おんなのこでも感じるえっちな小説9at EROPARO
おんなのこでも感じるえっちな小説9 - 暇つぶし2ch350:名無しさん@ピンキー
09/04/03 01:58:15 t+n/8eNK
わかった

351:くろやま
09/04/03 02:30:10 9rCuwvRP
>>346-347
ミュウとせいちゃんの作者です。
ちょっと最近忙しくなってしまったので、自サイトに引っ込んでます。
続きも少しだけですがそちらにUPしてありますので、もしまだ興味がおありでしたら縮刷版のリンクよりお越し
下さい……。
(遅くなってすみません)

>>348
百合歓迎。超歓迎。



352:名無しさん@ピンキー
09/04/03 12:25:23 zORcaXoH
女の人の文章はしっとりしてていいね

353:名無しさん@ピンキー
09/04/05 02:39:55 A0u55MRU
>>346
催促レスはよく見掛けるけど、なんかこの書き方は見てて不愉快

354:名無しさん@ピンキー
09/04/05 15:05:38 qOYIaJjP
「りーなちゃーん!新しい学校どうだった?」
「べ、べつにまだ今日は入学式だったから何も…」
「イケメンとかいたかなー?」
「うーん……よく見てなかったけどカッコいい人は何人かいたかも…」
「あー、りなちゃん浮気しようとしてるでしょー。オレ、悲しいなー」
「そんなつもりで言ったんじゃありません!何よ、自分で言っておきながら…」
「でも、オレ他の女の子かわいいとか思わないもん。ひどいなー、りなちゃん」
「えっ…、それは…」
「おわびにおっぱい触らせてくれたらいいよ」
「……! 結局それが目当てですか!」
「触らせてくれないなら、オレ、帰る」
「しょうがないな……あぁ…んっ!」
「もう感じちゃってるの?」
「だ、誰も……感じてなんか……あっ、そこは触っていいって言ってない!」
「えー、でもこんな短いスカートはいてきちゃってさ」
「んッ…」
「こんなエッチなパンツはいちゃって」
「あっ…」
「オレに犯してほしいんでしょ」
「うっ……!」
「あー、もうすごいドロドロ。ね、りなちゃん、次にどうしてほしいか言ってごらん」
「やっ……」
「じゃないとこのまま終わりにするよー」
「……れて」
「あれ、聞こえないなー」
「……挿れて」


あまり入学式と関係なくなってスマン。

355:名無しさん@ピンキー
09/04/05 16:45:43 pfSe3Gw1
gj!
入学式・・新しいクラス・・ええのぅ・・・

ところで、コレって、ココ向きじゃないかと思うんだけど、既出?
【Hな】病院でエロストーリー2【診察】の190~ 研修医香奈
URLリンク(red.ribbon.to)

356:名無しさん@ピンキー
09/04/05 23:55:17 e+m4QbDi
>>355
いいよねそれ。その作者さんのもう一つのやつもいいよ
もう久しく見てないけど、何処かのスレで書いてたりしないかなぁ


357:名無しさん@ピンキー
09/04/06 07:38:55 gZhSHdvw
>>356
もう一つって研修医×看護師?
あれも良いよね。

358:名無しさん@ピンキー
09/04/06 20:58:11 3FtTTE72
>>355
読んできた。
エロ的には大変結構だが、現実的に考えると
「好きだって言ってんでしょ!」と告ってるそばから
くわえさせるような下品な男は願い下げだぜw
しかもあのカップル、職場の隠れHで燃えすぎて、
普通の恋人同士になって彼氏の部屋にお泊りHとかじゃ
もうあんまり燃えなくなってるんじゃないだろうかwww

359:名無しさん@ピンキー
09/04/07 02:41:07 Or16y1QY
自分も萌えなかったけど医者萌えの人にはたまらんかもしれんね


360:名無しさん@ピンキー
09/04/07 21:24:26 IHMafBOu
前スレの『ほんきの嘘』の半年後です(前回夏なので季節外れ)
男視点のみで3回に分けます

※今回分凌辱色強いかなと思いますので、心理的にですが痛々しいの苦手な方はごめんなさい


361:きみのて 1/8
09/04/07 21:25:49 IHMafBOu
「もう信じられない。ケンのバカ!」
 吐き捨てるように言って奈緒は泣きながら帰ってった。俺の手を振り払って。

 それが最後のデートだった。


* * *

 一度も目を合わせてくれない。
 ずっと下を向いて本読んでるか、窓の外ばっか見てる。こっちの方なんか絶対見てくれない。
「森山、昨日あれ買えた?進み具合教えてー」
 隣のクラスからやって来た山田が後ろのドアから呼んできたんで、席を立って廊下へ出た。
「あれ?……奈緒ちゃんはいいのか?」
「ん、今日は学食付き合うわ」
 さっさと奴を促して先を急ぐ俺に驚きながら、慌てて追ってくる。無理もないか。普段なら弁当広げて
ぺちゃくちゃやってる時間だし……奈緒と。
 暖房が逃げる!と開放厳禁のドアを閉めるふりしてこっそり振り向いたら、奈緒は溜め息をつきながら
食べるでも開けるでもなく、菓子パンの袋をぐしゃぐしゃといじって頬杖ついてた。
「中身出そうだな……」
 癖で変な心配してしまう。突っ込んでくれる奴が今は遠くに感じるのに。


「な、お前ら喧嘩でもしたのか?」
「……喧嘩のほうがまだいいわ」
「は?」
 ゲーム誌片手にうどん啜りながら、顎外しそうな勢いでちっちぇえ目見開いてやがる。
「なんだ?早く仲直りしろよー。奈緒ちゃんいい娘じゃん。俺みたいなゲーオタだって、引かないで
 普通に遊んでくれるしさ」
 こいつも常にゲーム片手に飯食ってるからなー。奴にとって話の解る奈緒の様な相手は、数少ない
会話の出来る女の子なんだよな。
「ん、後でちゃんと……」
「あ、森山君?」
 思いがけず掛けられた声に振り向くと、彼女が立っていた。
「昨日は本当にありがと。……あ、これ、あの後作った物なんだけど、よかったら。大した物じゃないけど」
 小さなクッキーらしき物が入った透明な包みを手渡された。
「……ありがと。別にいいのに」
 じゃあねと友達の元へ歩いていく彼女の姿にあんぐりと口を開けて、
「まさかお前別れたりしてないよな?だって今の……永井さんじゃん!?」


362:きみのて 2/8
09/04/07 21:27:16 IHMafBOu
「うん……」
 山田が驚くのも無理はないだろうと思う。ずっと前、俺は彼女に告った。そんで、フられた。そっからは
彼女とはクラスも違うし、何の接点も無かったのだ。
「奈緒ちゃんが見たら怒るぞ~?」
 軽い気持ちで言ったんだろうが、その言葉は今の俺にはシャレにならないもんだった。
「うるせえよ」
「……恐っ!!て、何マジんなってんの?」
「やる」
 手にしていたクッキーを奴の前に置いて席を立った。
「いいのかよ?……冗談だってば。奈緒ちゃんとこか?」
「まあな」
 仲直りしろよ~という声を背中に学食を出ると、出入り口横の自販機の側でさっき俺にくれた包みと
同じものを貰って喜んでる野郎がいっぱいいた。
「ま、そんなこったろうな……」
 たくさんのお菓子を配りながら、他クラスの女子達が盛り上がってるのを横目に教室へ急いだ。


「奈緒、どうしたの?」
「あ、うん別に……この本がさ~」
 教室へ戻ると、赤い目をこすりながら会話してる奈緒と広野さんがいた。
 本読みながら泣いたのか。……こんな時まで活字中毒なのな。正直、ちょっとイラってきた。
「奈緒、ちょっと」
 ずかずかと割り込んで強引にそばに寄ると、広野さんは慌てて
「あ、じゃ、あとで……ね?」
と場所を空けてくれた。
 悪かったかな、と思いながらも余り周りに気を使う余裕が今の俺には無かった。
「……何?ふみちゃんに悪いじゃん」
「ごめん」
 やっぱり目、合わしてくんないか。言い方にも何となくトゲがあった。
「今日一緒に帰れる?」
「……今日は図書室行きたいから」
 やっぱり、すんなりとはいかなかったか。でも諦めなかった。
「じゃ、付き合うから。話したいんだよ」
 奈緒は黙ってた。
 ちゃんと返事が聞けないまま、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。


363:きみのて 3/8
09/04/07 21:28:40 IHMafBOu
 放課後HRの挨拶が終わると、速攻荷物を持って奈緒の席まで走った。有無を言わせず手を引いて
教室を出ると
「離してよ。……逃げないからさ」
と溜め息混じりに言われ、仕方無く手を離すと後ろについて歩いた。
 そのまま図書室で本を返すのに付き合ったが、入って出るまでずっと無言のままだった。
 少しハネた髪を肩の上でくるくると指で巻いている奈緒の癖を眺めながら、昨日の事を思い出していた。


* * *

 しまった。寝過ごした!早く行かなきゃ奈緒にマジで愛想尽かされる……。
 待ち合わせ場所に行くまでにいつものゲーム屋に寄り道して、予約していた新作をゲットしてから
向かうのが俺たちのいつものデートのパターンだった。普段からそうだったが、今日は寝坊した上に
寄り道してったのでかなり奈緒を待たせてしまっている。
 でも大抵は向こうも諦めていて、何だかんだ言っても少しくらいの遅刻は許してくれるから、多分
今日も何とか許してくれる……ハズ?
 ただ、最高でも30分遅れた記録を、今日は更に30分更新してしまった。
「やべっ!マジやべえよ……」
 せっかく直した寝癖も汗と風でまたぐちゃぐちゃだったが、そんなの気にしてる前に早く行かにゃー!!
と携帯も忘れて来た自分の間抜けさを呪った。
 その時、横断歩道の向こう側に永井さんを見つけた。
 別にそれ位ならどうこうという事は無かった。信号が変わるのを待って渡りきった所でそのまますれ違って
おしまい……だったはずが、側まで来て足を止めてしまった。
 見れば足下に撒き散らかされた荷物。自転車はよく見るとタイヤがパンクしていた。
 動くに動けないまま困っていた彼女をそのままにしていくわけにもいかず、迷った挙げ句思い切って
声をかけた。
 結局、近くの自転車屋を探して修理してもらい、彼女と別れて奈緒との待ち合わせ場所に着いた時は
ぐずついていた空模様は既に崩れ、冬の冷たい雨模様を晒していた。

 その中で、奈緒はずっと待っていてくれたのだ。傘こそさしていたものの、歯をカチカチ言わせて
冷たい体を庇うように抱きながら、

『もう、疲れちゃった……』

と赤くなった手を震えさせて俺を涙目で睨んだ。


364:きみのて 4/8
09/04/07 21:29:58 IHMafBOu
* * *

 無言のまま先を歩く奈緒に付いて廊下を歩く。
 何度か声をかけようとしては、目の前の小さな背中に拒絶されるのが恐くて言葉を呑み込んだ。
「ねえ」
「えっ」
「何なの?」
 足を止め振り向くと、まるで感情のこもらない抑揚の無い声で斜めに俺を見上げてくる。
「話、したいんでしょ?」
「あ、うん」
 そのつもりだった筈でいたのに、何を言うつもりだったのか、何を話したかったのかいっぺんに
わからなくなった。
「しないなら帰る」
 一刻も早く逃れたい、と言わんばかりの態度が無性に気に障った俺は、カチンときて思わず肩を
掴んで強引に奈緒を引き寄せた。
「きゃっ!……ちょっと!?」
「……悪かったよ。つうかさ、謝ったじゃん!俺が悪かったって。今度は絶対あんな目……」
「ないよ」
 胸に納めていた体が今度は離れようとして逆に力を返してくる。
「奈……」

「今度なんてもうないから」

 見下ろした目は虚ろで、機械的に俺の姿を映しているに過ぎないと思えるほど冷たく曇って見えた。
「何だよそれ」
 もうないから、って、それって。
「そういうことだから」
「おい奈」
「疲れちゃったんだよね、あたし」

 呆然として力の抜けた俺はぐい、と胸を押されあっという間に捕まえた筈の奈緒の体を逃がしてしまった。

「もう疲れちゃった……」

 鞄をぎゅっと抱きかかえて逃げようとするのに気づいて、一瞬惚けていた頭が慌ててそうはさせじと働き
さっきよりも強く肩を掴んで今度は後ろから抱きかかえるようにして動きを封じた。
「ちょっと!離してよっ!!」
「待てよ、奈」
「嫌だっ……て」
「じゃあ逃げんなよ。話し、聞けって」
「あたしにはもうないの!!」
 人気の無い廊下でもみ合ってる俺達に、曲がり角の向こうから誰かがやってくる気配がした。
 話し声がする。
 ふと見上げたドアのプレートを見て、奈緒を抱きかかえたままとっさに手をかけた。
「誰か来るから離し……きゃああっ!?」
 もがく奈緒の体を軽々とその中へ引きずり込む。

『視聴覚準備室』

 鍵は掛かっていなかった。


365:きみのて 5/8
09/04/07 21:31:21 IHMafBOu
 声が通り過ぎるのを待って、固くなっている奈緒の体を抱え込んだ胸の中から解放した。
「……何なのよ。何なの!?」
「ごめん。けど、話聞いてくんないから」
「だからあたしには無いっていってるじゃん」
 またぎゅうっと鞄を抱えて目を逸らして背を向けられる。
「……どうしたら許してくれんの?」
 正直またか、って気になった。
 何回かに一度はこうやってへそを曲げられる。大体はその日のうちに謝れば許して貰えるけど、時々は
次の日まで膨れられる事もあった。
 ただ今回はさすがにちょっと長くかかっちゃっただけだ。きっとわかってくれる、と思ってた。
「許すも許さないもないよ。もういいよ」
 ほら、やっぱり。
 ほっと息をついて、もういっぺんちゃんと謝ろう、そう思って口を開きかけた。

「もうどうでもいい。ケンの事なんか忘れた。だから好きにしたらいいじゃん、これからはさ」

 静かに冷めた目に射すくめられて、俺の声は音になる前に虚しく喉の奥で消えた。
「もういいんだってば」
 ぷいっと顔を背けてドアに手を掛ける。その手を掴もうとした俺の手をばっと振り払われる。
「疲れちゃったって言ってるじゃん……」
 予想外の力に少しばかりヒリヒリと痛む手をさすりながら、
「なんで」
と尋ねた。納得がいかない。
 そりゃ悪いの俺だけど、もう半年付き合ってきたんだから。はいそうですかって引き下がるわけにはいかない。
「ケンは、あたしの何?」
「彼氏」
「あたしは?」
「彼女じゃん」
「じゃあ、それって何?」
「何って……」
「一緒にお弁当食べて、話して、帰ったりメールしたりする事?そんなの友達だって出来るよね?でも
 手繋いだり、抱きしめたり、キスしたり……それって好きじゃなきゃ変だよね?あたしは、少なくとも無理」
「んなの当たり前だろー?何ゆってんの今更」
 キスどころか、全部やっちゃってるじゃん俺達。


