死神っ娘萌えat EROPARO
死神っ娘萌え - 暇つぶし2ch150:名無しさん@ピンキー
09/10/01 12:47:00 +ONSEacr
ヤり終わったら男を殺そうとしてたけど、セックスが気持ち良くて殺せなくなっちゃうんですね。

151:名無しさん@ピンキー
09/10/01 20:55:30 Cv530/Qb
一族を繁栄させたほうが刈り取れる魂が多いことに気づく

152:名無しさん@ピンキー
09/10/02 08:19:13 8Ogo6/xo
死神っ娘「あなたを新世界の神にしてあげる」

153:名無しさん@ピンキー
09/10/05 16:32:26 X7DNEdjy
憑神が、ロリ婆死神エンドとは知らなかった。

154:名無しさん@ピンキー
09/10/07 10:01:47 8y79QnqY
「今日は僕の誕生日なのですが、祝ってくれる人は誰もいません」
 ハッピー バース DIE!
「一人寂しくケーキです。乾杯」
 おいおい無視か? 死神様だよ~ほらほら~。
「あー美味しい。ホールケーキ大人買いです。凄いいっぱいあるよ!」
 何こいつ、ひょっとして私の姿が見えないとか? うっわ~霊感弱っ。どんだけ+の気の持ち主だよ。
「そういえば蝋燭出すのを忘れたな。ま、良いか。三十路なことを再確認してもね」
 あ、そうだ。驚かせちゃえ。手始めにスプーン曲げ~。
「あれ、何で涙が出てくるんだろ」
 曲がんねーよ! 何だよちょっと、凄いネガティブオーラに負けてんじゃん私。
「イチゴがしょっぱいよ…何だこれ」
 くっ…くぬっ……はぁ…はぁ、…ダメだこいつ…神をも凌駕してやがる!
「食べて忘れよう。僕には食べることしか出来ないんだ…うっ…」
 はあ…折角お命頂戴しに来たってのに、どうすんのよこれ。
「……もう無理…紅茶…」
 ね~ね~、ね~ってば~。
「くらくらする。少し、横になろう」
 ちょっと、お願いだから…無視しないでよ~。
「今日は静かだな……いつもか」
 がーん!
「…僕だって…誰かと一緒にいたいのに……」
 こなくそ! こんだけ存在感出してんだからいーかげん気づけよ!
「……すー」
 って、ちょっと? 早く仕事して帰りたいんだけど、寝ないでよ。
「…すー」
 ね~起きてよ、ね~…起きて下さいよう~。
「……」
 …うう~、何で私がこんな目に遭うのよ…。
「…枕…」
 え? あの…わ、やめっ…!
「……う」
 ちょ、くぉらっ! 誰を抱き枕にしてくれてんだテメ! 退、け…って、聞いちゃいねー。
「…んん」
 や、スリスリしないで…うあ…あ…むぎゅ~。
「……すやすや」
 ……ちくしょー、起きたら絶対殺してやる…。

155:名無しさん@ピンキー
09/10/08 08:31:08 VZxFNTqv
>>154
GJ

156:名無しさん@ピンキー
09/10/17 04:54:59 SgkZDKaG
俺の命をやるから

157:名無しさん@ピンキー
09/10/20 22:40:18 vooKGwCx
コロニーの平和のためなら、喜んで死神に成るぜぇ!!

158:名無しさん@ピンキー
09/10/27 00:05:49 LXbreyqX
何を考えてるか分からない自殺願望の男に寝姿を晒しててたら大事なモノを盗られちゃうワケか…

159:名無しさん@ピンキー
09/10/31 02:31:35 Y0zY7fUT
死神の武器は鎌らしいが、ある地域では鎚も持っているようだ。
“彼女”はこう言った。
「大人しく狩られなさい。」と。
私は問うた、「何のために狩るのか」と。
彼女はこう言った「人界収容所でただ労働しているだけだと…」
その時、左手の鎚で頭蓋を砕き、魂を切り裂かんと鎌を右手に構えた。
私はある男の話をした…粛清を重ねて、私を僻地に送った男の話を…。
彼女は天界の話をしてくれた、
天界に共産陣営と最高神主制の政争があったとは…  

160:名無しさん@ピンキー
09/11/06 12:51:26 4x7TKf06
保守ついでに、未完話を置いておきます

161:みこととついや
09/11/06 12:52:39 4x7TKf06
 ここはとある荒地。曇った空の下に、青年が一人立っている。
 青年は腕を掲げ、呪文を口にした。足元に描かれた魔法陣が光る。
「―新たなる指輪の所有者、名を西院羽終也。契約を引き継ぎ、ここに実行する。出でよ、死神!」
 彼の人差し指にはまった指輪が光る。それは一点に凝縮され、空に向かって放たれた。
 一筋の線が厚い雲を割り、跳ね返すように差し込んできたのは黒い光。それが怪しい影となって、地面に照らし出される。
 そしてそれは、地面から浮き出るように実体化して姿を現した。
「……俺様にぃ、何の用で?」
 まるでナムタルのような醜い大男は、渋くどすの利いた声で切り出した。
「依頼を受けてもらう。対価は命だ」
「へぇ…どんな奴かと思えば、まだまだひよっこ―悪いこたぁ言わねぇ、止めときな」

「俺は本気だ。指輪に刻まれた契約に従えないとは言わせないぞ」
 物怖じ一つせず反論する終也。信念の固さが見て取れる。
「あんなぁ…一応こっちにも選ぶ権利、ってもんがあんのよ。生娘淑女なら喜んで受けるが、なよなよした野郎じゃあ、気が進まねぇってもんだ」
 人間臭くも肩を竦める死神。
「そんなのにぃ、命賭けたかねぇだろ? ったく、近頃のガキはこれだから困る」
「ならやる気のある奴を呼んで来い。この魂が二束三文でも、充分な働きの出来る誠実な奴をな」
 居丈高な態度に、死神は顔を顰める。
「かあぁーっ、人間風情が偉そうによ。あー気分悪ぃ…分かったよ、そうすりゃ良いんだろ?」
 死神の体は再び地面に溶け込むように消えた。そして……頭部に異変を感じる終也。
「ん?」

「ちわ」
「誰だ」
 頭に誰かが乗っかっていると、気付くのにそう時間はかからなかった。
「降下座標がずれたっすね。一応私が代理っす」
 そう言って頭から飛び降りた影は、宙に浮くようにして終也の目の前に静止する。
 口調に似合わず、その外見は着物におかっぱ頭の少女だった。
 サイズは随分とちんまりしているが、真ん丸の目が動物的で可愛らしい。
「お前が死神か?」
「見習いっす」
 空気が固まる。

「―話にならない」
「死ぬ気満々の魂は安いっすからね。他にやりたがる方がいない訳で、つまるに練習台っす」
 話の途中にも関わらず引き返していく終也。
 死神は慌ててその襟を引っ張る。
「待つっすよ、ストップ! …その代わり、格安で引き受けるっす。対価に命までは獲らないっすから」
 つまり、藪医者に任せるということである。
「下らない」
 振り返り、そう一言放って、また歩き始める終也。
 死神はやはり慌てて後からふわふわ付いて来る。
「とりあえず事情を話すっす! 呼び出し受けた以上、私も手ぶらでは帰れないんっすよ」

 無言の終也に、死神は話しかける。
「私の名は尊っす。ちなみにさっきの人は坤様と言って、私の師匠っす」
「……」
 無視するように黙々と歩く終也に、尊は溜息を吐く。
「あー、浮いているのも楽じゃないっす。ちょっと失礼するっすね」
 ぱたり。
「何している」
「君の頭の天辺が居心地良いっす」
「下りろ」
 重さはほとんどないが、彼は屈辱を覚えたのだろう。

162:みこととついや・2
09/11/06 12:53:38 4x7TKf06
「依頼を下さいっす。天変地変、宇宙の摂理を捻じ曲げるようなことは無理っすけど、私も一応死神の端くれっすから」
「もう一度上へかけ合え。それが依頼だ」
「―困ったさんっすねぇ…。仕方無い、髪の毛一本抜くっすよ?」
 ぷちんっ。
「つっ!? …いい加減に―!」
 思わず頭を抑える終也。が、尊はひらりと避けて宙に浮いた。
 そして抜いた髪を両手に持って、目を閉じる。
「天の網よ啓け」
 真面目な声で一言、すると一本の髪の毛が光り始める。そして―。
「―あむ」

「!! ……食べた…のか?」
 思わず立ち止まり、呆然とその様子を見つめる終也。
「……ふむふむ、なるほど…少し…苦い味っすね」
「味わうな気色悪い」
 程無くして、尊はまた口を開いた。
「……君のこと、それなりに理解したっす。依頼が何なのかも」
「…?」
 尊は終也の目の前に突如現れた切り株に、ふわりと降り立った。
「指輪を手に入れるのに、相当苦労したっすね。いろいろと犠牲にして…」
 終也はぷいと顔を背けた。お前に何が分かる―そう言わんばかりに。

「ま、犠牲を厭わない性格でないと、普通は何にも出来ないっすけどね」
 尊の瞳に、若干の冷酷な色が差した。
「ただよくある話っす。家族親戚皆死んで、唯一の肉親が病気―不治の病を、治してあげたいと」
「……」
「美談っすよね。それにその精神を持つ魂―価値は少し見直さないといけないっすが……一言で言えば、平凡っす」
 睨む終也。彼にとっては侮辱にも等しい言葉だったようだ。
「それに人一人の命がどうこうなんて、死神に取っちゃ非効率的なんっす。つまり、軽い」
「―御託は良い。どうするんだ?」
 二人の間を、沈黙が流れる。
「……私に任せてもらえば、悪いようにはしないっす」


 マンションの入口まで来たところで、終也は口を開いた。
「…妹と会わせる前に、一つ訊いておく。対価は何だ?」
 それは依頼主からすれば重要事項である。
「そうっすねぇ……何人か、殺ってもらうっすか」
 終也の動きが止まる。頭の上に乗っていた尊も、その動揺に気付く。
「―冗談には聞こえなかったみたいっすね。ただ、そのくらい平気でやれると思うっすけど」
 相手は死神―終也は改めて肝に銘じた。人の情など、通用しないということを。
「……必要なら、いくらでも手を汚す。それよりはいっそ命を獲られた方が、まだましかもしれないが」
「命が対価だと、妹さんを守って君が死ぬ訳っすよね? でもそれだと、結局妹さんに孤独を押し付けるだけになるっすよ?」
 人間的な正論を突かれるのも、また痛い。終也はそれを、心の何処かで分かっているから。

「……やはりお前じゃ話にならないな」
「諦めるっす。私以外に引き受け手はいないっす」
 可愛い外見をして、とんだ食わせ者もいたものである。
「対価……ま、とりあえず妹さんを見てから決めるっすよ。そして、もしも失敗した時っすが―」
「その時は俺も同じ場所に―分かるな?」
 どこか狂気に近くすらある瞳で、手すりに座る尊を睨む。
「…はー、師匠があんなに嫌そうにしていたのが、何だか分かる気がするっす。寿命の先刈りほど、何の得にもならない仕事はないっすし」
 終也はどこか憮然としながらも、もう良い―とだけ言って、エレベーターに乗った。
 死神は、指輪の所有者にしか見ることが出来ない。従ってこんな場を目撃されたところで、傍からは独り言を言っているようにしか見えない。
 妹に話をつけるのは、他の誰でもなく自分―終也にとって、それだけは都合が良かった。

