08/10/22 21:14:19 MNUDs2LL
刹那、ヒュッと風を切る音がコーネリアの耳を掠めた。
「えっ」
横を見るが、ギルフォードは居ない。
前方に視線を戻せば、高く跳び、落ちるブーケを強奪する我が騎士の姿があった。
………。
一拍の静寂の後、凄まじい悲鳴が会場を包んだ。
「ちょ、ちょっと!信じられない!」
どうやら本気でブーケを狙っていたらしい千葉が怖い顔でギルフォードを睨む。
「こんのメガネちったぁ空気読めよな!」
「あらあら、ギルフォードさんって楽しい方でしたのね」
「男が参加するの、ズルイ…」
大ブーイングを背中に受け、ギルフォードは真っ赤な顔でコーネリアの元へ戻って来る。
何と言っていいのか分からず呆然と立ち尽くすコーネリアの前に、彼は跪いた。
手にしたブーケをそっと差し出す。
「この様な事を申し上げるのは…不敬だと…思いますが」
顔は伏せているが、彼は耳まで真っ赤に熱を持っている。
「どうか、私と…」
コーネリアはやっとその意味を理解し、彼と同じくカッと全身を赤くした。
ぎこちない動きで、彼の手のブーケを受け取る。
騒然とする周囲の中、ヴィレッタは一人笑っていた。
泣き笑いで、新しく生まれた新婦の姿を祝福した。
おしまい