【友達≦】幼馴染み萌えスレ16章【<恋人】at EROPARO
【友達≦】幼馴染み萌えスレ16章【<恋人】 - 暇つぶし2ch550: ◆H676uvqZmA
08/12/16 00:15:54 dCSqBSLW
Jの喜劇 【5/9】


「ちょーっと傷ついた! だからメアド教えて? ケータイ持っているでしょ」
 谷川はこちらの返事を聞かないうちに、ポケットからストラップがいっぱいついたケータイを取り出す。
 なんで傷ついたからメアドの交換になるんだろうか。でも憶えていなかった俺が悪いんだし、
ここは素直にしたがっておくべきか。疑問はあったけれどスラックスからケータイを
取り出そうとした手を押し止めたものがあった。
「お客さまー。こちらの店員は非売品ですので、メアドの交換はごえんりょくださーい」
 慣れた感触の夏実の指。急激にその場の空気が緊張感に張り詰めたように思う。
なんなんだ、どうしたんだよ。お客さんもおろおろしてるじゃねぇか。そう口を挟もうとしたら、
夏実の突き刺すような視線が返ってきた。
 怖い。
 谷川に助けを求めようとそちらを見ると、夏実と同じような表情をしている。
二人とも俺より小さいのに迫力がありすぎるだろう。
 怖い。
「それでは、ありがとーございましたあ」
 明らかに作り笑顔の夏実が俺の横から、ガラスのドアに向かうと送り出すように開いた。
それに対して気持ちを切り替えるように谷川は息を吐く。そしてこちらへにっこりと
笑いかけて「今度はゆっくり話そうね」と『今度』を強調して言うと、俺と同じように
状況が理解しきれていないお客さんと共に表の通りへ出て歩いて行った。
 その姿が完全に見えなくなると、小鳥が人間を威嚇するみたいに肩をいからせていた
夏実が「今度も何ももうくるなー」と呟く。
「いや、お得意様だしなあ」
 そういうわけにもいかないわけで。怒りを解こうとあえて軽い感じをだす。
すると何度か唇を開いては閉じてを夏実は繰り返した。外から見えるように置いた
クリスマスツリーのイルミネーションの点滅と同じタイミングでちょっとおもしろい。
「……じゅんたのバカッ」
 さっきとは違う感じだけど、キッと俺を睨むと短く吐き捨てて夏実は店を飛び出して行った。
乱暴にドアが閉められて、上の方に付けられたベルがチリチリと何度も鳴る。追いかけたいけど、
すぐに新しいお客さんがやってきたせいで店を離れるわけにいかなくて、奥にいるお袋に声をかけた。
馬鹿ねぇとお袋までに小言を背中にもらう。
 俺が何したって言うんだよ! いや、俺が悪かったかもしれないけれど。
この頃、夏実を怒らせてばかりのような気がする。

■□■□■□■



551: ◆H676uvqZmA
08/12/16 00:16:32 dCSqBSLW
Jの喜劇 【6/9】


■□■□■□■

 ぴったりと閉じられた夏実の部屋のドアをノックした。最初は外に行ったかと考えたけれど、
この季節、コートも何もなしに北風に当たるような性格をしていないことは知っている。
「入るぞ」
 返事はないけれど、ダメとも返ってこないので一声かけて開けた。
 ドアを背に、テーブルの上にお菓子の袋を広げた夏実はこちらには目もくれず、
サクサクとクッキーなどを食い散らかしている。いつの間に買ったんだろう。
いつも俺が作るお菓子ばかり食べているし、近頃コンビニめぐりもしていなかったのに。
林檎味の携帯用のゼリーまであるのに、ココアも葛湯も入れてあるしキャンディーの袋も転がっていた。
「そんなにお菓子ばっか食ってると、夕飯入らねぇぞ」
「これはお菓子じゃないもん」
 どう見てもお菓子ですけれど。そうツッコもうとする間にも夏実は葛湯に息を吹きかけて
それをあおる。とろみのある物がそう簡単に冷めるはずもなく。
「あつっ!」
 案の定、火傷をしたらしい様子に隣へ回りこんで舌を出させる。少し周囲よりも
赤くなっているところを指でなぜた。痛かったのかビクリと体が強張ったのが直接伝わってきて、
俺は指をどける。
「……ったく、気をつけろよ」
 口の中の傷は割と早く治るけれど、一応冷たいものでも取ってくるか。立ち上がろうと
膝を立てたところで、腕を引かれてバランスを崩しそうになりながら座り直した。
「あっぶね……」
「なんで、いつも離れちゃうの」
 何言ってるんだ、という問いは俺らの口の中で消える。いろんな物の甘さ。
さっき触れた舌の熱さがそのまま唇とさらにその奥に伝わってきた。
「ん、っふ」
 鼻にかかった夏実の声が喉を通して直接頭にしみてくる。あまり長くない舌が歯の根元をなぞった。
火傷は痛くないだろうか。ふとそんなことがよぎったけれど、上気した頬に
落ちたまつ毛の影に吹っ飛びそうになったから慌てて体を引きはがす。
「はぁっ……なんでっ? 胸がないから? だから何もしてくれないの」
 言いながらカーディガンの下に着たレースで飾られたブラウスのボタンをはずそうとする。
その手を握り締めて止めた。
唇と同じように濡れた瞳。息をするたびに覗く白い歯。本当に勘弁してほしい。
「怖いくせに」
「そんなことっ」
「俺だってさすがに気づくんだよ。触るたびに緊張されたら」
 そう指摘すると、夏実はうつむいた。自分の思うタイミングで、希望のように触れられないと
ダメなんだ。自分からならいくらでもそうできるから平気なんだろう。キスだって、
抱きしめるのだって、なんだって。俺だってそれくらいわかるんだ。もし、それから
外れたことをしたらどうなるかとか。俺と夏実の間にはそういう差があることを感じてた。
これまでだって危なかったことなんて、何回もそれこそ数えきれないぐらいあったけれど。
「……待つのには結構慣れてんだ。本音を言うとさっきとかかなりヤバかったけど」
 もう諦めとかを重しにして隠さなくていいだけ、前よりもずっと楽だ。強く掴みすぎて
白くなった手を離して、かわりに髪をかき混ぜるようにしてなぜる。
「どうして急に焦ったのかはわかんねぇけどさ。こんな風なのは、夏実が後で後悔すんのは厭だ。
知ってるだろうけど、俺だって初めてだし。いろんなこと、例えば他の誰かと話すとか、
そういうことの意味が俺らの中で少しずつ変わってきているよな。でも、全部をいきなり
変えなくたっていいと、思うよ。なんて言うか……あー! うまく言えないんだけど!」
 俺の手が乗ったままの頭が振られた。


552: ◆H676uvqZmA
08/12/16 00:17:08 dCSqBSLW
Jの喜劇 【7/9】


「わかるよ」
 すれ違ってばかりだけど、こんな時、俺らの積み重ねてきた時間を強く感じる。
夏実以外の人間がそう言ったとしてもきっと嘘だと思うだろう。だけど、夏実だから
そのまま受け入れられる。だから、だからこそ夏実がずっと夏実であり続けられるようにしていきたい。
「でもね、不安になったんだもん。いきなりモテ始めるし。教えてくれなかったから
知らなかったけど、そのっスタイルいー先輩から告白されたりとかしてるし……。
さっきもメアドとか聞かれてるし。心が狭いって思うかもしれないけど、いやだったんだもん」
「断ったし、メアド交換しても俺からは何もする気ないし。谷川さんが何か言ってきても
同じように断わったよ。つーか、スタイルとかそういうので夏実がいいわけじゃないから」
 夏実がいいわけで。体も心も両方夏実だから欲しい。どっちかが別の人になったら意味がない。
夏実もそう俺のこと考えていてくれると思っていたのは間違いだったのかな。
「私だってそうだよ? ただ何もなかったから……」
 ほらこういう風に欲しい言葉はその時にくれる。
「じゅんただって、おと……この人だしっ。胸とかやっぱりそういうの好きなのかなとか
思っちゃったんだよ! ばかばかっ。鈍感星人あほー」
 恥ずかしさの限界を超えたのか、夏実が両手で顔を隠した。見える耳が赤い。罵られて嬉しいとか、
そうないよな。そういう趣味ないし。夏実なりに気にして意識してたんだなぁと思えば
これくらいの悪口なんてむしろ嬉しいくらいだ。
 俺が何も言わないからか、夏実は声のトーンを落とすと呟くように訊いてくる。
「本当にいいの? いっぱい待たせちゃうかもしれないよ」
「後で泣かれたりするよりはずっといいな。でも限界前には間に合うように祈っておく」
 おどけて言うと、くすりと笑い声がした。
「胸、ないよ?」
「まだ気にするか。大丈夫。俺、足派だから」
「へんたい。じゅんたのへーんたーい」
 変なメロディをつけて何度も「変態」と繰り返される。さすがの俺も傷つくんですけど。
気にしているみたいだから「貧乳好き」と言わなかったのに。嘘になるから言わなかっただけだけども。
「まあ、足派ではあるが……ないよりはあった方がいいし。夏実の心が広くなるように、
ありかを大きく育てるのもいいな」
「へっ?」
 目を見開いた夏実の腕の下に手をさしこんで抱えあげると、ベッドへ軽く放り投げるように
その体を移動させた。胸ぐらいは許容範囲みたいだし、たまにはいい思いしたっていいよな。
「よく言うだろ。揉まれるとってやつ。そこらにあるクッキーとかと合わせれば
効果あるかもしんねぇぞ?」
 俺の言葉に戻りかけていた夏実の頬がまたパッと赤くなる。
 コンビニとかで見かけないパッケージだったから、気になってよく見るとどれにも
「豊胸」とかそういう言葉があった。運動とかじゃなく、甘いものを食って
なんとかしようとするのが、あまりにも夏実らしすぎて笑える。
「そっ……そういうのは触れないのがやさしさだとおもうー」
「気にしないようにあえて触れるやさしさもあるとおもうー」
 口調を真似しながら、上のひとつだけ外れたブラウスのボタンに手をかけた。首のところでタイのように
リボンを結ぶようになっていたそれは、どこかプレゼントの包装を連想させてわくわくする。
 寒くなってきてから隠れていた鎖骨が見えた。さらに続けると、夏実の部屋のカーテンと
同じような柔らかいオレンジの下着が現れる。
「や、やっぱりはずかし」
 起き上がろうとする肩を押してベッドに再び沈めた。肌と下着の境を指でたどる。
中心から外側へ。肉の薄い感触から控え目だけれど次第に柔らかさが増していくのがわかった。
シャツを広げて肩に伸びるストラップを横へずらすだけで、自分でもおかしいくらい緊張する。


553: ◆H676uvqZmA
08/12/16 00:17:42 dCSqBSLW
Jの喜劇 【8/9】


「可愛いのしてんじゃん」
 小さな花のレースがあしらわれた下着は繊細なケーキの細工みたいで夏実の肌によく映えた。
「かわいーのって他の人の見たこと……んくしゅん!」
 言葉の途中で小さくくしゃみ。いくら部屋の中とはいえ、冬にこんな恰好をしていたら
風邪をひいてもおかしくないか。しかも夏実は元気なくせに風邪を引きやすい。今の時期に
体調を崩されてもいいことないな。
「家には母親も姉貴もいるの思い出せ」
 言いながら体の下になっていた毛布を引きずりだして俺らの上にかけた。いつも夏実が
使っている香水の香りがする。こんな風になるなんて半年前の自分は想像もできなかった。
 ちゃんと足の方まで隠れるようにしている間にうつぶせになられて、胸が隠されてしまう。
くそ、心配してやったのに。しょうがないから、後ろから抱え込むようにして体をベッドに転がした。
たくしあげた裾の方から手を入れ、なめらかな背中を楽しむ。どうして同じものからできてるのに、
夏実の肌はこんなに触り心地がいいんだろう。ぽっこりと浮き出た首の骨に口づけて、
そちらに夏実が気を取られているうちにホックを外した。
「あっ……」
 キスか、下着の締め付けがなくなったことかどちらに対してかわからなかったけど、
吐息のような声。たぶん、わかってないだろうけど、それがどんなにこっちを煽るか。
実はどう外そうか悩んでいたんで、後ろを向いてくれて都合がよかったと言ったら
むくれるだろうから黙っておこう。
 浮かせた下着と肌の間に手を滑りこませるとわかりやすく体が硬直した。
左手に伝わる振動がとくとくとくとく、早い。
すべらかで、温かくて、さらりとしているのに吸いついてくるような。掌にすっぽりと
納まってしまうぐらいだけど、ちゃんと柔らかい。
「こんなんなんだ……」
 初めての感触に思わずつぶやくと、夏実が頭をもたれさせてきた。
「なんでも、お互いに知ってると思ってたけど、まだまだ知らないこと、あったね」
「だな」
「恥ずかしいけど……じゅんたの手、あったかくて安心するなー。背中からも伝わってきて気持ちいい……」
 鼓動はまだ早いままだけど、少しずつ入っていた力が抜けて体重を感じられるようになる。
すっげぇ幸せ。
「じゅんたぁ。今年のケーキはフォンダンショコラがいいな」
「わかった」
 夏実の声みたいにとけて消えそうなくらい、とびきりのやつをつくろう。
胸を掌に収めたまま、優しくパン生地をこねるみたいに動かしてみる。寄せたり、
指だけで外側を撫ぜたり。


554: ◆H676uvqZmA
08/12/16 00:18:15 dCSqBSLW
Jの喜劇 【9/9】


「どんな感じ?」
 俺は柔らかい感触が気持ちよくてずっとこうしていたいけど。同時に夏実の感覚も気になって尋ねた。
「んん、よく……わかんない、かも」
 かもってなんだ。まあ、始めてですぐ気持ちいいなんてないだろうしな。でも、
ただ柔らかいだけだったなかにも、押し返してくる硬さもちょっとずつ生まれてきているから、
悪くはないと……思いたい。そのぷにっとしたグミのような先端を指で掠めるとまた夏実の体が硬くなる。
 いきなりどうこうなんて無理だよな。動きを止めてただぎゅっと抱きしめた。
ゆっくりとか言いながらすぐに忘れそうになってたらこの先もたない。
はふ、と緊張をゆるめたため息が聞こえて、それに応えるように手を探し出して指を絡めた。
 一回り細い指が、重なってきて確認するように何度も撫ぜるから、上体を起こして
耳にキスをする。何度も、二日と開けずに入り込んでいる部屋が、ベッドの上から
夏実越しに見るだけで初めての場所みたいだ。時計の秒針が進む音が心臓の音と重なって聞こえる。
 あったかいな。やわらかくて、甘くて、ずっとこうしてみたかった。
 少しでも夏実もそう思っていてくれたらいい。
 しかし、そんな心と裏腹に体は正直で。
「あー、夏実? ちょっと俺、その……トイレに」
 自分のことながら情けないぐらいの歯切れの悪さで幸せな時間を終わらせようとする。
そしてそのまま起き上がろうとして、できなかった。未だに右手が夏実の体の下にあるからだ。
「ほんっとに悪いんだけど、どいてって夏実?」
 無言。窓ガラスが風に揺れて音を立てる。
「まさか……」
 息をつめて様子をうかがった。そしてもう一度名前を呼ぶ。返事は―ない。
かわりに、安らかな寝息なら返ってきた。
「まじか」
 夏実の寝起きの悪さは天下一品。そして抱きつき癖がある。そんなことされたら、
目も当てられないことになりかねないってか絶対なる。自信もって断言できる。
 とりあえず、まだ胸に触れたままだった片手をどかして……。
「んっううん」
 何でこのタイミングで寝言なんだよ。しかも妙に鼻にかかっててエロ、だめだ。
考えちゃだめだ。生殺しか。これ何ていう罰ですか。
「す、き」
 ラブコメじゃねぇんだよ! でもこんなだけど、大きな一歩、前進なの……か?



END


555: ◆H676uvqZmA
08/12/16 00:18:57 dCSqBSLW
終わり。
風邪には気をつけてくださいな。

556:名無しさん@ピンキー
08/12/16 00:52:21 0XqvYquX
一番槍GJ!
とてつもなく甘くておいちゃん砂糖吐きそうだよ!
ぜひ甘えんb(ry

557:名無しさん@ピンキー
08/12/16 14:50:47 94vnbgVG
あれ?お預け喰らったのになんか損した気分にならないよ?
GJです。こう、想いが通じ合った後も微妙にすれ違いとかあったりして
でも幸せで
なんかいいですね

558:名無しさん@ピンキー
08/12/16 22:02:39 +9hmNc4b
相変わらずのGJ!
今回のJは純太のJかな?

559: ◆POBrm2R/G2
08/12/16 23:16:09 QRGhbXhU
>>541
書いてるときは違和感無く感じたんですけど、改めて読み直したらなんか幼すぎますね。
以後気をつけます。

>>◆H676uvqZmA
これで薄味言われたら、私のなんか無味にしか感じない・・・
とにかくGJです!

>>542-544
お前らのせいで余計な妄想が膨らんだwww
>>542は次回以降書きますが、今回は>>544のシーンをちょっと作ってみました。
ただし夢オチです。ごめんなさい。1レス消費予定。

560:許嫁を逆痴漢 ◆POBrm2R/G2
08/12/16 23:17:01 QRGhbXhU
今私は悠二と一緒に通学するため電車に乗っている。今日に限って電車故障が起きたらしく、動き出したと思ったらぎゅうぎゅう詰めの
状態で電車が発車してしまった。その状態で悠二がごそごそ動くから、悠二の肘がちょうど私のクリトリスに当たってなんだかむず痒い。
周りの人はみんな音楽聴いてるみたいだし、悠二はずっとゴソゴソ動いてるから、濡れてきちゃったじゃん。こんなことしてくる悠二には
責任とって貰わないとね?そう思い、私は悠二の手を取り、ショーツの中に手を潜り込ませた。

「ね、ねーさん?僕の手で何してるの?」ちょっと大きいのでシッ、と制する。
「ふぁっ・・・ふふっ、いいから、悠二はそのままで、ね?」
「え?でも、ねーさん、何だか僕の指が濡れてるんだけど・・・」
「いいから・・・こうしてれば満員電車もツラくないでしょ?」
私の手が悠二の手を動かし、まだまだ幼い悠二の手が、私のあそこを撫で回す。私の手の方までねっとりとした熱い蜜で濡れてきちゃってる
のがわかって、ちょっと恥ずかしい。でも手の動きは止まらない。撫で回してる状態じゃなんだか物足りなくなり、切なくてぱくぱくと
何かを求めてる私の膣に、悠二の指を突き立てる。
「~~~~~!!!」心の中だけで絶叫。初めての指を入れた快感に、頭が、アソコが痺れる。でもさっきよりお腹の奥の方の切なさがヒドくなる。
「ねーさん、指が、熱いですっ!」「ゆうちゃん、そのまま指を動かしてっ」
悠二が混乱してる。かわいいけど、今欲しいのはその顔じゃない。悠二の手を乱暴に動かし、指を出し入れしたり、手のひらを回したりする。
そのたびに周りには水っぽい音が響く。気持ちよくて、何も考えられない。
「ゆうちゃん!お願いだから、動かしてっ!」
悠二が意を決したように目をつむり、私の手の動きとは違う動きをし始めた。

「ふぁっっっっっ!!」
思わず声が出ちゃった。これ以上えっちな声を漏らさないようにするため、私は口を押さえる。悠二の手が私を犯してる。まだ女性経験の無い
男の子の、乱雑な動きだからちょっと痛いんだけど、それ以上に気持ちよさが私の全身をかけ巡る。
脚から力が抜けて立ってられないので、悠二に抱きつく。腰の奥の方から訳の分からない波が襲ってきて、ビクビクと腰が震える。
「ゆうちゃ、もうだ、め・・・んんんんん~~~~~!!!」
大きな快感の波にさらわれ、意識が朦朧とする。私、悠二にイカされちゃったんだ。膣に入ってる悠二の指が暖かくって、段々と意識が闇に落ちていく。


「じりりりりりりりり!!!」「ひゃうっ!」
快感に微睡んでいたら、耳元で突然鳴り出した目覚まし時計のアラーム。ん?目覚まし?
目覚まし時計のアラームを止め、時間を見ると06:00。携帯で日付を確認すると、今日は土曜日。
「・・・アラーム消し忘れてたのね。というかさっきのは夢なのね・・・」
なんか損した、と思ったのも束の間、何だかアソコに違和感を感じる。
「・・・うわぁ、シーツまでびしょびしょだぁ・・・」
あんな夢見たんだからこうなるのも仕方ないけど、こんなに濡れたのは初めて。でも、すごい気持ちよかった。あんな夢なら、また見てみたいかも・・・

・・・って夢の余韻に浸ってる場合じゃない!
私は慌てて普段着に着替え、来ていたものとシーツを洗濯、ついでに布団も干して換気。
その様子を見たお父さんが「なんだ、悠二君でもくるのか?」なんて無神経なことを聞いてきたので鉄拳制裁しておいた。
ううう、こんなこと誰にも知られたくない・・・

561: ◆POBrm2R/G2
08/12/16 23:18:49 QRGhbXhU
以上で終了です。痴漢といっても今回は触る痴漢ではなく触らせる痴漢ということで。
思わず痴漢の定義をWikipediaで調べましたが何か。

辰則と美紀のクリスマス中編は近日中に完成予定です。
それでは、また。

562:名無しさん@ピンキー
08/12/18 09:15:11 kCKOgYaP
GJ
痴漢というか痴女だなww

563:名無しさん@ピンキー
08/12/19 00:20:31 7Fa1MWpA
幼馴染みというよりショタじゃね?

564:名無しさん@ピンキー
08/12/19 00:52:17 oRiyggiq
幼なじみでショタでもいいんじゃない
俺はむしろ男の子視点からお姉さん感を楽しんでるが

565:名無しさん@ピンキー
08/12/19 07:44:23 DzTWkHJV
よし、次はロリだw

566: ◆POBrm2R/G2
08/12/19 07:49:14 Ryej+yZs
辰則と美紀のクリスマス 中編、投下します。
5レス消費予定。NGワードは「◆POBrm2R/G2」

567:辰則と美紀のクリスマス 中編(1/5) ◆POBrm2R/G2
08/12/19 07:49:53 Ryej+yZs
「みんなー!グラスは持った~?」
「持ったよー!」「はーい!」「うんっ。」
今日は瑞希、紀子、湊と一緒にクリスマスパーティ!本当はあと1人居るんだけど・・・
「たっちゃん!キミも今くらいは料理はおいといて、とりあえず乾杯にきなさーい!」
「いや、今ちょうどピザがいい感じで焼けそうだから、先にやっててくれ。」
そう、私達専属のシェフ、たっちゃん。ピザは確かに気になるけどさ、乾杯するだけじゃん!
「たっちゃんノリ悪「たっつー!料理期待してるよー!」瑞希ー!」「ミキティめんごめんご!」
瑞希は私の不満に割り込み、たっちゃんに料理をするよう促す。うぅぅ・・・

「まぁまぁ、また海神君がきたら乾杯しようよ。ね?」私たちのまとめ役の湊がそういうなら・・・
「仕方ないなぁ。じゃあとりあえず4人で乾杯しようか?」
「そうだね!」「はやくはやく!」「あー!瑞希!料理の手づかみは汚いよ!」「あっはっはー!」
湊は苦笑しているが、嫌そうではない。そう、これが私たちの普通。

「それじゃあとりあえず、2学期もお疲れ様でした!また来年もよろしくって事で・・・」
「「「「かんぱーい!!!」」」」
カチン、とグラスを合わせる私達。ちなみにグラスの中身はアルコール無しのシャンパン。
瑞希がアルコールを買おうとしたけど、紀子と湊が阻止。それを見てたたっちゃんはさすがに苦笑いしてたな。
「ピザ出来たぞー。テーブルの上空けといてくれー!」
そんなことを考えていたら台所からたっちゃんの声。湊はその声が聞こえたと思ったら、既にスペースを確保し始める。
「お、水上さんありがとう。お前らも少しは見習えよー。」
湊の行動に感心しながら私たちを注意してくるたっちゃん。湊は褒められて頬を赤く染めてる。でもそれは差別だー!
「たっちゃん、私達が行動しようと思ったらもう湊が既にやっちゃってたんだよー。」「そうだよたっつー!私が何もしないとでも?」
「・・・佐々木に関しては何もしなさそうだな。気付いたら美紀と水上さん、木津さんがやってそうだもんな。」
「う、痛いとこ突くねたっつー。」「あはは・・・瑞希ちゃんはそういうところ疎いからね。」
「湊・・・フォローになってない。」「まぁその分いつも私たちを引っ張ってくれるからね。帳消しじゃない?」
「ううう・・・慰めてくれるのは紀子だけだよ・・・」「おーよしよし、それじゃあ私たちはベッドで仲良くするかい?」
「いーやー!私には彼氏がいるのー!」「「「「あははははっ」」」」
いつも通りの会話はたっちゃんが混じっても変わらない。
まぁ普段からナンパ除けとかで一緒に居るから、みんなあんまり抵抗無いのかも。

568:辰則と美紀のクリスマス 中編(2/5) ◆POBrm2R/G2
08/12/19 07:50:36 Ryej+yZs
でもみんないつもより少し楽しそう。やっぱり好きな男の子がいるから?
湊は普段からたっちゃんと仲良くしたいような雰囲気を出してる。たっちゃんが私達以外の女の子と喋っていると目が怖くなるのが、ね。
紀子に関しては良く見ないとわからないけど、何気にボディタッチとかしてるし。他の男の子なんて仲良さそうに喋ってても触れやしないのに。
瑞希は彼氏が居るのに、結構たっちゃんにじゃれ付いてる。何気に胸とか当ててるのってたっちゃんだけだよね?

湊も紀子も瑞希もクラス、いや学年で見てもかなり美人の部類に入ると思う。普段一緒に居るからこそ、自分に自信があまり持てない。
本当はたっちゃん、私なんかより他の女の子と付き合ったり、キスしたり、その、あの、セックスしたりとか・・・
そんなことを考えてると気分が落ち込み、背筋を走る悪寒みたいなもので体が冷え切ったような感覚に陥る。
「美紀、調子悪いのか?顔が青いぞ?」俯いていた私の視界に入る愛しい人。思わず涙が出そうになる。
「ちょっと失礼。」そういってたっちゃんは私のおでこにおでこを合わせる。暖かい。私の瞳からこぼれた雫が私の頬を濡らす。

「熱は無いみた・・・お、おい、泣くなよ美紀。俺なんかやっちまったか?っておでこか?それなら悪かった!すまん!」
「あー!たっつーがミキティ泣かしたー!」「えっ!?海神君、美紀に何かしたの!?」「美紀!?どうしたの!?」
「お、俺は美紀が顔真っ青にしてるから調子わるいのかと思って・・・。」
女性三人に攻められるような形になってるたっちゃんが慌ててる。たっちゃんの優しさは伝わったから、私からフォローしてあげないと。
「たっちゃん、瑞希、湊、紀子、ありがと。こんな楽しいパーティが来年出来ないと思うと、ちょっと寂しくなっちゃってね。」
ちょっと苦しい言い訳。こんなの私のキャラじゃないし。
「ちょっとミキティらしくないんじゃなーい?私たちは親友だよ?何があったってまた集まれば良いじゃん!
 来年は受験が終わったらみんなで旅行にでも行こうよ!ね?」瑞希らしいフォローにまた涙が出てくる。
「うんっ!ありがとう、瑞希!」「わわっ!私はそっちの気はないぞっ!でもミキティが喜ぶなら、今だけ撫でちゃる!」
「わ~!そんなにぐしゃぐしゃしないでよー!」「あははっ、涙目のミキティはなんだかかわいいぞー!」
私は本当にいい友達を持ったと思う。こんなに暖かい空気、なかなか味わえないもんね。

569:辰則と美紀のクリスマス 中編(3/5) ◆POBrm2R/G2
08/12/19 07:51:09 Ryej+yZs
美紀のいきなり泣きだした騒動から1時間経過。俺はパーティ一番のお楽しみを急ピッチで仕上げている。

あの後、女子に混じって料理を食べたり一緒にゲームしていたら、突然佐々木が「そういえばたっつー、クリスマスケーキは?」なんて言い出した。
完成したケーキはあるのだが、ちょっとした細工をするために「じゃあちょっと用意してくるから10分ほど待ってくれ」と宣言し、台所に移動。
ちなみにケーキはブッシュ・ド・ノエル。5分ほどでケーキに細工を施し、階段脇の納戸からプレゼントの入った白い袋を取り出し、サンタ帽を
身につけ、準備完了。サンタ服に着替えるのははめんどくさいので却下。

「メリー・クリスマース!今日のケーキはブッシュ・ド・ノエルだぞー。」「「「「わー!すごーい!」」」」
女性陣の関心の声が上がる。こういうのってちょっと嬉しいよな。
「既に切り分けてあるから、好きなのを取ってってくれ。」
ケーキに群がる女性陣。あれ、俺のこのカッコは無視かい?お兄さん、泣いても良いかな?
「あれ?たっちゃん、その袋は?」
やっぱり持つべきは幼馴染だよな。真っ先に美紀が気付いてくれてお兄さんの機嫌も急上昇。
「これか?実はそのケーキにはちょっとした細工があってな。ケーキのどこかに数字を印した飾り付けをしてある。
 その番号に応じたプレゼントが、この袋に入ってるのさ。ま、普段みんなにはお世話になってるから、そのお返しだよ。」
「「えっ!(たっちゃん|海神君)のプレゼントがもらえるの!?」」
美紀と水上さんが異様な反応を示した。水上さんはともかく、美紀ってこんなに俺からのプレゼント喜んだっけ?
「おう。一人一人違うプレゼントだぞ。ま、安物だけどな。」
「たっつー、それは言っちゃダメよ。」「そうだよ~、冗談でも『高かったんだぞ』くらい言わないと~。」
佐々木と木津さんが文句を言ってくる。いや、4人で1万円って結構な出費なんだけどな。


ケーキを食べ終え、女性陣の手元には俺から渡したプレゼントがいきわたってる。佐々木はケーキを食いながら包み紙を破いていたが・・・。
佐々木には1の『FACEBANK』、木津さんには4の『ザ・フロッグウェザーリポーター』、水上さんには2の『バスパレット マイオーシャン』、
美紀には3の『ペコっぱ』。正直、1は佐々木に当たってくれて助かった。木津さんならまだしも、他の二人なら絶対嫌がるだろうからな。

