08/11/01 02:08:35 IU1obQkn
「っ、うわ、わっ…!」
「……おにぃ?」
寝ぼけた様に、舌っ足らずに呼んでくるシーに慌てて。
引っ込めようとした手はまだ胸の辺りにあるのに気づく。
「……何、してんの?」
「い、いや、ち、違うんだよ、シー!」
言ってることとやってることが全然違う俺は、てんぱりながら手を引こうとする。
そしたら、温かいシーの手が急に俺の手に触れて驚く。
「……いいよ、別に」
「はっ!?」
「別に、…初めてじゃないし」
「ちょ、っ…!おま!」
「…嘘だよー。まだ、処女ですー」
そうおどけた台詞を言いながらも、シーの俯いた睫毛は震えて、声も低くて小さかった。
長い長い沈黙に、俺はもうこのまま消えてしまいたいとさえ思った。
暫くしてから、シーが目だけを上げる。また、俺がすげー弱い上目遣いだ。
「…お兄も、寂しいんだよね?」
「え?」
「ここにずっと一人でさ。ずっと、あたしたち二人の為に色々言ってくれてさ。あたし、本当は感謝してるの。お兄にすっごく」
「しー…」
「…だから、いいよ。お兄なら…」
そう小さな声で言うシーにどくん、と又身体は熱くなって。
強く抱き締めてしまいたい衝動に駆られる。
「でも、初めてだから…」
「…俺、だって、初めてだよっ…」
俺がぼそぼそと言うと、シーは起こしていた上半身をゆっくり寝かせて、俺の手をそのまま引く。
「…優しくして、ね。功兄」
俺はごくりと唾を飲み込んで、そのままシーの上に跨るようにしてベッドに乗る。
月明かりに照らされたシーは、今まで見てきたどんな女より綺麗すぎると思った。