らき☆すたの女の子でエロパロ54at EROPARO
らき☆すたの女の子でエロパロ54 - 暇つぶし2ch445:玄関で寝ちゃった2 6/9
08/12/06 00:35:19 PcwAfCgi
 「きゃあ」
 例によって足をとられ、例によって前のめりに転倒しそうになり、例によって天井の紐を掴んでしまう。
例によらなかったのはゆたかが防御姿勢をとり、顔をガードした事である。そのせいで、ゆたかは見事に
罠にかかってしまった。

 ガシャン

 金属的な音が、床に倒れたゆたかの全周で鳴った。顔を庇った手には、何やらざらざらしたものの感触
がある。恐る恐る目を開けると、自分が囚われの身になっているのを発見した。
 「網??」
 詮索は後回しにして、障害物競走の走者のように床を這い、金属的な音の正体となった重しを上げて網
から抜け出す。体の凹凸がほとんどないため、難なく抜け出せた。
 「網……」
 何度見ても、それはナイロン製の糸で編まれた漁獲器具であるところの網に相違なかった。紐を引くと
広がった状態の網が天井から落ちて来る仕掛けだったようだ。のこぎりか高枝切りバサミと一緒に、物置
で見つけたといったところだろうか。
 「……」
 こなたのフィギュアをカーテンレール吊りの刑から解放しながら、ゆたかは考える。ゆいがこのような
ことをした動機が、おぼろげながら見えてきたのだ。
 「!」
 そこでゆたかは、大変な事に気付いた。ゆたかの部屋、こなたの部屋と罠が仕掛けられたのなら、泉家
のもう一人の構成員にして当主であるそうじろうの部屋にも何か仕掛けられたと考える方が自然である。
もしそうじろうの逆鱗に触れるような事があれば、下宿先としての泉家を追い出されてしまうかもしれな
い。
 「確かめなきゃ……」
 ゆたかは震える足で階段を上り、そうじろうの部屋の前まで来た。鬼が出るか蛇が出るか。金だらい、
投網ときて、次に待ち受けるは……。
 「伯父さん、入りますよ……」
 玄関で寝ているそうじろうに一応断ってから、ドアを開ける。
 ゆたかは闇に迎えられた。カーテンは元より、雨戸まで締め切っていて真っ暗である。原稿に集中する
際、雑音をシャットアウトする為の措置である。
 「灯り……」
 呟きながら壁際のスイッチを押してみる。が、点灯しない。そして罠も発動しない。この部屋に何か仕
掛けがあるとして、それはスイッチに連動したものではなかったようだ。まだ闇に慣れぬ目で辺りを探り、
やがて一本の紐を見つけた。これを引けば電気がつくはずである。そこでゆたかは、その紐を引っ張った。
 「きゃあああああああああああ」
 ゆたかの体が足を上にして浮き上がる。

446:玄関で寝ちゃった2 7/9
08/12/06 00:36:08 PcwAfCgi
 それはスネア。
 太鼓の一種ではなく、小動物を捕らえるためのリング状にしたロープの罠である。それが小動物的なゆたか
の細い足首を捕らえ、彼女を吊るし上げたのである。
 「お姉ちゃ~ん、伯父さ~ん! 助けて~!」
 禍なるかな。この家にいる者は、ゆたか以外皆玄関で寝ていた。やがてその声が届き、こなたに救出さ
れるまで20分。
 発見された時のゆたかは、頭に血が上った恍惚状態にも似た虚ろな表情と、逆さ吊りによって肌蹴たパ
ジャマの上衣のせいで「無性にそそった」そうである。




 こなたの腕の中で、ゆたかは息も絶え絶えである。非性的な意味で。……別に息絶えようとしているわ
けではない。
 「お姉ちゃん、私もう疲れたよ……」
 救出されたゆたかが発した言葉は某有名アニメの最終回を髣髴とさせたため、こなたは思わず出鱈目な
犬語で答えそうになってしまった。
 「ゆーちゃん、一体何が……」
 こなたとしても驚きを隠せない。何せ助けを呼ぶ声に目を覚ましたら、布団の中にはゆたかの代わりに
ゆいがいて、そうじろうの部屋でゆたかが逆さづりになっていたのだから。
 ゆたかはまず罠を除去していったくだりを簡単に話し、まだ他にも罠があるかもしれないからと注意を
促した。まさに機雷原を啓開した掃海艇の働きである。
 「ゆーちゃん……。頑張った、感動した!」
 ということは、ゆたかを抱き締めるこなたの胸に沸き起こる母性は、掃海「母」艦のそれに相違ない。
こなたは思わず敬礼しそうになった。
 「ゆい姉さんは何でこんな事を……」
 ゆたかは最後の体力を振り絞り、こなたに真相を託す事にした。
 「お姉ちゃんは……寂しかったんだと思う。それでこの家に来てみたら……玄関に鍵がかかってなくて
……」
 不用心だなと思った事はこなたの想像にも難くない。そして事実、そう思ったのだろう。だから罠を仕
掛けた。
 「酔っ払ったゆい姉さんとしては、外敵用の罠のつもりだったってわけだ」
 「うん……たぶん」
 ゆいがどうやって罠の作り方を知ったかについては、ゆたかは吊り上げる為の重しとして、そうじろう
の書棚にあった百科事典が紐にいわかれているのを見てなんとなく想像はついた。

447:玄関で寝ちゃった2 8/9
08/12/06 00:37:03 PcwAfCgi
 「それじゃあね、お姉ちゃん……」
 「ゆーちゃん!?」
 「ちょっと早いけどおやすみなさい……」
 「ああ……うん……」
 疲れ果てて力尽きたゆたかを自分のベッドの布団を持ってきて包んでやり、こなたは玄関へと向かった。
 ゆたかをこのような目に遭わせた大人たちは、報いを受けなければならない。そこでこなたは、何もし
なかった。目が覚めれば、自動的に報いを受けるようになっていたためだ。
 「う……ん……」
 やがてゆいが目を覚ました。眼鏡をかけるまでもなく周囲の状況がおかしいのに気付く。やがて、すぐ
隣で寝ている男性がそうじろうである事に気付いた。
 「い、いやああああああああああああああああ!!」
 エドヴァルド・ムンクが見たら「叫び」というタイトルで絵筆を古いそうな顔で、ゆいは悲鳴を上げた。

 酔って泉家に来たのは覚えている
 ↓
 よく分からないけど伯父と一緒に寝ていたらしい
 ↓
 きよたかがいない寂しさに負けて、伯父といけない仲になってしまった!?
 ↓
 がーん

と考えたためである。
 「んん……」
 あまりにやかましい悲鳴だったため、そうじろうも目を覚ますが、すぐに白目をむいて別の眠りの旅立
ってしまった。彼を遠ざけようとしたゆいの足が顎に入ったためである。
 なおも悲鳴を上げ続けるゆい。お寝坊さんなそうじろう。
 こなたは少し離れたところで、その様子を冷ややかに見ていた。

448:玄関で寝ちゃった2 9/9
08/12/06 00:38:03 PcwAfCgi
 「ゆい姉さんを説教する役は、ゆーちゃんに譲るよ」
 我に帰って落ち着きを取り戻したゆいに、こなたはそう言っただけだった。実のところそれが痛いとこ
ろを突く最良の方法だったため、ゆいは、
 「面目ない……」
と縮こまった。効果覿面である。それでもゆいはこう言い返した。
 「でも、鍵をかけてないのはどうかと思うよ」
 「それは……大丈夫!」
 こなたはない胸張って強気に言う。
 「玄関で三人も寝てれば、侵入者は恐れを為して退散しちゃうよ」
 「私は却って心配になったけどねえ」
 「それよりさ、姉さん……」
 より気がかりな事がこなたにはあった。
 「ゆーちゃんは他にも何か仕掛けがあるかもって言ってたけど、どうなの?」
 「えーと……クローゼットの中は見た?」
 「服に何かしたの?」
 「こなたたちの学校、セーラー服だよね」
 「制服に何かしたの!?」
 「いやー、フグの置物を添えてみた」
 「?」
 「セーラー服……セーラーフグ、って」
 「とりあえず、置物の出所は聞かないでおくよ」
 居酒屋あたりから被害届が出たら、懲戒免職を覚悟しなければならない。
 「ああいうのって高く売れるんでしょ」
 「確かにフグの置物があったら、盗むのを躊躇っちゃうよね!」
 「うん!」
 「いや、姉さん……。笑いながら肯くところじゃないから」
 「それとテレビ……」
 「テレビにも何かしたの!?」
 「ううん、アンテナの方……。鉤付きのロープでよじ登ったりするといけないから……」
 「はわわわ……」
 こなたの顔がずずーんと青ざめる。アニメの放送時間までに復旧できなければ見逃すことになってしま
うからだ。
 「こうしちゃおられん!」
 こなたは復旧にかかるべく、玄関から飛び出して行った。
 さて、どうしたものか……。
 気絶したそうじろうと共に取り残された玄関で頭を掻いていると、ゆいの携帯電話が鳴り、掛けてきた
人の名前が一瞬で時空をバラ色に変えた。
 「きよたかさ~ん♪」
 電話に出る。
 「ボンジュール♪ マイダーリン♪ マイスウィート♪ マイハニー♪ 愛してるわ、CHU♪ ん? 今
? こなたのとこ。してないしてない。してないよ~、絡み酒なんて。きよたかさんがいないのが寂しく
て、一人で飲んだだけ♪ 迷惑なんてかけてないから。へーきへーき。ただちょっと、そうじろう伯父さ
んと一緒に」
 黙ってればいいものを……。
 「玄関で寝ちゃったわ~」


 おわり




449:42-115
08/12/06 00:40:22 PcwAfCgi
 これは三人称で書いてはいけない話だったような気がしてなりません。
 ともあれ、ありがとうございました。

450:名無しさん@ピンキー
08/12/06 00:53:11 YQAmSQmq
>>449
ワロタw
何気にグラディウスだし。

次の生け贄は誰だ?

451:名無しさん@ピンキー
08/12/06 01:40:22 9MvyZwL3
何だこのホームアローンはwww

452:名無しさん@ピンキー
08/12/06 10:37:11 NMoFJUdl
>>449
何をやっているのですかゆい姉さんwwww

相変わらず小ネタも効いて読みながら笑わせていただきましたGJ!
非常識な空間で一人まじめにがんばるゆーちゃんが健気で可愛いです。

最後に、ゆーちゃんお疲れ様。

453:名無しさん@ピンキー
08/12/06 12:10:24 dT958KVC
test

454:名無しさん@ピンキー
08/12/06 14:03:48 ATx4b5a/
>>449
2行目を読む前に突っ込み入れてしまった私はひねくれ者検定の3級合格かorz

455:36-273
08/12/06 21:53:25 kmMp7OjC
誰もいなければ、三分後あたりに投下いたします。

「明けき秋陽」

・かがみ&みゆき
・非エロ
・みゆき視点
・続き物
・7、8レスくらい

456:36-273
08/12/06 21:57:31 kmMp7OjC
 季節は秋となり、列島各地からは、モミジが色づき始めてきた、という便りが聞こえてきます。
 そんな折、私は一体何をしているかというと、鷹宮の柊家、つまりはかがみさんとつかささんの家にいました。それというのも、土曜日―つまり今日のことです―から日曜日にかけて、泊まりで勉強会を四人で柊家でやる、ということになったのです。
 ただ今はこなたさんとつかささんがいらっしゃいません。夕食の材料を買いに、出かけていらっしゃるのです。よって、今は私とかがみさんだけが家に残って、居間で勉強しています。
 秋ですが、今日は穏やかで温かい日です。居間の窓も開けっ放しになっていて、時折吹くそよ風が私の顔を撫でます。この柊家に来るまでに空を見上げたときは、綺麗な鰯雲もありました。そして、太陽は暖かな光を送ってくれていました。
 私はふと手元のペンを止め、そんな外に想いを馳せ、今日までのことを思い返しました。
 思えば、以前泊まりでの遊びが、こなたさんの家で行われたというときは、私は用事があって行けませんでした。それだけに、今回は行けます、と私がお返事申し上げたときは、皆さん、心底喜んでくれました。
 それは、かがみさんとの屋上での一件から間もない日のこと。それだけに、私は嬉しくて仕方がありませんでした。本当に、自分を必要と思ってくれる人がいる。そう思うと、涙が出てきそうだったのです。
 さすがに涙を見せるわけにはいかないと思い、何とかこらえましたが、あのときの脳裏にはかがみさんの言葉がこびりついていました。すなわち、「みんな、みゆきを友達だと思っている」という言葉が。
 思えば、それまでの私はどこか卑屈であったかもしれません。それは、皆さんに迷惑をかけたくないから、皆さんの役に立ちたいものでいたい、という思いからだったのですが、逆にそれが皆さんの心情を損ねると分かって、私は鈍器で殴られたような衝撃を覚えました。
 ですが、結果的にあの言葉は私を救ってくださいました。本当にかがみさんには感謝しても感謝しきれません。いや、それだけではありません。あの時、私は深い感謝の意とともに、別の感情もわきあがっていました。
 それが何かというと、一旦は諦めかけた、かがみさんへの想いでした。
 このような気持ちになってしまったのはいつ頃からでしょう。私はそのきっかけを失念してしまいました。ですが、これは考えても仕方のないことです。人を好きになるのに理由なんてあるのでしょうか? 私にはないような気がしてやみません。
 ですが、あえてきっかけを挙げろと言われれば……彼女と最初に出会ったときから、その気持ちは静かに燃え始めていたのかも知れません。
 思い起こせば私は、生来人付き合いがうまくありませんでした。内気で、人の輪に入っていくことが苦手だったのです。それでも、徐々に人付き合いに慣れていけば良かったのですが、愚かしいことに私はその努力を怠ってしまったのです。
 きっかけは、小学生のときに学級委員長になったことでした。そのときは特に考えもせずに、先生からの「委員長になってほしい」との要請をただ受け入れただけだったのですが、委員長になって、他人に介入しても委員長だから許されるということに私は気付いたのです。
 それから、私は委員長になり続けることを決意しました。委員長であれば、人の輪に入っていくことも容易でしたし、向こうから人が近づいてくることさえありました。委員長でいる限り、私は友達が出来るという身勝手な錯覚を覚えてしまったのです。
 しかし、ふと気付いたとき、私を名前で呼ぶ人は家族以外にはいなくなってしまい、私は一人の「高良みゆき」という人間でなく、「学級委員長」という身分でしか見られていませんでした。
 よって、同級生との付き合いが長続きすることはありませんでしたし、「親友」などという存在が出来るわけはありませんでした。


457:明けき秋陽
08/12/06 21:58:46 kmMp7OjC
 私は、愕然としました。安易な道を選ぶあまり、私は取り返しのつかないことをしてしまったのです。
 しかし、今更人付き合いの力をつけることは不可能です。それに、もし委員長になることをやめたら、私は人との付き合いが絶たれます。
 そうなったらと思うと、恐怖が私の頭に付きまとい、そして、それが、私が委員長になることをやめさせてくれませんでした。それはまるで薬物依存症の如く。
 わかっちゃいるけどやめられねえ、とはどこかのコメディアンの言葉ですが、まさしく私はその状態でした。ダメなことだとは分かっていますが、やめてしまったら残るのは孤独だけ。それが私は怖かったのです。
 だから、私は高校生になってもこんな状態が続く気がしていました。しかし、そんな私に一抹の変化が訪れたのです。
 それは、陵桜学園で学級委員長になって最初の委員会のことです。私たち学級委員長に課せられた最初の使命は、クラスの親睦を深めるためのレクリエーション大会を企画することでした。そのとき、私は、かがみさん――柊かがみと、出会ったのです。
「高良さん」
「えっ?」
 委員会での企画立案。それを、私はこの柊かがみさんと組むことになり、机をくっつけあって、対面し、これから企画について話し合おうというそんな矢先のことでした。
 凛とした佇まいに、ややもすれば自己主張が強そうに見えるお顔、そしてスレンダーな肢体。私は、そんなかがみさんからの思わぬ呼びかけに戸惑いました。
「……どうかした? 私、何か変なことを言ったかしら?」
 私の不審な態度をいぶかしんだのか、かがみさんは、いささか怪訝な顔をしました。
 そう、確かに変なことは言っていません。彼女は、私の名字を呼んだだけです。ただ、私にはそれすらも――久しぶりだったのです。同級生に、名字にさん付けで呼ばれることすらも。同時に、私はそれだけ友情に飢えていたことに気付き、とても悲しくなりました。
 でも、そんなことを悟られるわけにはいきません。私の勝手な想像ですが、見たところ、何だか勘がよさそうなお人です。少し表情を変えただけでも怪しまれるかもしれません。無用なことを悟られては、手数がかかります。
 私は、悟られぬよう顔を平静に保ち、その問いに答えました。
「いえ、何でもありません。ちょっとぼうっとする癖があるものですから……。それより、企画ですよね。何をしましょうか」
 我ながら良く出来た言い訳です。
「そうね……」
 彼女はそう言って、目を辺りにめぐらせました。何か考えているようです。
 やがて、何かを思い立ったのか、ずいっと身を乗り出すと、
「ね、明日のお昼、何か予定ある?」
 その言葉に私は少し戸惑いました。明日のお昼がレクリエーションと何か関係あるのでしょうか。
「お、お昼ですか? いえ、特に何もありませんが……」
「じゃあ、一緒にお昼でも食べながら、考えましょう。その方がいいんじゃないかしら」
「えっ」
 思わず返答に窮した私でしたが、かがみさんはそんなことも知らず、
「何だか、今日中にいい案も出そうにないしね。明日までにお互い考えてきましょう。ね、高良さん」
「え、あ、はい、そうですね……」
「じゃ、決まりね。これからよろしく、高良さん」
 彼女はにこりと笑い、そして、右手をすっと差し出しました。これが何を求めているかは明白です。私は一瞬躊躇しました。
 しかし、断るわけはありません。断る理由などあるわけがありません。私はその手をしっかりと握り返しました。それは、久しぶりに感じた肌の温もりでした。温かい温もりが、身体を満たしていくような……そんな気がしました。あくまでも気のせいだったかもしれません。
 それで、その日の委員会は終わりました。しかし、私はその後もしばらく、握った右手を何だかもてあましていました。何だか、握手したのが夢のようといいましょうか、信じられなかったのです。ですが、握手したことは紛れもない事実でした。
 今思い返せば、あの時の私はさして考えもせず、流されるがままに了承していました。しかし、不思議と悪い気持ちはしませんでした。それどころか、何だか……次の日がものすごく楽しみに思えてきたのです。これは、久しぶりに感じた気持ちでした。


458:明けき秋陽
08/12/06 22:00:52 kmMp7OjC
 そして、その次の日、私はかがみさんとお食事をともにしました。かがみさんは優しく、そして聡明でした。こんな私にかがみさんは優しくしてくれた。ただそれだけが、私にとっては物凄く嬉しいことでした。それから、私はしばしばお話をする仲になったのです。
 学校のこと、世の中のこと、家族のこと……今まで同級生と話さなかったようなことまで会話は広がっていきました。私は、そんな毎日がとても新鮮に思えはじめ、そして毎日が楽しく思えるようになりました。
 やがて、秋になって、つかささんとこなたさんという新しい友達が出来て程なくしてから……私はあることに気付きました。それは、いつの間にか、ついついかがみさんを目で追う癖がついていたことです。一体何故なのでしょう。
 おまけに、目で追う時は、決まって妙な気分が私の心を支配していました。胸がきつく締められてしまうような、不思議な高揚感。それでいて妙に心地よい気持ちです。最初は単なる憧れの気持ちからでしょうか、とでも思いました。
 しかし、何だか単なる憧れの気持ちとは違うような気がするのです。この気持ちは何かと、私は色々な文献を読み漁りました。でも、確かな答えは見つからず、この答えを見つけることは雲を掴むようなことに私は思えました。
 それまで分からなかったことは、調べれば、確かな答えはすぐに見つかりました。図書館、あるいはインターネット、この二つの手段を使えば、何でもすぐにわかる時代です。
 調べればすぐ分かる。思えば、そのスピード感が、知識を得ることの楽しみの一つだったのかもしれません。
 しかし、この感情ばかりはどうにも答えが見つかりませんでした。いや、もしかしたら、ただ、それを認めたくなかっただけで、答えはとうの昔に見つけていたのかもしれません。
 結局、それが「恋」という感情であるとはっきり分かったのは、三年生の春頃にお母さんに相談したときでした。意を決し、この感情は一体何なのだろう、と聞いたときの事です。母は、その感情を「恋」だと断言し、そんなに気に病むことはないと、優しく言ってくれました。
 しかし、これはただの恋ではありません。この道ならぬ恋に走ってしまったこの思いをどうするか。真剣に私は悩みました。しかし、私の身勝手な邪な想いで、かがみさんに迷惑がかかったら、それこそ事です。
 ならば、これは墓場まで持っていく秘密にしなければならない……と、私はこの日に誓いました。
 お母さんにも、これ以上無用な心配をかけたくありません。お母さんは「みゆきにも春が来たのね」と心底喜んでくれたのですが、相手が女性などと知ったら、さすがに驚倒するでしょう。
 私は、母に相手が誰であるかは告げず、相談するのもこれっきりにして、私はこの想いを胸の奥底に封印しました。
 しかし、最近ではこのくすぶり続けた想いも、どうも限界が来ているようでした。有難いことにかがみさんは気付かないようですが、下心が出てしまったような言動や行動をしてしまっていることに私は最近気付きました。
 そうです、あの時だってそうでした。屋上で、かがみさんに頬を叩かれ、そしてかがみさんに抱いていただいたときのことです。かがみさんが目の前にいらっしゃる。そして、私と密着している。そう思うだけで、私の心は爆発しそうでした。それを抑えるのがやっとでした。
 事実私は、はっきりと「大好きですよ」と、あのときに言っていました。かがみさんもかがみさんで気が動転してしまって、その言葉を聞き流したからいいものの、今思うと、私はとんでもないことを言っていたのです。
 もしあの時、かがみさんがあの言葉をちゃんと受け止め、そして私の思いを……受け入れてくださったら。そんなことがあったら私は……いえ、これは勝手な想像ですね。
 ああ、やっぱり私は、気持ち悪い、のでしょうか? そうですよね、勝手に頭の中で変な想像なんかしてしまって、一人で勝手に喜んでいる。これほど気持ち悪いことはありませんよね。
 かがみさんがこんなことを知ったらどうなるでしょう。驚くでしょうね。そして、拒絶するでしょうか。でも、かがみさんなら私を受け入れてくれるような気がする、というのは私の身勝手な錯覚でしょうか……。
 柊かがみ。どうして、どうして、名前を言うだけで、名前を思い浮かべるだけで、こんなにも心が苦しくなるのでしょう。ああ、しかもその人は近くにいるのです。ちょっと手を伸ばせば届く。そんな距離にいるのです。
 手を延ばせば、いえ、せめてもう少しその距離を縮めれば……。
「みゆき?」
「ひゃうっ」
 突然のかがみさんの呼びかけに私は変な声を出してしまいました。
「な、何ですか?」
 まさか、私の考えが読まれたのでしょうか。


459:明けき秋陽
08/12/06 22:02:12 kmMp7OjC
「い、いや、何かさっきから手が動いていないから、どうしたのかな、と思って。大丈夫?」
「え? あ、は、はい。大丈夫です……」
 良かった。どうやら、私の下心が読まれたわけでなかったようです。そればかりか、私の事を心配してくださったなんて……。
「休憩する? ずっと勉強しててさすがに疲れたんじゃない?」
 現在時刻は午後15時6分。9時頃に柊家に着いて、昼食をはさんでずっとしていたので、確かに少し疲れているかもしれません。ちなみにこなたさんとつかささんの二人が買い物に出かけたのは、午後14時50分頃です。
 二人も勉強に疲れたご様子でした。買い物は休憩がてら、ということもあるのでしょう。
「そうですね。休憩しましょう。頭を使うときには、糖分が必要不可欠ですからね」
 と、私は言ってから、私はあることを思い出し、
「そういえば、今日は紅茶を持ってきたんです。飲みませんか?」
「紅茶? ああ、それはいいわね。じゃ、私はお菓子を用意するわ。悪いけど、紅茶の方は頼める?」
「はい、お任せ下さい」
 私はそう言い、鞄から茶葉が入った缶を取り出すと、台所へ向かいました。お湯を沸かし、ポットにお湯と茶葉を入れれば、紅茶が完成です。
 紅茶が完成すると、私は二つのティーカップに紅茶を入れてお盆に載せてから、居間に戻りました。
「お待たせしました」
「お、ありがとう。いただくわね」
 かがみさんはお盆からティーカップを取り、一口飲みました。テーブルには既に、かがみさんが持ってきたと思しきお菓子が載せられています。
 私も座って、紅茶を飲みます。しばし、二人分のお茶のすする音がこだましました。
「この紅茶、セイロン茶みたいな味だけど、何か違うわね。どこの紅茶なの?」
 ひとしきり飲んでから、かがみさんがそう聞きました。そのかがみさんの発言は、まさしく的を射たものでした。
「あ、これは伊勢紅茶という国産の紅茶でして、農林水産大臣賞を連続15回取ったこともあるんですよ」
 私はそう解説しました。
「へぇー。……高かったんじゃない?」
 かがみさんはそう言って、顔を曇らせました。どうやら、私に気を遣わせてしまったと思っているようです。
 私は安心させるように、目を細めて、
「いえ、親戚の方からいただいたものですから。ご心配には及びませんよ」
 嘘です、すみません。本当は、私が買ってきたものです。何だか、今日という日が楽しみで楽しみで仕方なくて、つい衝動買いしてしまったんです。
 でも、私が買ってきたと言ったら、かがみさんに無用な心配をおかけすることになるでしょう。私は、かがみさんのために真実は伝えないことにしました。世の中、知らない方がいいことなんてたくさんあります。ですから、無知は時には幸せなのでしょうね。
「あ、そうなの。いやね、私たちのためにお金かけさせちゃ悪いかな、と思ったんだけど」
 かがみさんは破顔一笑させて、弁明しました。
「そんなことありませんよ。私は、皆さんの喜びが自分の喜びなんです。仮に、これが私が買ってきたものだったとしても、別に惜しむことはありませんよ」
 それは、本当のことでした。私は、かがみさんの笑顔が見れればいいと思っていました。でも、そんな私を気遣ってくれるかがみさんの心はとても嬉しいです。口には出しませんけどね。
「そ、そう? でも、私たちはみゆきに何もしてあげられてないわよね……」
 またかがみさんが顔を曇らせました。困った顔も素敵ですが……でも、やはりあまり困っているご様子は見たくありません。
 私はまた安心させるように、
「そんなことありません。皆さんとともにこの日常を過ごせることこそが、皆さんからの最大の贈り物なんです。まあ、毎日学校で顔を合わせるという日常も、いつか終わってしまうと思うと……少し悲しいですけどね。卒業した後も、私たちの友情は変わりないと信じていますが」
「勿論そうよ。まあ、でも……確かに、卒業は近くなっているわよね。私たちも後がないのに、こんなにゆっくりしていていいのかしら?」
「確かにそうですが、たまには、息抜きも必要です。そうでしょう?」
 このお泊り会の話が出てきたとき、こなたさんはそんなことを言って、かがみさんを説得していました。
「まあ、そうだけど。でも……そのせいで、迷惑をかけていないわよね?」
「迷惑、ですか?」
 私はその問いの意味が分からず、問い返しました。


460:明けき秋陽
08/12/06 22:03:10 kmMp7OjC
「ほら、みゆきは医者志望だから、猛勉強しなきゃいけないでしょ? 私たちなんかと一緒じゃ、足を引っ張られていないかと思って……」
「いえいえ。かがみさんもこの前、言ってくださったではありませんか。私たちは親友だと。親友はお互いを高めあい、助け合う。私はそう理解していますよ。それに、足を引っ張られるどころか、精神面で非常に助けられてます。今日だってそうですよ?」
「そう?」
「ええ……私、いつか、こうして、かがみさんとゆっくり紅茶を飲んでみたかったんです」
「……えっ?」
 かがみさんの顔が驚きの色に塗られました。
「あ、すみません。私の勝手でしたね」
「べ、別にそういうわけじゃないけど……」
「そうですか? なら……良かったです」
「でも、そうね……。たまには、こうしてみゆきとゆっくりお茶を飲むのも悪くないわね」
 かがみさんはそう言って、口元を笑わせました。
「ありがとうございます。私の……ささやかな夢だったんですよ。友人と、お茶を飲んで語り合うということは。ですが、そこまで仲がいいお人がいませんでしたので……。みなみさんは、友人というより姉妹みたいなものでしたし」
「そこが分からないのよね。みゆきをないがしろにするなんて信じられないわ。いつか会う機会があったら、人生損してるって言ってやりなさい」
 その言葉に、私は思わずふふっと笑いました。何ともかがみさんらしい言葉です。
「ええ、いつかお伝えしますね」
 私はそう言ってから、ふと外の庭に目を転じてみました。庭にはコスモスやサルビアなど数々の花々が庭を賑やかせていて、私の目を楽しませてくれました。
「……お庭には、色々なお花がありますね」
 その言葉に、かがみさんも庭に目を向けると、
「そうね。お母さんもお父さんも結構、花の世話が好きなのよ」
「まあ、そうなんですか。あ、そういえば、ご家族の方は今日いらっしゃらないんですか?」
「あー、お父さんは久本の方に地鎮祭に行くって言ってたし、お母さんは近所の人たちと街に出て行ったし、いのり姉さんとまつり姉さんは泊まりで友達と遊ぶって言ってたわね」
「では、今日は私たちだけということですか?」
「んー、まあ、お母さんとお父さんは後で帰ってくるけどね」
「なるほど……。あ、ヒイラギもありますね」
 何気なく目を移した先に、それはありました。ちくちくしたトゲをいっぱい生やしたそれは、まるで他の花を守るんだといっているかのごとく、威圧感を放っていました。
「ああ、ヒイラギね。それはお母さんが買ってきたのよ。縁起かつぎの意味でもあるのかもね」
「なるほど。ヒイラギ……といえば」
「ん? 何かあるの?」
 かがみさんはそう言って、私の顔を覗き込みました。
「あ、こういうと変に思われるかもしれませんけれど」
「構わないわよ」
「では、申しますけど、ヒイラギは、かがみさんに似ているな、と思いまして」
「ヒイラギが? 私に?」
 かがみさんは心底意外そうな顔と声を見せました。
 私は言葉を続けます。
「ええ。ヒイラギは、葉の縁がトゲ状になっています。それはまるで……可憐な白い花を守るように」
 その可憐な白い花は……私でしょうか、それともつかささんでしょうか、はたまた、こなたさんでしょうか……。
 いつだって、かがみさんは、私たちを保護者のような立場で見守ってくれました。こなたさんにしても、つかささんにしても、また僭越ながら私にしても。そんなかがみさんが、私にとってはヒイラギと重なって見えたのです。
「そんな大げさよ。私が守るだなんて――」
 私は謙遜するかがみさんの言葉を遮りました。
「いえ。そんなことはありませんよ。事実、私たちの中で一番しっかりしていたのはかがみさんです。ええ、いつだって……」
 そうです。かがみさんは、いつも私たちを正しい道へ導いてくれました。ご自身では自覚がないかもしれませんけれど。
「そう、かしらね……」
 かがみさんは薄く頬を染めて、ばつが悪そうに辺りを見回しました。その様子が何とも可愛らしくて、私は不覚にも笑みがこぼれてしまいました。
 いとしい人の仕草というのは、どうしてこうも目を奪われ、そして、いとしく思えるのでしょう。


461:明けき秋陽
08/12/06 22:05:31 kmMp7OjC
「まだありますよ。ヒイラギは、控えめで人の心に安らぎを与えてくれるような、優しい香りを出してくれます。鬼も嫌がる柊が、人の心を穏やかに癒やす花を咲かせるとは驚きです。本当に……かがみさんにそっくりですよ」
 あるときは鬼をも嫌がらすヒイラギとして威圧感を誇り、またあるときは優しい香りを出すように優しく、人の心を癒やしてくれる。考えれば考えるほど、ヒイラギとかがみさんの類似点に驚く私でした。
「ほ、褒めすぎよ……」
 かがみさんはあくまで謙遜しました。
「そんなことはありませんよ。もっと素直になってください。こなたさんやつかささん、それに日下部さんが、何故かがみさんに構ってもらいたがるか。考えたことがありますか?」
 かがみさんは黙って首を振りました。
「みんな、かがみさんが好きなんですよ。あれこれ文句を言っても、最終的には優しくしてくれるかがみさんが。だから、私も、時にはこなたさんたちを羨ましく思ってしまいます。楽しそうにじゃれあってていいなあ……と」
 そうです。皆さん、本当にかがみさんが好きなんでしょうね。私もそんなかがみさんが好きでした。ええ、ずっとずっと前から。この眼鏡を通して……あなたをずっと熱く見ていました。
 だから、私は、気軽にじゃれあえるこなたさんたちが羨ましかったのです。私も、かがみさんに甘えてみたかったのです。
「……みゆきも、羨ましいの?」
 不意にかけられたその問いは、思いもよらないものでした。そして、私は思わず本心をさっき言ってしまったことに気付きました。
 ですが、今更撤回することもできません。私は、意を決して、自分の心を正直に打ち明けることにしました。
「……ええ。私も、時には疲れます。そして、人肌恋しくなるときもあります。かがみさんが、そうであったように」
「……」
 しばし、静かな時が流れました。辺りは静寂そのもので、物音は時折吹くそよ風の風音とそれにそよぐ木々の音だけでした。
しかし、決して険悪な空気ではなく、どこか心地よい沈黙で、まるでここだけが時間の流れから取り残されているような、そんなゆったりした時間に私は思えました。
 それからどれくらい経ったでしょう。しばらくたってから、かがみさんがのそりと立ち上がり、そして私の隣に座りました。
「かがみさん?」
 行動の意味が分からず、私は目をしばたたかせながら聞きました。気がつけば、かがみさんの顔が目の前にあります。毎日毎日見慣れたお顔だと思っていたのに、改めてこうして目前で見ると、私の心が躍りました。
 柔らかで女性的な曲線のライン。確固たる意思を漂わせたすみれ色の瞳。柔らかで艶やかな唇。かがみさんの顔の全てのパーツが私の心を惑わせました。
 ああ、いけません。今はそんなことを考えている場合じゃないのに。
 と、そう思ったときでした。
「え……?」
 私は驚いて、思わず声をあげました。
 なぜかと言うと、かがみさんが黙って私の肩を抱いたのです。
「かがみさん……?」
 もう一度かがみさんの顔を見て、聞きました。心臓がバクバクと、かなり早く脈打ち、体中に響いていることが自分でも分かります。
 かがみさんは顔色一つ変えず、口を開きました。
「ごめん……。でも、聞いて。考えてみれば私は、みゆきに何かしてあげたことなんてほとんどなかった。こっちは何度も迷惑をかけてるのに。
 それどころか、みゆきが悩んでいたことなんて全然気付いていなかったし、あまつさえみゆきの頬をひっぱたいていた。本当に……私は親友の資格さえないと思ってた」
 それは贖罪の言葉でした。私が罪の意識を持っていたように、彼女もそれを持っていたのです。ですが、その罪の意識は誤ったものです。私の罪の意識が、誤ったものだったように。
 私はそんなかがみさんの心を救いたいという気持ちにとらわれました。以前、かがみさんが私の罪の意識を取り払い、救ってくれたように。
「いいんです、いいんですよ……。私は、皆さんとともに過ごせてきたこと、それこそが最高のプレゼントでした。ですから、気に病むことは何もありません。
 かがみさんが私の事を叩いたことだって、あれは当然の仕打ちです。私は、皆さんに失礼な態度で接していた。当然の罰ですよ」
 私は出来るだけ、ゆっくりと優しく言いました。


462:明けき秋陽
08/12/06 22:07:32 kmMp7OjC
「いや、違うの。違うのよ。だからね、もっと……私たちを頼っていいのよ。私がみゆきに甘えたときのように、みゆきも私に甘えていいのよ。勿論私じゃなくてもいい。つかさでも、こなたでもいい。みゆきも言ってたでしょ?
 少し甘えたところで、何の罰もないのよ。私は、親友の……みゆきの力になりたいの」
「かがみさん……。ありがとうございます」
「いいのよ。親友として当然、よ。今更と思うかもしれないけど……」
 そう言って、かがみさんはまた顔を赤くさせました。ふふ、本当に可愛い人ですね。
 私はそんなかがみさんの顔を見て、何か胸の中から滔々とこみ上げてくるものがあることを感じました。それは……母に聞いて、ようやく正体が分かった気持ちです。
 思えば思うほど、胸がきつく締め付けられ、妙に私を心地よくさせるこの気持ち。しかし、相手は同性の人。愛してはいけないはずの人です。後のことを思えば、こんな思い、捨ててしまったほうがいいに違いありません。
 事実、私は母に「この感情は恋である」と宣告されたとき、私は心の整理がつかず、思わず泣き出してしまっていました。母は、そんな私を優しく包み込んでくれましたが、私はそれでもしばらく泣き続けていました。今では何とか心の整理がつきましたが。
 かがみさん。あなたは気付いていないでしょうね。私の本当の罪は、親友に頼れなかったこともそうですが……あなたという、柊かがみという同性の存在に恋をしてしまったことだったということを。
 でも、あなたにも罪はあるのですよ? それは……私の心を奪ったこと。……いえ、これはさすがにおこがましすぎるセリフでしょうかね。
 でも、だからこそ私は、かがみさんに想い人がいると聞いて、心底驚き、その人を羨ましく、そして妬ましく思ったのです。
 ですが、これはいけない感情でした。考えれば当然のことです。女性は男性を好きになる。それが自然の摂理なんですから、かがみさんとて、それは同じこと。当たり前のことを、私は見失っていました。
 愛する人のために、周りが見えなくなる。これが恋の病とか、恋煩いといわれる所以でしょうか。
 かがみさんのその思い人になれたら、どんなに良いことでしょう。そんな身勝手な考えが、私の頭に浮かびました。ですが、そんなことは出来るわけはありませんし、その思い人の方を恨んでも仕方のないことです。
 身勝手なのは分かっています。かがみさんがその方を想うなら、私は精一杯応援します。でも……でも、せめて今だけは、おそばにいさせてください。私には、それだけで十分なのです。
 たまゆらのひと時だけでも、あなたと一緒に同じ時を過ごせるのなら……それだけで……私は……ああ。
 私は、また涙腺がゆるんでいることに気付きました。
「みゆき?」
 かがみさんが心配そうに私の顔を覗き込みました。どうやら涙を流していることが分かってしまったようです。
「大丈夫? どうしたの……?」
 ああ、かがみさん。本当に、優しいです。でも、今はその優しさが痛いのです。でも痛いのに、私はそれが嬉しく、心地よいのです。優しくされればされるほど胸が痛い。でも、優しくされなくなったら心が寂しい。
 本当に、恋というものは難儀なものです。こなたさんが言う「ツンデレ」というのも似たようなものなのでしょうか。
「いえ……。ごみが、入っただけです。ご心配には及びません」
 私は安心させるように、嘘をつきました。嘘は優しいものです。現実を直視せず、虚構に目をいかせます。だから、嘘は……意地悪、です。
「そう? なら、いいんだけどね」
 かがみさんはそう言って、庭に目を向けました。どうやら、嘘が通じたようです。ふふ。素直に嘘を受け入れるなんて、本当に純真ですね。
 ……本当は、かがみさんが他の人と結ばれるなんて嫌です。嫌に決まってます。私の方が、あなたのことを良く知っているはずなのに。それなのに。あなたは行ってしまわれるのですか?
 私はかがみさんのことを何でも知っています。そして、もっと知りたいのです。努力家で成績優秀、そして誰よりも私たち親友のことを考えてくれる友達想いのかがみさんのことが。現実的かつシビアで他人には厳しいけど、寂しがり屋で見栄っ張りなかがみさんのことが。
 私は見ているのがつらくなって、かがみさんの顔から目を背け、庭のヒイラギに目を移しました。ヒイラギをずっと見ていると、一時は急騰した想いが徐々に落ち着いていくのが分かります。ああ、本当に……恋煩い、ですね。
 私は心を落ち着かせ、もう一度良く考えてみました。


463:明けき秋陽
08/12/06 22:08:14 kmMp7OjC
 私は、同性に恋してしまったということに罪悪感をずっと抱いてきました。そして、ずっとこの恋慕を押し殺してきました。でも、私は今、決意しました。私はもう、自分自身を見失いはしません。そして、ゆらゆらと揺蕩うこの感情には何かしら結末を得なければいけません。
 恋々と恋い慕い続けるのは、とてもつらいことです。ですが、この思いに絶対後悔はしたくないのです。かがみさんと友達になれて、かがみさんを好きになれてよかったと、後年そう思えていたいのです。
 そのための行動はいずれ、必ず起こします。私はそう決意しました。
 勿論今でも良いのですが。ただ、今はこうしていたいのです。このかがみさんの温もりを……今だけは、感じていたかった。
「かがみさん」
 私はかがみさんを呼びました。どうしてもこれだけは告げなければ、と思って。
「ん……何?」
「いつまでも……いつまでも、温かいままのかがみさんでいてくださいね」
「当たり前じゃない。何言ってるのよ」
 そう言って笑ったかがみさんは、とても頼もしく見えて、そして、かがみさんを好きになれてよかった、と、そう思える笑顔でした。
 不意に、紅茶の香りが私の鼻腔をくすぐりました。そんな紅茶の香り、じょうじょうと吹く微風、太陽とかがみさんの温もり、その全てが私にとっては心地よいものでした。
 柔らかな秋陽に照らされた私たちは、そのまましばし、時を忘れていました。この時がいつまでも、いつまでも続くように祈りながら……。



464:36-273
08/12/06 22:09:27 kmMp7OjC
以上です。
前回はちょっと暗いお話だったので、今回は比較的明るいお話です。
何となく、かがみは一人で問題を抱え込みがちなような気がします。弱い自分を見せたくないという心の現われなのでしょうが、それがツンデレといわれる所以なのかもしれません。だから前回のお話の最後は暗めでした。
対してみゆきさんは何だかポジティブに生きてるような気がするので、明るめです。実際みゆきさんのキャラソンも、ややもすれば自虐的な歌詞をあんなに明るく歌えるのは凄いことだと私は思うのです。

明暗がはっきり分かれた二人がどうなるのかとか、柊姉妹は和解するのかとか、こなたが二人のフラグ立てにどうアシストするかとかは……また次回に。次回で終わると……いいなあ。

では、これで。

465:名無しさん@ピンキー
08/12/07 11:15:19 cbV3EeiF
>>464
乙でした。
前回の投稿からみゆきさんスキーとして首を長くして待っておりました。
みゆきさんの内面を真面目に描写した作品は本当に希少なので
とてもありがたいです。

あまりにも真面目すぎて他人を否定する前に自分を否定してしまう描写が
決して他人を悪く言うことのないみゆきさんらしいな、と思いました。
しかしそれが恋愛においてまで発揮されるとなると…
みゆきさんの苦悩の深さが、読んでるだけで伝わってきます。

キャラソンに関してはなるほどと思いました。
たしかに自分のことを自虐的に評してはいますが
そのことを素直に認めて、それでも前向きにやっていこうというのは
むしろみゆきさんの強さであるといえるかもしれないですね。

今回も素晴らしいみゆきさんをありがとうございました。
次回の投下を楽しみにしています!


>>436
>そうか、「みwiki」を悪口と認識していたのねみゆきさん・・・orz
みゆきさんスキーとしてこちらにも反応してみますが
みゆきさんとしては

「みwiki…ですか?
あ、私の名前とWikipediaをかけているのですね。
うふふ。おほめ頂きありがとうございます。私もWikipediaはよく利用してますよ。
ええ、編集にも参加しています。
ただ、みwikiというあだ名がWikipediaから来ているとしたら、ちょっと不正確かもしれないですね。
そもそもWikipediaという名前は、ウィキペディアが使用しているMediaWikiと呼ばれる
ウィキソフトウェアの「Wiki」と、百科事典を意味する英語「encyclopedia(エンサイクロぺディア)」との合成語であり……
…………」

みたいな感じで褒め言葉として受け取ってくれそうな気もしますが
ファン心理としては「みゆき」という名前を略したりせずに
ちゃんと呼んであげたいという思いがあります。
そういう理由もあってか、アニキャラ個別のみゆきさんスレでは
「みwiki」というあだ名は使われず、こなたと同じく敬愛と親しみを込めて「みゆきさん」と呼ぶのが一般的ですね。

466:名無しさん@ピンキー
08/12/07 21:01:48 sENrRE78
>>436
>>464
GJ!
どちらもみゆきさんがかわいかった。


それにしても、作品も感想も少なくなってきたなあ……寂しい限り。

467:名無しさん@ピンキー
08/12/07 21:07:19 MP+7/CLv
読んでるといえば読んでる

ただ、この時期、ひよりみたいに一匹の蚊に情けをかけていられないくらい焦って作業中で感想まで手が……

468:名無しさん@ピンキー
08/12/07 22:10:11 qQzcluc4
ああ、そうか。
冬のお祭り向けに修羅場ってる書き手がけっこういるのかw
マニアうよう、頑張ってくださいw

469:名無しさん@ピンキー
08/12/07 22:14:47 4dNG/Qwr
>>468
素の誤変換だろうけど、こなたのPC吹いたww

470:名無しさん@ピンキー
08/12/08 01:19:50 U63aRDI9
>>469
そこで『こなたのPC』と解釈するお前様の斜め上発想に萌えた。









みゆき『>>468のこなたさんのドジっぷりに萌えましただばだば』

471:名無しさん@ピンキー
08/12/08 02:07:46 Lk2RgfOZ
師走ですからね、忙しいっす
でもどの作品も楽しませてもらってますぜ

472:名無しさん@ピンキー
08/12/08 21:25:32 6vik7E4p
素の誤変換になってしまうあたり、>>468はこなたの家に遊びに来たかがみ

473:名無しさん@ピンキー
08/12/08 22:13:26 qNu/igoJ
思いついた小ネタ

白ゆたか編
「私、田村さんに嫌われたのかな。」
「どしたの、ゆーちゃん。」
「最近挨拶しても返事してくれないし、この前なんて凄い顔でにらまれちゃった。」
「ひよりん、だいぶ修羅場だね」

黒ゆたか編
「私、田村さんに嫌われたのかな。」
「どしたの、ゆーちゃん。」
「最近挨拶しても返事してくれないから、ローターを強にしたら凄い顔でにらまれちゃった。」
「何やってんの、ゆーちゃん。」

474:名無しさん@ピンキー
08/12/09 17:16:12 o/h1FAm2
>>473
なんという天然鬼畜かww

475:みなみ
08/12/09 21:45:40 DrbLjDQX
>>473
なぜ・・・私じゃなくて・・・田村さんなの・・・;;
こうなったら・・・わたしも・・・;;











ちょwwww結局このパターンwwww
み、みなみちゃんらめええええアッーーーー!!

476:52-426(仮)
08/12/09 23:45:27 9AV32cJC
>>473
黒くなる寸前のゆたか編
「私、田村さんに嫌われたのかな」
「どしたの、ゆーちゃん」
「最近挨拶しても返事してくれないから、ローター入れようかどうか迷ってんだ」
「やめときなよ」

では、5分後に投下させていただきます。
・8レス使います
・ほのぼの系
・オリキャラ有り

477:ある冬の休日~チェリー視点~1/8
08/12/09 23:50:59 9AV32cJC
では投下させていただきます


※チェリー視点、つまり、今回のSSは動物の視点です。
 人間との会話を区別するために、人間の会話は「」、動物の会話は『』で区別しています。

『はう~あったかいなぁ~』
今日は外が寒いので、私はホットカーペットとリビングの灯油ストーブの近くで暖まっている。
「全く、チェリーったらぐうたらさんなんだから」
お母さんが困ったように呟く。でも、寒いからいいじゃん。
「………………」
みなみちゃんが、私をじーっと見つめている。すると突然
ボフッ
「あったかい……」
犬枕された。何回もやられてるので、今更気にしてはいないが、ちょっと苦しい。
「チェリーって、あったかいね……」
まぁ、みなみちゃんが幸せならそれでいっかな。
突然、リビングの大きな窓ガラスから、コンコンと音がした。
「あら?」
お母さんが、窓ガラスのほうに向かってカーテンを開けるとそこには黒く、まるで野良猫とは思えない
綺麗な毛をしており、右眼が青く左眼が金色のオッドアイのペルシャ猫、
そう、私のお友達のフレディさんがいた。
「はいはい。待っててね、すぐ開けるから」
そう言ってお母さんはリビングの窓を開けた。
「フレディちゃん、足を洗ってから―」
フレディさんは、お母さんの用意した床に置いたタオルで、自分から足を拭いた。
「あらあら、フレディちゃんは賢いわね」
フレディさんは、私の元に来た。
『よっ』
『こんにちは』
『なぁ、お前さん何してんだい?』
『犬枕』
『犬枕ねぇ……苦しくないか?』
『ちょっと。でも、みなみちゃんは軽いから気にならないし、それにみなみちゃんは
 気持ちよさそうにしてるから、このままほっとくよ』
『気持ちよさそうね。なるほど。道理で当の本人もスヤスヤ眠っているわけだ』
ここからじゃ表情は分からないが、みなみちゃんはスヤスヤと寝息をたてている。
『綺麗な寝顔だ』フレディさんは言った。
『思わずキスをして起こしたくなるな。犬枕に惹かれたお姫様を起こすのは、
 放浪の旅を続けてきた黒騎士ってところか?』
『だめだよ、起こしちゃ』
「二匹とも、仲がいいわねぇ。ほらフレディちゃん、ミルクよ」
『おう、ありがとう。一仕事終えた後のミルクは格別なんだよな』
フレディさんは、お母さんの用意したミルクをピチャピチャ飲み始めた。
『今日のお仕事って、なんだったの?フレディさん』
『なに、くだらないケンカの仲裁さ。なんでも、メス猫の取り合いをしてるヤツがいてな。
 大喧嘩に発展しそうなところを、俺に止めてほしいって言ってきてな。
 メス猫はどちらとも付き合いたくないって言ってるから、俺がケンカを大きくしないように
 しただけさ。後は、野良犬夫婦の子供がいなくなってしまったから捜してくださいって
 俺に言ってきて、寒空の中捜してきたんだ。幸い発見が早く子供はピンピンしてたよ。
 マラソン大会にだって出られるほどの体力だったぜ』
『へー。フレディさんって、大変だねぇ』

478:ある冬の休日~チェリー視点~2/8
08/12/09 23:51:46 9AV32cJC
『まぁ、ここら一帯の動物を仕切っているからな。生態バランスを配慮して、
 ある時は守り、ある時は狩るっていうのが俺の主義だ。
 それに、俺はそうやって飯を稼いでるからな。貧乏暇無しってわけだ』
『すごいなー』
『貧乏なだけだよ』
リビングから、チャイムの音が響いた。
『おい!』フレディさんは叫んだ。
『起きなお姫様!寝顔を写真に収められて、ルーブル美術館のモナ・リザの隣に飾られたいか!?』
『わわわ、フレディさん!?』
「……うぅ~ん……」
みなみちゃんが眼を擦りながら起き上がった。
「……あれ?寝ちゃってた?」
『フレディさん、いきなり起こすのはひどいよ~』
『俺はこいつのためにやったんだ。以前、こいつは犬枕をしている最中、お隣の
 美人な奥様に写真に撮られて恥ずかしがっていたからな。そうならないようにしただけだ』
『でもぉ……お客さんはみなみちゃんに会わないかもしれないのに?』
『ここの家に向かう途中、こいつの友達っぽいやつが家に向かっていてな。多分、こいつ目当てだろう』
『ほんとかなぁ……』
すると、玄関先から小さな声が聞こえてきた。
「ほらほら、そーっと近づいてごらん……♪みなみは多分、寝ちゃってると思うから……」
「みなみちゃんの寝顔かぁ……」
「くおぉぉぉ。それはいいっすね」
「まさに萌え要素のヒトつとイったところデスかね?」
お母さんの声に、みなみちゃんのお友達の声がする。
「……お母さん?なにヒソヒソ話してるの?」
みなみちゃんは、玄関のドアを開けた。
「あ、あら?起きちゃったの?」
「あ、みなみちゃん、こんにちは」
「うん、ゆたか。こんにちは」
みなみちゃんのお友達が、リビングに入ってきた。
「……ところで、なに話してたの?」
「いやぁ、それが」田村さんは言った。
「岩崎さんの犬枕で寝ている姿が見れるって、おばさんが言ってたから、覗き見ようと思ったら、
 岩崎さんが起きちゃったわけだよ」
「ムウウ……スコしミてみたかったです……」
フレディさんはフフンと鼻を鳴らした。
『残念だったな。お姫様は俺がキスしたら起きちまったんだ』
ゆたかちゃんが、フレディさんのところに向かった。
「あ、フレディさんこんにちは」
『こんにちは。また会えて光栄だ』
「わぁ、握手した~!」
「私にもやらせて!」
「ワタシも!」
フレディさんがパティさんと田村さんにも握手した。
なんでそんなに握手したがるんだろう。不思議だ。
「みんな、寒いだろうから暖まってて。すぐに暖かい飲み物持ってくるから」
「うん。ありがとう」
みなみちゃんは、台所に向かって、コーヒーを作りはじめた。
『ふむ』フレディさんが呟いた。
『田村は、なかなかいい仕事をしている。手にペンだこが出来ていた』

479:ある冬の休日~チェリー視点~3/8
08/12/09 23:52:34 9AV32cJC
『分かるの?』
『握手すれば、大抵のことは分かるさ。ペンだこができるほどなにかに熱中していることは、
 なかなか面白い女性だな。田村は』
『……私はあまり気に食わないな』
『どうしてだ?』
『……みなみちゃんを最初に奪ったやつだから(※ヤンデレナワタシ参照)』
『……オーケイ、少し落ち着こうな』
私は田村さんが何かしないか、じっと睨みつけた。
「い、岩崎さん……?なんかチェリーちゃん私を睨みつけてくるんだけど~……」
「た、田村さんが気にいってるんじゃない……?」
「こっち見て言ってくださいよぉ!はうぅ~、やっぱり私って、動物に嫌われるタイプかなぁ」
『しょうがねぇな……』
フレディさんが、田村さんの膝に向かい、膝の上で丸まった。
「あ、あれ?なんかこの子、なついているよ?」
「うわぁ~かわいい~。田村さん、フレディさんがなついているね」
「そ、そうだね。……な~んだ。てっきり私って、動物に嫌われているのかと思っていたよ」
フレディさんは、幸せそうに笑う田村さんを見て、目を細めた。
……べ、別に私は良かったとか思ってなんかないんだからね!
勘違いしないでね!


みなみちゃんが、テーブルにコタツにコーヒーを置いて、レコードをかけて友達と会話をした。
『ショパンのマズルカ第5番変ロ長調Op7NO.1、か……』フレディさんが呟いた。
『どうせだったら、QUEENをかけてくればいいのにな……』
『クラシック嫌いなの?』
『別に嫌いというわけじゃないんだが、聴き飽きたんだ。
 俺は、リアルタイムでベートーヴェンやモーツァルトやショパン等を聴いた猫だぜ。もう一つ、前の飼い主が
 クラシック好きでな。何度も聴かされた。
 前の飼い主はそりゃいやみな飼い主でな。クラシックが全て、他の音楽は邪道だ!
 ロックなんて、ベートーヴェンの足元にも及ばないって、ロックをバカにしてよ。
 別にクラシックが悪いわけじゃないのに、前の飼い主のせいで嫌いになった』
『ふーん』
『というわけで、QUEENの音楽を何でもいいから、かけてくれって伝えてくれ』
『うん。わかった』
私は、みなみちゃんのところに向かった。
「……どうしたの?」
『あのね、フレディさんがQUEENをなんでもいいから聴かせてって』
「……おやつが欲しいんだね。ちょっと待ってて」
『え、おやつ!?』
みなみちゃんが、冷蔵庫の中からチーズを出した。
『おやつ♪おやつ♪』
「チェリーちゃんって、チーズ好きなんスか?」
「うん。多分、お肉より好きかも。はい、落ち着いて食べるんだよ」
『わーい♪』
おいしそうなチーズを咥えて、フレディさんのところにおすそ分けした。
『はい。フレディさんも食べなよ』
『……お前な、当初の目的覚えてるか?』
『………………なんだっけ』
『はぁ……もういいよ。チーズを頂こうか』
『はい。召し上がれ』

480:ある冬の休日~チェリー視点~4/8
08/12/09 23:53:44 9AV32cJC
フレディさんと私は、チーズを食べた。
やっぱり、私はお肉もいいけど、チーズも大好きだ。


「それじゃぁ」ゆたかちゃんが言った。
「体もあったまったことだし、そろそろ始めようかな」
そう言って、ゆたかちゃんはカバンから大きな紙を取り出した。
「小早川さんは、何の話を書くの?」
「うん。ドジなサンタさんのお話なの。
 そのサンタさんは、ドジばかりしていて、同じサンタさんから「ドジ」って言われてるの。
 そんなドジは、一人の女の子のお願いを聞くんだ。
 『この街は、雪が降らないから、雪を降らせてほしい』っていうお願いで、
 ドジは、街に雪を降らすために神様にお願いしにいくって話し」
「……かわいいお話」
「ありがとう」
なにやら、難しい話をしているようで、私にはあまり理解できない。
『フレディさん、サンタさんって、なに?』
『12月24日に、良い子にプレゼントを配ってくれる白い髭のおっさんのことだよ』
『ふーん』
田村さんもカバンから大きな紙を取り出した。
「田村さんは、どんな話を書くの?」
「それはデスね、いたいけなショウジョをリョウジョクする―」
「待ったパティ!一般人をそっちの世界に連れて行っちゃだめっす!
 ……えーと、まぁ、普通の恋愛物、かなぁ……」
田村さんはアハハと笑った。
『りょうじょくって、なに?』
『ガキは寝とけって意味さ』
『ふーん』
田村さんは、私にはなんだか分からないような道具を出して、組み立てた。
「それじゃぁ、なにか分からないところがあったら、何でも聞いて。私ができるだけ教えてあげるから」
「うん。ありがとう」
「……それじゃぁ、私はコーヒーのおかわりでも持ってくる」
それから、四人は作業に取り掛かった。



それからは互いに無言だった。
四人とも何かに集中しているらしく、あまり会話はない。
フレディさんは、田村さんもさすがに足が痺れてきたのか、自分から勝手に膝から降りて、
今は私の上でグテーンとしている。
「う~ん……」ゆたかちゃんが、腕を組んで悩んでいる。
「……どうしたの?」
「ちょっとね。続きが思い浮かばなくて……」
「よくあることだよ、話を書いてるときは。私も今つまってんだ~。なかなかアイディアが思い浮かばなくて」
田村さんが、ペンをクルクル回した。
「ところで」田村さんが言った。
「どこらへんがつまってるの?」
「女の子のお願いごとを叶えに神様の元に行くっていうのは思いついたんだけど……」
「そこからどうやって神様の元に行くかがつまったわけっスね」
「うん。どうやったらドジを大変にさせたらいいのかが分からなくて……。田村さんは?」

481:ある冬の休日~チェリー視点~5/8
08/12/09 23:54:29 9AV32cJC
「私は……まぁ色々っス」
それからまた無言になった。
ゆたかちゃんもうんうん唸り、田村さんは何度も紙に書いては丸めるのを繰り返している。
『なぁチェリー』私の上でくつろいでいたフレディさんが言った。
『外行かないか?』
『えぇ~。今日は寒いのに?』
『特に寒い天気じゃないだろうが。お前はそれでも誇り高き犬ぞりの子孫かよ』
『私、そんなこと知らないよ~』
『つべこべ言わずさっさと行け!』
『ふぇぇ~。は~い』
私はしぶしぶ立ち上がり、こたつに入っているみなみちゃんをゆする。
「……どうしたの?」
『あのね、フレディさんが散歩に行こうって』
「おやつならさっきあげたじゃない。……しょうがないな。これが最後だよ」
『え、おやつ!?わーい……』
『違う!』
フレディさんから強烈なネコパンチを喰らった。痛い。
私は、みなみちゃんの袖を引っ張った。
「もしかして、散歩?」
『うん、そうだよ。フレディさんが行こうって言い出して……』
「もしかしたら、トイレも近いのかな。みんな、ちょっとチェリーの散歩に行ってくる……」
「……あ、みなみちゃん。私も行っていいかな?」
ゆたかちゃんがペンを置いた。
フレディさんのほうを見ると、一瞬ニヤっと笑ったのが見えた。
「いいけど、外、寒いよ?」
「厚着をすれば大丈夫だよ。私、ちょっと体を動かしたくなったし」
「岩崎さん。私もいいかな?ちょっと気分転換になると思うから」
「ワタシもでス!」
三人はこたつから出て、出かける準備をする。
みなみちゃんもこれ以上何も言わず、ただ三人の準備が終わるのを待っていた。



「う~、やっぱり寒いね~」
ゆたかちゃんが、手にハァと息を当てた。
「……無理はしないで」
「大丈夫だよみなみちゃん。厚着をしてるから」
『寒いよ~フレディさ~ん』
『厚い毛を持ってるんだから大丈夫だろ』
『うぅ~』
『ったく、情けねぇな……』
フレディさんは寒くないのかなぁ……。よくみなみちゃんが「犬は喜び庭かけまわり♪猫はコタツで丸くなる♪」
っていう歌を歌っているけど、あんなのは絶対嘘だ。
犬だって、コタツで丸くなりたい。
「それにしても」田村さんがポケットの中に手を突っ込んだ。
「岩崎さんの皮ジャン、かっこいいね」
「……これ、お父さんがいらないって言ったから、もらったの」
「Hum……これはかっこいいデスね。新たな萌えの形でスね!」
「そうそう、これで銃とか持たせて、『地獄で会おう。その時は酒でも飲みながら……』とか言ったら、
絶対かっこいいよ!」

482:ある冬の休日~チェリー視点~6/8
08/12/09 23:55:23 9AV32cJC
「……なんのはなし?」
「なんでもないッス。……ところで」
田村さんが、フレディさんをチラっと見た。
「なんでフレディさんまで一緒にいるの?」
『それは俺も行きたかったからさ。美女との散歩だなんて、滅多に無いからな。
 それに、俺は寒いのが好きなんだ』
「ゲンキなネコですネェ」

それから、私たちはしばらく歩いていると、前からいつも出会うおばちゃんと、知り合いの犬である
ゴールデンレトリーバーのメアリーちゃんが散歩している。
「あら、こんにちは」
「……こんにちは」
『あーっ、チェリーちゃん』
『メアリーちゃーん』
『ちーっす』
「あらあら、チェリーにフレディさんじゃない……あら?そこの女の子は?」
「私の友達です」
「こんにちは」
「コンニチハ~」
皆がおばさんに挨拶した。
「こんにちは。みんな揃って仲良くお散歩なの?」
「はい」
田村さんは、メアリーちゃんを見つめた。
「この子、メスっすか?」
「うん。そうよ。だからチェリーちゃんと仲がいいのかねぇ。男の子だったら、よく喧嘩とかしちゃうわよね」
「あ~、分かるッス。私も犬の散歩中、性別の違う犬同士だったら、喧嘩になりがちッス。
 まぁ、決まって男が弱いけど」
「あははは、私もよくあるわ」
田村さんとおばちゃんが、なにやら私たちのことで話しが盛り上がっているようだ。
『ねぇメアリーちゃん』
『なぁに?』
『メアリーちゃんは寒くないの?』
『寒いけど、私は散歩が大好きだから、別に気にならないよ~』
『私はすっごく寒いよ~。本当は家でコタツでゴロゴロしたかったのに……フレディさんが……』
『お前のたるんだ根性を叩きなおすために外に出したんだ。それに……』
『それに?』
『気分転換すれば、なにかが解決すると思ってな』
それから、私たちはしばらく会話をして、散歩の続きに行った。



私たちが次に向かった先は、公園だった。
小さい公園で、赤い色をしたすべりだいに、二つのブランコがあるだけの質素な公園だ。
「こんなところに公園があったんスねぇ」
「……チェリーが小さい頃、よくここで散歩させてたの。今はたまにしかよらないけど」
「でもみなみちゃん、ここの看板に「犬はダメ」って書いてるけど……」
みなみちゃんはクスッと笑った。
「跡を残さなかったら大丈夫だから」
「あー、みなみちゃんズルっこー」
みんながみなみちゃんを笑った。

483:ある冬の休日~チェリー視点~7/8
08/12/09 23:56:10 9AV32cJC
それにつられてみなみちゃんも普段見れないような笑顔を見せた。
「ふ~ん……」田村さんがみなみちゃんを見つめた。
「岩崎さんも結構、笑えるじゃん」
「え、そうかな……?」
「さっきの笑ミは、まさに萌えましたヨ~」
「みなみちゃんすごいかわいかったよ~」
みなみちゃんが顔を赤くしながらも、笑っていた。
「あ、小早川さんブランコ乗ってみない?」
「うん!」
ゆたかちゃんと田村さんが嬉しそうに、ブランコに乗って、漕ぎ出した。
「ブランコだなんて、久しぶりだな~。小学生以来かな?」
ゆたかちゃんはブランコをゆっくりと漕ぎながら言った。
「私は、中学生の頃に乗ったのが最後かな~。
 そういや、小学生の頃クツ飛ばしが流行ってね。私もよくクツを飛ばしたりしてたよ……そぉれ!」
田村さんが、クツを思い切り飛ばした。
『さぁて、チェリー。ちょっと遊ぼうぜ』
『遊ぶって?』
『こういうこと』
フレディさんは突然、みなみちゃんに抱きついた。
「ちょ、ちょっと、フレディさん?」
『いまだチェリー、みなみの手は緩んだ状態だ。……分かるか?』
『……分かった』
私は、一気にみなみちゃんの手から離れ、田村さんの飛ばしたクツを咥えた。
「あぁ!わたしのクツがぁぁぁ!」
『へへーんだ!取れるものなら取ってみろー!!』
「こらー!かえせー!」
田村さんが片足でピョンピョン飛び跳ねながらこっちにやってくる。
私は、田村さんが近づいてくると、離れては止まるを繰り返した。
その結果、田村さんは息を荒立てながら凄い形相でこっちにやってくる。
「ちょ、ちょっとチェリー!」
みなみちゃんが必死に私を追いかけてくる。
「ヒヨリン、他人がミたらあなた、ぜったいにヘンなヒトでス~!」
「あははははっ!た、田村さんなんかおかしいよ~」
「うぅ~、みんな笑うな~!」
いつのまにか公園には笑い声で満たされていた。
滅多に笑わないはずのみなみちゃんも、本当に楽しそうに笑っていた。



「私ね」小早川さんが、ブランコにゆっくり動かしながら言った。
「絵本のネタ、思いついちゃった」
「……どんなの?」
「最初は、ドジはたった一人で神様の元に向かうって、考えてたんだ。
 でも、やっぱりそれはやめた。
 私が考えたのはね、雪を降らせてほしいって神様の元に向かおうとするドジを最初は他のサンタさんは
 笑った。けど、健気にがんばる姿を見たサンタは、ドジと一緒に神様の元に向かおうって、決心するんだ。
 みんなと一緒なら、きっと神様の元に行けるって励ましあいながら……」
「……いい話だね」
「私も、散歩してたら色々思いついちゃった」田村さんが言った。
「キャラクターの設定にすんごく悩んでたんだけど、岩崎さんの革ジャン姿を見てたら、新しいキャラクターが
 やっと固まったよ」

484:ある冬の休日~チェリー視点~8/8
08/12/09 23:56:43 9AV32cJC
「……私を見て?」
「そうでス!みなみはカッコいいとこイッパイあるから、ネタがどんどんウかんできまス!」
「……そうなの?」
ゆたかちゃんは、ブランコから降りた。
「ねぇ、そろそろ帰ろうよ。寒くなってきちゃったし、思いついたことすぐに描きたいから」
「……うん、そうだね。帰ろう」
「よーし!描くっスよー!」
「ひよりんもゆたかもFIGHTです!」
こうして、私たちは帰路につくことにした。
『ねぇフレディさん』私はフレディさんに尋ねた。
『もしかして、これを狙ってたの?』
フレディさんは、ニヤリと笑みを浮かべた。
『どうだかな』

485:52-426(仮)
08/12/09 23:57:21 9AV32cJC
以上です。
なんかひよりとパティの言葉遣いが違うような……
というか、チェリー視点でやる必要があるのかどうか分からないSSでしたねすみません。
6巻102ページの『ツンデレ?』の一コマ目のチェリーを見てたら思いつきました。
失礼しました。

486:名無しさん@ピンキー
08/12/10 12:30:11 hMFAbduw
1回ものかと思っていたら、まさかの続編!
フレディはオリジナルだけど素敵キャラすぎてはまっちまいそうだぜ!
1年生達をからめてのほほえましきストーリーに思わずニヤニヤw
もうこうなったら他の主要キャラも絡めて続きを作っちまえ
ってくらい、GJ!

487:名無しさん@ピンキー
08/12/10 23:06:35 QaTt1CMW
>>485
GJです。
フレディさん、めっちゃんこ渋いよw
話もほのぼのしてて好きですし、続きが読みたいかも。

488:名無しさん@ピンキー
08/12/11 00:26:32 gsL9eaqR
投下された方々、お疲れ様です。
準備される方がおられなければ、投下いたします。

489:名無しさん@ピンキー
08/12/11 00:27:22 keWIWnKZ
GJ!
動物たちの言葉づかいとかカワイイWW
ほのぼのとした光景が目に浮かぶようなお話でした。

490:23-251 ◆5xcwYYpqtk
08/12/11 00:31:05 gsL9eaqR
「Affair 第2話」

・つかさ×こなた、かがみ

注意事項

・続きもの
・ダーク
・非エロ
・6レス程度使用

491:Affair 1/6
08/12/11 00:31:45 gsL9eaqR
「ふう」
 眠っているゆたかちゃんに布団をかけながら、私はため息をついた。
 小早川ゆたかちゃんは、小柄で華奢だけに体重は軽いけれど、私にもそれ程、腕力がある訳ではない。
 彼女を背負うことはできても、移動することは難しい。
 仕方なく、店員さんには電話で呼んだタクシーが停まっている場所まで、ホテルの従業員さんには、
ホテルの玄関から予約した部屋まで運んで貰うようにお願いして、何とかベッドの上まで辿り着いた訳なのだけど。

 私は、ゆたかちゃんのベッドの端っこに座りながら、ゆたかちゃんの寝顔をじっと見つめる。
(やっぱり、かわいいなあ)
 純粋で無垢で、天使のようなあどけない寝顔に、吸い込まれそうになる。

 以前から思っているけれど、小早川ゆたかちゃんは、『かわいい』という単語を具現化したような存在だ。
 閉じられている大きな瞼に、長めのまつげ、小さめの唇、ふっくらしたほっぺはもちろん、二つのリボンで結ばれた、
ふわふあの髪が、可愛らしい顔とマッチして、とても危険な魅力を放っている。
 こなちゃんや、みなみちゃんが夢中になるのも、分かるような気がする。

 ゆたかちゃんのすぐ隣に座ってから、人刺し指を伸ばして左のほっぺたをつつくと、
柔らかい感触とともに、ふにっとへこんでしまう。
 あきれるくらい無防備で、ほんの少し力を入れただけで簡単に壊れてしまいそうな程弱くて、それだからこそ
誰もが強い庇護欲に誘われる。

(さて、これからどうしようかな? )
 ゆたかちゃんを誘って食事をして、お酒に酔わせて部屋に連れていくところまでは、計画通りだったけれど、
この先は何も決まっていない。

 エッチをしようと誘っても、絶対に断られないという自信はある。
 ゆたかちゃんとは、夏に一度関係を持っているから、今さら本気で抵抗されることはないはず。
 それに、話を聞く限りでは、仕事が忙しいこなちゃんとは、とんと『ご無沙汰』らしくて、
かなり欲求不満が溜まっているみたいだから、誘えば簡単に落ちそうだ。

 でも、このまま単純に『シテ』しまっても面白みには欠ける。
 こなちゃんの表現を借りれば、選択肢が無く、エンドまで一直線の美少女ゲームほどつまらないモノはない、ということになる。
 最初は嫌がって抵抗しても、気持ちとは関係なく身体が反応してしまい、最後にはよがり狂ってしまうという
シチュエーションが好きだけど、それはそれで都合が良すぎるかもしれない。 
 
「うーん」
 あれこれ思い悩むのは得意じゃない。
 私は、堂々めぐりになりかけた思考を止めて、こなちゃんに電話をすることにした。

492:Affair 2/6
08/12/11 00:32:31 gsL9eaqR
「もしもし」
『もしもし…… つかさ? 』

「うん。こんばんは、こなちゃん」
 とても懐かしい声が聞こえてくる。
「こんな時間に何? 」
 既に、午後10時を回っている。高校生の時だったら眠くてベッドに入っている時間だ。
「こなちゃん。まだ仕事だったの? 」
 そういえば、残業が多いってゆたかちゃんが言っていた。
『ううん。仕事は終わって駅で電車を待っているところ』
 耳を澄ましてみると、電話の向こう側からは様々なノイズが伝わってくる。

『で、何の用? 』
 こなちゃんの声はひどくそっけない。昔には戻れないことを思い出して、胸が少しだけ痛くなる。
「あのね。今日、ゆたかちゃんと食事をしたのだけど」
『ふーん』
「ゆたかちゃん。お酒に酔って寝ちゃったの」
『…… で? 』
「だから、今日はホテルに泊めていくね。それとも迎えにくる? だったらホテルの名前と場所を教えるけれど」
 伝えるべきことを言い終え、返事を待つ。
 かなり長い沈黙が続いた後、こなちゃんはようやく口を開いた。

『構わないよ』
「えっ? 」
 ちょっと意外な返事だ。
『悪いけれど、ゆーちゃんをホテルに泊めて貰えるかな』
「それは、いいけれど? 」
 戸惑う私に、こなちゃんの声が覆いかぶさる。

『つかさのしたいようにすればいいから』

「どういう…… 意味かな? 」
 あまりにも投げやりな、こなちゃんの言葉に不審を抱いて問い返す。
『ゆーちゃんとHをしたいならすれば? 』
 こなちゃんは平然とした口調で、私を奈落の底に突き落とした。

493:Affair 3/6
08/12/11 00:33:22 gsL9eaqR
「私って、そんなに淫乱かなあ? 」
 動揺を必死で隠しながら、わざとおどけた口調を作った。しかし―
『知らないけれどね。つかさがどんなに頑張っても無駄だから』

 こなちゃんは、私がゆたかちゃんとえっちをしたとしても、最後には自分の元に戻ってくると信じている。
 こなちゃんは、ゆたかちゃんが裏切ることは絶対にないと信じている。

(すごく、気に入らないなあ)
 胸の奥で生まれた苛立ちが加速度的に拡がる。

『話はそれだけかな? 』
「そうだよ」
『じゃあ』
 私は、やり場のない怒りを消化することができずに、気に入っているはずの携帯を床に放り投げた。
 どす黒い何かが急成長して、心は闇に覆われる。

 気に入らない。全く気に入らない。
 こなちゃんに愛されているゆたかちゃんが気に入らない。
 こんなに愛しているのに、私を無視するこなちゃんが気に入らない。
 こなちゃんに気圧されて、言いたいことも満足に言えない自分も気に入らない。

(絶対に許さない! ) 
 今日は、ゆたかちゃんと楽しい一夜を過ごすことで満足するつもりだったけれど、
気が変わったから動くことにする。
 まずは、放り投げた携帯をひろって、最初に『お気に入り』に登録した相手にかけることにする。


494:Affair 4/6
08/12/11 00:34:01 gsL9eaqR
「もしもし、お姉ちゃん」
『つかさ…… あんた、何処にいるのよ 』
 お姉ちゃんも苛立っているようだ。

「えっとね。名古屋だよ」
『何故って、訊くまでもないか。つかさ、今度は何をたくらんでいるの? 』
「実の妹に対してひどい言われようだね。お姉ちゃん」
 私だけが悪人みたいなことを言われるのはとても心外だ。

『何を今さら…… 』
 お姉ちゃんは鼻先だけで笑う。

「お姉ちゃん。こなちゃんのことをもうあきらめたの? 」
『そんなことあるわけ、ないじゃない…… 』
 強気な言葉と裏腹に、声に力が入っていない。
「ふうん。こなちゃんはゆたかちゃんに『ぞっこん』だから、無理だよね」
『わかっているわよ…… 』
 お姉ちゃんが、とても辛そうな声をだした。

「でも、お姉ちゃんはこなちゃんを、あきらめきれないよね? 」
『仕方がないじゃない! 』
 急に声が大きくなる。
 私と同じく、お姉ちゃんはとても未練がましい。
『だって、好きなの。こなたが好きでしょうがないの。家に戻っても何もする意欲がわかない。
大学に行っても勉強する気にもなれない。こなたがいないと駄目なの! こなたがいないと生きていけないの! 』

 お姉ちゃんは一気に吐き出した。
 せっかく志望した大学に合格したのに、だるそうな顔で家を出て、つまらなさそうな顔で明るいうちに帰ってくる。
 夜はPCの前に座りきりで、ネットにはまって夜更かしをしている。

 お姉ちゃんは、本当にこなちゃんがいないと駄目な人なんだね。とってもかわいそうなお姉ちゃん。
 でもね―

495:Affair 5/6
08/12/11 00:34:54 gsL9eaqR
「お姉ちゃんは『へたれ』だから何もできないよね。お姉ちゃんは一人で夜な夜なまくらに涙の跡をつけて、
愚図愚図と唸っているのがお似合いだね」
『つかさ! 』
「お姉ちゃんは本気をいつ出すの? こなちゃんが本当に欲しいのなら、こなちゃんを奪い取る為に行動すれば良いのに。
どうして、いつも中途半端なまま、あきらめてしまうの? 」
『だって…… だって、こなたは、ゆたかちゃんのことが…… 』
 ほら、お姉ちゃんはすぐにゆたかちゃんのせいにする。自分からは何もしない癖に。

「ゆたかちゃんは、今、私のすぐ隣にいるよ」
 俗に言う『爆弾』をここで投下することにする。
『どうして? つかさ、また変な事をしたの? 』
「普通に、誘っただけだよ。もっとも今は寝ているけれどね」
 今回はクロロホルムを嗅がせた訳ではない。お酒も強制した訳ではなく、むしろゆたかちゃんが積極的に飲んでいた。

『ねえ。お姉ちゃん』
「な、何よ」
 ちょっとした困難に当たっただけで、すぐにあきらめてしまうお姉ちゃんを煽ることにする。
「私を一番憎んでいるゆたかちゃんでも、今日は、私と一緒のベッドで寝るんだよ。
どうして、お姉ちゃんは勇気を出そうとしないの? 」

『私だって、こなたを取り戻す為にいろいろやったわ。でもこなたは私のことなんて目に入らなかった! 
ずっとゆたかちゃんしか見ていなかった! 』
 お姉ちゃんは、悲痛な声を出している。でもそれは所詮、愚痴に過ぎないんだよ。

「ううん。お姉ちゃんはまだ、本当の意味で戦っていない」
『どういう…… こと? 』
 けげんそうな声が返ってくる。
「お姉ちゃん。結局、今年の夏もこなちゃんに告白しなかったよね」
『だって、あれは…… バタバタしていたし』
「告白なんてわずか3秒だよ。お姉ちゃんは3秒を工面するのが惜しくて、こなちゃんに想いを伝えなかったの? 」
 私の言葉は尖った槍となり、優柔不断で臆病なお姉ちゃんを追い詰める。
『だって、仕方がないじゃない…… 』
 結局、お姉ちゃんは、どこにも逃げることはできず、疲れきった声を出しただけだった。


496:Affair 6/6
08/12/11 00:36:04 gsL9eaqR
「やれやれ」
 私は、今日何度目かのため息をつきながら肩を竦める。
 抜け柄のようなお姉ちゃんでは駄目だ。多少は闘志を持ってもらわないと。
 だから、今度は優しく話しかけることにするね。

「お姉ちゃん。告白できなくても仕方ないよ」
『えっ? 』
 戸惑うお姉ちゃんに構わずに続ける。
「ゆたかちゃんはね。反則的な童顔と幼児体型と甘えた声で、ロリコン趣味のこなちゃんの気を引いたの。
だから、お姉ちゃんは悪くないんだよ」
『そ、そうね…… 』
 否定から肯定へと180度変わったので、かなり面喰っているようだ。
「ゆたかちゃんがこなちゃんに飽きてしまえば、お姉ちゃんはこなちゃんをゲットできるはずだよ」
『そ、そうかしら…… 』
 いきなり乗り気になるお姉ちゃんに、いささか辟易する。
 ここまで正直な人だとは思わなかったかな。

「私はゆたかちゃんを誘惑して、こなちゃんとの仲を裂こうとおもっているの。
だから、お姉ちゃんはこなちゃんの心を奪ってほしいんだ」
『私が…… こなたを』
 自信なさげな、お姉ちゃんの背中を、少しずつ強く押していく。

「絶対に大丈夫だよ。お姉ちゃんはこなちゃんを一番知っているし、一番愛しているから」
『愛してる? 』
 オウムの様に繰り返したお姉ちゃんに、ここぞとばかりに畳みかける。
「お姉ちゃんが本当に、全力でこなちゃんに告白すれば、絶対にこなちゃんは恋人になってくれるよ。だから、途中であきらめないで」

『諦めない…… こなたは私のモノ…… 』
 ようやく『納得』してくれたようだけど、まだまだ心許ない。
「こなちゃんが、お姉ちゃんのモノになることは、もう運命で決まっているの」
 お姉ちゃんの記憶に残るように、一字一句をしっかりと刻みこんでいく。
「こなちゃんの身体はお姉ちゃんのモノ。こなちゃんの心もお姉ちゃんのモノ」
『コナタは、私のモノ…… 』
 頃合いは良し。
 私は、携帯を肩と頬で挟んでから強く柏手を打った。

 パン!

 乾いた木がぶつかり合うような音が、部屋中に響く。


 たっぷりと1分は間を置いた後、私はおもむろに切り出した。
「そろそろ、電話切るからね」
『あっ、うん、そ、そうね』
 お姉ちゃんはどこか呆けた声を返してくる。
「それじゃあ頑張ってね、お姉ちゃん」

 電話を切って時計を見上げると、既に10時半を回っている。
「そろそろ、ゆたかちゃんを起こさなくっちゃ」
 小さく呟いてから、安らかな寝顔を浮かべたまま、静かに胸を上下させている、少女の柔らかいほっぺたを軽く叩いた。

(続く)

497:23-251 ◆5xcwYYpqtk
08/12/11 00:38:05 gsL9eaqR
続きます。
読んでくれた方、ありがとうございます。
巫女さんには、何か特別な力があるような気がします。
では。

498:名無しさん@ピンキー
08/12/11 07:06:23 ljOl+xkc
ついさKOEEEEE!

499:名無しさん@ピンキー
08/12/11 21:42:06 19O6YvXJ
つかさは催眠術キャラとして定着するか。

500:名無しさん@ピンキー
08/12/11 21:56:51 rwylSjl/
ついにつかさ様が本気を出してきた。
一体どうなるんだ・・・

501:名無しさん@ピンキー
08/12/11 21:58:31 XjZafSyi
前にここに投稿された、つかさに彼氏が出来てかがみがヤンデレっぽくなるSSの題名って何だっけ?

502:名無しさん@ピンキー
08/12/11 22:03:00 maJ4Snpo
あー

なんだっけ
題名浮かばないと探すのだるいな

503:名無しさん@ピンキー
08/12/11 22:07:18 19O6YvXJ
検索フォームに「つかさに彼氏」と入れてみると……。

504:名無しさん@ピンキー
08/12/11 22:11:00 XjZafSyi
>>503
出てきた。ありが㌧

505:名無しさん@ピンキー
08/12/11 22:36:30 VIpP75UW
>>497
つかさ、がんばっちゃダメ~~~~><
ドキドキしながら続きを待ってます!

で、SSを1本投下しようかと。
他に宣言が無く5分ほどしたら作業開始しますね

506:LD
08/12/11 22:42:00 VIpP75UW
おばんでやす、寒さに負けて風邪を引きかけたLDです。
久し振りに「こなゆたシリーズ」でSSが書き上がったので投下します。

以下注意書きです。
・こなた&ゆたか+そうじろう、???
・自作SS『Happy Sweet Birthday!』の続き
・5レス&後書1レス使用予定
・エロ無し

では投下作業開始です。


507:Happy dream comes true(1)
08/12/11 22:43:37 VIpP75UW
 お盆も明けて、そろそろ夏休みも終盤に差し掛かったお昼過ぎ。
 今日お姉ちゃんは『お祭り』の最終日と言って朝からお出掛けです。おじさんも一緒かと思っていたら、作家仲間の方達と用事があるとの事で、お昼前に出掛けていきました。
 こんな時はみなみちゃん達と遊んだり勉強会を開いたりしているのですが、今日はそれぞれ用事があったので、自分の部屋でのんびりとしています。

 2時過ぎになって玄関の開く音がしたのでそちらへ向かうと、両手一杯に荷物を抱えたお姉ちゃんが汗だくになって帰ってきていました。
「おー、ゆーちゃん。ただいま~」
「おかえり、お姉ちゃん。すごい荷物だね」
「まぁね。夏一番のお祭りだし。これでもいつもよりは少ないんだよ」
「え? ……それで少ないの?」
「ん。だって萌えエネルギーなら家でいっぱい充電出来るしね」
 そう言って意味ありげな表情でウィンクをするお姉ちゃんの言葉を理解すると、顔が赤くなるのが分かります……
「くふふ。顔赤いけどどーしたのかな~?」
「もぅ……からかわないでよ、お姉ちゃん!」
「まぁまぁ。それだけゆーちゃんの事が好きって事だよ」
 そんな言葉と共に、照れくさくてそっぽを向いてしまった私のほっぺにキスをくれました……

 お姉ちゃんがシャワーを浴びている間におやつの準備をします。今日はアイスティーとクッキーでいいかな?
 シャワーを浴び終わる頃を見計らって居間に持って行くと、お姉ちゃんがタオルを首に掛けて既に座っていました……スポーツブラに短パンという格好で……
「……お姉ちゃん、せめて服着ようよ?」
「いーじゃん、今はゆーちゃんしかいないし。別にお父さんがいても気にしないけどね~」
「わ、私が気にするのっ! それにいくら家族だからっておじさんの前でもダメッ!」
 きっとさっき以上に顔を赤くしながら、思わず大きな声になってしまいました。
 すると手を口に当ててニヤニヤ笑いながら、
「おんや~? もしかして欲情しちゃった?」
「よくっ?! そ、そんなんじゃないってば!」
「んふふふ。まぁそういう事にしておきましょうかね。んじゃちょっと服着てくるよ」
 立ち上がって部屋に戻るお姉ちゃんを見送りながら、持っていたお盆をテーブルに置いて一息つきます。
 お姉ちゃんが言ったように欲情、とまでは言わないけど、かなりドキドキしてたのは間違いなくて、あれ以上からかわれてたら……


508:Happy dream comes true(2)
08/12/11 22:44:25 VIpP75UW
 戻ってきたお姉ちゃんは今度はちゃんとタンクトップを着ていました。
「はい、お姉ちゃん。シロップはこっちね」
 何気ない風を装ってお姉ちゃんにお茶とお菓子を出します。
「ありがと、ゆーちゃん。いや~、生き返るねぇ」
「今日も暑かったからね。お姉ちゃんが熱中症とかにならなくてよかったよ」
「まぁ今年は今日だけしか行けなかったから、今までよりは楽だったよ」
 そう言ってストローで紅茶を啜りながら苦笑するお姉ちゃん。
 いつもなら3日間あるはずのお祭りも、他のバイト仲間の都合で今日しか休みが取れなかったみたい。
「昨日一昨日の分はひよりんとパティに頼んでおいたから平気だと思うけど、今度2人にはお礼しとかないとなー」
「ふーん、そうなんだ。えっとコミケだっけ? その前に会った時はひどく疲れてたり心配そうにしてたけど、ひよりちゃん大丈夫かなぁ?」
「んー……大丈夫じゃないかな? 昨日の帰りにパティがお店に来たんで聞いたら、大分フォローに回ってたみたいだしね」
「そっか。じゃあ明後日皆で集まるのは大丈夫そうかな?」
「それなら平気っしょ。明日は1日寝てそうだけど……そういやお父さんは?」
「ほら、夕べ言ってたでしょ? 他の作家さん達と集まるって。出掛ける時には夕方には戻るって言ってたよ」
「ふーむ。するとそれまでは2人っきりって事になるねぇ」
「えっ? あ、うん。そうだけど……」
 多分ほっぺが赤くなってしまった私を見てニヤニヤ笑いながら、私の隣ににじり寄って来ると、
「とぅっ!」
 という掛け声と共に寝転がると、正座していた私の膝に頭を乗せてしまいました。
「ひゃっ! お、お姉ちゃん!?」
「んふふふ。エッチな事されると思った?」
「そ、そんな事は……」
 口篭もる私のほっぺに手を伸ばし、優しく微笑みながら撫でてくれました。
「それでもよかったんだけどね。流石にちょっと疲れちゃったからさ。しばらくこうしてていいかな?」
 こんな風にお姉ちゃんが甘えてくるのはとても珍しく、さっきまで少しモヤモヤした気持ちがあったのに、そんなものは一瞬で消し飛んでしまいました。
 答える代わりに私はお姉ちゃんの頭を優しく撫でてあげると、お姉ちゃんは嬉しそうに微笑んだまま目を閉じ、しばらくすると穏やかな寝息が聞こえ始めました。
「お疲れ様、お姉ちゃん。大好きだよ……」


509:Happy dream comes true(3)
08/12/11 22:45:07 VIpP75UW
 ふと微かな物音に気づくと、おじさんがカメラを構えてこちらを見ています。
「あ、お帰りなさい。おじさん……って、あれ? 寝ちゃってたんだ」
「いやぁ、いい物見せてもらったよ。ほら、こんな感じ」
 にっこりと笑いながらカメラを操作して見せてくれた液晶画面には、膝枕をしたまま眠るお姉ちゃんと私がはっきりと映っていました……
 思わず叫びそうになった私の唇におじさんは指を当てて、
「大声出すとこなたが起きちゃうぞ? 悪いけどそのままでいてやってくれないかな?」
 お姉ちゃんをからかういつもの意地悪な笑みではなく、どこまでも穏やかな『父親の顔』で私達を見るおじさんに私は叫びや抗議の言葉を飲み込んで素直に頷きました。
「ありがとう、って俺が言うんじゃないんだろうけどな。こなたの奴、最近ちょっと頑張り過ぎみたいだからさ」
「ええ、そうですね。私の……ううん、私達の為に頑張ってくれてるんですよね、お姉ちゃんは」
「まーな。でもゆーちゃんはあまり気にしなくていいんだぞ? ゆーちゃんはまず学生生活を目一杯楽しむ事。どんな進路に進むのかはわからないけど、卒業したら色々考えるんだって遅くはないんだしね」
 おじさんは一旦言葉を切ってお姉ちゃんのほっぺを突付くと、くすぐったいのか逃げるように体ごと向きを変えて私にしがみついてきました。
「それにこんな風に無防備に甘えるのもゆーちゃんだけだろうしね。ゆーちゃんには本当に感謝してるよ」
 予想外の言葉におじさんを見ると、今度は私の頭を大きな手で撫でてくれました。
「ゆーちゃんと付き合うまでは割と先の事に無関心だったからな。それが今じゃこんなに真剣に物事に取り組むようになって、親としては寂しくはあるけどようやく安心したって感じだよ」
 そう言って笑うとおじさんは立ち上がって、
「さて、今夜は俺が食事を作るよ」
「え? でも、今夜は私が当番ですよ?」
「いやいや、なんだか急にやりたくなっちゃってさ。ゆーちゃんはそのまま抱き枕になっててくれないか?」
 悪戯っぽく笑ってウィンクをするおじさんは、失礼だと思いながらもいつもよりカッコ良く見えました。
「それじゃ買い物行ってくるから、留守番とこなたをよろしくな」
 そんなおじさんを手を振って見送る事しか出来ませんでした。
 しばらくして、再びやって来た眠気に誘われて私はまた眠りの世界に旅立ちました……


510:Happy dream comes true(4)
08/12/11 22:45:37 VIpP75UW
 ん~……いい匂いがする
「こなた、ゆーちゃん。ご飯が出来たわよ」
 あれ、女の人の声だ……聞いた事ないけど聞いた事がある、どこか懐かしいような声
 ゆっくりと目を開けると、驚いたゆーちゃんの顔が飛び込んできた
 あぁ、膝枕してもらったまま寝ちゃったんだ
 ゆーちゃん、足痺れちゃってないかな?
「おはよーゆーちゃん。そんな顔してどしたー?」
 私の言葉に無言で正面、私の背後を指差すゆーちゃん。
 体を起こして振り向くと……そのまま固まってしまった。
 そこにはエプロン姿でお鍋を持っている『私』が立っていた。
「やっと起きたわね。本当にこなたはお寝坊さんなんだから」
 『私』がしょうがないと言った表情で苦笑する。
 いや、『私』じゃない。この人は……
「おかーさん?」
 勝手に口が言葉を紡いだ。すると、
「ええ、そうよ。久しぶりね、こなた。それに初めまして、ゆーちゃん」
 持っていたお鍋をテーブルに置くと、私とゆーちゃんを一緒に抱き締めてくれた。
「こんなに立派に育ってくれてありがとう、こなた……寂しい想いをさせてごめんね?」
「そんな事ないよ。お父さんがいたし、ゆきおばさん達やゆい姉さん、ゆーちゃんがいたから。そんなに寂しくなかったよ」
 そう言う私の目尻をお母さんはそっと拭ってくれた。
「あ、あれ? おかしいね。せっかくお母さんに会えたのに、なんで泣いてるんだろ?」
「いいのよ、こなた。泣きたい時は思いっ切り泣いて、すっきりしちゃいましょう?」
 その言葉を聞いて、私の中にあった何かが切れた……
「うわぁぁぁ、お母さん! 会いたかった! ずっとずっと会いたかったよぅ! 寂しかったんだからー!!」
 お母さんにしがみついて声をあげて泣く私を、お母さんは何も言わずただ強く抱き締めたまま優しく頭を撫でてくれていた……

 しばらくしてやっと落ち着いた私は力を抜いてお母さんから離れると、お母さんは涙やら何やらでぐしゃぐしゃになった私の顔を拭いてくれた。
 いつの間にかゆーちゃんは少し離れた所にお父さんと一緒に座っていて、ハンカチで目元を拭っていた。
「ん、もう平気。変なところ見せちゃったね」
「全然おかしくなんてないわよ。自分の気持ちに素直になるのは恥ずかしい事じゃないわ」
 ポンポンと頭に載せられる手は私と同じくらい小さいはずのに、それだけでまるで優しく抱き締められてる気がした。
「良かったね、お姉ちゃん!」
「さて、落ち着いたんならご飯にしようか。今夜は俺とかなたが腕を振るったんだぞ~」
「え~~、お父さんも手伝ったの? どうせならお母さんだけの方が良かったなー」
「なっ!? 何と言う事を!」
「ほら、こなた。そんな風に言わないの。そう君が手伝ってくれないと大変だったのよ?」
「まーお母さんがそう言うなら我慢しましょうかね」
「かなたー。娘が冷たいよ~」
 そう言ってお父さんがお母さんに抱きつく光景がどこか危険なものに見えた事は心の奥底にしまっておいてあげよう。


511:Happy dream comes true(5)
08/12/11 22:46:24 VIpP75UW
 生まれて初めてのお母さんの手料理は本当に美味しかった。
 お父さんの料理とどこか似てるのは、きっとお父さんが一生懸命お母さんに習った証だろうね。
 何より、初めての家族一緒の食事はこれ以上ない幸せなものだった。
「そう言えばお父さん」
「んー、なんだ?」
 お父さんとの料理争奪戦を一旦休戦して気になっていた事を尋ねる。
「お母さんがこうしてここにいる事に全然驚かないね?」
「あぁ、だって知ってたからな。かなたが帰ってくるの」
『は?』
 私だけでなく、お母さんから色々料理の事を話していたゆーちゃんまで手と口を止めてお父さんを見る。
「いやだから。かなたが帰ってくるのは知っていた、って」
「ちょ! それどーゆー事さ!?」
「どういうもこういうも。前にかなたから聞いてたし。まぁ正確な日にちは分からなかったけどな」
 ポカンと口を開けたままの私達に向けて言葉を続けるお父さん。
「ほら、卒業式の前の夜。2人とも夢でかなたに会ったって言ってただろ? その時に会って話をしてたんだよ。今度はお盆くらいに来るってな。
 で、お盆には来なかったしコミケもあったし、来るなら今日の夕方か明日くらいかなって思ってたら、さっき買い物に行く時にちょうどかなたが帰ってきて、じゃあ一緒に夕飯作ろう、って。な?」
 と、お父さんがお母さんに話を振ると、お母さんは舌をペロッと出して、
「本当はすぐに会いたかったんだけどね。そう君からこなたとゆーちゃんが仲良くお昼寝してるから、ちょっと驚かせてみようかって」
「おーそうだ。ほら、よく撮れてるだろー」
 そう言って見せてきたデジカメに映っているのは、眠っているゆーちゃんを抱き枕&膝枕に寝る私という微笑ましくも恥ずかしいものだった。
 顔を真っ赤にするゆーちゃんを見ながら、テーブルに突っ伏したままお父さんに声を掛ける。
「何でお母さんに会ったって教えてくれなかったのさ……」
 キョトンとした後、胸を張って誇らしげにこう答えてくれた。
「何でって決まってるだろう。2人をビックリさせたかったから!」
「……お父さん」
「んー、なんだ?」
「今後私にペタペタ引っ付くの禁止」
「はっはっは、何を今更。お前達が付き合い始めてからそんな事はしてないだろう?」
 言われてみれば確かに去年の夏以来くっ付いて来たのは幽霊写真騒動くらいだっけ。
「それに今はかなた分を一杯充填するからな。2、3日はいられるんだろ、かなた?」
「えぇ、今回は1週間いられるわよ」
「おー、そりゃいい。だったら家族4人でどっか出掛けよう。確かこなたもバイトの休みがあったろ? ゆーちゃんも空いてる日ってあったよな?」


512:Happy dream comes true(6)
08/12/11 22:46:55 VIpP75UW
 夕飯とお風呂を済ませて、ここはゆーちゃんの部屋。
 ベッドに腰掛ける私にもたれ掛かるゆーちゃんの下ろした髪をゆっくりと梳いてあげる。
「今日は本当にビックリしたね、お姉ちゃん」
「だね~……しっかし、こんな事もあるんだねぇ」
「でも本当に良かったね、お姉ちゃん。かなたさんに会えて」
「ん、まぁね。奇跡は起きないから奇跡だと言うあれは何だったのやら」
「ふふっ。なぁにそれ?」
「んー、何でもないよ。そんな言葉が昔のゲームにあっただけ」
「そうなんだ。でも本当にいいの? せっかくかなたさんがいるのに、一緒に寝たりしないで……」
「あーいいのいいの。今夜くらいはお父さんに譲ってあげなきゃ。寂しかったのはお父さんだって同じなんだし……今頃は2人してニャンニャンしてるんじゃないかなー?」
 そう言ってゆーちゃんをベッドに押し倒すと、ほんのりと頬を染めたゆーちゃんが潤んだ目で見つめてくる。
「ここしばらくご無沙汰だったからねー。ゆーちゃんが大丈夫なら、このまま美味しく食べちゃおうかな?」
「いいよ、お姉ちゃん……私も、して欲しいから」
 目を閉じたゆーちゃんの唇に自分の唇を重ねると、待ち切れないとばかりに唇を割って舌を絡めてくる。
 長い夜は今始まったばかりだ。

 翌朝。
 ゆーちゃんと2人で朝食を作っていると、お父さんとお母さんが手を繋いでやって来た。
「おはよー2人とも」
「おはようございます。おじさん、かなたさん」
「おはよう。こなたにゆーちゃん」
「おはようさん。悪いな、朝ご飯作ってもらっちゃって」
 そんな風に朝の挨拶を交わすと、ふと出来心で爆弾を投下してみたくなった。
 思い立ったが吉日と言う言葉に従って、実行に移す事にする。
「2人とも。昨夜はお楽しみでしたね?」
 するとお母さんは顔をリンゴのように真っ赤にし、お父さんは照れ臭そうにそっぽを向いて鼻の頭を掻き始めた。
 ……BINGO?


513:LD
08/12/11 22:47:56 VIpP75UW
以上です……1レスオーバーToT
ちょっと細かく区切り過ぎたかな?
かなたさんの出番が少なかった……ごめんよ、かなたさんorz

そろそろゆーちゃんの誕生日にクリスマス、大晦日に元旦ですね。
SSラッシュに乗り遅れないように頑張れるだろうか?


514:名無しさん@ピンキー
08/12/11 23:16:10 ArBHiFiN
>>513
GJ!まだまだ続きそうで期待してます

515:名無しさん@ピンキー
08/12/11 23:35:23 F7TMjotF
480KBを超えましたので、次スレ立てチャレンジしてきます

516:名無しさん@ピンキー
08/12/11 23:37:50 F7TMjotF
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517:名無しさん@ピンキー
08/12/12 22:55:57 VMhcAUg4
さっさと埋めなさいよね~~

518:名無しさん@ピンキー
08/12/12 23:16:52 tfF7IZlW
                 _
               / /
             ,  -― (  /
.         /: : : :-=千</ ̄>
         /.:.:.:.: /.:.:.:.:.:/.:∧`ー<      ここまでのスレッドは、
.        ,'::::/::::/::/⌒イ::/ |:l_:::::::ヽ    書き手・読み手の皆さん、
       /::::,':::: Ⅳ|/ j:/  j∧`::: ハ   らき☆すたの愉快な仲間たち
        レl(|::::: | ○      j::/:/::::|
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519:名無しさん@ピンキー
08/12/12 23:41:55 0gSlFxmh
「これで埋まったらかがみ受け、埋まらなかったらこなた攻め」
「突っ込まないわよ」

520:名無しさん@ピンキー
08/12/12 23:57:15 aqvH1gVw
只今487KBなり

521:名無しさん@ピンキー
08/12/13 00:37:21 c+FTHVIx
>>516
おつ☆かれ

522:名無しさん@ピンキー
08/12/13 00:54:30 W14mSzuy
>>519
こなた責め確定~♪

523:名無しさん@ピンキー
08/12/13 01:54:46 6WBHiRH9
>>497
>>513
誰も死なないけど誰も幸せにならない世界と
かなたは死んでるけど幸せな世界
同じこな×ゆたですけど
相変わらず対極ですね

524:名無しさん@ピンキー
08/12/13 07:02:27 pzZ1HPtq
埋めネタ

「ひよりちゃん、漫画のネタを考えてきたよ。」
「そ、そうですか(もう勘弁してくださいッス)。」

ノートの中身

1.私とお姉ちゃんで「牡丹と薔薇」、お姉ちゃんがぼたん役で、私が小沢真珠役。

2.私とこなちゃんで「白い巨塔」、こなちゃんが田宮二郎役で、私が財前医師役。

3.私とゆきちゃんで「あぶない刑事」、ゆきちゃんがタカ役で、私がトシ役。

「あっ、ありがとうございます…(柊先輩ネタが古いッス、それにいろいろ間違っているっス)。」

525:名無しさん@ピンキー
08/12/13 23:45:29 ZjQ19E/j

「で、ひよりん。原稿はマダカナー?印刷所もいつまでも待ってはくれないヨー?」


526:名無しさん@ピンキー
08/12/14 00:40:24 hr1iVRcl
>>519
「突っ込まないならこっちが突っ込んであげるよ、かがみん」
「アッーーーー!!」

527:名無しさん@ピンキー
08/12/14 01:39:50 rm1EiXnR
12KBは1行レスじゃ遠いな…フッ といいつつ文才がないから1行レス(泣

528:名無しさん@ピンキー
08/12/14 01:41:52 3llct6dC
埋めネタ、埋めネタ……………

きぃ~~~
思い浮かばない。



529:名無しさん@ピンキー
08/12/14 02:27:45 JtM0gYdB
>>528
「こんなときこそ、私のノートだよ、ひよちゃん、 (┃▽┃ )ポッポポポポポ」

530:名無しさん@ピンキー
08/12/14 09:27:55 C0z9mNQn
小ネタ:変


「そういえば今年の漢字が決まったらしいわね」
「えーと、たしか『変』だったかな?」
「むぅ、つかさのくせによく知ってる」
「えー、酷いよこなちゃん……」
「冗談だってー。で、なんでまた『変』なの?」
「まぁ別に異論はないけどね、でも株価の暴落とか最近の出来事だし『落』とか『金』とかに私はなると思ってたわ」
「確かに最近の出来事ですので印象も強いのかと思いますね。
『変』という漢字に決まった理由は『日本の首相交代やオバマ次期米大統領の「チェンジ」(変革)、ネパールの共和制移行(君主制廃止)など内外の政治の変化、
株価暴落や円高ドル安などの経済の変、食の安全性に対する意識の変化、世界的規模の気象異変による地球温暖化問題の深刻化、
スポーツ・科学分野での日本人の活躍に表れた時代の変化などの意味が込められ、政治・経済をはじめ、よくも悪くも変化の多かった一年を象徴する。』といった感じでしょうか」
「おー! さっすがみゆきさん!」
「みwikiと称されるだけあるわね」
「お褒め頂き光栄です。実はこれら全てwikipediaからの受け売りなんですよ(ニコッ」
「ウケウリ?(何だろう、フルーツかな?) でもゆきちゃんすごいよー!」
「今何気にすごいこと言ったな……」


うーむ、微妙なネタだ……

531:名無しさん@ピンキー
08/12/14 10:06:36 rm1EiXnR
「つかさ、新文って何よ、もしかして新聞のこと?」
「えええ?だって新聞って文字を読むんだよ?なのに聞くっておかしくない?おねえちゃん」
「う、そう言われれば」
「むう、漢字を習って確かにずっと疑問に思っていた人は少なくないはず(私もそのクチだよ)」

532:名無しさん@ピンキー
08/12/14 10:11:04 7tePcq/3
素直に考えて、『新』しい事を『聞』ける(見れる)から新聞じゃないかな?
……かなりの確立で外れてそうだけど。

533:23-251 ◆5xcwYYpqtk
08/12/14 11:55:04 nnxBLc/q
埋めネタを投下しますね。

「mistake」
こなた×かがみ

2レス使用。非エロ

534:mistake 1/2
08/12/14 11:58:29 nnxBLc/q
 今年もいつもどおりに、冬がやって来た。
 12月も中旬となった週末の夕方、私はこなたと一緒に地元の商店街へ買い物に出かけている。
 行き交う人たちは、師走というだけあって忙しそうだけど、どこか楽しげである。

「ねえ。こなた」
「なに、かがみん」
 あたま一つ分だけ背が低い少女に、ちらりと顔を向けながら声をかける。

「あんた、クリスマスどうする? 」
「うーん」
 こなたは、猫みたいな口に人差し指をあてながら考え込んだ。
「イブはお父さんと、ゆーちゃんと、ゆい姉さんと一緒に家でパーティなのだよ」
「そ、そう」
 やっぱり、そうなんだ。
 私は、落胆の色を隠すことができない。
 そりゃあ、こなたが家族と一緒に過ごすのは当たり前のことだし、私だって多分、家族とケーキを囲むことになりそうだし…… 
 でも恋人と一緒に過ごしたかったな。

「でもね。クリスマスって25日なんだよね。イブばかりがもてはやされるけど」
 こなたが繋いだ手をぎゅっと握りながら、楽しそうに囁いてくる。
「あっ…… 」
「25日、かがみんのご予定は? 」
 ニマニマしながらこなたは私を見つめてくる。ひどくにくったらしくてドキドキする。
 私は、顔を赤くしながら答えた。

「あ、あいて…… いるわ」

 しかし、何故か、急にこなたはしゅんとしてしまう。
 トレードマークとなっている、頭頂部にある跳ねた髪もうなだれる。
「そっか、かがみだって予定があるもんね」
 こなたは、寂しそうに下を向きながら呟いて、とぼとぼと歩いていく。

535:mistake 2/2
08/12/14 12:00:10 nnxBLc/q
 何故?
 いきなり落ち込んだこなたの様子に、ひどく戸惑ってしまう。 
 もしかして…… こなたは、本当は私と会うのが迷惑なのだろうか。
 嫌な想像とともに、急に繋いでいた手からぬくもりが消え去って、冷たい風が吹き込んでくる。

「こ、こなた…… 」
 言葉の続きを聞くのが怖い。身体が震える。心が凍える。

「かがみ、25日に誰と会うの? やっぱりみさきち…… とかな? 」
「へ? 」
 こなたは、何を言っているの?
「いや、いいんだよ。言わなくても。かがみはもてるもんね」
「おい」
 何か、物凄い勘違いをしている気がする。

「あのね。こなた。違うの! 」
「な、何が違うのさ」
 こなたはムキになっている。いったいこの変な流れはなんなんだ。誰か説明してほしい。
「私、かがみと25日なら一緒にいれると思ったのに。でも、かがみはみさきとデートするんでしょ! 」

「ばかっ」
 言っても理解しそうにないので、こなたに思いっきり抱きつく。
 コートごしにも関わらず、こなたの熱い体温がつたわってくる。

「な、なにをするー 」
 胸の中でじたばた暴れるけれどかまうもんか。
「か、勘違いしないでよね。本当は違うんだから! 」
「ツンデレ? 」
「違う! 人の話をききなさい! 」
 ぜーぜーと肩で息をしながら、こなたを煌めくような双眸を見据えて言葉を紡いだ。

「いい? 私は25日に、こなた以外の誰とも会う予定はないわ! 」
「でも、予定が空いてないって言ったじゃん」
「だから、空白がないんじゃなくって、相手がいないってことよ! 」
「あっ」
 こなたの瞳から不安の色が唐突に消えた。

「だから、その日は大丈夫なの! 分かった! 」
「う、うん」
 こなたは頷いて、私の胸に顔をうずめる。
「こ、こなた、ダメよ」
 狼狽しながら顔を覗き込むと、大きな瞳から雫がこぼれだしている。
「ば、ばか、こんなとこで泣かないでよ…… 」
 通行人の視線が集中しているようで、ひどく落ち着かない。しかし―

「もうちょっとだけ、このままで…… 」
 安心しきった様子で、体重を預けてくるこなたがとてもかわいくて、愛おしくて、許してあげることにする。
「し、仕方がないわね。今だけだからね! 」
「うん。かがみんって優しいね」
「ば、ばか! 」
 ちょっとした言葉だけで赤くなってしまう私は…… やはり重症なのだろう。

(おしまい)

536:23-251 ◆5xcwYYpqtk
08/12/14 12:01:42 nnxBLc/q
以上です。
少しは埋まった…… かな?

537:名無しさん@ピンキー
08/12/14 12:15:05 /OMTzYGu
むりに埋めなくたっていいじゃない スレッドだもの みつを

538:名無しさん@ピンキー
08/12/14 12:41:05 rm1EiXnR
>>536 こういう言葉の意味の聞き違いって気づかないこと多いんですよね
埋めネタGJです

539:名無しさん@ピンキー
08/12/14 13:08:50 hE7kh28M
「じゃ"訪問"て、門を訪ねるのにどうして"訪門"じゃないの?」
「そういえば、どうしてかしら?」
「"訪問"には、訪ねた相手の調子を伺ったり、お話をしたり…といったコミュニケーション的な意味の"問い"が含まれています。
 ビジネスマンの世界では、訪ねていっただけでお客様と会えなかった、商機が得られなかった場合などに、皮肉を込めて
 "訪門"(=門を訪ねただけで帰ってきた)の字を当てられる事があるそうですよ」
「ドライだねぇ~」

540:名無しさん@ピンキー
08/12/14 20:39:06 POmU3KHT
>>536
GJ!…何だけど、話の流れ的にかがみは「あいて…いないわ」って言わないとおかしくない?何か違和感が…。

541:名無しさん@ピンキー
08/12/14 20:46:36 jjeW+cmg
「つかさ、かがみんに彼氏ができたって?」
「うん真面目な奨学生だよ」
「へ、小学生?」
「うん、奨学生」
「(かがみんそりゃ犯罪だ)……」
「こなちゃんどうしたの?」

いやま、埋めネタだからね、
埋めネタなんだから

542:23-251 ◆5xcwYYpqtk
08/12/14 21:04:07 Xs1325fS
>>540
ご指摘、ありがとうございました。
保管庫の記載を修正しました。

543:名無しさん@ピンキー
08/12/14 23:19:03 v8n9IRbC
>>540
>>542

いや、そのままでいいと思うんだが…

こなたの「25日の予定は?」に対して、かがみは「空いて…いるわ」と言った
それをこなたは「相手…いるわ」と聞き間違えたんじゃないかな?


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