「たっちゃん、見事に全部おもちゃだね。」「悪いか?なかなかいいと思ったんだが。」
確かにアクセサリーとかの方がいいかと思い悩んだけど、アクセサリーのプレゼントって変に勘違いしたりしないか?と思い却下。
「なにこれー!キモーイ!あはははっ!コイツお金食べてるー!」
「へぇ、気圧でこの水が上がったり下がったりするんだ。今日は天気がいいから、低いみたいだね。」
「お風呂に浮かべるおもちゃかぁ。早く使ってみたいなぁ・・・」
既に中身を見ている3人の反応は上々、なかなかの高評価みたいで一安心する。
「美紀のもあけてみようよっ!」「そうだぞそうだぞ!独り占めしようなんて卑怯だぞ!」「私もちょっと見たいなぁ・・・」
そう思っていたら、唯一プレゼントを開封していなかった美紀に非難の声。早々に折れる美紀。
「わかったわかった!今から開けますよっ!」

「ていうかさー、たっつーってなかなかひどい男だよね?」ペコッ
「そうそう、優しい顔して酷い事言うんだから、えぐいよね~?」ペコッ
「いや、あの、海神君は優しい人ですよ?でも、その優しさが罪です・・・」ペコッ
「確かにねー、朴念仁って言葉がぴったりだと思わない?」ペコッ
「お前ら、ペコっぱ相手に俺をけなして楽しいか?」ペコッ
「・・・こいつ壊したろか」ペコッ
「「「「あはははははっ!」」」」
なぜか俺に対する愚痴をネタにペコっぱで遊ぶ4人。なんだか不愉快だ。気分を害された俺は、空いた皿片手に台所へ逃げ込む。
皿を洗っていたら気分が晴れてきて、気付けばクレープとクッキーを作っていた。てかクッキー好きだな俺。
時間がかかったものの、なかなかいい作品が出来た俺は、何の警戒もなくリビングに向かった。

570:辰則と美紀のクリスマス 中編(4/5) ◆POBrm2R/G2
08/12/19 07:51:41 Ryej+yZs
「あはははっ、良いではないか良いではないかっ」「いやーん、そこくすぐったーい♪んぁ!そこはダメだって!」
「美紀の体ってホント綺麗だよね・・・出るとこ出てるし・・・」「ふぁっ!ちょ、湊、感じちゃうからだめぇ・・・」
俺はクレープとクッキーがのったトレーを持ちながら、リビングの扉の前で固まっている。
俺がいない約30分ほどの間に一体何があったんだ?この百合の花が咲いている楽園のような場所に飛び込んでいいんだろうか。
いやいや、ただのマッサージだろ。いやらしい考えをするな、俺よ。南無妙法蓮華経、悪霊退散、臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!
なんだか訳の分からない呪文を唱え、意を決して扉を開ける。
「おーい、クッキーとクレープ作ったんだがいる・・・か・・・?」
・・・ここはどうやら本当に楽園だったようです。どうもご馳走様です。
木津さんの服の裾から手を突っ込んで胸を愛撫している佐々木。木津さんのちらりと見える白い肌とおへそがまぶしい。
水上さんは水上さんで服を捲りあげられた美紀の胸をブラの上から揉みしだいている。美紀の水色のブラにくらっとする。

俺は急いで回れ右、逃げるが勝ちと言う事でリビングを脱出しようとしたら、何者かに全身を拘束される。
「え、えと、その、これは、あの・・・」全身の汗腺という汗腺が開く。嫌な汗がだらだらと流れる。
「ちょっとこっちに来ようか、たっちゃん?」「そうだね、ちょっとお話聞かせてくれるかな?」
美紀と木津さんの声がすごい怖い。ごめんなさいごめんなさいごめん(以下略


「確かに湊にお酒を飲ませた瑞樹も悪いけど、たっちゃんも女の子しかいない場所に入るときは声かけようね?」
ちなみに佐々木は水上さんを美紀の部屋に運んで介抱している。
「そうだね。ちょっとマナー違反かなっ!」「はい、ごめんなさい、もうしません。」
と言うか俺は悪くないと思うんだが、女の子の肌を見てしまった以上謝るしかない。
「でもでもっ♪辰則くんは私のエッチな声聞いて興奮しちゃったかな?」「う、それについてはノーコメントで。」
「へぇ、じゃあ興奮しちゃったんだねぇ♪まぁ美紀の方が色っぽい声出してたけどねぇ?」「わ、私は仕方ないじゃん!」
「ほほう、なんでかなぁ?」「だって、そりゃ、あんなとこ触られたら、声出ちゃうし。」
お願いだから男の前でそんな生々しいお話しないでください。体育座りで色々と隠さないといけなくなりますから。
「どこ触られちゃったのかにゃ~?」「むー!じゃあ紀子にしてやるー!」
「えっ!ちょ、辰則くんがい、ふあっ!そこはだ、んにゃあ!」「ほらほらー!感じるでしょー?」
「んんんっ!美紀、ちょっとおかし、やぁ!もう!私だってやってやる!」「んあっ!ちょっと、そこはやめっ、あん!」
お前らも酒入ってるだろ?と思いつつもあまりの光景に頭に血が上りすぎて、美紀と木津さんの嬌声を聞きながら、俺は意識を手放した。

571:辰則と美紀のクリスマス 中編(5/5) ◆POBrm2R/G2
08/12/19 07:52:14 Ryej+yZs
紀子と乳繰り合ってたら、隣からバタッと言う音がしたので見てみると、顔を真っ赤にして目を回しているたっちゃん。
「「(たっちゃん|辰則くん)!?大丈夫!?」」紀子も驚いたようで、私と同時に駆け寄る。
「たっちゃん!?どうしたの!?ねぇ、ねぇ!」「美紀、ちょっと落ち着こう。まず体におかしい部分がないか調べないと。」
たっちゃんが倒れるなんて今まで無かったから、相当慌ててたみたい。とりあえず顔を真っ赤にしている以外におかしなとこ・・・っ!?
「美紀?どうしたの?・・・っ!?」
紀子もたっちゃんのおかしなところに気付いたらしい。まぁこれだけ主張してたら、ねぇ。
「・・・とりあえず。」「興奮しすぎて倒れちゃったんだね。」
原因が分かりほっとする私たち。まぁあんなことを目の前でやってたんだから、仕方ないよね。

「・・・ねぇ、美紀。」「ん?なあに?」
「あのさ、美紀も辰則くんのこと好きだよね?」「っ!?」
「わかっちゃうんだよね。なんとなく。」「・・・そっか。」
「だから、今からちょっと悪いこと、しちゃわない?」「え?どういうこと?」
「辰則くんの、コレ、見ちゃわない?」「ふぇ!?」
「美紀は、気にならない?」「た、確かに気にはなるけど・・・」
「これは私と美紀の秘密。誰にもしゃべらないし、辰則くんにも言わない。」「うう・・・でも・・・」
「美紀が嫌ならいいんだよ。私だけで見ちゃうから。」「そ、それはダメ!」
「・・・じゃあ、いいね?」「・・・分かった。でも、紀子も言わないでよ?」
「分かってる。絶対に守るから。・・・じゃあ、やるよ?」「・・・うん」
たっちゃんごめんね、美紀は悪い子です。でも、やっぱりたっちゃんが好きだから、気になっちゃうんだ。

「ってちょっと待てーお前らー!!!」「ひゃっ!」「わぁ!」
「たたたたたたっちゃん?!いいいいいつから気付いてたの!?」
「『美紀が嫌ならいいんだよ。私だけで見ちゃうから』あたりか?お前ら何しようとした?」
「いや、あの、その・・・辰則くんのね、あの、ソレが、立派だなぁと思って・・・」「それ?・・・あ、コレ見られたんだ・・・」
再び卒倒しそうなほど真っ赤になるたっちゃん。と言うかみんな真っ赤。
非常に空気が重い。えーと、なにか声を「みなっちふっかーつ!!・・・あれ?何この雰囲気は。またたっつーやらかした?」
「加害者確定!?今回俺はどちらかといえば被害者だっ!」「は?たっつーがひがい・・・なるほどねぇ♪」
瑞樹はたっちゃんの体を見、そして私たちの顔を見てそんなことを言い出した。何となく嫌な予感がするんだけど・・・
「たっつーのアレはおっきかったかい?」「ちょ!?ななななんて事っごほっ、ごほっ」
耳元で突拍子もないことを囁く瑞樹。思わず咳き込む私。いや確かに見ようとはしたけど見てはいないし!
「なるほどなるほど、見ようとしたらたっつーが気付いちゃったんだねぇ♪残念だったねぇ、お二人さん♪」
ずばり言い当てられ、真っ赤になってる三人。たっちゃんは体育座り。訳が分からないという表情の湊、ニヤニヤとしている瑞樹。
そんなこんながありつつ、デート前日は変な雰囲気のまま終わった。

明日、たっちゃんと顔合わせるのがツラいなぁ・・・

572: ◆POBrm2R/G2
08/12/19 07:53:59 Ryej+yZs
以上で終了。後編は現在ネタ出しの段階です。何とかクリスマスまでには仕上げたいです。
それはそうと特定商品の名前を出してますがごめんなさい。単純に自分が欲しいのもあります。特にペコっぱ。
また何かあればご指摘いただけるとありがたく。それでは。

573:名無しさん@ピンキー
08/12/19 08:44:36 sd3TKgtl
GJ幼馴染が欲しかったよおおおおおおおおお

574:名無しさん@ピンキー
08/12/19 13:01:33 qUXnOwkr
甘くて良いんだけど、セリフのやりとりは
「おはよう」「おはよう」
と書かずに、
「おはよう」
「おはよう」
と一つ一つ改行してくれ。読みにくいです。

575:名無しさん@ピンキー
08/12/20 13:06:20 +H2VUiFn
次から灯下。エロ無しです。

576:『この世で最も華麗な彼氏』 ◆uC4PiS7dQ6
08/12/20 13:09:06 +H2VUiFn
1
 高校入学と同時に、ボク達二人は付き合い出した。
 産まれた日も、病院も、時間も一緒。ベッドも隣同士。
 毎日暗くなるまで遊び、周りの連中に冷やかされても関係なく遊び、二人で揃って成長する。
 そんな幼馴染みが大好きで、手放したくなくて、溜め込んだ想いを全て吐き出して告白して、やっと二人は恋人になった。
 その後すぐに幼馴染みの両親へ挨拶に行き、ヨロシク頼むと了承を貰う。
 ただし、条件は三つ。

・高校を卒業したら、幼馴染みの両親がトップを勤める会社の社員になる事。
・幼馴染みとは結婚を前提に付き合う事。
・ボクと幼馴染みが高校を卒業するまではセックスしない事。

 以上が出された条件。
 つまり、ボクを婿に迎え入れて後を継がせたいと言うのだ。セックスするなってのも、ボクの我慢強さを見る為。
 きちんと仕事を続けられるか?
 他の社員に誘惑されても浮気せずにいられるか?
 それを計ろうしているだけ。
 なんて事は無い。ボクには歳の離れた兄が居るから婿に行っても大丈夫だし、幼馴染みも心から愛してる。三年間セックスをしなければ、ボク達の幸せな未来は確定なんだ。
 思えば、ここまでは良かった。
 ここまでは、順調だった……
 二人の関係が暗礁に乗り上げたのは高校一年の夏休み。その初日。ボクは時期外れな肺炎に掛かり入院した。
 手術を受け、薬漬けで横たわり、奇跡的簡単に回復し、夏休みの終わる前日に退院となった時……ボクの身体に異変が起こる。
 この異変こそが、暗礁に乗り上げた原因。条件を守ろうとする意志を揺るがす悪魔。

 ボクの身体は、美味しくなったのだ。

 中毒性の高い、この世で最も極上なカレー味に……

 そして幼馴染みは、重羽 美月(おもはね みつき)は、
 双海 砂耶(ふたみ さや)の、ボクの味に魅了された。




  『この世で最も華麗な彼氏』



577:『この世で最も華麗な彼氏』 ◆uC4PiS7dQ6
08/12/20 13:14:42 +H2VUiFn
2
 気温を挑発する太陽。鳴き止まぬ蝉の声。身体は本の海に沈む。
 学校の昼休み、静かな図書室の奥底で、卑猥な水音は響き続ける。
 本棚の波を幾つも掻き分けて辿り着いた、広い図書室の底。ソコでボクの指をしゃぶるのは、一年前に愛を語った幼馴染み。
「んっ、んっ、んっ♪ んっ♪ ぢゅるちゅっ♪ ちゅぷっ、はぁぁっ……とても、おいひいよ砂耶♪ さやのっ、とってもぉっ……んぢゅぅ~~~~~ッ!!!」
 ピリピリと、快楽の電流が全身を貫いた。肉体的では無く、精神的にボクの呼吸を荒くさせる。そうさ、誰だってこうなるよ。
 自分の愛して止まない人が、上目使いで、瞳を潤ませ、耳まで紅潮させて、差し延べた左手の指を膝立ちになって口に咥えたら、誰だってこうなる。
 手首を両手で持ち、人差し指と中指の二本をぽってりとした唇に挟んで顔を前後させ、肉厚な舌で情熱的に締め付けられたら、誰だってこうなるんだよ!
 もちゅぅっ、もぐゅもぢゅもぢゅ、ぢゅぢゅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!
「ねぇ美月ぃっ、まだ……ふうっ!? 終わら、ないのっ?」

 美月が変わったのはアノ日から。
 それまでは欠点らしい欠点さえ見当たらない、自慢の幼馴染みだったのに。
 背は170センチ後半でボクより20センチも高くて、スタイルも良いし胸も大きいし足だって長いし、髪だってサラサラで、綺麗で、勉強もできて何でも熟す、自慢の恋人だった。
 でも……変わった。ボクの味を知った日から。その日から、美月は変わった。

 最初は「砂耶って変な味するな?」の一言。でも、次は十日後。次は一週間後。次は五日後。求めて来て、日を増すごとに間隔が短くなって行く。今はもう毎日。
 印象に残ってるのは去年秋のマラソン大会。走り終わった後、美月に「汗を舐めさせて!」と泣き付かれる。
 汚いから駄目だと断っても、校庭隅に生えてる大木の影に引きずり込まれ、押さえ付けられて、頬っぺたと首をベトベトになるまで舐められた。
 家のトイレでオシッコした時、台所で手を洗おうとしたら、捕まえられて指を舐められた事も有る。
 その後にビクビクと震えてヘタレ込んでたけど。



578:『この世で最も華麗な彼氏』 ◆uC4PiS7dQ6
08/12/20 13:16:42 +H2VUiFn
3
 どうやらボクの体内から出る分泌液には中毒性が有るようだ。そしてボクの感情が高まると更に美味しくなるらしい。だから、いちいちイヤラシイ舐め方をする。
 セックスはしちゃイケないって美月もわかってる筈なのに、わざと……興奮させるんだ。一年で、ボクを舐める為だけに進化して伸びた美月の舌。顎舌のラインに垂れるまでに長い。
 こっちも意地でサポーターを付けて勃起してるのを悟られないようにしてるけど、こんなんじゃ約束を守れない。いずれ間違いを起こす。
 そう思ったから、夕食後に美月をボクの部屋に呼んで、「もうボクの身体を舐めるな!」とキツく言った。
 大声で泣かれたけど、首を縦に振り、納得してくれたんだ。納得してくれたと勘違いしていた。だから翌日に思い知らされる。

 翌日、息苦しさで目を覚ますと、美月がボクの上に乗っかって顔を押さえ付け、舌を差し込んで咥内からジュルジュルと唾液を啜っていた。
 グッバイ、ファーストキス。「あんな事を言う砂耶がイケないの! 私は砂耶が居ないと生きてけない身体にされちゃったんだよ?」と開き直り、美月は完璧に末期症状。ちなみに、唾液は汗より美味しいらしい。
 それでボクも諦め、一日一回。激しくならないように学校で舐めさせてる。
 美月はその一回を濃厚に味わい尽くすだけ。胸元を開けて、淫語を連発して、ボクを興奮させて。
 
 ああ、無理だよ。こんなんじゃ堪えれない。
 今は高二の夏。卒業するまで後一年半。やっぱり堪えれないよ。毎日、毎日、美月を想ってオナニーするだけじゃ堪えれない。
 だけど、それでも、二人の未来を考えて堪える。


 ボクの味は、感情が高まれば高まるほど美味しい。
 何も無いより汗が、汗より唾液が美味しい。
 感情が高まった時に出る液が特にオイシイ。

 じゃあ、ボクのアレは?




