☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第88話☆at EROPARO
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第88話☆ - 暇つぶし2ch250:仲良くしましょ?
08/11/10 01:22:52 /NaxjtEo
さて、一方勘違いから飛び出していったフェイトはと云うと。

「・・・ エリオにキャロを任せるなんて・・でも年齢は関係ないし・・・・イヤでもキャロに痛い思いをさせるのは・・・
だけど好きあっているんだろうし・・・でもまだ10歳は・・・こういう時どうしたらいいと思いますかお父さん」

ベッドの縁に腰掛けて、両腕に抱いた、なんだかよくわからないヌイグルミに向かってブツブツと呟いていた。
本人はバルディッシュに語りかけているつもりなのかも知れないが、ひょっとして恋人のつもりなのかもしれず、
とにかくその双眸はどこまでも虚ろであり、

「・・・9歳でも20歳のモノは入るし・・・エリオのパオーンくらいなら・・・」

「ねえねえザッフィー、フェイトママから変なオーラでてるよー?」
「しっ、見るなヴィヴィオ。あちらの方で眠るぞ」

その日からの2、3日、仕事中以外は非常に鬱陶しい存在であった。

251:63スレ390
08/11/10 01:27:33 /NaxjtEo
投下終了です。

靴下の続きが文章が思い通りに行かず、時間だけが過ぎていきました。
なのはさんの性格が悪魔なのは仕様。

スバルの足がせっかく匂うのに興奮できる様な話でなくて本当にすみません。

252:名無しさん@ピンキー
08/11/10 01:28:57 2/O5nXUR
投下乙。
馬鹿な子達だなおいwww

しかし投下間隔が長すぎるぞ。
書きながら投下だったりしたら止めたほうが良いぜ。

253:名無しさん@ピンキー
08/11/10 01:29:56 olkFP/jg
なるほど、このフェイトの相手は恭也か

254:名無しさん@ピンキー
08/11/10 02:04:26 KAyxHXU/
>>252
これくらいの投下間隔なら大して問題ないよ
どうせ投下なかったら書き込みないか下らない雑談なんだし

255:名無しさん@ピンキー
08/11/10 02:49:47 2yA+SeHP
吹いたwwww

これはヒドイ!
(特に某保護者が)

256:名無しさん@ピンキー
08/11/10 06:25:42 WwZFUsRL
フェイト…
つくづく日常生活ではダメなヤツだなwwww
鬱陶しい存在wwww

257:名無しさん@ピンキー
08/11/10 07:40:28 i5zVQBqi
>>251
忍ちゃんにバレた時に色々と吸いつくされて、その結果雫ちゃんができたんですね、わかります。>恭ちゃん
でももしフェイトの相手が恭也だったら、とらハ2の耕ちゃん以上のダメ人間と化してるな。
ハッ、もしかして同時期にすずかやアリサも毒牙にかかったのd(ry

258:名無しさん@ピンキー
08/11/10 16:22:22 JZ/Sn5ab
セッテやオットーがノーヴェたちより若いナンバーなのってどうしてか説明されてるっけ?

259:名無しさん@ピンキー
08/11/10 16:33:02 yM2RzYlf
>>258
ナンバー=完成順ではなく開発を開始した順、でおkだったはず

260:名無しさん@ピンキー
08/11/10 16:41:30 JZ/Sn5ab
>>259
有難う、参考にする

261:名無しさん@ピンキー
08/11/10 20:58:02 RhLAJyXk
>>199
Gj!
これはドライのヤンデレフラグONか
独占欲強くてユニゾンできると嫌な予感しかしない
でもそこがまたいい
夢の中とかで暗示をかけ続けるとか…

>>221
Gj!
エリオなのはコピーはもう完全に命の大切さとかわかってないな
それだから冷酷にあそこまで行動できるのかと思う
エリオには妻二人頑張って守って欲しいもんだ


262:名無しさん@ピンキー
08/11/10 22:22:02 LN4M3ZIt
流れぶった切って申し訳ないが、Wikiを編集できる方がいたら
編集して欲しいんですが誰かできる方いますか?

263:名無しさん@ピンキー
08/11/10 22:37:29 b6G8fVwJ
最近来た人かな?修正なら、保管庫を手伝っているひとたちが今
リアルタイムで見ていなかったとしても、書きこんでおけば対応してくれるよ

264:69スレ264
08/11/10 22:37:45 cCiFL5Hy
>>262
訂正ですか?

265:名無しさん@ピンキー
08/11/10 23:03:02 XK9a0gJy
>>221
GJです
フェイトクローンとはやてクローンは自軍の勝利のために命を捨てるか
なのはクローンはそのために仲間を殺すのか…エリオクローンはルーテシアのために行動を?
4人とも何も考えてないのか、それとも何を考えて行動しているのか気になるところです。

266:名無しさん@ピンキー
08/11/10 23:56:26 XK9a0gJy
>>250
GJです
フェイトさんアフォスw
でもその勘違いっぷりが彼女の魅力なんだ
てかエリキャロ達も何やってんだと。

267:アルカディア ◆vyCuygcBYc
08/11/11 00:27:42 wmdfEWxq
悪ノリして妄想電波だった筈のものを執筆してしまったのですが、投下しても良いですか?

268:名無しさん@ピンキー
08/11/11 00:29:46 O2zgmriP
まったく構いませんどうぞ!!!

269:名無しさん@ピンキー
08/11/11 00:30:01 Bzv6I2HL
阻む者など誰もいない。
どうかしてくださいませ。

270:アルカディア ◆vyCuygcBYc
08/11/11 00:42:22 wmdfEWxq
「どっちが大人」

注・以前受信した電波小ネタだったのですが、
ておあー氏、B・A氏の両氏が形にして下さったもの読んでいる内に自分も書いてみたくなったので、衝動的に書いてしまいました。
87スレに両氏の素晴らしい作品が御座いますので、未読の方は是非一度読まれてみては如何でしょうか?

(リイン×アギト)+エリオ の和姦エロ、ちょっぴり変態チックかも知れません。

ておあー氏、B・A氏両氏に無限の感謝と共にこのSSを捧げます。


271:どっちが大人!? 1 ◆vyCuygcBYc
08/11/11 00:44:02 wmdfEWxq
「アギト、おはようですぅ」

 とある早朝。
 眠い眼を擦りながら、ふよふよと六課の隊舎を漂っていたアギトは、背後からそんな挨拶を聞いた。

「なんだ、バッテンチビか。おはよーさん……え?」

 振り向いた背後には、そこに在るべき自分と同じ30㎝サイズの少女の姿が無かった。
 そこに居たのは、機動六課の制服をサイズぴったりに着こなし、地に足をつけた等身大のリインフォースⅡ空曹長だ。
 目を点にして、ぱくぱくと口を動かすアギトに、リインは胸を張って告げた。

「ふふ~ん。これからはやてちゃんのお使いで、ちょっと海鳴にまで行ってくるですぅ!
 これで、もうバッテンチビなんて言わせないですよう!」
「けっ、ちょっと変身魔法使ってるだけだろ! あたしにその程度が出来ないと思ってんのかよ!
 ――変・身・!」

 アギトの体が光に包まれ、たちまち彼女も等身大の姿へと変化した。

「へへ~ん、あたしの方がちょっぴり背が高いぜ!
 変身魔法程度で大威張りなんで、やっぱりお前はガキんちょだな、バッテンチビ!」
「そんなことないでぅ! リインはもう立派な大人ですぅ!」

 そんな、いつもと同じ喧々諤々をやっていると、背後から「うわっ」という驚愕の声が響いた。

「ア、アギトさん、なんて格好してるんですか――」

 ビキニ水着を連想させるアギトの格好は、等身大となった今、扇情的な小悪魔の衣装だ。
 顔を真っ赤にして目を背けながら、ちらちらと横目でその姿を伺っているのは。
 朝立ちを鎮めようとこっそりと男子便所へと向かおうとしていた、エリオ・モンディアル少年(10)だ。

「どうだ、バッテンチビ。あたしの方が大人の魅力に溢れてるってことだろ、これは?」
「ち、違いますぅ! アギトはただHな格好をしてるだけるだけですぅ!
 リインは知ってるですよ! 本当の大人は、こんなことが出来る人のことを言うですぅ!」

 リインは控えめな少年の股間の隆起に手を伸ばし、無遠慮に鷲掴みにした。
 エリオが大きく背筋を仰け反らせる。

「ほ~ら、エリオもおちんちんをこんなに大きくしちゃってるです。リインの魅力の力ですよ~」
「おい、馬鹿チビ、元から勃ってるもんをただ掴んだだけじゃねーか! 
 それにそれ……エリオ、痛がってねーか……?」
「ぅぅぅ、リインさん、痛い、痛いですよぅ、お願いですから放して下さいぃぃ――」

 涙目のエリオの股間をリインが手放すと、握り撫された花のようにしおしおと萎えてしまった。
 アギトは、普段の彼女からは想像もつかない程優しげに、エリオを抱きしめその頭を撫でた。

「よしよし、エリオ。乱暴されて痛かっただろう。すぐに痛くないようにしてやるからな」

 そう言って、エリオのパジャマを静かに下ろし、健康そうな白いブリーフに手を掛ける。
 そして、手荒く握られたエリオ自身にそっと手を添え、壊れ物を扱うように丁寧に口に含んだ。

「アギトさん何を――」
「昔からな、痛いところは舐めてやるのが一番なんだよ」

 母犬が子犬の傷口を舐めるように、慈愛を篭めてアギトはエリオの陰茎を口の中で転がした。
 アギトが自分の前に跪き、自分の秘所をしゃぶるっている光景は、あまりに倒錯的過ぎてエリオは身震いした。
 扇情的なアギトの姿と、股間の蕩けそうに熱い感触に、幼さを残すエリオの性器が再び固さを取り戻す。
 アギトは涎の糸を垂らしながらエリオのペニスから口を放すと、リインに流し目を送り、ふふんと鼻で嗤った。
 屈辱で、リインの顔が真っ赤になる。
 彼女はアギトを肩で押しのけ、エリオの前に立った。

272:どっちが大人!? 2 ◆vyCuygcBYc
08/11/11 00:46:11 wmdfEWxq
「アギト、交代ですぅ!!」
「お、……おぉ!?」
「エリオ、痛くしちゃってごめんなさいですぅ。リイン、つい手に力が入っちゃったですう。
 お詫びに、エリオのここをキレイキレイして上げるですぅ!」

 リインはポケットから濡れティッシュを取り出し、アギトの唾液で濡れぼそったエリオのペニスを丁寧に包み込んだ。
 そのまま、まだ包皮の被った亀頭を露出させ、丁寧にしごくように拭き始めた。

「う、あぁぁぁ――」

 エリオが未知の感覚に声を体を捩って声を上げる。
 
「はい、キレイキレイしましょうね~~☆」

 アルコール分を含んだ濡れティッシュの冷んやりとした感触に、エリオは身悶えする。
 アギトの奉仕で既に限界まで高められていた性感が、堤を崩すように決壊した。

「駄目ですよリインさん、僕、もう、もうっ……――つっ」

 恥ずかしさに涙目になりながら、押し殺した声を上げながらエリオは射精した。
 エリオの熱い白濁が、すぐ側に近づけていたリインの顔に降り注ぐ。
 リインは快楽の余韻に腰を痙攣させるエリオを見つめ、白濁液で汚れた顔に勝ち誇った笑顔を浮かべた。

「どーですかアギト! しゃせーしちゃたということは、男の子が一番気持ち良くなったということですぅ。
 つまり、これはリインの方がセクシーな大人の女だということですぅ!」
「馬鹿言ってんじゃねえ! あたしが全部お膳立てしてやったところを、お前が最後の旨いとこだけかっさらったんだろーが!
 エリオをイかせたのは全部あたしの魅力、デザートのイチゴをつまみ食いした位でいい気になるんじゃねえ!」

 二人は、隊舎の廊下で下半身を丸出しにしたままのエリオを放置したまま喧々諤々と言い争いを続けている。 
 エリオは誰か人が来ないかと気が気ではない。

「むぅぅ! リインもう怒ったですよ! こうなったらどっちが大人の女か勝負です!
 リイン一人でもエリオをメロメロに出来ることを教えて上げるです!」 
「いいぜ、バッテンチビ、その勝負受けて立ってやる! おい、エリオ、お前の部屋に案内しろよ。決着はベッドの上だ」
「は、はいい」

 エリオは怒涛の展開について行けず、ただ真っ赤な顔をぶんぶんと縦に振った。
 そして三人はスズメの鳴く爽やかな早朝、ドロドロの乱交へと突入した。

「さぁエリオ、リインお姉さんが気持ちよくしてあげますですからね~」

 問答無用で裸にひん剥いてベッドに転がしたエリオの側で、リインは嫣然と微笑む。
 彼女は機動六課の制服を脱ぎ捨て、全裸になって這うようにしてエリオにしな垂れかかった。
 
「ふふ、可愛い。照れちゃってるですね、エリオは。好きなだけ見ていいですよう」

 エリオは生唾を飲む。全裸になったリインの体は――ぺったんこだった。
 以前海鳴に行ったときに温泉で見たスバルやティアナ、ましてはなのはやフェイトには到底及ぶべくも無い幼児体型。
 辛うじて、キャロと同じ程度だろうか? 
 ぺったんこだったが……美しかった。
 なだらかな胸、ぺったりしたお腹からつるつるの下腹部にかけての緩やかな曲線。
 肉の薄い肌に幽かに浮き出た肋骨と、天使の翼のような肩甲骨が艶めかしい。
 エリオより背の高い大人の女性にあるような威圧感が彼女にはなく、どうしようも無く少年の興奮を誘った。

(ふん、一気に全部脱いじまう所がそもそも甘めぇんだよ。靴下ぐらい残しときゃいいのに)
 
 などとアギトは考えていたりする。
 リインは茹で上がったようなエリオの顔を抱きしめると、そのまま騎乗位の姿勢に跨った。
 初めて見る少女の全裸と、柔肌の感触に再びエリオは痛い程勃起している。

273:どっちが大人!? 3 ◆vyCuygcBYc
08/11/11 00:48:37 wmdfEWxq
「ぜ~んぶ任せて下さいですよぅ~ いっぱい気持ちよくさせてあげますですからね~♪」

 リインは、エリオ自身を握り締め、前戯も無しにいきなり己の内に導こうとした。
 だが、固く閉じた未発達なリインの割れ目には、エリオの控えめなペニスをしても大きすぎた。
 入れようとする度、つるり、つるり、と滑って横に逸れてしまう。

「あれ? あれれ? ……ちょっと待ってて下さいですよ、すぐ気持ちよくさせてあげますですからね」

 何度も繰り返すが、エリオのペニスは一向にリインの中に収まる気配が無い。
 幾度もエリオのペニスを秘所へと擦りつけていく内に、焦りでリインの鼓動は早まり、首筋を汗が伝う。
 アギトが横でニヤニヤと観戦しているのを見て、羞恥で顔が赤くなる。いや、彼女の顔が赤いのは羞恥と焦燥だけでは無かった。
 リインの秘所に擦り合わされるエリオのペニスの先端は、自身の先走りとは異なる粘液でぬめりを帯び始めていた。

「んっ、んふっ、何で? ……何で入ってくれないですかぁっ!? んんんんんっ――」

 涙目で、必死にエリオの上で腰を動かすリインの姿は、まるで深く交わっているようだった。
 アギトが頭を掻く。

「ったく、見てられやしねぇな」

 悪戦苦闘するリインを、アギトは突如背後から羽交い絞めにした。
 
「ふぁ……? な、何するですかアギト!? 今はリインの番ですよ!」
「ふん、このままじゃ何時まで経ってもあたしの番が回ってきそうに無いからな。特別に手伝ってやるよ」
「お手伝いなんていらないです! リインは独りでも立派に――ふああああっ!」

 アギトが指先で未発達なリインの乳首を、抓るようにして揉んだ。
 もう片方の腕を絡みつかせるようにして、リインの秘所に添えて、その上端の小さな陰核を転がす。
 長く紅い舌で項の生え際をゆっくり舐め上げ、耳の後ろに吸い付いた。

「あ、あ、あ、、あ、―――――」
「いいだろ? 人の親切は素直に受け取るもんだぜ」
「は、はひぃ――」

 リインの全身を隈なく愛撫しながら、耳に息を吹き込むようにそっと囁く。
 その様は、文字通りの悪魔の囁きだ。
 二人の少女が白い肉体を絡ませ合う淫靡な光景に、エリオは唾を飲む。
 アギトは暗闇で足元を探るように指を弄らせる。その指の動きに呼応するように、リインの肉体が跳ねる。
 リインの秘所に差し込んでいた指を僅かに動かしたとき、リインの喘ぐ声が一オクターブ上がり、短く痙攣するように腰が跳ねた。
 アギトの口元が三日月のように吊り上る。

「あ、――あぎと、ダメ、そこはダメですぅ――」
「お前、判り易い過ぎだぜバッテンチビ。大人の女ってのはよ、もっと悠然としてるもんじゃねえのかよぅ!」
「ふあああああああああぁぁあぁっ」

 リインは腰を上げ、爪先立ちになってアギトの愛撫に耐えた。
 アギトの腕は、肘までもリインの愛液でべとついている。

「仕方がねえ奴だなあ、まったく。ほら、もう十分過ぎるくらい頃合いだろうよ」

 アギトが中指と人差し指で、器用にリインの秘所を開いた。
 ぱっくりと開いたリインの秘所はほころび始めた花のようだった。控え目なだった割れ目はその蕾を開き、しとどに潤った薄紅色を覗かせている。
 リインはゆっくりと腰を下ろす。リインの秘部は、あれ程困難だったのが嘘のようにあっさりとエリオ自身を飲み込んだ。
 びくりとエリオの背筋が震える。だが、リインの反応はそれ以上に顕著だった。

「あ、あああっ、しんじゃう……しんじゃいますぅ~~!!」

274:どっちが大人!? 4 ◆vyCuygcBYc
08/11/11 00:50:42 wmdfEWxq
 だらしなく涎を垂らし、髪を振り乱し身を捩りながら、少女はよがり狂っていた。
 アギトの愛撫は尚も続いている。リインは理性の許容量を超えた快楽に、本能的な恐怖を感じて逃げようとするが、アギトは決して離さない。
 絶え間なく乳首を、首筋を弄い、接合部分から顔を出した赤く腫れた陰核を転がし続けた。 
 次第にリインの目が虚ろになり、天を仰ぐように舌を出して喘ぎ始めた。

「――気持ちいいか? バッテンチビ」
「は、はひ、きもちいひれす……」
「イきたいか?」
「はひ、いかへてくらさいれす……」

 全身をびくびくと痙攣させながら、リインは胡乱な表情で答えた。
 アギトは破顔する。

「おらっ、ならイけよ! 盛大にイきやがれっ!」
「ふあぁああぁっ! はひ、イきますぅ! イっちゃいますですぅぅぅぅっ!」

 身を乗り出すようにして、激しくリインは達した。
 ゆっくりとエリオとの結合部が糸を引いて離れる。エリオは未だ達していないにも関わらず、その男根は白い粘液でべっとりと汚れていた。
 リインは息を荒げながら絶頂の余韻に酔いしれ、ベッドに横になった。
 エリオの性器は未だ剛直を保ったままだ。
 性欲は臨界まで高まってしまっているのに、それをぶつけるべき相手は自分だけ満足してベッドに転がってしまった。
 不公平感と、射精できない居心地の悪さでエリオの下腹の奥がとぐろを巻くように疼く。

「あの、僕、僕……」
「解ってるって、エリオ。あたしは、我慢できずに一人でイっちまったあっちのチビとは違うぜ?
 たっぷり楽しませてやるから覚悟しとけ」

 赤い舌で、ちろりと唇を舐め上げる。その頬は上気し、心なしか呼吸も早まっているようだ。
 アギトは四つん這いの姿勢で器用に身に纏った服を脱ぎながら、エリオを再びベッドへと押し倒す。
 リインを弄いながら己も興奮したのか、彼女の秘所からは透明な蜜が内股を伝って垂れ落ちていた。
 
「ほら、触りたいか――好きなように触っていいんだぞ」

 黒いブラをずらしながら上目遣いで見つめるアギトの視線は蠱惑的で、その魔性に引き寄せるられるようにエリオは手を伸ばす。
 恐る恐るブラをずらして触れた肌は滑らかで、それでいてぷにぷにと指が沈む心地よい柔らかさがあった。
 指先をずらすと、隆起した乳首に指に引っかかる。つるりと平坦な幼い胸板だが、リインより僅かに膨らみを帯びている。
 エリオは熱病に憑かれたようにアギトの体を弄った。
 その指は、徐々に胸から下腹部へと滑り落ちていく。
 おずおずと、少年にとって最も秘された部分へと指を伸ばす。
 リインの一方的な行為は快楽こそあったが、体勢的にその部分をはっきりと見ることが出来なかったのだ。
 ――口を開いたアギトのそこは、粘液でてらてらと光り、食虫花のような妖しさでエリオを誘っていた。
 エリオは、抗し難い磁力に引かれてその洞に指を挿し入れる。
 ……熱を帯びた吐息と共にアギトの腰が跳ねた。抜き取ったエリオの指は、熱い蜜でべったりと濡れていた。
 射精に到れず、押さえつけられた情動が鎌首を擡げる。

「さあ――来いよ」
 
 アギトは四つん這いになって、エリオに向けて腰を突き出した。獣の姿勢。
 白い背筋に黒い翼と尻尾を生やしたその裸身は、正に悪魔の誘惑そのものだった。
 エリオは夢中でその腰を掴み、その秘所に己の分身を突きこもうとして――動きを止めた。
 否、動きを止められていた。

「……アギト、リインにあんなイジワルして、ただで済むと思わないで下さいですよ~」

 エリオとアギトを、リインがバインドで縛って固定していた。
 アギトは四つん這いで腰を突き出した姿勢のまま、エリオは今正に挿入せんとした姿勢のままである。
 エリオのペニスの先端は、アギトの裡に入るか入らないかの位置で止められている。

275:どっちが大人!? 5 ◆vyCuygcBYc
08/11/11 00:52:36 wmdfEWxq
「おいこらバッテンチビ、何しやがる、放しやがれ!!」
「んふふ~、いい子にしてれば二人とも気持ちよくしてあげるですよ~」

 リインは邪気の無い笑顔でにっこりと微笑む。
 そうして、リインは先ほど自分がされた通りにアギトをねぶり始めた。
 耳元を食み、胸を弄り、陰核を弾く。

「やめろっ、んっ、やっ、あああぅぅ――やめろよぉ――」

 制止の声から勢いが失せ、次第に嬌声へと変わっていく。

「まだまだですぅ。こんなものじゃ済ましませんですよ~」

 リインはアギトの尻尾を握って、上へと引っ張り上げた。獣のような四つん這いのアギトは、必然として腰を高く上げることになる。
 その臀部からは、秘所も、尻穴も丸見えの状態だった。

「放せっ、放せようっ~~~~~~」
「お尻の穴まで丸出しだなんで、恥ずかしいですねアギトは。お仕置きしてあげますです」
「――あぅぅぅっ」

 リインは白魚のような指をアギトの後ろの穴に差し入れた。そのままくにくにと、芋虫が這うような緩慢な動きで中を弄り回す。
 アギトは顔を真っ赤にして、羞恥と快楽に耐えた。こんな仕打ちを受けて嬌声を漏らすなんて、彼女のプライドが許さない。

「気持ちイイですか? アギト」

 ふっ、と耳に息を吹き込みながらリインが囁く。

「――っ! ――っ!」

 アギトは必死になって首を振り、それを否定した。

「ふうん、まだ足りませんかぁ。ここは洪水みたいになってるのに、アギトは天邪鬼さんですぅ」

 リインは指を二本に増やし、激しく中を掻き混ぜた。

「うわぁあぁ、あふうぅ――」

 アギトは必死で体を捩じらせて快楽に抗おうとするが、全身を縛るバインドがそれを許さない。
 遂には、涙目にリインに懇願した。

「やめろよっ――頼むから、止めてくれよっ、これ以上されたら――」
「リインも鬼じゃありません。そこまで言うなら止めて上げますです」

 拍子抜けする程あっさりと、リインはアギトを愛撫する指を止めた。
 エリオと繋がるか繋がらないか、という距離で、バインドに縛られたまま放置される。

「あ――」

 アギトは青ざめた。昂ぶった性感が、疼いて仕方ない。エリオの肉棒が欲しくて堪らない。
 勿論、そんなことを口に出すわけにも行かず、挿入するわけでも無い浅い性器の接触に歯噛みする。 
 ……もう少し深く繋がれないものかと、もぞりと腰を動かすも、挿入の深度は変わらない。
 しかし、表面を撫でるような接触は、確実にアギトの性感を昂ぶらせる。
 もぞり、もぞりと、もの欲しげに腰を動かすが、エリオの一物は一向に中に入って来てはくれない。

「うううううぅうぅぅぅぅっ――」

 アギトは涙目でリインを睨みつけるが、リインはそれを涼しい顔で受け流す。
 そうこうしている間に、アギトの情欲は烈火の如く燃え上がっていく。
 欲しい。今すぐにぶち込んで、滅茶苦茶に掻き混ぜて欲しい。そうでもしないと、気が狂ってしまいそうだった。

276:どっちが大人!? 6 ◆vyCuygcBYc
08/11/11 00:54:04 wmdfEWxq
 リインが不敵な笑みを浮かべる。

「あれあれ? 大丈夫ですかアギト? お顔が真っ赤になってますですよ?
 まさか、エリオのおちんちんが欲しくて堪らないんですか? 
 アギトは大人の女なんですから、男の子のおちんちんを欲しがるなんて、有り得ないですよね?
 でも、もしそうなっても、リインは優しいからアギトを責めたりしないです。誰しも、失敗はあるですから。
 『おちんちんが欲しくて我慢できない、エッチな子供のわたしのおまんこに、どうかおちんちんを入れて下さい』
 って言えば、許してあげるですよ?」
「~~~~~~~~~っ!!!」

 羞恥と屈辱で顔が真っ赤になる。だが、このままお預けを食らえば、頭がおかしくなりそうだ。
 アギトは逡巡し―――唇を噛み、もう一度リインを睨んでから、地を向いてぼそぼそと呟いた。

「……おちんち…が欲しくて……できない、…っちな…供のあたしの……んこに――」
「声が小さくて聞こえないですぅ」
「――下さい! チンポが欲しくて我慢出来ない、Hなあたしのおまんこに、どうかチンポをぶち込んで下さい!!」
「……良く出来ましたですぅ」

 リインは華のような笑顔を浮かべて、バインドを一部だけ自由にした。
 エリオのペニスが一気に秘所へと突き立てられる。
 おあずけを食らっていたのはアギトだけではない、散々焦らされたのは、エリオも同じだった。

「っ、アギトさんっっっ!!!」
「っはああああああぁぁっ!!!」

 獣のように激しく交わる二人をリインは愛でるように見つめた。

「ああ、んぁっ、くぅうぅぅ、深いっっ――」
「う、ああ、で、出る……うああぁ、あっ……」
 
 交わらずとも、二人の性感は既に限界まで高められた。射精と絶頂は迅速だった。

「イク、あたし、イッちゃ――ふああぁぁああぁぁっ!」

 ベッドの上で重なり合うように倒れた二人は――二人ではない、ベッドの上に倒れたのはエリオ一人。
 アギトの姿が無い。

「あれ、アギトどこに行っちゃったですか?」
「――ここだよ」

 リインが振り向いたのと、元のサイズに戻ったアギトがリインを縛り返したのは同時だった。
 アギトは、穏やかな笑みをその顔に浮かべている。無論、その胸中では巨大な憤怒が渦を巻いているのは言うまでも無い。
 
「当然、今度はお前の番だよな? バッテンチビ」
「今はアギトの方がおチビさんですぅ!」
「そんな減らず口を叩いてられるのも今のうちだぜ。さっきの借りはたっぷりとさせてもらう。覚悟しとけ」

 アギトはリインを大股開きの姿勢に固定すると、その花弁に己の腕を突き入れた。
 互いのサイズが同じでは決して成し得なかった筈のフィストファック。
 無論、腕はペニスより遥かに精密で細緻な動きが可能だ。これだけサイズ差があるなら尚更である。
 先ほどリインの急所は確認済みである。片腕を膣内で激しく踊らせながら、もう片腕で陰核を弄る。
 小さな手が自分の中を動き回る感触は、リインにとって全く未知の快楽だった。

277:どっちが大人!? 7 ◆vyCuygcBYc
08/11/11 00:56:21 wmdfEWxq
「ううあああ……ああぁああ、ダメですぅ、ダメですぅ――」

 白目を剥いて腰を痙攣させるリインの挙措に、快楽以外のものが混じった。
 ぶるりと腰が震えた。

「タイム、タイムですぅ――気持ち良過ぎて、おしっこもれちゃうですぅ……」

 アギトの口が三日月のように吊り上る。

「いいこと思いついた、エリオ、バッテンチビをこうして抱き上げろ」

 拒否することを許さない厳しい口調の命令に、エリオはリインを抱き上げた。
 その姿勢は、母親が子供におしっこをさせる際のそれだった。
 リインの顔は羞恥に真っ赤になり、足をばたつかせるも、バインドは外れない。

「漏らしちゃっていいぜ。あたしは大人だからな、子供が小便もらした位じゃ怒らないからよ」
「いやですぅ! リインはお漏らししたりしないですぅ!」
「こーしちまえば問答無用だ。ほら、漏らしちまえよ」

 アギトは腰を震わせて尿意に耐えているリインの尿道を激しく攻め立てた。

「ああっ、ダメダメダメですぅぅぅうぅ~~~~」

 ちょろちょろと、黄金色の液体が放物線を描いて流れ出した。

「し~~~~~、しッしッ~~~~。しぃ~~~~~」

 おしっこポーズのまま失禁するリインを、アギトはにやにやと眺める。
 リインは子供のようにぐすぐすと泣き出してしまった。

「ひどいですぅ! ひどいですぅ!!」

 その姿も、するすると元の原寸大に戻っていく。
 エリオはリインの痴態に背徳的なエロスを感じ、再びその剛直をいきり立たせていた。
 リインは涙ぐみながら、その小さな姿に対比すれば大柱程もあるエリオのペニスに抱きついた。

「こうなったら、絶対にリインの方が大人だって証明してやるですぅ!」
「ああっ、小便漏らしながらまだそんな事言いやがるか!」

 アギトも、反対側からエリオのペニスに抱きついた。
 そのまま、二人で競うようにエリオのペニスに腰を擦りつけ始めた。

278:どっちが大人!? 8 ◆vyCuygcBYc
08/11/11 00:57:15 wmdfEWxq
「ほらっ、早くイけよ、リイン」
「アギトこそ、早くイくですぅ」

 見れば見るだに、倒錯的な光景だった。方や妖精のようなリインと方や小悪魔のようなアギト。
 二人とも、ファンタジーの世界を思わせる姿形をしているにも関わらず、現実的過ぎる肉欲の具現であるペニスに抱きついて悶えている。
 エリオは、小さな少女二人にペニスに抱きつかれ、擦り上げられるという奇妙な快楽に背筋を引き攣らせて耐えた。

「もっと、もっとですぅ」
「おまえこそ、もっとだ、リイン――」

 競うようにして腰を擦り付けていた二人は、何時しかエリオのペニス越しに指を絡ませ、同じリズムで腰を動かしている。
 二人の嬌声の奏でる音色と、腰を動かすリズム。重なり合い、響きあい、エリオの性感を高めていく。

「くっ、もう、うわぁあぁぁあぁ――」
「あたしもイく――」
「リインもイっちゃいますぅ――」
「「「―――――くふぅ、ああぁぁあっぁあぁぁっ!!!」」」

 三人は同時に達し、エリオの白い精液が二人の融合騎の頭から雨のように降り注いだ。
 今度こそ本当に、全ての体力を使い果たし、三人はベッドに倒れ込んだ。

「……なあ、勝負は――?」
「……今日のところは、引き分けにしといてあげるですぅ」
「……そうだな、今日の所は引き分けにしといてやるか?」

 エリオはふと気に掛かることがあって、リインに尋ねてみた。

「あの、リインさん、そう言えば、今日は海鳴に行く用事があるんじゃ――」
「ああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 リインは跳ねるようにして飛び上がった。

「大大大遅刻ですぅ!!! それに、この魔力じゃもう大きくなれないですぅ!
 ふえぇぇぇぇぇぇん、これじゃあ、はやてちゃんに怒られちゃうですぅ!!」

 アギトはやれやれと首を竦める。

「だからお前はガキなんだよ、バッテンチビ」
「ふえぇぇぇぇぇぇん―――」

 リインの泣き声は機動六課の隊舎中に響き渡った。
 機動六課の朝は、始まったばかりである。


 第一回リインvsアギト「どっちが大人?」勝負対戦成績
      
    リイン ●―◎ アギト

279:アルカディア ◆vyCuygcBYc
08/11/11 01:03:26 wmdfEWxq
書いてて何度か、自分のエロのセンスの無さに絶望しました。
やっぱりエロは15禁くらいに留めとくのがいいかな、と思ったりしてます。
とか何とか言っても、興が乗れば又書くかもしれません。

あ、アギト達が原寸に戻った時に中田氏したエリオのがどうなったのか? とか、
難しいことは考えてはダメです、きっと。ファンタジーの住人ですから。

最後に、ておあー氏とB・A氏にもう一度感謝を。

280:名無しさん@ピンキー
08/11/11 01:05:38 O2zgmriP
十二分にエロいわ、嘘吐きwww
アルカディア氏GJ!
そして、エリオ……イキロw
相変わらずのエリオ虐めにときめきました! GGGJです!

281:名無しさん@ピンキー
08/11/11 01:14:22 FYCaScZs
新ジャンル『へたれエリオ』ですね? わかります!

何はともあれ、アルカディア氏GJっす!

282:B・A
08/11/11 01:55:06 HNXFC+bH
>>279
ちびモードで素股ですと。
その手があったか。
何はともあれGJ。エリオ、本当にいじめられるのが似合うな。


そして、こちらもエロの投下を行いますが、もう大丈夫?

283:B・A
08/11/11 02:05:28 HNXFC+bH
誰もいないようなので投下します。


注意事項
・クロノ×なのは
・エロです
・時間軸は二期の後、なのはが10歳の時
・なのはがちょっぴりおバカです
・タイトルは「バカンスですか、そうなんです」

284:名無しさん@ピンキー
08/11/11 02:05:50 GZNti3w6
よいかと

285:バカンスですか、そうなんです①
08/11/11 02:06:34 HNXFC+bH
打ちつける波の音と遠くから聞こえるカモメの鳴き声をバックに、クロノは盛大なため息を吐いた。
眼前に広がるのはどこまでも続く青い海。周りに島らしきものはなく、さっきから船影らしきものも見えない。
無論、背後の島に自分達以外の人間がいないことはさっき空から確認している。
正真正銘、ここは無人島なのだ。
これがバカンスならばどれだけ良かっただろう。だが、残念なことにバカンスはお空の彼方ならぬ海の底へと沈んでいった。
恋人と2人っきりで南国旅行に出かけたのだが、あろうことか乗っていたセスナが墜落したのである。
そして、気がついたら自分と彼女だけがこの島に流れ着いていたのだ。パイロットの行方はわからないが、無事なことを祈るより他はない。

「携帯電話は海水で壊れているし、現在地がわからないから念話も使えない。まいったな」

陸まで空を飛んで行こうかとも考えたが、現在地がわからなければ今度は空の上で遭難した挙句に魔力切れを起こして海に落ちる可能性が高い。
そうなると、後はここで救助が来るのを待つしかなかった。それに、考えようによってはこれはチャンスでもある。
日頃、仕事でデートの時間も取れずに寂しい思いをさせているだけに、気がねなく2人だけの時間を満喫できるのは貴重な機会だ。
そう思って、クロノが顔を上げると、夏の陽光と青空を背景に眩しい肢体を惜しげもなく晒している高町なのはの姿があった。

「クロノくーん」

遭難直後こそ落ち込んでいたが、女は強と言うべきなのか、クロノよりも一足早く立ち直った彼女は既にこのバカンスを楽しむ気でいた。
海水と砂で汚れた服の代わりに新調したばかりの水着に着替え、お日さまのような笑顔で手を振っている。

「なのは、あんまりはしゃぐと転ぶぞ」

「大丈夫、わたしだってもう立派な魔導師なんだ・・・・にゃぁっ!?」

言っているそばから、なのはの姿が視界から消える。
どうやら、一段深くなっている場所に足を踏み込んでしまったようだ。
なのはは体力はともかく、運動神経はお世辞にも良いとは言えない。ドッジボールではいつも真っ先に狙われると言っていたこともある。

「大丈夫かい、なのは?」

「にゃはは・・・・こ、転んじゃった・・・・・」

「ほら、手」

「ありがとう・・・・・ううぅ、海水が目に入っちゃった」

「注意力散漫だ。空戦魔導師は360度、視界を常に把握しておかないと・・・うわぁっ!」

歩きながらお説教を始めようとした途端、クロノは海底の石に足を滑らせて尻餅をつく。
それを見たなのはは、堪らず口元を手で隠して前屈みになる。塞いだ口からは、小さな笑い声が聞こえていた。
それはクロノにも伝播し、やがて2人の大きな笑い声が奏でられる。

「はは・・・あははは・・・・・・・」

「はははは・・・・クロノくん、おかしい・・・・・」

「ああ、まったく情けない」

髪をかき上げて立ち上がろうとすると、なのはがそっと手を差し出してきた。
クロノはありがたくその手を取り、立ち上った反動でなのはの体を抱き締める。


286:バカンスですか、そうなんです②
08/11/11 02:07:15 HNXFC+bH
「ひゃっ!? ク、クロノくん?」

「良いだろ、誰も見ていないんだ・・・・・2人っきりだよ、なのは」

「うん、2人っきりだね」

どちらからというでなく、唇を重ねる。
こうして、2人のバカンスは始まった。





クタクタになるまで海を満喫し、砂浜の上で疲れた体を横たえていると空腹を知らせる音が盛大に奏でられた。
2人にとって幸いだったのは日が暮れる前に食料を調達しなければならないことに気づけたことと、
クロノがサバイバルに関してかなり詳しい知識を持っていたことだった。さすがに生態系が違うので、
地球の野草などはあまり詳しくなかったが、即席の釣り具や罠を駆使して魚を採ることはできた。
その間、なのはは飛行魔法をフル活用して木の上になっている果物などを採取し、適当な枯れ木を集めて焚き火の準備をする。
ディバインシューターの応用で火種は確保できたので、火を起こすことはそれほど難しくはなかった。
こうして、首尾よく食料を確保できた頃にはすっかり日も暮れており、2人はああでもないこうでもないと知恵を絞り合って
夕食の準備を進め、何とか食事にありつくことができた。

「けど凄いね、あんなにたくさんお魚釣っちゃうなんて」

「リーゼ達に扱かれていた頃は、もっと悲惨な場所でサバイバルさせられたからね。
デバイスなしで昆虫しかいない森で一週間過ごせとか、恐竜型の動物しかいない世界に放り出されたりとか、
惑星の95%が水没している世界に隠した宝石を探してこいとか」

「は、ははは・・・・・それはまた、何とも・・・・・・・」

「慣れているさ、こういう生活には」

「そっか・・・・・わたしも、慣れるかな?」

「なのは?」

打って変わってトーンの下がったなのはの言葉に、クロノは訝しむ。
先ほどまでの陽気さが嘘のようだ。こっちが圧倒されるくらい明るく振る舞っていたのが、今は見る影もない。
覗きこんだ表情はこの世の終わりのように虚ろで、不安に彩られている。

「このまま、助けが来なくてずっと2人だけ・・・・・なのかな?」

「なのは、そういうのは考えても仕方がないよ。信じて待つしかない」

「けど、ずっと海岸で遊んでいたけど、船も飛行機も通らなかったよ。それがどういう意味なのか、わたしにだってわかるよ」

船や飛行機の姿がないということは、正規の航路から外れていることを意味する。
狼煙を上げようと海岸にSOSの文字を描こうと、それを見つけてくれる者がいなければ用を成さない。
そして、このまま助けが来なければ、ずっとここで暮さねばならなくなる。
やがては悲しみに暮れていた家族も彼女のことを死んだものと思い、記憶の中の悲しい出来事の1つとして忘れていく。
なのはには、それが堪らなく辛かったのだ。


287:バカンスですか、そうなんです③
08/11/11 02:08:08 HNXFC+bH
「ねえ、クロノくん。もしも助けが来なかったら、ずっとここで暮らすんだよね」

「なのは」

「ずっと一緒に・・・・ここで結婚して、家族を作って・・・・・みんなで暮らすんだね」

「な、なのは?」

「クロノくん、その・・・・ちょっと早いかもしれないけど、なのはのこと貰ってくれますか?」

いつの間にか、クロノは尻餅をついてなのはに押し倒されているかのような態勢になっていた。

「わたし、いっぱい赤ちゃん産むから。クロノくんとわたしの子ども、いっぱい作って家族になろう」

「なのは、ま・・・・待って・・・・・・」

「嫌なの?」

今にも股間に手が伸びそうになったところで、なのはは寂しそうに顔を俯かせる。
それを見たクロノは、自分がなのはのことを見誤っていたことに気づいた。
いつだって気丈に前を向き、事件に立ち向かう勇敢な少女。だが、そんな仮面の裏に繊細で傷つきやすい少女の素顔が隠れている。
彼女だってずっと不安を押し殺し、心配かけまいとしていたのだ。ただ、ここにきてそれが少し崩れてしまっただけだ。

「わかったよ」

「クロノくん?」

「ずるいよ、君は。そんな顔されると、断れないじゃないか」

「じゃあ・・・・・」

「こんな僕で良いのなら、お嫁に来てくれるかい、なのは」

「はい、喜んで」

パッと笑顔を零し、なのははクロノにキスをする。
10歳とは思えない濃厚で情熱的なキス。焚き火の音や虫の鳴き声よりも遙かに強く、はっきりと聞き取ることができる。
クロノにとって彼女は麻薬だ。彼女と一緒にいると冷静な思考だとか倫理感だとかは吹き飛んでしまい、
ただ純粋な欲望だけが鎌首を上げてくる。
もっと悦ばせたい、もっと感じさせたい。
アルコールでも飲んだかのように顔を赤くしながら、クロノは徐々に舌をなのはのうなじまで移動させ、その白い頂きを甘噛みする。
小さく悶えるような震えとくぐもった嬌声が嗜虐心を掻き立て、クロノは何度もうなじに唇を吸いつかせながら、
空いている手でなのはの秘部を弄った。小振りなお尻は緊張のためかふるふると震えており、悪戯心から指先で突くと時々、
ビクッと跳ねる様に持ち上がる。

「はぁ・・・はぁ・・ああ・・・・・クロノくん・・・クロノくんのも・・・・・」

熱っぽい声を漏らしながら、なのはは細くしなやかな指をクロノの股間へと伸ばす。
既に何度も体を重ねているだけに、どう弄れば彼が悦んでくれるのかを彼女は熟知している。
あっという間に臨戦態勢を整えた肉棒は水着の中でテントのように盛り上がっており、先走り液が染みを作り始めている。

「ね、ねえ・・・・・もう、良いかな?」

「うん? どうかな?」

うなじから唇を離し、クロノはゆっくりとなのはの下腹部へと降りていく。
そして、おもむろに股間の食い込みをずらすと、愛液の滲む秘唇へとしゃぶりついた。

288:バカンスですか、そうなんです④
08/11/11 02:09:10 HNXFC+bH
「ひゃぁっ!? ク、クロノくん・・・・そんなところ、汚いよ・・・・・」

「なのはに汚いところはないよ」

「け、けどぉ・・・あ・あ・ぁあ・・・だ、だめぇ・・・・クロノくん、エッチぃよぉ・・・・・」

「エッチなことしているに決まっているだろ」

ジュクジュクと濡れそぼった肉ビラをかき分け、舌先を肉壺の奥へ奥へと侵入させていく。
熱を持った媚肉はまるで別の生き物のようにうねっており、包皮を捲って露になった豆を舌先で突けば電気が走ったかのように
ビクビクとなのはの体が震える。その反応を楽しみながら、クロノは尻の谷間を割って小さな菊の窄まりに指を這わす。

「ひゃっ!?」

「うん?」

「クロノくん・・・・・そっちでするの?」

「弄るだけ。なのはも好きだろ?」

「うぅ・・・・やあ・・・・あ・あ・・・・」

「うぅん?」

焦らすように指を押し込んでいくと、なのはの声が段々と震えていく。
避妊のためにアナルセックスばかりしてきたせいか、なのはの肛門はすっかり性感帯として開発されていた。
腸液で滑る直腸は女陰とは比べものにならない強さで押し入る指を深々と咥え込み、尚も貪欲に飲み込もうとしてくる。
最初こそ戸惑っていたなのはも、あっという間に頬を綻ばせてだらしなく涎を垂らすようになっていた。

「ク、クロノくん・・・・だめぇ・・・そっちは・・・・だめなの・・・頭の中、変になっちゃうの・・・・・・」

「変って、どう変なんだい?」

「頭の中が、真っ白になって・・・・・もう何にも考えられなくなるの・・・・・気持ち良いのに凄く切なくて・・・・ああ、ああぁぁ・・あ・・・」

「ほら、ここが良いの?」

「う、ううん・あ・あ・・・・・ひゃぁあ・・あ・あ・・・・・・」

まともに言葉を紡ぐこともできず、なのはは声にならない嬌声を上げて悶える。
ゆっくりと指を引き抜くと、付着した腸液がテカテカと月明かりを反射していた。クロノはそれを愛おしげに舌で舐め取ると、
先走り液の滴る肉棒を取り出し、その先端を涎と愛液で濡れそぼった秘唇へと宛がった。

「あはあぁ・・・・き、きて・・・・クロノくんので、いっぱいお腹の中掻き回してぇ・・・・・・・」

「やれやれ、エッチだね、なのはは」

「うん、なのははエッチな女の子で、クロノくんのお嫁さんなの」

舌っ足らずな言葉で甘えながら、なのはは両手を広げてクロノの挿入を迎え入れた。
グイッと肉壺を押し広げられた瞬間、なのはの腰がガクンと跳ね上がる。クロノはそれを両手で押さえつけ、
なのはの動きに合わせる様にゆっくりと腰を動かしていく。だが、それも長くは続かなかった。
誰もいない無人島で、焚き火が爆ぜる音と昆虫の鳴き声を背景に体を交わらせる。
野外で性行為を行うという背徳感と、誰にも見られていないという開放感が2人の劣情を一気に燃え上がらせたのだ。


289:バカンスですか、そうなんです⑤
08/11/11 02:10:02 HNXFC+bH
「クロノくん、クロノくん・・・いいのぉ・・・・・気持ちい所ズコズコされるの、いいのぉ」

「くぅあ・・あ・・・なのは・・・凄い締め付け・・・ああぁ・・・・・」

「腰、止まんない・・あ・あぁぁ・・・・・」

強引に起き上がったなのはが、クロノの体を押し倒して騎乗位の態勢になる。
妖艶な腰の振りはとても10歳とは思えず、玉袋に詰まった子種を全て絞り尽くそうとしているかのように肉棒を締め上げる。
突き上げられる態勢になったことで肉棒はさっきよりも深く根元まで突き刺さり、さっきよりも強い一体感になのはの
快感のボルテージもグングンと昇り詰めていく。

「ああぁ・・・・お、奥までくるぅ・・・・クロノくんのおチ○チン、奥まできてるよぉ・・・・・」

「なのは・・あ・あ・・・こ、こっちも・・・・・」

「あああん・・・・お、お尻はだめぇ・・・・頭おかしくなるかぁ・・あ・あ・・ひゃ・・・へあ・・ううあぁ・・・」

4本の指で肛門を押し広げられ、なのはの切羽詰った嬌声が漏れる。
前と後ろを同時に責められる感覚に、限界を迎えつつあった快楽中枢が更なる脳内麻薬を分泌して頭の中を桃色に染め上げていく。
端から見ていると腰が抜けてしまうのではないのかと心配してしまうほどの激しい腰振りに、
クロノの右足がつった様な痛みを覚える。射精の前兆だ。

「なのは・・・射精すよ、なのはの子宮に中出しするよ」

「き、きてぇ・・・・・いっぱい射精して・・・・・クロノくんの赤ちゃん、妊娠させてぇ・・・・・」

「なのは、射精るよ・・・ああ・・で、射精るぅ・・・・・・・ぐうぁぁぁぁっ!!」

「あは・あ・・き、ちゃあぁぁぁぁぁ・・・あ・・・精液・・・赤ちゃんの素がぁ・・・・お腹に・・あ・あぁぁぁぁぁっ!!」

どくどくと子宮内に精液を注がれ、絶頂を迎えたなのはが四肢を痙攣させながら恋人の逞しい胸板へと頭を預ける。
下腹部に感じる熱は生命の鼓動だ。今、自分の中に注がれた子種は長い時間をかけて成長し、新しい命となって生まれてくる。
自分とクロノの子ども。
この島を賑わせることになる、第一子だ。

「クロノくん・・・・・・」

行為の余韻に浸りながら、なのはは自分の柔らかい髪を撫でていたクロノの顔を見上げる。

「わたし、いっぱい赤ちゃん産むね」

決意のこもった瞳を垣間見て、クロノは静かに頷いた。
一生この島で生活することになっても良いじゃないか。
ここには、こんなにも愛おしい彼女がいるのだから。

「うん、たくさん作ろう・・・・僕達の子ども」

「頑張ろうね、クロノくん」





翌日。
南国の太陽が南朝に差し掛かろうとしているお昼時、真っ白な砂浜の上で交わる2つの影があった。

290:バカンスですか、そうなんです⑥
08/11/11 02:11:42 HNXFC+bH
「あっぁ・・あ・あ・・・ク、クロノくん・・・いっちゃう・・・いっちゃうよぉ・・・・」

「ううあぁぁ・・・射精よ、また中出しするよ!」

「ううあああ・・・射精てるぅ・・・・クロノくんの精液、お腹の中いっぱいだよぉ・・・・」

「赤ちゃん作るんだろ、いっぱい中出ししなきゃ妊娠できないよ」

「うん、妊娠する・・・・5人でも10人でも産むから、なのはを妊娠させてぇ・・・あ・あ・・・・ああんん!!」

真っ昼間から何の気兼ねもなくセックスができる現状に、2人はすっかり順応していた。
朝食もそこそこに始めて既に5回は射精しているというのに、思春期真っ只中のクロノの肉棒は萎える気配がまるでない。
黒ずんだ勃起を挿入したまま、抜かずに新たな突き入れを開始する。なのはもなのはでクロノに抱かれる度に快楽の渦に揉まれ、
終わりの見えない絶頂の頂を駆け上がっている。
そして、そんな2人を遙か上空から見下ろす2つの影があった。

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・降りる?」

「降りれると思う?」

フェイトの問いに、感情のこもらない声でユーノは答える。
2人が消息を絶ったと知ってすぐ、ユーノは持ち前の補助魔法を駆使して2人の居場所を見つけ出し、
フェイトと共にはるばる救助にやって来たのだが、獣のようにまぐわう2人を前にして降りるに降りられない状況なのだ。
というか、このまま放置していても2人は幸せに無人島ライフを過ごしていくのではないのだろうか。

「僕達、何で必死に2人を探していたんだろうね?」

「そうだね」

「どうしようか。また始まったよ」

「これで7回目。クロノもなのはも凄い体力だね」

海鳴では上へ下への大騒ぎだというのに、恥ずかしげもなく肉悦に耽る2人を見ていると騒いでいたのが馬鹿らしく思えてくる。

「ねえ、ユーノ。次の日曜日って空いている?」

「特に用事はないよ」

「映画にでも行かない?」

「良いね、前から見たいと思っていたのがあるんだ」

感情のこもらない棒読みのまま、2人は約束を交わす。
そんなこんなで、ここに新たなカップルが誕生した。
ちなみに、救出後の検査でなのはの妊娠は未遂で終わったことが確認された。


                                                           おわり

291:B・A
08/11/11 02:12:12 HNXFC+bH
以上です。
あんまりなタイトルは5秒で思いつきました。

292:名無しさん@ピンキー
08/11/11 02:17:04 TavDg5Li
>>291
なにこのバカップルGJ!
普段マジメな人ほど性的快楽に弱いって言うよねー(棒
この二人を反面教師に、ユーノとフェイトは清く正しい男女交際を重ねることになる……のかはB・A氏のみぞ知るw

293:名無しさん@ピンキー
08/11/11 02:37:38 ed+39R4a
>>291
(´゚ω゚):;*.':;ブッ
余りにも甘ったるさに砂糖を思いっきり吐き出してしまったwwww
このバカップル、いろいろ終ってる!!
同日に出来上がった新カップルにも幸あらんことを……

しかしなのは10歳というのは久しぶりに見る!
さっそく実用させていただきましたε=(゚∀゚*)ムハー

294:名無しさん@ピンキー
08/11/11 10:26:53 pd/gm6t+
二人ともGJです。
ところでアギトの「変身」の台詞で、某特撮シリーズが思い浮かんじゃうのは俺だけ?

295:名無しさん@ピンキー
08/11/11 12:49:01 qQl9MhXM
>>279
エリオ…頑張って生きるんだ
きっとこの後負けて悔しがるリインが再戦を申し込むのですね
そして第2回で敗北した方が(ry
GJ!!

296:名無しさん@ピンキー
08/11/11 20:48:45 TgRPRe6o
>>291バカップルGJ!!なんというかおもちゃ箱引っ張り出してきたくなったわw
それにしても・・・やっぱり後ろを狙うかエロノ!だがそれがいい!

297:名無しさん@ピンキー
08/11/11 21:03:36 zmr5H0C0
尻か!尻なのか!

298:名無しさん@ピンキー
08/11/11 21:47:18 WeAhW3LF
>>279
GJ!!
他のお二方同様非常にハアハアさせていただきました。
アギトとリインのSっぷりが堪りません。
機動六課の朝は始まったばかり、もちろん夜にも続くことを示唆しているのでしょう。
エリオは…まあ別世界のエリオがキャロルー相手にSっぷりを発揮して一夫多妻制を成し遂げてくれるはず!

>>291
GJ!!
もうここまで行ってしまえばなのはが妊娠しない方がおかしいです。
クロノはちゃんと責任とって嫁にするんだ!
確実に救助しなければ10人くらい子供を作りそうですこの二人。

299:名無しさん@ピンキー
08/11/11 23:46:45 EAyZmjcC
六課解散後って、みんないったいどこら辺で寝泊まりしてるか分かってる人いるのかな?
例えば、なのヴィとか少なくとも魔法学校に通える場所に住んでる、ぐらいしか分かってないよね?

300:名無しさん@ピンキー
08/11/11 23:57:30 uPlwBbO3
>>299
地名を聞いてるなら公式で出てないことに関してはなんとも言えん

301:名無しさん@ピンキー
08/11/12 00:05:19 aAhuCd+w
>>299
あえて言うなら、スバルはクラナガンで親元を離れていて、
エリキャロは61管理世界で暮らしているってくらいか。

SSXから俺がわかる範囲はこんだけ。

302:名無しさん@ピンキー
08/11/12 01:08:29 z91MMq2V
>>299
あそこって全寮制じゃなかったっけ?
無限書庫まで気軽行き来できる距離みたいだが

303:名無しさん@ピンキー
08/11/12 01:32:50 aAhuCd+w
>>302
クラナガンから快速レールウェイで1時間でいけるミッションスクールらしい。
それ以上はわからん。
ちなみにミッションスクールというのはキリスト教関連の組織が設立した学校法人のことだが、
あの世界では多分、聖王教会関連の学校がミッションスクールなんだろうな。


304:299
08/11/12 01:35:24 5MexaYMD
きっちりしてないようなので、好きにいじれるのだと都合よく解釈しときますね
どうも有難う

305:名無しさん@ピンキー
08/11/12 01:38:02 r/Xqjc6u
>>301
ん、特救隊って首都の南部港湾地区に有るんだっけか
てっきり自分はミッド全体の南の方かと思ってた

306:ザ・シガー
08/11/12 19:21:08 XsCezwUf
>>71
>>72
ウホ! 良い感想♪
嬉しいこと言ってくれるじゃないの、それじゃあとことん喜ばせてやらないとな。

という訳で、25分まで見直ししたら投下するぜ。
レジアス×なのはの「ある中将と教導官の日々」の最新話だ!!

307:名無しさん@ピンキー
08/11/12 19:26:03 rgeVcrWI
おおおおおっ!!!!
待ってやすぜ!

308:ある中将と教導官の日々
08/11/12 19:26:41 XsCezwUf
ある中将と教導官の日々7


レジアスへの淡い恋心を自覚して、なのはの心に一つの波紋が生じた。
19年の人生の中で初めて異性に恋を抱き、そして彼の心は亡き妻に縛られていると知り、恋というものに未成熟な心に激しい恋慕と深い嫉妬が同時に生まれる。
そしてなのはは思う、“彼が欲しい”と。
少女は性質の異なる二つの炎を胸に燃やしながら、携帯端末で相部屋の親友にメールを入れた。
内容は“今夜は外で食事をする事”そして……


“今夜は帰らないかもしれない”という事を。





夜の帳が下り、暗黒が覆い始めた街には空に星が、地には街灯が明かりを灯し始める。
太陽が消えた夜の世界で二人の男女が歩いていた。
一人は長く艶やかな栗色の髪をサイドポニーに結った女性、機動六課スターズ隊長高町なのは。
そしてもう一人は恰幅の良い大柄な男、地上本部所属の中将、レジアス・ゲイズ。
二人は寄り添い、レジアスがなのはを支えるように歩いていた。
なのはの歩きはフラフラの千鳥足で、とてもじゃないが一人で歩くのは困難だった。
二人の近くに寄れば、朱に染まった頬とその吐息に混じるアルコール臭で彼女が酔っ払っている事がすぐに分かるだろう。


「大丈夫かね?」
「ええ……ぜんぜんだいじょうぶですぅ」
「足がフラフラだが?」
「だからへいきですって……」


どこが平気なのか、レジアスはもう一度問おうと思ったが、どうせ徒労に終わると思ったので止めた。
どうも彼女の様子は一緒に夕日を眺めた時からおかしかった。
なんと言えば良いのか、自分に向けられる視線に絡み付くような熱が込められている気がする。
公園で夕日を眺めた後、二人はそのまま夕食を共にしたのだが、なのはは飲めもしない酒ばかり注文しては次々にグラスを空にしていった。
たっぷりとアルコールを摂取した少女はすっかり酔っ払い、足元もおぼつかない状態に陥る。
そして今、こうしてレジアスの肩を借りてなんとか家路についている途中だった。
正直な話、少女の柔らかな肢体の感触と甘い香りに彼の中の色々なモノが暴走しそうだったが、それは鉄壁の理性が必至に制御している。
しかし、まるでレジアスの葛藤を知っているかのようになのはは時折蠢いては自分の身体を彼に摺り寄せた。
その度に中年中将の心の中では脳内アインヘリアルが極大砲撃を連発していた。
だがレジアスの努力も虚しく、状況は彼をさらなる窮地へと追い込む。
ポツンと音を立て、彼の頬に冷たい水の雫が落ちた。


「これは……雨か」


冷えた夜の大気が呼んだのか、いつのまにか曇天となった空がまるで嫌がらせのように冷たい水滴を人々に与える。
レジアスは降り注ぐ雨に顔をしかめながら周囲を見渡す。
今の時節は夜になるとかなり冷え込む、傘も差さずにいれば風邪を引くのは眼に見えて明らかだった。
どこか雨宿りできる場所を求めて彼は当たり一帯に目をやるが、そこに映るのはどれもホテルばかり。
正直、酔いの回った若い娘を連れ込めるような場所ではない。
だが悩んでいる時間がないのもまた事実。
レジアスは、さながら若い頃に大規模な暴動を鎮圧する任務に当たった時のような焦りに駆られていた。
しかし、その時少女の口からとんでもない一言が飛び出す。


「レジアス中将……」

309:ある中将と教導官の日々
08/11/12 19:27:56 XsCezwUf
「ん? なんだね?」
「……ホテル入りましょ」
「ナ、ナニを言っているんだっ!?」


正に驚天動地、レジアスは顔を真っ赤にしてアタフタと大慌てする。
辣腕中将の普段は決して見せない姿はそれなりに笑える光景ではあったが、本人からすれば堪ったものではない。
だが彼のそんな様など露知らず、なのははどこか憂いを帯びた切なげな瞳で彼に哀願した。


「だって寒くて……ダメですか?」


涙目&上目遣いの少女の哀願、これを断ったら男で無い、否! 漢(おとこ)ではない!!
そしてレジアス・ゲイズは男の中の漢である、これに応えぬ道理はない。
彼ができるのは、ただ彼女の要求に従ってホテルのロビーに足を進める事だけだった。





訪れたホテルの部屋は値段の安いビジネスホテルにしてはそれなりに良い部屋だった。
間取りも広く、床もベッドも実に綺麗に掃除が行き届いている。
従業員の質が伺える手入れに感心しつつ、レジアスはひとまずベッドに足を進めて今まで肩を貸してたなのはを横にした。
屈強な体躯を誇るレジアスからすれば軽いとは言えど、長時間人一人の体重を支え続けた老体は少しばかり悲鳴を上げていた。
なのはを寝かせた隣りのベッドに腰掛けた彼は軽く肩を回して一日の疲労を感じる。
そして、とりあえず上着を脱いでひと段落しようと……


「っと、いかん! ナニをやっているんだ私は!」


……はしなかった。

正直言って今の状況はヤバ過ぎる、危険度1000パーセントだ。
中年の政府高官が階級が下のうら若き乙女をホテルに連れ込む、客観的な見地で考えれば超ド級のセクシャルハラスメントである。
もし週刊誌にでも嗅ぎつけられたらそれだけで身の破滅は免れない、社会的な地位を全て失うは必定。
今まで積み上げてきたミッド地上の秩序の守護者と言うイメージは崩壊し、ただのエロオヤジへと成り果てるだろう。
それだけはなんとしても避けねばならない事態だった。
地上の平和の共に誓い合った親友の為に、自分を信じてくれる部下やミッド地上の市民の為に、そしてなにより最強最悪に嫉妬深い実の娘やあの世の妻の為に。
故に彼の取る行動は一つ。
今すぐ部屋を出てフロントへ行き、部屋の料金を先に支払い、何事もなかったように家に帰り、娘にお休みのキスをしてベッドに飛び込む事。
その過程を数秒で超高速シュミレーションして反芻すると、レジアスは即座に行動を開始した。
一度脱いだ上着を羽織り、ドアに向かって足を進める。

だがそんな彼の進路を阻む緊急事態が発生。
上着の袖を何者かが掴み、彼の進行を阻止したのだ。
レジアスはまるで悪魔に捕まった人間の如く焦りと恐怖駆られた表情で振り向く。
そしてそこには、サイドポニーに結われた茶色の髪を揺らす美少女教導官の姿があった。
アルコールの為か、それともレジアスと密閉した空間に二人きりという状況への興奮の為か、なのはの頬は鮮やかな朱色に染まっている。
瞳はトロンと潤んで切なそうに物欲しそうに、とても処女とは思えぬほどの蟲惑的な魅了を持って彼を見つめていた。
ボタンを肌蹴た胸元から覗く胸の谷間と相まって、今のなのはは破壊力の塊、男と言う生命体を狂わす魔毒に他ならない。
レジアスは反射的になのはから視線を反らした。とてもじゃないが、今のなのはの瞳を見つめて理性を保つ自信がなかった。
だが彼のそんな葛藤など露知らず、なのははその瑞々しい桃色の唇を蠢かし妖しく言葉を紡ぎだす。


「……どうして行っちゃうんですか?」

310:ある中将と教導官の日々
08/11/12 19:28:56 XsCezwUf
「い、いや……そのだな……あ、あ、明日も仕事があるし……流石にこんな状況で男女が二人きりというのは……なんだ、その、問題がだな」


汗だくでしどろもどろになりながら必至に弁明するレジアス。
その姿はとても公衆の面前で演説する時の威厳や気迫など欠片もなかった。
おそらく、彼がここまで狼狽する様を見た人間など数えるほどしかおるまい。
普段は厳格で知られる彼の意外な一面に、艶めいたなのはの雰囲気が少しだけ和らいだかに見えた。
だがそれも一瞬、少女の顔はすぐに淫蕩さを含んだ妖女へと変わる。


「その……私、今日はもうここで過ごしたいんです……酔いも酷いし……でも一人は心細くて……」


思わず庇護欲をそそるような弱弱しい表情と言葉、そしてその中に溶け込んだ妖しさは形容し難い引力を誇っていた。
昼間は可憐で天真爛漫だった少女が見せる媚態にレジアスは思わず息を飲む。
昼と夜で違う顔を見せる、それはまるで太陽と月に彩られる空のようだった。
そして、艶やかに濡れた少女の唇は続く言葉を紡ぎだした。


「……今夜は……今夜一晩は私と一緒にいてください……」


レジアスの服の袖を掴みながら、なのはは上目遣いに彼の瞳を覗き込み哀願する。
潤んだ少女の瞳がもたらすその魔性めいた力に男は頷くことしかできなかった。





ホテルのバスルームに入れば何も纏っていない肌にゾクリと肌寒さが走った。
季節は既に上着無しでは外に出れないような時分であるだけにしょうがない事ではある。
少女はシャワーのコックを捻り、熱い湯を己が裸身へと注いだ。
かなり温度設定を高く設定しているのかバスルームには濛々と湯気が立ち込める。
湯の熱に白く澄んだ少女の肌は徐々に桃色に変わっていった。
体内に摂取したアルコールのせいか、いつもよりも紅潮している彼女の肌はどこか艶めいていて、とても処女とは思えぬ色香を放っていた。
酒の残り香と熱湯の温度、この二つだけではなく恋しい思い人と二人だけで過ごす事への興奮がさらなる燃料となって、少女……高町なのはの身体は芯から熱く滾っていく。
だが、燃え滾るような身体とは正反対に彼女の心は氷のように冷たくなっていた。
それは全て、自分自身を軽蔑する自虐の心が故に。


「わたし……さいていだな……」


シャワーを浴びながら、水滴が床を叩く音に溶けるような小さな声でなのはは呟いた。
今日の……いや、今の自分がしている行為に少女は自身を軽蔑する。
酒の力を借りて彼を誘惑し、挙句の果てはホテルに連れ込んで一晩共に過ごすように強要。
責任感の強くて優しい彼が、今の自分の頼みを断れないと分かっていてここへ誘った。
酔いのせいにしてはいるが、半分は計算ずくの行動である。
それは、とても普段の自分からは想像もできない良識を逸脱した行いだ。


「どうして……わたし……どうしてこんなことしてるんだろ……」


なのはは湯気に曇るバスルームの中、自虐と自問を繰り返す。
レジアスへの恋心を自覚してから、彼女の心はおかしくなった。
狂おしい愛しさが胸を甘く焼き、彼の口から出た亡妻の存在が嫉妬と憎悪を煽る。
産まれてこの方恋の一つも知らなかった乙女には制御不可能なあまりに強すぎる二つの感情。
彼女の心は混乱の極みだった。
今すぐ彼に想いを伝えたい、卑しい想いを募らせる自分が恥ずかしくて顔を見るのが辛い、亡き妻の事など忘れて自分だけ見て欲しい。

311:ある中将と教導官の日々
08/11/12 19:29:31 XsCezwUf
数多の思いが混ざり合い、思慮は深い闇へと堕ちる。

一体どれくらいそうしていたのだろうか。
混沌とした思慮に沈む中、いつしかなのはの身体は浴び続けたシャワーで真っ赤に火照っていた。
茹るように熱くなる身体に脳髄まで溶けるような錯覚を感じ、シャワーのコックを捻ってお湯を止める。
熱くなった身体からは湯気が立ち上っており、彼女の身体がどれだけ熱を帯びたか良く分かった。
なのはは思う“考えても無駄だ”と。
そして今はただ、この混ざり合った混沌に身を任せようと少女は決意した。

濡れた身体をタオルで拭くと、置いてあったバスローブに袖を通す。
桃色に染まった肌を覆い隠す純白のヴェール、火照った身体を包む布地との温度差になのははゾクリと心地良い感覚を覚えた。
そして唇から一度息を吐き出すと、少女はドアに手をかけた。
僅かに軋む蝶番の音と共にバスルームを出れば、ベッドに腰掛けたレジアスの視線がなのはのそれと空中で絡み合う。
数瞬の沈黙、見つめあう瞳と瞳、互いの思考が空白で埋まるのが分かる。
そして、最初に口を開いたのはなのはだった。


「あの……シャワー、先に使わせてもらいました」
「あ、あ、ああ、そうか」


なのはの唇から紡ぎだされる言葉に、レジアスは顔を真っ赤にして狼狽しつつ答える。
彼女の放つ言葉の残響はいつも聞く優しげな響きと打って変わった艶を帯びており、ストレートに下ろされた濡れた髪やバスローブから覗く美しい太股のライン等と相まってレジアスの心を容易く掻き乱した。
彼の反応になのはは少し嬉しくなった。
男性へのセックスアピールに今まで一度たりとも縁のなかった自分だが、少なくとも今は彼の心を動揺させるだけの艶を持っているらしい。
胸の内に沸きあがる女としての悦びに、なのはは生娘とは思えぬ深みのある艶美なる微笑を浮かべながら口を開いた。


「中将も……どうですか?」
「い、いや! 私は結構だ! 明日も早いしもう寝る!!」


これ以上なのはの艶姿を見ているのが理性的な問題で耐えられなかったのか、レジアスはそう言い切ると彼女に背を向けてベッドに潜った。
鋭い本能と数多の経験が彼に脱衣と言う隙を許さない。
レジアスは、これ以上身体を熱くしたら本当に何か取り返しの付かない間違いを起こしてしまいそうで恐かった。
だからそうならないように、こうしてベッドに潜り込み必死に雑念を払おうとする。
彼の頭の中では昔銭湯で見た親友の屈強な肉体や部下の男の身体をイメージして煩悩に対抗、なんとかして先ほど見たなのはの美しい姿を消し去ろうと努力した。
だが皮肉にも、意識すればするほど目に焼きついた少女の肢体が鮮明に思い浮かぶ。
艶やかで長い栗色の髪、思わず美味しそうだと思ってしまう桜色の唇、どこまでも澄んだ美しい瞳、磨き抜かれた白磁の如く白い肌、女性らしい起伏に満ちた悩ましいまでのボディライン。
その全てがあまりにも美しかった、これは意識して忘れられるものではない。
思い起こせば、彼女の甘く芳しい香りが脳裏を過ぎる……いや? むしろ実際に漂ってくるような気さえする。


「んっ!?」


そう思った刹那、レジアスは背後に近づく妖しげな気配に気付いた。
自分の後方、被ったシーツの向こう側に“何者か”がいるという確かな確信がある。
そして、鼻腔が溶けるかと思えるほど艶めかしい甘やかな芳香が漂ったかと思えば、次の瞬間レジアスの眠るベッドの中にその何者かが侵入してきた。
中将の巨体にほんのりと温かい微熱を帯びた柔らかな感触が服越しに伝わる。
言い様の無い至福の柔らさを誇る二つの肉の塊が背中に押し当てられたかと思えば、聞き慣れた、されど今日初めて聞く声色の澄んだ声が響いた。


「……中将……ちょっと、お邪魔しますね」

312:ある中将と教導官の日々
08/11/12 19:30:17 XsCezwUf
「たたた、た、た、高町空尉!?」
「少し寒くて……ベッド……ご一緒させてください」


とても処女とは思えぬ大胆さ、あろう事かなのははバスローブのみを身に纏っただけの危険と色香極まる格好でレジアスのベッドに侵入工作を慣行したのだ。
シーツの中、少女の肢体がさながら妖しき蛇のように男に絡みつく。
太く逞しいレジアスの腕や足になのはは自身のそれを絡ませて存分に肌で味わった。
常の彼女ならば恥ずかしくて死んでしまいそうな行為だったが、冷静な思考と判断力を失った今の彼女にはどうという事は無い。
ただ彼が恋しくて、乙女の脳髄は暴走の極みだった。
対するレジアスは、突然の誘惑に狼狽しながら彼女に対して淫らな想像と欲望を抱きそうな自身の中に芽生えた滾る欲望を必死に理性で押さえつける。
そしてなんとかなのはを説得しようと、ありったけの理性を総動員して口を開いた。


「たたたた、高町空尉、いいい、い、いくらなんでも男女がみだりに床を共にするのは道徳的に見て間違っているとは思わんかね?」


なのはの髪の甘い香りと身体に絡みつく柔らかな肢体の感触を必死の耐え難い誘惑を鋼の理性で押さえ続けながら、レジアスは舌の上手く回らぬ口でなのはに語りかけた。
だが、なのははこの彼の言葉に対して、まるで生来の淫婦の如く甘えた声で返す。


「……今日の昼間……言った事覚えてます? 中将とか、そういう仕事の時みたいに呼ぶなって言いましたよね?」
「え? いや、まあ……確かにそんな事も言ったが……それがいったい」


なのはの言っている言葉の意味、伝えんとする意図が理解できずレジアスはうろたえた。
しかし彼の次の言葉を待たず、少女はぎゅっと抱きつきながら自身の口を開いた。


「だから、あなたの事を……名前で呼ばせてください……レジアスさん」
「へぇ? いや……別に構わんが……」


突然の少女の要求に、レジアスは思わず素っ頓狂な声を漏らしつつ了承の返事を返した。
むしろ彼女と一緒にいる時に堅苦しい呼び方をされないというのは、かねてからある程度望んでいた事だったが故にそれなりに嬉しくある。
だが問題はなのはが次に放った言葉だった。


「あの……だから、私の事も……名前で……“なのは”って呼んでください」
「ええぇぇっ!? い、いい、いや、それは流石に……せめて、苗字で……」


突然のなのはの要求に、レジアスは慌てふためいた。
ただでさえ危険の状況なのに、この少女を名前で呼ぶというのはどこか一線を越えるような錯覚を覚える。
相手を名前で呼ぶ事にどこか抵抗感を示すレジアスだったが、なのははトドメの追撃を慣行した。


「……嫌ですか?」


哀しそうな切なそうな、そんな声。
逆らう事などできない、一切の抵抗の叶わない、ただ頷く事しか許さない、そんな言霊の込められた言葉だった。
レジアスは少しだけ首を動かして頷くと、静かに口を開いて彼女の望むままの言の葉を紡ぎだす。
静かに、だが確かに届く声量で。


「分かったよ、その……なのは」


渋みのある低い声、だがなのはの耳には甘美なる天上の音色に等しい。
思わず下腹部の“女の器官”が甘い疼きを感じる。彼への愛しさが直接的な身体の欲求を呼び起こしていくのが分かった。

313:ある中将と教導官の日々
08/11/12 19:30:47 XsCezwUf
心も身体も、高町なのはというものを構成する全てがレジアス・ゲイズという男を欲していた。
頬がさらに熱く紅くなるのを感じながら、なのはは彼の背中に擦り寄る。
鼻腔に伝わる男性特有の匂いがひどく心地良く思えた。


「ありがとうございます……レジアス……さん」


彼の言葉が嬉しくて、なのはは火照る肢体でさらに力を込めて目の前の屈強な五体を抱きしめた。
その行為はレジアスの理性を魔法に例えるならスターライトブレイカーの如き怒涛の破壊力で攻撃したが、彼の鉄壁の理性はそれでもなお耐え続けた。
なのはの方としては、もしレジアスが欲望に耐えかねて自分に姦通を強要しても喜んで受け入れる気持ちではあったが、彼の精神は少女が考えるそれを遥かに上回る強靭さを宿していたが故にそうなる事はない。

互いの体温が溶け合うような中、なのはは彼の温もりに穏やかな眠りに落ち、レジアスは彼女の甘い芳香と柔らかさに眠るに眠れず、結局何事もなくその日の夜は過ぎ去った。


続く。


314:ザ・シガー
08/11/12 19:35:28 XsCezwUf
投下終了~。

デート編の収穫を纏めて見ると。
「手を繋いだ」「間接キスした」「下の名前で呼ぶ」「同じベッドで眠る(行為なし)」
と、まるでエロパロらしからぬピュア過ぎる事象の数々に思わず書いてる俺本人が吹いたよwww

『ヘイ! カモン!!』状態のなのはに対してオロオロしながらも耐え抜いたレジィは男の中の漢です、異論は認めぬ。

さて、ピュアなレジなの書いたし、次はなんかエロ書こう。
うん、エロエロなやつ。

315:名無しさん@ピンキー
08/11/12 19:43:14 rgeVcrWI
………まさかこのスレで、いや、なのは二次創作で、レジアスを羨ましく思う日が来ようとは…………
ひたすらにGJ!

316:名無しさん@ピンキー
08/11/12 19:51:18 DJ7ZPYS8
>>314
GJ!!
なのはさんをここまで狂わせるとは、これが恋という奴なのか……
スターライトブレイカーを耐え凌ぐレジィをイメージして笑った。
しかし、オーリスさんは未だにお休みのキスをされているのだろうか。


317:名無しさん@ピンキー
08/11/12 19:54:14 e/kk5mIi
レジなのかあ…
同じ世界観?でゼスフェとかスカはやとかやってくれないかなw

318:名無しさん@ピンキー
08/11/12 20:09:18 IYKOkVfz
>>314
GJ!
いやはや、レジアスは鋼の漢だなw
このさあ召し上がれと言わんばかりのなのはの猛攻に耐えきったかw

319:名無しさん@ピンキー
08/11/12 20:21:42 7ye4oJqL
>>314
うざい、キモイ、最悪。

320:名無しさん@ピンキー
08/11/12 20:45:07 lb4TW/Mp
レジアスGJ!
なんたる鋼の精神w まさしく漢です!
いちゃいちゃというか恋を知らぬ乙女らしい暴走っぷりのなのはがかわええw
けど、甘いぞ! レジアスはその程度の誘惑には負けぬ武士だわ!
このままピュアな関係で言って欲しい反面、いつまでザ・シガー氏の理性が保つのか心配ですw
これからも頑張ってください~

321:名無しさん@ピンキー
08/11/12 22:08:58 yLE6b6lS
>>279
GJ!
エリオの受けはおとこにょこなのにどうしてここまで似合ってしまうのだろう
でも動きを制限されなければ、狼モードになってた可能性もいける
お二人と同様すごく素敵な作品をありがとうございます

>>314
GJ!
なんというピュアピュアなのレジなんだ
手を出さなかったレジアスはすごすぎる

322:名無しさん@ピンキー
08/11/13 01:01:01 7663cH22
>>314
GJ!!
ところで、この下げたズボンはどうしたら・・・
エロエロつったらあれですよ JS通販


323:名無しさん@ピンキー
08/11/13 01:11:54 1FlxdX7Z
ちょっと聞きたいんだが、過去にクトゥルフ神話を題材にした連載ものがあったって本当?

324:名無しさん@ピンキー
08/11/13 01:33:31 FLloUiHT
旧保管庫にあったような無かったような。読んだことはないが。

325:名無しさん@ピンキー
08/11/13 02:02:16 /tQaD71k
>>323
新保管庫の「魔法少女リリカルなのはACF」。
ちなみに未完。

326:名無しさん@ピンキー
08/11/13 02:09:24 Gu1sM+cB
>>314
GJ!
なのはさんが悪魔からサキュバスにクラスチェンジしたwwwww

327:名無しさん@ピンキー
08/11/13 10:02:39 yrqKvrwv
>>325
あれ、続き読みたいんだが。
今更無理だろなぁ…

328:名無しさん@ピンキー
08/11/13 12:12:27 3Z5XR6Eb
シナイダさんの御尻フェイトそんを未だに待ち続けてるんだぜ?

329:B・A
08/11/13 14:44:34 JiyYhqDI
投下いきます。


注意事項
・非エロでバトルです
・時間軸はJS事件から3年後
・JS事件でもしもスカ側が勝利していたら
・捏造満載
・一部のキャラクターは死亡しています
・一部のキャラクターはスカ側に寝返っています
・色んなキャラが悲惨な目にあっています、鬱要素あり
・物騒な単語(「殺す」とか「復讐」とか)いっぱい出てきます
・SSXネタもあります、未聴の人は気をつけて
・サイボーグ化して復活なんて使い古されたネタが出てきます(赤外線照射装置は搭載していない)
・主人公その1:エリオ(今度も出番なし)
     その2:スバル
・タイトルは「UNDERDOGS」  訳:負け犬

330:UNDERDOGS 第四話①
08/11/13 14:46:04 JiyYhqDI
建物から火の手が上がり、あちこちから悲鳴が聞こえてくる。
スバルと何者かが仕掛けた爆弾によってプラントは天地を引っくり返したような騒ぎになっていた。
それはスバルが望んだ結果であり、その混乱に乗じてリインと共に脱出するつもりであった。
だが、施設の外に飛び出た途端に飛び込んできた凄惨な光景に、スバルはおろか追いかけてきたノーヴェとチンクまでもが
驚愕して動けずにいた。

「こ、これは・・・・・・・・」

チンクの呟きが灰色の空に消えていく。
目の前に広がっているのは虐殺の現場だ。
爆破された装甲車、破壊されたガジェット、行動不能となった量産型戦闘機人。
屍のように折り重なるそれらの中心に立っているのは襤褸のマントを羽織った1人の男だ。
バイザーで顔を隠しているので素顔はわからないが、風になびいている髪は緑色だ。
マントの隙間から見えている左腕にはスバルが装着しているものと色違いのリボルバーナックルが装備されており、
両足には純白のローラーが見え隠れしている。

「そのデバイスは!?」

「お前、ゼロ・セカンドの仲間か!?」

スバルの驚愕と、ノーヴェの攻撃は同時であった。まとめて始末しようとしたのか、広範囲にガンシューターがばら撒かれている。
咄嗟にスバルは防御しようと身を捩るが、腕に走った激痛で思わず身をかがめる。
彼女のIS“振動破砕”は強力な分、自身へのノックバックも大きい。ロクな整備も受けられない状態で単独行動を続けてきたことで、
基礎フレームに疲労が蓄積していたのだ。
せめてリインだけでも守ろうと、スバルは彼女の小さな体を抱き締める。だが、予想していた痛みはいつまで経っても訪れなかった。
恐る恐る見上げると、襤褸マントの男がスバルに背を向けての立ち塞がっていた。
彼がノーヴェの攻撃から身を挺して自分達を守ってくれたのだ。

「大丈夫か?」

細切れになったマントが風で吹き飛び、その下から鋼の外骨格が露になる。
まるで噛み合う歯車のように唸りを上げる左腕のリボルバーナックル。砂塵に塗れてもなお輝きを失わない、
亡き姉のインテリジェントデバイス“ブリッツキャリバー”。そして、被弾してひび割れたバイザーから覗く、
色白で端正な顔立ち。見覚えのあるその顔に、スバルの驚愕は頂点に達する。

「ど、どうして・・・・あなたが・・・・・・・」

「言っただろう、これからは俺が君を守ると・・・・・・・俺が、ギンガの代わりに」

男のただならぬ気配に、相対しているチンクは戦慄のようなものを感じていた。
纏った気配が尋常ではない。燃える紅蓮の炎と底知れぬ暗闇、
地獄の釜の中で茹でられたかのようなおぞましい殺気が男から発せられている。

331:UNDERDOGS 第四話②
08/11/13 14:46:48 JiyYhqDI
「直接会うのは初めてだが、ブリッツの代わりに俺が言わせてもらう・・・・・・久しぶりだな」

「そのデバイス、ゼロ・ファーストの関係者か?」

「ああ」

「見たところタイプゼロよりも更に旧式のようだが、そんな姿になってまで戦おうとするとは、目的は復讐か? 
我々を破壊するために、人の身を捨てたか」

「違う、俺はお前たちを殺しにきた。そしてもう1つ・・・・・・・彼女はゼロ・ファーストじゃない、ギンガ・ナカジマだ!」

カチリと、バイザーが外れて地面に落ちる。
それを合図に2人は同時に地を蹴った。
投擲された短剣“スティンガー”を男は裏拳で薙ぎ払い、砂塵を引き裂きながらチンクの矮躯へと肉薄する。
軋むようなモーター音と共に関節が駆動し、男の打撃が繰り出される。まるで滑空するように宙を舞ったのは
彼が装着しているブリッツキャリバーのローラーだ。鋼の車輪がチンクの鼻先を掠め、すかさず身を捻って遠心力が
込められた拳の一撃が頭蓋へと叩き込まれる。だが、それを簡単に許すチンクではなかった。
彼女は迫りくる拳の関節部にスティンガーを突き刺し、自身は頭を捻ることで振り下ろされた突きを紙一重で回避したのだ。
そして、がら空きの胴体に蹴りを叩き込んで距離を取り、間髪入れずに新たなスティンガーを投擲、自らのISを発動する。

「IS“ランブルデトネイター”」

地面に着弾したスティンガーに環状のテンプレートが出現したかと思うと、それはそのまま熱量の伴うエネルギーと化して
スティンガーそのものを爆破、その衝撃で粉塵を舞い上がらせる。一定時間触れていた金属を爆発物に変える能力。
それが彼女の先天固有技能(IS)だ。

「今の攻撃、確かキャリバーショットというシューティングアーツの基本コンビネーション。
ゼロ・ファースト・・・・・ギンガ・ナカジマが使っていた技だ。どうしてお前が使える?」

「学んだのさ。俺は彼女の技と力でお前達を倒す」

「警備の連中を始末したのもお前か? なるほど、大した腕のようだ。戦士ならば名乗らねばならないな、
私はナンバーズが5番、“刃舞う爆撃手”チンク」

「ラッド・カルタスだ。名乗ってくれたことは感謝しよう、チンク」

無機質な言葉で返答し、カルタスは右腕に突き刺さったままのスティンガーを投げ捨てる。
直後、それは先ほどのものと同じように爆散して砕け散った。

「ノーヴェ、まだ動いている連中を集めて作業員の救出に回れ」

「けど、チンク姉・・・・・」

「その体では足手まといだ。こいつらは姉とガジェットだけで始末する。案ずるな、姉は敗北などせぬ」

「わかった・・・・・気をつけて、チンク姉」

後ろ髪を引かれる思いでノーヴェはローラーを走らせ、傷ついた体を庇いながらその場を立ち去る。

「カ、カルタスさん・・・・・その体・・・・・」

呆けたようなスバルの呟きが風に溶けていく。
ラッド・カルタスは彼女の姉、ギンガが所属していた陸士108部隊の上司にあたる人物だ。
満更知らない仲ではないが、JS事件後に行方不明になっていたはずだ。

332:UNDERDOGS 第四話③
08/11/13 14:47:40 JiyYhqDI
「JS事件の後、俺は瀕死の重傷を負った。生き残るためには体を機械化する以外に方法はなく、
処置の時間を稼ぐためにナカジマ三佐はお亡くなりになられた。スバル、俺はギンガと三佐、
2人の無念を晴らすためにここにいる。俺は君と共にいる」

「脱出の算段か? 悪いが、ナンバーズの名に賭けて逃しはせん」

再び投擲されたスティンガーを弾き、スバルを爆発の衝撃から庇うように突き飛ばしてからカルタスは駆ける。

「カルタスさん!?」

「スバル、こっちにも来ましたよ!」

リインの言葉に、スバルは即座に立ち上がって態勢を立て直す。
既に周りはガジェットによって包囲されており、逃げ場はない。
カルタスが戦力を削ってくれていたおかげか、数はそれほど多くはない。
だが、脱出の際にこいつらに加えて戦闘機人まで相手にしなければならなかったと思うと、ゾッとしてくる。

「スバル、私が何とかして隙を作りますから、それまで耐えてください」

「了解」

『私も移動します。合流地点で会いましょう』





スバルとガジェットの戦いが開始される中、カルタスとチンクの戦いは熾烈を極めつつあった。
カルタスは飛び抜けて強いわけではない。魔力資質もなく、ISすら発現していない。
彼の武器は文字通りの鋼の肉体に記憶と資料だけを頼りに身につけたシューティングアーツ、
そして魔力なしでも使えるように改造した左腕のリボルバーナックルだけだ。それでも辛うじてチンクに食らいついていけているのは、
彼の執念の賜物だ。最愛の女性を失った悲しみが、カルタスの潜在能力を限界以上に引き上げているのである。

「ギンガの仇だ、ナンバーズ!」

「くっ・・・避けきれない!?」

チンクは遠心力の込められた後ろ回し蹴りを咄嗟に身に纏っていたシェルコートのバリアで受け止め、
弾いた隙にスティンガーを投擲して距離を取る。

(こいつの爆発力、侮れん)

離れて戦うスタイルがチンクの持ち味ではあるが、接近戦がこなせないわけではない。しかしカルタスの執念は凄まじく、
隙を見せれば羅刹の如き勢いに凌駕されそうになる。しかもローラーによって機動力を確保しているので、
離れてもすぐに距離を詰めてくる。自分とは相性の悪い相手だ。

「執念とは恐ろしいな。だが、例え修羅が相手であろうと私は勝利してきた!」

相手の間合いから逃れる際に地面に打ち込んでおいたスティンガーが爆発し、平らな地面に無数の亀裂が走る。
その亀裂にカルタスが足を取られた瞬間を見計らってスティンガーを投擲、即座にISを発動せんとテンプレートを展開する。
回避の時間は与えず、払い落とそうとした瞬間に爆破するためだ。たが、カルタスが次に取った行動は彼女の予想外なものだった。

333:UNDERDOGS 第四話④
08/11/13 14:48:17 JiyYhqDI
「うおおおぉぉぉぉっ!」

「何、防御しない!?」

「この至近距離なら、お前も無事じゃ済まない!」

「はっ!?」

バリアが展開されるよりも早く、カルタスはチンクの矮躯を押し倒して左腕を振りかぶる。
ごつい外骨格は見た目に違わない重量を誇り、如何に戦闘機人いえど容易に逃れる術はない。
そう思った刹那、底冷えするような呟きが可憐な唇から囁かれた。

「IS、ランブルデトネイター」

「なっ!? 自分ごと爆破する気か!?」

「ナンバーズに敗北は許されない。私は戦うためだけに生み出された兵器。これがその覚悟だ!」

直後、カルタスの体に突き刺さっていたスティンガーが爆発して2人の体が吹き飛ばされる。
直にISを食らったことで外骨格に亀裂が走り、損傷した場所から火花が飛び散る。

「あ、後一瞬、こちらが早ければ・・・・・」

傷ついた体を立ち上がらせながら、カルタスは呟く。彼の左手には、爆発の瞬間にもぎ取ったチンクの眼帯が握られている。
もしもチンクが一瞬でも躊躇してくれていれば、この手は彼女の頭蓋を叩き割っていただろう。
我が身を省みない彼女の覚悟が結果的に窮地を救ったのである。

「カルタスさん、危ない!」

危険を知らせるスバルの叫びが聞こえたかと思うと、舞い上がった粉塵を引き裂いて1本のスティンガーが飛来する。
その一瞬に、カルタスは全ての注意を注いでしまう。自分と同じようにチンクも傷ついており、
これは苦し紛れに放った一撃であると思い込んでしまったのだ。彼は知らない。目の前の敵が、投擲せずとも短剣を放てることを。

「オーバーデトネイション」

飛来したスティンガーが爆発し、カルタスから視覚と聴覚を奪う。そして無防備となったその体に、
虚空から独りでに出現したスティンガーが突き刺さり、背後の壁にカルタスを貼り付けにする。

「がはぁっ!」

「カルタスさん!」

動かなくなったカルタスを見て、スバルは悲痛な叫びを上げる。
しかし、向かってくるガジェットから背後のリインを守らねばならないため、助けに向かうことができない。

「無様だな、復讐鬼」

粉塵を払いのけ、憤怒の形相を露わにしたチンクが姿を現す。
悪鬼の如きその姿は、先ほどまでの冷静な彼女と同じ人物とはとても思えない。

「この右目は戒めであり、私の誇りだ。貴様はその無粋な手で私の誇りを傷つけた。その罪は万死に値する!」

チンクの右目は、かつてゼスト・グランガイツと呼ばれるベルカの騎士との戦いで負傷し、視力を失っている。
その傷はスカリエッティの技術力ならば修復することは造作でもないことだが、チンクはそれを自らの未熟な証として
直さずに戒めとしている。それと同時に、その負傷は創造主であるスカリエッティが生み出した戦闘機人が
オーバーSランクの騎士にも負けぬ優秀さを誇ることへの誇りでもあった。
カルタスは、そんな彼女の最も触れてはならない部分に手を出してしまったのだ。

334:UNDERDOGS 第四話⑤
08/11/13 14:49:27 JiyYhqDI
「そのままスクラップと成り果てるがいい!」

「マッハキャリバー!」

《駄目です、距離が遠すぎる》

間に合わぬと承知で、スバルはリボルバーシュートのチャージを開始、カルタスも激痛に悶えながらも四肢を貼り付けにしている
スティンガーから逃れようとする。だが、無情にもテンプレートの輝きがカルタスの死刑を宣告した。

「消し飛べ、ランブルデトネイター!」

「ぐうぅあぁぁぁっ、ギンガァァァッ!」

ぐしゃりと、何かが潰れる音と共にカルタスの体が前のめりになる。直後、彼の背後の壁に突き刺さったままのスティンガーが爆発し、
カルタスは爆風に吹き飛ばされる形でチンクへと迫る。彼は残る力を振り絞って四肢に刺さるスティンガーを貫通させ、
爆発から逃れたのだ。

「なにぃ!? 自分の手足を!?」

「これが俺の覚悟だ、ナンバーズ!」

左腕を掲げ、搭載された機構を解放する。瞬時に形を変えた左手は、火花を散らすナックルスピナーに連動するように高速で回転し、
空間ごと打ち砕かんとするかのような運動エネルギーを発生させる。

「リボルバァァァッギムレットォッ!」

(爆風で速度が増している。回避・・・・間に合わぬ)

凶暴なうねりを前にして、チンクはシェルコートのバリアを最大出力で展開する。
だが、施設規模の爆発にも耐えうる強度を誇るハードシェルは、ただ一点に全てのエネルギーを集中した螺旋運動によって揺るがされ、
削り取られるかのように消滅していく。
そして、2人を隔てる一切の壁が取り除かれた。
迫り来る螺旋の咆哮に、チンクは己の死を覚悟する。
目前に迫った仇敵の姿に、カルタスは己の勝利を確信する。
スバルもリインも、彼がチンクを打ち倒して勝利する姿を想像していた。
だから、高速で飛来した直射弾の存在に、誰一人として気づかなかった。

「なっ・・・・・・」

リボルバーギムレットがチンクの頭部を捉える寸前、斜め上から飛来した魔力弾がカルタスの左肩を撃ち抜いた。
更に立て続けに降り注ぐ魔力弾の雨。それは決して多い訳ではない。だが、恐ろしく正確な射撃が彼の関節を撃ち抜いていく。
全身に走る激痛は、機械の体でなければ確実にショック死していただろう。

「ば・・・・馬鹿な・・・・・・どうして・・・・・」

グラリと、カルタスの体が仰向けに倒れる。
その視線の先のありえない光景に絶句し、そこで彼の意識は途絶えてしまった。
一拍遅れて我に返ったチンクが、とどめを差さんとスティンガーを抜き放つ。
しかし、それよりもスバルの方が早かった。チャージの終えたリボルバーシュートで突破口を開き、
上空からの狙撃を搔い潜りながらカルタスを回収、肩にしがみ付いていたリインに合図を送る。

335:UNDERDOGS 第四話⑥
08/11/13 14:50:06 JiyYhqDI
「リイン曹長!」

「詠唱完了です。闇に染まれ、デアボリック・エミッション!」

リインがかざした手の平に出現した黒き球体が急速に膨れ上がり、スバル達の体を包み込む。
同時に、侵食を開始した闇は周辺のものを手当たり次第に飲み込みながら拡大していく。
ロード不在のリインでは本来の出力は発揮できないが、それでも広域攻撃魔法としての効果範囲は健在であり、
派手な見た目に危機感を抱いたチンクはハードシェルを展開して足止めを余儀なくされる。
そして、拍子抜けするほどの弱々しい攻撃が治まった頃には、スバル達はどこかへと逃げ去った後であった。

「チンク姉!」

「ノーヴェ、救助は完了したか?」

「ああ、生きている奴らは全員無事だ。けど、あいつらは・・・・・・・」

「私のミスで逃がしてしまった。それに、あいつが助けてくれなければ私は敗北していた」

「そんなことねぇ。チンク姉が負けるなんてあるわけねぇ!」

「ノーヴェ、事実を事実として認識しろ。戦場での敵の過小評価は死を招く・・・・・・私は、ただそれをしてしまっただけだ」

「チンク姉・・・・・・」

「帰還するぞ。ドクターにこのことを報告しなければ」

頭上で滞空するJF704式ヘリコプターを見上げながら、チンクは自身に内蔵された通信機のスイッチを入れる。
先ほどの狙撃は、自分の危機を知った彼が揺れるヘリの上から行ったものだ。
揺れるヘリの上で、マルチタスクを駆使してヘリの安定を保ちながら遙か彼方の動く物体を正確に狙撃する。
それだけでも、彼の狙撃の腕がずば抜けていることを物語っている。もしも彼が助けに来てくれなければと思うと、
ゾッとしてくる。

「後始末が済み次第、一度ゆりかごに帰還する。お前はヘリを降ろして待機しておいてくれ」

『了解、ヘリポートに着陸後、指示があるまで待機する』

「それと、さっきは助かった・・・・ありがとう、で良いのか?」

ノーヴェと喋っていた時とは打って変わって緊張した固い声音に、通信機の向こうから苦笑のようなものが漏れる。
どこか壊れてしまったかのような乾いた笑み。空々しさすら感じられるその声に、チンクの胸が少しだけ締め付けられた。

『別に気にするな、兄妹だろ』

「そうだな、ヴァイス・・・・お兄ちゃん」

『ああ、ラグナ。お前は俺が守る・・・・・絶対に』





宛がわれた部屋で鏡と睨めっこすること3時間。
その行為が無意味なことであると気づいたルーテシアは、てっとり早く疑問を解決するためにゆりかごの中を歩き回っていた。
前の戦いから、彼女はずっとエリオに言われたことを気にかけていた。
何となくではあるが、彼は今まで自分が出会ってきた人間とは違うような気がするのだ。
スカリエッティ達は良くしてくれているが、自分に戦うことを強要する。母親を目覚めさせてあげるから、
こっちの仕事を手伝って欲しいと。
今はもういないゼストやアギトは、自分のことを守ろうと気にかけてくれていた。極力荒事には巻き込ませず、
戦うことを求めてくるスカリエッティにも良い感情を抱いてはいなかった。
けれど、エリオ・モンディアルはそのどちらもしてこなかった。彼はただ、自分に笑っていて欲しいと言ったのだ。

336:UNDERDOGS 第四話⑦
08/11/13 14:51:11 JiyYhqDI
(笑えって言われたのは、初めてだ・・・・・・・・けど、笑うってなんだろう?)

親しい者達は、召喚師としての力を求めるかか弱き少女として守ろうとするかのどちらかしかしてこない。
しかし、彼はそのどちらもせずに笑うことを求めてきた。ただ笑っていて欲しいと、それだけを望んでいた。
けれど、ルーテシアには笑うということが何なのか理解できていなかった。それがどんなものかはわかっていても、
どうすれば笑うことがでいるのか知らないのだ。だから、誰かに聞いてみることにしたのだ。
クアットロやウェンディはいつも笑っているので、聞けばきっと何かわかるはずである。
そうして、小一時間ほど広いゆりかご内を歩き回った末に、ルーテシアは聖王の寝室の前で困り果てている
ディエチとクアットロの姿を発見した。

「あら、お嬢様。どうしたんですか、こんなところで?」

「クアットロを探していたの」

「あら、私をですか?」

「うん・・・・けど、忙しいのなら後で良いよ」

「ああ、別に忙しいわけではありませんよ。ちょっと陛下が駄々を捏ねているだけですから」

傍らに立つディエチが額をかきながら寝室の扉へと視線を送る。
ルーテシアは一度も入ったことはないが、その部屋で聖王は自分の母親と一緒に生活しているらしい。
母親。今の自分にはないものだ。

「3日も閉じこもりっ放しですからね。たまには運動でもしてもらわないと、健康を損ねるかもしれません」

「だからディエチちゃん、陛下が風邪なんか引くわけないじゃない。とっくの昔に遺伝子レベルで病気なんて克服してるのよ」

「精神的衛生にも悪いだろ、クアットロ。あたしは陛下のお世話係だからね、陛下の健康管理は万全でないといけないんだ」

(何がお世話係よ。聞き分けの悪いガキなんて放っておけば良いのに。ドクターもどうして感情なんて残しちゃったのかしら。
中途半端な洗脳なんてするから、あいつだって生かしたまま囲われているのに)

心の中で不平を洩らしながらも、クアットロは「さすがディエチちゃん、偉いわね」とディエチを褒め称える。
次元世界の安寧と自らの利さえ守られれば大人しくしている管理局と違い、古代ベルカの聖王を神と崇める聖王教会は
聖遺物であるゆりかごを利用しているスカリエッティを快く思っていない。もしも聖王が復活しなければ、
聖遺物の保護を理由に抵抗を続けていたかもしれない。信仰心とは時に利害すら超えた理解不能な行動を起こすものなのだ。
聖王は聖王教会を押さえるための切り札でもあるため、その扱いについて彼女もスカリエッティに強く言うことができないでいるのだ。

「それでルーお嬢様、私に用って何ですか?」

内心の不満を悟られてはいけないと、クアットロは話題の転換を試みる。
しかし、ルーテシアの口から出た言葉は彼女の好ましいものではなかった。

「どうすれば笑えるのか、教えて欲しいの。クアットロ、いつも笑っているでしょ」

(あら、何かと思えばくだらない悩みだこと。兵器は兵器らしく黙って言うことを聞いておけば良いのに)

兵器に余計な感情を持たせる必要はない。それがクアットロの考え方であり、今はもういない最後発組のナンバーズが
ロールアウトする際、意図的に感情を抑制することをスカリエッティに進言したのも彼女だ。ルーテシアも彼女にとっては
スカリエッティが生み出した兵器の1つであることに変わりはなく、そんな彼女が人並みに笑い方を知りたいと言っているのは
どうしてりんごは赤いのかと問うているくらい意味のない行為なのだ。
もちろん、そんなことは億尾にも出さずに懇切丁寧に顔の筋肉の動かし方を教えてやるのだが。

337:UNDERDOGS 第四話⑧
08/11/13 14:51:49 JiyYhqDI
「お嬢様、これが笑顔です」

「こ、こう?」

「うーん、ちょっと頬が引きつっていますねぇ」

「もっと唇を小さくして、目尻は下げ気味の方が良いんじゃない?」

「それだと、普段と変わらないわ。それよりも・・・・・」

「ああ、ダメっスよ。無理に笑ったってそれは笑顔とは言わないっス」

「ウェンディ?」

この陽気で独特な口調は彼女以外にありえない。振り返ると、予想通り愛用のライディングボードを肩に担いだ赤毛の少女が立っていた。

「ただいまっス」

「おかえり。いつ戻ってきたんだい?」

「ついさっきっス。いやぁ、新人の相手は辛かったっス」

そう言って、ウェンディは空いている手で肩を叩く。彼女は量産型戦闘機人で構成されたライディングボード部隊の教導のために、
長らく管理局に出向していたのだ。こうしてゆりかごに顔を出すのは実に一年振りである。

「ねぇ、ウェンディ。ウェンディはどうすれば笑顔になれるのか、わかるの?」

「お嬢様、笑顔は誰かに教えてもらうものじゃないっス。楽しいことがあると、人は自然に笑うものっスよ」

「楽しいこと?」

「美味しいものを食べたり、訓練で良い結果が残せたり、誰かに褒めてもらったり
・・・・・・とにかく、自分が楽しいって思えることっスよ」

「楽しいこと・・・・・・」

ウェンディに言われた言葉を、ルーテシアは静かに反芻する。疑問は深まるばかりだった。
何故なら、ルーテシアは生まれてから一度も、何かを楽しいと感じたことはなかったからだ。





壁を叩く雨音が、時を追うごとに激しくなっていく。狭い室内は湿気が充満し、閉塞するような息苦しさを感じてしまう。
だが、今は疲れ果てた体を休ませることができるだけでもありがたかった。


338:UNDERDOGS 第四話⑨
08/11/13 14:52:37 JiyYhqDI
「カルタスさんの様子、どうですか?」

「まだ眠っています。命に別状はありませんが、関節の駆動部を撃ち抜かれているので今は立つこともできません」

「治せそうですか?」

「応急処置くらいならできますけど、ダメージが基礎フレームまで及んでいるのでちゃんとした設備のあるところに連れて行かないと」

「私も、こういったものは専門外でして」

スバルと共にカルタスを診ていたイクスが、すまなそうに頭を下げる。いざという時に力になれないことが悔しいのだろう。

「イクスは悪くないですよ。悪いのはこんなことをした狙撃手です」

「そ、そうですね・・・・スバル?」

「はい?」

「どうしたのですか、ボーっとして」

「あ、いえ・・・・・何でもないです」

覇気の感じられない返答に、2人は訝しげな視線を向けてくる。だが、疲れているだけなのだろうと思ったのか、
それ以上は追求してこなかった。ひょっとしたらリインは気づいているかもしれないと思っていたが、どうやら杞憂だったようだ。
それに、まだ確信があるわけではない。自分は彼が実際に狙撃をする姿を見たことがないのだから。
ただ、JS事件後に彼が行方不明となったことが発覚した際、ティアナから彼の過去を聞かされていたので、もしやと思っただけだ。
ならば、このことはまだ自分の胸の内に仕舞っておくべきだ。

「とりあえず、今後の行動について検討しましょう。この男の人も含めて、3人と消耗しています。
どこか専門の機関で診てもらうことをお勧めしますが」

「それは無理です。私達はお尋ね者なんですよ」

「この場合、スバルが単独で動いている方が問題です。みんなと一緒にいれば協力もできて、もっと大きな活動もできるのに」

「みんなか・・・・・・提督達のところに行ければ、カルタスさんを治せるかもしれないなぁ」

あそこならばデバイスマイスターもいるはずだから、リインの検査もできるはずだ。
だが、自分から飛び出した揚句に連絡も取り合っていなかったので、どうすればコンタクトが取れるのかわからない。
そんな行き詰りの沈黙を破ったのは、擦れた電子音声であった。

339:UNDERDOGS 第四話⑩
08/11/13 14:53:12 JiyYhqDI
「・・・・き・・・た・・へ・・」

「カルタスさん!?」

「北に・・・・・北の街に、レジスタンスの工作員がいる。確か、六課にいた狼・・・・・」

「ザフィーラだ」

「そいつが・・・・・北の街で諜報活動を行っている。スバル、提督達と合流しろ。
1人では・・・・・・個人ではできることなど、知れている・・・・・復讐は・・・・仇は、俺が・・・・」

「喋らないで、体に障ります」

「スバル・・・・・俺が、君を・・・・・・・」

そこでカルタスは力尽き、再び意識を失った。
チンクのISはまともに浴びればスバルでも無事では済まないのだ。
こんな旧式の改造でそれを食らい、まだ生きていることが奇跡に等しい。

「おい、喋るのは良いけど壁が薄いからもう少し静かにしてくれよ」

背後の扉を開けて部屋に入って来た少年が、額をかきながら言う。
この家の主で、スバル達に雨宿りのための屋根を貸してくれた人物だ。とても心の優しい少年ではあるが、
見ず知らずのスバル達にも物怖じせずに辛辣な言葉を投げかけてくる口の悪さも併せ持っている。
ちなみに彼の両親は不在であり、現在は1人で暮らしているらしい。

「ああ、ごめんなさい」

「まあ良いさ。それよか、シャワー使うだろ。いつまでも汚れたままじゃ落ち着かないだろうし」

「良いよ、雨宿りさせてもらえるだけでもありがたいんだから」

「そうか? そっちの彼女は使いたがっているようだけどな」

「え!?」

図星を突かれたイクスとリインが頬を真っ赤に染めて恐縮する。
実は2人とも、ここ最近はロクに風呂に入っていない。イクスはスバルと野宿ばかりしていたからで、
リインはプラントで実験体扱いを受けていたからだ。

「ついでに飯も用意したからさ、食ってけよ」

「良いのかな、そんなに良くしてもらって」

「困った時はお互いさまって、学校で習わなかったか?」

「そうだね。それじゃ、お言葉に甘えようかな。けど、もう少し言葉遣いはどうにかした方が良いよ」

「地なんだよ、これ! とにかく、浴びるならとっとと浴びてくれ」

「わーい、久しぶりのバスタイムですぅ。イクス、一緒に入りましょう」

「はい、喜んで」

2人は少年の案内で、嬉々として階下のバスルームへと降りていく。
1人残ったスバルは、もう一度カルタスの体をチェックしようと彼の方に向き直る。
その時、激しい地鳴りと共に家が縦揺れを起こした。

340:UNDERDOGS 第四話⑪
08/11/13 14:53:53 JiyYhqDI
「地震!?」

《かなり大きいです。二次災害の可能性もありますね》

程なくして、俄かに外が騒がしくなる。
窓を開けて外を見てみると、スコップやらツルハシやらを担いだ男達が山の方角へと走っていく姿があった。
男達の怒鳴り声は大きく、離れている自分の場所にまでその内容が伝わってくる。

「麓で土砂崩れだって!?」

「子どもが生き埋めになっているらしい。急がないと死んじまう!」

弾かれたように、スバルは駆けだそうとする。だが、すぐに考えを改めて足を止めた。
自分はお尋ね者のテロリスト。それもほんの数時間前に管理局とひと悶着を起こしてきたばかりなのだ。
目立つ行動は避け、できるだけ大人しくしていた方が良い。もしも見つかった時、戦うことができるのは自分だけなのだから。
しかし、放っておけば土砂に埋もれた子どもが死んでしまうかもしれない。
自分にはその子を救える力がある。かつての自分のように災害で泣いている人を助けたい、。
その思いを胸に、魔導師を志したのではなかったのか。
そんな出口の見えないジレンマを吹き飛ばしたのは他でもない、彼女の相棒であるマッハキャリバーだった。

《迷うことはありません。あなたはあなたの信念を貫けば良いのです》

「けど、私達は・・・・・・・」

《相棒、あなたはそこまで非情ではない。私はあなたを信頼しています。何もせずに後悔するくらいなら、
できることを全てした後に泣いてください》

「マッハキャリバー・・・・・・」

《さあ》

「うん」

力強く頷き、部屋を飛び出して階段を駆け降りる。途中、小瓶を手にしていた少年とぶつかりそうになり、
何事かと呼び止められる。

「どこ行くんだよ!?」

「山で土砂崩れがあった。救助を手伝ってくる!」

「・・・本気で言っているのか?」

「こんな時に冗談なんか言わないよ」

「お前・・・けど・・・・・なんでそんなことするんだよ。自分とは無関係な奴だろ!?」

語気を荒げながら、少年は怒鳴るように問い質す。するとスバルは、酷く神妙な顔つきになって少年に向き直った。

「助けたいから助けるんだ。だって私は・・・・・レスキューだから」

少年の異変に気づかぬまま、スバルは雨の降りしきる夜の世界へと飛び出していく。
その背中を見つめる少年の瞳は仄暗い憎悪に彩られ、『睡眠薬』と書かれたラベルが張られた小瓶を握る手がふるふると震える。

341:UNDERDOGS 第四話⑫
08/11/13 14:54:41 JiyYhqDI
「何だよ、それ・・・・・あんたら、悪者じゃないのかよ・・・・悪いテロリストの癖に、何で人助けなんてするんだよ・・・・・・」





「私とスバルが出会ったのは、数ヶ月前のことです」

リインの銀色の髪にリンスを馴染ませながら、イクスはスバルとの出会いを語っていた。
2人が出会ったのは数ヶ月前に起きたマリアージュ事件の最中だ。古代ベルカに関連する研究者を襲った連続殺人事件。
その最後にして最大の被害者を出すこととなった海上アミューズメント施設“マリンパーク”で起きた火災。
その時、スバルは既にお尋ね者として追われる身であったが、燃え盛る炎と崩れていく施設に幼少時の記憶が呼び覚まされ、
逮捕されるかもしれないという危険を承知で救助活動を行っていた。そこで、長い眠りから覚めたばかりのイクスと出会ったのだ。

「私は戦乱を治めるための兵器として生み出されました。自国の勝利によって戦いを終わらせ、争いを止める。
けれど、どれだけ戦っても争いはなくならない。戦っても戦っても敵は次々とやってくる。
もう戦うのは嫌だと思っても、味方がそれを許してくれない。私には死ぬことすら許されなかった。
私という存在そのものが、争いを生む火種となってしまったのです。だから、1000年の眠りから覚めたあの炎の中で、
私は自分が消えることを望んでいた。古代の争いはもう過去の出来事、今の世に私と言う存在は必要ないと」

「けど、スバルがそれを止めた」

「あの人は言ってくれました。私は兵器ではないと。自分も同じように人によって造られた体だけど、
心は人間として生きていると。ボロボロになりながらも微笑みかけてくれているその姿に、私はとても救われました。
スバルは私を、初めて人間として扱ってくれた人なのです。だから、私は彼女に着いていくことにしました。
兵器として力を貸すのではなく、人間として、古代の王としてこの世界の行く末を見届けたいと」

「変わっていないですね、スバルは」

きっと、炎の中で一人ぼっちだったイクスに過去の自分を重ねたのだ。
だから、放っておくことができなかったに違いない。

「あのお方はとても強い人。けれど、その心はとても繊細で傷つきやすい。本当は誰も傷つけたくないのに、
復讐のために誰かを傷つけなくてはいけない。せめて、私が生きていられる間に、あのお方が安らげる日が来ると良いのですが」

「イクス・・・・・ひょっとして・・・・・・」

「はい。私は、もうあまり長くありません」





草木すら寝静まった深夜、スバル達に宛がわれた部屋の扉が音もなく開いた。
足音を忍ばせて忍び込んできたのは彼女達を招き入れた少年だ。
その手には鈍く光る包丁が握られており、殺意に彩られた瞳は毛布に包まっているスバルに向けられている。
よく眠っている。食事に混ぜておいた薬は利いているようだ。
ここまで来たら、もう後には引けない。少年は覚悟を決めて包丁を握り直し、ゆっくりと振り上げる。
その時、数時間前のスバルの言葉が脳裏に蘇った。


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