09/01/03 19:46:44 zTISXDsz
せっかく会ったのに、制服を返しそびれてしまった。ソファに腰掛けてルルーシュの貸してくれた上着を見つめながらため息をつく。
彼はゼロとしての役割を果たしてくれた。だから信じられるはずなのだけれど、ヴィンセントのパイロットについては教えてくれない。
秘め事くらい持ちたいって…重要なことなのに。
ギアスではないって言ったけど、じゃあどうやって?まさか色仕掛け?
ルルーシュ、女性関係はどうでもよさそうだったけどでもパイロットが女性ならあの顔と話術で何とかなるのかも。
「なに百面相してるんだ?」
「うえっ!な、何で…帰ったんじゃなかったの」
彼のことで頭がいっぱいだった当人の声が突然降ってきて、動揺しすぎて変な声が出てしまった。
考え事をしていたためか気配に気づくのに遅れたのが少し恥ずかしい。
「そんなに俺の制服を匂いをかがんばかりに見つめてても仕方ないんじゃないか?どうせなら直接かいでみればいい」
ルルーシュは隣にに座っておいで、といわんばかりに手を広げた。
「人を変態みたいに言わないでよ!」
ルルーシュはくすくすと笑った。学園で私をからかってニヤニヤ笑われていた時よりは癇に障らない。
絆されてしまったのかもしれない。向こうは別にそんなこと思ってないだろうから、なんだか悔しい。
「いや、カレンはゼロが大好きなはずなのにゼロに再会したときに抱きついてこなかったなと思ってさ」
「意味がわからないんだけど」
大体私はなりふりかまわず男に抱きつくようなこと…
「扇には抱きついていたそうじゃないか」
「な…一年間檻の中で苦しんでいた兄代わりの扇さんと、私たちのことを忘れて学園でゆるゆる過ごしていたあんたとの扱いが同じなわけないじゃない」
大体、扇さんは身内のような感覚だし、男としては見てないからできることでもある。
「兄代わり、な?カレンが望むなら兄の代わりに慰めてやってもいいぞ」
「同い年の男をお兄ちゃんの代わりとか思えるわけないでしょうが、それに、あなたの妹は…」
言い返しながら思い出す。ナナリーは、ルルーシュの隣にいないんだ。あのときから、ずっと会えなくて、どこにいるかわからなくて。
「ごめん」
謝りながら、涙がこぼれた。私があの時神根島でもっと別の行動をしていたら二人は今もいっしょにいられたかもしれないのに。
ルルーシュの腕が伸びてきて、私の腕を引くと、彼の胸の中に転がり込む形になる。