戦隊シリーズ総合カップルスレ 8at EROPARO
戦隊シリーズ総合カップルスレ 8 - 暇つぶし2ch775:名無しさん@ピンキー
09/03/15 23:59:29 cUToX9qZ
……となると

緑→黄→赤←桃←青

か?
どこより爛れた戦隊に……

776:名無しさん@ピンキー
09/03/16 00:23:31 +q1N/Y/U
スレの残り少ない時に申し訳ありません、真剣殿桃投下させてください。
今日のほのかなフラグが燃料になりました。
いきなりエロでストーリー性皆無ですが、お暇潰しになれば幸いです。

苦手な方は、真剣殿桃「光差す道へ」でNGお願いします。

777:真剣殿桃「光差す道へ」
09/03/16 00:26:16 +q1N/Y/U
月のない夜。暗い寝所に響き渡る、熱い呼吸と衣擦れの音。
「……ッ!」
繋がり合った下肢からもたらされる甘い刺激に、茉子は洩れそうになる声を必死で堪えていた。
男の腿の上に腰を下ろし、屹立を真上から包み込む。
溺れた者のように首を伸ばし、唇をきつく噛むと、瞳の端にうっすらと滲む涙。
律動は止むことなく、快感と苦しさの狭間で今にも意識が薄れそうだった。
「…ぁ、っ」
茉子の両腕は、首だけを抜き取った状態で裏返ったシャツによって、背中で固定されていた。
目の前の男に抱きつきたいのに、出来ないもどかしさ。
表情すら窺い知れないほどの暗闇の中で、唯一その存在を知らしめるのは、彼がくれる甘苦しい痺れだけ。
それが茉子を焦がし、より深い繋がりを求めさせた。

男は何も言わない。いつものことだ。
普段から自分のことを語らない彼は、こうして交わる時はより寡黙さを増す。
黙々と行為に耽る。が、時折何かに憑かれたように激しく茉子を求め、乱す動きの淫らさに、茉子は歓びを感じてしまう。
冷徹なまでに物静かな男が、恐らく唯一コントロール出来ない衝動。
それを余すことなくぶつけられることで、彼の人間としてのひとかけらを知るような錯覚を抱くのだ。

「はん…っ!」
僅かながら、高い嬌声が洩れた。
ふっくらと揺れる茉子の乳房の頂点を、男の舌が捕えたからだ。
桃色の乳輪のあたりにまで歯を立て、ざらついた裏側で転がしながら吸う。
ひんやりとした室温に晒されたそこに、口内のぬくもりは溶けそうなほど心地好かった。

すかさず下から抉るように突き上げられて、舌を噛みそうになってしまう。
「だ、だめ…」
腕が使えない為に、身体を引き剥がすこともままならない。嬲られるままに濡れる胸と秘部が、行き場のない水音を響かせた。

778:真剣殿桃「光差す道へ」
09/03/16 00:28:23 +q1N/Y/U
男の腕が、強く茉子の白い背中を引き寄せた。
一見華奢なのに、程良い筋肉をつけた厚い胸に頬を寄せる。
首筋に顔を埋めると、襟足から香るシャンプーの匂いに、この男も髪を洗ったりするのだと何故か可笑しくなって、茉子は忍び笑いを洩らした。
「ん、」
何故笑う。短いながらも怪訝な問いに、少し驚いた。聞こえていたなんて、と。
「何でもないわよ…」

茉子は自らの笑いを鎮めるように、男の耳朶を含んだ。
一瞬、ぴくんと彼の背が伸びる。その反応が可愛くて、縁を舐めながら奥へと舌を進める。
ぴちゅ、とわざと音を響かせて歯を立てると、男は逃れたそうに首を振った。
「や、めろ…」
「気持ちいい?」
あぁ、愛しい。このまま食べてしまいたくなる。

後方で腕を拘束され、せり出した状態の胸を、男の掌がめちゃくちゃに揉みしだく。
「も…、負けず嫌い!」
「お前に言われたくない」
男が胡坐を崩すと、途端に茉子の背が傾く。
布団に倒れ込むなり、ぎりぎりまで腰を引いて素早く腿を割り開き、ぐっと最奥まで腰を進めた。
もう痛みはない筈なのに、入口が疼くような感覚があった。
身体の下に敷いた腕が、布団に擦れて痛む。
「あ、んぁ!」
揺さぶられ、与えられる快感が、男と繋がっているという事実を知らしめる。茉子の心が波打ち、それは身体にフィードバックされる。