163:みこととついや・3
09/11/06 12:54:39 4x7TKf06
 かちゃ、がちゃり。
 ドアを開け、中に入る終也と、その頭の上にいる尊。
 玄関で靴を脱ぎ、床でスリッパに履き替える。そして、居間に―。
「あ、お兄ちゃん」
 寝巻き姿の妹が、帰ってきた終也を呼び止めた。
「…ただいま」
 終也の顔が優しく綻ぶ。
 妹はイスから立ち上がると、ふらふらとよろけながらも、兄の方へ歩いてきた。
 そして、ばふ―とその胸に顔を埋めると、頬擦りをする。
「今日は元気そうだな」

 テーブルの上には数種類の薬と、水の少し残ったコップ。
 終也は、まるで尊などいないかのように、妹と話をしていた。
「また学校、早退して来たの? ダメじゃない、ちゃんと行かなくちゃ」
「心配するな。必要日数は出る」
 尊はそんな二人の会話を、錠剤のビン蓋に座って聞いていた。
「それより、体調は悪くないか?」
「平気…でも、薬飲んだから、もうすぐ眠くなる」
「ああ」
 日常的な光景だった。死神が見ていて飽きてくるほどに、平凡な。
 それでも、普段は強気な青年のこんな一面を見るのは、尊にとっては中々に面白かった。

 目蓋が重くなってきても、兄の元から離れようとしない妹。
 話足りないのだろう。心配して声をかけても、力無くも首を横に振る。
 ただ、そんなやり取りが数回続くと、妹は遂に力尽き、反応しなくなった。
「すー、すー…」
 妹が眠りに入ったのを確認した終也は、彼女の体をそっと抱きかかえ、ベッドへと連れて行った。
 そして丁寧に寝かせ、タオルケットをかけてやる。扇風機を入れるのも忘れない。
「―可愛い妹さんっすね。所有者が彼女なら、師匠は喜んで仕事したかも」
 すると穏やかな雰囲気が一変、終也はデリカシーの無い死神を睨みつける。
「部屋から出ろ」
 小声だが有無を言わさぬ口調に、尊は仕方なく回れ後した。

「―結論から言うっす。この病気なら何とか治せそうっすね」
「本当か?」
 身を乗り出す終也に、尊はまあまあと抑える。
「ただし! 私は見習いっすから、簡単にパパッと治せる訳じゃないっす。条件が必要」
「…それが対価か」
 尊は首を捻る。
「別にそれが対価でも良いっすけどね」
 意味が分からず固まる終也。
「……とりあえず条件を言え」
「丸一日、妹さんの体を貸すっすよ」

 テーブルの上に肘を突き、口元で手を組んだまま、じっと何かを考え込んでいる終也。
「つまり、内の交換をするっす。私が中に入れば、通力によって人間単体では不可能な治癒も可能になるっす」
 健全な魂は健全な肉体に宿る。逆を言えば、健全な魂を宿せば、肉体は健全に生まれ変わる。
 内から変える、ということの究極系。それも、曲がりなりにも神通力なら―。
「妹さんの魂は、私の器に眠らせておくっす。もっとも、力が強過ぎて目を覚ますことすら出来ないと思うっすけど」
「……」
「体を最良に戻すには、これしかないっすね。ついでに言うと、個人的な頼みがあるんっすが…ま、それは追々」
 終也は黙ったまま、目の前の尊を見る。両足を前後にぶらぶらと、まるで子どものようだ。
 どこまで本気なのか、分からなくなる。任せても本当に大丈夫なのか―終也は迷っていた。
「……はっきりさせておきたいんだが、お前は誰の味方だ」

164:みこととついや・4
09/11/06 12:56:05 4x7TKf06
 動きを止め、丸く可愛らしい目を向ける尊。
「死神は誰の味方でもないっす」
 そう言うと、ふわりと浮き上がり、終也の視界から消えた。
「…ただ嘘吐くつもりも、騙すつもりもないっす。君は指輪の所有者―そうっすよね?」
 頭の天辺に、降り立つ感触。
「……分かった、基本合意だ。後は詳細を詰めた上で、履行してもらう」
「漸くその気になってくれたっすね」
 終也は溜息を吐くと、台所に行った。冷蔵庫を空け、お茶を取り出す。
 湯飲みを出し、注ぐとそれを一気に飲み干す。
 もう一度、深い溜息。

 ふよよ~、と台所の上に着地する尊。
「じゃ、個人的な頼み―言わせてもらうっす。学校に行ってみたい」
 またしても睨まれる。
「…妹さんの体で好き勝手してほしくないっすか? 一応、死なない限りは何が起きても再生出来るんっすけど」
 相変わらず厳しい視線の終也に、尊はやれやれと首を振る。
「心情的なものっすかね。ま、強制はしないっすよ」
「理由は何だ」
 表情はそのままに、尋ねる終也。
「理由は―私にしか出来ないことっすから」
 そう言うと、背を向ける尊。

「お前にしか?」
「こんなこと、普通誰もやらないっす。だからこそ、経験は力なり…人間としての視野を、経験してみたいと思ったっすよ」
 ふん、と鼻で笑う終也。
「殊勝な心掛けだな」
「―ここに缶詰になるのも、面白くないっすしね」
 振り返り、笑顔でそんなことを言う。見ている終也は調子が狂う。
「……良いだろう。ただし、条件がいくつかある。それには従ってもらう。そして、もし妹の身に何かあったら、俺も殺せ。断るなら俺がお前を―」
「恨みを買うことにもそれなりに慣れているっす。お構いなく」
 相変わらず、平然と神経を逆撫でするようなことを言う尊。
 しかし、一々腹を立てるのも馬鹿らしくなったのか、終也は彼女を一瞥するに留まった。
 
 二人は詳細を詰めた話を一通り終わらせた。
「あ、それと一つ。私が中に入ったら、体を治すことは出来るっすが、宙に浮いたり魔法を使ったり―は一切出来なくなるっす」
 無力な少女と化す、という訳である。
「だから、何かあった時は君が私を守ってほしいっす」
「甘ったれるな」
 思わず強くなる語気。
「代わりに、しっかりと治すっすから。それに、妹さんの立場はちゃんと守るっすから…ね?」
 尊は既に妹の髪の毛を口にし、その情報を頭に入れていた。振りをするのは、訳ないようだ。
「…言われるまでもない。ただ、自衛にも神経を使え。治るにしても怪我はさせるな」
 笑って答える尊。どこまで本気なのやら、飄々として掴めない。

 日も暮れた頃、目を覚ました妹に、兄は声をかけた。
「お前に、渡したいものがある」
「なあに? お兄ちゃん」
 終也は砂糖水の入った小瓶を、妹に握らせた。
「病気の特効薬になるかもしれない。ただ副作用があって、丸一日―眠りっ放しになる」
「…大丈夫なの? 最近私、不安なんだよ? お兄ちゃんにもしものことが、って」
 肩をそっと抱く終也。その様子を、尊はやはり面白そうに見つめている。
「俺を信じてくれ」
「……うん、分かった」
 これを飲んで、次目覚めた時は明日の夜。病気もきっと治っている……。

165:みこととついや・終
09/11/06 13:02:23 4x7TKf06
「余計なお世話かもしれないっすが、君の身の回りには結構歪が生じてるっす」
 夜遅く、再び眠りについた妹を机の上から眺めながら、尊は言った。
「例えこの場は乗り切ったとしても、今後君と妹さんに悪意が降りかかる可能性は否定出来ないっすね」
 終也が犠牲にしてきたもの―それに対する警告である。
「そういう意味では死神の虜になった方が、幸せかもしれないっす。変な言い方っすけどね」
 終也は睨みも一瞥もせず、俯いている。
「…過去を清算出来ないのは理解している。俺は楽には死ねない」
 それでも、僅かな幸せの為に自らの手を染め、死神と会い見えた―。
 尊は不器用な青年を見て、はぁ―と溜息を吐く。
「とりあえず、そろそろ始めるっすか」

 尊が、まだ眠ったままの妹の胸元に降り立つ。
「じゃ、いくっす」
 割と緊張も感じさせず、尊は目を瞑る。
 すると妹の体と尊の体から、不思議な物体が浮かび上がるように出てきた。
 妹のそれは、大きいが弱々しい光。色は鈍い赤に近い。
 一方尊のそれは、小さいが輝くような光を放っている。色は無色で透明感が強い。
 終也は言葉も無く、その現象を背後で見守っていた。
 やがて二つの物体は入れ替わるように別々の体へと、ゆっくりと沈み込んでいく。
 尊の体は、ぱたりと倒れる。それと同時に、妹の目が開いた。
「これで良い」

 妹の体に入った尊は、今まで自分が使っていた体を、そっと手に取る。
「約束通り、口調は妹さんに合わせる。君のことは、”お兄ちゃん”って呼ぶから」
「…!」
 すると突然顔を真っ赤にするや否や、ぷいと顔を背けてしまう終也。
 尊はその様子を見て笑いながらベッドから下り、眠りに落ちた本体を机の上に寝かす。
「じゃ、何か夜食を作るね?」
「……」
 むず痒い、といった感じで嫌がる終也が滑稽だった。
「…俺の前では元に戻せ」
「分かったっす」

「ただし、すは付けるな。普通に話せ」
「君の言う通りにする」
 笑顔で答える尊。だがその表情は妹のそれと同じで、まだ終也の動揺を誘う。
「…それにしても、これが人間の体か。思ったより、不自由な感じがする」
「変なことはするなよ」
 すると悪戯心でも湧いたのか、尊は終也の目の前に立って、上目遣いで見る。
「例えば何?」
「……」
 所謂シスコンって奴っすかね―尊はそう心の中で思ったが、口には出さなかった。
 その軽い取り乱し様が、割と好みなのかもしれない。

166:名無しさん@ピンキー
09/11/08 10:02:13 dtfNJvIG
GJといいたいとこだが、
続きが気になりすぎて素直になれない

167:名無しさん@ピンキー
09/11/08 19:03:03 MkZJV2Ax
>>165
兄×死神in妹、待ってます。

168:名無しさん@ピンキー
09/11/09 18:17:15 oWHaBddA
ぜひ続き読みたいな

169:名無しさん@ピンキー
09/11/21 04:59:20 ReJloblP
なんでいまさら>>65の続き書いてるんだ俺と思いつつ保守

170:名無しさん@ピンキー
09/11/24 10:25:15 sB94jFqs
wktk

171:名無しさん@ピンキー
09/11/25 12:41:53 6FCRPUaD
続きはまだっすか

172:名無しさん@ピンキー
09/11/29 06:21:43 6xpxbzNj
>>59 >>65

 とはいえ。死神と名乗る割には-あるいは死神故なのか-人間以上に純な死神娘に男の心がざわついていた。
 悪戯心に火が灯り、男は頭の中でこれからの予定を組み立てる。
 ちらりと盗み見た死神娘の姿は白い素肌に黒のローブがよく映える。
 雪が振るネオン街の風景が伴ってまるで映画の1シーンのようだったが、映画の1シーンというには死神娘は怯えすぎていた。
「だめだな」
「…え?」
 なんでもねぇよ、と思わず出た言葉を否定する。

 本当に。
 お前は俺の悪戯心に薪をくべ過ぎて、─火が燃え盛らない。

(ゆっくりと、火を大きくするか……楽しませてくれよ?)

 死神娘の右手は、羽織ったローブを前でぎゅっと握り締めて隙間を必死に閉じている。
 死神娘の左手は、羽織ったローブの下端を一生懸命伸ばして見え隠れしているふとももを隠そうとしている。
 しかし死神娘の両足は、男の歩く速度と比較して全く進んでいない。
 ネオンと街灯の下に死神娘を晒して、既に幾分かの時間が経っている。
 まだまだ恥らいの色が濃い死神娘を見て、男はもう一度考えた。
 どの人間よりも純情な死神娘に、もう一度、素肌を晒して慣れてもらうとしよう─。

173:名無しさん@ピンキー
09/11/29 06:22:07 6xpxbzNj
「おい、ちょっと用事を思い出した。ここで少し待っていろ」
「……え……」
 この辱めから死神娘を支えていた柱は2本あった。
 ひとつ、種族の違い。どんなに見た目が似ていてもやはり人間と死神だ。種族は違う。
 人間が犬の前で着替えても恥ずかしいとはあまり思わないだろう。
 ─その犬と意思疎通ができて種族による見た目の差異がなくても恥ずかしくないと言えるかどうか怪しいが。
 そして残るもうひとつ。『脅迫されてやっている』という事実。
 男と一緒にいる限り、誰かに見られても無理やりやらされている被害者だと言い張れる。
 しかし、恥ずかしい姿のまま一人でいるところを誰かに見られようものならその主張が通らなくなる。
 ただの変態女とすら罵られてしまうかもしれない。それが耐えられそうになかった。
 だから死神娘は怯えを見せた。
 死神娘を支える柱の2本が2本とも、静かに崩れようとしている。
「お、おねが、い、です。ひとりにしないで」
 死神娘が涙目になりながら、懇願する。
 左手で目元を抑え俯くその姿は男の悪戯心をいたずらに刺激するだけであった。
 離した左手が抑えていたローブが反動で縮み、それによりもたらす視界がより一層男を煽っていた。
 膝上数cmから股下数cmになっていることに、死神娘が気づく余裕はない。
 ただ、一人にされるのが怖かった。
「そんなに、嫌か?」
 こくこくと頷く死神姿を見て、男は不敵な笑みを零した。
「……嫌なら、目を潰れ」
 死神娘の身体がびくっと震えた。
 何をされるのか想像してしまったのかもしれない。
 しかし死神娘の天秤では一人にされる恐怖と比べると勝ったらしい。
 死神娘が怯えながらも、その視界をみずら閉ざした。
 視界が閉ざされて敏感になった感覚が両足の間を通る風を気付かせる。
 そして一度意識してしまうと急に恥ずかしくなってくる。
 涙を拭いていた左手をさりげなくローブの下端に戻そうとしたところで、両手を捕まれた。
 恐怖で声が出なかった。
 両手がローブの中に入り背中に回されたところで、男の声が響いた。
「いいぞ」
 目を開ける。特に変わったことはない。
 死神娘は何をしたのか気になりつつも、両手を戻そうとした。─戻そうとした、だけで終わった。

174:名無しさん@ピンキー
09/11/29 06:23:07 6xpxbzNj
「え……え……!?」
 混乱する。
「両手を背中に回してローブの下で縛っただけだ」
 死神娘が両手をじたばたさせる。
 両手を縛る何かが解ける気配がなかった。
 暴れれば暴れるほど、死神娘の羽織るローブがするりと肩からハズレそうになるだけだ。
 丁寧にローブを支える紐を切られ、これ以上動くと本当にローブが落ちかねない。
 今の死神娘は裸体の上にローブを羽織るだけの姿、それだけは避けたかった。
「─ああ、言い忘れてた。両腕を縛ったそのベルトは後ろの電柱に縛っておいた。大人しく待っていろ」
「そ、そんな、約束が……」
「目を閉じれば一人にしない、なんて言った覚えはない」

 そして戻ってきた時に死神としての力を使っていたと判明した場合、わかっているだろうな。

 そう釘を刺して、男は死神娘の前から姿を消した。
 慌てて追おうとしたが、両手を縛る何かがピンと張り死神娘の足を止めさせる。
 それどころか、両手を縛る何かはローブを押し上げ、背中を晒しあげた。
 肌でそれを感じた死神娘が慌てて電柱へと背中を預ける。
 ただただ、脅迫者が帰ってくるのを死神娘は一心不乱に祈っていた。

175:名無しさん@ピンキー
09/11/29 06:25:36 6xpxbzNj
ここから男が帰ってくるまでどうするか悩んでしまった
通りすがりの男に弄られまくる路線か別の死神がやってきて死神の恥曝し! と罵倒されてみるか。
しかしまったくすすまねぇ・・・

176:名無しさん@ピンキー
09/11/29 17:28:51 2l+DNq51
ゆっくりやるといいっすよ。

177:名無しさん@ピンキー
09/11/30 11:45:37 2+VTdFq7
待ってました GJ

178:名無しさん@ピンキー
09/11/30 17:19:31 4KfYJ7tZ
>>175
良いねえ。
実に興奮する。
通りすがりに犯られるのがいい。

179:名無しさん@ピンキー
09/12/08 09:26:19 7mc+3fgR
投下待ち保守

180:名無しさん@ピンキー
09/12/17 08:35:46 IilN4Ygv
しにがみのバラッドは需要あるかね

181:名無しさん@ピンキー
09/12/17 11:45:30 JrnA3Vcv
ないあるよ

182:名無しさん@ピンキー
09/12/28 22:43:06 CIdK5FIM


183:名無しさん@ピンキー
10/01/13 23:08:08 ui7nURbc
hosyu

184:名無しさん@ピンキー
10/01/15 04:58:53 Wyd2kRpU
斬る斬るばっさり斬る

185:名無しさん@ピンキー
10/01/27 07:49:33 R5rpk9Ey
最近各板の最低スレで名前の挙がる「小説家になろう」ってサイト
死神少女が出てくるのは大量にあるけれど
ランキング上位から順に読んでるとSAN値がもりもり減っていく

186:名無しさん@ピンキー
10/02/01 18:03:56 EZc6IDWd
ちょっと見てみようかな

187:名無しさん@ピンキー
10/02/05 07:44:16 7STC0KSM
明るいドジッコ死神がいいな

本格的だと神社でお祓いしなきゃいけなくなる

188:名無しさん@ピンキー
10/02/10 08:44:51 PhmwX2dx
死神怖い

189:名無しさん@ピンキー
10/02/11 02:28:30 uvnA+8u6
サキュバスみたい

190:名無しさん@ピンキー
10/02/11 20:07:41 1UEtIFjJ
淫夢を見せろやーごらあ

191:名無しさん@ピンキー
10/02/19 15:34:34 X/lNw55+
まとめサイトだが、この死神が可愛かった

ttp:kanasoku.blog82.fc2.com/blog-entry-12615.html

192:名無しさん@ピンキー
10/02/19 18:19:42 I8qeUqDs
     ,   λ,..,,λΨ ,
   /i\/ ・ω・ヽ|/i\
   ⌒⌒l::.:...    o⌒⌒
      `'ー---‐´l

193:名無しさん@ピンキー
10/02/19 19:51:50 jy0bA92B
>>192
なにこれ可愛い

194:名無しさん@ピンキー
10/02/21 09:35:05 kvG1Mc5b
           >>1

            ヲ

            迎

            エ

            ニ               _
                            //^7\
            来              /|| //\.、
                          //||//:::::::::\.、
            マ            〈/ ||/:::::::::::::::::\.、
                          / ||:::::::::::::::::::::::::ヽ.、
            シ            ,/ /\ :::::::::::::::::::::ヽ:、
                         / /  \ :::::::::::::::::::|:|
            タ           / /    \ ::::::::::::::|:|
                        / /      ヽ :::::::::::|:|
           /⌒\        / /        | :::::::::::|:|
         /     \      / /        | ::::::::::|:|
         /__    \    / /         | :::::::::|:|
        /ノ v \     )   ./ /          | :::::::::|:|
        |ζ) (_ヽヽ   ム  / /          | :::::::://
        λヘ´`,イ|:) //⌒,/ /           | :::::://
       /λ.|三-'////   / /\          | :::://
       | | \─/ /    / /  \        ./ :://
      / |   У  /  | 彡ミ、   λ       / ./
      /       /  / 彡ミ、|     |      //
     /      /  / / /:::λ\  ト、
     /          / / /|::::::::| λ  | \
    /         / / / .|::::::::|    |  \
    /    | \_/  / /  |::::::::|    |  \_>
   /    〉 _    / /  |::::::::v   |   \
   |  (三7   ̄7≦彡ミ  λ::::V   ,ノ     \_
   |  ム:::/    |:ミ彡ミ / 从V    /        /
   |  |:::::ハ    |/ /  /  |     ,/       /
   |   V     / /  |   \_,ノ      /
   λ       ,/ /   |  /          /
    \      / /   /  ,|          /
     \    / / _/   |         ノ
      |\_/ /      /        /
      /   ,/ /      /       /
    /   / /     /       /
    \ /' / /    /        /
     У / /   ̄ ̄         /
      \/ /              /
       / /              /
      / ∧            /
      / / \          /
     / /   \_    _/
     / /        ̄ ̄
    / /
    / /
   〈__/

195:名無しさん@ピンキー
10/02/21 14:28:03 N9Hk4vI7
はぎ取ってやりたい

196:名無しさん@ピンキー
10/02/23 22:07:31 NjcYYcr0
リアル

197:名無しさん@ピンキー
10/02/26 12:07:13 FtDxjX5z
でかっ

198:名無しさん@ピンキー
10/02/28 19:28:12 lVjzXTln
ふう

199:名無しさん@ピンキー
10/03/01 16:59:04 xFkzbAr3
真っ暗な汚部屋にワイド液晶モニタだけが輝いている。
(あと16秒……!)
彼女はガジェットの秒針をにらみつつ十字カーソルをリンクに乗せた。
「2010年度死神検定 インターネットによる合格者受験番号一覧表の掲示」。通称「死検」。
この合否に彼女の将来がかかっているのである。
(4、3、2……それっ!)
細い指先に気合いを込めて左クリック。

[503 Service Unavailable]





ごめんなさい保守です('A`)

200:名無しさん@ピンキー
10/03/04 19:54:09 S9PRuLki
gj

201:名無しさん@ピンキー
10/03/08 15:29:41 F70ocveh
保守

202:名無しさん@ピンキー
10/03/24 03:25:23 wxmBhWxQ
ho

203:名無しさん@ピンキー
10/03/29 14:29:38 DpPGQ+TN
初投稿なんで色々駄目なところがあると思うんですが・・・
楽しんでいただければと思います
(エロ無しですがもし要望があれば続きとしてエロ有りにもっていこうと思います。)

注意点
   ・主人公が厨ニ?
   ・死神と心理学的なものを融合
   ・初なので色々矛盾点がある可能性有り
   ・こんなん死神ネタじゃねえ!と思う方表出する可能性有り

自分なりに「死神ネタ」としてやってみたつもりです。(ほんとはエロも予定してたんですが・・・)
できれば暖かい目で見守って頂ければと思います。感想もお願いします。
では5~10分後投下いたします。

204:death/anima
10/03/29 14:34:30 DpPGQ+TN

放課後 学校の屋上


もう嫌だ。
こんな風に考えたのは1度だけじゃない。
僕はこの世に生を受けてまだ15年しか経っていない。
だから大人は皆勝手なことばかり言う。
「たったの十数年しか生きていないくせに生意気言うな!」「まだこれからじゃない これからだってもっと苦しいことがあるのよ」

貴様らに何がわかる? 貴様らの経験論など聞き飽きたわ。
深く考えもせず「自分はこうだった」などと抜かしやがって。
「未来」のことなぞ知ったことか。 時が過ぎれば苦しみが癒えるとでもいうのか?
僕は「今」が苦しいんだ。 そんなこともわからないのか。 下衆どもが。

所詮「人間」なんて・・・自分のことしか考えられないんだ・・・
僕は・・・「人間」なのに・・・こいつらとは違う。
「人間」だったら・・・「他人」の苦しみなんてわかるはずもない。
なぜ僕だけが? どうして・・・


・・・・・もう、嫌だ・・・・・

?  「・・・苦しいのですね」
蒼人 「!?のわっ!?」
?  「?」
 いつの間に!?さっきまで誰もいなかったのに・・・ってか浮いてるぅ!?

蒼人 「ななな誰だよっ!?あんたっ!!」
?  「私、ですか?私は死神アリスです。お見知りおきを」
蒼人 「しっ死神!? ・・・・・てことは・・・はは、そうか、そうだな」
アリス「?」
蒼人 「僕を殺しにきたんだろ?いいよ 覚悟はできてるから。さあ、殺せよ!」
アリス「ふぇ? ちょっとお待ちください。まだ貴方の寿命は先のことですよ?」
蒼人 「じゃ、なんで今僕の前にいるのさ?」
アリス「いえ、私は最初から貴方の傍に・・・ということは、貴方には私が"視えて"いるのですか?」
蒼人 「視えるもなにも、話してるだろ今」
アリス「ということは・・・今"死"が近づいているということ・・・?でも 啓示には無いのに・・・」
蒼人 「?どういうことだよ?僕は死ぬのか?死なないのか?どっちなんだよ!」
アリス「・・・そうか・・・貴方は・・・」
蒼人 「は?」
アリス「ええ、まだ死にません。"今"は」
蒼人 「そう・・・ま、いずれにせよ死ぬんだろ?今殺してくれたって構わないけど?」
アリス「それはできません」
蒼人 「なら何で僕の前にいるんだよ」
アリス「・・・説明しても構いませんが、誰かに話すことはくれぐれもしないように」
蒼人 「・・・僕に話し相手なんていないよ・・・」
アリス「知ってます。念の為、です。」
蒼人 「?」

205:death/anima
10/03/29 14:35:50 DpPGQ+TN

死神・・・「アリス」・・・
てか死神なのに髑髏じゃないんだな・・・
黒髪で長めのツインテール、代名詞ともいえる大鎌(なんか目玉が埋め込まれてるけど・・・)に
黒衣のローブとぱっと見死神だけど、彼女(?)の「瞳」だけは蒼く透き通っていて見ていると吸い込まれそうだった。

アリス「・・・聞いてませんね・・・」
蒼人 「えっ!?いや 聞いてたよ!?」
アリス「いーえ、聞いてませんでした。というか、よく死神に対してそんな態度で・・・」
蒼人 「なっ、なんでわかんの!?」
アリス「・・・今さっき説明したなかに含まれているのですが・・・」
蒼人 「うっ・・・そ、その・・・」
アリス「ふぇっ・・・」
蒼人 「!?いいいやあのの・・・わ、悪かったよ、だからな、泣かないで・・・?」
アリス「死神が感情を持つ説明も、さっき・・・ぅえっ」
蒼人 「あ~っ だからごめんって!もう一度お願いします!」
アリス「・・・今度こそちゃんと、へぅっ きいてくださいよぉ・・・? すんっすんっ」
蒼人 「はいっ! 耳ん穴かっぽじって聞いてますっ!」

 な、何なんだ?死神ってもっと冷酷なイメージなんだが・・・
 それはさておき、彼女曰く、「死神」は誰もが思うような存在ではなく、
 皆一人(一応神様だけど)ずつついていて、本来なら死ぬ直前にしか視えないらしい。
 男なら女、女なら男の死神で、その姿はアニマ(男性の心の中の女性的心理)とアニムス(女性の心の中の男性的心理)
 から形作られる。つまりアリスは、僕の女性的心理ってことになるらしいけど・・・
 
アリス「・・・ということ すんっ なんです・・・」
蒼人 「(まだ泣いてた!?)」
アリス「あぅっ 蒼人さんがっ いけないんですよぉ・・・ふぇぐっ」
蒼人 「ご・ごめんて・・・な、ほら・・・よしよし」
   なでなで
アリス「すんっ・・・」

 このとおり、僕の心が読めるそうです・・・

 ・・・?・・・心が・・・読める?・・・

アリス「うぅ、しばらくなでなでしていてくださいっ!」
蒼人 「わわかったって!」
 
 なんでいきなり甘えん坊になるんだ?これも僕の深層心理が思っていることなのか?
 ただ、一番の問題点である「視える」ということに関しては、何一つ教えてはくれなかった。
 アリス曰く、「視える」ことで触れたり話したりすることが可能になるらしい。

アリス「むぅ・・・」
蒼人 「?今度はどうした?」
アリス「今日から・・・無視しないでくださいね・・・もう・・・貴方は私が"視える"のですから」
蒼人 「ああ・・・わかったよ」
アリス「ボソ(ずっと・・・りだったんですから・・・)」
蒼人 「ん?何か言ったか?」
アリス「そろそろ家にかえりましょう・・・?」
蒼人 「そうだな・・・ってまさか」
アリス「もちろん。あ、因みに私の姿は他の人に視えませんからね?」
蒼人 「・・・・・」


 そんなわけで、僕と死神「アリス」との交流が始まった。

206:death/anima
10/03/29 14:40:12 DpPGQ+TN
アリスと出逢ってから三ヶ月、気づけば僕は普段アリスとずっと一緒だった。
学校では話さないようにして、放課後には他人に気づかれないよう、二人だけになれる場所を探して
何気ない話をして過ごしていた。

アリスはやはり僕自身であるからだろうか、意見がかみ合わないことなど一切無かった。
家に親がいない時には、たまに僕の為に料理を振舞ってくれたりもした。
僕もアリスの為に料理を作ったときがあるのだが、食べ物は摂取しなくても存在を維持できるとのこと。
維持するのに必要なのは「僕」自身の存在であると言っていた。
それでも食べてみてと勧め、料理を口にした時のあの笑顔は、今も忘れられない。

自分でもわかっていた。「彼女」に惹かれていることを。
しかし彼女は僕の心が読めるはずなのに、この感情に気づいている様子は一つも無かった。
自分の中で、「許されない」ことのように思っていた。
でも、彼女は確かにここに 目の前に「存在している」。
それだけは確かなのに、二つの感情がぶつかっていた。
僕は・・・彼女と・・・どうあるべきなんだ・・・?

アリス「蒼人さん?」
蒼人 「!なっなんでもないなんでもない!」
アリス「・・・・・」
蒼人 「てってーか、僕の心、わかるんだよね・・・」
アリス「はい・・・全てでは、ないですけど、」
蒼人 「へ?いまなんて・・・?」
アリス「私はあくまで貴方から生まれた存在です。おおよその考えはわかりますが・・・」
蒼人 「?」
アリス「いえ、"感じ取れる"・・・もしくは"察する"ことが出来る、という感じですね」
蒼人 「あ、そ、そうなんだ・・・(ホッ)」
アリス「でも他の人よりは貴方のこと、知っていますよ」
蒼人 「のわっ!?」

 アリスは顔を近づけて僕の顔をじっと見つめてきた。

アリス「・・・・・」
蒼人 「・・・・・ゴクリ」

 にこっと笑って一言

アリス「ベッドの下の」
蒼人 「ノオオォォーーー!」

 な・・・何言い出すかと思いきや・・・でっでもアリスと会ってからは触れてないし、多分適当言っただけで

アリス「ああいうのがお好みなんですね。でも私も負けてませんよ。多分蒼人さんのアニマに比例して私は」
蒼人 「だーーーーーー!!もういい!もういいからっ!女の子はそんなこと言っちゃいけません!」
アリス「はいっ」
蒼人 「(確かに・・・確かにアリスは・・・僕の理想ぴったりだけどさっ・・・変な目で見たことなんて一度もっ)」
アリス「(ぎゅっ)」
蒼人 「ぉわぁっ!」

 後ろから不意に抱きつかれる始末。こっこれ以上は・・・

蒼人 「ややややめっ」
アリス「たまにはこういうのも♪」
蒼人 「ふっふふ風呂っいってくるっ」
 とっさにアリスから解放され、急いで風呂場へ駆け込んだ。
アリス「あっ・・・・・ふふっ♪」
 彼女は「死神」という存在なのに、それを忘れさせるくらい「人間」らしかった。
 基本はこんな感じで平凡だった・・・「大体は」。
 しかし現実は僕を絶望へと誘い続けた・・・

207:名無しさん@ピンキー
10/03/29 14:46:46 DpPGQ+TN
以上です。
お目汚ししつれいしました。
評価いただいたあと、なるべく早めに続きを投下します。
それでは何卒。

208:名無しさん@ピンキー
10/03/30 00:07:28 Tot5/qWH
読んでないけどタイトルから予想してみた

1.主人公の持つ心の中の女性像が独立して死神を騙った
2.死神が主人公の女性像から主人公の好みにどんぴしゃな姿をとってあらわれた

209:名無しさん@ピンキー
10/03/30 00:52:01 gkK2DLUE
アリスかわいい。巨乳なのかな?
続きが楽しみ

あとセリフの前に名前つけなくてもわかるのと
「・・・(中黒)」を「……(三点リーダ×2)」にすると字面が綺麗に見えるよー

210:名無しさん@ピンキー
10/03/30 04:17:28 xbxgFOUZ
ベッドの下w
エロさの縛りが絶妙です、展開が楽しみ

A「─」
B「……」
A「~~」
ちょっと気になったのが上のような表現のリフレーンで、やり過ぎると文章が台本のようになります
SSスレだからそれで構わないのだけど、描写をもっと取り入れてもらえると良いなと

211:名無しさん@ピンキー
10/03/30 05:48:29 pvMhVd5a
>>208
そうですね…どちらかというと 1の方が近いと思います。
ややネタバレかもしれませんが、なぜ「アニマ」と「死神」なのか…といったところがキーですね。
時間が許されれば読んでいただけると幸いです。><(ペコリ
>>209
ご期待に副えるかわかりませんが、頑張ります!^^
アリスは自分でも言っているように「負けていない」ようです。蒼人の趣味も気になるところですね…w
アドバイスありがとうございます!早速取り入れてみます。
>>210
エロシーンの描写が上手くいくかわかりませんが…自分なりに頑張ります!
アドバイスありがとうございます!なるべく描写表現を取り入れてみますね^^

今までのレスも参考にして、なるべく早いうちに投下するよう心がけます。遅くなってしまったら申し訳ないです><

212:名無しさん@ピンキー
10/04/01 02:56:52 8AaPFueT
death/anima 仕上がりました。レス数多いので、時間おきながら投稿します。
  注意点・エロ有りですが、人によって最後抜いたことを後悔する恐れ有り(もっとも抜けるかはわかりませんが…)
     ・表現が上手くいっていない可能性有り(初なもので…)
     ・エロ主体のつもりが純情モノに…(抜く前に最後まで読むことをおすすめします。)
     ・最後のレスに「了」となっていなかったら、まだ全て投稿しきれていません。(大体8レス程)

説明しきれてない点や疑問等あると思うので、迷惑でなければ感想を交えて雑談したいと思います。(時間の都合つかない時もあると思います。)
それでは、5~10分程の後、投稿します。

213:death/anima
10/04/01 02:59:51 8AaPFueT
「……!……!!」

  なんで……?

