質問だった。
どうしてルーテシアを救おうとするのかと聞かれ、自分はキャロがそう願っていたからだと答えた。
そう、自分は3年前からずっと、キャロの思いに囚われてきた。
分かり合えぬまま、無念の内に死んでいったキャロ。
友達になりたいと思っていた少女に殺されたキャロ。
とても大切で、大好きだったキャロ。
彼女の思いを引き継ぎ、エリオは戦ってきた。
けれど、今は違う。
いつまでも過去に囚われたままではいけない。それこそ、キャロは望んでいない。
だから自分は前に進みたいのだ。ルーテシアを助け出し、過去の自分に決着をつける。
これは、そのための戦いなのだ。

「僕が助けたいから助けるんです。誰かに言われたからじゃない、僕自身の意思です。
僕は、ルーテシアをスカリエッティの呪縛から解き放つ。あの娘は頑張るって約束してくれたんです。
新しい自分に変われるように、前を向くって。だから、それを阻もうとする人を僕は許せない」

「そう・・・・・なら、助けよう」

ポンと、スバルの手がエリオの肩の上に置かれる。
意外な反応に、エリオはポカンと彼女の顔を見上げる。
そこにあったのは、3年前に機動六課で何度も見ていた子犬のような笑顔であった。
だが、その笑顔にはどこか陰りがあった。
そういえば、スバルはスカリエッティに操られたギンガを救い出すことができなかった。
きっと、ルーテシアを亡き姉と重ねているのだろう。だから、エリオの願いを認めてくれたのだ。

200:UNDERDOGS 第七話⑫
08/11/24 21:04:17 HWRGS/7o
「ちゃんと聞いたよ、エリオの本心」

「スバルさん・・・・・・・」

「私は地上だから協力はできないかもしれないけど、応援している。頑張ろう、お互いに」

「は・・・はい!」

力強いエリオの頷きに、スバルもまた腕を上げて応える。
スバルのためにも、絶対にルーテシアを救い出さなければならない。
それが自分の新たな一歩になると信じて、エリオは誓いを新たにするのだった。





その一部始終を影から見守っていたイクスは、嬉しそうに微笑んでいた。

「自分を解き放ったのですね、エリオ」

本心を押し殺し、強い思いで心を塗り固めてしまっていては前を向くことができない。
かつての自分もそうだった。自分がいなくなることが世界のためであると信じ、
戦うことを避けてきた。そんな暗闇から自分を救ってくれたのがスバルだ。
彼女の言葉が、身を挺した行動が、自分に生きたいという欲求を蘇らせてくれた。

「うっ・・・ううぅ・・・」

不意に訪れた眠気を振り払い、イクスは壁に手を着きながら2人に背を向けて歩いていく。
最近、眠気が訪れる感覚がどんどん短くなっていっている。目覚めた時に起きた機能不全が原因だ。
きっと、遠からず自分は目覚めることのない眠りにつくことになるだろう。

「まだです・・・・・・この世界の行く末を・・・・・・スバルが安息できる日を見届けるまでは
・・・・・・・・まだ、眠る訳には・・・・・・・・」

拳を握って爪先で手の平を抉り、薄れていく意識を覚醒させる。
僅かに残っている痛覚が、今はとてもありがたかった。


                                                    to be continued

201:B・A
08/11/24 21:04:56 HWRGS/7o
以上です。
このヴァイスを書いていると自分が鬱になってくるから困る。
次回からかなりのキャラを動かさなきゃいけないで大変だ。
一話で収まれば良いけど。


202:名無しさん@ピンキー
08/11/24 22:10:57 jbUuGaui
とうとう決戦の時か
ルーを救おうと決心してくれたのは嬉しいけど肝心の本人が…
揺れ動くナンバーズの心も気になる
誰が仲間になってくれて、誰が最期まで敵として戦うのかも見物
GJ!!

203:名無しさん@ピンキー
08/11/24 22:26:50 3FccBUSe
GJ!!

クアットロの外道っぷり、ガリューの武士蟲魂、セッテの復活、見所が多い中でも取り分け印象深かったのは壊れたヴァイス。
二度の狙撃ミスで完全に平静を失った姿が痛ましい反面、彼の身を案ずるチンクとの触れ合いが和みました。
出来れば二人はそこのまま穏やかに生きて欲しいとすら思ったりするが……それはありえないか。


しかしチンク、いくらなんでもウェディング姿を妄想するのは早すぎるぞwww

204:名無しさん@ピンキー
08/11/24 22:29:06 oD1Cb7X+
GJ!!
ヴァイスもすさまじく壊れてしまってるな
元に戻る可能性といえばチンクが一歩を踏み出すかにかかってる

ルーテシアは更に酷い
エリオが一歩を踏み出すと決めたけど、それでも元に戻る可能性は低い
それどころか説得した自分が簡単に殺されてしまう状態
二人とも何とかして助かって欲しい!

205:名無しさん@ピンキー
08/11/24 22:50:57 8mw4JxWi
ヴァイスの壊れがひどいなぁ。
自壊という形で瓦解するか、その前に朽ち果てるのかもはや二択な予感w
でも、そんな彼が大好きだ! チンク×ヴァイスって斬新過ぎるww

いいぞ、もっとやれ!

次も楽しみにしてますー。



206:名無しさん@ピンキー
08/11/24 23:09:48 sBEDAlmb
GJです。
ヴァイスとチンクの行方もさることながら、
本物のラグナが今どうしているのか、
具体的には、クア姉のおぞましい魔の手によって取り返しの付かないことになっていないか心配です。

207:名無しさん@ピンキー
08/11/25 00:17:00 Jc/pkxCq
GJ!
しかし今回目覚めたセッテもスカから離反するんだろか
一人くらい自身の意思でスカの元にとどまって葛藤しながらもエリオ側との決戦に挑むとかないんだろかとなさそうな妄想をしてしまう……

208:名無しさん@ピンキー
08/11/25 01:05:39 cgtk2bfH
>205
そう斬新でもない、外見と隻眼がラグナを彷彿とさせるところからって感じでネタだけは言ってる人はいた
実際に見るのは初めてだがね

209:名無しさん@ピンキー
08/11/25 01:06:17 2Qedww5v
突然だが、オットーって、「胸がある描写」以外に「女」と断定できるエピソードあったっけ?

210:名無しさん@ピンキー
08/11/25 01:16:25 0cM5tpzH
Gj!!
色々な運命が転がりだして、次回がすごく待ち通しくなってきました。
ルーテシアの騎士時代からファンな俺にはルーもセッテも仲間になってくれれば幸せですが、二人とも平行世界よりも条件が厳しすぎる…
ガリューが仲間になってエリスバが和解したのは嬉しいですが、不安要素も盛り沢山
とりあえず眼鏡くたばれは絶対に変わらない事実


211:名無しさん@ピンキー
08/11/25 07:25:10 dp5K6lO2
>>209
原案で女と明記されてると言うくらい

212:名無しさん@ピンキー
08/11/25 08:27:24 x/3u4iPS
>>211
本編でスカが「12人の娘たち」とか言ってる所とかは?
その後に、「全員を止めない限り私は蘇る~」とか何とか言ってた気が。

他には
>自分のことを「僕」と呼んだり、胸の薄い体型やズボンを着用していることなどから
>性別がわかり難いが、れっきとした女性。エピローグでは、よく見ると胸がある
>ように描写されている事がわかる。クアットロの助言(?)によって姉妹達にも
>本当の性別は隠していた(StrikerS漫画版Episode-12)

とかもあるし

213:名無しさん@ピンキー
08/11/25 10:25:56 8qaa8jYM
オットー実は男の子!、オニンニンの中にはスカ博士の種が。
逆ナンorイタヅラされてやっちゃった相手からどんどんスカ博士が生まれる。

なんてバカな妄想は俺だけで十分だ。

214:名無しさん@ピンキー
08/11/25 12:44:02 k+g/0H+7
>>213
ス○ーシーズ2みたいw

215:名無しさん@ピンキー
08/11/25 13:38:32 sHdpRLHV
>>212
まあ、「12人の娘」に関しては、オットーを♂と仮定した場合
除→オットー
含→ギンガ(孕まされてる)
って予想もあったけどね


216:名無しさん@ピンキー
08/11/25 13:42:49 eA2xDUds
逆に男の子一人でもちょっとドクターを疑うかも知れないwww

217:名無しさん@ピンキー
08/11/25 14:09:31 cgtk2bfH
>>215
ギンガ含みで除かれるならドゥーエじゃね?
長期間スカのところに戻ってないみたいだしクローンの植え込みはされてないと思われる
まぁどちらにせよ、タイプゼロはスカの技術が関わってはいるけど製作に直接スカが関わったわけじゃないから、12人の娘には含まれないと思われる

218:名無しさん@ピンキー
08/11/25 18:27:59 EWMbW1YS
>>216
ドクター×オットー(♂)と申したか

219:名無しさん@ピンキー
08/11/25 18:42:14 mUKI7JAI
>>215
この書き込みを見た瞬間に
ガジェットに拘束されたギン姉が延々と精液流し込まれる図が浮かんだ。
しかもスカ自身は動きたくないからって、機械に精液生成させて極太の注射器みたいなポンプで腹が膨れるまで…









頭冷やしてくる…

220:名無しさん@ピンキー
08/11/25 18:56:58 atUZBYsp
オッケー把握した。
オットーは女の子。しかし、チンコの有無は確認されていない。

つまり、「ふたなり」は有りだな。よし。

221:名無しさん@ピンキー
08/11/25 19:20:44 +7xCpish
というかオットーの性別なんて公式で出てないならもうどうしようも無いだろ
男でも女でもふたなりでも各自の好きな設定でいいじゃないの

222:名無しさん@ピンキー
08/11/25 19:47:29 pRpDL2oe
静か過ぎる・・・・・

223:名無しさん@ピンキー
08/11/25 19:51:34 VIoUMBqM
これくらいで静かって……

224:名無しさん@ピンキー
08/11/25 20:07:27 8oWqR+Mn
ここは司書長が女の子でも無問題のスレなんだ
オットーが男だろうがふたなりだろうがまったく問題なかろうて

225:名無しさん@ピンキー
08/11/25 20:13:06 qL28OeW7
そういえばここの元職人さんのサイトのオットーも男の子だったな

226:名無しさん@ピンキー
08/11/25 23:15:27 7V8luyx6
>>201
GJ!
ええ、本当にクワットロの外道っぷりに反吐が出そうなくらいです
娘が生き甲斐にしていた母を娘自身の手で殺させたり、兄がすごく大切にしている妹を目の前から消してしまったりともう外道としか言いようがありません
イクスが眠ってしまう前にスバルがエリオと和解できたのは安心しました

次はそれぞれの戦いの始まりですね。
クワットロ達大ボスが前面に出る可能性は少ないでしょうが、エリオ達に取っては勝利の形が違っても絶対に負けられない戦い。
すごくwktkしてきました。

227:名無しさん@ピンキー
08/11/26 00:04:40 HnMUaQag
クアットロだって

228:名無しさん@ピンキー
08/11/26 00:10:43 WIdZKY2X
>>201
GJ!
しかし、クアットロの外道っぷりはいけてますね。
こういうタイプって、アニメだと最終回近くで意外にあっさり殺されるのがお約束なんで、
そういうのは避けてほしいです。

外道の極地ルートで行けば、スバルやエリオを嬲り殺しにして、おっさんコンビ(淫獣とerono)
をひき肉にして、ヴァイスを肉奴隷にでもしてくれれば、スーパー欝エンドの決定版になるかも


229:名無しさん@ピンキー
08/11/26 02:42:23 SX1TVcDS
いつか書こうかと思うネタに関し聞いてみたい。
エリオの事が好きそうなナンバーズは誰になるかな。
今の候補はチンク姉で。
ちなみに自分もオットーは男であってほしい。
オットーを捕まえたシャマルが彼をお気に入りにして自分のモノにしてるって展開を妄想したいので。

230:名無しさん@ピンキー
08/11/26 02:44:49 3NYRLlL/
日本語でおk

231:名無しさん@ピンキー
08/11/26 03:11:12 C1EoVGLL
前に書いたけど、COD4の狙撃任務みたいにヴァイスを活躍させたい。
ただ、文才がないので無理だが。

232:名無しさん@ピンキー
08/11/26 05:48:03 FCTlWaxp
文才あろうがなかろうが話は書ける
ていうか文才あろうがなかろうが、最初は上手い人の真似れ

233:名無しさん@ピンキー
08/11/26 07:09:40 LJOaGP+Z
素人も十本位書けばそれなりにはなるよ
まぁ、最初の一二本が山だけど

234:名無しさん@ピンキー
08/11/26 07:17:17 EhbBbyR/
わかってるだろうけど、あくまでも真似であって 
丸写しはダメよー。盗作になっちゃうからねー。

235:名無しさん@ピンキー
08/11/26 07:37:40 QCgizmcW
>>229
どうしても筋肉を鍛えるのが好きなトーレがフェイトさんとエリオを奪いあう様子が浮かぶ…
そんなわけでトーレを候補に

236:名無しさん@ピンキー
08/11/26 07:54:03 xyVlTxqw
トーレなだけに肉便器なトーレさんが見t……いやなんでもない

237:名無しさん@ピンキー
08/11/26 09:30:58 joSpvLgJ
ウェンディ、チンク、セッテは別のSSでエリオとくっついてるのを見たことが
あるようなないような

238:名無しさん@ピンキー
08/11/26 11:29:30 QCgizmcW
>>237
セッテは分かるけど、ウェンディとチンクってあったっけ

239:名無しさん@ピンキー
08/11/26 16:09:41 Gg5Ts2NT
フラグが立ってる程度の作品なら見た事があるようなないような>5&11
セインなんかは弟的な意味で気に入りそうだと思う

240:名無しさん@ピンキー
08/11/26 18:29:38 QCgizmcW
セインとウェンディにはたっぷり過ぎるぐらい弟として可愛がられそう

241:名無しさん@ピンキー
08/11/26 19:36:32 joSpvLgJ
エロだけならウーノとディードもあったような?

