【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合35at EROPARO
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合35 - 暇つぶし2ch110:名無しさん@ピンキー
08/10/23 22:46:34 Vu6rfwL7
過去ログもテンプレも読まない奴はスルーで

111:名無しさん@ピンキー
08/10/23 22:49:40 5+7PnPa4
>>110
わかりました、コルベール先生

112:名無しさん@ピンキー
08/10/23 22:52:07 imwuxq0F
>>109
みんなのレス読んでれば大体理解できるとは思うけど、もうちょっと分かりやすく具体的に書いておくね。

・上で投下されているSSは「せんたいさん」というこのスレの常連職人さんの作品で、氏の前の作品からの続き物です。
・要するにテファが才人にベタ惚れなのにも理由があるわけで、その辺は氏の過去作を読むと分かると思います。
・なので、これだけ読んで「唐突じゃね?」というのは多分筋違いであると思われます。

以上。荒らしさんでなけりゃこれで理解してもらえると思うけどどうかな。

113:名無しさん@ピンキー
08/10/23 22:53:24 Tlb1ludI
>>112
紳士なら全裸で(ry

114:名無しさん@ピンキー
08/10/23 22:56:04 5D9QM/PY
>>112
よく分かりました
他のウンコどもと違って、分かりやすく且つ紳士的な対応、ありがとうございます

115:名無しさん@ピンキー
08/10/23 23:00:00 E0DL1+nW
ウンコなら全裸待機

116:名無しさん@ピンキー
08/10/23 23:00:10 e2d8qTmF
これはもうダメかもしらんね

117:名無しさん@ピンキー
08/10/23 23:10:16 Tlb1ludI
いいから、お前らも前スレ埋めるの協力しろよ
寂しいじゃないか

118:名無しさん@ピンキー
08/10/23 23:11:57 e2d8qTmF
>>117
もう480k越えてるんだからほっとけば落ちるよ

119:名無しさん@ピンキー
08/10/23 23:21:02 w89mFJGa
一票入れてきたぜ。ここは既成事実コースだろ

120:名無しさん@ピンキー
08/10/23 23:22:42 Tlb1ludI
やっぱりみんなアン様に餓えてたんだなぁww

121:名無しさん@ピンキー
08/10/23 23:31:09 Vu6rfwL7
じゃあ国王コースか

122:名無しさん@ピンキー
08/10/23 23:36:50 KPUw164k
だってボルボ氏のアン様来ないしなw

123:名無しさん@ピンキー
08/10/23 23:54:46 FvMiPOAm
タイトルから言って姫様だろjk

124:名無しさん@ピンキー
08/10/24 00:28:07 8LUuRdkm
同志が多すぎてワロタ

125:名無しさん@ピンキー
08/10/24 00:29:18 gsUegS3x
空気になりつつあるメイドといきたいがやっぱりアン様がいいな
浮気性でごめんよごめんよ。お仕置きなら受けるから

126:名無しさん@ピンキー
08/10/24 00:31:43 sBoQ8L7B
そういやアニエスは?
アニエスには権利なのk?
駄目ならアン様+アニエスで
アニエス攻めサイト受けでw

127:名無しさん@ピンキー
08/10/24 00:32:54 DWqagPHx
>>126
まだ間に合う!投票して来るんだ!!

128:名無しさん@ピンキー
08/10/24 00:46:02 1MvttnCk
このロリコンどもめ

129:名無しさん@ピンキー
08/10/24 01:16:34 dybMyCrT
最近タバサ分が足りないとは思わないかね?

130:名無しさん@ピンキー
08/10/24 01:27:10 WOZsXVIv
誰のSSをせんたいさんが書くことを話題にするよりも
まずはへんたいさんの労うべきだな
というわけでへんたいさん GJ!

131:名無しさん@ピンキー
08/10/24 01:32:57 mlHh9U8w
真面目に議論してた読み手や職人さんを「夏だなぁ」の一言で一蹴した人を良くそこまで
持ち上げられるな。これまでずっとスルーしてたし話題に出す事も避けてきたけど
もうさすがにこの流れは気持ち悪くてたまらんわ・・・

132:名無しさん@ピンキー
08/10/24 01:38:09 3vHI5ntz
>>131
そうですか、ではさようなら。
SS自体は保管庫でも読めるのでここに来ないほうが精神衛生上良いでしょう。

133:名無しさん@ピンキー
08/10/24 01:38:16 DWqagPHx
気持ちはわかるがそこは黙って見ない振りするのが紳士ってもんだ

134:名無しさん@ピンキー
08/10/24 01:39:01 5eKuko8A
>>131
もう終わったことを愚痴愚痴言とは大人気ない。


135:名無しさん@ピンキー
08/10/24 01:42:52 mlHh9U8w
>>133>>134
あの時、あの問題を俺なりに真面目に考えてたもんだから
あの夏だなぁ発言はショックでさ。他の職人さん達の作品が読みたいから
我慢してスレを見てたけど、何だかちょっとたまらなくなってしまいました。
ごめん。もうやめます。

136:名無しさん@ピンキー
08/10/24 01:42:53 DWqagPHx
だ…大人気!!

137:名無しさん@ピンキー
08/10/24 01:46:21 OGD6JcOg
たかがエロSSくらいで真面目に考えるなよ・・・
その力を仕事にでも向けろ

大体ハァハァできれば後はどうでもいいじゃねーか

138:名無しさん@ピンキー
08/10/24 01:54:46 3vHI5ntz
色んな考えを持つ人がいるようなところで俺はこう思ってる。
でもそう思ってないお前ら気持ち悪いみたいな発言することの愚かさをまず“真面目に”考えるべきだろう。

139:名無しさん@ピンキー
08/10/24 02:01:40 DWqagPHx
>>138
それもまた「考え」だろ
それなのに雑談掲示板や誤爆スレじゃなく此処で言っちゃう時点でお前もたいして変わらん。


そんなことより人望と胸の大きさの関係性について語ろうぜ

140:名無しさん@ピンキー
08/10/24 02:14:18 J7qw5h65
続きは保管庫の議論スレとかでやってくれ
この手のレス自体がスレの空気を悪くして職人が投下し難くしてると何故気がつかんのだ?

141:名無しさん@ピンキー
08/10/24 02:17:44 DWqagPHx
俺的には、人望と乳房は言葉の響きは似ているものの、タバサのようなバストに恵まれていない人間でも人望に恵まれている例もあることから
実は関係ないんじゃないかと結論付ける他無いんだが

142:名無しさん@ピンキー
08/10/24 02:19:17 3vHI5ntz
>>139-140
そうだね、スマンかった。
あとルイズが人間的に成長してそれなり人望も得たのに
胸が成長してないってことは正の相関関係はないと思うな。

143:名無しさん@ピンキー
08/10/24 03:06:19 +NnJW+6L
へんたいさんいつもGJ!!!!!

144:名無しさん@ピンキー
08/10/24 05:51:06 26fpJ75y
胸と人望の関係? HAHAHA ルイズとタバサはお子様体型だからいいn(エアハンマー+エクスプロージョン


145:名無しさん@ピンキー
08/10/24 07:06:54 T+nPPLiT
よくよく考えたらサイトよりアン様のほうがクジの景品向きじゃね?
つうかヒロイン全員拉致って景品にして貴族の慰みも(ry

146:名無しさん@ピンキー
08/10/24 07:37:10 wUYvpuPf
ヒロイン全員拉致って、全裸に剥いて地下オークションに出したいね
誰が一番高値をつけるかな?HAHAHA!

147:名無しさん@ピンキー
08/10/24 15:00:40 /MFGyhhI
>>145-146
君たち、その妄想をぜひSSに

148:ぎふと ◆wp2/NZ6lZg
08/10/24 17:35:20 p7pkDBs8
毎度遅ればせながら、サイトxルイズ+メイドの続きです。
……あと3年も書けば、すらすら書けるようになりますかね?
では早速。

149:ぎふと ◆wp2/NZ6lZg
08/10/24 17:36:43 p7pkDBs8

 才人が、風呂から戻ってみると……。
 ルイズは、書き物机を前にして、寝息をたてていた。
 腕を前に投げ出して、頬を机にくっつけて、すやすやと気持ちよさげに眠っている。
「……ルイズ、風呂いいのか?」
 揺さぶり起こそうと手を伸ばしかけた、その時。
 才人は机の上に、革表紙の本のようなものを見つけた。
 それはルイズの日記帳だった。
 なるほど、風呂に入っている間、ルイズはこれを書いていたんだな。
 才人は納得して頷く。
 きっと書いているうちに、昼間の疲れが出てしまったのだろう。
 そうとわかると、無理に起こすのも忍びなくなって、才人は手近な椅子を引っ張り寄せると、しばらくルイズ鑑賞を楽しむことに決めた。
「こうして眠っているところは、ほんと可愛いんだよな……」
 机に片ひじをつきながら、うっとりとルイズの寝顔を見つめる。
 人形のように整った顔立ち。柔らかでいい香りのする桃色の髪。
 その髪の合間からのぞく透き通るような首筋。どれもが才人の描く理想そのままだ。
 そんなルイズを眺めていると……、懐かしい過去の記憶が思い出された。
 ギーシュと初めて揉めた時の記憶だ。
 大怪我の末に、才人が長い眠りから目を覚ましてみると、今とそっくり同じ姿で眠るルイズがいた。
 その神がかったような愛らしさと、そして思いがけなく知ったルイズの献身的な優しさに、当時の才人はぐっとほだされたのだった。
 もしかして、と才人は疑問に思った。
 その頃から、もうルイズに惚れてたのかな?
 どうなんだろう? 首をひねったが、よくわからない。
 とっくに出会い頭の一目惚れだったような気もするし、ずっと先のことのような気もする。
 結局……、悩むのを諦めた。
 だいたいが、才人は深く考えるのが得意ではない。
 ただ一つわかるのは、目の前にいる少女を、何がなんでも守ってやりたいということだ。
 好きかどうかなんて、実のところは口にするほどわかっちゃいない。
 だけど……、守りたいという気持ちならば、自信がある。
 理屈じゃない。守りたい。ただそれだけだ。
 
 
 いつしか才人の中に温かい気持ちが生まれて、それが大きくなった。
 才人はそっとルイズの頬に手を伸ばし、指で触れた。
 すると、ルイズはいやいやをするように、頭を振る。
 淡く色づいた、桜色のほっぺ。
 キスを待っているかのような、半開きの唇。
 なんだか赤ん坊みたいだな……、と才人は苦笑し、そして思った。
 赤ん坊はミルクの香りがすると言うけれど、じゃあルイズの場合はなんだろう?
 しばし考えて……、はたと思いついた。
「いちごみるく?」
 あの甘酸っぱくて、とろりコクのある、淡桃色のキャンディ。
 それだ! と才人は心の中で叫んだ。
 少し酸っぱいけど、よく味わえば飛び抜けて甘い。うん、まるでルイズだ!
 その時。とんでもない考えが才人の頭にすべりこんだ。
 待てよ、舐めたら本当に“いちごみるく”の味がするんじゃないか?
 あの甘酸っぱい味がするんじゃないか?
 いや、常識的に考えれば、人間がキャンディの味なんてするわけがない。
 つまり……、『味』というより『味わい』だ。
 そっと口に含むだけで、甘くとろける小粒のキャンディ。ほんのり紅い苺色。
 酸味がだんだんと甘みに変わって、ほろりと蕩けてカタチが崩れて……。
 ああやっぱり“いちごみるく”味だ! 間違いない。


150:我が家はメイドお断り ◆wp2/NZ6lZg
08/10/24 17:37:51 p7pkDBs8

 今すぐそれを確かめなくてはと、衝動に駆られて、ガタン! 才人は立ち上がった。
 息を弾ませながら、背後からルイズに忍び寄る。
 抱きしめるように両腕をルイズの体に回すと、もどかしげに下へと探りをいれていった。
 ルイズの手触りは、とても柔らかで温かい。まるで生まれたての雛のよう。
 髪から漂う香りはストロベリーではなく、甘ったるいフローラル。
 着ているメイド服の丈はとても短いので、才人はしごく簡単に、するりとルイズの足の合間に手をすべりこませることに成功した。
 触れた場所の温かく湿った感触に、ゴクリ唾を飲む。いよいよ最後の砦の一枚布を突破しようと、才人が指を動かしたその時。
 ルイズの寝息がぴたりと止まった。
 ハっと反射的に後ろに飛びすさり、才人は胸の高さに両手を上げた。
 
 
「や、やあ。おはよう、ルイズ」
「おはようじゃないわよ……。何してるのよ」
 目をこすりながら、ルイズは聞いた。
「いやナニというか。ちょっとした勢いっていうか。……ほらつまりね、俺も健全な男ですから、ね?」
「へ?」
 いかにもな微妙な言い回しに、察したルイズの頬がみるみる染まる。
「だだ、だったら起こせばいいのに……。なにも寝込みを襲うことないじゃない」
「だってさお前、そういう気分じゃなさそうだったし。何だか難しい考えごとでもしてるような顔してたしさ」
 んー、とルイズは腕を組み、首を傾げた。
「……少しね、頭を冷やしたかったのよ」
「ガリアのことか?」
 尋ねると、ルイズは深く頷いた。
 才人はルイズの正面に座りながら、参ったなという顔をした。
「そりゃさ、悪いとは思ってるよ。お前に相談もせずに断ったりして」
「わかってるんじゃない」
「だけどな、今度のガリア行きは、別に俺が行く必要はなかったんだよ。現地まではオストラント号だし、コルベール先生やキュルケ、タバサにテファだっているんだから」
「でも、姫さまは、あんたが必要だって言ってたわ」
「念には念をってやつだろ。それより」
 才人は声に力をこめた。
「危険なのは、むしろお前の方だぜ。姫さまが留守の間、どうしたって国内の治安は手薄になる。その隙をついて、またお前を狙う人間が現れるかもしれないんだ」
 才人の意見はもっともだった。
 たび重なる戦闘のせいで、『虚無』の存在は、多くの人間の知るところとなってしまった。
 そんな強大な力が、何事もなく放っておかれるはずもない。私利私欲のために力を欲する人間は、この世にごまんといるのである。
 才人は悔しそうに拳を握りしめ、そして力強く断言した。
「けどなルイズ。俺がいる限り、お前に手を出させたりはしない。絶対に守る。安心しろ」
 こんな時の才人は、とても頼もしく見えて、ルイズは舞い上がる心地を覚えた。
 どうしようもなく胸が高鳴って、顔が熱くなる。
 でも、そんな態度を見せるのは照れくさいので、ことさらに素っ気ない口調で、
「だ、だったら、なんでガリアに行くことにしたのよ。それじゃ私を守れないじゃない」
「行けっつったのはお前だろ?」
「知るもんですか。私が言ったからって、はいはいってすぐ聞いちゃうわけ?」
「姫さまが言ってただろ。ガリアに行けば、エルフ族の偉い人と直接話せるかもしれないんだよ。地球に帰る方法が、ヒントだけでも、わかるかもしれない」
 それから才人は、ルイズの両肩に手をおくと、目をまっすぐに見つめながら、
「なあ、ルイズ。俺たちもさ、いつまでも“ごっこ”って訳にはいかないだろ? 世間体だってあるし、それにお前の家族だって……、なんだかんだで最後は許してくれたけど、やっぱりお前のことを心配してると思う」
 ルイズは目を大きく見開いた。
「だからさ、一日でも早く地球に帰る方法を見つけて、ちゃんとお前を俺の両親に会わせて、けじめをつけておきたいんだよ」
「……うん」
「もちろんお前のことも心配だよ。だから俺が留守の間は、ヴァリエールの実家にでも行ってろ。あのカリンとかいう恐い母ちゃんがついてれば安心だし、それに親孝行にだってなるしな。な、そうしろ」
「……うん」
 

151:我が家はメイドお断り ◆wp2/NZ6lZg
08/10/24 17:38:58 p7pkDBs8
 
 才人の言葉を聞きながら、段々とルイズは頷くしかできなくなってしまった。
 ルイズが思っている以上に、才人はルイズの考えを理解してくれているらしい。ルイズの気持ちを尊重しながら、物事を考えてくれているらしい。それがわかったからだ。
 一方でルイズは思った。
 そんな才人に、自分は釣りあうだけのものを返せているだろうか……、と。
 自分がどれだけ、才人のことを大切に思っているか……。
 そのことを、ルイズはまだはっきりと、才人に言葉で伝えてはいない。
 今回のガリア行きだって本音では、才人に行って欲しくはないのだ。
 ようやく苦労して二人きりになれたのに。
 それなのに一ヶ月も離ればなれなんて、とても耐えられそうにない。
 ましてや、あの二人が一緒とあっては。
 アンリエッタ。そしてシエスタ。
 過去に才人と、一方ならぬ経緯のあった二人である。
 それだけじゃない。タバサやティファニアも同行するという。
 才人を信じていないわけじゃない。でも……。
 ああ、そうじゃない。ルイズは必死に首を振った。
 違う。ヤキモチを妬きたいわけじゃない。
 いかに自分が才人を好きか、まずそれを伝えなければ……。
 ルイズはそのことを、ギーシュ達が帰った後で、ずっと考え続けていたのだった。
 告げるとしたら、今というタイミングをおいて他にない。
 
 
「……ルイズ?」
 黙りこんだルイズを、才人が心配そうに見た。
 ルイズは勇気を振り絞って、口を開いた。
「あ、あのね、サイト」
「ん、どした」
 ルイズは言いづらそうに、もごもごと言葉を紡いだ。
「あのね、サイト。私ね、ほ、本当はその……」
 ようやくそこまで言って、ルイズは急に言葉を飲みこんだ。
 気づいたからだ。
 “本当はサイトにそばにいてもらいたい。”
 もしそう言ってしまえば、
 今度こそ才人はガリア行きを止めてしまうかもしれない。
 しかしそれは、自分の求める結果とは違う。
 どうしていいかわからず、ルイズは唇を噛んで下を向いてしまった。
「なんだよ。言いたいことがあるなら言えよ。明後日にはいなくなっちゃうんだぞ?」
 けれども、ルイズは続く言葉を見つけられず、黙りこくるばかり。
 しばらくの沈黙の後で、才人はゆっくりと俯いているルイズの頬に手を伸ばすと、そのまま顔を近づけてきた。唇が重なる。
 同時に、ルイズの中に才人の“記憶”が流れ込んでくる……。
 最近は才人も注意を払っているのか、ルイズが怒りを感じるような場面は、ほとんどなくなっていた。
 今流れこんで来ているのは、今日の夕方、ルイズが才人を出迎えたシーンだ。
 妄想の中の才人は、メイド姿のルイズに対して、実際にあったことよりも、さらに先を求めてくる。
 え、え、え、ちょっと! やだみんな見てるじゃない!
 才人から本物のキスを受けながら、一方で、頭の中で繰り広げられているイメージに、ルイズの体がかっと熱くなった。ぷるぷると震える。
 や、ちょっと、そんなコト、やめ、無理、イヤって、言ってる、のにっ! やだぁ!
 びくびくんと跳ねて、ルイズは才人を突き飛ばし、その唇から逃れた。
 ぜえぜえと真っ赤な顔で息を荒げている、そんなルイズを見ながら、
「ってお前、今度は何見たんだよ」
 才人は呆れたように言う。するとルイズは真っ赤な顔でう~と唸り、ぽかぽかと才人の胸を殴り始める。


152:我が家はメイドお断り ◆wp2/NZ6lZg
08/10/24 17:39:59 p7pkDBs8

 ああああんたが悪いのよ! あんたがあんなあんな……。
 それから、ルイズはハっと気がついた。
 そうだ、その手があったじゃない!
 自分が、才人の記憶を見せてもらったのと同様に、自分の記憶を才人に見せればいい。
 実に簡単なことだ。
 それなら言葉よりずっと、正確に自分の気持ちを伝えることができる。
 そうだ、そうしよう!
 
 
「サイト、これガリアに持っていって!」
 ルイズは机の上からあるものを取り上げて、それを才人の胸にぐっと押しつけた。
 才人は驚きの声をあげた。
「ってこれ、お前の日記帳じゃねえか!」
「どうせ向こうにいる間、暇なんでしょ。時間つぶしぐらいにはなるわ」
 そこには、ルイズが才人と過ごした日々の中で、何をどんなふうに感じたのか、そのことが赤裸々に書き綴られている。
 その内容は……、どちらかと言えば、才人に対する愚痴がほとんどだ。
 アンリエッタやシエスタ、他の女の子たち関係のモロモロも含まれている。
 それでも、ルイズの本心が書かれていることには違いなかった。
「なあ、本当にこれ、俺が読んでかまわないのか?」
 目の前で、才人が日記帳の表紙をめくろうとしたので、ルイズは悲鳴を上げた。
「まままだダメ! 出発してからにして!」
 もし目の前で読まれでもしたら堪らない。決心が揺らぎかねない。
「わかったわかった。じゃあ向こうで大事に読ませてもらうからさ。あれだな。帰ってきたら、きっと俺、ものすごいルイズ通になってるな」
 才人は嬉しそうな声で、ルイズの頭をぐりぐりやると、日記帳を机の上に戻して、
「さてと。じゃあ続きしようぜ」
「続き?」
「そそ、続き。……はい、立って。起立~」
「え?」
 わけもわからず、ルイズは立ち上がった。
「そのまま回れ右して、……はい、礼っ!」
「え? え? え?」
 ルイズは才人に言われるがままに、才人に背中を向け、そして椅子に向かってぺこりとお辞儀をする。
「なによこれ、いったい何の真似よ」
「じゃ。いい子だから。ここに手をついて下さいね~」
 才人は鼻歌でも歌うようにそう言って、ルイズの両手をぺたりと椅子につかせた。
 それから、背中で蝶々結びになっているエプロンドレスのリボンをするり解いて、それでルイズの両手首を縛りあげる。
 さらに余ったリボンの端っこを、手際よく椅子の脚にくくりつけた。
「なな、何よこれっ!」
 ここに至って、ルイズはようやく自分の置かれた状況を理解した。
 客観的視点からみるに、どうやら自分は腰を上に突き出したひどく恥ずかしい格好をしていて……、
 ずるり。
 才人の手によってメイド服の裾が、一気に胸の辺りまでめくれ上げられた。
 露わになった腰から胸にかけての素肌を、空気がひんやりと撫で上げる。
「やぁあああああああああ!」
 ルイズは叫び声を上げて、椅子を抱きかかえるように、しゃがみ込んでしまった。
「ばか、ばかばかばかっ! いきなりなんて格好させるのよぅ!」
 涙声でルイズは訴える。
 しかし才人はけろりとしたものだ。
「こらメイド。ご主人様にその口の利き方はないでしょ」
 なぜならこれはプレイの一種。
 決して恋人をイジめているわけではないのだからして。


153:我が家はメイドお断り ◆wp2/NZ6lZg
08/10/24 17:40:58 p7pkDBs8

「さ、立って。ご主人様にちゃんとご奉仕しなさい」
「いやっ、いやったら絶対にいや!」
「い~や~じゃないの。ほら、立って。はい、いい子いい子」
「ううううう゛~~~」
 腰に手を添えてを持ち上げようとするが、ルイズは頑なに抵抗する。
 仕方なく才人は、ルイズに言い聞かせた。
「なあ、ルイズ。ガリアに出発したらさ、俺、毎晩ひとりぼっちでさみし~くなるんだぞ。今ぐらい好きなコトさせてもらっても、バチはあたらないと思うんだよな」
「で、でもっ」
「毎晩、お前のこと思い出すからさ。あのメイド姿、可愛かったな~って。な?」
 優しく頭を撫でてやりながらそう言うと、
「ばかぁ、もうサイトなんて嫌いなんだから……」
 ルイズは頬をふくらませながら、ぐすぐすと力なく、すねたように呟く。
「お風呂ぉ……、明かりぃ……」
「風呂はあと。明かりこのまま」
 しれっと言った後で、それから才人は、あ、と思いついた。
「そうだ。お前の日記さ。ずいぶん詳しく書いてるみたいだけど」
「それがどうかしたの?」
「やっぱり……、こういうのも書いちゃってるわけ?」
「こういうの?」
「うん。こんなの。『今日はメイドの曜日です。私もメイドの日は大好きです。だってメイド姿の私ってばすっごく可愛いんだもの♪ サイトもご主人様役をはりきってくれました。いつもより激しく愛してくれたので私も大満足、キャっ! また来週もこんなだといいな。まる』」
「なななな、なわけないでしょ! バカ~~~~~~!」
「や、やっぱり?」
 才人は、いやあ残念だ、とかなんとか言いながら、真っ赤な顔でわめき叫ぶルイズを抱きしめて、あやすように優しく揺すった。すっかり手馴れた扱いである。
 ついでに耳だの首筋だのに舌を遊ばせていると……、風船がしぼむように、みるみるルイズの声が小さくなって、そして、
「……あんまり、恥ずかしいのはやめてね?」
 とか言いながら、おずおずと自分から膝立ちを始めた。
 恥ずかしそうに突き出された白い二つのふくらみ。それを僅かに覆う薄い布きれ。
「あ、あんまり見ちゃ……、やだ」
 テンションが急上昇を始める。
「こら台詞。今日はメイドじゃなかったっけ」
「……あ、あんまり見ないで下さいまし。ご主人様、どうかお情けを……」
 照れと屈辱で、ルイズの声と体がぴりぴりと震える。
 刹那、才人の体を熱いものが走り抜けた。もう待ったなし!お預けも無理!
「めめめメイドさん最高! いちごみるく最高! ルイズ最高!」
 イきます! その布に指をかけて、一気に引きおろそうとした。
「あ、サイト……だめ」
 覚悟を決めてルイズが目をつむる。その時、ノックの音とともに、誰かが入ってきた。
「お飲み物をお持ちいたしましたぁ」
 すたすたと歩み寄りながら、その人物は明るい声で言った。
 
+ + + 


154:ぎふと ◆wp2/NZ6lZg
08/10/24 17:42:12 p7pkDBs8
ふう…。シエスタ(偽)滑り込みセーフ。危なかった。
次回が最終話となります。真シエスタも登場します
エロが薄い分せめて良い結末にしたい……。ぼちぼちと頑張ります。

#文字密度。少しでも改善されてると良いんですが…

155:名無しさん@ピンキー
08/10/24 17:51:35 WOZsXVIv
>>141
どこぞの女性漫画家がエッセイで書いていたんだけど
思春期を悩み多く過ごしたりする人は、胸が小さいとか言ってたな
その人の母親は胸がでかく性格は楽天家でいい加減
漫画化本人はどうでもいいことで悩む性格で胸は小さいらしい
これを作中の人物当てはめると
ルイズ 魔法が使えず捻くれ悩みまくりの上に、
陰口と悪口を言われたと思われ 
まあ親にはと姉には大切にされてたらしいが本人は気が付かず
タバサ 父親を殺され、母は廃人、命がけの任務で苦労しまくり
モンモン 家が貴族としては貧乏なので苦労してるみたいだが
テファ 妾の子とはいえ、両親に愛されたらしい
キュルケ 親は我侭邦題を許容しているから愛されてるっぽい
なんか作中人物の精神衛生上の環境の良さ=胸の大きさが
そのまま現れてるっぽいなwww

156:名無しさん@ピンキー
08/10/24 17:53:22 WOZsXVIv
>>154
おお、続きGJ!です

157:名無しさん@ピンキー
08/10/24 18:01:36 YfI3KkvQ
相変わらずのチャイチャっぷりでした!!GJ!!

158:名無しさん@ピンキー
08/10/24 20:45:02 p7pkDBs8
流れてるので念のため。
>>83の投票は今日〆だそうですよ。

159:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
08/10/25 00:07:16 gJbOP1S/
ノックの後返事がなかったら一度ドアの外から声を掛けるのが礼儀じゃぜwww


そんでもって、投票終了しました。結果↓
URLリンク(zerokan.digital-ark.com)
アン様つええな。やっぱみんなのひめさまだ。

そんなわけでロイヤルビッチで一本書いてきますノシ

160:名無しさん@ピンキー
08/10/25 00:41:08 dVVt7oSi
やっぱりみんなアン様分が足りなかったんだなw

161:名無しさん@ピンキー
08/10/25 01:11:12 zY6ZauxT
全裸だと夜は肌寒いぜ…ネクタイでも締めてしのぐとするか

162:名無しさん@ピンキー
08/10/25 02:03:47 0AT6bj5S
靴下も忘れるな

163:名無しさん@ピンキー
08/10/25 02:04:23 jIUhVxeo
秋だなぁ

164:名無しさん@ピンキー
08/10/25 03:26:36 vIW7lRbv
>>161
こいつを貸してやるよ


つシルクハット

165:名無しさん@ピンキー
08/10/25 07:16:05 vQ6jJSzk
これも貸そうか?

つ白手袋


166:名無しさん@ピンキー
08/10/25 08:27:39 +EsS0N1/
イザベラやタバサになら張り切って仕えたいが、
わたあめだと素直に命令聞きたくない不思議


167:名無しさん@ピンキー
08/10/25 08:38:23 6w89DtKB
俺はアン様の言うことしか聞きたくないね

168:名無しさん@ピンキー
08/10/25 10:05:31 Za9pIiLB
なんでだろうなロイヤルビッチだとなぜかものすごく世間的にも+のイメージな感じに聞こえる

169:名無しさん@ピンキー
08/10/25 12:32:52 QpidzsjU
>>166
逆だ。
わたあめには「素直に命令聞かせる」だろう。

170:名無しさん@ピンキー
08/10/25 14:17:50 +EsS0N1/
>>169
そ れ だ !
どうも傾国の姫ってイメージになってやらしい

171:名無しさん@ピンキー
08/10/25 18:47:49 Za9pIiLB
首輪つけて犬座りさせた状態で目の前にご飯(チキンとかフライドポテトのような物)をちらつかせて
口だけで食べてごらんって言って必死に頭を突き出して食べようとしてる目の前でそのご飯を食べてやりたい


172:名無しさん@ピンキー
08/10/25 18:50:48 FS+ZvLQG
流石にキモくなってきた

173:名無しさん@ピンキー
08/10/25 18:56:41 EFfcn6bR
いいや、まだまだいくぜ!

174:名無しさん@ピンキー
08/10/25 19:27:57 6w89DtKB
じゃあとりあえず縛ってひざまずかせたあと
希望者つのれるだけつのって、アン様の周囲を取り巻かせて
白濁シャワーの中で泣き出すまでぶっかけさせ続けたい

175:名無しさん@ピンキー
08/10/25 19:29:39 EFfcn6bR
その後、大型犬に犯させたい

176:名無しさん@ピンキー
08/10/25 21:02:29 10vH2C4e
普通に姫様との濃密に交わりたいわ
ボルボ氏のアン様のように

177:名無しさん@ピンキー
08/10/25 21:10:03 1RSOZRtZ
一瞬、「ボルボ氏と濃密に交わりたい」に見えた(;´Д`)

178:名無しさん@ピンキー
08/10/25 23:39:40 AagFatWb
ボルボ氏は二十代後半の巨乳美女キャリアウーマンだよ?
女だてらに競争社会の最前線で戦いつつも、多くの部下を抱える責任の
重さと仕事に対するプレッシャーから、夜遅くマンションに帰り着く頃には
心身ともにくたくたの彼女。
シャワーを浴びたのち、濡れた前髪を撫で付けながらバスローブ姿でPCを
起ち上げた彼女は、どこか境遇の似たアンリエッタと自分とを重ね合わせ、
おのが筆致の赴くまま激しく艶やかに乱れさせることで、熟れた肢体の
内側に抑圧された自己を解放しているのです。

179:名無しさん@ピンキー
08/10/26 09:32:45 AZh2k+xm
>178
方向性は同じさ、『ただ、幸せに生きていた少女』『力の限り生きてきた、キャリアウーマン』
それが、ぶち壊されて、人生を・人としての生を・崩されるんだ、ツボだよホント。
もっと増えないかなぁ、鬼畜モノ(アン様の)。

180:名無しさん@ピンキー
08/10/26 12:24:30 GaIXv7Th
アン様にかぎらず鬼畜モノはもっと読みたい

181:名無しさん@ピンキー
08/10/26 12:43:41 zEDO+zzQ
いや、鬼畜物じゃなくて
ラブエロ超濃厚セクロスがいいだろ

ローション代わりに蜂蜜使うわ、じっくりゆっくり突くこと1時間以上
その後は密着セクロスでフィニッシュ

こんなアン様物が読みたい

えぇ、こういうセクロスがしたいんですorz

182:名無しさん@ピンキー
08/10/26 12:47:40 FuOYG/T1
アン様とポリネシアンセックスしたい

183:名無しさん@ピンキー
08/10/26 14:06:32 Bo2252vA
ポリネシア人のセックスってそんなに凄いの?

184:名無しさん@ピンキー
08/10/26 14:59:08 Qgkcpvwk
ハルケギニアのエッチはシンプルなのかもね。

剥く → 入れる → 出す → 引き抜く → おしまい

みたいに。 

185:名無しさん@ピンキー
08/10/26 15:35:03 mecjVFAi
凄い量の単発だ
どっかでヲチされてんのか?

186:名無しさん@ピンキー
08/10/26 17:01:16 e8fPi0Js
遅ればせながら、アン様おめでとう! さすがロイヤルビッチ様は強いなぁ
どの書き手さんのアン様も、それぞれに味わいがあっていい
ぜひ濃厚なのをお願いします。(>>184じゃ10行で終わってしまうよ)



…あと投票祭りムードの邪魔をして悪かったです(←KY認定!
外泊前のドタバタで投下したんだけど、バチがあたったのか酷い風邪で帰ってきてしまったよ…orz

187:名無しさん@ピンキー
08/10/26 17:27:30 0raAE6Fx
キリスト教でしたっけ、生殖以外の目的での性行為を否定しているのは。
ハルケギニアは中世っぽいから快楽を得る手段としての性行為はそれほど発達していない―あからさまに言えばプレイの幅が狭いとか。

……現代日本の思春期のオタク少年平賀才人、その妄想力を持ってハルケギニアに革命を起こせるか。

188:名無しさん@ピンキー
08/10/26 17:52:43 GaIXv7Th
マジレスするとゼロ魔のモデルとなった17世紀は近世。
浣腸器をつかった浣腸プレイ・アナルセックスはじめ変態行為はそれなりに発展しており、図も残されてる。
ただし19世紀になってさえ、変態行為で逮捕されたサドなどの例もあり、大っぴらにやるとまずかった。

189:名無しさん@ピンキー
08/10/26 17:57:58 FuOYG/T1
ポリネシアンセックスとは
URLリンク(ja.wikipedia.org)

190:名無しさん@ピンキー
08/10/26 18:00:48 RevDEp+R
>>187
初めて訪れた娼館での行為が>>184だったのでカルチャーショックを受ける才人とか?
で、性行為に快楽を求めることを広める運動を始め、少子化に悩むトリステインに貢献する、と

191:名無しさん@ピンキー
08/10/26 18:04:05 Lhqp7zIG
>>189
すごいな前戯に4日以上かけるのか今度試してみよう

192:名無しさん@ピンキー
08/10/27 01:07:44 Lnt3PFY6
>>189
じゃあ俺も試してみるかアン様に

193:名無しさん@ピンキー
08/10/27 01:52:13 1+FnyRC+
アン様の♀おち○ちんなら四日間弄り回せる自信が有る

194:名無しさん@ピンキー
08/10/27 01:57:01 QAAqysAR
俺も姫様のお乳なら1週間舐めまわせる自信がある

195:名無しさん@ピンキー
08/10/27 02:27:40 QUC7oDam
弄る(一週間) → 入れる(1分) → 出す(1秒) → 引き抜く(10秒) → おしまい

196:名無しさん@ピンキー
08/10/27 02:30:54 8afcckFq
>>195
変態の鬼乙

197:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
08/10/27 03:46:02 vXfFl3K2
はい、それじゃあアン様投下いきますよ。
でも終わってないのね。
ていうか7日間ぶん書く予定なので全キャラは無理だってばさ!

というわけで一日目いきます。途中で終わってるけど堪忍な!

198:ぼくらの7日間戦争~一日目 ◆mQKcT9WQPM
08/10/27 03:46:51 vXfFl3K2
「ええと…確かに、王宮からの紹介状ですね。
 ミス…」
「シュトリ。アン・シュトリですわ」

受付の騎士に招待状を手渡し、アンリエッタの変装した街娘『アン』はにっこりと笑う。
もちろん、名乗ったその名は偽名。秘密を暴き、望みの異性を愛し合わせることのできる力を持った伝承の中の精霊の名前。
名乗る名前などどうでもよかったが、どうしても才人との一週間を手に入れたいアンリエッタは、その名にあやかることにしたのだった。
騎士は招待状の入った書簡を開き、招待状の押印を確認する。そこには確かに、アンリエッタ女王のサインと、王家の押印がされていた。

「はい、確かに。では、箱の中から一つ、クジを引いてください」

言って騎士は箱を指す。
箱はだいたい大人の男が両の腕で抱えられる程度。その天辺に、大人の頭がすっぽり入りそうな丸い穴が開いている。ここから腕を差し入れ、クジを引くのである。
ちなみに、アンリエッタに先行してタバサとルイズがクジを引いた。

「何よ、『解体・始祖の祈祷書』って!!今更使い方解説してんじゃないわよっ!」

ルイズの引き当てたのは三等の景品。王家に伝わる、始祖の祈祷書の取扱説明書のようなもの。
つい先日、王家の書庫で五代前の王が街娘に宛てたこっぱずかしい詩が満載の恋文がページに挟まれた状態で、切り取られた百科事典のページの間に挟まれているのが発見された。
歴史学的にはものすごく貴重で、なおかつ虚無の担い手にとってはなくてはならない本のはずだが、ルイズにとっては便所紙にもならない虫食いの紙の束である。
そしてタバサはといえば。

「…。………。」

無言で、中庭の隅に四等の景品である『破壊の杖』を埋めている。
そんなライバルたちを尻目に、アンは優雅にクジの箱に手を差し入れる。
そして。

あった…!

そう。それこそは彼女が確実に才人を手に入れるために仕込んだ罠。
才人のクジに仕込んだ、砂鉄まじりのインク。
それが、彼女の嵌めた磁力を持った指輪に、吸い寄せられ、白魚のような指に張り付いた。
もし、先にこれを引かれたら。
そんな懸念もないではなかった。
しかし、もしこの数のクジの中から、才人を引き当てる運が彼女たちにあったのなら、諦めてもいい、そう思っていた。
だがそうはならなかった。
彼女達は、負けたのだ。
王との戦いに。
そして、遠慮して彼女より先にクジをひかなかった二人は、そもそも戦いにすらなっていない。

いかな手段を用いても、勝利を手にするのが王の道。悪く思わないで下さいね、シエスタさん。ティファニア。

心の中だけで二人に謝り、アンはクジを穴から取り出す。

「これでお願いしますわ」

三角に折られ、中身の見えないクジを、アンは騎士に手渡す。
騎士はそれを開け、そして、中身を告げる。

「一等です!おめでとうございます!」

騎士の声に、周囲から同情半分の拍手があがる。

199:ぼくらの7日間戦争~一日目 ◆mQKcT9WQPM
08/10/27 03:48:09 vXfFl3K2
そして、件の四人は。

「ちょ、待ちなさいよ!なんでそんな都合よく!」
「…やられた…!」
「こ、こんなことなら遠慮なんかするんじゃなかったぁ…!」
「…あとで混ぜてもらお…」

ルイズはアンに掴みかかろうとして事情を承知して中庭で警護に当っていたアニエスに取り押さえられ、タバサは勝負だから仕方ない、と諦め、シエスタは次の策を練り始め、ティファニアは才人へのおねだりの台詞を考え始めた。
四人四色の反応が交錯する中、アンはまるで本意でない、と言わんばかの表情でクジを眺める。
そして、中庭から引きずり出されたルイズを除いた、その表情をいぶかしむ三人の前で、言ってのけた。

「私、ただの街娘ですから。シュヴァリエをお借りするなんてできませんわ。
 つきましては、この景品は王家に返上したく思います」

言って、目の前に立つ係りの騎士にクジを突き返す。
その言葉に最初に合点がいったのはタバサ。

「…し、しまった…!」

気づいた時には遅かった。
バルコニーの女王は、階下よりのその報を聞くと、少し考える素振りを見せた後、宣言する。

「では、シュヴァリエ・サイトには、一週間私の傍仕えを命じます。
 これから一週間、公私共に仕えて頂きます。よろしいですね、シュヴァリエ・サイト」

その発言に、周囲の貴族たちからやっぱりか、という声が上がる。
当然と言えば当然なのだが、貴族たちの中で才人とアンリエッタのただならぬ関係を知らぬ者はほとんどいない。
事あるごとに才人の所属する水精霊騎士団には王家がらみの任務が任されたし、さらにその後、才人に直接労をねぎらうアンリエッタの姿を、たくさんの貴族が目撃している。
七万の大軍を止めた若き英雄に、若い女王が熱を上げるのも当然だろう、そう思っている者が大半だった。
そして、この女王の言葉で、二人の関係はさらに進展することになった。
今までは噂や憶測に過ぎなかった女王と英雄の関係は、この発言で白日の下に晒されたのだ。
いかに上納の代わりの役とはいえ、平民出の一介の貴族に、女王の近衛をたった一週間とはいえ任せるなどありえない。
それをアンリエッタ女王はさらりと命じた。
つまり、彼女は公式の場で『シュヴァリエ・サイトは女王と公私を共にするに値する男性』と発言したに他ならない。
今までは一介の騎士だった才人が、これにより『女王の番となる英雄』となったのである。


そして。
才人はその夜から、アンリエッタの公私を守る近衛として、王城に寝泊りする事になったのである。

200:ぼくらの7日間戦争~一日目 ◆mQKcT9WQPM
08/10/27 03:49:26 vXfFl3K2
最初の日。
王城に泊まった最初の夜は何もなく過ぎた。
てっきり喜び勇んで寝室に夜這いをかけてくるだろうと予想された女王はしかし、結局やってこなかった。
才人は、あてがわれた女王の部屋の隣の小さな部屋でメイドの運んできた朝食を平らげ、言われたとおり正装として渡された白い礼服に着替え、仕事の説明をするといっていたアニエスを待つ。
待つ退屈さに才人が大あくびをした瞬間。
ノックもせずにアニエスが入ってきた。

「…なんだその緊張感のない顔は」
「…ノックくらいしてくださいよ…」

才人の突っ込みにしかし、アニエスは呆れたように言う。

「何を暢気に言っている。一週間だけとはいえ、お前は今日から女王の近衛だ。
 公私ともに女王に仕える身、気を抜く事など赦されぬと思え」

言ってアニエスは扉の陰から台車に乗った一着の甲冑を部屋に入れる。
その甲冑は薄い鉄板でできており、腹部から胸だけを覆うデザイン。
それに、肩当と、同じ材質であろう篭手が左手のぶんだけ、付く。
白を基調として、各所に金の縁取りがある。
白い礼服の才人がこれを着れば、立派な近衛騎士のできあがりというわけだ。
同じ台車の上には、同じような色遣いの、赤い鞘に収められた細身の片手剣が置かれていた。

「これを着て、着いて来い。早速仕事だ」

才人は言われるがまま、甲冑を着こんで、剣を腰に提げ、アニエスに続く。
王宮の廊下を進んでいくと、すぐに謁見の間についた。
朝早い謁見の間は、掃除をする下働き以外は姿はない。
そしてアニエスは言った。

「まずは、謁見の間に異常がないかチェックしろ。傍仕えの大事な任務の一つだ」

常に権謀術数の中にいる王のために、夜の間に、謁見の間に何か仕掛けられていないか、チェックする必要がある。
才人は言われるまま、謁見の間を隅から隅へ見て回る。
そう広くはない謁見の間なので、意外とすぐにチェックは終わる。
その間に、下働きたちの掃除も終わり、謁見の間に残ったのはアニエスと才人だけ。

「終わりましたー」
「異常はなかったようだな。女王陛下がここに見える前に必ずこれはやっておけ。
 明日からは一人で起きて、ちゃんとやるんだぞ」

まるで弟に対するような口調でアニエスは言う。
そしてそれを見計らったかのように、女王とマザリーニが謁見の間に現れる。

「おはようございます、シュヴァリエ。今日から一週間、よろしくお願いします」
「おはようございます。ひ…じゃない女王陛下。こちらこそヨロシクお願いします」

思わずクセで『ひめさま』と言いそうになり、慌てて言い換える才人。
そんな才人を、まるで婿を品定めする花嫁の父親のような視線で、マザリーニも挨拶をする。

「今日から一週間、陛下の近衛を頼むぞ、シュヴァリエ」
「まかせてください。…でも何すりゃいいんですか?」

当然だが、才人はこれから何をすればいいのかを知らない。
マザリーニは言った。

「女王陛下の脇に控え、万が一の際には陛下を守る盾となるのだ。
 具体的に言うとだな、謁見が終わるまで、玉座の横で立って女王陛下を守るのだ」

つまり、謁見の間のボディガード。
何事もなければただ立っているだけの仕事、ということだ。

201:ぼくらの7日間戦争~一日目 ◆mQKcT9WQPM
08/10/27 03:50:43 vXfFl3K2
なんだ楽な仕事じゃん、と才人はタカをくくっていたが。
アニエスの言葉に、近衛がいかに大変か思い知らされる。

「ちなみに今日は謁見が夕方までひっきりなしだ。
 謁見の間は昼も喰えないし休憩もできんからな。覚悟しておけ」

それを聞いた才人の甲冑が、少し重くなった、気がした。

そして、何事もなく一日が過ぎる。

「疲れた~~!」

最後の謁見の貴族が帰った後、才人はほっと胸を撫で下ろす。
そんな才人に、アンリエッタが労いの声をかける。

「お疲れ様でした、シュヴァリエ。
 これで今日の公務はお終いです。よかったら私の部屋で一緒にお食事でもいかがです?」

マザリーニもそれを聞いていたが、とりあえず何も言わない。不干渉を決め込んでいる。
アンリエッタのその言葉を聞いた途端、才人の腹がぎゅう~っ、と鳴った。
才人は節操のない自分の腹の虫に、女王に頭を下げた。

「あはは。…すいません」
「うふふ。私もお腹がペコペコ。
 マザリーニ郷、二人分の食事を私の部屋へお願いします」

マザリーニは「畏まりました」とそれを受けつけ、謁見の間を出て行く。これから厨房に向かい、その旨を伝えるのだ。
当然、アンリエッタも才人も昼食は抜きである。
二人は女王の部屋で、少し早めのディナーをとることにした。



まあ、上納の義務の代わりだってえならこのしんどいのも仕方ないよな。
なんて考えながら、俺たちは女王陛下の部屋につく。
つったって何回も出入りしているアンの部屋なんだけども。
でも、この部屋はぶっちゃけトリステイン魔法学院の女子寮より質素だ。
簡素な木の丸テーブルが中央にあって、頑丈な木の椅子が二脚、その周りに対面になるように置いてある。
部屋の奥には衣装部屋。女王陛下の服は全部ここに入っている。
そして、他の家具といえば大きめの棚が一つと、鏡台が一つ、大きなベッドが一つ。
本棚やら箪笥やら大きなランプやらのある学院の寮とはえらい違いだ。
なんでも前の戦争で国民が被った損を、王家の私財を投げ打って賄ったらしい。
そのせいでトリステイン王家は下手な貴族よりも金がないらしい。
まあそれでも王様だから、お金を稼ぐなんてことはしなくてもいいんだろうけど。
アンは王冠を脱いで大切そうに鏡台に置いて、机にかける。
その机の上には、ずいぶんと質素な晩御飯。
パンに、野菜のシチューに、薄い肉を焼いたステーキ。申し訳程度のデザートに、剥いた林檎。
…下手すりゃ学院の食堂のランチのが豪華だぞこりゃ。

「さ、サイト様も掛けて」

アンはそう言って俺を促す。
俺は、食事の邪魔になるので、今まで纏っていた甲冑を脱ぐ。

202:ぼくらの7日間戦争~一日目 ◆mQKcT9WQPM
08/10/27 03:51:20 vXfFl3K2
すると。

むわ。

うわなんだコレ。
汗で蒸れてめっちゃ臭う!
俺は、鎧の下で汗を掻いていたことをすっかり忘れていた。
しっかし我ながらくっせー!
俺がそうして自分の汗のにおいに辟易していると。

「どうました?お食事が冷めてしまいますわ」

なんて言うので仕方なく、俺は席に着く。
…でもやっぱ気になるなあ。

「…あのさ、臭わない?」

恐る恐る俺はアンに尋ねる。
アンはこくん、と首を傾げて応える。

「?シチューのいい香りがしますけど?」

…よかった。そんなに臭ってるわけじゃないんだな。
俺はほっと胸を撫で下ろし、食事にありつくことにした。
そして、食事は二人で今日の事を話している内に終わる。

「ごちそうさまでした」

スプーンを置いて、食器を纏めるアン。
女王なのにそんなことすんの?なんて尋ねたら、

「食事を自室で頂いたときは、食器を纏めてドアの前に出すんです。
 そうしておけば、下働きの人も手早く食器を片付けられるでしょう?」

そうか。
下働きの人たちが、こうした晩御飯の食器を下げに来るのは、まだ日の昇らない早朝。
もし今のうちにそうしなければ、寝ているアンが起きて部屋を出るまで、女王の部屋に限っては、その仕事ができない。
なるほどなあ。こんな細かいことまで気を遣ってんのか。いい女王様じゃんか。
なんて俺が感心していると。
いつの間にか俺の隣に来ていたアンが、鼻をすんすん言わせている。
…ま しゃ か 。

「汗臭いですわね、確かに♪」

やっぱ臭ってたかー!
…ん?ちょっとまて?今語尾に音符マークついてなかったか?

「サイト様。ちょっとこっちへ来てくださいな」

言ってアンは俺の手を引く。どうやらベッドに連れて行くつもりらしい。
…やっぱそーか。そーくるか。
まあアンだしロイヤルビッチだししょうがないかあ、などと俺が思っていると。

「はい、脱いで脱いで。ばんざーい」

俺をベッドに腰掛けさせたアンが、目の前でばんざいしてみせる。
よーするに脱がせるから俺にばんざいしろと。

203:ぼくらの7日間戦争~一日目 ◆mQKcT9WQPM
08/10/27 03:52:33 vXfFl3K2
「いや自分で脱げますから」
「はい、ばんざーい、ばんざーいですよ」

反論したけど、アンは俺がいう事を聞くまで諦める気はないらしく、目の前でぽよんぽよん胸を揺らしながらばんざいの動作を続ける。
…正直このぽよんぽよん揺れるのをもうちょっと見てたい気もしたが。

「…ばんざーい」

俺は諦めて両手を上げる。
すると、アンは手馴れた手つきで礼服の前を開け、するりと上着を脱がせてしまう。
もちろん、下に来ていた綿の下着も脱がせてしまう。
俺は上半身すっぽんぽんにされた。
そして、俺が腕を下ろそうとすると。

「はい、そのままばんざいしててくださいねー」

…?なんじゃ?
アンの言うまま、俺は両手を上げたままにする。
すると。
アンは意外な行動に出た。

204:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
08/10/27 03:53:18 vXfFl3K2
はい、今日は以上。
一日目エロパートは後日なんじゃぜ。
んじゃねゆノシ

205:名無しさん@ピンキー
08/10/27 03:56:13 ZhhY9JUe
と言いつつすでに全員分書く気まんまんのへんたいさんGJです

姫様ずるいなぁ

206:名無しさん@ピンキー
08/10/27 03:56:20 lp9M2Qzd
>>204
お休みなさいませ

続きを楽しみにしております

207:名無しさん@ピンキー
08/10/27 05:38:10 ciDMbkok
>204
投下乙です!

アン様ズルいwww
エロパートも期待しております!

実際に書くのは1位のアン様と次点のタバサかな?
7日分×人数分はせんたいさんでもキツそうだ…


208:名無しさん@ピンキー
08/10/27 10:13:03 8x/8VFSh
これが噂のレイニー止めって奴か…!
俺の股間は雨降り直前だぜ

209:名無しさん@ピンキー
08/10/27 18:09:18 oJ97xe8e
王との戦いっつーかカイジに出てくる帝愛の会長じみたロイヤルビッチの策略が見事
続きも期待してまーす

210:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
08/10/27 19:29:59 1tyzbzcA
ついにノートPC買っちまったぜ!
しかし100円でノートが買えるとか時代は変わったのう…。
あ、ちなみに自分の買ったのは9980円のだから!

まあ近況はともかく投下いきます

211:ぼくらの七日間戦争~一日目 ◆mQKcT9WQPM
08/10/27 19:31:46 1tyzbzcA
ぺろ。

「うわひゃっ?」

才人の一番汗で汚れた場所…脇の下を、アンリエッタは舌で舐めたのだ。
少しの塩気と…濃縮された男の味。
才人の汗を味わい、アンリエッタの芯がじん、と疼く。
頬を赤らめ、唇に指を沿え、才人の味を反芻する女王に、才人は突っ込む。

「な、なにやってんすか!」

もちろん、汗を舐めたのである。
まるで恥らう乙女のように上半身を両腕で抱えて捻る才人に、アンリエッタの嗜虐心がうずく。

「駄目ですよサイト様。汗掻いてるんだから、吹かなきゃ♪」

淫靡な笑顔でそう言って、アンリエッタは才人の肌に顔を寄せていく。

「いやちょいまち!ていうか舌で舐めるなって!タオルドコー!?」

ベッドの奥へ後ずさり、逃げる才人。ベッドに這い上がり、才人に覆いかぶさりながら追うアンリエッタ。
いつもとは逆の立場になりつつあることに、才人は本能的に軽い恐怖を覚えていたのである。
命令してこういうことをさせるのならまったく問題ないが、無理やりされるのはどうにも弱い才人だった。

「タオルなぞありませぬ。しいて言うなら、今は私の舌がタオルです」
「何ぞそれ!そんなタオル聞いたことないって!つうかくすぐったいんだってば!」

あくまで抵抗の姿勢を見せる才人に、アンリエッタはむっとする。

「シュヴァリエ。私は公私共に仕えなさいと言った筈。あなたは否定しませんでしたわよね?」
「い、いや確かにそうだけども!」
「なら、この一週間はあなたは私の忠実な下僕ですわ。ですから抵抗は、き・ん・し♪」
「いやまってその理屈おかし…むぐっ」

なおも抵抗を続ける生意気な騎士の唇を、女王は自らのひとさし指と中指で塞ぐ。
そしてそのまま指で才人の口を封じて、言った。

「ちょっとお黙りなさい。それと、噛んだりしたら、承知しませんわよ」

口の中に白魚のような指を突っ込まれ、そのまま頭をベッドに押し付けられる。
才人は、抵抗を諦めることにした。
両腕を開き、裸の上半身をアンリエッタに晒す。
その胸板に、アンリエッタは今度こそ遠慮なく、舌を這わせる。
しかし気化しやすい汗は、先の騒ぎの間に大半が乾いていた。
だが、本来の目的は汗ではない。
才人の肌を、才人の味を、才人の匂いを愉しむ。
それこそが、アンリエッタの目的。
才人が普段自分の乳房にしているように、アンリエッタはぴちゃぴちゃと乳首を中心に舐めまわす。

「んぐ!…んっ!」

指でくぐもった才人の声が漏れる。
その嗜虐心をそそる声と、舌に広がる才人の肌の味が、より一層アンリエッタの芯を刺激する。

「ん…うふ。サイト様のあじ、おいし…」

淫らに微笑みながら、才人を味わう女王。
舌を這わせながら、才人の口の中でアンリエッタの指が蠢く。


212:ぼくらの七日間戦争~一日目 ◆mQKcT9WQPM
08/10/27 19:32:39 1tyzbzcA
…くっそ、なんか悔しいぞ…!

舌での刺激もなかなか心地よいものがあったが、なんだか負けている気がして才人は内心歯軋りする。
なにせ、いつもは自分が主人で、目の前で痴態を晒すこの娘は哀れなメス奴隷なのだ。
なんとかして逆襲できないものか、と思案する。
すぐに、才人は思いつく。
口内でもぞもぞと蠢く白百合の花弁に例えられる指。
そこへ、才人は舌を絡ませる。

「ひゃんっ!?」

その瞬間、胸板を舐めていたアンリエッタの動きが止まる。
効果アリと悟った才人は、口の中に差し込まれたままの指を、べろべろと舐めまわす。
口内から指を出すだけでいいのだが、才人を黙らせるために口の中から出すわけにはいかない。
しかし、この刺激は疼く自分の芯を蕩けさせてしまう。
隙間のある口内を必死に逃げ回るが、才人の舌は容易くアンリエッタの指に絡みつく。

「ふぁ、だめ、なめないでぇ…っ!」

指先で感じる感覚は鋭く確実に、アンリエッタの芯を融かしていく。
指を嬲られるだけで、アンリエッタは才人の胸板で溶けていく。
しかし。
負けるわけにはいかなかった。
せめて、才人と対等にならなくては。
王と奴隷では、意味がないのだ。
アンリエッタは気丈に目的を思い出し、負けるものかと才人の肌に舌を這わせる。
ぴちゃぴちゃと互いに舌を使う音が室内にこだまする。
このままでは埒が明かない。
才人はアンリエッタの腕を両手でつかみ、指先に微妙な力を込め、優しく撫で回しはじめた。
アンリエッタは余った指で、才人のわき腹を優しく、時に爪で軽くひっかきながら、撫で回す。
互いに最も感じる部分を刺激せず、やわやわと高めあっていく。
才人の胸板はアンリエッタが零した涎でべとべとになり、アンリエッタの指は才人の唾液でふやけていた。
そして、中天を照らしていた双つの月が傾きはじめた時。
二人はほとんど同時に、互いの舌を相手から離す。

「はぁ、はぁ、はぁ…」
「ん、ふぅ、ふぁ…」

唇の周りを涎でべとべとにし、獣の目になった二人は、見詰め合った。
しかし。
アンリエッタは、すぐに目的を思い出し、必死に自分の獣を押し殺す。

「な、なあ。姫様、俺もう…」

肩を掴もうとする才人の手を、アンリエッタは払った。

「だめです」
「え」

アンリエッタの急変した態度に、きょとんとする才人。
アンリエッタはそんな才人に淫靡な笑顔を向けると、言った。

「先に私を満足させなさい…」

言って、スカートをたくし上げ、すらりとした脚をM字に開く。
白いニーハイソックスがガーターベルトで吊られ、その奥の純潔を象徴する白いレースのショーツは、女王の蜜でぐっしょりと濡れていた。

213:ぼくらの七日間戦争~一日目 ◆mQKcT9WQPM
08/10/27 19:34:07 1tyzbzcA
才人はこくん、と頷いた。

「合点承知だ女王さまーっ!」

そう吼えて極上の芳香を放つアンリエッタの下半身にむしゃぶりつく。
邪魔な薄い白い布を横に引き伸ばし、露になった桜色の裂け目に舌を差し込む。
上の口以上に涎を零していたその穴は、易々と才人の侵入を許した。
才人は舌を奥まで差込み、アンリエッタ中に溜まった女王の愛液を掻き出すと。
そのまま、舌で女陰を嘗め回し、肛門のほうまで舐めまわす。

「ふぁ、そ、そう、いいっ…!」

天井を見上げ、荒い息をつきながら、快楽に震えるアンリエッタ。
嘗め回されるたびにその細い肢体がふるふると震え、声に切なさが増していく。
そして、才人は舐めるだけでは飽き足らず。
雌の裂け目の頂点で勃起し始めた、アンリエッタの核に指をかける。

「あっ…!?」

その鋭い感覚にアンリエッタの身体がびくん!と震える。
そして、これから襲い来る衝撃に、背筋を丸まらせ、身体を強張らせ、備える。
抵抗は、しない。自分が望んだことだから。
そして。
才人の指が、ちゅるん、と女王の皮を剥きあげた。

「─────ひぃ!」

身体を強張らせ備えていたが、その強すぎる刺激に、容赦なく背筋が反り返った。
女王の反応に気をよくした才人は、そのまま舌で、剥き出しの女王を優しく嘗め回し、時には唇で吸い上げる。
唾液でべとべとの舌が絡むたび、涎交じりの吐息で撫でられるたび、唾液と愛液の混合物と一緒に吸い上げられるたび、女王の背筋はびくんびくんと玩具の様に跳ね回る。
だが、気丈に耐えようとする彼女の矜持が、絶頂の手前で女王を踏みとどまらせていた。
しかし。
才人が舌と同時に指を女陰に突っ込んだ瞬間。
アンリエッタの視界ははじけた。

「───────ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

びくんびくんと膣道が痙攣し、背筋が踊る。
股間から盛大に潮を吹き、アンリエッタは達してしまう。
まるでブリッジのように背筋が反り返り、しかしその緊張はすぐに解け、ベッドの上に亜麻色の髪とともに広がる
はぁはぁと荒い息をつき、ベッドに広がる女王に、才人は覆いかぶさる。

「どう?満足した?」

アンリエッタの顔にかかるその息は荒く、発情した獣の匂いがした。
確かに、アンリエッタは一度絶頂した。
ここまでは筋書き通り。
アンリエッタは気丈に緩んだ腰の筋肉をぎゅ、と締めなおし、起き上がる。
アンリエッタが起き上がったせいで、才人はベッドから追い出される。
そして普段とは違う女王の様子に呆ける騎士に言ってのけた。

「お勤めご苦労様でした、シュヴァリエ」
「うん、だからさ。続き。ね、続き!」

214:ぼくらの七日間戦争~一日目 ◆mQKcT9WQPM
08/10/27 19:34:42 1tyzbzcA
今にもズボンを脱いで襲い掛かってきそうな才人の鼻先に、アンリエッタは先ほどまで嬲られていた指を突きつける。

「本日のお勤めはここまでです。お部屋にお帰りなさい」
「へ?」

思わず呆けてしまう才人に、アンリエッタは散らかった才人の上着を手早くまとめ、手渡すと。
そのまま才人をぐいぐいと部屋の外へ押し出してしまう。

「え、あの?ヒメサマ?」
「お勤め、ご苦労でしたっ!」

後ろ髪を引かれながらも、なんとかアンリエッタは自室から恋人を追い出すことに成功する。
…これでいい。これで。
はぁ、とドアにもたれかかりながらため息をつくアンリエッタの耳に、ドア越しに才人の嘆きが聞こえてきた。

『そ、そりゃないよヒメサマ~…。このままじゃ俺納まりがつかねえって~…』

才人の哀れな声にしかし、アンリエッタは気丈に耐え、自室の鍵を、音を立ててかけてしまった。
こうなってしまっては、才人は部屋に帰る他ない。
去っていく気配を感じながら、アンリエッタはほう、とため息をついた。

これでいい。続きは、明日…。

夜空に煌々と輝く双つの月を眺めながら、アンリエッタは明日の夜に思いを馳せるのだった。

-つづく

215:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
08/10/27 19:36:45 1tyzbzcA
一日目は生殺しで終わりました!
さあ、アンリエッタはいったいなにを企んでいるのか!
チャンネルはそのまま!(ぁ

んじゃ風呂いってねゆノシ

216:名無しさん@ピンキー
08/10/27 19:39:18 8x/8VFSh
リアルタイムGJ

217:名無しさん@ピンキー
08/10/27 19:44:03 vfrz+SaQ
へんたいさんは常にノートPCを持ち歩き24時間作品を書き続ける事に決めたようですGJ!!
Sなアン様もなかなかいいね

218:名無しさん@ピンキー
08/10/27 21:20:46 eiA5rn9b
>>215
GJです!
こういうアンリエッタもいいですね!

住民はいつもへんたいさんにおあずけされてるから、キニシナイ w

219:名無しさん@ピンキー
08/10/27 23:06:21 cPOoXScP
①裸になる

②おあずけをくらう

③寒い

④とりあえず妹を見る

⑤いく  ←今ここ

⑥妹に見つかる

220:名無しさん@ピンキー
08/10/27 23:22:52 SM8zOAnT
せんたいさんGJ!です 

221:名無しさん@ピンキー
08/10/27 23:30:08 idUviWat
そっそうか!
4人分7日間書けないから、3日後くらいからひとりづつ参加していくのか!
そんで最後はルイズのしばきで終了。

んでBパートはその逆バージョン 最後に残るのは・・・
こんな妄想が脳内ランニング

せんたいさん 続きをお待ちしてます。

222:名無しさん@ピンキー
08/10/28 21:52:26 itjOH1lN
せんたいさん投下乙です。

そして、アンリエッタはコマンド「焦らす」を覚えたw
こうして焦らし焦らされを積み重ねることでよりエロティックに乱れるアン様エロス。

223:名無しさん@ピンキー
08/10/28 22:28:39 djC9G5AR
悶々とするサイトをアニエスが慰めてしまって
姫様失敗の巻

になったら主題から外れちゃうわなw

224:名無しさん@ピンキー
08/10/29 02:44:00 1A/58tri
へんたいさんとこのお姉ちゃんモードアニエスさんならあってもいいなw

225:名無しさん@ピンキー
08/10/30 02:10:23 sUTmmiLS
虚無の魔法 8レス

シエスタとヴィットーリオ

話し逸れますが、加速 といい リコード といい テファのといい……ルイズが可哀想です。

226:1/8
08/10/30 02:10:56 sUTmmiLS
 部屋の片隅にそっと置いてある自分用の物入れの中から、何度か読み返した手紙をもう一度取り出した。
 サイトが字を読み書きできるようになって、一番喜んでいるのはシエスタかもしれない。

 以前は学院で留守番をしている間、行く先がはっきりしていても噂程度しかサイトの安否を計る方法はなかった。
 
 今は手紙が出せる。

 郵便の制度がしっかりしていない為、金銭的な負担は大きかったが、逆にそれを知ったサイトは返信用の封筒を同封すると真面目に返事を出してくれた。

 戦時中の国からの郵便のため検閲された跡は有ったが、その字は確かにサイトの字で丁寧に現状が綴られていた。

 ―戦争が終わったので、まもなく戻れそうだ。

 その一言を、何度も読み返した。
 サイトが強いのは知っている。
 それでも彼の参加した戦争が終わった事に安堵した。

 手紙の費用の心配や、学院の様子を尋ねる文章にシエスタは返信を書きかけるが、今出しても行き違ってしまう可能性が高い。

(早く、会いたいなぁ……)

 皺にならないように注意しながら、サイトの手紙を柔らかく抱きしめると胸の奥がほんのりと暖かくなる。

(…………会いたい……なぁ……)

 ミス・ヴァリエールはずるい。
 にじんできた涙を手の甲でぐしぐしと擦りながら、シエスタはいつもの通り気をそらし始めた。すっとサイトのことを考えているのは辛過ぎるから。

 少し落ち着いてから、手紙の続きに目を通す。

 女王陛下や、教皇聖下に頼み事をされていて忙しい。
 まるで雲の上の話をされているようで、実感は沸かないけれど誇らしさと寂しさがシエスタの胸を締め付ける。

 わたしの好きな人はこんなに凄い人なんですよ。
 ……そう、皆に言って回りたい。

 でも……
 そんな人に、わたしは愛してもらえるのかしら?




 一人置き去りにされた部屋で、ひっそり泣くのが彼女の日課。



227:2/8
08/10/30 02:11:34 sUTmmiLS
 それでも気を取り直した彼女は、いつもの通りに部屋の掃除を始める。
 部屋の主は居なくとも、使っていない家具であろうとも、手入れに手を抜く事など、彼女が教えられた知識の中に有りはしない。

 無心に掃除をすることで、ようやく彼女は立ち直る。
 どんなに辛い現実も、単純作業に没頭すればその間だけは見ずに済んだ。

 
 ―コンコン


 いつもならば、彼女の一日はそうして過ぎるが、その日の作業は珍しく中断された。

「申し訳ありません、ただいまこの部屋の方達は留守にしております」

 慌てつつも、来客に向かって粗相のない様に……

「あぁ、知っているよ」

 見たことは有る人物だった。
 ジュリオ。
 確かそんな名前だったはず。サイトさんが死んだと思われていた時に学院にミス・ヴァリエールを訪ねていらした方だわ。
 その程度の認識だったが……

 シエスタが疑問に思う間に、ジュリオは彼女に話しかけた。

「ちょっとした特技が有ってね、ガンダールヴより先行したんだけれどね」

 何度か小耳に挟んでいたので、ガンダールヴがサイトの事だと理解したシエスタは大人しくジュリオの話しの続きを聞いた。

「学院長に用事があるのだけれど、彼を少し預かって貰いたくてね。
 できれば人目にさらしたくないので、彼女の部屋につれてきたのさ」

 ここは確実に誰も居ないと思ったのでね。
 
 理由は分かったものの、ミス・ヴァリエールが居ない部屋に、勝手に入れるわけにはいかない。
 シエスタはその場で断ろうとしたが、断りの文句を口にするより早くジュリオの背後に居た人影が室内に滑り込んだ。

「ちょっ……待ってください、困ります、こんな勝手にっ!」
「問題があるのなら、貴女が見張っていて下さい。ハルケギニアで最も気高い方ですから心配は要りませんよ」

 頭からすっぽりと聖衣を被った見るからに怪しい人物が、部屋の中央でぐるりと周りを見回して……

「や、やめて下さい。女性の部屋なんですよ」

 身体を張って怪しい人物の視線から、ルイズの部屋を隠す。
 ここまで不躾にされると、大人しくしておく訳にもいかない。

「わが子らの部屋に入る事に、何も問題は有りませんよ」
「っ! ミスタ・ヴァリエールのお顔なら一度拝見したことがありますっ! 嘘をつかないで下さいっ!」

 怪しい人物の思いのほか整った顔に驚きながらも、シエスタは叫んだ。

228:3/8
08/10/30 02:12:06 sUTmmiLS
 ヴィットーリオ
 どこかで聞いたとこがあるような名前を名乗った青年は、それ以上暴れることもなく大人しく部屋の隅でじっとしていたが……

「……………………」

 部屋の隅で、延々何かを唱え続けていた。

(こ、怖いよぉ……サイトさぁん……)

 すぐにもジュリオを追いかけるか、せめて人を呼びたかったが、主のいないこの部屋に不審人物一人を残すのは気が引けた。

 そんなわけで、見知らぬ男と二人きりで部屋に残された彼女は緊張しつつも、ヴィットーリオを監視していた。
 手の届くところに置かれた箒は、せめてもの護身道具。
 手に馴染んでいる為、安心感は有ったが武器とするにはいささか軽すぎた。

 それでも何も無いよりはましだと、しっかりと箒を握り締めながら、何か良からぬことをたくらんでいそうな青年を見据えた。



 ―シエスタの危惧は正しい。



 ヴィットーリオの狙いは単純にこの部屋から何かを持ち出す事だった。
 ルイズやサイトたちが戻る前に、ヴィンダールヴとしての能力を使い二人揃って学院に侵入したのはそんな理由だった。

 何か。

 文字通り何でも良かったのだが、人が居た為にジュリオが利かせた機転の結果、ヴィットーリオはここで足止めされていた。

 今頃ジュリオは学院の各所で、様々な物を入手している予定だったが……

(……人がいるとは計算外でしたが……丁度良い……)

 ここは最も重要な拠点で、出来れば今後も継続的に利用できる手札が必要だった。

 ……無機質な目でメイドを見ながら、ヴィットーリオは呪文を唱える。
 目に付く部屋のものに、次々と呪文を掛けてゆき……
 
 ……そして……

(ミツケタ……)

 ヴィットーリオは顔を上げ、メイドに笑いかけた。

「これを……見てもらえますか?」

 静かに呪文が響き渡る。

229:4/8
08/10/30 02:12:40 sUTmmiLS

 ―魔法の存在に竦むシエスタの後ろで、静かにドアが開き……
 シエスタが部屋に入ってきた。


(え? え? な、なに?)


 手に抱えた大量の洗濯物は、サイトが毎日訓練に使用していた動きやすい服。
 サイトのために出来ることが有るのが嬉しくて仕方がない、見ているだけでそんな思いが伝わって来るほどに部屋に入ってきたシエスタは上機嫌だった。


(わ、わたし? どうして? 何がおきているの?)


 一つ一つを丁寧にたたみ、サイトとルイズの洗濯物を仕舞ってゆく。
 ルイズの可愛らしい下着や衣装を片付ける時は、自分の服を見て小さく溜息を吐いたりしたけれど、軽く頭を振り妬心を押さえ込むとサイトの服を仕舞う。
 サイトはいつも無造作に一番前から次に着る服を使うため、実際のコーディネイトは実質シエスタ任せだった。

「……これ……と……これ……かしら?」

 その服をサイトが着るところを想像しながら、彼の為に思う存分時間と費やす、彼女の至福の時間。
 貴族としての位を貰ってから、サイトの服は学院のお抱え業者からも購入できるようになっていて、仕立ての良い服を幾らでも仕入れることが出来た。
 ……軍馬に年金をつぎ込んだサイトは、本来新しい服を着ることが出来るのは来年からのはずだったが……

「やっぱり、この間のお洋服……無理してでも買うべきだったかしら?」

 貴族育ちのルイズや、異世界の服の相場の知識がないサイトに黙ったまま、サイトの生活必需品はシエスタの蓄えを切り崩すことで得られていた。

 サイト付きのメイドとして、給金は前より多く貰っているが、支出のほうが遥かに多い。
 それでも、好きな人が自分の選んだ服を着てくれる歓びはお金では代え難かった。

「ん……これでいいかな?」

 あまり似た取り合わせが続かないように注意しながら、全ての服を並べ替える。
 毎日並べ替えても意味はないのだけれど、楽しいのだから仕方なかった。

「……何か言ってくれるかしら……」

 そんな風に思ってしまう自分を、シエスタは慌てて戒めた。

「別に、感謝して欲しくてやってるわけじゃないもの……サイトさんが、綺麗な格好してると、わたしも嬉しいし……」

 少し悔しかった。
 毎日、サイトの為にシエスタは努力している。
 もしサイトがその気になっても良いように、自分の服だって毎日綺麗にしているし、身体だって……

 それでも……サイトが見ているのは、同じ部屋にいる素直に成れない貴族の女の子。

230:5/8
08/10/30 02:13:27 sUTmmiLS
 ―様子を見ることしか出来なくなっているシエスタは、この後に起こることを思い出し、必死に叫んでいた。

(だ、だめっ、だめだからっ……見られてっ、見られてるっ……)

 どれだけ叫んでも、彼女の声は彼女自身に届かない。
 狂乱し自分の姿に掴みかかろうと、過ぎ去った過去に触れることは何者にも出来ない。


 ―サイトの服の中から、シエスタは一着選んで持ち出した。
 それは、彼と始めて会った時の服。

 替えを作ってあげたかったけれど、編み方が解らなくて挫折してしまった不思議な感触の洋服。

 そうっと抱きしめてから、恐る恐ると部屋の入り口を見る。
 この時間に誰も入ってくることはないと分かっていても、今からするコトを考えると緊張が止まらない。

 サイトの服をルイズの使っている鏡台の横につるすと、その胸元にすりすりと頬擦りをする。
 ベットサイドは柔らかかったし、テーブルの縁は丸くて使い難かった。
 サイトの服に密着したまま、シエスタのふとももが鏡台のふちに掛けられて、冷たい木の感触がひざからゆっくりと進む。
 熱い吐息を吐きながら、じわじわと目的の場所にたどり着く。


 この部屋に来る前も、相部屋の友達が居たシエスタは自分を慰めるのに、幾つも問題を抱えていた。
 時間を掛けすぎるわけにもいかなかったし、着衣が乱れるような真似をすれば、戻ってきた友達に言い訳も出来なくなる。

 シエスタの自慰はいつも着衣のまま行われていた。


 片足を鏡台の上に乗せた、はしたない格好のまま床に着けたままの足の力を緩める。
 体重が一箇所に集中する。
 柔らかい肉に、硬く無機質な感触が押し当てられる。

 腰がじりじりと動かされ、馴染んだポイントを探す。
 ドロワーズの分厚い感触をもどかしく思いながら、シエスタはいつもの位置を見つけ出す。

 シエスタは下着一枚挟んで、鏡台の角をぴったりとスリットの上に重ねると、たたまれたままの左足と、伸ばされ床に着けられた右足でバランスを取ると、ゆっくり上体を揺らす。

 体重が集中しているポイントが不規則に乱れ、快感がシエスタの理性を溶かしていく。
 時折腰にひねりが加えられ、蜜を零し始めた入り口を斜めに横切るようにこすり付けていると、時折漏れてしまう声をサイトの服で封じ込める。
 そうして、乱れた呼吸を繰り返すだけで……

(サイトさぁんっ……いっぃよぉ……)

 胸の奥一杯に愛する人の匂いが満ちると、下腹部で燻っていた炎が激しく燃え上がった。

231:6/8
08/10/30 02:13:59 sUTmmiLS
 シエスタの体がゆくっりと傾き、鏡台の上にぺたりと片手が付けられる。
 僅かな前傾だったが、シエスタの目的はそれで遂げられた。

 ドロワーズの中で硬くなり始めた肉芽が強く押し付けられ、しなやかな肉体と硬質な木材の間でくにくにとその形を変える。
 這い上がる快感に流されたシエスタは、そのまま無心に腰を動かし始める。

 ルイズの鏡台が、ぎしぎしとリズミカルに軋み始めても、シエスタの衝動は止まらない。
 胸元にサイトの服を押し付けたまま、熱と柔らかさを増していく秘所が堪えられない位まで快感を高めてゆく。

 サイトの服を見つめながら、薄く目を瞑ればシエスタはサイトの上で人とは思えないほど硬くなった部分に責められていた。

「サイトさ……ん……そんなに……つよくしっ……ちゃ…………だめで……す……」

 妄想のサイトはシエスタの言葉に笑うと、しっかりと肩を掴んでシエスタの動きを止めさせた。
 快感に慣らされたシエスタの身体は、その供給が途絶える事に数秒も耐えることが出来ない。

「ひぁ…………ふ……ぁ……だ、だめ……やめないで……」

 思わず漏れた声の大きさに、シエスタは慌てるが理性の制止を振り切りシエスタの身体は貪欲に快楽を貪った。

 シエスタの頭の中のサイトは腰に手を回すと、そのまま肉棒を押し付ける。
 
 その想像に押されるように、シエスタの腰はぐるりと円を描くように動き始める。
 サイトの肉棒の上で、シエスタのクリトリスが執拗に責められる。
 
 もしサイト本人が見ていたら、その場で襲い掛からずにはいられないほどに淫靡にグラインドを始めた腰はシエスタに痺れる様な快感を送る、シエスタは崩れ落ちるまで快感に浸り、やがてぐったりと力尽きた。。


 ほんの数分、そうやって一息ついたシエスタは上気したままの顔でじっとサイトの洋服の袖を見ていたが、やがてスカートを緩めると震える手でコルセットを外す。

(い、今誰か来たら、言い訳できない……)

 からからに渇いた喉が、自分がどれほど恥ずかしいことをしているのかを教えてくれる。

 メイド服をめくり上げ、お腹の所からサイトの服の袖を差し込むと、そのまま胸に押し付ける。
 火照っていた身体に、新しい刺激が加えられ何もかも忘れて声を上げてしまいそうにある。

(だ、だめっ……みられちゃう、サイトさんに見られちゃうよ……)

 頭の奥が燃えるように熱く、心臓が煩いほどに高鳴る。
 尽きない欲望への予感と、快感への好奇心。
 なにより今だ熱の冷めない肉体が、シエスタの行動を決定した。
 
 サイトに触られている。そう妄想しながら、シエスタの指がふくよかな胸に食い込むと、さっきまでとは比較にならない快感が荒れ狂う。

232:7/8
08/10/30 02:14:31 sUTmmiLS
 ―くすくすという笑い声が聞こえ、シエスタは真っ赤になってヴィットーリオを睨みつける。
 魔法による虚像だと、こんな事は嘘だと、そう叫びたかった。

 しかし、彼女の記憶は言っている。
 これは、真実。
 本当にあった出来事。

 目の前で床の上に転がり、持ち上げるように胸をこねているのは間違いなく過去の自分。
 捲れ上がったスカートも、いつもはその影で日焼けから逃れている素肌も、淫らな痴態はすべて自分の記憶の通り。

「まるで犬ですね」

 優しげな声が、容赦ない裁断を下す。

 サイトの服の上を這わせていた指先を、シエスタは水音を立てながら唇の中に吸い込んだ。
 唾液を塗した指先が、真っ直ぐにドロワーズの中を目指す。
 湿らせた指先が熱い感触に飲み込まれていき、シエスタの背筋を何かが這い上がる。
 潤み始めた瞳がサイトの姿を求めて彷徨い、幻と共にサイトの服を抱きしめる。

 服と共に圧迫された胸も、浅く出入りを繰り返す秘所も、何時まで経ってもシエスタの渇きを癒すことが出来ない。

 それが出来るのは一人だけで…………そんな望みはずっと叶わなくて。

「切な……い……よぅ……サイトさぁ……ん……」

 媚と色を含んだ自分の声に、黙ってシエスタは俯く。
 サイト以外に見られたくないのに、ヴィットーリオは目を逸らそうともしていない。


「っく……サイトさん……ね……」

 噛んだ唇に血の味が滲んだ。
 ずっとサイトの側に居て、ミス・ヴァリエールと親しくなって、そうして忘れてしまっていた事実。

 メイジは―貴族は、平民の事なんてモノ程度にしか考えていない。
 優しいライバルにそんな素振りは無いけれど、きっと殆どの貴族はこの男の様に……

「ガンダールヴが……」

 ヴィットーリオの囁きに、シエスタの身が竦む。
 背後の自分は、甘やかな声でサイトの名前を呼び続けている。

「コレを知っても、彼はまだ貴女を側に置くでしょうか?」

 溢れたの恐怖。
 零れたのは悲鳴。

「コレは何度でも繰り返し見れるのですよ……ガンダールヴの帰還が楽しみです」

 一瞬だけ途切れる魔法。
 次に目に映った光景は、それから三日後の『ひとりあそび』繰り返される自分の痴態。 その次は一月前の、その次はその一週間前の、幾らでも用意されている光景。

 そしてその度に嘲られ、馬鹿にされ、サイトに焦がれる透明な想いを土足で踏み荒らされていく。

233:8/8
08/10/30 02:15:03 sUTmmiLS
「も、もう……許して……許してください……」

 自慰行為を覗かれるだけでも恥ずかしいと言うのに、ヴィーットリオはシエスタが泣き出すまでその手を緩めなかった。


「貴族は……始祖の信徒はこのような真似いたしませんよ」
「ガンダールヴも今は貴族でしたよね?」

 些細な棘が、胸の奥にずっと残る。

「この様な行為に耽る貴女は、彼に相応しいのですか?」
「聖女のこの様な様を見たことは有りますか?
 平民というのはこれだから度し難いですね」

 サイトに相応しくないといわれるのが、彼女には何より辛かった。
 実際は頻繁に行っているわけでなくとも、魔法の力で立て続けに見せられると自分がずっとこんな行為のためにこの部屋に居るのだと、
 サイトの為などという言葉は、気持ちよくなるための言い訳に過ぎないと、

 繰り返し語られるヴィットーリオの言葉で誘導されていく。


 そして……ソレが、どんなに罪深く、そんな自分がサイトの側に釣り合わないのか講釈を受けた後でヴィーットリオは尋ねた。


『ガンダールヴに見せて差し上げてかまいませんか?』

 と


 ―何でもするから、それだけは許してください。

 
 
 その言葉が、彼女の地獄の始まりだった。

234:名無しさん@ピンキー
08/10/30 02:17:10 sUTmmiLS
教皇様凄いです、盗聴盗撮し放題です。

……恐喝で陵辱書いてたけど、ゼロの使い魔使ってる意味が無くなって全文書き直したり……
無理矢理って、キャラに寄らないから難しいんですね……


つづきは連休中か、連休明けにでも投下予定です。

235:名無しさん@ピンキー
08/10/30 09:40:25 +wUlBR5g
>>234
結構です

236:名無しさん@ピンキー
08/10/30 11:11:32 Uf16+Cyu
>「貴族は……始祖の信徒はこのような真似いたしませんよ」
>「ガンダールヴも今は貴族でしたよね?」
>「この様な行為に耽る貴女は、彼に相応しいのですか?」

始祖の信徒の長が盗聴盗撮脅迫やってるのはふさわしい行為なんですかwww
GJ! 陵辱スキーなので期待

237:softbank218140014038.bbtec.net
08/10/30 11:37:48 Dl0Fxbll
>>234
怖い!!怖すぎる!!
俺の家に来られたら死んじまうwww
今までの虚無の呪文に比べると微妙な気がしたけど、こりゃきついなww
虚無はちょっとえげつない呪文が多いなw
まぁ、それはそうとGJ!!

238:名無しさん@ピンキー
08/10/30 14:45:52 jPxeRV5m
>>234
お断りしまーす

239:名無しさん@ピンキー
08/10/30 19:46:07 0hmC/KzS
>>234
今後の展開を予測してみた
サイト シエスタの痴態を見て大興奮
シエスタの恥ずかしい行為をサイト本人が目の前でやってみせるよう
頼み込む シエスタサイトに見られて大興奮 
これ以降ひとりあそびをサイトにみてもらうのが定番になる 
という頭の悪い展開にはなるわけないな
なにわともあれGJ!です

240:名無しさん@ピンキー
08/10/30 20:00:12 GHq4aZle
ウンコ書こうが大絶賛するのに、鬱、陵辱で(ry

まあきっとPSPなんだろうな

241:名無しさん@ピンキー
08/10/30 20:14:18 JMm8G+4t
スカとかは頭にそういう注意書きある場合が多いしなー。
陵辱でも鬱じゃない場合(救いがある場合)はあるけどそうじゃないし
まぁそっち系は受け入れられない事をある程度念頭に置く必要があると思う。

242:名無しさん@ピンキー
08/10/30 20:52:35 JIDAoEZb
まだそんなにひでー事されてねーじゃんって思ったのはエロゲ脳のたまものなのか・・・・
続きに期待しとく

243:名無しさん@ピンキー
08/10/30 22:06:29 pEcyFx6L
>>234
なんと言うか微妙すぎる・・・

244:名無しさん@ピンキー
08/10/30 22:29:27 VQtE/LmB
>>234
ギーシュ物を書いた人かな
面白く読んだけれども注意書きはあった方がいいかもしれない。GJ!

245:バレット
08/10/31 00:34:05 3XXrX61s
ハロウィンネタ書き上げたから投下いっきまーす。もう30日じゃないけどな!
・・・・・・大丈夫、まだ本場の方は日付変わってない筈!

246:12:とりっくおあとりーと?
08/10/31 00:34:48 3XXrX61s
とんとん、と少女は扉を軽く叩いてから、その音が誰かに聞かれてやしないかと柄に無くこそこそと見回す。
すぐに扉は開けられた。顔を覗かせたのは小柄なメガネの少女。
導かれるまま中に入る。背後で扉がすぐさま閉じられる。
部屋の中には他にも金髪の少女と妙齢の緑色の髪の女性が2人。


部屋に最後にやってきた少女は我が子の様に抱き締めていた小包を3人が囲んでいたテーブルにそっと置くと、厳かに口を開いた。


「・・・実家に頼んどいた物がやっと届いたよ」

その瞬間、少女達の間に何とも言えない空気が流れる。恥ずかしさと期待と興奮、といった所か。

そんな気配を敏感に感じ取ったのか、青い長髪の少女の頭に乗っていた『何か』が蠢いた。
無色透明、水そっくりな液体だがしかしその密度と濃さは段違いだ。大体、単なる水が染み込んだり零れたりしないままふよふよSD人形形態のまま形状を保ったりしない。

この液体生物の名前はその名もポヨ。ポ○ョでは無い。ポヨである。
魚の子でもないし赤くないし、それに性別だって分からない。

水の秘薬その他諸々の魔法的効能を持った薬品が多数混ざり合った結果、偶然生まれたこのスライムとでも言うべき疑似生命体は今ではイザベラの使い魔という扱いだ。
少々フライング気味だが、彼女の地位を考慮して特例で許可された結果である。
だって一応生きてるし、人畜無害だし―誕生時のイヤンでウフンな出来事はともかくとして―何よりイザベラに懐いている。
定位置は彼女の頭の上で、ポヨを乗せてると髪がぱさつく事無く油でも塗ったような美しい光沢が保たれるというお年頃の女生徒達からは人気が出そうな効能も持っているとか。
しかしサイトが傍にやってくるとすぐに隠れてしまう。最初の遭遇がトラウマになっているようだ。結構知性は高いのかもしれない。


それはともかく。


ガサガサと彼女達は袋の中身を取り出す。
そして数秒後


「「「「う、うわぁ・・・・・・//////」」」」


揃って赤面。


247:12:とりっくおあとりーと?
08/10/31 00:35:44 3XXrX61s
「ほ、本当にやるんだね?これ着て」

出てきたそれの1つを広げながらマチルダが少し躊躇いがちに聞いた。
1番年食って『ドゴンッ!』ウボァー!!
・・・・・・年長の彼女だがしかし、男性経験が最も浅いのも彼女である。
ここに居る彼女達全員、1人の男しか知らないのだが。

「当たり前じゃないか。せっかくわざわざ実家の方にまで頼んで仕立てて貰ったんだよ」
「それにこの衣装を使うのに最も最適なのは明日だけ。それを過ぎれば次は1年後になる」
「う、ううう、で、でもねぇ」

何というか、これを着てしまったら最後女として色々終わってしまいそうというか。

「きっと大丈夫よマチルダ姉さん、お兄様だって姉さんに着て貰えればきっと喜ぶから!」

妹分の言葉には弱いお姉ちゃんであるマチルダはその一言で腹を括った。

――あーもう、どっちにしたってアイツにはもう色々と恥ずかしいとこ見られたり見せちゃったりしてるんだからこれぐらい!!

「分かった、分かったよ!私も着るよ!着てやろうじゃないか!」


額を突き合わせてヒソヒソと密談を交わす少女達以外に明日起こる事を知る者は・・・・・・口を持たないポヨだけである。





「もう秋も終わりかぁ」

草原の遥か彼方の地平線に沈みゆく紅の夕日を眺めながら、サイトは感慨深く呟いた。
ただ今学院中の廊下や食堂の灯り用の燭台は、お化け風に中身と皮の一部をくり抜かれたカボチャのランタンにとって代わっている。

今日はパンプキン・デイ。
かつて始祖ブリミルと4人の使い魔がカボチャを使ってお化けと魔物のフリをして人々を助けた、なんて言い伝えから生まれた記念日だ。
まあ数千年経った今となっては伝わってるのはそんな概要ぐらいで、実際にはあちこちで化け物の仮装をしてカボチャ料理を食べてお祝いする日みたいな感じで定着している。
魔法使いの原点で信奉の対象でもあるブリミル由縁と言う事で、平民以外にも貴族達の間でもそういった催しをやるのが定例だ。
他に特筆すべき事があるとしたら、パンプキン・デイは秋と冬の境目にあるので、その日以降ハルケギニアの暦上では冬の季節に入るといった辺りか。

あ、あともう1つ。
子供達はカボチャのお化けや怪物に仮装してお菓子を貰って回るのが微笑ましくもその日の定番な光景である。
だが吸血鬼など一部の怪物の場合、ハルケギニアでは実在してる上にとんでもなく恐れられてるので、代わりに動物の仮装などもする人間は多い。
でも『お菓子くれなきゃ悪戯するぞー』なんてフレーズ、ハルケギニアでも定番だとは知らなかった。

「そーれなんてハロウィン、てなもんだよなあ。まー楽しいんだからいいんだけど」

まあ向こうじゃ名前と概要ぐらいしか知らなかったけど。
そういやジョゼフが調子に乗って『イリュージョン』まで使ってすっげーリアルなお化けとか作ったら、シャルロットが怯え過ぎてお漏らししちゃったんだよなぁ。
でもってシャルロットのお母さんに笑顔でフルボッコにされて余計シャルロットが怖がって――

いい歳した大人がバカやってたなぁ、とちょっと遠い目。
今でも目に浮かぶ。あの『無駄無駄無駄無駄!!』との叫びと共に放たれたラッシュで地面に足が触れる事無く強制滞空させられて紅く染まるあの髭を。
シャルロットのお母さん、実は石仮面被った事でもあるんデスカー?なんて思わず口走ったのは良い思い出だ。
・・・・・・そういえばあの人、にっこり微笑んだだけで答えてくれなかった気が――



248:12:とりっくおあとりーと?
08/10/31 00:36:18 3XXrX61s
「いやうん、これ以上触れちゃいけない事もあるよなうん!」

賢明である。


夕食を取りに食堂へ向かうと、壁際には大量の、そして中央部には直径10メイルはありそうな超特大カボチャのランタンがセッティングされていた。
魔法薬でも使って特別栽培された品種だろうか?

「うわぁ・・・」

ガリアに居た時も似たようなのは見た事あるけどやっぱり感嘆の息が漏れる。
でも落ちてきたらヤダなあと思いつつ指定席に向かった。
ちなみにこのカボチャの装飾、明日になれば全て撤去されてる筈だ。片付ける人達は一苦労程度で済むかどうか、甚だ疑問に思う。

今日ばかりは何人もの生徒が制服では無く、思い思いの仮装服姿に変身している。
しかし実際に魔物の類が実在しているハルケギニアだけに普通とは一味違う。ユニコーンの鬣とかドラゴンの鱗とか、実際のそういった生物のを使った衣装ばかりだ。
そういう訳で仮装を楽しむというより、仮想に使う衣装の質や装飾の豪華さを張り合う為に仮装してるような輩がちらほらと――

でも似合ってるかどうかはまた別問題だ。
特にマリコルヌ。そりゃアレか。オークのコスプレのつもりか。

そんな中、サイトはお目当ての蒼い頭2つに金髪を見つけて声をかけようとしたが、

「あれ?」
「何だい、微妙に期待外れだったみたいな声出して」

まさしくその通りです。
イザベラ、シャルロット、そしてティファニアはいつも通りの制服姿だった。
いやま、3人共いつもの制服姿でも十分眼福なんだけどね?

「いやさ、イザベラもシャルロットもガリアに居た時は楽しそうに毎年仮装とかしてたから今年もそうかな~って思ってたんだけど」
「たまにはこんな時もあるさ・・・・・・あんなの、アンタ以外に見せる訳にいかないよ(ボソリ)」
「な?何か言ったか?」
「い、いーや別に!」
「お兄ちゃん、これ食べて」

右隣のイザベラが何故か顔をほんのり染めてそっぽを向くと、左隣のシャルロットが皿を突き出した。
乗っかっているのは今日のメインのパンプキンパイ。うまそうだ。

「おう、サンキュ」

躊躇い無く受け取ってぱくつ――
こうとしたのだが・・・・・・何故か3方向から注目浴びてるのに気付いて手を止めた。

「え、えーっと、どうかしたのか?そんな見つめられると食い辛いんだけど」
「う、ううん何でもないのお兄様!」

あわあわだった。あからさまに怪しかった。でも可愛かった。萌ゑ。
あーもう、顔と一緒に先っぽまで真っ赤になってぴょこぴょこしてる耳をはみはみしてやりてー!

そんな益体も無い事考えてる間にさっきの視線の意味も忘れて、自然とフォークに突き刺したパイを口一杯に頬張っていた。

「(ちゃんと仕込んであるね?)」
「(ばっちり。無味無臭でほんの1滴だけで効果がある)」

――その時、両隣の席で小さく口の端が釣り上がった事に、サイトは気付かなかった・・・・・・・・



249:12:とりっくおあとりーと?
08/10/31 00:37:06 3XXrX61s
目が覚めるとベッドの上で拘束されていた。

「これ、なんてデジャヴ!?」

3回目だよこのネタ。いい加減使い回し止めようぜ。
いやいや今考えるべきは作者への文句じゃなくて。

「ここ、俺の部屋、だよなぁ・・・・・・?」

見覚えのあり過ぎる室内。というか意識を失う最後の瞬間に見た風景とそっくりだし。

えーっと、飯食い終わった後部屋に戻る途中いきなりすっげー眠くなってきて、何とか自分の部屋に辿り着いたんだけどもう我慢できずにぶっ倒れて・・・

騎士団相手に丸3日間山岳演習したんでもあるまいし、そこまで疲れてた覚えは全く無い。眠気に襲われた時周りに人は居なかったのも確かだ。
なら可能性としては睡眠薬でも飲まされたのか。でもそれは何時だ?
――――まさか。

「あの食事ん時か?」

思い出すのは3人が注目していたパンプキンパイ。アレにでも仕込まれてたのだろうか?
でも何でそんな事?と悩んでいると、くぐもった声が聞こえてきたから首を無理矢理捻ってそっちの方を向く。
扉の向こうで、えらく聞き慣れた声が4つ。

『目ぇ覚ましたみたいだよ。ほら、早く入りなよ。誰かに見られたらどうすんだい?』
『う、うるさいねぇ!やっぱり恥ずかしいじゃないのさ!』
『彼以外に見られる方がよほど恥ずかしい。早く』
『マチルダ姉さん、私も一緒だから、勇気出して、ね?』
『うううううあーもう、行くよ!』

扉が開いた。

「ぶはっ!!!!!?」

そして噴いた。

勢い良く部屋に飛び込んできたのはいつもの恋人達、でもその恰好はいつもの恰好と違っていて。

パタン

「な、なんじゃそりゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!?!?!?!」

さり気なく律儀に最後に床を滑る様に入ってきたポヨが扉を閉めていなければ、サイトの絶叫は寮中に轟いていただろう。



250:12:とりっくおあとりーと?
08/10/31 00:38:09 3XXrX61s
まずイザベラ。
頭には何故か髪と同じ色の蒼色の三角の獣耳。
身に纏っているのはビキニっぽい下着だけだが上も下ふさふさした蒼い毛に覆われていて、何故か後ろのお尻の辺りでは艶めかしい光沢のサラサラフンワリとした尻尾がどういう原理か揺れている。

次にシャルロット。
真っ白な細長い耳をぴょっこり生やし、お尻の所にはもこもこした小さな尻尾。
着てるのはレオタードかと思ったらよくよく見てみると水着だった。スク水だった。しかもなぜか白だった。胸元にはひらがなで『しゃるろっと』。誰が書いた一体。似合ってるけど。

そしてティファニア。
金色の獣耳がこれまたパタパタ、お尻の所にも同じ色の、でもイザベラのよりスラッと細身の尻尾がフリフリ。
下の方は色以外イザベラと変わりないが、上の方は胸を下から持ち上げて支えるタイプだが余りの質量に圧倒されて完全に支え切れていない。先端のぽっちが毛皮の間でチラチラ見え隠れするのがベリーグッド。

最後にマチルダ。
丸っこい茶色の獣耳に、尻尾は短く太くもふもふもふとした感じ。
イザベラ同様彼女も着痩せする性質で、深い谷間を形成してる2つの膨らみを恥ずかしげに押さえるその手は何故か毛皮の手袋。

イザベラが狐でシャルロットが兎、ティファニアが犬でマチルダが・・・・・・熊?

彼女達はせーのと息を吸い込んでから、少なからず朱色に染め上げた顔で、


『お菓子くれなきゃ悪戯するよ(する・します)!』


もちろん両手を縛られてるサイトがお菓子をあげれる筈も無く。
へ?へ?とサイトは暫くの間呆気に取られてはいたが、一度状況を理解すると即座に悟った。

は、嵌められた!というか、ハメられちゃう俺!?

その通り。
という訳で、お菓子を貰えなかった彼女達は顔が赤いままニヤリと―ティファニアは性格故ごめんなさいお兄様と漏らしていたものの―

悪戯決行。

「こーん♪」
「きゅーん♪」
「わんわん♪」
「く・・・くまー///」
「いや、最後の違(ry」



251:12:とりっくおあとりーと?
08/10/31 00:38:38 3XXrX61s
「わ、ちょ、お前ら、ちょい、そきょはー!!」

ぺろぺろ

ぺろぺろ

あっという間にすっぽんぽんにされたサイトの身体に動物の仮装をした恋人達に群がられて、裏返った嬌声を上げた。
動物なだけにそれっぽく振る舞ってるのか、イザベラは顔や首元、シャルロットは脇や胸、ティファニアは脇腹や股間、マチルダに至っては足の裏や指を舐め立ててきているのだ。
全身を同時に這いまわる生暖かい体温にぬるりとそして僅かにザラリとした舌の感触がくすぐったくも気持ちいい。

「うわ、うわわ、マチルダ、そんな所まで」
「はむっぅ・・・ちょっと、しょっぱいねぇ・・・」

丁寧に丹念に足の指の1本1本をしゃぶる感触に腰が浮く。
そしたら今やサイトの愚息を銜えこんでいたティファニアの喉の奥にこつんと当たる感触。

「わふ、わふぅん」

ティファニアの肢体がサイトの身体に乗る。69な態勢でサイトの方に向けられたティファニアの下は既にじっとり濡れて太股もテラテラ煌めくほど滴っている。
フンワリプンニャリした感触に包まれた気配に、ああ今胸に挟まれてんなと悟って、すぐに限界に襲われた。

びゅくっ びゅびゅっ!

「はっふあぁ・・・」
「ずるい――私も」

噴火した白い溶岩の大半はティファニアとシャルロットに舐め取られた。
目の前でフリフリ揺れる金色の毛皮に白い水着。そしてお尻から生えた尻尾。

・・・・・あれ?

よくよく見てみたら、尻尾は文字通りお尻から生えていた。
毛皮と水着のお尻の部分の布地が三角にくり抜かれていて、そこから覗く尻の谷間から尻尾が覗いているのだ。
更によくよく見てみると、尻尾の根元は丸い真珠の玉らしきものが繋がっていて―――

ああ、なるほど。魔法で生やしてるんじゃなくてお尻に埋め込んでる訳か。

・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・



252:12:とりっくおあとりーと?
08/10/31 00:39:11 3XXrX61s
ぐいっ

ずるるるるるっ!

「ひっ――きああぁぁぁぁんっ!?」

ティファニアの尻尾を銜えて(シャルロットの尻尾は短いので首を伸ばしても届かなかった)思いっきり頭と首全体を使って引っ張ってやると、
谷底の窄まりから次々連結した真珠が出てきた。
玉が1つ抜ける度に腸内と入口を擦り立てられる感触を瞬間的に連続で味わったティファニアは大きく震えてから、へなへなと倒れこむ。

「あー、テファだけずるいよ?ほら私にもして頂戴よ」
「ふむっ!?」

いきなり視界が塞がると同時に口と鼻も塞がれた。
文字通り目前に青い尻尾。イザベラにお尻を乗せられてるらしい。口に当たる布地も毛皮も十分以上に湿っている。
いや、というか息が!息が!

―――身動き取れない時に濡れてる布を顔に被せてはいけない。これ常識。

「~~~!?~~~~!!!!」
「んきゅぅ、こすっちゃらめぇ!」

そっちは顔乗っちゃらめぇぇぇぇぇぇ!!

堪らずご丁寧に『錬金』で鋼鉄化されてるロープで固定された腕以外の全身全てを使ってもがく。もがく。
腹上死ならぬ股下死。そんなの勘弁死ぬのも勘弁。

「ってチョイ待ち、もしかして息出来てないんじゃないのかい!?」
「え?」
「~~~~~・・・・・・!!?・・・・・・・!・・・・・・」
「うわ、うわわわわわっ!?ご、ゴメンよサイト!」
「ぷはっ!!あー死ぬかと思った」

慌ててイザベラがどいて開放する。
冗談抜きで本気で咳き込むサイト。その様子にすぐさまマチルダはサイトの両手も自由にすると、ようやく身動きが取れる様になったサイトは4人から背を向けてゼイゼイ喘いだ。
視界がチカチカする。死ぬ時は絶対窒息死だけはゴメンだとサイトは固く誓った。

「ご、ゴメンよ!本当にゴメンよサイト!」

イザベラ、涙目。
・・・・・・・・うん、やっぱり可愛い。

「もちろん、許すに決まってるだろ」
「サイトぉ・・・・・・」
「でも――今度はこっちが悪戯する番だーっ!!」
「きゃーっ♪」
「・・・私も。ウサギは寂しいと死んじゃう」
「わ、私も忘れないでおくれよ?」
「おにいさまぁ・・・私も、もっとおねがいしますぅ・・・・・・」
「どんとこいやー!!」




そんな訳で結局、お菓子の代わりに別の物をたっぷりもらいましたとさ。



253:バレット
08/10/31 00:41:23 3XXrX61s
投下終了。

・・・・・・ゴメン。最近スランプでこんな中途半端なのしか書けましぇんですはい。
やる気の無い作者でホントごめんなさい。



・・・続きかけるのならどなたでもどうぞ(コラ)

254:名無しさん@ピンキー
08/10/31 00:48:58 iUHRGB6T
>>234
GJ!!
あとは投下前に一言注意書きが欲しかった

255:名無しさん@ピンキー
08/10/31 00:56:01 aQr8Tbqa
GJ
可愛い女の子のいたずらなら、ばっちこーい
ポヨって聞くと黄色い丸猫思い出すんだ

256:名無しさん@ピンキー
08/10/31 03:42:11 sORQz7lL
>>233
> ―何でもするから、それだけは許してください。
「サイトさんなら大興奮ですから、是非見せてあげて下さい」だろシエスタ的に考えて

257:名無しさん@ピンキー
08/10/31 07:20:21 GEgythLD
>>253
ハロウィンは10/31なんだぜ!と誕生日の俺が言ってみるテスト

258:名無しさん@ピンキー
08/10/31 07:29:37 GEgythLD
書き忘れた!バレットさんGJ!

259:名無しさん@ピンキー
08/10/31 09:43:01 xUtWiQwE
マチルダはどうみてもタヌキですw

260:名無しさん@ピンキー
08/10/31 17:13:39 GvnXUNyt
バレット氏 投下乙!

261:名無しさん@ピンキー
08/10/31 19:40:52 aQBRWwc7
>>253
GJ!!

262:名無しさん@ピンキー
08/11/01 00:12:49 VkOwBcMJ
> 3 :wiki”管理”人:2008/10/16(木) 03:50:21 ID:C6G/7M99
> くっ、見守ってたのに
> 前スレラストでお知らせしそびれた……。
>
> 1乙!超乙!……しつつ業務連絡です。
>
> まとめwikiのアドレスが11月1日から
> URLリンク(zerokan.xxxwwwxxx.com)に変更されます。
>
> 以降は現在のドメイン名ではアクセス出来なくなるそうです。

管理人様乙です!

263:名無しさん@ピンキー
08/11/01 00:54:59 UIIbpvGe
まとめwiki繋がらね~.


264:名無しさん@ピンキー
08/11/01 01:11:07 x1XJVRYF
>>263
繋がるじゃん

265:名無しさん@ピンキー
08/11/01 09:32:01 RZZ/k+fT
>>262-264
周知プレイ乙

266:名無しさん@ピンキー
08/11/02 07:24:02 OsrEY2Li
あらら

267:名無しさん@ピンキー
08/11/03 18:21:56 zGa79DMJ
レモンちゃん

268:名無しさん@ピンキー
08/11/03 19:40:51 RbD/Czuj
連休というのにすっかりさびれてるね

269:名無しさん@ピンキー
08/11/03 19:48:11 6ewB3bxO
連休という事を今日知った

270:名無しさん@ピンキー
08/11/03 19:50:06 6NCTwuFg
連休だからこそ過疎ってるんだろ
みんな旅行や外出とかでいそがしんいだよw

271:名無しさん@ピンキー
08/11/03 20:47:54 2fDbDIeS
三連終わったら出張だ…ああ嫌だ嫌だ(>'A`)>
いつもここのSSですっきりさせてもらってる。職人さんありがとう

272:名無しさん@ピンキー
08/11/03 21:05:22 TNLmeTRi
連休最後の奇跡とかおきないかな~

273:名無しさん@ピンキー
08/11/03 21:07:42 mjt1quZq
>>272
奇跡は起きるものじゃない起こすものだ

274:名無しさん@ピンキー
08/11/03 21:14:32 TNLmeTRi
なるほど。
よし、がんばって小ネタぐらいは・・・

275:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
08/11/05 01:06:28 4wDs6N+L
さてと、遅くなったけど「ぼくらの七日間戦争~二日目」いきます

276:ぼくらの七日間戦争~二日目 ◆mQKcT9WQPM
08/11/05 01:08:08 4wDs6N+L
王宮に来て三日目の朝。
才人は先日教わったとおりに、早朝から起き出して謁見の間の見回りをする。
本日も異常はなし。

「…はぁ」

しかし漏れる溜息。
仕事が辛いのではない。
欲求不満なのである。
昨夜、アンリエッタに奉仕したあと、出せずに終わってしまったからだ。
もちろんその後軽く自家発電したのだが…正直物足りない。
そんなわけで才人は朝っぱらから性欲を持て余していた。
具体的には、目の前のホットパンツのおねえさんの太股に欲情してしまうくらい。

「早いなサイト」

朝の仕事を終えた才人の前に、アニエスがいた。

「…ええまあ。ちょっと早く目が覚めちゃって」

謁見の間には、まだ小間使いたちは来ていない。
朝の掃除の前に、才人は謁見の間のチェックをしていたのだ。
もちろん悶々としていたせいで眠りが浅かったせいなのだが。
そして、アニエスは自分の太股に注がれる才人の熱い視線に気付いていた。
いつもなら、その辺の物陰で『お姉さんにまかせとけ』とばかりに才人の性欲処理をするところなのだが。
アニエスは、女王から言い含められていた。

『この一週間、サイト様に手を出してはいけません。もし手出ししたら…分かっていますね?』

…まあ、弟を虐められないぶんはどこぞのハゲ頭を虐げて晴らすとするか…。

アニエスは才人の視線に気付かない振りをして、彼に告げた。

「だが今日は謁見の間は使わないんだぞ?忘れたのか?」
「い」

なんだ見回り無駄なのかよ、とがっくりうなだれる才人。
アニエスは、当然の疑問を口にした。

「お前、陛下から今日の予定は聞いてないのか?」
「え?今日の朝教えてくれるんじゃ」

昨日はあのあと、自家発電してさっさと寝てしまった才人である。もちろんそんなことは知らない。
アニエスもマザリーニも、女王の部屋で才人が今日の予定を聞いているものだと思っていたのだが。
アニエスはあの女王、また何か企んでるな、と思ったが。
目の前で困っている才人を放っては置けず、今日の女王の予定を教える。

「今日は陛下はガンディーニ子爵の建てた時計塔の落成式に賓客として呼ばれている。
 お前の今日の任務はその護衛だよ」
「え?そんな塔王都にあったっけ?」

才人の疑問の通り、そんな時計塔など、トリスタニアのどこにもない。
つまりは。

「ガンディーニ子爵の領地はトリスタニアから馬車で三時間の場所にある。
 そこの、ブリュッセンという街に建てられたんだ。
 もちろん、陛下の馬車でそこまで行く。
 式典は昼から、終わり次第王都に引き返す。明日も陛下には公務があるからな」

277:ぼくらの七日間戦争~二日目 ◆mQKcT9WQPM
08/11/05 01:08:54 4wDs6N+L
その子爵領まで行き、式典に参加してくるのだ。

「はあ…でも俺準備とかしてないっすよ」
「その服と鎧があれば十分だろう。だがもうすぐ出発の時間じゃないのか?」

日はすでに昇りきっている。昼前までにその子爵領に着こうと思うのなら、そろそろ出発しなくてはならないだろう。
才人が慌てて駆け出そうとすると、謁見の間の入り口に、見慣れた女性が現れた。

「あら。こんな所にいらしゃったのですか」

そこにいたのは、この謁見の間にある王座に座ることを唯一赦された女性。
アンリエッタ女王であった。
アンリエッタはお付の者やマザリーニ郷を入り口に置いたまま、すたすたと才人の傍まで歩み寄ると、すまなさそうに言った。

「ごめんなさいね、シュヴァリエ・サイト。昨夜、本日の予定をお伝えするのを忘れていました。
 仔細は追ってお話いたしますので、着いてきてくださいな。
 ささ、馬車の用意ができていますので、急いで」

才人の手をきゅっと握り、まるで恋人を急かすようにその手を引く。実際恋人なのだが。
才人はあわあわ言いながら、女王のされるがままになる。
そんな二人を、アニエスがあきれたような顔で見送った。

才人はあれよあれよという間に馬車に積み込まれ、ガンディーニ子爵領へと向かっていた。
目の前で、女王に並んだマザリーニが今日の女王の予定を語る。
まず、子爵領に到着したら用意された御用宿へ。そこで式典用のドレスに着替え、式典に参加。
その後子爵と会食後、再び着替えて王都に戻る。
それが一日の予定だった。
才人の役割は、お付の騎士たちとともに御用宿の検分、式典中の女王の警護。

「あれ?でも先行しないと御用宿の検分はできないんじゃ」

才人の言葉どおり、女王に同行していては御用宿の検分はできない。
実際お付の騎士たちは先行してガンディーニ領に向かっており、既に御用宿の検分を始めている。

「シュヴァリエ・サイトには、最後の確認をお願いします。
 トリステイン女王の御用宿検分の最終確認ですよ。しっかりお願いしますね」

にっこり笑ってそう言うアンリエッタ。
その笑顔には、何か確信めいたものが混じっていた。
才人は女王の吐いた言葉をよ~く考えてみる。
『トリステイン女王の御用宿検分の最終確認』…つまり。
『女王の寝所の最終検分を任せるに値する人物』。
そんな人間は、トリステイン広しといえども、マザリーニ卿を含めて数人しかいない。

…やばい、なんかどんどん深みに嵌ってないか俺…?

なんだか自分の与り知らぬところでどんどん自分の評価が変わっていっていることに軽い恐怖を覚える才人だった。
そんな才人の気持ちを知ってか知らずか、女王は目の前でニコニコ笑っている。
そして、馬車はまるで坂を転がり落ちる石のように、盆地の底にあるブリュッセンを目指す。


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