ヤンデレの小説を書こう!Part20at EROPARO
ヤンデレの小説を書こう!Part20 - 暇つぶし2ch450:名無しさん@ピンキー
08/12/07 00:56:17 taKrNr8n
サブタイトル酷すぎwwワラタwww

GJ!

451:名無しさん@ピンキー
08/12/07 03:31:58 ZcU1mNj7
乙です
てっきり長老の頭が30秒フラッシュするのかとおもたww

452:名無しさん@ピンキー
08/12/07 09:13:34 fn3GMyDI
GJ!
十話どころか百話でも読んでいたいです!
殿堂いりするまでじっくり描いていただけたら嬉しいです。

453:名無しさん@ピンキー
08/12/07 10:51:13 pEsWriI1
GJ!!
毎回楽しませてもらってますw

454:名無しさん@ピンキー
08/12/07 16:16:10 c56em8ct
GJ!ついにマダツボミのとこへw

455:名無しさん@ピンキー
08/12/07 16:29:33 y+u5NYUe
「他の女に触っちゃだめ! 近づいちゃだめ! 同じ空気吸っちゃらめえええええ!!!!」

456:名無しさん@ピンキー
08/12/07 17:25:59 /kPuzFbe
最後のはどうしろと…

457:名無しさん@ピンキー
08/12/07 17:36:09 weaCV8HC
常に人工呼吸ってことだろ

458:名無しさん@ピンキー
08/12/07 17:38:52 J3QiSMbn
ヤンデレは自己中

459: ◆mkGolZQN7Y
08/12/07 17:43:02 RYs32Fbz
鳥付けてみました
>>436を見ていたら妄想が止まらなくなってしまったので、
流れぶった切って投下です

460:幸せになったメイドさん ◆mkGolZQN7Y
08/12/07 17:45:35 RYs32Fbz
「俺さ、明日デートの予定あるから夕食の用意はしなくていいよ。彼女とどこかで食べてきちゃうから」

いつも一緒に日々を共に過ごしてきた家族同然のメイドに向かって、彼女の雇い主である男は喜々とした表情で意中の相手と明日デートすることを話した。
彼は長らく思い続けてきた女性に勇気を出して、
「よ、よかったら明日一緒に遊ばない?」
と今日ようやく言うことができた。
突然そんなことを言われて彼女も最初は戸惑っていたが、少し考え込むと
「うん、いいよ!でも、約束破ったりしたらひどいんだからね?」
と可愛らしく微笑みながら答えてくれた。
今その光景を思い出すだけでも顔が自然とにやけてしまう。主人としての威厳が。
しかし、明日のデートを想像するとどうしても頬が緩むのを抑えられない。
ニヤニヤと明日のデーットへ思いを馳せている主人を余所に、メイドの少女は顔も向けずに抑揚のない声で答える。

「旦那様。その件ですが、先方からなかったことにして欲しいとの連絡がございました」

「え……?だって今日『いいよ!』って言ったばっかりで……」
先ほど約束したばかりの彼女がいきなりそんなことを言うとは何事だ。
驚き、慌てて彼女の方を振り返ると彼はかすかな違和感を覚えた。
デートは中止にするとの旨の電話が掛かってきたと彼に伝えた彼女の顔はあまりにも無表情で、能面か何かのようだった。
「旦那様……女中風情の私が申すのは差し出がましいことでしょうが、あの御方と交際なされるのはあまりよろしくないかと。
旦那様は何よりも気高く、何よりも麗しく、何よりも優しい心をお持ちになった素晴らしい御方です。
その貴方様がせっかくお誘いになられたのに、それを軽々しく袖にするとは見下げ果てた方です。
そう、あんな女など……しまえば……いえ、何でもございません」
今男に対して忠告、あるいは警告をしている彼女は確かに普段と違っていた。
彼の話を楽しげに聞くいつもの穏やかな表情は今の彼女にはどこにも窺えない。
むしろ、そう……まるで激しい怒りを吐き出す寸前で何とか平静を保っている危うい顔をしていた。
端正な顔を眉一つ動かさずに淡々と喋り続けるその姿に違和感を覚える主人を置いて、彼女は冷たい口調で話し続ける。

「とにかく。旦那様には自分が騙されているかもしれないという自覚が足りていないように見受けられます。
旦那様はとても立派な御方。それ故に身の程知らずの恥知らずな女性達が、常日頃、息を潜めて貴方様を狙っているのです。
それに昔から『女心と秋の空』と言われるように、女の抱く思慕の情など移り気なもの。
もし、旦那様の眼鏡に適うような女性と交際をすることになっても、その方が本当に貴方様のことを想っておられる保障などどこにもないのですよ?
思慕の情を持たない相手にも金次第で簡単に股を開き、相手に飽きたら次々と交際相手を乗り換えるという呆れた女性達が世間には蔓延っているようですね。
一片の穢れもなく、清らかな身体のまま健やかに育ってきた旦那様にとってそのような方達は毒以外の何物でもありません。
彼女達に気を許したら最後。きっと貴方様を悩ませ、苦しませ、全てを蝕み、元の色が分からなくなるまで汚し、そしてボロ雑巾の様に捨てるでしょう。
決して貴方様をそのような不埒な輩に渡すわけにはいきません。そう、例え何があっても絶対に……」
過剰なほどに自分の主を褒めちぎり、それとは逆に今の女性が低俗な恋愛観を持っているかを力説する彼女の顔は俯いていてよく見えない。
だが固く握り締められたこぶしはプルプルと震え、彼女が何かに対して怒り狂っていることは男にも分かった。
しかし、彼には普段あまり感情を表に出さない彼女が一体何に対してそこまで憤りを感じているのかまでは理解できなかった。
最も理解していたところで彼の運命は変えることはできなかったに違いない。


461:幸せになったメイドさん ◆mkGolZQN7Y
08/12/07 17:48:30 RYs32Fbz
「どうしてもとおっしゃるなら、旦那様にそのような女性達の思惑を見抜き、誘惑に誑かされぬ屈強な精神を作っていただく必要があります。
そう……例えばこんな状況になったら旦那様はどうなされますか?」
言い終わって顔を上げた彼女は笑っていた。
いつも一番傍にいて、最も多くの時間を共にした男でさえ見たことのない妖艶な暗い笑みを浮かべて。
そして彼女は身に纏うメイド服に手をかけ、ゆっくりと一枚一枚丁寧に衣服を脱ぎ捨てていく。
まるで飢えた男を挑発するかのような淫らな動きを彼の目に焼き付けるために。
均整の取れた美しいプロポーションをメイド服の下に隠していたが、今それは月明かりの元に全てが曝け出されている。
メイドの思惑通り、自分の主人はただポカンと口を開いたまま、視線を外さずに食い入るように見つめることしかできなかった。
その様子を見て、一子纏わぬ生まれたままの姿になった彼女はおかしそうにくすくすと笑い声を漏らす。
「さぁ、旦那様。こうやって体を使って迫るような悪いオンナは早く振り払ってください。ほら……」
そう言うと彼女は出来る限り素早く、しかし主に痛みを感じさせぬように優しく押し倒す。
突然メイドが衣服を脱ぎだし、自分を誘惑するかのような行を目の当たりにして、半ばパニックになっていた彼は、あっと言う間の出来事に抵抗することも忘れていた。
ふと股間の当たりに甘い痺れが走る。気が付くと彼女が浅ましくズボンの中で暴れる彼自身を、布越しから愛しそうに撫でていた。
「ダメじゃないですか。こんなに大きくしてしまっては。これではやめろと言っても説得力の欠片もありませんね?ではこのまま続けます」
彼女は嬉しそうにズボンの中に窮屈に押し込められていた彼の愚息を取り出す。
本来自分に使えるメイドである少女に今は良い様に弄ばれているというこの状況に、彼の肉棒は痛いほど反応していた。
「素敵です、旦那様……いつまでも子供と思っていたらこちらの方もすっかりご立派になられて……私は嬉しいです」
恍惚とした表情でうっとりと顔を赤らめるメイド。最早その瞳は焦点を結んでおらず、情欲に潤みきっていた。
彼女の熱い吐息が男の肉槍にかかり、ひんやりとしたその細い指が決して逃さないように絡みつく。
その度に彼は情けない嬌声を漏らし、ビクンと身体を跳ねさせる。

「そう……これでいい……旦那様の純潔がどこぞの薄汚い泥棒猫に奪われるくらいなら、私が……」
自分が使えている主人のあられもない痴態を見て、彼女はとても満足そうに呟く。しかし、その声はまるで呪詛を唱えた様に低かった。
のそのそと体を起こし、仰向けに横たわる自分の主人の上に覆いかぶさる体勢となる。
そして、彼女は腰を浮かすと熱くそそり立つ彼の一物を掴み、自身の秘所へと導く。
既にそこは男と男そのものを欲しがるあまりに、溢れ出る蜜が糸を引くほどに熱く潤っていた。
最早彼女は我慢の限界に達していたが、わざとその蜜壷の中に彼を招待しようとはしない。
「んっ……入れたいですか、旦那様?いいですよ。たっぷりとこの卑しい召し使いめの肉壷の中にたっぷりと子種をお吐き出しになってください。
でもちゃんと言葉にして誓ってください……あのような端女のことなど忘れて、私のことを愛すると……そして、死が二人を分かつその時まで私を愛し続けると……」
彼に脅迫としか思えない言葉を投げかけ、入り口を怒張した陰茎の先端で軽く擦る。
だがその熱く潤った花弁の奥への侵入は決して許さない。焦らしているのだ。
その生殺しともいえる悪戯に男は情けない声で呻くのみ。
彼にはもう主人とメイドの禁じられた関係などを気にしている余裕はない。

『早く入れさせてくれ!!』『精液を吐き出して楽になりたい!!』

完全に性欲に支配された男の頭では、目の前で意地悪く微笑む少女の体内に自分の分身を埋めることしか考えられなかった。


462:幸せになったメイドさん ◆mkGolZQN7Y
08/12/07 17:49:22 RYs32Fbz
「――!!」

とうとう耐え切れなくなった彼は息も絶え絶えに彼女に向かって何かを呟く。
まるで囁くような掠れた声だったが、彼女の耳は決してその言葉を聞き逃すことはなかった。
やっと彼女が大事に育ててきた想いが報われた瞬間だった。
彼女の顔に満面の笑みが広がる。しかし、それはあまりに美しく、妖しく咲き乱れていた。
もう誰にも渡さない。一生離さない。旦那様は私のものだ。
今は快楽に支配された体だけの淫らな繋がりかもしれない。しかし、いずれは心も私の虜にしてみせる。
そして、私にはその自信がある。何故なら彼をこの世で一番愛しているのはこの私なのだから。

「旦那様、愛しています……」

そう言って彼女は今日見た中で最も美しい笑みを浮かべ、彼の唇にそっと口付けをする。
彼女にとってそれは誓約であった。自分は男を愛し、男は自分だけを愛するという誓いを互いの体に、心に刻み付ける。
そして、彼女は最後の仕上げとして彼の熱く滾ったペニスを彼女の入り口にあてがうと、一気に腰を落とした――



その後、主人である男とメイドの少女は忽然と屋敷から姿を消した。そして、彼らの姿を見た者は誰もいない。
ただ一つ言えることは、かつてただのメイドにしか過ぎなかった少女はあの日、この世で最も幸せな女になったということだけである。


463: ◆mkGolZQN7Y
08/12/07 17:53:34 RYs32Fbz
投下終了です
前は皆さんにワッフルさせたり、大作の後がこれとか色々とスイマセン……

464:名無しさん@ピンキー
08/12/07 18:04:46 taKrNr8n
>>463
メイドさんに俺から精一杯の祝福を贈りたい。

GJ!

465:名無しさん@ピンキー
08/12/07 18:50:17 zJ2feEcN
俺もデーットしたいぜ

466:名無しさん@ピンキー
08/12/07 19:41:51 xoAe/ByE
しかしデーッドにもなる

467:名無しさん@ピンキー
08/12/07 19:55:52 6puryr8x
そろそろクリスマスだな
おまえらの予定はどうよ?

468:名無しさん@ピンキー
08/12/07 20:16:50 FbaBu0/A
>>463
これは良いメイド
しかし振られた女の子の逆襲も見たくなってしまったw

469: ◆mkGolZQN7Y
08/12/07 20:54:40 RYs32Fbz
>>デーット
なんというミス
これはまちがいなくねたにされる
と思ってたら本当にされてたorz
直せるものなら直したい
しばらくROMってます……

470:名無しさん@ピンキー
08/12/07 21:06:56 FbaBu0/A
保管庫に訂正して保管してもらえばいいんじゃない?

471: ◆mkGolZQN7Y
08/12/07 21:14:21 RYs32Fbz
>>470
そうですね……
保管庫の管理人さんへ
もし見ていたら他の誤字脱字はともかく、
>>460の12行目にある「デーット」だけはどうか「デート」に直していただけないでしょうか?
厚かましいお願いですが、どうかよろしくお願いします

472:名無しさん@ピンキー
08/12/07 21:22:43 YOOCQmAu
wikiなんだから自分でやれよ

473:名無しさん@ピンキー
08/12/07 21:32:06 We3r0tDo
まあまあ
自分の作品を自分で載せるのは抵抗がある人もいるし
それに誤字と言っても無理に訂正する必要もない気もするけどな
たいていの作品に一個や二個は誤字脱字はあるものだし

474:名無しさん@ピンキー
08/12/08 00:14:23 7e6Rt89M
GJ!
いいなぁ…メイドいいなぁ…

475:名無しさん@ピンキー
08/12/08 01:16:15 /TF1kZBW
>>467
その話題に誰も触れようとはしない

476:名無しさん@ピンキー
08/12/08 01:48:22 KBT30P9l
自演乙

477:名無しさん@ピンキー
08/12/08 05:56:34 D33g1qUL
自演ではないが…
ヤンデレの彼女が欲しい…

478:名無しさん@ピンキー
08/12/08 07:25:10 GrHzOXEv
みんな欲しいよ!

479:名無しさん@ピンキー
08/12/08 09:23:08 2cXWSHRk
>>477
一番大切なものって、案外すでに持ってたりするんだよな

480:名無しさん@ピンキー
08/12/08 13:54:20 zdqw3Jds
貴方の身辺の水面下で何が起こっているか把握したらあるいは…

481:名無しさん@ピンキー
08/12/08 20:25:27 mPIzvdZm
昔ちょっとヤンデレ気味の娘と友達以上恋人未満な感じだったんだが
リアルに恐いと感じたことがあった……

482:名無しさん@ピンキー
08/12/08 20:46:24 QUfeXmiD
惜しい事を。
でも、今このスレに居るという事はその娘のことを忘れられないんだろ?
今すぐよりを戻せ。骨は拾ってやるから代わりに観察させろw

483:名無しさん@ピンキー
08/12/08 20:56:48 2cXWSHRk
馬鹿だな。骨の一片まですべてあの子のものに決まってるじゃないか。俺達が手に入れられるわけが無い
よって骨も拾ってやれないが行ってこい

484:名無しさん@ピンキー
08/12/08 21:25:08 X/uBjTtv
いや待て、>>481は「骨を拾わせる」という名目で>>482を誘いこむ為のヤンデレ娘の罠ではないだろうか

485:名無しさん@ピンキー
08/12/08 21:33:55 o8pBTmPy
嫌な流れ

486:482
08/12/08 21:36:47 QUfeXmiD
ちょっと、骨拾ってくる。ノシ

487:名無しさん@ピンキー
08/12/08 22:24:39 p3fKUhBB
ムチャシヤガッテ……(AA略

488:名無しさん@ピンキー
08/12/08 23:14:13 e5dSRAPM
ヤンデレの彼女が家にいない間に他の女を家に呼びたい
スリルショックサスペンス

489:名無しさん@ピンキー
08/12/09 03:34:26 5jEd93gA
俺なんかヤンデレの彼女を大事に大事にしてみたいぜ。
でも相手からは俺の身体に触れさせないぜ!

490: ◆UDPETPayJA
08/12/09 18:15:41 P3hsFZwf
第8話投下します。

491: ◆UDPETPayJA
08/12/09 18:16:18 P3hsFZwf
 飛鳥くんに拒絶されて、何がなんだかわからなくなった私はただ、子供のように泣きじゃくっていた。
 視界がぼやけ、床が生き物のようにぐにゃりと歪む。立つことすらままならない。怖くて寒気がとまらない。今の私はそんな状態だった。

「…だから言っただろう。もうよせって。」
 男の人の声がした。この声はたしか…斎木くんだったかな?
「私…もうだめだよ。飛鳥くんに拒まれてまで生きていたくなんかない。」
 実際その通りだった。もしこの場にカッターナイフがあれば手首を縦に切り裂き、縄があれば迷わず首をくくれる。…もう絶望しきっていた。
 でも、斎木くんはこう言った。
「結意ちゃんは悪くないよ。飛鳥ちゃんはきっと騙されてるんだ。」
「…だまされてる?」
「そう、騙されてる。きっと妹ちゃんにでもそそのかされたんだろ。でなきゃ突然あんなこと言ったりしないさ。」

 斎木くんの言葉は魔法のようだった。今の私はそれを疑う術も、余裕もない。むしろ、私にとってその言葉は救いだった。
「…そっか、そうだったんだ。まったく…しょうがないなぁ飛鳥くんってば。それなら早く言ってくれれば良かったのに。でももう大丈夫だよ。」

 そう、もう大丈夫。どうすれば飛鳥くんを解放してあげられるか気付いたから。
 そんな悪い娘、死んじゃえばいいんだよね。わかってるよ、言ったでしょ?

「私、飛鳥くんの為ならなんだってできるんだよ?」

492:天使のような悪魔たち 第8話 ◆UDPETPayJA
08/12/09 18:17:06 P3hsFZwf
* * * * *

 結意ちゃんのほうはこれでよし、と。次は飛鳥ちゃんのほうだ。一応確認しとかなきゃいけないな。
 おそらく…亜朱架さんがやったんだろう。あの人はそういう人だ。結意ちゃんもそうだけど亜朱架さんの愛情も、狂気じみたものがある。
 わざわざ研究所を逃げ出してまでここに戻ってきたのは、たぶん結意ちゃんのせいだ。まったく…女のカン、ってのはつくづく厄介なものだよ。
「結意ちゃん。」俺はもう一度声をかける。「俺、これから飛鳥ちゃんのとこに行くけど、良かったらその弁当渡してきてあげるよ。」
「いいの?」
「ああ、たぶん結意ちゃんが行くと迷惑になっちゃうよ。帰ったらきっと妹ちゃんにお仕置きされちゃうんじゃないかなぁ?だから俺が行ってきてやるよ。」
 これはもちろん嘘だ。妹ちゃんが飛鳥ちゃんに通常はあってはならない好意の抱き方をしていることは知っているが、実際にはまだそこまでは達してないはず。
 亜朱架さんがいるから、まもなくそうなるかもしれないけどな。
「じゃあ、お願いするね。」結意ちゃんは弁当箱を預けてきた。俺はそれを受け取り、飛鳥ちゃんのもとへ向かった。

 飛鳥ちゃんはやはり屋上に来ていた。この学校内で教師の目に付かない、サボりに適した場所といえばおのずと限られてくる。
 今でちょうど三時限目のチャイムだ。どうせ渡すなら空腹がピークに達する昼時がいいだろう。
 場所さえ確認できていれば、すこし寄り道しても問題あるまい。俺は屋上を離れ、人気のない旧校舎に足を向けた。

 周りに人がいないことをよく確認し、俺は携帯を取り出した。電話帳から呼び出した番号は、飛鳥ちゃんの自宅だ。

「…もしもし、神坂ですが。」
 やはり。この幼い少女のような…それでいてどこか知性が感じられる声。間違いない、亜朱架さんだ。
「お久しぶりですね、亜朱架さん。斎木です。」
「…あら、隼くん。どうしたの、今は授業中じゃあ?」ある意味当たり前の質問だ。
「亜朱架さんも人が悪いな。サボってるのわかってるくせに。」
「そうね。で、サボってまで電話してきて…なんの用件かしら?」
「では単刀直入に…飛鳥ちゃんの記憶をいじりましたね?」さて…亜朱架さんはどう答えるだろうか?

「ええ。飛鳥には悪いけど、あの結意っていう娘のことをちょっと忘れてもらったわ。」
「何のためにです?」
「あなたもわかっているんじゃなくて?妹のためよ。」電話口でひとつため息をついて、亜朱架さんはさらにこう続けた。
「妹の幸せが私の幸せなの。あの娘が飛鳥を愛していたことはずっと昔に知っていたわ。でもあの娘は飛鳥と2人でいられる幸せを壊したくないから言えずにいた。
 飛鳥はあの娘のことを普通に妹としてだけ愛していたし、もし知ればあの娘を拒絶するのは目に見えているしね。だから隠していよう、と決めていたみたい。
 でも、あの結意って娘のせいでぶち壊しになったのよ。あの小娘のせいで明日香は傷つけられた。だから、2人からその"傷"を消し去ってやったの。」
 おおむね予測どおりの回答だ。亜朱架さんの気持ちはあのときから全く変わって…いや、より強固になったようだ。
「そうですか…でも、今回ばかりは俺も折れることはできませんよ。」
「…今でもあのことを忘れられないの?」
「当然でしょう。忘れられるわけがありませんよ、だからこそ同じことの繰り返しだけはしたくないんです。それでは。」

 電源ボタンを押し、会話を強制終了する。今の俺の心境は最悪だ。
 亜朱架さんは絶対に結意ちゃんを敵としてみなしているはず。俺にとっても今の亜朱架さんは敵だ。
 だけどもう絶対に繰り返さない。でなきゃあ俺はまた失うことになる。俺が唯一愛した、あの人のように。それだけはさせない。


493:名無しさん@ピンキー
08/12/09 18:17:50 bN3TmLaV
天使のような悪魔たち でお送りします

494:天使のような悪魔たち 第8話 ◆UDPETPayJA
08/12/09 18:17:54 P3hsFZwf
* * * * *

 ツー、ツー、と空しい電子音を鳴らす受話器を置き、もういちど今の会話を考察してみる。
 まさか隼くんが結意さんについていたなんて……たしかに結意さんはどこか彼女に似ているけど、所詮代わりでしかない。
 そんなもの求めたところで何の意味もない。彼もいいかげんそれに気づくべきなんだわ。
 でも、私の…私たちの邪魔をするというなら無視するわけにはいかない。最悪、2人とも死んでもらわなきゃいけないわ。

 そこまで思案したところで電子レンジのピー、ピーという音が鳴り響く。いけない、まだ昼食の準備をしているところだった。
 明日香はテスト期間で今週は帰りが早く、そろそろ戻ってくるはず。さっさと作ってしまいましょう。
 まったく…つくづく彼って私の邪魔でしかないわね。

* * * * *

「…ああそういえば、今日は不思議な奴に会ったよ。」

 ここは図書室。俺こと佐橋歩は数ある椅子の一つに腰掛け、目前の少女と会話をしていた。話題は、俺が朝がた見張りをしていたときにここを訪れた男についてだ。

「不思議な?それって男?それとも…」
「男だ、心配するな。」

 その少女…光は怪訝な表情で性別を尋ねてきた。まったく…こいつは俺が女子と軽く一言二言交わしただけですぐ嫉妬するんだ。
 だからまず最初にこれを訊かれるのはもはや毎度恒例と化した。もし女子と話したなんてことになったら、なだめるのが大変なんだ。

「そ、ならいいや。それで、その子は何がどう不思議だったんだい?」と、光が言ってきた。それに対し俺は、
「…視えたんだよ。」とだけ応えた。光にはそれだけで通じるはずだ。誰よりも俺のことを知っている女だからな。

 俺は"あの件"以来、自分だけでなく他人の未来も視えるようになった。ただ、それはかなり限定…いや、唯一の最悪な未来だけ。それは、すなわち『死』だ。
 朝の彼で7人目になるが、今までの6人は死んでいる。みんな俺の知り合いだ。
 たとえば、突然行方不明になった級友の男がいた。そいつの未来は、姿をくらませる前日、学校での別れ際に視えた。
 そいつは一週間後に死体で発見された。傍には女の死体がひとつ、寄り添うように在ったそうだ。
 他にも、視えた直後に事故にあった奴や……自殺した奴までいた。
 この間は、クラスメートの女が後ろから別の女に首を掻っ切られるのが視えた。…そしてどうやらその通りになったようだ。
 だから俺は以前より人を避けるようになった。授業をさぼれるだけさぼり、その間は図書室にこもりっきりだ。
 ノートは光のを写せばすむし…幸い、俺の見た目は不良そのもの。誰も何も言わない。そうやって、なるべく人と関わらないように。
 こんな未来、視たいわけがない。止められない、変えられないのに…それでも、今日また視てしまった。
 
 奴は…神坂 飛鳥といったか。あいつもまた、死ぬ運命にあるようだ。できれば外れてほしいが、恐らく叶わないだろう。
 何故なら…俺の予知は"今まで一度も外れたことがない"んだ。ほんと、無駄な能力だよな。

495:天使のような悪魔たち 第8話 ◆UDPETPayJA
08/12/09 18:18:46 P3hsFZwf
* * * * *

 俺はあのあと屋上に来ていた。さすがにこの季節はだいぶ肌寒いが、今更教室に戻る気もしなかった。
 そのまま惰性でここに居続け、気付けば四限目の終わりを告げるチャイムが鳴っていた。と同時に俺の腹も鳴る。
「あー…弁当ねえんだったー…、どうしよ。」
 明日香のつくった弁当は先ほど結意が持っていた。今から奪い返しに行くのもなんだかあほらしいな。…仕方ない。隼に何か買ってきてもらおう。
 俺はメールを打つべく、ポケットを探る。が…携帯はなかった。それもそのはず、携帯は先日壊れたんだった。ちくしょう、なんてこった。
 心のなかで悪態をつき、ため息をひとつ。そこでひとつの疑問符が浮かんだ。…そういや、なんで壊れたんだっけ?

「よお飛鳥ちゃん!やっぱここにいたか。」
 聞き慣れた声がする。…隼か。
「ああ。腹減った、なんかないか?」期待はしてないが、訊いてみる。
「奇遇だなあ…実はこんなの持ってるんだ。」
 隼は後ろ手に持っていた物体を差し出してきた。それは、先ほど結意が持っていた弁当箱のひとつ…怪しい方だ。
「なんでお前がそれを持ってるんだ?」俺は当然尋ねる。こいつがこれを持つ理由なんて思い当たらないからな。すると隼は、
「それは俺が訊きたいねえ?結意ちゃん、泣いてたぜ。何したんだ飛鳥ちゃん?」と返した。やつにしては珍しく真面目な表情だ。
 何をしたか…分かりきったことをききやがって。
「簡単な話だ。ああいうのははっきり言ってやった方がいいんだよ。だからそうした、それだけだ。」と、簡潔に答えてやった。
 だが何故だ?今の俺自身の言葉はどこか自分を正当化してる気がしてならない。…いや、俺は当然のことを言ったまでだ。悩むことは無い。
 その言葉を聞いた隼は、なにやら黙りこくってしまった。……数秒おいて再び唇が開かれる。

「飛鳥ちゃん…結意ちゃんとデキたんじゃなかったのか?」

 ―――はぁ?結意に続いて隼まで…今日は厄日か?俺と結意が…ないない。あんな変態願い下げだ。もし本当にそうだったら何されるんだか…ああ考えたくない。
 俺はその思いを隼に伝えた。

「………そっか、そりゃそうだよな。もし俺が好かれたとしても悪い気はしないけど…結意ちゃんは残念としか言いようがないしな!」

 わかってくれたか。なら隼、もう結意の名前を出さないでくれ。
 あの結意のすがるような姿を思い出すと無性にイライラするんだ。
 くそっ…あんなやつ、どうなろうが知ったこっちゃねえはずなのに。

「ところで、これどうする。腹が減ったんじゃあ?」
「あほなことを訊くな。そんな何入ってるかわからんもの食えるか。どうしてもっていうんならお前が食え。」
「…いや、やめとくよ。」そういって隼はブレザーのポケットからパンを数個取り出した。…なんだ、最初からわかってたんじゃないか。
 俺は財布から小銭を出して隼に渡し、パンをふたつほどいただいた。


496:天使のような悪魔たち 第8話 ◆UDPETPayJA
08/12/09 18:19:31 P3hsFZwf


 それから2人で他愛のないいつも通りのくだらない話をし続け…気づけば放課後のチャイムが鳴った。
 空はオレンジいろに染まり、校門からはぞろぞろと生徒たちがあぶれていく。
「…俺たちも帰るか。」隼が切り出した。俺はああ、と返事をして2人で教室に向かった。

 ドアをスライドさせ、教室に入る。誰もいない…と思ったら誰かがひとりいた。
 あれは…うちのクラスの生徒会委員、穂坂 吉良の姿だ。
 目が合った。穂坂は俺たちのほうへ向かって歩いてくる。
「またサボったんですか?だめですよ、ちゃんと授業に出なきゃ。はい、これ。」
 穂坂が差し出したのは今日の授業のノートだ。ちなみに穂坂は俺たちがサボるたびにノートを見せてくれる。
 とても字が綺麗なので見てて飽きることはないんだが…毎回毎回、どうしてノートを貸してくれるんだろうか。
 以前その理由を聞いてみたら、「うちのクラスから落第点をだすわけにはいきませんから。」と言われた覚えがある。
 事実、俺が赤点ぎりぎりの点数を取ったときにはめちゃめちゃ怒られて、強制的に残らされて勉強させられたのは記憶に新しい。
「神坂くんがこんな点数を取ったのは私の責任です!」とかいきなり涙目で言い出したんだ。
 ここで断ったら周りの奴らから白い目で見られるだろう。なら、残るしかないじゃないかっ!というわけだ。
 そういや穂坂は結意を嫌ってたみたいだが…まあ所詮ストーカー。生徒会委員からしたらきっと汚名でしかないんだろう。そういった意味では落第点も、か?
「ありがとう、参考にさせてもらうよ。」と、とりあえずノートを受け取る。
 ちゃんと写さなきゃ、次の日チェックされるからな、こいつに。生徒会委員って、ほんと大変だよなぁ。
「あ、そうだこれ、神坂君にあげます。」すると穂坂は鞄から包みをとり出した。なんだそれは、と訊いてみる。
「私の手作りクッキーです。あ、斎木君のはこっちです。」穂坂は鞄から再度包みを出す。俺のと比較すると、若干地味な包みだが…きっとたまたまだろう。
 ちょうど小腹がすいたころだ。さっそくクッキ-をいただくことにした。
 サクッ、と小気味いい音を立てつつ咀嚼する。…旨いなコレ。ただ甘いだけじゃなく、なにか不思議な味がする。なんだろう…とにかくウマい。
「うまいよ穂坂。ありがとう。」「ありがとうな、穂坂さん!」俺たちは2人そろって礼を言う。穂坂は照れながら「いえいえ、どういたしまして。」と答える。

 さて…ノートも写さなきゃだし、隼と一緒にマックでも行くとしよう。
「じゃ、ノート借りてくな。」
「ちゃんと写してくるんですよ?明日は数学提出ですからね。」
「ああ、さんきゅ。」

497:天使のような悪魔たち 第8話 ◆UDPETPayJA
08/12/09 18:20:23 P3hsFZwf
* * * * *

 お兄ちゃん、今日も帰りが遅い。また例のストーカーに追われてるのかなぁ?
 あの雌猫め…私とお兄ちゃんの邪魔ばっかりして、ほんと許せないよ。
 でも一番許せないのは、お兄ちゃん。 呼び方もお兄ちゃんの前では「兄貴」に変えて、私はもうこの気持ちがバレないように必死なのに…
 お兄ちゃんは変わらず私に優しくしてくれる。もう何度打ち明けようと思ったことか。でもお兄ちゃんはきっと私を選んではくれない。
 わかってる。お兄ちゃんの「スキ」はあくまで兄としての「スキ」。私とは違う。
 だからせめて、このくらいはいいよね…?お兄ちゃん。

 私はお兄ちゃんのベッドに顔をうずめ、深呼吸をする。
 すーはーすーはー…ああやっぱりお兄ちゃんの匂いすごくいい………。嗅いでるだけでもうぐっしょりだよぉ…。
 もう…止められない。あとは頭をベッドでうずめながら一心不乱にあそこを弄くるだけ。
 あはぁ!お兄ちゃん、きてぇ!もっと明日香の恥ずかしいとこ見てぇ!いく、いっちゃうよおぉぉ!ふぁぁぁぁん!

 …自己嫌悪。またやっちゃった。
 シーツはまるでおねしょしたみたいに私のおつゆでびしょびしょ。こんなの兄貴に見られたら…嫌われちゃうよ。
 そこで扉が開かれ、誰かが――まさか、お兄ちゃん!?いや、見ないで!!
 でも、現れたのは私そっくりのシルエット。…お姉ちゃんだった。

「あーちゃんはホントに飛鳥のことが好きなのねぇ?」
 そう言ったお姉ちゃんの表情は、けっして侮蔑や嘲笑などではなく…まるでお母さんみたいにほほえましい笑顔だった。

「うん…自分でもどうかしてるのはわかってる。でも、兄貴じゃなきゃだめなの!…好きなの。」
 私はお姉ちゃんに、今まで心の奥にしまっていた思いを吐き出した。なんでだろう…わからないけど、お姉ちゃんになら打ち明けても大丈夫、そんな気がしたから。

「…そう。わかったわ、お姉ちゃんがいいこと教えてあげる。」
「…え?」
「見ててなさい。」
 そう言うとお姉ちゃんは兄貴のベッドの下から雑誌を数冊とりだした。それは私が一番嫌いな、下衆で卑猥な類だ。
 兄貴ったら…こんなもので処理してたんだ。そう思うと無性に目前の雑誌の表紙を飾る雌豚が腹立たしくて、切り刻んで…いや、殺してやりたくなった。
 これが「いいこと」だっていうの?お姉ちゃん。わかんないよ。
 そのとき、視界のなかでなにかが瞬き…雑誌は失せていた。これは…お姉ちゃん何をしたの?

「さあ、やってごらんなさい。」
「え?い、いまの?」
「簡単よ。これに向かって"消えろ"って強く念じればいいのよ。さあ…」

* * * * *

 ノートを写し終え、隼と別れた俺は独り家路についていた。時刻は夜8時。空はとっくに紫いろだ。星も見えている。
 ロマンチストならこんな夜空を見て詩を詠んだり出来そうだが…あいにく俺にはそんな才能も属性もない。
 もういちど後ろを見やり、人がいないのを確認して俺は一安心した。今度こそ本当に解放されたようだ。やっぱりはっきり言ってやってよかったんだな。
 俺は鼻歌をうたいながら、歩を速めた。今日はいろいろなこともあったが、これからはやっと平凡な日々が帰ってくるんだ。
 そう思うと足取りも軽くなる。こんなにも明日が待ち遠しいのは某神の集団のニューシングルの発売前日以来だ。
 
 しばらく歩き、家が近づいてくると後ろに人の気配を感じた。…まさか、結意か?俺は確認も兼ね、気配のするほうへと振り向いてみた。
 が、それよりも早く、後続者から声が発せられた。それは、よく聞き慣れた声色だった。

498: ◆UDPETPayJA
08/12/09 18:24:28 P3hsFZwf
終了です。
第9話以降は選択肢でと考えてます。
今のとこ明日香と結意は決定で、穂坂は起用しようかどうか迷っています。
なにしろ今まで絡みが無かったもので…とりあえずもう急速に病む予定です

499:名無しさん@ピンキー
08/12/09 19:03:36 6gasx03l
待ってました!


500:名無しさん@ピンキー
08/12/09 20:04:49 THu8pNBZ
GJ

501:名無しさん@ピンキー
08/12/09 20:08:07 S13vgeDg


502:名無しさん@ピンキー
08/12/09 21:45:45 mUE1aMSf
GJ
委員長に反応したのは俺だけじゃないはず

しかしあれだな、読み手もずいぶんと変わったけど書き手も変わってきてるな
なんというか、ノベゲー風が多いというか

503:名無しさん@ピンキー
08/12/10 01:02:26 NSUmFfdy
私は一向に構わんッ!!

504:名無しさん@ピンキー
08/12/10 01:25:16 E2X3Fhsw
おいどんも構わんでごわす!!!

505:名無しさん@ピンキー
08/12/10 01:57:54 l4TEquzJ
GJ!!
おいおい、姉上様何教えてんだよ!?

506:名無しさん@ピンキー
08/12/10 19:53:28 h/bqAUCp
ヤンデレ家族マダー?

507:名無しさん@ピンキー
08/12/10 21:26:32 D7g0devE
ええい、ヤンデロイドシリーズはまだかっ!

508:名無しさん@ピンキー
08/12/10 21:32:09 /J0T4MN6
慌てる乞食は儲けが少ないと云ふ

509:名無しさん@ピンキー
08/12/10 21:42:35 fcWEIgA6
作者の事を考えて発言しようぜ
最近作者を文章製造機とでも考えてる奴大杉

510:名無しさん@ピンキー
08/12/10 22:31:43 CYPlr6kA
>>509だな、今は師走だけに忙しいだろうしな……のんびり待つか。

511:飼いならす、飼いならされる ◆wzYAo8XQT.
08/12/10 23:27:29 Y37HkJWJ
 俺は、俺に触れようと伸ばされた彼女の手を定規で打った。
「いたっ」
「ダメだって言ってるだろ」
「ごめんなさい……」
 彼女はしゅんとして俯いている。首輪につけられた鎖がチャリ、と鳴った。
 俺と彼女は二人、こたつに入って勉強会をしている。ありふれた、幸せな光景。ただ一つ異質なのは、彼女の首には首輪がつけられ、その首輪から伸びた鎖で柱につながれている、ということだ。
 彼女は「普通」ではない。どう普通ではないかと言うとあまりに長くなるので省くが、酷く大雑把に表現すると、彼女は愛情表現が過剰すぎるのだ。そう、一般から見たら「異常」とすら思われるほどに。
 だから俺は彼女から俺に向けられるスキンシップを規制した。その結果がこの首輪だ。
 彼女がどんなに身を乗り出しても、せいぜい俺の手に触れることぐらいしか出来ない。しかし俺はそれすらも彼女に許可しない。彼女と俺の触れ合いはすべて俺の手の中にあるのだ。
彼女がどんなに望もうとも、俺の許可なしではそれは与えられない。支配者の喜び。自分の中に、黒い愉悦が生まれるのを感じる。
 彼女はまるで犬のようだ。鎖でつながれ、ご主人様の許可を待つだけの、犬。
 こんな可愛い彼女を犬にできるなんて、俺はなんて果報者なのだろうか。
「わ、私のこと、嫌いになっちゃった? ご、ごめんなさい! 嫌わないで! 嫌いにならないで!」
 俺がちょっと難しい問題に突き当たり、頭を悩ましていると、彼女は突然ヒステリックに取り乱した。
 ああそうか、俺が叱ってすぐに無言で難しい顔をしだしたから不安になったのか。まったく、犬でももう少し忍耐がある気がするけどな。
 俺は溜息を漏らしながら彼女の潤んだ目を覗き込む。
「犬の癖に待ても出来ないのか? そんな駄犬に御褒美はやれないな」
 そうして、俺はまた問題文に目を落とす。彼女の息を呑む音が聞こえる。カタカタと小さく震える音も。深い悦楽で、俺の口が歪に歪みそうになる。ああ、お前は最高の彼女―いや、犬だ。
 数時間して、勉強に一区切りつけると、俺は彼女の鎖と解いて彼女の家を出た。「待て」と命じつけた後に。



512:飼いならす、飼いならされる ◆wzYAo8XQT.
08/12/10 23:28:14 Y37HkJWJ
「先輩……博昭先輩!」
 下校中、後ろから呼び止められた。
 後ろには、いつの間にかかつての部活の後輩がいた。俺は三年。紅葉の散ったこの季節にはもう部活はとっくに引退していた。
「お久しぶりですね!」
 俺を見つけて走ってきたのか、頬は若干上気しているし、息は荒い。お久しぶりというが、少なくとも先週にも会っていたはずだ。
 その旨を告げると、「えへへ、うっかりしてました」と彼女ははにかんだ。
 彼女は何かにつけ俺に接近してくる。なんらかの好意的な感情を俺に対して持っていることは明らかだ。
だが、俺には飼い犬がいる故にその思いに答えることは出来ない。―とてつもなく嫉妬深く、病的で、俺に近付くものは泥棒でも警察でも構わず吠え散らすような躾けの出来ていない犬が。
 当然後輩も俺に彼女がいることは知っている。何せ、彼女は引退前は毎日のように部室まで俺を迎えに来ていたのだから。知らないはずも無い。
 それをわきまえているのか、後輩は直接的なアプローチはしてこない。ただ俺と一緒にいられるという立場に甘んじているのか、それとも俺に対する好意というのは単に親愛や尊敬の情だというだけなのか。

 珍しく、学校が終わると真っ先に俺に寄ってくる彼女がいないので、俺は後輩と二人で下校した。家の前で別れると、参考書の類を揃え、彼女の家に向かう。
 彼女の家には彼女しかいない。だから俺は呼び鈴すら鳴らさず、鍵のかかってない玄関を抜け、彼女の部屋の戸を開けた。
 赤かった。
 夕焼けや俺の目の錯覚などではなく、部屋中を染めつくす血によって。
「あ、ひろくんきたー。ねえねえ、ひろくんにまとわりつくきったない野良猫駆除したよー。私とってもいい子でしょー? 褒めて褒めてー」
 彼女はニコニコしながら俺ににじり寄ってくる。その手に握られているものは何だ。やめろ、そんなもの俺は見たくない。
 彼女が手に持っていたもの。それは殴打によって晴れ上がっていて分かりにくくなってはいるものの、紛れもなく後輩の生首だった。彼女は、それの髪の毛を掴んでぶら下げていた。
 場違いにも、犬が自らの捕らえた獲物を主人にアピールする様が思い出された。
 ああ、俺はどうやら根本的に間違えていたようだ。
 彼女をうまく飼いならせている。そう思いあがっていた。まさしく、それは完全に思い上がり以外の何者でもなかった。飼いならせない。飼いならすだなんてとんでもない。こんなモノ、俺ごときが飼いならせるはずがない。
 ―ああ、そうか。そうだったのか。
 俺は彼女を飼いならしているつもりだったが、その実は―

「いい子、いい子」
 俺は血にまみれた彼女を抱きとめ、そっと頭を撫でた。

513: ◆wzYAo8XQT.
08/12/10 23:29:01 Y37HkJWJ
>>489を見てつい(ry
続かない

514:名無しさん@ピンキー
08/12/10 23:38:11 VN0XrVUS
これは恐い

だがそれがいい

515:名無しさん@ピンキー
08/12/10 23:58:23 WviTm0LQ
ヤンデレ「男くんのためにトレーニングして体型絞ったし、髪伸ばしたし、お化粧も覚えたetc……。デ・ニーロアプローチなんて目じゃない!」

|ここで二人の認識に大きな溝

男「彼女は俺が求める物を全て持って生まれてきたようだった」

516:名無しさん@ピンキー
08/12/11 00:25:33 DHdPX4rV
GJ!
俺の理想のヤンデレだ…

517:名無しさん@ピンキー
08/12/11 19:45:19 llhyMJYi
GJ

518:名無しさん@ピンキー
08/12/11 21:41:40 Lu7UB0fR
URLリンク(zasshi.news.yahoo.co.jp)

・「発情期の雌猫が」。突然の罵倒にビクッとすると、隣のクラスのヤンデレ…。
・なぜそんなにも懸命に尽くそうとするのか? それはヤンデレが愛情深いからなのだそう。
・ただその分、嫉妬深いといわれています。
・ヤンデレを飼っている男性が、女性を部屋に入れたとすると、嫉妬する。襲いかかる可能性だってあります
・愛情が深いほど、嫉妬心も深いとな…。

519:名無しさん@ピンキー
08/12/11 21:53:57 5EDW78kU
発声練習だけでは収まらず、執念で遂に擬人化したオウムが泥棒猫を抹殺し、愛する飼い主を逆レイプ。
まで妄想した。

520:名無しさん@ピンキー
08/12/11 23:21:45 NWg/r+C4
数日待ってください。書いてきます>病みオウムSS

521:名無しさん@ピンキー
08/12/12 00:01:05 NWg/r+C4
猫以外の動物はけっこう嫉妬深いイメージ
ヤンデレは「愛がないのに発情してる」ってののしる意味で泥棒猫ってライバルを表現するのだろうか

522:名無しさん@ピンキー
08/12/12 00:02:39 5EDW78kU
これは期待wktk

523:名無しさん@ピンキー
08/12/12 00:12:30 uosYZKSS
ヤンデレっぽい動物というと猫が浮かぶんだけどなあ、怪談とかでもよく出てくるし。
まあそれとこれとは違うといえば違うんだが。

524:名無しさん@ピンキー
08/12/12 01:59:15 5YSQXMAi
うちの猫(♀)は水道工事のオヤジが上がってきても爆睡してるくせに、
従妹が泊まりにきたときは毛を逆立てて寄り付かなかった。

嫉妬されたと思いたい

525:名無しさん@ピンキー
08/12/12 01:59:21 peMJR1Jw
サ〇エさんの歌のように昔から人のモノを盗むからじゃないか

526:名無しさん@ピンキー
08/12/12 06:29:14 Rr5MCYZ6
>>519-520
擬人化スレでやれよw


527:名無しさん@ピンキー
08/12/12 06:48:48 rfbHsdru
この手のシチュ系のスレは被ることが多いから
ヤンデレメインなのか擬人化メインなのか
どちらにするのかは作者が判断して投下先決めればいい。
外野がどうこう言うことではないと思われ。

528:名無しさん@ピンキー
08/12/12 11:44:17 raB5quqb
擬人化した狂暴な♀動物が逆レイプする【十四匹目】
スレリンク(eroparo板)

こんなスレもあるんだぜ?

529:名無しさん@ピンキー
08/12/12 15:58:27 9G8ICf6q
ヤンデレによる全戦争行為への武力介入を開始する

530:名無しさん@ピンキー
08/12/12 19:19:44 kDqm96VM
>>529
(((゜Д゜;)))ガクガク

531:名無しさん@ピンキー
08/12/12 19:38:10 RVnPt7/w
まさに愛は地球を救う、だな

532:名無しさん@ピンキー
08/12/13 00:07:05 tEtRuQ4S
ヤンブレラが製作したヤンデレウイルスが研究所内に汚染
ヤンデレハザードが発生したが、感染した場所が悪かった

感染した地域は研究所の隠れのみにしている
女子校


約300人の女の子がヤンデレウイルスに感染、ヤンデレ化したと思われる
日本警察はヤンデレバスターズに出動要請。
政府が下した決断は…… ヤンデレの殲滅

それは300人の女の子を皆殺しにして、全ては隠滅する予定だったが
ヤンデレバスターズに裏切り者がいて、部隊は半壊滅状態。
それを救助するために、新たなヤンデレバスターズ部隊が派遣されることになったが……




続かない

次はどうせ、県内が全て感染地域でヤンデレ化するオチだしw



533:名無しさん@ピンキー
08/12/13 00:57:03 JbEw8e+t
Y(ヤンデレ)ウイルスですかw

効果:感染者は一人の男への異常な愛を持ち
それによって様々な影響がある(男には危害を加えない)
女性ホルモンの多量分泌から外観が美しくなる。

むしろこれは全世界にバラ撒くべきだろ。

534:名無しさん@ピンキー
08/12/13 02:02:24 Fy62xmXW
だがヤンデレが別々の男を好きになるとは限らんからな…
むしろ地獄絵図が見える

535:名無しさん@ピンキー
08/12/13 08:05:32 z2xamz91
そんな作られた愛なんていらん

536:名無しさん@ピンキー
08/12/13 10:18:13 j999FvRl
ヤンデレに『これって婚姻届だよな』って言ったらどうなるの?

537:名無しさん@ピンキー
08/12/13 10:47:25 UJCpgIEa
ヤンデレの前で女友達と一緒に石破ラブラブ天驚拳やってみたい

538:トライデント ◆J7GMgIOEyA
08/12/13 16:30:41 ARqPzft2
では投稿致します

539:お隣の彩さん ◆J7GMgIOEyA
08/12/13 16:33:12 ARqPzft2
第2話『依存対象』

 人は平等ではない。
 親がいる子供、親を失った子供では
 その後の子供の人生は大きく変わっていく。
 例え、それが最初から両親の愛情を受けずに育った子供なら尚更だ。

 人生に勝ち負けはないと思うが、私にとって人生とは惨めな自分を思い出せる過酷な日々だった。
 私、桜井彩は孤児である。
 両親は私が生まれてから、すぐに交通事故で亡くしたと聞く。
特に両親は駆け落ちするように付き合ったおかげでどの親戚も私を引き取ることを嫌がり、

赤子の私を孤児院に預けた。親がいない子供が行く先はまさに地獄であった。
物心を覚えた私は孤児院の職員に厳しく躾けられ、ただの世話というよりは機械的な作業であったと思う。
それは他の孤児院の子供たちも一緒で、彼らは自分らの給料以上のことは動かない。
厳しく躾けられるのは自分達の仕事を減らすためにある。
言うことを聞かなければ、子供に暴力を振るい、逆らう人間は食事を抜きにする。

職員の気分次第では暗くて狭い部屋、懲罰室に何日も閉じ込めたりする。
彼らは子供たちにとっては悪魔だった。
 孤児であった私の安らぐ場所はどこにもない。通っていた学校などは最も私の嫌いな場所の一つである。
無邪気な子供は何も知らない。何も知らないからこそ、自分の言葉に責任も持たず、刺々しい事を言ってくる。
両親のいないというだけでバカにされ、のけものにされる。

何か欠点さえあれば、それを口実に強者は弱者を叩く。叩く側は勝利の美酒に酔い、負け犬はひたすら泣き続けるしかなかった。
 特に一番嫌だったのは、運動会と参観日などと言った行事であった。
私には誰も声援を送ってくれる人なんかいないし、他の子供たちが親と仲の良い光景を見せつけられると
自分が不幸のどん底にいることを感じさせる。
 誰にも優しくされることもなく、私は一人寂しく生きていた。

 抜け出したかった、孤児院は経営者の無謀な経営方針のおかげであっさりと潰れ、
真っ先になんとかしなくてはいけない孤児の子供たちを見捨てて、自分達はさっさと逃げた。
債権者から追求を避けるために。
 孤児院がなくなったおかげで私は強制的に孤児院を追い出される形になった。

とはいえ、その頃は高校生だったので、誰も引き取る孤児院や人がいなかったから、一人の生活を余儀なくされた。
通っていた高校を中退して、一人で生きるためにアルバイトで生計を立てた。
更にその仕事先でも、高校中退で孤児院出身の私の世間体は悪く、誰からも相手にされなかった。
 そのような人生を歩んでいたせいだろうか、私は自然と人という生物は信用しなくなった。

温もりさえ求めなければ、何かに期待しなければ裏切られることはない。
私は私の心を防衛するために孤独でいる。愛情を求めずに、ずっと一人で生きていこう。

 そう、決心したはずなのに。

 私は、彼と出会ってしまった。
 周防 忍さんに。


540:お隣の彩さん ◆J7GMgIOEyA
08/12/13 16:35:26 ARqPzft2
うにゃーーーーーー!!
 私は引っ越してきたばかりの家で奇声を発していた。
 だって、だって、信じられる? 今日は凄いことがあったんだよ。
 いつも、一人だった私に優しくしてくれた人がいたの。
 悪徳引越しセンターどもが私の荷物を捨てるように投げた柄の悪い男のせいで一人途方に暮れていたのに。
困っている私に周防忍さんが声をかけてくれたの。
『手伝います』
 って。

 最初は信用できる人じゃあないと思っていたけど、そうじゃなかった。
あの重たそうな荷物を周防忍さんはほとんど一人で運んでくれた。私のためにだよ。
 私のために忍さんは引越しの手伝いをしてくれた。それだけで充分に嬉しかった。
 きゃは。
 わたし、忍さんなんて。名前で呼び捨てしているし。
 うんうん。
 落ち着け、私。

 忍さんと私は今日初めて出会ったんだから、名前で呼ぶなんて……。
 心の中だけなんだからね。
 本人の前で忍さんなんて言った日には、私は多分恥ずかしいあまりに体が溶ける。
ううん、体の8割の水分が流れきってしまうはずだよ。
 それにしても、私は忍さんに冷たい態度を取ったから、嫌われているかもしれない。
初対面であんな突き放すようなことを言っていたら、普通は好感度だって下がるよね? 某内閣支持率も急落に下がる。
 ど、どうしよう。

 とはいえ、忍さんに助けてもらったから、ちゃんとお礼をしよう。心を込めて謝罪すれば、私の想いに気付いてくれるかな?
 今日、生まれた淡いな想い。
 人を好きになる。
 いつも孤独であり、人間不信に陥った私が異性を好きになるなんて夢にも思ってなかったけど。
その想いだけで私の胸が自然と温かくなる。床の上をゴロゴロと反転して、
うにゃ、うにゃ、うにゃ、と奇声を発しながら私は久しぶりに心地良い時間を過ごした。
 だから、就寝する頃になってある事に気付かなかった。

「どうやって、寝ましょうか」
 荷物生理してないダンボールだけが積み重ねた部屋を見て、私は呆然と立ち尽くしていた。
今日の出来事を何度も思い返して、妄想の渦に流れ込んでいた罰が当ったのでしょうか。
お布団はこのダンボールの中に埋もれている。
探し出すのは困難であり、引越し作業で体力を使い果たしているから無理に等しい。
 私は途方に暮れていた。
 疲労のおかげで正常の判断を失っていたと言ってもいい。

「今夜は忍さんと一緒に寝たいな」
 と、一人で呟く。
 そう呟いてから、私の行動は早かった。
『女の子は行動力なのよ!!』
 どこかの誰かが残した言葉だ。
 その言葉の意味を知る時がやってこようとは。

 恋する女の子は受身だけじゃあダメなの。攻めて、攻めて、攻めて、攻めまくらないと
恋愛という乙女の命がけの戦いに勝利することはできないんです。
 そう決意すると家を抜け出し、
 忍さんの家のインターホンを鳴らした。
 私は精一杯の勇気を振り絞って言った。

「泊めてくれませんか?」



541:お隣の彩さん ◆J7GMgIOEyA
08/12/13 16:37:28 ARqPzft2
今日、出会ったばかりの女性にいきなり、『泊めてくれませんか?』と言われた時、
正常な男性はどういった反応を返せばいいんだろうか。常識的に考えても、恋人ではない男女が
一夜を過ごすのは倫理的に許されるわけがない。もし、間違いを犯せば彩さんを悲しませることになる。
「ダメでしょうか?」
 彩さんが消費者金融のCMのごとく潤んだ瞳で俺を見つめている。そんな瞳で見つめられたら断ることができない。
「わかった。泊めましょう。今日だけですよ」
「はい。ありがとうございます」
 と、俺は軽い気持ちで彩さんを部屋に入れた。

 人生で初めて女性を自分の家に招いたことにある一種の感動と緊張感が俺の中で生まれていた。
彩さんは相当な美人な分類に入り、本来の俺ならお近づきすることもできない人だ。
その人を俺のちらかっている部屋に泊まるというだけで何か興奮する。
 テレビとタンスなど日常品やベットを置けば、部屋一杯になる狭い部屋だ。
クッションの敷いた場所に彩さんを座らせて、俺はお客様を歓迎するためにキッチンにお茶の葉を探していた。
ちらりと彼女の姿を覗くと。
 彩さんは嬉しそうに俺の部屋を眺めていた。
「あの何か飲みます。お茶しかありませんけど」
「ああ。いいですよ。そんなに気を遣わなくても」
「そうですか」
「あの周防さん?」
「うん?」
「今晩は同じ布団で一緒に寝ていいですか?」
「なんですと!!」
 突然の彩さんの衝撃発言のおかげで俺は猫を被るのを忘れて叫んでいた。
年頃の女性が一緒に寝るのは間違いなく危険な発言だ。俺の中の狼が覚醒しそうだ。
「そんなのは絶対に駄目ですよ」
「うにゃ……駄目なの?」
「ううっ。確かに一人分の布団しか家にはないけど。彩さんはベットに寝てもらって、俺が床で寝るつもりだったけど」


542:お隣の彩さん ◆J7GMgIOEyA
08/12/13 16:38:33 ARqPzft2
「そんなの駄目ですよ。私のせいで周防さんが床に寝るなんて。そんなのダメなんですから」
「でもな」
「でももヘチマもありません。一緒に寝た方がきっと温かいですよ」
 確かに彩さんと一緒に寝れば、今日の夢心地は良く、明日は爽やかな朝を迎えることが出来るかもしれない。
天使のような微笑を浮かべている彼女の期待を裏切ることもしたくはないし。ここは誘惑に負けてしまおう。
「わかったよ。一緒に寝ましょう:
「うにゃーーーー!! ありがとう」
 彩さんは嬉しさのあまりに俺に抱きついていた。背中には彼女の手がぎっちしと包むように抱き込んでいた。
予想すらもしなかった行動に俺は自分の顔から首まで真っ赤になってしまうのがわかる。
異性の接触は思っていた以上に全体的に柔らかくて気持ちいい。
更に自分の心のどこかで安心できる癒しみたいなを感じていた。
 彩さん効果だな。
「あの抱きつくのは彼氏さんにしてあげたらいいのでは?」
「彼氏?」
「彩さんは彼氏いるんでしょう?」
「そ、そ、そ、そ、そんなのいませんよ。ううん、いないよ。私、今まで男の子と付き合った経験なんて全然ないですから!!」
「そうなの」
「そうなんですよ」
 そうか、彩さん彼氏いないのか。良かった。って、俺ごときが彼女なんかに相手にしてもらえるはずないのに。
なにが良かっただ。
「あの、周防さんは……その、彼女とかいるんでしょうか?」
「え、えっと、生まれてから今まで女性と交際経験なんてありません。ぐすん」
「そうなんですか!!」
 と、俺が彼女がいなかったことに凄い喜びを彩さんは感じていた。更に抱きついている手に強い力が込められる。
「大丈夫ですよ。周防さんなら素直で優しい彼女ができますよ」
「そうかな」
「私が保障しちゃいますよ」
 彩さんみたいな女の子から彼女ができると断言されるってことは俺に気があるというのはほぼ絶対的にありえないわけで。
少し悲しい気持ちになってきた。
「ではもう寝ましょうね」

543:お隣の彩さん ◆J7GMgIOEyA
08/12/13 16:40:06 ARqPzft2
 就寝。
 シングルベットで二人で寝るのは狭くて窮屈だった。
俺と彩さんの肩が触れ合い、腕と腕の感触が男と女とでは温度差が微妙に違う。
女性の温もりは誰かを包み込むような優しさに満ちており、俺の心にやすらぎを感じさせる。
どうして、今日会ったばかりの人と一緒に寝ているのだろうかとか、些細な疑問などどうでもよくなる。
 だけど、隣で彩さんが寝ていると思うと寝付けることができなかった。
 仰向けになって天井ばかりを見る時間が増える。
「周防さん、起きてますか?」
「はい、起きてます」
 と、俺は彩さんの顔を見ようとせずに曖昧な返事で返していた。
「引越しの手伝いをしてくれて本当にありがとうございます。感謝してもしきれません」
「その事は彩さんが困っていたし、助けなきゃと思っていたわけであって」
「誰にでもできませんよ。困っている人を助けることなんて。周防さんは私を見捨てることだってできた。
けど、それをしなかったのは周防さんが優しい人だからだよ」
「優しいねぇ」
「うんうん」
 自分は本当に優しい人なのだろうか。俺は今日出会ったばかりの彩さんを助けようと思ったのは
困っている彼女を助けられないことを後で後悔したくなかったからだ。
「それだけじゃないです。寝る場所がなかった私をこうやって泊めてくれたし。それに……一緒に寝てくれました」
「シングルベットは狭いけどな」
「うふふっ。周防さんが傍に居てくれるから、とても温かいですよ」
 彩さんが優しく微笑する。確かに二人の距離は密着する程に近づいている。
昨日は互いに知らぬ人であり、今日は出会ったばかりなのに。本気で摩訶不思議な体験をしているな。
「夏だったら、こんな風に寝たら暑苦しいだけだが」
「そんなことはありませんよ」
「そうか」
「周防さん?」
「うん?」
「ふつつか者ですが、よろしくお願いします」
「ああ。俺からもよろしくな」
「で、周防さんにまたご面倒をかけることになるんですが」
「何かあったの」
「興奮したら、ちょっと鼻血が」

 えっ?  鼻血って。


544:トライデント ◆J7GMgIOEyA
08/12/13 16:41:39 ARqPzft2
以上で投下終了です



545:名無しさん@ピンキー
08/12/13 16:52:00 Q8HIaJUX
>>544
GJ!まだよんでないけどとりあえずGJ

546:名無しさん@ピンキー
08/12/13 17:08:15 Q8HIaJUX
>>544
読み終わって再びGJ!

547:名無しさん@ピンキー
08/12/13 17:33:57 k1uKj/Un
good job!!

548:名無しさん@ピンキー
08/12/13 17:51:37 jgZmUCKD
>>544
正に俺の理想のヤンデレだ・・・GJ!!

549:名無しさん@ピンキー
08/12/13 17:57:33 UJCpgIEa
GJ
!
これからどう病んでいくかwktk

550:名無しさん@ピンキー
08/12/13 20:42:56 bC7t8Aj1
乙!


551:名無しさん@ピンキー
08/12/13 22:07:07 E+XhNyzv
最近よくコカ・コーラを飲むんだが、コーラをコップに注ぐ時なぜか氷を入れてないと嫌なんだよな

552:名無しさん@ピンキー
08/12/14 00:22:41 /orquzC0
お前に氷入りコーラだす女がいたら気をつけろよ

553:名無しさん@ピンキー
08/12/14 00:23:48 +bsboBlw
キタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!!

554:名無しさん@ピンキー
08/12/14 01:16:34 zzgAnyX1
コーラが?

555:名無しさん@ピンキー
08/12/14 03:15:26 3FOxxmPI
コーラに入れる氷は、作るときにラムネ菓子を適量入れておくと大人の味わいだぜ!!!!

556:名無しさん@ピンキー
08/12/14 06:14:10 ZJBmsLnM
>>555金持ちな泥棒猫に飲ませて赤恥をかかせるのか。
ホントにヤンデレは容赦ないぜ。

557:名無しさん@ピンキー
08/12/14 10:02:28 /VlbnucL
モットーが勝負とか心とか才能とか半歩先とか成仏とかXO醤とか。
そんなこと言い出す若い子達が包丁投げたりサメやダチョウと戦ったり、犬を殺したりします。
出てくるキャラはコスプレ好きとかゴスロリとか中仏ハーフとかそんなのばっかです。女装もあるよ。
メインヒロインも血まみれになりながら生肉食べたりします。そして出てくる女の子はすべて爆乳。
前作の最後で死者が出ちゃったのでヒロインと主人公は手を取り合って高飛びしました。

それが鉄鍋のジャン

558:名無しさん@ピンキー
08/12/14 11:47:08 TtfUSnXO
料理漫画じゃなかったのか・・・・

559:名無しさん@ピンキー
08/12/14 12:01:53 7LJzo0q+
物は言い様だなw

560:名無しさん@ピンキー
08/12/14 12:55:40 wPJKRBrB
・「泥棒が」とショットガンで迫られる
・熱烈なビデオレターを何度も送る
・男の幼馴染に刃物を突きつけた上にビルから突き落とす。
・男の友人をトレーラーで追い回す
・男の友人と幼馴染を誘拐、拉致、殺害(友人は重傷)
・「私にはあなたが要るのさ」
・「一つ屋根の下で暮らそう」と提案するも拒否される
・笑いながらビルから落下

それがダークナイトの嬢カー

561:名無しさん@ピンキー
08/12/14 14:18:13 CooFlo12
>>557
なんだろうこのモヤモヤした気持ち…

562:名無しさん@ピンキー
08/12/14 15:33:04 s4pPpVcs
一酸化二水素のガイドライン中止。

563:名無しさん@ピンキー
08/12/14 16:34:00 T3U6oU8b
DHMOですね

564:名無しさん@ピンキー
08/12/14 23:09:48 jM4V278G
逆に考えてみよう
すべてのヤンデレは一酸化二水素を摂取している
つまり一酸化二水素を女性に与えればヤンデレになるのではないだろうか
早速学会に報告してくる

565:名無しさん@ピンキー
08/12/15 00:30:08 Htc8in9w
泥棒猫の母親を抹殺するため、ヤンデレに送り込まれた人型ロボットヤーミネーター、Y-800。
シュワルツェネッガーが筋骨隆々としていたのと同じくらい胸が大きいが、最終的にはプレスされて死んだ。

子供時代の泥棒猫を抹殺するために送り込まれたヤーミネーター、Y-1000。
Y-800の失敗によって、弱点を反省した結果貧相な体つきに。最期は溶鉱炉に突き落とされて破壊された。

以下黒歴史↓
なかったことにされたヤーミネーター、Y-X。
バットマンのCベイルがジョンコナーなので出番が来そうにない新Y-800

566:名無しさん@ピンキー
08/12/15 09:34:29 YRRCiIsV
>>565
レス内容は馬鹿馬鹿しいが、ヤーミネーターという単語に言い知れぬときめきのようなものを感じた。

567:名無しさん@ピンキー
08/12/15 11:57:50 EayzVPwT
ヤーミネーチャンとか…
ガキの頃はやったターミネーチャンの改変。
K君の姉はよくK君に鉄拳制裁していた。
その様を見た何人かが「ターミネーチャン」と言い初めて流行った。


568:名無しさん@ピンキー
08/12/15 13:46:10 1Mdadp/H
自分語りうぜえ

569:名無しさん@ピンキー
08/12/15 18:48:24 tDVa7aLa
>>568
で?

570:名無しさん@ピンキー
08/12/15 19:01:55 JPrhzK3J
>>569
察してやれよ
ヤンデレは自分の好きな人以外はすべてどうでもいいから自分語りをうざく思うだろうし
仮にヤンデレの好きな対象が自分語りしていたとしても
「それは私だけが知っていればいいの!私たち二人だけの秘密なの!こんな泥棒猫がいるような場所で言わないで!」
ってなるだろうし
どっちにしろ、ヤンデレにとって都合が悪いわけだ

571:名無しさん@ピンキー
08/12/15 20:28:26 Htc8in9w
「誠越えしても心が自分に向いてればいい」
「なに、初恋じゃない? 関係ない」
「ファーストキスなんかいらない」
「誰が好きだったとしても、振り向かせてみせる」
「なんで非童貞なんだよ! 私以外の女を抱いちゃダメぇぇぇ!」
「え!? はじめてのチューじゃないの!? お仕置きが必要みたいね」
「これが初恋じゃないの!? 童貞でも心が中古じゃダメぇぇぇぇ! 女殺す!」

572:名無しさん@ピンキー
08/12/15 20:34:57 1Mdadp/H
>>570
自演乙

573:名無しさん@ピンキー
08/12/15 23:49:55 15cLkSWG
>>571
ご立派(褒め言葉

574:名無しさん@ピンキー
08/12/16 00:21:34 ynMH5ncy
>>569
こ!

575:名無しさん@ピンキー
08/12/16 00:41:06 sjMatI1A
>>571
誠越えって何? あの男のクズを上回る女性遍歴の持ち主ってこと?
ちょっと意味合いが想像できん単語だなあ。

576:名無しさん@ピンキー
08/12/16 00:48:05 wTYK+bW0
誠の親父がいるだろ

577:名無しさん@ピンキー
08/12/16 02:08:36 WpWGyWY1
すみません、質問なんですけど「いない君といる誰か」という作品はまだ完結されてないんでしょうか?

578:名無しさん@ピンキー
08/12/16 02:45:02 5QrbnSwF
過去ログ嫁

579:名無しさん@ピンキー
08/12/16 11:35:16 0aUVjz5x
>>576
あのレベルならなおのこと『心』なんて言葉の響きが空しくなるんだが。

580:名無しさん@ピンキー
08/12/16 22:08:02 LJbDn/nh
つか、ワイヤードってまだなのかな? ずっと待ってんだけどな・・・

581:名無しさん@ピンキー
08/12/16 22:09:26 6BK6Ilgk
まだまだうるせーんだよ

582:名無しさん@ピンキー
08/12/16 23:29:51 5QrbnSwF
作者乙

583:名無しさん@ピンキー
08/12/17 00:23:33 Nd3xUFU7
嫌な流れだな・・・
年末だからか?

584:名無しさん@ピンキー
08/12/17 01:10:26 hAI2gg+1
お客様気質(笑)

585:名無しさん@ピンキー
08/12/17 01:35:34 /7MJD3UQ
「嫌な流れだなぁ……年末だから?」
また、お兄ちゃんにメールが来た。

【クリスマス空いてますか?】

何処で調べたかは知らないけど、お兄ちゃんにメールで愛の告白なんて百年……ううん、
この世が終わったってお前に資格はないんだから。
とりあえず、この糞生意気なメールの履歴と内容を素早く消去する。
「ついでにメールの受け取り拒否を設定しておいてあげる」

私って何て親切なんだろう。だって、下手にお兄ちゃんに近づいたら、階段から転げ落ちて
怪我するような不幸に見舞われてしまうかもしれない。
「そう、お兄ちゃんに近づいた人って、何故か不幸な目に遭うのよね。私が注意してあげないと」
お兄ちゃんに話しかけたり、触ったりして平気でいられるのは私だけ。ずっと昔から……。

隣の幼なじみの子、やたらとお兄ちゃんにベタベタまとわりついて仲良くしていた。
3年前、交通事故で大怪我したっけ。
お兄ちゃんに初めて告白した子。
クラスの全員に嫌われて、虐められて……最後は登校拒否になって転校していった。
その頃からかな。お兄ちゃんも女の子の告白を断るようになったのは。
仕方ないよね。だって、お兄ちゃんは私以外の女の子には、貧乏神になっちゃうんだもん。

「あれ?俺の携帯?」
お兄ちゃんがお風呂からあがってきた。
「うん、お兄ちゃん。また出しっぱなしだったよ。お父さんやお母さんに見られたら困るような
メールが入っているんじゃない?賢い妹が見られる前に避難させておきました~」
「馬鹿、そんなの入っているわけ無いだろ」
「だって、お兄ちゃんもてるんでしょ~」
「俺の恋人はサッカーなの。それに、お前が思っているほど俺はもてないよ」
「そっかぁ。残念。もてる兄をもっていれば、妹としても自慢できるんだけどなぁ」
「悪いな、もてない兄で」
「仕方がないなぁ、恋人ができるまで私が恋人の代わりになっててあげる」
「馬鹿、やめろ、俺っ、裸だぞ」

ふふっ、私に抱きつかれてお兄ちゃん焦ってる。可愛い。
いつまでも、ずっと、私が恋人になっていてあげるね。
お兄ちゃんが多の女の子とくっついて……貧乏神……ううん、死神にならないように。

>>583へのレス

586:名無しさん@ピンキー
08/12/17 12:35:02 PtpcVTOy
>>583に嫉妬

587:名無しさん@ピンキー
08/12/17 18:24:38 NvTuxHJW
「あの泥棒猫が憎い憎い死ね死ね」
       ↓
「あの女を殺していいのは私だけ」
       ↓
「女さんの魅力を一番分かっているのは私だ。
 敬意を表して、彼女の死に水は私が取ってやる」

588:名無しさん@ピンキー
08/12/17 19:13:49 oe0aX7+P
それなんてベジータ

589:名無しさん@ピンキー
08/12/17 23:34:25 X8dqwOKt
「あんたがNO.1よ…」

~和解~

590:名無しさん@ピンキー
08/12/18 05:02:22 K0PjllMa
ヤンデレの物語とは、ある意味泥棒猫と結ばれようとする話だよ。

ヤンデレ>>>生きている者と死んでいる者の壁>>>泥棒猫

怒りを我慢するから憎いのであって、ぶち殺せば泥棒猫を主人公以上に好きになると思うよ。


591:名無しさん@ピンキー
08/12/18 08:06:54 ecRD/r0c
もうなんかヤンデレから離れ始めてるな

592:名無しさん@ピンキー
08/12/18 08:20:42 sNt0kDZI
>590うぜえ

593:名無しさん@ピンキー
08/12/18 10:43:15 8vFXx+m5
とりあえず死ね死ねしとけばヤンデレだと考えていそうだな。

594:名無しさん@ピンキー
08/12/18 14:35:04 5/DFFOx5
殺す殺す詐欺

595:名無しさん@ピンキー
08/12/18 17:20:00 zV8w6KYs
機械と彼をこよなく愛す女技術者。
最初は戦闘機械の着装者として接していたのだが、次第に愛着が湧いてくる。
それと共に機械のデザイン等も変わってくる。
スーツ式→着脱式開放型→着脱式一体型→生体改造。
最後、最終兵器彼氏となった男と開発者の女技術者は駆け落ちすることに…

と突っ込みどころ満載のネタで流れ変えてみる。 

596:名無しさん@ピンキー
08/12/19 01:13:36 MAXL5Z/3
週刊新潮に面白い記事が。
インドのある男性が嫉妬した元彼女に薬盛られて動けない間にちんこ切断され
彼女は切り取ったちんこ持って逃走。

597:名無しさん@ピンキー
08/12/19 03:15:40 i8qLx/c3
阿部定事件を思い出す…。

598:名無しさん@ピンキー
08/12/19 09:08:06 uRAZkXWZ
女性の犯罪率って全体の2割くらいなんだが、殺人とかの暴力事件ってのはその中でもかなり珍しいらしい。
多いのは麻薬と窃盗。
たまに女性が殺人とかを起こすとそれだけで大きなニュースになるのはそのせい。

599:名無しさん@ピンキー
08/12/19 17:11:55 HNVCl+76
なるほど

600:名無しさん@ピンキー
08/12/19 20:41:36 SQWVIM9q
>>595
>機械と彼をこよなく愛す女技術者。

一瞬某フェアリイ空軍大尉を連想したぜ

601:名無しさん@ピンキー
08/12/19 22:09:02 wq1erpvs
ヤンデレが愛しの彼に付きまとう泥棒猫(彼女)を始末しようとするんだけど、
逆に返り討ちにあってボコボコにされたあと泥棒猫が変に気をつかって傷の手当とかしてもう彼には近づかないでとか言うんだけど、泥棒猫の強さと優しさに感動して今度は彼女に惚れてガチ百合に目覚めるヤンデレが見たいです

602:名無しさん@ピンキー
08/12/19 22:10:26 O3gr+5aT
ヤンデレは一途さも魅力だと思うよ

603:名無しさん@ピンキー
08/12/19 22:52:07 2jsbQBxE
>>601
XCAでもやってろ

604:名無しさん@ピンキー
08/12/20 00:29:06 hU7gELmS
>>601
病んでるほど(彼氏に対して)愛してない。デレてない。
もはやそれはただのいやあるいは

605:601
08/12/20 01:02:05 6jPlUKqo
皆から言われてちょっと考えたんだが、俺が言ったのはヤンデレじゃなかったな・・・もっと一途で純粋だった気がする
保管庫見て勉強するわ

606:名無しさん@ピンキー
08/12/20 01:58:07 460gRkhm
オレはヤンデレは自分のことをヤンデレだなんて思ってないと思うんだけど

最近の自分のことヤンデレって言ってるやつ何なの?

607:名無しさん@ピンキー
08/12/20 02:01:23 qqrNPySK
メンヘラ

608:名無しさん@ピンキー
08/12/20 06:05:16 idmLZwz7
バカ

609:名無しさん@ピンキー
08/12/20 11:27:03 vI8oM7o4
ヤンバカと聞いて

610:名無しさん@ピンキー
08/12/20 14:12:11 WTX42Iv7
>>609
ただのバカでよろしい

611:名無しさん@ピンキー
08/12/21 00:51:42 xOkGEuh3
 ヤンデレ自称すると死亡フラグ立ちそうだね


612:名無しさん@ピンキー
08/12/21 00:54:28 fdVCnfvR
仲良しなヤンデレと泥棒猫から発想を得たので投下します


「まゆり!開けろ!開けるんだ!!」

あ、たっくんだ
お風呂場のドアをドンドン叩きながら私のこと呼んでる
嬉しいな
たっくん、このごろ美由ちゃんとばっかりお話してたから
私のこと忘れちゃったのかと思ってた

「おい!なにやってるんだ!!」

何をやってるかって?ええっとね
たっくんのお部屋にこっそり入って、たっくんの部屋のごみを持ってきたんだよ
たっくんがいらないと思っても、私は欲しかったからもらったんだ
あ、後ね、美由ちゃんにたっくんを返してって言ったよ
たっくんは私の幼馴染だもん
後から来た美由ちゃんが私より優先されるのっておかしいよね
それに、美由ちゃんってば悪い子なんだよ
たっくん以外を見るし、たっくん以外と話すし、たっくん以外に触るんだから
たっくんが好きなら、たっくんのこと以外気にかけない子じゃないとダメ
私みたいに、毎日たっくんのことだけ考えて、見て、触って、話すような子じゃなきゃ認めない
そのことでさっきたっくんと喧嘩しちゃったんだよね
でもでも、追いかけてきてくれたんだよね
嬉しいな、嬉しいな

「開けろ!開けろって!!まゆり!」

どうしたの?なんか怖いよ、たっくん

「早く!まゆり!」

何を言ってるの?ドアは開いてるじゃない

「頼む・・・俺が悪かったなら謝るから、だから・・・!」


「死なないでくれ!!まゆり!」


しぬ?しなないよ。しんだらたっくんにあえないもの

613:名無しさん@ピンキー
08/12/21 00:55:02 fdVCnfvR

たっくんが最近私に優しくなった
嬉しいな
毎日会いに来て、私の世話をしてくれるんだ
美由ちゃんとは別れたんだって
あの日、たっくんが飛び込んできてくれたおかげで私は死ななかった
死ぬつもりはなかったんだけど、ちょっと間違えて混ぜちゃいけない洗剤を混ぜてお風呂に入っちゃったんだって
そのせいで、ちょっと足が動かなくなっちゃった
だからって、たっくんが気に病むことなんてないんだよ
その前にちょっとたっくんと美由ちゃんのことで喧嘩してたり
たっくんに向けてたっくんに嫌われたら生きていけないって言ったりしてたのは
全然関係ないよ
そう私は言ったんだけど、たっくんは真面目な人だから責任を取るって言ってくれた
嬉しいな、幸せだな

たっくん、ずっと一緒にいようね

もしもたっくんがいなくなったら

今度こそ

死んじゃうから




ヤンデ・・・レ?
ヤンデレ成分が極少になことをお詫びいたします

614:名無しさん@ピンキー
08/12/21 01:12:37 KohrDFPl
>>613
自傷行為に走るタイプか。
いいと思います。

615:名無しさん@ピンキー
08/12/21 01:13:23 B6ZyfQhu
>>612
久々にゾクゾク来た
ありがとういいくすりです

616:615
08/12/21 01:14:16 B6ZyfQhu
ご、ゴメンネ

617:名無しさん@ピンキー
08/12/21 02:20:23 wDZKkWLk
男「そこもとは素直クールの妹、かのツンとて粗略にはなさるまい。城を出て我が菩提を弔ってくれ」
女「ありがたきお心なれど、わらわは男管領様の妻、どこまでもお供します」

618:名無しさん@ピンキー
08/12/21 13:25:12 7Ug9CUxa
>>600
早くFAFに行けwww

619:名無しさん@ピンキー
08/12/22 01:03:19 r8LzR/W3
静かだ……
Xdayに向けて皆忙しいのか

620:名無しさん@ピンキー
08/12/22 13:26:00 suHcCMCj
嵐の前の静けさだな

621:名無しさん@ピンキー
08/12/22 14:47:25 apFP+hYL
荒らし…?((゜д゜;))ガクガク

622:名無しさん@ピンキー
08/12/22 15:41:15 sf2Otdzc
>>621
呼んだ?

誰かひぐらし原作知ってる人詩音がヤンデレなのかどうか説明付きで教えてください

623:名無しさん@ピンキー
08/12/22 18:21:11 tnO2VRTj
他所でやれ

624:名無しさん@ピンキー
08/12/22 21:05:18 +7XLxyIq
>>622
笑った。さすが荒らし。
よいこは真似しないでね

625:名無しさん@ピンキー
08/12/22 22:01:46 zILVfweb
他所でやれ

626:名無しさん@ピンキー
08/12/22 22:39:37 Jf3mBDhm
頭の中ではヤンデレが思い浮かびまくるのに文章にできないぜ

627:名無しさん@ピンキー
08/12/22 23:52:07 sf2Otdzc
>>623-625
悪ノリだったなすまん

628:名無しさん@ピンキー
08/12/22 23:53:33 Jn59817y
SAWのジグソウ的要素を加えたヤンデレだと、誰を監禁してゲームに興じるのだろうか?

おはよう、女さん。
ここが分からないだろう。教えてやる。この地下室でお前は死ぬ。
お前はいつも我が物顔で私たちの仲に割り込む。だが”泥棒猫”は鏡の中に何を見るか?
私に言わせれば、今のお前の姿は怒りと恐怖が混じり、ひたすら哀れだ。
お前は今日、自分の死を見るか、上手く逃げ出すか・・・

629:名無しさん@ピンキー
08/12/23 00:21:58 uY5x6PpG
一般的にいってヤンデレの最終目的は男との夢の生活で
ライバルの排除なんて手段にすぎないわけだから
そんな風に、獲物を目前にして舌なめずりしていたぶったり
無駄に関わりあって時間をかける必然性がほとんどない気がするけどな

「ただ殺すだけではあきたらん!」なんて持って行き方はあるかもしれないが
それにしても、SAWみたいなことまでするなら
既にそのゲームが目的になってしまってて、ヤンデレとしてはなんか違わね?

630:名無しさん@ピンキー
08/12/23 00:23:22 Ed2ySbMD
わざわざ言ってるんだから触れるなよ

631:名無しさん@ピンキー
08/12/23 10:37:58 RIMa4jvA
今頃病んだサンタ娘がプレゼントの荷造りしながら大好きなトナカイくんにどうやって今もうずいて止まないプレゼントを渡して、ひとりじめするかを考えてるんだよなぁ。

もしくは逆に病んだトナカイ娘がサンタくんから白いプレゼントを貰うかを考えてたり

632:名無しさん@ピンキー
08/12/23 21:12:29 +c+4d1wJ
女だけでなく主人公もぶっ壊れていて
周りの女が死んでいく
→実はある女のせいだと分かる
→男「実は僕も好きだったんだ。嬉しいよ、こんなに愛してくれるなんて。でも殺人は控えようね。」
→数日後
女「〇〇を殺したわ。あなたにやたら話し掛けて目障りだったから。スクイズみたいに腹かっさばいてやったわ。」
男「へえ…なかなかオツなことをするじゃないか。よしよし(なでなで)」
女「えへへ」
男「でも警察とかも怪しむだろうからしばらく我慢してね。その代わり縛ったりして楽しんでもいいよ。」

みたいなのを考えたが文章化不可。

633:名無しさん@ピンキー
08/12/23 23:33:26 JMHcbQxa
>>632
>>629を十回ぐらい読んだ方がいいと思う

634:名無しさん@ピンキー
08/12/24 02:31:59 g0lzs8Ir
>>629
つまり君は病んでさえいれば障害が何も無いラブラブなヤンデレでもよろしいと申すか。

…文章化したときに盛り上がりがないよママン…

635:名無しさん@ピンキー
08/12/24 05:05:42 UiKR7vYR
>>634
障害が何もないラブラブなヤンデレで何の問題があるというのだ
盛り上がりなんて、最初からクライマックスですよ

636:名無しさん@ピンキー
08/12/24 05:17:37 Jt+6KoWl
イブの朝一から股間の盛り上がりとかいっていい?

637:名無しさん@ピンキー
08/12/24 07:29:13 8x+G3Hg7
ほう。なかなかのセンスだ

638:名無しさん@ピンキー
08/12/24 11:16:36 ksL8Dfrg
視線を感じる
無言電話
下駄箱に想いのたけを綴った無名の恋文
よく話していた(?)女子の失踪

そしてある日我慢できなくなった女は主人公の家に忍びこみ・・・>>632

やっぱり文章化しても盛り上がらないかorz
書けないけど。

639:クリスマスが今年もやってくる
08/12/24 23:49:06 aGZLMkj+
携帯ですが投下します。
初めてなので、いろいろとご指導をお願いします。

640:クリスマスが今年もやってくる
08/12/24 23:50:46 aGZLMkj+
 あなたはサンタクロースにどんなイメージを持っていますか?
一般には、赤い服に白い髭をたくわえ、白くて大きな袋を持ったおじいさんでしょうか?
 でも、本物は違うんですよ。本物は赤い服じゃなくて黒っぽい藍色の服を着てるんです。
なんでも、近頃は不法侵入で捕まってしまう仲間もいるので、見付かりにくい服を着ているそうです。
それに、白くて大きな袋なんて持っていません。彼が持っていたのは黒い鞄でした。
中に入っているのは、プレゼントの、宝石がついたアクセサリー等や、仕事に使う秘密道具。
最近の家には煙突なんてお洒落なものがないので、いろいろ道具が必要なようなんです。
そして極めつけに、サンタは白いお髭のおじいさんじゃなくて、若いお兄さんなんです。
おじいさんサンタはもっぱら、どの家をまわるかなどの計画を練る係で、実際に配るのはお兄さんみたいな若者なんだそうです。

641:クリスマスが今年もやってくる
08/12/24 23:52:27 aGZLMkj+
 どうしてこんなに詳しいのかって? 実は私、去年のクリスマスにあったことがあるんです、サンタに。
嘘じゃないですよ。ちゃんと本人に確認をとったんですから。それにプレゼントも貰いました。一生の宝物です。
この一年間、大切に育ててます。といっても、育て始めたのは二ヶ月前なんですけど。
世話は大変だけど毎日がとっても楽しいです、ホントにサンタには何度お礼を言っても足りません。
 だから、捜しました。彼を。
そしたら、すぐに見つかりました。探偵ってすごいですね。みなさんも人捜しするときはお願いしたほうがいいですよ。
沢理 惣佑(さわり そうすけ)22歳、独身、彼女無し。家族は父母と妹が一人。現在は家族とは別居し、アパートで一人暮し。
サンタとしてのお仕事がないときはコンビニでアルバイト。サンタってクリスマスの日以外にも、働くんですね。
彼を見つけたときに、私は一つ、アイディアを思い付きました。とってもステキなサプライズを。
 
サンタはいつもプレゼントを配る側、だから今回はもらう側になってもらいましょう。

642:クリスマスが今年もやってくる
08/12/24 23:53:58 aGZLMkj+
 
今夜はクリスマス。きっと彼の帰りが遅いはず。そのすきに部屋に入ってパーティーの準備をしたいと思います。
彼がアパートを出たのを確認したら彼の部屋へ。幸い、部屋の鍵は入手済み。すぐに入れました。
料理は得意なので手料理です。伊達に一人暮しを五年もやってません。飾り付けは苦手ですが頑張ってみました。
プレゼントもちゃんと用意しました。彼が帰ってきたらどんな顔をするでしょうか? 今から楽しみです。

643:クリスマスが今年もやってくる
08/12/24 23:55:01 aGZLMkj+
 今年はあげる側の私ですが、今年もプレゼントをもらいたいです。なので、ちょっと料理に一工夫をしてみました。
ああ、そうだ。彼が帰ってくるのを待っている間に、私の宝物にお乳を与えておきましょう。
もしかしたら、彼もこうやって私のお乳を飲むかもしれません。そう考えるだけで胸が張ってきます。
果たして彼は気に入ってくれるでしょうか。このプレゼント《家族》を。
 
ああ、今年もクリスマスがやってくる。

644:名無しさん@ピンキー
08/12/24 23:59:53 aGZLMkj+
以上です。
こうして投下してみるとクソ文でしたorz
もっと上手くなって出直したいとおもいます。

645:名無しさん@ピンキー
08/12/25 00:06:01 6miUWsnu
GJ

646:名無しさん@ピンキー
08/12/25 03:43:50 pej+gs/V
>>644
GJ

647:名無しさん@ピンキー
08/12/25 11:39:23 aSUmwkx6
>>644
GJ。

男もぶっ壊れているのだとやっぱりヤンデレは成り立たないのかな・・・。

648:名無しさん@ピンキー
08/12/25 11:43:42 eKif6H2j
>>644
GJ

お茶会は男も壊れてる。
というか、あの作品は登場人物大体壊れてるな。

649:名無しさん@ピンキー
08/12/25 11:58:39 2BvqwYcV
『書く』って思った時にはすでに行動は終っているからだッ!!
 『書いた』なら使っていいッ!!

書きたいなら書けばいいじゃない。そしてそれからどうするか考えればいいじゃない

650:名無しさん@ピンキー
08/12/25 19:56:01 YO9k43GO
不法侵入者でレイパーということか?

651:名無しさん@ピンキー
08/12/25 20:30:29 oJJR4NWC
>>650
それと泥棒ですかね
泥棒に入ったら女と遭遇。勢いでレイプってイメージで書きました
やっぱり書き足りてなかったですね

652:名無しさん@ピンキー
08/12/25 20:51:53 2BvqwYcV
いや、十分伝わってたよ

653:名無しさん@ピンキー
08/12/25 21:10:23 oJJR4NWC
すみません、厚かましいとは思いますが、どうやったらもっといい作品が書けるか、アドバイスをいただけませんか?
どんな細かいことでも構いません。
目指している作品は『黒の領域』と『恋人作り』、それに『真夜中のよづり』です

654:名無しさん@ピンキー
08/12/25 21:21:10 mlz2ua5D
日本語や文章がおかしいのはそれだけで読む気が失せる
読者を置いてけぼりにする白々しいノリも読んでて苦しい

655:名無しさん@ピンキー
08/12/25 21:24:00 BbeV9TIh
エロパロ板の作品に文章力を求めるのはどうかと思うが

656:名無しさん@ピンキー
08/12/25 21:37:21 YO9k43GO
色々な作品に触れてみるとか?
洋画ドラマやサスペンスはヤンデレ男が多くてオススメ。


657:名無しさん@ピンキー
08/12/25 21:42:27 mlz2ua5D
そりゃあ読んでて関心するような文章は求めないけど、
正直、例えば同じ接続詞を何度も使わないとか最低限の事は出来て欲しい
中学生レベルの話だから。良い作品を書きたいと思うならさ
趣味だから自由と言ってしまえばそれまでだが

658:名無しさん@ピンキー
08/12/25 21:52:08 pTqasxnP
読者の心情を想像して書くとか。こう書けば読んでる人はこう想像するだろうって具合で。
私の読解力の無さと想像力の欠落からきてるのだろうが、作者の想像したものと自分が(読んで)想像したものが違うなって自分でわかるときがあるし。
違うかもしれないが、作者がイメージを文にするのに対し、読んでる人は文からイメージを作るからね。
なんか偉そうに言ってごめんね。これも653君を愛してるからなの。


ごめんね。

659:プロット?
08/12/25 22:06:22 QZc/9ee+
ある少年が女性に恋をする。
大人の色香、どこかに弱さを感じさせる強い性格、そして、何故か妖しさを感じさせる美貌…。
少年は女性に愛されたいと願った。
例えこの身が傷つこうとも。

ある少女は幼なじみの少年の事を愛している。
あまのじゃくな性格も、時折見せる孤独な微笑みも、そして、その少年という存在を…
少女は少年の全てが欲しいと願った。
例え何を失っても。

ある女性は少女に溺れている。
その愛くるしい瞳を、その穏やかな声色を、そして、その一途な想いを。
女性は少女を一途に愛している。
例え誰かを殺す事になっても。


誰かこんな感じのお話を書いて下さい。

660:名無しさん@ピンキー
08/12/25 22:16:51 oJJR4NWC
いろいろなアドバイス、ありがとうございます。
言われたところを見直して、次はもっといい作品を書きたいと思います。
これからもお世話になりますが、よろしくお願いします。

661:名無しさん@ピンキー
08/12/25 23:10:17 YO9k43GO
男と仲のいい ゆっくりしていってねにまで嫉妬する。
あれは饅頭なのに

662: ◆.DrVLAlxBI
08/12/26 00:43:29 mVrqxCHs
遅ればせながら、クリスマス短編投下します。

663:名無しさん@ピンキー
08/12/26 00:44:01 U0/jVdTY
支援

664:ヤンタクロース・サンタガール ◆.DrVLAlxBI
08/12/26 00:44:36 mVrqxCHs
『ヤンタクロース・サンタガール』

「あの……できれば、この状況について説明していただきたいのですが」
滋郎(じろう)は、非常に困惑していた。
それは十二月二十五日の朝。独り淋しい生活を続ける滋郎が、いつも通り独り起床した時のことである。
「あの……朝食をおつくりしましたので……まずは、食べてください」
顔を赤くしながら応える少女。
もちろん、生まれて二十三年間の間、女性と付き合うことはおろか、手さえ握ったことの無い滋郎には、実に覚えの無い人間だった。
知り合いではないことに加え、なぜ、知らないうちに家に入り、エプロンをかけ、朝食を作っているのか。
皆目見当もつかない。
まあ、相手からは敵意は感じられないし、説明してくれるということなのだろうから、と、滋郎は椅子に座った。
テーブルの上に、少女は食器を置いていく。
「おお……」
思わず、滋郎は声を漏らした。
家の冷蔵庫の中の適当な賞味期限ギリギリの食材たちが元になったとは思えないほどの美味しそうな朝食ではないか!
「あの、いただいて、いいんですか?」
「はい。そのために作ったんです」
一応、訊いた。不法侵入者にこういうことを言うものかと思うが、少女はそう言った犯罪的な、泥棒的な何かと無縁の存在に思えた。
だって―どっからどう見てもサンタだし。
ずずっと、薄め(滋郎の好みの加減だ)の味噌汁を啜り、一息つき、言う。
「サンタさん、なのかな?」
「あ……」
少女はもともと赤くしていた顔を、さらに赤くした。来ているサンタ装束と同じような色に染まっている。
訊いちゃだめなことだったのだろうか。滋郎は一瞬だけ罪悪を感じたが、やめた。冷静になるべきだ。
「はい。そうですね、言い忘れていました。わたしは、サンタガールをしています。『サンタ=マリア』と申します」
「はぁ、それはご丁寧に。でも、なんたって僕の家に。それに、深夜にプレゼントを渡すとかならまだしも、もう朝ですけど」
「そ……それは」
内気そうな少女、マリアは、もごもごと口篭もり、言った。
「わたしが……プレゼント、なんです」

665:ヤンタクロース・サンタガール ◆.DrVLAlxBI
08/12/26 00:45:06 mVrqxCHs
♪ ♪ ♪

時はさかのぼり、十年前のクリスマス・イヴ。
その時、マリアは十歳。滋郎は十三歳であった。
マリアは、当時現役サンタクロースだった祖父につれられ、トナカイそりで聖夜の空を疾走していた。
「うわぁ……。おじいちゃん、人間界には、こんなにいろいろな『光』があるんですね」
「ほっほっほ。マリアは人間の『光』が見えるのじゃなぁ。こりゃ、将来大物サンタになるのう」
「人間の『光』?」
「そうじゃ。わしらサンタは、プレゼントを渡すことで、彼らの『光』をすこしずつわけてもらって生きるんじゃよ」
「そうなんですか……。すっごく、綺麗な光ですね」
「マリア、綺麗な光と、汚い光は。その違いは、見えているかの?」
「綺麗と、汚い……? 確かに、個人差があります。子供が綺麗で、大人は汚いです」
「一概にそうともいえんがのう。確かに、大抵はそうじゃ」
「どうして、同じ人間でも、違うんですか?」
「それはのう、この『光』は、人の『願い』『執着』『夢』そのものだからじゃ。大人になるに連れ、人はそれらの呪縛にがんじがらめにされていってしまうのじゃ」
「悲しい、ことですね……」
「じゃが、例外ならある。『恋心』じゃ」
「恋……?」
「恋をしている人間の光は、そのどれもが美しいのじゃよ」
「……」
「わしも、ばあさんと出会ったときは、それはそれは……」
また始まった。と、祖父ののろけ話には耳を塞ぎ、マリアは空を駆けるそりから身を乗り出し、地上の光をみつめた。
たくさんの光がうごめいて、まるで蛍。しかし、ぱっと見ただけでは気付かなかったが、綺麗な光は、目立つが実際は少ない。
殆どは闇のようなどす黒い光だった。
「……あ、あれは」
マリアは、その中に妙なものを見つけて、思わず手を伸ばしてしまった。
「あ―」
ひゅう。
マリアの小さな身体は、簡単に空に投げ出されてしまった。
「ばあさんとの情熱的な恋は、わしの『幻惑』能力抜きには語れんじゃろうな。お前にも遺伝していれば~」
祖父は、未だ嫁とのラブストーリーに陶酔していた。


666:ヤンタクロース・サンタガール ◆.DrVLAlxBI
08/12/26 00:45:37 mVrqxCHs
♪ ♪ ♪

ぼふん。
雪がクッションになり、マリアは殆どダメージを受けずにすんだ。
しかし、雪の塊に全身をつっこませてしまったため、せっかくの子供用サンタ服がびしょぬれだった。
「おじいちゃんにもらったのに……」
ぐずぐずと、涙を流すマリア。
「おい」
そこに、1人の少年が現れた。
「……?」
「びしょぬれじゃないか。雪遊びもほどほどにしろよ」
少年は、悪態をつきながらも、自らの上着を脱いでマリアに差し出した。
「寒いだろ。これ、やるよ」
「え……。でも」
「やるって」
強引に押し付け、少年はさっさと走り去った。
「おーい、マリアー!」
サンタクロースがそりで駆けつけたのは、それから少ししてからだった。
そこには、びしょぬれではあったが、この上なく幸せそうな顔をした孫の姿があったという。

♪ ♪ ♪

「で、その時の少年って言うのが、僕、と。そういうことですね」
滋郎は、正直困っていた。確かに、いい話だ。いい話ではあるが、さっぱり身に覚えが無い。
「人違いでは?」
「いいえ。サンタのデータベースでちゃんと確認しましたから……。滋郎さんが、あのときの男の子で、間違いありません」
そう言うと、マリアはプレゼント袋をごそごそと探り、子供用の上着を取り出した。
「これ、お返しします」
「え、いいですよ。あげたんだし。今更もらっても、僕は着られないし」
そりゃ、マリアにも使い道はないのだろうが。滋郎はココロの中でそう付け加えた。
「それで、君はこの上着をわざわざ返しにきてくれたんですか?」
「あ、の……その……」
「?」
「プレゼントは、わたし自身だと、さっきも言ったと思いますが……」
「うーん。すみませんが、いまいちピンとこないというか……」
「恩返しがしたいんです……。家事でも、なんでもします。ご迷惑はおかけしません。この家に置いてください」
マリアは、そう言って床にひれ伏した。
「ちょ……ちょっと! やめてください!」
「……?」
「何年も前の恩じゃないですか。それに、当然のことをしたまでですから、感謝してもらっただけでも嬉しいですよ」
「しかし……。それでは、わたしの気がすみません」
「うーん」
滋郎は、しばらく考えて、応えた。
「なら、来年のクリスマスまで、家で家政婦さんをしてもらう、というのは?」
「は、はい! ありがとうございます! 頑張ります!」
「お礼を言われるとは思わなかったけどね……」
一年という長い期間が、若い娘なのに苦にならないのだろうか。滋郎は、断られると思って提案したのだ。
まあ、言ってしまったものは仕方が無いと、滋郎はマリアを受け入れることに決めた。


667:ヤンタクロース・サンタガール ◆.DrVLAlxBI
08/12/26 00:46:07 mVrqxCHs
♪ ♪ ♪

それからの滋郎の生活は、刺激的で楽しいものとなった。
滋郎は御神グループ系列の、なかなか良い会社に努めており、将来はなかなか明るい部類だ。
そんな彼に唯一足りないのは、女性に好かれること(彼は『いい人』で止まるタイプだった)と、家事の能力。
マリアは、そのどちらも満たす存在だった。
マリアは献身的に滋郎に尽くし、精一杯の愛情を注いだし、滋郎はそんなマリアを大切に扱った。
二人は、間違いなく幸せだっただろう。
が、唯一、かみ合わない点があった。
滋郎は、マリアの愛に全く気付いていなかったのだ。彼は、あくまでマリアの目的が『恩返し』なのだと思い込み、彼女に手を出さなかった。
それでも、二人の間には何も問題は生じなかった。
そういうすれ違いがあろうが、マリアは滋郎のそばで暮らせることだけが幸せだったからだ。
しかし、約束のクリスマスは、待ってはくれなかった。

♪ ♪ ♪

「そろそろ、クリスマスですね」
食卓で、マリアはそう切り出した。
「そうだね。君はいつもサンタの衣装だから、見慣れてしまってどうにも気付かなかったよ」
滋郎は、ははっと笑う。その笑顔を見て、マリアも幸せを感じていた。
「そっか……。もう、クリスマスか。君とも、そろそろお別れなんだ。淋しくなるね……」
だから、滋郎がぽそっとそう漏らしたことにも、気付かなかった。


668:ヤンタクロース・サンタガール ◆.DrVLAlxBI
08/12/26 00:46:38 mVrqxCHs
♪ ♪ ♪

そして、クリスマス・イヴ。滋郎はこんな日にもしっかり出勤し、仕事を終えて家に帰ってきた。いつもより遅かった。
「お帰りなさい、滋郎さん。今日は、クリスマス・イヴだからちょっとだけ豪華なお食事を用意しました」
「うん、いい匂いだね」
マリアと滋郎は食卓につく。すると、深刻そうな顔をして、滋郎はこう切り出した。
「明日で、お別れなんだね。淋しくなるな」
「え……」
予想だにしていなかった―ココロの中から、自然に消してしまっていたことが、マリアに突きつけられた。
「ありがとう。こんな僕のお世話をしてくれて。本当に、感謝してるよ」
「……で、でも、わたしがいないと、滋郎さん、困って……。やっぱり、これからも、ずっと……」
「君は若い女の子だ。自分の時間を大切にしなきゃ。……大丈夫、僕もこれから何とかやってくから」
「でも……」
「今日ね、会社の女の子に、告白されたんだ」
「……!」
「その女の子は、本当にいい子だよ。僕も、彼女となら暮らしていけるんじゃないかって思ってる」
「でも……でも……」
「僕は、君みたいに綺麗で優しくて、頭も良くて、何でもできるような、そんなすごい女の子を、僕なんかにとらわれたままにはしておけないんだ。だから、分かって欲しい」
「……」
「今まで、ありがとう。僕なんかを心配してくれて。僕は、なんとかやっていくよ。もう、君に心配かけないように。……本当に、ありがとう」
マリアは、もう何も言い返せなかった。
滋郎は優しい。だから、マリアも好きになった。
だが、だからこそ、マリアを無意識に傷つけていた。
ただの家政婦にとっては。ただ、世話を焼いてくれている優しい人にとっては。その言葉は、滋郎の自立や感謝を表す、誠実な言葉だったろう。
だが、マリアにとっては死刑宣告以外の何ものでもない。
「……少し、時間をください」
マリアは、うつむいたまま部屋をでた。


669:ヤンタクロース・サンタガール ◆.DrVLAlxBI
08/12/26 00:47:08 mVrqxCHs
♪ ♪ ♪

「本当に、これでよかったのかな」
滋郎は、マリアの悲しげな顔をみて少し後悔した。
しかし、これでいいのだとも思っている。勇気を出して告白してくれたあの子に応えるためにも。
そして何より、優しいマリアが、彼女自身の幸せをつかめるようになるためにも。
「そのためには、僕は邪魔だから」
ふぅ。溜め息をひとつ。
無理矢理追い出す形になったのは、やはり申し訳が無かった。
もう少し、何か別の方法をとることはできなかったのだろうか。
「……。帰ってきたら、もうすこし。もうすこし、話をしよう」
マリアに幸せになって欲しいのは、本心だ。マリアを、ついにできた恋人のために追い出す口実などでは、決して無い。
しかし、さっきの宣告は、そういう風に伝わったかもしれない。即ち、「女が家にいると彼女が勘違いするから、もう出て行けよ」と。
「だとしたら、ひどい奴だな、僕は」
だから、帰ってきたら。もっと誠実な言葉でマリアを説得するつもりだった。
だが、待っていることすらマリアを傷つけるのではないのか。
誰かが言っていた。「こういうときは、追いかけるべきだ」と。
滋郎は立ち上がった。


670:ヤンタクロース・サンタガール ◆.DrVLAlxBI
08/12/26 00:47:39 mVrqxCHs
♪ ♪ ♪

ふらふらと、マリアは当ても無く街を彷徨った。
彼女のサンタ服も、この繁華街ではもう珍しくない。似たような格好の、あらゆる店の店員が自らの店のクリスマスセールを宣言していた。
疲れきった街。
この街に、もう光など見えない。昔はもっと輝いていたのに。
いや―。
(わたしが、もう……サンタの力を失ってる)
マリアは、なんとなくそう思った。去年、人間界に居候を始めてから、マリアは明らかに弱くなった。
(人間になっている……わたしは)
思えば、人間に対する恋心というのは、普通サンタは持たないそうだ。
人間とサンタは違う。人間とチンパンジーが恋をしないように、似てはいても結局は交わらない。
おそらく、滋郎もその理由で、マリアのアプローチに気付かなかったのだろう。
だが、マリアの心は、違った。マリアは確かに滋郎に恋をしている。
そして、人間ゆえのあらゆる苦悩が芽生えているのだった。
執着、願い、夢、欲望。その全てが、人間らしい活力だった。同時に、人間を縛る鎖だった。
(滋郎さん……)
この十一年間、マリアはずっと滋郎を見てきた。
サンタの能力である透明化と、透視を利用して、空から、あるいは窓から、あるいはどこか遠くから、あるいは、すぐ隣から。
ずっと、ずっと。どこにいても、何をしていても、気がつけば滋郎のことを目で追っていた。
滋郎を観察しつづけるにつれて、その恋心は深くなっていった。
根っからの善人の滋郎は、誰よりも輝いているように見えた。少なくとも、マリアにとっては、これ以上ない、輝ける存在だった。
ずっとずっと。見つめつづけた。
起きるときも、食べるときも、風呂に入っても、笑っても、悲しんでも、転んでも、なにをしているときでも、いつも隣にいた。
触れることができなくても、満足だった。
マリアにとって、なにより嬉しいのは滋郎の自慰行為をいくらでも観察できることだった。
マリアは滋郎の自慰を観察しながら、自らも快楽をむさぼった。
時には、あの時もらった上着の匂いをかぎながら―あるいは、股に擦りつけながら。その手触りを、滋郎自身の代わりにして。
ずっと見つめるうちに、同じく滋郎を見つめる存在に気付くこともあった。
滋郎は優しい男だ。確かに、好意を持つ女も多いだろう。それはマリアにはよく分かっていた。
しかし、理解はできても納得はできない。
マリアは、滋郎に必要以上に近づく女を排除しつづけた。故に、滋郎はいつだって独り身だった。
時に、陰湿に、時に、強引に。マリアは、社会的に敵を抹殺しつづけ、滋郎の貞操を守った。
また、自分の貞操を守ることにも必死だった。
国家資格が必要で、高給取りのサンタガールは、サンタの世界では非常によくもてる。
祖父が見合いの話をだしてくることも少なくなかったし、親は何度も下らない男達を紹介してきた。マリアはそれらを実に巧みに退けた。
全ては、滋郎を観察しつづけるため。
そしていつか、結ばれるためだった。
「それなのに……。それなのに……」
マリアが滋郎を『見つめる』ことができなくなったのは、退職して滋郎のもとに転がり込んでからだ。
マリアの暴走する欲望が実に人間的なレベルに到達したその時、マリアは力を失い、透視もなにもできない、ただの人間となったのだった。
しかし、マリアは滋郎とともにいられるだけで満足だった。それ以上望まなかった。それが大きな油断だったのだ。
目を離した一年で、滋郎は女に目をつけられ、ついには告白されてしまった。
今まで女性に縁がないが故に、押しには弱いだろう滋郎。
「助けないと……」
ぶつぶつと呟きながら、マリアは夜の町を歩いてゆく。
「待っててください、滋郎さん……。今、目を覚まさせて上げます……」


671:ヤンタクロース・サンタガール ◆.DrVLAlxBI
08/12/26 00:48:10 mVrqxCHs
♪ ♪ ♪

(やっちゃった……! ついに、憧れの滋郎君に告白したぞ……!)
裕子は、はっきり言って浮かれていた。ついに、人生をかけた告白が成功したのだ。
彼女の失恋率は100%。全ての恋が、告白の時点で破れている。
容姿のせいではない。彼女の異様な不器用さのせいだ。
彼女は人付き合いが余り上手ではなく、口下手だ。それに、身持ちも硬い。
それらがたたって、二十七歳となった今までずっと処女だった。
(これでやっと処女卒業できる! その相手は、しかもあのいかにも童貞な滋郎君……! この年になって処女童貞のカップルって、むしろ国宝級よね……。あたしたし、絶対幸せになれる。そう、これはサンタさんがくれたプレゼントなのよ!)
ああ、サンタクロースよ。ひげのおっさんでいいから処女奪ってくださいなんて願ってすみませんでした。あれは思春期の過ちですから!
空に向かって、裕子は手を合わせた。
「あなた、滋郎さんの同僚のかたですよね」
妄想に浸っている間に、急に後ろから声を掛けられ、裕子はとっさに奇行をやめ、とりつくろう。
「え、ええ。そうよ。それが何か?」
「少し、お話があります」
―大切なお話ですから、人気のないところに行きましょう。誰かに聞かれては大変です。
人気のないところに行く。男に誘われるならまだ警戒するが、相手は女。それも、若くて美しい女。裕子は警戒心を全く持たなかった。


672:ヤンタクロース・サンタガール ◆.DrVLAlxBI
08/12/26 00:48:40 mVrqxCHs

♪ ♪ ♪

「いい格好ですね」
「あ……あんた、なんでこんなこと!」
縄で縛られた裕子を、美しい女―マリアが、生ゴミでも見るような目付きで見下ろしていた。
「何故? 決まっているじゃないですか。あなたが滋郎さんを誘惑した、淫売だからですよ」
「い、淫売ですって!? そんな侮辱……げふっ!」
マリアの蹴りが、裕子のみぞおちに直撃した。
「淫売は淫売らしく、下のお口で会話したらどうなんですか?」
マリアは、裕子のスカートをめくり上げると、さっと下着を取り去ってしまう。
「や、やめっ……むぐっ!」
そのまま裕子の口に、丸めた下着を押し込んだ。ざらざらした、布の舌触りにうめく。
その上に猿轡をはめ、マリアは立ち上がって、言う。
「さて。ここは非常に人気のない場所ですね。大変ですよ、こんな所に女性一人でいては……ねぇ、皆さん?」
『皆さん』? 裕子が不審に思って視線をそらす。
すると、どこからか男達があつまり、裕子を取り囲みはじめていた。
「ん―!! んー!!」
裕子は精一杯わめくが、言葉にはならない。
「皆さん、この女性は二十七歳にもなって処女だからコンプレックスを持っていた、不幸な人です。どうか、皆さんの聖なるつるぎで、その不幸を貫き壊してあげてください」
「んー!! んー!!!」
もう、ここまでくれば裕子にもこの先の展開が予想できていた。
しかし、予想はついても回避できない未来がある。これはそういう類いのことだ。
(ああ、神様……!)
裕子は涙を流しながら、ついに諦めた。
「駐在さん、こっちです! 今、女性が襲われています!」
と―その時、天の助けが現れたのだ。
男達は、ちぃ、と言い残し、どこかしらに消え去った。
が、いくら待っても警察はこない。おそらく、今現れた男の仕掛けたハッタリだったのだろう。
「大丈夫ですか、裕子さん」
そう言って、猿靴差をはずす男。どう見ても、その男は裕子の知った顔だった。
というか、彼は……。
「滋郎君……!」
「はい、危なかったですね」
「滋郎君……怖かったよぉ!!」
ひしと抱きつく。
「でも、滋郎君。なんでここに?」
「探している人がいて……。見失ったんですけどね。サンタの服をきた、綺麗な女の子です」
「サンタ服の……綺麗な子……?」
「はい。見ていませんか?」
「その子は……あたしを襲って……」
「襲った……? そんなまさか」
「いえ、あの子、普通じゃなかったわよ! きっと、滋郎君に恨みがあるんだわ! だから恋人になったあたしを狙ったのよ!」
怒りに打ち震えながら、裕子はまくし立てた。
「滋郎君、気をつけなきゃだめよ……。なんなら、今夜はあたしと一緒にすごさない?」
「それは……」
「こうやって、平気なふりしてるけど、あたしも正直不安なのよ。その……リンカン、されそうになったし」
「それは……確かに、ほうってはおけませんね。いいですよ、裕子さん。僕の部屋に泊まっても」


673:ヤンタクロース・サンタガール ◆.DrVLAlxBI
08/12/26 00:49:11 mVrqxCHs
♪ ♪ ♪

(マリアさんなんだろうか。やっぱり……)
滋郎は、考えていた。
裕子の話をきくと、たぶん裕子を襲ったのはマリアなのだろうと推測できる。
しかし、あの優しい女の子がそんなことを……?
(僕が……。僕があんな、ひどいことを言うから……)
非常に、後悔していた。マリアが裕子を襲ったのは、自分に責任があるのではないのかと感じていた。
(もう、このまま帰ってこないのかな……)
そんなの、いやだな。滋郎は、マリアに謝りたいと強く願っていた。
「滋郎君……あたし、こわいわ。一緒に寝ましょう」
「で、でも……」
「今日から、あたしたち恋人同士よ。普通のことよ」
有無を言わせず、裕子は滋郎のベッドに潜り込む。
「滋郎君、抱きしめて……。絶対、放さないで」
「裕子さん……」
裕子は、自らの服に手をかけ、取り去っていった。
滋郎の前に、その裸体が晒される。
(裕子さん、思ったより、すごい……)
裕子の身体は、普段服の上から見たよりも見事で、美しかった。
「滋郎君……あたしたち、幸せに……!」
「裕子さん……!」


674:ヤンタクロース・サンタガール ◆.DrVLAlxBI
08/12/26 00:49:45 mVrqxCHs
♪ ♪ ♪

「四回も、中に出しちゃったのね。滋郎君、見かけによらず好きねぇ」
「裕子さんこそ、初めてなのに感じすぎです。こえ、すごかったですよ」
―近所にも聞こえてるかも。
「……ねえ、滋郎君、あたしの身体、どうだった?」
「しょ、正直、おぼれちゃいそう、でした。この世のものとは思えないというか……」
「そうですか。うれしいです」
「え―?」
奇妙なことが起こった。
裕子が、急に口調を変えたかと思えば。その顔が―マリアのものに変わっていたのだ。
「マリア……さん……?」
「はい。そうです。滋郎さんが今まで獣みたいに犯し尽くした女が、わたしです」
「……ど、どうして……? いつから、入れ替わって……?」
「裕子さんを家に連れ込んだ後、ころあいを見計らって、です。滋郎さんと自然に近づける状況があれば、それでよかったですから。それと、裕子さんなら無事ですから、安心してください。死んじゃったら、滋郎さんの日常に支障をきたしますから」
「どうして……」
「まだ、わからないんですか……?」
マリアは、再び―偽の裕子だったときにしたように―滋郎に跨った。
「滋郎さんを、ずっとずっと……見てきたんですよ。愛していたんですよ」
腰を動かし始める。
「ああっ……滋郎さん……滋郎さんなら、わたしが妊娠したら、責任とってくれるって、確信してるんです……あんっ……!」
「うっ……き、きみはっ……」
「ゆ、裕子さんの存在を知って……あ……最初は……殺したくなるほど……あぁ……憎みました……。でも、利用価値に、気付いて……感謝しました」
マリアは興奮状態のまま、膣の収縮で滋郎のモノを締め付ける。
ねちっこく、絡みつくように。
―もう、はなさない。
「これは、人間になって、恋をしたわたしへの……プレゼント、なんです」
思い出したのは、祖父の言葉だった。「恋をする人の光は美しい。そして、美しい光をもつものは、きっと誰よりもすてきなプレゼントを授かるだろう。
すなわち、それは彼女のパーソナルギフト(サンタとしての特殊能力)である『幻惑』で滋郎を錯覚させ、性交に及ぶ機械を与えたこと。これは、今までどおり女たちを排除していては無理な戦法だった。あくまで、恋人の裕子なしには成立しないのである。
そして、もうひとつのプレゼント。
「今日、すっごく危険日なんですよ。こんな日にいっぱい中に出されて……わたし、赤ちゃんできちゃうかもしれません」
マリアは、神に感謝した。
彼女は人間化が進んでいたというのに、サンタの能力たる『ギフト』を使うことができた。これは、殆ど奇跡のようなものだ。
彼女の作戦にはこの幻惑能力が必要不可欠だった。彼女が失った透視や透明化を差し置いてでも復活すべき能力が、これだったのだ。
そして、彼女は賭けに勝った。
裕子の存在、能力の存続、そして、危険日。
これらの要素が揃ったこと。これは、もはや神か、あるいは天国の祖父がくれた、プレゼントだとしか思えなかった。
―そういえば、『幻惑』能力は祖父から隔世遺伝したんだっけ。
(まあ、そんなのはどうでもいいんです)
今は、とにかく、滋郎との性夜を楽しまなければ。
「あ……滋郎さんの、熱い……!! 赤ちゃんできちゃいます……!」
これからは、今までの。十一年間のツケを、たっぷり身体で払わせてやろう。
マリアは、今、幸せだった。

おわり



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