242:名無しさん@ピンキー
08/11/26 20:52:19 rn0uRpN2
>>229
そこでクアットロとかw

243:名無しさん@ピンキー
08/11/26 20:57:16 nLgwIhGr
>>201
GJ!
エリスバの戦い、チンクの戦い、セッテの思い、クアットロ達の末路
見どころが多すぎます!

>>241
あったっけ…
詳細を頼む!

244:名無しさん@ピンキー
08/11/26 22:05:54 1rEQTAc1
今カリム×ヴェロッサ書いてるけど、ヴェロッサってカリムの事なんて呼んでたっけ?
あと、話す時敬語であってる?

245:名無しさん@ピンキー
08/11/26 22:12:23 o0Vql1Qw
>>244
カリム、または姉さん。
話す時は普通。敬語ではない。

246:超硬合金
08/11/26 22:15:37 jVKyxnM9
ご無沙汰しております。
一本書き上がったので、これから投下したいと思います。

247:超硬合金
08/11/26 22:16:15 jVKyxnM9
注意事項
・機動六課で風邪が流行っています。
・微エロです。
・ヴァイティア、エリキャロ、ユーなの、クロフェです。
・ヴィヴィオは風邪がうつらないように、アイナさんの部屋でザッフィーをモフモフしています。
・タイトルは「体温のはかり方」
・お家に帰ったら、手洗いとうがいをしっかりしましょう。

248:体温のはかり方 1
08/11/26 22:17:09 jVKyxnM9
 その日、ティアナは体調を崩していた。
 具体的にはベットから出た時点で、体温が既に三六度八分。
 ルームメイトやちびっ子達に迷惑を掛けない為に、演習場に行ったらヴィータが一言。

「はやてとなのはとキャロが風邪引いたから、今日の早朝訓練は中止だ」

 ヴィータ自身もはやての看病があるから訓練なんかしている暇がないそうだ。
 そのまま立ち去ろうとするヴィータにスバルが只ならぬ形相で詰め寄る。

「なのはさんのお見舞いの品を買う為に、町まで行ってきて良いですか?」

 スバルの願いは治安組織である時空管理局の理にかなっていない。
 しかし、今はシグナムがシャマルのおかゆ鋳造を阻止しているが、そのままなし崩しではやての看病まで独占されるわけにはいかない。
 スバルを諭すのは骨だと判断するや、早急にヴィータはそれを諦めて外出許可を出す。
 因みに、ライトニングの隊長フェイトは一昨日から本局に泊まりがけの出張中。
ヴォルケンリッターがはやての看病に専念する為に、本日の機動六課で隊長格の戦力は夜勤明けで残業が確定した交替部隊副隊長ダット三尉(空戦AAランク、リミッター二ランク)唯一人となる。

「ついでだ、クラーケンダッツのアイスも買ってきてくれ」

「全種類、パイントで、ですね」

 二人は互いの目的地に向かって駆けだした。
 途端に虚しくなるティアナだが、そのまま官舎に戻るのも負けた気がするので軽く自主練をする。
 そのお陰か、帰路の途中で最近気になる上官、ヴァイスと遭遇できた。

「お早うございます、ヴァイス陸曹」

「おう、お早うさん・・・何か顔が赤いけど、風邪でも引いたか?」

 昔取った杵柄か、ヴァイスは精彩に欠くティアナの様子に一目で気付く。

「・・・え、えぇまぁ、ちょっと風邪気味みたいで」

 因みに、ティアナの現在の体温は三七度一分。クールダウンもしっかりやったのだが、下がりきっていない。
 ティアナの自己申告を聞いて、ヴァイスは自分とティアナの額に手を当てる。彼女が意地っ張りだと知るヴァイスは「ちょっと」というのが額面通りか確認しようとしたのだ。
 スゥ
 と、熱が吸い上げられるのを感じた後に、ティアナは自分が今何をされているのか把握する。何というか、とてもラブコメチックなシチュエーションだ。
 そう気付いた瞬間に「ポン」と音がしないのが不思議なくらいに、ティアナの体温が急上昇する。
 ザッと三九度。

「何がちょっとだ。スゲー熱じゃねーか」

「あ、その・・・これは・・・」

 まさか本当の事は言えず、ティアナは口ごもる。

「言い訳は無用だ。ホレ、肩貸してやるから医務室に行くぞ」

 お姫様だっこじゃないのが少しだけ不満だったが、ティアナはヴァイスの好意に甘えることにした。

 □



249:体温のはかり方 2
08/11/26 22:18:55 jVKyxnM9
 その日、キャロは風邪を引いて寝込んでいた。
 ルシエの村を追われた日のこと。
 フリードの暴走を切っ掛けとした管理局との戦闘。
 殲滅作戦に投入された、その結末。
 熱の所為だろう、キャロは久しく見なかった悪夢に襲われた。
 フリードも、ヴォルテールも居ない。
 フェイトがまるで、殲滅戦を指揮した局員のように冷たい目で自分を見下ろしている。
 追いかけても追いかけてもエリオの背中は遠ざかっていく。
 耐え難い孤独にさいなまされて、キャロは目を覚ました。
 知らぬ間にあふれた涙で視界が歪み、夢と現の境界線を曖昧にぼかしてしまう。

「キュクルゥ~」

 フリードリヒが心配げな表情でキャロの顔をのぞき込み、それで漸く夢を見ていたのだと理解する。

「ありがとう、フリード」

 布団の中から両腕を差しのべて、小さく白い友達を抱きしめる。

「クルルルルルルルルゥ」

 抱きしめてくれたお礼とばかりにフリードが、喉を鳴らしてキャロの回復を故郷の神様にお祈りする。
 その優しさが嬉しくて、でも夢に揺り起こされた寂しさは未だに癒えなくて、フリードリヒを抱きしめる腕に力を込める。
 だから、コン コンコンと控えめなノックの後に聞こえてきた声が嬉しかった。

「エリオだけど、キャロ起きてる?」

 優しいあの少年が会いに来てくれたのだと思うと、胸がいっぱいになり「うん」というたった一言の台詞すら出なくなる。

「・・・・えっと、入るね」

 もしかして眠っているのかも知れない。そう思いながらもエリオはもう一度扉の向こうで声を掛け、それから一拍おいてキャロの前に現れた。
 手にしたお盆には、キャロからは見えないが小さな土鍋と卵焼きにミカンが三つ。それからフリードの為のドライフードが乗っている。



250:体温のはかり方 3
08/11/26 22:19:40 jVKyxnM9
「あ、起きて・・・どうしたのキャロ、どこか痛いの?」

 言われてキャロは泣いていることに気付く。しかし先ほどまでの寂しさはなく、心の中はぽかぽかと暖かい。

「ううん、そうじゃないの。ちょっと怖い夢を見ちゃって・・・でも、エリオ君が来てくれて・・・」

 だからこれはきっと嬉し涙だ。
 その言葉に少しばかり安心し、エリオは枕元のテーブルにキャロとフリードの昼食を置く。

「そう言ってもらえると嬉しいな。ところで、体調の方はどう?」

「うん、朝よりもだいぶ良いよ?」

 気怠さや、汗でベタ付く下着の不快感はあるが、朝食後に飲んだ薬のお陰かそれほど苦しくはない。

「ちょっと、おでこ借りるよ」

 エリオは言って、キャロの前髪を掻き上げる。
 そして自分の額をこつんと当てる。

(エリオ君のおでこ、気持ちいいなぁ)

 キャロは眼前に広がる深紅の瞳を見上げながら、この日一番の幸せな気持ちに浸った。

 □


251:体温のはかり方 4
08/11/26 22:20:48 jVKyxnM9
 仲間内では有名な話だが、なのはは無茶をする人間だ。
 何年も前の雪の日に撃墜されてからは自重するという行為を覚えはしたが、世間一般の基準に照らし合わせたならば、それは未だに不十分と言わざるを得ない。
 例えば今朝にしても、はやての病欠を伝えに来たヴィータが脅し、宥め賺さなければ、三八度越えの体をおして、全力全開の早朝訓練を行っていたことだろう。

「もー、ヴィータちゃんも心配性なんだから」

 そして今も、ヴィータがはやての看病に手一杯なのを良いことに、出勤しようとベットから這い出している。
 桜色のパジャマのボタンを上から順に一つずつ外していく。
 どうせ寝汗で気持ち悪いから洗濯するのだと、行儀の悪いことではあるが、彼女は脱いだパジャマをベットの上に放り投げる。
 黒いインナーのエリから頭を出し、まだ結わえていない赤茶色の髪を両手で引き出す。

「なのは、ちゃんと良い子にして寝ているかい?」

 ワイシャツの袖に両腕を通したところで幼なじみがやってきた。

「ユーノ君!」

 思わぬ来訪者になのはは驚嘆の声を上げる。

「お久しぶり、なのは」

 着替えの真っ最中だが、ユーノは些末なことと取り合わない。

「うん、お久しぶり。元気にしてた?」

 なのはにしても、幼なじみのその青年との邂逅は嬉しい出来事で、顔を綻ばせる。

「うん、本局組はリンディさん以下全員健康そのもの。クロノなんてフェイトと久しぶりに会うからとか言って、いつもの五割り増しの資料請求するくらいだよ」

 言って、肩を竦めてみせる。
 なのははそんないつものやりとりに苦笑しながら、ユーノの手にしたバスケットに気付く。
 中身はマスクメロンにパイナップル、バナナとリンゴ。ビタミンCが取れるようにとキウイとグレープフルーツも入っている。
 どこからどう見てもお見舞い用のフルーツセットだ。

「・・・もしかしてヴィータちゃんから聞いたの?」

「うん『なのはが風邪引いたから、見舞いに来い。
なのはの奴、あたしがはやての看病で手が離せないのを良いことに、絶ってー休まねーつもりだから、代わりにお前が見張ってろ』だって」

 ユーノの下手くそな物まねになのははまた笑う。

「もーヴィータちゃんたら大げさすぎだよ」

「そうでもないよ。事実なのははヴィータの予言通り、制服に着替えている最中だし」


252:体温のはかり方 5
08/11/26 22:21:42 jVKyxnM9
「にゃはははは・・・それは、ほら。もう回復したから」

 ユーノから目を逸らしつつなのはは答える。
 しかしそれはユーノにとって想定内の反応で、なのはが目を逸らした隙をついて、両腕を彼女のワイシャツの下に差し込んだ。

「ふにゃぁ!」

 脇の下から乳房にかけて感じる冷たい触覚になのはは水に落ちた猫みたいな悲鳴を上げて飛び退いた。

「ユーノ君!」

 当然の非難を上げるなのはに、ユーノはしれっとした様子で答える。

「体温を測ろうとしただけだよ」

「そう言うのは普通おでこで測るんだよ!」

「体温計は額で測らないよね?」

「うん」

 つい頷いてしまう。

「それと同じだよ」

「でも、女の子の服の下に無断で手を入れるなんてルール違反だよ」

 ご機嫌斜めになのはは論ずべき点がずれていると指摘する。

「でも、なのはは言ったら体温を測らせてくれた?」

 答えはノーだ。
 なのは基準におけるちょっとの無茶は、友人達の目にはちょっとではないと、なのは自身も自覚している。
 故に、体温を測るなどという客観資料を供する行為は回避しようとした筈だ。

「・・・ね、しょうがないでしょ」



253:体温のはかり方 6
08/11/26 22:22:38 jVKyxnM9
 ユーノの行為がなのはの為を思ってのことであり、自分にも非があることから、なのはは反論に窮してしまう。
 だが、そのまま素直に頷くのはちょっぴりしゃくで、有り得もしない念を押す。

「・・・イタズラしないよね?」

「くすぐったり?」

「うん・・・」

「そこまで子供じゃないよ」

 ムキになるなのはが可愛くて、ユーノは思わず微笑んだ。
 微笑むその笑顔に、きっと自分は何と反論してもユーノに言いくるめられてしまうのだろう。なのははそんな確信を抱く。
 だから、今更体温を測られることを拒むのは、むしろ負けを認めるような気がする。

「それなら・・・良いよ」

 だからなのはは、はだけたワイシャツの袂を開き、ユーノは今度こそなのはを脅かさないようにと腋下に両手を差し込んで、

「お邪魔しました~!」

それを目撃したスバルは盛大な勘違いと共に回れ右して走り去った。

 □

「・・・クチュンッ」

 フェイトがそんな可愛らしいクシャミをしたのは、第十六象限艦隊司令部が納められた本局第三八修繕ドックの、入り組んだ廊下の一角であった。
 当初の予定ではこれから向かう先である第十六象限艦隊司令部での会議を含め、三日間で四つの担当案件に関する会議を行うはずだったのだが、
頼まれたら嫌とは言えない性格が災いして、広域次元犯罪対策会議を三十二時間耐久でハシゴしてしまった。
 加えて、本局内の移動で使用したレールウェイで二時間ばかりの仮眠(居眠りとも言う)をしたのが裏目に出て、体調はかなり酷い事態となっていた。
 だが余事にかまけた結果、出張本来の目的をおろそかにしては本末転倒も良いところだ。
 ましてや、会議には義兄であるクロノも出席する。無様な姿をさらして、彼に恥を掻かせるのは耐え難い。


254:体温のはかり方 7
08/11/26 22:23:08 jVKyxnM9
 故にフェイトは、目の下の熊を隠す意味も含めて、少し厚めにファンデーションを塗って、全身を緊張させ真っ直ぐに、しかし慎重に人気のない廊下を歩いていた。
 そして、無数に交差する廊下を右に二つ左に一つ曲がったところで、ある意味で最も会いたくない人物でもある義兄を発見した。
 体調がばれないうちに逃げようかとも思ったが、そんなことをすれば疑いの目を持って見られてしまう。
 ならばいつもと変わらぬように、と敬礼してみせる。

「お久しぶりです、クロノ提督」

 第一線を退いた今も艦内にあってはバリアジャケットを脱ぐことのないクロノだが、司令部での会議に参加する為に、白いスラックスと肩飾の付いた黒色の制服を纏っていた。

「早かったな、フェイト執務官」

 今、この廊下を見渡す限りに置いて人の気配はないが、艦長室などの外部から隔離された空間でない限り、組織人としての体裁を保つことはフェイトもクロノも共通の認識としている。
 その辺がフランクなリンディやエイミィは、あくまで特殊な事例なのだ。

「僕はこれから司令部に向かうところだが、フェイト執務官もかい?」

「はい、レールウェイのダイヤが改正されていることを知っていれば、後一本遅らせることも出来たんですけど」

「ああ、うちの乗員達にも不評なんだ、あの改正は。乗り継ぎがすこぶる悪くなったからな」

 クロノとフェイトは並んで歩く。
 家族のこと、仕事のこと、話題は会議の始まるまでの一時間ではとうてい尽きない程にある。
 だのにクロノはレールウェイの次に選んだ話の種は、健康のことだった。

「最近体調の方はどうだ、フェイト。無理とかはしていないだろうな」

 上官としてではないその言葉に、フェイトは大いに慌てる。まさしくクロノの懸念を体現しているからだ。

「ドド、ド、ドうしたのお兄ちゃん。私はこの通り元気だよ?」

 剰りに解りやすい反応に、クロノは足を止め深く溜息をつく。

「今朝ユーノがな、急用が出来たから追加の資料請求はするなと連絡をしてきたんだ。
で、一体どんな用件なのか聞いてみたら、なのはが風邪を引いたから見舞いに行くという答えが返ってきたんだ」


255:体温のはかり方 8
08/11/26 22:24:46 jVKyxnM9
 つまりは、クロノはフェイトの異変に気付いてそういう話題を振ったわけではない。それと知って、フェイトは安堵の溜息をこぼす。

「そして、尋ねてみたら我が妹君はこれでもかとばかりに心当たりがあるらしい。さぁ、吐いてもらおうか」

 だが、もはや隠し通せない状況に陥っていることに変わりはない。

「・・・黙秘権は?」

 恐る恐る尋ねてみる。

「無い」

「それじゃあ弁護士を・・・」

 即答されて、仕方なく代案を提示する。

「ダメだ」

「そんな、違法捜査だよ」

 苛烈を極めるであろうクロノの尋問に、フェイトは抗議の声を上げる。

「労働基準法違反を見逃すつもりはない」

 詰め寄るクロノ。
 思わずフェイトは一歩引き下がる。

「エ・・・と、予定よりちょっと会議が長引いたかな」

 昨日と一昨日に入っていた三つの合同捜査会議は一件目が二時間、二件目が一時間、三件目は三〇分だけ予定時間より会議室を占拠することになった。

「それだけじゃないな」

 あさっての方角を向き頬を掻きながら答えるフェイトに、クロノはさらなる自白を迫る。

「他はいくつか、関係する事件の担当者と打ち合わせをしたくらいだよ」

 顔の向きを先ほどまでと一八〇度逆に逸らしながら、答える。

「いくつだ?」

 クロノはもう一歩踏み込みながら尋ね、その分フェイトは後退る。
 後退りながら臨時に参加した会議の数を頭の中で順に数えていく。

「ジュウ・・・一〇件くらいかな」

 クロノは今一歩踏み込む。

「一の位を切り捨てじゃなくて答えられるな」



256:体温のはかり方 9
08/11/26 22:25:52 jVKyxnM9
「・・・一六件です」

 背を壁に貼り付けながらフェイトはうなだれる。
 フェイトの告白に、クロノも怒る気が失せる。

「つまり、長距離出張した先で二徹という訳か」

 重々しく吐き出されるクロノの言葉に、フェイトは何とか場を取り繕おうと、最後の地雷をふんだ。

「二徹じゃないよ、さっき仮眠をとったから!」

「どうせ、さっき乗っていたレールウェイで居眠りした程度だろ」

 的確なクロノの指摘に、フェイトは左右に何度も視線を泳がせ、そして頷いた。

「全く・・・・じゃあ、改めて聞くぞ。体調に問題はないか? 僕を見て、正直に、そして正確に答えるんだ」

 フェイトの視線を自分に集中させる為、クロノは綿の手袋をはめた両手を、彼女の頬の両隣、廊下の壁に突き立てる。

「何か、体がだるいです」

「それから?」

 漆黒の瞳と深紅の瞳が、その視線を絡ませる。

「喉が、少しイガイガする」

「他には?」

 フェイトの身を案じる故に、クロノはその顔に悲しみを湛える。

「頭もちょっと重いね」

「まだあるかい?」

 もはや隠し立てする必要のないフェイトは、力無く笑いながら頷く。

「寒気がするかな」

 その言葉にクロノは、壁に突き立てていた自身の右手を引き寄せる。
 中指の先をくわえ、手袋を引き抜く。



257:体温のはかり方 10
08/11/26 22:26:33 jVKyxnM9
「熱を測るぞ」

「? お兄ぃ・・・ヒャンッ」

 フェイトの背骨を痺れるような刺激が走り抜ける。
 クロノの右手は、フェイトのスカートの中に潜り込んでいた。

「直腸検診だ、だから脚を閉じないでくれ」

 言葉にならなかったフェイトの疑問を察し、クロノは答える。

「そんな!」

 ファンデーションは厚く塗っているのに、フェイトの顔に赤みが差す。
 それは、羞恥によるものだ。

「いつも入れているから、正確な判断が出来る。それに約束する。今回は一本だけだ」

 優しく語りかける彼の指は妹の柔らかい太股に捕らえられ、引くことも、進むことも出来ずにいる。

「ダメだよお兄ちゃん、ここ廊下だよ」

「別段、やましいことをしようとしている訳じゃない」

 事実、クロノが為そうとしていることは、単に風邪気味のフェイトの熱を測ることだけだ。

「でも、こんなの、誤解されちゃうよ」

「誰も見ていないさ」

「でも、誰か来たらァンッ」

 嬌声がフェイトの口から零れた。
 頑ななフェイトにクロノは強硬策をとる。
 フェイトの太股に挟まれているのは、正確にはクロノの右手ではなく、右の人差し指から小指にかけての四本のみだ。彼の親指は拘束されていない。
 その、残された親指を器用に操って、レースのショーツ越しに縦に一度索敵したのだ。

「お兄ちゃんッ」

 抗議の声。
 しかし、彼女は脚の力を緩めない。
 ならばもう一度。今度は先ほどの偵察情報と、今日まで調査してきた神秘の地図とを重ね合わせ、最大の弱点たる陰核を爪弾く。



258:体温のはかり方 11
08/11/26 22:28:24 jVKyxnM9
「!!」

 フェイトは、突き抜ける衝撃に、壁に預けていた背中を弓ぞりに反らす。
 背中と壁面、その空いた隙間にクロノは素早く左腕を差し込んで、フェイトの体を自分へと倒れ込ませる。

「酷いよ、こんンンゥン!」

 再び上げようとした抗議の声は、クロノの右手によって歓喜へと変わり、それを止めようとクロノの肩越しに両手で自らの口を塞ぐ。

「意地を張って、熱を測らせないフェイトが悪いんだぞ」

 クロノの嘯く声がフェイトの耳朶を擽る。

「ンウンンンッウゥン」

 喘ぎを零すまいと塞いだ両手は、抗議の言葉さえも閉ざしてしまう。

「我が儘を言っていると、そのうち本当に誰か来てしまうんじゃないのか」

 クロノの囁きにフェイトの体はビクリと震える。

「人に、見られたくないんだろ?」

 たった一枚の布地越しに秘所を嬲りながら、クロノは悪魔の如き甘言を吐き出し続ける。

「良い子だ、フェイト」

 ふくよかな太股に拘束されていた右手が自由になると、クロノは褒めるように左手で妹の頭を撫でる。
 一方で右の手は太股の付け根を伝い、ショーツの中へと滑り込む。
 慣れ親しんだ菊座に指先が触れる。

「さぁ、力を抜くんだ。フェイト」

 左腕はフェイトを抱きしめる。

「ンゥン!」


259:体温のはかり方 12
08/11/26 22:29:29 jVKyxnM9
 第一関節まで入り込む。

「んぁは、お兄・・」

 第二間接まで遡上し、フェイトはクロノに縋り付く。

「あぁぁぁ」

 鼻に掛かった鳴き声。フェイトの目に涙が浮かぶ。
 その付け根まで挿入された中指を、フェイトの体は必死に追い出そうと顫動する。
 クロノは目をつぶり、フェイトの体内に埋没させた自身の一部に意識の全てを集中させる。

「ふぁあアぁあぁァぁ・・・アん!」

 体温を測り終え、ゆっくりと引き抜かれる中指に、フェイトはふやけた喘ぎ声を零す。

「うん、フェイト、熱はそれほど無いみたいだ。普段と同じくらいだな」

 クロノは診断の結果を妹に告げる。

「だが、会議が終わったらゆっくりと休むんだぞ。風邪は引き始めが肝心だからな」

「・・・うん」

 潤んだ瞳で、クロノの体温を感じながらフェイトは頷く。
 しかし、二人は気付いていない。
 クロノの知る直腸体温は、行為の果てに熱く昴った時のものであることを。


260:体温のはかり方 後書き
08/11/26 22:33:16 jVKyxnM9
以上です。

一切の他意無しに他人の腋で体温を測る。そんな萌え?電波を仕事中に受信して約一月、どうにか文章になりました。

それにしてもこのスレは偉大です。
本来、私のクロフェ度はそんなに高くないのに「お尻を苛めるんならクロフェだよね」とすんなりと落ち担当が決まってしまいました。

では皆様、これからますます寒くなるのでお体にはくれぐれも気おつけてください。

261:名無しさん@ピンキー
08/11/26 22:51:37 rn0uRpN2
クロフェはまだ書いたことないけど断言する。
きっと俺も、尻をかいてしまうんだろう。
ひと、それを洗脳と呼ぶ。
GJ!!

262:名無しさん@ピンキー
08/11/26 22:58:37 C1EoVGLL
GJです!
久しぶりに短編を読んだ気がしますw

263:名無しさん@ピンキー
08/11/26 23:14:18 FCTlWaxp
GJ
どいつもこいつも可愛すぎる
はやてがなかったのがちょっぴり残念だったけどなのはとキャロがかわいらしすぎる
あと黙秘権うんぬんは使い古されてると思ってたけど、それにつながる法関連のやりとり良いね

264:名無しさん@ピンキー
08/11/26 23:29:38 UepJZ7l1
サイヒ氏最近どうしたんだろうな?
リアルで忙しいだけならいいけど、事故とかに遭ってないかちょっと心配。

265:名無しさん@ピンキー
08/11/26 23:30:47 gJkPCdgU
>>264
エロパロ板でちょっと姿見ないと心配ってお前……
ストーカーじゃあるまいし……

266:名無しさん@ピンキー
08/11/26 23:34:48 S56aP8/S
前投下してて最近来てない職人さんはそれこそ山ほどいるが、みんな事故死してるんだろうかw

267:名無しさん@ピンキー
08/11/26 23:55:36 lA6f+QWC
 

268:名無しさん@ピンキー
08/11/26 23:59:06 +O3N9jXJ
職人の代わりに愛甲さんが来たか

269:名無しさん@ピンキー
08/11/27 00:53:15 z6fMKcyl
おかゆ鋳造に突っ込んだら負けなのか

270:名無しさん@ピンキー
08/11/27 00:55:36 2Y/Fgn1S
まあ、シャマルさんだからな。

271:名無しさん@ピンキー
08/11/27 01:04:48 Rbie+f3f
何でフェイトさんってアナルが似合うんだろうな
いや、エロノが似合うのか?

272:名無しさん@ピンキー
08/11/27 09:36:15 +ygaZCWX
>>260
なんか、ずいぶん久しぶりに普通のなのはさんを見た気がするw

273:名無しさん@ピンキー
08/11/27 10:12:12 bZQ5cDZU
>>260
Gj!
どのカプも甘すぎるぜ
だがそれがまたいい
互いに愛する相手と励ましあい、助けあって生きる。これぞ至高


274:名無しさん@ピンキー
08/11/27 12:02:56 L9nAofqj
>>269
超合金製のお粥なんだよ、きっと

275:名無しさん@ピンキー
08/11/27 21:22:27 2D+XkilC
>>229
ディエチかセインなんていかがだろうか?
あんまり接点ないけど

276:名無しさん@ピンキー
08/11/27 21:41:23 Tj0bRzzp
>>275
エリオ以外にしてくれ

277:名無しさん@ピンキー
08/11/27 21:46:48 ichbq69W
エリオで別にいいと思うのだが…

>>229
自分は是非チンク姉でお願いします!

278:名無しさん@ピンキー
08/11/27 22:01:49 5Ne607H+
>269
お粥に食べられるよりはましさ。

279:名無しさん@ピンキー
08/11/27 23:07:16 bZQ5cDZU
>>229
セインで見てみたいものです
確かに接点少ないけど極秘任務で教会に暫く仕事で留まることになったりとかでも行けるような

280:名無しさん@ピンキー
08/11/28 00:01:12 63Wxi8cg
セインとエリオの密会かw
セインの能力で鍵のしまっている部屋に侵入し……後は分かるなw

281:名無しさん@ピンキー
08/11/28 00:40:39 i27bY0lw
セイン「お姉ちゃんに任せとけ!」
エリオ「あ、セインさん、ちょ、そんな、そこは…ダメ! やぁん…!」
チンク「姉にも任せろ!」
エリオ「!?」
ギンガ「お姉ちゃんにも任せなさい!」
エリオ「!!?」

282:名無しさん@ピンキー
08/11/28 00:45:29 3M4Spdz5
セインは年下相手にするとお姉ちゃんぶりそうな感じするな。

283:名無しさん@ピンキー
08/11/28 00:55:18 WW6qOagZ
だから何で妄想の一番手がいつもエリオなんだ
ここはショタが多いのか?

284:名無しさん@ピンキー
08/11/28 00:59:04 u+47LeB0
っ男女比

285:名無しさん@ピンキー
08/11/28 01:03:21 R/4fWO7i
>>283
同じキャラの話題が少し続いて、言いたい事が分からんでもない。
でもだからといって他人の好みにケチをつけて良い理由にはならん。

ならば自分から話題を振ってみてはどうだ? そのほうが建設的かつエロパロらしくて素晴らしいじゃないか。


とりあえず俺は軌道拘置所で看守の精液便所になってる拘置所組ナンバーズとか素敵じゃね?
と言っておく。

286:名無しさん@ピンキー
08/11/28 01:11:48 JiB+zprt
>>283
妄想の一番手も何もたまたまエリオ好きな職人さんが来て絡ませるの誰がいいかって聞いてるだけ
嫌ならスルーすればいい
それでも文句があるなら自分で書けばいいんでね

というかさすがに今回の>>283>>229の書き込みとか見てないような口ぶりだし釣りなんだろうか……
俺見事に釣られてる?w

287:名無しさん@ピンキー
08/11/28 01:20:26 3M4Spdz5
>>285
機動六課の女性陣+エリオには男性局員の性処理が義務付けされているってSSを書こうとして挫折したことはあるな。
名無しのチンポが書けないという弱点が発覚したんで。

288:名無しさん@ピンキー
08/11/28 01:51:26 HEcxu2IS
エリオ単体の話題だったら、SSX版エリオ×ヴィータとか振りたいんだが
ナンバーズと指定されてたからなあ
身長差とか自分は成長しないのとかキャロの存在とか気にしちゃうヴィータに萌えたい


闇の書事件直後のヴォルケンズが過去の罪を不問にする代わりに性処理係とかも素敵だよな?
と俺も言っておこうか

289:名無しさん@ピンキー
08/11/28 03:07:27 YRCxsAcE
陵辱系は好かんのでラブラブがいいです、
個人的にはエリオは子供すぎて受け付けない
ヴァイスとか好きだが…

290:名無しさん@ピンキー
08/11/28 05:09:20 A7JxPVD8
>>283
シンプルなエロ妄想だとそれなりに出番があっていいポジションに付けてて
かつあまり角が立ってないキャラが一番使いやすいからだと思う。
エリオは3期舞台の範囲内じゃキャラの相関図内に組み込みやすいし
キャラの感触がエロ漫画の主人公みたいな奴だし。

291:名無しさん@ピンキー
08/11/28 06:38:40 r2Px7GVk
軍関係のものは飛ばしてるは
ごめんね

292:名無しさん@ピンキー
08/11/28 07:45:35 s/AgDZTX
まあ職人様の書きたい&書きやすいキャラで書いて貰うのが一番ってことだ
そこに文句つけるなら自分で書けと
まあ言い出しっぺはいつものエリオアンチだとは思うが

293:名無しさん@ピンキー
08/11/28 12:55:42 Ua6etf68
最近、南無阿弥陀仏のヒトみないな。

294:名無しさん@ピンキー
08/11/28 13:06:14 aJu9za0N
見ない人の方が多い気がするがなw
メートたんorもう一人の私の続き来ないかなぁ・・・

295:名無しさん@ピンキー
08/11/28 13:50:35 A7JxPVD8
学生ですら今の時期は忙しいからな
内定決まったとか院浪受かったとかそういう人間くらいじゃないか今の時期暇なのは

296:名無しさん@ピンキー
08/11/28 14:06:52 YRCxsAcE
内定決まった大学生ですが、今は卒論で忙しいです…

297:名無しさん@ピンキー
08/11/28 14:11:24 YRCxsAcE
IDがエースだw
ちなみに院試受かった人間でも忙しいはず。
連投スマソ

298:名無しさん@ピンキー
08/11/28 14:17:24 qRpGRw8V
つまり寒いから仕事探さず家に篭ってる俺の出番というわけか

299:名無しさん@ピンキー
08/11/28 15:51:50 98uzlStk
>>297
よお俺
今日は中間発表だぜ

300:名無しさん@ピンキー
08/11/28 15:56:52 G8JDVog1
内定取り消された俺よりましだ

301:名無しさん@ピンキー
08/11/28 16:00:06 3M4Spdz5
こっちは掠りすらしてないぞ。
今年中にはなんとかしたい。

302:名無しさん@ピンキー
08/11/28 16:03:00 atY9/nsq
研究室から逃げ回っている俺が(ry

303:名無しさん@ピンキー
08/11/28 16:22:18 R/4fWO7i
スレ違いな話は自重しような?

304:297
08/11/28 16:35:50 YRCxsAcE
同類ばっかりww
書いてはいるけど、終わりが見えない卒論…
これは、学会の論文でスランプになっているユーノということでネタにできないだろうか?
タイトルは「机上の論争」でw

305:名無しさん@ピンキー
08/11/28 16:38:23 rz9a9168
論文でストレスが溜まり、偶々来たなのは(ヴィヴィオでも可)にあたるんですね、わかります。

306:名無しさん@ピンキー
08/11/28 16:50:40 NqxqGDvG
んで、最後には仲直りしてめでたし×2なほのぼの物って訳だな

246先生 ・ ・ ・ 『Cursed Lily 』の続きが読みたいです ・ ・ ・ ・

307:ザ・シガー
08/11/28 18:21:18 R/4fWO7i
ああチキショウ寒い! 寒い寒い寒い!!
凍えちまいそうだぜコンチキショウ!!