「…からお前は……なんだ!」

  どうして…怒られるの…?

「…ハハハッ お前ってほんとに…だな?あっはっはっ」

  違う…僕は…僕なりに…

「オマエナンカヒツヨウナイ」


「うわあああぁぁあぁあぁぁっ!!!」
「蒼人さんっ!?」
「はぁっ、はあっ、僕は、違う、僕はぁ、う、うぅっぅううぅぅっ」
  ぎゅうっ

「はっ、はぁ、はあ、はあっ」
「大丈夫です……私が、いつも傍に居ます。」
「はあ、はあ、うぅ、ご、ごめん…アリス…」
  ほぼ毎朝、僕はうなされて目が覚める。
  今日のは特別ひどいようで、現実に戻ってもしばらく恐怖が消えなかった。
  そんな僕をアリスは、優しく包んでくれた。普通なら、「どうしたの!?」とか言って驚くことが当たり前だが、
  彼女は違った。 何も聞かず、ただ何も心配ないと抱きしめてくれる。全て解っているように。

「もう…大丈夫だから……ありがとう、アリス。」
「はい……おはようございます。蒼人さん」
「おはよう…アリス」

  そして、一日が始まる。


「…そういえば気になったんだけど」
  午後の昼下がり、屋上で過ごしていた時のこと。朝のことでアリスに聞きたいことがあった。
「なんでしょう?」
「僕がまだ君のことが"視えてなかった"ときも、抱きしめてくれたの?」
  途端にアリスは顔を赤くした。
「あ、えと、その…えへへ…」
「そっか…ありがとな」
「あっいえ…私はそんな…」
  更に顔を赤くして、とうとう俯いてしまった。
  今まで実感していなかったが、改めて考えてみると、こっちまで恥ずかしくなった。

  キーンコーンカーーンコーーン

「あっ、そろそろ教室に戻りましょう?」
「ああ、そうだな。」
  そして僕らは屋上を後にした。

214:death/anima
10/04/01 03:02:33 8AaPFueT
  教室に入ると、皆が僕を白い目で見てきた。いつものことだが。
「ヒソヒソ…(おい…屑がきたぞ…)(ほんとだ まだ生きてたんだなw)
      (最近アイツ屋上行ってるらしいぜ…)(まじで? そのうち自殺しちゃったりしてw)」
  これもいつものこと。僕は何故かこそこそ話している声が聞こえてしまい、聞き流せず苦しんでいたが、
  少し前に聞き流せるようになっていた。慣れは怖いな。

「(え~っと 次の授業はっと)」
  次の授業の準備をしようとして、何気なくアリスを見た瞬間、衝撃を受けた。
  アリスは僕の噂をしている生徒をおぞましい形相で睨みつけていた。
「……この下衆共が……」
  更に僕は驚いた。手にしている大鎌からもどす黒いオーラが滲み出ていた。
  普段いつも優しい彼女が、そんな風になるのを初めて知った。
  今まで学校などで噂をしている人を見る度にその顔をしていたと考えると、背筋が凍った。

  このとき、僕は改めてアリスが「死神」であると実感した。
「……あっ……」
  アリスは僕が少し怯えていることに気づき、僕を見てにこっと微笑んだ。
  僕も笑みを返すと、彼女は申し訳なさそうな顔をした。
  それが僕に気を使っているように感じて、後で話をしようと決めた。

  放課後 屋上で最初に口を開いたのはアリスだった。
「あ、あの…先ほど怖がらせてしまったようで…」
「ああ、いや、確かに少しびっくりしたけど、」
「わっ、私のこと、嫌わないでください!」
  彼女は今にも涙が溢れそうな目で僕を見つめた。
「もう、蒼人さんの前で、あっあんな顔、しませんからっ…」
  声が震えている。彼女は僕に嫌って欲しくないことが十二分に伝わってきた。
「すんっ…ごっごめんなさい…ふぇっうぅぅっ」
  ぎゅうっ…
「嫌わない…嫌うもんか…だって、僕のことを思ってあいつらを憎んだんだから…」
「ふっうぅぅっ、ふぇっぇぇえんっ」
「絶対に、嫌わないから…」
「わああぁぁあぁぁんっ!!」

  僕は"解った"。彼女は、間違いなく僕だ。僕の本当の気持ちを、彼女は体現しているのだ。
  泣きじゃくるアリスを、僕は落ち着くまで抱きしめ続けた。
  帰り道も彼女が不安にならないように、ずっと手をつないだ。

「それじゃ、おやすみ アリス。」
「おやすみなさい。」
  それから数分後
「スゥー…zzz…」
「蒼人さん……ありがとう……えと、ほんとは起きてるときにしようと思ったんですけど…
 まだ少し恥ずかしいので、今させていただきますね…」
  アリスはそう言うと、唇を重ねた。
「ん…………えへへ、
 ちょっと、ドキドキしちゃいました。今度は…起きてる、ときに……すぅ…すぅ」


  翌朝
「あ、あれ夢だったのかな?ぼ僕とアリスが…いや、忘れよう…」

215:death/anima
10/04/01 03:05:26 8AaPFueT
  職員室
「…お前、屋上に行ってるんだって?」
「はい…それが、何か?」
  担任に呼ばれて僕は放課後職員室に来た。誰かが屋上に行ってることを告げ口したらしい。
  別に屋上に行くくらい良いだろうと思ったとき、予想もしないことを言われた。

「お前まさか、隠れてタバコ吸ってんじゃねえだろうな?」
「へ?」
  驚きを通り越して呆れてしまった。こいつ馬鹿か?
「屋上に行ってると教えてくれた奴がそんなことを言っていたんだがな…どうなんだ?」
「吸ってるわけないじゃないですか。それに吸っていたら口臭ですぐわかるでしょう。」
「…じゃあ、屋上で何してたんだ。」
「何って…昼は飯食ったり、本読んだり、空見てたりしてるだけですよ」
  まだ疑ってる。なんで告げ口した奴のことを信じて、僕の言うことは信じないんだよ?

「ふん。そういえば最近、お前成績が下がってるぞ。空なんて見てる暇あったら勉強したらどうだ?」
「僕が何しようと勝手じゃないですか。普段見て見ぬふりしてる人に関係ないですよ。」
「なんだ、その態度は!それが教師に対する礼儀か!?」
「先に人のこと疑ってきた癖に何言ってんですか!」
  教師はすぐこれだ。自分に気に入らないことがあると話をそらす。卑怯者が。
「…ふん。まあいい。あとで親御さんに電話しておくからな。」
「!?だから吸ってないってさっきから」
「それとこれとは関係ない!」
  このクソ教師…って!?アリス!?
「さっきから黙っていれば……」
  大鎌が低い呻きを上げている。ここは退くしかないか…
「…分かりました。それじゃもう今日は帰ります。さようなら。」
  そう言い捨て、職員室を出た。
「蒼人さんっ!?…このクソ教師ッ!!」
  アリスも急いで後を追った。

  帰り道はずっと無言だった。
  家に帰ると両親に座れと言われ、椅子に座った。
「お前…タバコ吸ってたのか?」
「吸ってないよ…吸ってたら臭いで分かるでしょ?」
  その途端父親に胸ぐらを掴まれた。
「本当に吸ってないんだろうな?もうこれ以上問題を起こすなよ?」
「問題って…周りが勝手にほざいてるだけなのに何で僕が」
「近所からも嫌味を言われて困ってるのよ。何であんたみたいな子を生んじまったのかねえ」
「まったくだ。こんな親不孝者聞いたこともない。もういい。ただしこれからどうするかじっくり考えて行動しろよ?」
「それじゃ、あたし達はしばらく旅行に行って来るから。こんなことのないようにね」

  バタンッ

「…………」
「蒼人さん……」


216:death/anima
10/04/01 03:07:47 8AaPFueT
「僕…は……」
  もう……死にた…っ!?

「んっ……」
「んんっ……って、ア、アリス!?」
  いきなりすぎてなんだか混乱してしまったが、アリスに、キ、キスされてしまった…?
「死にたいなんて、思わないでください……」
「あっ…」
「私は、貴方に死んで欲しくありません。」
  !?死神なのに……どうして…?
「私にもっと甘えてください!私がせっかく"視える"のに、こうして触れることもできるのに、私のことを忘れて置いて逝かないでください!」
「アリス…」
「たとえ貴方が世界から見捨てられようと、私だけは貴方の傍に居ます!ずっと、永遠に!」
  僕は思った。なぜもっと早く彼女に会えなかったのだろうと。もっと早くに会えたら、もっと幸せだったろうと。
  でも、今だからこそ、そんな風に考えられるのだと思った。だからこそ、伝えよう。この"想い"を。

「アリス……」
「すん…すんっ…」
「傍に、いてくれ…」
「蒼人さん……んっ」
  さっきまでの絶望が失われていく。いや、絶望しきったから、「希望」を手に入れられたんだと思う。
「ん………!?んんっ!?」
  ア、アリス!?そそれはっ!!
「んんぅ……ちゅぱっ……んっ…」
  アリスの舌が、深く、濃厚に絡んでくる。
「ん…はぁ…蒼人、さん…」
  まさか、アリスにそこまで想われていたとは…自分でもびっくりだった。

「その、えと…蒼人さんがよろしければ……し、しませんか?」
  へ?




  い、今なんと・・・?
「私の、全てを貴方に…捧げさせてください……」
  どっかーん。
  つつまり、その、あれだ、もしかして、
「貴方と、一つになりたいんです…」
  ア イ タ ク チ ガ フ サ ガ ラ ナ イ
「だめ、でしょうか……?」
「ほっ、本当に…?」
「あ、あまり何度も言わせないでくださいよぅ…」
  その澄んだ瞳があまりにも美しすぎて、僕はどうかしそうだった。
  しかし、僕も男だ。ここで出来なきゃいつやるって話だ。アリスもかなり勇気を振り絞ったに違いないのだから。
「も、もちろん…アリスが、望むなら…」

  そして僕らは、部屋のベッドへと移動した。

217:death/anima
10/04/01 03:10:26 8AaPFueT
  生涯、僕は独身で、経験せずにくたばるものだとばかり思っていた。しかし、まさかこんな形で経験できるとは…
「あ、あの」
「ふぁっ、ひゃいっ!?」
「その…多少激しくしても、構いませんので……お、お手柔らかに…」
「あ、ああ…(ゴクリ」
  アリスはそのままベッドに横になり、月光に照らされたその姿は、まるで"月下美人"のごとき美しさだった。

  そのまま僕は、羽織っている黒衣のローブをまくったのだが、そこで重大なことに気がついた。
「な、何も…着てなかったの!?」
「は、はい…あ、でも私寒いのは慣れてるので心配しなくても」
「そっそういう問題なの…?」
  今まで気にしていなかったが、まあローブも大分ぶかぶかのだし…っと、いかんいかん、
「…今度服買ってやるから…」
「あ、ありがとうございます…」

  気を取り直して。
  そのままローブを脱がして、唇をそっと重ねた。
「んっ…ちゅるっ…んふ…」
  お互いの舌が求め合うように絡みつき、部屋には"水"の滴る音が響いた。
「ぴちゃっ…んぅ…ちゅぱっ……ぅん…」
  そして両手を二つの"果実"へと伸ばし、ゆっくりとその柔らかさを確かめていった…
「んん…はぁっ……あ…ぁ…」
  舌をそのまま首筋へと這わせ、果実の"柱頭"に口を運ぶ。
 ぴちゃ……ぴちゃっ……
  少しずつ柱頭から"果汁"が滲みだす。その甘い香りが、手と舌に豊満な果実をむさぼらせた。
「あぅ……あっ…んんぅっ…ぁん……はあ、ぁっ…ああっあっ…」
  アリスは身をよじらせ、蒼人の頭を抱きしめる。
 じゅるっぴちゅぴちゅ…じゅるる…じゅるっ
「はぅっ、やっ、い、イっちゃいそぅ…ですぅ…ゃん…」
  手で揉みしだき、舌でその汁を吸えば更に溢れ出す。蒼人はそのとろける香りと味に理性を奪われていた。
「やっ、イクぅ…ぁっそんな…すすられたらぁ……あぁ…」
 じゅぱぁ…じゅるるっ…
「あっ、ぁあぁぁあんっ!!!」
  アリスは体を震わせ、二、三度ケイレンを起こした。
「はぁっ、はぁっ……蒼人さん…すごく、イイですっ……」
「アリスって意外と淫らなんだね」
「あっ蒼人さんの前でだけ…ですよぅ…」
  くちゅっ
「っ!いっいきなり不意打ちはひどいですよぉっ」
「そろそろ下の方も欲しがってたかなと思って」
 くちゅくちゅ
「…!蒼人さんの方がっ……よっぽど卑猥ですっ」
「僕が卑猥ならアリスもだよ」
 くちゅくちゅくちゅくちゅっ
「ぁあっ…そっそれはぁそうですけどっ…ゃあっ」
「アリスがこんなに積極的だったなんて……おしおきが必要だな」
「…蒼人さん性格変わってますよ…?」
「アリスのおかげで目覚めちゃった」
  手でアリスの"雌しべ"の中を弄りまわしながら、溢れ出た"蜜"をゆっくりと堪能し始める。
「あっ…そんな…じらさないでぇ……ぁあ…感じちゃうぅ…」
 ちゅるちゅる…くちゅくちゅ……


218:death/anima
10/04/01 03:14:01 8AaPFueT
「もぅ…っひとおもいに…イかせてください…あぁっ」
「らめだよアリス。ほういうのはゆっふりじあじあほやらないほ」
(だめだよアリス。こういうのはゆっくりじわじわとやらないと)
「ゃっ!だめぇ!そんなふうに舐められたらっ私っあっぁぁっ」
  ちゅぷちゅぷ…ちゅるるる…
「ゃあっ!イク!イクうぅぅっ!」
  しゃ―――。
「ビクン あぅっ ごめんなさい……(ビクビクッ」
  気持ちよくなりすぎたアリスは失禁してしまい、またケイレンを起こしていた。
「…かわいいなぁアリス。すごく感じやすいんだ?」
「い、イジワルしないでください……って、あぅっ!」
  じゅぷ…じゅぷ……
「そろそろ…僕にもイかせておくれよ…」
  ずぷずぷ…じゅぷぅ…
「あっぁあぁああっ……は、入ってくるっ…すごくっおおきいぃ……」
  ぐちゅぐちゅ……ぬぷぅっ…
 蒼人はそのまま"雄しべ"をアリスの秘奥へと入れては抜いてと繰り返す。
「ゃっ…ぁあぅっ……頭の中がっ…まっ白になっちゃうぅ…」
  ぐちゅぅぬぷっぐちゅっぐちゅっ
「ぁっあっぁん、あっあっ……あぅっあっふぁっ…ふぇっえっ」
  そのとき、蒼人は血が滴っていることに気づいた。
「大丈夫?処女膜破れて痛いんじゃ…」
「はぁっ、だ、大丈夫です…こんな痛み、蒼人さんの苦しみに比べたらっ」
「無理しなくていいよ?とりあえず血拭いとくけど…」
「はい…でも、大丈夫です。続けて、ください…」
「わかった。辛いときは遠慮せずいってね?」
「はいっ」
  血を拭き終わった後、再開した。
 ぐちゅっぐちゅっじゅぷっじゅぷっ
「ふぁんっぁんっあっ、ぁのっ、蒼人さんっ、あっ」
「どうしたの?」
「中に、出して構いませんから。死神は、妊娠することが無いので」
「そうなの?…じゃあ、遠慮なく」
  それを聞いて安心したのか、一気にペースを速める。
「っはぁっあっは、激しいですぅっあっぁっあぁっ」
  じゅぷじゅぷじゅぷじゅぷ
「だめぇ、またっイっちゃいますぅぅっああんあんっ」
「アリスっ、出るよっ」
「だっ出してぇ、わたしにったくさんんっ」
「っ」

  どぴゅうっどぷどぷっ
「あぁあぁああぁぁんっ!!」


「はあ、はあ、はぁはあ」
「アリス…好きだ…大好きだっ…」
「蒼人さん…私もっ、貴方のことが、大好きです…」
  二人は深い口づけを交わし、眠りについた。

219:death/anima
10/04/01 03:17:59 8AaPFueT
  翌朝
 僕は予想もしない出来事を目の当たりにして愕然とするだけであった。

 アリスの体が半透明になっていたのである。
 アリスは最初説明することをためらっていたが、やがて重たい口を開き、僕は全てを知った。

 アリスの正体は蒼人の深層心理体それと兼ねての死神。その一部としてアニマであり、「タナトス」(死の本能、自己破壊衝動)でもあった。
 「タナトス」…ギリシャ神話の「死」の概念から生まれた「死神」。
 心理学者フロイトによれば、タナトスが大きくなりすぎると、タナトスを中和する「エロス」(生の本能)が働き、タナトスを打ち消そうとする。
 つまり、それらの一部をもつ深層心理体として存在するアリスと交われば、アリスは消えることになる。
 それをアリスは知っていながら何故昨夜の行為に至ったのか。そのとき僕は悟った。

…僕が「死にたい」と願ったからだ。僕の寿命はまだ先のことであり、自殺をすれば「啓示」に無い死とみなされ、魂が「消失」する。
  魂が消失するということは、アニマ・アニムスの存在も消失する。
  しかしアリスは決して自分の存在が消失することを恐れたのではなく、僕自身の消失を恐れたのだ。

  昨日僕が「死にたい」と願うことで僕の中で「タナトス」が生まれた。
  そのまま何もしなければ、あの時間違いなく死んでいたという。
  今までも死にたいと願ったことはあったが、昨日の場合、積み重なったものが溢れてピークに達し、一番危険な状態であった。
  危機感を感じたアリスは、同時にアリスの中で「エロス」が生まれ、僕の中の「タナトス」と結合・中和しようとし、結果こうなった。
  
  因みに、アリスはこれまで蒼人の「タナトス」を体現していたが、それはあくまで他者に対する「死を望む本能」であり、
  また蒼人自身が意識的に「エロス」を抑えていたため、中和しようとしなかった。
  この場合アリスの中でタナトスが大きくなってしまい、やがて死のうと考えてしまうのだが、
  アリスは蒼人の存在によって「存在」しているので、自殺することは出来ない。
  また、同じく蒼人の存在自体がアリスにとっては「エロス」であり、アリスの中で消化できるからである。
  更に、蒼人が意識的に抑えたため、深層心理に「エロス」が生じて中和したとも考えられる。
  
  しかし蒼人はあの時自分の中で消化できなかった。故にアリスがそれを補おうと「エロス」を体現した。
  そして蒼人の中の「タナトス」と交わることで中和されるのだが、先ほど述べたようにアリスは深層心理体であるためにその存在自体が消えてしまうのである。
 
  そこで疑問が残る。蒼人が存在する限り、アリスはまた生まれるのではないか?と。
  しかし、アリスはこう告げた。
「その可能性も考えられますが、また同じ「私」が生まれるかは不確定要素なのです。そして「生まれる」のが…いつになるのかも…」
「分からない…?」
「…………」

「僕の…せいだ。僕の存在自体が、アリスを苦しめてしまったんだ。」
「それは…違います。確かに、もう逢えないと思うと悲しいですけど、それでも、私は幸せでした。蒼人さんと過ごせた日々、昨日、一つになれたこと…」
「………」
「今一番苦しいのは、蒼人さんですよ?…それを思うと、私も苦しいですけど…」
  ほら、結局、僕のせいじゃないか。
「私が苦しいのは私が「あなた」だからです。同時に、あなたも「私」なんです。だから、お互い辛い…。」
  ……そうか。
「でも、私はもう消えてしまう。だから残された貴方が一番辛いんです。」
  ア、リス…
「ごめんなさい…」
「嫌だ…消えるなよ…」
「…蒼人さん」
「頼むよ!お願いだ!どんな酷い仕打ちを受けてもいい!だか、ら、…」
  ぎゅうぅ
「消えないで、くれよぉ…」
「蒼人、さんっ…」
「うあぁあぁああっ…」

220:death/anima
10/04/01 03:20:09 8AaPFueT
「蒼人さん…これを。」
  そう言うと、アリスは髪を結んでいるリボンをはずし、蒼人に渡した。
「あっ…」
  蒼人の手にリボンが触れると、半透明から実体化した。
「何も無いより、ずっと、いいですよね…?」
「ああ……」
  そして段々と、しかしゆっくりと、アリスは透明になっていく…
「アリス、嫌だ、消えないで…」
「蒼人さん、駄目ですよ、私、最後くらい泣かないって決めてるんですからっ」
  そうはいうものの、アリスの声は震えていた。
「蒼人さん…」
  そして、最後のキスを、交わした。
「…私は、貴方の傍に、ずっとっいますからっ…」
「うぅっくっ」
「また、逢えますから…いつか、きっと。」
  そして、とうとう…







  

  

  アリスは、視えなくなった。










「アァリスゥゥーーーーーッ!!!」


  蒼人の手には、アリスのリボンだけが残っていた。




221:名無しさん@ピンキー
10/04/01 03:24:05 8AaPFueT
以上で終わりです。長々となってしまい申し訳ないです。
読んでくれた方々に楽しんでいただけられたら幸いです。
ややくどい表現とかもあったかもしれないです。
それではよろしければ感想等どうぞ。

222:名無しさん@ピンキー
10/04/01 03:50:44 hLCkqaWu
乙です!

