09/02/22 04:45:33 6JurgDEo
それはある夜の出来事であった。
日本UCAT本部のとある一室ではいつものようにとあるへんt老人が赤毛の侍女にせっかn叱られていた。
「は……八号君、落ち着かんかね?あまり怒ると御言君に嫌われてしまうぞ~?」
白衣の老人、全世界の恥b大城一夫は妙にゴキブリを連想させる動きでかさかさと部屋の窓の方へと後ろ向きに這って行った。
「そんなことはあり得ないと判断します。そしてその手に持っている物を渡しなさい」
赤毛の侍女、自動人形八号は大城に冷たい視線を向けつつ歩み寄っていった。その視線が捕捉するのは大城が持っているデータメモリだ。
「八号君待つんじゃ!今君には冷静な判断力が欠如している!たぶんおそらくまちがいなく!!」
大城はそう言いながら窓の方へと更に這ってゆく。それに八号は、
「ともかくおちついて話をgひhふぃあえおg」
重力制御で拘束させる判断を下した。
「八号君がセメントでなー、老人虐待はいかんでなー」
「はいはいtes.tes. ですからとっととそのデータをよこしてください」
八号が床に潰れている大城に近づいてその手からデータメモリを奪おうとしたとき、突然彼の頭上から人が幾人か降ってきた。それもネクタイと靴下のほかは大事なところを隠蔽する概念以外何もつけていない男たちだ。
「八号さん!今、時代は暴力ではなく言葉で解決することを求めています!どうか穏便にことを運ぶ冷静さを取り戻してください!」
降ってきた男の一人が両手を広げて大城をかばうように八号の前に出て言った。
「あなた方は常識を取り戻すべきだと判断します。―はるか後方に落としてきたようですが」
八号がそう言うと別の男が前に出て言った。
「落としてきたのではない、捨てたのだ!」
八号は目の前の男たちの姿と、それに守られるようにしている床にへばりついた大城とを見て一言、
「まず捨てるほどあったのでしょうか」
言った。
前に出ていた男はその冷たい視線と言葉に興奮したようでそのまま「もっとその視線で射抜いてぇ~、虫けらのようにみてくれ~」とか言いながら床に転がった。
「流石は八号君でな~、このままではまずいぞい、皆の衆!とりあえずこの場はこのデータを持って逃げることを第一に考えるでな!」
大城がそう言うと残りの男たちは大城からデータメモリを受け取り、窓から脱出していった。最初に八号の前に立った男を除いて。
「何をしてるでな!早く逃げるんじゃ!」
床に押し付けられたままの大城が言うとネクタイに靴下の男は大城に背中を見せたまま言った。
「俺がここを動いたら、八号さんの重力制御に対抗するこのネクタイ型概念兵器が意味をなさなくなります。……これは真正面の相手にしか効かないんでね」
それに、と男は俯くと自嘲気味に軽く笑って、言った。
「俺たちの理想を形にしてくれたあんたをここで見捨てるわけにはいかないだろ」