最近寒いですねよ? 冷え切った心と身体を温める為にエロいSSの投下としゃれ込みますです。
内容は我らがロリ聖王ヴィヴィオたんが腐れ鬼畜眼鏡の手で淫蕩に堕落するというもの。
まあ、つまりはいつものシガースタイル。

グリフィス×ヴィヴィオのエロエロSS。
メガネが嫌いな人は目を瞑り、ロリエロスが好きな人は利目しよう。

308:部隊長補佐と聖王陛下
08/11/28 18:23:41 R/4fWO7i
部隊長補佐と聖王陛下


「あ、グリフィス君、ちょっと良いかな?」


 始まりは高町なのはのそんな一言だった。
 廊下で突然声をかけられたを青年、グリフィス・ロウランは手にしていた起動六課の予算案件その他諸々の書類の束を小脇に抱えると彼女へ向き直って顔を向ける。


「高町隊長、どうしたんですか?」

「うん、実は突然で悪いんだけどちょっと頼まれ事良いかな?」

「内容によりますが、いったいどうしたんですか?」


 なのはの言葉を受け、グリフィスは片手で眼鏡の位置をそっと正しながら聞き返す。
 理知的な瞳で見つめられ、彼女は少しばつが悪そうに苦笑する。


「えっとね……実は今日ちょっとアイナさんとザフィーラに用事があってヴィヴィオの面倒見てくれる人がいないの。それで今時間がある人を探してたんだけど……
グリフィス君、ちょっとの間だけ頼まれてもらって良いかな?」


 なのははその爛漫さを込めた微笑と共にグリフィスにそう頼み込んだ。
 普段の彼女からは想像もできないその縋るような視線に、僅かに胸の内に喜悦を感じながら彼は考える。
 確かに今はそう忙しい訳でもないし、後からなのはを通してはやてにでも話を通してもらえば少々子守に時間を割いても問題ないだろう。
 そして何よりも……


「ええ、大丈夫ですよ。後で八神部隊長に話を通しておいてください」

「本当!? ありがとうね♪」

「いえいえ、どういたしまして」


 なのはとフェイトのプライベートな空間に入り込み、彼女達を“攻略”する為の糸口が掴めるかもしれないからだ。
 グリフィス・ロウラン、端正で美しき容姿の裏側に淫靡で嗜虐的な顔を隠した青年は、悪意など欠片も感じられぬ優しい笑みで微笑んだ。





(やれやれ……これはちょっと誤算だったかな?)


 グリフィスは誰に対して言うでもなく、胸の内で一つ溜息交じりの言葉を漏らす。
 当初はヴィヴィオを軽くあやしながらなのはとフェイトの部屋を物色する楽しみを味わえると思っていたが、その考えは一瞬で破られた。
 なにせ小さな子供の相手とは予想以上に面倒だったのだから。


「なにぼーっとしてるの? グリフィスさんの番だよ」

「ん? ああ、そうだね」


 少女の言葉に思慮の海に沈めていた意識を引き出し、グリフィスは早速手を動かした。
 ヴィヴィオと二人で興じているのは簡単なテーブルゲーム、サイコロを振りコマを動かし勝敗を決する戯れの遊戯。

309:部隊長補佐と聖王陛下
08/11/28 18:25:08 R/4fWO7i
 グリフィスは手にしたサイコロを転がし、出た目で己の行動を取捨選択する。


「4か、それじゃあ秘密裏に入手した多世界の生産ラインでガジェットを大量に量産。ガジェットの発生させたAMFで前線魔道師部隊の魔法攻撃を無効化。っと」


 冷酷に、冷徹に、冷静に、グリフィスはボードの上に展開されたヴィヴィオの手駒を最良の手段で効率的に潰す。
 子供相手という事もあって彼なりに手は抜いているのだが、流石は部隊指揮を行う部隊長補佐官、行う戦略は卓上の遊戯でも鋭いものだった。
 だがこれがヴィヴィオには気に入らない。
 遊戯版の上で一方的に蹂躙された少女は、グリフィスの無情なる戦法にほっぺを膨らませて可愛らしく不満をアピールする。


「ぶぅ~、グリフィスさんずるい」

「まあまあ、そんな顔しないでヴィヴィオ」

「ふにゅ」


 愛くるしい表情を見せる幼い少女に、グリフィスは優しげな微笑を浮かべそっと彼女の金髪を撫でた。
 少しも痛んでいる箇所の無い、滑らかで美しいヴィヴィオの髪が彼の慣れた手つきで優しく梳かれる。
 その愛撫の感触にヴィヴィオの不満そうだった表情が一瞬で霧散し、彼女はまるで飼い主に甘える子猫の如く気持ち良さそうにウットリと目を細める。
 もし少女が本当に猫だったら、きっと喉を鳴らしているだろう。
 そして、心地良いのはなにもヴィヴィオだけではない。
 グリフィスもまた彼女の髪のもたらす極上の感触を指先で堪能し、心の内に堪らない愉悦を感じていた。


(容姿もそうだけど……髪質もまた素晴らしいな、この子は。将来が楽しみだ……)


 グリフィス・ロウランは女が好きだ。
 優しい言葉と嘘で塗り固めた茶番を用い、外道なる技術と道具を用いて女を快楽と愛欲の奈落に突き落とすのが好きだ。
 自分と言う存在に堕落させ、犯し、嬲り、辱め、狂わせるのが好きだ。
 徹底的に愛と色に狂った女のその様を胸中でほくそ笑みながら観察するのが大好きだ。
 その経験と嗜好が導き出す、目の前の幼い少女は正に天性の素質を持っていると。
 恐らくこのまま成長すれば将来は数多の男を虜にする美女になるだろう、そう確信を持って言い切れる素材だった。


(本当に良い……なんならこのまま……)


 そして邪悪なる男の胸の内に、どす黒く濁った欲望が渦巻き始める。
 喰いたい、目の前の一点の汚れも無い無垢な少女を、己が欲望の限りに汚し尽くしたい。
 闇のように黒く、炎のように熱い滾りがグリフィスのその美貌の内側で猛り始める。
 だが、そこで青年の内に存在した僅かな人間的部分が制動をかけた。


(いや……しかし、いくらなんでも僕が喰うには幼すぎるか……それになのはさんやフェイトさんにばれたら本気で殺されかねないし……)


 この少女の義理の母親二人はSランク級の魔道師だ、もし下手をしたら殺されかねない。
 女を堕とす際は大胆に、だがそれ以上に慎重に行かなければ。
 そう考えた時だった。
 頭を撫でられていたヴィヴィオが、気紛れに彼の膝の上に小さな身体を乗せてくる。


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