らき☆すたの女の子でエロパロ54at EROPARO
らき☆すたの女の子でエロパロ54 - 暇つぶし2ch286:名無しさん@ピンキー
08/11/17 17:59:26 lmsSZt41
こなかがBBSでググればいいと思うけど、アドレスのっけてもいいと思うけどな。
おkなら出すけど。

287:名無しさん@ピンキー
08/11/17 18:04:38 cW6mm0yi
>>286
それは止めとけ。荒らされる原因になる

288:名無しさん@ピンキー
08/11/17 18:05:23 8BpaIW0h
URL晒すのは極力避けた方がいい
晒すのはネットウォッチ板のみで

289:名無しさん@ピンキー
08/11/17 18:33:58 q2ktq8Cb
うっとおしい

290:名無しさん@ピンキー
08/11/17 18:44:01 Qsr+vkk5
すみません、空気も読まない初心者が
ひとつお目汚しを投下させていただきます。

291:かなたさんチェックの時間(1/1)
08/11/17 18:45:14 Qsr+vkk5
お盆・・・
死者が郷里に還るといわれるこの時期・・・

例によって霊のごとく、つーかもともと霊なんですが
このヒトはまた帰ってきました。


『うふふ♪さぁ、そう君もこなたもちゃんとしてるかしら?

 おかあさんがちゃんとチェックいれちゃうぞ♪』


ビシィ!と人差し指を立てて、
誰にとも無く厳重チェック宣言をする。
その仕草は、不思議とこなたにそっくりな癖。

それにしてもこのかなたさん、ノリノリである。


==============かなたさんチェックの時間================

292:かなたさんチェックの時間(2/5)
08/11/17 18:48:23 Qsr+vkk5
『あ、ふたりともこなたの部屋にいるのね・・・
 また二人してゲームやって遊んでるのかしら。』

音も無く、階段を上り、こなたの自室のドアを通り抜ける。


『ほーらやっぱり♪思ったとおりゲームしtぶほぅーーーーーーー!!』


そこで画面に目をやった瞬間エクトプラズム噴いた。


こなた自室の大画面TVに映し出される
あはんうふんいやんてレベルじゃねーCG。
どうみてもそれ何てエロゲです。本当にあ(ry

『な・・・・な・・・・いったい・・・ふたりとも・・・?』

「いやぁこのつる○△●が萌え萌えだにゃぁ~」

「こなたはぜんぜん分かってないなぁ。こうゆう
縞●○※■は ずらして
×◎◎□だからこそ萌えなんだよ。」

「はいはい陵辱陵辱」


こなたもそうじろうも、背後の空間に、二度目の
白いもやが立ちのぼったのに気づかなかった。

あまりにひどい会話の内容に、
かなたさんもう一回盛大に
エクトプラズム噴いた。


『ちょwwwww俺のエクトプラズム返せwwwwwwwww』
なんてことはかなたさんは言わない。嘘ですごめんなさい。


『ななな、あなたたち、なに、ナニを、何のゲームをしてるんですかッ!!』


白いエクトプラズムが、ちょっぴりかなたさんの
顔にかかってそれはまるで(ry
なんてこともありませんごめんなさい。

293:かなたさんチェックの時間(3/5)
08/11/17 18:50:50 Qsr+vkk5
二人は難攻略の陵辱エロゲを協力の末ようやくまとめ、
達成感と充実感に満たされながら残CG回収の作業に当たっていた。


「おや、こなた、エアコン効かせたのか?」

「いんやぁ?窓開けて切ったと思うけど・・・なんだろね」

     一陣の涼しい風が抜けた。

『ちょ、と、そ、そう君・・・こなたにそんな
 えっちぃゲームやらせて・・・っていうか
 このケースに18歳未満だめって書いてあるでしょ!

 いーかげんにしなさい!
 おかあさんもうおこりましたよ!ぷりぷり!』


口に出してぷりぷりとかフツー言うものでもないが、
そもそも二人には聞こえないし、

ていうか 可 愛 い か ら O K 。


「・・・なんだ?このプレッシャーは」

「どーした、こなた?」

「・・・なんでもない。なんかプレッシャーみたいなものを感じただけ」

「プレッシャー?急におかしなことをいうなぁ」

「・・ていうか、かがみんの殺気に似たものが・・・」

「ウチには誰もいないよ?ゆーちゃんも留守のはずだし」


つかつかと(足音もなく)ゲーム機の本体に歩み寄って手を添える。

冷気がこなたのノースリーブの肩をかすめた。


「あら、なんかさぶいよっ・・・。」

『もー、こーゆー教育上よくないものはこーしてあげます!』

「アレ?操作できないぞ」

「あやややや?バグッたの?」

画面が乱れる。なんだか人影のようなものが一瞬写り、

「ちょっ、画面がなんかおかs

  ゲームデータがありません
  セーブデータがありません

「「ちょwwwwwwwwwwwww」」

そのまま、二人ともOrzの姿勢のまましばらく動けなかった。

294:かなたさんチェックの時間(4/5)
08/11/17 18:51:56 Qsr+vkk5
『まったく・・・そう君はともかく、まだ高校生のこなたまで
 一緒になってそんなえっちぃゲームするなんていけませんっ!
 ふたりとも反省しなさい。』

そういえば・・・こなたのお友達にもこんなヒトがいましたね。
何かといってこなたにお説教してるつり目の女の子・・・。

でも本当はこなたのことが大好きで・・・お勉強とか
いろいろ世話を焼いて、可愛がっているんですね。

くすっ・・・なんだかその子がこなたの
母親代わりみたいな・・・。

   ----------母親代わり-------------?

そこまで思い至ったところで、かなたさんはほんの少し、
いつものような、いつも通りの沈思にふける。


こなたがはじめて言葉を話す前に、
彼岸の彼方へ去ってしまった自分。

母のぬくもりというものを束の間にしか
与えてやれなかった、ほんの短い時間。

母のぬくもりというものを知らないまま過ごした
こなたの18年という、長い歳月。


ちいさいなりにすくすくと大きくなっていく
こなたを、この手に抱いて実感したかった、
それは我が侭な願いというものだろうか。


母親に可愛がられる、身の回りの子供たち。
彼ら母子の姿を横目で見るこなたは
ほんとうにさみしさも疑問も感じなかったのか。


そして、若くして二人の前から立ち去った自分を責める。

数え切れないほど繰り返した、かなたさんの沈思。


また涙が溢れそうになったとき、もうひとつの思い出が
かなたさんの胸に去来する。

295:かなたさんチェックの時間(5/5)
08/11/17 18:53:07 Qsr+vkk5
そう、思い出しました。去年のことでしたね・・・・・・

そう君がこなたに「さびしくはないか」
そう聞いたとき・・・

「べつにさびしくないよ」

わたしのことを覚えていないこなたは、
きっとほんとうにそうなのでしょう。

こなたが悲しむことはないであれば、
それはむしろ救いなのでしょうね。


そして・・・そう君は・・・堂々と、
「俺がかなたを世界で一番愛していた」だなんて・・・もうっ・・・


そう君がわたしを愛して・・・
こなたはそう君に愛されて・・・


こなたは不良になることもなく、
ちょっと趣味に問題あるけれども、
良いともだちにもたくさん囲まれて、
いい子に育ってくれて。

そう君は・・・ちょっとベタベタしすぎで
ちょっと遊び方に問題あるけれども
好きな小説で仕事ができて、
こなたをいっぱい愛していて。

わたしの思い出もずっと大事にしていてくれて。


わたしがいない限りのこの世界で、
そう君もこなたもいっぱい、いっぱい幸せじゃないの。


だから・・・・・・それなら。


それなら、わたしも、

笑顔でいられます。


「とおさーん!!に、にに2ヶ月費やしたセーブデータがぁあああああ!!」

「回収CGも全て消えてもぉたぁあああああああああ!!夜の楽しみがぁあああああ!!」

でもそーゆーのは幸せとかには含めないですからね♪

296:名無しさん@ピンキー
08/11/17 18:55:47 Qsr+vkk5
以上、終了です。

いきなり一本目から(1/5)が(1/1)になって
瞬間的に完結してしまったり
不作な物を投下して申し訳ナシです。

1000年ROMって精進することにします・・・

297:名無しさん@ピンキー
08/11/17 19:36:43 xj0amNL3
>>296
いやいやいやいやGJですよ!

ほんとにもう、かなたさんったら可愛いんだから。
お亡くなりになってもしっかり母親していると子もいいですなあ。
ま、こなたとそうじろうについては自業自得ということでw

また投下してもらえるとうれしいですよ。

298:名無しさん@ピンキー
08/11/17 19:52:23 XU8LVx+7
>>296
かなたさんマジ小悪魔……哀れおっさんコンビ。

299:290
08/11/17 20:00:40 Qsr+vkk5
>>297さん

正直どういう評価になるのかビクビクもんでしたが
暖かいお言葉有難うございます。
まとめサイトもちっと読んで勉強してきますです。

>>298さん

もしかなたさんが存命で、こいつらが同じような
ことをこっそりやっててもこんな破壊行動するかも。
お話の都合上、若干キャラ変わってるかもしれません。
(敬語になってたり)
つか、エクトプラズム噴かせてみたかっただけとかw



300:某希少価値
08/11/17 20:12:21 eFShi4Tj
>>298
お・・・おっさん・・・orz    まあ、しかたないかー(≡ω≡.)

かなた「不良に育つのとオッサンに育つ、はたしてどちらがよかったのかしら・・・」
そうじろう「不良ダメ!!ゼッタイ!!」

すなわち>>296はGJ。またの投下をお待ちしております。

301:名無しさん@ピンキー
08/11/17 21:22:30 DLQgrg2d
>>296
オチの一行がベリーキュート!
ああ、なんて可愛いのでしょうかこの霊(ひと)。

このスレへようこそ、ぐっじょぶでした。

302:名無しさん@ピンキー
08/11/17 22:28:27 JVKMuyJs
PCが不調につき携帯から

>>300さん
ありがとうございます、おっ・・・いやなんでもw
アノ親父で不良娘の組み合わせは
想像するだに・・・
「ダメ!ゼッタイ!俺がやられる」


>>301さん
ありがとうございます!
「きっちり〆上げてやりました」宣言ですw

303:名無しさん@ピンキー
08/11/17 22:57:51 NvZsjQlc
全レス気持ち悪いです

304:名無しさん@ピンキー
08/11/17 23:13:11 /ABlXy5D
>>303
ふっ……初めての投下だと嬉しくて、ついやっちまうものなのさ。
生暖かく見守ってやろうぜ。
新しい職人の誕生に乾杯。




305:名無しさん@ピンキー
08/11/17 23:16:50 XU8LVx+7
>>300
まあ、こなたはおっさんじゃなきゃこなたじゃない、という事で。

あと、(便宜名)54-290氏へ。
感想レスをもらえた事が嬉しいのはわかるけど、全員に返す必要はないよ。
そういうのが不快に感じる人もいるからね。

306:名無しさん@ピンキー
08/11/17 23:58:18 tcAa6/XE
おいおいもう賢者タイムかよ

307:名無しさん@ピンキー
08/11/18 00:14:54 x2GqvNX6
>>296
ぐっじょぶ。
ギャグだけど、途中ほろっとさせられて、いい味が出ていますね。
かなたさんは可愛いし、こなたとそうじろうは相変わらず煩悩まるだしだし、
とても楽しく読むことができました。
もしよければ、次回作もここでお願いしますね。とても楽しみに待っていますよ。

308:名無しさん@ピンキー
08/11/18 00:18:19 j1eKDeyF
>>296
GJ!可愛いかなたさんに出会えたのは久しぶりだwww
僕もつい最近ここにSSを投下し始めたばかりなので、お互いがんばりましょう。

309: ◆MoiSlbQnQw
08/11/18 00:51:37 Hjs80orR
どうも、お久しぶりです。

URLリンク(www.sonokawa28.net)
今回投下させてもらうのは、自作『ヴァンパイアハンター・かがみ』の感想欄に気になる物があったのでそれに関するネタです。
言い訳がましいとはお思いでしょうが、お許しください。


310:名無しさん@ピンキー
08/11/18 01:02:11 MZAfR+KZ
>>309
アンタ、まさかノボルじゃないだろうな……?

311: ◆MoiSlbQnQw
08/11/18 02:06:30 Hjs80orR
そして今更ながら誤字発見。『郷』ではなく『卿』でしたorz

312:名無しさん@ピンキー
08/11/18 02:17:40 JHz8IkcZ
こなた「そだね、郷だとジャックになっちゃうからね~」
そうじろう「ジャックではない!あれは帰りマンだ!!」

313:名無しさん@ピンキー
08/11/18 20:24:44 wSwUzcDH
串規制の人のため宣伝を代行。
URLリンク(www.sonokawa28.net)
つか×ゆた
微エロ


314:名無しさん@ピンキー
08/11/18 20:52:21 wSwUzcDH
よろしければ感想など書いてやってくださいm(_ _)m

315:21-260(代理)
08/11/18 22:50:00 IwNn2uUe
お久しぶりです、
最近はずっと別の原稿でごたごたしていたり、
それ以前に謎の規制で2chに書き込めない状態がずっと続いていたりでしたが、
今回代理の方を通じて『黙っと~』の続きをひっそり投下させて頂きます。

ですが、

・みなみ&ゆたか←ひより、エロ無しです
・ぶーわ氏のSS『人として袖が触れている』をもとにした三次創作です
・舞台設定が平安時代なので、人物の呼称など、様々な点で現代と異なっています
・ひよりんが悪役っぽいかも知れませんので、ファンの方は注意して下さい

等、かなり偏った内容になっていますので、苦手な方は気をつけて下さい。
↓では、これより3レスほど使用します。


316:黙っと白拍子 第3話 1/3
08/11/18 22:51:46 IwNn2uUe
 嵯峨小早川邸。
 長年都を荒らした野盗・玄道組(げんどうぐみ)を、弱冠十五で成敗した検非違使(けびいし)・
 きよたかが、その愛妻・ゆい姫と、ゆたかの誕生を祝って建てた邸だ。
 ゆたかのために様々な書物や絵が集められた東の対屋(たいのや)からの眺望は、
 当時無名だった庭師・典兆(てんちょう)率いる阿仁明党(あにめいとう)が、その名を轟かせる
 契機となった大傑作。
 都の家々や、山裾に開いた棚田を絶妙に借景した庭園はまさに一幅の絵画。
 邸の名前の由来にもなっている小川は、山からの水をそのまま引き込んだもので、
 蛍や紅葉など、季節に応じて様々な風物を運んでくるという。

 明るい時に、一緒に歩けたらな―
 ゆたかが自分で描いた絵を見せながら、何度も話してくれた景色。
 でも、秋には帝や大臣達も訪れる、由緒ある庭園の片隅から、小倉山の縁を伸びる街道に
 抜け出せることを、知る人は殆どいない。


        第三話 ― 恋すてふ、ひより ―


 ひよりに別れを告げて、暫く家の方へ向かった後。
 二、三町(一町は約百二十米)ほど住処へ戻るふりをしてから、私は来た道を引き返して、
 御堂まで戻ってきていた。
 邸裏手の竹林を抜け、街道に出た先にあるこの御堂は、まだ賊や獣が多かった頃、愛宕詣の
 無事を祈って建てられたものらしい。
 今はもう廃れているが、私にとっては、ゆたかと初めて出逢った雪の日から、水無月の頃まで
 毎日逢瀬を重ねてきた大切な場所。そして文月が近付く頃、今のように邸に通うように
 なってからは、手引きをしてくれる女房・ひよりとの別れの場所だ。

「…………」
 大丈夫、誰もいない―
 周囲の気配を探ってから、御堂脇から伸びる山道に入る。
 木々に遮られ、星明り一つ届かない墨染の世界。それなのに、道の所だけ積もった竹の葉が
 仄白く浮き上がって、不気味なほどに歩きやすい。
 それどころか、山肌を覆う木々の枝や藪草までが、道際の所だけ悉く背を向けている。
 まるで、客人の衣を傷めないように、草木が意志を持って道案内をしてくれているようだ。
 小早川の者はおろか、夜盗達すら近付かない、秘められた場所へ続く妖の道。
 そこを私は昨日までと同じように、惑うことなく進んでいき……。

「―っ!」

 どうして……どうやって此処に来たのだろう。
 目的地のすぐ近く。
 久しぶりに夜空が見える、森の中の小さな畑。彼女はそこに、月明かりを背にして佇んでいた。
 暗闇を抜けたばかりの目には眩しい光の中、その表情はよく見えない。
 けれど、別れた時のままの姿に、冷たい風に靡く栗色の髪は、見間違いようはなかった。

「やっぱり、こっちに用があったんスね」
 来客が私だと確認してから、ひよりはこちらに歩み寄ってきた。
 ようやく光に慣れてきた目を、真っ直ぐな視線が縛る。夜風の中、ずっと私を待っていたようだ。
「どうして、此処に?」
「ああ、パティと貴方のことで語ろうかな、って」
 声だけは気さくを装おうとしている。
 でも、その瞳は見間違いようもなく真剣で、ゆたかの前では決して見せない感情を宿している。

「けど、いい感じに予定変更っスね。前から聞きたかったんスよ。みなみが邸の外で……
 その書道具をどうしてるのかな、って」
 何もかもを見通し切った視線を、顔から右手で手にしたものへ、そしてもう一度顔へと戻してから
 ―ひよりは、躊躇うことなくそう聞いてきた。


317:黙っと白拍子 第3話 2/3
08/11/18 22:52:38 IwNn2uUe
「ずっと不思議だったんスよね。その筆も硯も、多分ゆーちゃんの前でしか使ってない。
 それなのに、上達が変に早いし、暗がりでも分かるくらい筆だこができてるし。
 でも、まさか家で恋文の練習なんてしないだろうし、そうなると……ね」
 思わず俯く私とは逆に、これでも物書きの端くれっスからね、と胸を張る。
 けれど、その自慢げな笑顔の裏側から零れる感情が、酷く心に響く。

「パティの所って、便利っスよね。人も来ないし、夜でも明るいから一日中原稿書けるし。
 『誰か』と違って、ちゃんとゆーちゃんに見せてるけど」
「それは、私の舞と同じ。恋文とは違う」
「見苦しい言い訳っスね。まあ、私も……っスけど……」
「……」

 秋の最後に吹く風が、傍の長月草と、どこか似たもの同士の袖二つを揺らしていく。
 ざぁ……っと頭上を抜け、都の向こうへ遠のいていく木々の声は、まるで何かの合図のようだ。
 時間にすればどれほどだったろう、
 風の音が完全に消えたのを見計らって、私が口を開きかけた、その時。

「ゆーちゃんの文っスけど……」
 私より一瞬早く、ひよりが話を振ってきた。
 さっきまでとは違う、静かで落ち着いた―今までに聞いたことのなかった口調で。
「写してみて、どんな感じっスか?」
「よくわからない。練習するのは幸せだけど、辛いというか……」
 ずっとひよりを見つめ続ける勇気がなくて、思索にかこつけて目を伏せる。
 同じ人に焦がれる恋敵の問いかけに、自分はどうして、こんなに悩んでいるのだろう。
 それなのに、気がついたら考えていた。答えないといけない、そんな気がして。

「ゆたかの書は、本当に綺麗。洗練されているのに堅苦しくなくて、柔らかくて、優しい感じがして。
 でも、私が書くとどうしてもぎこちなくて、ゆたかの感じにならなくて……」
「なるほど、それでずっと練習してたんスか。あんな書が書けるようになるまで、私達に隠れて」
 視線を逸らしたまま、小さく頷く。
「ゆたかに渡しても、恥ずかしくない文にしたかったから。だけど、最近は練習すればするほど、
 ゆたかから離れていくような感じで……」
「うわー、それ激しく分かるっスけど、正直私達には無理っスね。アレは本当に神業っス。
 あの領域に辿り着ける人なんて、それこそ十年に一人いるかどうかっスよ」

 相変わらず、私はうまく気持ちを言葉にできない。ひよりの前でも、ゆたかの前でも。
 けれどゆたかと同じように、ひよりも私の僅かな言葉と仕草から、伝えたいことを汲み取って
 くれる。ただ……二人の間には、絶対的な違いがある。
 それは―
「でも……きつい言い方っスけど、今のみなみのは、『練習』にもなってないっス。
 変にかっこつけて、練習のフリして『先延ばし』してるだけっスよ」
「それは、そんな……私は、ゆたかに少しでも上手な」
「いつまで逃げるのっ!?」

 ゆたかの手前、ずっと抑え続けてきた感情がわっと溢れて、私を抉った。
 あの春の夜、ゆたかに嘘をつき続けていた私に叫んだ時の、風や空も押し黙るような感情が。

「確かにみなみの『字』はまだまだッスよ、でも、字がヘタクソなだけで、もうちゃんと読み書き
 できるじゃないっスか!後は歌の知識だけど……そこも問題ないっスよね!?」
「そんなこと」
「そんなことない!」
 きっ、と声を荒げて、逃げようとする私に楔を打つ。
「みなみは自分が思ってるよりずっと頭いい、漢詩はヘタな貴族より詳しいし、舞なんて間違いなく
 超一流っスよ?そんな貴方が歌を知らないわけない、万葉古今に多分後撰辺りも暗記してて、
 たまには即興歌で舞ったりもしてる筈、違う!?」

 私の肩を荒々しく揺さぶりながら、隠し事を剥き出しにする。ひよりより私の方が背が高い
 筈なのに、青褪めた顔で俯く自分は、先生の前で項垂れる子供のようだった。


318:黙っと白拍子 第3話 3/3
08/11/18 22:53:19 IwNn2uUe
 ―そう、私は今日まで、小早川邸で、一度も『和歌』を朗じたことはなかった。
 文字を知らなかった頃は、折角ゆたかがくれた文を、読むこともできない自分が悔しくて。
 文字を覚えた後には、歌を口にした瞬間、約束の文のことを思い出してしまうのが怖くて。
 だからずっと、漢詩だけを声に出して舞ってきた。
 白居易、王維、菅原道真、源順。
 でも、白拍子とは本来、唐渡りの詩よりも、むしろ神楽や戯れ歌、古今の和歌を歌い舞うもの。
 ひよりも、ゆたかも、最初から分かっていて……そしてずっと待っていたんだ。
 ゆたかが待ち焦がれている約束を、きっと私が果たしてくれると信じて。

「ごめん、つい」
 時を巻き戻したように、ざざぁ……っと愛宕からの風が吹き、凍りついた世界に音が戻ってくる。
 それを合図にしたように、肩を捕えていた手が力なく滑り落ちる。
「でも……みなみは、こんな逢瀬がずっと続くなんて、思ってないっスよね」
「それは……」
 けれど、不穏な瞳は変わらない。
 激情とは違うけれど、苛立ちと、痛みと、達観めいたやり切れなさを綯い交ぜにした。

「少し前から、『ゆーちゃんに恋人ができた』って噂が広まってるっス。
 それで今日、女房(にょうぼう:小間使い)のみんなに、ゆい様の前に引き出されて……」

 ばれたら多分、もう会えない―それは、何処で聞いた言葉だったろう。
 いや、もしかしたら、自分の心の声だろうか。
 でも、もしもゆたかと逢えなくなったら。もしも自分が幸せに舞える場所を失くしたら……
 言葉を失う私の中を、ゆたかの居なくなった未来が、死ぬ間際の走馬灯のように心を貫く。

「その場は誤魔化しといたけど、念のため警備を強化することになったっス。
 姫が身分も知れない男といつの間にか結ばれてたなんて、家の浮沈にも関わるっスからね。
 もうすぐ紅葉の宴で都中の貴族が集まるのに、そんな醜聞が漏れたら……」

 ゆたかと過ごす夜。
 睦月の雪の出逢いから、ずっと続いてきた逢瀬。
 それは余りにも幸せだったから、私はその危うさを考えようとしなかった。
 だから、逃げられた。練習しながら考えればいいと、詠めない歌を引きずってきた。
 でも、もう意識してしまった。
 星が季節を巡るように、幸せが露見する日は必ずやってきて……
 その瞬間、天の川に別たれた織女と牽牛のように、『身分』という絶対の掟に引き裂かれる。

「だからその前に、さっさと『約束の筆』で文を書くっス。そりゃ、道ならぬ恋だし、振られるかも
 知れないけど、このままだと絶対後悔するっスから。貴方も、ゆーちゃんも……私も」
「っ、それ!」
 ひよりが懐から取り出したものに、思わず叫びが漏れる。
 私の髪の毛を結わえた、練習用の『筆』―。
「自分でも酷いと思うっス。けど、これがあるとまた、手習いに逃げちゃいそうだから」
 一度見せた筆を懐紙で丁寧にくるんで、ひよりは再び懐にしまった。
 筆を奪われた私よりも痛々しい悪役顔で、恋敵である筈の私に縋るようにして。

 とても筆とは言えない筆なのに、それがどんなに大切にされていたかを心から分かっていて……
 それゆえに私から奪った、ひより。
 そこまでされたら、もう。

「分かった、明日、ちゃんとゆたかに伝える」
「そっか……悪いっスね、こんな阿漕な真似して」
 文を渡してくれたら、必ず返すっスから―と、小さく頭を下げながら、切なげな笑顔を零す。
 そんなひよりに私も、自分に言い聞かせるように再度頷き返すしかなくて。
「じゃあ、これ以上遅くなると叱られるし、これでもう戻るっス。でも、」

 山を下ろうと、私の横を通り過ぎた所で、不意に振り返る。
 蒼い月明かりに、栗色の髪を煌かせながら、祈るように口にした。

「最後に一つだけ、みなみの……みなみに、舞を教えたのは誰?」

319:21-260(代理)
08/11/18 22:54:17 IwNn2uUe
みなゆた好きなのですが、ひよりんも好きなので、
何とか活躍させようと思っていたらこのようなことに……汗汗
いつかきっとかっこいいひよりんのターンを作る予定なのでかんべんですっ
次回にはついにあの金髪ヲタク外人の活躍が……!?
いいいじょうしししつれいいたしましたーーーー(笑)

そして改めて、
読んで下さった皆様と、この文章を代理投下して下さったK氏に、
ありがとうございましたっ






        _   
      .'´   `ヽ、  
        i レノ{`´}ノハ      
        | !l;;(. )_( )'        
     _ノ !!' つ乙φ_         
    /旦/三/./|         
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |         
   |たゆ☆なみ.|/  

320:名無しさん@ピンキー
08/11/19 02:14:20 MRxSyluj
GJ

321:名無しさん@ピンキー
08/11/19 12:21:31 6yJKpKaO
みなゆた小説少ないからこういうのすごくうれしい。続き待ってますね。

322:某無乳TFEI
08/11/19 18:52:21 9aj+sTez
>>321
orz

323:名無しさん@ピンキー
08/11/19 22:36:09 Mtr8oRHX
>>309
ああ、この前作が投下されたの読んだ記憶があるw
GJ !

懐かしいな。何だか続きそうだから続き期待してもいいかい ?

324:名無しさん@ピンキー
08/11/19 23:30:32 N/cGW46x
投下された方々、GJです。

>>313
小悪魔的なつかさが、可愛らしいですね。


誰も準備している方がおられなければ、投下させていただきます。

325:23-251 ◆5xcwYYpqtk
08/11/19 23:39:43 N/cGW46x
「恋の後押し」

つかさ×ゆたか 非エロ

・一話完結もの
・Elope関連
・3レス程使用

326:恋の後押し 1/3
08/11/19 23:40:35 N/cGW46x
 秋が深まりゆく、ある日の夕方。
 田村さんから借りた同人誌を返しに1年D組の教室に入ると、小早川ゆたかちゃんが、
とても寂しそうに席に座っていた。
「こんにちは。ゆたかちゃん」
「つかさ先輩…… 」
 ゆたかちゃんは一瞬だけ、微かに笑顔をみせたけれども、すぐに物憂げな表情になってしまう。
「ひよりちゃんはもう帰った? 」
「え、あ、そうみたいです…… 」
 ゆたかちゃんは答えてくれたが、心ここにあらずという感じだ。
「そっか。ごめんね」
「いえ。お役にたてず、すみません」
 俯き加減で答えた彼女の声は、蚊の鳴くように小さい。
「どうしたの、ゆたかちゃん。体の具合が悪いの? 」
 私は心配になって尋ねた。ゆたかちゃんは体調を崩すことが多い。
「いえ。違います。ちょっと…… 」
 ゆたかちゃんは、助けを求めるように話し始めて、すぐに口ごもる。
「な、なんでもありません。なんでも」
 一旦は、口にしながら止められると、気になって仕方がない。

「あのね。ゆたかちゃん」
 私は、少し迷ったけれど、思い切って尋ねてみることにした。
「悩みがあるのだったら相談にのるよ」
「で、でも、ご迷惑ですし」
 ゆたかちゃんは人に遠慮をしすぎると思う。
「そんなに私って頼りない? そりゃ、こなちゃんや、お姉ちゃんと比べるとそうかもしれないけれど、
一応は三年生だよ」
 先輩面をしたい訳ではないけれど、可愛い後輩が悩んでいるのだから、力になりたい。
「確かに、悩みを解決できるとは約束できないけど…… 話すだけで気持ちが楽になると思う。
もし、ゆたかちゃんさえ良ければ、話してくれないかな」
 うつむき加減のゆたかちゃんの大きな瞳を見据えて、説得を試みる。

「そ、そうですね…… 」
 しばらく逡巡した後ではあるけれど、ゆたかちゃんは頷いてくれた。
「お願いですから、他の人には内緒にしてくださいね」
「うん。もちろんだよ」
 私の返事を聞いてから、ゆたかちゃんはゆっくりと口を開いた。
「実は、好きな人がいるんです」
 ゆたかちゃんの悩みは、誰もが経験するものではあるけれど、自分だけの答えを
見つけなくてはいけないものでもあった。

327:恋の後押し 2/3
08/11/19 23:41:22 N/cGW46x
「そっかあ。ゆたかちゃんは恋をしたんだね」
 片想いは辛いけれど、恋をしている人は輝いて見える。
「ええ。話をするだけでどきどきして…… 胸が締め付けられるように痛くなるんです」
 ゆたかちゃんはとても辛そうな表情をみせながら、声を絞り出した。
「告白はしないの? 確かに怖いことかもしれないけれど…… 」
 私の言葉に、ゆたかちゃんは私の言葉を遮るようにして叫ぶ。
「普通の場合だったらできるんです! でも! 」

「ゆ、ゆたかちゃん」
 珍しく感情を露わにする、ゆたかちゃんに驚きながらも、疑問に思ったことをそのまま口に出す。
「ゆたかちゃん、『普通の場合』ってどういうこと? 」
「あっ…… 」
 彼女は口に手をあてて黙り込んだけれど、結局は打ち明けてくれた。
「私が好きになったひとは、女性です」
 泣きそうな顔をしているゆたかちゃんが、とても可哀想で愛しい。
 もし、自分が同じ性別の人が好きになっちゃったら、狼狽するのも無理はない。

 誰が相手なのかが凄く気になるが、流石に今のゆたかちゃんから聞き出すことは憚られる。
 しかし、おそらくは彼女のナイトである岩崎みなみちゃんなのだろう。
 傍から見ていれば、ゆたかちゃんとみなみちゃんは両想いとしか思えなかったから、
ここは後押しをしてあげた方が良いと思う。

328:恋の後押し 3/3
08/11/19 23:42:13 N/cGW46x
「ねえ。ゆたかちゃん」
「は、はい」
 私は、後輩の小さな手を包み込むように覆ってから話し始めた。
「あのね。告白した相手が女の子であっても、ゆたかちゃんのことを嫌ったりしないと思うよ」
「で、でも、同性ですし…… 」
 彼女の不安を鎮めるように、笑顔を向けて言葉を続ける。
「だって、ゆたかちゃんって、凄く可愛らしくて魅力的だもん。もっと、自分に自信をもった方がいいよ」
「そうでしょうか? 」
 ゆたかちゃんは、自信なさげに問い返す。

「うん。ゆたかちゃんに想いを打ち明けられたら、男の子じゃなくても嬉しいと思うよ。それにね。
とても優しいゆたかちゃんが好きになった子が、相手を傷つけるようなことをするはずがないよ。
だから、例え結果が上手くいかなくなったとしても、気まずくなったりはしないはずだよ」
 一気に話し終えて、返事を待つことにする。
 
 無言の時間がずいぶんと過ぎて、下校を促すベルが鳴った頃。
「ありがとうございます…… 」
 お礼をいってくれたゆたかちゃんが、ようやく、本来の魅力あふれる笑顔をみせてくれる。
「私、すごく臆病でした。嫌われたらどうしようって、ずっと後ろ向きに考えていました。
だけど、逃げてばかりじゃ駄目なんですね」
 ゆたかちゃんは、大きく息を吸ってから言い切った。
「私、告白します」
 きっぱりと宣言したゆたかちゃんは、先程よりも、うんと大人びてみえる。
「うん。がんばって」
「はい。ありがとうございます。つかさ先輩」
 私は、満面の笑顔をみせてくれた彼女の手を、ぎゅっと握りしめた。

 すっかりと元気になったゆたかちゃんと別れてから、駅に向かってゆっくりと歩く。
 秋の短い太陽は、既に地平線の下に隠れており、あたりは黄昏から夜の領域に踏み出している。
 私は、瞬き始めた星の間を縫うように落ちていく大きな流れ星に願った。

 ゆたかちゃんの恋がうまくいきますように、と。

(おしまい)


329:23-251 ◆5xcwYYpqtk
08/11/19 23:44:36 N/cGW46x
以上です。
読んで頂いた方、ありがとうございます。
つかさとゆたかの組み合わせは、相性が良いと言うか、ぴったりとはまる様な感じがします。
では。


330:名無しさん@ピンキー
08/11/20 03:13:21 UCv3S5xc
うむ、ほんわかしてても緊迫してても貴方のつかゆたは大好きだっ

微笑ましい一場面のはずなのに
>・Elope関連
の一行が切ないですな。正に後押しになったのか、どのみち辿る道だったのか。
最後のつかさの願いは叶ったといえるかどうか。
色々考えてしまいますねぐっじょぶ


331:名無しさん@ピンキー
08/11/20 18:42:26 OdVcGUZQ
前作のゆたかがつかさを恐れる?理由が甘いと思っていましたけど、このエピソードで補完され納得できました。

332:名無しさん@ピンキー
08/11/20 18:49:06 yYFY8uLa
普通にほのぼのと見せかけて、「この後」を思い起こすとせつなさ3倍増でした。ぐっじょぶ。

333:戸別響
08/11/21 11:27:18 9qIRthqM
どうも、戸別です。シリーズの続きが書けたので投稿します。
スケッチスケッチ!  3筆目 青色栗色紅葉色
・K&A K視点
・非エロ
・7レス使用
3分後に投下を始めます。では、どうぞ。

334:スケッチスケッチ!  3筆目 青色栗色紅葉色(1)
08/11/21 11:30:28 9qIRthqM



うーん、空気がきれいだー。天気も良いし、絶好のスケッチ日和だねー。みさきちが突然
走り出すのもなんとなくわかる気がするね。


「もう、みさちゃんったら……後で注意しておかないと」
「みさきちと一緒に行動してると、とても疲れそうだよねー」
「でも、元気が良いのはとても良い事だと思いますよ」
「そうデスヨー。人間、energeticなのが一番デース!」
「そ、そうだけど……元気すぎるのもね……」


スケッチスケッチ!  3筆目 青色栗色紅葉色


どーも、私、泉こなた。このスケッチ大会の主催者みたいな者です。
今私達は駅前から山の中に向かって伸びる砂利道の上を歩いています。

って、私ってばこんな風に丁寧語で話すようなキャラじゃないよね。修正修正っと。

んまぁそんな訳で、私と一緒に歩いている人は、合わせて3人。
あれっ? 確かこのスケッチ大会ってペアで行動するんだよね? って疑問に思った人、
実は私のいるペアともう一つのペアは途中まで同じ道を歩いていかなくてはならないのだ。
ちなみにみさきち・ひよりんペアもホントは私達と同じ道を歩いてくんだけど、先述の様に
みさきちがスタートと同時に走り出してしまい、こちらからは二人はもう点のようにしか
見えなくなってるんだー。

と、
「あ、私達がスケッチをする場所は、ここから入るみたいですよ?」
「Oh! ホントデスカー? じゃあココでコナタ達とはお別れデスネー!」
ピンク髪の委員長がある草むらの前で立ち止まり、それにつられて金髪の留学生もそこで足を
止めた。やたらハイテンションで。

「あ、そっか。んじゃ頑張ってねー」
「はい、頑張ります」
「Yes! expectしてくださいネー!」
そう言って、二人は草むらを貫いている、獣道のような小道の中に入っていった。



335:スケッチスケッチ!  3筆目 青色栗色紅葉色(2)
08/11/21 11:32:30 9qIRthqM

さて、と。
一緒にいた3人のうち2人と別れ、今、私の隣にいるのはただ一人。
「……じゃあ、私達も神社まで行きましょうか」
「うん、そうだね」
峰岸あやの。かがみやさっき出てきたみさきちとは中学生のころからの友人で、クラスメイト。
そして今日のスケッチ大会における、私のペア。
くじ引き後、私の開始の合図の直後に走り出したみさきちを見て、かがみが呆れた様に
ひよりんに呟いたのに対し、この峰岸さんは少し困ったように微笑んでいた。さすがつかさ、
みゆきさんと並ぶいい人さんだー。

「ひよりんも大変だよねー。よりによってみさきちとなんてさ」
「……否定できなくてごめんね? みさちゃん……」
「うおっ、み、峰岸さん。今の発言、ちょっと黒くなかった?」
「えっ、そうだった?」
「うん、なんか……あ、ここ右だね」
「あ、ホントね。……わぁ……」
右折をして、神社―私達の指定場所―までのまっすぐな道に入ると、私達の目の前に、
会話している間には気づかなかった、とてもきれいな景色が広がっていた。
目の前の山肌は一面紅葉色に染まって、それが小春日和の快晴の空と相成って、とてもよく
綺麗に映えていた。

「……すごいねー……」
「……えぇ、そうね……」
私達はしばらくその景色に見惚れていて、でも私がまだ指定場所に到着してないことに
気づいて、峰岸さんを促して、その神社までの一本道を歩き始めた。



「……高いね……」
「……そう、だね……」
さて問題です。私たちは何を見ているのでしょーか?



336:スケッチスケッチ!  3筆目 青色栗色紅葉色(3)
08/11/21 11:33:46 9qIRthqM

正解、やたら長い石段。
……うん、地図を見て神社の前に階段があることはわかってたけど、ここまで長いとは
思わなかったなー。上を見上げても―木が邪魔で、っていうのもあるけど―その急で長い
石段の終わりを見つけることができないし……

「「…………」」
その長さにしばらく圧倒される私と峰岸さん。でも、目的地の神社にたどり着くにはこの
石段を登りきらなければならない。

「……とりあえず、登ろっか?」
「あ、うん、そうだね……」
私は峰岸さんに促され、一緒に一段ずつその石段を登り始めた。



「……ハァ、ハァ……よ、ようやく頂上が見えたわ……」
「み、峰岸さん、ハァ、だ、大丈夫?」
「い、泉ちゃんこそ……」
約4分後、私達の目の前にようやく神社の鳥居が見えて、この地獄の階段登りが終わりを
告げた事がわかった。その頃には私も峰岸さんもバテバテで、鳥居が見えたことでようやく
ホッとというか、安堵することができた。
それにしてもこの石段、長すぎだよ……3分間登りっぱなしでようやく頂上が見えてくる
なんて……おかげで石段の周りの紅葉を見てる余裕なんてなかったし……
えっと、2段に1秒かけたとして、4分だから……

480段。

……さすがに後半はバテてたからもう少し段数は少ないはずだけど、こんな田舎に400段
以上の石段を登る神社があるって……
というか、何で私はこんなどうでもいい事を計算してるんだろうね。

まあ段数の話は置いといて、私達は息を切らしながら最後の数段を登りきり、息も絶え絶えに
鳥居を通り抜けた。そして苦しくて閉じていた目を開けて、前を見てみると―


「「……わぁ……」」


そこには今日何回目の感嘆だろうか、なんて野暮なことを考えるのももったいないくらい、
綺麗な景色が広がっていた。



337:スケッチスケッチ!  3筆目 青色栗色紅葉色(4)
08/11/21 11:34:43 9qIRthqM

吹き抜ける風がサラサラと、色を染めたカエデやイチョウの木々を揺らす、その中に、
少しこじんまりした、それでも威厳のある、立派な神社がそこには建っていた。大きさは、
私の家と同じくらいかな? それよりも少し小さいかも。でも、それほどの大きさでも、私や
峰岸さんを圧倒させる、厳かな雰囲気が漂っていた。

「……何というか……凄いね」
「……ええ、そうね……」
凄いとしか言えない、って言う感想を旅行系のテレビ番組でよく聞くけど、今ならなんとなく
その気持ちがわかる気がするね。あまりにも素晴らしい景色とかに出会うと、ホントに
それしか言えなくなるね、今の私達みたいに。


そんな風に私と峰岸さんがその凄さに見惚れていると、

――ッホー――
「んっ?」
「へっ?」
どこからともなく人の声が私達の耳に届いた。しかも、どことなく間の抜けた声が。

「……何? 今の声……」
「……後ろから聞こえたような気がするけど……」
と、峰岸さんは後ろを振り返った。私もつられて後ろを見てみる。
後ろには誰もいなかった。あるのは神社の鳥居と紅葉色の木々、そしてその隙間から見える、
小さな山だけで……山?

いやいや、いくらなんでもここまで声が届く訳が……
「もう、みさちゃんったら……」
……って、やっぱりそうなの!?

「ていうか、よくみさきちだってわかったね」
「……あれもみさちゃんの子供っぽいところでね。みさちゃんったら、山とか高いところに
登ると、いつもああやってやまびこみたいな事をするの。しかも突然……」
やや呆れ気味に峰岸さんは呟いた。

「……まあ確かにみさきちの声ならここまで届きそうな気がするね」
と私がフォロー(?)をしたところで、


―キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン―



338:スケッチスケッチ!  3筆目 青色栗色紅葉色(5)
08/11/21 11:36:12 9qIRthqM

「あら? このチャイムは……」
突然のチャイムに、峰岸さんは少し戸惑いを見せた。

「あ、このチャイムはね―」

―ただいまの時刻は、午前、12時です―

「―ってわけ」
「あぁ、時報の代わりなのね」
峰岸さんは納得した様にこう言った。

「そういう事。さあ、スケッチ大会の始まりだー!」
私はそう言って、何を書くか決めるために神社の周りを歩き始めた。



「……泉ちゃんって、あんなに絵が下手だったんだ……」
「……そんなストレートに言わないでよ……」
20分後、私と峰岸さんは一旦スケッチをやめ、お昼ご飯の用意をしていた。ある意味で
お楽しみだったランチタイムだったけど、今の私の心はブルーで、峰岸さんはそんな私の
フォローに回っていた。
事の始まりは私がモチーフを見つけてその対象のスケッチを始めたとき、峰岸さんが私の
後ろに来て、描いてた絵を覗き見したことが発端。

「だ、だって、私がぱっと見たとき、最初は何が描いてあったかわからなかったんだもん」
「だからってさー、驚いた様に「えっ? これ、何?」って私の耳元で言わなくてもいいじゃん!」
いくら私が絵を描くのが苦手だからって、そこまでびっくりされるとさすがの私でも
傷つくよ……

と、
「……そういえば、どうして泉ちゃんはこのスケッチ大会をしよう、って思ったの?」
峰岸さんがお昼用の敷物を広げながら私に尋ねた。そういえば、みさきちや峰岸さん達には
言ってなかったっけ。
私はかがみ達に言った様に、その理由を答えた。最近美術系の漫画がアニメ化されて、それに
感化されてこの大会を開いた、と。でも峰岸さんはあまり納得した様子は見せないで、
「でも泉ちゃん、絵が、その、えっと……あ、あまり上手くないじゃない? なのに、どうして?」
と、少し遠慮がちに尋ねた。

「……ありゃー、気づかれちゃったか」
私はしまったー、といった感じのポーズをとった。
「と、いうことは、他にも何か理由があるの?」
「うん、まあね」
そこで一呼吸を置いて、本当の理由を答えた。

「―ただ、みんなで集まって遊びたかったからだよ」



339:スケッチスケッチ!  3筆目 青色栗色紅葉色(6)
08/11/21 11:38:44 9qIRthqM

「……どういう事?」
峰岸さんは私から答えを聞いても、わからない、といった顔をしていた。まあ確かに色々と
端折り過ぎたところもあったかな。まあ峰岸さんにならぶっちゃけてもいっか。

「えっとね、私達、受験生じゃん? かがみには自覚がないって言われてるけど、これでも結構
気にしてるんだよ? 私。だからさ、私もそろそろ真剣に勉強頑張ろうかなー、とは思ってる
のよ。でもさ、真剣に頑張るんだったら、そろそろ遊ぶ事も止めたほうがいいかなって思い
始めてね。だったら始める前にもう一度みんなと遊ぶ機会がほしいなって。で、ちょうど
さっき言ったアニメがやってたから、それに感化された事を口実にみんなで遊ぼっかなー、
って思ってさ、この大会を開いたわけ。ゆーちゃん達やみさきち達との交流も兼ねて、ね」
私は一気にこの大会の動機を述べた。

「…………」
私の答えからしばらく、峰岸さんは敷物を持ったまま手を止めて、ポカンとした表情で私を
見つめた。
「…………」
「……ど、どうしたの? 峰岸さん」
それがあまりにも長いもんだから、私は心配になって峰岸さんに話しかけた。
「……え、な、何? 泉ちゃん」
「いや、何ボーっとしてるのかなって」
私に質問に峰岸さんは少し躊躇った様に沈黙して、
「……意外だなぁ、って思って」
「えっ、な、何が?」
峰岸さんの答えこそ私にとって意外なんだけど。
「えっと……私ずっと、泉ちゃんって、目先の楽しいことだけを考えてるのかな、って
思ってたけど、ちゃんと将来の事も考えてるんだな、って思って」
「ちょ、ひどっ! 私そこまで悪い性格してないよ! ちゃんと先を見つめてるよ!?
絶望した! 峰岸さんの私へのイメージの悪さに絶望した!」
ネタを交えて峰岸さんに反論。いや、確かに私オタクだからあんまりいいイメージは持たれて
ないよね、とは思ってたけど、少しひどくない!?



340:スケッチスケッチ!  3筆目 青色栗色紅葉色(7)
08/11/21 11:40:01 9qIRthqM

峰岸さんは私のまくしたてが面白かったのか、少し笑いを堪えた様な表情で、
「ご、ごめんなさい。でも、今の泉ちゃんを見たら、」
そして、まるでお母さんの様な、柔らかで優しい笑顔になって、

「―泉ちゃんって、寂しがり屋で優しくて、友達思いの人なんだな、って思えるの」

「…………ほえっ?」
「だって、そうじゃない。受験勉強を始めて、みんなとあまり遊べなくなるから、この大会を
開いたんでしょう? だから、そうなんじゃないかなって」

…………
今私、他人が見たらかなり変な顔をしてるんだろうな。それと、間違いなく顔は真っ赤だと
思う、メチャクチャほっぺの辺りが火照ってるから。
何? その恥ずかしすぎるセリフ、思わず「禁止!」って言いたくなるところだったよ!?
そうやって心の中でツッコミながら、私はしばらくさっきの峰岸さんの様にボーっとして、
その柔らかな顔を見続けた。



その後、峰岸さんの声でわれに帰った私は、峰岸さんと一緒にお弁当を食べ、その中で料理の
話で盛り上がり、今は二人で並んでスケッチを再開している。
でもさっきも言った様に、私にとって絵は二の次。問題は、自分のペアと楽しく過ごして
友好を深めることができるか。それもさっきのお昼の時の会話や、今のスケッチの中でも
お互いの意見を出し合いながら、笑顔で会話ができている事で、ちゃんと達成できてると思う。


―これが高校生で、みんなと遊べる最後のチャンスかもしれない―


我ながら女々しいと思うけど、そんな思いから始まったこのスケッチ大会、私の中では
ひとまず成功かな?

やや冷たい風の中でたなびく、私の青髪、峰岸さんの栗色の髪、そしてサラサラと音を立てる
きれいな紅葉を見ながら、私はそう思い、秋空の空を見上げていた。







341:戸別響
08/11/21 11:58:02 9qIRthqM
以上です。ある意味このシリーズの核心的な話です。
こなたにとって珍しいペアって誰かなー、と思って出てきたのが、あやのんです。
さて次回はこの話で出てきた残り二人の話になると思います。留学生の口調、これであってますかね……
感想、批評、ありがとうございます。この話でもよろしくお願いします。


後一つ、提案というか質問があります。
今年の五月から六月にかけて、私の作品がスレを介さずにまとめwikiに保存されていたことが問題に
なりましたよね。それで、そのとき問題になった5作品のうちいくつかを、私が再度編集、修正して
スレに投下したいのです。その上でその修正したものを再度まとめwikiに保存したいのですが……
もちろんだめなら止めますが、許可が出ればこのシリーズが終わったら投下をしたいと思います。
いかがでしょうか?

342:名無しさん@ピンキー
08/11/21 22:09:29 Iu04Azuj
>>341
実はこの組み合わせ、一度だけ既出なのですが、
それでもまだまだ珍しいこのペア作品GJ!
こなたを本来のキャラ性格とキャラ位置づけにした上で
ここまで受け受けしいこなたにまた萌えたし、
言葉の端々、態度の端々に黒さがにじみ出たりしたけど
最後は優しくまとめたあやのも再評価。

この、基本優しいんだけど時々黒い、
略して「時黒」、何気に広まらぬものかねえ・・・w

343:名無しさん@ピンキー
08/11/21 23:05:48 AMO56lvn
>>341
Gj !
いいなあ和むなあスケッチ大会w
寂しがりこなたな一面が見れて、なかなか萌えたよ !

344:名無しさん@ピンキー
08/11/22 00:57:57 KPL/m5xA
>>341
保管庫の自作品を編集して改稿を更新報告所に報告するのが筋じゃないかな
スレに改稿を保管した事を報告するなら、簡潔に作品名と保管ページのアドレス貼る程度にされたほうが無難でしょう
再投下は新たな問題が生じる可能性もあり、するならば避難所などで話し合いをしてからの方がよいと思います


345:名無しさん@ピンキー
08/11/22 01:07:01 TcY/dUoR
その件に関してはもう方が付いたし、ガイドライン改訂前の事を今更なじるような人は居ないだろうけど、
もし、本人がどうしても納得行かないという事であれば、避難所SS投稿スレを使わせてもらうという手も……

346:名無しさん@ピンキー
08/11/22 11:21:37 I1J3x/q6
>>341
わざわざこちらに投下せずとも、『修正しましたよ』という一言と保管庫のページを載せるだけで大丈夫ではないでしょうか。


347: ◆MoiSlbQnQw
08/11/23 17:27:16 6zivKFsq
お久しぶりです。

かがみ:私は、帰ってきた!
URLリンク(www.sonokawa28.net)

言い訳SSで予告した、こなたがハンター、かがみが吸血鬼のかが×こなSSです。
エロシーンに行くのを何度脳内こなたが止めた事か……。おかげで寸止め状態になってます。

348:名無しさん@ピンキー
08/11/23 20:01:18 P3/9cFee
>>347
おかえりなさい、そしてGJ!

結局かがみさんはへんたいから逃れられない運命なのですね。
そしてこなたさんはそんなかがみさんから(ry

できることなら、もちょっと吸血鬼設定をもちょっと・・・

かがみ「たとえば首筋とか首筋とか首筋とか」
こなた「かがみうるさい(≡ω≡.)」
かがみ「 T(´・ω・`T アレ?ツッコミハワタシノヤクメジャ?」

349:名無しさん@ピンキー
08/11/23 20:23:06 Gr91pPS+
>>347
ぐっじょぶです。
相変わらず、ぶっとんだお話ですね。弄ばれるこなたんが可愛くて仕方ありません。
とても、たのしませて頂きました。

準備される方がいなければ、投下させていただきます。

350:23-251 ◆5xcwYYpqtk
08/11/23 20:28:09 Gr91pPS+
「Affair 第1話」

つかさ×ゆたか

注意事項
・非エロ
・Elope関連、Escapeの続き
・6レス程度使用



351:Affair 1/6
08/11/23 20:29:24 Gr91pPS+
 午後5時になり、バイトの時間が終わった。
「お先に失礼します」
「お疲れ、ゆーちゃん」
「お疲れ様、ゆたかちゃん」
 まだ勤務中のこなたお姉ちゃんや、バイト仲間に挨拶をしてから私服に着替えて店を出る。
 紺から黒へと移りゆく晩秋の空を見上げながら、私は買い物客で賑わうアーケードを過ぎ、赤門をくぐり抜けて、
上前津駅に向かう。
 普段なら、鶴舞線に乗ったままなのだけれど、今日は2つ先の伏見駅で、交差する東山線に乗り換えて、
隣の名古屋駅で降りる。
 地上に戻ると、ひんやりした空気が衣服の隙間から身体に流れ込む。
 立冬が過ぎてからは、雨が降るごとに冷え込みが厳しくなっており、先週からコートを纏うようになった。
 タクシー乗り場の横を通り過ぎ、桜通口からJR名古屋駅に入り、金色の大きな時計がある場所で立ちどまる。

 ここは、ナナちゃん人形程ではないが、地元ではそれなりに有名な場所で、多くの人が待ち合わせの場所として利用している。
 ほとんどの人はとても楽しそうな顔をみせているが、私だけは不安に包まれてひどく落ち着かない。
 足を止めて待つことができずに、時計の周りをぐるぐると回ってしまう。
「…… 本当に、会っていいの? 」
 心の声が何度も危険信号を送ってくるが、今さら、約束を破るわけにはいかない。
「しっかりしなくちゃ」
 無意識な領域からわき上がる不安を無理矢理抑え込んで、ひたすら待ち続ける。

 5時55分。意味もなく歩きまわることに疲れて立ち止った時に、待ち合わせの相手が姿をみせる。
「お久しぶり。ゆたかちゃん」
 柊つかさ先輩は、とても楽しそうに微笑む。
 前と同じように、いや、前より増して綺麗で可愛らしくみえた。

352:Affair 2/6
08/11/23 20:30:09 Gr91pPS+
「こんばんは…… つかさ先輩」
 私は、緊張による細かい身体の震えを抑えながら、挨拶を返す。
「うん。こんばんは。ゆたかちゃんは、いつみても可愛いね」
「きゃっ」
 いきなり抱き締められて、思わず声をあげてしまう。
「や、やめてください! 」
 衆人環視の中での過激なスキンシップに、顔を真っ赤にしながら、腕を伸ばして先輩を振りほどこうと試みるが、
力が強くて離すことができない。
 私に密着したつかさ先輩は、調子に乗ってくんかくんかと鼻を鳴らしながらセクハラまがいの質問をしてくる。
「ゆたかちゃんは良い匂いがするねえ。どんなシャンプー、つかっているの? 」
「においを嗅がないでください! 」
 抗いながらイヤイヤと身体を捩じるけれど、先輩の身体はとても柔らかくて、温かくて、油断すると受け入れてしまいそうになる。
「お願いですから、やめてください! 」
 それでも本気で抗うと、唐突に体を離して言った。
「食事にいこうよ。ゆたかちゃん」
 つかさ先輩は、唖然としている私の手を掴むと、すたすたと歩き出してしまう。
「ま、待ってください! 」
 引きずられそうになって慌てて声を出すが、結局、右手を握られたまま、マイペースすぎる先輩の後を追う羽目になった。

「つかさ先輩…… 」
 私は、精一杯怖い目つきをつくって、先輩をにらみつける。
「ふふ。ゆたかちゃんがラブな視線を送ってくれて、とっても嬉しいなあ」
「違います! 何、とぼけたことを言っているのですか」
 私はため息をつきながら、言葉を続ける。
「どんどん先に行ってしまうから、てっきり、お店を知っていると思っていましたよ」
「あはは」
「笑ってごまかさないでください! 」
 私はあきれながらも、突っ込みを入れざるを得ない。

 なにしろ、つかさ先輩は、意気揚々として5分程歩いた後、人気のないガード下まで歩いたかと思うと、急に立ち止まって、
「ゆたかちゃん、ここどこだっけ?」
と、あっけらかんと聞いてきたのだ。こなたお姉ちゃんが、つかさ先輩のことを天然と言うのも分かる気がする。

「場所も、知らずに歩いていたのですか? 」
 先輩はちょっと恥ずかしそうに顔を赤らめながら答えた。
「ううっ、ごめんね。だって名古屋のお店なんて、全く知らないだもん」
 両手をあわせながら、しゅんとうなだれるつかさ先輩は、年上なのにとても可愛らしい。
「仕方ないですね…… 私の知っているお店にしますが、良いですね」
 柄ではないけれど、お姉さんぶった言い方になってしまう。
「うん。ありがとう。ゆたかちゃん」
 向日葵のような笑顔を浮かべながら子犬のようにじゃれついてきて、本当に2つも年上なのだろうか、と疑問に思ってしまった。


353:Affair 3/6
08/11/23 20:30:49 Gr91pPS+
 私が、不?戴天の敵ともいうべき、柊つかさ先輩と会う約束をしたのには、いくつか理由がある。
 表向きの理由としては、初夏の騒動の時に結んだ、先輩達が名古屋に来た時は会うように努めるという協定があるためだ。
 もっとも、それだけならば多忙を理由に断っていたが、つかさ先輩は誘いをかける時に、
抜かりなくそれなりの「お小遣い」をくれると持ちかけてきた。

 第三者が聞いたら幻滅するかもしれないが、現実は結構非情だ。
 安くない家賃を払い続けながら、未成年の女の子二人が独立して暮らすのにはまとまって金額が必要で、
親元からの援助と、バイト代を合わせても余裕があるとはいえない。
 それでも、ただ単に食べていくというだけの話ならば、当面は何とかなるけれど、本格的に社会に出る準備として、
進学という道を捨てる訳にはいかなかった。
 少なくとも私にとっては、つかさ先輩の誘いはとても魅力的なものだった。
 
「はい。ゆたかちゃん」
 お店に入り、席につくなり差し出された封筒を受け取る。
「中を確認してね」
「あの…… 多いです」
 事前に教えられていた額よりもかなり多い。
「いいから、いいから」
 先輩は鷹揚にうなずいたが、一介の学生が出せる金額とは思えない。
 ただでさえ、新幹線での往復という余計な費用を使っているのに、大丈夫なのだろうか?

「ゆたかちゃんは心配性だねえ」
 つかさ先輩がカラカラと笑った。
 先輩が言うには、神社のイベントの時は、巫女となって、神主である先輩のお父さんのお手伝いをしているけれど、
昨年から参拝客が倍以上に膨らみ、予想以上の収益があがっているとのことだ。
 それ加えて、お父さんが末娘に激甘という事情もあるらしい。
「だから、ゆたかちゃんが気にすることはないよ。お金は、必要な人が必要に応じて使ってくれればいいの」
 私は思わず、つかさ先輩の顔をまじまじと見つめた。
 悪意に満ちた陰謀だけではなくて、ごく真面目なことも考えているのか。

354:Affair 4/6
08/11/23 20:31:22 Gr91pPS+
「ゆ・た・か・ちゃん」
「な、なんですかっ」
 いきなり、どあっぷで迫られて思わず後ずさる。
「今、とっても、失礼なことを考えていたよね? 」
 ぷーっと頬を、焼いた餅みたいにふくらませる。
「そ、そんなこと…… 」
 しかし、嘘をつくこともできず、私は顔を真っ赤にしたまま、両手の人差し指を合わせることしかできない。
「考えていたよね」
「ご、ごめんなさい」
 慌てて謝った途端、先輩の表情に笑みが戻る。

「ふふ。ゆたかちゃんって素直で、可愛いね」
 今日何度目の『可愛い』なんだろう? 
 しかし、先輩の無邪気そうな笑顔には必ず裏がある。騙されてはいけないと気を引き締める。
「私はそんなに可愛くなんかありません。それはつかさ先輩もご存じのはずでしょう? 」
 今までの行動を振り返ってみても、お世辞にも可愛らしい行動をとったとはいえない。

「ううん。ゆたかちゃんは、どんなことをしても純粋で素敵な女の子だとおもっているよ」
「はあ…… 」
 つかさ先輩の言葉は、魔法のように、私の敵愾心をどんどん溶かしてしまう。
 このままでは非常にまずい。何とかしなくては。
「この際だからはっきりと言いますけれど」
「何かな? ゆたかちゃん」
 つかさ先輩は、愛らしい笑顔を浮かべたまま、小さく首を傾けた。

「つかさ先輩。私のことが嫌いじゃないのですか? 」
「え? 」
「つかさ先輩は、こなたお姉ちゃんのことが好きなのでしょう。こなたお姉ちゃんをひとり占めしている、
私がとても憎いはずです。今度は、一体何をたくらんでいるのですか? 」
 私は、先輩から決して目を逸らさずに、厳しい口調で言いきった。
 わざわざつかさ先輩の誘いに乗った理由は、お金の為だけなんかじゃない。
 企みを暴いて、私とこなたお姉ちゃんの関係を護らなければならなかった。


355:Affair 5/6
08/11/23 20:32:16 Gr91pPS+
「ふうん」
 しかし、つかさ先輩の表情は変わらない。デフォルトとなっている笑顔のままだ。
「ゆたかちゃんは本当に頭が良いんだね」
 うっとりと、私を見つめてくる。
「何が…… 言いたいのですか? 」
「私はね。自分がそうじゃないから、できる人に憧れるの。もちろん、こなちゃんは大好きだよ。
でも、ゆたかちゃんも同じくらい好き」
「あ、あの…… 」
 つかさ先輩は、何を言いたいのだろう?
 訝しみながら先輩の顔を見つめていると、店員が料理とお酒を運んできた。
 若い女性の店員が手際よくコルクを抜いて、グラスに赤のワインが満たされる。

「ゆたかちゃん。乾杯しよっか」
「はあ…… 」
 私は言われるままに、グラスを合わせると、鈴の鳴るような乾いた音が響く。
「乾杯! 」
 グラスを傾けて、赤い液体を喉に流し込むと頭がぼうっとなってきた。
「ふふ。美味しい? 」
 つかさ先輩の声がやけに遠くから聞こえる。
「は、はい…… 」
 
 一旦はグラスを置いたけれど、すぐに喉が渇いてくる。
「遠慮しないでね」
 再び注がれたグラスに口をつける。ほんのりと甘くて、さっぱりとしていて、喉越しも良い。
「とても、美味しいです」
「ええ。そうね」
 つかさ先輩が、相槌を打った後に尋ねてきた。
「こなちゃん、元気にしている? 」

「こなたお姉ちゃんですか? 」
 お酒で身体が熱くなっているのを感じながら答えた。
「元気ですけど…… お店のチーフになったから最近はとても忙しいです」
「そうなの? 」
「最近は残業も多くて、遊びにいくこともままなりませんから」
「ふうん。今日もバイトなのかしら? 」
「ええ。私と違って最後までです」
 チーフに昇進したこなたお姉ちゃんの業務は、閉店時間までとはいかない。
 食材の発注や、バイトメンバーのシフトの調整など、煩雑な管理業務のせいで、帰りはとても遅くなる。
 お姉ちゃんのことを考えていると、何故か喉がとても渇いてきて、私はグラスをまた空ける。
 すぐにつかさ先輩が継ぎ足してくれる。
「ありがとうございます…… 」
「じゃあ、あまり遊びにいかないの? 」
「はい。仕事の時間が合わないことが多いですし、余裕もありませんから」


356:Affair 6/6
08/11/23 20:33:34 Gr91pPS+
 仕事に明け暮れるお姉ちゃんを見ていると、少し悲しくなってくる。
 もっと、いろんなところに遊びに行きたいのに、思い出をたくさん作りたいのに。
 寂しさを紛らわそうと、あおるようにしてワインを飲む。
「ゆたかちゃんは、とても寂しいんだね」
「そうなんです。私、とっても寂しいです。バイトの人は優しくしてくれるけれど……
他に知り合いは…… いませんから…… 」
 急に呂律が回らなくなってくる。そう、私はとっても寂しいのですよ。つかさ先輩。
 だから、もっと、お酒をくださいね…… 

「ゆたかちゃん? 」
 ほとんど飲んだこともないお酒を、注がれるままに飲み続けた為に、急に眠たくなって机にうつぶせになる。
「つかさせんぱい…… とっても眠いですよう」
「駄目だよ、ゆたかちゃん。ここで寝ちゃあ」
 つかさ先輩が困った顔でたしなめるけれど、力が全くはいらずに、起き上がることができない。
「だめです。私、もう立てないです」
 ぼんやりとした状態のまま顔だけを先輩に向ける。つかさ先輩の顔がひどくぼやけて見える。
「ゆたかちゃん…… そろそろお家に帰ろうか? 」
「イヤ…… です。わたし、もう、歩けない」

 身体中がふわふわして宙に浮いているみたいで、到底、家まで辿り着く自信がない。
「だったら、ホテルに泊まっていく? 」
 つかさ先輩が近寄り、私の耳元で囁く。
「そこで…… 寝て…… いいんですか? 」
「うん。大歓迎だよ。ゆたかちゃん」
「ありがとう…… ございます」
「ふふ。ゆたかちゃんはとっても良い子だね」
 先輩が私の頭を優しくなでてくれる。
「ふぁい…… つかさせんぱい…… おやすみなさい」
 視界はだんだんと暗くなっていく。
 意識が闇に堕ちる寸前まで、つかさ先輩は穏やかな笑みを浮かべていた。

(続く)

357:23-251 ◆5xcwYYpqtk
08/11/23 20:39:10 Gr91pPS+
読んで頂いた方、ありがとうございます。

寂しさを募らせるゆたかの隙間に、するりと忍び込んでいくつかさを表現できていれば良いのですが……
よろしければ、お付き合い願えればと思います。
では。


358:名無しさん@ピンキー
08/11/23 21:17:59 P3/9cFee
>>357
GJ!
こなかが派だけど、この作品だけは注目し続けている俺。
つかさくるか!またしても黒でもない白でもない、
純粋にして凶悪な意図によって構成された、柘植つかさくるか!!
今度はどんな「だから!遅すぎたと言ってるんだッ!!」がくるか!?

島みやえい子をBGMにしつつ、続きを所望いたします。

359:名無しさん@ピンキー
08/11/23 23:00:51 QFx3bC82
>>347
わははっ GJ !
なんちゅーか、このシリーズ好きだわw
ラノベ風の読みやすい感じもいいねw

続きはもうないのでしょーか ?

360:名無しさん@ピンキー
08/11/24 03:20:48 8kU8T+Jo
>357
何と圧倒的なつかさ
忍び込むというか、『もう完全に射程圏内。でもまだ食べないよ、面白くないし』みたいな

何だか意味深なタイトルにドキドキしつつ、
ワクテカでお待ちしております

361:名無しさん@ピンキー
08/11/24 10:59:58 OHha6M3z
>>357
まずはタイトル理解。
満を持して動き出したつかさに、はらはらが止まりません。
ていうか逃げてゆーちゃん、ゆーちゃん逃げて。

手に汗握りつつ、続きをお待ちしております。ぐっじょぶ。

362:名無しさん@ピンキー
08/11/24 12:55:56 8nc3iHJb
>>360
ゆたかちゃーん ゆたかちゃーん
むいてむいてむいて また着せる
ゆたかちゃーん ゆたかちゃーん
むいてむいてむいて、見てるだけ
たべないよー たべないよー(性的な意味で)
(楽しみが)なくならないよーにー
たべないよー たべないよー(まだまだ)
むいて見てるだけー

ということですね、わかります。

363:名無しさん@ピンキー
08/11/24 21:18:17 TKs0FRE+
>>347

どうも、「オかツ乱」ですw遅くなりましたがGJ!

やべぇなぁ面白いなぁ。おいらのような初心者は、こーゆーラノベっつーかラSS(何やねん)大好きです。続いて欲しいなぁ・・・

364:名無しさん@ピンキー
08/11/26 07:13:07 emHUy0GV
保全ついでの小ネタ

もしも登場人物が大富豪だったら
「こなた、アニメイトを三店舗も買ってどうするのよ。」
「かがみんや、観賞用、保存用、布教用はオタクの常識だよ。」
「もうちょっと有意義にお金を使いなさいよ」
「そう言うかがみもお菓子工場を衝動買いしたって、つかさから聞いたよ」
「…あれは資金繰りに…困っていた工場を助けて…。」
「また太っちゃうよー」
「うっさい。」

チラシの裏
一月ぐらい書き込み規制に巻き込また、
GJが言えないのがここまで苦しいとは思わなかった。

365:名無しさん@ピンキー
08/11/26 12:16:17 Mt13/bdq
>>364
つ●

366:名無しさん@ピンキー
08/11/26 18:15:45 nyaNhmaF
p2の方が安いよ

367:名無しさん@ピンキー
08/11/27 08:34:42 H2dragFx
>>364
ワロタw

368:名無しさん@ピンキー
08/11/27 12:49:16 2SavmNp1
>>364
「うにょ~ん、何故私は話題に上らないのかな…」
「つかさはもう答えが決まってるからね~」
「そうね…あれしかないわよね」
「「せ~の…





バルサミコ酢工場!」」
「なんじゃそりゃ~!!」

369:名無しさん@ピンキー
08/11/27 18:16:42 OlUCayvF
「そう言えばみゆきさんが無駄遣いするイメージって沸かないなぁ」

「みゆきの場合今のままで十分お金持ちだからね」

「そういう人って急にお金が入っても無駄遣いするイメージじゃないんだよねぇ」

「そりゃそうよ、私達よりは何に使うか具体的なプランも立てられるでしょうし、アニメイトや工場買うなんて言い出さないわよ」

「なるほど、私達みたいな庶民はお金持ちになったら?って聞かれても庶民の発想でしか考えられないわけだね」

「そういう事、結局は実際になってみるまでわからないって事ね」

「工場まではないにしてもかがみは軍隊とか買いそうだよね、凶暴だし」

「そっちの方が非現実的だろ……なるほど、こなたは私と戦争したいんだ」

「ちょ、ちょっとかがみん?冗談だよ?」





「あの、私は歯医者さんに行かなくてもいいお薬を……ってもう聞いてませんよね……」

「ゆきちゃん……私は聞いてるから……大丈夫だよ」


370:名無しさん@ピンキー
08/11/27 22:28:22 Ganmv2JM
 やまと誕生日小ネタ

 こう 「ハッピーバースデー、やまと!」
 やまと「一日遅れだけどありがと、こう」
 こう 「はい、プレゼント」
 やまと「……この形、この重さ、こうの趣味。宇宙戦艦的なDVDボックスといったとこ?」
 こう 「げ、原子力潜水艦の方がよかった?」
 やまと「……まあいいわ。高く売れそうだし」
 こう 「そんなあ。一緒にテーマ曲歌った仲じゃないか」
 やまと「誰かさんに無理矢理歌わされたの」
 こう 「カラオケ好きのやまとにぴったりな曲をチョイスしてあげたのだ」
 やまと「ありがと。死ぬほど嬉しかったわ(超棒読み)」
 こう 「それにしても、なんで『やまと』って名前付けられたの?」
 やまと「予定日が12月16日だったの。大和が完成した」
 こう 「反抗して早く出てきちゃったんだ」
 やまと「……まあ、そんなとこ」
 こう 「男の子だったら『むさし』だったとか?」
 やまと「……よく分かったわね」
 こう 「イヤ、マサカアタルトハ……」
 やまと「埼玉だしちょうどいいって」
 こう 「東京23区と神奈川の一部でも無問題ダネ♪」
 やまと「長野に住んでたら、永森しなのになってたかもね」
 こう 「……そうなると、建造中止になった四番艦が激しく気になるね」
 やまと「『111号艦』って言うらしいわよ」
 こう 「ギャンブラーの血が騒ぐ番号だね」
 やまと「こう……」
 こう 「な、何、改まって?」
 やまと「もし私が『永森111号艦』だったとしても、友達になってくれた?」
 こう 「もちろん! 何なら嫁入りして『八坂111号艦』になるかい?」
 やまと「遠慮しとく。そもそも、『やまと』でもなくなってるし」
 こう 「いや、でも、私はやまとって名前好きだよ」
 やまと「こう……」
 こう 「帝国海軍とか宇宙人で、長門に通じるものがあって羨ましい」
 やまと「そこがツボなんだ……」
 こう 「見た目はキョ●子に通じるものがあるけど」
 やまと「知らないわよ」
 こう 「やまとは自分の名前嫌いなの?」
 やまと「爆弾と魚雷でタコ殴りの上撃沈されたフネってどうなのよ」

 こう、やまとを押し倒す

 こう 「ごめん、私欲情しちゃった」
 やまと「今の会話のどこにそんな要素があったの?」
 こう 「魚雷で激チン。いやー、たまらん」
 やまと「ツッコミどころが多すぎて抵抗する気にもならないけど、一つだけお願い」
 こう 「わかった、優しくする」
 やまと「そうじゃなくて、子供が出来ても『111号艦』ってつけないでね」

371:名無しさん@ピンキー
08/11/27 23:21:53 eVMyklOf
>>370 あなたの妄想力に負けましたw

「でもやまとは、ひらがなだから超大型ごえいかn…ぐはっ」



372:名無しさん@ピンキー
08/11/28 00:57:47 Ll1LYMHN
>>370
とりあえずキョ○子吹いた。

とりあえず、黒のぬこ耳と黒尻尾の付いた微妙にきわどい衣装を着て『今日はあなたがこ主人様にゃん』と言ってくれ。
……いや、スマン。最近某ハルケギニア物語を読んでるせいでやまとを黒猫ヤマトと考えてこんな事に……

ちなみに、その某ルイズ・フランソワーズと平民の使い魔つながりであきら様にルイズのコスをしてもらいたい俺がいる。

373:名無しさん@ピンキー
08/11/28 01:04:21 +HR1I2yc
>>370は俺を笑い殺す気に違いない!GJだ

374:某緑無乳
08/11/28 01:12:48 ff0gdZka
>>370
長門と…聞いて…飛んで…来ました…

375:名無しさん@ピンキー
08/11/28 08:02:18 9QlEUjZq
>>371

こなた「えっ、原潜にして独立国家じゃないのっ?」
かがみ「あのラストは、なんとも釈然としなかったわ……海江田艦長が不憫すぎて」

376:名無しさん@ピンキー
08/11/28 18:34:01 pmpOMrMq
ナイフじゃなくて、キスマークで体に「やまと」と刻むんですね、分かります。

377:名無しさん@ピンキー
08/11/28 19:47:04 Xo5diTOM
>>370
ガチで百合カプだから困るwww

378:名無しさん@ピンキー
08/11/29 01:31:28 SZ8xdH1j
>>爆弾と魚雷でタコ殴りの上撃沈
つまりやまと総受けですね。わかります。

379:名無しさん@ピンキー
08/11/29 02:14:40 0GT47U79
大勢のアメ公に色々とブチ込まれたやまとが
なでなでしこしこした末に轟沈するわけですね

380:一年生のアメ公
08/11/29 13:10:41 sXcJo07J
>>379
ワタシがヤマトをセメルのですネ。

381:名無しさん@ピンキー
08/11/29 19:34:57 Q7wkxdJ2
間をとって、アメ公と腐女子のコンビで。
実際そういうSSいくつかあるしw

382: ◆MoiSlbQnQw
08/11/29 19:49:44 Ij1MgFCQ
皆がバージルの剣に夢中になってるときにあきらと白石を投下する俺KY。
べ、別にPS2のゲーム持ってないから話に入りにくいとかそんなんじゃないんだから!

URLリンク(www.sonokawa28.net)

投下してからふと思う。『あれ、あきらのマネージャーって伊藤さんで合ってたっけ?』と。

383:名無しさん@ピンキー
08/11/29 21:32:58 jC8DFvUl
確か、「すえし」って名字じゃなかったっけ

384:名無しさん@ピンキー
08/11/29 23:19:22 jSBSW9c/
確かアニメ版では「伊藤」という名前は出ていた。
(みのるにファンレターが来たのに、あきら様のところにはDMが来た時の発言より)
だが、それがマネかどうかはわからない。

385:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:01:56 +ZSY1AVu
>>383
確認した所、『すえし』(アニメ8話のらきちゃん)は中の人(今野さん)のマネージャーの名前らしい。

386:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:16:07 Sf9+dFY4
>>382
ぐっじょぶです。
ツンデレあきらがいいですね。楽しませてもらいました。

準備をされる方がおられなければ、投下いたします。

387:名無しさん@ピンキー
08/11/30 00:20:56 ww8J8eb+
伊藤敦さんはプロデューサーだね
角川の人らしい

388:23-251 ◆5xcwYYpqtk
08/11/30 00:30:48 Sf9+dFY4
「テスト (後編)」

・こなた×ゆたか (+名無しの登場人物あり)

※注意事項
 ・エロあり
 ・SMあり
 ・ダーク
 ・こなたん注意
 ・8レス程度使用

389:テスト 1/8
08/11/30 00:31:36 Sf9+dFY4
「ただいま…… こなたお姉ちゃん」
「おかえり。ゆーちゃん」
 夕方、私はふらふらとよろめきながらも、こなたお姉ちゃんの家に戻ることができた。
 保健室でみなみちゃんと性行為をした後も、アソコに貼りつけたままのローターは、動いたり止まったりを繰り返している。
 しかし、大事なところを、執拗に刺激されたにも関わらず、それ以来は達することができていない。
 センサーか何か、特別な仕掛けでもあるのか、頂きに到達する寸前になると決まってローターは止まってしまい、
昂った気持ちが落ち着いてくると再び、思いだしたように動き出す。
 ほとんど生き地獄のようなイヤらしい責め苦よって、家に着く頃には本当に気が狂いそうになっていた。

「お姉ちゃん。お願い、イカせて! 」
 扉を開けてくれたお姉ちゃんに、縋りつきながら叫ぶ。
 おじさんが聞いているかもしれないけれど、到底、我慢ができない。
「まだ、だめだよ。ゆーちゃん」
 しかし、こなたお姉ちゃんは、突き放しながら冷然と首を振った。
「ど、どうすればいいの?」
 私は、こなたお姉ちゃんの瞳を、物欲しそうに見つめながら尋ねた。

「そうだね。ゆーちゃん、買い物にいこうか」
 こなたお姉ちゃんは、両手をぽんと叩きながら言った。
「お買い物? 」
 戸惑う私をよそに、こなたお姉ちゃんは笑みを浮かべたまま近寄り、制服のスカートの裾を持ち上げる。

「お、お姉ちゃん? 」
「ゆーちゃん。ちょっと丈が長いね」
「え、え? 」
 こなたお姉ちゃんが、戸惑う私を横目に、スカートの端を折りたたんで短くしてしまう。
「これくらいかな? 」

「ちょ、ちょっと、お姉ちゃん!? 」
 元々、膝上までだったスカートの丈が、股下わずか5センチくらいのところまで引きあげられる。
 太腿はほとんど露出してしまい、少し動いただけで白い下着が露出する。
「恥ずかしいよ。皆に見えちゃうよ」
 私は、極端に短くなったスカートの前を抑えながら、情けない声をあげた。
「これで終わりじゃないよ」

「や、やだっ」
 こなたお姉ちゃんの手が、私の下着に伸びる。
「だ、駄目だよ。そんなの…… はずかしいよう」
 しかし、お姉ちゃんは許してくれない。
「さ、寒いよ」
 下着をはぎ取られると、冷えた空気が下腹部に滑り込んできて身体が勝手に震える。
「そろそろ、出かけよっか」
「えっ!? 」
 こなたお姉ちゃんが玄関の扉を開けると、風が流れ込んできて、スカートがふわりとめくりあがった。
「きゃあ」
 悲鳴をあげながらスカートを抑える私を、こなたお姉ちゃんは満足そうに眺めていた。

390:テスト 2/8
08/11/30 00:32:24 Sf9+dFY4
「もう少し歩かないと、いつまでたっても着かないよ」
「で、でも」
 こなたお姉ちゃんに縋りつきながら、黄色く染まった銀杏並木の下を歩く。
 ほんの少しの風が吹いただけでも、マイクロミニと化したスカートがめくりあがって、お尻もアソコも丸見えになってしまうので、
一瞬たりとも油断ができない。
 少しでも早く風のない店の中に入りたいのに、通行人の視線を気にしながら内股でよちよち歩くものだから、遅々として進まない。
「お姉ちゃん。みんなに見られてるよう」
 行き交う人間全ての視線が、私の下半身に集中しているように思えてしまう。
 現に、先程すれ違った中年のおじさんは、私の太腿のあたりを舐め回すように凝視していたし、
20メートル程、後ろを歩いている高校生の二人組はずっと前かがみだ。

「そりゃあ、『パンツ穿いてない』だもんね。無理もないよ」
「そ、そんなあ」
「もう少し速く歩かないと、羞恥プレイはいつまでたっても終わらないよ」
「ううっ」
 私は、泣きそうになりながら無理やり歩幅をひろげた。

(下着を付けないだけで、こんなにも心細くて恥ずかしいんだ…… )
 追いうちを掛けるように、途中からはアソコに貼られたローターがイヤらしい振動を再開して、愛液がとろとろとわき出してくる。
 ショーツを穿いていないので、溢れ出す水液を押しとどめるものは何もなく、粘性の液体は太腿に伝わったり、
ダイレクトにアスファルトの地面に落ちたりするしかない。

「きゃっ」
 突如、下から巻き上げるような風が吹いて、スカートが思いっきりめくりあがる。
慌てて手で抑えつけようとするけれど、到底、間に合わない。
「うおっ」
 ちょうど脇を通り過ぎようとした、車に乗っている男性がハンドル操作を誤り、けたたましいブレーキ音を立てながら壁に激突した。

「お、おねえちゃん! 」
 あまりにも恥ずかしすぎて、申し訳なくて、お姉ちゃんの腕に縋りつく。
「うーん。破壊力が凄いねえ」
 こなたお姉ちゃんは、どこか呆れたような口調で言って、両肩を竦めた。

391:テスト 3/8
08/11/30 00:33:05 Sf9+dFY4
 いつも使っている、食料品や生活雑貨も売っているドラッグストアの前まで、普段の3倍の時間をかけて到着すると、
こなたお姉ちゃんが一枚の紙を渡した。
「ゆーちゃん。コレを買ってきてくれるかな」
「う、うん。お姉ちゃんは? 」
 メモ用紙を受け取りながら、お姉ちゃんに尋ねる。
「ちょっと、18歳未満禁止のお店だからね。ゆーちゃんは禁止なのだよ」
 こなたお姉ちゃんは、ドラッグストアの向かい側にある、大きな注射器を持って微笑んでいるナース姿の女の子の看板が目立つ、
美少女ゲームの販売店に行ってしまった。

「いらっしゃいませ」
 自動扉をくぐり抜けると、クリスマス・ソングが耳朶に飛び込んでくる。
「えっと、精力増強ドリンクと、随喜エキス、にんにく、コンドーム…… 」
 メモを開いて読んだだけで顔が赤くなる。どれもイヤらしいことに関係のあるものばかりだ。
「でも、お姉ちゃんの期待に応えないと」
 最初は戸惑ったけれど、次々に紙にかかれた商品を買い物かごに入れていく。残るはコンドームだけだ。

(あっ、あった)
 目立たない場所に、鎮座しているコンドームの群れの一つを手に取ろうとした時に、ローターの振動が急激に強くなった。

「きゃっ! 」
 大声で叫びかけて、慌てて手で口を押さえる。
(やだ、やだあ)
 今までとは比べ物にならない強烈な振動に襲われ、とても立っていられない。
(だめっ、お願いっ、お願いだから、とまってよ! )
 しゃがみこみながら、強制的な愛撫に耐えていると、小学校低学年くらいの男の子が近づいてきた。

「お姉ちゃん、どうしたの? 」
 どうやら、しゃがみこんで辛そうに顔をゆがめている私が、心配になったようだ。
「う、ううん…… んあっ、なんでも、なんでもないの」
 私は、無理やり笑顔をつくって立ち上がる。
「あの、お姉ちゃん」
 しかし、男の子はなかなか傍を離れてくれない。
「な、なに? 」
 おなかを押さえながら、なんとか声を振り絞る。
 ローターが私の中を淫らに蠢き回って、身体の震えがとまらない。
 苦悶の表情を隠せないでいる私に、男の子は無邪気な様子で尋ねてきた。
「お姉ちゃん、どうしてパンツ、はいてないの? 」


392:テスト 4/8
08/11/30 00:34:31 Sf9+dFY4
「きゃっ」
 私は、小さく悲鳴をあげた。
 足元を見ると、しゃがんだ時にずれたのか、極端に短くなったスカートがめくりあがって、お尻が丸見えになっている。
「や、やだあっ」
 動揺しながら、スカートを抑えたとき。
「こんなもの、みてはいけません! 」
 とても怖い顔をした母親の手にひっぱられて、男の子はどこかに行ってしまった。

「あ…… 」
(そうだ、レジに行かなくっちゃ)
 男の子の母親の冷たい視線が気になるけれど、精算を済まさなければいけないので、立ち上がって歩きだす。
 突き上げるような衝撃に襲われる度に、立ち止まって太腿をぎゅっと抑えながらこらえる。
(もう駄目、耐えられないよう)
 折れそうになる心を懸命に励ましながら、一歩、一歩、レジに近づく。

「いらっしゃいませ」
 私の苦境に気づくはずはなく、若い男の人が営業用の笑顔をみせる。
「これ、お願いします」
 私は、唸り続けるローターにうち震えながら、カゴを台の上に置いた。
 大人の為の商品で埋まったかごを見た途端、店員の表情が引きつった。

「398円…… 2200円…… 」
 それでも、店員は何もいわずに業務に専念し、バーコードを読み取る電子音がひどく無表情に響く。
「4725円です」
 私も言われるままに、お財布から5千円札を取り出して店員に渡した。
「おつりは275円になります」
 店員からお釣りを受け取ろうとした時、ローターの振動がMAXに切り替わった。


393:テスト 5/8
08/11/30 00:35:22 Sf9+dFY4
「いやああああああっ! 」
 強烈な振動によってクリが滅茶苦茶に掻き回されて、私はお釣りを床にぶちまけながらしゃがみ込んだ。
「だめええええっ! 」
 人目をはばらずに絶叫する少女を店員は呆然と眺めている。
「だめ、わたし、だめなの、お願い、許して! 」
 悲鳴をあげながらも、撒き散らしたお釣りを取るために、這いつくばって床に手を伸ばす。
「お願い、いく、いっちゃうの、お願い、とめて!  」
 周囲の客がざわめき始めるが、周りの視線を気にする余裕はどこにもない。

 プルプルと震えるローターに刺激されたアソコからは、粘着力のある水液がどんどんあふれだす。
 下着を穿いていないから、卑猥な液体は膣口からそのまま垂れ流しとなり、床にはしたない水たまりを拡げていく。

「うわっ、この子、パンツはいてねーよ」
 後ろに並んでいた若い男性客が、指をさしながら露骨に顔を歪めて言った。
「あの子、やだ、何をつけているの? 」
 男性客の隣に立っていた恋人とおぼしき女性が、振動音に気づいて、ひきつった声を張り上げる。
「嫌っ、聞かないで! 」
 私は悲鳴をあげながらぎゅっと脚を閉じるけれど、ローターの音は小さくなってくれない。
「何、ローター? 最低ね」
 長い髪を伸ばした女性は、蔑んだ目で見降ろしてくる。
「いやあああ、お願い、やだあ、聞かないでください! 」
 私は絶叫しながら、それでも、あちこちと転がったお釣りをかき集める。

「まさかドラッグストアで恥女をみることができるとはな」
 文句を言いながらも、私の痴態を愉しそうに眺めている男性に怒りながら、若い女性が吐き捨てる。
「ホント社会の迷惑よね、この変態! 」
 汚物をみるような目つきで睨まれ、私の心をぐちゃぐちゃにする。
 何しろ、制服を着た女子高生が、パンツを穿かず、クリにローターを貼りつけて、イヤらしく悶えているのだ。
 痴女と蔑まれようが、変態と罵られようが反論はできない。

「はう、んあっ、わ、わたし、かえらなくちゃ」
 羞恥と疲労でくたくたになりながらも、最後の硬貨を財布にしまい、立ち上がって商品を受け取る。
「ありがとうございました…… 」
 私は、完全に傍観者になりきった店員の乾いた声と、客の蔑んだ視線を浴びながら、ほとんど逃げるようにして店を出た。

394:テスト 6/8
08/11/30 00:36:00 Sf9+dFY4
 こなたお姉ちゃんが入った店の入口に向かおうとした時、携帯が震える。
 ディスプレイを覗くと、こなたお姉ちゃんからのメールがあり、
『私は帰ったから、ゆーちゃんも家に戻ってね』
と、液晶に表示されていた。

 帰り道になっても淫らな試練は終わらない。
「もう、だめ、ふあっ、んくぅ」
 路面を歩くたびに、身体に突き抜けるような衝撃が走って身体が震える。
 壁に手をつきながら足をぎゅっと閉じていると、快感が更に高まってイキそうになる。
「いく、いっちゃう…… 」
 しかし、もうひと押しというところで、無情にもローターの振動は弱まる。
「んあっ、お家に、帰らないと…… 」
 気力を振り絞って再び歩き始めると、また振動が激しくなる。
「はあっ、はあっ」
 絶頂の手前を行ったり来たりしながら、よろめくように進む。
「私、もう駄目、んああ、あるけ、ない…… んああっ 」
 背後を振り返ると、まるでおしっこを漏らしたみたいに、アスファルトに染みが点々と続いていた。

「んんっ、お願い、もう、許してっ」
 快楽の階段の上下が果てしなく繰り返される。
 よろよろと歩きながら、溢れた愛液で太腿をはしたなく擦り合わせても、頂上のすぐ手前で計ったように
ローターはとまってしまい、どうしても達することができない。

「イきたい、イきたいよう」
 道路に転がりながらアソコの割れ目をおもっきり掻き毟りたくなるという衝動を、必死で抑えてひたすら耐え忍ぶ。
 永遠とも思われる快楽地獄をのたうち回った後、私は、ようやくこなたお姉ちゃんの家にたどり着いた。

395:テスト 7/8
08/11/30 00:36:43 Sf9+dFY4
「おかえり、ゆーちゃん」
「お姉ちゃん、私、わたし! 」
 扉を閉めることもせずに、お姉ちゃんにむしゃぶりつく。
「こなたお姉ちゃん、お願いだからイかせて! もう限界、もう駄目なの! 」
 こなたお姉ちゃんは、今度はとても優しく抱きしめてくれた。

「ふふ。ゆーちゃん、合格だよ」
 こなたお姉ちゃんは、ついに私の想いに応えてくれた。
 同時に、アソコに激しい刺激を与え続けて、私を散々に苦しませたローターは、ぴたりと動きを止めている。
「本当に、私、本当にお姉ちゃんの恋人になっていいの? 」
 とても嬉しいけれど、すぐには信じられなくて、念を押すようにして尋ねる。
「うん。ゆーちゃんはとても淫乱な女の子になったからね。もう、私の趣向についてこれるはずだよ」
「ありがとう。本当にありがとう」
 幸せを噛み締めながら、私は、こなたお姉ちゃんの懐で泣きじゃくった。

「じゃあ、そろそろ用意しようか」
「えっ、何を? 」
 泣きやむのを待ってから、おもむろにこなたお姉ちゃんが耳打ちをしてくる。
「…… をお願いしていいかな? 」
「うん。こなたお姉ちゃん」
 私は力強く頷いた。こなたお姉ちゃんが望むことは、何でもやり遂げるつもりだった。

396:テスト 8/8
08/11/30 00:37:35 Sf9+dFY4
「おっす、こなた」
「こんばんは。こなちゃん」
「こんばんは。泉さん」
「やふー、いらっしゃい」
 私が帰宅してから暫く経ってから、柊先輩達と高良先輩が家にやって来る。今日はお泊り会とのことだ。
 三人はこなたお姉ちゃんの親友で、とても綺麗な人ばかりだ。
 
 私は、こなたお姉ちゃんの言われたように準備を整えた後、紅茶とケーキを用意して部屋の扉を開ける。
「こんばんは。柊先輩、高良先輩」
「こんばんは、ゆたかちゃ…… 」

 挨拶を返そうとしたかがみ先輩たちは、濃紺のスクール水着を身に纏い、
更に、首回り、乳房、腰、股間を荒縄で縛りあげられていた私を見て、一様に硬直した。

 SMという単語を知らなかったとしても、スクール水着と荒縄という姿は尋常ではない。
 青ざめる先輩達に向かって、私は、妖艶な微笑みを浮かべてみせる。
「私は、こなたお姉ちゃんのモノになることができました」
「こなた、アンタ…… 」
 お姉ちゃんは、ひどくうろたえているかがみ先輩の顔を、愉しそうに眺めながら宣言した。
「かがみん。ゆーちゃんは私の恋人になったのだよ」

「そ…… んな」
 かがみ先輩が放心したように呟いた時、荒縄に抑えつけられた、ローターが再び蠢き始めた。
 振動はみるみる強まり、静まり返った部屋に淫靡なモーター音だけが響き渡る。
 私は、何度もよろめきながらも、ケーキと紅茶を載せたお盆をテーブルに置くと、こなたお姉ちゃんの懐に飛び込んだ。
 お姉ちゃんは、ローターで悶えている私を優しく受け止めてくれる。

「ゆ、ゆたかちゃん!? 」
 つかさ先輩だけが辛うじて声をあげた。
 頭の上でリボンを結んだ、可愛らしい顔をしたつかさ先輩は、真っ赤になった顔を両手で覆うが、
指の隙間から、よがりつづける淫乱な後輩の痴態を食い入るように見つめている。
 おしとやかで美人と誰もが言う高良先輩は、とても怖い顔をしたまま、取りだしたハンカチを折り畳んだりひろげたりしている。
 そして、活動的で皆を惹き付ける魅力に溢れているかがみ先輩は、何か大切なものを失ったような
虚ろな表情を見せたまま、全く動かない。

「ほら、ゆーちゃん。みんなにお願いしないといけないよ」
「うん。こなたお姉ちゃん」
 私は、蕩けきった身体を引き起こして正座をする。
 あまりの出来事に絶句する先輩達に向けて、床に頭をこすりつける程、深く頭を下げてから顔をあげる。

「先輩方、こ、これからも、よろしく、んあっ、お願い…… します。ふあっ、よろしければ、今日は、くうんっ、
この淫らな私を使って、心ゆくまで、んっ、愉しんでください…… ね」

(おしまい)


397:23-251 ◆5xcwYYpqtk
08/11/30 00:41:54 Sf9+dFY4
以上です。
読んでくれた方、ありがとうございました。
個人的には、ダークなエロに拘ったつもりですが、最終的には(一応にしても)、ハッピーエンドとあいなりました。
ジャンル的には、ゆーちゃん調教ものということになりそうですね。
では。

398:名無しさん@ピンキー
08/11/30 16:03:38 3dF5l/w+
夢オチにでもするのかと思ったら全部現実かっ

399:23-49
08/12/01 19:13:19 sV0Cnohw
どうも、お久しぶりです

以前に宣言した「エロいの」、頑張ってみました
というか、26スレ目に名無しで投下した「温もりの冬」の完成版です
(もう一年も前になるのだなぁ)

それでは、被りがないようでしたら五分後ぐらいから投下させてください


・こなた×かがみ
・15レス使用

400:最後の日 1/15
08/12/01 19:18:24 sV0Cnohw
 
 三月も半ばを過ぎ、春を間近に迎えながらもまだまだ寒さの続く冬のある日。
 かがみは泉家を訪れた。
「おーっす。寒いねー」
「いらしゃーい。さ、上がって上がってー」
 セーターの上に半纏を重ねたこなたにうなずいて返し、彼女の部屋へと進みかけるが、
「あ、和室行っててよ。コタツつけてるから」
「え? ……ああ、うん」
 台所に向かうこなたに制され、思い出した。
 今日は彼女以外に誰もいないのだった。
 勝手知ったる人の家。迷うことなく廊下を歩き、目的の部屋のふすまを開けて中へと入る。
「―ふぅ」
 ほっと一息。
 エアコンでほどよく暖められた空気が、冷えた身体を包み込む。
 上着を脱いで、ハンガー等はないので適当に丸めて荷物とともに床に置く。
 コタツに入って足を伸ばし、座り心地を確かめるように軽く身じろぎ。正座の姿勢で落ち着いた。
「うー、あったか……」
 ぺたり、天板に頬を預けてつぶやく。
 しばらくそのままぼんやりしていたが、聞こえてきた足音に反応して身を起こす。
「ふあー、台所は寒っむいねぇー」
 開け放しておいたふすまを抜けてこなたが姿を現した。
 両手に抱えたおぼんには、みかんの入ったかごと二人分の湯呑み。
「悪いわね」
「いやいや」
 おぼんをコタツの上に載せ、ふすまを閉じるとこなたもいそいそと潜り込む。
 かがみの向かいではなく左隣。
 部屋の角に置かれたテレビを二人で眺める形だ。スイッチは入っていないが。
「生き返るねぇー」
 先ほどのかがみと同じように、天板に顔を押し付けるこなた。
 見事に平らに潰れたほっぺたが柔らかさを主張している。
 緩んだ顔といい、丸められた背中といい、本当に猫のようだ。
 ぴこぴこと揺れるアホ毛は、さながら尻尾か。
「……、もらうわね」
 なんとなく生まれた気恥ずかしさをごまかすように、湯呑みに手を伸ばし取り寄せる。
 緑茶。残念ながら茶柱は立っていない。
 湯気を立てるそれに息を吹きかけ、一口。
「ほっ……」
 まろやかな渋みとほのかな甘みが喉を通り抜け、じんわりとした熱が胃の奥を中心に広がる。
 かがみは思わず頬を緩めた。
 それを見て、こなたはかすかに目を細める。
「かがみはさ、」
「ん?」
「冬は好き?」
 唐突かつ脈絡のない質問にも、もう慣れた。
 ん、と湯飲みを置き、少し考えて口を開く。
「そうねえ……寒いのは苦手かな」
「夏生まれだから?」
「ああ、そうかも」
 ふーん、と、姿勢をそのままみかんに手を伸ばすこなたに、かがみは逆に問いかける。
「あんたは? 冬と夏」
「冬」
 即答したこなたは、みかんの皮を剥くでもなく、手の中でもてあそんでいる。
「……ちょっと、意外ね」
「いや~、クーラーが人類の至宝だっていうのに異論はないんだけど、やっぱコタツの魔力には
敵わないっしょ」
 ようやくにして頭を起こし、こなたは無駄に力説する。どこからクーラーが出てきたのか。ため息。
「また何かのアニメネタか?」
「コタツ形式の冷房ってできないのかな」
「暑苦しいだけだろ」

401:最後の日 2/15
08/12/01 19:19:19 sV0Cnohw
 やれやれ、とお茶をもう一口。
 湯呑みを置いて、吐息で笑う。
「……ま、私もコタツは好きだけどね」
「でしょー」
 くふくふと笑い、こなたはみかんを剥き始めた。
 かがみもかごに手を伸ばしかけたが、なんとなくやめて、代わりにコタツの中へと引っ込める。
「そうね。コタツにストーブ。鍋料理とか、焚き火に焼き芋とか、あとお風呂もかな。
暖かいものが楽しめるって考えると、冬もいいかなって思うわ」
「人肌もね」
 皮を剥き終えたみかんをそのままに、こなたがつぶやく。
「え……」
 いつの間にかコタツの中に滑り込んでいたその手が、かがみの手を取った。
 果物を触っていたためか、少しひんやりとしている。
「あったかいよ」
 こなたからは、そうであろう。かがみの方は熱い湯呑みに触れていたのだし。
「ちょっと……」
「な~に?」
 笑いを含んだ疑問符とともに、もう一方の手も伸びてきて、やわやわと揉んでくる。
 かがみの背筋に何かが走った。
「冬は、好き?」
「……まぁ」
「コタツは?」
「……好き、だけど」
「あったかいもんね」
「……うん」
 いつしか冷たい感覚は消えうせ、むずがゆい暖かさに指先が包まれている。
 むずがゆいが、不快ではない。
「あったかいの、好き?」
「…………ん」
「……私の手、あったかい?」
 暖かい。
 だがコタツの外で空気に触れている頬の方が、今は熱い。顔を背ける。
「こっち見てよ」
「っ……!」
 妥協案として、目線だけを戻す。
 こなたはいつものニヤニヤ笑いではない、優しい微笑を浮かべていた。
 かがみの頬が熱を増す。
「みかん……」
「ん?」
「……食べないの?」
 耐え切れなくなりそうで、話題を変える。が、
「みかんと緑茶ってっさ、あんまり相性よくないよね。あったかくないし」
「あんた、自分で出しといて―」
「だからさ、」
 かがみの言葉を遮って、こなたは顔を近づける。
「今はまだ、だいじょうぶ」
「なに、が……」
 わかってはいる。なら聞くなというのは、かがみには無理な注文だ。
 少しだけ視線を下げると、はい正解、とばかりに猫口から赤い舌先がちろりと顔を覗かせ、
 引っ込んだ。
「あったかいと思うよ?」
「……」
「あったかいの……好き?」
 もはや顔全体が熱い。耳にまで及んでいる。
 だから熱はもう十分―そうは、思わなかった。思えなかった。
「…………す、き」
「んふっ?」
 蕩けたように微笑むこなたの顔がさらに近づき、目を閉じた。かがみも閉じる。
 そして温もりが訪れた。

402:最後の日 3/15
08/12/01 19:20:14 sV0Cnohw
「ん……」
 こなたの舌先が、かがみの唇の割れ目をなぞる。
 少しだけ開いて迎え入れると、器用に前歯をノックされる。
 小さな小さな水音が、脳の奥まで伝わった。
 もう一段階、進入を許す。
「ふ……」
 まず、吐息。続いて舌先同士が触れ合う。
 無味無臭。そのはずなのに、痺れるように甘い。腹筋がぴくりと浮き上がる。
 嬉しそうに笑うこなたの気配が粘膜越しに伝わってくる。かがみの体温がさらに上昇。
 コタツの中の手を握り返した。
 悔し紛れに、なってない。
「―んっ」
 手首を親指でなでられた。思わず唇に力が入る。
「んむっ」
 挟み込まれたこなたの舌が小さく暴れる。優しく噛んで動きを止める。
 先端を軽く吸ってみた。
「……っ」
 ふるふるとこなたの震える気配。同時に舌が引っ込む。
 ちぷっ。
 小さな音を立てて、熱と柔らかさが離れていった。
 目を開けると、上気したこなたの顔。唇に手を添えている。
 目が合った。
 ほんのわずかに戸惑っていた表情が、一瞬でニヤリと笑う。
「……積極的じゃん」
「なっ……!」
 かがみの顔が沸騰した。
 こなたがますますニヤニヤ笑う。
「舌吸われちゃったよ」
「しょっ―しょうがないでしょ!」
「しょーがない、ね……そかそか♪ そんなに吸いたかったんだ、私の舌」
「――っ!!」
 頭のてっぺんから湯気が噴出する。
 少なくともかがみはそう感じたし、こなたにもそう見えた。
「…………」
「んふふふふ~」
 真っ赤になって睨みつけるかがみの視線を意にも介さず、こなたは上機嫌にみかんを割る。
 一房を摘み取り、ぱくり。
 あむあむと動く猫口が恨めしい。
 恨めしくて、目が離せない。
 こなたはたっぷり時間をかけて飲み込むと、もう一房。
 かがみの方へと差し出した。
「はい」
「……」
 無言で手を伸ばす。引っ込められた。指が空を切る。
「……何よ」
 低い声で、赤い顔で腐るかがみに、こなたはにっこりと笑顔を返す。
「あーん」
「なっ―」
 驚いて口を開きかけて、慌てて閉じて、顔ごと逸らす。
「かがみ、あ~~ん?」
 小さな手が追いかけてくる。
「……ぃ、ぃぃゎょ……」
 なるべく口を開けないようにして、ごにょごにょとつぶやく。
 こんな態度を取っても逆に喜ばせるだけだと、やはりわかってはいてもどうにもできない。

403:最後の日 4/15
08/12/01 19:21:10 sV0Cnohw
「もぉ~、しょうがないなぁかがみは」
 案の定、わざとらしいぼやき声。
 が、それ以上の追求はなく、意外にも大人しく手が引っ込んだ。
 え、とかがみは顔を戻す。こなたはみかんの白いスジを取り除き始めていた。
 一つ目は普通に食べていたのに。
 思いつつ見ていると、続いて薄皮まで剥き始める。
 他の柑橘類に比べて剥きにくいはずの、ノーマルな温州みかんのそれを、小さな細い指が
 器用にはいでいく。
 やがて鮮やかなオレンジ色の、缶詰から取り出したような一房が完成した。
「……なにやってんの?」
「んー? ……皮がノドに詰まらないように、ってね」
 はい? と疑問を深めるかがみをよそに、こなたは「あむっ」とみかんを口の中に放り込む。
 と、そのまま何の前触れも見せずにかがみの頭を両手でがっしりとホールド。
「え」
 次の瞬間、口をふさがれた。
「―んむ!?」
 唇が強引にめくられる。歯に、舌ではない何かが押し付けられ、当たる端からプチプチと潰れていく。
 あっという間に酸味のある液体が口の入り口付近にあふれ、こぼれそうになり、たまらず歯を開いた。
 甘酸っぱい味と香りが口腔に押し寄せる。
 反射的に嚥下する。
 休む間もなく、今度はやや薄味の、代わりに粘り気を帯びたものが流し込まれた。
 こなたの唾液だ。
 意識したとたん、全身が反り返るような震えが走った。
 腹の底から何かが競り上がってくるような、あるいは逆に全てが沈み込んでいくような、快感。
 くちゅくちゅと卑猥な水音が、それをさらに加速させる。
 夢中になって飲み込んだ。
 喉が痺れる。
 脳が痺れる。

「―っぷは」

「ぁ……」
 唇が離れる。
 快感が途切れ、一拍遅れて口の周りが冷気に襲われる。
 目を開けると、思いのほか近くにこなたの顔があった。
 息がかかる距離。
 真っ赤に上気している。
 潤んだ瞳が、かがみの目をまっすぐに覗き込んでいた。底の見えない深い色。
 吸い込まれそうになり、思わず息を呑む。
 つややかに濡れ光る唇が、にんまりと笑みを描いた。
「……ものたりない?」
「んなっ!?」
 図星だった。
 首の周りがカアッと熱くなる。
 理性が必死で否定を叫ぶ。が、
「……」
 気が付けば、かがみは口元を手で押さえながら首をコクリと縦に振っていた。
 上目遣いに覗き見ると、こなたは少し驚いたような顔。
「あれぇ……? どしたのかがみ? なんか素直じゃん」
「悪かったわね。ツンデレじゃなくて」
「いやいや、そのセリフは十分ツンデレだって」
「うるさい」
 視線を横に逃がし、蚊の鳴くような声を絞り出す。
「だって……最後なんでしょ、今日で」
「……あ」
 こなたの発する気配が変わった。

404:最後の日 5/15
08/12/01 19:22:06 sV0Cnohw
 そう。
 こうして二人きりの時間を過ごせるのは、この日が最後なのだ。
 明日からはそうではなくなる。完全にできなくなるわけではないが、機会はぐっと減るだろう。
「ん~……、半分、口実みたいなもんなんだけどねぇ」
 ぽりぽりと、頬を掻くこなた。
 眉が下がり、目が細くなっている。
「ま、だいじょぶだよ。なんとか時間作ってみるから」
「……場所は?」
「……たぶん、だいじょうぶ」
 不安が少し、大きくなった。
 かがみと、そしてこなたも。
「ごめん」
「なんでかがみが謝るのさ」
「……良いこと、なのよね。わかってるのよ私も。でも……」
 かがみはまだいい。だがこなたは複雑だろう。
 自分はただ単純に恨めしく思うだけだが、彼女にとっては喜ばしいことでもあるはずなのだ。
 今のこの関係を自分が望みさえしなければ、こなたも単純に喜ぶだけでいられたかも知れない。
 それを思うと、胸が苦しい。
「もぉ~~、ほんとしょーがないなぁかがみは」
「きゃっ」
 いつの間にかコタツを抜け出していたこなたが、かがみの背後から抱きついてきた。
 肩があごに乗せられ、頬が触れ合う。甘い匂い。落ち込みかけた気分と体温が再び跳ね上がる。
「考えたってどーにもならないよ。……そんなことより、ね?」
「そ、そんなことって」
「ってゆーか、だからこそ時間を無駄にしたくないじゃん?」
 ごく至近距離からの流し目。息を呑む。
 まるっきり子どもみたいな外見のくせして、どうしてこんなに蟲惑的な気配を出せるのか。
 とてもじゃないが、逆らえない。そんな気になれない。
「……うん」
 うなずくと、こなたはますます目を細めた。
「ホント、素直になっちゃって」
 指先が首筋をなでてくる。
「んっ!」
 あごから耳までのラインを往復。
 同時に、熱したハチミツのような声がダイレクトに流し込まれる。
「ツンデレなかがみんも萌えだけど、素直なかがみも、かわいいよ?」
「ばかっ……」
 声に力が入らない。全身が粟立っている。
「ばかだもん」
 こなたは抱擁を解くと、かがみの隣にぺたんと座り込み、再び両手で両手を包み込んできた。
 目は相変わらず妖しく輝いているが、その笑みはどこか無邪気に映る。
「ねぇ」
 見た目に相応の甘えた声。
「……なに?」
「今度は、かがみからちょーだい?」

 ピシリ。

 そんな音がした。
「なっ……!?」
 すっかり身を任せる気でいたかがみを、再び動揺が襲う。体温がさらにさらに上昇。
 計ったら凄いことになりそうだ。―そんな現実逃避。
 そうこうしている間にも、こなたは目を閉じ、やや上向きになって準備万端。
 赤ちゃんみたいなほっぺたがほんのりと薄桃色に染まっている。
 ほんのり薄桃だとこの野郎、こっちはリンゴみたいに真っ赤っかだってのに。―そんな現実逃避。

405:最後の日 6/15
08/12/01 19:23:04 sV0Cnohw
「こっ、こな、た……」
 声が震える。
 こなたは動かない。
 どうやら完全に待ちを決め込んでしまったようだ。
 ごくり、つばを飲み込む。
 かがみは意を決すると、目を閉じ、身を乗り出して顔を前に進ませた。数センチ。
 薄く目を開ける。
 まだあと数センチ。
 目測を定め、また目を閉じる。
 さらに意を決して、じりじりと顔を寄せていく。
「……」
 じりじり、じりじり。
「……」
 じりじり、じり……
「……?」
 疑問が湧く。
 こんなに遠かっただろうか。見当をつけた距離は既に通過したはずなのに、唇が温もりに届かない。
 眉をひそめて目を開ける。
「……」
 赤く染まったこなたの顔があった。
 しかしそれは、期待にでも羞恥にでもなく、喜悦に。
 繋いだかがみの手に違和感を与えない限界まで、上半身が後退していた。
「……ぷっ……」
 膨れた頬から笑いが漏れた。
「なっ……!」
 からかわれた。
 キスしようとしている顔を、至近距離、真正面から観察された。こんなに恥ずかしいことはない。
 頭の中が真っ白になり、白熱し、爆発した。

「―ばかぁっ!!」

 絶叫。
 耳から首元まで真っ赤に染めて、涙を飛ばして、かがみは叫ぶ。
 こなたが目を丸くしてのけぞった。
「ご、ごめん……」
「ごめんじゃないわよ! なんでこんなことするのよっ!」
「やっ、だって、その……かがみが可愛かったから、つい……」
「ばっ―あ、アンタはそんなことばっかりっ!」
 怒鳴り、そっぽを向くかがみ。
 あからさまな照れ隠しだったが、こなたは指摘してはこなかった。
 代わりに繋ぎっぱなしだった手をきゅっと握ってくる。
「あの……」
「……」
「ごめんね、かがみ。……うん、ホントごめん」
「……」
「ついいつものノリでやっちゃった。そんなに傷つけちゃうとは思わなかったから……」
 珍しく真摯に、心からこなたは詫びる。少なくともかがみにはそう聞こえる。
 しかし真横を向いたまま動かない。
「……」
 いや、視線だけが時おりちらちらとこなたの方に向いてしまっている。
 単純なものだ、と、外に出さぬよう自嘲する。
 既にかがみは九割方許す気になりかけていた。こんな、たった一言二言謝られただけで。
 しかし、やはり、悔しい。
 せめて何か一つ、余裕を持って「許す」と言えるだけの理由がなければ収まらない。収めたくない。


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