続く。



579:名無しさん@ピンキー
08/12/20 13:18:43 +H2VUiFn
以上です。
後はエロ→オチで終わりです。

580:名無しさん@ピンキー
08/12/20 13:31:42 7NWl8YRR
>>579
寝取られ彼氏の作者さん、相変わらずエロくていいwGJ!

581:名無しさん@ピンキー
08/12/20 15:17:01 qn1rC8Q/
こいつのウンコはカレー味……?

582:名無しさん@ピンキー
08/12/20 18:11:18 GWiLC4ef
いいぞもっとやれ

583:名無しさん@ピンキー
08/12/20 20:01:20 jOV1KLsw
エロなしなのにエロいな~
GJ!!

584:サカユメ
08/12/22 20:55:43 iQLHFbjD
 私ね、結婚するの。キラキラ輝く指輪を撫でて彼女が言った。恋が何かを知らないときから馴染んだ目元が幸せそうに弛む。
黄昏は北風に追いやられてほんの名残を残すばかりだ。
 一緒に通った通学路の途中、小さな公園は二人だけの隠れ家を何度も作った思いでの場所。彼女の言葉に何かが崩れてくすんでいくのがわかる。
 嘘だろう、と口にしたいけどできない。だってあんまりにも幸せそうだから。
 どんなやつだろう。ささやかなに光る幸せを大きな閃光でかきけして、彼女を染めてしまったのは。
強く強くまぶたを閉じれば、天地がぐるぐると回っていった。




 ねぇ、起きて。少しずつ変わったけど一番耳に心地よい声に体を起こす。
細い指が頬をたどって、泣いていたのだとしった。
 結婚する?
 えぇ、するわ。
 さっきの笑顔よりも輝いた瞳に自分が映っている。
 とても悲しい夢を見た。
 大丈夫、これからもずっとそばにいる。
 でも大事なことに気づけた。
 幸せになろうね。
 うんと頷いて彼女の体を抱き締めた。あぁ夢でよかった!

585:名無しさん@ピンキー
08/12/22 23:09:55 EWORkUCq
>>584
こういうのもいいな
GJ

586:名無しさん@ピンキー
08/12/23 01:01:08 enx6rMRN
>>585
夢でよかったー……GJ!

587:コトコのカタチ_0 ◆DswpUl0rgY
08/12/23 19:59:34 TS1QqPHy
ぐるっと季節が一周してしまいましたが、
コトコのハナシ URLリンク(red.ribbon.to)
コトコのキス URLリンク(red.ribbon.to)
の続きです。



588:コトコのカタチ_1 ◆DswpUl0rgY
08/12/23 20:00:17 TS1QqPHy
 
 せっかくだからクリスマスの日にしない? と琴子が言ったので、何がせっかくだか判らないけど一週間お預けにされた。
 今まで散々待ったからね、別に一週間ぐらいどうってことないけどね、大人だしね、なんて言いつつ、琴子の夢子ちゃん的に発想に苦笑いしかできなかった。
 ま、そのくらい付き合ってあげるけどね。

 約束のローストチキンは、実は作るより切り分ける方に苦労をしたけど、琴子は子供みたいにはしゃいで喜んでくれた。
 いつもみたいに脈絡もなく会話をしながら、時々思い出したように赤ワインの味のするキスをして。
 僕らはやっぱり、今まで恋人じゃなかったのが不思議なぐらい同じタイミングでキスがしたくなった。
 これって何かのワナ? と疑いたくなるような甘酸っぱい幸せを、ここぞとばかりに思いっきり楽しんでいる。


 ブッシュ・ド・ノエルを食べ終えて、チョコレートの味のするキスの途中で、ついに我慢が出来なくなって琴子の腕を引いた。
 誘われるままに、琴子が立ち上がって僕のももの上に横座りになり、首に琴子の両腕が回った。
「……重くない?」
 小声で問われて、僕はそっと左右に首を振って目を閉じた。
 くちびるが落ちてくる。
 ふわりと重なった柔らかなそれに、僕は夢中になる。
 ぺろりと舌先で舐めると、琴子の身体が僕の上でぴくんと揺れた。
 その小さな反応が嬉しくなって、ぐいと強引に舌を差し入れる。
 ちろちろと舌先で琴子の舌先をくすぐって、舌の裏も舐め上げて、湿った音を立てながら深く深く口付ける。
 ときどき濡れた声を漏らす琴子が愛しくなって、僕は背中に手を回してぎゅっとその身体を抱きしめた。
 重ねたくちびるの端が嬉しそうに歪む。
 触れるときと同じ速度でゆっくりと離れて琴子は、僕の肩に腕を預けたままくすぐったく笑った。
 
「ね、要。『僕のこと好き?』って聞いて?」
 柔らかな笑顔で問われて、僕は少し間をおいて口を開く。
「僕は琴子が好きだよ」
 にっこり笑って、琴子を見据えた。
 こういうのは勢いで言ったほうが勝ちだ。
 当の琴子はそのアーモンド型の瞳を見開いて、二三度瞬きを繰り返した後、恥ずかしそうに首をすくめて小声でずるい、と呟いた。
「……ずるいのはどっち?」
「…………そうだね、ごめんなさい。あのね、要、あのね、」
「うん」
「私、要のことすき。すごく好き。考えれば考えるほど、すきなの。どうして今まで気がつかなかったのかな」
「なんでだろうね」
 同時に小さく笑いあって、そっと触れるだけのキスをする。
「…………要……しよ?」
 吐息混じりに、琴子が囁く。
 うっすらと細めた目が色っぽい。少し乱れた呼吸も、掠れた声も。抱きしめた熱い身体も。
 琴子がこんなにも色気を持っているなんて、僕は知らなかった。
 うん、と答えながら僕は、自分の身体が内側からどんどん熱くなっていく、と思った。
 
 服の裾から熱くなった手のひらを差し入れたら、琴子が身を捩った。
「……場所、変えよ?」
 ああそうか。
 こんなとこで始めても、後が困るか。
「客間?」
「ううん、要の部屋がいい。だめ?」
「いいよ」
 そろりと僕の上から琴子が降りて、もう一度だけキスをすると僕らは手をつないで階段を上った。


589:コトコのカタチ_2 ◆DswpUl0rgY
08/12/23 20:01:00 TS1QqPHy
  
 常夜灯のみに照らされる薄暗い僕の部屋が、琴子の気配で見慣れたはずの色を変える。
 ベッドに腰掛けた琴子が、くすくすと小さく笑った。
「なに?」
「ん、要の匂いがするなあって」
「…………におう?」
「違うよ。なんか、安心するの。懐かしいかんじ」
 ふぅん、そんなもんかな。
 琴子の隣に腰を下ろして、そっと手を重ねる。
「そういえば、ここに入るの久しぶり。十年ぶりぐらい?」
「そうだっけ?」
「うん。なんか、雰囲気変わっちゃったね」
「十年も経ったら変わるよ。一回出てったし。琴子の部屋も変わった?」
「うーん、あんまり変わってないと思うよ。今度来る?」
 ちら、とこちらを見上げたその目にどきんとした。
 うん今度ねと適当に相槌を打ちながら、僕は琴子にキスをする。
 軽く触れると琴子が身を離して、僕の頬を両手で包み込んだ。
 そのまま僕の眼鏡を攫って枕元に丁寧に置くと、片足をベッドに上げて身を寄せてくる。
 両手を伸ばした仕草だけで、抱きしめてと誘われて、僕は琴子の背中に両手を回した。

 琴子も、両の腕を僕の首に回して身体を密着させてくる。
 柔らかな乳房の感触ががダイレクトに自分の胸に伝わり、僕はまた思春期のようにどきどきする。

「…………やばい」
「どうしたの?」
「すごく、緊張をしています。琴子は平気そうだね」
「…………平気じゃないよ、ばか。あのね、さっきからキスするたびに、いけないことしてるみたいな気がしてる」
「いけないこと?」
「そう。昔、お母さんたちに内緒で、国道越えたすべり台の公園までよく行ったじゃない? あのときみたいな」
「ああ、なるほどね。うん、ちょっと判るかも」
「あのときと一緒なの。駄目な気がするのに、どきどきして、もっと、って思う。もっと、触って……」
 全部言い切る前に、琴子がくちびるを寄せてきた。
 もう何度目か判らない、背徳の味のするキスを交わしながら、僕はついに琴子の肌に直に触れる。
 その動作は緊張のせいでとてもぎこちなく、まるで初めてのときみたいで急に恥ずかしくなる。
 初めてついでに、琴子の昔の彼氏の顔を何人か思い出してしまって、慌てて打ち消した。

 過去のことは言ってもしょうがない。お互い様だ。
 出来たら知らなければよかったとは思うが、取り返しはつかない。
 救いは最近の彼氏の顔を知らないことか。
 見苦しいな、僕。

 背中をそっと撫で上げる。
 ぴく、と琴子が震えた。
 するすると洋服を脱がせて、下着の上から軽くその胸を触れると、予想以上の大きさにちょっと驚いて僕は思わず手を止めて琴子を覗き込んだ。
「…………琴子って」
「な、なに?」
「着やせするんだね。知らなかった。案外大きい」
「か、要のばかっ。恥ずかしいから言わないで」
「恥ずかしいの?」
「恥ずかしいよ。男の先生に『ご立派ですね』って言われるし、男子に見られるし、女子に揉まれるし。だから出来るだけ胸が目立たない服着てるの」

 学校とはなんと恐ろしいセクハラが横行する場所なんだろう。
 男子が見るのは仕方ないし女子が揉むのもただのスキンシップだと予想しよう。
 一番初めのは非常によくないんじゃないか?
 眉根を寄せてしかめっ面を浮かべる僕を気遣うように、琴子が慌てて首を軽く振る。
「あ、でも、もっと大きくて悩んでる子はたくさんいるから。下着も、ちゃんとサイズあるし。
 困るほどじゃないんだけど、やっぱりね、突然触っていい? とか言われるとびっくりするし、もう少し、小さいほうが良かったかな」
「……………………そんな話の後になんなんだけど、触っていい?」

590:コトコのカタチ_3 ◆DswpUl0rgY
08/12/23 20:01:32 TS1QqPHy
 何か他に言うべきことはたくさんあるような気もするが、ちょっと余裕がなくなってきた。
 僕はもうずっと、琴子に触れたくて仕方なかったのだ。
 琴子を好きだと自覚してからおおよそ十ヵ月。ずっと望んできたことが、こうして現実になっている。
 夢見心地な今を早く現実にしたくて、余裕がないとは自覚しながらも僕は思わず琴子にお伺いを立ててしまった。

「……う、ん……触って」
 消え入りそうな声で、顔を俯けながら琴子が言う。
 指に軽く力を入れると、琴子の胸はなんともいえない弾力で僕の指を押し返す。
 大きさも、僕の手を広げたら片方がすっぽりとちょうどよく収まって、へんな話だけど僕のためにそこにあるような気さえしてきた。
「…………んん、要、……ふ」
 琴子にねだられるままにキスをして、僕はそっとそのふくらみを覆う下着を取り外す。
 紐を腕に滑らせて抜き取ると、肩を押してベッドに琴子を押し倒した。
 そのほっそりとした身体を、ぼんやりとする視界で懸命に見つめる。
 僕の視線に気がつくと琴子は、恥ずかしそうに両腕で自分の胸を覆った。

「……なに?」
「琴子の裸見るのって、二十年ぶりぐらいかなーと思って」
「え、いつだっけ?」
「小二ぐらい? 夏休みにウチのおじいちゃんち行ったとき、みんなで風呂入ったじゃん」
「………………そうだっけ……やだお願い、忘れて」
「えー」
「恥ずかしい……」
「ちゃんと成長してるから、大丈夫……」

 首の付け根を舐めると、琴子が鼻にかかった甘い声を漏らす。
 もっと聞きたくて、くちびるだけでそっと首筋を撫でたり、舌をべろんと這わせたり、歯を立てたり吸い付いたり、耳に息を吹きかけたり。
 思いつく限りの方法で琴子に触れる。
 僕が何かするたびに、聞いたことのない高い声が琴子の口から漏れていた。

「あ、あっ……まって、要も脱いで。恥ずかしいじゃない」
「はいはい」

 取り合えず自分も衣服をすべて脱ぎ落してから再び琴子に肌を重ねる。
 暖房を入れているとはいえ、若干の肌寒さを残す室内に素肌をさらされていた琴子の肌は少し泡立っていた。
 額を撫でて、見つめ合って、同時に瞳を閉じて、吸い寄せられるようにキスを交わしながら、指先は頬を伝って首筋を通り、両の膨らみへと落とす。

 琴子の胸は、今までに触れたどんなものよりも柔らかくて気持ちがよかった。
 こんな素晴らしいものが近くにあったのに、今まで知らなかったなんて全くもったいない。
 ずっと触れていたい、と思ったのは一瞬のことで、すぐに他の刺激が欲しくなり、片方の手のひらを滑らせた。
 きゅっと理想的にくびれた腰を撫でて、布地の上からそっと触れる。
 琴子が、声にならない吐息を漏らした。
 柔らかいそこを慎重に撫で上げる。
「あっ」
 一層高い声をあげて琴子は身を固くした。
 その反応に気をよくした僕は、くすぐるように指の先でそこを何度も往復させる。
「んん…、ん、あっ……や…………要っ、あ!」
 すっかりと余裕を失ったその声に、僕まで引きずられるように余裕をなくして、しっとりと湿り気を帯び始めた下着の内側に手を差し入れる。
「あんっ」
 彼女自身から溢れた水分のぬめりを借りて、そっと襞の間に指を滑らせた。
 形を確かめるように、何度もそこをなぞる。
 琴子からどんどんと染みだしてくる愛液が、指に絡んでぐちゃぐちゃと卑猥な音を室内に響かせた。