こういう締め方は予想してなかったー
ラストがちょっと寂しすぎるのと、未消化っぽい複線が気になります……
アリスは蒼人の意識に同化しすぎたという事でしょうか?
後日談(xx years afterとか?)があればそれも読みたいです

223:名無しさん@ピンキー
10/04/01 04:23:48 8AaPFueT
>>222
ありがとうございます!

自分でも不思議なんですが、なんでこんなになったのだろうと…OTL
こういうバッドエンドものは好きじゃないんですけどね……
見直ししてるとき泣きそうになった;;

未消化部分というと、蒼人がなぜアリスを視ることができたのか?っていうところでしょうか?
この部分は後日談で(個人的にハッピーに向かうように)使おうと思ってます。
アリスの消えた原因としては、タナトスとエロスの中和作用によるものです。
ただ、ある程度独立しているので別の存在に思われがちですが、元々蒼人から生まれた存在なので、
同化しすぎて、というのはないですね。

終盤の説明、やっぱりわかりにくかったか…(f^^;)

224:名無しさん@ピンキー
10/04/02 21:02:24 MS4R7WTK
GJ!
おもしろい設定だった
ただ>>222にもあるように何かしらの救いがあっても
いいんじゃないかなーと思ったので後日談に期待して待ちます

225:名無しさん@ピンキー
10/04/04 07:11:15 ps/Bc+qt
どうやら大規模な規制に巻き込まれてしばらく書き込めません…
後日談は必ずや書き込んでおきますので、規制解除まで保守お願いしますです。

226:名無しさん@ピンキー
10/04/06 03:27:45 w9IGlcA+
まってるよー

227:名無しさん@ピンキー
10/04/17 03:31:27 eHac6wTl
保守は任せろ

228:名無しさん@ピンキー
10/04/17 19:19:49 fb+Hzip6
俺も保守DAZE

229:名無したん(;´Д`)ハァハァ
10/04/19 03:18:33 1lSc7rh2
後日談大変おまたせしましたぁ! といいたいところですが、残念ながらまだ全部仕上がっておりません…OTL
しかしこのまま出す出す詐欺と思われるのが嫌なので、途中までですが前編として投稿しますです。
 注意点・生殺しの危険性有          ←必読
    ・エロかわかりませんが、淫語有
    ・冒頭から説明多し
    ・矛盾点があるやも…そのときは申し訳ないです。
純粋に物語を楽しんでいただければ幸いです。では投稿します。

230:death/anima ~sequel~
10/04/19 03:22:43 1lSc7rh2
―あれから、幾つもの夜を過ごしたように感じる。

 「あの日」のことを考えると、今でも胸が苦しい。
  でも、苦しいだけじゃない。また彼女に―「アリス」に逢えると、希望を持ちながらここまで生きてきた。
  アリスに貰ったリボンを辛くても忘れないように左腕に巻きつけていた。
 「あの日」―、アリスは消えてしまった。けれど、このリボンだけは未だに、確かに僕の腕にしっかりと結ばれてい。

  だからこの二年間、長く感じられたけど信じ続けることができた。
  また彼女に―「アリス」に、逢うことができるはずだ、と。

  そして、運命は廻り始めた。

「…あ…とさ……」
  声が聴こえた。どこかで聴いたことのある声。
「まさか…」
  不安と期待が入り交じりながら、確信するために彼女の名を呼ぶ。
「…アリス?君なのか?アリス!!」
  そして、目の前に「それ」は現れた。

「あ…あぁ…」
  黒髪で長めのツインテール、黒衣のローブに大鎌、その姿は紛れも無く「彼女」であった。
  ……「瞳」以外は。
「…アリ、ス?」
  目の前に現れた死神の瞳は、「緋色」をしていた。そして僕の問いの答えに、こう告げた。
「いいえ、私はアリスではございません。」
  僕は、ただ愕然とするばかりであった。

「…貴方が、蒼人ですね?」
  …!何で、僕の名を…?
「どうして…それに、君は一体…?」
「間違いないようですね。……ボソ(本当に、あの方に似ておられる…)」
「あの方…?」
「…いえ、こちらの話です。私の名はイヴ。死神であり、原初の"アニマ"です。」
  原初の…アニマ…?
「それって…どういう…」
「貴方に人の運命を決める審判が下されました。その結果によっては、貴方が今逢いたい方と逢うことができるでしょう。」
「!!それって…彼女に…アリスに逢えるってことなのか!?」
「ええ。しかし、また結果によっては、人類の滅亡もありえます。」
  僕は言葉を失った。

  そしてこの瞬間、全ての命の運命は僕の手に委ねられた。
  僕はこの先に待ち受けるものが、とてつもなく恐ろしく思えた。 

231:death/anima ~sequel~
10/04/19 03:24:34 1lSc7rh2
  その後、イヴはどうして僕がその「審判」に選ばれたのか話してくれた。

  そして僕が、原初の「アニムス」の元である「アダム」の生まれ変わりであることを知った。
  それ故、僕はアリスやイヴを視ることができるのだという。
  イヴが現れた理由は、アリスが消えたことでその代替として、アダムのアニマがイヴだからということが重なり、
  僕の前に現れることができたのだという。

  そして、なぜ深層心理体が死神となったのか、その原因となる話を聞いた。

―まだ楽園という場所に人間が住んでいたころ、原初の人間であるアダムとイヴは深く愛し合っていた。
  しかし、あるとき神から口にしてはならないと言われていた禁断の果実を二人で食したがために楽園から追放された。
  ある「罰」とともに。
  その罰とは、お互いの姿が見えなくなるという罰、そして死の直前に愛する人に殺されるという罰。
  つまり自分のアニマ・アニムスに殺されるということ。これがアニマ・アニムスが「死神」となる所以である。
  愛する人に殺される―これほど辛い罰は二人には無いだろう。
  更には、深層心理体として存在するアダムとイヴは消滅せずに、愛する人を殺してしまったという悲しみを背負ったまま、
  永遠に存在し続けるという残酷なものだった。また、アニマとアニムスは相反するものであり、お互いを認識することが出来ないため、
  二人は永遠に孤独で居続けることになる。

  僕はこの話を聞いていたとき、涙が止まらなかった。
  それが僕がアダムの生まれ変わりだからだとか、変な同情心からくるものではない。
  あくまで僕自身のことのように感じ、また僕自身が悲しいからだった。
  また、その二人が僕とアリスのように感じられて、更に悲しみが深まった。
  そして、イヴはこう言った。
「だからこそ、貴方には為さねばならないことなのです。これは私たち人間に課せられた試練なのだから。」
  試練。 僕とアリスが離れ離れになったことも、全て運命だったのか?
  だけど、そんなことは関係ない。僕は人類のためだとか、そんな大それたことも考えない。
  ただ、アリスを、そして永遠の呪縛に繋がれたアダムとイヴを救いたい、それだけだった。

「では、貴方を"神"のところへ連れて行き、そこで試練を受けてもらいます。」
「"神"…?」
「貴方がたの世界ではヤハウェ、などというのでしょうね…」
「もしかして、その"神"がイヴたちを…?」
「…では目を瞑っていてください。」
  僕は確信した。その"神"とやらが楽園から追放した張本人だ。
  そして言われるまま、僕は目を瞑り、不思議な感覚に包まれた。

  間もなく、僕は"神"のいるところに着いた。
  そこで見たものは、想像をはるかに超越していた。

232:death/anima ~sequel~
10/04/19 03:26:41 1lSc7rh2
  これが、"神"―。
  この姿を、どう言えばいいのかわからない。僕の表現力が足りないとか、そういう次元じゃない。
  この世界で、表現できる言語が無い。それくらい超越した存在。
  それが"神"。見た者にしかわからないとは、まさしくこのようなことなのだろうと、僕は思った。
  そして"神"は語った。いや、語ったというか、こう"言われた"気がした。
「汝、人ノ子ヨ。我ガ試練ヲ超エシ時、汝ノ願イ果タサレン。超エラレヌ時、人皆滅ス。汝、人ノ子ヨ。覚悟セヨ。」
「…その試練とやらは何だ?」
「試練。汝ガ愛スル者ヲ闇カラ救ウコト也。」
  つまり、アリスを連れ戻すってことか?
「それだけなのか?それが試練なんだな?」
「闇、即チ地獄。絶望ト苦痛ト悲哀ト憎悪ガ渦巻ク場所。其ノ道ナリ酷ク険シイモノ也。長ク遠ク悠久ノモノ也。」
「どんなに困難な道でも、絶対に連れ戻してやる!絶対にだ!」
「ソシテ条件ガ有ル。」
「何だ。」
「決シテ誘惑ニ負ケテハナラヌ。其ニ負ケタ時、全テヲ失イ、人ハ滅スル。」
「…解った。」
  そして目の前に黒い穴が出現した。
「行ケ、人ノ子ヨ。汝ガ宿命ヲ、罪ヲ償エ。」
  黒い穴からとてつもなく禍々しいものが溢れてくる。それでも、僕は恐れることは無かった。
  この中で、アリスは一人でいる。だから僕は恐れるわけにはいかない。
  この先に底の無い絶望があっても、僕は真の絶望を知っている。

  そして、僕は暗闇の中へ入っていった。
「どうか…ご無事で。」
  イヴはただ、蒼人の背中を"彼"と照らし合わせて祈るだけだった。






  暗い。
   どこまでも、どこを見渡しても、闇が広がっている。
  歩っても歩っても、先が見えない。
    そして心を蝕む孤独感。
      それでも僕は、歩くことを止めなかった。
「アリスも、同じ気持ちで、本当は怖がっているんだ……僕は、誰よりも寂しがり屋な彼女を、抱きしめてやるんだッ!!」
  そう心の中で唱え、左腕に結んだアリスのリボンを見て励ましながら歩っていった。









そして、辿り着いた。

233:death/anima ~sequel~
10/04/19 03:28:33 1lSc7rh2
  闇の中に佇む黒い巨塔。近くまで来ないと判別しにくいが、存在感はあった。
  その塔の中から鈍い呻き声のようなものが聞こえて、ますます恐怖が増していく。
  しかし、恐れてはいるものの、それが「恐怖」なのか、僕にはわからなかった。
  そして、塔の中に入っていった。


dじぇうvkんさrんlを異ゑんq餌wくぃ無
wfんh背VQV炎f挫wんvkヴァmw氏血く
  
  意味不明な呻きが聞こえてくる。
  そして、通路から広間に出ると、「彼女」がいた。
  初めて会ったときはツインテールだったが、別れ際にリボンを渡して消え、髪をおろしたままでいたが、すぐにわかった。
「……アリス…?」
「…!!…そんな……まさか…」
「アリスッ!!」
  彼女を抱きしめようとしたときだった。
  僕の手は触れることができず、そのまま体ごとすり抜けてしまった。
「ごめんなさい…ここでは、私の体は幽体状態なので、触れることができないんです。」
「そうなのか…でも、本当に、アリスなんだよな!?」
「はい。私も、またこうして蒼人さんに逢えて、嬉しいですっ!」
  二年ぶりの再会。いや、離れている間の時間というのはとてつもなく長い。
  ましてや、アリスはこの闇の中にいたのだから、時間の感覚などわかるはずもない。
  少なくとも、二人にとってこの空白の時間は永遠にも等しかったのだ。
「あ…そのリボン…」
「ああ、アリスがいなくなったときから、ずっとこうしてたんだ。」
「…蒼人…さんっ」
  その澄んだ目に涙をためながら微笑む。安心させたいが、触れることもできないので、蒼人はやるせない気持ちでいた。
「……アリス、ここから出よう。そして幸せになるんだ。僕たちなら…」
「ちょっと待ってくれ。」
  僕が話しているときに、誰かが口を挟んだ。誰だ?
「あ、この方はアダムさんです。」
  この人が…アダム!?まるで僕に瓜二つじゃないか!?
「…初めまして、かな。ほんと、俺にそっくりだな。」
  闇の中から出てきた男―アダム。
  アリスとイヴが瓜二つであるのと同じように、僕とアダムもまた、瓜二つだった。
  そして、アリスもまた全ての事情を把握していた。
「何かの因果なんでしょうか…それとも、最初から、こうなるように…」
「関係ないよ。たとえ運命でも、それは"神"が決めることじゃない。人が決めることだよ。」
「フフッそうか。…なぁ、最後に聞かせてくれないか。…イヴは、どんな様子だった?」
「…貴方のことを話しているとき、とても幸せそうで、想い続けていましたよ。貴方のことを。」
「そうか。……それを聞けただけで幸せだ。俺の方からも言っておいてくれ。お前だけを、愛していると。」
「もちろんです。……じゃあ、行こうか、アリス。」
「あ、待て、お礼といってはなんだが、お前に忠告しておく。"絶対に後ろを振り向くな。"何があっても、前だけを見続けろ。」
「はい!」
「後ろを向いたとき、全てを失うことになる。帰り道は気をつけろよ。じゃ、お幸せにな。お二人さん。」
「…ありがとうございます!」

234:death/anima ~sequel~
10/04/19 03:30:33 1lSc7rh2
  そして、僕とアリスは広間を後にした。
「……人が決めること、か。選ばれただけはあるなぁ……なあイヴ、お前は俺を許してくれるか?お前を殺した…俺を。」

  塔の入り口前―
「あの…蒼人さん、一つだけ、私からも忠告が…」
「何?」
「私は、この塔から出たら、闇で見えなくなります。ですから、そうなってしまっても、振り向かないでください。」
「わかった。何があっても、絶対に振り向かない。アダムにも言われたことだしね。」
「私、蒼人さんのこと、信じてます。だから、頑張って…」
    ギィ……
  そして、塔から出た。

  塔を出てからというもの、闇は寒気がするほど静かだった。
  アリスの気配も感じられない。けど、それは闇のせいで消えているだけだと、自分に言い聞かせた。
  そして、リボンを見ながら、ただ前へ前へと歩く。
  ただ前へ、ひたすら足を前進させる。
  行きより長く感じるが、それでも、一歩一歩進んでいく。
  そのときだった。
  光だ。光が見えてきた。
  僕は安堵しつつ、それでも警戒を怠らずに確実に進んでいく。
「もう少し…もう少しで、アリスと…」
  そのときだった。
「嫌です。外に出たくありません。」
  それは紛れも無くアリスの声だった。聞き間違えるはずが無い。
  そして僕は思わず返事をしてしまった。
「嫌って…どうしてさ?」
  後ろを向くことを必死に堪えたが、そのせいで足が止まってしまった。
「どうして?それはこちらの台詞です。貴方のほうこそどうして闇から出ようなんて思うのですか?」
「それは…君と、幸せになる為に…」
「幸せ?……ぷっ、あはははは!そんなの貴方の勝手でしょう?本音は、自分の幸せの為にそんなことを言ってるんでしょう?」
「違う…僕は、君が寂しいと思って…」
「はあ?何をわかったことを言ってるんですか?誰もそんなこと言ってませんよ?そんなこと言って、どうせ私の体目当てなんですよねぇ?」
「…君がしたくないんだったら、しなくていい。ただ傍にいてくれるだけで、僕は幸せだ。」
「反吐が出ます。誰が貴方みたいな下衆の傍にいるものですか。」
「…そう。」
  そして、目の前にアリスが現れた。
「私の幸せを本当に願っているのでしたら、私を今すぐ塔へ連れて行きなさい。」
「それが、君の幸せ…?」
「ええ、そうですとも。私、早くアダム様のところに行きたいの。だからさっさとしなさい。」
「どうして……?」
「これだけ言ってもわからないんですかぁ?私は早くアダム様に 抱 か れ た い の。あんたみたいな早漏、タイプじゃないのよ。」
「アダム様は、私を激しく愛してくれるの。そして何回もイかされちゃたなぁ……やだ、想像したら濡れてきちゃったぁ…」
「…あんた、もしかして今の私の話聞いて興奮してるの?これだから早漏は困っちゃうのよねぇ…」
「ねぇ、いい加減私をアダム様のところに連れて行きなさい。聞いてるの?」
「…は……ない…」
「は?何言ってるんですか?もっとはっきり言いなさいよ童貞。あんたの初体験なんて所詮妄想でオナニーしただけなんだから。」
「君はアリスじゃない、と言ったんだ。」
「ぷっ、あんた頭おかしいんじゃない?私はアリスよ。あんたに否定されるいわれなんてないわ。」
「じゃあ、そのツインテールはなんだ?」
「ツインテールがなによ。これは私が好きでしてるんですけど。はぁ、いいからさっさと…」
「アリスのリボンは今腕に巻いている。だから今髪を結んでいるお前は偽者だ!失せろ!!」
「よくわかったわね。そうよ。私は偽者よ。だけどいいのかなぁ~そんなこと言って。」
「どういう意味だよ。」
「それ、本物に言ってるのと同じよ。」

235:名無しさん@ピンキー
10/04/19 03:37:39 1lSc7rh2
以上前編でしたm(_ _)m
注意書きの名前がピンキーじゃないのは無視してください。特に意図はありません。
最後文字だらけですみません;
見にくいと思われますがご容赦の程を><

後編はエロ有+…な展開が!!早めに投稿致します。現在鋭意製作中!

236:名無しさん@ピンキー
10/04/19 20:25:02 bY0unK4C
GJ!
設定も興味深いが初体験がオナニーだったというのが気になりまくるw
アリスが現れたときは実体じゃなかったっけ。読み直すか
後編も楽しみにしてるよ

237:名無しさん@ピンキー
10/05/05 01:38:22 U/TH1hoU


238:名無しさん@ピンキー
10/05/19 19:08:34 SMJhyIxz
後編に期待

239:名無しさん@ピンキー
10/05/24 14:45:10 G+uLMv9V
保守


240:名無しさん@ピンキー
10/06/09 12:46:47 LbQg3ciC


241:名無しさん@ピンキー
10/06/28 15:37:41 Q1JJ5XWj
保守

242:名無しさん@ピンキー
10/07/12 23:18:50 EnGNkgTZ
保守

243:名無しさん@ピンキー
10/07/18 02:19:12 Pme5nRy7
保守。俺もなんかやってみっかな…

244:名無しさん@ピンキー
10/07/18 21:46:14 9oSVPlN8
楽しみだな!

245:名無しさん@ピンキー
10/08/01 03:25:49 1J173zXX
ほす

246:名無しさん@ピンキー
10/08/20 21:14:55 0UnjIPNq

                 ___           ,.へ
           __    i´   ヽ      //:::`、
          〈 o>''" ''o ., ` ‐、/,.へ、 :::::ヽ
           .〉´     、 ヽ ヽー 、! '   ヽ  :::::',
          7  ハ、 ハハ i   ',ィ´      ',  ::::i
.           !ハ、 l.  ―l/ :i !.         i :::::!
             i 人 r 、"/,.ィ ハハ.        ! ::::,'  保守しますわ
           ,..,_ ィ>'i'`゙iヽ/  `ゝ、       /.:::/
          /´ Y 」, `i V  /"  Y      〈 :::〈
        /,`7λ_,>'、,_ ,. -ゝ.,  _'ゝ_    ).::ノ
        /, イ '´ ∠'"ゝrュ二 ,.レヽ ` 、ヽ、 〈r"
.      //  !_,.ィ´/    ´ `"ー'゙  \ \ ヽ-、
    //   ,. '"  '  / /.       \ ヽ'  `ヽ、
. //   <      /   .i          ヽ ヽ  /
<,/     rノ     /`ー´`l          ハ、__l i
      /'ヽ___,,..,,_」     .!     .i⌒ヽ、,/     ',
    ./              l,.- 、_,. ┘          〉
    ヽ,                        /
.     `ヽ、,. -、                __/
          ヽ.,               /´

247:名無しさん@ピンキー
10/08/22 20:11:57 WsffPang
可憐だ

248:名無しさん@ピンキー
10/09/14 18:03:45 V2pGSyZ8
>>743
何で聴ける?

249:名無しさん@ピンキー
10/09/14 18:04:41 V2pGSyZ8
>>248
誤爆した

250:名無しさん@ピンキー
10/09/22 01:47:12 e83UGKnK
ふつくしい…

251:名無しさん@ピンキー
10/10/09 22:55:35 zpm7TQMG
            Ψ
            | ハ_ハ 
         /l`('(゚∀゚∩/l\ 
         ⌒⌒|ヽ  〈 ⌒⌒
            | ヽヽ_)→

252:桂木 桂馬ψ ◆FLAGMDXuX2
10/10/10 05:56:35 96IjUIXr BE:4098341489-2BP(1092)
@Reply:>>246
素晴らしい出来ですね。
死に神など、落とし神モードで落としてみせる。
デスノートなんかクソゲーだ!

253:ほしゅ
10/10/14 22:51:24 g9D1PQ50

       /ゝ
    /⌒/" 、⌒ヽ
   | ::::::::○::;;;::○::;| /ー- 、
   ヽ ,,:::、WWW;//==ヽ i
   /,~'''-::(,,゚Д゚)./.   |/
  / :::   ..::::つO
  "''-;,,i    ::::,,/ ヽ
     "''---''''/"''~


最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch