09/03/01 01:01:33 OJMdDDlS
7
「お父さん今日は遅くなるって」
二人で夕食のカレーを食べていると、冴子が語り出す。
「そうか。おっさんも忙しいなぁ‥」
「おじさんと言いなさい。全く」
銀狼は幼い頃に両親と死に別れ、五歳の時、父親の友人―小早川順三郎に引き取られた。
冴子とは義理の姉弟になる。
流しで二人分の使った食器を洗いながら、彼女は言った。
「お風呂沸いてるから、あんた先に入っちゃって」
「入る前に、お前に用がある」
手の水を切り、振り向く冴子。
「何よ?銀」
「やる」
綺麗に包装された小箱を彼女の手に押しつける。
「え?これって‥もしかして」
「‥誕生日おめでとう冴子。俺からのプレゼントだ」
そう言う銀狼の顔は気のせいか紅く見える。
冴子への用事を終えた彼は、そそくさと居間を後にした。
「…‥」
あいつ覚えててくれたんだ。
銀狼からのサプライズに、冴子は胸の奥が仄かに温かくなった。
完