591:コトコのカタチ_4 ◆DswpUl0rgY
08/12/23 20:02:53 TS1QqPHy
 
「あ、ああっ……」
 だめ、や、と何度も短く言いながら、琴子が首を激しく左右に振っている。
 僕の二の腕を掴んだ指先に、どんどんと力が籠っていく。
 血の気が止まりそうに痛くなってきたところで、僕は愛撫の手を止めて、琴子の顔を覗き込んだ。
「……大丈夫?」
 僕が低く問いかけると、琴子は驚いたようにきつく閉じていた両目を開いて、何度か瞬かせた後に恥ずかしそうに瞼を伏せて視線を反らした。
「え…あ、……うん、大丈…夫だから、えっと…………。もっと…して」
 潤んだ瞳で懇願をされて、僕の胸はいっそうに高鳴った。

「ん」
 自身が一回り肥大して興奮を抑えるのにやっとな僕は、そう短く答えるのが精一杯だった。
 余裕のなさを誤魔化すために、顔を背けたために露わになった首筋にくちびるを落とした。
「あっ」
 同時に、指先にぐっと力を込めて琴子の中に人差し指を侵入させる。
 そこは驚くほどの熱と湿度を持っていて、僕を誘い込んでいるようだった。
 くい、とその指を折り曲げてかき混ぜると、琴子がまた薄く喘ぐ。
 下着の中で動き回る不自由さに限界を感じて、そっと最後の一枚を脱がしにかかった。
 するりとウェストに手を差し入れると、僕の動きを察知した琴子が腰を軽く浮かせて助力をしてくれる。
 細く引き締まった両足から薄っぺらい下着を引き抜く。かかとに引っ掛かったそれをちらりと片目で確認をしたら、色はワインレッドだった。
「……クリスマスカラー?」
 胸の内で呟いたつもりが、しっかりと声に出ていたようで。
 真っ赤に染まっていた顔をさらに首まで赤くした琴子が、ばか、と小さくつぶやいた。
 ごめんと口先だけで謝って、キスをする。

 もしかしなくても、僕のための用意かな。
 琴子自身が、僕にとっての最高のクリスマスプレゼントだ。

 うきうきしつつ舌を深く絡ませながら、膝を開かせてその間に陣取った。
 白い太ももと撫でて、身を起して膝に手のひらを乗せる。
 その手に力を込め、ぐいとさらに大きく割り開く。案外簡単に露わになったそこへ鼻先を近づけた。
「あ……やだっ」
 僕の次の行動を察知した琴子が、今更なのに足に力を込めて膝を合わそうとするが、それより早く僕は皮を被った陰茎に舌を這わせる。
「ああっ」
 琴子の全身がびくんと痙攣をした。
 舌先にダイレクトに伝わる女性の味に興奮をして、僕はまるで獣のようにぺろぺろとせわしなく舐め上げる。
「んっ、んん……あ! や、まって……!」
 琴子の手が伸びてきて僕の頭頂を髪の毛ごと掴んだ。
 僕は頓着せずに、愛液の滴る花心に吸いついて、ついでに手持無沙汰になっていた指先を内部に埋め込んでしまう。
「あ! やっ……やだ…ぁ」
 そこはさっきよりも一層激しい熱に満ちていた。
 早くここに自身を突き立てたい。
 そんな欲望に捕らわれた僕は、まるでやっと食事にありついた犬のように意地汚く琴子を舐めまわし、指の抽送を繰り返す。

 後から後から溢れてくる粘液を拭うように舐め取った。
 奥まで差し込んだ指を、ぐいと折り曲げて内壁を探るように撫でる。
「ぁ……ふ、んっ…ああ!」
 僕の行動一つ一つに、琴子が身を震わせて反応をくれる。
 どんどんと楽しくなってきた僕は、調子に乗って指の動きを激しくする。



592:コトコのカタチ_5 ◆DswpUl0rgY
08/12/23 20:03:26 TS1QqPHy
「……っ、や! やだ…やだやだ、要っ! まってやだ……! いやっ!」
 顔をしかめてしまうほど強く髪を引っ張られて、僕は思わず小さく悲鳴を上げる。
 はっと我に返ったように指先の力を緩めた琴子が、逃げるように腰を引きながら、ごめん、と小さく言った。
「ん……琴子、いや?」
「……」
「気持ち、よくない? やめる?」
 どろどろに濡れた口元をぬぐいながら、半身を起して琴子を見つめる。
 しばらくの硬直状態ののち、ぼんやりとした視界にもはっきりと判るほど激しく琴子が首を左右に振った。

「……違う、の。ごめんなさい。……あの……」
「どうしたの?」
「…………き、気持ちよすぎて、訳が判んない……」
 整わないままの熱っぽい息でそう言われて、僕の理性は完全に焼き切れそうになってしまった。
 それでもなんとか衝動をこらえて、琴子に微笑みを返す。
「よかった…………続き、してもいい?」
 
 言ってしまってから、いちいちお伺いを立てる己に少し情けなくなった。

 昔からそうなのだ。優柔不断で、周りの意見に流されやすく、強きものに従え、的な僕の性格を、琴子はひとくくりに「優しい」と表現してくれるが、要するにただのヘタレなのだ。
 子どものころは、三つ年上で自己中な兄貴、末っ子気質で我がままなイオ、行動的な琴子と連れだって遊ぶにはこのヘタレ具合がいいように作用していたという自負はあるが、社会人になった今、時折邪魔なものでもある。

 今だって、そうだ。
 もう自分を抑えるのも割と限界なのに、それを無理やり覆い隠して琴子に判断を委ねている。
 我慢をしてほしくない、無理強いをしたくない、と言えば聞こえがいいが、ただ、嫌われたくないだけなのだ。

 その証拠に、琴子が首をゆるく左右に振っただけでひどく動揺をして、自身が萎えてしまいそうになった。

「…………いや?」
 動揺を抑えながら問いかければ、琴子がまた左右に首を振る。
 意味が判らなくて、僕は首を傾けた。
 両肘をベッドについて軽く身を起こした琴子が、まなじりに涙を浮かべてこちらを見やる。

「もう…………来て」

 一旦首をもたげかけた自身が、再びその張りを取り戻す。なんて判りやすいんだろう。
 ぞくりと這い上がってきた悪寒にも似た快感を、ぎゅっと下腹部に力を込めてやり過ごしたのちに、僕は小さくうん、と言った。

 そのまま覆いかぶさってしまってから、未だ避妊具を装着していないことに気がついた。
 とりあえずキスで誤魔化して、手をのばして枕もとに置いたそれに手を伸ばす。
 あたかも最初から「それを取り出すつもりでしたよ、ついでにキスしましたよ」的な偽装工作のつもりだ。
 何のために一週間待ったのか、その根本を僕は忘れていませんよ、的な。

 そんな行為に意味があるかどうか判らない。たぶん、徒労だ。
 だけど、僕は琴子に失望をされたくないのだ。
 琴子は無条件で僕のことを信頼してくれている。絶対に、裏切ることはできない。
 こんな切羽詰まった状況でも見栄を張らずにいられないのだ。



593:コトコのカタチ_6 ◆DswpUl0rgY
08/12/23 20:04:16 TS1QqPHy
 身を起して素早く取り出したそれを装着して、再び肌とくちびるを重ねる。
 先端で秘部をつつくと、僕の身体の下で琴子が逃げるように身をよじらせているのが判った。
 その様子が、まるで焦れて僕を欲しがっているようで―さすがに理性の限界を迎えた僕は、少々強引に腰を押しつける。

「んっ!」
 琴子が薄く喘ぐ。構わずに僕は、自身を埋め込むべく力を加えていく。
 ゴムについたゼリーと、琴子自身から溢れる蜜の力を借りて、僕はぬるんとした彼女の内部に着々と身を沈めていった。
 半ばまで到達したところで、いったん動きを止めて琴子の様子を窺う。
 眉根をきつく寄せてはいるが、首をのけぞらせて漏らす声からは、辛そうなそぶりは見受けられない。
 僕は安心をして、快楽を貪る作業に戻る。

 大人になっていてよかったな、とふと思った。
 もしこれが、たとえば高校生同士で、お互いが初めての相手で、右も左も判らない自分だったらもっと琴子は苦しんでいたはずだ。
 それはそれで、微笑ましい思い出になるのかも知れないけど、僕は琴子に苦痛を与えたくはないし、余裕がなくて浅ましい姿を見られたくもない。
 琴子の言葉を信じるならば、―27の僕は、ちゃんと琴子を気持ちよくさせられる。
 本能のままにがっついたりしないし、きちんと避妊もして、言い方はおかしいけれど、品行方正で実に見本的なセックスができる。
 
 僕たちの関係は、完璧だ。
 最奥までたどり着いたとき、僕はそう確信をする。
 まるでパズルのピースのように、僕たちが重ねた身体はぴったりと一致していた。
 身体を重ねるってことがこんなにも気持ちいいなんて、知らなかった。
 その本質に初めて触れたような気がした。
 たぶん。僕は、ずっと琴子が欲しかったのだ。もしかしたら、物ごころつくよりずっと前から、琴子だけが欲しかったのだ。
「……ん、あ、かな…め……あ、あん!」
 びくびくと受け入れた口を収縮させながら、喘ぐ合間に僕の名前を呼ぶ琴子を、愛している、と強く思った。
「……琴子」
「要……っ、や、もっと……」
「琴子、好きだよ」
「っ、うん……。好き……す、き…なの……! やっ、んっ!」
「愛してる。琴子」
「あ、あっ…ああ!」
 律動を激しくする。
 何か言おうと開いた彼女の口からは、もう意味のある言葉は漏れてこない。
 ただ僕の動きに合わせて、時折首を左右に振りながら切羽詰まった喘ぎ声を洩らすのみ。
 僕の方もどんどんと意識が白く濁り、身体の内側から燃えるように熱くなり、理性を打ち負かした本能が肉体を支配する。
 ああ、もうすぐだ。
 あの一点に向かって小刻みに抽送を繰り返す。
「や、………なめ、ああん! ふ、あっ」
「…………琴子、もう…いい?」
「ん、んんっ……あ、うん…………やあっ!」
 息を弾ませながら必死に琴子が頷いてくれたから、僕は安心して登頂に向かって腰を揺らす。
 もしダメだって言われても、どうにも出来ない状態なんだから聞かなきゃよかったな。
 
 そんな風に思ったのは、薄いゴムの中に溜まっていた精液をすべて吐き出し終えたあとだった。

 琴子の肩に顔を埋めて、息を整える。僕の耳元にも荒い彼女の吐息が心地よく届いて、僕の幸福感をさらに満ち足りたものにしてくれる。
「琴子」
 けだるげにこちらを見上げた琴子の、アーモンド型の瞳が熱っぽく潤んでいる。
 やっぱり好きだ。琴子が好きだ。
 口に出す代わりに繋がったまま深い深いキスをして、僕はその気持ちを伝えたのだった。



594:コトコのカタチ_7 ◆DswpUl0rgY
08/12/23 20:05:44 TS1QqPHy
 
 簡単に後始末を終えて、裸のままぴったりとくっつきながら、僕らはまた取りとめもなく話し始める。

 結婚して四国へ嫁いだ同級生が、みかんを大量に送ってくれたこと。
 琴子の昔の教え子が、漫画家デビューした。
 川上さんの結婚が決まったような気がする。確証はない。なんていっても筋金入りの秘密主義だから。
 先日の忘年会での、学年主任の失態。
 琴子はもうすぐ冬休み。今年は海外に行かないから、一緒に初詣に行く約束。きっとイオがついてくる。
今日だって来たがったけどダメといって断った(僕のほうにメールが着たけど「今回は遠慮してほしい」と返信したらそれ以来音沙汰がない)。
 父さんと母さんはこっちに帰ってこないから、ついでにカウントダウンも一緒。
 仕事納めの日は納会で遅くなること。
 昔のクリスマスの思い出。ある年のイブの夜中に、琴子がトイレに起きたら階段を上ってきていたおじさんの手にプレゼントがあったこと。
「そこでサンタから預かった」なんていう苦しい言い訳を、ずっと信じていたこと。この件はイオと僕の兄貴から散々「サンタなんていない」とからかわれて悲しかったこと。
 僕の家のほうは、サンタのために枕元に缶ビールを置いておく習慣があったのだけど、今思えば単に父さんが飲みたかっただけなのかな――。

「あ」 
 そこまで話して、唐突に思い出す。
 ちょっと待ってて、と声をかけて、布団から抜け出した。床に転がっていた下着を身に着けて、部屋の明かりを点ける。
「……なに?」
「ん」
 机の上の小さな紙袋の持ち手を掴んで、ベッドに舞い戻る。
 何事かと身体を掛け布団で隠しながら起き上がった琴子の目の前に、はい、とそれを差し出した。琴子のアーモンド型の瞳が、真ん丸く形を変えた。
「プレゼント。もらって」
「わ、うれしい。ありがと、あけてもいい?」
「もちろん」
 琴子が紙袋から小箱を取り出して、ふふ、と幸せそうに笑う。
 青い外箱に巻きついた白いリボンをするすると琴子が解いていく。箱を開けると、中からは磨りガラスのケースが出てくる。
 その中には、紛れもなく僕が選んだ銀色のネックレスが収まっていた。
「わあ……可愛い」
「ベタで申し訳ないけど」
「そんなことないよ。すごく嬉しい」
 中身を確認した琴子が、指先で細い鎖をつまんで取り出した。
 金具を取り外そうとして、ふと、左手がふさがっていると気がついたようだ。
 ちょっと迷うようなそぶりを見せたあと、ネックレスを僕のほうに差し出して照れくさそうに、つけて、と言った。
「いいよ」
 僕が頷いてそれを受け取ると、琴子が白い背中をこちらに向ける。
 小さな部品に若干の苦労をさせられ(実はそんなに器用じゃないのだ)やっと口を開き、一本になった繊細な鎖を琴子の首に回す。
 ひやりとした金属が肌に触れた琴子が、くすぐったそうに肩をすくめた。

 なんかこういうのドラマで見たな。
 まさか体験することになるとは、思わなかった。
 ものすごく照れくさいんですけど。
 っていうか琴子のうなじ綺麗だな。こんなところをまじまじと見るのは初めてだ。

 またカンの口を開くのに苦労をさせられつつ、そんなことをぼんやり考えていたら琴子がポツリと呟いた。
「…………ちょっと、びっくりした」
「なにが?」
「ううん、なんでもないの。ね、できた?」
「できたよ」
「ありがと。どう? 似合う?」
 くるりと琴子が振り向いた。

595:コトコのカタチ_8 ◆DswpUl0rgY
08/12/23 20:06:29 TS1QqPHy
 真っ白な素肌に、銀色のチェーンが光っている。残念ながらぼんやりとした視界ではそれ以上確認できない。
「うーん。眼鏡ないから、見えない」
「あ、そっか」
 琴子の首元に顔を近づける。
 え、と驚いた声を上げた彼女の白い喉もとに、息がかかるほどの距離で光るネックレスを確認した。
 涙型のモチーフの中で揺れる、ささやかなサイズのダイヤモンドのネックレス。
 見た瞬間に、琴子に似合うのはこれかな、と予感したんだ。
 女性の店員さんに、クリスマスらしくハートはいかがですかとかピンクダイヤが人気です、とか色々詰め寄られたけど、琴子は昔からそういう、「可愛らしい」ものが余り好きじゃなかったし、僕自身がピンクのハートを贈ることに抵抗があったというのもある。
 セールストークに一切惑わされない僕を、ちょっと不審な目で見た店員さんに言い訳をした。
 ―ちゃんと似合うって判ってますから。
 その人は、あら、と返事をしながら苦笑いをしていた。

「うん、似合うよ」
「…………なんか、間違ってる。これしか見てないじゃない」
「大丈夫だって」
 言うが早いか、モチーフのすぐ隣に口付けた。
「あ……要……っ」
 琴子の身体が強張る。
 鎖骨の近くの薄い肉をあまく噛んで、少しきつく吸い上げる。
「んん……っ、だ…だめ……」
 びくびくと身を震わせて上半身をのけぞらせた琴子が、僕の肩に手を置いて引き離そうとする。
 一度大人しく引き剥がされてから、僕はすらりとくびれた腰に手を回して、再び熱を持ち始めた身体を抱き寄せた。
 ちゅ、と軽く音を立てたキスをして、鼻先がぶつかる距離で琴子の顔を覗き込む。
「……気に入ってくれた?」
「うん……大事にする」
「よかった」
 吸い寄せられるようにくちびるを重ねる。
 いい加減、くちびるがひりひりしてきた。今日一日で、一年分のキスをしたような気がする。
 それでも琴子とのキスはふわふわと気持ちよく、飽きるなんてことはまったくなかった。

 身体の間に挟まった邪魔な布団を引き抜いて、素肌同士をぴったりと重ねる。
 腕の中の琴子が、恥ずかしそうに身じろぎをして僕のくちびるからするりと逃げた。

「待って……私もあるの、プレゼント」
「そうなの?」
「うん。でも下に置いてきちゃった。取ってきたいから、着るもの貸してくれない?」
「いいよ、ちょっと待って」
「ついでにね、下、片付けちゃわない?」
「そうだね、そうしようか」
「うん。そのあとね、シャワーも貸して欲しいの。全部終わったら、その……あの……
 ――もう一回、しよ?」

 一度だけではぜんぜん足りてなくて、もっと、何度でも何度でも彼女が欲しいと思っていたのはどうやら僕だけじゃないようだ。

 魅力的なお誘いに、今すぐにその二回戦に突入したくなる欲望を押さえつけながら僕は、そうだね、ともう一度返事をして身体を離す。
 クローゼットを開けて服を探しながら、冗談半分、本気半分で「一緒にお風呂に入る?」と聞いたら、ばか、とまた可愛く罵られて、僕はますます幸せな気分になったのだった。


**

以上です。お付き合いありがとうございました。


596:名無しさん@ピンキー
08/12/23 20:19:30 RDsoSfJb
>>595
GJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJ!!!!!!!!!!!!!!!!
しかしなんでか知らないけど死にたくなった!

597:名無しさん@ピンキー
08/12/23 21:06:12 vELJOwm9
GJ
なんて羨ましいクリスマス

598:名無しさん@ピンキー
08/12/23 23:06:09 enx6rMRN
GJ
何か幸せ過ぎて死にそうになる

599:名無しさん@ピンキー
08/12/23 23:45:42 pgmSpQhW
このシリーズ、幼なじみ小説のお手本と言っても過言ではないな

GJ!

600:名無しさん@ピンキー
08/12/24 01:05:20 tS2pbx5k
あまりに完璧な幼馴染モノを読むと死にたくなるんだとわかった。
草葉の蔭からGJ!

601:名無しさん@ピンキー
08/12/24 03:31:35 qXEy6LK3
GJ
だけど1つ気になる点が
>>591
陰茎だと男のモノですがな。正しくは陰核ですね

602:名無しさん@ピンキー
08/12/24 04:19:56 daEB3I/h
あぁもう。
心理描写も光景描写も旨い。
ドキがムネムネして止まらない。
今こそこのAAを使うとき。
;y=ー( ゚д゚)・∵.ターン

603: ◆POBrm2R/G2
08/12/24 06:19:33 AtvduLOz
辰則と美紀のクリスマス 後編投下します。10レス消費予定。
NGワードは「◆POBrm2R/G2」「辰則と美紀のクリスマス」

604:辰則と美紀のクリスマス 後編 (1/10) ◆POBrm2R/G2
08/12/24 06:20:27 AtvduLOz
今日は12月24日(水)、現在時刻は7時41分、俺の現在地は駅前。
美紀と一緒に来たかったんだが、「デートなんだから、駅前で待ち合せするのが常識でしょ?」と意味の分からない常識を持ち出され、待ち合わせすることになった。
ちなみに待ち合わせの時間は8時なんだが、緊張してしいたのか、気付いたら10分前にここに着いていた。
こういう場合、女性の方が早く着いていて『待った?』『ううん、今来たところ。』ってやり取りするのが普通じゃないのか?コレって所謂中二病ってヤツなのか?
まぁそんな事はどうでもいいが、今日こそは絶対に告白するつもりだ。生ぬるい関係もそれはそれで良かったんだが、気持ちが腐って廃棄処分される前にこの関係を崩したい。
もしも振られたら、多分二度と甘やかしてやれるような関係に戻れないとわかっているが、わかっているからこそ、崩すと決めた。いつまでも生殺しはごめんだ。

決意を新たにし、デートプランを練っていたらいつの間にか待ち合わせ時間を10分も過ぎていた。
「遅いなぁ・・・」
「遅いなぁ・・・」
いつの間にか俺の目の前に立っていた女性が、俺と同じタイミングで同じ言葉をつぶやいた。
思わず同情してしまい、その女性の顔を一目見ようと顔を上げると、
「美紀?」
「たっちゃん?」
そこにいたのは美紀だった。

「たっちゃんはいつからここに?」
「大体30分前からだな。美紀は?」
「私は15分前くらい・・・」
「そっか、ごめんな。ちょっと考えごとしてて気付かなかった。」
「か、考えごと!?って、何・・・?」
何を慌ててるんだ、美紀は?
「あぁ、今日のデートについて、ちょっとな。」
「あぁ、そうなんだ・・・ほっ・・・」
美紀は一体俺が何を考えてると思ったんだろうか。わからないがとりあえずスルーしておこう。
「美紀、朝飯は?」
「食べてきたよ。何で?」
「食べてないなら食べていこうと思っただけだ。じゃあ行くぞ。」
「え?じゃあたっちゃんは?」
「食ってきた。」
「そうなんだ。」
まぁ嘘だがな。

こうしてクリスマスイブデートの幕が開けた。

605:辰則と美紀のクリスマス 後編 (2/10) ◆POBrm2R/G2
08/12/24 06:21:08 AtvduLOz
たっちゃんの『考えごと』にはビックリしたなぁ。もしかして昨日の事を言われるんじゃないかと思ってたのに忘れてるみたい。というか今日のたっちゃんはやけに饒舌。いつものお出かけなら、私からしゃべりかけないと絶対しゃべらないのに。
たっちゃんから誘ったっていう心理的プレッシャーでもあるのかな?と思ったんだけど、たっちゃんの目を見てる限りそんな感じは伝わってこない。むしろ何か喋ってないと壊れちゃいそうな、危うい感じ。だから、私は話の切れ目に疑問をぶつけてみた。
「ねえ、たっちゃん。」
「何だ?」
「・・・何か、隠し事、してる?」
「・・・さあな。」
言葉自体はいつものたっちゃんだけど、なんか引っかかる。妙な違和感が取れないまま、私たち二人は遊園地に着いた。

遊園地はクリスマスイブってこともあって、多くのカップルや冬休みに入った学生たちで混雑していたけど、中には初々しいカップルの姿もあって、ちょっと和んだ。
一方、私たちと言えば・・・
「ふぅ~、ジェットコースター、気持ちよかった~!」
「そ、そうか・・・」
「そういやたっちゃん、ジェットコースターとかの絶叫系って苦手じゃなかったっけ?」
「いや、8年ぶりだから大丈夫だと思ってたんだが、なかなか克服できないな・・・」
「ふふっ、たっちゃん、無理しなくていいんだよ?」
「いや、美紀に楽しんで欲しいからな。」
「・・・ありがと♪」
たっちゃんは優しいけど、無理はしない人だと思ってた。今日は今まで無理だったものに積極的に挑んでいる気がする。
さっきのジェットコースターもそうだけど、普通はカップルじゃないといけないアトラクションとか、プリクラとか。確か3年前くらいに買い物に付き合ってもらった帰り、
ゲーセンに当時最新のプリクラがあったから『やっていこうよ』って言ったら『写真写り悪いから勘弁』とか色々と言い訳して、結局私が泣きそうになって、写ってもらったんだっけ。
確かにたっちゃんと一緒にプリクラ写るのは嬉しいんだけど、どことなく無理してる感じがして、ちょっと悲しい。

そして、妙な違和感の答えが夕方、夕日が照らす観覧車の中でわかった。

606:辰則と美紀のクリスマス 後編 (3/10) ◆POBrm2R/G2
08/12/24 06:21:39 AtvduLOz
現在時刻は4時を回ったところ。日が沈むのが早いこの土地では、後1時間もしないうちに日が沈む。頃合だと思った俺は、美紀を観覧車に誘った。
「観覧車なんて美紀と初めて遊園地に来た日ぶりだな。」
「たっちゃんはあれ以来乗ってないんだ?まぁ私もだけどね。」
「初めての遊園地と言えば、確かお前が迷子になって俺が見つけてやったんだよな。」
「むー!それは言わないでよ!たっちゃんだってアイス落として泣いてたじゃん!」
「・・・そうだったな。よく覚えてるな。」
「たっちゃんこそ良く覚えてるよね。でも、あれ以来一緒には遊園地に来なくなったね。」
「そうだな。確かウチの両親がその頃からウチの親父がなかなか時間取れなくなったんだよな。それに美紀があの頃からちょっとずつ変わっていって、誘いにくくなったのもあるな。」
「え?覚えてるの?」
「そりゃ、毎日見てりゃ分かるよ。何がきっかけかは知らないが、小4あたりから随分変わったよな。」

「・・・たっちゃんのせいだよ。」
美紀は俯きながら、そんなことを言った。若干震えている気がする。って俺が何かしたっけ?
「俺の?・・・何をしたか覚えてないが。」
「たっちゃんがっ!あの時クラスで一番人気がある優子が好きって言うから!」
美紀が俺に食いつくように叫んだ。まるで俺が悪人のように、泣きそうな目でにらみつけてくる。
「え?」
「私、悔しくって!一生懸命かわいくなろうとしてたのに、たっちゃんは何も言ってくれなくって・・・」
「美紀・・・」
だからあの頃の美紀はやたらと俺に突っかかってきてたのか。
「だからむかついて、彼氏作っても、たっちゃんはいつもいつも『そうか、おめでとう』って笑顔で言ってくるから、この朴念仁!とか思ったり、
 彼氏と別れて甘えても普通に慰めてくれて・・・そんなときに限って、冗談で『付き合ってやろうか?』なんて言ってくるから冗談だと思ったけど、
 わざと無防備に振舞ってたのに何もしてくれなくて・・・とっても惨めな気持ちになって・・・たっちゃんがわからなくて・・・」
「・・・」
「私、今までで5人くらい彼氏作ったけど、誰にもこの体触らせたことないんだよ?セックスどころかキス、手を繋ぐことさえしなかったんだよ?
 そうやって下心を出してきた子はその場で振ったし、そういう私に嫌気がさして振ってきた子もいた。たっちゃんにしか、触られてない部分が
 いっぱいあるんだよ?なのにたっちゃんは私に興味無い感じだし、今も好きな子が居るって言うし・・・
 ねぇ、私、こんなにたっちゃんが好きなんだよ?どうやったらたっちゃんが好きになってくれるの?ねぇ、教えてよ・・・」


美紀の突然の告白に衝撃を受けた。あまりのショックに反応が出来ない。普通に歩いていたら戦闘機が降ってきました、的な。
今聞いた話を総合すると、美紀は俺のことが好き、なんだよな?しかも今まで作ってきた彼氏とは手も繋いでませんと。
・・・俺らはもしかして壮絶なすれ違いを、少なく見積もっても小3の頃からしていたってことか?


「たっちゃん・・・?」
「美紀、これから俺が言う言葉にびっくりするなよ?」
「ふぇ・・・?」
涙目の美紀がやたらと可愛く見える。口の中が乾いて声が出ない。緊張で鼓動がえらいことになっている。
つばを飲み込み、目を閉じて大きく深呼吸し、気持ちを落ち着ける。そして目を開き、美紀の目をじっと見つめる。
「俺は、美紀が、昔から、大好きでした。」
そこで一度言葉を区切ると、美紀の目が大きく見開き、涙がこぼれそうになる。涙の色は、悲しみの色。
「そして、今も美紀のことが、大好きです。」
美紀の顔が歪む。涙の色は、喜びの色。
「だから、美紀。俺の彼女になってください。」
「た・・・っちゃ・・・う・・・ううう・・・」
「ほら、泣くなら俺の胸で泣け。」
「うわ~~~~~!!」
俺に抱きつき、大声で泣く美紀。胸を叩いてくるが、まるで痛くない。
「ばかっ!たっちゃ、のばかっ!も、ぜったい!はなさないんだ、ら!」
しゃくりあげながら俺を罵倒してくる。その罵倒すら心地よい。
「ああ、俺も、美紀のこと離さないから。」
夕日が照らす観覧車の中、俺と美紀は恋人同士になった。まぁ、随分と遠回りしたけどな。

607:辰則と美紀のクリスマス 後編 (4/10) ◆POBrm2R/G2
08/12/24 06:22:25 AtvduLOz
私は観覧車を降りた後、お手洗いに行かせてもらった、というか行かされた。観覧車の中でなんとか泣き止んだのはいいんだけど、
「まだ話したい事があるんだが・・・その顔じゃ、な。」
とちょっと苦笑しながら。うー、たっちゃんが泣かすのが悪いんじゃんかー!
お手洗いの鏡で顔を見ると、目がすっごく赤いし、ちょっとメイクも崩れちゃってる。
とりあえず目薬を注して、メイクも直す。目がちょっと赤いのは、たっちゃんの所為にしておこう。
それにしても本当に嬉しい。たっちゃんを好きになって10年。ここまでくるのにすごい時間がかかっちゃったけど、やっと願いがかなった。これってクリスマスプレゼントになるのかな?
・・・って良く考えたらクリスマスイブにカップル誕生じゃん?この後たっちゃんとお食事して、その後ホテルとかでたっちゃんが私をお食事!?・・・いい加減にしなさい、私。
妄想で赤くなった顔を冷ますのにちょっと時間がかかっちゃったけど、おかげで目が赤かったのもだいぶ引いた。

「ごめんね、遅くなっちゃって。」
「っ!?あ、ああ。遅かったな。」
「たっちゃん?どうかした?」
「い、いや、いざとなると、結構緊張するなと思って。」
えええ!?たたたたっちゃん!?も、もしかして、もうなの!?ちょ、ちょっと待って、まだ勇気とか気持ちとかその・・・
「美紀、これ、受け取ってくれるか?」
「っ!?ななななに!?」
「えっと、一応、コレが本当のクリスマスプレゼントなんだが・・・」
「ふぇ?これ?」
あ、あせったー。たっちゃんが緊張してるから、ホテル行きかと思ったら・・・思わせぶりだぞ~!
「・・・ってこれ・・・」
「うん、ティファニーのオープンハートネックレス、欲しがってなかったっけ?」
確かこれが欲しいって言ってたのは中2の秋。たまたまたっちゃんとデパートに行った時に見つけて、思わず『好きな人からプレゼントされたいなぁ』とか言ったんだっけ。
「指輪は美紀のサイズがわからないから、ネックレスならと思ったんだが・・・嫌だったか?」
「ううん!すっごく嬉しいよ!ありがとう、たっちゃん♪」
あまりに嬉しくって、気付いたらたっちゃんに抱きついてた。そういえば、こうやってたっちゃんに抱きつくのは初めてだなぁ。
「っあ、ああ・・・」
たっちゃんは顔を真っ赤にしながらそっぽ向いてる。その割には私の体をしっかり抱きしめてる。めちゃくちゃ嬉しい!

608:辰則と美紀のクリスマス 後編 (5/10) ◆POBrm2R/G2
08/12/24 06:22:57 AtvduLOz
「そういえばたっちゃん、いつの間にこんなの買ってたの?」
美紀がニコニコとネックレスをいじりながら聞いてきた。
「ん?たしか買ったのは10月ごろかな。それ以前から金は貯めてたけど。」
「お金?毎月のお小遣いでも貯めてたの?」
あ、そういや美紀には言ってなかったっけか。
「ちょっと前までファーストフードでバイトしてたよ。」
「え?そうなの?知らなかったなぁ。」
「教えてなかったし、知られたくなかったからな。ほら、商店街にケンタあるだろ?あそこでだよ。」
「えぇぇ!?あそこ普通に行ってたよ!?なんで気付かなかったんだろう・・・」
「まぁ俺は表に出ない仕事だったからなぁ。俺も美紀が来てるのは知らなかったよ。」
「ん?でもしてたって事は、辞めちゃったの?」
「まあな。あそこのクリスマスは大変なんだぞ?それに俺たちはもうじき受験生だし、目標金額は貯まったしな。」
「そうなんだぁ。私のためにバイトしてたんだ・・・なんだか嬉しいなぁ・・・♪」
目を細めてネックレスに頬擦りする美紀がすごく可愛くて、思わず見とれていると、
「ん?なぁに?たっちゃん♪」
その反応に、本能がうずく。気付いたら俺は、美紀のことを抱きしめていた。人の目を気にせずに。
「っ!?たたたたっちゃん!?」
「美紀、目、閉じてくれるか?」
「・・・うん。」
とても整った美紀の顔。柔らかそうな唇。赤く染まった頬。全てが愛しくて、美紀の初めてのキスを奪った。
ただ触れるだけの、官能的でもなんでもないキス。それでも、俺たちのファーストキス。時間は長くなかったはずだが、俺にとっては数分に感じた。

「・・・お二人さんとも、お熱いですなぁ。」
ふとそんな声が右から聞こえた。ってこの声は佐々木!?
「佐々木!?」
「瑞希!?」
「やー、どもども、その通り佐々木瑞希でございまーす♪」
「ご、ごめんね、瑞希が見たいって言うから・・・」
隣には佐々木の彼氏らしき男性―たしか佐々木より2歳上だったっけか―の姿も。
「む、村上さん!瑞希を止めてくださいよ!」
美紀はどうやら佐々木の彼氏の名前を知っているらしい。ちょっと嫉妬。
「あ、あはは。どうもこの子の野次馬根性に火がつくと俺でも制御不能でね。」
「む、どういうことかな?イチロー君?」
「ばっ!俺の名前は志郎だ!イチローではない!」
「じゃあ今どこの学校行ってますか?」
「ぐっ・・・!」
なるほど、予備校生か何かで。と言うかよく佐々木と付き合ってられるな・・・
「まぁイチローの話はほっといて。お二人さん、いつから付き合い始めたのさ?昨日はそんな雰囲気じゃなかったと思うんだけど?」
「・・・さっきだよ。俺から告白した。それにさっき佐々木が見たのがファーストキスだよ。」
「おー!ファーストキッス!きゃー!これはみんなにメールしないと!」
「瑞希止めてー!お願いだからー!」
「じょーだんよ、じょーだん♪でも、のりぴーとみなっちにはちゃんと言わないと、だよ?」
「・・・うん、分かってる。」
「ま、あの子達だってちゃんと事情説明すれば分かってくれるよ。心配すんな。」
「・・・うん、ありがと。」
何で木津さんと水上さんが出てくるんだ?よくわからんのだが。
「朴念仁は気にするな。乙女の秘密ってヤツだよ♪」
「侮辱された気がするが気のせいか?というか心の中を読むな、佐々木よ。」
「あははっ!だってたっつーの顔に『なんでのりぴーとみなっちなの?』って書いてあったもん。」
「むぅ・・・」
なるほど、俺は考えてることが顔に出やすいのか。気をつけないとな。

609:辰則と美紀のクリスマス 後編 (6/10) ◆POBrm2R/G2
08/12/24 06:23:28 AtvduLOz
瑞希に散々茶化されたあと、1時間ほどダブルデートみたいな感じで遊園地を回って、私たちは先に帰る事にした。
今日のデートのことを色々と話していて、今度はどこ行こうか、とか話していて、ふと今日の晩御飯のことが気になったので、たっちゃんに尋ねてみた。
「たっちゃん、この後の予定は?」
「あれ?美紀、お母さんから何も聞いてないのか?」
「ん?何も聞いてないよ?」
「そうなんだ?とりあえず美紀の家にお邪魔させてもらうよ。」
「うん。・・・え?ええええええ!?」
「うん?ダメか?」
「いやいやいやいや、ダメじゃないんだけどダメというかなんと言うか、だってパパもママも居ないし、だからたっちゃんが狼さんに・・・」
パパはお仕事、ママはお友達とご飯とか言ってたし。
「なりませんから。送り狼になんてなりませんよ。美紀のお母さんからいい鳥を買ったから、良かったら調理してくれって言われててな。」
「そ、そうなんだ・・・」
と言うか何故たっちゃんにメールを送ってるのよママ。せめて娘にそういうこと言ってよ・・・。

「ただいまー。」
「おじゃましまーす。」
ついつい習慣で帰ってくるとただいま、って言っちゃう。誰も居ないんだけどね。
「じゃあ俺は台所に行って確認してくるから。」
「うん。私は着替えてこようかな。」
たっちゃんとは台所で別れ、私は一回部屋に行くために、リビングの扉を開けた。
「「メリー・クリスマース!!」」
「ひゃう!」
ぱーん!と言う音と同時に真っ暗なリビングからそんな声が聞こえて、驚いて思わずしりもちをついちゃった。
「お父さん、お母さん、やっぱりやりすぎだったと思いますよ。」
苦笑しながらたっちゃんがリビングの電気をつける。え?お父さん?お母さん?
たっちゃんが「お父さん」と「お母さん」って呼ぶのって・・・
「まぁいいじゃないか。たまには娘の驚く顔が見たくてな。」
「お父さんったら趣味が悪いんだから♪お帰り、美紀♪」
のほほんとしたウチのパパとママが、リビングに居た。

「もー!パパもママも人が悪いよ!それにたっちゃんも!知ってるなら教えてよ!」
「まぁお母さんに『美紀に言ったら電気あんまね♪』って言われてたし・・・」
たっちゃんが昔の事を思い出したのか苦笑いしている。あれってそんなに痛いの?
「まぁまぁ、それより美紀、私たちに何か報告すること、あるんじゃない?」
「ふぇ?ママたちに報告すること?」
「遊園地で何かあったんじゃないの~?」
遊園地での出来事を思い出し、思わず顔を背ける。背けた先のたっちゃんは、ちょっと恥ずかしそうに、でも嬉しそうにしていた。
「・・・うん、たっちゃんと付き合うことになった。」
「あら、この子は恥ずかしがっちゃって♪」
「おお、そうなのか!辰則くん、美紀はあんまり料理は出来ないが気の利く優しい子だ。ぜひ幸せな夫婦になってくれよ!」
「パパ!なんでいきなり夫婦なのよっ!て言うかたっちゃんも照れてないで何か言い返してっ!」
「いや、ほら、彼女の両親公認で結婚を認めてくれるのって、やっぱ、嬉しいじゃん?相手は10年来想ってきた相手だし・・・」
「~~~~~!!!」
たっちゃんの言葉に頭から湯気が出るんじゃないかってほど照れる。たしかに、たっちゃんとなら結婚してもいいけど・・・
「まぁまぁたっちゃんは積極的ねぇ♪お母さん少し妬けちゃうわ♪」
「そうだねぇ。娘を手放すのが惜しい親の気持ちって、こんな感じなのかねぇ。」
なんだかのほほんと娘離れについて語りだしたうちの両親。こんな風にさせたたっちゃんが恨めしくて、手の甲を思いっきりつねる。
痛い痛い痛いとかたっちゃんは言ってるけど、腹の虫が収まるまでこうさせてもらうことにする。

610:辰則と美紀のクリスマス 後編 (7/10) ◆POBrm2R/G2
08/12/24 06:24:00 AtvduLOz
嬉しくて調子に乗って夫婦宣言したら、美紀に左手の甲が若干紫がかるまでつねられた。何がいけなかったんだろうか。
それはともかく、あの後は美紀の家族のために料理を振る舞い(と言っても材料は美紀の家の冷蔵庫からだが)、特に茶化されることもなく終わった。まぁ料理は上手いと褒められたが。
その後帰ろうとしたら、お母さんに「冬休みなんだし、泊まっていきなさい♪」と言われたので断ろうとしたら、ことごとく断り文句を撃破され、「さあ、他に理由は?」といい笑顔(でも目は笑ってない)で言われてしまったので、結局泊まる羽目になってしまった。
「で、何故美紀の部屋に・・・?」
「恋人なら添い寝くらいしなさい♪心配はしないで!美紀のベッドはこんなこともあろうかとダブルサイズだから♪」
「いや、普通付き合って初日で一緒に寝たりしないと思うんですが・・・」
「あら、最近の子たちは性の認識が軽くて、付き合った初日にヤっちゃうって言ってるけど?」
「それはテレビの中の話で、僕はそんなに軽々しくヤるもんじゃないと・・・」
「あら、美紀はたっちゃんのこと思ってオナニーしてるのよ?」
「っ!?!?!?そ、それは本人が居ないところでいうべき問題ではないと思います!」
と言うかこの話は美紀に知られる前に忘れよう。そうしないと後で大変なことになりそうだからな。
「まぁまぁ照れちゃって可愛いんだから♪男の子なんだから女の子にがっかりさせちゃダメよ?」
「・・・何を言ってもヤんなきゃいけないんですか・・・」
「うふふ♪それはたっちゃんの気持ち次第ね♪さぁ、コレ持って美紀がお風呂から上がるのを待ってなさい♪」
・・・いつのまにこんなもの持ってたんですか、お母さん。あなたの底が知れません。
「それ、ラテックス製だからとっても気持ちいいらしいの♪でも、伸縮性無いのが難点かしらねぇ。あ、それにたっちゃんのサイズわからないからねぇ♪あら?顔真っ赤にしてかわいーんだから♪」
・・・おかーさま、貴女は私に何をさせたいんですか。ヤらせるのが目的なのか辱めるのが目的なのか。よくわかりません。

このようなやり取りがあった後、俺は美紀が上がった後で風呂に入り、今は美紀の部屋のベッドの上で、背中合わせで話している。
「た、たっちゃんと寝るのって、久しぶりだね。」
「あ、ああ・・・」
お互いどもったり、声が裏返ってるのは、まぁ察してくれ。いきなりのお泊りで緊張してるんだ。それに俺はお母さんから妙なプレッシャーかけられるし。
「昔はよくお互いくっついて寝てたよね。まぁ向きは逆だったけどさ。」
「そうだったな。まだあの頃は男女の区別は無かったけど。でも、俺はあの頃から美紀のこと、好きだったぞ。」
「・・・恥ずかしげも無く、よくそんなことが言えるね。」
「付き合い始めたからな、さらけ出してもっと俺を知ってもらいたい、ってのもある。」
「そっか。・・・そうだよね。」
「だから、観覧車でのあの告白、かなりびっくりしたぞ。まさか美紀が俺の事好きだなんて知らなかったし。」
「私もだよ。たっちゃんがいつも言ってた『なんなら付き合ってやろうか?』が冗談じゃないなんて。」
「あれはおちゃらけて言ってた俺も悪かったな、ごめん。」
「ううん、気にしないで。私だってあの言葉に救われてた部分もあるし、ね。」
「そうか。」
「うん。」

611:辰則と美紀のクリスマス 後編 (8/10) ◆POBrm2R/G2
08/12/24 06:24:32 AtvduLOz
言葉が途切れて、次の言葉が出てこない。でも、嫌な空気ではない。今までの二人には無かった、ちょっと甘くて、胸が締め付けられるような、そんな空気。
「・・・ねぇ、たっちゃん。」
「ん?なんだ?」
「・・・私のこと、後ろから抱きしめて?」
「っ・・・あ、ああ・・・」
『美紀を抱きしめる』なんて、恋人じゃなかった頃には絶対に許されなかった行為だからこそ、『抱きしめる』って言う単純な行為に緊張するし、興奮する。
右腕は腰にまわし、左腕は頭の下を潜らせて肩にまわし、美紀を抱き寄せる。俺の鼻をくすぐる美紀のちょっと長めの黒髪。
美紀の背中やお尻の柔らかさ、華奢な肩、細い腰。全てが愛しくて、満ち足りた気分になり、思わず美紀の髪に顔をうずめる。
「ちょっと、たっちゃんくすぐったいっ」
「美紀、俺今すっごく幸せなんだが。」
「・・・うん、私も、幸せだよ。」
その言葉が嬉しくって、思わず強く引き寄せる。
「きゃっ、たっちゃんつよ・・・た、たっちゃん?あ、あの、その・・・」
「ん?どうした、美紀。」
「や、あのね、お、お尻に、なんか堅いのが当たってるんだけど・・・」
「堅いの?俺の骨かなに・・・」
そういえば先ほどから下半身に若干違和感が、と思い右手で下半身をまさぐると、そこには自己主張の激しい息子様が御起床されていました。
「うわわ、ご、ごめん美紀!そ、そんなつもりは、全く無くって、美紀の体が柔らかくて気持ちいいなとは思ったけど、べ、別にしたいわけじゃな「ねぇ、たっちゃん。」な、なんだ?」
「やっぱり、その、あの、・・・したい?」
「えぇぇぇ!?いや、そういうのはお互いの体も心、環境とか準備でき「私は、いいんだよ?」美紀!?」
「だってたっちゃん、私と結婚したい、って言ってくれたよね?ホントは嬉しかったんだよ、あの言葉。あの時は恥ずかしかったからあんなふうにしちゃったけど。だから、たっちゃんに最後まであげたいの。イヤかな?」
「美紀・・・」
「それにね?一緒に布団に入ったときから、そういうことを意識しちゃってて、でもまだ早いかなって思ってたの。
 でも、たっちゃんの体は正直に反応してくれて、私が欲しいんだってわかったらもっともっと嬉しくなっちゃって、たっちゃんとのつながりが欲しくって。だから、私の初めて、貰ってくれないかな?」
「・・・始めたら、二度と止められないかもしれない、と言うか止める自信が無いぞ。それでもいいのか?」
「うんっ。たっちゃんがくれる痛みなら、いいの。最初を忘れたくないから、痛くてもいいの。」
「・・・わかった。じゃあ、こっち向いてくれ。キスも出来ないからな。」
まさか本当にこうなるとは思ってなかったが、やっぱり嬉しいもんだな。その嬉しさをこめて、俺は美紀にキスをした。

612:辰則と美紀のクリスマス 後編 (9/10) ◆POBrm2R/G2
08/12/24 06:25:02 AtvduLOz
たっちゃんからの優しいキス。『受け入れてくれてありがとう』って気持ちが伝わってくる。胸が熱くなって、張り裂けそうで、嬉しくって強く唇を押し付ける。
そういえば、こういうときってベロを絡ませてする、大人のキスがあるって本に書いてあったけど、どうなんだろう。
ちょっと試したくなって口を半開きにすると、私の口に進入してくる熱くてぬるっとしたもの。ちょっとびっくりしたけどたっちゃんのベロだってわかったから、それに私のベロを触れさせてみる。
触れた瞬間、体に電気が走ったような感じになって、体がビクッて震える。でも全然嫌じゃない、例えるならそう、オナニーしてるときに感じるような震え。でもオナニーとは違って寂しくない、暖かいぬくもりのお陰で心まで暖かくなる。
私の体がビクッとしたことに驚いたのか、たっちゃんが離れようとする。嫌じゃないんだよ、ってアピールしたくって、両手をたっちゃんの首に回して、たっちゃんが離れられないようにする。
今度はたっちゃんの口の中に私のベロを入れる。たっちゃんの口の中を、歯をなぞるようになめると、たっちゃんもビクッて反応して、かわいい。
お互いのベロとベロをくっつけて、表面を撫でるように、裏側をなで上げるようになめると、私もたっちゃんもビクビク震える。
ただベロとベロをあわせるだけの行為なのに、こんなに気持ちよかったんだ。他の男の子にキスを許さなくて正解だった。こんなのされたら、いくらなんでもえっちな気持ちが我慢が出来なくなっちゃうもん。
その証拠に、さっきからお腹の奥の方がせつなくって、何かあふれてるような感じ。

「んはぁ・・・すごいね、キスって・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・そ、そうだな・・・」
さっきからたっちゃんの言うことを聞いてないアレが、なんだかさっきより堅くなってる気がする。
「ひゃう!」
突然たっちゃんに胸を触られて、変な声が出ちゃった。
「い、痛かったか?」
「ううん、いきなりだったからちょっとびっくりしただけ。だからもっと触ってみて?」
「お、おう。」
「あ、でも触ってるときはキスして欲しいな・・・」
「わ、わかった。」
ふふ、たっちゃん緊張しすぎ。おかげで私の緊張が解けたから、まぁいっか。
「ふぁ・・・は、んん・・・」
たっちゃんに胸をもまれて、思わず変な声が出ちゃったから、思わずたっちゃんの唇で声が漏れないように口をふさぐ。と言うかたっちゃん、そんなに胸ばっか見ないでよ。
たしかに無駄に大きいおっぱいだし、街を歩いてると男たちはエロエロしい目で見てくるし。たっちゃんは違うと思ってたんだけどなぁ、やっぱり男の子だったんだね。
「んんっ!んぁ、た、たっちゃんそこはつまんじゃだ、ひゃう!」
既にブラ外してたから、乳首が堅くなってるのことにたっちゃんが気付いちゃった。そこはかなり感じる場所だからあんまりされるとおかしくなっちゃいそう。
「た、たっちゃんちょっと待ってっ!」
「い、痛いのか?」
「ううん、痛くは無いんだけど、いきなり気持ちよくなったからちょっと怖くって・・・」
「そ、そうなのか?」
「うん、だから、もうちょっと優しくしてくれるとありがた・・・っ!?」
起き上がってたっちゃんにお願いしたときに、ふと目に入ったドア。よく見てみると、鍵が開いていてびっくり。
お布団に入る前にちゃんとドアの鍵は閉めたはずなのに。・・・!もしかして!

「美紀?どうした?」
「(たっちゃん、ちょっと悪いんだけど、静かにドアまで行って、ドアを思いっきり開けて欲しいんだけど)」
「(えっ?どうかしたか?)」
「(うん、ドアの鍵が開いてるの。閉めたはずなんだけど・・・)」
「(・・・わかった)」
たっちゃんがゆっくりゆっくりドアに近づく。たっちゃんも察したようで萎えちゃったみたい。たっちゃんがドアノブを握り、さっとドアを引くとバタバタッと倒れてくる人が二人。
「あ、あはは・・・バレちゃった?」
「だ、だから俺は鍵だけはやめとけって言ったんだ。」
「ママ~?パパ~?ちょっとお話聞かせて欲しいんだけど?」
「「み、美紀が怖・・・あ、あはは・・・」」

613:辰則と美紀のクリスマス 後編 (10/10) ◆POBrm2R/G2
08/12/24 06:25:33 AtvduLOz
美紀の尋問はおよそ一時間ほど続いた。その間、美紀のご両親から『助けてたっちゃん』的な視線が飛んできたが、俺自身も被害者なので苦笑で返した。
もっとも、俺の方を見た瞬間に『なにたっちゃんに助け求めようとしてるの!?』と言う美紀の雷が落ちたため、口の出しようがなかったわけだが。
と言うか、俺も美紀を怒らせないように気をつけよう。

「ねぇ、たっちゃん。」
ちなみに今は美紀が俺の腕に抱きつく形で寝ている。もちろん変なことはしていない。また覗かれるかもしれないし。
「ん?どうした?」
「たっちゃんは最後まで出来なくって、残念?」
「残念っちゃ残念。だけどまぁ、これでよかったと思ってる。」
「どして?」
「多分あのまま続けてても最後まで上手くいかなかったと思うんだよ。俺ガッチガチに緊張してたし。」
「あはは、確かにたっちゃんの緊張はすごかったね。」
「あんなことするのなんか初めてだからな。いざそういうことになると緊張するもんだな。」
「でも、嬉しかったよ。」
美紀が恥ずかしそうに俺の腕を強く抱きしめる。腕が胸に埋まってなんだかこそばゆい。
「それに何かで見たことあるんだが、ただ寄り添って寝るだけの夜を何日も過ごす内に、お互いの波長が合ってきて、セックスが良くなるって言う話もあるらしいぞ。」
「え?そうなの?」
「俺の記憶だけにある話だから眉唾かもしれないけどな。ただ、焦る必要なんてないさ。」
「そっか。・・・そうだよね、別に焦る必要はないんだよね。」
「美紀には焦る理由があったのか?」
「・・・まぁ心当たりは無きにしも非ず、かな。」
「俺が他の女に、性的に篭絡されるとか考えたとか。」
「っ!・・・たっちゃん、本当は全部知ってて今の話してるの?」
「は?何のことだ?」
と言うか一つの例えで、俺のことが好きな子って聞いたことないんだが。
「だよね。・・・たっちゃんがにぶちんさんで本当に良かったよ。」
「にぶちんとは失礼だな。まぁ別にモテたところで美紀が好きなことには変わりないよ。」
「・・・うん。」
俺の言葉に頬を赤く染めて目を逸らす美紀。可愛すぎだろマジで。
「とりあえず今日はゆっくり寝て、また明日からも仲良くしような。」
「うんっ!」
赤い頬はそのままに、潤んだ瞳で笑顔になる。今までとは違う笑顔に、今まで以上に強く強く『好きだ』って気持ちがあふれてくる。体が勝手に動いて、美紀を抱きしめながらキスをする。
美紀は一瞬びくっと震えたものの、素直にキスを受け入れてくれる。今日はこれ以上しないので、ディープキスはなし。
「ん・・・ふぅ・・・」
「ん・・・はぁ・・・たっちゃん、ありがと♪」
「おう。さ、寝ようぜ。」
「うんっ!」

互いに『おやすみ』と挨拶し、夢の世界に旅立つ。
ちなみにその日見た夢は、かなり幸せな夢だったとだけ言っておこう。

614: ◆POBrm2R/G2
08/12/24 06:27:15 AtvduLOz
以上で終了です。おかしい部分などがあれば指摘してくださるとありがたく。
エロは次回投下予定の話で投下予定。

615:名無しさん@ピンキー
08/12/24 10:30:34 VBpIVHMt
GJ!
しかしここのところの貴方の投下ペースはすごいな………
某スレもこっちも目を離せないぜ

616:名無しさん@ピンキー
08/12/25 11:02:36 AZ4pdA24
GJ!!
聖なる夜に虫歯になりそうな甘い話を読めて幸せなことしきり。
ありがとうございます。

617:名無しさん@ピンキー
08/12/26 11:40:08 32ZplzBM
>>578の続き。エロ無しです。

618:『この世で最も華麗な彼氏』 ◆uC4PiS7dQ6
08/12/26 11:41:36 32ZplzBM
1
 ずっと、考えてた。
 あの日から一年間、ずっと、ずっと。
 本当にボクの身体はオイシイのかって、ずっと考えてた……

 自分で自分の指を舐めたって味はしない。
 証明してくれるのは幼馴染みだけ。同じ日に産まれ、同じ時間を共有して来た幼馴染みだけ。ボクが恋焦がれた重羽美月だけだ。
 美月だけがオイシイと言う。他の人には絶対に舐めさせるなと言う。美月だけが、ボクの味を知ってる。
 でもこれってオカシクないか? もしかしたら味がするってのは全部ウソで、ボクを挑発して、約束を守れるかどうかを試しているのかも知れない。高校卒業までエッチしないって約束を守れるかどうかを。
「はんっ……」
 守れるさ! 何年越しの想いだと思ってるの!? どんな誘惑をされたって守ってみせる。だから……もう断らないと。もうボクを誘惑しなくて良いよって。ボクの指を舐めなくて良いよって。言わないと。
 だいたい、身体がカレーの味するなんて有る訳無いんだよ!
 でも万が一、億が一にもボクの身体が本当に美味しいなら? それを調べる為にも、美月以外の誰かに指を舐めて貰うとか?
 うん、そうだよ! そうしよう! 美月と同い年の、美月と同性の人に舐めて貰おう。ジュースでも奢れば首を振ってくれそうな人……真理(まこと)、かな?
 だね。こんな事を頼めるのも、美月以外で気兼ね無く話し掛けれる女性も、美月以外じゃ真理だけ。決まりだっ!
 

 ―キーンコーンカーンコーン。


 テスト終了の、全日程終了のチャイムが鳴り、突っ伏した机から顔を上げる。
 テストはバッチリ。考える時間もたくさん取れた。後は覚悟、幼馴染みを疑う覚悟。
「真理、ちょっと付き合って」
 二つも深呼吸して真理の背中を軽く叩く。
「えっ?」
 ボクの席は廊下側の後ろから二番目。真理はボクの真ん前。美月は窓側の先頭。美月とボクはほぼ対角。
 だったらイケる。挨拶が終わって、帰る支度をして、美月がこっちを振り向くよりも早く。
「きりーつ、れーい」
 テストが回収され、挨拶が終わると同時に真理の手を引いて教室を抜け出す。
「ちょっとぉ、どうしたの砂耶?」
 教室を出て、廊下を駆け、無人の図書室に入り、その奥。
 昼休みにボクとミツキの秘め事が行われる場所。そこで漸く立ち止まり、真理を窓際に。ボクは少し離れて向かい合う。
「はぁっ、はぁっ……んっ、ゴメンねマコちゃん。実は、内緒でお願いがあるんだ」
 むくれた表情の真理に謝罪して、すぐに本題へ。
 美月に似た切れ長の瞳に高身長。健康的に日焼けした褐色の肌に、多分にシャギーが入ったショートヘア。美月がグラマラスなら真理はスレンダー。
 美月を除いて、ボクが普通に話せる女の子……真理。
「でっ、お願いって何?」



619:『この世で最も華麗な彼氏』中編 ◆uC4PiS7dQ6
08/12/26 11:43:19 32ZplzBM
2
 目を細め、口元を吊り上げる。いつもの表情。ボクの言葉を値踏みする、いつもの真理。ツマラナイ事だったら許さないと物語ってる。
 いきなりこんな所に連れ込まれたら当然だと思うけど、それでもボクは確かめたい。
「ジュース奢るからさ……マコトちゃん、ボクの指を舐めて」
 右腕を真っ直ぐに伸ばして肩の位置より上、真理の顔前に五指を開いて差し出し、好きな指を選ばせる。
「意味、わかんないんだけど?」
 そう否定しながらも、ボクの人差し指以外を折り畳み、一つの指を選択してくれた。
 本来ならきちんと理由を教えるものだと思うけど、ボクの身体はカレーの味するらしいから舐めて……なんて言えないよ。頭のおかしな人にされちゃう。
「お願いマコトちゃん……ボクの、ゆびを、なめて」
 だから全部、全部、舐めて貰ってから判定すれば良い。ボクはオイシイのか、ミツキが嘘を付いてるのかを。
 美味しいなら美月に謝ろう。疑ってゴメンねって。
 嘘なら言おう。もうボクを舐めるなって。約束は守るから誘惑なんてしなくて良いよって。
「ふっ!? ああっ……それじゃあ、舐めるよ砂耶?」
 マコトちゃんは一度だけブルリと全身を震わせると、許可を取って口を拡げ、舌を垂らして指に近付ける。
「うんっ、やさしく、やさしく、ねっ?」
 そして、唇の間に指が挟まれようとして、

「ダメだ砂耶っ!!」

 唐突な否定で後ろへと引っ張られた。
「えっ、うわっ!?」
 三歩も下がり、首に腕を掛けられ、胸に手を回され、羽交い締めにされる形。
 聞き慣れた声、ボクよりもずっと高い身長、後頭部に当たる柔らかくておっきな膨らみ。そこから導かれる解答は……
「みつ、き?」
 99%の自信を持って見上げる。
 すると目の前に映るのは正解。怒った顔でボクを覗き込む幼馴染み。
「真理、砂耶から言われた事は忘れてくれ……ほらっ、砂耶には大事な話しが有るからちょっと来いっ!」
 美月はそのまま、引きずるようにボクを真理から離して行く。
 真理はご愁傷様と、僅かに笑いながら手を振ってた。
「恥ずかしいから、せめて手だけにしてよぉ」
 ズルズルと図書室から出され、そこからは手首をしっかり掴まれて引っ張られる。
 女の子に引っ張られて抵抗できないボク……我ながら情けない。
 でもこれで決まりだ。美月が必死に止めたのは嘘がバレるから。味なんてしないから真理に舐めさせたくなかった。
 じゃあ言わなきゃ。もう舐めるなって、もう舐めさせないって。
 先を早足で歩く美月は長い髪を左右に揺らし、階段を降り、渡り廊下を越え、テスト日により静かな体育館に入り、重い扉を開けて更に静かな用具倉庫へ。
「おっ、わわっ!?」 
 跳び箱。バスケットボール。バレーネット。薄暗く微かにカビ臭い部屋。
 そこでボクは大きな着地用マットの上に仰向けで押し倒され、美月は後ろ手に扉を閉じる。




次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch