らき☆すたの女の子でエロパロ54at EROPARO
らき☆すたの女の子でエロパロ54 - 暇つぶし2ch176:"ハッピーマンデーの祝福" 5/7
08/11/13 14:57:55 8RH1l5Ox
「んむ……ちゅっ……ねぇっ……つかさぁ……」
「んちゅっ……あむ……なぁに? お姉ちゃん」
「……しよう? もう我慢できないよぉ……んむぅ……」
「……あした……学校だよ……?」
「今日は……あさ……朝まで……ずっと……したい……」
「お姉ちゃん……ふふ。良いよっ。朝までずーっとしよう。
ふふっ、素直なお姉ちゃん、可愛いねっ……ちゅっ」
「ひゃぁっ……! 耳はダメ……っ! だって……だって……つかさの事が……
好きで、好きで……もうどうしたらいいか分からないんだもん……」
 そう、顔から湯気が出そうになりながらも言うと、つかさは
頬と頬をスリスリさせていたその動きを止め、またじっと私の目を見つめる。
 ----今度は笑顔が半分の優しい瞳で。

「お姉ちゃん……私も……お姉ちゃんがだいすき。
だから……きて?」
 にこりと笑って、耳元で----わざと吐息混じりの声で
そんな事言われたら……もう、止まりようがなかった。

「……? お姉ちゃ……あんっ! やぁ……っ」
「ねぇ……つかさ。今日は……寝かせないんだからねっ!」
 ベッドの上で向き合っていた姿勢から、強引に----両手で
つかさを抱えながら押し倒し、"ぼふっ"と音を立てて跳ねた隙に
右手でブラのホックを外して、左手でつかさの右頬を撫でながら口付けた。
「ほら、つかさ。ばんざーい」
「えっ、うん。ばんざー……いっ!? お姉ちゃん、早いよぉ……」
「良いじゃない。裸の方が温かいもの」
 もう待ってなんかいられない私は、
つかさのワンピースを無理矢理下からたくし上げる。
 するとそこには"ぷはっ"と息を吐くつかさが、ホックが外れて
少し浮き上がったブラを恥ずかしそうに押さえている。
 ……可愛い。
「ん~っ……お姉ちゃぁん……私一人ははずかしいよぉ……」
「大丈夫」
 ----私もすぐに、一緒になってあげるから。
 急いで服を脱ぐ----良かった。Tシャツにジーンズで。
 そうしてバタバタが落ち着き、再び静寂に包まれる頃には
ベッドの上で、生まれたままの姿になったわたしとつかさだけが在った。

「いくよ。つかさ」
「うん……きて。お姉ちゃん……」

177:"ハッピーマンデーの祝福" 6/7
08/11/13 14:59:00 8RH1l5Ox
「んっ……んむぅ……ふあぁ……」
「ふうっ……ん……つかさ……」
 深くキスをしながら両手で胸の先をねぶるようにつまむ。
「もっと……いたく、して?」
「……こうっ?」
「ああっ! ひゃあぁぁっ!」
 言う通りに先をつねると、つかさは身体を震わせて達した。
絡み合った足の付け根からもぴちゃぴちゃ、水音が上がる。
「何、もういっちゃったの? 乳首つねられていっちゃうなんて……
つかさ、ほんと変態ね」
「ふあぁ……おねぇちゃん……もっとぉ……もっといじめてぇ……
ほらぁ……こっちもぉ……」
 吐息混じりの声に、背骨に何か駆け上がるような感覚が走る。
 つかさはずるい。
 そんな声を聞いて、応えないわけにいかないじゃない。
 ----そしてつかさは両手で少しぷっくりした秘所を
"ぐにっ"と音がしそうなくらいに拡げ、
「ここぉ……じゅぼじゅぼしてぇ……」
 と、更に私をぞくぞくさせてくる。
「もう……どうなっても知らないわよっ!」
 午後11時30分。
 朝は遥か、遠い。

「はぁっ! はぁっ! つかさぁ……ふぁうっ……!」
 覆い被さった毛布の中。
「んあっ! おねぇちゃん! いく……んっ!」
 息苦しい闇、熱に侵された身体。
「ああっ……私……私もぉ……いくぅ……っ!」
 擦れ合う熱に、汗まみれで抱き合う身体に、吐き出す息に----
 心が溶けていく。力も、何も届かない二人だけの心になっていく……
「おねぇちゃぁん……おねぇちゃぁん……! だめぇ……ふあぁっ……!」
 ずっと……こうしていたい。
「つかさぁ……っ……つかさぁ……っ! はあぁぁっ……!」
 もっと………つながっていたい。
「ふあぁぁっ……!」

178:"ハッピーマンデーの祝福" 7/7
08/11/13 15:01:05 8RH1l5Ox
気を失ってたのか、そうじゃないのか。
 とにかく私は、今目の前にある確かなものにすがり付くように
つかさを抱きしめていた。
 夢うつつで、ぼんやり、つかさの、私と同じ色の髪を撫でている。
 部屋に落ちる影が、少しずつ薄く白んでいくのを感じながら。
「窓の向こうで、鳥が鳴いてるわね……つかさ」
「うん……そうだね……」
「ほんとに……ほんとに朝までしちゃったね」
「うん……そう……だね……」
「ねぇ……つかさ……」
「ん……?」
「だいすきだよ」
「……うん……だいすき……お姉ちゃんが……だいすき」
 そこまで言って、つかさは事切れたように眠りに落ちた。
 私は小さくありがとうを言って、おでこにひとつキスをする。

 ねぇ……つかさ。
 最後に良いこと教えてあげる。
 今日は、祝日なんだよ。
 だから……だから、今日はこのままでゆっくりおやすみ。
 ずっと、ここにいるからね……。

 そして私は、勤労感謝の日に、感謝しながら----
汗まみれの毛布を引き下ろして、羽毛布団に、抱き合ったまま、包まれた。
 足の先が、少し冷たいけれど。
 なんとなくどうでもよくなって----夢うつつに、まぶたを落とした。

 夢の中でも、つかさに逢えるような、そんな気がして……。

179:54-78
08/11/13 15:06:27 8RH1l5Ox
あなたのかがみ 第3話 "ハッピーマンデーの祝福"
以上です。

甘々な二人を書きたくて試行錯誤しましたが、
エロ&泣きを3点リーダ多用で表現するしか出来ない
自分の底の浅さに泣きそうですorz
なので、今回はいつも以上に読みにくいかもしれません…
本当に、書くのって難しいですね…
また何かあれば、ご指摘、ご助言頂ければ幸いです。

それでは、続きも頑張ります。
ありがとうございました。

180:フレディさん
08/11/13 15:07:53 axKyc6dm
>>179
リアルタイムで読んできた。
お疲れさまと言っておこうか。
新作早いな。その仕事ぶりには尊敬するぜ。
それにしても、文章能力のレベルが高いな……
俺のご主人さまもこれくらいはやってほしいもんだぜ……。
これからもがんばってくれ。応援してるぜ。

181:名無しさん@ピンキー
08/11/13 19:03:17 /uiVSAS2
>>179乙そしてGJ
なんか久々に直球どエロで爛れた展開におっきおっきしたw

しかし・・・愛が深ければ深いほどシリアスになるタイプだなこの二人は・・・
他のカップルとかだと同じガチでもあんまり深刻なイメージにならないんだけどねぇ

実際には二人とも付かず離れずでいつまでも仲良くずっと一緒にいるだけで満足してそうだけど
もし片方がガチに目覚めてしまったらこのお話よりもさらに深い泥沼になりそうだ

182:名無しさん@ピンキー
08/11/13 21:27:32 idO315MT
かぶりがなければ
3分後に投下させていただきやす

183:三毛また
08/11/13 21:31:32 idO315MT
それではでは


タイトル:実はゆたかの趣味のインターネットがかなりディープだったら:中編


三編構成の中編
前編>>144-155
後編は明日までに仕上げて投下したいとか思います


エロ:微エロ(ただし次はもっとエロくなるので注意)
注意事項:ゆたみなorみなゆた
     掲示板形式と通常文章の混合
     
消費レス:8レス
     掲示板形式の部分がかさばってるので、実際の中身はあんまり長くないです。


テーマ:だってここはエロパロスレだもの


184:~ディープだったら中編1/8
08/11/13 21:32:41 idO315MT
 アルバイトに向かうこなたと別れたゆたかは、八百屋や酒屋などによって買い物をすませながら
岩崎家へと足を進めました。
 結局いくつもの個人商店を巡ってしまいゆたかが都内にあるみなみの家に着いたのは、みなみに
すぐ行くとメールをしてから一時間以上が経ってからです。通常かかる時間を差し引いても、三十
分はロスしていました。
 空に輝く太陽はほんのりと赤らみ始め、世界を橙に染めていきます。
 インターホンを押していたって普通の呼び出し音を送ると、ほどなくして抑揚の薄い声が返って
くるのでした。
「いらっしゃい、ゆたか……少し遅かったね」
「おじゃましま~す」
 みなみが開いた扉をくぐりながら、ゆたかは肩からぶら下げたバッグの中に手を差し込んでまさ
ぐります。
「ごめんねみなみちゃん。もっと早く来たかったんだけど、お買い物してたら時間かかっちゃって」
 ゆたかが購入してきたのは、バナナ一房とベジーテという野菜ジュースから出来たお酒を三缶で
す。
 この二つには、それぞれゆたかの時間を余計に浪費させる理由がありました。
 世間では最近バナナダイエットというものが流行しているらしく、そのせいでいくつもの店舗で
バナナが品切れになっていて、ダイエットに使うわけでもないゆたかまでバナナ発見に手間取って
しまったのです。
 そしてベジーテは、お酒でありながら缶の装丁が野菜の画ばかりでまるでお酒らしくなく、ただ
でさえ買い慣れていない少女がスムーズに探し出すのは困難な作業でした。
「バナナをすって入れたら良い甘味が増えると思って…」
 彼女はバッグの中からバナナを取り出して見せようとしますが、へたが引っ掛かっているのかな
かなか出てきてくれません。
 そうこうしているうちに、通路の奥からみなみの愛犬チェリーがのそのそとやってきました。
 犬の気配に気付かずに、やっと取り出せたバナナをエヘヘと笑顔を浮かべながら抱えて見せるゆ
たか。
 そこにチェリーは、来客の匂いを確かめるように鼻をひくつかせながら近づいてきます。
 そして、そのまま突っ込みました。
 それは、突起とくぼみの融合。
 凸と凹があったからはめ込んだだけとでもいわんばかりに、流れるように淀みなく。
 丸みを帯びた三角の鼻が、ゆたかの脚の付け根と下腹部に囲まれた三角地帯にすぽっと収まりま
した。さながらパズルのピースをはめ込むように。
 チェリーは減速することなく突撃すると、あまつさえぐいぐいとスカートの上から押しつけまし
た。

185:~ディープだったら中編2/8
08/11/13 21:33:20 idO315MT
「ほらこのバナナすっごく大き……ひゃぅッ!!」
 びくっと体を震わせて、バッグごと荷物を落としてしまうゆたか。
 するとその拍子にいくつか中身が飛び出てしまいました。
 みなみがチェリーをたしなめつつ、こぼれた品々を拾い上げていきます。
「ありがとうみなみちゃ……」
 みなみがその中の一つを手に取った瞬間、ゆたかは声を詰まらせました。
 それは野菜の画が特徴的な缶。
 ベジーテです。
「あ、っと…それは、えっと」
 お酒を持ってきたことについて何と言えば良いのか。ゆたかの頭の中が最大最速で回転して答え
を求めます。
 お酒で煮るとお肉が柔らかくなるから。
 お酒を入れるとカレーにコクがでるから。
 そんなどこかで聞いたことがあるような無いような、嘘か真かわからない、けれどなんとなくソ
レっぽい理由候補がいくつか思い浮かびます。
 ただ、ゆたかがそれらを口にする必要はありませんでした。
「野菜ジュース……栄養豊富なカレーになりそう」
「そ、そう、野菜カレー!ビタミンいっぱいなカレーにしようね!」
 ベジーテは野菜の画ばかりの缶。
 パッと見では野菜ジュースだと思ってしまっても、何らおかしくはありません。堂々と「お酒」
と書いてはあるのですが、缶を手に取った角度によってはそれが見えないこともあり得ます。その
場合、わざわざアルコール飲料であることを言わなければ、野菜ジュースだと認識されるのはむし
ろ自然だったのです。
 カレーに野菜を入れるのは普通なのだから、野菜ジュースなら何の問題もありません。
 おそらくみなみも勘違いしたのだろうと、ゆたかは小さな胸をなで下ろしました。
 一方みなみの方は、ベジーテにはあまり注意を向けてませんでしたが、いっしょに落ちていた目
薬には少し目を取られていました。
 成分表の一覧辺りに視線を泳がせると、そっと微かに頷きます。
 その様子はほんの少しゆたかの目に奇異に映ったものの、みなみに部屋へと向かうことを促され
るとすぐに記憶から消え去ってしまいました。




186:~ディープだったら中編3/8
08/11/13 21:34:00 idO315MT


541:1:2008/11/7(金) 16:53:19.11 ID:wAlk/mOE
長門(大)邸に潜入成功。

ダンボールが無いのでトイレにて通信中。


543:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:53:29.01 ID:VGTDY?mm
スネークwww


549:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:53:45.07 ID:KoLMH24D
招かれといて潜入もくそもねーよw


552:1:2008/11/7(金) 16:54:05.31 ID:wAlk/mOE
今カレー作ってるとこでちょっと抜けてきた。
ベジーテはカレーに入れればいいのかな?
目薬もどーすればいいのかわかんないからアンカでよろ

>>570


561:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:54:09.01 ID:PLES2A22
便所でカレーの話とかよくできるな…

目薬は目に挿す以外にどうすんだ?


567:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:54:38.45 ID:jieomapp
ベジーテは酒だろ?
酒は呑め。
むしろ呑ませろ。




569:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:54:45.15 ID:miNorIcV
目薬をベジーテに入れて飲ませる


570:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:54:47.35 ID:Cv//a-yA
↑+↓


571:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:54:48.55 ID:uSA168jk
口移しで飲まセロ



187:~ディープだったら中編4/8
08/11/13 21:34:38 idO315MT


575:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:54:59.44 ID:BT2atE35
ちょww


578:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:55:12.28 ID:4Okkan24
おにちくwwwwwwww


598:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:55:42.12 ID:87N?lko2
目薬をベジーテに入れて、
それを1が口に含んで、
長門(大)に口移しで飲ませる。

こういうことか。
そういや酒に目薬混ぜると化学反応して速効で酔いつぶれるとか聞いたことあるな。
>>570がgjすぎる


607:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:55:58.37 ID:lkwep6aw
>>569-571
GJ!!!
すげええええええ


612:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:56:07.12 ID:rzebdo36
>>569-571
神ぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!


623:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:56:25.24 ID:36kelo1a
>>569-571
てめーら感動したじゃねえか!ww


>>1よ、わかってるだろうな?

188:~ディープだったら中編5/8
08/11/13 21:35:12 idO315MT


650:1:2008/11/7(金) 16:57:05.31 ID:wAlk/mOE
これは569と571を合わせてってことか…
予想GUYすぎる……

ちょっと気持ちの整理がつくまで待って……


659:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:57:19.44 ID:BT2atE35
冷静になればなるほどできなくなるだろ!

今いきなさいww


662:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:57:29.01 ID:PLES2A22
それでも1なら…
1ならきっとやってくれる…


670:1:2008/11/7(金) 16:57:45.49 ID:wAlk/mOE
うー
ぇー
おl-

あーもー行ってくる!!!


687:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:57:49.45 ID:VGTDY?mm
行ったー!!!!




189:~ディープだったら中編6/8
08/11/13 21:35:48 idO315MT


「ゆたか……田村さんが、原稿が終わってこっちに来れるの7時ころになりそうだって」
 夕食のカレーを作りはじめていた最中に、いったんトイレにいっていたゆたかがキッチンに戻る
と、携帯電話を見つめながらみなみが話しかけてきました。
「………」
「………?ゆたか?」
「…え?な、なにみなみちゃん」
「田村さんはあと二時間くらいかかるみたいって」
「あ、うん。急に他のサークルの人からイラストの依頼が来たんだっけ。すごいよね~」
 ゆたかの頭には、みなみの言葉はほとんど入っていませんでした。
 音として耳には届くものの、脳には重要なこととして認識されず、反射的に適当な言葉が絞り出
されている状態。
 彼女の頭の中は今、一つのことでいっぱいになっていて他の事を考える余裕など無かったのです。
「み、みなみちゃん。コップ借りてもいい?」
「…いいけど、喉渇いた?」
「えっと、あ、あの野菜ジュース味見しておこうと思って」
 会話をしているだけで、意図せずに上昇していくゆたかの顔面温度。みなみの顔をまともに見る
こともできず、ゆたかはうつむいた状態でコップを受け取りました。
 そのままくるりと反転すると、みなみに背を向けて見えない位置でベジーテの缶を一つ開けます。
 パキッ。
 こぽこぽこぽ。
 数日なのか数か月なのか。封をされて眠っていたそのアルコール飲料は、解放された喜びを表現
するようにほのかな甘い香りを振りまきました。
 ちょうど現在の陽の光のような、濁った橙色をしたその液体は、お酒であることを知っているゆ
たかの目にもジュースのようにしか見えません。
 実姉がビールや日本酒など大酒飲みが好む類の物ばかりを嗜んでいたので、ゆたかにとってお酒
と言えばアルコール臭がきつく苦い物という認識でした。そのため、目の前のベジーテは少女の軽
い固定概念を砕く効果のある一品だったのですが、残念ながらゆたかの意識は別のことに向いてい
ます。
 目薬を持った手が、ベジーテを注いだコップの上でぷるぷると震えていました。

 ぴちょん。
 ぴっぴっ。
 ぴしゅー。

 最初の数滴は慎重に垂らしていたのに力の加減を間違えたのか、本来の用途通りに目に挿してい
たら目から溢れてひどくもったいないことになりそうな量が、橙の中に溶けていきます。


190:~ディープだったら中編7/8
08/11/13 21:36:21 idO315MT
「み、みなみちゃんは……のど渇いたりとか、して、ない?」
 なみなみと注がれたコップを両手で大事に持ちながら、ゆたかは詰まりがちに尋ねました。
 内容は、喉が渇いてるかどうかという実に一般的に交わされるもの。
 それでも、少女の頬は今や手にした液体よりも濃い緋色に変わりつつありました。
「そういえばちょっと渇いてる、かも」
「そそそそれじゃあ…!!」
 ゆたかは心を決めるように急に大きな声を出すと、コップから入れられる限りの液体を口に含み、
そして振り返りました。
「………?」
 そこにいるのは、静かな表情でまっすぐに見つめてくるみなみ。
 いつのまにか間後ろに来ていたのか、まさに目と鼻の先に彼女がいたのです。
 さきほどまでまともに顔も見れなかったのに、突然至近距離で、しっかりと視線が交錯します。
 ……ゴクン。
 息をのむゆたか。
 一瞬動きを止めて、つばを飲み込もうとします。
 しかし、今ゆたかの口の中につばは無く、変わりに違う液体が幅を利かせています。
 悩む暇さえなく、ほぼ反射的にその液体を喉の奥に流し込みました。

 そう。
 橙色に濁った、目薬入りのお酒を。

「あっ……!!!」
 しまったと思ったのは、数泊の時が経過してからでした。
「ゆたか……?」
「あぇう……えと、みないちゃんぅ」
 今までの声が詰まるのとは別の具合にゆたかの口調が乱れ出し、メルトダウンしたかのように橙
を越えて赤く染まっていく顔色。頬は発熱してるかのごとく、ゆたかには外気がやけに冷たく感じら

れました。
 それらが引き続き見つめあっているみなみの視線のせいなのか、それとも思いがけず体内に取り
込んでしまった目薬ドーピングアルコールのせいなのかはわかりません。ただ、その影響で熱を持
ってしまったのは顔だけでなく、頭の方にも及んでいたのです。

191:~ディープだったら中編8/8
08/11/13 21:37:05 idO315MT
「みあみしゃん!」
 急速に、熱の曇りがゆたかの脳をぼかしていきます。
 普段なら二の足を踏む一線も、今は、今だけは見えなくなっていました。
 再びコップに口をつけると、目一杯に目薬酒を含んでコップは脇に置き、今度は躊躇う様子すら
見せずにみなみの首に手をまわしました。
「ゆた……」
 多少の驚きの色を顔に浮かべながらも、飛び込んできたゆたかを落してしまわないようにしっか
りと抱きかかえるみなみ。
 もともと表情の変化の少ない彼女のことなので、本当は存分に驚いているのか、見た目通りあま
り驚いていないのかは彼女自身にしかわかりません。
 なので、ゆたかが唇を重ねたときも、やはり大きなリアクションはとりませんでした。

 こく、こくん。

 ゆたかの口から、少しずつ目薬とアルコールの混合物が流れていきます。
 本来自然のままなら、圧倒的に身長の低いゆたかの口から圧倒的に身長の高いみなみの口へと液
体が流れることはありません。みなみが拒めば、いくらゆたかが注ぎ込んでもこぼれおちるだけの
はずです。
 しかし、みなみの食道にはとくとくと液体が染み入っていきました。
「ん……」

 ちゅるッ…

 不意にお互いの舌が触れあうと、どちらの物かわからない声が漏れます。かといって驚く様子も
なく、どちらともなく目を閉じ、初めて出会った舌の感触を再び求めて相手の口腔にゆっくりと侵
入していくのでした。
 少しばかりの滴が唇の端から滴り、しだいに二人の服に橙色の染みを作ります。その染みが広が
る速度に合わせて、みなみの顔も徐々に緋色に染まってきていました。
 それがゆたかのように真っ赤な顔色とはなっていないのは、単に時間の問題ではないようでした。
アルコールに対する体質の問題か、それとも彼女にとっては目薬とアルコールの化学反応などより
も、ゆたかの唾液が含まれていることによる心理効果の方が大きいのか。それもまた、彼女自身に
しか分かりません。

「…んはぁ」
 やがて口の中の液体を唾液以外全てみなみに譲渡し終えたゆたかは、ゆっくりと口を離しました。

 くちゅ……
 最後まで名残惜しそうに触れあっていた舌が剥がれると、若干の橙色を残した糸が薄く延びます。
 もはやどちらの唾液から生成された物なのかわからないそれを、二人は分け合って喉の奥に収め
ました。
「えへへ……」
 くらくらとゆれる視界の中で、ゆたかはみなみの腕の中から脱して後ろを振り向くと、ぺたんと
座り込んでしまいます。そして携帯電話を取り出して、操作を始めました。

 すぐ後ろにみなみがいるというのに、もうそんなことに配れる気を余分に持ち合わせてはいませ
んでした。





>後編に続く

192:三毛また
08/11/13 21:37:39 idO315MT
以上です。
こなたがバイトの前に学校から家に帰って来てるのはおかしい
とか、
レスの日付は11/7だけどバナナダイエットが現実に流行ってたのは数か月前なんじゃね
とかは忘れてくださいorz

IDに関しては後編のあとがきでちょろっと書きます。

ではノ

193:名無しさん@ピンキー
08/11/13 22:01:13 PGzOVNY7
>>192
微エロ?
微?
キスだけなのに、なんでこんなにエロくできるんだw

さらにエロくなるなんて、次が恐ろしい…
もちろん良い意味でw

194:名無しさん@ピンキー
08/11/13 22:17:39 /uiVSAS2
>>192GJ
はげわろたww
いろんな意味でゆたかが壊れすぎてるwww

195:名無しさん@ピンキー
08/11/13 22:26:28 7XB1uTxM
>>192
GJ!
今回はIDネタでわかったのは1つだけだ…

196:名無しさん@ピンキー
08/11/13 22:27:07 iwAzfU58
>>192
いい仕事してらっしゃる!(作中でも作者さまも)
背中を押されるどころかロケットブースターでピンク色な方向へ突進していく
ゆーちゃんにwktkしつつ、後編もお待ちしてます。

197:名無しさん@ピンキー
08/11/13 22:42:53 x+1htiyV
>>192

ていうか、安価神3名、なんというコンビネーションwwwwwwwwwww
今回の泊まり会そのものが、実は・・・と思わせる神っぷりwwww
今はもうアレコレ言わず、ていうか言ったら確実にネタバレだしwwww
後編を全裸待機wktkwwwwwwww

198:名無しさん@ピンキー
08/11/13 22:45:19 7XB1uTxM
>>197
安価神3名でようやくピンと来てしまった!なんてこった!そういうことか!

199:名無しさん@ピンキー
08/11/13 23:48:29 Uzb0jlSO
>>192
神三人のうち、二人はわかったけど一人はまだ確定しない。
俺の予想が正しければ、その最後の一人は前回スナイプしまくった人だろうけど……
IDも微妙に凝ってておもしろす。というか、キスだけでエロイのに『微』エロと申すか。
つまり三毛また氏のエロはもっと……期待してますぜ旦那。

200:名無しさん@ピンキー
08/11/14 00:07:52 PfqP77Y8
>>197
俺は何故かドムを思い出した。

201:名無しさん@ピンキー
08/11/14 01:40:12 2I/vM+KX
>>200
黒いアレかwww
でも今回はあえて言おう、「青い」であると!

202:名無しさん@ピンキー
08/11/14 01:45:54 lzI1Johj
>>201
そうか、現れてくれたか・・・
自分が乙女座であったことをこれほど嬉しく思ったことはない

203:名無しさん@ピンキー
08/11/14 02:29:32 rbuBgv9B
やばい、おもしろいぞこのSSw
キスだけでもやっぱエロくてイイ!!
次回のみなゆたのエロに期待大!

204:まだry
08/11/14 11:18:55 mjO8a78a
誰も投下する人がいないようでしたら、投下いたします。
そうじろうとこなた。
エロ無しです。

205:七五三
08/11/14 11:23:43 mjO8a78a
「ははは、どうだ大きいだろう?ここらでは一番大きな神社だぞ?」
「ほぉぉぉぉわぁぁぁ~~」
巨大な鳥居に目を奪われる。
自転車を駐輪場に止め、ハンドルに取付けられている子供用椅子から降ろす。
近所の小さな神社なら、即、野生児と化してそこらへとダッシュしていくのだが、
その大きさと漂っている空気に圧倒されたのか、感嘆の声をあげつつ辺りを見回している。

しかし……案外、人が多い。
別にそこまで有名何処では無いはずなのだが、関東最古という肩書きは伊達ではないよう。
はぐれないようしっかりと手を握り、てくてくと歩いて行く。
「よし、ここらでいいか。こなた、ちょっとここで写真を撮ろう。ここで立ってくれな」
鳥居の足下に立たせると首から下げたカメラを手に後ろに下がって行く。
こなたも毎度のこととばかりに、おとなしくモデルを務める。
撮影が一通り終わり、再びこなたと歩き出す。

「おとうさんおとうさん」
父を見上げ問いかける。
「ん?なんだ、こなた?だっこか?肩車か?」
よしきた!とばかりに抱き上げようとするが…
「おしっこ」
肩すかしを喰らう。
「げっ!ちょ、ちょっとがまんしろよ」
「うん」
子供は容赦ないからな…と思いつつ、急いでトイレを探す。
せっかくの晴れ着をおしっこまみれにされてはたまらない。
「ん~~トイレはどこだ……お、あったあった」

用を済ませ、こなたの手を洗い、次に自分の手を洗っている隙に
こなたが野生児化して奇声をあげ走り出す。
「あ!こら、こなた!!何処へ行く!!」
手を拭く間もなく追いかける。
こんな人ごみで見失えば迷子確定なのは目に見えている。

誰に似たのか、小さな身体ですばしっこく人ごみの間を器用に縫って走って行く。
「ぬぅぅ、要らんとこまで似おってからに」
周りから頭一つ抜けた大柄な体格ながらも、負けじと器用にすり抜けて走って行く。
人ごみを抜け、何をするかと思いきや、御神木と思しき木によじ上ろうとし出す。
すんでのところで追いつき、げんこつがこなたの頭に飛来する。
「アホちんが!!」
「ふがっ!!」
さっきまで笑顔だったものが一転、
「うぐっ…うぐっ……うあぁぁぁあぁぁぁぁん、ごめんなさい、ごめんなさい」
大声をだして泣き出す。
そこに畳み掛けるように説教が続く。
「そんな所に登っちゃだめだろう!!それに、一人で勝手にどっか行くなって
いつもお父さん言ってうだろう?迷子になったらどうするんだ!!
変な人に誘拐でもされたら大変だろ!!」
厳しい顔でキツくしかる。
「あぐぁぁぁぁぁぁぁぁ~ごめんなさい~うわぁぁぁぁぁぁぁん」

206:七五三
08/11/14 11:24:08 mjO8a78a
泣き叫ぶ我が娘を見て、ふぅ~とため息を付く。
何度見ても気分がいいものではない。
今すぐ抱きしめてやりたいぐらいだ。
だがしかし、何度でも叱っとかなければと思う。
いつもの公園や神社ならともかく、こんな人ごみのなかでやられてはシャレにならない。
やってはいけないことはきっちりと教え込んでいかないと。
こなたにもしもの事があれば……
考えただけでぞっとする。
かなたを失い、こなたまで失ったならば、生きて行ける自信はない。

こなた目線までしゃがみ、優しく、しかし厳しく諭す。
「いいか~こなた。今日みたいに人がいっぱい居るところで
お父さんから離れちゃうと、迷子になっておうちに帰れなくなっちゃうんだぞ?
お父さんと逢えなくなっちゃうんだぞ?」
「ひっく、ひっく…」
しゃくりあげてはいるが、泣き止んだこなたがそうじろうの話を聞いて、
「ひっく…そんなの…やだ……」
どうにか、しかし力強く答える。
「だろ?だったら、お父さんと約束だ。
おそとで勝手にお父さんから離れたりしちゃダメだ」
こなたの目線までしゃがんだまま、肩に手を置く。
何も言わず、コクリと頭を上下させるこなた。
「よし!!いいこだ!!」
頭をわしゃっ、とひとなでして
涙と鼻水でわちゃくちゃになった顔をハンカチとティッシュで拭き拭きする。
一通り拭き終わり、立ち上がるついでに抱き上げ左腕に載せるように抱っこをする。
すかさず、こなたが首周りに腕を回しきゅっとしがみつく。
「さて、お参りに行こう」
本殿を目指し歩いて行く。

お参りも無事済ませ、駐輪場へと戻るふたり。
そんな時、小説のネタが浮かび上がり、ふと立ち止まりメモを取り出すそうじろう。
「こなた、少しばかり手を離すから、ちょいとお父さんの服の裾を握っててな」
「はぁーい」
と言う返事と、裾を握らせ引っ張られてる感覚を感じて、目を離しメモを取り出す。
さらに首から下げたカメラにて、周りの風景やら建物をいくつか撮影する。
人の流れに逆らって立ち止まっているせいか、
人ごみに少し揉まれ気味になってしまう。
こなたの様子が心配になるが、裾を引っ張る力は無くなっていない。



207:七五三
08/11/14 11:24:32 mjO8a78a
「さて、いこうか」
裾まで手を下ろし、裾を引っ張る小さな手を握って再び歩き始める。
「そうだ、こなた、千歳飴でも買って行くか!」
こなたの方に振り返る。
「おや?」
そうじろうの裾を握っていたのがいつの間にか知らない女の子になっていた。
その子は不安気に、今にも泣き出しそうな顔でそうじろうを見上げている。
年の頃合いはこなたと同じくらいの3歳児クラスだろう。
「あ、れ?お嬢さんは、どちらのお子さんかな~~?って………
こなた?!おーーーーい!!こなたーーーーーーー!!どこだーーーー!!」
血の気が引いて行く。
そしてちゃんと目視で確認しなかった己の甘さを後悔する。
「なんてこった。肝心の俺が目を離しちまったじゃないか……」
あたふたきょろきょろする、そんなそうじろうを見て、
見ず知らずの女の子が、とうとう泣き出した。
「おかあさん、おとうさん、おにいちゃーん」
(いや…泣きたいのはこっちだよ…とほほ)
泣いている女の子の隣りにしゃがみ、女の子の頭に手をのせて軽くなでてあげる。
「よし!…おじさんの娘も迷子になっちゃったみたいだから、一緒にさがそう!
ところで、お嬢ちゃんの名前は?」
一緒にさがそうと言われ、泣きやみそうじろうを見つめる。
「さがすの、ほんとう?」
そう言うその目はまだまだ不安でいっぱいの涙を浮かべたままだ。
「ああ、本当だとも。だから…まずはお名前を教えてもらえないかな?」
再度、名前を問いかける。
迷子の問い合わせをするにも先ず名前が判らなければ始まらない。
「ヒック、ヒック……みさお……くさかべみさお」
「みさおちゃんかぁ~、おかあさんやおとうさんはどんな感じの人かなぁ」
じーっとそうじろうのことを見てから
「おかあさんもおとうさんも、わたしより大きくておじさんよりちいさい
おかあさんはお兄ちゃんよりおっきくておとうさんよりちいさい」
「あはははは……で、おかあさんとかの名前は判るかなぁ?」
「えっとね、おにいちゃん5さいでわたし3さいでいっしょに
しちごさんにきたんだよ~そんでね~~……」
味方だと理解したのか、不安気な表情が消え笑顔で兄の事を語る。
肝心の質問には答えてはいないのだが。
「あははははは、そうかそうか(いや~これは手強いな)
…素直に社務所に行くかな、こりゃ……」
泣き止んでくれただけでもよしとして自力で探すのをほぼ諦め、社務所へと足を進めて行く。



208:七五三
08/11/14 11:25:09 mjO8a78a
「…ひっく…おとうさん……」
父親とはぐれてしまったこなたが、涙目できょろきょろ辺りを伺いつつしゃがみ込んでいる。
そんな時、御神木の前で一人で泣いている女の子がいると連絡があり
巫女を務めていたみきが確認しにやってきた。
「あらあら…迷子さんね…お母さんかお父さんとはぐれちゃったのかなぁ~?」
みきを見上げたこなたが、大きくコクッと頷く。
「ひっく…おされて…ころんで……おとうさんいなくなっちゃった…」
「この人ごみで流されてしまったのね…お母さんは?一緒には来てないのかな?」
特になにも考えず、いつも通りに母親のことも尋ねる。
「おかあさんはしんだっていってた…………」
「………!!」
まさかの答えに衝撃を受ける。
「しんでいないけど、いつかおかあさんかえってくるよ」
見上げて答えるその目は真剣だ。
まるでサンタクロースを信じて疑わない子供の目と同じように。
その言葉とまなざしに、反射的にこなたを抱き上げ抱っこしてしまった。
「ええ…そうね、帰ってくるのをいい子で待ってましょうね」
「うん!!」
それ以上は何も言葉を言えなくなってしまった。
なにかを言えば、きっと涙が出てしまう。
(まだ死ぬという事がよく理解できていないのかしら)
こなたを抱き上げ社務所へと歩きながら、考え込んでしまうみき。
きっとこの子の父親も幾度となく説明は試みているだろう。
だが、いかんせん3歳。もしくはまだ3歳に届いてないのかもしれない。
まだまだ、理解出来ていないのだろうと察しがつく。
(うちの下の子達もそこら辺は怪しいものね…)
しかし、神様も酷いことをするものだと思う。
こんなに小さな子供から母親を取り上げてしまうなんて。
話しかけてあげる代わりにきゅうーっと抱きしめてあげる。
「えへへ、あたたかくてやわらかーーい」
抱き上げられたこなたがきゃっきゃっと騒ぐ。
「あらあら、鳴いたカラスがもう笑うってね…くすくす…
そういえば、まだお名前聞いてなかったわね。お名前はなんていうのかしら?」
楽しげにしているこなたに聞いてみる。
「なまえ?こなた。えーとね…いずみこなた」
「こなたちゃんね~、それで、お父さんのお名前はわかるかなぁ~?」
父親の名前も聞いてみる。
「おとうさんはねぇ~~………????あれ?…おとうさんだよ。
おかあさんはしってる、かなたっていうんだよ。いつもおとうさんがいってる」
「え?そ、そうなんだ……」
(親の名前を知らないってのは、まぁありがちだけど…
亡くなっている母親の名前は知っている…というか父親がいつも言っている?
亡くなったってことを、一生懸命話しているのかしら?)
若干混乱気味のみき。
「ぶつだんってところにあるしゃしんにむかっていつも、はなしかけてるんだよ」
「へぇ~」
一応答えるが、涙腺が崩壊しないように堪えるのが精一杯になってきた。
これ以上の会話を避けたかったみきが足早に社務所へと向かう。
(とにかく、この子を一旦降ろして落ち着かないと)
今にも泣きそうなみきとは対照的に
こなたは迷子になった不安はどこかにいってしまったようにきゃっきゃと笑っている。



209:七五三
08/11/14 11:25:34 mjO8a78a
社務所へと、てくてくやってくるそうじろうとみさお。
みさおの家族がすでにそこへ娘を探しにやってきていた。
「あっ!!おかあさん、おとうさん、おにいちゃん!!」
家族をみつけ、ダッシュしていく。
「ああーもうーーどこへいっていたの?みさお!
だから、あれほど、一人で勝手に歩いちゃダメって言ったでしょう?」
ゴスッ!
母親からげんこつが落とされる。
「うわぁぁぁあぁん!!」
母親のお説教と娘の泣き声の二重奏がはじまった。
「娘がお世話になりまして……わざわざ、こちらまでありがとうございます、
おてんばなものでして……助かりました」
父親からはお礼の言葉が述べられた。
「いや~~、そんな大したことは……私も、その、お恥ずかしながら、
娘とはぐれてしまいまして……って、あ~~っこなた!!おまえここに居たか!!
いや~~よかった。ここにも居なかったらどうしようかと思ったぞ?」
騒ぎを聞いたのか、奥の方からヒョコッと顔を出してきたこなたを発見する。
「おとうさん!!」
こなたがダーッと走りよってくる。
そんなこなたを両手でひょいと持ち上げ抱きしめる。
「ごめんなぁ~お父さんが目を離したばっかりに……
大丈夫だったか?寂しくなかったか?」
「うん…でもちょっとさみしかった…あれ?おとうさん、なんでないてるの?」
「なんでって、こなた、おまえまで居なくなっちまったら、お父さん、もう生きていけないぞ?」
こなたをぎゅーと抱きしめる。
「……よくわかんないけど…ごめんなさい」
良くわからないけど、きっと自分が原因…
お父さんに悲しい思いをさせてしまった。
そんなことにちょっと引け目を感じてしまったこなたがあやまる。
そうだ、お父さんとはぐれて一人になった時、すごく寂しかった。
もう逢えないんじゃないか?と思った時、ものすごく悲しくなった。
そうか、お父さんもきっとそれで……
もう、お父さんから勝手に離れてどっかに行くのは止めようと思うこなたであった。
「おとうさん…」
きゅーと肩周りにしがみつく。

みさおの父親が声をかけてくる。
「お互い子供が無事で何よりです。それでは、私たちはこのへんで失礼いたします」
「あ、いえいえ、そんな大したことでも……お?!ばいばい、みさおちゃん」
ばいばいと手を振っているみさおに気づき、そうじろうがばいばいと返す。
そして日下部家の両親が深くお辞儀をして帰っていく。
(親子揃って…か…)
親子4人揃って帰って行く後ろ姿を見つめるまなざしに
羨望と憧れと諦めと悲しみの色が混ざって、なんとも言えない切なさが漂う。



210:七五三
08/11/14 11:25:57 mjO8a78a
先程からじっと見守っていたみきが
声をかけるタイミングを掴めないでいた。
妻を亡くしたのが何時なのかは判らないが、
少なくともここ3年以内であることは子供を見れば察しがつく。
かといってこちらから聞き出す事柄でもない。
とりあえずはその手の話題に触れないように気をつけるしかない。
「あの…こなたちゃんのお父さんで?」
みきがそうじろうに話しかける。
「え?あっ、はい。そうです。泉そうじろうと申します。
娘がお世話になりまして……なんてお礼を言っていいやら…」
抱っこしているこなたを降ろして、ぺこりとお辞儀をする。
「いえいえ、お礼なんて…毎年、迷子はどうしても出てしまいますから。
こなたちゃんも、一人で泣いている女の子がいるという連絡がありまして
それでここまで…この社務所が迷子保護所も兼ねてるんですよ。
あ、あと、あまり叱らないでやってくださいね。
お父さんの後を付いてて人ごみに揉まれて転んでしまってはぐれたようですので」
さりげに、こなたのフォローを入れて上げる。
「それはもちろん…目を離してしまった自分の責任なんで…」
そうじろうが申し訳無さげに答える。
みきがこなたの目線までしゃがみ込み、頭をなでながら
「よかったわね~お父さんにあえて」
「うん!!」
満面の笑みで答える。
「そいじゃ、失礼します」
「はい、ではお気をつけて」
こなたの手を引きその場を離れようとしたときに、こなたが社務所の奥の方に向かって
「ばいばい~かがみ~つかさ~」
大声でさよならの挨拶をする。
「「ばいばーーい」」
奥から、ひょっこり、丁度こなたくらいの二人の女の子が顔を出す。
「お?なんだ、迷子仲間か?」
そうじろうがこなたにたずねる。
そんなそうじろうに意外な方から答えが返ってくる。
「あっいえ……うちの娘たちです…双子なんですよ。
今年七五三なんでこなたちゃんとは同い年ですね」
こなたを保護してくれたお巫女さん……みきが答える。
「おぉぉ、双子とはこれまた……お巫女さんの娘さんたちでしたか
しかし、子供はすぐに馴染んで友達になっちまいますなぁ~」
「そうですね、ふふ」
「おっと、長居してもいけないな。それでは、お世話になりました」
「いえいえ、お気をつけて」
二人がてくてくと駐輪場の方へと歩いて行くのを見送る。
結局、母親の事を話題にすることはなかった。
それで良かったのだろうと思う。



211:七五三
08/11/14 11:26:18 mjO8a78a
「お母さん?どうしたの?」
かがみが、どこか悲しげな母親の表情を見て少し心配気味に聞く。
「え?うんん、なんでもないわよ。
お母さん、まだ仕事があるからお姉ちゃん達が来るまでここで待っててね。
それじゃ、お巫女さん達の言うこと聞いていい子でね」
「「はーい」」
そう告げ二人の返事を聞くと、再び本殿の方へと出かけて行った。

駐輪場へ戻る途中にて
「さて、千歳飴でも買って帰るか」
「あめ?あまいヤツ?」
「ああ、そうだ。あの甘いヤツだ。ちょっと面白い仕掛けもあるんだぞ?」
「おもしろいの?」
「ま、帰ってからのおたのしみだ」
「へぇ~おたのしみおたのしみ~♪」
千歳飴も無事購入し、自転車が見えてきた辺りでこなたを引く手が、ガクンッと引っ張られる。
「ん?なんだ?転んだか?」
ふいっとこなたの方を見れば、
うつらうつらと眠りかけで、どうにか立っているという状態になっていた。
「おーおーおー、いろいろあったし、今日はまだお昼寝もしてないしな。よっこらしょっと」
落ちる寸前のこなたを、ひょいっと持ち上げ抱っこする。
抱き上げられたこなたが、そうじろうの首周りにしがみつくようにして抱きつく。
「おと……さ……ん…」
こなたの電池が切れ、そのまま眠りにつく。

夕飯、お風呂と済まし、こなたが寝付いたその夜の仏間にて
ラップトップのワープロを打つのを止め、仏壇のかなたの写真に目を向ける。
「かなた~今日な、こなたの七五三だったんだが、こなた迷子になっちまってな~
大変だったんだよ~誘拐でもされてたらどうしようかと思ったぜ」
仏壇の写真に向けて嬉しそうに話す。
仏壇には千歳飴と早くも現像された今日の七五三の写真が供えられていた。

「おとうさんおしっこ」
寝ぼけたこなたが顔をだす。
「おおっと、はいはい」
トイレを後にして寝室へと戻る途中に
「おとうさんどこにもいかない?」
ふと、こなたがたずねる。
「へ?なんでまた?」
「おひるひとりでさみしかった。ひとりだとやだ」
泣きそうな顔で訴える。
「あ~~ふむふむ、そゆことね。はは、大丈夫。
お父さんはこなたを置いて何処にもいかないさ。
さ、お父さん、まだやることが少しあるから、また先に寝といでな」
そのまま寝室に連れて行こうとするが
「や~~!」
首を横にふり拒否する。
「おとうさんとこにいる!」
「おいおい~(昼間の迷子が相当効いてるなぁこりゃ、ま、続きは明日早く起きてやるか)
ん~~しょうがないな、そいじゃ~お父さんも、もう寝るとしますか」
どこか嬉しそうなそうじろう。


212:七五三
08/11/14 11:26:44 mjO8a78a
「だっこ~」
珍しく、積極的に甘えてくる。
「よしきた!」
嬉しそうにひょいっと抱き上げる。
こなたがご機嫌で首まわりに抱きつく。
(いつ頃までこうして寄り付いてくれることやら。でもま、そんなのは
もっとずっと先の事だし、今からそんなの考えてもしょうがないしな、ははは)
「こなた…お父さんはどこにも行かないから、大丈夫さ。
おまえは俺の大切な宝物だからな。なにがあってもおまえだけは守るからな」
「んじゃーおとうさんはわたしがまもる!」
「ん~?それはそれは。そいじゃ、もしものときはよろしくな?」
「だいじょーぶ、まーかせて!!」
「はははは、頼もしい限りだな」
寝室に着き、そのまま布団へと直行する。
布団の中で眠りに付くまでの間、今日の出来事を中心に雑談タイムとなる。
次第にこなたのろれつがまわらなくなり、パタリと落ちる。
(いやー電池切れの限界ぎりぎりまで稼働できるなんて、こなた位の小さな子は
ほんと不思議だよな~……しかし、可愛いよなぁ~親バカなんだろうけどさ、
この寝顔はホントに可愛い。すまんな、かなた。この寝顔を独占しちまって。
できることならおまえにも見せてやりたいよ…写真にでも納めて仏壇にでも供えるか
…ただ今日は、ちょっとカメラ取りに行けなさそうなんでまた今度な)
こなたががっちりと腕に抱きついて寝ているので
そのまま、一緒に寝てしまう以外に選択肢が無い。
無理に振りほどけば、いくらでも自由にはなれるのだが
さすがに可哀想でそれは出来ない。
「おとうさん……にひひひ……」
なんの夢か気になる寝言だが、嬉しそうな表情を見るにいい夢なのは間違いない。
「ふぁぁぁぁ……それじゃ、お父さんも寝るとしますか、おやすみこなた」

翌朝、こなたの声で起こされる。
「おとうさん、おとうさん。おきておきて」
「…お……おん?なーん、こなた~?」
「きょうも、しちごさんいこ!!」
「……あははは……いや~~あれは1回キリなんだよ、だから今日はもう行かないんだよ」
「え~~」
こなたが悲しげにぶーたれる。
そうじろうにとってそんなこなたの表情は、心にズサズサと刺さってくる。
「ん~~そうだ、ゆきの所に行くか。ゆいちゃんやゆーちゃんとも最近あってないしな」
何気に代替え案を言ってみる。
「おお!おねーちゃんとゆーちゃんちにいく」
こなたの目がパァーッと輝く。
その顔をみて、よし!、と心で呟く。
「そうと決まれば、さっさと準備するぞーー」
「おうーーー」
やり残した仕事があるが、ええいままよ、と鞄にラップトップワープロを突っ込み、
向こうでやればいいさ、ゆきの家の方が自由になれる確率が高いしなと自分に言い聞かせる。

一通り準備を済ませ、
「いってきまーーーす」
こなたが元気な声を響かせて出て行く。
「いってくるな……ちょっくら留守をよろしくな、かなた」
そうじろうも無人の玄関に向かって声をかける。

「さて行くか。こなた、あーーーーこら走るんじゃ……転けたか…まったく世話の焼ける…」
そして今日もバタバタな一日が始まる。




213:まだry
08/11/14 11:27:21 mjO8a78a
以上でございます。
失礼いたしました。

214:名無しさん@ピンキー
08/11/14 11:32:38 MsUni2dK
(´;ω;`)ウッ…

215:名無しさん@ピンキー
08/11/14 13:00:46 nIQGT2CW
>>213
心の洗濯をさせてもらたよ( ´Д⊂ヽ
ほっこりした。

らき☆すたは、大人陣も良い味出してるのが魅力の一つですのう。

216:名無しさん@ピンキー
08/11/14 16:09:15 3h0qBh2o
>>213

きちんとゲンコツ落として叱れるそう君に感心した。
そのあとの同じ目線でのフォローといい、これが正しい教育姿勢ってもんだと思う。

217:某希少価値
08/11/14 19:56:01 2I/vM+KX
おとーさんは、ただのロリコンヲタクではないのです。
娘を、ヲタクとはいえ・・・w、ぐれさせることなくしっかり育て上げた、
こうみえても、立派な父親なんです(≡ω≡.)b

そうじろう「言葉の端々が色々引っかかるが・・・フォローあり・・・」

218:名無しさん@ピンキー
08/11/14 20:12:20 mNhPIN9D
こなたがななこ先生の鉄拳制裁に肯定的なのはそうじろうの影響かw


219:54-78
08/11/14 21:36:07 HKeQUzTP
三毛また氏、まだry氏、乙でございます!
どちらも話は全然違うのに"らき☆すたらしさ"が
すごく溢れていて…本当に良いお話でした。
三毛また氏へ。
今日の後編も楽しみにしております。

さて、そんな花金の夜の祭の点火剤になれれば…
と思い、差し支えなければ5分後にこの前の
続きを投下したいと思います。

220:名無しさん@ピンキー
08/11/14 21:37:09 9yTSxm6A
>>213
ちびこなた! ちびみさお! みきお母さん!
台詞の端々から今の彼女達が透けて見えて、頬が緩みました。
ぐっじょぶでございました!

221:54-78
08/11/14 21:44:30 HKeQUzTP
ほい、では投下前の注意書きをば。
・6レス使用します。
・かがみ&つかさです。(今回エロはありません)
・一人語りがとにかく多いです。
・相変わらずの携帯での投稿です。
(なので読みにくいかもしれません)
・初の前後編です。
(後編は後日、折りを見て投下します)

以上を踏まえて、苦手な方はスルーよろしくです。

それでは、
あなたのかがみ 第4話 "コハルビヨリ(前編)"
投下します!

222:"コハルビヨリ(前編)" 1/6
08/11/14 21:47:24 HKeQUzTP
それはまるで、さっきまで見ていた夢のように。
 11月の正午に吹く、風のように。
 今、指を絡ませながら繋いでいる右手のように。
 朧気で----だけれど確かに残る記憶。
 家族よりも近くて、友達より遠い"妹"が、私の"恋人"になった日。

「つかさぁ、起きてるー?」
 それは高校1年の12月----良く晴れた日で、神様が季節を間違えたような
温もりが窓の外から漂う、空がとても遠く澄んでいた
小春日和の朝だった。
 春には皆が同じ匂いだった制服も、そろそろそれぞれの家の匂いに
馴染んで----無意識に袖を通すいつも通りの朝。
 つかさはまだ、夢の中だった。

「おーい、つかさぁ! ほんとに遅刻しちゃうぞー」
 ----確かに布団から出たくないわよね。とは言わないけれど。
 "ふぅ"と口を開けずにため息をつきながらつかさの部屋の
ドアを叩き続ける。女子高生の朝は、慌ただしいのよ、なんて姉ぶったように。

「ふにゅう……おはよぉ~おねぇちゃん……」
「はい、おはよ。急がないとほんとにヤバイわよ」
「う~ん……そうするぅ……」
 こうしてほぼ毎日のように交わされる----いまいち噛み合わない朝の一コマ。
 何処にでもあるような、姉妹の会話。だけど、もう何年も----もう何年も
私は"意識して"こんな会話が、私たちが続くように心がけていた。

 7歳の七五三の夜に目覚めた力----誰かの心を映す"鏡"は、
私に人間不信と孤独と、そして実の妹が----私へと向ける
愛を教えてくれていた。
 "知らなければ良かった"、"知りたくなかった"と思う事が多過ぎて
心底疲れていた私にとってその真っ直ぐで、
どうしようもない愛情は私にとっての"救い"だった。
 いつもくっついて来て、甘えん坊で、ドジだけど、
私のために、私のためだけに見せてくれたその笑顔が、何より嬉しかった。

 だけど、中学に入学した頃に芽生えた"疑問"。
 今まで当たり前に映していた、つかさがくれる私への"愛情"がもしかすると、
もしかすると家族に向けるべき愛では無いんじゃないか、と、いうこと。

 それが思春期の始まり。

223:"コハルビヨリ(前編)" 2/6
08/11/14 21:50:56 HKeQUzTP
私は怖かった。
 つかさが。では無くて、つかさと私が違ってしまうのが。
 だから手を繋いでも指を絡ませなくなった。
 ----つかさの胸が高鳴るから。確信なんてしたくなかったから。
 常に誰かを、つかさ以外の人の心を映して、
応えられたらと、思うようになった。
 ----つかさとの今が壊れないように。壊してしまわないように。
私が気付いてしまったら、YesかNoを告げなければならなくなるから。
 つかさを傷つけてしまうかもしれないのは、本当に----本当に嫌だったから。

 そんな思いで、私の、私たちの中学生活は過ぎていった。
 いつもどこかで辛くて、つかさの笑顔が眩しすぎて。優しさが暖かすぎて。
 気付かないふりしている自分が、とても辛くて。
 誰にも聞こえないように、誰にも知られないように、夜、泣いた。
 その度、"矛盾している"と声を殺した。
 違う部屋で良かったと心底思った。
 つかさが夜中隣に潜り込んでも、気付かないふりを、寝たふりをした。
触れる手に、擦れ合う衣音に、つかさの想いが伝わってとても痛かった。
 何故、痛いのか解らない痛みがとても怖かった。

 "あぁ私は、暗闇の中踊り続けているのです----"
 そんなフレーズに涙が零れた受験勉強中のAMラジオ。
 理由の解らない痛み。
 応えられないから?
 眩しすぎるから?
 つかさとは違うから?
 私とは違うから?
 ----違う。違う! 違う!

 だからそれらしい言葉を、
痛みの"理由"を知る為に小説を読んだ。勉強をした。
 ----だけど分からなかった。
 いろんな人と話した。峰岸や日下部と友達になった。たくさん笑った。
 ----だけど分からなかった。
 だけどそれは----皮肉にも私に"鏡"のうまい使い方を教え、
バカ騒ぎ出来るクラスメイトを、年齢相応の知識と羞恥を、
進学校に----陵桜学園に入学出来るほどの学力を私に与えることとなった。

 ----それでも、痛みは消えなかった。

224:"コハルビヨリ(前編)" 3/6
08/11/14 21:54:39 HKeQUzTP
結局、一番大切な事だけが解らないまま私の中学生活は終わった。
 その後、私はストレートに、つかさ周囲の反対を押し切って
陵桜学園へと入学すると、光は、割と、すぐ近くに在ったと
気付かされる事になる----
 新緑が揺れる、高校生になって初めての何気ない5月の放課後に。

「あなたが……泉こなたさん?」
「そうだよー。あなたがつかさの双子のお姉さんの……かがみさん?」
「かがみでいいよ。泉さん」
「私も、こなたって呼んでよ。かがみん♪」
「かっ……かがみん!?」
「あれ? いけなかった? かがみだから、かがみん」
「いっ、いや、そう言うわけじゃ……」
「それにしても、見事だよねぇー。つかさがおっとりしてる分
"しっかりしたお姉さん"!って感じで。それにツインテールで
ツンデレ分までカバーしてるなんてすごいよ。
いや~世の中何があるか分かんないねぇ!
こんな近くにこんな萌え要素に恵まれた姉妹が、しかも双子で!
そんな人に出会えるなんて……私、陵桜に来てよかったよぉ」

 まるで春に訪れた嵐だった----泉こなた、彼女との出会いは。

「ちょっ、ちょっとつかさ! 何よこれ! どうすりゃ良いのよ!」

 戸惑う私、微笑むつかさ。思えばもう最初から、出来上がっていた"方程式"。

「あのね、こなちゃんはアニメとか漫画がすごく好きなんだってー。
それで、私がお姉ちゃんの話したら是非会いたい! って。
"そんな絵に書いたようなツンデレが本当にいるの?"って……」

 こなたは最後の"="だった。

「だっ……誰がツンデレなのよ! つっ、つかさ! あんたいったい
この子に何話したのよっ!」
「えーっと、それは……」

 神出鬼没。天真爛漫。それで居てどこか心地よい柔らかな----
 "痛み"を知った優しい少女だった。

225:"コハルビヨリ(前編)" 4/6
08/11/14 21:57:42 HKeQUzTP
「それはね……むふ。かがみん。
中学に入った頃、部屋が別々になって泣いてるつかさに
"仕方ないでしょ! あんたの為でも……あるんだから"って言った事とか、
高校の受験勉強の時もつかさに"もう、仕方ないわね"って言いながら
優しく勉強教えてあげてた事とか……その他いろいろ」
「何よ、その他いろいろって。それに! 別に変な事言ってないじゃない。
つかさは甘えん坊だから、それに気を付けなきゃいけないのは
姉として当たり前の事でしょ?
それに頑張ってる妹に出来る事があればしてあげるのも、
姉として当然じゃない。それの何がおかしいのよ」

 "当たり前"が、決して"当たり前ではない"と知っている少女。

「んーでもさ、それをちゃんとしてあげるのは、
姉妹であろうとなかろうと、かがみんがつかさの事、大好きだからでしょ?」

 だから気付かされた。

 "最初から"それが"私のすべて"だった、と。

「そっ、それは……」
「それにさ、つかさはいつも私にかがみんの話をした後
"お姉ちゃんが大好き"って言ってるよ、ねっ、つかさ」
「えっ……」
「こっ、こなちゃん……はずかしいよぉ……」
「相思相愛、って事だよかがみん。
まぁでもそれが家族愛なのかそうじゃないのか、までは解らないけどねー
いやむしろ……そうじゃない方が私としては……って、かがみん!?」
「お、お姉ちゃん!?」

226:"コハルビヨリ(前編)" 5/6
08/11/14 22:00:09 HKeQUzTP
私は走り出した。
 リノリウムの床を蹴って、何処までも。どこまでも。
 なんだ。
 答えはこんなに簡単だったんだ。
 なのに3年も解らないなんて----いや、解らないふりをしていたなんて。
 知れば、必ず傷つくから----
 "つかさが"傷つくのが怖いんじゃなくて、"私が"傷つくのが怖いから。
 勇気が無いだけだ。
 知ろうとしなかっただけだ。
 目を背けて、本当の事から逃げていたんだ。
 勉強をして、バカ騒ぎをして、本を読んで。
 だけどどれも満たされなかった。満たされはしなかった。
 だって最初から知っていたんだ----"どうすれば"満たされるかなんて。
 どこに答えがあるかなんて。
 私の"鏡"は、いつもつかさが、いつも私を愛している。と、映していた。
 7歳の頃から、もしかすると、もしかすると生まれる前から。

 変わってしまったのは----姉妹として見れなくなったのは……私。

 そうか、そうだったんだ。

 私がつかさを----愛してしまっていたんだ。

 それから----私は宛てもなく走り、学校を軽く一周してから
1年教室棟に戻ると、つかさとこなたに"いったいどうしたの?"
と、聞かれたけれど、私は答えられず誤魔化して教室に戻った。
 3年間探していた答えを見つけても、そこは、まだ、変われなかった。
 あまりに二人が真っ直ぐで、眩しすぎたから。

227:"コハルビヨリ(前編)" 6/6
08/11/14 22:06:04 HKeQUzTP
----その後からの私は、答えを見つけた"喜び"と、
気付いてしまった"恐怖"が、ない交ぜになりながら夏と、秋を過ごした。
 血の繋がった"姉妹"に"片想い"している自分を認めるのは、
乗り越えるにしてはあまりに大きな壁だったから。

 だから何度も深呼吸をしながら片想いをしていた。
 気付かれないように、気付かれないように。

 そしてその日も私は深呼吸をして、いつも通りのおはようを言って。
 やっと。
 やっと大きな一歩を踏み出せたのは、
本当の----本当の答えを見つけたのは、
新緑だった葉が散って、吐く息が白くなり、凛とした寒さの中。
ぽっかりと一日だけ神様が季節を間違えたような日差しが窓の外に漂う、
 12月の----小春日和のあの日だった。

228:54-78
08/11/14 22:11:22 HKeQUzTP
あなたのかがみ 第4話 "コハルビヨリ(前編)"
以上です。

今回は回想、前回はエロ、その前はコメディと
行ったり来たりな展開ですみません。
ろくにプロットも立てないで妄想のみに
今の私は突き動かされています。
ほんと読みにくかったらごめんなさい。

さて、後編ですが明後日を予定しています。

それでは、続きも頑張ります。
ありがとうございました。

229:名無しさん@ピンキー
08/11/14 22:40:19 sjEfCfBA
良作がゾクゾクときてる!
まとめてで申し訳ないけど、みなさんGJ!

230:名無しさん@ピンキー
08/11/14 22:58:51 nIQGT2CW
>>228
詩向き、まさに詩的な表現ですなあ。
「むしろ家族愛じゃない方が…」のところでこなたの度量を感じたw
実に甲斐性のあるこなたw

よくケータイでここまでの長文書けるなあと素直に感心。
ケータイで書きこまないタチとしては、想像するだけで疲れるorz




本当は一時間くらいは間を開けたかったんですが、諸事情で今投下しないと今夜できなくなるので、
失礼ながら3分後に投下させていただきやす

231:三毛また
08/11/14 23:01:51 nIQGT2CW
それではでは


タイトル:実はゆたかの趣味のインターネットがかなりディープだったら:後編


三編構成の後編。完結
前編>>144-155
中編>>183-192


エロ:エロ有り(ガチ百合注意)
注意事項:ゆたみなorみなゆた(伏線の解釈しだいで攻受変化)
     掲示板形式と通常文章の混合

消費レス:13レス
     掲示板形式の部分がかさばってるので、実際の中身は数字よりは長くないです。

テーマ:ほとばしれエロス
裏テーマ:プラシーボ効果

232:~ディープだったら:後編1/13
08/11/14 23:02:52 nIQGT2CW
 岩崎家のキッチン。
 そこには二人の少女が座り込んでいました。
 一人は家人の岩崎みなみ。
 そしてもう一人は小早川ゆたか。
 二人ともアルコール飲料のベジーテに目薬を含んだものを飲み込んで、あるいは他の理由から、
もしくは複合的な原因で頬も脳も熱く火照っています。
 特にゆたかの方は脳みそが溶けてしまったかのように蕩けて、もはや普段の彼女と同じような判
断能力は全く期待できない状態です。
 今の彼女なら、何をしろと言われてもするでしょう。
 嫌なことならともかく、通常は理性で抑えられているような行為に関しては、まったく抵抗を覚
えることはありません。
 そんなゆたかが今へたり込んでやっているのは、インターネットの掲示板。
 今や彼女の行動指針は、彼女自身にはなく、電子の海に委ねられていました。





722:1:2008/11/7(金) 17:12:11.41 ID:wAlk/mOE
やった
次どうすればいい?

あんな
>>730


727:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:12:25.37 ID:lkwep6aw
やばいぞ。
>>1が「安価」も打てなくて「あんな」になってやがるwww


730:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:12:39.46 ID:oi4892wF
1キター!!!!


738:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:12:50.28 ID:4Okkan24
>>730
お前にはガッカリだ…


742:730:2008/11/7(金) 17:13:05.46 ID:oi4892wF
自分にガッカリだ…
吊ってくるorz


748:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:13:12.45 ID:jieomapp
流れ速ぇ。
とりあえず>>1落ち着いて現状報告たのむ

233:~ディープだったら:後編2/13
08/11/14 23:03:51 nIQGT2CW


765:1:2008/11/7(金) 17:13:50.41 ID:wAlk/mOE
目薬入れたベジータを口移しで飲ませることに性交。でも一回間違えて自分でののんだ
あたなが回らない。ふらふらする。
たぶんもう書きこめそうない。
最後の安価

>780


770:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:13:29.01 ID:VGTDY?mm
何自分で飲んじゃってんだwww
ベジータじゃねーしwwベジーテww

しかし>>1の勇者っぷりは異常


771:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:13:30.51 ID:bytUJ1OK
ガチ百合wwww
まさに性交ww誤字であって誤字でないww
>>1の有言実行に感服www


773:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:13:35.07 ID:KoLMH24D
さあ最後の安価だ。
>>1のはなむけに一発いいの頼むぜ。




779:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:14:01.23 ID:uSA168jk
そこまでイッたら愛の告白シロ

780:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:14:02.46 ID:Cv//a-yA
再び↑+↓

781:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:14:04.04 ID:miNorIcV
バナナで合体





234:~ディープだったら:後編3/13
08/11/14 23:04:35 nIQGT2CW
788:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:14:22.28 ID:4Okkan24
>>780おまwwwww
またwwwwww


789:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:14:25.37 ID:lkwep6aw
テラゴルゴwwwwww


790:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:14:30.34 ID:mine4dg7
バナナこのために持ってきたのかよwwwwww


794:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:14:37.12 ID:rzebdo36
>>779-781
神ぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!


799:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:14:54.12 ID:yAMayUri
百合だからむしろ女神じゃね。
きっとマリア様だ!!
マリア様が見てるぅぅ


800:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:14:55.12 ID:87N?lko2
恐ろしい事実に気づいた…
>>569-571と>>779-781
が同じ三人だ……


802:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:14:59.46 ID:sd2fs0sd
愛の告白して、
バナナをち●ぽに見立てて百合セッ●ス
というわけですねわかります

イってこい>>1!!!


805:1:2008/11/7(金) 17:15:10.41 ID:wAlk/mOE
おk
把握

やる

ここまであるがとう。

折れがガンダム…もとい

俺がVIPPERだッ!!!


827:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:15:49.01 ID:mowsz2s1
>>1
VIPPERの鑑だなwww




235:~ディープだったら:後編4/13
08/11/14 23:05:18 nIQGT2CW


 数分の間携帯電話になけなしの意識を傾けていたゆたかは、座ったまま這うように動いてバナナ
を房ごと手に取るとのそりと振り返ります。
 みなみも何をしていたのか携帯電話を手にしていましたが、ゆたかは特に気にせずに近づきます。
 ぽすっ…
 まるでチェリーがゆたかにしたように、ゆたかは全く減速せずにそっとみなみに身体を預けまし
た。チェリーの場合と違ってみなみの胸のあたりにゆたかの顔が当たり、そのまま重なってゆたか
はうつ伏せに、みなみは仰向けに倒れます。
「ねえみにゃみちゃん」
「…うん」
「すき」
 躊躇は、ありませんでした。
 その言葉を今口にするのは当然のこと。普段通りのおはようの挨拶と同じようなもの。
 まるでそんな作業の一つかのように、ゆたかは自然に言いました。
 顔は赤いものの、いつもの笑顔で。
 あまりにも、自然すぎました。
「……うん」
 反対にみなみは、少しだけ、瞬き一つ分ほどの間だけ沈黙を長くして返事をします。
 ゆたかは、みなみのことが好きです。
 大好きです。
 それは疑う余地のない確実な事柄でした。
 ですが、普段のそれは頭に「友達として」という言葉がつくものです。
 同じ「好き」でも恋人に向ける「好き」とは性質の違うものです。
 今のゆたかは頭にもやがかかったせいでその境が曖昧になって、友達としての好きの度合が、そ
のまま恋人へ向けるような好意と勘違いしてしまっているだけなのです。
 ゆたかはバナナを身体のすぐそばに置いて両手を自由にすると、するりとみなみの服の中にすべ
り込ませました。
「んんっ……」
 すべすべのみなみの柔肌を、スケートリンクを滑るようになめらかに撫でまわすゆたか。
 やがてたどり着いた先は、一般的な平均値よりも布面積の小さな胸当て、ブラジャーでした。
 かなり小さめのはずのブラなのに、みなみの肌との間には隙間ができています。そのため這い上
ってきたゆたかの手は、容易にその中に滑りこんでしまいました。
 さわさわと揉み…いや、その有るような無いような膨らみをさすります。
「はぁっぁ……」
 やがて指先に、二つの突起が触れました。
 ゆたかはすでにつんと尖っているその頂きを、両の手の指でつんつんと突っついてみます。
「んっ、んっ」
 その度に、みなみは切なげな声を洩らしました。
 ゆたかが胸を弄るごとに、みなみの表情に悦楽と悲哀が複雑に入り混じります。
「ゆた…か」
「あに?みなみちゃぅ?」
 喉の奥から振り絞るような声でゆたかを呼ぶと、みなみは目を細めてすっと微笑みました。
 糸のようになった目の端から、数滴のしずくを落として。

「胸、小さくて……ごめんなさい」


236:~ディープだったら:後編5/13
08/11/14 23:06:04 nIQGT2CW
 ぼやけているゆたかの脳に、衝撃が走ります。
 立ち込めた霧の中に、突然大きな槍が豪速で突き抜けたかのようでした。 
「胸無いから…触ってもあんまり面白く、ない…よね」
 微弱に震えるみなみの声が、ゆたかの心をきゅっと締め付けます。
 掲示板のことを思い出して、ゆたかの胸の中で、後悔の嵐が吹き荒れました。
 みなみが胸のことを気にしているのは、よく知っていました。それなのに、自分は掲示板にあん
なことを書いてしまった。
 スレッドのタイトルに、貧乳、絶壁。
 みなみの人物像に、ナイチチ女。
 名前を書いたわけではないし、みなみが目にするとはゆたかは思っていない。けれど、それでも
みなみのコンプレックス部分を軽く扱ってしまったという罪悪感は、ゆたかの心を直撃しました。
「そんなころないよみなみちゃん!そんなことあい!」
「……嘘」
「嘘ひゃないよ!らって…みなみちゃんのなら、どこだって好きりゃもん!」


 くちゅ、ちっ、ちゅっ、ぷちゅ…
 淫らな水音が、コトコトと弱火で煮られているカレー鍋の音に混じって響きます。
 ゆたかは床に膝立ちになると、寝転がったままのみなみの服を脱がせて、その秘部を念入りにほ
ぐしていました。
 すでにいやらしい匂いの粘液は充分に滴っていたけれど、まずは舌で粘膜同士の交流から始めま
した。
 初めてじっくりと見る他人の膣内。お互い使い込まれてない代物ではあるものの、やはり個人差
という物は厳然と存在し、自分で見るのとは違う角度で目にするそれはけっこうな感慨をゆたかに
もたらします。舌でぴちゃりと裂け目を広げるさい、むわっと湿った空気が下腹部を中心に漂って
いるのを初めて知りました。
 やがて、ゆたかは舌から指を使った行為へとエスカレートしていきます。
 最初は人差し指1本でいっぱいだったみなみの入り口には、今や人差し指と中指が入っています。
 ぬぷり……
 2本の指で丹念に、中の壁の感触を確かめてみました。
「く、ぁぅ……」
 次に引っ掻くように指を曲げ、
「っはぁ、ふぅぅっ!」
 次に入り口を拡げるように指を開き、
「ッ……!!!」
 そしてそのまま、ゆっくりと手首を180度回しました。
「ひぅっっ!?……ぃ、ぃあ――っ!」
 聴いたことの無いようなみなみの大きな声が、岩崎家の中にこだまします。


237:~ディープだったら:後編6/13
08/11/14 23:06:51 nIQGT2CW
「ゆ、ゆたか……もう、いい。もうだいじょうぶだか、ら」
 荒い息をしながら、みなみが蕩けた目でゆたかに懇願しました。
 その言葉だけだと、もう終わりにしようと言っているのか、さらに次のステップに行こうと言っ
ているのかわかりません。どちらともとれる内容です。
 ですが、今のゆたかには、後者の意味しか考えつきませんでした。
 自分の服も脱ぐと、そばに置いておいたバナナの房に手を伸ばし、そのうちの一本をもぎ取りま
す。
 そしてそれを自分の膣口に押し当てると、ぐいっと押しこみました。
 ずぷ……
「ひぎぃッ…!!」
 予想以上の痛みがゆたかを襲います。まだほんの先っぽが侵入しただけだというのに、ぼやけた
頭でも我慢できず、思わずバナナを落としてしまうほどの激痛でした。
 それもそのはず。さっきから丹念にほぐしていたのはみなみの身体で、ゆたかの方は直接触った
りは全くしていなかったのです。
 しかも初めての行為からいきなり異物を挿入するなど、あまりにもハードルが高すぎました。
 さらに仮に痛みに我慢できたとしても、青い固いバナナならともなく黄色い食べごろのバナナで
は柔らかくて使い物になりません。少しだけ入ったバナナの先端は無残にも中身が潰れ、甘くてド
ロドロした白い果汁が垂れ出ていました。
「バナナ…あるぇ。潰れちゃ…あぇ、入らな…んっ」
 先が潰れたバナナを拾い、再び股間に押しつけるゆたか。
 でも、もはやそのバナナでは一ミリたりとも中に挿れることはできず、どんどん潰れていくばか
りです。
「ゆたか……無理、しないで」
 何かに取り憑かれているかのような様子でバナナを潰し続けるゆたかを、みなみは身体を起こし
てそっと抱き締めました。
「えも、わたし…ばららでみなみちゃんと、がっらいしなきゃ」
 ゆたかは今にも眠りそうに半分閉じかけている目を虚ろに泳がせて、うわ言のように呟きます。
 ゆたかの思考能力は、目薬を入れたアルコールによって正常な機能を一時的に失っていました。
 刷り込みの要領で、まだ行動決定を選択出来ていたころの記憶に従って、まるで赤子のごとくた
だ緩慢に四肢を動かすのみです。
「ほらゆたか…こうすれば、合体できる」
 みなみはゆたかのうわ言を正確に理解したようで、ゆたかが手にしていた崩れたバナナを手放さ
せます。
 それから新たにバナナを一本もぎ取ると、ゆたかの大事なところを隠すように触れさせました。
「…う、ん…」
 ほとんど無毛でつるつるのゆたかの股間において、唯一ある突起にバナナの皮がむにっと当たり、
ぴくりと下半身を震えさせます。
 今度はバナナを体内に差し込むのではなく、ただ縦に添えているだけでした。
 これなら痛みを伴うことはありません。
 そして、脚を交差させてバナナを反対側からみなみが挟みこめば完成です。

238:~ディープだったら:後編7/13
08/11/14 23:07:41 nIQGT2CW
「く、ぁ……」
 二人の股間に挟まれたバナナは、一本目のバナナのぬめぬめとした白い残骸が潤滑油となって絶
えずわずかに動きます。その微かな動きが、接している二人の敏感な突起を存分に刺激してくれる
のでした。
 さらに、自ら動いてしまえば、摩擦力に比例して快感は増加するのは当然。
「ふ、ぁ……っ」
 意識してなのか無意識のうちになのか、ゆたかがもぞもぞと動いて自分から擦りつけ始めました。
 バナナの皮に、小さなお豆を。
 みなみの太ももに、ねっとりと上気した柔脚を。
 みなみのすらりと無駄な肉の無い腹部に、桜色の二つの蕾を。
 みなみの艶めかしく浮き出た鎖骨から首筋に、ぬらぬらと光る舌と唇を。
「ゆたか…ん、私も動く…よ」
 みなみもやがて我慢できなくなり、脚が、腕が、口が、心がゆたかを欲してじっとしてはいられ
なくなりました。
 すると二本目のバナナもぐちゃぐちゃになり、三本目のバナナを挟みこみます。
 このままではバナナを何本消費してしまうかわかったものではありませんが、下腹部から燃え上
がった熱はバナナがもったいないという精神で鎮火するにはあまりにも大きくなりすぎていました。
「ん…あ。止まらな……!」
「あ、み、みなみちゃ…す、き。しゅ、きぃ……」
 立ち込める甘い香りの中、白濁の半固形物にまみれて身体中を可能な限り密着させて擦りつけ合
う二人。
 みなみが少し身をかがめてゆたかの口が届くところに顔を寄せると、蜜に誘われる蝶のようにゆ
たかの唇はみなみの唇にむしゃぶりつきます。
 息をするのも億劫なほどに舌と舌が別の生き物かのように絡み合い、湿った音を発していました。
 バナナだった物が触れあう肌の間で立てる音。
 そして二人の上下の粘膜が奏でる音も加わり、二人の耳にはそれはそれは素敵な三重奏に聴こえ
ていました。
「あぁっ……気持ちい、ゆたか……っ!」
「あ、あ、やふ…」
 ちゅぷちゅぷちゅぷ…
 じゅぷ、じゅぷ、じゅぷっ…
 くちゅくちゅくちゅ……
「あ、だめ…も、だぇぇ……っ!」
「んっ……いい、よ。ゆた、か……我慢しないで……ぇっ!!」
「あ、はっあああぁぁ、ああああああああっーーーー……!!!!」
 
 ぞくぞくっ、という悪寒とも違う波が身体のつま先から頭頂まで駆け巡った瞬間、ゆたかの意識
は今度こそ塗りつぶされて景色も感覚もなにもかもが消えうせました。






239:~ディープだったら:後編8/13
08/11/14 23:08:23 nIQGT2CW
 ゆたかが気がついたのは、午後七時をまわってすっかり陽も落ちてしまってからでした。
「ぇ……いたッ」
 急にがばっと起きあがると、頭の奥でトライアングルを鳴らされたようなキーンという痛みが走
ります。
 その不快な頭痛に耐えながら周囲を見回すと、そこはみなみの部屋でした。ゆたかは、みなみの
ベッドに寝かされていたのです。
 なぜ自分がここで眠っていたのか。ゆたかはその経緯を思い出そうとして、意識を失う直前のこ
とをよく覚えていないことに気づきました。
 痛む頭を堪えて、順序立てて思い返してみます。
 ベジーテという野菜ジュースに似たお酒とバナナを買って、岩崎家に到着。それからカレーをみ
なみと作り始めて………
 その後の記憶は、ゆたかの脳内にほとんど残っていませんでした。
 もやのかかった、ところどころ断片的なシーンが、大量のノイズの中でぼんやりと見えるだけ。
ですが、その限界まで擦り切れたビデオテープのような脳内映像でも、ゆたかを赤面させるだけの
破壊力は備えていました。
 それは、みなみと唇を合わせているところ。
 それは、二人とも生まれたままの姿で肌を合わせているところ。

 ボンッ。

 頭の上から煙が噴き出ます。
 もちろん本当に煙が出てはいないけれど、ゆたかの頭の中で爆発的に恥ずかしさが噴き出してい
ました。
 そこに、ゆたかが目覚めたことに気がついたみなみが部屋に入ってきます。
「……ゆたか起きた?」
「みみみ、みなな、みなみちゃん!!」
 頭から布団を被って恥ずかしさを紛らわせたい気持ちを、鼻まで布団を上げる程度に抑えました。
 みなみに事の次第を尋ねてみるべきなのかも。そんな考えが浮かんできますが、わずかに頭に浮
かんだシーンに映っていたみなみを思い出すと、どうしても恥ずかしくて質問を口に出来ません。
 しかしみなみの方は、特に恥ずかしそうな様子もなく、さらりとゆたかが眠ってしまった原因ら
しいことを口にしました。

240:~ディープだったら:後編9/13
08/11/14 23:09:13 nIQGT2CW
「急にお酒なんて飲んじゃうからだよゆたか……」
「…ふぇ?」
「覚えてない?ゆたかが野菜ジュースって言って持ってきたのを味見したら、酔って寝ちゃったの
 ………あれ、後でよく見たらお酒って書いてあった」
 みなみの説明によると、お酒だと知らなかったゆたかがベジーテの味見で酔ってしまったという
ことになっていました。
 ゆたかも必死であやふやな記憶を掘り返すと、確かにベジーテを飲んでしまったような気がしま
す。
 でも、みなみの言葉とは違ってベジーテがお酒であることは知ってたのに、なんで自分が飲んで
しまったのだろう。ゆたかにはそこのところの細かい記憶までは再生できなかったので、不思議に
思いました。
 それに、その時に眠ってしまったのなら、なんでみなみと口づけをしてる記憶なんかがあるのか
わかりません。
 意を決して、直接尋ねてみます。
「ねえ、みなみちゃん…あの、私ってなんか変なこと、しなかった?」
「特には無いけど……そういえば、携帯電話で何かしてた。ふらふらなのに」
「ケータイ……ぁあ!」
 インターネットの掲示板。ゆたかはすぐにピンときました。
 自分で立てたスレッドのことを思い出し、そこに自分の行動も書き込んでいたのも思い出します。
 試しにそのスレッドを開いてみると、いつの間にか1000レス間近になっていました。
 その中から自分が書いたと思しきものを探して読んでいくと、あるところから急におかしくなっ
ています。
 主に漢字の誤変換や、平仮名自体の打ち込みミス。そういった初歩的なミスが、間違えてお酒を
飲んでしまったあとから頻発しているのです。
 それを目にすると、ゆたかはなんとなく合点がいきました。

 夢……のようなもの。

 ゆたかは、そう結論づけました。
 みなみとの艶々しい行為の記憶はきっと夢なのだと。きっと掲示板でそういうことを書いていた
ので、酔っ払い状態の脳がまだやってないことをすでに行ったことと勘違いしたんだと。おそらく
掲示板への自分の書き込みは、ベジーテを間違えて自分で飲んでしまったというところまでが事実
で、それ以降はアルコール脳が作りだした妄想だったのだと。
 そう考えないと、みなみのセリフと適合しませんでした。
 もし二人が行為に及んでいたのなら、みなみがいつも通りと変わらないなんてありえない。
 いくら沈着冷静なみなみでも、それまで普通に友達だった少女と心の準備もなしに不意に性的な
関係になったら、激しく動揺するはず。
 ゆたかはそう考え、全ては夢だったのだという結論に、たどり着いたのです。

241:~ディープだったら:後編10/13
08/11/14 23:09:57 nIQGT2CW

「ゆたか……変なことって?」
 ゆたかの思考を読むことができるのか、ちょうど考え事にけりがついたところでみなみが、少し
躊躇いがちに話しかけました。
「ん~…ちょっと変な夢を見てたみたい」
「そう…なら、いいけど」
 この瞬間、みなみがほっと息を吐きましたようにゆたかには見えました。
 みなみの表情の変化を見抜く術は世界でも五指に入るはずのゆたかです。そのゆたかにも、表情
の変化を感じ取ったわけではなかったので、気のせいだったのかもしれません。
 当のみなみは少々携帯電話をいじると、いつもの調子で口を開きました。
「そうだ。もうすぐ田村さん来るけど、動ける?」
 どうやら突発的に入ったイラスト描きの依頼を無事に終えて、ひよりがやっと到着するようです。
現時刻は七時二十分。七時ごろという予告より若干遅いけれど、ゆたかがちょうど目覚めたことを
鑑みるとベストタイミングと言えます。
「うん、だいじょうぶだよ!………あ、結局カレー作るのみなみちゃんに任せちゃってごめんね」
「ううん……………………………私のせいみたいなものだし」
「え??」
「……なんでもない。田村さんが来る前にごはんの準備しちゃおう」
 みなみに促されてベッドから出ると、ゆたかは着ている服が家を出た時と変わっていることに気
が付きました。お泊まりのために持ってきていた着替えのパジャマとも違います。というか、明ら
かにぶかぶかでした。
 みなみいわく、ゆたかが酔っぱらったときに派手にベジーテを身体にこぼしてしまったので、眠
ってる間に服を替えていたのです。目立つところは拭いたのだけれど、残り汁がついてもいいよう
にお風呂に入るまではみなみの替えを着させておこうということでした。
 確かに、布団の中にいるときはわからなかったけれど、鼻を近づけると身体中に甘い匂いが染み
ついています。
 こぼしただけで身体中についちゃったりするかな?とも思いましたが、ゆたかは深くは考えませ
んでした。
 ベジーテよりも、もっと生の果物の甘ったるい匂いだったのですが、それ以上は考えませんでし
た。




242:~ディープだったら:後編11/13
08/11/14 23:10:46 nIQGT2CW
 みなみとゆたかがてきぱきと食事の準備を整え、ひよりが到着すると、さっそく夕食の時間です。
「それじゃあ……いただきます」
「いただきまーす」
「いただきますよー。お、うま!このカレーなんか甘めだね。砂糖っていうより、自然な甘さって
 いうか」
 ゆたかが寝ている間に完成していたカレーを口に運ぶと、ひよりは感嘆の声をあげました。
「バナナ一房分使うことになって……いっぱい入ってるから。田村さん、甘いの嫌い?」
「そんなことないよ!すごい美味しいよ!こういう甘み大好き」
 みなみがバナナという単語を口にしたとき、ゆたかは頭の中に何かひっかかる感覚がしました。
 ただの夢。
 アルコールの見せた妄想だと決めたみなみとの肌のふれあい。
 それが、なぜかバナナの一語で蘇りました。
 なんでだろうと思いみなみに目を向けると、ちょうどこちらを見ていた彼女とゆたかの視線が交
錯します。
 その瞬間、正体不明の高揚感が身体の奥底から湧きあがってきました。
 みなみの顔を見ていると、なぜかどきどきと胸が高鳴ります。
 この感覚に似ている物を、彼女は知識として知っていました。
 ただ、それを自分の中に自覚したのは初めてでした。

 百合。

 それは俗世でそう呼ばれる感情でした。
 草津の湯でも治らない病のうち、女の子だけがかかる類の病です。
 ゆたかは普段みなみに対して、親友だとは思っていても恋人という視点で見てはいませんでした。
 百合とは二次元の世界での話。三次元であっても、それは遠くで伝え聞く物で自身に降りかかる
ものではないと思っていました。
 でも、たった今、百合に似た感情を持っている自分がいる。
 なぜいつもそばにいたみなみに対して、今突然意識するようになったのかはゆたかにはわかりま
せん。何がきっかけになったのか、ゆたかの今持ちうるしっかりとした記憶の中には探し出せませ
ん。それでも彼女は自分の中に、みなみへの友情とは別種の好意が存在するかもしれないという可
能性を見つけました。

 それは最終的に勘違いなのか、
 それとも本物なのか、
 どういう結論に達するのかは誰にも、
 ゆたか自身にもまだわかりません。
 ただ、そのことについて、いつか考えてみよう。
 ゆたかが頭の隅にそっと留め置くのは、小さな前進でした。

 どんな結果になるとしても。


243:~ディープだったら:後編12/13
08/11/14 23:11:46 nIQGT2CW
「そういえば、小早川さんだいじょーぶ?」
 カレーを盛ったスプーンを口に運びながら、ひよりが声をかけました。ひよりは自分が来る前に
ゆたかが倒れたと聞いていたので、ゆたかの身体を気遣ってこのことです。
 お酒を飲んで酔っ払っただけとはいえ、基本的に身体の弱いゆたかですから心配にもなります。
「うん、もうすっかりだいじょぶだよ」
 ゆたかは笑顔で応えました。
 わりとだいじょうぶじゃない時でもだいじょうぶと言ってしまう彼女ですが、今回は本当にだい
じょうぶなようでした。
 笑顔も、無理をして作っているものではありません。
 実際、飲み込んだお酒の量は少ないので、身体から抜けるのも早いのでしょう。
 むしろ大酒飲みの実姉をもちながら、目薬を混ぜた物とはいえ少しのアルコールで泥酔してしま
ったことが、ゆたかにとって残念なことでした。
 徹底的に頑健な身体を持った姉と病弱な妹。身体のサイズも正反対。その全く似ることのなかっ
た体質は、こんなところでも覆すことができなかったのだと思うと、少し寂しくもありました。
「無理しちゃ駄目だよー?小早川さんに何かあったら泉先輩にこっなこなにされちゃうよ」
 ひよりはそう言うと、頭頂部の髪の毛を一束持ってぴょんぴょんと頭の上に立たせます。
 こなたのアホ毛の真似でした。
「レバ剣げと~」
 続けて声も真似ます。
「………ぷっ」
「あはは。似てる似てる~。お姉ちゃんよく夜中にそういうこと言ってるよ」
「さすが先輩。夜行性は我々の業界では基本なんだよ」
 三人は、それぞれのスタイルで会話を楽しみました。
 ゆたかも、みなみも、ひよりも、誰ひとりとして似たタイプではない三人。
 それでも角がぶつかり合うということはなく、パズルのピースがはまり込むように自然と居心地
の良い空間を生み出しています。

 さあ、楽しい楽しい岩崎邸お泊まり会はこれからです。

 みなみ所蔵のチェリーばかりの画像集や、
 ひよりの18歳未満の閲覧をお断りしているブログの話が、
 きっとこの後にあったことでしょう。











244:~ディープだったら:後編13/13
08/11/14 23:12:29 nIQGT2CW


975:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 19:12:37.12 ID:rzebdo36
>>1も去ったみたいだし、ここも1000まで埋めて終わるか
無事百合カップルが誕生してればいいが


978:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 19:14:47.12 ID:mosk42e0
今北産業


980:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 19:14:59.45 ID:jieomapp
>>978
遅えよwww


984:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 19:15:54.12 ID:yAMayUri
>>978
百合フラグびんびんなので
それをマリア様がみてたら
結果この国の少子化がまた一歩進んだのでしためでたしめでたし


987:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 19:16:40.51 ID:bytUJ1OK
>>984
だいたいあってる


990:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 19:17:19.01 ID:VGTDY?mm
マリア様って安価の神スナイパーのことかwww
いや百合女神スナイパーかww
このスレ異常にいたからなw

もうすぐ1000だがなんか来るか?


995:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 19:17:52.28 ID:4Okkan24
そういや、
今の目薬って酒に入れても大丈夫って聞いたんだが、
どうなんだ?


999:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 19:19:17.35 ID:Cv//a-yA
999だったら
>>1が無事幸せになる


1000:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 19:19:19.24 ID:miNorIcV
計画通り









245:三毛また
08/11/14 23:14:32 nIQGT2CW
以上です。
色々気付かないとわからない不親切設計なので、伏線等一部のネタばらしを。

ゆたかID eIEnroRi + wAlk/mOE
こなたID AhOgeOta + Cv//a-yA(AhOgeOtaは前スレでレス番193氏が使ってた物と同じです)
みなみID South/AA + miNorIcV
パティID uSA168jk
IDが二つあるのはPC時とケータイ時の違いです。自分はPCがあるからケータイを定額にしないでネ

ットに繋がない派ですが、ゆーちゃん達にはケータイでがんがん掲示板に書き込んでもらいました。そう

しないと話にならないので。

昔の目薬はアルコールに反応して睡眠薬のような効果を出す成分が入ってたので、それを悪用するや

からがいました。今の目薬には使われてないそうです。でも、そもそも食べる物じゃないので良い子

は真似しちゃいけません。

ゆーちゃんがお酒に弱いのは公式じゃないです注意。

岩崎邸お泊まり会の本番は原作6巻P61~63です。
でも時期が違うかもしれませんすいません。

長くなりましたがこれにて


246:名無しさん@ピンキー
08/11/14 23:18:52 Yi7Nn8Rx
一瞬、数年前にAA系の板で蔓延してたシリア語ブラクラを思い出したがGJ
変なところで改行してあるのは何かの立て読み?

247:名無しさん@ピンキー
08/11/14 23:33:08 2I/vM+KX
まさにwwwwこの神ID’swwww蒼い三連☆wwww
ジェットストリームアタック見事性交wwww
見事な連係プレイが、ゆたかをもてあそぶwwwww
次回、「百合場ラルの脅威!」wwwwwww
うはwwwwwwwwwwおkkkwwwwwwwwwwwww

VIPPERゆたかに乾杯しつつ、>>245に惜しみないGJを!

248:名無しさん@ピンキー
08/11/14 23:35:21 9Imn22v3
>>245
み、見える。見えるぞ……!一人隠れて携帯を操作し、1000レス目のカキコを済ませた後に携帯を閉じながら楽しげで冷ややかな笑みを浮かべるみなみの姿が……!!
そして家に帰ったら帰ったで従姉に『どうだったのカナ?カナ?』と聞かれるゆたかの図が……!!

249:名無しさん@ピンキー
08/11/14 23:59:06 5pO7N/4e
>>245
エロパロスレのエロ真骨頂あざーすww

前編から読み返すと伏線バリバリですごいっすね!
パティがバイトで来れないとか、こなたもバイトで一緒にいるとか。
最後に原作に戻るのも気持ち良い!

250:名無しさん@ピンキー
08/11/15 00:41:00 BL2r7JZm
>>245
ゆーちゃんvipperだったのかwww 
エロパロの新機軸を目の当たりにしているのかも。
特にバナナシーンは反則的にエロかったです。GJ!

251:名無しさん@ピンキー
08/11/15 01:24:46 SsEawSma
>>245
VIP行ったことないけど彼女らの神っぷりが目に浮かぶようだ…!
ひよりの書き込みがないのはどうしてだ!なんて言わないからひたすら全力でGJを贈らせてもらおう!!

…神は>>245の中にいる…

252:名無しさん@ピンキー
08/11/15 01:45:57 ojl700y+
>>245
凄くえろいのに、最終的にゆたかの百合観の変化を繊細に描いてることに驚きました。
まさかゆたかが自分の百合関係に無頓着だったのが伏線になってるとは・・・
三毛またさんの作品は伏線が尋常じゃない!
構成が緻密で深くて、本気でGJです!

>>248
みなみが1000取ったのって、ゆたかがえろ展開を夢と思い込んだのを確認した直後なのでは。たぶん。

253:名無しさん@ピンキー
08/11/15 04:12:37 dWEg+rQT
すっかり騙されたよ、三人の中にひよりもいると思ってた(まさか自作自演とは)
ひよりらしいへたれさというか…
日和見というか…
よく言えば癒しポジションだね

254:名無しさん@ピンキー
08/11/15 06:57:46 WSGe0CFz
特に準備している方がいなければ、投稿します。
・8レス、非エロ。
・かがみ視点

255:you are on there!(1/8)
08/11/15 07:00:56 WSGe0CFz
 結果ではない。そこにいたるまでの過程が大切なのだ。
 そういったことはよく聞く。確かにそういうことって多いと私も思う。努力することが大切なのであって、結
果は二の次。それも大切なことだ。
 でも私はそれに反対。
 残るのは結果だけだ。どれほど努力したとしても、評価は結果のみで決まる。
 勝てば官軍負ければ賊軍といった大仰なものではないにしろ、私は世の中結果が全てだと思う。

―2月19日、午後6時30分。
 目覚ましのなる数分前には目が覚めて、寝ぼけ眼のまま立ち上がり部屋の電気を付けた。目覚ましのなる前と
いうことは、遅刻をしていないということだし、もしそんな状況であればお母さんが起こしてくれると思うから、
そういったことには気にしていない。
 つかさやこなたが言う「『目覚まし鳴ったの?』って思うことない?」というのは、まあ経験がないとは言わ
ないけれど、めったにないことだ。
 45分にセットしておいた目覚ましを、その役割を果たす前に停止ボタンを押す。
 私服に着替えて一階のリビングに向かうと、ほのかにコーヒーの香りがした。お母さんは私を見かけると「あ
ら、早いのね」と言った後挨拶をするので、私もそれに続く。
 食パンでいい? という質問に肯定で答えて私は椅子に座り込み、ぼんやりとしていた。まだ頭が覚醒してい
ないらしい。みっともない大きなあくびをして、テレビを付けているうちに、苺ジャムの缶とこんがりと黄金色
に焼けたパンが置かれていた。
「何時に家にでるの?」
「7時30分」
「そう。頑張ってね」
「うん」
 お母さんは私に微笑みかける。私は曖昧な笑いを返しながら、気を紛らわすかのようにコーヒーを口に運んだ。
 扉がきぃと申し訳なさそうに開く音がするので、私とお母さんが音がした方向に顔を向けると、お父さんが顔
をぽりぽりと掻きながら立っていた。
「あらあなた。おはよう」
 私もそれに続く。
 お父さんは寝具のままだった、
「うん。おはよう」
「パンでいいですか? ご飯、たいていなくて」
「うん、お願い」
 そういいながらお父さんは私の対面の椅子に座る。私はお父さんが腰掛けるまでの所作を無意識に見ていたが、
はっと我に返り、食事に戻った。
「……」
 お父さんは、何も言わない。数分後お父さんの前にお皿がおかれて、お母さんもその隣に座る。
 なんだかぎこちない感じだが、つかさがいないことを除けば平時と大して変わらない光景だった。普段はもう
少し会話が弾むものだが、それも頭数が一人足りないことを考えれば妥当なところだと思う。
 つかさは、多分まだ寝ていると思う。自由登校に入っており、学校に行く必要はない。それでも惰性というか、
どうしてだかわからないけど、特に何もないときはつかさ含めて学校にいっていた私だけど、それも二人して登
校できるだけだ。
 お姉ちゃん、明日何時に起きるの? と私に聞いていたから、もしかしたら私の出発に合わせて起きてくれる
のかと思ったけど、どうも体が言うことを聞かなかったらしい。それも仕方ないと思う。やめておけばいいのに
昨日まで3日連続で入試があり、やっと安心して眠れる一日なのだ。
 一月にセンター試験を受けた後、2月から多くの私立大学の入試が始まる。よく言われることであり、また私
の経験からしても3日連続で受けると本当に疲弊感がある。だから、今日はゆっくりと休んでいてね、と私は思うのだ。

256:you are on there!(2/8)
08/11/15 07:01:55 WSGe0CFz

「何時に終わるの?」
 お父さんが主語を省いて聞いてくる。私は「3時半くらいかな」と答えると、そうかと一言言った後、おもむ
ろに立ち上がり、薬箱の上からホッカイロを取り出した。
「冷えるといけないから」
 とはにかみながら言うので、私は素直に受け取る。テレビから流れるアナウンサーの音声が雑音となって響いている。
 何を言っているのかよくわからなかったけれど、「今日は午後から雪になるでしょう」といっているようだっ
た。関東一帯に雪のマークが出ている。
「あら、今日は雪が降るのね」
「そうみたいだね。今年初めてじゃないかな」
「ええ、そうね」
―雪。雪か。折りたたみ傘を鞄に入れたほうがいいかもしれない。
 前日に準備していたものを思い出す。受験票、筆記用具―鉛筆、消しゴム―、財布、定期券。それに世界
史のノート。うん、全部入っていると思う。折りたたみ傘を追加するときに確認しよう。
「受験票は持った?」
「つかさじゃないんだから、大丈夫よ」
 なんて言ってみる。お父さんは苦笑気味に、
「あの時はかがみのおかげで助かったよ。かがみが一緒に駅までいってくれなかったら、と思うとぞっとする
ね」
「別に、たいしたことじゃないけど」
 そんなことを言っていると、室温とともに空気までもが暖かくなった気がした。緊張が解れたのもそうだし、
非日常めいた私にとっての2月19日という日付を日常のものに変わっていく、そんな感覚があった。

 あの時とのことというのは、つかさの入試初日のことだ。おそらく家族なら全員心配したことを、期待通りに
つかさはした。つまり、受験票を忘れた。
 朝食のときにも言って、大丈夫だよと屈託のない笑顔を見せていたので、お父さんもお母さんも安心しきって
いたが、私はやっぱり心配だった。この子もドジっ子は筋金入りだったし、こういったことは用心してもしすぎ
ることはない。私が監督していたこともあり、この時間にでれば30分前くらいには着くだろうという時間に家を出、鷹宮駅に着いた。
 そこで念のためもう一度問いただし、鞄の中を捜せさせると案の定、というわけだ。
 走って家に戻ろうとするつかさを、ゆっくり歩いても間に合うからと制し、二人して家に踵を返す。こういっ
たところで無駄に体力を消費するべきではないと思ったからだ。

257:you are on there!(3/8)
08/11/15 07:02:44 WSGe0CFz

「じゃあそろそろ行かないと」
「ん……そうか」
「頑張ってらっしゃい」
 励ましの言葉に力ない笑顔で答えた後、玄関近くにある我が家の特有の黒電話に一瞥をやる。
「まあ、見てなさい。あんたにも絶対仕事をしてもらうんだからね」
 特に意味のない行動だ。

 扉を開けると、北風が吹き付けてきてとても寒い。晒された太ももに容赦なく吹き付ける。
 ブルブルと携帯が震えるので、歩きながら携帯を開くと、

date:2/19.7.30
message from こなた
 re:がんばってくれたまへー
「やふーかがみ。今日だっけ? かがみんのことだから寝坊なんてしていないとは思うけど、頑張ってね。私の
ほうは受験も終わったし、今年の冬には某ギャルゲーからの格闘ゲームが出ているじゃん? 相手がいなくて
ねー。かがみはいくら誘っても『あんたは……』と呆れるだけで取り合ってくれないし。
 まあ昨日からスーパー徹夜タイムだったからさ、寝るね。お休み。夢の中ででも、合格を祈ってあげるよ♪」

「こいつは……」
 メールの台詞のように苦笑気味にため息をつく。変わらないというか、こなたらしい。
 そういえばこなたの結果はまだ聞いていない気がする。結果がでたのかもわからないけど(私自身、日々に忙
殺されていたから、そこまで頭を働かせる余裕はなかった)この調子なら手ごたえはあるのだろう。
 商店街を通り、駅へ向かい、列車が通常通りに運行していることに一安心する。
 改札を抜けて駅へのプラットフォームに降りたところで私は携帯を取り出し電源を切った。
 大きく息を吸い、ゆっくりと吐き出す。
 電車の到着を告げるアナウンスが流れ、見慣れた電車が停止し、ドアが開く。それに乗り込んだとき、私は
「よし」と小さく呟いた。


258:you are on there!(4/8)
08/11/15 07:03:26 WSGe0CFz


「それでまあ、どうなのよ」
「そりゃまたざっくらばんだな」
 ……この日、教室に向かい鞄を置いて、そのままA組にくとこなたは、さっそく私に問いかける。
 私の代わりにつかさが、
「今日発表がでるんだよー、私ドキドキしちゃって……」
「別につかさのじゃないじゃん」
「でもこなちゃん、お姉ちゃんのだよ? やっぱり気になるよ」
「そりゃあ私だって? 嫁の一大事とあれば!」
「誰が嫁か!」

 2月29日。いわずと知れた、あれである。こんな日に合格発表日を設定しなくてもいいのにと思うが、とも
かく今日が私の第一志望の発表日なのである。
 つかさの発表は一足早く3日前にあった。結果は、その日の夕食が今年最大の豪華なことを告げておけば十分だろう。その主賓であるつかさが、主な食事当番だったというのはちょっとおかしな話だけど。
 こなたは思ったとおり合格していたらしく、久しぶりに(といっても1週間とかそこいらだけど)あったときも
しれっとしていた。こなたの家でもパーティーが行われたらしい。娘を溺愛している父親に元気な警察官の従兄
弟―想像に難くない。
 結局私はゆたかちゃんの「無病息災」の意味を伝えることはしなかったけど、ゆたかちゃんの思いが叶ったよ
うで嬉しい限りだ。
 本当、感謝しておきなさいよ。


259:you are on there!(4/8)
08/11/15 07:05:14 WSGe0CFz

「大丈夫ですよ、きっと。かがみさんならきっと受かっていると思います」
「あー、うん、ありがと。でもみゆきもまだなんでしょ? どうなの?」
「私のほうはちょっと心配かもしれませんね……」
「なに謙遜しているのよ。みゆきが落ちるなんてこなたがオタクをやめるくらいありえないことだわ。鯨が魚で
ないのとを同じくらい」
 ちらりとこなたをあほ毛にに視線を落としながら言う。
「ちょっ、それ例え悪すぎ!」
 すぐさまこなたの抗議が入る。
 つかさは後半の例えがよくわからなかったのか、はてなマークを浮かべていた。
「いつだっけ?」
 私がそんな二人にかまわず聞くと、3月ですと返ってきた。
「そっか。終わったら皆で遊びにいこっか」
「あーいいねーそれ。じゃああきばで―」
「ディ○ニーなんてどう? ちょっと定番だけど、私たち皆でいったことはなかったわよね?」
「あれー私の提案は華麗にスルーですかー?」
 それもいいけどまた今度でいいじゃない、と一蹴する。しぶしぶながらこなたも従い、私たちは各々知ってい
る知識を総動員して乗る乗り物についての侃々諤々、口角泡を飛ばす議論に更けた。
 最後にみゆきがパンフレットを持ってきますねといい、私もクラスに戻る。
 卒業式まではまだ数日あり、自由登校期間中に学校に来る酔狂な輩はそう多くない。一年二年の活気と比べる
と、本当に静かなものだった。
 よくわからないが私の周りにはそういう酔狂な奴ばかりだ。嬉しそうに合格を語ってぺたぺたひっついてくる
奴とか、その保護者役の奴とか。
 まったく。

260:you are on there!(6/8)
08/11/15 07:06:11 WSGe0CFz
 午後になり、数学の先生に記述の解答の添削を受けているみゆきにエールを送り、私たちは下校する。
 その帰り道、
「しかしかがみからメールこなかったら落ちてるってことだよね? なんという焦らし……」
「不吉なことを言うな」
「大丈夫だよこなちゃん。こなちゃんの祈りはきっと伝わっているよ」
「祈り?」
 耳慣れない言葉に聞き返す。
「うん、入試日……だったかな? こなちゃん、8時くらいに家に来てね、初詣―というのカナ?―にきた
んだよ。それで何しにきたの聞いてみると、『いやまあ、困ったときの神頼みというか、まあ私ぃも、こんなこ
とぐらいからしかできないからさ』っていいながら、『かがみが実力を発揮できますように……まあかがみだか
らまじめにやれば受かるだろうし常識的に考えて』って」
「ばっつかさ! 言わないでっていったのに」
 はあ……やっぱりつかさはつかさか、と肩を落とす。
 うっかり漏らしたつかさが「はぅ……ごめん」と胸の前で合掌した。
「あんた……私のために?」
「まあかがみが落ちると後味悪いしね。大して意味のない行為だと思うけど、やらないよりかはさ」
「そっか……あ、ありがとね」
「まあつかさほど熱心じゃないじゃないけど。ぶっちゃけつかさがあれだけやってれば私、無意味ですか?って
感じだったし」
 といいながらあの日のことを再現する。今度はつかさが呆然と「はう、それも秘密」という番だった。
 ふと気づく。
 てゆーか、つかさ、起きていたんだ。
 ……無理しちゃって。

261:you are on there!(7/8)
08/11/15 07:07:30 WSGe0CFz

 今時の私立大学は電話で合否を知ることができる。東京大学の合格発表日はテレビなどでもよく取り沙汰にな
っている。その発表方法である伝統的な掲示板による掲示も多いが、現地に赴かなくても特定電話番号をダイア
ルし、受験番号と生年月日を入力することでその場でわかるのだ。
 大学によってはインターネットで知ることも可能である。
 味気ないといえば味気ない。
 1時から開始。家に帰ったときは、もう2時を回る時間帯だった。
 だから、私はいつでもその結果を知ることができた。
 高まる心臓の音を抑えて、じれったい黒電話をのダイアルを何度もまわすことによって。
 逃げることもできる。明日、明後日までに入学手続きについての説明などが入った書類が送られてこなければ
―。
 やめよう。ネガティブになるのは。しばらく玄関で立ち尽くした後、受話器を取る。
 すぐにガチャリと置いた。
 まずは着替えよう。話はそれから―。

 ブルブルブルブル。
 携帯の着信音。予想だにしなかったことで、びくっと私は震えた。すぐに状況を理解し、「まったく、驚かさ
ないでよ」と軽口を叩きながら携帯を開くと、メールがきていた。

message from こなた
re:お米!
「電話で調べたんだけど、かがみおめー!」

「え?」
 信じられず、もう一度ディスプレイを覗き込んでみる。どういう意味だろう? ”おめでとう”? ……それ
は、どういう意味だ? 合格という言葉があるわけではない。
 冷静に考えろ。この場でこの意味といったら、ひとつしかないはずだ。
 踵を返す。再び鞄から受験票を取り出す。受験番号は暗唱できると思う。心の中で想起した数字と、受験票に
書かれている数字が正しいことを確認する。
 じれったい。今日ほど家の電話がどこの過程にもあるようなものであったらな、と思ったことはない。携帯電
話という選択肢を考えるほど心に余裕はなかった。
「こちらは受験案内です。合格番号の参照を希望される方は1を―」

―確かに、その機械は告げていた。
 私は階段を一段飛ばしで駆け上がり、つかさの部屋に赴いた。ノックをして、つかさの「どうぞ」という声を
聞くのも待ち遠しい。入るなり私は第一声を発する。
「つかさ、受かったよ! 私、受かった!」


262:you are on there!(8/8)
08/11/15 07:09:37 WSGe0CFz
 その日のことは、あまり覚えていない。
 3日前と同じくらいの豪勢な食事に、「体重、死なないで」と日本語として怪しい言葉を吐きつつもせっせと
口に運ぶ。お父さんはシャンパンを何本も用意していたらしく、私やつかさにまでそれを注ぐ。
「今日だけだよ」
 と笑いながら。ただし、私たちは一杯飲んだだけで、後はほとんど姉さんやお母さん達のお腹に納まったから、
ほとんど酔うということはなかった。
 賑やかに談笑する家族に、感涙のせいか咽び泣くつかさ。
 ちなみに、その後だ。気づいたことがあった。ごく少量のアルコールが、夢見たいな現実において私を冷静に
させる安定剤代わりになったらしい。
 ……私は、こなたに受験番号なんて教えていない。

 夕飯を食べ終え、自宅に放置した携帯を開くとまたメールが来ていた。誰からかは予想するまでもない。メー
ルは2件。みゆきとこなたから。
 みゆきの丁寧な祝福メールに「ありがとう」という趣旨のメールを返信し、こなたのを見た。

messege from こなた
re:(=ω=.)
「いや~よかったよかった。あれで落ちてたら私どうなるかとさ。あーかがみ、実はさ、私見ていないんだ。て
ゆーか受験番号聞いていないからわからかったよ。てへ☆
 まあかがみのことだから理由を知りたいだろうから、こうしてメールを送ったのだよ。某漫画だと『落ちた』
というネタだったから私は『受かった』というネタにしようと。ただそれだけです。
 ごめんなさい><」

 ……。
 ひとつ言える事は。と前置きをし、苦笑する。
「遊園地にいったときは、覚えていなさいよ?」


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch