08/11/08 02:40:59 Uj2OgFE8
(これは・・・・まさか・・・・・)
「ここがあたしらの息がかかった施設だって忘れたか? 特盛りのAMFだ、身動きすら取れないまま潰されちまえ!」
「・・・・腕が重い、それに息が・・・・・・」
魔力の結合を阻害するAMFにより、スバルのリンカーコアはごく簡単な魔法を行使するだけでも負荷がかかって魔力が削られる。
まるで重い荷物を背負わされたまま何十キロもマラソンをさせられたかのような疲労感に、全身の細胞が酸素を求めて暴れ狂う。
そんな呼吸すらままならない状態のスバルに、ノーヴェは容赦のない蹴りの連打を放った。
右から、左から、流れるような動きでスバルを狩りたて、ジェットエッジの餌食にせんと迫る。
体に鞭を打って何とか攻撃を搔い潜っていたスバルは、その動きにどこか既視感を覚えた。
まともに戦ったのは僅かに1回、それもごく短い時間だけだ。当然、彼女の戦い方はほとんど記憶に残っていない。
なのに、今の彼女の動きを自分は知っている。いや、頭ではなく体で理解している。
この動きは、シューティングアーツだ。
「どうしてシューティングアーツを!?」
「違うな、こいつはブレイクライナー。あたしのISだ!」
暗闇に黄色のレール“エアライナー”が走り、その上をノーヴェは疾走する。
咆哮を上げるジェットノズル。噴射推進によって加速したノーヴェはそのまま跳躍、ブレイクギアの回転によって
圧縮されたエネルギーをジェットエッジの先端に集め、スバルの胴体目がけて解き放つ。
「リボルバーキャノン!」
「・・・!」
紙一重で身を捩り、攻撃を回避する。ノーヴェのキックが打ち込まれた壁は杭打ち機でも打ち込まれたかのように陥没しており、
まともに食らえば機械の体を持つ自分でも一たまりもない。
「避けるなよ・・・・イラつくだろ。3年前にお前にやられた傷がさ・・・・・足が疼くんだよ・・・・・
お前を壊せって、煩いんだよ!」
「恨みならこっちにもある。お前は、ギン姉を傷つけた」
「チンク姉を傷めつけてくれたよな、お前」
「だったら・・・・・・」
「恨みっこなしだ!」
同時に駆け出した2人の拳が激突する。
唸りを上げる魔力と戦闘機人エネルギー。零距離でぶつかったリボルバーシュートとガンシューターが空間を震わせ、
それを合図に両者の拳と蹴りが苛烈な応酬を開始する。どちらもクリーンヒットすれば一発で相手を打ちのめすことができる
威力を秘めて攻撃。それがぶつかっては弾け、互いに決め手に欠けるまま2人はもつれ合うように壁に激突する。
丁度、スバルがノーヴェの上に覆い被さる形で。お互いに関節を決めているので身動きが取れず、攻撃もできない。
「・・・何で、そんなに動けるんだ」
「忘れた? あたしだって、お前と同じだ!」
スバルの青い瞳が見る見る内に金色へと染まり、腕に込められた力が増していく。
戦闘機人モード。普段は意図的に封印しているスバルの奥の手、いや真の姿と言っても良い。
悪鬼の如きその形相は、相対しているノーヴェと瓜二つであった。
173:UNDERDOGS 第三話⑩
08/11/08 02:41:47 Uj2OgFE8
「し、しまっ・・・・・・この態勢は・・・・密着していたらまずい・・・・・・・」
水色のテンプレートが展開すると共に、スバルの手から不可視のエネルギーが放出される。
それは接触しているノーヴェの腕へと流し込まれ、金属がぶつかり合うかのような軋みが腕の中で木霊する。
あろうことか、ノーヴェの腕は掴まれている場所から少しずつひびが入り始めていた。
これがスバルの保有するIS“振動破砕”。四肢の末端から振動エネルギーを流し込み、
共鳴現象を起こすことでありとあらゆるものを破壊する対機人能力だ。例え体がどれほど頑丈にできていようと、
これを前にすれば一瞬の内に破砕される。
「この・・・何て、力だ・・・・放れねぇ・・・・・」
「砕け散れ、振動破砕」
「くぅ・・・・間に合え!」
振動エネルギーが肩に到達する寸前、ノーヴェは手首を捻ってガンシューターを連射、自らの肩を撃ち抜いて左腕を吹き飛ばし、
その衝撃でスバルの攻撃から逃れる。スバルの振動破砕は強力ではあるが、接触状態で一続きのものしか効果が現れない。
このまま何もせずに殺されるくらいなら、腕を失ってでも生き延びてみせるという覚悟がノーヴェにはあった。
「お前・・・・・」
「これくらい、お前を殺れるんなら軽いもんだ!」
スバルの拳に、若干の躊躇が生まれる。
強がって見せているが、今のノーヴェは息も絶え絶えでまともに戦う力は残っていないことは明白だった。
完全に振動エネルギーを流し切れなかったとはいえ、スバルの振動破砕は命中した瞬間から効果を発揮する。
接触した場所を中心に、放射状に広がった共鳴現象は外装だけでなく体内の骨格や内臓にまで及ぶため、
見た目以上にダメージは大きい。ノーヴェの場合は腕から共鳴現象が起きたのでまだ意識はあるが、
もしも胴体に打ち込まれていれば一撃で機能不全の起こしていただろう。
そんなボロボロの状態でありながらも、ノーヴェはまだ戦おうとガンナックルを向けてくる。
だが、直射弾は発射されない。スバルの攻撃で発射機構が壊れてしまったのだ。
立ち上がることもできず、戦う術もない。彼女の完全な敗北だ。後は、自分が止めをさすだけである。
その時、傍観者に徹していたリインがノーヴェを庇うようにスバルの前に立ち塞がった。
「どいてください、リイン曹長」
「ダメです。スバルはこの娘を殺すの嫌がってます」
「あたしが?」
「この娘が自分の腕を吹き飛ばした時、攻撃する隙はいくらでもあったのにスバルは攻撃しませんでした。
だって、この娘には自我があるから。自分の意思で、スバルに怒りをぶつけてきたから、スバルはこの娘を殺すことに
躊躇したんです。自分で考える力があるなら、まだやり直せるかもしれない。そんな風に考えているからです」
「あ、あたしは・・・・・だって、こいつは・・・・ギン姉の・・・・あたしは・・・・・」
振り上げた拳が行き場を失い、やがて力なく下ろされる。
リインが言っていることもあるが、スバルには彼女を攻撃できないもう1つの理由があった。
ノーヴェは言っていた。自分が彼女の姉を傷つけたと。それは姉を失い、スカリエッティを憎んでいる自分と同じだ。
自分があいつを憎んでいるように、彼女も自分を憎んでいる。無意識に彼女と自分を重ねて見てしまったことで、
スバルの戦意は失われてしまったのだ。
174:UNDERDOGS 第三話⑪
08/11/08 02:42:40 Uj2OgFE8
「いつまで時間をかけている? 手間取り過ぎだぞ、ノーヴェ」
凛とした声が天井に響き、弛緩していた空気が再び張り詰める。
「ノーヴェをここまで追い込むとは、さすがはタイプゼロ。それともテロリストのスバル・ナカジマと呼ぶべきか」
「チンク姉!?」
「相手を過小評価するのはお前の悪い癖だ。下がっていろ、今度は姉が相手をする」
現われたのは長い銀髪を下ろした小柄な少女だった。右目を黒い眼帯で隠しており、その口調は歴戦の戦士を思わせる風格がある。
本能的にスバルは感じ取った。今の自分では彼女に勝てないと。3年前は感情の暴走もあって何とか引き分けに持ち込むことができたが、
今はノーヴェとの戦闘で疲弊している上にリインも守らねばならない。勝率は極めて低いと見て良い。
(どうする? アレを使えば隙くらいは作れそうだけど・・・・・・)
ここに来るまでに、スバルはプラントの要所に無線式の爆弾を仕掛けておいた。
生憎と探索のできた南方のみだが、それでも施設内に混乱を起こすには十分だ。
だが、これは一度きりしか使えない最終手段であり、失敗は許されない。
そう思った正にその時、プラントの北側から走った大きな衝撃が建物全体を揺さぶった。
「なっ!?」
「こ、これは!?」
《相棒!》
「・・!」
これを好機と直感したスバルは、2人が揺れに驚いている隙に自身がしかけた爆弾の起爆スイッチを入れる。
北と南の両方から襲いかかった衝撃は地震のように大地を揺るがせ、耳障りな警報が鳴り響く。
その隙にスバルはリインを連れて反転し、眼前の壁を目がけて拳を振りかぶる。
マッハキャリバーによって拳周辺に圧縮された振動エネルギーはナックルスピナーの回転によって加速し、
先ほどとは比べものにならない爆発的な破壊の渦へと昇華されていく。
「振動拳!」
轟音と共に特殊合金の壁をぶち抜き、スバルとリインは施設の外へと飛び出す。
後方からチンク達も追ってくるが、機動力ではスバルの方が上だ。だが、外に出た途端、目の前に広がる凄惨な光景に、
スバルはおろか後ろの2人までもが言葉を失った。
to be continued
175:B・A
08/11/08 02:46:24 Uj2OgFE8
以上です。
明らかに本編のスバルがしないことをしています。
スバル好きな人には本当に申し訳ない。
お詫びに短編でエロを書こうと考えてはいるけど今のところネタはなし。
上で少ないと言われたなのはにするか、スバルで書くか、きっとそのどっちかかな。
176:名無しさん@ピンキー
08/11/08 02:51:26 RSLpaTOy
>スバル
スカに捕まってポッド内でなす術なくエロ洗脳とか?
機械責めと触手責め。
177:名無しさん@ピンキー
08/11/08 02:53:46 a64PgOMT
せっかくだから氷付けとか石化とかにっちな属性で
178:名無しさん@ピンキー
08/11/08 02:58:11 RSLpaTOy
イッた瞬間に意識覚醒させたままそれで固定する?
ごくまれに見るネタだけど。
179:名無しさん@ピンキー
08/11/08 04:17:49 XgkcRj5j
>>175
GJ!!
スバルはかわいいわんこだけど、それは周りに家族や仲間がいるからそのままでいられるんだと思う
もしも周りから大切な者を奪われたらきっとこんな感じに他者を噛み殺すことに躊躇しなくなる
本当にイクスやリインがいて良かった
180:名無しさん@ピンキー
08/11/08 07:09:44 /ViUNR7c
>>175
GJ!
半分は自分のせいで最愛の姉が爆死したら変わってしまうのは無理もない…
そうなったスバルと冥王陛下がどうやって心を通わせたかも読んでみたいかも
181:名無しさん@ピンキー
08/11/08 10:59:06 GS7TZ8Mu
最近、なのはさんのエロを見ないね、確かに。
182:名無しさん@ピンキー
08/11/08 12:35:22 unxztagG
>>181
少女じゃないし…
183:名無しさん@ピンキー
08/11/08 13:12:47 XjcYiDgk
>182
魔法女リリカルなのは?
語呂が……
184:名無しさん@ピンキー
08/11/08 14:05:46 FHGL9S3f
そういう下らん話題はいらん
185:名無しさん@ピンキー
08/11/08 14:25:58 BqJ78pW0
>>175
乙です
このスバルの変貌を見たとき、何と言うルイスハレヴィとおもわず思ってしまった。
でもそんなスバルの止めるリインがいい感じですね。
これはこれで面白いなと思いました。
186:名無しさん@ピンキー
08/11/08 15:26:10 dzsfQYWp
昔から機人は怒らせると超怖いって決まってる
ソースは今は無きボンボン
187:名無しさん@ピンキー
08/11/08 16:36:26 XpH4QLKX
「怒る!」
「それは機人じゃなくて超人機」
188:名無しさん@ピンキー
08/11/08 17:24:41 rkGRFWB3
>>110
GJ!!
ヴァイス案で真面目に生きるか、グリフィス案で鬼蓄に生きるか、ザフィーラ案でスケコマシに生きるかまさしくエリオの人生の境目だな
お勧めは当然グリフィス案で行こうか
>>175
GJ!!
普段は脳内お花畑のスバルだけど家族失ったら、こうなってしまうのは仕方がない事か…
本編でギンガが大怪我負った時以上の苦しみと憎しみを抱いてる以上、その負の連鎖から抜け出す事は無理にも思える
189:名無しさん@ピンキー
08/11/08 19:42:36 GAoYegnT
GJ!!です。
スバルの能力はやっぱり規格外w
機人を殺す為に作られた機人としか思えないwww
190:名無しさん@ピンキー
08/11/08 22:03:49 wUeoL4C/
GJです。
・・・・・・ですが、なんでとっ捕まったリインの犯られるシーンがないんだ!?
191:名無しさん@ピンキー
08/11/08 22:07:28 lgIOKB8G
前にキャラスレで生まれた電波を投稿してようか質問したものです。
投下しても大丈夫ですか?
192:名無しさん@ピンキー
08/11/08 22:13:34 ckQV9dfu
さぁこい
193:名無しさん@ピンキー
08/11/08 22:23:03 lgIOKB8G
ありがとうございます。
カプはエリオ×フェイト×オリキャラになります。
オリキャラなんか認めないという方はスルーしてください。
エロはちょっとです。
タイトルは「第三の風」になります。
194:新たなる祝福の風
08/11/08 22:28:57 lgIOKB8G
時空管理世界ミッドチルダ
数年前に大規模な次元犯罪があったものの、今現在は失礼な言い方ではごく小規模の事件しか起こっておらず、
世界は表面的ではあるが平和を維持していた。
ここ港湾地区でも犯人グループと局員らしき少年が捕り物劇を行っている。
少年―歳は13前後だろうか赤髪に青の瞳、防護服であるバリアジャケットは下茶のハーフパンツ、
上は赤のインナーに白のコート。 手には身の丈と同程度の槍を持っている。
「あなた方にはデバイス不正使用による強盗容疑が掛かっています。今からでも間に合います、
自首をすれば弁護の余地も与えられるはずです。デバイスを捨てて投降してください。」
「お前1人でか?なめるなよ。」
男逹はデバイスもこちらに向けて構え、抵抗の意を示す。投降する気はさらさら無いらしい。
「わかりました。投降の意思が無いものとして実力で拘束します。……行くよライア!!」
「あぁ、 やっと出番か、さっさと片付けるぞ。」
エリオの後ろに1人の女性が現れる。髪は長い銀色で瞳は黄色、
少しつり上がった切れ目がやや攻撃的な印象を与える。
リインフォースⅢ(ドライ)、それが彼女の名だった。
彼の為だけに生まれたユニゾン・デバイス。
「行くよライア!!」
「今日は新記録を出せよ。」
「「ユニゾン・イン!!」」
エリオの身体がまばゆい光に包まれる。光が消え去った時、そこにはユニゾンによって姿を変えた以前より逞しくなったベルカの騎士が立っていた。
瞳と髪は薄い朱色へと色を変え、バリアジャケットもコートがノースリーブになり軽量化が図られ、
よりスピード重視の攻撃的なスタイルを思わせる出で立ちだった。
「行きます!」
……戦闘は10分も経たない内に終わった。エリオのスピードに反応が追い付かない男逹は1人、
また1人とデバイスを破壊され魔力ダメージでノックアウトされていった。
今は全員の身柄を管轄元である陸士隊へ引き渡したところだった。
「お疲れ様でした、モンディアル捜査官。」
「いえ、こちらこそご協力ありがとうございます。現場の事後処理よろしくお願いします。」
現場担当の陸士と別れると、エリオは彼のユニゾンデバイスであるライアと共に報告書作成の為に、
今の所属先である隊舎へ自分にとって二人目の相棒であるライアと話ながら向かった。
195:新たなる祝福の風
08/11/08 22:29:32 lgIOKB8G
「なかなか様になってきたじゃないか。隊集団戦の基礎は大丈夫みたいなだな。」
「そうかな?だったら嬉しいかな。」
「だが、現状に満足するなよ。シグナムやおまえの母親にはまだまだ遠く及ばないんだからな。」
「わかってるよ。常に精進。でしょ?」
「あぁ、それよりも次の模擬戦はいつだ?この前の相手はつまらなかったからな。」
また始まったとエリオは思った。彼女と初めてパートナーになった時からの口癖がこれだった。
話に似たとは言わない。しかしライア誕生のきっかけを作った彼女の影響を受けたのはごく当然のことなのかもしれない。
ライアが誕生したのは約1ヶ月ほど前になる。久しぶりシグナムとエリオが再会したときの模擬戦がすべての始まりだった。
エリオの成長を感じたシグナムが融合騎をパートナーを持つことを提案し、エリオ本人もさらに上を目指すためにこれに同意した。
早速シグナムが主であるはやてに相談して八神家の新しい末っ子が生まれることとなった。
今まで末っ子だったリインフォースⅡも「これで私もお姉ちゃんですぅ。」と凄い喜び様だったのを覚えている。
末っ子誕生について男の子にするか女の子にするかでひと悶着があった。
男性の知り合いが少ないエリオと八神家唯一の男であるザフィーラは男の子を主張、一方ヴィータとリインは妹がいいと言って譲らなかった。
論戦は白熱したが、結局一家の主であるはやてと「自称 主婦」であるシャマルが判断をくだすことになった。
結果は女の子
それについてエリオが尋ねるとシャマル曰く「少年にはお姉ちゃんが必要なの」と意味不明なことを言われ、
はやては「エリオやったらお兄ちゃんよりお姉ちゃんのほうが面白そうやん」と言われた。
複雑な気持ちのエリオだったが、今となってはライアがお姉さんで良かったと思っている。
母親であるフェイト、妹のような存在であるキャロだったが、自分には姉に当たる人はいなかった。
なのでライアが姉であることは八神家だけでなく自身にとっても家族が増えたようで嬉しかった。
シグナムはただ一言「将来の楽しみが一つ増えた。」と嬉しそうに話していた。
それを見たヴィータが
「シグナムのバトルマニアは死んでも治らねぇよ。歴史が証明してる。」
とエリオにこぼしていたが彼自身はただ苦笑するしかなかった。
196:新たなる祝福の風
08/11/08 22:31:08 lgIOKB8G
真夜中の隊舎、廊下に靴の音が染み込むように静かに聞こえる。
音の主はエリオ・モンディアル捜査官補、キャロと共に転属した自然保護隊の元を離れ、今はミッドチルダ陸士隊でお世話になっている。
何故陸士隊に入ったのか?
元々エリオ本人は六課解散後、フェイトの補佐をするつもりでいた。しかし、フェイトにはキャロと一緒にいてほしいと言われてそれを受け入れた。
別にキャロのことが嫌いというわけではない。むしろキャロ本人が「私もエリオ君と一緒に行きたいな」と自分に伝えてくれたときは嬉しかった。
しかし、後で考え直してみるとキャロには周囲の環境が目まぐるしく変わる本局勤めよりも、アルザスの穏やかな環境のほうがキャロ本人には合っていると思い、
一度、フェイト・キャロ・エリオの三人で話し合いをした。結果、キャロはアルザスに戻ることに……。
ただ、「私やエリオと一緒にいたいって気持ちが強くなるみたいだったら、一緒に暮らそう。それまではもうちょっと頑張ってみようか?」と
母親であるフェイトは言ってくれた。
その時の光景は今も忘れない。
解散の時に泣きじゃくるキャロを自身も泣きそうな顔を何とかこらえてキャロを慰めているフェイト。
それを見たときに自分たちは本当の家族になれたという実感をあらためて再認識できたエリオは、体の中に何か温かいものができた感覚を覚えた。
淡く穏やかでいて温かい何か、それがすっと胸の中からじわりじわりとにじみ広がって来る。
頭まできたそれは目と鼻の奥を熱くさせて、外へと内面の感情を露わにする。
それが恥ずかしくて周りの同僚や先輩にばれないように顔をうつむかせていたが、後で少しも隠せていなかったことが分かり再び羞恥が沸き起こったりもした。
そこでもまた弄られて、ふて腐れてしまったのもいまでは良い思い出だ。
後で想い直してみると、それが世間一般で言うところの「家族に絆」、「家族の繋がり」といった類のものだったのかもしれない。
「どうした? どこか痛むのか?」
その声で感傷の世界から現実へと引き戻される。顔を上げれば、自分の相棒が心配そうにこちらを見ていた。
「え?……どうして?」
「どうしてってお前が泣いてるからだろ」
そう言われて目元に手をやると指先には水滴が付いていた。どうやら思い出の中に居た間、現実の自分も同様に泣いていたらしい。
「医務室に寄ってくぞ。まだこの時間ならやってるだろう」
「大丈夫。ただちょっと思い出してただけ」
「そうか?ならいいんだがな……」
「……」
「何だ?」
「ううん、そんな顔してくれたの久し振りだったから。あと、心配してくれてありがとう」
「別に構わんさ……ただつらい事があれば私を頼ればいい。パートナーなんだからな」
そう言って彼女はエリオの頭を優しく撫でる。顔には慈母のような笑みを浮かべて……
こんなに優しい顔も普段や戦うときには刃物のような鋭いものへと変わる。そのギャップに多少ドギマギしながらエリオは自室へと続く廊下を歩いてゆく。
時刻はもうすぐ深夜をまわろうとしていた。
197:新たなる祝福の風
08/11/08 22:33:59 lgIOKB8G
そんなことをしているうちに自室へ着くと、安心したせいか疲れが一気に体に圧し掛かってきた。さっさとシャワーを済ませてベットに潜り込む……が、
疲れているにも関わらずエリオはなかなか寝付けなかった。
(フェイトさん、キャロ……会いたいよ……)
寂しくならないようにと二人のことはあまり考えないようにしてきたが、先ほどの思い出が頭から離れない。
(考えてみたら六課での一年間、それより長くフェイトと一緒にいれた時間がなかったっけ。)
幼い頃は長くても一週間、別れても引きずることはなく、次に出会える日を楽しみにしていたものだった。
ただ、つらいこと、嬉しいこと、楽しいこと、色々なことをフェイトやキャロ、六課のメンバーと関わることで経験してきた。
あれほど濃密で長い時間を過ごした後だと、ついついあの時が恋しくなり引きずってしまう。
(こんな僕じゃ駄目なんだけどな……でも中々ふっ切れないし)
自己嫌悪に陥りながらも明日にそなえて頭の中をシフトするためにも再び瞼を閉じる。
「眠れないみたいだな……一緒に寝てやろうか?」
心配していたらしく、いつもより少し小さめの声で彼女が訪ねてくる。一瞬、いいのかなと頭の片隅で考えるが、彼女の優しさに甘えることにした。
「ありがとう。甘えさせてもらおうかな」
「今日は素直だな?いつもそうならいいんだがな」
その端整な顔に笑みを浮かべて皮肉を述べながら、ドライは意識を集中させていく。
「ユニゾン……イン……」
彼女がエリオと一体になる。
「精神リンクすれば少しは和らぐだろう。明日も早いんださっさと寝ろよ」
彼女の温かさを感じてリラックスできたのかエリオは少しずつ眠りの海に落ちて行った。
エリオは目を覚ます。そこは自分のベッド、目の前には何故か全裸のフェイトがいて自分に微笑みながら何かを言った。
「おいで……エリオ……」
声は聞こえなかったが、そう言った気がした。そして自らの意思とは関係なしに体が動きフェイトの胸へと手を伸ばす。気づけば彼女の胸を揉んでいた。
「エリオ上手だよ。その調子でお願い」
まただ、声は聞こえないのにフェイトの喋っている言葉が聞こえる。聞こえるというよりは直接頭、脳に響いてくる。
そんな感じがして、今もフェイトの声が頭の中に木霊する。
「んぁ……く……ふぁ。もうつ……次に、エリオストップ!!」
「え……」
自分の口から残念な声が漏れる。我に返り彼女の胸に夢中になっていたことを振り返る。どうやら自分もおかしくなってきたらしい。
いつもなら全力で拒否するはずなのだが、今はそんな気になれなかった。むしろ早く続きがしたくてたまらない。
そんな葛藤の最中にもフェイトは太腿を広げる。そこは白い靄がかかって何も見えない。それなのにそこは強烈にエリオの視線を惹きつけて離さなかった。
「次はね、ここにエリオのそれを挿入れて欲しいんだ」
それを聞いた瞬間、エリオは己の欲望を最優先にしてフェイトの秘所に自分のモノを挿入れる。するとどうだろう、今まで体験した事のない感覚が全身を駆け巡る。
思わず目を閉じた。
198:新たなる祝福の風
08/11/08 22:35:21 lgIOKB8G
夜中、ライアは目を覚ますと共に自らが感じているおかしな感覚に疑問を感じた。
「あ……くぅ……」
声が漏れ、体の奥が熱く疼いている。何事かと思い周りを見ると、主も同じ感覚らしく苦しそうに息をしていた。
「そういえば精神リンクしてたんだったな……」
ひとりごちながら考える。この感覚は何なのだろうか?確かに苦しくはあるが同時に温かく心地良いものがある。
「そんなことよりもこいつのほうが先か」
ドライは汗で濡れた主の頬をひと撫ですると、精神リンクの度合を最大に引き上げると意識を同調させて深層意識に入り込んでいく。
意識に潜り込んだ彼女の目の前には、お互いに顔を赤らめ裸で見つめあう我が主とその母親の姿が。
汗で光る身体を艶めかしく動かして行為におよぶ二人を見ていると、下腹部が熱くなるのを感じ、両手は無意識のうちに自らの胸へと当て動かし始める。
「ふぁ……ん、んぅ……」
幼き主の行為を見て自慰に浸る淫らな融合騎の姿がそこにはあった。
ドライは思考する。
自分はいったいどうしてしまったのか? 守るべき存在を対象に自らを慰めている。いけないこととわかっていながらも手はとまらず、
さっきまで胸を揉んでいたうちの左手は熱く潤った秘唇をいじり始めている。ラインに沿ってなぞり、時々中に指を少しだけいれてみる。
「ダメ……なのに……こんなこと……で、でももぅ……っと欲しい」
なぞる指を早める。自然と指の往復する距離は長くなり陰核に指が触れる。
「ひゃっ!!……ハァハァ……。すごい……こ、こんな……っ」
胸に当てていた右手も股に移す。太ももを撫でながら秘所に進み右の指で膣をかき回し、左の指は陰核をいじる。
飛びそうになる意識をこらえ、さらなる快感を求める。だが、主の肉棒が母親の中に入るのを見た瞬間、あれだけ昂っていたのに寂しさが心に渦巻き自然と手も止まる。
変わりに主と一つになった母親、フェイトのことが羨ましいと思う気持ちが滲み出てくる。どうして私はフェイト・T・ハラオウンではないのか?
「嫉妬しているのか私は?主の母親であるというのに……」
自覚したことで気持ちはさらに強くなる一方だ。エリオとフェイト、一つになった快感に打ち震えながら目をつむる主。
その表情を見た刹那、エリオを求める自らの身体は自然と動き出す。精神リンクを利用して夢の中に侵入、信号を操作してフェイトと自分の存在を置き換える。
後は主と一つになるだけだ、彼女はその想いに支配された。そして目を開いた愛しい主を見つめてこう思う、まずは宣戦布告だ。
「今からお前は私の物だ、私だけの……」
そのまま唇に口づける。今までの寂しさ、虚無感が嘘のように無くなって変わりに言葉にできない満足感が彼女を満たしていった。
199:YW
08/11/08 22:44:54 lgIOKB8G
以上で投下終了になります。
タイトルを急に変えてすみませんでした。なんかぱっとしなかったのでつい
今のがぱっとしてるかというと微妙ですが……
初投下でオリキャラでエロという無謀をやってしまい、ちょっと不安です。
フェイトさんがいてとても助かった。やっぱ女神です。
一応確認はしましたが、誤字脱字があったらすみません。
HNはYWにしました。
アドバイス、ダメ出しがあればよろしくおねがいします。
さいごにキャロが誤変換でKY炉と出て妙に納得してしまったのは内緒
200:名無しさん@ピンキー
08/11/09 00:10:50 +L01v5JM
投下大丈夫ですか?
201:名無しさん@ピンキー
08/11/09 00:15:35 5JwViHXA
おこk
202:名無しさん@ピンキー
08/11/09 00:15:52 cB+fdnAy
無問題
203:野狗
08/11/09 00:17:21 +L01v5JM
魔法少女リリカルなのはIrregularS 第四話です。(全十三話予定)
捏造まみれです。要注意
SSX前提の設定があります。
あぼんはコテで
レス数16
204:野狗
08/11/09 00:17:59 +L01v5JM
1
遊撃隊フォワードメンバーは、エリオの騎竜フリードを警戒している。
何故かというと、噛まれるからだ。怪我をするほどではないけれど、とっても痛い。
ちなみに今のところ、隊内で噛まれているトップはダントツでウェンディである。二番手にはノーヴェが続いている。
ルーテシアはまだ噛まれたことがない。
「それじゃあ意味がないのよねぇ……」
どこかでキャロが、溜息をついた。
エリオがルーテシアを隊長補佐に指名したときには、周囲に色々と言われた。その一年前にキャロと結婚していなければ、もっと言われただろうと本人は思っている。
しかし、結婚しているからこそ色々言われたのだとは全く気付いていない。実際の所はそうなのだけれど。
そこから派生したのが、今ではルーテシア本人まで自称している「隊長の現地妻」である。
それを最初に言い始めたのは誰だかわからない。ちなみにエリオ自身ははやてを疑っている。
少なくとも、キャロの耳に入ったのは称号ができてからかなり早い時期だったらしい。そこでキャロは、騎竜としてエリオに従うことにしたフリードに言い聞かせた。
「もしエリオが浮気したら、その相手を噛んでいいよ。むしろ噛みなさい。たっぷりと。丹念に。がじがじと。むしゃむしゃと。痛く痛く」
当初は、やたらスキンシップをするウェンディがほぼ毎日噛まれていた。
あれは浮気じゃないッス、とのウェンディの根気強い説得をフリードは理解した。そして次に噛まれたのはノーヴェ。
あれは格闘訓練。とノーヴェは説明する。スバルも一緒に説明したのでフリードは落ち着いた。
それなのに本命であるはずのルーテシアは、まだ一度も噛まれていない。これについては、隊員たちも不満を隠そうとしない。
噛まれていない理由としては、
一、ガリューが怖い説。
二、ルーテシアが上手く隠している説。
三、エリオが噛むなと命令している説。
四、白天王が怖い説。
五、ルーテシアがとっても怖い説。
の五つが今のところ有力である。ちなみに、浮気をしていないとは誰も思っていないらしい。
「いいから一度噛まれてください。隊長補佐」
そして全員の嘆願を、ルーテシアは無視し続けている。
魔法少女リリカルなのはIrregularS
第四話
「悔い改めよナンバーズ」
205:野狗
08/11/09 00:18:39 +L01v5JM
2
客が待っていると言われ、キャロは自然保護局の出張事務所に顔を出す。
その客を見た瞬間、なんでこんなところに? とキャロの疑問。
「どうしたの? エリオ。休暇だっけ?」
「あ、キャロ。いや、偶然近くに部隊を展開させることになってね。空いた時間に顔を見に来たわけさ」
出会ったときに比べるとかなり精悍になった夫の雰囲気。
勝利の数だけ誇らしく、敗北の数だけ逞しくなった姿。それでも、自分に向けている微笑みは全く変わっていない。
「やっぱり、単身赴任は寂しいよ」
「ルーちゃんやスバルさんたちがいても?」
「チンクたちもいる。でも肝心のキャロがいない」
うふふ、と嬉しげに笑いながらキャロは尋ねる。
「お昼ごはんは済ませたの?」
「いや、まだだよ。隊の方には外で済ませると言ってきた」
「じゃあ、一緒に食べようか」
「ああ」
「その前に」
キャロはなにやらごそごそと、何かの作業をしている。
「どうしたんだ?」
「ちょっと、喚んでみたの」
羽ばたきの音。振り向いたエリオに見えたのは、事務所の前に着地する巨大な鳥。
「この地方に生息している巨大鳥でね。名前はサルトゥール。フリードに劣らない戦闘力だよ」
「どうして、こんなのを?」
「乗せてもらうのよ」
「なるほど。ああ、済まない。フリードは本部にいるんだが、僕が乗るわけにはいかないんだろう?」
「フリードがいないことは何となくわかってたよ」
キャロはケリュケイオンを掲げる。
「それで一つ質問。貴方、誰?」
エリオは笑った。
「エリオ・モンディアルだけど、どうしたの? キャロ」
「うん。別に、名前はどうでもいいんだ。貴方が私の夫のエリオでないことはすぐにわかるから」
「だけど、エリオなんだよ」
エリオの笑みは消えない。しかし、何かがその奥で蠢いている。今のエリオはそれを隠そうともしていない。
キャロはデバイスを動かさず、しかし視線が揺れる。
「まさか?」
「いやいや、最初のエリオは死んでるよ、それは間違いない」
エリオはさらに笑った。
「だって僕は、三番目だからねぇ」
衝撃とともに室内を烈風が襲う。
一瞬目を背け、次にキャロが見たものは……。首を撥ねられた巨鳥と、禍々しい紅に染まった槍を構えるエリオの姿。
「僕のデバイスだよ。名付けてストラーダ・ローヴェン」
206:野狗
08/11/09 00:19:21 +L01v5JM
3
チンクはちらりとルーテシアを見た。この状況でも、一瞬の隙をついた転送魔法で逃げることはできる。未知の場所への転送は不可能だが、
ヘリの置いてある場所は当然わかっているので転送可能だ。
ところが、そのタイミングを待っていたかのようにルーテシアが言う。
「今、インゼクトたちが教えてくれた。ヘリが破壊された」
これでは、転送先がない。ヘリを最初に調達した位置、管理局の駐屯他は遠すぎる。転送でこの人数を運ぼうとすれば、発動まで時間がかかりすぎる。
しかし驚くべきはそこではない。今の情報の別の意味にチンクは気付いた。
ヘリの破壊は今。つまり、上の三人とは別働隊がいるのだ。
その三人は、一同を見下ろしていた。
その三人が見た目だけの存在だとは誰も思っていない。仮に本物の八割の力だとしても、こちらに勝ち目はないだろう。
(ディエチは砲撃準備。ガリューは合図でディエチを担いで洞窟へ戻って)
ルーテシアが密かに念話で指示を始めた。
(合図でオットーはレイストームで土塊を巻き上げ。チンクはデトネイターで地面を打つ。それを煙幕代わりに、総員洞窟まで撤退)
逃げの体勢だった。不本意だが、この状況では仕方がない。
さらに言えば、洞窟の中では閉じこめられたも同然だろう。おそらく入ってきた側からは、ヘリを破壊した別働隊がやってくるのだ。
チンクはそれを問うた。
(構わない。考えがある)
ルーテシアがそう答えたので、その策に素直に乗ることにしたチンクはオットーと自分の位置を確かめる。
「状況開始!」
合図と同時にインゼクトの大群が洞窟から姿を現した。
なのはたちを取り囲み、攻撃するでもなくまとわりついている。
その隙に洞窟へと走る一同。殿のガリューが抱えているディエチはすでにイノーメスカノンを起動させていた。
「ディエチ、広域砲撃。対魔法ジャミングを」
「バレットイメージ、アンチマギリンクチャフ」
207:名無しさん@ピンキー
08/11/09 00:19:43 ITvEEOs+
come
208:野狗
08/11/09 00:19:54 +L01v5JM
4
AMCはAMFに効果は劣るが、その分広範囲で、なにより発生器が必要ない。
ディエチの実弾砲撃と同時に、全員が洞窟内へ。寸前、チンクとオットーがそれぞれ地面を砕く勢いでレイストームとランブルデトネイターを起動。
相手の魔法砲撃を多少なりとも制限し、しかも地下に逃げる。ジャミング圏外からの精密砲撃が通るだけの有視界もない。これでもなお追ってくるつもりならば、
むこうも地上に降りるしかない。
「急いで奥に!」
走る一同。なのはの砲撃なら、岩盤の一枚や二枚あっさりと抜いてしまう。立ち止まっていてはいい的だ。
戦いに持ち込むのなら、接近戦しかない。チャフ散布下なら、ガリューが魔法を制限されたフェイトを止められるかもしれない。残るはやてとなのは相手では、
接近戦なら活路はある。
「ガリュー、後方を監視。ディエチ、前方を観測」
ガリューの感覚は追跡者を捉えず、ディエチはヘリのあった側から上ってくる反応を発見する。
「タイプは?」
ディエチは溜息のように息を吐いて、答える。
「……戦闘機人。ノーヴェと同じタイプのようです。数は10」
「ナカジマ特佐の資料と繋がったな」
チンクの呟きに、オットーがうなずく。
「やっぱり、量産していたね」
密閉された環境での戦いには、ノーヴェが最も適しているだろう。投入する戦力としては間違っていない。
「ノーヴェ十人か」
「間違いなく、強化されているよ。ノーヴェの出力じゃない、これは」
ディエチの観測が続いていた。
「あと、量産された疑いがあるのはセッテとあたし。飛行タイプも砲撃タイプも洞窟の中に入ってくると思えない。外で待ってるかもしれない」
「構わない。オットー。プリズナーボックスで全員を囲んで」
ルーテシアが全員を集めて中央に立つ。そして、召喚印を描く。
「地雷王!」
無茶だ。とチンクは叫びかけて、プリズナーボックスの存在に気付いて口を閉じる。
確かに有効だ。洞窟内の敵は全てつぶされるだろう。しかし、本来檻として使われる力場をシールド代わりにするとは。
轟音。崩れていく内壁。
このまま埋もれてしまっても、プリズナーボックスの中なら心配はない。もう一度ルーテシアが地雷王を呼べばいいのだ。
そしてこの状態なら、なのはの砲撃でもそう簡単に抜くことはできない。
チンクたちは、落盤の響きに安心すら覚えていた。
209:野狗
08/11/09 00:20:29 +L01v5JM
5
「そうだな。僕自身もエリオローヴェンかもしれないな。では、ローヴェンと呼んでもらおうか」
偽エリオ……ローヴェンは言う。
「動くと刺すよ。さすがに殺しはしないが、腕、いや、足一つくらいは失っても仕方ない。その程度の覚悟はあると思ってくれ。しかし、腐っても妻だ。
できれば五体満足で連れ帰りたい」
ローヴェンはさらにそう言うと、ストラーダを構えたままキャロに近づく。
「忘れないで欲しいんだけど。私の夫は貴方じゃないわよ」
「ミッドチルダにいるのが君の夫だと?」
「そう」
「アレが君の夫。それを忘れているのは、僕だけじゃないと思うよ」
ストラーダの先端が、キャロの胸元を乱暴についた。
「例えば、ルーテシア・アルピーノとか」
ローヴェンをにらみつけるキャロ。
「もしかすると、ミッドチルダの僕も君の夫であることを忘れているかもしれない。そうだな……三日に一度くらいは」
ストラーダの先端が赤く鋭く光る。
「君も忘れたらどうだ? ミッドチルダにいる不義理者のことなど」
「三流以下のゴシップ紙でももっとマシな記事を書くと思うけど。正直に言いなさいよ」
キャロはケリュケイオンに意識を集中する。
「人質を取らなければ、僕は本物には勝てません。って」
同時に魔法弾がローヴェンを襲う。しかし、ローヴェンは微動だにせず、ただストラーダを左右に振るだけでキャロの魔法弾を相殺してしまう。
「人質は必要ない。僕はまともにやり合っても、あの偽善者には勝てるよ」
「私を人質にするくせに?」
「ああ、誤解があるね」
ローヴェンは肩をすくめた。
「君を連れ去る理由は一つしかない……飽きたんだよ、戦闘機人と元レリックウェポンには」
ニヤリ、と嫌な笑い。
「たまには普通の女が抱きたくなる。例えば、親に捨てられた召喚師とか」
「ふざけ……」
言い終える前に、キャロの身体が宙に浮いた。いや、浮かされた。
衝撃がキャロの下肢を折り曲げるように叩き、身体が横回転して地面に叩きつけられる。
210:野狗
08/11/09 00:21:02 +L01v5JM
6
「……一つ言っておく」
ストラーダの先端が、キャロの襟を引っかけ、持ち上げる。襟を引かれ、首が絞められたようになったキャロは咳き込みながら相手を睨んだ。
……折れた?
ストラーダで横殴りにへし折られたのだ、とキャロは両足の激痛とともに理解する。
「別に、ダルマでもいいんだよ、僕は」
両手足を落としてでも連れて行く。それは脅しではなかった。ただの事実の宣言にすぎない。
「そう」
だから、キャロはそう答えた。
こちらも事実の確認。仮にそうなったとしても、気持ちは変わらない。と。
「それでこそ、いい女だ」
ローヴェンはより愉快そうに笑う。
「でも、ヴォルテールは呼ばない方がいい。そりゃあ、ヴォルテール相手だと、僕だって負けるかもしれない」
だけど、とローヴェンはニッコリ微笑んだ。
「ヴォルテールでは、守れないよ」
その言葉を合図としたかのような轟音。そして聞こえよがしの命令。
「クローラーズは周囲の包囲。ガンナーズは威嚇射撃を続行。ライナーズ、ナンバー4と5はキャロの上司見つけて捕獲、ここまで連れてこい」
さらに、ローヴェンは続ける。
「君にわかりやすく言ってやろうか。クローラーズはノーヴェ、ガンナーズはディエチ、ライナーズはセッテの、それぞれ強化改良型量産戦闘機人だ」
ヴォルテールは多数を短期間で沈黙させられるのか、とローヴェンは問う。否の答えを待つまでもない、簡単にわかることだった。
キャロは、ヴォルテール召喚によってローヴェンを倒せるかもしれない。しかし、多数の戦闘機人に襲撃されている人々を全て救うことはできない。
すぐにライナーズが二人を捕らえ、連れてきた。
「……ごめんなさい」
キャロの言葉に、ミラとタントは首を振る。
「謝ることはない。こんな連中…」
「人の女に軽々しく話しかけるなよ。田舎者は礼儀を知らないな」
ストラーダがタントの喉を突いた。咳き込み、血を吐くタントの姿にミラは叫ぶ。
「命は取らないよ。キャロ次第だけどね」
「キャロ……」
「ごめんなさいっ! タントさん! ミラさん!」
「そういうことだから」
キャロは力無くうなずいた。違う方向へ曲がった足のためか、おびただしい汗をかいている。
「後から捜査に来る連中に伝えろ」
嘲りを隠そうともせず、ローヴェンは言う。
「キャロ・モンディアルの身柄は、ルーテシア・アルピーノと交換だとな」
211:野狗
08/11/09 00:21:37 +L01v5JM
7
落盤の響きは止まない。いや、明らかにそれは別のものだった。
落盤とは違う、別の破壊音。
「間違いありません。この音はイノーメスカノンによる砲撃の着弾音です」
やはり、ディエチをベースとした量産タイプもいるのだ。
しばらく、全員が着弾音に耳を済ませていた。
「向こうも、AMCを撃ち込んでいるようです」
ルーテシアの転送魔法封じだろう。
行く場所もないと言うのに念入りなことだ、とチンクは呟く。
「ガリュー、チンク、気付いた?」
ルーテシアの問いに二人はうなずく。
着弾音から考える限り、こちらの位置は特定されていない。地下洞窟全体に対して撃ち込んでいる様子なのだ。しかし、洞窟にはまだ息のあるノーヴェタイプ
だっているはずなのだ。
チンクが忌々しげに言う。
「奴ら、味方へのの誤射は気にしていないようだな」
「目的は私たちのあぶりだし。少し、我慢して」
「我慢はできる。しかし、その後はどうするのだ? 諦めて下がっていくような相手とは思えないが」
ガリューが力強く唸る。
「そう。ガリューの言うとおり。エリオは私たちを見捨てたりしない」
チンクがガリューを見上げた。
「ガリューと補佐の言うこともわかるが。助けに来るとすればスバルだろう。救助はお手の物だからな」
本物相手ならまだしも、コピー相手なら本隊と合流すれば勝てる。誰もそれを否定しない。
「でも、エリオが来るから」
「いや、スバルだ」
ディエチとオットーは二人のやりとりを呆れた目で見ている。ガリューもチンクもルーテシアも、互いのお気に入りを贔屓しているようにしか二人には見えないのだから。
「あたしは、ジュニアだと思うけど」
「……僕は、ディード」
そして互いを呆れて見る二人。
「どうしてそこでディードなの?」
「ディエチはジュニアを過大評価している…」
「オットーこそ、ディードに頼りすぎているよ」
「ディードは頼るに値する。少なくとも、ジュニアよりは」
「ドクターのいい部分を受け継いでいるよ、ジュニアは」
「何やってるんだ、お前たち」
212:野狗
08/11/09 00:22:11 +L01v5JM
8
気がつくと、二人の言い争いを面白そうにルーテシアとガリューが、困ったようにチンクが見物していた。
「なんでもない」
五人は警戒を解かずに、それぞれの方法で周囲に気を配ることにした。連絡がないのを不審に思った本隊が捜索に来るとすれば、ここに来るのはただ一人。
「はーい」
案の定、それほどの時間を待たずに声が聞こえる。
プリズナーボックスの向こう、地面から見えるのは指が一本。もちろん、セインのものだ。
一部解除した場所から入るセイン。
「あいつら、やたらめったら撃ち込んでるよ。こっちの位置はバレてないみたいだけど。物量に物言わせて、不格好な戦い方だね」
「そっちの作戦は?」
「そのことで確認したいんだけど。こっちが見つけたのはノーヴェタイプとディエチタイプ。セッテタイプはいないみたい。何で空に逃げなかったの?」
五人は顔を見合わせた。
「私たちの確認した戦力はまだある。高町なのは、フェイト・テスタロッサ・スクライア、はやて・ナカジマのコピーだ」
「げっ。管理局三大魔女!? 嘘でしょ?」
「嘘じゃない。そもそも、ディエチやノーヴェの劣化コピーだけなら、こんな所に逃げ込んでない」
「あー。どっちにしてもジュニアの言う通りか」
頭をかいて腕を組み、セインは座り込んだ。
「ディエチとチンク姉、私に掴まって。隊長の所に行くから」
「待て、私たちだけか」
「沈むだけなら何とかなるけど、結構長い距離を潜ったまま戻ることになるから。全員一度には無理だよ」
「AMCを何とかすれば、転送魔法でヘリのあった位置までは戻れる」
ルーテシアの指摘に、わかってると言うように手を振るセイン。
「そのふりをするつもり」
「ふり?」
チンクが聞き返すと、セインが首を捻った。
「うん。AMCの無効化を狙う振りをするって。そうすれば、向こうは転送可能地域の制圧に現れるだろうから、それを叩く。そういう作戦」
213:野狗
08/11/09 00:22:45 +L01v5JM
9
「部隊が地下に逃げたということは、敵側に空戦能力の高い者がいるはずです。さもなければわざわざ地下には逃げないでしょう。
地上戦ならまず引けを取らないメンバーのはずですよ。で、こっちはAMCを無効化すると見せかけます。多分それには抵抗してきません。
向こうはルーテシアさんの転送魔法の目的地、ヘリのあった地点を確保に来るでしょう。そこを叩いてください」
ジュニアの言葉に、エリオはうなずく。
「確保に来ない場合は、そのままAMCを無効化すればいいわけだな」
「そういうことです」
「というわけだ。セイン、伝えてくれよ。魔法、科学含めて連絡が取れないんだ。秘密のラボには絶好の場所だよ」
時々、このような場所がある。第97管理外世界では「富士の樹海」「バミューダトライアングル」と言われるような場所だ。
「了解」
しばらく待つと、ディエチとチンクを連れたセインが戻ってくる。
「あと二往復だね」
ガリューは大きいので一度に一人がせいぜいだ。ルーテシアとオットーは同時に運べる。しかし、プリズナーボックスで地下の場所を確保していることを考えれば、
当然最後に運ぶのがオットーということになる。
「急いでください。セイン姉様」
それがディードにはやや不満だった。
「わかってるって。オットーのことはお姉ちゃんに任せな」
再び潜っていくセインと入れ替わるようにジュニアが姿を見せた。
「ディエチ、これを使って」
「それは?」
「AM中和弾頭。AMCを無効化する溶液を散布するようになってるんだ」
「戦いが続けば、これでは無効化できないAMシリーズが生まれるのでしょうね」
「そのときは、さらにそれを無効化するものを作るよ」
「キリがない」
「あるよ」
「ジュニア?」
「デバイスやスペックのコピーは作れるけれど、心のコピーは作れない。だったら、心で勝てばいいさ。心だけは絶対に真似できないんだ」
ジュニアは自分自身を指さす。
「クローンで人格はコピーできない。僕とフェイトさん、隊長がそれを証明している。複製でも同じだと思うよ」
214:野狗
08/11/09 00:23:36 +L01v5JM
10
エリオが手を叩いて全員の注目を集める。
「フェイトさんたちのコピーは予想外だったが、なんとかするしかないな。次にセインが戻ってきたら作戦開始だ」
「エリオ」
スバルが眉をひそめていた。
「気になるんだけどね」
三人のコピーが姿を消していること。スバルが言いたいことはエリオにもすぐわかった。
「人格を持つ者の完全コピーは作れない。それは俺とフェイトさん……それにノーヴェだってその証明だ」
ノーヴェはクイントではない。
「何かを企んでいる。それはわかる。だけど……」
エリオはストラーダを握りしめる。
「劣化コピーのなのはさんになら、貴方は勝てるでしょう?」
「本物に劣るフェイトさんになら、エリオは勝てるよね」
「まがい物のはやてさんなら、あとは楽勝ですよ」
スバルは力強くうなずいた。
「バレットイメージ、AMニュートライザー」
ISによる観測。ディエチは空を見た。
セッテタイプが動く。こちらに気付いた。いや、気付かせたのだ。
「総員展開」
エリオの号令で、まずウェンディが飛んだ。ライディングボードに乗り、別のライディングボードを後ろに従わせている。
「ISエリアルレイブ」
ウェンディの瞳が輝き、二台目のライディングボードの先端が開く。
「行くッスよ、ドーターズ!」
内部から現れた十一台の小型ガジェットが散開する。
ウェンディのISの深化。それは、複数の飛行物体を同時に操ること。
一台一台が、あたかも別の者に操られているように独自に作戦行動を取るのだ。本人も含めて十二台。
ドーターズに混ざるようにして飛んでいるのはガリューとディードだ。
「対空砲は気にしなくていいッス。こっちには、地対地砲撃の名手がいるッスからね。砲撃戦は任せて、ぱちもんセッテに集中ッス!」
ガリューが唸り、ディードがうなずいた。
今、地下に残っているのはルーテシアとオットー。その二人を守ろうとする限り、ガリューとディードに敗北はない。
215:野狗
08/11/09 00:24:19 +L01v5JM
11
「竜魂召喚!」
竜騎士エリオの、ただ一つだけ使える召喚術。吼えるフリードの姿が、騎乗に相応しい白銀の竜へと変化する。
「行くぞ、フリード!」
竜騎士が地を蹴った。
威嚇弾を撃ち終えるとディエチは横へ飛んだ。さっきまでいた位置に砲撃が集中するのがわかる。空へ上がっただけではなく、地上にも残っているとようやく
気付いたのだろう。
……遅いよ。
ディエチが感じているのは敵に対する優越感と、過去の自分に対する少しの悲しみ。
ナンバーズと呼ばれていた頃の自分は、今のコピー連中ほどに愚かだったのだろうか。だとすれば、鎧袖一触で高町なのはに敗れたことにも納得がいくというものだ。
コピー連中は数を頼みに撃ち込むだけで、砲撃から自分たちの位置が割り出されることにも無頓着なようだった。だったら、この場で徹底的に教育してやればいい。
「バレットイメージ、ノーマルカノン」
予測した砲撃位置へ一撃。さらに移動して、二発。
後の二発は、相手が取るであろう回避パターンを予測して、その位置に撃ち込んでいる。当たらずとも近くに着弾していれば、向こうは回避にも神経を
とがらせることになる。
「バレットイメージ、マルチプルカノン」
弾頭を多弾頭に変え、またも移動して砲撃。一撃一撃の威力は低いが、逃げ道なしの砲撃のプレッシャーの嫌らしさは自分でもよくわかるつもりだ。
案の定、砲撃が止んだ。その隙にディエチはさらに移動する。
「イノーメスカノン、サイレンスモード」
狙撃仕様に変形するデバイス。
両目の視界内に狙撃用のスコープが現れる。そこから、体勢を立て直そうとしている量産型たちが見えた。
「……無様だ」
経験値の不足を、ディエチは嘆いた。
やはり、データの継承と蓄積が全てではないのだ。たしかにそれを使えば訓練の効率は高くなる。しかし、完全ではない。
そのとき、何かが囁いた。
おかしい。スコープ先にいるのは確かに戦闘機人だ。しかし、何かがおかしいのだ。
妙な違和感がある。
まるで、その部分だけ何枚もの絵を重ねたように。空間が膨らんでいるように見える。
216:野狗
08/11/09 00:24:59 +L01v5JM
12
易しすぎる。スバルはウィングロードを疾走しながら、その違和感を考えていた。
弱すぎるのだ。
セッテの量産型。ノーヴェの量産型。確かに弱くはない。これらが量産されれば管理局にとっては脅威だろう。しかし、元のノーヴェ立ちと比べると明らかに弱いのだ。
これがコピーの弱さだというのなら、確かになのはたちのコピーも大したことはないのかもしれない。
しかし、それでもスバルの感じた嫌な予感は消えなかった。
「なんなんだよ、こいつら」
ウィングロードと併走するエアライナー。ノーヴェがスバルに語りかける。
「なんだよ、こいつらの弱さ。確かに数はうっとうしいけど、これじゃあ、あたしたちじゃなくてもそれなりの部隊で何とかなるぞ」
「スバル! ノーヴェ! 固まるな、散れ!」
エリオが叫んだ。
「エリオ、見つけた! 座標送るッスよ!」
ウェンディのドーターズからの直接通信を受けるエリオ。
「スバル! フォロー頼む!」
SONIC MOVE
フリードを巻き込んだ高速力場をエリオは形成する。
そして、座標に向けて急上昇。
後を追うスバル。戦闘機人モードを解放し、通常以上の速度でウィングロードを駆けている。
二人の視線が真上を向いたとき、黄金の雷が天より一直線にエリオを襲う。
「さすがに!」
正面から落ちてきたフェイトのデバイスを受け止めるエリオ。
「バルディッシュまではコピーせずか!」
「何言ってるの、エリオ? 私と戦うの? エリオが?」
「親子げんかをしたことがないんでね! 替わりに殴られてもらおうかっ!」
その横を駆け抜けるスバル。
「任せたよ、隊長!」
「当然っ!」
217:野狗
08/11/09 00:25:32 +L01v5JM
13
ザンバーをはらいのけ、穂先を常にフェイトに向けながら、エリオは叫ぶ。
スバルは目標に向かい走る。
黒の六枚翼の魔道士へと。
DIABOLIC EMISSION
「……遠き地にて、闇に…」
「させるかーっ!」
はやての詠唱を断ち切る拳。
呪文の詠唱の時間を稼ぐ。それが三人が退いた理由、とエリオは判断し、三人の姿を探していたのだ。
そして、フェイトとはやての姿を見つけたことになる。
振動拳
スバルに容赦はない。相手はコピーとはいえ、あの、はやて・ナカジマである。
だからこそ、スバルは己が持つ最大の打撃を初撃とした。
しかし……
「え?」
スバルの拳は、あっさりとはやての身体を貫いた。
おびただしい量の血しぶき。瞬く間に赤く染まるスバルの身体。
そして同時に、ストラーダもフェイトの身体を貫いていた。
「何故……?」
防御力皆無。バリアジャケットはフェイク。防御魔力は一切使われていない。
それが、それぞれスバルとエリオの手に残った感触だった。
非殺傷設定とはいえ純粋な物理的打撃となるスバルの拳、エリオのストラーダを、単なる衣服と身体が受けきれるはずもなかったのだ。
「な……んで……?」
その瞬間、血まみれの敵が二人をそれぞれに抱きしめた。
「……相変わらず…スバルは…抜けてるな」
「エリオ……まだまだ…甘いね」
「はやてちゃん、フェイトちゃん、ありがとうね。それから、ライナーズ、ガンナーズ、クローラーズも」
なのはの声。
「……みんなの力、たくさん集束できるね」
STARLIGHT BREAKER
全ては、この集束のために。
218:野狗
08/11/09 00:26:09 +L01v5JM
14
ルーテシアとオットーを最後に救出したセインが見たのは、すでに開始されてる戦闘だった。それはいい。わかっていたことだ。
しかし、次の瞬間セインはわが目を疑った。自分たちに向かってきたノーヴェタイプに向かい直った瞬間、それは分裂したのだ。
ISディープダイバー
不完全なディープダイバー。
使用者が潜行できる対象はただ一つ。同じISを発動させた者だけ。
ディープダイバーを発動させた者は、互いに重なることができる。一人に見えたのが一気に数人に、場合によっては十数人に増えるのだ。
一気に十数倍に増えた敵戦力。圧倒的な数が突如立ちはだかった。セインは、改めて自分のISの特殊性を思い知った。だから、絶対に敵にこの能力を与えてはならない。
自分のクローンをあれだけ犠牲にしたとおぼしき勢力が手にしたのは、この不完全なディープダイバーなのだ。これ以上のものを与える必要などない。
「オットー。セインを守って」
ルーテシアは即座に理解していた。敵が欲しているのはセインの能力である、と。
ISレイストーム
発生した力場がノーヴェタイプをはじき飛ばす。しかし、数が違いすぎた。数人がセインを取り囲む。鞭のようなものがセインの手に巻かれた。
セインは即座に悟った。鞭には、ディープダイバー無効物質が混合されている。この鞭で捕らえられては脱出はできない。
TODES DOLCH
ルーテシアの召喚する黒のダガーがノーヴェタイプを貫いた。
展開するエアライナー。ノーヴェタイプの標的がセイン一人から二人に変わる。そして、空からセッテタイプが。
一対一の勝負ならコピーは敵ではない。しかし、圧倒的な数の差がある。
セッテタイプが鞭をノーヴェタイプから受け取った。
「オットー、私はいいから、セインを追って」
言ったルーテシアが、ノーヴェタイプの蹴りを受けきれずにシールドごと飛ばされる。
オットーの視界を覆うようにエアライナーが乱舞した。
「邪魔だよ」
レイストームを全開に、オットーは空への道を開く。しかし、飛びかけた足首を誰かが掴んだ。そのまま引きずり降ろされると、目の前にブーメランブレードが
迫っていた。
しゃがみ込むことで辛うじてよけるが、逆にそれは、ノーヴェタイプの攻撃圏内に入り込んだということである。
無数の蹴りが、オットーを襲った。
219:野狗
08/11/09 00:26:42 +L01v5JM
15
状況をチンクは見た。
地上には蹴散らしたはずのコピー部隊が無数に増殖している。二つの核を囲んだ塊が見えるが、その核はディエチ、ルーテシアとオットーだろう。
頭上には、今まさに最強の砲撃を放とうとするコピーなのは。
セインを連れ去ろうとしているセッテタイプたち。
そして自分たちもまた、増殖した無数のセッテタイプに囲まれている。
圧倒的な敗北。
「まだッスよ、チンク姉」
「あたしたちは、まだ戦える!」
ウェンディとノーヴェがチンクの横に並んでいた。
「……ああ、そうだな」
チンクは、前方斜め上、白い魔道師をにらみつける。
コピーなのははその視線を真っ向から受け止め、笑う。
「自分たちの馬鹿さ加減、悔い改めるといいの。ナンバーズ」
デバイスが、ひときわ輝いた。
220:野狗
08/11/09 00:27:19 +L01v5JM
16
次回予告
ウェンディ「難しいことは考えないッス。楽しかったらそれでいいッスよ」
セイン「今の生活、楽しいんだ?」
ウ「楽しいッスよ、みんなでいられて嬉しいッス」
セ「うん。お姉ちゃんもそう思う。だけど、時には何かを犠牲にしなくちゃならない」
ウ「……そんな人を一人でも減らすために」
セ「え? ウェンディ、なんか言った?」
ウ「え? 別に、なんでもないッスよ」
セ「次回、魔法少女リリカルなのはIrregularS第五話『セインの覚悟 ウェンディの意地』 僕たちは進む IRREGULARS ASSEMBLE!」
221:野狗
08/11/09 00:27:57 +L01v5JM
以上、お粗末様でした
222:名無しさん@ピンキー
08/11/09 00:59:35 uX+kHsgS
GJ!!です。
量産型とフェイトとはやては捨て駒、本命は皆が恐れる悪魔の砲撃w
良い様に、策にはまりましたね、キャロも拉致されましたし。
もう一人のエリオも出てきましたし。次回が楽しみです。
223:名無しさん@ピンキー
08/11/09 01:11:08 YWU0ZQ9u
またエリオのクローンね、はいはい
224:名無しさん@ピンキー
08/11/09 02:24:44 h4CsoZjn
>>221
GJ。
戦ってる、という雰囲気がバシバシきます。偽エリオ恐いよ。
スバルが来るの!エリオが来るの!の掛け合いは、凄く単純に「いいなぁ」と思いました。何がいいなぁと思ったのかもちょっと詳しく説明できないぐらいいいなぁと思いました。
あと不完全なディープダイバー面白いわ、これ。
なのはの二次話作る時、敵や事件を考えたらレプリカとかクローンとかが絡んでしまうのは仕方がない事。
仕方がないと言わずに脳汁ひねるけども難しいよね。
225:名無しさん@ピンキー
08/11/09 07:00:38 NfU68GHC
>>199
GJ!
ドライかわいいよドライ
でも嫉妬が最高に達した時の力は最高に危なそう
精神世界に永遠に閉じ込めたりと、そんなイメージが
>>221
ローヴェン怖!
キャロを誘拐した本当の目的はルーテシアを手に入れること?
それはただ惚れているのか、深いわけがあるのか
エリオには現地妻のルーテシアを奪われぬよう絶対に勝ってほしい
GJ!
226:名無しさん@ピンキー
08/11/09 09:15:00 yfpaBljE
>>221
Gj!
フリードがルー子噛まない理由は間違いなく3だな
エリオが第2妻が傷つかないようにちゃんと配慮しているのだよ
とそれはさておきコピー軍団どいつも恐ろしい
エリオコピーはもちろん本人より容赦なさそうな、なのはコピーも…
227:名無しさん@ピンキー
08/11/09 20:15:50 uXWeXb3X
そろそろエリオも、司書長や黒んぼ提督みたいに禁止キャラにされるんですかね…?
228:名無しさん@ピンキー
08/11/09 20:20:45 CuSSEUMX
>>227
んな事言ったらその内誰も使えなくなるからナイナイ。
そもそもユーノもクロノも別に禁止になった訳でもなし。
229:名無しさん@ピンキー
08/11/09 21:40:01 5JwViHXA
>>221GJ
ルー子が噛まれないのは
6.ルーテシアにお肉で買収されてる
を推すぜ!
230:名無しさん@ピンキー
08/11/09 21:43:30 q6mxAQmf
エリオは投下の間隔が短い人がメインで書いているから多いんだよな。
一方のクロノは短編で義妹の後ろを元気に掘っている。
ユーノは・・・・・・・今度書こう。
231:名無しさん@ピンキー
08/11/09 21:51:16 ciDaRRO+
書きたい人が書きたいモノを書けばよいのだ。
つか、やっぱり時系列が3期、3期の後って作品が多いからな。
出番減るのも、語弊を恐れずに言えば当然っちゃ当然の流れかもしれぬ。<クロノとかユーノとか
232:名無しさん@ピンキー
08/11/09 22:01:15 +n1p4fgn
ユーノものはなんか覚えてんだよな、フェイト嫁にして故郷帰ったのとか
233:名無しさん@ピンキー
08/11/09 22:03:36 rmOMMDIj
職人が書きたいモノ書くのが1番なんだけど……
それを阻害してるのは、ごく1部の読者なんだよな。
234:名無しさん@ピンキー
08/11/10 00:19:02 ArStiWog
1本話出来たんだけど魔法少女の足が臭いっていうのは
果たしてそのキャラ好きな人に許されるんだろうか
235:名無しさん@ピンキー
08/11/10 00:19:48 yl/wUEOB
俺は興奮する
236:名無しさん@ピンキー
08/11/10 00:23:51 dEMiM7v2
興奮はせんが何となく面白そうな予感。興味あるよ
237:名無しさん@ピンキー
08/11/10 00:27:40 T1kuMZ+S
内容による。
ただし興味はある。
予想した通りなら興奮する。
238:名無しさん@ピンキー
08/11/10 00:29:58 2/O5nXUR
悩む時間があるなら投下するのがエロパロ紳士の慣わし。
239:名無しさん@ピンキー
08/11/10 00:32:48 xc2viGbs
ルビか振れたら、って思われる職人さんは居ますか?
時々執筆中に漢字変換すると、違う表現で書いた筈のものが同じなってて困ったりすることがあります。
「いらった」と「まさぐった」が同じ『弄った』に変換されたりなどです。
後ろに( )で読み仮名を振ったりすると、とても格好悪い感じになりますので。
240:名無しさん@ピンキー
08/11/10 00:34:10 y8auL73s
ひらがなで書けば良いじゃない
241:名無しさん@ピンキー
08/11/10 00:40:34 eTjBBrl9
>>234
全裸だと今の季節は寒いんだ。 早く頼む。
>>239
分かる! それはよく分かる!
筆が遅いことで有名な職人ですが、それは正直なところありますね。
別なところで小説サイトを運営してるんですけど、そっちでタグ使ってルビが振れても
こっちではルビが振れなくて言葉遊びとか出来ないので残念に思うことはあります。
まあ、絶対にルビを振りたい! というなら他の場所でやるしか方法はないんですけど。
242:名無しさん@ピンキー
08/11/10 00:40:56 GcQqxdh8
ワードを起動して
『書式』のタブを選択
更にそこの一覧から『拡張書式』
するとさらに細かいリストが出てくる中に『ルビ』がある。
どうしても、>>240の方法でイヤなら試すといい
243:名無しさん@ピンキー
08/11/10 00:41:58 JZ/Sn5ab
エ ク ス カ リ バ ー
約束された勝利の剣
こんな感じで
244:63スレ390
08/11/10 00:45:11 /NaxjtEo
7ヶ月前にフェイトの靴下ニー書いたものです。
1本投下させてください。
・非エロ
・足の臭いスバルなんてスバルじゃない
・フェイトが非処女
なんで嫌な方は飛ばして下さい
245:仲良くしましょ?
08/11/10 00:48:15 /NaxjtEo
少年と、向かい合うように座る少女の姿がある。少年の気遣わし気な視線に気付いているのかどうか、俯いた少女の表情は窺えない。
「・・・ほ、本当にいいの?」
重苦しい雰囲気のなか、少年が口を開いた。
「・・・うん」
俯いたまま答える少女。その細い肩を見るにつけ、彼女のことを思い、胸が痛む。
「いいのかな。こんなことしても」
「いいの。これは私が望んだことだもの」
「でも・・・君に辛い思いをして欲しくないんだ」
なおも食い下がる少年に、少女は初めて笑顔をみせた。ふわりとした、少し困ったような・・・。天使の微笑み。
少年の心にまたチクリと痛みが走る。
「・・・大丈夫。だから、しよう?エリオくん」
「キャロ・・・・」
「エリオくん・・・・」
ばたばたばたばたばたばたばたばたばた!!!!
「ちょっと待てえええええええ!!」
けたたましい音を響かせて部屋の扉が開かれる。正面に、仁王立ちになっている女性の姿。
顔を真っ赤にしているのは、走ってきたせいばかりではないであろう。
「あ・・・なたたち・・・・・・!!」
「あ、フェイトさん」×2
「『あ、フェイトさん』×2 じゃないッッ! ふ、二人ともッ、何考えているの!!」
「丁度良かっですフェイトさん」
今にもエリオに掴みかからんばかりに沸騰寸前のフェイトにはお構い無しに、キャロは屈託の無い様子で歩み寄る。
「え、な、何?」
一瞬怒りを忘れたフェイトに、キャロは笑顔で問いかけた。
「フェイトさんは、シタことあるんですか?」
246:仲良くしましょ?
08/11/10 01:00:39 /NaxjtEo
ーシタコトアルンデスカー?
落雷の直撃を受けたように硬直するフェイト。目は見開かれ顔面蒼白、握った拳はぶるぶると震えている。
「あ、ありますか?なのはさんや部隊長と」
あくまで呑気(に聞こえる)声を発するエリオに視線を移してにらみ据えるフェイト。
何故はやてとしたことがあると思うのだ、この子供は。
「教えてください、フェイトさん」
だが、答えを促すように覗き込んでくるキャロの視線ともろにぶつかって、フェイトはゆっくりと拳を開いた。
「わたし・・・私は・・・」
「はい!」
「私は・・・の部屋で・・・さんと・・・だった・・」
「はい?」
「・・・避妊は絶対するんだよぉぉぉッッッ!!」
心なしか語尾の震える言葉を残して、だだだだっと足音を響かせて走り去っていくフェイト。呆然と見送るエリオとキャロ。
「・・・おい、逃げたんじゃねーのか、あいつ」
実は居たヴィータ。
「フェイトちゃんは本当に気付いてなかったと思うよ?」
実は居たなのは。
「フェイトさん、本っっっ当に二人しか目に入ってなかったね」
実は居たスバル。
「こんだけの人間無視してハナシ進められるのもある意味スゴイわね」
実は・・・というか居たティアナ。
というか、エリオのベットには現在新人4人とスターズ隊長、副隊長が座っている状態なのだ。
「フェ、フェイトさん、どうしちゃったんでしょうか・・・?」
置いてけぼりを喰ったエリオとキャロが、おろおろと尋ねた。
「まぁ何想像したのかは、大体見当はつくけどね」
「早とちりしすぎだろ、アイツ」
苦笑を浮かべるなのはとやれやれ、と呆れた様子のヴィータ。
「何を想像したんですかティアさん?」
「キャロは知らなくていいことよ」
「何を考えたんですかスバルさん?」
「エリオもまだ知らなくていいから!」
フェイトの考えてる事を教えるとなると、一気に保健体育の時間に変わってしまう。
今日はその為に集まったのではないのだ。
247:仲良くしましょ?
08/11/10 01:01:36 /NaxjtEo
「・・・すみません、わたしの我侭のせいで・・・」
キャロのか細い声に、ティアナとスバルはギクリと振り返った。
身長差のせいで上目遣いのキャロの目はどこまでも澄み、スターズ隊員を見つめている。
「ホントにごめんなさい・・・お忙しいなか無理云ってしまって・・・」
全員に向かってうなだれるエリオ。スバルはそんなエリオの頭を軽く撫でてやる。
「気にしなくていーんだよ。私達はチームなんだからね」
「そうそう。私とヴィータちゃんは気にしなくていいよ」
なのはとスバルからの赦しを得た事に安心し、今度はティアナの方に向き直る。
じっとティアナを見つめるキャロとエリオ。4つの純粋な瞳に見つめられ、思わずティアナは後ずさる。
「・・・早くしちゃうわよ!忙しいんだからね!ほら、エリオ早く脱ぎなさい、その靴!!!
脱いだらキャロに渡す、キャロの靴は私に渡して」
「ほ・・・本当に臭いと思いますけどいいんでしょうか」
「スバル以上に臭い匂いのする靴はないって保証したげるからから安心しなさい。」
(スバル、あんたのは渡すんじゃないわよ。エリオとキャロは気を使う子なんだから、
あんたの会でも絶対に全然臭くないですよっていうからね!)
(そこまで言われると傷つくよ、ティア・・・)
「あはは、若い子って何思いつくかわからないねえヴィータちゃん・・・私も参戦しようかな?・・っと」
(流石悪魔、普段履かないパンプス渡してスバルの悶絶姿を楽しんでやがる・・・!)
248:仲良くしましょ?
08/11/10 01:11:11 /NaxjtEo
―全てのの発端は、ある日の訓練後のことである。
「こんのぉ馬鹿スバル!!あれだけ靴袋作って石鹸入れとくかファ○リーズ振っとけっていったでしょ!!
ストレッチの時から既にもうあんたの靴から悪臭がこみ上げてんのよ!!自分の足が臭いって云う自覚をしなさい自覚を!!!」
「いひゃいいひゃいごうぇんえてぃあ~ひょうひせんはくきひいへほうとおほったたんはよー」
そんな二人から少し離れて座りながらクールダウンを行うキャロとエリオ。話には参加していない。
生活で靴の臭いを気にしたことが無かったこともあるが、まだお互いそれほど仲良くないからでもある。
「・・・キャロ、僕の靴、臭かったらごめん」
「え?ぜ、全然臭わないよエリオくんの・・・・してみたいな」
「・・・靴を交換して嗅ぎ合うことを?」
妹分のその言葉をどう受け取るべきか少しぱかり悩んでしまう、苦労性な10歳児エリオ・モンディアル。
「うん。だってお互いの靴の匂いを嗅げるなんて本当に仲良くないと出来ないことじゃない。
何でも言い合える仲じゃないと、無理だと思うの」
「ま、まあそうだろうね」
毎日毎日の特訓で汚れた練習着やジャケットは洗濯することが出来る、体も風呂さえ入れば汚れを洗い落とせる。
しかし靴は、毎日の訓練で使うものであり、ずっと履いていてやっと体になじむという特性上、なかなか洗浄するのは難しい。
「・・・みんなで靴の臭いを嗅ぎ合って臭いです、とか、言いあえるくらい仲良くなりたいな」
・・・こうして、「もっと親交を深めていこうよ~今日はエリオの部屋でね~(スバル命名・不評)」は、キャロの願ったとおり開催され、
スバルの悪臭に耐え切れず、暴言が飛び出したり、靴を投げ合ったり一緒に靴を洗うことをするくらいには、メンバーの距離は縮まった。
249:名無しさん@ピンキー
08/11/10 01:17:57 EiuFMB/c
足臭いとかむしろご褒美です支援
250:仲良くしましょ?
08/11/10 01:22:52 /NaxjtEo
さて、一方勘違いから飛び出していったフェイトはと云うと。
「・・・ エリオにキャロを任せるなんて・・でも年齢は関係ないし・・・・イヤでもキャロに痛い思いをさせるのは・・・
だけど好きあっているんだろうし・・・でもまだ10歳は・・・こういう時どうしたらいいと思いますかお父さん」
ベッドの縁に腰掛けて、両腕に抱いた、なんだかよくわからないヌイグルミに向かってブツブツと呟いていた。
本人はバルディッシュに語りかけているつもりなのかも知れないが、ひょっとして恋人のつもりなのかもしれず、
とにかくその双眸はどこまでも虚ろであり、
「・・・9歳でも20歳のモノは入るし・・・エリオのパオーンくらいなら・・・」
「ねえねえザッフィー、フェイトママから変なオーラでてるよー?」
「しっ、見るなヴィヴィオ。あちらの方で眠るぞ」
その日からの2、3日、仕事中以外は非常に鬱陶しい存在であった。
251:63スレ390
08/11/10 01:27:33 /NaxjtEo
投下終了です。
靴下の続きが文章が思い通りに行かず、時間だけが過ぎていきました。
なのはさんの性格が悪魔なのは仕様。
スバルの足がせっかく匂うのに興奮できる様な話でなくて本当にすみません。
252:名無しさん@ピンキー
08/11/10 01:28:57 2/O5nXUR
投下乙。
馬鹿な子達だなおいwww
しかし投下間隔が長すぎるぞ。
書きながら投下だったりしたら止めたほうが良いぜ。
253:名無しさん@ピンキー
08/11/10 01:29:56 olkFP/jg
なるほど、このフェイトの相手は恭也か
254:名無しさん@ピンキー
08/11/10 02:04:26 KAyxHXU/
>>252
これくらいの投下間隔なら大して問題ないよ
どうせ投下なかったら書き込みないか下らない雑談なんだし
255:名無しさん@ピンキー
08/11/10 02:49:47 2yA+SeHP
吹いたwwww
これはヒドイ!
(特に某保護者が)
256:名無しさん@ピンキー
08/11/10 06:25:42 WwZFUsRL
フェイト…
つくづく日常生活ではダメなヤツだなwwww
鬱陶しい存在wwww
257:名無しさん@ピンキー
08/11/10 07:40:28 i5zVQBqi
>>251
忍ちゃんにバレた時に色々と吸いつくされて、その結果雫ちゃんができたんですね、わかります。>恭ちゃん
でももしフェイトの相手が恭也だったら、とらハ2の耕ちゃん以上のダメ人間と化してるな。
ハッ、もしかして同時期にすずかやアリサも毒牙にかかったのd(ry
258:名無しさん@ピンキー
08/11/10 16:22:22 JZ/Sn5ab
セッテやオットーがノーヴェたちより若いナンバーなのってどうしてか説明されてるっけ?
259:名無しさん@ピンキー
08/11/10 16:33:02 yM2RzYlf
>>258
ナンバー=完成順ではなく開発を開始した順、でおkだったはず
260:名無しさん@ピンキー
08/11/10 16:41:30 JZ/Sn5ab
>>259
有難う、参考にする
261:名無しさん@ピンキー
08/11/10 20:58:02 RhLAJyXk
>>199
Gj!
これはドライのヤンデレフラグONか
独占欲強くてユニゾンできると嫌な予感しかしない
でもそこがまたいい
夢の中とかで暗示をかけ続けるとか…
>>221
Gj!
エリオなのはコピーはもう完全に命の大切さとかわかってないな
それだから冷酷にあそこまで行動できるのかと思う
エリオには妻二人頑張って守って欲しいもんだ
262:名無しさん@ピンキー
08/11/10 22:22:02 LN4M3ZIt
流れぶった切って申し訳ないが、Wikiを編集できる方がいたら
編集して欲しいんですが誰かできる方いますか?
263:名無しさん@ピンキー
08/11/10 22:37:29 b6G8fVwJ
最近来た人かな?修正なら、保管庫を手伝っているひとたちが今
リアルタイムで見ていなかったとしても、書きこんでおけば対応してくれるよ
264:69スレ264
08/11/10 22:37:45 cCiFL5Hy
>>262
訂正ですか?
265:名無しさん@ピンキー
08/11/10 23:03:02 XK9a0gJy
>>221
GJです
フェイトクローンとはやてクローンは自軍の勝利のために命を捨てるか
なのはクローンはそのために仲間を殺すのか…エリオクローンはルーテシアのために行動を?
4人とも何も考えてないのか、それとも何を考えて行動しているのか気になるところです。
266:名無しさん@ピンキー
08/11/10 23:56:26 XK9a0gJy
>>250
GJです
フェイトさんアフォスw
でもその勘違いっぷりが彼女の魅力なんだ
てかエリキャロ達も何やってんだと。
267:アルカディア ◆vyCuygcBYc
08/11/11 00:27:42 wmdfEWxq
悪ノリして妄想電波だった筈のものを執筆してしまったのですが、投下しても良いですか?
268:名無しさん@ピンキー
08/11/11 00:29:46 O2zgmriP
まったく構いませんどうぞ!!!
269:名無しさん@ピンキー
08/11/11 00:30:01 Bzv6I2HL
阻む者など誰もいない。
どうかしてくださいませ。
270:アルカディア ◆vyCuygcBYc
08/11/11 00:42:22 wmdfEWxq
「どっちが大人」
注・以前受信した電波小ネタだったのですが、
ておあー氏、B・A氏の両氏が形にして下さったもの読んでいる内に自分も書いてみたくなったので、衝動的に書いてしまいました。
87スレに両氏の素晴らしい作品が御座いますので、未読の方は是非一度読まれてみては如何でしょうか?
(リイン×アギト)+エリオ の和姦エロ、ちょっぴり変態チックかも知れません。
ておあー氏、B・A氏両氏に無限の感謝と共にこのSSを捧げます。
271:どっちが大人!? 1 ◆vyCuygcBYc
08/11/11 00:44:02 wmdfEWxq
「アギト、おはようですぅ」
とある早朝。
眠い眼を擦りながら、ふよふよと六課の隊舎を漂っていたアギトは、背後からそんな挨拶を聞いた。
「なんだ、バッテンチビか。おはよーさん……え?」
振り向いた背後には、そこに在るべき自分と同じ30㎝サイズの少女の姿が無かった。
そこに居たのは、機動六課の制服をサイズぴったりに着こなし、地に足をつけた等身大のリインフォースⅡ空曹長だ。
目を点にして、ぱくぱくと口を動かすアギトに、リインは胸を張って告げた。
「ふふ~ん。これからはやてちゃんのお使いで、ちょっと海鳴にまで行ってくるですぅ!
これで、もうバッテンチビなんて言わせないですよう!」
「けっ、ちょっと変身魔法使ってるだけだろ! あたしにその程度が出来ないと思ってんのかよ!
――変・身・!」
アギトの体が光に包まれ、たちまち彼女も等身大の姿へと変化した。
「へへ~ん、あたしの方がちょっぴり背が高いぜ!
変身魔法程度で大威張りなんで、やっぱりお前はガキんちょだな、バッテンチビ!」
「そんなことないでぅ! リインはもう立派な大人ですぅ!」
そんな、いつもと同じ喧々諤々をやっていると、背後から「うわっ」という驚愕の声が響いた。
「ア、アギトさん、なんて格好してるんですか――」
ビキニ水着を連想させるアギトの格好は、等身大となった今、扇情的な小悪魔の衣装だ。
顔を真っ赤にして目を背けながら、ちらちらと横目でその姿を伺っているのは。
朝立ちを鎮めようとこっそりと男子便所へと向かおうとしていた、エリオ・モンディアル少年(10)だ。
「どうだ、バッテンチビ。あたしの方が大人の魅力に溢れてるってことだろ、これは?」
「ち、違いますぅ! アギトはただHな格好をしてるだけるだけですぅ!
リインは知ってるですよ! 本当の大人は、こんなことが出来る人のことを言うですぅ!」
リインは控えめな少年の股間の隆起に手を伸ばし、無遠慮に鷲掴みにした。
エリオが大きく背筋を仰け反らせる。
「ほ~ら、エリオもおちんちんをこんなに大きくしちゃってるです。リインの魅力の力ですよ~」
「おい、馬鹿チビ、元から勃ってるもんをただ掴んだだけじゃねーか!
それにそれ……エリオ、痛がってねーか……?」
「ぅぅぅ、リインさん、痛い、痛いですよぅ、お願いですから放して下さいぃぃ――」
涙目のエリオの股間をリインが手放すと、握り撫された花のようにしおしおと萎えてしまった。
アギトは、普段の彼女からは想像もつかない程優しげに、エリオを抱きしめその頭を撫でた。
「よしよし、エリオ。乱暴されて痛かっただろう。すぐに痛くないようにしてやるからな」
そう言って、エリオのパジャマを静かに下ろし、健康そうな白いブリーフに手を掛ける。
そして、手荒く握られたエリオ自身にそっと手を添え、壊れ物を扱うように丁寧に口に含んだ。
「アギトさん何を――」
「昔からな、痛いところは舐めてやるのが一番なんだよ」
母犬が子犬の傷口を舐めるように、慈愛を篭めてアギトはエリオの陰茎を口の中で転がした。
アギトが自分の前に跪き、自分の秘所をしゃぶるっている光景は、あまりに倒錯的過ぎてエリオは身震いした。
扇情的なアギトの姿と、股間の蕩けそうに熱い感触に、幼さを残すエリオの性器が再び固さを取り戻す。
アギトは涎の糸を垂らしながらエリオのペニスから口を放すと、リインに流し目を送り、ふふんと鼻で嗤った。
屈辱で、リインの顔が真っ赤になる。
彼女はアギトを肩で押しのけ、エリオの前に立った。
272:どっちが大人!? 2 ◆vyCuygcBYc
08/11/11 00:46:11 wmdfEWxq
「アギト、交代ですぅ!!」
「お、……おぉ!?」
「エリオ、痛くしちゃってごめんなさいですぅ。リイン、つい手に力が入っちゃったですう。
お詫びに、エリオのここをキレイキレイして上げるですぅ!」
リインはポケットから濡れティッシュを取り出し、アギトの唾液で濡れぼそったエリオのペニスを丁寧に包み込んだ。
そのまま、まだ包皮の被った亀頭を露出させ、丁寧にしごくように拭き始めた。
「う、あぁぁぁ――」
エリオが未知の感覚に声を体を捩って声を上げる。
「はい、キレイキレイしましょうね~~☆」
アルコール分を含んだ濡れティッシュの冷んやりとした感触に、エリオは身悶えする。
アギトの奉仕で既に限界まで高められていた性感が、堤を崩すように決壊した。
「駄目ですよリインさん、僕、もう、もうっ……――つっ」
恥ずかしさに涙目になりながら、押し殺した声を上げながらエリオは射精した。
エリオの熱い白濁が、すぐ側に近づけていたリインの顔に降り注ぐ。
リインは快楽の余韻に腰を痙攣させるエリオを見つめ、白濁液で汚れた顔に勝ち誇った笑顔を浮かべた。
「どーですかアギト! しゃせーしちゃたということは、男の子が一番気持ち良くなったということですぅ。
つまり、これはリインの方がセクシーな大人の女だということですぅ!」
「馬鹿言ってんじゃねえ! あたしが全部お膳立てしてやったところを、お前が最後の旨いとこだけかっさらったんだろーが!
エリオをイかせたのは全部あたしの魅力、デザートのイチゴをつまみ食いした位でいい気になるんじゃねえ!」
二人は、隊舎の廊下で下半身を丸出しにしたままのエリオを放置したまま喧々諤々と言い争いを続けている。
エリオは誰か人が来ないかと気が気ではない。
「むぅぅ! リインもう怒ったですよ! こうなったらどっちが大人の女か勝負です!
リイン一人でもエリオをメロメロに出来ることを教えて上げるです!」
「いいぜ、バッテンチビ、その勝負受けて立ってやる! おい、エリオ、お前の部屋に案内しろよ。決着はベッドの上だ」
「は、はいい」
エリオは怒涛の展開について行けず、ただ真っ赤な顔をぶんぶんと縦に振った。
そして三人はスズメの鳴く爽やかな早朝、ドロドロの乱交へと突入した。
「さぁエリオ、リインお姉さんが気持ちよくしてあげますですからね~」
問答無用で裸にひん剥いてベッドに転がしたエリオの側で、リインは嫣然と微笑む。
彼女は機動六課の制服を脱ぎ捨て、全裸になって這うようにしてエリオにしな垂れかかった。
「ふふ、可愛い。照れちゃってるですね、エリオは。好きなだけ見ていいですよう」
エリオは生唾を飲む。全裸になったリインの体は――ぺったんこだった。
以前海鳴に行ったときに温泉で見たスバルやティアナ、ましてはなのはやフェイトには到底及ぶべくも無い幼児体型。
辛うじて、キャロと同じ程度だろうか?
ぺったんこだったが……美しかった。
なだらかな胸、ぺったりしたお腹からつるつるの下腹部にかけての緩やかな曲線。
肉の薄い肌に幽かに浮き出た肋骨と、天使の翼のような肩甲骨が艶めかしい。
エリオより背の高い大人の女性にあるような威圧感が彼女にはなく、どうしようも無く少年の興奮を誘った。
(ふん、一気に全部脱いじまう所がそもそも甘めぇんだよ。靴下ぐらい残しときゃいいのに)
などとアギトは考えていたりする。
リインは茹で上がったようなエリオの顔を抱きしめると、そのまま騎乗位の姿勢に跨った。
初めて見る少女の全裸と、柔肌の感触に再びエリオは痛い程勃起している。
273:どっちが大人!? 3 ◆vyCuygcBYc
08/11/11 00:48:37 wmdfEWxq
「ぜ~んぶ任せて下さいですよぅ~ いっぱい気持ちよくさせてあげますですからね~♪」
リインは、エリオ自身を握り締め、前戯も無しにいきなり己の内に導こうとした。
だが、固く閉じた未発達なリインの割れ目には、エリオの控えめなペニスをしても大きすぎた。
入れようとする度、つるり、つるり、と滑って横に逸れてしまう。
「あれ? あれれ? ……ちょっと待ってて下さいですよ、すぐ気持ちよくさせてあげますですからね」
何度も繰り返すが、エリオのペニスは一向にリインの中に収まる気配が無い。
幾度もエリオのペニスを秘所へと擦りつけていく内に、焦りでリインの鼓動は早まり、首筋を汗が伝う。
アギトが横でニヤニヤと観戦しているのを見て、羞恥で顔が赤くなる。いや、彼女の顔が赤いのは羞恥と焦燥だけでは無かった。
リインの秘所に擦り合わされるエリオのペニスの先端は、自身の先走りとは異なる粘液でぬめりを帯び始めていた。
「んっ、んふっ、何で? ……何で入ってくれないですかぁっ!? んんんんんっ――」
涙目で、必死にエリオの上で腰を動かすリインの姿は、まるで深く交わっているようだった。
アギトが頭を掻く。
「ったく、見てられやしねぇな」
悪戦苦闘するリインを、アギトは突如背後から羽交い絞めにした。
「ふぁ……? な、何するですかアギト!? 今はリインの番ですよ!」
「ふん、このままじゃ何時まで経ってもあたしの番が回ってきそうに無いからな。特別に手伝ってやるよ」
「お手伝いなんていらないです! リインは独りでも立派に――ふああああっ!」
アギトが指先で未発達なリインの乳首を、抓るようにして揉んだ。
もう片方の腕を絡みつかせるようにして、リインの秘所に添えて、その上端の小さな陰核を転がす。
長く紅い舌で項の生え際をゆっくり舐め上げ、耳の後ろに吸い付いた。
「あ、あ、あ、、あ、―――――」
「いいだろ? 人の親切は素直に受け取るもんだぜ」
「は、はひぃ――」
リインの全身を隈なく愛撫しながら、耳に息を吹き込むようにそっと囁く。
その様は、文字通りの悪魔の囁きだ。
二人の少女が白い肉体を絡ませ合う淫靡な光景に、エリオは唾を飲む。
アギトは暗闇で足元を探るように指を弄らせる。その指の動きに呼応するように、リインの肉体が跳ねる。
リインの秘所に差し込んでいた指を僅かに動かしたとき、リインの喘ぐ声が一オクターブ上がり、短く痙攣するように腰が跳ねた。
アギトの口元が三日月のように吊り上る。
「あ、――あぎと、ダメ、そこはダメですぅ――」
「お前、判り易い過ぎだぜバッテンチビ。大人の女ってのはよ、もっと悠然としてるもんじゃねえのかよぅ!」
「ふあああああああああぁぁあぁっ」
リインは腰を上げ、爪先立ちになってアギトの愛撫に耐えた。
アギトの腕は、肘までもリインの愛液でべとついている。
「仕方がねえ奴だなあ、まったく。ほら、もう十分過ぎるくらい頃合いだろうよ」
アギトが中指と人差し指で、器用にリインの秘所を開いた。
ぱっくりと開いたリインの秘所はほころび始めた花のようだった。控え目なだった割れ目はその蕾を開き、しとどに潤った薄紅色を覗かせている。
リインはゆっくりと腰を下ろす。リインの秘部は、あれ程困難だったのが嘘のようにあっさりとエリオ自身を飲み込んだ。
びくりとエリオの背筋が震える。だが、リインの反応はそれ以上に顕著だった。
「あ、あああっ、しんじゃう……しんじゃいますぅ~~!!」
274:どっちが大人!? 4 ◆vyCuygcBYc
08/11/11 00:50:42 wmdfEWxq
だらしなく涎を垂らし、髪を振り乱し身を捩りながら、少女はよがり狂っていた。
アギトの愛撫は尚も続いている。リインは理性の許容量を超えた快楽に、本能的な恐怖を感じて逃げようとするが、アギトは決して離さない。
絶え間なく乳首を、首筋を弄い、接合部分から顔を出した赤く腫れた陰核を転がし続けた。
次第にリインの目が虚ろになり、天を仰ぐように舌を出して喘ぎ始めた。
「――気持ちいいか? バッテンチビ」
「は、はひ、きもちいひれす……」
「イきたいか?」
「はひ、いかへてくらさいれす……」
全身をびくびくと痙攣させながら、リインは胡乱な表情で答えた。
アギトは破顔する。
「おらっ、ならイけよ! 盛大にイきやがれっ!」
「ふあぁああぁっ! はひ、イきますぅ! イっちゃいますですぅぅぅぅっ!」
身を乗り出すようにして、激しくリインは達した。
ゆっくりとエリオとの結合部が糸を引いて離れる。エリオは未だ達していないにも関わらず、その男根は白い粘液でべっとりと汚れていた。
リインは息を荒げながら絶頂の余韻に酔いしれ、ベッドに横になった。
エリオの性器は未だ剛直を保ったままだ。
性欲は臨界まで高まってしまっているのに、それをぶつけるべき相手は自分だけ満足してベッドに転がってしまった。
不公平感と、射精できない居心地の悪さでエリオの下腹の奥がとぐろを巻くように疼く。
「あの、僕、僕……」
「解ってるって、エリオ。あたしは、我慢できずに一人でイっちまったあっちのチビとは違うぜ?
たっぷり楽しませてやるから覚悟しとけ」
赤い舌で、ちろりと唇を舐め上げる。その頬は上気し、心なしか呼吸も早まっているようだ。
アギトは四つん這いの姿勢で器用に身に纏った服を脱ぎながら、エリオを再びベッドへと押し倒す。
リインを弄いながら己も興奮したのか、彼女の秘所からは透明な蜜が内股を伝って垂れ落ちていた。
「ほら、触りたいか――好きなように触っていいんだぞ」
黒いブラをずらしながら上目遣いで見つめるアギトの視線は蠱惑的で、その魔性に引き寄せるられるようにエリオは手を伸ばす。
恐る恐るブラをずらして触れた肌は滑らかで、それでいてぷにぷにと指が沈む心地よい柔らかさがあった。
指先をずらすと、隆起した乳首に指に引っかかる。つるりと平坦な幼い胸板だが、リインより僅かに膨らみを帯びている。
エリオは熱病に憑かれたようにアギトの体を弄った。
その指は、徐々に胸から下腹部へと滑り落ちていく。
おずおずと、少年にとって最も秘された部分へと指を伸ばす。
リインの一方的な行為は快楽こそあったが、体勢的にその部分をはっきりと見ることが出来なかったのだ。
――口を開いたアギトのそこは、粘液でてらてらと光り、食虫花のような妖しさでエリオを誘っていた。
エリオは、抗し難い磁力に引かれてその洞に指を挿し入れる。
……熱を帯びた吐息と共にアギトの腰が跳ねた。抜き取ったエリオの指は、熱い蜜でべったりと濡れていた。
射精に到れず、押さえつけられた情動が鎌首を擡げる。
「さあ――来いよ」
アギトは四つん這いになって、エリオに向けて腰を突き出した。獣の姿勢。
白い背筋に黒い翼と尻尾を生やしたその裸身は、正に悪魔の誘惑そのものだった。
エリオは夢中でその腰を掴み、その秘所に己の分身を突きこもうとして――動きを止めた。
否、動きを止められていた。
「……アギト、リインにあんなイジワルして、ただで済むと思わないで下さいですよ~」
エリオとアギトを、リインがバインドで縛って固定していた。
アギトは四つん這いで腰を突き出した姿勢のまま、エリオは今正に挿入せんとした姿勢のままである。
エリオのペニスの先端は、アギトの裡に入るか入らないかの位置で止められている。
275:どっちが大人!? 5 ◆vyCuygcBYc
08/11/11 00:52:36 wmdfEWxq
「おいこらバッテンチビ、何しやがる、放しやがれ!!」
「んふふ~、いい子にしてれば二人とも気持ちよくしてあげるですよ~」
リインは邪気の無い笑顔でにっこりと微笑む。
そうして、リインは先ほど自分がされた通りにアギトをねぶり始めた。
耳元を食み、胸を弄り、陰核を弾く。
「やめろっ、んっ、やっ、あああぅぅ――やめろよぉ――」
制止の声から勢いが失せ、次第に嬌声へと変わっていく。
「まだまだですぅ。こんなものじゃ済ましませんですよ~」
リインはアギトの尻尾を握って、上へと引っ張り上げた。獣のような四つん這いのアギトは、必然として腰を高く上げることになる。
その臀部からは、秘所も、尻穴も丸見えの状態だった。
「放せっ、放せようっ~~~~~~」
「お尻の穴まで丸出しだなんで、恥ずかしいですねアギトは。お仕置きしてあげますです」
「――あぅぅぅっ」
リインは白魚のような指をアギトの後ろの穴に差し入れた。そのままくにくにと、芋虫が這うような緩慢な動きで中を弄り回す。
アギトは顔を真っ赤にして、羞恥と快楽に耐えた。こんな仕打ちを受けて嬌声を漏らすなんて、彼女のプライドが許さない。
「気持ちイイですか? アギト」
ふっ、と耳に息を吹き込みながらリインが囁く。
「――っ! ――っ!」
アギトは必死になって首を振り、それを否定した。
「ふうん、まだ足りませんかぁ。ここは洪水みたいになってるのに、アギトは天邪鬼さんですぅ」
リインは指を二本に増やし、激しく中を掻き混ぜた。
「うわぁあぁ、あふうぅ――」
アギトは必死で体を捩じらせて快楽に抗おうとするが、全身を縛るバインドがそれを許さない。
遂には、涙目にリインに懇願した。
「やめろよっ――頼むから、止めてくれよっ、これ以上されたら――」
「リインも鬼じゃありません。そこまで言うなら止めて上げますです」
拍子抜けする程あっさりと、リインはアギトを愛撫する指を止めた。
エリオと繋がるか繋がらないか、という距離で、バインドに縛られたまま放置される。
「あ――」
アギトは青ざめた。昂ぶった性感が、疼いて仕方ない。エリオの肉棒が欲しくて堪らない。
勿論、そんなことを口に出すわけにも行かず、挿入するわけでも無い浅い性器の接触に歯噛みする。
……もう少し深く繋がれないものかと、もぞりと腰を動かすも、挿入の深度は変わらない。
しかし、表面を撫でるような接触は、確実にアギトの性感を昂ぶらせる。
もぞり、もぞりと、もの欲しげに腰を動かすが、エリオの一物は一向に中に入って来てはくれない。
「うううううぅうぅぅぅぅっ――」
アギトは涙目でリインを睨みつけるが、リインはそれを涼しい顔で受け流す。
そうこうしている間に、アギトの情欲は烈火の如く燃え上がっていく。
欲しい。今すぐにぶち込んで、滅茶苦茶に掻き混ぜて欲しい。そうでもしないと、気が狂ってしまいそうだった。
276:どっちが大人!? 6 ◆vyCuygcBYc
08/11/11 00:54:04 wmdfEWxq
リインが不敵な笑みを浮かべる。
「あれあれ? 大丈夫ですかアギト? お顔が真っ赤になってますですよ?
まさか、エリオのおちんちんが欲しくて堪らないんですか?
アギトは大人の女なんですから、男の子のおちんちんを欲しがるなんて、有り得ないですよね?
でも、もしそうなっても、リインは優しいからアギトを責めたりしないです。誰しも、失敗はあるですから。
『おちんちんが欲しくて我慢できない、エッチな子供のわたしのおまんこに、どうかおちんちんを入れて下さい』
って言えば、許してあげるですよ?」
「~~~~~~~~~っ!!!」
羞恥と屈辱で顔が真っ赤になる。だが、このままお預けを食らえば、頭がおかしくなりそうだ。
アギトは逡巡し―――唇を噛み、もう一度リインを睨んでから、地を向いてぼそぼそと呟いた。
「……おちんち…が欲しくて……できない、…っちな…供のあたしの……んこに――」
「声が小さくて聞こえないですぅ」
「――下さい! チンポが欲しくて我慢出来ない、Hなあたしのおまんこに、どうかチンポをぶち込んで下さい!!」
「……良く出来ましたですぅ」
リインは華のような笑顔を浮かべて、バインドを一部だけ自由にした。
エリオのペニスが一気に秘所へと突き立てられる。
おあずけを食らっていたのはアギトだけではない、散々焦らされたのは、エリオも同じだった。
「っ、アギトさんっっっ!!!」
「っはああああああぁぁっ!!!」
獣のように激しく交わる二人をリインは愛でるように見つめた。
「ああ、んぁっ、くぅうぅぅ、深いっっ――」
「う、ああ、で、出る……うああぁ、あっ……」
交わらずとも、二人の性感は既に限界まで高められた。射精と絶頂は迅速だった。
「イク、あたし、イッちゃ――ふああぁぁああぁぁっ!」
ベッドの上で重なり合うように倒れた二人は――二人ではない、ベッドの上に倒れたのはエリオ一人。
アギトの姿が無い。
「あれ、アギトどこに行っちゃったですか?」
「――ここだよ」
リインが振り向いたのと、元のサイズに戻ったアギトがリインを縛り返したのは同時だった。
アギトは、穏やかな笑みをその顔に浮かべている。無論、その胸中では巨大な憤怒が渦を巻いているのは言うまでも無い。
「当然、今度はお前の番だよな? バッテンチビ」
「今はアギトの方がおチビさんですぅ!」
「そんな減らず口を叩いてられるのも今のうちだぜ。さっきの借りはたっぷりとさせてもらう。覚悟しとけ」
アギトはリインを大股開きの姿勢に固定すると、その花弁に己の腕を突き入れた。
互いのサイズが同じでは決して成し得なかった筈のフィストファック。
無論、腕はペニスより遥かに精密で細緻な動きが可能だ。これだけサイズ差があるなら尚更である。
先ほどリインの急所は確認済みである。片腕を膣内で激しく踊らせながら、もう片腕で陰核を弄る。
小さな手が自分の中を動き回る感触は、リインにとって全く未知の快楽だった。
277:どっちが大人!? 7 ◆vyCuygcBYc
08/11/11 00:56:21 wmdfEWxq
「ううあああ……ああぁああ、ダメですぅ、ダメですぅ――」
白目を剥いて腰を痙攣させるリインの挙措に、快楽以外のものが混じった。
ぶるりと腰が震えた。
「タイム、タイムですぅ――気持ち良過ぎて、おしっこもれちゃうですぅ……」
アギトの口が三日月のように吊り上る。
「いいこと思いついた、エリオ、バッテンチビをこうして抱き上げろ」
拒否することを許さない厳しい口調の命令に、エリオはリインを抱き上げた。
その姿勢は、母親が子供におしっこをさせる際のそれだった。
リインの顔は羞恥に真っ赤になり、足をばたつかせるも、バインドは外れない。
「漏らしちゃっていいぜ。あたしは大人だからな、子供が小便もらした位じゃ怒らないからよ」
「いやですぅ! リインはお漏らししたりしないですぅ!」
「こーしちまえば問答無用だ。ほら、漏らしちまえよ」
アギトは腰を震わせて尿意に耐えているリインの尿道を激しく攻め立てた。
「ああっ、ダメダメダメですぅぅぅうぅ~~~~」
ちょろちょろと、黄金色の液体が放物線を描いて流れ出した。
「し~~~~~、しッしッ~~~~。しぃ~~~~~」
おしっこポーズのまま失禁するリインを、アギトはにやにやと眺める。
リインは子供のようにぐすぐすと泣き出してしまった。
「ひどいですぅ! ひどいですぅ!!」
その姿も、するすると元の原寸大に戻っていく。
エリオはリインの痴態に背徳的なエロスを感じ、再びその剛直をいきり立たせていた。
リインは涙ぐみながら、その小さな姿に対比すれば大柱程もあるエリオのペニスに抱きついた。
「こうなったら、絶対にリインの方が大人だって証明してやるですぅ!」
「ああっ、小便漏らしながらまだそんな事言いやがるか!」
アギトも、反対側からエリオのペニスに抱きついた。
そのまま、二人で競うようにエリオのペニスに腰を擦りつけ始めた。
278:どっちが大人!? 8 ◆vyCuygcBYc
08/11/11 00:57:15 wmdfEWxq
「ほらっ、早くイけよ、リイン」
「アギトこそ、早くイくですぅ」
見れば見るだに、倒錯的な光景だった。方や妖精のようなリインと方や小悪魔のようなアギト。
二人とも、ファンタジーの世界を思わせる姿形をしているにも関わらず、現実的過ぎる肉欲の具現であるペニスに抱きついて悶えている。
エリオは、小さな少女二人にペニスに抱きつかれ、擦り上げられるという奇妙な快楽に背筋を引き攣らせて耐えた。
「もっと、もっとですぅ」
「おまえこそ、もっとだ、リイン――」
競うようにして腰を擦り付けていた二人は、何時しかエリオのペニス越しに指を絡ませ、同じリズムで腰を動かしている。
二人の嬌声の奏でる音色と、腰を動かすリズム。重なり合い、響きあい、エリオの性感を高めていく。
「くっ、もう、うわぁあぁぁあぁ――」
「あたしもイく――」
「リインもイっちゃいますぅ――」
「「「―――――くふぅ、ああぁぁあっぁあぁぁっ!!!」」」
三人は同時に達し、エリオの白い精液が二人の融合騎の頭から雨のように降り注いだ。
今度こそ本当に、全ての体力を使い果たし、三人はベッドに倒れ込んだ。
「……なあ、勝負は――?」
「……今日のところは、引き分けにしといてあげるですぅ」
「……そうだな、今日の所は引き分けにしといてやるか?」
エリオはふと気に掛かることがあって、リインに尋ねてみた。
「あの、リインさん、そう言えば、今日は海鳴に行く用事があるんじゃ――」
「ああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
リインは跳ねるようにして飛び上がった。
「大大大遅刻ですぅ!!! それに、この魔力じゃもう大きくなれないですぅ!
ふえぇぇぇぇぇぇん、これじゃあ、はやてちゃんに怒られちゃうですぅ!!」
アギトはやれやれと首を竦める。
「だからお前はガキなんだよ、バッテンチビ」
「ふえぇぇぇぇぇぇん―――」
リインの泣き声は機動六課の隊舎中に響き渡った。
機動六課の朝は、始まったばかりである。
第一回リインvsアギト「どっちが大人?」勝負対戦成績
リイン ●―◎ アギト
279:アルカディア ◆vyCuygcBYc
08/11/11 01:03:26 wmdfEWxq
書いてて何度か、自分のエロのセンスの無さに絶望しました。
やっぱりエロは15禁くらいに留めとくのがいいかな、と思ったりしてます。
とか何とか言っても、興が乗れば又書くかもしれません。
あ、アギト達が原寸に戻った時に中田氏したエリオのがどうなったのか? とか、
難しいことは考えてはダメです、きっと。ファンタジーの住人ですから。
最後に、ておあー氏とB・A氏にもう一度感謝を。
280:名無しさん@ピンキー
08/11/11 01:05:38 O2zgmriP
十二分にエロいわ、嘘吐きwww
アルカディア氏GJ!
そして、エリオ……イキロw
相変わらずのエリオ虐めにときめきました! GGGJです!
281:名無しさん@ピンキー
08/11/11 01:14:22 FYCaScZs
新ジャンル『へたれエリオ』ですね? わかります!
何はともあれ、アルカディア氏GJっす!
282:B・A
08/11/11 01:55:06 HNXFC+bH
>>279
ちびモードで素股ですと。
その手があったか。
何はともあれGJ。エリオ、本当にいじめられるのが似合うな。
そして、こちらもエロの投下を行いますが、もう大丈夫?
283:B・A
08/11/11 02:05:28 HNXFC+bH
誰もいないようなので投下します。
注意事項
・クロノ×なのは
・エロです
・時間軸は二期の後、なのはが10歳の時
・なのはがちょっぴりおバカです
・タイトルは「バカンスですか、そうなんです」
284:名無しさん@ピンキー
08/11/11 02:05:50 GZNti3w6
よいかと
285:バカンスですか、そうなんです①
08/11/11 02:06:34 HNXFC+bH
打ちつける波の音と遠くから聞こえるカモメの鳴き声をバックに、クロノは盛大なため息を吐いた。
眼前に広がるのはどこまでも続く青い海。周りに島らしきものはなく、さっきから船影らしきものも見えない。
無論、背後の島に自分達以外の人間がいないことはさっき空から確認している。
正真正銘、ここは無人島なのだ。
これがバカンスならばどれだけ良かっただろう。だが、残念なことにバカンスはお空の彼方ならぬ海の底へと沈んでいった。
恋人と2人っきりで南国旅行に出かけたのだが、あろうことか乗っていたセスナが墜落したのである。
そして、気がついたら自分と彼女だけがこの島に流れ着いていたのだ。パイロットの行方はわからないが、無事なことを祈るより他はない。
「携帯電話は海水で壊れているし、現在地がわからないから念話も使えない。まいったな」
陸まで空を飛んで行こうかとも考えたが、現在地がわからなければ今度は空の上で遭難した挙句に魔力切れを起こして海に落ちる可能性が高い。
そうなると、後はここで救助が来るのを待つしかなかった。それに、考えようによってはこれはチャンスでもある。
日頃、仕事でデートの時間も取れずに寂しい思いをさせているだけに、気がねなく2人だけの時間を満喫できるのは貴重な機会だ。
そう思って、クロノが顔を上げると、夏の陽光と青空を背景に眩しい肢体を惜しげもなく晒している高町なのはの姿があった。
「クロノくーん」
遭難直後こそ落ち込んでいたが、女は強と言うべきなのか、クロノよりも一足早く立ち直った彼女は既にこのバカンスを楽しむ気でいた。
海水と砂で汚れた服の代わりに新調したばかりの水着に着替え、お日さまのような笑顔で手を振っている。
「なのは、あんまりはしゃぐと転ぶぞ」
「大丈夫、わたしだってもう立派な魔導師なんだ・・・・にゃぁっ!?」
言っているそばから、なのはの姿が視界から消える。
どうやら、一段深くなっている場所に足を踏み込んでしまったようだ。
なのはは体力はともかく、運動神経はお世辞にも良いとは言えない。ドッジボールではいつも真っ先に狙われると言っていたこともある。
「大丈夫かい、なのは?」
「にゃはは・・・・こ、転んじゃった・・・・・」
「ほら、手」
「ありがとう・・・・・ううぅ、海水が目に入っちゃった」
「注意力散漫だ。空戦魔導師は360度、視界を常に把握しておかないと・・・うわぁっ!」
歩きながらお説教を始めようとした途端、クロノは海底の石に足を滑らせて尻餅をつく。
それを見たなのはは、堪らず口元を手で隠して前屈みになる。塞いだ口からは、小さな笑い声が聞こえていた。
それはクロノにも伝播し、やがて2人の大きな笑い声が奏でられる。
「はは・・・あははは・・・・・・・」
「はははは・・・・クロノくん、おかしい・・・・・」
「ああ、まったく情けない」
髪をかき上げて立ち上がろうとすると、なのはがそっと手を差し出してきた。
クロノはありがたくその手を取り、立ち上った反動でなのはの体を抱き締める。
286:バカンスですか、そうなんです②
08/11/11 02:07:15 HNXFC+bH
「ひゃっ!? ク、クロノくん?」
「良いだろ、誰も見ていないんだ・・・・・2人っきりだよ、なのは」
「うん、2人っきりだね」
どちらからというでなく、唇を重ねる。
こうして、2人のバカンスは始まった。
□
クタクタになるまで海を満喫し、砂浜の上で疲れた体を横たえていると空腹を知らせる音が盛大に奏でられた。
2人にとって幸いだったのは日が暮れる前に食料を調達しなければならないことに気づけたことと、
クロノがサバイバルに関してかなり詳しい知識を持っていたことだった。さすがに生態系が違うので、
地球の野草などはあまり詳しくなかったが、即席の釣り具や罠を駆使して魚を採ることはできた。
その間、なのはは飛行魔法をフル活用して木の上になっている果物などを採取し、適当な枯れ木を集めて焚き火の準備をする。
ディバインシューターの応用で火種は確保できたので、火を起こすことはそれほど難しくはなかった。
こうして、首尾よく食料を確保できた頃にはすっかり日も暮れており、2人はああでもないこうでもないと知恵を絞り合って
夕食の準備を進め、何とか食事にありつくことができた。
「けど凄いね、あんなにたくさんお魚釣っちゃうなんて」
「リーゼ達に扱かれていた頃は、もっと悲惨な場所でサバイバルさせられたからね。
デバイスなしで昆虫しかいない森で一週間過ごせとか、恐竜型の動物しかいない世界に放り出されたりとか、
惑星の95%が水没している世界に隠した宝石を探してこいとか」
「は、ははは・・・・・それはまた、何とも・・・・・・・」
「慣れているさ、こういう生活には」
「そっか・・・・・わたしも、慣れるかな?」
「なのは?」
打って変わってトーンの下がったなのはの言葉に、クロノは訝しむ。
先ほどまでの陽気さが嘘のようだ。こっちが圧倒されるくらい明るく振る舞っていたのが、今は見る影もない。
覗きこんだ表情はこの世の終わりのように虚ろで、不安に彩られている。
「このまま、助けが来なくてずっと2人だけ・・・・・なのかな?」
「なのは、そういうのは考えても仕方がないよ。信じて待つしかない」
「けど、ずっと海岸で遊んでいたけど、船も飛行機も通らなかったよ。それがどういう意味なのか、わたしにだってわかるよ」
船や飛行機の姿がないということは、正規の航路から外れていることを意味する。
狼煙を上げようと海岸にSOSの文字を描こうと、それを見つけてくれる者がいなければ用を成さない。
そして、このまま助けが来なければ、ずっとここで暮さねばならなくなる。
やがては悲しみに暮れていた家族も彼女のことを死んだものと思い、記憶の中の悲しい出来事の1つとして忘れていく。
なのはには、それが堪らなく辛かったのだ。