09/10/03 10:14:28 qh/8usyD
昼休みの空き教室に来た阿部君は少しだるそうな顔をしていた。
「阿部君、いきなり呼び出してごめんね」
「や、別に。ところでアンタ、誰だっけ?」
「やだぁ、同じクラスの[>>520][>>524]だよぉ。手紙の方にも名前書いてたんだけど」
「ワリィ、見てなかった」
ぶっきらぼうに言って頭をかく阿部君の不器用な優しさをあたしは見逃さなかった。
名前も見ないなら断ったっていいはずなのに、それでも阿部君は来てくれた。
これって、あたしの思いが手紙からでも伝わってたからだよね?
「で、用事って何?」
「あ、あのっ」
緊張で声が上擦るけど、がんばらなきゃ。ここが勝負よ、がんばれ[>>524]!
「阿部君のこと、ずっと見てて・・・好きなの。つきあってください!」
言えた、言えたよ!あたしがんばった!
でも阿部君からの返事は相変わらずぶっきらぼうで。
「ワリィけど、今は野球のことしか考えらんねーから。それにオレ、アンタのことよく知らねーし」
「これから知ってくれたらいいの。それに、篠岡さんとはよく話すじゃない」
「ありゃあウチのマネジだからな。話すのなんて当たり前だろ」
なに言ってんのお前、とでも言いたげな目で阿部君が私を軽く睨む。こんなところで負けてられない!
「じゃあこれからあたしとも話してよ」
「何の話すんの?オレ野球の話しかするつもりないぜ?さっき言っただろ、野球のことしか考えらんねーって」
「野球、は、よくわかんないけど・・・でも覚えるもん、甲子園はあんまよくわかんないけど」
「ふーん」
甲子園、の一言で阿部君が軽く眉間にしわを寄せた。
もしかして怒らせちゃったのかな、と思っていたら阿部君の唇の端が上がる。
「じゃあアンタ、夏の県での優勝校言える?オレが攻略に必要だって言ったらデータ全部取る気ある?
それにうちの部、テスト前の休み以外は朝5時から夜9時まで練習だから暇なんか全然ないけど?
それとも、アンタとつきあったら甲子園行けんの?」
少し子供っぽくむきになったような言い方に、あたしはつい吹き出してしまった。
「何笑ってんの」
「あ、ごめんね。だって阿部君が夢みたいなこと言ってるから。今年出来たばかりの野球部が甲子園とか」
またちょっとおかしくなってくすくす笑ってたら、阿部君の表情が更に不機嫌そうになった。
「アンタ、一体オレの何見てんの」
冷たい声に、いっぺんであたしは凍りついた。
「本気で甲子園行こうと思って練習してるのはオレだけじゃねえんだよ。
アンタが笑ったのは野球部に関わってる人ら全員だ。それもわかんねえンなら二度と話しかけないでくんねえ?」
阿部君が背中を向けて出て行こうとしている。待って!
「待ってよ!話聞いて!」
「一生懸命にやってるのを嘲笑うようなヤツと話すことなんかねえよ」
阿部君は廊下に出ると後ろ手で乱暴に教室の戸を閉めた。鼻先で激しく戸がぶつかる音がする。
あたしはふられたんだというショックでぐらぐらする頭の隅で、冷静にあることに気づいた自分がいた。
「阿部君、あたしの名前も名字も呼んでくれなかったな・・・」
ごめんね>>520>>524がドリームドリーム言ってるから叶えてあげたかったんだけどこんな結果でごめんね
文章内の[]の中に勝手に自分の名前入れやがってくださいね
「一生懸命書いてるのを嘲笑うようなヤツと話すことなんかねえ」のにつついちゃってごめんね