779:真剣殿桃「光差す道へ」
09/03/16 00:32:02 +q1N/Y/U
高さを増す蜜の音。挿されたままの男の芯が、硬さを増して行くのが分かった。
茉子は左肩を上げ、無理な体勢を承知で鼻先を擦りつける。自らの肌に舌を這わせ、軽く歯を立てるようにしながら、襲い来る快楽に耐えた。
「こ、声、出ちゃ…」
「人払いはしてある」
決して直接的な言葉は使わない、彼らしい許しに、茉子は何故か泣きそうになる。
「ふ…っ」
それを悟ったように、男の唇が瞼に落ちて来た。
こめかみに、目尻に、眉間に移動し、鼻の頭を挟んで止まる。まるで狙いすましたかのように。

「あっ、あぁ…」
片足を折り畳まれ、横向きにされた。入口が狭まって圧迫感が増したところに、一方的に腰を叩きつけられるのだからたまらない。
「ん、あっ、はぁぁんっ!」
自分のものとは信じられないほどに妖艶な声を、もう止めることなど出来なかった。
半身を捻って上向かされると、男が再び胸の先端を含む。
首筋に、顎に、頬に。決定的な場所を避けた口づけに、茉子は触れたい衝動を抑えられなくなった。
「…。」
呼んでもいいのだろうか、その名を。
熱に浮かされ、やっと忘れられていた彼の現実を、引き戻してしまったりはしないだろうか。

「た、」
静かに口にしかけると、刹那、男の呼吸が跳ね上がった。限界が近いのかも知れない。

抱きしめたい、出来ない。でも、それで良かったかも知れない。二度と離れないよう、溶けてしまいたいと望んでしまうから。
彼は自分のものにはならない。その事実を、今は知らないままでいたい。
茉子。たとえ名前を呼ばれることは叶わなくても、この人に快感を与えられている。
僅か一瞬の、幻に消えてしまうような時間でも。

あたしは今、物凄く…幸せ。


780:真剣殿桃「光差す道へ」
09/03/16 00:34:05 +q1N/Y/U
「―丈瑠」

吐息で名前を呼んで、暗闇に目を凝らし、揺れる影を見上げた。
と、覆い被さって来る身体の重み。
閉じ込められた肌に熱が篭り、丈瑠の汗が零れ落ちた。
「ん…!」
唇を塞がれる。初めは触れる程度だった重なりは、すぐにこれまでの物足りなさを埋めるような深い口づけに変わった。

―すき。
好き。好きよ、丈瑠。

言えない言葉を心の中で必死に叫ぶと、彼は茉子の手を握り締める。
無防備な舌先を絡め取られ、呼吸ごと奪われた。反射的に強張る身体が、抽挿を締めつけながら受け入れる。
「ッ!…も、う…!」
切ない声を上げる丈瑠。
壊れそうなほどに動きを速め、やがて茉子の奥へと欲望を放出した。

夜着に身を包んだ丈瑠は、しっとりした寝息を立て始めた。
茉子は起き上がり、昼間のままの服を整える。
早く自室に戻ろう。今夜は暇を出された黒子たちだって、この寝所を守るためにいつかは戻って来るに違いない。
一番の不審者が、既に入り込んでいると言うのに。自嘲すると、丈瑠が僅かに身動ぎした。
「……、」
別れの挨拶を囁きかけ、やめる。
代わりに彼の肩に毛布を掛け直して、茉子は静かに襖を開けた。


781:真剣殿桃「光差す道へ」
09/03/16 00:35:28 +q1N/Y/U
人の気配が消えたのを確かめて、丈瑠はゆるりと目を開けた。
重たい闇は飽くことなく室内を塗りつぶし、圧倒的な威圧感を以て彼に襲いかかる。
寝具の片側が、少しだけ広めに空いていた。
そこに寝ていた女のことを思い、胸が締めつけられるような苦しさを抱く。
手の甲で瞼を覆った。
置いて行かれた子供のように、孤独と不安に苛まれながら。

本当の気持ちを告げられない。
好きだと言われすらしないまま身体を重ね続ける現実に、自分の価値を問われるような気分。
何故俺は、こんなことをしているんだ。殊更に冷静さを取り戻すこんな瞬間を、丈瑠は厭う。

身体に残った気怠さだけが、濃密な時間の証。
誰かの代わりならば、それでもいい。
何も言わずに知らぬふりでいれば、ただひとときのまやかしでも、彼女を自分のものに出来る。
「―茉子」

傍らで、埋めきれずにいる空間に手を触れた。
彼女の優しい匂いも、甘い汗も、罪深い肢体も、そのぬくもりも。
「茉子…」
今は消え去り、もうここには何もない。

丈瑠は深呼吸をし、夜着の襟元を正した。
忘れなければ。
夜が明ければ、またいつも通りの自分にならなければいけないのだから。

「大丈夫、だ」
半ば無理やりに、痛む心を鎮めて、そして。
丈瑠はたった一人で、眠りという名の切ない闇に身を鎮めて行った。


<終>

782:真剣殿桃「光差す道へ」
09/03/16 00:37:33 +q1N/Y/U
以上です。
PCが規制に遭い、携帯から書き込んでいる為、改行等に不具合があったらすみません。
お目汚し失礼しました。

783:名無しさん@ピンキー
09/03/16 00:41:47 g8uA3Az/

ちょ…わ…!!

神が来て下さったよ
殿桃萌えるー!!

784:名無しさん@ピンキー
09/03/16 00:50:21 MmsJyY4T
>>782
GJ!GJ!
なんという切な萌え…!

この殿桃がいつか心まで結ばれる展開を
願わずにはいられない。

785:名無しさん@ピンキー
09/03/16 02:21:53 u/UbTfjf
GJ!!
ええのぉ~
俺は、どちらかといえば黄赤派だが、今回の桃を見るとヤッパリ桃赤も妄想してしまうよな
本編の今後でどんなカプになってくか、非常に楽しみだ

786:名無しさん@ピンキー
09/03/16 06:24:06 yg6RpO9o
保管庫って更新されてないのね…

787:名無しさん@ピンキー
09/03/16 07:26:51 ZcCl392v
出勤前で時間がないため自分で立てられないので警告だけ

490kb越えてるから新スレ立つまで書き込みは控えてくれ

788:名無しさん@ピンキー
09/03/16 18:27:05 RDf6Iqy6
新スレ

戦隊シリーズ総合カップルスレ9
スレリンク(eroparo板)

「幸せハイウェイまっしぐら」のまま立ててしまった、スマソ。

789:名無しさん@ピンキー
09/03/17 22:06:39 0s5O6J8R
序盤でここまで萌え萌えできるのって久しぶりだ埋め

790:名無しさん@ピンキー
09/03/17 22:31:39 66NVOvRV
母性本能攻撃する青とか
尽くしっぷりにほろっとくる緑とかいいなあ。
でもって、殿の笑顔にやられる桃黄なんかもいいなあ梅

791:名無しさん@ピンキー
09/03/18 00:40:19 WAomNxoT
投下します
エロもなにもありません、すみません
ただ埋めるだけのものとして大目に見てください。
タイトルNGワードでお願いします

792:真剣 「泰然狼狽」
09/03/18 00:42:08 WAomNxoT
 境内にて竹刀を振りおろす凛とした背中を見つけ、ことはは口元をほころばせた。
「さすが、殿さまや」
丈留が姿を消しているときは、稽古をしているに違いないと思った。
事実、丈留はそうしていた。
丈留の姿を見つけたことと、丈留が自分の予想通り稽古に励んでいたことがうれしくて、ことはは彼に駆け寄った。
そうしているうちに、丈留の腕が止まり、振り返る。
それですら、さすがやなぁと感心してしまうことはだ。
振り返ったのは、ことはの気配を察したに違いない。
「殿さまと一緒に遊園地に行きたいです!」
流之介に言われたままの言葉を、ことはは息を切らしながら一気に言った。
丈留の目が大きく見開かれたのち、眉が顰められていく。
「俺はいい。行きたければまた皆で行け」
「うちは殿さまとみんなと一緒に行きたいんです」
我知らずに知らずに哀願するような目で見つめていた。
丈留は口元を引き締め、振り切るようにことはから背を向けた。
「いきなりそんなことを言われても無理だ」
「殿さま・・・」
予想していた返事だったとはいえ、しょんぼりしてしまうことは。
ややあってから、そんなことはに丈留の背がぎこちなく答えた。
「あ・・・すなら、少しだけ時間を作ってやってもいいと、流之介に伝えておけ」
ことはの表情が明るくなり、ぺこりとおじぎをした。
「ありがとうございます、殿さま」


「私の申し入れではなびいて下さらないことが残念ではならないけれども、だ。頭脳プレー成功としよう、ことは、よくやった!」
満面の笑みの竜之介と手を握り合い、ことはは笑顔で答えた。
「よくわからんけど、流さんに褒められてうれしい」
そんな盛り上がりを冷めた目で千秋と茉子が眺めていた。
「また遊園地かよ~。洋服買いにいきてえ」
「ま、ことはが喜ぶならつきあってあげてもいいかなって感じ?」
茉子の目が優しくことはを見る。
「何考えてるかわからないアイツも、ことはには勝てないってことね」
結構、いいとこあるじゃない。
茉子はそう呟いて、読みかけていた雑誌に再び目を通しはじめた。

793:真剣 「泰然狼狽」
09/03/18 00:45:15 WAomNxoT
「なんのつもりだ、その腕は」
丈留が横にいる千秋を冷たく睨む。
千明が丈留の方に腕を回しているのだ。
「まずはご挨拶代わりに、アレだ。行こうぜ、殿」
くらりとめまいを感じた。
見上げるほどの高さから垂直に下りてくるアレにこれからのらなければならないのか。
乗りたくない。
絶叫マシンなどまともな人間の乗るものではない。
しかし、ここで乗らぬと断れば志葉家当主の・・・否、志葉丈留の沽券に関わる。
「殿、いざ参りましょう!」
流之介がニコニコと心から嬉しそうに声を張り上げる。
「いやぁ、絶叫マシンに殿とご一緒できるとはなんたる幸せ。
本日一日自由に遊べるというフリーパスをご用意しております、こちらが殿のパスにございますっ」
流之介の張り切り具合にますます丈留の口は閉ざされる。
浮かない顔をしているのが自分でもわかるが、仏頂面は日々常々しているはずだ、そうそう変わりあるまい・・・しかし、乗りたくない。
「うわぁ高いなぁ、怖そうやなぁ。はやく乗りたいですねぇ殿さま」
へ?
丈留は思わず耳を疑った。
このはは無邪気にはしゃいでフリーフォールを見上げている。
「乗りたいのか、お前」
「はい。高いところは大好きです」
心底嫌だが丈留は腹を決めた。
一度だけでも一緒に乗ってやればこいつらの気もすむことだろう。
「茉子?茉子は行かないのか?」
流之介が振り返ると、茉子は両手をかざしてやめておくと答えた。
「気分じゃないのよ」
「殿もご一緒してくださるのだから、ここはひとつ皆で同じ乗り物に乗ってだな、親睦というか一体感を・・・」
「う・ざ・い」
とっとと行けと茉子は手を振る。
「丈留、さっきから無口だな」
千明がいよいよがっしりと丈留の腕をつかむ。
「だからどうした」
「怖いのかな~なんて思ったりして」
こいつは、わざと挑発しているだけに過ぎない。軽口の延長だ。
本気で怖いと悟っているわけではないはずだ。
丈留は静かに答えた。
「そんなわけないだろう」
「だよな♪殿様がこんなの怖がってたら洒落にならねーもんな」
このバカタレの頭をシンケンマルで一刀両断にしてやりたいところを、丈留は無言でやり過ごす。
千明の反対側の腕をなぜか流之介に掴まれ、まるで連行されるような格好で歩き始める羽目になってしまった。
「腕を放せ、うっとおしい」
流之介はパッと手を離し、うれしさのあまり調子に乗ってしまいましたとその場で土下座の勢い。
なんだかなにもかもが面倒になってきたところで、視線を感じて丈留は茉子を見た。
茉子がこちらを見ていた。
「丈留、大丈夫なの?」
「何がだ」
「・・・まぁ、べつにいいけど」

794:真剣 「泰然狼狽」
09/03/18 00:46:22 WAomNxoT
し、死ぬかと思った。
地面に足をつけた丈留は無様によろけたりしないように細心の注意を払いながら、白い策に寄りかかった。
千明などあの状況で両手をあげ、バンザイしてヒャッポーィとやっていた。
煙となんちゃらは高いところを好むというが、真実だと丈留は思った。
まだ外道衆やあやかしの相手をしていた方が数倍マシだ。
「面白かったなぁ、千明」
「おー、またあとでもう一回行こうぜ!」
盛り上がる黄緑コンビを尻目に丈留は、ため息をつき額に手の甲をあてた。
この冷や汗を何とかしなければ。
「殿、どちらへ?」
「トイレだ」
「お一人では危険にございます、では私もご一緒に・・・」
ついてこようとする流之介のシャツの襟を突然、茉子が掴んだ。
「茉子、なにをするのだ」
「ほんっとーにあんたってうざいわね。トイレくらい一人で行かせてあげなさいよ。女子高生じゃあるまいし!!」
「女子・・・」
絶句する流之介をおいて、丈留はトイレに行くことにした。
とりあえず一人になりたかった。


「はい、どうぞ」
トイレの洗面台で顔を洗っていると、背後に茉子の気配を感じ丈留は慌てて振り返る。
抜けた顔のまま呆然と、こちらに水のペットボトルを差し出している茉子を見つめた。
「お前、ここは」
「男子トイレでしょ。わかってるわよ。気分悪いんでしょ。冷たい水でも飲んで落ち着きなさいよ」
ハンカチまで差し出される始末。
男子トイレで堂々としている茉子に、小言の一つでも言ってやろうと口を開いたものの、口を開くと悪心がやってくる。
おとなしくハンカチを受け取り顔を拭いた。
ペットボトルの蓋をあけてくれながら、茉子が優しい声で言った。
「絶叫マシンがダメならダメだって、最初に言ってくれたらよかったのに」
「誰がダメだと言った」
「言っていなくても全身でダメですオーラ出してるわよ。はい、お水」
ペットボトルを受け取ると、茉子は困ったように笑い、丈留の頭に手を伸ばした。
優しく撫ぜてくれる。
「今日は、私がなんとか誤魔化してあげるから」
「・・・あ・・・・」
ここまで見抜かれてしまうと虚勢を張ることの方がみっともないように思え、丈留は呟いた。
「すまん・・・助かる」
そうして水を飲もうとペットボトルを口に近付けた時、なぜかなぜか茉子に抱きしめられた。
頭を胸に抱え込まれるように。
水はこぼれるわ、女子の胸に頭を抱え込まれているというこの状況、さらにここは男子トイレ。
さまざまな混乱が丈留の頭をよぎり、衝撃度が強すぎて呆然としてしまった。
「もう・・・。情けないんだから。助けてあげたくなっちゃうじゃない」

795:真剣 「泰然狼狽」
09/03/18 00:46:53 WAomNxoT
 それから茉子は言葉の通り、うまく丈留から絶叫マシンを遠ざけてくれた。
その行動の真意は全くわからないが、とにかく助かった。
メリーゴーランドに乗って、このはが楽しそうに千明とはしゃいでいる様を、目を細めて眺めながら丈留は思う。
この者たちと共に戦うと同時に、守らなければと。
すると隣で同じようにこのはと千明を眺めていた茉子が言った。
「今は頼りないかもしれないけど・・・私達、いつか丈留に背中を預けてもらえるようになれたらいいなって思ってるよ」
「・・・」
「帰ったらおいしいご飯作ってあげるね」
おいしいご飯。
それを聞いて丈留の脳裏にシンケンマルでカボチャをスパスパ叩き切っていた茉子の姿が思い浮かんだ。
「い、いい。それには及ばん」
「なんでよ」
「・・・」
真に窮することが多い一日だ。
この顛末をジイに話したら、きっと大笑いするだろう。
これ以上弱みを握られても困るので、彦馬には絶対に話さないが・・・丈留はまんざらでもない気分で空を見上げた。


<終わり>


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