【陰湿】レズいじめ【ドロドロ】at EROPARO
【陰湿】レズいじめ【ドロドロ】 - 暇つぶし2ch100:名無しさん@ピンキー
09/04/15 00:43:46 ZM3DuKAL
神を待つ

101:名無しさん@ピンキー
09/04/29 22:44:50 eAg3EmFu
待ち…。

102:名無しさん@ピンキー
09/05/11 01:08:57 TGseMSgb
【大学事情】フェリス女学院「親からの仕送り50万円でも足りない」「コンバースの靴をはいているとイジメられる」浮世離れ
1 :菅井きん 命がけの喫煙φ ★:2009/04/30(木) 18:53:51 ID:???0
フェリス女学院といえば、日本中のお嬢さまが集まるといわれる名門お嬢さま大学だ。文学部や国際交流学部、
音楽学部などがあり、お嬢さまたちが楽しいキャンパスライフを送っている。そんなフェリス女学院には暗黙の
了解のようなものがあり、そのオキテを破ってしまうと大変なことになるらしい。

合コン相手は絶対に医者じゃなきゃダメとか? 年収2000万円が交際相手の最低ラインとか? 当編集部は
フェリス女学院の卒業生・K嬢に取材をし、その実態を聞いてみた。「フェリス女学院には破ってはならない
オキテがあるらしいのですが、どんなオキテなのでしょうか?」という質問に、衝撃の事実を話してくれた!

「オキテとはちょっと違うかもしれませんが、フェリス女学院の校風に合わないことをすると叩かれるんです
よ。たとえば、2日同じ服を着ていると “あの子、あの服よっぽどオキニなんだね” と言われます。2日連続
で同じ服を着ているのはありえないのです」(K嬢)。

なんと! 上着だろうがズボンだろうがスカートだろうが、前日と同じ服を着ているだけで「オキニなんだね♪」
とイヤミを言われるというのだ。ほかにも、K嬢から衝撃の事実を聞くこととなった!「はいている靴はさらに
重要で、コンバースなんてはいていようものなら、その日からアダ名が “コンバ” になります。あ、こっちに
コンバ来た! コンバうどん食ってる! とか遠くから聞こえる声で言われ、いじめられるわけです」(K嬢)。

ほかにも「親からの仕送りが毎月50万円で足りないと言う友だちもいました」とのことで、浮世離れしたフェリス
女学院の実態が明らかになった。しかし、フェリス女学院にもいたって普通の女の子がいるのも事実であり、2日
同じ服を着たりコンバースをはいている女の子がいるのも事実。いじめ、かっこ悪い。

URLリンク(getnews.jp)
URLリンク(news.livedoor.com)

103:名無しさん@ピンキー
09/05/11 08:31:21 lIEwLO1U
>コンバうどん食ってる!

噴いたw
でもいじめネタとしてはいい話題だな

104:名無しさん@ピンキー
09/05/18 16:08:15 XKsMlj0j
いじめられる側が淡々と強気で、最終的にいじめ返しちゃうようなのはアリ?

105:名無しさん@ピンキー
09/05/20 02:27:21 MRxTucb2
いいよいいよ~

106:名無しさん@ピンキー
09/05/20 10:51:35 /8pElI71
素晴らしい展開じゃないか

107:名無しさん@ピンキー
09/05/23 12:34:35 LxQHprTQ
ワクテカテカテカ

108:名無しさん@ピンキー
09/05/26 22:21:45 g21m0qlB
全裸待機

109:名無しさん@ピンキー
09/05/31 17:08:08 X/OBiBnw
書いてみた。
以下から14レス分投下します。

110:女学院復讐SS 1/14
09/05/31 17:08:46 X/OBiBnw
 靴箱の戸を持ち上げて、有瀬文月はため息をついた。
 空の靴箱を見ても特に思うところはない。ただ、またか、と無感情に冷えた心がつぶやいた
だけだ。ローファーの爪先を床に打ち付けて、文月はぐるりと視界を一巡させる。
 広い―広すぎるほど広い昇降口は、山ひとつまるまる学園という広大な敷地を持つ礼染
女学院の中でも二番目に大きい、中高共通のものだ。この昇降口だけでも、学園の大きさが
うかがえる。
「ふう……」
 かぶりを振って、文月は歩き出した。学校の昇降口とは思えない、荘厳な門をくぐって、一
度外に出る。くるりと振り返ると、宮殿か教会かと思うような建物が目の前に聳えていた。
 中世風の装飾と造形、中央に屹立する時計搭が一際目を引く、礼染女学院第二本校舎。
やはり、中高共通の校舎である。
 その校舎を見上げて、時計搭で時間を確認する。部活動を行う生徒はまだ早朝練習の最
中で、一般生は日直の業務などがあっても登校するには早い。そういう、隙間の時間帯であ
る。わざわざ誰もいないタイミングを狙って来たのだ。
 文月はもう一度ため息をついて、校舎の中に戻った。中身のない靴箱を素通りして、昇降
口の奥まで向かう。指定の通学鞄を下ろして、そこから上履きを一足取り出した。先日購入し
たばかりの新品である。
「まったく、面倒なことをしてくれるわ……」
 口の中でつぶやいて、その場で靴を履き替えると、ローファーを鞄にしまう。靴箱に入れてし
まうと、また面倒なことになりかねない。
 鞄を持ち直して、文月は教室に向かって歩き出した。三階吹き抜けの多目的ホールを横目
に階段を登り、本校舎の東側、高等部教室の並ぶ区画に移動する。絨毯の敷かれた廊下を
音を立てずに進み、目的の部屋に辿り着いた。
 言われなければ教室のものだとは思えない扉を押し開いて、文月は一年一組に踏み入った。  
廊下に赤絨毯の敷いてある礼染女学院でも、教室の中はそう他と変わらない。個別の机が
四十並び、上下可動式のホワイトボードが前面の壁一面に設置されている。文月の知る学校
と違うところと言えば、後方でもボードが見やすいよう、段差がついていることくらいだ。
 その最上段にまであがって、文月は大きく深いため息をついた。
 日本屈指の名門私立である礼染女学院でも、通う生徒はそう他と変わらない。所詮十代、
所詮女子高生である。子供じみた嫌がらせのひとつやふたつ、あってもおかしくないのだろう。
 礼染女学院に通いはじめて三ヶ月。文月の靴箱から上履きが消えるのは四回目。一年一
組から文月の机が消えるのは、これで二回目だった。
□□□
 小学校から大学院までをフォローする礼染女学院は高校以下全寮制の名門校で、教師も
生徒も、事務員すらも女性のみで構成されている。全国から淑女候補の集う、お嬢様御用達
の巨大学園である。
 有瀬文月も、この春から高等部に編入してきた。日本の家電三割を掌握するといわれるAL
ICEグループの一人娘として、名門出身というステータスを求めての入校である。それ自体は
珍しくないが、礼染は一種の隔離社会であるため、外来者はあまり歓迎されない。
 とはいえ、ここまでの酷遇を受けるとは、文月も思っていなかった。
 文月への嫌がらせがはじまったのは、編入から一月ほど経った五月、連休が明けてすぐの
頃だった。上履きを隠す、テキストに落書きをする、寮の個室にゴミを投げ入れる、なんてかわ
いい悪戯ばかりだが、わざわざ机を取りに倉庫まで来なければならないのは苦痛だ。
「エスカレートしてる……かな」
 対処するならばこのあたりだろうが、さてどうしたものか。下手な密告は逆効果にしかならない
だろうから、方法を考えなければならない。

111:女学院復讐SS 2/14
09/05/31 17:09:32 X/OBiBnw
 思案しながら、文月は薄暗い倉庫に踏み入った。手にした鍵を制服のポケットに落として、
自分の背丈にあった机を探す。さすがというべきか、倉庫といえどかなりの広さがあって、無駄
にきらびやかな装飾が施されている。建物に併設されている故か、扉も一見そうとはわからな
いほど豪華だ。
「ええと……ん?」
 適当な机を選んだところで、背後から足音がした。振り返ると、朝陽を背負って、逆光になっ
た影がこちらを向いて仁王立ちしている。
「おはようございます、有瀬さん」
 刺々しい声だった。そのくせ流麗で、透きとおるように美しい。ウェーブがかった金の髪が陽
の光を反射してきらめくのが、倉庫の中からよく見える。
「……おはよう、伊勢宮さん」
 苦笑交じりに、文月はそう応えた。それ自体が発光しているようにすら見える、輝かしいばか
りの『黄金』の髪を揺らして、人影が一歩進み出る。薄暗い倉庫の中でさえ、彼女の姿はきら
めいていた。
 伊勢宮アリス。ゆらめく黄金の髪に鋭い碧眼、日本人離れしたスタイルを誇る、英国系クォ
ーターの帰国子女である。成績も優秀ならスポーツも万能で、日常の所作すら優雅さで満ち
ている。非の打ち所のないお嬢様だ。
 残念なのは、つまらない同級生いじめなんてものに精を出していることで、特に文月にとって
は、それは他の長所を全て打ち消す最悪の欠点だった。
「こんなところで、一体何をしてるんですか?」
 碧眼がこちらを睨みつけてくる。まるで凍りついた炎のように、怒りに震えているようだった。よ
くよく見れば、細く長い足も肉付きのいい尻も、組んだ両腕も微妙に震えている。本当によほ
ど怒っているらしい。
「教室に机がなかったから、取りに来たのよ」
「……そうですか。上履きはどうしたんですか?」
「どうしたっていうのは? どういうことかしら」
「これ、たまたまそこで見つけたんですよ」
 そう言って、一足の上履きを取り出してみせる。この暗さこの距離ではわからないが、文月の
ものなのだろう。
「ああ、そうなんだ。上履きもなくなっていたから、新しいのを卸したのよ」
「有瀬さんの持ち物は、勝手にいなくなる癖があるんですね」
「らしいわね。誰かに魔法でもかけられたんじゃないかと思うんだけど」
「呪いの間違いでは?」
 つまらなそうに言って、アリスは手にした上履きを放り棄てた。わざわざ思い切り踏みつけて、
倉庫の中に歩を進める。
「そろそろ聞いておこうと思ってたんだけど、私に、何か恨みでもあるわけ?」
 積み重なった机からひとつを選んで床に下ろし、その上に椅子を逆さまに乗せる。それから
両脇を抱えて、よいしょ、と文月は机を持ち上げた。
 それらの行動が終わるまで碧眼を細めていたアリスは、小さく吐息をついてから、まだ震えて
いる腕を震えている手で押さえる。当然、それで震えがおさまるはずはない。
「あなた個人には、恨みというほどのものはありません……でしたね」
「過去形?」
「ええ。今となっては、あなたの全てが恨めしいですよ。あなたがそんなふうだから―面倒ば
かり起こる」
「面倒というか、問題を起こしてるのは伊勢宮さんじゃないの? 学校的には」
「そんなことはありえませんよ」

112:女学院復讐SS 3/14
09/05/31 17:10:11 X/OBiBnw
 不思議な言い回しだ。文月が目を細めると、アリスが更に一歩近づいてくる。至近と言って
いい距離にまで縮まった二人が、黒い瞳と碧い瞳を真正面から交差させる。
「いい加減、私もうっとうしいから、行動に出るけど」
「そうですか。残念です」
「何が?」
「あなたが悪いんですよ、有瀬さん。かわいい悪戯のうちに、大人しくなっておけば良かったの
に。上履きなんて買ってくるから、机なんて持ってこようとするから、こんなことになるんです」
「それはまた、随分自分勝手な言い草ね」
 言いながら、文月は一歩下がった。ゆっくりと、机を床に下ろす。嫌な予感が背を這い回っ
ている。そも、アリスは表立って行動することは殆どなかった。悪戯の主犯がアリスであることは
気がついていたが、今までのいじめは隠れてこそこそと行う類のものだった。正面きってアリス
と文月が対峙するようなことはなかったのだ。
「何、する気?」
「あなたが悪いんですよ。わたくしだって、こんなことはしたくないのだから」
 白く細く長い、芸術品のような指が、文月が下ろした机を押し出す。背後に積まれた机と自
分が下ろした机に挟まれて、文月は小さくうめき声をあげた。
「地味だねえ」
 言葉は、二人のものではない。倉庫の入り口から響いてきた。文月が目をやると、極端に小
さな影がひとつ、その隣に、極端に高い影がひとつ、逆光を背に立っていた。
「イセミヤ、もうちょっと派手にやんない? そんくらいじゃ参らないよ、そいつ」
 くすくすと笑いながら、背の低い影が倉庫に踏み入ってきた。ブラウンの癖っ毛を短くまとめ
た少女。まるで中学生か、下手をすれば小学生かという外見だが、制服は高等部のものだ。
 隣の影が無言で進み出る。黒く長いストレートヘアに、すらりとした肢体。アリスとは対照的
に、日本人的な美を思わせるスタイルだ。やや険の強い瞳が、アリスと文月を見つめている。
 三人。閉鎖された空間。これはまずい、と文月の頭の中で警鐘が鳴りはじめる。表情の変わ
った文月の顔を見て、背の低い影がまた笑い声をあげる。
「もう遅ェよ」
 扉の閉まる重々しい音が、暗い倉庫の中に響き渡った。
「人を呼ぶわよ」
 ―などという無駄な言葉を、文月は吐かなかった。叫んでもどうせ誰も来ない。倉庫はそう
いう場所に設置してあったし、壁も扉も厚すぎる。なにより、今は極端に人が少ない時間帯な
のだ。出来ることといえば、机と机に挟まれた状態から脇に逃げ出すのがせいぜいで、それに
したって袋小路には変わりない。
「こ、幸崎さん」
 背の小さい方に向かって、なぜかアリスが戸惑うような声をあげた。その名前は文月にも覚え
がある。幸崎幸。隣のクラスの女子生徒だ。合同体育の際に活躍していた記憶がある。
 してみると、もう一人も同学年だろうか。しかしこちらは、顔を見ても誰なのかわからない。こん
なに綺麗な黒髪ならば、一度見れば忘れなさそうなものだが。
「そらイセミヤ。お前がやらなくちゃ意味がないだろ。積年の恨みを晴らしてやれよ」
 けらけらと笑って幸崎が言う。個人的な恨みはないとアリスは言っていた。積年、というのもお
かしい。文月が学院に来たのはほんの三ヶ月ばかり前なのだ。自分の知らないところで話が
進んでいる。
「……」
 唇を引き結んで、アリスが身を乗り出す。引くに引けず、行くに行けず、文月は体を固くして
待つしかない。振りあがったアリスの細い右手が、風を切って振り下ろされる。
 パアン、と頬を張る音が響いた。

113:女学院復讐SS 4/14
09/05/31 17:10:59 X/OBiBnw
「……っ」
 肉体的な痛みを受けたのは久しぶりだ。じんじんと左頬がしびれている。痛みをおして視線
を向けると、張り手を打ったアリスの方が、痛そうな顔をしていた。
「ぶはっ、マジかよイセミヤ! それはショボすぎるだろ! 誰もマンゾクしねーよそれじゃ!」
 愉快そうに手を叩いて、幸崎が笑う。名門にあるまじき言葉遣いだ。文月が細めた目を小さ
な背に向けると、幸崎もすぐに気づいて笑うのをやめた。
「あのなあイセミヤ。優しいのはいいけどさ、あたしらはお前のためにわざわざこんなことしてん
だぜ? もっと頑張ろーや。憎いALICEグループの一人娘なんだぜ、こいつは」
「……」
「しょうがねえな、踏ん切りがつかないなら、お手本見せてやるよ」
 にやにやと笑って幸崎が進み出る。アリスを押しのけて文月の前に立つと、人懐っこい笑み
を浮かべた。
 幸崎は本当に小さい。百四十センチ半ばほどだろうか。文月も背が高い方ではないが、そ
れでも並ぶと同年代とは思えない。長身の女子生徒と比べると、頭ひとつ分は差がある。そん
な幸崎が無邪気に笑うと、本当に子供を相手にしているような錯覚に見舞われる。
 だが、そんなほのぼのとした幻想も、次の一瞬までだった。
「おらっ!」
 やや気の抜ける掛け声と共に、どぼっ、という妙に鈍くて重い音が、腹の奥から響いた。人
間の体内から聞こえる類の音ではない。
「ぐ―」
 息が詰まる。体の中心から背骨を伝って、衝撃が伝播する。ぐらりと視界が揺れるにいたっ
て、文月はようやく腹部を蹴られたのだと気がついた。
「お、意外と平気なツラしてんな!」
 笑って、幸崎が足を構えた。上履きの裏側が見える。あれをそのまま、おなかに向かって叩
きつけるつもりなのだ。避けなければ、と思ったが、そんなことが出来るはずもない。
 二発目は、腹部よりやや上、肺の下あたりを強打した。
「っは―か、っ、がはっ」
 呼吸が止まる。たまらず体を折ると、下から上へ、サッカーボールを高く飛ばすような蹴りが、
やはり肺の下、全く同じ箇所を狙って放たれた。つま先が肉にめり込む感触が、酸欠でふら
つく脳髄に嫌にリアルな映像を浮かび上がらせる。
 気がつくと、文月は膝をついていた。肺が酸素を求めて急激に動き出し、体がそれについて
いけずに咳を繰り返している。どこでおさえればいいのか熟知しているのだろう、幸崎は咳が
おさまるまで、にやにやと文月を見下ろしているだけで何もしようとはしない。
「く……」
 あまりの痛みに視界がぐるぐると揺れている。どうにか呼吸を整えて顔をあげると、待ち構え
ていたように、幸崎が体重をかけてその頭を踏みつけた。
「ほらっ、頭さげろ! ひざまずけ!」
「うぐ―」
 耐え切れるものではない。冷たい床に頬が押し付けられ、散らばった黒い髪を幸崎の左足
が踏みつける。頭蓋の形が変わるのではないかと思うほどの圧力をかけながら、幸崎はこらえ
きれないように笑った。
「ぶはっ、みじめだな、おい!」
「……っ」
 確かにみじめではあったが、文月は余計なことを言って狼藉者を喜ばせるようなことはしなか
った。ここは学校、今は早朝、ほんの十数分か数十分かを耐えれば、自然とこの凶行も終わ
るのだ。

114:女学院復讐SS 5/14
09/05/31 17:11:32 X/OBiBnw
 早すぎる時間に登校してきたことを後悔しないでもなかったが、ここまで直接的な暴力を振
るわれれば、事を表ざたにすることに躊躇もない。文月はこの時点で、解放されたらその足で
学長室まで出向くつもりでいた。
「幸、睨まれてる」
「あ?」
 そこで、黒髪の女生徒がはじめて口を開いた。クールな外見に相応しい、鋭く深い、闇色の
剣のような声だった。
「すげー本当に睨んでる。元気なお嬢様だな。月小路、あんたもやる?」
「いい。それより、アリスにやらせてあげないと」
「ああ、そうだったな」
 月小路。長身の女生徒はそんな名前らしい。文月は頭の名簿を参照したが、やはり記憶に
ない。礼染女学院の規模に、入学三ヶ月という期間を考えれば、同学年であっても知らない
生徒がいることは不思議ではないのだが。
「イセミヤ、ほら」
 頭に乗せた足はどかさないまま、幸崎が手招きする。踏みつけられている文月からはよく見
えなかったが、床に密着した耳元から頼りなげな足音が響いてくるのはよく聞こえた。
「こういうのは苦手なんだよな?」
「あ、あんまり……」
 ぐりっ、と足を捻りこみながら、幸崎が笑う。帰ったら頭を洗わなくては、と、文月はやや場違
いなことを考えた。
「なら、お前の得意なやり方でいいよ。あるだろ?」
 頭蓋を圧迫していた足が、ゆっくりと離れる。開放感から小さく吐息をついて、文月は上半
身を起こした。頭痛がひどい。暴虐に晒されたのは腹と頭だけのはずだが、全身を波のような
鈍い痛みが浸している。
「なあ、イセミヤ……」
 にやにやと笑いながら、幸崎がアリスに近寄る。耳元に唇を寄せて、何事かつぶやいた。
「……だろ?」
「……!」
 一体何を言ったのか、文月には聞き取れない。ただ、愕然と目を見開いたアリスの表情が―
―瞬く間に激情に彩られていく彼女の表情の変化が、鮮烈に脳に焼きついた。
「あなたが……悪いんです……!」
 つぶやいて、踏み出す。ゴム製の上履きが倉庫の床を打った音は、やけに高く重い響きの
ように感じられた。
「手伝うぜ。まずどうするよ?」
「剥いてしまいましょう」
 当然のように、アリスはそう言った。直接的な言葉に背筋が寒くなる。暴力ならば耐えられる。
精神的なものでも、折れない自信がある。だが、自分自身にとってすら未知の領域に踏み込
まれるとなると、恐れずにはいられない。
「いきなり裸にするのか?」
「有瀬さんは、そういうのに耐性がなさそうです。だからまず、一番わかりやすい方法で、これか
らどうなるのか知ってもらうのがいいと思うんです」
「なるほど。さすが慣れてる奴は違うね」
「……そういうことを言うのは、やめてください」
 文月は痛む体を無理に起こして、ふらふらと後ずさった。逃げなければいけない。だがどこ
に? 薄暗い倉庫の中、同年代の三人に囲まれて、唯一の出口は重い扉が口を閉ざしてい
る。始業時間まではまだ遠い。

115:女学院復讐SS 6/14
09/05/31 17:12:07 X/OBiBnw
「訴えるわ」
 文月にできるのは、舌を動かすことだけだった。
「あ?」
「法的な手段に訴える、と言ったのよ。先に言うけど、あらゆる種類の脅しは無意味だと思って
ちょうだい。私は、そんなに柔な神経していない」
 幸崎と月小路が顔を見合わせる。小さく吐息をついて、アリスがかぶりを振った。
「……有瀬さん。もう遅いんですよ」
 そうして、真正面から文月の目を見据えて、引き結んだ唇を噛み締め、一度視線を足元に
下ろし、それからまとわりつく余分なものを振り払うように勢いよく顔をあげ、
「幸崎さん、お願いします」
 伊勢宮アリスは凌辱の開始を告げた。
「―っ」
 誰より早く動いたのは文月だった。出口に向かって全力で疾駆する。無駄だとわかっていな
がらも、これが出来る唯一の抵抗だったのだ。
 幸崎が素早く反応したが、位置取りと体躯が悪かった。伸ばした腕は短すぎて文月の服を
つかめない。一直線に扉を目指す文月は、いっそ美しいまでのフォームで倉庫を駆ける。
「はっ、はっ、はぁ―っ!?」
 その視界が、がくんと揺れた。一瞬の浮遊感の後に、視野をいっぱいに埋めて倉庫の床が
迫ってくる。受身も取れず、文月はそのままうつぶせに倒れこんだ。
「元気な奴だ」
 肩越しに視線を向けると、月小路がつまらなそうにこちらを見ていた。足をかけられたのだ。
 すぐに幸崎が走りよってきて、わき腹を蹴り上げた。また呼吸が止まる。体の中心に細い足
が入り込んで、それがすぐさま勢いよく跳ね上がった。視界がぐるんと回って、うつ伏せから仰
向けに転がる。
「ナメた真似してんじゃねーよ!」
 どすっ、と今度は頭ではなく喉に、幸崎の足が降ってきた。
「ぁ―」
 目を見開いて、文月はビクンと背を仰け反らせた。一秒も持たず、手が床を叩く。苦しいな
んてものじゃない。目を見開いているにも関わらず何も見えない。首から上が体から切り離さ
れているようだ。脳が沸騰する。視界が白濁して、赤く明滅する。
「ふんっ」
「―がはっ、はっ、あっ、げほっ、」
 足が離れると同時に、文月は勢いよく咳き込んだ。喉が痛い。首の骨がギシギシと悲鳴をあ
げている。
「大人しくしてろよ。そうすりゃ、イセミヤが主体になれるんだ。少しは優しくしてくれるだろうよ」
 腹の上に座りこんで、幸崎が手を伸ばす。首を絞められると思ったが、その手はセーラー服
の方へと伸びていく。文月はここでやっと、先のアリスの言葉を思い出した。
「まっ……」
「聞こえねー!」
 指先が襟元に入り込み、引きちぎるようにスナップを外す。身を捩って逃げようとするが、幸
崎が太腿で体を挟み込んで来る。こんな小さい体のどこにそんな力があるのか、文月がどう力
をこめても幸崎を引き剥がせない。
「動くな!」
 左手が喉を締め付ける。先の一撃ほど強烈ではなかったが、息が詰まって視界が歪む。そ
の間に、幸崎は着々と作業を進めていく。左側の裾から脇にかけて走っているファスナーを器
用に片手で引き上げ、胸当てを外してしまうと、幸崎は左手を放して腰を浮かせた。

116:女学院復讐SS 7/14
09/05/31 17:12:40 X/OBiBnw
「月小路」
 指先をまげて月小路を呼ぶと、長い黒髪を揺らして長身の影が歩みよってくる。二度にわた
る呼吸責めで脱力している文月の手を取ると、月小路は無言のままそれを頭の上に持ってい
く。少しだけ力をこめて腕を持ち上げると、上半身がつられて浮いた。
「それっ」
 透け防止に着込んでいたインナーも一緒に、幸崎の手が勢いよく夏用の薄いセーラー服を
引き上げる。踏み躙られて汚れた髪を巻き込んだあたりで、裾を月小路が受け取り、一気に
引き剥いだ。
 一分とかからず、文月は半裸にされてしまった。後に残ったのはシンプルなハーフカップの
ブラのみだ。不健康でない程度に白い肌が薄汚れた倉庫の床に横たわっている様は、それ
だけでいやに淫猥な印象を受ける。
「下も、一気にお願いします」
 心得ていると言わんばかりに、幸崎がフックを外す。やはり片手でファスナーを下ろすと、そ
のままスカートを引き下げる。鮮やかとしか言いようのない手並みだった。
「かわいいパンツ穿いてるな、こいつ」
「……そうですね」
 ブラジャーとおそろいのショーツはやはり白いシンプルなものだが、両端にワンアクセントで水
色のフリルがついている。文月の印象からすれば、なるほどかわいらしい選択だ。
「でも、それも脱がしてしまいましょう」
「ぅ……!」
 腕の力だけで後退する文月を見て、いよいよ面倒そうに幸崎がため息をついた。それから何
かを思いついたように、制服からピンク色の携帯電話を取り出した。ファインダーを文月に向
けて、にやりと笑う。
「いい加減あきらめろよ。楽しいのはこれからなんだからさ」
 撮影音と共に、フラッシュが三度瞬いた。
 同年代の女性を裸にするという、一種異様で倒錯的な状況に興奮しているのか、幸崎は頬
を上気させて下着に手を伸ばした。丁寧に脱がすようなことはなく、引きちぎるような勢いで乱
暴に毟り取る。
「―っ」
 アリスのような豊満さはないが、小ぶりで形の良い乳がふるんと揺れて顔を出す。掌にほどよ
くおさまる程度の大きさと、中央で身を震わせる桜色の突起がかわいらしい。
「かわいいおっぱいだねえ。どうよイセミヤ?」
「どうと言われても、困ります……」
「ちぇっ、つまんない奴だぜ」
 そう幸崎がつぶやいて肩をすくめた、その一瞬に、文月は勢いよく立ち上がった。ほぼ全裸
なのにも構わず、扉に向かって走り出す―が、あっさりと月小路にその腕を取られた。
「幸、二回目だぞ」
「いまさら逃げるか? 元気すぎだろ」
「放しなさい!」
 身を捩り手を振って逃れようとするが、これまでに体力を奪われきっている。月小路が何をす
るまでもなく、抵抗は徐々に弱まっていった。背後に回った月小路が両腕を交差させて強く
掴みあげると、もう文月にはどうすることも出来なかった。
「押さえといてくれよ」
 そう言って、幸崎の指がやけにゆっくりとショーツの端にかかった。横に引いてゴムを伸ばす
と、少しずつ、少しずつ、指を押し下げていく。
「ほらほら、見えちゃうぜ」

117:女学院復讐SS 8/14
09/05/31 17:18:36 X/OBiBnw
「幸、親父くさい」
「うるせえな」
 文月はぎろりと幸崎を睨みつけたが、出来るのはそれだけだ。暴れるほどの体力は残ってい
ないし、制止の言葉に意味などない。フリルの飾る白いショーツが引き下ろされていくのを、黙
って見ているしかなかった。
 肌と布の間に出来た隙間から、風が吹き込んでくる。七月だというのに、とても冷たい。場所
の問題か、気候の問題か、それとも、気持ちの問題か。文月には判断がつかなかった。
「ごかいちょう!」
 下着をふくらはぎのあたりまで下ろして、幸崎は喜悦に満ちた声をあげた。
「……」
 ごくり、と唾液を飲み込むのを、アリスは自覚した。それほど、文月の体は美しかった。
 特別鍛えられているわけでも引き締まっているわけでもないが、過度な贅肉をつけず、女性
的な柔らかさと丸みを帯びた、『抱きたい』と思わせる体だ。
 健康的な色気をかもす鎖骨から、柔らかさと張りを兼ね備えるツンと上向いた乳房、その頂
点に顔を覗かせる小さめの乳輪と桜色の突起、見てわかるほどの筋肉はないがたるむほどの
贅肉もない腹筋、きゅ、と身を縮こまらせる臍、なだらかな曲線を描く下腹部、そして更にその
下方、淡い茂みへと視線を下ろしていく。
「毛、薄いなぁ」
 にやにやと陰部を見つめていた幸崎が、そうつぶやいた。普段人前に晒さない部分をあけ
すけに評されて、文月がかすかに目を細める。
「……わたくしにも、見せてください」
「おう」
 ゆっくりと歩み寄って、アリスは文月の足もとにしゃがみこんだ。月小路に手を掴まれて立た
されている文月は相変わらず視線を逸らさず、真っ向から二人を睨みつける。
「……」
 ほう、とため息をついて、アリスはまじまじと文月の体を見つめた。その指先が慈しむように下
腹部に置かれ、体の曲線を辿って陰部へと辿り着く。ちぢれた陰毛の毛先を指先で弄んで、
アリスはこらえきれないようにつぶやいた。
「足を開いてください」
「……っ」
「おい。開けよ」
 舌打ちまじりの催促に、文月はゆっくりと、肩幅まで足を開いた。幸崎の言うとおり、年齢の
わりに文月の陰毛は薄い。茂みは陰唇上部から放射状に広がっているが、その奥の肌がか
すかに見て取れる程度の、淡い翳りでしかない。幸崎の指がうちの一本をつまみ、軽い仕草
で引き抜く。
「―つっ、」
 小さな悲鳴に笑い声をあげて、薄がりに陰毛をかざす。細く短い、童女のような毛だった。
「んじゃ、記念撮影な」
 先ほどと同じように、ピンクの携帯電話が撮影音を響かせる。局部のアップを数枚、カメラを
引いて、局部と顔が写るようにしたものを更に数枚。
「笑えよ」
 という要求には、さしもの文月も応えることができなかった。
「幸崎さん、写真見せてあげてくださいよ。綺麗に撮れました?」
「おー。ほら」
 顔を寄せ合って、二人が液晶を覗き込む。それから、幸崎が手首を返して文月の眼前にそ
れをつきつけた。

118:女学院復讐SS 9/14
09/05/31 17:19:07 X/OBiBnw
 小さな画面の中には、物凄い目つきでファインダーを睨みつける文月の姿が映っている。自
ら足を開き、疎毛の性器も唇を噛んだ顔も、桜色の乳首も全てつまびらかに晒された、みじめ
な写真だ。
「どうよ」
「悪趣味ね」
 即答である。一瞬だけ呆気にとられたように目を見開いて、それから幸崎はけらけらと笑い
声をあげた。
「本当、元気なお嬢さまだよ」
「元気なほうが、色々と楽しいらしいですよ。わたくしはそう聞きました」
 言って、マニキュアも塗っていないのにつややかな光沢を放つ爪の先を、眼前の秘裂へと
近づける。生育は十分だがろくに触れられたことのない秘部は口を閉ざして、恐々とこちらを
伺うように襞が顔を覗かせている。
 つぷっ、
 と、いう擬音を幻聴する。爪の先が秘裂を割り開いて、人差し指の第一関節までが潜りこむ。
ぴくん、と尻を震えたのを見てアリスは上を見上げたが、文月は相変わらず鋭い視線をこちら
に向けるばかりで、羞恥の表情ひとつみせない。
「ほらほら、もっとかわいい顔しろよ」
 言いながら、幸崎の指がシャッター音を連続させる。瞬くフラッシュに目を細めて、それでも
文月は顔を逸らそうとはしなかった。
「有瀬さん、ここ、自分で触ります?」
 指の先を捻りながら、襞の内側を撫でていく。時折体を震わせ腰を浮かせながら、文月はつ
まらなそうに言い放った。
「自慰をするかということかしら? するわよ」
「本当ですか? いやらしい」
「生理現象の一種よ。恥じ入るほどのことじゃないわ」
 声も表情も平静そのものだ。こいつ本当に女子高生か、と幸崎は心中つぶやいた。
 そんな幸崎の、声に出さない賞賛に気づくはずもなく、文月はひたすらに耐えていた。言葉
の通り、自分で慰める程度のことは彼女もするが、それにしたって指で外縁を弄る程度のかわ
いいものだ。その先、その奥に関しては完全な未知である。
 見た目ほど落ち着いているわけではない。恐怖は確実に文月の心を蝕んでいた。
「……えいっ」
 それを見透かすように、アリスが両手を秘部に添える。左右の人差し指が秘裂にもぐりこみ、
くぱっ、と最奥への門を割り開いた。連続するフラッシュが暗い倉庫の中に文月の秘部を浮
かびあがらせる。
 文月のそこは、色素の沈殿もほとんどなく、ピンク色の襞が折り重なって、禍々しくも淫靡な
肉模様を描いていた。外気に晒された尿道と膣口がヒクヒクと震えているのが見て取れる。
「グロいねえ」
「そうですね。……なんて醜い」
 誰にも見せたことのない、まだ誰にも見せるつもりのなかった秘奥を暴かれ、あまつさえ同性
に醜いと評される。惨めで、情けない。文月は二人に気づかれないよう、唇を少しだけ強く噛
み締めた。
「お前、処女?」
「処女よ」
 幸崎のストレートな質問に、文月はやはり即答する。何が面白いのかけらけらと笑って、幸
崎は膣口の付近に指をぐりっ、と押し込んだ。
「へえ、処女かあ。かわいそうにねー」

119:女学院復讐SS 10/14
09/05/31 17:19:30 X/OBiBnw
「……」
 乱暴な指使いで膣を捏ねる幸崎に、文月は険の強い眼差しを送る。今ここで処女を破られ
るのかと思うと少しは悲しかったが、そも文月はそこまで処女性を重んじているわけではない。
単に苦痛で屈辱あるという以上の意味は、ないとは言わないが、薄い。
「で、どうするのさ、イセミヤ」
 興奮を隠そうともせずに、幸崎がアリスを振り返った。顔を並べて秘所を覗き込んでいたアリ
スが、少しだけ目を細める。
「有瀬さん、自分がなんでこんなことになってるのか、わかりますか」
「わからないわ」
「本当に?」
「本当に。正当な……少なくとも、理解できる理由が、存在するのかしら」
「……いえ、貴女にはきっとわからないでしょうね」
 つぶやくように言って、アリスは淫裂を広げていた指を放した。若い秘裂が元通りに口を閉
ざす。外気にさらされていた膣口が肉門に塞がれたのを感じて、文月は心中吐息をつき―
「いぎっ……!」
 ―その緩みを、アリスの指が貫いた。
 衝撃についで猛烈な熱が股間から沸きあがる。体の中心を炎が駆け上り、頭蓋を焼いて頭
頂部から突き抜けていく。体が一度大きく跳ねて、肺の中身が全て喉から迸る。にも関わらず、
言葉どころか音にもならない。
「痛いですか?」
 ぐらぐらと揺れる視界に、またぐらに指を突きこんだアリスが見える。少し後ろにさがった幸崎
が、また携帯電話を構えてシャッターを切っている。
「ぐ……!」
「答えてください。痛いですか?」
 聞きながら、アリスが手首をひねった。潜りこんだ指に膣がかき回される。体全部が手首にあ
わせて捻られるような錯覚に、文月は思わず眼を閉じた。
「さすがに効いてるな」
 笑いながら、幸崎がそんなことを言った。
「ねえ、痛いんですか?」
「あぎぁっ……ああっ」
 突きこまれた指が―二本か、三本か―膣の中でバラバラに蠢いた。これまでどんな存在
も触れたことのない未踏の肉道を、アリスの細い指が蹂躙していく。体の内側を引っ掻き回さ
れている未知の感覚に、文月は倒れそうになるほどの眩暈を覚えた。
「処女膜って」
 と、アリスがつぶやいた。
「指を入れる程度では、破けないこともあるんです。だから、ちょっと念入りにかき回しておきま
すね」
「……っ!」
 悲鳴をこらえて、文月は爪先に力を入れた。これ以上されたら本当に倒れてしまう。膣から
際限なく湧き上がる痛みと灼熱は、脳髄を焦がして思考回路を焼ききっていく。自分の状態
がほとんど認識できない。肺まで燃やされているのか、吐く息がやたらと熱い。
「ん……もうちょっとで、全部入りますよ」
「ぜん……!?」
 全部。ということは、今はまだ途中なのか。体の内側に感じているこの強烈な異物感。これで
まだ入りきっていないというのだろうか。女子高生の細指でこれほどの圧迫感があるのならば、
男性器など入るはずがないのではないか。

120:女学院復讐SS 11/14
09/05/31 17:19:53 X/OBiBnw
 自分の体はひょっとしておかしいのかと、文月は朦朧とする頭で半ば真剣に考えていた。
「それっ」
「はぐっ、あ、ぎ……!」
 びくん、と体が跳ねる。一際大きい衝撃。視界が真っ赤に染まって、開ききった口から乱れ
た呼気が漏れる。
「ちゃんと立て」
 背後の月小路がそう言って腕を引き上げた。そこで初めて、文月は自分が膝を折っている
ことに気がついた。
「全部入りましたよ。わかります?」
 言いながら、細い手首をくるくると回す。まるで濡れていないのに、肉と肉のこすれあう音が
脳内に響き渡った。ぐちぐち、ぐちぐち、というそれは、淫猥であると同時に酷烈でもある。
「はっ、はっ、は、ふっ、」
 視界が揺れている。呼吸が落ち着かない。文月は気づいていなかったが、全身が汗だくだ
った。
 ……そんな文月を見て、アリスは指を止めた。膣の中で曲げていた指をゆっくりと真っ直ぐに
戻し、被虐の対象が回復するのを待つ。背後でひたすら撮影音を響かせている幸崎に視線
を投げると、幼い瞳を一度携帯電話に落として、それから名残惜しそうに頷いた。
 そろそろ時間だ。生徒たちが登校してくる。
「今日は、このあたりですね」
 つぶやいて、アリスはゆっくりと指を引き抜いた。落ち着きはじめていた文月が、指を抜かれ
る感覚にまた背を反らせる。
「はい、あーん」
「はっ、はぁ……んぐっ!?」
 脱力して唇を閉じることもままならない文月の口内に、三本の指が突きこまれた。舌の上に
広がる鉄の味に、思わず眉をしかめて頭を仰け反らせる。
「ちゃんと味わってください」
 だが、指はそれを追って舌の上を這いずってきた。鉄……血液の味。考えるまでもない。こ
れは自分の膣から流れ出した、純潔の証―否、純潔を喪った証だ。
「おいしいですか?」
「―っ」
「痛っ」
 指先に走った強烈な痛みに、アリスはあわてて指を引き抜いた。血と唾液に濡れた指先に、
小さな歯型がついている。幸いにしてアリス自身の血は出ていないようだ。
「噛まれたの?」
「……はい」
「ははっ、お前ほんとすげーな」
 口にたまる血を吐き出す文月を見て、幸崎がまた笑い声をあげる。携帯電話をしまって歩
み寄ると、トン、と軽く地面を蹴ってから、体をひねりつつ大きく踏み込んだ。左足が鞭のよう
にしなり、風を切って飛ぶ。避けることも受けることも、身を捻ることすら出来ず、文月はその一
撃をわき腹に食らった。
「う、ぐ―」
「おしおきだ、おしおき」
 今度こそ、文月の膝が折れる。もう立ち上がる気力も残されていないようだった。
「限界、腕が疲れた」
 そういって、月小路も腕を放す。前のめりに倒れる文月を受け止める者は誰もいない。冷た
い倉庫の床に倒れ伏して、文月は小さくうめき声をあげた。

121:女学院復讐SS 12/14
09/05/31 17:20:55 X/OBiBnw
「イセミヤ、指大丈夫?」
「ええ、大丈夫です。……それじゃあ、行きましょうか」
 文月の体を避けて、アリスたちは倉庫の出口に向かって歩き出した。すぐ側に捨てられてい
る文月の制服を幸崎がわざわざ踏みつけて、それから下着だけを回収していく。
「下着は没収な」
 そう声をかけて、幸崎はいつものようにけらけらと笑った。
「ああ、そうだ。有瀬さん、法的手段に訴えるんでしたっけ?」
「……」
 その言葉に、文月はゆっくりと体を起こした。出口付近にいる三人を見据えて、薄く笑う。
「そうね」
「笑ってるよこいつ」
 ひきつった笑みで幸崎がつぶやいた。
「そうですか。……気を強くもってくださいね。この程度で折れられてしまっては、わたくしも困り
ますから」
「……どういうことかしら」
「どういうことでしょうね」
 頭を振って、アリスは外へと続く扉を開いた。陽が、まるで光の道のように倉庫に差し込む。
「それじゃあ有瀬さん。放課後、また遊びましょう」
 最後にそう残して、三人は倉庫を出て行った。
■■■
 有瀬文月は、三人が思う以上に精神的にタフな人間である。
 倉庫に独り残されて、三十秒だけ落ち着くための時間をとると、すぐさま制服を身につけ、
可能な限り外見を整え、股間の痛みなどないかのように大股で倉庫を後にし、堂々と廊下を
闊歩して一直線に学長室まで向かった。
 幸い在室していた学長に、一礼して挨拶を述べた後、
「レイプされました」
 と、端的に口にする。ここまで、わずかに三分弱である。
「……なんですって?」
 突然現れた生徒にそんなことを聞かされた学長は、眉をひそめて、そう無意味なセリフを返
すのが精一杯だった。文月は一度頷いて、同じ言葉を繰り返す。
「伊勢宮アリスさん、幸崎幸さん、それから、私は彼女をはじめて見ましたが、月小路さん。彼
女らに性的暴行を受けました」
「い、いつ?」
「五分ほど前です」
「……」
 不可解そうな顔が、ますます歪められていく。無理もない話だった。女子校で性的暴行とい
うだけでも戸惑うには十分だというのに、被害者が五分もしないうちに報告に来るなど冗談と
しか思えない。
「必要であれば証拠を―」
「ああ、いや」
 なおも言葉をつのろうとした文月を、学長は手をあげて制した。一度小さく咳払いをして、
「わかったわ。詳しいことは不明だけれど、概ね理解しました」
「今の説明で十分ですか」
「十分よ。事件の詳細はわからないけれど、そんなことはどうでもいいもの」
 革張りの豪華な椅子に背を預けて、学長は深い吐息をついた。その仕草に、今度は文月
が眉をひそめる。

122:女学院復讐SS 13/14
09/05/31 17:21:18 X/OBiBnw
「どういうことですか」
「伊勢宮さんも、幸崎さんも、それに月小路さんも、初等部からここに通っている、とてもいい
家のお嬢様たちよ」
「……それが?」
 意味がないので口にはしないが、お嬢様の度合いならば文月も負けてはいない。この学院
に通う生徒は、みな似たようなものだ。
「わからない? 初等部からここにいるということは、あなたの何倍もの時間をここで過ごしてい
るということ。それはつまり、」
 文月の背を、悪寒が走り抜けた。
「寄付金の額も、何倍にもなるということよ」
 当たり前のような顔をして、学長はそう言った。デスクの上の書類を取り上げて、つまらなそう
に眺める。それで話は終わりと言わんばかりだ。
「……警察に行きます」
「無駄よ」
 即答である。まるで切り捨てるような口調だった。
「あなたは少し、この学院を甘く見ているわね。意味がないからやめなさい、そんなこと」
「では、どうしろと」
「あきらめなさい。新参者は大人しくしているのが一番よ。ここに限らず、それは社会に出ても
同じことだわ」
「……ひどい学校ですね」
「私立学校っていうのはね、営利団体なのよ。学内でいじめなんて、困るわ」
 ひどく冷たい眼差しで、学長は文月を見据えた。手にした書類をデスクに放って、ため息を
漏らす。
「家の力に頼るならそれでもいいわよ。ALICEグループなら、まあ、なんとかなる範囲でしょう」
「……よく、わかりました」
「そう、それはよかったわ。警察はあきらめるの?」
「学校はどこも閉鎖社会ですが、ここは特にそうです。加えて権力もある。財政界への影響力
も強く、それはつまり警察機関への圧力もかけられるということです。この認識に誤りは?」
「ないわ」
「なら、私が何をしても無意味でしょう」
「その通りよ。賢くて助かるわ」
 小さくかぶりを振って、文月は重く、深く、長い息を吐いた。全身にたまった疲労を吐き出す
ようなため息だった。
「それでは、失礼します」
「ええ。適当に、がんばってちょうだい。エスカレートしすぎないようにはするわよ」
「……」
 応えず、文月は学長室を辞した。
 同時に、校内放送で重厚なクラシックが響きだす。ホームルームの開始だ。このままでは遅
刻になってしまう。……だが、文月は急ぐ気にはなれなかった。
「ありえませんよ、か……伊勢宮さんの行動が、問題になるはずがない、と……」
 ふらふらと赤い絨毯の上を歩き出す。ホームルームは既にはじまっている。廊下には誰もい
ない。学長室のあるこの廊下は、一般教室がひとつもないのだ。
「ふ……」
 歩みが遅くなる。どうせもう遅刻は確定だ。ホームルーム程度、出なくても構うまい。
 吐き気がする。文月はトイレを見つけると、個室に入って鍵をかけた。礼染女学院はトイレひ
とつとっても大きく豪華だ。完全個室で換気扇まで一室ずつについている。

123:女学院復讐SS 14/14
09/05/31 17:21:46 X/OBiBnw
「う……、ふ……」
 肩を震わせて、文月は掌で口を覆った。こらえきれずしゃがみこんで、漏れる声を必死で抑
える。
 だが、そんな抵抗も無意味だ。早朝からここまで、ほんの十数分の出来事が、頭の中をぐる
ぐると巡る。今日だけではない。これからも、ずっとこんなことが続くのだ。なんて馬鹿げたところ
だろう。
 本当は、家に訴えればどうとでも出来るかもしれない。甘く見ているのは学長のほうかもしれ
ない。だが文月にそのつもりはなかった。これは彼女個人の問題だ。有瀬の家に泣きつくよう
なところではないのだ。
 それに。
 仮に助けを求めたとして、あの家がそれに応じるとも限らない。あそこが欲しがっているのは
優秀な経歴の娘だけだ。学院を出さえすればいい―逆に言えば、学院を中途で辞めるよう
なことがあってはならないのだ。あるいは学長も、それをわかっているのかもしれない。
 最悪だ。信じられない。期待していたわけではないが、これはいくらなんでも酷すぎる。
「う……うう……ふ、う、……」
 とうとう我慢しきれなくなったように、両手をだらんと垂らした。感情をおさえていられない。無
様だと知りつつ、文月は体を丸めて、

「ふ……うふはははははははははは!」

 大声で笑い出した。
「は! はははは! そう! そうか! わかった! とてもよくわかった!」
 立ち上がる。優雅な仕草で顔にかかる髪をはじく。個室の扉に背をつけて、換気扇の回る
天井を見据える。
「ならいい! それならいい! それならそっちに合わせようじゃないか!」
 作った拳が、背後の扉を強く叩く。未だ体中で疼く痛みが、炎となって燃えている。爛々と
輝く眼をいずこともしれぬ宙に向けて、有瀬文月は誰にともなく宣言した。
「……潰してやるわ!」

 有瀬文月の復讐は、こうしてはじまった。

124:名無しさん@ピンキー
09/05/31 17:23:36 X/OBiBnw
以上です。
んじゃ続き書いてくる。

125:名無しさん@ピンキー
09/05/31 18:57:51 0Gxy2cQr
GJ!
続き期待してる

126:名無しさん@ピンキー
09/06/01 18:33:19 W5JrIcV4
なんとも重厚なSSだ…。GJ!


127:名無しさん@ピンキー
09/06/02 22:44:20 BTp/6owG
文月の復讐って、まさか相手を妊娠できないような身体にしてしまうのかな。
子供ができないんじゃ令嬢としての価値もかなり下がるし。


128:名無しさん@ピンキー
09/06/03 19:47:05 IA6F47cY
>>124
すごく上手いな!
続き期待してるぞ!!

相手が3人以上いるなら、1人ずつ各個に復讐していく展開だろうか?w
最初は最も気弱そうな女から、そいつを手なづけて次の女、
最後が気の強い女を今度がこっちで集団で、と。

129:名無しさん@ピンキー
09/06/07 11:09:19 3UX977JL
>>124
何気なく読み始めたけど予想以上に巧かった、GJ!
これから3人が絶望のズン底に叩き落されるのが楽しみだ
これだけ丁寧な文章だと時間掛かりそうだけど、続き待ってます

>>127
それくらいやり過ぎな方が面白そう

130:名無しさん@ピンキー
09/06/08 00:52:11 2mYscLsm
私、あなたのこと待ってるから!

131:名無しさん@ピンキー
09/06/08 14:22:30 V0FndTNP
ここはどのぐらいまでOKなんだろう?
ハードスカはスレ違いになるのかな

132:名無しさん@ピンキー
09/06/08 23:06:23 2mYscLsm
>>131
僕は平気だが。

133:名無しさん@ピンキー
09/06/09 08:16:15 OZ0dGwUB
ちゃんと注意書きいれればよろしいかと

134:名無しさん@ピンキー
09/06/09 17:17:20 OZ0dGwUB
>>109のつづき書いてみた。
以下10レス分投下します。

135:女学院復讐SS2 1/10
09/06/09 17:18:44 OZ0dGwUB
 幸崎幸は、自分をサディスティックな人間だと思っている。
 精神的にも肉体的にも、他人をいたぶるのが大好きだ。どうしてそうなったのかは幸本人に
もわからないが、特別なエピソードや理由はおそらく存在しない。
 そういう人間は、きっと生まれたときから『そう』なのだ。
 その日も、幸は上機嫌で寮を出た。昨日新しい獲物を手に入れたので、今日一日どうやっ
て遊ぼうか、昨晩から楽しみで仕方なかったのだ。
 幸はこれまで、両手の指では足りないほどの生徒をいじめのターゲットにしてきた。それは初
等部の頃からそうで、彼女にとって礼染女学院での最大の楽しみはこれである。
 彼女は一定のルールに従っていじめを行う。最大でも一年が限度で、学年が変わったらそ
のターゲットには関わらない。いっそ忘れてしまうくらいがちょうどいい。それと、やりすぎないこ
と。自殺なんてされたら大変だ。主なものはこのふたつである。
 子供じみた悪戯から、公表されれば将来が終わるだろう非道まで、出来うることは殆ど全て
やってきた。ターゲットが泣き叫んで許しを請う惨めな表情が、幸は大好きだった。
「あの野郎、昨日の放課後は逃げやがったからな……今日はどうしてやろうかね」
 勝手に緩んでいく頬をどうにか引き締めて、いつも通りの時間に通学する。今彼女が標的
にしている有瀬文月はどうやら早朝に登校しているようだが、合わせて早く来るつもりはもうな
い。牽制しつつ標的を見定めていた期間はもう終わったのだ。
 中等部と高等部の制服が入り混じる通学路を悠々と歩いて、昇降口に辿りつく。幸は学校
といえばここしか知らないが、それでもこの校舎が一般的な学校とはかけ離れていることはわ
かる。豪華すぎるし、大きすぎるのだ。
 広い昇降口に並ぶ靴棚のひとつを選んで、自分の靴箱の前に立つ。
 幸の靴箱は本来ならば最上段なのだが、一見して中学生かと思うほど背の低い彼女では
手が届かない。そのため、使われていない最下段の靴箱を使っていた。
「……ん?」
 木製の戸を開けた手が止まる。一度戸を閉じて、場所を確認する。間違いなく自分のクラス、
自分の靴箱だ。首を傾げてもう一度戸を開け、それからその周辺の使われていない靴箱も確
かめる。
 全て、空だった。
「あれ……? おかしいな」
 幸が本来使うべき靴箱に視線を飛ばす。初日以来使っていない場所だ。
「どうしたの?」
 戸惑う幸に同級生が声をかけてきた。同じクラスの相田涼香だ。ショートボブを揺らす彼女
は、クラスの中でも背が高い。何か嬉しいことでもあったのか、口元に笑みを浮かべていた。
「いや、靴がねーのよ。ねえ、悪いんだけど、アタシの靴箱開けてみてくれるかな」
「あ、そっか。下使ってるんだっけね。どれ」
 涼香は快く頷くと、腕を伸ばして最上段の靴箱を開けた。やはり、そこも空である。
「ないよ。持ち帰ったんじゃないの?」
「そんなはずねーんだけどな……ま、いいや。事務室でスリッパ借りてくる」
「……そうだね」
 一度昇降口を出て、幸は外来用受付に向かった。昨日のことを思い返すが、やはり靴は履
き替えて、きちんと靴箱にいれたはずだ。ならば、なぜ上履きがなくなっているのだろう。
「……いや、おいおい、まさかだろ……」
 眉をひそめて、浮かんだ考えを打ち消す。そんな馬鹿な話が、あるはずがない。
 ポケットで携帯電話が震える感覚に、幸は小さく舌打ちした。考えを邪魔されるのは好きで
はない。開いたのがスパムメールだったからなおさらだ。昨日の晩からこれで四通目である。こ
のところ減ってきたのにどういうことだと、幸はため息をついた。

136:女学院復讐SS2 2/10
09/06/09 17:19:20 OZ0dGwUB
 メールを消去して、携帯は閉じずにデータフォルダを開く。そこには、これまでいたぶってきた
女生徒たちのあられもない姿が大量に収まっている。
 この写真は、単純な幸の趣味であり、いじめの一環であり、同時に口封じの手段のひとつで
ある。『公にするならこの写真をネットに流すぞ』というわけだ。
「うん……そんなはずねーよな……ん?」
 ふと、写真の一枚に見知った顔を見つけた。見知ったといえば全員知っていて当然なのだ
が、幸はいじめを打ち切った相手のことはほとんど覚えていないのだ。
 全裸で拘束され、股間にボールペンを十本ばかり突きこまれて泣いているのは、ついさっき
昇降口で会った相田涼香だった。この時はまだ髪が長い―よくよく思い出してみれば、この
髪を切ったのは幸だった。もう三年も前のことだ。
「あちゃ、すっかり忘れてたな」
 あの様子だと、本人も割り切って忘れようとしているのかもしれない。笑顔で話しかけてくるく
らいなのだから。
「……」
 事務室の前まで辿りついて、幸は携帯電話を閉じた。それから、一度昇降口を振り返る。
 そう。そんなはずはない。
 あるはずがないのだ。……誰かが、幸の靴を隠したのではないか、なんて。
□□□
 教室に入ると、ほとんどの生徒が登校していた。
 朝の談笑に花を咲かせる女生徒たちと声をかわして、自分の席に向かう。幸の席は教室の
ちょうど中ほどあたりで、窓際のいい位置にある。いつも通り、中身がほとんど空の鞄を机に引
っ掛けて、幸は椅子に腰かけた。質のいいクッションが、小さなお尻を受け止める。
 礼染女学院の教室は前面のホワイトボートがよく見えるよう、教室の後ろに行くほど段差が
ついている。階段つきの扉が後部にもあるが、こちらは有事の際以外は使用禁止となってい
るため、生徒たちが使う扉は通常前方のひとつのみだ。そのため、扉付近にはたむろしないと
いうのが暗黙の了解になっている。
「……ん?」
 だが、今日は数人かの生徒がそこに集まっていた。大きく豪勢な扉の影から、教室をちらち
らと伺っているようだ。あんなところにいては邪魔だろうに。
 幸がなんとはなしにその数人を眺めていると、視界の端を何かが四角いものが横切った。そ
れはそのまま幸の机の上に降りてくる。目を向けると、林檎の写真が載せられた紙パックのジ
ュースが、結露を浮かべて机に鎮座している。
 視線を上にあげる。紙パックを机の上に置いたのは、今朝昇降口で会った相田涼香だった。
口元に笑みを浮かべて、幸の足もとを見ているようだ。
「結局、見つからなかったんだ?」
 上履きのことだろう。幸は今、来客用のスリッパを履いている。歩きづらいが、こればかりは仕
方がない。
「……ああ、うん。見つからなかった」
「災難だったね。かわいそうだから、それ、あげるよ」
「林檎ジュース? いーのかよ?」
 見たところ紙パックは開封された様子もない。涼香は肩をすくめて笑って見せた。
「それ、果汁百パーのやつなんだ。間違って買っちゃってさ。苦手なんだよね」
「何と間違ったんだよ」
「コーヒー牛乳」
「……それは、残念だな」
「全くだよね」

137:女学院復讐SS2 3/10
09/06/09 17:19:51 OZ0dGwUB
 くれるというのであれば、断る理由は特にない。ストローを突き刺して薄紅色の中身を吸い上
げる。濃厚な林檎の味が口内に広がって、幸はかすかに目を細めた。
「すっぱいな、これ」
「そう、酸味強め。それが苦手なんだ」
「なるほど。アタシは嫌いじゃないけど」
「そう、それは何より」
 くすりと笑って、涼香がそうつぶやいた。
 確かに人を選ぶ味かもしれない。容量の少ない紙パックを一気に半分ほど飲み干すと、幸
は「飲む?」と掲げてみせた。苦笑して、涼香が手を振る。
「苦手なんだって。まあ、気に入ってくれたなら何より。それじゃあね」
「ああ、うん。悪いな」
 笑って、涼香は自分の席に戻っていった。幸の斜め後方、最後列が彼女の席らしい。
 酸味の強い林檎ジュースを飲み切って、幸は携帯電話で一限の内容を確認する。本日の
一限は世界史だ。机からテキストとノートを取り出すと、携帯電話がブルブルと震える。幸は舌
打ちして、五度目のスパムメールを消去した。
 そうこうしているうちに担任がホームルームを開始する。いつも通りの朝だ。幸は教師の言葉
はほとんど聞かず、今日はどんな趣向で獲物を苛めようかと、メモ帳機能を呼び出してアイデ
ィアを書き連ねていった。
 基本、幸は授業中もずっとこんなことばかり考えている。追い詰めすぎないよう、最大限のダ
メージを与えるにはどうすればいいか、どうすれば、今の獲物を泣き叫ばせることができるのか。
有瀬文月は特に、これまでにないほど冷淡で動じない獲物だから、かえって楽しめそうだ。
「……」
 ふと、背後に視線を向ける。相田涼香のように、かつて獲物だった人間が自分に接するよう
なことが、これまでにもあったのだろうか。涼香があまりにも普通に友人としての態度を取るもの
だから、幸は少しばかり混乱していた。
 今まで気づかなかっただけで、他にもそういう奴がいたのかもしれない。これからは、終わった
獲物のことも少しは覚えておこうかと、ぼんやりと頭の隅で考える。
 ホームルームが終わり担任が出て行くのを見届けて、飲みきった紙パックをクシャリと丸めて
教室後方のゴミ箱に捨てる。脇を通った時に涼香が微笑み、それに笑顔を返した。
 そうして、ほどなく一限の授業がはじまった。世界史の教師は生徒を指すことがほとんどない。
内職にはうってつけの授業で、幸も普段ならば教師の話を全く聞かずにいじめのアイディアば
かりを練っている。事実、今日も当初はそうしていた。
 異常が訪れたのは授業開始から十五分ほど経った頃だった。
「ん……」
 下腹部に、軽い疼きを感じる。体の内側なに何かが溜まっている感覚。もぞり、と腰を動かし
て、幸は居心地悪そうに吐息をついた。
 尿意だ。
 次の休みにトイレに行こう、とぼんやり考えていた幸だが、そんな悠長なことを考えていられる
のも数分が経過するまでだった。教師がホワイトボードに記す年号が三つほど増える間に、下
腹部を炙る感覚が急激に成長していったのだ。
 突然わきあがった排尿欲は瞬く間に膨れ上がり、膀胱を圧迫しはじめた。せわしなく姿勢を
変えてなんとか誤魔化そうとするものの、今ひとつ効果を発揮しない。いつもならば数十分程
度の我慢、何の問題もないものを、どうしたものか今日ばかりは尿意の成長が恐ろしく早い。
「んん……」
 気がつけば、額に汗を浮かべて太腿をすり合わせていた。重くて熱い焦燥感が肉の内側で
反響している。じりじりとした熱が腰まわりから背骨を伝って、内臓を炙っている。教師の言葉
が全く耳に入らない。ホワイトボードの文字さえおぼろだ。

138:女学院復讐SS2 4/10
09/06/09 17:20:25 OZ0dGwUB
「トイレ……」
 思わず、言葉をこぼす。誰にも聞かれないように口の中だけで消えていく小さな声は、かえっ
て焦燥感を煽るばかりで、気を紛らわせることすらできない。
 吐く息が次第に震えはじめ、頭の奥が熱で揺らぐ。深く荒くなる吐息をクラスメイトに悟られ
るのではないかと恐怖して、その恐怖すら高まる尿意に押し出されていく。
「なんだこれ……おかしいっ……」
 握り締めた拳が携帯電話を軋ませる。体を前に屈めて、幸はどうにか呼吸を整えようと深く
息を吸い込んだ。
 腹部を圧迫する焦慮は、膝頭をせわしなくすり合わせても、押し付けた太腿で恥丘ごと尿道
を押しつぶしても、まるで収まらない。全身から溢れる汗が体を冷やしていくのに、おなかの中
だけが猛烈に熱い。全身をくねらせながらお尻をもぞもぞと蠢かせて、幸は授業が終わるのを
ひたすらに待ち続けた。
「あと……」
 時計はもうあと数分で授業が終わることを教えてくれる。教室の授業は静かなまま進んでい
て、幸の痴態を咎める声は今のところ聞こえない。礼染の教室には段差がついているため、
背後の生徒も気づいていないのかもしれない。
 しまいにはカタカタ震えだした体をなんとか押さえ込んでいると、やっと終業を告げるクラシッ
クが流れ出した。幸は弾かれたように顔をあげ、股間を刺激しないように体をゆっくりと起こす
と、すぐさま席を立てるように椅子を少し引いた。視界の先で教師が時計を見ながら、
「時間になっちゃったけど、ここだけ説明させてね」
「な―っ」
 ぐらり、と視界が揺れる。頭の中が真っ暗になった。机についた五指がぐぐっと折曲がって、
爪がギリギリと音を立てる。口の中がカラカラで、今喋ってもまともに声になるかどうかすら怪し
い。
 教師はそのまま、五分も授業を延長した。
「ふ、はぁっ」
 授業間の休憩は十分、あと五分しか残されていない。幸はスカートの上から股間を押さえ、
膝を合わせて立ち上がった。頭の中はトイレに行くことでいっぱいだ。
「幸崎さん」
「―はっ?」
 朦朧として前もよく見えない幸の視界を、見知った笑顔が埋めた。相田涼香だ。
「さっきから苦しそうにしてるけど、どうしたの? 保健室に行く?」
「い、や―」
 うるさい黙れ放っておけ、と言い捨ててやりたいところだが、そんな体力もない。一刻も早く教
室を出てトイレに行かなければいけないのだ。
「ちょっと、トイレっ、に……」
 息を荒くして、途切れ途切れの言葉をようやっと吐く。机についた手が震えている。
「え? なに?」
 笑顔のまま、涼香は聞き返してきた。この野郎耳がおかしいのか、と脳内で自分の罵声が轟
く。震える幸を見て、涼香がまた「大丈夫?」と聞いてきた。
 大丈夫ではない。だから、今すぐそこをどけ。
「と、トイレ……だって、言って……」
「え? ごめん、よく聞こえないんだ。おなかが痛いの?」
 前かがみに股間を押さえているのを、腹痛だと思ったらしい。涼香は細い指先を、そっと幸
の背に添えた。

139:女学院復讐SS2 5/10
09/06/09 17:21:06 OZ0dGwUB
 ぞわり、と背筋が震え、尿道がきゅううっ、と収縮する錯覚があった。息を止めて奥歯を噛み
締める。膀胱から迸る灼熱が、最悪の予感を伴って全身を蹂躙する。スリッパの中で爪先が
折れ曲がり、自然と踵が浮いていく。
「ふ、ふ、はっ、はぁ」
 地団駄を踏んで気を紛らわせたいが、そんなことをすれば即座に漏らしてしまうだろう。小さ
く頭を振って、幸は必死にこみ上げる尿意を堪えた。
 顎が痛み出すほど歯を噛み締めた甲斐あってか、決壊はどうにか免れた。わずかに波が引
いたのを悟って、幸は大きく吐息をついた。
「本当にどうしたの? やっぱり、保健室に行こう」
「さっ、さすんなくていい……! なんでも、ない。大丈夫だから」
「でも、苦しそうだよ」
 お前がいるからだ、と幸は今度こそ叫ぼうとした。だが背に添えられた掌が脊椎にそって上
下すると、ビクリと背を反らせて言葉を詰まらせてしまう。
「はな……」
「まったく、あんなジュース飲むからだよ」
「……?」
 友人を心配するにしては嬉しそうな笑顔で、涼香がそんなことを言った。一瞬、尿意に占領
された頭蓋に何かが閃きかけたが、腰のあたりに下りてきた掌に阻害される。
「おまえ……」
 それでも、幸は必死に考えた。そうだ。冷静になれば明白だ。こんな尿意おかしいに決まっ
ている。何か異常があったに違いないのだ。
 相田涼香。こいつの薦めてきたあのジュースに、何かあったに決まっているではないか。
「お前、わざと……!」
「腐ってたわけじゃないよ。面白い薬が入ってただけだから」
「なん……」
 朝と変わらぬ笑顔で、涼香が拳を作るのが見えた。あれで、どこを、どうするつもりなのか。
「待―」
 思考が白濁する。そんなものを、耐えられるわけがない。
 涼香が拳を腰だめに構えるのと、扉が開いて教師が入ってくるのが同時だった。教室を見
渡したまだ若い数学教師は、ぱんぱん、と手を打ち合わせて着席を促す。
「もうすぐ授業ですよ。席につきなさい」
「はっ……」
「ちぇっ、残念」
 つぶやいて、涼香が身を離す。安堵の息をつきながらも緊張は解かないまま、幸は眼前の
敵をにらみつけた。
「てめえ、なんのつもりだよ」
「心当たりがないの? それはびっくりだわ」
「んな、今更……」
「今更?」 
 ぴくり、と眉を跳ねさせて、涼香ははじめて笑顔を消した。ずい、と顔を近づけて、
「何も知らないとでも思ってるの? この嘘つき……!」
「……?」
 意味がわからない。過去のいじめをなじられるならばわかるが、嘘つきというのはどういうこと
だ。何も知らないのは、むしろ幸の方だった。
「はいはい、相田さんも幸崎さんも座りなさい」
「……それじゃあ、この時間も頑張ってね」
「……」

140:女学院復讐SS2 6/10
09/06/09 17:22:06 OZ0dGwUB
 薄笑いを浮かべて、涼香が自分の席へと段差をあがる。その背を見送って、幸は教壇に
振り向いた。始業の音楽が流れると同時に、教師が幸に『座れ』とジェスチャーする。
 やはり冷静になれば明白だ。多少の恥辱をこらえてでも、ここは教師に伝えるべきなのだ。
授業中に漏らすよりは、公衆の面前で尿意を宣言した方がまだましである。
 喉を鳴らして、幸はうめくように行った。
「すいません、トイレに行ってきても、よろしいですか」
 不満そうに、教師が眉を歪める。生徒の幾人かが幸を振り返った。小さな笑い声が漏れた
のは後方から。確かめることはしなかったが、涼香だろう。
「どうして休み時間に行っておかないの。まったく……行ってきなさい」
「すいません」
 ふらふらと席を離れて、なるべく不自然にならないように尿意を堪えながら段差を降りる。一
段下るごとに膀胱を衝撃が走りぬけ、そのたびに幸は立ち止まって歯を噛み締めなければな
らなかった。
 異様な幸の仕草に教師が不機嫌そうな顔から不安そうな顔に変わり、教室の各所から囁き
が漏れはじめる。ちくしょう、とつぶやいて、幸はようやっと段差を降りきった。教壇の前を通る
ときに「大丈夫?」と聞いてきたのが誰だったのか、幸にはもうよくわからない。だから返事もし
なかった。
 教師が扉を開けてくれる。それほどの状態に見えるのかと思いつつ、幸は廊下に出た。
「誰か、ついていってあげて、そのあと保健室に連れて行って」
「だいじょうぶです」
 『誰か』 なんて言ったら涼香が手を挙げるに決まっている。幸は振り返って、即座にそう言
った。声が震えているのは見逃してくれるよう祈るしかない。
「自分で、保健室に行きます」
 それだけ行って、ふらふらと教室を出る。閉まる扉の向こうで、既に席を立とうとしていた涼香
が座り直すのが見えた。
「くそが……」
 なんで自分がこんな目に遭うのだと、呪いの言葉を撒き散らしながら、幸は小走りにすらな
れず廊下をよちよちと進んだ。トイレはすぐそこなのに、何キロも先にあるような気すらする。
「ふっ、はっ……ああ、」
 そうしてどうにか、彼女はトイレへと辿りついた。なんで礼染のトイレには扉がついてるんだと
心中で毒づきながら、ふらつく足で中に入り込む。
 ここまで来ればあと一歩だ。個室に入って下着を下ろすだけでいい。どうせ授業中なのだか
ら誰も来ない。個室の扉なんて開け放してたって構わない。
「は、はぁ、」
「―待ってたわよ」
「……あ?」
 広い礼染のトイレ。全室天井まで完全個室で換気扇完備。洗面台も無駄に広く、壁一面
の鏡が青い顔の幸を映している。床は磨き上げられた大理石で、スカートの中身さえ見えてし
まいそうだ。
 そのトイレの奥。並ぶ個室の先。腕を組んで仁王立ちする女生徒が、口元に酷薄な笑みを
浮かべていた。
「あり……せ……?」
 揺らぐ視界が決定的に歪む。ここに至って、ようやく幸はこの異常事態が誰の演出なのかを
知った。
 有瀬文月。狩られる獲物のはずだった女。
「お前か、アリセ……!」
「そうよ、幸崎さん。思ったより頑張ったわね。一限のうちに来ると思ったのだけど」

141:女学院復讐SS2 7/10
09/06/09 17:23:31 OZ0dGwUB
 携帯電話を見ながら何事かを打ち込んで、文月は微笑んだ。おそらく、あれで涼香と連絡
を取り合っていたのだ。
「おしっこしたいの?」
 くすくすと笑って、文月が一歩進み出る。思わず退きそうになって、幸は踏みとどまった。
「うるせえ……てめえ、こん……っな、ことして、ど、どうなるか……わかって、んのか」
 途切れ途切れの恫喝に笑って、文月はまた携帯電話で何事かを打ち込む。指の動きを止
めないまま「わかってないのは幸崎さんね」と余裕の表情でつぶやいた。
「あとで……」
「後なんてないのよ」
 文月の声を後押すように、背後から足音が響いた。ひとつ、ふたつ、みっつ。三人分の靴音
に幸が目を向ける。高等部の制服を着た生徒が二人、中等部の生徒が一人、険しい目つき
で立っていた。
「……?」
「覚えてない? みんな、幸崎さんに恨みのある人たちよ」
「ぐ……」
 そんなところだろう。これで退路は完全に封じられた。笑顔のまま歩みよる文月をどうすること
も出来ず、幸はギリギリと奥歯を噛み締めた。
「今は授業中、こんなところには誰も来ない。自分で保健室に行くって言ったんですってね。と
いうことは、教室に戻らなくても誰も不思議に思わない」
「う……ぐ」
 頭の中で赤いランプが点滅している。こんなはずはない。こんなのはおかしい。自分は狩人
のはずだ。獲物はこいつらのはずなのだ。なのにどうして、こんなことになっているんだ。
「おしっこしたいんですよね? しなさいよ」
「……」
 冷たい声で、背後の生徒のうち、眼鏡をかけた女生徒が言った。睨みつけると一瞬身をすく
めたが、すぐに眉を吊り上げて手を伸ばす。
「ほら、早く!」
 どん、と肩を押される。踏みとどまろうと足に力をいれると、膀胱に溜まった尿が暴れだす。股
間を手で押さえて、幸は無様にたたらを踏んだ。
「ふ、う、お、おま、お前ら……」
「なに、なんか文句でもあるの!」
 眼鏡の生徒の脇、髪を頭の両脇でツインテールにした生徒が、後ろに引いて突き出された
形になっているお尻を平手で叩いた。衝撃が臀部から走り、膀胱の灼熱が応えるように燃え
上がる。喉をいっぱいに開いて肺の空気を全部吐き出してしまうと、幸は深い呼吸を二回繰り
返した。
「頑張るわね」
 笑いながら、文月がそう言った。
「先輩の努力、ちゃんと撮ってる?」
「はい!」
 力強く幼い声が聞こえる。この場で唯一の後輩、中等部の制服を着た最後の一人が、小
型のカメラを構えていた。掌に隠してしまえるような小さなものだが、幸の痴態を撮るのに不便
はないだろう。それどころか、
「高精細の美麗映像が連続六時間撮影可能。凄いでしょ?」
 日本の家電三割を支配するALICEグループのご令嬢が、自慢げにそう言った。
 喉がカラカラに渇いていく。体中の水分が、汗か尿のどちらかになってしまったようだ。
「香堂さん、やっちゃっいましょう」
 文月にそう言われて、この場で最も背の高い、眼鏡の女生徒―香堂が動いた。

142:女学院復讐SS2 8/10
09/06/09 17:24:13 OZ0dGwUB
「ほら、早くしなさいよ。おしっこしたくてここに来たんでしょう!」
 震える幸の両脇に手を差し入れて吊り上げる。背の低い幸はそれだけで足が宙に浮いてし
まう。踏みしめる床がなくなると、膀胱の猛りが激しくなった気がした。
「有瀬、私も参加していいんだよね?」
「もちろんよ、柚子澤さん」
「ふん、なにこれ、サンドバッグ? 殴っていいのかな!」
 笑って、ツインテール―柚子澤が拳を優しく下腹部にあてる。軽く触れられているだけな
のに、幸は唇を噛んで俯いた。
 暴れれば戒めからは抜け出せるかもしれないが、膀胱の疼きがそれを許さない。どうすれば
いいのかわからないまま、幸は太ももをすり合わせる。
「なんだよ、いつもみたいに強気になってよ。私のお尻にホースつっこんだ時みたいにさ!」
 軽くあてられる拳が、少しずつ強くなる。腰が勝手に跳ねて、その衝撃でまた下腹部の疼き
が大きくなる。言葉も出ない。とうとう、涙まで滲んできた。
「本当、随分大人しいのね。いつもこうなら、こんな思いしなくてすんだんですけどね!」
 言いながら、幸を吊り上げる香堂がお尻に膝を叩き込んだ。
「ひやぁうっ」
 思わず悲鳴をあげて、ぎゅうっと合わせた太腿を引き絞る。汗だくの脚が踊る様をカメラにお
さめて、うわあ、と中等部の生徒が声をあげた。
「先輩、早くおもらししちゃえば楽になれますよ」
「な……」
 涙目の幸に幼い笑顔を向けて、カメラを逸らさずに少女は言った。
「あたしにおんなじこと言ったの、おぼえてないですかぁ?」
 覚えている。
 後輩を相手にすることは珍しかった。それにあの時は後始末に手間がかかったから、よく覚
えている。そうだ。幸は確かに、この少女を相手にいじめをしたことがある。二年前、幸が中等
部二年だった時だ。中等部から編入してきたこの子―逢坂仁和子を、二月ばかりいじめぬ
いた。
 そうだ。覚えている。
「しゃ、しん……」
「え?」
「に、にわ子、あんたの……写、真が」
 何を忘れていたのだろう。幸にはとっておきのカードがあるのだ。この場にいる全員の痴態を
収めた写真たちが、幸の携帯電話には入っている。文月のもの以外はバックアップも既にとっ
てあるのだ。
「おまえ、らも……」
 名前も思い出せないかつての獲物たちに視線を向けて、幸は脅しをかける。汗だくの泣き
顔で、口元に笑みを浮かべての脅迫は、壮絶な気迫に満ちていた。
「ばら、まく。ばらまく、ぞ……!」
 良家のお嬢様たち。家柄と風聞を何より気にする彼女たちが、そんな写真の流出を良しと
するはずがない。解放される。これで解放される。
 靄がかかる頭で必死に導き出した策に、幸は笑う口元を更に吊り上げた。文月の反乱には
驚かされたが、いかほどのものか。即席の配下になどなんの意味もないということを、教えてや
らねば―
「今更、何を言ってんの」
 ―思考を断ち切って、柚子澤が呆れ気味につぶやいた。
「え……」
 まるで動揺していない。掌が伸びて下腹部を掴み上げ、ぎちゅっ、と握り潰した。

143:女学院復讐SS2 9/10
09/06/09 17:25:22 OZ0dGwUB
「うぁああっ」
「今更、何を言ってやがんのよ! もうとっくに、写真なんてバラまいてるくせに!」
 一瞬、世界から音が消えた。直前に耳にした言葉だけが、脳内を駆けずっている。
 馬鹿な。
 そんなはずはない。データは自分が持っている。他の誰にも触らせてない。幸がバラまいて
いないものを、誰がバラまくというのだ。
「顔を隠せばわからないと思ったんですか。馬鹿にして」
 吐き捨てるような声が背後から心臓に突き立った。違う。違うのだ。幸ではない。何が起こっ
たわけでもないのに写真をまいても、幸には何の得もないではないか。
「昨日の夜、有瀬さんから連絡があったんですよ。私たちだって復讐なんてする気はなかった。
あなたが、写真は流さないって約束を、ずっと守っていたからですよ……それを!」
「ち、ちが、違う……あ、ああ」
 得をするのは。今この状況で写真を散らばせて、利益を得るのは。それは単独では難しい
復讐に、熱意ある協力者を得ることができる、眼前に佇むこの女以外にありえない。
 その思考を読みきったのか、文月は幸にだけわかるように、薄い笑みを浮かべて頷いた。
「あ、ありせだ、ありせが、ありせが」
 震えながら、必死にそれだけを繰り返す。握りこんだ掌に力をこめて、柚子澤が我慢しきれ
なくなったように叫んだ。
「どこのどいつが、自分の写真をネットに流すんだよ!」
「じぶ―」
 今度こそ、幸の思考は完全に停止した。
 その通りだ。どこの誰が、自分の痴態をバラまいてまでいじめの復讐をするというのだろう。そ
んなもの、まともな人間の考えることではない。
 甘かった。見くびったのだ。こんな奴に手を出してはいけなかった。有瀬文月という女は、と
んでもない怪物だ。
「あは、」
 涙をこぼしてふるえる幸を見て、たまらなくなったように文月が笑った。快感を堪えたように、
ぶるりと身を震わせる。
「ほら! 後悔しろ!」
 一度離れた掌が股間を握り、思い切り捻られた。喉から声にならない悲鳴が迸り、背が勝手
に反っていく。赤く明滅する視界が、限界の到来を警告する。
「や、やだ、やめろ、ちくしょう、やだ、やだ! 無理、もう無理なんだよ! 許して、もう」
「うるさい、馬鹿!」
 叫んで、柚子澤が腕を突き上げた。縦揺れの衝撃が股間から膀胱を突き抜けて全身を貫く。
足が伸びきってビクリと震え、たまりにたまった熱の塊が、ずるり、と下方へ落ちていく。白く染
まる世界で、幸は、
「ふぁあぁあ……」
 心の底から安堵したような、甘くゆるやかな吐息をこぼした。

 ぷあしゃああっ、という破裂音にも似た放尿音が響いた。

 下着を通りぬけて、生暖かい液体が床まで太い黄金の糸を張る。柚子澤が手を放して体を
避け、カメラを構えた逢坂が一歩前に進み出る。
 幸はそれにも気づかず、せき止められていたものが解き放たれた、そのえもいわれぬ開放感
に震えていた。半開きの口から吐息と喘ぎが交じり合うような声が漏れ、時折ぴくりぴくりと足
が揺れる。脱力した体は香堂に持ち上げられていなければすぐさま倒れこんでしまうだろう。

144:女学院復讐SS2 10/10
09/06/09 17:25:47 OZ0dGwUB
「漏らして感じてるの? 変態」
 その様子を柚子澤が嘲弄する。ぱしゃぱしゃという水音がいやらしく惨めに響き渡り、幸は
涙でけぶった視界を足元に向けた。黄色い水溜りが大理石の床に広がっている。パンツはぐ
しょぐしょに濡れて、スカートにまで染みが広がっていた。
「惨めですね」
 声と共に、幸の両脇から手が抜かれた。踏み堪えることなどできるはずもない。落とされたの
はほんの数センチだが、幸は足を滑らせて自分の作った尿溜まりに顔からつっこんでしまっ
た。
「きたなあい」
 くすくすと笑って、逢坂がカメラを近づける。口の中にアンモニア臭い尿が入り込んできて、
幸は思わず唾を吐いた。
「学校の施設を汚さないで」
 嘲笑まじりのつぶやきと共に、柚子澤の足が幸の頭を押さえ込む。びしゃり、と水音が跳ね
て、顔面がおしっこまみれになる。
「まだ漏らしてますよ」
「う……」
 たまりにたまった尿は、勢いこそ多少弱めたものの、不様に地面にへばりつく幸の股間から
なおも弧を描いて散り飛んでいる。惨めさに目をつぶって、幸は唇を噛んだ。
「お似合いね」
 甘い吐息の混じる、文月の声が聞こえてくる。屈辱に身を固くして、心胆が怒りで燃え上が
って、それでも、放尿だけは止まらなかった。
 トイレの床を叩く水音は、そのまま一分近くも続いた。
■■■
 大理石に広がる尿溜まりに浸していた全身をゆっくりと起こして、幸は自分を取り囲む四人
を睨みつけた。
 眼鏡を押し上げる香堂、ツインテールを揺らす柚子澤、カメラを構える逢坂、そして堪えよう
ともせず愉悦の笑みを浮かべる有瀬文月。四人の怒りと興奮が、空気を通じて伝わってくるよ
うだった。この程度で、満足するはずがない。
「アリセ……アリセ……」
 ぎりぎりと歯を噛み締めて、怨敵の名を唸るようにつぶやく。当の文月は笑うばかりでとりあお
うとしない。
 文月がどうやって写真を流出させたのか、それは幸にはわからない。寮に空き巣に入ったの
だとしても、文月自身のデータはまだ携帯電話の中にしかないのだ。
「どうする、みんな?」
「これで終わりにはできないよね」
 文月の問いかけに柚子澤が言い、
「私たちがされたことをひとつずつ、全部やり返してあげましょうよ」
 眼鏡を押し上げて香堂が続いた。逢坂が楽しそうに何度も頷く。
「逢坂さん、カメラはあんまり揺らさないようにね」
「あ、すいません」
 カメラ―。自分で撒き散らした小便にまみれて、便所の床に膝をつくこの姿をカメラに収め
られているのかと思うと、目の前が暗くなっていく。この先にあるものがなんなのか、幸は誰より
知っている。知っているからこそ、魂を鷲掴みにされるような恐怖と絶望を覚えるのだ。
「ちくしょう……ちくしょう」
「さあ、はりきってね幸崎さん。時間なら、まだまだあるんだから」
 つきつけられた携帯電話の液晶の中、泣きながらお漏らしをする幸の写真の上で、三限が
はじまるまで四十分近くあることを知らせる時計の針が、秒と一緒に幸の体を刻んでいた。

145:名無しさん@ピンキー
09/06/09 17:26:07 OZ0dGwUB
以上です
んじゃつづき書いてくる。

146:名無しさん@ピンキー
09/06/09 18:36:09 KegoxmhX
これはメシウマGJ!
歪みなく丁寧で語彙も豊富だなあ
次回も期待して待ってます

147:名無しさん@ピンキー
09/06/09 21:49:02 KznfwjXo
うまいなぁ、そして面白いっていう
このwktk感はひさしぶりです
いくらでも待つので続き期待しています

148:名無しさん@ピンキー
09/06/10 03:40:42 w4hRj4mz
冗長な言葉をほとんど使わずに、書けてしまうのが凄いな。
続きを楽しみにしています。


149:名無しさん@ピンキー
09/06/10 21:07:32 jLXdpsXY
これは読みやすいし、それでいてすごく引き込まれるなあ。
GJ!

150:名無しさん@ピンキー
09/06/14 01:59:21 uCZ7lgUh
続きまだかなー?
楽しみすぎる

151:名無しさん@ピンキー
09/06/14 04:54:47 uszQ/0jb
まいぷるモード
キタ━━━(゚∀゚)━━━ !!! URLリンク(003.harikonotora.net)

152:名無しさん@ピンキー
09/06/18 21:49:17 8lBAG5As
まだか…

153:名無しさん@ピンキー
09/06/19 04:39:58 7Gtfcep3
>>109,134のつづき書いてみた。
以下から12レス分投下します。

スカトロ(大便)注意。

154:女学院復讐SS 1/12
09/06/19 04:41:14 7Gtfcep3
 ―ずっしりと、体が重くなる。
 目の前が暗く淀む感覚に、幸は身震いして四人の復讐者を見上げた。小水で濡れた制服
が、僅かに動いただけで不快感を全身に伝えてくる。特にショーツはぐっしょりと尿を吸い込ん
で肌に張りついていて、これでは丸いお尻もふっくらとした土手の形も、くっきりと浮かび上が
らせているに違いない。
「それじゃあ、誰からやります?」
 眼鏡を光らせて、香堂がそう言った。四人それぞれが受けた恥辱を、そのまま幸に返すと、
先ほども香堂はそう言っていた。自分が彼女らに何をしたのか、頭の片隅でどうにか思い起こ
して、その絶望に寒気を覚える。
「とりあえず、相田さんの分からにしましょう」
 提案したのは文月だった。どこから取り出したものか、大きめのペンケースを用意して、うっす
らと笑う。
「覚えてる、幸崎さん。あなたが彼女に何をしたのか」
「うるせえ……」
 覚えている。今朝までは忘れていたが、そもそもその写真を見たから幸は涼香のことを思い
出したのだ。液晶の中で泣く相田涼香。その膣に突きこまれていた十数本のボールペンまで、
はっきりと思う浮かべることが出来た。
「下着が濡れてたら気持ち悪いよね? 脱がせてあげるよ」
 笑いながら幸の短い髪の毛を掴んで、柚子澤が思い切り引きずった。黄色い水溜りから引
き出されて、幸が小さく苦悶の声をあげる。
「それじゃあ、脱ぎましょうね」
 言って、香堂が尿を吸い込んで濃く染め上げられたスカートをまくりあげた。現れたのは、意
外にも清廉なイメージの白いショーツだ。だが尿まみれで肌に密着したそれは隠すべき恥丘
の形をむしろ強調するようで、濡れた上質な布地はその奥の肌を透けさせて殊更に淫靡な印
象を与える。
 あらわになったスカートの内側にカメラを向けて、逢坂がくすりと笑った。
「……」
 意味のない静止の言葉など、幸は口にしなかった。本音を言えば叫びだして逃げ出したか
ったが、そういった言動の全てが火に注ぐ油になることを、彼女は誰より知っていたのだ。
「うわ、きったなぁい」
 嫌味たらしく言葉を溜めて、香堂が嘲罵する。柚子澤が便所の床に幸の小さい体を引き倒
し、香堂が膝に膝を乗せて動きを封じる。両の人差し指がショーツの端を引っ張り、ゆっくりと
嬲るように引き下ろした。
 散々に尿を吸ったショーツは肌に張り付いてスムーズには抜けず、くるくると縒りあって染み
込んだ汚水をこぼしはじめる。股を伝う感触に幸が眉をひそめ身をよじると、それをファインダ
ーにおさめる逢坂が楽しげな笑みを漏らした。
「それっ」
 掛け声をあげて、香堂が一気にふとももまで指を引き下げる。股布がしぶとく股座にしがみ
ついていたが、指先を引っかけられると、びちゃり、という淫猥な音をたてて剥がれ落ちた。
 さらけ出された幸の股間は、楕円状に鬱蒼とした陰毛が太腿あたりまでを覆っていて、その
形や色がにわかに判別できない。小便で濡れる恥毛は艶やかに秘奥を隠す黒い滝となって、
凌辱者の視線を遮っている。それでもその奥に、陰裂からはみ出た小陰唇が震えているのが
伺える。
 子供のような体躯に似つかわしくない淫蕩さが、露わになった秘所からは匂っていた。
「グロいですねぇ……」
 カメラをズームにしながら、逢坂が半ば本気の声でそう言った。幸が彼女を睨みつけるとほ
んの少し身を引いたが、カメラは逸らさない。

155:女学院復讐SS 2/12
09/06/19 04:41:53 7Gtfcep3
「なに後輩ビビらせてんだよ。ほら、香堂、足持ってよ」
「はい、そっちもお願いしますね」
 二人は片足ずつ両手に抱えて、左右に開いていく。幸も抵抗しないわけではなかったが、
体が小さく力も弱い彼女では二人がかりの強制開脚に対抗できるはずもない。ほどなく、幸の
両足は鈍角のV字を描き出した。
「それじゃあ入れるわね。しっかり開いててね」
「うん」
「私ここに来て、カメラ大丈夫?」
「はい、ちゃんとグロいあそこが映ってますよー」
 開かれた股に顔を寄せて、文月がくすりと笑う。細い指が生い茂る繊毛をかきわけ、 ぐちっ、
と容赦なく秘裂を割り開いた。色素の沈殿もない薄桃色の内襞が、外気と悪意ある視線に晒
されて怯えるように震えた。
「大人の形してるわりに、色はかわいいピンクなのね」
「逆にエロいなー」
「処女なんですか?」
 香堂が、ちらりと幸の顔を見返った。幸は初等部からこの学院で暮らしている。男と触れ合う
機会が全くないわけではないが、性行為の経験などある方がおかしいというものだ。香堂もわ
かって聞いているのである。
 幸は視線を厳しくするだけで答えない。その様子を見て、文月が口端を吊り上げた。
「確かめましょう」
 そう言って、文月はペンケースから一本のボールペンを取り出した。ノック式の黒いペンで、
学院の購買で売っているものだ。ペンケースの中には同じようなボールペンが二十本近くも入
っている。
「まず、一本」
 つぷ、と先端が靡肉にもぐりこむ。プラスチックの冷たい感触に幸が小さく声をあげ、四人が
嘲笑を漏らした。歯を食いしばって睨みつけるものの、文月は笑顔を浮かべるばかりだ。入り
口を探るようにペンが蠢く。幸は一日一回は自慰を行うが、それにしたって襞の表面を指で擦
る程度で、何かを入れたことはない。乙女のような貞操観を持っているわけでもないが、それで
も同性にボールペンで破られるとは思いもしなかった。
 細く、硬く、冷たい感触が秘肉を擦りながら淫奥へと近づいていく。じわじわと攻め込まれる
恐怖が、少しずつ、幸の体を震えさせている。
「怖いの?」
 見透かしたように、文月がつぶやいた。その視線は幸の秘所に向いたままだ。わざと肝心の
場所を外しているのだろう、ペン先が膣口をなぞるように円を描いている。
「……」
「正直に言って。怖いの、幸崎さん」
 足を抱えている香堂と柚子澤も、秘所の前に顔を寄せる文月も、それらをカメラに収める逢
坂も、幸が震えているのは明白だとばかりに薄笑いを浮かべている。噛み締めていたはずの
歯がカチカチと音を立てている。今まで自分が犯してきた女たちと同じような惨めな反応だけ
は見せまいと、幸はそれだけを考えて涙の浮かぶ眼を吊り上げていた。
「怖く―ない」
 裏返った声を震わせて、幸はそう強がりを吐いた。感心したように文月が吐息まじりの笑み
を浮かべて、
「あ、そう」
 ずぐり、と一気にそれを突きこんだ。
「あ、ぅ――!」

156:女学院復讐SS 3/12
09/06/19 04:42:29 7Gtfcep3
 細いペン一本、予想したような痛みや衝撃はなかった。ただ、異物が押し入る強烈な違和
感と不快感、そして『犯された』という実感が、ぞわりと幸の心を蝕む。目の前がぐらりと揺れて、
それだけで崩壊しそうになる。
 踏みとどまったのは、単純に屈するのが嫌だったからだ。ただの強情に過ぎないが、それで
も幸は悲鳴を飲み込んで視線に力をこめることが出来た。
「入ったのかよ」
 かすれる声で、そんな言葉さえ投げてみせる。自分はただ泣き叫ぶだけだったお前らとは違
うのだと、そう心で叫び続ける。そんな幸の精一杯の強がりに、
「入ったわよ。ほら、幸崎さん、一緒に数えて」
 文月の一言が亀裂を入れた。
「数え……?」
「そう。これが一本目。はい、二本目」
 かちり、とペンの尻に硬いものがあたり、震動で膣がこすられる。息を呑む幸を嘲笑うように、
二本目のペンが突きこまれた。
「いぎ……っ!」
「まだ余裕あるわね。ほら、数えるんだって。三本目」
 二本のペンでもう埋まりきっている隘路に、強引に三本目のペンが割り込む。肩を跳ねさせ
て、幸が細い喉から空気の塊を吐き出した。
「次は四本目ですよ」
「はい、よん、ほん、めー」
 笑いながら、幸を取り押さえる二人が囃し立てる。抗議の声をあげようにも、膣を押し広げて
突きこまれるボールペンがそれを阻害する。四本のボールペンが股間から伸びるのを、幸は
荒い息を繰り返して睨みつけた。
「がんばるわね。あと何本いけるかな」
「あたし的には、最低十本はがんばってほしいですー」
「いやあ、十五本はいけるさ。なあ?」
 柚子澤が片手を伸ばして、ボールペンを押し込んだ。びくりと背を反らせて、幸が呻き声を
あげる。
「なに言ってるんですか、せっかく用意したんだから、全部使わないと」
 ぐらり、と視界が揺れる。全部。全部と言った。一体何本あるのだろう。たった四本で、もう幸
の体は限界を訴えている。柚子澤の言葉を信じるなら最低十五本―この四倍近い数が、
膣に押し入ることになる。
 無理に決まってる。そんなの、耐えられない。
「お、おまえ、ら」
「はい、五本目」
「ごほんめー」
 声を弾ませる逢坂に合わせるように、赤いボールペンが林立する黒い柱に加わる。五本に
なった膣栓を見て、うん、と文月は頷いた。
「いいオブジェだと思わない?」
「数が足りないな」
「あと三倍はないといけませんよね」
「そっか。だってさ、幸崎さん。何か言いたいことある?」
「う……ぐ、い、」
 幸がゆっくりと口を開く。哀願なんて誇りが許さない。この期に及んで罵声を吐こうとして、
「いひぁああっ!」
 股間を襲撃した強烈な刺激に、思わず悲鳴をあげてしまった。

157:女学院復讐SS 4/12
09/06/19 04:42:58 7Gtfcep3
 バチバチと視界が瞬いて、危険を知らせるシグナルがひっきりなしに脳内で警報を鳴らす。
みちみちと膣が裂ける音が聞こえる。それが幻聴であるとわかっていても、幸は自分の股間が
真っ二つに裂けてしまったのではないかと本気で考えた。
 それほどの痛みだった。
 膣を駆け上り全身の血管を踏破して頭上へ突き抜けた痛みは、今まで幸が経験したどんな
痛覚とも違う性質のものだ。まるで神経を直接焼かれるような、名状しがたい衝撃だった。
「ふ、あ、ああ、」
 何が起こったのか、またしても涙がこぼれはじめた視界を、ふらふらとそこへ向ける。伸び上
がるボールペンの森が、倍近くに増えているように見える。
 ……錯覚ではない。
「はい、八本目。あれ、計算合わない?」
 わざとらしく笑いながら、文月がボールペンの尻をぐりぐりと回した。膣壁を撹拌される想像を
絶する感覚が、体の中心を走り抜ける。
「あっ、か、あああっ」
「かわいい声」
 ずちゅっ、と湿り気のある音がして、またペンが一本増える。濡れているわけではない。破瓜
の血があふれ出して来たのだ。ペンの林を伝う赤い雫に、文月は笑みを深くした。
「はい、十本目」
「大台突入だな」
「ふたけたですよー、先輩、すごいですね!」
 限界近くまで広がった膣口を更に押し広げて、今までのものより若干太いペンが潜りこむ。
抉りこむようにしてペンとペンの隙間にそれを差し込むと、文月は全てのペンのノッカーに掌を
添えた。
「これ以上は無理みたい。でも、全然足りないわよね?」
「そうですね。これで終わりなどといわれても、納得できません」
「おまえら……」
「ちゃんと撮ってますからねー、安心して泣いたり叫んだりしてくださいねー」
 この先の展開を予告するように、あるいは脅すように、文月の手がノッカーを軽く叩く。たった
それだけの刺激にも背を震わせる幸を見て、復讐者はこらえようともせず笑い声をあげた。
「それじゃ、いくわよ」
「あ、あ、ま、待っ―」
 文月の白い掌が、並ぶ十のノッカーに向かって、思い切り突き出された。
「んやぁああああぁああ――!」
 ザアッ、と視界に真っ赤なノイズが走る。
 ぐじゃっとグロテスクな音を立てて突進したペンたちは、未だ異物を知らない膣を抉り、未踏
の処女道を突き抜けた。飛び出たペン先が膣壁をつつき、激痛の中にひとしずくの快感を垂
らす。だがその程度では、脊椎を炙る激痛を紛らわせるにはまるで足りない。
「全部で二十本用意したから、足りない十本分はこれで我慢してね、みんな」
 言って、文月がペンを掴んだ手をぐるりと回した。十本のボールペンが互いにぶつかり合い
ながら、膣の中をぐじゅぐじゅと抉る。
「い、ぎあぁああ! やっ、やめっ」
「はい、二回目」
 今度は逆方向に手首が捻られる。跳ね上がる腰を香堂と柚子澤が押さえ込み、喉を反らし
て悲鳴をあげる様を逢坂が楽しげに記録する。
「やっ、やぁっ、いひゃあぁああっ」

158:女学院復讐SS 5/12
09/06/19 04:43:39 7Gtfcep3
 回転しながら抉るようにペンが押し込まれていく。涙でけぶる視界はまともに像を結ばない。
真っ赤なノイズが白濁する世界に踊っているだけだ。開きっぱなしで閉じることもままならない
口から、ぼたぼたと涎がこぼれおちる。伸ばされた舌が宙で踊り、ろれつのあやしい悲鳴が迸
る。情けない惨めな姿だが、幸にはもうそれすらわからない。
「―はい、十回目」
 いっそ優しげな声で、文月がそうつぶやく。事態を理解させようと一拍の間を置いて、幸の
反応を確かめた。
 幸には文月の声は聞こえていない。ただ、ずっと膣を抉りこんでいた感覚がなくなったことに、
ほんの一瞬気をゆるめて文月を見た。これで終わったのかと、無言の安堵が視線に現れる。
 文月は笑っていた。まさに、この一瞬を待っていたのだと言わんばかりに。
「そうれ!」
 掛け声をあげて、鍵のかかったドアノブを無理に開けようとするように、文月は乱暴に激しく、
手首を往復させた。

 ―ぐちっ! ぐちゃあ! ぐちゅあぁっ!

「―ぁっ」
 声が詰まる。音にならない。体を抉られる音が内側から聞こえる。おなかの中が燃えている。
炎が体中を巡っている。死ぬ。死んでしまう。死んでしまう!
「ああぁあああああ! や、も、もうやだ、いやだあぁああ!」
 全身を暴れさせて、幸は叫んだ。叫ばずにはいられなかった。今なにがどうなっているのかわ
からない。ただ、このままでは自分はどうにかなってしまう。ぼろぼろと涙をこぼして両手を振り
乱す幸を、香堂と柚子澤があわてて押さえ込む。文月が立ち上がって一歩下がると、二人も
幸から一旦離れた。
「やぁああ! も、もうやだ、やだよぉ! くんな! 来るなよお!」
 自分の体を抱いて震える幸は、さっきまでとはまるで別人のようだ。つまらなそうに唾を吐い
て、柚子澤が股間のボールペンを蹴り上げた。
「んきゃあああっ」
「この程度で参らないでよ。本番はこれからなんだからさ」
 言い捨てて、柚子澤は大股でトイレの奥へと向かっていく。不愉快そうなその背中をみやっ
て、香堂が軽く肩をすくめた。騒動の末に脱げてしまった幸のスリッパを拾って、仕切り直しだ
と言うようにパンパン、と打ち合わせる。
「四つんばいになりなさい」
 そして、高みから見下ろすような声で言った。
「え……?」
「四つんばいに、なりなさい」
 パンッ、とまたスリッパが音を立てる。「じょうおうさまですね」と逢坂が恐々つぶやいて、文月
が苦笑を返した。
 もう逆らう気力もないのか、幸は言われるままに大理石の床に手と膝をついて、震えるお尻
を香堂に向けた。まくりあがっていたスカートが垂れて、白く丸い桃肉を覆う。肩越しに怯えた
視線をよこして、
「たた、くのかよ」
 と涙まじりの声をあげた。
「それもするけど、今は違います。今は、あれ」
 そう言って、香堂はトイレの奥、用具室から出て来た柚子澤を指で示した。幸がそちらに目
を向ける。―息を呑む音が、離れて立つ文月にまではっきりと聞こえた。
 薄笑いを浮かべる柚子澤は、その手に長い、長い、水道のホースを握りしめていた。

159:女学院復讐SS 6/12
09/06/19 04:44:29 7Gtfcep3
「覚えてる? 覚えてるよね? これ」
「は、や、や、やだ! いやだぁあ!」
 四つんばいの姿勢のまま、犬のように手足を振り乱して、幸は逃げ出した。覚えている。正し
く言えば思い出した。あれを肛門に突き刺して、おなかが膨れるまで水を注ぎ込んだのだ。ぼ
ろぼろ泣いて許しを請う柚子澤の顔を踏みつけたことも、幸ははっきりと思い出した。
 記憶の中で、泣き叫ぶ柚子澤が自分と重なる。それは眼前まで迫った絶望的な未来だ。
「逃げないでくださいよ」
 当然のように、逃げ道を香堂が塞ぐ。眼鏡を押し上げて、いつか彼女にそうしたように、頭を
踏みつけられた。大理石の滑らかな感触が頬いっぱいに広がって、それでも幸は手をばたば
たと暴れさせる。まるで駄々をこねる子供のような、不様な姿だった。
「ほら、尻あげてよ、尻」
 まくりあげるのも面倒がって、柚子澤がスカートをズルリと引きずり下ろした。震える双臀とボ
ールペンが突き立ったままの陰部が晒される。十本のボールペンは血を滴らせて、強引に広
げられた膣は暴虐に喘ぐようにひくついている。
 それでも柚子澤は、その光景を不憫に思うことも、痛々しいと感じることも、罪悪感を覚える
こともなかった。それは囚人の処刑を憐れむようなものだ。
 潤滑液がわりにぬめる血液を掬い取って、肛門に塗りつける。その様子を見て、文月が手
洗い場から石鹸を持ってきた。軽く泡立てて塗りこむと、ぬるりと指が潜りこむ。これならば入り
そうだ。
「どのくらい耐えられるかな? どのくらいなら耐えられる?」
「むっ、無理、無理、無理! 無理だよぉ!」
「そんなことないよ。結構はいるもんだよ、ホースも水も!」
 どうにか逃げようと左右に揺れる柔肉を掴んで、石鹸で白く泡立った窄まりに指をかける。小
さく悲鳴をあげて背を反らす幸に笑い声を投げかけて、柚子澤は親指を菊座に押し込んだ。
「ふぁっ! は、ぬ、ぬいて!」
「まだ入ってないものを、どうやって抜くっていうんだか」
 爪の先から第一関節までを潜りこませると、鉤状に曲げた指を外側に引き寄せる。少女ゆえ
の柔らかさでぐにっと肛門まわりの肉がまるごと歪み、ピンク色の直腸壁が顔を出した。
「にわ子」
「はいはーい」
 呼ばれて、逢坂がカメラを構えたまま小走りに駆け寄る。むき出しにされた排泄器官をアッ
プで撮って、「おおお」と感嘆の声をあげる。
「なんか、やっぱグロいですね」
「だってよ?」
「う、うぅ、やめて、もうやだよぉ……」
 声をかけられても、涙をこぼすばかりで幸は何も答えない。これから何が起こるのかも、その
苦痛も、結末さえわかっているから、現実から逃げるくらいしか身を守る方法がないのだ。
「えっとー、えいっ」
 そんな幸の最後の抵抗を笑うように、逢坂の人差し指と中指が、一気に震える肛門に突き
こまれた。中で二本の指をパタパタと振る。直腸を嬲られる感覚に、幸は悲鳴をあげた。
 肛門は言うまでもなく排泄のための器官で、異物は自動的に外へ吐き出すように出来てい
る。その圧力すら愉しむように二本の指をわずかに前後させて、逢坂は柚子澤に倣うように、
二本の指をいっぱいに開いて、鉤状に曲げたそれを思い切り外側に引っ張った。
 口を閉ざして震えていた肛門は、今や歪んだ三角形を作って腸壁を晒している。
 冷気が内臓に直接触れて、幸の体を内側から冷やしていく。さっきからずっと目の前が真っ
赤で、視界がぐらぐらと揺れ続けている。きちんと前が見えないのは、泣いているからだけだろ
うか。幸ははもう、どうしたらいいのかわからなかった。どうすればこの状況を逃げれるのか、いく
ら考えても答えが出ない。こんなはずじゃない、こんなことになるはずはなかったのに。

160:女学院復讐SS 7/12
09/06/19 04:45:00 7Gtfcep3
「幸崎さん」
 いつの間にか幸の脇にしゃがみこんでいた文月が、にっこりと笑った。
「助かりたいの? 許して欲しいの? ごめんなさいって謝って、自分のしてきたことが最低で
馬鹿げたクズみたいな遊びだって、認められる?」
「はっ、は―」
 不思議と、文月の言葉だけはいやによく聞こえた。視界さえ明瞭になる。
 背後では柚子澤が開いた菊口に細めたホースの先をあてている。その感触を肌で感じて、
幸はガチガチと歯を鳴らした。
「この女学院であなたがしてきたことが、最低のことだって、言える?」
「はっ、はっ、はっ、はっ」
 幸は初等部の頃からこんなことをしてきた。女学院での最大の楽しみは、間違いなくこれだ
った。それを否定するということは、彼女の十数年を否定するということだ。幸にはプライドがあ
る。元々、彼女は誇り高い人間なのだ。そんなことを、容易に認められるわけがない。いかに
心身ともに嬲られきって衰弱していても、迷う。
 文月は、その迷いを知っていた。
「残念。幸崎さん謝るのは嫌だって。柚子澤さん、やっちゃいましょう」
「―えっ」
 最後の、助かる唯一の機会を自ら棒に振ったことを知って、幸は愕然と声をあげた。縋れた
かもしれない藁が、流されて消えていく。その絶望は、幸の心にぽっかりと穴を空けた。
「ひぁあああっ!」
 その穴を埋めようと、青いホースが首をもたげて潜りこむ。少しずつ数を増やされたボールペ
ンと違い、最初からある程度の太さを持つ太いホースの侵入は、幸の視界をまた赤い明滅で
埋め尽くすのに十分だった。
 肛門が侵入する異物を押し返そうと蠢きはじめるが、最初から広げられた穴では十分な働き
ができない。分厚いゴムの管は狭い道のりをぐにぐにと押し広げながら、五、六センチばかりも
潜り込んだ。
「このくらいなら、抜けないかな」
 言って、柚子澤が親指を引き抜く。それを見て逢坂も指を抜いた。途端に肛門が口を閉ざ
し、わずかにホースが押し出されるが、これほどの長さを吐き出せるほどの力はない。
「幸崎さん、いきんでみたら? 出るかもしれないわよ」
「ふ、ん、んー! ん――!」
 言われて、幸は必死になって括約筋に力をこめた。ひくひくと肛門が震え、菊皺がわずかに
広がって捲くり返る。だが、そんなことでホースを排出できるはずもない。
「ほんとにやってるよ」
「馬鹿っぽいですよぉ、先輩」
 背後で笑われて、幸は大理石の床に顔を押しつけた。もういやだ。もういやだ。今すぐここか
ら逃げ出したい。どうしてこんな目に遭うんだ。おかしい。おかしいじゃないか。
「それじゃあ柚子澤さん。注水といきましょう」
「まっ―待って! いや、それは嫌、やだ!」
「そりゃあ嫌だろうなあ。私も嫌だったよ」
 笑いながら、柚子澤がホースの根元、トイレの奥に歩いていく。文月が立ち上がって、ゆっく
りとした足取りで幸の背後に回った。肛門を押さえる必要のなくなった逢坂が、一歩退いてカ
メラを構え直す。
「ねえ幸さん。さっきの質問だけど」
 水道の栓が開かれ、ホースの内側を水道水が走りだす。シャアアッ、と滑らかに響く音に幸
が身を竦めるが、その瞬間はやってこない。

161:女学院復讐SS 8/12
09/06/19 04:45:32 7Gtfcep3
 香堂が、頭を踏みつけていた足を放した。おそるおそる背後を振り返ると、伸びるホースを、
文月が足で踏みつけていた。あれならば、そこで水は止まりここまでやってこない。蛇口も全開
にしているわけではないのだろう。水のたまりも遅いようだ。
「今なら答えられるんじゃない? あなたのしてきたことを、あなたの十年間を、あなたの口で否
定してちょうだい」
「……あ、ああ、」
 さっきは見逃した救いの藁が、今またそこに漂っている。それは幸のアイデンティティに関わ
ることかもしれない。それでも、この場から逃れられるのなら、なんだって構わない。
 顔を前に戻す。香堂は一歩も動かずそこにいる。逃げようとしても無駄だろうし、元からそん
な体力はない。幸の膣には、まだボールペンが十本も群れを作っているのだ。
 もう一度肩越しに振り返って、幸は涙でぐしゃぐしゃの顔を更に歪ませた。
 文月の足によって止められている水が、ホースを内側から押し広げている。ホースの膨らみ
はそのまま、幸にとっての絶望の量だ。水圧でホースが揺れるのを見てとって、幸は一度唇を
噛み締めてから、
「みとめる、」
 と、つぶやいた。
「何を、どう、認めるの。もっとはっきり言いなさい」
 冷たい声は香堂のものだ。幸は震えながら、肺の中身を全て音にするように、悲鳴じみた宣
誓を行った。
「アタシがしてきたことは、馬鹿で下種な最低の遊びだった! 本当に―本当にそう思う! 
ごめんなさい! もうしません! だから許して! もう許してください!」
 ガクガクと震えながら、顔中を涙で濡らして、それでも幸は言い切った。それはこの場の全員
が望んでいた謝罪だ。普通の方法では決して得られなかっただろう、幸崎幸の懺悔だ。
 満足したように、文月は微笑んだ。他の二人も、胸につかえていたものが少しは取れたよう
に、小さく頷く。
「そう。わかったわ、幸崎さん」
「あ……」
 安堵に、幸が震える笑みを浮かべる。儚いその笑顔を見て、
「それじゃあ、お仕置きね」
 文月は微笑みを浮かべたまま、ホースを踏みつけていた足をあげた。
「え」
 散々せき止められていたものを解放されて、鉄砲水が弾け飛ぶ。垂れていたホースを水圧と
衝撃で跳ねさせるその勢いのまま、幸の腸内へ一挙になだれ込んだ。
「ひゃああぁああああ―――ッ!」
 普通に生きていればまず経験しない直腸への逆流に、幸は背を仰け反らせて悲鳴をあげた。
冷たい。異物感などは二の次だ。腹の奥まで流し込まれる冷水の低すぎる温度だけが、幸の
感覚の全てだった。
「このまま、逆側からお腹いっぱいにしてあげるよ」
 用具室から出て来た柚子澤が、笑いながらそう言った。
「なんで! な、ひゃあぅっ、なんれ、なんでだよぉ! あやまっひゃのに、あ、アタ、アタシ、ちゃ
んとあやまったのにぃ!」
 バンバンと大理石の床を叩いて、幸が吠える。耳元では大量の水が胃に逆流する音が聞こ
えている。もちろん本当にそんな音が鳴っているわけではない。全て幻聴だ。
 だが今の幸にとって、その恐怖は現実だった。
「謝ったわね。そうすれば許すなんて、誰が言ったの?」

162:女学院復讐SS 9/12
09/06/19 04:46:18 7Gtfcep3
 水の勢いが強くなった。柚子澤が用具室に戻って、蛇口を更に開いたのだ。ドドド、という水
音が、今度は本当に響いている。腸の柔壁を盛大に叩かれて、ビクリビクリと白い尻が跳ねる。
薄く張られた漿膜を乱暴に撫でながら、漿液と交じり合ってS字結腸にまで達し、溢れかえっ
て踊っている。
「う、うあ、ひゃっ、ああ、う、うそつき、うそつき、うそつきぃ……!」
 なんてつまらない手に引っかかったのだろう。騙した文月も、騙された自分のことも許せな
い。
 心を奮い立たせることはもうできない。違う誰かをいたぶることすらもうできないだろう。今日こ
の日が、この宣誓が、永遠に幸につきまとう。誰かを嬲る喜びは、幸の中から消えたのだ。虐
げられる立場に転落し、そこから這い上がる唯一の方法すら奪われた。
 幸にはもう、戦う気力がない。
「うああああ! もうやだ! や、ふぁあっ、つ、冷たいよぉ、ぬいて、もうやめてよぉ!」
「って言ってるけど、どうする?」
「あ、じゃあ、そろそろ私いいですか?」
 スリッパを掲げて、香堂が言った。微笑んで、文月が位置取りを交換する。逢坂が「すぱん
きんぐっていうんですよね!」と無邪気に声をあげた。
「おなか、苦しくないですか」
「う、うひっ、ひぅ、ふ、ふ、」
 苦しくないはずがない。柚子澤が調節しているのか、水の勢いは収まってきてはいたが、そ
んなものは気休めにしかならない。下腹部は妊婦のように膨らみ、大量の水が腸壁を押し広
げている。冷え切った腹部が激痛を訴え、ぐるぐると不穏な響きまで立てはじめた。体を丸め
て耐えているが、決壊はそう遠くないだろう。
「苦しいですよね? うん、そうですか。よかったです」
 そこで、放水は止められた。ホースを生やした肛門付近に水がにじんでいる。逆流してきた
のだろうか、と香堂は考えて、どちらが逆流なのかわからずに苦笑した。
「それじゃあ、我慢してくださいね。私、汚れたくないので」
 ひゅうん、と風切り音を立ててスリッパを振る。震える柔尻に一度スリッパを優しくあてて、そ
れから思い切り振りかぶった。
「一発目!」
 ぱあん! と景気のいい音が響く。びくん、と幸の背が跳ねて、すぐにまた身を丸める元の姿
勢に戻る。それを見て、香堂は遠慮なく二発目を打った。
「くぅあっ! あ、ふ、ふぁっ! ぎぅっ!」
 ぱあん、ぱあん、と音が鳴るたびに桃尻がふるんふるんと跳ね回り、繋がっているホースが踊
る。性器に潜りこんだままのボールペンがカチャカチャと音を立てて、しぶとく伝う処女血が床
に雫を落とした。
「まだ! まだ! 我慢! するんです、よ!」
 幸の尻はあっという間に真っ赤になってしまった。香堂はわざわざ左右叩き分けて、休まず
に腕を振る。呻き声をあげ、打擲のたびに体を跳ねさせながら、それでも幸は懸命に肛門を
締め付けた。そんなことに意味はないと知っていても。
「香堂先輩、過激ですねえ」
「お前はやらなくていいの?」
 いつの間にか用具室から戻っていた柚子澤が、香堂のスパンキングを楽しげに眺めてそう
言った。ちらりと視線を投げて、逢坂はふるふると首を振った。
「おもらしの仕返しは、もうしましたからねー」
「なるほど」
 ばあん! と一際大きな音が響いて、幸の小さな体が、上半身が起き上がるほど弾んだ。何
事かと思えば、香堂がスリッパを肛門に直接たたきつけたらしい。ぷぴっ、という下品な音を立
てて、水が数滴散るのが見えた。

163:女学院復讐SS 10/12
09/06/19 04:47:44 7Gtfcep3
「……まあ、こんなものでしょう」
 息を切らせて、香堂が体を横にずらす。いざ決壊するとなった時に、足にかぶったりしたら最
悪だ。スリッパを、わざわざ幸の顔にあたるように投げ捨てる。
 文月はその様子を見て、一度全員を見返った。腕を組んで笑みを浮かべる柚子澤。わずか
に頬を上気させ、息を整えている香堂。カメラを構えて、にこにこと笑う逢坂。そして、今も体を
丸めたまま、震えて便意に耐える幸崎。
「……みんな、いいかしら」
 授業時間もそろそろ終わりだ。全員が顔を見合わせて、一様に頷く。文月は頷き返して、足
もとの幸に目を向けた。
「立って」
「む、り」
「今度は本当に、これで許してあげる。だから立って」
「……う、ぐ……」
 文月の言葉を信用したわけではないが、どちらにせよ従わなければいけないことに違いはな
い。幸はおなかを押さえて、ふらふらと立ち上がった。
「小さい方からはじまったから、大きい方でおわらせるの。楽しいでしょう?」
「ゆ、ゆるして、くれるっ、て」
「うん。今からいうことをちゃんとできたらね」
 文月はまず制服を指さして「脱いで」と簡潔に命令した。
「う……」
「股間からペン生やして、今更でしょ。間に合わなくなっちゃうわよ」
 震える手で、幸は制服を脱ぎはじめた。腹痛を堪えてのことだからいちいち動きが遅い。だ
が幸にしてみれば、これは本当に最後のチャンスなのだ。今更と言うならばそれこそ今更だが、
それでも幸は従わないわけにはいかなかった。
 ほどなく、幸は下着も脱ぎさって裸になった。局部を隠す余裕などない。慎ましい胸と桜色
の乳首を見て、文月は少しだけそこを責めなかったことを残念に思った。
 制服と下着を受け取って、微笑む。幸は動こうとしない。許されるのを待っているのだ。勝手
に判断してトイレに駆け込まない程度には、この数十分で『調教』されていた。
「それじゃあ幸崎さん。今日何をされたかはわかるわよね。みんな、やられたことをやり返した。
そうよね?」
「……」
 聞かれても、幸に答える気力は残っていない。ただ頷くだけだ。
 文月はそれで満足なのか、頷き返して、それから、
「でも、私は、まだよね」
 うっすらと、心臓まで凍るような笑顔を浮かべた。
「え……」
「私にしたこと、覚えてる? 伊勢宮さんじゃなくて、あなたが、したことよ」
「……」
 幸は腹痛に占領されそうになる頭をひっくり返して、必死で思い出そうとした。文月にしたこ
と。幸が、文月にしたこと。いくらでもありそうな気がしたが、そう多くはない。裸にして、写真を
撮って、性器を嬲っていたのは伊勢宮だから―
「あ」
 ―そして、その答えにたどり着く。わかってみれば簡単だった。幸はほとんど、それだけを
文月に与えたのだ。
「ま、って」
 もうずっと震えている声で、なんとか制止の言葉を紡いだ。だがそれがなんだというのだろう。
「それじゃあ、いくわね」
 笑顔のままだった。文月は笑顔のまま、足を振り上げた。


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