08/11/11 00:48:35 Vq6QIYef
その姿に、サギはますます機嫌を悪くして功一から離れた。
「全く!いけ好かない男だね!
…でもまあいいや。アンタのこんな姿を知ってるのはアタシだけなんだから。」
サギがベッドから起き上がり、床に散らばる自分の服を拾い集め
着替え始めると、功一はボソッと呟いた。
「サギ…悪いな。いつもいつも。」
彼女は身支度を終え、バッグを取ると功一の方へ振り返った。
「別に気にしちゃいないよ、アンタはそういう男なんだからさ。
それよりバイト遅れない様にしなよ?アタシももうすぐ仕事だから出るよ。
あ、鍵はポストの中に入れといておくれ。」
サギはそのまま玄関の方に行きかけたが立ち止まり、功一の方を振り返る。
「ねぇ、アクセル。…アンタ過去に何かあったのかい?」
「……え…??」
サギの唐突な質問に、功一はビックリして彼女を見る。
サギはクスリと笑うと、
「女の勘さ。アンタは時々凄く寂しそうな顔をするからね。
きっと相当重いモンを抱えてるんだね。」
サギの言葉に功一は何も言い返せなかった。
「ああ、あと!」
玄関にいるサギは思い出した様にベッドにいる功一に話しかけた。
「アタシはアンタのこと諦めないからね!例えアンタの心の中に違う女がいたとしても。」
行ってきます、という言葉を残してサギは出て行った。
功一は彼女が去った玄関をしばらく見詰めるのだった。
【終わり】