366:きみのて 6/8
09/04/07 21:32:43 IHMafBOu
「……大事にしてくれない」
「は?」
「ケンはあたしの事なんか全然大事にしてくんない!何も聞いてくれない。何も見てくれない。何も
 ……わかってない」
 伏せて逸らしたままの目からじわじわと滲み出す涙。
「あたしもケンが良くわかんなくなった。だから疲れた!ケンなんかと付き合ったりしなきゃ良かった」
 その瞬間、俺の胸の中でズンと記憶の底から呼び起こされた苦い出来事が蘇る。
「……奈緒、俺の事、後悔してるの?」
「えっ?」
 俺と付き合う前にずっと好きだった奴。

『好きだったら結果どうあれそんな筈ないのに』

 奈緒はそれを黒歴史だと言った。
 告白して、キスされて、胸触られて逃げ出した。
 そう、この部屋で、だ。

「俺もそれと同じなのかよ……!?」
「ケ……っ!!」
 好きでいてくれたんじゃなかったのか?
 だから全部許してくれたんじゃなかったのか?
 キスも、抱きしめた事も―全部、全部。
「ちょっと!やだ、な、やめ……っ!!」
 鞄が足下に落ちて中身がばらけた。

 その側にあった奈緒の体を俺は―開けさせまいとしてドアに自分の体ごと後ろから押し当て、そのまま
ズルズルと膝から崩れ落ちていった。
「嫌!離して……っ」
「やだね」
 俺はあんなのとは違う。
「お願い。ケンてば」
 奈緒がただ好きなだけだ。
「嫌だ。行かせない」
 首筋に強引に食い付いてスカートを弄る。
「お願いだから……っ」
 必死にばたつかせた手のひらは、ドアをなぞり滑り落ちてはまたつるつると掴み損ねた表面をなぞる。
「や……あっ」
 柔らかいお尻の感触を確かめると、一気にパンツを引きずり下ろした。
 逃がしたくない。俺だって逃げてるわけじゃない。
 離したくないだけなんだ。
「な……おっ」
「あ……っ。いや……」
 耳たぶを噛むとびくんと肩が跳ねた。そのまま荒く息を吐きながら脚の間に差し込んだ指を直接奥へ這わせる。
 少し強引と思いながらも絡みつく柔らかい毛の感触を掻き分けて辿り着いた先には、俺の良く知る
奈緒の弱点があった。
「うあっ……や、いやあっ!」
 予想通り、つんと抓るだけで甲高い声が響いた。


367:きみのて 7/8
09/04/07 21:34:00 IHMafBOu
「いやああ……っ」
 ぴったりとくっつけた体は簡単に奈緒の自由を奪った。片手で服の上から胸を探って揉みながら、
もう片方の手で深い裂け目をなぞる。
「……っ、ん、や、だ……やめて」
「ん……」
 振りながらいやいやと逃れようとする首筋に唇を当てながらふっ、と息を吹きかけると
「ひゃあっ」
と小さな声を出しながらびくんと震える。
「気持ち、いいんだ?」
 くっと押し込んだ指が濡れて滑るのがわかって、わざと大げさに動かしてみると静かな部屋にその
音が響いた。
 ひたすらそれに堪えて声を漏らせず苦しそうにぱくぱくと開く奈緒の唇を、胸から離した手で塞いだ。
「んんっ!?」
「声、聞こえちゃうじゃん」
 奈緒の肩に顎を乗せ、ぎゅっと瞑った目からさっきとは別の涙が零れるのを横目で眺めながら、
時々くっと跳ねる柔らかいお尻の感触をズボン越に感じて息を荒くしていった。
「んんっ、んっ、んーっ」
 我慢しても出るのか、苦しそうにあげるくぐもった声に息が熱くて、あてた俺の手のひらが奈緒の
唾液に濡らされていく。
「我慢してよ。じゃないと、誰か来たらバレるよ?」
「んー……んやっ」
 必死に力を振り絞って首を振ろうともがかれる。
 その時。

『―それでさあ……』

 ぱたぱたという2、3人の足音と話し声がこっちに近づいて来るのがわかった。
 それに気付いた瞬間ビクッと震え涙の浮かんだ目を見開く。
 言いたいことはわかってた。
 でも俺は、向けられたその視線の訴えを―やんわりと却下した。

「やめないよ」
 そう言って一層指の悪戯を強めて、同時に濡れた唇から抑えていた手を離した。
「……っひうっ!?」
 離した手は無理やり上着をこじ上げねじ込みブラウス越しに胸を探り、柔らかい体を這い回る。
 足音はすぐそこまで来ていた。


368:きみのて 8/8
09/04/07 21:35:34 IHMafBOu
 うっかり声をあげないように我慢して、必死に唇を噛んで震えている奈緒の躰をこれでもかと攻めまくる。
 太ももまで伝う雫に説得力なぞあるわけもなく。
 速く大きくなる足音と話し声に比例して高ぶる俺の歪んだ気持ちと、怯える奈緒の緊張感。

 確実に感じる場所をわざと捉えてじっくり擦りあげると、苦しげに呻きを飲み込んで膝をブルブルと
震えさせた。

「……っや、めて……」
 小声で囁くように呟いた。流れる涙を拭う事も出来ず、広げた手のひらで精一杯に感づかれまいと
押さえた一枚のドアに体の重みを預けて堪えながら。
「ばれちゃう……」
「……」
 さすがにヤバいか、とチクリと疼いた罪悪感にその体を解放しようとしたその時だった。

『でね、聞いてる?―ユリ』

 その名を耳にした瞬間、奈緒の表情が一瞬にして固まった。
 そしてまた、俺を拒絶しようとするさっきの冷めた目の色を取り戻していった。
「……やっぱりやめんのやめる」
 驚愕した顔を無視することにして、より一層激しく隠れたところに潜らせた指をめちゃくちゃに動かした。
「―ッ!!」
 背中を反らして俺にもたれ掛かりながら、それでも声を殺して堪えている。
 その重みを受け止めながら耳元で
「ばれたって別にいい」
と言い捨てて行為を続けた。

 足音がドアの向こうに差し掛かる。

「……っ」

 歯を食いしばる。

 笑い声が響き渡る廊下。
 その中で静かな部屋には荒い息遣いと濡れた音だけが耳障りな程よく届く。

 首筋を舐めると竦み上がる。
 聞こえてくる『永井ユリ』の話し声。

 眉をひそめる奈緒の横顔とそれを眺める俺。


 やがて、遠ざかっていく笑い声を聞きながらずるりと伸びた音を立てて
「……酷い……」
小さく呻きながら。
「や……あ……っ!」
 細く哀しげな声を漏らしては、喉をならして俺のほうへ倒れ込む。

 震えの止まらない奈緒の膝を濡れた指でさすりながら、俺自身の心とは反比例に冷めて萎えていくさまを
焦りに似た苛立ちで泣き出したくなる気持ちで感じていた。


「続く」


369:名無しさん@ピンキー
09/04/08 12:45:08 q8Q1yVYW
GJ

370:虜18-ラスト
09/04/08 19:37:59 QWx5OFFQ
わっふるわっふる

371:名無しさん@ピンキー
09/04/09 19:10:13 tvxGkvP7
>>370
名前w
君届スレの子?

372:名無しさん@ピンキー
09/04/10 08:26:16 UnVNQblP
>>368
続きwktk!

373:名無しさん@ピンキー
09/04/10 20:41:09 HW/fTDIo
ケンと奈緒のお話好きだったから続編うれしい!!
何やら波乱含みの展開……すっごい続きが気になる~GJ!!

374:きみのて
09/04/11 00:05:04 85FB8XoF
※今回分エロ無しなのですいません

375:きみのて 1/7
09/04/11 00:06:12 85FB8XoF
 しばらくの間ただだらんと俺の胸に倒れ込んでいた体を起こすと、奈緒はのろのろと膝まで下りた
パンツを引き上げ、スカートからはみ出たシャツの裾を押し込んで立ち上がった。
「帰る……」
 放り出してあった鞄を拾い上げたのを見て、慌てて俺も立ち上がるとその手を取ろうとして振り払われた。
 バサッと音を立て、その勢いで鞄がまた吹っ飛び、中身がばらけた。
「あー……」
 何とも間抜けな声が無意識に口からこぼれて、ぎくしゃくした動きではあったが自分なりに急いで
それを拾おうと手を伸ばした。
「構わないで!」
 驚く程鋭い声で叫ぶと、奈緒は俺に触れさせまいとでもするかのように床に飛びついて、びたんと
音を立てて転がった。
「いっ……た」
「おい?大丈夫か!?」
 支えて着いた手のひらが痛むのか、しゃがみ込んで両手を眺める奈緒に触れようとして、ふいに怖くなって
だまってそばに座った。
 無言のまま鞄を整えて立ち上がった奈緒を見上げて眺めながら、ただ一言
「ごめん」
そう言うしかなかった。
「……なんであんなことしたの?」
 静かな怒りを含んだ声で見下ろしながら問いただす声にも
「ごめん」
と繰り返すしかなす術がなかった。

 怖かった。何をどう取り繕っても、もう許しては貰えないと解った。

「……なんで」
 ふっと肩を落とすとため息を吐きながら呟いた。

「なんでユリちゃんなの」

 何が、と声に出す前にばっさりと奈緒自身がそれを斬った。

「やっぱりあんたがわかんないや。優しくないよね……あたしには」

 好きだから、離れていかないで欲しかった。
 見放されるのが怖かった。

 振り払われた手を握れなくなるのが辛かった。

 行かないで欲しかった。

「友達でいたら良かった。そしたら、こんな風に泣く事なんかなかったのにね」

 ―なのに、結局俺は更に奈緒を傷付けただけだったと、彼女が立ち去った後に床に残された折れた表紙の
本を取り上げて、崩れた。


376:きみのて 2/7
09/04/11 00:07:16 85FB8XoF
* * *

 翌日からはもう、完全に他人になってしまった。
 挨拶すら出来なくなって、代わりに友達どころかクラスメートすら名乗れない程、俺達には深い溝が
出来てしまったような気がした。
 元々広野さん以外友達と呼べる子のいない奴だ。
 社交的な彼女と違って群れるのが苦手な奈緒は、休み時間になると1人本読んでるか、遠い目でどっか
ぼうっと外をながめているだけだった。
 そんでそんな俺は奈緒があの日落としていった本を持ったまま返し倦ねて、教室を後に山田とつるんで
ばかりいた。
 逃げたかったんだ。


 そうこうしてるうちに明日からは冬休みだ。
 俺達が別れたのは誰が聞くとも話すでもなくいつの間にか広まって、そんですぐに忘れられた。
 そんなもんだ。だいたい自分達のクリスマスの過ごし方が一番の関心事の時期に、別れたカップル
の噂なんてどうでもいいし、なんたって何より縁起が悪い。
 去年はお互いに友達同士として『寂しいねー』なんて慰め合って過ごしたもんだ。
 今年はちゃんと恋人同士で迎えるはずだった。
 なのに悩んで悩んで決めるはずだったプレゼントは結局用意される事はなく、何の予定も組めなかった。

 本当に独り身になっちゃったんだなあ……。

 体育館の冷たい床の上に並びながら振り向けば、きゃあきゃあ声を上げて笑う女子の群れの中、1人
居心地悪そうに立ち尽くす奈緒の姿があった。
 寝起き悪いからな……。
 今朝遅刻しかけてきたからか、何となく機嫌が悪そうな気がした。むすっとした無愛想な顔も、ただ
俺には手の届かない事実に辛くなった。
 マイクの前に教頭が立って皆が視線を移したのに習って、俺もやっとそこから目を逸らした。
 その時だった。

 ガタン!

 鈍い音と同時に悲鳴が上がり、一斉に視線がそっちに注がれた。
 ざわざわと動く足元に倒れ込んだ塊が目に飛び込んでくる。

 体が勝手に動いた。


377:きみのて 3/7
09/04/11 00:08:17 85FB8XoF
『ここんとこ、何かよく眠れてなかったみたいだったから』
 広野さんの言葉の通りなんだろう。奈緒の目元にくっきり浮かんだクマと蒼白い顔がそれを物語る。

 倒れた奈緒を見て何も考えずに側まで駆け寄った。
『触んな!!』
 近づく教師の手さえ振り払って、広野さんの手を借りて力の抜けて重くなった体を抱いて保健室まで走った。

 今頃まだ校長の長ったらしい話は続いてるんだろーか。
 どっちにしろこんな状態じゃもたなかったかもしんないな。
 すぐ赤くなるほっぺが今は真っ白な寝顔をしてベッドに横たわる。
 それをぼうっと眺めながら、騒ぎの中離れた列の向こう側でちらりと皆と同じ様に他人ごとの顔で
事の様子を窺う永井さんの姿を思い出した。

 まさか自分が多少なりとも他クラスのカップルの別れ話に絡んでいるとは考えもつかないだろう。
 勿論これは俺達の話で、俺の責任で、彼女には何の問題も無いんだけれど。
 知らないうちに自分が誰かを傷つけてるのかもしれないとしたら、それを知ったらどう償ったらいいんだろう。
 奈緒の不揃いな三つ編みの束を眺めながらそんなことを考える。
 また寝癖、直せなかったんだろうなぁ。
『編んだらごまかしがきく』とか何とか。不器用だから上手くブロー出来ないーとか。
 それでも付き合いだしてからは何となく気を遣い始めたのか、跳ねやすい髪を気にしながら肩に流してた。
 そんな髪をくるくるいじりながら気にする癖が可愛かった。
 結んだ毛先に触れるような位置に、奈緒の手が枕に乗せられている。
 一目見て解るくらいその手は荒れてカサカサだった。

『本ってねー、意外と手に優しくないんだよー』
 バイト先も本屋で読むのも好きで、元々荒れやすい手は紙で擦れて小さな切り傷がしょっちゅう出来てる。
 好きなのに優しくできない。
 それでも痛々しく触れてくれた手を、俺はもう握ってやることが出来ないんだ。


378:きみのて 4/7
09/04/11 00:09:14 85FB8XoF
 もう、寒さに赤くなるぷくぷくしたほっぺにも、跳ねやすい猫っ毛の髪にも、かさかさにひび割れかけた
傷みやすいその手にも、気軽に触れちゃいけないんだよな、ほんとは。
 さっきは夢中で、誰にも触らせたくない一心でここまで抱いて運んで来たけど、そんな権利なんか
とっくのとうに無かったんだ。
 俺にはそんな資格なんかもうありはしない。
 奈緒を抱きしめることはもう叶わないんだ。

 ……ああ、俺達本当に終わっちゃったんだなぁ。

 手を伸ばせば簡単に届く所に大事なものがあるっていうのに、なんでそれを掴み取る事が叶わないんだろう。
 なんでこうなっちゃったんだろう。
 好きってだけで、ずっとやっていけるもんだと思っていた。それだけで許されると勘違いして、傷つけて、
待たせ続けて、振り回してくたびれさせた。

 ごめんなさい。
 どうしたら、ちゃんとそれを形にすることが叶うんだろう。


 先生がやってきたので後を任せて教室に戻った。
 けど、奈緒はHRが終わり皆の姿が教室からほとんど居なくなってもまだ戻ってこなかった。
 呼びに来た山田と玄関に向かう途中で、俺は思わぬ光景と感情に足を止めることになる。

 保健室の前で話をしている2人の男女。
 女の方は言うまでもなく奈緒で、男はというと、
「志真……?」
他クラスの奴だ。
 もう平気、なんてちらほら聞こえてくる事から、多分倒れたのを見ていて心配して声を掛けたんだろう。
 わざわざ待っていたんではなく偶然だろうが、それでもそうやってごく自然に挨拶できる事が異常に
羨ましくなって、同時に連れを巻き込んでつい曲がり角に身を潜めてしまった俺が惨めに思えた。

『なんでユリちゃんなの』

 あの時の奈緒の言葉が今の自分の気持ちと全く同じものであった事に気づく。

 奈緒が前に好きだった男。
 俺より先にキスした相手。

 今は何の感情も持たないのは十分解ってる。解ってはいても、何も出来ずにじりじりとそれを指を
くわえて眺めているのは実際、惨めだ。

 そんで、悔しかった。


379:きみのて 5/7
09/04/11 00:10:35 85FB8XoF
* * *

 クリスマスは山田んちで男2人ゲーム大会で過ごした。ムサい事この上無い。
 冬休みはずっと新聞配達のバイトから帰ると二度寝→ゲーム→たまに宿題(出すやつもいるんだこれが)。
 見かねた親からはどっか行けと半ばうざがられた。

 たまに部屋に奈緒が遊びに来てもやる事は変わらなかったはずだ。
 ゲームしながら膝に奈緒を抱いて、本の虫になっているその頭に顎を乗っけて、時々、がつんとやられたりして。
 飽きたらゴロゴロして、抱き合って、キスして、時々そのままやっちゃったり。
 ―なんだ、今と大して変わらん。マジで結構快適なんでないの?

 だったら何でこんなに物足りないんだろう。
 コントローラーを握りつつ枕を抱いてみる。何かしっくりこない。丸めた毛布。違う。いっそ布団
……でけえ、邪魔だ!
 それにぬくくない。固い。重てえし、何かクセえ。あ、俺の匂いか。

 ……奈緒はどんな匂いだったんだっけ?
 そんなことを考えていてはたと気がついた。
 いつも奈緒はどんな顔していたんだろう?
 静かに自分の世界に籠もっていたような気がする。それは俺の邪魔しないためだったり、多分暇を
埋めるためだったり。
 俺達は互いに一緒にいてもそれぞれのカテゴリーを大切にしていたから、そこには入り込まずに線を
引いて背を向けあっていた。
 身体だけは確かにそこに在るのに、存在は空気みたいに当たり前のように気にも止めずにいた。
 それでいいと思ってた。それは居心地は悪くなかったから多分そんなに間違ってははなかったかも
しれないけど、大切にできなければ意味がなかった。
 互いを想う心はどっかに放り出したまま掴み損ねて放り投げて、知らん顔して、それがそのまま
跳ね返ってきてぶつかった。その痛みは今自分が感じているものが答えなんだろう。

 奈緒と何をしたとかどこに行ったとかはみんな覚えてるのに、どんな表情をしてたのか、何を話したか
思い出す事が出来ない。
 ちゃんと見てるようで見てなんかいなかった。聞いてなんかいなかった。
 きっと俺の中だけで全て解ったつもりでいたんだ。

 泣きたい。この苦しみは―罰だ。


380:きみのて 6/7
09/04/11 00:11:26 85FB8XoF
 朝刊を配り終えた足でそのまま奈緒の住む団地へ向かう。
 まだ暗い寒空の下、きっちりとカーテンの閉まった窓を見上げて、あれ以来鳴らない携帯を眺めて
ただ開いて閉じて、また窓を見上げて。
 毎日こんな事やってこの時間だからいいけど、昼間だったら誰かに見られて絶対怪しい奴扱いだよな。
 っていうか俺、まるでストーカーじゃん。
 けどさあ、会いたいんだよなぁ。
 ちゃんと会いたい。会って謝りたい。許して貰いたい。顔が見たい。
 手、繋ぎたい。髪、触りたい。声聞きたい。好きだって言いたい。

 もう一度、やり直したい。

 その時、ふわっとカーテンが揺れた気がした。見間違いだと思いながら眠気の残る目を擦って、開かない
窓を眺めて俯いた。
「帰ろ……」
 んで寝ちまおう。と、ポケットに戻そうとした携帯がいきなり震えだした。
 あわわと取り落としそうになって慌てて開いたディスプレイを見て、寒さにかじかんだ手の辛さも
忘れて着信を押した。
“深田奈緒子”
 待ちに待った名前に期待と不安の混じる気持ちで声を絞り出す。
「……もしもし」
『……おはよう』
 静かに返される声に、喉の奥から震えながら押し出されるようにまた返す。
「おはよう」
 布団に潜りながら、漏れないように声を潜めてるんだろうか。小さくてくぐもった声を聞き逃したく
なくてじっと携帯を耳に当てた。
「……何でわかったの?」
『ん?』
「俺がストーキングしてる事」
『ははっ……バーカ』
 力無く笑う。無理してんなー……多分。
『……見てたよ』
「へ?」
『知ってたよ。そうやって帰りに足止めていくの。ケンより先に……あたしが待ってた』
 窓をもう一度見上げた。
 カーテンの隙間から白い指が覗いているのがわかった。
「な……」
 思わず呼びかけようと声を張り上げかけた途端にふっとそれは消えて、揺れるカーテンだけが残った
窓にがくっと肩を落として唇を噛んだ。


381:きみのて 7/7
09/04/11 00:12:09 85FB8XoF
「会いたいよ。奈緒、会いたい。会って謝りたい。このまま終わってはいさよならじゃ嫌だ」
『……それは』
「ごめん。俺なんも考えてなくて、自分勝手で、でも、奈緒の事大事にするって言ったから……それ、
 絶対ちゃんと実行するから、だから……」
 会いたいんだ、そう繰り返して窓を見上げながら話した。
 間があって、ため息が聞こえた。
 その後ふっと静かに笑いながら
『ずるいなあ。ケンはやっぱりずるい』
と呟いた。
「えっ?」
『そうやって、いっつも自分で答え出して、突っ走ってあたしの事置いてくの。あたしもそういう
 とこあるから嫌って程突き刺さるんだよね。絶対、自分の考え曲げないの。んで、変に諦め悪いんだ……』
 段々と声が聞き取りにくくなってきて、ズズズとノイズのような音が紛れた。それで初めて奈緒が
泣いているのかもしれない事に気づいた。
『あたしだってこのままケンと嫌な終わり方するのは辛い。けど、側にいても今こうして離れて電話
 しててもあんまり実は変わりは無いんじゃないかなって思うんだ』
「そんなこ」
『関係に縛られてると欲が出ちゃうんだね、人間ってさ。好きだから一緒にいたくて、一緒にいたら
 見ていたくなって、ずっと見てたら見てて欲しくて、話聞いて欲しくて……きりがないんだよね』
「……」
 ピッピッと耳元で電池の切れる音がする。
『ずっと友達でいたら良かった、いたかったって思ってた……それが出来ないのも辛いけど』
「奈緒……」

『……嫌いになれないのって、辛いんだね……』

 一度好きになってしまったら、もうそれを振り切って無かった事にするのは予想以上に苦しくて。

 塗り替えた筈の奈緒の過ぎた恋の傷を増やしただけに過ぎなくて。

 切れてしまった携帯の電池と同じくして

 友情という最後の望みも、



 ―ぷっつりと切れた。


「続く」


382:名無しさん@ピンキー
09/04/11 00:36:17 DDiiF14t
>>381
切ないなぁ…作者さんは人物の心の痛みの描写が上手いと
いつも感心してるんだけど、今回の二人のすれ違いは悲しすぎる!
仲直りができる事を祈りつつGJ!

383:名無しさん@ピンキー
09/04/11 09:49:39 yertez0r
続きwktk!

384:きみのて 1/8
09/04/12 21:19:43 VEemyrYc
* * *

 大晦日がきた。
 初詣には一緒に行くはずだった。
 元旦の朝分厚い3日分の朝刊を配ったら、三が日休みになる。だから、バイトが終わった足で行く
つもりでいた。
 そんな予定も叶わなくなって、俺の冬休みは奈緒と知り合う前の平日と何ら変わりない淡々とした
生活が続いた。


「お疲れ様」
 配達を終えてくたくたになった体に店で温かい飲み物を貰って流し込むと、『お年玉』と称した
小遣いを渡された。
 ありがとうございますとぽち袋をジャンパーのポケットに入れようとして、ぶるんといきなり震えだした
携帯に驚いた。
「おおぅ!」
 落っことしそうになってアワアワやってるうちに切れてしまった携帯を開いて着信を確認して、今度は
別の意味で声をあげそうになった。
『深田奈緒子』
 何度掛けても通じなくなって、いっそ削除しようとして出来ずに履歴に並んでいたその名前に萎んで
いた期待感がまたくすぶりかけて、思わず胸をかきむしりそうになる。
「すんません、急ぐんで!」
 慌てて店を出ようとする俺に後ろから
「おい、雨降ってんぞ!」
と声が掛かって、外を見るとぽつぽつとガラスが濡れ始めていた。
「まーじー!?」
 傘ねえよー。ていうか正月早々雨かい!ついてねー……。
 はーとため息をついてみたものの止むのを待つ気なんかさらさら無い俺は覚悟を決めて飛び出そうとして
「待てい!」
とおっさんのごつい手にそれを阻まれた。
「なんすか社長、急ぐんスよ俺」
「だって風邪ひくぞ、もうちょい休んでけって。それとも何か、彼女からの呼び出しか?んん?」
 ニヤニヤしながら聞かれた“彼女”という言葉に返事に詰まった。
 “友達”でももうないんなら奈緒は俺にとってどういう位置になるんだろう。答えに詰まっていると
「なんだ片想いか?」
と斬られてしまった。
 片想い。
 そうか。俺、それに戻っちゃったのか……。
「図星かー?ま、なら頑張って来いや」
 そう言って握らせてくれた傘を持って俺はチャリを飛ばした。
 後から散々他の従業員にどうだったかと絡まれまくった事を考えると、上手く流す余裕もこの時の
俺には無かったらしい。


385:きみのて 2/8
09/04/12 21:20:35 VEemyrYc
 真っ先に奈緒んちの前へチャリを走らせて、カーテンの閉まったままの窓を見上げて電話を掛けた。
『……もしもし?』
「奈緒?……」
 1回コールしただけで声が聞こえた。ずっと待っててくれたんだ。やめろ、と思いながらも期待感が
膨らんでしまって心臓が異様にドキドキするのがわかる。
「あの、電話くれてたよな?バイト中だったから。……出て来れないかな」
 ここまで来たら、顔も見ないで帰るのはさすがに辛い。だから……。
「会いたいよ」
 ひたすらに窓を見上げて呟く。
「会いたいんだよ……奈緒」
 電話の向こうで黙ったまま時間は過ぎてゆく。だめか、と肩を落としかけて降りていたチャリに跨った。
『あの、今どこにいる?』
「どこって……そっから見えんだろうが」
『はぁ?……いないけどぉ』
「ちょ、お前家にいんじゃねえの?なら」
『いや、出てんだけど』
「はあぁ!?」
 どーこーだー!?マジかよっ!
 間抜けにも俺はジュリエットのいないバルコニーに愛を囁くロミオだったわけかい!
 奈緒が聞いたら『良く言い過ぎ。別に駆け落ちしないし、死にたくないし』とか突っ込まれたな多分。
 つうか携帯持ってなきゃ危ない奴だよな。現代で良かった。
「行くから。今どこ?すぐ行くから」
『……だって雨』
「そっちこそこんな時何やってんだ。教えてよ、どこ!」
 傘さして携帯を肩に挟みながらチャリを漕ぎ始める。あ゛ー乗りにくい。
『朝ご飯……』
「あ?」
『朝ご飯冷めちゃった』
 朝ご飯、あさごはん……?ああ!!
「わかった!今行くから。すぐ行くからっ!!」
 今度こそ待たすもんかとこのくそ寒い雨の中、傘なんかいつ役に立つのかと思うくらいすっ飛ばして
顔が濡れて視界が歪む程酷い有り様で奈緒の元へ急いだ。
 あさごはんの公園。
 時々、バイト帰りにそこで待ち合わせては、コンビニのパンや缶コーヒーでちょっとしたデート。
 藤棚の屋根の下のベンチでいつも足をぶらぶらさせて待っていてくれた。
 いつも、いつでも。

 そして今も奈緒はそこにいた。


386:きみのて 3/8
09/04/12 21:21:18 VEemyrYc
 チャリを入り口に停めてゆっくり歩いていくと、奈緒は袋を抱えて両手を擦りながらこっちを見る。
「遅くなって……ごめん」
「ううん。勝手な事してあたしのほ」
「いいんだ!」
 目の前にいる。あれだけ会いたくてたまらなかった奈緒が。
「いいんだ……」
 だからいいんだ。
 荒れた手で引っ掛けてすぐ毛玉だらけになる手袋は、真冬の寒さには役に立たないと愚痴っていたのを
思い出しながら、小刻みに震える手を眺めた。
「寒い……?」
 つい差し出した手を途中でやり場に困って、引っ込みがつかなくなってしまったことに気づいて舌打ちした。
 奈緒はそれを怒ってるのだと取ったのか、
「ごめん……」
と呟いて俯いてしまった。
「あ、ちが、えっと」
 思わず慌てて奈緒の手を取ってしゃがみこんだ。
「ごめ、何かその……寒そうだから。手、暖めていい?」
「……もう遅いっつの」
 呆れたように半笑いで見返してくる濡れた目を見返しながら、多分負けずに冷え切ってるハズの俺の
両手で冷え切った缶を握るその手を包んだ。
 また拒絶されるのが怖かったんだ。
「……悔しいなぁ」
 奈緒は涙を浮かべながら震える声で呟く。
「会わなきゃ大丈夫だと思ったんだけどな」
「何が」
 はーと息を吹きかけて両手を擦りながら顔を見上げた。手袋越しでも奈緒の手を握る事が出来たのが
嬉しかった。こんな時なのに。
「もしかしたら前みたいに友達としての気持ちに戻る事出来ると思ったんだよ。でも無理だった。ケンは
 そうなるには大きすぎたんだよ。でもそれがつらい」
「……忘れたい?」
「わかんない。でもわかったのはね、あたしが我が儘だったって事。あたしだけ見て欲しくて、それが
 出来ないのわかってるからへんに我慢して、でもケンが思い通りにならないのが苛々して」
「……」
「あの時もね、あたしがこんな思いしてんのに、何で他の女の子の事助けたりすんのって、面白く
 なかったんだ。あれは仕方がなかったって本当はわかってたのに、それでも許せなかった。よりによって
 ユリちゃんだったから、悔しくて、ずっと待ってたあたしって何バカ?惨めじゃんって」


387:きみのて 4/8
09/04/12 21:22:28 VEemyrYc
 そう言いながら涙は溢れ始めて、泣きじゃくりながら話す奈緒の姿にいたたまれなくなった。
 許されるなら思い切り抱き締めたいと思ったけど、その勇気が出せずにいた。
「自分が嫌いなの。ケンを責めて、ユリちゃんを恨んで、好きになればなる程可愛くなくなる。なんで、
 なのに何でケンなんか好きになっちゃったんだろうって、わけわかんない事が悔しくなって、だから
 忘れようと思ったの。でも、出来ないの。嫌いになろうとしたら苦しくて、ケンより先に自分が嫌になる……」
「俺は、好きだよ」
 抱き締める勇気はまだ持てなくて、それでも何とか触れていたくて強く両手を握った。
「俺はまだ好きだよ。ううん、前よりもっと奈緒が好きだ。だから……」
 自分を責めるのはやめて。
 嫌われるのは俺ひとりで充分だ。
 奈緒にも―俺自身にも。

 そうされるのは、とてもつらい事なんだけれど。


* * *

 幸いにも手をふりほどかれる事はなかったから、それを良いことに雨上がりの朝の道を歩いて俺んちに帰る。
 親戚の家へ昨夜から出掛けている親に感謝。体の冷えた奈緒を風呂に入れる用意をする。
「いいよ別に……」
「風邪引くから。俺も入るし」
「でぇっ!?」
「あ、違う!別だっつーの!!」
 脱いだコートを掛けようとしてその冷たさにびびった。
「奈緒……あのさ、ちょっとだけ。ちょっとだけ、触っていい?」
 暫く黙った後こくんと頷いたのを見てほっとした。マジで告白の百倍勇気使ったかもしんない。
 怖々触れた指の先に冷えて真っ赤なほっぺの感触がする。触るとかさかさした。唇も乾いて、
手袋を外した指はやっぱり荒れていた。
「……こんななるまで待たせてごめん」
「だから今日はあたしが勝手に」
「けど嬉しかったから。マジ嬉しかった」
 いつもいつも当たり前にそこにいて、当然のように待たせて、甘えて、ぞんざいに扱いすぎたと今は思う。
「奈緒は我が儘なんかじゃないよ」
 風呂の沸いた合図がして、そこでやっと手を離した。


388:きみのて 5/8
09/04/12 21:23:12 VEemyrYc
 風呂上がりに奈緒が買ってきた朝飯を食べて、何となく正月特番なんかを観てた。
 ただこうやって並んで床に座っているだけの事が、すごく意味のある事のように思えてくるのは大袈裟だろうか。
 ぶかぶかの俺のトレーナー。そこから伸びる靴下を履いただけの脚。
 膝を抱えたその躰ごと抱き締めて転がりたいと悶々としていると、肩に頭を乗せようと横倒しに
くっついてきた。
「……寂しくない」
「ん?」
「久しぶりだから、かな。なんか優しいよね?」
「そっ……かなぁ?」
「うん。今日のケンは優しい」
 俺ってそんなに冷たかったのかと正直凹んだ。
「ほんとは寂しかった。だからあたしも自分の世界に逃げ込んで同じになろうとした。でもケンが側に
 いない世界はやがて多分慣れるけど、そしたらそこから出られなくなる……」

 うさぎみたいに寂しくて死んじゃうのは嫌だ。もっと強くなる。だからきらいにならないで。

 泣きながら震える手で俺の袖口を摘んだ。
「ならないよ」
 それは丸ごと俺の心そのものだから。
 だから許して。

「奈緒。抱き締めていい?抱き締めたい」
「うん」
 ぎゅうと力一杯包み込む。ずっとこうしたかった。
「抱きたい……」
 奈緒が欲しかった。
 こくこくと泣きながら頷く奈緒を抱っこしてベッドに置いた。
 そういえばこんな風にしたこと無いかもしんない。いつも別々に脱いで自分で入った。
 だから今日は奈緒が脱ごうとするのを止めてそのまま押し倒す。
 服の裾から手を差し込んで探る。結構おっぱいおっきーんだよな……。
 ブラを引っ張ってくい、と手を入れてみると指がちっちゃくて固いもんに触れた。
「やんっ……」
 つつ、とそれをつつき転がすと目をぎゅっと瞑って枕から首をあげる。
 触りながら唇同士をくっつけ合って、カサカサした感触に舌を這わせて唇を湿らせては時々それを
奈緒の口に押し込んでみる。


389:きみのて 6/8
09/04/12 21:23:55 VEemyrYc
 ふう、と声を時々漏らしつつ指先でツンツン乳首を摘む度にお腹がぴくんと跳ねてなんか可愛い。
「よっと」
 服から手を抜いて奈緒の体を抱き起こした。バンザイさせて服を脱がして靴下も脱がせると、かかとの
カサカサにちょっと引っかかる。すぐ靴下に穴を開けてしまうそれを何となく撫でたりした。
 俺もパンツ一丁になると奈緒の後ろに回って、膝に乗っける形で座ったまま後ろから胸を触った。
「ちょっと」
「くっつきたいから」
 背中に自分の胸をぴったりとひっつけて奈緒のおっぱいを揉んで、耳たぶをそーっと噛んでみる。
「いや……。んっ、あっ」
 下から掬うと重くて柔らかい。気持ちよくしてあげるのが気持ちいい。
「は、ぁんっ……」
 震える声、奈緒の髪に混じった俺のシャンプーの匂い。石鹸の匂いのする肌。温まってさっきより
つるんと感じる赤らんだほっぺ、俺の腕にのっかる細いとは言えないかもしれない二の腕。
 気持ちよくて好きだって思えるのが気持ちいい。
 指の腹で柔らかい胸の先を転がしながら片手を奈緒のパンツに入れてみた。
「……あっ」
 膝を立ててもぞもぞする。
「触りにくいよー……触らして」
「ん……やあっ……ああっ!」
 さわさわっと薄めの毛を掻き分けて割れたとこに指を入れるとちゅ、と濡れて滑る音がする。
「―あー……」
 充分に指を濡らせてからあれをつんっと転がしてやる。
「うぁ……ん……あ」
 さっきは嫌だって言ったくせに、俺の指に押し当てるように腰が浮いて動いてる。それに。
「脚、開いてるよ?奈緒」
「やっ、だって……」
「気持ちいいんだ?」
「ん……やぁ」
「だって凄い濡れてるもん。パンツ脱がしていい?」
「うん……」
 前に回ってパンツを脱がす。片足だけ抜いたところで我慢出来なくなってきた。
「……ごめん。挿れても、い?」

「いいよ。……でもその前にキスして」
 軽いけど長いキスを何回も何回もした。ほっぺ、おでこ、首筋……。

 ―我が儘言ってごめんね。

 そんなこと言う唇にも。


390:きみのて 7/8
09/04/12 21:24:41 VEemyrYc
「えっ無いかも!?……おお、あった。セーフ!」
「おいっ」
 最後の1個を慎重に着けて脚を開かせる。
「いや、だって買う必要なかったし……」
「いらないんだ?」
「いや、いる!」
「使いたい?」
「使い……たくないがまぁしゃーないよなぁ」
「はぁ?」
 意味わかってるんだろーか。まあ当分必要なのは確実だからまたコンビニでいらん買いもんしなきゃならんな。
 脚の間に入ってあてがうと、きゅっと目を瞑って俺の肩を掴んだ。
「何、緊張?」
「へ?べ、別にー!?」
「ふーん」
 くいっと先っぽで入り口を塞ぐようにつつきながら上の固いのを指で擦ってみる。
「あっ……やあんっ!や、やぁ、ん、やあぁ」
 つるんと跳ねて俺のが滑る。濡れてひくひくする裂け目に挟まれた指をくいくいと上下させると、
それに合わせて奈緒の声が裏返る。
「あーだめ。挿れさして」
 指を離すとそのままその手を添えて奈緒の中へ押し込んだ。
「くぅ……」
 久しぶりだからか、奈緒の眉毛が歪んだ。
「痛かった?」
「あ……ちょっと」
 でも大丈夫、と俺の首に腕を回してくる。
「わりぃ……」
 俺も暫くぶりなもんで我慢が利かない。
 ずぶずぶと濡れ滑る粘膜が纏わりついて締め上げる。
「なーおー。絞めんなよー」
「ちょっ!?知らな……やあぁんっ!!」
 足首を掴んだ片足を伸ばして押し上げる。もう片方の腕で体を支えて深く腰を突いた。
「あ……やぁ……はあ、あ、あ、やぁ!? 」
 動く度に気持ちいいのが強くなってきて、段々自然と速く擦りあげていってしまう。我慢出来ねー。
「あ、あ、ケン、や、だめ、だめ、いや……やあぁっ!!」
 真っ赤な顔して、口開きっぱなし……。何か今までで一番やらしーんですけど。けどかわいー。
「や、やだ、いく、イクかも、イキそう!あぁー……!?」
「えっちょ……うわ」
 だめだ。
 中イキ初めてなんだよー。

 ツられて俺も、震えて揺れるおっぱいを見下ろしながらゴムの中にめちゃくちゃ一杯出した。
「うう……」
 すっげ気持ちいい。
 やっぱ新しいの買っときゃよかったかなぁ……。


391:きみのて 8/8
09/04/12 21:25:47 VEemyrYc
* * *

 好きなものはみんな大事にしてるつもりでいた。
 だけど全部を同じにする事も、どれかを選ぶなんて事も出来なくて、そのために何かを置いてって
しまう事になる。

「あたしにも自分の世界があるように、ケンにもあたしの入り込めない場所があるのはわかってるんだ。
 だからそこは守って貰ってもいいの。けど……」
「けど?」
「そこから時々は顔を出してあたしの方も気にして欲しい。背中を向けてても、そこにいなくても、
 あたしの存在を忘れないで欲しい。心だけは側に置いてって欲しい……」
 一緒にいても寂しいのは、心がちゃんと向いていないから。
「うん……。俺奈緒の事大事にするってゆったもんな。それ、ちゃんと守れなくてこんな思いする羽目に
 なって、すげー後悔してる。だからもっとしっかりするから。二度と奈緒に捨てられたくねーもん」
「ほんとにぃ~?いつまで持つかねぇ」
 むにーと口を両端から伸ばされ喋らせて貰えず無抵抗の俺涙目。
 いいえいいんです。これ位屁でもないです女王様。
「誰が女王様やねん!!」
などとイチャこいてる(?)と電話が鳴った。山田だ。
『おう、喜べ。兄貴拝み倒して秘蔵のエロゲ借りてやったぞ!これでちったぁ元気出せ、な?』
「はぁ……?あ、いや、あの」
「ここにあったんだ?ケンこれ返して貰うね。あー表紙折れてるじゃん」
『!?』
 あの日忘れていった本を机に放り出してあったのを見つけて取り
「さぶっ!」
とまた布団に潜ってくる。
『……ゆうべはおたのしみでしたね???』
「あはは」
『ちくしょおおお!やっぱり××タンは俺の嫁!!』
「えっ?おい、ちょ、待て!それは!!」
『うるせー。リア充は死(ry』
 ……切れた。
 くそー惜しい事を!
 そう思いながら肩を震わす奈緒を見てふと気づく。
「……それってさ、どっか泣けんの?」
「え?いや笑ってんだけど。泣くとこ無いよ。笑い死ぬけど」
 半笑いの奈緒に渡されたDSを置いて本を取り上げ抱きしめる。
「ん……やんないの?」
「うん。リアルエロゲのがいい。俺愛されてるよなぁ……」
「はあっ?」

 うさぎのような赤いあの日の奈緒の目を俺は忘れない、そう思った。


「終」


392:名無しさん@ピンキー
09/04/12 23:32:50 5Z9k6Yr5
一番乗りGJ! 奈緒かわいいよ奈緒


393:名無しさん@ピンキー
09/04/13 16:50:25 h/7RUHdp
わーGJです!!
切ない

394:名無しさん@ピンキー
09/04/14 00:04:57 HIm/dXdI
ハッピーエンドで良かった!正直読むの怖かった!
一度すれ違っちゃうと、どんどん流れて行ってしまうものなのかな
イメージしてるよりずっと速く…二人共ギリギリ気付けて良かったね
イチャついてるとこがまた可愛かった
GJ

395:名無しさん@ピンキー
09/04/17 19:32:02 2PAnxsFi
保守

396:名無しさん@ピンキー
09/04/20 23:50:54 tb1AFN3K
黒澤くん、もう読めないのかなぁ

397:名無しさん@ピンキー
09/04/23 01:16:19 p/IiWPao
奴隷っぽくなったせいで伏線回収がムズくなったなありゃ
黒澤君が理性(つかプライド)を取り戻すしか解決策無いんじゃないかね
まゆサイドは真面目な協力者がいないし、本人はアレだし…
動物的勘とやらも無力になっちゃってるし

398:名無しさん@ピンキー
09/04/23 02:37:56 acLocCkW
愛すべきバカの繭たんかむばーーーっく

399:名無しさん@ピンキー
09/04/26 17:28:34 MhmndvIV
( ゚ω゚ ) <保守です!

400: ◆lscq0mJXzQ
09/04/28 03:03:00 m3rZcOis
以前一度投下した者ですが(縮刷版の題未定 / 80-473ってやつです)、
『耳年増+年上処女』という電波を受信したので投下させてもらいます。

申し訳ないことに、前後編です。
続きはなるべく早く投下出来るように頑張ります。

401:『Baby Baby』1  ◆lscq0mJXzQ
09/04/28 03:09:46 m3rZcOis
この状況はどうしたらいいんだろう。
やっぱり、やっぱりそういうことなんだろうか。
彼氏の部屋に初お泊りってことは覚悟するべきなんだろうか。
―小松蛍子、26歳にして人生の局面を迎える。

なんて、かっこつけてどうする!


 気が付いたら、26歳だったのだ。

 中学も高校も大学も共学、普通に部活したりサークル入ったり。女友達はもちろん、男友達も
それなりにいる。今だって付き合いのいるやつもいる。
 就職だってなんとか出来た。少ない同期の仲はわりといい。月に一度は飲みに行く。
 おしゃれだって好きだし、まぁ化粧品に関してはオタクレベルでハマってるかもだけど。
 顔だって普通だと思う。自分で可愛いとは思わないけど、悪いとは思ったことはない。
 とにかく普通。何度も言うけど、普通に生きてきただけなんです。
 そうなんだ。気が付いたら26歳だったというだけなんだ。

 なのに、なぜ一度も彼氏がいないのか!

 理由がわかっていたら苦労しない。もうね、この年で一度もいたことないとか、誰も思わないん
ですよ。皆、彼氏いる前提で話してくる。その度、私はどう対応していいのかわからなくなる。
これが大学生の頃なら、ウブで可愛いんでしょうよ。いや、今時高校生でもどうなんだろう……。
 長く続いてる女友達一人は、私に彼氏いたことないのを知ってるけど、別に取り立てて何か言っ
てくる訳でもない。ありがたい。「紹介しようか?」とも言ってくれるけど、それで知り合う相手はと
ことんだめだった。恋愛にならなかった。友達が増えるだけだった。26年で培われた、恋愛フラグ
スルースキルが発揮された瞬間だった。そんなスキルいらない。
 もはや、「彼氏? うーん、今は恋愛いいかなーって感じ(笑) 仕事楽しいしさぁ」と、一通り経
験してきましたよ、なキャラ付けがなされている。一通りも何も、まだゼロ通りですけどね。まぁ、
そのキャラ付けのおかげで、話しすぎてボロを出すということはなかったし、助かっていたんだ。
 だけど本音言うと、彼氏ほしいです。
 高校の頃、3ヶ月に集中して男の子に告白された時期があった。
 でも残念なことに、「よく知らない子と付き合うのはちょっと」とか「試しに付き合う、なんてやだ」
とか、無駄な潔癖さで断ってしまったんだ。ああ、勿体無い。あれが最初で最後のモテ期だっ
たんだと思う。私に、あと2回モテ期が来るとは思えない。

 ところが、そんな私にうっかり彼氏が出来てしまった。

 新居陽介。3つ下の、大学時代のサークルの後輩。
 在学中、陽介は1年生だったし、あんまり話したことはなかった。小規模サークルのせいか、
1年生の顔と名前は全員把握してた。でもそれだけだ。4年生ともなれば、サークルはほぼ引
退みたいなものだったし。
 だから、半年前のOBと現役生が一緒に集まった飲み会はびっくりした。大学生になりたての、
どこか幼い1年生の印象しかなかったから、垢抜けて男の人らしくなった陽介にびっくりした。
 気が付いたら飲み会の席が隣で、携帯のアドレスを交換していた。
 まぁ、それから色々ありまして。
 二人きりで出かけるということはなかったけれど、サークル仲間と共にちょいちょい遊ぶように
なりまして。陽介の告白で、付き合うことになった訳です。最後のチャンスだと思ったんです。
これを逃したら、もう一生彼氏は出来ないと思ったね。ええ、必死ですよ。それに、話すように
なってわかったんだけど、陽介とは結構気が合う。話してて楽しい。おまけに顔もわりと好み
だったし、付き合わない理由はなかった。ちょっと打算的なところがあるのは仕方がない。

402:『Baby Baby』2  ◆lscq0mJXzQ
09/04/28 03:10:29 m3rZcOis

 付き合って、2週間とちょっと。
 楽しいです。ええ、ええ、楽しいです。初めての彼氏ということで内心相当浮かれているんだけど、
それが伝わらないようにするのが大変なくらい。いや、一緒にいて楽しいってことはちゃんと伝えて
いるんだけど。でも、3つも上の(一応)先輩が年甲斐もなく浮かれてるって思われたら、ちょっと嫌
だ。別に先輩ぶりたい訳でもないし、オトナの女なんて装える訳もない。だけど、年相応の経験積
んできてないというのは、やっぱりコンプレックスだ。
 男の人が嫌いなのでも怖いのでもなく、普通に恋して告白したこともあったのに、一度も彼氏が出
来ないなんて。

 自分はどこか欠陥があるんじゃないか、そうとしか思えなかった。


「けーこさーん、次入ってください」

 突然声がして、ちょっとびっくりした。陽介がタオルで髪を拭きながら出てきた。部屋着みたいな
ゆるい格好は初めて見るから新鮮だ。私服は結構かっちりしてるから。

「とりあえず寝巻き、これ着てください」
「……ありがと」
「すみません、遅くまで連れ回して」
「こっちこそごめんね。突然家にお邪魔して」
「全然。蛍子さんが家にいるの、すげえ嬉しい」

 そう言って、笑う陽介にときめく自分がいる。どうしよう、思ったより私はこいつが好きなのかもしれない。
 コンビニで買ったお泊りセットとポーチ、寝巻きを持って立ち上がる。お泊りセット、なんて自分が
買うことになるとは思わなかったなぁ。

「あ、タオル好きなの使ってくださいね」
「うん、ありがと」

 湯船に浸かるのは久々で、ほっとした。陽介の家のお風呂はセパレートだった。私はユニットバ
スが嫌じゃないので、今の家はユニットバスだ。なんだか湯船が広く感じる。次、引っ越すとした
らセパレートでもいいなぁ。
 そんな事を考えていたら、突然現実を思い出した。

 そうだ、お風呂を出たら、もしかしたらもしかしたら、しちゃうかもしれないんだ。

 一気に体温が上がって、くらくらする。だめだ、ここでのぼせてはいけない。
 そもそも、私が陽介の家にいるのは、終電を逃してしまったからだ。一緒にデート(自分がデート
という単語を使う日が来るとは思わなかった)していて、ご飯のあと何となく離れたくなくて、お茶
していたら終電を逃してしまっていた。乗り換えの関係で、普通よりかなり終電が早かったのを
忘れていた。陽介の家のある方面の電車はまだ終電じゃなかったので、こうして泊まらせて
もらうことになった訳だ。

 そう、今日泊まるのはたまたまなんだ。

 こっちは何にも用意していない! それは向こうもきっとわかってる! ……たとえ何もないと
わかっていても、デートの際には下着に凝ってましたけどね。気分の問題で。
 ああ、でもどうなんだろ。付き合って2週間でしちゃうものなのかな。普通なのかな。わかんない。
 いや、いつかはするんだろうと思ってましたけど。
 だいたい、付き合うことになったその日にキスされたからなぁ。あの日は家に帰っても眠れな
かった。軽く、唇に触れただけなのに。しょうがないじゃないか、正真正銘ファーストキスだった
んだから!

403:『Baby Baby』3  ◆lscq0mJXzQ
09/04/28 03:11:07 m3rZcOis
 どうなんだろ、いわゆる陽介は手が早い人なのかな。……慣れてるのかな。そりゃ私よりは
慣れてるだろうけど。ああ、なんか残念な女でごめんなさい。年上女のテクなんて持ち合わせ
てない。単なる耳年増なんです、ごめんなさい。ミーナとかアンアンの『みんなのSEX事情』み
たいな記事を、どきどきしながら読んでました。ちなみに「初体験は何歳?」っていうアンケート
結果に落ち込んだのも事実です。
 いっそ、エッチなことに興味のない淡白な人間だったらよかったのに。したこともないのに(した
ことがないからこそ?)、その手の知識ばっかり増えていった。一人ですることも覚えてしまった。
いつか、誰かに触ってもらえるのかななんて考えながら、何度もイッた。気持ちよかったけど、
心にぽっかり穴があいたように、さみしくてさみしくて仕方なかった。
 あ、やばい。髪の毛を洗い終わって、体を洗いながら考えていたら、気分が落ちてきた。いかんいかん。
 今日、しちゃうのかな。
 タクシーで帰ればよかったかな。結構距離あるけど、帰れない距離じゃないし。
 でも、陽介といたかったんだ。
 一緒にいられるのなら、してもいいかな。
 だけど、初めてだってわかっちゃうだろうな。
 重いって思われないかな。
 別に陽介のこと、いい加減なやつだとは思わないし、むしろ私には勿体無いくらい良い子だと思う。
 だから余計に嫌われたくないんだ。


「お風呂の栓、抜いてないんだけどいい?」
「大丈夫です。明日洗濯に使うんで」

 お風呂から出ると、陽介は冷たい水を用意してくれた。
 家に初めて来て思ったけど、陽介ってちゃんと家事するんだなぁ。突然お邪魔したのに、部屋は
物こそ多いけど綺麗にしてたし。脱衣所だって、洗濯物溜まってなかった。これは見習わないと。
 すっかり喉が渇いたので、ごくごく水を飲んでいると、陽介がじっと見つめているのに気が付いた。

「何?」
「……すっぴんですか?」
「あ、うん……」

 いつもの癖で、お風呂で化粧を落としてしまってから気付いた。でも、(一般的な意味でも性的な
意味でも)寝るのに化粧したままっていうのもなぁと思って、眉だけ軽く描いたんだ。

「結構感じ変わりますね、可愛い」

 ……そんな顔で、「可愛い」なんて言ってくれるな。どうしよう、頬が熱い。

「普段は綺麗って感じだけど、今はなんだか幼くて可愛い。年上の人に可愛いって、失礼かもだけど」
「いや、えっと……うん…嬉しくてにやけるから、あんまり言わないで」
「じゃあ、いっぱい言う」

 にこにこしながら言う陽介。こいつ、わかってんのかな。今、私がどれだけ緊張してるか。いや、わ
かられても困るけど。
 借りた寝巻きはやっぱり大きくて、自分でもベタだなぁと思ったけど、上着がワンピースみたいに
なっていた。だからといって上だけ着た状態で出る訳にはいかないので(それはさすがに狙いすぎ
だろう)、きちんと下も穿いた。結局下着も上下着けた。そういう雰囲気じゃないのにノーブラってい
うのは、いかにも期待してましたよーって感じで嫌だったからだ。

404:『Baby Baby』4  ◆lscq0mJXzQ
09/04/28 03:11:41 m3rZcOis

「髪、乾かしましょうか」
「へっ?」
「俺、得意なんです。姉貴にやらされてたから」
「お姉さんいるんだ」
「2つ離れてるんですけどね。今は普通に仲いいけど、基本的に下僕扱いだったし」

 言いながら、タオルで水気をとってくれる。お姉さんより年上か、私。地味にへこむ。
 ドライヤーのあったかい風を感じた。やっぱり距離が近くなると、どきどきする。あと、なんだろ。
頭とか髪を触られてるのって、なんだか変な感じがする。意識しすぎかな。

「綺麗にまっすぐなんですね、髪」
「だからパーマもかかりにくいし、コテで巻いてもすぐ取れるんだ」
「確かにパーマの蛍子さん見たことなかったかも。見てみたいなぁ」
「もう諦めちゃったよ」
「まぁ、蛍子さんなら何したって可愛いんだろうけど」

 そういうこと、さらりと言わないでほしい。
 答えに困って、もうだまることにした。触れる陽介の指が気持ちいい。時々、耳や首に指が触れると
ぞくぞくしてしまう。……なんだか思っていた以上に、私は期待してるらしい。だめだめ、単なるスキンシップ、
彼氏彼女にありがちないちゃいちゃだと考えよう。意識しちゃだめだ。
 ぐるぐる考えていたら、ふと、前の彼女にもしたのかな。そんなことが頭によぎって、嫌になった。
 はい、終わりました、という陽介の声で、考え事はやめることにした。ありがとう、って振り返ろうとしたら。

「ひゃ、わ……っ」

 突然うなじにキスされて、変な声が出る。色気のかけらもない。

「あ、すみません、つい」

 そのままぎゅっと抱きすくめられた。熱い。一気に体温が上がる。

「ついって……」
「好きな人が近くにいて、しかも風呂上がりで俺の服着てたら、そりゃキスしたくなりますよ」

 甘い。陽介の言葉は全部甘い。陽介は、自分の思っていることははっきり口に出すタイプだと思って
たけど、こういうのは困る。夢なんじゃないかって思う。恋人になったら、こんなに甘いこと言われる
のって普通なんだろうか。わかんない。普通なんてわかんない。

「俺ね、浮かれてるんです」

 う、わ。耳元で囁かないでほしい。どきどきするし、ぞくぞくする。全身の血が逆流する感じ。
 陽介の体温を改めて意識してしまって、訳わかんなくなる。
 腕から解放されたかと思うと、陽介と向き合うようにされた。あ、なんか真面目な顔。

「キスしていいですか」

 そんなこと聞かれるのは初めてだった。いつもいきなりだったのに。おかげで、いつまでたっても慣れ
なかった。別に嫌じゃないし、ただ心の準備が出来なかっただけだけど。
 でも、今こうして聞かれると、やっぱりだめだ。余計に緊張してしまう。うなずくのが精一杯だ。
 肩に手を置かれて、陽介の顔が近づく。見ていられなくて、目を閉じた。

405:『Baby Baby』5  ◆lscq0mJXzQ
09/04/28 03:12:17 m3rZcOis
「…ん……」

 触れるだけなのに、なんでこんなに気持ちいいんだろう。陽介だからなんだろうか。ああ、でも私、
陽介のキス好きだなぁ。心臓はどきどきしっぱなしだし、なんだか気恥ずかしいけど、すごく安心する。
頭撫でてくれるから、余計にそうなのかも。
 舌で唇をつつかれて、少し口を開くと陽介の舌が入ってきた。
 うわ、どうしよう。
 何度かしているけど、やっぱり慣れない。どこに手を置いていいのかわからなくて、陽介のTシャツをつかんだ。

「ふ、……んぅ…っ」

 陽介でいっぱいになる感じ。すごくやらしいことしてるみたいで、声が漏れてしまう。
 唇が離れてしまうのが、残念に思えた。
 ……なんだか頭がぼうっとしている。うまく呼吸出来なかったせいだろうか。
 見上げると、陽介が首に触れてきた。

「陽介……?」

 腰を引き寄せられて、耳や首筋に唇が触れる。今までだって、唇以外にもいろんなところを
キスされてきたけど、そうじゃない。
 なんか違う。
 えっと、つまりはそういうことで。
 そういうキスをされてる訳で。
 勘違いじゃないよね? 私の妄想でもないよね?
 
「……触ってもいいですか」 

 どこを、なんて聞ける訳もなく。私はうなずくことしか出来なかった。
 陽介の手が、上着の上から胸に触れる。
 わ。
 うわわわ。
 男の人に胸を触られるなんて初めてだ。昔はよく、女友達とふざけて触ったり揉まれたりしてたけど。
そんなのとは全然違う。服も着てるし、ブラだってしてるのに、触れられたそこが熱い。
 残念ながら大きいとは言えない私の胸は、陽介の手のひらにすっかり収まっている。触れる
だけじゃなくて、そっと揉みしだかれる。揉みがいのない胸で申し訳ないなぁ……。
 すごい、やらしい。
 心臓の音がうるさい。
 状況に酔ってんのかな。
 鎖骨の辺りに唇を感じて、少し身構えてしまった。ついに、そういうことになっちゃうんだと思って。
 ひとつずつ、ボタンを外される。み、見られてしまう……。そんなの健康診断でしかないし! だって
処女だし! いや、そういうことじゃなくて。ブラ着けてるのに、見られるのが恥ずかしいって、そんな。
そんな今更照れる年齢か。この年で照れるのか。

「わ」

 胸をはだけさせられて、陽介の最初の一言がそれだったから、私の胸が一体何の粗相をした
のかと不安になった。

406:『Baby Baby』6  ◆lscq0mJXzQ
09/04/28 03:12:47 m3rZcOis

「な、なに……?」
「ちょっと想像以上で」
「想像って……何想像してんの」
「蛍子さんのいろんなとこ。でもやっぱり本物には敵わないな。胸も下着も全部、可愛い」

 ……こいつは。結構、その、なんていうかエロい人のなのか。いや、私も一人でしてるんだから、
人のこと言えないけど。
 ベッドに行きましょうか、と言われて一気に体が強張った。

 ああ、やっぱりそうですよね。
 そういうことですよね。

 さっきのいつもみたいな会話のせいで忘れかけていたけど、途端に意識してしまう。
 ベッドに、そっと横たえられて、陽介を見上げた。このシチュエーション、なんていうか、それっぽい。
いや、それっぽいって今まさにするんですけど。自分が、男の人を下から見上げるなんて変な感じだ。
 緊張してるの、伝わってないかな。
 だって陽介は、あんまりいつもと変わらない。なんか、余裕がある感じ。先輩ぶりたい訳じゃないけど、
やっぱりなんだか悔しい。こいつも、初めての時は緊張したのかな。してほしいな。
 おでこにキスされて、胸の辺りが楽になったと思ったら、ブラのホックが外されていた。横になると
一気に胸が流れるから、元々残念な大きさの胸はさらに残念になった。
 ブラが押し上げられて、胸があらわになる。
 どうしよう。
 どうしよう。
 肌が、ざわざわする。
 なんでだろう、なんでこんなに恥ずかしいんだろう。触られてもいないのに、見られるだけでこんなに
恥ずかしいなんて。あ、今更だけど電気……明るいままだし……。
 陽介の喉が鳴ったような気がした。
 恥ずかしくて、どこを見ていいのかわからなくて、とりあえず目を伏せたら自分の胸に行き当たった。
やばい。……乳首立ってるし。
 陽介の手が、直に胸に触れる。
 さっきより少し強めに揉みしだかれ、親指で乳首を弄られる。途端、甘い痺れが体中に伝わる。
 うそ、胸ってこんなに気持ちよかったっけ。
 吐息が荒くなる。興奮してるんだ、私。

「…ぁ……っ」

 陽介に、口に乳首を含まれた。そのまま舌で転がされて、さっきとは比べものにならない気持ち
よさが体を駆け抜ける。思わず声が出そうになって、必死で堪えた。
 乳首だけじゃなくて、胸のいろんなところに吸い付かれる。
 つむっていた目を開くと、陽介が見えた。

 途端、訳がわからなくなった。

 こんな表情の陽介、知らない。

 ちゃんと男の人なのに、年下っていうせいかどこか少年っぽいのが陽介だと思ってた。陽介の
笑顔は安心できて、好きだった。いろんなこと、一緒に笑えたらいいなぁって思ったから、付き合
おうと思った。
 でも今は違う人みたいに思った。
 別に乱暴にされてる訳じゃない。触られるのが嫌なのでもない。
 だけど、怖くなった。
 さっきまでは、してもいいかなって思ってたのに、今は怖い。出来るとは思えない。
 なんで? 
 自分はこんなにいっぱいいっぱいなのに、陽介は余裕だから?
 置いてかれた気持ちになるから?

407:『Baby Baby』7  ◆lscq0mJXzQ
09/04/28 03:13:23 m3rZcOis
 わかんない。
 初めてだって知られるのが嫌だから? それとも、それが怖いから?
 だって、きっと経験者のふりなんて出来ない。
 重いって思われたら、やだ。
 それはプライド?
 それとも陽介が好きだから? 好きだから嫌われたくない?
 わかんない。
 わかんないよ。
 
 腰に手が当たったかと思うと、ズボンを引き下ろされた。普段、ミニなんて履かないタイプだから、
足を見られるのだって慣れてない。全部引き抜かれて、下着だけになってしまった。
 やだ。
 恥ずかしさと怖さで、余計に混乱してしまっていた。

「や……」

 訳わかんない
 怖い。
 見ないで。
 こわい。
 私の全部、見ないで。

「…や、めて……やだぁ、やめて…っ」


                              【続く】

408:名無しさん@ピンキー
09/04/28 12:22:50 cPh2U3fy
GGGGGGGGGGGJ!!!
蛍子さんの自己ツッコみが面白い!!サクサクよんじゃいました。
『Baby Baby』ってタイトルもかわいいですね!
すげーツボに入りました!つづきツルッパゲになりながら待ってます!


409:名無しさん@ピンキー
09/04/28 18:19:24 hY/5/N1i
蛍子さんかわいいなあ
読んでて可愛いカップルっぷりににやにやした
GJ!

410:名無しさん@ピンキー
09/04/29 01:05:40 /dizfSv8
ノーブラノーパン姿で
続き待ってます♪

411:名無しさん@ピンキー
09/04/29 02:31:25 6L6SBfXD
GJ!
ドキドキしながら読みました
続きが待ち遠し過ぎる


412:名無しさん@ピンキー
09/04/29 20:52:21 GsIYxlZY
GJ!

413:名無しさん@ピンキー
09/05/01 19:58:33 YijZkAPL
久しぶりに来たら良作ktkr!
蛍子さんかわいいよ蛍子さん
26にして初のHに困惑し、困惑する自分にさらに困惑して
一人スパイラルに陥っている感じが愛おしくて可愛い!!
続きを楽しみにしています

414:名無しさん@ピンキー
09/05/02 22:36:25 zT7LufMc
おっぱい総合スレの「私の魅力!?」はこのスレ的にどうだろうか

415:名無しさん@ピンキー
09/05/04 04:11:35 Dq+jGUdQ
あれ面白いよな

416:名無しさん@ピンキー
09/05/05 02:12:24 x2XAftXY
全てが男性向けだなとしか思わなかった


417:名無しさん@ピンキー
09/05/05 02:57:17 m38iJRR5
そのスレなら「飴。」がおな感っぽいと思った

418:名無しさん@ピンキー
09/05/06 01:11:36 iYQ+R2tJ
見つからん…なぜだ!?

419:名無しさん@ピンキー
09/05/06 23:47:27 DfRkd1Lv
>>418
これ?

スレリンク(eroparo板:212番)-214

420:名無しさん@ピンキー
09/05/07 03:23:49 1NJRiv6V
パイズリで女が感じると夢を持ってる連中のスレだからかなぁw
同じ奉仕でもまだフェラの方が感じるのに


421:名無しさん@ピンキー
09/05/07 11:51:41 FAkew9vH
>>420
私はパイズリ出来るほどの乳は持ち合わせてないんだけど
自分が責めてる時に相手が感じてるの見るとゾクゾクするから
パイズリ出来るほどの乳があれば、気持ちよくなるかもw

422:名無しさん@ピンキー
09/05/07 21:34:03 0bVUrrYQ
リアルの自分語りはいらないよ。気持ち悪い。

423:名無しさん@ピンキー
09/05/09 02:31:26 LijMauaN
たしかに。
コレならあぶないバイトの友人の話のがよっぽど好みだったな。

424:名無しさん@ピンキー
09/05/09 02:46:45 IpYD2q7b
あやしいバイトとは別?


425:名無しさん@ピンキー
09/05/09 03:06:52 cOtePrF3
作者さんのHPに、派生した友人の話がリンクしてあるよ
行為としてはパイズリばかりなのに、心理描写はきちんと女性向けでいいよね
やっぱり女性は精神面重視になってくるなぁ

426:名無しさん@ピンキー
09/05/09 09:10:21 LijMauaN
そっちも良いけど、胸無い方の友人話が好きなんだw

427:名無しさん@ピンキー
09/05/09 09:12:02 LijMauaN
あ、「あやしい」バイト だった…………

全ての方へゴメンナサイ…

428:名無しさん@ピンキー
09/05/09 10:57:08 UgiLhXqV
黒澤君萌えの人にはたまらんかもね
女の子の心理が巧みでドキドキしますた

429:名無しさん@ピンキー
09/05/09 12:43:59 MCoSb6/7
黒澤君の続き読みてー

430:名無しさん@ピンキー
09/05/10 12:10:53 2MMEQHDJ
それよりも蛍子さんの続きを…

431:名無しさん@ピンキー
09/05/10 15:56:06 lWiRv4CR
それもいいけど美夜子と総一郎の続きを…

432:名無しさん@ピンキー
09/05/11 00:44:07 f/BHgFtC
いやいやいや続きは全部待ってるけど新規の投下も…


433:名無しさん@ピンキー
09/05/11 04:00:54 ToEmiDmm
あやしいバイトの友人の話よんできたよ
まじでここ向きだね。もえ~

434:名無しさん@ピンキー
09/05/12 03:50:20 Fsf5WjC7
あやしいバイトの作者はおなかん的にとても美味しいけど、
おとこのこが感じるがっつりエロエロも書くからびっくりだ。
あの作者の性別が非常に気になるw

435:名無しさん@ピンキー
09/05/12 08:17:08 yQIx8vSJ
女だろ

436:名無しさん@ピンキー
09/05/12 13:53:59 p+NS/G0U
ゲスパーやめれ
そういう話題は荒れるもと

大体他スレに投下された作品で、HPもあるのにここで話ひっぱるなよ

というわけでおとなしく職人さんカモーンщ(゚Д゚щ)

437:名無しさん@ピンキー
09/05/12 13:54:50 p+NS/G0U
×というわけでおとなしく職人さんカモーンщ(゚Д゚щ)
○というわけでおとなしく職人さんカモーンщ(゚Д゚щ)しておく

438:名無しさん@ピンキー
09/05/14 04:17:47 i4HF2LUi
来て見て触って

439:名無しさん@ピンキー
09/05/16 01:09:44 pYacjRH6
完結したので晒しておきます
「魔女とコヨーテ」
URLリンク(ncode.syosetu.com)

440:名無しさん@ピンキー
09/05/16 03:37:56 oipq8MWS
>>439は好きで読んでたけど…作者本人?

441:名無しさん@ピンキー
09/05/16 03:47:31 nxx42zhK
おすすめ作品だよっつーことじゃないのん?

442:名無しさん@ピンキー
09/05/16 20:16:12 pYacjRH6
あ、ただのファンですw すみません

あと商業ベースで男女エロメインのティアラ文庫ってレーベルが
出るみたいなんで、このスレ住人はぜひ

443:名無しさん@ピンキー
09/05/16 21:50:31 gkmJh0ck
ファンが「晒し」って言うかね

444:名無しさん@ピンキー
09/05/17 02:48:07 7FMOhKdU
第三者が勝手に晒すのは
作者さんに迷惑になる可能性があるよ

445:名無しさん@ピンキー
09/05/17 17:01:21 nyjBlUdW
>>444
晒すという言葉はどうかと思うけど、ここはもともと紹介も兼ねてるスレだよ。
そもそもWEBに公開されてるものなら紹介なんて勝手されるもんでしょ。
パス制だったら話は別だけどね。

446:名無しさん@ピンキー
09/05/18 06:26:01 u1WIuLlg
そのサイトも個人サイトじゃないしね

ついに終わったのかー

447:名無しさん@ピンキー
09/05/18 09:56:50 rZndT/Zv
蛍子さん…待ってます

448:名無しさん@ピンキー
09/05/18 18:54:29 xgQ/ZNey
わたくしも…

449:名無しさん@ピンキー
09/05/19 02:51:54 yUSnGdkw
>>439
読んできたよ。
設定こそファンタジーだけど、書いていることは男女の普遍的な恋愛を
丁寧に描いていて、とても面白かった。
特に離ればなれの頃の切なさが良かったよ。
あと、下らない喧嘩が原因でギクシャクする場面とかあるあると、思った。

450:名無しさん@ピンキー
09/05/19 09:58:16 5EtXi0u/
繋がりスレの29はこのスレ向きかね

451:名無しさん@ピンキー
09/05/19 20:09:11 adCNgrbt
>>450
読んできた!
自分的に凄い良かった
甘甘なのは苦手なはずだったんだが何かがひらけた気がする

452:名無しさん@ピンキー
09/05/21 00:16:45 Pp0Ca84P
自分も何か紹介したいけど思い浮かばん

453:名無しさん@ピンキー
09/05/21 17:04:18 pUxzhekG
クリトリススレの798とかは?

454:名無しさん@ピンキー
09/05/22 00:35:54 FLHrLwg3
メイドスレの詩野さん好きだなあ。
想う人には別の人が~なシチュが切ない。

あとすみれさんも好きだ。
秀一郎さんみたいなタイプは世話好きにはたまらないかも。

新スレたったばかりなので、どっちも倉庫でドゾー。

455:名無しさん@ピンキー
09/05/22 17:36:22 UpTs7Ei5
黒澤君てなんだろうと思って●あるからスレッド1から掘って読んできた。
やっと8スレ目でたどり着いた。
いい! 続き読みたい! でも今すぐだと目がどうかなりそう。

456:名無しさん@ピンキー
09/05/22 18:41:21 1fiYOqvG
>>455
なんと。
続きを待つ間に、>>1の縮刷版をどうぞ。

457:名無しさん@ピンキー
09/05/23 01:45:11 BbUpDyIw
黒澤君の話も、縮刷版に載っていますか?
探してみても見当たらない…。

458:名無しさん@ピンキー
09/05/23 03:28:38 HgI2DCrN
単発の「はじめての彼(仮)」ってやつだよ
「過去スレ/他の保管庫」ってとこで全体のログを保存してくれてるみたいだよ
当時の書き込みを見たい方はそこへ。

まとめの管理人さんは結構ちょこちょこずっと更新しててすごいですね。
TOP画像が季節やイベントごとに変わったり、まとめられた小説も
内容にあわせた背景になってたりとかなり凝ってる。
利用させていただいてます~ありがとうございます。

459:名無しさん@ピンキー
09/05/25 02:46:39 e3b0yAVH
すごいなって自分も思ってた
管理人さんありがとう

460:名無しさん@ピンキー
09/05/26 02:02:48 5ey2AQmJ
ありがとうございます。

461:名無しさん@ピンキー
09/05/28 21:05:10 Hyr/vx+4
タイトルの後ろに「香子&イチ」「黒澤君」と書いてくれている管理人さんの気遣いに驚愕

462:名無しさん@ピンキー
09/05/29 01:05:17 WW2FCr0F
自分からも感謝の言葉を…ありがとうございます。

463:名無しさん@ピンキー
09/05/30 09:51:38 VaRXATAl
腹黒女スレの、めいこと高坂くん萌え

464:名無しさん@ピンキー
09/05/30 17:06:46 Wl8kJvD9
人外なんだけど触手スレの宿し姫メヒィルシリーズの
心優しい姫と自分の命に代えても姫を守ろうとする騎士が切なくていい
三女とスライムが好きだ

465:名無しさん@ピンキー
09/05/30 22:17:04 5HYAMLBF
ありゃお勧め本やお勧めされたサイトのまとめって無くなっちゃったんだ。
前、ここで紹介されててツボだったのがあったんだけど
PC変えて思い出せなくなったんだよね。残念

466:名無しさん@ピンキー
09/05/30 22:30:37 l48vzDOF
ビッチスレの川上と山下に萌え。
川上カワイイよ川上

467:名無しさん@ピンキー
09/05/31 20:19:29 +9A+Ykc7
>>463>>466読んできたけどふたつともすごく面白い!
高坂くん萌えるなー
川上も可愛い


468:名無しさん@ピンキー
09/05/31 23:52:58 hft1NJyz
やっぱり常駐スレ被ってるなー

469:名無しさん@ピンキー
09/06/01 08:26:02 +nqJPRIF
いろんなスレからの報告はありがたい。


470:名無しさん@ピンキー
09/06/01 13:14:12 OG4L1G3x
依存スレの「ネトゲ風世界依存娘」、未読の人にはお勧めしておきたい。
といってもまだ完結してないんだけど。初出は前スレからなので保管庫からどうぞ。

471:名無しさん@ピンキー
09/06/01 17:29:30 jYdJvKs+
久しぶりにまとめの377氏作品を読んだ。テンポが良くて。
とんとご無沙汰だが、お元気だろうか。

472:名無しさん@ピンキー
09/06/02 12:32:30 /MoizgPE
腹黒スレとビッチスレ行って来た。
めーちゃんかわいいよ川上かわいいよ。

VIPにあった、ドキンちゃんとバイキンマンが萌えたのでURL貼っとく。
URLリンク(urasoku.blog106.fc2.com)

473:名無しさん@ピンキー
09/06/02 17:57:30 2RYg6m9/
>>472
萌えた

474:名無しさん@ピンキー
09/06/02 21:47:01 RpqpY5hS
>>471
見てみたらまだ読んでなかったのがあった
特にさくらと大輔シリーズいいね
面白くて新しい萌えだったw



475:名無しさん@ピンキー
09/06/03 03:25:09 ISplUAzG
主従スレ保管庫の秘密が良かった
如月に切なく萌えたよ

476:名無しさん@ピンキー
09/06/03 18:25:25 SofzqbOo
ドキンちゃんとバイキンマン、凄く良かったよ~

477:いいね
09/06/03 22:00:17 6jrJp1AK
もっとこい

478:名無しさん@ピンキー
09/06/03 22:18:30 lyXrkoZG
>>465だけど復帰してて驚いた。
結局探していたサイトは去年閉鎖してたけど
他に新たな発見もあった。
管理人さん本当にありがとう。


479:名無しさん@ピンキー
09/06/04 01:41:56 BO6KzeWK
バイキンマンがドキンちゃんの幸せを願うのに、食パンマンを迫害する意味がわからなかった
でも萌えたw
ネトゲ廃人も読んできたけど面白かった
いつも思うけどSS職人さんてすごいな


480:名無しさん@ピンキー
09/06/04 03:24:23 vdvFghIh
>>475
同意
あれ途中で終わってるんだよね
続きが見たかった

481:名無しさん@ピンキー
09/06/06 08:56:16 eFhaLgwq
おんなのこでも感じる、か……
書きたいけど難しいな

482:名無しさん@ピンキー
09/06/08 21:06:06 hWMunvm/
今度出たティアラ文庫の本、手にした人いる?

483:名無しさん@ピンキー
09/06/09 02:14:17 WoYgpmsh
今書こうかと思ってる話は男目線で書くと心理描写が細やかになりそうなものなんだけど
心のちんちnしかないからエロ描写をどうすべか…
女目線で書くといきなりエロに入りそう
(女主人公がドーンと脱いで「私を抱け!」とか言っちゃいそうなキャラなんだw)

そして最初この話考えてた時春だったから、今そのままの設定で書くと季節感がゼロ
そこらへんはなんとかできるかもだが

484:名無しさん@ピンキー
09/06/09 16:59:59 WbBSKugj
>>482
あまりエロくなかったよ
フランス書院だから期待したんだけど、子供向け
お勧めできないかな

485:名無しさん@ピンキー
09/06/09 23:56:21 3VMdRJ2p
>>483
おな感だからこころの○でもいいんじゃね?
自分的には「私を抱け!」てのも面白そうだとは思うけどな。
いっちょいってみったらどうだい?

486:名無しさん@ピンキー
09/06/11 21:49:46 +FdC1yAa
前にエロパロで見たバイキンマンとドキンちゃんも良かったなあ。
バイキンマンの想いが切なかった。

前にと言えば、マクロススレのファーストネタで早瀬美沙ものとかも良かったなあ。

487:名無しさん@ピンキー
09/06/18 01:49:39 9kB3Lxbe



488:名無しさん@ピンキー
09/06/18 17:55:00 xYsVNtHe
こう、いい文章だと長くても自然にすらすら読めて入り込める
書き手さんてすごいなぁ

個人的には武士とかそういう時代ものが好きだけど、なかなかない
でも、色々探すうちにこれもいいなーあれもいいなーと趣向が広がっている
食わず嫌いはよくないねwww


489:名無しさん@ピンキー
09/06/18 20:08:33 YS7ERzam
わかるわかる
でも最近は雑食すぎて困るぐらいだw
自家発電もしてみるけど、自分のじゃ萌えられない
ああ~誰か書いてくれないかなー

490:名無しさん@ピンキー
09/06/19 00:39:06 DSQpV/Zc
時代物自分も好きだ
ヨーロッパ舞台じゃなくて日本の時代物のスレあった気がしたんだけど
こないだの圧縮でなくなっちゃったのかな?
オススメあったら教えて欲しい

491:名無しさん@ピンキー
09/06/19 18:41:54 J0M6ihgF
車引きと優しいお嬢とか
武士と武士の上司の妻(あるいは娘)とか

好きだ。大好きだ。


でも黒澤くんもビッチも腹黒もそれはそれで好きだ

492:名無しさん@ピンキー
09/06/19 22:49:37 0ZILDTrh
丁稚といとさん。ぶっちゃけ春琴抄萌え。
春琴襲撃犯とか子供の父親のこととか、現代になっても論文が発表されるなんてすごい。

493:名無しさん@ピンキー
09/06/20 14:58:40 fVFrXAIV
ゆうきまさみスレの後藤×熊耳、おすすめ。

494:名無しさん@ピンキー
09/06/21 22:07:23 jXtT56tT
今メイドすみれを読み終わった

・・・いい。とてもいい。うん。
メイドもいいね!とか思ったwwどこまで広がるんだ私の趣向w
長くても良い文章は読めるなぁww

495:名無しさん@ピンキー
09/06/26 22:33:14 xJuEJjns
久しぶりに保管庫見たんだけど…

なんか「スレッドで紹介された小説」がすごく充実してきてるようなw

496:名無しさん@ピンキー
09/06/28 02:30:05 xOKxEZwE
そうそう!
ここ雑談で紹介されたのきちんと反映されてるよね

良作ねむってるね~

497:名無しさん@ピンキー
09/06/28 05:48:28 dChfgTx2
幼馴染みスレで話題に上がってた『You is me』読んでみた。


萌えたw

498:名無しさん@ピンキー
09/06/30 21:25:40 i6BMnSGH
愚痴。
なんで自分の好きなキーワードで検索したら
ホモが出て来るんだよ
途中まで読んじゃったじゃないか

499:名無しさん@ピンキー
09/06/30 23:21:10 E5zOHJ6A
新婚スレの『鉄仮面と子猫』が凄く面白かった
オススメです

500:名無しさん@ピンキー
09/07/01 03:33:32 PudldLe7
もう500か

501:名無しさん@ピンキー
09/07/01 12:39:25 aPf2RobL
>>499
アレはほんとにイイよね!!!!!
めちゃくちゃ萌える

502:名無しさん@ピンキー
09/07/02 02:57:00 SOTbdLHG
保管庫充実し過ぎだろ本当にありがとうございます

紹介されてた女兵士スレの『アリューシアとグルドフ』に萌えた…
アリューシアかわいいよアリューシア

503:名無しさん@ピンキー
09/07/02 10:53:02 1XNplaBb
ウチの保管庫は世界に誇れます!

504:名無しさん@ピンキー
09/07/03 08:04:54 qT8b8klt
おお!!心の友よ!!!


…早く続きをみたい作品が一杯だw

505:名無しさん@ピンキー
09/07/03 18:55:55 JcJQZ0vS
URLリンク(www.h3.dion.ne.jp)

非エロのコメディだけどなんか良かった

506:名無しさん@ピンキー
09/07/06 00:41:28 Mu3wvLT4
蛍子さんマダー?

507:名無しさん@ピンキー
09/07/06 20:35:04 wILJLptz
言ってることは矛盾していると思うが
エロがなくてもいいくらい素晴らしい作品ぞろいだ、と思う

508:名無しさん@ピンキー
09/07/07 23:03:31 YAcTOR8G
お金だして続きが読めるならだすもの

509:名無しさん@ピンキー
09/07/08 00:32:44 VvClIPr9
黒澤くん続編になら迷わず払うよ

510:名無しさん@ピンキー
09/07/08 00:44:42 VvClIPr9
あ、もちろん蛍子さんにも全裸で払う!

511:名無しさん@ピンキー
09/07/09 00:41:14 fhzisOsQ
私も黒澤くん&繭タンにならお金払う!

512:名無しさん@ピンキー
09/07/09 08:25:15 drPduvYO
保管庫からだけど土曜日の情事にも出したい

513:名無しさん@ピンキー
09/07/09 22:14:31 1jTo6f6r
すみれさんの続編があれば買う

514:名無しさん@ピンキー
09/07/09 23:04:59 1aD+mONS
黒澤くんかわいい

515:名無しさん@ピンキー
09/07/09 23:18:08 xqGPX7ur
>>512
私も!

516:名無しさん@ピンキー
09/07/10 01:33:37 K5qLWmen
>>513
すみれさんの番外編なら出てるよ!
津田さんメインだけど。
メイドスレからまとめサイト飛んで是非読んでみて下さい

517:名無しさん@ピンキー
09/07/10 01:34:23 K5qLWmen
ごめんなさい…orz
上げてしまいました…

518:名無しさん@ピンキー
09/07/10 20:41:43 30yPCsQy
>>516
ありがとう!!!
許す!私が許す!!

519:名無しさん@ピンキー
09/07/11 07:50:12 ZMlJ2/A6
あれは良かったね
津田さんみたいな性欲なさそうなタイプの話は良い

520:名無しさん@ピンキー
09/07/11 13:44:30 3DVzGMdN
そんならうちは、佳乃子に来月のおこづかい全部!

521:名無しさん@ピンキー
09/07/12 00:58:53 WZNcqgfR
幼馴染みスレの『Scarlet Stitch』が超絶オヌヌメです!
エロまでは長いけど、イトくんとひーこの心の距離の変化に胸がキュンとなります!
最終話で泣いた長編はこれが初めてです。
エロくないスレに番外編の『Valentine For Veiled Farewell』、『Muffled snow, Merry sky』、『ever after April』の3編があるので、そちらも時間がある方は是非読んでみて欲しいです。

522:名無しさん@ピンキー
09/07/12 09:35:04 v8QwdYFQ
イイヨイイヨーこの流れ


ネット小説界じゃ有名だろうが
アルファポリス大賞から書籍化した「月の砂丘にふたり」おすすめ

523:名無しさん@ピンキー
09/07/12 15:44:04 ZBRIcUPU
保管庫のスレッドで紹介された小説の中で見れないのがいくつかある…
携帯からだから見れないのかなぁ?

524:p2030-ipbfp3303osakakita.osaka.ocn.ne.jp
09/07/13 09:21:47 MdQnTDaR
『Scarlet Stitch』ボクも大好き!
でも番外編は知らなかった…
ドコに行けば読めるのカナ?

おな感保管庫にゼヒ、入れてホシ!!

525:名無しさん@ピンキー
09/07/13 12:32:38 Nq/DCjdh
管理人さんに甘えるのはやめようよ…

526:名無しさん@ピンキー
09/07/13 13:46:07 udA+myX5
保管庫があるのに無断転載はどうかって話も某所で出てる訳だしな

527:名無しさん@ピンキー
09/07/13 17:07:28 zhCdTSfU
>>524
幼馴染みスレ等から飛べる某有名保管庫のノンジャンルの部屋を探していただければ、【エロくない作品はこのスレに】の作品が保管されているので、そちらから番外編を見れます。
私はおな感保管庫に入れて欲しいという意図で『Scarlet Stitch』を紹介したのではないので、皆さんの言う通り、>>524さんはおな感保管庫の管理人様に催促するような発言は控えた方がよろしいかと…><
できる限り、自分で楽しめる方法を探してみましょう。

528:名無しさん@ピンキー
09/07/13 18:28:43 PlT9I/0q
524はどうしてホスト出してるの…
ふしあなさんでもしたのか?

529:名無しさん@ピンキー
09/07/13 19:40:46 MdQnTDaR
524です。ゴメンなさい、そしてありがとう。

530:名無しさん@ピンキー
09/07/14 02:46:40 DbT4V456
みんな可愛いね

531:名無しさん@ピンキー
09/07/16 01:38:34 Y6pXzkWF
うん。知ってる。

532:名無しさん@ピンキー
09/07/16 06:31:41 xckW0R1Q
>>464
姫スレ住人でもあるので、ものっそ萌えました。
シキッドとモーリス、どちらもタイプは違うけど自分の守るお姫様命なところが素敵。
神話になぞらえるならもう一人の姫様は~そもそもあの魔女さんたちは~
未完なのが惜しまれます。
姫スレでもファンタジースレでもどこでもいいから続き読みたい。


触手スレって意外と和姦モノも多くて、新たな地平が開けそうw

533:名無しさん@ピンキー
09/07/16 06:56:08 chFoeKkT
最近投下ないね

534:名無しさん@ピンキー
09/07/17 21:44:12 zUZz8vxm


535:名無しさん@ピンキー
09/07/19 09:12:25 OQT/fRKH
夏ですね

536:名無しさん@ピンキー
09/07/19 12:00:47 8ikSjmG0
524です。
おな感保管庫の管理人様、
無礼を許していただき、ありがとうございました。


537:名無しさん@ピンキー
09/07/19 21:34:03 NYeayYlu
みんな文章うまいよなぁ
とあるサイトで、センスはいいんだけどいかんせん表現が・・・
やたら難しい言い回しとか
なんだその体位、みたいのがあって、入り込めない。
かといって、自分で書いてみたら二行で挫折する。エロくない。

すごいなー表現者ってほんとすごい


538:名無しさん@ピンキー
09/07/20 02:34:01 KX1xfdkf
>537
>やたら難しい言い回しとか
>なんだその体位、みたいのがあって、
もしかして自分のサイトの事!? と思った方挙手。ノ

539:0/17
09/07/21 14:14:08 wWV/da6R
保守がてら17スレ借ります。

540:1/17
09/07/21 14:15:43 wWV/da6R
ホントにいいってば、仕事も忙しいし、もう合コンとかそういう年じゃないし、と何度も断ったのに
どうしてこんなことになったのだろう。
女だけの暑気払いするから仕事終わったらおいで~というメールに乗って金曜だし、ま、いっか
となじみの居酒屋に行ったら、待ってたよーと笑う女友達二人と、見知らぬ男が三人座ってた。
騙された、と分かった瞬間背中を向けて帰りたくなったけど、男三人のうちの一人がめちゃくちゃ
好みだったから足を止めた。我ながら現金だ。
おっ、っていうか三人ともけっこうよくない?相変わらずなぎさ、いい仕事するね。
「はい、真由、杉原さんの前座って。あ、ビールでいいよね、すいませーん、生一つ!」
合コン番長なぎさはメンバー集めのクオリティといい、盛り上げスキルといい、ホントに素人に
しとくには惜しい人材だ。
真由、久しぶり、と控えめに微笑む詩織は隣の席のサラリーマンたちがさっきからチラ見してく
るくらいのビジュアル担当。
じゃあ私は、というとなんの役にも立ってないなと謙遜じゃなく思う。
強いて言えば引き立て役?と考えかけて、止めた。やめよう。美人じゃないわ、ひがみっぽいわ
じゃ、救いようのない感じだ。
まあ、こうなってしまった以上、楽しもう。ほんの一時だけ飲んで多分もう二度と会うことはない人
たちだけど、どうせ帰ったって録画してあるドラマを缶チューハイ片手に観るくらいだ。
運よく結構好みの人の前に座れたことだし?
私は威勢のいい居酒屋のお姉さんが持って来てくれた生を片手に、真由です、と自己紹介した。

541:2/17
09/07/21 14:17:18 wWV/da6R
幹事役の横山さんは、なぎさの好みだな。一番年上っぽい青山さんは体育会系っぽいからきっと
詩織を狙うね。
ジョッキを合わせながらさりげなく男性陣を吟味していたら、向かいに座った杉原さんと目が合って、
ちょっとどきっとした。
わわ、この人、ほんっとに私の好みど真ん中かも。
私って昔っから、こういう真面目そうで、優しそうな目元の人に弱いんだよなー。
うーん。でも・・・あれ?この人・・・なんか知ってるような気が。
もしかしてどこかで会ったこと、ありませんか、と彼に訊こうかと思ったけど、やめた。
だって下手なナンパみたいでカッコ悪いし。
だけどやっぱり見た事がある気がして、それがどこだったか思い出そうとした私は、ついつい彼
ばかりを見つめてしまった。
目ざとく気がついたなぎさが、メニューを見せるフリをして小声で「杉原さん、好み?でも、気をつ
けて。ああ見えて結構タラシみたいよ?」とささやく。
これだから長年の友達はやだよ。大学入ってからだから、ええと、げっ、もう8年?
まあお互いイロイロ、うん、いろっいろ知ってるもんね・・・・。
そんなんじゃないってば、なんか私杉原さんにどこかで会った気がしてさ、と説明した私の言葉
に、なぎさが驚いたように目を見開いた。
相変わらずなぎさ、目、大きいな。でもちょっと、マスカラ塗りすぎじゃない?
や、じゃなくて、いつも冷静ななぎさがうろたえるトコ、久しぶりに見た気がするよ。
「・・・気のせいじゃない?杉原さん、名古屋から転勤してきたばっかりだってさっき言ってたし。
 好みだからってガード緩めちゃダメだよ~?」
杉原さんに視線を送りながら、大きな声で釘を差すなぎさを、やめてよと慌てて止める。
だいたいなぎさは過保護すぎる、といつも思う。君は私のお父さんか、ってくらい。
大学時代私の彼がふたまたかけてあっちを選んだ時も、私より怒り狂ってたしな。
え、何、真由ちゃん杉原が好みなのー、ショック、とふざける青山さんに、違いますってば、と
引かれない程度に真顔で否定する。
杉原さんがそのやりとりをどんな表情で聞いてるのか、怖くて見れなかった。
ああもう、なぎさのバカ。
別にもう会わない人だし、よく思われたいなんてたいして思ってないけどさ、好みですー、みたい
に擦り寄ってるなんて思われたくはない。
女26で彼いない歴4年ってまあイタイっちゃイタイ人かもしれないけど、焦ってるなんて思われる
のだけはカンベンだ。

542:3/17
09/07/21 14:18:27 wWV/da6R
騙された感じで参加した合コンだったけど、終わってみればすごく、楽しかった。
笑顔が優しい杉原さんはすごく話上手で、飼い犬の話から高校時代のバカ話、今の上司のカツラ
疑惑にいたるまで腹筋が痛くなるくらい笑わせてくれた。
横山さんは、全員が楽しめるようにうまく場を仕切れる人だったし、斜め前に座った青山さんは聞き
上手突っ込み上手で、時間が経つのを忘れるくらい私たちは盛り上がった。
だからいつもはどんなに勧められても飲んで三杯までにしておくお酒も、今日はすいすいと杯を
重ねてしまった。
立とうとして、自分が酔ってるのに気がついたけど無理に姿勢をしゃきんとしてレジに向かうため
に、自分の靴を探した。・・・・あれ?
「どうしたの、真由?」
立ち止まる私に気がついた詩織に、靴がないの、と正直に答える。
ふとレジの方を見ると男性側の幹事の横山さんがカードで支払っている。
・・・・ややこしい事を言って、他の人の足を止めるのは申し訳ないかも。
私は詩織に五千円札を渡すと、これで払ってきてくれる?と頼んだ。
「ゆっくり探すから、他の人には言わないで。終電近いし、迷惑かけたくないから」
私は両隣の座敷の人たちの靴をさりげなく見ながら、店を出て行く男性陣に軽く手を振った。
詩織が戻ってきて、おつりを手渡してくれる。
「見つかった?」
心配そうに私の目を見る詩織になぎさは、と聞くと、横山さんにお持ち帰られ~と苦笑した。
ふむ。私の予想はビンゴだったわけだ。まあ、それはともかく。
困ったなあ。誰か間違えて履いてっちゃったのかな。
終電が近づくにつれ焦ったけど、私より家が遠い詩織を道連れにしても意味はない。
私は店のトイレに行くための黒いサンダルを見下ろしながらため息をついた。
「・・・私、店の人にこのサンダルでも借りて帰るよ。詩織、もう帰って。終電逃しちゃう」
ホントに大丈夫?、と気遣わしげにしてくれる詩織に無理に笑って手を振る。
詩織が何か言いたそうな顔をしていたような気もするけど、とりあえず探さねば。
店員さんに訳を話すと手の空いている人総出で探してくれけど、私のお気に入りの靴は
とうとう見つからなかった。
こんなので申し訳ないのですが、と貸してもらえた黒い健康サンダルを履いて、私は店を出た。
うう、スーツにこの健康サンダルで家まで帰るのか・・・いったい何のバツゲームだ。
そう思いながら駅へと向かう道にあるコンビニから出てきた人の姿に私は硬直した。
「す、杉原さん・・・」

543:4/17
09/07/21 14:19:40 wWV/da6R
目が合ってなかったらぜひ隠れたかったけど、コンビニの袋を提げた彼は、生憎もうばっちりと
私を見つけてたし、おまけに視線は足元の健康サンダルに釘付けになっていた。
「・・・・え。どうしたんですか、それ」
驚く杉原さんに、私は仕方なく正直に事の次第を話した。
杉原さんはちらと腕時計に目を落とすと、タクシー乗りましょう、と私をタクシー乗り場へと促した。
「確か、杉並の方でしたよね?僕、吉祥寺だし途中で降ろしますよ。二人で乗れば割安だし」
願ってもない申し出にすぐ頷きたくなったけど、私は理性でいいえとんでもない、と断った。
中央線はぎりぎり動いてる時間だし、私はともかくこの人にはなんのメリットもない。
そう告げた私に、彼はまたあの柔らかな笑顔を向けた。
「や、結構飲みすぎちゃって電車乗って帰るのかったるいな、って思ってたんですよ。
 それに、なんか慌しい解散で、真由さんにちゃんとさよなら言えなくて残念だな、って思ってたし」
それでもまだ迷っていた私の手を取って、行きましょう、と歩き出した杉原さんの手はひんやり
としていた。誰かと手を繋ぐのも四年ぶりだ、と気がついて、ちょっと胸が熱くなった。
よく知らない人とタクシーに乗るなんて軽率だったかな、と緊張していたのは初めの15分くらいで、
飲みすぎてしまった私はどうやらすっかり寝込んでしまったみたいだ。
何度か眠りが浅くなった時、杉原さんの肩を借りて眠ってる事に気がついたけど、そのままもう一度
ぎゅっと目を閉じて眠りに落ちた。
だって、人の身体って温かいんだなあ、と思いながら車の揺れに身を任せるのは気持ちが良かった
し、彼がつないでくれた手がとても、優しく思えたから。

544:5/17
09/07/21 14:20:48 wWV/da6R
車が停まった時、寝ぼけ眼だった私は、そこが見知らぬ場所だったことで一気に目が覚めた。
え!?どこ、ここ!
1万980円です、という運転手さんに杉原さんが財布を取り出して支払いを済ませているのを呆然と
見つめながら、彼に訊く。
「あ、あの、ここ・・・」
混乱しながら彼を見た私に、とりあえず降りて?と彼は微笑んだ。
え、でも、ここ私の家じゃないし、ここでタクシー降りちゃったら私どうやって帰ったらいいのという疑問
がぐるぐると頭を駆け巡ったけど、ありがとうございました、という運転手さんの声に追い出されるよう
に私は車から出た。
ここって、もしかしなくても・・・。
目の前にそびえたつ高級なマンションを、僕のうち、と言いながら彼は私の背中を押してエントランス
へと向かった。ええええ。何それ。
「え、あれ、あの、私・・・そんなつもりじゃ」
にこり、と笑った彼の目元はなぜかもうそんなに優しそうにも、誠実そうにも見えなかった。
私の頭の中で警告アラームが鳴り始める。
「うん、そうだよね。杉並で一応声かけたんだけどさ、起きなかったから。
 寝顔も可愛かったし、まあいいかなと思って僕もそんなに強くは起こさなかったんだけど」
まあよくないよ!起こそうよそこは。うん、起こして欲しかったよぜひ!!
「とにかく、こんなとこで立ち話もなんだし、おいで」
手首を掴んで私を促そうとする彼の手を、私はぱっと振り払い、彼をにらみつけた。
・・・・・こんなの、ヤダ。
確かに好みだよ?お勤め先もしっかりしてるし、話も面白いし、飲み会のほんの短い時間一緒にいた
だけだけど、すごく人に気を遣える人だって分かったよ?
もう26だし、処女でもないし、そんなにカワイコぶるつもりもないけどさ。

545:6/17
09/07/21 14:22:10 wWV/da6R
「私・・・・始発までファミレスででも時間つぶします。駅、どっちですか?」
すっかり醒めた頭で私は彼にそう告げた。
せっかく楽しい合コンだったのに。普段はしないメール交換も杉原さんとして、もしかして結構仲良く
なれたりなんかして、とちょっと期待してたのに。
こんなお手軽に抱けると思われたなんてちょっと屈辱かも。
タクシーの中で眠っちゃったし、なりゆきで彼に手を握られてその手を外さなかった私も、悪いんだ
けど、さ。
杉原さんは、そっか、とつぶやいた後私に一歩近づくと、少し身をかがめ、がばりと私を抱き上げた。
「え、えええーーー!?」
これってねえお姫様だっこ?私、身長160あるよ?杉原さん背、高いけど細いし、抱き上げたまま
歩けるって結構怪力?っていや、驚くのはそこじゃないよ、私!
「な、な、なにするんですかっ!?下ろしてください!」
ぎゃあぎゃあわめく私に、近所迷惑だから静かにして、と杉原さんはにっこりと笑いかけながらどん
どんとマンション内部へと歩いて行った。
「ちょっと、ホントに、あっ、サンダル落ちた!それ、居酒屋さんに借りたヤツで・・・!」
ばたばたと暴れたせいで落ちたサンダルを一階に残したままエレベーターはぐんぐんと上へと昇っ
ていった。
私はあせりながらも必死に頭の中で逃げる算段を整えた。
いくらなんでも私を抱き上げたまま鍵は開けられないはず。下ろした時が、逃げ出すチャーンス!
と思ったのに、声紋照合で鍵が開くなんて、どんなハイテクマンションなんだーーー!

546:7/17
09/07/21 14:23:13 wWV/da6R
マンションの中は、外観を裏切らない豪華さだった。
うわー生活感皆無!なにこのスイートルーム的なインテリア!ただのリーマンが住むトコじゃないよ
これ、っていやそんな観察してる場合じゃなかったんだった!
「わ、私、帰ります。あの、ホント、自分が迂闊だったのは分かってるんだけど、ええと、OKって思わ
 せちゃったなら誤解なんで、あの」
杉原さんは、私をすとんと床に下ろすと、何飲む?とさらりと私の問いを無視した。
・・・・人の話は聞こうよ。っていうか、この人飲み会の時とキャラ違わない?
その場から動かない私に、ぴくりと片眉を上げた彼は軽くと笑うと私の髪を梳いて耳元にそっと
唇を寄せた。
「ベッドより、ココでしたい?」
何言ってるの、と言い返そうとした唇は、彼の唇でふさがれた。
追いつめられるように身体を押されて、気がつけば壁と彼の間に挟まれていた。
左手を玄関脇の壁について身体で私を押さえつけ、右手は私の後頭部を支えるように私の顔を上
に向けている。
突然のことにびっくりしすぎた私は、目さえつぶれなかった。
近くで見上げる彼の閉じた瞳に伏せるまつげが、くやしいくらい長い。
「・・・やっ、やだ、んっ・・!」
両手で彼の胸を押し返そうとしたけど、華奢に見えた彼の身体はびくともしない。
彼は私の抵抗など春風のようにかわし、何度か顔の角度を変え、必死に歯を食いしばっていた私の
口内に舌を滑りこませた。
キスに上手い下手があるなんて、今までよく分からなかったけど。
必死に逃れようとする舌を絡め取られながら、私の身体から抵抗する力が抜け始めるくらい、彼は
上手かった。
だめだ・・・・この人のキス、蕩ける。


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch